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1972-10-24 第69回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月二十四日(火曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  七月十九日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     船田  譲君      長田 裕二君     大森 久司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渋谷 邦彦君     理 事                 大谷藤之助君                 津島 文治君                 辻  一彦君                 矢追 秀彦君     委 員                 江藤  智君                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                 森 元治郎君                 星野  力君    国務大臣        国 務 大 臣  中曽根康弘君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        科学技術政務次        官        藤波 孝生君        科学技術庁長官        官房長      進   淳君        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君    参考人        日本原子力産業        会議会長    松根 宗一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力開発及び安全対策に関する件)     —————————————
  2. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る七月十九日、平島敏夫君及び長田裕二君が委員を辞任され、その補欠として船田譲君及び大森久司君が選任されました。     —————————————
  3. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 委員異動に伴い、理事が一名欠けておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事大谷藤之助君を指名いたします。     —————————————
  5. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日、日本原子力産業会議会長松根宗一君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。矢追秀彦君。
  9. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 渋谷委員長津島理事と私矢追の三名は、宇宙開発実情調査のため、去る八月三、十日から九月一日までの三日間、東京大学鹿児島宇宙空間観測所宇宙開発事業団種子島宇宙センターを視察してまいりましたので、以下、私どもの受けました印象を交えながら、その概要を御報告いたします。  今年度八、九月期に東大事業団が行ないましたロケット打ち上げ実験は、東大が第二号科学衛星を目ざすM4S14号機など三機、事業団Nロケットの第二段液体ロケット開発のためのエンジン性能試験及び制御系機能試験目的とするLSC16号機ほか五機でありまして、東大の第二号科学衛星は八月十九日予定どおり軌道に乗り、「でんぱ」と名づけられましたことは、まだ記憶に新しいことと思います。ところが、この「でんぱ」が観測わずか三日目にして、衛星内部電源系統故障から送信不能となってしまい、関係者を大いにあわてさせたのでありますが、ちょうど時を同じくして、NHKと電々公社米国NASAに依頼して、それぞれ国内用放送通信衛星を打ち上げる計画のあることを発表し、わが国宇宙開発計画に大きな波紋を投げかけたのであります。しかも、後ほど詳しく御報告いたしますが、LSCロケットの打ち上げが、漁船のデモで延期せざるを得なくなるという事態まで発生し、この八月はわが国宇宙開発のかかえている問題点が一度に明るみに出て、そのあり方、進め方について再検討を迫られるという緊張した情勢にありました。かつて昭和四十一、二年頃東大の「日の丸衛星」のたび重なる打ち上げ失敗の反省から、現在の一元的な体制に拡充強化されて数年を経ましたが、何かことしがまた一つの曲がり角に差しかかっているような気がいたします。  さて、故障を起こした「でんぱ」については、電波指令を送って回復につとめているとのことでありましたが、指令のきかないところもあって、これをいかに回復するかが当面の課題と思われます。がしかし、今回の事故が一部の新聞に報道されておりましたように、初歩的な製作ミスによるものであったとすれば、それは東大宇宙航空研究所にとってばかりでなく、しいては、わが国宇宙開発そのものに対して国民の不信を買う結果にもなりますので、衛星打ち上げには、信頼性工学十分意を用いて慎重に取り組む姿勢が必要と思います。もちろん、そのためには資金面人材面での国家の手厚い助成が必要でありましょう。このことは東大宇宙航空研究所玉木所長からも強く要望されたところでありますので、ぜひその実現方科学技術庁に要請いたしておきます。ただ十年の歳月と七十数億円の建設費を投じた諸施設は、山地を切り開いて立体的に配置され、それが前面に広がる太平洋の青い海原と一体となって、遠隔地という不便さを除けば、まことに申し分のないもののように思えました。  東大科学衛星は、引き続き第六号衛星まで計画されておりますが、今後は事業団を含め打ち上げ機数も増大するでありましょうから、危険海域を航行する船舶の安全を確保することが重要な課題となるものと思われます。  一方、宇宙開発事業団は、昭和五十二年度までに重さ百キログラムの静止衛星軌道に乗せることを目ざしてNロケット開発に取り組んでおりますが、先ほども申し上げましたごとく、実用衛星利用者であるNHK電電公社Nロケット開発が待ち切れず、五十一年度に重さ二百ないし三百キログラムの放送通信衛星の打ち上げをNASAに依頼したいとの意向を明らかにし、Nロケット開発の意義を否定するがごとき態度に出たのであります。  もちろん、この計画郵政大臣が指摘するように、一年を争うために不当な負担を国民にしいるもので、とうてい容認し得ないものではありますが、わが国宇宙開発計画が確たる見通しを持たないところにも原因があるのではないでしょうか。したがって、NHK電電公社を一方的に批判し、これをいま進められている現行計画の改定を両者にとって有利なものにするための単なるアドバルーンとみるのではなく、この種の計画が蘇生するわが国宇宙開発体質にメスを当てるとともに、開発スケジュールのスピードアップについても真剣に検討する必要があると思います。  さて、今回の私ども調査目的一つの柱でありましたLSCロケットの打ち上げ実験は、ロケット打ち上げと全く関係のない漁協間の争い原因で打ち上げができませんでした。延期による損害はおよそ二百数十万円とのことでありますが、金銭的なことはともかくとして、この日の打ち上げに備えてなされた多くの関係者の努力が、漁民の不当な行為によって、いとも簡単に打ち砕かれてしまうということに、言いようのない怒りを覚えたのであります。原子力発電所公害企業建設に、地域住民反対運動が今日では日常化しております。もちろん、そのことは地域住民の当然の権利として十分尊重されねばなりませんが、今回の行為は、この種のものとは異なり、種子島中種子漁協と指宿市の岩本漁協との漁場争いを県が十分調整しなかったことから、中種子漁協がロケット打ち上げ危険海域に十六隻の漁船を繰り出して、示威運動に訴えたというのが実情であります。事業団としては、全くあずかり知らぬ第三者争いの犠牲になったわけで、責めは県ないし県漁連が負うべきが筋とは思いますが、ある程度予想もされていたことであり、事前に何らかの手を打つという細心の注意がほしかったと思うのです。それはかかる風潮が他の地域に波及するのを防ぐ意味からも一そう惜しまれてなりません。  私どもとしては、せっかくの機会をのがし残念とは思いましたが、ロケット打ち上げを取り巻く問題のむつかしさを知り、その意味ではたいへん参考になったと思っております。  種子島宇宙センターの施設整備は、小型ロケット発射地点である竹埼地区は別として、Nロケット打ち上げ場として予定されている大崎地区は、これから建設にかかるといった段階であります。しかし、やがてわが国宇宙開発中心がこの種子島センターに移り、Mロケットより三倍も大きい全長三十三メートルものNロケットが大空に飛び上る日が、五十年代のごく早い時期にくるであろうことを期待しております。  いずれにしても、ビッグサイエンス開発には、限られた時間と場所に巨額の費用と多くの人材とが投入されねばならず、ビッグサイエンスはそれが大きければ大きいほど効用が加速度的に増大するという性質を有するものであります。政府が宇宙開発成果に多くを期待するのであれば、予算人員などで、それ相応の措置が不可欠でありましょう。その上で、事業団がその設立の趣旨にのっとって、東大との協調をさらに深めつつ、効率的な開発につとめることが、何よりも必要なことと思います。  なお、南種子町及び南種子商工会等から、1島間港新港計画実現、2宇宙科学館建設計画実現、3関係工事地元業者への発注増などについて陳情を受けましたことを、あわせて御報告いたします。  最後になりましたが、今回の調査にあたり、お世話いただいた関係者の方々に心からお礼を申し上げ、報告を終わります。
  10. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 次に、第二班の御報告を願います。辻一彦君。
  11. 辻一彦

    辻一彦君 去る十月十一日から三日間、船田委員と私は、原子力開発実情調査のため、東京電力の福島発電所、並びに茨城県下の日本原子力発電株式会社東海発電所日本原子力研究所動力炉核燃料開発事業団大洗工学センター及び放射線医学総合研究所東海支所臨海実験場を視察してまいりました。以下、その概要を御報告いたしたいと存じます。  まず原子力発電所建設状況について申しますと、東電福島発電所は現在運転中の電気出力四十六万キロワットの一号機のほかに、七十八万キロワットの二、三、四、五号機を建設中であります。その進捗状況資金ベースで見まして、二号機は九六%完了し、来年五月から運転開始予定であり、三号機は六七%、五号機は一五%、四号機は先月から基礎掘削に入っております。原子炉は、いずれも濃縮ウランを使用する沸騰水型軽水炉でありますが、三号機以降は国産で、三号機、五号機は東芝、四号機は日立が建設に当たっております。このほか、大型出力百十万キロワットの六号機を計画し、現在、安全審査申請中であり、これが運転を開始すると、昭和五十一年末には、総出力四百七十万キロワットに達する一大原子力発電地域となるのであります。  百十万キロワット級の大型原子力発電建設計画原子力発電株式会社でも進められております。原電は、昭和四十一年、わが国で初めて、天然ウラン使用炭酸ガス冷却炉による東海発電所建設し、以来、建設運転の各段階を通じて得た貴重な経験を直接・間接に関係各界に分かち、また原子力技術者の養成も行なってまいりましたが、実用段階に入った大型軽水炉を、より完全な商業炉として実証するため、百十万キロワットの大型原子力発電設備アメリカから輸入して東海第二発電所建設計画し、現在、原子力安全専門審査会審査を経た段階にあります。  東電原電も、原子力発電所建設運転に当たっては、安全性確保環境保全、及び地域社会との協調に特に意を用いているとのことであります。安全性確保についてみますと、気体については、活性炭ホールドアップ装置を通して放射能を弱め、無害を確認してから排気筒より放出しており、液体については、洗濯水はろ過し無害を確認してから海へ流し、洗濯水以外の水は、ろ過脱塩して原子炉冷却材に再使用するか、蒸発濃縮してコンクリートで固め、ドラムカンに詰め、紙くず、ぼろ等の固体については、焼却、圧縮し、コンクリートで固め、ドラムカンに詰め、敷地内に安全に貯蔵しているとのことでした。東電福島では試運転段階から、このドラムカンが二千三百本に達しており、現在六千本から七千五百本収納できる第二貯蔵棟建設中であります。  温排水問題については、東電福島太平洋に面しており、しかも沿岸漁業に見るべきものが少なく、漁業補償によりすでに漁業権が消滅しているため問題がないとのことであります。しかしながら、これは当発電所が外洋に面しているという特性によるものであり、内海に面した原子力発電所周辺漁民並びに住民にとっては重大な問題であります。原電東海では、日本水産資源保護協会中心とする温排水利用養殖漁業計画協力しておりますが、温排水問題はその利用研究よりも、温排水拡散状態魚介類海藻等の水産物に与える影響気象条件への影響等試験研究し、その実態を把握することが急務であると存じます。  周辺地域に対する放射線については、いわゆる福島方式という管理体制が樹立しております。すなわち、発電所周辺に設けられたモニタリングポストモニタリングステーションを用いて東電側が調べた空気中の放射能測定結果と第三者機関である財団法人日本分析化学研究所による海水、土壌、魚介類、米、牛乳等採取測定の結果を年一回福島県知事報告し、知事がそれを地元住民も参加する技術連絡協議会に公表しておりますが、本年一月に、一号機原子炉臨海となった四十五年七月以降、一年間の環境放射能は、原子炉臨界前に測定した自然放射能に比べて有意差がないという測定結果を公表しております。  しかしながら、東電軽水炉米国から、原電ガス炉は英国から導入されたものであり、したがって、原子炉安全性はもとより、被曝線量推定に関しても、これら諸外国成果に依存しているのであります。自主技術開発が進み、しかも原子力発電大型化集中化が行なわれつつある今日、わが国独自の立場から、原子炉安全性を再点検し、被曝線量及び環境基準を検討し直す必要があると存じます。現に原電東海発電所では故障が多く、出力低下運転し、赤字操業であると申しており、頻発する原子炉関係事故の報道に接するとき一そうその感を深めるのであります。この意味において、原子炉事故発生時の工学的研究をしている原子力研究所人体に及ぼす放射能障害生態学的研究をしている放射線医学総合研究所に期待するところが大きいのであります。  原研では、軽水炉冷却材喪失事故が発生してから燃料が溶けるまでの事故現象を把握する模擬実験、すなわち、ローザ計画を過去一年間実施して、外国にも誇り得る貴重なデータを集積しているとのことですが、昨年来問題となった緊急冷却水事故については、諸外国に比べて著しく研究が立ちおくれており、来年度からようやく詳しいデータを得るためローザ第二計画を進める予定とのことであります。  放医研東海臨海実験場では、低レベル放射性廃液による海産生物への放射性物質蓄積実験研究及びこれらの海水生物を通じて沿岸住民国民全般が受けるかもしれない被曝線量推定に関する調査を行なっておりますが、来年度から研究対象を拡大し、環境レベル放射線人体に及ぼす影響について調査研究を進める方針で、隣接地に第二の実験研究棟を新築すべく予算要求をしております。  原研原子力の、放医研放射線わが国における中心的研究機関であり、これら緊要な実験研究を行なっておりますが、その成果をあげるためにも、早急に改善してほしいとして、両研究所の当事者から次の二点が要請されました。  その一つは、設備装置の更新についてであります。両研究所とも設立当時は、中心的機関として恥ずかしくない時代の先端をいく設備装置を持っておりましたが、いまでは旧式となり、大学民間に比べて見劣りしているものも多いとのことであります。  第二点は、研究技術者確保の問題であります。およそ、この種の試験研究機関においては、一年間に定員の五%程度、新しい研究技術者を採用し、新旧の研究員が切磋琢磨してゆかなければ、時代を先取りするような研究成果を望むことがむずかしく、それゆえ、試験研究機関に対しては定員法の適用を除外してほしいとのことでありました。  原子力発電に関する最も重要な実験研究を行なっている両研究所に対しては、国は十分な予算人員を割り当て、その成果を最大限にあげられるよう措置すべきであると存じます。  次に新しい動力炉開発状況について申し述べます。  現在、わが国実用化されている発電用原子炉の主流を占めているのは、濃縮ウランを使用する米国型の軽水炉でありますが、長い将来にわたって、これのみに依存するのは燃料経済上得策ではなく、新しい動力炉自主開発することが必要とされております。この要請に応ずるため、動燃事業団では、夢の原子炉といわれる高速増殖炉と既存の沸騰水型軽水炉燃料効率を高める新型転換炉開発に総力を結集しております。  大洗工学センターでは、四十九年臨界目標高速増殖炉実験炉常陽」の建設が進められておりますが、開発要素が非常に多く、各種の試験研究を行なっております。一例をあげますと、高速炉安全試験施設では、実験的に蒸気発生器伝熱管を破断し、実際に冷却材のナトリウムと水を反応させる等、事故発生具体的現象の究明につとめております。また原研でも、高速炉臨界実験装置を用いて関連実験を行なっており、これらの成果と「常陽」の運転経験を生かし、四十九年から原型炉「もんじゅ」の建設に入る予定とのことであります。  新型転換炉については、動燃事業団が四十五年から敦賀に原型炉「ふげん」の建設を進めておりますが、大洗工学センターでは重水臨界実験及び安全性試験を行なっており、昭和五十年、臨界目標としております。  このほか原研では、発電のみならず、製鉄や化学工業の熱源として、さらには海水淡水化地域暖房などに利用する多目的高温ガス炉研究開発に取り組んでおります。すなわち、原子炉出口ガス温度が千度に達することを目標に、高温に耐える燃料や材料の研究中心として進められており、実験炉予備設計も三段階を終了しております。  さらにまた、核融合研究開発も進めております。原研では、炉心の超高温プラズマを閉じ込めるトーラス磁場装置開発を、原子力特定総合研究として推進しております。わが国核融合研究は、大学及び民間企業における技術開発協力のもとに進められており、プラズマ物理的研究の質、核融合装置製作技術の点では世界一流のものを持っているとのことであります。現在では、原理的には可能であることが明らかであり、今世紀中には核融合炉実用化されると考えられております。もちろんそれには、現在研究開発中の米・ソ・独・仏・伊と技術協力をしてゆかねばなりませんが、その交換技術自主開発するためにも、約一兆円の研究開発費が必要とのことであります。しかし、これも二十年に分割すれば年五百億円であり、今日のわが国経済力からして支出不可能な金額ではなく、要は国の原子力政策の問題であると申しておりました。  外国技術導入に依存して始まったわが国原子力発電も、実用化段階を経て、大型化集中化の傾向にあります。一方、この間の貴重な経験から自主技術開発も進み、人材も養成されました。今後、わが国としては、国土狭小、高人口密度エネルギー資源の貧困という特性を考慮し、自主技術開発につとめ、原子炉安全性確保環境保全に関する実験研究重点を置き、安全にして燃料効率のよい原子炉研究開発につとめるべきであり、それには原子力基本法の民主、自主、公開の原則に基づき、平和利用に徹することが肝要と存じます。  以上をもって報告を終わります。
  12. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいまの報告に対し、御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止
  13. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 速記を起こして。     —————————————
  14. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) この際参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日はたいへん御多忙のところ、原子力問題に関しまして本委員会に御出席をいただきましたことを心から御礼申し上げます。ありがとうございました。  なお、御意見の聴取につきましては、質疑応答の形式で行ないたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、調査について御質疑のおありの方は順次発言を願います。
  15. 辻一彦

    辻一彦君 私最初中曽根長官科学技術の最高の責任者としての姿勢といいますか、そういう点で若干の質問をいたしたいのでありますが、まだ時間的に見えないそうでありますので、参考人の方においでいただいておりますから、二、三お伺いをいたしたいと思います。  まず松根参考人にお伺いをいたしたいと思います。松根さんは、三月二十三日原子力産業会議で、日本原子力委員会が信用が非常に低下をしている。アメリカ原子力委員会を見習って体質を変える必要がある、こういう問題を提起されて、その点私もたいへん同感でございます。そこで、アメリカ原子力委員会いわゆるAECがどういう方向を目ざしておるのか、またそれに比べて日本原子力委員会の欠けている点はどういう点にあるのか、こういう点についてひとつお願いをいたしたいと思います。
  16. 松根宗一

    参考人松根宗一君) 私、原子力産業会議の副会長をいたしております松根でございます。私、日本原子力を取り扱い出しましてから十七、八年になると思いますが、最初からこの仕事にタッチしておりましてずっと経過を見ておりますのですが、たいへん後進の国としては順調に今日まできておると思うのでありますが、最初の国際的なエネルギー事情、特に日本エネルギー事情が非常にむずかしくなってきましただけに、この発電につきましては今後非常に原子力発電重点を置かなければ解決ができないという見通しを私どもは持っておるわけでございます。  これに対しまして、日本体制が必ずしもそれに、当初つくっただけのものでありますので応じていない、適当でないという感じを二、三持っておりますのでございますが、そのうちの一つは、いま御指摘のありました日本原子力委員会と申しますか、そのあり方という問題につきまして、この段階にきますともう一ぺんひとつ考え直さなければいかぬのじゃないかという点でございます。  これは原子力発電建設しますについて立地が非常にむずかしくなってきたと。これはどういうことかといいますと、原子力発電というものに対する安全——危険ではないかという一つ地元の感じ方、あるいはこれが環境問題として、あるいは放射能の問題、あるいは温排水の問題等々、地元のほうから申しますと、いろいろそういうことに対する危惧の念が非常に根本になりまして、原子力発電立地が非常にむずかしくなってきたというふうに私どもは見ておるのでございます。この安全性環境の問題と申しますのは、企業者、つまり民間側で幾らだいじょうぶだといってもこれはなかなか一般の方の了解を求めることはむずかしい問題でございます。したがいまして、これについての政府の担当機関が、これはだいじょうぶなんである、これはこういうふうにやればいいんだという一つの考え方が出てまいりませんとなかなか解決がむずかしい。それで今日までの原子力委員会の経過を見ておりますと、何ぶん初期のことでありましただけに、原子力発電あるいは原子力事業の開発の促進ということと、この原子力の安全あるいは環境に対する規制、配慮というものが一つのところでやっておるというのが日本の現状であります。私、これでは原子力委員会がりっぱな意見を出されても、とかくこれはそのとおりに信用されない。言いかえますと、政府の一つの結論に対する信頼性というものが私は少し薄くなっているんじゃないかということに気づくのであります。  そこで私は、三月の原産会議で申し上げましたことは、この段階までまいりまして、開発が非常に急テンポで進むという段階においては、やはり監視、規制の面を受け持つ役所と開発を推進する役所というものを主体を別にして推進することが私は適当であるということを考えまして、その意味において、まず、これからだんだんふえてまいります原子力発電開発の問題については、本来通産省が担当すべき問題でありますので、これはひとつぜひ通産省が重点を置いてこれをやってもらいたい。そうして、安全問題あるいは環境問題その他のこれに対するいろいろ民間から不信を持つような問題は、これはひとつ原子力委員会中心になってやる。  と同時に、やはり原子力というものは新しい技術開発でございますので、いろんな大きな将来に対する技術開発も必要であります。これは先ほども報告がありましたように、国のプロジェクトとしての新しい高速炉とか、あるいはウラン濃縮の問題であるとかその他廃棄物処理の問題等々、これから研究をしていかなければならない問題がたくさんございます。そういう意味の大きな研究と、そうしていまの商業的な発電設備をつくるに伴う環境あるいは安全問題についての規制、基準、そういうものはひとつ原子力委員会中心になってやられればいいじゃないかということをたびたび申し上げまして、順次そういうふうにいま政府の考えが向いておるように承知しておりますが、そういう意味において原子力委員会は実際の開発からはひとつ手を引く、あとは通産省にまかせるということにして、全力をあげて、先ほど申した大きな研究開発の問題、あるいは一面には安全の問題、環境問題について力をひとつやるべきであるということをいろいろ産業会議としても要望を申し上げたのでございますが、私どもが考えております基本的なものの考え方というのは以上のとおりでございます。
  17. 辻一彦

    辻一彦君 それでは続いて、いまのお話だと、開発の促進は通産省、安全環境やそれから研究原子力委、こういうことでありまして、ちょっと論議があるのでありますが、そのことは別として、続きとして私は次の点を伺いたい。  それは、原産会議からこういう要望書が政府のほうとそれからわれわれの委員会のほうに、委員長に出されております。そこでこの要点を見ますと、一つ環境審査会を新設しよう、いままでの原子力炉安全専門審査会と並んで環境審査会を新設しよう、そして原子力委は環境も含めてその責任を持て、こういう点が一つですね。それからもう一つは、住民の意見を反映するために公聴会を開催することを考慮しよう。こういう二つがあるように私思うんです。こういう問題はかねてから私たちが強く主張しておった点でもあろうと思うんですが、これについて、時間の点もございますのでごく要点でこの考え方を聞かしていただきたい。  それからあわせて、この中に新しい状況に合わせて基準を変えるべきである、こういっておりますね。この点について、これはまあわが国のほうで安全と距離という概念が初めからないということ、それから、たとえばからだの線量、許容線量といいますか、百万レムに対して二百万レムというむしろ甘い線量ですね、基準として立地基準に入れている。こういう点で問題点をかねがね感じておるんですが、これについて審査基準の独立機関を持って検討すると言われるそういう基準はどういうことをお考えになっておるか。時間の点もありますから、要点だけ松根参考人にお伺いいたしておきます。
  18. 松根宗一

    参考人松根宗一君) いまの御質問にお答えします。  いま、私どもが申しました原子力委員会中心とする安全あるいは環境問題に対する体制の強化ということについて、目新しいこととしては、環境委員会を新設すること、あるいは新しい基準をきめていくことというような点についての御質問と承りましたが、もともと、安全審査そのものの私ども実際を見ておりますと、必ずしもこれは強力と言えない、もっとこれは常勤の人もふやし、また場合によれば原子力委員会の人もそれに直接参加して、そうしてこれをもっと強い形のものをつくらなければ、いまの体制では不十分であるということを、一つ安全審査の問題について申し上げておるのであります。  それから、この立地の問題に関しましては、安全あるいはエアポリューションというだけではなかなか解決しませんので、やはりその土地の環境に対するいろんな問題、これを解決しないと地元との話し合いができません。日本の組織を見ますと、環境環境庁、原子力原子力委員会と、こういうふうに分かれて一つの問題に決着をつけようということが、私非常にこの問題をむずかしくしておる。むしろ一緒になってやっていくことが必要じゃないかという意味におきまして、環境審査委員会というものをひとつ新しくつくりまして、原子力立地をきめますについての全部の問題をそこでつぶしていく。ことに、御承知のように、原子力発電所の規模というものがだんだん大型化してまいります。したがいまして、問題もそれだけ大きくなるわけでありますが、それをばらばらの、役所が違うからこれは環境庁へ行って聞きなさい、これは原子力委のところへ行って聞きなさいというやり方では、とうてい私はこの問題は解決しないと思うので、特に新しく環境委員会というものをつくって、その地域ごとの環境問題をそこで解決していくということが必要だろうと思います。  なお、御質問の中に抜けておりましたが、大事なことは、安全問題につきましては、これを審査するに必要なる研究開発というものが当然起こってくるわけであります。これもぜひ力を入れてやってもらいたいということがつけ加えてあります。  環境委員会の問題はそういう意味でございますが、なお基準の問題についてお話がございましたが、公害基準というものは、原子力に限らず、その中身は、実は新しく出てきた環境汚染の原因というものがたくさんございます。したがいまして、それがどれだけあればどういう影響があるかというようなこと、たとえば石油の硫黄の問題にしましても、あるいは窒化物の問題にしましても、これも実は発生の原因すらまだはっきりしてない。したがいまして、その出てきたものがどういう影響を与えるかということにつきましては、まだ非常によくわかっていない。原子力も同じような一つの傾向を持っております。もともと原子力というものは、原爆を先祖として発生しただけに、非常にいろんな危険を含んでいようということが予想されておりましたので、石油燃料に比較しましては、非常にたくさんの安全性、公害問題についての研究と、それに対する対応策というものが講じられておる設備なのでございますが、それでもなお、私は、放射能の濃度にいたしましても、できるだけそれを小さくしていくということが望ましい。したがいまして、これは、生物学的な研究ももちろんこれに伴って必要でありますが、そういう、一方で研究開発をしながらできるだけ小さくしていく、ゼロにすることが一番望ましいのでありますが、これは、必ずしもそこまでいかなくとも、どこまでやれば害がないかということは——なるべく少ないにこしたことはない。したがいまして、当初は非常に高い一つの基準で、これくらいでよかろうと言っておったものも、だんだん研究した結果、もっと下げなければいけない、先ほどのお話に出ました放射能の問題もそういう問題でありますが、そういう問題を、ただ外国の例を見てうろうろしておるということではいけない。と申しますのは、アメリカやカナダと違いまして国土の狭いこの過密な日本でございますから、よほど、そういう公害に対する基準というものも日本並みの考え方でいく。それにはどういう一つの基準が正しいか、ここまでやっておけばだいじょうぶだというもののひとつしっかりした根拠のあるものを考える。その安全基準あるいはそういう環境基準というものをやはり政府がこれをつくって、この程度でやればだいじょうぶであるというものを早くつくらなければいけない。これは、目標でございますのは、石油なんかにつきまして、SO2の含有量が一%半ならいいとか、あるいは一%を下らなければいけないとか、いろいろ政府に基準はあるんですよ、排出量の。しかし、実際問題として、その立地をする場合には、さらに非常にこれを上回る安全協定というようなものができておるような状態でございまして、やはりこれも、政府は、ここならだいじょうぶだということについての信頼のある基準をつくっていくということが必要だろうと思います。  以上でございます。
  19. 辻一彦

    辻一彦君 もうちょっとお伺いしたいんですけれども、時間の点もありますから、あとでまたお願いしたいと思います。  そこで、中曽根長官にいまの問題に関連して二、三お尋ねいたしたいと思います。  この八月二十九日の朝日新聞にも出ておりますし、国会のほうに出されました原産会議の「安全・環境確保のための体制整備に関する要望書」があります。いま松根参考人のほうから要点について二、三御説明をいただいたわけです。そこで私は、そのうちの二、三点だけお尋ねをしたい。  一つは、原産会議が要望するように、原子力委員会は、今後環境についての審査会を設けて、そして環境についても審査をし、責任を持つ考えがあるのかどうか、その点大臣に伺いたいと思います。
  20. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安全と環境問題に関して特に原産会議が関心を持たれてわれわれのほうへ意見具申をしたことは、お説のとおりでございます。われわれのほうといたしましては、特に原子力委員会の中にその専門部会を設置いたしまして、現在分科会において具体的に検討を進めておるわけであります。今回原子力委員選任にあたりましても、そういう放射線関係の権威である田島委員選任して入れたのも、特にそういう配慮からお願いしたわけでございますし、それから、現在の法制、行政機構でまたその仕事が十分達せられるかどうかという点も検討する必要があると思っております。そういうことも、専門部会の議論等を通じましてこれも将来の課題として検討していきたいと思っております。
  21. 辻一彦

    辻一彦君 三月の十日と三月の二十四日、本委員会において私は例として若狭湾における原子炉、特に美浜三号炉、大飯一、二号炉の安全審査にあたって、この若狭湾は夏は四百万も海水浴のお客さんが来る、そういう環境にあるということが一つ。それから京都、福井、石川等にわたるいわゆる漁場の、漁業の稚魚の生産地として重大な水産資源の場所である。この二点から非常に影響が大きい。で、環境温排水の与える影響が大きい、だから安全審査にあたってはこういう問題も審査の対象にすべきである、こういう要求をいたしました。しかし、当時の、まあ現在もそうでありますが、内田安全専門審査会長、また木内前長官は、この環境温排水の問題はいわゆる安全審査の対象外である、こういうふうにして逃げられたわけであります。その点、結局温排水の問題はどこにも審議されずにこの安全審査の結論が出た。さらに私は続いて、安全審査の結論が出たならばその次に原子力委員会が結論を出す段階がある、この間においてこういう環境温排水の問題を十分審議をすべきである。こういう要求をいたしましたら、これも有沢前原子力委員長代理によれば、安全審査の結論が出れば、あとは地元の知事とそして町長と地元の町議会の賛同があれば住民協力が得られたものと考えて、これをひとつ認めることにしているんだと、こういうお話で、たとえば具体的に環境温排水の問題がどの場においても論議をあまりされずに終わったと私は思います。もちろん環境の点では事故が起きたときにどういう放射能がどう出てくるかという、そういう計算の論議は私はあったし、その数字も見ました。しかしほんとうの意味の、周辺の環境あるいはその温排水等の問題について、十分な審査がされずに私は安全専門審査会並びに原子力委員会の結論が出たと思います。そこで、私は、この松根参考人から出ております要望書は、そういう状況の中でこの原子力開発が行なわれては非常に問題が多過ぎるから環境審査審査会を併立さしてつくるべきであると、こういう提案であると私は考えております。これについて単なる従来二月にできました環境安全専門部会の分科会程度の基準の検討程度では私は問題にならない、こう思うんですが、この点長官ひとつ重ねてお尋ねいたしたい。
  22. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 温排水の問題のとらえ方というものは角度によって違うと思うんです。おそらく安全審査委員会におきましてもヒートエクスチェンジという面からは放射能が漏れやしないか、そういう点で審査していることはあたりまえだろうと私は思います。熱交換の際のいろいろな機能や何かは技術的にもおそらく審査するでしょう。しかしいわゆる温排水問題という場合は、魚に対する影響とか、あるいは港湾に対する、海水に対する影響とか、そういう生態的なものがおもに論ぜられているんではないかと思うんです。それで、これはむしろ環境との関係において検討さるべき対象である。ですから安全と環境の部会において当然これも検討の対象となるべきものと思います。特に最近原子力発電が非常に進んでまいりますと、温排水問題と魚や海とのエコロジーの問題というものが大きな問題として登場してくる可能性もあります。そういう観点からわれわれは原子力委員会の内部において特にその点について検討をしてもらいたいと思いますし、また要すれば、いろいろそういう機構の改革とか法制の改革等についても検討してもらう必要があろうかと思います。
  23. 辻一彦

    辻一彦君 この問題については三月十日並びに二十四日に私は原子力局長に質問して答弁がありましたが、二月に設けられた環境安全専門部会はそういう審査はやらない、いろんな基準をつくったり検討はするが審査はしないということを三月に言明がありましたが、その後方針が変わったのかどうか、それをひとつ御答弁願いたい。
  24. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) いま原子力委員会の下部機構としてやっておりますところの環境安全専門部会は、個々の発電所環境審査、個々のケースはやらない、そうして一般的な問題をやっておるわけでございます。先ほど大臣からお話がありましたように、いまこの原産から出ておる環境専門審査会をつくったらどうかという要望に対しては、いま原子力委員会で十分検討中でありまして、おそらく——まあ御承知のように、温排水については環境庁の法律的な水質汚濁防止法の体系で規制する基準をつくる体系になっておりますが、いま環境庁のほうで基準ができてないわけでございます。むしろ実態調査中でありまして、そういう意味で、原子炉安全専門審査会と同じように審査会という形になるかどうか。基準がまだできておりませんので、個々の申請の場合には環境関係データを申請者からいろいろ取って、原子力委員会の下部機構として環境調査専門部会——これはまだ名前はきまっておりませんが——そういう形の機構をつくって、ケース・バイ・ケースの場合の環境についていろいろ調査、検討するというかっこうになるんじゃないか。そうして、環境庁等の法律的な基準ができますと、これが原子炉の場合と同じように、審査会という形にかえて、その法的な基準を十分守っているかどうかという審査の、審査会の形になると思いますが、いま委員会で検討中でありますが、おそらくケース・バイ・ケースの問題は専門部会、調査専門部会という形に当分はなるんではないかというふうに考えております。
  25. 辻一彦

    辻一彦君 若干いまの答弁でその関係がわかったわけですが、長官の御答弁では、個々に、この温排水等も含めて環境の問題は環境安全専門部会でやることになるだろうと、こういうような方向が出たわけですね。で、局長のほうでは、これは一般論としてやっているが、個々にはいままではやらなかったと、しかしこれから環境調査専門部会というものをつくってそこで環境を含めて原子力委員会審査に当たると、こういうふうに確認してよろしいですか。
  26. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) まだその点は決定しているわけじゃありませんが、まあ環境調査専門部会というのを原子力委員会につくる方向で検討しております。ただ、そのつくることにつきましては、一般的な審議をやっておりますところの環境安全専門部会の総合部会等に十分相談をして、そうしてどういう形でつくったらいいか、相談する予定になっております。
  27. 辻一彦

    辻一彦君 それは、一体、機構上の位置づけという点になると、どういうことになりますか。ごく平易に、この位置づけをきちっとひとつお願いしたい。
  28. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 原子力委員会の下部機構としていろいろな専門部会を法令上つくることになっておりますので、その法令に基づくところの専門部会の一つの形である、そういうふうに考えております。
  29. 辻一彦

    辻一彦君 ということは、原子力委員会環境問題についても最終的に審査をして責任を持つと、こういうように、長官、理解していいですか。
  30. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど、私の答弁の中に少し混濁したところがございまして、個々の申請に対する審査会とそれから原子力委員会の下部機構としての専門部会と混同しておりました。私の混濁でございます。局長の答弁したとおりでございます。私、やはり個々の審査が出てきたという場合には、審査会においていろいろ安全性その他を当然審査して、個々の問題について検討を加える。その場合には安全性というものとそれからヒートエクスチェンジ、そういうような場合にやはり温排水の問題もひっからんでくるから、そういう意味では大綱にもなる。ただ、この温排水海水やあるいは魚類等に及ぼす影響、つまり生態的な問題というものは、これは、将来大きな問題としてわれわれはもう少し研究を深めていかなければならぬ要素がある、そういうふうに思っておると申し上げまして、その点については、原子力委員会の専門部会におきましても将来そういう必要が出ると私たちも予想されますので、事態に応じてそういう部会をつくって、環境関係をよく確認していくということも必要であると考えております。
  31. 辻一彦

    辻一彦君 その確認するということがちょっと私はわからないのだが、環境専門部会ができて、そこで温排水を含んだ環境問題について審議をして、その結論を原子力委員会報告をして、原子力委員会環境についての責任を持つのか。単に確認をするというのでは、非常にあいまいである。その点、もう一度。
  32. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) それは、局長が申し上げましたように、まずその基準をつくることが大事で、この点については環境庁の作業及びわがほうとの合同作業という問題があると思います。そういう基準ができましたら、その基準にのっとって、その環境基準に合うかどうかということを原子力委員会のしかるべき部局においてこれを精査する、そうして、その点について責任を持つということは、必要であると思います。
  33. 辻一彦

    辻一彦君 そうすれば、前に木内長官は私の質問に対して、温排水環境の問題はどっかほかでやってもらわにゃいかぬ、何もかも原子力委員会に持ち込まれては困ると、こういう答弁がありましたが、その方針と非常に変わって、環境問題をも含めて原子力委員会は今後検討し、責任を持たれる、こういうように確認してよろしいですか。
  34. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 将来はそういう方向に持っていきたいと思います。
  35. 辻一彦

    辻一彦君 局長にちょっとお尋ねしますが、そういう場合にどういうような専門部会に、メンバーといいますか、スタッフ、そういうものを考えられるか。あるいはこういう方向にいこうとすれば、常勤制というか、審査に当たる常勤の人が必ず必要になってくると思いますが、そこらのことは原産会議の要望書の中にも審査スタッフの常勤制ということが出ておりますが、その点の考え方はどうか、お尋ねします。
  36. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) まあ環境調査専門部会のスタッフ等については、まだ、いま構想をいろいろ委員会等で検討中でありまして、どういうスタッフにするか等については、そういう具体的な話にはまだ入っておらないのであります。それから、常勤の委員が担当するというほうが望ましいので、常勤の先生にお願いすることになると思いますが、原子力委員——環境の専門家も今度は入りましたので、そういう方にも非常勤ですが当然見ていただくことになると思います。そこで、具体的な問題はこれからの問題でありまして、いまどういう形でこの原産の要望——環境審査ではありませんが、調査検討中の——やるかということを、委員会で鋭意検討中でございます。
  37. 辻一彦

    辻一彦君 それから次に、さっき松根参考人のほうから審査の基準についてちょっとお伺いしたのですが、私の伺いたいのは、立地基準等における基準が検討するという意味であるかどうか、こういうことであったんですが、公害等のいろんな基準のお考えのようであって、ちょっとばかりこれは食い違いがありました。  そこで長官、私は若狭湾で、あるいはこの間、この委員会視察でいま報告しましたように、福島の東電発電所を見てきました。非常にいま大型が一カ所に集中している、世界でもそう例のないケースになりつつあると、それを考えると、この立地の基準というものが、私はかなり集中しやすい基準があるんではないか、こういうように思うわけです。この問題は、昨年からだいぶ委員会でやりましたから、詳しいことはここでは申し上げませんが、まあアメリカに、当初と様子が変わってまいりましたが、安全は距離であるという概念があり、これが技術の進歩と一緒にだんだん変化をしている。しかし、今日なお、安全は距離という考えが一つあるということと、それから日本の場合にはその基準にそれははずれておりますが、国民線量の基準があります。これは二百万人レムになっておりますが、これはカナダの百万人レムに比べれば数字で言えば倍の甘さになる、こういう点についていろいろな基準上の甘さといいますか、ゆるさがこれだけ大型炉を集中する一つの大きな要因でなかろうか、可能にする原因じゃなかろうかと、こういうように思っておるのですが、こういう点の基準にさかのぼって検討を一度される用意があるかどうか、その点いかがですか。
  38. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その必要性は私も同感であります。原子炉が過度に集中するということは、将来なるたけ避けたほうがいいと私は思っておるのです。ただ、どれが過度になるか、そういう基準をきめるということも、これから取り組まなければならない非常に大きな仕事であると思います。そういう点も、原子力委員会で検討してもらいたいと思っております。
  39. 辻一彦

    辻一彦君 きょうはその問題はあまり深くやりませんのでこの程度にしておきますが、長官発言のように、その基準についてはかなりな論議をいままでこの委員会でも一年間やってまいりましたので、十分そういう論議を含めてひとつ検討いただくように願いたいと思います。  それから、論議の続きでありますので一番最初に返るのもおかしいのでそれは一番あとにして、私は公聴会の問題について若干質問をいたしたいと思います。この原産会議から出された要望書に、地域住民協力と理解を得るために公聴会などの開催を考慮をすべきである、こういうふうに出されております。これについてもこの委員会でいろいろな各委員から論議がずいぶんなされておりますが、たとえば五月の二十六日、木内長官は公聴会問題について検討すると、文書でこの席上において見解を述べられたわけであります。六月の二日、参議院の本会議で佐藤前総理は、今後公聴会開催を行なう、開くと、こういうことを答弁されている。それと同時に木内前長官はやはり本会議において、まあ非常に興奮されましたが、とにかく公聴会はやるのだ、それでも足りぬかと、こういう御発言があったわけであります。さらに六月八日、外務・科学の参議院における連合審査会において、これは有沢前原子力委員長代理から、大臣答弁に基づいて公聴会の開催は準備はどういうふうになっているかと、こういう質問に対して、大臣の指示に基づいて公聴会の開催について、手続についての検討に入っている、こういう御発言があった、六月八日。以来、かなりな日がたっておりますし、七月に出た原子力白書を見ますと、この一年間次のような措置がとられておるし、公聴会などの積極的措置ですか——積極的検討ですね、公聴会などの積極的検討と——あまり積極的でなかったように私は一年間思いますが、とにかく白書にはこう書いてある。とすれば、公聴会の問題については、これだけの国会論議を踏まえて今日かなり前進をし、しかもこの安全審査の中で住民の要求のあるのが幾つかありますが、そういう公聴会開催の手続はどういうように前進をしているのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  40. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 公聴会問題につきましては、ことしの五月二十六日、木内前長官が本委員会で、大型化集中化等、必要な場合には行なうという答弁をしておりまして、原子力委員会としましても、この方向でいろいろ具体的な問題を検討しております。たとえば、西欧諸外国の例あるいは日本においてはどういう形が一番効果的で妥当であるかと、いろいろ具体的なやり方についていま検討中でありまして、できれば本年度中には実施、必要な場合には行なうという形の実現をしたい、こういう方向で原子力委員会で最近数回にわたってこの問題を検討しておるところであります。
  41. 辻一彦

    辻一彦君 その検討はかなり進んでおるように受け取りますが、すでに中曽根長官御自身も、七月十八日、茨城の記者会見において、公聴会など地元民の意見を反映さしていくことを考えなくてはならないと、こういうように述べられておりますし、そういう趣旨に沿って前進しているとすれば、私非常にけっこうであると思うのです。そこで「必要に応じて」という、この原子力白書にことばがありますが、これは非常にあいまいであって、三月十日、三月二十四日、四月、五月の理事会で再三論議をして、この「必要に応じて」というのは一体何が「必要に応じて」かと、こういう論議を過去にしましたですね。特に大飯原電が安全審査を終わった段階で、少なくもあれだけ世界最大クラスの、日本最大の原子力発電の問題である、それからあれだけの集中する大型集中化という、この二つの条件こそ最も必要な条件に合うのではないかと言って強く迫りましたが、遂に臨時国会の二、三日前に結論が出て、残念ながら追及がきかなかったと、こういうことになっております。そこで、こういう「必要に応じて」というようなことを除いて、公聴会を制度として制度化をするか、そういう考えなのか、あるいは特定のものについて何か公聴会をお考えか、そこらはどう長官考えておられるか伺いたい。
  42. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その点は、地元のある特定の手続をもってやってくれという要望がある場合には、開く必要が出てくるのではないかと思います。ただ、地元の要望のないのに開く必要があるかどうか、しかし、その要望をどういうふうな形で受けとめて要望として出してもらうか、そういう点はいろいろこれからも検討を要することであると思いますが、何かそういうような手続も要るのではないかという気もいたします。
  43. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 松根参考人に申し上げます。  本日はたいへんお忙しいところを本委員会に御出席をいただきましてありがとうございました。これで御退席いただいてけっこうでございますから……。
  44. 辻一彦

    辻一彦君 松根参考人、どうもありがとうございました。  いま長官から地元の要望があれば、公聴会を開かなくてはならないと、——非常に私は過去の木内答弁に比べて前進した中身であると考えております。  そこで局長にお伺いしたいが、地元の要望があれば開くというように、何らかの条例というか、法制化といいますか、何かの規定をつくってやられる考えを持っておられるのかどうか、その点いかがですか。
  45. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) あらゆる場合に、原子炉原子力発電所の申請のすべてについて公聴会を開くとなりますと、規制法を改正して法律改正を要する点かと思います。それで前回の木内長官の御答弁にもありましたように、たとえば大型化集中化、あるいは新しい特殊の形の炉とか、そういう必要な場合には公聴会を開くということでありまして、あらゆる場合法律的に開くという意味でないので、規制法の改正は考えておらないのであります。ただ、これは原子力委員会の内規、決定によってどういう場合に開くというふうな、そういう形で制度化してまいりたいと思っております。
  46. 辻一彦

    辻一彦君 局長答弁は長官答弁と比べて非常に後退していると私は思う。それは若狭湾の例を見ても、あれだけ大型化集中化があったときも、必要ならばというような条項を頭に乗っけていれば、逃げ切ったんでしょう。あと、あなたどういう場合に出てきますか、新しいなんていったら。少なくもアメリカのNEPAにあるように環境やそういうことを十分考えるのであったならば、これから地元の要望があれば、少なくも公聴会を開く、これくらいのことは、それは法律を改正する必要があればし、それができなければ、原子力委員会の規定できめるとか、それくらいのことは私はやっていただきたいと思いますが、その点長官いかがですか。
  47. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は法的手続や改正するという点をよくまだ勉強しておりませんが、政治論といたしまして、地元の知事さんとか、あるいは町長さんとか、そういう方々が要望なさるならば公聴会を開くのが筋ではないかと、そういうことが頭にあったわけでございます。ただ、公聴会を開いた場合に、特殊の政治団体の人たちだけが特殊の議論を展開するというのでは、一般住民の意見が出てこないということもございます。ですから、そういう公正な科学的判断をどういうふうにして公聴会に反映せしめるかという問題も次の大問題として出てくるわけでございますから、その辺の点もよく考えて検討してみる必要があると思っております。
  48. 辻一彦

    辻一彦君 もちろん、言われるように、非常に片寄った意見だけが集まるとか、それが何か騒然たる場所になるとか、そういうのでは、十分な公聴会の意味がないと、これは当然であろうと思います。ただ、知事や市町村長の要望と、地元をこういうように限定されますが、たとえば福井県の大飯町において、四千二百の有権者中、三千二百、八割までの人が署名をしてそして反対をしておった。でも町長の、知事の、そして議会の議決というものによってこれは進められたのでありますが、そういう場合に、住民の意思が何かの反映される、意見を聞く道が閉ざされると思う。したがって、知事、町村長もちろんけっこうでありますが、と同時に、住民の正当な組織の要求があれば、それも地元の要望と、こういうように考えられるのかどうか、この点いかがですか、長官。
  49. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その点はよく検討してみます。
  50. 辻一彦

    辻一彦君 検討ということは、大体含めるという方向でお考えになるということですか、いかがですか。
  51. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 含めていいかどうかという意味の検討であります。
  52. 辻一彦

    辻一彦君 それではいままでと同じ形になって、私は住民の声を聞くというほんとうの公聴会にはならないんじゃないかと思うのですよ。というのは、公聴会をやってほしいというのは、大賛成だから公聴会をやれという声よりも、いろいろな問題点があるから、それを公のはっきりした場所で法的にきちっと裏づけられた場所で、公にひとつ発表して、多くの意見を皆さんに聞いてもらいたい、そして理解を広げたい、こういうことが公聴会の大事な点であろうと思う。そういう点になりますと、知事と町村長だけの要望では、これは意見が反映できない、そうすると公聴会自体が、地元住民の意見を十分聞くためにと、こういうことに私はならないと思うのですが、その点、長官いかがですか。
  53. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり自治体でありますから、理事者あるいは住民代表の理解、意見というものは非常に大事だと思うので、そこで統合され集約されて意思表示がされると思うのです。住民にはいろいろの意見がございましょうけれども、やはり住民が選出した代表者の意見というものは、一つの統合の方法として民主的に認められているわけでございます。その意見を無視するということは、これはまたどうかと思います。それから住民に直接参加願うということも一つの方法ですけれども、従来ややもすると、一部の特殊の団体が、ある目的のために冷静な科学的な判断を乗り越えて行動に出るというような場合が必ずしもなきにしもあらずです。それが公正な住民の意思を反映するかどうか、一番大事な科学的判断というもの、あるいは住民のそういう生活環境に対する冷静な判断というものを代表するかどうか、こういう点は、いままでの問題等をよく精査いたしまして、そして適切に処理しなければならぬと思っておるわけであります。
  54. 辻一彦

    辻一彦君 私も先ほど言いましたように、公聴会がいたずらに騒然たる場になるというようなことは、これはあっちゃいかぬと思います。ただ、住民の十分な意見を聞くために開く公聴会が、自治体の代表だけに限定した場合に、十分聞き入れることができないという私はやっぱり欠陥があろうと思う。だからそういう意味で、広範な住民運動等の要求があった場合には、自治体も含めてもけっこうでありますが、そういう点も十分地元一つに入れて私は考えていただかなくては、せっかくやる公聴会が意味が簿いと思うのです。その点重ねていかがですか。
  55. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは非常にデリケートなところもございまして、やはり地方自治法における議会あるいは理事者の意見というものも十分尊重しなければならぬ要素もございますし、またそういう方々の意見が大多数の住民と遊離しているということも必ずしもなきにしもあらずであります。そういうようないろんな情勢をよく検討してみまして全部ひっくるめて検討する、そういうことにお願いいたしたいと思います。
  56. 辻一彦

    辻一彦君 全部ひっくるめて前のほうに検討してもらうように、これはぜひひとつ頼みたいと思います。それはいいでしょうな、前向きに、少なくとも。
  57. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いままでよりも改革するという必要性を認めておるわけでございますから、そういうことを踏まえて慎重に検討いたします。
  58. 辻一彦

    辻一彦君 長官の出席の時間がかなり限られておりますので、一、二あと伺いたいと思います。  局長にちょっと参考のために伺っておきたいんですが、福島の原電、浜岡の原電、伊方の原電等いろんな意見が出ておりますが、これらしかるべきそういう要望があれば少なくも年内にそういう手続によって公聴会を開くめどをつけられますか。
  59. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 先ほど言いましたように、委員会で具体的な案を検討中でありますが、ただわれわれの考えとしましては、公聴会は申請が出た直後、まあ二カ月以内とか、申請が出て安全審査の初期の段階でやったほうがタイミングとしてはいいんじゃないかという考えを持っております。したがいまして、いま出ておるところの東海二号とか福島六号とか伊方等についてはこれは原子力委員会で今後検討しないといけませんが、公聴会の対象にならないで、今後出てくる場合であって、大型化集中化あるいは地元の非常に強い要望がある場合とか、そういう場合に実施したいと、そういうふうに考えておるところでございます。
  60. 辻一彦

    辻一彦君 どうも、局長の意見を聞いていると、せっかくの長官答弁がだんだんあとへ下がるように感ずるんで、たとえば若狭の大飯原電のときに安全審査の結論が出たから、審査中であったからやめてよかったんだと、こういうお話ですね。いまになれば審査中はむずかしいから審査前のこれからとか、だんだんあとに下がっていくが、少なくもあなた、この間の委員会で、大飯については審査の結論が出たんだからこれは一応別としても、次の段階においては審査中に公聴会を考えたいと、これは何回もここでおっしゃったことでしょう。いまのお話はだんだん後退していく。少なくも私は前の発言によって福島、浜岡、伊方等についても長官答弁の趣旨にのっとって十分取り上げて検討すべきである、こう思いますが、どうですか、これは長官ひとつ。
  61. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この点は原子力局長の答弁のように、将来の大型化集中化に備える措置として考えていきたいと思います。
  62. 辻一彦

    辻一彦君 それは非常に、後退じゃないですか。少なくも前に大飯原電審査会の結論が出たんだからこれは別として、こういうお話ですと。まあ私たちも幕切れになったのはやむを得ないとしまして、少なくともいま福島あたりにはあれだけ六つもつくって審査中ですよ。それについて公聴会をやるって、一体いつやれるのですか、そんな。後退の一方ですよ。長官どう思いますか。
  63. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) これは木内前長官の御答弁にもありますが、今後原子力発電所審査にあたって原子力大型化集中化等、必要と認められる場合には、まあ審査にあたってという感じは、われわれはそういう感じで考えておったわけであります。ただ大飯の場合は、安全審査が終わってから非常に地元の町長の要望によって説明会を数回にわたってやったと。それから知事のあっせん、これは御承知のとおりでありますが、あっせん等もお願い中であったので、安全審査がもう始まって相当たって、むしろ審査結果が出た段階でありましたので、公聴会という形をとらず、説明会等で地元の意見を聞いたわけでございますが、この原子力委員会の考え方としては、今後申請が出てくるものについて大型化集中化等を必要と考える場合には公聴会を開きたいと、そういう考えでおりまして、安全審査が相当経過したものにつきましては、必要あったら説明会等の形でやるほうがベターなんじゃないかというふうに考えております。
  64. 辻一彦

    辻一彦君 きょうはあまり時間がないから長くはやりませんが、それはここにみんな理事さんもいらっしゃって、何回ももう御検討のとおりで、少なくもいま審査中の段階の問題については、それはこの前のときは結論が出たからということで、私たちも一歩それは譲歩したけれども、少なくともいま審査中だったら公聴会をやるという方向を私は出してほしいと思います。特に浜岡の場合は十月の上旬に第一回の審査をやっているでしょう。いつですか、その浜岡の審査をやったのは。
  65. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 浜岡の申請は先月ですか、最近出ておりますので、審査はごく最近始まっているケースでございます。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃいま始まったばかりだから、やるべきケースに入ると思いますが、どうですか。
  67. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) この問題も原子力委員会で今後十分検討しないといけないのでありますが、大型化集中化等、必要と考えられるかどうかという判断で検討したいと思います。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 問題を残しているので、私これ以上やりませんがね、そう言っていけば、私は言ったでしょう、大飯の百二十万というのは二つ、若狭湾に九つ集中する、そのときにはずしたら大型化集中化というのは全部はずしてしまう、だからやりなさいとさっき言ったでしょう。ところがこれは審査の結論が出たんだから、やむを得ないから次からという、こういうお話だったでしょう。いまは審査が始まったばかりに大型化集中化のケースに入らんと、こう言ったら、日本のどこに公聴会をやる原電が出てきますか。若狭湾の六百三十万キロワット以上集中するところがどこにあるんですか、一体。いつまでたっても公聴会できませんよ、局長どうですか。
  69. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 確かに現在若狭湾が六百万計画がありまして、日本で最高に集中する地域と思います。ただ六百万、八百万の計画、これは事業所の計画でありますが、そういう将来計画を持っている地域も、現にほかの地域もあります。したがいまして、もしもいま具体的な計画はありませんが、若狭湾で新しい炉の設置がなされる場合は、それは集中化の最も典型的な例として公聴会の対象になると思います。
  70. 辻一彦

    辻一彦君 そんなばかなことがありますかね。あなたこの委員会で私たちが質問したときに、都合の悪いときは、それは電力企業の計画だからわれわれは知らないと、こうおっしゃって、そして都合がよければ、今度は六百万、八百万、一千万の大きな計画があるって、そういうことで言われたって困ると思います。一貫していない。それからこのケースでいったら、若狭湾に将来一つ新しいのができない限りはどこにも公聴会をやれないということになりますよ。そういう考えですか。
  71. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) これは具体的にどこと言えないのでありますが、近く非常に集中する新しい地域の第一号の申請が、まだ電調審にかかっておりませんが、電調審にかけ、そして近く申請が出る状況になっておりますので、そういう場合は当然公聴会の対象になるケースと思います。
  72. 辻一彦

    辻一彦君 長官、どうですか、いま聞かれてですね、いままでの国会の論議から推して、こんな六百万キロワット以上に一つ加わらなきゃ公聴会の対象にならぬというような、そんな公聴会では私は住民の意見を聞くということにはならんと思いますよ。あわせてひとつ井上原子力委員長代理からも伺いたいのですが、いま原産会議からもいろんな立地条件のむずかしさ、その中で広く理解を得るためにやはり公聴会をやらにゃならんというお話が、意見が出されておるんでしょう。長官自身も、これはたとえば原産会議の九月七日の新聞に長官のことがこの「展望」に出ていますよ。「中曽根国務相は過日開かれた原産の歓迎午さん会で「最近原子力開発では対社会問題との接点で諸々のトラブルが生じ、立地が困難となってきているが、従来の開発政策にこうした対社会問題で閑却したところはなかったか、むしろ政府の問題として反省している」と述べ、今後はこれらを含むソフトウェア開発で思い切った措置をとり、原子力委員会あり方も再検討してみたい」という御発言が出ていますが、どうもいまの私は原子力局長とのやりとりの中でお感じになったと思いますが、こんな形で若狭湾をこえるような場合に一つだけ公聴会をやりましょうって、こんなことで住民の意思を聞くということに私、絶対ならぬと思います。長官ひとつお伺いしたい。
  73. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 二十万キロとか、十五万キロとか、大体いままでもうすでに証明済みの、安全性が確認されているようなものについては私はそう必要はないだろうと思うんです。ただ、非常に大型のもの、あるいは一カ所に集中するというようなもの、そういうものについてはやはり住民の意向を必要に応じて聞くという措置がとられてしかるべきだと思うわけです。そういうケースがないかというと私はあり得る、近き将来においてもあり得ると、こう思っておるのでありまして、これはやっぱり一歩前進じゃないかと思っております。
  74. 辻一彦

    辻一彦君 たとえば、福島のケースをどう考えますか。
  75. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これは原子力委員会でそういう公聴会を開く場合の基準等を検討してもらいたいと思っておりますので、私が特に独断でどうこうと判断をくだすことはこの際避けたいと思いますけれども、しかし、できるだけこの大型化集中化というような場合には地元の市長さんや議会の意向もよく聞いてみるという必要もあり、公聴会の必要性はあろうかと私は思います。
  76. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、二十万、三十万のそういう原子炉でいま公聴会やれなんて言っていないわけです。長官答弁のようにかなり大きな原子炉、また集中する——そういう点では十分原子力委員会の中で検討していただいて、さきに当初の答弁の線でやっていただきたいと思います。これは時間がないのでこの点にとどめて、私ちょっと最初に返って中曽根長官に一、二点だけお伺いしたいのは、国防会議の参加の問題について、これは衆議院の委員会においても論議をされましたので、若干繰り返すことになろうと思いますが、一応お尋ねをいたしたいと思います。  私は通産大臣が国防会議に入られることは、現在四兆六千億、人件費を入れれば五兆一千億という膨大な第四次防が出発しようとしております。その中で私は政府、軍、財界等の産軍複合体の懸念があると思いますが、しかしきょうはこの問題は別でありますから、これは別の機会にいたしたいと思います。  そこで、科学技術庁長官が国防会議のメンバーとなるということは、いままで平和利用に限定をされていました原子力開発宇宙開発、海洋開発、こういうものを、軍事利用に結びつくことになるのではないか、こういう声が非常に私は強いと思うのでありますが、これについてまず長官のお考えを伺いたいと思います。
  77. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いままで調べさしてみますと、国防会議に、科学技術庁長官が必要に応じてその他の国務大臣を呼ぶということで、本会議、国防会議に七回、それから懇談会にたしか二十三回ぐらい出ているという記憶がございます。そういうふうにして、いままで平穏、公然とそういうことが行なわれてきたのでございまして、その延長線でお考えいただいていいんではないかと。やはり総合的にひとつ、ものを考える。国防会議の中には、国防の基本方針をつくったり、また、国防の基本方針がつくられているものを見ますと、国力、国情に応じて漸進的に整備するということばがあって、国情の中には、憲法とか、原子力基本法とか、宇宙開発に関する国会答弁とか、あるいは事業団法とか、そういういろんなものがあるわけです、国情の中に。したがって、そういうものを担保するということも、科学技術庁長官の重大な職責の一つでありまして、その日本原子力平和利用を軍事に転化させない、そういう意味において、中で監視をするということも、やはり非常に大きな仕事の一つでもあると私は思っておるのであります。
  78. 辻一彦

    辻一彦君 原子力とか、それから宇宙開発、こういうのは、平和利用に私は限定されるというか、平和利用というものが中心であると、こういうように考えていますが、これは間違いないと思いますが、いかがですか。
  79. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 原子力基本法によって平和利用に限ると書いてありますし、それから宇宙開発につきましては、宇宙開発事業団法の中に同じように平和利用に限ると書いてありますし、両者とも国会において総理大臣あるいは科学技術庁長官は、その線で答弁もしておるのでありますから、そのとおりであります。
  80. 辻一彦

    辻一彦君 そうすれば、原子力やそれからこの宇宙開発のそういう成果は、政府で、今日の政府であれば、少なくも原子力基本法、また、宇宙開発事業団法によって当然平和利用に限定されるということに私はなると思うんですね。それを内部から監視をしなくてはならぬということは、ちょっと私は理解ができにくいんですが、その点についてお伺いをいたします。
  81. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 法律ができておりますが、これは法律であって、行政と実行行為の面において万一にもそういうことが行なわれないように、科学技術庁長官が、防衛庁やそのほかを監視すると、行政事務における責任担保という面においてもそれが必要なことではないか。それはあるとは思わぬけれども、万全を期するという意味において肯定さるべきだと思います。
  82. 辻一彦

    辻一彦君 その監視であれば、私は原子力について言うなら、これは平和利用の三原則、自主・民主・公開というものがありますね。これを原子力委員長としてしっかり貫徹をしてもらえば、私は原子力平和利用について十分やっていけると思うんですが、あえて国防会議に入って監視しなければやれぬ、こういうようには考えませんが、その点どうでしょうか。
  83. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) その三原則を施行することを担保するために万全を期して国防会議に入って、そうして防衛庁を監視する、そういうことは意義あることだろうと思います。国防会議に入って、いろいろ詳細なデータを要求したり、あるいは防衛庁長官に答弁を求めたり、そういうことは可能なのでありまして、そういう意味の仕事も意義あることだろうと私は思います。
  84. 辻一彦

    辻一彦君 私は必要に応じてそこへそれは出席されて、それから必要な問題でいろいろお話になる、これはけっこうだと思うんですよ。しかし、レギュラーメンバーというか、国防会議のメンバーに正式になるという点については、私はそれにならなくても十分この平和利用三原則を原子力委員長として貫徹する方法がほかにあると考えるんですが、どうしても国防会議の中に入らなければそれはできないとお考えですか。
  85. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 万全を期する上に最も核心に触れたやり方だと私は思います。
  86. 辻一彦

    辻一彦君 その問題はどうも平行になります。  それじゃ、参考に一、二伺いたいが、長官はかつて、原潜を将来持つべきである、こういうことを発表されたことがあったと思いますが、今日どう考えておりますか。
  87. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 原潜を持つべきであると言ったことはないのです。原子力基本法を国会へ提出いたしましたときに、私はその説明者となりまして、原子力基本法の説明を答弁でやらされました。そのときに原子力推進による商船が普遍化した場合には、その場合には潜水艦において原子力を推進力として使うということを否定するものではない、そういう答弁をしておるので、将来そういう法的可能性を否定していない、ただしそれは原子力推進による商船が普遍化した場合であるという法の解釈を述べておるのであります。
  88. 辻一彦

    辻一彦君 当面においては原潜を持つ考えはありませんね。
  89. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は防衛庁長官ではございませんから、そういう答弁する資格はございませんが、かりに私がそうであるとしても、四次防ではそういうものはもちろんないと思いますし、その後は原子力推進の商船が普遍化するかどうかということ、そして普遍化した場合に、それをつくる必要ありやなしや、第二段階のまた検討も必要であると思います。
  90. 辻一彦

    辻一彦君 いや、防衛庁長官に伺っているんじゃなしに、中曽根長官に伺ったんです。  そこで、これは私たちだけが持っている懸念ではなしに、たとえば日本学術会議原子核研究連絡委員会、これがありますね。これが十九日に開かれて全会一致で科学技術庁長官の国防会議参加に反対を決議しています。こういう原子力研究の第一線にある専門的な学者が全会一致でこういう意思を表明するということは、私はたいへん問題のあるところじゃないかと思いますが、この点についてどう考えておられますか。
  91. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 学術会議の特殊な委員会はときどきそういうことをおやりになるんでありますが、私は私らが考えているような正しい認識を得ているとは思いません。
  92. 辻一彦

    辻一彦君 じゃあさきにかえって、日本原子力発電が五十五年に三千二百万キロワット、六十年に六千万キロワット、こういう高いペースで進められようとしております。たとえば衆議院において大臣の御発言もありましたが、こういう原子力発電が大量に進むとすればプルトニウムの生産等、いわゆる大量の核物質というものが国内にだんだん蓄積されてくる。日本の今日の科学技術をもってすれば、これは核武装をやるとすればできないことはない状況に私はあると思うんですね、やろうとすれば。その中で、原子力委員長である科学技術庁長官が、この国防会議に参加するということは、私はこの原子力発電関係しても、原子力を軍事的に利用していくんではないかと、こういう疑惑といいますか、感じを多くの国民に与えるほうが監視役として押えるというそれよりも私は大きいと、こういうふうに思うんです。その点でこれからの原子力発電等の開発にあたっていままで環境安全という問題が中心になっていましたが、これに私はこういう方向になると、平和という問題がやはり加わってくる面があろうと思うんです。そうなれば、原子力発電原子力開発の将来に私は大きい障害になるのではないか、こういう懸念を持つのでありますが、これについて長官、どのようにお考えになりますか。
  93. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法にも規定してありますとおり、憲法や法律というものは公務員にとりましては大山よりも重いものでありまして、そういう法を順守していくという考えに立って行政は行なわれておるのでありますから、そういう考えがあればそれは誤解でありますし、われわれは正しく憲法、法を守って職務を遂行していく、こういうことを申し上げたいのであります。
  94. 辻一彦

    辻一彦君 まあ私のちょっと質問が十分でなかったかとも思うのですが、従来の原子力発電住民環境安全についてのいろいろな運動がありました。しかし、これから私は、これに平和の問題としての角度からのやはり運動が出てくる懸念があろうと思うんですが、そういうものが原子力のこれからの開発一つの私は障害になろうと思うのですが、そういう懸念を持ちますが、その点心配ないとお考えですか。
  95. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) われわれはいま申し上げたような考えに基づいて行政を推進しておるのでありまして、そういう心配はないのでありますから、そういう住民運動が起こることはむだであると私は思います。
  96. 辻一彦

    辻一彦君 まあそういう住民運動がむだであるかどうかはこれは歴史の検証を経なくちゃならぬところでありますから、その論議は時間の点もありますから切り上げます。  で、原子力委員長は私はまあそういうお考えであれば当然国防会議に参加をされていくというようないまの御発言と受けとめました。それではこれからの原子力発電のスムーズな私は開発といいますか、そういう面にいろいろなやはり問題点が出てくる、こういうことの懸念があるということを指摘いたしておきたいと思います。  もう一つ伺いたいのは、これは問題が違うのでありますが、青森のむつで原子力船のいま試運転といいますか、これをやろうといたしておりますね。青森のあの半島地区の漁村の人がホタテガイの養殖をかなりやっていますね。しかも青森の漁民は将来がこれによって合うというので、かなり養殖がやられている。ところがこの原子力船が科学技術庁と県との話によって港内の場合に二〇%ですか、それから湾内は五〇%、湾外で七〇、八〇%、そういう出力でやるというような取りきめがなされている。それをやられると、湾内における漁民の人がホタテガイに与える影響というものが非常にあろうと思うのですね。これをひとつ湾外でやるか、あるいは湾内を動く場合には補助機関を動かすとか、こういうことでやってもらいたいというこの申し出がきょう科学技術庁に青森県のほうからあると聞いているのですが、それについてのごく簡単に見解をひとつ聞かせていただきたい。
  97. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 原子力船「むつ」はいま燃料装荷をやりまして来月の上旬に臨界に入る予定になっております。臨界になりますと二〇%まではその定係港で消費しますので動かなくていいのでありますが、二〇%以上になると、まあ動くということになります。それで二〇から五〇——五〇周辺の試験運航は湾内でやる計画になっておりますが、これに対して県漁連その他関係漁業組合からやらぬでくれ、反対であるという意見書が十日ほど前事業団に対して出ていることも承知しております。ただ科学技術庁に対して正式の意見の開陳はまだ聞いておらないのであります。それで、われわれのほうとしましてはホタテガイ等の漁業に対する影響としては一つは畑を荒らす、操業の物理的な妨害になるという問題があると思います。ただこれはルートをどこにとるかによってホタテガイの畑のないところ、操業に影響のないルートをとることによって防げるのではないか。それからまた漁業組合の見解によると、放射性物質が出て、それがむつ湾の漁業に対する需要者の不安を伴うのではないかということもありますが、これは安全審査等におきましてもそういう放射性物質は出さないということで、安全審査等においても問題ないということになっておりますので、そういう二つの点についてわれわれは事業団がとにかく県の漁業組合と十分話し合って操業に影響のないルートを選ぶとか、あるいは安全審査等においてはこういうふうに放射性物質の防止がなされているということを十分話し合って、そういう計画を円滑に実行するように話し合うべきであるということを先日言っておりまして、これは事業団の代表が現地に近く行って話し合う予定になっております。
  98. 辻一彦

    辻一彦君 大体わかりましたが、四十年の十月に日本原子力事業団理事長である石川一郎さんが漁民に出された文書回答というのがあるのですね。この中に一つは、定係港外の適当な場所で運転を行なうということ、二は、湾内を航行する場合については漁民と協議の上選航、いわゆる航路を選ぶというのですか、航法を選ぶというのですね、選航計画をつくることが妥当だと、こういうような回答が文書であったということですね。この説明に基づいて漁民の方とトラブルのないように相談しながらやっていくということですか、最終的には。
  99. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) そのとおりでございます。
  100. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後雰時二十分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  101. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  102. 辻一彦

    辻一彦君 井上さんに伺いたいと思ったのですが、お帰りになったので局長に伺いたいと思います。  この間、私視察で、日本原研、それから動燃を見に行ったのですが、新型転換炉高速増殖炉の問題はそれぞれ実験が進んでいます。それからまた建設中と、こういう状況にあります。  ごく簡単に、新型転換炉高速増殖炉の将来といいますか、そういうものをどういうふうに見ていられるか、簡単でけっこうですが、ちょっと聞かしてください。
  103. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 動燃が昭和四十二年からナショナル・プロジェクトとして、将来の原子炉である新型転換炉高速増殖炉研究予算を非常に大きな規模でつけていただいて進めております。  それで、新型転換炉につきましては、現在、福井県の敦賀に原型炉建設中でありまして、昭和五十年に臨界に達する予定になっております。  それから、FBR——高速増殖炉につきましては、茨城県の大洗に実験炉建設中でありまして、これが昭和四十九年に臨界に達する予定になっております。  それから、高速増殖炉原型炉につきましては、将来、昭和四十九年着工の予定で、昭和五十三年ごろ臨界を考えておりますが、そのサイトをどこにするか、いま検討中でございます。それで、将来、ATRが発電規模に入ってくるのは、商業炉として入ってくるのは六十年度以降と考えております。高速増殖炉につきましては、昭和六十五年以降という長期計画におきましてもそういう扱いをしております。
  104. 辻一彦

    辻一彦君 いま局長の答弁ですと、敦賀に「ふげん」の新型炉が建設されている、それから東海には「常陽」が建設されている、こういう状況ですね。そこで、高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」ですね、これ、三十万キロワットというもの、実は、この朝日新聞十月十九日号にこういうふうに載っておるんです。それは「計画では、一九七四年、電気出力三十万キロワットのものを、敦賀市白木地区に着工し、一九七八年度中の完成をめざしている。」と、こうこの新聞に出ておりますが、これについて一体どういう状況なのか、お伺いしたいと思います。
  105. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 高速増殖炉原型炉をどこへつくるのかというのは、まだ科学技術庁としては正式に決定しておらない状態でありますが、動燃事業団としましては、いま、朝日新聞に載っておりますように、白木地区を考えて、いろいろ地元との話し合いをしているようでありますが、ただ、福井県知事あるいは敦賀市等に正式な了解を得ておらない段階で、事業団として事前のいろいろ交渉や折衝をしている状態だと聞いております。科学技術庁としては、まだあそこに決定するという段階ではない状態でございます。
  106. 辻一彦

    辻一彦君 これは十分、慎重にというか、よほど考えていろいろ取り扱っていただくように、まあ非常に集中化の進んでいる問題の地域でありますから、これからの問題と思いますが、よく念頭に置いてもらうように願いたいと思います。  そうすると、あれですか、動燃が地元と交渉しているという、こういう段階なんですか。
  107. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 動燃が人の派遣等をして交渉している段階でありまして、まだ政府が正式に乗り出すという段階ではないというふうに考えております。
  108. 辻一彦

    辻一彦君 この朝日の十九日ですね、これ、満五歳、育ち盛りの動燃事業団と、こういうので、大きく東京朝日に出ているんですけど、これ、「計画では、」というんで、かなりこの表現によると進んでいるような表現のように思うんですが、そうでもないですか。
  109. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 動燃と特に地元の部落の方々との折衝等は、かなり話し合いが進んでいるように聞いております。ただ、それが正式に、市とか県当局のまだ正式な了承を得る段階には至っておらないという状況でございます。
  110. 辻一彦

    辻一彦君 きょうはこの問題はこれ以上触れないことにします。  そこで、六月八日の外務との連合審査の場において有沢さんから、資料室をつくって資料公開に応ずると、これは六月二日の佐藤前総理の答弁にも、できるだけ資料は公開すると、こういう答弁があって、六月八日の連合審査の中でそういう御発言がありましたが、その後、この資料公開の具体的な準備というものがどういうふうに進んでいるか、それをひとつ聞きたい。
  111. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 外務委員会と科技特の連合審査会での有沢先生の御発言はそのとおりでありまして、われわれも公開、ことに安全審査の関連の資料を公開しまして、原子力委員会の一室に部屋をつくりまして、そしてだれでも関心のある方の閲覧に供するような、そういう構想でやっておりますが、いろいろな予算上の措置も必要でありますので、四十八年度予算の一環として実現したいというふうに考えています。ただ、いま科学技術庁、部屋が非常に——どこに一室をつくるかというのでいろいろ官房等と相談しておりますが、非常に狭いので、それに原子力委員会からまた離れたところに置くこともあまり望ましくないというふうに考えておりますので、できるだけ原子力委員会に近いところに一室をつくりたい、それで四十八年度の予算の問題として早く実現していきたいというふうに考えております。
  112. 辻一彦

    辻一彦君 原子力委員会からあまり離れてもよくない、それは当然でしょう。しかも、有沢さんは、私が小さい部屋の隅でやるんじゃないかと、こう質問しましたら、御心配はないと、大きな部屋で十分にやりますと、こういう御答弁があった。ですから、あまり狭いやつではなしに、あれだけの大きな建物ですから、しっかりした場所に資料室をつくって、ぜひ資料公開の大事な点をやっていただきたい。これは四十八年度の予算でどのくらい見ているんですか、要求では。
  113. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 部屋そのものはこれからつくるのでなくて、むしろ庁内につくるので、その関係予算はそれほど、何もないのでありますが、ただ、いろいろな部屋の内部の施設関係、これは庁費ですので、それほどの金額じゃありませんが、いろいろロッカーその他、閲覧室としてのかっこうをとるためのそういう庁費を若干要求しております。
  114. 辻一彦

    辻一彦君 長官にお伺いしたいと思います。  いまお聞きのように、平和利用三原則の民主、自主、公開のうちの「公開」の原則を具体的に実現するには、一つは公聴会等もあります。それからもう一つは、資料の公開ということが欠くことのできない要件だと思います。これは、先ほど私申し上げましたが、参議院本会議で佐藤前総理も、資料を公開するということの答弁があり、有沢前委員長代理も六月八日に同様の趣旨の御答弁があって、科学技術庁の中に別室をつくって十分資料の公開に応ずるというふうなことでありましたが、局長の答弁によりますと準備がされているということでありますが、私は「公開」の大事なかなめをこの資料公開というのがなしていると思うのですが、その点ひとつ確認をいただいて、これにぜひ、できる限りという中に、いろいろ企業の問題があって制限が出てくるんじゃないかと思いますが、最大限公開をしていただくように、この点について長官のお考えを最後に伺って終わります。
  115. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨に沿って努力をいたします。
  116. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 初めに、先ほども議論が出ておりましたが、国防会議の問題でありますが、今後とも科学技術庁長官は国防会議に入るという方針を貫かれるわけですか、今回だけのことと解してよろしいですか、その点いかがですか。
  117. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先般の閣議決定の線を変える考えはございません。
  118. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 平和利用に限るということについてでありますが、先ほども長官は、原子力基本法とそれから宇宙開発については政府答弁ということで軍事目的には使われないと、こうはっきり言われているわけですが、もう一つの問題として、いま出ていない問題でありますが、これから考えていかなければならないのは海洋の問題になると思います。海洋開発はこれから大いにやっていかなければなりませんし、わが国を取り巻く環境から言いましても、非常に大事なんでございますが、この海洋開発というものが、まあいま基本法等にございません。先日も大臣に、党を代表してまいりまして、わが党でもう四年前から出しております海洋資源開発基本法案というものに対する成立の要望もいたしましたが、あそこにもはっきり平和ということをうたってありますが、海洋開発ということが今後平和利用がもちろん主体でありますけれども、軍事目的に使われる可能性というのは十分出てきます。その辺をどうお考えになっているか、含めてお伺いしたいと思います。
  119. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) センター法の中にたしか平和の理念にのっとり、そういうことばで表現されていると思いますが、日本の海洋開発が平和の目的のために行なわれると、そういうことが最も望ましい形であると思います。
  120. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最も望ましいではなくて、限らなければならないと思うんです。というのは、やはりもし今後四次防あるいは五次防等がだんだんいまの方向だと、防衛力が増強されてきた場合、やはり海底軍事基地ということも必ず問題に出てくると思う。その場合、この海洋開発の技術を推し進めていく場合、その点がどうなっていくのか。その辺はどうお考えですか。
  121. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 科学技術庁が行ないます研究開発は平和目的に限ると、そういうことは申し上げていいと思います。ただ、それ以外、防衛庁とかそういう役所が行なう場合に、いま国際関係がどういうふうにこれから動いていくか。海洋の問題についてまだ必ずしも定着していない部分があるように思いますし、それから日本科学技術庁が行なう範囲内においてはそういうことでありますけれども、海洋の利用あるいは海底の利用というものが平和と軍事との間でどういうふうに分界点がつけられ得るか。そういうようなポイントはもう少し正確に究明していく必要もあると思いますので、もうしばらく検討していく必要があると思います。私は方向としては賛成なんであります。
  122. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあ国連等でも海底軍事基地をつくらさないという方向で検討されておりますので、いまの長官の御答弁を私は非常に支持するわけでありますけれども、現実に防衛庁長官をおやりになっておりましたので御承知と思いますけれども、防衛庁あたりではかなり海域のいろいろな調査をしております。やはりこの点が科学技術庁調査と一緒になっていく。もちろんいま別だと言われましたけれども関係が出てまいりますので、やはり科学技術庁としてははっきりと平和ということで押していただきたい。この問題非常に大きな問題でありますので、また所を変えて議論したいと思いますが、そういう意味でも、私は海洋開発に関する法律を、基本法的なものはやはりつくらなきゃいけないと、こう思うわけでありまして、党としては四年来主張してきたのでございますが、政府のほうではなかなか現状のままでよいという判断でそこまで踏み切っていただけないわけでございますが、海洋資源開発基本法なり、あるいはもっと大きな立場の海洋開発基本法なり、そういったものについてのお考えはどうですか。
  123. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) しばらく、先ほど申し上げましたように検討の時期を与えていただきたいと思います。
  124. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次の問題に移りますが、昨年の三月に、私がこの委員会で放射性廃棄物の海洋投棄の問題について質問をいたしました。長官も御承知かと思いますが、十四年間もの間、実験という名目のもとにかなり大量の放射性廃棄物が千葉県の館山沖に投棄をされておりまして、その後海洋投棄は一応ストップをされたようでして、その後いろいろ検討されてまいりましたが、最近この放射性廃棄物をどうするかということでいろいろ検討がなされておるようですが、科学技術庁としてはこれをどういうふうに、いま検討段階がどこまで進んでいるか、どういう方向なのか、新聞によりますと無人島に貯蔵するとか、そういうふうなことが出ておりますが、その点はいかがですか。
  125. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 御承知のように原子力発電所がだんだん増加、稼動してまいりますと、放射性廃棄物がかなりだんだんたまっていくわけでございまして、これはいま各国ともこの固体廃棄物の処理、処分をどうするかというのは、いろいろ頭を悩まして研究しておるし、IAEAあるいはその他の国際機関においても、国際協力によってこれを解決しようではないかというので検討も行なわれております。日本としましても、まあ国際機関にいろいろ呼びかけておりますが、同時に日本としても、この調査どういうふうに考えていくかという問題につきまして、昭和四十五年ごろから専門家の会議を設けまして検討してまいりまして、これは去年これに対する中間報告的な報告書も出ております。その報告書によりますと、やはり海洋処分ということが一つの考え方、それから陸上で保管するという考え方、そういう考え方がとられておりまして、海洋処分につきましては、これは簡単に放射性物質——低レベルでありますが、厳重に調査を行なった上で、そしていろんな基準をつくり、その上で本格的に投棄をやる場合には、事前にいろいろな数年間にわたる調査が必要でありますので、昭和四十七年、今年度の予算から海洋調査のための予算をとって研究をやっているわけでございます。これは太平洋日本海溝の外側になる五千メーターぐらいの深いところ大体四地点ぐらいを考えまして、この気象条件なり海洋の条件あるいは魚等の水産物の状況等、いろいろな気象庁、海上保安庁その他関係機関が一緒になりまして、今年度から調査をやっておるところでございます。そしてこれが三年計画でありまして、いろいろ地形とかあるいは気象条件とか海流の条件とか、そういう基礎的な調査をそういう四地点につきまして三年間にわたって調査をやって、その上で、また一方ではいろいろ技術的な検討、研究原研等においてやっておりますが、その上で試験投棄をするかどうかという問題も入ると思います。一方では、これも今年度から陸上保管、適当な——たとえば人間の住んでないような離島で保管する適当な離れ島等がないかどうかというのを、これは国土地理院にお願いして、いろいろ今年度から研究調査をやってもらっております。来年度につきましては、具体的にこれは通産の地質調査所に頼みまして、具体的に考えられる離島の地質構造その他の状況を調査するその予算も千五百万円ほど要求している次第でございます。
  126. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この陸上——その前にお聞きしたいのは、いま五十年から試験投棄をやるかやらないか考えると言われましたので、現在年間どのくらいの量の廃棄物ができておりますか。それから現在たまっておる、保管されておるのを含めまして、廃棄物がどれだけあるのか、それをまずお伺いします。
  127. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 原子力発電所等から出ますところの放射性廃棄物、これは現在まで固体廃棄物の発生累計でございまして、原子力研究所に一万五千本、敦賀、美浜、福島の原子力発電所に約七千本、これは二百リットルのドラムかん換算でありますが、合わせますと計二万二千本の固体廃棄物が発電所原研構内等に厳重な管理のもとに保管されているのであります。それから将来どのくらい発生していくかという問題でありますが、大ざっぱに見まして、原子力発電の長期計画に基づいて計算しますと、昭和五十年には年間四万本くらい、昭和六十年には年間約三十万本くらいに達するという試算がなされております。
  128. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 五十年で四万本ですから、かりに四十七、四十八、四十九、五十、まあ四年として大体十万、そうしますと現在のを足すと十二万二千本、そういうことになりますね。で、それから海洋投棄の試験をやるとして、この試験がどれぐらいではっきりするのかわかりませんけれども、かりに一年間でちょっとデータが出にくいのじゃないかと思いますが、もし投棄をかりにするとした場合、この前は十四年かかられたわけですけれども、これは私は実験とは思わなくて、実験と称して捨てておったというのが私の見解であったわけですけれども、これが実際に試験投棄をしてその結果がはっきり安全であるとわかるのには何年かかるか、その辺はどうですか。
  129. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 大体、海洋の調査地点の四つほどの地点について調査が三年計画でありまして、それから試験投棄といいますか、いろいろ基準をつくるためのほんとうの試験的な投棄も考えておりますが、本格的な投棄——これはもちろん投棄しても絶対将来にわたって安全であるという確証が得られて初めて本格的な投棄になるわけでございますが、これにつきましてはことしの六月に原子力委員会がつくりました長期計画においては、昭和五十年代の初めまでに本格投棄に入る計画をうたっております。
  130. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いや、私の言うのは、さっき言われたのは海洋の調査で三年かかると、その上で技術的な研究的な試験投棄を考えると、その試験投棄をしてからそのデータが安全であるとかりにわかるのに一本——何かそのとき何本投棄されるかわかりませんけれども、とにかく一つ実験でその五千メートルなら五千メートルの海底に沈めて、そこから出る放射能がどうだとか、その詰めたコンクリートが破壊されるとかしないとかいろいろあると思いますが、それが絶対安全であるとわかるまでに何年かかるかということです。
  131. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) その安全であるという研究は、現在並行していろいろなモデルをつくりまして原研等において研究をやっておりまして、これも並行して研究しております。したがいまして絶対安全であるという確証を得る場合は、海洋調査を含めまして五年くらいの期間をわれわれのほうは考えております。ただ、いまから投棄をした場合のあとの放射性物質の挙動がどうなるかとか、固化したものがどういう現象を示すかとか、そういう研究原研等において並行して研究が行なわれておりますので、五年ぐらいの期間を見れば——実際の本格投棄に必要な安全性の確証が得られる期間が五年ぐらいというふうに考えております。
  132. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 大体いま試験的に一緒にやると言われますけれども、それはあくまでも模型といいますか、モデル実験だと思うわけですが、実際海洋投棄されてどうなるかという実験は、やはり私は二年、そうなると、いま五年と言われたが、三年が調査ですからあと実際試験投棄して二年ですかね、二年間ではたして安全性がきちんと結論づけられるのかどうか、それぐらいで結論づけられるようなものであれば、いままで諸外国も相当海洋投棄には関心を持ち、やってきた。いろいろ研究もしているはずです。その結果、いま大体、諸外国は海洋投棄は見合わせると、こういう方向をとっているわけですから、二年間ではちょっと心配ではないかと、こう思うんですが、その点はいかがですか。
  133. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 現在モデル実験等も入れまして五年の期間が研究で行なわれるということでありまして、実地の研究調査に三年かかって試験投棄等で二年ということになっていますが、並行していろいろ科学的な研究を従来からもやり、また今後五年をかけまして重点的にやればそれに関する結論——イエスかノーかという結論は十分出るのではないだろうかというふうにわれわれは考えております。各国におきましても非常に同様な研究テンポでやっておりまして、これは国際機関等においても、各国の情報を持ち寄って、なるたけ早く解決するという意気込みでやっておる状況でございます。
  134. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その辺がまだ、私非常にその計画がもうひとつこまかいところまで配慮されていないのではないかと思います。たとえばコンクリートに詰めてあるいはドラムかんで捨てた場合に、今度それを引き上げる技術ですね、この開発についても私はかなりの時間を要するのではないか。これはまだはっきりしていないのですよね、どういう形で引き上げるかも。また海というもの自身が非常にむずかしい、調査のしにくい、まだ実情がわかっていない、そういうものですから、実際に海洋投棄して二年間で出るかどうか、これは疑問視せざるを得ないのですが、その辺は科学的な根拠というものはあるのですか。
  135. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 来年度の予算要求で六千万ほど考えておりまして、これが引き上げを海洋開発センター等に頼みまして、カメラ、テレビ、そういうもので深海における挙動、投下物がどういう挙動を示すか、そのために海洋開発センター等に対して相当な金額の予算を要求しておりまして、その問題についても四十八年度から本格的に研究を始めることになっております。
  136. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 引き上げることについて……。
  137. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 引き上げる技術につきましては、四十九年度以降においてこれも専門の海洋開発センター等の機関に研究を行なわせたいというふうに考えております。
  138. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もちろん予算の制約があるのでいろいろ無理もあろうかと思いますけれども、いまのお話を伺いまして、私の印象としては、非常にいまテンポとしてはおそいと、かりに海洋投棄をすると踏み切るとしても、その方向をかりにいいときめたとしても、非常におそいと思うのですね。去年の三月の時点で私が指摘をして、その後いろいろ研究がされたにもかかわらず、しかもこんな調子でやっていると私は五十二年におそらく答えは出ないと思うのですよね。四十九年から、引き上げる技術をこれから開発しようとするわけでしょう。それまで科学技術がかなり進歩するとかりに計算に入れても、実際五千メートルの深海からドラムかんを上げてきて、しかもそれが相当潮流等の影響もあるでしょうし、相当これはかなりのチェックをしなければならぬ。私しろうとですからそっちのほうはわかりませんけれども、そうなると四十九年から引き上げる技術の検査をやる。それから五十年から実際に投棄をやると言ったって、今度は引き上げるほうが三年も五年もかかった場合、五十五年、へたをすると六十年ぐらいになって実際毎年三十万本のドラムかんがどんどん出てきた時代になって、まだなおかつ海洋投棄の安全性、絶対だいじょうぶだという結論が出るということも考えられないんじゃない。こういうのろのろした研究のやり方でいいのか、その間にどんどんたまってきて、それこそ住民のほうは不安を覚えると、こういうふうになってくると思うのですが、これはもうちょっとピッチが上がらないものかどうか。そんな六千万なんてけちなことを言わないで、もっとお金を出してもらいたいと思います。長官これはいかがですか。
  139. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨には同感であります。できるだけ予算額も機を見て努力してみたいと思います。
  140. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 同感で、努力すると言われますけれども、実際そのビッグサイエンスには相当の金がかかっておるわけです。もちろんそれをやらなければならぬことはよくわかります。たとえば衛星一つにしても、早く通信衛星も打ち上げなきゃならぬということもわかりますけれども、やっぱり一番国民の立場に立った場合、私たちの環境保全あるいは生命の危険をなくすと、こういうことが第一になりますから、やはり先ほどからも原子力発電所安全性ということあるいは環境基準という問題、これは一番やかましくいま論議をされているときでありますから、私は少々の開発予算を削ってでもこういった安全性の問題については先に予算をさくべきだと、これをやって、かりに何かがおくれたとしても国民は決して私は文句を言わないと、こう思いますので、その点はひとつ強く要望しておきます。  続きまして、その海洋投棄だけではなくて陸上の問題をおっしゃいましたが、具体的にはどういう地点をいま考えられておりますか。
  141. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 具体的には四十七年度におきましては国土地理院が、これはまあ実地でなくて、むしろ地図の上から陸上で保管する適当な離島がどこであるかという研究を国土地理院にやっていただきまして、それで若干の候補地も見つかりましたので、四十八年度から地質調査所に頼みまして、実地の地質構造がどうなっているか、地形その他どうなっているかという具体的な離島について調査をやる予定になっております。それで考え方としましては人間が住んでいない離島であること、それから地震等があるといけませんので火山地帯でないこと、それからかなりの平たんな広がり——面積を持っていること、それから船で運びますので船の着くような適当な施設、港の施設がとれるところというような、まあそういう見地から具体的な島がいま候補にのぼって、これに対して来年度千五百万の調査費を見たので実地の調査をやってもらうことを考えております。
  142. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 新聞ではすでにもう吐喝喇列島ですか、そういうようなことが出ておりますが、実際これが、かりにいまの計画でその調査が完了するのはいつごろですか。
  143. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) たとえば男女群島とか草垣、宇治諸島とか、いろいろ名前が新聞等にも出ておりますが、まあ先ほどの条件を満たすところというふうになりますと相当限定され、しかもあまり寒冷地でないところということになると、そういう島が考えられるようでありますが、これは大体われわれは二年ぐらいの期間で地質調査所の調査を終えてもらいたいというふうに考えております。
  144. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 では、二年地質調査をして、実際そこへ物を運んで、それからどれくらい見られるわけですか、期間は。たとえば一年とか二年とか見られるのですか。それから本格的にそちらへ処分するのか。
  145. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 地質調査所の調査が終わってすぐ本格的にそこへ保管できるかどうかと、いろいろ所有権の問題とかあるいはその離島の周辺の漁業との関係とかいろいろな詰めるべき問題、多々あると思いますが、まあそういう問題、ないとしましても、そこのいろいろ構築物をつくるとか港をつくるとかいろいろな点を考えますと、先ほど言いましたように、原子力委員会昭和五十年代の初めごろという、陸上の保管処分の問題もそういう時期になると思います。
  146. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあかりにこれがきまったとして、本格的に運ぶのはたとえおくれたとしても、地質調査に二年もかかるんですか。この辺が解せないんですけれども、実際もうわかっているわけでしょう、地理の上では地図もありますし、いろんな機関もあるわけでしょうし、実際今度は放射性物質を置くという頭で調査するのには、ある程度新しく調査をしなければならぬと思いますけれども、実際これ二年も必要なのかどうか。四十九年——それから五十年から実際やるとなれば、港ができて本格的に運ぶとなれば相当あとになると思う。その間にもし漁業の問題等が出てきたり、住民との話し合いも出てきますと、非常にむずかしい問題になってくると思います。調査をゆっくり二年やっていたのでは、その間にどんどんこっちはたまっていく一方ですから、原子力発電所はこれ以上つくらぬというならそれはけっこうですけれども、その点はいかがですか。
  147. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) あるいは地質調査は一年で終えるかもしれませんが、その他気象の問題とか、いろいろ海流の関係とか、調査すべき問題が、データが相当あると思いますので、われわれは二年ぐらいという感じで計画を立てております。
  148. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 非常に科学技術庁——まあ科学技術庁ですから、理論的にきちっとおやりになるので、非常に慎重に、長時間かけておやりになると思うのですけれども、それにしても、あまりにもおそいと思いますし、また現在先ほどいろいろ言われましたそういう候補地というのも、いまのところはたとえ無人島でありましても、これから田中総理が日本列島改造論を進められますと、いろいろ観光開発等が出てきます。そうするといま無人島でかまわないといっていた所が将来観光地あたりになる可能性が十分あると思う。そうするとそこがまただめになると、また次のところ、うろうろしている間に海洋投棄のほうもなかなか結論が出ない。そういった陸上投棄もなかなか結論が出ない。そういった間に一方では放射性廃棄物がもう年間三十万本のドラムかんができてくる、こういう状態になれば、にっちもさっちも動かなくなると思うのですが、この辺については私はかなりの英断を持ってきちっとやっていかなければならないと思いますので、その点はやはり長官の勇断をお願いしたいと思うのですが、その点について長官いかがですか。
  149. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 廃棄物処理の問題は、今後の大問題でございまして、これは日本一国の関心対象のみならず、国際的に協力し合って、地球上から公害をなくしていくという高い考え方に立ってやっていくべきものであると思います。私はいまのお話に共鳴いたしておりますので、そういう方向で努力いたしたいと思います。
  150. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 特にいま長官言われましたように、やはり諸外国も非常に関心を持っておりますし、大体のその諸外国の傾向というのは、現在のところ海洋投棄は反対と、そういうふうなことでまあ外国の場合は国土が広いものですから、陸上に保管しておいてその問題がないわけですが、わが国は非常に狭い、そういった点でやはり海洋投棄という考え方もわからないではありませんが、私としてはこの海洋投棄には反対の立場をとらざるを得ないのが現状です。したがいまして、そうなりますと、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則ですか、これに二千メートル以上の海洋なら投棄してもよいという項目がありますが、この項目自身も再検討しなければならぬと思いますし、こういった法律改正の問題も含めて、これからまだ検討しなければならぬ問題が実際出てくると思いますが、特にこの項目はどういうふうにお考えになっていますか。やはりこれをたてにとってどんどんやろうと思えばできるわけですから、この項目はまずどうされるか、今後こういった投棄に関する法律をつくられるのか、あるいはこういった施行規則でいかれるのか、この点の見解をお伺いしておきます。
  151. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 現在の障害防止法の規定がそうなっておりますが、かつて昭和三十年から昭和四十四年にわたりまして放同協が千葉沖等で投棄をやったのにつきましては、昭和四十四年の十月から実際そういう試験的な投棄も行なわせないという方針で臨んでおりますので、それで先ほど四十七年度からやっておりますところの海洋調査あるいは陸上処分の見当がつくまで発電所構内に保管させる、海洋投棄はやらせないという方針でありますので、もしも海洋調査の処理処分の方法の基準ができますと、それにあわせて関係法令の改正もやって、そして初めて安全であるという確信のもとに処理をするというそういう考えでありますので、当然、将来その改正も行なう必要があると思います。
  152. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 時間の関係で次の問題に移ります。  十月五日発送されたクリプトン85の紛失した事件がございましたが、これについての御報告をお願いしたい。
  153. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 日本アイソトープ協会、これは文京区の駒込にあるんですが、そこから香川県の坂出市にありますところの稲井電子工業株式会社へクリプトン85、六十ミリキュリーを十月の五日に発送したのであります。ところが、十月の十七日になりましても荷受け人の稲井電子工業から受領通知が来ないので、その所在を調べましたところ、日本アイソトープ協会から輸送委託された協和輸送サービス株式会社が西濃運輸株式会社の尾久支店所属のトラックに十月五日に渡して以降、その行くえが不明になっておることが判明したわけでございます。それでいろいろその後全国の西濃運輸の各支店あるいは各ターミナルを厳重に調査しておったのでありますが、ちょうどきょう午前八時五十分にその現物が発見されましたのであります。で、発見場所は板橋区のトナミ運輸という会社の板橋ターミナルで発見されております。  考えてみますと、西濃運輸のルートで行くべきものがこの板橋ターミナルでよその運輸会社のところへ偶然入ったために、きょうまでなかなかどこにも発見できなかった。きょう八時五十分に発見されて、包装その他も異常ない状態で発見されたので問題はないと思いますが、ただ、非常にこういう荒い放射性物質の輸送というのは、工業利用その他で非常に使われて、流通も多くなってまいりますので、二度とこういう輸送上のトラブルのないように、放同協をきのうも呼びつけて注意を促し、改善策を出すように厳重な注意をやっておるのでございます。
  154. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 アイソトープ協会はこのクリプトン85をどこから入手したのですか。  それから稲井電子工業はどういう目的でこのクリプトン85を使おうとしておるのか、その点わかりましたら……。
  155. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 今度のクリプトン85のこのものはアメリカから輸入したものでございます。  それから使用者である稲井電子工業株式会社におきましては、このクリプトン85を放電管の試作試験用として使用する、そういう目的で放同協から購入したものでございます。
  156. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この輸入した品物はそのままアイソトープ協会に直接入るわけですか。
  157. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 輸入・販売等の業務はアイソトープ協会が主としてやっておりますので、アイソトープ協会が直接輸入者として購入しております。
  158. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 発見された場所が板橋区ですから、実際はもう全然動いてなかった。このアイソトープ協会の場所が文京区ですね、倉庫はどこかわかりませんけれども。したがってほとんど東京都内でとまっていたということは、実際、十月五日に発送したのがその日のうちぐらいにここに着いておったんじゃないかと思われるわけです。となりますと、運輸業者に対する考え方というもの、おそらくこれはまた下請に出したと思うのですね。そういうふうに下請、孫請とか、こういうようになってきますと、だんだん責任感、おそらく何が積んであるかわからないで走っておる運送業者になってしまっておる。少なくもこういった放射性物質については、きちんとその運ぶ人たちにもここにこれが積まれておるのだということを認識させなければ、こういった問題が起こったときに大きな問題になると思いますが、幸いそのままであってよかったのですけれども、これがもし何かなれば、これはおそらく気体だと思いますが、クリプトン85はトリチウムとともに非常にいま問題になっておる放射性元素ですから、これは十分注意しなければならぬと思います。  要するに、運送業者——いつも事故は、去年のたしか九月だったと思いますが、あの三井造船ですか、で起こりましたイリジウムだったと思いますが、これの事件、あるいはまた、たしか和歌山のどっか団地に捨ててあった放射性物質、これは神戸からのものだったかと思いますが、最近ずっとこの一年間ひんぱんに放射性物質のずさんな管理ということが問題になっておるわけです。しばしばこの委員会でも、起こるたびごとにここで私もやってきたつもりですが、一向に改善をされていないわけです、現状では。またここはこういうミスが起こった。この原因を見ますと、たいていその管理のあり方が非常に問題で、アイソトープ協会というのはこれを預かっているから一生懸命管理されておると思いますが、その辺は問題ないですけれども、一たんそこを離れてから必ず事故が起こっている。この間のイリジウムだって、離れてからなんですね。そこの中に、現場に管理の人がなかなかいない。だから運輸業者あるいはそれの商売をやっておる業者、そういうような非常に放射性物質に対して認識のない人たちとのところの手に渡って必ず事故が起こっておる。こういうことになっておりますので、そういう点をどうチェックしていくのか、どう監督していくのか、その点に対して、ただ放同協を呼んでしかりつけたと、そういうだけではだめだと思いますので、具体的にどうされるか、その点お伺いしたいと思います。
  159. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) われわれとしては、荷主でありますところのアイソトープ協会に厳重に注意をして、輸送についても下請あるいは輸送会社にこういう放射性物質であるから特に管理上も厳重な管理をするように、そういう要請を出させるつもりでございますが、この放射性物質の輸送につきましては、運輸省令の放射性物質車両運搬規則というもの、これに包装条件とかいろいろな技術的な基準が示されておりまして、法令上はこれに従ってやっておりますので、運輸省ともよく相談をしまして、運搬会社から運搬会社へ移る場合とか、末端まで徹底するように、厳重に、運輸省とよく相談して、輸送業界に対しても厳重な注意を喚起したいと思っております。
  160. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま全国で放射性物質を扱う業者というのはどれくらいあるのですか、数でけっこうです。一覧表はあとでいただきたいと思います。
  161. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 放射性物質を使用している業者といいますか、事業者等は大体二千六百件ほど全国であります。
  162. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 大体この一年間で放射性物質が移動した件数というのはどれくらいで、量はどのくらいですか。物質別にわかればいいんですが、きょうは時間がありませんので、あとで資料で提出していただければけっこうです。大体どれくらいの量が日本の国ではいま動いているのか、大ざっぱでけっこうですから、言っていただきます。
  163. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 放射性物質は、昭和四十五年度におきまして、販売数量が約三十八万キュリーというふうになっております。これが流通した、移動した量というふうに考えられるのであります。このうちクリプトン85は五百七十キュリーという統計が出ております。
  164. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 全国で放射線取扱主任者というのは何人おりますか。
  165. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 放射線取扱主任者——一種、二種という区別があるんでありますが、これを合わせまして全国で九千九百二十一名というふうな、これは現在の総計でございます。
  166. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この人たちは発送や荷受けの取り扱いまで担当しておるのかどうか、その辺はいかがですか。
  167. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) これは工場とかそういう事業所において放射線取り扱いの責任者になっておりますので、その工場に着いた場合の荷受けあるいはその工場から出す場合の荷渡しの責任はあると思いますが、工場と工場の間の流通面ではタッチしてないということになると思います。
  168. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その辺、タッチさせたほうがベターなのか、その辺まあ技術的な問題で私も詳しいことまでわかりませんけれども、要するに、いま九千九百二十一名ではたして十分なのかどうか、私は足りないと思うのですが、いま言ったような状況までこういった人がタッチをするようにしていかなければならぬとこう思うんですが、その辺はどうお考えですか。
  169. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 運搬中、流通過程中の取り扱いは先ほどの運輸省令の放射性物質車両運搬規則の対象にしておりまして、障害防止法あるいは規制法の対象外でありますので、私は取扱主任者を運搬会社の責任者にするというのは、いまのところ法律的にはもちろんできないのでありますが、政策的にもそういうことが必要であるかどうか運輸省と十分検討してみたいとは思いますが、問題のないように包装その他そういう扱いの条件になっておりますので、流通過程中では取扱主任者の対象にすることはあまり適当ではないのではないかとも考えますが、その点運輸省とよく検討してみたいと思います。
  170. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 最後に長官に要望を兼ねての質問ですが、先ほども言いましたように、かなりこういった放射性物質の取り扱いのずさんさが特に最近目立つわけでして、これからどんどん放射性物質がふえてくると、どうしても人間というのは、大したことないんだろうといってずさんにならざるを得ないわけです。しかも大学の中、あるいは研究所でもそういった傾向も出てきております。やはりきちんと法律に基づいて、あるいは安全性、あるいは危険のないということの立場からきちんとしなければなりませんので、こういった事故が起こったときに、ただそれだけでとどまるのではなくて、いま運輸省とも相談をすると言われましたが、それだけではなくて、一切、この放射性物質の取り扱い全部を含めて、もう一度輸入のところから——輸入業者の一部にいいかげんな取り扱いも前にあったわけですが、全般についてこの流通取り扱い、こういったものをもう一度一切を洗い直してきちんとした対策を立てていただきたい。起こったときに、ただしかるとかそれだけではなくて、一ぺんこの際洗い直していただきたいと思うのですが、その点に対するお考えをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  171. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の事件にもかんがみまして、お説のとおり、総合的に検討してみたいと思います。
  172. 星野力

    ○星野力君 政府は、さきに国防会議で四次防について正式決定をするとともに、国防会議議員をふやすことをきめて、科学技術庁長官も新たに加わることになったその問題についてお聞きしたいと思います。この問題については、衆議院の委員会でも論議されましたし、この委員会でも辻委員矢追委員から触れられておりますが、問題が非常に重大であり、しかも私には長官の御答弁納得いかないわけであります。私に納得がいかないだけでなしに、おそらく国民の多数も納得いかないだろうと思うのでございますが、私で最後にこれはなると思いますが、長官同じことをたいへん御苦労かもしれませんが、答えていただきたいと思います。  科学技術庁長官が国防会議の議員として加わるという問題を国民が虚心に見ますと、これは科学技術庁所管の科学技術わが国の防衛、軍事に役立てるという方針に基づくもの、こう考えるだろうと思いますが、長官はそうではないと、こうおっしゃるわけでございますか。
  173. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりであります。
  174. 星野力

    ○星野力君 四次防ではいろいろ進んだ兵器が採用されることになっております。それら兵器の国産による開発ということもあります。当然科学技術の問題が結びつくわけでありますが、そのためにも科学技術庁協力が要求されておるのではないでしょうか。
  175. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 官庁協力の範囲内において防衛庁側から質問があるような場合には、科学技術庁といたしまして、一般的な普遍性のあることについてはお答えすることはあるでしょうと思いますけれども科学技術庁自体が独自に軍事研究をやるということはありません。
  176. 星野力

    ○星野力君 科学技術庁が直接に軍事研究をやるという意味で私いまお聞きしたわけではありませんが、次にちょっと角度を変えまして、原子力潜水艦、これは四次防の計画に入っておらないようでありますが、海上自衛隊の幹部の方は、原子力潜水艦を持ちたいという念願をおりに触れて表明しておられます。また先ほども長官からお話がありましたが、歴代の防衛庁長官、それから科学技術庁長官の中には、何人かの方が、将来原子力が船舶推進力として一般化した段階では、日本でも潜水艦などに原子力が使われる可能性を表明されております。大型の船舶に原子炉を据えつける経験はすでに「むつ」で蓄積されつつあるのでありますが、小型の潜水艦に原子炉設備する問題にはいろいろ困難が、技術的な開発が必要であると思います。それには当然多年の研究が必要であります。将来の問題としても、いまから研究しておく必要がある。それがよいか悪いかという問題でなしに、問題の性質としてそうだと、こう申しておるわけでありますが、それには科学技術庁協力が必要ということになるのではないでしょうか。
  177. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本原子力開発は平和の目的に限るということでありますので、科学技術庁はそういう軍事目的科学技術庁のいろんな得たそういう原子力の知識や何かを供用するということはございません。
  178. 星野力

    ○星野力君 将来、原子力が船舶の推進力として一般化した段階では、日本でも潜水艦などに原子力が使われるという可能性について長官はあえて否定しない、こう言われたわけでありますが、潜水艦ということになると、もう原子力推進ということが一般化してきておる、現在すでに、と言っていいのではないかと思います、非常に普及化してきておる。アメリカ、ソ連をはじめとして、潜水艦は原子力潜水艦という方向になってきておりますし、しかも、それらの原子力潜水艦は核兵器を搭載するというのが一般化しつつあると見ていいと思うのでありますが、そういうことも考慮して将来原子力推進が日本でもあり得る、こういうふうにお考えになっておるわけでございますか。
  179. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 核兵器をつくったり持ったりすることはいたしません。
  180. 星野力

    ○星野力君 防衛庁に技術研究本部というのがございますですね。科学技術庁とは同じこれは政府部内の機関でありますが、この両者の間に人事の交流は行なわれておるでしょうか。
  181. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ないと思います。
  182. 進淳

    説明員(進淳君) ございません。
  183. 星野力

    ○星野力君 そういうことは将来もあり得ないと、こう考えてよろしいでしょうか。
  184. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 将来もないと考えております。
  185. 星野力

    ○星野力君 政府の原子力行政というのは科学技術庁が一元的に掌握しておると思うんでありますが、ほかに原子力を扱っておるところがあるでしょうか、たとえばいま申しました技術研究本部というようなところ。
  186. 成田壽治

    説明員(成田壽治君) 防衛庁の技術本部が原子力関係予算として今年度百八十万ほど計上になっております。これは当然原子力委員会の一元的な調整のもとで原子力予算と一括計上になって、これを防衛庁のほうに配賦しているわけでございます。  で、内容は、いろんな計測関係の仕事あるいは障害防止の関係の仕事——決して軍事利用と関係のない項目でありますので、原子力委員会も厳重に審査して、百八十万ほど原子力関係予算として技術本部へ配賦しておるわけでございます。
  187. 星野力

    ○星野力君 この百八十万円、計測関係などで、軍事と直接の関係ないと、こうおっしゃるわけなんですが、この問題についてはまた機会を見てお聞きしたいと思います。  長官は、国防会議の議員として科学技術庁長官が参加される問題を、原子力平和利用の立場から国防会議を監視すると、こういうふうに言われましたが、私は非常にこれは無理な答弁なさっておられるのではないかと思います。国防会議は総理大臣が主宰して、ほかに防衛庁長官あるいは外務大臣も大蔵大臣も経済企画庁長官も、それから今度通産大臣や官房長官というふうなことになっておるのでありますが、総理や防衛庁長官にまかしておいたのでは原子力の軍事利用になるおそれがあるということにも長官の答弁とれるわけであります。科学技術庁長官が加わって監視したからといって、軍事利用をされるのを防止できるものではないと思うんですが、どうでしょうか。どういうお考えですか、その点は。
  188. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) より万全を期した措置であると思います。
  189. 星野力

    ○星野力君 同じ政府機関であるからには防衛庁に、たとえば四次防に科学技術庁協力するのは、これは論理的には当然だということも言えるんじゃないかと思います。ほかの国のこれは大臣、長官なら、いま長官がおっしゃっておるような苦しい答弁なさる必要、これはないんだろうと思うのであります。自衛隊、防衛庁というものが、戦争を否定し、戦力としての軍隊の存在を認めない日本国憲法に非常になじまない存在である、そういう矛盾からして長官のような苦しい答弁が出てくるんだと思います。長官ははっきりと科学技術庁の所管する科学技術の軍事利用ということを否定しておられる。また客観的に見ますと、長官がより万全を期すると、こう言われますけれども科学技術庁長官が出ていって監視したところで、たいして意味がない。その点からも科学技術庁長官が国防会議に加わるということに積極的な意味というものは、これはあり得ないと思われるんであります。いずれにしても、科学技術庁長官が国防会議に加わる根拠というものはきわめて薄弱であると思うんです、この軍事利用ということを否定されるからには。私は、日本国憲法、それから原子力基本法その他一連の現行の科学技術法制のたてまえからも、科学技術庁長官は国防会議に加わるべきではないと、少なくとも制度として議員に加わるのは間違っておると、こう思うのでありますが、もう一度その点について長官のお考えを聞きたい。
  190. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたとおりでありまして、見解の相違であると思います。
  191. 星野力

    ○星野力君 私、やめます。
  192. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十七分散会