○
有田国務大臣 国民の多くの人が、
物価の安定ということを非常に期待されております。この間も私のほうで、
国民選好度調査というものをやりました。約一万四、五千人を対象としましてやりました。その中で、
所得の
増大と
物価の安定のいずれを希望するかという
質問に対しまして、
所得の
増大もさりながら、
物価の安定を優先的に希望するという方が七〇%あるのですね。
所得の
増大という人は十何%だと記憶しておりますが、事ほどさように、
国民の多数は
物価の安定ということを期待されておる。また、
政治の取り組み方といたしましても、民生の安定をはかることが
政治の大きな要諦でなければならぬと
考えておりますから、
物価の問題につきましては、私は、微力でございますが、真剣な
態度で取り組んで、一歩一歩と
改善につとめていきたい、かような
決意を持っております。
そこで、お尋ねのまず
公共料金は、一昨年でございましたか、ストップをかけました。ところが、
公共企業といえ
ども、やはり多数の
従業員を持っておる。
ベースアップもしていかなくてはならぬ。また、他の
物価も上がってくる。そこで、
企業としてやっておる以上どうしても持ちこたえられないような事態を起こしまして、本年になってから、いわば堤が切れたようなもので、次から次へと、
郵便料金をはじめ、いろんな面で
公共料金が上がっております。
この間、私が就任しましてから、いわゆる四大市の
バスその他の
公共料金の
値上げの問題にぶつかりました。これは実をいうと、前
内閣におきましてこれを上げるという方向をきめておりました。しかし、具体的にはひとつその間
関係各省で相談してやれということで、そこを私が、
内閣がかわりまして引き継いだのです。そこで、私の
気持ちとしては、きわめて重大な問題でありますから、前
内閣がそういうことをきめておりましても、個人としては白紙の
立場でひとつ
検討しようというので、いろいろ
検討してきた。
検討してみますと、やはり四大市とも、このままではやっていけない。そして
従業員の
ベースアップもできない。もうすでに自分の
特別会計ではできないために、他の援助によって、とにかく借金したり何かしながらやっておるというような状態。これは、御
承知のとおり
市会がございますが、
市会は
ひとり自民党ばかりじゃない。その四大市のうちには
革新の
市長もおられるし、それから
革新の勢力が強いところもございますが、それぞれの市におきまして、いま申したような
考えから、やはり
企業としてやっておる以上はこのままほっておくわけにいかぬというわけで、
市会の意思によって出されておるものであります。
しかし、私
どもとしては、それをまるのみにするわけにもいかぬということでいろいろ
検討しました結果、少し査定を加えまして、
暫定料金といいますか、いままで三十円のものを四十円にする期間を、市のほうは一月一日からしてくれということでございますが、それを四月一日からさすとか、また根本的に、それぞれの
企業の抜本的な
振興策をひとつ出しなさい。自治省において一応
振興計画が認められておりますけれ
ども、もっと
合理化その他を進めて
振興計画を立ててほしい。どうしても上げる場合は、もうしばらくの間は
値上げはしないか、あるいは国からも、救済といっては何だが、
財政投融資など金利の安いものを入れるとかいろいろな策で、市のそういう
事業が成り立つような
条件をつけ、しかもこういうような場合に、
市会でいろいろとやって、
公聴会なんか開かれておりますけれ
ども、ことに先般は四大市のほかに地下鉄の問題もありましたので、
運輸審議会に対しましても、ひとつ慎重に
利用者の
立場を
考えてやってほしい、ことに
公聴会のごときは次回からは必ずやって、
消費者の
立場もよく勘案しながら善処してほしい、そしてあくまでも
国民の
理解と
納得の上で処理するように、こういうような
条件をつけましてこの四大市の
申請を認める、こういう経緯があります。
私は、
公共料金に対しまして、一番
原則としては、これを押えるという
原則を立てる。しかし、やはり同時に、
一般の
利用者、
国民がしあわせになるように
考えなければならぬ。
値段が安くなることも
一つのしあわせでございますが、もしもその
事業が崩壊して、
バスが動かなくなるあるいは電車が動かなくなる、そのときはまた
市民にどんなに迷惑をかけるであろう、そんなことも勘案しながら善処しなければならぬ、かように
考えまして、
原則はあくまでも
抑制でいきますけれ
ども、やはり
一般市民なり
国民のしあわせになるということを頭に置いて、
サービスということに対しても、
公共事業の
立場としてよほどしっかりやってもらわなければならぬ、こういうような
考えで臨んでおるわけです。
なお、
物価のいままでの
関係はどうか、あるいは今後どういう
見通しか、こういう御
質問がありましたが、実は御
承知のとおり、四十四年度以来非常に
物価は上がってまいりました。
消費者物価は昨年の十月ごろから
鈍化を見せておりますが、ことに本年
上半期、一月−六月までは比較的なだらかな
数字を出しております。すなわち、一月から六月までの
上半期は、前年度同期に比べまして四・五%の
上昇率となっておる、こういうわけです。これは、昨年末から本年にかけての
野菜を中心とした
季節商品が
落ちつきを示しておる、また
工業製品の
価格の
上昇率も非常に
鈍化しておる、こういうことでありますが、
工業製品の
価格の
上昇率鈍化は、四十五年夏以来の
景気停滞の
影響が時間的におくれてきておるものと思っておりますが、これはある程度そう急に上がるようなことはないし、またそういう傾向にもないと思っておりますが、一番気にかかるのは、季節的に左右される
生鮮食料品、ことに
野菜が一番大きな
影響を受けるのです。先ほど言いましたように、
上半期は比較的落ちついておりました。実は、この間
台風がありまして、それに相当大きな
影響を受けるのじゃないかということを心配しておった。ところが、これは全国的な
調査はまだつまびらかになっておりませんが、
東京都だけは七月の速報が入ってまいりましたが、これは思ったよりもあまり大きな
上昇をせずに、大体
前月比〇・二%の
上昇率でありまして、わりあい
落ちつきを示しておる、こういうことです。しかし、今後まだ九月の
台風時期も控えておるし、ことに
生鮮食料品、
野菜の問題が非常に気になっておりますが、しかし、これらを十分勘案して、そうして
生鮮野菜に対するいろいろな方策を講じながら、今後は
流通面、ことに
野菜なりそれから魚といいますか、そういうものに対しまして、これは急激にはいきませんけれ
ども、私の
考えでは、むしろ
消費につきましては、
冷温倉庫といいますか、そういうものをもっと多くつくり、また産地における
集荷制度もいろいろ改革しまして、とにかく季節的にあまり大きな変動はしないように、そういう安定した措置を講じていきたい、かように思っております。
公共料金がことしになって非常に上がったわりあいには、いままでの足取りでは、それほど世間でいわれるような大きな
物価の
上昇はしていない。といって、私は決して
楽観はしておりません。今後一そう注意を払って、そして
国民の
方々が迷惑をされないように善処してまいりたいというのが、私のいまの見解でございます。
消費者米価は、私は、
生産者米価が上がっても
消費者米価が上がることは好ましくない、こういう基本的な
態度をとっております。そこで、好ましくないという
態度はもちろんとっておりますが、その間
大蔵当局なり
農林当局、いろいろな
関係がございまして、さなきだにいま
逆ざやがあるわけですね、
食管会計の
赤字がきておる。その
赤字をその上に増すということは、何とか
考えてもらわなくちゃならぬという一面の
要請があるわけですよ。そこで、私としては少なくとも、
ことばはいいか悪いかは別として、
庶民米といいますか、
一般の
方々が食べられるお米はあくまでも据え置きたい。そして
ぜいたく米といいますか、
ことばは悪いかもしれませんが、
金持ちが、金にはかまわぬから、特に高くてもいいからというのは、ある程度上げなくちゃならないんじゃないか、こういう
気持ちを持っておりますが、いま御
質問のありますように、
貧乏人にいい米を食わさぬのかと、こう言われますが、決してそうじゃなくて、いい米を食べたいと思う人は、おかまいなくお買いになっていいと思う。大体、統計を調べますと、
所得の少ない人は、
家計費に占めるところの
ウエートといいますか、米というものがまだ相当の
ウエートを持っておるのですね。
所得の多い人は、非常に
ウエートが少ないんですね。これを見ますと、やはりそれは十年前と今とでは、米の
生活費に及ぼす
影響というものが非常に少なくなっております。しかし、
一つ一つの品物を調べてみますと、やはり米が
家計費の一番大きな
割合を占めております。のみならず、
所得の少ない人は、依然として大きな
割合を占めておる。そこで私は、いわゆる
庶民米といいますか、多くの人が食べられるものは据え置いて、上げたくない、上げない、こういう
考えであります。人の名前を言うのもおかしいけれ
ども、
━━━━━━━が、わしは何ぼ金を出しても食べたいという米は、それは多少
値上げしてもやむを得ぬ、そういうような
感じでいまいろいろと
検討さしておるところなんですが、
庶民米という
ことばが正しいか、あるいは
ぜいたく米という言い方が正しいか、これは別といたしまして、
感じといたしましては、
国民の多数の食べられる
庶民米は据え置く、そして
財政その他の均衡をはかるためにどうしても上げなきゃならぬ面が出てくるならば、それは
ぜいたく米のほうで上げていきたい、そういう
考えです。決して、
貧乏人は悪い米を食え、こういう
気持ちじゃなくて、
金持ちに少し
値段が高くても食べてもらおう、こういうような
感覚でいま
検討をさしておる、こういうことでございますので、どうぞ本質を間違えないように、ひとつよろしく御
理解を願いたいと思います。