○田村(良)
委員 本名
長官にはまことにお気の毒でございまして、たいへん恐縮でございますが、私、年来申し上げてきたことは——明らかに危険個所がわかっておるのであります。実は私のこの
繁藤の隣の大豊村というのは
建設省、農林省の地すべり指定地域であります。したがいまして、何で地すべり指定地域に指定されたかということは、危険な個所があるからであります。そうすれば、毎年危険のないように、
災害が忘れたときに来ても、その
災害は未然に防ぐ
措置がしてある、これが国土保全の原則であります。これはいままでわれわれが何ぼ言っても、
政府はお取り上げいただけません。したがいまして、きょう私は直接——十
号台風のときは、立場をかえて、私もそこで御答弁申し上げた人間であります。今度は人が五十九人全部一緒に死んだ。しかも、二十一人の
遺体は出てこない。そして、私がここでどんな質問をして、当局がどんな名答弁をされましても、死んだ人の命は生き返りません。もう毎年ある。すでに
梅雨前線が御承知のように日本列島を襲いまして、
九州から北海道あるいは東北に、また舞い戻って
九州に、いまや
梅雨前線は関東から以西、西日本全部を埋めております。これ以上の
災害が、まだ
報告はないが起こっておるかもしれません。そういうときに、われわれはGNP世界第二、第一ということを誇るだけではなくて、高度経済成長の中で、この山村
繁藤には
消防分団わずか六人しかおりません。大
災害が起こったら間に合わない。そうすると
土佐山田町の全域の
消防団の動員をかける。来た
消防団はよその地区から来て死んだ、こういうことになっておるのであります。このように
人命が目の前で
災害で失われていく際に、これは他山の石ではなくして即刻取り上げて、この際、私が申し上げましたように、
消防団であれば法律、
制度上の裏打ちがあるが、その裏打ちのない国民が
犠牲になった場合には、当然最低
消防団と同じ
措置をすべきであるということでないと、この三十一人の
一般人が区別をされますと、おそらく遺族は——死んでも死に切れないと思います。私は、
消防団員であっても、最近は過疎でおりませんから、そういうことを考えてみますと、もはや質疑応答でなくして、
政府は真剣にこの問題を取り上げまして、国土の完全なる保安
対策とは何ぞやということを、国鉄だとか、農林省だとか
建設省だとか、おれのところの責任じゃないというようなことでは済まされないと思います。私も三日間連続
繁藤に参りまして、もはや人間として耐えられないので、きょうは時間をかりて緊急質問に立ったわけであります。
私は、この機会に即答してもらいたいと思いますことは、このように
災害対策、つまり日本の法律は、
災害が
発生しないとアフターケアがありません。人が死ぬか土砂崩壊で家がこわれる、そうすると初めてやる。なおかつ激甚災というものは、当該
災害の所属する年度の、そしてその平均税収の何%以上にならないと財政援助は講じられない。したがって、全国の都道府県は、激甚災に入れてくださいということで一生懸命なんですね。しかも死んだ人一人、つぶれた家一戸は、お隣の家が何万戸つぶれようと
関係ありません。
被害は
被害であります。したがって、国民の生命、財産に対する天災に対してはすみやかに
防災対策基本法をつくるべきだ。そして
災害の
復旧はもちろんでありますが、危険個所に対しては毎年改良予算を組んで、年がら年じゅう
災害個所の防止につとめる。それから起こったものは私は天災と言えると思います。
ただいま、
建設省も農林省も御存じであり、
地元消防団も警察も、物部川、仁淀川、四万十川、どういう危険個所があるか、もちろん知っております。知っておりながら、大蔵省は予算を切ってくれないのです。一億の堤防でなくちゃならぬものが六千万円であります。頭から手抜き設計であります。それから設計、
河川技術を持った人が一生懸命大臣に要求しても、それが案外通っておらない。したがいまして、
復旧だけではとてもだめであります。つぶれたのと同じ内容の堤防が残っておりますと、同じような圧力がかかりますと古い堤防はくずれます。でありますから、改良を含めて
災害は未然に防ぐ、国民の生命、財産をいかに守るかというのは、いまや
政府の責任である。そうすれば、このようなほんとうに身の引き締まる——私自身が、まだ二十一人の
遺体が発掘されておらない郷里の出身の代議士であります。私は国
会議員としても非常に恥ずかしいと思います。衆議院議員が出ておって何もできない。陳情しても金が来ない。毎日毎日雨の中で、千二百人の人が一生懸命やっております。ブルで突いてくれるな、おれの子供の死骸がこわれるじゃないかということで遺族の人がおこるので、作業をする人が手掘りでやっておりますから、とてもじゃないが、二十万立米を手掘りで掘ったのでは能率があがりません。
そういうことを考えてみますと、この痛ましい現状に対して、われわれはもはや質問をして追及をするとかなんとか、当局の責任のがれの、
検討をしようとかということでなくて、お互いに自分の妻子が、お互いに自分の部落がつぶれたときに、
地元選出の国
会議員として、
政府の役人としてどういう
対策をとらなければならないかということが、私は本来の目的だと思います。
私は、以上申し上げましたことを、ひとつ
長官から
閣議で真剣にもんでもらいたいと思う。そして、ただ中央防災
会議の責任だとか、
建設省の手抜かりだとか、農林省の農免
道路がどうとかいう問題じゃないと思います。これは許された予算でしかできておりませんので、天災に対抗するようになっておりません。ここら辺で私はそろそろ、GNPが二番だ三番だといって
政府が胸をたたいていろんなことを申されるよりか、国土の平和と安全をどう守るかという、国民の生命、財産の保全に関する
政府御自身の緊急
対策が必要であると思います。したがって、
災害復旧法の改正ももちろんでありますが、私は、この機会に
防災対策基本法なるものをつくっていただいて国土の保全をはかる、これには積極的に予算を組む、これは大蔵省も査定をしない、こういうことで、お金で人間の命を切らないという方向に行かなければ、毎年、あすもまたこんな質問が行なわれるかもしれません。
長官の御答弁をお願いします。