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1972-08-10 第69回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月十日(木曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 伊藤宗一郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 松野 幸泰君 理事 渡辺美智雄君    理事 千葉 七郎君 理事 斎藤  実君       安倍晋太郎君    阿部 文男君       鹿野 彦吉君    登坂重次郎君       中山 正暉君    西銘 順治君       藤本 孝雄君    別川悠紀夫君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    中澤 茂一君       瀬野栄次郎君    小宮 武喜君       津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 足立 篤郎君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         科学技術庁原子         力局次長    大坂 保男君         環境庁水質保全         局水質規制課長 山中 正美君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         農林政務次官  森下 元晴君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省農地局長 三善 信二君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         食糧庁長官   亀長 友義君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   太田 康二君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 八月三日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     渡海元三郎君 同月十日  辞任         補欠選任   白浜 仁吉君     中山 正暉君   高橋清一郎君     登坂重次郎君 同日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     白浜 仁吉君   登坂重次郎君     高橋清一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
  3. 田中恒利

    田中(恒)委員 現在問題になっております二、三の問題を中心にいたしまして質疑をいたします。  劈頭、農林大臣お尋ねをいたしますけれども、八月八日、記者クラブとの会見大臣は、食管制度改革を私の任期中にめどをつける、こういう言明をされているわけでありますが、このことについての真意をこの際お伺いをしておきたいと思います。
  4. 足立篤郎

    足立国務大臣 一昨日、日本記者クラブからお招きを受けまして帝国ホテルで昼食会がありまして、農政について所信を話せといいますから、農政全般について、農林水産政策につきまして一応の意見の表明をいたしました。後に質疑応答に入りましてから、足立農林大臣就任早々から食管制度についての提言をしておるが、その内容、意図するところはどういうことかという質問がございましたから、それについてお答えをしたのであります。実は米価の問題のときに当委員会におかれましても私の提言についての御質問がございましたから、私は自分の気持ちを率直に申し上げたのでございまして、ただいまの御質問は、繰り返すことになりますが、せっかくの御質問でありますからもう一ぺん繰り返させていただきますが、日本記者クラブにおいて私の申したこともそれと同じでございまして、別段変わったことを申したつもりはございません。  私がかねがね申しておりますのは、食糧管理制度が三十年の歴史を経て、その果たしてきた役割りは時勢の変化によっていろいろと変わってきた。しかし、現在は、法律にはいろいろと規定があるが守られていないという部分が相当あることは世間周知の事実になっておる。法治国家として、法律に定められていながら、本来ならば法律に違反しながら、それが何ら問われないということでは、順法精神にも影響する重大問題だと私は考えておる。したがって、できれば、農民も安心をする、消費者もがまんしていただけるというような線で、すっきりとした姿になればこれに越したことはないので、私はそうしたすっきりとした法律の体系に改めていきたいということを提言しているわけでございまして、日本記者クラブにおいて話したことも内容はそれと全く同じでございますので、御了承いただきたいと思っております。
  5. 田中恒利

    田中(恒)委員 私はこの問題の内容についていま議論をするつもりはありませんが、どうも新聞で見る範囲においては、大臣任期中にこの問題についての決着をつける、少なくともレールを敷く、こういう御発言があるようでありまして、私どもも先般の委員会大臣のほうから、いまお話しのように、いわゆる提言である、したがって各界、各層の御意見を聞いて方向をつくり出していきたいという意味の御答弁をいただいて、われわれも積極的に食管制度についての考えを述べるつもりでありますけれども、あれからまだ二週間であります。その間に提言から任期中に実現をするというところまで飛躍をしておる。まさに田中内閣の決断、勇断があらわれておるような新聞の論調も一部に出ておるわけでありまして、いま言われたような趣旨のものであったのかどうか、私は多少疑問を感ずるわけでありますが、重ねて、この点、一体どうなのか。
  6. 足立篤郎

    足立国務大臣 新聞記事は、私、きのう注意しまして、手に入る限りの新聞を読んでみましたが、中には、そう申してはあれですが、ずいぶん推測をまじえて記事にしている新聞もございました。ある新聞は、記事はきわめて簡潔ですけれども、私の申したことを正直にそのまま記事にしてくれているところもございます。したがって、いまの田中さんの御質問は、そのいろいろと尾ひれがついている新聞記事についての御質問だと思いますが、私が申したのは、私の在任中にせめて何とかめどをつけたい、つまり、レールを敷きたいという趣旨のことは発言いたしました。これについて決着をつけて全部片づけてしまうというようなことは、私は何年間農林大臣を命ぜられるかわかりませんが、そういうおこがましいことは申したつもりはないので、何とか見通しだけはつけたいという意味のことを、私の決意といいますか、気持ちとして申したことは事実でございますが、私の在任中に全部法律改正も何もやってしまって制度を改めるというようなおこがましいことを申したつもりはございません。
  7. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣のお気持ちはわかるのですけれども、私はきわめて重大であるように思います。あなたはいまそう言われましたが、きょうの日本経済新聞に何と書いてありますか。半分農協、半分政府管理米方向検討が進められつつある——これは日経の朝刊の一面トップですね。大臣写真入りでたいへん大きく載せられております。朝日新聞を見ましても、「「在任中」に片づけるという。はたしてできるのかどうか、首をかしげる向きも多い」というふうに書いております。  私は、食管問題については、非常に重要な問題であるから、農林大臣富士山の雪のように白い腹の中のお気持ちをそのままさらけ出されぬでもよろしいでしょうが、もしこれが、富士山が黒い雲に隠れておって、白いように見せかけられてやられたのでは、たいへんなことになると思うので、私ども食管の問題については、非常に重要な農政上の問題であるだけに、就任以来の大臣の御発言に対して非常に敏感に受け取っておりますし、日本農民全体がこの問題については非常に重大な発言として受け取っておると思うのですね。この点について、特に今後の取り扱い、それから検討等についていろいろ問題が出てこようと思いますが、食管問題がこの二、三日非常に大きく出てまいりましたので、きょうは具体的な内容質問はいたしませんけれども大臣に御要望をいたして、次の質問に移りたいと思います。  貿易自由化の問題でありますが、米価決定のさなか、七月の二十五日から箱根において、アメリカエバリー代表が参りまして、いわゆる日米通商協議なるものがなされております。この会合の中で農産物自由化問題が議論されておるわけでありますが、この経過について、出席をせられました経済局長のほうから概要の御報告をまずいただきたいと思います。
  8. 足立篤郎

    足立国務大臣 食管制度の問題については一応質疑を打ち切られたわけでございますが、いま最後に、今朝の日本経済新聞記事を引き合いに出されましての御発言がありましたから、一言だけ申し上げさせていただきます。  私はきのう総理のお供をしまして伊勢神宮に参拝に行ってまいりました。午前七時の新幹線に乗り、午後六時三十五分に東京駅へ帰ってまいりました。十二時間勤務をいたしたわけでありまして、その間新聞記者には一人も会っておりません。同行の記者はおりましたが、私には全く質問はございませんで、総理大臣質問があっただけでございますから、おとといからきのうにかけまして、日本経済新聞記者と特に食管問題について話し合ったという事実はございません。したがって、私は、今朝の日本経済新聞記事推測記事であるとはっきり申し上げ得ると思います。  なお、私がさっき申し上げた、昨日各新聞に一斉に一昨日の私の日本記者クラブにおける談話について報道がされておりましたが、新聞名を申し上げると弊害がございますから申し上げませんが、さっき申し上げたある新聞記事の中で、きわめて簡潔であるけれども、私の言ったことをそのまま報道しておるものがあると申し上げましたが、その内容だけ、簡単でございますから、ちょっとお聞き取りいただきたいと思います。このように書いてございます。「足立農相発言の要旨は次のとおり。現在の食糧管理制度は米の需給事情変化などから実態に合わない面が出ている。その改善方法については米穀管理研究会正式報告など関係者意見を聞き慎重に検討したい。しかし食管制度改革は二十年来の懸案であり、在任中に何らかのめどをつけたい。その一つ方法として全国農協中央会宮脇朝男会長政府にかわって米穀管理を行なう米穀管理制度構想を打ち出しているが、農協が統制の上にあぐらをかくのでなく、自由経済原則に基づき真に農民立場に立ってこうした構想に取り組むことは大歓迎である。」いま読み上げたのはこれは新聞記事の全文でございますが、大体これが日本記者クラブにおける質問に答えての私の申し上げた内容をそのまま伝えていると申し上げてよいと思いますので、御参考に申し上げます。
  9. 小暮光美

    小暮説明員 箱根における日米事務レベルでの通商協議の際に米国側が、日米の当面しております貿易収支のギャップ、これを是正するための具体的な手段をとってほしいということをわれわれに要求いたしたわけでございます。その議論の中で農産物自由化の問題、あるいは輸入ワク拡大の問題、また関税の問題というようないろいろな角度から触れてまいりましたけれども、御指摘の自由化との関連での先方の要望重点は、オレンジについて温州ミカンの出回りのない五月—十月の間、期間を限って自由化することができないか、それから果汁について国産の果汁とまぜるための原料用のものを自由化することができないか、それから雑豆も、全部とは言わないけれども、一部のものについて自由化できないか。自由化との問題を直に申しましたのはこの三点でございます。これらにつきましては、いずれも私どもは現在の農業の実情から見まして自由化に応ずるわけにはいかないということを明確に申し上げておきました。
  10. 田中恒利

    田中(恒)委員 米の問題で大臣のほうから重ねて御答弁いただきましたが、私のほうからも重ねて意見を申し上げておきますが、大臣の言われたのは、いま新聞でそのまま言われたようなものだと私も思います。しかし、食管問題をめぐっての大臣発言が、たいへんな角度から取り上げられるような条件にあるということも十分ひとつ留意をしていただかないと、あなたの真意がそのまま伝わりにくい。これだけの大きな日本国土に分散している農民諸君に呼びかけていく、あるいは消費者にとっても米の問題は重要な問題でありますから、それだけに私は大臣が言われたことは、その反響は非常に大きい、あるいはあなたのお考えとは違った形で発展することも考えられると思うのです。そういう点を申し上げたかったし、私どもがしかし基本的にどうも全体の流れを見てみると、食管堅持食管根幹堅持、そして食管変革、こういうやはり大きな流れの中に位置づけられておると理解せざるを得ないわけです。ですから、この問題について深く議論はいたしませんが、そういう意味で御質問を申し上げておるわけであります。  そこで、これは大臣にまたお尋ねをいたしますが、この九月一日、二日、ハワイ田中ニクソン会談ですね。この田中ニクソン会談で、箱根会談における農産物自由化の問題が引き続いて話し合われるのかどうか。あるいは、このハワイ会談に対する農産物自由化問題についての農林省の、あるいは政府考えというものをまとめられておるのかどうか、この点も直接大臣のほうからお聞かせをいただきたいと思うのです。
  11. 足立篤郎

    足立国務大臣 ハワイにおける田中ニクソン会談は、私が聞いております範囲では、きわめて高度な政治会談であるということで、箱根会談は御承知事務レベルの経済問題についての折衝でございまして、それを引き続いてハワイへ持ち込んで田中ニクソンの間で話し合いを詰めるということは全く聞いておりません。したがって、総理のほうからもこの経済問題についての資料の要求、提供その他、御指示は全くございませんので、私はそのまま実は受け取っておるわけでございます。
  12. 田中恒利

    田中(恒)委員 そうすると、農産物自由化問題、特にアメリカとの関係において現在問題になっておりますオレンジ果汁牛肉等の問題については、当委員会においても五月、委員会アメリカへ行ってこの問題の意思を伝えておるわけであります。政府も今日まで、今後一切自由化には応じないという姿勢をとっておるわけでありますが、その姿勢は依然として今日続けられておる、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  13. 足立篤郎

    足立国務大臣 基本的にはそのとおりでございます。
  14. 田中恒利

    田中(恒)委員 基本的にはそのとおりだが、応用動作は多少違うということですか。
  15. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は就任以来申しておるのですが、いろいろいままで問題になってきた制限品目で、国内生産状況や価格の動向等にらみまして、場合によれば弾力的な運用をはかりたい。したがって、制限品目はもう全く動かす気持ちはございませんが、日米協調といいますか、対外的な経済協力という点も考えまして、日本農民に全くダメージを与えない限度で弾力的な運用をはかりたいと申しておりますから、いまの御質問に対して、基本的にはということをあえてつけ加えたのは、そういう気持ちがあるからでございます。
  16. 田中恒利

    田中(恒)委員 八月一日、農林大臣は、アメリカサンキストという、これは民間会社でありますが、このサンキスト農協との果汁合弁会社方式果汁自由ワク拡大するというか、そういう意味の御発言をしておりまして、これが大平外務大臣の一万トン果汁輸入問題とからませて、いま関係地区で大きな問題になっておるわけですね。     〔委員長退席熊谷委員長代理着席〕 あなたはこの八日の記者会見におきましても、もし農協が望めば果汁ワク拡大を認める、こういう発言があった、こういうふうに私ども新聞報道でも承知をしておりますが、この問題について、これは農林大臣が直接言われておることでありますから、大臣のほうから、日米合弁方式というものについてのお考え果汁の今後の自由化問題についてのお考え、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  17. 足立篤郎

    足立国務大臣 いまお話しの、大平外務大臣学校給食に云々ということを急に言い出したと伝えられたんですが、私も大平外務大臣に確かめてみましたら、大平外務大臣がはっきりそういうことを申したのではないということでございまして、いろいろないきさつから報道がそういうふうにされましたが、決定的に大平外務大臣内閣という立場に立ってそういうことを発案され、主張されたものではないということは明らかでございます。  いまお話し果汁についての話は、大平外務大臣学校給食に一万トン入れるとかなんとかということを言われたと伝えられているその話とは全く別問題であります。この点だけははっきり御認識をいただきたいと思います。というのは、私が申しましたのは、実は箱根事務レベル会談において、あらかじめアメリカ側から示されたいわゆるポジションペーパーというのにその問題があったのでありまして、濃縮果汁については合弁方式考えてもらいたいという意味の、いわば申し入れのようなものがあったわけです。私はオレンジ果汁について自由化をするという気持ちは全くありません。全くありませんけれどもアメリカ側から示されたこの合弁方式については、一考の余地があると私個人として考えたのであります。  というのは、いまお話のあったように、日本側受け入れ体制が、たとえば農業団体が一本になって結束を固めて受け入れ体制をやり、そしてアメリカのほうも生産者団体が一本になって、これは受け入れ体制じゃなくて、何といいますか、送り出し体制といいますか、そういう体制ができて、そのパイプパイプをうまくつなげば、日本側のほうは農業団体でございますから、日本果樹生産者に累を及ぼすような考え方はしないであろう。また日本温州ミカンをしぼった果汁も出回っておりますが、正直いって、フレーバーの点について、アメリカ果汁と比べるとどうも見劣りがする。やはり消費者においしいものを飲んでいただくということもサービスとして考えなければならぬ。いま一部割り当てで入れておりますが、これがいわゆるブレンドの材料になっておるわけでございますから、国内生産果汁重点を置きまして、それにフレーバーをつけるという意味アメリカオレンジジュースを一部輸入をして、そこで味つけをし、かおりをつけて、消費者に喜んでいただくことができれば、日本生産農民にとってもプラスになるというふうに私は考えているわけでございます。  ただし、これはいま具体的に話が進んでいるわけではございませんので、一応私が、まあはっきり申し上げると、アドバルーンを上げたわけでございまして、向こうがどういう出方をしてくるか、向こう金もうけ本位商社あたりがてんでばらばらに日本に蚕食してくるというなら、こっちはがんとしてお断わりいたします。  いま申し上げたような理想的な姿ができれば、それはそのときそのときに応じて、必要があるならば割り当てを若干ふやすということも弾力的運用をはかれる、こういうふうに実は考えているわけでございますから、全くこれからの問題でございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思っております。
  18. 田中恒利

    田中(恒)委員 そういたしますと、重ねてお聞きをしておきますが、箱根会談アメリカ合弁会社方式を言ってきたのは、いまの経済局長報告を聞きますと、アメリカ果汁自由化品目として合弁方式でどうかという形で持ってきておるわけでしょう。そういう方式での自由化については一応だめだということははっきりしているわけですね。
  19. 小暮光美

    小暮説明員 会議のときの応答をやや正確に申し上げますと、果汁の問題について日米民間での協力計画というようなものを推奨するつもりはないかという言い方一つございます。それに対して私は、それだけでは非常に抽象的で具体的な中身がよくわからないので、民間の話を進めることは確かにけっこうなことでしょうけれどもアメリカ政府としてそういう民間の話を進めるというときにどういうことを考えているのかということを聞いたわけですが、これに対しては、民間の具体的な会社名前とか組織の名前を頭に置いているわけではない、そのまぜるための原料自由化してほしいということに尽きる、こういう言い方であったわけであります。私は自由化の問題には今日これに応ずる用意はないということをはっきり申し上げた、こういうことでございます。
  20. 田中恒利

    田中(恒)委員 だから、これは大臣自由化についての果汁の問題には応じないということは確認せられたわけですね。あと農協と、いま問題になっておるのは具体的にサンキストという日本果汁関係では最も進出をしてきておる会社でありますが、そことの合弁会社がもしできるような場合には、果汁輸入ワクはふやしてもよろしいというお考えですか。それはどういう理由でですか。
  21. 足立篤郎

    足立国務大臣 私、さっき申し上げたとおり、アメリカ側も多数ある商社筋がてんでんばらばらに日本に蚕食してくる、日本側のほうも受け入れ体制がそれぞれの機関がてんでんばらばらに受け入れるということでは、これはアメリカ側がねらっている自由化へ向かう危険が非常にある。私はいま経済局長が答えたとおり、絶対に自由化はしない、こういう原則に立ってものを考えておりますから、できればアメリカが申し込んできた合弁方式——まあ私のほうで考えたやり方は、向こうパイプも一本にする、こっちのパイプも一本にしてそれを結びつけて、しかもこちら側は農業団体ということにしぼりますから、そうすれば農業団体日本農民を圧迫するような果汁を入れる心配はないと私は信頼しています。したがいまして、さっき申し上げた日本ミカン果汁、単味ではどうも味、かおりが出ないので、それに味、かおりをつけてうまいものを日本消費者にも飲んでもらうというくふうはすべきではないかということでありますから、そういうしっかりとした手かせ足かせをしておけば、まず大量なものが入ってきて日本果樹生産業者を圧迫するという心配はないだろう、そういうくふうはできぬものか、こういった気持ちからそういうことを発言したわけでございますので、いまあなたがおっしゃるような自由化で押されて困るというようなことは絶対にないという配慮をしながら考え一つ方式でございます。これはこれからでございますから御了承いただきたい。
  22. 田中恒利

    田中(恒)委員 これからと言われましたけれども、だいぶ事は古い時代から問題が起きております。そしていろんな流れがあるわけでありますから、私は多少心配になりますから、なおお尋ねをいたしますが、大臣のお考えでは、アメリカ窓口を一本にしてくる、これは向こうの都合ですけれども、必ずしもサンキストというところ——いまのところうわさされているのはサンキストでありますが、サンキストというところ一社ではなくて、日本にはいまいろいろな合弁会社的なものが行なわれておるんですよね、トマトジュースであるとかケチャップであるとかというものでアメリカ商社日本の、これは民間会社農協ではありませんけれども、そういうものとの間に合弁会社的なものがあるわけです。向こうもそういう日本に関して果汁関係で持ってきておるいろいろな商社関係が一本になる、こちらも農業団体で一本にしていく、こういう前提が大臣構想の中には一つあるわけですね。こちらの農業団体の一本というのは、これは全国段階日園連であるとか全販連であるとかありますが、こういう農業団体が一本になって窓口をしていく。たとえばある県、どっかの一、二の県が窓口になってやるというようなことではない、こういうことですか。
  23. 足立篤郎

    足立国務大臣 ただいまの点はおっしゃるとおりの気持ちでおります。
  24. 田中恒利

    田中(恒)委員 園芸局長お尋ねしますが、ことしのミカンの生産量は大体どのくらいになる見込みですか。
  25. 荒勝巖

    荒勝説明員 まだ現在の時点で的確なことは申し上げられませんが、この春先以来のミカンの花のつきぐあいあるいはその後の天候による生育状況等から見ますと、一部専門家の間では三百万トン近くいくのではなかろうか、こういうふうにいわれておる次第でございます。
  26. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣も静岡県の御出身でありまして、ミカンの産地であります。私も愛媛県でありまして、これまたミカンの産地でありますから、十分御承知ですが、ことし初めて史上最高三百万トン台に突入するということで、いま全国の果樹農家がやっきになって摘果をやっておる、ミカンを落としております。そういう状態であります。そこで、三百万トンのミカンをどうしていくかということがおそらくことしの暮れから来年の初めにかけての大きな問題であります。政府もいち早くこの問題についていろいろ検討を加えられて、ようやくいわゆる加工果汁についての価格安定制度というものが発足をする、こういう情勢になっておるわけですね。三百万トン台というのは戦後最大でありまして、いままで二百五、六十万トンから七十万トンくらいまでですから、相当大きな量であります。こういう段階である。しかも、オレンジ果汁、牛肉、三品についての自由化問題は長い間問題になってきて、農林省も国会もこれは非常に関心を持ってきた点であります。この際、こういう条件の中で、大臣はいま生産状態、価格動向、こういうものを見ながら弾力的に運用すると言われたわけでありますが、少なくともことしの果汁原料になっている果樹類の生産というものは、たいへん膨大な生産量が予想されております。したがって、価格は決していいなどとは思えない。これはおそらくこれだけの量が出回れば下がるでしょう。政府もそれに対応しての政策をようやく発動しようとする段階になっております。こういう客観情勢の中で、果汁輸入ワク拡大するがごとき民間合弁会社方式といったようなものが出てくる。そういう判断が適当であるかどうか、私は非常に疑問に思うわけでありますが、この点についてはどういうようにお考えでしょうか。
  27. 足立篤郎

    足立国務大臣 田中さんのせっかくの御意見でございますが、私は全く逆に実は考えております。いまお話があったとおり、私の選挙区もミカン生産地帯でありまして、愛媛県がひでりを受けると私のほうがトップになる。そうでなければおたくのほうがトップでございますが、そういうふうにいろいろ関心が深うございますし、私も農林大臣になるまでは、自民党の中にあります果樹振興議員の世話役をやっておりましたので、自由化絶対反対を先頭に立って叫んできた一人でございます。  私がいま果汁農業団体による合弁方式考えた理由を率直に申し上げますと、日本ミカンでしぼっていま市販されているジュースですね、これではたして販路が拡張できるであろうかということをしみじみ感じているわけです。実は偶然でございましたが、私、就任早々熊本県の災害視察に参りました。熊本の農協連がしぼって販売している果汁をごちそうになりましてびっくりいたしました。たいへんおいしいのです。それで事情を聞いてみましたところが、ポンカンをブレンドしておる。ポンカンは熊本県から鹿児島県に多いわけでありますが、数量が限定されておる。ポンカンはカリフォルニアのオレンジに似たようなフレーバーを持っております。ですから、そういうブレンドをすれば相当いいものができる、実はこういう確信を持った、というと大げさでございますが、直感的に感じました。帰りましてからいろいろ考えたのでありますが、これは少々のものを入れましても、それがブレンドすることによってよりうまい日本果汁が生産をされ、その大多数、七、八割のものは日本の原産のミカン果汁を使うわけでありますから、それが呼び水になって販路が拡張できれば——私があまり言い過ぎると、これは大臣という資格を持っておると不自由でございまして、とかく責任を追及されますが、バヤリースとかコカコーラというものが日本をいま圧倒しておりますけれども、これはほとんど栄養価値のないもの。もうほんとうに国産の果汁を何とか売りまくりたいという気持ちから、いま申し上げたようなブレンド方式考えたらどうか、実はこういうふうに思っておるわけでありますから、田中さんのお考えと全く私は逆の立場に立って、むしろこれはある程度積極的に取り組んだほうが、日本生産農民にもプラスになるというふうに実は考えているわけです。そうかといって、野放しにして圧倒されてしまって、レモンの苦い経験がございますが、日本生産農民が滅ぼされてしまうということではたいへんでございますから、私はどこまでも自分の政治責任でこの自由化に対しては断固たる決意を持って臨む決意でございます。
  28. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣の話を開いておったら、アメリカオレンジや濃縮ジュースを入れてきたら、日本果汁の消費が飛躍的に拡大する、こういう調子のお話ですが、これは私はまことによくわからないのですが、日本ミカンにブレンドしたら味がある、味があるとおっしゃいますけれども、味の問題は、何も向こうの濃縮ジュースを入れなくたって、いまあなたがおっしゃっているフレーバーのエッセンス、いま自由化しておる香料をまぜたって同じものができます。やろうと思えば別な方法でやれる。それがあなたが味を出すと言われる方法は、何もアメリカのものを入れなくたってやれるのです。いま日本のジュースはいわゆる一〇%ジュース、二〇%ジュースというのが全流通量の八割くらい出回っておるわけですが、日本果汁の生産を拡大して、これを一〇〇%ジュースに切りかえたら生産量は飛躍的に伸びるのです。きわめてはっきりしておるのです。国内でとるべき施策がたくさんあるのです。そういうものをとって、しかる後になお問題があるならば検討いたしましょうが、現在、いま言われましたように、いわゆるジュースというものは本ものジュースが飲まされていないわけでしょう。そういう処置をちゃんとして、その上に考えられるべきことであって、アメリカから入れば消費が拡大するという考え方は私はどうしても納得いきませんがね。
  29. 足立篤郎

    足立国務大臣 私はそのジュースの製造技術のことはよくわかりませんですが、いまおっしゃった一〇%、二〇%というようなものはジュースのうちに入らぬと私は思っておる。やはり一〇〇%ジュースで、これを魅力のあるものにしていきたい、こういう気持ちでございますから、技術的にはっきりとしたいいお考えがあるのならばぜひお聞かせいただきたいと思っておりますが、私のいままでの知識では、アメリカものを二、三割ブレンドすることによって、日本果汁の欠点が補われて魅力のある飲料になる、これを何とかひとつ販路を拡張して生産農民のためにもはかりたい、こういう気持ち考えておるわけでございます。
  30. 田中恒利

    田中(恒)委員 アメリカとのブレンド説というのは、日本からもアメリカのほうへ果汁に対しての調査団が行きました、特にサンキストであります。サンキストからブレンド説というのは出ておるのです。そしてこの五百トンのいわゆることしの輸入ワク拡大、この時点から盛んにブレンド、ブレンド。私も言いました。私も赤城さんと、それをどうせ入れるのなら、五百トンは国内一〇〇%果汁に、一〇%、二〇%入れて使うようにしてほしい——しかし、それはどうしても入れることがきまったあとの問題でありまして、それ以外の何ものでもないわけであります。それをつかまえて輸入ワク拡大方向にこの理屈を結びつけられたのでは——実質的に日本の勝負は果汁ですよ。アメリカとの競争でこわいのはなまよりも果汁ですよ。サンキストは御承知のように販売会社です。そして商標をもって売りまくるということでしょう。向こうの意図ははっきりしておりますよ。これに乗せられたら——いままでわれわれはオレンジ果汁、牛肉の自由化反対だといってここでも何回か決議をして、委員会の代表が与野党一緒にアメリカまで行っておるわけです。何のことはない。半年せぬうちに全く逆のことになる可能性があると思うのです。この点を特に私は大臣に慎重に取り扱ってもらわなければいけません。  それから一つだけ念を押しておきますが、この問題については日本の、あなたの言われる農協窓口を一元化する、この状態ができないとやらないということですね。
  31. 足立篤郎

    足立国務大臣 私も実はロサンゼルスの郊外でオレンジ畑へ行きまして、うれたオレンジをむいてその場で食べた経験があります。どうもあれはミカンそのもので食べますと、甘ったるくてちっともうまくないのですね。ジュースにして初めて価値が出るということが現場でよくわかりました。したがって、オレンジ果汁とは同一のものだという認識に立っておるわけでありまして、この果汁自由化するということは日本生産農民にとって重大問題でございますから、これは絶対に自由化はしない、こういう原則に立っておりますので、その点はひとつ御信頼をいただきたいと思っております。  なお、今後の問題、いろいろお話がございましたけれども、参考にさせていただきますが、私はさっきから繰り返して申し上げているように、やはり日本ミカンの販路をふやしていくという努力を農林大臣としてはしなければならぬ。それでないと、いま各地で相当増反をしておりますから、これが飽和状態になってオーバーフローする心配があるということも考えておりますので、その販路拡張の一助にしたいということでございますから、さっきから申し上げているように、農業団体がこちらの窓口になってやってくれればその心配はないというふうに私は信頼しておりますので、農業団体が、いま多少地域では孤立したものもあるようでありますが、こういう機会に何とか一本化してもらって、全国の果樹、特にかんきつの生産農家を守る、こういう気持ちで結集していくことをこいねがっているわけであります。
  32. 田中恒利

    田中(恒)委員 ちょっとくどいようですが、いまのお答えをもう少し明らかにしてもらいたいと思いますが、農業団体が全国で一元化をしていくという状態がまず前提になって大臣のお考えが出てきておるのであって、そのことができない以上この問題は進展はなかなか期せられない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  33. 足立篤郎

    足立国務大臣 そのとおりでございます。
  34. 田中恒利

    田中(恒)委員 果汁自由化の問題は、私どもにとっては非常に大きな関心事でありますが、今後の動向を十分見守って、なおいろいろ問題を提起をしていきたいと思っております。  次に移らしていただきますが、瀬戸内海の汚染の問題を中心にいたしまして、赤潮と原子力発電の問題について関係各庁からお聞きをいたします。  まず最初に環境庁、瀬戸内海の汚染調査がすでに二回にわたって行なわれておるわけであります。二回目の調査はまだまとまっていないと思いますが、瀬戸内海汚染の状況について、この際、概略でけっこうですが、要点を御報告していただきたいと思います。
  35. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  瀬戸内海の汚染でございますが、私ども去る五月二十二日に第一回の調査を行ないまして、その結果を御報告いたしたいと思います。  この調査は、もっぱら有機物汚染を中心にいたしまして調査したのでございますが、従来といいますか、戦前の水質というのが、現在サンプリング方法あるいは測定方法等が非常に異なっておりますので、直には比較できませんけれども、一応推定いたしますと、戦前の水質とほぼ同じと考えられますのが豊後水道から伊予水道の南部にかけてだけでございまして、一般的に水の交換の非常に悪い大阪湾あるいは播磨灘は、環境基準でいっておりますBという、COD三PPM以下でございますが、それをオーバーしているのが現状であります。  以上でございます。
  36. 田中恒利

    田中(恒)委員 瀬戸内海の汚染の問題については非常に大きな問題になっておるわけでありますが、この内海の汚染を背景にして、この数年来瀬戸内海の漁業、漁民に対して致命的な影響を与えておるのが赤潮の問題であります。特に先般の集中豪雨、台風の襲来以来、瀬戸内海には赤潮が発生、蔓延、拡大をいたしておるわけでありますが、この数日の間、徳島、香川、兵庫、この三県においては、水産庁が指導した養殖ハマチがほとんど全滅に近い状態になって海中に浮遊しておる。極端なところでは、きれいな海底がハマチの死体でもって全然見えない、こういうふうなことも私ども承知をしておるわけでありますが、水産庁として、この数日来のハマチを中心とした赤潮の被害について、どのような実態を把握をせられておるか、長官のほうからお答えをいただきたいと思います。
  37. 太田康二

    ○太田説明員 私どもは昨日、八月九日現在、赤潮によるハマチ被害の発生状況につきましての関係県からの報告を受けております。これによりますと、兵庫が九億六千六百万、香川が十八億九千七百万、徳島が十八億三百万、岡山が三百万ということで、四県合計で四十六億六千九百万、こういう被害の状況を把握いたしております。ただ、いま御指摘のとおり、今後も被害が出てくるのではないかというふうに考えておりますが、現段階におきましてはかような数字を把握いたしておる次第でございます。
  38. 田中恒利

    田中(恒)委員 被害の状況は、現在なお進行中でありますから、もっと拡大すると思いますが、現地は漁業者がこの問題で非常に右往左往しておる。すでに中央に対しても要請がなされておる段階でありますが、水産庁では今後これについてどういう対策を立てられるつもりですか。
  39. 太田康二

    ○太田説明員 御承知のとおり、ハマチにつきましては養殖共済の制度がございますので、漁業共済の対象になっている方につきましては、被害額等を至急確定の上すみやかに共済金の支払いを行ない得るよう指導をしてまいりたい、かように存じております。  それから、一昨日大臣からも指示を受けておるわけでございますけれども、先生も御承知のとおり、赤潮の発生機構というものはなかなかむずかしい問題がございまして、人災プラス天災というような形で発生をいたしておるわけでございまして、先ほど御指摘のとおり、今回のハマチの異常災害につきましては、やはり暴風雨に伴う海水の塩分濃度の低下とか、日照が非常に高温になったために水温が上昇して、そういった異常な自然条件がおそらく加味されてたいへんな赤潮が発生して、それによる被害が出たというふうに私ども考えておりますので、なおこの自然現象につきまして十分実態を把握の上、私どもといたしましてはこれが天災融資法の対象になるように財政当局とも折衝を進めてまいりたい、現段階におきましてさように考えまして、昨日もすでに大蔵省に被害の実情、なお天災融資法の発動等についての話し合いを進めておる、こういうことでございます。
  40. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま天災融資法の発動について検討をしておるということでありますが、この赤潮の問題、長官も言われましたが、公害というか、人災という説と災害だという説があって、この数年来赤潮の災害があるごとに論議がされておるが、あと何もその処置がされていないという状況になっておるわけです。水産庁もここらで、この赤潮問題については毎年毎年繰り返し巻き返し起きておるわけでありますが、赤潮の災害はやはり天災だ、こういう割り切り方をして今後処置していく、こういう方向でお考えになったらどうですか。これは天災融資法の中にあります条項の中には赤潮ということは確かに書いておりませんけれども、しかし「低温又は降ひょう等の天災によって」ということになっておりますね。こういう条項に入れて、赤潮については今後天災融資法のワクの中で処理をするという方向をきめていただかないと、毎年毎年、これは一年に何回か繰り返して行なわれておる、そのたびごとに赤潮の襲来した地域では漁業者は決定的な打撃を受けておるわけです。ところが、四十年ごろから瀬戸内海の赤潮というのは急速にふえてきております。対策ゼロという状態でしょう。赤潮が起きたら予報をして——予報をしてといったって逃げるわけにはいきやしません。だから、何らかの政策的な体制をこの際とらなければいけないと思うのです。今度の問題については天災融資法のワクの中で処理をしていくというお考えのようですが、今後の赤潮問題について、やはり天災融資法の中で取り扱っていく、こういう方向につとめるべきだと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  41. 太田康二

    ○太田説明員 確かにお気持ちはよくわかるわけでございますけれども、御承知のとおり、一方で養殖共済の制度を実施いたしておりまして、養殖共済の場合にも、原則として人為的な被害でないというのが明らかな場合には、天災ということで共済金の支払い等もいたしておるわけでございますけれども、人為的な原因であることが明らかな場合には、当然加害者に被害額の請求ができるということがあるわけでございますので、そこらのからみ合いからいいまして、赤潮即天災であるというふうに割り切ることにつきましては、なお現在赤潮の発生機構というものが十分わかりませんので、そこに踏み切っていないというのが今日までの実情になっておるわけでございます。  しかし、今回のハマチの養殖の被害のように、これほど大きな被害を与えたというようなことになりますと、従来の単なる赤潮の発生に伴う被害と違いまして、非常に膨大な被害も出ておるわけでございまして、それがしかも、先ほど申し上げましたように、暴風雨による淡水化、塩分濃度の低下あるいは日照の高温に伴いますところの水温の上昇、あるいは風向きとかなんとかに伴います水の停滞、こういったことが異常な赤潮の発生につながったというような、異常な自然状況が人為的なものにプラスされて赤潮が大量に発生したというような場合には、私どもはやはり天災と割り切るべきではないかということで、今回天災融資法の発動ということを財政当局にも折衝をいたしておるということでございますが、確かに御指摘のような問題もございますので、なお発生機構等の問題との関連におきまして、私どもはその点につきまして検討してまいりたい、かように存じております。
  42. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは大臣に御意見をお聞きしたほうがよろしいと思うのですが、赤潮の発生源の問題はいろいろ検討はせられておるようですし、また学者の中ではすでに原因はほぼ明らかになっておるというのですが、これは結局、瀬戸内海が湾のような状態になって、臨海工業地帯が増設をせられて、いま環境庁から報告があったように、瀬戸内海の海がいわゆる青みを失ってきた、こういうところのいろいろな要素が複合しておるわけですね。下水から工業排水あるいは海上投棄、いろいろなものが複合して出てきておるわけです。これをさあ何か日本列島改造論でやるといっても、これは二年や三年や五年で話のつくことじゃないと思うのですよ。この間相当な期間がどうしても必要なんです、瀬戸内海の海を浄化するためには。これはだれが見たって明らかであります。しかも、赤潮は、統計的に見ますると、四十年から加速度的に件数がふえてきております。しかも、規模が非常に大きくなってきております。今度のものは非常に地域的には大きいし、なお拡散もしておりますけれども、これから毎年こういうものが出てくると思うのですよ。ですから、赤潮対策については原因、結果を明らかにしていくということも必要ですが、当面起きている事態について、何らかの具体的な特別処置を考える必要があると思うのです。天災融資法のワクの中に入れるというのも一つ方法だし、あるいは赤潮対策についての特別な融資なりあるいは補助なり、あるいはそういういろんな処置を何らかの形で立てるということも必要だと思うのですが、これを早急にやらないと、これは正直いって、十年近い懸案ですけれども、全然実態は進んでないわけです。具体的なケース・バイ・ケースで取り扱われているという程度でありまして、それも自主的な共済制度の中でやっていく、あと多少災害資金の融資をやっていく、こういう程度に終わっておるわけでありますが、この赤潮でもって漁民は決定的に経営が破綻するという状態になっているのですね。思い切って瀬戸内海の漁業振興、沿岸漁場としては非常に豊富な資源を持っておるといわれておる瀬戸内海の海を青くすると同時に、資源を確保するという意味で、それこそ田中内閣の勇断政策をここでぴしゃりおきめをいただきたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  43. 足立篤郎

    足立国務大臣 いま水産庁長官からお答えしましたとおり、赤潮の発生原因はなかなか学術的には究明できないようでございます。  私も、実は海釣りが好きで、長年やっておりますが、公害などちっとも問題にならなかった時代から赤潮は確かに発生いたしました。私どもも、赤潮が出ますと、せっかくいい釣り場に行きましても、全然魚が食いませんで嘆いて帰った経験が何回かございますので、公害との因果関係というものは、いまおっしゃるとおり、瀬戸内海で最近十年間で頻度が非常に増してきた、これは事実として認めますが、確かにある程度因果関係があると思います。同時に、先ほど水産庁長官がお答えしたように、その他の事情がプラスされて発生するものだということも明らかでございますから、とりあえずは、天災融資法の発動によって何とか被害を受けた漁民を救済したい、こういう気持ちでいま真剣に取り組んでいるわけであります。  それだからといって、いま天災融資法を改正して、赤潮が出れば何でもかんでも天災融資法で救済するのだということは、これは私もいまここで決断と言われましても、ちょっとふん切りがつきません。と申しますのは、一方において漁業共済制度を設けまして、農業共済のように強制加入ならばこれは文句はないわけでありますが、任意加入になっておりますので、今度の被害の実態を見ましても、入ってない方が非常に多いようであります。特に定置漁業、こうしたものについては危険が予想されるわけでありますから、進んで漁業共済に加入していただくという努力もまたあってしかるべきじゃないかというふうに思います。天災融資法ならば、金は貸します、金利も安くなりますが、将来は返さなければならぬということでありますけれども、漁業共済ならば、掛け金は掛け捨てになるかもしらぬが、被害があったときには自分の金がもらえるということでありますから、ぜひもう少しこういう点の認識を新たにしていただいて、漁業共済に加入していただく、こういうことをすすめたいというふうに私は考えておりますので、いま簡単に天災融資法の改正でこれを片づけてしまうというふうにふん切るのはどうかというような感じもいたしますので、いまここで即答は避けさせていただきます。
  44. 田中恒利

    田中(恒)委員 天災融資法に該当するものもあるし、あるいは赤潮独自の特別措置を講じなければいけないものも内容によっては出てくるのじゃないかと思うのです。天災融資法にいたしましても、赤潮等の問題については、天災融資法の今日までの査定というか、貸し付け金額とか償還期限という問題は、こういうものを対象として考えられていないわけですから、もし今度赤潮を対象にするとなると、その辺のこまかい問題が出てくると思うのです。こういう点については現地の漁業経営なり被害の実態というものを十分踏んまえて——正直いって天災融資法の貸し付けワクというものは非常に小額で、これじゃたいして効果がない、こういう声が特に漁業者の場合多い。農林業でもいろいろ問題になっておるのは御承知のとおりです。こういう点については水産庁として思い切って今度の場合考えていく、こういう姿勢ですか。きょう大蔵省を呼んでいないからあなたのところばかり申し上げますが。
  45. 太田康二

    ○太田説明員 先般天災融資法を改正していただきまして、限度額も個人百万、法人五百万というふうに引き上げた経緯があるわけでございます。その際も、私どもといたしましては、こういった養殖経営の場合、たとえば稚魚の購入費あるいはえさ代等を考えますと、ハマチ経営のごとき経営の場合にはかなり経営資金がかかるということは予想しておったのでありますが、先般の改正の際には、とにかく現段階におきまして引き上げることが必要であるということで、法律改正を実施したという経過もあるわけでございます。  それでは今回の災害の際にどうかという問題になるわけでございますけれども、現在国会も開かれておりませんので何ともいたし方ないわけでございますけれども、被害県のある県とも話し合いをいたしましたが、そういったことで貸し付け限度額というものはおのずから法律できまっておりますので、目一ぱい見てもそこまでしか貸せないわけでありますから、残りの部分につきましては、ひとつ県のほうで何とかやりたいのだというようなお話も伺っております。しかし、問題として、確かに養殖経営等の実態がいまの天災融資法にすぐ直に適合しておるかどうかという問題があるわけでございますから、そういった問題は今後の課題として検討しなければならないというふうに存じております。
  46. 田中恒利

    田中(恒)委員 今後の課題としてでなくて、今度の課題として対応するような方法を何とか考えてみてくださいよ。そうでないと、あなたは一番よく知っているけれども、ハマチの場合は、小さいときから長い問育てて、やっとものになり出したころごっそりやられておるわけですから、赤潮対策についての水産庁の対策というものは従来何べん言ってきても出てきてないのだから、こういうことが起きると言われたってしかたがないですよ。だから、こういう事態が起きたときに一ぺん原因を根本的に洗ってみて、思い切ってやれる処置をやってもらいたいということですがね。
  47. 太田康二

    ○太田説明員 先ほど大臣の御答弁にもございましたように、私どもは一方において共済制度も設けておるわけでございますから、これの加入をこういった機会により促進するというようなことにつとめてまいらなければならないと思っております。しかし、融資の制度につきましては、現行制度としては現在の天災融資制度しかないわけでございますので、今回の解決としては、私、先ほど申し上げたようなことで解決する以外になかろうというふうに考えております。県のほうもそういったことで今回対処いたしたいというふうに言っておりますので、なおそういった点につきましては、今後県等とも十分打ち合わせまして、被害者の漁業者の方の救済に万遺憾なきを期してまいりたい、かように存じております。
  48. 田中恒利

    田中(恒)委員 赤潮の問題は当面起きておる問題でありますし、県や関係者のほうからも大臣、長官に御要請があっておるはずでありますから、これが瀬戸内海における漁業問題の一番大きなネックになっておりますから、最善の処置をお願いいたしたいと思います。  引き続いて、私は瀬戸内海の漁業問題、汚染問題と関連をして原子力発電所の問題について御質問いたしますが、先ほど環境庁のほうから瀬戸内海汚染の第一次調査の特徴の御報告があったわけでありますが、ほんとうに瀬戸内海というのはたいへんな状態になっておると思います。報告の中にもありましたが、ほぼ昔のような水質というか、海水の状態にとどまっておるのは、伊予灘とそれから九州と四国に面しております豊後水道、この二つの海域に限られている、こういうことであります。したがって、この二つの海域の海水というものが、今日わずかではありますが、瀬戸内海の海水の自浄作用をやっておる重要なパイプになっておるわけでありますが、最近、伊予灘海域、いわゆる瀬戸内海の入り口でありますが、この伊予灘海域に、たとえば愛媛県長浜臨海工業地帯の造成であるとかあるいは伊方町原子力発電所の建設の問題が本格化しておるわけであります。この問題についてこれらの瀬戸内海における今日まで——これは水産庁長官、あなたに質問するんだから聞いておってください。瀬戸内海のこのまだ汚染されていない海域における工業化の問題、特にきょうは伊方原子力発電所の問題について御質問するわけですが、この問題について水産庁は瀬戸内海のいわゆる漁場、漁民の今後というものと関連をして、どういうふうに理解をしておられるか、この点をまずお聞きをしておきたいと思うのです。
  49. 太田康二

    ○太田説明員 瀬戸内海につきましては、確かに漁場の汚染が相当進行しておりますが、中において魚種の交代あるいはノリの養殖の振興というようなことがございまして、生産量全体としては横ばい程度で維持をされておるというようなことでございます。しかし、だからといって汚染がいま以上進んでよろしいというようなことは絶対ないわけでございまして、私どもといたしましては、さきの六十五国会で制定をされましたところの水質汚濁防止法あるいは海洋汚染防止法などの厳正な運用によりまして、少なくともいま以上漁場汚染が進行しないようなことをまず第一次的にはかってまいる必要があろうと考えております。  なお、それ以外に漁場の汚染の進んだところにつきましては、先般、海をきれいにする週間ということで、関係県が集まりまして約一億の金を投じまして、漁場の何と申しますか、卑近なことばですが、どぶさらいみたいなことをやったわけであります。これに対しましては私どものほうから約四千万の経費を補助いたしまして、漁場の復旧事業も着手をいたしたというようなことでございます。  全体的に工場誘致に伴いまして埋め立てが進行する、それに伴いまして漁場が喪失する。さらに工場が設立されまして、そこから公害の源となりますところの汚水が排水されるというような問題が、いままでは、ことばが過ぎるかもしれませんけれども、無計画に進行してまいったというようなことが一般的にいわれておったわけでございますけれども、今後におきましては、やはり公害のない企業の立地というようなことに重点を置いて考えていかなければならぬと思いますし、私どもといたしましては、貴重な漁場はどこまでも確保してまいりたいということで、一方におきまして確かに工場誘致というような問題もあるわけでございますけれども、そういった点についての配慮は十分県等とも打ち合わせまして、優良な漁場は確保してまいる必要があろうというふうに考えでおります。  なお、先般、私どもの自民党の水産部会におきまして、マリンプランの計画が発表されたわけでございますけれども、その際におきましても、新全総計画について水産庁としてもひとつもう一度検討し直せというような御指示もいただいておりますので、優良漁場の確保というような観点から、私どもも工場立地等に伴いますところの漁場との関係につきましては、従来よりもきびしい姿勢で対処してまいらなければならぬだろうというふうに考えております。
  50. 田中恒利

    田中(恒)委員 あなたは、私どもの自民党の政調会からなんと言って、そのままでいいですか。農林省は自民党の政調会を、私どものという表現でせられるわけですか。
  51. 太田康二

    ○太田説明員 私どものというのはたいへんまずかったわけでございまして、私どもに対しまして、自民党の政調の水産部会からマリンプランが提示されまして、そこにそういうことがうたわれておるということでございます。
  52. 田中恒利

    田中(恒)委員 ときどき本音を言うからそういうことが出てくるんだと思うのです。まだほかにもいろいろありますよ。  この伊予灘海域は、いま瀬戸内海における貴重な海の資源が残されておる地域だと思うのです。ここに原子力発電所が設置されるということで、水産庁に対しても関係漁民が何回か陳情に行っておりますが、水産庁は一体これらの問題についてどういう方針や考えを示されておるのかさっぱりわからぬ。私も御連絡いただきたいというけれども、私のほうから連絡したって、ナシのつぶてで何ら返ってこないのですが、どうなっておるか。伊予灘海域における原子力発電所設置についての関係者の陳情、要請等についての水産庁としての取り扱いはどうであったのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  53. 太田康二

    ○太田説明員 私どもといたしましては、県を通じていろいろな事情を聴取いたしておるわけでございますけれども、今回の伊予灘の原子力発電の設置の問題につきましては、地元で一部もちろん反対があるようでありますけれども、おおむね話し合いがついておるということに承知いたしております。その後先生も漁民の方々をお連れになりまして私の部屋にお見えになりまして、あそこでもお話しを申し上げたのでありますけれども、原子力発電に伴いますところの温排水の排出あるいは放射能の影響というような問題が漁民の方々の心配であるわけでございますけれども、従来茨城県等に設置されておりますところの原子力発電によりますところの放射能による被害というものは、漁業の場合、全然出ていないということも聞いております。温排水の問題につきましては、これがノリ漁場等に、温度が上昇するために、影響を与えるというようなことを聞いておりますが、逆に冬季間の養殖にこれを使って、養殖の振興をはかるというような面での新しい利用開発につきまして、すでに私どもといたしまして実験的な事業でございますが、着手いたしておるというようなことでございます。そういったことで、もちろん設置にあたりまして地元の方々の十分なる納得と御協力を得なければならぬわけでございますけれども、今回のこの原子力発電の設置の問題につきましては、そういったことが、県を通じての私どもの事情聴取におきましては、もちろん一部に反対の方はあるようでございますけれども、おおむね話し合いがついておるというような理解の上に立って、今日まで進めてきたというふうに理解をいたしております。
  54. 田中恒利

    田中(恒)委員 現地のことは私もよく承知をしておるつもりでありますが、あなたのところが握っておるのは、県や市町村を通じて握っておる状況でございますね。現地建設地点においてはいろいろないきさつがありました。その間私は何回かあなたのところにも、たとえば漁業協同組合の総会のあり方があれでいいのかどうか、その時点ごとに混乱をしながら、そして原子力発電所設置についてはだんだん現地の反対派というものが、賛成ということではありませんが、脱落をしていくという長い歴史の繰り返しがあります。その間に行政として正しくとるべき処置を私は何回か水産庁当局にも要請したことがあります。しかし、それはなるがままにまかせられておったような気がしてなりません。そして現地関係者はなるほど賛成ということで、最後は何回か漁協の総会等もやったようでありますが、それまでこぎつけたようでございますが、その周辺の関係者は依然として原子力発電所の設置について非常に心配をして、いろいろな動きが出てきておる。決して一部の人々の動きだというような理解で単純に取り扱ってはいけないと思うのです。ほんとうに民意を、あの地域の住民一人一人の意見を積み上げていくという観点でいえば、単純にそういうものではありません。そういう理解をしておるところに、私はこれはあとで科学技術庁にも申し上げますけれども、原発問題についての中央政府考え方に多少形式的な面があり過ぎるような気がしてならないわけであります。  温排水の問題は、御承知のように、漁業問題、漁業関係者が一番心配しておる点でありますが、いまあなたの御説明を聞くと、温排水で何か養殖をしてだいじょうぶだ、こういう試験をやっておるということでありますが、温排水問題というのは、一体どこでどれだけ研究されておるわけですか。一体温排水が出て海水はどのくらい温度が変化してくるのか。温排水というものが、たぶんあなたのところの水産庁が科学技術庁と提携して昭和四十六年に敦賀湾の調査をやっておるはずですが、そこで出てきておる問題は一体どうなのか。いわゆる日本の科学者に対して、温排水問題ではっきりとした判断ができるような状態にまで調査がまとめられて、公表できて、自信を持って温排水問題を取り扱いできるというところまでいっておるのかどうか、この際ひとつはっきりしてもらいたいと思うのです。
  55. 太田康二

    ○太田説明員 私どもの技術者の調査によりますと、温排水は排出口におきまして取水時に比べまして五度ないし九度、平均七度ぐらい上昇いたすようでございます。これが沖合いに拡散するに従いまして、温度差は急速に小さくなりまして、毎秒六十トン、これは出力約百万キロワットの場合のようでございますが、温排水が排出される場合に、平均的に見まして排出口から九百メートルで温度差二度、二千百メートル程度で温度差一度になるというように見込まれておるようであります。魚介類は、いろいろ私ども調査によりますれば、一般に生存可能な水温の範囲というものはかなり広いようでございまして、温排水によりまして水温が恒常的に上昇するというような場合には、先ほど申し上げましたように、その海域の生物相が局部的に変化するというようなこともあるわけでございまして、ノリ等におきましては、高温による被害が出るという事例も承知をいたしております。そこで、私どもといたしましては、こういった温排水の影響を考慮いたしまして、水質汚濁防止法によりますところの規制を行なうということの必要性を感じておりますので、規制の対象あるいは規制の方法等につきまして、関係方面にもしかるべく処置してもらいたいということで、現在、環境庁あるいは科学技術庁等にも協議、検討をお願いいたしておる段階でございます。
  56. 田中恒利

    田中(恒)委員 科学技術庁、温排水の、いま七度と言われましたが、これは合っておりますか。
  57. 大坂保男

    ○大坂説明員 お答えいたします。  排水口の出口温度につきましては、ただいま水産庁長官のお答えのとおり、大体七度というふうに考えております。
  58. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま、長官が距離を言ったでしょう。いつか科学技術委員会であなたのところと水産庁とで見解が違ったわけでしょう。及ぼす影響の海域の範囲、その問題はどうでしょうか。
  59. 大坂保男

    ○大坂説明員 その後、水産庁の当局と御相談いたしまして協議いたしました結果、この温排水の拡散の範囲、影響につきましては、地形とかあるいは海流、流速その他いろいろの条件によってかなり異なっておるということで、一がいに申し上げることはむずかしいということでございます。水産庁のほうで採用いたしました根拠は、いわゆる平野理論と申しますものをアプライいたしましたときにこういう計算になるということでございまして、私どものほうで根拠にいたしましたものは、これは大飯発電所についてでございますが、電力中央研究所あたりの調査、あるいは火力発電の実測値等を勘案いたしまして、大体この辺であろうというふうに計算したものでございます。したがいまして、その間に理論値とあるいは実測値において若干の食い違いがあるということはわかるわけでございますけれども、具体的にどの程度の影響があるかは、個々の発電所あるいは個々の地点について計算する必要があるのじゃないかということで、水産庁と意見の一致を見ているわけでございます。
  60. 田中恒利

    田中(恒)委員 私が承知をしておる範囲では、原子力発電所で特に漁業に関係あるものは、温排水問題と廃棄物の処理の問題についていろいろ問題が現在残されておる。これは私どもしろうとでありますが、ここでしろうと談義をしておっても不十分でありますが、いま言われましたのはどこかの一つの事例だと思いますね。水産庁自体で温排水問題にそれほど力を入れて研究したり調査をやる体制や陣容を持っていないのですから、水産庁長官日本の科学技術者に対して、温排水問題にそれほど自信のある形になっていないと思うのです。しかし、原子力発電というものが将来日本のエネルギー源として相当広範に、しかも密度が高い形で各地に分散されていく。その場合、この問題で一番出てくるのはやはり漁業者ですよ。その漁業者がやはり温排水問題と廃棄物処理の問題については非常な関心を持っております。したがって、この際水産庁として、科学技術庁も一緒ですけれども、この問題についてよほどわれわれの納得するようなものを持ってもらわないと、多少ちぐはぐがありますから、理論が違うというようなお話でありましたが、ここのところははっきりしておいてもらわないといけないと思うのです。  それで、伊予灘につくる原子力発電所設置の問題で、いま科学技術庁を中心に安全審査がなされておるわけですが、この安全審査の今日までの経過と今後の見通し、大体いつごろまでこれはかかるのか、この点をちょっと御報告をいただきたい。
  61. 大坂保男

    ○大坂説明員 伊方の原子力発電所の安全審査につきましては、本年五月十二日に開催されました原子炉安全専門審査会で担当の部会を設けまして、五月十七日以降安全審査を進めております。その部会におきましてはAグループとBグループと二つ設けまして、Aグループのほうでは発電所の機器、プラント関係を審査いたし、Bグループでは周辺の環境、サイトの地盤、地質等を審査するということで進めております。その審査を現在進めているわけでございますけれども、大体いままでの経過から申しまして九月末にはある程度の取りまとめをした上で、部会から原子炉安全専門審査会に報告をして、またディスカスをした上で結論を出したいという段取りに相なっております。
  62. 田中恒利

    田中(恒)委員 九月末が作業部会、最終的な安全審査委員会の段階は、従来の経過があると思うのですが、どのくらいかかるのですか。
  63. 大坂保男

    ○大坂説明員 部会の検討の経緯によりますけれども、九月末に一応取りまとめをした上で審査会に報告して、そして特別の調査を要する事項等がございませんければ、大体十一月ごろには結論を得るのではないかというふうに見通しております。
  64. 田中恒利

    田中(恒)委員 この安全審査事項というのはどういうものですか。
  65. 大坂保男

    ○大坂説明員 大まかに申しまして五つに大別できるかと思います。一つは自然的条件でございます。すなわち当該発電所の設置されます地形、地質、陸水——陸水と申しますのは、おかの水であります。海象、地震あるいは気象条件等の問題。それから第二が社会的条件でございまして、人口の分布とか産業活動、公共施設、交通運輸条件、そういう問題でございます。第三は肝心の原子炉の工学的安全性でございまして、こまかく申しますと、原子炉とか炉心とか燃料の取り扱い関係、冷却関係、補助関係、その他もろもろございますけれども、要するに原子炉の工学的安全性の関係でございます。第四が平常時の被曝評価でございまして、平常運転の場合に、環境にどの程度の影響を及ぼすかということについての評価でございます。第五が災害評価でございまして、工学的にはなかなか起り得ないような条件を設定いたしまして、それに基づいて災害時の評価をかりにやってみるという意味で、重大事故及び仮想事故を想定いたしましての評価をやっております。この五つの評価あるいは検討を行なうのが、審査会の主たる内容でございます。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 田中恒利

    田中(恒)委員 伊方原子力発電所の場合の審査の重点はどこに向けられておりますか。
  67. 大坂保男

    ○大坂説明員 ただいま申しました五つの観点のうち原子炉の工学的安全性等につきましては、伊方発電所の原子炉の型が、すでに設置の許可をされております九州電力の玄海発電所と同型炉でございますので、特に新しい点はないということで比較的審査は簡単に済むかと思います。ただ、先ほど申しました自然的条件及び社会的条件と申しますか、そういう関係でこの伊方の設置されます現地の気象条件とかあるいは地形の関係等を勘案してやる。それからさらに、原子力発電所に用いられます淡水につきましては、その供給源が所要量、すなわち一基につきまして大体千五百トン毎日というふうに考えられておりますけれども、その所要量に対しまして十分確保できるかどうかということについてさらに検討する。そのほか、先ほどお話のありました温排水の環境に対する影響あるいはかんきつ類等、特に多くとれるところでございますので、そういうものに対して気体放射性廃棄物の影響がどうなるかというような問題につきまして特に重点的に審査してもらっておるわけでございます。
  68. 田中恒利

    田中(恒)委員 いまお話しのように、伊方原子力発電所については、原子炉そのものはすでに何回かやってこられたので、あの地域の自然条件、社会条件等を中心として審査をされておるということでありますが、温排水の問題、特に瀬戸内海全体の浄化作用をしておるとみなされる伊予灘地域における温排水問題の研究そのものも私はまだきわめて不十分のように思います。それから、いまお話もあったが、この地域は日本一の夏カンの地帯、ミカンの産地でありますが、ミカン等に対するいわゆる懸念をされております放射能の影響といったようなものは、蚕糸園芸局長もお見えですが、何かやっておりますか。
  69. 荒勝巖

    荒勝説明員 園芸局といたしましては、これにつきまして十分調査いたしておりませんが、今後の問題としてあるいは農林省として取り上げることにならざるを得ないのではなかろうか、こういうように考えております。
  70. 田中恒利

    田中(恒)委員 科学技術庁は、ミカンの場合、果樹関係について、農産物ですが、何かこの地域を焦点にして研究調査したことがありますか。
  71. 大坂保男

    ○大坂説明員 具体的にこれは安全審査の環境関係の先生の審査しておられる内容でございますので、詳細は承知しておりませんが、この原子力発電所からどの程度の気体廃棄物が周辺環境に放出されるかという、その内容によってそれがどの程度の距離にあるかんきつ類にどういう影響を与えるかということに相なるわけでございますけれども、外国の例その他いろいろな文献等によって審査を進められておるというふうに聞いております。
  72. 田中恒利

    田中(恒)委員 外国の文献でやったって、これはだめですよ。現地のいま問題になっておる瀬戸内の伊予灘の伊方原子力発電所の重点審査は何か。これは自然環境、土地、地形、農作物あるいは水、そういうものだということでありましたから、伊方原発のある三崎半島周辺の果樹なり潮流なりそういうものの調査をやってもらわなければ、外国のものを見てやられたって何にもならないわけですね。  そういうことで、あなたのところの安全審査というものはやはり原子炉ではありませんか。原子炉に関係した先生方が出ておるんで、こういう問題の安全審査をできる先生がどれほどあるのか、私はよく承知しておりませんが、私は重点は、やはり伊方原発の場合は、特に国民的問題として瀬戸内海の浄化の問題、瀬戸内海に原子力発電所を置くことがいいのかどうかという問題があるわけであります。そういう意味で、特に広い立場からも、もうやめられましたけれども、前の環境庁長官は瀬戸内海に原子力発電所を置くのは好ましくない、こういうことも言っておられるわけですね。そういう意味もあって、いわゆる自然的条件、社会的条件等についての環境安全審査というものは十分なされないと——この問題についての結論をあなたは九月末だ、十一月だとおっしゃられたけれども、私どもが納得するようなものを見せていただけますね、安全審査をやるわけですから。われわれに対して、こういうふうなことになってこの地帯については安全確保については万遺漏ないということが示されるわけでしょう。国会でもこれから問題にしますけれども、そういうことをやられたあとでないとやれないはずですから、いままでの作業というものは従来の原子炉の形でやっているのではないですか。非常に速度が速いようですけれども、いままでやった一号、二号、三号の経験をずっと貫いているだけであって、この地域の特殊的な諸条件についての安全審査の検討は、まだいまからだという段階だという理解をしておるわけですが、いかがですか。
  73. 大坂保男

    ○大坂説明員 先生の御指摘のような諸問題につきましては、原子炉安全専門審査会におきましても特に重点事項として検討を進めているわけでございまして、そういう御指摘のような諸問題についてある程度の明確な結論が出ないことには、なかなか審査を完了するということはむずかしいかと思います。したがいまして、先ほど申しました九月末に一応の取りまとめを行なって部会から審査会に報告し、十一月ごろにはおそらく完了するであろうと申しましたのは、一応の予想でございまして、そういう重大な問題につきまして確信の持てるような判断ができないときには、そういうスケジュールがずれるという二ともあり得るかと思います。  なお、先ほど申しましたかんきつ類と放射能の関係でございますけれども、これは現場に行ってみて、放射能が出たときにどうなるかということはすぐわかるものではございませんので、外国の文献と申しましたのは、たとえば気体廃棄物がどの程度のものが出たら植物に対してどういう影響が出るかというようなものは、いろいろ文献そのほか日本での研究がございますので、それらを総合判断してやるというふうに申し上げたかったわけでございますけれども、ことば足らずで申しわけありません。
  74. 田中恒利

    田中(恒)委員 それで、この問題については、水産庁それから園芸局が、いままでのような経過からしても、科学技術庁と連絡をとりながら、環境問題を中心とした安全審査にこれは一役を果たすということでしょうか。任務があると思うのですが、水産庁や園芸局はこの問題について今後科学技術庁と関連を持ちながら、特にこの原子力発電所に対する漁民や農民の不安を解明していく、こういう姿勢を示されると思いますが、いかがですか。
  75. 太田康二

    ○太田説明員 御承知のとおり、原子力発電所の設置につきましては、原子力委員会による安全審査のほかに、電源開発審議会による審議が行なわれるわけでございます。そこで、この審議会が行なわれる事前に各省の幹事会というむのが開催されるわけでございまして、これには農林省も幹事として出ておるのでございまして、その際われわれといたしましては、関係都道府県とも十分連絡をとりまして、地元の、私ども立場からいいますと、漁業への影響とか地元の意向、こういったものを十分把握いたしまして、幹事会にその意見を反映させるというようなこともやっておるわけでございます。
  76. 田中恒利

    田中(恒)委員 その作業はもう終わったでしょう。いま問題になっているのは安全審査の問題ですよ。そして瀬戸内海の汚染問題もからませて、それで私は赤潮の問題からこの問題をやっておるので、これはあなたのところの水産庁が一番重要な問題ですよ。それは汚染があるかないかという議論はありますけれども、やはり瀬戸内海に原子力発電所を置くことについての安全審査、その審査の重点は自然条件——地質、地形、水質、水量、こういう問題がいま科学技術庁の安全審査の焦点になっておるのです。あの地帯は一応果樹地帯でありますから、農作物に対する被害の問題、そういう問題は当然水産庁や蚕糸園芸局で取り組まなければいけないものだと思うのですよ。そのことをやりますかと言っているのですよ、科学技術庁と連携しながら。科学技術庁のほうだけやっておっても、こっちは大学の原子炉の専門家の先生がやっておるから、この方面ではしろうとですよ。あなたのほうでやらなければやるところはないでしょう。
  77. 太田康二

    ○太田説明員 私が申し上げましたのは、ここに設置される場合の電源審議会における手続、その前提としての幹事会のお話をいま申し上げたわけでございまして、御指摘のとおり、たしか五月の二日でしたか、審議会が開かれまして、そこで審議されたわけでございます。そこで、私どもの原子力発電に伴いますところの放射能の流出の問題あるいは温排水の問題でございますが、これらにつきましては、すでに何カ所かでやった事例もあるわけでございますし、これによりますれば、放射能につきましては、これによる漁業への被害というものはいままでなかったわけでございますし、十分管理をすればそういうこともなかろう。現実にわれわれといたしましては、各地の原子力発電所が設置されておるところにつきましては、月々排水口で水をとりまして放射能の分析もやっておるのでございまして、それの結果によりますれば、放射能の問題は全く危険がないのではないかというふうに、もちろん事故があれば別でございますけれども、そういうふうに理解をいたしております。  それから、先ほど申し上げましたように、温排水の問題につきましては、確かに地域、地形によりまして相当その影響を受ける範囲が違うかと思いますが、一般的に先ほど申し上げましたような魚類が生息し得る温度というものはかなり広範な範囲にわたっておりますし、従来の例等によりますと、ノリ等に高温による被害があるというふうに聞いておりますが、それ以外はこれによりまして非常な漁業被害が出たというようなことも聞いていないわけでございます。したがいまして、今後実際に科学技術庁のほうで安全審査をやる場合に、私どもにおそらく専門的な立場からの協力というような要請もありましょうから、その際は十分協力いたしまして調査に当たりたい、かように存じております。
  78. 田中恒利

    田中(恒)委員 科学技術庁はこの原子力発電所の問題について、農林省、水産庁と協力をしてやらなければいけない分野がある、こういう認識に立っておられますか。いままでどおり専門的な研究機関だけに委託して、この問題については従来どおりやっていくという方針ですか。
  79. 大坂保男

    ○大坂説明員 審査の段階におきまして、必要がございますれば、水産庁その他専門の方と御相談してまいりたいと考えております。
  80. 田中恒利

    田中(恒)委員 必要があればと言うが、必要があるんじゃないですか。必要がないんですか。いま安全審査の重点は自然条件と社会条件だとおっしゃった。その中に当然、海面の問題、それからあの地帯における産業構造の問題があるわけでしょう。特にミカンの問題は初めてでしょう。そして、しかも瀬戸内海全体を、汚染のあるなしは別として、どうしていくかという問題、国民の課題でしょう、瀬戸内海の問題は。そこに原子力発電所を置くという特殊な条件の中では、私は当然これは関係各省と緊密に連携を持たなければやれないと思うのですよ。あなた方と議論をやっておりますと、水産庁も何となしにやりたくない。あなたのほうも必要がなければやらぬ、そういう姿勢だから、原子力に対する住民の不安に対して政府姿勢が出ていないわけですよ。それこそその辺をはっきり判断しなければおかしいんじゃないですか。
  81. 大坂保男

    ○大坂説明員 先ほど先生御指摘のような環境問題につきましては、安全審査会のBグループが中心になって検討を続けているわけでございますけれども、そこにもそういう問題を専門的に担当する先生方もおられます。必要があればと申し上げましたのは、その審査会の先生方と相談いたしまして、おそらく必要があるかと思いますけれども、その場合には積極的に水産庁その他の専門の方の御意見を拝聴したいというふうに考えております。
  82. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間が参りましたので、あと一、二重要な問題を申し上げておきます。  土地の問題、それから海の問題、いろいろ不十分ながら作業を進められておるのは事実でありますが、この原発に必要な水の問題については、いまも非常に重要だと言われたが、この問題についてはどの程度——四国電力のほうからあなたのところに会社の計画書は来ておると思いますね。千五百トン二基ですから三千トンですね。しかし、その水はどこから送水してその水が確保されるのかどうか、そういう条件があるのかどうか。この地方は、農林省も御承知ですが、愛媛県における最も水の少ないところでありまして、いつも干ばつで果樹園のかん水はたいへんな状態です。岬半島というのは飲み水がなくて、バケツでもって水を運んでおる地帯であります。その地帯への送水をどうするのか。これは大きな問題であります。いま建設省がダムをつくっておりますが、十年ほどかかります。一体この水というのは適確に供給をされ得るように地域や体制が整っておるのかどうか。これは非常に大きな伊方原発における問題だと思いますが、この調査や実態把握はどれほどできておりますか。
  83. 大坂保男

    ○大坂説明員 淡水の確保につきましては、申請者でございます四国電力からの申請内容では一基千五百トン、二基で三千トンということに相なっていることは先生の御指摘のとおりでございます。申請者の申請内容によりますと、保内町の地下五十メートルぐらいのところから深井戸を掘りまして、発電所まで送水するという計画になっておりますが、御指摘のように、保内町の地下水がはたして十分必要量を確保できるかどうかという問題があることは承知しております。現在、審査会におきましては、その会社の申請といいますか、申請書の裏づけになっております水の状態といいますか、供給能力等について事情を聴取しておりますが、近く県当局からも、はたしてこの保内町からの供給が円滑に行なわれるかどうか、そのバックデータはあるかというような問題につきまして、事情を詳細に調査するということにしております。
  84. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間がありませんから、この問題は私はなお当該委員会で詰めたいと思いますが、もうあなたのところは調査をするとか事情を聞くとか、四国電力から聞いておるのでしょうが、水の問題、これは現地の人が一番知っておるのですからね。いつどういう干害があってどういう状態であったか。それからこの地方には県やあるいは町が一緒にやった調査もあります。水量調査もある、いまどれだけ水を使っているかという調査もあります。私もいまここへ持ってきております。決していまあなた方が電力会社から受けておる計画のような水の状況ではないと私は思う。したがって、現地においても関係者の間にこの水の問題をめぐって——原発とは別ですけれども、水の供給について非常に大きな住民の運動が起きておることも事実です。だから、私はこの伊方原発に対する水の供給について、あなたのところが私どもにちゃんと説明のできる状態を準備しておいていただきたい。いずれこの問題については、具体的な数字で議論をいたしたいと思います。  時間がなくなりましたから最後に。  大坂さんもお見えになって、現地の関係者の間でこの問題について非常に不安を持っておるという状況はごらんになったとおりです。そこで、これらの人々が、今日までの経過の中では、残念ながらいずれも彼らの要求や彼らの声が、多少でも満たされればですけれども、全然満たされていない、黙殺され続けております。それだけに原子力発電をめぐっての不安とあせりが見えておるわけです。私は、今後エネルギー供給源として原子力発電の問題は出てくると思いますが、少なくとも事、原子力に関する問題でありますから、日本としては最も悲惨な経験を浴びた問題であるだけに、しかも広島を前に置いておる地帯でありますから、そこへ当然出てくる不安であります。そういうものに対して、やはり政府が十分納得をしてもらうとか、理解をしてもらうとか、あるいは説明をするとか、そういう状態ができないと、これはますます不安は拡大していくわけであります。したがって、私は当然問題になっております原子力発電所についての公聴会の開催というものは、やはりやらなければいけないと思うのです。この伊方原発についてもぜひこの公聴会を実施していただきたい、こういうように思っております。このことについてきょうは議論はこの公聴会制度の問題まで詰められないのを残念に思いますが、十分配慮をしてあなたのところで処置をしていただくことを要望し、最後にこのことについての御意見をお聞きをして、質疑を終わりたいと思います。
  85. 大坂保男

    ○大坂説明員 先生のお話しのように、私どもも現地に参りまして、直接住民の声を伺ってまいったわけでございますので、今後とも地域住民の理解と協力を得て、原子力発電が円滑に進められるように、われわれとしても、それに必要な対策を講じてまいりたい、地元の方に対する理解を得るための説明会その他も、もし必要があればやりたいというように考えております。
  86. 仮谷忠男

    仮谷委員長 午後は一時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  87. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斎藤実君。
  88. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 農林大臣食管問題を含めて基本的な問題を若干御質問いたしたいと思います。  大臣就任以来数多くの所信を述べられております。それがマスコミ等でいろいろ報道されております。先ほどの論議の中でも論議されましたように、中でも一昨日の八日、帝国ホテルで開かれた日本記者クラブ昼食会で、この食管改革についての発言がございました。この問題については、わが国の農政の基本ともなるべき重要な課題でございますので、これに関連をしてお尋ねをしたいと思います。  先ほどの午前中の委員会で、食管改革については大臣在任中にめどをつけたいあるいはレールを敷きたい、見通しも立てたい、こういう御発言がありました。私が大臣お尋ねしたいことは、どういうスケジュールでおやりになるのか、これをひとつお伺いしたいと思うのです。というのは、現在、農林省内に米穀管理研究会というものもありまして、中間取りまとめの意見等も出されておるわけです。その研究会に意見を聞くのか、あるいは別に調査会なりあるいは研究会というものをつくって、生産者と消費者の代表を入れて、別な角度でこの問題と取り組むのか、その辺のスケジュールについて大臣から承っておきたいと思います。
  89. 足立篤郎

    足立国務大臣 斎藤さんいま御指摘のとおり、農林省米穀管理研究会が設けられておりまして、この春、中間的な御答申をいただいているわけですが、まだ固まった考えというわけではないと思います。私もまだその中間報告を読んだだけでございますので、米穀管理研究会のメンバーの先生方が個人個人どういうお考えかということを一ぺん懇談的に伺ってみたいと思っております。私も就任早々ピンチヒッターみたいなもので、米価もやりますし、ずっと寧日がなかったものですから、なかなかそういうチャンスがございませんでしたが、皆さんそれぞれ社会的に御活動の方でございますので、御都合も伺いまして、できれば御一緒に、まず研究会にあらためて私が何か聞くというのではなくて、懇談的に一ぺん聞いてみたいと思っております。なるべく早くと思っておりますが、できれば今月中にでも聞いてみたいと思っております。その上でいま斎藤さん御指摘のような今後の段取りをどうするか、さらに米穀管理研究会で詰めていただくものがあるかどうか、あるいはもっと範囲を広げた、生産者や消費者の団体等も加えて調査会のような形で御検討いただくか、これはこれからの問題でございますので、いまここでどうするというスケジュールについてと言われても、私としては正直なところ申し上げようがないわけで、今後この問題の発展がどうなるかということにかかってくるわけでございますので、その点はちょっといまここで申し上げることはお許しいただきたいと思います。
  90. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣の答弁の中で、米穀管理研究会を今月中にも開きたい、その中で御意見も伺ってどうするかきめたい、こういう御発言でございましたけれども、いまの食管の問題も含めてとりあえず、将来のことは別として、研究会でこの問題を論議したい、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  91. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は中間報告は書面の形で、いわば赤城前農林大臣から引き継いだ形になっておりまして、私は書面を読んだだけでございますから、とりあえず懇談をしてみたいと思っているわけです。研究会をあらためて招集するとか開くというのではなくて、昼食でもやりながらざっくばらんなお話を聞いてみたい。中間報告がよって来たるその経過についていろいろお話を伺い、また、いま申し上げたように、メンバーの方々の個人個人のお考えもできれば伺ってみたい、こういうごく平ったいといいますか、気軽な気持ちで伺ってみたい、こう思っているわけです。
  92. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど大臣は非常に謙虚に、大臣就任早々あまり勉強もしていないというような答弁でございましたけれども、私らはそう思っていないわけです。二十年間国会に席を置いて、閣僚の中では最大の農政通といわれる大臣はこの食管についても非常に関心が深い、こういうふうに伺っているわけでありますけれども食管改革のいろいろな記者会見での御発言等を通してみれば、やはり農林大臣としての持論もございましょうし、今後のスケジュールについては、将来のこととしてああいう発言をされたということはわれわれも非常に関心を持っていますし、日本農民の方々も非常に重大な問題として、新聞紙上でも取り上げられておる。それである程度農林大臣としての考え方というものも私はお持ちだろうと思うのです。それで研究会なりあるいはいろいろな諮問機関の意見を聞くということもございましょうけれども大臣としては具体的にどの点に手をつけられるのか、おわかりの範囲で伺っておきたいと思います。
  93. 足立篤郎

    足立国務大臣 先般の米価に関する農水委員会のときに、米価に関連して食管制度について私がいろいろ提言をしたことについて各委員から御質問があって、そのとき私が申し上げたとおりでありまして、決してうそ隠し申し上げているわけではありません。私は一つ提言をしておるつもりでございまして、それは先ほども田中さんにもお答えしたのでありますが、現在、食管法はいろいろ規制をしておるが、守られていない部分がたいへん多い。したがって、私の気持ちを率直に申し上げれば、農民に信頼されるものをどこまでも守っていきたい、それから消費者にもがまんしていただけるようなやり方でいまの食管制度の衣がえをしたいと思っていますから、いま斎藤先生は改革改革とおっしゃるが、はたして私の言う気持ち改革かどうか。形の上では確かに改革ですけれども、実態は尊重していきたい、私はこういうふうに実は思っておるのでありますから、それをどういう配慮をしたらいいか、どういう方途を考えたらいいか、あるいは法律改正になると問題がたいへん大きな問題になると思いますが、その辺、何とか道を見つけたい。したがって、まず農林省にある米穀管理研究会で専門に御研究くだすった方の率直な御意見をまず拝聴した上で今後の段取りを検討したい、こう思っておりまして、うそ隠しを申し上げているつもりは全くございません。
  94. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣は当委員会では非常に慎重な発言でございまして、私はいまの段階でこの内容についてどうこうということをお尋ねする気持ちはございません。ただ、午前中の委員会で購入券の制度や米の統制については形骸化されている、これは私も認めます。ですから、大臣おっしゃったように、もう全く形だけのものになっているものであればこれは困る、この程度を変えようとなされるのか、それとも、流通機構を自由化して、大臣のお考えの中には将来膨大な財政負担を伴う米の管理から手を引こうというお考えなのか、この辺、いかがでしょうか。
  95. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は財政負担から免れたいというそれだけの気持ちではございません。もちろん合理的に運営されて財政負担が軽くなればこれにこしたことはないと思っています。というのは、御承知のとおり、私どもも毎年の農林関係の予算の編成の際に、米の財政負担が相当な圧迫材料になっているということは、これは野党である皆さん方もお認めいただけると思うので、何とか思い切って、農政を推進するためにはなるべくむだなと言うとしかられますけれども、これはしかられるので申し上げませんが、なるべく財政負担は米の面において軽くしたいという気持ちは正直いってございます。ございますが、それだけが究極の目標ではない。やはり法治国家ですから、守らない法律をみんなが認めていながら知らぬ顔をしてほおかぶりでおるということでは、これは順法精神にも関係する問題だと私は二十年間考え続けてまいりましたから、何とかこの辺をすっきりとした姿にしたい、こういう気持ちでございます。
  96. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 米穀管理研究会の中間報告、これは大臣もよく目を通しておられないというお話でございましたが、大体四つ出ておるわけですね。それで考えられるのは、配給制度を自由にする、集荷は現在どおりという案、それから政府が一定数量を買い入れて需給調整をする、これはわれわれは部分管理、間接統制とか言っておるんですけれども、現在五百八十万トン買い入れているうち半分は買う、あとは自由にするというこういう案、あるいは支持価格制度というものもいわれておるわけです。こういった案が出ておるわけです。ですから、私は食管制度については生産者と消費者、この両方に利益を与えておる制度でございまして、いま食管制度をどうするかということについてはいろいろ意見もございますけれども、十分ひとつ大臣、これは衆知を集めて大所高所から誤りないようにこの方向づけを私はしてもらいたいというふうに考えるわけです。私どもがほんとうに心配するのは、もし先ほど私が申し上げましたようなことが起これば、一番心配しているのは価格が不安定になるということだと思うのです。そうなれば、農民の生産意欲というものが減退をしていくし、したがって米の供給の不足ということがまた考えられる。こういったことも考え合わして、大臣、この問題についてはひとつ慎重に取り組んでもらいたい、このことを御要望申し上げておきたいと思います。  それから、このたびの米審では、生産者米価だけではなくて、消費者米価の諮問案を同時に提案された、これは例年にない形をとったわけですけれども、これは消費者米価値上げを前提としての提案かと思いますが、この点はいかがです。
  97. 足立篤郎

    足立国務大臣 前段の御意見拝聴いたしました。食管制度に手をつける場合に、いやしくも全国の生産農民に少しでも不安を与えるということは絶対に避けなければならぬという私はかたい信念を持っております。また、消費者にもがまんをしていただけるということは、現在の流通の状態を大きくくずさないような方法で持っていくということができないだろうかというふうに考えておりますので、この点はひとつ今後慎重に検討いたしたいと思います。  それから、今回の米審の諮問の形式でございますが、いままでにないことだとおっしゃいますが、私としては、いやしくも当初の諮問案が三・〇三%引き上げ、それでなくてもいま逆ざやになっておりまして、財政負担はかさむ一方でございますが、ことし年度半ばでございますし、予算がすでにきまってしまっておるのに、たとえ三・〇三%でも私が上げたいという諮問を出します以上は、ほっておけば食管会計はパンクするわけでございますから、もし消費者米価について全く触れなかったらむしろ無責任のそしりを免れないのじゃないかというふうに私は良心的に考えたわけでありまして、そういう意味で、消費者米価についても委員の皆さまの感触を伺う、こういう意味で諮問をいたしたわけであります。消費者米価は必ず上げるという前提で諮問をしたのではないのでございまして、上げるか上げないかを含めて御意見を伺いたい。これは私は補足説明でもわざわざそれに言及いたしまして、委員の皆さまの御了解をいただいた上で答申をいただいた、こういう経過でございますので、その辺の事情を御了承いただきたいと思っております。
  98. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣に率直にお尋ねしますけれども、財政的な負担、現状のままでは食管がパンクするというような状態。ですから、私は消費者米価値上げについては政府のほうでももう当初からおきめになっておる、こういうふうに考えざるを得ないわけですけれども、大体の時期と値上げ幅等はいかがでしょうか。
  99. 足立篤郎

    足立国務大臣 そうずばり聞かれましても、いま答弁はいたしかねます。しかし、私も諮問しました以上、米審の委員の先生方の御感触といいますか、ずいぶん注意をして拝聴しておったのであります。米審は公開されておりませんから、どなたがどういう御意見だったかということは申し上げかねますが、私も第三日目は朝から午後まで、各委員全員が意見を開陳されまして、もちろん会長である小倉さん、副会長——二十五人でございますが、ほんの一、二の方が御欠席でございましたから二十人そこそこの先生方の御意見でございましたが、それを拝聴しておりますと、やはり消費者米価については末端逆ざやをこの際解消せよ、こういうはっきりした御意見が相当、絶対多数ございました。これは人数もはっきりわかっています。私の調べたところでは、二十人そこそこのうちで十四名の方が末端逆ざやは解消すべきであるという強い御意見でございました。私はこの正式の答申はいただいておりません。その末端逆ざやを解消せよということはいただいておりませんが、そうした空気をくみ取りまして、やはりコスト逆ざや、売買逆ざやということになりますと、たいへんな額になってしまっておりますが、末端逆ざやだけはなるべく早く解消しないと、今後農政を展開していく上においていろいろな障害が起こってくる。たとえば自主流通米にいたしましても、いま頭打ちになってきたのも私はこうした面に相当な理由があるのじゃないかというふうに認識しておりますので、農林大臣という立場におきましては、何とかこの末端逆ざやの一日も早い解消に努力いたしたい、かように思っております。
  100. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 末端逆ざやの解消ということについて私は別に異論はありませんけれども、だからといって、消費者米価を値上げするということについては私どもは賛成いたしかねる。というのは、やはり現在物価問題というのが大きな国内問題になっておりますので、消費者米価値上げが物価上昇に大きく反映するということは、これはもう国民の非常な関心事でありますので、ただ赤字解消のみで消費者米価を値上げすることについては私どもは同調できない、このように考えております。  なお、時間の関係もありますので、最後に御要望を申し上げておきますが、再度申し上げたいことは、食管問題についてはぜひひとつ慎重にあらゆる角度から、また農民立場というものを十分考えて取り組まれるように強く御要望申し上げて、私の質問を終わります。
  101. 仮谷忠男

    仮谷委員長 千葉七郎君。
  102. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 青森県のむつ小川原開発の問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと存じます。  むつ小川原開発計画は、その規模あるいは誘致企業の種類など青森県庁の態度が二転三転変化をしておるわけでありますが、また最初の計画より相当縮小したというようなことも聞いております。青森県はその責任は、県民が追及をいたしますと、新全国総合開発計画の一環だからその主体は国にある、こう青森県では言っております。それから経企庁のほうにこの問題をいろいろお尋ねしますと、地域の開発だからして県が主体だと言っておる。このようなやりとりがここ数年続いておるわけであります。そういう状態でありますから、地元の県民の不安は非常に強くなっておるように感じられるのであります。したがって、県の態度に対してもまた国の態度に対しても県民の不信感といいますか、そういう感情も非常に強くなっているように聞いているのでありますが、一体この開発の主体、この計画の推進の責任はどこにあるのかという点を、この際はっきりしておいていただきたいと思うのであります。
  103. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  むつ小川原につきましては、現在、県知事のほうから六月の初旬に第一次基本計画が提出されまして、関係各省寄りましてその県が出された第一次基本計画の内容について議論を進めておりまして、できるだけ早い機会にまとめて国の側の考え方を県のほうへ御説明しようという段取りにしております。  そこで、この計画の主体性の問題でございますが、原則論といたしまして、地域開発の計画というものは知事が総括的に責任を持ってつくるべきものであるということを私どもは感じております。しかし、県知事が全責任を持ってつくるにいたしましても、それを遂行するにあたって国が免責されるものではないということから、県が責任を持ってつくりました計画について国としても十分熟知し、そして了承できるものに修正をしていただいた上で、国としても責任を持ちたいという考え方で整理しております。
  104. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 究極の責任は県知事の責任、その計画を国も了承されれば国も共同責任を持つ、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  105. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 そのとおりでございます。
  106. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 青森県当局は、この開発計画に対して県民の、これは県民全体とはいえないと思いますけれども、その地域の住民の強い反対がある、その反対を押し切って第一次計画なるものを策定いたしまして、そして開発公社を設立して用地買収に当たらせると、かように報じられておるわけでありますが、この第一次計画は一体どういうものであるか。企業の種類であるとかあるいはその開発計画の規模はどういうものであるか、どういう程度であるか。さらにまた、この計画は、いままでのたとえば開発公社の設立の問題であるとか、その他それに関連をして進められてまいった経過は、一体政府が正式に了承したものであるかどうかということ。それから、いままで進められてまいりました経過は各関係の省庁の意見が完全に一致をした上で進められてまいったかどうかということ。それらの点につきましてひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  107. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 先ほど申しました、県が国へ提出いたしました第一次基本計画におきましては、その規模は工業開発のために必要な用地として五千ヘクタールということを申しております。その五千ヘクタールの中に石油精製基地として二百万バーレル、その他石油化学、火力発電所の規模についても計画の中へうたい込んでおります。県といたしましては、まず計画を住民に説明するためにはできるだけ具体的でなければならないということから、そういう内容のものを第一次基本計画として国にも説明いたしましたり、住民の方にも御説明していると伺っております。ただし、県におきましてもこの計画が最終的な規模及び業種をきめたものとは考えておらないと私どもは存じておりますし、国といたしましても、県から出された第一次基本計画を中心といたしまして目下検討をしておりまして、最終的な結論は各省間ではまた得られていないというふうに御了解いただきたいと思います。  それから、いまお尋ねのありました公社その他によります事業につきましては、現実に用地買収のためにむつ小川原総合開発株式会社という会社ができておりまして、この会社で一元的に土地を買収しようという方針と、その会社が用地を買収いたします際に、実際に現地におきます住民の方々との接触については、県が設立しました公社においてその事務を代行するという形で一括的に用地を買収したいということを方針として、これは政府と県との間できめております。しかし、この工事といいますか、用地買収の事務については、現在調査を始めている段階でありまして、具体的な用地の買収にはまだ本格的には入っていないというのが実情でございます。マスタープランのほうが固まることとあわせて本格的な買収に入りたいという方針でおります。
  108. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 この第一次計画による企業の種類は、いまの御答弁によりますと、石油精製の仕事、それがしかも日産二百万バーレルというのでありますから、したがって、相当大規模な企業になると思われます。さらにまた石油化学等も導入される、立地されるということであり、したがって、当然それに伴っての大型の火力発電所も建設をされる、こういうことでありますから、したがって、最初の私の質問に対して、これは知事の責任においてこの開発計画が進められるのだということであれば、やはりこれは国のほうの考え方は、地方開発というそういう性質のもとにこの仕事が行なわれる、こういう考え方に立って第一次の責任は知事にあるのだ、こういう御答弁だったと思うのでございます。しかし、ただいまの答弁によりますと、企業の性質からいうならば、むしろこれは地域開発というよりも国の産業計画の一環としてこのむつ小川原開発なるものが進められるというのが内容の実態ではないかというような感じがするのであります。ことに田中角榮総理大臣の書いた「日本列島改造論」だか改悪論だかわからぬけれども、あれを読んでみると、やはり国の計画としてむつ小川原の大規模工業地域の開発ということをちゃんと書いている。したがって、そういう総理大臣考えからいたしましても、これは第一の責任は知事にあるなんという考え方であってはいかぬと思う。これは当然こういう企業の種類、性質から考えても、責任の主体は政府である、責任は政府がとって、そして政府の責任でやるならばこの開発計画というものは進めていけるのではないか、私はそういうふうに考えるのですが、一体経済企画庁、どうですか。田中総理大臣も改造論だか改悪論だかに書いておる。
  109. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 私どもといたしましては、新全国総合開発計画から出発しておりますが、いままでコンビナートをつくります場合に、石油で申し上げますと、石油の全国的な需給というようなことを一つ問題といたしまして、新しい基地が需要の上から必要であるということは、むしろ国の側から指摘すべき事柄であると思います。もう一つは、いままで石油基地は東京湾あるいは四日市の伊勢湾あるいは大阪湾、瀬戸内海へ群集しておりまして、この群集をさらに増設していくことは困難であるということから、むしろそういった大都市周辺もしくは太平洋ベルト地帯からはずれた地域に新しく基地をつくらざるを得ないのではないかというような観点も、これは国の立場から出てくると存じております。そういうようなことから、新しい適地を求めて全国的な立場からむつ小川原というものはかなり適地性を持った地区であるという指摘は国の責任でしております。  しかし、その適地がはたしてほんとうに建設していいかどうかということについては、二つ条件があると考えております。一つは、その地域なりに基礎的な調査を繰り返して、環境破壊が著しい状態にならないで済むかどうか、済むためにはどの程度の規模で押えなければならないかということが、基礎的な調査として必要であるということが一点ございます。それからもう一つは、やはり地域の利益というものを守るという角度から、どういう範囲でその開発が可能であるかを見定めなければならないということで、新全総で全国的な立場からこのむつ小川原開発の必要性を訴え、そしてそれを構想として述べておりますが、それが現実のものとなるためには、知事が中心となってその地域の環境条件の調査なりあるいは地域の利益というものについての調整がはかられる必要があるという意味で、その地域の総合開発計画については知事が総括責任を持つほうが適当ではないかと思っておりますが、国として提案しました以上は、知事がつくられた開発計画について責任を持つことは当然であるという趣旨を先ほど御答弁したつもりでございます。
  110. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 というと、知事のつくった計画に対しては国が全面的に責任を負う、こういうふうに解釈してよろしいわけですか。つまり、知事がつくった計画を推進するのは国が責任を負ってやるんだ、こう解釈してよろしいわけですか。
  111. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 先ほども申したことで、繰り返して申しわけありませんが、現在では県が第一次基本計画を出してきておりまして、この第一次基本計画をそのまま国が認められるというふうになるかどうかということは現在検討中でありまして、最終的には国と県の意見の全く一致したものを県の計画として認めて、そしてそれに対して責任を持つというふうに考えております。
  112. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 結局は国の責任でこの事業を遂行するんだ、かように解釈してよろしいわけですね。知事が計画をしたものを国がそれを認めれば、国の責任でこれは推進をするんだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  113. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 当然その公害の責任は、進出いたします企業に直接の責任がございますし、ものによりまして知事が全責任を負うものもありますけれども、総括的な責任は計画を認めた以上は国がしょうべきだと思います。
  114. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 よろしゅうございます。了承いたしました。公害等の問題が起きました場合も、ひとつ国が全責任を負って解決に当たってもらいたいと思います。  次に、農林省お尋ねをいたしますが、この第一次計画のねらいは用地の買収の促進、それから農地の転用が第一に遂行されるんだと、かようにいわれておるわけでありますが、農地法の基本的な考えから見て、基本的な精神と言ってもいいでしょう、それから見て、このような大規模の開発計画で農用地を五千ヘクタール——第一次計画では五千ヘクタールといま答弁がありましたが、この五千ヘクタールを工業用地として転用することは、非常に私は農民にとっては大きな問題だと思います。また大きな問題でありますから、地元ではいろいろな反対なりいろいろな問題が起きているわけですが、こういう大規模の農地を、しかも地元住民、農民の相当根強い反対があるにもかかわらず、これを推し進めるということに対しては、農林省は一体どう考えますか。
  115. 三善信二

    ○三善説明員 むつ小川原地区における農地の転用の問題でございますが、私ども農地法上は、この農地の転用というのは、やはり農業以外の土地利用との調整というものを十分はかって、しかもそのあとで農地が効率的にあるいは合理的に利用されるということを旨として転用をやってきているわけでございます。このむつ小川原の場合、面積的には先ほど先生言われました五千ヘクタールの中で農地が千五百ヘクタールあるということでございまして、その農地の千五百ヘクタールの転用の問題につきましては、先ほど来企画庁のほうからもいろいろと御答弁がありましたように、全省的に関係各省がこういった大規模な工業開発計画を認め、そして国もそれに即して促進をしていこうということでございますので、そういう計画につきましては、各省の意見の一致を見れば、私どもとしては農地の転用についてやはりこれを認めていくというようなことをやっていきたいと思っているわけでございます。  ただ、先生言われましたように、地域住民の反対、そういった問題を押し切って現実にこの用地の買収、取得ということが行なわれることは、これは非常にむずかしい問題ではないかと思います。したがいまして、もし全省的にこの開発計画が認められるという段階になりましたら、そこで先ほどお話がありましたように、県の開発公社が中心になり、むつ小川原開発株式会社が一手にこの用地の取得をしていきたい。これもほかのいろいろのブローカーが入って土地を荒らすというようなことを排除するために、そういう配慮も考えているわけでございまして、私どもも、もしこのむつ小川原の計画が実現されます場合には、県に対して、十分農民の意向その他を調査し、現実の行動に取りかかるようにということは、かねがねから指導しているわけでございまして、今後とも、そういう段階になれば、なお一そうのそういう指導は県に対してしていきたいと思っております。
  116. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 現地の農民の間には、農地の転用については非常に強い反対があるわけでありますから、したがって、農民の意思を守るという立場に立って、直ちに農林省としてはこの問題に対処していただきたいと思うのであります。  そこで、続いてお尋ねをいたしますが、この開発に伴って該当住民の移転先の新市街地用の用地を計画推進の事前に買収しようとして、その農地転用をはかろうということで、地権者と近々交渉を始める、あるいは内々に交渉をしておるというようなことも伝えられているのであります。開発計画そのものがまだ明確に確定をしていない、したがって、この工業用地の農地転用等ももちろんきまっていない。にもかかわらず、新市街地用の農地の買収交渉あるいは農地転用の方針を進めるということは、まさに本末転倒というか、逆なやり方ではないか、かように考えられるわけなんですが、農林省としてはどういう御見解ですか。
  117. 三善信二

    ○三善説明員 それは私、ちょっと聞き違いかもしれませんが、開発区域内の地区における新市街地形成のための用地の買収の行為ということでございましょうか、それとも開発区域五千ヘクタールの外の用地買収の問題であろうか、どっちかと思いまして、ちょっとはっきり私もよくわかりませんのですけれども、その点、もしよろしかったら教えていただきたいと思います。
  118. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 伝えられるところによると、これは開発計画の地域内の用地ではないように解釈されるのであります。この新聞の伝えるところによると、同公社では今月二十五日、現地の六ケ所村千歳部落で新市街地予定地の地権者七十六人と交渉を始める、こういうことなんです。そして、この新市街地の用地の買収の条件は、この開発計画区域内の用地の買収と同じ条件で交渉するのだ、こういうふうに書いてありますから、したがって、おそらくこの五千ヘクタールの外に市街地を建設しよう、こういう計画ではないかと思われるわけであります。これは明確には聞いておりません。どっちか私もわかりません。ただ、新聞記事から解釈すると、そういうふうに解釈されるわけです。
  119. 三善信二

    ○三善説明員 その話は私どもは具体的にはまだ県から聞いておりませんので、もし先生おっしゃいましたことが事実であれば、その地区外で新市街地を形成するための宅地にするための農地の買収交渉をやっておるということであれば、当然そういう転用の申請が上がってくるはずでございますから、その点、まだ県から具体的に私ども話を聞いておりません。
  120. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 これは大問題だと私は思うのです。この開発計画区域内に新しい住居地あるいは新市街地を建設しようというならばまだしも、新聞記事によりますと、その区域外で二百ヘクタールあるいは三百ヘクタールといったような農地の転用をやろう、こういうふうに伝、えられているのでありますから、したがって、そういうことは農地法の精神からいっても問題だと思うし、それからまた、その地域の農業の営農上からいっても大きな問題が出てくるのじゃないかと思うのです。もちろん今月の二十五日に説明会をやるというのでありますから、したがって、この地域の農民たちは何といって意思表示をするかわかりませんけれども、いずれにしてもこの区域外にそういう敷地を求めるということは大きな問題だと思いますから、この説明会の結果を——農民の意思がどういうふうにあらわれるかわかりませんけれども、そのあらわれた意思を農林省としても十分尊重する、そういう立場をとってもらいたいと思いますが、御意見はいかがですか。
  121. 三善信二

    ○三善説明員 その場合は、一般の農地転用と同じ取り扱いになるかと思いますが、農地の転用に際しましては、先ほど申し上げましたように、基本的にはやはり優良農地は守っていく。ただし、その地区、地区における農地を転用し、効率的に利用するということがむしろ国民経済的にもそのほうがベターであるというような大きな判断も加えていかなければなりませんし、そういった問題を踏まえて、もし県でそういう話し合いを行なわれているとすれば、その話し合いに応じた何らかの私どもに対する県のアプローチがあろうかと思います。具体的には、先ほど申し上げましたように、やはり農地転用の具体的な申請が上がってくるはずでございますから、その申請が上がってきた場合に、いま申し上げましたようないろいろな観点を加味して考えていきたい、対処していきたいと思っております。
  122. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 もう一点経企庁に 伺いしておきます。  この大規模開発の南の拠点として、鹿児島の志布志湾ですかの大隅開発計画があげられておるわけでありますが、この計画は経企庁の方針で連絡会議の発足を無期延期した、そしてこの計画の推進を一時中止した形になっておるというように聞いているのですが、これは事実ですか。
  123. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 志布志におきます開発につきましては、目下知事が志布志についての新大隅開発計画試案をつくりまして、住民の方々との話し合いをしております。青森県の場合は、第一次基本計画ということで、すでに国への説明を終わっておりますが、鹿児島の場合には、まだ国へ説明する段階にまで至っていないという状態でございまして、国といたしましては、鹿児島県のほうの計画がまとまり次第、青森県と同様に、関係省庁が集まって十分県の意向のお話を関係各省で伺いたいという態度については方針を変えておりません。また、現在、国といたしましても、関係各省協力して志布志に関します環境条件の調査をしておりますので、その調査の成果についてはできるだけ早い機会に関係各省集まって、その調査成果の検討をしたいということも考えておりまして、一部無期延期というふうな報道が出されたと私も聞いておりますが、方針としてはいま申し上げたとおりで、変わっておらないつもりでありますが、しかし、一部報道されておりますように、直ちに埋め立てをしてコンビナートをつくるということを急いでいるということはございませんで、かなりじっくりと取り組みたいという方針でございます。
  124. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 いずれにいたしましても、志布志の場合にはまだ試案程度であって、正式には取り上げられていない。むつ小川原の場合は、第一次計画なるものが知事から提出されて、それに基づいて国のほうでもいろいろ調査をしておる、こういう次第でありますが、御承知のように、むつ小川原の場合も、地元では非常に強い反対があるわけであります。これは経企庁のほうでも御承知のことと思いますが、そういう事態にかんがみて、この地元住民の——それは一部の賛成された住民もあるでしょうが、非常にとも言えないかもしれませんが、相当多数の住民が反対をしているというように私は聞いておるわけであります。そういう事態を十分踏まえて、六ケ所村を中心とした関係住民との間にさらに十分な話し合いを行なって、そして完全に住民と了解ができるまで、県のほうからいろいろな推進の要請等があったとしましても、反対しておる住民の納得が十分得られるまで話し合いを進めた上にこの計画の推進をする、そういう方法をとってもらいたいと私は思うのであります。したがって、その話し合いが十分つくまで、一時計画を進めることを延期すべきではないか、かように考えるわけでありますが、経企庁の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 いまお話しになりましたことにつきましては同感でございますけれども、しかし、私どもといたしましては、住民の方々とお話し合いをいたしますときに責任ある答弁をしたいという気持ちが非常に強くございまして、県の第  一次基本計画が出ましたのに対して、国のほうははたしてこれに対してどう考えるのかという住民からの御質問をいただいているわけでございますから、国としてはどういうふうに考えるかというまず第一次の考え方を住民の方々になるべく早く御説明をしたいとも思います。そして、いままで住民の方々とお話をしていて、はたしてほんとうに企業が来てくれるのかどうか、あるいは幾らで土地を買ってくれるのか、あるいは移転する場合にはどこへ代替農地なり、どこへ自分の住むべき宅地を知事が供給してくれるのかというようなことで、非常に具体的な御質問をいただいて、それが不明確であるがゆえに反対であるという方も多いわけでございますから、第一次基本計画を中心としてできるだけ具体的な計画にまとめて、国と県とにおきましてそういう方針でいくのであるということを住民の方々に御説明を申し上げたいという事務的な作業はぜひ急ぎたいと思いますし、また一方で、住民の方々が公害について非常に心配をしておられて、既存の工業地域におきます事件もありまして非常に不安がございますから、それに対してどのような措置を講ずるのかということもあわせて住民の方々に御説明をするという努力を重ねることによって、住民の方々の御協力が得られるのではないかということを期待しておりまして、その努力はいま委員からおっしゃったような方針でぜひ急ぎたいと思っておりますが、しかし、慎重にはやりたいと考えております。
  126. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 以上で終わります。
  127. 仮谷忠男

    仮谷委員長 小宮武喜君。
  128. 小宮武喜

    ○小宮委員 まず大臣質問したいと思います。  大臣は、今度の生産者米価の値上げに伴って消費者米価、いわゆる政府売り渡し価格の引き上げについても、十一月一日から約一〇%程度引き上げたいということで、十月初めに米審を開いて諮問したいというようなお考えのようでございますが、この点について大臣の所見をまずお聞きしたいと思います。
  129. 足立篤郎

    足立国務大臣 いまおっしゃるような内容新聞報道、私も拝見をいたしました。しかし、私はその新聞社に、いまおっしゃるようなことをはっきり申し上げた覚えはございません。それは先ほど斎藤さんの御質問でも、私、お答えしたのですが、末端逆ざやは農政を預かる私の立場としては何とか早く解消したいという気持ちは持っておりますから、今後政府部内の調整をはかりまして、場合によれば一部消費者米価の引き上げということも処置しなければならない段階が来るかと思いますが、そういう場合には、この前の米審でもお約束してございますが、あらためて米価審議会を開いて諮問をするというふうに考えておる次第でございます。
  130. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、新聞報道にあった十一月一日から約一〇%の消費者米価の値上げをするというのはうそだということですか。
  131. 足立篤郎

    足立国務大臣 うそだと、私、申し上げているのじゃありません。私がそういう発表をした覚えはないということを申し上げているわけであります。
  132. 小宮武喜

    ○小宮委員 米価審議会を開いてということをいま言われましたけれども米価審議会はいつごろ開く予定ですか。
  133. 足立篤郎

    足立国務大臣 まだ消費者米価についての政府部内の調整がとれておりませんから、それが見通しがついた段階でその後の段取りは考えます。
  134. 小宮武喜

    ○小宮委員 今度の米審で、消費者米価についても値上げをしてよろしいというふうに米審のほうで決定した答申があったというふうに大臣理解されておりますか。
  135. 足立篤郎

    足立国務大臣 御承知のとおり、米穀政府売り渡し価格についての答申は次のようになっております。「政府売渡価格については、物価に及ぼす影響にかんがみて据置きの主張もあったが、物価問題のほか、政府買入価格および自主流通米制度との関係等を考慮し十分検討のうえ措置すべきである。」こういうことでございまして、はっきり消費者米価を上げてよろしいという答申ではございません。しかし、前段にありますように、据え置きの主張もあったが、しかし、これこれの事情も考えて措置せよというのでありますから、政府にある程度の幅を持たされたというふうに理解をいたしております。
  136. 小宮武喜

    ○小宮委員 確かにいま大臣が言われたように、この答申にはそのようになっておるわけです。したがって、またこの答申について、小倉米審会長から消費者米価の値上げを認めたものではないということもはっきり言っておるわけですけれども、いま米審を開くということは、当然消費者米価を値上げするための米審を開くのではないかというふうに考えておるのですが、先ほど大臣の答弁の中にあった米審を開くというのは、消費者米価の問題を諮問するための米審というふうに、時期は別として理解していいですか。
  137. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど、私、御説明申し上げたのはちょっとことばが足りなかったかもしれませんが、生産者米価決定米価審議会の席上私が質問を受けまして、消費者米価について政府がこれを改定しようとする場合にはもう一度米審を開くかという御質問がありましたから、そのとおり考えております、こういうふうに答弁してまいっておりますから、いまおっしゃるとおり時期等はまだきまっておりませんが、もし消費者米価を改定しようということが政府部内できまりますれば、もう一度米審を開く、こういう予定でおります。
  138. 小宮武喜

    ○小宮委員 今度の生産者米価の引き上げによって食管会計の財政負担は幾らぐらいふえるわけですか。これは長官でいいです。それと、食管の赤字が四十七年度だけで四千五百億といわれておるわけですが、その四千五百億プラス今回の引き上げによる財政負担増の分、合わせて幾らになるのか、その点だけをひとつ御答弁願います。
  139. 亀長友義

    亀長説明員 今回の生産者米価の引き上げ並びにこれに関連をいたしまして、銘柄米奨励金等あるいは自主流通の促進等の経費の支出がございます。これらを合計いたしますと、四十七年度について申し上げますれば、国内管理勘定においておおむね八百億円の歳出増ということに私ども考えております。四十七年度の食管全体の予算といたしましては、約二千六百億というのが赤字でございまして、このほかに過剰米処理の六百億がございます。したがいまして、それが八百億増加をいたす、かように考えております。もちろん全体的にはなお今後の変動要因がございますので、結果的にはどのようになるかはこれまた売れ行きその他の別の問題でございますが、いま予算との対比で申し上げますれば、いま申し上げましたように考えております。
  140. 小宮武喜

    ○小宮委員 これも長官に質問しますが、四月一日から消費者米価を物統令から適用除外した場合に、米穀業者の販売マージンを一〇%から一六%に引き上げましたね。それと同時に、卸売り業者への政府売り渡し価格も一俵につき六十円安くしたというのは事実ですか。
  141. 亀長友義

    亀長説明員 お答え申し上げます。  四月から物統令の適用廃止にあたりまして、販売業者のマージン、人件費の高騰等を考えまして、一俵当たり六十円値引きをいたしました。これはすなわちマージンに充てられるわけでございます。卸、小売りも合わせまして合計で六十円であります。
  142. 小宮武喜

    ○小宮委員 この場合、政府は物統令から消費者米価を適用除外しても小売り価格は上がらぬのだということを盛んに宣伝してきておったものだが、やはり物統令の適用を廃止するならば小売り価格は上がりますよ、また上げますよというようなことで、業者からのいろんな圧力がかかって、それに対して、政府もいままで小売り価格は上がりませんよということで宣伝をしてきた手前、どうしても上げてもらっては困るということで、食糧庁あたりは販売マージンを引き上げたり、卸売り業者に対しても売り渡し価格を下げたりしたんではないかというふうに私は勘ぐっておるのですけれども、それは別として、それでは、この前の四月の月に、消費者米価、小売り価格は一つも上がっておらぬというようなことを御答弁しておったのですが、四月一日以降すでに三カ月たっておるわけですが、その後の消費者米価、いわゆる小売り価格の動向はどうなっておるのか、この点をひとつお知らせ願いたい。
  143. 亀長友義

    亀長説明員 物統令撤廃に際しまして、たまたま四月一日からマージンの引き上げをいたしました。もちろんこれは撤廃をしてもなお上がらないということも含んでおりますが、過去数年来、例年これは御承知のように世間の物価、人件費等も上がりますので、毎年予算編成の際に改定してまいりまして、四月からも毎年の例に従って改定をいたしたという配慮でございます。  なお、物価統制令廃止に伴いまして、いろいろな措置をそのほかにもとりましたことは、もう数回御説明申し上げましたので御承知と思いますが、四月以降の小売り価格の水準というのも私どもずっと四月から毎週調査をいたしております。それと撤廃前の三月十四日との比較をいろいろいたしておりますが、きょうちょっと資料を持っておりません。四月以降毎週調査をいたしておりますが、週により若干の変動がございます。しかしながら、全体をとりますれば、物統令撤廃前とほとんど変動しておらぬという数字が出ております。資料をきょう持ってきておりませんので、御必要でございますれば資料で差し上げたいと思います。
  144. 小宮武喜

    ○小宮委員 現在の各世帯で米の支出の中に占める割合は大体何%ぐらいでございますか。
  145. 亀長友義

    亀長説明員 勤労者の家計で申しますと、三・六%というのが全体の支出の中に占める比率でございます。
  146. 小宮武喜

    ○小宮委員 配給米にかわって標準価格米という制度を設けたわけですけれども、いまこの標準価格米の売れ行きというか、活用されておる分はどうなんですか。東京都内とか大阪あたりの大都会ではすでに自主流通米がやはり五十数%も利用されて、標準価格米はあまり歓迎されておらぬということをわれわれは資料でも見ておるし、また事実そのような傾向があるようですけれども、昔の配給米、いわゆるいまの標準価格米の売れ行きは大体どの程度になっておりますか。
  147. 亀長友義

    亀長説明員 標準価格米の売れ行き状況でございますけれども、私のいま持っております資料で申し上げますと、総理府の家計調査によりますと、四月分は四三%、五月はまだ総理府のは出ておりません。食糧庁で調査をいたしましたのによりますと、四月が三九・六%、五月分は四〇・三%と大体四〇%程度消費をされておるという実情でございます。  これを物統令撤廃前のいわゆる配給米として消費されておるものと比較をしてみますと、大体配給米と同じ程度であります。しかし、地域によりまして、大都会等では非常に自主流通米の比率が強く、地方におきましては配給米、標準米の比率が強い。全国的には上下がありますが、平均をいたしますと、先ほど申し上げましたような率になろうかと思います。
  148. 小宮武喜

    ○小宮委員 念のためにひとつお聞きしますが、四十七年産米の生産調整の実績、これは二百十五万トンの目標で現在実施しているわけですけれども、いまの実績は大体どのようになっておりますか。
  149. 内村良英

    ○内村説明員 四十七年産米の生産調整につきましては、生産調整目標数量二百十五万トンということで各県、市町村、農民の御協力をお願いしたわけでございますが、六月三十日現在の実施見込み率によりますと一一二%ということになっております。
  150. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は林野庁のほうに質問します。  いま国民の要請が非常に高まりつつある自然保護の問題について、政府がもっと積極的に取り組むべきではないのかというふうに考えるわけですが、この自然保護の問題について取り組む姿勢について、ひとつ林野庁長官考え方をお聞きしたいと思います。
  151. 福田省一

    ○福田説明員 御指摘のように、最近は自然保護に対します要請が非常に強くなっております。したがいまして、従来は木材の増産と、しかもそれを能率的に生産するということを特に国有林等におきましては重点的に考えておったわけでございますけれども、本年二月から新しい施業の方針を出しまして、伐採のしかたにつきましては、大面積の皆伐はやめる。従来は能率をあげるためには大面積の皆伐、しかもそれを連続してやった場所もございます。そういった点は漸次縮小しまして、約三割近くの皆伐面積を減らしております。減らしました皆伐面積は、特に奥地林の天然林の禁伐、それから中腹地帯におきましては抜き切り、つまり択伐するというような方式に変えております。なお、里山近くはできるだけ小面積に皆伐する。しかもその周囲には天然林を残すというようなことで、したがいまして、伐採量も減少することにいたしておるわけでございます。なお、そのほかに、保安林の制度につきましては、今後特に保健保安林とかあるいは防災保安林等の強化をはかるために森林法改正もただいま検討中でございます。そのような方向につきましては、四十八年度の予算を含めあるいは法律の改正を含めて、ただいま林政審議会におきましても検討を願っておるところでございます。
  152. 小宮武喜

    ○小宮委員 長官、自然保護の問題にしても森林施業体系の問題にしても、結局、問題は、いまの国有林野会計では、いまでも赤字ですから非常にむずかしいのじゃないか。そういうような意味でも、この問題についてはあとでも質問しますけれども、こういうような自然保護の問題とか、いろいろこういったことについての財源、これは従来のような国有林野会計からだけではなくて、一般会計からある程度繰り入れていくというようなことも考えなければ、国有林野事業はもうパンク寸前というよりむしろパンクしておるというようなこと等も考えた場合、こういうようなものに対しての必要財源は一般会計の負担にすべきだというふうに考えるのですが、これは長官から御答弁をいただいて、特に大事な問題ですから、大臣からもひとつ御答弁を願いたいと思います。
  153. 福田省一

    ○福田説明員 終戦後、林政統一がございまして、特別会計の制度ができたのでございますが、先生御存じだと思いますけれども、戦前は森林を伐採しましたその収入というものは全部が山に返っておりません。その約半分は開拓財源その他に回っておったわけでございます。したがいまして、森林の伐採の収入というものはすべて森林に返しまして、治山事業なりあるいは林道の事業、造林事業等に投資すべきであるということからこういう独立採算制度ができたのでございますけれども、収入の約九〇%というものは木材の販売収入でございます。  最近は木材の販売収入は低迷いたしております。なお支出のほうの約六割というものは人件費でございまして、人件費はやはり他産業並みのベースアップをいたしております。したがいまして、四十七年度は従来の差額によりますところの積み立て金はすべてゼロになったわけでございます。若干運転資金は残しておりますけれども、そういうような情勢でございますので、ただいま申し上げました公益的な面を重視した森林施業をいたしますと、伐採量は減少いたしますし、なお施業のしかたがむずかしくなる、コストもかかってくる、いろいろそういう関係があるわけでございます。しかしながら、やはり伐採事業あるいは造林事業、そういったものにつきましては、なお今後徹底した合理化ということをはかっていかなければならないと思います。  そういうふうな点を確立しました上で、先生御指摘の公益的な面に要する経費、たとえば治山の事業費であるとかいうものは一般会計からの導入をお願いしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。なお、四十七年度におきましては、そういうふうな意味で従来ほとんど木材販売収入によってやっておりました治山事業費のうちの約半分は一般会計からすでに導入を願っております。
  154. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは一般会計から治山治水事業については出しておるわけですか。どれくらいですか。
  155. 福田省一

    ○福田説明員 四十七年度は一般会計から入れました治山事業費は六十六億でございます。なお、木材の販売代金でまかなっておった事業勘定に出しました治山費は六十一億、合わせまして百二十七億でございます。ただ、実はいま申し上げました六十六億のうち約二十億というものは特別会計の積み立て金の中から一般会計に回したものでございますから、差し引き四十六億というものが純然たる一般会計からの導入でございます。
  156. 小宮武喜

    ○小宮委員 長官は六十八国会の参議院の農林水産委員会質問に対して、国有林野事業の財政悪化の要因について、国有林再建の具体策とその赤字要因について、国有林野事業の赤字は人件費の増大、木材価格の低迷が大きな要因であり、目下抜本改善に努力し、林政審議会の答申を受けてやりたい、こういうように言われておるわけですね。先ほどの答弁の中にも林政審議会ということばが出てきましたけれども、大体いつの委員会でも、よく林政審議会、林政審議会と言って、いつごろならば林政審議会の答申が出るとか——最初は五月末ごろには出るというような答弁をしておるわけです。その次は六月、その次は七月、その次は八月、大体いつごろ抜本策をやるための林政審議会の答申が出るのか。いつも長官は、ここで答弁するたびに次々と延びておるわけです。その点、林政審議会に大体正式に諮問してあるのですか、どうですか。私は、林政審議会でただ農林大臣がこういうような問題をひとつ考えてくれというような、あいさつの中でそういうようなことをしたということは聞いておるのです。それで国有林部会でそれを煮詰めておるということは聞いておるわけですが、正式に林政審議会に対して内閣として諮問をしたということはあるのですか。その点どうですか。そうせぬと、林政審議会の結論というのが次々延びて、われわれは林政審議会の結論を待たずに、そろそろ四十八年度の予算編成を控えてどうするのかということを非常に心配しておるのですが、林政審議会の答申というのはいつごろ出るのですか。
  157. 福田省一

    ○福田説明員 林政審議会におきまして国有林部会を設けて検討を始めましたのは昨年の九月でございます。その以後毎月大体二回程度審議を願っておりまして、中身のことは省略さしていただきますけれども、最近まで約十四回審議をしていただいております。ただ、四十八年度の予算を年末に決定するまでにはすべてその大綱は得なければなりませんので、スケジュールといたしましては、先ほどいろいろ延びておるではないかという御指摘を受けましたけれども、延びた理由はここでは御説明申し上げませんけれども、九月には大体林政審議会に国有林部会の中間答申を出しまして、そこの林政審議会におきまして年内にそれを検討していただく、こういうことで、なお林政審議会は総理大臣の諮問機関でございますので、総理大臣からの諮問を受けますと同時に答申が出るように準備いたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、四十八年度の予算につきましては、すでにいままでに国有林部会におきましていろいろと討議を願った内容につきましては、おおよそ各委員意見が一致しておる点につきましてはその考え方を盛り込んでただいま林野庁としては予算の編成をし、官房と打ち合わせの段階に入っております。
  158. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、六十八国会における長官の答弁の中で、林政審議会の答申を受けてやりたいと答弁しておられるようですが、しかし、正式には林政審議会に諮問はしていないわけですね。したがって、現在では国有林部会のいろいろな煮詰めた案ができておるようですけれども、しかし、この前の答弁以降、具体的に何をしておったのか、どうしておるのか、国有林の抜本対策については結局林政審議会の答申待ちということで、林野庁としてはいまのところでは何ら手を打っていないということですか。
  159. 福田省一

    ○福田説明員 林政審議会のただいま申し上げました国有林部会の中間答申を得ますれば、なお林政審議会で御検討願うわけでございますけれども、ただ、私たちは、林政審議会の委員の皆さま方の御意見をいただいて、その結果を全部集約してそれでつくるまで何もしていないというわけではございませんで、やはり委員の皆さま方からいろいろと資料の提出を求められたり、あるいはまた意見を求められておるわけでございます。そういう過程の中におきましていわゆる抜本制度改善の中での予算に関する問題、特に先ほど申し上げました自然保護の要請に対応するそういう公益的な事業に対する予算措置というものについての一般会計からの繰り入れ、これは一応予算の中でいろいろと作業をしておるわけでございます。ただ、組織の問題であるとか、その他財務制度の問題であるとか、あるいはまたそれに関する人の問題であるとかということにつきましては、予算には直接関連なくともいろいろとむずかしい問題がございます。これらについてはなお林政審議会の国有林部会におきましてもおおよその大綱は煮詰めつつありますけれども、なお若干の検討を林政審議会においていただかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  160. 小宮武喜

    ○小宮委員 結局、いま林政審議会、林政審議会と言っておるけれども、しかし、林政審議会に内閣として正式に諮問はしていないのでしょう。ただ林政審議会の国有林部会がいろいろ検討しておるだけであって、内閣としては正式には林政審議会に諮問しておらぬわけですね。そうすると、いまいう公式の林政審議会の答申ということになれば、やはり正式に内閣から林政審議会に諮問をするという形をとらなければならぬということになりますね。それはいつするのですか。内閣から正式に林政審議会に諮問するという形をとるとすれば、それはいつやるのですか。
  161. 福田省一

    ○福田説明員 何月何日というふうには実はまだ定めてはおりませんけれども、大体林政審議会に国有林部会の中間答申を上げて、林政審議会で検討をいただいて、おおよその骨子がまとまり次第諮問をいただいて、諮問を出しますと同時に答申ができるようにしたいというふうな一応の考え方でございます。
  162. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、国有林部会で一応の結論を出して、それでこれを林政審議会で一応煮詰めた段階で内閣として正式に諮問するという形ですか。いま国有林部会ではまだ最終的な結論というのは出ていないわけですね。いま煮詰めの段階ですが、国有林部会では結論が出ておるのですか。
  163. 福田省一

    ○福田説明員 先ほど、九月の初めに大体中間報告をまとめて林政審議会に上げて、林政審議会として九月中には検討いたしたい、こう申し上げました。つまり、国有林部会としてはおおよその荒筋は固まっておるわけでございますけれども、九月の初めぐらいには林政審議会に上げられるというふうに考えております。  国有林部会の中間答申というのは、予算に関連する事項その他についておおよそ固まる。林政審議会に御検討願う事項は、先ほど申し上げました予算に直接関係のない事項でいろいろむずかしい問題もございますので、そういった面の検討もお願いしたい、かように考えているわけでございます。
  164. 小宮武喜

    ○小宮委員 その他、自然保護その他森林の公益的機能の増進に対する国民の要請にこたえて、国有林野事業として何か新たな観点に立って事業を積極的にやるべきじゃないかという考え方もするわけですけれども、そういうような国民の要請にこたえての新たな事業に取り組む姿勢があるのかどうか、また、あるとすれば、どのような事業をやろうとしておるのか、その点についてひとつ長官の所見をいただきたい。
  165. 福田省一

    ○福田説明員 特に最近国有林といたしましては、新たな国民の皆さま方の要請というものはどういうものであるかということを考えますと、森林に対する価値観が非常に変わってまいりまして、御承知のように、木材生産以外のいろいろなレクリエーションの場としての森林、いこいの場としての森林、そういった、都市の人たちが特に緑を求めるという感覚から、森林に対する価値観というのが非常に変わってきたと思うわけであります。ですから、そういう面に対する国有林としてのサービスの事業というものは、国としてどの範囲までやるかということはただいま検討しているわけでございます。国がやります仕事の範囲と、それを民間を組み入れて、いわゆる第三セクターと申しますか、そういう形でやるべき仕事とはどういうものであるかということをいろいろと検討しておるわけでございます。すでに昭和四十七年度の予算におきましても、ある県におきまして、大規模レクリエーションエリアというふうな構想のもとに、ただいま申し上げましたようなモデルの地区といたしまして、ただいま実施しているわけでございます。  国有林と民有林を通じまして、特に一例として申し上げますと、最近頻発しますところの森林災害に対する常時の点検であるとか、あるいは森林火災に対する予防の見張りだとか、あるいは森林病虫害に対する常時の見張り、あるいは山に入ってきました人たちに対するいろいろな指導とか注意とか、そういうことをやりますためには、国有林、民有林を通じまして森林パトロールというふうなものの強化も必要であろうと思うわけでございます。それに対しまして国有林がどういう形でこれを応援していくか。いずれにしましても、こういったことは一つの代表的な事例でございますけれども、そういう方向でただいまいろいろ検討しているわけでございます。
  166. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま長官が言われたようないろいろな事業が考えられておるようですけれども、その事業をやる場合の収益性の問題、その費用負担の問題、これがまたいまの国有林野会計の中では非常にむずかしい問題じゃないのかというように考えますので、その場合の費用の負担だとか収益性の問題等について、いま森林パトロールとか言われましたけれども、そういうような問題にしても、これは収益性がさほどあるわけでもない。そういうような意味で、新たな観点に立って国民の要請にこたえてやる事業というものは、その収益性が非常に乏しく、また費用負担をどうするかというのがやはり問題になってくるのですが、その点について何か考えがあれば、御参考までにひとつ聞いておきたいと思います。
  167. 福田省一

    ○福田説明員 ただいま申し上げました森林のいわゆる保護管理と申しますか、そういう意味での森林パトロールというものは収益事業ではございませんので、これはやはり一般会計からの財政負担をお願いしたいという考え方でございます。ただ、いろいろございましょう。たとえば狩猟の問題であるとか——いわゆるハンティングとフィッシングと、狩猟にも二つございますけれども、そういうような問題であるとか、あるいはスキー場の問題であるとか、そういう施設、あるいはまたこれは時代感覚としていかがなものか、ゴルフ場にひとつ国有林を活用してくれという要請も非常にあるわけであります。これに直営でやっておりませんけれども、それを貸し付けて場所を提供してある場合もございます。いろいろと国民の皆さん方からの要請が強いわけでございまして、そういうものに対して国有林が施設をする場合はどの限度までやるか。まさかゴルフ場の経営まで国が直接やるわけにはまいらぬと思うわけでございまして、施設をし、その後の管理をどこにどのようにやらせるかというような問題につきましては、やはり先ほど申し上げました第三セクター的な考え方がいいのか、いろいろ方法がありましょうから、それらを含めまして国のやる範囲はどこにあるのか、それぞれの費用負担の問題につきましても、ただいまいろいろと検討し、内部でも検討して大蔵とも話し合いを始めつつあるところでございます。
  168. 小宮武喜

    ○小宮委員 最近、外材がすでに五十何%も輸入されておるわけですが、これに対して政府として、長官として、このまま野放しにしておくのか、あるいは何らかの調整措置を、これは国内の木材価格等の問題とも関連するわけですが、考えておられるのか、その点はいかがですか。
  169. 福田省一

    ○福田説明員 外材につきましては、すでに御承知のとおり、国内需要の五五%に達しております。したがいまして、四十五年度から、外材の規制につきましては、外材の需給の調整の委員会のようなものを設けまして、これは輸入の業者と、それから使用する側の業者と、それと山の持ち主の方々とかあるいは学識経験者、それに政府も入りまして、その検討会をやっております。それで四十五年度、四十六年度、四十七年度は一応は自主的に規制しておるわけでございます。  ただ、この問題につきましては、こういう形でいくのはなかなかむずかしいということも最近若干傾向が見えておりますので、そうなりますと、もっと制度的な方法、たとえば課徴金の問題であるとかあるいは関税をかける問題であるとかいうことにつきましても検討しなければならないと思っておるわけでございます。  ただ、私から申し上げるまでもなく、先生御承知かと思いますけれども、この自由化の時代に、ただ単純に課徴金あるいは関税というふうにはまいりません。国外の、いわゆる日本以外の国とのそういう話がつけられ、また国内におきましても、輸入をする者とそれを使用する者との間に意見の相違もございます。それらの点をいろいろと考慮いたしまして、課徴金をどのような形でかけるか、あるいは関税はどういう形でかけたらいいのかということも、実はただいま検討はいたしております。しかし、これもいつまでも検討検討でまいるわけにまいらぬと思っております。そこで、これにつきましても、やはり抜本制度改正の中の一環といたしまして早急に結論を出さなければならぬ時期が近い、かように考えておるわけでございます。
  170. 小宮武喜

    ○小宮委員 国有林野事業が非常に赤字だということで、そのことが原因で、国有林野事業に働く人たちの労働条件に大きく影響しておらぬのか、しわ寄せされておらぬのかということをちょっとお聞きしたいのです。  というのは、国有林野事業に働く人たちに対しては、ことしの四月一日からの定期昇給もいまだ行なわれておらぬ。また今度の仲裁裁定の実施の問題についても、その原資の運用ができるのかどうかというような問題も私、非常に懸念をするわけです。そういうような原資の運用については非常に困っておるのではないかということも考えるのですが、四月一日からの定期昇給も国有林野事業に働く人たちだけが取り残されて実際に実施されておらぬ。また仲裁裁定の完全実施についても原資の運用でどうにもならぬというようなことを漏れ聞いておるわけです。国有林野事業に働く人たちが国有林野会計が赤字ということで非常にしわ寄せされておるのではないかというふうに考えておるのですが、その点はいかがですか。
  171. 福田省一

    ○福田説明員 仲裁裁定の問題につきましては、過去においては若干時期がおくれたりしたこともありましたが、必ずこれは実施しております。ただ、御指摘のように、最近、特別会計の内容が非常に苦しい内容ではございます。しかしながら、それが苦しいからといってこれを払えないんだと単純にはなかなか割り切れない問題がございます。やはり給与の改善の意味でのベースアップを実施いたしますためには、一応その財源を生み出すためには、事業の内容を合理化してそれから財源を生み出すということが常識でございます。そこで、できるだけ仲裁裁定を受けました内容につきましては、そういう意味で早期に実施をしてまいりたい。その財源の問題につきましても、ただいま苦慮しながらも検討して実施したいと思っているわけでございます。  ただ、おくれております大きな理由は、御承知のように、労働組合が二つございまして、全林野労働組合、日林労働組合、この間でその配分の問題については労使双方協議をしなければならない規定になっておりますが、その意見の相違がありましてなかなかまだまとまらないというのが大きな原因でございます。しかし、これもいつまでも延び延びやっているわけではございません。特にその内容につきましては、配分の方式についての議論があるわけでございます。そこで、これの問題につきましても早期に労使双方と話をまとめまして、職員全部にできるだけ迷惑をかけないようにしてまいりたい、かように考えております。
  172. 小宮武喜

    ○小宮委員 まあ仲裁裁定の問題についても、結局、原資の運用は非常に困難ではあるけれども、しかしそれは何としてでも実施する。ただ、労使間における配分の問題で実施できないというように理解していいですか。  それともう一つは、この四月からの定期昇給の問題もまだこれは実施されていないわけですが、この点についても原資の問題ではなくて、労使間の配分か何か、そういうような条件の問題か、そういうようなことでまだ実施されておらないということなんですか。
  173. 福田省一

    ○福田説明員 後段にお話ございました定期昇給の問題についても、やはり財源につきましては苦しい状態ながらぜひこれは実施してまいりたいと思っているわけでございます。その財源につきましては、できるだけの合理化をはかってそれを生み出してまいるというように考えております。  定期昇給につきましていろいろとおくれております理由も、この問題につきましては労使双方で話し合っていかなければならぬ内容を含んでおりまして、ただいま七月の三十一日にあっせんに上げまして、あっせん待ちということにしているわけでございますが、いずれにしましても、この定期昇給の問題とそれから仲裁裁定による配分の問題につきましては、職員の全般の生活にかかっている問題でもございますので、できるだけ早期に解決してまいりたいというふうにただいま努力しているところでございます。
  174. 小宮武喜

    ○小宮委員 長官、国有林野事業だけではなくて、ほかにも組合が二つあるところはあるわけですな。そういうようなところは定期昇給の問題にしろ仲裁裁定の問題にしても解決しておるわけですね。それがおたくの国有林野だけが組合の問題でまだ支給もされない、解決もできないという問題について、どうも私、理解がいかぬわけですけれども、しかし、それをここで掘り下げてやってみたって時間がかかるばかりですからやめます。いずれにしても、特にそういうような中にあって管理者としての立場からも、四月からの定期昇給の問題にしてもまた仲裁裁定の実施の問題にしても、ひとつ早急に解決をして支給するようにしてもらいたいと思うのです。  特にその点に関係してもう一つ、特別昇給制度の問題がありますね。これもほかの官公労は各省でみんな実施されておりながら、国有林野事業で働く人たちだけ実施されておらぬ。これも結局、正直者、まじめな人が特別昇給制度というものを受けずに結果的には損をしておるというような問題になっておる。それは長官のほうは、そのほうはきまらぬほうが金を出さぬでいいからむしろ喜んでおるかもしれませんが、そうでなくて、他の官公労の人たちももうすでに特別昇給制度がありながら、国有林野事業にまじめに働いておられる人たちだけが何も——それも組合の問題ではありましょうが、この特別昇給制度も受けられないままに今日まできておるということもやはり大きな問題だと思うのですね。  だから、こういうような問題については、やはりまとまるところからある程度実施をしたらどうか。それを待っておったんでは、まじめな人がいつまで待ったらその制度の適用を受けられるのか、それはいまのところ見通しがないでしょう。そういうような意味では、もっと長官としても、組合が二つあればまとまったところからでも実施をしていく。そしてまた特別昇給制度の問題にしても、正直者、またまじめな人に対してはどんどん特別昇給制度もつけてやるというようなことをやらぬと、どうも一番問題は、同じ総評系の組合であっても、ほかの組合は何も問題なしにそういうような問題は解決されておるのに、国有林野事業、国有林野の組合だけががたがたして特別昇給制度もまだ解決せぬ。また普通の昇給制度も解決せぬ、仲裁裁定の実施の問題も解決せぬというようでは、やはり何か問題がありはせぬかというようなことを考えるんで、特に管理者の長官としてはき然として姿勢を正して、この問題については早急に解決するように取り組んでもらいたいということを特に要望しておきます。  それからもう一つは、労使の関係の問題ですが、いま日林労の組合と林野庁の間には労使の信頼関係を深めるために定期会談が設けられておるようでございます。ところが、定期会談というのはただ話し合いをするだけで——もちろんお互いの信頼関係があれば、いかなる場所であろうといかなる形であろうとその形式にとらわれずにお互いの気持ちは通じるものだとは考えますけれども、私はこの労使の定期的会談を労使協議制の問題にまで発展をさせるべきじゃないかというふうに考えておるわけです。この点については、ILOの勧告の九十四号を見てもそのことがはっきり勧告されておるわけですから、その意味でいまの定期会談を労使協議制の確立にまで発展させるべきじゃないのかというふうに私は考えるわけですが、長官、ひとつお考え、どうでしょうか。
  175. 福田省一

    ○福田説明員 労使間の話し合いの方法として、いろいろの労働条件に関する問題については御承知のように団体交渉等で行なわれるわけでございますけれども、国有林の経営の今後の近代化、合理化ということを実現いたしますためには、労働組合との間にそういう考え方について基本的にはやはり一致した線がなければならぬと思っているわけでございます。労働条件その他については、これは労使双方それぞれ立場が違うわけでございますから論争していくべきでありますけれども、森林の造成とか、また一般的に労働しておる人たちの環境の改善ということについては、基本的には労使の話しは違わぬはずでございます。  いずれにしましても、そういったものを含めまして労使の間で話し合いを持とうということで、ただいま先生御指摘の協議制ということが組合のほうから出たこともございますけれども、実質的にはやはりひんぱんに話し合っていくといろのがよかろうということで、ただいま申し上げた趣旨から、定期会談というものを設けているわけでございます。ここで約束しましたことでは、二カ月に一回くらいと実はなっておるわけでございますけれども、必ずしも一年間きちんと二カ月に一回ということでなしに、場合によっては月に何回か会うこともありますし、あるいは会います場合にも、数をそれぞれそろえてやるのじゃなくて、そのときどきの状態によって人数の過不足はございますけれども、私はやはりそういう立場で、そういう組織をつくってどうこうというよりは、実質的によく話し合っていくというような方針でいきたい、かように考えておるわけでございます。現在ありますところの定期会談の制度を今後はできるだけ活用して、いま申し上げたような線では、労使共通した線でいろいろ方向を定めて、労働条件等については大いに議論してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  176. 小宮武喜

    ○小宮委員 これはILOの勧告の第九十四号ですが、「企業に於ける使用者と労働者との間の協議及び協力に関する勧告」ということで、一項だけ読み上げますと、「使用者及び労働者の相互に関係のある事項で、団体交渉制度範囲内にないもの又は雇用条件の決定に関する他の制度によって通常取扱われないものについて、企業における使用者と労働者との間の協議及び協力を促進するため適当な措置を執るべきである。」というようになっておりますので、ただ雇用条件の問題だけではなくて、こういうような立場から、ほんとうに労使の基本である信頼関係を確立していくために、いまのただ定期会談から、もっとそういった意味での労使協議制の確立にまで発展させていただくように、特にこれは私からも長官に要望しておきます。  そういうようなことで、まだいろいろな問題がありますけれども、最後に、いま言うように林政審議会の答申は出ていない。     〔委員長退席熊谷委員長代理着席〕 いまの話を聞くと、九月の中旬ごろ中間答申があるような話ですけれども、八月、九月くらいまでには政府の予算案の作成のための林野庁としての考え方を、先ほど国有林野部会で煮詰めておるものをという話がありましたけれども、そうすると、今度の四十八年度の予算案は、国有林野事業の抜本的な対策を出して、それに基づく四十八年度の予算案ではない、いままでのような結局惰性的な予算のつくり方になるのですか。この抜本改善というのは、四十八年度予算をつくるまでに間に合わぬでしょう。どうですか。
  177. 福田省一

    ○福田説明員 予算に関連いたしますことについては、特に公益的な性格の森林を見直さなければならぬということから、特に財政負担をお願いしておるわけであります。そういうものに関連します治山の事業であるとかあるいは林道の事業であるとかあるいは造林事業のやり方ということについては、非常に時間をかけて御審議をいただいたわけです。いわゆる財務に関係いたします問題の中で、特にそういったような費用負担の問題に関することは、すでに林野庁内におきましても具体的な作業をいたしております。ただ、組織の問題であるとかその他について、予算に直接関連のない事項、これについては、ある程度議論いたしましたけれども、まだ最終結論に至っておりません。これらの問題につきましては、中間答申をまとめた後においてなお林政審議会の皆さんの御意見をいただきながら、四十八年度の予算が正式に大蔵省においてきまる段階の前にはまとめたい、かように考えております。
  178. 小宮武喜

    ○小宮委員 ひとつ長官に、いろいろな問題がありますけれども、国有林野事業の一つの再建のために、また特に労使関係の健全化をはかるために、一段の御協力を要請したいと思います。  特にこの点については大臣もよく知っていただいておかぬと、いまのような中で、国有林野事業というのがもうすでに米と健保と国鉄の仲間入りをして四Kといわれるようになっておりますし、そういう中で、ひとつ十分の配慮をしていただきたいということを要望しまして、時間が参りましたので、私、質問を終わります。
  179. 熊谷義雄

  180. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、まず農林大臣に、農政の基本方針を最初にお伺いしまして、午前中から論議されております農産物自由化問題を中心に質問をいたしたい、かように思います。  去る七月二十七日の米審後の当委員会におきまして、米価問題等を農林大臣質問いたしたわけでありますが、その後、本年度生産者米価が七%ということで一応の決着を見たわけであります。その際は米審の問題が主体でありまして、時間がございませんので、まず冒頭に、農林大臣に、就任されてから約一カ月余を経過しておりますが、この間、懸案とされておりました米価も一応決着を見たということで、来年度の農政展開の基本方向大臣もるる検討しておられたわけでありますが、去る八日に、日本記者クラブ主催の昼食会大臣はいろいろと来年度農政展開の基本方向を披瀝されておるわけでございます。当委員会においてもまだ新大臣の基本方向をお聞きしておりませんので、新農林大臣の今後の農政の基本方向をこの委員会で明らかにまず最初にしていただきたい、かように思います。
  181. 足立篤郎

    足立国務大臣 一昨日、帝国ホテルで開かれました日本記者クラブにおける私の発言につきましてお尋ねでございますが、それに関連して、基本的な抱負を述べろということでございますが、これはたいへん長くなりますし、いずれまた機会を見てまとめたものをお聞き取りいただきたいと思っておりますが、まあ一言で申し上げれば、農村に働く人々、特にこれから次の時代を背負う若い農民の諸君に希望と情熱を持ってもらえるような、そして真剣に農業に取り組んでいただけるような農政を実現することが私の最大の任務であるというふうに考えております。  それから、就任早々にもごあいさつで申し上げましたとおり、日本列島は南北にたいへん長く横たわっております。考えようによっては、非常に魅力のある農業ができるというふうに私は考えております。したがいまして、適地適作を徹底しまして、赤城農林大臣も主張されておりましたような団地営農制度、主産地を形成しまして、これに農産物価格安定制度も加え、農民が安心して生産にいそしめるような農政を実現してまいりたい。同時にまた、団地営農によりまして、機械化を進め、高能率・高生産といいますか、そうした目標を達成してまいりたいというふうに考えております。  それを実現するためには、いままである制度をフルに活用すると同時に、いろいろくふうもしなければならぬと思いますので、来年度予算要求等につきましては、それに沿った予算の要求をし、農政の実現に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  182. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 確かに農林大臣おっしゃるように、膨大な問題でありますので、あらためてまた大臣の方針等も発表になると思うのですが、本日の農産物自由化の問題につきましても関連があるので、あえて大臣の基本農政方針の一端を伺ってみたわけでありますが、ただいまも発言ございましたように、農村に希望と情熱を持って真剣に農業に取り組んでもらう、こうおっしゃる。もちろんそうでなくてはなりません。八日の日本記者クラブでの昼食会においても農林大臣は、日本列島改造に並行して、農業者が将来に夢と希望を持てるような農業を進めるために、こうおっしゃっておりますが、実際に日本農業がいまかかえておる問題は、たいへんな問題であることは十分御承知のことでありまして、大臣も相当な決意を持って就任され、臨んでおられると思いますが、農村に希望と情熱を持って真剣に農業に取り組む、こう簡単におっしゃるけれども、きょうは、果汁自由化という問題がございます。農業の生産調整によって静岡から以西、もちろん四国も中国も九州もミカンによって大きな作目の転換をし、いまだにまだ造成をして拡張傾向にある、たいへんな生産過剰が心配されるということになっておるわけでありますが、農家においても、現在のいわゆる減反政策、それに伴うまた農家の借金、すなわち農機具だとか、近代化による借金等かかえておりまして、若い人たちは親から農地を受け継ぎ、また農機具を受け継ぎ、そうして農家経営をゆだねられても、借金までかかえてわれわれは農業はしない、こういうようなことをどこでも若い者から聞くわけであります。  結局、都会に流れていくというようなことになっておりまして、いま農村に参りますと、昔と違ってほんとうに若い人たちの姿が見られない。われわれも農家を一軒一軒回ってみまして、ああここはじいちゃん、ばあちゃんが農業をやっているな、ここは確かに後継者がいるなというように、もうわれわれも多年の経験から農家の玄関先に立ちますと、後継者がいるところとそうでないところ、また出かせぎに行っているようなところがはっきりわかる。こういう段階で、昼間行っても——もちろん現在は暑いおりですから、昼間休んで朝夕の涼しいときに農業をやっておりますが、ほんとうに何となくさびしいというか、農村を歩いている人影も少ないというような現状が九州でも四国でも各地で見られます。  農林大臣もそこは十分、国会で二十年やられておられてベテランの大臣でありますから、百も承知でございましょうが、ほんとうにここで論議して、いろいろやりとりをしている以上に深刻なものがあるのです。そこへもってきて今後日中の問題もどんどん促進されます。アメリカアメリカ自由化を迫ってくる。大臣は午前中からいろいろと答弁もしておられますが、はたしてこんな一時のがれ、と言っては失礼かもしれませんが、四、五年もせぬうちにはっきりと結果が出てくるわけでありまして、こんな状態でいいのか、こういうようにしみじみ私は思っております。そういった意味で、田中内閣に期待するところも大きいと同時に、農林大臣にも期待するところ大きいわけでありますが、大臣農政の基本方向については時間もかかりますので、別途また大臣からはっきりとした具体的な問題が打ち出されると思いますし、それは別として、本日の、自由化に伴いまして、九州においても、今後、果樹生産農家はたいへん憂慮にたえないものをかかえて不安に思っております。そういった生産調整の段階における農家の不安等を踏まえまして、いまも農村に希望と情熱を持って真剣に農業に取り組んでいく、こういうふうにおっしゃるのですが、そういったことから、私は日本農業者または果樹農業者等に対してどういうふうに取り組んでいかれるのか、その点だけでももう少しあたたかい熱情のある御答弁をお聞かせいただきたい、かように思います。
  183. 足立篤郎

    足立国務大臣 私どもは、数年前から総合農政を展開するということを申しておるのでございますが、それは一つには、御承知の米が過剰基調になりまして、この問題を解決しませんと農政は一歩も前へ進まない、こういう追い込まれた形になっております。したがって、前に米価の問題でこの委員会が開かれたときに御質問がありまして、私も率直にお答え申し上げた記憶がございますが、これはほんとうに農政をやってきた人間からいえば、ばかばかしいようなことをやっておるわけでございまして、しかし、これは背に腹はかえられない、どうしても米の需給のバランスをとりませんと、農政が進まないということで、美田に草をはやせば補助金を出すというような無理な減反政策までやっておるわけでございますが、これは一日も早く転作を定着してもらいまして、新しい専業的な農業の方面の展開をはかっていく、そして米のほうの重荷を軽くしていくということをやりませんと、あとの発展がございませんので、そういう政策をとっているわけでございますから、いま御指摘があったように転作をしていく先、言いかえるならば、いま成長農業ともいいますか、果樹とか畜産とかあるいは酪農とかあるいは施設園芸とかあるいは花だとか、そういったお金になる農業部門につきまして、これらをどこまでも育成をはかっていかなければならぬ、そのために、さっき申し上げた団地営農制度等も考え、合理的な作業もできるように、国もできるだけ援助をしていきたい、こういう私は考えを持っておるわけでございます。  自由化に触れてちょっとお話がございましたが、私は、総合農政の展開を阻害するような自由化は、農林大臣の責任において断じてこれをやらない、こういう決意のもとに対処いたしておるわけでございます。
  184. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣のいろいろ農村の実情その他に対する考え方、いろいろこまかい点についてはまたいずれお伺いすることにいたしまして、総合農政を展開する上に、自由化については農林大臣の責任において絶対にやらないという答弁がございましたが、もちろん当然そうでなくちゃならぬ、かように思うわけです。  そこで、大臣に確認並びにまたあらためてお伺いをいたしてみたいと思うのでありますが、午前中からも論議したところでありますけれども果汁自由化は絶対にやらないということについて、あらためて大臣からの見解を承っておきたいのであります。
  185. 足立篤郎

    足立国務大臣 果汁自由化をやるという考え方は全くございません。
  186. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米国のパイプを一本にし、また日本パイプを一本にして、手かせ、足かせしておけばよいと思う、こういうように大臣発言されておられますが、かりに、午前中も論議しましたサンキストの進出また合弁、私に言わせれば、現段階では販売提携ということになり、行く行くは合弁だということになると思うのでありますが、これについては農協一元化でないとやらない、こういうように理解してよろしいですか。
  187. 足立篤郎

    足立国務大臣 そのとおり私は考えております。
  188. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 日本の果樹農業はそれではどういうメリットがあるのか、かりに合弁会社として発足した場合に、販売提携ということにもなろうかと思いますが、どういうメリットがあると大臣は判断をしておられるか、その点もお聞きしたいのであります。
  189. 足立篤郎

    足立国務大臣 けさほど社会党の田中さんの御質問に対して私の見解を明らかに申し上げたので、どうも話がちょっとすれ違ったままになったのではないかと思っておりますが、私は正直に申し上げますと、日本でいましぼって販売している一〇〇%オレンジジュースというのが、どうもアメリカあたりのジュースと比べますと、正直に申し上げてどうしても味とかおりが劣る。瀬野さんは熊本県でいらっしゃいますが、決しておせじで申し上げるわけではないが、災害視察に行きまして、熊本の柑橘連がつくっているかん入りのジュースをちょうど天草を視察に行く船の中でごちそうになりまして、非常においしかったのです。私は人間が正直なものですから、手放しでほめたわけです。そうしたら、組合長もいらっしゃいまして、説明してくれまして、ポンカンとブレンドしてこういう味が出たのだと言っておりましたが、ポンカンの生産は限度がございますから、とても県外に売り出すほどの生産数量はないように伺いまして、非常に残念に思っているわけで、これは私けさほども申し上げたように、アメリカオレンジジュースを一部ブレンドすることによって、熊本県の柑橘農協連が考えたようなああいうふうな味が出れば、私はこのジュースは相当売れるんじゃないか。けさもちょっと言ったのですが、たとえばバヤリースとか、これは全くオレンジそのものは入っていないように聞いていますが、その他の飲料水もずいぶん日本を風靡しておりますが、こういうものを何とか駆逐するというと語弊がありますが、日本の国産のオレンジジュースを十分にたっぷり使ったものでこれに対抗できるような、消費者に喜ばれるような、一般国民に喜ばれるようなものをつくり上げたらどうか、こういう意欲的な考えを持っておりまして、それにはアメリカオレンジジュースを一部入れても、ブレンドすることによってその何倍かの国産のジュースが国民から喜ばれるということならば、かえってプラスになるんじゃないかというふうに私は実は積極的にこれは考えているわけであります。
  190. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま農林大臣が答弁されたことについては、あとでるるお聞きをしようと思いましたが、いま答弁がございましたので、それに関連してお聞きしますけれども、確かに大臣、熊本県においでになったときに、たいへん喜んで飲んでいただいたということを聞いております。本日もそのような話がございましたが、このポンカンのブレンドが県内消費だけで県外に出回る量がないからというような発言もございましたが、かりに県外に出す量があれば、オレンジ果汁自由化しなくてもいいというお考えなのか、またはエッセンスによってもかおりも味も十分これは補える、こういうふうにわれわれも思っているわけですが、それらの補いによって十分足りる、こういうふうには思っておられないのか、その点ももうちょっと明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  191. 足立篤郎

    足立国務大臣 瀬野さんのことばじりをとる気はありませんが、さっきおっしゃったパイプをつなぐことによって、日本農業団体一本にまとめたいと思っておりますが、決してアメリカオレンジジュース自由化する気はございませんから、これはどこまでも割り当て制度は堅持します。ただ、日本農業団体日本の国産のジュースをよりうまくして、よりよけい売るために必要と思う量は、これはある程度弾力的に考えていい、こう私は思っている。それでなければパイプをつなぐ意味はございませんし、その程度の考えを持っているわけでございますから、誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
  192. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それではもう一点お伺いしておきますが、なるほど本年度輸入果汁は五百トンでございましたが、この五百トンももちろんブレンド用として入れた。これはどんどんワク拡大すれば自由化と同じであるから、絶対に自由化につながる拡大はできないということはわれわれもたびたび申し上げておりますし、また大臣もそういうようなお考えであるということを明らかにされてまいったわけでありますけれども、本年の輸入果汁の五百トンのブレンドの率ですね。これがまだ明確に明示されていないと私は思うのですね。二〇%をブレンドして八〇%は国内生産果汁を使うのか、どの程度なのか、一〇%なのか二〇%なのか。これはまた五〇%ずつということになるとたいへんなことですが、どんな程度ブレンドするというふうなお考えであるのか、どういう指示をされているか、この点についても明らかにしていただきたいと思うのです。
  193. 足立篤郎

    足立国務大臣 私はこういうふうに考えております。農林省アメリカ側日本側パイプが一本になった場合に、いわばそのあっせんをするという程度にとどめたいと思います。ただ、いま瀬野さんがおっしゃるように、ブレンド歩合というのは非常に重大な問題でございますから、これは農林省としてもあっせんの際にこの点は十分注意を払っていきたいと思いますが、原則はやはり両者間でブレンド歩合は初めからきめて協定を結ぶ、これが原則でなければならぬというふうに思います。いいかげんなことでやりますと、うまいから、じゃアメリカオレンジジュースをどんどん入れればいいというので、ひさしを貸しておもやを取られたようになったんではとんだことになりますから、初めからきめていくということが前提でなければならぬというふうに私は考えております。  抽象的で失礼ですが、まだどれだけがいいかという技術的な点は私もはっきりわかりませんが、まあ私の見当としては、輸入のものは二、三割という程度でブレンドの結果おいしいものができるのではないかというふうにも聞いていますから、そうした感覚のもとに事前にブレンド歩合を協定していく、こういうことだけは申し上げておきます。
  194. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 荒勝園芸局長おりますね。いま大臣の答弁に対してそのとおりであるか、また何かそれに対する補足的な説明があるか。これはたいへん重大な問題でありまして、大臣はなかなか思い切った発言をなさるし、意欲的にやっていることもわかっておりますけれども、放言であっては困りますから。いま大臣から、初めからきめてかかる、二、三割程度であれば事前にブレンド歩合を協定していくというような意味発言がございましたが、本年度五百トンの輸入についてはこの点はっきりしていないのですね。その点ひとつ園芸局長から……。
  195. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま大臣から日米の今後のオレンジのブレンド歩合の点につきましてお話がございましたが、これは大臣お話しになりましたとおりでございまして、いま直ちにこのブレンド歩合をきめてかかるという話ではなくて、今後の日米協議の過程の中ではっきりとブレンド歩合をきめていきたい、こういうふうにおっしゃったのではなかろうかと思います。  ただ、ブレンド歩合ということにつきまして、日本側には日本側なりの現在いろいろな研究があるいはテストが行なわれておりますし、またアメリカ側にはアメリカ側の配合歩合というものがあるようでございます。私たちの聞いている範囲内では、両国の間のブレンド歩合というものは必ずしもいまの段階では一致していない。アメリカのほうはやはり外国産のオレンジジュースのほうがおいしいというふうに理解しておるようでありますし、日本側消費者はやはり日本温州ミカンのブレンド歩合の高いほうがおいしいというふうに考えておりまして、この辺は多少舌のなれの問題もあるかと思いますが、今後そういったことは逐次きめてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  先般入れました五百トンのオレンジジュース輸入割り当てにつきましては、これは日本じゅうで昨一年間に生産されました温州ミカン並びに雑かん類のジュースの総生産量が約一万五千トンでございまして、これは五分の一濃縮でございますが、それに対しましてやはり五分の一濃縮でオレンジジュースが五百トンということで、非常にけたが違っておりまして、私たちの割り当て方針といたしましては、品質の向上ということでブレンドするように指導しておる次第でございますが、全量ブレンドいたしましてもそれこそ一万五千トンのうちわずか五百トンということでは、どこにブレンドしてしまったかわからないようなかっこうになりますので、これはたぶん一部、初めて入った五百トンでございますので、実験的といいますか、一つの試作品のような形で、四十八年度の温州ミカンの生産と合わせて、国内に一部供給されることになるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  196. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長、初めてと言うけれども、すでに緊急輸入で三百トン入れた実績もあるし、ともかく大臣がそこにおるからといって苦しいような答弁をしておるけれども、こんなことをはっきりすることが農林省の皆さん方の仕事じゃないですか。一万五千トンで、五分の一濃縮にしてもどこに入れたかわからぬ。それは一応わからぬでもないですけれども、言われた場所もはっきりしているのだし、これに対してもいろいろ異論があって、過般ずいぶん論議したところでありますけれども局長は品質向上でブレンドする、こういっていろいろ指導しておるというのですが、過去三百トン、今回五百トン、それにブレンドの率については自由にしてやるのか、全然しないのか、全部各団体にまかしてあるのか、団体並びに会社にまかしてあるのか、その点をいま少しく明らかに答弁をいただきたいと思います。
  197. 荒勝巖

    荒勝説明員 前に四十五年に入れました三百トンにつきましては、前回のときも答弁申し上げましたように、全清飲を中心とする三百トンでございまして、これはブレンドという条件も付しておりませんでしたし、これはあくまで清涼飲料用として消費者の口に入ったのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。したがいまして、そのときの三百トンについての十分な経験値といいますか、結果的な分析も十分行なわれてないわけでございますが、今回割り当てました五百トンにつきましては相当——果汁生産者に対しましても約三分の一、二百二十トンほどでございますが、それからブレンドを中心といたしますメーカーにも百四、五十トン、それから全清飲系統には過去の実績も尊重いたしまして百四、五十トンほどで、合わせて約五百トンということで割り当ていたしておりますので、この原果汁生産者団体に対しましては、特に割り当てを今回重要視いたしまして割り当ていたしましたので、この団体におきましては十分にこの配合歩合というものをこの冬場までの間に研究いたしまして、そしてどういった配合歩合が国民消費者に一番好まれるのかということをこの団体のほうとしても十分分析されると思いますし、またわれわれのほうとしても、その報告を聞きまして、また一方園芸試験場等におきましても、配合歩合等につきましては、日本消費者には一番どれが好まれるかというようなこと等もいま一種の試験、試作をいたしておりますので、その結果等を見ながら結論を出してまいりたい、このように思っております。
  198. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、ちょっと確認しておきますけれども、ことしの五百トンについては試験、試作の結果を待って、また実験的なといいますか、試作的な上から、ことしの様子を見て、来年度からは、先ほど大臣の答弁のとおりと局長言ったわけですから、大臣の答弁のとおりに、まあ初めから協定をしてかかる。そのブレンド歩合は二割か三割——二割と三割じゃ一割違うのですが、いずれにしても二割、三割程度で事前にブレンド歩合を協定してからかかる、こういうふうにする。そうしなければあっせんできないというか、あっせんの際にそういったことを十分注意して協定をしてかかると私はいま理解をしているわけですが、局長、そのとおりで間違いないか、もう一回局長から答弁をいただいておきます。
  199. 荒勝巖

    荒勝説明員 ただいま大臣が申されましたように、日米のジュースのブレンドのあり方ということにつきましては、公式にはまだ日米間におきまして事実上接触がないわけでございます。今後いろいろな形で、箱根会談を契機といたしまして、日米政府間あるいは生産者の両当事者間の接触のある可能性があるというのが現時点の考え方でございまして、こういった折衝の中でいろいろなことがきまってまいりますが、その折衝するに際しての姿勢大臣は申されたというふうに私は理解しております。こういった折衝の過程で今後日米間で、ただいま大臣の申されましたような姿勢を十分堅持しながらまとめていきたい、こういうふうに思っております。それが直ちに来年度からのオレンジジュース割り当てがその時点までに間に合うかどうか、これはまたその時点にならないとはっきりしたことはわからないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  200. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長質問するとますます後退しておかしなことになってくるのですが、そこで、もう一回大臣から簡潔にいまの点についてあらためて答弁をいただきたい。  このブレンド用の五百トンは、こういった輸入については、若干はブレンド用として来年もまたおそらく輸入するということは当然考えられるわけでございますので、それらについても当然事前に協定をしてやる。ことしはまあ試作的な、いわゆる実験的な面もあるからということで、一応いまの答弁を了としますけれども、今年度のブレンドの率をはっきりしないということには、いろいろ果樹農家も不安を抱いているのですけれども、まあそれはそれなりに受け取るとしても、来年度からはそういった輸入も当然若干はやっていくわけです。ただ、拡大についてはこれは大反対でございますが、それらを含めまして、箱根会談に基づいてハワイ会談等もまた予想されますが、それはまた後ほど質問をするのでありますけれども大臣としても基本的な態度、考え方、これは先ほど議事録にはっきり載ったわけですから、私もここで十分にメモしたのでありますが、あらためてまた大臣からもう一回聞きたい、かように思います。
  201. 足立篤郎

    足立国務大臣 けさほども田中委員質問に対して私はお答えをしたように、事の起こりは箱根会談、つまり事務レベルの経済会議に際しまして、アメリカ側から示されたポジションペーパーの中に、このオレンジジュース自由化と合弁というようなことがございまして、自由化は絶対にできない、しかし合弁はまあ打つ手を出せば国内の、禍を転じて福となすといいますか、むしろ国産のジュースの売れ行きをよくするような手だてもあるのじゃないかということで、私のほうで考えたのでございまして、これはいま荒勝局長が事務的に正確に申し上げたとおりです。現時点ではそのとおりなんです。また、こっちからわざわざ頭を下げて申し込む筋合いのものでもありませんから、向こうからも非公式には話をしたいということは来ているようでございます。前提は国内の果樹関係農業団体が完全に一本になるということ、窓口が一本になるということ、それからアメリカのほうでも、代表的なものはサンキストといわれておりますが、これも生産者団体のようでありますが、フロリダの方面にもあるようでありますから、そういったものをアメリカ政府の力で一本にしてくれなければこれはできない相談です。けさもお答えしたように、多数の者が奪い合うようなことになっては何にもなりませんので、これは前提がいろいろございますから、来年必ずこれが実現をして相当なジュースが入ってくるということは、いまここで断言はできません。その前提条件が全部満たされて、なおさっき、いま瀬野委員からも御注意があったような、私ども考えている条件が向こうにも受け入れられて、完全に協定ができる、それが前提でございますから、その点は荒勝局長の答えたのが事務的な正確な答弁でございますから、御了承いただきたいと思います。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、そこでさっきの合弁問題の話になりますが、これは九州でもいまあっちこっちで心配されているのですけれども足立農相は、大分県選出の佐藤文生代議士との間にもう話がずいぶん煮詰まっていると、現にけさの日本農業新聞にも明快に書いてあるわけですが、まあ新聞に書いてあるからどうというのではなくて、われわれのいわゆる農業関係の仲間の中でも、こういったことは一月以来いろいろちらほらと話が出ておりまして、けさほどもたまたま新聞にも出ておりましたが、このサンキストとの合弁問題については、この構想の橋渡しを佐藤代議士が行なっておる。今年一月サンキスト社を佐藤代議士が訪れて、そしてプランを持って帰ってきた、その後も交渉は続けられておる、こういうように伺っておるわけです。その中で、足立発言には裏づけがある、こういうように言われておるというふうに記事にも出ておるわけでありますが、われわれもそれらのことは非公式的によく聞くのでありますけれども、ある程度この問題については現に話が煮詰まって具体化しておるのではないか、こういうように思われてもしようがないのですね。大臣が、おれはそうじゃないと、なかなか明快に、語気を荒立てておっしゃってくれれば——ほんとうにいまたいへんな、冒頭に申し上げたように真剣な問題になっておりますので、農家が安心するように、明快な御答弁をいただきたい、かように思います。
  203. 足立篤郎

    足立国務大臣 私、はっきり申し上げますが、佐藤文生君が何か前に行かれてサンキストといろいろ話し合ったということは聞いています。ただ、私が佐藤文生君と会いましたのは、幾日ぐらい前かな、一週間か十日かその中間だと思いますが、佐藤君が会いたいというので、議員会館の私の部屋で、私が登庁する前に十分間、最初は五分間と私が時間を切ったのですが、話がちょっと長くなりまして、十分間話をしただけです。それ以外にオレンジジュースの問題で佐藤文生君と具体的な交渉をした覚えは全くありません。そのときに佐藤君からは、サンキストのほうから電話があった、それで、足立農相のステートメントと言うのですが、私は別にステートメントを出した覚えはないが、農政記者クラブで問わず語りに語った。それが新聞へ出た。それをステートメントと向こうは受け取ったようですが、そのステートメントについては、趣旨は賛成であるという意味の電話があった、こういう話がありまして、あとは雑談をいたしまして、電話であなた英語で話ができるならたいしたものだというようなつまらぬ話をしただけでございます。具体的に別に佐藤君をお使いにしてサンキストとの間に私が何か話を詰めたというようなことは、全くこれは誤解か推測記事でございます。  今度の問題は、さっきから繰り返し申し上げているように、箱根会談のときにポジションペーパーが出まして、何か協力体制はとれないか、わがほうにもプラスになるようなやり方で協力体制がとれないかというので、実は私が考え出した案で、これは足立案でございますから、誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
  204. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は足立案ということで、私もそれじゃ一応承っておきます。  そこで大臣、これはまたあらためて聞くわけですけれども果汁輸入ワク拡大ということは、もう大臣が、日本農政を破滅におとしいれるようなことはしないということで、総合農政推進上慎重に臨むということをしばしばおっしゃっておられますが、オレンジ輸入日本の果樹農家に壊滅的打撃を与えることはもう十分、大臣は静岡県の出身でありますから、御存じであるわけですが、オレンジもさることながら、果汁、いわゆるジュースですね。この果汁輸入拡大または自由化されるということになれば、これはもういよいよ最後のとりでがこわされるというふうにわれわれは常に考えておるわけです。その点については大臣もそのように考えておられるか、大臣ひとつ、一回も承っておらないので、その点も新大臣に確認をしておきたいと思うのです。
  205. 足立篤郎

    足立国務大臣 私、けさ田中さんの御質問に対して余分なことを申し上げたのですが、私、ロサンゼルス郊外でかんきつ園を見ましたときに、自分が食べてみた経験を申し上げたのですが、私は、アメリカにおける体験からしまして、また、アメリカではほとんど果汁オレンジは消費されているという実態も知っております。したがって、いま瀬野さんおっしゃるとおり、私は、私の認識では、オレンジ果汁というふうな認識に立っておりますから、オレンジ自由化をしないと同様に、果汁自由化もいたしません。むしろ日本の国産の果汁にプラスになるような方法でやりたいということで考え出したのが、今度のそのブレンド方式でございますので、どうかひとつ御理解をいただきたいと思います。
  206. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点も一応了とします。  それでは、いろいろ世評心配されておることについて若干お尋ねいたしますが、まあ大臣も気を悪くせぬで答弁願いたいと思うのですが、大臣も静岡県の出身で、ミカンにはことのほかまた、特別というわけではありませんが、重大な関心を持っているということもよく承知しております。日園連の会長も静岡県出身であるということで、今回のブレンド用の果汁輸入またサンキストとのいろんな問題についてとやかく取りざたされておりますけれども、内々承るところによると、どうも日園連となかなか話が折り合いがつかないということで、何か大臣もずいぶん心配しているやに、また、いろいろと検討をされておるやに、われわれ各地の果樹を扱っておる立場から推測されて話題になっておるわけでありますけれども、この点についてもこの公開の場でひとつ、日園連とはどういうふうな話し合いになっているのか、どういうふうな煮詰め方になっているか、この場で発表できる範囲でけっこうでありますが、御説明をいただきたい、かように思います。
  207. 足立篤郎

    足立国務大臣 私がいまのブレンドの問題について農政記者クラブで話したものですから、それが新聞に出まして、日園連の会長さんも御心配になったとみえて大臣室に私を御訪問になりました。私は、いままであなたに申し上げているとおりのことをはっきり塚口さんに申し上げまして、塚口さんもその趣旨は了承してお帰りになりました。ただそれだけでございます。これからの段取りその他については何ら作戦会議などをやっておりません。よくわかってくだすったというふうに私は思っております。
  208. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さてそこで、大臣は午前中の答弁で、商社がてんでんばらばらに来るなら断固断わる、弾力的運用考えている、これからの問題だということで、いろいろ答弁されましたが、私は、今回のサンキストのいわゆる販売提携というか、合弁構想ということについて、これほど新聞でも、また世間でもいろいろ取りざたされておるわけでありますが、まさにこれは五年、六年先を考えた場合に、近視眼的な見方じゃないか、あとで悔いを残すことになりはせぬか、こういうように実はしみじみ思うわけです。もちろん大臣はただいま、足立構想である。もちろん、消費者が好むおいしいものをブレンドして、かおりと味をよくすれば、消費者も喜ぶということをしばしばおっしゃっておられます。それももちろんわからぬわけではありません。また、若干のブレンド用に輸入することについては、もうすでに前回からしばしば論議をしてきたところでありますので、これについてとやかく現在申しませんが、大臣も十分承知だと思いますけれども、私、あえて申し上げておきますけれども、このサンキストの進出は、当然これは別なねらいがあるということはもう明らかであります。初めはとにかく日本に上陸をする。そして農協にだんだん接近をしてくる。まあ足を一歩踏み込む。そうして販売提携して、合弁会社構想を実現していく。しかも、当初は日本原料を使うということで始めても、行く行く、数年後にはオール自由化にいずれはなるという見通しのもとに、日本原料を使わぬでもよいということにして、大いに販路拡張をするということになりかねない。そして、米国の安い、かおりのよい果汁原料を持ってくれば、結局最後は日本は極度に圧迫されてしまう。したがって、サンキストがしばしば言われておることには、商標をサンキストにしろ、こう言っているし、また、かおりのよい原料を、もう一つは、独特の技術をやる、こういうようなことでいろいろこう迫っておるわけであります。一歩を踏み込んで、二歩三歩と、最後には、五、六年後には日本果汁をじゅうりんする。すなわち、日本果汁、これがもう最後のとりでであります。そういった場合に、ジュース業界をサンキスト一色としてしまう、こういう懸念が多分にあるわけです。そのころにはもう大臣はおられぬかもしれぬ、またいられるかもわからないが、結局、そのときはそのときでまたケース・バイ・ケースでいろいろ対処するということになったのでは、これはもう日本農政はたいへんなことになってくる、かように思うので、新しい内閣が発足して新大臣就任されて、重大な局面になってきつつあります。また、ハワイ会談も近々行なわれるということで、私もたいへん不安に思っております。  そういったことから、これらのいま申し上げたようなことについて大臣は、そういったことはそのように見ておられるか、どういうように見ておられるか。そういったことはもう十分御承知だと思いますけれども、その辺についての所見をひとつ承っておきたい、かように思います。
  209. 足立篤郎

    足立国務大臣 瀬野さんのお話を伺っていますと、瀬野さん、何かあなた先入観を持っていらっしゃるように、私、受け取れてならないんだ。私はサンキストにやられたわけでも何でもない。サンキストを大いに尊重していこうなんという考えを持っているわけでも何でもない。サンキストの代表者と一ぺんも会ったことありませんしね。それこそ、サンキスト一つもらったわけじゃないのです。いいですか、瀬野さん、サンキストにろうらくされているわけでも何でもない。公明正大です。あえて弁解する必要はないのですが、私の提案しているのは、アメリカのほうも商社やその他いろいろの希望があるように聞いています。しかし、私は日本側のほうを、日本生産農民を苦しめることは万が一にもないという前提に立ってものを考えておりますから、農業団体一本にしぼる。アメリカのほうも、もしこっちに乗ってくるというならば、農業団体一本にしぼってくれ。サンキストを相手にしているわけじゃない。サンキストはカリフォルニアの一部の生産者団体です。フロリダのほうにも生産者団体があるそうです。ですから、アメリカ政府の力でアメリカ生産者団体パイプを一本にしぼってくれれば、こっちもパイプを一本にしぼってそれを直結できれば、まず私ども心配する必要はないんじゃないか。むしろ禍を転じて福となすということができるのじゃないかというふうに私は考えた案でございますから、どうかひとつ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
  210. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、えらい力強い答弁でありましたが、もちろん大臣のおっしゃることもわかるわけですよ。わかるけれども、現在、そういった問題が話題になっていろいろと論議されているから、あえて私は、そういうことも当然先々心配して対処していくのが政治のあり方でありますし、農家は真剣な問題でありますから、大臣がおっしゃるように、米なんかもそんなに先を見通さなかったためにああいうような生産調整というたいへんなことが起きてきたわけです。そういったことが従来農政の上でしばしばあったので、そういったこともやはり心配され、果樹農家あたりでもいろいろとそういったことが取りざたされておる。またわれわれ国会議員として国会に出ている以上、そういった人たちの声を国会の場に上げて、そうして大臣考え方もただしておくというのがわれわれの立場であるから、私はあえて聞いたわけです。  そうおっしゃるならば私も申し上げなければならぬですが、グレープフルーツが御存じのように現在頭打ちであります。グレープフルーツが昨年十月自由化されたときに、いわばもうすでにアメリカの足の一歩として日本に入ったわけです。それから事が始まっているわけです。そしてカリフォルニアのグレープフルーツがうまくないといわれて、現在フロリダにだんだん移ってきている。またフロリダのグレープフルーツが若干うまい。しかし、輸送費が若干割り高になるということでありますが、現在フロリダからもグレープフルーツが入っております。そういったことについても私はどういうふうに大臣考えておられるか。また、そういうふうなことから従来加工ジュースはフロリダがいわゆるしにせといいますか中心なんですね。そこで、サンキストが、いわばニクソンがことしの秋の大統領選挙ということで、いわゆる果樹農家からも、従来の選挙地盤でありますから、突き上げがあって、サンクレメンテ、それから先般の箱根会談、来たるべきハワイ会談につながるものとして相当強く出てくるということは、各新聞論調その他でもどんどん言っていることでありまして、そんなことを大臣もまた否定されるわけじゃないと私は思いますけれども、そういったことを見ましたときに、いわゆるニクソン立場としては、フロリダもやはりしにせの中心である、こういうような加工ジュースの問題、加工ジュースがサンキストあたりからどんどん来るとこれはまたいろいろと問題になろうかということで、おそらくはそういったパイプをゆさぶるというようなことも考えられるということで、われわれの仲間でもいろいろ検討されております。そういったことで、サンキストはそれに先制攻撃をかけて日本進出を急いでいる、こういうふうにわれわれは見ているわけです。そうしてくると、いろいろあの手この手でやってくるのではないか、こういうように思います。こう言っておいて、五年後になった場合に大臣がどれだけ責任をとるかといったって責任はとらないと思う。それじゃ困るのです。そういう意味で、大臣も意欲的にやっておられると思う。そういったことも十分見通しを立てて対処してもらいたい。近視眼ではいかぬ、遠視眼で行かなければならぬ、こういうふうに思うがゆえにあえて申し上げるわけであります。  それじゃ、大臣にお聞きしますが、ハワイ会談は八月三十一日か九月一日に行なわれるということで、田中ニクソン会談が行なわれる。大臣もおそらく出席なさっていろいろと会談に臨まれると私は思うのですが、きわめて高度な政治問題を論議すると大臣も言っておられます。それは当然でありましょうが、農産物自由化問題については政治日程にのぼらないような、私も先ほど来の発言によってそのような印象を受けたわけでありますが、その点はどうですか。さらに農林大臣は、農産物の問題についてはおそらく議題に出るので、相当用意して臨むというふうに考えておられるのか、そういったことについて足立農相のお考えをお聞きしておきたい、かように思います。
  211. 足立篤郎

    足立国務大臣 田中ニクソン会談はけさほどもお答えしたように、私が承知している範囲では、きわめて高度な政治問題についての討議である、したがって事務レベルでやった箱根経済会議のしりぬぐいをニクソン田中総理がやるような、次元の低い問題は取り扱わないというふうに私は理解しております。しかし、日米間の最近の貿易のアンバランス、これはニクソンにとっては一番頭の痛い問題ですから、いろいろ注文は出るかもしれません。しかし、区々たる、オレンジジュースがどうのこうのという問題はおそらく議題にならぬだろうというふうに思います。
  212. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、そこで、ハワイ会談では果汁提携、合弁構想という問題については、あまりそういったことに触れない、もっと高度の政治折衝の問題であろうというふうにおっしゃっておられますが、私たちがいろいろキャッチしている情報では、足立農相はおそらくはハワイにおける日米会談へ果汁提携、合弁構想をみやげに持っていっていろいろ言うのではないかというようなことも取りざたされております。もういずれ日にちがくるわけですからはっきりするのですから、それをずいぶん先走ったことで心配し過ぎる、こう言われれば、私はまことにけっこうなことでありますけれども、そういったことについて大臣、この席でそれではあらためてお聞きをしておきたい、かように思います。
  213. 足立篤郎

    足立国務大臣 瀬野さん、私は先ほどからはっきり申し上げているのですが、私はオレンジ果汁とかいうものを自由化して日本の果樹生産農家を苦しめようという考えは絶対ございませんから、どういうことがありましてもその点ははっきりひとつ御信用いただきたいと思います。
  214. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それでは、時間が参ったということでございますので、外務省、通産省に御質問する問題があったわけですが、せっかくお呼びして申しわけないことになりましたが、これは割愛することにいたしまして、最後に一点だけ防腐剤の問題についてぜひ厚生省に触れておきたい、かように思います。これもこの機会を逸してはまたあれですから、一点だけ触れて質問を終わることにいたします。  防腐剤のジフェニールの問題ですが、果実のカビの予防として使用されているところのジフェニールという防腐剤について、最近グレープフルーツ、オレンジ、レモン等のいわゆるかんきつ類がいずれも異様な薬品臭が鼻をついてその安全性が問題になってきております。十分御承知だと思います。ジフェニールが欧米諸国などで果実のかびの予防剤として使われてきて、まだわが国では使用例がなかったものでありますけれども輸入レモン、オレンジ、グレープフルーツに限りわが国でも使用が認められるようになったわけでありまして、その使用許可になった背景と経過をまずお聞きして、そのあとでもう一点ジフェニールについて簡単な質問をして質問を終わりたいと思いますので、まず背景、経過についてお答えいただきたいと思います。
  215. 小島康平

    ○小島説明員 私ども厚生省で食品の加工などに使います食品添加物は食品衛生法によりまして厚生大臣が指定したものを使わせるということになっておるわけでございます。このジフェニールにつきましては、先生もおっしゃられましたように、ヨーロッパ、アメリカ等で以前からグレープフルーツ、レモン等に使われていた防腐剤でございます。日本ではこれを認めていなかったわけでございますが、しかしながら、アメリカあるいはその他アフリカ等から果実を輸入いたします際に、やはりカビの発生率が高いということでこういう防腐剤を使いたいという希望は以前から参っておったわけでございますが、非常に具体的になりましたのは、一昨年アメリカのほうから私どもの大使館を通じまして、ぜひこういうものを認めてほしいという要請がございました。また同時に、ちょうどそのころ、一昨年でございますが、実は現在、国連のWHO世界保健機構とFAO食糧農業機構が合同いたしまして国際食品規格計画というのをやっております。これは日本も入っておりますが、世界じゅうの食品の規格、あるいは使います添加物等を統一いたしまして、お互いの貿易の障害をなくそうというような仕事でございまして、その仕事の一環としてジフェニールにつきましては、これをかんきつ類に認めるようにという勧告が一昨年私どものほうへ参ってきております。その限度は一一〇PPMということでございます。私どもとしてはそこでいろいろ毒性面の調査その他をいたしまして、私ども調査会にもかけました結果、日本においては勧告を受け入れて、ただ一一〇PPMというよりも、実際に七〇PPMくらいで足りるからということで、日本の場合には、ヨーロッパのフランス、オランダ、西ドイツ等と線を合わせまして七〇PPMまでの量ということで許可を与えたわけでございます。ただ、この化合物は揮発性の化合物でございますので、先生の御指摘のように、特異なにおいがございますが、安全性につきましては十分確かめてございます。
  216. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 安全性については十分確かめてあるというけれども、この許可について疑惑が持たれておるわけですね。  それはまず第一としては、安全性の実験がなかったということがいわれているのですね。その点をひとつ明快にしていただきたい。もう一つは、グレープフルーツも、自由化前に食品衛生調査会にかけて、短期間の審議で許可に踏み切ったという経緯がある。もう一つは、かんきつ類の輸入には同剤の使用が前提になっておりまして、何らかの圧力がかかった、こういうふうにもいわれて、いろいろ疑惑が持たれている。その点を明確にしていただくと同時に、こういったことがいろいろ取りざたされておりますし、今後こういった輸入によって万一伝染病が発生したり、あるいは日本の果樹に悪影響を及ぼすような病源体が媒介されるようなことになったらたいへんなことでありますが、いずれにしても、国民が不安を抱くことのないように、この毒性のあるところのジフェニールは再度安全性を確認する必要があるのではないか、かように思います。特に国民の生命を預かる厚生省が責任を持ってジフェニールの使用を再検討すべきでありまして、疑わしきは使用せずという原則をひとつ踏まえて、総点検をぜひしてもらいたい、かように思うわけです。これについてひとつ厚生省当局の見解を承っておきたい。
  217. 小島康平

    ○小島説明員 まず安全性の問題につきましては、日本では試験を行ないませんでしたが、これにつきましては、先ほどお話しいたしましたように、国連の世界保健機構と食糧農業機構が合同でやっております国際食品規格の勧告で行なわれたということでございまして、そのもとになりましたのは、やはり国際的に世界保健機構と食糧農業機構が添加物の安全性を検討する委員会を持っておりまして、そこで世界各国で行なわれております毒性資料を集めまして、専門家がその安全性を評価いたしまして、その安全性の評価が済んだものについて勧告が行なわれておるわけでございます。私どもとしてはその資料を取り寄せて調べましたところ、アメリカ、西ドイツ、オランダ等におきまして非常に十分な毒性実験が行なわれているということでございまして、それらの資料を日本の専門家に御検討いただいて、その上でよろしいということになったということでございます。  それから、先生が何か疑惑とか圧力とかおっしゃっておりましたが、私ども厚生省で食品衛生をお預かりしております立場は、先生もよく御存じのとおり、圧力とかそういうようなもので動けるような状態では全然ございませんし、私どもも国民の健康をお預かりするという立場から、現在、日本の添加物、あるいはこちらの委員会は非常に関係が深いわけでございますが、農薬等につきましては、私は世界でも一番きびしい規制をやっているというふうに自負している次第でございます。ただ、ジフェニールを自由化の前にそういう許可をしたじゃないかと言われますが、私どもは、実は自由化がいつ行なわれるかというようなこともよく存じませんで、われわれとしてはレモンとかグレープフルーツの輸入がどうであるかということではなしに、やはり国民が食べます食品というものにカビがはえたり何かしないように、国際的にそういうものを使ったほうが食品が長持ちし、しかもそれが消費者にとって有利であるならば、そういう観点をとらえて許可をするわけでございまして、そういうことは、やはり国際的にそういう原則という取りきめがありますので、われわれとしては、貿易がどうのこうのということではなしに、国民の保健という立場からこういう問題を取り扱っておりますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  218. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で終わります。
  219. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次は、津川武一君。
  220. 津川武一

    ○津川委員 大臣、リンゴの黒星病でございます。  この間まで北海道と岩手県の一部であったものが、いまでは北海道、東北全部、新潟にまで及んで、長野くらいが残っていはしないか。その中で、主産地のうちで一番大きな青森県が、すでに二万四千ヘクタールのうち一万八千ヘクタールにも及んでしまったわけであります。リンゴ産業にとってみて非常に大きな脅威になっておりますので、この際でありますので、ここで徹底的に駆除する、防除する、撲滅する、これに全力を注ぐべきだと思うのですが、大臣はいかがでございます。
  221. 足立篤郎

    足立国務大臣 私も津川さんと同じ考えで、これは緊急に防除しなければならぬと思っています。
  222. 津川武一

    ○津川委員 そこで、基本対策の一つについて伺ってみますが、本体を突き詰めるということであります。いままで外国の経験だとか、気候情勢の変わっている北海道の例だけで実施してきたのですが、生産者や関係者にまことに気の毒な話ですが、二万四千ヘクタールのうち一万八千ヘクタールに及んでしまったというこの状態、これは試験研究のためには非常に好都合な状態なんです。戦争のときに脳外科が——戦争をしてはいけませんけれども、脳外科が非常に進歩するといわれますが、ここまで蔓延してしまった現状、この現状をつかまえて徹底的に本体を突き詰める試験研究、疫学だとか越冬をどうするのか、どういう形で越冬するのかというようなことが試験研究に必要だと思うのですが、一つの県でなくこれほど広く広がってしまって、私は、国として試験研究に出ていかなければならぬ、もしくは各県の試験場に必要な援助をしなければならぬと思うのですが、この点はいかがです。
  223. 足立篤郎

    足立国務大臣 技術的な点は私、不得手でございますから、事務当局からお答えさせます。
  224. 津川武一

    ○津川委員 大臣、技術的な問題でなく、試験研究は必要だと思うのですが、これに対して大臣はやはり腹を据えて事務的な人たちを督励するとか援助するとか計画させるとか、こういうことを農林大臣姿勢として私は聞いているわけです。
  225. 足立篤郎

    足立国務大臣 いまおっしゃる点は当然なことだと考えております。
  226. 津川武一

    ○津川委員 そこで、事務的なことで一つだけお伺いしますけれども、何かことしの試験研究費を使ってしまった、あと予算がない、来年度でなければならぬというふうに聞いているのですが、私は、これだけ広がったいまの状態で越冬体制はどうしてもやらなければならぬ。とすれば、いますぐ試験研究に着手しなければならぬと思うのですが、いかがでありますか。
  227. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 事務的な話でございますので、私からお答えいたしますが、先ほど先生のおっしゃいましたように、リンゴの黒星病につきましては、国立の研究機関でも北海道あるいは青森の試験場、岩手の園芸試験場でこれまでやってきたわけでございますけれども、本年大発生したということもございまして、引き続き国におきましてもこの研究を推進したいと思っております。  ただいまの御指摘の件は、おそらく都道府県に対する、特に青森県等に対する県の試験場に対する試験研究の援助だと思いますけれども、ただいまおっしゃいましたとおり、われわれがやっております総合助成という形の援助をいたしておりますけれども、この試験研究費は正直に言いまして本年度配分済みになっておりまして、事務的にはどうも非常にむずかしいわけでございますので、本年は青森県単独でおやりいただくということで、来年度続いてやるようになると思います。その際に最優先に考えてはどうかと考えております。
  228. 津川武一

    ○津川委員 ことしの黒星病の越冬の状況を見る必要があると思うのです。これは国でも県でもどこでもいいですが、私は、いま主産地の青森県があれだけいったので、青森県のりんご試験場でやるのが一番いいと思うのですが、この点はいかがですか。ことしやりますか。
  229. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいま先生御指摘のように、黒星病の冬の生態と申しますか、これはたいへん大事なのでございます。これにつきましても国の試験場も関与いたしますが、お説のように、県でやるということも非常にいいと思いますが、これに対する研究費の援助というのが、先ほど申し上げたようなことで、本年度はちょっと事務的にむずかしいということもございます。弘前大学にその研究を担当しておられる先生がおられます。そちらのほうへ回す研究費でございますと、まだ若干手持ちがございますので、そこら辺県とも相談いたしまして、何かいい方法はないかと考えております。
  230. 津川武一

    ○津川委員 大臣、こういうことなのです。つまりいま農民、生産者と農協だとか関係県と一番よくやっているりんご試験場でやりたいと言っている。これに対していまの答弁で、やれないと言っている。だから、ここに大臣が出てこなければならぬ。こういう点で大臣の指導方針を具体的に聞きます。
  231. 足立篤郎

    足立国務大臣 いまの話は私も初めて伺うことでございますから、至急検討いたします。
  232. 津川武一

    ○津川委員 根本対策のもう一つは、結核がかつて非常におそろしい病気であったけれども、抗生物質の出現によってその脅威がかなり取り払われまして、黒星病やどんな病気であっても、根本的な根治対策、撲滅対策ができると先に道が開かれていくのだ、こう私は思っているわけです。現在そういうものがない。そこで、こういうものの開発はやはり国としても考えなければならぬと思うのです。製薬会社とかそういう方たちも一生懸命やるでしょうけれども、こういう撲滅対策の開発、試験研究に対して大臣はどう考えておりますか。
  233. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 黒星病につきましての薬剤でございますが、どういう薬が一番きくかという研究につきましては、北海道農業試験場等が中心にやっているわけでございますが、現在のところはグアニジン剤系統の薬を中心にやっております。しかし、科学は日進月歩でございますので、これらの新農薬の開発につきましては、農林省の研究機関も当然でございますが、理化学研究所その他新農薬の開発に相当力を入れておりますので、このほうとも連絡をとりまして、いい薬剤ができるように努力いたしたい、こう考えております。
  234. 津川武一

    ○津川委員 気候や風土や実のかたさなど違う北海道でやっておる。今度本土の主産地に来たので、主産地地帯において北海道と同じような開発の計画を持っていませんか。これからやるべきだと思うのですが、いかがですか。
  235. 加賀山國雄

    ○加賀山説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおり、北海道と内地は若干気象条件その他が違っておるのじゃないかと思いまして、その点も含みまして、東北地帯に適応するような農薬の開発というのも考えなければならぬ、こう考えております。
  236. 津川武一

    ○津川委員 そこで、当面の対策でございますが、いま東北六県の生産者、農協、市町村、県当局は、一生懸命になってこの防除をやっております。幸いこの間国からも五千六十八万六千円というものは主産地の青森にも配ってくれる。県も一億七百万円これにやって、これから六回防除をやるわけです。これは非常にたいへんなことですが、皆さん一生懸命やるそうです。ぜひやらしたい。  ところが、このことを考えたのは六月の末のことで、このときは九千ヘクタール、いまは一万八千ヘクタールになっちゃったわけです。したがって、県で二億四千万にこの予算を増加する。こうなると国も五千万だけでなく、大臣がさっき言ったこれに全力を尽くすとすれば、必要な資金は出さなければならぬと思うのですが、これは大臣、いかがでございます。
  237. 足立篤郎

    足立国務大臣 先日、青森県の竹内知事が私のところにお見えになりまして、農林省で特別な臨時の補助金を出してくだすったというので非常に喜んでお帰りになりまして、その後いま津川さんのおっしゃるような御要望も聞いておりません。これは事務的な手続その他は私よくわかりませんが、全く臨時的な一時的な緊急処置として出したものでありまして、いわば一種の打ち切り補助金のような形になっておりますので、私どもとしては、当初出しました五千万余りの金が一種の呼び水になりまして、この防除体制をとれれば目的を達し得るというふうに考えておりますから、いまこれを追加するという考え方はございません。
  238. 津川武一

    ○津川委員 状態を把握したときは九千ヘクタール、いまは一万八千ヘクタール。この間、八日ですから、おとといでしたが、知事も参加しまして、初めは一億でいいと思ったが、もう一万八千になってしまったので二億四千万円、九月の臨時議会で計上しなければならぬ。そこで国に対しても何とかこれはお願いもしなければならぬ、私のことばでいうと、要求しなければならぬ、こういう態度なんですが、いま必要な分をやらないで、一万八千に対して九千分くらいやって、これこそお金の投げ拾てになると思うのですが、効果のあるお金の使い方とすれば、大臣、もう一回考えてくれませんか。
  239. 内村良英

    ○内村説明員 ただいま大臣から御答弁がございましたように、農林省といたしましては、七月の十二日の日に五千七十万円の補助金を特殊病虫害緊急防除費補助金ということで出すことを県に内報したわけでございます。これにつきましては、もちろん県とも十分連絡をとってやりまして、私どもの受けている報告では、八月六日現在の青森県における本病の発生面積は約六百三十九ヘクタールでございます。六百三十九ヘクタールに病気が出ておる。しかしながら、病気の性質上、周辺を防除しなければいかぬということでございますので、県ともいろいろ連絡をとっておりますが、すでに交付することを内報いたしました五千七十万円の補助金を活用して防除につとめれば、秋以降の蔓延は十分防げるものではないか。この病気は、先生御承知のとおり、高温期になりますと発病がとまるわけでございます。したがいまして、現在配ってある補助金を活用して、もちろんそれには県費あるいは市町村負担、個人の負担もございますが、そういうものを活用してやれば、いまのところ技術的に蔓延は防止し得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  240. 津川武一

    ○津川委員 いまの局長の話、まことに困った話なんです。温度が上がるととまるという、これは外国の経験ですよ。いま温度が上がってもふえている。だからこそ試験研究が必要だというのです。  そこで、その論議はやめますが、緊急防除の話です。緊急防除によると、蔓延して重大な損害のおそれがある場合は緊急防除をやるというのです。大臣、いいですか、蔓延するおそれがある、重大な損害を与えるおそれがある場合は緊急防除をやる。ところが、今度九千ヘクタールとか一万八千ヘクタールになってしまう。そうすると、蔓延したんだから緊急防除ではない。ところが、実態はこうです。一つの木に三千個のリンゴがなっている。その中で一枝二十ぐらいかかっている。ここで緊急防除をやるとその木はとまる。一本の木に数万という葉がついている。この百万ぐらいの葉がついているときに、ここでやらなければ、やはりどかっと青森県に、主産地に出てしまう。ここで徹底的にたたかなければならぬ。これがこの緊急防除ではぎこちなくてできない。そこで、これが出た、さあ、ここでやる。こういうことが私は緊急だと思う。いま二万四千のうち一万八千、これこそ緊急事態だ。そこで、植物防疫法の改正を生産者、関係市町村、農協の人が非常に望んでいるわけですが、その必要はいかがでございますか。
  241. 足立篤郎

    足立国務大臣 その問題については法律上の問題といいますか、技術的な問題が多いようでございますから、農政局長から答弁させます。
  242. 内村良英

    ○内村説明員 今般の黒星病の発生につきまして県の行なっている防除は、法律的なことを申し上げますと、植物防疫法の第二十九条の「都道府県の行う防疫」という形でやっておるわけでございます。それに対して非常に特例的に国が補助金を出して援助するという形でやっております。  したがいまして、ただいま先生から植物防疫上の緊急防除の規定があるけれども、これはあまり動かぬじゃないかというお話でございますが、私どもといたしましては、こういったことの性質にかんがみまして、やはり機動的に、緊急的に都道府県の行なう防除について、現在やっているようなことで国が援助をしてやっていくということが一番現実的であって、別に法を改正したからすぐにやれるという問題ではない。したがいまして、本件につきましては、ただいまのところ植物防疫法を改正しないで、いまの体制のもとで、それをもう少し合理的に動かしていくようにしていけばいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  243. 津川武一

    ○津川委員 大臣、今度私は、へますると長野に青森と同じような状況が出ると思うのです。来年の五月の末ごろに長野にもかなり広い領域にわたったときに緊急防除だと間に合わない。やはりこれは法を改正する必要がある。青森県に緊急防除を適用して、二十二条でやったということは私はいいと思う。非常に卓見だと思うけれども、やはり根本的に変えていかなければならぬ。これが一つ。  植防法のもう一つの問題は、木を切るということ。いま非常に困っておるのは、資力がないので防除をやれない人、または出かせぎに行って木が残っておる人、この人たちの木を切ってしまえば、そこの根源が断たれるわけです。切れないでいるわけです。一部三百ヘクタール切っておりますが、あと切らないでおる。いろいろな民法上の問題もありますし、それから、もう少し出かせぎで金をためたならば、またこの木でリンゴをつくろうという人はどうしても切らない。国家でそこを補償するという道があるならば切れるのだけれども、切ることは今度の植物防疫法ではなかなかめんどうなんだ。これが伐採できるようなかっこうにやはり改める。そのためには国で補償するということも必要になってまいりますね。そこで、十八条で除去できる、そして十九条で損害を補償することができる、この二つの項目、緊急防除が適用になれば——いま局長はこれは青森の場合緊急防除を適用されていないと言うのですよ。だから、こういう点をやはり改めなければならぬと思うのです。この点の一番のこれからの根源を能力がないので防除できない人たち、人がなくて、出かせぎなどへ行って、やや粗末にされている果樹園、これをとらなければいかぬ。この現在の植防法でやれるかどうか。私はもう一回改正する必要があると思うのでございますが、いかがでございます。
  244. 内村良英

    ○内村説明員 ただいま先生から御指摘ございましたように、廃園とかあるいは放置されている果樹園が病害虫の発生源になるということがいわれております。確かにそういう面があることは事実でございます。そこで、一方、防除体制のほうを見ますと、農家の方が出かせぎに行かなければならぬとかいろいろな理由から、過去に比べまして防除体制が非常に弱まっているという現実も、現在の農家経済の現実からあるわけでございます。  そういった事態に対処して、それじゃどうやって防除したらいいかということでございますが、実は農政局におきまして、今年の三月に新しい防除要綱をつくりまして、共同防除を中心にやっていこう。そこで、廃園等につきましてはその共同防除の中でやってもらうということにしたらどうかということで、防除組合等を現在末端でつくらしておりますので、行く行くはそういった防除組合がそういったところもやれるようにしたいというふうに考えているわけでございます。  それから、ただいまの緊急防除で切れるか切れないかという話でございますが、緊急防除が適用になった場合におきましては、法律的に切ることはあり得ると思います。法律上不可能ではないと思います。ただ、今般の青森のケースあるいは現実的に大部分は県の行なう防除でやっておりますので、県が切れるかということでございますが、これは県が条例をつくりまして、そのような場合に切るということをつくればできるのではないかというふうに考えておりますが、そういった条例がはたして適法であるかどうかということは、やはり地方自治法を所管している自治省の意見を聞いてみないとわかりません。農林省としてはまだ正式に自治省の意見は聞いておりません。
  245. 津川武一

    ○津川委員 そこで大臣、植防法の改正が必要だと私は思うのです。どっと出た。それを徹底的に駆除するために、緊急防除にこういう状態が適用になれば木は切れたのだ。二十二条を適用するから木が切れない。だからどうしても植防法は改正する必要がある。  もう一つの問題は、二十九条で県がやる。その場合今度条例をつくる。そのときに自治省が負担をしなければならぬ。しかし、今度切れるように、切った場合の補償がやれるようにつくろうと思っているわけなんです。その場合自治省がかなり障害になっていると聞いているのですが、これは自治省の見解、いかがでございますか。
  246. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答えいたします。  いま木を切るために行政事務条例ができるかどうかという問題につきましては、金が要るとか要らないとかいう問題ではなくて、これは純法律的な問題だろうと思います。これは恐縮でございますが、私の所管ではございません。行政局の所管でございます。行政局の意見では、まだ正式には出ていないようでございますけれども、前向きに検討されておるというふうに聞いております。経費がかかるからとか、そういう行政事務条例ができるかどうかということとはやはり観点が違いますから、行政事務条例が住民の法益の保護のために必要であり、かつできるということであれば、財政というものはそれについていかなければならぬ、こういうように心得ておりますから、そういうことはないと私ども考えております。  ただ、現実にそういう条例ができ、諸般の経費がかかってまいります。またかかってまいりましたときに、財政的にこれをどうするのかという問題があります。それに対しましては、先生もよく御承知だと思いますけれども、国庫補助金が出るものは国庫補助金を出していただくようにお願いをいたしますし、国庫補助金が出ないという筋のものにつきましては、当然これは地方団体がまかなわなければならない。まかなうためには、御承知のとおり、税収がありますが、税収も年度当初に何百億とかたまっているわけではありません。これは若干でございますけれどもふえてまいります。あるいは地方交付税も数百億の交付税が現に青森についてはいきます。交付税についてはひもつきはございません。それらの経費をどこの行政に重点的に使うかということを当該地方公共団体がその意思によって、それぞれの行政の緩急によって取捨選択されて適切な措置が講ぜられるだろう、かように考えております。しかしながら、当該特別の経費が非常にかかるというような事態が発生いたしますこと、これもあります。そういう場合におきましては、年度末にそういう経費につきまして各県から実情を聞きまして、私どもの持っておりますところの特別交付税というものでもちまして、当該その特別に経費のかかりました額であるとかあるいは当該団体の税収の伸びの状況とかあるいは財政のやりくりの状態とか、そういうものを勘案しまして、適切な措置を講じてまいる。  こういうことで一貫してまいってきておりますので、もしそういう事態になりますれば、いま申し上げましたようなことで、私の省といたしましては、財政的に地方公共団体がやっていけるように努力をいたし、またしておるつもりでございます。
  247. 津川武一

    ○津川委員 そこで自治省、九月の定例県議会で、県が考えてみようといっている。県がやれなかったならば、主産地のある市町村でもやろうとしておるところがあるので、こういうやれるかやれないかの見解を、九月の定例地方議会に間に合うようにひとつ検討していただきたい、こういうことです。  最後に二十二条と関係して、植物防疫法の施行規則の第六章、農林大臣が指定するものの中にリンゴの黒星病が入っていないわけです。これをひとつ入れる必要があるということが一つ。  もう一つには、農業共済が今度果樹にもやるわけです。それで青森県においては果樹共済でいま試験研究中、来年度から全国に本実施になるわけですが、これに黒星病が入っていないのです。入っていると、またこれはかなり違ってくるわけです。  自治省にはそういう要請をしておいて、また農林省にはその二点を答えてもらいます。
  248. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がありました指定有害動植物の中に入っていないじゃないかということでございます。この指定有害動植物というのは、実は発生予察をやるために指定しているわけでございまして、規定を申し上げますと、第二十二条で「国内における分布が局地的でなく、且つ、急激にまん延して農作物に重大な損害を与える傾向があるため、その防除につき特別の対策を要するものとして、農林大臣が指定するものをいう。」ところが、黒星病は、御承知のとおり、四十三年から青森には一部入ってはおりましたけれども、まだ非常に局地的な病気でございまして、全国的なものではない。それからさらに、病気の性質がどういう病気であるか、たとえば緊急防除という場合は、人間の病気でいえばコレラ、ペストのごときものに緊急防除をやるわけでございますが、先生お医者さまでございますが、私どもの聞いておるところでは、黒星病は、人間の病気でいえば、まあ流感のひどいのか大腸菌というようなものであるということを専門家から聞いているわけでございます。  なお、指定するかどうかというのは、そういう全国的に広がったものであるか、あるいは広がったものであってかつ病気の性質上どうかということをよく検討いたしまして、指定する必要があれば指定したいと思っておりますが、まだ指定するところまでは考えておりません。
  249. 小暮光美

    小暮説明員 果樹共済の法案を御審議いただいたときに御説明申し上げた記憶がございますが、試験実施の際には確かに黒星病は対象になっておりません。ただ、あの法案のときに申し上げましたように、その後農薬の使用が規制され、その他環境が変わってまいりましたので、病気を特定することなしに、収穫共済の場合には病虫害を全部対象にするということに本格実施のときには直したわけですから、したがいまして、来年のその時期までに具体的にすべて末端できめますけれども、特定の病気を除外するということはいたさない方針です。したがって、収穫共済の対象にはなるというふうに御理解いただきたいと思います。
  250. 津川武一

    ○津川委員 つまり、四十八年度からは黒星病は間違いなく果樹共済の対象になる、こう考えていいわけですか。そう聞いたのだけれども、これは大事なことだから、念を押しておきます。
  251. 小暮光美

    小暮説明員 病気の種類を問わず収穫保険の対象になります。
  252. 津川武一

    ○津川委員 終わります。      ————◇—————
  253. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。  小委員九名よりなるいも、でん粉等価格対策に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は追って公報をもってお知らせいたします。  次に、小委員及び小委員長辞任の許可及びそれに伴う補欠選任委員辞任に伴う小委員及び小委員長補欠選任、並びに小委員会におきまして参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時その他所要の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 仮谷忠男

    仮谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会