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後藤委員 ただいま労働
大臣から非常にりっぱなご
あいさつと申しましょうか聞きまして、新しい
大臣として、これから労働者のために今後ともがんばっていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
ところで、その
あいさつの中の一部にもありましたように、今日
労使関係というのが非常に大事だと私は思うのです。まあ景気がいい悪いにかかわらず、
労使関係というのは非常に大事な問題であろう。これはもう
大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。ところが、今日民間企業で不景気という名のもとに工場閉鎖をするとか、あるいは合理化を、合理化という
名前のもとに首切りを行なうとか、あるいは配置転換を行なう、こういうような問題が民間のいわゆる企業の中にも、あちらこちらに問題が起きておるのではないかというふうに私
考えるわけでございますけれ
ども、特にそういう
考え方のもとに、一例としまして、これから御説明申し上げる問題について、先ほど言われた労働
大臣の
考え方に基づいて、ひとつ正しく労働行政を
指導をしていただくように、そこで働く労働者の立場に立ちまして、りっぱな行政
指導をしていただきますように、これはお願いをいたしたいと思うわけでございます。
滋賀県の——
大臣御
承知かどうかわかりませんが、信楽というところに信楽陶器の名産地があるわけでございます。滋賀県の甲賀郡の忍術屋敷のあるずっとまだまだ奥のほうでございますけれ
ども、そこに三豊工業株式会社というのがございます。その工場が、かなり人数もおったわけでございますが、いろいろな問題が出てまいりまして、今日では工場を閉鎖してしまう。本社は大阪にあるわけなんです。本社は大阪にありまして、滋賀県に滋賀工場というのがある。いわば日本列島改造論からいいましても、これは賛成であるか反対であるかは別問題にしまして、普通ならば、滋賀県の信楽というのは山の中で非常に空気のいい場所でございますが、大阪がいなかのほうへ吸収されるということなら、これはわからぬことはないわけなんですけれ
ども、この三豊工業株式会社というのは逆でございまして、せっかく四億から設備投資をした滋賀工場を閉鎖してしまう。閉鎖されますと、地元で働いておる百数十名の人は全部失業するわけなんです。しかもこの工場は滋賀県の誘致工場でございまして、滋賀県だけではなしに信楽町の町長が先頭に立って、道路の問題からいろいろな問題につきまして、全面的に
協力をしてまいりました工場でございます。そこがいま閉鎖をされてしまうというようなことで、連日、かなり大動員がかかりまして、激しい戦いが行なわれておる。一口に言うとそういう問題でございます。
それが昨年の年末に合理化案が出てまいりました。いわゆる大阪の本社は現在これだけおるけれ
ども、これだけに減らす、あるいは滋賀工場につきましても、現在これだけおるけれ
ども、これだけに減らしてしまうというような合理化案が出てまいりました。そこには労働組合が結成されておりまして、全金に加入しておるわけですけれ
ども、せっかく誘致した工場でありますから、いま言ったような合理化案に対しては反対である。そういうことをやらずに、全部を使って仕事をどんどん与えて工場をりっぱにしようじゃないか、こういうような立場で昨年からずっと闘争が続いてまいりまして、これらが一応撤回されたわけなんです。
それからさらにことしになりまして、またいま申し上げましたところの第一次、第二次、第三次というような合理化案が出てまいりまして、七月十七日の日には個人個人の家へも、工場はこうなってまいりまして、もうやっていけませんから、退職願いを全部出せというようなことで、個人個人の家に、いま申し上げました退職願いを出させるいろいろな印刷物を会社のほうから出したわけです。
ところが、一方、労使の間は一体どうなっておるかといえば、労使の間におきましては団体交渉を重ねておりますけれ
ども、団体交渉できまったことと、工場が実際に行なうことと全然違うわけなんです。たとえば団体交渉におきましては、もうこれ以上首切りはやりません、あるいは賃金の遅配におきましても、もういたしません、あるいは滋賀工場は閉鎖をいたしません、こういうような
約束で団体交渉でははっきり話がついておるわけでございます。それが終わるか終わらぬうちに、すぐ工場閉鎖をする。工場閉鎖をする以上、あなたは退職してもらわなければ困ります。あなたの退職金は計算しますると、これだけでございます。予告手当一カ月分はこれだけでございます。何月何日までの間にこれを出してもらわなければいけないというようなことで、労使の間できめたことが実行されない。工場が一方的に労働者の首切りを行なおうといたしておる。
これは一体どこに原因があるのだろうか。いま申し上げましたところの三豊工業というのは、重役さんが八人おるわけでございますけれ
ども、八人のうち一名だけは常務の取締役じゃないわけです。七名が常務。その中の四名というのが神鋼です。神鋼株式会社のほうから出社というような形で出てきておるわけなんです。
〔
橋本(龍)
委員長代理退席、
竹内委員長代理
着席〕
でありますから、私が
調査した限りにおきましては、三豊工業株式会社の取締役の中には、自民党じゃありませんけれ
ども、派閥抗争があるわけなんです。その派閥によっていろいろと三豊の会社の経営がむずかしくなってきておる。最終的には神鋼が三豊工業を全部乗っ取ってしまおうというような
考え方も裏面には十分あるんじゃないかというようなこともうかがえるわけなんです。
さらにまた、いま申し上げましたところの退職の慫慂につきましても、この会社は朝日麦酒のタンクをつくっておるわけなんです。これは非常に大きなタンクでございまして、一つのタンクで二万リットルくらい入るそうですけれ
ども、ここが、あとから
お尋ねいたしますけれ
ども、安全衛生管理工場に指定されておると思うのです。地方の
労働基準局長ですか、これがその安全衛生管理の指定工場に指定するのだと思いますけれ
ども、ところがその工場の中は全然舗装もしてない。土煙の立ちっぱなしのようなところで作業をいたしておる。この間もいま申し上げましたような情勢になってまいりまして、身体検査をやりましたら、現在のところ十人やりまして七人の者がじん肺にかかっておる、こういう情勢なんです。それからさらに労災
関係を調べてみますると、現在通院中の人も含めますと、十二名の人が労災にかかっておる。ひどい人は片手がない。これも工場でやられたわけでございます。これらの人に対しましても、一片の
補償とかそういうことを
考えずに、あなたは退職金がこれだけになりますから退職しなさい、こういうようなものを労使の団体交渉を無視した形の中で個人個人の家に発送をして、そうして七月二十日付をもって工場閉鎖をしてしまう。こういう方向へ進めようといたしておりますのが、いま申し上げましたところの三豊工業の工場閉鎖の問題でございますけれ
ども、そこで現在地方労働
委員会におきましても、これは問題になっております。さらにまた裁判所へ持っていくというような形にもなっておるそうでございますけれ
ども、団体交渉を大阪でやるか大津でやるか信楽でやるかという団体交渉をやる場所すら問題になる。
ただ、われわれ滋賀県の一県民として
考えると、先ほど言いましたように、信楽町そのものが全面的に応援して誘致した工場でありますならば、十分なことはできないにしたところで、信楽町の皆さんのお世話になったけれ
ども、工場がこういうふうになってこうなったからこういうふうになりますという説明をするくらいなことは当然のことだと思います。さらにまた、先ほど労働
大臣が
あいさつの中で言われましたように、労使の慣行を全く無視して、いま言ったようなことをやっておる。これは会社経営者のやり方としては、非常に納得できないやり方だというふうに私は憤激を感じるわけなんです。
現在におきましてはガードマンを雇って、ガードマンが守衛のかわりをやっておる。しかもそのガードマンが労働組合の動きを察知するためのスパイ行為等もやっておるというようなこともいわれておるわけでございますけれ
ども、まず第一番に、簡潔でございますけれ
ども、情勢は大体いま言ったようなことでございますけれ
ども、あの三豊工業株式会社というのは、大津には
労働基準局があります。さらに水口には
労働基準監督署があると思うのです。しかも労働安全管理の指定工場になっておると思うのですが、身体検査をやれば十人のうち七人がじん肺にかかる、あるいは労災で
障害者がどんどん出てくる。こういうようなことに放置しておいた。いままで
労働基準監督局としてはどのように
指導されておったのか、その点を第一番にお伺いをいたしたというふうに思うわけです。