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正木参考人 御質問の条項、
立地の問題、事前
調査それから防止協定、開花期の問題、温
排水の問題、それから公開質問状や公開討論会について、それから周辺市町村の問題、大体こんなことかと思います。ただ、ここは国政の
段階ですので、あんまりこまかいことにわたらないで、結論だけきちっと申し上げたいと思います。
一番最初に申し上げたいことは、
立地に関連してですが、私
たちはとにかく、普通の人間というのは、反対したいから反対しているということじゃないのですね。ごく平凡な人間なんです。だから、いま
公害で
反対運動をやっているというのは、ついこの間まで、選挙のときには与党筋に入れるのがほとんど全員であった。その人
たち、農民、漁民が中心になって反対の運動をやっている。これは何かといったら、ごく平凡な人間がどうしてもこれはがまんできないぞ、何とかわれわれに納得いくように説明してくれという態度がずうっと一貫していままであったと思います。それがついに納得できない、だから反対になるのだ、こういったいきさつだと思います。
いろいろ
お話を伺っておりまして、決意だとかそれから
計画だけでもって
公害の
事象というのはなくならぬと実は私は思っております。
伊達の
公害防止協定に盛られている数々の問題、たとえば七十万キロワットでもって一・七%以下の
重油を使って
排煙脱硫装置をつけて、電気
集じん機をつける、こういったふうなことございますけれ
ども、これは実のことを申し上げますと、初めの発表では二・四%
重油を使うと申しておりました。それから煙突高度は、非公式では百三十五。百五十が正式発表だったのです。ほかにもいろいろあげられますけれ
ども……。ところが、その当時から
北海道電力株式会社は
公害は絶対にないんだと、いまに至るまで言い続けております。ところが、二・四%の
重油が二・二になり、
反対運動が強まると二・〇になり、それがいま一・七になっている。もう少しがんばると一・三ぐらいになるかもしれません。それから煙突高度も、反対が高まるにつれて、百五十から百八十、二百と、こう上がっていく。こういったふうな態度では、容易に、信用しろといっても信用し切れない。そして、われわれがわれわれの
意見を聞いていただきたいといっても、質問状にも討論会にも応じられない。しかも、一般向けの新聞なんかでは、いついかなるとき、どこへでも行って
住民と話し合うと、こういうふうに何回でも申しておるのですよ。たとえば一回目は、医師会と私
たちの会とのタイアップでもって、内容証明の郵便でもって北電社長のほうへ申し入れをいたしました。それが断わられた。二回目は、ある代議士が間に立ちまして、北電の山田副社長とかたく約束したのですね。ところが、いよいよ実現の運びになる二日前になって一方的に破棄を通告してきた。こういったふうな事情で、われわれはいまの
段階では、信用しろといっても信用しにくい状態にあるんじゃないかということを申し上げたい。
それから、いろいろ今後、
ナフサのなまだきだとか
原油のなまだき
拡大だとか、あるいは
排煙脱硫装置を完ぺきなものにしていくとかなんとかというふうな
お話がございます。もちろんそういった
方向でもって、私さっきから申し上げているとおり、鋭意
努力していただかないことには、これはほんとうに
日本列島全体の将来が心配になるというふうなことを申し上げているのですけれ
ども、しかし、事は簡単にいかぬと思うんですよ。
排煙脱硫装置にいたしましても、水アンモニア法によれば硫安ができますし、石灰石こう法によれば石こうができる。二次産品ですね。
窒素酸化物除去の場合には硝酸ができる。これは膨大な量ですよ。それを一体どういうふうに処理なさるおつもりなのかということを考えれば、
大気汚染に限って申し上げますと、
大気汚染が完ぺきな形でもって克服できるとは私は容易に信じがたい。であればいまの
段階でもって、
公害はどうしても出るんだ。少なくしてもらわなければならぬ。しかしそれは、何とかして被害を受ける者が少ないところに持っていくべきだ。たとえば、私一月の二十五日に大石前の
環境庁長官とお会いいたしまして
お話ししたときに、大石長官ははっきりこう言われておった。
伊達は非常にいいところだ、私もよく知っている、ああいうところに
火力発電所を建てるということは個人としてははっきり反対だ、こういうふうに申されて、それが道議会レベルでの
伊達火力についてのなかなか慎重な論議の糸口になったので、これは私感謝しておりますけれ
ども、とにかくそういったふうな種類のものであるということをまず頭に入れていただいて、その上で私はこの
火力問題についてお考え願いたいと思うのです。
われわれ決してむちゃな主張をしているつもりはございませんということなんですが、さて、たとえば北海道新聞の九月五日でございます。これに北海道の高級官僚が、道議会での強行採決が訴訟問題にまで発展している
伊達火力発電所建設問題のような混乱を避け、今後は道民のコンセンサスを得た上で
電源開発を進めたいとの基本方針をまとめた。なぜまだ
火力が建っていないのに、
伊達の場合に——今後
立地条件については煮詰めていく。人々には被害が起こらないところ、産業に被害が起こらないところ、こういうところをさがしていくと言っているのです。今後はそうするというのです。なぜその今後の中に
伊達火力も入れていただけないのか。われわれはそういったことを十分いろいろな資料を出しましてお願いしているのだけれ
ども、ついにわれわれが心から納得できる、あるいは待てよ、ひょっとしたらわれわれの
意見よりも道の御
意見あるいは北電の御
意見のほうが正しいのかなというふうなことすら
一つもいままでにない。そういうふうに私はこの場で断言してよろしいかと思います。
そして、事前
調査についてなんですけれ
ども、たとえば北海道の
公害研究所の
所長で向後鉄太郎という方がいらっしゃいます。この方は市のお招きで
伊達市にいらして講演なさったのですが、少なくとも事前に建てるか建てないかを予測せず、三年間の事前
調査が必要である。その上で建てるか建てないかを論議して、そして
立地とすべきである、こういった結論を申し述べております。しかし北電が行なったところの大気の事前
調査ですが、
日本気象協会に依頼いたしました。これはしろうと目に見ましても非常に期間が短く、しかも反対が起こってから、意地悪くいえば、申しわけ的に行なったものにすぎない。常識として長期間、三年間、そしてあらゆる気象条件下におけるデータを集めなければ、どのような局地的な被害が大きく起こり、全部とは申しませんが、一部の収斂現象だとか対流現象なんかが起こるところの農家の
方々あるいは果樹園の
方々を、どんなに泣かせるかということの予測がつかないじゃありませんか。そういうことを十分なさっていないという問題が事前
調査についてはございます。
それから権威ある機関で行なわれた水産資源保護協会による漁業
影響調査報告なんですが、長くなりますので
項目だけ申し上げますと、まず
調査費用が全部
北海道電力株式会社から出ております。一千万です。それから使用したデータはほとんど北電の息のかかったところの会社ないしその他の資料からデータとして使われております。それから研究員の構成に関しては、漁民
たちがこの先生を入れてくれという要望を出した四人の先生、名前もわかっておりますが、これは全部はずされております。
調査員は七名でございますが、これは
水産庁の
研究所グループで、漁民にとっては最も重要な
拡散範囲を担当したのは
水産庁の方ですが、これらのスタッフの
方々が、温
排水の有効利用の研究グループでもあるということが、私
たちには何となくその結果についても疑惑を持たざるを得ないその端緒になっております。
具体的な
中身を申しますと、現地
調査というものが非常に短い期間、四十六年の九月十四日から二十八日にしか行なわれていない。資料の多くは、当初の予定では、今後現実に実際の観測を行なってやるのだというふうになっておりましたが、でき上がってきた結果は、過去のデータの解析を主とする、こういうふうになっております。それから現地
調査にいたしましても非常に名ばかりのものであるということ、目視観測にいたしましても、
立地点の場所じゃなくて西浜というところから行なっております。人工クラゲ漂流については、さっき
野呂さんが申し上げたとおりです。
それから温
排水理論についても数多くの疑点がありまして、これはめんどうですから結論だけいいますと、北海道でもって温
排水によって予測されるところのホタテのラバ、これの被害は四・六%である。しかしその報告書をそのまま計算いたしていきましても四六%になるわけですね。そうしたら、あれは間違いであった、ミスプリントであった、そしてここの数字がこうなるのだというふうな形で改ざんいたしまして、また四・六%に戻ったという事実がある。こういったふうな
調査結果で、
伊達漁協の海域にはやや被害があるが、有珠漁協には全然被害がないというふうなことが、はたして信頼できるものかどうなのか。それから平野式の計算について申し上げますと、七百八十メートルの温
排水の
拡散、これは信用せよとおっしゃいますけれ
ども、同時に計算いたしました屎尿処理場の汚染範囲は二十メートルと計算されております。しかし多くの漁師
たちが非常に腹を立てることは屎尿処理場の汚水によってよごされている海域は計算した二十メートルどころか、大体半径三百メートルには及んでおるというのが経験的にははっきり言える、これは目で見ればわかります。前はコンブが非常にたくさんはえていたところが全然はえなくなって好漁場が失われているというふうな事実からも申し上げられるわけです。こういったふうな事前
調査がもとになってはたして、
地元の
住民が
火力に賛成するところまでは無理としましても、納得がはたして求められるものなのかどうなのかということを申し上げたいと思います。
防止協定については、開花期、これは初めは壮瞥の果樹園を中心といたしまして、開花期には〇・八%の
重油をたく。そのうち壮瞥それから洞爺村のほうの、あるいは虻田の高級菜豆——北海道の豆は非常によろしゅうございますから、その開花期にも〇・八%をたかなければならぬだろうというふうな形で、壮瞥町と虻田町の
公害防止協定は
伊達市と結んだ
公害防止協定とちょっと変わりまして、〇・八%
重油のたく期間が長くなっている印象を与える文章になっております。
それから温
排水の測定でございますが、これは立ち入り検査と測定ですか——測定のほうは、
伊達と有珠と、それから市と会社とが
調査委員会を設ける。それから立ち入り検査につきましては、市が必要と認めたとき——正確な文章そのままじゃございませんけれ
ども、市が必要と認めたとき立ち入り検査ができる、そうして市が必要と認めた者を立ち入り検査に加えることができる、こういった条項になっております。
それから周辺市町村の
状況を簡単に申し上げますと、七月の十一日に近接市町村長の集まりがございまして、それから以降わずかの期間にばたばたと
公害防止協定が各町村と結ばれました。ところがそれについても非常に多くの不満を各町村の人
たちが持っておりまして、そして署名運動の数からいくとたとえば八〇%、あるいは七〇%、六〇%というふうな形で反対の
住民の意思がございますけれ
ども、それは一応抜きにいたしましても、たとえばお配りいたしました新聞の資料のところにございますけれ
ども、豊浦町長は
公害防止協定を破棄したい、それから関連市町村の先頭に立って
反対運動を続けたいということを明言をいたしております。それから虻田町においては
公害防止協定の調印が町役場でできない。二度にわたって流産した。そして温泉の支所でだれも知らないときに北電と
公害防止協定を調印したという事実がございます。それについて町議会筋あるいは虻田町民の反対が非常に熾烈をきわめまして、ちょっとした集まりでも四百人ぐらい集まって窓から傍聴するというふうな集まり、その中でリコールの準備が進められていると聞いております。こういったことは実のことを言うと
地域住民にとっては非常に不幸なことなのです。不幸なことなんだけれ
ども、そこまで追い込んでいったのは、だれか扇動者がいてためにする活動を行なったせいなのかどうなのか。それとも北電あるいは行政が
住民の心を十分くまなかったからそういうところに
住民を追い込んでしまったのか。これは
意見のあるところだとは思いますけれ
ども、その辺についてもお考え願いたいことだと私は考えております。