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1972-10-04 第69回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第1号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十七年七月十二日(水曜日)委 員会において、設置することに決した。 七月十三日  本小委員会委員長指名で、次の通り選任され  た。       内田 常雄君    大久保武雄君       左藤  恵君    坂本三十次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       進藤 一馬君    羽田野忠文君       橋口  隆君    岡田 利春君       田中 武夫君    松平 忠久君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文男君 七月十三日  橋口隆君が委員長指名で、小委員長に選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十七年十月四日(水曜日)     午前十時二十一分開議  出席小委員    小委員長 橋口  隆君       内田 常雄君    小川 平二君       左藤  恵君    加藤 清二君       松平 忠久君    近江巳記夫君       松尾 信人君    川端 文夫君  小委員外出席者         商工委員長   藏内 修治君         通商産業大臣         官房総合エネル         ギー政策課長  荒川  英君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君         参  考  人         (日本鉱業協会         会長)     新井 友藏君         参  考  人         (海外石油開発         株式会社社長) 今里 廣記君         参  考  人         (石油開発公団         総裁)     島田 喜仁君         参  考  人         (石油連盟会長滝口 丈夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 九月十四日  小委員進藤一馬君七月十七日委員辞任につき、  その補欠として田中榮一君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員始関伊平君八月二十二日委員辞任につ  き、その補欠として始関伊平君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員坂本三十次君同月十三日委員辞任につ  き、その補欠として坂本三十次君が委員長の指  名で小委員に選任された。 同日  小委員塩崎潤君同月十三日委員辞任につき、そ  の補欠として塩崎潤君が委員長指名で小委員  に選任された。 十月四日  小委員大久保武雄君及び岡田利春君同日小委員  辞任につき、その補欠として小川平二君及び加  藤清二君が委員長指名で小委員に選任され  た。 同日  小委員小川平二君及び加藤清二君同日小委員辞  任につき、その補欠として大久保武雄君及び岡  田利春君が委員長指名で小委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件      ————◇—————
  2. 橋口隆

    橋口委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  私がエネルギー・鉱物資源問題小委員長に選任されました橋口隆でございます。各位の格別の御協力をお願い申し上げます。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として日本鉱業協会会長新井友藏君、海外石油開発株式会社社長今里廣記君、石油開発公団総裁島田喜仁君及び石油連盟会長滝口丈夫君が出席されております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ小委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。  本小委員会におきましては、エネルギー・鉱物資源問題について調査中でありますが、わが国経済にとって資源問題は重要かつ緊急な課題であります。わが国資源事情の持つ問題点及び解決策等について、本日はそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に、小委員諸君からの質疑に対してお答えいただきたいと思います。  まず、新井参考人にお願いいたします。
  3. 新井友藏

    新井参考人 日本鉱業協会会長新井でございます。  当業界のことにつきましては、日ごろいろいろの問題で商工委員会関係ではごやっかいになっておりますが、本日は特に直接このような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございました。  非鉄金属業界を取り巻いております内外状況は、ちょうど昨年の十二月二十二日この委員会鉱業政策確立に関する決議をいただいておるわけでございますが、それ以後この状況は好転のきざしはございません。  以下、現在直面しております問題について申し上げたいと存じます。  第一の問題点は、国内景気長期低迷等によりまして大幅な需給の不均衡を生じ、この結果、長期買鉱契約いたしました海外鉱石に膨大な過剰が発生してまいりまして、その引き取り問題が重大な国際問題となりつつあることでございます。  例を銅にとってこの間の事情を説明いたします。  さきの新経済社会発展計画に基づく需要見通しによりますると、昭和四十六年度は需要は百一万トン、五十年度は百四十二万トンと予測されておりましたが、四十六年度の実績は八十三万トンに終わり、この見通しよりも十八万トン少なくなっております。さらに、ごく最近の見通しによりますと、五十年度は百六万トンと予測され、前の見通しより実に三十六万トンも少なくなっておる状況でございます。  一方、当業界は旺盛な需要増に対処すべく、海外資源開発を積極的に推進してまいりました。海外資源開発は、わが国にとっては必要原材料安定供給源確保となるばかりではございません。同時に資源保有国に対する経済協力事業としてきわめて有効なものであり、官民あげて現在まで強力に推進してきたものでございます。  その結果、海外開発がようやく軌道に乗り始め、鉱石輸入が次第に増加しようとしておるやさき、国内景気の後退に見舞われ、本年度以降海外鉱石は過剰となり、昭和五十年度には銅量で実に四十三万トンの過剰量が発生するものと見込まれるに至りました。  ところで、鉱石買い付け先は東南アジア、南米、アフリカ等発展途上国あるいはカナダ、オーストラリア等わが国に対しきわめて友好的な資源保有国であります。これら諸国は、その経済社会維持発展に関し、鉱石輸出に負うところがきわめて大きく、鉱山ぐるみ町ぐるみわが国に依存している状況にあります。したがいまして、もし、輸入量を削減すれば、資源保有国経済社会に甚大なる影響を与えることになります。この点、現に幾多のトラブルも生じている状況にございます。このため、わが国といたしましては、国際的な信用の失墜を防ぐ観点から、また、経済協力の実をあげる観点から海外鉱石の円滑な引き取りを行なうことが必要でございます。  次に、第二の問題点は、蓄積鉱害処理の問題でございます。最近、重金属を中心とした鉱害防止について社会的要請が高まっておりまして、休廃止鉱山鉱害問題、土壌汚染問題等が緊急に解決を要請されるに至っております。  当業界といたしましても、鉱公害防止には最大限の努力を傾注しており、現在の操業には何ら問題ないものと確信しておりますが、このような態様の鉱害については、何ぶんにも過去数十年にわたる蓄積によるものでありまして、しかも、中には自然汚染に由来するものではないかと思われるものもございます。したがって、その解決にはばく大な資金を要し、これを現在の鉱業権者のみの負担で、かつ、短期間に解決することは、企業負担の限界をこえるものであり、当業界にとってはまことに存立にかかわる重大問題でございます。  第三の問題点は、国際価格低迷人件費鉱公害防止対策費等コスト上昇、硫酸、硫化鉱等副産物収入の減少に加え、円切り上げ影響により、当業界、特に国内鉱山が非常な苦境におちいっていることでございます。  国内銅鉱山生産費は、現在トン当たり平均四十三万円となっておりますが、国際価格でありますロンドンの相場は三十万円そこそこに低迷しております。  また、昨年実施された円切り上げは、鉱業界にとって、国内建て値の問題、海外投融資に対する為替差損をはじめ、あらゆる面で甚大な影響を受け、銅、鉛、亜鉛の三鉱種だけでも三百億円をこえる大きな損失となりました。  かくして、国内鉱山数昭和四十四年度の二百八十一鉱山から昭和四十七年度には百七十五鉱山に減少し、今後さらに歴史の古い有名な鉱山も幾つか閉山が予定されているというゆゆしい事態に直面しておるのでございます。しかしながら、国内資源は最も安定的な供給源であるので、長期的観点に立って、その確保をはかることが必要と存じます。  昭和四十一年度から実施されております第一期国内探鉱長期計画により、すでに獲得された鉱量が三億二千万トンに達するなど、国内資源はまだかなり豊富に賦存していることが明らかにされており、また、現在検討されております第二期探鉱計画によりますと、さらに五億六千万トンに及ぶ鉱量発見が予想されております。近年発見されているものは、黒鉱中心とした高品位のものが多く、スクラップ・アンド・ビルドを通じて国内鉱山体質改善に寄与するところがはなはだ大きいと考えております。また、国内鉱山海外資源開発のための技術的基盤としてもきわめて重要な意義を持つものであることは忘れてはならないと存じます。  一方、海外資源開発については、探鉱から開発まで長期間を要することから、また、将来のわが国需要増加に備えるためにも、景気変動に左右されることなく常に探鉱活動を継続していく必要がございます。現在、世界的に需給関係は援和の状況にありますが、各国の海外資源開発意欲は決して衰えていない事実はこの間の事情を物語るものであります。  以上述べましたように、当業界には幾多の困難な問題が山積しておりますが、われわれは、昨年十二月本委員会において行なわれました鉱業政策確立に関する決議の線に沿って政策確立が早急になされることをお願いする次第でございます。  特に次の諸点につきまして御配慮を賜わりますようお願い申し上げます。  一、海外鉱石引き取り促進備蓄対策。これにつきましては、通産省において現在実施中の特例ユーザンス制度にかえまして、昭和四十八年度から日本輸出入銀行を中心とした外貨による輸入金融制度の創設を推進されておりますが、これをぜひとも実現していただきたいと存じます。また、金利、期間等融資条件につきましても、特段の御配慮を賜わりたいと存じます。  二、環境管理対策推進。現在、通産省において検討中の金属等鉱害事業団構想実現方を強く要望する次第でございます。その中で、特に過去の蓄積鉱害源の一掃に要する資金に関しましては、長期低利融資確保をお願いいたします。  次に、土壌汚染問題に関しましては、農用地土壌汚染防止法に基づく対策事業費企業負担につきましては、自然汚染実態把握を十分に行ない、関係方面とも協議の上、関連企業負担が過大にならないよう特に御配慮をお願いいたします。  三、内外資源開発推進国内資源重要性にかんがみまして、その探鉱促進については、来年度から第二期国内探鉱計画の実施等強力な助成をお願い申し上げます。また、海外資源開発につきましては、探鉱費成功払い融資制度を銅、鉛、亜鉛ニッケル等主要鉱種についてもぜひ実現するようにお願い申し上げます。  以上でございます。
  4. 橋口隆

    橋口委員長 次に、今里参考人にお願いいたします。
  5. 今里廣記

    今里参考人 今里でございます。  チュメニ石油プロジェクトの経緯、内容、問題点、この概要につきましては、ことしの八月二十二日の当商工委員会におきまして、参考人として御説明申し上げたわけでございますが、すでに会議録もできております。ここでは繰り返さないつもりでおります。  本席でむしろ申し述べたいことは、チュメニ開発輸入わが国にとってなぜ必要であるかについてであります。私ども日ソ経済委員会石油委員会といたしましては、一九七〇年代におきますところのわが国石油資源政策は低硫黄原油安定供給を基調としており、チュメニ原油輸入は、以下に申し述べますおもな理由によってこの方針に合致するからでございます。  第一に、チュメニ原油輸入は、わが国石油需給事情緩和に役立ち得るがゆえに必要でございます。世上アメリカエネルギー危機が伝えられておりますが、御高承のとおり、わが国エネルギー危機、ことに石油需給の緊迫は米国の比ではございません。ただ、あまりにも輸入率が大きいために危機感が慢性化し、鈍化しているにすぎないのじゃないかと思うわけでございます。  わが国原油輸入量はすでに消費量の九九・七%にのぼり、一九七〇年に一億九千七百万キロリットル、一九七一年に二億二千二百五十万キロリットルに達しました。総合エネルギー調査会見通しによれば、輸入量は今後さらに増大して、一九七五年に三億二千百八十万キロリットル、一九八〇年に至りますと五億二百万ないし五億四千二百万キロリットル、一九八五年には一躍しまして六億四千九百六十万ないし七億二千万キロリットルと予測されております。わが国経済成長率及び構造変化いかんにかかわらず、必要な原油輸入量が一九七五年に三億トン、一九八〇年に五億トン、一九八五年に至りますと六億ないし七億トンとなることはまず間違いないところと思います。かかる量を確保することがかなり困難なことはもちろん言うまでもありません。ちなみに、一九八五年ごろには米国必要原油輸入量も約七億トンに達するものと予測されております。  ところで、チュメニ原油輸入量は一九七八年から始まるものとして、当初の二、三年間は年間二千五百万トン、四、五年後以降は四千万トンと予定されております。したがって、一九八一年ごろにはわが国輸入原油の約八%をまかなうことになりまして、幾ぶんかでもわが国石油需給事情緩和に役立ち得るものと考えております。  第二に、チュメニ原油輸入は、わが国にとって原油供給源及び輸送路の地理的、政治的分散を意味し、したがって、供給長期安定化に役立ち得ることと考えております。現在、わが国原油供給は主として中東地域に依存しており、一九七一年には輸入原油の八五%が中東諸国、そのうちの四三%はイラン、それから一二%がインドネシアから、三%がその他の諸国から輸入されました。中東地域の持つ国際政治上の不安定要因中東地域からわが国までの輸送航路自然条件、すなわちマラッカ海峡等入りますが、あるいはOPEC及び国際石油資本わが国との関係を考慮に入れれば、原油供給源、したがって、輸送路の地理的、政治的分散は、わが国にとって石油資源確保上きわめて重要である。その際、供給源が近ければ近いほど有利なことは申すまでもございません。わが国から七百ないし一千キロメートルという近距離にあるナホトカ港からのチュメニ原油の二十年間にわたる安定輸入は、供給源及び輸送路分散化ばかりでなく、供給安定度を長期化するのに役立ち得るがゆえに、わが国にとっては絶対必要であろうと私は考えます。  第三に、チュメニ原油は比較的低硫黄でございますので、わが国輸入原油の低硫黄化、したがって、公害克服に寄与し得るということも考えております。石油に基因する公害克服現下わが国至上課題一つでありまして、国策として原油の低硫黄化脱硫技術開発が進められておりますことは皆さま御承知のとおりでございます。わが国輸入原油平均硫黄含有率は、一九六五年の二・〇四%から一九七〇年の一・五九%に低下し、一九七〇年には、原油輸入量の一九%が硫黄分一%以下となりましたが、なお八〇%が一ないし三%、一%が三%以上となっております。しかも、公害防止のための環境基準はさらに強化される見通しでございまして、輸入原油の低硫黄化への努力は並みたいていのことではないと思います。  幸いにしまして、チュメニ原油硫黄分一%以下、これは価格とのからみ合いで決定されますが、〇・八から一%のものが輸入されるものと考えておりますので、わが国輸入原油の低硫黄化を促し、したがって、公害克服に寄与し得るがゆえに、わが国にとって必要といえます。  以上が、チュメニ原油開発輸入を必要とする主たる理由でございます。  なお、本席をおかりいたしまして、私は、日ソ経済委員会サハリン大陸だな探鉱専門委員長として手がけておりますもう一つプロジェクトについても、手短に申し上げてみたいと思います。  実は、去る九月八日から十五日まで、私は専門家代表団責任者としましてサハリンの現地を視察し、本件プロジェクト前提条件を見きわめてまいったのでございます。要は、サハリン周辺大陸だなにおきますところの石油ガス探鉱協力し、油またはガスが出た場合にはこれをわが国に引き取ろうとするものであります。  チュメニ石油プロジェクトと比較いたしますと、本件プロジェクトは、探鉱につきもののリスクを負担するという特徴がございますが、供給源を一そう近く引き寄せ、しかもさらに低硫黄、〇・二%の原油を入手できるという利点がございます。  視察の結果はきわめて有望と見られますので、十一月の後半からソ連との間で交渉に入るべくただいま準備を進めております。本件もまた、わが国石油資源政策に沿うものと考えておりますので、チュメニ石油同様、委員先生方の深い御理解と御支援をお願いいたします。  最後に、八月二十二日の商工委員会でも申し述べましたように、チュメニ石油プロジェクトでは、わが政府がその大綱についてソ連政府との間で合意を達成することを、私ども日ソ経済委員会交渉開始前提と考えておるわけでございます。昨年末と重ねて去る七月末にこれを政府に要望しております。日中国交正常化実現された今日、本件に対する政府意思決定の時期は熟したものと考えられますので、この際、本席をかりまして、再び政府の御勇断をお願いいたすわけでございます。  以上をもちまして、私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  6. 橋口隆

    橋口委員長 次に、島田参考人にお願いいたします。
  7. 島田喜仁

    島田参考人 まず第一に、今後の世界石油需給構造変化と、石油大量輸入国である日本の当面する重大なる局面について、御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、かつて世界最大産油国であり輸出国であった米国は、自国における、石油資源枯渇消費増大とによりまして、すでに三〇%になんなんとする輸入が行なわれまして、今世紀の末の、一九七〇年代末の一九八〇年ごろには、五〇%の石油輸入国となることは必至であるといわれるに至りました。米国におきましても、一九八五年には六〇%の輸入国になるという意見すら出ておるような現状でございます。この点は、日本よりも、米国自体が深刻な問題として取り上げておるのみならず、大消費圏であります欧州にとっても深刻な影響を与えつつあるわけでございます。米国企業が新しい原油天然ガス供給源ソ連中国に求めようとしているのは、このような背景によるものでございまして、米国企業ドル箱であるといわれて世界市場に売りさばいておった、アメリカには全然輸入しておらなかった中東の大油田地帯が、今後米国みずからがたよらざるを得なくなる供給源となるであろう。そうなってまいりますと、日本消費需要の八五%を中東原油に依存いたしております関係から、日本にとって重大な問題となってくることは必至であります。  世界における石油埋蔵量発見消費量増大に追いつかない情勢と、資源枯渇を防ぎ、これを温存するために、リビアであるとかクウェートであるとか、あるいはベネズエラであるとかいうようなOPEC諸国生産制限をしようとする傾向がだんだん高まってくる中で、一九七〇年代後半から末にかけまして、消費国日本と大消費圏である欧州だけでなしに、米国がこれに加わりまして激烈な石油輸入競争をするという事態に立ち至ることは、単に経済的な国際問題のみならず、大きな国際的政治問題となることは不可避でありましょう。  過去におきまして、スエズ動乱あるいは中東戦争等で、日本にとっての安定供給が問題になりました。世界にとりましても、一時的な、局地的な原因による安定供給阻害要因という問題が問題となっておりましたけれども、最近の今後の世界需給見通しにとりましては、もっと基本的な石油需給問題が大きな問題となってまいったわけでございます。  次に、OPECの構成と世界石油供給構造変化について申し上げたいと思います。  御承知のように、OPEC諸国公示価格引き上げ攻勢に続きまして、本年の三月、既存の利権会社に対して二〇%のパーティシペーション、すなわち事業参加を獲得いたしましたが、その際に宣言をいたしました目標は五一%参加ということであります。もちろん、五一%の参加がはたして実現できるかどうか、いつの時期においてそれが達成されるか、また、その間の過程におきまして、資源国国際石油資本との間におきまして対立あるいは妥協等が行なわれるジグザグな過程をたどっていくことは当然のことでございます。しかし、イラン国有化、アルジェリア、リビア国有化による五一%の支配はすでに実現をされております。  さらに、国際石油資本資源支配操業とによって、従来は税金という収入だけで国の経済をささえておった資源国OPEC諸国が、資源ナショナリズムの台頭とその団結にささえられまして、資源自主操業をみずからの手に取り戻して、石油天然ガス資源枯渇する前に石油一貫操業体制をつくり上げて自国工業化ないしテークオフを達成しようという願望は、OPEC結成十年以来の目標でございました。二〇%のパーティシペーションの獲得を足場にして、今後その目標に向かって拡大の方向をたどることは大きな歴史流れであり、これをはばむことはできないであろう、こう考えるものであります。  ところが資源国、すなわち産油国国有化あるいは事業参加が成功するかいなかのかぎは、メジャーを通さずに直接消費国側に販路を求めることができるかどうか、言いかえれば、販売市場確保いかんにかかっておるわけであります。ところが、世界のこうした構造変化に対処しまして、日本石油業界といたしましては、この国有化等の紛争あるいはパーティシペーション成り行き等を傍観いたしまして、直接資源国から石油を買うという体制になっておりません。ところが、わが国以外の消費国石油会社は、このような変動の中で、将来の動向を見きわめながら、機敏にかつ極秘に直接の結びつきを進めておるわけでございます。資源国による国有化あるいは事業参加歴史的必然流れであるとすれば、将来、産油国国営会社の保有する原油の量はだんだん多くなり、それだけ米英系国際石油会社の保有する原油は減ってまいります。その減ってまいった保有原油相当部分を、私が申し上げました今後の世界石油需給状況を踏まえまして、自国へ今度は優先的に輸入しなければならなくなるということになりますというと、資源国の保有する原油について直接購入という路線をつくり上げることが、消費国日本長期的安定供給にとって重要な問題であることは明らかであろうと存じます。しかし、私がこう申しましても、現在、国内消費の七〇%ないし八〇%の供給を行なっている国際石油会社日本は当分の間依存をせざるを得ないということ、またメジャー中心といたします国際石油資本との協調維持をはかっていくことが必要であることは申すまでもありません。  第三に、最も弱い立場にあります消費国の間で、今後の世界需給構造変化に対応いたしまして、お互いに話し合いをし協力をすることが必要であり、その体制をつくり上げることが第三に必要なことであろう、こういうふうに私は考えるわけでございます。  こうした情勢を踏まえまして、今後の長期安定供給路線というものをここでつくり上げることが国にとって必要である。と申しますのは、エネルギー政策は言うまでもなく国の政策でありまして、石油安定供給政府の責任であります。そういう意味におきまして、今後、ただいま申し上げました長期的な安定供給路線をつくり上げることは政府政策である。こういう意味におきまして、私は、主務官庁である通産省に対しても、これらの情勢を強く要望いたしておる次第でございます。  もう一つ、高硫黄原油確保のための総合対策の必要性について申し上げたいと思います。わが国では、御承知のように、公害問題の深刻化のために、原油輸入についても、海外油田の開発についても、低硫黄原油、いわゆるLS原油確保に狂奔をいたしております。ところが、いままでわが国原油輸入量の中で、LS原油の占める比率というのは二〇%以下であります。世界原油の埋蔵量の中でも、LS原油の占める割合は、大ざっぱにいいまして二〇%にすぎません。世界消費国企業が高硫黄原油確保の方法につきまして最善の努力をはかっているに対して、わが国だけが世界にないしLS原油のみをさがし求めようとするならば、やがて日本は、先ほど申し上げました世界需給変動するさなかにおきまして、エネルギー不足の事態に直面することは、これは避け得られないことに相なるわけでございます。  中東は、御承知のように、低硫黄地域ではございません。今後、世界の中で大きな石油地帯として残るのは、ソ連とそれから中国と、そうしてただいま申し述べました低硫黄地域ではない中東以外にはない、こういうふうに私は考える次第であります。ところが、今度のイラクの国有化をめぐる紛争におきまして、低硫黄地域でないという理由から、日本の民間は、イラク石油開発に進出しようとする意欲を持っておらないのが現状でございます。  公害防止は至上命令でございます。しかし、エネルギーの大宗としての石油消費せざるを得ないとすれば、あらゆる方法を講じまして、まず第一に、脱硫技術の思い切った官民一体の開発体制確立して、その技術の解決をはかることが焦眉の急務である。第二は、私から申すまでもございませんけれども、日本の国土の狭隘と都市集中からくる公害の原因である過密対策を総合的にとることを講じない限り、エネルギー問題の解決は不可能である、こういうふうに考える次第でございます。  さらにもう一つ申し上げたい点は、今後の石油探鉱開発がリスク投資がだんだん大型化してくるという問題と、探鉱開発方式が多様化してまいるという問題であります。ここ数年来、民間企業の利権取得につきましては、資金力あるいは技術力の面から、率直にいいまして、国際石油会社の放棄した地域であるとか、その保有する評価の低い鉱区への参加でありまして、投資額も比較的少ない、いわば落ち穂拾い的なものが多かったと申し上げざるを得ないのであります。ところが、資源国が、ただいま申し上げましたように、既存の利権会社に対して国有化をする、あるいは事業参加を行なうというような情勢になってまいりました現状におきましては、有望な未探鉱地域は資源因みずからのナショナルリザーブとしてこれを保有し温存する傾向が大きくなりまして、有望鉱区を開放するという例がだんだん少なくなってまいり、したがって、探鉱開発参加の可能性のある地域というと、砂漠のどまん中であるとか、広大なジャングル地帯であるとか、氷に閉ざされた北極地帯あるいは深海底というふうに、自然条件のきびしい、それだけリスクも大きい、また、投資額も巨額にのぼる地帯が多くなっておるわけでございます。こういう点に対する探鉱開発をいかにして実行するかという問題がこれからの問題であります。  第二は、従来、開発参加企業探鉱のリスクを、言いかえれば、開発しようとする側がリスクを負担する形で利権を取得しておったのがたてまえでございましたけれども、ただいまのような状況から、有望な鉱区は資源国みずからが自分でリスクを負担して探鉱開発活動を行なう、言いかえれば、自主操業を行なって、外国企業に対しては原油を見返りに長期低利の資金や技術を援助もしくは協力させる、いわゆる融資開発方式ということがだんだん多くなってまいったことでございます。そうなりますというと、従来のように探鉱資金のみならず、開発資金も一括して交渉の対象となるということでございます。特に海岸までの長距離パイプラインというようなものも含めますというと、資金は相当巨額にのぼってまいります。こういう点を融資開発で考えなければならぬということがただいま申し上げました第二点でございます。  第三点は、これもただいま申し上げましたような産油国による国有化あるいは事業参加実現ということによりまして、国際石油資本原油販売利益の減少が起こってまいる、あるいは同じく、有望探鉱地域というのは自然条件がきびしいために投下資本が巨額化する、あるいはアップストリームからダウンストリームへ、言いかえれば、精製設備をつくるための巨額な投下資金の必要性等から、既開発油田を含んだ利権鉱区を一部譲渡しよう、言いかえれば、資本参加させようという例が極秘の間にその動きがあらわれてまいったということでございます。そうなりますと、未探鉱地域のみならず、試掘に成功した地域や、さらにただいま申し上げますすでに開発生産を続けている油田の地域を含めました一括利権地域の譲渡ということになってまいりますと、従来、リスクを負担して探鉱から始まります資金は数十億から百億といわれておりますが、ちょうど十倍の数百億、千億——単位が千億単位になってまいるということをわれわれ考えなければなりません。ところが、安定供給の面からいえば、こういう油田を含む鉱区に参加をする、一部これを買収するということの必要性はますます私は大きくなってまいると思うのでありまして、ただいま申し上げましたように、探鉱開発方式が非常に多様化してまいりましたけれども、それは相手によりまして、また時期によりましてそれぞれ複雑でございますが、こういう多様化に対応した前向きの措置がとれるようにするためには、そのための決断と制度的背景が必要となってくるわけでございます。その点を私ども痛感をいたしておる次第でございまして、こうなってまいりますと、ただいま申し上げました、以上の情勢下におきまして、一つには、民間石油企業体制を強化してまいることが第一でございます。と申しますのは、御承知のように、わが国石油精製会社は、特に民族系について申しますと、石油安定供給源を持っておりません。そういう意味で、またそういうリスク投資に参加するだけの力を持っておりません。いわば片肺の石油会社でございます。国際石油資本は一貫操業会社でございますけれども、日本石油精製会社というのはダウンストリームだけに限られた会社でございます。他方石油資源開発参加しようとする企業は、精製販売部門を持っておりません。またリスクの大きい大型プロジェクトに取り組むような資金の動員力、そうして活発な自主的行動を持つような会社はきわめて少ないわけでございまして、ここに一つの大きな問題がございます。  第二に、私ども石油開発公団の機能につきまして考えてみますと、公団設立以来五年になっておりますが、ただいま申し上げましたような内外石油情勢の激変に対処しまして、OPECの攻勢以来世界石油構造の根本的変革が行なわれようとしているにもかかわらず、公団の機能というのは依然としてそのままであるところに問題があると思うのであります。  ただいま申し上げましたようなリスクの大きい大型プロジェクトに対しましてこれを開発する問題、さらに開発融資に対して参加できる問題、あるいはまた油田を買収し得るような機能の問題等につきまして、ここに根本的に考える必要があろうかと思います。と申しますのは、公団は、御承知のように探鉱に対しまして投融資するのが中心的な機能でございます。ただいま申し上げましたような開発融資につきましても、あるいは油田の買収等につきましても、これは開発面を大きく含んでおるのでございまして、ここにただいま申しました世界の情勢の激変に対処し、相手方の出方、多様化に即応する体制、制度になっておらない点を私ども痛切に感ずるわけでございまして、この点も私どもは主務官庁である通産省に強く要望をいたして、お願いをいたしておる次第でございます。  さらにもう一つ、私どもの投融資いたします中で、融資条件緩和を考える必要がある。と申しますのは、石油探鉱開発は、資源国に対する最も好ましい典型的な経済協力でございますが、経済協力となりますと金利は三%、あるいは融資期間は二十年ないし二十五年という長期でございます。ところが、公団の金利は六・五%ということになっております。融資期間も短いわけでございまして、こういう点は、経済協力のみならず石油安定供給という、要するに二重の重要性を持っている事業に対しまして、経済協力と同様な金利もしくは融資条件を考えることは当然である、こういうふうに考えるわけでございます。  なお、最後にもう一つ、公団はただいまの大型プロジェクト等につきましては、民間の御要望によりまして先行的に利権交渉をしようという話がございました。ここ幾つかのプロジェクトにつきましては、公団がみずから露払いの役をいたしまして、大きなラインでは話し合いをすることにいたしておりますが、利権交渉が妥結する中間の過程におきまして民間に利権交渉をお渡しするということは、御承知のように試合の途中で顔ぶれがかわるようなものでございまして、相手方に対する信用も非常に問題である。せっかく向こう側と気脈が相通じた、顔なじみになったときに新顔になるということは、いろいろな意味で非常に問題であると同時に、資源国は御承知のように全部一つの公社というものを持っております。そういう意味で資源国は、私ども公団の機能が何であるかは別にいたしまして、公団とただいま申し上げました利権交渉をしようという希望もだんだん強くなってまいります。私どもは石油の事業をみずから公団がやろうとは考えておりませんけれども、せめて利権交渉が最後の点において妥結する点まで、言いかえれば、利権の確保ができるようなことをすることが、おそらく民間の御要望にも一致し、しかも激変する石油世界の情勢のさなかにおきまして、おくれております日本が重要な利権を獲得し得る一つの便法ではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。  多少時間が超過してまことに恐縮でございましたが、私はただいま申し上げましたような世界の情勢の認識並びに体制あるいは制度の問題について、主務官庁である通産省には強くお願いをいたしておりますので、国会特に商工委員会におきましてもこの点を御明察いただきまして、お力添え、御指導いただくことを切にお願いいたしまして私のごあいさつにかえさしていただきます。
  8. 橋口隆

    橋口委員長 次に、滝口参考人にお願いいたします。
  9. 滝口丈夫

    滝口参考人 私は石油連盟の会長滝口でございますが、皆さまもうすでに御存じと思いますけれども、石油連盟というのは、石油精製業並びに元売り業の団体でございます。その面から私はこれから御説明申し上げます。  その前に、いま島田さんからお話がございましたことにつきまして、ちょっとわれわれの立場として弁解をする必要があると思いますので、簡単にその弁解を聞いていただきたいと思います。なるほどわれわれの石油連盟というのは片肺会社ばかりの集まりでございます。いかにもかたわの会社のようでございますが、過去、日本が終戦後二十五年から精製業を始めましてすでにもう二十余年になりますけれども、その間、日本経済のその一番大事な石油エネルギー安定供給したことは、われわれの側のもう一〇〇%の努力の結果でございます。片肺会社でございますけれども、国の経済には十分に役に立つんだ、将来も日本の——二億三千万トンことしは使いますけれども、将来は五億トンとかいろいろ計算がありますけれども、そのうちの少なくとも七〇%以上は、われわれ片肺会社が供給の安定を責任をもってやるというのがエネルギー調査会の御方針でもございます。国の事情によりまして、こういう形態の会社がやはり安定供給に必要なんだという実例をまざまざとここに示しておるわけでございまして、全部一貫会社で供給をするということは理想でございますけれども、理想と現実とはあまりにも差があるということを一応御了承願いたいと思います。  前置きはこのぐらいにいたしまして、現在、石油精製業、販売業が直面しております大事なことを二つ申し上げます。  その一つは、御承知のように、市況の不安による石油精製業の体質の弱体化ということでございます。御承知のように、昨年の二月にテヘラン協定ができまして、OPEC原油を大幅に値上げをいたしました。それがわれわれの原油高にはね返ってまいったのでございますが、それをカバーするのには、われわれは製品を値上げしなければどうしてもそろばんが合いません。そこで、去年から一生懸命に努力しておりますが、これは世界的に全部同じ事情でございまして、ヨーロッパのほうの先進国の間では、このOPECとテヘラン協定を結びまして、要するに、五年間値段もきまり供給の安定も確保される、こういうことで、それを高く評価しまして、消費者は、原油の値上げをしても、それが製品にはね返るのは当然であるといって、製品の値上げについては大かた了承をして実行されている現状でございますが、どうも日本ではこの供給安定ということについて消費者はあまり高く評価いたしませんで、要するに、値段の高くなることだけがどうも頭にあり、われわれの値上げの要求に対してなかなか実行できないというのが現状でございます。  それで、四十六年下期の決算、ことしの三月期の決算でございますが、為替差益が約四百三十億ございましたけれども、需要の数量がだいぶ減りましたために、利益は前年同期に対しまして三四%の減になりました。この為替差益の四百三十億がないとすると百十億ばかりの純損になってしまう。要するに、商売は完全な赤字になっておる状況でございます。それで、四十七年の上期、現在につきまして、いろいろと御高承のとおり、ガソリン、重油、その他値上げを実行しておりますが、だんだんと消費者側の御理解もありまして、いまのところは、今期九月期の決算はどうにかやっていけるのではないかという見通しを持っております。  こういうわけでございますけれども、この体質の問題につきまして、前にもよく申し上げましたけれども、石油業界は利益率というものがあまりに少のうございます。総資本、収益率、売り上げ高、利益率並びに自己資本比率等、いずれを見ましても、製造業の平均の二分の一ないし三分の一という低い数字になっております。具体的に言いますと、石炭業界に次ぐ下から二番目というのが石油業の現状でございます。石油精製業並びに元売り業というのは、現在並びにこれから当分の問、国家の石油安定供給に一番大事な仕事をわれわれが責任を持っていくわけでございます。その業界のこういう体質の脆弱化ということは将来もなかなか心配になる問題でございますので、この点につきましてあらゆる面において、われわれのほうに御同情のほどを願いたいと思います。  それからもう一つ、当面直面している問題は公害問題でございますが、御承知のように、亜硫酸ガスの問題から、重油を燃すと亜硫酸ガスが出るというので石油業界が一番矢面に立っておるわけでございますが、われわれの業界では、四十二年度においては、輸入した原油のサルファ分について平均しますと大体一・九三%でございます。ところが、昨年四十六年度におきましては一・五六%と、要するに原油のサルファ量を低下させる努力をいたしました。これはなかなかむずかしい努力でございまして、よくわれわれの業界がやったと自分ながらほめたいくらいでございます。  こういうわけで、逐年原油の含有しておりますサルファ分を減らすことに努力しておると同時に、今度は重油の脱硫装置をつくって脱硫を実行しているわけでございますが、四十六年度末現在では五十一万バーレル・パーデーの施設をすでに建設しております。これからの計画としましては、五十年度末には約百十六万バーレル・パーデーに増設をする計画でございます。ちょうど倍増する計画でございます。これに要する資金は約二千六百億に達する見込みであります。こういうばく大な費用を石油業がみずから負って建設をして、脱硫に努力しておる実例でございます。  さらに、この建設費のほかにこれを運転する経費でございますが、脱硫経費として本年度だけでも約六百億かかります。こういう問題は、われわれは重油の値段に含めて消費者側にお願いするわけでございますけれども、なかなか消費者の御理解を得ておりません。これにつきまして原油開発の問題がございますけれども、われわれの側からしますと、原油開発につきましては、なるたけ低硫黄原油開発に今後重点を置いていただきたいということを、との機会にぜひお願いしたいと思います。  そういうわけで、石油業みずから脱硫問題についてはこういうような努力をしておりますが、今後の問題につきまして一言申し上げますと、石油業みずからの石油の低硫黄化ということは、努力はいたしますけれども、今後の公害規制の問題からしまして、われわれの努力だけではなかなか達成が困難でございます。やはり今後は需要家側の排煙脱硫問題、それからこれはわれわれのほうの側になりますけれども、重質油のガス化脱硫等の技術を開発するという問題、それから工場の分散、大きな意味では広域的な都市並びに産業の再配置ということをあわせ実行していただかない限り、大気汚染の問題については解決がなかなか困難だと思います。  ここで、宣伝のようになりますけれども、石油精製工場というのは、一般の方はこれを公害工場のようにみなしておりまして、いま日本全国どこに行きましても、石油精製工場を建てようと思うとなかなか土地の反対があります。われわれの側から言いますと、石油精製工場というのは公害は出さないのだということをわれわれは信じておるのでございます。ところが、どういうわけか、石油精製工場を公害工場とみなしている向きが多いので、まことに残念でございます。  現状で御説明を申し上げますと、石油精製工場で自家燃料として使っている重油というのは、昭和四十六年度についていいますと、全国の重油消費量の八%程度である。ほんのわずかです。それで自家燃料としているのは、大体四〇%はその精製過程から出ますガスでございます。オフガスという廃ガスのようなものでございます。これはサルファはございませんから、要するに何も公害がないガスを使います。あとの残り分は、御承知のように、低硫黄の重油というのが精製工場にございますから、それを選んで燃しておるのでございます。そうしますから、これはまあ亜硫酸ガスに関しては、もう公害なんということはわれわれのほうは想像も及ばないというのが現状でございますので、この機会に先生方にあらためて御認識を願いたいと思っております。よろしくお願いいたします。  現状の説明はこのぐらいにいたしまして、お願いを大きな問題として一つ二つ申し上げたいと思っております。  それは石油消費税の問題でございます。最近、日本列島改造とかいろいろな問題が起きまして、政府のほうの財源の問題もあるのでございましょう。石油消費税を増徴するといううわさがあり、そういう空気をわれわれは感ずるのでございますけれども、御承知のように、石油消費税というのはガソリン税それから軽油引取税、そのほかにプロパンガスの税金とかいろいろございますけれども、総合しますと大体一兆円以上の税金を国家に納めている。これは世界でおそらくこういう例はないのではないかと実は思っておるのでございます。ことにOPEC諸国などは、どうも日本政府のほうで石油について税金をよけい取っておる、大体キロ四千円ぐらい、われわれのほうはキロ二千円ぐらいしか取っていない、だから消費国政府のほうがもうけているじゃないか、これはけしからぬから、そういう状況ならわれわれのほうでもさらに原油の値上げをするんだ、こういうことをわれわれに直接、ついこの間参りましたアラビアの石油省の次官か何かの王子さまが話をしておりまして、やはりわれわれも石油消費税には困っておるんだと言ったら、これから通産省へ君と二人で行ってよく陳情しようじゃないかなどと、冗談というんですか、何というんですか、笑い話もありましたけれども、そういうように、要するに、あまりにもわれわれに多額な税金をかけるのはどうかということを実はわれわれは考えておりますので、この機会にぜひ石油消費税の増徴ということはごかんべんをお願いしたいと思います。  さらに、最近一部でうわさされております重油消費税の創設の問題、重油消費税をなぜかけるのかといいますと、おそらくかけるほうの側からいきますと、重油は燃せば公害の原料になる。だからそれから金を取って公害対策にしたらいいんじゃないか、こういうのでございますけれども、現在のわれわれの重油というのは、先ほど申し上げましたように、ばく大もない費用を払って脱硫装置をつくりまして、各石油会社がその重油の中からサルファを取って、公害のないものをつくって、それで一般の皆さんに供給している状況でございます。さらにこれから努力する、しておるのでございます。それなのに、まるでサルファがあってもいいような感覚で、おまえらのほうが公害のものを出すから、また税金で取り上げるんだなんというのはどうも逆行しておるような気がしてしようがありません。  それから、われわれ精油所の中では、おかげさまで脱硫装置をつくります場合に、国家のほうから税金をまけていただいております。まけていただいているのにまた取るなんというのはちょっと話がどうも食い違うような気がいたしまして、こういう問題につきましても絶対にひとつごかんべん願いたい、こういう二つのお願いを申し上げます。  最後に、石油精製業は片肺でございますけれども、われわれの業界でもみずから開発をやりたいという気持ちはございます。現にいろいろな会社で、ジョイントベンチャーで海外で一応開発を実行しております。私、日本石油でございますけれども、私のほうも日本石油開発会社というものを持っておりまして、現在東シナ海で開発をこれからやろうとしておるわけでございます。決して石油精製業の会社が開発をおろそかにしているということではございませんで、本来の筋から言えば、われわれ本来の石油会社開発を手がけるということが一番いいわけでございますけれども、それにはばく大もない資金が要るわけでございます。それには現在のような体質の脆弱では、どうしてもリスクの多い開発というものは進めていけないというのが現状でございます。ですから、開発をやりたいのであるから、体質をもう少し強化するということをまず先決的にやらなければいかぬ。これには政府並びに皆さまの大きな御援助にまつ以外にないというのがわれわれの現在の感想でございます。  まことに簡単でございますが、これをもって私の説明にかえます。ありがとうございました。
  10. 橋口隆

    橋口委員長 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。  滝口参考人は所用のため退席されますので、さよう御了承願います。  滝口参考人には貴重な御意見をお述べいただいてまことにありがとうございました。      ————◇—————
  11. 橋口隆

    橋口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  質疑者に申し上げます。  質疑に際しましては、参考人の御氏名をまずお示し願います。川端文夫君。
  12. 川端文夫

    川端委員 私も多少の所用を持っておりますので、同僚諸君の御理解をいただいて先に御質問申し上げたいと存じます。  まず新井参考人にお尋ね申し上げたいわけですが、日本国内鉱業のきびしい状況は私どもも理解いたしておるわけです。先ほどからの御陳述の中に、四十六年度のいわゆる景気長期低迷の中に需要低下を来たした、そこで予定計画が百一万トンであったものが八十三万トンと十八万トンのマイナス面が出てたいへん供給先に迷惑をかけておる、こういう御意見だったと承ったわけです。そのことは日本の四十六年度までのあのドル・ショック等の景気不況であったことは理解するわけですが、一八%に近い需要減になったということは、何か少し大き過ぎるのじゃないか。したがって、これから銅等の利用の問題、需要の問題の中に、いろいろな合成樹脂の利用等で順次減る傾向にあるのではないか。この傾向を正確に把握しておかなければ、需要供給計画が立たぬのじゃないかと思うのですが、この点は、現状において順次変わりつつあるようにも思えるし、そのことはたいしたことはないと御理解願って計画を進められているのかどうかということが一点です。  もう一点の問題は、輸入量の減によって資源保有国との間にいろいろなトラブルがあったということです。これをじょうずに解決されたものと思うのですが、たとえばどういうトラブルがあり、将来こういうことが続けばどういうトラブルを予想できるかという面が具体的に何か——トラフルということばにこだわるわけじゃございませんが、トラブルの内容等について一点だけでもお聞かせ願えれば、わかりいいのじゃないかと思うのです。  もう一つの問題は、先ほどの御陳述の中に、いわゆる価格の面で、現在国内鉱山ではトン当たり平均四十三万円のものはロンドン相場で三十万円だ、こういう差額が出ておることに対して、資源確保の上で現状でいいのかどうか。いわゆる関税等の処置だけで行なわれている現状の中に、やはり前から議論のあった価格安定政策的なものが何かここで必要になってきているのじゃないか。いろいろな、その他公害等の問題もありますけれども、時間の関係でお尋ねいたしませんが、この価格安定政策というものに対して、皆さんが、こういうことをやってもらえぬかという何か要望がありましたらお聞かせ願えないか、こういう点をまずお尋ねしてみたいと思うのです。
  13. 新井友藏

    新井参考人 ただいまの御質問に対しまして、需要が伸びないという原因でございますが、いままで年間の伸びは大体四%ぐらいになっております。それから七%伸びております。いろいろ景気変動によりまして、需要供給がアンバランスを繰り返しています。特に今回の場合は、世界的な景気低迷が突然参りまして、需要のみならず、価格面でもこのような現象になったわけでございます。それで、銅の代替といたしまして、いろいろアルミの問題等が出てまいりまして、またはプラスチックの問題がありますが、依然として、これらの代替の現状は、総需要の比率においては進んでおりません。大体一緒の比率でもって進んでおります。したがって、銅本来の需要に対しましては、今後繰り返してまいりますが、五十年はこれだけ余る傾向でございますが、現在のようなことはないと存じて進んでおるわけでございます。  それからトラブルの例でございますが、一番大きなトラブルは、かねて五年ほど前からいろいろな条件で鉱物を輸入するということで折衝を進めて契約しているわけでございますが、ちょうど本年からいろいろな鉱山が生産を開始しております。それで、鉱石が余っておるものですから、ひとつ掘るのを延ばしてくれというふうなあつかましい交渉をしているわけですが、これは向こうも鉱山業でございますので、整備もし、人員も整えて、突然これを延ばしてくれといわれても困るということが最大の問題であります。  もう一つは、五年ほど前に契約いたしましたいろいろな条件が、ちょうど円とドルの関係で切り上げになりましたので、非常に大きな差額になってまいります。この条件改定の問題、これも契約した以上は、そういわれても困るという問題、それから諸外国も同様でございますが、鉱山業につきまして、公害費を生産費にプラスする問題、こういう問題がございますので、日本の条件についても公害費を加えた条件にしてくれという交渉を進めておるわけでございますが、これもいまのところは十分実現しておりません。  それから価格の問題でございますが、これは御承知のように、銅の問題につきましては非常な変動がございます。ちょうど一年前から現在にきますと、十五万円ないし二十万円下がっておるわけでございます。たまたま銅の価格国際価格でありますロンドンの相場に左右されております。これが円が切り上げになりまして、約一七%ほど国内価格が下がっているという問題でございまして、国外価格と国内価格の値開きが非常に大きくなっているということでございます。現在は、急にこういうことが起こりましたので、一時関税でこれを保護しようということで、国内鉱山の買い上げ価格は、関税を加味した、関税制度による財源をもちまして、製錬業者がこれを買い上げている状況でございます。  以上でよろしゅうございますか。
  14. 橋口隆

    橋口委員長 この際、質疑者に申し上げます。  質疑の申し出が多数ありますので、質疑時間はお一人十五分程度にお願いいたします。
  15. 川端文夫

    川端委員 きょうでなくともいいのですが、やはりぼくらは、これだけの値開きがある、格差があることは将来とも非常に問題が出てくるんじゃないかとも思うので、価格の問題に対しては御意見があれば後日また文書等で出していただきたいことを要望申し上げておきたい。
  16. 新井友藏

    新井参考人 かねて価格安定の問題につきまして備蓄機関をお願いしているわけでございますが、これがなかなか実現しませんで、今回は鉱石の備蓄に通ずるものを実現しようということでいま進んでおるわけですが、先生がおっしゃったように、価格安定につきましてあらためて書類をもちましてお願いいたしたいと思います。
  17. 川端文夫

    川端委員 時間がないから、ちょっと所用があるから早くやらしてくれと頼んで長くなっては申しわけないのですが、ただ、先ほどから島田さんなり今里さんなり滝口さんのお話を聞いておると、石油というものに日本あるいは世界エネルギーをたよっている限度というものがだんだんきびしいし、むずかしくなるんじゃないか。しからば、やはりわれわれエネルギー委員会という商工委員会立場では、石油の現状を論議しながらも、現実は現実で処理しながらも、将来のエネルギー対策が日本としてもこのような世界傾向にあるんだという勉強もしておく必要があると思うので、この点は御答弁要りませんが、現地におって世界の情勢を把握されておる皆さんから将来御意見を承る機会を小委員長から与えていただければ——石油確保しなければ現状は動かないということは十分わかっているんだが、それだけでは公害あるいは確保という面から非常に困難だということで行き詰まりを感ぜざるを得ない陳述もあったし、われわれも感じを持っているので、もう少し将来のエネルギーの問題に対しての発想を変えた勉強ができることを小委員長にも御要望申し上げて、私所用があるのでしばらくの間——帰ってきますけれども、しばらくの間御容赦願います。
  18. 橋口隆

    橋口委員長 ただいまの川端君の御要望に対しましては、追って当方においても善処いたします。  藏内修治君。
  19. 藏内修治

    ○藏内委員長 主として今里参考人にお尋ねを申したいと思いますが、関連いたしまして、政府にも若干政府の見解をただしておきたいと思います。  先ほどの今里さんのお話、それから島田参考人のお話によりましても、日本エネルギー需要のみならず、世界的にもエネルギー需要というのが将来非常に逼迫する、それもそう遠い将来ではなく近い将来に逼迫してくるという情勢であるということも承ったわけでありますが、その際に、チュメニ原油というものが輸入可能である、可能な状態に現在すでになっておるということは、われわれとしては非常に大きな希望をつなぎ得るものだと私は思っております。特に日中関係が正常化されました現状において、シベリア開発、広い意味のシベリア開発を含めて、ソ連との関係がさらに進行するということは、国際上、日本の外交政策上も私は大きな意味を持つものだと思いますので、これはぜひ推進をしたいという気持ちからひとつお伺いをしたいと思うのでございます。  まず、チュメニ原油供給量についてでありますが、大体一九七八年ごろから輸入を開始しようという御計画のように承っておりますが、まず当初二年間ぐらいが二千五、六百万トン、四、五年ぐらい先になりまして四千万トン程度のものを輸入されるということであります。前に訪ソ専門家代表団帰国報告というものを拝見しましたら、その中においては、チュメニの生産量といいますか、これの目標は大体一九八〇年で四億トンをちょっとこえるようなかなりな量の生産が可能である。それにもかかわらず輸入量を大体四千万トン、日本消費量がその前後には大体五億トンをこえるであろうといわれておる状態のときに、若干少なきに過ぎるのではないかという感じがするのでありますが、その程度にとどめざるを得ない理由をまず第一にお伺いをしておきたいと思います。
  20. 今里廣記

    今里参考人 お答え申し上げます。  先生ただいまおっしゃった年間四千万トンというのが二年、三年後ですから、ちょうどおっしゃったとおり八〇年ぐらいに四千万トンになるのじゃないかと思います。いまの計画がチュメニの問題につきましてはパイプの口径が千二百二十ミリ、いわゆる四十八インチということになっておりますが、ここでワクがしぼられてしまうわけです。それから向こうのシベリアとか沿海州、ああいうところに必要としてくるのが約二千万トンそこそこ、そうなりますと、合わせて六千万トンでしょう。これをいまお話しのように、少し向こうとの折衝を重ねていきましたら、私も四千万トンを四千五百万トン、場合によっては五千万トンというぐらいのところまではいけるのじゃないかと思っております。  それから、パイプラインの輸送能力というものに限界がありまして、八〇年ごろ日本の使います油に対してわずか八%しかこの使命を果たし得ないということになっておりますが、ただいまお話しのとおり、サモトロール油田の超大型油田が現在見つかっておるわけでございます、日本に一番近いところに。こういう油田がもう一つぐらい向こうで発見される、この可能性は十分にあると思います。また、向こうが現在油田としてチュメニの中でほんとうに採掘を始めているのはわずか十ぐらいのものです。約一〇%ないし一三%といわれておりますが、サモトロール油田のようなものがもう一つ見つかった場合においては、ただいまのお話のようにパイプをもう一つつけるということができるのじゃないかと思います。
  21. 藏内修治

    ○藏内委員長 二番目には、そういうことで輸入されることはたいへんけっこうでありますが、四千万トンといってもこれはなかなか相当な量だと思います。そこで、こういうものの引き取り体制が一体どういうことになっておるのか、その引き取り体制について現にソ連側から何らかの意思表示があるかということが第一点。  それから第二番目には、国内の石油精製会社から海外石油開発株式会社に対して何らかの意思表示があるかどうか。さらにまた、先ほどもチュメニ油田の引き取りについて、開発輸入については国内の需要関係あるいは供給地を分散する、いわば供給に関するセキュリティーというような観点、そういう観点から考えるならば、むしろこれは国策的に何らか新しい引き取り会社のような国策会社のようなものを設立したほうが、より適切ではないのかどうか、そういう体制がどうなっておるか、この点が第一点。  もう時間があまりございませんから、もう一ぺんに伺ってしまおうと思いますが、それから揚げ地を一体どこにするか、当然これは地理的関係からすれば日本海岸だと思いますが、そういう点についての何らかの予測といいますか、希望的地点というようなものが考えられておられるかどうか。  さらに引き取り価格についてはどの程度の価格であるか。ソ連の国際的な石油——ソ連も東欧諸国には相当な石油供給をやっているわけですが、それらの価格と比較して日本の場合にはどういう状態になるか、こういう点についてひとつおわかりの限度を、お話し可能な限度でけっこうでございますが、お聞かせを願いたいと思います。
  22. 今里廣記

    今里参考人 まず引き取り体制でございますが、民族系の精製会社を中心に考えております。ただし、だからといって、これをこれらの会社だけに限定するというわけではなくて、現に、先般お話し申し上げましたとおり、アメリカメジャー関係もぜひ参加したいというのがいま二社見えております。そういう方をどういうふうにしますか、通産省その他の方々とよく相談してこれには対処したいというふうに思っております。  それから、全体としてオープンシステムと申しますか、ゆとりをあけておく方向がいまの段階ではいいのじゃないか。たとえば、メジャーの一部が融資の仲間に入り、それから油を買うというふうな形で参加するならば、出資比率に応じて原油の一部分をメジャーのほうに渡さなければならないというふうに考えております。しかし、その際、原油アメリカに持っていくのではなしに、ぜひその原油日本国内に上陸させてほしいというのが私の率直な考えであります。これは常に向こうに伝えてあります。  また揚げ地につきましてでございますが、すでに日本海沿岸あるいは北海道の苫小牧、こういうところが一番便利じゃないかというふうに考えているわけです。お話のとおり、国のいわゆる行政指導あるいは地元及び企業の意思によって最後には詰めに入り得るのじゃないかというふうに思っております。  チュメニ原油引き取り価格につきましては、相手のあることでもありましてまだ何とも申し上げられませんが、国際価格、できれば少しこれを下回る水準で引き取りたいと考えております。  日本海沿岸のほうにこれを持ってきまして、たとえば富山とか石川とか、あるいは鳥取とか、あるいは島根とかいうふうなところに該当するような工場も二、三あるところもわかっておりますので、私は、そういうところに基地を置いて、それからいわゆる横断パイプラインとでもいいますか、それを水島とか、あるいは徳山とか、場合によっては神戸とかいうふうなところに中国山脈を越えて持ってくる、わずかなキロ数でございますから……。そういうことになると瀬戸内海の海も非常にきれいになるのじゃないか。御存じのとおり、いま瀬戸内海はタンカーで一ぱいになっておりますし、そういうものを日本海のほうに回す。列島改造論にもこれは当てはまるのじゃないかというふうに考えております。
  23. 藏内修治

    ○藏内委員長 通産省の事務当局のほうは、これももうよく御承知のとおり、時にはパトリチェフ大臣が来られ、グロムイコさんも来られ、いろいろこの問題について関連した話が今日まで何回か行なわれてきておる。こういう実態について通産省当局としてはどのような推進努力を今日までやっておられるか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  24. 外山弘

    ○外山説明員 実は、私、以前貿易振興局長をやっておりました関係から、ソ連の来訪使節団にはそのつどお会いした機会がございまして、現在は石油の担当者という立場でこれにタッチしているわけでございます。その当時からもうだいぶ長くなりますけれども、先方のいろいろな詳しい話なり考え方なりをそのつど聞いてまいったわけでございますが、具体的な推進日ソ経済委員会、いま今里さんが委員長をやっておりますが、そこで向こう側との話を詰めてまいり、かつ、調査団等を派遣しまして、現実にどのような分布状態になっているかという点も調べて、現在、報告書までできているような状態でございます。私どもといたしましては、この問題を政府全体としてどう進めるかということにつきましては、鉱山石炭局の立場からだけでは最終結論が出せないということは御承知のとおりでございますが、私どもの立場から見ますと、先ほど今里参考人もおっしゃいましたような観点から見まして、石油政策立場からもぜひこれが実現をされたいという基本的な立場でこれの推進をしているわけでございます。もちろん外務省がみずからの問題といたしまして、あるいはこの実現をはかるための条件、つまり資金供与の方式といったようなものに関連する大蔵省なり通産省の別の部局の問題もございます。しかし、全体としましては、これが実現する場合にどういう事務的な問題があるか、その問題をいまから煮詰めていかなければいけないということで、いろいろデテールにわたって事務的な検討をしているわけでございまして、そのベースの上に立ちまして、私どもとしてはこれの実現がぜひはかれるようなつもりで事務的な検討を行なっているというのが現状でございます。
  25. 藏内修治

    ○藏内委員長 この問題については、海外石油開発株式会社はもちろんでありますが、専門家のこういう詳細な報告書が出ており、現状ではすでに政府意思決定の段階まで私は来ているのじゃないかという気がするのです。ところが、その政府意思決定について、いま鉱山石炭局長が言われたように、これはその一部局で決断できることでもなかろうし、通産省だけでもまたいかぬでしょうし、これは最高といってもいいような政治的な課題一つになるかもしれません。まあそういうことで、きょうは大臣の御出席がないから、その点についての国の方針というようなものはまた大臣の御出席の機会に承ろうと思いますけれども、極力この話は事務当局で詰められるだけのところは早期に詰めるという努力をひとつしておいていただきたいと思います。  それから、先ほどからエネルギーの危機、特に石油エネルギー需給上の危機ということがもう日本のみならず国際的な規模でいわれておる。こういうものに対してもう少し敏感というかセンシチブに反応していく体制が必要ではないかという気がいたします。ちょっと聞いたところによりますと、この前の海員ストでもほんの二、三週間ぐらいのストックしかなくなったという状態である。一方消費のほう、需要のほうはウナギ登りに天井知らずにふえていく。こういう状態のときに、この石油需給に関するとらえ方、こういうものについてひとつ政府の担当部局としてのお考えを聞かしていただきたいことと、どういうぐあいに対処していきたいという考え方を聞かしておいていただきたい。  それから、アメリカも同様に、先ほども島田さんの御説明にもありましたとおり、アメリカもごく近い将来、ここ数年のうちに相当大量の原油輸入国になるだろう。そういう状態になりましたときに、日本アメリカとの競合状態も一つここに出てくるし、またさらに、アメリカが、そういう意味において、日本の大きなプロジェクトであるシベリア開発というものにどうしても参加というか介入していく体制が出てくるだろう。そういう体制をどういうぐあいに理解しておられるか。その辺について通産省の現状での判断をひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  26. 外山弘

    ○外山説明員 石油というものの重要性が、先ほど来の御指摘にもございましたように、質、量両面においてたいへん重要であるということは御指摘のとおりでございます。これは、やはり私どもとしましては、そういった危機の問題のとらえ方を長期の問題と短期の問題に分けていろいろ考えてまいりたい。先ほど御指摘のような海員ストの場合のような問題、これは確かに、実はもう少し長く続いたらどんなことになっただろうという問題はあったかと思いますけれども、同時に、また市況の低迷等もございまして、石油業界のほうで外国船を雇用するというふうなかっこうで何とか当面は切り抜けたわけでございますが、あの状態を見るにつけましても、やはり石油の備蓄問題ということが非常に大事であるということを痛感するわけでございまして、先般鉱山法の改正をしていただいたり予算措置をとっていただくということで、ことしから備蓄の増強ということで鋭意対策を進めているわけでございます。実施要領もきまりまして、逐次進むことになると思いますが、これでようやく三年後には六十日まで持っていこうというような方針がきまり、これを実施の段階に持っていくということが現状の姿でございまして、これも一つの緊急対策に役立つというふうに考えているわけでございます。いずれにしましても、石油の当面の対策としましては、そういうことを中心にやはり安定供給が瞬時もないがしろにならないように私どもとしては考えてまいりたい。  一方長期の問題としてとらえます場合に、一九八五年というものを境にしてたいへん姿が変わってくるのではないか。つまり石油需給という点では、その辺まではいまのようなペースでお互いに各国がいくだろうけれども、それから先はかなり変わった姿のエネルギー需要になるのではないだろうかというのが現在いろいろな人の言っている見方の中心にあると思います。各国のとっている政策等についても、私どもとしても勉強しておりますが、私どもといたしましても、長期の需給見通しというものをその時点からさらにいろいろ考えるということが同時に大事でございますけれども、その八五年までについても一体これからどういう対策をとっていくのか。たとえば輸入量がこれだけふえるということが数字的に見通される場合に、それの油種別、地域別の確保策というものをどうとらえるかということがまず基本に必要だろうと思います。  そういった点を含めまして、それに伴う開発の問題、あるいは国内の体制の整備の問題あるいは直接引き取りの問題、そういったところを基本的政策として従来の考え方を少しずつ修正する、現状に合わしていろいろ考えるということが必要だろう、こういう認識に立ちまして、いままず需給見通しの見直しと申しますか、それのさらに具体的な内容と申しますか、そういった点を勉強しているところでございます。本年中には何らかそういったものをとらえまして、政策についての少しでも前進をしたい、方向づけだけでもやりたいということで、現在総合エネルギー調査会の中に石油基本問題懇談会という組織がございますが、それを中心にいたしまして私どもも熱心な検討をこれからやってまいりたい、すでに第一回の会合を開いておりますが、これから頻度を増してその会合をやってまいりたい、こう考えておるわけでございます。  先ほど御指摘になりましたアメリカの動向は、確かに御指摘のように一九八五年を境にしてたいへん原子力なり他のエネルギー資源というものを重視しなければいけない、その間にも輸入依存度はどんどんふえていく、六〇%くらいまでになる可能性があるということを私どもも直に聞いております。  それから同時に、アメリカが中近東あるいはインドネシア、そういったところで若干日本と競合するような場合もあり得る、ことにアメリカの西部地区の需給関係といったようなものは、日本との関係が非常に出てくるだろうというふうなことも言っておりますし、彼らも、日本開発政策、それから自分らの開発事情といったようなものについての話し合いを先般も若干してまいったわけでございますが、私としましても、そういった諸情勢をとらえまして、どういうふうなかっこうの日本の独自の開発政策が必要であるか、またどういつだ点で国際協力といいますか、そういったようなことが必要であるか。エネルギーという問題は国の基本の問題であり、長期の問題であるという認識に立ちまして、他の物資と違った観点から国際的な相互理解といったようなことも必要になるのではないか。そういったことも含めまして、今後アメリカの動向については注視してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  27. 藏内修治

    ○藏内委員長 時間でございますので、ありがとうございました。
  28. 橋口隆

  29. 松平忠久

    松平委員 新井会長にお伺いしたいのです。  景気の停滞というようなことによっていわゆる過剰量が非常にふえておるという数字をあげられましたが、これらのいわゆる過剰量というか備蓄、そういう方面への融資、そういうことで、はっきり覚えておりませんが、約二十億ドルぐらい鉱山関係で出すということをワクをきめられたようでありますが、このワクの中で、どの程度備蓄等について金をお使いになっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。備蓄の融資をドルで約二十億ドルくらい予定しておるということを政府当局からは聞いたことがありますけれども、それはお使いになっておりますか。輸出入銀行のです。
  30. 新井友藏

    新井参考人 いま鉱石引き取りにつきましては特例のユーザンスでもって処置していただいておりまして、今後この問題がふえてまいりますので、輸出入銀行の輸入金融を措置していただいて、これでもって引き取りを進めたい、そういうことを申し上げたわけでございます。
  31. 松平忠久

    松平委員 それでは、それに関連して鉱山石炭局長にお伺いしたいのですが、ただいまの新井会長のお話でも、かなり閉山が出てきた。これで国鉄運賃が値上げになりますとたいへんなことになるのじゃないかと思うのですが、それに対する対策はどう考えておられるのか。
  32. 外山弘

    ○外山説明員 先般国鉄運賃の改正問題が起こりましたときにも、私どもとしましては、鉱石類の輸送問題、こういったものにつきまして、従来の優遇制度を続けるべきであるという立場でいろいろお願いをしてまいったわけでございます。  その点につきまして、私実は当時まだ担当しておりませんので詳細をちょっといまここで申し上げられませんが、そのまま、結局結論を見ないままに法案のほうも流れてしまったということで、いまその交渉を再開する立場にはございますけれども、私どもとしては、引き続き従来とられておりました政策をぜひ延長してほしいという立場で今後も関係当局と折衝してまいりたい、こう考える次第でございます。
  33. 松平忠久

    松平委員 今里参考人にお願いしたいのですが、いまのチュメニの問題について、ちょっとさっきお触れになりましたが、アメリカ協力、これが先ほどお話しになりましたような程度のものであるのかということと、それからもう一つは、お話がありましたサハリンプロジェクトの今後のステップですね、これはどういうステップで行かれるのか、その二点だけお伺いしたいと思います。
  34. 今里廣記

    今里参考人 ただいまのお話ですが、アメリカメジャーとかあるいはインデペンデント、独立系でもけっこうでございますけれども、私どものほうにいろいろ申してきているのは二社なのです。それでも日本のサイドの中に外国資本というのは抱きかかえていく。だから話の筋としては、ソビエトと日本の問題で、日本の中にアメリカの人が入っておったりしても、それはやむを得ない、日本側の事情だからというわけなのです。そうしますと、政治的に見ましてもあるいは感情的に見ましても、非常に楽になるわけでございます。  たとえば、この間総理が行かれて、中国との正常化の問題をやってこられました。そのときにも、中国人から何かその話があったのだろうかどうだろうかと思って、まだ聞いておりませんけれども、しかし、実際にはなかったようです。私なんかが去年の十一月に行ったときは、もうはっきりそう言っていました。三人の人からみんな聞かれました。チュメニの問題はうまくいくのですか、いつごろになったら持ってこれますか。約五年半ないし六年かかるでしょう。日本は現在エネルギー源というものをほとんど石油に託しておりますが、これから将来は、先ほどお話があったようでしたけれども、だんだん天然ガスにかわっていきます。その次の段階は、私も十七、八年後には原子力にかわるのじゃないかと思います。しかし、それにしましても、天然ガス中心の時代あるいは十七、八年後の原子力の時代が来たにしましても、油の価値というものはちっとも変わらない。私は油は政治なりというふうに考えております。そういう均衡を保って、アメリカとの基本関係というものを常に踏んまえて、中国に近寄るのもいいでしょうし、あるいはソビエトとこういうプロジェクトを完成させるのもいいと思います。しかし、御存じのとおり、最近の経過は、モスクワで、あるいはワシントンで、常に米ソの間において話し合いが進められております。これはアメリカの要人たちもはっきり申されております。そういう場合からしますと、二、三年後にはシベリア開発というふうなものが、私は必ず日米ソの間で行なわれることになるだろうと思います。そうすると非常に力強い形が出てくるわけでありまして、また中国にしましても、このチュメニの問題に対して関心を持っておることは間違いないと思います。その場合に、日本の中にアメリカが入っているということが非常にいい感じを与えるのじゃないだろうかというふうな気がするわけなんです。そういう意味からしまして、窓口は一本にする、引き受けは一本会社にするというふうな構想を個人的には持っておりますが、これはもちろん原局の通産省の方々あるいはこれに関係しておられるところの方々、そういう連中とも話を進めていかなければならないと思います。引き受けは一本会社にすべきだというふうな考え方を持っております。  それからサハリンの話ですが、サハリンに行って約一週間現地の調査もしました。非常に向こうのほうで気を使って、樺太の昔の北樺太石油、あそこの現場を見せましたし、そのときにアメリカの技術屋さんを二人連れていきました。これも初めは向こうは渋っておりましたけれども、最後には承諾をした。非常な気の使い方で、このアメリカ人二人に対して一人ずつ女の通訳をつけておくというふうなことまでやってくれましたし、全然不便は感じられませんでした。  それからオハ油田、昔の北樺太の油田でございますが、これは陸だけでとっているのです。わずかなトン数で二百五十万トンくらいでございましょう。しかし、それよりもっと大きいのは、いわゆるオハの北東あるいはもっと南のほうというふうなところに大きな構造がある、非常におもしろい構造があるようなことを日本から行きました技術屋さんもアメリカの技術屋さんもひとしく認めております。そういうことですから、日ソ経済委員会でも、このサハリンの問題はひとつプロジェクトとしてできていることでございますし、現地をよく調査をしてその資料もたくさんもらってきましたから、その上に立って十一月くらいに向こうからやってきまして、それで東京で話し合いを進めて、ローンの形式はどうするのか、あるいは利息のほうの問題はどうなるのか。向こうは二億ドルと言っております。われわれは一億五千万ドルでいいだろうというふうな折衝も重ねたいと思うのです。これも引き取りの問題。向こうは、一億五千万ドルで、日本からリグとか引き船とかいうようなものもみんな買い付けると言っておるのです。だからこれはクレジットになりましょう。一億五千万ドルか幾らかはクレジットにして、これは当然取り返すことができる借金の形ですが、それ以外に、共同開発ということになってきますと、向こうの構造に対して日本の連中も正面から入っていけることになるわけですから、そういう意味からしまして、オハ油田のそばには大きなオフショアの油田というものは必ずある、これを本格的にアメリカの技術を十分に駆使してやっていきましたら、非常におもしろい、いわゆる石油確保、長期安定というふうなことができるのじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  35. 松平忠久

    松平委員 島田さんにお伺いしたいのですが、現在のいわゆる石油公団を中心とする体系を変えていかなければならない、こういうお話でありましたが、イタリアのENIのようなかっこうにしていくことはできないのですか。
  36. 島田喜仁

    島田参考人 御承知のようにENIは一貫操業でございますが、いまのENIができるまでには、もともとやはり天然ガス会社から発足しまして相当長い歴史過程を経まして、一本化された国策会社に実はなったわけでございます。公団は、御承知のようにちょうど昨日で満五年になりますが、公団のできる時点におきましては、民間会社が探鉱開発というリスクに挑戦をするという危険をおかして石油界を押えるという体制にはまだなかったわけでございまして、そのときに民間みずからのリスクを負担すると同時に、国もこれに対して助成をするということで、実は発足をいたしまして今日に至ったわけでございます。したがいまして、公団は、かつてENIが天然ガスの収益によりましてある程度蓄積を持って、そしてさらに石油開発にも進出をしたという歴史過程とは違いまして、国の金を民間に供給をするという、そういう世界には珍しい体制で五年過ぎてまいっております。したがいまして、基本的には政府の考え方としては、探鉱開発事業そのものは民間がやる、公団はこれに対しましていまのファイナンスをする、投融資をする、並びに技術援助をする、技術協力をする、こういうたてまえになっておりますので、ここでENIのようなみずから開発をするのみでなく、製品の精製並びに製品の販売までいたしておりますが、こういう体制をつくることはなかなか簡単な問題ではない、しかも民間の開発事業との調整問題もございますので、私はそう容易なことではないと思います。なお、そういう点につきましては、これからの体制に対処しまして、世界の情勢の変化と国内の情勢を踏まえまして、これに公団の機能等については政府が対策を考えていただく、こういうことになると思います。
  37. 松平忠久

    松平委員 島田さん、もう一点。そうすると、それはむずかしいということであると、現在の融資、そういう体系からさらにこれを現在の状況にマッチさせるということのためにはどの程度体系を変化させていくというおつもりなんです、希望としては。
  38. 島田喜仁

    島田参考人 まず私が先ほど申し上げましたように、一つには大型のプロジェクトに対しまして、民間がこれに挑戦をするためには相当大きなリスキーな金が要りますから、これに対する融資をすることは従来の拡大でございます。  第二は、ただいま申し上げましたように、開発側がリスクを負担せずに資源国がみずから事業をしようという体制になってまいります場合には、それが技術的に油田開発が有望であると考えられる場合には、相手方の探鉱開発に技術的に協力する。第二は、それに必要な資金供給いたしまして、そうしてその民間に対しまして、そういう開発の金も含めまして投融資できるような形にすることが大事だと思います。それから必要によりまして、もし公団が相手方の公社に、資源国は公社がみずから事業を行ないますので、それに融資することによりまして日本安定供給源確保するということを考えるべきではなかろうか、こう思います。  それから第三は、先ほど申し述べましたように、既存の利権会社が持っております鉱区に対しまして、その鉱区の中ですでに油田が開発されておる、あるいはまだ開発油田にはなっておりませんけれども試掘に成功しておる、油田開発の可能性があるという地域並びにまだこれから探鉱していく地域というものが鉱区としてあるわけでございますが、その鉱区全体に資本参加をする、株式取得をするという民間の事業に対しまして、これは御承知のように、探鉱開発が入っておるわけでございますから、そういうものに投融資のできるような体制に考えていくべきである、こういうふうに考える次第でございます。
  39. 橋口隆

  40. 近江巳記夫

    ○近江小委員 皆さんが、安定供給という点で非常に御努力を払われておるということはよくわかります。それでいま、田中総理が書かれた「日本列島改造論」というのは非常に大きな問題になっておりますが、今後わが国経済が年率一〇%の成長を遂げる、昭和六十年には一兆ドル経済というようなことになっておるわけですが、そうしますと、エネルギーから考えましても、いまのままで推移すれば、皆さんからお話ございましたが、おそらく昭和六十年の時点では六億キロリットルから七億、現在二億二千万ですから約三倍半から四倍というように拡大をしていく。そうなってきますと、公害の面一つから考えましても、非常に大きな拡大ということが考えられるわけです。  そうした場合、今後そういう公害をなくしていくという点からいけば、先ほどからも話がたくさん出ておりますが、一つは、低硫黄原油輸入である、一つは、脱硫装置の開発である、一つは、天然ガス輸入である、こうなってくるわけです。  先ほど島田さん等の話によりますと、とにかくそんなことを言っていられない、とにかく絶対量の確保自体もあぶないのだ。確かに総裁が第一線に立たれて、そういう確保という点において苦労されておることはよくわかるわけですが、そういうことでいきますと、公害面から考えるとこれはほんとうに日本列島は改造どころではなくして公害列島になるんじゃないか、こういう心配が出てくるわけです。そういうことで島田さんたちのそういう立場もわかりますが、今後はさらに低硫黄開発、こういう方向にもその中でさらに力を入れてもらわなければならぬと思うのです。もう滝口さんは帰られたわけですが、滝口さんも、脱硫装置もやっておるけれども、やはり低硫黄を入れてもらわなければ困るということを非常に強調しておられたように私思うわけです。  それで、実際この脱硫装置にしましても、工業技術院等でも研究をやっておりますが、これは滝口さんがおられたら私聞こうと思っておったのですが、案外技術的な評価というものは高くないように私は思うのです。ばく大な金を食う、あまり成績もよくない、そうなってきますと暗たんたるものになってくると思うのです。  そういう点で皆さんが一貫しておっしゃったのは、脱硫装置の開発に全力をあげよとおっしゃっておるわけですね。この点について今後わが国としてどう取っ組んでいくのか、これはきょう局長来ておるわけですから、この辺をお聞きしたい。  それから低硫黄原油確保について、ほんとうにそういう絶望的なものであるかどうか、もう一度ひとつお聞きしたい。それから天然ガス、LNGの供給についてはどういう見通しがあるか。天然ガスについては今里さん、それから低硫黄の問題について島田さん、それから先ほど申し上げた脱硫装置の開発について局長からお答えいただきたいと思います。
  41. 島田喜仁

    島田参考人 実は、ただいま御指摘のありました低硫黄原油開発につきましては、私ども現在は低硫黄開発だけをやっておるわけです。低硫黄の地域であると思われる地域に進出をする民間企業に財政投融資をいたしておるわけであります。ところが、先ほども申し上げましたように、現在日本はローサルファ以外の原油を実は八割買っておるわけです。しかも、需要がどんどんふえますと、低硫黄原油の比率が下がることはもう明らかだ。と申しますのは、世界的に低硫黄原油地帯というのはないわけです。もう圧倒的にハイサルファ地帯が多いわけでございまして、したがって、短期的には低硫黄原油を入れることを考えるべきであり、同時に私ども低硫黄地域を開発しませんと、民間企業がハイサルファ地域といえば開発に進出しないわけです。ところが、先ほども鉱山石炭局長が、一九八五年になりますとひどい事態が起こると言われておりますが、石油の問題は、十年先の問題についていまから手をつけなければ、そのときになって問題だといっても始まらないわけです。だから、そこに問題があると私は思う。だから、政府は考えてはおりますけれども、検討の時代ではもうなくて、具体策をどうするかという問題でなければならぬ、私はこういうふうに考えるわけでございます。  実は世界需給状況につきましては、私は、今日ここで申し上げるのではなくて、二年前から関係方面にそういうことを申し上げておった。ただ、現実にそういう点がアメリカも非常に深刻な問題になって問題が出てきた。表面にあらわれたのが現在である。こういう意味でございます。そういう意味で、私は先ほどから申しますように、いま先生からお話しのように、低硫黄原油を最優先に確保することは当然でありますし、現在私どもそういう地域のみに進出しておりますが、実際に低硫黄地帯がないものを幾らさがせといっても、日本だけが低硫黄確保することはできないし、それはわずかである。実は低硫黄というのはアメリカが低硫黄地帯でございますが、アメリカ自体はそれを外に売っておりません。インドネシア地域が低硫黄でございますけれども、これは量的には非常に少ない。ただいまお話しのありましたソ連は、これは低硫黄が相当あると思われますけれども、いままで御承知のように共産圏以外にはソ連は輸出しておりませんし、これから開発の時代に入るわけでございますから、そこにも問題がある。それから日本で御承知のように大陸だな、これは低硫黄であると考えておりますので、これは最優先にいたしておりますが、あと低硫黄地域と目されるのは中国の渤海湾であり、東シナ大陸だなである、こういうことに相なるわけでございます。特にアフリカの北等につきまして、アルジェリア等につきましては一応低硫黄が入っておりますが、これはもう資源がだんだん枯渇してまいりますので、北アフリカ等ではすでに生産制限をし始めておりますので、なかなか低硫黄地域というものはありません。ですから、石油の問題というのは長期的な問題であるという意味で、いまからそういう問題を考えませんと、公害問題と同時に、もうひとつエネルギー不足の時代が来る。  御承知のように、いまから十五年先にいろいろ手を尽くしてみましても、原子力が一〇%をこえるというのはなかなか現状ではむずかしいわけでございます。私ども石油を担当いたしますと、エネルギーというものを何か石油以外のものに切りかえられる方法がないかと考えるわけでございますが、世界も七割、日本でも天然ガスを含めまして石油だけでほとんど七割をエネルギーの中で消費しておりますが、これから十年、二十年行きましても、石油中心とするエネルギーは、五割はおそらくまだ当分続くであろうということになりますと、いま申し上げましたハイサルファの原油というものが大きな問題になってくるわけでございまして、いまからそれの総合対策をお考えになること、それから同時に、エネルギーを使わなければならぬとすれば脱硫を考えればいいわけですね。問題は、要するにサルファでございますから、使うエネルギーからサルファを取ることを考える以外に道はない。まず第一はそうだと思います。あとは、御承知のように過密対策等は当然のことでございますが、そういうことを考えざるを得ない。  それから、天然ガスは、御承知のように無公害エネルギーでございますが、ただ、アメリカとか欧州と違いまして、日本日本の中で天然ガスというものが少ないわけでございまして、持ってくるとすれば海を越えてこなければならぬというところに実は天然ガスの大きな問題がございます。御承知のように、冷却をいたしまして、そうしてコンテナ船で持ってこなければならぬ、そのためには、冷却したままで参りますというと単価が相当高くつく、それでこれを気化しましてパイプラインに乗せて需要者に渡さなければならぬ、それがアメリカ欧州と違うところでございます。ただし、アメリカ欧州につきましても天然ガスが不足してまいりましたので、アメリカ天然ガスソ連等に依存しようという考え方になってまいりましたし、欧州も海を越えていわゆるLNGという形で天然ガス確保していこうと考えておりますが、全体のエネルギーの中では、天然ガスの占める割合というのは、質的にはいまのような無公害でございますけれども、量的には問題がある、ここに私は問題がある、こういうふうに思います。そこで、私ども公団といたしましても、できるだけ天然ガスをLNGにいたしまして、日本輸入する問題についても前向きに対処をいたす、こういうふうに考えておる次第でございます。
  42. 今里廣記

    今里参考人 私先ほどちょっと天然ガスの話をしましたけれども、いまの島田総裁のお話にありましたとおり、石油の代替品としての天然ガスというのではなくて、これから公害の問題もありますし、全然いわゆる被害の出ない天然ガスというものを日本は特にいま求めておるわけなんです。しかし、アメリカ自体もあるいはヨーロッパ自体も天然ガスがずいぶん少なくなってきた。日本はそのために、これをアラスカからあるいはブルネイといいますかインドネシア、そういうところから持ってきております。計画の中には、日本の財界あげて取り組んでいるイラン天然ガスの問題がある。それから日ソ経済委員会で取り上げておりますヤクートから持ってくる、これが三百億立方メートル。そのうち日本でほしいのは百五十億ぐらいでいいだろう。残った百五十億のうちでソビエト自体が地元で使うのが相当要る。百億ぐらい。アメリカももちろんこれは当然参加するというふうな形になってきますと、アメリカの西海岸のほうも非常に枯渇しておりますから、ナホトカからLNGにしてそれで向こうに持っていくということにもなっておるようでございますが、しばらくは天然ガスの貴重さというふうなものをみんな認めながらあっちこっちを開発していく。しかし、地球上にそうたくさんあるわけでもありませんし、これも十年か十五年したらまた天然ガスもなくなるじゃないかというふうな形になっているのじゃないかと思います。
  43. 外山弘

    ○外山説明員 先ほど来の御指摘のように、確かに脱硫問題というのはたいへん重大な問題でございます。御承知のように、通産省でもだいぶ前から脱硫技術開発ということでは工業技術院を中心にいろいろやってまいったわけでございまして、まず重油脱硫につきましては現在もうかなり行なわれているわけでございます。ただ、もちろん装置上の限界がございますから、ゼロにするというわけにはいかないということでございますが、これは先ほども参考人からおっしゃいましたように、かなり進んでいるわけでございます。  その次の問題として排煙脱硫の問題でございます。これは確かにまだ技術的な評価の上においていろいろあるようでございますが、しかしこれはもうかなりな程度、つまり九〇%ぐらいは除去できるということが確立しておりまして、ただ規模を大きくする場合に若干問題があるというふうな点が指摘されているようでございます。しかし、今後この使用がどんどん伸びていくにつれまして技術的な問題も逐次解決していくのではないだろうか。そして、これをもっと確立することによりまして一そう消費の面からの公害の除去が可能になるというふうに私どもは期待しているわけでございます。  さらに、もっと端的に、一番効果の多いのが、いまいわれておりますガス化脱硫でございます。これは現在技術的に経営的に使えるかどうかというふうな問題点についてもまだ検討の余地があるようでございますが、しかしすでに現在二、三の会社がガス化脱硫についてトライをしておるわけでございまして、その辺につきましての成果がいつどのように出てくるか、これを私どもは注目しているわけでございますし、同時にガス化脱硫全体についての検討、技術的な研究というのを並行してさらに関係業界で進めるように、私どもとしてもいまいろいろその成果を注目しているところでございまして、たしか昨年の予算で研究報告書というものが提出されております。それを中心石油連盟の中でもいろいろ検討しているというのが現状でございます。
  44. 近江巳記夫

    ○近江小委員 工業技術院で開発された装置、まあかなり効果をあげているという局長のお話ですが、しかし業界での評価は、私の耳に入っておるのはそれほどは高くないのです。そういうことで、工業技術院のほうでは一応は技術の完成であるという評価をしておりますとそこに大きなギャップがあるわけですよ。ですから、もっと経済的にもコストが安くなり、しかも性能がいい開発というものについては、いままで研究されたのがそれでほぼ頂点に来ているというお考えというものはやはり変えていただいて、さらに改良をもっともっと加えていく。それに対してもっと予算もつぎ込んで——もちろん業界も研究は必死になってやると思いますけれども、政府自体も取っ組みの姿勢をこれからもっと続けてもらわないと、これはたいへんな、私は日本にとって一番大きな問題だと思うのです。この点は特に強調しておきますから、お帰りになって大臣はじめまた政府の大きい問題としてよく検討していただきたいと思います。検討していただけますね、それだけちょっと先に。
  45. 外山弘

    ○外山説明員 御趣旨を体して工業技術院ともよく連絡をとって、私どもとしても非常に重大な問題であるということをよく認識しているつもりでおりますので、引き続きそういった面での推進をはかりたいというふうに考えております。
  46. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それからもう時間もないようですから、あと二点だけお聞きしたいと思います。  日中の国交は樹立されたわけでありますが、ことしの十月からメジャーズが東シナ海の韓国寄りの鉱区の試掘を始めるというのを私聞いているわけですが、これはニクソン訪中の際、中国側との間にかなり高度の政治折衝があったのじゃないかと思っておりますが、結局中国としては、大陸だな条約に従って大陸だなの中間線論を認めたのじゃないかと解釈されているわけですが、政府としても、それはどのように考えておられるか、それから参考人もどのように考えておられるか。  それから、滝口さん帰られたのですが、東シナ海の探鉱もやるんだということも先ほどおっしゃったわけです。その辺、今後日中のそういう大陸だなをめぐってのいろいろな話し合いも出てくると思うわけですが、今後日中の共同開発の用意という点について、民間なりあるいは政府としてどういう感触を持っておられるか。この二点についてひとつお聞きしたいと思います。
  47. 外山弘

    ○外山説明員 御指摘の第一点の米中でのお話し合いが石油についてどういうふうなことであったかという点については、実は私承知しておりません。したがいまして、いま御指摘のように東シナ海について米中がプロジェクトを進めるというふうな話も実は聞いておりません。  それから御指摘のもう一点の日中の石油の問題の協力ということにつきましては、私自身こういった方向が前向きに出ていることを非常に期待する者の一人でございます。ただ、石油という問題の基本的な性格から見まして、よほど国間の意見の交換というものが十分に行なわれませんと、うまくいくことがいかなくなるという場合もございましょうし、これは慎重に話し合いをしていかなければならない問題の一つである、こう考える次第でございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江小委員 これで終わりますが、民間レベルではそういう接触はまだないわけですか。
  49. 今里廣記

    今里参考人 この前稲山さんのミッションが向こうに行った。その中に出光興産の出光会長も入って行ったのですが、出光さん、行く前に私どものところに二日ばかり見えました。向こうで石油の問題、はっきり言うと渤海湾の勝利油田というやつなんですが、これが現在試掘を一、二木やっている程度じゃないでしょうか。それから山東半島にあるいはランドのほうに少しある。しかし、一番楽しみにしているのはいわゆる渤海湾を中心とするもの、それから東シナ海。東シナ海は先ほど滝口さん言っておられましたけれども、滝口さんとアメリカ資本と一緒になって向こうでやろうという。それから、この前、出光さん帰ってきましたから、どういうふうに話したと言ったら、やはりチュメニの話が向こうから出たそうです。日本なかなかやるけれども、どのくらいかかりますか、やはり打ち合わせておったことですから、先行き六年くらいだという話なんですが、そこで、私が周恩来に会って周恩来からも言われましたが、日本はソビエトとそういうことをやっておられるが、昔、西洋——西洋ということばを使われたが、西洋の技術屋さんが中国に来て、中国には資源がない資源がないということを盛んに言ったものだ、しかし中国にもずいぶんあちこちに資源が出てくるようになりました、石油も相当大きなものがあるのじゃないかと思いますという話をされまして、私と永野さんと二人で返事したのですけれども、だからそういう渤海湾の勝利油田なんか早く開発を進めて、そしてその油をぜひ第一号に私どもにくださいという話も冗談話にしたのですが、出光さんもそういう意味で、渤海湾の話がいよいよクローズアップしてきましたから、日本と手をつなぎ合って渤海湾の油田というものを開発しようじゃありませんかということを言ったのだそうです。そうして、中国にそんな油がどんどん出るようになったらぜひその原油日本にもらって、それから石油製品のほうを、あなたのほうも多少不自由があるでしょうから日本から送りましょう、いわゆるバーターするような形でやりましょうというようなことを話したのだそうです。そうしたら、やはり向こうも、そのときに、資源の確認はできたと思うが、これをほんとうに一滴として吸い上げてくるというにはまだ相当期間がかかるでしょうというような話で、イエスともノーともつかないようなところでそのときは別れたと言っておりました。しかし、天下の大勢は、中国日本というものがやはり手をつなぎ合って、そうして経済なり文化なり人なり、いわゆる交流を非常に強めていくというふうな線ができ上がったわけでございますから、これは総理もすっかりお喜びになっているだろうと思いますが、日本国民もこれを非常に支持しておりますし、今後は、先ほど先生がおっしゃったとおりに、中国を対象にするところの資源開発というものも相当うまくすべり出すのじゃないかと思います。
  50. 橋口隆

  51. 松尾信人

    松尾(信)小委員 だいぶ時間が延びておりまして、また各参考人には、それぞれ自分の立場からまことにいろいろ御苦労を重ねていらっしゃいまして、いろいろな要望がなされておりますけれども、総体的に言ってまことにもっともなことである。参考人に対する意見というものは、大体いままで各委員から出尽くしまして聞くべきことは聞いておると私は感じておりますから、特にきょうは各参考人に対しましては、われわれもきょうの御要望の趣旨をよく体しまして、今後ともしっかり努力してまいるということを一言だけ申し上げておきたいのであります。  それで、結局は私の申し上げたいと思いまするのは、政府に対するいろいろな問題点であります。まず日本鉱業協会新井さんからお話がありました。いろいろこの点に配慮を払ってもらいたいとおっしゃっていることは、海外鉱石引き取り促進並びに備蓄対策でございますけれども、これもなかなかおっしゃるとおりであります。やがてこれは外貨貸しという問題に関連してまいると思いますけれども、これは政府もひとつ腹を固めて、そうしてこれはがっちりお答えが出るように政府の態度をわれわれも大きく推進していきたい。また政府も、そのような意味においてこの問題をしっかり取り上げてもらいたい。  それから環境管理の問題でありまして、休廃止鉱山のいろいろな鉱害というものが日本全国に起こっております。地域には非常に大きな公害というものを及ぼしておりますので、やはりこういう休廃止鉱山につきましては、政府は総点検をしっかりやる。なかなかわからないというような休廃止鉱山もたくさんあるようでありますけれども、やはり総点検をまずやるのだ、そうしてそのような地域の困っている問題は、これは政府がやる以外にない。しっかりこれは力を入れてやっていただきたい。特に長崎県では対州鉱業の、これはもう一千年もの歴史でありまして、大きな地域に被害を現在も及ぼしておりますし、県とか市町村では解決のできない問題がございまして、政府が今後どうしてくれるのかということを非常に待っておるというような実例もあります。  それから開発の問題でございまして、先ほど今里参考人からも、要は政府の勇断を望むというようなことばがありました。他方、委員からもそのような発言がありまして、これはわれわれもまた席を改めてやる問題でありますけれども、こういう問題ははっきり早く結論を出すべきであろう、こう思います。  それから石油需給の問題でも一言先ほど触れられましたけれども、日本列島改造論にいう石油需給、今後の見通し、こういうことは不可能である。そのような日本需要というものを、いまの経済成長率はそういうものを土台にして、そしてやれ六十年がどうだとかなんとかというようなことでは、これは一体日本がどうなっていくのであろうか。そのような輸送の問題もあります。それから資源枯渇の問題があります。三十数年で現在の石油資源というものはなくなる。先ほど八五年には重大な問題が起こるとおっしゃいましたけれども、やはり石油資源というものについてはもう一回この需給見通しというものをきちっと洗い直して、そうして大きな意味からのいろいろの観点資源の問題、日本の輸送の問題、それから日本経済成長の問題、公害の問題、そういうものを全部踏まえた上での日本としての石油需給はいかにあるべきかという基本のものをしっかりおつくりになりませんと、先ほど近江委員が申し上げましたとおりに、いろいろ石油からは公害というものはなくなっていかない、それをばらまいていくかっこうになる。これでは何のための経済成長かということになるわけでありまして、石油需給というものを従来の消費量をもととした推計とか、経済成長というようなものを一〇%というような観点からじゃなくて、あらゆる意味においてそのようなことをはっきりさせてやっていただきたい。  これは本席で質疑応答をかわしておりまするとばく大な時間を要しまするので、私はそのような問題については席を改めてやって、きょうはそのような政府に対する私たちの考え方を述べまして、終わりたいと思います。
  52. 橋口隆

  53. 加藤清二

    加藤(清)小委員 終了時間が一時だそうでございまして、もう時間がございませんので、前置きを抜きにしまして、ずばり公害の一点にしぼってお尋ねしたいと存じます。  現在、低硫黄と称するものは二億キロのうちで二割前後である、あとはハイサルである、先ほどの滝口さんのお話ですと平均一・九三だ、それを一・五六にまで原料面で引き下げる努力をするというお話がありましたのですが、これはほんとうに可能でございましょうか、それをひとつぜひ今里さん、島田さんに承りたい。わかりますか、もう一度申し上げましょうか。先ほど滝口さんが、現在は硫黄の含有量平均が一・九三だ、それを数年の後に一・五六にしたい、努力するとおっしゃった。はたしてそれが可能であろうかということなんです。これが可能であるとするならば、一体ローサルをどこにどう具体的に求めることができるか、これについてお教え願いたい。
  54. 外山弘

    ○外山説明員 いまの重油の低硫黄化の中で、その対策といたしまして先ほど滝口さんがおっしゃった数字は、四十二年度が一・九三%であって、四十六年度で一・五六%へと低下しております。これは実績として申し上げたわけでございます。
  55. 加藤清二

    加藤(清)小委員 わかりました。ほんとうにそうなっているのですか。実績だとおっしゃるならたいへんなことだ。
  56. 外山弘

    ○外山説明員 私は実績として承知しております。なお、総合エネルギー政策課長も来ておりますので、低硫黄化対策の一環としてさらにいまそれを下げるべく努力をしておりますが、現時点では一・五六をさらに下げたいということで四十八年度計画あるいは四十九年度計画を練っておるところでございます。
  57. 加藤清二

    加藤(清)小委員 努力はわかります。努力なさっていることはとうといことだと思っていますが、実際、現実どうかということなんです。原油ですよ。
  58. 外山弘

    ○外山説明員 手元にある資料で見ましても、四十六年度の上期硫黄分が一・五六という実績になっております。
  59. 加藤清二

    加藤(清)小委員 なっていますか。にもかかわらずSO2の公害は四日市をはじめ裁判問題にまでなっている。それでいま二億二千とか、まあ二億キロでもいいでしょう、一億キロにしておきましょう。ここ数年のうちに新全総や日本列島改造論によりますと、いま近江さんもおっしゃられましたけれども、六億とか七億キロとか、こういうことになる。はたして現在の一・五六以下に押えて原料を求めることが可能であるかどうか。もし可能であったとしても、現在二億キロの平均一・五六でもってこれだけ公害が出ている。需要がふえればSO2の量もふえる、ますます公害は多くなると想定しなければならぬですね。そこで、そのふえる量とSを下げる努力と、どこでどうマッチしたならば公害をこれから少なくすることができるか、そういう問題についての計画がありましたらお教え願いたい。その計画がもしないとすると、今後通産省がどれだけ許可をおろしても地元が応対しますよ。小委員長の地元の志布志湾、あの志布志湾の中だけで最初は二百万バーレルだ、こういう話だった。とんでもない話だ。公害委員会でやりましたら次には百万バーレルに減った。しかし、百万バーレルにしても志布志湾の中だけでその精製をやったら——精製をやることによって公害は出ないと、まあそれは石油連盟はおっしゃいます、そう言わなければならぬから。しかし、現にこれは出ているんだからね。かりにSO2は出なくてもバラスト水によるところの海水の汚濁は一体どうなるかという問題、それによる漁業権の侵害はどうなるかという、ここらあたりで、志布志湾もさることながらむつ小川原もそうでしょう。よそへ持っていく、よそへ持っていくといったって、持ってこられるほうがいやでござんすと言ったら、これはもうしょっちゅうトラブルになりますよ。だから、国民といおうか、新しく石油精製工場ができるとか、これからつくろうとしている地区の住民に安心して受け入れられるように、工場誘致ができるようにしてやらないと、どんな計画があったって、これは計画どおりいきません。火力電気がまたそうなんです。そうでしょう。東電さんでさえ静岡で断わられておる。千葉で断わられておる。県知事さんがみんな自民党同士なんです。それでも断わられておるのですから、もはやこの住民の声を無視して公害をたれ流すということはできない状況になりつつあるのです。石油需要が伸びることは、これはけっこうでしょう。が、それと同時に公害が伸びていっては、いま現在二億キロでさえも一ぱいだから、あなたからでも、あるいは石油関係のオーソリティの方、どなたでもいいですが、地元が安心して工場誘致ができる、こういうふうな見通しなり何なりがありましたらお教え願いたい。そうしないと、もうこれは計画は立っても実行には移せない、こういうことになると思うのです。
  60. 荒川英

    ○荒川説明員 総合エネルギー課長の荒川でございます。  四日市問題を契機にいたしまして客観情勢は非常に激変したということを踏まえまして、現在低硫黄化問題につきまして長期、短期合わせまして、エネルギー調査会の低硫黄化部会というのがございますが、そこで審議を現在やっておる段階でございます。形としましては、やはり短期策についての方向を明確にいたし、そのあと長期策、五年以上先を見渡した問題として考えていきたいと思っておりますが、御案内のとおり、確かに環境基準が今後非常にきびしくなるということは当然のこととして受けとめなければなりませんので、それに対応してどうしてS分の低い油を供給するか、いろいろお話も出ておりまして、LSの原重油を入れてくるとか、あるいはLNGとかLPG、いろいろ海外からのほとんど無公害燃料といわれるものを導入する、こういうことはもうできるだけやるわけでございますが、結局はやはりそれだけではS分の大幅低下ということはできない。先ほど近江先生も御指摘ございましたように、やはり設備投資、脱硫関係の設備投資を画期的に導入する、こういうかっこうで入れていくということになるかと思います。ただし、現在、排煙脱硫あるいは重油脱硫というのはございまして、重油脱硫についてはもう実用化いたしておるわけですが、脱硫率が低いわけでございます。大体標準で申しまして間接法と直接法とございまして……(加藤(清)小委員「そんな話はようわかっているから、ずばり言ってみてください」と呼ぶ。)それとガス化脱硫というのがまだ実用化しておりませんが、これをやはり実用化を急ぐ、開発を急いで大幅に導入する。やはり技術的な組み合わせとしてはこういった方法しかいまおそらくないであろうというのが一つの技術的な考え方ですが、それと同時に、やはりむしろ大きなエネルギーをある過程でもってどれだけ要るということもございますけれども、むしろなるべくエネルギーを使わないで済むという、エネルギーのいわば消費率の効率をあげていくというようなこともやはり同時に考える。それから、もちろん先ほど申しましたようにやはり分散をしていくといいますか、工場分散ということもあわせて考えていく。やはりあらゆる手段を使ってやっていくということで、問題が非常に複雑でございますので、そういった点をLS部会を中心に検討いただいておる段階でございます。この問題は、大きな方向づけはあまりおくれないように早く出したいと考えております。大体そういうことでございます。
  61. 加藤清二

    加藤(清)小委員 わかりました。工場分散とか広拡散とかどうとかおっしゃるが、新しく石油精製の工場をつくろうとすると地元が拒否するのですよ。どうやって分散させるのか。だから、地元が喜んで工場誘致ができるようにするにはどうしたらいいかということを考えなければいけない。いやだと言っているのです。火力電気もいやだと言っているのです。それから原子力もまだ不安定だからいやだと言っているのです。それが現実なんだ。しょっちゅうトラブルが起きているのでしょう。だから、どんなに計画を立てなさっても地元を納得させるまでに時間がかかりますので、そうそう計画どおりにいきませんよ。それを計画どおりにいかせなければならぬ。そのために原料面で、いま一・五六平均とおっしゃったら、これを五年先、十年先に七億キロも要るところに何ぼに引き下げることができるか、まず原料の面から。  それから排煙脱硫、排煙脱硫とおっしゃるけれども、何やら聞いていると、それが完全に行なわれているように聞こえてますが、排煙脱硫にしろ直脱にしろ、特に直脱は、ほんの少ししかないのですよ。そうでしょう。二億キロのうちの重油が一億キロ残ったとする。これの脱硫装置が何ぼあります。排煙脱硫、排煙脱硫というけれども、いまの電気会社の中で実質排煙脱硫を実行に移しているところがどこにあります。みんなこわしちゃっているのですよ。四日市にもありませんよ。鹿島にもありませんよ。行って調べてごらんなさい。そうでしょう。だから、こういう状況だから地元とのトラブルが起きてくる。裁判問題になる。通産省がどんなに、電気、ガス公害法から除くという努力をなさったって、それは行政上できても公害は依然として散らかっているのだから。大気汚染防止法や水質汚濁防止法から電気、ガスを除くということは、皆さんの努力でできた。できたけれども、それで公害がなくなったのじゃないですから、どうして公害をなくするか。じゃ、まず原料面で一・五六を額面どおり受け取っておきましょう。それでもなお将来需要がふえれば、需要が二億キロが五億になり七億になるでしょう。そうしたら一・五六だって、いまだって公害ですから、これがふえればもっともっと公害はふえるということなんです。そこで、原料面で一・五六をもっと下げることが可能であるかないか。可能であるとするならば、何ぼぐらい、いつの時点において引き下げることができるかということと、じゃ直脱を義務づけることができるか、それから排煙脱硫を義務づけることができるか、そこが問題なんです。電気会社はやろうと努力はしている、公害について。けれども、実質いまそれじゃどこで電気会社は排煙脱硫をやっているか。やっていない。宇部興産の脱硫装置が研究されたという。三菱化工の分もだいぶ成功に近づいたという。しかし、これはまだ具体的には行なわれていない。それがいつの時点においてほんとうに工業化されていくか。それによってコンピューターに入れて試算をするというと、初めて日本列島改造論は公害列島にする案じゃございませんということが言える。それを通産省が言わなければどうにもならないのです。それから業界の皆さんが、原料面においてあるいは精製過程における脱硫の面において、それから今度大口使用者が自主的に脱硫する、このことをなさらなければどうにもならない。だから、私の言わんとするところはそういうところですから、それに対して考え方なり計画なりありましたら承りたい。
  62. 荒川英

    ○荒川説明員 おっしゃるとおりでございまして、確かにS分の問題がかりに固定していたとしても、量的に非常にふえますと硫黄酸化物がよけい出る。したがいまして、しかも、これから環境基準は、いまよりもSに関しては少なくとも相当程度きびしくするということをしなければいけないということを考えますと、これからどういうふうにしてやるかということで非常に容易、いわば考えに苦しむような問題ではございません。しかし、やはりさっきおっしゃいました現在実用化しておりませんガス化脱硫、この辺をやはり非常に大幅に導入するということ、もちろん重油脱硫も引き続きやっていただく、排煙脱硫というのもやっていただくわけでございますが、やはり本命となるものを、ガス化脱硫を大幅に入れない限り、おそらく相当数、現在の率からいいますと何分の一というふうな減らし方をしなければいかぬわけでございますから、とても対処し切れない。しかるにそのガス化脱硫は、宇部興産等に工技院から補助金を出して現在テストプラントの運転をやっておるわけでございまして、おそらくあと二、三年は実用化まではかかるだろうといわれておるわけでございます。しかし、それをあまり時間をかけておりますと、当面の問題としてやはり間に合わないという問題がございます。この当面の問題については、ほかのいろいろな低硫黄燃料の導入を極力やるということでしのいでいくわけですが、やはり長期的には、おっしゃるような技術開発あるいはそれと関連した排煙脱硫の設備投資、これを大幅にやらせるという方向でしか対処する方法はないと思っております。もちろん法律的な規制をするかどうかというようなそういう制度論も含めまして、技術の見通し、どのくらいの金がかかるかというようなことも含めまして、いまLS部会で御検討をいただいているわけでございます。これをさらに審議を急いでいただくようにやりたいと思っております。
  63. 橋口隆

    橋口委員長 参考人には御意見ございませんか。
  64. 加藤清二

    加藤(清)小委員 下げることできませんか、一・五六を……。
  65. 島田喜仁

    島田参考人 同じことを繰り返すようでございますが、いまのLS原油というのは、ここ数年間実は輸入がふえておるわけです。だから比率的にはある程度まで上がり、絶対量も実はふえておりますけれども、先ほど申し上げますように、とにかく要するに世界原油というのはローサルファ以外の原油が圧倒的に多いわけです。外国企業日本が共同で開発しようじゃないかといっておりますのは大体ハイサル——ローサル以外の開発点が実は多い。それらのオイルカンパニー等も、日本はなぜそんなにないLS原油ばかり追いかけるのだ……。御承知のように、LS原油は非常に上がっておるわけです。日本も特に狂奔しておるわけです。それは、ただいまお話しの公害の問題があるからであります。  ところが、欧州なりアメリカにしても公害問題がないわけじゃない。日本は、日本のこういう国土の関係から過密公害、集団公害というかっこうになっておりまして、一番シリアスな問題になっていることは事実でございますけれども、欧州アメリカも同じ公害問題になっておりまして、できるだけ低サルファを買おうとするわけでございます、第一には。しかし、それには限界があることを知っております。今後、たとえばいま申し上げましたアメリカ輸入国になってまいりますと、日本とLS原油輸入競争に相なるわけでございまして、そこに問題があって、幾ら日本がLS原油がふえるかという問題が実はあるわけでございます。欧州もLS原油並びに天然ガス確保しようといたしますけれども、やはりローサルファ以外の原油でなければエネルギー供給をまかなえないということも知っておるわけでございますから、もしそのサルファの高い原油公害のために使わないということになりますと、私は今後経済成長が、従来の成長率で考えることよりもまず先に、少なくともその目標以下でもふえていかなければならぬ。資源はだんだん枯渇していきますから、それを埋めるためにも、大きな油田を発見していかなければ従来の需要をまかなえないという問題が実はあるわけです。そこで、もし公害問題でどうしても解決しなければ、エネルギーを使わないという方向に行かざるを得ない。もし使うという方向に向かうとすれば、要するにエネルギーは使うけれども、エネルギーの中に、言いかえれば石油の中に含まれるサルファを抜くことを考える以外に道はないんじゃないか。  ただいまお話しの、今後一体一・五六を幾らに下げる計画があるかというお話でございますが、政府で検討することはけっこうでございますが、実際問題としては、そういう資源日本は持っておりませんから、幾ら計算をしてみても現実にはそれは計算倒れになるわけでございまして、結局私は大局判断から見て、LS原油というものに限界があるとすれば、エネルギーを使おうとする限り、電力の制限をしたり自動車ガソリンの制限をしたり、あるいは石油化学製品の生産制限をしない限りにおいては、私はやはりそういう対策を、エネルギーから、石油からサルファを抜く方法を考えるより基本的には道はない。そのほかいろいろな対策があるでしょう。ありますけれども、基本的には先ほど申しました、民間だけでなしに、日本の官民一体となって、もう思い切った技術開発をする。そして技術開発の問題は、一つは単に技術問題だけでなしに、実は経済性の問題がございまして、低サルファの原油が幾ら高くなろうとも、要するに脱硫装置のコストがそれよりも高くなるということであればなかなか問題は解決しないわけですから、そういう経済性の面も含めまして、思い切った脱硫技術開発経済性も含めてやる以外には、私はエネルギー解決の道はない、こういうふうに考えます。
  66. 橋口隆

    橋口委員長 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時八分散会