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1972-08-09 第69回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月九日(水曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  七月十九日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     世耕 政隆君  七月二十六日     辞任         補欠選任      青島 幸男君     野末 和彦君  七月二十七日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     宮之原貞光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 小谷  守君                 黒柳  明君                 塚田 大願君     委 員                 石本  茂君                 片山 正英君                 河口 陽一君                 小林 国司君                 竹内 藤男君                 大橋 和孝君                 藤田  進君                 安永 英雄君                 中尾 辰義君                 野末 和彦君    国務大臣        外 務 大 臣  大平 正芳君        通商産業大臣   中曽根康弘君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        公正取引委員会        委員長      谷村  裕君        警察庁交通局長  片岡  誠君        防衛施設庁施設        部連絡調整官   松崎鎮一郎君        外務省アメリカ        局長事務代理   橘  正忠君        外務省条約局長  高島 益郎君        大蔵省銀行局総        務課長      徳田 博美君        国税庁直税部長  吉田冨士雄君        農林政務次官   園田 清充君        林野庁長官    福田 省一君        中小企業庁次長  森口 八郎君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        運輸省自動車局        整備部車両課長  飯塚 良政君        建設省道路局長  高橋国一郎君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君    参考人        阪神高速道路公        団理事長     天坊 裕彦君        阪神高速道路公        団理事      南  俊次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十五年度特別会計歳入歳出決算昭和四十五年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十五  年度政府関係機関決算書(第六十八回国会内閣  提出) ○昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十八回国会内閣提出) ○昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず委員異動について御報告いたします。  去る七月十九日、渡辺一太郎君が委員辞任され、その補欠として世耕政隆君が、七月二十六日、青島幸男君が委員辞任され、その補欠として野末和彦君が、また七月二十七日、鶴園哲夫君が委員辞任され、その補欠として宮之原貞光君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、理事辞任についておはかりいたします。  中尾辰義君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  次に、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  先ほど御報告のとおり、渡辺一太郎君の委員異動に伴う欠員一名、及びただいまの中尾辰義君の理事辞任に伴う欠員一名、計二名の理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事世耕政隆君、黒柳明君の両名を指名いたします。     —————————————
  6. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十五年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査に資するため、必要に応じ政府関係機関等役職員出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、日時及び人選につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     —————————————
  9. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、昭和四十五年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 小谷守

    小谷守君 大平外務大臣は、御就任以来、長年の懸案であります日中国交回復のために御尽瘁になっておるようであります。敬意を表したいと思います。  私は、この際、外務大臣に対して、まず在外公館あり方について御所見を尋ねてみたいと思います。  田中内閣発足をされまして間もない七月十四日、アメリカ駐在大使であります牛場さんが、アメリカにおきまして記者会見の席上奇妙な発言をいたしております。その内容はゆゆしいものであると私は考えます。牛場大使発言内容は、中国日中国交正常化の前提としている復交三原則は外交的には認められない、こういう内容のものであると新聞は伝えております。田中内閣は、御承知のように、発足早々、今日の国家的な急務である日中国交回復について、機は熟している、三原則を踏まえて早急に取り組むということを天下に公にされたのであります。このような国の大方針に背中を向けて、これを冷笑するかのような牛場発言は、国益と国論を無視するものでありまして、非常識と申し上げるか、不謹慎と言うべきか、外交官としての感覚を疑わざるを得ません。  そこで、大臣にお伺いいたします。外務大臣は、この重大な発言について事実関係を御調査になりましたかどうか。事実であったとするならば、本人に対しどのような措置をおとりになりましたか。国民感情から申し上げますならば、このような非常識な大使をなおその職にとどめておくことは、とうてい認めがたいことではなかろうかと思います。外務大臣の御所見を承りたいと思います。
  11. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 小谷委員から御指摘のように、去る七月十四日、駐米牛場大使は、記者会見におきまして、いま御指摘の点につきまして、中国の三原則をそのままのむことは困難ではないかと思われる、こういう趣旨の発言をいたしましたことは事実でございます。今度の中国問題の処理にあたりまして、御指摘のように、この三原則につきましてどういう態度をとるかということが根幹的な問題であることは、御指摘のとおりでございます。この牛場大使の言われておることが、私どものとっておりまする姿勢との関連におきまして考えてみますと、私どもは三原則は十分理解できるところである、その基本認識に立ちまして、今後世論の動向を考え日中双方が合意ができる具体策検討してまいりたいというのが私ども考え方でございまして、その考え方と、牛場発言の、ニュアンスはともかくといたしまして、そのままのむことは困難ではないかという観測とは、まっ正面から矛盾する発言と私は思われません。しかしながら、御指摘のように、出先大使本国政府の意向を十分踏まえた上で慎重に発言すべきでありますことは当然でございます。その意味におきまして、七月十四日の牛場発言なるものは決して適切であるとは考えられません。したがいまして、その直後帰国いたしました同大使に対しましては、私より注意を喚起しておいた次第でございます。
  12. 小谷守

    小谷守君 大臣の御答弁はたいへんあいまいもことしておるように私は思うんです。牛場大使の失言は、私の知る限りではこれが二回目だと思います。言うならば、前科二犯であります。第一回は、本年一月十日、サンフランシスコで重大な放言をしております。当時の福田外務大臣は、新聞談話におきまして、牛場大使発言は行き過ぎであり、改悛を求める、こういう表現をしておられます。今回の放言は、まさに前科二犯と申し上げてよかろうかと思います。  また、牛場大使は、先般帰国後の記者会見で、日中問題について、東京空気が変わっているのに驚いたと、こういうことを、これまた新聞談話でありますが、読んだのであります。まことにぬけぬけとした発言であると申し上げざるを得ません。何らの反省の色がないと申し上げざるを得ません。  駐米大使と申しますと、数ある在外公館の中で最も重要な役職であろうと思います。最も敏腕な外交官を配置されておるものと思います。駐米大使館が使う年間の予算は五億数千万と承知をしてております。またその職員は六十余名と承っております。  東京空気が変わっているのに驚いたとは何事でございますか。在外公館長任務は、申し上げるまでもなく、外務省設置法の第二十五条にその権利義務が明らかであります。「外務大臣の命を受けて、」——命を受けて万般の処理に当たるということがその任務の大綱であります。これがまるで糸の切れたたこのようにかってほうだいなことを言いふらすというようなことで、私は、あなたの御答弁の中にありました、やや見解が異なるというふうなこと、注意をしたというふうなことで済むかどうか、あなたの御答弁に対して重大な疑義を感ぜざるを得ません。事実関係をお認めになった上は、具体的にどういう措置をおとりになるか、もう少し明確に承りたいと思います。注意をするという程度のことでよろしゅうございますか。
  13. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 御指摘のように、駐米大使館わが国出先大使館といたしましては筆頭的な立場にありまする大切な公館でございます。したがいまして、わが国外交陣容の中で最もすぐれた人物を駐米大使として派遣いたしてあるつもりでございます。牛場大使は、その意味におきまして、私の見るところ、わが国外交陣容の中で最もすぐれた一人であると判断いたしております。日常の外交活動におきましてきわめて精力的な活動を展開していただきまして、われわれの期待にこたえてくれておるわけでございまして、総体として彼が大使としての適格性に欠くるところがあるようには判断いたしておりません。ただ、御指摘の新内閣発足後の東京の情勢の変化ということに対して率直に彼は一種の驚きを感じ取ったのではないかと思うのでございまして、それを率直に漏らしたこと自体深くとがめられるべきことではないと思いますけれども、ただ問題が日中問題という微妙な、しかも重大な問題が、しかも重要な時期に差しかかっておる段階における発言といたしましては、適切をいささか欠くうらみがあると私も判断したわけでございまして、したがって、大使にその旨注意をいたしたわけでございまして、私といたしましては牛場大使に対する信頼をそのために投げ捨てるということは考えていないわけでございまして、御不満ではありましょうけれども、私のとりました措置を御理解いただければしあわせと思います。
  14. 小谷守

    小谷守君 大臣、いまたいへん苦しい弁護をされるようでありますが、蓮見事務官には問答無用で罷免をして、在外公館の長の中の一番右翼である駐米大使に対してはたいへんな御配慮のようであります。  大臣に申し上げたいことは、今日憂慮すべきことは、いわゆる霞が関外交と称して、国民と隔絶しておることを理解せずに独善にふける外務省官僚陣態度ではないかと思います。牛場発言もそのような背景によるものと思います。どうかひとつ大平外務大臣は、このような外務省長年の積弊に対して、勇断をもって刷新をしていただかなくてはならぬと思います。このことを特に申し上げておきます。牛場大使をどうするかということは、人事の問題でありますから、議会としてこれ以上のことは申し上げないことにいたします。  そこで、この機会に、今日の焦点であります日中国交回復の基本的なポイントについて、簡単にお尋ねをしておきたいと思います。  まず第一は、九月末総理外務大臣訪中ということが、しきりといまうわさされておる。おそらく確実であろうとも報道されております。これはそのとおり中国を訪問される御所存でございますかどうか。
  15. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 政府首脳訪中ということが、この問題、日中問国交正常化してまいる上におきまして、ある段階で必要になってくると私は判断いたしております。しかし、それがいつ行なわれるであろうかということにつきましては、まだ決定いたしておりません。
  16. 小谷守

    小谷守君 九月早々ニクソン会談は、これはもうきまっておるわけですね。これと訪中との関連はどのように理解すべきでありますか。
  17. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 直接の関係はございません。
  18. 小谷守

    小谷守君 日中国交回復方式として、いわゆる共同宣言方式をとって後に平和条約を指向するといういわゆる二段階方式をお考えになっておるのか、あるいはこの際一挙に平和条約を指向される努力を尽くされるのか、その辺についてのお考えはいかがでございますか。
  19. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どもとしては、日中国交正常化に伴う基本問題につきまして、いま検討を進めておるわけでございまして、まだ相手側との公式の交渉にも入っていない段階でございますので、この交渉の結果それがどういう姿において結晶されるであろうかというようなところまで、まだ考え及んでいないわけでございます。いまやっておりますことは、その前の段階におきまして、基本問題についていろいろ検討を重ねておるというように御承知を願いたいと思います。
  20. 小谷守

    小谷守君 台湾との国交の断絶は、これは当然の帰結だと思いますが、またきのうきょうの新聞を拝見しますというと、総理をはじめ政府首脳談話の中から、もうその辺のあきらめがついたというふうな報道がなされておりますが、台湾問題ないしは日台条約についての方針はもう練りあげられておるかどうか、いかがでございますか。
  21. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私どものいま取りかかっております仕事は、先生も御承知のとおり、国交正常化ということでございます。中国日本との間の国交正常化する道を探究しているわけでございます。いま私が公に申し上げられることは、それだけのことなんでございますが、従来からずっとその場合台湾はどうするんだということを各方面から御質問があるわけでございます。これは全体の正常化ということをいかにしてやってまいるかということに腐心しているわけでございますので、その問題に直接触れることをいさぎよしとしないのでありますけれども、しかし、遺憾ながら各方面からそういう御質問があるわけでございますので、私どもといたしましては、一つ中国との間の国交をまともなものにしていくというその仕事が達成された暁におきましては、日台条約というものは論理的な当然の帰結として失効せざるを得ないのではないかといういま論理的な道行きというものをすなおに申し上げておる段階でございまして、具体的にそのことについて言及するのはまだ早いのでありまして、先ほども申し上げましたとおり、基本問題につきましていま真剣に検討を進めておるというように御承知を願いたいと思います。
  22. 小谷守

    小谷守君 ここは決算委員会でありますから、また外務委員会その他で同僚からお伺いをすることになろうかと思いますが、きょう特に外務大臣お尋ねをしましたのは、在外公館あり方にゆがみはないか、牛場発言を中心にしてそういう点をお尋ねしたわけであります。外務大臣日中問題について御苦心になっておる、御苦労になっておる点は、野党といえども評価しておるわけであります。いまこの段階であなたがなかなか言いにくいという点も、よく承知をしておるわけであります。  ただ、外務大臣に対する質問をこれで終わりますが、牛場大使に対するところの御処置は、あなたのおっしゃったようなことでは、国民は納得しないと思います。これだけ申し上げておきます。外務大臣けっこうです、お忙しいでしょうから。
  23. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) ありがとうございます。
  24. 小谷守

    小谷守君 通産大臣にお伺いいたします。通産大臣は、七月二十六日合繊プラント中国向け延べ払い輸出に対して、日本輸出入銀行の融資を認める方針をお示しになりました。これは日中貿易の大きな障壁に対して打開の努力を払われたわけであります。その点は、御就任早々一つの英断であったと、このように考えます。  そこで、この基本的なお考えについて大臣の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回通産大臣就任いたしました中曽根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま御質問の件についてでございますが、日本中国が隣あわせで、しかも日本が過般の戦争で、またそれ以前から非常な迷惑をおかけしている隣国に対して、われわれが謙虚な態度に立って、反省すべきものは反省し、新しい見地に立って国交正常化をし、和親を深めていくということは、隣人として当然のことであると私考えております。したがいまして、政治的にも経済的にもその親交関係を深めて、国交を回復し、正常化していくということが日本政治の大きな課題であると考えておりまして、そういうことへ持っていくためにも経済関係から打開していくことが適当であると前から考えておりまして、私は運輸大臣在任当時、船の延べ払いの問題につきましてもケースバイケース検討するというのが当時の考え方でございましたが、私自体としては積極的な考えを持っておりました。それで、吉田書簡に対する考え方を聞かれましたが、私はそのとき、あれは個人的書簡で、野辺の送りは済んでいると心得ていると、そう国会答弁した記憶がございます。  そういう考えに立って日中間国交正常化する時期を待っておったわけでございますが、いよいよ現実的な課題として登場してまいりましたので、かねての考えに基づきまして、まずクラレの問題が先に登場してまいりましたので、副社長から報告を聞きまして、通産省としては許可の内諾を与えて、これを妥結に持っていくように側面からも支援したいと考えておるところでございまして、今後もそういう精神で進んでまいりたいと思います。
  26. 小谷守

    小谷守君 中国向け長期延べ払い輸出日中間で問題化した出発点吉田書簡であったことは、申し上げるまでもございません。吉田書簡は、昭和三十九年五月、吉田首相から台湾張群秘書長にあてたいわゆる私信でありまして、その全文は公表されておりませんが、その要点は概略次のようなものだといわれております。  一つは、中国向けプラント輸出に関する金融を純粋の民間ベースにすることについては国民政府側の希望に沿うよう研究する、二つ目に、少なくとも昭和三十九年中は、大日本紡績ビニロンプラント、これを輸銀資金を使って中国延べ払い輸出することは許可しない、こういう骨子のものであったと仄聞をするのであります。  この吉田書簡が出された背景は、昭和三十八年に、いま大臣の仰せになりましたクラレビニロン完全プラント、日産三十トン、二千万ドル、これが政府、当時の池田内閣の承認を得て輸銀融資を軸に五カ年間の延べ払いで輸出されることに対し、台湾側から強い反対運動が起き、クラレビニロンプラントと同時期の昭和三十八年に契約していたLT貿易大型プロジェクトである東洋エンジニアリングの尿素プラント、あるいは現ユニチカのビニロンプラント、日立造船の貨物船等の契約が中国側から軒並みに破棄されて、以後今日に至るまで輸銀使用中国向け延べ払い輸出は全然行なわれていないわけであります。今度の中曽根大臣の言明は、日中関係で最大のガンとされてきた吉田書簡を完全に廃棄したと、こう認めてよろしいかどうか、そう言明されますかどうか。
  27. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 吉田書簡なるものは吉田首相個人的書簡でございまして、政府間の協定や条約ではございません。したがって、政府はこれに拘束さるべきものではございません。私はかねがねそういうふうにも考えておりましたし、政府もそのように答弁しております。私のただいまの考え方は、吉田書簡というものは現在すでにないものである、効力なきものである、このように考えております。
  28. 小谷守

    小谷守君 いまの大臣の御説明でございますと、これは先般わが党の先輩であります佐々木更三代議士が中国を訪問された際に田中首相の伝言として伝えられておりますところの吉田書簡は死滅したという表現と同様なニュアンスを受けるわけでありますが、私はこの吉田書簡に対する評価は佐藤内閣一つの定型化された御説明があったように思うのであります。大臣もいまお触れになりましたが、あれは吉田張群私信である、政府が破棄するとか破棄しないとかいう問題の筋ではない。それでは、具体的にはこの輸銀使用をどうするかということになるというと、これまた判こで押したように、それはケースバイケースで前向きに考えます、こういうことを繰り返されておったわけであります。脱佐藤中曽根大臣ですから、もう少しはっきりした、佐藤亜流の御答弁でなしに、その辺もう少しはっきりしてもらえませんか。
  29. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま申し上げましたように、吉田書簡というものは今日では効力なきものであると、そのように私は考えております。したがって、破棄するとかしないとか、そういう積極的な行為を必要としない、現在すでに効力なきものとして私たちは扱っておる、そういうふうにお考え願いたいと思います。
  30. 小谷守

    小谷守君 この吉田書簡というものは、ずいぶんと日中国交回復の阻害になってきたと思うのであります。もういまその一々をここで申し上げることは控えたいと思いますが、非常に罪の深い書簡であったと申し上げざるを得ません。いま大臣は 片一方では、これは私信である、私信であるから政府が破棄するしないという筋のものではないという佐藤流の御答弁もあったわけでありますが、片一方では、効力は失った。私信であるにせよ何にせよ日中国交回復を阻止した大きなガンとしての役割りを果たしてきたことは事実なんです。そういう効力があったことは事実なんです。まあそれにしても、いま死滅したと、効力を完全に失ったという表現でありますが、ただ問題は、それで中国は、そういうお考え、そういう表現で満足するかどうか、その点についてのお見通しを伺っておきたいと思うのであります。吉田書簡日華平和条約の不備を補う補足的文書であるとの国府側の解釈がなされておるようであります。この問題の決着をつけることなしに、一体中国側がよしわかったというふうに釈然とするでありましょうか。その辺の御観測はいかがでありますか。
  31. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本側日本側としての独自の見解に立って、日本独立性を維持しながら行政あるいは政治処理していかなければならぬと思います。私たちはそういう考えに立って吉田書簡というものを処理していきたいと考えております。いま田中総理と周総理が直接正式に国交の基本問題について話し合おうという、こういう大きな洪水のような流れが起ころうとしているときでありますから、その辺の支流というようなものはこの大洪水の中に問題にならぬじゃないか、私は政治的にそういうものであるように考えます。ただし、行政事務当局としましては、あれはもうすでに効力なきものである、そういうふうにはっきり考え処理しているつもりであります。
  32. 小谷守

    小谷守君 吉田書簡の問題、これは最大のガンでありましたが、いま支流ということばを使われましたが、さらに小さい問題でありますけれども日中貿易の障害になっておる二、三の問題について、この際基本的なお考えを承っておきたいと思います。  まず、円元決済の問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  33. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 円元決済の問題につきましては、覚書事務所の当局あるいは日本の金融筋等が、中国のそれぞれの所掌の方々といろいろお話し合いを進めておるようであります。私はそれが円満に妥結することを希望いたします。その妥結した結果は尊重して、私たちも守っていけるようにしていきたい、そういうように考えております。
  34. 小谷守

    小谷守君 現在、生糸、絹織物等八品目に課せられておる対中国差別関税や、クルミ、アンチモンなど五品目に設けられておる輸入の事実上の許可制について、わが国としては早期に全面撤廃の方向に持っていかれるべきものだと思いますが、お考えはどうでありますか。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大きな方向としては、そういう方向が私は妥当であると考えております。わが国の関税率体系は、法律に定められました国定税率と条約により譲許している協定税率とに大別されておりますが、わが国中国との間には条約による最恵国待遇関係がございませんために国定税率が適用されております。したがって、協定税率が国定税率を下回る品目については格差が生じておることになりますが、これは特に中国だけを意図的に差別しようとするものではございません。昭和四十四年度関税改正以降、毎年国定税率と協定税率との格差解消につとめておりまして、上のような理由で中国からの輸入関税が結果的に高くなっている品目は八品目にすぎなくなっております。これら八品目につきましても、格差を解消した場合の国内生産に与える影響等も十分勘案しながら、問題のない品目については今後も格差解消につとめていきたいと考えております。
  36. 小谷守

    小谷守君 その他、食用肉の輸入問題、ココムのリストの撤廃等についても積極的な御努力が望ましいと思いますが、お考えはいかがでございますか。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 肉の問題につきましては、口蹄疫等の問題がございまして、農林省当局もいままでかなり慎重でございました。われわれといたしましては、その輸入は、日中貿易関係の改善に資することを考慮いたしまして、今後とも関係方面と十分協議して検討していきたいと思います。さしあたり煮沸肉の輸入の可能性について、現在前向きに検討を行なっておるところでございます。  コロムの問題につきましては、日本は従来、関係国の協議におきまして、これが品目の解除、撤廃につきまして一番積極的に努力している一人でございます。今後ともわれわれは引き続きその態度を持しまして、さらに強力にできるだけ多くの品物をこれを削除していくように努力してまいりたいと思います。
  38. 小谷守

    小谷守君 通産大臣、けっこうです。
  39. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめて。   〔午前十時四十八分速記中止〕   〔午前十一時速記開始〕
  40. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) それじゃ速記を起こして。
  41. 小谷守

    小谷守君 阪神高速道路公団の理事長、どうも御苦労さんです。今日、高速道路時代を迎えたと言われておりますわが国の高速道路の供用延長は七百キロ、将来計画としては七千キロをこす高速自動車道路網が形成されると承知しておりますが、これが管理運営については特に御留意を願わなくてはならぬところだと思います。去る七月三十一日、近畿管区行政監察局が阪神高速道路公団に対して異例とも考えられる勧告を行ない、期限つきで回答を求めておるのであります。その内容は、高速道路の管理がずさんであるという一語に尽きると思います。この事態について、関西地方では公団の怠慢をなじる新聞記事が連日大きく報道されております。特にこれは、高速自動車道路の管理運営については、昨年七月、中央行管の監察局が勧告を行なっておるところであります。一年たつかたたぬうちにこのような異例の勧告を受けたことについて、公団理事長はどのような反省をしていらっしゃるか、まずその点をお伺いしたいと思います。
  42. 天坊裕彦

    参考人(天坊裕彦君) ただいま小谷先生から、阪神高速道路公団が最近新聞に批判を受け、同時にいろいろと各方面に御迷惑をおかけしており、特に行政管理庁からもいろいろ調査をされまして、勧告を受けたということになっているが、一体どういうことなんだと、どういうふうにその点を考えておるのかというお尋ねでございますが、まことに、この五月ごろに、阪神高速道路の一部、堺線その他におきまして、一、二床版に亀裂を生ずるような現象を起こしまして、それとかたがたいろいろ公害問題と加えて、新聞等から非常な手きびしい御批判を受けておるのでございます。その問題に関連して、行政管理庁におかれても、公団のやっております仕事全体について、特にそういう管理の問題を中心に御調査があったわけでございますが、その結論として、ただいまお話がございましたように、七月末に管理庁の御意見の御発表がございまして、それに伴って八月の二十五日までに公団としてはどう考えているかというような意見を出せということでございます。まことに、いろいろと新聞の批判をはじめ、利用者の方々に御迷惑をおかけいたしておりますことにつきましては、はなはだ申しわけないこと遺憾に存じておるところでございます。いろいろ指摘を受けましたこと、反省いたしておりますが、特に問題といたしましては、道路の保全対策というものについて、御承知のとおり、関西の道路公団、道路ができましてからそれほど年月がたっておるわけではございませんのに、すでにそういうような亀裂を生ずるようなことになったというようなことに対して、保全対策というものをもっともっと真剣にやらなければいけない問題だということを痛切に反省いたしておるわけでございます。これは言いわけではございませんが、実はことしの四月、五月ごろから、保全対策について特に力を入れたいという考えのもとに、その専門家を、地方建設局というか、建設省からいただきまして、その態勢を着々整備しておったやさきでございます。まことに遺憾でございますが、そういうような問題が一つございます。と同時に、管理上の問題につきまして、特にいろいろ床版に亀裂を生ずるような事故のいろいろな問題の中で、その原因の一つが、やはり重量車が通り過ぎると、初めの計画以上に通り過ぎるのではないかというような点があげられるのでございまして、そういう重量車対策というようなものについてもう少し真剣に取り組んでいかなければならないということを痛切に感じておるわけでございます。この点につきましても、ただいま小谷先生からお話がございましたように、昨年の地方行監の御調査の結果、そういう対策を考えていかねばならないんだということを御勧告を受けておったのでございます。それが、阪神高速道路だけで高速重量車というものをチェックするということはなかなか事実上困難な問題がございますので、非常におくれておったのでございますが、今度の事故に省みまして、本年度内に少なくとも大阪で四カ所は重量車の検量ができるような設備をしたいというふうに考えてやっておるわけでございます。  とりあえず一言お答え申し上げます。
  43. 小谷守

    小谷守君 近畿監察局の勧告を読んでみますと、要約して、公団としての組織的、系統的な管理に欠ける点が多い、こういうことに尽きるように思う。建設省見えましたか。——具体的な項目の内容についてお伺いをする前に、今日の高速自動車道全般の管理について建設省どのように考えておるか、伺っておきたいと思います。
  44. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 全般の道路管理についての建設省の見解ということでございますが、重量制限を主体としたお尋ねかと思いますが、その点についてお答え申し上げます。  御承知のように、現在の日本の道路は、設計荷重二十トンになっております。二十トン以下の荷重につきまして自由に通行できるようになっております。二十トンをこえるものにつきましては、これは申請いたしまして、許可されたものが通行方法、時間等を定めて通れることになっておるわけでございます。しかるに、最近日本の道路上は、かなりの、二十トンをこえる重量車が通っておりまして、そのために道路をいためておる点が多々ございます。われわれといたしましては、できるだけ、四月一日に車両制限令等を強化いたしまして、こういうものを厳重に取り締まりたいと思っておりまして、警察当局とも十分御相談を申し上げて、重量を超過するものについての規制を強化したいというふうに考えております。
  45. 小谷守

    小谷守君 私が伺っておるのは、あなた御出席おそかったから、阪神道路公団については先般行管の勧告がありましたので、きょうは参考人として御出席を求めて、阪神高速についてはいまからいろいろ伺うわけでありますが、高速道全般について建設省としては今日維持管理が適切に行なわれておるというふうにお考えになっておるかどうか。たまたま阪神高速に指摘があったからきょうはそのことを中心にお尋ねをするわけでありますけれども、問題は阪神高速だけじゃないと思うんです。先般も首都高速公団のほうで何か建設中に橋げたが落ちてたいへんな迷惑を住民にわけておる、まあこれは建設中ですが。あるいはまた、日本道路公団の管掌する点についてもいろいろと問題があるのではないか。高速道全般についてあなた方はもっと厳重な監督をしてもらわなきゃならぬ、その点について欠けるところがあるのではないか。高速道全般の管理についての御所見を求めておるわけであります。重量規制の問題はあとで伺います。
  46. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 都市高速並びに高速自動車国道を含めたいわゆる高速道路の維持管理についての御指摘でございますが、日本道路公団、首都公団、阪神公団それぞれの機関におきまして十分な維持管理をしておるはずだというふうにわれわれは考えておりますが、しばしば——しばしばではございません、たまには御指摘のような事例があるやに聞いておりますけれども、われわれとしては十分やっておるんじゃないかというように考えております。
  47. 小谷守

    小谷守君 きょうは大臣が災害の特別委員会に出ておられるようでありますから、あなたは天下太平みたいないま御答弁だけれども、そうでないということをまたあらためて大臣に伺いましょう。そんな感覚では困ったもんだと思いますよ。阪神高速のほうに具体的な問題について伺います。  この勧告の具体的な内容でありますが、これは理事長から一々具体的なことをお答え願わなくてもけっこうですから、どなたか詳しい方から伺えばけっこうであります。  第一は、工事監督がずさんであるという点であります。まず、道路管理のための日誌その他の全く記録がないというのはどういうことですか。日誌その他の記録がないということを指摘しておるんですが、それは事実ですか、そういうことなら、これはずさんこの上もないと思うんですが、いかがですか。
  48. 南俊次

    参考人(南俊次君) 私ども工事を実施いたします場合に、公団に定められました監督要領、それから請負業者との間に取りかわします契約の細部事項といたしまして共通仕様書、こういうもので公団の監督者と工事を請け負う業者との間の承認事項でございますとかいろんな事柄の責任者をきめておるわけでございます。たまたま工事の施行について御指摘のありました「監督業務の運営について」という項目で、責任施行——自主監督をたてまえとしておるが、この監督要領並びに共通仕様書にいうところの現場監督者が承認すべき鉄筋の配置、型ワクの設置、そういう承認事項を補助監督員にまかしておった事例がこの事故のあった現場じゃなくて別の最近行なわれておる現場であったという御指摘がございました。これはまさしく形式的に御指摘のとおりでございまして、現場監督者なるものが多くの工区を持ち、また第三者折衝、あるいは設計変更等いろいろな多種業務についております関係上、必ずしも私どもの共通仕様書にあげたとおり、その一つの現場の一つ仕事にばかり業務を集中させることが不可能でございまして、事実上補助監督員を使うこともやむを得ないと現実問題として考えておりますけれども、いやしくも私どもの条文にうたった、共通仕様書にうたった事柄が、たとえ形式的にせよそのまま行なわれないで補助監督員をもって承認さしておった事例がございます。これは非常にまずいことであると深く反省いたしておる次第でございます。したがいまして、今後は現場監督員の仕事の一部も、現場監督員の判断によりまして、その補助者の能力判断、その他工事現場の事情等によりまして、正式に補助監督員もその任に当たることができるというふうに書き改めたいと、かように考えております。特に、最後に申されました記録がないという問題でございますが、これはその後に改善の意見としてお書きになっておる監督日誌の問題であろうかと思います。これは、現場監督者もしくはその補助員等が毎日何をやり、何を注意し、どういうことをやったかということを精細に日記に書きとめることによりまして今後あらゆる監督業務の改善に資し得られるのじゃないかと考えておりまして、今後はそういうふうにしていきたいと考えております。  ただ一がいに、たとえば打ちましたコンクリートにつきましても、五十立方メートルに一個のテストピースをとりまして、それの試験などをやった記録というものはあるわけでございますが、個々の監督者の日常の日誌というものを書くことを義務づけていなかったということを私どもは反省いたしておりまして、今後は書かしたい、かように考えておるわけでございます。
  49. 小谷守

    小谷守君 まともな技術者が監督に立ち会わずに補助員だけで立ち会うておった、またほとんどは業者まかせだ、生コンの点検なんかは一回もやっていないということですが、そういうことですか。
  50. 南俊次

    参考人(南俊次君) 生コン工場と申しますのは、私ども使っております工場はすべてJISの指定工場でございます。で、所要の設計強度を確保するためにどういう配合をするかというような事柄につきましては、私どもの監督員が立ち会いまして配合をきめるわけでございます。ただ、一日何百立米もミキサー車によって運んでまいります。その場合の生コン工場の材料の置き場の管理がどうであるか、あるいは配合はおおむね機械的にやりますけれどもその番号を間違えていないかどうか、こういう点たいへん大事ではございますが、公団の自主責任施行というたてまえから、限られた人数でそこまでの監督は行き届かない状況でございまして、さらに私ども反省をしておりますのは、工事を請け負う請負業者に、せめて朝から晩まで生コン工場に張りつけて、材料の管理並びに配合の番号の間違いがないか、それからまた輸送途中、何時何分に何号車が出た、現場に着くまで途中道路が込みまして時間がかかり過ぎますと使えないコンクリートになるおそれもございます。そういう点の連絡を今後正したい。これは、今度の問題が直接不良コンクリートという結論ではございませんけれども、今後そういうことがあり得るということで気をつけたいと、かように考えておるわけでございます。
  51. 小谷守

    小谷守君 これは道路局長に伺いますが、この勧告の中にもこういうふうにうたっております。注をしております。「責任施行を建前とする請負工事について、どの程度まで公団が自から関与すべきかは、今後とも検討を要する基本的な課題であろう。」、いま生コンの例でありますが、実際問題として、きびしい勧告は出しておるけれども、限られた人数で、なかなか公団側としても全面的に技術者を配置するということはむずかしいんではないか、そこでこの業者に責任施行をさせておるという場合において、具体的な関与をどの辺にするかということについては、建設省としてもやはり一つの統一的な見解が必要だと思うのですが、お考えを承りたいと思います。いまその御用意がなければ、これは至急検討しなきゃならぬ問題じゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  52. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 御指摘のとおり、年々事業の量はふえております。しかし、各公団の人員はふえておりません。毎年毎年大きな事業をこなすために、公団の手薄な職員では完全なチェックができないような実情になりつつございます。したがいまして、数年来各公団におきましてそれぞれ責任施行についての真剣な討議を行なっております。私が御説明するまでもなく、責任施行と申しますのは、たとえば舗装でしたら、舗装のでき上がったものの強度が幾ら、たとえば、コンクリートの場合ですから、幾らの強度があればいいということは、最終的にはでき上がったものだけをコアを抜き取りまして検査をして、それでもしだめでしたら全部やりかえる、よければそれで合格、そういうふうな方法、それで外国では全部通っておるわけであります。たとえば、下の橋組みの場合でも同様でございます。すべてそういうふうに、でき上がったものを検査をして合否を判定するということになりますというと、ほとんどの工事の途中のところは、業者の責任において、業者の厳重な管理のもとに行なわれる態勢になるわけであります。こういうものにつきまして、単に阪神公団だけじゃなく、日本道路公団——特に日本道路公団においては厳重に、そういう委員会まで設けまして、責任施行をどこまでやるかというふうないま検討を行なっております。政府といたしましても、今後そういう方針をさらに強化する必要があろうと思いまして、われわれのほうからできるだけの援助はしてございますが、主体はすべて公団に渡しておりまして、現在各公団で真剣に検討中でございます。
  53. 小谷守

    小谷守君 床版の亀裂を生じたのは堺線ですか。
  54. 天坊裕彦

    参考人(天坊裕彦君) 堺線と守口線でございます。
  55. 小谷守

    小谷守君 この床版の亀裂を生じた原因は、巷間、この阪神高速は一昨年の万博に間に合わせるために突貫工事をした、非常に工事を急がせた、そのためにかなりな手抜きがあったのではなかろうか、それが早くも床版に亀裂を生じた大きな原因ではないかというふうに、そういう推測が行なわれているが、公団側としては、この床版に亀裂を生じた原因というのは何であったというふうにお考えになっておりますか。
  56. 南俊次

    参考人(南俊次君) 大阪−守口線は供用開始後まる四年程度でございます。それから大阪−堺線の場合は二年二カ月でございます。特に大阪−堺線の場合は完成後きわめて短い。それから万国博の関連事業の非常に中心部分をなす工事でございまして、公団も全職員一丸となってかなり努力をして無理をしたわけでございますが、当時の記録から調べますと、工期の点におきまして、当該個所の工事につきましては、工期の点においても何ら無理はないということでございます。それから、初めてのことでございまして、亀裂というのは、コンクリート構造物には非常に小さな亀裂はできがちのものでございますけれども、それが発展しまして縦、横の亀裂がだんだん目がこまかくなってまいりますと、最後に剥離現象を起こすことになる。剥離しますと、私どもの道路はたいへん密集地でございまして、下が道路であったり、いろいろなことで人さまに御迷惑をかけるわけでございます。そういうものを絶対に起こしちゃいけないわけなんでございますが、不幸にして堺線、守口線と続けて剥離現象が起こったわけでございます。そこで、私どもも、施工業者の仕事あるいは生コンの配合等に手落ちがあったのではないかという疑いを持ちまして、さっそく剥離しました付近のコンクリートも一緒にこわしましたので、それの分析試験並びに強度試験を日本材料学会に委託いたしましてやったわけでございます。それとともに、一方、重車両の問題がございまして、根太——鉄のほうでございますと、スチールの疲労、破壊というものはわりあいよく国際的にも知られているわけでございますが、コンクリートの場合、特に苛烈な条件を受ける床版のコンクリートの場合、国際的にもあまりデータがございません。そういう問題をあわせて、今後私どものつくりました道路は五十年はもたせなければいかぬ。その五十年間、こういう苛烈な条件に耐えてもたすためにもどうすればよいか、そういう問題をあわせて検討いたすために、事故究明を第一といたしまして、あわせていま申し上げたような抜本的な問題も研究いたしますために、関西近在のコンクリートの学者の先生方、それから国鉄の技術研究所、それから建設省の土木研究所、その他監督官庁並びに大阪府市の専門家というものを集めまして、技術委員会を編成いたしまして、そうしてまず最初に事故究明のために、先ほど申し上げたテスト結果とあわせまして、七月二十四日に委員会を開きまして原因の究明をやったわけでございます。そうしますと、その答えとして出したところを申し上げますと、「調査の結果、損傷のあった附近のコンクリートの強度は、指定強度を確保しており、また、工事の施工記録から判断しても、」——この「施工記録」というのは、先生のおっしゃった日誌じゃなくて、材料試験の結果でございます。——「施工記録から判断しても、コンクリートの配合及び強度は全体として問題ないと考える。損傷のあった小局部のコンクリート強度が、その付近の強度より相対的にたまたま低い場合でも、法定輪荷重範囲内の荷重であれば別に問題とするにあたらないと考えられる。しかし、交通の現状を見ると、過大積載荷重が多数通過しており、その結果、法定以上の荷重の繰り返しが加わることになり、コンクリートの耐荷力が急激に減少することから考えて、この場合亀裂が発生し、剥離現象が生じたものと思われる。」で、あとは公団側の説明に基づいて書いておることでございますが、「公団側は、すでに全路線について床版コンクリートの総点検を行ない、亀裂発生に対する予防措置の技術的体制と管理体制の強化をはかり、この種損傷の再発を防ぐよう努力していることから考えて、今後十分な安全が確保されるものと思われる。」、これが二十四日の委員会の結果の、京都大学のコンクリートの専門家でございます岡田清教授が発表した結論でございます。  それから、大阪−堺線はわずか二年、それから守口線は四年二カ月でございますが、一日平均堺線の場合は十万台程度走行しておりまして、往復二車線・二車線の四車線でございます。で、この損傷のあった部分はキープレフトの——キープレフトというのが道路の端についております——それからいって、大体走行車線、追い越し車線があって、走行車線側に問題が発生しておる。ほかにも理由はございましょうけれども、走行車線のほうは大体二車線合わした交通量の半分よりもよけい走るというのが現状でございます。  それで、供用開始以後、その車線だけで大体何台走ったか考えますと、堺線では一千五百万台走っておる。そうして、料金徴収の記録から判断しまして、大体六%が大型車でございます。したがって、九十万台というものの大型車が走っておる。守口線におきましては四年間走っておりますが、その当該車線においては一千万台しか走っていない。大型車の混入率も少なうございまして三%でございますので、大型車は三十万台走っていると推定される。その大型車のまた何%が法定以上の輪荷重で走ったかということにつきましては確たる証拠はございませんが、堺線である一日たわみ試験をやりまして、床版のたわみでもって逆に上を通る荷重の重さを推定したことがございますが、大体一〇%程度は法定以上の輪荷重であったということがわかっております。また、別に日本全国建設省がお調べになった何百万台の記録から推しましても、ひどいのは一輪十四トン、一軸二十八トンという記録も出ておるわけです。そういうことと、それから実は岡田先生がこの結論を出しましたもとは、イリノイ大学におきましてコンクリートの単純圧縮繰り返し試験というのをやっておるわけであります。その結果によりますと、コンクリートの強度の三割程度の違いあるいは荷重の三割程度の増、それによって繰り返し応力に対する強度が急激に低下するものであるという記録がございました。そういうものから推定してこういう結論が出たと、かように考えておるわけでございます。
  57. 小谷守

    小谷守君 この勧告の中にも指摘をしておりますように、またいま参考人から御説明がありましたように、やっぱり一番大きな道路損傷の原因は私どもも重量車両だと思う。特に最近は車両制限令の二十トンをこえる超大型車が高速道路を横行しておる。これに対して何としてもチェックしないというと、これは阪神高速だけでなしに、全国の高速道はたいへんな損傷をこうむるのじゃないかと思いますが、道路局長どうですか。いまほとんど野放しの状態ではありませんか。たいへん心配な点だと思いますが、いかがですか。
  58. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 御指摘のとおり、従来道路法並びにこれに基づく車両制限令によって、車両は原則として二十トン以上のものについては道路管理者の許可を得ることが必要になっておるわけでございますが、必ずしもそれが守れておらなかったのが現状でございます。今回、四月一日に道路構造令を強化いたしまして、これらの罰則を適用する方法も直罰方式をとるなどいたしまして、また各企業者、団体にも呼びかけまして、車両制限令の強化を徹底させる努力を続けております。また、一方警察当局にも御要請いたしまして、われわれのほうで違反車を摘発した場合には、直ちにそこで警察で取り締まっていただくようにお願いしておりますので、今後こういうことがだんだん少なくなると思います。ただ、なにせ一挙にはなかなか完全な姿ということは困難でございます。つい二、三日前に米軍のあの問題にもありますように、非常に超大型のものが中にはございます。ただし、運行の方法によっては通れるわけでございます。二十トンの制限でも、設計荷重が二十トンでも、実際は深夜に一台だけ通すならば、またゆっくり通すならば、あるいは五十トンなり、ものによっては六十トンでも七十トンでも通れる橋もあるわけでございます。これは要するに、そういうものに対するいままでは許可もなしに、それが一般の車と一緒に通っておりますので、ますますいたんでおる実情でございます。したがいまして、こういうふうな取り締まりを強化することによって、こういう構造物を保全したい、道路の舗装を保全したいというふうにわれわれは考えております。
  59. 小谷守

    小谷守君 車両の制限を強化するといっても、具体的にチェックしなければだめでしょう。このごろはどんどんどんどん超大型車がふえており、中には何か化けものみたいなものが出てきておる。この趨勢をどうチェックするかです。きょうはこの問題を中心に、運輸省、警察庁それぞれ担当の幹部に御出席を願っておるわけでありますが、きょうはそれぞれの立場でどうやってこれを規制するかということについて御見解を伺いたいと思います。どちらからでもけっこうですから。
  60. 小林正興

    説明員小林正興君) ただいま先生御指摘の、自動車が漸次大型化していくという、あるいは重量が大きくなってきているというようなことについては、事実で。あろうと思います。運輸省といたしましては、自動車の大きさあるいは総重量等につきましては、道路運送車両法に定める保安基準におきまして規制をいたしておるわけでございます。この保安基準の第四条で、車両の総重量につきましては二十トンというような規制がございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、漸次大型化して、中にはクレーン車あるいは大型建設機械の運搬車というようなものにつきまして例外的にこの保安基準で定めました二十トンをこえる車があることは事実でございます。これにつきましては、個々の現車に即して安全性の審査を行なっておるわけでございます。一般的には、二十トン以下の車でございますと、先生御案内のとおり、型式を認定して、それと同種の車ができるわけでございますが、こういったクレーン車とかあるいは大型の建設機械の運搬車は、個々に非常に態様も違うし、中には非常に大きなものもございます。こういったものを保安上の観点から、陸運事務所検査場におきまして、あるいは出向いて検査をすると、こういう措置をいたしております。その結果、審査に合格いたしました場合には、基準緩和としまして例外的に二十トン以上の車についてもその使用を認める、こういうことにいたしております。ただ、自動車は、御承知のとおり、具体的に個々の道路についてはたしてそれが適当であるかどうかというような使用上の保安制限というようなことにつきましては、先ほど御説明がありましたような道路法、あるいは車両制限令でございますか、こういった観点からの規制もあるわけでございますので、関係省庁との連絡というようなものを密にいたしまして、私どものほうで保安基準の緩和の認定をいたします場合でも、そういった関係省庁の許可が得られているかどうかというようなことについても十分審査して、場合によってはそういったものを条件に付しておるわけでございます。
  61. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 私どもの立場から申しますと、二つのことが考えられます。一つは、その車自身の重量が車両制限令をこえておるという場合には道路法違反として検挙する。それから、そうでなくて、重量そのものはこえてなくても積載重量をこえておる、車両検査証に示されておる積載重量をこえておるものにつきましては、これは道路交通法の積載重量違反として取り締まりをやっておるということで、現に第一線で相当やっておると思います。ただ、問題は、それの測定に相当な負担がかかるということが私どもの悩みの一つでございます。で、そのほうにつきましては、警察としては、移動の重量計を持って、移動式の重量計でやっておりますけれども、これは一々四つの車に、あるいは六つの車に機械をはめ込んでいくということで、相当重量を測定するのにやっかいでございます。したがいまして、私どもとしては、主要な幹線道路につきましては主要な地点に検問所を設けて、そうしてそこは固定式の重量計を置いていくと、ただそれには、車の流れを円滑にするためには引き込み線も要りますし、あるいはそれが有料道路の場合には料金所の手前でそういうことをやらなくてはならない。また、積み荷をおろさすような置き場も必要になるんじゃないか。そういうような問題もございますので、道路局のほうともよく御相談をして、できれば道路管理者のほうで、そういう代官所と申しますか、重量測定所の取りつけを含めて、あるいは違反車両の積み荷をおろす場所を含めてつくっていただく、そうすれば警察官を派遣して重量の取り締まりをやる、そういう方針でやっております。ただ、人手がなかなか御承知のように不足でございますので、四十七年度は交通警察官二千七百五十の増員をいたしております。四十八年度も三千数百名の増員計画をいま概算要求で出そうとしておりますけれども、いずれにしろ、そういう検問所を含めて、高速道路はもちろんでございますが、普通の幹線道路におけるパトカー、白バイといった交通機動警察隊の増強をはかって、交通の安全のための、道交法違反のみならず、重量のオーバー、制限令を突破しておる車に対する取り締まりもさらに強化してまいりたいと思います。
  62. 小谷守

    小谷守君 道路局長、この重量問題は阪神高速だけの問題じゃないと思う。これは全高速道にやはり固定重量計をぜひ急いで設置させなきゃならぬ。そうしないと、堺線や守口線に起きた亀裂は各所の高速道に起きてくるじゃないですか。先ほど男頭に高速道全般の維持管理についてあなたの見解を尋ねましたが、何か事もなげなおことばでありましたけれども、こういう点に大きな問題があるんじゃないですか、どういう対応策をお考えになりますか。
  63. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 御指摘のとおり、この問題は、単に阪神だけではございませんで、首都公団でも数年前にスラブが、コンクリート床版にやはり亀裂が入ったという事故を起こしております。また、首都公団でもその後一、二同様な亀裂の入った事故を起こしまして、われわれ道路運送に関係する者は非常に深刻に検討を加えております。先ほど交通局長からお話がありましたように、まず重量計を設置いたしまして、そこでチェックして重量物を通さないというのが一番いいわけであります、もちろん警察官に立ち会っていただきまして。そこでは、ごらんのように、首都高速、阪神高速等の都市内高速につきましては、そういう重量計を設置する、つまりゲートの手前で設置しないといかぬ。それに対するスペースがなかなか得られないということで、非常にいま苦慮しております。何か簡易な重量計がないかということもいま研究中でございますけれども、できれば非常に簡易な重量計でもってチェックいたしまして、なお問題になりますと、それからあとだめだった場合にバックすることもできないような状態でございます。出入り口をつくってやらなければならないような、非常に、首都公団、阪神公団の場合、苦慮しております。日本道路公団の場合は、わりにゲートの手前を広う取ってございますので、これはいわゆる看貫と呼ばれておりますが、重量計を設置することはわりに楽でございますし、もしオーバーロードのものはここで荷物をおろしてもらうスペースもありますので、これはわりに楽かと思いますが、今後そういうことについて、首都公団、阪神公団については、そういう地形——何と申しますか、都市内のためにスペースがなかなか取りにくいという非常に隘路はございますけれども、これのほうもできるだけ何か簡易な測定方法でも開発しましてチェックできるようにしたいというふうにわれわれ考える次第であります。
  64. 小谷守

    小谷守君 公団のほうに伺いますが、これはたまたまあなたのほうの公団が亀裂が起きてこういう警告を受けられたけれども、いま申し上げるように、この重量制限の問題は、国道を含む全体の問題だと思います。思いますが、期限つきで回答を迫られておる公団としては、この勧告に対して答えなきゃならぬ。具体的に重量制限の問題については、公団としてはどういう努力を払われますか。また、建設省なり大蔵省としては、やっぱりかなりなこれは財政措置を必要とすると思うのです。こういう点については十分な配慮をされなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、公団としては具体的にどういう努力を払われる御所存でございますか。
  65. 天坊裕彦

    参考人(天坊裕彦君) 現実に、阪神公団といたしましては、この問題が起こったんでございますから、また行政管理庁からもそういう御指摘があったんでございますから、いろいろ考えまして、特に先ほどもお話がございましたように、ランプは、そういう検量台を置く場所が非常に手狭な点がございますが、いろいろ考えまして、少なくとも今年度内に四カ所ぐらい固定式の検量台をつくりたいというふうに考えまして、予算措置等も現実に考えております。いま折衝中でございますが、考えております。それと同時に、機動隊式なそういう関係の担当者の補充といいますか、充実ということも考えますが、同時にまた警察のいろいろな御協力を願わなければならぬ、なかなか公団のほうだけで取り締まりの面をまっ正面からかぶるということは無理でございますので、そういうことの御協力を仰ぎながら、とにかく今年度内に検量技術が始まるようにしたいと思います。
  66. 藤田進

    ○藤田進君 関連。阪神高速の南理事は技術のほうですからお伺いしてみますが、ちょうど大阪にいて、首都高速と同じペースであったらと私は思いました。首都高速もはっきり言って相当危険な直前に通行車が見つけて連絡してきたというケースですが、そこでいろいろ調査されたようですけれども、結論的に言えば、設計のミスはない、施工にさしたるミスもない、若干亀裂を生じ、剥離した地点のコンクリートに弱体がやや見られた、このように聞けたわけですね。  そこで、まず公団南理事にお伺いしますが、私は常に思うのに、最近の設計者自身にも、私は設計自体にも問題があるし、施工にも問題があったのじゃないだろうか、これが大きな二つです。少しどうもコンピューターにたより過ぎて、これは新幹線の場合にも言えるし、上越新幹線も、これはややユニホームロードになりますからね、枕木その他違うけれども、やがて同じようなことを繰り返すに違いない、残念ながら。首都高速のときにも、私が言ったとおりになっているんですよ。それはあまりにもピアその他が、スラブも非常に断面が小さい。そして反復した結果がいまどこかで出ているといわれるが、これは昔から言っているんで、針金でも手でやっていれば折れるのですよ。こういうふうにいわば老化現象というものが、あまりファクターが小さいのじゃないだろうか。これは一見してわかるのです。そこで、どうも欠点がないということだけでは、対策が目方だけ制限するというふうなことになっております。天坊さんそんなふうに言うのですが、目方、いわゆるウエートですね、これ自身もやはり一律で言えないのですね。いまの自動車は、うしろが四輪八タイヤ、それから前が四輪六タイヤですか、そういうふうにロードがスラブに伝播するその状況というものはそれぞれ違うのです、タイヤの幅なりによって。ですから、大きく分けてユニホームロードとかいうこと、そしてそれが移動する。そしてどういうふうにインパクトが作用してくるか、したがって老化をどうするか、そんなことはいまの技術でわからないはずはないです。しかし、実際にはわからないはずはないんだが、結果的には事故を超こしております。これはやはり、損害というか、交通途絶にもなるし、社会的な影響と同時に大きな危険性をはらんでおると私は思うのです。そこで、二十トン、こう単純に言うのだけれども、二十トンといっても、さっき言った車両の構造自身、あるいはスピード、これで大きく違うでしょう。それから路面が非常になめらかであるかどうか、急停車したかどうか、そういう総合的な調査をしなければ、やはり調査にならないと私は思うのです。二十トンを詳しくは聞きたいのですが、いまのような車両構造、あるいはスピード、こういうものに関連してのやはり強度というもの、私は思うのに、二十トンといっても、セーフティファクター、安全率というものが二十トンでとまりになっているはずがない。二十トンという設計重量であれば、阪神高速のいまの現場自体、これは安全率は二十トンに対して幾ら見てあったのか、これをまず聞いてみたいと思うし、それから警察関係ですが、私は常に思います。私もオーナードライバーで、よく広島にも行ってきますが、警察自身は取り締まりということだけで、もう少し交通全体の流れという総合的な判断というものが、これは産業界その他官公庁との関連もあるのかもしれないが、たとえば国道二号線、これがいま東京から世田谷で東名に乗って行きますと、大体加古川辺までは名神を経てややスピード、それからまあ往復六車線とか四車線、ところが加古川をおりて今度下関方面に行きますと、大体二車線、したがって、いま坂路は追い越し線ができているところがありますが、しかし車両の構造が非常に幅も広いです。日本の場合、アメリカと違って、車線の幅が狭いですね。ですから、追い越しというものがやはりできない。四十キロぐらいで昼間夏暑いのに長い時間引っぱられると、だれだって無理して、向こうから来ているということは知りつつも追い越そうとする。非常ないらいらが出てくるんです。ですから、そういったたとえばブルトーザーを載せた、あるいは自動車自体を運搬している、戦車を運搬しているというような超大型車が、地面すれすれで、車体が低いでしょう、うしろは全面的にローラーみたいにタイヤが並べてあるでしょう、重量がそうなんだから。そういうものは非常に交通の希薄な深夜に走らせる。高速道路だってそうだと思うのです。日の日中追い越される、いろいろな意味でやはり高速性にたよってスピードを出しがちですし、これを一般交通から見ても、強度の見地からも、もっと深夜とか、昔はそうしていたのですよ。長物運搬だとか、いなかだったら駐在所にちゃんと許可を得る、二周半以上はということで。馬車だってそうだったのですよ。ところが、いま投げやりで、そういった総合的なものがないように思うのです。これらがいまどうなっているか、今後どうするのかということも、あわせてとりあえずお伺いしたい。
  67. 南俊次

    参考人(南俊次君) 藤田先生から少し専門的な御質問がございましたので、やや土木工学的な事柄を含めて御回答申し上げたいと思います。  安全率は、私どもの場合、道路構造令で定められてある標準車二十トンの車もございます。これはモデルの車でございまして、軸重十六トン、一輪八トンでございます。法定は、一軸重十トン、それから一輪五トンでございます。それに対しまして、設計のコンクリート強度は二百八十キロで、コンクリートに対します安全率は三・五を用いております。したがって、二百八十キロを三・五で割りまして、八十キロの応力が出るというふうに設計されております。ただし、一緒に用いておりますところのスチールですね、鉄筋のほうはたしか三・五はなかったと思いますが、たぶん三程度ではなかったかと思います。それで、その安全率がどうして消えてしまったんだという御疑問があると思うわけでございます。  まず、鉄筋コンクリートのスラブがこわれます場合には、初期に起こっておったような集中亀裂、そういうものが、衝撃を伴った重車両が通ったときにその割れ口が大きくなって、そのまま戻らない。で、絶えず振動を受けておりますので、振動を繰り返し荷重受けている間にその傷口がだんだん大きくなる、またそれの亀裂が縦横に発展する、こういうことで今度の剥離を起こしたと思いますが、まず伸びてしまうのは鉄筋でございます。鉄筋のほうが安全率が低うございますから、どうしてもやられるわけでございます。  それから、同じような安全率をもちまして、主げた、あるいは橋脚、その他すべて設計いたしておりますけれども、なぜ床版だけそんなにこわいかということについてちょっと先に申し上げますと、土木構造物を設計いたします場合に、おおむね自重——デッド・ロードと申しますかね——自重と、それから車両の荷重、活荷重、この二つの荷重に対しまして十分にこたえるものを設計するわけでございますが、床版におきましては、主げたが通っておりまして、その幅約一メートル程度の鉄筋コンクリートの版を考えまして、それに先ほど申しました八トンの輪重が乗ると、まあ場合によって一軸全部乗る場合もございます。そういうことで設計いたしますので、死荷重が大体一、活荷重が三ぐらいの比率でございます。この点が他の主げたあるいは橋脚その他の鉄筋コンクリート構造物との大きな差でございます。一般には死荷重が六——それはもうスパンによって違いますけれども、主げたの場合スパンによって違ってまいりますが、死荷重のほうがうんと大きい。活荷重のほうが、たとえば死荷重六、活荷重四のような比率でございます。その六対四のうちの四の活荷重がたとえ二倍になっても三倍になっても、大きく全体の安全率の中に吸収される可能性がございます。ところが、床版コンクリートにおきましては、死荷重は一しかございません。活荷重が三倍になるということは、おおむね三倍の荷の車が乗るということは、ほぼ三倍の応力が出てしまうという、非常にむずかしい現象があるわけでございます。したがいまして、かりに三・五の安全率を、われわれ輪重八トンで設計したものに十四トンという、いままでに至るところで見つけられたことのある違反車両、それを適用しますと、一・七五というものが——十四トンを八で割りますと一・七五でございます。三・五の安全率がまず半分に減るわけでございます。そうしてさらに、あとは、先ほど申し上げましたように、コンクリートというものは、まあすべてものごとはそうでございますが、ある目標数値を目ざしてものをつくるときに、正規分布いたしました。その正規分布のこれは変動係数によってばらつきが違ってまいりますけれども、とにかくJISによって定められておりますところでは、二百八十キロのコンクリートを打つ場合に、これは生コンをそのままテストしたときのことでございます、打ち終わった以前の問題でございますが、そういうものをテストしたときに七割——二百八十キロの七割と申しますと百九十六キロになります。そういう値までは千分の一ぐらいの確率であってもやむを得ない、それ以下はあっちゃいけないという規定がございます。で、先ほどの委員会の結論も、鉄筋のコンクリートを調べたら、実は二百六十キロ、二百七十キロあったんです。しかし、ほんとうに剥離してしまって、もう粉々になってわからない部分については、あるいはそれより小さかったんじゃないか。場合によって二百キロぐらいまで落ちておったかもしれない。そういたしますと、二百八十と百九十六と、ここでまず七割、それから荷重のほうで一・七五、そうしますと、イリノイ大学の資料にもございましたように、実際につくられたコンクリートの強度とそれにかける荷重との差が、たとえば三百キロのコンクリートに百五十キロの応力しかかからない場合九百万回もつわけでございます。それが七〇%と申しますと二百十キロ。二百十キロまで落ちると七万回でこわれる。急激に弱くなるというのは、そういう意味でございます。さらにそれが二百キロを少し、もう十キロぐらい割りますと二万回、さらに三百キロの強度のコンクリートに二百四十キロの強度がかかりますと六千回でこわれるというような結論がございます。これはもう現実の、絶えず車の振動ですね。主げた自身がゆれ、そうして床版自身が繰り返しの応力を受けるということは、圧縮とそれから引っぱりですね、交互に受ける結果になりますが、そういうシビアな現状でなくてもそうだというような欠陥がございましたので、不幸にして日本にはまだこういう実験はされておりませんし、今後土木研究所がやろうとしておりますけれども、やってみなければわかりませんけれども、おおむねオオーダー的にそういうことが言えるということでございます。  それから、設計を今後どうするかということにつきましては、私どもやりました当時は、昭和三十九年、四十年に建設省から示された基準に従ってやっておりますが、その後建設省筋でも、こういう疲労とか、それから違反重車両を、ある程度完全には防ぎ切れないという現況にかんがみまして、全般的に厚さを五センチ増すというような措置はとられておりまして、私どもいまやっております工事ではそういうふうにやっておるわけでございます。
  68. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 単に道路の安全を考えるだけではなくして、円滑についてももっと配慮すべきじゃないか、こういう御趣旨だと思います。私どももこういう点について十分配慮をしながらやっております。しかし、必ずしも現状うまくいっておるとも私まだ思っておりませんので、そういう積載長大物件の制限外許可、そのような場合には御指摘に沿うような方向で今後ともやってまいりたいと思います。ただ基本的には、片側一車の幹線道路というのはもう問題だと私思いますし、少なくとも幹線道路である限り片側二車で追い越し需要が十分満たされるような道路であるべきだと思います。また特に登はん、坂の場合にはできるだけ登坂車線をつくっていくとか、あるいはイギリスでやっておりますように、こういうトラックなり大型車両の馬力をもっと強くして、坂道でも乗用車と同じようなスピードで登れるように、車の構造を変えていくとか、そういうのが基本的な国の政策であるべきではないか、このように考えております。
  69. 小谷守

    小谷守君 勧告文の最後に、床版の疲労度の検討を勧告しております。これまた、阪神高速だけの問題ではないと思う。高速道全般について一体今日床版の疲労度はどのような状況かということについて、建設省としては至急ひとつ全高速道について点検をされる必要があると思います。その点についての御配慮はいかがでありますか。また、阪神高速としてはこの指摘について具体的にどう答えられるか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  70. 天坊裕彦

    参考人(天坊裕彦君) 床版の現実の状態につきましては、さしあたってあの当時全部につきましてとにかく危険なものがないかというふうに見てまいりまして、総点検を一応やりました。そして一応要注意というものについては記録にとどめまして、それをしょっちゅう見張っております。今後、常時、目視、また態勢を整えましてずっと詳しく点検を続けていくというふうにしたいと考えております。  それから、床版の疲労度の問題につきましては、技術的な問題でございますので、われわれのところだけでも答えは出ない、これは学術的な研究と相まって、参考にしながらやっていきたい、こう思います。
  71. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 先ほどお話し申し上げましたように、数年前に東京の首都高速における床版の亀裂を契機にいたしまして、建設省は、管内の公団並びに直轄事業、府県の事業等につきましては、床版の再検討を開始いたしております。その結果、われわれが予期しないような重交通が床版の疲労度を高めたということがかなりはっきりしてまいりましたので、とりあえず鋼道路橋設計示方書という示方書に従って設計等をやっておりますが、その床版についての一部を変更させまして、厚さを厚くすることと、それから補助鉄筋を入れるということでもって一応処理いたしております。その後も、各公団が中心になりまして、また建設省といたしましても土木研究所を中心に、示方についての研究を続けております。成案を得ました場合には、直ちにそれを変更するわけでございますが、特に急いでやりたいという考え方でございます。先ほどいろいろお話がございましたように、世界の学会に報告いたしまして笑いものになるぐらい実は大きなものにしないと日本の舗装はもたないという現況でございます。  これはちょっと時間がかかって恐縮でございますが、日本のコンクリート舗装は現在二十五センチでございます。世界各国どこも二十五センチでございますが、それではこわれるので三十センチにしようということを世界の舗装の委員会に報告しましたら、非常に驚異をもって見られたというような実情でございますが、それと全く同じようなケースでございまして、いまの床版はもっと鉄筋が密に入っておりますので薄うございますけれども、実は世界ではちょっと例のないような厚い設計にせざるを得ないというような状況になっている次第でございます。われわれといたしましても、できるだけ早く結論を出しまして、これに対する対策を十分に検討したいと思っております。
  72. 小谷守

    小谷守君 きょうは、近畿行政監察局の勧告に関連をして、天坊理事長に御足労願って、心配な点についていろいろお尋ねをしたわけであります。公団としてもずいぶん努力を払われておるようでありますので、よく理解することができました。今後ともひとつ一そう高速道の運営管理について御苦労願います。  これで質問を終わります。
  73. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  74. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。  参考人の方々、どうもありがとうございました。  それでは、午後一時から再開することとし、暫時休憩をいたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  75. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  午前に引き続き昭和四十五年度決算外二件を議題とし、総括質疑を続けます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  76. 黒柳明

    黒柳明君 私、きょうは、農林省林野庁の関係と通産省の関係と、テーマを二つに分けてやりたいと思います。ただ、中曽根通産大臣が二時二十分ごろじゃなければ出席できないということで、初めに農林省林野庁関係やりたいと思います。持ち時間二時間ありますが、この暑さであります。私も質問要を得てやりたいと思いますが、御答弁のほうもひとつ簡明な、前向きな答弁をお願いしたいと思います。  林野庁長官お尋ねしたいんですが、四十五年、四十六年、林野庁としては百億あるいは二百億の赤字をかかえていると。まあ来年度予算の編成には相当苦慮されるんではなかろうか、こういうことも聞いておりますが、現状のこの赤字の実態、あるいは来年度に対する施策、こんなことからお伺いしたいと思います。
  77. 福田省一

    説明員福田省一君) 御指摘のように、ただいま林野庁におきますところの国営林野事業特別会計、これは昭和四十六年度の決算を申し上げますというと、収入と支出の差額、これは二百二十五億というふうに最近出たわけであります。なお、損益につきましても三百五十六億の赤字と、かようになっております。これ実は、昭和四十二年当時におきましては木材価格が非常に上昇したことでございまして、逆に収支差では二百四十三億、損益では三百六十億の黒字となっておったわけでありますが、内容を見ますと、収入の九割以上は木材収支でございます。支出の六割ぐらいは人件費でございますが、御承知のように、人件費が最近他産業と同時に上昇してまいりますけれども、木材価格は外材の影響等を受けまして一般の物価並みぐらいにしか上がらないというふうな状態でございまして、昭和四十六年度末には約三百五十億の積み立て金がございましたけれども、三十七年度におきましては全部これがゼロになったというふうな形になったわけでございます。  そこで、最近は特に森林の伐採に対しまするところの一般の世論はきびしいのでございますが、これはやはり御承知のような日本は災害の多い国でございますから、森林資源の伐採の方途についても、特に今後はその伐採方法等につきましては規制してまいりたいと思っております。また、水資源の涵養、あるいはレクリエーションの場としての森林、木材を生産するばかりじゃなくて、森林そのものに対する公益的な国民一般からの要請が非常に強くなってまいりました。そういう意味におきまして、今後は、従来のようなただ単に能率をあげて木材を大量に生産するということではなしに、公益的な機能を重視した森林経営に是正してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。そうしますというと、戦後つくりましたところの独立採算制度、これについてはやはり検討してまいらなきゃならぬと、こういうことになります。  経営の内容につきましては、国民全般の皆さま方から御指摘をいただいておりますように、むだを省いていい経営の内容にしてまいりますと同時に、治山事業あるいはその他の公益的な面につきましては一般会計からの財政援助をお願いしなきゃならぬと、かように考えておるわけでございますが、これらを含めまして、現在、林政審議会の中に国有林部会を設けて、ただいま検討願っておるところでございます。近くその結論を得ますれば、四十八年度から抜本的な制度改正につきましては、ただいま申し上げましたような方向で進めてまいりたいと、かように考えております。
  78. 黒柳明

    黒柳明君 国鉄、食管会計、健保、ばく大な赤字をかかえておりますが、また林野もそれに負けず劣らずの赤字をかかえていると、これは私、外郭団体との問題で、何によってこういう赤字が起こってきたるかと、この原因の一端をまた指摘してみたいと思いますが、その外郭団体の中の一つに林野弘済会があるわけですが、この林野弘済会の全国的な組織、あるいは機能、ここらあたりどんなことをやっているのか、全国組織になっているのか、お触れいただきたいと思います。
  79. 福田省一

    説明員福田省一君) ただいま御質問がありました林野弘済会と申しますのは、東京に本部を置いておりまして、全国では十四カ所支部を置いておるものでございます。  これは財団法人になっておりまして、この設立の目的は、林野庁に勤務する職員、それからその退職者並びにその家族、それから遺族、それの福祉の向上をはかりますとともに、保健、休養などのために森林を利用する一般の人たちに対する便宜の増進、それから林業の振興発達に寄与することを目的としておるわけでございます。  そこで、この事業の中身は、公益事業と収益事業に分かれておりますけれども、公益事業としましての福利厚生事業、あるいは林業振興事業、試験に関する事業、あるいは子弟寮の経営、そういったものをやっております。  収益事業としましては、物品の販売事業、あるいは出版事業、生産物の販売事業、あるいは受託請負の事業、それから施設の利用事業、保険代理事業、あっせん事業、あるいは不動産事業、こういうふうな内容のものでございます。  現在、職員は支部を含めまして五百五十名、そのうちもと林野庁に勤務していた者は約半分の二百四十名、ただし管理職でありました者は五十八名でございます。そういうふうな人員の構成になっておるものでございます。
  80. 黒柳明

    黒柳明君 いわゆる、昨年来、政府、行管庁を中心に、各省庁のこの外郭団体のあり方というものが検討され、相当前向きに改善是正されていると、その中の一つに属する財団法人であると、こういうわけでありますが、この林野弘済会が全国組織を持っておるわけですが、貯蓄業をやっている。しかも、これは委託事業であって、それを委託しているほうは林野庁関係機関等貯蓄会と、こういう名目の貯蓄会があって、その委託を受けて林野弘済会が貯蓄事業をやっていると、こういうことを私調べたわけでありますが、まず、その林野庁関係機関等貯蓄会、これについてひとつ概括説明していただきたいと思います。
  81. 福田省一

    説明員福田省一君) お答えいたします。  林野弘済会のやっておりますところの林野庁関係機関等貯蓄会でございますが、これは林野庁と、それから林業講習所、これは教育機関でございますが、それから林業試験場、それから林業信用基金、それから林野弘済会、それらの職員のうち希望者を会員としまして、これら会員の貯蓄の便宜をはかり、貯蓄心の向上に資する、こういったようなことを目的としまして、相互の連帯感と信頼関係の上に立って設けられておるものでございます。なお、これは全部会員制でございますけれども、そのほかに東京営林局の貯蓄会というのもございますし、それから森林開発公団の中にも貯蓄会というのがございまして、この二つの貯蓄会の委託を受けて貯蓄金の管理をしておるものでございます。
  82. 黒柳明

    黒柳明君 大体この現状ですね。要するに、どういうふうに貯金されて、どういうふうな払い戻しが許されているのか、そういう仕組み、あるいは集めるところはどこなのか、それからどういうルートを通って弘済会の手元に渡るのか、そこらあたりお調べいただいておりますでしょうか。
  83. 福田省一

    説明員福田省一君) この貯蓄会のやり方でございますけれども、職員の給与が出ますれば、その給与の中から——いろいろな積み立て金がございまして、たとえば林野庁の中の各課でも会員として入っておるわけでございますが、その積み立て金と申しますのは、たとえば一年に一度か二度旅行するときの積み立てとか、あるいはまたお茶代であるとか、あるいは保険金の支払いとか、そういう事務を実はやっておるわけでございます。その中の一つとしまして、いま申し上げました貯蓄会の会員の貯蓄金を給与から差し引きまして、そこで林野弘済会からの職員が参りましてそれを集めてまいるという手順になっております。そうしまして、その貯蓄会員から集めました貯蓄金を二つの方法で預金をするわけでございます。一つは三井銀行でございます。これは普通預金でございまして、いつでも加入しておる者が脱退ができるし、またいつでも加入できる、またいつでも預金をおろせるし、いつでも預けられるというふうにしております。普通預金をしておりますが、それは三井銀行でやっております。それからもう一つは五年債でございますが、長期の預金としましては、東洋信託に大部分を預金しておるものでございます。両方合わせますと、金額では、ただいま調べましたところでは約三億円でございますけれども、大部分は東洋信託に対する預金でございます。そこで、その金利につきましては、金利が出ますれば、各貯蓄会員にそれを払い戻しておるというふうな形態になっておるわけでございまして、その世話はすべて林野弘済会でやっておるものでございます。
  84. 黒柳明

    黒柳明君 その預金現在高ですね。あるいはわかっている時点でもけっこうです。六月、七月末でもけっこうです。それと、金利はどのぐらいでしょう。わかっている時点の預金現在高と金利。
  85. 福田省一

    説明員福田省一君) 預金の現在高は、ただいま申し上げましたように二つに分けておるわけでございますが、三井銀行に預金しております分は、普通預金が二千四百八十二万円、それから貸付信託の分が二億八千四百万円、合わせて先ほど申し上げました約三億円になるわけでございますが、金利は日歩二銭でございます。
  86. 黒柳明

    黒柳明君 七分三厘。
  87. 福田省一

    説明員福田省一君) はい。七分三厘でございます。
  88. 黒柳明

    黒柳明君 まだ現況につきましていろいろお調べいただいていることがあるかと思いますが、私どものほうでもいろいろ調べてございますが、大蔵省のほうにこの件につきましてお調べをいただきまして、いわゆる出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の第二条第二項、これについて抵触しないかどうかということをお調べいただいたわけですが、大蔵省、すみません、これお調べいただいた結果どうでしょうか。
  89. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) ただいま先生御指摘の出資等の取り締まり等に関する法律でございますが、これは預金類似行為を取り締まる法律でございまして、この法律の二条によりますと、ただいま先生御指摘のとおり、「業として預り金をするにつき他の法律に特別の規定のある者を除く外、何人も業として預り金をしてはならない。」と、こうしてございます。第二項は、先生御指摘のとおり、預かり金というのは不特定多数の者からの金銭の受け入れで、預金その他どんな名義をもってするを問わず、これらと同様の経済的性質を有するものをいう、こういうことになっております。  で、この法律の解釈でございますが、まず、業としてという解釈でございますけれども、これは必ずしも、営利を目的としない者もこれを含むということになっておりまして、反復継続の意思をもって行ない、しかもそのことが、その者の社会的地位を形成していれば、これをもって足りる。したがって、営利を目的としていなくとも、業としてということにひっかかるのだと、こういう解釈になっております。  それから、不特定多数という問題がございますが、この不特定という解釈がかなり微妙でございまして、まず、ここでいう不特定というのは、逆に言えば特定というのはどういうことかと申しますと、一応解釈といたしましては、当事者間の法律的ないし社会的関係が、当事者間で預金等の受け入れ行為が行なわれることについて、社会通念上、不自然と思われない程度に個性的である場合には特定である。逆に言えば、これに該当しない場合は不特定である、そういうことになっております。ただ、これは現実の解釈としては、かなり厳密に解釈がとられておりまして、昭和三十七年におきましては、福岡高裁の判決をちょっと読み上げますと、ここでいう「「不特定」とは、特定していないことを指称するものであるから、たとえ一定の団体又は集団に所属する者に限定されていても、金銭の受入者と親族、知己等と言った特殊な個人的つながりがあるような場合であって、極く小範囲の者に限られた団体等であれば格別、所属員が相当多数であって右のような個人的つながり等もなく、つまり個別的な認識もないような場合においては、単に一定の団体等に所属する者と限定したゞけでは、未だもつて特定しているものとは言い得ないと解する。」、これはかなり厳密に解することになっております。  それから次、多数ということでございますが、通常、多数と申しますと、二人以上の多数でございますけれども、この法律の場合には、法律の趣旨が一般大衆の保護と金融秩序の維持を目的としておるものでございますので、二人以上ということにこだわらないで、相当の多数をいう、こういうことになっておるわけでございます。  そこで、ただいま先生御指摘の弘済会の案件がこれに該当するかどうかでございますが、個別の案件がこの法律に該当するかどうかは最終的には司法の問題であると考えられますが、一応の現在のお話を承った限りでございますと、業として貯金の受け入れを行なっているということ、これはかなり明らかであると考えられます。それからまた、多数であるということも、かなり明らかであると思います。問題は、不特定であるかどうかということでございますが、弘済会と貯金者である林野庁関係職員との間には特殊な、あるいは個人的なつながりがあるというようなことで、この出資法上、特定な関係が存在をすると解するかどうかはきわめて疑わしいと考えられます。したがいまして、先生御指摘の案件は、この法律に違反する疑いがかなりある、かように考えるわけです。
  90. 黒柳明

    黒柳明君 この出資法第二条は、法務、大蔵の共管事項であるので、すでにやはり法務省とは、いま言ったようなことを事務レベルにせよ御相談した上の御意見と承ってよろしいかどうか、いかがでしょう。
  91. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) そのとおりでございます。
  92. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、いま司法の問題として、はたして以後、この林野弘済会、林野庁関係機関等貯蓄会の行動というものがこの出資法第二条に違反するかどうか、非常に違反の容疑が濃厚であると、こういう大蔵省並びに法務省の見解であります。で、さっき林野庁の長官がお触れいただいて、一応の概略の実態というものが出ました。さらに私、それにつけ加えさしていただくと、このいわゆる四十六年度の貯金通帳は実際に存在していたわけですね。昨年の三月まで貯金通帳を使っていた。その貯金通帳のいわゆるタイトルが林野弘済会貯蓄部通帳と、もうはっきり貯金通帳が昨年の三月まで使われていた。当然個人個人です。それが昨年三月以来、コンピューターが導入されて、いま現在は個人個人の通帳からコンピューターシステムになっている。いわば通帳からコンピューターに移行されただけであって、通常、銀行や郵便局で行なわれて使っているような通帳を去年まで使ってきたし、いまも実質的には使われているのと何ら変わりないと、こういうふうに私は思います。  それから、どういうふうにしてこのお金を集めるか。さっき長官がちょっとお触れになりましたが、給料から天引きします。給料から天引きするということにつきましては、これは労働組合費なんか天引きされているわけですが、これについてもいろいろ法的な疑義があったわけであります。しかしながら、まあそのぐらいはよかろうということで給料からの天引きになっているわけです。ところがこの貯蓄会のシステムは、林野庁本庁、あるいは営林局の各庶務課で個人の給料から天引きして集める。そうしてそれが弘済会のほうに渡る。だから、こういう弘済会に委託したはずの仕事まで、おのおの林野庁なり営林局なりの庶務係が余分な仕事をやる。給料の天引きすらもいろいろ問題があったのに、それをたとえ自発的な意思にせよ、余分な仕事をこの庶務係の人がやっていることも事実である。  それから、ついせんだって金利が下がったわけですね。大衆の反感を買ったわけであります。しかし、この貯蓄会のシステムは七分三厘、もしこれでいま大蔵省の、そして法務省の見解として、ある意味において、法務省の方御出席になっていませんが、もしこういうことが許されるならば、各省庁で全部このシステムとったらどうか。それこそ銀行も郵便局も必要なくなるわけであります。まあこのあたりに、もう一つのテーマとして私、指摘したい。冒頭に述べた赤字という問題について、外郭団体が、またこれダニのように食らいついて、国民の税金をむだ使いしていると、こういう点まであとで触れますが、そういう外郭団体と林野庁との関係、公益法人のいままで指摘されたような関係、それを除いたとしても、こういう金融業そこのけのあり方がもし庁単位において各官庁に許されたら、これはたいへんなことになります。まあ当面あまりお金がない人、家を買い、土地を買うに不足な人、たんす預金も不安な人、五分の金利じゃ安い、みんなこういう七分三厘のところに全部入れる。そうしたら、実質的に何のための金融取り締まり法があるのか、出資法があるのか。これは明らかに私は、いま大蔵省、法務省の見解として、疑いが濃いとおっしゃいましたけれども、明らかにこれは違反である、違法である。これ自体、いま言いましたように、業として不特定であるか、あるいは多数であるか、いろんな問題があります。残るところはこの不特定、これについても厳密な判例が出ている。これに照らした場合には明らかに違反の容疑濃厚である。私は、このあと所管の省庁でお調べいただくことになるかと思いますが、少なくとも私が調べた範囲では、完全にこの出資法に違反する、この貯蓄会の行動は。しかも、これが十年この方続けられてきた。こういう事態について非常に私は、内部の人はこれをどう言っていっているか。あるいは長官のお耳に入っているかどうか。そこがお役人仕事なんですよと、お互いにうまくないなと思いつつ、指摘されなければ、まあだれが責任ということじゃないし、言うならば、金利だって市中より高いんだからみんなもそれで喜んでいるからと、こういうことですね。法というものをつくり、守る役目の人、それを運営する立場の人が、まるきり法を無視したような考えでいままで十年余というもの終始して、狭義に一部の人が金利が高いと喜んでいるからいいじゃないか、こういう非常に偏見を持った考えでこの運営がなされていることも事実であります。また、この林野庁関係機関等貯蓄会、これはもう実質的には実体がありません。この委託を受けている林野弘済会がすべてやっているわけです。なぜこういうものをつくったか。言うならば、出資法に触れないためにはどう工作したらばいいかという一応のでっち上げとしてこういう規約をつくったんだと言われてもいたし方ないでしょうねと内部の人は言っています。明らかにこの規約自体、この貯蓄会自体がどこにも存在しない、こういうことであります。ですから、私はいまさら過去のことを論じてもしようがないと思いますが、いまちまたでは、先ほど言いましたように、金利の問題で一騒ぎあったばっかりであります。その直後にこういう中央官庁——金融のあり方をいままで是認したとは言いませんけれども、これは大蔵省のほうもまるきり罪はないということは言えないと思うのです。こういうところはやっぱり目を光らすための何ぶんかの責任もあるでしょう。ところが、やっぱり林野庁の所轄官庁が、これをいままで長い間知ってか知らずか、わが省庁の職員が相当数入って三億か協の現在高がある、しかも、これは常時引き出しも可能であるというようなことですね。まだいろいろ調べる点がありますけれども、あまりこればっかしやっておりますと時間が長くなります。私、汗っかきで、汗がにじみ出てまいりましたので、こういう事態につきまして、私は非常にうまくないと、こう思うんですが、まず、これは出資法違反の容疑が濃厚である——もし今後お調べいただき、違反となったときのこの罰則規定、どうでしょうか。
  93. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) 罰則規定といたしましては、この法律の第十一条に「三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と、このようになっております。
  94. 黒柳明

    黒柳明君 三年以下の体刑、三十万円以下の罰金、そうすると、これは実際のこの林野庁関係機関等貯蓄会が体刑を受けるのか、罰金を受けるのか、あるいはこの委託を受けて実際にこの貯蓄会を運営している林野弘済会が受けるのか、これはいずれかになりましょう。
  95. 徳田博美

    説明員(徳田博美君) この法律の規定は、一応法人とそれからその責任者と両方併科することになっておりますが、現実にどのようなものがこれに当たるかということについては、さらにもう少し実情をいろいろ伺った上で判断いたしたいと思います。
  96. 黒柳明

    黒柳明君 まあいずれにせよ、この貯蓄会ないし林野弘済会が三年以下——長官、もうみずからの身になるかもわかりませんよ、ちょっと真剣に聞いてくださいよ、体刑ないしは罰金です。三年ですよ、たいへんですわ、これは。まあ別に故意にこの法に抵触する、違反するためのことをやったわけじゃない、わかります、私は。ところが、往々にしてお役人仕事というのはそういうんです。現に内部の相当な地位の人——常務です。言うんですから、そういうことを。ここがお役人仕事あり方です、やっぱり。指摘されるまでは、みんなわかってても、まあまあということなんですよ。そのまあまあが一年、二年ならいいです。十年。しかも、これがいま違法となりますと、三年以下の体刑、三十万円以下の罰金。故意にやったんではないけれども、現実にその罰則規定までも明確にあるということは、いかにこの出資法というものが厳重に守られなければならないか。罰則規定としては相当重いですよ。まあ貯蓄会のほうにいくか、弘済会のほうにいくか、私の意見としては間違いなく違法である。とすれば、今後、司法の手によって弘済会なり貯蓄会なりが体刑ないしは罰金刑を受ける可能性もあるわけであります。これは私たち立法府の立場で云々することではありません。しかしながら、現実はそういう事態が現状であります。こういうことはすでに長官としては前からお調べいただいていることでありますし、私が言うまでもなく、もう十二分に御承知のことかと思いますが、ひとつ大蔵省の見解、あるいは長官、法務省も同意見持っておるということでありますが、それを踏まえまして、ひとつまず長官の御意見を承りたいと思います。
  97. 福田省一

    説明員福田省一君) 弘済会の仕事内容はいろいろございまして、貯蓄をやっておるということにつきましては、私もこれは存じておりましたが、詳細な運営のしかたその他については、実は不勉強であったことをたいへん申しわけなく思っておるわけでございます。御指摘によりまして、さっそく調べましたところ、ただいま大蔵省のほうからも答弁がございましたように、いろいろと問題があるわけでございます。当初は一応職員並びに退職者、あるいはその家族の福利厚生の事業であるということで、これはけっこうな仕事ではなかろうかというぐらいに考えておったわけでございますが、この法律の関係その他を見ますというと、いろいろな問題があるということをあらためて私も認識したわけでございます。そこで、今後はこの運営につきましては、大蔵省あるいは法務省とも十分御相談いたしまして、廃止の問題も含めまして十分検討してまいります。皆さんの御指摘を受けてこのような、いわゆる官僚的な仕事であるとするならば、御批判をいただいたことでありますし、改めるなりあるいは廃止するなりの方向については十分関係各省と相談してまいりたいと、かように考えております。
  98. 黒柳明

    黒柳明君 別に私は、多くの方が喜ぶ、それについてプラスがあることも何も故意に廃止するというようなことを考えておりませんが、もしこれがほかのところで許されるとたいへんなことになると、そういう意味から、やっぱり小の虫を殺さなければならないと、こういう私、気持であります。また、長官に対しましても、直接みずからがこれをつくったわけでも、みずから長官のときにこういう制度ができたわけではありません。前々々の長官のときの話でありますが、お知りになっている範囲においてこういう詳しいことは御存じなかったと、こういうことでありますが、ぜひともこの点については、もしこういうシステムというものが他に蔓延しますと、これはもう出資法そのものが空文になると、こういうことにもなりますものですから、ぜひとも——判例もある、またすべての見解が違法でありそうな容疑濃厚ということになっております。ぜひともすみやかに前向きな措置をお願いしたい。  先ほど福利厚生のためにとおっしゃいました。また、いろいろ仕事をやっているんでともおっしゃいました。私、そのいろいろの仕事のうちのさらに、うんとありますけれども、現在は一点だけ、さらにまずいということも指摘したいと思うのですけれども、福利厚生と定款に出ているから、だから貯蓄業が福利厚生に当たるかというと、それは非常に私は当たらない。ある人はそう解釈していました。とんでもない。しかも、それが法に抵触するならなおうまくないと、こういうことであります。まあ農林大臣、お忙しそうで、政務次官お忙しいところをまた御出席をわずらわしたわけでありますが、ひとつ、いまのこの貯蓄会の実態ですね、お聞きいただきまして、長官が前向きな御答弁を出したわけでありますが、さらに農林省から見解を承りたいと思います。
  99. 園田清充

    説明員(園田清充君) ただいまの御指摘の点でございますが、私もあまり詳しいほうではございません。ただ、やりとりの経過を聞いておりますと、その専門家筋である大蔵省が明らかに御指摘の点を認めておると、こう承っておるわけでございます。そこで、実は参りましてから、林野庁はじめ各局に、私どもの姿勢というか、そういうものについて指示をいたしましたが、さっきはからずも適切なことばをお使いいただき、いわゆるうまくないと、あるいは疑わしいということで御指摘を受けるような問題については、この際是正をしたいと、ついては内部部局としても十分検討をして、いろいろ御指摘等のないように今後してまいりたいから、各部局ともひとつ十分配慮してほしいと、こういうことを指示をいたしておるのでございまして、ただいまの御質問の中で承ってまいりますと、やはり法律上にも疑義があるということになりますと、すみやかにこれは関係省庁と相談をいたしまして、御指摘のとおり、前向きですみやかに善処さしていただきたいと思います。
  100. 黒柳明

    黒柳明君 いまの貯蓄会の問題は、これでどのような手を打たれるかということで、私も注目していきたいと思いますが、林野庁の問題種々あるんですけれども、もう一点だけ時間の関係質問いたしたいと思います。  冒頭に申しました赤字の関係、非常に巨額な赤字をかかえております。それに関連して指摘したい事項があるわけでありますが、林野庁のいわゆる外郭団体、いま言いました林野弘済会もその一つです。そのほかいろいろあると思うんですが、どういう種類のものがありますか、名前ですね、林野弘済会等に類似する法人。
  101. 福田省一

    説明員福田省一君) ただいま資料は持っておりませんですけれども、林業に関係しますところの団体としましては数十実はあるわけでございますが、たとえて申しますると、測量設計なんかをやっておりますところの林業土木コンサルタント株式会社というものもございます。あるいはまた、林業関係の技術的な仕事の中で、特に航空写真なんかをやっておりますところの日本林業技術協会と、こういうものもございます。あるいはそのほか林業土木株式会社、これは主として治山に使いますところの堰堤とか、あるいは橋の関係の鉄を材料とした、そういったものを扱っているところもございます。まあこれは一例でございますけれども、数をあげますというと、大小まぜてたしか数十の数になると思います。
  102. 黒柳明

    黒柳明君 いまおっしゃいました、私が指摘した林野弘済会、あるいは林業土木コンサルタントや日本林業技術、まあ相当大きいほうだと思うのですが、その中で林野弘済会の四十六年中に各営林局あるいは林野庁を通して林野弘済会に発注した件数、金額、それはわかりますか、林野弘済会だけでけっこうですけれどもね。
  103. 福田省一

    説明員福田省一君) 林野弘済会を通して各営林局あるいは営林署に出しましたおもなるものをあげますというと、まあいろいろございますが、機械類とか、あるいは車両の類、これは比較的金額の大きいものでございます。これが約二億一千四百万円、四十六年度の購入額でございます。それから除草剤のようなものも扱っておりまして、薬剤が一億七千万円、それから林地あるいは苗畑で使います肥料がございます。肥料が八千四百万円、これはまあ代表的な金額の大きいものでございます。これらを合わせますというと、約四億六千八百万円となるわけでございます。
  104. 黒柳明

    黒柳明君 いま指摘していただきましたように、四十六年林野弘済会を通して各営林局、林野庁が発注したものが、事務請負、機械、薬剤、肥料等、私たちそちらからいただいたものは四百九十三件、五億五千万弱と、こうなっております。そこで、この林野弘済会がさらに下請の、あるいは融資している会社があるわけですね、五千数百万とこう聞いておりますが、その中で日本林業肥料、林業機工等々三十六の大中小の会社に林野弘済会が融資していると、こういうことですが、その何社に幾ら、これをお教えいただきたい。合計だけでけっこうです、林野弘済会が何社に幾ら総額融資しているか。
  105. 福田省一

    説明員福田省一君) 御指摘のございましたものの総計だけを申し上げますと、四十七件でございまして、出資しました金額が五千三百九十七万百円、かようになっております。
  106. 黒柳明

    黒柳明君 合計四十七社に対して五千四百万弱ですね。その中に日本林業肥料がありますね。林業機工というのもありますね。林業機工の社長はだれですか。融資額、林野弘済会から林業機工にどのぐらい融資していますか。林業機工の社長、弘済会から林業機工にどのぐらい融資しているか。
  107. 福田省一

    説明員福田省一君) 社長の名前は藤本和平でございます。それから出資しました金は約五百万円、これは全額林野弘済会となっております。
  108. 黒柳明

    黒柳明君 この弘済会と林業機工との関係、長官御存じでしょうか。場所はどこにあるか、職員は。弘済会の会長と林業機工と社長は同一人物である。藤本和平。その職員、事務所がある場所、あるいはこの弘済会と林業機工との関係性、こういう点、あるいはおわかりになる人が……。
  109. 福田省一

    説明員福田省一君) ちょっと会社のおる場所は私存じませんけれども、弘済会の会長が藤本和平になっておりますので、この林業機工株式会社の社長藤本和平同一人でございます。それから、専務取締役が浅川林三となっております。これはやはり林野弘済会の役員をしておる者で、同一人でございます。  それから……。
  110. 黒柳明

    黒柳明君 事務所の所在地。
  111. 福田省一

    説明員福田省一君) 事務所の所在地は、さっそくいま調べてすぐ御連絡いたしますけれども……。
  112. 黒柳明

    黒柳明君 いいでしょう、暑いですから。弘済会の中です。イコールです、弘済会と。ですから、こういうことなんです、長官。弘済会、林業機工、職員も全部同じ、場所も全部同じ、弘済会の職員が林業機工の職員、一致です。社長も会長も一致です。弘施会から五百万融資しているんです。弘済会がつくった子会社です。しかも、どういうことかというと、御存じのように、機械が各メーカーから営林局に納入される場合、各メーカー——たとえばマツダとか何とかありますね——から林業機工を通ります。林業機工から弘済会を通ります。弘済会から初めて営林局へ行く。いわゆるトンネル会社ですよ、二つとも。これは私は、一〇〇%トンネルとは言いませんよ。これは人手も不足でしょう。いろいろな手数料も確かに、商事会社なんかありますからね。その機構すべてが不必要なものだとは言いませんけれどもね。弘済会だけ通るならまだ知らず、その前に弘済会が一〇〇%支出した小会社が——その役員が、全部職員が同じだ、なぜそんなものをつくるのか。なぜそんなものを通じてまたピンはねして営林局に機械が納入されなきゃならないのか。おかしいじゃないですか、この組織は、システムは。どうでしょうか。
  113. 福田省一

    説明員福田省一君) 御指摘がございましたように、確かにこれは同一人が小会社の社長を兼ねておると、あるいはいま御指摘のように末端の営林局なり営林署に行きます場合に、中間でいろいろ手数料が入ると、むしろその購入した資材が非常に高くなるという問題もございます。これは、機工については、私も十分中身を検討しておらなかった点もございますので、その点につきましては十分監督の責任も林野庁にございますので、さっそく内容を十分検討しまして善処してまいりたいと、かように考えております。
  114. 黒柳明

    黒柳明君 あのね、私は、弘済会だけが一つのまあ変なことばでトンネルになっているんなら、いろんな譲歩する余地もあろうと思った。ところが、弘済会だけじゃないんですよ。その前に弘済会が全額出資した小会社を何のためにつくる必要があるのか。しかも、その役員が弘済会も全部同じですよ。場所も同じですよ。いままでこういうことが何度か国会指摘された。行監が乗り出した。前総理もこれに対して一応——七年八カ月やったことといえば、この公益法人に対してメスを入れたことぐらいが成果として残っているとも言っていいくらいこの公益法人に対してはメスを入れたはずだったんです。ところが、まだまだこんなものが四十七あるでしょう。もっとひどいのを私、指摘しますよ。こんなものを私は、失礼ですけれども検討するという余地があるか。なぜ会社つくったのか。小会社立てなきゃならないのか。まあ私、きょうはもう一つの重要な問題の通産省関係のフランチャイズの問題かかえております。これだけで終始してシリーズになるくらいの問題です。ですけれども、きょうの点は、こういう非常におもしろくない融資のしかた、それから組織があるということで、さっきの貯蓄会と同じように、さらにこの点を全面的にやっぱり検討して正すべきは正さなければならない。ごくごく一つ二つだけを指摘するだけなんです。時間があれば全部網羅します、これは。時間がありません。あとに重要問題かかえております。一〇〇%弘済会から支出する必要はどこにあるか。全部職員が兼任して、全部場所が同じで、なぜこんなものをトンネルにするのか、これは検討の余地がないじゃないですか。  同じく日本林業肥料ありますね。これについての支出はどうですか、出資はどのくらいしていますか。
  115. 福田省一

    説明員福田省一君) 日本林業肥料に対します出資額は、ちょうど二百万円となっております。
  116. 黒柳明

    黒柳明君 三分の一の出資額ですね、弘済会から資本の三分の一を日本林業肥料に出しています。そうすると、この弘済会と日本林業肥料の関係はどうかというと、各営林局に肥料が三井東圧から納入されているわけですね。しかし、三井東圧から日本林業肥料をまず通らなければならない。そこで、通った肥料は三井東圧の製造じゃなくてマル林の製造となって、名前だけが変わってくるんですよ。中身は三井東圧でつくったそのものです。ところが、この弘済会が三分の一出資した日本林業肥料を通ると、三井東圧のつくった肥料が名前だけはマル林という肥料に変わる。三井東圧じゃなくなる。そしてこの日本林業肥料を通ってさらに弘済会に納入される。そして弘済会が五%ピンはねして営林局に。当然この日本林業肥料にしても、林業機工にしても、五%前後は、まあピンはねということばを使えば、しているわけであります。なぜこういう組織をつくらなければならないのか。さらにありますよ。定款を見ますと、当然福利厚生の中に、貯蓄事業をやってはいけない、ぼくは入らないと思います。現にその実態は違法ですからね。さらにこの五千四百万円弱の出資のしかた、見たことございますか、長官。これがどういう会社に出資されているか、この四十七社の一覧表を……。
  117. 福田省一

    説明員福田省一君) このたび資料要求がございましたので、拝見しております。
  118. 黒柳明

    黒柳明君 まあ先ほどから何度か言うように、時間があれば……。もうそろそろ通産大臣参りますので、方向を変えようと思います。これ、全部私、指摘したいのです。この定款には観光会社、私は観光会社イコールいけないとは言いませんよ。製薬会社イコールいけないとは言いませんよ。だけれども、常識で考えてお菓子屋さんと林業と何が関係あるのか。常識で考えたって融資のしかたがおかしい。林業発展のために、これは何か考えますと、林野庁の職員が食べているお菓子屋さんに融資したのだ、可能性はゼロじゃありませんよ。だけれども、そんなものは常識で考えたって考えられないです。観光事業、印刷事業・製菓事業、どんどん融資しているわけです。それが、先ほどの貯蓄会からの金もここにきているわけですよ。  それから、さらにこういうあり方というものが、四十六年度五億数千万というものが各営林局、林野庁から弘済会を通っていっているわけです。そのうちどれだけこういう機構を通じてむだ金が使われているか、その裏にはこういうおびただしい天下りがある。これは私、一つ一つ名前を指摘はしない、御当人の名誉のためもあるでしょう。林野弘済会は理事以上全部元林野ですね、そのほかいろいろあります。私、ここまできょうふえんしますと時間なくなりますけれども、こういう天下りの職員をやっぱりかかえて、失礼なことばですけれども、養わなきゃならないという、こういう宿命的なもの、あるいは官僚機構の最もうまくない点がまだここにも一つ残っていた、あるいは残っていたのじゃない、まだまだ一ぱいある、そのうちの一つはこれであると、こう思います。ひとつ、いま言ったようなこのトンネル会社をつくって、こういうばく大な金をピンはね——ピンはねなんといろことは非常にうまくない。これは常識的にははっきりうまくない実態というものが出てきております。  さらに、この融資のしかた、四十七社に対してどういう融資のしかたをされているのか。中には林野庁から行った人の退職金がわりに融資されているような例もあります。こまかい話になりますので、もうこの辺で質問を打ち切りたいと思いますが、まずその貯蓄会の問題、そしてこちらの弘済会中心にした、さらに私触れましたように、必ずしもこれは弘済会だけじゃありません。まだ林業土木コンサルタントのほうも、あるいは日本林業技術のほうもいろいろ問題点がある。時間がありませんが、いま弘済会だけの巨額な、こういう営林局、林野庁に対して年間五億、六億というお金を扱いながら、また五千万という融資をしながら、この機構のあり方融資のしかたが非常にうまくない、こういう問題もごくごく一点です。これを指摘したわけでありますが、ひとつ長官、それから政務次官の総括したいまの問題に対する御答弁をお伺いしたいと思います。
  119. 園田清充

    説明員(園田清充君) お答えいたします。  貯蓄の問題からただいまの弘済会の問題、物資購入の問題、林野庁自体関係外郭団体と申しますか、そこで行なわれておるいろいろな点について御指摘をいただいたわけでございます。特に国有林野につきましては、国有林野特別会計の収支状況は、御承知のとおり、御指摘のとおりの状況でございます。そこで、私どもといたしましては、この際、ひとつ時間をかしていただいて総点検をやって、さっきも申し上げましたように、もしうまくないぞ、疑わしいぞという御指摘を受けることは、この際姿勢を正そうということで、最善の努力をしてみたいと思いますので、暫時ひとつ時間をいただきたいと思います。御趣旨に沿うように努力をいたしますということだけをお答え申し上げます。
  120. 黒柳明

    黒柳明君 政務次官の前向きな答弁がありまして、ひとつ大臣にくれぐれもこの実態をお教えいただきたいと思います。冒頭のその二百億、三百億の赤字が全部こういうところからと、こんなことは私は考えてもおりません。しかしながら、たとえ少額たりといえども国民の血税をむだ使いしてはなりません。これは十二分に指摘もされ、改善の方向に向かっているわけでしょう。ところが、この林野庁のシステムというのは全然改善されてない。ですから、赤字の二百億、三百億というのがこういうところからその一端——一端じゃない、相当の赤字の原因はこういうむだ使いに端を発している。これを是正すれば、この赤字の分野の一分野かあるいは相当の分が是正されることも間違いないと思います。ひとつ、いまの前向きの答弁があったことで、すべて私は今後に期待をかけたいと思います。当然ある程度の時間もかかることもやむを得ないかと思いますけれども、ひとつ大臣、長官、また御出席の政務次官、全部総点検していただくというおことばでありますから、早い時期に総点検して正してもらいたい、最後にこう要望して、この問題終わりたいと思います。農林省はおしまいです。  次に、通産省関係でありますが、公取、中小企業庁、国税庁に御足労していただいているわけであります。フランチャイズの問題、特に悪質なフランチャイズ制をしているピロビタン、乳酸飲料のメーカーであります。いわゆるこのピロビタン商法につきましての各省庁の御見解を承りたいと思います。中曽根大臣があと十分くらいで参りますが、実は大臣に全部お聞きいただいて、大臣からも発言していただきたいと思うのですが、十分ちょっと時間が待てませんので、始めていきたいと思います。  いわゆるアメリカから端を発したフランチャイズ制というものがいま日本でも静かなブームを巻き起こしている、こういうことらしゅうございます。私たち周辺にもそういう各商店がありますが、都市の急速な構造の変化、あるいは人手不足等々から、独立の小規模企業の経営がこれから非常に成り立っていかない、むずかしい、こういうことでもありますが、このフランチャイズ制度、この導入、これについて成功している例も相当あると思うんです。せんだってですか、フランチャイズチェーン協会というものが設立されている。その中を見ますと、いろいろフランチャイズの商店が出ています。お菓子の不二家、鮒忠、伊藤ハム、ロンドン・フード・サービス、お菓子のコトブキ、養老乃瀧、それからまだありますですか、ダスキン、白洋舎、薬のヒグチ、ハヤミズ家具と、アメリカでは、ホリデー・イン、ハワード・ジョンソン、カーヴェル・フランチャイズ・システム等々、こうありますが、まず中小企業庁の次長さん、そのフランチャイズ制のいい点、これからひとりお教えいただきたいと思いますが。
  121. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) フランチャイズチェーン、まずその定義をちょっと説明さしていただきたいと思います。  フランチャイズチェーンは、御存じのとおり、ある事業者、これをフランチャイザーと私どもは申しておりますが、その事業者が他の事業者、これを私どもはフランチャイジーと申しておりますが、この二者の間で契約を結びまして、フランチャイザーの商号、商標、その他営業の象徴となるものを使用して、同一性のイメージのもとに契約に基づく事業を行なう権利をフランチャイジーに与えます。一方、フランチャイジーのほうはフランチャイザーに一定の対価を支払います。フランチャイザーのほうはそのかわりに指導及び援助をして、いろんな経営上のノーハウを与えたり、商品の販売、その他契約に基づく事業を行なうというような内容がフランチャイズの内容でございます。  そこで、お気づきになりますとおり、事業者の商号を使うわけでございます。したがいまして、その事業者がわりあいに有力な事業者でございますときには、経営がフランチャイジーのほうでは非常にやりやすいというような点がございます。つまり、経営が安定をするというような利点が一般的にございます。また、フランチャイザーのほうは、普通は相当な人的なスタッフあるいは経営上の知識を持っておりますので、フランチャイジーでございます中小企業者にいろいろな経営上のノーハウを与えるというような点もございます。こういうような点もございますから、中小企業庁といたしましては、中小企業者がフランチャイジーとしましてフランチャイザーの指導のもとに安定して経営をはかり得る利点があるというような利点を認めまして、実はフランチャイズ協会そのものも私どもの指導によって設立されたような経緯になっております。こういうふうなフランチャイズチェーンの活動については、その健全な発達をはかりますよう、私どもとしてはいろいろな指導並びに援助を将来いたしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  122. 黒柳明

    黒柳明君 アメリカなんかで当然先べんをつけて、現地法規制をせざるを得ないような悪例も出てきたというようなことを聞いておりますが、できますれば、実態でも簡単にお教えいただければと思いますが。
  123. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) アメリカにおきましては、すでにカリフォルニア州の州法でフランチャイズの規制をいたしております。また、連邦におきましては、上院でウイリアムズ法案あるいはハート法案というものが現地審議をされておるというような状況に相なっております。いずれの法案も、契約にあたりまして契約の条件等をフランチャイジーになります中小企業者が知り得るように、契約の内容の項目、あるいは契約の内容が不当である場合にある程度修正し得るような条項を用意しておりますほか、上院で審議いたしております法案では、一方的にフランチャイザーが契約を破棄することを禁止するというような内容を含んだ条文になっております。
  124. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、フランチャイザー、フランチャイジー、おのおのいろいろ問題があるかと思いますけれども、いまのカリフォルニアなんかでは法規制せざるを得ないようなその直接の原因というのが契約の問題、たとえばフランチャイザーがフランチャイジーに対して欺瞞的な契約を結ぶとか、こういうこと、こういう弊害が出てきたからこそそういう法規制をせざるを得ない方向にいっていると、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  125. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) 御指摘のとおり、フランチャイズチェーンは、いろいろな中小企業者にとって利益もあるわけですが、反面、契約をいたしますときに、契約を結ぼうといたします中小企業者のほうで、いろいろ情報不足でございましたり、悪質なフランチャイザーがおりますると、フランチャイザーが誇大な広告をして、それにややもすればひっかかるというような難点、あるいは契約条件が定型的でございますから、判断を誤ってその定型的な契約条件をのんでしまう。また、できてみますと、本部のスタッフが脆弱であったために十分な指導が行なわれないというような弊害がございますことは、これは事実でございまして、私どももそういうような点のないように今後十分指導したいと思いますが、本質的には、やはりフランチャイズ自体についてそういうような欠陥があるというようなことは否定できない事実かというように思っております。
  126. 黒柳明

    黒柳明君 そこで私は、その中小企業庁として健全な方向に発展を願っている、育成をしているフランチャイズシステム・これと、アメリカですでに起こっているそういう悪質なフランチャイズ制度、フランチャイザーとフランチャイジーとのその欺瞞的な契約条項、こういうようなものが必ず日本にも——先駆者たるアメリカにも法規制を必要とするようなぐらいにまでそういう悪質な例があるならば、当然わが国にもそういうものを必要とする可能性、いわゆる悪いフランチャイズシステムができる可能性、現にできているわけですが、可能性があると思います。その一つとして——あるいは潜在的にはまだあるかと思います——顕在的にある一つとして、先ほど冒頭に申したピロビタン商法というものを取り上げてみたわけでありますが、一昨年大阪で若干問題になったことがあります地域の専売料、ボトリング工場をつくるとか、あるいは営業権を譲渡するとか、こういうことで専売料を取る。それが詐欺事件ということで大阪で問題になりましたが、いまその問題は膠着状態であります。  私は、きょう、冒頭に申しましたように、それを悪質なフランチャイズシステムと、こういう問題から御質問したいと思うんですけれども、手元に全国ピロビタン被害者同盟が実態調査し、私どもも調べた調査報告があります。ピロビタンが昭和四十一年九月二十七日設立され、こういう中小企業庁の意図とは反対に悪い方法、悪質なフランチャイズ制というものを全国的にしいて、そのために専売料を詐取され、だまされた、そういう被害届け、まとまったものだけでも全国で六百二十二件、十五億二千五百七十八万二千円、こういう資料があります。しかも、東北、北海道ではまだまだいまこの悪質な事件が蔓延している、こういうことです。こういう、すでに一部は既成の事実として指摘されておりますが、あるいは中小企業庁の方も御存じかと思いますが、四十七年、今日現在で十五億にものぼるこういう詐欺類似行為、悪質なこういう契約書で貴重な資金を詐取されていると、こういうフランチャイズシステムについての中小企業庁の御意見、いかがでしょうか。
  127. 森口八郎

    説明員(森口八郎君) ピロビタンの事件につきましては、先ほど申し述べましたように、フランチャイズチェーンの健全な発達をはかるというような立場から、私どもはきわめて遺憾に存じております。当庁に立ち入り調査権限がございませんので、いろいろ新聞報道、あるいは関係者からの事情聴取等でその概要を私のほうは知悉をいたしておるようなわけでございます。なお、こういうような事件につきましては、私どもといたしましては、当然つくりましたフランチャイズチェーン協会等で倫理綱領等をつくらせまして、こういうような事件の続発を防ぎますとともに、公正取引委員会等とも密接な連絡をとって、こういうような事件の再発の防止については全力を尽くして防止をいたしたいというように考えております。
  128. 黒柳明

    黒柳明君 このピロビタンのフランチャイズは悪質であるという中小企業庁の御答弁がありまして——たとえばここに契約書があります。松村憲三さん、被害者同盟の会長さんですけれども、この方が昭和四十四年八月十日契約をせざるを得なくなったこのボトリング契約書には、人口百万を単位——これは大阪府ですが、大阪府の人口の六分の一、しかも契約金が一千四百五十万、しかもこの契約三カ月以内にボトリング工場を建てる。それから、六カ月以内にこのピロビタンを人口の二%、一年以内に五%にシェアを伸ばす。そうすると、百万で二%ですから二万本六カ月、一年間では百万の五%ですから五万本。ところが、この契約は不可能です。なぜそれじゃ不可能なものを破棄しないのか。すでに本契約を結ぶ前に一千四百五十万の金を取られている。大臣、すいません、お聞きいただきたい。なぜか。冷静に考えればこんなばかなことはあり得ないわけです。ある一部に言わせると、なに、欲の皮が突っぱっているやつがやることだ——すいません、被害者同盟の方うしろにいらっしゃいますけれどもね、ある一部の方はそう指摘されます。欲の皮が突っぱっているからひっかかっちゃうんだ、むしろひっかかるほうが悪いんだという意見もあります。私も、当初そう思いました。しかしながら、この全貌というものを知っていくと、そうじゃない。  いまSF商法という、非常に消費者を催眠術にかけるような方法でマットレスを売ると、こういう方法がありますが、実際にこの契約を結ぶ前になぜ金を取られちゃうか。契約を結んで三カ月以内にボトリング工場をつくることは不可能です。土地はどうするんだ、建物はどうするんだ、機械はどうするんだ、それはそのときに話すから契約を結べ、すでにその前に金は取られちゃった、あるいは半年以内、一年以内に人口の二%、五%のシェアを伸ばすことは不可能だ、いや、それはあとで相談する。すでにその時点では契約金を取られているから不可能だ、しかたなく契約に調印する。そのあとでどうもこの契約どおりにうまくいかない、それで、これは詐欺だったと、こう思うわけです。しからば、なぜ金を先取りされ、こういう契約を結ばざるを得ないか、それにはいろいろピロビタン商法なる悪らつなフランチャイズのやり方があるわけです。  まず、雑誌、新聞等の広告を見せてだます。これはあまり人の名前指摘してもどうかと思いますが、非常に有名人が並んでおります。こういうものをまず冒頭に見せまして、これは信頼できるんだと、さらにその次にくるのはこれです。これだから契約を結べ、契約料を払え、これは厚生省には薬事法違反類似行為のビラ、あるいは公取に見せれば誇大広告になるかもわからないビラ、本日はそういうことになりますと、大臣の時間が制限されておりますので、こまかい問題はまた後日にしたいと思うのですが、そういうビラがさらにくるわけです。そうして、さらに事業説明、個人個々の説明、営業所、これは仮営業所です、実際には成り立っておりません。その見学、そして仮契約、本契約、本契約結ぶ場合にはすでに契約金は取られている、こういうことで、確かにこういうことがあっても、金がないわれわれ、あるいは冷静に判断すると、こんなことがあってもなぜ不可能な契約に権利金を出す可能性があるのかと疑問に思います。しかし、現実には、先ほど指摘しましたように、顕在的な住所氏名がわかっているものだけでも、大は二千七百万、小は百万単位の契約金をぼんぼん取られている。いま現在、東北、北海道に蔓延しております、こういう行為が。もしこういう行為が許されますと、あるいは先ほど指摘したような、あるいは中小企業庁が健全な育成、健全な方向に育てようとして、しかもチェーン協会までもつくったこのフランチャイズ制が、こういう、あるいは一つでもあろうかという、最も悪質なこういう方法によって、何だ、中小企業庁がやっていることも結局はこんな悪質なことを健全な方法と言っているのかと誤解される面もなきにしもあらずだと思います、こういうものがはびこっていれば。現にうしろは、大臣、ごらんになればおわかりになりますように、ごく一部の方が、何とかしてもらいたいというので、大阪から、九州から、北海道から全国から集まっております、期待しておるわけです。  さらにいろいろありますけれども、ひとつ公取のほう、もうこの契約書や何かごらんいただいて、すでにいろいろ調査資料を渡しまして御調査願っておりますのですが、その調査した範囲での見解をお述べいただけますか。
  129. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 承りました範囲で考えてみまするに、いわゆる相手方事業者を不当に拘束し、あるいは相手方事業者に対して不当に優越した地位を乱用して、不当な契約条件を押しつけているかどうか、いろいろの見方があるかと思いますけれども、私どもとしては全貌をまだ実はよく承知いたしておりませんから、結論的なことは申し上げられませんけれども、何か不公正取引に該当するようなにおいがするようにも思います。ただ、全体の競争秩序、公正な競争秩序にそれがどういう役割りを持っているかという点がもう一つの判断のポイントにはなるかと思いますが、もう少し研究さしていただきます。
  130. 黒柳明

    黒柳明君 公取としては、こういう実行不可能であるかどうか、現に不可能だから被害者が出ているわけですが、そういう三カ月以内にはたしてボトリング工場ができるのか、そのシェアがはたして半年以内二%、一年以内五%できるのかどうか、そういう点についてもお調べいただけますかどうでしょうか、今後。
  131. 谷村裕

    説明員(谷村裕君) 私どもとしては、いまのようなお話を承っておりまして、調べるかどうかというふうにお尋ねになられれば、調べたいというふうにお答え申し上げたいと思います。
  132. 黒柳明

    黒柳明君 それから、長官の時間がもう限られておりますんで、答弁いただくためには、一応全貌を指摘しなきゃなんないと思いますが、国税庁ですね、いらっしゃいますか——いらっしゃいますね。  私たち、この問題で、当然これは脱税の容疑が濃いんじゃないかということをいろいろ調べまして、まあいろいろ、民間会社ですから、国税庁自体どういう見解をお話しになるか疑問ですが、私たちが少なくとも調べた範囲では、申告は四十五年の十月から四十六年九月まで、権利金としての収入が三億八千万、権利金で紛争中、まあこれは収入として計上してくれるなという意図かと思いますが、二億五千万。これだけしか申告されておりません。四十四年度分は全く申告されておりません。そうすると、私たちしろうとが考えてもわかることは、いわゆるこのピロビタン、どのぐらいいま稼働しているか、いろいろ調べた結果、実は乳酸菌飲料協会でも実態がさだかにわかりません。非常につかみにくい。ただ、そのいろんな情報を網羅しますと、稼働中なのはボトラーの数で六カ所ぐらいだと。営業所としては、その一カ所につき、多いところで二十、少なきゃ五ぐらい、平均十五。まあ百はないだろう。一本二十円のピロビタン一本当たり六十cc、大体七万か八万本ぐらいしか出してないだろう。非常に規模としては少ない。ですから、この範囲で、実態は、国税庁としても、申告どのぐらいしてありますか、それをごらんになって、更正決定するかどうかという判断があるかと思います。  私は、ここで指摘したいのは、稼働している面じゃなくして、いわゆる全国六百二十二件、わかっているものだけでも。まだまだ潜在的なものが多数あると思う。わかっているだけでも十五億余。この金は絶対これは申告されてない。間違いないと思います。現に申告されてないという私たち調査です。そうなると、これは国税庁としても、しさいをつかんで、そして、この少なくとも十五億は完全に脱税容疑、申告が漏れている。私たち調査で間違いないと思います。こういうことにつきまして、ぜひともこの点、国税庁としても前向きな調査、あるいは見解、あるいはいま私が言ったような点につきまして、はたしてこのぐらいの感触の申告、おつかみかどうか。お話しできる点がありましたら、ひとつお話しいただきたいと思います。
  133. 吉田冨士雄

    説明員吉田冨士雄君) この事案につきましては、現在調査中でございまして、いまお話のありますように、従来らか課税の個別案件については、一私人の関係から内容についてお話してないのでございますが、いろいろ御指摘の点、われわれ十分心得まして、またわれわれも調査中にいろいろその点苦労している点もございますので、これから適正な課税に十分努力したいと考えております。
  134. 黒柳明

    黒柳明君 私が言ったの、大体こんなような感触ですか、大幅に違いますか、数字は。感触だけでもちょっと漏らしていただけませんか。申告はなかったんです。
  135. 吉田冨士雄

    説明員吉田冨士雄君) 御承知のとおり、この会社は傍系会社もありまして、六つ全部でございまして、一番問題は、いま御指摘のピロビタン本社だと思います。その相互の関連等もございます。現在、本社からは、これは御承知のとおりに一年決算でございまして、十月から九月までの決算で、現在四十六年の九月の決算の段階まで、修正申告まできております。それにつきましてわれわれとしては調査しているわけでございますが、先ほどお話しの点の、預かりの保証金の問題、あるいはその保証金がはたして収入になるのか、契約者に返るのかという点の確認が非常に苦労しているという点でございまして、なおその点に努力したいと考えております。
  136. 黒柳明

    黒柳明君 そこで、大臣に結論をお伺いしたいと思いますが、まだその他、いわゆるこのパンフレットでも、ピロビタンで頭がよくなる。これは私は、厚生省の見解では、薬事法違反じゃないかと、こう思います。さらに、農林省の関係では、一本六十ccが五十八ccしかない。これをやっぱり乳酸菌を担当する省としては問題にしなければならない。農林省関係。  まだまだ幾多これは各省庁に御意見を承る可能性が残っているわけでありますが、あんまり手を伸ばしたところで、調べる調べる調べるということでは、当初のここの委員会での当面の目的は果たせませんもんですから、公取と、中小企業庁と、それから国税庁の見解を承ったわけでありますが、中小企業庁も、これは悪質なフランチャイズ制度である、公取の委員長も、調べたいという非常に前向きな発言もありましたし、国税庁のほうも、私は絶対これに間違いない、こう思っております。十五億は少なくとも脱税です。もっとあらわれてくれば、それも全部脱税です。しかも、こういう厚生省、農林省までさらに問題は発展する可能性がある。  そこで、私が最後に大臣にお伺いしたいのは、いわゆる先ほどからアメリカの例をお伺いいたしました。こういうアメリカが先べんをつけ、日本に上陸し、ブームを呼び、非常に中小企業としてはいい方面もあるんですが、現実にはこういう悪らつなものも出てきている。これに対して、すでにアメリカでは法規制をして、それでその排除を行なっている、あるいは意図している州もある、こういうことです。そうすると、日本においてもこの一つの例をいい手本にしまして——中小企業庁がいま、あるいは本年の二月ですか、チェーン協会をつくった、主体的に。ところが、こういうものが一方にありますと、非常に将来その努力も疑問視される時点が来ると思う。これにまねて、次から次にまだ潜在的なものがあるかわからない。こういういまの事態について、何としてでもやっぱり法規制がここで大きな問題として出てくるんではないかと思うのですが、お忙しいところを大臣においでいただいたわけですが、いまの全貌をお聞きいただきまして、ひとり日米友好のためにも、こういう面でも、ひとつアメリカの例にならって、さっそくその法規制にまでもやっぱり踏み切って、文字どおり健全なフランチャイズ制の発展、しかも、被害者の方は二人、三人、いまでもできているかわかりません。もう二度とこういう悲惨な巨額な額をただ単に詐欺されるようなことがないようにぜひともしていただきたいというのが、私のみならず、被害者の方の御意見なんですが、大臣いかがでしょうか。
  137. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 黒柳さんから詳細にいろいろ教えていただきまして、私もいろいろ勉強をいたしました。フランチャイズ商法という新しい商法が日本に広がり始めまして、いま非常に大事なときであるように思います。そこで問題は、通産省としては、企業の自由ということがありますから、なるたけ自由な創意と民間の、バイタリティーを生かして企業活動を活発にさせようという基本方針を持っていますけれども、それが誇大広告であるとか、あるいは相手の無知とか情報不足に乗じて、不当なる、あるいは不法であると思うような契約行為にまでおとしいれられるという情勢があると、これは問題であるだろうと思います。なかなか、日本人というものは熱しやすくさめやすいところがあったりして、必ずしも冷静な判断ができない特質もございますから、そういう点もよく考えて、いまの御指摘の問題を中心に実情をよく調べさせます。そうして、公取のほうともよく相談いたしまして、必要あらば立法も辞せず、法規制も辞せず、そういう考えで臨みたいと思います。
  138. 黒柳明

    黒柳明君 いまの大臣の、非常に、必要ならば法規制も辞せずと、こういう考えは、さすがにやっぱり中曽根大臣ならではのおことばではないかと私思います。  すでにカリフォルニアの例を出すまでもなく、四十八時間前には十三項目にわたるこまかいやっぱり明細な契約条項をフランチャイザーはフランチャイジーに示せと、それによって契約を結べと、こういうものがあればこういう被害なんか起こるわけないです。ところが、フランチャイジーの無知につけ込んでフランチャイザーなるものが悪らつな行為を起こす。これは冷静な常識ある者では考えられないんですが、現実にはあるし、いま現在も蔓延しつつあるということで、何としてでもこれはひとつ、いい面はアメリカの例をさっそくならっていただきまして、この法規制をして、二度とこういうピロビタン商法が第三、第四、あるいは七百、千の被害者を出さないうちに、ひとつ何とか至急に手を打っていただきたい、これを私、最後に要望いたしまして終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  139. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  140. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。
  141. 塚田大願

    ○塚田大願君 時間がもったいないですから、お集まりになりませんけれども、始めたいと思います。  私は、きょうは田中内閣が成立いたしまして初の決算委員会の総括質問でございますから、当然田中総理、あるいは建設大臣などに出ていただいて、いわば田中内閣の一枚看板であります日本列島改造論についていろいろお伺いしたいと思ったのですが、どうも決算委員会軽視の気風がいまだ改まらずに、大臣さっぱり出席がない。そこで、この問題は次回に譲りまして、きょうは、この両三日間非常に大きな政治問題になっております米軍戦車の輸送の問題についていろいろお伺いしたいと思います。  横浜の米軍戦車の違法輸送の問題というのは、これはまことに目に余る状態であって、ついに事が大きくなりまして、いわば一つ政治問題にいまなってきていると思うのです。そこで、昨日は衆議院の内閣委員会でもこれが論議をされた。で、この衆議院の内閣委員会では、政府としては米軍の戦車輸送は違法である、当然米軍も国内法を順守する義務があるということをはっきり述べられたと思うのですが、全くあの戦車の輸送の状態というのは、いわば傍若無人とでも言うのでしょうか、とにかく道路法は違反する、道交法も無視する、もうめちゃくちゃですね。しかも、あの戦車は、新聞その他にも出ておりますけれども、とにかくベトナムの人民の血を吸っている戦車、それがシートもかけずに日本国民の目の前に堂々と輸送される。全くこれは法律上はもちろん認められない行動です、こういう違法輸送は。道義上から言ったって、こういうやり方というのは一般国民の認めるところではないと思うのですよ。したがって、問題が非常に政治的な問題に発展せざるを得ない状態にあったと思うのです。この点で、いま申しましたように、とにかく政府としては、安保条約第六条による地位協定の五条の米軍の移動の自由ということよりも、十六条の国内法の尊重ということが重要なんだという見解を示されたわけですが、その点を私はここでもう一度確認しておきたいと思うのですが、防衛庁、あるいは外務省、建設省の意見を聞きたいと思います。
  142. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) お答えいたします。  私ども、いまのお話については、当面のお答えをする立場であるかどうか疑わしいのでございますが、先生おっしゃいますように、また昨日内閣委員会で長官等が申し上げましたように、法令の順守ということは、米軍の戦車の輸送に際しましても道路関係の法令が守られなければいけないというふうに考えております。
  143. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) これ、外務省、あるいは防衛施設庁の問題ではないかと思いますが、私どもとしましては、道路交通については道路交通法令を順守するように、十分に従来からも連絡をとっておりますし、道路交通法の違反がございましたときには警告をし、あるいは指導取り締まりをするということでやってまいっておるわけでございます。
  144. 塚田大願

    ○塚田大願君 もう一つ聞きます。  きのうの内閣委員会で、建設省の道路局長でありますか——は、再搬出の問題については、いろいろ巷間、車両制限令改正というふうなことが伝わっているけれども、建設省としてはそういう意思はない、そんなふうに考えていないというふうにはっきり否定されました。この点は新聞にも出ておりますけれども、この点もここでもう一度あらためて確認しておいてよろしゅうございますか。
  145. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 昨日御答弁申し上げましたのは、米軍について車両制限令の特例を設けることができるかという御質問に対しまして、米軍に対してのみ特例を設けることはいたしませんという御答弁を申し上げました。
  146. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうしますと、「のみ」ということは否定されたけれども、米軍も含めて車両制限令の特例を設けるということはあり得るわけですか。
  147. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 車両制限令の改正は、全然ただいまの段階考えておりません。したがって、昨日の答弁は、米軍に特例を設けるかということに対して、特例を設けないと申し上げたのでございます。
  148. 塚田大願

    ○塚田大願君 わかりました。  では、いままでのところは昨日の確認でございますが、この米軍戦車の輸送の問題は、やはり当面の日本の安全と平和にとりまして重大な問題であります。したがってこれは、外務省がまだおいでになっていなければ、防衛庁にお聞きいたしますが、あの相模補給廠という施設ですね、この基地、これは二年前までは名称が違っておったと思うのです。つまり二年前は、 ユナイテッド・ステーツ・アーミー・デポ・サガミと、こうなっておった。ところが、いまから二年前に名称が変更されたのです。つまり二年前は、米軍相模補給廠という名前、いま申し上げましたようにユナイテッド・ステーツ・アーミー・デポーサガミ、ところが、一年前に名称が変更されまして、看板はユナイテッド・ステーツ・アーミー・サプライ・アンド・メンテナンス・アクティビティ・サガミ、つまり日本語で言えば米陸軍相模整備基地というふうに名前が変わった。この名前の相違、つまり相模補給廠から二年前に米陸軍相模整備基地というふうに変わったということを防衛庁は御存じだったと思うのですが、これについてはどうですか。
  149. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 相模総合補給廠という名前がつきましたのは、地位協定発効時であったと思います。ちょっと私ども外務省でございませんけれども、そういうふうに承知しております。
  150. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 塚田君、外務省の高橋条約局長が来ましたので。
  151. 塚田大願

    ○塚田大願君 では、外務省が見えたようですから、外務省にこの点をお聞きいたします。  いまの私の質問お聞きになりましたか。聞いていなければもう一回……。
  152. 高島益郎

    説明員(高島益郎君) アメリカ局長が参りますので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  153. 塚田大願

    ○塚田大願君 防衛庁はどうしてこれがわからないのですか。
  154. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) ただいま先生がおっしゃいました点は、私ども承知いたしています範囲では、地位協定上の提供施設の名称としましては、いわゆる昭和三十五年の地位協定発効後変わっていないと思いますが、米軍の内部の組織の変更で、若干違う名前、英語の名前がついておるというようなことを聞いております。
  155. 塚田大願

    ○塚田大願君 どうもいまのお答えは答えになっていないように思うんですね。つまり、明らかに相模補給廠というものから相模整備基地というふうに変わっているんですね、サプライ・アンド・メンテナンス・アクティビティ。いままではデポというだけだったわけですが、それだけの名称が変わったというのは、やはりこの基地の性格、内容が変わったということを意味するのじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  156. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) お答えいたします。  内容が変わったというふうにはいまのところ承知いたしておりません。
  157. 塚田大願

    ○塚田大願君 これは要するに、はっきりしているんですよ。この名前を見ただけだってわかるんですね。いままでは、つまり相模補給廠であったときは、陸軍の軍需物資の補給の管理というのが主要な任務だったのですね。で、ここに資料もありますけれども、ベトナム戦争の最盛時には約二十五万点の物品をここで扱っておったんです。その後、だんだんこの補給の物品扱いの数が減りまして、いまでは大体六万点しかないです、補給のほうは。そのかわり今度新しく二年前から、整備基地になりましてから、どういう性格になったかというと、つまり、いままでの補給管理はする。しかし、それはまあ非常に少なくなってきた。二十五万から六万ぐらいに数は減った。しかし、そのかわり整備修理ということが非常に重要なウエートを占めるようになってきた。つまり、補給管理ということと整備修理というこの二本立てにこの性格が変わってきたということを、この名称ははっきり示していると思うのですよ。サプライ・アンド・メンテナンスですから、供給と維持、持続ですから、つまり、修理ということがそこに入るわけです。ですから、これを防衛庁が——外務省はどうだかわかりませんが、防衛庁自身が知っておられないというのは、ちょっとまことに怠慢ではないかと思うのですけれども、どうでしょうか。
  158. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 先ほど申し上げましたように、地位協定上の基地の名称といたしましては、相模総合補給廠というのが昭和三十五年以来の名称でございまして、それに変更はいたされておりません。  それで内容は、やっております仕事は、ウエートは、あるいは先生がおっしゃいますように、整備の仕事がふえたということはあるいはあるかもしれませんが、前からいわゆる補給整備というようなことをやっておったように承知いたしておりまして、その中のウエートが若干変わったということはあり得るかと思います。
  159. 塚田大願

    ○塚田大願君 そのウエートが変わった、つまり二本立てのウエートが変わった、こういう意味だろうと思うのですけれども、その二本立てになった、つまり、いままでは一本立てだったと、ところが今度は二年前から二本立てになった、そのことを私はお聞きしたのですけれども、いまのお答えでは、よく承知していないとおっしゃるけれども、そのやはり仕事のウエートのことについては知っていらっしゃるわけだから、そういう基地の性格が変わったということはやはり知っておられたのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  160. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 何べんも繰り返して恐縮でございますが、三十五年以来その名称の変更はございませんし、その当初から整備補給というものはやっておったわけでございますので、その整備のほうにウエートがかかったのではないか、そういうふうに申し上げたわけでございます。
  161. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  162. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 速記を起こして。
  163. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 相模総合補給廠は、これは最初占領下に占領施設としてやったわけでございますが、講和条約の発効に伴いまして、行政協定ができまして、その行政協定によって、占領時代に引き続きまして、相模工廠という名前で、分類としましては、陸上一般施設という分類で米軍使用が認められました。先ほど申し上げましたように、地位協定の発効に伴いまして、相模総合補給廠という名称になりまして、自来ずっと使用が認められているわけでございます。それをもう少し詳しく申し上げました。
  164. 塚田大願

    ○塚田大願君 ですから、そこまで知っておられるんだから、二年前に名称が変更したということ、つまり正確な名称ですよ、看板ですよ、横文字の看板が変わったということを御存じないというのは、どうも不可解なんですね。日本語で通称補給廠、補給廠と言ってきたということはあっても、その正確な名前、名称、それからその内容ですね、性質の変化ですね、そういうものが防衛施設庁でおわかりにならないというのが、どうも私どもには納得できないのですけれどもね。で、いまさっき言われましたように、その施設の管理、維持、そういったものをおやりになるわけでしょう。そうしたら、相手方の名前がわからないでその仕事ができるんでしょうか。
  165. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 何べんもくどく申し上げて恐縮でございますが、いわゆる閣議決定を経まして日米間で協定を結んでおります基地の名称としては相模総合補給廠で変わっていない、そういう意味で申し上げているわけでございます。向こうの米軍の内部の若干の編成がえ等が随時ございますが、そこに非常に基本的な差があるというふうなことになっていない、こういうふうに承知しております。
  166. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃあ続いてお聞きしますが、昭和四十三年十二月十三日付でわが党の岩間議員が政府質問書を提出しておるのですね、いまから四年前になりますか。これは「在日米軍基地に関する質問主意書」というものです。これに対しまして、四十四年一月十六日付で内閣総理大臣佐藤榮作から答弁書が届いております。で、これについて若干いまの問題をお聞きしたいのですが、この質問書のほうには、「「個々の施設及び区域に関する協定」について」という題で——二項です。その一節に、「現在、日本政府が米軍に使用を許している「施設及び区域」のすべてについて、「個々の施設及び区域に関する協定」および「実施取極め」を締結しているか。」という質問があるわけなんです。これに対しまして、政府は、佐藤総理大臣はこういうふうに答えている。「1について締結している。」と。つまり個々の施設についてと協定を締結しておる、こういうふうに答えているのですね。  さらに五節、六節におきまして、施設及び区域の使用権の問題ですけれども、地位協定によっても使用権というものは無制限ではないんだと。これは政府の法制局第一部長もかつてこういうことを言っている、無制限ではない。だから、「日本政府は、いったん米軍に提供した「施設及び区域」は、その後、米軍が使用目的をいかに変更しようとも自由、無制限であると考えているのか。」と、こういう質問んなですね。これに対して、政府はこういうふうに答えている。「5及び6について「施設及び区域」は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条の目的に即して米軍の使用に供されているものであって、通常、その使用目的を細かくきめていないが、演習場、射爆撃場のように周辺住民の安全に影響の強い「施設及び区域」については、米側と協議のうえその使用条件を明細にしている。」と、こういうように言って答えられておるわけです。そうしますと、いまの場合、一つはこの相模補給廠と政府が個々の協定を結んでいる。これは結んでいると答えているのですから、あるはずだと思うのです。が同時に、この使用目的が、いま申しましたように、二年前から明らかに変化しておる。そうして、今度のように戦車の修理というものが非常にものすごく進められている。そうしてあれが道路は出てつかまってしまったわけなんだけれども、そういう状態が今日明らかに客観的に見てわかると思うのですよ。だとすれば、いま防衛庁おっしゃったんだが、いままでどおりの相模補給廠というふうに地位協定の立場から確認していて変更はない、こうおっしゃるのだけれども、使用目的の変更は無制限でないと、特に地域住民に非常に影響を与えるような施設区域については「米側と協議のうえその使用条件を明細にしている。」と、こうも言っておられる。だから、そういうものがあるならば、ひとつここではっきり出していただきたいと、こう思うのです。そうすれば、いまの名称のことなんかも、私はおのずからはっきりしてくるんじゃないかと思うのですけれども、ただ名称変更を知らない、知らないとおっしゃっておられるだけでは、全然中身の変化がわからない。ところが、現実にはこうやって問題が起きておるということですから、この協定並びに使用条件をどういうふうにきめられておるのか聞かしていただきたいと思うのですが。
  167. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 施設、区域の具体的な提供義務に関しましては、むしろ施設庁のほうにおいて詳細を承知しておられると存じます。したがいまして、施設庁のほうからの御説明を聴取いただきまして、もし私どものほうから何らか補足することがございますれば申し上げたいと考えます。
  168. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) ただいまの御質疑の、特別な何か使用条件等の取りきめがあるかというふうな御質疑だと解しますが、そういうものはこれにはございません。一般的に地位協定の二条に基づきます協定があるだけでございます。
  169. 塚田大願

    ○塚田大願君 どうもさっぱりはっきりしないんですね。特に、外務省は防衛庁だと言うし、防衛庁はさっき外務省だと言ったんですよ。どっちがほんとうの主管なのか。こんなにあなた問題が大きくなって、国民の生命にも関するような問題が起きているときに、所管官庁がたらい回しにしているというふうな無責任なことでは、これはまことにゆゆしい問題ではないかと私は考えるのですが、とにかくいまの防衛庁の答弁では、使用条件というものはないと、こうおっしゃるのですね。取りきめはないと、しかし個々の協定はあるとおっしゃる。だったら、その個別の協定を発表していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  170. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 個々の協定でございますが、合同委員会の合意に基づきまして、閣議決定を経まして協定ができておりますが、その内容は告示で官報に掲載してあるのが御承知される範囲だと思います。合同委員会の内容につきましては、発表を従来いたしていないわけでございます。
  171. 塚田大願

    ○塚田大願君 それが秘密外交というもんじゃないでしょうか。アメリカが優先するのか、国益が優先するのか、これはもう今日非常に明確になってきていると思うんですよ。特に今度のような戦車の横浜の米軍輸送については、とにかく米軍といえども国内法は尊重しなきゃならないというほど政府態度も私は一歩前進してきていると思うのですが、いままでだったら、とにかく七年間も野放しにしてあったんでしょう。それを国民の力、地域住民の力、あるいは民主団体の力であそこまでとうとう政治問題にして、政府もそれを認めざるを得ないところまできている。そういうやっぱり情勢の変化というものがあるわけですね。ところが、いつまでたっても、やれ合同委員会の取りきめだからそれは発表できないとか、告示だとか、いつまでも政府がそういう態度とっているようでは、問題はやっぱりほんとうに解決できないのじゃないかと私は思うのですがね、その点はどうでしょうか。これは外務省にもお聞きしたいと思うのですが。
  172. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいま施設庁のほうから御答弁ございましたように、問題の相模のあれにつきましては、特に何らの条件とか、そういうものなしに施設が提供されていることであると私どもも理解しております。  なお、合同委員会の内容につきましては、過去二十数年にわたって、どうもその内容は、もし何かございましても、そのまま外に出すことはできないということにつきまして、国会の審議の過程においてずっと御了承を得ておるところでございまして、ただ、その際に、その内容がいろいろ周知を特に要するということについては、告示その他の手段をもって公にしておるというやり方をずっと続けておりましたので、ひとつその点を御了承得たいと考えます。
  173. 塚田大願

    ○塚田大願君 いままで二十数年間そういう形で推移してきたんだと、だから今度も同じことだと、これではやはり政治というものではないと思うのですよ。やっぱり情勢が変わっているし、政治も現実に動いている。特にこの相模の場合ですね、いままでどおり問題がなければ、それはいままでどおりでもよかったかもしれない。また国会が了承したとおっしゃっているけれども、われわれは了承なんか一つもしていない。国民は了承してないでしょう、こんな秘密外交。国民は一人として認めておりませんよ。どういうことが取りきめられているのか、外交上日米間に。それを知らない主権者なんてものはあるわけはないのでありますから、今日、国民が主権者であるとすれば、当然それは本来発表すべきものである。しかし、いままでとにかく発表していなかったから、これからも発表しないのだということは、やっぱり私は通らないと思うのです。いままでに発表していなくとも、今度のような事態が起きているのですから、国民は非常に不安を持っているわけです。また、疑惑を持っているわけですね。怒りを燃やしているわけです。とにかく戦車がずうずうしくああやって出てくる。そうして阻止されたらUターンして帰っていった。帰っていってあとどうなるのか、再搬出は一体どうなるのかということについては、国民は依然として不安を持っている。そういう事態になって、この相模というものの正体というものが非常にクローズアップされてきているわけです。あれは何物だと、あの本質は。こういうものになっているのだとすれば、むしろ政府は、国民の疑惑や怒りを解く意味においても、私はそれを発表したっていいじゃないか、発表すべきだというふうに考えるのですが、このことは繰り返しになるかもしれませんけれども、もう一回ひとつはっきりした所見を聞きたいと思うのです。
  174. 松崎鎮一郎

    説明員松崎鎮一郎君) 先ほどからのお答えをもう一回整理して申し上げます。  相模総合補給廠の名称は、地位協定発効以後変わっておりません。それから、私ども承知しております範囲では、その内容も基本的に変わってきたというふうには承知いたしておりません。  それから、先ほど外務省のほうがおわかりになるだろうと言いましたのは、運用の話につきましてはあるいは外務省のほうがおわかりになるだろうと申し上げましたので、施設の問題、施設の提供とか維持費の問題については、実務を私どものほうでやっておりますので、お答えをいたしておるわけでございます。  それから、補足しますと、いま個々の協定はあるかという御質問については、個々の協定はございます。それは、合同委員会の合意を得まして、閣議の決定を得ましてできております。その内容は官報に告示されておりますというように申し上げたつもりでございます。
  175. 塚田大願

    ○塚田大願君 この問題は、いままで国会でも非常に論議された外交問題であって、日米安保条約、地位協定の問題が論議されて、繰り返しの答弁が続いてきたわけですけれども、私どもはそれを納得しているわけではない。やはりこれは当然正当な要求だと思いますので、この基地の実態を国民に明らかにするという意味においても、こういった協定はどんどん発表すべきだし、そうしてこういう基地は本来ないことが一番けっこうなんですから、そういう方向に進めなければいけないと思うのですけれども、この問題をここでやっておりましても時間をたいへん空費しますので、この問題は一応保留しておきまして、次に具体的な問題で聞きたいと思うのです。  横浜の米軍戦車の輸送問題は、もう大体新聞でいろいろ報道されておりますので、これはもう大体はっきりしたと思うのですが、こういったケース日本国じゅうにあるんじゃないかということを私どもは非常に憂えるのですね。たまたま横浜の場合には、こういうように摘発をされた。しかし、米軍の基地というのは日本国じゅうにあるわけでありますから、そこの基地では、みんないままでどんなに地域の人たちが苦んできたか、これは数々あると思うのですね。特に沖繩なんかはその代表的な例だろうと思うのですけれども、そういう一般論は別としまして、私がきょうここでお聞きをしたいのは次の問題です。  ちょうど横浜の米軍輸送と非常に似たケースでありますが、七月の十一日に静岡県の沼津の今沢海浜訓練所、つまり上陸地点ですね、アメリカの海兵隊の。上陸地点から富士演習場に米軍の戦車が、つまり今度の横浜での戦車と同じ戦車です、M48重戦車、これが十五台、トレーラーで運び込まれておるわけです。同時に火薬物が運び込まれている。これはここに写真がございますから、これは明瞭であります。こういう証拠がはっきりあります。で、このことは警察庁も建設省も御存じだと思うんですが、まず警察庁にお伺いしたいのは、この道路交通の安全確保という立場から、この七月十一日の重戦車十五台の輸送についてはどういう措置をとられたのか、まず警察庁からお伺いしたいと思います。
  176. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 七月十一日の、いま御指摘のございました戦車輸送につきましては、所轄警察署に米軍のほうから連絡がございまして、警察としてはその計画に基づいて、交通の要所に交通整理員を配置するというようなことで、一般の交通の安全をはかってきております。従来まで、その交通安全上、特に問題がございませんでした。
  177. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃ、次に建設省にお伺いします。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕  道路法というのがございますね。で、四十七条の二項というのがあるわけですな。この四十七条二項というのは、特殊なものについては、申請に基づいて通行経路、通行時間等必要な条件をつけて許可をすることができると、こういう規定がありますが、今度のM48戦車十五台が通過している国道一号線、それから国道二四六号線、ここに地図があります。この国道を通っているわけですけれども、この道路管理者である建設省ですな、具体的にはこれは静岡国道工事事務所だろうと思うのですけれども、ここにこういう申請があったのかなかったのか、それはどういうふうになっておったんでしょうか。
  178. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 申請はなかったようでございます。
  179. 塚田大願

    ○塚田大願君 申請がなかったんで黙っていたということですか、黙って通したということですか。
  180. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 事後にそういう話を聞きまして、外務省を通じまして米軍に申し入れてもらっているはずでございます。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕
  181. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまのよく聞こえなかったのですが、米軍に……。
  182. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) この事件のみならず、ほかにも例がございましたので、外務省を通じまして米軍に申し入れてもらっているはずでございます。
  183. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうすると、この場合はやっぱり米軍が無断で通過している、あるいはこの場合だけでなくて何回かそういうことをやっているということを確認していらっしゃるわけですね、そうですね。  じゃ、警察庁にもっと具体的な問題について聞きますが、政令で定めている重量をオーバーした場合、道交法五十七条三項で、この出発地点の警察署長が認めた範囲内で積載し車両を運転できることになっておりますが、この場合はどうでしょうか。七月十一日の場合は、警察はこの許可証というものを交付したんでしょうか、交付しなかったんでしょうか。
  184. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 御承知だと思いますけれども、いまの重量制限、重量の絶対的制限の問題は、道路法及びそれに基づく車両制限令の問題でございます。  それから道交法の五十七条のほうは、積載の制限の問題であり、車両が、その貨物が分割できないなどのために、車両検査証に定めてある積載重量をこえて運搬せざるを得ないというような場合には、所轄署長の許可を得てやるという仕組みになっております。ところが、米軍の車両につきましては車両法の適用がなされておりません。したがいまして、この五十七条の問題は、この当該の場合には問題にならないというふうに私ども解釈いたしております。
  185. 塚田大願

    ○塚田大願君 米軍の場合には車両法が適用できないんで、それで道交法を適用しないというのですか。
  186. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 道交法の五十七条の規定は、車両法で定められております積載重量、あるいは保安基準に基づく積載重量をこえて運転をしてはいけないというのが一項の規定でございます。ところが、貨物そのものが分割できないものであるためやむを得ずこえて運転せざるを得ないという場合には、三項で所轄署長の許可を申請する、こういう法律のたてまえになっております。で、いま申しましたように、米軍車両につきましてはわが国の道路運送車両法が適用になっていない、行政協定——地位に関する特別措置法に基づいて適用除外になっておるということでございます。その辺につきましては、運輸省のほうから御説明をすることといたします。
  187. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) 日本国とアメリカ合衆国との道路運送等の特例に関する法律の第一条第二項におきまして、米軍の車両につきましては保安基準等の適用がございませんので、重量その他については適用除外というふうな解釈であります。
  188. 塚田大願

    ○塚田大願君 いや、私が聞いているのは、アメリカの戦車それ自体ではなくて、それを運搬するトレーラーですね。トレーラーに載せて運搬しているんでしょう。それが日本のものなんですよ。だとすれば、当然あなたこれ適用しなきゃならぬでしょう。そういうことを聞いておるんです。
  189. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) いまのは米軍の車両であるトレーラーで運搬している場合の御説明をいたしたわけであります。で、日本の民間業者が米軍の委託を受けて輸送している場合には、当然道路交通法などの適用を受けるわけでございます。
  190. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこなんですよね。ですから、私、証拠を持ってきたんです。この場合、米軍のM48重戦車を運搬しているトレーラーは明らかに日本のトレーラー。で、これは盛徳海運というところの会社の所属であって、トレーラーナンバーはちゃんとこの写真にも明確に出ておりますけれども、横浜一・くの四九五一というナンバーですね。明らかに日本の民間のトレ−ラー。これを使って運んでいるわけなんです。ですから、この道路運送車両法の保安基準緩和措置に基づいて緩和措置の申請が行なわれなければならないはずなんですが、そのことについてどういうふうに許可を与えられているのかということをお聞きしたい。
  191. 飯塚良政

    説明員(飯塚良政君) ただいま先生のお話の盛徳海運のトレーラーにつきましては、東京陸運局長昭和四十四年の十月十六日付で、このトレーラーの幅、それから総重量と、それから軸重につきまして保安基準の緩和申請を受けて、許可をしております。
  192. 塚田大願

    ○塚田大願君 確かに許可がおりています。私どもも資料持っております。で、この盛徳海運ですね、このナンバーのトレーラーは四十四年十月十六日登録許可六九東陸整車第五三三号というふうになっておりまして、最大積載量は二十四トンというふうになっておりますね。その他内容についてはいろいろ条件がついておりますが、たとえば道路運送車両法に基づく保安条項五十四条二項によって保安上の制限を付し、同基準第二条、第四条及び第四条の二の適用をしない、使用上の制限速度、荷物を積んで時速二十五キロ以下、空車の場合には三十キロ、こういう制限がついておりますね。運行にあたっては車両制限令と道交法を厳守しなければならない、こういうこともついておる。こういうふうな条件づきでこのトレーラーは登録されておるわけです。ところが、いま申しましたように、積載量が二十四トンですね、このトレーラーは。ところが、戦車の重量は、もう皆さまも御承知のとおり、大体私どもの調べた限りでは四十七・六トンです。M48戦車というのは、正確には。私ども正確な資料を調べて重量出したんですけれども、この正確な重量によると四十七・六トンという、つまり積載許可上の約倍のものを積んでいるわけですよ。明らかにオーバーしているわけですね。こうなりますと、これは明らかに道交法五十七条一項の違反だと私ども考えるんですけれども、その点はどうですか。
  193. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 先生の御指摘のように、いま伺いまして、それ明らかに道交法違反であると私どもも思います。したがいまして、至急実情の調査をいたしたいと思っております。
  194. 塚田大願

    ○塚田大願君 で、この道交法の違反の場合罰則がございますね、道交法百十九条第一項で三カ月以下の懲役または三万円以下の罰金と、こういうふうに相当きびしい罰則がついておるわけですね。ですから、違反だというふうに認められるならば、この問題はやっぱりもっとはっきりひとつ追及していただかなければならないと思うんですよ。やっぱり野放しにしておくんじゃこれはもう無制限になりますので、その点を要望しておきたいと思うんです。  そこで警察にお伺いしたいんです。警察はこれだけの違反をどうしていままで見過してこられたのか、警察としてはどういうふうにこの問題をお考えになっておるかですね。
  195. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 従来からおそらく慣例的に行なわれておったということがおもな原因じゃなかろうかと私思います。
  196. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまのトレーラーの使用上の制限というものの中で、時速二十五キロと書いてあるんですね。ところが、現地の方々の話によりますと、この種のトレーラーというものはものすごいスピードだそうですね。大体普通の自動車と同じ速度で走るというんです。だとすると、大体四、五十キロでしょうか。あるいは五、六十キロでしょうか。せいぜいゆっくり走って四十キロくらいだと、こういうんですね。で、こういうスピード違反、これもまあ規則違反ですけれども、やっぱりこういう事実、このスピードなんかについても警察はつかんでいらっしゃるでしょうか。この横浜の場合でも、これがやっぱり問題になりました。スピードは出すわ、赤信号は無視するわというふうなことで、ずいぶん問題になりました。やっぱりここの場合でも、そういう制限などは無視してやっておると、これはやっぱり国内法無視の重大な違反だと思うんですが、この辺の実態を警察庁はどういうふうにつかんでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  197. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) おそらく行政庁間の連絡もよくなかったんだと思いますけれども、いまのかりに二十五キロが条件であるとすれば、陸運局のほうで付した条件の内容が警察の第一線に十分連絡されてないということで、その条件のあることを、存在を知らなかったということではなかろうかと思います。自今、そういうことで陸運当局のほうで条件を付した場合に、特認をした場合に、十分警察のほうにも連絡をとっていただくというようなことで、そういう事態が起こらないようにやっていきたいと思います。
  198. 塚田大願

    ○塚田大願君 しかも、このばかでかい重戦車を積んだトレーラーが走っている国道二四六号線でありますか、これはもう非常に狭い道なんですね。車道幅が全部で七・五メートル、ですから片側が三・七五メートルというもうほんとうに狭い道なんですね。そこへ道幅一ぱいに——ここに写真がちょうど出ています、ほとんど一ぱいですね。道路一ぱいに戦車が走っている、こういう実態なんですね。ですから、私はもう非常にこれは危険で、地元の方々にはもうほんとうに戦々恐々としていらっしゃると。しかも、この戦車はたまに来るんでなくて、月に一、二回は——もうしょっちゅう通るんですからね、御承知のとおり富士市に出かけますから。ですから、こういう危険なしろものの通行というものは、私はこの国道二四六号線の場合には禁止してしかるべきではないかと思うんですが、どうでしょうか。局長、この写真もちょっと見てください。こういう状態なんです。
  199. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 確かに道幅一ぱいに走っている写真のようでございますし、ここの当該道路を通っているほかの車両、あるいは歩行者、自転車に乗っている人たちの交通の安全を十分配意して通行を認めるという方向で検討すべきものと考えております。
  200. 塚田大願

    ○塚田大願君 それだけではやっぱり問題が解決しないんで、そういう狭いところで違反だらけの戦車、トレーラーが走っていると、これはやっぱりもうちっと知恵を出して、そういう危険な道は通らなくても済むように私は対案を考えるべきだと思うんですね。そうでなければ、通行人や自転車などの安全と言っても、実際問題としてはなかなかうまくいかないんじゃないかと思います。まあ警察庁についてはだいぶ御質問をしましたので、次は建設省にお伺いします。  いま申しました国道二四六号線に黄瀬川という川が通ってますね。この黄瀬川にかかっている橋が寿橋と、こういう橋ですが、この寿橋を通って戦車が練習場に行っているわけですけれども、この寿橋というのは何年につくられた橋なのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
  201. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 昭和二十七年だと聞いております。
  202. 塚田大願

    ○塚田大願君 私のほうの調べによりますと、この寿橋は昭和二十九年に架設ということになっております。まあいま二十七年とおっしゃったのは、これはたいした違いでもありませんからけっこうですが、実はいま局長のおっしゃった昭和二十七年ということにして、二十七年といいますと、これはどういう橋の設計の基準があった時代でございますか。
  203. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) その当時の橋でございますと、昭和十四年の設計示方書に従って設計されていると思います。
  204. 塚田大願

    ○塚田大願君 そのとおりだと思います。このいま実施されておる鋼道路橋設計示方書というのは、これは昭和三十一年にできたものですから、その前の昭和二十七年と申しますと、いまおっしゃったような昭和十四年二月にできた鋼道路橋設計示方書案というものに基づいてつくられたはずですね。そうしますと、これは国道ですから、この橋は一等橋の場合に何トンの車両が通ってもいいということになっておったんでしょうか。
  205. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 古い示方書でございますので、詳しくは覚えておりませんが、たぶん十三トン橋じゃないかと思います。
  206. 塚田大願

    ○塚田大願君 そのとおりだと思います。府県道以下の二等橋の場合には九トンと、一等橋の場合には十三トンというのが当時の設計示方書案だったと思います。  ところが、それが、その十三トンで設計された橋をいま走っているそのトレーラー、戦車を含めますと八十一・八トンですよ。十三トンのキャパシティしかない橋に八十一トンといいますと、これは六・三倍になりますか、まあとにかく六倍以上になるわけです。こういう重い車両が走ってるんですが、こういうむちゃくちゃなことが許されていいのかどうか。これは常識から言っても私はあんまりむちゃくちゃだと思うんですけれども、十三トンの橋に八十一・八トンというものが走る。これで私は建設省にお伺いしたいんだけれども、そんな無謀なことをどうして黙っておられたのか、これはもう即刻やっぱり通行禁止をすべきではないか。横浜の場合には、あの村雨橋のキャパシティが四十六トンぐらいですか、それに六十何トンがかかってきたというのでストップ食ったんですが、この場合にはそれどころじゃないわけですよ、もう全然問題にならない数字ですから。この点で、私はまあ当然横浜市がやったからというんではありません。当然建設省としては、この橋梁を守るという立場から、道路を守るという立場から、私はこれは直ちに米軍の通行の禁止を申し入れてしかるべきではないかと思うんですが、その点はどうですか。
  207. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ちょっとその前に、設計荷重と通過できる可能性について若干補足さしていただきます。  設計荷重十三トンと申しますのは、十三トン以上の車は通れないということじゃございません。一つの橋に十三トンのトラック——普通のトラックでございますが、車軸間隔や軸荷重によって違いますけれども、十三トンの車がベタに載せまして、しかも往復ベタに載せて設計されておるわけでございます。したがいまして、たとえば十三トン以上の車を通したい場合には、特別に——今度の場合二十トンでございますが、二十トン以上のものを通してもらいたい場合には、そういう特別に申請いたしますと、たとえばこれは一台でしたら十分通れるわけです。たとえば四十トンのクラスでも四十五トンクラスでも通れるわけです。橋というものはそういうふうに設計されております。しかもその中に、橋を設計するときに個々に、たとえば材料、鉄の場合は鉄、コンクリートの場合はコンクリートで、それぞれに安全率を持っておりますし、設計の際の安全率でございますが、それらがダブルにも、二重にも三重にも重なりますので、かなりの荷重まで通せるのが実情でございます。したがいまして、ただいまのように、十三トンの橋であるから、それが六十となればだめだというわけではございませんので、その点お含みいただきたいと思います。これは個々の橋につきまして、それぞれのメンバー、部材ごとにチェックいたしまして、何トンまで通せるかをチェックした結果判断するものでございます。  ただ、後半の御質問でございますように、これを禁止すべきじゃないかということでございますが、われわれの立場といたしましては、米軍から正式に要請があった場合には、これをチェックいたしまして、もし通れるならば許可する方針でございます。
  208. 塚田大願

    ○塚田大願君 最初の問題ですが、いま局長がおっしゃったように、それは確かにいろいろ設計の場合の安全率もあるし、それから通るときの状況とか、いろいろあるでしょう。車両の形もあるでしょうし、長いのや細いのや短いのもあるでしょうから、いろいろあって、それはそのときそのときの具体的な条件で審査をして調べてやるということだろうと思うんですが、それはわかります。わかりますが、とにかく昭和二十七年につくったその古い橋にこんなに重い戦車が乗っかっていて、これでとにかく——それはいろいろ橋というものはこういうものなんだからといったところで、いまのわれわれの一般常識からいっては、これはちょっと納得できないと思うんですね。六・何倍という、ちょっとそれは二倍ぐらいになったと、あるいは三倍ぐらいになったというんだったら、十三トンが三十トンになっても、まだそのぐらいなら何とかなるということは言えるかもしれないけれども、八十一トン以上のものがかかってくる。それでかりに橋が落ちなくても、何らかの形で橋が破損されていっていると、何かのときに大きな事故が起きるということだって考えられるんで、これはもうちょっと、その辺はあんまりのんきなことを言っていないで、私はもっとシビアに考えるべきではないか。つまり、国民の命と暮らしを守るという観点から立てば、そういう点は相当きびしくやるべきだし、また事実、たとえば民間のトラックが重量をオーバーしたなんというときは相当きびしくやられる。ところが、アメリカの場合には、何回も通っていても、申請がなかったからいままではほっておいたんだと、今度申請があったら規制しますと、これでは私はやっぱりほんとうの態度ではないんじゃないか。建設省とすれば、やっぱり道路はあくまでも守り、そうしてほんとうに国民の暮らしに役立つようなものにするという積極的な前向きの姿勢がなければならないので、そういう意味では、遠慮会釈なく、申請があったらじゃなくて、どんどんとって、そしてやっぱり調べた上でやる、これがあたりまえのことだと思うのですが、とにかく私どもとしては、非常に危険な状態だ。したがって、これは直ちに通行は禁止して、そして十分に調べた上で次の対策を考えても決しておそくはないんじゃないかというふうに考えるのですが、その点もう一回ひとつ所見をお聞きしたいと思います。
  209. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 御指摘のとおりでございまして、申請がありましたら、それぞれ個々のものについては、われわれがチェックいたしまして、しかし米軍は通して日本の車は通さぬということではございません。たとえば、ある橋が何トンまで通れるということになれば、日本の車もアメリカの車も同じでございます。ただ、ここでちょっと御注意申し上げたいのは、大事な重量のものを通しますというと、それだけ橋の寿命が短くなります。それをわれわれ非常に心配しておりますわけでございます。できれば規定のものを通したいということでございます。従来米軍側は何らの申請がなく行なわれたようでございますが、これらにつきましては、六月の上旬に外務省を通しまして米軍に申し入れていただいております。今後はそういうことはないんじゃないかとわれわれは期待しておる次第でございます。
  210. 塚田大願

    ○塚田大願君 時間もまいりましたので、きょうはこの辺で打ち切りたいと思いますが、まだまだいろいろお聞きしたいとは思うのです。たとえば山梨県の忍野村、例の北富士演習場ですが、前からずいぶん地元で問題になっておる忍野村ですけれども、ここでも最近返還された県有地の中を米軍戦車がやっぱり演習場を往復しでおる。村民の方々が、県有地を無断で通行する、けしからぬじゃないかといって、いろいろ陳情されたり何かしておる例もございます。そういうのをあげれば、私はもうずいぶんあるんじゃないかと思うんですね。特に、いままでの米軍の態度を見ますと、非常に傲慢無礼で、とにかく違反はあたりまえみたいな態度でやっておる。それをまた黙認していた日本政府に、やっぱり同じような責任があると思うんですけれども、今度の横浜の問題で、ああいうやっぱり国会でも問題になるところは問題になったんですが、米軍は何か報復措置すら考えているみたいな報道が一部にございますが、それほど米軍というのは、日本国民を侮辱をして、もう不法の限りを尽くしていると言っても私は差しつかえないと思うので、そういう点で今度の横浜の問題は非常に重要な教訓だったと思うんです。そういう観点から、ひとつ政府も今後そういう点ではよりきびしく取り締まっていただきたい、このことを要望しまして、私の質問を終わります。
  211. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 本日の質疑は一応この程度にとどめます。  次回の委員会は明十日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会