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1972-09-21 第69回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月二十一日(木曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員異動  八月十一日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     伊部  真君  九月二十日     辞任         補欠選任      藤田  進君     成瀬 幡治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 鬼丸 勝之君                 森中 守義君     委 員                 岡本  悟君                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 橘  直治君                 山崎 竜男君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 成瀬 幡治君                 田代富士男君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  佐々木秀世君        労 働 大 臣  田村  元君        国 務 大 臣  小山 長規君        国 務 大 臣  本名  武君    説明員        内閣官房副長官  山下 元利君        環境政務次官   菅波  茂君        自治大臣官房参        事官       中野  晟君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        加賀谷徳治君        日本国有鉄道理        事        内田 隆滋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (新幹線による沿線住民被害に関する件)  (日本国有鉄道の運営に関する件)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  最初に、委員異動について御報告いたします。  藤田進君が委員辞任され、その補欠として成瀬幡治君が選任されました。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最初に私は、過般、名古屋新幹線公害人たちの集まりがございました。で、国鉄当局のほうからもその会には御出席になり、名古屋の市長も出席しておられましたですが、まあたいへん、現地を実際運輸大臣なり、あるいは国鉄総裁等も御存じだと思いますが、われわれ普通行きましても、そのときに二時間もおるというのは全く難行苦行と申しましょうか、しんぼうしきれない、そういう状態だと思います。しかし、そこに何年か新幹線のもとでそういう被害に悩んでおられる方が多いわけです。ところが、四十二年制定の公害基本法からは、騒音の中で、御案内のとおり航空機国鉄が抜かれておるわけです。しかし、そういう中で、航空機騒音に対しては、四十六年に環境庁のほうから運輸大臣あてに、緊急を要する騒音対策という、いわゆる環境基準ができておらぬけれども、そういう一つの指示がされておる。それを受けて運輸省も財政的にいろいろとやっておやりになるようですが、そこで私は、国鉄当局にお聞きしたいのですが、いままで新幹線は、まあ東京から大阪、あるいはこれから延びて岡山でございますが、一体騒音なり、振動なり、テレビ障害のそういう被害を受けておられるお方たちが、戸数にしたらほぼどのくらいあるのか、人口にしたらそれはどのくらいあるのか、そういう御調査をなすったことがございましょうか。あるとするなら、騒音でどれだけ、振動でどれだけ、テレビ障害でどれだけと、お示し願いたいと思います。
  5. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまのお話騒音振動テレビの問題でございますが、まあ時期がいろいございますけれども、最近におきます主として現地の、地元方々からいろいろ問題が提起されております。この問題の提起によって調査いたしました数字騒音振動——テレビはちょっと別でございますが、騒音振動別にちょっといまこまかい何戸という数字、持っておりませんが、担当者のほうから数字でお答えします。
  6. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 東海道新幹線騒音につきましては陳情、請願が出ておりますが、ただいまの御質問、ちょっとあれでございますが、件数にいたしまして、現在まで東海道新幹線で二百二十七件、いろいろの苦情が出ております、そのうち騒音振動関係では百八十五件でございます。このほか山陽新幹線地区ですね。大阪から岡山まででは二十四地区でもって、騒音振動の問題につきましていわゆる苦情が出ております。これらは大体一件が多いもので八十戸ぐらい、少ないものでは二、三十戸ぐらいというようなことでございまして、戸数はおのおのとってございますが、トータルしてございません。
  7. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 国鉄として騒音なり振動テレビ障害というものが住民被害を与えておるということは、私は、認識してお見えになると思いますが、ところが環境基準というものがない。あるいはその他いろいろなことがございまして、国鉄自身としては調査されておらぬと、ただ受け身で苦情があったものだけは受け付けておると、こういう実態ですか。
  8. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) この点につきましては、私のほうで、ことに新しく開業いたしました岡山大阪間につきましては、一キロごと地元住民方々の立ち合いのもとで騒音振動調査を正確にやりまして、ただいまそのデータを整備中でございます。それから東海道新幹線、いわゆる東京大阪間につきましては、目下その作業をやっておる最中でございまして、まだいわゆる公式的な意味騒音振動というものを全般的に把握しておりません。しかし、苦情の起きた場所の騒音振動は全部調査をしております。
  9. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、私はていさいのいい話を聞いておるわけじゃないですよ。既設東京大阪間ですよ、調査してお見えにならぬでしょう、実際は。やっておりますか。それじゃ、どのくらいの予算規模でどうやって調査してお見えになるのか、調査方法をお聞かせ願いたい、やっておるとするなら。正確な話じゃない。いままでやっておることをです。
  10. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 東海道新幹線につきましては、いま申し上げましたように、苦情がありますところにつきまして調査を個々にやっております。で、全般的なものにつきましては、いま目下調査中でございまして、まだ結果が出ていないというのが実情でございます。
  11. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう少しその調査中のことを詳しく説明してくださいよ。国鉄職員をどのくらい、どういうふうに配置してやっておるのか。それとも市町村に協力を求めてやっておるのか。
  12. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 私のほうでは、その騒音振動の直接の現場の担当はいわゆる新幹線保線所というところでございます。で、ここに担当者を大体三名ぐらいの単位でパーティーをつくりまして、これは主として苦情があった個所騒音振動をはかりまして、それに対しましていろいろの補償なり対策を講ずるというようなことをやっておるわけでございます。で、ただいまそういうようなことで東海道新幹線全線にわたって苦情処理を受けておりますのは百十八件ございます。それでそのうち二十数件のものを解決いたしまして、まだしかし、相当のものが残っておるというのが現状でございます。
  13. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、保線所はそれじゃ具体的に何カ所あるのか。それから三名のパーティーというのは何班つくって、延べ人員どのくらい…。
  14. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 保線所は四カ所でございます。それで各保線所に三人のパーティーを一パーティーずつ置いてあります。それから総局にはその担当の補佐がおるというのが実情でございます。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、まあ苦情のあったところが百八十五件あると、そして四カ所ですから三名のパーティー、三、四の十二名でいま調査している。いつからやっておりますか。
  16. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) これは、ことしの四月ごろそういう制度をつくりまして、精力的にそういう苦情処理の問題を解決しようということでやっております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、まあ苦情のあったところをやっておると、全体については調査しておらぬと、そういうのが実態ですね、それでよろしゅうございますね。
  18. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) ただいまのところ、現在線につきましては全体的な調査をやり始めておるところで、先生のおっしゃるような意味では結論が出ておりませんので、そういうことかと思います。
  19. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、国鉄でああいう騒音振動テレビ障害が出るということが予測されたか予測されなかったかという問題が一つあると思うのです。それから、公害基本法を制定するときに、国鉄と飛行機は除かれたわけなんです。なぜそれじゃ国鉄騒音振動、そういうものが除かれたか。まあ特に騒音公害基本法じゃ除かれたわけだから、なぜ除かれたかということを聞いてみると、その対策がないんだとか、技術的にこれを克服することができないんだとか、だから除くんだと、いろいろな理屈はございましょうけれども、結局、尽きるところを言えばそういうふうにわれわれは理解しておる。いかがでしょうか。これは国鉄答弁運輸大臣答弁を……。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 立法の過程のお話でございますので、私のほうから申し上げるのに適当じゃないと思いますが、まあ技術的に不可能だということよりも、むしろその時点——公害基本法立案されました時点におきます実態把握が必ずしも正確でなかった。ことに大気汚染というふうな問題でなしに、騒音振動というふうな物理的な問題であったために、次元の違う問題としてはずされたんじゃないかというふうに思いますが、私は、立案の当時参画いたしておりませんので、よく趣旨は存じませんが、たぶんそういうことでないかということでございます。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実態把握ができておらぬというなら、四年たちますよ。いま苦情のあるところを調査している段階ですか。積極的な調査なんか何もしていないでしょう。ですから、そういうことじゃなくて、とどのつまるところは、やっぱり私が申し上げましたように、かりにできたとしても、発生源のほうで防止というものはできないんだと、そうじゃないでしょうか、本心は。実態把握するなら把握してから入れてもらうんだと、だからそれをやるというなら四十三年、四十四年は何をやっていたんだ。四十五年はどうしておったんだ。四十六年は何をやっていたんだと言いたくなりますよ。何もやっておらぬじゃないですか。苦情があったものを受けただけでやっておるじゃないですか。積極的なものは一つもないじゃないですか。そんないいかげんな答弁というものは、総裁するものじゃないですよ。どうですか。
  22. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほど先生の御質問は、公害基本法をつくったときになぜ除かれたかという御質問だったと思います。私は立案者じゃございませんので、除かれた理由を十分つまびらかにいたしませんが、推定するとすれば、いわゆる大気汚染のようにわりあいはっきりしたものじゃなしに、非常に騒音振動という個人的な、個人差のある問題、または物理的な問題だという意味で除かれたんじゃないかという意味で申し上げたのです。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあいいです。この問題はここで議論してたってね。  そこで、被害が実除出ておるということだけは間違いない、御認識ですね。で、今後これは、いまは苦情を受けておるところを調査しておるが、今後はそうじゃなくて、苦情あるなしにかかわらず広範囲に調査する、そういう計画はございましょうか。四十八年度あるいは現時点で、この四十七年度予算の中でそういうことができるかどうか。四十八年度にうんと調査する、そういうお気持ちはございましょうか。いかがですか。
  24. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先ほども申し上げましたように、現在は苦情の出た地点だけを正確に調査をしているということでございますが、これは岡山大阪間につきましては一キロごと騒音振動沿線の方も立ち会いの上で、ただいま正確に調査をいたしました。それで、東京大阪につきましても、要点につきまして調査を進めたいというふうに現在進めておりますが、それを進めてまいりたいというふうに考えております。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは四十七年度予算でどのくらいですか。それから四十八年度でこれに対する対策予算要求はどのぐらいされましたか。
  26. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 予算といたしましては、これは直轄でやりますのでそうかかるものじゃございません。機器も全部整備してございますので、いわゆる営業の損益勘定の中でやるということになろうと思います。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうかかるものじゃない、金は言えぬですか、わからぬですか。まあ人件費だから、十二名しかいままでやっておらぬ、人件費のことだから、たいした金じゃない、こういうことなんですか。特別に大きな、たとえばチームならチームをつくって、これの騒音なり、振動なり、テレビ障害等関係住民にたいへんな迷惑をかけておる。したがって、それを大々的に一ぺん調査をしてみようという、そういうお気持ちはございませんか。
  28. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 騒音振動調査につきましては、まず機器類が一番必要なわけです。機械と申しますか、機器類ですね、これはほとんど整備はできておるわけです。いま、それを主として山陽方面に使っておるわけです。それをオペレートいたしますのは私ども職員直轄でやりますので、いまのチーム十二人、三人組の四チームというものをどこまで広げてやるか、これはまだ具体的に考えておりませんが、間もなく山陽のほうはもう終わりますので、その機器類は全部転用いたしまして東海道でやるというふうな考え方であります。いま、それを何十人にしてどうという具体的な案は持っておりませんが、とりあえず、いまある整備された機器と、それから現在の人員でもってやってまいりたいというふうに思っております。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 十人だということはようわかっておる。この十二人は、実はこれはぼくは、既設東京大阪間だけだと思ったら、今度つくった新幹線のほうにいっておるのか、この十二人は。それは別だと思うが、どっちのほうですか。四カ所、十二名というのは東京大阪間じゃないでしょう。
  30. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) これは東京大阪間に張りついております。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、この人たち機器なしでやっておるわけですか、どういうことなんです。いまいう岡山のほうの話が出たり、ちゃんぽんになっちゃっても、もっと整理してください。私は岡山のほうのことは聞きませんから。東京大阪間の既設新幹線公害のことに限って質問している。
  32. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 十二人は東京大阪間に張りついているわけです。機器は、各保線所にそういう機器が別個に用意してございますので、その機器を使ってやっております。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、磯崎総裁の言うことを聞くと、向こうにも機器を別途使っておると、その機器が余ってくると、だから今度はこっちへ回して、そして員数も若干ふやしてやるという……。それじゃどのぐらい向こうでいま調べておるのか。岡山のところを調べておる人は何人やっておるのか。機械は、まあいろんなこともございますから、何人ぐらい……。
  34. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 大阪岡山につきましては、これは集中的にやる意味技術研究所職員、それから工事局職員、それから一部コンサルタントの職員等を利用しましてやっ私ております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何名ですか。
  36. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) ちょっと数ははっきりいたしませんけれども、全区間を一キロおきの測点を設けまして約一カ月間で調査を完了しております。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もうこれは完了しちゃったんですか。
  38. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 調査だけはですね、これは分析いたしますから……。調査は一応完了いたしまして、これをいまから分析して、いろいろと問題点を探っていくと……。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一カ月百二十名、集中的にやったんだと、分析もけっこうです。それは当然です。その人がやるわけじゃないでしょう。この人がやるのですか、同じ人が。調査の人でしょう、これは。
  40. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 技術研究所にはこういういわゆる音の権威者等も相当おりますので、技術研究所分析をいたします。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、この百二十名の人は、いま現に大阪岡山なんだから、いまどうしているのですか。分析のほうにはかかっていても調査はやっていないでしょう。調査はしていない、終わったんでしょう。終わった人は、それは確かに分析をする人が何人か必要だろうということはわかります。技術研究所の人はそれでいいと思うんです。ところが、調査の人は、磯崎総裁のことばを聞けば、そちらのほうの調査をしております人がそこを終わってきますと、それを今度は東京大阪間に回すような話があった。ところが、いま話を聞いてみればそうじゃないんです。実態がどうなっているかということは、そうすると、四カ所で三名のパーティーしか現にやっておらないんだ、それだけならなんですね。で、新幹線大阪から岡山のほうは調査は終わったんだ、こちらのほうはこの十二名しかやっていないんだと、しかし、それだけじゃいかぬから、ひとつ機械も余ったんだからこれからはやるんだと、いまはまだやっておりませんよと、こういうことなんですか。
  42. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、研究所職員機器とともに、ただいま総裁が申しましたように、今後東京大阪間に重点的に使うということになろうかと思います。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私はどうも国鉄に熱意がないというふうに言いたいんですよ、簡単に言えば。まあこれから調査しようと、いいことだと思うんです、事前におやりになることは。ところが、既設のものに対してはもう少し機械が余ったらすぐこちらへ回して積極的に——被害をこうむっているところは苦情個所だけでなくて、全線にわたってあなたは、ここらあたりは被害はなさそうかどうかということについて積極的に取り組まれるというか、国鉄にそういう姿勢があるのないのかどうかという点を、非常に疑って私は質問しているわけです。ですから、決意を私はある程度聞かなきゃならぬ。ですから、総裁、どうですか、現状じゃとてもいけませんよね。そこであなたのほうはどうおやりになるかどうかということ、そして、それはひいては、四十七年度予算の中でそれを消化しながら、お金はあまり足らぬようですが、そうすれば、四十八年度に要るということになれば、予算計上も特別に要求されなきゃいかぬと思いますが、まず、被害がどれだけ出ているかという実態を明らかにされる義務が、私は国鉄にあると思うんです。ですから、国鉄はそれに対してどう対処されるかということを聞いているわけです。
  44. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 新幹線公害問題につきましては、実は、前国会におきましてもずいぶんお話が出ておりまして、そのつど、私は国鉄としてのかまえを申し上げているつもりでございますけれども、あらためて、御質問でございますので……。  私どもは、とにかくあれだけの高速のものを走らすということにつきましては、ある程度音が出、振動が出るのは、これはやむを得ないというふうに思っておりますけれども、これをどうやって技術的に小さくできるかということが、うちの技術陣の一番の問題であるというふうに思います。私どもは、いわゆる騒音振動問題をよけて通るという気持ちは毛頭ございません。国鉄の土木、機械、電気、あらゆる技術を総合いたしまして極力騒音振動を少なくするということにつきましては、いままでの東京大阪間の工事やり方、あるいは車の構成等と、今度採用いたしました大阪岡山間の工事やり方とは非常に違っているということだけごらんくださいましても、東京大阪の実績をいいろいろ検討した上で、新しい工事方法大阪岡山間に使ったということは、やはり公害問題に対する私どものほうの態度の一つのあらわれであるというふうに私い思っております。  しかし、それがゼロにはなかなかならない、また簡単に急激に減らないという現状でございますので、それにつきましては、私のほうでは現在、騒音振動対策技術委員会というのを持っております。まあほとんど日本騒音振動関係最高権威者を集めましてその委員会を開きまして、いろいろいわゆる環境庁騒音基準とかいう点は別にいたしまして、国鉄プロパーとしての研究を現在やっているわけでございます。しかし、なかなかいろいろな問題が新しく出てまいりますが、いまお話のいわゆる調査と申しますのは、私のほうでもいわゆる調査を待たずしてわかっている問題もたくさんございます。たとえば、ちょうど東海道新幹線が開業いたしまして十年、そろそろレールを全部交換する時期に参っておりまして……。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。被害のあるものに対して調査するかしないか。いいですよ、ほかのことはよく聞いております。
  46. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 十分私ども調査いたします、それは。ただ、いまのところいろんなたくさんの申し出がございます。で、申し入れられているものを調査するだけで手一ぱいぐらいの申し出でございますので、それを十分調査いたしまして、たとえば、テレビ障害はわりあいに技術的に地域の判明するものもございます。したがって、テレビ障害騒音振動とは若干いわゆる影響としても違った角度であらわれております。そういうわけで、テレビ障害のほうはわりあい簡単に調査ができる。しかし、騒音振動になりますと、相当個人差もございますれば、各戸各戸でもって、また、建物の構造その他も非常に調査テレビと違ってむずかしいということがございます。しかし、いまのところお申し出があったことについては、できるだけ早く、できるだけ正確に調査をしていくというわけでございます。今後とも調査を続けてまいります。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうじゃなくて、いま聞いておることは、技術のことはいいですよ。被害実態を明らかにする必要があると思います。それが、苦情のあるところの申し入れ百八十五カ所について調査しました、二十数件は解決しました、そうじゃないですよ。予測されるところについて全般的にわたって被害実態調査する考え方はあるのかないのか、やるかやらぬかということを聞いておるわけです。
  48. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現実、現在のところ、いま申し出のあったところの調査一ぱいでございます。しかし、将来そういう問題があるいは回数がふえる等の問題でもっと大きくなるというようなこともございますので、できるだけ能力の限度におきまして調査いたしてまいりたいと思います。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、総裁申し出がなければやらぬのか。申し出のないところまでやるかやらぬかの問題です。どちらですか、被害実態を明らかにするためにも。いま聞いておると、申し入れがあっても十二名しかいないですよ、人が。どっちなんですか。
  50. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いまのところ申し出手一ぱいでございますけれども、それを解決しますれば、申し出がなくてもそこのところの調査をしてまいりたいと思っております。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、被害実態申し出のあったところを十二名だけで、それから、そこの手があいたらそちらのほうをやっていく、手が回らなかったらやらぬと、こういうことですか。新しく人をふやして実態をもっと明らかにするという考え方はないですか。
  52. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) なかなかそういう人間も養成しなければなりません。簡単に右から左に使える人間はそうたくさんおりませんが、いまのように、いろいろ新幹線の問題は、今後日本全体に広がっていくというふうな話がありますので、これらにつきましては、今後、そういった方面の人間をまず養成するというふうなことでもって——急激に何百人、何千人とできませんけれども、できるだけ早くそういう人間を充実させてまいりたいというふうに思っております。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 養成するのに何年かかるのですか。
  54. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは技術的な問題と損害賠償と申しますか、そういういわゆる法律的な問題と両方ございます。したがって、部内でもって極力それを転用し、またいまの能力のある者はそれを使いますけれども、能力のない者は若干勉強させます。したがって、一人一人によって違いますけれども、何年でもってどれだけ養成できるということは、ちょっといままだ具体的な数字をつまびらかにいたしませんが、極力そういう面を充実してまいりたいというふうに思っております。
  55. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そのための養成期間が、勉強させるとか、いろいろなことがあるが、これはどういう計画でやるのですか。そういう特別の人たちを採用しますか。新規採用でやるのか、現職でやるのか、どうやっていくというのか。ああだこうだと言うが、何にも誠意がないじゃないですか。
  56. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どもは、それを新規採用する気持ちはございません。部内の職員を転用したします。たとえば、いままでほかの仕事をしておった者を転用して、そしてそれを勉強さすということでございます。
  57. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どこで勉強させるのか。
  58. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは学園あるいは工事局に配属いたしまして、工事局の中で……。
  59. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 何年やらせる、何年。
  60. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 内容によりまして……。
  61. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 一年か、半年かかるのか、どのくらいかかるのですか。
  62. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 法律的な問題になりますと非常にむずかしい問題です。これはだんだんなれていく以外にないと思います。あとは物理的な問題、これは技術的な勉強をすればそれの担当になるわけでございます。
  63. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 損害賠償をどうするとか、こうなるということはまだ話に出ていないですよ。実態が出てこなければだめですよ。実態調査するのに、そんな技術的にどうのなんということは要らぬです。測定器を持ってくればホンは出ますよ。振動数も、測定器を据えつけさえすればすぐ出てきますよ。やるかやらぬかのあなたのほうの姿勢なんですよ。そういうものをやれば幾らでもできることなんです。そういうことをおやりになる気持ちがあるのかないのか。どうも聞いておると、やれ損害賠償の話には法的な問題がどうだ、法律的にむずかしいとか。そんなことを言っておるのじゃない。被害があるかないか、どれだけあるかということを把握しなければいかぬのですよ。その実態を明らかにする気持ちがどうもないんです。そこが一つ国鉄の大きな私は、姿勢として問題点があるということを指摘しておきたい。汽車さえ何でも走らせたらそれはいいじゃないかというあなたは姿勢です。発想の転換が少しも行なわれていない。総裁として欠陥ですよ、それは。総裁としての資格が欠陥しておるんです。資格がないんですよ。取り巻きもだめじゃないですか。どうですか大臣、この実態を明らかにするという気持ち一つもないんです。私が被害実態はどうですかと言うと、損害賠償をするための法的なものがどうやらこうやら、お話にならぬじゃないですか。どういうことなんですか。ぼくは、田中内閣が出現をして、一つ大きく人間優先の発想の転換が行なわれ、それを実行するというのに非常に期待を持っている。磯崎総裁もそれを受けて、新しい方針のもとに、姿勢のもとにおやりになると私は思っておった。いま承っておれば旧態依然、田中内閣が出現して二カ月も問題の動きが何にも、一つもない。どういうことなんですか。被害実態をいかに早く調査するかということが何よりまず第一じゃないですか。どうしてもその気になれませんか。
  64. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) いま先生から御指摘がございましたけれども、いわゆる苦情が出ているところというのは、たとえば名古屋市でいえば、名古屋の市街地はほとんど全部出ているわけでございまして、これらの点についていわゆる騒音振動調査は全部済んでおります。したがって、そういう意味ではいわゆる主要の場所、たとえば浜松市内とか静岡市内とか、そういうようなところは全部われわれのほうでは把握しておるわけです。これらのものにつきましていま対策を考えているわけでございましたのは、先生全線調査が済んでいるかということなんで、全線調査についてはまだ済んでないと……
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 やる気があるかないかを聞いているんです。
  66. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) それはやります。やりますけれども、やっぱり人家のないようなところをやってみましても、これはさしあたりあれはないわけでございますので、そういう意味では、いわゆる主要な個所調査は全部われわれのほうとして把握しておりますので、さしあたりの問題の対策にはわれわれのほうとしては支障がないというふうに考えております。
  67. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、私は、じゃ希望を申し上げておきます。沿線関係について何戸調査したか、自分のほうで今度積極的にですよ、被害個所を。苦情があったかないかじゃないんですよ。ここら辺までは騒害、振動騒音テレビ障害、何戸対象人員として調査したと、被害実態はあるかないかを、あるか、ないかと言って聞いていくんですよ。そして、そういうところがあったら、あなたのほうが測定器を持ってきさえすりゃすぐ出てくる。そりゃ天気によって違うでしょう。いろいろなことがございますけれども、まず大づかみなものができるわけです。この実態を明らかにする。対象人員はどれだけ調査したか。ことし一ぱいぐらいに全部完了できませんか。そして国会に、これだけの調査をしました、そしたらこれだけの被害が出ておりますという報告ができますか。それをやる決意がありますか。何年たったらそれじゃ一体やっていくんですか。早く解決しなくちゃならぬ。
  68. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 個々の一軒一軒の調査ということになると、これはたいへんな時間と労力が要ると思いますけれども、いわゆるある密集地帯につきまして代表的な測点を求めて調査をするというやり方をやっておるのでありまして、それで個々の一軒一軒の問題になりますと、これは個々にまたお話し合いをするという中で、もしその地区のいわゆる騒音振動で代表される数値と著しく違う、それは建物の関係その他で。そういうような場合にはまたはかり直すというようなことでただいままで処置をしておりますので、それで実際的な実務には差しつかえないというふうに考えております。で、そういう意味では……
  69. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 戸数は報告できますか。
  70. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) はい、市街地区につきましては全部調査が済んでおりますので——と思います。
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃいま具体的に聞きますが、名古屋市で調査が済んでいるなら、被害戸数は何戸ですか、騒音に対して、振動に対して。
  72. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 戸数につきましてはただいま手元にございませんけれども、いわゆるいま私が申し上げましたように、代表的な測点につきましての騒音振動調査が済んでおるという意味でございまして、まあそれで代表してその付近の民家の騒音振動の状況というのはわかるようになっておるという意味でございます。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 わかるようになっておったら、じゃそういうところは何戸ありますか。建物によって違うと、A地区でやってみたら、ここはコンクリートだったから被害がなかったということであれば私もわかります。とすれば、調査したら何戸あったか。苦情個所じゃないんです。全地域にそういうことは推定してやっておるようですから。
  74. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 沿線戸数につきましては、それではまたあとで……。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あとで……。
  76. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) ただいま詳しい数字は持っておりません。
  77. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうして持っておらないんですか。  私は通告もいたしました。一番最初に聞いておるのは、被害実態がどれだけあるかということを知りたいんですよ。それから話が出発しなければどうにもならぬじゃないですか、あとでやるとか何とか言ったって。どうです、いますぐ取り寄せなさい。あとからもらいますから。十二時までにまずとってください。いいですか、それは。
  78. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) あとで提出いたします。
  79. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 騒音は実際ひどいですよ、実態はね。  そこで、私は、責任を単に国鉄だけに求めて、ああせい、こうせいと言ったってなかなか容易じゃないんです。ですから、確かに新幹線というものは国民が非常に利益を得ておると思います。便利になったと思うんです。しかし、その反面、国鉄も財政ではしょっちゅう赤字だと三Kのうちの一つに入ったと、なかなか容易に——振動を防いだり、あるいは騒音を防ぐにはある程度のベルト地帯を設けたり、いろいろなことをしたほうがいいことはだれでもわかるわけなんです。しかし、国鉄自身としては、そういうものを技術的に克服したいということは、これは発生源として当然のことだと思う。しかし、研究を待つわ待つわと言っておったんでは済まされない段階に来ておると思います。そこで私は、対策としては何をこれからやり出さなければならぬかということです。とすれば、私は、振動発生源から——それはなるほどピアの打ち方、地盤、いろいろな関係がありまして、一律には私は言えないと思いますけれども発生源からある距離をとればもううんと少なくなってくる。いま大体、高架下は大ざっぱに言えば、三とか四というような——〇・三または四——中震度の程度の振動があるところがあるんです。そうしてそれがずっといって十メートルか三十メートル、五十メートルになるともうゼロになっちゃう。ですから、ある距離をとれば振動はなくなる。しかし騒音というのは、これはもう百メートル行っても三百メーター行っても、若干は違いますけれども、あまり変わらないというんです。しかし、そこに何らかの緩衝地帯というものを設ける必要があると思うんです。ですから、新幹線がもう走っちゃったと、そこで、それじゃそのところに道路をつくるとか、あるいはグリーンベルトをつくるとか、あるいは緑地帯を設けていくとか、いろいろな対策というものを私は抜本的に密集地帯においてはやっていかなくちゃならぬ。もうやっちゃったんだ、今後やるところなら都市計画とあわせてやれるんだけれども、もう既設のところはなかなか改造をやるというのは容易じゃない。けれども、都市改造というものをやっていかなくちゃならぬ。それは国鉄だけの責任にせずに、みんながそういう姿勢にならなければ、その問題は解決しない。しかし当面の責任は、やはり運輸省がそれをどうするか。それに各省庁が協力をしていくというかっこうになると思うんです。  そこで私は、運輸大臣にお尋ねしますが、あなたはいま研究の——技術の話はもういいです。やるやるという話はいいです。現時点についてどういうひとつ抜本対策ということを構想として描いておいでになるか、その点をお願いします。
  80. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生お話のとおり、飛行機の問題といわず、新幹線の問題といわず、一番関心の深いのは騒音公害だと、私はそう信じております。そのために就任いたしましてからも、運輸省といたしましては間口が非常に広うございまして、地方にも各陸運局とか、あるいは港湾局とかいろいろありまして、業務連絡などもしなくちゃならないけれども、私が一番先に地方に参りまして、仕事に当たったのがこの騒音対策でございます。いままで足元に火のついた仕事がたくさんございましたものですから、地方出張というのはほとんどしておりません。しかし、先週の土曜日に思い切って、大阪周辺の飛行機の騒音公害の状況、また大阪と神戸の間の新幹線騒音振動被害の状況、これを単に短時間でなくて約八時間幾ら、九時間近く、一日一ぱいかかって現地をつぶさに見せていただき、また、現地方々に数カ所にそれぞれ集まっていただいて、長いところでは二時間以上地元住民のお声を聞かしていただきました。ただ聞くだけでなく、それに対して私はいま先生お話しのように、今後の対策を一応私なりの考え方を発表いたしました。  まず簡単に申し上げますが、飛行機騒害から申し上げますと、飛行機の騒害については、例年の予算を見ますと、全国的に大体四、五十億の予算をとってやっておるようであります。昭和四十七年、今年度の予算は、私、ここに書類を持ってきておりませんが、私の頭の中の記憶でありますが、五十八億使っておるはずであります。その約八割が大阪周辺の騒音公害対策に使っております。しかし現地を見てまいりますと、四十億や五十億の資金であの広大な地域に、迷惑をかけている人に対策などができようはずがない、こう思いまして、参ります前に航空関係の人たちに集まってもらって、これは一つのビジョンを持たなければいけないよと、そうしてできるだけのことはやるが——いま明年度予算の編成中でございます。また、国会の御審議もいただかなくちゃなりませんから、これだけやるというようなはっきりしたことは申されませんけれども、大体のわれわれの考えというものを出して、そして皆さんの御審議をいただかなくちゃならぬということで、とりあえず、これから騒音対策費といたしましては、五カ年ぐらいの程度で、一千億、これはとりあえずであります。これでも足りないと私は思います。この程度でも足りないと思いますが、このぐらいな意気込みでやらなくちゃならぬ。同時にまた地元大阪の知事さんにもお会いしました。そうして地元の御協力をいただいて、具体的な問題は、私は、あとからいずれ機会を見て局長からでも御答弁させますが、そういうことを発表いたしました。意欲だけをひとつおくみ取り願いたいと思います。  あるいは新幹線の問題につきましては、担当方々とよく、従来一体どうなっているんだということを聞きましたところが、正直に申しまして、新幹線建設に対して振動騒音に対する配慮が十分ではなかったと私は判断いたします。これはやはりこれからの建設につきましては振動騒音というものに対して、十分な配慮をいたさなければ地域住民には非常な御迷惑をかける、こういうように地元を見せていただきまして痛感いたしております。しかし、お話のように非常に技術的な部面がございまして、たとえば線路から二十五メートルのところでの振動の測定などいたしますと、お話のように〇・三であったり、もう十メートル離れるとそれよりずっと低かったり、あるいは二階ではかりますと、これが同じ場所でも〇・六になったり、八になったりいたします。私、全然そういうことを知りませんで、〇・三とか五とはどんなものだろうと思って、別な場所でまた勉強いたしますと、畳の下をこう歩いても三とか五とか出るようなものでございますから、なかなか微妙だなと、あるいは地球のようないつも振動をしておるところでございますから、ただ単にわれわれしろうとで結論を出すわけにはいかない、これはやっぱり環境庁あたりに専門的な振動に対する基準を早くつくってもらいたい、こう思います。そして先生のように、〇・五なら五、〇・六なら六の影響を受けて迷惑している個所は一体どの場所か、そして何戸ぐらいが迷惑しているのかというようなことを出さなければいけないなと思います。しかし、いま国鉄から資料を出すと言われたようですか、どれを基準として出すのか私にはちょっとわかりませんが、〇・五をこうむっている戸数が幾らかとか、あるいは〇・七受けておる戸数が幾らかというような、振動に対してはなかなかむずかしいのじゃないかと、こういうように考えております。しろうとがあまり知ったかぶりしてお答えすると、あとでぼろが出るといけませんが、要するに、公害に対しての私の熱意だけをひとつおくみ取りいただきたいと存じます。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も容易な問題じゃないと思います。そして確かにこれはみんなの責任だと思う。国会を含めてみんなの責任だ。しかし、当局がやっぱり責任を負ってやる以上は責任を痛感をして、どう解決するか世論の結集と申しましょうか。みんなで力を合わせなければならない問題だと私は思っております。それしか解決のしかたがない。しかし、ある基準なりいろいろなものを進めていくときには、環境庁なり、あるいは運輸省なり国鉄がその気になるべきだ。実態をいまお聞きしますと、工事費で新幹線はやりくりやっておった、したがって、四メートルぐらいの道路しかとれなかった、それは確かに新幹線はお気の毒だったと思う、国鉄が責められるというのは。もっとゆったりしておったらそんなことはなかったと思います。そこで、環境庁航空機騒音に対する勧告をいたしました。私は、これがやはり柱になって、いろいろなことを言いますけれども予算がとにかく出ておる。ところが、新幹線と申しますか、これについての予算が一銭もないわけです。  そこで環境庁にお尋ねしたいんですが、やはり飛行機も確かにたいへんな騒音でございますが、新幹線はやらぬでもいいという問題じゃないと思います。四十六年の十二月二十八日の日に、運輸大臣に対して勧告をされておりますが、こういう問題について何かやろうとするならプログラムなり、そういうものをひとつお聞かせ願いたい。
  82. 菅波茂

    説明員(菅波茂君) 成瀬先生にお答えします。  ただいま中央公害審議会におきまして、新幹線騒音に対する基準といいましょうか、そういうものを鋭意検討中でありまして、本年度末までには一応暫定的な姿勢を出したいというふうに考えております。また環境庁としても、独自に騒音については特定な場所において、いろいろ調査を十月中にはやりたいというふうな方向でございます。
  83. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと十月ごろまでに調査を完了し、そして大体十二月末には出てくる、そういうことになると、運輸大臣にこれは当然出される。あて先は運輸大臣だ、あるいは国鉄にもなると思いますが、運輸省としては、これを受けて四十七年度の補正予算の中で少しぐらい頭を出す気持ちがあるのか、それとも四十八年度予算で、対策と申しましょうか、こうした騒音関係では公共関係に対して五十八億ほど予算を計上されたのでございますが、それはどういうふうになっておりましょうか。
  84. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 私のほうでは、ただいま航空関係は明年度予算を、先ほど一千億と言いましたが、明年度はとりあえず百十四億ぐらい要求申し上げましょうかなという具体的な相談はしておりますが、国鉄振動騒音に対しての具体的なまだ相談はしておりませんので、先生の御指摘もあったようでございますが、どうするか、ひとつ時間をかしていただきまして、部内で相談してみたいと思います。
  85. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ぼくは、こいねがわくば、補正予算ということももう目の先にきております。これは財源その他いろいろ問題があると思います。しかし、新幹線の七千キロを九千キロにする、いわゆる田中さんの出しておられる改造論の柱というものは、これが柱になるわけですね。この対策がない限りにおいて、あれは全く絵にかいたもちになる。政府の取り組む姿勢にもかかわる。したがって、この対策というものは当然、本気でやる気があるなら——ことばだけなら話は別です。本気でやる気があるなら補正予算の中で、もうすでに、もし十二月に出てくれば、もう大体出そうと言っておるのですから、あなたも出て閣議決定することになれば、すぐの問題になってまいりますから、そこで実態調査なり、あるいはそうじゃなくて、対策を、すでに公共的な学校やいろんなものに少しはやっておりますが、もう少し大幅にやっていかなくちゃならぬ。それから来年度予算の要求は、これはもうすでに八月未でやられた。その中には入っておりませんと、こうおっしゃる。しかし、受ければ当然これが四十八年度予算の中に反映をされなくちゃならぬと、出るものと私は受け取られて、そして今度改造論にからむところの政策費はいまの予算とは別途要求をするのだ、それまでちょっと待ってくれと、こういうようなことが新聞に報ぜられておりますから、私は、当然こういう問題についての四十八年度予算は、補正予算を含めてお考えになるのがあたりまえだと、初歩の全く第一歩だというふうに認識しておりますが、大臣いかがですか。
  86. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 公害対策費については、先生御指摘のとおり、これからの、ことに日本列島改造論などの趣旨からいって、九千キロも敷こうというならば、その問題を解決しないで実現できるはずがないと思いますから、積極的な対策を講じなくちゃならぬ。しかし、やがて開かれるであろう臨時国会に補正予算としてはたして組めるかどうかということになると、環境庁のほうからもまだその基準が提示されておりませんし、ただいま政務次官から、今年いっぱいぐらいで出されるであろうということですから、いまその想定に基づいて出しましょうという答えをするにはあまりにも時間がなさ過ぎますので、もう少し検討さしていただきたいと思います。
  87. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ぼくは、臨時国会は別になりますけれども、補正予算の規模の問題、いろんな問題がありますが、これがかりに補正予算が出ずにおって二月ごろに出るというのなら、補正予算で頭を出さなければならぬと思う。いわゆる解散後そういうことになるのは当然だと思う。そこで、四十八年度は当然ですね、これは論議をする必要はない。私は、きょうは時間がありませんから……。こういう問題については、三十六項目が公害基本法から委任事項になりまして、地方自治体が大体騒音に対しては条例をつくっておりまして、新設の場合には許可制になっておりますね。既設のものに対しては、立ち入り検査して、発生源に対して営業停止まですることができるようになっているんです、地方自治体は。ですから、地方自治体は住宅地域についてはそういうことをやれるわけです。ところが、新幹線はまだ環境基準がない。かりにできたとしても、国鉄のそういうことが地方自治体の委任事項の中に入るか入らないか。飛行機やいろんな問題が出てくる。とにかく都市改造をやらないと、既設のところは——新しいところは、いろいろ国鉄のほうで御努力を願って、そうして自治体と都市計画とあわせてやって、こういう問題が幾らか解決しておるようなところも、実は国鉄当局から聞いている。たいへんいいことだと思う。既設のところに対してはそういうかっこうにしなくちゃならぬが、地方自治体へ問題解決の責任を押しつけるだけで、財源措置というものがやられておらなければどうにもならぬことになる。  そこで財源措置の問題にからんでまいりますが、自治省の方がお見えになるなら、こういう問題について自治省として、ただ単なる交付税なり、いままでの都市計画税だけではとても問題は解決しませんですよ。あなたは一千億航空機に計上すると、これはたいへんいいことだと思う。ですから、これをどういうふうにやったらいいのか、自治省のまずお考えを聞くとともに、運輸大臣のこれに対する対策としての財源の問題をお聞かせを願いたいと思います。
  88. 中野晟

    説明員(中野晟君) 騒音の問題につきましてお答えいたします。  騒音の問題をはじめとしまして公害対策につきましては、いまお話がございましたように、地方公共団体におきまして、その地域の実情に応じまして各種の総合的な対策を立てて対処しておるわけでございます。  そこで新幹線の問題でございますが、これの騒音につきましてその発生源に対する措置について検討が必要であると思うわけでございます。やはり関係各省と協議いたしました上で地方団体が対処できるように考えていかなければならぬと思うわけでございます。関係各省と協議いたしまして、地方公共団体がこれに対処できるように指導していかなければならぬというふうに考えております。
  89. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 財源をあなたのほうの都市計画税の中で、騒音の地域発生のある、私の工場なら、そういうことはできると思うんです。しかし、こういう新幹線のようなたいへんな問題になると、そういう財源措置はできてこないだろう。自治省としてそれをやれますか。別途財源がなければやれぬじゃないですかと、こう思うんですがどうですか。
  90. 中野晟

    説明員(中野晟君) 新幹線の問題につきましては、やはり原因者がまず第一の問題だと思うわけでございます。それから、おっしゃいますように公害対策につきましては、一応補助事業におきまして補助金が出る。その裏を交付税なり起債なりで見るというかっこうになっているわけでございます。したがいまして、おっしゃいますように、新幹線の問題につきましては非常に範囲の広い問題でございまして、財源の問題につきまして非常に問題があるんじゃないかと思うわけでございます。
  91. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣、結局はこういう航空機と同じようになって、あなたのほうが予算をとられて、そうして関係地方自治体へおやりになるような形になるだろうと私は思うんです。少なくとも、いまの地方自治体の財政上から、交付税なり、あるいは都市計画税の中で都市改造をやらなくちゃならぬ。ですから私はできないと思うんです。そこで大臣、これは財源をひとつみてもらわなければならぬ。ことばはどんなになっても、やはり裏づけは金なんです。そこで私はやかましく、その補正予算なりを二月になったらどうしてもやらなければいかぬ。私は十一月の臨時国会のことは別にして、政府がもしやるなら二月に。それから通常国会に出てくる四十八年度予算には当然計上をされるものと考えておりますが、検討しますと言う。検討ということはたいへんいいことばです。やってもやらぬでもいい。そのやらぬほうのことだとたいへんですから、私はおやりになるものと思いますが、もう一度、財源措置はおやりになる気持ちはございますか。
  92. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 補正予算につきましては、なかなか時間的にいっても容易でないと考えております。しかし明年度予算のことになりますと、先ほどから騒音振動公害の重要性を痛感しておりますから、何らかの方法を講じなくちゃならぬと思います。ただ、自治省との関係などにつきましては、対策の中にいろいろございますから、防音壁をつくるとか、あるいはグリーンベルトをつくるとか、その道路をどう利用するとか、地方市町村などにも御活用を願う施設などもございまするので、これは一方的に運輸省の全体的の予算でやるべきか、あるいは国鉄の建設費でやるべきか、あるいは自治省の御協力を賜わらなくちゃならぬかというようなことは、これからよく各省連絡いたしまして協議しなければならないと思いますが、何せ騒音振動対策には熱意を持って対処をしたいと、こういうことで御理解を願いたいと思います。
  93. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 じゃこれ締めくくりますが、私はテレビの問題だけでちょっと気に食わぬ点がある。ですから、そのことだけちょっと聞いておく。  あなたのほうは共同アンテナ、集中アンテナ。技術的にNHKと御相談願って集中アンテナをやっている、あるいは個人アンテナをやっている。たいへんいいことだが、問題は、維持費をおまえのほうで負担せい、被害者に。私は加害者が負担すべきだと思いますが、維持費というのは加害者が負担すべきが原則だと思いますが、被害者がそれを負担するという、そういう原則がございますか、国鉄には。
  94. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) ただいまのところ先生お話もございますが、一応、私のほうといたしましては設備費を負担していく。あと維持費につきましては、これは利用者負担ということで現在お願いしております。これはむずかしい問題でございますが、まあ個人のアンテナでも五年に一ぺんは取りかえなきゃいかぬというようなこともございますので、ぜひそういうふうにお願いしたいというふうに考えております。
  95. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 個人のアンテナも五年に一ぺんかえなきゃならぬ。これは耐用年数とかなんとかというそういうむずかしいものはございませんよ。しかし、大体集中アンテナを設備すると、それは加害者が負担するわけですね。その維持費は、これはたいした金じゃないんですよ。全く気持ちがあるかないかの問題なんですよ。ですから私は、そうむきになってどうこうというんじゃなくて、やはり迷惑かけておるんだから維持費は当局が見てやるという、そういうものがなきゃならぬと思うんです。  そこで私は、最後に締めくくりとしてちょっと聞きたいんですが、技術的にも騒音振動の解決を研究する研究するといってもどうにもならぬ和生に起きておる。そこで、都市計画やいろんなこともやりたい、予算もつけましょう、いろんな対策も出てくると思う。ところが、いま現に被害が出ているわけです。これを解決するには何があるかというと、スピードダウンしかないだろうといわれている。そうしますと、国鉄は速く走ることが生命線です。新幹線からある程度のスピードをダウンしたら意味がなくなっちゃう。こういうお話のように大体受け取れるわけです。便利であるが被害を与える。そして、この恩恵は一億国民が受けるということになる。そこで何万の人が泣くという、そういうかっこうになっております。これがいままでの姿勢だったんです。私は、いままでのものの考え方は、ある程度便利になれば、ある程度大事なことをやるんですから有毒ガスも出ましょう、いろんな点で人体に被害も与えましょう、やむを得ぬ。しかし、ひとつみんなのためにしんぼうしてくれ、こういうことできておったと思う。ところが、もうそういう時代じゃなくて、なるほど便利にもしなくちゃならぬが、それはひとつしんぼうしてもらえぬか。対策ができるまではひとつ被害を出さないほうにウエートをかけて、そしてスピードダウンならスピードダウンをして密集地をやって、そして被害を幾らか少なくしていくというのが当面する私は緊急対策だと思う。どちらをとるかという問題だと思う。新幹線をビュッと走らして公害をまき散らしていくそういう過去の姿勢を、どこかで私は曲がりかどをつける、そういうときにきたと思う。それには対策は何だと言ったら、恒久対策としてはベルト地帯を設ける、発生源を研究して技術的にそれを克服していく、そのとおりです。しかし、いま現に出ておるその被害をやるには、それまでは若干の私はスピードダウンをしてでも被害を少なくすべきだというふうに考えております。  それから、名古屋でそういう問題についての公聴会をやりましたら、各政党の代表者が全部参加されました。言っている人は何を言っているかというと、全部スピードダウンしか当面の緊急対策はないでしょうとみな言っているのであります。名古屋市議会もそのうちに決議するということになるでしょうという、そういうことなんです。いまここでいきなり、それじゃスピードダウンしましょうということは、私は大臣も国鉄総裁も言えぬと思う。私は当面する緊急対策はそれしかないというふうにここで提案をし、検討をし、早急に御相談願って対処してもらいたい。そうじゃなくて、何か克服する方法があるというなら別です。ないとするなら、便利の人が大ぜいあったら、あと何人かの人が泣いていいという問題ではないと思う。イタイイタイ病を繰り返してはいかぬですよ。水俣病を繰り返してはいかぬですよ。新幹線もそうだと思う。ですから、そういう気持ちがまず泣く人をなくするように、被害者をなくするようにという、そういう姿勢で検討をしてもらいたい、御相談が願いたい、国鉄も運輸省も。そういう気持ちで御相談されると、私もそういう気持ちで——相談をただするだけでは何にもならぬ。私の気持ちを踏まえて、被害者の気持ちを踏まえて御相談される意思があるかないかを伺いまして、私の質問を終わります。
  96. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 先生の貴重な御意見として承っておきますが、現地でもそのことは聞きました。だけども先生お話の中で、ある程度のスピードダウンということでございますが、御要望の点は、いま二百キロで走っている新幹線を大体百キロにしてくれということでございましたので、半分にするということがはたして技術的に見てどうか。それとも新幹線の生命がそこでどうなるのかという点で、私はしろうとでございますからよくわかりませんが、直ちに返事はできませんでした。そこで、ただいまの先生の御意見も御意見として十分承って、今後のいろいろな問題に貴重な御意見として承っておきたいと思います。
  97. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) スピードの問題は、たびたびそういう御意見を承りました。いろいろ私どものほうの研究所でも、机上計算あるいは実地で現実にスピードがたとえば工事区間等落ちることがございます。そういう際の振動に与える影響、騒音に与える影響等一応計算いたしております。しかし十キロ、二十キロのスピードダウンではほとんど影響がないということがおおむねはっきりいたしております。したがって、ダウンするんならばもういま大臣がたまたまおっしゃいましたけれども、半分にしろというふうな意見も相当出ております。その際に、私どものほうとしては、国鉄の運営上はたしてやれるかどうかという大きな問題に逢着いたします。これは大きな国家的な問題として十分検討さるべき問題だと思いますけれども、いまこの場で私としては、その問題について具体的な御返答はいたしかねます、私どもといたしましては相当技術的に検討はいたしたんであります。
  98. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうもえらい失礼しました。
  99. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょっと関連して質問したいと思いますが、いま成瀬委員のほうからいろいろお話がありましたが、すでに新幹線は、これは名古屋だけじゃないと思います、静岡でも岐阜でも類似の問題を起こしていると思います。それで、いま建設中の上越新幹線、東北新幹線がある。ところが上越新幹線、東北新幹線についても地元では相当心配をしておるわけです、一体どういうことになるか。その名古屋で起こっている問題が、じゃ埼玉県、群馬県、栃木県で起きないという保障はこれはないわけです。必ず、同じ規模で、同じスピードで走れば同じ現象が出てくるのはもう火を見るよりも明らかです。  そこで東海道のような長距離と違いまして、たとえば上越新幹線の問題ですね。東京−新潟間三百キロ。この三百キロを在来線は約四時間で走っています。ここへ新幹線ができて二百五十キロないし二百何十キロ、要するに二百キロ以上のスピードで走れば一時間二、三十分で東京−新潟間を結ぶ計算になる。しかし、この三百キロをかりに百五十キロで走るとすれば二時間で結べるわけです。そこで、せっかく新幹線ができたんだから、総理大臣の地元だからというんで、しゃにむに二百五十キロで走るということになりますと、その通過をされる埼玉なり群馬なりでは、必ずいま起きているような、たとえば名古屋なり静岡なり岐阜なりで起きているような問題が発生をすることは火を見るよりも明らかです。だから、こういうことを考えたならば、上越新幹線の場合は、東京−新潟間わずか三百キロなんだから、この三百キロの間を何もそんなに急ぐことはないと思うんですよ。三百キロをたとえば百五十キロで走っても二時間で行くんですから、在来の四時間を二時間に短縮をされるということで、これは、新潟県の人だって満足できると思う。そのくらいにすれば沿線被害というものもあまり起きないで済むんじゃないか。こういう気がするんです。在来線でも百十キロで走っていますよ、私は知っているんだから。運転台でメーターを見て知っています。百十キロで走っている、急行は。在来線ですら百十キロで走っているんだから、新幹線が高架でもって、カーブの少ないところで百五十キロぐらいで走れば、これはあまり問題が起きないんじゃないかというのが私のしろうと考えです。  だからまず質問の第一点としては、新幹線は時速何キロぐらいで走れば、あまり騒音あるいは電波障害といったような問題を起こさないで済むのかということが一つ。それは何キロぐらいまでかということです。  それから質問の第二点としては、さしあたって、これから予定をされている上越新幹線——東北新幹線もありますけれども、東北新幹線と違って、上越新幹線はわずか三百キロなんだから、その三百キロの間を二時間くらいで、つまり公害の起きないスピードでもって結ぶということは考えられないのかどうか。あるいは、線理のおひざ元であるから、しゃにむにこれは二百五十キロで突っ走ると、こういう方針を貫徹するということなのかどうか。これはこれからの問題ですから、間に合う問題なんです。いままでのスピードをダウンするというのとわけが違う。これからの問題であって、いま慎重に考えれば間に合う問題なんですから、その点をどういうふうに考えておられるのか、その点を質問したいと思うんです。
  100. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 御質問の第一点の問題でございますが、先ほど申しましたとおり、あれだけ大きなものが通る以上、ある程度の騒音振動、これは在来線でもあるわけです。したがって、これをゼロにするということは、これはとめるということ以外にないと思います。しかし、つくる以上ある程度の速度で走らなくちゃいかぬ。先生百五十キロとおっしゃいましたが、これは表定速度です、最高速度とは違います。したがって、何キロならば耐え得ると申しますか、騒音振動であるかということなどにつきましては、先ほど申しましたとおり、必ずしも速度を十キロ減らしたから十ホン減るという性格のものではございません。そういう調査をずっといたしておりますが、騒音振動をゼロに近いものにするためには、もちろん百キロ以下でなきゃだめだと思います。それならば鉄道をつくらないほうがいいということになってしまいます。しかし、つくる以上ある程度の速度で走らなければつくっただけの意味がないし、また効果がないということになると、これを百五十キロにするか二百キロにするか、あるいは二百五十キロにするか、これは車両の性能にもよりますし、今後の技術的な改良もいろいろあると思います。したがって、私どもといたしましては、何キロならば、たとえば現在の山陽新幹線ならば何キロにすれば何ホン減るというデータは先ほど申しましたようにございます。しかし、しからば何キロで走らすべきかということまでまだきめておりませんので、一応いろいろな角度から、さっき申しましたとおり、車両の性能向上あるいは土木関係の技術の向上等とからめまして考えていかなければならない問題だというふうに思います。端的な結論は出せないと思います。  また、第二の問題につきましては、これは私どもといたしまして、まだ工事のほんとうに緒についたばかりでございます、いまのところ何キロで走らすという、新潟までは時速何キロ、盛岡までは時速何キロという具体的なまだスピード計画を持っておりません。それまでにもっと車両がよくなる、あるいは構造がよくなるということもいろいろ考えられます。したがって、これはもう少し工事の進捗を見まして、そうして考えていかなければならない問題だというふうに思っております。
  101. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それでは大臣に今度お伺いします。環境庁長官はいいです、運輸大臣にお伺いしたいと思います。長官も長い話じゃありませんからついでに聞いておいていただければなおけっこうですが、私がいま言っておるのは、スピードをゼロにしろなんということは言いませんよ。それはね、具体的に言っているのですよ。いま名古屋東京間ひかり号は二時間で走っています。そうすると平均表定速度百七、八十キロでしょう。そういうことになるわけですよ。東京−新潟間というのは三百キロしかないのです。それで終点なんですよ、それから先は行けないのです、日本海だから。そうすると、三百キロの間なんだから、ここが終点なんだからその間を二百何十キロでしゃにむに走らせる必要はなかろうというのです、私は。百四、五十キロ平均で行っても二時間で行っちゃうじゃないか。そういうことであるならば、もし百四、五十キロでもってあまり問題を起こさないようなならば、百四、五十キロで新潟まで二時間で結ぶという方法を考えるのが政治家の考えることじゃなかろうかと、こう言いたいのです。それは政治的なことはわからぬ、答弁しにくいというならば、あえて私は国鉄総裁に聞かない、運輸大臣にその点をお伺いしたいのです。しかし一心配なのは、総理大臣の地元だからせっかく二百キロで走れるものは、それは埼玉県や群馬県の問題なんかは二の次だからしゃにむに二百五十キロで走ってしまおう、こういう気持ち国鉄にはあると思うのですよ。そうして世間に対し、どうせほかの評判が悪いのだからせめてスピードだけでも自慢しよう、こういう根性でもってしゃにむに走らせるということになると沿線の環境はめちゃめちゃになる。これを心配している。しかも、これはこれからの問題だ。名古屋のようにいま起こっている問題、スピードダウンしろというとこれは大問題です。百キロに減らせということになれば大阪までの三時間が六時間になっちゃう、これは確かに問題だ。しかし、いま新潟−東京間は四時間で走っておるのだから、それを二時間ぐらいにするならば、初めから一時間二十分にしたのをあとで二時間にするというのじゃ問題になるけれども、四時間で走っているのをじゃ二時間ぐらいにするということならできるのじゃないかと思う。そういう配慮は政治家として当然払っていいことじゃないかと思う。だから、一番最初はあまり公害の起きないようなスピードでもって走らせてみる。しかし、だんだんいろいろな技術が発達して問題が解消できるという見通しが立ったならば逐次スピードアップしていく、二時間を一時間四十分にし、一時間半にする、こういう方法でもってやっていくのが一番穏当な方法じゃないかというふうに私は思うのです。大臣としてはそのようなお考えがあるのかどうかですね。
  102. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 新幹線の建設について、公害問題を重視していかなくちゃならぬということはそのとおりであります。しかし、そのほかのお話の、総理のおひざ元だからどうのこうのというお話については、私はお答えする材料を持っておりませんが、そんなことはわれわれは毛頭考えておりません。ただ、三百キロだから二時間でいいじゃないかどうかということになりますと、決して先生と議論する気持ちはございませんが、やっぱり利用者心理というものもだいぶあるのじゃないかというような気がするのです。たとえば東京から熱海までは一時間もかかりませんで五十分前後でまいるのですけれども、私などもときどき乗りますが、ほかの、熱海まで行く、伊東まで行く専用の列車が何本もあります。急行で行きましても新幹線と幾らも変わらないですね、せいぜい二十分ぐらいしか違わないのではないでしょうか。それでも新幹線にあれだけもう押し込まれながら、土曜や日曜ですと立って乗っていく、そしてそれだけ急いで旅館に行って何をしているかというと用事もなくて寝ころんでいるのですね。こういう利用者心理というものもございますので、私などは二時間で行くから一時間四十分の必要ないじゃないか、一時間二十分で行く必要がないじゃないかという判断がなかなかつきかねますので、先生の御意見に同調した答えのできないことはまことに遺憾でございますが、そんなことも考えておる次第であります。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 では、国鉄の第一次、第二次処分発表に伴いまして、きのうまで順法闘争なるものが起こりました。そうしていろいろの批判がいま起こっています。この問題を取り上げまして、この際に、これを抜本的に何とか糸を断ち切らなければならぬ、こういう立場から質問いたします。  新聞の発表するところによりますと、第一次、第二次の処分された者の合計は三万八千七百七十二名。このようなばく大な処分が発表された。そこで反対順法闘争なるものが一週間組まれまして、約一千百二十六万人の足が混乱した。旅客列車の運休は九千百十六本、貨物列車の運休が八千百四十九本、合計一万七千二百六十五本。これによる減収見込み約三十五億円だと報道している。しかも、昨日一日だけで東京都圏で百六万人の足が混乱した、こういうような情勢であります。しかも、昨日の夕刊を見ますと、十月の二十六日からさらに一週間、これは十月のダイヤ改正及び労働基本権の回復のために順法闘争をやるということが新聞で報道されている。  このような事態を踏まえて、一体政府並びに国鉄当局はどうするのかということを具体的に質問していくわけでありますが、この処分を発表されたのが、九月の第二次が十四日。で、この原因は何かと調べてみますというと、たとえば三月十五日の岡山新幹線のダイヤ改正に伴う争議あるいは四月二十七日の賃上げ要求に伴う争議あるいは七月の仲裁裁定に対する完全実施を要求する順法闘争などですね。これをひっくるめてその処分が九月十四日に発表された、こういうことであります。  このようなことが年々歳々行なわれている。昭和二十八年から今日までのをざっと調べてみまして、解雇、免職された者が三百九十一名。トータルにいたしますと二十万五千五百の者が処分されている。しかも、それは要求——労働条件の改善なり賃金闘争なり、あるいは合理化に対するものなり、労働争議をやりますと、処分、処分反対闘争、こういうことの循環です。こういうものを何とかしてこの際抜本的に改正しなけりゃならぬと思うが、今日の実態について国鉄総裁から報告を求めます。
  104. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先般来、いわゆる処分に対する抗議あるいは労働基本権奪還ということを目標にいたしまして、私のほうの二組合がいわゆる順法闘争をいたしました。この付近のみならず全国的に非常に大きな影響を及ぼしたということは、非常に私は遺憾に、また申しわけなく思っている次第であります。私どもといたしましても、労使関係の正常化につきましては、申されるまでもなく、運営の基本でございますから、いろいろないきさつもございますが、私自身といたしましても全力をあげて労使関係の正常化につとめてはおる次第でございますが、事必ずしも思ったとおりに順調に運んでないということは非常に申しわけなく思っております。しかし幸い、一応昨日でもっていわゆる順法闘争を打ち切りました。きょうはおおむね、一部の線区を除きましては、列車運転は正常に戻っております。  今後また、いわゆる合理化反対あるいは裏日本の電化が完全にできまして、米原−青森間の電化工事が完全にでき、そのダイヤ改正をやる。そのダイヤ改正自身に反対であるというような、いわゆる近代化の反対闘争というものに対して、また組合としては、これに対するに、何と申しますか、順法闘争をもってするということは非常に残念なことでございまして、国鉄自体の近代化、合理化、そして国民に対するいいサービスの提供ということをやることに対する反対。あるいは国鉄の経営が、御承知のとおり前の国会の二法案のあと始末から申しましても、いままだほとんど始末ができていない、こういう状況のもとに、来年度予算ということでなくて、ことしの予算についてどうしようかというふうに非常に思い悩んでいるときに、こういうようなことをさらにするということにつきましては、いろいろ私自身も幹部と話をいたしまして極力そういう事態を避けるように努力をするつもりでございますが、いままで起きたことにつきましては、たいへん私は残念に思い、また申しわけなく思っている次第でございます。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 ことばじりをとるのじゃありませんが、ダイヤ改正、近代化に対する反対ということで順法闘争をやるんじゃないと思うんです。これはやっぱり、労働条件の変化あるいは職員の配置転換など、職員の身分的なもの、あるいは労働条件の変化に対して抵抗しているものであって、ことばの上で、ダイヤ改正はよくなればいいではないか、近代化もいま技術革新であるから当然ではないかという世間一般の通念に対しては相当抵抗を感じますから、その点はひとつ慎んでもらいたいと思うんです。  それでは一体、抜本的にこの悪循環を断ち切るには、国鉄総裁としてはどういう御決意ですか。
  106. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは、労使双方いろいろ、終戦後いままでのいきさつがたくさんございます。人間同士の関係でございますから、一朝一夕にこれを手のひらを返したように正常化することは、これは非常に困難だと思います。しかし、私どもといたしましては、あらゆる方法を通じまして、正常化に持っていくということにあらゆる努力をする。具体的にあれだこれだというふうなことよりも、全体のかまえといたしまして、何かの機会をとらえ、あらゆるチャンスをつかまえて正常化に持っていくという努力を絶えずすること以外に私はないというふうに思っております。抜本的な緊急的な措置でもってどうこうということは不可能であるというふうに私は思っております。
  107. 小柳勇

    ○小柳勇君 いままでの紛争の経過、争議の経過を振り返ってみますと、経済闘争なりあるいは政治闘争といわれるものなどいろいろあります。もう一つは処分反対闘争ですね。これはもう組合対当局の不信感も相当根強いものがありましょうし、まあ大別して三つに分けることができると思うが、政治闘争といわれるものについては、刑事罰などでも、最近最高裁の判決なり地裁の判決などで、いわゆる争議の性質によっていろいろ判断されて無罪になったものも相当出てまいりました。したがって、政治闘争の部面については時間がないから午後に少し論議したいと思いますが、経済闘争の面で、国鉄総裁が当事者能力がないのではないか、たとえば毎回感ずることでありますが、賃金要求の場合に、ゼロ回答でそのまま公労委に調停を依頼する面が最近出てきた。私ども、以前はゼロ答では済まなかったんですが、最近はゼロ回答である。もちろんそれは、国鉄の経営が赤字であるからという理由でありましょうけれども、それ以上に、国鉄総裁自体の当事者能力というものが非常にこの紛争の大きな原因ではないかと思うが、その点いかがですか。
  108. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 一時当事者能力の問題が非常に論ぜられました。ちょうど池田前々総理のときに、池田・太田会談の後に、三公社のほうにももっと当事者能力を与えるべきだという、両者の会談でもって一応の妥結点が出たわけでございます。その後一時そういう方向に進んでおりましたが、私ども、実はうちの予算は御承知のとおりでございまして、当事者能力の前の、むしろ支払い能力自体の問題に問題があるというふうに私は思っております。したがって、ことしの仲裁裁定の際、仲裁裁定に至るまでの調停段階におきましても、いわゆるゼロ回答でなしに、現時点においては回答ができないと、いわゆるゼロの、ナッシングの回答じゃないのだと、いまの時点では回答ができないという意味の回答をいたしております。いわゆる無回答と申しますか、回答ができないという意味の回答がございまして、いわゆるゼロだと、われわれとしては国鉄職員にはベースアップをしてやる必要はないという意味のゼロ回答ではないということを私はるる申しております。ただ、御承知のとおりのことしの予算事情では、あの時点におきましては、調停段階におきましても、また仲裁委員会におきましても、回答できるような予算状況じゃないということを申し、いわゆる仲裁問題に対する、ベースアップに対する回答ができないという残念ながら回答をせざるを得ないという意味で、いわゆるほかの公社、財政状態のいい公社と比較いたしまして、いわゆる当事者能力の問題が多少国鉄の場合には違っているというふうに私は思っております。あの当時はまだまだ私どもとしては支払い能力はある、しかし実際に決定能力がないという意味の当事者能力の問題でございましたが、いまや残念ながら当事者能力の以前の問題であるという意味で、ことしあるいは去年の、たとえば去年四十六年度は、償却前赤の予算を組んだことは御承知のとおりでございます。その時点においては、回答ができないという意味の回答をせざるを得なかったという事情でございます。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの発言に問題二つありますけれども、現在は赤字でありますから、その当事者能力以前の問題であるという問題、じゃ黒字であったらどうですかという反論もありますが、それはあとに譲りましょう。  もう一つは、いまの国鉄職員の処遇ですね、給料など、一般製造業なり、あるいは同種の私鉄などに比べていいと思っておられるのか悪いと思っておるのか。私どもは、たとえば高等学校を出た青年を国鉄に、以前はたくさん頼まれておった。東京鉄道局あるいは大阪鉄道局に入れてくれないかと、試験があるから頼むと。最近一人もないですね。聞くところによりますというと、東京大阪には新卒の希望者が少ないという話を聞いておる。それは危険度に比べて処遇が悪いからではないかと思うが、全般的ないまの日米の平均労働者に比べて、国鉄職員の賃金、労働条件はいいと思っておるのか悪いと思っておるのか、卒直に意見を聞かしていただきたい。
  110. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) うちの職員の給与につきましては、もう十数年来このベースについて問題がございまして、ちょうど数年前に他公社、いままで非常に三公五現の中で比べましても悪かったものを、一応他公社並みにするということが行なわれたのはたしか四十一年の仲裁裁定だったと思います。その後、たとえば本年の仲裁裁定をとりましても、一応仲裁委員会という公的な、しかも賃金問題について権威のある機関が仲裁を出された。そうしてこれにはもちろん国鉄法二十八条にいう国家公務員の賃金あるいは民間賃金等を参酌してきめたということが仲裁委員会の裁定書に明白に書いてございます。したがいまして、私どもといたしましては、仲裁委員会の議決に服するという意味から申しましても、現在の、先般出ました国鉄職員の仲裁裁定の結果は、よそ並みと比べて国鉄法二十八条の精神を完遂しているというふうに思っております。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 労働組合側あるいは一般の総評などから出ている資料、あるいは学者の資料などを見ましても、必ずしも現在の日本の製造業、たとえば国鉄企業というのは民間企業に比べたら大企業ですね。そういう大企業、大産業の労働者に比べて必ずしもよくない。そういうまず職場環境を背景にしながら、各大臣にひとつ考えてもらいたいために、いまその背景を聞いているわけです。  そこで処分された中に解雇と免職があります。あるいは停職があります。解雇の問題は公労法の十八条、免職の問題は日鉄法の三十一条、しかも公労法の十八条には解雇しかないから、あと全部、停職から減給から以下はこれは日鉄法です。そこで聞くけれども、いわゆる労働争議として、労使間の紛争で、組合の機関の決定なくして争議行為をやっている職員があったのかどうか、国労の大会なり中央委員会で決定したものを中央執行委員会でこれを実行する、そして四囲の情勢を勘案しながらいわゆる指令なるものを出す。その指令、指示に従って動いている職員が、庁や公労法で解雇される、他の者は日鉄法三十一条、これは業務上の阻害、一般業務の阻害ですね。その一般業務の阻害で処分されるということは、一体国鉄総裁として矛盾を感じないのかどうか、いかがですか。
  112. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄職員の争議行為の禁止、このよしあしは一応別にいたします。  公労法でもって、仲裁裁定に国鉄はいかなる財政状態であろうと服するのだという救済規定を設けたその裏にと申しますか、逆に、ストライキを禁止したその裏に、そのかわり仲裁裁定には絶対服従するのだ、いかに財政状態が悪かろうが、そんなことは問題じゃない、どんな財政状態でも、少なくとも国鉄としては仲裁裁定に服するのだということがきまっておるわけです。したがって、仲裁裁定というものが現にある以上、仲裁委員会が現にあって、毎年ベースアップの決定をお出しになる以上、そのもとである公労法十七条に定められている争議行為の禁止というものは、当然私は生きていると思います。したがって、いわゆる組合の指令でありましょうと何でありましょうと、これは公労法十七条違反のものである、これは明白でございます。したがって、違反の争議行為によって起こりましたことは、いわゆる労調法、労働組合法の争議行為ではないというふうに考えざるを得ません。したがって、十七条及び十八条にきめられております争議行為の禁止規定並びにそれによる解雇規定、それにつきましては、最高裁の判決にございますとおり、全部解雇されるものとすると書いてございます、解雇に値するもの、あるいはそれ以外の者は裁量の余地があるとかと、こういう結果になります。もちろんその裁量というものは、国鉄法三十一条及び三十二条で法律上きまっておるわけでございまして、その第三十一条、三十二条によって解雇者以外を懲戒規定によって処分するというのは、これは現在の法律上認められていると申しますか、措置すべきものであるというふうに私は考えております。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 公労法ができまして、労働争議に対する禁止を言ってきた。日本国有鉄道法が、この労働争議まで三十一条で規制すると考えて処分しているのですか。
  114. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうでは、日本国有鉄道法と公労法と両方適用になるわけでございまして、それは国鉄法の三十五条に明白になっております。したがって、私どもといたしましては、国鉄法を適用し、公労法を適用する場合には、両方を考えて適用するというのがいままでの考え方でございます。
  115. 小柳勇

    ○小柳勇君 昭和四十年に公労法が改正になりまして、職員でない者も組合に加入することができます。そうしますというと、この公労法では職員を解雇できることになっておりますね。それから三十一条も職員にしか適用できない。ところが大会決定なり中央委員会決定なり、それを執行する中央執行委員会には職員でない者もいるわけです。そういう者に対して、いまのような業務正常についてはどういう対策を立てていますか。
  116. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 四十年のILO結社の自由の問題以来、公労法が改正されまして、職員でない者も組合員たり得る、したがって当然組合の役員にもなれる、こういうふうにきまったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、国鉄に関する労働組合というものは、職員によって大部分構成されておりますけれども職員以外の者も入っていることはこれは明白な事実でございます。したがって、その機関としてきまったことについて、その中に職員が入っていようが入っていまいが、それは私どもの関知したことでないわけでございます。職員が入ってないからそんなことはいかぬとかいいとかという問題でないと思います。これはILOの関係で当然そう解釈すべきだと私は思います。したがって、私どもといたしましては、職員でない者は、かりに機関の決定に参与しようが、あるいは職員でない者が現場でもってサボタージュの行為を助けると申しますか、しようが、これはほかの法規に関連して、司法権の発動で処分されるのはこれは別でございますが、国鉄としては、鉄道営業法なり何なりでもって、構内から排除するということ以外には、一般の国民と同じに扱うわけでございまして、組合の構成の中に職員でない者が入っておりましても、これには私どものほうはもちろん処分ということは考えられない、あり得ないことですから、全くノータッチと申しますか、関係なしに考えざるを得ない、こういうふうに思います。
  117. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、いまちょっとことばの中に出ましたけれども職員でない者については、公労法、もちろん日鉄法の適用はありません。だから他の法、たとえば司法権によって、刑事罰によって処分するというようなことがちらっと出ましたけれども、それはあなたのほうではない、発動するのは司法権力ですけれども、そんなような発動しました司法権力が、刑事罰が、最近最高裁も地裁もその労働争議の性質によって云々ということで、争議をやったからということで処分をしてない、刑事罰で無罪になっています。そういうものも多々ありますね、いまずっと。まだ係争中のものもありますが、最高裁の判決で出たものもあります、無罪が。そこで、いま私が言いたいのは、日鉄法を適用できない、あるいはもちろん公労法も適用できない、もう解雇されてるんだから。そういう者が組合におります。その人も大会に入りまして発言をして、大会決定いたします。中央委員会の決定もいたします。その決定を中央執行委員会は指令をいたします。指示をいたします。そしていわゆる世間にいう争議行為なるものを行なう、その場合に、公労法は解雇する、日鉄法は免職をする、あるいは停職、減給をやりますね。それで適用できないものについては、もうどうしようがないとなりますと、いわゆる労使正常化については格段の配慮が必要ではないかと思います。そういうものを考えて、特にもしあなたが刑事権力、いわゆる検察権力などが頭にあるとするならば、これはたいへんなことであるが、その点はどうですか。
  118. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どもも組合員でない者が機関に入っていようが、これはもう全く関係のないことです。したがって、それらの人たちが刑法に違反すれば、これはもう検察当局がなさること、警察当局がなさるから私どもの関知したことではございません。その点、職員の場合と職員でない場合とは全く違うわけでございます。私のほうが職員でない者を云々ということは筋違いのことでございまして、関与することはできないし、また関与すべきことでも全くないわけであります。
  119. 小柳勇

    ○小柳勇君 二十八年から今年四十七年までの処分の実績を見ますと、非常にまちまちです。ことしは国労だけで解雇二十名ということが出ています。四十六年は五十名出ています。こういうような解雇だけでも数が変わってきますけれども、この量刑ですね、一体どういう基準で判断されておるのか。  それからこれは労働大臣にも聞きたいんです。公労法適用は労働大臣ですね、これは。したがって、解雇二十名すると、まあ当然労働省にも国鉄なり運輸省からも質問があると思うが、あるいは相談があると思うが、これは毎年違うわけですよ、数が。どういうところからこういうものが出てくるのか、その量刑の基準についてまず国鉄総裁、あと労働大臣からお聞きしたい。
  120. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 量刑ということばはあれでございますが、実際の処分の内容は違うと、これはいままでの、過去のいわゆる順法闘争あるいはいわゆるストライキというものの規模あるいはその影響あるいは時間等が非常にまちまちでございます。したがって、まずやはりどれだけ国民に大きな影響を与えているか、またこれについて実際の、公労法でいう、何と申しますか、機関決定に参画した者のインフルエンスがどれだけであったかということが、非常に各ケースによって違うわけでございます。したがって、いままでの過去の処分をごらんになる際には、それの影響、あるいはことに内容等について、またそういう争議行為が実施されるに至りましたいろいろな過程、そういうものを全部具体的に検討した上で両方を比較いたしませんと、ときによって解雇者が少ない、多いという場合がたくさん出てくるわけでございます。したがって、あくまでも処分の内容というものは、争議行為の内容、規模、大きさ、影響等を十分しんしゅくいたしましてきめるわけでございまして、去年何人だったからことしは何人というふうな単純なものさしできめているわけではないわけでございます。
  121. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) いま総裁が申しましたが、率直に言って私のほうとしましては、個々の処分を受けた方々に対する量刑問題については、これは関知するところではありません。どういう規模でどのように争議が行なわれたかということについての、しかも処分された者一人一人に対する量刑でございますから、これは労働省の関知するところではありません。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 行政罰に比べて刑事罰がいま申し上げましたように無罪も相当出てきたんですけれども、この行政罰というのがあまりにも過酷ではないかということを言いたいわけですが、たとえば仕事をする上で課長さんなら課長さんがミスをやる。たとえば仕事の上で役人が戒告とか訓告を受けるのはたいへんなことですね、これは。にもかかわらず組合大会の決定なり中央委員会の決定で、中央執行機関の指示に従って争議行為に入ったものが、この公労法の解雇なり、あるいは日鉄法の適用を受けて、そうして免職や停職、減給という、こういう過酷な処罰を受ける。このことについて国鉄総裁としては全然矛盾を感じておらぬのかどうかお聞きしたい。
  123. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほど申しましたとおり国鉄の争議行為は禁止されている。公労法の十七条で非常に明白に書いてございます。で、それをあおりそそのかした者は解雇されるものとするということになっております。したがって全員解雇されるということの意味では必ずしも私はないと思います。それをしからば、どうしてその他の者を企業内的に処分するかと申しますと、これは国鉄法三十一条、三十二条によって、業務の正常な運営を阻害する、あるいは法規に従わないというふうな角度からこれを措置するのがいままでのやり方でございます。私は、その点全部公労法で解雇しろというふうなこともこれは激しいと思います。したがって、公労法を適用しないものにつきましては、当然これは国鉄法の三十一条、三十二条の規定でもって部内的に処分する。これはまあ行政罰ということばは、私どものは行政罰ではございませんが、企業内の処分をすることはこれは当然であるというふうに考えます。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 当事者能力の問題についてもう少し論議したいが、公労法の問題がいま出てまいりましたので……、総務長官がアメリカ軍の射殺事件で一時ごろから出られるそうですから、直接関係がありますから、公労法の問題について重点をしぼってまた質問したいと思います。  そこでまず国鉄総裁、公労法が最近少し変わってまいりましたけれども、一番初めの正常化の話で、国鉄総裁職員人一人、とにかくよく話し合っていかなければ正常化の方法はないとおっしゃったけれども日本国有鉄道法という法律であなた国鉄を経営しておられる。職員団体は公労法によりましてどの組合にか入っている、あるいは入ってない者もいるけれども、入っている。そうしますと、この公労法による団結権、団体交渉権の保障、それをフルに活用して、その中でいわゆる日本国有鉄道における経営権を持つ国鉄総裁、公労法における団結権の代表者との間に、もっと煮詰まった話し合いといいましょうか、いわゆる争議行為に入らぬ前に妥結する方法がなからねばならぬ。そこで聞きたいのは、公労法に矛盾があるんではないか、そういう矛盾を、長い間あなたも国鉄で管理者としてきておられるが、矛盾を感じておられないかどうかお聞きしたい。
  125. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 公労法の矛盾と申しますとどういうことになりますか、私どもといたしましては、公労法制定以来、私も多少その事情を知っておりますが、その後非常に大きな変革が出たのは、さっきのILOの四十年の改正でございます。そのこまかいあとはございますが、それは別といたしまして、私ども昭和二十三年に公労法の制定に携わりましたときは、やはり公共の福祉の維持ということで、国鉄、電々等の三公社には争議権を与えない、団結権だけ与える。しかし、それであると給与問題が非常に不当に扱われやすいので、これは仲裁委員会を救済機関として設けるという精神は、考え方としては一つ考え方であったというふうに私は思います。したがって、現時点、私ども法律のもとで仕事をする人間といたしましては、いまの公労法はこまかいことは別といたしまして、いままでやってきたことに間違いはないというふうに考える次第でございます。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 労働大臣に質問いたしましょう。  公労法は、御存じのように昭和二十三年に政令二〇一号によりまして、公共企業体等労働関係に包含される職員の争議権を剥奪しました。その代償機関として労働委員会ができましたけれども、その争議権を、スト権を取り上げて、もう手足を縛っておいて、それでしかも、こちらの国鉄の当事者能力というのは非常に少なかったわけです。ほとんど予算は国会できまるでしょう。運輸大臣の認可がなければ、国鉄総裁は団体交渉でオーケーと言えない。さっき私がゼロ回答と申しましたけれども、それは予算の赤字だけではなかったわけですよ。それは運輸大臣がおられるし、国会があるから国鉄総裁としては出したくとも出せない、そういう面がたくさんあった。その後若干この公労法の改正、ILO八七号条約の批准によりまして、四十年から少し性格が変わりましたが、一番根底にあるのはスト権の否認ですね。で、御存じのように世界の先進国の鉄道の労働組合でスト権のないのは日本だけです。しかも日本国内において、同じ産業労働者である私鉄労働者はストライキ権持っているわけです。だから浅草に参りますと、私鉄では本日スト決行中と書いてある。そうして何のトラブルもなくストライキやっていますね。その同じところで、国鉄はきょうは順法闘争でございますといって、そしてあのような混乱が起こっております。だから、長い間論議されてきたんでありまするが、公労法でストライキ権を取り上げたこのことが、現在の一番労使間の紛争の大きな問題ではないかと思うんです。しかもそれが順法闘争などという争議行為を考えなければ、意思を十分に世間の人にわかってもらえない、もちろん国鉄にもわかってもらえない。黙っておったらもう納得したことですからね。動かなければそれはオーケーしたことですよ。動いて何か問題が起こったときに初めてその問題をわかってくれる。小指の痛さは小指をけがしてその痛さで初めて傷の存在がわかる。だから労働組合としても決して好んで順法闘争やるんじゃないでしょう。いわゆる実力行使なるものをやるわけじゃないでしょう。やらなければだれもわかってくれないから、しかも当事者能力ないから、いま特に赤字と言われるからでしょう。  そこでいろいろ長い間論議したのでありまするが、きのう終わりました順法闘争のときも、十八日はもう一応順法闘争を収拾したいと言っていた。ところが政府のほうが、公労法の改正などについてはもう全然だめだというようなことで何かあったらしい。その裏話は必要ありませんが、それでなお十九、二十日と二日延びたと聞いています。だからこの問題は、将来にいろいろまだ問題を残しますけれども、現在の公労法なるものについて、労働省としてどうお考えであるか、労働大臣の見解を聞きたいんです。
  127. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) 国鉄と私鉄では営業種目は非常に似たものがありますけれども、その及ぼす影響あるいは成り立ち、いろいろな点で非常に大きな差があると思います。でありますから、国鉄、私鉄を同じ線に並べて比較することは私は非常にむずかしい問題があろうかと思います。  それはそれとして、労働省として公労法をどう考えかという御質問でありますけれども、いま私の所管ではありませんけれども、御承知のように公制審というものに公務員あるいはいまおっしゃったような問題で諮問をしているわけですね。でございますから、ここでどのような答申が出てまいりますか、私どもはこれを冷静に受けとめなきゃならぬと思います。この段階で、労働大臣が公労法をどうしろとか、どうあるべきであるとかということを言うことは、厳に慎まなければならぬと思っております。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは総務長官に。公制審が発足しましてすでに七年でございます。公制審ができましたのはILO八七号条約を四十年に批准いたしました。そのときの労使間の問題で、特に公務員あるいは公共企業体関係労働者の労働基本権の問題が中心に論議されねばならなかったのでありますが、すでに七年を経過した今日、結論が出てない。したがって、その公制審の現在までの審議状況と、それから現状と、これからどういうふうに運営しようとされるか、御答弁を願います。
  129. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 御指摘のとおり、公制審ができましてから十分な結論が出ていないということについては、私も非常に残念に思うわけでございます。しかしまた、長年公制審がいろいろと慎重に御審議をいただきまして今日に及んでいるわけでありますが、当面する問題につきましては、いわゆる公務員及び公共企業体の職員の労働問題の基本に関する事項につきまして、ただいま御審議をいただいているわけでございます。ただ、この長い間何をしていたかということにつきましては、一応経過だけは御報告を申し上げておきたいと思いますが、第一次の公務員制度審議会は昭和四十年十月四日に発足いたしまして、同年の十一月一日に内閣総理大臣から、いわゆる一連の問題について、早急に公制審の答申を得たいという意味の諮問がなされたことは御案内のとおりでございます。そして同審議会は、その後四十二年十月三日までの間十八回に及んで会議を開いたわけでございますが、ILO批准に伴う関係改正法律中で、国会修正により、この審議会の審議を待つこととしてこの施行を延期された規定の取り扱いについては一応結論を得たことになっておりますが、公務員及び公共企業体職員の労働関係の基本に関する事項については、結論が当時は得られなかったわけであります。  引き続き第二次の公務員制度審議会は、昭和四十三年十月二十四日から四十五年十月二十三日までの間、三十七回に及んで会議をお聞きいただいたわけでございますが、問題が重要であり、かつまた非常に複雑であったというような事情もありまして、討議の大部分は労使双方の第一次的主張の展開に費やされまして、諮問事項については、遂にこれまた結論をいただくことができなかったわけであります。  そこで、ただいまの第三次公務員制度審議会が昨年九月に発足いたしまして、まず在籍専従について、その制限期間を三年から五年に延長すべき旨のこと、同年の十月十一日には内閣総理大臣に対してその答申をいただいたわけでございます。その後におきましては、第一次、第二次公務員制度審議会に引き続いて、公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について、ただいま審議が進められているというのが現状でございまして、最近におきましては、審議会においては公務員の性格とその範囲に関する論議が展開されておるような次第でございます。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま聞きますところ、大事なこの争議権の問題などについてはまだほとんど審議してないわけですね。もう八年も経過して今日なおそのような情勢である。しかも諸外国、特に国際的にも非常に連帯が強化されまして、国際労働関係にいたしましても、あるいはILOの委員会にいたしましても、結社の自由委員会でも問題にして、日本国鉄のストライキ権の問題をいろいろ考えている。  そこでもう一つ、総務長官のほうにはちょっと質問を保留しますけれども、きょうは官房長官のかわりに副長官来てますので、官房長官どうしても来れぬというから、きょうは田中内閣をひとつしょってもらって答弁してもらわなければ困りますが、臨時行政調査会が昭和三十九年の九月に勧告を出しました。この勧告の中に国鉄と電電公社の労使関係について次のような勧告を出しています。「審議会を設けて、労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討し、特に、公社側の当事者能力の確立をはかること。」、このような勧告をしています。この勧告に対して、いままで政府はどのような措置をされたか、御答弁を願います。
  131. 山下元利

    説明員(山下元利君) ただいま御指摘の臨時行政調査会の答申においてもその問題に触れておりますけれども、当時この答申とは関係なくILO八七号条約の批准に伴う関係国内法の改正によりまして、四十年七月公務員制度審議会が設立されたのでございまして、政府といたしましては、この審議会に対し公務員等の労働関係の基本に関する事項について諮問を行なっているところでございます。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと副長官ね、その臨時行政調査会の勧告も公制審の中に入り込んだということに確認していいですか。
  133. 山下元利

    説明員(山下元利君) この公務員の労働関係の基本については、ただいまの公務員制度審議会においてお取り上げになっておるところでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、臨時行政調査会の答申とは無関係に、こういうILOに伴いまして設置されましたその審議会において審議が進められている、このように理解いたしております。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 はっきりしませんけれども、私が質問しているのは、この勧告をもう一回読みますよ、「審議会を設けて、労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討し、特に、公社側の当事者能力の確立をはかること。」、こういう勧告です。この勧告は、たまたま四十年に公制審ができたから、この審議会というのは公制審の中に含まれるのですよと、公制審はこの審議会も兼ねるのですよと、こういうふうに理解していいかと聞いているわけです。
  135. 山下元利

    説明員(山下元利君) 公務員制度審議会におきまして、公務員並びに公共企業体等の労働関係の基本について審議されておるわけでございまして、いまの御指摘の臨時行政調査会の答申につきましては、そのように承りますが、公務員制度審議会においては、独自の立場において基本問題について審議されておる、このように考えておるわけでございます。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 公務員制度審議会のことをあなたに聞いているのじゃない、担当が違う。あなたに聞いているのは、私きのう官房長官に会っているのだが、こんな勧告を前の政府はサボっているが、この田中内閣はどうしますかと、ちゃんと署名やってあるのだから、官房長官に。その返事にあなた来ているのだ。田中内閣しょって答弁してもらわなければ困りますよ。  そこで、この「審議会を設け」と書いてあるが、その審議会は公制審があるから、それでもう兼務してもらいますと、そういうふうにお考えですかと聞いている。
  137. 山下元利

    説明員(山下元利君) 事柄は重大な問題でございますので、私どもといたしましては、現在設置されておりますところの公務員制度審議会におきまして十分に御審議を願っておるのでございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、この勧告も公務員制度審議会のほうでこういう精神を入れながら審議していくと、そういうことにいまの政府としては考えていますと、こう確認しますね。
  139. 山下元利

    説明員(山下元利君) 必ずしもそうではございません。事柄が重大でございますので、公務員制度審議会において審議せられておるわけでございます。私どもはいまの公務員制度審議会の経緯からいたしましても、その臨時行政調査会の答申とは一応関係なく設置されておりますが、しかし、こういう重大な事柄については、いま公務員制度審議会に諮問いたしまして、その御答申を待っておるという段階でございます。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 労働基本権の問題は公制審のほうで論議しているから、それをあなたは答弁せぬでもいいのです。あなたにいま聞いているのは、勧告がありますね、臨時行政調査会の勧告があります。その勧告を佐藤内閣時代はサボっておったから、田中内閣では審議会を設けてこのような検討をしなければなりませんでしょうと、きのう官房長官に言ったわけだ、それはそうでしょうとおっしゃるから、その答弁を持ってこられたと思う。したがって、私は再確認するけれども、せっかく公制審がいま審議しているから、同じことを審議しているのだから、この審議会は設けなくても、そこで並行して一緒にやってもらいますと、そういう話を官房長官はされたのかと……。
  141. 山下元利

    説明員(山下元利君) 先生と官房長官とのお話については、私も直接伺いませんので、私において理解の不十分な点があることはおわび申し上げますが、ただ私どもは、現在公務員制度審議会がございまして御審議をいただいておるわけでございますので、その審議をお待ちしておるということでございまして、それで御理解を賜わりたいと思うわけでございます。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、あなたに確認しても……。この「審議会を設けて」ということがあるけれども、公務員制度審議会がいま労働基本権について論議しているのだから、あらためて審議会を設けなくともその公制審の審議を待ちますと、このように官房長官言われたのですか。
  143. 山下元利

    説明員(山下元利君) 私といたしましては、いま公務員制度審議会が公務員等の労働関係の基本について御審議をいただいておりますから、御審議をされて、その結果御答申いただくのをお待ちしておるということでございまして、いま先生御指摘の点につきまして、具体的に私ども別に今日申し上げるものを持ち合わせないのでございます。ただ公務員制度審議会の御審議を待っておるということでございます。
  144. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  145. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を始めてください。
  146. 小柳勇

    ○小柳勇君 それではただいまの問題は午後に回します。  そこで総務長官——もう一つこれは労働大臣に聞かなきゃならぬ。この勧告にもありますように、これは昭和三十九年です。しかも、これを審議された委員は佐藤喜一郎さん、高橋雄易さん、安西正夫さん、今井一男さん、太田薫さん、花井忠さん、蝋山政道さん、この委員ですね。この臨時行政委員会がいま言ったような勧告を出しておられるわけです。それからもう八年になりますね。同時に、言いたいのは、公制審は四十年から発足してますね。だから、まあこのころですよ、大体言うなら。副長官がおっしゃるのはようわかるわけだ。公制審が発足したんだから、それでやっているでしょうとおっしゃるのはようわかりますよ。ただ、それじゃ結論になりませんね。私の聞いてることの結論にならぬからいまもめてるんでね。  そこで労働省としては、この公労法の問題については方々委員会で論議しているんですから、したがって、現在の公労法の争議権禁止の問題は、これはもう時代的にも相当変わっている。たとえば、まあこれは列挙する必要もない。現在の日米、日中の関係あるいは国際労働の連帯の問題、日本としては、いまもうほんとに先進国の仲間入りをした労使関係ですね。そして一番大事なことは、日本がいま低賃金労働国ではないかというそしりを免れなきゃならぬ。でないと国際収支などはもっと圧力かかってくるでしょう。国内的に言いますと、まあ田中内閣が発足したというのが一番大きな変化だけれども、ILO八七号条約の批准によりまして組合の性格が変わりました、さっき国鉄総裁が言われたようにね。職員でない者がいま組合に入ってるわけですよ。それで、他産業労働者との関連もありますし、また私鉄との関連を言われたけれども、地下鉄も私鉄も国鉄も一緒です、性格は。これは同じですよ。そういうような産業関係も考え、国際的にも国内的にも考えてみましても、二十数年前にできたこの公労法なるものは、現在の情勢に合うように検討するのが当然じゃないか。いわゆる公務員や公共企業体労働者の労働基本権については現状に合うように検討するのが当然ではないかと思う。その検討をいま公制審でやっておるのであるが、労働大臣としては、現在のこの悪循環を断ち切るためにも考えてもらわなけりゃならぬでしょう。——運輸大臣はどうした、だれの許可を受けた……。一番大事な問題だ。いまの順法闘争とああいうふうな悪循環を断ち切るためには運輸大臣からまず答弁を聞いておかなきゃいけない。——総務長官も聞いておってくださいよ。労働大臣から聞きまして、あと総務長官に聞きますからね。公労法のこのようなスト規制というものがこの因循な労使関係になっている。国鉄総裁は十分話し合えば何とかなるようにおっしゃるけれども、私は片や日鉄法、片や公労法、この関係を正常化しなければ、ほんとうに、個人個人の話し合いでは正常化できぬと思う。日鉄法の正常化というのは何かというと、当事者能力の回復ですよ。もう少し国鉄総裁に権限を与えること。公労法の問題は何かというと、公労法のいわゆる争議権の問題これいろいろありましょう、争議の性質によりまして。刑事罰にもそう書いてありますね、最高裁の判決でも、地裁の判決でもそう書いてあります。一方的にこれがいい悪いときめちゃいかぬぞと、その種類によって、やった事実によっていい悪いを判断しなきゃならぬと書いてあるから、公労法も、私はそれは何もかも一切スト権回復ということについては若干問題があるかもしれぬ。しかし、そこに二十数年たちましたこの公労法は、現在の労使関係を正常化するという立場から再検討しなきゃならぬと思うんです。そういう面において労働大臣はどうお考えか。
  147. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) 先ほど来のお話の公制審でございますが、私は所管外でありますからつまびらかにはいたしませんけれども、ILO八七号条約、ちょうど私が三十八年に政府委員でILOに参りました。八七号条約の関係でつくられたものでありますから、臨調の答申に基づいたものではないとは存じますし、また臨調の拘束を受けるものではないとは私は思いますけれども、それにしても、いま公制審でそういう問題について御審議願っておるんでございますから、確かに二十何年たって世の中変わりました。これはもうだれが見ても変わりました。国際的にも国内的にも変わりました。でありますから、今日の実情に即した結論をなるべく早い機会に公制審でお出しいただくということを私は期待はしております。けれども、公労法をどうする、あるいはおまえどう思うかと言われても、権威ある公制審という審議会で御審議を願っております以上は、私の考えを述べることは差し控えなきゃならぬ。先ほどお答え申し上げたとおりであります。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 公制審の問題は、担当は総務長官ですから、公制審の扱いはあなたには聞きません。ただ公労法の扱いについては、もう制定されて二十数年たってますし、内外情勢も相当変化しておるから実情に沿うように検討するのは当然である。特にいま国鉄労使間の正常化、そういう問題が焦眉の急でありますから、それの一つの大きな因子として、公制審として早く結論を出してもらいたい。実情に沿うような結論を出してもらいたい、これが労働大臣の真意でしょう。
  149. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) 私どもは公制審に対して、こうとかああとかという示唆的な要請をすべきでないと思います。と同時に、予備知識的なことも申すべきでないと思います。公制審がそれこそ公正に御判断なさることであって、でありますから、私どもはなるべく早い機会に、今日の実情に即した基本的なもろもろの答申が出されることを期待しておる、こういうわけでございます。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 もろもろの実情というのは、朝からずっと時間をかけまして、国鉄総裁なりに私が聞いてきました、そういう実情と承認していいですね。
  151. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) 私は、先ほど小柳委員がおっしゃいましたように、公制審は私の所管外でございますので、きわめて詳しいというわけではございません、率直に言って。ございませんが、公務員または公共企業体の労働者の基本的なあり方について御審議が進められておるわけでございますから、いろいろな面で答申がなされるであろうし、また御審議もなされるであろう、このように考えておるということを申したわけであります。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 そのことはいいです。公制審のほうはあとで聞きますけれどもね。ただ、公労法はあなたの担当ですから、公労法の現在の十七条、十八条、そういう問題など、いままでずっと論議してきましたね。そういうものが、いまの国鉄労使関係を混乱さしておるという話もいたしました。そういう前提に立って、公労法についてはいま公制審のほうで論議しておられますと、しかも公労法の制定以来もう二十数年経過していますと、したがって、実情に合うようにひとつ前向きに検討してもらいたいと、しかし、もらいたいけれども、公制審のほうの担当は総務長官であるから、私のほうからつべこべ言いません。そういうことでしょう。
  153. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) 公労法に関しまして、公制審がどのように御審議になるか、つまり実情にいまの公労法が沿ってないのか、沿っているのか、いわゆる実情に沿ったものはどんなものなのか、これを御審議願うのでありまして、私からいまの公労法はもう実情に即していないとか、あるいは即しておるとか言うことは論評を差し控えたほうがいいんではなかろうか。私は、労働大臣としては、現在ある法律を守ることに努力する以外にないということでございます。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 総務長官に質問しますがね、いまの労働大臣の答弁は不満ですが、それは午後に保留します。  総務長官、いま公制審はあなたが担当で運営しておられるけれども、七年間やりましても、この大事な公共企業体等の労使関係あるいは公務員の労働基本権について、特に争議権について話も煮詰まっていないということについて非常に不満でありますが、公制審の審議をもっと早めて、これだけいま世間も要望しておりますから、早めることについて政府は責任を持つべきだ、こうお願いすべきだと思いますが、どうですか。
  155. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 御指摘のとおり、長い間この基本的な重要な問題が御答申いただけないということは、先ほども申し上げましたように非常に残念に思います。しかし、公制審は、ただいま労働大臣からもお話がありましたとおり、政府としてもこの基本的な問題についていろいろ御検討いただいて御答申をお待ちしている段階でございまして、私としても一日も早く公正妥当な御答申をいただくことを期待いたしております。  ただ、公制審の運営につきまして、私が時間的に——内容的にはもちろんでありますが、時間的にとやかく申し上げることよりも、つとめて早く御答申をいただきたいという意思表示程度ならともかくといたしまして、公制審の運営についてとやかく申し上げることは差し控えるべきではないかというふうに考えております。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 公制審のほうに政府代表としてあなたがおいでになって、いま国鉄の労使関係もあんなふうに非常に悪循環をやっている。また世間一般にも、世間の論評としても、なるべく早く公共企業体等労働関係の争議権の問題について論議してもらいたい、そうして与える方向と私は言いたいけれども、これはまた午後の問題にしますけれども、前向きの方向で検討するようにという、そういう要請がありますから、早くひとつ論議を重ねて、早く結論をお出し願いたいということを政府代表としてお願いすることは当然だと思うが、いかがですか。
  157. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 公制審に対しまして、私から、今日たとえば御指摘のような国鉄の問題等重要な問題が発生いたしておりますこの現況については、いまさら私が申し上げる必要はなかろうとは思いますけれども、しかしこういうことが繰り返されることについては、私も同様遺憾には考えております。けれども、公制審に対してこのことがいい悪い、あるいは右だ左だというようなお指図は、私は申し上げることは差し控えるべきであろうと思います。しかし、私としても、やはりすみやかにひとつ御答申をいただきたいという意思表示をいたすことは可能であろうと思います。  なお、お許しをいただけるならば、本日のように、国会におきましてもこういう御論議のあったこと、当然公制審でも察知されることでありましょうけれども、お許しいただけるならば、状況の報告ぐらいは申し上げることはあるいはできるかもしれませんが、その点につきましても、私のほうからとやかくという発意はいたすべきではない。もちろん公制審を御尊重申し上げるという立場で進んでまいりたいと思っております。
  158. 小柳勇

    ○小柳勇君 あなた方はほんとうに政府の資格ないですよ。公制審ができましたのは、八七号条約を批准いたしまして、国内法にいろいろ問題があるから公制審でひとつやりましょうということでできたのです。言うならば、国会の決議を受けたと同じようなことで政府の諮問機関として発足しているわけですよ。政府の諮問機関に諮問しておいて、結論が七年も八年も出ないから、なるべく早く結論を出してくださいと言うのがなぜ悪いのですか。だからいつまででもこういうふうなことで、日本の労働関係というものが外国から軽べつされるでしょう。ILOなんか行ったって恥ずかしいでしょう。だから公制審に行って、政府の諮問機関だからなるべくひとつ早く結論出してください、月に一回の審議日数を月に二回できませんでしょうか、と言うことは悪いでしょうか。当然じゃないですか。これも午後官房長官に聞きましょう。  副長官、いまのような情勢ですが、政府を代表して公制審に行って、いま月一回程度審議しておられるそうだけれども、二回ないし三回なりにして、非常に問題ですから、特に国鉄労使関係など当面の問題がありますから、ひとつ右、左は言いません、早急に結論をお出し願えぬでしょうかということが言えないのでしょうか。そのことを官房長官に言ってください、そのぐらいは言うべきですよ。そういう問題になったということを言ってください。もう一回総務長官から聞きます。総務長官は担当長官ですからね。
  159. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 先ほども申し上げましたとおり、私自身の考えからいたしましても、また今日の実情からいたしましても、やはりすみやかに御答申をいただきたいという気持ちであることは、もう全く先ほど申し上げたとおりでございます。  ただ、その公制審の運営等について、月に何回やれとか、あるいはやってほしいとか、あるいはもちろん内容に至るまで私どものほうから意思表示することは、公制審を尊重する意味からいたしましていかがと思われますので、私どもが早く御答申をいただきたいということをお伝えすることはやぶさかでありませんが、そのお取り扱い、運営については、私どもが口を入れるところではないというふうに申し上げたわけでございます。
  160. 小柳勇

    ○小柳勇君 午後、もう一回じゃあ出てもらいましょう、総務長官は。  それじゃ、運輸大臣質問いたします。いままでずっと朝から論議しておりますように、国鉄労使関係は必ずしも正常化とは言えないですね。大量処分があったから処分反対闘争。特にあと二日は政府がスト権の問題でがたがた言って、そして順法闘争になった。また十月二十六日からは、今度はダイヤ改正あるいはスト権の問題などで順法闘争などもきのうきまったと新聞に書いてあるでしょう。こういう悪循環をどこかで断ち切らなければならぬと思うが、運輸大臣はその所管大臣として、どういう御決意で今後これに対処されますか。
  161. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 私は運輸大臣になりましてからも、このことを非常に気にかけておりまして、先般の新聞記者会見におきましても、順法闘争、処分、順法闘争というようなイタチごっこを繰り返すことは非常に遺憾である、しかも多数の国民に迷惑がかかるようなこの問題は、やはり早急に何とか考えなくちゃならぬ、こういうことを申し上げております。ただ私一人でこの問題は解決するものでございませんで、労働法などの関係になりますと労働大臣の御所管でございますから、労働大臣とよくこれからも相談いたしましょうということを申し上げておりますので、現在の心境もそういう心境でございます。しかし何とかこれをしなくちゃならぬという考えは変わっておりません。
  162. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 ちょっと議事進行上申し上げたいことがあるのですが、いままでの御答弁を聞いていると、いままでのたとえば国鉄の順法闘争によってダイヤの混乱が続いた。来週からもまごまごすると続くかもしれない。それに対して、こうやって事態を収拾したい、あるいはしましょうという意見は一つも出てない。そうでしょう、解決の道をどこに求めるか何にもないのですよ。これじゃ幾ら委員会でもってやりとりをしても意味がないのですね。だからこれは、それだけだったら私は委員会を再開したってつまらぬと思う。再開をする以上は、やはり政府のほうで責任を持って、つまり順法闘争でもってダイヤが混乱をする、利用者が大きに迷惑をするというんだったら、それを何とか解決するための道を求めるのがほんとうじゃないですか。いまお聞きすると、公制審にいま結論を求めておる。権威ある公制審というふうにおっしゃった。権威ある公制審というのは、結論が出て、それが役に立つから権威がある。結論が出ないで、小田原評定だけやっていれば、こういうものは権威がない。そんなものはばかだってできる、小田原評定だけだったら、いまお話を聞いていると、公制審に逃げ込んでしまって、その結論を待っているのだ、出てこなければしかたがないというのでしょう。ところがいまの話だと出てきそうもないでしょう。結論の出ない公制審なんというのは卵を生まない鶏と同じですよ、それは。これはこっちのほうでもうけっこうと言いたくなる。そのもうけっこうの公制審に逃げを打つというのは私はいけないと思うのですよ。いま事態は差し迫っておると思うのです。来週またまた、とめどもなく闘争が展開される、ダイヤが混乱するということになったらどうなるのですか。それを考えたならば、午前中の意見のように、何らの結論が出てこない、何らの対策がないということではいかぬと思うのです。少なくとも午後の委員会を再開する以上は、政府としても、このような方法で問題の解決をはかりたいと思いますという答えは出さなきゃいけないと思いますよ。  それから国鉄総裁の場合でもそうでしょう。ゼロ回答じゃないんだ、回答ができないんだという、それじゃ当事者能力がないということの告白と同じでしょう。当事者能力がないという、その公労法でもしかたがないということであれば、ダイヤがどんなに混乱しようとも国鉄総裁には方法がございませんと言っているのと同じですよ。国鉄総裁として、どんな事態になろうとも私は責任を負わないということは、私は間違いだと思う。やはり国鉄総裁としても、ダイヤの混乱が起きたならば、その混乱を解決するために何らかの策を講じ、あるいは組合側と話し合いをするということを考えるのが、私は総裁としての責任じゃないかと思う。いままでの御答弁では、総裁も私は知りません、闘争は組合がやっているのです、総裁には当事者能力がございません。——じゃあその公労法はそれでいいのか——それでいいんです、こう言っているのですよ。これじゃ困るでしょうう。いま問題は差し迫っているのですから、午後の再開された委員会では、少なくとも政府として、あるいは国鉄として今後の問題をどうするかということを明らかにするということを約束をしてもらいたいと思う。それでなければ意味がないと思う。
  163. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  総務長官ね、いま議事進行で、きわめて示唆に富んだ意見が出た。私も大体同じ意見なんですよ。つまり公制審に諮問をしているから、一切の行政権、行政行為というのは差しとめられているということはないですよ。政府がこういう一つの見解を示すことは、ちっとも公制審に対して無札でも何でもない。そういう意味で、公制審の決定、答申を待たないで、ここまで緊迫した問題だから、政府としてはどうするという、こういうふうな見解を示しなさい。午後持ってきてください、それを。そうしなければ話は進みませんよ。何か聞いていると、すべて公制審を隠れみのにして、それを待ちます待ちますというのじゃ、こういう問題決着つきません。休会中にわざわざそういうことのために委員会を開いている。はっきりしてもらいたい。よろしいですか。答え持ってきてもらいたい。  それから、運輸大臣国鉄総裁にはこういうことをひとつお願いしておきたい。そういう政府のある方針が出ますと、やはりあと小柳君からもっとこまかな詰めもありましょうが、さしずめ労使間の信頼を回復するにはどうしたらいいか。先ほど数字が示されたように、二十万五千五百名のいわば処分を出している。おそらくいかなる企業でも、こういう約過半数に近い処分はないですよ。その辺にやっぱり問題がある。十月の十四日は鉄道百年記念日ですね。まずそういう機会に恩赦なんということが当てはまるかどうかわからぬけれども、その辺でひとつ事態の転換をはかるようなことを考えてほしい。急々にそういうことが大臣と総裁の間でできるものかどうか知りませんけれども、さしずめ所管大臣並びに総裁という立場から、国鉄百年を一つの転換期にして、二十万五千五百名の処分をどうするのか、その辺のことをひとつ答えを持ってきてもらいたい。この二つのことを午後たっぷりとひとつ小柳委員を中心に質疑を続けていくようにしたいと思います。簡単な答弁は困る。
  164. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 本件に対する午前中の調査はこの程度といたします。  午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      —————・—————    午後三時四十七分開会
  165. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き質疑を行ないます。小柳勇君。
  166. 小柳勇

    ○小柳勇君 午前中、処分の問題で少し時間が足らなかったので、もう一回処分の問題で質問します。  それは、国際的に国鉄の悪循環といいましょうか、この問題が非常に関心を引いていまして、来たる十一月のILOの結社の自由委員会でまたこの問題が取り上げられて、処分の取り消しとスト権の回復について勧告が出そうな気配です。したがって、国際的な問題を少し意見を開いておかなきゃなりませんので、最初国鉄総裁質問いたしますが、結社の自由委員会が、この五月末からの会議で、あらためて国鉄の大量処分に警告的な発言を行なっている。それからドライヤー報告でも日本の法律万能主義を批判して、スト権の規制についてはその救済措置が十分であるときに初めてやるべきである、公共企業体等労働者についても必ずしも完全にストを禁止するべきでないというようなことを報告をいたしています。そういうような国際的な問題もありますし、今回の処分に対して、九月十四日付で国際運輸労連の書記長から国鉄当局に電報が来ておるようであります。この電文を読みます。   国際運輸労連は、国労、動労組合員に対する  国鉄当局の懲戒処分を非常に遺憾に思う。その  ような政策はILOの諸勧告に反しています。  労使関係の平和のために緊急にその処分の撤回  を要請します。  これは総理にも来ておるようでありますが、総理に対する見解はあとで官房副長官に聞きますが、国鉄総裁は、このようにここ数年来ILOでも、あるいは国際運輸労連でも、この数年にわたる悪循環が問題になって、特にこの行政罰の懲戒処分が問題になっておりますが、これらの問題に対してどうお考えであるか、特に今回のITFの書記長からの総裁に対する電報に対してどういうお考えであるかお聞きしたいのです。
  167. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ILOの問題につきましては、去る昭和四十年の第六十四次の委員会の報告並びに先般の百三十二次の報告、これの中にいろいろ取り上げられておることはお説のとおりでございます。まあ今度の、ことに百三十二次の報告につきましては、過般の六月の理事会に上程されるものが十一月に延期になりました。その理由その他につきましてはいろいろ見方もあるようでございますが、一方総会のほうは、御承知のとおり総会のほうで取り上げないというふうにきまっておるようでございます。まあいずれにいたしましても、それは外国の話でございますが、私どもといたしましては、ILOの条約の適用の問題と、それから現存しております国内法ないし公労法並びに日本国有鉄道法の適用であり、解釈の問題であるというふうに考えております。すなわち、現在の法律のもとで再三にわたって政府あるいは私のほうが行なった警告を無視いたしまして、法律で禁止されている争議行為を行なった以上、これによる処分をすることは国内法の問題として適法であるというふうに考えておる次第でございます。
  168. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、このように国際的にも問題になっていますし、電報で勧告をしてきておりますが、現在、処分したものを撤回する意思はないと、このようなことがございますか。
  169. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どもとしては撤回する意思はございません。
  170. 小柳勇

    ○小柳勇君 国際的な問題、特に労働担当であります労働大臣にいまの問題を質問しておきたいんですが、ILOの会議あるいはこのITFの会議などでも、日本の国有鉄道の労使紛争はたいへんな問題でありまして、しかも懲戒処分の数が多過ぎるし過酷である。こういうことを再三再四問題にされています。で、労働大臣としては、過去については労働大臣でありませんでしたから問題にいたしませんが、今回の処分及び今後の処分に対してどういうお考えですか。
  171. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) 国内法によって定められております規定に反して争議行為がある場合は、これは国内法によって処分されることもいたしかたないというふうに考えております。
  172. 小柳勇

    ○小柳勇君 その国内法は、労働紛争を判断するものは公労法です。公労法の問題は午前中にも論議いたしました。あとでまた大臣の見解を聞きますけれども、その公労法に対しましても、事実スト規制に対して国際的に非常に批判されているところであります。だから何回でも言いますけれども、世界の鉄道労働者で、特に先進諸国の鉄道労働者で完全にスト禁止されているのは日本だけであるというような実態がございますね。公労法がなければ解雇、免職などというばく大の懲戒処分は出ないはずなんです。たとえばあの紛争、争議行為は中央執行委員会国鉄労働組合なり動力車労働組合の中央執行委員会で指令、指示を出しますね。それ以外の争議行為というやつはやっていないはずなんです。やっていれば山ネコ争議ですから、これは組合が救済しませんから。必ず、今回処分されました者を見ましても、これはそれぞれの組合としては救済措置をとっている。救済措置をとっておるということは、その指令、指示の範囲内であるという認定をしているわけです。いわゆる労働争議です。世間的にいう労働争議です。その労働争議に対しまして、それは機関の責任者なり、あるいは出先機関の責任者なりに対して公労法上の責任を問うことは、あるいは社会通念上若干の譲歩をして了解する点もありましょう。しかし、その他の一般労働組合員に対しましても相当の処分がなされました。かつてもそうです。今回もそうです。そういうものは公労法の適用よりもむしろ日鉄法の適用ですね。だから午前中にも言いましたように、大会という機関できめて、そして一年間の自分たちの生活を守る諸闘争をやる、諸行為をやる、それを中央執行委員会がある時期をみてそして指示をする。ならば、それは世間的にいう労働争議と見なければならない。その労働争議の責任を、その責任者以外の多数に求めておるところに、この国際的な批判があるものと私は考える。だからそういう考えを断ち切らなければ、いま流に言うならば、その考えの流れを変えなければイメージチェンジにならぬでしょう。だから佐藤内閣で過去数年、そういう同じことが繰り返された。したがって、いま新しい政府ができて、田中内閣ができて、しかも総評の幹部ともときどき話そうとしておる時期でありますから、この際にはそういうものを一回検討しなきゃならぬ、そういうやり方をね。公労法じゃありませんよ、今回の処分ですね。公労法及び日鉄法で処分するような、この大量の処分のあり方については検討しなきゃならないと思うのです。労働争議の担当である大臣、いかがですか。
  173. 田村元

    ○国務大臣(田村元君) たいへん原則論になって恐縮でございますけれども、違法の争議は、やはり争議に参加した者がそれぞれ処分されることはいたしかたのないことだと存じます。しかしながら、国鉄の争議に対して国民世論も非常に硬化をしております。それは単に労働組合にというのみならず、労使がもう少し何とか不信感を除いてうまくやってくれないものだろうかという声が強まっておると私は思います。でありますから、国鉄当局に対しましても、どうぞひとつ仲よく合理的な労使関係を樹立するように努力されたい。と同時に、組合に対しても、どうぞ違法の争議行為を前面に立てないで、話し合いの場を持って合理的に労使関係を樹立してもらいたい。これはもう労働大臣としてはお願いをしたいし、祈るような気持ちであります。でありますから、法律にということになりますと、私は違法行為は、当然法だよって処断されなければならない。けれども、それ以前のものとして、国鉄の労使関係の不信感を払拭してもらうために大いに労使でお話し合いを願いたい、こういうふうに考えております。
  174. 小柳勇

    ○小柳勇君 違法行為は処分しなきゃならぬと言われますが、それはもう社会通念ですよ。違法であれば処分しなければなりません。ただ、順法闘争というのは法律を守っている、職場の諸規程を守っている闘争でしょう。これは違法じゃないですよ。汽車はこれは結果ですね。それはなぜかというと、職員の長い間の熟練によって規程以上の仕事をしているからスムーズに動いているわけですよ。もうあなた方は、国鉄のこと、技術的にはしろうとでありましょうから、ここで説明してもしかたありませんでしょうが、私ども、長くそういう職場におりますから、もう規程できまったようにすれば間に合わないということです。したがって、そのときに……。いま、これは神わざ的な仕事をやっているわけです。それを規定どおりにやったからあれだけ列車が乱れたんですから、違法じゃないですよ、これは。違法ということばは取り消してもらわなきゃなりませんが、ただ、違法行為は処分するという、これは社会通念ですからいいでしょう。ただ、あなたが、いまこれだけのばく大な処分は、全部これは違法であったと言うならば、私は絶対承服できません。これは順法闘争です。法律を守ったから、規定を守ってやるからですよ。したがって、これで論争しておりますと、また長くなりますから、技術的に説明しなければなりませんでしょうけれども、それほどいまの四十五万の国鉄職員は神わざ的な技術、熟練で仕事をしている。そして規程というのは、一応のこれは準則です、規程は。それは頭の中に全部入っています。それ以上の仕事をしているわけです、神わざ的に。たとえば連結する場合、二十五キロの汽車から飛びおりたらたいへんでしょう、普通だったら。あるいは十五キロでもたいへんでしょう。それをある場合にはやらなきゃならぬ。でないとあれだけの列車は操作できないですよ。そういうものをある時期になりますと、たとえば規程に五キロでなければ飛び乗ってはならぬと書いてあれば、そのとおりにするから、貨物編成がおくれるわけです。これは決して規程に違反しているからじゃないですよ。規程を守っているから列車編成ができないんですからね、神わざ的にやっているということ。しかもそれは、信号を見るにいたしましても、判断するにいたしましても、制動弁を一秒取り方がおそかったら、高速列車はもう百メートルも二百メートルも走りますからね。そういう瞬間的な作業を一秒の何分の一の判断で作業しているのですから、そういうものをまず前提に考えませんと論争になりません。  それはそれといたしまして、そこで次にもう一つ国鉄総裁に。この処罰の可罰性でもう一つ言っておきたいのは、刑事罰で、たとえば死刑になりますとその本人だけですね。ところが行政罰で解雇になりますと家族全部がその生活を断たれ、生活の基底を断たれるわけですね、解雇、免職。私はこの刑事事件と比較するわけにまいりませんけれども、四月十一日に判決の出ました大阪の日韓闘争事件、この判例、これは大阪の地裁でありますけれども、当時の委員長と書記長が千五百人の組合員の先頭に立って、そして操車場で汽車の前に、線路にすわり込んで一時間の職場集会をやった。その刑事事件の判決の理由の中にこう書いてあります。「国鉄当局は、本件争議行為によって生じた国鉄の業務に対する支障は局地的な夕立の際の落雷などにより生ずる程度のものであるという趣旨で、これを落雷戦術と称していることなどを考慮すると、被告人らが本件争議行為によって国鉄に対して与えた営業権の侵害は、国民生活に与えた影響とともに、さして重大なものであるとはいえず、ひるがえって、使用者が法律的にも事実的にも処理し得ない事項を目的とするものであることから、これによって生じた損害を使用者たる国鉄が受忍すべき理由のない本件政治的目的のためのストライキの違法性は、それによって生ずる損害が右程度のものであったことに照らすと、さして強いとはいえない。そして、被告人らが本件争議行為によって侵害した右法益と、それをなすことにより保護した利益、すなわち国労の立場からする日韓条約批准反対の表意思示、および民主主義の根本原則が形骸化する危険の防止とを比較した場合、前者が大きいとは必ずしも断定することができない。」、これが無罪の大きな理由ですね。そういう刑事的にも判断をされるような時期に、労働組合の大会決定によって合理化反対なり、あるいは賃金の問題を処理するためにあれだけの行為をやった。それにこれだけの大量の処分がなされている。  そこでもう一つ。これはその処分の過酷さについて運輸大臣質問しましょう、国鉄総裁は前に聞きましたから。それは職員だけは処分できますけれども国鉄当局に対しては何らの処分がないわけです、使用者側には。たとえば昭和三十二年に解雇四十名、免職四人、停職百五十六、その他合計いたしまして四万七千四百七十一名の処分がなされておる。この事実はいわゆる抜き打ちストというものです。そのときには、三月二十三日、期末手当を支給する時期です。私と総裁との間に支給の調印をいたしました。そしてその一週間後、給料日が二十三日です。で、もうみんな朝から金をもらおうと思って会計のところへ行ったら、全部給料袋から金を抜き取っておる。なぜかと聞いたところが、まだ運輸大臣の判こが済んでおらぬからきょうはだめだと言って、きょうは帰れと言ったから自然発生的に職場でストライキ行為が起こったんです。それで時の中央執行委員会は、そのまま置きますと山ネコ争議ですから、緊急に中央執行委員会をやって、中央執行委員長の資格で闘争指令を出したんです。ストライキ指令を出したんです。それがいわゆる山ネコストであります。それでそのあとずっとさがしてみますと、処分は、いま申し上げたように処分されましたが、解雇もされましたが、時の副総裁、これは名前は言いませんが、運輸大臣に決済をサボっておられたということを聞きました。ところが一方的でしょう、そういう抜き打ちストがあったために、処分されたのは労働組合の役員及び組合員、そして当局の処分は全然ない。いまのこのいわゆる悪循環と言われるものをいろいろ考えてみまして、労働組合員及び役員だけがなぜこれだけ大量に処分されなきゃならぬか。政府や国鉄当局に一切責任ないのであろうか。いま私どもが一番心配なのは政治に対する不信です。政治家は一体何をしているかということをテレビなんかで言っています。国鉄当局に対してもいろいろ批判がありますよ。そういうことを考えまして、何とかしてこういうような悪循環を断ち切らなきゃならぬでしょう。したがって、今後またこれから順法闘争がある、あるいはストライキがあった場合に、一方的に労働組合の役員や労働者だけを処分するような、今回のような処分を運輸大臣としては容認されますかどうか、お聞きしておきたい。
  175. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 先ほどからいろいろ処分問題でのお説を拝聴いたしましたが、私といたしましてどうするかという問題ですが、やはり運輸大臣としては、いまの定められた法に従って運輸行政をやる以外にございませんので、ただその法の扱い方を適正にやるということが私の使命だろうと思います。
  176. 小柳勇

    ○小柳勇君 ことばじりをとって何ですけれども、法の扱いを適正にするということはどういうことですか。
  177. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) たとえば、先ほど私に、処分は大量にされたけれども国鉄の百年祭に何らかの方法で恩赦的なことがないかというような御質問が午前中にありました。で、午後からそれに対する答弁をする考えを持ってこいということでいろいろ調べてみましたところが、なかなかそれに適応するようなものはございません。しかし、まあ幸いにして規程でしょうか法律でしょうかわかりませんが、処分された者でも弁明、弁護の制度があるというようなことでございますから、そういうものを適正に運用するならば適正な処分というものが行なわれるんでないかと、こういうことを考えたものですから、ただいまのような答弁をいたしたのであります。
  178. 小柳勇

    ○小柳勇君 その問題は、また後に森中君からも質問があるかもわかりませんけれども、私はただ単に、恩赦とかなんとかいう恩恵的なものをここで言いたくありません。これは労使対等の原則ですね。両方とも権利と義務がありますから、それはやっぱり労使対等の原則、そういうものの上に立ってこれが正しいかどうかを判断しないと、恩赦的な、恩恵的なもので事態をまるくおさめるということはできないと思います。それはやっぱり世間的にもできませんし、少なくとも、あれだけの歴史と伝統を持っておる国鉄労働組合や動力車労働組合が、その恩恵的なもので、この際ひとつ手を握ろうなんということはもう夢にも考えてないと私は思います。したがいまして、それは当然な権利、当然な義務と、そういう労使対等の原則でこれが妥当であるかどうかを論議しなきゃならぬ。私どもいま論議しておるのはそういう立場です。これだけの大量処分をなされたが、一体それに匹敵したであろうか。この間の、たとえば順法闘争にいたしましても間に台風が入りました。一体、ほんとうにこれを計算してみたら、順法闘争の被害を非常に誇大に誇大——にといいましょうか、非常に膨大に報告されておりますけれども、一体台風の被害と順法闘争の被害はどちらが大きかったんであろうかということを考えてみましたならば、おそらく、私は台風の被害のほうがもっと根本的に大きかったんじゃないかと、そういうふうなことも考えますが、したがって、それは対等に権利と義務でひとつ話し合ってもらわなきゃなりません。あとは、昭和二十八年から今年までの、このような悪循環をこの際ひとつ政治の流れを変える、イメージチェンジのいい時期でありますから、抜本的に変えようではないか、そういうことを知恵を出し合わなきゃならぬのじゃないか。でないと、やっぱり政治に対する不信、政治家は何をしているかという声を聞きますよ。だからそれは、運輸大臣のこれからの指導監督の大きなウエートを、どこにポイントがあるかということによって大きく変わると思いますが、もう一回ひとつお聞きしておきたいと思います。
  179. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 現在のような、処分と順法闘争とを繰り返している状態は、私の担当業務のうちの一番遺憾な事態でございますので、これに対処いたしまして、このような事態が一日も早くなくなるように、あらゆる知恵をしぼって対処しなくちゃならぬと、こう考えております。
  180. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから国鉄総裁、裁定が出たものは国会で予算を組むなどいたしますが、いま赤字だとおっしゃる経営状態の中で、たとえば期末手当などを組合が要求いたします。そして団体交渉いたします。これで全然だめだということで……、これが通ればいいが、たとえば一人当たり千円なり二千円なり出そうとする、いわゆる協定を結びますと、そういう予算については初めから入ってないんでしょう。
  181. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 給与関係の予算は、御承知のとおり非常に厳格な査定を受けます。したがいまして、たとえば四十八年度予算で申しますれば、四十七年度時点できまっている手当あるいはきまっている給与総額以上には認められないわけでございますが、ただ御承知のとおり、昨年から五%だけを上積みしてベースアップの予備財源にするということと予備費を若干増額してもらいました。その中である程度の調整はとれますけれども、これはベースアップの額いかんによっては、ことしのように足りないという結果になるわけでございます。初めから、ことに人事院勧告が出ますと——ことしもそうでございますが、多少新しい、いわゆる公労委と人事院と少し考え方が違う点もあります。そういう点で、人事院勧告が出ますと、新しい手当等ができる場合もありますが、それは当然前年度予算には組み込めない、前年度からは予見できないので組んでないわけでございます。しかし、その後あるいは節約あるいは経費の捻出等によって、できるだけ私どもといたしましても、公務員並みのそういったものはめんどうを見てやっておるつもりでございます。なかなか、年度末等になりまして非常に減収が多くて財源の捻出にも困ることもございますけれども、いままで一応、ことに二公社並みにはやってきたつもりでございます。
  182. 小柳勇

    ○小柳勇君 その場合の予算は、予算総則に書いてなくとも、給与総額のワク内でしかそれはできないわけですね。したがって、その給与総額の予算をきめます。で、予算総則の給与総額以外に、たとえば協約、協定でやるということは全然できないでしょう。その点どうですか。
  183. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは私のほうの予算総則の十六条でございますか、いまおっしゃったようなことがきまっておりまして、そういう手当等ができました場合には、運輸大臣あるいは大蔵大臣の許可を得てその分の増額をするという操作をしているわけでございまして、初めから全然計上していないものを予算総額をこえて支給することはできないたてまえになっております。
  184. 小柳勇

    ○小柳勇君 この予算総則の十六条に、「第十三条の規定により給与を支出する場合又は給与に関する公共企業体等労働委員会の裁定を」云々とこう書いてありますが、この場合は、これ書いてありますから、金があれば運輸大臣と大蔵大臣に協議して、承認を求むれば支出できるという意味でございましょう。
  185. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは、その場合には給与総額をこえてもいいわけでございます。ただ、財源の問題は別にございます。一応財源の問題を別にしますれば、その両大臣の承認なあればやれるわけでございます。
  186. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、たとえばダイヤ改正などで、うんとダイヤ改正しなければならぬ、あるいは過密ダイヤを組まなければならぬということで、年度当初に予想する以外の手当などを支給するということは、いまの段階ではできないことでしょう。
  187. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) そういう手当の問題になりますと給与の問題でございまして、まあ支給するしないという問題は、組合との話し合いがあって、そういったものがあって、話の中で、話がつけば支給するかしないかという判断をするわけでございまして、前提の問題としましては、まず組合との話し合い。そういうものが話がつくかつかないかということが問題だと思います。
  188. 小柳勇

    ○小柳勇君 そのことは前提です。公労法はこの企業体等労働関係を、この団体交渉をスムーズにするためにこの法律をきめると書いてあるわけです。だから、団体交渉で協約、協定を結びなさいというので大体この全労法の趣旨ですが、その場合でも、いまの国鉄の仕組みでは、いま言ったように、この予算総則に書いてある以外には出せないわけです。協定結べないわけですよ。そうでしょう。
  189. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) それはお説のとおりでございます。
  190. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで、いま裁定まではこれが入っておりますから、私が午前中に言った、団体交渉をもう少し実のあるものにして、そうして安心して団体交渉で問題を解決するようにしなければ、いつまででも順法闘争なりストライキをかまえなければ問題は解決しませんと言ったわけです。だから当事者能力を強化するという一つ方法——いろいろありましょうけれども一つ方法で、この公共企業体等労働委員会の裁定の次に、国鉄と組合との間の協定ということばを入れることはどうですかということを聞きたいわけです、具体的にですね。これはもう大蔵大臣等に聞かなければなりません。きょうは官房副長官に来てもらっていますが、官房長官にもきのうそれを相談しておいたわけです。裁定だけは一応これは入った、しかし協定が入っていないから、もう幾ら労働組合と当局とが協定しようとしても協定できぬのだと、だから順法闘争なり実力行使をしなければ問題は解決せぬではないか、そう言っておるわけです。したがって、まずこの裁定の次に及び国鉄と組合との間の協定ということを入れることについて国鉄としてはどうですか。
  191. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これはもう御承知のとおり、公労法の十六条に例の資金等の追加支出、いわゆる予算上、資金上不可能な一初の協定は政府を拘束するものでない。で、国会に承認を求めるわけでございます。問題はやはりこの十六条の問題に戻ってくると思います。したがって、十六条の範囲内のものならば、当然予算上、資金上不可能として政府に承認をお願いする、あるいは政府がそれを妥当なものとして、しかも予算上、資金上原資がなければ国会にはかるという手続になるわけでございますが、いまの御質問は、その問題、それほど大きな問題でなくての話じゃないかと思いますが、この予算総則できめられている問題は、やはり給与総額自体を押えている。あまり給与総額が野放図にふえちゃいかぬという御趣旨から、これは国鉄だけでなしに、ほかの政府関係につきましては、御承知の単独法として法律が出ております。その際に、法律上支出についての拘束力のあるものだけを認めるという原則で書かれております。したがって、そうでなしに、労使間の協約でもって話ができたものを認めるということになりますと、問題はその財源があるかどうかの問題が一つあると思うんです。かりに財源があった場合にもほかの政府機関その他との関連からいって、はたして妥当かどうかという問題がその次に——これは当事者能力の問題になってくると思いますが、あると思います。いま私どもとしては、先ほど瀬谷先生に申し上げましたとおり、実は当事者能力の前の財源問題そのもので行き悩んでおりますけれども、かりに財源がある、ほかの公社より非常に財政状態がいいという場合に、労使間である事柄をやろうといって協定する、その協定につきましては、財源があって、しかもそれが経営上妥当であるということになれば、これは大蔵大臣あるいは運輸大臣等、主管大臣と協議して、流用その他の方法でもって支出されておるというふうに思いますが、私どもは、現在そういうことをする場合には、財源そのものを借りてこなくちゃいかぬということがございますので、当然国鉄限りではできないという状況になっております。
  192. 小柳勇

    ○小柳勇君 あんまり現状にとらわれ過ぎて答弁されるから話にならぬのです。国会というのは先のことをちゃんときめて法律をつくっていくんですから、現状、たとえば職員が一生懸命働いて五百億ここでもうけたとする。もちろんそれは、いろいろ資本投資にも要りますけれども、五百億の半分は手当に出したい、現状ではそれはできないでしょうが、そのことを言っているわけですが、いかがですか。
  193. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それはこれ以外に弾力条項の規定がございます。そして予算以外の収入があった場合には、それをやはり大臣の承認によってある程度使うことができるという規定が予算総則にございますので、この給与総額の規定ではございません、別のいわゆる弾力条項の規定で入っております。
  194. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういたしますと、たとえば、組合がいまの五百億もうかったから二百五十億は手当に支給しようということで団体交渉します。そうして協定しますと、その協定に従って総裁職員に支給できますか。
  195. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) それは国鉄の全般の給与体系の問題にも関係するわけでございまして、もうかったからすぐそれをみんな職員に還元するかどうかということは、それだけで判断できないと思いますので、それは当事者能力以前の問題として、そういうものを支給するのが妥当かどうか、まず、それがあると思います。
  196. 小柳勇

    ○小柳勇君 そんなんじゃないですよ。たとよば、さっき、十月のダイヤ改正のために順法闘争をやるということ、これはけしからぬというようなニュアンスの発言がありました。それは近代化であるし、技術革新であるし、そのためにどうしてそんなに組合が順法闘争などするのかというようなニュアンスの発言があったからですよ。もしそのときに、ダイヤ改正をやる、五百億もうかります。だからあと二百五十億は、これは手当に出してもいいですよというようなことが、もし企業体としてできるなら、もっと私は労使関係は変わるのじゃないかということを考えるものだから、それは現状ではできないでしょうといっているわけですよ。そんな支給できないでしょうといっているわけです。どうですか。
  197. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) その個々の部内の近代化、合理化にからんで、また、いまのダイヤ改正というお話でございますが、そういった問題についてのいろいろ話し合いを詰めていきまして、そういった過程において、ある程度のいろんな反対条件とかいったようなことは実際問題としては、いろいろ当事者能力でこなし得る問題が多いわけで、それで合理化なんかも相当年々こなしているわけですが、非常に大きな問題になりますと、実際問題はかってにできない、自由にはできない、こういう問題になってくると思います。
  198. 小柳勇

    ○小柳勇君 少し過去を言いますと、かつては裁定が出ましても、完全に実施しませんでした。それが長い間の紛争を経て、裁定は完全実施するようになりました。そして、予算総則に入りました。これがありますから、もう国会承認を得なくても、運輸大臣及び大蔵大臣の決裁を得て、国鉄が裁定管理できるようになりました。これが一つ過去の歴史です。  そこでいま私が言ったように、職員がうんと働く意欲を旺盛にして、五百億もうけたら、半分は手当にもらえるという時代が、いまはありませんが、近い将来あったといたします場合には、その手当が協定として支給できるようになりますと、いまはできないですす。いまはできないから、それにはここに、この裁定の次に及び国鉄と組合との間の協定と入れますと、皆さんが、よしこれだけ働いたのだから、協定を結んで支給しようという場合には、運輸大臣と大蔵大臣の承認を得て支給できるではないか。そんなものを一つ一つ考えなければ、いまの悪循環は断ち切れぬではないか、こういうことを言っておるのです。そういうことについてどうですか。総裁から。
  199. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) もちろん一般の民間企業でございますなら、いまおっしゃったように、非常に手軽に従業員に働いた分に応じてスペシャルなものを出すということ、これはやっているわけでございますが、国鉄といたしましては、現在は一い応まきまっているいろいろの種類の手当がございますが、それを増額することは、いまのかりに収入がふえて原資がふえればできるわけでございます。しかし、新しい手当をつくるということは非常にうるさいということを申し上げたんでございまして、いま先生のおっしゃった御趣旨は、いまきまっている手当、たとえば、超過勤務手当のようなものがございますが、いまきまっている手当などを増額する、あるいはその回数をふやすとかいうことによって一応筋としてはカバーできる筋になっております。しかしながら、新しい手当をつくるということはこれはできないことになっております。
  200. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば技術革新をやります、あるいは合理化をやります、いまは、ただそれだけじゃ労働条件の過重となって出るから、みんな合理化反対をやっているでしょう。これだけ合理化しますとこれだけもうかるから、今度別途にこれだけの特別賞与が出るぞ、いまはそういうことできないでしょう、現在の制度では。それを労使双方で団体交渉やって協定結ぶようなことになりますと、そうすると、もっといまの合理化に対する考えも、あるいは配置転換に対する考えも、あるいは輸送密度に対する考えも労働者のほうも変わるでしょう。だから何にもペイのない、ただの締めつけるだけの政策では、労使関係はいつまでもよくならぬでしょう、こう言っておるわけです。そのために一つの案として、この裁定のあとに協定を入れることについては、あなた方は考えはどうですかと、まず具体的な問題、最後の問題だけでいいんですが、あとで官房副長官から聞きます。
  201. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) たいへん経営についての御親切な御忠告でございますが、いまここですぐ十六条に入れる入れないの問題はとにかく別といたしまして、給与にいたしましても、その他全般のことにいたしましても、国鉄総裁は手足を縛られているようなものでございますが、何か経営上、自由ということばは適当ではないかもしれませんが、もう少し経営的な見地からやれる仕事、経営的な見地から出せる金というものを出さしていただけないというと、非常に経営上無理がある、手足を縛って踊りを踊れと言われているような面が相当あるということを私ははっきり申し上げます。
  202. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういうことです。そういうことをはっきりと言うべきですよ。手足を縛って当時者能力が少ないのに、この労使紛争を解決せいと言われましてもできないことです。  そこで、官房副長官に一つはいまの問題ですね。もう一つは、けさ申し上げました臨時行政調査会の勧告、審議会を設けて労働基本権の拡大を争議権を与える方向で検討する、特に公社側の当事者能力の確立をはかること、このあとのほうはいま論議しました、当事者能力の確立はですね。このあとの問題から、まずひとつ、これは大蔵省との関連もあるし、運輸省との関連もあるし、政府としての姿勢を聞きたかったものですから、きのう官房長官にこういう問題を出しますぞ、各省と連絡して検討してくださいよ、でないといまの悪循環断ち切れません、どんなにきれいなことを言ったって断ち切れませんと言ってある。したがって、官房長官とどういう御相談があったか副長官から答弁求めます。
  203. 山下元利

    説明員(山下元利君) 午前中、私の勉強が足りませんで、たいへん失礼申し上げました。  先ほど官房長官とお打ち合わせいたしまして、昨日でございますか、小柳先生と長官との話につきまして伺いましたが、小柳先生のほうから国鉄等の公共企業体の労使関係について、午前中御質問のありました趣旨並びにただいま国鉄総裁にお尋ねのございましたところの給与総額特例の問題についてお申し入れがあったことは事実でございます。それにつきまして、さきの公共企業体の労使関係につきましては、午前中私から御答弁申し上げたとおりでございます。  なお、ただいま問題になっておりますところの給与総額、予算総則の問題につきましては、すでにもうお話しの出ましたとおり、公共企業体等労働委員会の裁定が出ました場合には、給与総額の変更の道が開かれておりますけれども仲裁が出ない段階で給与総額を変更することにつきましては、これらの企業体が公共性が強く、その料金、収支予算等も国会の審議にはからしめられておることからいたしましても問題がありますし、また、各企業体間での給与格差が不当なものになりやしないかというふうな種々の問題がございますので、この問題は十分慎重に検討を要する問題である、このように考えられるわけでございます。
  204. 小柳勇

    ○小柳勇君 どうもそれは答弁になりません。この第一項の問題について、午前中におっしゃったのは、公制審が審議中でありますからその結論を待ちますということであります。これは全然前進しておりませんからあとでまた総務長官に聞きますが、第二点の問題、いまお聞きのとおりです、国鉄当局のは。手足を縛られて何で活動できましょうか。そういう問題でありますから、これは田中内閣としてほんとうに根本的に考えてもらわなければならぬわけであります。それでは、いまのこの悪循環といわれる順法闘争、処分、この悪循環というものを断ち切るには、田中内閣の大臣及び官房長官はどうすると言われましたか、御返事願います。
  205. 山下元利

    説明員(山下元利君) 御指摘のような循環をやめるということにつきましては、今後ともいろいろの問題を含めまして考えてまいりたいということでございます。
  206. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 現実に問題を解決するためにどうしたらいいかということをわれわれは考えているのだけれども、いまの御答弁では、当事者能力のないのはしようがない、もうすっかりメエファアズというかっこうなんですね。だけれども、事態は法律論では解決できないのではないかという気がするのです、ここ数日来のいろいろの問題はですね。そこで法律論では解決できないからといって手をこまねいているわけにいかないんだから、だからどうすべきかということをやはり探っていかなければならぬと思う。問題を探っていくと、突き当たるのは公労法ということになってくるし、国鉄の現在の置かれている立場といったようなものに突き当たってくるわけです。だから、それを一つ一つほぐして、どうしたらいいかということを考えるべきじゃないかと思うんです。そこまで勉強してないというわけにいかないと思うんです、大臣がかりにまだ新しいとしても。だから、こういう一つの悪循環といいますか、処分だ、闘争だということをどっかで断ち切らなければならない。それをまず考えるべきじゃないでしょうか。一つ一つ問題を切って、そして聞いていきたいと思うんですけれども運輸大臣としては、一体こういう悪循環を断ち切るためにはどうしたらよろしいとお考えになりますか。
  207. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) どうしたらよろしいという一つの妙薬があれば悩みが解消するのですけれども、やはりいろんな問題があることによりまして、こういうことが長い間続けられていることだろうと思いまして、非常に違憾に思っております。先般来何回も御答弁申し上げておりますとおり、労使間の話し合いをはじめとして、あらゆる知恵をしぼって現在の状態をなくするために努力いたします。こういう答弁以外に、いまのところはこれが妙薬だというお答えができないことは残念であります。
  208. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 労使間の話し合いをはじめというふうに言われたのですけれども、労使間の話し合いということは、その話し合いというものが一応解決につながればいいのですよ。ところが、総裁がきょうも答弁をしておられることは、当事者能力がないのだということを言っているわけです。当事者能力がないということになると、これはもう話し合いをしても実らないわけです。たとえば、国鉄総裁というのは、財政的に独立採算制のワクの中で、既存の法律のワクの中でしか動きがとれないということになれば、言うなれば、労使問題に関する限りはあやつり人形みたいのものですね。そのあやつり人形を相手にして話しをしてみても問題は解決しないということになる。そうすると問題は、総裁に当事者能力を与えるか、あるいは組合との話し合いを総裁を抜きにして大臣が直接やるか、どっちかということになってくるわけです。どういう方法がよろしいとお考えになるのか。総裁に話し合いをさせるなら総裁に権限を与えなければならぬ、当事者能力を与えなければならぬ。現状の法律では当事者能力を与えないようになっている。したがって、そこのところに問題の解決点を見出すというようにしなければならないんじゃないかと思うんです。その点はどうですか。
  209. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 予算上、資金上の問題等において、当事者能力の問題がいろいろ欠けている点もございましょうが、しかしまず第一に、現在のような労使間の不信が積もっているようでは、あらゆる問題を解決するわけにはまいりませんと思いますから、まず現場における労使間がもっともっとやはり信頼感を回復しなければいけない、まずそこから始めなければならないと私は考えます。
  210. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 じゃ、具体的にということになるんですが、官房長官は日中問題でもっていま非常に重要な時にあるということを言われましたね。日中国交の正常化というのはたいへんにむずかしい問題ですよ。しかし、これはむずかしい問題だけれども何とかしなければならぬ。ところが、日中国交関係の正常化と同時に、国内的には国鉄の労使関係の正常化というのが大きな問題だと思うんですよ。この国鉄の労使関係の正常化というものがノーマルにいっていないから闘争が起きる、ダイヤが混乱をする、手がつかない、こういうことになるでしょう。この労使関係の正常化ということは、組合側あるいは当局側双方でもって話し合いをしてそれが実るという前提がなければいけない。ところが、実際問題としては話し合いも何もしないままいたずらに国鉄のダイヤが大混乱を起こしている。あれよあれよと言っているだけだというんじゃあまりに能がなさ過ぎると思うんです。  そこで政府としては、これからもとめどもなくそういう闘争が続いたんじゃ困ると思わなくちゃいけないと思うんです。かまわないということになれば別ですよ。困る、何とかしなければならぬと思うならば、その辺で労使関係の正常化ということを考える。それからその裏づけとなる法律の検討も行なうという必要があるんじゃないかと思うんですか、その点はどうですか。これは官房副長官にお伺いしたい。
  211. 山下元利

    説明員(山下元利君) 御指摘のとおり、国鉄の労使関係の正常化は非常に大切なことでございまして、私どももできるだけ早く実現されるように願っているわけでございますが、先ほども申しましたように、公共企業体をめぐりまするいろいろの問題につきましては、今日の実情に即しましていかにあるべきかの問題について公務員制度審議会に諮問されておるわけでございますので、広い視野から諮問されたその結論を私たちはお待ちいたしたい、かようなことでございます。
  212. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 公務員制度審議会の結論を待っているということなんですが、いつまで待っていられるんでしょうか。これはまごまごすると来週にもまた混乱が起きるかもしれないというときに、公務員制度審議会の結論を待ちますというんで、大臣諸公がもうわれ関せずという顔をしていていいのかどうか、こういう問題があるわけですね。小田原評定というのは幾ら繰り返していてもこれは値打ちがないわけです。だから、小田原評定を繰り返すんじゃなくて、結論が出ないということは、小田原評定と言われたってしようがない。だからもう期限を切って——何日以内にとか、あるいは何日までというふうに期限を切って事態を解決するための結論を出す、こういうことはできないのかどうかです。それが公務員制度審議会ではできないということであれば、これはまあまた話は別です。だから、その点はどうなんでしょう。
  213. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) たいへん重要な御指摘でございまして、私も一日も早くこれが改善策、正常化に立ち戻れる態勢を期待いたしております。ただ、私の立場といたしましては、それぞれ運輸省あるいは国鉄御当局においてそれぞれ御心配しておられるでありましょうけれども、やはり公制審の御答申をお待ちいたしたいというつもりでおります。  なお、公制審の御審議につきましては、つとめて早い機会に私が出席いたしまして、このような重大な労使の基本に関する問題についての御審議を促進していただき、御答申をすみやかにしていただくことを申し入れいたしたいと考えております。
  214. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 すみやかにということは、私は期限を切ることはできないのかと、何日までということはできないのかと、こういうことを言ったわけです。それはすみやかにということは、けっこうな話なんですけれども、話のほうはちっともすみやかじゃない。しかし、問題はもう切迫をしている問題だし、内容がわからぬわけじゃないんですよ。内容はみんなわかっていることなんだ。だとすると、これはぼやぼやしていられないと私は思うんですよ。少なくとも、政府の責任においてこれは早急に結論を出してもらわなきゃならぬ、こう思うんですけれども、その努力が期限を切ってできるのかできないのか。いまの御答弁ではあいまいもことしてわからぬわけです。だから、このあいまいもことしてわからないだけではいけないんだから、ここで院の決議としてどうするか、あるいは政府としての一つの見解を出してもらえるのかどうか。その点を理事会でもひとつ詰めてもらいたいと思うんです。このまま何かのれんと腕押しをするようなことをやっておりますと時間を空費するだけです。だからその点を、これはまあきょう理事会で協議してもらいたいと思います。
  215. 小柳勇

    ○小柳勇君 その前に。副長官午前中に言いましたこの勧告ですね、臨時行政調査会の勧告。これに対してどうもはっきりしてないんです。それで、審議会を設けて云々と、こうあります。この勧告を佐藤内閣は八年間無視してきたわけですね。田中内閣になったから、この政治の流れを変えるために審議会を設けて審議されると期待したんだけれども、いま公制審があるから公制審の結論待ちですと、こういうお話ですね。その点をひとつはっきりしてください。でないと、田中内閣がみんなうんと変わったようなことを言っておられるけれども、結局は佐藤内閣と同じようなことではないかと、こういうふうな印象を受けるものですから、その点もう一回答弁を求めて、あとの瀬谷君の提案をひとつ提案として考えてもらいます。
  216. 山下元利

    説明員(山下元利君) 臨時行政調査会の答申が三十九年にございましたことは事実でございますが、その後公務員制度審議会が設置せられまして、広い視野からこの公共企業体の労働関係のあり方について御審議をされている段階でございますので、私どもといたしましては、この公務員制度審議会において広い視野から御審議をいただくと、そしてその答申をお待ちいたしておるというのが現在の状態でございます。
  217. 小柳勇

    ○小柳勇君 もうきのうから官房長官にも、内閣の真価を発揮するためにということで再三私も話をしています。結局はいま副長官が言われたのが官房長官の真意だろうと考えます。言うならば、この臨時行政調査会の結論、勧告というものは、いまのところそのままストレートには受け取りがたいと、公制審の審議待ちだというようなことにしかとれませんね。それでは、いまのせっかくの私どものあれも答弁として不満ですが、もう一回その点をはっきりしておいてもらいましょう。
  218. 山下元利

    説明員(山下元利君) 公務員制度審議会について慎重な御審議をお願いしている段階でございますので、私どもはこの審議会の御答申をお待ちいたしているということでございます。
  219. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記をとめて。   〔午後四時四十六分速記中止〕   〔午後五時二十八分速記開始〕
  220. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。
  221. 小柳勇

    ○小柳勇君 午前中及び午後の質問点のについて、総括的に政府の統一見解として、官房副長官からの意見を求めます。
  222. 山下元利

    説明員(山下元利君) 公共企業体の労使関係につきましての政府の見解を申し上げます。  公労法制定以来、二十余年を経過し、内外情勢も、法制定当時から大きく変化している。したがって、今日の実情に即して、公共企業体等の労使関係の基本はいかにあるべきかについて、公務員制度審議会に諮問しているところである。とくに、今日、国鉄労使間の正常化をはじめ、公共企業体等の労使関係の安定をはかることは焦眉の課題となっている。このため、公務員制度審議会において今日の実情に即して、すみやかなる結論が出されることを期待する。  以上でございます。
  223. 森中守義

    ○森中守義君 これはせっかく政府の統一見解を示されましたので、一応多といたしますが、願わくは、この統一見解がすみやかに実現、実施できるように、官房副長官はじめ政府の特段の努力を特に期待しておきたい。
  224. 小柳勇

    ○小柳勇君 総務長官にお願いをするんでありますが、お願いというよりも午前中からの話の続きですが、公制審がもう一切の問題をこれから処理するために審議を早めていかなければなりません。したがって、ぜひひとつ公制審に政府代表として出かけていってもらって、きょうのこの論議の問題点をお伝え願って、審議を早めてもらうように要請していただきたいと思いますが、いかがですか。
  225. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 本委員会の御趣旨を体しまして、できるだけ早い機会に公制審をお聞きいただくことを期待いたしまして、私みずから出席いたしまして、適正な結論で早く御答申いただけるように私から要請をいたすつもりでございます。
  226. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  227. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大臣の時間が非常に迫っているようなんで、問題をしぼりまして質問したいと思います。  問題は、まあけさからいろいろ論議になっておる点でありますけれども、私は、現在のこの順法闘争で国民大衆が迷惑しておる、一刻も早く政府は収拾のための手を打ってもらいたい。しかし、けさほどの論議、いろいろ聞いておりまして、非常に政府の答弁はあいまいもことしております。私は、これでは国民も何のことかさっぱりわからぬというような気がするわけですけれども、まあ大臣の時間も限られておりますから、簡潔明瞭に大臣にもお答えをいただきたい。  先ほどから大臣が、労使関係の悪循環を断ち切るためにあらゆる面で努力をすると言われましたですね。それで原因はまあいろいろあって、一がいにはこれが原因だということは言えないと言われましたけれども、しかし悪循環を断ち切るために努力するためには、原因が何だという判断なしにできないと思います。その原因を羅列していただきたいと思うんです。簡単でけっこうです。
  228. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) ここで原因がどれどれだという、具体的に羅列ということでございますが、原因はたくさんあると思いますので、いま幾つかを申し述べないということになると、またたいへんなことになると思いますので、たくさんの原因がありますので、それらの点にひとつ十分配慮したいということで御理解を願いたいと思います。
  229. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それじゃ私の判断を申し上げましょう。もちろんこれは全部網羅されているとは言えませんし、また妥当であるかどうかわかりません。私は、一つは労使関係の不信感がある。まあ一つはというよりも、それが一番大きな問題です。その原因は、先ほどからいろいろ社会党の委員も言われたように、国鉄の当事者能力がない点が第一点。第二はスト権というものが、基本的な労働権が認められていない点が第二点。第三点は労使共通の基盤がない。労使が同じ土俵で話し合える基盤がない。私はおもなものはこの三つだというふうに考えておりますけれども、この点大臣はどうお考えですか。
  230. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 指摘されました点の原因は、確かに大きな問題だと考えております。
  231. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いまあげた三つの原因は、大臣はたくさんある中の大きな原因だということを言われたわけですけれども、そうすると、これの改善に対して努力をされるわけですね。
  232. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 私の担当の範囲で、私のできる範囲のことに全力をあげまするし、また、このたくさんの原因の中には、私以外の担当の分野もございますので、それぞれの担当において全力をあげるようにいたしたいと思います。
  233. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は当事者能力、スト権の問題はもうすでに触れられておりますので、第三点の共通の基盤がないという点について、大臣の御見解を聞きたいと思います。これは労使共通の基盤とは一体国鉄の場合には何を言うのか。どう思われますか。
  234. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 基盤ということになると……、もう一回具体的に説明していただきたい。
  235. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 労使共通の目的といいますか、使命といいますか、国鉄の場合には、そういうものをどこに持っていくか。
  236. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 日本国有鉄道法にきめられている完全な業務の運行ではないでしょうか。
  237. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そのとおりだと思いますけれども、私はやっぱり国民のための国鉄である、国民にサービスする、国民の生活の利益のために奉仕をする、それが共通の基盤でなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) さように考えます。
  239. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は今回、台風並びにスト騒ぎの最中にちょっと旅行をしました。そのときの例を申し上げたいのですが、台風が来たので、これは国鉄だけの責任とは言えないと思いますけれども、山陰線が不通になりました。で、私は和田山駅までタクシーで行って、次はいつ汽車が来るかと聞いたら全然わからないのですよ。向こうから、大阪から帰ってきた汽車が、折り返し行きますから全然わかりません。前の汽車は定時で発車しておるわけです。それで今度は姫路駅へ来ました、姫路で新幹線に乗ろうとして、次の新幹線は、東京行きは何時に来るんだと言ったら、全然わかりません、めどが立ちません。だから大阪までは旧山陽線で行って、そこから新幹線に乗りかえたほうが早いんだなというと、そのほうがよろしいというわけです。それで私は、半信半疑に思って待っていたら、五分でやってきたのです、上りの新幹線は。私は何ぼ台風で混乱しておるといっても、これで国鉄の業務が国民のためにサービスしておると言えると思いますか、いかがですか。
  240. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) そういう具体的な点をあげられますと、非常に遺憾なことだと私は思います。
  241. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は国鉄の、これは労働組合だけとは言いません、労働組合だけの責任とは言いません。また、国鉄当局だけの責任とも言いません。やっぱり当局は、私は経営者じゃないと思うのですね、管理者ですよ。やっぱり政府と当局と労働者、これが国民のために奉仕するという共通の目的を忘れているところに現在の混乱の原因があると思うのです。  それからもう一つの例を言いますと、一ぱいビラが張ってあります。商品です、車両というのは商品です。幾ら独占企業でも、国民のためにサービスするなら、ビラを張ったままの電車に国民を乗せるというのは、私は国民をあんまりにもなめた行為じゃないかと思いますが、いかがですか。
  242. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 私もたまたまそういう状況を見ておりますが、非常に不愉快に感じます。
  243. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は一中小企業、民間会社の出身ですから、特に国鉄の運賃値上げ問題、それからいろいろなストの問題等、国会で論議されるたびに、少なくともわれわれ小さな中小企業で働いた者の常識からは越えております。もちろん民間の中小企業だってストライキはします。しかし、たとえばデパートで包み紙にストの落書きをしてお客さんに渡しますか。何ぼスト中でもやりません。自動車を納めるときに自動車にストのビラを張って渡しますか。渡しません。私は労働組合が闘争するのは認められなければならぬと思います。しかし、これ当局の責任として、そんなビラを張った車に国民を乗せるなんてもってのほかだと思いますよ。今後やめてもらいたい。
  244. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 管理者のそういうものに対する注意の届かない点もあると思いますから、私から十分注意をいたします。
  245. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、やっぱりまた政府の姿勢に問題がありますね。これは運輸大臣に一言だけ言いたいのですがね。この間、北海道の白糠線を認可されました。これは赤字路線です。営業係数おそらく何百倍、何千倍でしょう。私はその赤字路線をつくるのは悪いとは言いません。将来そこの地方の発展を見通し、先行投資として有効である、あるいは国民のミニマムサービスとして、それだけは絶対必要だという意味なら、赤字路線何でもやめろとは言いませんけれども、少なくとも新線をつくる場合には、もっと慎重でなければならない。国鉄が国民のものならば、国民経済の立場に立って新線の判断をしてもらいたい。こう思うのですが、いかがですか。
  246. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 私もさように考えます。
  247. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 さように考えて許可されたわけですか。
  248. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) そのとおりであります。
  249. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国民経済的に考えるということは、それだけ投資をして、その投資が、はたしてそれが生む価値との比較で考えなければならないのです。大臣が自分の金で事業をされるなら投資されますか。されないでしょう。いかがですか。
  250. 佐々木秀世

    ○国務大臣(佐々木秀世君) 自分で事業をということになると田淵さんと議論しようとは思いませんが、白糠線の場合は、御承知のとおり、いろいろな手順を経て、すでに線路が敷かれ駅もできておりまして、開業を待つばかりになっておりました。しかも、十数億の金をかけておりますので、この線路をこのまんま開業をせずに雨ざらしにしてスクラップにすることが国民の利益のためになるのか、あるいは白糠というところは、私の直接のいろいろな新聞や雑誌では、私の選挙区だと書いてありますが、決して選挙区でも何でもありません。ただ、北海道でありますから、ああ程度の実情は知っておりすまが、あの地方は石炭と木材ということで、産業開発でできたという過去の記録を見ておりますので、石炭はだめになりましたけれども、幸いに林業開発に大きな役目をなすであろうと。現在は赤字でありましても、林業開発ができたならば、スクラップにするよりは、やはり血の出るような国民の税金を使ってつくり上げた白糠線でありますから、その開発のお役に立つことができるならという判断に基づいて営業を許可したのであります。
  251. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いろいろ大臣にも言い分はあろうかと思います。また、その途中から判断すればそういう判断もできると思のです。私は基本が間違っていると思うのです。大臣にお願いしたいことは、やっぱり国鉄というのは国民のものである。というのは、一部の国民の利益もあるでしょうけれども、やっぱり経済的に考えるならば、国民経済という立場で考えてもらいたい。将来の開発のためなら、将来はそれだけの元が取れるといえばおかしいですが、それだけの価値のあるところに新線をつくるというのがほんとうだと思います。まず政治家がそういう姿勢だから、国鉄の当局や労働者が幾ら努力したって、政治家が自分の選挙用にどんどん赤字線を引っぱっているじゃないかと、それまでおれたちにしわ寄せするのはごめんだという気持ちはありますよ。まず政府が姿勢を改めてもらいたい。大臣に言うことはこれだけですから、けっこうです。  それから次には、国鉄の管理者である総裁にお伺いしたいのですが、先ほど申し上げたように、ほんとうに国民のためにサービスしようという気持ちを持っておられるのかどうか。とすると、先ほど私であげたような例はどう理解すればいいのか、この点をお答えいただきたいと思います。
  252. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どもも及ばずながら国鉄法第一条の精神にのっとりましてやっているつもりでございますが、非常に多数の職員を使い、非常に広い地域でやっておりますので、特に災害等の場合には、いろいろお目にとまることがあろうかと思います。先ほどおっしゃったことは、何日の何時ごろかを伺いますれば、どういう理由かすぐ調べます。あえて私は弁解申しませんが、非常に十五日、十六日は実際にダイヤが乱れておりました。途中でコンピューターがパンクするというふうな、いままで想定しなかったインプット以上の事態が起こったことも事実でございます。そういう意味で、混乱が予想以上に激しかったことは事実でございますが、ただ、そういうふうに申し上げて、五分後に来たということになりますと、これは非常におかしな話で、次の列車は何時に来るということは駅でわかっておるわけであります。その点の、駅の中の連絡等の不十分な点があったのではないかと思いますが、具体的に日にち、時間等伺いますれば、もう少し事情を詳しく、当時の姫路駅における混乱状況を調べて御報告申し上げたいと思っております。  また、ビラにつきましては、全く私といたしましても、ほんとうに私の顔にビラを張られているような気がいたします。実はビラを張った電車を動かすまいという決心をしたのでございますが、とてもそれでは朝のラッシュははけ切れない、やむを得ず——大体あれはもう電車の出る直前に、深夜に張るというふうなことをやっておりますし、なかなか広い電車の車庫の構内でございまして、実際、行為者をつかまえるということもほとんど不可能に近い状態でございます。もちろんこれは組合の良識に待つ以外にないわけでございますけれども、十分その点は組合にも言ってございますけれども、なかなか下部に徹底しない。かといって、翌日ビラの張られた電車を運休するということは、これはとてもやれない。それではかえって混乱が起きるということで、やむを得ずビラを張ったまま動かしておりますけれども、極力早く、昼ごろになって電車があきますれば、それを管理者ではがす、あるいは外注をしてはがすということにいたしております。しかし、非常に私どもとしても、みっともなくて、全く私どもあれを見て情けなくなる気持ちがございます。今度は、まあどっちかというと、こういうことを申してはあれですが、どちらかと申しますれば、あれでも実は少なかったほうだと思っております。しかし、とにかくに私どもの商品にかってに、いかなる理由にしても、一種の器物の損壊であります。そういうことが白昼公然と行なわれることは、問題は相当深刻な問題だと思います。今後とも話し合いでもって、本部との話し合いでは、もうそういうことはしない、そういうばかなことはしないということはもうよくわかっているのですが、なかなかそれが徹底しないといううらみがあります。かといって、全部それをはがさなければ動かさないということも、これは不可能でございます。そういう意味で、できるだけ、ああいうことについても話し合いをしまして、もうああいうほんとうにみっともないことはよしてくれということを何べんも言っておりますが、これはもう口のすっぱくなるほど言って、それでなるほどと、ほんとに納得して下部に徹底さすということを、飽きず繰り返し繰り返し言う以外に私は手がないというふうに思っております。
  253. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、そこにも一つの、まあいまの総裁はそういう努力をしておられると思いますますが、いままでの国鉄の経営姿勢が、やはり長年の伝統があらわれておると思うのですね。もちろんいずれにもあるでしょうけれども、私はどこの国鉄に乗っても、議員として乗れば、みなサービスがいいですよ。一般の国民として乗った場合には、乗せてやってやるという気持ちが感じられます。それがビラの問題でもあるし、それから時間を聞いても、非常に不親切であるし窓口のサービスが悪い。こういうことになってあらわれておると思うんですね。  それから、私は今度の国鉄の再建問題というのは、これは国家的に大問題、この問題にしても、私は国鉄という一つの特殊社会のワク内で解決しようと思っても無理だと思うのですね。やはりこれは民間人も、国民もみな一緒になって、国民のワクの中で国民経済のワクの中で国鉄問題を考えていかないとだめではないかという気がするわけです。しかし、われわれから見れば、一つのやはり特殊社会ではないか、いわゆるわれわれ一般の中小企業の、民間の者が手の届かないような独占企業の上にあぐらをかいているのが国鉄ではないかという気がするわけです。もちろん、労働者の方もまじめな人もいると思います。使命に燃えて一生懸命まじめにやっておられる方も多いと思いますけれども、やはりいろいろな問題なり、あるいはここで取り上げられる論議を聞いておると、そういう感じがするわけですね。たとえば国鉄の再建の問題にしても、一つはこれは賃金の問題があると思うのですね。この賃金の問題も、私は国鉄労働者の賃金は高いとは思いません。むしろ安いぐらいだと思う。しかし、国鉄の賃金コストはきわめて高い。なぜかというと、労働力が固定しておって平均年齢が高いからですね。これはやはり日本の社会全体の問題として取り上げて、解決していかなければならない問題ではないでしょうか。  それからもう一つは、やはり生産性の問題です。国鉄の生産性を上げること自体が国民へのサービスだと思うのです。それがなかなかうまく進まない。こういうところをどう考えておられるか、お伺いをしたいと思いますがね。
  254. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄の再建問題、これはまあことしの五月、六月の時点でずいぶん国会で論議をされまして、私も御答弁申し上げましたので、詳しくはもう繰り返しませんが、ただ私どもから申し上げますれば、事の成否はともかくとして、やはりあれほど政府が金を出してやってやるといっているのに、それも通らなかったというふうなことは、きわめて残念なことですが、もちろんその責任は、廃案になった責任は結局私にあるというふうに思っておりますけれども、やはりいま先生のおっしゃった、国民的立場でもって国鉄の再建を考えてやろうという国民全体の世論が喚起されるようにするのが私どもの仕事だというふうに思っております。すなわち、国鉄だけで幾ら言ってもだめなんで、やはり国民の共感を得、国会の御承認を得るまでは、あらゆる努力をしなければならぬというふうに思っております。  また国鉄のサービスにつきましては、いろいろ具体的に問題があることも十分承知いたしております。しかし、私どもとしては、いやしくも現時点においては、独占の上にあぐらをかくような、そんな気持ちは毛頭ございませんで、独占どころか、毎日毎日激しい競争にさらされておるということは、現場の末端にも相当浸透していると私は思っております。しかし、残念ながらそれに対する何ら有効な手段が講じられないというところで、現場の職員にしましても、非常に歯がゆ思いいをしているのが現状だと思います。したがいまして、私どもといたしましては、何と申しますか、よかった時代の国鉄などを毛頭夢に描かずに、現実のこのきびしい経営状態の中にあるということを認識しながら、いかにしたら国民にいいサービスを提供できるかということを考えているわけでございますけれども、それには、やはりどうしても経営実態がよくなければやっていけない。私は、先ほどからいろいろうちの労使問題でお話がございましたが、やはり労使関係のむずかしい一つの原因としては、経営状態が非常に悪いということ、これはどの企業でも経営状態が悪くなると企業内の労使関係はむずかしくなると言われておりますが私どものほうでも経営状態が非常に悪い。やってやりたくてもやってやれないことがあるというふうなことで、やはり全体の労使問題をほんとうによくする一番の基礎は、私は経営をよくすることだというふうに思っております。  ただ、不幸にして、現在の国鉄職員の四十数万の人員構成は、これは中高年齢層が多い。これも現実でございます。しかしそれをどうやって中高年齢層を国鉄から減らして、そしてもっと若年労働者をふやすかということにつきましても、失業の問題を一つとりましても、国鉄だけでは何ともできない。やはりそれを社会にどういう形で吸収してもらうかということを考えなければいけないというふうなことで、先般もいろいろ申し上げました人員の縮減につきましても、国鉄限りではできない問題ばかりでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、国全体、国民全体の御協力のもとに国鉄の財政を再建する。それを前提として、また、その上に立って、おのずから労使関係をよくするような雰囲気が生まれてくるというふうに思うわけでございます。非常に私自身、力の至らないことを申しわけなく思っておりますが、全力をあげてやっているつもりでございます。
  255. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国鉄の再建計画にしても、運賃値上げの問題にしても、私はやはり国民に納得してもらわなければならないと思います。やっぱりこれが、運賃値上げが廃案になったというのは、世論の賛成を得られなかったからであります。そのほかいろいろな要素があるでしょうけれども、これに賛成したのは御用審議会と与党だけであります。ほんとうに世論の支持がなかったからではないか。また、今回の順法闘争においても、私も労働組合の出身ですから、労働組合がストライキをするのは基本的な権利だと思います。また、スト権奪回も当然やらなければならないと思います。しかし、これも新聞の世論調査を見たら順法闘争を支持しておるのはわずか三分の一で、三分の二は支持しておりません。スト権を認めたらいいというのも半分以下である。私は、これだけ国鉄は国民から浮かび上がっていると思うのですよ。それはなぜかというと、国民のために奉仕するという共通の基盤を労使が見失っているからではないか。この点どう思われますか。
  256. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 労使共通の基盤は、先ほど大臣も申されましたような、結局、国鉄の経営を国民のものにする、国鉄が国民の福利の増進に役立つということが労使共通の場であるというふうに私は考えます。したがって、その場に、両方で土俵に上がって、そうしてそういう問題を議論できるような雰囲気、そういう環境をつくり上げることが一番大事ではないかというふうに考えるわけでございます。
  257. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それからこの処分の問題ですが、九月十四日、なお九月二日、二回のこの発表で三万八千七百七十二名という大量処分が発表されたわけです。これだけ大量の人を処分しなければならないような状態なのかどうか。この点いかがなんですか。
  258. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 今度の処分は、三月から八月にかけてでございますが、ダイヤ改正反対、合理化反対あるいは運賃値上げ反対、それからその間にまた一部の職場でございますが、暴力問題が発生し、その暴力問題が刑事事件になりまして逮捕者が出た。それに対してまた抗議の順法闘争、それから四月のおしいまいに、一番これは大きゅうございますが、賃金引き上げの闘争、こういうようなもの、それからまた、そのあと暴力問題に関連したようなものがありましたわけでございまして、そういった意味におきましては、非常に長期間にわたって、しかも非常に全国的な広い職場にわたってサボタージュ、スト、そういった違法な行為が行なわれたわけでございまして、まあそういう意味では、この近年最大の規模になっておりまして、それをそのまま、特に私ども、そういったことだから何というか、処分をそのために特に考えたというものじゃなくて、実際にそういうことが行なわれたそのものを映し出してみた結果がそういうことだということになっておる次第でございます。
  259. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 三万八千といえば大体国鉄職員の一割近いと思うんです。そんなたくさんの人が処分の対象にならなければならないということは、処分するからには、やはり法律に違反しているか規制に違反しているかでしょう。言うならば、国鉄という内部は風紀紊乱、無法地帯といってもいいんじゃないですか。
  260. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 違法な闘争の指令が出て、一斉に行なわれるというようなことでございまして、まあただいま先生の御指摘のように、風紀紊乱という、決して私どもそういうことではないと考えておりますが……。
  261. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 あの九月十八日の新聞には、この処分はちょっと過当だから一段減軽と、刑じゃありませんけれども、緩和するという報道が出ておりました。これはどうなんですか。
  262. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 今度やりました処分につきましては、新聞に出ていますように、一律に減軽とかなんとかいった、そういった問題を考える余地は全くないと思っております。
  263. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 国鉄の労働協約には弁明、弁護の制度があるということを聞いておりますが、こんなたくさんの人を処分通告して、弁明、弁護はほんとうにできるんですか、事務的に処理ができるんですか、いかがですか。
  264. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) これは御指摘のとおり非常にたいへんな問題でございますが、組合のほうの引き延ばし戦術というようなことじゃなくて、組合のほうの絶大な協力も願って、私ども誠心誠意ひとつやって、これをできるだけ早くこなして活路を得たい、こういうふうに考えております。
  265. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど運輸大臣答弁の中に弁明、弁護を通じて処分を緩和することを考えたいという発言があったわけですけれども、いままで弁明、弁護で処分が軽くなった例というのは何%ぐらいあるんですか。
  266. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 実際問題としていろいろございますので、いままでにも、そういうふうに軽くなった弁明、弁護というのは本人が実際その処分の基礎になる事実行為、そういうことに間違いないかということを確かめる、また、それを言わしめる機会を与えるということでございますが、そういった点で、いままでその事実問題が多少違ったとか、あるいはまあ情状酌量の余地があるというような意味で減軽をやっているといった例はございます。何%ということにつきましては、私いま記憶しておりませんが、そう大きな数じゃないと思っております。
  267. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、先ほど大臣が言われた弁明、弁護を通じて緩和するという方針はどうなんですか。特に今回はあんまり大量でひど過ぎるから、少しゆるくしようという心づもりがあるわけですか。
  268. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 大臣のおっしゃられた意味は、全般的に国鉄の労使関係の正常化といった立場からおっしゃられたと思いますので、私どもまた、そういった気持ちで少し今後検討してみたいと、このように考えております。
  269. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がありませんので終わります。
  270. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会      —————・—————