○大出
委員 そういうふうに明確におっしゃったから、うしろから声があったわけですよ。これは大事なところですからお気をつけいただかないと困るので、
つまりいまの再答弁からすれば、自衛のためのものであるが戦力に至らざるものという解釈をされている。いまの自衛力は戦力に至らざるもの、そういう御解釈、他国に脅威を与えないという例が一つあがっている。これは先ほど私が取り上げた松野さんのお話も、いまおっしゃられたのと似た趣旨のことを言っておられる。これは一番新しい論争の一つなんですが、
つまり相手方から見れば脅威を感ずる、こちら側から見れば脅威を与える、
つまり兵器体系からながめてみてこの
基礎にもう一つある。
これはかって、いまの人事院総裁の佐藤達夫さんが法制
局長官の
時代、この
時代に法制局が一つの統一見解を出している。これは私は高辻さんとだいぶ論争して、彼は記憶薄れがあるとこうおっしゃいましたが、あとになって、そういうことを内部できめたことがあります、それは
質問があってそれを表に出したことがございます。出したならば統一見解になったことではないか、結果的にはそういうことです。そうなっておる。
昭和二十七年十一月二十五日、
内閣法制局、それが戦力解釈を統一をした。これは高辻さんと私は正規にここでやり合って議事録に残っているのですからいい。ここで、「右にいう戦力とは近代戦争遂行に役立つ程度の
装備、編成を備えるものをいう」、これは定義の一つなんです。あといろいろなことがありますけれ
ども、これが以後ずっと、高辻さん答える近代戦争遂行
能力、こういう
議論になっている。
そこで問題は、私は、近代戦争遂行
能力とはしからばいかなるものかということが、より具体的なやりとりになって詰まっていかなければならないものだと
考えている。だからF4Eファントムを採用するかいなかのときに、石橋さんと増田甲子七さんの論争があった。足が長いものを持たない、敵に脅威を与える戦力というものにからんでくるから、こう言ったところに大きな騒ぎになった。本
会議で私は佐藤
総理のときに
質問したのだけれ
ども。だからそうなると、一体、今回の四次防というものは三次防体系の引き継ぎだと、あなたはさっきの
加藤さんの
質問に答えて言う。書いてありますから正確に申し上げておきますが、先ほど
加藤さんが
質問したのに対して、三次防の
継続という
考え方で進めてきた、こうおっしゃった。三次防の
継続。三次防の延長という
ことばもお使いになっている。三次防の延長であり
継続ならば、
予算が二倍になったのはどういうことかと国民が心配しているから、解明をここでしておこうという御意図で
質問なさったのだと思う。そこで、三次防の引き続きだ、延長だと言うにしては、今回の四次防の
装備というものは
中身が非常に違い過ぎる。そうすると、そのことは戦力との
関係においてどう
考えたらいいか。敵に脅威を与える、こう私は理解するから。松野さんの論法もそうだ。向こうが脅威を感じた、これはこちら側が脅威を与えたことになる、そこに一つの
限界があります、あとは日本という国を
防衛する、その
能力というものと戦力というものとの
限界があります、こう答えている。そこで問題になるのは、たとえば今回の例をあげれば、F4Eファントム一つつかまえても、塩原さん、小松飛行場にファントムならファントムを配置した場合に、北朝鮮の平壌まで八百キロしかないのですよ。ファントムの速力で行けば、これは二十分かからない。たいへんに足の長いものです。そうすると、この兵器というものは、率直に言って、松野論法からするならば、相手は脅威を感ずるし、こちら側からすれば脅威を与える結果になるという
意味で、今回り幾つか例をあげておきますが、
装備上明確に大きな
変化がある。あとからT2の問題に触れますが、このT2一つをとっても――T33というのは御存じのとおり前の練習機ですね。これが全重量、これはいいですけれ
ども、念のために申し上げておぎますと、T2は九千キログラム、T33が六千八百五十、乗員が二人ずつで、エンジンがT2が二基、T33が一基、時速がT2は千七百キロメートル、最大速度一・六マッハですね。ところがT33は時速八百五十二キロ。これは一例ですが、そういう大きな
装備上の違いがある。だが、T2は足が短いからというお話が出るかもしれぬ。それからRF4Eにしても、これは一々申し上げてもしかたがないが、二マッハに対する〇・九マッハでしょう。三次防体系でいけばこれはRF86Fですね。これは〇・九マッハ。今回のRF4Eの場合には二マッハ、時速は二千百二十六メートル、実用
上昇限度一万八千メートル。ところが86Fは一万四千というふうに、たいへんな差がある。こういうふうに、今度の兵器体系の幾つかをとらえても、三次防と四次防
装備というものとの間にはたいへん大きな開きがある。戦車にしてもシュノーケルなんかくっつけて、前の61とはだいぶ違う。完全密閉式ですから。そういう大きな極端な違いがある、こう見なければならぬわけです。そうすると、そこらの問題とあわせて、戦力との
関係というのは、ぼつぼつこの辺で、一体どの辺のところまでを押えるかという、国民に説得力のある
限界をほんとうに表に出さなければならぬ時期に来ている、・こういうふうに私は思っている。この
防衛白書の中でいう、憲法上持てる兵器、持てない兵器なんというものがありますけれ
ども、もっとより具体的に、敵に脅威を与える、与えない戦力、近代戦争遂行
能力というものを
基礎にして、久しく国会で法制局を相手に論争された近代戦争遂行
能力というものを中心にして
考えると、この辺にやはり限度があるという、そういうところまではっきりしないと、これは世論的におさまらない。だれでも、
限界、そんなものあるはずないよ、どこまでいってしまうかわからないと、こういう見方をみんながする。皆さんが口にする専守
防衛がほんとうならば、この際ははっきりしなければならぬ時期に来ている、こう思うのですよ。いかがですか、その点。