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1972-07-12 第69回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十七年七月六日)(木曜日) (午前零時現在)における本委員は、次の通りで ある。    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       笠岡  喬君    鯨岡 兵輔君       篠田 弘作君    園田  直君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    古井 喜實君       湊  徹郎君    上原 康助君       川崎 寛治君    木原  実君       土井たか子君    横路 孝弘君       鬼木 勝利君    鈴切 康雄君       受田 新吉君    東中 光雄————————————————————— 昭和四十七年七月十二日(水曜日)     午後一時二十四分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       天野 公義君    笠岡  喬君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    湊  徹郎君       木原  実君    土井たか子君       横路 孝弘君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      本名  武君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 宮崎 清文君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 七月十二日  辞任         補欠選任   篠田 弘作君     前田 正男君   土井たか子君     石橋 政嗣君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     土井たか子君     ————————————— 七月六日  行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出、第六十五回国会閣法第二八号)  労働省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第六十五回国会閣法第九二号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、第六十八回国会閣法第一一号)  航空事故調査委員会設置法案内閣提出、第六  十八回国会閣法第四四号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第六十八回国会閣法第五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  閉会中委員派遣に関する件  公務員給与に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  今会期中、国の行政の改善をはかり、公務員制度及び給与の適正を期する等のため、  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、国の防衛に関する事項  四、公務員制度及び給与に関する事項  五、栄典に関する事項 以上の各事項について、小委員会設置関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により国政調査を行なうこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  5. 大出俊

    大出委員 本年度人事院公務員給与に関する勧告をめぐりまして、この一年余にわたります民間賃金の動き、その他春闘共闘委員会あるいは労働省調査等ございますが、というふうなものを踏まえまして、何回か事情の説明をいただいたりいたしてまいりましたが、この臨時国会がきょうで終わりでございますから、あるいはまた機会はあるかもしれませんけれども、その意味ではせっぱ詰まった段階だということになるのであります。そこで、再三承ってはおりますが、実はもう少し突っ込んだお話をいただきたいと思います。  まず、民間調査をお進めになって集計段階だろうと思うのでありますが、民間皆さんの、対象事業所にいたしまして七千二百五十でございまじたか、対象人員四百万ですか、こういうようなことなんでありますが、一つポイントになる問題として、民間諸君年齢ですね、大体何歳くらいにおさまっているのかという点。私どもは、毎年、主として集計の結果しかいただいておりませんので、そこらははっきりいたしておりませんが、大体何歳ぐらいのところに落ちついているのかということと、そして、となるとベース的に、つまり総平均賃金と言ったらいいのですか、そういう意味民間は大体どのくらいのところにあるのか。それが今回の民間調査で、あるいは官民比較でどのくらいのところにくるのか、こういう順序になるのだろうと思うのでありますが、そこらの基礎をひとつ明らかにしていただきたいのであります。できれば、昨年の官民比較の時期における、民間対象従業員諸君平均的な年齢が大体どの辺にあって、そしてどのくらいの総平均賃金になっておったかという点、それもあわせて、つまり本年度どう推移するかということとからみますので……。実は公務員比較いたしましてたいへん年齢が低い。三十二歳あるいは三歳、このくらいのところにあるのじゃないかという、私は私なりに気がするのであります。大体、賃金平均でいきまして六万五千円ぐらいになっておるのじゃないかという気がするのでありますけれどもそこらのところを、まずひとつ、長年お手がけになっている人事院皆さんのほうから、御答弁をいただきたいのであります。
  6. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 お答えいたします。  民間給与調査につきまして、その結果によりまして、公務員給与民間給与比較をいたすわけでございますけれども、その場合にどういう比較をするかという点につきましては、大出委員十分承知のところでございますけれども、結局、賃金決定におきまして非常に重要な要因をなしておりますいろいろな要素がございます。たとえば職務の種類、段階、それから学歴、年齢、地域、そういったような五つあるいはそれ以上の条件がございますけれども、そういう条件が同じ状態の者を比較をする。年齢なんかも、同じ年齢についての給与比較するということが私ども調査ポイントでございます。したがいまして、民間平均年齢というのを直接全体として調べるというようなことはいたしておりませんで、こちらの公務員の一人一人について対応した民間における職員給与がどうかという調査をいたしておりまして、したがって、民間全体の平均賃金平均給与あるいは平均年齢等がどうであるかという調査はいたしておりませんが、一般的に私どもとしましては、そういう情報をいろいろほかの調査から得ております。たとえば労働省賃金基本調査等がございますが、それによりますと、大体、御指摘のように、民間の総平均といたしましては、平均年齢が三十二歳ぐらいというようなことでございまして、それに対しまして公務員の場合には三十八歳といったように、非常に違いがあるというのが私どもの現在の情報でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 私がいまこの問題に入ろうといたしましたのは、実は春闘共闘委員会の本年春闘集計等を見ますと、一五・八%上がっている。それから労働省あたりの最近の春闘その他の状況を見ましても、そう大きな開きはない。だからその意味で、一五・八%上がったんだとすれば、定期昇給公務員の場合に三・四%と、こう見た場合に、差し引き計算をすれば、これは算術計算で明らかなように、一二・四%ぐらいの差が出てくるわけでありまして、そうなると、定期昇給を含んでいる一五・八、それから公務員定期昇給を引いた残り一二・四というふうなものが一つの目安になるはずだと思うわけでありますが、いま全体をならして、民間労働者年齢平均が大体三十二、三歳、こういうことになっているはずですね。そうすると、公務員のほうは今日、ひょっとすると三九・二歳ぐらいになりはせぬかと思うんですね。三十八歳を越しちゃっているんじゃないかと思うんです。そうなると、片や三十二、三歳、片や公務員は三十九歳を越えているということになりますと、たいへん長年勤続をされている方々公務員には多い、こうなる。  そこで私の申し上げたいのは、すなおにこの公務員昇給率を引いた残りが賃上げの対象にならないということは、この勤続年数というものが官民比較の面で正確にとらえられていないで、出ていない、こういうことになると思うからなんです。ただ時間がありませんから、中身をこまかくは申しません。つまり私は、今日までやってこられた人事院官民比較方式なるものに、そういう矛盾が最近特に大きく出てきている気がするのであります。それだけに、実は上げ幅についても、これは少しあとからも申し上げますけれども考えるべきところがあってしかるべきであるというのとあわせて、特にことしは、懸案である四月実施の問題、これはどうしても実現をしたい、こう考えているわけでありまして、実は官房長官お忙しいところをけさもお出かけをいただいて、また再度お出かけをいただきまして恐縮でございますが、事が事でございますので、ひとつその点はお許しをいただきたいと思うのであります。  そこで、まず総裁一つだけ承りたいのでありますが、ここ足かけ三年ほどにわたり四月実施問題が懸案でございまして、当初の総裁お話は、世の中がどうもそうならぬとなかなか、どんどん質問もし言うことは言って宣伝してくれという話だったですね。一理あるが二理がないということで、そのときは一理の次に二理が出てきたですね。一理、二理あって、ただ三理がない。何理まであるのかさっぱりわからぬわけですけれども。先般、二十七日の日に承りましたら、御趣旨を体しまして検討いたします。検討というのは、一体どっちで検討するのか、四月か五月かと言ったら、五月は検討いたしません。じゃ四月か、そうです。検討といったって、うしろ向き検討されたんじゃ困るが、どうなんだと言うと、いや前向きに検討いたします、こういうおことばだったですね。御趣旨に沿って前向きに検討いたします、こういうことだった。これが実は官房長官、四月実施をめぐる先月二十七日の、御本家でございます人事院総裁答弁。五月はもう検討する余地はない。五月は検討しない。検討するというのは四月です。じゃ、その検討うしろ向きじゃないでしょうなと言ったら、いや前向きでございます。じゃ続けて言ってくれと言ったら、御趣旨に従いまして前向きに検討いたします。こういうようなことなんだ。だから、目下一生懸命前向きに検討しているわけでありまして、八月の半ばにタイムリミットがございますから、そこで、前向きに努力いたします、こうなっているんですけれども、何かそれ以上、いまこの時点で新たな感触はございませんか。  新内閣ができまして、田中さんの内閣で、給与に関してはきわめて積極的にお取り組みをいただける内閣である。とにかく日本列島を改造しようというのですから、まず人間の待遇も変えなければいかぬ。だから、このあたりで新しい流れ——これは私ども社会党が、流れを変えようと言ったとたんに流れが変わりはじめたわけですけれども。へへっなんて官房長官おっしゃるが、やじには応酬はいたしませんが、しかし変わりつつある。こういうわけですから、この変化に敏感にやはり人事院も応じていただく。この実施時期なんていう問題は、官民比較で幾ら上がった云々じゃないんですね。そこらもお考えいただいて、重ねて申し上げますが、少し流れが変わったな、前向きで検討する、これは急がなければいかぬ、こういう御感触ではないかと思うわけでありますが、ひとついかがでございますか。
  8. 佐藤達夫

    佐藤説明員 従来のペースを踏まえまして着実に検討を進めております。内閣がかわったからといって、うしろ向きに変わろうというような立場ではおりません。
  9. 大出俊

    大出委員 うしろ向きに変わらなければ、前面きに変わるよりしようがないんで……。  そこで官房長官に承りたいんですが、私は、新総理田中さんを長らく実は存じ上げておるわけでございますが、かつて郵政大臣等をおやりいただきました際等も、私は全逓信労働組合中央本部書記長でございましたから、夜を徹して二人でさしで団交までやりましたが、たいへん回転は早く、かつ前向きにたくさんの問題を実は片づけていただきました。つまり実績を自分でやって自分で知っているわけでございます。勝負の早い方でありますし、総裁は、内閣がかわったからといってうしろ向きには変わらぬというのですけれども内閣自体のほうはたいへん前向きでございます。そういう意味で、新内閣ができまして、その中心である二階堂さんでございますので、労使問題、あるいは、この種の長年の労使間における、特に公務における懸案、これにはおそらく積極的にお取り組みをいただけるんであろうと思うのでありますが、そのあらわれではないかという気がするのが、明日の田中総理総評トップとの会談、こういうふうに私は見ているのでありますけれどもそこらの基本的な点を一言まずお答えいただきたいと思います。
  10. 二階堂進

    二階堂国務大臣 まず、お答えをいたします前に……。  今回、田中内閣実現に伴いまして、私、柄にもない内閣官房長官という役人の肩書きをいただきました。まことに粗雑な人間でございまして、法律もわからないし、型にはまったことは言えない男でございますから、何かとまたお世話になることと思いますが、誠心誠意、ひとつ一生懸命やりたいと思っておりますから、よろしくひとつお願いを申し上げたいと思います。  ただいまの大出さんの御発言でございますが、私も内閣官房長官になって三日目でありますから、西も東もわからないという状態でございますが、しかし、いまおっしゃいましたような問題は、たいへん重要な問題でございますし、人事院のほうから勧告が、総裁もお見えになっておりますが、まだ出てないのでしょう。これからでしょう。それが出てこない前に私がとやかく申し上げても、これは人事院総裁を拘束したりすることもできないわけでございますから、申し上げるわけにはまいりませんが、しかし従来とも、勧告が出れば尊重するという型にはまったような答弁政府はいたしておりましたが、まあ、それだけではどうかということでございましょう。ですから、私は十分尊重をいたす考えでありますということでありますし、また総理も、明日ですか、総評とか労働組合方々と積極的に会いたい、こういう御意思を持っておられることは御承知のとおりであります。そういうふうに積極的に会いたいということで、まあひとつ、その辺だろうなとか、こうだろうなということは、賢明な大出さんですから御理解いただけるのじゃないか。これ以上、私もなかなかここで明快な答弁はできませんが、その辺でひとつ御了承いただきたいと思います。問題は、公務員関係方々も、ストライキをやるということは、いろいろ声はありますが、本来ならば違法でございますから、ひとつそういうストライキには訴えていただかないように、政府としてもお願いを申し上げておきたいと思います。  以上でございまして、もっとはっきり言えといえば、私も言いたい気持ちもやまやまございますけれども役人でございまして、なかなかはっきり申し上げられませんから、その辺でひとつごかんべん願いたいと思います。
  11. 大出俊

    大出委員 どうも天下野人がかみしもなんか着ましてそこにすわっているものですから、私も質問がしにくくて困るのですが、そうかといって、あんまり言わしちゃってあとで事件になっても困りますから、それはわかっておりますが、ただ、ここだけはひとつはっきりさせておいてもらいたい。  というのは、実は公務員における組合使用者側との関係、つまり労使関係に長年いろいろな問題が山積している。池田さんの内閣のときに、ILOがドライヤー調査団派遣をする。そこでドライヤー勧告が出まして、政府はもちろんあるんだけれども、「使用者としての政府」、つまり従業員を使っているわけですから、したがって、この労使間の信頼感の欠如というのが一番大きな問題だ、だから信頼感回復しなければいかぬ、これが日本官公庁関係労使問題のガンである。そこで、この信頼回復のためにはどっちがイニシアチブを持つかといえば、それは政府である、政府主導型で信頼回復すべきである、こういう勧告が出まして、当時、労働大臣石田博英さんですけれども、あっさりこれをのみまして、そこで調査団調査をしたいきさつがある。あとドライヤー報告が出ている。そこで、その結果、池田さんの時代、ナショナルセンターである総評総理というふうな、私も何べんか出たことありますけれども、そういう会談が定期的に続いた時期がございました。それが中断をされて久しいですね。それを新内閣早々回復をしていただける。これがあすなんですね。つまりその中心は、官公労働者における労使双方信頼回復し合おうというところにつながっていかなければならぬ性格のものなのですね。  それだけに長年の懸案であるこの四月実施をすべきである。なぜならば、予算年度も四月からじゃないか。民間給与も四月から上がっているじゃないか。公労協の国鉄、電通、全逓なんかも四月から上がっているじゃないか。しかも人事院は四月から調査しているじゃないか。にもかかわらず五月というのは、いかにもこれはおかしくはないか。筋が通らぬではないか。ただ、佐藤さんが総裁におなりになってから、勧告の中にいままで五月という実施時期を明示されたが、五月をなかなかおやりくださらない長い歴史が続いて、やっと五月になった。そこで、さて、それならばこの辺で、おかしいじゃないかと言ってきた四月にいこうじゃないか。ところが、ムードがまだそうなっていない、ちょっと待て、いろいろ国会でやったり新聞に載ったりしなければいかぬ、国民というものもある、そこで足かけ三年目にこうなってきた、こういうところなんですね。  そこで昨年は、担当の山中総理府総務長官人事院総裁と二人お並びになっていたんだけれども人事院が四月から実施しろと書いたら、山中さん、あなたどうしますかと言ったら、山中さんは最後に声を大にして、人事院が四月実施とお書きになった以上は蛮勇をふるって実施いたします、こうお答えになった。そこで私はその席で、政府代表者である総務長官が、四月とお書きになれば蛮勇をふるって実施する、こうおっしゃるのだから、お書きにならなければ、一にかかって人事院総裁佐藤さんの責任ですよ、こう申し上げたら、いや、まさにそのとおりです——そのとおりですとしらばっくれて、去年お書きにならなかった。  だから私は、官房長官にそこで言っていただきたいことが一つある。これだけでいいのですけれども、去年、人事院が四月と書いたら蛮勇をふるって実施するとなっていたけれども、御本人が書かなかった。昨年よりうしろ向きになることはないとおっしゃっているのですから、官房長官のほうも、三日目でございますけれども、昨年よりうしろ向きになることはない。特に、田中総理定期会談をということでトップ会談をあすやろうというんだから、積極的に前に出ようということなんだから、そこにひとつ信頼をつなごうじゃないかということにしていただければ、私はそれでいい。天下野人官房長官が、おととい、かみしもを着たからといって、うまいことを言うことはない。腹さえわかればいい。そこのところを聞きたい。
  12. 二階堂進

    二階堂国務大臣 よくお話は承りました。私も大出さんのいまのお話は十分承りましたということで、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 もう一言何か言うことないですか。——じゃ、こうしましょう。二階堂さん、承りましたということですから、おわかりいただいたのですな。わかった上で、あすのトップ会談につないでいただく。よろしゅうございますな。よろしいとお答え願えませんか。
  14. 二階堂進

    二階堂国務大臣 そういうことにいたします。
  15. 大出俊

    大出委員 ところで総裁に、いま四月実施の話が出ましたので、もうちょっと承りたいのですけれども。  かつてNHKのテレビニュースで、どうもことしは人事院は四月と書かないのではないか、来年に向かって検討するぐらいのことをくっつけるのではないか、こういう分析をして流したことがあります。私、この席で総裁に聞きましたが、あなたはテレビニュースなるものを見たかと申し上げたら、いや残念ながら聞かなかった。都合の悪いことは聞かなかったのですかと言ったら、都合が悪いわけじゃないんだけれどもという話になった。実は、なぜああいうニュースになったかという、そのニュースソースを探ってみた。聞いてみた。そうしたところが、総裁があるところで、四月実施という問題は私の任期中に何とか解決をしなければならぬ問題ではあるんだという趣旨お話をなさった。となると遠からずということになるんだが、どうやらことしは遅疑逡巡しておられるようで、来年ということになりそうな感じがしたということで、ああいう流し方をしたということなんですね。  この真偽のほどは、私、本人じゃございませんから、わからぬわけでありますけれども、やはりこれは総裁が、いずれにせよ近々片をつけなければならぬ問題だというふうにお考えのことは間違いないだろう。当該団体とのやりとりの中でも、公の席じゃありませんから、そのものずばりは引用いたしませんけれども、いま私が口にしたと似たようなお話をなさっておられる、こうも承っておりますので、そこらのところはそうだろうと思うのですけれども、そういつまでも引っぱっておけない、遠くないうちに片づけなければならぬ、こういうところには総裁の御心境はきているんだろうと思いますが、そこらのところはいかがでしょう。
  16. 佐藤達夫

    佐藤説明員 テレビニュースソースの件は、私はしゃべった覚えがありませんから、私の顔色をそんたくしたのかということに尽きるだろうと思います。しかし、おことばにありましたように、また私がたびたび申し上げておりますように、前向きに着実に検討するという以上は、これは回れ右をすることはあるまいという御推察はいただけることと存じます。現状の上に立ちながら前向きというのは、五月にはしないということではありませんですから、それはちょっと誤解を生ずると思いますから、はっきりさせておきますけれども現状の上に立ちながら前向きで前進の検討を進めておるということでございますから、その検討をもうやめたというようなことは、こちらの附帯決議もございますし、どのつら下げても言えることじゃない、これははっきり申し上げてよろしいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 附帯決議もございますので、検討はやめたなんということは言える義理じゃないという話なんで、つまり、先般お話しになりました前向きで検討するということなんでしょうが、ただ、前向きで検討するということばで前回は切りましたけれども、きょうはこの会期の終わりの日でございまして、したがってもうそう遠くないので、前向きで検討をしておられるはずでございますから、その前向きで検討するということの中身をはっきり承りたいと思うのです。つまり総裁が、その五月か四月かという決断を、いまのお話から、腹の中に何があるかわかりませんけれども、まだ表ではつけておられないように聞こえる。その五月か四月かという問題についての決着をなかなかおつけになっていない理由、それはほんとうのところどこにあるのかということ。私がいまここで口にいたしましたが、今日、民間も四月であり、公労協も四月であり、予算も四月という形になっているわけですね。人事院も四月調査ということでおやりになっておられる。春闘の拾い残しなんというお話も前にございました。しかし、それはきのうきょうやっているわけじゃありませんから、それを解消する方法も技術上あります。そうすると、ここまできて、そこのところのいずれにするかという、そこから先なかなか前に進まないということの真意。何べんか承りましたが、この段階でなおそういうお考えだという、その真意は一体どこにあるかという点を承っておきたいのです。
  18. 佐藤達夫

    佐藤説明員 そういう角度からのお尋ねがありますと、何だかまだ五月に未練がある、あるいはうしろ髪を引かれているのじゃないかというようなムードを、どうも答えの中に含ませるようなことになりはせぬかと思うのですが、しかしお尋ねですから、それは大出委員も御承知のように、先ほどおことばにありましたように、ここでもたびたび申しましたように、とにかく十一年間こうやっているということは堂々とうたってきた。そうして、四月調査に基づきます趣旨より、五月から実施することが適当と認めるとまで書いて、ときどき御指摘ありましたけれども書いて、それで値切られたとか値切られないというような、ことばは悪うございますけれども、そういうことで一生懸命に完全実施を念願してきたわけでございます。  そういう私どもの立場から言いますと、たとえば、これを四月に変えるということは、われわれとしては相当の決意を要する。そう軽々しい形で切りかえましたよということでは世間に顔向けができない、われわれの身になってみれば。そういう立場にあるわけです。したがって、これは慎重に検討を続けた結果、やはりこれがいいという結論を得ましたということでいきませんと、というような気持ちもありまして、これはやはりうしろ髪引かれたような形に受け取られてはもう私としても迷惑だ。そういう角度からお尋ねになりますと、やはりそういうことまでだんだん申し上げて、何かうしろ向きになるようなことにもなりかねないということをあらかじめ御用心願うとしておきたいと思います。
  19. 大出俊

    大出委員 こういう角度から聞きませんとわからぬですから、あえて承ったのですけれども、つまり人事院が、十一年間にわたる長い歴史的過程の中に、五月ということに中心を置いてきた。ですから、これを四月にするについては、それ相当な、そういう踏み切る意味での配慮が必要である、こういうことだと思うのです。  そのことは、もう一歩進んでものを言いますと、そういう経過をたどってきている、これは事実ですけれども、それはあくまでも経過であって、今日この段階一つの確たる理論、根拠といいますか、そういう意味にとれる御説明じゃない。これはいままで何回か承りましたが、何でもかんでも五月にせにゃならぬという、われわれにも説得力がある、なるほどという、そういう理由を承ってはいない。だから、一番無理もないなあという気がするというのは、いまの歴史的な人事院の姿勢があった、これだなあという気がする。そうすると、それは、中心におすわりになってやってこられた総裁とすれば、その経過から離れてものを考えるわけにはいかない、ここまではわかる。だがしかし、やはりたくさんの国家公務員に、民間も四月じゃないか、公労協も四月じゃないか、予算だって四月じゃないかということについて、それはだめなんだ、五月なんだ。じゃ、われわれが話をしたときに、なるほど人事院の言っているのも無理もないという意味の説得力ある理由になるかというと、ならぬ。これを前から私は何べんも言っているわけです。  そうすると問題は、人事院が歴史的にあった五月というものを四月に踏み切るについて、われわれの側だって、ここで国政という意味で論議しているのですから、そうするとこれは、腕を組んで見ているわけにいかない。じゃ、われわれはどうしたらいいか。附帯決議をつけているのですから。附帯決議をつけたというのは、つまり内閣委員会の意思なんですから。内閣委員会に席があるわれわれもまた、公務員に責任を持っているわけです、勧告は議会になさるんだから。そうでしょう。やがて委員会に出てくる勧告をまのあたりにして、人事院が踏み切りがたい要素があるとするならば、なるほど人事院も四月にしたのは無理からぬことであると世の中も納得する、政府与党の諸君も納得する、野党のわれわれも納得する、そうしてあわせて国民も納得するということにするのには、一体どうしたらいいかという点が残るわけです、私どもの責任として。そうすると、議会に議席がおありになっても、公務員給与を専門にやっているわけじゃないから、歴史をすべて知っているわけでもない。だとすれば、踏み切るためには、わかってもらう努力をわれわれはせねばならぬ。皆さんの側も同様でしょう。そこで、世間一般もわかってもらいたいと思うから、何べんか質問してきているというわけですが……。  そこで、そうなると、その責任は相互にあると思うのですね。相互にあるとすれば、人事院がいまさらうしろ向きにはならぬ、前に向いておるわけですから、前に向いた以上は、やはり説得力のある中身にしたい。かくかくの理由でこうするというはっきりしたものにしたい。その努力の過程にあるのですね、今度は前向きに検討というのは。そうだとすれば、じゃ、われわれはどうしたらいいんだ、ここの問題なんですね。ここら辺について、総裁のほうは、前向きで検討すると言っているんだから、つまり検討というのは、目下人事院の内部の問題ですから、そうすると、世間一般に向かって説得力あるという、この意味における問題、課題を、これからどう処理するかという問題だろうと思う。そこのところは、一体私どもはどうしたらいいですか。
  20. 佐藤達夫

    佐藤説明員 われわれとしては、そういう意味の御激励をあらゆる機会にひとつ投げつけていただくということは、決してマイナスではないことでプラスだと思っておりますから、たびたび承っております御論議も、われわれとしては非常にうれしく拝聴しておるわけであります。そういう意味での御激励はたびたびしていただいてけっこうでございます。お願いしますとまではいきませんが、いただいてけっこうだと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 これは非公式な話を公にするわけにまいりませんから、私は大ざっぱなことを言いますけれども、私もそこら辺心配になりますから、与党の皆さんの側の方々ともいろいろお話をしてみた。そうすると、いや、それは確かにおっしゃられるとおり、民間も四月である、公労協も四月である、予算の年次も四月からになっているということになると、それは確かに理由が明確だ、だから、いずれのところかでその点は考えねばならぬというふうに思ってきたんだ。たとえば、前官房長官であって目下副幹事長をやっておられる竹下登さんと話をしてみますと、自分官房長官を長いことおやりになりましたから、御理解の上で言っておられるのですね。わかっておられるわけです。また、いま労働大臣をおやりになっている田村元さんがおいでになりまして、話してみましても、それは大出君、予算年次は四月だよ、民間も公労協もみな四月だよ、公務員だけ五月でいいかということになれば、それは四月実施にしろと言うのは無理はない。これはわかると思う。だから、話せばわかる筋合いなんです。二階堂さんは、三日目の官房長官ですから、なかなか流れは悪いですけれども、しかし、きのう二、三回話しましたが、やはりそれはわかっちゃおられる。それは確かに、人事院勧告していないのだから、われわれが前に出てとんでもないことを言っちまうわけにはいかないけれども、言っていることはわかるというわけですね。また、きょうはあとから本名さんがお見えになりますけれども、本名さんにお話ししてみてもやはり、公務員諸君が納得しがたい、四月にしろ、それは理由はありますよとおっしゃる。だからそういう意味では、努力すればこれはわかってもらえるところです。  だから、もしも人事院が踏み切れない要素の中に、なるほど、人事院が四月にした、無理からぬということが、議会筋の諸君にしても、政府にしても、あるいは一般の方々にも知られる、そのことが必要なんだということならば、われわれの努力が足らないから人事院が踏み切れぬということになる。そういう筋になるのです。だから、総裁が踏み切りやすいようにいかようにもやりますが、率直に総裁、ここまでくれば、もう少し、議会筋がこうしろ、おれは議会に勧告するのだから、こういうところまで言ってくれたって、私は決して不親切じゃないと思うのですよ。いかがでございますか。
  22. 佐藤達夫

    佐藤説明員 笑いましたのは、いまどうして踏み切らなければならぬものかということで自問自答して、実はほほえみを漏らしたわけですが、ことしの勧告にしても、まだやるかやらぬかはきめてはおりませんけれども、まだ締め切りは一カ月くらいあるわけです。いまどうしてせっつかれるのかということで、ちょっとほほえみを漏らしただけでございます。
  23. 大出俊

    大出委員 いまやってくれればいいのです。四月にしてもらえばそれはいいのです。言うことはない、遊んできたわけじゃないのですから。だから、いまおっしゃるけれども、それはいつという問題も出てくるのですよ。八月十五日に勧告が出るという予測ならば、八月十五日なら八月十日でいいのかというと、そういうわけにはいかない。やっぱりいまごろからものを言わなければ間に合わない。そうでしょう。だから、皆さんはどう思っているか知らぬけれども当該団体皆さんは真剣に四月実施を求めて、あした団体行動をやろうというわけですから、くどいけれども、私どもやはり、できるだけ人事院の真意というものも正確に伝えたいし、私ども考えていることも正確に人事院に申し上げたいのです。そういう意味でものを言っているのです。だから何かそこに総裁側で、もう少しこうしろというところがあれば言っていただいたら、じゃやりましょう、こういうことにしようと思っている。いかがですか。
  24. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どうも、目下着実に検討を進めておる段階でございますので、申しわけないけれども、あしたとかきょうとかいうことは、私ども全然考えておりません。
  25. 大出俊

    大出委員 そうじゃないのです。八月十五日までの間にどっちかにおきめになるのでしょう。そうでしょう。あしたとかきょうとか言っているわけじゃないのですよ。いまから八月十五日までの間に、総裁の心理状態がだんだんと詰まっていって、いずれかにしなければならぬというところにくるのでしょうから、その間にどうすればいいのですか、こう言っているのです。まあ大出君、そう心配するな、そこにすわっていろというのなら、それでいいですよ。
  26. 佐藤達夫

    佐藤説明員 ことしやるかやらないかということをきめるのは、ことしの勧告の際にきめなければならぬ。その意味ではある種の締め切りがあると思います。したがいまして、やらぬならやらぬ、やるならやるという方向のけじめはその直前にでもつけなければならぬ。これは事柄の性質上当然のことでございます。何をしたらいいかとおっしゃいますけれども、絶えず御激励をいただくことはけっこうでございます。こういうことでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 それじゃ年じゅう御激励申し上げていかなくちゃ。八月十五日を前にして総裁の心理状態がこうだというところにいくまで、御激励を申し上げ続けなければいかぬわけですな。そういうことですか。それは総裁、笑ったってそうなる。
  28. 佐藤達夫

    佐藤説明員 何をしたらいいかというお尋ねでございますから、差し出がましいことは別に申し上げる立場にございませんし、いままでずっと御激励をいただいて、歴史的な回顧をすれば一理なきにしもあらず、ほんとうは重大な問題でありますからというところからスタートしたってよかったのかもしれませんが、一理もなしでぶっ放してしまって、それから一理ありますということで、おことばのようなことで着々と前向きに進んでおることは事実であります。また、その裏にはたびたびの御激励もあったということは、これは事実として申し上げておきます。
  29. 大出俊

    大出委員 私のほうからすると、ずいぶん御激励を申し上げてきたつもりなんですよ、長い間。これはぎりぎりまできているという認識なんですよ。ですから、それでなおかつ総裁が先ほど、うしろ髪を引かれるというような言い方をせざるを得なくなる、これはあえて理由をと言われればそういうことなのであって、しかし、そこまでやるものはもちろんないということなのでありますから、まあまかしておけ、こうおっしゃるならそれでいい。ただ、どうもそこのところがもう一つぴんとこないものだから、少し執拗にきょうは禅問答みたいなことをいたしておるのです。どうなんですか、総裁。やはり一つ流れ、雰囲気もありまして、この雰囲気は、ことしは割り切ってしかるべきところにきている。いまとは申しませんよ。八月の勧告の時期をめぐりまして、この着々というのがだんだん早くなりまして、そういうところにいくようにぼくは思うのです。だから、そういう心情に前向きの検討を合わせていただきたい、こう思っているのですが、いかがでございますか。
  30. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それはもうおっしゃるとおり、前向きの検討をさらに情熱を込めてやれという御趣旨であれば、それは情熱を込めてこれからも進んでまいります。
  31. 大出俊

    大出委員 これは、これから勧告の最終締めくくりをおやりになるのでしょうから、この時期に何もかもここで説明してくれと言ったって、それは無理な話で、そんなことはわかって聞いているのですが、せっかく、公労協にしても四月であり、民間にしても四月であり、予算も四月であり、四月調査というたてまえをおとりになっているということですから、春闘追跡調査その他五月の賃金台帳に載ったものをということも従来ありますが、それにしても長い間でありますので、ひとつそこらのところを今回の勧告については踏み切っていただきたい、こういうふうに申し上げて、この点は終わっておきたいと思います。  次に金額なんですけれども、大幅にして高額だというふうなことになって、そうかというようなことになっておったのが昨年なんですね。かくて一一・七四%という勧告になった、こういうわけです。ことしは大幅にして高額というわけにはまいりませんですか。
  32. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは、おととしでしたかな、確かにやりました。それはもう、とうとうたる周囲の民間給与賃金上昇を踏まえて、これが小幅で低額だったら、人事院民間調査は間違っていはせぬかと言われるような事態のもとで、わかりませんなんてしらばっくれて通る事態ではなかったです、そのときは。ですから、これは率直に、率は申しませんでしたけれども、大幅、高額はたぶんだいじょうぶでしょうということを申し上げました。それはそのとおりでございます。ことしの場合は、実は昨年の段階ではいろいろなことが重なって、一体、来年の勧告はどうなるかいというようなことで、公務員方々を常に考えている私としては、実はやや悲観的な気持ちを持っておりました。ことしの春闘も、そういう目でずっと見守っておりますと、まあまあのところまではいっているなというようなことで観測をしておる。大幅、高額を言い切るような自信はございませんがね。
  33. 大出俊

    大出委員 けれども総裁、それはおかしいのじゃないですか。昨年と比べてパーセンテージの落ち込みというのは、計算のしかたによりますが、せいぜい一・〇六とか一・〇八という落ち込みなんです。だから金額だって、国鉄の金額だけとったって、昨年の金額プラス三百十二円ですよ。この間の質問のときに私は申し上げたが、「四十七年度経済見通しと経済運営の基本的態度」の中身を見ても、景気は円切り上げ不況だということだから、個人消費支出は、前年が一三・五、四十七年度に向かっては一三・八、だから〇・三%しか伸びないと書いてありました。その予測をくつがえして、落ち込みというのは一・〇六なり一・〇八ぐらいだ。春闘共闘の調査もございますが、さっきちょっと例に引きましたが、これでも一五・八ぐらいになっておりますね。これはもちろん定昇込みです。そうすると、ことしはどうも大幅、高額なんて言えないなどということをおっしゃるけれども、そうじゃないのじゃないですか。やや落ち込みが見えるようだが、まあ大幅、高額でしょう、このぐらいのところじゃないですかな。いかがですか。
  34. 佐藤達夫

    佐藤説明員 どうも答弁技術がへたなものですから、否定的な答えで打ち出したのはまずかったと思っております。高額じゃないでしょうという否定的なことはまずい言い方ですね。去年の心配に比べればいい線へいくでしょうというふうに言いかえれば、それは御満足いただけるだろうと思って、いまちょっと考えておったところです。
  35. 大出俊

    大出委員 去年の心配と比べていい線へいくだろうということで、そういう予測でひとつ期待をいたしております。  ところで、このお忙しい中を総務長官お出かけをいただきまして恐縮でございますが、先ほど、官房長官にもお出かけをいただきまして、御担当ではございませんが、新内閣一つの基本的な問題のあり方として承ったのですが、私は官房長官三日目でございましてというお話から始まりまして、天下野人がかみしもを着ちゃったようなかっこうで、どうもやりにくいということですが、私のほうから言ってよろしゅうございますか、よろしゅうございますということになったのですが、つまり田中内閣は、労使関係信頼回復ということで——これはかつてドライヤーなる調査団が参りまして勧告したことがあるのです。公務員における労使関係のいろいろなごたごたがございましたが、これは信頼感の欠如である、だから信頼回復をはかることが一番ポイントだ。その信頼回復をはかるには「使用者としての政府」ということばもある。だから、そのイニシアチブは政府がとるべきであるという勧告で、時の石田労働大臣がこれをのんだわけでありますが、つまり、ナショナルセンター組合のてっぺんと総理との会見というものが、池田さんのときに定期的に行なわれることが約束されたことがあり、久しく中断をしていましたが、それを今回再度始めようというのが明日の総理総評トップの話し合い。これは定期的にやろうということを、昨日私に田村労働大臣もおっしゃっておりましたが、つまりそれは、信頼回復をお互いにはかっていこう、こういうわけでありますが、積極姿勢でひとつ労使問題の、特に公務における懸案を難問であっても解決していこう、こういうことでありますが、そういう意味でひとつ前向きに受け取りたい。  だから、あすの田中総理総評幹部との話し合いというもの、そういう総理の積極姿勢というものを信頼をして、官房長官はそこをつないでくれ、きょうの本席はそういうふうに受け取っていいかという話をしまして、尊重するなんということばをお使いになりましたが、最後のところは、前回の勧告を前にしての山中総務長官答弁は、人事院が四月実施とお書きになるとすれば蛮勇をふるってこれを実施いたしますと、四月問題はこういう答弁だったのですね。したがって、後退することはない、積極姿勢をおとりになっている現内閣だから、前向きにお考えいただければ、そう理解していいかと言うたら、大出さんの言うことはわかった、こういうことで、何べんでも出てくるからということでお帰りになったのです。  前後しまして恐縮ですが、本来ならば総務長官に当初承るべきなんですけれども、時間の関係でお許しをいただきまして、あらためてひとつ総務長官に御返答を賜わりたいのですが、四月実施の問題をめぐりましては、旧来五月になっておりますけれども、予算の年次も四月からであり、かつ民間も公労協も四月から賃金引き上げが行なわれているということもこれあり、人事院が四月というふうにお書きになれば蛮勇をふるって実施をいたします、これが山中総務長官答弁なんです。で、私は、ことしは、さっき申し上げた田中さんの内閣であしたから労使関係の話し合いが始まるわけでありますが、こういう時期でもございますだけに、ひとつ旧来の答弁を踏まえまして、より積極的に問題解決に当たっていただける、こう理解をするのですが、そういう意味で、給与担当をこれからおやりになる長官としてのお考えをひとつ承りたいと思いますが、どうですか。
  36. 伊能繁次郎

    伊能委員長 大出君の御質問に答える前に、本名総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。本名長官。
  37. 本名武

    ○本名国務大臣 失礼ですが、お答えの前に、この機会にちょっとごあいさつを申し上げたいと思います。  このたび、はからずも総務長官を拝命いたしました。まことに不敏ではございますが、今後よろしくお願いを申し上げます。  さて、大出さんのお尋ねに対しまして、実は承りますと、もう官房長官がすでに見解を述べられて、また人事院総裁もそれぞれお立場においてお話があったと思いますが、私、ほかの委員会その他のことでおくれて参りましてたいへん申しわけないと存じますが、私も実は、先に参りましてお答えするとするならば、やはり官房長官の御趣旨と同じようなことを申し上げたのではないかと思っております。ただ、前長官のお話がございましたけれども、同じ官房長官お話にいたしましても、いま、前長官が、蛮勇をふるってということを言われたそうですが、蛮勇をふるわなくても、当然人事院勧告には応ずるという態度で臨みたいと私は考えております。そういうような心組みで対処いたしたい。  特に、明日は異例の総理、団体との話し合いをなされる。私はやはり、お互いが信頼感を持ってこういうむずかしい問題を解決するということだけではなくして、それぞれの立場をお互いが理解し合って、政治の上に、あるいは職場の上にそれぞれの職分を全うする姿をつくる第一歩であると存じまして、あすの総理との会見には心から賛意を表しているものでございます。したがいまして、その結果は、かなり具体的な最高責任者らしきお答えがあろうと思いますが、今日私は担当大臣として申し上げるとするならば、一口に先ほど申し上げたような決意で臨みたいと考えております。  まあ、ここで申し上げていいことかどうかわかりませんが、ひとつ皆さまのお許しを得て、私の、個人も公人もありませんけれども、実は腹の底で、大臣になる前から抱いておりましたのは、長年の懸案でもあり、また客観的な給与事情からいたしましても、やはり人事院総裁の御賢明なる御処断によってひとつこの目的が達せられるような御勧告を期待したいというのが、実は前から考えていたことなんですが、いまの立場でこんなことを申し上げていいかどうかわかりませんが、心組みの一端としてお聞き取りいただきたいと思うわけでございます。
  38. 大出俊

    大出委員 これは、長官であると同時に政治家でございますから、たいへん先取りをしてお答えをいただきましてありがたい次第でございますけれども、ぜひひとつこれは人事院総裁も、裏側から本名さんおっしゃいましたが、私は、新内閣の性格上、蛮勇をふるって実施すると言った山中さんからさらに一歩出た本名さんの御答弁だと思うのでございまして、したがいまして、総裁もひとつ期待をされる勧告の御本家でございますから、あわせて私もひとつ期待をしているわけでございまして、もう一つ、いま長官ああいうふうにおっしゃいましたので、期待にこたえましょうとまで言えぬにしても、前向きで検討してきましたが、よりひとつ前向きで検討いたしますくらいのことは一言そこで言っていただけませんですか。目玉としてひとつ答弁してください。
  39. 佐藤達夫

    佐藤説明員 目玉になることかどうかわかりませんが、いまの総務長官の御答弁で、蛮勇をふるってということを訂正されたことについては、もう非常な賛意を表します。あたりまえのことですけれども、それは当然のことだろうと思います。そこで敬意を表しておきます。
  40. 大出俊

    大出委員 総裁、これはいまなかなかいいところでございまして、実施するのは当然だということですが、そこで、当然だと言わせておいて、そこから先言わぬということは、これまたしごく不自然でございますから、少しそこのところ触れていただけませんか。いかがでございますか。
  41. 佐藤達夫

    佐藤説明員 着実に検討を進めてまいります。
  42. 大出俊

    大出委員 大体このくらい詰めておけばいいのじゃないですかな、総裁。まあ総裁、あまりおかしな状況でなくて笑っておられますから、私も、総裁の間違いない勧告を、私の期待どおりの勧告をという意味で、これは信頼いたします。  そこで、あと何点か承っておきたいのです。勧告の時期ですが、これは尾崎さんのほうの手順もございましょうが、八月の十一日、金曜日でございますか、やはりその前後ということになりますか。あとの休会中の審議の日程の関係もございまして、その点、大体どの辺の見当ですか。
  43. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 先の関係はちょっとわかりかねるのでございますけれども、現在の段階では、民間給与調査の結果を統計局で集計をいたしておりまして、それをいただくということによって実態的な検討に入るというわけでございまして、その予定といたしましては、大体去年と同様なことで、現在のところはそういう進行の予想になっております。日にちはちょっとわかりませんけれども、現在の段階では、大体去年とほぼ同様な方向で進行しているというふうに事務的には考えております。
  44. 大出俊

    大出委員 ところで、先般、ポイントとして幾つか諸手当について触れておきましたのですが、その後の調査経過等からいたしまして、ことしの諸手当に触れて、たとえば扶養手当の例などのように、いま妻は二千二百円でございまするが、これが中労委の調査等によりますと三千七百九十三円ですね。第一子六百円が千三百五十四円、第二子六百円が千百二十九円、こういうふうな数字が出ておりますが、その他幾つかあります。この資料によりましても、多少は動いていいのではないか、こういう気がする。ここらのところ、動きそうな感じのするところをこの間ほとんど質問してありますので、その後の経過の中で少し要点をお答えいただけませんですか。
  45. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 扶養手当の関係でございますけれども、これは民間調査の中に入れまして、現段階における実態を把握をするつもりでございますが、ただいま申し上げましたように、まだ集計中でございまして、手元にまいりませんので、どういう状況か、何とも申し上げかねる段階でございますけれども情報といたしましては、ことしのいわゆる春闘の中で、扶養手当の増額、そういったようなことが各会社の中でかなり取り上げられているのではないか。こういう要求項目がかなり見受けられますので、そういう関係の結果がどうなるかということは、調査の結果としてどのように出てくるだろうかということをいわば期待しながら結果を見守る、こういうところでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 締めくくりますが、あと問題は一時金なんですけれども、これはくどいようだけれども総裁。あまり切られっぱなしになってきまして、〇・〇七ぐらいまで切っちゃっているわけですから、ことしは多少頭が欠けてもまるくするぐらいの芸当はおやりになっても、やり過ぎだということを言われる筋もないので、この辺のところ、長年の切り捨てをことしは回復する気になっていただけぬかという気がするのですが、どうもそこが心配なんですけれども、いかがですか。
  47. 佐藤達夫

    佐藤説明員 毎年そういうような御非難を受けるような数字が出まして、われわれも気にしておるわけでございます。これは数字を見ませんとはっきりしませんけれども、まあ、そのときの話にしたらどうかと——去年の話ですけれども、かりにこれをマイナスにするような値にでも切り上げたらどういうことになるかなど、これは笑い話として申し上げたことがございますけれども、先はどうなりますか、それは最も重大な関心を持って見ておるところでございます。
  48. 大出俊

    大出委員 もう一つは国鉄の運賃ですけれども、これは大臣がおられて恐縮ですが、勧告あとになってこれが上がったということになるとどうするのですか。そんなことはないつもりですけれども、念のために聞いておきたい。
  49. 佐藤達夫

    佐藤説明員 これは、運賃法を通していただくかどうかということは、われわれの知ったことではございませんけれども、しかし、かりにものすごい値上がりになるとすれば、われわれとしても、これはほっておくわけにもいくまいなという程度の話はぼつぼつやっておる。これは先のことでございますから、いまからはっきりした結論を出す必要はないと思いますけれども、ほっておけるかなという気持ちでもって寄り寄り話をしておるという程度のところでございます。
  50. 大出俊

    大出委員 いま二回話をしましたが、話がちょっと違うのですね。最初の話は、ほっておくわけにはいくまいなという話で、あとの話は、どうもほっておきそうな感じなんだけれども、これはほっておくわけにはいかぬという感じなんでしょう、もしそういうことがあれば。
  51. 佐藤達夫

    佐藤説明員 前とあとを合わせていただければ、大体正しい答えが出るだろうという——まあ、ほんとうに、ただ黙って見過ごしていいことかどうかということは気にしておるということでございます。
  52. 大出俊

    大出委員 気にしておる結果が、ほっておくわけにはいくまいなということになったということですな。まあ気にしておる、気にした結果が、ぼつぼつ、ほっておくわけにもいくまいというので相談を始めているということなんだから、ほっておくわけにはいかないということなんでしょう。それでいいでしょう。
  53. 佐藤達夫

    佐藤説明員 御承知のように、ラチチュードが現在ございますから、制度でもそのラチチュードでおさまる部分はあるだろうということも踏まえながら検討をしようという立場でございます。
  54. 大出俊

    大出委員 時間がございませんのであと一つ。  いろいろ問題がありますけれども、ほとんど、先般、表に出して聞いておりますから、この程度にさせていただきまして、まあ懸案である四月問題は、何とか世の中の情勢もながめて解決をしたいという意味で、解決のできる勧告を期待を申し上げたいということで、こういう問題には公人も私人もないという立場で、長官本来お考えになっているということを口に出していただきまして、たいへんありがたいわけでありますが、どうかひとつそういう意味で、かつそれが出れば、蛮勇をふるうなどよけいなことを言わぬでも、実施するのはあたりまえだというお話でありますので、ぜひひとつそういう方向で御努力をいただきたい、こうお願いをいたしまして、あと退職手当問題で、こまかいことは省略をいたしますが、二、三点長官に承っておきたいのです。  この数字を人事院がお出しになって、それを拝見するなどいたしましたが、私にわからないところがたくさんございます。なぜかと言いますと、いまだから申し上げられるわけでございますが、いろいろいままで数字を見ておりますので、途中経過の中における、どこからがどうというわけではありませんけれどもそこらの結果あの数字になったのだとすると、たいへんどうも私としては、不本意な集計結果だという気がするのであります。  これは、たとえば三十年勤続で五百五十五万円というのが六百二十万円とされておったり、集計上の手違いだったというお話ども出てきたりしておりますけれども、それにしても、いままで何回か数字を目にいたしておりますだけに、不納得の点がございます。ただ、これは結果だけ集計してあるわけですから、どういう経過でそうなったという、つまりこれは読み方によって変わりますけれどもそこらがつまびらかでない。一応このいただいたものは当たっておりますが、この席では遠慮をいたします。もう少し集めるべきものを集めてから、また見方、読み方につきましても、できるだけひとつ事務的に詰めるものは詰めた上で承りたいのであります。そういう意味で、きょうはその点には触れません。触れませんが、また、長官のほうにも、こまかい数字はまだ御説明をなさっていないという事務当局からのお話も漏れ承りましたから、長官にそういう無礼な質問はいたしません。いたしませんが、基本になるものは、いささかどうも公務員の退職手当というのはひどいのではないか。いまの国内の民間を含む賃金事情の面でですね。私は特に、これからの労使問題というのは、民間を含めまして、退職金問題が非常に大きくなってくるのじゃないかという気がするのです。  公務員の例をちょっとここで申します。戦後の公務員労働者がどういう推移をしているかといいますと、大体、昭和二十二年から二十三年ごろ、つまり終戦直後入ってきた人が非常に数多くいる。これは当然でしょう、兵隊に行っておったわけですから。だから帰ってきて大量に公務員ができ上がった。ここが一つの大きな山になっているのですね。いまの公務員の在職者をグループ別に見ますと、二十二年から二十三年ごろ、つまり戦後公務におつきになった方々が大量に一緒においでになる。この方々が今日大体四十歳をこえて五十歳というところに近づきつつある、こういう一つの山がある。そこで、これからその退職金が問題になる、こういうふうにいま私申し上げましたが、その後、二十二、三年ごろから十年間ぐらい、各官庁はあまり人を採っていない。そして昭和三十五年ごろからまた相当人が入ってきている。そういう意味ではこれは二つ目の山になる。公務員の場合はこういう特徴を持っているのですね。  そうすると、戦後、二十二、三年ごろに入った方々がぼつぼつ退職年齢である、こういう状況なんですね。各省の人事課長さんなり、あるいは人事主任官の方々ばかりの集まりの話を聞いても、みんなそこを心配される。民間と比べまして、いろいろな集計のしかた等がありますが、昭和四十四年あたりに中労委が調べたいわゆるモデル退職金というふうなものをながめましても、どうもたいへん民間との間に差が見える。その後ベースアップが重なりまして、こういう民間との格差のあるままで捨てておけないという気持ちがぼくらのほうにありまして、実は前々国会にだいぶやかましく前総務長官山中さん等を責め上げまして、正直言いますと、予算の差し繰りでも何でもいいから退職金調査をやれと言ってだいぶねばった。人事局の皆さんのほう、当時栗山さんでしたか、いろいろ御相談いただいて、そして法的には所管は総理府の人事局なんですけれども、しかし民間調査の手なれているスタッフをお持ちになっている人事院に、わずかな予算ではありますが、その予算のワクで退職金の調査をしてくれというふうにお願いをした。以来、千人以上は面接、あるいは千人以下は通信ということで人事院調査を手がけておいでになった。私がさっき申し上げましたのは、その過程に数字上のいろいろな問題があったということです。  そういう意味で、退職金問題というのはこの次の国会には何としても決着をつけたい。山中さんが、前国会の予算委員会分科会の答弁で、私ども、言われたからとはいいながら調査する気になって、予算を使って調査をした限りは前向きで検討します、こう言われた、こういうようなことで今日に至っておるわけです。こういう経過があるわけでございます。  そういう意味で、ひとつこれは次の国会にというところをめどにしていただきまして、何とか形あるものにしていただけないか、こういうふうに実は思っているわけなんですが、数字のやりとりにつきましてはあらためて私申し上げますけれども、とりあえず大きな筋として、戦後入った方々が退職年齢に来ているということですから、職場では退職金の問題の決着がついてからという気持ちで待っている方もたくさんいる。そういう点も踏まえまして、かつまた不合理であるという指摘のある問題もこの中には幾つもある。だから、ここらのところもならさなければいけませんし、そういう意味で、次の国会あたりをめどに決着をつけたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  55. 本名武

    ○本名国務大臣 大出先生から冒頭に御理解あるおことばをいただいて恐縮に存じます。実は御指摘のとおり、私まだ事務的な説明は聞いておりません。いまここでメモをもらいましたけれども、これを読み上げたのでは、私の腹と違うことがあるかもしれませんから、現時点における私の考えを申し上げておきたいと思います。  それは実は、先ほどの給与の問題と関連いたしまして、退職金の問題につきましては、私この立場になる前から、専門でも何でもありませんけれども、おぼろげながら耳にいたしたり、また関心を持っていたりした一人でございます。たまたまこういう立場になりますと、やはり真剣に考えなければならぬということで、実は昨日かその前でしたか、一体、給与と退職金についてはどうなっているのだと聞いたら、実は人事院をわずらわして、三十年か何か、いつか知らぬが調査をした。それから最近においてもあらためて調査をいただいたということを聞いたわけであります。それじゃそれによって一体処置をしているか、それによっていま検討中であるということを聞きました。では、検討の過程でもいいし、結論ならなおけっこうだが、ぜひ聞かしてくれ。ただ、私、想像いたしますのに、なるほど、ただいま御指摘がありましたように、いま退職期を迎えようとする大多数はたいへん心配しておられると思う。それと同時に、われわれも検討しなければならないけれども民間との比較において考えますと、私もいささか、民間のほうの事情も、だいぶ前の話でございますが、多少調べたことがございます。民間の業界にいたしましても、大企業と中小企業でいろいろなでこぼこがあることは申すまでもございません。同様に、資料のとり方あるいは業態別等々によっていろいろな差異が出てくる。したがって、どの点を公務員に該当せしめるかということも基本的に考えてみる必要があろうと思う。  それやこれやをしろうとなりに考えておりますけれども、きょうこういう御指摘を受けたというからには、早急に私自身も検討いたします。また、事務当局も督励いたしまして、せっかく人事院がお調べいただいたのですから、これを有効にしかも適切に迅速に解決できるように、さらに検討を促進するということにいたしたいと考えております。
  56. 大出俊

    大出委員 いまのお答えはまさにそのとおりでございまして、私も、総務長官が大筋でお話しいただくとすれば、それで納得をいたします。  そこで、念のために申し上げておきたいのでありますが、退職金の問題を公務員関係の団体の方方が取り上げるようになった出発があるのですね。このときは退職金に関する詳細な資料というものは少ないのですよ。人事院がいまおやりになったその結果どう出るかという問題、あるいはどう読むかという問題はありますけれども、これも実は関連がある。どういうことかといいますと、古い資料でございますが、ここに当時の民間公務員の退職金の比較がありますが、中労委がおやりになりましたモデル退職金というのがある。これは四十四年なんですけれども、これを見ますと、民間で退職年齢といいますか、三十年ぐらいの勤続をした人のモデル退職金からすると、もちろん会社都合であるとか、あるいは自己都合であるとかございますけれども、普通の退職金ということでいって、四百七万円ぐらいの数字が当時出ておりました。  そこで、国家公務員のモデル賃金が四十五年の四月現在で高校卒、三十年勤続の場合に八万五百円です。これは実は一般公務員皆さんと公労協関係方々が一緒になって退職金共闘なんというものをおつくりになった。だから公労協も入っておるんでありますが、この中の例をあげますと、郵政関係組合員、職員の場合、高校卒で勤続三十年の人の賃金が七万四千九百円、こういう数字だったのです。これらの組合員の通常の昇給速度によって到達する高校卒、勤続三十年、この退職手当の算定の基礎賃金が全体をならすと七万五千円から八万円ということが言える。そうすると、七万五千円かける四十一・二五、これが大体三百九万円、こういう数字になります。八万円とすれば、八万円に四十一・二五をかけますと三百三十万円、こういう数字になる。そうすると、民間との比較でこれは一体どうなるかといいますと、四十四年四月の民間退職金が、同ケースでいって、四百五十万円をちょっと欠けますけれども、大体四百五十万円。そうなりますと、公務員の場合には、大体百二十万円から百五十万円までいきませんが、そのくらいのところが落ちているんじゃないかという問題が実は出てまいりました。これは、四十四年の民間のモデル退職金というふうな資料は当時幾つかありますけれども、今度はこれを民間のベースアップに合わせて直していった。そして四十四年から四十五年、六年というふうに直していったということで資料をつくってみたところが、どうも民間のほうが百二十万円から百五十万円くらい高くないかということで、実はこの退職金共闘ができ、退職金増額要求が出てきた、これが簡単に申し上げると歴史的な経過です。  そこで、当時の資料を私もいろいろ持っておりますが、これしかないのですから、民間がどうなっているかという資料は。あとは東商その他いろいろありますけれども、残念ながらみんな非常に古い。四十二年、四十三年、こういう資料ですね。ですから、新しい資料をとってみてそういうことでありますから、だから、いま調査をされて総理府の人事局にお出しになった数字と、当時の基礎からいきまして、これを毎年の民間のベースアップに当てはめていった数字、直していった数字と——もちろんこれは調査対象が違う。これは私どももう百も承知で言っているのですが、調査対象は、これでいきますと民間の三百二十二社なんですね。ですから、さっき大臣がいみじくもおっしゃったように、どういうところと公務員と対比すべきものなのか、そこらによって読み方、見方が違うわけでありますが、それにしても毎年それ以後ベースアップがあった。それを大体三十年なら三十年勤続でおやめになる方に当てはめてみる、こう伸ばしていってみたという数字と、今回お調べになって出てきた数字がたいへんどうも不納得な数字が出てきている。  そこで特徴的にあるのは、民間はこれから退職金闘争が始まるところは幾つもある。それはどういうことかというと、春闘賃金が上がる、上がると、退職金引き当ては一五%上がったうちの七%にしてくれとか言う。それを組合は、ばかな話だけれども、のんでいるわけですね。だから、賃金は上がったんだけれども退職金引き当てというのは落としている。落としてそれはどうやっているかというと、やめるまぎわになって出張だ何だといって、海外出張まで含めて、つまり会社都合で金を払う。そういうケースなども実は散見をされる。だから民間は、全額退職金引き当てにすべきであるという闘争を起こそうというところがたくさんある、こういうわけですね。そこらがはたして、面接というんですが、民間調査の面で、特に通信もありますから、正確に出るものかどうか。つまり、私のほうでそういう大きな数字で計算したものとたいへん大きく開くというのは、どこに理由があるのだろうか。あわせて、大臣がさっきおっしゃった、千人以上というところがあり以下のところがあるんですけれども、どういうところと対比すべきであるか。あるいは人員ウエート。やめた人たちを中心に、何人やめてどうだというウエートでいくか。あるいは、一つの企業でとらえて企業ウエートで考えるか、あるいは企業の人員で考えるかによって全部違うんですね。もちろん、やめた人を中心に計算をすれば高くなる、企業という形で計算すれば安くなる、あたりまえのことであります。だから、そういうふうなところを含めて、どう考え、どう読み、どう対比すべきか。そこらのところが私は非常にむずかしい問題だと思っている。  だから、そういう点を、それぞれの該当の、つまり公務員の団体はそれなりに調べているわけです、自分の職場ですから。また、ナショナルセンター総評なんというところもありまして、民間についての調査をしているところもあります。だから、ぜひひとつ、そういうところの方々の言い分というものを、大臣できるだけ聞いていただいて、退職金について検討するなんということはめったにない機会なんですから、そういう上に立って、ひとつ何が正しいかということを御判断をいただきたい。その上で、次の国会というものを目途にどうするかという点をひとつ結論づけるように慎重な御配慮をいただきたい、これをお願いしたいと思うのですが、いかがでございますか。
  57. 本名武

    ○本名国務大臣 いろいろ御解明をまじえての御示唆がございまして感謝にたえませんが、先ほども申し上げましたように、また御指摘もありましたように、非常に複雑な内容を対象にしてきめなければならないということもありますので、鋭意引き続き検討をして、次の国会にどういう形でおはかりできるかは、いまここで私の立場でお約束できませんけれども、つとめて御期待に沿えるような線でおはかりできるような体制をつくるために努力をいたしたいと考えております。
  58. 大出俊

    大出委員 わかりました。たいへんぎりぎりの時間でございますので、以上で終わらせていただきますが、新内閣ができたわけでございまして、たいへん積極的に労働団体との会見の場所等をおつくりいただいておりますので、どうかそういう流れを進めていただいて、労使関係信頼回復に向かってお互いに努力しなければならないと思うのでありますが、今後ともひとつそういう御努力のほどをお願いいたしまして、終わらしていただきます。      ————◇—————
  59. 伊能繁次郎

    伊能委員長 委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、現地調査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣承認申請を行なうこととし、派遣地、派遣期間、派遣委員の選定等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、閉会中委員会において参考人の出頭を求め意見を徴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  62. 伊能繁次郎

    伊能委員長 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十九分散会