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参考人(南俊次君) 大阪−守口線は供用開始後まる四年程度でございます。それから大阪−堺線の場合は二年二カ月でございます。特に大阪−堺線の場合は完成後きわめて短い。それから万国博の
関連事業の非常に中心部分をなす工事でございまして、公団も全職員一丸となってかなり
努力をして無理をしたわけでございますが、当時の記録から調べますと、工期の点におきまして、当該個所の工事につきましては、工期の点においても何ら無理はないということでございます。それから、初めてのことでございまして、亀裂というのは、コンクリート構造物には非常に小さな亀裂はできがちのものでございますけれ
ども、それが発展しまして縦、横の亀裂がだんだん目がこまかくなってまいりますと、最後に剥離現象を起こすことになる。剥離しますと、私
どもの道路はたいへん密集地でございまして、下が道路であったり、いろいろなことで人さまに御迷惑をかけるわけでございます。そういうものを絶対に起こしちゃいけないわけなんでございますが、不幸にして堺線、守口線と続けて剥離現象が起こったわけでございます。そこで、私
どもも、施工業者の
仕事あるいは生コンの配合等に手落ちがあったのではないかという疑いを持ちまして、さっそく剥離しました付近のコンクリートも一緒にこわしましたので、それの分析試験並びに強度試験を
日本材料学会に委託いたしましてやったわけでございます。それとともに、一方、重車両の問題がございまして、根太——鉄のほうでございますと、スチールの疲労、破壊というものはわりあいよく国際的にも知られているわけでございますが、コンクリートの場合、特に苛烈な条件を受ける床版のコンクリートの場合、国際的にもあまりデータがございません。そういう問題をあわせて、今後私
どものつくりました道路は五十年はもたせなければいかぬ。その五十年間、こういう苛烈な条件に耐えてもたすためにもどうすればよいか、そういう問題をあわせて
検討いたすために、事故究明を第一といたしまして、あわせていま申し上げたような抜本的な問題も研究いたしますために、関西近在のコンクリートの学者の先生方、それから国鉄の技術研究所、それから建設省の土木研究所、その他監督官庁並びに大阪府市の専門家というものを集めまして、技術
委員会を編成いたしまして、そうしてまず最初に事故究明のために、先ほど申し上げたテスト結果とあわせまして、七月二十四日に
委員会を開きまして原因の究明をやったわけでございます。そうしますと、その答えとして出したところを申し上げますと、「
調査の結果、損傷のあった附近のコンクリートの強度は、指定強度を確保しており、また、工事の施工記録から判断しても、」——この「施工記録」というのは、先生のおっしゃった日誌じゃなくて、材料試験の結果でございます。——「施工記録から判断しても、コンクリートの配合及び強度は全体として問題ないと
考える。損傷のあった小局部のコンクリート強度が、その付近の強度より相対的にたまたま低い場合でも、法定輪荷重範囲内の荷重であれば別に問題とするにあたらないと
考えられる。しかし、交通の現状を見ると、過大積載荷重が多数通過しており、その結果、法定以上の荷重の繰り返しが加わることになり、コンクリートの耐荷力が急激に減少することから
考えて、この場合亀裂が発生し、剥離現象が生じたものと思われる。」で、あとは公団側の
説明に基づいて書いておることでございますが、「公団側は、すでに全路線について床版コンクリートの総点検を行ない、亀裂発生に対する予防
措置の技術的体制と管理体制の強化をはかり、この種損傷の再発を防ぐよう
努力していることから
考えて、今後十分な安全が確保されるものと思われる。」、これが二十四日の
委員会の結果の、京都大学のコンクリートの専門家でございます岡田清教授が発表した結論でございます。
それから、大阪−堺線はわずか二年、それから守口線は四年二カ月でございますが、一日平均堺線の場合は十万台程度走行しておりまして、往復二車線・二車線の四車線でございます。で、この損傷のあった部分はキープレフトの——キープレフトというのが道路の端についております——それからいって、大体走行車線、追い越し車線があって、走行車線側に問題が発生しておる。ほかにも理由はございましょうけれ
ども、走行車線のほうは大体二車線合わした交通量の半分よりもよけい走るというのが現状でございます。
それで、供用開始以後、その車線だけで大体何台走ったか
考えますと、堺線では一千五百万台走っておる。そうして、料金徴収の記録から判断しまして、大体六%が大型車でございます。したがって、九十万台というものの大型車が走っておる。守口線におきましては四年間走っておりますが、その当該車線においては一千万台しか走っていない。大型車の混入率も少なうございまして三%でございますので、大型車は三十万台走っていると推定される。その大型車のまた何%が法定以上の輪荷重で走ったかということにつきましては確たる証拠はございませんが、堺線である一日たわみ試験をやりまして、床版のたわみでもって逆に上を通る荷重の重さを推定したことがございますが、大体一〇%程度は法定以上の輪荷重であったということがわかっております。また、別に
日本全国建設省がお調べになった何百万台の記録から推しましても、ひどいのは一輪十四トン、一軸二十八トンという記録も出ておるわけです。そういうことと、それから実は岡田先生がこの結論を出しましたもとは、イリノイ大学におきましてコンクリートの単純圧縮繰り返し試験というのをやっておるわけであります。その結果によりますと、コンクリートの強度の三割程度の違いあるいは荷重の三割程度の増、それによって繰り返し応力に対する強度が急激に低下するものであるという記録がございました。そういうものから推定してこういう結論が出たと、かように
考えておるわけでございます。