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説明員(
下河辺淳君) ただいまの新
全国総合開発計画について総点検をいたします内容でございますが、ひとつ大きな問題といたしましては、御
承知のように、新
全国総合開発計画は国土総合
開発法に基づく
計画でございますので、たくさんあります
環境政策その他もろもろの
政策との斉合性というものが非常に大きな問題でございまして、法律的に言いますれば、国土総合
開発法の中で何でも片づくということではございません。したがって、他の
環境行政との調整ということはひとつ大きな問題でございまして、これは別といたしまして、国土総合
開発法の中におきましては、現在
環境の観点から八項目について作業をいたしております。
第一の点は、現在経済企画庁が経済審議会に諮問しております経済五カ年
計画でございますが、この経済五カ年
計画を決定するにあたりまして、新
全総との調整をはかるということが
議論になってまいるかと思います。
日本の国土は三十七万平方キロありますが、おのずから
開発に限界がございますから、その限界と今後の経済成長なりあるいは
産業構造との
関係なりを調整する
意味での作業をひとつしようと
考えております。
それから二つ目は、長期にわたる人間と自然との調和ということを新
全総で初めてうたい込んでおりますが、これの実効があがっていないということから現在
環境庁で自然
環境保全法ができまして、その方針を
検討しておられまして、
環境庁としてもこの
開発の許容限度を研究するという作業をいたしておるのでありますが、その作業と提携いたしまして自然
環境をどのように保全したらよいかということの
検討をひとつ作業としていたしております。
それから三番目は、巨
大都市問題でございますが、巨
大都市につきましては、特に水の問題あるいは交通
公害の問題あるいは電力の問題など
環境問題に
関係する巨
大都市の諸施設が限界にきたために
過密の問題が起きておると思いますが、現在まで私
どもとしては必要なものを供給するという形で巨
大都市に取り組んでまいりましたが、この
段階にきますと、
環境問題の観点からむしろ需要のほうを調整しなければならないということで、工場の分散その他中枢管理機能の分散についてもどのような分散が可能であり、そうしてその
環境問題と調和することが可能であるかということを巨
大都市問題として
検討することにいたしております。
四番目の問題は、
工業配置の問題でございまして、これはきょう
鶴園委員から御
指摘いただきました点を含めて
検討いたしたいと思っておりますが、これについては
通産省が
工業再
配置法に基づきます
工業再
配置計画をつくられますので、その作業とあわせて
議論を進めたいと思いますが、一方では
基礎調査をさらにしなければならない側面を持っておりますし、
地域住民との話し合いをまだしなければならないという側面を残しておりますが、そういうものを含めて、
環境汚染の立場から一度
工業配置について
議論をしたいということと、さらには既存の工場でありましても、新増設をするということが出てまいりますと、既存の
工業地帯の
環境からの限界についてもあわせて作業をしたいと
考えております。
それから五番目は農林水
産業の問題でございますが、これはいままでやはり食糧の需給問題として
議論をしてきておりますが、この
段階で食糧の需給問題だけではなくて、緑とか海を保全するという立場、あるいは都市
人口がふえますことに伴いますリクリエーションとの
関係、あるいは農村の特に
過疎村落におきます生活整備の問題等々ございまして、農業というものを国土の
環境条件として
考えて、どのような
考え方があるかということを
考えてまいりたいと
考えております。
六番目は、
地方都市問題でございまして、これはこれからやはり都市化が進む中で巨
大都市に都市
人口を収容することが困難であり不適当であるという観点から、
地方都市の育成問題というのが、
日本列島の総合
開発にとって非常に重要であるということになりますが、そのときに、新
産業都市
時代のように、
工業誘致から始まるということではなくて、やはりそこの市民が生活の上でどういう豊かな生活
環境を持ち得るかということで、特に余暇時間がふえる市民にとって、その余暇時間を消費すべき
環境をどのように持ったらよいかというような観点から
地方都市問題に取り組んでみたいと
考えております。
七番目は、土地問題でありまして、やはりこの新
全総をやります場合に、法人などによります土地の流動性などを見ました場合に、やはり土地問題について抜本的な対策を講ずる必要があることは言うまでもございませんが、どのような対策を講じたらよいかという作業をしておるわけでございますし、特に
環境を保全するための土地というものがどのような形で確保されるかということも含めて
議論を進めたいと
考えております。
八つ目は、国土総合
開発法の改正問題でございますが、この総点検を進めながら、新しい
日本の
国土開発に関します方向づけが得られますならば、二十五年にできました国土総合
開発法を全面的に改正いたしたいということで、国土総合
開発法の改正問題を
議論しておりまして、以上八項目に分けまして
環境の側面から新
全総の総点検をいたしたいということで、現在ようやく作業に入りつつあるところでございます。