○太田
説明員 お答え申し上げます。
御承知のとおり、今回の
瀬戸内海の東部
海域におきますところの異常海象並びにそれに伴いますプランクトンの異常増殖による
赤潮によるハマチ等の
被害につきましては、確かに人災的な要素がたいへん多いわけでございますけれ
ども、いま申し上げましたように異常海象、それに基因する有害プランクトンの異常増殖によるものであるという
意味で
天災融資法の発動に踏み切ったことは御承知のとおりでございまして、先般の九月八日の閣議で
天災融資法の適用政令を御決定いただいたわけでございます。
そこで、
先生お尋ねの
天災融資法による融資の限度額というのが、御承知のとおり養殖の場合には他の場合よりも若干有利に取り扱っておりますが、個人の場合は百万、法人の場合が五百万ということに相なっております。実は
天災融資法の融資限度額につきましては、昨年の臨時国会におきまして法律改正によりましていま申し上げたように限度額の引き上げを行なったというようなこともあるわけでございまして、確かにハマチ養殖経営の実態を
考えてみますと、たいへん大ざっぱなところでございますが、一尾当たりえさ代あるいは稚魚代、さらには労務費等を含めまして大体四百円くらいかかるというふうに見ております。したがいまして、たとえば百万であれば二千五百尾くらいの経営にしか該当しないということになるわけでございます。しかし実際に今回
被害を受けられた
方々の経営はこれよりはるかに大きいというようなこともあるわけでございまして、そういった
意味でいまの
天災融資法の限度額では不十分であるということはわれわれも十分承知いたしておりますが、一応現行の法律でこれが明記されておりますので、現段階におきましてはいかんともしがたいということになっております。この点につきましては、私
どもといたしまして、不足分は、まことに申し上げにくいことだけれ
ども、できれば県でその継ぎ足しをしてもらいたいということで県にもお願いをいたしまして、できる限り
被害者の
方々の次期作の立ち上がり資金の融通に遺憾なきを期してまいりたい、かように思っております。
なお、今回の
被害等の実態から見まして、私
ども、党のほうからまだ正式には聞いておりませんが、やはり
赤潮被害の実態にかんがみまして、従来の
天災融資法だけでは不十分ではないか、したがって何らかの特別立法を
検討する必要があるのではないかということもいわれておりまして、私
どももいまそのことにつきましても内部的な
検討を加えておる段階でございますので、いまの百万では現在の養殖の経営の実態に確かに合っていないということにつきましては、私
どもも十分反省をいたしておる点でございます。
それから二番目の、私
どもの実施いたしております共済の問題でございますが、確かに共済の
制度につきましてはいろいろ問題があることは事実でございますが、ただ、ハマチの場合が最も共済の加入率が高うございまして、率で申し上げますと大体五八%近く加入を見ております。今回の場合にも約四億強の共済金の支払いが行なわれるということでいま
被害査定を行なっておりまして、できる限り早く、少なくとも九月中には共済金の支払いができるようにいたしたい。なお共済金につきましては共済価額の問題等、いろいろ問題もございます。あるいは現在の掛け金の国庫
補助につきまして、
補助限度率というものを設けまして足切りをいたしております。こういった点につきましては、漁民の
方々の掛け金負担をもっと軽減するために、私
どもといたしましては、四十八年度にはぜひそういった
補助限度率というようなものを設けないで、何と申しますか青天井で掛け金の国庫
補助ができるような改善をいたしたい、かように
考えております。
それから
被害を受けられた
方々がかなりの
救済資金を借りておられる、債務を負っておられるのでございますが、この点につきましては、私
ども、この災害が起こると同時に金融機関に電話等で依頼をいたしたわけでございますけれ
ども、今回
天災融資法の発動を見ましたので、正式に文書をもちまして、具体的に申し上げますと、農林漁業金融公庫あるいは農林中金、漁信連、これらの金融機関に対しまして、もちろん個々の具体的な事案に即しての処置になろうかと思いますけれ
ども、償還延期等の措置を講じてもらいたいという依頼をいたしております。なお手形あるいは売り掛け金等、負債のある
方々につきましては、これも系統金融機関に結局お願いするわけになるわけでございますけれ
ども、つなぎ融資等の措置を講じてもらいたいというような依頼をいたしまして、まあ十分ではございませんが、立ち上がりができるような措置を講じた次第でございます。