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1972-08-10 第69回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月十日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員の異動  八月十日    辞任          補欠選任     世耕 政隆君      山本茂一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 鈴木 省吾君                 小谷  守君                 塚田 大願君     委 員                 河口 陽一君                 小林 国司君                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 中村 登美君                 藤田  進君                 水口 宏三君                 安永 英雄君                 中尾 辰義君                 萩原幽香子君                 野末 和彦君    国務大臣        文 部 大 臣  稻葉  修君        国 務 大 臣  二階堂 進君        国 務 大 臣  濱野 清吾君        国 務 大 臣  増原 恵吉君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        内閣官房内閣審        議室長      亘理  彰君        内閣総理大臣官        房人事課長    山地  進君        社会保障制度審        議会事務局長   上村  一君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁長官  高松 敬治君        防衛施設庁総務        部長       河路  康君        防衛施設庁労務        部長       平井 啓一君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        運輸大臣官房参        事官       斎藤 英夫君        会計検査院事務        総局第一局長   服部 桂三君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十五年度特別会計歳入歳出決算昭和四十五年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十五  年度政府関係機関決算書(第六十八回国会内閣  提出) ○昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十八回国会内閣提出) ○昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十八回国会内閣提出) ○理事補欠選任の件     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和四十五年度決算外二件を議題とし、昨日に引き続き総括質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 水口宏三

    水口宏三君 私から少し防衛関係の四十五年度決算について伺いたいんでございますけれども、防衛関係質疑をする以上、当然防衛問題についていろいろ御質疑しなきゃならぬ点があるんでございますけれども、防衛そのものの問題につきましてはいずれ内閣委員会基本的にやらしていただくことにして、特に防衛問題のうちで、この四十五年度決算考える上に必要な点だけについてまずお伺いいたしたいんです。けれども、申し上げるまでもなく、これまで防衛力整備計画が、第一次と申しますか、最初の四カ年計画から第二次、第三次とすでに第四次防衛計画に入っているわけでございますけれども、これを振り返ってみますと、第一次と申しますか、最初の四カ年計画のときには、いわば防衛力の根幹的な整備というようなことが中心にうたわれておりますし、第二次防衛力整備計画——六二年から六六年は一兆三千九百億円を使って「骨幹的防衛力内容充実」と、「整備」から一歩進んで「内容充実」と、それから次にさらに局地戦以下の侵略に対する防衛体制基盤の確立と、すでにこの第二次になりますと、そういう「防衛体制基盤」というような形にまで発展をしてきている。と同時に、ここで「国土国民に密着した防衛力」の建設と、特に国民から愛される自衛隊というようなスローガンが強く打ち出されてきている。それから第三次防衛計画はこれらの第一次、第二次を受けて、二兆五千四百三十八億円、いわば第二次の大体倍額の経費を使って、ここで特に注目しなければならぬと思いますのは、「侵略に対する抑止力として有効な防衛力整備」ということで、「侵略に対する抑止力として有効な防衛力」という、「抑止力」ということばが実は出ておるわけでございますが、「抑止力」ということば、これはあとで伺いますけれども、いずれにしても、こういうふうにこれまで防衛力整備計画がつくられてまいったわけでございますけれども、防衛力整備計画をつくるにあたっては、その前の前提となるべき防衛計画というものが当然あってしかるべきではないかと思うのでございますけれども、これまで防衛庁として防衛力整備計画基礎となるような防衛計画をお立てになっておるのかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  4. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 「防衛計画」ということばが実はいろんな場合に使われておりまして明瞭ではございません。御承知のように、国防会議所掌事項の中に「防衛計画の大綱」ということばがあります。この場合の「防衛計画」ということと、いまの御質問とでおそらく違うだろうと思うんですけれども、われわれのほうの防衛力整備計画前提として防衛計画があるかと申されますと、われわれのほうでは「防衛構想」ということば考えております。したがいまして、防衛計画というものに対応いたしまするものは、毎年毎年の年度統合戦略見積もりというものの中でいうならば、統合防衛計画——統合防衛及び警備の計画というものがございますが、それに該当いたします。それの中期のものにつきましては、これは一応統合幕僚会議研究といいますか、勉強といいますか、スタッフ作業としてございますけれども、長官決裁になるものは年度年度のものはございます。したがいまして、もう一度繰り返せば、防衛力整備計画前提になりまするものは防衛構想ということで、厳密な意味での防衛計画相当するものは必ずしもないということになろうと思います。
  5. 水口宏三

    水口宏三君 それでは一応その中期計画と称されるこの第何次という防衛力整備計画に見合うような防衛計画、あるいはいま久保局長のお話しの防衛構想というものはないと見ていいわけなんですね。むしろ具体的には年次防衛構想というものがつくられて、それに見合って年次業務計画がつくられると、そう理解してよろしいのですか。
  6. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 防衛力整備計画に見合いまする長期、つまり五カ年間の防衛計画というものは、これは長官決裁になるものはございません。ただし、いま申し上げましたように、その前提となる防衛構想防衛考え方というものはございます。
  7. 水口宏三

    水口宏三君 防衛考え方は、これはもう第三次、第二次にしても、それぞれずっといま私が申し上げたようなものを入れて一応防衛考え方は出ているわけですね。整備計画というものは、具体的にどれだけ軍事力を強化するか、どういうふうな配備をするかということになってくるわけですね。そうすると、かなり具体的な防衛構想がなければ非常にやりにくいのじゃないのですか。したがって、長官決裁になる——長官決裁というのは、これはむしろ国防会議にかけられる第何次防といわれている防衛基本構想というようなものと別途そういう具体的な防衛構想なり防衛計画をおつくりになっているのかどうかということなんです。
  8. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 防衛力整備計画つくります場合に、将来の防衛をどういうふうにするかということは当然具体的に検討するわけであります。これは各幕僚監部を集めて統合幕僚会議が一応検討して将来のあるべき姿というものは、これは描いております。しかし、それを必ずしも長官決裁という形でオーソライズされておりません。長官に対して、将来こういう姿になるであろうという姿は描くわけでありますが、それは公的なもの、公式なものにしておりません。しかし、そういうものを描きながら五カ年間の三次、四次という防衛力整備計画をつくっていると、そうすると、具体的な長期防衛計画がなくてそれができるのはおかしいじゃないかと、こういうことにもなりましょうけれども、われわれのほうで将来必要であろうと見込まれるものは、現在のものよりももう少し内容の充実されたもの、言うならば、防衛上の最小限の自衛力を建設するその途中の段階であるということで、いわば未知数であるということでありますので、将来のものが若干可変的でありましても、さしあたってこの五カ年間はこういう内容でつくっていかねばならない、そういうような思考過程を歩んでおります。
  9. 水口宏三

    水口宏三君 それは非常にこういう、大体まあ第何次防というものが、それ自体が国防会議にかけられたものというのは非常に抽象的なものでございますから、その限りにおいてはいまの御答弁である程度乗り切れるのかもわかりませんけれども、実際にここで具体的な作業ですね、おそらく防衛庁としてはこの裏に相当詳しい具体的な整備計画をお持ちだと思いますけれども、そういうものをつくる場合には、当然やっぱりそれに見合ったぼくは防衛構想というのがあってしかるべきだし、当然あるべきだと思うのです。それはあまり深入りしません。むしろ私、その場合に、当然その防衛力整備計画に伴い防衛計画がつくられ防衛構想がつくられる。その場合には普通必ず、昔のことばですか、「仮想敵国」ということばを使いますね。これはいま防衛庁では使わない、禁句になっているらしいですけれども、しかし、いずれにしても何か侵略があるであろう、それは甲国あるいは乙国という名前でもいいと思いますよ。しかし、これは、だけど現実には、安保条約の第二条を見ますと、安保条約そのもの一つ目的というものが、自由な制度を強化するというところにこの安保条約の大きな使命があるんだと、しかも、わが国防衛というものが、安保体制基礎にしている以上、自由なる制度で表現される裏側というのは、結局われわれの防衛庁でお考えになっておるのは、いまの自民党政府が言う自由でない政府のあるところ、さらに具体的にいえば中国ソ連朝鮮民主主義人民共和国ということになろうかと思いますがそれはよろしいのでございますか。
  10. 久保卓也

    説明員久保卓也君) わが国侵略するであろうということ、つまり、わが国に対する脅威が何であるかということは、相手国侵略意図とそれから軍事的な能力、この二つが組み合わさって脅威がある。具体的にいうならば「顕在的脅威」があるというふうに申しております。その場合に、われわれの立場では、わが国侵略するであろう国が、そういう意図を持った国がここ見通し得る近い将来において起こり得るであろうとは予想いたしておりません。そういう意味において仮想敵国はないということは言えようかと思います。ただし、なぜそれではわれわれが防衛力整備するかといいますると、いまの脅威の中で、周辺諸国には軍事能力がある、これを脅威と見るかどうかは問題あるかもしれません。外国ではこれを脅威、いわば潜在的脅威であるというふうに見ておりますが、それを脅威であるかどうかはことばの問題ありますからかりに別といたしまして、そういった周辺諸国軍事能力がある、そういった軍事能力があるということとないということとは明らかにわが国防衛上は違うわけでありまして、そういった軍事能力がある場合に、将来そこに意図が変化しあるいは加わってくる可能性ポッシビリティというものは秘めておるという意味で、そういうような周辺諸国軍事能力というものをわれわれは計算をしながら防衛力整備する、そういうことが実態であります。
  11. 水口宏三

    水口宏三君 これは長官にお伺いしたいんですけれども。と申しますのは、防衛局長立場としてはその限界だろうと思うのでございますけれども、当然政治問題として防衛力整備というものがそういう何か非常にあいまいな形ではなしに、先ほど申し上げた安保条約第二条を私読んでみます。「締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。」自由な制度ということを非常に強調しているわけですね。いわゆる一般的に、政治的に自由主義諸国といわれている、これらの諸国というもののいわば安定なり安全なりということが目的になっているわけですね。そういうふうにいえば、政治的に私は当然この日本における防衛力整備計画久保局長は、周辺軍事力があると言うけれども、周辺といえば太平洋を隔てたアメリカも入るわけです。アメリカ軍事力を持っているからといって、それに対抗する別に防衛力をおつくりになっているわけじゃないんです。具体的にお考えになられるのは、さっき私が申し上げた共産圏であるというふうに一応政治的には判断してよろしいのかどうかということですね。
  12. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ちょっと一言ごあいさつをさせていただきます。  このたび防衛庁長官を拝命をいたしました増原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  いまの御質問でございまするが、安保条約に、何といいまするか、基本的な問題として自由の制度を確保、尊重するということばが使ってあることはまことにそのとおりでございまするが、これは日本の国が自由主義民主主義のたてまえでこれから参る、そういうたてまえの国として国の安全、防衛に努力する、米国と協力をしてまいるというたてまえをうたっておるわけでありまして、ただいま防衛局長が申しましたように、防衛というものの前提とする脅威というものは、戦後のと申しますか、自衛隊防衛力整備の場合にわれわれとしては考えておらないわけでございます。考えておりますることは、防衛局長の申しましたように、周辺にある軍事力軍事力というものに意図が万一加わりますると脅威、顕在的な脅威になるという意味周辺軍事力というものを考慮に入れて防衛力整備をやり整備計画をつくるということでございまして、その場合に、基本的に自由の諸制度を守っていくということばをうたいましても、しからば相手共産主義諸国であるというまでの意味を私は持っているものではあるまいというふうに考えておる次第でございます。
  13. 水口宏三

    水口宏三君 しかし、周辺軍事力がある。周辺軍事力が何らかの意図を持った場合にそれに対抗するのだとおっしゃいますけれども、まあ「周辺軍事力」でけっこうです、それじゃ。「周辺軍事力」では——その他アメリカは入らないんですよね——「周辺軍事力」というと、わが国の場合、ソ連それから韓国、朝鮮民主主義人民共和国、それから中華人民共和国、それからまあしいていえばフィリピンなり何かも入ると思いますね。これらの国々ということになる。しかも、それで自由の諸制度となれば、事実防衛力——さっきも申し上げた……そこでぼくは、防衛庁はいつでも防衛計画というものをあいまいにしているし、何となくただ防衛力整備計画をつくるんだとおっしゃっているけれども、いま申し上げたような「周辺軍事力」といってみたって、まさかアメリカ対象にお考えになっているはずはないのであって、当然問題になるのは、日本にもし軍事力として何らかの意図を持って脅威が感じられるということを皆さん方がおっしゃるとすれば、これはもう言わずもがな、ソ連あるいは中国ということにしぼられてくるのが常識だと思うのですが、それを言明しろというよりは、そういうことを全然あいまいにしておいて、それで一体防衛計画があるのかないのかもはっきりしない。ただ防衛力だけ整備しますというのは、これは全く国民に対して何かばかにした言い方であって、これは私やはり「周辺軍事力」というものはどういうものであるのか、その「周辺軍事力」に対してどういうふうな評価をしているのか、どこに危険性があるのか、だからこういう防衛計画を立てその防衛計画に基づいて防衛力整備を行なうのだということでないとこれは筋が通らないのじゃないですか。その点、ひとつ長官のほうからぜひ伺いたいんです。
  14. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 安保条約米国との間に締結しておる日本として、日本防衛力整備の中にアメリカ考えていないことはおっしゃるとおりでございます。「周辺軍事力」というものを一応考慮に入れて防衛力整備計画をつくると申しまするときに、特にどこの国がどれだけのものを持っておるからということを、何と申しまするか、明らかに想定をする形で整備計画をつくることは必ずしもいい方法ではないというふうにいままで考えて、「仮想敵国なし」というふうな表現を使っておるわけです。しかし、現実周囲にある軍事力というものはおおよそわかっておるわけであります。そういう種類の軍事力考え防衛力整備計画をつくる、これはおっしゃるとおりでございます。そういう意味において、この計画作成に支障があるということはない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 水口宏三

    水口宏三君 そこで一つ非常にはっきりしたのは、いま増原防衛庁長官が、少なくとも現在の日本における防衛力整備というものはアメリカ軍事力は全然対象にしていないということは、これは確言なさった。これははっきりいたしますね。そうすると、アメリカ以外で相当いまの日本防衛力との見合いで考えられるものは、これはソ連なり中華人民共和国であることもいま言外に、長官のおっしゃったようにおのずから大体わかるということだろうと思うんです。そこで問題は、そういう非常に国の基本的な問題にかかわる二とについて、中期防衛計画というものは明確にされておりません。あるいは年次業務計画もこれは少なくとも公表されておりません。国会に出されるのは、年次予算とそれからそれに伴う年次決算でございますね。ところが、あとでこれ伺いますけれども、大体防衛庁予算決算というものを見ても、一体どういう防衛力がどの程度どういうふうにつくられ、それがどういうふうに使われようとしているのかということは全くわかりません。しかも、第三次とか第二次防衛計画すらこれは国会にはかけられない。国防会議の決定でそのまま済まされる。もちろん第三次防衛計画なんか見たって、大きな抽象的なことばが並べられているだけであって、実際のわが国における防衛力の実体、あるいは防衛力意図しているものというものは、これはおそらくわからないだろうと思うんですね。そういう意味で私は、まず第一に、もっと防衛庁が出すべきものは出す。特に重要な点については国会報告をして承認を求める。一時防衛白書の問題が出ましたですね。私はむしろ防衛白書的なものを出して、いま防衛庁がおつくりになっている防衛計画なりあるいはそういう一つ年次防衛計画なり、あるいはそれに伴う年次業務計画なり、そういうものを織り込んだ防衛白書的なものを出してやっぱり国会報告をするということでないと、われわれ自身大体の予算なり決算なりをここで審議しようとしてもほとんど材料がない、基礎がないわけですね。そこで、さきの防衛局長の話のように、日本周囲には軍事力がありますと、その軍事力がいつどういう意図を持つかわかりませんと、しかもそれはどこの特定国とは全然言わないわけですね。大体そんなばく然としたぼくは防衛計画なりあるいは防衛力整備というものはどこの国にだってあり得ないし、おそらく皆さん方だって腹の中ではそう思っていないと思うんですがね。だから、そういう意味で私はむしろ単に年度予算決算だけで国民にこれを知らせるというような方法でなしに、国会を通じて明確にそれらの点についてお出しになる。それが防衛白書という形をとるのか、あるいは年次業務計画を公表するのか。あるいは中期のものであって、それに防衛計画なり、何なりがあればそれを出すのか。それらの点について長官としては何かお考えあれば伺いたいと思うのです。
  16. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) いままで正規の形では、たとえば五カ年計画数字等国会に出して正規審議をいただいたことはないそうですけれども、事実上はもう明確に防衛整備五ヵ年計画が二次防、三次防、できれば国会において審議を、論議をしていただいておるという状況でいままでも来ておるわけでございます。このたびも四次防の主要項目がきまりますれば、これも国会においてまた論議をしていただくということになるものと思うわけでございます。この防衛構想として十年先を一応見通した構想をある程度設想をし、そのうちの五年間を整備計画として四次防をまとめようという考え方中曽根長官のときの四次防策定考え方であったことは御承知であろうかと思います。これはその後の正規の四次防論議ではありませんが、四次防を国会論議をされる過程におきまして、その構想が取りやめになりまして、第三次防と基本的には同様の考え方で四次防を整備をしていくということになりましたから、そういう意味では水口委員の言われるように、構想の立て方が少しぼんやりした形にまたもとへ戻ったということが言われるわけですけれども、防衛構想を十年ぐらいの先をひとつ見て立てることは私は一つ考え方であると思っておりまするが、このたびは四次防審議過程におきまして、そういう中曽根原案のときの考え方を持っていくことが適当でないというふうに判断をして、四次防の策定を三次防の考え方基本と同じ方向で進めるということにしたわけでございます。おっしゃるように、この防衛構想というものを相当長期にわたって、言いかえれば、防衛力限界とでも言うべきものを構想として御審議を願うということ、これは私も望ましいことと考えておりますので、日本のいま現在置かれたような立場における防衛力整備を従来考えてみまして、そういうふうに防衛力限界構想長期構想をまとめることはなかなかにむずかしかったということで、いままでそう参いっておりません。これは私、防衛庁幹部と相談をいたしまして、やはりある設想が要ると思いまするが、現在の国際情勢が現状もしくは緩和の方向で推移をするというふうな前提のもとにわが国防衛力整備一つ構想、いわゆる防衛力限界というものを考えてみようということにいたしまして、これの研究を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。現在のところは、おっしゃるような明確でないこともあることはこれはそのとおりであると言わざるを得ない状態でございます。
  17. 水口宏三

    水口宏三君 いま長官がおっしゃった防衛構想を十年に立てて、その十年の防衛構想に基づいて第四次防をつくる、あるいは防衛力限界云々ということは、これは防衛問題そのものに対する、基本に触れる問題でございますから、いずれ内閣委員会で十分私のほうでまた御質問いたしたいと思います。しかし、ここで私が申し上げているのは、そういう基本的な問題であるよりは、国民が現在の日本防衛力というものを理解するにあたって政府国会にはっきり承認を求めるのは年度予算とその年の決算だけである。一体これで国民がほんとうに日本防衛力なりあるいは防衛問題というものを理解できるのかということを私は質問しているのであって、私自身わからないんですよ、正直に申し上げて。防衛庁予算を見たって、一体どういう意図を持って具体的にどのくらいの戦力があるのかということはよほど専門に勉強しないと全然わからない。したがって、私はむしろ防衛白書的なものを、それは十年間の防衛構想をお立てになるかどうか、これはまあいずれ議論いたしましょう。少なくとも第四次防が五カ年計画である以上、五年の防衛計画は、防衛構想というのはあるはずです。そういう防衛構想、それから並びにその防衛構想に基づく防衛力整備計画にしても、三次防、今度の四次防もおそらくそうでしょう。実に不親切ですよ。たとえば「国防の基本方針」が最初に出て、その次に計画の更新と、これも実に抽象的であってこれだけ読んだって何だかわからない、抽象的でもって。当然これに伴って相当具体的な計数があるはずなんだから、そういう考え方なり計数というものを明確にしたものを少なくとも国会報告をするという、現在法律にはございませんけれども、そういう法律をつくって、本来ならそうすべきではないのか、またそのほうが妥当ではないのか。たとえば国防会議で決定されたこれですら別に国会承認の義務はないわけですね。そこのところを私申し上げているんです。
  18. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 現在までのあれにつきましては、私からその経緯その他は特別に申し上げるあれはありません。従来は事実上三次防、二次防それぞれ国会において大いに御論議をいただいておるというふうな実際があって、そういう形で推移をしてきたと思いまするが、四次防主要項目等が定まった段階でこれを国会において論議をしていただくような形は、私はとって一向差しつかえない、とるほうがよかろうというふうに考えております。防衛白書の問題は、私、防衛庁に参りまして聞きますると、一応ことしの年末ごろまでに防衛白書を出そうという計画があるようでございます。この計画を私のほうは尊重して防衛白書を出すように努力をしてまいりたいという考えでございます。
  19. 水口宏三

    水口宏三君 これはちょっといまの長官のおことばは少し解せない点があるので。たとえば四次防の国防会議に対する基本構想ができたですね、それを国会で御審議いただくことは自由だとおっしゃいますけれども、これはあたりまえのことであって、何も長官からおっしゃるまでもなく、むしろ政府側が積極的にしないからこそわれわれは質疑をやっているのであって、そんなことは当然のことです。国会の義務であり機能だと思うんですね。  それはさておいて、防衛白書を出すという計画がおありになるわけですね。これはぜひ私は防衛白書というものが、いままでのあいまいの形での、さっきもお話しの日本周辺に戦力があって、その戦力、軍事力がいつどういう意図を持つかわからぬからというような話で言われても、国民には全然わからぬです。もう少し具体的に防衛白書というような形でもって国民にわかるようなものをつくっていただきたいということ。なぜ私はそれを強調するかというと、三次防の中に突如——われわれにとっては突如なんですね——あるいは防衛庁なり政府にとっては普通かもわかりませんけれども、「侵略に対する抑止力として有効な防衛力」ということばが入ってきている。これは「抑止力」ということばはいろいろ使われておりますですね。「抑止力」の解釈いかんによっては非常にこれはぼくは問題がある点だと思う。こういうものが突如第三次防衛計画に出てきている。長官はこの「抑止力」いうものおどういうふうに一体解釈になっているか、その点、伺いたい。
  20. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 三次防で……。
  21. 水口宏三

    水口宏三君 長官基本的なことを伺っておきたい、長官に。久保さんとはあとでまた……。
  22. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 三次防のときの問題でもありまするし、先に防衛局長にお答えをさして、あと私が……。
  23. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 三次防のそのことばは、私が国防会議事務局の参事官をしておりましたとき私がやりましたので、責任もありますので一応お答えを申し上げますと、防衛力というものはややともすれば戦争のために使われるという観念が一般にあったわけでありまして、自衛隊は戦争に参加する、自衛力があると戦争が起こるという観念が非常に強かったように思えるので、ここで、当然の話ではありますけれども、防衛力を持つということは戦争するためではなくて、戦争を起こらせないようにするための防衛力であるという、いわば第二次大戦後の軍事力というものの本質、性格を申し述べたかったということで、それは一次防、二次防と必ずしも異なっておらないわけであります。ですから、われわれが持つべき防衛力というものは、本来抑止力であるべきだということをそこで申し述べようとしたわけであります。そこで抑止力というのはそれでは何であるかというと、いまもおっしゃいましたように、必ずしも明確な定義というものは現存しておるわけではございません。ただ一、二のことばをもってかえさしていただきますると、同じようなことを申しておりまするけれども、たとえばアメリカの用語辞典の中では、戦争の結果に対する恐怖によって戦争を防止すること、あるいは受け入れがたい対応行動が信頼性を持って起こるであろうという脅威によってさらされておる心理的な状態であるというような言い方、あるいはキッシンジャーがかつて書きました本の中では、得られる利益とはつり合わないと思われるようなリスクを押しつけることによって、相手にある行動、方針をとらせないようにする試みであるというふうなことを言っておりますが、一般的にこのキッシンジャーのような表現、ことばの端々は違いまするけれども、大体そういった感じで「抑止力」ということばが使われておるように思います。
  24. 水口宏三

    水口宏三君 戦争の、要するに、戦争するための戦力ではないのであって、戦争を起こさせないような戦力なんだというような、一つには常識ではそういうふうなことをおっしゃっておるわけですね。しかし、戦争を起こさせないためということは、相手方に恐怖を与える、もしうっかり戦争すれば自分たちも非常な惨害をこうむるということが前提になるわけですね。
  25. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 恐怖といいますと心理的な問題でありますが、「抑止力」というのはもう少し広範な意味合いを私は持つと思います。つまり、単純な被害に対する恐怖ということよりも、利益と損失の計算であります。それは人的、経済的な損失もありましょうし、国際社会における名誉威信の喪失ということもありましょうし、そういうことを含めての話でありまして、単純に被害がある、あるいは相手方の攻撃力がこわいという意味での恐怖ということではなかろうというふうに私は思います。
  26. 水口宏三

    水口宏三君 それは非常に久保さんのいまの御発言は久保さんらしくない御発言だと思いますね。もし国際的道義とかそういう意味の政治的な判断を下した場合、相手方が強力な武力を持っている場合、日本が強力な武力を持っている場合に、相手方との間で紛争が起こった、これは私はかなり相手方のいろいろな問題もあろうしこれはあまり国際道義云々の問題にならないですよ、むしろ抑止力というものは、軍事的に使われる場合、これは報復力を含む。うっかり相手国を攻撃すればその国から今度は反撃を受ける。反撃を受けて自分たちは非常なやっぱり損害を受けるんだと、それがやはり「抑止力」というものの一つの一番中心的なめどだと思うんでございますが、その点はどうなんですか。
  27. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 一がいに必ずしも否定をいたしませんが、アメリカの学者でモーゲンソーさんという人がおりまするけれども、その人の文章の中で……。
  28. 水口宏三

    水口宏三君 久保さん、非常に博学なんで……いや、防衛局長のお考えをお伺いしているんですから。
  29. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 私よりも権威がありそうなものを引用してそれをふえんいたしたいと思います。(笑声)
  30. 水口宏三

    水口宏三君 いや、これは防衛局がおつくりになっているんですか、あれ、まさかアメリカの文章をここに写しているわけじゃないんだから。
  31. 久保卓也

    説明員久保卓也君) それでは申し上げますが、要するに、このモーゲンソーは、大国の中ではそういった報復力、攻撃力があるべきであろう、そういう場合に抑止力というものはより有効になるという言い方をしております。しかしながら、これは抑止力の有効性の度合いという問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。たとえばスウェーデンであれスイスであれ、これは爆撃機を持っておりません。仮想敵国というものはそれぞれの国には持っておりませんけれども、公式に聞けば持っておりませんけれども、かりにソ連を意識する場合にスイスなりスウェーデンはソ連の本土を攻撃するだけの力を持っておりません。しかしながら、御承知のような防衛体制を持っております。そこで、それは相手を攻撃する、相手の基地をたたき得るだけの力はないけれども、出てくればそのつどたたけるということで、これはスイスならスイスという国を防衛し得ました。第一次大戦、第二次大戦におけるドイツに対する防衛というものはまさにスイスのそういった体制のもとにおける軍事力であるということで、きわめて有効な軍事力あるいは抑止力というために相手方を攻撃し得る能力を持っていることはよりベターであろうとは思いまするけれども、しかし、抑止力として一応意味のあるものというものは、それぞれの国のあり方によってそれは可能ではなかろうか。したがいまして、わが国の場合には、十分な抑止力という場合には、自衛隊は純粋に専守防衛の分野しか守りませんから、十分性というものはないかもしれません。それを補うものはアメリカの協力、日米安保体制であるというふうなのがわれわれの認識であります。
  32. 水口宏三

    水口宏三君 防衛論にあんまり深入りしたくないのでございますけれども、どうも久保防衛局長らしくない御答弁なんでひとつ伺いたいんでございますけれども、大体第一撃を相手国が不当にしかけてきた。それに対するわが国の対応のしかたとして、これは相手国が第一撃をしかけてきたということは、これはすでにもう相手方からの不当な攻撃を受けたわけなんですね。その攻撃に対する防衛というものは、これは一時よく波打ちぎわ作戦といわれましたですね。そういう形じゃないわけでしょう。当然相手のそういう危険な基地をたたくということは、これはもうその後の国会論議でもかなり明確になっているわけでございますね。相手国の基地をたたくというために、ただ飛行機だけ飛んでいくのか、あるいは海上自衛隊も行くのか、場合によっては陸上自衛隊まで行ってそれを完全に、その危険な基地を制圧するのか。それは私は進展によってはわからぬと思うんでございますよ。ことばの遊戯でなしに、抑止力という以上、相手国の攻撃以上のこっちは戦力を持って相手方のそういう攻撃というものをむしろ完全に押えるだけでなしに、相手方がむしろ逆にいえば非常な打撃を受けるというものでなければこれは意味がないと思うのでございますね、「抑止力」ということばを使う以上。この点はどうなんです。
  33. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 従来の国会の答弁の中では、相手方の基地をたたくということは全く申しておりません。これは、政府側は代々そういうことは申しておりません。ただ、座して死を待つよりは云々という例外的な答弁が統一解釈としてあるだけであります。ところで、日本を完全に防衛し得るためには、発進してくる相手方の軍の基地をたたくということがより効果的であるということは軍事技術的には申せると思います。しかしながら、わが国は、憲法上のたてまえからすればやれないし、やらない。もしやる必要があれば、それは日米安保体制に基づいて米側に依存するんだ。したがって、わが国自衛力というものは、わが方に進攻してくる途中で要撃する。これは必ずしも領空、領海でもって初めて要撃するというわけではありませんけれども、公海上におきましても、わがほうに進攻してくることが明白であればそこで攻撃をする。ですから、自衛隊自衛力抑止力というものは完全であるということは必ずしも申せないのであって、その不足するところを日米安保体制に依存をするということになっていると思います。
  34. 水口宏三

    水口宏三君 いま久保さん憲法論議をお出しになったので、こうなるとますますそれは問題が発展をするので、憲法の解釈いかんになると思いますので、これをこれ以上発展させようと思いませんけれども、たとえばいまの久保さんの構想でいうと、たとえば攻撃をしかけられてもわが国はもう決して相手国には行かないのだ、したがって、ちょうどこれは、たとえばカメは攻撃をされるとき首を引っ込めますわね、それに似たようなものであって、要するに、自己の周辺だけであって、いわゆる向こうはいかなる選択権も持ち得るのだ、どういう形でも攻撃し得るのだ。日本は、どんな形で攻撃したって自分の国には決して攻撃をしかけてこない。これは実際上、ぼくは、戦術問題と戦略問題を混同していらっしゃるのじゃないでしょうかね。私は、戦略的には、いままで政府は決してわが国から相手国を攻撃することはないと言っているけれども、一たん相手国から不当な攻撃が行なわれたということを想定した場合、それに対する戦術問題としてどこがどういうふうに行くかというものをいきなり憲法論議に飛躍させるということは、これはぼくは非常に危険だと思うのですね。憲法ではそもそも初めからそういうものは認めてないんですよ。だから、憲法論議に飛躍させてそこで歯どめにする、それで戦術的にもそういうことやらぬということになりますね。
  35. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 軍事技術的に申しますると、おっしゃるような議論が残っておるわけであります。しかしながら、よかれあしかれ、われわれの、従来政府がとっておりまする解釈というものは、純粋に自衛の範囲に限られる、狭義の意味における自衛の範囲に限られるということで、相手方の領土、領海にまでこちらが進出をして自衛をするということはとらない。イギリスがヨーロッパに軍隊を派遣をしておりますのは、これはやはり自衛のためということでありましょうけれども、そういう発想はとらない。「自衛」ということばが非常に広くもとられ狭くもとられまするけれども、わが国の自衛はいわば専守防衛という立場での自衛ということで、出てきたものをそのつどたたくという意味での自衛というふうに従来解釈されていると思います。
  36. 水口宏三

    水口宏三君 この防衛論議は、じゃ内閣委員会に譲るとしまして、むしろそういう形でもし日本防衛力というものを抑止力として有効であるほどに持つためには、相手国の持っている軍事力に比較して相当——より以上の戦力を持たなければそういう形での戦力というものが抑止力として有効であるとは私はどうも思えないんですね。たとえば沖繩戦一つを振り返ってみてもそうでしょう。相手方は選択権は自由なんでございますから、自由な選択権を相手方が持っている。それに対していつでもこちらは専守防衛でもって、防衛力相手を抑止するのだとなれば、相当強力な軍事力を持たなければならぬという点が第一点です。  もう一つは、そういう軍事力を持った場合に、最初これは長官久保局長もおっしゃったように、周辺の国が軍事力を持っている、現在のところ日本を攻撃するというような意図はないであろう、しかし、こういう軍事力というものがいつどういう意図を持つかわからぬというから日本防衛力を持つのだとおっしゃっているけれども、日本周辺国は、今度日本がそういう抑止力として効果を持つほどの強力な軍事力を持った場合、いま、あるいは自民党政府だからいいとおっしゃるかもわからぬ、しかし、今後どういう政治的意図を持つかわからぬですね。そうすると、軍事力そのものが相手方に脅威を与えるということになることはこれは十分考えられるわけですね。その点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
  37. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 三次防で「抑止力として有効な防衛力」ということばを使いました場合に現在の石橋書記長が当時盛んに言われましたことは、抑止力であれば多々ますます弁ずである、したがって防衛力が大きければ大きいほど抑止力としての効果が高いのだという批判をなさいました。ある意味ではそれは当たっておるかもしれませんけれども、これは単独でわが国自衛力を持つ——自衛力といいますか、わが国防衛しようというわけではありませんで、日米安保体制の中で自衛力を持とうという考え方でありますので、私はおのずから持ち得る限度、あるいは持ってしかるべき限度というものが出てくるんではなかろうか。そこで、たとえば極東に十七個師団かりにソ連の陸軍がいるからといってわがほうも十七個師団持たなければならないということには必ずしもならない。やはりわがほうの足らないところを米側に依存するというたてまえを延伸してまいりますると、わが国が妥当なものとして持つべき姿というものは出てまいろうと思います。そういったものを考えてみますると、それが外国に脅威を与えるというようなものにはおそらくなるまい。もちろん、日本脅威というもの、外国に与えている脅威の最大のものは何かといいますと、言うならばウォー・ポテンシャルとでも申しますか、経済力が非常にありますので核装備もできる。GNPの一%しか使っていないことは、逆にいえば数%使ったらたいへんなことになるということ、そういった潜在的能力に対する脅威ということであろうと私は思います。そこで国会政府、各政党のシビリアン・コントロールによって軍事力防衛力というものがしかるべき度合いに押えられた場合に、いまよりもそう大きな規模になるとは私は考えられませんがそういった事態に対して現在日本の何分の一という人口の国が日本の二倍もの陸軍を持っておる。こういう状況から考えてみると、わが国現実防衛力について他国に脅威を与えるようになるということはとうてい考えにくいところであります。
  38. 水口宏三

    水口宏三君 まあこの抑止力論については、いまの防衛局長の御意見は私納得し得ない点がありますのでこれはいずれまた第四次防と関連して内閣委員会で十分論議したいと思います。  もう一つ、これはこの前、内閣委員会防衛局長が例の核兵器の保持についての答弁をされましたね。それと一緒に江崎防衛庁長官——これは江崎防衛庁長官個人といえば個人かもわかりませんけれども——外国の特派員クラブでもって演説をなさっている。一言でいえば、要するに、わが国のような人口稠密でしかも高度に発達した産業社会で、戦術核兵器を使うこと自体、わが国が、もし防衛という観点で考える限りにおいて、これは本土で使えばむしろわれわれ自身に非常に大きな被害を与える。これはこの間の内閣委員会での久保防衛局長の発言でもあったと思うのです。と同じような意味で、わが国が非常に強力な軍事力を持てば持つほど、もし久保さんのおっしゃるように、要するに、これは軍事用語でいえば、防衛であっても、大体自分の領土内で戦争するということは一番愚の愚がある。ことにこういう人口稠密なところで戦争が始まれば、その被害というものはむしろこれは相手国軍事力に与える被害より以上に、一般国民のこうむる被害はばく大なものがあるわけです。もし久保さんのおっしゃっているような戦術というものを承認したとしても、これは戦術核兵器を、あなたは全くこれは採算の合わないものである、軍事的に見ても。と同じように、現在の非常に高度に発達した通常兵力、これは私は戦術核兵器というふうにことばがいくと非常に質的に高いものに感じますけれども、むしろ通常兵器でも、現在発達した通常兵器の威力というものは戦術核兵器にまさるとも劣らない強力なものがある。そうなってくると、そういう形で一体日本防衛というものは国民の生命、財産、あるいはこういう稠密な人口、高度な経済社会というものを守るために有効に本土で使われ得るのですか。
  39. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 通常兵器とそれから核兵器については、ヨーロッパにおいてはこれの区別をすることは比較的何といいますか、無意味ではありませんが、相関関係が非常に強い、ヨーロッパ戦場では。ところが、アジアにおいては、通常兵器と核兵器というものは峻別をされるべきものであるというふうに思っております。そこで、核兵器の場合の効用というものは、言うまでもなく、数キロトンからメガトン級まで瞬時にして飛躍し得ることが可能でありまするし、数発でもって日本全土を破壊し尽くすことが可能であろうというふうに思うわけでありますが、ところが、通常兵器の場合には、これはもちろんそれほど大きな効果がないことは言うまでもないこととして、一つには破壊が進むには時間がかかるということであります。これはヨーロッパ戦場でもそういった議論がいろいろ行なわれておることですが、時間をかせげるという点が一つあります。  それから、もう一つは、日米安保体制を一応基礎に置きまする関係上、日本をめぐる全面的な戦争という形ではなくて、やはり限定された形のものが行なわれるんではなかろうか。これは第二次大戦の後における各種の戦争態様の特徴でありまするけれども、必ずそういった予測が当たるとは限りませんけれども、一応われわれの防衛力整備前提として、全面的な戦争というよりも、比較的制限された戦争ということも考えられるのではなかろうか。また、いまわれわれの危険なことは、戦争論というものに引きずられますると、いまの四次防の兵力、防衛力でもってどの程度役に立つのかといったようないろいろな問題が起こります。したがいまして、体制として日米安保体制及び自衛力、それをまたつくっていこうという国民の意思、そういった総合的な体制の中で、われわれは戦争を防止し得る、抑止し得るというようなことになるという発想のほうがより重要ではなかろうかというふうに思います。
  40. 水口宏三

    水口宏三君 きょう、実は時間もございませんし、防衛論議そのものは内閣委員会に譲るとして、以上、私が申し上げたことを長官にぜひひとつ、お聞き取り願ったと思うのでございますけれども、国民自身がやはりこれに対して疑問を非常に持っておると思うのですね。しかも、さっき申し上げたように、政府から明確なものは示さてれいない。したがって、それらを含めて先ほどお話しの防衛白書をお出しになるということは再確認してよろしゅうございますね。
  41. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 防衛白書を出すように、鋭意検討努力します。  仰せになりましたような意向が完全に盛り込めるかどうか、なかなかむづかしいあれがありますが、まあ、御趣旨に沿えるように検討いたします。
  42. 水口宏三

    水口宏三君 それでは防衛論議はその程度にいたしまして、それとの関連で私は防衛予算の仕組みと決算の問題について少し伺いたいんでございますけれども、大体、防衛庁予算は総理府の中で、総理府の一つとして組まれておるわけですね。それでほとんど本庁費に本庁費というものへほとんど各自がずうっと並べられている。それで、項に属する点については、本庁費以外では特殊な航空機の購入費、これも全体としての航空機の購入費あるいは船舶の建造費とか、こういうふうな全体的な問題として陸海空の別は全然ないわけなんですね。ところが、実際に防衛庁で、おそらく予算をお組みになる場合にはですね、当然、各幕僚監部からそれぞれの一応計画をお取りになる。これはきのうちょっと伺ったんですが、業務計画というものは、各幕僚監部別でつくられたものを内局で調整をして、それで概算要求をおつくりになるということなんですけれども、これはおそらく財政法上の関係で私は防衛庁というものは総理府の中の防衛庁であるということで、どちらかというと本庁費に全部そのまま突っ込みになっている。各省庁の場合には本省費というものとその他の各項に属するかなり具体的な仕事の内容は、これは予算を見ればわかるし、同時に決算の場合も、じゃあこの事業についてどういう効果があったかということが判定できるわけなんですね。そういう意味で、どうも私は防衛庁予算の仕組みというものが、これは一つはそういう財政法上のたてまえからこうなっているのかもわかりませんけれども、陸海空という本来の実体であるものの姿というものは、予算決算を通じてはどうもわれわれ明確にわからない。それから、なおかつ、日本のそういう防衛力というものは、ただ防衛力を持つことが目的なのではないのであって、当然、防衛力によって防衛行動がとられること。これは防衛行動だけでなしに、おそらく治安出動の場合もあるでしょうし、災害救助の場合もあるでしょう。どちらかといえば、こういういわば自衛隊の行動に関することですね。これを昔のことばでいえば、おそらく軍政部門と軍令部門と申しますか、海軍省、陸軍省の扱っていた部門と、参謀本部なりあるいは軍令部なりが扱っていた部門と、二つのものもこれは突っ込みになってこの中に入っていて、どれがどれだか全然仕訳がわからないわけなんですね。それで私はむしろ大蔵省のほうに伺いたいんでございますけれども、大蔵省で実際、防衛庁予算を立てなさる場合ですね、おそらくは概算要求はいま私が申し上げたような陸海空別はこれははっきりしている。しかし、少なくとも軍政部門と軍令部門というものは何か非常に不明確である。将来は当然こういうものは分かれなければならぬのではないか。一体どういう基準でこの防衛庁予算を立てなさるのか、そこら辺のところを大蔵省からちょっと伺いたい。
  43. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 初めに予算の組み方から申し上げたいと存じますが、ただいま御指摘のように、たとえば予算を陸海空の別に計上するというような方法一つ考え方であろうかと思います。しかしながら、財政法の第二十三条によりまして、歳出予算につきまして、まず、その部局等の組織の別に区分をいたすということになっておるわけでございます。そこで、その組織のとらえ方につきましては、国家行政組織法を基準といたしまして、本省、外局、附属機関、地方官署というようなふうにとらえているわけでございまして、各省共通の考え方でございます。  ところで、防衛庁の場合には、御存じのように防衛庁設置法の定めによりまして、陸海空の自衛隊防衛本庁に属しておるわけでございます。したがいまして、これらにかかる経費を、組織の区分といたしましては防衛本庁のもとに統一的な考え方に従いまして一括計上しておるわけでございます。他省庁と同様の取り扱いになっておるわけでございます。  なお、査定にあたりましては、当然、防衛庁のほうからのいろいろその裏づけとなります資料を見まして、いろいろな観点から査定を加えているわけでございます。
  44. 水口宏三

    水口宏三君 ただ、まあ防衛庁というものは他の行政官庁、つまり行政機能であるよりはそれ自体が、まあ事業官庁と言うとおかしいですけれども、実際上自衛隊というそういう行動部隊を、これを養成し、訓練し、育成し、そして戦力を増強し、必要な場合にはこれを動かして軍事行動をとると、そういう機能が他の行政官庁とは非常に異なるわけなんですね。そういう意味で、私はどうも、これはまああるいは議員立法等で考えるべきことかもわかりませんけれども、ただ、いまの財政法上のたてまえからいって、総理府のいわば外局的な形での防衛庁という位置づけで、それで他の行政官庁と同じような予算の仕組みであることが、国民から見た場合に、防衛庁予算を見て、おそらく、私自身これは非常にわからないし、驚いたんでございますけれども、これは防衛庁というものは予算なり決算なり見ただけじゃ、その実体である陸海空というものは全然わからない、防衛庁は一体どういうことをやるのかもわからない。そういう意味で非常に矛盾を感ずるんでございますけれども、そういう点について将来政府の側で何らかこれを改正するというような意図をお持ちになっていらっしゃるのかどうか。これは防衛庁長官並びにできれば大蔵省からも御意見を伺いたいと思います。
  45. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 経理局長からお答えをさしたいと思います。
  46. 小田村四郎

    説明員(小田村四郎君) 防衛庁予算の編成の仕組みにつきましてはただいま大蔵省から答弁がありましたような考え方で編成をされております。ところで、予算の各項あるいは各日の問題でございますが、これは先生御承知のように一種の法規範的な性質を持っております。したがいまして、防衛庁だけのために特別な仕組みをつくるということはなかなかむずかしい問題であろうかと存ずる次第でございます。ただ、御指摘のございましたように、防衛庁の中心をなしますところの各自衛隊の経費の内容につきましては何らかの形で内訳を示す必要があるであろうということで、国会提出申し上げておりますところの歳出予算の各日明細書、これには防衛本庁の中に長官官房あるいは附属機関の部門に必要な経費、それから陸海空各自衛隊別の運営に必要な経費の積算の内訳を計上しておるわけでございます。なお、そのほかの、たとえば航空機購入等の項につきましては、これは目が必ずしも多くございませんので、こういうものにつきましては別途予算の大要という小冊子を防衛庁として作成いたしまして、先生方あるいは国民の御理解に資したいと、こういうことで努力しておる次第でございます。
  47. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 複雑膨大な予算をどのように組織的、系統的に組み立てるかということにつきましては、いろいろ御議論、御意見もあるところでございます。予算の区分をどういうふうにするかという問題でございます。分類のしかたといたしましては、目的別に分類する考え方、あるいは組織別に分類する考え方、それから使途別と申しますか、人件費、物件費というような考え方で分類するしかた、いろいろございまして、それぞれ特徴があるわけでございます。そこで、現在の予算の区分の仕組みを申し上げますと、先ほど申し上げましたようにまず組織別に分けまして、それから項別に分けるわけでございますが、項は原則として目的別という考え方に立っておるわけでございます。項の下の目につきましては、これも原則的な考え方でございますが、使途別と申しますか、人件費でございますと職員基本給とか職員諸手当というふうに分ける、物件費でございますと庁費、旅費、糧食費というように分ける、という考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のございましたように、たとえば行動費というような考え方も確かにあるわけでございますけれども、そういう全体の統一的な考え方から申しますとなかなか問題があるかと存じますし、また、実際問題といたしましてもどの範囲が行動費であるかというようなことにつきましては、これまたむずかしい問題があろうかと存ずるわけでございます。そこで、ただいま防衛庁からも御説明申し上げましたように、従来から資料といたしまして御参考の資料を提出いたしておるわけでございますが、ただ予算上の区分自体を直すということにつきましては、統一的な考え方、あるいは各省共通の取り扱いに従わなければならないという要請もございますので、なお慎重に検討さしていただきたいと、かように思います。
  48. 水口宏三

    水口宏三君 いま、「なお慎重に」ということばがあったので、それに食い下がるわけではございませんけれども、私は、まあ大体こういう、他の行政官庁ですね、通産省とか、農林省とか、あるいは総理府の中でも経済企画庁とか、そういうところとは非常に異なった官庁であるということ、これはもう基本的に違いますわね、そういう意味で、私はただそれは一括して財政法上のそういう規定に従って、なるべく各省同じ形でといってみても、本来各省同じことにならないわけですね、突っ込んでいってみれば。したがって、予算の組み方というもの並びにそれに伴う決算というものはもう少し国民にわかりやすい——確かにいまお話しのように項目明細書なりあるいは概算要求の大要とか、参考資料をいただいております。したがって、われわれこれを一週間もかかって勉強すれば、ああそうかいなとわかる。これは非常に、しかし、われわれが質問しようとするから一週間もかかって勉強するのであっ、もっと予算の組み方というものが国民に、いまの自衛隊のあり方を含めて、やはりわかるような予算決算であるのが至当ではないのか。これを、ただ各省並みにと言うけれども、それは各省並みといっても内容は全然違う官庁である、防衛庁というものは。内局こそしほんとうの本庁の内局ですね——内局こそ各官庁の本省と多少似た機能も持っているかもわからないけれども、少なくとも予算のむしろ大部分というか、もう九九%を占めている統幕会議並びに陸海空の自衛隊ですね、そのものというものは、これは全然各官庁とは違った機能、また違った内容のものです。そういう意味で、私はどうも予算決算というものを、少なくとも防衛庁の問題に関する限り、ここら辺で財政法そのものを改正するかどうかは別としても、どういうあり方が妥当であるかということは検討され、もし現在の財政法のむしろ適用のやり方いかんによって可能ならば直ちに直していただく。もし財政法を改正する必要があるなら十分ひとつ政府としても御検討いただきたいし、われわれとしてもまたこれを考えなければならぬだろう。少なくとも現在の財政法のワク内でも組み方によってはもっとわかりやすいものに変え得るのじゃないかという気がいたしますので、いまの次長の検討したいということをそういう方向へぜひひとつ検討して、できれば近い機会に——私は、いま総括質問のあれでありますから、今度各省別のときにでももう一回伺いたいと思うので、できればそれまでにでも何らか問題点を御指摘いただけるように御検討願いたい。これは要望にとどめてはおきますが、いずれにしても現在の防衛庁予算決算というものは鬼っ子であると、一言でいえばですね、そういう感じを非常に受けるわけです。  ここで伺いたいのですけれども、防衛庁から、これはよく防衛庁からお出しいただいたのですけれども、ただし内容が貧弱なんで非常に不満なんですけれども、防衛庁には非常に秘密事項が多いわけでありますね。資料としていただいたのでは、大体これは秘密保護法に属するわけでしょう。これは大体機密はない。極秘が三十三件、二百四十三点。それから秘に属するものが件数として二千九百九件、点数が九万四千六百九十四。これは法的なものですね。それ以外に庁秘という名前でおっしゃっていますが、これは訓令に基づくものでしょう。これは件数は集計していないというお話なんですけれども、件数は抜けておりますが、点数だけ見ますと、機密というものが五万八千二百六十二、それから極秘というのが三万八千七百三十、秘というのが六十四万一千百九十七点、合計七十三万八千百八十九点あるわけですね。できれば、私はむしろこれの秘密というものが、特に訓令秘の場合には、これはまあ外務省で例の秘密電報の問題がございましたけれども、訓令秘の場合には私はある程度項目別に、件数という意味がよくわからないのですけれども、項目別に私ぜひ防衛庁のほうでできるなら内容自身が公開できるものはぜひ出していただきたい。項目別にこういうものがどういうふうなことになっているかということを伺いたいと思うのですけれども、これはいままで個人資料でお願いしたのはこの程度しか出てこない。委員会の場でぜひひとつ、特に庁秘の問題ですね、庁秘について項目別にお調べしたものをお出しいただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
  49. 久保卓也

    説明員久保卓也君) この件数が非常に多い関係上、なかなかうまい整理はできませんけれども、可能な範囲で整理しましたものを資料として差し上げることにいたします。
  50. 水口宏三

    水口宏三君 そうすると、これは防衛庁、それから大蔵省、会計検査院、全部に関係することだろうと思うのですけれども、大蔵省ならば実際上予算を査定する場合、会計検査院ならば会計検査なさる場合、これは会計検査院には実は伺ったので大体了解しているのですけれども、大蔵省が予算を査定なさる場合に、こういう秘密保護法による極秘、秘の問題、あるいは訓令に基づく機密、極秘、秘の場合、こういう問題は別に何ら支障を来たさないのか、それとも何らか防衛庁との間で一定の取りきめがあるのかどうか、その点いかがでしょうか。
  51. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 特に支障はございません。
  52. 水口宏三

    水口宏三君 支障がないということは、すべての機密文書もそのまま大蔵省には提出されるということですか。
  53. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 査定上必要な資料その他につきましては防衛庁から説明を伺っております。
  54. 水口宏三

    水口宏三君 そうすると、防衛庁がなさっている、訓令に基づく機密、極秘、秘というふうに区分けをなさっておりますが、だれに対しての機密であり、なおかつ、何でその機密、極秘、秘というふうな三つのランクを設けなければならぬのでしょうか。
  55. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 防衛関係のものにつきましては、これは防衛の実体が明らかに外国にわかるということでは、これは必ずしも抑止力として効果が発揮されない。言うならば、非常に力が強い場合に、その力を明示するというのも一種の抑止力であります。アメリカの核戦力がそうでありますが、逆に申しまして、戦力の内容があいまいである、その不確かというものが外国に対する抑止力になっているという分野もございます。これは外国の発想であり、われわれも同じような考え方をとっておるわけでありますが、したがいまして、関係部局だけにその秘が限定されるという保証がありまする場合には、私どもは長官承認、あるいは程度が低ければそれを設定しました者の承認を得て関係部局にお示しをするということはあろうと思います。したがって、全般的にこの中身が公開の場に供せられるということは、やはりいま言いましたような軍事力が外国に明白になるということは避けたいという発想からであります。
  56. 水口宏三

    水口宏三君 そうすると、限定されたというのは大体いまどことどこを考えていらっしゃいますか。
  57. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 現実には私どもの関係で必要がありまするのは、たとえば国会で特定の問題について御要求がありましたような場合でありますとか、それから大蔵省はいまのような査定の問題があります。それからもう一つは、いまの米国の装備を国内で生産する場合に、生産メーカーに対してこの秘を提示する。したがいまして、その秘の保全については会社側で責任を持ってやるということを明示させております。そういった分野で、あとは関係各省たくさんありまするけれども、特に秘の内容をお示ししないと仕事が進まないという分野は大体ないものと思っております。
  58. 水口宏三

    水口宏三君 それでは国会で要求をした場合ですね、どういう取り扱いのもとにこれは御提示いただけるのですか。
  59. 久保卓也

    説明員久保卓也君) たてまえといたしまして秘でありまするので、秘である以上は公開の場で御提示するのはなるべくならば御容赦願いたい。そこで、たとえばその要旨を国会で御説明申し上げるとか、さらにあるいは詳細な御要求がありまする場合に、理事会を秘密にしていただいてそこで御説明申し上げるというようなことを従来とっております。
  60. 水口宏三

    水口宏三君 最初私がお願いをした内容は別にして一応大まかな項目別に、機密、極秘、秘というものが、どういうふうなものがこうなっているのかということぐらいは、これは公の場で御提示というか、国会委員会に提出願えるわけですね。その中で、特にたとえば審議上必要なものについては、何らかそれは保証されるという条件のもとに内容も公開していただける、そう理解してよろしゅうございますか。
  61. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 先ほど申し上げましたように、資料が膨大でありますので、区分のしかたについては手間ひまと関連させながら検討してみたいと思いますが、いずれにせよ、何らかのものをお出しをしたい。それから、その中の特定のものについて、これは公開の場で御説明できる範囲のものは公開の場で御説明申し上げ、しからざるものについては、秘密理事会その他適当な場をお選びいただいて御説明申し上げる。個人的に申し上げるのはもっと容易であろうと思います。
  62. 水口宏三

    水口宏三君 実は私、秘と直接関連があるとは思わないんですけれども、会計検査院のこれまでの報告の中で指摘された事項を防術庁関係だけを全部整理してみたんですが、これを見ますと、これは三十年から四十二年までです。四十二年までしかないんでございますね。要するに、四十三年以降は何もないわけです。不当事項について、もう三十年代には非常に多いんでございますけれども、四十年代に入ると、四十年に物件に関する不当事項が二件、あとなし。四十一年は全然なし。四十二年にも物件に関する不当事項が一件。あと四十三年、四十四年にはこれはもう全然不当事項なしとなっているんですけれども、これは非常に防衛庁としてしっかりおやりになっておることで、ここで文句を言う筋合いではないかもわかりませんけれども、どうも私どもの常識的判断からいって、他の官庁はたるんでいるが防衛庁は非常に規律がきちんとしておるので、ないんだといえば、それまででございますけれども、どうも私は会計検査をやる場合の問題があるんではないか、そういうことで、実は会計検査院のほうから伺ったんでございますけれども、会計検査院としてはむしろ当然会計検査院として実地検査をすべきものに対して、相当パーセンテージからいうと、他の官庁よりか多く検査をしていらっしゃる。にもかかわらずこういう現象が出ているというのは、一がいに私は防衛庁の規律が非常にきちんとしているんだということだけからは言い得ないような気がするんですけれども、これについて会計検査院のほうで何か感想と申しますか、実際検査をなさって、どうもこういう点は自分たちとしてもわかりにくい点があるんだというような点があればお聞かせ願いたいのです。
  63. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 先生御指摘のとおりでございまして、ここ三年防衛庁に対しましては指摘件数というものが皆無になっております。これは防衛庁が非常に御努力をなさっておられるということも確かに大きな原因であろうと思いますが、そのほか先生から、感想をということでございましたので、これは全くの感想ということでお聞き取りいただきたいと思いますが、私どものほうでも防衛庁につきましては職員の数も相当数を配置し、鋭意検査をいたしておりますけれども、防衛庁であるがゆえの検査のむずかしさというものは確かにございまして、その第一点といたしましては、御承知のとおり防衛庁の装備品その他、予算の非常に大きな分野を占めておりますものにつきまして、それが高度の技術性を要求されているものである。さらに申しますれば時代の先端を行くような開発途上のものを装備をするというような実態でございます。そういう点、私どものほうといたしましても、技術職員を相当配置いたしまして検査に当たっておるわけでございますけれども何せ、そういう非常に技術性の高いもの、先端性の強いもの、そういうものが内容でございますので、そこに検査のむずかしさがあると、こういうことが言えるかと思います。また、それにあるいは関連するかもしれませんが、防衛庁のそれらの経費の支出の内容、業務の内容、これが他官庁に比べまして、先ほどからも再三お話が出ておりますが、きわめて特殊なものが多い。したがいまして、私どもが事態を判断いたします場合に、通例で、他官庁、一般官庁でありますれば他との比較といったようなことも容易にできるわけでございますけれども、そういった特殊性からいきまして、比較をして判断をしていくということがなかなか容易に得られない、こういうところも私どもの悩みになっております。  それから、あえて言わせていただきますれば、第三の点といたしましては、現在はもちろん平時であり、今後も平時でなくてはいかぬわけでございますけれども、防衛庁の性質といたしまして、一朝有事の場合ということが常に判断の基礎になります。たとえば物品調達、物品その他にいたしましても、一朝有事の場合を考えた場合には、性能のより高いものというような要請がどうしても出てまいりますので、そういった点で一般の経済性の判断だけでいかない面があるというところも私どもが事態を判断する場合のむずかしさになっているのではないかと思います。  何かこのように申し上げますと、検査報告指摘事項を三年間にわたって皆無ということにつきましての言いわけめいたふうなことにもなろうかと思いますけれども、私どもの検査の実情というものをこの機会をかりまして御披露させていただきました。
  64. 水口宏三

    水口宏三君 私は防衛費が現在もう一兆円近くで、四次防に入るとおそらく年間一兆円をこすであろうといわれておりますね。こういう状況の中で会計検査が非常にやりにくいという状態というものは、これはまあ検査院とすればあるいはもっと専門技術者を配置すればいいということになるかもわかりませんけれども、これは私はやっぱり防衛庁側も会計検査を受けるのにあたって当然会計検査されやすい——されやすいというのもおかしいですけれども、会計検査院として会計検査しやすいような、そういうやっぱり体制をとるべきじゃないかと思うのですね。それでこのまま進んでいけば、ますますいま御指摘になった技術性は高まっていくでしょうし、それから先ほど申し上げたように、予算でもまた組みかえられるようになれば別ですけれども、いまのような形の予算で非常に複雑なものであり、しかも、それが陸海空からみ合っていく。あるいは行動費と最初に申し上げたいわば軍政事項と軍令事項ですか、そういうものも不分明である。そういう複雑なもの。それからこれはいま続けて伺いたいのですが、一朝有事の際というようなことからいって、どうも会計検査院としてのいわば判断の基準が因難である。これらは何も会計検査院の肩を持つわけではございませんけれども、一応私はそれなりに了解できるんでございますけれども、こういうものは会計検査院だけがしゃっちょこ立ちするんじゃなしに、一応やっぱり国のそういう膨大な国費を使う場合に、それが十分検査され得るような体制というものを防衛庁側としても当然これはもっと配慮すべきじゃないかと思いますけれども、その点、防衛庁長官、いかがでございましょうか。
  65. 小田村四郎

    説明員(小田村四郎君) 会計検査院の検査に関しましては、現在四十六年度決算の検査を検査院にお願いしておるわけでございますけれども、現実の問題といたしまして、検査院からの御要求にはできるだけの努力を払いまして御協力申し上げるようにいたしております。特に具体的な問題につきましてこういう資料がほしいという場合には、遅滞なくお見せするようにいたしております。
  66. 水口宏三

    水口宏三君 これはぜひひとつ防衛庁としても今後より会計検査院に協力をするような方向をおとり願いたいということを要望事項として申し上げておきたいと思います。  それで、実は予算に関する問題で、このほかに私、実は自衛隊の各種の出動費でございますね。現在まあ防衛出動はやっておりません。しかし、少なくとも治安出動については準備はしていらっしゃるのだろうと思いますが、あるいは災害救助の出動、これはもうすでにしばしばやっているわけでございますね。まあ、こういうものの出動費の問題とか、あるいは自衛隊の募集費ですね。これなんかわかっているようで、どうも突っ込んでいくとわからなくなる。それからさらに、まあこれは毎年ではないと思うんでございますけれども、北海道あたりで大演習をやりますね。そういう場合のやっぱり大演習に要する経費というものもはっきりわれわれにはわからない。そういう意味で、どうも自衛隊の行動に伴う経費というのは非常に何かわれわれとしては理解しにくい点があるので、それらについても伺いたいんですけれども、時間の制限もございますので、いまのそういう経費と申しますか、予算の使用の問題との関連で、実は備蓄の問題を少し伺いたいんでございますけれども、これは防衛庁から私個人として——個人としてというか、お願いをしていただいたあれを見ますと、大体弾薬と燃料と食糧について備蓄関係を出していただいたんでございますけれども、弾薬については大体調達と消費というものが、これは四十五年度を見ますと、少なくとも消費のほうが調達を多少上回っておりますね。少なくとも在庫は七万六千トン、それで消費が八千トンというようなことになってくると、大体十倍近い在庫があるわけです。それから、それが燃料のほうになってくると、これはむしろ年間の調達と消費というものが大体見合っていて、在庫についてはこれはばらばらでございますね。たとえばガソリンなどは、年間消費の大体五割ぐらい。航空ガソリンになると、年間消費の大体、何ですか、五万五千キロに対して二万二千キロですから、半分以下でございますね。それが航空タービン燃料になってくると、三十三万八千キロリットルに対して十一万三千キロリットルですから、年間にすれば三分の一の在庫がある。軽油になると大体年間消費に見合う在庫がある。それから重油になると、これは年間消費をちょっと上回った在庫があるというような状況になっておりますが、これは計画的に在庫をなさっておるのですか。何か在庫についての計画がおありになって大体こういうものをお持ちになっておるのかどうか、その点、伺いたい。
  67. 久保卓也

    説明員久保卓也君) 私、四十六年度、四十七年度、単年度のものを持っておりませんが、三次防あるいは四次防期間ということでとらえてみますると、おっしゃいまするように、この調達の目標というものが違っております。実際に防衛所要というものがありますが、それに対して三次防あるいは四次防で調達し得る、そしてまた保有し得る量というものが二分の一なり三分の一なりということで、あるいはまた次の数で数えてみればそれが違っていくということになりますが、これはなぜそうなるかと申しますと、たとえば陸の場合には、御承知のように十何万トン米側から昔もらったと、それを食いつぶしていると、また、食いつぶして可であるという分野もありまするし、新しい弾薬というものもあったりしまして、いまの自衛隊の建設過程であるという特殊な事情から陸海空のアンバランスがあるということであろうと思います。これはやはり陸海空とも全体の勢力を均分にするということが望ましいわけでありまするけれども、建設過程の途中でありますると、おのおの陸海空でその年、あるいはそれぞれの三次防、四次防の中で重点的に整備したものというものはおのずから出てまいりまして、したがいまして、後方関係、特に弾薬あるいは燃料なども同じだと思いますけれども、その間にアンバランスが出てまいる。こういったものはもう少し長期的に見れば、やはり防衛所要に見合って平時においてはこの程度持っておるべきであるという数量にまでならしていくべきであろうというふうに思います。ただ、四次防の過程の中ではまだ、三次防はもちろんでありますが、そういったことはできておらないというのが現状であります。
  68. 水口宏三

    水口宏三君 いま、二つちょっと私理解しかねたのですが、陸海空のアンバランスを言っているのじゃないのですよ。この資料いただいていないのですが、非常にいいこと言っていただいたのですが、できたら陸海空別に出していただきたいと思います、あとで。しかし、その陸海空まとめたものであっても、ものによって非常に違うわけですね、同じ燃料であっても在庫量が非常に違う。  それからもう一つは、平時とおっしゃいましたけれども、自衛隊は大体有事即応体制ですね、いわゆる平時体制の編成じゃないでしょう。いつでもスクランブルはかけられるのだし、いざとなればいつでもそれに対応し得るものであって、それは五カ年間のあれはあるけれども、年次はわかりませんというのはおかしいのであって、むしろ年度ごとに当然そういうものはそれこそ厳密に検討され、妥当な在庫というものが陸海空別に検証されなければ、それは有事即応体制とは言えないと思うんですね。そういう点でいま久保さん、たまたまそういう御発言があったんで、これはぜひ陸海空別にあらためてさらに分けたものを出していただきたいことと、それからいまのお話の、平時だからこれでいいんだということは、一体いままでの防衛庁の言ってきた有事即応体制とはどういう関係になるのですか。
  69. 久保卓也

    説明員久保卓也君) これは平時でありましても、これでよろしいということは申せません。これはただに燃料、弾薬のみならずでありまして、平時でありましても、現在の三次防あるいは四次防の防衛力そのものがきわめて好ましい姿にあるというふうには必ずしも申せないと思います。ただし、それではこの三次防期間中あるいは四次防期間中に何らかの侵略事態が予想し得るかといいますと、それはまずないであろうという前提に立っております。したがいまして、有事即応であるかないかという問題につきましては、実は全体の体制としては有事即応になっておらない。しかしながら、部分的には有事即応体制であるべき分野がございます。たとえば情報でありますとか、監視体制でありますとか、あるいはいまおっしゃいましたような防空関係の問題、そしてでき得べくんば陸上戦闘に対する奇襲攻撃、この分野に備えるべきでありまするけれども、これについて必ずしもまだ三次防あるいは四次防で十分に勢力がそろっておらないというようなことであります。繰り返して申し上げれば、全体的には国際情勢の判断からしまして、有事即応体制にする必要はいまのところないと思うけれども、しかし、部分的には有事即応体制にすべき分野が残されている。その分について、いまだ十分な手当てがなされておらないということが現実である。これがやはり国政全般の調和あるいは関連の中で当年度もしくは三次防、四次防の防衛費というものがその程度に押えられるべきであるという政治的な判断に基づいてそうなっておるので、私どもとしてはやむを得ないものというふうに思っております。
  70. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 燃料につきまして若干補足的な説明を申し上げたいと思います。  先生、御指摘のように、在庫がややばうばらではないかという御指摘でございますが、これは大体現在の自衛隊の燃料の使用量というものは、全国の使用量に比べますと非常に低い率でございます。したがいまして、非常の際における備蓄というような観念で在庫しているわけではございませんで、大体はランニング・ストックというふうにお考えいただければよろしいかと思います。ただ艦船用の重油につきましては、一般商船重油よりもやや高度のものを使用いたしております。さような関係もございまして、平時所要量に比べますと、ランニングといたしましてはやや一年分ぐらいのものを持っておるということになっております。     —————————————
  71. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 委員の異動について御報告いたします。  ただいま世耕政隆君が委員を辞任され、その補欠として山本茂一郎君が選任されました。     —————————————
  72. 水口宏三

    水口宏三君 実は、私、伺おうと思うことを局長先におっしゃったんですが、これは非常用は考慮していない、ランニング・ストックであると見ていいわけですね。
  73. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 艦船用の重油を除きましてはランニング・ストックとお考えいただいてけっこうでございます。
  74. 水口宏三

    水口宏三君 将来も大体非常用備蓄というものをなさる計画はございませんか。
  75. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 将来の問題については、本格的に申しますると、相当の備蓄も弾薬、燃料その他についてなすことが適当であると考えております。しかし、三次防、四次防整備の段階においてそのほうに十分の経費を回すことがまだできないという段階でございます。燃料につきましては、その場合、全国所要量がたいへん膨大なものになりまして、防衛庁の所要というものは艦船重油を除きますると、もう防衛庁だけでいわゆる緊急時備蓄をするということが、昔と違った意味合いといいまするか、なってまいりました。その点についてはいま考慮中でございまして、まあ概していいますれば、やはり相当程度の備蓄、ことに弾薬等につきましては、この所要量を十分計算、推定できるわけでありまするので、やはり相当量の備蓄は持ちたいというふうに考えております。
  76. 水口宏三

    水口宏三君 じゃ、少くとも弾薬については現在の在庫というものは不足である、将来これは非常用備蓄として十分積算した上でこれを確保するという考えですね。燃料について、これはランニング・ストックである、それはやはり将来においては何らか、まあ弾薬ほど緊急ではないが、やはり非常用備蓄を必要とするであろうという考え方ですね。現在のこのランニング・ストックと言われる在庫というのは、大体そうすると、ランニング・ストックであるということは各部隊に在庫されているということですか。在庫の所在はどこにあるのですか、おもに。
  77. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 各部隊基地と若干の燃料庫、補給処なんかにございます。
  78. 水口宏三

    水口宏三君 それでは引き続いて伺いたいんでございますけれども、むしろ私はいまのお話を伺うと、ちょっとおかしいと思いまするのは、弾薬はこれはまさに自衛隊以外には使いませんね。これは警察官で使うのはあるかもしれませんが、これはほとんど微々たるものである、あとは猟銃なんかに使うかわかりませんが、これはまた別の種類のものである。これもまさに自衛隊だけのもので、自衛隊が非常備蓄をしなければ、これはとてもないわけですから、これは長官のおっしゃるように、これは将来備蓄なさるということもそれは肯定する限りにおいて妥当だと思います。燃料については、全国の使用量が非常に少ないから、これはランニング・ストック程度でいいんだということも、これは私はむしろ装備局長のお話よりも長官のお考え方のほうが妥当なような気がする。これは全国どこにもあるからいいんだということになれば、これは自衛隊の特殊性、非常事態における自衛隊の機能というものが非常に不安定なものになりますね。そういう意味で私はむしろ長官考え方のほうが妥当だと思うのです。とすると、私はぜひ伺いたいのですが、食糧を見ますと、食糧だけはこれは非常用備蓄が膨大なものがあるのですね。これは御承知のように、米については現在余って農林省は減反減作をやろうとしている。まさに日本人で毎日毎日三度三度の食事をとらない人はいないわけです。全国どこにでも食糧はあります。何で食糧だけ非常用備蓄の膨大なものが必要になるのですか。
  79. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 非常用食糧は、陸の場合で見ますと、二十日分の非常用食糧を保有しているわけでございます。何に使うかということでございますが、まさに非常用でございまして、実際にたとえば炊飯ができないような場合もございますので、出動した場合ですと炊事が制炊されるような場合がございますから、そういう場合に、保存がきいて、しかも携行が容易なものということで、非常用食糧を使用いたすということになっておりまして、たとえば昨年の全日空機の事故の場合も自衛隊員がかなり出動したわけでございますが、かような場合にも非常用食糧を使用いたすということになっております。
  80. 水口宏三

    水口宏三君 しかし、これは数字を見ると相当膨大なものですね。陸上自衛隊の定員の八掛けをして二十日分というのは、ちょっとこれはどういう状況でおやりになったのか。あるいは二割が大体本庁とかえらい人だから要らないんだということでお引きになったのかもわかりませんが、自衛隊の八掛けをした二十日分の陸上自衛隊の場合ですね。海上自衛隊になってくると、大体船舶乗り組み員定数の十五日分、航空機乗員の定員の十日分。それから航空自衛隊の場合には、営内自衛隊員の定数の五日分。航空自衛隊はそういうふうになっておりますけれども、こういう一体膨大な非常食糧というものは何で必要なんですか。全自衛隊員の八掛けの二十日分といったらたいへんなものなんですね。ところが、ガソリンや何かは、どこにでもあるからこれは非常用備蓄は要らないんだと。弾薬に対してすらまだ明確な非常用備蓄がつくられていない。食糧だけがこんな膨大な備蓄がある。実際、じゃあそのうちでどのくらいお使いになっているのですか。
  81. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 御承知のように、二十日分を保有いたしておりますが、その三分の一ずつを毎年かえまして、三分の一ずつを消費する。で、災害出動の場合、あるいは非常災害の場合に、あるいは食糧庁へ転換するというような場合もございますけれども、もしそういうような使用しなかった場合には、平常食としてその三分の一を消費するというふうにいたしております。なお、艦船のような場合はおおむね艦船に食糧が積み込まれて出動するわけでございますけれども、場合によっては炊飯器が故障を起こすとか炊事ができないという場合もございますので、さような場合に備えて、大体五日分というふうに計算してあるわけでございます。
  82. 水口宏三

    水口宏三君 それは御説明があいまいですね。たとえば、災害の場合の救助物資として自衛隊がこんなものを出すなんてこれは筋違いですよ。必要あれば当然自治体がこういうものを備蓄すべきなんであって、たまたま自衛隊の持っているものを買うとか何かあるかもしれませんけれども、そんなものを初めから自衛隊が想定して災害地の人たちに配るために、自衛隊の非常食糧をつくるなんというのは全然筋違いです。御訂正願いたい、そんなばかなことは。むしろ私が伺っているのは、あなた方がばく大な非常食糧というものを、大体三カ年間でローテーションをやっているのですか、三分の一ずつ。それを聞いているんじゃないんですよ。そんなローテーションして、大体うまくもないかん詰めを自衛隊員に食わせるというのはとんでもない話であって、これだけある備蓄の中で非常用にどれだけお使いになったのですか、一体いままで非常用として。数字はけっこうですよ、大体のものはわかるでしょう。
  83. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 過去三カ年で非常用で、たとえば他省庁に転換したというのは数量はほとんどございません。非常に僅少なものを災害の場合に食糧庁へ保管転換したというようなケースだけでございます。
  84. 水口宏三

    水口宏三君 非常用として自衛隊が、つまり非常用備蓄といったようなものを防衛庁としては大体三カ年のローテーションで三分の一ずつを平常食に使っているわけでしょう。そうですね。だから私が言うのは、非常用備蓄である以上、一体非常用としてどのくらいお使いになったかということを伺いたいんですよ、自衛隊は。
  85. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 非常用でございますから、いざというときに何か使わなければいかぬということでございます。どうも御質問の趣旨を私……。
  86. 水口宏三

    水口宏三君 使ったか使わないかを伺っているんです、非常用に。
  87. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) たとえば、災害派遣に出かけたときに携行させるとか、あるいは先ほど申しましたような盛岡方面のほうでの事故で自衛隊が出動したという場合に携行させるとかいうような場合に使用するわけでございます。
  88. 水口宏三

    水口宏三君 それはあなた陸上自衛隊の場合、定員というのは何人ですか。定員は十八万人ですね。それの八掛けの二十日分ですよ。これは常時備蓄されておるんですよ。あなたのおっしゃった自衛隊機が落っこちたとき、どのくらい使ったか知らない。一体何分の一ですか、使ったのは。それを聞いておるんですよ。
  89. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 昭和三十四年に伊勢湾台風のときは、百四十万食ほど提供いたしております。
  90. 水口宏三

    水口宏三君 消費したんですか。
  91. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 約百四十万食のものを提供いたしました。提供いたしまして、したがいまして、ざっと計算いたしますると、その近辺の地区のわがほうにおける非常食の在庫は一応ゼロになるほど提供したわけでございます。そういうケースがございます。
  92. 水口宏三

    水口宏三君 そんなこと聞いていませんよ。あなたどうしてそう話を逆にするんですか。他省庁にいままで移管したものはほとんどないとおっしゃったじゃないですか。大体災害のときに、そういう非常食を供給するのは自衛隊の任務じゃないですよ。自衛隊が初めから非常食というものを、ばく大なものを持っているということは、自衛隊の本来の任務に使うためでしょう。そのためにどのくらい使ったかを伺っているんですよ。
  93. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 他省庁に保管転換したことないと申し上げましたのは、過去三年のことでございまして、過去三年に大規模なものはなかった……。
  94. 水口宏三

    水口宏三君 だから自衛隊自衛隊本来のための任務に使ったのを言ってくださいよ。
  95. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 自衛隊が演習の場合などに、あるいは出動の場合などに使います。使い残ったものは大体平常食として営内で使用いたします。大半は営外で使います。
  96. 水口宏三

    水口宏三君 大部分は営内で使うんですか。
  97. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 営外で使います。
  98. 水口宏三

    水口宏三君 そんな、大部分を営外で使いますなんということを言っているが、自衛隊のあくまでも非常食ですよ。非常食として当然だれが考えても妥当であるという非常事態において使った数量はどのくらいあるかと聞いておるんです。
  99. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 主として災害出動などで携行さして消費した分があると思いますので、いずれ調べまして御報告いたします。
  100. 水口宏三

    水口宏三君 まあ、いずれにしても、常識的に考え自衛隊がどの程度災害出動をなさったのかわからない。また、災害出動の場合に、自衛隊だけが、実は私変な話ですけれども、きのう実は防衛庁から非常食全部一応見本をいただいたんです。ここへ持ってこようと思ったんですが、重くて持てないのでやめたのでございますけれども、一体自衛隊だけがああいううまいものを食べて、災害を受けている人たちがたき出しのめしを食っている。自衛隊員はたき出しのめしじゃだめなんですか、災害の場合。やっぱりああいうりっぱなかん詰めに入った鳥めしと何かおかずでも食べないと自衛隊もたないんですか。一般災害者は大体たき出しですよ。どうなんですか。
  101. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 地方自治体のほうから要請があれば、転換するのもやぶさかではないわけであります。ただ、どうしても災害出動のような場合には、昔流に飯ごう炊さんするというわけにもまいりません。簡便なめしかん詰めを携行させるというようにいたしているわけでございます。
  102. 水口宏三

    水口宏三君 まあこの問題につきましては、私もう少し伺いたいのです。大体長官おかしいと思いませんか。さっき申し上げた自衛隊基本的任務である防衛に必要な弾丸の備蓄すら、非常用備蓄は全く計画的になされていない。燃料については、日本にたくさんあるから特にいまのところ非常備蓄を必要としない、ただし長官のお考えでは将来考えるべきだということですね。食糧こそ、日本列島どこにでもありますよ、これこそ、さっき申し上げたように。しかもそれが、災害、災害とさっきから、装備局長ですか、言ってますけれども、災害の場合に自衛隊だけが特殊なうまいかん詰めを食うというばかなことはないですよ。当然災害だってみんなたき出しのめしを食えるのですから、災害のための非常食なんてばかな話はないのであって、何で食糧だけこう膨大な——これ言いましょうか、主食が大体九百八十九万食分ですよ。副食が千五百四十一万食分です。何でこんな膨大な非常用食糧が必要なんです。また、食糧だけが非常食として備蓄されているのですか。
  103. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) この部分は、私もお話を承って、いまここではっきりとお答えのできないところがございます。検討をいたしましてお答えをしたいと思います。
  104. 水口宏三

    水口宏三君 まあ検討なさっても——ちょっと話をいまずっと聞いてらしておかしいと思いませんか、長官。食糧だけが非常食なるものをいま言った膨大な——いま言ったように膨大ですよね。副食だけが一千五百四十一万食ですからね。自衛隊員何人おるのだかわからないけれども。特殊なものはなんですよ、しかもこういうものをわざわざつくって、それを非常食として備蓄をして、そうして三回でもってローテーションをやって営内で食わせる。装備局長はさんざんな言いわけをしておりますけれども、大体営内で消費しているはずですよ。災害出動、大ぜい出ているわけじゃないのですから。それで弾丸なりあるいは燃料については、全くこれはしり抜けだ。これはおかしいと思いませんか、常識的に考えて。
  105. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) ちょっと、そういうふうにどうしてなったかということについて、私もいまはっきりした知識がないので、少し検討をさしてもらってからお答えをしたいと思います。
  106. 水口宏三

    水口宏三君 それでは、さらにじゃこの備蓄問題、時間がございませんので備蓄に終わりそうで非常に残念なんでございますけれども、この備蓄の中で、きょう実は見本いただいたので持ってくればよかったのですけれども、大体主食が六種類あるのですね。乾パンとめしかん詰めなるものがあるのです。めしかん詰め五種類ですね。それから副食品の中には、オレンジ・スプレッドという、これは何か水あめの中へいろんなくだもののエキスみたいなものを入れたもの、これが十四種類ある。これは何か乾パンのおかずにするのだそうです。それから調理かん詰め、これは非常にいいものがありますよ。牛肉と何とかの煮込みとか、あるいはソーセージの何とかとか、こういうものが十一種類。それから乾燥食品として、主として肉ですね。乾燥肉と、それから野菜の乾燥したものが二種類。これらを拝見すると、私いま多少知識がないわけじゃありませんけれども、少なくとも主食の中でめしかん詰めというものを非常食とすることが一体妥当であるのかどうかということを一体防衛庁でどうお考えになっているか。つまり、大体非常食という場合には、当然これは非常事態が想定され、軍が出動するということを当然前提になさっているでしょう。まさか災害出動のためにこれだけばく大な非常食をつくるなんてばかなことはない。自衛隊本来の任務は、これは防衛出動ですね。こういう場合に、自衛隊員というものは相当な装備をつけて歩かなければならぬ。非常食というものは、なるべく軽くて栄養価が高いものを選ぶというのが常識ですよ。ところが、めしかん詰めなるものは、御承知のように、めしをたいているんですからね、余分な水分を一ぱい入れてるわけですよ。しかも、これはアメリカのまねしたのかどうか知りませんけれども、かんというのは、かんそのものは風袋に非常に重みがあるわけです。持ってくればよかったんですけれども、一食分がものすごく重たいのです。こんなもの十日もしょったら、これだけでもって自衛隊は歩けやしない。こういうものは、一体自衛隊本来の任務である防衛出動を想定しておつくりになったとすると、私はどうも、自衛隊内のそういう関係の専門家にここへ来ていただいて、常識を疑うんです、ああいうものが防衛出動における非常食なんて言えますか、一体。御存じでしょう、内容は。
  107. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 部隊員に携行させる場合は、主として乾パンを搬行させます。めしかん詰めのようなものは別途運送するわけでございますけれども、ただめしかん詰めの長所は、清潔な水がなければ炊飯ができない場合でも使用できる。つまり、非常に濁った水、あるいは汚染された水、たとえば大地震の場合、あるいは大水害の場合、あるいは付近に適当な井戸がない場合、こういう場合でも、使える水さえあれば、それが清潔でなくとも、これをもってかん詰めをあたためさえすれば食べられるという長所があるわけでございます。かつまた、個々の隊員に飯ごう炊さんというふうな形式が昔あったわけでございますけれども、まあかん詰め食の場合は一ぺんに大量のものをあたためて隊員が食べられるという長所がございます。あるいは、ぜいたくではないかという御意見かもしれませんですが、そういう長所もございますので、屋外で使用する場合には非常な利便があるということを申し上げたいと思います。
  108. 水口宏三

    水口宏三君 全然答弁になっていないんですよ。あなたは大水害とか大地震というけれども、自衛隊は何をするんですか、一体。自衛隊というのは大地震や水害のためにあるんですか。冗談じゃないですよ。自衛隊基本的任務は何なんですか——長官じゃなく、あなたに聞きたい。何なんですか、一体。大地震や大水害が出たときにやるんですか、救助をするのがこれが自衛隊の本来の任務なんですか。あなたそのためと言っているでしょう。そのために利便だと言っている。そのために非常食をつくっているんですか。
  109. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) 清潔な水が取れないという場合の例示として申し上げたわけでございます。
  110. 水口宏三

    水口宏三君 清潔な水とおっしゃいますけれども、大体人間というものは、めしにして水分を取るか、水で飲むか、いずれにしても一定の水分は必要なんですよ、これは。そうでしょう。あなた何か飯ごう炊さんは何だかんだ言うけれども非常の場合、多少煮沸すれば、少なくとも——これはまあ高度なカドミウムがあるとか、有機水銀がうんとあるという水は別ですよ、普通の水の場合、煮沸すれば大体滅菌できますわね。非常の場合、何でめしだけはきれいなめしを食って飲む水はどうするんですか、飲む水は。かん詰めにするんですか。伺いたい。
  111. 黒部穰

    説明員(黒部穰君) もちろん持っていかなければいかぬわけでございます。
  112. 水口宏三

    水口宏三君 いずれにしても、どう言いわけなさろうとも、めしのかん詰めなんというものは、大体軍隊の——軍隊というと自衛隊に非常におこられますが、自衛隊でけっこうです——自衛隊防衛出動、やっぱり非常事態というのは防衛出動の場合だと思いますね、私は。その場合に、どうしても炊飯行為ができないというような事態に携行するものとしてめしかん詰めというものがもし妥当であるという判断を防衛庁でお持ちになるなら、専門家を今度呼んできていただいて討議いたしましょう。こんなばかな話ないですよ。だから、あなたはいつでも結局災害、災害と災害のほうに持っていっちゃう。災害の場合、必要があれば災害の人に分けます。しかし、本来自衛隊のやるべきことは、災害救助というのは一つの任務ではありましょう。しかし、被災者に対してそういうものを供給するというのは、本来ならば自治体の任務ですよ。自衛隊にそんなお金があるなら、当然予算上これは自治体に移管すべきですよ。むしろ自治体がそういうものを備蓄をしたらいい。あなたはそれしか説明できないじゃありませんか。防衛出動の場合に何でそんなものが必要かなんてことは、全然できないじゃないですか。多くの場合、水というものは煮沸すれば大体呑めるんです。それは、もしあなた方、外征ということを考えてたら、それは知りませんよ。しかし、日本本土の中で大体みんな毎日生活しているんですから、どこにだって水はあるんです。煮沸して飲めない水というのは日本の場合非常に少ないんです、幸いなことに。そうでしょう。何でこんな水分の多いものをわざわざめしにしてかん詰めにつくっておくのか、どう考えたってこれは非常識ですよ。しかも、それがばく大な数量にのぼっている。そう思いませんか。
  113. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) いまの御指摘、ここで十分拝聴しておりました。私も昔防衛庁におった者でありまするが、その時分に非常食のあれについて検討をし、いまのめしかんみたいなものをいろいろ専門家にも委嘱をして研究をしてもらったような記憶が若干あるわけでございますが、御指摘の点を十分拝聴をいたしまして、この点については、先ほど数量その他について検討の上お答えをすると申し上げましたが、質、数量その他について、よく事情を聞きましてお答えをすることにお許しをいただきたいと思います。
  114. 水口宏三

    水口宏三君 この備蓄問題について、いずれにしても、私は全体として防衛庁は非常にずさんである。先ほど申し上げたように、防衛庁として一番重要な弾薬に対しての非常備蓄については、何ら計画的なものがなされていない。それから、軍艦があったって——軍艦じゃない、あれはいまは防衛艦というんですか、防衛艦があっても、航空機があっても、燃料がなきゃこれは全然使いものにならぬでしょう。ところが、燃料に対する非常用備蓄というものも全然いまは考えられておらない。単なるランニングストックである。その根拠は、全国至るところに油があるからだと。とすれば、食糧こそまさに全国至るところにあるのであって、また、日本全国、飲めない水というものは非常に少ないんです、煮沸すれば。それにもかかわらず、食糧だけが非常に、乾パンを含めても、食糧だけが何か私は故意にやっているような気がするんですね。非常食としてばく大なものがこれだけ備蓄されている。しかも、それをほとんど平時に消費されているんだと思います。平時というか、現在もちろん防衛行動ないんですからね。年じゅう三回ずつ、ローテションでもって、副食なんか一千五百四十一万食、これは実にむだな話ですよ。これはかん詰めにするために相当な経費をお使いになっているんでしょう。それを今度はわざわざかんを開いて、みんな一つずつ、ちっちゃなかんですわ、一食分ですから。——三食分ですか、あれは。いずれにしても、ちっちゃなかんです。そんなものよりは、これはむしろ一般から食糧を調達すれば、隊員も新鮮なものが食べられるんです。経費も非常に安いんです。私は、これはほとんどは隊内で消費されているんだと思います、ローテーションでですね。こういうことは、ぼくは、自衛隊として——しかも、これはばく大な経費を伴っているんですよ、この非常用食糧については。こんなものは、ぼくは会計検査院あたりで徹底的に追及すべき不当事項の最たるものだと思うんですけれども、会計検査院の御見解はいかがですか。これは私は実に国費の乱費だと思いますがね。
  115. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 先生のお話を拝聴いたしまして、私どももなおこの問題についてさらに検討さしていただきたい、このように考えております。
  116. 水口宏三

    水口宏三君 同時に、大蔵省のほうに一つお願いしたいのでございますけれども、四十七年度予算は済んだわけですが、四十八年度予算を当然お組みになるわけですが、この場合にも、こういう国費の乱費を大蔵省が認めておるということは予算上われわれはどうも納得できないんです。その点、いかがなものでしょう。
  117. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 大蔵省の立場からも十分検討いたしたいと思います。
  118. 水口宏三

    水口宏三君 備蓄の問題につきましては大体これで終わりますが、さっき申し上げた弾丸、それから燃料、食糧、それぞれ全くアンバランスであって、しかも、特に食糧の非常用備蓄というものについては、非常用備蓄という考え方自身に問題があるだけでなしに、現在つくられている非常用食糧なるものがおよそ非非常食糧であると。これは大体、ピクニックかどっかに行くのに持っていくのにはちょうどいいですよ、きっと。しかし、兵隊さんが防衛出動をする場合にこんなものを全部かつがして持っていくなんというばかなことはあり得ない。非常識ですよ。これは非常に防衛庁の肩を持って言っているのであって、本来社会党が言うべきことじゃないかもしれません。ただし、現在ある自衛隊というものを前提にする限りにおいて、全く国費の乱費ですよ。その点を十分考慮願って、次の機会に備蓄問題あらためてやりますので……。  それから、ついでですから私申し上げておきたいんですが、それに似たことは委託調査、委託研究ですね。特に開発研究の場合に、開発研究と委託とそれから大量生産というものはおそらく一貫して行くんじゃないだろうか。そうすると、最初に開発研究をどこの会社に委託するかということは非常に問題だと思うんです。どうも、委託研究費を会計検査院等に伺っても、相手方がそれをどういうふうに使っているかはよくわからないという話ですが、委託研究費というのが非常にあいまいもことしているんですね。それから委託調査なんかも同じことです。これらの点についても次の機会に伺いたいと思いますが、防衛庁としても、いま言った備蓄の問題と委託研究、委託調査の問題についてもう少し御検討願いたい。きょうみたいなあいまいな御答弁じゃ困ります、時間がかかって。本来なら、こんなのは短時間でやって、委託研究、委託調査の問題に入りたかったんですが、入る時間がなくなりました。当然、次の機会にそれを伺いたいと思いますので、あいまいな答弁でない——大切な国費を乱費されたんじゃわれわれかないません。国民に対してサウンドできないと思います。そういう意味で、ぜひ的確な答弁が願えるように御準備願いたい。  大体、これで私の質問を終わります。
  119. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) たいへん恐縮でありましたが、十分的確なお答えができるように用意したいと思います。     —————————————
  120. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。  先ほど御報告のとおり、世耕政隆君の委員異動により理事が一名欠員になりましたので、補欠選任を行ないます。  理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に河口陽一君を指名いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。  午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。  午後零時七分休憩     —————————————   午後一時十分開会
  123. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十五年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続けます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  124. 安永英雄

    ○安永英雄君 文部大臣、就任をされまして、それ以降あらゆる機会をとらえて、大臣自身が持っておられる新しい文教政策について次々に発表なさっておるわけでありますが、その内容等は深く私ども知ることはできませんけれども、しかし、一定の方向、趣旨としては、私ども自身も賛成する点が非常に多いのであります。そこで、あるいは新構想大学の構想を打ち出されたり、あるいは教育公務員の身分法の問題を出されたり、あるいは賃金の二倍論といいますか、あるいは裁判官並みと、こういったことを打ち上げられる、あるいは所得税あるいは住民税等の教員のみの免税を考えるとか、こういったことも出ますし、あるいは定年制六十五歳、あるいはまた海外旅行あたりのワクを大いに広げたい、こういう一連の新しい構想を打ち出されるわけでありますけれども、私どもとしては、その内容はよくわかりませんので、ある面については首をかしげるような点も出てくる。しかし、総体的に、これは次々に個々の問題として、私は、文教委員会もなかなか当分の間機会がないようでありますので、この機会に、その内容等についても、納得のいくといいますか、大臣の思いつきでないほんとうのこの根拠、こういったものも聞いていきたいと思いますけれども、私も、昨年中央教育審議会が第三次の教育改革案というものを答申をしておりまして、約一年有半過ぎるわけでありますけれども、この間、坂田さん、あるいは高見さん、こういった歴代の大臣に対して、あるいはまた総理に対して、政府並びに文部省のこの中教審の答申をめぐってどういう大体考えであるのか、ただしてきたわけであります。この中教審の答申の内容と、いま大臣が次々に打ち上げられる新しい政策とは、これは無縁なものではないような気がするわけです。  そこで、まず、中教審のこの第三次の教育改革についての答申が出ていますが、これについての大臣のお考えをひとつ総括的にお聞きをしたい、こう思います。
  125. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 安永委員の私に対する、中教審答申について基本的にどういう考えであるのか、教育改革をやる場合に私の基本的な見解はどういうところにあるのかというお尋ねでございますから、いい機会でございますので、総括的に基本的な私の態度について申し上げたいと思います。中教審の答申の大多数は、私は間違っておらない。これを総括して申し上げますと、第一には知育偏重を改めて全人教育を行なえということが出ております。これが一つの範疇であります。第二は、学校教育に偏重しておるのを、家庭教育、成人・社会教育をも踏まえて有機的な関連性を持たせ、相互連絡を密にしてやるようにという点も、たいへんいいことであり、学校教育偏重から生涯教育へという改革を私もやろうと思っております。第三は、今日国際化の時代に即応して教育、科学、文化の国際的な協力関係を推進せよというわけであります。これも私としては世界平和の最も近い道である。教育、文化、学問、そういうものについて国際交流を深めていくことは、民族の間の相互理解を深める、迂遠なようであるけれども、最も近い世界平和への道であると信じますので、こういう点について、今後、制度の面においても、予算配分の面においても、力を入れてまいりたい、こう思う次第であります。教育改革に取り組む私の基本的な態度は、大体以上三点に尽きると思います。
  126. 安永英雄

    ○安永英雄君 中教審の内容は非常に膨大でありまして、幼児教育から生涯教育、こういったところまで非常に広範多岐にわたった答申をやってきておるわけでありまして、いまその中の三点を特に強調されたわけでありますし、これも私としては当然なことだし、また中教審の中で、私の立場から言えば、むしろこの三点は強調してないのです。私に言わせれば、強調してないのです。その点を特にとらえられたということは、私は賛成であります。むしろ、一点目の問題等については、いまの中教審の答申からいけば、知育尊重といいますか、第一主義というか、こういった面が非常に大きく打ち出されておると私は思いまして、賛成でありますが、この点の質問委員会等に譲るとしまして、私が先ほど申しました、就任以来大臣が非常に強調されております点、これが学制改革の中でどのようなウエートを置くのかということをお聞きしたかったわけであります。と申しますのは、結局、広範でありまして、いままで私は坂田さんなり高見さんの考えを聞いた場合に、あの膨大な中教審の答申そのもの即文部省の態度として持っておるのではなくて、その中のいろいろ実現可能なものとかあるいはまた検討を長くしなきゃならぬものとかいうふうなえり分けはするけれども、中教審があの膨大に出しておるその態度が即文部省の態度であって、直ちに全面的にこれを具現をしていくという考え方はないのだというお考えをお聞きしておったわけであります。したがって、私はそういった考え方から、非常にこの中教審の答申の内容の中を特にしぼって、いままで各所で発言をされた問題は、教員の資質の向上とか、待遇とか、あるいは身分とか、こういったものをめぐって、ここに重点を稻葉文部大臣としては置いておられるのではないか。ここにとにかく中教審の具現と、こういった場合に、いろんなことはあるけれども、やはり教員の資質の向上とか、あるいは待遇、身分の向上、あるいはその基本になる教員養成、こういったいわゆる教員中心、ここのところにやはり改革の中心はあるんだというふうに力点を置かれていろいろ発表をされておるのではないかというふうに承ったわけで、非常にいまさっき三点の重点的な中教審の具現化についての三つの方向を大きく出されましたけれども、いままでの発言の中から私はそういうふうな一貫したものを感じ取ったのでありますが、基本的にはどうですか。
  127. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私が三点あげました第一の全人教育というのは、学校教育におけるあまりにも知育偏重に傾いた従来の文部省が出しております学習指導要領のごときものはもう少し簡素化できないものか、その余れる時間を体育とか徳育とかそういうことにもう少し重点を傾斜すべきではないか。そういうことになりますと、先生方は非常にお骨折りになりますから、そのお骨折りに対して——いままでよりもはるかに過重された責任を教職員に、教育者に負うてもらうわけでありますから、処遇がいままでのようなことでは足りないじゃないかというふうに感ずるものですから、もちろんただ単に待遇の問題だけではなく、教育者を大事にする、尊重するという社会一般の風潮を醸成したいと私は考えるものであります。明治の教育において、まあ間違っておるとは言いませんけれども、あれだけの短い時間に、諸外国が三百年も四百年もかかった近代社会の形成に八十年で追いつくためには、学校教育偏重とか、そういうことになり、知育偏重になったということもやむを得なかったかもしれませんけれども、今日はそういう明治教育の弊を改めるとともに、明治の政治における教育優先という姿勢は、今日われわれ政治をやる者にとって教育優先でやりたい、こういうふうに思うものですから、処遇の点においても、一般公務員とは違って、一本別な給与法があってしかるべきじゃないかというような考え方を持つものですから、最近人事院総裁に対してその要望を出した次第であります。
  128. 安永英雄

    ○安永英雄君 ちょっと、私の質問が初め中教審というふうな出し方をしたから、多少混乱されたようでありますけれども、要するに、この三つおっしゃった方針というのは、中教審があろうとなかろうと、新大臣としてこの三つの方針を貫いていくというふうに私も了解をしておきたいと思います。  そこで、知育偏重の教育、こういったものと教員の優遇、尊重という問題とは多少違ったランクに入ると思いますけれども、ここでお聞きしたほうがいいと思いますが、知育の偏重という形が確かに現在弊害としてあらわれておる。日教組あたりもこれについての意見を持っておるようでありますけれども、この点については一致している点も確かにうかがわれますけれども、率直に言って、大臣としては、これの一応もとになっておる教育課程、あるいは学習指導要領、こういったものについての変革がなければこの方針はできないと思うんです。そういった意味で、そこに学習指導要領あるいは教育課程というものの練り直しというものをお考えになっておるのかどうか、この点お聞きしたいと思います。
  129. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) いまの御質問については、考えているかどうかどころではありません、これをやらなければ話にはならないと、さよう思っております。
  130. 安永英雄

    ○安永英雄君 ここはちょっと私の質問の機会じゃありませんけれども、そこまでおっしゃるならば、これはもう直ちにいま検討に入って、明年度からでもこれの改革というのはなされるわけでございますか。
  131. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 学習指導要領につきましては、審議会があって、審議会の議を経なければ変えられないような事務当局の解釈を私承りまして、それではなかなかまた間に合わないし、また集めればふえればこそ減りはしないからどうもというふうに思うものですから、次官通達とか大臣通達とかいうことで、府県の教育委員会、市町村の教育委員会を通じて、それぞれの学校において弾力的に運用をしてもらいたい、こういう通達でも出したらどうかなということをいま考えている段階であります。いかがなものでしょう。
  132. 安永英雄

    ○安永英雄君 通達で——そういった審議会等もあるので、来年とかなんとかいう形じゃないけれども、通達で出すと、こう言われることは、要するに、各教育現場とか、あるいは地方の教育行政に携わる人々、ここらあたりの者の、知育偏重にならないように、詰め込みにならないように、そうして特に情操教育とか、芸術的な教育、あるいは体育、こういった面を、現在の指導要領とかあるいは教育課程とかいうものがあるけれども、この問題については、そういったところの裁量で、直ちに知育偏重にならないように、その範囲で相当な教育現場なり地方における裁量というものを入れて、直ちにそういった方向で指導をし、教育をやれというふうな意味の、総括して言えばそういった意味の通達を取りあえず出していくというふうな指導の態度でございますか。
  133. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 安永先生のおっしゃるとおりでございます。
  134. 安永英雄

    ○安永英雄君 非常に私は前進だと思うし、教育課程の問題とか指導要領、法的な拘束力がある云々で、いろいろな問題をまき散らしておるし、私は基本的に、現場教師なり地方の教育委員会、その裁量等がなければならぬというふうに考えておったわけですが、そういった意味で特に知育偏重にならないようにという重点の通達だろうと思うんですけれども、これは全く現場でもどこでも期待しておるところでありまして、この点については私は敬意を表したい。  それからまた、本格的に、そうは言ったものの、審議会その他をやっぱり手ぎわよくまとめて、方針ははっきり出ておるわけですから、そういった問題についても私は国民の合意というものは大きく得られると思いますよ。ぜひひとつ勇断をもってやっていただきたい。
  135. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) おっしゃるとおり、基本的には、審議会にかけて具体的に指導要領の改変、つまり制度の改革を必要とすると思いますが、いつまでも放置するわけにもまいりませんから、制度の運用で弾力性を持たしてやっていきたいというのがただいまの私の考えであります。
  136. 安永英雄

    ○安永英雄君 了解しました。確かにそれは前進だし、ぜひひとつやっていただきたいと思います。  そこで、一つ一つ聞いていきたいと思いますが、この新構想大学という構想は、早くから文部省内にもあったし、歴代の大臣も考えておられたようですが、これはやはり大学紛争、あるいは大学法を強行採決を国会でやったわけですが、あれ以降、大学のあり方、これが非常に問われてきて、その中で新しい大学の構想に基づく管理、こういったものを考えなければならぬという、いわゆる管理面における発想から新構想大学というのは大きく出されてきて、そして筑波のふもとに学園都市ができて、そこに一応モデル的な新構想大学でもつくろうか、こういうふうな発想の中から出てきたわけでありますが、大臣が、おとといですか、鹿児島でも何か発表されておったわけでありますが、新構想大学といい、あるときは師範大学ということばも使われておるようなこともちょっと聞くのですけれども、いわゆる新しい教員養成機関をブロックごとにつくっていきたい、こういう大体考え方で、ブロックも六ブロックとか五、六校とかいうふうなことをちょっと新聞では報じておるようでありますが、この構想についてもう少し具体的に、教員養成機関のいま大臣が発表されております新構想大学、これについての構想をもう少し詳しくお話を承りたいと思います。
  137. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 新構想大学と、それから教員養成専門の高等教育機関とは別でございます。  新構想大学というのは、おっしゃるとおり、管理運営面の是正をも踏まえた教育科学の一つ方法なんでございますが、教員養成専門の高等教育機関を設ける、かりに師範大学とでも申しますか、それはこれからどういう名前になりますか、省議を経ておるわけではありません。そういうものをつくって、入学のときからおれは一生青少年の教育にささげるという志ある使命感に燃えた学生をやっていく、そしてこの卒業者に優遇措置を与えて、人材を教育界に集めたいというのが趣旨でございます。  それから、新構想大学及び教員養成専門大学のことは、大学制度全般についての改革と関連をいたし、それを踏まえた上で考えておるのでございまして、いまの大学は昔の高等学校と大学の合わさったものです。昔は高等学校が三年、大学が三年、高等学校は一般的な教養課程をも入れたなかなか味のある制度でありました。大学予科と本科の合わさったようなことをいま四年で大学はやっておりますので、たいへんな知的なレベルダウンを来たしている、こういうふうに私は思うんですね。しかも、前期二年とか前期一年半とかいうものは、一般教養課程と称して、高等学校の三年ぐらいのところでやったことをまた繰り返しておるようなことで、著しく大学生の向学心をそこない、これが一つの不満となって大学紛争の一因をなしたことはいなめない事実でありますから、そういうことのないように、青年の夢を破らないように、あこがれを破らないように——知育偏重と言いますが、私は高等学校以下は知育偏重であってはいかぬと思うんです。大学は専門的な機関として、知育偏重で、大いに知的なレベルを高めるべく、最初からその専門科目に応じた教授方法とするものだ、そういう方向へ大学制度一般も持っていくべきではないかということの関連において、新構想大学とか教員養成の専門大学とかということを考えておる次第であります。
  138. 安永英雄

    ○安永英雄君 いわゆる新構想大学という関係と、その中から生まれてきた教員養成大学というものも考えておられるというんですが、これは非常に重要であるわけでありますが、時間もありませんから、その構想に基づく、名前は何とつきますかわかりませんが、教員養成大学というものをつくりたい、しかも、私は話に聞きますと、時間がありませんから私聞いたところを言いますというと、もう四十八年度ぐらいからかかっていって、そうして五十二年あたりには第一回の卒業生を出したいとかいうふうなことで、相当やはり、もう次の国会では予算関係等も出していきたいとか、非常に急を告げるようなお考えを発表されておるようでありますが、具体的に何カ所ぐらいのものを出して、そういう大学はどういう性格のもので、そうしてどういうふうに大体これからかかっていくとか、あるいはまた、これに関係をして、現在あります教育機関、この問題はどうなさるのか、こういった点の関連等も、いままで新聞等を継ぎ合わしてみれば大体一つのあれが出てくるんですけれども、直接お聞きしたいと思うんです。
  139. 木田宏

    説明員(木田宏君) 安永委員承知のことでございますが、本年の七月三日に教員養成審議会から、「教員養成の改善方策について」という主題で建議をちょうだいいたしております。これは、二年間にわたりまして教員養成の諸問題——中央教育審議会の答申におきましても教員養成充実のための示唆が述べられておるわけでございますが、それを受けまして教員養成審議会におきましても、改革すべき諸問題を、免許制度の上から、あるいは教員養成大学の基準の向上、さらには一般の教員養成課程以外の領域から広くいい人材を教育界に招致するための諸方策について、幅広い改革意見をちょうだいをいたしました。その意見の冒頭のところで、今後「本建議での趣旨にそった新しい構想による教員養成大学を創設することについても考慮する必要がある。」たという建議をちょうだいいたしておるわけでございます。その意味は、いままでやってまいっております教員養成大学におきます教員養成の基準とは異なった、この審議会の答申による新しい構想の大学という趣旨に私どもは受け取っております。  なお、新構想ということばにつきましては、いろいろといままでの大学でこういう点を改めたらどうかといういろんな諸問題をそれぞれ含めました意味で、従来とは異なった新しい教員養成の大学という使われ方もされておるかと思います。  私どもは、この建議を受けた次第でございますので、来年度は、こうした趣旨を生かした教員養成の進め方を具体的に進められるところから着手してみたいというふうに思っておりますとともに、また、特に初等科教員等におきましては、教員の需給関係から見ましても、教員養成の養成規模を拡大するということも現実の必要があるわけでございまして、答申を受けました趣旨に沿って学校を新たに考えていくということも、さっそくに調査、準備を進めていきたいというふうに思っております。しかし、これは明年度予算の課題として具体策に取り進めることにいたしておりますので、現在の段階でいろいろな御構想は聞くこともございますが、文部省といたしましては、個所数その他従来の大学との関係等につきましては明年度の施策として調査を進める、そうして創設の準備等前向きに考えてみる、こういう段階であることをお答え申し上げます。
  140. 安永英雄

    ○安永英雄君 そこで、私はふしぎなんですよ。そういった答申を受けて、文部省はいまからぼつぼつ、新構想大学の構想もはっきりとしないままに、答申を受けたからいって、教員養成機関だけを何とかいまから検討していこうという段階なんです。それにもかかわらず、大臣の発表はあまりに具体性があるので、私はお聞きするんです。だから、いまのが私はまあまあ文部省の立場じゃないかと思っておるんですけれども、大臣の発表の中では、もう何カ所つくるとか、それからここに入ってくる学生というものについては、奨学金制度というもので、授業料はもちろん免除する、それから寮に入って生活費も全員みる、まことにそういった面の優遇というのが具体的に出てくる。そして他面、現行の国立の養成機関というものはそのままにしておく。こういった具体的なものが出てきまして、そうしてもう何かしら、ブロックはどこどこで、どこにつくるんだというふうな、そういう印象を与えておるから、全国的に——私もこの前九州で教育大学関係の教授たちが集まっているところで話をしてくれというので話をしましたが、もうほかの話じゃない、いまの大臣が打ち上げられた新しい教育大学というものができてくるとわれわれの立場というのはどうなるんだということで持ち切りなんですよ。そこらあたり出されぬものですかね。もう少し大臣の構想というのをお聞きしたかったわけです。
  141. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 文部省という役所は、なかなかスピードのない役所でございまして、第三次教育改革に乗り出すといいましても、いろいろな審議会があったり、制度上そういうことになっております。私は、党におりましたときから、教員養成については別途考えなければならぬなという構想がございまして、決断と実行の内閣に入ったんだから、そのぐらいのことを言うておかないとなかなか動きをしませんものですから、また世間からもそういう心がまえをいままでの方々にしておいていただいたほうがいいんで、それにちょうどいま大学局長が言ったようなことを大臣が言うておればまたおくれるという可能性も心配しますものですから、私のほうは少し速度を早めて発言をしておる、こういうことに御了解を願います。
  142. 安永英雄

    ○安永英雄君 官僚が手順を踏んでなかなか具現できないというのは、これは私ども同感です。といって、それを具体的な計画もなしに、しかもあるがごとく、寮に入れて、奨学金関係もやるんだ、生活費まで全員みるんだ、そして六校ぐらいつくるんだとか、非常に具体性がある。その具体性をいま聞きますと、官僚諸君の仕事の促進剤に大臣がそのぐらい言うておいてちょうどいいぐらいの——それはちょっと私は思いつき、国民承知しませんよ、それじゃ。私はやはり、慎重にやれとは言いません。いまおっしゃったことはざっくばらんな話だろうと思うんですよ。しかし鹿児島の果てからテレビの対談あたりに出まして、それを全国民にぶち上げていくというには、私はあまり根拠がなさ過ぎると思うんで、そこのところをもう少し説明してください。促進剤という形なら促進剤という意味で言ってもらわないと、これは大混乱を来たしますよ。そうなれば、これは私は言い分があるわけです。花火なら花火と言ってもらわなければならない。やるというんだったら、ほんとうにやるんだというふうなあれがあったら、具体性をもう少しつけてもらって、自信のあるところで発表してもらわなければ、この点はやはり、そういったものじゃないと——あなた自身は政党のあそこでずいぶんやられた方ですけれども、いまは行政の機関の官僚の長ですから、そう今度はあそこにおられたときとは違うと思います。それをぼくのところで使い分けてもらっては困る。これはあとで、給与の問題にしたって、免税にしたって、何にしたって、いまおっしゃるような趣旨であれば、私は驚き入りますがね。一つ一つ聞いていきますけれども、まず新構想大学の教員養成大学というものについては、いま大学局長が言ったように、実際はそういった手順を踏んでいくんだから、いまのところ海のものとも山のものともつかないんだ、ただ答申を受けたから、そろそろいまからかかっていかなければならないんじゃなかろうかという立場と、あなたのほうはとにかくやるんだという立場、そこらあたりが非常に混乱をしておりますので、私はそこが聞きたかったんです。そこのところをもう少し……。
  143. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 安永先生が、事務当局の速度と大臣の発言する速度とがあまりにもかけ離れておるので、世の中を混乱せしめるから、党におったときと違うから、もう少し慎重にかまえろという御注意につきましては、しかと心得て今後慎しみます。慎しみますが、慎しんでばかりおったんでは前に進みませんもんですから、まあせめて四十九年度から学生募集ができないものかなあというあせりもありまして——自分ではあせっていないと思っておりますけれども、世間から見てあせっているのじゃないかという人もありますから、そういう人の立場に立って言えば、あせりもありまして、そういうふうに言っているのですが、省内において、いま大学学術局長の言うていることもきわめてもっともであるから、それを急げ、そうしてわしのほうへも近寄れと、わしのほうも、あんまりおしかりを受けた思いつきみたいなことをばんばん言うのを、線香花火じゃあるまいし、慎しむから、しっかりやるがよい、こういう段階でありますから、いずれは先生のおぼしめしのような方向に、しっかりと省内統一をしてお答えできる段階にこぎつけますから、しばらく御宥恕を願いたい、こう思っております。
  144. 安永英雄

    ○安永英雄君 そういう段階であれば、私は多少大臣に要望しておきたい点があるんです。これは、先ほど申しましたように、まず第一番に、新構想大学いわゆる大学紛争以降、私自身も、大学の中で、たとえば講座制の問題とか、あるいは旧帝大と新制大学、あるいは私立との問題、こういう位置づけの問題とか、たくさんの問題が残っておる。私は、それ自身にも、いわゆる改革をしなければならないという時期に来ていることから、私自身も案を持っておる。まあ筋として、あなた方とは違いはせぬかと思いますけれども、改革しなければならぬという時期が来ていることは間違いない。そういう意味で、新構想大学というものもやはり一つの結論を出す時期に来ていることは間違いない。特に、大学の自治という問題と学問の自由という問題を境にしまして、これをどう守っていくかという問題について真剣に考えなければならぬ時期が来ておって、結論を出さなければならぬ時期が来ておる。そのためには、あの大学紛争以降、大学当局自身もこれは反省をして、その学校自体の大学改革案を完成しつつある。国大協あたりでも、全国的にこれを完成の時期にある。意見を持っております。まとめております。各政党におきましても、全部この大学改革についての構想というものは、まだまとまっていないところもありますけれども、ちゃんと持っているところもある。こういった新構想大学についての、いわゆる大学改革についての十分な討議、みんなの意見を十分出してもらって合意を得る、こういう結果でないと、私は新構想大学の出発はできないと思う。文部省自身も、そういう関係で、この構想、大学改革についての予算を取っているし、研究会もやるように、ことしの予算の中にも入っている。そういう時期ですから、その結論なり、こうあるべきだというのが出ないうちに、教員だけの——教員養成の大学というものをやっぱり新構想大学の関連において当然考えておかないと、ただ単に教育の特殊性とか、教員を優遇しなければならぬとかなんとかという発想の中で、いまじきにこれだけの新しいものをという形で出発するのは、非常に危険だというのがありますので、そういった点で、やっぱり慎重を期してもらいたいという点が一つです。  それから、大臣が言われたので、ちょっと私もびっくりしたのは、そう言いながら、つくるとしても、現在あります学芸大学とか、教育大学とか、現行の教員養成機関というものは存置するというわけでありますから、たとえば授業料値上げ一つとりましても、ことし授業料を値上げしようとしたら、それによって各大学紛争が起きたというところもたくさんある。学生はアルバイトしながら学校の授業料をかせいでいる。親元は、貧しい中からでも、大学まではということで一生懸命仕送りをしておる。授業料がちょっと上がっただけでも大問題になる。片や、どれくらいの生徒数、どれくらいの学校数をつくるのか。おとといの新聞では、五校ないし六校という発表でありました。こういう学校をつくって、そこではもう授業料も免除する、生活費までくれる、こういう大学が唐突としてできてきたといった場合には、これは国民は許しませんよ。私は、そのほうに実行していく場合には、現在の授業料の問題も、どこの学校も、とにかく廃止をする、要らない、無料だというふうな、現行の大学の改善すべき点というものを徹底的に改善をする、あるいは教員養成制度の問題では、いまの教育大学でどこに欠陥があるのか、これを拡充強化していくという手だてをとらないと、そういった何かこう、何といいますかね、優秀な人物をどこかに集めて、それにはとにかく至れり尽くせりのことをして、そして旧師範学校みたいな学校をつくる、こういう構想を打ち出しましても、これはとても受け付けられる問題ではないということで、私は二番目には、現行の大学というものの研究費が足らないとか授業料を上げても大騒ぎになる、寮の施設が悪いとか、まかないが悪いとか、研究費が不足しているとか、こういった点をまずやはり完成させて、それからやっぱりこの改革には、たとえばつくるならつくるというかっこうをとらないと、私はこれはたいへんなことになるのではないか。これがまず第一だというふうに私は考えますので、これは意見として。十分急がれる気持ちはあなた自身持っておられるようですけれども急いじゃならないという立場、そしてその手順は踏まなければならない。そうしないと、差別をする、こういうことが出てきますよ、当然。同じ学生の中で、片や授業料免除、生活費までくれる、こういうことは私は当然できない相談であって、この点を私はなぜ急がれるのか、そこらあたりをまだ聞きたいところですけれども、これは私は一つ意図が大臣にはあると思いますけれども、きょうはここで時間がありませんから、ある時期が来ましたらひとつやりたい。ここでは私は、大臣いまさっきおっしゃったように、急がない、拙速ということはいけない、やっぱり十分尽くす、そしてあらゆる各層の意見というものは十分聞いて、それからこの実行にかかるというふうなことをやらないといけないのじゃないか、これは意見として申し上げておきたいと思います。  時間がありませんから、二番目に免税ということをおっしゃったですが、先ほどの新構想大学と同じような、花火打ち上げということかもしれませんけれども、これは一つの発想ですから、大臣の、教員のみに優遇措置として免税の措置を考えるというところが、どこら辺に発想があるのか、ちょっとお聞きしたい。
  145. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 政治における教育優先という発想からそういうことを考えました。明治時代は、とにかく教育優先という風潮が、政治の上にも、それから一般国民の間にも見られまして、当時の憲法治下に、国民に三大義務がある。兵役の義務、納税の義務、教育を受ける義務、その三大義務の一つである兵役の義務をあの軍国主義の時代にさえこれを免除したということは、いかに教育ということに携わられる教育者のその専門性、その職務内容の困難性、そういうことを顧慮してこれを尊重しようという姿勢が厳然としておる。今日兵役義務はありませんから、何かそういう大責任に対する特権がないかと考えれば、納税の義務の全面的な排除ということができないにしても、またお医者さんのパーセンテージまでは行けないとしても、何らかの特典をお与えするというのが、政治における教育者の尊重、教育優先という一つの姿勢ではないか、どうしてそういうこがいけないのかと私は思うもんですから、そうしてそれはやりたいと思っております。ただ、財政当局との、それから税制理論との非常な戦いになりますけれども、困難を避けておったんではどうしようもない、困難を避けては通らないという決意であります。
  146. 安永英雄

    ○安永英雄君 ちょっと驚いたのですけれどもね。戦前、戦時中の教員のいわゆる兵役免除という特権があった、いまはそういう兵役の問題はないので、それと同じように何か報いてやりたい、こういう発想は現代社会において通るものかどうか、ちょっと私は発想について疑問を持つんですけれどもね。たとえば、教員というものについて優遇措置ということで給与その他をぐっと上げるということ等は、私はいい悪いは別として、一つの理論としては一貫性があると思いますけれども、戦前、戦時中の兵役免除という問題を持ち出してきて、そうしてそこに優遇をしていくという、しかも税制理論上これはできないことなんですよ。これはどんなにがんばるとおっしゃいましてもね、これは税の公平という原則から考えてみまして、ある特定の国民に税を免ずるというのはないですよ、これどう考えましてもね。またこれ、もらう教員というのは、どういう気持ちでもらいましょうかね。優遇という形で取り上げて喜ぶほどのものじゃないですよ、これ。優遇しなければならぬ、昔兵役免除はあったけれどもいまはないので、それに結びつくようなひとつ優遇措置ということで、そういう発想で出してきたということになれば、私は、払うべき税金はきちっと払う、国民立場からいってこれは義務なんですから税金はきちんと払う、もらうべき賃金はちゃんともらう、この賃金を上げてくれという形でいくのが正しいんじゃないか。私はむしろ、大臣、この税制免除ということで教員には喜ばれると思っておられるか。これは肩身の狭い、非常にこの制度ができたら肩身の狭い、むしろ指弾されるような立場に追い込むのではないですか、これは。私は、そこのところに、軽々に出すべき政策ではないんじゃないか、もう発想があっても、発想はやめてもらいたいという気持ちがするんであります。これにかわるべきものを考えていけばいいのであって、案外この問題については全国に反響が大きくて、先ほどと同じように、今度の大臣は、税金納めんでいい、教員の税金——所得税も住民税も納めんでいいというふうな政策を持っておられる、はたしてできるこっちゃろうかどうだろうかという大論議を起こしております。私はこの点についてもう少し具体的に、ただ精神的に財政当局がどうだからがんばって云々ということよりも、それ以前の問題として私は考えなければならぬ要素があるんではないかと思うんですが、もう一ぺんお聞きしたい。
  147. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 財政法上できないことであるとおっしゃる財政家もおりますし、できない相談ではないという人もございます。それから、憲法上疑義があると言われる方もあります。十四条に反するではないか、法の前に平等でなければいかぬ、法のもとに。それなら明治憲法下兵役の義務を免除したのは憲法違反かというと、そうではありませんので、法律上そういうことをつくれば、法のものに平等なんだと、そういう点も法律上は私は可能だと。安永先生のおっしゃるその点については所見を異にいたしますが、もう一つの教員が肩身の狭い思いをするじがゃないかという点については、そんな卑屈な考えをお持ちにならぬほうがいいではないか。わしは非常に大事な国民の子弟を預かっておる、これをりっぱな人間に育てていくきわめて重大な使命を持ってやっているんだ、そこに思いをいたしまして、為政者が税金を軽減してくれるなら喜んで胸を張って受けようじゃないかという教育者こそ使命感に燃えられた教育者である、そういう教育者であってほしい、こういうふうに思うものですから、この点も安永先生の御心配と私の心配とは食い違っておることを申し上げておきます。
  148. 安永英雄

    ○安永英雄君 見解は食い違っていますけれども、為政者だということばでしたけれども、大臣が教員のために、教育というのは非常に重要な仕事だから国民の合意を得て教員だけには税金は出さぬでもよろしい、こういうことになった場合には胸を張ってもらえというんですけれども、教育というものはそういうものじゃないですよ。そういう減免のあれがあろうとなかろうと、教員というのは使命に燃えてやっていますよ。むしろ国民と同じような、みなと同じような立場で、義務としての税金をきちっと払う、その中で胸を張って教育をやっていくということが誇りであって、私は、そんな教員だけだといった形で減免されたときに、これが身分が非常に高くなったとか、教員の意識が非常に高くなるということでは、マイナスになっていくというふうに思う。これは異にするかもしれませんけれども、私はこれは、大臣がやられるとすれば、たいへんなことだというふうに考えます。これは戦時中の場合は、男という男は全部戦争に出て行った、あと教育をする者はおらないし、幼い子供をどう教育するか、これはやっぱり必要にかられて——教員が非常に崇高な任務に立っているから兵役免除したんじゃないんですよ、何か特典を与えたんじゃないんですよ、あのとき必要だったんです。私は師範の昭和十五年卒ですが、昭和十四年までは短期兵役で終わって免除ですけれども、私どもの卒業時代はもう現役と一緒でこの特典はなかった。それ以前は、大体長男とか、兵役のがれのために教員になった人がたくさんいる。むしろそういった卑屈なあれを使った人が多いんですよ、いなかの金持ちは。兵隊に行かぬでいいから先生になって兵役免除に持っていくという長男が非常に多かった、金持ちのむすこが非常に多かった。こういうのは非常に弊害なんです、あの当時として。そして、違うんです、特典じゃないんです。国の政策として、子供の教育に当たる者がよそへ行ったらたいへんなことになるから、必要上免除したわけであって、特典じゃないんです。これと比較しながら、戦後のいまの教員に、昔そういう特典があったから今度免税の特典をするというような発想は、これはかみ合わないんで、これがもし理論を組み立てられるとするならば、それとの関係でたびたびおっしゃっておるようですが、これはいまからおっしゃらないほうがいいです。この点はしかし、私は線香花火じゃないような気がしますが、この点はどうなんですか、当局と話がきちんと終わって、文部省はやりますか、これを。
  149. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 最後にいま言われた安永先生の御意には、たいへん傾聴すべきものがあると思います。これはちょっと私も言い過ぎたかなというような気がするんです。いま最後の御意見には、耳を傾けなければいけないことだなというふうに感じます。したがいまして、もう一度よく考えますから、しばらく御猶予願いたいと思います。
  150. 安永英雄

    ○安永英雄君 ひとつ再考するということですから、その考え方が出たらまたそのときにやります。やっぱり花火は——免税なんということは、これはそう簡単に具体策を持たないで言えることではない。いま再考されるということですから……。
  151. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) ちょっとすみません、途中ですが、それから、党のほうで、自民党という政党の文教部会、調査会などできめて、そうしてきょうはこういうことがきまったということを新聞に伝えることがある、記者会見をしまして。そういうときに、それがそのまま、いまの文部大臣も党の文教制度調査会や部会長をした立場から同じ考えを持っておるだろうというような報道もたまにはございまして、その点はひとつよく見分けて同情していただきたいと思います。
  152. 安永英雄

    ○安永英雄君 自民党の話が出ましたから大臣に言っておきますが、なぜこの免税優遇措置をやるか、国民の教職員に対しての謝恩の意見を表明するために、こうなってくると、また問題なんです。これは私言わなかったのですが、私は大臣の発言と自民党の発言は使い分けて質問をしております。その点では混乱していないと思います。まあひとつ再考慮していただきます。  次に、定年制の六十五歳、これもびっくりするわけです。大臣も御存じのように、これは当局もおられますけれども、大体これは、毎年三月の人事時期になりますと、女の先生は大体早いところで四十五歳ころから肩たたきがはじまる。夫婦共かせぎあたりでは、五十歳でとうとうやめさせられる。男子の先生は、大体全国的に五十七歳から八歳ですよ。これを一応、定年制ではないが、線を引いて、文部省も指導をしながら、新陳代謝という名によって次々に肩をたたいて、とうとうたたき落してしまう。これが不当人事だ云々ということで、毎年事件となって出てきておる。これが現在の状況なんです。ところが、そういう人事が激しい、五十七、八歳でやめさせるという強制退職、こういうさなか、その苦しみを越えて、新大臣になられたところが、総理大臣もそうなんですが、教員六十五歳、こういう案が出て、これまた五十六歳と数字が逆になっておるのではないかというくらいみな驚いておるわけです。この点について、私はこれは反対じゃないですよ、私はこうあるべきだと思うんですが、これは初中局長にちょっとお聞きしますが、大臣が六十五歳定年という意思表示をされたら、少なくとも、ことしの三月末では、あるいは五十七、八というのはいまの論からいえば鼻たれ小僧である。ようやく。今度は肩たたきなどというようなことは、大臣は六十五歳を考えておるのだから、そういったことはないでしょうね、その点ひとつお聞きしたい。
  153. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私からちょっと。定年制延長のことは、六十五歳ときめたわけではありませんから。
  154. 安永英雄

    ○安永英雄君 しかし、あなたは、教員が六十五くらいまでつとめられるようにという、定年制じゃないけれども、私の言ったのは間違えたんですが、そういった構想はお持ちなんでしょう、これははっきり出ておる。この発想というのはどういうところから出てきたのか、あらためてお聞きしたい。
  155. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) その発想は、こういうところでございます。  昔から見て、六十歳のころはまだまだお達者で教育の業に従事していただける、これが世間の常識ではないか。そうしてわれわれのような無力な人間も就職などをお頼まれしますが、しっかりしたりっぱな、しかも教育経験豊かな人をここでおやめいただくのはいかにももったいないという感じもしますものですから、せめてもう少し定年を延長する、そうしてできれば学級の生徒などもう少し減らしまして、したがって定員も要るでしょうから、急にはできませんから、りっぱな経験豊富な教育者というのはそうたやすく得られるものではありませんから、お働き願ったらけっこうじゃないかという発想でございます。
  156. 安永英雄

    ○安永英雄君 私はやっぱり、いまの理論では、ちょっと思いつきみたいな感じがするわけです。やはり年がいったとか、あるいはまだまだ体力はあるとかということは、いままで現場の先生方はいつも言ってきたわけなんです。それがいれられなかった。それを今度いれようというんですから、賛成なんです。賛成なんですが、やっぱりこれについては相当検討しなければならない点がたくさんある。たとえば賃金の問題でもやはり、いまの同一職場同一賃金という方針はなかなか急には日本の現在としてはとれない。やはり年功序列型のこの賃金という形がとられていく。こういった場合に、六十五歳とか延長していった場合の賃金体系、こういったものについては相当配慮をしないと、切りかえる場合に配慮をしないと、上のほうの賃金というのが高くなってくる。相対的にやはり下積みのほうあたりが薄くなってくるという問題もあって、賃金体系も考えなければならぬ、これが万端整わなければならぬ。あるいは退職時の年金制度、こういったものがやはり完備されておって初めてこれはできる。あるいは任意制等も考えて、制度という形じゃなくて、これは任意でなさなければならぬことだ。いろんな制度万般にわたって確信のあるところで発表しないと、非常にこれは空論になってくる。いまおっしゃった点ではあれですから、これは私は方向としては正しいと思いますので、そういった正すべき点等を私は早急にまとめてもらって、たとえば年次的にはどういくのかとか、こういった形の見通し、そういったものをつけて発表されないと、これは非常に大混乱を起こしますよ。やはり先ほどの賃金二倍論とかなんとかと同じように、この点はひとつ時間がありませんから私は要望として加えておきます。方向としては私は好ましい方向だけれども、あまりにいまごろ何か選挙前の花火を打ち上げるようなそうした形で出すべき筋合いのものではない。これは先ほどと同じ一連の考え方で、官僚がおそいんで促進剤として打ち上げられたという気持ちはわからぬこともないけれども、あまり気負うとけがをするというところを注意をしておきたいと思います。  それから、時間がありませんが、一番最後に重要な問題としてよく身分法の問題をおっしゃるわけですが、身分法というのはいろいろとり方があるんですけれども、教員だけに身分法をつくりたいというんですけれども、現行で、国家公務員法、地方公務員法、それから教特法、この三つの中で、いわゆる身分という問題は大体入っているというふうに考えておりますが、この点新しく、たとえば外務公務員法、あるいは裁判所法等のように、裁判官の身分というものをあらゆるところからはずしてきて、それだけの単独の身分法というものをつくる、こういうお考えであるのか、あるいは特例法みたいなものに漸次関係したものをずっと、公務員とかあらゆるものをずっと、教員の身分に関するものを寄せ集めてきて、そうして現在の教特法というものが幅が広くなってきて内容が充実していく、こういうお考えなのか、単独のものをおつくりになると考えておるのか、この点ひとつお聞きしたい。
  157. 稻葉修

    国務大臣(稻葉修君) 私は、この前の義務教育諸学校等の教職員の処遇に関する臨時措置法のときに、四%——実質六%と言われておりますが、特別調整額を支給するということも一つの教員給与の優遇措置であるには違いないけれども、やはり教育者の専門職としての特殊性にかんがみ、将来は裁判官報酬法のような、教育者には一つの独立した給与法があってしかるべきではないかと、党におって、人事院に出かけて人事院総裁及び給与局長に申しました。そのときに、中立機関である人事院のほうからも、両者から、それはそうあってしかるべきものだと私どもも考えますという御返答でしたから、いつそれはできるのかと、人事院の責任ではないかと思います、こう言った。責任である、一生懸命にやっているのだ、いつできるのだ、あと五年というから、去年のあれは四月ごろの現在であと五年と言いますから、あと四年かかるわけでありますね。そういうものができた暁には、やはり分限法が必要になってくるかもしれないという程度のことを申しておるわけであって、教員身分法の内容までかくかくであるなどということを、確信のもとに教員身分法をつくるなどという発表をしたことはないのです。
  158. 安永英雄

    ○安永英雄君 時間がありませんけれども、私は身分法という問題は確かにそうだろうと思う。いま大臣がおっしゃるとおり。そうして、私はどうも察するに、給与の優遇措置とか、教員の養成制度の問題とか、こういったものと一連の考えの中で、線の中で出てきている問題だと私は思う。これはセットだと私は見ている。優遇措置はするかわりに、身分の問題ではきちんとするぞという大体考え方もうらはらの中にあると思う。たとえば、争議行為の制限などというふうなことをちらほらおっしゃっておるようでありますけれども、これあたり、私は身分法という問題は一連のものだと思っていますので、これは私はいまさっきのずっとの答弁をお聞きして、そう私は、新聞等に出ているように、大臣として、おれがなったらといってこうやるぞこうやるぞということではなくて、やはりこういった発想を持って慎重にいまから検討していくという段階だと思いますので、あえてここで身分法の内容については質問いたしません、また機会があったらやれると思いますから。本日は、大体大臣の気持ちもわかりまして、ぐずぐずしている官僚のしりをたたく、こういうところもありますが一現行不備な点がたくさんあるので、新構想、新しい構想も大事ながら、いま手をつけなければならぬ問題がたくさんあるわけです。そう二倍も三倍も、税金払わぬでもいいとか言ってもらわぬでも、いまの給与の中でずいぶんとにかく考えてもらわなければならぬ点がたくさんあるので、足元を十分固めて、もしいままでの経過というものを御勉強していただいて、それをまずひとつ徹底的にせかしてやらしていただきたい、勇断をふるっていただきたいということを要望いたして、終わりたいと思います。
  159. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は特別調達資金のことで若干疑義がありますのでお伺いしますが、増原長官お忙しいところを恐縮ですが、最後に問題点をお伺いしますので、御了解願いたいと思います。  それで、特別調達資金は、これは昭和二十六年度のポツダム宣言に基づく政令によって制定された。この設置令によりますと、当初七十五億円の資金を一般会計から資金に繰り入れをして、その金でもって米軍の労務者の資金あるいはその他調達品のまかないの回転資金にすると、そういうことで発足したようにお伺いをしておるわけですが、それからずっと今日まで二十数年経過をして、その間におきましていろんな問題が出ておるようでありますので、二、三拾ってみますと、一つは労務者の解雇の問題につきまして、解雇手当が約千八百万円、これがいまだに日米両方において解決がつかないといったような問題、あるいはまた、この設置令にも出ておりますけれども、調達に関する管理費ですか、これは一般会計から資金に支弁をされるけれども、その金は一般会計にまた返さなければならない。この金が約八十億円ぐらいは全然返っておらない、そういったような問題。さらに、これだけの、今日まで約一兆円近く受け払いの金を取り扱っていると思いますけれども、こういう資金が全然国会報告をされないという問題そういうようなことがありますので、私は逐次、時間もありませんが、要点のみをひとつお伺いしたいと思うのです。  最初にお伺いしたいのは、これは防衛庁のほうから出していただいた資料ですけれども、四十五年度、四十六年度、ともに債権現在額通知書、これを見ますというと、合衆国政府受け入れ金債権、これが千八百三十九万四千四百八十七円、これが、いまだに時効期限は到来しておるけれども債権はそのまま残っておるということでありますが、どうしてこれがいまだに残っているのか、その経緯と日米両方においてどういうような手違いがあったのか、どういう点が米軍としてはこれを受け入れることができないのか、その辺ひとつまず質問の順序としてお伺いします。
  160. 高松敬治

    説明員(高松敬治君) いまの御質問の点は、昭和四十四年十月七日の米軍で行ないました千七十九名の大量解雇の人員整理問題、これにからんで発生した問題でございます。で、非常に少し中がこまかい点になりますので、所管の部長から一応御説明をさせます。
  161. 平井啓一

    説明員平井啓一君) ただいま御指摘の点でございますが、詳細にわたりますので、私からお答えさしていただきます。  昭和四十四年の十月にちょうど在日米空軍関係の大量解雇の予告が出ましたことに本件は端を発しているわけでございます。四十四年の十月の七日に、在日米軍司令部から、在日米空軍関係の日本人従業員、三沢、横田、立川、山田弾薬庫等の関係で千七十九名の解雇の予告が予告と申しますか、通知が参りました。同年の十一月三十日付をもって解雇の発効日とする、そういう通報があったわけでありますが、この通報の十日七日から起算いたしまして、十一月三十日の解雇発効日までの間に、余裕としましては五十二日間の期間しかございませんでした。このような短期間をもっていたしましては、このような大量解雇、大量人員整理にかかわりますところの配置転換とかあるいは再就職のあっせん等の措置をとりますところの調整期間というものが十分とることができないという観点に立ちまして、当庁といたしましては、かねてからこういう期間を十分とってくれるように米側に申し入れておりました姿勢をもちまして、本件に関しましても六カ月間の調整期間を置くように要請して交渉を続けてまいりました。  ところが、米側はその交渉のさなかに、十月十五日、現地にありますところの県の渉外労務管理事務所、これは防衛庁設置法の四十八条で、こういう事務に関しまして、いわゆる機関委任事務として県に委任しております。その関係県の渉外労理管理事務所に対しまして、現地米軍から人員整理の要求書を発出してまいりました。日米間の基本労務契約によりますと、米側の人員整理の決定を行なうにあたっては、これらの従業員たちの雇用の安定を最大限に確保するために、日本側とアメリカ側とで十分な適当な事前の調整を行なうように規定されておりますので、こういったたてまえでもって、当庁といたしましては猶予期間を十分とるように主張していたわけでありますが、こういう交渉の終了を見ない間にそういう通知が現地においてなされたということははなはだ遺憾であるということで、当庁といたしましては、とりあえずその解雇通知書を受けましたところの関係各県の渉外労務管理事務所に対しまして、中央において折衡をしておるので、その期間、この解雇通知書を受けたあとの諸手続についてはしばらく保留するように、そういうふうに指示いたしました。そして、さらにアメリカ側と折衝を続けまして、特に十一月三十日と申しますと年末を控えての解雇でありますので、日本の労働慣習からいたしましても、年末を控えての解雇ということを当然避けるべきじゃないか、そういうことで、外務省のほうにも連絡をして、外交ルートを通じての折衝等もあわせて続けたわけでありますが、米側はなかなか日本側の主張に応ぜず、ついに十月の三十一日に、在日米軍司令官から防衛庁長官あてに、日本側の申し入れには応じられない、本件の人員整理の計画は変更することができないという回答が参ったわけであります。そこで、われわれ日本側といたしましては、この回答に接して、これらの従来とりました事前調整の折衝はやむを得ず終了せざるを得ないという判断に立ちまして、さっそく現地の関係各県の渉外労務管理事務所に対しまして、あらかじめ受け取っておりました解雇通知書に基づいて解雇の手続を進めるように連絡いたしましたところが、十月三十一日に回答があったわけでございますから、それから渉外労務管理事務所に連絡をいたしまして、管理事務所といたしましては、基本労務契約という日米間に定められた契約がございますが、その基本労務契約の中に解雇の手続を進めますについての細部の諸規定が掲げられております。それによりまして、解雇の通知を発出する前に七日間の間人員整理該当者の名簿を掲示するとか、そういう周知徹底をはかる手続等もとる必要もあります。また、その他の事務等を行ないまして、結局、結果的に解雇通知の発出を見ましたのが、それぞれの地域において違いますが、十一月十一日とか、十四日、十九日というふうな日付になりまして、解雇発効日でありますところの十一月三十日までの間に、労働基準法の第二十条に定めておりますところの予告期間三十日にそれぞれ不足する日数を生じたわけでありまして、それに該当します日数分について解雇予告手当を支給せざるを得なくなったわけであります。  ただし、当初米側から通報してまいりましたのは千五十七名の解雇でございますが、その後いろいろ折衝過程を経まして、解雇の数は五百三十三名になっております。対象者五百三十三名分それぞれの日数計算をいたしまして、解雇予告手当該当千八百三十九万四千四百八十七円というものを一応支出したわけでございます。  そこで、当庁といたしましては、その後この支出は当然アメリカ側から特別調達資金に償還されるべきものである——償還と申しますか、合衆国の負担するところの、いわゆる調達資金に対する受け入れ金として受け入れらるべきものであるということで、米側に要求していたわけでありますが、米側のほうといたしましては、人員整理の要求書を発出したのは十月十五日だ、十一月の三十日まで十分所定の予告期間をとって発出したのだ、それを日本側のほうで、いろいろ折衝の経過はあったけれども、諸般の手続を規定どおりとらなかった、手続の執行を保留したために生じた支出じゃないか、したがって、それについてアメリカ側として責任をとってそれの償還に応ずるわけにいかないということを主張してなかなか譲らなかったわけでありまして、そこでこの問題を昭和四十五年の十二月日米合同委員会に提案いたしまして、その後、今日まで日米間で折衝を続けておるわけであります。アメリカ側としては、依然として当初の主張を譲らないで、今日まで未解決の状態であります。  経過といたしましては以上でございます。
  162. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大体お話を伺いますと、米軍の労務者の解雇に伴う手続の問題で日米両者の意見が合わないということらしいのですけれども、それと、これからのまた合同委員会で交渉なさると思いますが、見込みはどうなのか。なお、理解がなされない場合は、結局これは国損と、こういうことになろうかと思いますが、これは私はあえて追及をする気はないのですけれども、こういったような問題があるということも大臣に聞いてもらわなければならない。  さらに、次のほうを見ますと、損害賠償金債権、これはわずかですが、二百六十二万三千八百五十三円、あるいは返納金債権が、これもわずかですけれども、五十三万八千八百十円出ておりますが、これもついでにお伺いしておきます。これはどういうことですか。これはほんとうは私が聞くのは、七十五億の回転資金が入って、それでまかなうことになっているのですから、施設庁の運営によってこういうことが起こってはならないのです、ほんとうは。起こってはならないのですよ。ですから、私は金額の多少にかかわらず聞いておるわけですけれども、今後またこういうものが起こるやもしれない。また、起こらないように当然手を打っていかなければならない。これはいかがですか、次の項目。
  163. 河路康

    説明員河路康君) ただいま御指摘を受けました損害賠償金債権は、従業員の詐欺によるものでございます。従業員に対して間違って払ったものであります。
  164. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 もっとはっきり言ってください、マイクもあるんだから。
  165. 河路康

    説明員河路康君) 従業員の詐欺による支払いによる損害賠償をいま請求している最中でございます。  それから、二番目の返納金債権は、従業員に対する過払い。  それから、三番目の保険料被保険者負担金債権は、休職者に対する保険金の負担金を支払ったものであります。これは、いずれ従業員に対して請求して、早急に債権を回収したいというふうに考えております。
  166. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 都合の悪いのを小さい声で言ってもだめですよ。私は、だから、別に特別に追及するかまえではないのですから。結局、損害賠償金債権ということは、あなた方の事務上の問題であって、労務者の架空請求だとか、ごま川かしだとか、そういうことでしょう。次の返納金債権というのは、これは扶養手当の認定を誤ったとか、いろいろなことでしょう。これは是正すればあなた方の注意によってできることではありませんか。これはこれ以上追及しませんが、こういったような問題で資金がなしくずしにくずされている。これはこれで終わりますが、今後ひとつ注意してください。  さらに、さっきの解雇手当千八百万円につきましては、今後合同委員会でさらにあなた方の主張を述べて解決してもらいたいと思います。  次に申し上げたいことは、次の問題が私は非常に納得がいかないのですが、この特別調達資金設置令の第六条を見ますと、これは「調達に関する事務の取扱いに要する経費は、一般会計の支弁とする。」と。ですから、これは、毎年毎年一般会計のほうから労務管理費その他事務費として十億前後特別資金のほうに繰り入れがあると、こういうふうに聞いておるわけです。それが今日までどのくらいに達しておるのか、昭和二十六年以降。  それから、その二項を見ますると、「前項に規定する経費の財源」云々と、この最後のほうを見ますと、この「資金から一般会計に繰り入れるものとする。」と、こうなっておりますから、当然これは、私は、一般会計から支弁をしてもらった分は、また一般会計に返す金だと、こう思うわけです。この辺が実情はどうなっておるのか、まずそこからお伺いしたいと思います。
  167. 河路康

    説明員河路康君) 資金発足以来、管理費として一般会計で支給したもので、現在まで繰り入れた三十五年度までの額は九十六億円でございます。
  168. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうじゃなしに、一般会計から支弁を受けたのはどのくらいです、まずそれから。そして一般会計に返したのが幾らですか。
  169. 河路康

    説明員河路康君) さらにちょっと一般会計で支弁した総額をこまかくちょっと計算しておりませんので……。現在まで返しました分は九十六億七千八百四十九万五千七百三十九円でございます。
  170. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私がお伺いしたいのは、もう一ぺんくどいが言います。  最初二十六年、七十五億の金が資金に入ったでしょう。これを運転資金にして労務者の賃金その他特別調達費等のまかないにしなさい、そのほかに毎年一般会計から十億前後の金が労務管理費に入っておる、その金は米軍からもらって、また一般会計に返しなさいよと、こういう意味だと私は受け取るわけですね。それで、昭和二十六年から今日、どの程度の金が入っているか。大体一兆円くらい入っていると思うのですが、その中であなたのほうで返した分が、一般会計に繰り入れたのが幾らあるのかと、それをまず聞いておる。そうでないと、聞いている人がわからない。
  171. 河路康

    説明員河路康君) 一般会計に繰り入れた分は、先ほど申し上げたように、九十六億七千八百万でございます。米軍から償還されました総金額は別でございます。それは……
  172. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ計算できなければ、大体でいいですよ。
  173. 河路康

    説明員河路康君) 米軍から償還になりました受け入れ金額は、昭和四十六年度までで……。
  174. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いや、私はそれを聞いているのじゃない。まず国の一般会計から調達資金に繰り入れた分が、幾らかとまずそれを言ってもらわないとわからない。それが私の判断では、昭和二十六年度以降今日まで一兆円をこすんじゃなかろうかと、大体の勘でですな。それが、あなたのほうで数字がわかっていらっしゃればお答え願えばいいし……。
  175. 河路康

    説明員河路康君) 一般会計から調達資金に繰り入れた金額と申しますのは、調達資金の七十五億円だけでございます。その後一般会計で管理費として支出したものは約百七十四億。
  176. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 百七十四億……。それは、この設置令に基づく第六条の「調達に関する事務の取扱に要する経費は、一般会計の支弁とする。」、この項ですか。それが幾らですか。
  177. 河路康

    説明員河路康君) 約百七十四億。
  178. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから第二項で、最後のに「前項に規定する経費の財源及び」云々と……。それで、これは「資金から一般会計に繰り入れるものとする。」と、こうなっているのですが、この資金から今度は一般会計に逆に繰り入れたのは幾らですか。
  179. 河路康

    説明員河路康君) これは、先ほども申し上げました九十六億七千八百四十九万五千七百三十九円でございます。
  180. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私が伺いしたいのは、百六十億ですか。それが入っておる。それは全部この中で、労務管理費は当然これは返さなきゃならない。それが九十六億だ、そういうことですけれども、九十六億というのは、実際に一般会計に繰り入れしたものか、それとも繰り入れなければならない金なのかどうなんですか。
  181. 河路康

    説明員河路康君) 一般会計で支出したものは、先ほど申し上げました約百七十四億でございまして、現在まで一般会計に繰り入れしたものは九十六億でございます。先ほど申し上げましたとおりです。ですから、現在まだ一般会計に繰り入れるようになっておる管理費は約七十七億くらいあるわけでございます。
  182. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、私が質問する要点は、その前に、私の調査によりますと、この金が昭和二十六年以降ずっと毎年毎年、たとえば昭和二十六年は十一億五千二百三十一万、これは資金から一般会計に繰り入れになっておる。二十七年度が十六億八千万とずっと返していらっしゃる。三十一年までずっと十億前後返していらっしゃる。ところが、三十二年以降は、これはあなたのほうの計算書見てもゼロなんです。ずっとこれは返していらっしゃらないわけでしょう。そこに私は少し疑義がある。途中で二、三回少しばかしお返しになったのがありますけれども、これは当然設置令に基づいて一般会計に特別調達資金は返さなきゃならない金だ。ところが、あなたのほうでは、三十一年までは返したが、その後はあまり返さない。途中で二、三べん返したけれども、ずっと返してない。その返してない金が、いまのあなたの答弁によりますと約七十七億である、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  183. 河路康

    説明員河路康君) そのとおりでございます。
  184. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、なぜそういうふうに返さないのか。私は、この設置令をすなおに読めば、当然これは返さにゃならぬ金だ。それを資金がやりくりに使って、なしくずしに使ってしまったんじゃないか、こういうような感じで、経理の運営上、私はこの決算委員会で聞いておるわけです。その辺は、もうちょっと詳細に説明願いたい。
  185. 河路康

    説明員河路康君) 七十七億円返すべきものが、まだ返してないという御指摘でございましたけれども、これは回転資金でございますので、毎月従業員の給料、労務費を払うのに、絶えず回転資金に使っておるという状況でございますので、現在まだ一般会計に繰り入れてない、こういうことでございます。
  186. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは、回転資金は当初七十五億一般会計から入っておるわけでしょう、これは回転資金に使ってよろしいと。それと私は別だと思うのですがね。この第六条は、「調達に関する事務の取扱に要する経費は、一般会計の支弁とする。」、これは毎会計年度入っているでしょう、国の一般会計から資金のほうに。これは、この中の労務管理費は返さにゃならぬということになっておるのですから、かってに運転資金に使う金じゃないと私は思うんです。その辺いかがですか。
  187. 河路康

    説明員河路康君) 御指摘の点だろうと思いますが、私の理解しておりますことを申し上げます。  七十五億円の回転資金がございました。ところが、昭和二十七年の四月に講和条約発効とともに米軍雇用者の身分が変わる、そのときに退職手当七十一億円をこの資金から支出をしております。で、これがどうしてそうなったのか、二十年前の話でございまして、いろいろ調べて見まして、はっきりしない点が多いんでございますけれども、結局そのときに閣議了解事項がございまして——これに要する退職資金はその勤務期間を通算して計算して特別調達資金より支出するも云々という閣議了解事項がございまして、これで一応特別調達資金から出しておけと、こういうことになったわけでございます。それで、そうしますと、資金が非常に減ってまいります。それで、当然これは一般会計であとで埋めてもらわにゃいかぬ分になるわけでございますけれども、それがなかなかそうはなってまいりませんので、当然一般会計に繰り入れるもののうち、若干のものを繰り入れないで、調達資金のほうに積み立てをやっているというのが現在の状況でございます。確かに米軍から返還を受けたものは一般会計に繰り入れるということが原則でございますが、しいてやや理屈をつけますれば、繰り入れるのは、その年度のものがその年度に繰り入れるというふうには、六条には規定していない。いずれは繰り入れなければいけないことになるんだろうと思いますけれども、そういうことで、現在かなり、先ほど御指摘のような八十億近い未償全額が残っている、こういう形になっておると私は理解しております。
  188. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういうふうに、あなた七十五億から七十一億使っちゃったんでしょう。あと残り四億円しかないから、四億円じゃどうしようもないんだ、だから、毎年毎年一般会計のほうからほんとうは、これは返さなければならぬ金だ、十億前後の金が一般会計から労務管理費として入っておる、これは米軍からもらって返さなければならぬ、けれども金がないから使ってしまった、端的に言えば、そういうことですか。
  189. 高松敬治

    説明員(高松敬治君) 一般会計に返さなければならぬ金である、と同時に、われわれの立場から言えば、一般会計からもらわなければいかぬ金でもある。七十一億の赤字というものは、当然一般会計で本来は埋めてもらわなければいけない。それが二十年前に、どういう経過か知りませんけれども、そういう形になったものが、現在まで尾を引いて残っていて、そういうふうな形になっている、こういうことに私は了解いたします。
  190. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そんなことを……、施設庁は、経理の専門家が、金をかってに流用して、これは一般会計に返さなければならぬけれども、一般会計のほうからもらい分もあるのだ、そういうようなルーズな考えで、この法令をかってに都合よく解釈して経理を運用することは、間違いが出てくるもとじゃないか、こういうことで私は質問しているんです。しかし、まあ私は、これはすんなりずうっと読めば、一般会計から支弁した金は、やはり年度内において米軍からもらって返さなければならぬ、こういうふうに理解するわけです。この辺——大蔵省いらっしゃる、ちょっと見解を聞かしてください。
  191. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 特別の調達資金は、財政法の第四十四条の規定に基づく特別の資金でございます。で、資金の性格といたしましては、財政法の原則と申しますのは、御承知のように、会計年度独立の原則というものがございますけれども、資金に関します限りは、会計年度独立の原則の例外をなしておるわけでございまして、年度を超越いたしまして、歳入、歳出間で経理を行なうというのが資金の性格でございます。したがいまして、先ほど長官からもお答え申し上げましたのでございますけれども、第六条の二項では毎会計年度とは書いてないわけでございますので、必ずしも年度ごとに一般会計に繰り入れなければならないということにはならないのではないか、かように考えております。
  192. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなたの解釈どおりとしますと、これは三十二年度以降ずっと、約八十億たまっておる。年度ごとに返す必要もない、年度を越えて返してもよろしいという解釈であるから、ずっとこれは返してない。これは一体いつごろ返すのだ。金に余裕ができたときに、資金に余裕ができたとき返すとなれば、これは返されませんよ、あなた。返す金が八十億たまっているんでしょう。それが毎年少しずつ積もっていくわけですね。それで、これはどうなるんですか、いつでもいいというような解釈は私はなかろうと思うのですがね。
  193. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 資金の実態につきましては、施設庁のほうからも御説明ございましたけれども、駐留軍従業員の身分が変わりまして、身分切りかえに伴いまして退職手当を支給することになったわけでございます。そうして、その分の日本政府負担分約七十一億円を資金から支出をいたしたわけでございますが、特別調達資金設置令の第一条の目的、つまりいわゆる駐留米軍の「物及び役務の調達を円滑に処理するため、」という規定、あるいは第四条にございます資金の運営のところの「調達に要する経費」に使用するということからいたしまして、その資金から支出いたしましたのが間違っていたというふうには私ども考えていないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、七十五億の円のうち七十一億円支出をいたしますために資金が枯渇をいたしている。したがいまして、その資金繰りが苦しくなってまいりましたので、先ほどど御指摘のございましたように、最近時点では繰り入れを停止をいたしておる。停止をいたしておるのは、これも先ほど御説明いたしましたように、必ずしも毎会計年度一般会計に繰り入れる必要は必ずしもないので、そういう法律の規定からして、あえて違法ではない。また、資金の実態を勘案いたしまして、どういうふうな処理をとるか、十分検討している、かように考えております。
  194. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなたの答弁からいうと、昭和二十六年に七十五億入った、それから七十一億というものは、これは退職金に流用した、あと四億しか残らぬ、金が足らなくなったので、これは一般会計から繰り入れた分を流用したということですけれども、だけれども、それから昭和二十六年に七十一億使っちゃってあと四億円しか残らぬのに、毎年返しているじゃないですか。二十七年が十六億八千万、二十八年が十億二千万、三十年が九億五千万、三十一年が五億八千万、ずっとこれ返してきた。返してきたんですけれども、三十二年からゼロ、こうなっていますね。四億円しか残らぬのに、十六億もこれは昭和二十七年返している。これはいまの答弁とちょっと理屈が合わぬような感じがする。
  195. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 資金の資金繰りにつきましては、別途国庫負担金を使用する等の方法もいろいろあるわけでございますけれども、そのころからそういうふうな国庫金の使用その他の借り入れにたよることが困難になってまいりましたので、そういう資金の資金繰りの事情等も考慮いたしまして、そういう措置をとったわけでございます。
  196. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いずれにしても、それは資金が窮屈になったことはわかります。それをほうっておいた大蔵省も、これはどうかしていますよ。足らなければ足らないで、大臣に相談をして、また何らか七十五億のほかに幾らかの資金を投入するなり、そういうふうにすれば、これは問題は解決する。ところが、かってに法規を都合のいいように解釈して経理をやりますと、非常にずさんになってきて、いろんな問題が出てくるのです。私はそれを言っているのですよ。あなた方がかってに金をごまかしたと、そういうことは言っておりません。しかし、やはり法律につきまして、これはおとなしく、すなおでなければならないと思うんですな。あなた方は、そういうように、一般会計に返すのは、必ずしも年度内に返さなくても、次年度でも、次の年でもよろしいのだ、こういう解釈。その考えでずっといきますと、これがいつ返せるのですかと、こうなってくる。七十七億——約八十億の一般会計に返すべき金は減りやせぬでしょう、これ。毎年ふえていくのですね。ずっとこれは返せないで、負債権としてずっと載っていく。この点いかがですか。それとも、現状のまま続けるとおっしゃるのか。それで私はこういうことを、まあ大臣にも聞いてもらわなければならぬと——御就任以来間もない大臣でありますから、施設庁かってにやればいいんじゃないか、そうもいかぬだろうと私は思う。ですから、御無理を願って聞いていただいているわけでありますからね。事務当局のお考えはどうか。
  197. 河路康

    説明員河路康君) 資金の余裕が七十五億当初基金としてあるわけでございますが、七十五億円を現在多少こえてまいっておりますので、これから管理費が次年度に入ってさらにふえるようでしたら、繰り入れたいと、考えております。七十五億円をこえて余裕金が出てくれば、一般会計に繰り入れたいというふうに考えております。
  198. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 だから、いまのままで余裕が出てくるわけがないでしょう。どういうことでこれから余裕が出てくるのですか。
  199. 河路康

    説明員河路康君) 現在七十七億ほど管理費が積み立てとなっておりますけれども、さらにこれから管理費は米側から償還になってまいるわけでございますが、償還になってくれば、さらに八十億、九十億になるわけですが、その七十五億をこえた分については、一般会計に繰り入れたいというふうに考えております。
  200. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうもわからないな。  これから米軍から管理費が入るということは——米軍から管理費が入るのは、毎年毎年入っているのでしょう。それじゃもう入るものないじゃないですか。単年度で決済しているんですから。その点はいかがですか。
  201. 河路康

    説明員河路康君) ちょっと御説明が足りないので、先生の誤解があると思いますが、現在管理費は毎月毎月返還になっているわけです。ですから、現在までの管理費が積み立てになったものが七十七億ほどあるわけでございます。これからも、さらに一般会計からすでに支弁した分についての管理費は、順次米軍から償還になってくるわけでございますから、七十七億からさらにふえてまいるわけでございます。そのふえた分については、一般会計に繰り入れたいというふうに考えておるわけでございます。
  202. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうもわからないな。  要するに、特別調達資金というのは、米軍にかわって施設庁が、いわゆる代払いというようなことで払うのでしょう。その管理費につきましては、毎年一般会計から入ってくる。ですから、その分、賃金とか管理費等はまた米軍から入ってくる。入ってきた分を一般会計に返すんだと、こういうシステムでしょう。それはだから、あなたは毎年毎年これから管理費が米軍から入ると。入ったって、それは一般会計から繰り入れてもらった分だから、これは返さなければならないわけでしょう。だから、これから七十七億——約八十億というものが、これが今後ふえる一方じゃないかと私聞いているんです。
  203. 高松敬治

    説明員(高松敬治君) 賃金、それから管理費、大体いま年間六百億近い金が米から償還になっております、合わせまして。そのうち、賃金とか、そういうのは一般会計に入れちゃう。それから管理費は、先ほど申し上げましたようなことで、穴があいておりますので、本来はこれは一般会計で埋めてもらうべき筋合いの金だと私は思います。しかし、それがそうはなりませんので、その返す分をこちらに積み立てていく。それが七十五億までたまったから、残りはその次からは一般会計に繰り入れていく。この資金は回転していく、いわばつなぎにやる資金ですから。そういうことで大体決着がついてまいるんじゃなかろうか、かように思っている次第であります。
  204. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あんた大ざっぱに言っているんですよ、もともと一般会計から貸してもらう筋のものであるというような。私は法律的にものを言っているんですから。返すものは返す、もらうものはもらう、法規に従ってやってもらわぬと。だから、運営がルーズで間違いを起こすんだ。あなたの気持ちはわかるんだから、そういう気持ちを、大臣にこれから折衝してもらおうと思っているんです。その前提質問しているんですから、まず法規上はこうなっている、けれどもこういうような問題が出ておるからこう改正すべきである、こういうような理論でやってもらわぬと。本来はどうだと、そういう一段飛びでものを言うて、あなたのやっていることを正当づけようという議論は、私納得しませんよ。だから、法的に解釈をすれば、七十七億という管理費は、これはだんだん財政が窮屈になるだから、これはふえていくというような勘定になると私思うんですがね。今後、一般会計から年度ごとに入ってくる、その金によって支払うわけです。そして、今度は米軍からそれに相応するものが入ってくる。それ返せばそれはいいわけです、その場は。しかし、資金の財政が窮屈であるから、本来は一般会計に返すべき管理費等を使っているから、七十七億というこの債権が少しずつふえていくという勘定になる、こういうふうに私は考え質問しているわけです。
  205. 河路康

    説明員河路康君) ちょっと説明が足りないので、再度御説明申し上げます。  先生先ほど一般会計から資金が入るとおっしゃいましたが、一般会計からは資金は入っておりません。一般会計で管理費の部分は支弁されたというだけでございまして、資金のほうはあくまで従業員に対する労務費を支払うために使っているんです。そのほかに資金として米側から返ってまいりますのは、管理費として一般会計で支弁された分が加わって返ってきている。それで、その加わった管理費の分が現在までたまりまして約七十七億になっている。これが、先ほど申し上げましたように、当然調達資金は七十五億の資金がなければならなかった。七十五億のうち七十一億円は退職金で支払ってしまっておるということで、回転資金がほとんどなかったということ、そのためにいままでたまりました管理費の七十七億を回転資金としていま現在使っておるという状況でございますので、これからさらに管理費が米側から返ってまいりましてふえてまいりますれば、その分は一般会計に返さなければならないというふうに私は考えております。
  206. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 だけど、一般会計に労務管理費は返すべきであるけれども、実情は資金の財政が窮屈であるから返されない、こういうことでしょう。返されないということは、この七十七億というものが毎年毎年ふえていくということでしょう。そうじゃないですか。
  207. 河路康

    説明員河路康君) いいえ、回転資金でございますので、そんなにたくさんふえる必要はないのでございまして、ふえた分は一般会計に返しますんですから、大体、一応、当初の七十五億円ぐらいの回転資金があれば、これから回転していけばよろしいので、これ以上管理費がたまった分は一般会計にお返ししたい、繰り入れしたいというふうにわれわれは考えております。ですから、この積み立てば、七十七億よりさらにふえるということは、今後これは考えてないわけでございます。
  208. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうもわからないね。あなた、七十七億を積み立てていらっしゃると、こういうことですけれども、その積み立て金は実体はないんでしょう、これ。この特別調達資金貸借対照表の負債のところに、管理費積み立て金八十一億三千八百万、これは資料もらっておりますけれども、これは負債の積み立てでしょう。負債の積み立てだから、はっきりわかりやすく言うと、一般会計に返す借金がふえておるというだけで、金はないんじゃありませんか。そうじゃないの。
  209. 河路康

    説明員河路康君) 現在、金がないとおっしゃいますと、債権としてまだ米側から償還になってないものもございますから、現在金額は、毎月給与を支払わなきゃなりませんので、絶えず四十億、五十億の金が残っておるわけであります。ですから、それは毎月給料を支払った後に米側から償還になってまいりますので、資金として使っているということで、回転資金であればよろしいわけで、現在その七十七億が、手元に現金がなければならないということではございません。
  210. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは、米軍と日本とは会計年度も違いますから、それにしたって、あなた、翌年度返すこともできるじゃないですか。次年度返すということもできるんでしょう。あなた方、要するに、これは法規に従うと一般会計に繰り入れなけりゃならないものを、ずうっと今日まで繰り入れないで、その理由は資金が窮屈であったと。だから、資金の管理費の積み立てというものの形で八十一億残っておるけれども、これは当然一般会計に繰り入れるべきものである、こういうことに私は理解しているんですがな。だから、これがずっと今後——まあ、あした米軍が全部引き払うというなら別として、ずっとこれから、まあ自民党政府考えでは、しばらくは置いときたいということですから、だから、これはつながるわけですからね。だから、この積み立てというものが、積み立てと言うけれども、実際はこれは帳簿上の管理費の積み立てであって、内容はない。ないということは、運転資金に使っている。運転資金に使っておるということは、これを一般会計に返したらなくなるということではありませんか。そうでしょう。その点、もう一ぺんひとつ。
  211. 河路康

    説明員河路康君) 七十七億という金は、回転資金としていま現在使っているということでございまして、七十七億が、先ほど申し上げましたように、現金があるというわけではございません。ただ、日本政府としては、従業員に給料を支払えば、直ちに米側に請求して、一、二カ月の間に償還してもらうというふうになっておりますので、資金としては、絶えず回転資金があれば、まかなっていけるということでございます。
  212. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いや、私の聞いているのは、だから、要するに、これをなしくずしに回転資金に使っているんでしょう。だから、本来は、この法令のとおりいきますというと、当然一般会計に昭和三十二年以降繰り入れなけりゃならない金を、資金が窮屈であるから今日まで使わしてもらったと。しかし、今日それを、八十一億三千八百万というこの金を返しちゃったんじゃ、あとが足らなくなる。だから、当分はこれを使っておると、そういうことですか。
  213. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと、これ整理してくださいよ。資金の問題について中尾君が指摘しておるのは、お聞きのとおり、法規上どうだということと実情とをちゃんぽんにしておられるということですから、しっかり整理して答弁してください。
  214. 高松敬治

    説明員(高松敬治君) 資金をなしくずしにしているというお話でございますが、回転資金ですから、一応立てかえて払って、それがまた戻ってまいりますので、資金の額は減らないわけでございます。ただ、一般会計に組み入れるものを組み入れないで、それに乗せていっているわけですから、資金の量としてはだんだん七十五億に近くなってきているということでございます。先ほど来申し上げておりますように、七十一億の退職金を昭和二十六年にこの中から出したと。私どもとしては、これはどういういきさつでこうなったのかよくわかりませんが、とにかく閣議決定をとって出しておるわけですから、その見合いの分というものは、当然に一般会計から本来はもらってしかるべきものであると思います。これでなければ、資金自身がもう非常に少ないわけですから……。ところが、それがそうなっておりませんので、そういうふうに一般会計に繰り入れるべきものを少しずつ積み上げてきて今日に至っていると。今後とも、その額が七十五億以上にふえれば、これは当然に一般会計に繰り入れていくという形になっておるわけであります。たいへん変則的と言えばたいへん変則的なんですけれども、そういうのが実情でございます。
  215. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最初にあなたに言うたでしょう。いま、あなたの意見を私は聞いているんじゃないんだ。あとで聞きますけれども、まず、法規上はこうだと思うけれども実情はこうだ、だからこうあるべきである、こういう趣旨で進めないと、ごっちゃごっちゃして質問が尽きません。  それで、官房長官おいでになったから私言いますが、最初昭和二十六年に特別調達資金、これはポツダム宣言の命令に基づいて米軍の従業員等の賃金その他調達資金の回転資金として七十五億円を一般会計から資金に入れたんでしょう。それで、この七十五億円という金でもって米軍の従業員の賃金と管理費その他を代弁して、そして米軍からそれを払ってもらって入れると、そういうふうに最初はなっていましたね。それが一つ。今度ははっきり言いますがね。その次に、ところが、米軍の従業員の退職金等の問題で七十一億という金を使わなければならなかった。七十一億出しちゃったわけだ。そしたら、回転資金は四億しか残らぬわけでしょう。その後、その賃金あるいは労務管理費等につきましては、十億前後一般会計から毎年毎年繰り入れてある。この金はまた返してもらわなきゃならぬ金ですよ。法規はこうなっておりますね、一般会計に繰り入れると。ところが、七十五億が四億しかなくなったので、ほんとうは米軍から返ってきた金を、一般会計に繰り入れなけりゃならない金を、そのまま運転資金に使っていると、こういうことですな、問題を整理すれば。その金が約八十億表面上は積み立ててある。実際上は八十一億というまとまった金はないんだけれども、運転に使っていると、こういうことですね。こういうふうに理解してよろしゅうございますか。要点だけ言ってくださいよ、わからなくなっちゃうから。
  216. 河路康

    説明員河路康君) 先ほど申し上げましたように、七十一億円退職金を支払ったために調達資金が四億しか残ってないという状況でございますので、いままで積み立てた管理費でもって回転資金に使っておるという状況でございますので、この七十一億円の退職金が一般会計から調達資金に繰り入れられれば、これからは管理費全部——一般会計へ返すべき管理費の分は返せるというふうに考えております。七十一億円の退職金が一般会計から調達資金に繰り入れられるということであれば、これからは管理費は全部……。
  217. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと私から申し上げますが、原則は、ひとつ法規上の問題はびっしりとしてくださいよ。中尾君もその点はよく言っているんですよ。実情はよくわかる。しかし、そういうことはだめじゃないかと、どこで整理するかを法規に基づいてやってくださいということを言っておる。
  218. 高松敬治

    説明員(高松敬治君) いま大体中尾先生おっしゃるとおりでございます。私先ほど来申し上げておりますように、これはやや変則的な扱いである。この法規から見れば、変則的な扱いだ。ただ、資金の性質上、単年度において、単年度に返すという筋合いのものではないので、その点では、先ほども申し上げたんですが、しいて言えば、これは違法だというわけではございません。しかし、この法規の精神とするところから言えば、おそらくこういうやり方は、まあ大蔵省御当局の御見解もあろうと思いますけれども、私はおかしい。ほんとうは一般会計から七十一億円入れてもらえば、こういう変なことをやらないでも済むはずだと、こういうふうに思います。
  219. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 だから、私は、まあ法規上は、やっぱり第六条の一項を見まするというと、「調達に関する事務の取扱に要する経費は、一般会計の支弁とする。」、これは毎年毎年入っておるんでしょう。この金を流用して管理費を使っておる。その分は米軍から毎年入ってくるんでしょう。ところが、それは毎年返すのが筋でしょう、これはすんなりとすなおに読んだ場合は。しかし、金が足らぬから、これはそういうふうに拡大解釈というのか、こういう考え方もあるというようなことで、何も単年度で返さなくたっていいじゃないかと、そういうことで次々、次々と返さないで今日まできて、そうして返すべき金が八十億もたまったと——そういう見解であれば、これは調達資金がなくなるまで返されないから返さないと、こういうへ理屈で返さなくてもいいということになるでしょう。それじゃかわいそうだから、大臣呼んで、七十一億ぐらい入れてやったらどうだと、私はそれを聞こうと思っておるんだけど、あなたはごちゃごちゃと言うから——実情はそうなんでしょう。だから、私が言いたいことは、やっぱりこの法規にすなおでなきゃならぬ。法をかってに解釈して、都合のよいように解釈して経理を運用すると間違いが出てくる。当委員会は決算委員会ですから、こういうことはやかましいんですよ、これが一つ。もう時間がありませんので、これは官房長官もひとつ聞いておいてください。  それから一つは、これは国会報告をしていない。昭和二十六年以降ずうっと一般会計から七十五億の金が入れてある。そして賃金等の受け払い額は毎年約五、六百億円の金を扱っておるんです、これは。その途中で金が少し足らなくなった場合は、国のほうから一時借り入れ金もできる。その借り入れをしているのが、まあ二、三十億は出したり入れたりしておる。また、国庫余裕金も借りることができる、そういう資金なんですよ。それが、これはまあ終戦後のポツダム命令でできたんですから、国会には全然報告をする必要もない——ところが、設置令に、第二条には、内閣総理大臣が法令の定むるところに従って管理するとなっております。だから官房長官に来てもらったんだけれども、おれが行かなきゃならぬかなというようなことですが、これはまあ聞いておいてもらえばいいわけですから、総理大臣のかわりで。そして防衛庁長官がこれは資金の運営に当たるということになっているから。だから、そういうような大金を扱って、特に、あなたあとからおいでになったんだが、千八百万円の米軍の従業員の解雇の問題、労働基準法の解釈の問題、千八百万円が米軍からもらう金が来てないんですな。こういうような手続上の問題、それからここでまた一般会計に繰り入れなければならぬような金が約八十億、これは大蔵省と防衛施設庁が苦労して呼応しているんですな。ところが、法規上言えば、どうもおかしい、これは。返さなきゃならぬ金だ。だから、一つは、こういう問題だから当然国会報告すべきじゃないか、これが私の質問なんです。それは時間がありませんから、これに類するものは国税収納金整理資金、これは一般会計ですよ。これは国会報告するようになっている。決算書ですね、決定計算書ですか。経済基盤強化資金、これはいまゼロになっておりますが、法規上は国会にやはり出すようになっておる、決算を。ところが、この特別調達資金に限って国会報告することが義務づけてないわけです。防衛施設庁長官は、大蔵大臣の定めるところによって、毎会計年度の資金の受け入れ及び支払いの決定計算書をつくって、これを総理大臣を経由して大蔵大臣、会計検査院に送付しなければならぬ、国会はつんぼさじきということなんです。これも、財政民主的な面から、税金を使ってこういうふうにおかしなぐあいになっているのを、一つ国会報告せぬというのはおかしい、こう思うんですね。しかも、この法令が、どうも私はこれを読むと頭にくる。頭にきてもしようがないのだけれども、要するに、これは特別調達資金設置令、「内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き、この政令を制定する。」、いまごろこれをめくるたびにこれを読まなければならぬでしょう、戦後二十何年になって。こういうものも、もうあなた日中国交回復もできるし、もう少し法規を整理したらどうですか。いつまでもポツダム命令で、こういうようなものがまだ生きているということじゃなしに、独立国家としての体面上非常にぐあいが悪い。一つは、対米隷属の姿がありありと出ているんですよ、これは。こういう法規は、法律にするならして、そしてお聞きのとおり、少し金が窮屈らしいのです。それで問題が起きていますから、五十億なり百億なり資金に入れてやって、これで運転する。そうして法規に従ってまじめに、すなおに経理の運営をやってもらいたい。私は、こういうことで、非常に両大臣お忙しいところ、事務官だけではまずいということで、耳に入れておこうということで出席をお願いしたわけですから、それに対する防衛庁長官と、せっかくいらっしゃった官房長官も、即断と実行の田中内閣の官房長官ですから、ひとつ前向きの、これは別に与野党がどうのこうのという何じゃありませんよ。間違いがないようにしなきゃならぬということで聞いておるんです。お答えを願いたい。
  220. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) ただいま承ったことはよく耳に入りましたから、十分政府としても検討させていただきたいと思います。
  221. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) 官房長官からお答えをしましたとおり、おかげでいろいろはっきりしました。官房長官、大蔵大臣と協議をいたしまして、あなたのおっしゃった趣旨に沿って検討をいたします。
  222. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 国会報告するようにしてください、これが私の質問の山ですから。
  223. 増原恵吉

    国務大臣増原恵吉君) そういう趣旨に沿って検討いたします。
  224. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 二階堂官房長官、この際、萩原君の質疑に入る前に、委員長から二階堂内閣官房長官に一言申し上げておきたいのです。それは、昭和四十五年度決算外二件の総括質問に入ったわけです。きょうが二日目でございます。総括でございますから、各大臣の出席要求をいたしました。ところが、ほかに行事があるというようなことで、出席がない大臣があるわけでございます。まあ、国会審議は他の行事との関係でどういうものであるかということは、いまさら私が申し上げるまでもなく、十分御承知のことだと思います。今後そういうことのないように、大臣の出席の問題について格別ひとつ督促をしていただきたい。閣議などで注意をしていただきたいと思います。これは昨日のことでございますけれども、政府委員が遅刻すると申しましょうか、欠席もございました。目立ちましたですから、そういうことがないように御注意を願いたいということを申し上げます。
  225. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) いま御趣旨の点はもっともなことでございまして、国会審議を最優先的に考えるべきことは、政府の当然の義務だと思っておりますから、閣議の開かれた場合に、御趣旨を伝えまして注意をいたしたいと思います。
  226. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 六十分という時間でございますが、たいへん安心をいたしました。各委員ともに十分ないし二十分は延長されたようでございますから、そのつもりで私も時間をちょうだいいたしたいと思います。  最近、審議会のあり方についての批判が非常に大きくクローズアップされておりますことは、御案内のとおりでございます。大学設置審議会、私立大学審議会などをめぐってのいろいろな不祥事件、あるいは国鉄運賃値上げでの運輸審議会への批判、さらには社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会の答申についての政府の無視の問題、こういったことが相次いで起きております。そこで、こうしたことから、一部には審議会無用論の声さえ起きているという現実でございます。そこで私は、きょうは審議会のあり方についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、八条機関の審議会は、現在、二百三十六あるということでございますが、八条機関以外の事実上の審議機関というものは一体どれほどあるものでございましょうか。
  227. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) 八条機関以外で事実上審議会といわれておりますものの範囲、実はなかなかむずかしい問題がございまして、全般的に把握いたしておりませんが、閣議におきまして口頭了解なり、あるいは閣議決定を行なわれておりますものを私ども把握いたしまして、それは五つございます。
  228. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 この「ジュリスト」の「審議会」というのをお読みになっておりますでございましょうね。これを見ますというと、なかなか五つくらいの話じゃないように書かれておるわけでございますが、もしおつかみになっていらっしゃらないようでございましたら、早急にひとつつかんでいただきたいと思います。四十三年の四月四日、衆議院の内閣委員会で当時の木村国務大臣は、一省庁一つくらいで間に合うのではないかと、こういう御答弁さえもなさっているわけでございます。また三十九年の臨調でも、そのむだの指摘があったと聞いておりますが、いまだにこれだけたくさんあるということは、一体どういうことなんでございましょうか。これだけ置かなければならない理由というものをひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
  229. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) ただいまの御指摘の「ジュリスト」の記事は、たぶん、私どものほうの職員が書きましたものであろうと思いますが、ちょっとあるいは誤解があるといけませんのでございますが、事実上の審議会と申しましても、各所管大臣がそれぞれの行政運営にあたりまして、個別に行政上の参考意見を民間有識者の方々からお聞きすることは、しばしばあることでございます。そういった場合におきまして、一々お聞きするのもはなはだ皆さまにも御迷惑でございますし、また、かたがた大臣としてもお忙しいような立場もございますから、ときどきお集まりをいただいて御意見を承るというようなことをやっている例は、しばしばあるようでございます。しかし、そういったものは実は、行政運営上の便宜的な方法でございまして、そういうものにつきましては、残念ながら私どもは、データを持っておらないという状況でございます。  それから、ただいま第二点の御質問でございますが、確かに昭和四十二、三年ごろございました二百七十をこえる審議会につきましては、国会の御協力を得まして漸減につとめておりまして、現在のところでは二百三十六まで減ってまいったわけでございますが、これらの過程におきましては、性質上類似するような仕事については、これはできるだけ一つ審議会にまとめていただくとか、あるいはその任務を終わりましたものにつきまして、整理統合をはかるというふうなやり方でやってまいったわけでございます。ただ、確かに木村長官が当時御言明になりましたように、一つ考え方といたしまして、一省庁一つというようなやり方も考えられないわけではございませんが、やはりそういうやり方をいたしますと、行政需要が非常に多岐にわたり、かつ、民間の専門領域も非常に複雑多岐にわたっております現状におきましては、一つ審議会におきまして非常に多くの部会をつくらなければならないというような事態が出てまいります。そういうことを考えますと、しいて性質の違うような審議会を統合してまいるということも、必ずしも適当ではないということでございまして、気持ちの上におきましては、審議会はできるだけ整理統合をするという方向で検討を進めておりますが、一挙にそういう形の非常に革新的なやり方をいたすということまでには、なかなか踏み切れないというところでございます。
  230. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、現在のところ二百三十六あるとにかく八条機関の審議会でも、統合できない。統合しなければならないようなものがなおずっと一つ一つまだ置かれているということを私は考えるのですけれども、そういうことはいかがでございますか。二百三十六の中でまだまだ統合しなければならないといったようなものもあると思うのですね。そういうことはいかがでございますか。
  231. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) 具体的な御指摘をいただきますれば、私どももできるだけそういう方向で検討いたしたいと思います。
  232. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私が具体的な指摘をいたしませんでも、皆さんのほうでこれは当然おやりにならなければならないことでございます。時間がございませんから、私は具体的な指摘はいたしません。しかし、やらなければならない重複したものはたくさんあるということは確かでございますから、そういう点もう少し御検討を願いたいと思います。そして、これだけ審議会を置かねばならないようなふうにおっしゃたわけでございますけれども、それだけ必要だとおっしゃるなら、現在、各審議会がどのような活動をしているかということは、十分おつかみになった上での御答弁でございましょうね。そういうことについてひとつ承りたいと存じます。
  233. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) ただいまの質疑につきまして、率直に申し上げまして、ただいま調査しておりますのが四件ほどございます。これらの調査ができた暁には、これらについて決断をしよう、こういう考えをただいましているわけでございます。  その他につきましても、あるいはあるかもしれませんけれども、これから十分調査して審議会等の圧縮をはかりたい、こういう所存でございます。
  234. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それではちょっとお尋ねをいたしますが、各委員会で、年間の開催日数あるいは各委員の出席状況、こういうものをお聞きしたいわけでございますが、まあ時間がございませんので、ひとつ出席状況で、委員の中で五〇%以上出席をしていらっしゃる委員さんはどれほどございますか。あるいは三〇%ぐらいの出席はどれほどでございましょうか。あるいは毎回欠席をなさっていらっしゃる委員さんもあるやに聞いておりますが、それはどれほどいらっしゃるでしょうか、承りたいと存じます。——時間がもったいないですから、後ほどそれじゃ資料をお出しいただきたいと存じます。確かに「ジュリスト」を読んでみましても、私は一回も出たことがないとはっきりおっしゃっていらっしゃるような方もあるわけですね。そういう方は、まだあんな審議会があるんですかねとおっしゃっていらっしゃるような方もあるやに書かれているわけでございます。そういうことを考えますと、いつも私は、代理をやっているんだというふうにおっしゃっている方もいらっしゃるのですから、少なくとも出席は零%という委員さんもいらっしゃる。そういうことでは、ほんとうに国民が喜んでこの審議会というものをながめるわけにはいかないんじゃないかというふうに思います。そこで、私が冒頭申し上げましたように、審議会に対する国民の不信というものがたくさん出てきている。まあその例を二、三御披露申し上げまして御答弁をいただきたいと存じます。これは、もし事実に反しておれば御訂正をいただきたいと存じますが、まず運輸審議会でございます。  この運輸審議会は、審議会の中でも、報酬も月三十六万と抜群によろしゅうございます。また、内閣総理大臣が衆参両議院の同意を得て任命するといった、最高に高いランクづけをされた審議会でございますが、最近いろいろ批判を受けていることは事実でございます。で、この真偽のほどは後ほど承りたいと存じますが、まず一つは、目下、東京の都議会などで非常に論議が戦わされております地下鉄や大都市公営交通料金の値上げをめぐって、消費者団体が公聴会の開催を申請いたしましたところ、運輸審は、消費者団体や一般利用者は重大な利害関係者ではないということを理由に、この申請を却下されたということでございます。消費者団体や一般利用者が利害関係者でないとすれば、一体だれが重大な利害関係者になるのでございましょうか。  二つ目は、ことしの一月十九日、つまり国鉄運賃値上げをきめた審議会の二日前に、日本消費者団体連絡協議会の代表が運賃値上げ反対の申し入れに運輸省を訪れました際に、応対をされました当時の政務次官が、運輸審なんて重視していない、あれは飾りもの、運賃問題は国会でぱんぱんやればいいんだと言われたそうでございます。この発言には、消費者代表がびっくりいたしまして、あきれてものが言えなかったと、こういうことでございます。この真偽のほどを承りたいわけでございますが、これではたして、民意の反映のためにつくった審議会と言えるのでございましょうか。私の申し上げましたことについて、運輸省の御見解を承りたいと存じます。
  235. 斎藤英夫

    説明員(斎藤英夫君) まず最初、第一点の御質問にございます両者が利害関係人になるかどうかということでございます。運輸省の規定に利害関係人の列挙がございまして、公聴会申請は特に利害関係を有する者というふうに書いてございます。両者につきましては、法律上利害関係人になるかどうか、これはいろいろ異論のあるところでございます。しかしながら、運輸審議会におきましては、運賃の値上げの審議の際には広く利用者、これは、利用者につきましてはその及ぼす影響が非常に大きいのでございますので、職権をもちまして公聴会を開催いたしまして、広く利用者の声を聞くようにつとめておるところでございます。  なお、ただいまの先生の御指示につきましては、なお、さらに運輸審議会にお伝えしておきたいと、かように考えております。  第二点の、運輸審軽視の発言でございますけれども、運輸審議会は、運輸大臣の行なう行政処分につきまして諮問を受けまして、これに対して公平かつ合理的な決定を行なって答申する機関でございます。従来も運輸省といたしましては、常にその答申を尊重してきているところでございます。したがいまして、御質問のありました件につきましてはつまびらかではございませんが、運輸審議会を軽視するという考え方はなかったものと私どもは考えております。
  236. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) ただいまの御質問について、私は東京を選挙区としておるものですから、いろんな市民あるいは国民の声を十分聞かされております。したがいまして、運輸審議会ばかりではなしに、全体の八条に関係する審議会等につきましては、あらためて洗い直しをする、こういう意向でございます。その点御了承願いたいと思います。
  237. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 長官、資料の問題はどうでございますか。二百三十六の審議会の出席一覧表は。
  238. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) それもあわせて後ほど調査をしまして、それから、そうした開会の回数の非常に少ないものもございますし、出席数の少ないものもございます。いろいろこの問題につきましては、国民も大きな関心を持っている問題でございまして、行政上必ずしもかんばしからざることでございますから、十分腹をきめて洗い直しをする所存でございます。
  239. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 資料をここへお出しいただけますか。
  240. 濱野清吾

    国務大臣(濱野清吾君) 提出することにいたします。
  241. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 いまああいう御答弁もあったわけでございますが、運輸省の方は、そういったような運輸審を軽視するような発言はなかったものと心得ると、こういうことでございます。それは私が、そういうことがあったでしょうと申しましたら、そのとおりですというようなことはなかなかおっしゃれない。もしそういう御弁当があったとすれば、それではさっそくその運輸審はもうおやめになっていただきたいと申し上げよりしかたがございませんから、そういう事実はなかったと思いますという御答弁は、それはあなたの側の御答弁としてはきわめて当然だと思います。しかし、私は決してそういうふうには理解をいたしません。もしそういうことがなかったとすれば、そういうことは出てこない。昔から、火のないところに煙は立たないと申しますけれども、それでは、私たちは運輸審の答申というものは非常に大事に取り扱っております。これでピリオッドでございましたら、そういうことにはなってこない。ところが、そのあとなんとかかんとか運輸審についておっしゃったに違いない。それがそういう形で出てきたのだと私は理解をいたします。ですから、その私が申し上げたままのお答えがあったのかどうかは、まあ一歩下がってなかったであろうと考えるといたしましても、そういう意味の、そういうニュアンスがなかったとは、私は言い切れないと思うのです。しかも、そういうことを言われるということは、運輸省の中にも、あるいは運輸審に対してのある程度の不信の気持ちというものが全然なかったとは言い切れない。私はそういうふうに考えるわけでございます。それ以上の答弁はいただきません。もう同じことになろうかと思います。  そこでお尋ねをいたすわけでございますけれども、今度は社会保障制度審議会の問題についてお尋ねをいたします。  ただいま会長、副会長ともに欠員と聞いております。会長は昨年の三月二十六日、副会長は同じく昨年七月三日におやめになったというのですから、どちらにしましても一年たった現在、なぜ後任をおきめになりませんのか、理由を承りたいと存じます。
  242. 上村一

    説明員(上村一君) いま御指摘になりましたように、社会保障制度審議会会が二十四年五月に発足しましてから、途中二年くらい除きまして二十年以上、大内兵衛先生が会長であったわけでございます。昨年の三月、任期満了とともに高齢のゆえをもって退職をされております。  それから副会長につきましても、参議院議員の石原幹市郎先生がずっとしておられたわけでございますが、昨年六月、参議院議員としての任期満了で退職されまして今日まできておったわけでございますが、その当時、社会保障制度審議会では、御案内の医療保険制度の改革、いわゆる抜本改革について厚生大臣から諮問があって審議中でございましたので、昨年六月からことしの一月まで審議会全員の意向をもちまして、審議会の総合委員長でございます長谷部忠先生に会長臨時代行ということをお願いし、それから、ことしの一月になりましてから、主として四十七年度予算に関係のあります社会保障法規の審議に当たりますために、最古参の委員であります近藤文二先生を会長臨時代行にお願いして今日まできたわけでございます。  審議会の会長、副会長につきましては、審議会の設置法の定めるところでは、その選任というのは、委員の互選ということになっておりまして、そしてその会長、副会長が長期にわたって欠けているということは、御指摘のように本来好ましいことではございませんし、現在、社会保障制度の各分野で充実をはからなければならない時期でございますから、なるべく早い機会に会長がきまることを希望しておる次第でございます。したがいまして、審議会の内部の動きに対応しながら、早期にきまるように私どもも努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  243. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 いまの御答弁では、ちょっと私は納得がいきかねると思うのです。私は、ことしの四月十八日の予算委員会におきまして、高福祉高負担の問題で質問をいたしました際に、社会保障研究所長の山田雄三参考人は、日本の社会保障は先進国に比べて三十年おくれているという指摘があったわけでございます。そのような中で、水田前大蔵大臣は、十年で取り返したいと私への御答弁がございました。そういう大事な審議会の会長、副会長が欠員のまま現在に及んでいるということにつきましては、私は、ただいまの御答弁ではどうも納得をいたしかねる。そういう状態でははたして真剣に社会保障の問題が御討議されているだろうか、これはもうちゃんとした御答弁をいただかなければならないと思うわけでございます。しかも、この社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会の答申を無視されたといったようなことも、私は非常に問題だと思うのです。無視するのならするで、どういうところが悪いからこれは聞けないんだということは、国民の前にもっと明確にすべきではなかろうかと思います。そういうことをしないで、そういう答申の無視というようなことがあったことにつきましても、私はどうも納得いたしかねる。民意の反映ということで審議会が置かれておりますのなら、これはゆゆしき問題ではなかろうかと思います。この点についてひとつ、内閣の大番頭でいらっしゃる官房長官の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  244. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) ただいま御指摘のありましたような、きわめて重要な審議会の委員の構成が、しかも会長、副会長が欠員のままであるということは、私も就任間もないときでもありましたけれども、いま確かに承りまして、まことに遺憾なことと考えております。特に、先生御指摘のとおり、田中内閣におきましても、前向きで社会保障の充実というものに真剣に取り組もうとしているときでもございますから、これは内閣全体の問題としても重視をいたしておりますから、私も、この審議会の会長、副会長ができる限りすみやかに補充されるように努力をいたしてみたいと思っております。このままで推移するということは、代行の方がおられていままで運営をやっておったという答弁でもございますが、そういうことでは私は、よくないと考えますので、いま先生の御指摘のありました問題につきましては、できるだけすみやかに内容が充実するように検討いたしてまいりたいと、かように考えております。
  245. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 次いで、審議会の構成員の問題でお尋ねをしたいのですが、時間が半分に削られておりますので、構成員の兼職状況についてお尋ねをいたしたいと思います。一体、審議会の兼職というものは幾つまで認められているわけでございますか。
  246. 山地進

    説明員(山地進君) 委員の兼職につきましては、昭和三十八年の九月でございますか、時の内閣が口頭了解できめておりまして、最高四でございます。
  247. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、五つ以上兼職しているのも実際あるわけでございますがね。それは何人ぐらいございますか。
  248. 山地進

    説明員(山地進君) ただいま四十七年七月一日現在で五十一でございます。
  249. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 十七ですか。
  250. 山地進

    説明員(山地進君) 五十一でございます。
  251. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 これは全く驚きでございますね。四つまでときめられていることが、五つ以上の兼職をされている方が五十一人。中には十三もの兼職をされている方があるということですが、これは事実でございますか。
  252. 山地進

    説明員(山地進君) その点につきましては、三十八年以降の実績について若干御説明させていただきたいと思うわけでございますが、三十八年の閣議の口頭了解ができましたとき、十以上兼職しておられる方が二十九人ございました。これが漸次減りまして、四十五年には十以上の方は一人もいなくなりました。それから、三十八年に五つ以上兼職の方は、いまの二十九人も含めまして百二十七人おりました。それが現在、申し上げましたように五つ以上兼職の方というのは五十一人、漸次減りまして、ただいま委員の数といいますのは、トータルで三百七十六人いるわけでございますが、それが五十一まで減りまして、五十一のうちでございますが、この内訳は、いま先生の御指摘の十三という兼職の方は、私どもの調べではおりません。八つ兼職の方が三名、七つ兼職の方が一人、それから六つ兼職の方が八人、それから五つ兼職の方が三十九人、こういうような現状でございます。
  253. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 こうした状態がなぜ起きたんでしょうね、こんなにたくさん兼職なさるということ。私は、幾つでも引き受ける委員さんにも問題があると思う。これは決して名誉職ではございませんから、それを何ぼでも言うてくるからということで引き受けるほうも引き受けるほうだと思います。ところで、そういう人を任命するほうも任命するほうだと私は思うのですよ。そこでまず、なぜそういう任命をたくさんなさるかというと、自分たちに都合のいい人や有名な人を安易に考えて任命されるからこんなことになるんじゃないですか。かりにお飾り審議会じゃの、隠れみの審議会じゃの、なれあい審議会じゃのといったような悪名は、そういうところから私は出てきているんではなかろうかというふうに考えるわけでございます。中国ことばに、野に遺賢なからしむということばがありますが、御存じでございましょうか。そういうように、もっとよい人を各省で掘り起こす努力をなさったらいかがなものでしょう。この点は御努力はどうなっております。承りたい。
  254. 山地進

    説明員(山地進君) 先生の御指摘のとおりのことでございまして、三十八年の内閣の口頭了解でもそのような趣旨で適任者本位、それから広く人材を集めるということで、こういう委員会の兼職数というのは減らしまして、私どもの人事担当の者が連絡を緊密にとりまして、いろいろの各省にまたがる委員会の兼職というのが行なわれているわけでございますから、そういうものについて、任命に際しましては、一々検討し合いながら減少してきたのが今日の姿でございます。  なぜそれじゃ兼職が起こるのかということについてでございますが、一つは、機関代表というのがございます。たとえば銀行協会の会長というような方が急に任命されますと、その方がいままで幾つか委員を引き受けておられたのが、機関の代表であるということだけでまた急にふえる。これは臨時的にふえるということでございます。それからもう一つ、非常に有力な方を御依頼申し上げときに、いや、兼職はいま私は四つ持っているんだと言ってお断りになるのが通例でございます。そのときに、では一つくらい近くおやめになるものはございませんか、一生懸命それでほかの省に行きまして、あの方をおろしてくれないかと、そうすると、来年は私のところがちょうど終わる。それじゃ好都合でございますということで、また先生のところへ持っていって、あそこはおやめになるそうでございますからどうぞというような、臨時的にまあ半年とかそこらはオーバーラップするというのが、この五つの中身でございます。私ども毎週といいますか、こういうことを各省と御相談しながら厳密にやっております。これは、先生の御指摘のように、非常に便宜な人ばかりを集めているわけではございません。なかなかしかしどの省も、わが省の審議会は重要であるという自信に満ちて絶対に譲らないということで、私どもが間に入って非常に苦労しておるというのが実情でございます。
  255. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 おっしゃいますけれども、各界の代表でなければその審議会の専門的な答えは出していただけませんか。とにもかくにも、代表と名づける人を皆さんが選ぼうとなさるからそういうことになる。私は、もっともっと専門的な人というのは、そういうほんとうに野に隠れた人だってあると思うのですよ。そういう人を掘り起こさないでもって、私は、安易だと言ったのはそういうことなんです。代表の方なら、もう何も調べなくともぼっと出ているわけでございましょう。ですから、そういう方をおもに選ぼうとなさるところに私は、こういう兼職がだんだん多くなるということにもなるんじゃないか。そんなふうに多く持たれますと、その各審議会に対して熱心に取り組んでどうこうということは、なかなかできないものでございますよ。やっぱり人の能力にも、また力にも限度があると思うのです。そういう無理なことをなさらないで、野にあるいい方の意見を掘り起こすということにもっと御努力なさることのほうを私は、要望しておきたいと思うのですね。  その次にお尋ねをいたしたいことは、委員に支払われる報酬について承りたいわけでございますけれども、この報酬もいろいろと違うようでございますね。ランクがあるということを聞いたんですが、そのA、B、C、D、Eといったようなランクはどのようにおつくりになったのか、承りたいと存じます。
  256. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 委員手当の最高限度につきましては、給与法できまっておるわけでございまして、最近では、一般職の上位官職の給与改定と均衡をとって改定をされております。現在、最高九千円ということに相なっております。そこで、九千円の範囲内で各審議会の委員手当をきめて、実行単価をきめておるわけでございますが、これは経緯から申しますと、三十八年に各省の人事課長会議を開きまして、従来まちまちでございました実行単価を統一いたしたわけでございます。審議会によりましても、行政委員会、あるいはこれに準ずるようなやはり格の高い審議会もございますが、中央に設けた審議会、あるいは地方に設けられた審議会がございますので、おのずから各種重要性と申しますか、あるわけでございます。そこで、それに従いまして大体ただいま御指摘のようにA、B、Cというクラスに分類いたしまして、予算単価も分けて積算をいたしておるわけでございます。
  257. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 いま私は、人事院の方にお尋ねいたしたのでありますが、いまではA、B、Cと三つであったのが、A、B、C、D、Eと五つになっている、五段階になっているということを、きのう人事院のほうから承ったわけですね。ところが、いま大事なものが、高くランクづけられているというようなことでございましたが、それでは、統計審議会というのがございますですね。それは何か手当が千円だというようなことだそうですが、千円の手当というのは一体どういうことなんでございましょうね。
  258. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) ただいまのところでは、一番上のランクが最高限度、委員長が九千円ということでございます。その次のランクが八千百円、その次が六千八百円、通常の中央に置かれております審議会は委員長六千三百円、地方に置かれている審議会が委員長五千六百円ということで、計算上の単価をきめまして積算いたしております。
  259. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、統計審議会のお年寄りの方ですけれども、千円といった手当、そういうのはございませんか。
  260. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) ただいまちょっと手元に資料がございませんが、たぶんそういう低い単価はないと思っております。
  261. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、一ぺんこの審議会の座談会をちょっとお読みいただいたらけっこうかと思いますね。これにはそういうのが出ているわけでございます。そのときには三百円であったのが、ぼちぼち上がって千円だと、こういうわけでございますですね。ですから、この手当というのは非常にばらばらであるということ、そしてまた、非常に低いということを私は指摘をしておきたいと思うのです。本を買ったり、あるいは調査にも出るといったようなことで、そのものに時間をつぶすということ以外に準備に相当時間もかかっているし、経費もかけている。そういうときに、いま最高九千円ということでございますが、こういうことでほんとうにその仕事に見合う手当、報酬ということになりますでしょうか、その点、ちょっと御意見を承っておきたいと思います。
  262. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 先ほど御説明申し上げましたように、委員手当の最高限度額は給与法できまっていまして、勧告を待ちまして大体措置をいたしておるわけでございます。先ほど御説明いたしましたように、最近では、一般職の上位の官職の給与改訂と均衡をとって改訂をいたしておるというように承知をいたしております。
  263. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私は、そういうあり方にも問題があるんではなかろうかというように思います。そこで、その委員がかりに自宅で仕事をなさったような場合には、手当はどうなっておりますか。
  264. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 実行状況につきましては、大蔵省といたしまして、必ずしも十分承知いたしておりませんけれども、出席回数に応じてお支払いしているというように思います。
  265. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そうしますと、家で仕事をなさるといったような場合には手当はない、こういうことでございますですね。これでよろしいでしょうかね。
  266. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 審議会の委員とされましては、やはり審議会に御出席をいただきまして、御審議をいただくことが本来の仕事でございますので、御出席いただきました場合に手当をお上げするということになろうかと思います。
  267. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そういうしゃくし定木的なところが、ほんとうに信頼される審議会になりずらいということではございませんか。たとえば、これは非常に失礼な申し上げ方になるかもしれませんが、出席をされても何の発言もなされないで、居眠りまでと申し上げると失礼な言い分になるかもしれませんけれども、まあ別に研究態度もないといったような委員さんと、自宅まで仕事を持ち帰って仕事をなさるような熱意のある委員さんと、一体どちらが審議会にとって大切なんでございましょう。これはひとつちょっと官房長官、いかがでございますか。私の問題外だとおっしゃらないで、ひとつこれにお答えいただきたいのです。
  268. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 委員会の手当のこの基準につきましては、いまちょっとここで聞きましたが、内閣の官房と大蔵省との間で、給与基準に従って話し合いできめるというようなことになっておるという、いまここでちょっと聞いたわけですが、私も不勉強で、正確な御答弁ができませんが、そうであるならば、いろいろいま御指摘の問題等につきましても、十分ひとつ、私も検討をいたしてみたいと思いますが。  なお、委員会でございますし、法規に基づいてできる委員会でございますから、委員会に出席するのが委員の責任であると私は思っております。したがって、いま事務当局から答弁いたしましたとおり、やはりこの委員会に出席された方にきまった手当を差し上げるということが法律上正しいのではないかと思っております。まあどなたも委員になるような方はまじめな、私はりっぱな方だと思っておりますが、いま御指摘になりましたとおり、居眠りをしておるとか、遊び半分でとかいうことは、私はないと思いますが、それに引きかえて、それに反してうちにも仕事を持ち帰って勉強しておる人、そういう人にむしろそういうものを払って、委員会に出ても居眠りしている人には払わぬでもいいじゃないかというようなふうに、こういうふうに割り切って支払いをするということもまたこれはいかがかと思います。当然委員になっている方は、その委員会に出席してまじめにひとつ審議をしていただく、そのかわり手当はいただく、こういうたてまえが正しいのではないかと私は考えております。
  269. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 私は、居眠りをしていらっしゃる方には差し上げてくださらなくてもけっこうですと言っているんではございません。居眠りしている人も、出られたんだから差し上げていただいてけっこうです。それでも、そういう方にも差し上げるんだから、長い時間をかけて準備もしながら、なおかつ一生懸命やってくださったというような方には、さらにもっと出していただいてもよろしいのではないか。たとえば、これは人件費として組まれているように思いますけれども、これはむしろ私は、調査研究費といったような形でも、こういう審議会には当然お出しになるべきではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、これは大蔵省、いかがでございますか。
  270. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 委員の方々に対します手当は、予算上の科目といたしましては、委員手当という科目で組んでおります。
  271. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 人件費ですね、ほとんど。
  272. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 委員手当は、当然委員さんに差し上げます、先ほど申しました九千円以内の手当でございますが、そのほか審議会に必要な予算といたしましては、別途必要な調査をなさる場合の委員さん方の旅費でございますとか、あるいは報告書の作成費でございますとか、あるいは最小限度の会議費でございますとか、そういうものをこまかく積算して計上いたしておるわけでございます。
  273. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 ここに、臨時行政調査会のときに橋本さんという方が、例の行政手続法案というものをおつくりになった。ところが、あれはたまたま自宅でおやりになったために、あれだけの法案をおつくりになったのに一銭の報酬も出ていない、こういうことが書いてあるわけでございますね。そうしますと、私は、ほんとうに熱心にやってもただ働きということになるんではないか。まあ委員さんをなさるような方ですから、みな非常に道徳的な方ばっかりでございまして、そんなものは要りませんとおっしゃるかもしれませんけれども、やっぱりそうではない。仕事をすればそれに対して、当然そのものに報いるものというものがあってしかるべきだと思うのですけれども、こういった行政手続法案というようなものを家でつくったから、これはおまえさんは家でつくったんだからというので、一銭も出ないというのはおかしな話じゃないかと思うのですが、これはいかがでございますか。
  274. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 具体的なケースにつきましては、十分承知をいたしておりませんが、ただいま申し上げましたように、たとえば文献が必要な場合の文献の購入費でございますとか、それから報告書をつくられる場合には報告書の作成費、そういうもの、あるいは会議をなさる場合に速記料でございますとか、そういうものは審議会によっていろいろ違いますけれども、必要な経費は計上しておるわけでございます。
  275. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それではひとつ、審議会の予算についてお尋ねをいたしたいと思いますが、審議会等の予算の立て方はどういうふうになっておりますか。
  276. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) ただいまちょっと申し上げましたように、委員さん方に差し上げます手当につきましては、委員手当という目で計上いたしております。それから委員さん方の調査の旅費につきましては、委員等旅費というものでございます。それから文献の購入、報告書の作成、会議費あるいは速記料その他の経費につきましては、庁費ということで計上いたしております。
  277. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、四十五年度審議会の予算総額は幾らでございますか。
  278. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 四十五年度審議会関係の経費でございますが、国家行政組織法の八条に基づくものといたしまして二百三十七審議会、総額が五億八千三百万円、閣議決定等に基づくものといたしまして二件、経費の額が二千七百万円、合計いたしまして、二百三十九件、経費の額が六億一千万円ということに相なっております。
  279. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、決算総額は幾らでございますか。
  280. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 先ほど申し上げましたように、この審議会の経費は委員手当、庁費、旅費というような区分で計上いたしております。そこで他の事項の経費も当然その庁費、旅費あるいは委員手当という科目があるわけでございます。したがいまして、他の事項の経費と一緒に経理をいたしますので、審議会の分だけの決算額が幾らということはちょっと簡単には出ないわけでございます。
  281. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 四十五年度予算総額ははっきり出たわけでございますね。そうしましたら、決算総額というのもはっきり出るはずじゃございませんか。
  282. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 決算の場合には、その事項別に決算ということをいたしておりませんのでございますので、科目別なら当然出るわけでございますけれども、事項別でございますと、ちょっと調査に手間がかかるわけでございます。
  283. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 ここは決算委員会でございますので、予算総額が出て決算総額が出ないというのは、どうもちょっと私は理解いたしかねます。そこで、これもまあ時間がございませんから、もうしかたがございませんので、その支出状況などについて、それではもうおやりいただけなかったんだから、ちょっと時間をかけていただきまして、項目別にひとつはっきりとお出しをいただきたいと思うんです。それでないと、どうもおかしなことになりますし、たとえば、私がお聞きしようと思いましたのは、予算ではこれだけ組まれた、決算ではそれよりも少なかったというような場合に、設置されて、予算としては組んだんだけれども、実際そういうやらなかったような委員会が出てくると、そういうことになれば、もう必然的にこれは支出ができていないと、そういうものがあれば結局、不用額として残ってくるんではないかと、こういうことを考えましたので、一体、審議会の中で不用額といったようなものがどれぐらい出ているかということが私は知りたかった、そういうことでお尋ねをしたわけなんです。おわかりにならなければいたしかたがございませんけれども、ほんとうに優秀な頭脳をお持ちの大蔵省としましては、ただいまの答弁は、私にとってはまことに納得をいたしかねる、こういうことになるわけでございます。まあお気を悪くなさらないで、ひと十分私の納得のいくような、頭の悪い者でもなるほど、なるほどとわかるようなひとつ資料を提供していただきたいと、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。  その次に、もう時間がだんだんございませんから、いままで私がお尋ねをしてまいりましたことでは、どうも国民の期待するような審議会にはなっていないような感じがいたしますし、また、なりにくいような状況でもあるということを感じるわけでございます。ノーサポート・ノーコントロールみたいに、手当もちいとようけやらぬかわりに、まあ仕事もそないにしてくれえでもやかましいも言いませんわいというんだったら、これは何のためにおつくりになった審議会なのかということを私は考えます。そこで、もっと出すべきものはしっかり出していただいて十分に、真に審議会としての機能が発揮できるようにやっていただかなければいけないと思います。数ばっかり多く置いていただいたって、国民のちっとも納得のできないような審議会を何ぼ置いてもらったって、これはどうしようもないということになるのではなかろうかと思います。  そこで次に、事実上の審議機関についてお尋ねをしたいと思います。  先日、田中総理の諮問機関として日本列島改造問題懇談会、まことに長い長い名前の懇談会が設置されまして、八月の七日に初会合が持たれたということでございますけれども、この設置目的は一体何でございますか、伺いたいと思います。
  284. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 田中総理が総理に就任される前に、日本列島改造論という本をお書きになって国民に、一つの内政上の施策として提案をなさったわけであります。この内容は、まあ申し上げるまでもなく、国内の産業構造の——時代の変化に伴って変化していく産業を一体どういうふうにこれから変えていくのか、あるいは過密過疎の問題等もありまして、広範にわたる内容を持った本であります。たまたま総理大臣におなりになって、そこで、内政上の大きな問題の一つの施策として、この内容に盛られてあるものをひとつ政策に取り上げて生かしていこうと、こういうことであるわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、この問題はきわめて広範な内容を含んでおる問題であります。また、これからどうこれを実施していくのか、これもたいへんな問題でございます。したがって、国民一つの提言としてなされたこの内容を持つものでございますから、これを総理大臣として取り上げて一つずつ解決していくためには、各界、各層の見識のある方、専門家の方などの意見をひとつ聞きながら、四十八年度予算において取り上げるべきものが——総理自身もお考えになっておりますが、また、そういう民間の有力な方々から意見を聞いて、これはというものがあったなら、ぜひそれをひとつ参考にして生かしていきたい、こういうことで、たいへんな方々のお集まりを願って懇談会というものをつくりたいということで、閣議におはかりしまして、閣議了解を取りつけたわけでございます。閣議決定に基づく審議会ではございません。  ところが、たいへんな方々の関心が集められておりまして、最初まあ三十名ぐらいと思っておりましたら、六十名が七十名になり、やがて——これはまだきょうもきのうも私のところに申し込みがございまして、あまりにも膨大な懇談会になってしまったなという感じがございますが、しかし、ねらいはこういう大きな問題であるだけに、先ほど申し上げたとおり、総理も、多くの経験者であるとか、学識を持っておられる方であるとか、識見を持っておられる方であるとか、いろいろな方々の意見を十分ひとつ聞いて、そして、これを自分の施策を行なっていく上の有力な参考にしたい、生かすべきものは生かしていきたいと、こういうことでこの公的な懇談会というものをおつくりになったわけでございます。
  285. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それではお尋ねいたしますけれども、国家行政組織法に基づいた、いわゆる八条機関の国土総合開発審議会というものがございますね。それの設置目的は何でございますか。
  286. 平井廸郎

    説明員平井廸郎君) 私のほうからお答え申し上げるのは適当かどうかわかりませんが、手元にあります資料に基づいて申し上げますと、国土総合開発審議会の設置目的の第一は、「総合開発計画及びその実施に関し必要な事項について調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告し、又は勧告する。」、第二が、「総合開発計画の作成に必要な左に掲げる事項について調査審議し、その結果を内閣総理大臣に報告することができる。」、その事項といたしまして、まず、「一、総合開発計画の作成の基準となるべき事項、二、特定地域の指定の基準となるべき事項、三、産業の適正な立地の基準となるべき事項、四、総合開発計画に伴うべき資金及び資材に関する事項」、これが第二でございます。それから第三は、「総合開発計画について必要があると認める場合においては、内閣総理大臣を通じて、関係各行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。」、第四番は、その他国土開発法、国土調査法及び国土調査促進特別措置法の規定により、その権限に属せしめられた事項を行なう。  以上でございます。
  287. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 それでは、もう一つお尋ねいたしますけれども、経済審議会の設置目的は何でございますか。
  288. 亘理彰

    説明員(亘理彰君) 経済審議会は、経済企画庁設置法に規定してございますが、「内閣総理大臣の諮問に応じ、経済に関する重要な政策、計画等につき調査審議すること。」ということになっておるわけでございます。
  289. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 そうしますと、いまお聞きする限りでは、この二つの審議会というものと、今度つくられました懇談会というものと——この二つの審議会に対して御諮問をなされば、特別こうした懇談会をおつくりにならなくても、ほんとうは私はやれるのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。こういったような国土総合開発審議会あるいは経済審議会といったような二つの八条機関の審議会があるのにもかかわりませず、なぜこういう実に膨大な、七十五人といったようなその懇談会の人たちをお集めになる必要があったんだろうかということが第一点でございます。  それから、その七十五名の委員の中に、この二つの審議会、いわゆる国土総合開発審議会の委員さん、経済審議会の委員さん、こういう方がこの七十五名の中でどれぐらい含まれていらっしゃいますか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  290. 亘理彰

    説明員(亘理彰君) まず第一点でございますが、この日本列島改造問題で取り上げられる事項が、経済審議会あるいは国土総合開発審議会の審議事項と非常に密接な関連があることは、御指摘のとおりでございます。ただ、この日本列島の改造問題と申しますのは、非常に広範な問題にまたがっておりまして、経済、社会、文化、自然と、きわめて広範な分野に及んでおるわけでございます。先般の第一回の会合におきましても、日本列島の改造というのは単にフィジカルな面だけではなくて、教育とか文化とかメンタルな面も取り上げなければいけないというふうな御意見も出たわけでございますが、そういう意味においてこの懇談会で取り上げられます問題は、必ずしも経済審議会あるいは国土総合開発審議会で取り上げられる事項に尽きるわけではなでいということございます。ただ、非常に密接な関係があることはもちろんでございまして、この両審議会その他にも関係の深い審議会がいろいろございますが、密接な連携を保って進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、この懇談会の現在の七十五人の委員の中で、経済審議会並びに国土総合開発審議会の委員をしておられる方が何人かございますが、ちょっといま手元に資料を持ってまいりませんでしたので、後ほどお届けいたしますが、それぞれ七、八人ではなかったかと思います。
  291. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 もう少しそれは的確にお調べをいただきたいと思います。  それじゃ反対に、この七十五名の委員さんの中に、百二三十六の審議会の中にお入りになっていらっしゃらない、全然審議会にはお顔を出していらっしゃないという方は何人ございますか。
  292. 亘理彰

    説明員(亘理彰君) ただいまの御質問の点は、調査しておりませんので、後ほど御報告さしていただきます。
  293. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 二百三十六も審議会があるわけでございますから、おそらくこの七十五名の方はどれかの審議会にはお入りになっていらっしゃるはずだと私は思うんです。ですから、先ほどから私が申し上げておりますように、いまあります八条機関の審議会というものがそれぞれの任務を全うしてくださるならば、こういった事実上の審議会というものは私は、ほんとうは要らないのじゃないか、だんだんと審議会の数がこういうふうにふえてくるということは、必ずしも私はいいことだとは考えておりません。そこで、もう少し審議会を私は、むしろ逆にずっと整理をしていただいて、そのかわりに、いまある審議会は有効適切に機能を発揮していただかなければならない、こういう原則に立ちますと、まあ七十五名の委員さんがそれぞれどこかの審議会に属していらっしゃるならば、自分の審議会のところで、この田中総理のお考えになったことについて十分考えを述べていただくということはどうだろうかというふうに私は考えるわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。これはどうぞひとつ官房長官、お願いしたいと思います。
  294. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 先ほどお話がありましたとおり、審議会の運営あるいは数等につきましては、おっしゃるとおり、いま先ほども行政管理庁長官からお話がありましたとおり、洗い直してみたいということばもございました。これはいろいろな面も含めてそのほうがいいと、私自身も思っております。  また、いま数多くの審議会のメンバーであって、今度総理がつくられましたこの談会懇の中、私もある程度の人が参加していただいておると思っておりましたが、全部の委員会の中にどの程度の人が入っておられるかどうかということにつきましては、後ほどまた調べまして御報告を申し上げます。  委員会の中で、先ほどおっしゃるとおり、日本列島改造という大きな問題、これは広範な内容を持った問題でございますから、その自分の入っておる委員会において十分議論をすべきじゃないか、こういう御議論、これも私はもっともだと思っておりますが、また他面申しますというと、総合的な広範にわたる各界各層の方々の意見を十分聞いて、また各種の、国土開発審議会とか、あるいは経済審議会というようなものがございますが、これは密接な関係を保って審議していただかなければならない委員会でもございますから、その委員会において広範な懇談会でいろいろ議論が行なわれたこともその委員会においてまたもっと高い見地から、総合的な見地から意見を述べていただくこともこれはまた適当ではないかと、かようにも考えるわけでございますので、一がいに私は、この懇談会は不要なものであって、懇談会に入るよりも自分の入っておる審議会において、もっとこういう問題を一生懸命勉強して発言するようにせよということももっともだと思いますが、また逆に、私は、こういう大きな委員会の中で各種の方々の意見を聞いて、そして、また経済審議会なり国土開発審議会なりで意見をお述べになることも、これまた前向きの考え方ではないかと、かようにも考えております。
  295. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 しかし、この七十五人の大世帯というのはなかなか——それは話はそうでございますけれども、これはまあ、話を皆さんが一日のうちにいろいろおっしゃることもなかなかにむずかしいことでございましょうが、一体、どれくらいの回数お開きになるつもりでございますか。
  296. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 大体、十二月までに月一回とか原則はきめておりますが、さしあたり、各委員の方々に一人ずつ発言をしていただくのもたいへんだと思っております。  実は、先ほど申し上げましたとおり、膨大なこういう人を集めてやるという構想ではなかったわけでありますが、なかなか権威者の方々が多くて、おれが入らなくてこの改造ができるかと言っておしかりをずいぶん毎日受けておりまして、きょうも五、六人から受けたわけでございまして、これはきわめて熱心な方でございますから、そういう方々を無視することもいかがかと思いまして、だんだんふくれ上がったのでございます。したがって、七十五名の運営を私が司会をやれやれと、こういうことでございましたが、まあ委員会の運営についてもおはかり申し上げましたところが、とりあえずは、ひとつ自分たちの考え方、意見というものを文書にして出すから、それを取りまとめて整理して、それを議題にして今後うまく運営ができるようにせよ、こういうことでもございましたので、りっぱな方ばかりでございますから、そうむだな、時間を費やして何にもならないというような懇談会には、私はしたくないと思っております。きわめて具体的なものをまとめていって、そうして総理の考えておられることを一つずつ具体化していきたい、こういう真剣な懇談会にしてまいりたいと思っております。  先生の御注意もございますから、十分今後の運営については留意してまいりたい、かように考えております。
  297. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 この懇談会が非常にりっぱな懇談会になりまして、この懇談会がりっぱになればなるほど各審議会がりっぱになるというようにお考えでございますならば、私は、その経過をひとつ十分見せていただきたい。いまとやかく申し上げる段階でないかもしれませんから、あとで見せていただきたいと頼んでおきますけれども、また逆に申しますならば、この懇談会がそんなにりっぱになるんだったら、あと審議会はもうよろしいじゃございませんかということにもなりそうでございますね。その点はいかがでございますか。
  298. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私は、この委員会が一つあってほかの委員はどうでもいいということも申し上げるつもりはございませんし、それぞれが法律に基づいた審議会でございますから、先生が御指摘のように、そのはっきりした責任を果たしていない審議会もあるんじゃないかということでございますが、この委員会の運営等につきましては、先ほど行政管理庁長官からお話があったとおりでございまして、検討すべきことは検討し、廃止すべきものは廃止するし、統合すべきものは統合して能率をあげて、そうして国民の税金をむだに使わないようにすることは当然だと思っております。しかし、それぞれの委員会も先生の御注意をよく体してりっぱな運営ができるように、なおかつ、総理が今回つくられました懇談会も、先生から御指摘されたような、また悪口を言われるようなことのないように十分私も留意してまいりたい、かように考えております。今後の推移をひとつ見守っていただきまして、足らないところはまた御忠告なり御支援を賜わりたいと思っております。
  299. 萩原幽香子

    萩原幽香子君 時間がまいりましたのでこれくらいでやめさせていただきますけれども、どうぞひとつ、いわゆる事実上の審議機関でございます、それから八条機関の審議会でございますが、いずれにいたしましても、国民の民意が十分反映できますような形にしていただきますように、それにはどうぞ費用を惜しみなく出していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  きょうは資料をいただきましたら——五〇%とか、三〇%とか、〇%とか、それも出していただくわけでございますから、そういうことをもとにしながら、またあらためて審議会の問題についてはお尋ねをしてまいりたいと思います。  ありがとうございました。終わります。
  300. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 本日の質疑はこの程度にいたします。  次回の委員会は、九月十二日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会