○
今里参考人 お答えいたします。ありがとうございました。
この
ローンの
形式は、
向こうは
バンクローンをいっております。
バンクローンでも、しかし先ほど言いますとおり、
バンクローンの形でいままではほとんどサプライヤーズ
クレジットという形をとっておりましたが、今度は自分がフランスでやっている、あるいはイタリアでやっている、西独とやっている
バンクローンの
形式にしてほしい。しかし中身は、
内容的なものは、サプライヤーズ
クレジットでちっとも差しつかえないのじゃないか。ただ、
向こうの国は相手方が一本ですから、
日本のほうはたくさん商社がおりますし、メーカーもたくさんおりますから買いたたかれないように、そうかといって
向こうの杞憂しておりますように、いわゆる押しつけた値段でみんな引き取らせるというふうなことのないように、そういうところに配慮していかなければならぬのじゃないかというふうな気がいたします。
それから、
アメリカの技術を使うということは、先ほどおっしゃいましたとおり、非常にけっこうじゃないかと思う。
ナホトカの
港湾の
設計とか管理とかいうのは、むしろこちら側でその主導権を持ったほうがいいのじゃないか。しかし、
向こうのチュメニから
イルクーツク、
イルクーツクから
ナホトカ間の
パイプラインの敷設については、
ソビエトは、
寒冷地の技術は自分のほうが
アメリカよりも上だというわけなんです。いわゆるツンドラ地帯の非常に長い
パイプラインの敷設でございますが、これは
シベリアの奥地に
アメリカなりあるいは
日本なりの技術者がどんどん来て、何年間も滞在してなにするというふうなことは独立国家として受けがたい。また現に
パイプラインの敷設そのものは自分のほうに技術があるんだから、見学されるのはよろしい、しかし、
アメリカなり
日本なりの手によって敷設工事そのものをやるということは少しおかしいじゃないか、それは困る。また、
アメリカの中に、たとえば
ソビエトの労働者とか技術者というものが何年間も入り込んでいってやる、これは
アメリカも拒否するだろうと思います。そういう
意味で、これはやむを得ないのではないか。
ナホトカからこちらのことは、
日本側が
アメリカと一緒に
協力した形でやっていくのがいいのではないかと思っております。
それから先方も、
日本政府の
保証なり裏づけなりというものを非常に欲しております。これは十億ドルの金ですから、これをかりに四年間で払うにしましても一年間に二億五千万ドル、三年間で払うとしますと三億三千万ドル、これを民間の金で調達するということはとてもできないことでございますし、そういう
意味からしましても、また、
石油そのものがいわゆる国家をあらわすような産業でもありますので、
政府の大きな裏づけ、
政府の大きな
保証というもの、あるいは指導がなければ、この
プロジェクトは完成しない。
向こうもそれを渇望しておるわけでございまして、私たち民間人が
幾ら約束しましても
向こうは信用しないという形になっております。
それから、現在チュメニから
イルクーツクまでの
パイプラインはすでについております。しかし、これは
パイプラインの口径が少し小さいので、これを増強するということにしております。それから
イルクーツクから
ナホトカ間、この
プロジェクトの一番中心になるやつでございますが、これは四十八インチ、千二百二十ミリの
パイプラインを約四千百七十キロにわたって敷くことになっております。それで
イルクーツクまでの少しパイプの小さいのを増強するということで、そのパイプも
日本から買い付けるということを言っております。
それからタンカーは、
ナホトカから
日本海沿岸あるいは北海道というふうなところに持ってくるとしますと、およそ二日間じゃないかと思います。現在中近東から
日本まで持ってきておりますのが、マラッカ海峡、インド洋を通りまして約二十二日間、その約十分の一の時間で来るわけでございまして、余談でございますが、このフレートのトン当たりの値段が約二百円で
ナホトカから
日本に持ってくるはずでございます。現在中近東から持ってきますのが約千二百円、だから、これは六分の一の値段でこっちに来ることになるわけでございます。そういう点からしまして
日本海の沿岸、はっきりいいますと秋田、山形、新潟、富山、
石川、福井、鳥取というふうなところに持ってくる。
それから、最近非常に問題になっております——これは私の個人的な
意見でございますが、瀬戸内海の内海が、タンカーがあまりたくさん入ってきておりますので、非常に汚染されている。それもタンカーが満腹状態になっております。ことしが約二億トンから二億一千万トン、七五年度はこれが三億トンになるのではないかと思います。いまの計算では、八〇年度にはこれが五億トンになるのではないかと思います。そうなりますと、もう
日本じゅう至るところにタンカーがあがってくる場もなくなってしまいますから、
日本海沿岸に持ってきまして、いま言います福井県とか富山県とかあるいは鳥取県とかいうところから、地元の了解が得られますならば、そこに
石油の基地をつくって、わずかのキロ数でございますから、瀬戸内海のほう、あるいは兵庫あるいは大阪というところにパイプで流し込むというふうな方法にしたら、瀬戸内海の方面も非常にきれいになるのではないかというふうな気がしております。
それから北方領土の問題でございますが、これはちょっと私職掌が違いまして、実のところ、われわれのやっているのは純経済ベースの話でございまして、これを北方領土に結びつけることがいいか悪いかわかりませんが、これは先生方の御判断でもありましょうし、できるならば、私の
希望からいいますと、この問題を北方領土と切り離して純然たる経済ベースで持っていっていただきたいというふうに思うわけでございます。