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1972-10-11 第69回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月十一日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 田中 武夫君    理事 始関 伊平君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 西田 八郎君       伊東 正義君    葉梨 信行君       渡辺 栄一君    加藤 清二君       土井たか子君    中谷 鉄也君       古寺  宏君    米原  昶君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 塩見 俊二君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小山 長規君  委員外出席者         北海道開発庁総         務監理官    山田 嘉治君         経済企画庁長官         官房参事官   大石 敏朗君         経済企画庁総合         計画局電源開発         官       高橋  宏君         環境庁長官官房         長       城戸 謙次君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         法務省民事局参         事官      古館 清吾君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         水産庁長官官房         調査官     前田  優君         通商産業省公益         事業局長    井上  保君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         建設省都市局下         水道部下水道事         業課長     井前 勝人君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君         建設省道路局高         速国道課長   浅井新一郎君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         参  考  人         (電気事業連合         会副会長)   荘村 義雄君         参  考  人         (日本エネル         ギー経済研究所         所長)     向坂 正男君         参  考  人         (伊達の自然を         守る会会長)  正木  洋君         参  考  人         (有珠漁業協同         組合理事)   野呂 儀男君     ————————————— 委員の異動 十月十一日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     阿部喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(火力発電  と環境保全の問題並びに水質汚濁及び騒音対策  等)      ————◇—————
  2. 田中武夫

    田中委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に火力発電所環境保全の問題について調査を進めます。  本日は、参考人として、電気事業連合会副会長荘義雄君、日本エネルギー経済研究所所長向坂正男君、伊達の自然を守る会会長正木洋君、有珠漁業協同組合理事野呂儀男君、以上の方々が御出席になっております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中、また遠路のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  御案内申し上げましたとおり、本日は、火力発電環境保全の問題について調査をいたすわけでありますが、申し上げるまでもなく、わが国における経済拡大電力需要の増大を招き、各地において大規模火力発電所設置されてまいりました。しかしながら、そのおもな燃料重油であり、亜硫酸ガス窒素酸化物等の排出は、他のコンビナート群とともに大気汚染の要因となって人の健康に重大な影響を与えるに至りました。近来、良質重油確保LNG導入等努力が行なわれているものの、火力発電が排出する排煙量規模は多大であり、現在の公害問題の深刻さや解決の緊急性を考えるときに、公害対策並びに環境保全のリーダーとしての地位を望まれるところであります。  また地域的には今後火力発電所設置を予定せられている地方において、環境保全住民日常生活に大きな不安を与えて問題となっているのが現状であり、本委員会といたしましても、公害並びに環境保全問題の今日置かれております地位にかんがみて、参考人の皆さんから貴重な御意見を承り、もって本問題の対策樹立のため万全を期する所存であります。つきましては、どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  なお、議事の整理上、御意見の開陳はおのおの十分以内といたしまして、あと委員の質疑にお答えいただくようお願い申し上げます。また特に御発言のない方は省略していただいてけっこうでございます。  それでは、荘村参考人からお願いいたします。荘村参考人
  3. 荘村義雄

    ○荘村参考人 本日は火力発電等環境保全につきまして意見を述べる機会をお与えいただきましたことに対しまして、まずもってお礼を申し上げたいのであります。  九電力が発足いたしましたのは、昭和二十六年五月でありますが、当時の水、火力比率は、水力が六七%、火力が三三%でございました。ところが昭和三十年代の後半から火力が急増いたしまして、三十七年度末までは水、火がおおむね半々になり、その後さらに火力が増加いたしましたので、現在では火力発電比率は全発電力の七二%を占めるに至っております。  さきに日本電力調査委員会がまとめました長期需要想定によりますと、昭和五十五年度までの年間の平均伸び率でありますが、販売電力量で九・四%、八月の最大電力で一〇・五%となっております。かようなわけでありまして、今後も毎年千万キロを上回ります電源開発が必要と予想いたしておるのであります。このように、昭和三十年代の後半から火力発電が急増するに至りましたので、昭和四十二年の二月に私ども全社大公害対策会議設置いたしまして、従来は各社別公害対策を策定いたしておりましたのを、全社大関係から立案推進するという運びにいたしたのであります。  以下、このような火力発電所に対しましてこれまでどんな公害対策を実施してきたかという点と、四日市判決の直後策定いたしました新しい公害対策につきまして概略御説明申し上げ、お聞き取りを賜わりたいと存じます。  まずこれまでに実施いたしました公害対策でありますが、大気汚染防止対策のうち燃料面対策といたしましては、まず第一に重油の低硫黄化ということ。第二は、低い硫黄分原油なまだきの拡大であります。低硫黄原油のなまだきは、大気汚染防除即効性がございますので、ミナス原油——ミナス原油硫黄含有率が〇・一%というたいへん良質のものであります。そういうミナスものの低硫黄原油の使用を逐年拡大いたしまして、総合硫黄分の低下をはかることといたしております。  第三は、液下天然ガス、俗にLNGといわれておるものであります。これは硫黄分が全くない燃料でございまして、東京電力南横浜で七十万キロリッターを使っております。しかしながら液化天然ガスは超低温、マイナス百六十三度であったかと存じますが、たいへん超低温の船を特につくらねばならないという問題やら、ガスが埋蔵しております地域地理的条件制約などありまして、急激に多くを期待できないといわれております。しかしながら東京電力、現在七十万キロリッターでありますけれども、五十一年度ではこれを四百三十五万キロリッターにする計画を持っているやに聞いているのであります。  以上のような対策燃料面でとっておりますので、全社平均原油重油を総合いたしました硫黄含有率は、昭和四十年度では二・五%であったのでありますが、四十六年、昨年度では一・三一%、約半減いたしております。そして本年度は一・〇四にする計画であります。さらに昭和五十一年ころにはこれを半減することを目途に、〇・五%程度にいたしますように一そうの低硫黄化を推進する所存でございます。  次に、大気汚染防止対策として実施いたしました設備面での対策について申し上げたいと存じます。  第一は集じん機の取りつけであります。排煙からばいじんを除く設備を取りつけたということであります。  第二は、高煙突化であります。高煙突化は、大気汚染防除のきめ手とは決して私ども考えていないのでありますけれども、高煙突化外国でも実施されておりますし、排煙拡散、希釈いたしまして地上濃度低減をはかろうというねらいから高煙突化を実施している次第であります。  第三は、排煙脱硫設備設置であります。排煙脱硫設備は、現在東京、中部、関西で合計三十五万七千五百キロワットが、試作機でありますけれども稼働を開始いたしております。稼働後まだ早いもので半年くらいしかたっておりませんので、今後なお機械の改造という問題も起こるのでありますけれども、どうやら実用化めどが立ったといえる段階に到達いたしたと考えております。  なお、先ほど委員長からもお触れになりました窒素酸化物の問題でありますが、現在中央公害対策審議会でこの環境基準の検討がされておりますが、これは脱硝技術開発という基本課題があるのであります。脱硝技術研究開発は世界的にもまだ緒についたばかりであるやに聞いているのでありますが、私どもといたしましては国の研究所やメーカーと協力をいたしまして、この技術開発を進めたいと考えております。当面はボイラー改造などによりまして、窒素酸化物低減をはかるために東京電力、関西電力では一部のボイラーにつきまして試験的な改造をやっております。  次に、温排水対策について申し述べたいと存じます。  火力発電所放水口での温度上昇は摂氏八度をこえるものもございますけれども、大半は七度以下だといわれております。深い海底からの取水、バイ。ハスによる放水復水機設計温度が現在七、八度程度とされておりますが、この温度をさらに設計技術開発によりましてもっと下げるという問題も考えられますので、かようなことを今後やりまして温度差低減にさらに努力をせねばならぬと考えております。  温度拡散状況につきましても調査をいたしたのでありますが、地形やら潮流の有無等で、地点別に共通した結論は出ておりませんけれども、さらに調査を続けまして、関係官庁の指導のもとに対策を立ててまいりたいと考えております。この問題につきましては、現在環境庁、通産省、水産庁、科学技術庁、経済企画庁などで目下詳細な調査研究が進められております。  なお温排水の利用につきまして一言申し添えたいと存じますが、現在仙台火力その他の火力の温排水を利用いたしまして、企業化目途魚介類の養魚が行なわれておりますことを申し添えさせていただきます。  次に、お手元に差し上げました公害防除刷新方策につきまして、その概要を御説明申し上げたい。これはこれからやろうという公害対策でございますから、この点概略御説明申し上げたいと思います。  以上申し上げましたとおり、私のほうは燃料設備面で各般の対策を推進いたしておりますけれども、いろいろな障害制約がありまして、急速には大気汚染の改善がはかり得なかったのであります。ところが、去る七月二十四日の四日市公害裁判判決を契機といたしまして情勢が大きく変わってまいりました。  第一は、公害規制に対しまして、さらに国はこの基準を強化せねばならないという方向で臨んでおられます。  第二は、従来大気汚染対策のネックとして私どもが一番困り、悩んでまいりました良質燃料確保につきまして、国でも従来の低硫黄化対策の見直しなどをなさる意向が強く出されておることであります。  したがいまして、この機会を逃がさず、国の低硫黄化対策の中に私ども公害対策を推進、前進させますための低硫黄化対策をぜひ織り込んでもらいたいということを痛感いたしましたので、急遽八月三日、臨時社長会議を開催いたしまして、お手元刷新方策決定いたしました次第であります。  従来も毎年その年々の公害防除対策は策定いたしておりましたけれども、これを今回の対策と比較してみますと、項目的には一、二新しく加えました以外はほとんど同じであります。しかしながらナフサのなまだきの拡大、低硫黄原油のなまだきの拡大も従来は困難でありましたけれども、今回は政府配慮で実現できる情勢になってまいりました。  なおまた、私どもが実施いたしております排煙脱硫もおおむね実用化めどがつきましたので、そこでこの三つによりまして大気汚染防除を大きく前進させるめどが立ったのであります。そこで今回の刷新方策では、この三つ力点を置いた、文章の表現だけでなくて内容の面でも力点が置ける情勢になりましたということが、従来の公害防除対策と見た上、項目は同じようでありますけれども中身が著しく変わっておるということを強調いたしまして、御理解をいただきたいのであります。  時間をあまり長くいただくわけにいきませんので、この三点だけにつきまして、あとは省略させていただきますことをお許し願いたいのであります。三点だけ概略説明を申し上げたいと存じます。  まず、ナフサのなまだきの拡大であります。ナフサ硫黄分が〇・〇三という良質燃料でありますので、公害防除対策にはきわめて有効なものでありますので、公害防除緊急対策といたしまして、本年は二十五万キロでありますが——委員長、ちょっと申しわけありませんが、お許しいただきたいと思います。
  4. 田中武夫

    田中委員長 きょうは時間がほとんどないので、約束の時間は守ってください。
  5. 荘村義雄

    ○荘村参考人 はい。来年は二百四十五万、五十一年は千百万と考えております。  第二は、低硫黄原油のなまだきでありますが、これも本年は千七百九十万でありますけれども、だんだんふやしまして五十一年は四千四百万にしたいと考えております。  最後に、排煙脱硫の問題を御説明申し上げたいと思います。  排煙脱硫につきましては先ほど申し上げましたとおり、おおむね実用化めどが立ちましたので、まだ完全に実用化とはいえませんが、早期に実用化を完成いたしまして、低硫黄燃料の入手とかみ合わせながら、地域の実態に応じて積極的につけていきたいと考えております。現在は三十五万強でありますけれども、五十年度では三百七十万、五十一年度では四百八十万とする計画であります。  以上、いろいろ申し上げましたが、それにいたしましても、私どもは従来以上に公害問題には真剣に取っ組みたいと覚悟いたしておるのでありますが、ただ公害問題は原因が非常に多うございます。根が深い、しかもそれがからみ合っているという点もありまして、私ども努力だけではできない面も少なくございませんので、ぜひ政府の御配慮をいただかねばならぬ点がございますので、最後に五項目をあげた次第であります。たいへん時間が延びまして申しわけありません。  以上で陳述を終わります。
  6. 田中武夫

    田中委員長 ありがとうございました。  次に、向坂参考人にお願いいたします。向坂参考人
  7. 向坂正男

    向坂参考人 申し上げます。  電力需要伸びがおそらく一九七〇年代依然として一〇%あるいはそれ以上の伸びが見込まれるものと考えられます。それに対して現在電源開発調整審議会審議状況を見ますと、こういった電力需要に十分追いつけないのではないか、将来電力の不足という大きな問題に当面するのではないかということが懸念される状況でございます。数字はもう時間がありませんからあげませんけれども電調審決定済みのものでも着工できないものもすでに五地点にのぼっております。四十六年度で電力会社建設計画を希望したものの中で、相当部分が決定を見ず見送りにされているような状況でございます。この分でいいますと、おそらく供給予備率、リザーブは四十八年度以降漸減いたしまして、五十年度には相当窮屈になり、地域によっては他地域から相当量の融通を受けなければ需要をまかない得ない、あるいは一時、夏などのピークを需要調整消費制限をせざるを得ないというような状況も見込まれるわけでございます。予備率に関しましてこれまで大体七%ないし八%の予備率電力事業者としては考えていたようでございますけれども、私は今後この予備率をもっと大きくとる必要があるのではないかというように考えます。といいますのは、一つ供給面を見まして単機の容量が非常に大きくなるということ、したがってこれが一つ欠落しますとその影響するところは非常に大きいということ、それから電源立地がだんだん遠隔化することによって送電線が延びますから、それだけ事故の可能性も大きくなるという、こういった点を供給面から考慮する必要があると思います。需要面から申し上げれば、これはむしろ質の問題でございまして、生活においても電化が進み、あるいはビルの高層化が進み、また情報というものの重要性が非常に増し、さらに工場においてもその他においてもコンピュータリゼーションというようなものが非常に進んでいくわけでございます。工業エネルギー消費産業から高加工度産業伸びるということは、電力への依存度、これは質的に申しまして非常に強くなるということが予想されますから、こういったことを考えますと、電力供給予備率を、現在一応の基準とされている七、八%よりも、もっと大きくとっていく必要があるのではないか。諸外国ではそういう考え方で予備率を大きくとっているわけでございます。こういう電源開発を促進するためには、現在環境問題及び地域間の発展の不均衡、こういったことから電源立地をする地元住民からはいろいろな反対運動が起きているわけでございます。環境問題に関しまして詳しく申し上げる必要はないと思いますけれども、おそらく今後政府がきめている亜硫酸ガス大気汚染度環境基準もさらに強化し、完全に人体影響のない程度にその基準を強化していくということが見込まれるわけでございますが、それに対して、いま荘村参考人からもお話があったように、まず第一は低硫黄燃料確保するということでございますが、これはどうしても資源的にいろいろな制約がございます。したがってわが国としては脱硫技術開発ということに大きな力を入れていくという必要があると思います。現在いろいろな脱硫が行なわれておりますけれども、将来環境基準の強化を見込みますと排煙脱硫及び重質油ガス化脱硫ということが脱硫対策としての本命になると思われます。特に後者の重質油ガス化脱硫については現在なお技術開発実用化段階に入っておりませんので、この開発に関しましては、産業界はもとより、政府もこれに対する大きな援助をする必要があるのではないかというように考えられるわけでございます。  それから第二の、地域間の不均衡ということを申し上げましたが、今後発電所立地は集中化され、あるいは単機発電立地をした場合でもその規模は非常に大きいわけでございます。この発電立地地点では環境破壊のおそれがある。他方ここで発電された電力を消費して生産活動を盛んにし、所得をあげ、比較的高い水準の生活をするというのは消費都市、大都市であり、工業都市であるわけでございます。こういった地域間の不均衡を是正するということなしには、おそらく今後電源立地を十分確保して地元住民の要望を満たすということができないのではないか。その意味日本立地問題というのはここで政策的にも大きく変えていく必要があるのではないか。いわば、地域間の広い意味での所得配分というようなことを考える必要があるのではないか。すでに電気事業者事業税に関しましてはその配分を幾ぶん立地点に有利に変更されたわけでございますけれども、今後固定資産税配分なりあるいは電気税の取り方及びその配分方式といったようなことも、そういういま申し上げたような観点から再検討する必要があるのではないかというように感じます。もちろんこういった税金、財源だけではなくて、電源立地をする地域に対しては広域的にいろいろな都市的な施設を十分に整備してその地域住民生活の向上をはかっていくというようなことが必要であろうと思います。また、そういった仕事に対して電源立地をする電力会社もそれ相応の寄与をしていく必要があるのではないか。そういう意味地域間の不均衡に対する施策というものをここで十分検討する必要があるのではないかと思います。  こういったことを進めながら、つまり大気汚染による、亜硫酸ガスによる公害が起こらないように低硫黄化のための脱硫技術開発を進め、それによって地元の動植物、人体への影響最小限健康障害のないように低めていくと同時に、地域開発を進めることによって地元住民電力会社の話し合い、相互信頼を打ち立て、さらに必要であれば、政府地方公共団体が入って、円満に、地元の人が喜んで電源立地を迎え入れられるようなそういう方向施策を考えていく必要があると考える次第でございます。  簡単でございますが、以上でございます。(拍手)
  8. 田中武夫

    田中委員長 次に、正木参考人にお願いいたします。正木参考人
  9. 正木洋

    正木参考人 遠い先のことまで考えてお話ししてもよろしいのですけれども、私は、おもに現在の時点でどういうふうに考えるかという観点からお話ししたいと思います。  私は北海道の室蘭のちょっと西北のほうに当たります伊達市に住んでおります。私たちの町の市長さんが、北海道電力株式会社公害防止協定を結びました。その中身日本一きびしい公害防止協定だということを何回私たちは聞かされたかわからないのですが、先月二十三、二十四、名古屋の近くの渥美全国火力の集まりがありまして、そこで全国のいろんな方々お話を聞いたのです。そうすると、姫路でも日本一きびしい公害防止協定だ、海南でも日本一きびしいという、どこでもまた日本一きびしいという。こんなに日本一きびしい公害防止協定があるとするならば、日本一のほうでたぶん困るだろう、そういうふうに私は考えます。それで、もし日本一きびしい公害防止協定というのがたてまえと中身が一致するならば、日本列島公審などというものがかかる状況で存在することはたぶんなかったと私は思います。また企業ないし電力会社が進出するときに、建つ前にお話しになることがそのまま事後に守られるならば、いま日本に見られるような公害事象はたぶん見られなかっただろう、そういうふうに考えます。  そこで、ちょっと別な話になりますけれどもGNP至上主義反省期に入っております。しかし、GNP至上主義がかり反省期に入っているとするならば、足元をもう一度見詰め直して日本の将来を考えなければならぬという時期にかりになっているとするならば、GNP至上主義と表裏一体をなしているところのエネルギー政策もまた反省期に入らなければならぬだろう、そういうふうに私たちは考えます。  渥美でもう一つ感じましたことは、日本全国どこでも、火力を建てる場合の火力発電電力会社の見解、これが実にどの電力会社も建てる前に同じことをおっしゃる。そして都道府県段階におけるところの地方行政体もまたどこもかしこもあまりにも似過ぎるほど似ておる、こういったことが非常によく感じられました。したがいまして、もし一つ火力発電所建設段階におけるもろもろの事象を色濃く追い詰めて煮詰めていくならば、これはそのまま全国火力発電所建設に伴う数々の困難点、問題点が出ておりますけれども、それに直接つながることかと私には考えられます。  そこで北海道電力株式会社伊達火力発電所の問題に触れながら二、三お話ししたいと思うのですけれども、よくいわれることで、電気は必要なんだ、だからこれは建てなければならぬし、ある程度の被害はがまんしなければならぬというふうな御意見がございますけれども、それはそのとおりです。認めましょう。そしてまた、電力公害が少し起こる、起こるけれどもそれはがまんしなければならぬ、こういうふうな甘い方をなされるのですが、これも現在の段階ではひょっとしたらわれわれ一般地方住民も認めなければならない事実かもしれません。百歩譲って必要悪だというふうに考えても、私はよろしいかと思います。しかしそのためには前提条件がございまして、電力会社火力発電所を建てるときには、会社が全力をあげてたくさんの投資を行なってそして公害の絶滅を期すべきである、誠実にそれを実行するべきである。しかもなおかつ私は公害はどうしても完全除去するということはできないと思います、現在の技術と現在のシステムからいけば。そのことについても詳しくお話してもよろしいのですけれども、時間が何ぶん限られております。電力は必要だ、だから火力発電所を建てるのだ。では、電力会社のほうでは全力をあげて公害絶滅の方向努力すべきだ、しかし公害は出る。となれば、あと残された道はただ一つです。立地条件をどこをもって火力の適地とするかという問題が最後に残るのではないかと思われます。  たとえば北海道で伊達と申しますと、御存じの方もいらっしゃいますかもしれませんが、積雪量も少なく、そして気候温暖で北海道では珍しくカキの実るような土地柄でございます。そういったところ、これは自然、風土、あらゆる環境、それから第一次産業がゆるやかながら発展している。それで多くの人たちが保養地あるいは住宅地として非常に求めておるところ、そういったところになぜ火力発電所を建てるか。しかもちょっとよけいなことを申しますと、おもに風が陸地に向かっておる。しかも三方山に囲まれておる。そういったところになぜ建てる必要があるのか。こういうような非常に平凡ながら道理のある疑問、これをわれわれ持ったわけです。  われわれ一般住民というものは、実のことをいうとめんどうなことにかかわりたくないという気持ちが本心でございますけれども、どうもあそこに火力発電所を建てるということが納得がいかぬというので、勉強すればするほど反対の意向というのが強まってまいります。それでここにもし火力を建てて公害状況が出るならば、道民全体のあこがれの土地をけがすことになり、これは北電のイメージダウンにつながるのではないか。あるいは北海道の、道庁の政治のあり方としてもこれは傷がつくのではあるまいか。ましてわれわれ住民にとっては非常につらい話です。  そこで、われわれはわれわれが考えている、道理に基づいたと信じている考えをたとえば北海道電力株式会社に何とかして聞いてもらいたいというので、ことしに入りましてから医師会の方々と一緒に二回にわたって申し入れしたのですが、北海道電力株式会社によって、冷静かつ必ずしも理性的な討論ができると思われないという理由で断わられました。公開質問状を出しまして、これについても電力会社あるいは道庁あるいは市はお答えになりません。そして最後、道議会でもし理性的な、問題を煮詰めた論議が行なわれるならば、伊達のようないいところに火力発電所を建てるということは北海道の利益に反し、大きくいえば国家の利益に反するのではないか、そういった常識ある結論に達するのではないかと思われましたが、残念なことに十分な論議を尽くすことなく強行採決の形でもってわれわれの反対請願九件が無視されてしまいました。そのときにはわれわれは二万名に及ぶところの署名を道議会に提出をしておりましたが、それもむなしく倉庫に眠っておる状態でございます。そんなふうな形になりますならば、われわれごく平凡な市民あるいは農民、漁民にいたしますれば、この世の中には神も仏もないのかというふうな気持ちに追い込まれざるを得ません。  そこで、いまわれわれは、こんなことはほんとうはしたくないのです、やむを得ずですが、伊達火力発電所を建てれば公害が必至であることが容易に判断できる以上、火力発電所の建設を禁止する訴えを起こさざるを得ないという形で、本年七月の二十七日に札幌地方裁判所に裁判問題を提起いたしました。  それからこのような形でもって行なわれるならば非常にやり切れぬ話だという形で、伊達市近接の市町村において急ぎ結ばれた公害防止協定、これについての反発が非常に強まりまして、後ほど詳しく申し上げたいのですが、時間がございませんので……。虻田町ではリコールがいま始められんとしております。豊浦町では町長さんが公害防止協定を破棄のほうに持っていきたい、そして五町村の先頭に立って伊達火力発電所に反対したい、こういうふうなことを四日ほど前に新聞記者の会見を行なっております。  で、結論だけ申し上げますと、要するに、今後火力発電所を建てる場合には、立地の適正というものをもっと慎重に煮詰めて考えなければならないんじゃないか。二番目に、行政というものはもっと農民、漁民を中心とした地域住民の心をくみ上げる方向をとるべきではないか。三番目に、企業の秘密主義はわれわれのためにも企業のためにも役に立たないであろうというふうなことを最後に申し上げたいと思います。共有の先祖から残された遺産、自然、あるいはよい生活環境というものを全国民が大切に思うということから新しい日本の第一歩が踏み出されるんじゃないか、そういったふうに私は考えております。(拍手)
  10. 田中武夫

    田中委員長 ありがとうございました。  次に、野呂参考人にお願いいたします。野呂参考人
  11. 野呂儀男

    野呂参考人 私、北海道伊達市有珠の漁協の一漁師でございます。本日ここに、北海の荒波にもまれて育ってきた、知識も何もないこの一漁民が、日本の将来と世界人類の平和を守るために日夜御奮闘なさっている諸先生方の前でもってこういう意見を述べるという機会を得たことを、私としては身に余る光栄と深く感謝している次第でございます。  さて、私の申し述べたいことは、いまわれわれ人類、まあそういえばオーバーでございますが、住民として何を考えるべきかということでございます。天照大神がこの日本の国を瑞穂の国と申されました。また明治天皇は、農なくして日本の国はない、農は日本のいしずえであるというように申されております。これをなぜ私が申しますかというと、昔からいわれている、どん百姓という職業の方々ですが、これが公害処理の先駆者であると私は考えております。自分の汚物も、またあえて他人の汚物も、それを利用して豊かな、実りのある土地にしてくれたのは、このどん百姓といわれている百姓ではないかと思います。この教訓を、これからの企業をなされる方はよく心に踏まえてもらいたいと思います。自分のたれ流しは絶対人に迷惑をかけないように、どうか自分の出てくる公害に対しては自分でもって処理をしてもらいたい、かように私は考える次第でございます。  私は、何も学問のない、ほんとうの漁師でございます。だが、父祖三代にわたって北海道で漁業をやっております。あえて言うなれば、これは過言ではございません、海とも話はできる、また魚とも話はできるんじゃないかと自分は確信する次第でございます。近代工業の発展によって海が汚染され、近海はだんだんと南から北のほうに汚染されて、いま日本の国でよごれていない海といったら北海道きりないんでないか、かように私は思います。それで、農林省からも発表のあるように、国民のたん白量、これの約六割というものは水産資源から得られると聞いております。その点からいって、道、また政府機関において、北海道第三期計画の中で、噴火湾というものを一大養殖漁場にして、日本の国の無害の、ほんとうの自然のたん白供給地にしようという構想がなされておるのは、これはほんとうに私ら漁民、住民ともども喜ぶべきことと私は思います。その中で、降ってわいたようなこの伊達火力建設、毎秒二十二トンのこの温排水、私らは死の水と呼んでおります。この水がまた二十二トンでもって、われわれ無学の者が概算するにも、一メートルの厚さでもって三年間かかれば、噴火湾一帯の海を死の海と化するというように私らは計算するのでございます。こういう点からいっても、いまいわれている高度成長の名において、われわれこの食糧事情を外国にゆだねるようなことがあっては絶対いけない。少しでもやはり日本のたん白資源にわれわれも寄与したいと考えておる次第でございます。  以上述べたように、われわれはこの伊達火力発電所に対しては何としてでも、先ほど正木先生も言われたように、立地条件ということがございますので、どうかその点十分御理解の上御検討のほどお願いしたいと思います。  先般、道議会において野党の一議員が知事に質問したことばの中で、われわれ住民として最も教訓に値する一言があると思いますので、それを皆さまに御披露したいと思います。  この議員の方が言われました。瀬戸内海でよごれている魚と何も害のない、公害のない釧路からとれてきた魚とを店頭に置いて、晩の知事の食事に奥さんがその魚を買いに行って、同じ値段であったら、良識ある知事の奥さんはどちらの魚に手を伸べるか、こういうふうに申されました。これはおそらく日本国民全般の声でないかと思います。これは大いに考えるべき問題でないかと思います。  以上、私がくだらないようなことを申し上げましたが、このエネルギー公害に対しては、諸先生方の特段の御配慮をわずらわしたいと思います。  終わりに、いろいろわれわれもこの火力発電所に対して勉強もさしていただきましたので、質疑応答の中でいろいろと皆さまにお答えできることを期待して私のあいさつといたします。(拍手)
  12. 田中武夫

    田中委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
  13. 田中武夫

    田中委員長 引き続き参考人に対する質疑を行ないます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、本日は来日中のブラジル議員団と公害対策について懇談が予定されておりますので、質疑時間につきましては、理事会での申し合わせを厳守されるようお願いいたします。  始関伊平君。
  14. 始関伊平

    始関委員 ただいまは四人の参考人方々から、それぞれたいへん貴重な御見解をお述べいただきましてありがとうございました。  きょうは火力発電環境保全という一般化されたあるいは抽象化されたテーマのもとに意見をお述べいただいたわけでございますが、この種の問題といたしましては、当面、各方面の注目を引いております伊達火力の問題もございます。しかし私どもは、それぞれの地方にある具体的な案件について、これは議員の個々の方が政府当局の見解を聞くというのはもちろん差しつかえないのでありますけれども、しかもそれが行政権の裁量にゆだねられておるものにつきまして、委員会として賛否の態度をきめるとか、あるいはこれを議題として正式に取り上げるとかいうふうなことは好ましくないという考えを持っております。きょうのこの参考人方々の御招致も、そういうことでお出かけをいただいておると思うのでございますが、この問題に関連しまして、たとえば現地から私どもに電報がきておりますが、現地代表の人選がおかしいじゃないかというふうなことも申してまいっております。一部の意見を代表する方しか来てもらっていないというふうなことを申しておるのでございますが、これはいま申し上げましたように、伊達火力の問題そのものをまつ正面から取り上げてこれを議論するという立場でないからでございまして、ちょっとその点現地側に若干の誤解があるようでございますから、特に申し上げておきたいと思います。   〔委員長退席、局本委員長代理着席〕  そこで、いま委員長からお話がございましたように、たいへん時間が窮屈でございますので、私は問題をずらっと並べまして、それにつきまして皆さんの御答弁を逐次お願いしたいと思います。  最初に向坂先生にお尋ねをいたしますが、本年は六月にストックホルムで国連の人間環境会議というものがございました。それから六月末にウィーンで環境問題の国際議員会議というものがございまして、これは田中委員長と私が行ったのでございますが、かけがえのない地球を守ろうというようなことで世界じゅうの国々が集まって議論するのはたいへんいいのですけれども、どうも環境問題とは何ぞやという問題につきましては、それぞれの国で認識はまるっきり違うのです。アラビアなりアフリカなりああいった方面の開発のおくれておる国の人々は、環境問題というのは結局貧乏であるということである。金がない、物がない、したがいまして、住む家がない、食物が不十分だ、医者にかかれない、夜になってもあかりがつかない、こういうのが環境問題だというようなことでございまして、われわれは過密現象の結果が公害につながっていると思うのでございますが、まるっきり違う、話が合わないという問題があったのでございます。いま私は、この電源立地の問題につきまして各方面で非常な反対がある。反対には相当な理由もあると思いますけれども、しかしこの問題につきましては、どうも日本のような先進国でもやはり先生御指摘のように電力が不足だ、夜になっても停電するかもしれない、あるいはテレビが見えないとかあるいは冷房がかからないとかいうようなことも考えられるわけでございまして、私はもう環境問題というものとこういったようなものと、まさに百八十度対立すると申しますか、そういったような考え方が間違いである。要するに良好な生活環境というものが望ましい、それがつまり環境問題であるとすれば、やはり必要最小限度の電力なら電力というものを起こしていくということも環境問題だ、こういったような一つの根本的な認識の問題につきまして先生の御見解を伺いたいと思います。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕  それから、これは荘村さんに伺いますが、いま向坂さんからもお話があったのでございますが、日本電力各社の送電線は、本州、四国、九州は大体一つにつながっておりますですね。北海道だけつながってないので、北海道の場合には特に予備率でございますか、長期予備率なんということは大きな意味を持つと思うのでありますけれども、北海道の場合はその点がどうなのか、伊達市以外にかわりの立地を求めようというのですが、二年間のいろいろないきさつを経ておるのであって、特に非常に窮屈だという現状を考えますと、そういうことは電力供給に責任を持つたてまえからは私は考えられないのではないかと思いますが、その点はいかがかということを一つ伺いたいと思います。  次に、今度の場合につきましては、公害防止協定というものが本年の四月一日に伊達市を含む六カ町村と北海道電力との間に締結されておる。道知事も諸般の準備が整ったから電源開発審議会に付議されたいというような行政上の手続がほぼ済んでいるようでございます。それはすべての国民の賛成を得るのが望ましいわけでございますが、人はみんな意見が違うので、私は一体こういう問題はだれが判断するかということでありますけれども、こういう権威を持たされた地方当局の見解というものは相当尊重されてしかるべきではないか。そうでないとものごとは進まぬということになると思いますが、これも恐縮ですが、向坂参考人の御見解を伺いたいと思います。  さらに、現在大気汚染防止法とか水質汚濁防止法とかという法律がございまして、そこで環境基準なりあるいは排出基準なりというものがきまっておる、一体これはどういう意味なんだということでございます。それはそこで必ずしも満足するということではない。しかし入手し得る資源の質と量、ローサルファのものとかそういったようなものとか設備技術の発展の段階、そういったようなものから見まして、いまガス化脱硫の問題などお話もございましたが、このきまっておる環境基準、排出基準で必ずしも満足するものではありませんけれども、しかしいまの段階としては、電力がなければ非常に困るという一方の事情があるわけでございますから、ここまでは許容される、がまんすべきだというのが、私は環境基準なり排出基準なりというものを政府がきめておる、また地方当局の意見も入りまして公にきめておる一つ意味だと思うのでございますが、この辺どうお考えになりますか。この点も向坂先生。もしあくまで反対だというなら、電力供給がとまってもしようがないということに通じやしないかと思いますが、そういったような意味で、いまの点についてひとつ御見解をお述べいただきたいと思います。  それからもう一つ先生がお述べになったことでございますが、発電所をつくるということは、これは必要欠くべからざることであるけれども、広域地域的な問題である。たとえば北海道全体の問題である。しかし一方におきましてそれによる若干の被害を受けるかもしれないのは地元であるということでございますから、地元に対する経済効果を与えるために地域間の所得配分地域間の不均衡是正というようなことにつきましていろいろお話がございましたが、これらの点は私も非常に同感でございまして、固定資産税のほか、事業税配分基準の改正とかいろいろな問題があると思いますが、この点につきましては政府意見を聞きたいところでございますが、時間もございませんし、またすでにお話しになったことでございますから、これは問題を提起するにとどめたいと思います。  さらに、ただいまは野呂さんから水の問題につきましてお話がございました。これは水質汚濁の問題ではなくて水の温度が上がるという問題でございますが、全国の各方面に火力発電所はたくさんあるわけでございますし、こういう問題につきましては、それぞれどういう被害が実際あったのか、あるいはそれについてどういう措置が講ぜられたのかということは私はすでにもう立証済みと申しますか、試験済みの問題であるのではなかろうか。ただいま参考人の御意見では何かたん白資源が全滅するようなお話でございますが、そういった問題ではなかろうと思いますが、これについて荘村さんと野呂さんにもう一ぺんお話を伺いたいと思います。  以上ずっと問題を並べましたが、私が御指名申し上げました先生並びにそれについて御意見をお持ちの方々から簡単にひとつ御意見を聞きたいと思います。
  15. 田中武夫

    田中委員長 順次御答弁を願います。  まず、荘村参考人
  16. 荘村義雄

    ○荘村参考人 本州と四国、九州には送電連絡がありまして融通し合える体制になっておりますけれども、北海道だけには残念ながらさような連係設備がございません。北海道は孤立したところでありまして、特に電源が水力が主でありますために、異常渇水という事態が起こりますと、需要家に御迷惑をかけるという事態に発展いたしかねない問題を含んでおりますので、需要の安定供給確保という観点から、北海道が困っても本州から助けてもらえないという北海道の特殊事情のために、一七、八%の予備力の確保をいつも目途にいたしておりますが、年によりますと、特に豊水などのときには若干それを上回ることもございますが、本年、来年、再来年あたりの計画では一七、八%というのが目途になっておるのでございます。  一昨年でございましたか、北海道と本州との連係をせねばならないということから、協議いたしまして、連係送電線の建設をすでに——北海道のどこが起点でございましたか青森へ、送電電源はたぶん三十万キロであったか、間違っておりましたらおわびをしたいのでございますが、北海道からも本州へ送れる、北海道が困ったときには本州から送れる、そういう観点から送電線の建設——北海道から青森までは直流送電で、これは電源開発会社が担当いたしておりますが、そういうことで、たしか五十一年から試験送電ということになる、これを目途にやっております。今後は、電源立地難ということもあり、火力をよけいたきますことは、それだけ油がよけい要る、公害がそれだけよけい出るということにつながりますので、その連係線によりまして、北海道の予備力をときによっては本州に回すということで、さような公害防止という意味も含めて、目下建設が急がれておりますことを申し述べたいと思います。  あと始関先生、御質問を少し聞き落としましたのでありますが……。
  17. 始関伊平

    始関委員 いや、場所を変えたらどうだという意見があったけれどもどうですか。いまの現状でどう考えられるか、伊達は。
  18. 荘村義雄

    ○荘村参考人 この問題、地元の事情を私詳細存じませんが、あるいはこれはおしかりを受ける言い方になるかもわかりませんが、伊達はかつて新産都市の指定も受け、地元から火力発電誘致運動もあった。近くは伊達市との間に公害防止協定も結ばれまして、北海道知事から伊達火力建設の同意書が経済企画庁に出ていると存じます。いろいろ公害問題には御意見ございましょうけれども、私どもは、極力公害防止に努力をいたしまして対処いたしたいと存じます。先ほど申し上げましたように、いままではいろいろなネックがあって御期待に沿えない、おしかりを受けるような状況ではございましたが、これからは私どもも排脱をやります。国も、あの判決の中に、国の行政のあり方を指摘された点もありまして、公害防止のための燃料対策に積極的に取り組む姿勢を示しておられます。八月の下旬でありますか、私どもの業界の社長団が中曽根通産大臣と現在の緊急課題をいろいろ懇談いたしましたときに、冒頭中曽根大臣が、公害問題は燃料問題だ(始関委員「荘村さんけっこうですよ。ありがとうございました。わかりました」と呼ぶ)ということで、国の御配慮もいただいて精一ぱい努力いたしますので、どうぞ伊達発電所がつくられますことにお許しをいただけたらたいへんありがたいと存じます。
  19. 田中武夫

  20. 向坂正男

    向坂参考人 国際的に、エネルギーエネルギー資源と環境問題、この三つ関係は現在非常に大きな問題になっているわけでございます。エネルギーと資源の問題はさておきまして、エネルギーと環境問題を考えたときにまず第一にいま必要なことは、大気汚染の要因である亜硫酸ガスの排出をできるだけ早く引き下げて、国際的に全く人間の健康に異常のない程度に下げていくという努力が私は必要だと思います。それで、現在すでに環境庁を中心に政府でも亜硫酸ガス環境基準の引き下げを検討中と聞いておりますけれども、国際的に認められたそういう水準にできるだけ早く引き下げ、達成していくという努力が必要であるように思います。  その場合に、現実に幾ら環境基準がきびしくきめられても、それを達成するだけの低硫黄燃料供給力を考えなければそういうことは実現できないわけでございますが、その点、話は長くなりますから省略いたしますけれども、まず第一は、インドネシアその他、あるいはペルシャ湾岸などから低硫黄の原重油をできるだけ多量に入手するということと、LNG、天然ガスのようなもの、これはまた船をつくるのになかなか時間がかかりますけれども、そういうものも将来必要であると同時に、最近はナフサなどほとんど硫黄のない、いままでは燃料には使われておりませんでしたけれども、こういうものも燃料に投入するというようなことが必要であると同時に、二、三年先には、おそらく高硫黄原油を処理した、その残滓の重質油ガス化脱硫するという方法で軽質のサルファ分のない燃料をできるだけ多く供給しつつ、無公害脱硫されたガス燃料に使うということをぜひ早く開発する必要があると思います。したがって、環境基準の達成の目標をそういった供給可能性と見合わせながらきめていくという必要があるように思います。  それから第二は、もう少し長期的な問題になりますけれども日本のように過密な国土であれば、エネルギーの消費効率を高める、できるだけ消費の節約をはかるという考え方を取り入れていく必要があるのではないか。あれだけ資源の豊富なアメリカですら、最近はどうやって消費の増加を押えるかということを政府はじめ民間などで検討もし、あるいは電力料金あるいは天然ガス料金なども、価格効果から考えて、税金をかけてでも高くして消費の伸びを押えるということすら検討されていると伝えられているわけでございますが、わが国においても、これから生活水準が上がれば上がるほど電力の消費はふえるはずでございます。しかし、国全体としましても成長率をゼロとするわけにはいかないけれども、いままでのような使い捨ての経済というようなことは十分反省の要があるのではないか。  それからエネルギーの多消費産業の海外立地、これは、開発途上国は公害出しっぱなしということではもちろんありませんけれども、ある程度公害防除策を講ずれば立地を歓迎するという面も十分ありますから、そういった海外開発途上国の工業化と結びつけつつ、こういったエネルギー消費産業の海外立地ということを進める必要があるように思います。同時に、一度つくったエネルギーを——つくり方もできるだけ熱効率を高めると同時に、つくったエネルギーを多目的に利用して、熱を空中あるいは水中にできるだけ発散しないような、そういう方法を考える必要があると思います。  それから同時に、長期的には核融合その他ほとんど無公害といま考えられているようなそういう面、新しいエネルギー供給というものを考える必要があるように思います。大体、このような過密の地域で、なお経済成長をある程度はしなければいろいろ新しい国づくりもできませんし、生活水準の向上というものもはかれませんけれども、しかしできるだけエネルギーの消費効率を高めて、少ないエネルギー生活の向上をはかれるような、そういう方向経済政策の大きな転換をはかる必要があるように考えます。
  21. 野呂儀男

    野呂参考人 水の被害ということと、その場所はどこかというような御質問でございます。  私の考えるのは、第一にあげられるのは赤潮でないか。これに対しては、各企業ともども電力会社ばかりでございません。いろいろとこれには都市公害、そういうものも入っていると思います。これの解明はまだなされていないと思うのです。この赤潮の例が瀬戸内海というようなことでございます。また海藻類、特にノリの養殖、これに対しては、御存じのように海藻にしろ魚類にしろ、海には冷房装置はございません。この熱処理ということは、魚に対しても海藻に対しても無理でございます。そのために一度の温度差でもって相当の、早い話が体力的にまた生理的にも現象が起こるというような実態でございます。このノリの場合、これは全国的にいえますが、養殖はできます、冬期間、水温の下がっている場合。温排水口などでもって養殖に成功している実例がございます。ところが排水口での種つけ、つまり種をとる段にはこれは全然だめです。種をとることができないということは、よそからとった種網を輸入してそれを成長させるというようなことはできます。  それから、近くでいうならば、視察してはっきり言えることは、横浜地区でございます。これは埋め立てもございますが、このウニ、ナマコ生息地帯でも、埋め立てのされてない場所でも、一年、二年の間は生産に結びついた実例がございます。が、三年、四年とたつに従って、これは皆無状態になった。それからはっきり言えることは、釣りの方々が一番御存じのとおりだと思いますが、魚をとってもそれを持っていかない。ただ釣りを楽しんでいるというのが東京湾、横浜近辺の実態じゃないかと思います。  以上でございます。
  22. 田中武夫

    田中委員長 次に、林義郎君。
  23. 林義郎

    ○林(義)委員 きょうは参考人方々ありがとうございました。また北海道からはるばるお越しをいただきまして恐縮に存じております。きょうは火力発電と環境の保全の問題について参考人意見聴取でございますが、いろいろとお話を承りましてありがとうございますが、荘村さんにお尋ねいたします。  これはお配りしてあるでしょうけれども公害防除刷新方策というのがあります。たしか昨年だと思いましたけれども電気事業連合会の副会長がおいでになりましてお話ししたことがあるのです。そのときに申し上げたのは、これからの電源立地というものは非常にむずかしくなる。いろいろと地域住民の問題があるからむずかしくなるだろう。その点について、やはり地域間格差というものを相当入れていかなければならない。極端なことを言うならば、電源立地をするところについては、電力料金をただにする。そのかわり、当然コストはかかりますから、そのコストは電力料金の中に入れてやる。こういうようなことぐらいまでお考えになってやらなければしょうがないのじゃないかというお話を申し上げたことがある。ただそのときには、まだとてもそんなことではない。電気ガス税の運用その他によって十分やれるんだ、またそのくらいの公害対策をやれば十分できるんだというお話でありました。私は、公害問題というのは単に経済的な問題だけではない、多分に感情的な問題——住民感情の問題というものが相当にありますから、その辺でほんとうに豊かな社会をつくっていこうということは、単に経済的に豊かな問題だけではない。やはり住民感情というか、住民のほんとうに心理的に受け入れる感情というものをさかなでするようなことをしてはいけないんだろうと思います。そういった意味で、やはり新しい立地をされる。いなかにおきましたら、電力会社がばっと来て大きなものをつくるということになれば、いままで見たことのないようなものが来るわけでございますから、そういった点でのいろいろな対策というものを積極的にやっていただかなくちゃいかぬだろうと思います。  先ほど向坂先生からお話がありましたように、やっぱり地域間格差というものを導入するということがどうしても必要になります。田中総理の日本列島改造論じゃありませんけれども、やはり地域間格差というものを相当につけてやる。日本全土が豊かないい国になるということは、単に経済的だけそうではなくて、住民感情あるいは精神的な問題としてもやっていくということが私は必要なことだろうと思うのです。私はさっきちょっと例を申しましたけれども、そういったようなことを荘村さんなり向坂さんがどういうふうにお考えになりますか。少し料金体系を——これはいま原価計算主義でやっておられますけれども、この辺も少しいじるくらいなことをやらないといかぬのじゃないかという気が私はいたしますが、その辺についての御見解を伺わせていただきたいと思います。この辺は荘村さんと向坂さんにお願いしたいと思います。それからもう一つは、きょうはわざわざ伊達のほうからお越しになっているわけですからお尋ねしておきますが、伊達火力発電所は出力三十五万キロワット二基の建設計画硫黄分が一・七%以下の重油が予定使用燃料であります。それと同時に、排煙脱硫装置を設置することになって、常時一・三%になります。最新の集じん機設置することになっておりまして、硫黄酸化物の一時間値最大着地濃度は〇・〇一九PPM、それから年平均値でいいますと〇・〇〇二二PPMということでありますが、この辺は正木さん、野呂さん、お認めになるのかどうか、そういうことであります。これはイエスかノーかお答えいただけばけっこうであります。  それから野呂さんにお尋ねします。伊達発電所の温水問題であります。温水問題で、放出水温と海水温との温度差は冬季が大体七度、夏季が五度、排水量が毎秒二十二トンという予定である。温排水影響は、放水口で中心半径七百八十メートルの範囲を越えない、これが第一点。第二点は、海藻類のコンブ、ワカメ等の生育期において若干の生育に対する影響が出てくる、ワカメの芽落ちなどの病気を助長するおそれがある。三点は、ホタテ貝については、温排水影響はきわめて少ない。冬期間の水温上昇は生育上好結果をもたらす。第四、深海魚については温排水影響はほとんどない。こういうような調査報告が伊達市の委託を受けた水産資源保護協会から出ておるという報告が当委員会にされております。この報告にもかかわらず、いまのお話では死の海だというふうなお話でありますが、何か特別に調査をされたものがあるのかどうか。調査をされたものがあればひとつそれを出していただきたい。これは水産資源保護協会というのですから、おそらく相当ないろいろな学術的な調査をされたのでしょうから、それに対応するような調査をされておられるのかどうか。漁業組合の理事さんでございますから、漁業協同組合のほうでやっておられるかどうか、その点についてやっておられるかどうかでけっこうでございますから、お答えいただきたいと思います。
  24. 登坂重次郎

    ○登坂委員 関連して。  いま立地の問題が非常に重要なポイントとなっておるのでありまするが、先ほど来荘村さん、向坂さんから種々御意見を承りましたが、従来までいろいろ問題があったろうと思います。しかし将来にわたってこういう問題はなくするんだ、また必ず研究してそれを除去するんだ、可能であるのだ、もう少し排煙脱硫のためのいいナフサを使って公害はできるだけ防除するんだ。ですから、地域住民に対してもできるだけ早くもう心配要らぬようにするんだという今後の対策、姿勢についてのいままでの電気事業連合会なりあるいは電気事業審議会等においての諸先生方の——やはり今後だんだん電力はいまの倍化をされる。どうしてもそれだけエネルギーとして必要である。ですから、それについて今後の対策を十分考える。また地域の皆さんもいまここへ設置されたらたいへんだ、だんだん悪くなるんだというお考えは、今後大いにお互いに、また当事者として、当然電気事業会としてはそういうものは絶対なくなるんだ、なくするようにするんだ、いまの公害防止協定よりもっと私どもは積極的に公害除去のために努力するんだという心がまえと今後の態度について、ひとつお尋ね申し上げたいと思います。
  25. 荘村義雄

    ○荘村参考人 公害があるところとないところとに地域差という問題が取り上げられているので、煙が行くところは料金を安くしたらどうかという御意見であったかと存じますが、いまの料金のたてまえでは負担の公平ということが——今後はわかりません、現在はお使いをいただく需要家の電気料金が公平でなければならぬということがたてまえになっておりますので、煙が出るところを安くということには現状はいきません。しかし私は、料金を安くしたから煙はがまんしてくれというわけにいくものじゃない。やはり公害をなくするということが基本でなければならぬと考えております。  それから地域寄与も必要だという、これもまことに御指摘のとおりでございます。私どもは水力発電火力発電をいたしますについても、それなりに公共施設などに御援助申し上げているのでありますが、最近通産省でも電源立地難を解決いたしますのとあわせてその問題を考えていただいておるようであります。よく私どもの聞きますのは、発電所ができたら確かに膨大な固定資産税が入る。ところが七五%は国に吸い上げられて、二五%しか地元には潤わない。富裕県はそれさえ来ない。ところが発電所ができますと、地方自治体自身が公共施設に金をかけて道路の修理、港湾の修理などをなさいます。かえって迷惑、持ち出しだという声が強うございます。それがまた電源立地難の一つの原因になっておる点もあろうかとも思うのでありまして、国でも最近電源立地難を解消いたしますのとあわせて、地元のそういう発電所ができたために地方自治体の財政圧迫というこの事態を放置できないということから、どういう形になりましょうか、地方への寄与対策に取っ組んでいる、立法化をさえ考えておるようでありますから、私ども公害をなくするということに全力をあげる、国もまた地元に対してそういう措置をおとりいただくという両々相まって、一ペんにはこれもいかぬかとも存じますけれども、徐々にしかも早くこういうことが実現いたしますならば、地元方々の御了解も得られるのではないかと思います。  それからいままでは公害防止、いろいろ問題があってできなかったろうが、今後は一体どういう覚悟でやるのだということでありますが、この公害防除刷新方策、冒頭陳述で申し上げましたとおり従来は非常に問題がありました。私ども努力も足りなかった点がないとは申しません。しかし多くは外部の諸条件、根が深い、からみ合っておるということで、私どもだけの努力ではある限界しか対処できなかったのでありますが、四日市裁判を契機といたしまして国も、先ほどちょっと申しました中曽根大臣が公害燃料問題である、これには政府ナフサなまだき、原油のなまだき、ローサル原重油の輸入を思い切ってやる、こういう御発言もあり、田中総理が北京からお帰りになりまして羽田での記者会見の席上でも内政問題に触れられました中に公害を取り上げていらっしゃいます。したがいまして、私どもの決意と政府のそういう施策によりまして、先行き、一ぺんにはよくなりませんけれども、明るくなっていくと思っております。現在は、四十七年は硫黄含有率計画では〇・〇四でありますけれども、五十年、五十一年ではこれを半減する目途にしております。そう申しますと、サルファコンテントが半減したって量が倍になったら同じじゃないか、こういう地球をよごすという観点からいたしますとそういうことになりますけれども重油がふえますのは、四十七年から五十一年を見ますと原重油で三二%程度でありますけれども、サルファコンテントは半減いたしますからやはりそれだけ私は地球をよごすという度合いが減るのだと思っておりますが、この上とも努力をしたいと決意をいたしております。
  26. 向坂正男

    向坂参考人 電力料金をはじめとしてエネルギーの価格体系、価格についての考え方を新しい時代に即して検討をし直す必要があるんじゃないかという感じがいたします。  それで電力について申し上げれば、これまで電力の多消費産業に有利な、多消費をむしろ奨励するような料金であり、あるいは小口の電気、電灯電力の消費においても、特に家庭用は必需的な消費のほうがどちらかというと割り高になっている状況でございます。私は、電力料金を原価主義から政策体系へ、まあそれは少し極端でございますが、原価主義に新しい時代に即した政策を加味した体系にしていく必要があるんじゃないか。で、それ以上私はあまり具体的に考えておりませんけれども、そういったいまの原価主義でいえば確かに電力を多量に使うところには供給コストは安いはずでございますけれども、そういう体系でいいのかどうか。これからエネルギーの不足が懸念され、エネルギーのますます貴重な時代に入るだけに、どういうものに必要な消費がなされるのか、そのことを十分考えながら料金体系というものを基本的に見直す必要があるんじゃないかというように考える次第でございます。
  27. 田中武夫

    田中委員長 正木参考人。  イエスかノーかだけでけっこうだそうです。
  28. 正木洋

    正木参考人 イエスかノーか以外はしゃべったらだめでしょうか。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 時間がないから……。
  30. 正木洋

    正木参考人 そのとおりなんです。北電と伊達市と結ばれました公害防止協定は、先ほどおっしゃったとおりです。意見はございません。
  31. 野呂儀男

    野呂参考人 日本資源保護協会の調査結果、これに対しての反論があるのかないのかというふうなことでございますが……。
  32. 林義郎

    ○林(義)委員 いや、資料があるのかないのかということ……。
  33. 野呂儀男

    野呂参考人 資料があるかないかということでございます。私、冒頭にあいさつの中でも申し上げたとおり、私は無学な者であるということをはっきり申しております。ただ、こういうような調査結果をこの賢明なる国会の先生方が御信用なされること自体が一この調査結果自体を読まれたらわかると思います。ということは、大気関係については六メートルの風のもとで調査されております。これは全部六メートルの風に合わせた調査でございます。合わせたとあえて言います。それから海洋調査に関しては、これはあくまでも漁民を欺瞞した調査である。これは非科学もはなはだしいといえると思います。これは言いたくなかったのですが、日本資源保護協会の先生方の信用にも関すると思いますが、非科学的ということは、調査内容にも触れると思いますが、その中にある第一点にあげられるのが目視観測、この科学時代に目視観測、それから人工クラゲ放流による観測、これが最も非科学的とわれわれ思うのです。ということは、この科学の世の中に人工クラゲを放流しておいて、その追跡レーダーも何も取りつけないで、ただ自然の風に吹かせて流しておいて、三日も四日もそれを監視しないでおいて、そして天然現象にまかせての観測結果をとるということは、最もこれは非科学的であるというふうに思います。  以上、調査資料というようなものはございませんが、われわれの疑問点というものはこういうふうにたくさんここにそろえております。これを読まれたら一目りょう然と思いますので、これが必要であれば置いていきますので、どうぞお読みになっていただきたいと思います。  以上でございます。
  34. 田中武夫

    田中委員長 林君に申し上げます。  約束の時間がすでに過ぎております。だが、一問に限ってこれを許します。  与党の理事さんから率先して約束は守ってください。林義郎君。
  35. 林義郎

    ○林(義)委員 わざわざ委員長から質問の時間を与えていただきましてありがとうございましたが、私はあえて質問を申し上げるつもりはありません。  先ほど申し上げましたのは、先般の八月二十二日の日に当委員会で行なわれましたときの政府側の答弁であります。そういった答弁の数字ですから、その数字が科学的にどうであるかというような問題、それでいろいろ、おそらく御疑問の点もたくさんあるんだろうと思うのです。それは私は国会の場でなくて、やはり専門家の場で集まって議論していただかなければいけない。裁判所に出しておられるというような話でありますから裁判所でいろいろと調べてということも一つの方法でありますし、あるいは学者の集会をやって、そこで議論していただくということも私は一つの方法だと思うのです。ただし、一応こういうふうな形で、先ほど大気汚染の問題について言ったのはこういったことであって、政府のほうはこれで良好な状況が保たれる、こういうふうに言っておりますから、そうしたことを一応信頼して進めていくよりほかに方法がない。あとは裁判なり学術的な問題で議論していただかなければならないんだろうと思います。私たちも、はっきり申し上げるならば、正直に言って全知全能ではありませんし、科学者でもない。やはりそういった形の体系というものをつくっていく、それはやはり地域なりあるいは北海道なりでやっていただかなければならない問題だろうと思うのです。環境庁もこれに対して応援してもらわなければならないことは当然であります。いま野呂さんのほうからおっしゃいましたその点も十分取り上げていかなければならない問題だろうと思うのです。その取り上げる場所というのは公害紛争処理委員会なりあるいは裁判所なりというものがありますから、そこで取り上げていただく。ただ、先ほど申し上げましたようなことで一応のデータが出ておりますから、それに基づいてものごとは進めていかなければならない。向坂さんもおっしゃったように、電力の問題というのは非常に緊急を要する問題であります。正木さんも最初におっしゃいました。やはり電力というものは大切であるというようなお話であります。やはりそろいったようなバランスをとっていくということが必要ではないかと私は思うのです。  そういった意味で、あと参考人方々から何か御意見があれば聞かしていただきたい。私はこう考えますけれども、御意見がなければ、時間の都合もありますから、島本委員あとを譲りたいと思います。
  36. 田中武夫

    田中委員長 特に御意見ございませんね。  次に、島本虎三君。
  37. 島本虎三

    ○島本委員 まず、きょう出席されました皆さんに心から敬意を表する次第でございますが、特に荘村参考人に、公害防除刷新方策、これを出されておりまして、見ました。なかなかよくできていると思います。答えは簡単でいいのです。この中で、いままでいろいろ言われた中の目新しいものは、この長期対策のうちの公害患者に対する救済の充実というのが新たに出てきた。あとはほとんどが前から言い尽くされておったようなことをあらためて強力にこれを推進するという意図のように思われますが、これではたして抜本的な改正として強力にやれるのかどうか、私どもそういうような点で若干、いままでの経過を考える場合には疑義がありますので、これに対してどの点がいままでより違っているんだというような点、その点だけをひとつ御解明願いたい、これが一つであります。  それから次でございますけれども、これは向坂先生に……。戦後の日本で、いわゆるGNP至上主義といいますか、GNP政策をもとにしてエネルギー部門においてもこれと密着してこれを実施されておったようでございますけれども、いま、こう公害問題並びに四日市判決、こういうようなものが出てまいりまして、GNP政策に対する反省点というようなものがいろいろと論ぜられておるのでありまして、政府自身も日本列島改造計画の中にその意向を盛っているというふれ込みでございます。そうするとこのエネルギー政策に対しても十分この点は考えて、いままでと同じであってはならないのじゃないかと考えます。エネルギー関係者としてのこの点に対する御見解を伺いたい。これも端的にひとつお願いしておきたいと思うのであります。  それともう一つ、次は荘村参考人にまたお願いします。先ほどの林委員の質問にちょっと関連いたします。これは電気の必要性でございますけれども需要がやはり家庭用電気よりも工業用電気のほうが多量に使うから、それのほうが料金が安いのだという御発言がいま向坂参考人のほうからもあったわけでございます。そうすると、現在の状態でいろいろな意味で強行することは企業奉仕、企業優先への道をばく進ずるということにまた国民として考えられるのじゃないか。したがってこういうようなことのないようにすべきが当然業界としての新たな認識じゃないか、私どもそう思うのですが、この電気の料金等についてのこの件について特に伺っておきたいと思うのであります。  それと次は、同じくこれは荘村参考人に伺いますけれども全国の九電力会社予備率それぞれ七%から八%、先ほどございましたが、北海道の場合にはどのようなことになっておりますか、これを伺います。  それとともに、次は向坂先生に、これは電調審を通ってもなお建設にならないところは全国で五、六カ所あると、先ほどの公述で私はそう承りました。これは何のために建設できないのか。そのできないことをもとにしてもう一回再考の余地はないのか。それと同時に、特に北海道の場合には総理をはじめとして重油専焼のものより今後は国策としても石炭専焼の火力発電を考えてもよろしいし、そういうようなものに対しては今後進める、こういうような意向がはっきり出されておるのでありますけれども火力発電について重油専焼じゃなく石炭専焼のもの等はもう十分考えてしかるべきじゃなかろうか。そうなると当然場所を変えたほうがよろしいということになるわけでございますけれども、この点等についての先生の御意見を承りたい、こう思うわけでございます。  それと同時に、地元民の反対という立場も伊達の場合には非常に聞かされまして、私どももこの点については関心を持っております。予定地の変更、これについてはどうしてもできない、こういうようなことについて荘村参考人のほうから申し出がございました。そしてこれは新産都市の指定も受けており、それからもうすでに誘致運動も起こったものである、こういうような理由が付されておりまして、同意書も出ておりますから、今後極力公害対策配慮するからこのまま認めてもらいたい、先ほどの御答弁によりこのようなことのように承りました。そうなると、極力努力するということでありますけれども、既成事実の変更ということに対しては、絶対考えられないという考えなのかどうか。もうすでに新産都市の問題から旧全総から新全総から日本列島改造計画から、政府自身がいままでの非を非として反省の上に立っていろいろ政治の方向を、行政を進めようとしているのでありますけれども、しかし業界のほうでは、こういうような具体的な問題に対してはもう極力つとめるからこれを承認してくれという態度一本やりだと思うのです。こういうような態度では少しかたくなじゃなかろうか、もっと考えるべきじゃないか、こういうように思うのでありますけれども、この点について特に荘村参考人電気事業連合会副会長としての立場で御意見を賜わっておきたい、こう思うわけであります。  ことにこの中には、伊達火力の問題では武田という豊浦の町長が、公害協定を破棄したいんだ、こういうようなことで、本意でない建設の同意だったということがはっきり言われておるわけでありまして、もしこういうようなものをもとに返す必要がないのだというと、もうすでに何でもかんでもやったらいいんだという強行突破策じゃないか、これじゃ全国津々浦々から反対運動が起きるじゃないかと思って心ひそかに私は心配しておる者でありますけれども、この態度の変更は考えられないのかどうか、こういうようなことでございます。  それからなお政府のほうにいろいろのお願いが出されたようでございますが、PPPの原則というものがございます。PPPの原則があってそれを政府は堅持すると言っておるのであります。ことにこれでは、いわゆるOECDの環境委員会でも政府の助成金を廃止するのだという見解に立ってPPPの原則がやられているのですが、いまだに火力発電所のほうではいろいろな点で政府に善処なり要請という点が出ておるようであります。たとえば脱硫技術開発等についてもということがございましたが、これはPPPの原則に対してはどのようなお考えであるのか、これを承りたいのでございます。  あまり長くなりますので、答弁のほうはひとつ要領よくお願いしておきたい、こういうふうに思います。ことにこのあとで、わざわざ参考人として来てくださいました伊達の自然を守る会の会長正木参考人にもお伺いしますが、事前調査というものをやらないでこういうようなことを実施するということは、私どもとしては考えられない。この事前調査というようなものは十分行なわれたのか行なわれないのか、この点について十分お伺いしたいと思います。  第二番目には、正木参考人に、日本一のきびしい公害協定が各地に行なわれているんだという、こういう御発言があったわけであります。私はそういうような実態を認めないわけじゃございません。伊達では、これは協定の内容の中で開花期、こういうようなものは、四月の終わりから桜が咲き、九月まで花が咲いていると聞いているのですが、この協定の中では一カ月か、まあ一カ月半くらいしか認めておらないと聞いていたのですが、事実そうなのかどうか。  それと同時に、温排水の測定が当然問題になります。この測定についてはどなたが測定をなさるような協定になっておるのか。たとえば北電側の人がやるのか、北海道がやるのか、第三者がやるのか、これは一体どうなっているのか、この点もお伺いしたい。  それから、本州の各方面では立ち入り検査の点はもうすでに公然の事実としてこれは認められており、それは届け出というようなことでありますが、これは何か承認事項であり、まあ町長なり当事者がいやだと言うならばできないようなものだと聞いておるのですが、はたして協定の内容はそのような頑迷なものなのかどうか。  それと今度は水の点については、これは上のせ、横出し、こういうようなことばで言っておりますが、条例のほうが強くこれを規制してもよろしい、ただし電気、ガス関係重油その他大気汚染の場合はちょっと違っておりますが、水の場合はよろしいのであります。当然こういうようなことはやっておったのかどうか。この点について日本一きびしい公害協定をほうぼうで結んでおるというのですが、私自身この点が抜けていたら日本一だらしない公害協定になるんじゃないか、こう思いますから、なお念のために聞くわけでございます。  それと今度は荘村参考人並びに正木参考人。これはあなたのほうから疑問点について公開質問状並びにいろいろと質問をなさっているのですが、一切回答なしに強行なさっているのです。これは私はちょっと解しかねるのです。こういうような企業側の態度では困るのじゃないかと思うのですが、荘村参考人、こういうようなことは私は聞き捨てにならないのです。疑問を解いてやって、そして協力のもとに進めなければならないのですが、これじゃ切り捨てごめんと同じじゃないか。こういうように私は正木参考人の公述を聞きましたが、この点について正木、荘村両参考人どのようにお考えでございましょうか。  いろいろお聞きしたいことはもっとあるのでありまするけれども、あわせて伊達の周辺、これは全国にも同じ周辺があるわけでありますけれども、ことに伊達の場合を例にとりますと、周辺の町村の動向はどういうふうになってございますか。賛成か反対なのか、いまどういうような動向なのですか。それもあわせてひとつお伺いしたいと思います。  以上、ひとつ具体的に要領よく御答弁を心からお願いいたします。
  38. 田中武夫

    田中委員長 順次御答弁を願います。  荘村参考人
  39. 荘村義雄

    ○荘村参考人 第一点の、いままでと項目があまり変わっていない、公害患者の救済の充足が新しく出ただけで、あまり変わっていないということは御指摘のとおりであります。これは私、冒頭でも申し上げましたとおり、項目公害病患者の救済、充実を除きまして、みんな従来取り上げた項目でありますけれども、従来はローサル燃料の大量確保、これは公害防止に非常に役に立つものでありますが、四十二年の二月、総合エネルギー調査会の答申で原油のなまだきは輸入C重油のワク内に限るという制約がございまして、自来その制約は今日に続いておる関係もありまして、なかなか私どもは希望するだけの量が入手いたし得ません。なお、その中には〇・一のミナスというのがインドネシアから出るのでありますけれども、量が必ずしもたくさん出ない、だんだんにはふえておりますけれども、一番ほしいものは量がないという、そういうネック。さらには私どもは十年前から公害防止技術の開発に着手したのでありますが、初めは三千キロからスタートいたしまして、工業技術院の指導を受けまして二、三年かかってこれを五万五千に上げました。これでまたいろいろの問題がありまして、二、三年かかって現在中部電力は十一万、東京は十五万ということになってどうやらめどが立ったという、こういう段階でありますから、まあ、いままで技術面のそういう点もありまして思うようにできなかった。かたがた、これは、こういうことを申しますとなまいきな発言だといっておしかりを受けるかもわかりませんが、戦後日本経済が重化学工業を中心といたしまして量的拡大に目が向けられまして、その反面公害がふえてきているという面につきましての対策が十分でなかった、公害防止技術の開発研究がおくれた、こういうことを言うと、関係の方にはお目玉を食うかもわからないことでありますが、また資源の点でもローサル原油外国開発いたします、これも私は立ちおくれたと率直に申し上げられると思います。そういう中でやるだけのことをやってまいりましたけれども……
  40. 島本虎三

    ○島本委員 荘村参考人、わかりました。これは、私具体的に言って、まあ前と同じではないか、同じだということですから……
  41. 荘村義雄

    ○荘村参考人 同じではございません。
  42. 島本虎三

    ○島本委員 そこを具体的に言ってください。
  43. 荘村義雄

    ○荘村参考人 それが非常に大事な点であります。
  44. 田中武夫

    田中委員長 簡単に、具体的に御答弁願います。
  45. 荘村義雄

    ○荘村参考人 項目は同じでありますけれどもナフサのなまだき、原油のなまだき、排煙脱硫は、非常に諸情勢が変わっております。それと、政府公害対策としての燃料問題に取り組んでやろうという姿勢を示していただいておりますので非常に変わっておる。この点をぜひ御理解いただきたいのが第一点。  それから、北海道の予備力でありますが、年によって若干違います。多いときは二〇%のときもあり、一七、八……(島本委員「二〇だろう」と呼ぶ)それは先生、とる時期が問題であります。
  46. 田中武夫

    田中委員長 かってな質疑応答は禁じます。
  47. 荘村義雄

    ○荘村参考人 現状はさようなところであります。  それから、料金が企業優先ではないかという点、これがまた電力需要伸びを促進しているではないかという御見解、この点につきましても、私ども日本のこれからの企業のあり方というものは、従来のようにエネルギーを多消費する産業から知識集約型の産業に変えねばならぬという反省がいま行なわれておりますし、福祉重視型の社会経済にせなければいけないということもいわれておりますので、そういう観点からいたしますと、御指摘のとおり、いまの料金体系でいいかどうかという点は見直さねばならぬ時期に当面いたしております。この点は公益事業局ですでに料金体系の現在のあり方はこれでよいのかという見直しを内々なさっておられますことを申し述べておきたいと存じます。  それから、伊達はいろいろ町長の同意書が出ておるからやらせてくれということなんだが変えられないのかということでありますが、これは新産都市、まあ古いことで、こんなものにいつまでもこだわっていいかどうか、これは問題でありますけれども、私は過去のそういう経過を申し上げただけでありまして、変えられるか、変えられないかという問題は北海道電力決定なさる問題で、私がお答えしにくい問題でありますこと御理解賜わりたいと存じます。  それからPPPの原則をどう思うか、これも公害はみずから責任を負わねばならぬというこの原則、私もそのとおり受け取っておりますけれども公害技術の開発は私どもの力だけでは手に負えないという点もありますので国の御援助を願わねばなりませんし、膨大な金がかかりますものは、私どもが負担いたしますと電気料金にはね返る、影響するという面も出てまいりますので、可能な限りは国の財政措置によることもやむを得ないか、かように考えておるのでありますが、PPPの原則はあくまで御指摘のとおりそのとおりだと考えております。  以上で漏れたところはないかと存じますが……
  48. 島本虎三

    ○島本委員 公開質問その他質問に答えていな……。
  49. 荘村義雄

    ○荘村参考人 落としましておわびいたします。  これはどういう事情でありますか、そのとおりであるといたしますならば、まさか正木先生がうそをおっしゃるとは思えませんから、そのとおりでございますならば、聞き落として誠意、努力が足りない問題であると考えます。さような御発言があったという点も、帰りましたら北電に何をしておったのだということをよく連絡をいたしたいと考えております。  要は、皆さん、地元の御理解を得て私ども精一ぱい努力するという中で電源開発をお許しいただくというのが筋でありますから、いまお話しのようなことがあっては相ならぬと思っております。
  50. 向坂正男

    向坂参考人 経済成長率に対してエネルギーの消費が大体弾性値一、これまで日本は一・一くらいの率で伸びてまいりましたし、諸外国の例を見ましてもエネルギー消費の弾性値は大体一、あるいはイギリスのように極端な低成長の国は〇・六とか七とかというような低い状態でございますが、大体通常の成長をしている国は一程度伸びますから、その意味で高成長とエネルギー消費とは非常に強い相関関係を持っていると考えていいと思います。  GNP主義の反省でございますが、これをエネルギー面に即して考えれば、まず第一に量的な面としては、これまで石油、特に石油の供給過剰であり、それで価格がかなりのテンポで低下してきた。それをもとにした安いエネルギーを基礎にして日本エネルギーの多消費産業が急速な発展を見せてきた。  もう一つは、エネルギーの消費効率においてややその努力が不足したといった面があると思います。したがって、今後エネルギー消費産業の海外立地、もちろんそう容易なことではございませんけれども方向としては海外立地ということを考える必要があると思います。  それから同時に、先ほど申し上げたようなエネルギーの価格体系も、これまでのような低エネルギー時代と同じ考え方でいいのかどうか。環境問題及びエネルギー資源の将来の不足ということを考えて、そういった新しい観点での再検討を必要とすると思います。  それから第二の面は質的な問題で、確かに企業産業界の無公害化を進める努力が足りなかったことは事実であろうと思います。GNP主義は経済効率主義ともいえるわけで、企業の効率を考えて、外部不経済、たれ流しの状態であったということも十分反省されなければならない。その意味で粉じんとかあるいは亜硫酸ガス、将来NOXも環境基準がきまりましょうけれども、そういった大気汚染を防止するための無公害燃料化の努力、あるいはそれに必要な装置というものを企業としてつけていく必要があるように思います。  それから第二に、電調審で五地点決定しながら着手できないということですが、私一々その事情を存じません。全体のエネルギー需給の観点から先ほど申しただけで、おそらく地元とのいろいろな理由での話し合いがつかないということにあるかと思いますが、それ以上私申し上げることはできません。  さらに石炭専焼の問題を提起されましたけれども、これは私は、日本の貴重な資源である石炭を使うということは、国の政策として考える必要があると思います。しかし同時に、石炭専焼火力を続けていくということは、一つは石炭コストが上がるだろうということであり、もう一つは石炭の安定供給確保できるかどうか、そういったことを十分検討した上での方策であろうかと考える次第でございます。  以上でございます。
  51. 正木洋

    正木参考人 御質問の条項、立地の問題、事前調査それから防止協定、開花期の問題、温排水の問題、それから公開質問状や公開討論会について、それから周辺市町村の問題、大体こんなことかと思います。ただ、ここは国政の段階ですので、あんまりこまかいことにわたらないで、結論だけきちっと申し上げたいと思います。  一番最初に申し上げたいことは、立地に関連してですが、私たちはとにかく、普通の人間というのは、反対したいから反対しているということじゃないのですね。ごく平凡な人間なんです。だから、いま公害反対運動をやっているというのは、ついこの間まで、選挙のときには与党筋に入れるのがほとんど全員であった。その人たち、農民、漁民が中心になって反対の運動をやっている。これは何かといったら、ごく平凡な人間がどうしてもこれはがまんできないぞ、何とかわれわれに納得いくように説明してくれという態度がずうっと一貫していままであったと思います。それがついに納得できない、だから反対になるのだ、こういったいきさつだと思います。  いろいろお話を伺っておりまして、決意だとかそれから計画だけでもって公害事象というのはなくならぬと実は私は思っております。伊達公害防止協定に盛られている数々の問題、たとえば七十万キロワットでもって一・七%以下の重油を使って排煙脱硫装置をつけて、電気集じん機をつける、こういったふうなことございますけれども、これは実のことを申し上げますと、初めの発表では二・四%重油を使うと申しておりました。それから煙突高度は、非公式では百三十五。百五十が正式発表だったのです。ほかにもいろいろあげられますけれども……。ところが、その当時から北海道電力株式会社公害は絶対にないんだと、いまに至るまで言い続けております。ところが、二・四%の重油が二・二になり、反対運動が強まると二・〇になり、それがいま一・七になっている。もう少しがんばると一・三ぐらいになるかもしれません。それから煙突高度も、反対が高まるにつれて、百五十から百八十、二百と、こう上がっていく。こういったふうな態度では、容易に、信用しろといっても信用し切れない。そして、われわれがわれわれの意見を聞いていただきたいといっても、質問状にも討論会にも応じられない。しかも、一般向けの新聞なんかでは、いついかなるとき、どこへでも行って住民と話し合うと、こういうふうに何回でも申しておるのですよ。たとえば一回目は、医師会と私たちの会とのタイアップでもって、内容証明の郵便でもって北電社長のほうへ申し入れをいたしました。それが断わられた。二回目は、ある代議士が間に立ちまして、北電の山田副社長とかたく約束したのですね。ところが、いよいよ実現の運びになる二日前になって一方的に破棄を通告してきた。こういったふうな事情で、われわれはいまの段階では、信用しろといっても信用しにくい状態にあるんじゃないかということを申し上げたい。  それから、いろいろ今後、ナフサのなまだきだとか原油のなまだき拡大だとか、あるいは排煙脱硫装置を完ぺきなものにしていくとかなんとかというふうなお話がございます。もちろんそういった方向でもって、私さっきから申し上げているとおり、鋭意努力していただかないことには、これはほんとうに日本列島全体の将来が心配になるというふうなことを申し上げているのですけれども、しかし、事は簡単にいかぬと思うんですよ。排煙脱硫装置にいたしましても、水アンモニア法によれば硫安ができますし、石灰石こう法によれば石こうができる。二次産品ですね。窒素酸化物除去の場合には硝酸ができる。これは膨大な量ですよ。それを一体どういうふうに処理なさるおつもりなのかということを考えれば、大気汚染に限って申し上げますと、大気汚染が完ぺきな形でもって克服できるとは私は容易に信じがたい。であればいまの段階でもって、公害はどうしても出るんだ。少なくしてもらわなければならぬ。しかしそれは、何とかして被害を受ける者が少ないところに持っていくべきだ。たとえば、私一月の二十五日に大石前の環境庁長官とお会いいたしましてお話ししたときに、大石長官ははっきりこう言われておった。伊達は非常にいいところだ、私もよく知っている、ああいうところに火力発電所を建てるということは個人としてははっきり反対だ、こういうふうに申されて、それが道議会レベルでの伊達火力についてのなかなか慎重な論議の糸口になったので、これは私感謝しておりますけれども、とにかくそういったふうな種類のものであるということをまず頭に入れていただいて、その上で私はこの火力問題についてお考え願いたいと思うのです。  われわれ決してむちゃな主張をしているつもりはございませんということなんですが、さて、たとえば北海道新聞の九月五日でございます。これに北海道の高級官僚が、道議会での強行採決が訴訟問題にまで発展している伊達火力発電所建設問題のような混乱を避け、今後は道民のコンセンサスを得た上で電源開発を進めたいとの基本方針をまとめた。なぜまだ火力が建っていないのに、伊達の場合に——今後立地条件については煮詰めていく。人々には被害が起こらないところ、産業に被害が起こらないところ、こういうところをさがしていくと言っているのです。今後はそうするというのです。なぜその今後の中に伊達火力も入れていただけないのか。われわれはそういったことを十分いろいろな資料を出しましてお願いしているのだけれども、ついにわれわれが心から納得できる、あるいは待てよ、ひょっとしたらわれわれの意見よりも道の御意見あるいは北電の御意見のほうが正しいのかなというふうなことすら一つもいままでにない。そういうふうに私はこの場で断言してよろしいかと思います。  そして、事前調査についてなんですけれども、たとえば北海道の公害研究所所長で向後鉄太郎という方がいらっしゃいます。この方は市のお招きで伊達市にいらして講演なさったのですが、少なくとも事前に建てるか建てないかを予測せず、三年間の事前調査が必要である。その上で建てるか建てないかを論議して、そして立地とすべきである、こういった結論を申し述べております。しかし北電が行なったところの大気の事前調査ですが、日本気象協会に依頼いたしました。これはしろうと目に見ましても非常に期間が短く、しかも反対が起こってから、意地悪くいえば、申しわけ的に行なったものにすぎない。常識として長期間、三年間、そしてあらゆる気象条件下におけるデータを集めなければ、どのような局地的な被害が大きく起こり、全部とは申しませんが、一部の収斂現象だとか対流現象なんかが起こるところの農家の方々あるいは果樹園の方々を、どんなに泣かせるかということの予測がつかないじゃありませんか。そういうことを十分なさっていないという問題が事前調査についてはございます。  それから権威ある機関で行なわれた水産資源保護協会による漁業影響調査報告なんですが、長くなりますので項目だけ申し上げますと、まず調査費用が全部北海道電力株式会社から出ております。一千万です。それから使用したデータはほとんど北電の息のかかったところの会社ないしその他の資料からデータとして使われております。それから研究員の構成に関しては、漁民たちがこの先生を入れてくれという要望を出した四人の先生、名前もわかっておりますが、これは全部はずされております。調査員は七名でございますが、これは水産庁研究所グループで、漁民にとっては最も重要な拡散範囲を担当したのは水産庁の方ですが、これらのスタッフの方々が、温排水の有効利用の研究グループでもあるということが、私たちには何となくその結果についても疑惑を持たざるを得ないその端緒になっております。  具体的な中身を申しますと、現地調査というものが非常に短い期間、四十六年の九月十四日から二十八日にしか行なわれていない。資料の多くは、当初の予定では、今後現実に実際の観測を行なってやるのだというふうになっておりましたが、でき上がってきた結果は、過去のデータの解析を主とする、こういうふうになっております。それから現地調査にいたしましても非常に名ばかりのものであるということ、目視観測にいたしましても、立地点の場所じゃなくて西浜というところから行なっております。人工クラゲ漂流については、さっき野呂さんが申し上げたとおりです。  それから温排水理論についても数多くの疑点がありまして、これはめんどうですから結論だけいいますと、北海道でもって温排水によって予測されるところのホタテのラバ、これの被害は四・六%である。しかしその報告書をそのまま計算いたしていきましても四六%になるわけですね。そうしたら、あれは間違いであった、ミスプリントであった、そしてここの数字がこうなるのだというふうな形で改ざんいたしまして、また四・六%に戻ったという事実がある。こういったふうな調査結果で、伊達漁協の海域にはやや被害があるが、有珠漁協には全然被害がないというふうなことが、はたして信頼できるものかどうなのか。それから平野式の計算について申し上げますと、七百八十メートルの温排水拡散、これは信用せよとおっしゃいますけれども、同時に計算いたしました屎尿処理場の汚染範囲は二十メートルと計算されております。しかし多くの漁師たちが非常に腹を立てることは屎尿処理場の汚水によってよごされている海域は計算した二十メートルどころか、大体半径三百メートルには及んでおるというのが経験的にははっきり言える、これは目で見ればわかります。前はコンブが非常にたくさんはえていたところが全然はえなくなって好漁場が失われているというふうな事実からも申し上げられるわけです。こういったふうな事前調査がもとになってはたして、地元住民火力に賛成するところまでは無理としましても、納得がはたして求められるものなのかどうなのかということを申し上げたいと思います。  防止協定については、開花期、これは初めは壮瞥の果樹園を中心といたしまして、開花期には〇・八%の重油をたく。そのうち壮瞥それから洞爺村のほうの、あるいは虻田の高級菜豆——北海道の豆は非常によろしゅうございますから、その開花期にも〇・八%をたかなければならぬだろうというふうな形で、壮瞥町と虻田町の公害防止協定伊達市と結んだ公害防止協定とちょっと変わりまして、〇・八%重油のたく期間が長くなっている印象を与える文章になっております。  それから温排水の測定でございますが、これは立ち入り検査と測定ですか——測定のほうは、伊達と有珠と、それから市と会社とが調査委員会を設ける。それから立ち入り検査につきましては、市が必要と認めたとき——正確な文章そのままじゃございませんけれども、市が必要と認めたとき立ち入り検査ができる、そうして市が必要と認めた者を立ち入り検査に加えることができる、こういった条項になっております。  それから周辺市町村の状況を簡単に申し上げますと、七月の十一日に近接市町村長の集まりがございまして、それから以降わずかの期間にばたばたと公害防止協定が各町村と結ばれました。ところがそれについても非常に多くの不満を各町村の人たちが持っておりまして、そして署名運動の数からいくとたとえば八〇%、あるいは七〇%、六〇%というふうな形で反対の住民の意思がございますけれども、それは一応抜きにいたしましても、たとえばお配りいたしました新聞の資料のところにございますけれども、豊浦町長は公害防止協定を破棄したい、それから関連市町村の先頭に立って反対運動を続けたいということを明言をいたしております。それから虻田町においては公害防止協定の調印が町役場でできない。二度にわたって流産した。そして温泉の支所でだれも知らないときに北電と公害防止協定を調印したという事実がございます。それについて町議会筋あるいは虻田町民の反対が非常に熾烈をきわめまして、ちょっとした集まりでも四百人ぐらい集まって窓から傍聴するというふうな集まり、その中でリコールの準備が進められていると聞いております。こういったことは実のことを言うと地域住民にとっては非常に不幸なことなのです。不幸なことなんだけれども、そこまで追い込んでいったのは、だれか扇動者がいてためにする活動を行なったせいなのかどうなのか。それとも北電あるいは行政が住民の心を十分くまなかったからそういうところに住民を追い込んでしまったのか。これは意見のあるところだとは思いますけれども、その辺についてもお考え願いたいことだと私は考えております。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 これでやめますけれども、一言だけ。いまいろいろ伺いまして大いに参考になりました。どうもありがとうございました。ただこの予備率の点で全国では七%から八%なのに北海道では依然として一五%から二〇%くらいあるのにもかかわらず、この北電の場合は重油専焼の建設を急いでいるというのは納得しかねるものであり、そのような必要がないものであるということをおもに強く感じた点を指摘して私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  53. 田中武夫

    田中委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  54. 田中武夫

    田中委員長 速記を起こしてください。  土井たか子君。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 まず荘村参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  ただいま北海道の伊達町のいわゆる環境権訴訟というのがもうすでに提起されているわけでございますが、私はこれを非常に重視いたしております。と申しますのは、従来のいわゆる公害訴訟というのは事後差しとめ請求であるとか、事後に対する救済措置という意味での訴訟でございました。しかし、今回提起されております訴訟は、事前の予防をねらうというところに非常に重要な意味があると私は注目をしているわけでございます。  そういう点からお尋ねをするわけでございますが、電気事業、電気事業開発というものは需要に従って考えられるというのが一般でありまして、需要伸びればそれだけやはり電気の供給量というものもふえてくるのはしごく当然のことでございます。したがいまして、従来いろいろございますそれによってもたらされた生活環境の破壊、あるいは生活そのものに及ぼした被害などを見ました場合に、すでに起こっております一番深刻な極端な例というのを、いわゆる前例として考えて今後措置を講ずることこそ予防措置として私はしごく当然の予防措置となろうかと思うのであります。いま御承知のとおりに、四日市裁判の中身、あるいは兵庫県にございます尼崎市で引き起こっております状況、これなどを見てまいりますと、荘村副会長も御承知のとおりでございまして、牛ごろ尼崎市などは、先月の二十七日に市長が尼崎の関西電力のほうに第一、第二の火力発電所稼働停止についての申し入れを悲壮な思いでいたしております。これなんかにつきましても、公害病患者が二千三百二名になって、しかも、ことしの六月以降の四カ月間で三百名も増加するという、夏のたいへんピーク時に引き起こされた状況でございますけれども、しかし、この憂慮する状況の中でもはや黙っておれないで、第一、第二の発電所の停止について申し入れをしているわけであります。ところが関電側は、すでにこの第一、第二については年次計画としてだんだん重油の使用量については軽減していくということ、それから改善計画というふうなものを提出いたしておりますけれども、しかし、これがいまだかつて一度だに守られたためしがないのであります。年々やはり需要量が増加するということで、しかも提供量もそれに従って加速度的に増加していっているというありさまでありますから、その中でもたらされているというのは何といっても地域住民生活に及ぼしている悲惨な状況であります。私はこれを考えますと、四日市の例や尼崎の例が私たちとしては重々考えておかなければならない先例という貴重な意味を持っている。つまり立地条件についてはあくまで徹底的な調査をやって、そうして事後において取り返しのつかない、事後措置ではまかない切れないという問題を残さないように立地段階で、立地の条件についてこれでもか、これでもかというもう十分の措置が私は必要だと思うのであります。そのことについて、今回、これはもうすでに提起されているわけでありますが、伊達町の例の火力発電所設置問題についてはどのようなお考えでこの問題についてはお進めになったかという事情を一つは承りたいということと同時に、私はやはり公共の福祉ということから考えて、しかし火力電力開発というものはどうしてもこの節大事だというふうにお考えになる説がちまたにあることもよく存じております。しかし、その説は公共の福祉という場合の公共の中身には一人一人の地域住民、一人一人の国民というのが忘れられては困るのでありまして、やはり公害防止協定ということを問題にする節には、この住民の立場、住民の声、住民生活というものが中心になった防止協定でなければ、協定の意味を私はなさないのではないかと思うのであります。この今回問題にされております防止協定の中身につきましても、住民がまるですっぽ抜けてしまっているという事情についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということと、三つ目には先ほど参考人意見の中にもすでに出てまいっておりますけれども、豊浦町長が公害協定については破棄したいということを公表なすっておりますが、この事情についてどのようにお考えでいらっしゃるかということ。以上、三点をまず荘村副会長にお尋ねしたいのであります。  それから、さらに今回のこの訴訟については、いわゆる環境権という立場でこの訴訟を提起されているわけでありますけれども、この訴訟についてその持っております意味と、それからさらにこの訴訟について何がポイントとなっているかという点について正木参考人からこれも御説明を賜わりたいと思うのであります。  以上お願いいたします。
  56. 田中武夫

    田中委員長 それでは、順次御答弁を願いますが、ダブった点につきましては、前に申し上げたというようにして、要領よくお願いいたします。  荘村参考人
  57. 荘村義雄

    ○荘村参考人 尼崎の一、二号につきましては稼働停止の要請をしたが聞かない、かつて改善計画は何回も出しても守らぬというお話、一昨年も土井先生からだいぶ尼崎につきましておしかりを受けたのでありますが、尼崎の実情を私承知いたしておりませんので、私は的確なお答えをいたしますことは差し控えさせていただかざるを得ない。しかし基本的には約束したものは守るということでなければならぬ。いろいろ事情があったかと思うのでありますが、残念ながらその辺の事情を承知いたしておりませんので、これ以上申し上げにくい点ぜひお許しをいただきたいのであります。  今回の環境権訴訟は、予防措置という点で非常に大きな意味があるという御指摘でありますが、伊達がどういうことでああいうふうになったかという御質問でありますけれども住民がオミットされておるというお話もございましたが、これも北海道伊達の、従来どういういきさつでなったのか、その辺も承知いたしておりませんので、これまた先ほど申し上げましたように精一ぱいやります、やれるめどがついておるということでお願いを申し上げたいという以上にお答えいたしかねます点をお許しいただきたいのであります。  それから、あの公害防止協定を廃棄せよという主張も出ておるがどう思うかということでありますが、これも私の立場からは答えられない問題と存じますので、これもお答えできませんことを申しわけなく存じます。
  58. 正木洋

    正木参考人 私たちの裁判についてのお尋ねですけれども、非常に簡単なんです。  四日市裁判でもって原告が勝ちましたね。勝ったけれども、原告の方々の談話の中に、われわれ勝ったと思っていない。なくなった命は戻ってこないのだし、失った健康も戻りそうにないのだ。それが戻ってきたら勝ったと言えるかもしれぬ。しかしわずかか多額かわかりませんけれども、金銭が戻ってきたからといって勝ったのではなくて、実は負けたんじゃないか、そういうふうに考えているというふうなお話がございまして非常に印象に残っておりますけれども、結局企業ができて回りの国民が非常に苦しむ、そのときに運が悪かったんだというふうな形でのあきらめムードがいままであったんじゃないか。そうじゃなくて、われわれやはりだめなものはだめなんだ。ちょっと忘れましたけれども、ノルウェーかどこかの新聞記者何とかギボンとかいったと思いますけれども、川崎を視察したときに、なぜこの企業の社長を逮捕しないのかというふうな意見を読売新聞で述べているのを読んだことがございますけれども、われわれが明確に被害が予測される以上は、それについて事前にわれわれの意見を十分に言わなければならぬ。しかしわれわれの意見が十分取り上げられない、どこからも顧みられない。そして着々と住民の間での反対は質的にも量的にも高まっているにもかかわらず、政治的には火力発電所を建てる方向に着々と進行してしまっているというふうな事態のときに、そのギャップですか、住民の気持ちと行政、あるいは住民の気持ちと企業との間、それはだれかが埋めなければならない。埋める方法が何にもなくってしまった。そこで出てきたのがやむを得ずのリコールであり、やむを得ずの裁判問題です。  先ほど環境権というお話がございましたけれども、これは地元住民の裁判にかかわっている者といたしましてはそんな大げさなことじゃないのです。農業がだめになる、漁業がだめになる、多くの人たちが保養地あるいは住宅地として非常に喜んでくれる伊達市近辺の、北海道の湘南といわれていますが、その環境自然状態が破壊されるに違いない、これを何とか食いとめたいというような形で弁護士さんと御相談した。ところが、それは結局環境権の訴訟というふうに法律的には名前がつくんだというふうなお話で、私たちとしては非常に平凡な生活のあるいは環境上の、もっと良好でありたい、あるいはいまある自然を守りたいという素朴な願いから発したものにすぎないというふうに考えております。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 もう時間がございませんから、これで質問は終わりますけれども、一言だけ申し上げておきたいのは、電気事業連合会副会長でいらっしゃる荘村参考人、たいへん失礼でございますけれども、やはり副会長さんでいらっしゃるわけですから、その責任がおありになるだろうと思うのです。電源開発、電気事業についての今後のあり方というものについてはやはり責任がおありになると思います。いま北海道の伊達町で起こっておりますような事情についてもそれなりにやはり御存じになっていらっしゃらなければ、責任のある電源開発ということにはこれから責任をもってやっていただくわけにはいかないだろうと私は思うのです。これは世間一般が注目いたしておる事例でございますから、今後これがどういうふうに取り扱われるかということをみんな注目いたしております。たいへんにこれは注目いたしておりますよ。そのことについて、私は事情をよく存じませんからお答えの限りじゃございませんとか、残念ながら答えることができませんという御答弁ばかりでは、どうも私としては了としないわけであります。したがいまして、やはりこういう電源開発ということについて、責任をもってこれからおやりになるというふうなことを考えてまいりますと、公害対策基本法の法律の中でも、経済の発展との調和を保ちつつ公害は除去するという条項は二年前に削除されております。したがいましてこういうふうなことについても、先ほど環境権ということばはそんなに私たちは大げさに考えていない、生活を守るということでやむにやまれず立ち上がったのだ。住民の声としてこれはそんな大げさなことじゃない。生活権を守るということ、具体的に言うと、それはいまの生活を守るということ、きりきり一ぱいそれなんだというふうな、これは切実な声でありますから、私は現実この行くえというものは非常に重視されるだろうと思うのです。ひとつそういうことを御理解いただきまして、今後この問題については責任ある態度をおとりくださいますように心からお願い申し上げまして質問を終わりたいと思います。
  60. 田中武夫

    田中委員長 次に、古寺宏君。
  61. 古寺宏

    ○古寺委員 与えられた時間が二十分でございますので、簡単に要領よく御答弁を願いたいと思います。  まず最初に荘村参考人にお尋ねを申し上げたいのですが、この公害防除刷新方策、先ほど島木委員からも御質問がございましたが、「急速には環境の改善をはかり得ない現状にある。」こういうふうにお認めになっていらっしゃいます。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 しかしながら、公害病患者に対する救済の充実につきましては国、地方に協力をして充実をはかる、こういうふうに書かれてございます。こういうことではいけないのであって、当然公害発生者である電気事業がみずから積極的に公害病患者の救済に乗り出すべきではないか、こういうふうに考えるわけですが、この点が非常に不満に思いますので、はっきりと今後の姿勢というものをお示し願いたいと思います。  次に、正木参考人にお尋ねしたいのですが、先ほどから伊達地区は非常に環境のいいところである、こういうお話がございました。これはどういう点において環境がすぐれているのか。  次に、そういう環境のすぐれている地域になぜ火力発電が誘致されたのか、非常に私も理解に苦しむものでございますが、そのいきさつについて。  第三点は、現地の医師会が反対しているというお話がございましたが、医師会の反対の内容について、もし御存じであるならばお伺いしたいと思います。  次に、野呂参考人にお尋ねしたいのですが、伊達漁業協同組合の了解を得たように有珠漁業協同組合からも了解を取りつげてあるのかどうか、あるいは話し合いが実際に行なわれたのかどうか、この点についてお答えを願いたいと思います。  以上でございます。
  62. 荘村義雄

    ○荘村参考人 公害病患者の救済は企業の責任でやるべきではないかという御指摘でございます。こんなことを申し上げますと釈迦に説法とおしかりを受けますが、本年六月に公害基本法が改正されましたあの附則で、被害者の救済制度の具体化の措置をとることが書かれております。それを受けまして、現在、中央公害審議会がその対策を練っているところであります。これが決定いたしましたら、私どもその方式に従う所存でありますけれども、それならなぜここへ入れたかということは、そういうこととのほかに従来の公害対策救済制度が、これは公害防止協力財団というものに産業界から出資をいたしまして、被害者の救済に努力して今日まで至っておりますけれども、被害者がふえるということもあり、あの程度の救済では不十分であるという反省もありまして、特に今回の刷新方策ではここに一項入れたのであります。救済制度の決定方式に私どもは従う所存であります。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 正木洋

    正木参考人 これが北海道の地図です。ここが内浦湾です。これが室蘭です。ここいらが伊達になります。ここに火力発電所が建つのです。  先ほどから申し上げましたとおり、年間を通じての風は冬一番室蘭……。
  64. 田中武夫

    田中委員長 ちょっと参考人、ここがあそこがと言ったって会議録には載らぬから、地区の名前を言ってください、ここがどこそこだということを。
  65. 正木洋

    正木参考人 これが室蘭です。これが伊達です。伊達における年間の風向頻度を調べますと、冬、大気の複合汚染が一番心配なときに室蘭に吹く風が一番強いのです。夏、観光シーズンに有珠、虻田に吹く風が一番多い。ここに洞爺湖がございます。洞爺湖方面に風が吹く。それから果樹の開花期に長和、壮瞥の果樹園のほうに吹く風が強いのです。  そういったところで、この地図を拡大いたしますとこのようになります。これが洞爺湖です。これが火力発電所の建つところでございます。それでここに有珠の果樹栽培組合がありまして、こっちには壮瞥の果樹園の地帯があります。これがさつきの豊浦町ですね。これがリコール問題が起こりかけんとしている虻田町です。同じく農協出身の町会議員がやめるやめないで非常にもめております壮瞥町です。これが伊達市です。ここにしるしをつけた赤いしるしのところが、市がおもに分譲住宅をつくっている北海道でも珍しい住宅地なんです。ここは売り出しますとあっという間に売り切れるのです。それからダイダイ色のところ、ここにもございますけれども、これが北海道でも非常に著名な保養施設になっております。病院もございます。  大体こんなふうな地勢を頭に置きながら簡単に御説明いたしますと、環境がすぐれているということなんですけれども、たとえば室蘭の汚染地帯の小学校で大和小学校というのがございます。そこらの子供たちは、皆さんのお手元に配りました新聞記事にもございますように、毎年夏にグリーンスクールといいまして、小学校の生徒が伊達にやってくるのです。やってきて、一週間ぐらい非常に伸び伸びと自然と親しみ、楽しんで帰るわけです。ところが室蘭ですからぜんそく児童が非常に多いのですね。そのぜんそく児童が伊達に行くときに母親は迷うわけですよ。出せば友だちあるいは先生に迷惑をかけるのじゃないか。でも子供が行きたがるので出しますね。懇々と先生にお願いするそうです。こういう発作が起こりそうになったらこの薬を飲ましてくれ、この薬はこういうふうに飲ましてくれ、おふろには入れないようにしてくれ。ところが行って、子供が自然のいい空気の中であまり喜々として遊ぶので、ためしにだいじょうぶかなと思って最初の目薬を飲まさなかった。次の日また飲まさなかった。三日目もまた何ともない。思い切ってふろに入れてみた。そほでも全然何ともない。一週間のグリーンスクールの日程が終わりまして室蘭に帰るとき、普通の子供でしたら、久しぶりに父親、母親のところに帰れるのですから喜びそうなものなのに、先生もう少しここにいようよと言うというふうな話が出されたことを伺ったことがあります。結局伊達というのはそういった種類のところなんです。  また農業でいえば、これは冷害知らずの農業地です。火力が建つ地元の長和の農民はほとんど八〇%が結束して反対運動をやっておりますけれども、あれだけの農民が自分たちの農業を大切にしながらがんばるという理由は何かというと、北海道全体の中の離農離村率が一番低いのです。伊達の農業がだめだったら北海道の農業はだめだというぐらいの土地柄でございます。北海道でもって北方性栽培漁業の魚貝生産を含むところの基地としても最も著名なところであります。  こういったふうなわけで、北海道の中で、ちょっと記憶があいまいですけれども、たしか十八カ所だと思いますが、だんだん人口がふえているところの過疎になっていないところ、その中に伊達市もきちんと入っております。  伊達市の環境が非常にすぐれたものであるということはそれくらいにとどめまして、ではなぜそんなところに誘致したのかといいますと、これは市長さんにお目にかかって何回かお話ししておりますので、非常に簡単に申し上げますと、室蘭市が火力発電所建設をお断わりになったのですね。伊達市といま問題になっている豊浦町とが誘致合戦をやって、伊達市の勝利になったわけです。ところが伊達市が勝利したのはいいのですけれども、その当時市長さんは、はっきりと公害についての認識が足らなかったと、こうおっしゃっております。企業が来れば、まして火力なんて大きいものが来れば町が発展すると素朴に信仰していた。しかしいまは火力が来ても何も伊達市のもうけにはならぬ。だから新鮮な電力を持つ火力を呼んできて、関連企業を呼んで、そちらでもって町の充実発展をはかるのだ、こうも申されております。  企業誘致のとき、もちろん当時の町議会の委員たちが本州の火力発電所を視察いたしました。たとえば私たちよく申し上げるのですけれども、横須賀の空は青かったというこの名文句が大体誘致の決定につながった発言のようでございますが、正直言って亜硫酸ガスというのは目に見えません。というふうなことも御存じなく伊達火力の誘致がきめられたというふうな事情があったわけです。したがって、その当時賛成しておりながらいまは反対に回っている方々が政界の中にあるいは財界の中に多数いらっしゃるというふうに申してよろしいかと思います。  最後に医師会ですが、そのような特性のあるいい土地柄でございますから、ここを守らなければ医者としての良心に反するというふうな形で非常によく御勉強なさって、そして市にも申し入れしていただき、道にも申し入れしていただき、道医師会の問題としても取り上げていただきというふうな形で、非常に冷静なしかもじみちな、はででない、政治問題に毒されない、そういった形での尊敬すべき活動を胆振西部医師会が行なっているというふうに申し上げておきます。  以上です。
  66. 野呂儀男

    野呂参考人 伊達漁民の了解を得ているが有珠漁組の了解を得ているのかという御質問でございますが、御承知のように、十二月三日の日本水産資源保護協会の中間報告において有珠には全然影響がないんだということが出て、それで有珠には影響がないんだからということで、了解どころか話もしないというような現状でございましたが、反対運動が強まるにつれて、道議会内の知事の答弁で、有珠にも影響があるんだということで有珠の了解をとらないうちは電調審にかけるようなことはしないというような約束がございました。ところが、御承知のように強行採決というようなことでこれは立ち消えになったというようなことでございます。それにも増して、過日の市議会の中で、いまの取水口と、それから小さい湾、二千トン級の船が入る港をいまつくる予定になっております。これが諮問されて、可決されました。それは有珠と、いま養殖をやっているところから約二十五メートル離れたところにこれが設置されるわけです。それに対してでも、有珠漁業協同組合には何の話もなく、やはり影響がないんだという一点ばりでございました。  以上でございます。
  67. 古寺宏

    ○古寺委員 それではもう一度荘村参考人にお尋ねを申し上げますが、先ほど現行の被害者救済法では非常に不備である、そういうことで今回この刷新方策の中に公害病患者の問題をお載せになったというお話がございました。現在公害病の指定地域でない地域にいらっしゃる公害病患者というものは全く救済されていないわけでございます。こういう方々に対して、その中には火力電力が大きな公害源になっている場所がたくさんございます。地域がたくさんございます。そういう公害病患者を、いわゆる中央公害対策審議会の結論を待たずに救済してあげてこそ刷新方策であるというふうに考えるわけですが、この決定がない限りはそのまま放置しておくお考えでございますか。
  68. 荘村義雄

    ○荘村参考人 どの程度の救済をするのが妥当であるかという問題、複合汚染の場合はほかの企業の考え方もございましょうから私どもが一人で走るというわけにはいきにくいむずかしい問題でございますから、中央公害審議会の結論が出ましたら、それに従いたいというのが私どもの気持ちでございます。
  69. 古寺宏

    ○古寺委員 繰り返してお尋ねしますが、そうしますと、いわゆる公害病に対する、公害被害というものに対する責任はどういうふうに電気事業連合会ではお感じになっていらっしゃるわけでございますか。
  70. 荘村義雄

    ○荘村参考人 農産物、漁業関係人体に私ども排煙影響がありますものは私どもの責任だと考えております。ただコンビナートの場合などは非常にその辺がむずかしい点があろうかと思いますので、被害には私ども責任を負う立場でありますけれども、負い方はいろいろ複雑でございますから、その辺私の発言御不満であるかと存じますが、御了承いただきたいと存じます。
  71. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは具体的に一、二の例を申し上げますと、富山の火力発電所あるいは八戸市の火力発電所、これは主として火力発電が非常に亜硫酸ガスの汚染源になっておるわけですね。こういうところでは現在公害病患者が発生しております。しかし指定地域でないために公害病患者の救済というものは現実には行なわれていない。野放しになっておる状態でございます。しかも八戸市の場合には今度新たに四号基が稼働いたしました。試験稼働中からもう環境基準を常にオーバーしている、こういう問題について電気事業のほうでは一体どういうふうにお感じになっていらっしゃるのか。審議会の結論が出て、新しい制度ができたらそれに対しては協力をする、しかしそれまでは公害病患者はそのままにしておくしかないのだ、こういうお考えなのか。もっと主体性を持って電気事業がみずから反省をし、そういう公害病患者に対してはあたたかい救済の手を差し伸べてあげよう、そういうお気持ちを持っていらっしゃらないのか。その点についてお尋ねしたいと思うわけなんです。
  72. 荘村義雄

    ○荘村参考人 現在指定地域以外に公害病患者が発生しておるやに私ども承知しておるのでありますが、今後その点につきましても指定地域を広げるという方向で取り進められているやに承知しておりますが、きまるまでほっておいてよいのかという点は、私は決してほっておいてよいとは思いませんけれども、さて具体的にどうするかという点になりますと、簡単に電気事業だけの考え方で対処しかねる点があろうかと存じます。
  73. 古寺宏

    ○古寺委員 最後向坂先生にお尋ねしたいと思うのですが、今度の、いま進められようとしている伊達火力発電所公害が出るというふうにお考えでしょうか、あるいは公害は心配ない、こういうふうにお考えでしょうか。非常に極端な質問でございますが、御意見を承りたいと思います。
  74. 向坂正男

    向坂参考人 私は別に伊達火力について知識を持っておりません。現地も知りません。風の方向その他いろいろ論議はございましょうけれども、そういう実情もよくわかりませんから、いまのことにお答えする資格はないものと考えます。
  75. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは煙突の高さ二百メートルとかあるいは重油の一・七%とかいろいろお話がございました。そういうような先ほどからの各参考人の御意見を通してはどういうふうにお感じでございましょうか。
  76. 向坂正男

    向坂参考人 高煙突化一つの低硫黄化対策だと思います。しかしこれはすでに東京湾とか大阪のような、そういうところは要するにお互いにしわの寄せっこですからだんだん意味がなくなってくると思いますけれども、こういう単独立地の場合には高煙突化ということも一つの有効な手段と考えます。それから同時に、その場合でもサルファ分が低いほうがいいわけですから、この公害防止協定の中に見られるようなサルファ分であれば、おそらく環境基準からはそれ以下のものではないかというふうに私は聞いております。
  77. 古寺宏

    ○古寺委員 では、時間ですから終わります。
  78. 田中武夫

    田中委員長 どうも御協力ありがとうございました。  次に、西田八郎君。
  79. 西田八郎

    ○西田委員 質問に入ります前に、四参考人方々、公私ともにお忙しいところたいへん御苦労さんでございました。  現在電力問題は非常に重要な問題でございまして、GNP伸びれば伸びるだけ電力需要がふえていきますし、といって、要請にこたえて発電をすれば、それだけ自然破壊、健康被害、あるいは原子力発電等におきましては非常にまだまだ未知数のものがたくさん残されておるというようなことで問題が山積をいたしております。そこで、それでは電力を被害が出るからとめるかということになりますと、現在ほとんど電化されました家庭生活というものはこれまた非常に環境が変わってしまうわけで、その辺をどうコントロールするかということが非常に重要な問題の私は焦点ではなかろうかと思うのです。いま伊達発電所の問題が出ておりますけれども、では伊達発電所を全面停止した場合にそれだけの電力をどこで補っていくのか、これまた代替地域の問題が出てくるわけで、そこでも反対されるとなると、もはや日本の国内では発電はできなくなるというようなことで、結局関係者それぞれに公害のない、いわゆる健康被害のない、自然破壊のない発電というものを考えようというのがいま一致したみんなの見解ではなかろうかと思うわけです。おそらくきょうお見えの伊達のお二方も、公害さえなければそう強い反対をされるわけではないのですけれども、その辺に問題があるように思うわけであります。  そこで、最初荘村参考人にお伺いをしたいのですが、本日配付されました「公害防除刷新方策」、これが四十七年ですか、ことしの八月三日、二カ月も前に策定されたことになっております。その三ページに「公害防除年次計画の見通し」というのが書いてあるわけですが、何年後にどうするということは一体どうなっておるのか。先ほどのお話では、昭和五十五年に全体の硫黄分については〇・五PPMということで、現在の二分の一に減らしたいというような御説明があったように思うわけでありますけれども、五十五年といいますとまだこれから八年先であります。そこまでいかなければできないのかどうか。この辺年次計画をもっと短縮をして、そして公害をなくするということを積極的に進める御意向を電力事業協会としてお持ちなのかどうか、そういう点についてひとつお伺いしたいのが一点。  それから脱硫ということがいわれましてからずいぶん長くなるわけでありまして、もともとこういう問題はもっと早くから開発し、むしろ脱硫開発されてから重油をたくということのほうがより人間的ではなかったかと思うのですけれども経済情勢それを許さずということで高い硫黄分であることを承知の上でたいてきたわけですね。ここに私は問題があるように思うわけですけれども脱硫装置といいますか技術というものを開発されておるのは、一体何年ごろには人体に対して健康被害を与えないという程度脱硫ができ得るようになるのかどうか、その辺の見通しがあるのかどうか、非常にむずかしい問題ですけれども電力会社としてはこの問題に真剣にお取り組みになっておると思うのです。本年度の予算を見せていただきましても、約七百億円という公害防除費用を組んでおられるわけですが、そういう点についての見通しをひとつお伺いしたい。  次に、向坂参考人にお伺いをしたいわけですが、電力消費量、先ほどのお話でありますと、九・四%、約一〇%ずつ伸びていくであろうというふうに考えられておる。しかしそれは伸びるということで野放しにするわけにはいかない。そこで、電力の消費量の節減ということも少し考えなければならぬというようなことでありますけれども、一体その節減の方法に何か方法があるのかどうか、ひとつその辺について御造詣の深い先生からお話を承りたいと思います。  次に、電力料金について格差をつけたらどうだろうかというお話がありましたけれども、私は、電灯を使うものの料金というのは多少の格差をつけてもらったって、そんなものは公害で受ける被害のほうが大きければ何のプラスにもならないと思うのです。むしろその公害防除ということをもっと設備的にも技術的にも研究をするというための費用を生み出すということであるならば、私は大口電力いわゆる電力と電灯との料金格差というものをもうちょっと考えてみてはどうだろうか。本日お配りになりました電気事業のパンフレットを見てみましても、昨年の決算で供給が、電灯が二一・一%、電力が七八・九%、約三・七倍の供給をしておられるわけでありますが、収入面でこれを見てみますと、電灯が三七・二%、電力が六〇・一%、約一・六倍の収入にしかなっていない。逆算すれば結局電灯が電力の四倍払っているということになると思うのです。したがって、その辺のところでもう少し考えるということがなくてはならないのではないだろうか。現在日本経済、円が高いとかなんとかということで外国から、四面楚歌ということばがありますが、全くそのような状態になっておるときに、もう少しそういう面で——生産面でただ安いものをつくって海外に出せばいいということだけでは経済的にも破綻を来たすのではなかろうか。そんな意味で、もう少し企業の公共性、社会性という意味から考えても、そうした点を分担すべきではなかろうかというふうに思うわけでありますが、これについてどうお考えになるか。  三点目に、今後もやはりどういいましても電力需要伸びていくわけでありますから、その伸び電力需要を満たしていくためにはやはり電源開発をしなければならない。電源開発ということになりますと、水力、火力、原子力と現在考えられるものに三つあるわけです。ところが水力は大体限界点にきておるのではなかろうか。ダムをつくるということで自然破壊という問題も出てまいります。さらに火力は今度はいま問題になっておりますような人間に対する健康被害という問題が出てくる。原子力は、これは被害そのものが未知数であるし、一たん起こせば取り返しのつかないような問題に発展するのではなかろうかというふうに思うわけで、三者三様にそれぞれメリット、デメリットがあるわけでありますけれども、それについて向坂参考人として今後重点を置くべき電力開発の重点は何に置くべきか、どの種類に重点を置くべきかという点についてどうお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。  最後正木参考人にお伺いするわけですが、まあ反対運動で非常に御苦労をしておられるわけでありますが、この問題先ほどあなた自身もおっしゃったように、国政に入ってくる前にやはり市政、道政という中で解決しなければならぬ問題が私は非常にたくさんあるよううに思うわけです。ということは、何といいましてもやはり北海道電力としては、市長が公害防止協定に調印をしてそして誘致に同意したということになりますと、なかなか行政的にもむずかしい問題ではなかろうかと思うわけです。したがって、この問題について一体道議会なりあるいは伊達市議会がどういう態度をとっておるのか、あるいは道知事あるいは伊達市長は一体どういう処置をするように皆さんにお答えをしておられるのか、その答えが気に食わないからここへお見えになったのだろうと思うのですけれども、ひとつその辺のところをお聞かせいただければと思います。  以上、各参考人に対しまして質問をいたしましたが、お答えをいただいて終わりたいと思います。
  80. 田中武夫

    田中委員長 順次御答弁願います。  荘村参考人
  81. 荘村義雄

    ○荘村参考人 第一点の公害対策の見直しという点でありますが、五十年で、あるいは五十一年で〇・五程度、これは現在の半分を目途にいたしておりますけれども、見直しをやってもっとそれを早くよくでき得ないかという御質問、ごもっともであります。見直しをやらせておりますが、何せ発電所の数も多うございますので、まだ各社別に集計いたしまして、それを電気事業連合会まで持ち上げます段階には至っておりません。しかしながら公害を早くなくさねばならぬことは至上命令であることはあるかもわかりませんが、見ましてまだまだ早くよくできるような施策が、技術がありますならば、さらに促進をすることで御期待にこたえたいと思っております。  それから第二の、いろいろ排脱やらその他やっているが、何年ごろに人体の害がなくなるかという非常にむずかしい、しかし大事な問題でありますが、この点につきましては陳述中にも申し上げましたとおり、ナフサのなまだきを大量にやりたいと思っております。これは〇・〇三というのでありますから、公害大気汚染防止に大きく貢献すると存じます。それからローサル原油のなまだきもさらに拡大をいたしますことで対処する、そういうことで五十年度、五十一年度が〇・五という目標にいたしておるのでありますけれども、排脱は現在三十五万キロ規模でありますが、どうやら実力のめどが立ちましたので、逐次地域の実態、良質燃料確保とにらみ合わせながら漸次ふやしてまいりまして、五十年度では三百七十万キロ、五十一年では四百八十万と計画しておりますが、これは最低線だと御理解いただきたい。私はもっとやらねばいけないと感じております。何年ごろに人体の害がなくなるかという問題、私はしろうとで、医学的な知識もなければならぬかと存じますので、ちょっとお答えいたしかねますことをお許しいただきます。  それから、大口電力の料金が家庭に比べて安いという御指摘がありましたが、そういたしまして、公害対策をまかなうためにも大口電力の料金をもっと高くせよ、こういう御意見を拝聴いたしましたが、この点は先ほどどなたでございましたか、御発言がありましたときにお答えしたのでありますが、それらを含めまして、現在通産省の公益事業局が中心に今後の電気事業のあり方についてせっかく検討を進めていただいております。なおこの問題は電気事業審議会にかけるという点も出てこようかと存じますけれども、ともあれ現在私のほうも内々やっております。内々と申しますのは、あまりはでにやりますと電気事業は料金値上げを考えておるぞとすぐ批判を受けますので内々やっておりますが、こういうことも打ち合わせて今後どうすべきか、公益事業局の御指導も得て対処せねばならない大きな問題だと感じております。
  82. 向坂正男

    向坂参考人 第一の電力の消費節減でございますが、私は先ほどはエネルギー全体のことを申し上げたつもりでございます。しかしそれについてもおそらく相当いろいろな手段、それぞれの効果は小さいように見えても、いろいろな手段を講じて長期的に考える以外にはないのじゃないかと思うのです。  電力につきましては別にいい知恵はございませんけれども、先ほど申し上げたように、アルミ産業、鉄あるいは石油化学といったような電力消費産業の海外立地ということを考えることが一番有力な手段かと思います。しかし工場用の電力にいたしましても、この間スウェーデンの科学院の院長が来られたときに、スウェーデンで電気の消費効率の研究をやったところ、たしか二割か三割かこれを節減する可能性があり、そういう実績も出てきた、そういう話もありましたので、なおこれは私どものほうの研究課題にしたいと考えております。  第二の料金の問題ですが、地域格差をつけるということは先ほどの公平の原則からいってなかなかむずかしいかもしれませんけれども、私はむしろ大口電力、特に多消費産業に対する優遇を——これは大部分が原価主義だと思いますけれども、その料金については再検討の余地があるんではないか。これはそういう産業の電力コストは、全体のコストに占める割合はそう大きくないのですけれども、しかし絶対額にしますと、もうすぐ利益額と匹敵するというようなことですから、これもある程度漸進的にやらざるを得ないと思いますけれども、そういった料金体系を環境問題と資源不足あるいは地域間の不均衡、そういった新たな視点から検討し直す必要があるかと思います。  第三の電源開発ですけれども、私は長期的に見ますと、これは資源問題からいってやはり原子力特に増殖炉からさらに核融合へ続けるというのが基本的な対策かと思います。しかし当面は相当程度火力に依存せざるを得ないわけですが、同時に水力は限界があることは御承知のとおりですが、私はやはりここで日本の地熱発電といったことはまた見直す必要があるのじゃないか。なかなかこれはコストが高いのですけれども、十分な調査をしてもっと安定的な地熱の利用ができる個所もあるのじゃないかと思いますが、そういったことも新しい視点として検討し直す必要があるかと思います。
  83. 正木洋

    正木参考人 一般論になりますけれども火力発電所を建てる場合に住民の理解がない火力発電所建設というのは不幸だと思うのです。ところが住民の理解ということはやはり末端の行政単位の議会の過半数というふうにとらえるのがまあ普通でございましょう。やむを得ない点もあると思うのです。ただ大きく火力の反対の動きがうねりのように大きいところ、これは議会の過半数とは別にやはり住民の側で何らかの問題があるのじゃないか。たとえば先ほど環境基準の問題がございました。環境基準以下だからだいじょうぶだ、あるいは閾値以下だからだいじょうぶだというふうな御説明をしばしばなさるわけです。それを全く信じられるならば住民反対運動は起こらぬと思うのですよ。たとえば汚染最高の川崎市、あそこの汚染最高の大師地区ですか、あそこですら環境基準を上回ることはややです。環境基準を下回っていて人体あるいは農業、漁業に大きい被害があるところをあげてみろといったら無限にあがると私は思うのですよ。要するに申し上げたいことは、住民が納得する、理解するということは必ずしもその市議会、町議会の過半数だけが問題なんじゃないだろうということをお考え願いたいと思うのです。  それからもう一つ伊達の場合でございますが、有珠の漁協のほうは野呂さんがお見えになっております。伊達の漁協のほうはことしの五月の三十日だったか三十一日だったか、漁業権一部放棄によって伊達火力発電所建設を認める三分の一、四十三票でしたか。そうすると伊達漁協の漁民は伊達火力に賛成なんだという結論は当然容易に引き出せると思うのです。しかし実は伊達漁協の就業人口を見ますと非常に老齢化しておりまして、その方々はもう漁業をやめたい。やめるときにいいボーナスになるのじゃないかという形がなかったとはいえないと思います。一説によりますと、反対派四十三名の伊達漁協の総水揚げ高に対する寄与率ですが、これは六五%、ちょっと低目に私は申しております。六五%はあるだろう、こういうふうに言われております。これから海に生きる者は反対なんだ。だけれども、これからもう漁業をやめて、もう年をとったし七十になった、やめたいというのが賛成なんだ。そうすると、一般的に見れば百三対四十三ですから、これははっきり伊達漁協は伊達火力に賛成なんだととられてもしかたがないと思います。しかし海に生きようとする人間の心のこもった一票と老齢化している方の一票とはたして同時に見られるものかどうか、そういったようなこともございましょう。虻田町議会では十対九で通過しております。伊達の場合には残念ながら四、五票の反対しかございません。しかしその中身については私たち、長和のある農民の意見に非常に集約されておると思うのですが、たとえば農政課長を水産課長に持っていくというふうなことについては市長ないし市議会に一任してある。しかしおれたち農民の命と生活まであずけた覚えはない。もしそういったふうなことに関連する火力であるならば、たとえ市議会の決議がどうであろうと農民は発言するだけの権利は残されているのではないか、そういうふうに考えております。
  84. 西田八郎

    ○西田委員 もう時間がありませんから終わりますが、ただ誤解があると困るので、電力事業協会のほうは大口電力とのバランスをどう考えるかということを私は向坂参考人にお聞きしたのであって、小口電力料金を上げなさいということを極端に私は言うておるわけではないので、その点は理解をしていただきたいということと、正木参考人にですが、私はそういう住民運動というのはそういうものだと思うのです。だからこそやっておられるのだと思うのですけれども、ただ状況が聞きたかったということだけでお伺いしたわけです。終わります。
  85. 田中武夫

    田中委員長 次に、米原艇君。
  86. 米原昶

    ○米原委員 本日は参考人方々の非常に貴重な意見を聞かせていただきまして、心から感謝します。  時間がわずか往復十分ですから、特に伊達火力の問題については非常に問題点が明らかになったと思うのです。正木参考人野呂参考人にほんとうを言うともっと聞きたかったのですが、時間もありませんし、問題点はほぼわかりましたから、時間の関係上省略させていただきます。  荘村参考人にお聞きしたいのですが、先ほどから各委員の質問に対する答弁で、どうも私了解できない点が多々あるのです。四日市判決に対する電力業界の姿勢が私は問われているような気がしました。たとえば四日市判決に対して中部電力がとった態度、あれは正しいと思われるかどうか、これ一点だけ聞きたいのです。  それから先ほどの御説明の中で、窒素酸化物の問題についての技術開発がまだ進んでいないので検討中であるというようなお話でしたが、そうだとすると、発電所設置する場合、窒素酸化物に対する対策は現在の段階ではもう万全の策などとうていとれないというふうに理解していいかどうか。この二点答えていただきたいのです。  それから向坂参考人にお聞きしたいのは、総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会で策定した低硫黄化計画です。これは計画どおり達成できるでしょうかどうか。この計画を見まして、地域別に低硫黄燃料の必要量を想定しておりますが、地域区分が必ずしも明確でないのでお聞きしたいのです。過密地域とか既汚染地域、事前予防地域、こういうのは具体的にはどういうところをさしているのかということを聞きたいのです。それから、それにしましても四日市判決などによって、この現行計画はすみやかに改定されなければならないと思いますが、現行計画では目標汚染度に一時間値の九九%値を用いて、これを〇・二〇PPMとしております。しかし厚生省当時の生活環境審議会の専門委員会の考えを採用するなら、これは〇・一〇PPMにすべきだと思うのです。すでにもう川崎市はその予定で計画を立てて、それが実行できないならもう工場を川崎からどいてもらうというまでの強硬な計画をいま立てて進めております。そういう点から考えましても〇・一〇PPMにすべきだと私は思うのです。そうしてこうした基準を四十八年ないし五十年に達成することはどうすれば可能か、どう考えておられるか、これだけを質問したいと思います。
  87. 荘村義雄

    ○荘村参考人 四日市公害判決についてとった中部の態度は正しいかという御質問だったかと存じます。二十四日に判決が出まして、あそこは六社が被告になったのでありますが、五社は翌日控訴を取りやめ判決に従うという決意をきめましたのに中部電力が二十八日になったという点の御指摘だろうかと存じますが……(米原委員「そのときの発言もあります、中間における」と呼ぶ)このおくれました点は、私どもから見ますと、中部電力自体にはいろいろ理由があったかと存じますが、もし発電停止というようなことにまで発展したら、ちょうど当時関西電力が大型の機械二台故障でとまりまして需給逼迫いたしまして、中部電力から応援をしておりましたという関係との関連もあって、加藤社長非常に頭をあれこれ痛めまして、とめたらどうするかというその融通関係に日がかかったと存じますが、おくれたということは率直に、私は望ましいことではなかったと、そのおくれたということについては、私は、もっと早くやってもらいたかったという感じを持っております。  それから窒素酸化物開発がまだこれからだ、そんなら一体これからの発電所の建設にどう対処、万全の措置ができるかという御質問でありますが、これはたいへんむずかしい問題で、世界的にもこの技術の開発はようやく緒についたばかりであります。日本でも、日本の国の研究所、メーカーが取っ組んでおりますが、私どもも一緒になりましてこの開発を急がねばなりませんが、冒頭陳述でも申し上げましたとおり、当面はボイラー改造いたしまして、どうしたら少しでも減せるかという試験改造をいまやっている段階であります。その結果によりましてさらに他の発電所にも改造計画を立てさせることにせねばならぬと、かように考えております。
  88. 向坂正男

    向坂参考人 ただいま総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会で低硫黄化目標とその達成手段の組み合わせについて検討中であることは御承知のとおりでございますが、まだ審議の途中でございます。といいますのは、すでに一部には新聞に何か漏れたようですけれども、四日市裁判以前にいろいろ検討していた数字でございますが、これは現在四日市裁判以後の事態に備えて再検討をいたしております。したがって現在の環境基準の達成、特に過密地域における達成年度をできるだけ早めるという方向で検討し、そのためにどの程度地域別、地区別の低硫黄化目標を立てたらいいかということと、それを達成する手段いかんということを検討中でございますが、私の見るところではおそらく一年、来年度にはそういうことを、いろいろな努力をすれば達成できるんじゃないかという見当をつけております。  それから政府のきめた環境基準につきましては、おそらく将来これはさらにきびしくする必要が出てまいることは当然だと思います。それに対して、それはまだ政府としてもきめておりませんので、この低硫黄化対策部会としましては、相当なテンポできびしくするということを前提にして、その場合に、地域別のローサルファ分別の燃料需要なり、あるいはそれの達成手段について現在専門委員会において検討しているところでございますから、結論は出ませんけれども、しかし事務当局のいろいろな前提を置いた数字を見たところ、第一にいえることは、排煙脱硫重油、石油の多消費産業においては相当積極的にやらせなければならないということ、それから第二には、海外からの原油重油、超ローサルファの原油重油だけにたよっていたのでは足りないので、ミナス級の超ローサルファの燃料を国内でどうつくるか、あるいはまたそれを輸入するか、特にナフサの輸入問題をいま検討しているところでございます。しかしこれも、ナフサやあるいは天然ガスもふえますけれども、こういったことはいわば過渡的な手段、これから三年、五年あるいは七、八年かかると思いますが、その間のローサルファ化の目標を達成する過渡的な手段であって、どうしてもそのあとは国内でみずからその脱硫を幅広くやっていく、排煙脱硫のほかに、重質油ガス化脱硫というような方法を特にコンビナート地域なんかには取り入れてやらなければ、環境基準を現在の半分とかあるいはそれ以下に減らしていくというようなときに、とても達成できそうもないというようなところでございまして、最終的には環境基準をどう引き下げ、それに対する達成手段の組み合わせをどういうふうにしたらいいかは、まだ結論を得ていない、検討中の段階でございます。
  89. 米原昶

    ○米原委員 では、もう時間がありませんが、いろいろ御回答ありがとうございました。  電気事業連合会の方に特に要望しておきたいのです。伊達火力の問題、問題点はかなり、この席上でもはっきりしたと思います。ぜひその北海道に対して、これを中止するとか根本的な再検討、そういう方向電気事業連合会としてもやっていただきたい、こういう要望を申し述べて、私の質問を終わります。
  90. 田中武夫

    田中委員長 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人の各位には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  この際、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————    午後三時五十四分開議
  91. 田中武夫

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 環境庁長官にお伺いいたしますが、前回、ちょうど一カ月前になりますが、この委員会で、環境保全という現在の重要な命題の前に、北海道で残されておった、ただ一つ環境保全、世界に誇るべき地帯であるといわれた大雪山、そのいわば縦貫道路といわれているあの道路の築設の問題でいろいろ長官の御高見を拝聴したわけです。その印象では、これは認めない、もっと十分調査をしてからというような印象を私率直に受けたのでございます。ここに環境庁長官は二代、三代にわたってもやはり範とするに足る、こういうふうに私は自信を深めたのでありますが、終わったとたんに今度はどういうようなことですか。長官と事務次官とその筋が話してすぐこれを認可に踏み切ったということで、北海道あげて驚天動地の状態になっているわけですが、これはいかなる心境の変化なのか、これはいかなる環境保全の考えの上に立ってそれをおやりになったのか、これは重大な問題でありますので、長官の偽らざる告白をひとつ伺いたい。
  93. 小山長規

    ○小山国務大臣 大雪山の国立公園内に貫通する道路をつくってほしいというのは前々からの懸案でありまして、私が引き継ぎましたときにも同じような提案があったわけであります。そこでこれは調査の結果に基づいてということで考えておったわけでありますが、現地の調査は四十五年の七月に一応やりまして、その際には動物についての調査、これは北海道自然を守る会の協力を得まして、その意見も入れたわけであります。それから四十七年の八月には植物関係と地質の調査、これは専門家を同伴しましてその調査をしたわけでありますが、私も現地に参りまして、ルートについてはこれは北海道庁がいっておるルートでは絶対いけない、こういう判断をしたわけであります。  いま申し上げましたように、四十五年七月の調査、四十七年八月の調査、この結果に基づいて計画は変更さるべきであるという指摘をいたしました。そして、それに基づいて新しい計画の提案があったのであります。その内容を検討しましたところ、指摘しました問題点は解消されておる、こう認めたわけであります。  その理由は、私が現地を見ましたときにも、北海道の案ではいけないと考えましたのは、一つは急傾斜地を通っておるということが一つであったわけであります。  もう一つは、トンネルの計画がありましたが、そのトンネルの入り口は低い高山地帯の植物のまばらなところでありまして、もしそこをトンネルの入り口にいたしますと、そこから容易に、自動車に乗った人たちが車を乗り捨てて、そして一番大切な高山植物地帯に入るおそれがある、これは絶対いけない、こう考えたのであります。  それに対しましては、今度の計画は、トンネルを延長しまして、特別保護地区は全部地下で通ることになりますのと、それからトンネルの入り口がいわゆる千古斧鉞を入れざるというような森林地帯でありますので、そこから車を乗り捨てて高山植物地帯に入るということはまずほとんど不可能に近い、こういう判断をいたしたのであります。それから、今度の案ではトンネルの部分が南西に移動しましたので、問題になっておりましたトムラウシ岳以北へ到達するまでに相当時間がかかる、こういう意味で高山地帯に接近もむずかしい。大体こういう理由で、この案ならば自然公園審議会の議に付してもいいのじゃないか、こう判断をいたしたわけであります。ですから、そういう意味で、自然公園審議会の意見を聞く予定でありますが、なおその際に条件をつけましたのは、これは計画路線でありますので、その計画路線を実際、道路に着工する場合にはきびしい条件をつけたのであります。その実施設計ができ上がるつど環境庁と協議をしてもらいたい、それからその際に沿線の自然に及ぼす影響については学者の意見を聞くなど慎重に対処することにせよ、また自然保護上問題の生ずるおそれがある場合には、実施設計の変更やら工法の変更を要求することがあるぞということなどの条件をつけて、それに対して北海道庁もそれでけっこうでございます、こういうことでありましたので、これならば自然保護の面で支障はない、こう判断をして、それでこういう審議会に付議しよう、こう考えたわけであります。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 自然保護上差しつかえないという考えでこれをやったということでございましたら、この四十五年七月の動物関係調査、四十七年八月の植物、地質学の調査、こういうようなものは何日かかってこれをなし遂げたものでありますか。これは事務当局に伺いたい。
  95. 首尾木一

    首尾木説明員 四十五年の調査でございますが、これは動物関係につきましては、そのときに直接にその場所で行なったというものではございませんで、北大の犬飼教授から意見を聴取いたしまして、その犬飼教授の意見に基づきまして、その当時は稜線の上を通る案でございましたけれども、トンネルにするならばその問題は解消するということで、この点につきましてはそのトンネル案ということで解消いたしておったのでございます。今回の案につきましては、これはさらにそれが低くなっておるということでございまして、その関係のあれはないというふうに判断いたしておるわけであります。  それから植物関係のものでございますが、これはことしの夏四日間これについて調査をいたしておるわけでございます。それからなお、調査でございますが、そのときの現地調査だけということではございませんで、実はすでに日本自然保護協会におきまして昭和三十九年に大雪火山群の研究調査ということで調査がございまして、その調査等が判断の資料になっておるわけでございます。  なお地質関係でございますが、これはいま申しました日本自然保護協会の行ないました調査の中にもございますけれども、さらに今回建設を担当いたします北海道開発庁のほうで、そういう地質関係につきましては専門の職員に調査をさせておるということでございます。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 そうなりますと、動物関係のやつは北大の犬飼教授の意見を聴取したのみだ、こういうようなことになったら学術調査ということにならないでしょう。それと植物と地質学関係、これについては四日間やったという、これはまあ調査でしょうが、あれだけのやつをそれでいいでしょうか。もっと少しは入念にやって、しかるべき結論を出してもおそくはないと思う。現に大雪山で周囲を車が通るようになってから、帰化草、いわゆる新しい、そこにはなかった草です、それが中腹まで入ってきて、そしてそれを、そのままやったらとんでもないことになりますから、あとから駆除し、そして現在のようにするまでにおそらく十年近くかかった、五、六年かかった、こういうようなことを聞いておるのです。それをいま道路をそのままじゃんじゃんやったならば、自然と生態学上も変化が当然予想される、こういうようなことに対して環境庁はもっと私は慎重でなければならないと思うのです。どうもこれは大臣が不用意に発言したからその裏づけを官僚もしてやるという、こんな考え方じゃだめですよ。——なら、あなたやってごらん。
  97. 首尾木一

    首尾木説明員 先生のお話にございましたように、大雪山はわが国では非常にりっぱな原生的な自然環境が相当残されておる地域でございます。非常に広大な地域でそういう原始的な自然というものを保っておる状況にあるわけでございます。この公園を今後守っていくにあたりまして、私どもは公園計画というものを持っておるわけでございます。特に大雪山はわが国ではもう圧倒的に大きな地域でございまして、全体では二十三万ヘクタール、しかもその中で特別保護地区というのが、これが三万六千ヘクタールございます。この三万六千ヘクタールという保護地区は、わが国の公園としても、またあるいは世界的な意味におきましても、特別保護地区としては相当広大な地域を持っておるわけでございます。この特別保護地区については絶対にこれを守っていくという考え方を私どもとっておるわけでございます。したがいまして、今回の道路の問題につきましても昭和三十五年当時からすでに問題になっておったわけでございますけれども、案をいろいろ検討いたしまして、その特別保護地区だけはどうしても通さない、しかもその特別地区に入り込みやすい、特に重要な点に入り込みやすいという路線は絶対に避けるということで今回のあれをやったものでありまして、私ども自然保護の立場から申しますと、この大雪山の守るべき地域というものについては十分これを守れるというふうな考え方でおるわけでございます。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 前回の北海道開発庁のいろいろな報告や答弁の中に、これは林業振興上、有利な点がある、また地下資源を掘るためにまことになくてはならないものである、そして過密、過疎の解消のためにもこれは必要なものである、こういうことを言っていたのです。そうすると、いまあなたの言ったようなことになったら、林業上これがいいということなら、切り出して運搬するに都合がいい——自然環境の実態上、私はいかにそれを言っても納得することができない。ましてそこに探鉱、下のほうの鉱物をさがす、そこには優秀なる鉱物があるのだ、鉱床があるのだ、こういうようなことだった。そうすると、その道路をつくってだんだんそれをやっていって環境の破壊にならないのですか。これはならないという確証がありますか。   〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕  大臣、こういうようなことになっておるのです。はっきりこれが答弁になっていた。ところが今度はそれを道路をつけた、それは林業振興上だ、それから探鉱というか地下資源を掘り出すためになくてはならない道路だ、こういうようなふうにして、これが一体自然環境保護になるのですか。  もう一つ。いま三万六千ヘクタール、これは絶対守るんだと言っていたんだけれども、口では守るというのは言えるのです。同じ水島の工業地帯に国立公園があるでしょう。あそこに鷲羽特別地区があるでしょう。あそこの荒廃ぶりはどうですか。あれが特別地帯ですか。もう松さえ枯れているでしょう。その上に展望台をやって、リフトまで行けるようにしてあるでしょう。こういうふうな状態にして自然環境を守るのだ、また口で言ったって、実態はそうじゃありませんか。私はこの点で環境行政が三代目にして、貸し家札じゃありませんけれども、後退したなんという印象だけは小山長官のときに与えてもらいたくないのです。いまの実態だったらまさにそうじゃございませんか。どうなんですか。
  99. 山田嘉治

    ○山田説明員 私からお答え申すのが適当かどうか存じませんが、先般私が林業の振興上必要であると申し上げました答弁にややことばの足りない点がございましたので補足させていただきたいと思うのでございますけれども、もちろん林産物、木材等を搬出する道路として有用であろうということは考えておるわけでございますけれども、同時にこの道路はあの地帯の骨格的な林道と申しますか、そういうような機能を持たせることによりまして、私が申すまでもなく、林業と申すものは切るだけでは林業は成り立ちませんので、植林し、下刈りをするというような撫育の関係の機能を十分にいままでやってなかったのか、いままでやっていてあれだけ破壊する、今後さらに撫育を一そう進めていきたいという観点一つございますので、この前の私の答弁で、切ったものを運び出すだけのための道路であるというような誤解があるといけませんので、その点補足させていただきます。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 鉱業のほうはどうですか。
  101. 山田嘉治

    ○山田説明員 鉱業のほうにつきましては、先般申し上げましたように、現在民間の会社がいろいろ調査いたしておりまして、相当有望な地域であるということになっておりますし、通産省のほうにおかれましても、通産省のほうの関係の審議会で一つの有望な地域だということでお取り上げになっているようでございます。しかし、これは自然公園との関係がございますので、先生御指摘のように非常に大事なところでございますから、どんな場所でも幾らでも掘っていいというわけにはまいりませんで、当然、自然公園の中でございますので、環境庁のほうの許可を得ないとむやみに掘れないものだというように私どもは理解しております。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 北海道開発庁、じゃここにどういう鉱物があるのですか。
  103. 山田嘉治

    ○山田説明員 これは有望鉱物ということになっておるのでございますけれども、ただいま推定されておりますもので申し上げますと、銅、亜鉛、硫化鉄鉱というような資源がございます。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 もう少しよくそれを調べてごらんなさい。あそこで有望なのは硫黄のはずですよ。銅、鉛、亜鉛なんて、そんなものはどこでもあるのです。ここの下掘ったってあるのですよ。そんなことを理由にしてはいけません。あそこは硫黄です。硫黄なんてものは、いま掘ったって、松尾をはじめみんなつぶれているじゃありませんか。そしていま石油、油を輸入して、脱硫装置から出るあの純粋硫黄のほうが輸出用にも実際工業用にも適するのですよ。現在そういうふうに変わってきているのですよ。まして工業用だとか何だとかであそこをつけなければならないというのは、ためにするための詭弁だ。そういうことではいけない。ただ道路をつければいい、土建業者をもうけさせればいい、自然を破壊してもいいんだというような、開発庁がほんとうにそんな開発だけだったら、ないほうがいい。いまそのために関係町村はみんな反対しているじゃありませんか。その反対の声はあなたの耳に達していますか。
  105. 山田嘉治

    ○山田説明員 自然保護上問題があるという反対の声もあることは存じておりますが、直接の関係の三町の町長はじめ、少し離れたところでは帯広、旭川の市長を含めて、ぜひこの道路を促進してほしいという陳情書が最近も私どものほうへきているような状況でございます。
  106. 島本虎三

    ○島本委員 旭川の市長は、初めはこういう計画でなかったから、したがってそれに賛成したけれども、いまは進んで賛成できないといっていますよ。またそんなうそを言う。それはいけませんよ。あれは社会党の市長ですから、あなたより私のほうがツーツーなんだ。そんなうそを言ってはだめです。前はそのとおりです。しかし、いまはこれでは進んで賛成できません、こう言っているのですよ。ただそういうふうに何でもかんでも道路さえつければいい、何でもいい、これが開発だという時代は過ぎたのです。どうもその考えではだめですよ。  大臣、これはもう一回考え直す必要はおありではございますまいか。私はこれに対してはっきりした態度を示せというならば、もういまの場合環境を破壊することが考えられる以上、この計画は中止すべきである。もしそうでないならば、もっと綿密な調査をして後大臣がこれを決定すべきである。そうでない以上、もっと調査を継続すべきである。そして関係町村はじめこれはもういまや押し切ってまでもやるというような時代ではございませんから、いいものに対しては皆さん賛成するのにやぶさかでございませんから、こういうような態度をおとりになったほうが環境庁の品位を保つ上にも私はいいのではなかろうかと思うのです。  私も公害対策環境保全特別委員会委員として、理事として、今回やはりこういうようなことで天下に醜をさらしたくないからであります。まして環境行政がまたうしろ向きになった、こんなことを思われたくないからであります。そしてみんなに喜ばれる、ほんとうに環境保全の行政の実態こそ小山長官の姿勢である、こう思われたいからであります。最近の場合は残念ながら環境行政は後退してないかと思われる節がちょこちょこあるのでありまして、私はこういうような点ではまことに遺憾であります。中でともに環境行政を論ずるものとして、私はやはり環境を破壊するおそれがある以上、これは中止すべきである。そうでないならば、もう一回学者陣営をそろえて、そしていかなる状態でつつかれてもこれはだいじょうぶですよ、この実態を表明してからこれに対して進めるべきである。  その理由は、以前からもうすでに特別保護地帯はだいじょうぶだといっていますが、あの水島工業地帯ができて以後のあの辺の国立公園の実態を見てください。ほとんどあれが実態であるというならば、口では言いやすいけれども、実態は反対だということになってしまうではありませんか。私はそういうような点を考えますから、十分これは慎重にしたほうがよろしい、こういうようなことなのであります。この点について、大臣いかがでしょう。
  107. 小山長規

    ○小山国務大臣 この環境の問題と道路の問題というのはいつも問題になるのであります。そしてこの大雪山道路については長年の懸案でありますので、いずれの日か判断をしなければならぬだろう、こう思っておるのでありますが、私どもが先ほど来申し上げておりますように一番重要視しておりますことは、高山植物の宝庫といわれておるこの特別地域、これに容易に接近できるような道路では絶対にこれは承知できない、もうかねがねそう申しておったのでありますが、今度の案はそこに接近することはほとんど不可能に近い、こういう案でありますから、この辺で判断すべきであろう、こういうことで判断をいたしたわけでありまして、御了承願いたいと思います。
  108. 島本虎三

    ○島本委員 少なくとも私は、長官、了承できない。もっと慎重な態度を要請したい。私のほうとしては、まずこれが生態学上の変化、これは完全にある。それから先ほどの理由の中にある鉱物、鉱山の埋蔵地帯である。この道路ができることによってこれは大いに過密過疎の関係を含めて有効なものであるというこの考え方、これはもう全然私としては否定的です。ですから、こういうようなもののために進めるという考え方はやめてもらいたい。それから生態学上これは完全に変化を来たしますから、その辺についてはもっと慎重にやってもらいたい。   〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕 そしてそのほかに地元の自然保護関係の人はこぞってこれはいま反対でありますから、これはいま環境訴訟じゃありませんけれども、あなたが被告になって訴えられるかもしれないのですよ。日本の環境を破壊する原動力として、あなたが親玉として訴えられるかもしれないのです。その前に環境庁として国民の期待に沿うためにもぜひもう一回再考してもらいたい。そして再考しておる間にほんとうに環境を破壊するおそれがあるならばこれは中止してもらいたい、これを強く要請するのですが、これに対しても考慮する余地がありませんか。
  109. 小山長規

    ○小山国務大臣 いろいろ考えた末のことでそう判断したわけでございますので、御了承を願いたいと思います。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 そういうようなのが大臣の意向であるということはわかりましたが、事務当局として今後事務を進める上からも、大臣がそう言ったことに対して協力するつもりでありますか、もっと考慮しなければならないような事務的な一つの要素がおありと考えますか。これは官房長。
  111. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまの件につきましては、大臣のもとで十分検討した上での結論でございます。ただ、さっき先生からも御指摘がありましたように、いろいろな意味調査が必要だということは私ども十分わかっておりますし、今後のいろいろな問題の処理にはそのような観点から十分取り組んでまいりたいと思っております。それから、この問題につきましても今後実施の段階で常にそういう補足的な調査をしながらやっていく、これが絶対の条件だと思っております。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 私の考え方はあくまでも大臣に一あなたの考え方を出されましたけれども、再び再考を要請いたします。これができなかったら三たびも要請いたします。こういうようなことで環境庁が北海道の自然を愛する先進的な人から訴えてもらいたくないからであります。私はそういうような点からして、これは自然を必ず破壊するおそれがある。したがって、そのおそれがないというもう一度はっきりした調査をした以後でなければ中止すべきである、私はこの点を国民を代表して強く大臣に要請します。これは少しは考える余地はありますか、ありませんか。
  113. 小山長規

    ○小山国務大臣 これは最終的には自然公園審議会の御意見が重要なのでありますので、御意見を伺った上できめることは間違いありません。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 これは大臣、ほんとうに環境史上重大な汚点を残すことになるおそれがあります。そうして、三代目には貸し家札ということばがありますが、ついに環境庁も貸し家札を出すのではなかろうか。高度経済成長の重大なる犠牲を再びしいられて、いままでさんたる栄光に輝いた環境庁が今後再び斜めに札が張り出されるこの日を私は見るにたえません。したがいまして、何回でも言いますけれども、この件については、私の危惧はたいがい間違いないです。ですから、これはもう一度、二度でもいいですから調査だけは十分にして——もう一回調査するくらいいいじゃないですか。調査はもう学者陣営をもって完全にあの自然を保護するに足るような調査をするんです、いましたといいながらも、学者の意見を聞いただけだという調査もあったでしょう。せいぜいやっても四日間だという。あの広い関係で四日間だけで地質的にも植物的にもやったってこれはまだ不足ですから、大臣の考えは大臣の考えとして、それにもし錦上花を添えるならば、調査だけはもう一回やって、そうして結論を急がない、これぐらいの気持ちが国民の期待に沿うゆえんじゃございませんか。私はそれだけは強く要請しておきたいんですが、大臣はあまりかたくななようですが、少しどうですか調査ぐらい、私の言うことわかったぐらい言えませんか。
  115. 小山長規

    ○小山国務大臣 先ほど来言いましたように、これはルート決定のための調査をしまして、このルートで一番大事な点は、特別地域に入れないようなトンネル案ということなんであります。それからそこに今度は到達するまでに急傾斜地帯を通ってはいけない、この条件がもう一つあるわけですね。その全体のルートがそういう線できまりましても、実際今度は実施の段階になって、当然その間に植物の調査あるいは動物の調査、いろいろな意見が出てまいりましょう。その前に実施の段階については、まだまだ環境庁は全部を委任したわけではありませんよということだけは言ってあるわけでありますので、そういう意味調査は今後も続けます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 では、最後にもう一回要請いたします。環境破壊のおそれのあるようなことは中止するのが賢明である、これだけは肝に銘じておいてください。  終わります。
  117. 田中武夫

    田中委員長 次に、土井たか子君。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 私は、きょう問題のPCB基準について総括的な質問をさせていただきたいと思うのです。時間の制約がございますから、それについてもごくごく抜本的なことをはしょってお尋ねすることになると思いますが、ひとつ厚生大臣、さらに厚生省の浦田環境衛生局長水産庁、通産省等々の、きょう御出席方々から御答弁をお願いいたします。  例のPCBによる環境汚染が問題になりましてから、ずっと新聞などを繰って調べてみますと、大体一年と六カ月くらいになるようであります。この八月十四日に食品衛生調査会からようやくのこと食品規制値が答申されたのでありますけれども、これも、前国会で当時の斎藤厚生大臣がこの六月の末には必ず規制値をきめたいというふうに言明なさってから、三回の調査会が開かれながら決定はされずに、ついに予定を一カ月余りもおくれまして、四回目にやっと答申にこぎつけたというのが御承知のとおりの実情であります。ですから、私たちもこの基準値の中身についてはそれなりにたいへんな期待と、またそれなりにたいへんに大きな要望を持って臨んでおりました。  さて、PCBの問題については、これほどやかましく言われるわけでありますから、かなり神経質になっているということもあるかもしれませんけれども、このPCBの環境汚染、特に食品に対してどういうふうな経路を通ってさらにそれが人体にどういう影響を与えるかということは、日常のたいへんな関心事であり、また不安な問題でもあります。このPCBが環境汚染を経由いたしまして食品に蓄積する場合、御承知のとおり、お乳であるとか肉であるとかあるいは卵であるとか、さらに野菜類と比較いたしまして、魚類が最も問題になるということは世界的な定説とされているわけです。  そこでいま、最近出されました基準値について、魚の問題に重点を置きながら少しお尋ね申し上げたいわけでありますが、答申理由の中で、日本人の一日体重一キログラム当たりのPCBの摂取許容量を五マイクログラムとして、そうして体重五十キログラムの成人の一日許容量を二百五十マイクログラムというふうに考えております。ここまではまあ私はいろいろな文献によって考えましても、またいろいろな学識経験者の意見に徴しましてもまずは大きくは問題はなかろうかと思うのです。しかし、これからが問題なんであります。この答申を見ますと、魚以外の食品から約七十マイクログラムが取り込まれますから、魚からは百八十マイクログラムまでは許容できるといたしております。しかし、実はこの七十マイクログラムの中には、乳であるとか肉であるとか卵等々の食品だけが計算されておりまして、最近とみに問題になっております空気、野菜、米などの、汚染地域で特に問題の大きい経路からの体内摂取量を全く無視している点であります。この点を、一体答申をお考えになる場合にどのようにお考えになったか、御考慮の中に入れられたかということをひとつお尋ねしたいのです。この辺は浦田環境衛生局長さんからまずお答えをいただきたいと思います。
  119. 浦田純一

    ○浦田説明員 確かに、魚あるいは今回暫定規制値をきめました食物以外の経路で体内に摂取されるPCBがあることは、御指摘のとおり事実であると思います。この食品の暫定規制値をつくるにあたりまして、全くこれらの点が考慮されなかったと申しておられますけれども、それは一つは、先ほど先生が御指摘の五マイクログラム、体重一キログラム当たり毎日のいわゆる最大摂取許容量、この考えの中にすでにその点に対する考慮は含まれているのでございます。すなわち、百倍の安全率ということに対しては、その他付近の経路から摂取されるであろうかもしれないPCBに対する考慮は、この中でも一つはかられているのでございます。  それからその後、この五マイクログラムの最大許容量に立脚いたしまして、実際の規制値濃度をきめます場合の計算、たとえば実際の食物の摂取量あるいはそれの合計、組み合わせといったような点につきまして、常に最悪の事態と申しますか、最大の幅を考えて、その安全弁を考えた範囲内でもってきめてきたわけでございます。  またわずかな資料でございますけれども、穀類あるいは野菜類を通じて、あるいはその他の経路を通じて人体に摂取されるであろうPCBの量は、おおむねいままで申し上げました安全に対する幅の中でもって処理されるという御意見が、このPCB特別部会の議論の中でかわされて、それが確認されておるといったようないきさつだったのでございます。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 いまのは、それはそのお答えだけで、空気、野菜、米などの汚染地域で特に問題の大きい経路からの体内摂取量というものがどのように考えられたかということに対する適切なお答えということにはなかなかがっちりまいりませんけれども、しかし、どうもそれはやはり、この特別委員会等々でこういうふうな問題を取り上げてずうっと調査をし、そして検討を加え、審議の過程を経て答申をおつくりになるまでには、いろいろな数値に対してのあれこれの問題点があろうと思うのです。しかし、今回私はどうしてもこれはどうも数合わせのような感じがしてしかたがないのは、いまのは、まず私がお尋ねいたしました野菜や空気や米などからの汚染経路から入る問題というのが、一体きめこまかにどういうふうに考えられたか、ということは、なかなか資料の上では歴然と出てこないと同時に、もう一つ、答申で百八十マイクログラムというのを日本人の最大魚食量百三十グラムから摂取するというふうに一応考えられていますね。ところがその内訳を見た場合に、例の問題になった外洋魚、内海魚の区別であります。これが三対一の比率で、外洋魚が三、内海魚が一ということで、したがって外洋魚〇・五PPM、内海魚を三PPMときめまして、百八十マイクログラムのワク内にとどまるではなかろうか、というふうな計算が何だかなされたようにありありと見受けられる感じがしてしかたがないわけです。この点は、どうもまず百八十マイクログラムというふうなものを前提として置いておいて、その中身をどのように、いかに料理をすればつじつまが合うかということに対しての苦心、苦慮をなすったような感じがするわけですが、これに対して決してそうではないという反論があるのなら、ここではっきりと聞かせておいていただきたいと思います。
  121. 浦田純一

    ○浦田説明員 おことばを返すようですけれども、すべてこの種の基準値と申しますか、あるいはいわゆる最大許容量というものの考え方は、ことに人体への接触経路、あるいは摂取経路が多岐にわたります場合には、やはり全体としてどれぐらいの量になるかということを計算するのが当然だと私は思います。  それから、なるほど外洋産あるいは近海産ということでもって、この辺さらに何だかこまかく計算合わせしたではないかといったような御指摘でございますが、これも私なかったとは申しません。しかし、ただ単にそれだけでもってこのような規制値がきめられるわけ合いのものではないということは、先生も御了承いただけると思います。すなわち、実際にどの程度の汚染というものが進行しておるかということと、さらに現状に顧みまして将来どのようにこういったものに対処していくかという一つの姿勢というものが当然あっていいと思います。遠海ものにつきましては、幸いと申しますか、現在のところ、汚染は重大な問題というほどには進んでいないのでございますが、これをもちろんこれ以上に進めるということは私ども厳に避けるべきだと思います。これは理屈ではなしに避けるべきであると考えておりますし、また委員会の先生方もそのようにお考えになるわけです。  それから、近海ものの、ことに内海ものに関しての数値でございますが、これは汚染の実態から申しましても、実は三PPMという線で押えることによって、平均といたしましては、通常食する場合のことを考えますというと、どうも〇・六三PPM程度まででとどまるようであるという一つの測定の事実もございまして、そのような実際の事実も踏まえながら、最終的には、人体に摂取するPCBの量が最大許容量を越えることがあり得ないというふうな数値に落ちついたわけでございます。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 それは、いろいろな事情についてそれを考慮の中に入れながらいまの規制値の中身をお考えになったという御趣旨の御発言かと思うわけですが、しかし御承知のとおりに、昭和四十五年のPCBの生産量が一万一千トン、これは日本の場合ですね。ところが、同じ時点で三万四千トンをアメリカの場合生産しておりますのに比較しますと、単に面積比では日本のほうが約十倍も高くなっているわけなんです。しかも、これの消費されている場所というのを見ますと、東京から兵庫県を結ぶ太平洋ベルト地帯に集中的に集まっているという事実があるわけですね。しかも、この周辺の環境汚染というものは異常に高いということを、したがって考えておかなければならぬ。その辺での内海ものと他の内海ものというものをやはり同時に見るということが、はたして時宜に適しているかどうかというふうな問題も一つあろうかと思います。  それからさらに、このお魚を食しているいろいろな消費者の立場に立って考えてみましても、沿岸住民とそれから山間僻地に住んでいるところの住民、これではやはり食生活中身が違いましょう。したがいまして、この沿岸住民の中でも、特に漁民のように、外洋魚と内海魚の比率が二対二あるいは一対三、極端な場合には零対四なんという場合だってあり得るわけですから、計算してみると、いずれも二百五十マイクログラムをはるかに上回っておることだってあり得ることを考えておかないといけないのじゃないかと考えるわけですね。これらの人々の体内汚染というのは無視できない一つの大きな問題。しかも日本人の最大許容量というものは、百三十グラムにとどめたときのそれは問題であります。実際に沿岸漁民の食生活中身を見てみますと、百三十グラムどころか五百グラム以上も魚を食べる人というのは現にあるわけであります。熊本の水俣病なんかの場合でも、見てみますと、これは驚くべき魚食量というものがそこにあるから、実は悲惨な水俣病患者さんというものも出ているわけでして、そういう問題を考えていきますと、どうも従来から、こういう規制値を考える場合に、いろいろな批判が出されております平均値論というのじゃもはや間に合わないだろうと私どもは思っていた。ところが、今回出てきたのは、この規制値の中身を見た場合に、やはり平均値論であります。平均値論じゃこのPCBの場合にはもうまかない切れないというふうなことが一般常識であるにもかかわらず、今度出てまいりましたこの規制値の中身を見ると、従来からいろいろな批判が出ておりました平均値論が持ち出されている。この点はどのようにお考えになっているかということをもう一度、それは確めたいというつもりで私は質問しているわけですが、ひとつ聞かしてくださいませんか。
  123. 浦田純一

    ○浦田説明員 日本とアメリカのPCB使用に関する濃度差の問題は、これはいろいろと考え方があろうかと思いますから、あえて触れませんが、今回きめました暫定規制値の根拠となっていた考え方に平均値的な考え方があるじゃないかという御指摘でございます。私どもは確かに平均値、たとえば国民栄養調査の平均の摂取量、そういった資料を委員会が使われたということについて否定するものじゃございません。しかしながら、もう一つの重大なこのような判断を下した一つの基礎、事実、資料といたしまして、実際の食品をとった場合にどのようなPCBの量、実際の食品の中にどれだけPCBの量が存在し得るかといったいままでのいろいろの測定の事実、そういった資料というものも十分に勘案されたわけでございます。それから、すべてこのようなものを考えます場合に、いろいろと基礎にする資料の考え方があると思います。平均値と申しましても、いろいろあるわけでございます。それから、平均から離れるといたしましても、どの程度離れるかという問題もあるわけでございまして、常に現実に出てまいります数値といたしましては、実は最大のところ、最も濃度の高いところというふうには扱っていないのが事実だろうと思います。しかしながら、このような個々の問題につきましては、十分委員会としても検討をいたしておりまして、個々の事例について、たとえば、ちょっとことばは悪いかもしれませんけれども、もしもそのつもりでもって濃度の高いものを摂取されるということになれば、確かにいまの三PPMというものは最大許容摂取量を越えるということは、これは計算上からも出てまいります。このようなことば確かにあるわけでございますし、また、特に沿岸の漁民の方、あるいはそれに近いような生活をしておられる方でもって、いわゆる偏食と申しますか、立場上特定の魚ばかりを多食しなくてはならないといったような方々には問題があるということも、これは委員会として注意しておるところでございまして、私どもは、その点は十分、しかし実際上の問題としては、健康の指導あるいは食品衛生上の指導あるいは調査ということについても今後鋭意続けていけ、また適切な措置をとれということを委員会から申されておりますので、そのように努力してまいりたいと思っております。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 食生活については偏食がないような指導ということをいまおっしゃっておりますが、そうしますと、魚を食べる量というものをもう少し適切な量につくりかえていくというのがよいというふうな指導ということに、具体的になるとなりますか。そうすると、いまの魚についても、摂取量がたくさんであるところは、それは減らすということになるでしょう。いますでにとっておるところから、これだけ世の中が騒いでいるから、魚の量をふやしていくということはまさか考えられないわけでありますから、おそらくはこの魚の摂取量というのは、全国的にその指導に基づいて減っていくということがあってもふえるということは一応はないと考えなければならない。しかも、そうでなくたって、こういうPCBがたいへんに問題にされればされるほど、ある種の魚の汚染というものが公表されれば、全般的な魚の価格というものが値下がりになるということも、それは考えておかなければならない問題でしょうし、それから、一部の魚が廃棄処分になるということになると、非常に売れ行きが悪くなるということも、これは考えておかなければならないことでありましょうから、一つは漁民の方々に対して食生活というものを指導すると同時に、どのような補償をすべきかという問題も片や出てこようかと思います。そのことのかね合いと申しますか、そのことの両方の問題の調整といいますか、それをどのように考えていらっしゃいますか。水産庁のほうからもひとつ。
  125. 浦田純一

    ○浦田説明員 問題の性質上、あるところに議論が集中いたしましたので、あるいは誤解があってはいけないかと存じますので特に申し上げたいと思いますが、今回の暫定規制値は、暫定という名前がついておりますけれども、これは国民のPCBによる汚染をこれ以上ふやさない、生ずるかもしれない健康障害を不発のうちに済ますことができる、こういう意味合いのものでございまして、この限りでは国民の皆さま方は魚を買って食べられるにしても心配は要らないという規制値でございますので、その点は明確にしておきたいと思います。  それから、確かに逆の問題といたしまして、漁民の方へのいろいろないわゆる広い意味での補償といった問題もあろうかと思います。これらにつきましては、私ども関係の農林省あるいは水産庁もその辺について十分に考慮していただきたいということを申しておりますので、そちらのほうからお聞き取り願いたいと思います。
  126. 前田優

    ○前田説明員 お答えいたします。  水産庁といたしましては、ただいまの御質問につきまして、現在概括的な調査を実施している最中でございまして、その結果に基づきまして、御指摘のような汚染された海域につきましては精密検査をやり、その段階で、汚染された海域の漁業者の被害につきましては原因者に対する補償要求という形のことに相なると思います。また、原因者が明確でない場合の問題も当然出てくるわけでございますが、この問題につきましては、精密調査が終わりました段階で、いろいろ現在大蔵省とも話しておりますけれども、具体的な内容はまだ明確でございません。前向きで検討したいということで進めております。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 どうもその御答弁じゃ一向にはっきりしないわけであります。ただいま検討中とおっしゃいますが、どういうことについて検討中でいらっしゃるわけですか。  それから加害者がはっきりしている場合はそれに対する補償要求とおっしゃいますが、だれがどういうふうな手段によって補償要求をやるのであるか、そこのところもはっきりお答えをお願いいたします。
  128. 前田優

    ○前田説明員 ただいまの、原因者がはっきりしております場合の補償要求の点からお答え申し上げます。  原因者がはっきりしております場合には、当然その汚染水域におきますところの特定海域の特定魚種につきましては、自主的に操業を取りやめるということになっております。取りやめますと、当然漁業者に対しますところの収入に影響が出てまいります。それは計算すると数字の上では明確に出てまいります。その点につきまして、漁業団体がいわゆる汚染者に、たとえばつくっておりました鐘淵化学の前なら鐘淵化学の前に対して漁業に対する補償要求をするという形になっておるわけでございます。  それから次に、何企業かの原因によって複合されたような形の場合が出てくるかと思います。この場合につきましても、複合された原因であると思われる企業に対して漁業団体から補償要求という形になってまいりますが、ある程度海域から離れました、原因不明といいますか、汚染者が明確でない場合が出てまいった場合には、国としてもその被害を受けた漁業者に対して何らかの処置を考えなければならないということがあるわけでございますけれども、精密調査が終わらない段階では、どこの範囲が汚染されているかというのは明確でないものでございますから、それを待って、その事態に即した対策を立てていきたい、かように考えております。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 今回の規制値の中身を見ますと、何といっても魚が重大問題になっているわけでありますから、これによって規制値を上回る魚が出た場合には、当然おっしゃるとおり廃棄処分とか操業停止ということを漁業者はやらなければなりません。その場合の補償については、やはりこういう基準値が出る以上は、国のほうとしても事前に、こういうような場合にはこのような補償をという措置が考えられていなければならないわけなんですね。いまおっしゃったのは、そういう事情が出てからあと、善後策としてそうやることが好ましいということでありまして、事前にそういうことに対する措置をこういうふうに講じておかなければならないという問題について、どうもかみ合わないと思うのですね。ひとつこういう問題については何らかの特別立法なり、特別の立法といわないでも、現行法から考えてこういう政令でまかない切れるという部面があるならば、その点についてこの席ではっきりお答えをいただきたいと思うのです。
  130. 前田優

    ○前田説明員 直接の原因者に対します補償の問題につきましては、県とも前々からいろいろ打ち合わせもしてございますし、漁業者につきましても、汚染原因者が明確な分につきましてのいろいろの指導並びに相談には乗っているわけでございまして、現実問題といたしまして、汚染がある程度はっきりしている部分につきましては、漁業団体が現在自主的に補償要求をしているというケースも何件かあるわけでございます。  もう一点の問題でございますけれども、あくまで原因者負担の原則というものがございますので、原因者がわかっている場合には、やはり原因者に対する補償要求はやむを得ないかと思います。原因者がわからない場合にも、漁業者が生活に困る、または次の漁に出る場合の仕込み資金に困るというような場合が当然予想されると思います。それにつきまして現在いろいろ大蔵省と相談をしている最中でございます。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 まだその問題についてもこまかい点をお尋ねすれば幾らでも出てくるわけですが、時間が五時十五分までというように私は限られておりますから、あと三問ばかりありますので、私は先を急ぎたいと思うのです。  先ほど浦田環境衛生局長さんの御答弁で、現在鮮魚についての規制値は安心できるものだ、必ずこれでまかない切れるというふうな御答弁でありましたが、そこで、それならば二つばかりお尋ねしたいと思うのであります。  一つは、たとえば鮮魚で、いま考えられている規制値を越えるような粗悪魚が出た場合、鮮魚である場合は廃棄されます。けれども、今度規制値の対象になっていないものがある。何かというと、これは塩乾物であるとか練り製品であるとか、たとえばかまぼこ、魚肉ソーセージ等々はその典型的なものでありますが、こういうものは今回対象になっていない。検査をするのにも御承知のとおり日時を必要といたしますね。何日か必要といたします。ガスクロマトグラフィーにかけても、これは人体に入って、そしゃくされて排せつされてからあと、ああ悪かったというのが問題になるような始末でありますから、粗悪品だったということ、いまの基準値をオーバーしている粗悪魚であるということがわかったときには、もう塩乾物であるとかいろいろな製品に化けてしまっていて、それが一般の市場に出回っていて取り返しのつかない結果になっているということも考えられる。こういうことが繰り返し繰り返しあることをどうしようもないというところで、主婦たちの迷いは一そうつのるばかりということに私はなろうかと思うのであります。ひとつ今回の規制値の対象から抜けております塩乾物であるとか、練り製品であるとか、それからいろいろな魚卵製品、そういうものについてはどのような取り扱いをなされようとするかということが一つと、それからあと一つはたいへん大きな問題、これは幾ら基準値をつくられても、その規制維持というものをどうするかということによって基準値をつくった意味があるわけであります。仏つくって魂を入れるのは、実はこの規制値についての規制維持の方法であります。このことについては、現実に中央市場に入荷する魚をチェックアウトできる機能がなければ、それは十分にでき得ないということがまずは単純素朴に考えてもすぐに考えつくわけでありますが、現に情報、組織、検査、研究指導、監視の体制を都道府県の自治体レベルで点検してみたら、PCBについての分析には自信が持てない府県というものは全国で半数以上もあるようであります。こういう問題について、一体どのような規制維持の方法をこれからとろうとなさるか。もうすでにそういうことが前提としてあっての基準値であり、規制値であるわけでありますから、基準値をお考えになるときには、もうすでにこのことについては先のめどが立っていなければ基準値をお出しになる意味はなかったはずでありますが、このことについてどのような方策をすでに立てられているか。またこれから、たいへんに御苦労だけれども、立てようとしているというふうにお答えになるなら、それもあわせて聞かせていただきたいと思います。ひとつこの二つお願いいたします。
  132. 浦田純一

    ○浦田説明員 第一の点でございますが、これはどうも私どもの説明不足でたいへん誤解を与えておるようでございますので申しわけございませんが、魚介類一般の中には、実は練り製品その他の魚介類に基づく製品が含まれておる値でございます。  それから、これは第二問にもつながる問題でございますけれども、原料の段階で十分にチェックアウトするということでもって、そういった製品に流れていくであろうPCBの量というものをできるだけその段階でもチェックするという事実上の問題がございます。  それから第二の問い合わせでございますが、第二の点につきましては、おっしゃるとおりだと思います。私どもは、PCBの問題が提起されましてから、まず第一に考えるべき問題は、その検査技術、検査陣容の整備であろうと考えたわけでございます。  それで、第一に心がけましたのは、食品の中のPCBの検査方式の確立、統一でございました。これに基づきまして、すでに幸か不幸か、農薬等でもってある程度このような技術の下地があります各県の衛生研究所の技術系の職員の方々を、講習会——これはフロック別の講習会、それから国立衛生試験所に皆さんを呼び寄せての講習会と二段階ございますけれども、これをただいままでに、国立衛生試験所におきますものにつきましては二回、ブロックごとのものは一通りやってきたのでございます。それで、なるほど技術者のことでございますから、まだ自信がない、まだ自信がないということで、わが身の技術の向上については、そういった意味で非常に謙虚であるということでもって、私はそれなりにその方々のお気持ちはわかったのでございますけれども、いまPCBの技術水準については、私はかなりの線をいっておるというふうに考えております。しかしながら、もちろん陣容の物理的な量と申しますか、人員その他については決して十分ではございません。農薬等も測定しなければなりませんし、また今後この規制値を確実に守らせていくためには、できるだけ網のこまかい検査をしていかなければならないことでございまして、これにつきましても、委員会の御意見等もしんしゃくいたしまして、すでに、どのような方法で検査対象を抜き取るか、またどのような検査方式をとるかということについても、今明日中に府県のほうに通知する予定でございます。これは多少おくれましたけれども、そのような考えでございます。  それから検査に必要な道具でございますが、ことにガスクロなどでございますが、これにつきましても最低一台以上ということで、単位団体当たりに、方針といたしましても従来二台でございましたけれども、これを一台すでにふやしまして三台ということにいたしております。これは単位団体当たりでございます。これをさらに私どもはふやしたいということで目下交渉中でございます。  また、これらに伴いますいろいろな検査の費用でございますが、これは年度当初の費用では足りませんので、現在追加要求中でございまして、近日中にこれもまとまるものと考えております。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 どうも何だか心もとないことなんでありますが、しかし、きょうは残念ながら時間のほうがそれについてさらに質問させていただくことを許してくれませんので、あと一問、厚生大臣、それからさらにあと一問は厚生大臣と環境庁長官にお尋ねすることにして、私はきょうは終わりにしたいと思います。  厚生大臣にお尋ねしますが、今回出されました規制では、母乳、それから乳幼児、妊婦の問題というのは一切問題になっていないわけでありますね。いままで大臣も御承知のとおりで、実はPCBに対する世論がわきにわいたのは、母乳の汚染をめぐってたいへんに喚起されたわけであります。だからこそ、主婦の関心の的というふうなものから今回のいろいろな規制基準中身を見たときに、実はがっかりした人もありますし、それから憤りをすら感じている人たちも非常に多いわけであります。一人一日体重一キロ当たり五マイクログラムの許容量に基づいて母乳の安全性を考えると、実はたいへんなことになるわけであります。つまり、平均五キログラムの乳幼児では一日に二十五マイクログラムが限度になりますから、母乳を一リットル飲むといたしまして、母乳の安全許容量というのは〇・〇二五PPMとなるはずでございます。ところで、実際はどうでございましょう。大阪の場合なんかは、もう新聞でたいへんに取り上げられましたから御承知のことと思いますが、最大汚染母乳は〇・七PPMですから、安全許容量をはるかにオーバーいたしまして何と二十八倍になっております。これを乳幼児が母親の乳ぶさから吸っているというわけでありますから、これなどは黙って見過ごすわけにいかない。これまでの全国の母乳の分析例では、〇・〇二五PPM以下のものはむしろ少なくて、〇・一PPMをこえるものが非常に数多くございます。厚生省側でも、これについては手のつけようがないとおっしゃるかもしれませんけれども、母乳の汚染というのはそれくらいにひどいわけです。したがいまして、緊急にこれに対してははっきりした対策がぜひとも要るわけであります。今回は、牛乳の規制値は〇・一PPMにきまっております。それ以上のものは許されておりません。ところが肝心の母乳については、たとえば大阪の母親たちのように、〇・一以上〇・七PPMというひどいものを飲ませていてもやむを得ないということになってくるわけでありますから、どうもこの点も矛盾するわけであります。これでは国が〇・一PPM以上の母乳をやめて牛乳や粉乳に切りかえなさいと言っておるようなものだと思うわけでありますが、ひとつこの点について厚生大臣のお考えをお聞かせいただきたいわけであります。厚生省としては、こういう問題について今後どのように臨まれるか、あるいは今回の規制値の中身から、こういう問題はどのように考えて取り上げられなかったかというふうなあたりも、ひとつお聞かせいただければ幸いと思います。
  134. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 もうすでに御承知のとおり、あの答申を見ましても、母乳、乳幼児の問題につきましては、何ぶん信頼すべき資料が少ないというような点等もあって、実は引き続いて調査をするということになっておるのでございます。したがいまして、調査会のほうにおきましては、その後も調査を継続いたしまして、ただいま私の伺っておるところでは、年内にはこの問題について結論を出したい、こういうふうに承知をいたしております。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 年内とおっしゃいますのは、ことしじゅう。年度内ということですか。ことしじゅうに選挙があるわけでございますから、きっとそれはそれで雲散霧消するということもあり得ると思うので、どうもその点をはっきりする必要があるようでございます。
  136. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 ことしじゅうでございます。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 さらに一問。これは厚生大臣と環境庁長官にお尋ねをして、もう十五分までということですから、私は時間を守りたいと思いますが、これは基本的なことであります。  ある化学物質が合成されたあと実用化されるまでに、毒性テストが慎重に行なわれて、人体に取り込まれる場合の安全量というものがきめられるというのが常道だと思うのです。これに基づいて食品中の許容量というものをきめてから実用化するというのが本来のあり方だと思うのです。ところが実際には、いままでそうなっておりません。農薬にしてしかりでありますし、工業原料にしてもそうであります。とにもかくにも実用化にまず持っていく。簡単な急性毒性テストくらいをやって、あと企業の猛烈な生存競争にゆだねてしまうというのが実情のようであります。私は、PCBの問題は単にPCBの問題だけにとどまらないで、現在環境汚染や食品公害の問題を取り上げて、これに対してどういうふうな対策を打とうとしているかというような縮図的な問題だというふうに見るわけでありますが、それから考えていきますと、どうもいろいろな問題についての取り扱い方というのが、結局企業には、実害のない、実態に見合った規制値というものがきめられて、企業は再び代替物質を生産することによって利潤を吸引していく。そしてこの構図が繰り返し繰り返し反復されて、国民や住民の中に犠牲者が出てくるというふうな繰り返しになっていると私は思うのです。これではどうも事柄の流れが逆転しているように私には思われてなりません。実用化までには長時間をかける、そして規制は迅速にする、本来はそうあるべきものだと思うのです。ですから、実用化までには時間をかけてかけてかけ過ぎるということはない。これについては十分な実際上の調べをやって、安全性が確保されてからこれを実用に供するのが、私はしごく当然な行き方ではないかと思うのです。ところが実用化に実にお手軽です。早くて、被害が出たり、予想されたとしても、規制までに長い時間をかける、それがわが国での行政の対応のしかたであったというふうに批判を受けても、これはいままでしかたがなかったと私は思います。ある有害物質が問題化したあとで、いかに手早くこれと取り組んで対策を見つけるか、それが行政の優劣をきめるというふうな奇妙な錯覚が現実のものになっていると思うのです。PCBの場合もこれは決して例外ではないわけですが、犠牲者が出てから対策を考えるのではなく、また汚染されてしまってからあと追いの規制基準を問題にするのではなくて、これからはできる限り時間をかけて、実用化されるまでに、毒性がない安全性が確保されることこそ出発点として肝心かなめの問題だと私は思うのですが、この点について厚生大臣それから環境庁長官、どのようにお考えでいらっしゃるかということをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  138. 塩見俊二

    ○塩見国務大臣 ただいまの御意見、まことに同感でございまして、食品なりあるいは薬品その他、いろいろの問題につきまして、いま言ったように、有害な物質がこれ以上混在するということを事前にぜひともチェックしなければならぬということで、いまそういう姿勢で、そういったような各品物に対しまして取り組んでまいることにいたしておる次第でございます。たとえば、農薬は私のほうの直接の関係ではございませんが、農薬等につきましても、厚生省に御相談いただきまして、事前にその毒性の有無等につきまして検討して、そしてこれを発売するというようなことをやっておるわけでございまして、今後さらにこれを強化してまいりたいと思います。
  139. 小山長規

    ○小山国務大臣 私の意見も土井先生の御意見と同じでありまして、もし法律上の不備のためにそういったような事前のチェックができないということであるならば、当然法律上の不備を直さなければならぬ、こう思う次第であります。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 時間が参りましたから、いま基本的な問題をお伺いしたので、その基本的な問題に従って、次期には具体的なことにそれを当てはめてひとつまた質問をさせていただきたいと思います。時間ですから、これで終わります。
  141. 田中武夫

    田中委員長 岡本富夫君。
  142. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に環境庁のほうにお聞きしたいのですが、最近、各地方自治体あるいはまた各市、府県で非常に問題になっておりますのが日照権の問題ですが、公害対策基本法では日照権は抜かれておる。この野党三党の環境保全基本法にはちゃんと日照権というものをうたっておるわけでありますが、ここで問題は、横浜市あたりあるいはまたあっちでもこっちでも独自の基準をきめようという機運が起こってきておるわけであります。それはなぜかと申しますと、この紛争が絶えない。また最高裁判所の判決でも、日照権は法的保護を要する権利である。したがって、こういう問題で裁判にかけたりしますと非常に長引く。そのために今度はいろいろな迷惑がかかる。建てられるほうは一生懸命それに対して裁判をしなければならぬ。あるいはまた業者、これは一応半分建てては待たなければならぬ。民間業者のマンションやあるいは公社住宅、企業の社宅、こういうものにこの問題が非常にこれから起こってきておるわけであります。したがって、ここらでやはり公害対策基本法の公害の定義の中に日照権問題を入れて、一つ基準というものをきめなければならぬ時代が来たのではないか、こういうように私は思うのですが、それについて長官の御意見を、あるいはまた事務当局でもいいですよ。
  143. 城戸謙次

    ○城戸説明員 これも企画調整局長からお答えするのが適当かと思いますが、帰りましたので、私からお答えいたします。  従来日照権につきましては、これは私ども公害の定義の中に入れることは適当でないという考え方を持っておりまして、現在もそう考えております。と申しますのは、公害対策基本法で取り上げております典型公害は、どれをごらんになりましてもやはり一つのルールに従って処理できるものでなければならぬということでございまして、環境基準をつくる、排出規制をする、あるいはモニタリングをする、こういうことが一つの中心になっておるわけでございます。これは、いまの日照権の問題になりますと、やはり非常に個別的な処理をしなければならないということでございまして、私どもがやっておりましたものに決してそのままなじむという性質のものでないわけでございます。またこれは、一面におきましては建築行政と密接に関連して処理されるべき問題でもあるということでございますので、むしろ私どもの立場からこの問題に取り組むということにはおのずから限度があるということでございまして、現在の行政としまして、環境庁を中心にやっておりますような私どもの行政とは別個に、建設省その他で取り上げていただくという形をいまとっておるわけでございます。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは、現在の公害対策基本法では相当そういった面で不備があると思うのです。それで、現在政府のほうでは、公害対策基本法があって、それから自然環境保全法ですか、それの中間といいますか、自然環境保全というのは伐採してはいけない、そういうことばかりですから、ここで環境保全基本法というものをやはりつくっておかなければならない時代が来たんではないか。それについてひとつ長官の御意見を承りたいのですが、いかがですか。
  145. 小山長規

    ○小山国務大臣 いまの日照権の問題は、城戸官房長がお答えしたような経過であったろうと思います。で、日照権の問題は、公害という形で処理することも一つの方法かもしれませんが、実際問題としては建築基準法あるいは建蔽率で処置できる問題でもありますので、それをどっちでやるほうがいいのかという判断の問題もあろうかと思います。個別にやらなければならぬものと、それから一つ基準をつくってその基準に沿って処置をするものとは、法体系はやはりある程度は違う場合があるんじゃないかと思います。  なおそれ以外にも、いまの公害基本法そのものが現在でもいいのかどうか、これは始終検討を加えていかなければならぬという点については、意見は別に違った意見を持っているわけではありませんので、その点はそのようにお聞き取りをいただきたいと思います。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、現在の公害対策基本法ということになれば、いま官房長が答えたようなことになるのですが、やはり日照権問題、これは環境の問題になってくると思うのです。ですから、私はちょっと説明が不十分だったかわかりませんが、環境保全基本法というものをつくらなければならぬ。そこに今度はこの日照権問題も入ってくる。で、一つ基準というものをやはりつくっていこうとする各市の、あるいはまた地方自治体のこういった動きが出ているわけですよ。このときにばらばらにできたんじゃ、これはもうどうしようもなくなるんじゃないか。あそこの市では日照権でここまではだいじょうぶだけれども、ここの市ではこうなんだというようなことでは、非常に統制がとれないんではないかということも考えておりますので、そこで一つ環境保全基本法というような、やはりそういう一つの法体系——公害対策公害対策ですからね。だから環境保全基本法というようなものをいまつくったほうがいいだろうというあなたの御意見と承ってよろしいですか、どうですか。
  147. 小山長規

    ○小山国務大臣 私が申し上げたのは、日照権の問題は、建築基準法に基づく傾斜角度がありますね、その傾斜角度をもう少しゆるやかにするとか、あるいは建蔽率によって、大きい建物を建てる場合にあたりの人口に日陰にならないような建蔽率のきめ方というものはあると思うのです。そういう方法で日照権の問題はやれるのではないか。しかし日照権以外に、まだいまの公害基本法そのものがこれで十全であるとは申すわけにいきませんので、したがって、公害基本法に追加すべきもの、あるいは何か新しい観点のもとにやるべきものがないかどうかという点は、これはまあ始終われわれとしては検討を加え、勉強をしなければならぬ問題である、こう申し上げたわけであります。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 何かこうはっきりしないんですがな。勉強しなければならぬ問題であるだけじゃ環境保全はできない。だから長官もうちょっと一歩進んで、次の国会あたりあるいはその次あたりにやはり公害対策基本法を改正する、あるいはまた公害対策基本法では、これはだいぶ前の話ですからね、四十二年に私ども討議しまして、その間一ぺんあの公害国会で少し訂正しましたけど、非常におくれておる。だから環境保全基本法のような、こういうものをひとつ検討し、政府から出そうという考え方はないですか。
  149. 小山長規

    ○小山国務大臣 いまおっしゃっているのは日照権の問題で新しい法律をつくったら……(岡本委員「日照権を言うているのじゃない。環境保全基本法を……」と呼ぶ)環境保全基本法なるもののその内容その他御意見がありましたら、それは伺いますが、いまの話は私は日照権の話だと思ったものですから、日照権問題であれば、全国ばらばらというような問題は、建築基準法の運用あるいは改正によって可能である、こう考えましたので、そう申し上げたわけであります。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、私はこの日照権問題について何で持ち出したかというと、現在の公害対策基本法ではそういうことになるから、だから、環境保全基本法ということになれば今度はその環境の中に入ってくるのだから、全国ばらばらにならずに済むから、だからそういう一つの例をあげて、将来の環境保全基本法というものをあなたのほうで検討する用意があるかということを私は申し上げたのです。
  151. 小山長規

    ○小山国務大臣 わかりました。まだ私自身がそういう構想を持っておるわけじゃありませんが、御意見を伺いながらひとつ構想を固めていきたいと思っております。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう少し前向きに、こうぱっとアドバルーンをあげるくらいの、これは何とかなりませんか、あなた、環境庁がそんな……。  そこで次に、法務省の方来ていますね。あなたにひとつ確かめておきたいことは、覚え書きとか協定、要するに企業と市が協定するとかあるいはまた国鉄と市が覚え書きをかわすとか、これはどれくらいの法的価値があるのか、これをひとつ。
  153. 古館清吾

    ○古館説明員 覚え書きあるいは協定の内容の法的価値ということになりますと、その内容の法的価値判断の問題であろうと思います。そういうことになりますと、具体的にその内容を把握いたしませんと、その合意の内容がどういった法的価値があるかということはお答えできかねます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなた、協定を結ぶとか覚え書きをするとか、いやしくも地方自治体、市あるいは県、そういうところと企業あるいはまた国鉄とかがした中身を見ないと、その協定あるいは覚え書きというものは法的の根拠——もしも中身を見て、これは法的の根拠は何もありません、そう言うならば、何ぼ覚え書きをつくったりあるいは協定をしても何にもならぬじゃないですか。そうでしょう。中身によって覚え書きやあるいはまた協定は何の価値もない、こういうことですね。そこをはっきりしてもらいたい。
  155. 古館清吾

    ○古館説明員 私どもの社会生活におきまして、いろいろ約束ごとをいたします。その場合に、約束ごとが法的拘束力がある場合と、法的拘束力はないが社会的拘束力あるいは道義的拘束力があるという場合がございます。したがいまして、ただいまの協定あるいは覚え書きにつきましても、結んだ内容によりまして、ある場合には法的拘束力を持ち、ある場合には法的拘束力は持たないが道義的あるいは社会的拘束力を持つという場合があり得ようかと思います。それは一にその具体的内容いかんによろうかと思います。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 個人じゃないんですよ。少なくとも国有鉄道といえば、ここは一つのりっぱな公社です。それから地方自治体、市ですよ。市長、これとの間に結んだ覚え書きとか協定というものに、内容を見なければ価値がないというんだったらおかしいんじゃないですか。これは内容によっては価値がない、こういうことですか。もう一ぺんはっきりします。
  157. 古館清吾

    ○古館説明員 私どもがいろいろそういった協定について判断する場合も、その合意の内容の法的価値判断をきめる場合には、当該合意内容が当事者の権利義務を明確にし、しかもその条項が当事者間に法的拘束力を持ち、そしてその不履行の場合にはその履行を裁判所に請求することができるというふうに消化されるような場合に限って法的拘束力があるというふうに理解すべきじゃなかろうかと思います。それはかりに当事者が一方は自治体であろうが、あるいは一方の当事者が国鉄であろうが、その点は同じであろうと思います。したがいまして、どういった合意があるかとかいいますのは、そういった具体的内容を把握いたしませんと、お答えいたしかねます。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは、山陽新幹線の建設当時におきまして、国鉄と西宮市長、尼崎市長それから県、この三者が覚え書きをお互いに締結しているわけですね。その中に実害の補償について、苦情処理方法、当局の目標としている騒音については、屋外ピーク時が七十五ホンから八十五ホン、振動は、〇・三ミリ程度、これについては苦情処理方法としてちゃんと締結をしているわけですが、こういうふうに覚え書きを書いているわけです。これはあなたのほうではいかが思いますか。
  159. 古館清吾

    ○古館説明員 ただいまのお尋ねの中にも、国鉄当局の目標としてということばもございますとおり、やはりその内容をもう少し具体的に把握いたしませんと何ともお答えできかねますが、最小限いまのお尋ねの趣旨では、国鉄当局のそういった公害あるいは騒音の防止のための努力目標というふうに考えられる余地が多分にあるように思われます。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 あとであなたにこれを見せるから……。その苦情処理方法の当局の目標というのは、たくさんいろいろありますけれども、その中で七十五ホン、これはピーク時で八十五ホンです。これは特別のA特性と書いてある。それから振動が〇・三ミリ程度、この数値をきちっと目標として、そしてそれ以下であれば苦情処理は受けつけないというわけです。これ以上は苦情処理を受けつけるんだ、こういう方法になっておる。これはあなた、それをする努力目標と違うのか。もっとよく聞いてもらわぬと困るね。ぼくが読んだことはいかがですか。
  161. 古館清吾

    ○古館説明員 そういう文言の協定内容があったといたしましても、その合意の内容が直ちに法的拘束力があるというふうに判断できるかどうかはきわめて疑問でございます。そういった判断ができないといたしましても、結局先ほどもお答えいたしましたように、努力目標として国鉄が道義的責任を負うというふうに理解される余地もあるわけでございます。そういう観点から国鉄としましても、紛争処理についてそういった目標で努力するというふうな趣旨とも解される余地がございます。
  162. 田中武夫

    田中委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  163. 田中武夫

    田中委員長 速記を始めて。岡本君。
  164. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、これはあなたにこの内容を提示するから、いまのような答弁だったらだめですよ。よく読んでください。いいですか。
  165. 古館清吾

    ○古館説明員 はい。
  166. 岡本富夫

    ○岡本委員 では委員長の話のように、あとでもう一ぺんやります。  そこで環境庁長官、実は国鉄とそれから各三者が結んでおる山陽新幹線の覚え書きにつきまして、少なくとも環境基準というのはあなたのほうで年末につくってくれるということになっておりますが、その前に、この前もちょっと申し上げたのですが、少なくとも覚え書きのところまで国鉄が実行する。そうしなければこれから全国田中角榮総理の言うところの、全国に新幹線をつくるというのは、これはたいへんなことになると私は思うのです。猛反対になりますよ。どんどんいま視察に来ております。そして見て、これではいかぬ。だからきちっとしたものをつくらなければいかぬと私は思いますが、それにはやはり少なくとも三者協定、これも個人でやっておるのではありませんが、あれくらいのところまであなたのほうで勧告する用意がありますか。いかがですか。
  167. 小山長規

    ○小山国務大臣 山陽新幹線について、国鉄と自治体との間に結ばれた協定、これは国鉄としては当然守るべき義務が、法律上はともかくとして、行政当局として当然守らなければならぬ、私はこう思いますので、それを守るようにわれわれのほうもいろいろな措置をしたい、こう思っております。
  168. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで法務省にもう一ぺん聞きますが、勧告権というのはどういう権利なのか。あるいはまた勧告を受けた当該省、要するに行政機関としては、たとえばはっきりいうと環境庁長官に勧告権というのがあるわけです。運輸省に対して勧告権を発動した場合はどれだけの価値があるのか価値がないのか、ひとつもう一ぺん。
  169. 古館清吾

    ○古館説明員 勧告権がどういった法律上の根拠に基づいて発動されるかということによって違ってくるのじゃなかろうかと思います。法律上の根拠に基づいて発動された場合は、その効果についてもその法律によってきまってくるのじゃなかろうかと考えます。
  170. 岡本富夫

    ○岡本委員 古館参事官、勧告権を行使する場合に法的根拠なくして長官が発動するわけはないじゃないですか。それだったら勧告権にならないじゃないですか。そうでしょう。勧告権は、一つの裏づけがあってその裏づけの法律によって発動するのでしょう。環境庁長官、違いますか、いかがですか。
  171. 小山長規

    ○小山国務大臣 法律上の話は法務省からお聞き願いたいと思います。
  172. 城戸謙次

    ○城戸説明員 一般論でなしに環境庁長官としてどうだということでございますが、それでございますれば環境庁設置法の第六条の規定の中に第三項というのがございまして、環境保全に関する重要事項について勧告ができることになっております。ただこれは勧告によって相手の行政機関がこれに従わなければならぬかどうかという点につきましては、必ずしも従わなければならぬということにはすぐにはならぬわけでございます。したがって、第五項には内閣法第六条の規定による措置がとられるよう総理大臣に意見を具申する規定も置かれているわけでございます。ただ、こういうような環境問題が非常に重要な時期でございますし、認識も非常に深まっておりますから、十分検討いたしました上で、私どもが勧告いたしますものについては関係省庁でも従ってもらえる、こういうふうに確信しておるものでございます。
  173. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると勧告を発動してそれに対して従わなくてもいいということですか、極端に言うて。
  174. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいま申し上げましたように、関係行政機関の長に対して勧告いたしますが、これにつきましてはどういうような措置をとったかということを報告を求めることはできるということは書いてございまして、最後に、そのあとに必要があると認める場合に内閣総理大臣に対し内閣法第六条による措置がとられるよう意見具申をすることができる、こういうことがございます。第六条が必要なゆえんは、いまの勧告をいたしましても場合によりましては関係行政機関がそのとおりにやらないということがあり得る。しかもこの事項がきわめて重要な事項であるような場合には、内閣法の規定により措置がとられるよう総理に意見具申をする、こういうたてまえになっておるわけでございますが、きわめて論理的に申し上げますと、先生おっしゃったように従う義務がすぐあるわけではない。一般的には、これは当然私どもは勧告しましたものについて十分尊重してもらうということでございますが、ただこれはお互いの見解の相違ということも技術的な問題等については当然あり得るということは否定できませんので、法律のたてまえ上はいま申し上げたようなことになるわけでございます。
  175. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、勧告を受けた場合にそれに従えない場合は内閣総理大臣に対して意見具申をする、こういうことなんですね。意見具申をして、それでもこれを勧告どおりやらなければならぬじゃないか、こういうことになればやはり勧告のとおりやるということなんですか。
  176. 城戸謙次

    ○城戸説明員 これは最後のところは環境庁長官としまして内閣法の第六条の規定によりまして意見具申をするわけでございますから、あとは内閣総理大臣におきましてしかるべき措置を内閣法の規定によってとられる、こういうことになるわけでございます。
  177. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、やはり総理を引っぱってこなければ当委員会では話になりませんね。
  178. 田中武夫

    田中委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  179. 田中武夫

    田中委員長 速記を起こしてください。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは国鉄のほうにまずお聞きしますが、新幹線のこの問題につきましてあなたのほうで覚え書きを三者でやっておるわけでありますが、すでにピーク時で七十五から八十、あれが多いところでは九十一とかいうのが出ておるわけです。また振動も〇・七倍以上も出ておるところがある。これに対する苦情があちらこちらから出ておるわけですが、誠意をもってこれを受け、関係法規並びにその精神に沿って処理をいたしますというようにあなたのほうで覚え書きをかわしているわけです。じゃこの七十五あるいは八十ホンに、覚え書きどおりにどのようにして下げていくか、これをひとつお聞きしたい。
  181. 内田隆滋

    ○内田説明員 山陽新幹線につきましては、東海道新幹線で騒音公害で非常に御迷惑をかけておりますので、いろいろの対策を講じましてピークレベルを八十ホンに押えるように努力をいたしたわけであります。しかし実際問題として音そのものは天候あるいはまわりの山に反射する等、いろいろの状況でわれわれが初めに予期していた数値の中におさまらないというのが実情でございます。しかしそれは東海道新幹線に比べれば非常に所期の目的を遂げておることも事実でございまして、今回市の公害課と連絡をいたしまして一キロごとに徹底的に調査した結果では、八十五ホン近所の音を出す割合が約一〇%くらいということでございます。この問題につきましては、国鉄といたしましては誠意をもって今後解決してまいりたい。その方法といたしましては、結局防音壁に吸音板を張っていく。と申しますのは、御承知のように音の最大の部分はレールと車輪とがぶつかり合う音なわけですが、その音がおそらく防音壁に当たりまして、それがまた車両に当たって出ていくということになりますので、一次の防音壁のところでもって吸音すれば相当に効果があるんじゃないか。  振動の問題につきましては、ただいま同じように測定をいたしまして、その結果を見て対策を考えるということで引き続きやっております。なお現在先生も御承知のように振動等によりまして苦情の出ているものにつきましては精力的にこの解決をいたしておりまして、まだ全体のうちの約一割ぐらいが未解決でございますが、これにつきましてもできるだけ早い機会に損害の補償その他をやってまいりたいというふうに考えております。
  182. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、運輸省の住田国有鉄道部長ですか、あなたのほうでは国鉄を取り締まらなければならぬ役目があるんだ。それについて、あなたのほうではいままでこの山陽新幹線についてはどういう手を打つようにあれしたのか。あるいはまた、この協定については全く知らないのか。それとも、この協定を守らせるようにするためにどういう手を打ったのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  183. 住田正二

    ○住田説明員 山陽新幹線の騒音問題につきましては、佐々木運輸大臣も非常に関心を持っておられまして、先月現地に行かれまして、伊丹の飛行場周辺の騒音問題と合わせまして、いろいろ御視察をいただいたところでございます。大臣も非常に関心を持っておられまして、近く中央公害対策審議会のほうから答申が出る段取りになっておりますので、その答申を受けて、その線に従って措置をとるようにということを言われている次第でございます。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 そんなこと聞いておるんじゃないですよ。私の聞いているのは、この三者の覚え書きについてあなた知っているかどうか聞いている。その三者協定、市と県と国鉄とこの三者で協定したそれに対しての状況を知っているか、あるいはそれに対して、あなたのほうはどういう手を打ったのか、どういう指導をしたのか、ひとつ聞きたい。
  185. 住田正二

    ○住田説明員 国鉄と地元の県、市との間に協定が結ばれているということは承知いたしております。その線に従って、国鉄当局のほうが地元と誠意をもって折衝するということを運輸省としては期待いたしておるわけでございます。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 期待しておるって、あなたのほうは国鉄に対する監督権というのはないの。あるのかないのか。それから、期待しておるだけで、はっきり三者協定を守らしていくくらいの強い指導をしないのか、どうなのか。
  187. 住田正二

    ○住田説明員 運輸省はもちろん国鉄を監督いたしておるわけでございますけれども、こういう一般的な業務につきましては、国鉄が当事者として誠意をもって地元と折衝するということでございます。もちろん私どもといたしましては、国鉄が公害問題について地元の市町村の方々と十分話し合いをされて、円満に話をするように話をいたしておるわけでございますけれども、直接そういう業務をやるのは国鉄であるということで、運輸省は直接国鉄の業務にタッチしてまでやるということは、従来の一般の監督権の範囲外のことでございますので、そこまでは干渉していないのが現状でございます。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、運輸大臣が何ぼ関心を持っておってもだめですね。業務までこうしなければならぬじゃないかという指導もできなければ、あなたが言ったように、運輸大臣にやかましく言ってせっかくあそこまで来てもらったけれども、何にもならないというのか、どうなのか。
  189. 住田正二

    ○住田説明員 運輸省といたしましては、先ほど申し上げましたように、中央公害対策審議会の答申が出て、環境庁の勧告をいただきましたならば、それに基づいて国鉄に対して必要な措置をとるという考え方でございます。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、それまでは全然野放しということだね。それまではもうどうしようもないということだね。
  191. 住田正二

    ○住田説明員 先ほどから申し上げておりますように、個々の問題につきましては国鉄が地元と話し合いをするというのがたてまえでございまして、非常に大きな問題があれば、必要によりまして大臣が勧告をするあるいは指示をするということもあろうかと思いますけれども、現段階では国鉄が誠意をもって地元と話をするということを期待いたしておるわけでございます。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたに言うてもしかたがないけれども、そんな答弁では話にならないよ。中公審のあれが出て、そして基準をつくるのは環境庁ですよ。運輸者は関係ないんだ。環境庁がつくられるのです。それが出るまで待っておって、そしてそれを指示するのは——要するに環境基準ができるのですからね。これは国鉄で守らなければなりませんよ。運輸省は要らぬじゃないですか。すべて、国鉄のいろいろな業務についても、やはり責任をもって指導し、あるいは監督する、これが運輸省のあり方じゃないですか。あなたは期待しておると言われるが、期待というのはどうもおかしい話だ。そういうことばは外国にあるのかないのか知らぬけれども、そんなことを言っているから、いつまでたっても……。それで小さな問題だと言ったって、あなた、自分の象のそばをこうやられてみなさい。これは一人一人だったらほんとうに大きな問題ですよ。何人だったら大きな問題か、何人だったら小さな問題か、どっちなんですか。そんなばかなことを言うてくれるな。小さい問題だと言うが、これは大きな問題なんです。なぜか。これがきちっと解決しなければ、これから全国に新幹線をつくっていこうというのに、みんな反対して何もできなくなる。だから、ここでテストケースをつくるというのが一番大事な問題じゃないですか。東海道新幹線ではどうにもならなかった。だから、山陽新幹線をつくるときにはそれを考えて、騒音のない、公害のないものをつくります、そして三者協定まできちっとして、ここまでならということで、土地の買収とかいろいろなあっせんに応じてやったんでしょう。この三市にしたら大きな問題ですよ。それをあなたは小さい問題のように言う。言い方が悪かったのかどうか知らぬけれども、大きな問題だったら運輸大臣が出ていく、運輸省がする。小さい問題だったらもうしない。小さい問題だったら運輸大臣がわざわざ来るわけがない。  もうあなたに言うても責任ある答弁は出ないだろうから、このくらいでおいておきます、帰ったらひとつ運輸大臣にも言ってもらいたい。小さい問題だというように考えないで、この覚え書き——これからたくさん各地で、やはり国鉄と県あるいは市とで協定してつくっていくと思うのですよ。そのときに、協定どおりあるいは覚え書きどおりできないということになれば、みんなだれもそんな覚え書きなんかかわす者もいないし、やってみたってしかたがないということになって、ほんとうに不信になってしまうと私は思うのです。だから、ここらあたりからきちっとしていかなければならぬと私は思うのですよ。それをひとつ、帰って局長ともよく相談して、それで一ぺん私のほうに返事をしてもらいたい。  それから環境庁長官、大阪の空港問題であなたもおいでくださったときに、地元の皆さんの非常にきびしい御要望があった。四十六年の十二月二十八日に、運輸大臣に対して環境庁長官から勧告しておる。その勧告を履行できるようにやってもらいたい。指針とそれからいろいろな——時間がありませんから申し上げませんが、これをひとつ、特に住民の皆さんから話があったと思うのですが、それについてひとつ……。
  193. 小山長規

    ○小山国務大臣 あそこで私も住民方々からずいぶんいろいろなことを聞きまして、こちらから出しました中でたしか郵便機の問題がまだ片づいていないと思いますが、それらをできるだけ早く、われわれが出しました守るべき措置ということになりますように、全力をあげたいと思っております。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 ひとつ全力をあげて一日も早く守れるようにしてもらいたいのです。  それから次に、航空機騒音によるところの人体影響調査、これは四十三年に私、当委員会で騒音防止法を検討したときに、論議したときに、佐藤内閣総理大臣に提案をしてやってもらったわけですが、この結果が大体いつごろできるのか。もうずいぶんになる。  それからもう一つは、航空機の排気ガスですね、これについて人体影響がないかどうか、この二つをひとつ大気保全局長から……。
  195. 山形操六

    ○山形説明員 初めの人体影響に関しまして、大阪の、先生方にお願いしておりますのが、個々的なデータはできてきておるのですが、総括がまだされておりません。それが間もなくいただけるというお話で、もう間もなくいただけることになっております。  それからあとの排気ガスに対する人体影響という問題につきましては、私どものほうで昨今のデータも拝見いたしまして、さらに環境庁自身も大阪で今回この排気ガスの問題の、定量分析等から入りますので、重金属のこまかい分析をしなければなりませんので、それらをまず第一に手がけてまいりたい、こういう予定で作業を進めておるところでございます。
  196. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題につきましては、私、当委員会で、あれは四十四年だったと思うのですが、当時手塚航空局長だった。排気ガスは全然人体影響ありませんなんて、そういうことを言っていたのです。そうでないということが明らかになって、この間二人ほど鼻血を出したということで、よく調査すると何人も何人も出しているわけですね。これは大阪の豊中の勝部地区でしたか、したがって、一日も早くこの両方については結論を出してやってもらいたい。きょうはこれ以上は言いませんが……。  最後に、建設省来ておりますね。西宮六甲サービスエリアの問題をちょっと伺っておきたいのですが、市議会の決議もありまして、これを何とか撤去してもらいたい、こういうことで、これもこまかいことは申しません。調査によりますと、一度に三百台、日量七万七千台、しかも谷底みたいになって、非常に排気ガスがその付近には滞留をする。こういうことで非常に心配をして、市議会の決議も行なわれておりますが、これに対する見解をひとつお聞きしたい。
  197. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 御指摘のサービスエリアでございますが、これは中国縦貫道の宝塚と神戸の北のインターチェンジのちょうど中間にございますが、比較的静かな場所を中国縦貫道が通ります。その中間点でサービスエリアを設ける予定にいたしておりますが、これにつきまして中国道の路線発表が四十三年十二月に行なわれております。その後サービスエリアの計画につきましては、四十五年の二月に市と協議いたしまして一応御了解を得た上で地元発表して工事に着工しておるわけでございますが、何ぶんあの地域が非常に静かなところでございますので、地元方々がいろいろとできたあとのことを御心配になって反対されておるわけでございますが、いままでの地元の方の御意見としては騒音の問題、それからサービスエリアができたことによる騒音の問題、それから排気ガスの問題、それから土砂が流れ出すという問題、それからあそこにレストランができるので風紀上いろいろな問題が出るのではないかというような問題、それから水道、水の利用の問題等、いろいろ出ておりますが、私どもも十分御心配になる点は理解できますので、ただ公団のほうのPRが少し不足かと思うのですが、サービスエリアそのものに対する地元の御理解と、どういうものができるかということについてなおまだ十分なお話をしない向きがあるんじゃないか。たとえば風紀上の問題と申しましても、サービスエリアの周辺は全部二メーター程度の防護さく、フェンスで囲ってしまって一切外界とは出入りできないようなことになっております。それからその中で営業しますレストランも、これは言ってみれば森の中の一軒家のレストランというような形で運営されるわけでございます。そこでもちろんアルコール類の販売というようなこともやっておりませんし、あまりそう、従来東名、名神で十二カ所くらいのサービスエリアがあるわけでございますが、サービスエリアができたことによってそういう問題というのは従来皆無でございましたので、今回の問題、ちょっと公団としても地元の説明が不足か、あるいはもう少し地元と十分話し合って、御希望としていれられるものは十分いれながら誠意を尽くして解決してもらうように私どもとしても指導していきたいというふうに考えております。
  198. 島本虎三

    ○島本委員長代理 岡本君、もう時間でありますから、結論を急いでください。
  199. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間ですから、長官、ここは、あなたは御存じかもわかりませんが、ちょうど谷合いみたいなところでして、静かなところだというわけで、実は伊丹の空港の騒音で逃げてきたんですね。逃げてきたというとおかしいんですけれども、立ちのいてきたんです。その下へ、今度はサービスエリアの二十四時間営業が音を立ててやるのです。音楽もやりますしね。そんなものを持ってこられたらたまったものじゃない。こういうところなんです。それから、学校がすぐ近所にあるのです。非常にもう、すでにこの工事の間から鼻血を出したり、いろいろな公害が起こっているわけです。そこへまだ国道がもう一本入ってきておりまして、ちょうどそこが排気ガスのたまり、あるいはまた騒音のたまり、こうなるので、あとでひとつよく建設省とも相談をして、見てもらって、一ぺん調査をして、公害問題ですからね、その点ひとつよろしくお願いしておきたい、こう思いますが、これは要望しておきます。  それで建設省の浅井さん、この工事中に付近の家が相当いたんでいる。その被害をほったらかしておる。工事をやっている人が、こんなむちゃくちゃな工事をして、公害対策なしでやっているんだというようなことを、私は耳にしたことがある。こういうことを、これから中国道あるいはまたあっちこっちに国道をつくったりするときも、これは気をつけなければいかぬと思う。ひとつその点について、付近住民の皆さんの救済措置、これに万全を期すかどうか、ひとつ最後に答弁を承っておきたい。  あと、さいぜん委員長からお話があったように、古館参事官のほうにはこの原案を見せますから、ひとつよく見て、いいかげんな答弁をしておったのでは承知せぬから、次の委員会ではひとつよく覚悟して……。  じゃそれだけを答弁求めます。
  200. 浅井新一郎

    ○浅井説明員 御指摘の工事中の地元に対する御迷惑につきましては、十分注意してやっていきたいと思いますので、御了承願いたいと思います。(岡本委員「救済するかどうか」と呼ぶ)救済につきましては、実害のあったものについては十分調査させて、必要なものについては補償させるようにいたしたいと思います。
  201. 小山長規

    ○小山国務大臣 いまのサービスエリアの問題ですが、これはどういう状況になっておるのか、私もつまびらかにしておりませんので、事務当局同士でいろいろ相談させてみます。
  202. 岡本富夫

    ○岡本委員 それじゃ終わります。
  203. 島本虎三

    ○島本委員長代理 中谷鉄也君。
  204. 中谷鉄也

    中谷委員 当委員会では何べんか論議されたことであろうかと思いますが、水質汚濁にかかわる環境基準についてお尋ねをして、そうして具体的な和歌川の問題について環境庁並びに関係各省の見解を承りたいと思います。  最初に、環境庁長官に若干の経過を申し上げておきたいと思います。事実確認の意味で申し上げるわけであります。  要するに、昭和四十五年の三月三十一日、「水質汚濁に係る環境基準の設定の基本方針について」こういう答申がありましたことは記録によって明らかであります。その答申に基づきまして、政府は「水質汚濁に係る環境基準について」を閣議決定され、四十五年九月一日、同じく閣議決定をもって水域の指定をされた、こういうふうな事実関係であります。そして先ほど私が申し上げました答申には、必ず達成については期限を定めるように、こういうふうな経過があったことも長官十分御承知のとおりであります。  そこで、私がきょうは問題にいたしたいのはいわゆる達成期間について、イ、ロ、ハとあるこの達成期間の問題についてお尋ねをいたしたいのであります。  昭和四十五年の十月十四日、商工委員会において、私の質問に対して佐藤経企庁長官は次のような答弁をしておられます。ハとは何かという私の質問、すなわち「五年を越える期間で可及的すみやかに達成」とあるのはどういう意味かという質問に対して、当時の担当大臣であるところの長官の答弁は「これは実は当初は、たとえば八年とか九年、こういうような限定のしかたも一つあったのです。しかし、実際のわれわれの気持ちとしては、」——五年をこえてなるべくすみやかな期間、そういうことについてはという意味であります。これは私の注釈でありますが、「というようなことでは長過ぎるから、できたらまず五年でやりたい」ハというのは五年でやりたいんだ。しかしそういうことであるけれども、「五年というくらいのところをめどにいたしまして、どうしてもむずかしいものについては暫定的な目標を設ける、こういうことであります」途中答弁を省略いたしますけれども、次が大事な点であります。したがって、「本来七、八年かかると専門家が言っているものも五年ぐらいで何とかしたい、こういう気持ちをあらわした、」ものがハである。もう一度申し上げます。五年をこえてという意味は、五年はこえます、しかし専門家は七、八年かかるのだ、こう言っているものを何とか五年ぐらいで、五年をわずかプラスアルファする程度で何とかしたいという気持ちがハというものを設定したところの理由であります、こういうふうな御答弁があったわけであります。これはまさに閣議決定についての説明があったというふうに私は理解をいたしております。私はこれは政府の一貫した御答弁でなければならないと思う。佐藤国務大臣、まさか当時ちゃらんぽらんなことを誓われたとは思わない。御答弁を承りたい。
  205. 岡安誠

    ○岡安説明員 それでは私から先にその閣議決定の内容につきまして、それといまの長官の答弁につきまして、事実関係について申し上げます。  ハにつきましては、おっしゃるとおり五年をこえてできるだけすみやかにとなっておりますけれども、そのもとになります閣議決定は、「現に著しい人口集中、大規模工業開発等が進行している地域に係る水域で苦しい水質汚濁が生じているものまたは生じつつあるものについては、五年以内に達成することを目途とする。」ということが原則でございます。これがいわゆる口でございます。ただし書きがございまして、ただし書きで、五年が原則でございますけれども、「ただし、これらの水域のうち、水質汚濁が極めて著しいため、水質の改善のための施策を総合的に講じても、この期間内における達成が困難と考えられる水域については、当面、暫定的な改善目標値を適宜設定することにより、段階的に当該水域の水質の改善を図りつつ、極力環境基準の速やかな達成を期することとする。」という例外としましてハがあるということでございまして、いまの佐藤経済企画庁長官の御答弁、閣議決定のとおりだと思います。
  206. 中谷鉄也

    中谷委員 事実関係をお聞きしましたが、したがってあとは長官の御答弁をいただけると思うのです。佐藤長官の答弁次のとおりであります。「五年をこえるというようなことで可及的すみやかということは、」途中省略いたしますが、「本来七、八年かかると専門家が言っているものも五年ぐらいで何とかしたい、」五年以内にはできないけれども、五年ぐらいで何とかしたい、こういうことで私たちはこういうハというものをきめたんです、こういうふうな答弁がありますけれども、この佐藤長官の答弁は政府の一貫した趣旨、精神としてお伺いしてよろしゅうございますね。
  207. 小山長規

    ○小山国務大臣 趣旨はそのとおりでございます。
  208. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで長官お尋ねいたします。  閣議決定はまさに告示でございます。閣議決定は告示とされております。したがいまして、告示というのは言うまでもなしに法的な性格を持つものであります。それは単なる行政の努力目標ではないはずであります。そういたしますと、それは国民に対する約束ごととして理解してよろしゅうございますね。長官、御答弁をいただきたい。
  209. 小山長規

    ○小山国務大臣 御質問の趣旨をひょっとすると私勘違いしているかもしれませんが、先ほど申しましたように、できるだけ五年以内ということには二つ意味があると思うのです。一つは技術的にという問題、一つは財政的にという問題これがあるのだろうと思うのです。ですから、私どもは技術では可能である限り、いまできるだけ五年以内にということでやろうと決心いたしているわけであります。
  210. 中谷鉄也

    中谷委員 役所の仕分けから申しますると、まさに非常な汚染の状態になっておる都市河川については、環境庁、建設省、通産省、自治省、地方公共団体であるところの県、市、しかもある場合には住民、すべての総合的な力が発揮されなきやならない。そうして達成のための努力が技術であり、財政である。  要するに、重ねてお尋ねいたしますけれども、この答弁でいっておるところの五年をこえ、しかし可及的すみやかにというのは、専門家が七、八年かかるといっておっても、これはもう財政的な面からも技術的な面からも各省相協力して、そうしてわずかに五年をこえる程度でやるということ。しかもそれは単なる趣旨ではなしに、単なる行政努力目標というふうなものではなしに、率直にいえば、きれいごとではなしに閣議決定による告示である以上は法的な性格を持ちますね、まさに閣議決定というものは官報に告示されたことなのだから法的な性格を持つ約束ごとでありますねと、私はあたりまえのことをお聞きしているわけです。いかがでしょうか。
  211. 小山長規

    ○小山国務大臣 告示をしたのは、ハということを告示したのだろうと思うのであります。それでそのハの内容については、先ほど言いましたように全努力をあげて五年以内にするということであります。
  212. 中谷鉄也

    中谷委員 ハの内容について告示をした。ハの内容については、そうすると一体どのような——告示である以上はそれは解釈の問題が出てまいります。どんなふうにも解釈ができるというふうな解釈であるとするならば、それは告示でないわけです。  たとえば先ほど岡本君が一生懸命になって新幹線の話をしておったけれども、新幹線が西へ行くのか東へ行くのか、これはとにかく告示の内容ではない。告示の内容はいかがなものでございましょうか。先ほど私が申し上げました佐藤長官の答弁で告示の内容として理解をしてよろしいのでしょうか。また理解すべきであると思いますが、告示はハです、しかし内容はとにかくしり抜けですというふうに私は理解をして帰るのですか。長官、いかがですか。政治論だからね。(岡安局長「政治論じゃないから……」と呼ぶ。)
  213. 島本虎三

    ○島本委員長代理 いいですか。
  214. 中谷鉄也

    中谷委員 いいですね。
  215. 岡安誠

    ○岡安説明員 政治論でないと申し上げましたのは、環境基準とは何かというのがまずございます。環境基準が閣議決定がされまして告示をされているわけでございますが、環境基準は結局人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準ということでございまして、そういう望ましい基準を閣議できめ、告示したわけでございます。そういうことが一つでございます。そういう意味合いから御理解をいただきたいと思うことが一つ。  それから告示の内容には、八にははっきり注釈が入っておりまして、これも先生御承知のとおり、五年をこえてできるだけすみやかにということが注釈に書いてございます。だから明らかに行政目標としての環境基準とまた行政目標としてのハというものは、行政的に明らかになっておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  216. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、長官、ハの内容は行政目標というふうに理解をしたとして、行政目標として理解をした場合に、経済企画庁に権限があった当時の佐藤長官の答弁、すなわち本来、専門家が七、八年かかるといっているものを五年ぐらいで何とかしたい。五年以内にはできないけれども、五年ぐらいでは何とかしたいという。これは行政目標としては正しいし、またそれは行政目標である。同時に、だから行政努力である。したがって、それは国民に対する行政目標を示した以上は行政指導が伴います。財政的な援助も伴ってくると思います。そういうようなものとして、そういう意味の国民に対する、また、たとえば私がいまお尋ねしようとしている和歌川沿岸の住民に対する国の約束ごととして理解してよろしいのでございますね。
  217. 小山長規

    ○小山国務大臣 おっしゃる意味はよくわかります。われわれはそういうような努力目標を定めた以上は全力をあげてその努力目標に向かって邁進するのだ、こういうことであります。
  218. 中谷鉄也

    中谷委員 そうしますと、四十五年の四月に閣議決定があって、和歌川という川を例に引きますが、水域類型指定を受けたというのが九月でございますから、そういたしますと、この佐藤長官の答弁が政府の一貫した精神だということの前提に立つならば、あと三年プラス若干、すなわちことし昭和四十七年でございますから、昭和五十年にはEの状態に達するというのが行政目標、したがって行政努力、したがって行政指導の内容というふうに理解をしてよろしゅうございますか。  大体建設省の方、おいでになっているかしら。
  219. 島本虎三

    ○島本委員長代理 来ておりますから。
  220. 岡安誠

    ○岡安説明員 和歌川につきましては具体的な話でございますので……。  Eの類型指定になりまして、達成期間はハとなっておりますね。ハというのは先ほど申し上げましたように五年をこえてできるだけすみやかにということになっております。したがって、四十五年の九月に類型指定になりまして、そのときに閣議決定になりましたから、それから五年をこえてできるだけすみやかにということでございますので、昭和五十年度以内にはなかなか達成はできないであろうけれども昭和五十年をこえてもあまりたくさん年数がこえないようにできるだけすみやかに達成できるように努力をしろというのが、和歌川につきましての類型指定の内容でござ  います。
  221. 中谷鉄也

    中谷委員 御答弁の中の行政指導、行政目標、行政努力という−佐藤長官の答弁によれば、専門家が七、八年かかるといっても五年くらいで何とかしたい。この私の質問を沿岸住民はきわめて素朴に受け取って、では昭和五十年には何とかしてくれるのだな、こういうふうに私自身もそのことを沿岸住民に報告をした。それは当然のことでございましょう。五年くらいで何とかしたいという意味だ。五年プラス・アルファというのだから、五十年の秋くらいには何とかなるのだということでございますね、結局。私はそういうふうに報告をしたこと、また政府がそういうふうに努力されるということ、県、市もまたそれに対して国の指導のもとに相対応して行政措置をするということ、当然住民としてはそういうことを期待しただろうと思うのです。  そういたしますと、いまの局長の御答弁は五十年は無理だということをもう音を上げられた。いまもう音を上げられた。音を上げたというのは、値段が上がったという意味ではなくて、もうとにかくそれはだめだとおっしゃった。これはもうはなはだ残念であります。しかし、次のような報道もこれあるわけであります。  実は私は和歌川という川はきわめてふしあわせな川だというふうに思う。これは長官、よく聞いていただきたいと思うのでありますけれども公害問題というのは人の健康そして生活環境の維持、まさにそういうふうな問題として公害問題というものを、ことにその公害問題の一つであるところの都市河川問題というふうなものは取り組まなければならない問題であることは言うまでもないところであります。ところが知事選がある前に、和歌川をきれいにします、市長選がある前に和歌川をきれいにします、参議院選挙がある前に和歌川をきれいにします、選挙が終わったら知らぬ顔。衆議院選挙が近いとなると十五年ぶりに船に乗って、そして和歌川はこんなにくさいと思わなかったといって回るような、というふうなできごともとにかく最近あった。私はこの川が日本で一番汚染されているというふうなことを経済企画庁の時代にも聞かされた。環境庁の時代にも聞かされた。建設省のごときは和歌川というふうには呼んでくれないらしい。これはとにかく一つの池だというふうにいわれる。これはまたいわれる理由が、非常に残念であるけれども、存在する。せきがあって水が流れないようになっているのですから。  そういうことはさておいて、そういうふうな状態の中で私はやはり明確な目標というものを出していただかなければいかぬ。そうしてとにかくこういう都市河川の汚染によって地元住民がたいへんな苦痛を受けておる問題については、そういうふうな政争あるいはまた政治に利用するというふうなことでなしに、あくまで行政ベースの中で問題を解決されなければならないと思う。しかもすみやかに解決されなければならないと思う。そこで、これは全く私は誤報であることを期待をいたしますけれども、いわゆる県のマスタープランなるものによりますと、昭和六十年に一〇PPM以下とする、そういうことで昭和六十年にEの状態にしたい。和歌川のBODは昭和五十年には四〇PPMにしたい。そして現在のPCBの最高値は五四九、これは昭和四十六年度の県公害白書、だからこれはそういうふうに汚染度がひどい。昭和六十年に、マスタープランの中においては一〇〇PPM、要するにEの状態。これはだから国について私はいま先ほどから不満を申し上げた。何を不満を申し上げたかというと、五十年にはしてくれるのですね、これは昭和四十五年の十月十四日の答弁というものを理屈づけていけばそういうことになるということを私は申し上げた。ところがもう局長は、とにかく五十年は無理ですよ、こういうふうにおっしゃった。ところが六十年ということなら、百年河清を待つということにはならないにしてでも、十四年河清を待つということになるじゃないか。これはとにかく地元住民の不満であります。国としては一体どう考えておられますか。これは十四年ということになればすでに二年たっておるのですから、十六年たってEの状態に達する。すなわちハというのは五年をこえてなるべくすみやかにというのは十四年だということにこれ相なるわけであります。そんなことがはたして国の立場から黙視していいのかどうか。許されていいのか。これは全くハの解釈の問題でありますから、長官、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  222. 小山長規

    ○小山国務大臣 私が考えておる六十年というのは長過ぎるというように思います。いま和歌川のマスタープランは県が作業している最中だと思いますが、達成年度その他についてはやはり法の趣旨に従ってわれわれとしても指導していきたい、こう思います。
  223. 中谷鉄也

    中谷委員 都市河川の汚染原因というのは多々あろうかと思います。たとえば工場廃液あるいは木材の不法係留あるいは廃棄物の問題、そうしてヘドロがとにかくたまるという問題、いろんな汚水源というものがあると思います。一体一番のネックはしかしこの場合何なのでございましょうか。下水の問題について建設省の調査によれば、結局普及率ゼロ、A割るCとしてゼロ、ということになっているように私は資料の上で拝見しました。間違っていればあとで訂正をいただきたいと思いますが、そういうことで一番のネックは一体何でございますか。それで局長、行政ベースのサイドでの話でありますから六十年は長過ぎる。そうでございますね。しかし、先ほどから何べんも申し上げておりまするように、では一体、最大限譲って、行政指導としてはいつまでにEの状態にされるということは、——国としてこれは六十年は長過ぎるという長官の御答弁、それでけっこうだと思います。しかし局長の御答弁としては、六十年は長過ぎるという答弁では行政の答弁ではないと思うのです。努力目標としては、Eのハという和歌川の場合は、ハは一体何年に相なりますでしょうか。一体昭和四十何年でございましょうか。昭和五十年はだめだとおっしゃったのだから、昭和五十何年でございましょうか。これをひとつお答えをいただきたい。
  224. 岡安誠

    ○岡安説明員 和歌川の場合には、具体的にハの年次を明示しろということでございますので、もう少しいろいろ関係の行政の進行状況と見比べ合わせいたしませんと、正確に年次はお答えできないと思います。と申しますのは、先生御指摘のとおり、この河川を浄化するためには工場排水の規制、それから下水道の整備、さらにはヘドロのしゅんせつ、その他やることがたくさんあるわけでございます。それらがどういう計画で進行中であるかということを明らかにし、その計画をどれだけスピードアップできるかということにしないと、なかなかはっきりした年次は出ませんが、私どもはやはり、ハというのは環境基準の設定をされましてから十年以上はたたないようにということを私どもの一般的な目標といたしまして指導いたしておるわけでございます。したがって、和歌川につきましても四十五年に環境基準が設定されましたので、設定後十年をたたない間にできるだけその環境基準を満たすということで指導してまいりたい、かように考えております。
  225. 中谷鉄也

    中谷委員 局長、では私は答弁に従ってお尋ねをいたしまするけれども、十年をこえないということは九年、そういたしますると——閣議のそういうふうな了解あるいは行政指導のそういうめどがあったかどうかということをお尋ねをいたしませんが、すでに二年たっておる。四十七年からいたしまするとあと七年、そうすると五十四年にはEのハの状態になっておって、これはとにかく行政指導としては、そうして達成のめどをして、またそれは達成のぎりぎりの年度が五十四年だということにこれは相なりますね、算術的に計算をいたしまして。十年をこえないのだと、十年をこえないということは九年でございますね。もうすでに二年たってことし四十七年、四十七年に七足せば五十四年だというふうに理解してよろしゅうございますね。私自身が答弁を信じて、とにかく五年だと言われるから昭和五十年だと住民に言った。ところがどうもそうじゃない。五十四年と言っても今度はその点について間違いはないでございましょうね。
  226. 岡安誠

    ○岡安説明員 先ほど私御答弁申し上げましたのは、一般的にハというものにつきましては十年をこえないような期間で目標を達成するように一般的に指導しているということを申し上げたわけでございます。和歌川もやはりそのような一般原則のもとにおきまして指導いたしたいと思っておりますけれども、現在までに私聞いておりますところによりますと、あの地域におきます下水道の整備が昭和五十六年度目標だというふうに実は聞いておるわけであります。もちろん、それがいいかどうか、今後さらにそれを短縮する必要があるのではなかろうかということは、検討は建設省と御相談していたしますけれども、そういうようなこともございますので、私どもは一般的には十年をこえないようにという範疇で今後和歌川の環境目標達成につきましては努力をいたしたいというふうにお答えを申し上げておきたいと思っております。
  227. 中谷鉄也

    中谷委員 一般的にはということは、逆にいうと例外があるということにこれ相なってくるわけでございますね。  長官、一体どういうことなのでございましょうか。要するに一番のネックはどうも下水にこれあるようであります。そういたしますと、とにかく下水道の整備というのがいま局長お答えになったような状況だと、一体環境庁が幾ら行政指導されても、他の省がそれについて対応しないということになれば、環境庁というのは一体どういう役所なんだ。環境基準をきめて水域指定をして、行政目標をきめて努力目標をきめる、他の役所がついてきてくれなければということでは話にならぬと思うのです。そういうことであっては環境庁の権威というものも存在しないと思う。  長官ひとつ、五十四年がとにかく私のほうの目標なんだ、十年をこえないんだ、九年なんだ、あと残っているのは七年なんだということで、各省に対して、これは通産省もこれありでございましょう、ことに建設省に非常に協力してもらわなければいかぬ、こういうことについて長官、御努力をいただくということについてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  228. 小山長規

    ○小山国務大臣 私どもはいまの和歌川の問題を別にいたしましても、いまの下水道計画ではわれわれが目標としているような良好な環境にならないから、したがって建設省に対しましても来年度の予算要求を大幅に増額すると同時に、いまの計画は第三次ですか、第四次を来年度中にもつくって、そうして下水道の事業を早急に仕上げるようにと、こういう考え方で進んでおるのであります。そういったような第四次の計画がわれわれの考えるような規模になれば、なるために全努力を傾けますが、そういったような計画をもとにして和歌川は一体どうする、こういうふうになろうかと思うのでありまして、おっしゃるように六十年ということでは長過ぎるんじゃないか、これは大体常識だと思うのであります。ですから、下水道だけでそれが片づくんなら、それはもうできるだけ早く、むろんいまの第四次の五カ年計画がどうきまるかということとも関連しますけれども、私どもとしては、和歌川のみならず、日本全国の下水道が非常におくれておる。あるいはいまの瀬戸内海にいたしましても、あるいは霞ケ浦にいたしましても、下水道のおくれによっていろいろな汚染問題が起こっておるわけですから、ですからその面には全力をあげて、そして、いまお話しの和歌川についても、いまお話のあったような線で全努力を傾けたい。いまの段階ではこの程度しか申し上げられないと思います。
  229. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ局長にお尋ねしておきたいと思いますけれども、ヘドロ対策がここにある。しゅんせつするヘドロが一体二十万立米あるのか二十五万立米あるのか、それはともかくとして、ヘドロ対策がある。それから、工場排水の規制についてのいろいろな、これは企業が主としてやるべきことでありましょうが、そういう措置がある。その他大きいのは下水。和歌川が十年を越えない、すなわち九年、すなわち四十七年からはあと七年ということで、この和歌川問題がとにかくEのハの状態に達するためには一体全体としての経費はどの程度試算しておられるでしょうか。なぜ私がこういう質問をするかというと、これはおそらく予算編成になってくるとまた和歌川についてのしゅんせつあるいは和歌川の周辺の下水事業等について補助金を、とにかく和歌川のための陳情というようなことがある。しかし私は、その補助金が幾らというふうなことがそれほど意味があるとは思わない。要するに、いつまでに和歌川をEのハの状態に持っていくんだということがまず設定されて、そうして、とにかく算術的にでもどうでもいいから、これだけの金が要るんだ、そうすれば五十四年にはこうなるんだとか五十二年にはこうなるんだということがきまって、そこでそういうふうな基礎の上に立って補助金等が和歌川について投資されてしかるべきだと私は思うんです。そうでなくて、とにかくこれだけのものをもらってきた、まあ建設省に頼んだらよくくれたというふうなことでは意味がないと私は思う。一体総投資としてどの程度要るというふうに局長は試算をしていただいておりますか。それをまずお答えいただきたい。
  230. 岡安誠

    ○岡安説明員 実は経費としましてはまだ計算いたしておりません。まず対策だけ申し上げますと、排水規制につきましては、すでに一般的な一律基準でやっておりますけれども全国に適用されます一律基準の約半分程度にすでにきびしく規制をいたしております。それから下水道につきましては、現在すでに整備されている区域の面積は八十五ヘクタールでございまして、これは計画区域としましては約手九百ヘクタールくらいだと思いますけれども、それまで達成をしなければならないということで、これは先ほど申し上げましたとおり計画の年次は昭和五十六年になっております。それからヘドロのしゅんせつにつきましては、私ども、概算でございますけれども、あそこの水域でもって百五十万立米くらいのヘドロのしゅんせつが必要であろう。四十五年から四十七年までのしゅんせつは六万三千トン程度でございますので、これも相当馬力をあげませんとなかなか達成ができないという状況でございますので、今後、まだ計算はいたしておりませんけれども、投資額としても相当膨大な投資額を必要とするというふうに思っております。
  231. 中谷鉄也

    中谷委員 百五十万立米とおっしゃったのは、そうすると水域指定を受けている和歌川のほか大門川、真田堀川、それからその他水軒川、そういうようなものをとにかく全部入れての話でございますね。いずれにしても、しかしそういう計算も当然成り立つと私は思います。それでけっこうです。  そこで、建設省に一つお尋ねをいたしたいと思いまするけれども、Eのハを試算をしていただきたい。Eのハの状態というそのハを昭和五十四年というふうにした場合、下水道事業のために一体どの程度投資すべきと試算をさるべきでしょうか。それは国がどうとか県がどうとか市がどうとか、県は別としまして、要するに市が幾ら持つ、そしてまた国がどれだけ補助するとかいうふうなことはさておいて、これはどの程度の費用が要ることになるでしょうか、五十四年、いまから七年の間に。和歌川に対する汚染に寄与をしておるものは廃棄物がこれあり、そしてまた木材の不法係留これあり、工場排水これあり、しかし何といっても下水が非常に大きなウエートを占めておる。それらの総合的なものの中で、下水の整備のためにはどれだけ費用が要るというふうにお考えでございましょうか、ひとつお答えいただきたい。
  232. 井前勝人

    ○井前説明員 和歌川は御案内のようにEのハになっておりますけれども、これを完全に達成するには幾らくらいの投資が必要かという御質問かと思います。この試算いたしましたのは昭和四十六年度当初でございますので、現在はあるいはまだ状況の変化で動くかと思いますけれども、約二百五十億程度の事業費があれば、Eのハは達成できるであろうというふうに試算いたしております。
  233. 中谷鉄也

    中谷委員 下水と全部ですか。
  234. 井前勝人

    ○井前説明員 和歌川をEのハに達成するための下水道の費用でございます。
  235. 中谷鉄也

    中谷委員 ヘドロは入っていないわけですね。
  236. 井前勝人

    ○井前説明員 ヘドロは入っていません。
  237. 中谷鉄也

    中谷委員 ヘドロのしゅんせつについては、その後話が、建設省の協力を得まして若干の進展を見ておりますが、あとどの程度の費用が全体として要ることに相なりますか。これをひとつお答えいただきたい。
  238. 岡崎忠郎

    ○岡崎説明員 仮堰から海草橋でございます、あの間のヘドロの量が、当初マイナス一メートル五十まで掘るために約二十万あるという話でございましたが、その後工事をしてまいりまして十五万くらいであるということで、十五万のうち四十七年度、今年度の予定も含めまして約六万五千掘っております。ですから十五万のうち暫定的にマイナス七十センチまでまず通しましょうということの目標を立てまして、これがいま申しました約十五万でございますね。それで差が八万五千ございます。したがいましてこの八万五千立米を掘るためには、矢板の護岸とかそういうものをやりまして約七億くらいかかる予定になっております。
  239. 中谷鉄也

    中谷委員 環境庁長官にお答えをいただきたいと思いますが、和歌川がEのハになるための下水の整備事業についてその総投資額は二百五十億、こういうふうに先ほど御答弁があったと思うのです。これを和歌山市に持てと、こういうふうにいわれたって、要するに地方公共団体が持てといわれたって、これは私はちょっと無理な話だと思うのです。和歌山市の予算はたしか私の記憶では二百億に達していないと思います。そういうふうな状態でこれはたいへんなことになる。環境庁長官、都市河川の汚染状態がたいへんひどい。そうすると、建設省にも私はあとでお聞きしたいと思いますけれども、下水道事業というものについての都市河川の汚染を防止し、そしてとにかく自浄余力を増していく、そして少なくともとにかくEのハという最低のところのランクにまで達するということについても膨大な金が要る、いまのような補助のあり方ではとにかく国が世話を見てくれなければそれこそ私は地元のほうでは音をあげてしまうと思うのです。この点についても私はやはり御所見を承りたい。  それから建設省の課長さんに私はお聞きしたいと思いますけれども、これはやはり県が補助をするという制度といったようなことをしておりますところもございますけれども、これは和歌山県、やっておらないのですが、いつも和歌川について問題になるのは、とにかく河川の問題は県の責任だ、下水はとにかく市だということで、和歌川汚染について県に責任があるんだ、市に責任があるんだ、いや、とにかく話がそこまで行き詰まってくると、ごみを捨てる小料理屋の人が悪いんだというふうな話まで出てくる。もうとにかく地元においても一体いつ和歌川はきれいになるんだろうか、これはもうだめじゃないかというふうなことの中で、悪臭と、これはたいへんなヘドロ、その中でとにかく苦しんでおるというのが実態であります。だから長官にお答えをいただきたいのは、一体下水道事業のあり方というものを環境庁の立場から、私はやはり建設省に根本的な、抜本的な対策としてありようの改変ということを申し入れてもらわなければ、これは内閣全体としてお考えをいただかなければ、まさに都市河川の浄化というものは、私は先ほど申しましたように百年河清を待つというのはオーバーだけれども、十四年河清を持つことになります。この点について私は長官の御所見を承りたいし、下水道の課長さんからは県も、やはりとにかく国が下水道に対して補助というかっこうのアプローチをすることが望ましいと思うのですが、この点についてのお答えをいただきたい。長官の御答弁をまって建設省からやはりお答えをいただきたいし、建設省としてもひとつ和歌山市の市長が何べんも課長さんのところに行っていろいろなことを陳情しておるようでありますけれども、全体として二百五十億をこえるという答弁がきょうあったというと、市長としてもとにかくそんなことじゃ目が回ったんだという話だろうと思うのです。建設省としても下水道車業のあり方についてもうひとつ抜本的な、これは予算の飛躍的な獲得、下水道関係のすでに何カ年計画ができておりますけれども、この計画ではたして可能なのかどうかという問題についても課長さん、直接の担当者でありますし権威者でありますから、これについてひとつお答えをいただきたいと思います。  もう一度、長官、おひまがあればこれは全く、私は先ほど申しましたように選挙のたびごとに問題になるような川というのはろくなものじゃないと思うのです。しかし私は、長官がひとつ伊丹の問題について岡本君、先ほど空港についてまたあるいは御調査になるとかいうことの要望があり、山陽新幹線についても御調査の要望をしておったようでありますけれども、ぜひとも私は地元の、非常に残念な川でありますけれども日本で一番きたないということを環境庁で言われ、そうして建設省で言われる。これはしかし決して地元住民の責任じゃないでしょう。これはまさに行政の責任だと思うのです。この川も機会があったらごらんをいただきたい。そういうことを私は要望いたしまして、時間が参ったようでありますから質問を終わりたいと思います。ひとつ御所見を承りたいと思います。
  240. 小山長規

    ○小山国務大臣 下水道事業が進みませんのは、確かにおっしゃったように市町村の負担になっておる、そしてその補助率が低い、こういう点が確かに障害をなしております。私どもとしても、この普及率を上げるためには、やはり補助率の面まで考えなければいけないじゃないかというようなことで、来年度は建設省としても補助率のアップを考えておるようであります。そうしてここは流域下水道になっておるかどうかわかりませんが、流域下水道という方策をとれば、さらにもう一つ補助率が上がることになりますので、そういったような方策をやれるのではないだろうかというふうにも考えます。  それからもう一つは、これはよけいなことかもしれませんが、ほんとうにやるときめて、そして金の問題ですと、起債の問題になりますね。その起債が許可された以上は、これは地方交付税であとで補てんするわけですから、ですからまずやるということをきめ、そしてその起債の充当率をどうするかということのほうがむしろ大事な問題ではないだろうかというふうにも考えます。
  241. 井前勝人

    ○井前説明員 お答えの前に、先ほどの答弁をちょっと一部修正させていただきたいと思いますが、先ほどEのハで二百五十億と申しましたのは間違いでございまして、Eというのは、十PPMにするための事業費が二百五十億でございます。ハは暫定基準で四十PPMになっております。
  242. 島本虎三

    ○島本委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  243. 島本虎三

    ○島本委員長代理 速記を始めて。
  244. 井前勝人

    ○井前説明員 Eの基準に合わせるための必要額は二百五十億でございます。それから暫定基準の四十PPMに対応する事業費は約四十億というふうに見ております。そのように修正いたしたいと思います。  それからもう一点、下水道事業に対しまして府県の負担についてどう考えるかという御質問でございますが、御指摘のように現在、府県の自主的判断によりまして、四十数府県ございますが、約半分の二十一府県がそれぞれの立場から下水道事業に補助をいたしておるわけでございます。現在のところ、都道府県の下水道事業に対する補助の義務を別に負っておりませんけれども、やはり水質汚濁という広い立場から見ますると、各都道府県の実情に応じて補助されることはわれわれとしては望ましいというふうに考えておる次第でございます。
  245. 中谷鉄也

    中谷委員 先ほど大臣のほうから特に起債の点についてのアドバイスがありましたが、私、きょうは自治省を呼んでおこうと思ったのですが、しかしこれもひとつ私は環境庁長官にお願いしておきたいと思いますけれども、下水道事業起債の対象になることは当然と思います。しかしそういうふうに環境基準の達成をはかるということをきめた場合に、自治省としてもその起債についてしぶいことを言わない、ひとつ弾力的に起債について認めていく、大幅にというか、積極的に認めていく、こういう方針をとってもらわないと、とにかく幾ら長官から起債の方法がありますよと言っていただいても、自治省へ行ったところが、とにかくしぶい顔をしてなかなか起債を許さぬということでは話になりませんので、これもあわせて、これは建設省にもひとつ私ども協力してもらわなければいかぬと思うのですが、こういう点も私のほうからもお願いをしておきたいと思います。特に起債についてのアドバイスがあったことについては、私、お礼を申し上げるべき点ははっきりお礼を申し上げておきます。その点はひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは建設省に残った答弁を恐縮ですがしていただきたいと思います。
  246. 井前勝人

    ○井前説明員 もう一点の現在の五カ年計画と水質環境基準関係につきましては、御指摘のように現在二兆六千億中予備費一千億というふうに設定されておりますけれども、この五カ年のワクの中では完全達成というところまではなかなかいかないわけでございますので、それにつきましては先ほど環境庁長官の御答弁がございましたように、私どもとしても、もっと五年以上すみやかにやるには、やはり五年のワクをふやすべきであるというような考えを持っておりまして、各省といろいろ協議いたしまして現在の五カ年計画の再検討ということにつきまして検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  247. 島本虎三

    ○島本委員長代理 なお小山環境庁長官、先ほどの答弁の中で、現地を視察して、見てもらいたいという要請がありましたが、その要請に対しての答えを願いたいと思います。
  248. 小山長規

    ○小山国務大臣 機会があったら参りたいと思います。
  249. 中谷鉄也

    中谷委員 お待ちしております。
  250. 島本虎三

    ○島本委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後七時一分散会