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中村(重)
委員 現在の推移ということだけで
経済見通しを立てていくというようなことであってはならぬですね、四十八年度の
予算編成にあたって。それではなくて、やはり思惟的におやりにならなければいけない。
貿易収支というものを、これはハワイ会談の中におきましても、アメリカとの
関係でも、黒字幅を両三年の間にGNPの一%、そういう約束もしてこられた、こういうことでしょう。
それから、いま
お答えになりましたように、
輸出、
生産第一主義から、生活であるとか福祉優先に転換するのだ。それならそれのような具体的な政策を強力に推し進めていかなければならない。四十七年度がこういう
状態にあるからというその推移だけでこれは何とか
経済見通しを立てていくということであってはいけないと私は思いますよ。それと、いま私が申し上げました個人消費の問題は
関連をしてくるわけですから、
調整インフレとかなんとかというようなことも
そこらあたりから出てくる問題ですね。
たとえば、この前の
委員会でも私が申し上げたことですが、賃金にいたしましてもアメリカの三分の一ということになっているじゃないか——
生産性というものは
日本の一に対してアメリカは一・五だ、賃金は
日本の一に対してアメリカは三である、そういうことですね。すでにここでバランスがくずれているということになる。ですから、
生産第一主義から生活と福祉優先を第一に持っていくのだ、転換するのだというならば、それなりの強力な
施策を講じていかなければいけないのじゃないか。なるほど、いまあなたが
お答えになりましたように、個人消費の伸びが物価との
関連も出てくるでしょうね。しかし、それは物価を抑制する強力な
施策を講じていくということがなければいけない。
それで、あなたがこの前
お答えになりましたように、公共料金の抑制とかいろいろなことをやらなければいけない。あるいは国からもっと支出を多くするということによってそれを押えていくという、そういうこともあるであろうと思うのですね。ですから、やはり賃金をもっと引き上げていくというそのことは、
予算面には、国家公務員あるいは地方公務員の給与をどうするかという問題だって出てくるわけですからね。
それから、
生産性の低い農漁業であるとか、
中小企業の
生産性をどうして高めていくのか。そのためには、いまのように
概算要求がいままでの二五%であったのを三〇%ということになると、従来とちっとも変わらないような
概算要求をしておることになるのではないか。それではいけないのだ。そういう四十七年度の
予算というようなものを横目で見ることはわかるけれ
ども、
基本的な転換の方策をここに打ち出していこうとするならば、それにとらわれることなく、抜本的な、そして強力な
施策を講じていくということでなければいけないと私は思うのです。そうしなければ公害をなくすることにもならないし、
生産第一主義から生活と福祉優先に転換することはできないのじゃないか。
しかし、いま
大蔵省は
概算要求三〇%——あとでお尋ねをいたしますが、通産省でも、通産省全体では三〇%、しかし、
中小企業との
関係において
中小企業庁に対してはそれを四五%といったように、一つの賞庁におきまして重点的にはやっておりますけれ
ども、政府全体という形においては各省やはり三〇%という
概算要求をしておるにすぎないじゃないか。従来の姿勢というものは変えていないじゃないか。ただ五%だけを
概算要求の中にふやせということでやっている。その前に
基本的な政府の姿勢、
施策というものを明らかにして、それによっての
概算要求というものをやらせるということでなければいけないのだ、私はそう思いますね。
経済企画庁は、それらの点に対してはもっと
基本的な
考え方を持って
指導性を発揮していくということがなければいけないと思うのです。何といってもあなたのほうは、
経済見通しを打ち立てる、物価の問題についての主管官庁でもあるわけですから、それらの点に対するあなたのもっと迫力のある一つの答弁といいますか、
考え方をひとつこの際明らかにしておいていただかなければいけないと思うのです。