運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-09-12 第69回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十二日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 田中 武夫君    理事 始関 伊平君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 西田 八郎君       伊東 正義君    梶山 静六君       中山 正暉君    浜田 幸一君       村田敬次郎君    阿部未喜男君       加藤 清二君    土井たか子君       近江巳記夫君    古寺  宏君       米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小山 長規君  委員外出席者         北海道開発庁総         務監理官    山田 嘉治君         防衛庁参事官  長坂  強君         経済企画庁長官         官房参事官   北川 博正君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         厚生省環境衛生         局環境整備課長 折田 貞雄君         林野庁業務部長 辻 良四郎君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省公害         保安局長    青木 慎三君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         郵政大臣官房建         築部長     武田 礼仁君         建設省河川局水         政課長     伊藤 晴朗君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         自治省税務局市         町村税課長   四柳  修君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   北原 正一君     ————————————— 委員の異動 九月十二日  辞任         補欠選任   古寺  宏君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     古寺  宏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件(騒音及び  水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 田中武夫

    田中委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  先般、公害対策並びに環境保全状況調査のため委員を派遣いたしましたが、この際、派遣委員報告を聴取いたします。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 本委員会におきましては、去る八月二十二日から議長の承認を得て山口県、広島県、岡山県、兵庫県及び大阪府下公害対策並びに環境保全状況調査を行ないました。  時間の都合もありますので、その調査結果の詳細については委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らい願い、この際省略さしていただきたいと思います。  以上御報告申し上げます。     —————————————
  4. 田中武夫

    田中委員長 これにて派遣委員からの報告聴取は終わりました。  おはかりいたします。  ただいまの林義郎君の御提案のとおり、調査報告は本日の会議録に参照掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  6. 田中武夫

    田中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件について、本日参考人として日本鉄道建設公団総裁篠原武司君及び日本鉄道建設公団理事北原正一君の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  8. 田中武夫

    田中委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 先ほど私から御報告申し上げました瀬戸内海沿岸各地における公害対策並びに環境保全状況調査に関しまして報告書の内容から、さらにふえんいたしまして御質問をいたしたいと思います。  最初に参りましたのは徳山であります。次に宇部に参りましたが、宇部におきまして、宇部興産の宇部アンモニア工場視察いたしました。この際、その視察のときにおきましていろいろな問題が起こったのでありますが、この問題について私も県当局及び宇部市当局から報告をいただきましたので、その報告をかねて御質問をいたしたいと思います。  第一は、宇部アンモニア工場視察いたしました後に、帰りにバスで走っていたときの状況であります。おいでになった方々は御記憶があると思いますが、非常に大きな煙がもくもくと車の右手のほうに上がった、赤褐色のばい煙工場から出たというものであります。この辺につきましては、実は県当局からもらいました資料では、私はどうもこれは窒素工場セメント工場からの煙ではないか、われわれが視察に行ったときには操業を停止しておる、あるいは操業を一時非常にスローダウンしておったのではないかということで質問をしたのでありますが、県当局におきましても非常に詳しい調査をいただきました。どうも調べたところでは別に特に異常な運転をしておらなかったというふうな話であります。ただどうもあのばい煙宇部鉄工所から出ておるところの、電気炉から発生するところのばいじんではないかということであります。電気炉の発生するばいじんにつきましては、現在工場において集じん除去装置を予算化して装置するということになっているそうでありますが、電気炉から出るところのばい煙につきまして、いまの状況で申し上げますと、なかなか装置がむずかしいという話を聞いておるのであります。この辺につきまして、通産省当局でもけっこうでありますし、また環境庁当局でもけっこうでありますが、少しこういったものにつきまして、どういうふうな機械装置してやったらよろしいかということをお尋ねしたいのであります。  それからついでに申しておきますが、実はいま申しました宇部からの途中で非常な煙が出ておった。宿舎に入りましてから時間がありましたので、一ふろあびてやろうというようなことでありました。ところがそのときに見ますと、市内旅館でありましたけれども市内旅館から見ますと、煙突のほうから——これは別の煙突、先ほどの煙突とは違う煙突でありますけれども、その煙突からもくもくと煙が出ておった。委員長も各派遣委員方ごらんになったと思うのでありますけれども、この辺につきましても調べていただきました。どうも調べたところでは当時たいておったところの重油の量におきましても特別の変化はない。市当局及び県当局説明では、お医者の先生も入られての説明では、たまたま見られたところが煙が横に流れておるところを見られた。最初に見られたときには煙が横に流れた。煙突の下のほうでごらんになったからよくわからなかったのではないか。横に流れたということでありますけれども、一体そういうことが一般常識的に言えることなのかどうなのか、この辺につきましては公害皆さま方いろいろとやっておられると思いますし、いろんな苦情が出ておりますから、この辺についてどういうふうなことが経験的に言えるのかということをお尋ねしたい。  それからもう一つ申し上げますけれども、やはり宇部市民あるいは一般工場の近辺におるところの市民にとりましてはよくそういったことがあるわけでありまして、きょうは非常に煙が出ているとかあるいは夜間になりますと非常に煙をもくもくと出す、昼間あまり出していないという苦情が非常に多いのであります。こういったことは一体科学的にどういうふうに説明できるのか、その辺についての御見解をあわせてお示しいただきたいと思います。
  10. 山形操六

    山形説明員 初めの御質問の茶褐色のばい煙についてでございますが、これはおそらくナイロン工場から出ておるものかと思います。主として窒素酸化物にかかわるものかと推察いたします。窒素酸化物に対しましては、現在固定発生源から出る窒素酸化物環境基準について、中央公害対策審議会検討しておる最中でございます。だんだん煮詰まってまいりましたので、これができましたらいずれ規制基準を設けて規制していこう、こういう考え方で進んでおります。  それからばいじん排出基準全般にわたりましては、これは四十八年六月からきびしい新排出基準が適用されることになっております。これが適用されますと、すべてのばいじん発生施設高性能電気集じん機設置が必要となります。先生指摘のとおり高性能電気集じん機というものは、技術的になかなかむずかしいという点は確かにございます。高温で処理しなければならないことでむずかしいという点はございますが、私どもこれはぜひやらねばならぬこととして指導してまいっておりますので、これによって相当、ほとんどといっていいくらいばいじん関係のが、現在各地で、先にやられているところでよい結果を得ておりますので、これの設置を指導していくつもりでございます。  それから昼と夜の問題については、ちょっと私技術的な問題で何ともお答えできないのでございますが、特に夜のほうに多くそういう事実があるという点につきましては、なお私のほうで県を通じ、あるいは実際によく調べてみたいと思いますけれども一般的には普通の工程作業しているというふうに解釈しておりますが、なお私どものほうで詳しく調べてまいりたいと思っております。
  11. 青木慎三

    青木説明員 ただいま環境庁のほうから御答弁ございましたように、電気炉に対します集じん機の問題は技術的に非常にむずかしい問題がございますが、一方いろいろな型の集じん機開発が進んでおりまして、必ずしも不可能ということではございませんので、ただいま環境庁が申されましたような線に沿いまして、通産省といたしましても公害防除の確保をはかるように業界を指導してまいりたいと思います。
  12. 林義郎

    ○林(義)委員 先ほどの環境庁の御答弁ですが、私が聞いているのは、科学的にどうだとかこうだとかというのではないのです。一般的に非常に多くのところでいわれたことじゃないかと思うのです。特に公害問題がこれだけうるさくなってきている。そういたしますと、煙突の下で見たときと横で見たときと相当違うとか、夜になればはっきりする、特に下から電気など照らしますと煙の状況が非常にはっきりするというような場合もあるだろうと思うのです。そういった点で、一般常識として技術的にどうだとかこうだとか、あるいは工場がどうだということではないのですけれども一般常識としてこれはどういうふうに考えたらいいのか、この辺についての御見解をいただきたいと思います。
  13. 山形操六

    山形説明員 夜間について特に作業量をふやして製造工程に入っておるということももちろん考えられますが、これらに対して私ども電気集じん機等設置、あるいは監視体制の中のテレメーターを利用いたしまして煙道メーターに直結するということを、非常に高額な費用がかかりますがいま各地で指導してやり始めております。これらによりまして十分チェックができるというふうに考えておりますので、先生の御質問のそういう種類の問題に関しましてはこれから常時監視体制でやっていこう、あるいは現時点においてそういう問題がありましても、立ち入り検査等十分できますので、これらを通じてチェックをしていき、適正な工程、きめられた工程によって作業するように十分管理監督していくつもりでございます。
  14. 林義郎

    ○林(義)委員 私しつこく申し上げているのですが、実は宇部野瀬さんという山口大学医学部教授がおられまして、その野瀬教授が言っておられたことがあるのです。公害問題の対策のためにはいろいろなことがいえるけれども、特に次の五点が必要だ。事業者責任感、それから首長の勇気というものが必要である。三番目に市会議員の公僕としての忠実さが非常に必要である。四番目に学識経験者の良心というものを考えなければならない。五番目にやはり市民良識自覚というものを考えなくちゃいかぬ。私が申し上げておるのは、最後市民自覚良識という問題なんです。やはり市民でもわかるような常識的な判断というものが私は必要だと思うのであります。その常識判断において、たとえば非常に長い煙突から煙が出ておるというのを、いまのお話で言いますと、テレメーターでいろいろ測定をしておる、それをまかしてしまえということではなかなか良識にはならない。やはり市民としては、どうもあれだけ出ておるのは非常におかしいではないかというのも私は一つ良識だと思うのであります。そういった点で市民のそういう公害に関するいろいろな良識を発達させていかなければならない、そういったことで実は質問をしておるわけでありますから、いろいろな監視をするとかなんとかいうことを別にして、やはり市民運動の問題としてまた市民考え方として、どういうふうにこれを考えていったらいいのか、この辺についてお考えがあればお示しいただきたいと思います。
  15. 山形操六

    山形説明員 いま先生から申されましたこと、一つ一つもっともなことだと思います。最後に御指摘になった市民良識、これに沿ったいろいろな対策をやっていかなければならないと思いますが、これは御承知のとおり市民考え方のあらわれとして、たとえば市役所の前に何々ホンとかただいまの騒音幾らとか、あるいは亜硫酸ガスの濃度が幾らとかいうような表示がだんだん出てまいりまして、一目でわかるような形がとられておるのがいまの現状でございます。こういったものをだんだんと備えていって常識化していくことが、公害問題の現状を把握するのに一番いい方法だと私も思いますし、これらについていろいろな進め方があると思いますけれども、一番かなった点を選び出して宇部市においてもそれを実施させるように県と相談して指導していきたい、こう考えております。
  16. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろな表示装置をつくる、何とかホンであるとか何とかPPMだとかいうような装置をやっていることが一番科学的に正しい方法だろうと思うのであります。ところが、これは各地でいわれたわけでありますけれども、そういった機械をつけることになりますと相当に金がかかる。一体こういったものについては関係の市町村でもって負担すべきものなのか、あるいは県で補助をすべきものなのか、あるいは国のほうで補助をすべきものなのか。これは先ほど申しましたように市民良識自覚を高めていく上での一つ方法であるというならば、国のほうにおいても相当補助をしてもよろしいのではないかというふうに考えるのでございます。市民の健康をお互いに守るという考え方だけではない。やはり広い意味での市民運動の発達をはかっていくという意味において私は必要なことだと思うのでありますが、そういったものについて環境庁のほうでいろいろな補助制度とかいうようなものについても考えておられるのかどうか、この辺をお尋ねします。
  17. 山形操六

    山形説明員 ただいまの点に関しましては、現状といたしましては残念ながらいま監視をするための測定機械、これの補助に追われております。あるいはパトカーの問題とか、こういうものがいま手一ばいでやっておりますので、先生の御指摘のようなそういう一般常識を向上させるようなものが直接公害防止につながるという点は十分承知しておりますので、これらは今後の検討課題として考えていきたいと考えております。
  18. 林義郎

    ○林(義)委員 広島山口のちょうど中間のところに大竹岩国工業地帯というのがあります。この工場地帯では水の汚染が非常に進んでおる。特に最近におきましては、徳山湾におけるところの赤潮問題というものが昨年来続いておりまして大きな問題になっておりますが、私は一つまずお尋ねをしますが、岩国地区大竹地区との県境でございます。この県境におきまして環境基準というものが違うということをよくいわれております。広島のほうでもそういうお話が出たと思いますが、この辺につきましてこれからほんとう瀬戸内海をきれいにしていくということであるならば、やはり環境基準というものをできるだけ統一する必要がある、こう思うのでありますけれども、この辺につきましてはどういうふうになっているのか御説明いただきたいと思います。
  19. 岡安誠

    岡安説明員 お尋ね大竹岩国水域につきましての環境基準でございますが、これは四十五年の九月に設定をされたものでございます。おっしゃるとおり、たまたまでございますけれども大竹市の沿岸につきましては海岸から五百メートルのところまでがCの基準を当てはめられた海域、それからさらに五百メートルの沖合いまでがB、B海域以遠がAということになっております。岩国につきましては海岸からほぼ千メートルのところまでがC、それから先千メートルの幅でB、それから以遠がAというふうになっております。こういうように相違ができましたのは、大体大竹岩国から出ます汚水は紙の製造によります汚水が主でございます。その場合、大竹地区におきましては大竹紙業日本紙業がございまして、これはKPによりまして紙をつくっておりますが、これから出るBOD負荷量は非常に少ない。それに比べまして岩国地区山陽パルプがございまして、これはSPで紙をつくっておりまして、これから出るBOD負荷量が圧倒的に多いわけでございます。四十五年当時環境基準設定する場合にはこのパルプ排水の処理の見通し等考えましてこのような環境基準設定いたしたわけでございますけれども、おっしゃるとおり、この地域からの汚水によります瀬戸内海汚染というものも非常に重大なものがございます。そこで私ども最近のうちに広島湾西部地域につきまして環境基準設定する作業を進めております。この設定作業に合わせましてこの海域の類型の当てはめにつきましては再検討いたしたいというふうに考えております。
  20. 林義郎

    ○林(義)委員 兵庫県の家島に参りましてハマチの養殖場がたいへんな被害を受けた、現地の方々からもいろいろな陳情が出たのでございますが、その後、天災融資法の発動もされたようであります。実は私は赤潮対策ということで少しお尋ねしたいのですが、赤潮の問題というのは、大体学説的にNとPが起爆力になって赤潮が起こるというふうな学説があるようであります。ところが家島におきましては異常高潮という天然現象がおもな原因であるということで、あとで兵庫県の県庁の方にも聞いてみたのですが、やはりNとPが非常に多いということであります。やはりNとPというようなもの、窒素と燐でありますが、こういったものにつきましての排出というものを相当規制していかないと、依然として赤潮問題というのはなくならない、こう思うのであります。こういった点につきまして環境庁のほうはどういうふうに基本的に考えておられるのかお尋ねいたしたいと思います。
  21. 岡安誠

    岡安説明員 お話しのとおり、赤潮発生原因につきましてはまだ不明の点がたくさんあるわけでございますが、やはり基盤窒素と燐によりまして水が汚染をされ、その基盤の上に誘因物質並びに誘因が働きまして赤潮が起こるというのが通説でございます。そこでやはりこの基盤をなくすという意味から、窒素と燐というものにつきましては、これによって水を汚染させないということが必要でございますが、現在まだ環境基準、それから排水基準設定されておりません。と申しますのは、窒素と燐を除去する技術というものが現在必ずしも実際的に確立されておらないという問題がございます。私ども至急その方法確立いたしたいというふうに考えておりますが、大体方向としましては、窒素と燐を両方除去するということは非常に困難なようでございます。そこでとりあえず窒素と燐のバランスをくずすという意味から燐を取り除くということをいたしますれば、やはり赤潮発生相当原因が除去されるというふうにいわれておりますので、当面燐を除去する技術確立、そのための規制確立というものを急ぎたいというふうに考えております。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 これは家島だけではない。視察をいたしました宇部市におきましても非常に窒素含有量が多い海域になっております。これは環境庁のほうでお調べになりました資料の中にもそういうことが出てきておる。おそらく燐というようなものも相当出てくるのではないか。宇部沖一帯、それから徳山湾一帯相当被害が出てくるということが予想されるわけであります。そういったような問題から考えますと、いまの窒素と燐とを分離してしまう、バランスをくずすということも一つ方法でありましょうが、やはり考えなければならないのは、そういったいろいろな工場排水都市下水等によって汚染されたところの被害の問題であります。この被害の問題について、これは大臣お見えになりましたから大臣お尋ねしたいのですけれども、やはり公害問題というものがこれほど高まりを来たしておる、特に先般四日市の公害の問題につきまして、環境基準が守られておっても、やはり共同不法行為というものが成立するという判例が出ております。ほんとうによい環境を守っていこうということであるならば、私はそういったものに対する被害者救済というものを積極的に進めていかなければならない。国民の福祉という観点からしても、その被害者救済、きれいな海をつくるということを積極的に進めていかなければならない。同時にきれいな海によっていままで生活しておった人々に対する被害救済というものについても十分な配慮をしていかなければならないだろうと思いますが、大臣どういうふうにお考えになりますか。
  23. 小山長規

    小山国務大臣 被害者救済につきましては、一般的に来年の国会に被害者救済に関する制度をつくりたいということで、いまその準備を始めようとしておるところでありますが、その際に財産被害を含めるかどうか、これは含めるべきだと思いますが、財産被害を含める場合に、原因者負担ということからいいますと、一体どういう範囲にどういう徴収をすればいいかというような相当むずかしい問題もあるわけであります。財産被害を含めるべきだと思いますが、徴収の相手方あるいはその取り方、こういういろいろなむずかしい問題がありますので、準備作業の際にこれらを含めて検討を加えていこう、こういう考え方でいま進んでおる最中であります。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 私はこの前の四日市裁判というのは、やはり公害問題にとりましては画期的な判決であろうと思うのであります。地裁の判決でありますが、一応確定いたしましたから、これは相当重要視しなければならない判決であります。こういった判決からやはりいろいろと公害問題は新しい問題が投げかけられておると思います。この前の裁判は確かに健康被害にとどまっております。しかし民法解釈からいたしまして共同不法行為を適用する以上は、民法上の原則としてこれは健康被害であるとまた一般財産被害であると、同じようなことになると思います。私は裁判所がいろいろな形で新しい解釈をしていって事態を救済していく、裁判におけるところの判例というのもありますけれども、やはり本来ならばこういったものは立法によって解決すべきが当然であろうと私は思うのであります。またその立法によってやることが、われわれ国会議員に与えられたところの最大の任務であろう、こう思うのであります。そのときに、一つお尋ねしておきたいのですけれども、立法によって解決するという場合もありますし、それから行政的に解決できるという点もあると思います。特に、先ほど申しました四日市裁判等におきましても、環境基準を守っていく一つの助けになるのではないかという議論が一方にあったと思いますが、いままでのイタイイタイ病裁判あるいは阿賀野川水銀裁判の事例におきましても、疑わしきは罰するというか、ある程度まで疎明というか立証ができるならばこれは加害者に責任があるというような形の判決がずっと出てきております。そういった意味で、いままでのいろいろな行政についても見直ししていただかなければならぬ点がたくさんある。疑わしきを罰するというところまではっきりしなくとも、一応の疎明がある、一応の証明ができるようなものにつきましては、行政的にストップをするというようなことをこれからやっていかなければならない、こう思うのでありますが、こういった考え方につきまして、環境庁長官どういうふうにお考えになりますか。
  25. 小山長規

    小山国務大臣 確かに現実に被害が生じており、あるいは生ずるおそれがあるというときに、法律でもって規制できない場合、行政的にどうするのかという問題が起こるわけであります。われわれのほうとしまして、たとえば大気なり水の場合について言いますならば、環境基準をきびしくすることによって、実際問題としては、相手方が操業を制限せざるを得なくなりあるいは一部操業を停止しなければならぬという場合が起こり得ると思いますが、それは人命を守り、人の健康を保持する上においては、当然やるべきことであるという考えで進むつもりでおります。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで、先ほどお話し申し上げましたことでありますけれども被害者救済ということの中で財産被害を入れる。環境庁長官いみじくもおっしゃいましたけれども、人の健康を守る場合においてはというお話がございました。私は、行政的に、政府が権限を持っておる簡囲内において、自然を荒らす、いろいろな自然環境を破壊するというような問題これはひいては被害が出まして、財産被害というようなことになる場合があると思います。特に赤潮のような問題についてそういったことがある。そういったときにはやはり埋め立てとかなんとかいうような問題が出てくる。あるいは工場から出てくるというときにおきまして、これをとめていくというような形の指導をされるべきであろう、私はこう思うのでありますけれども、長官はどういうふうにお考えでございますか。
  27. 小山長規

    小山国務大臣 赤潮に限って申しますと、いろいろな原因がありますことは先ほど申し上げたとおりでありまして、工場排水の場合には、相当規制措置が講ぜられますが、たとえば家庭排水のような場合には、やはり設備を完全にすることがまず第一であろうと思いますし、これをとめるということはおそらく不可能でありますから、設備を完全にするということから始めなければならぬだろうと思うのであります。あるいはまた埋め立てなどにつきましても、その埋め立てが海流に及ぼす影響であるとかいろいろありましょうが、それが決定的な原因であるというような場合には、当然埋め立てそのものに対しても考慮しなければならぬ場合が生ずる、こう思います。
  28. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろな被害が出てくる。特に赤潮の問題については、天候の影響もあり工場の排水もある。家庭用排水、下水の問題がある。さらに埋め立てとかの問題、いろいろな複合的な原因だろうと思うのであります。ますますこういったものが問題でありますけれども、やはりその際にひとつお願いしておきたいのは、環境庁としてはほんとうにいい環境を保つこと——環境庁は、字の示すとおり、環境を保全するための役所でありますから、その点をひとつ強力にやっていただきたい。  実は私の地元におきましても、先般漁民大会がありまして——響灘の開発をいたします。たいへんな大きな開発であります。ところが現在の公有水面埋立法の規定では、関係の漁業権者の同意をとれば埋め立てができる。ところが、そういったことだけでは納得できないようなことが、非常な大きな埋め立てをすれば、その埋め立ての及ぼすところの影響はその当該地域海域に限らない、さらに広いところに及んでくるものだろうと私は思うのであります。そういったような場合におきまして、何ら漁民に対する救済措置というか行政的な措置がないということであります。この辺を直すためにやはりいろいろなことをやっていかなければならない。立法としてもやらなければいけないし、行政としてもやらなければならないと思うのであります。実は公有水面埋立法の改正問題につきましては、昨年の十月だと思いましたけれども、私は当委員会において建設省の方にお尋ねしました。公有水面埋立法の抜本的な改正を検討しているということでありましたが、一体その後どういうふうになっているのか、この点につきましてお尋ねをいたします。
  29. 伊藤晴朗

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  昨年の暮れの本委員会先生から御指摘いただきまして、そのときの御指摘、ただいま御質疑にありましたとおり、埋め立ての免許にあたりまして水面権利者の同意を得るという、その同意を得る水面権利者の中に、当該埋め立ての区画内の漁業権者しか入ってないじゃないか、その以外の関係地区の漁業権者等についての影響がある場合の処理等も考えるべきじゃないかということで御質問があったのですが、そのときにお答えいたしましたのは、私ども大臣からの御指示もございまして、公有水面埋立法の改正を検討いたしておりまして、その際、当然、御指摘のような関係する漁業権者等への影響について、何らかの措置を検討すべきだろうということで進めております、というふうにお答え申し上げたわけであります。  ただいまその後の検討状況はどうかということでございますが、われわれ埋立法の改正を企図いたしました中に、これが非常に古い法律でございますので、いわば埋め立てに関する思想そのものの変革ということも踏まえまして、相当大簡囲な改正が必要ではないか。一部改正ということよりも現在全面改正という形の方向で進むことになりまして、その中に、たとえば御指摘のような点も含めますが、同時に、土地利用計画との関係をどう調整して埋め立て免許の基準考えるか、それからいわゆる土地の登記等とのからみで利権化の防止といいますか、さらにはこの埋め立てが本来国の土地等を利用することになるので、その利用が公共、公益を優先するような適正なものであるかどうかというようなことも含めまして、相当基本的な問題の検討になりますために、現在鋭意やっておりますが、必ずしもまだ建設省としての成案を得たという段階ではございませんで、やっと事務的に基本的な問題を詰めたということでございます。一応の目標は今度の通常国会に提案できるような形で関係省庁とも相談いたしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  30. 林義郎

    ○林(義)委員 実は当委員会におきましても、また政府のほうにおかれましても、瀬戸内海汚染を防止するために特別立法を考えようという動きがあります。いまの公有水面埋立法の問題、私もよくわかるのです。建設省のほうとしては、土地の調整の問題利用計画の問題いろいろな問題もありますから、基本的なことをやればそういった形でやっていただかなければならないと思います。やはり事態は緊急を要する問題であります。臨時法というか特別法というような形で瀬戸内海でやるのも、基本的に考えるならば同じ問題があるわけであります。私は、特に瀬戸内海であるとか東京湾であるとか、伊勢湾であるとか、そういったところが非常に汚染が進んでおりますから、そういったところについてだけでも応急の措置をしておく必要がある。特に先ほど申しましたように、疑わしきは罰するというような基本的な考え方というものがずっと裁判なんかに出てきておりますから、立法の態度としては、一応ストップをかけておいて、それからあとでいろいろ調査をしていく。水理模型を使って汚染の影響がどうなるかということがはっきりしたならば、そこで排除をしていくというようなかっこうにむしろしていくべきではないか、こう思うのでありますが、この点につきまして大臣どういうふうにお考えになりますか。
  31. 小山長規

    小山国務大臣 いまの響灘の問題については、赤潮の発生によって養殖ハマチが非常な被害を受けておるということは承知いたしております。  それから、原因としては響灘における大規模な埋め立てによって海水の流動状況が変化しておるのじゃないだろうかというようなことが考えられます。  この問題は、いま仰せになりましたように、ストップをかけておいて、そして調査をしたらどうだという考え方もありますが、この問題についてはやはり関係する省庁も非常に多いことでありますし、最終的な判断をここでいま申し上げるような段階でありませんので、これは十分検討して処置をしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  32. 林義郎

    ○林(義)委員 環境庁は、内閣法第六条によるところの権限を持っておられます内閣総理大臣の御指揮権について助言をするという規定がございます。私はやはり環境保全というのは、この環境庁設置法に見られるとおり非常に大きな権限を持っておる、また国の施策としても非常に大きな位置を占めておるのでありますから、ひとつ環境庁長官におかれましてリーダーシップをとってやっていただくことをお願いしたいと思います。  実は、ちょうど山口県に参りましたときに問題になりました、実は私あとで自分で現地調査に参ったのでありますけれども、休廃止鉱山、金ヶ峠鉱山というのがございます。ここへ行っているいろ調べてみましたけれども通産省のほうは内容を御承知でしょうから、私は端的にお尋ねいたしますが、この金ヶ峠鉱山というのは休止鉱山であります。休止鉱山でしかも鉱業権者がある。ところが鉱業権者のほうに話をしてもなかなかやってくれないということだそうであります。地元では非常にいらいらしている。特に砒素が環境基準以上出ておるというような調査報告もありますから、この辺を鉱業権者にやってもらうという形で、鋭意交渉してもらっているそうでありますが、鉱業権者そのものも金がない、無資力であるということであります。鉱山保安法の関係等からいたしますと、鉱業権者しか現場をいろいろいじることができないということになっておるようでありますけれども、事はやはり人命に関する問題——いまは出ておりませんけれども、やはり人命に関する問題であります。砒素というのは非常に毒性の高いものでありますから、こういったものにつきましても、ひとつ対策を立てていく必要がある。鉱業権者がおって、その人が何か対策ができるということであるならばけっこうでありますが、実際おっても金がない。そのときに金がないからほっておくというようなことでは、私はほんとう公害対策とはいえない、こう思うのであります。したがって、これにつきましては、たとえば石炭鉱害における無資力者の場合のような制度をつくるか何かしてやらなければいけない。やはり当面の措置として現在休廃止鉱山鉱害対策費というものがありますから、その辺から出して、休止鉱山からいろいろ流れておりますところの水のせきとめをするとかいうようなことができないのかどうか、その辺についてお尋ねいたします。
  33. 青木慎三

    青木説明員 金ヶ峠の鉱山の鉱害防止につきましては、ただいま先生指摘のとおりでございます。  そこで私どもは、鉱業権者がやはり第一次的には公害防止の義務を負っておりますので、公害防止義務を履行していただくというのが第一の手段かと存じます。そのために公害防止に関しまして命令もかけましたし、命令どおり実施してもらえないので、実際上送検をしたという手段までとったわけであります。  問題は、そういう場合に現行の無資力の場合の補助制度を使って処理できないかという御質問でございますが、現在、無資力であって、かつ鉱業権を放棄した場合には、国が四分の三の費用を負担をして、補助金を出しまして県がこの防止工事を実施するという制度がございまして、これを運用しておるところでございます。  ただ本件につきましては、鉱業権者が鉱業権の放棄をいたさないという実態でございまして、したがいまして、この無資力の場合の補助金の措置というものをとり得ないというのが現状でございます。そういう場合にどうしたらいいかということでございますが、現行法上は鉱業権の消滅を公権的にやることに法律上疑義がございまして、これはいまのところ私ども踏み切れない状況でございます。したがいまして、今後の問題としましては、こういう場合の鉱業権の放棄をどういうふうなかっこうでさせるかという問題かと思いますが、この辺のところ、無資力の場合に国ないし府県がかわってやるということはまた別途の問題もございますので、それを含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  34. 林義郎

    ○林(義)委員 私は鉱山保安法という体系は、基本的に申し上げるならば鉱山における労働災害を防ぐというような基本的な考え方になっているのだろうと思います。したがって、鉱山が活動しているというところの問題を大体中心にして考えておられるのではないかと思います。そういった問題でありますから、やはり想を新たにしてやらなければいけない。休止鉱山が被害を及ぼしたならば、鉱山保安法の考え方から、非常な極限のところにおいて適用できるかもしれないけれども、本来はできないのではないか、私はむしろ新しい考え方を出していってやらなければならないだろうと思うのであります。そうしないと、この休廃止鉱山の問題は、全国で千五百もあるということでありまして、いろいろな問題があると思いますから、ひとつ環境庁長官にもお願いをいたしまして、早急に対策を立てる必要があるのではないか、こう思います。特に、いま申し上げましたように、たった一つの事例でありますが、まだいろいろほかのケースも出てくると思います。こういったものを踏まえられまして早急な対策を立てていただきたい。特にこれはその地域住民の健康を守る、あるいは被害から守っていくということでありますから、その点を踏まえて何か特別立法が要るのではないか。いま局長からお話がありました鉱山保安法の考え方からすれば、私はしようがないことだろうと思うのであります。また局長答弁は全く答弁としては正しいのであると思います。しかし正しいからといってこれはほっておくわけにいかない。やはり住民のサイドに立っていかなければ、新しい問題がそこにあるというふうに考えますから、通産大臣にもお願いをし、また環境庁長官にもお願いして、ぜひそういった新しい立法の準備をしていただきたい、こう思う次第であります。
  35. 青木慎三

    青木説明員 ただいま御指摘の問題は御指摘のとおりでございますので、今後この問題に関しましては、法律の改正を含めまして、公害防止をするような事業団をつくるという構想もございますし、あらゆる面から検討いたしまして、何らかの対策をつくる必要があると思いますので、通産省といたしましても今後検討してまいりたいと思います。
  36. 小山長規

    小山国務大臣 通産省の所管事項でもありますし、通産省とよく相談をして対策を立てていきたいと思います。
  37. 林義郎

    ○林(義)委員 時間がなくなりましたので最後にいたします。  最後に大阪空港に参りました。大阪空港の問題はあとの委員諸君がたくさん質問されるようでありますが、長官がおられますから私は一つだけ長官のお考えを聞いておきたい。  大阪空港へ行っていろいろ騒音の問題を見たわけであります。実際飛行機が飛ぶところの下に行きますとたいへんな騒音で、これはたいへんな問題でありますので、思い切ってこういうことを考えられないかと思うのであります。というのは、三千メートルか何かのところを全部あき地にしてしまうか買収してしまってあと建てさせない。グリーンベルトにするかあるいは少々騒音になったところでいいような工場みたいなものをつくれば、密閉装置ができますから外の音が入らない、音も出ないということでありますから、そういったものしか建てさせないというような規制でもいたします。そうしますと、当然にいまおるところの人はどかなければならない。移転補償はいたしますが、いろいろなそういった金がかかります。そういった金がかかりまして、それがどのくらいかかるかということをこの前ざっと計算をいたしましたら、その計算のもとに立ってたしか五千億くらいだったのじゃないかと思いますが、それを航空機利用者あるいは飛行機会社で負担をしてもらうと、これは一ぺんで支払いをしなくても財源的な措置はできるだろうと思いますから、航空機税とかあるいは騒音税というとなかなか名前が問題かもしれませんけれども、そういったような形で利用者負担ということをやっていくのが公害対策のあり方ではないか。そこでいろいろと政府の金を出して補償せよとかなんとかということがありました。ありましたけれども、基本的な考え方とすればやはり原因者負担ということにして、これは原因がはっきりわかっているわけでありますから、その原因者においてしかるべく負担をしていく。私がざっと計算をしましたところでは、たしか一人の旅行者当たりで二千円ぐらいずつ負担をしていって十年間くらいやれば大体いくのじゃないかという計算ができました。そういったことも一つ考えていく必要があるだろう。やはりこういった公害問題の解決は利用者負担、原因者負担と申しますか、それによって益する人が負担していかなければならない。そういった意味での新しい環境財源というものをつくり出していくことが私は必要だろうと思うのであります。長官は前に自民党の税制調査会の会長もしておられましたから税理論については非常にお詳しいと思いますが、そういった考え方はとれるかどうかお尋ねいたしたいと思います。
  38. 小山長規

    小山国務大臣 伊丹の問題は、根本的にはあそこへ一体飛行場を置いておくことがいいのかどうか、この問題が一つあると思います。それで、どうしても移転ができないというような事態が明確になっておるということであれば、いまおっしゃったように立ちのき区域というものをきめなければならぬかもしれません。その場合の財源対策はいろいろありましょうが、いまお話になったようなものの考え方一つ方法ではあるというふうに考えますが、いまそのとおりそれでは実行できるかということになりますと、まだまだその辺の判断はつきかねる、こういうことであります。
  39. 田中武夫

    田中委員長 もう時間ですよ。
  40. 林義郎

    ○林(義)委員 もう終わりますから。  伊丹空港の移転問題というのがあります。移転をするにいたしましても、やはり騒音対策というものはしっかりやってもらわないと、移転先においても同じ問題が起こるのであります。この辺につきましてはひとつ抜本的な対策を立てられることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  41. 田中武夫

    田中委員長 林君の質疑は終了いたしました。  次に、土井たか子君。
  42. 土井たか子

    ○土井委員 先日の委員派遣のいろいろな調査の中に、長官も御承知のとおりに瀬戸内海汚染についての調査がございました。その中で特に、先ほど林委員のほうからも御質問の中に出てまいりましたが、家島周辺のごく最近起こりました赤潮被害についての調査というのがあったわけであります。  私たち派遣されました委員は、家島の役場の二階でこのたびの被害を受けられた漁業者の方々から切実な御意見なりそれから被害の実情を聞かされまして、みんなひとしくこのことに対しては沈痛な気持ちになったわけであります。  長官も御承知のとおりに、あの瀬戸内海という内海は海洋資源にたいへんに恵まれておりまして、本来あの瀬戸内海近辺で沿岸漁業で生活を立てていらしたという方が非常に多いわけであります。今回の被害についても、これは単に天災ではない、人災であるということを重々考えるべきであるという趣旨を織りまぜての質問をさきの委員会でも私は申し上げたわけでありますが、その節環境庁長官から、やはりこの際新全総の中身についても考え直す必要があるのではないかというふうな御発言もその席で承ったわけであります。私は決していまの田中首相の日本列島改造論というものが全部が全部政策の中身となって打ち出されるとは考えておりませんけれども、しかし日本列島改造論の中身を見ますと、昭和六十年のGNPは新全総よりも大きい三百兆円というものを目標にいたしております。その中身は、言うまでもございません、工業化による経済規模の拡大にございます。それを考えますと、私は今回のこの問題というのは今回だけにとどまるわけじゃない、これからも再三再四起こることだけは、いまの状態に置いておく限り覚悟しなければならないという意味も込めてひとつ御質問させていただきたいと思います。  まず一つは、もう現に起こってしまっているところの被害に対する対策でありますが、これについては、すでに補償の措置だとか、金融の措置だとか、漁業の方々が借入金をなすっているその借入金に対する特別の措置ということが大きく分けるとあろうと思います。金融措置については先般天災融資法の適用をするということを水産庁からも約束をいただいて、そうして中身についてはこれから当事者との折衝ということで進めようということであったわけですが、その後いろいろ中身について現在の天災融資法ではどうもワクがあまりにも狭過ぎる、実情に即さないということがこのたびの事情について言うならばあったわけであります。そのことについて、まずはどういうふうにお考えになり、ワクの中身をどういうふうに考えようとなすっているかということが一つであります。  それからさらに、この天災融資法というのはあくまで天災によって起こったことについての融資でありまして、今回の問題は単純な天災とはだれしも考えておりません。そういう点からいたしますと、制度金融上の措置ということをやはり考えなければならない。これは融資でなく、やはり補償という意味も込めての制度ということを今回新たに考え直す必要があるということは、どこからも聞かされている声であります。その一つに漁業振興資金制度というのがあることを御承知だと思いますが、この中身についても、どうも実情からすると、この掛け金に対して認められる金額がまことにお粗末なわけでありまして、どうもこれもまた実情に即さない。ひとつこの融資ワクというものを考え直してふやしてはどうかというふうな意見が、現場からは言うまでもございませんけれども関係当局、特に兵庫県あたりでも腰を上げてこの問題を取り上げているわけでありますから、こういうことについてどうお考えになるかということと同時に、時間の都合がありますから先にこれも申し上げてしまいますが、やはり金融というのはあくまで借金ですから返済しなければなりません。その返済についての有利な条件ですね、たとえば返済期限を延期することを考えるとかあるいはそれについての利子の割り振りを少し有利に考えるとか、いろいろな手だてがこれについてはあろうかと思います。そういう措置についてどういうふうにお考えになるかということ、これをまずはお伺いしたい。その次に補償の問題、借入金に対する特別の措置についての質問と進みたいと思いますから、ひとつお答えいただきます。
  43. 太田康二

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、今回の瀬戸内海の東部海域におきますところの異常海象並びにそれに伴いますプランクトンの異常増殖による赤潮によるハマチ等の被害につきましては、確かに人災的な要素がたいへん多いわけでございますけれども、いま申し上げましたように異常海象、それに基因する有害プランクトンの異常増殖によるものであるという意味天災融資法の発動に踏み切ったことは御承知のとおりでございまして、先般の九月八日の閣議で天災融資法の適用政令を御決定いただいたわけでございます。  そこで、先生お尋ね天災融資法による融資の限度額というのが、御承知のとおり養殖の場合には他の場合よりも若干有利に取り扱っておりますが、個人の場合は百万、法人の場合が五百万ということに相なっております。実は天災融資法の融資限度額につきましては、昨年の臨時国会におきまして法律改正によりましていま申し上げたように限度額の引き上げを行なったというようなこともあるわけでございまして、確かにハマチ養殖経営の実態を考えてみますと、たいへん大ざっぱなところでございますが、一尾当たりえさ代あるいは稚魚代、さらには労務費等を含めまして大体四百円くらいかかるというふうに見ております。したがいまして、たとえば百万であれば二千五百尾くらいの経営にしか該当しないということになるわけでございます。しかし実際に今回被害を受けられた方々の経営はこれよりはるかに大きいというようなこともあるわけでございまして、そういった意味でいまの天災融資法の限度額では不十分であるということはわれわれも十分承知いたしておりますが、一応現行の法律でこれが明記されておりますので、現段階におきましてはいかんともしがたいということになっております。この点につきましては、私どもといたしまして、不足分は、まことに申し上げにくいことだけれども、できれば県でその継ぎ足しをしてもらいたいということで県にもお願いをいたしまして、できる限り被害者方々の次期作の立ち上がり資金の融通に遺憾なきを期してまいりたい、かように思っております。  なお、今回の被害等の実態から見まして、私ども、党のほうからまだ正式には聞いておりませんが、やはり赤潮被害の実態にかんがみまして、従来の天災融資法だけでは不十分ではないか、したがって何らかの特別立法を検討する必要があるのではないかということもいわれておりまして、私どももいまそのことにつきましても内部的な検討を加えておる段階でございますので、いまの百万では現在の養殖の経営の実態に確かに合っていないということにつきましては、私どもも十分反省をいたしておる点でございます。  それから二番目の、私どもの実施いたしております共済の問題でございますが、確かに共済の制度につきましてはいろいろ問題があることは事実でございますが、ただ、ハマチの場合が最も共済の加入率が高うございまして、率で申し上げますと大体五八%近く加入を見ております。今回の場合にも約四億強の共済金の支払いが行なわれるということでいま被害査定を行なっておりまして、できる限り早く、少なくとも九月中には共済金の支払いができるようにいたしたい。なお共済金につきましては共済価額の問題等、いろいろ問題もございます。あるいは現在の掛け金の国庫補助につきまして、補助限度率というものを設けまして足切りをいたしております。こういった点につきましては、漁民の方々の掛け金負担をもっと軽減するために、私どもといたしましては、四十八年度にはぜひそういった補助限度率というようなものを設けないで、何と申しますか青天井で掛け金の国庫補助ができるような改善をいたしたい、かように考えております。  それから被害を受けられた方々がかなりの救済資金を借りておられる、債務を負っておられるのでございますが、この点につきましては、私ども、この災害が起こると同時に金融機関に電話等で依頼をいたしたわけでございますけれども、今回天災融資法の発動を見ましたので、正式に文書をもちまして、具体的に申し上げますと、農林漁業金融公庫あるいは農林中金、漁信連、これらの金融機関に対しまして、もちろん個々の具体的な事案に即しての処置になろうかと思いますけれども、償還延期等の措置を講じてもらいたいという依頼をいたしております。なお手形あるいは売り掛け金等、負債のある方々につきましては、これも系統金融機関に結局お願いするわけになるわけでございますけれども、つなぎ融資等の措置を講じてもらいたいというような依頼をいたしまして、まあ十分ではございませんが、立ち上がりができるような措置を講じた次第でございます。
  44. 土井たか子

    ○土井委員 今回の被害というのは突然何の予測もなしに起こったという事情じゃないと私は思うのです。やはり瀬戸内海汚染を見ておりますと、これは起こるべくして起こった被害だといわざるを得ませんし、また年々深刻化していくところの赤潮の状態を見ておりますと、近々起こるであろうという予測はだれしもできたところだろうと私は思う。特にこの問題については、最近瀬戸内海からとれるお魚が少なくなって、御承知だと思いますが、漁業構造改善事業計画、これはとるお魚からつくるお魚へという奨励が実はなされておる。養殖というのがあそこでは得がたい、これにたよっていこうというふうな漁業構造というものを最近もたらしたわけですから、そういう点からいいますと、今回のこういう緊急な問題に対してどのように対処すべきかということは、初めから考えられていなければならない問題だったわけですね。その点はいわば手落ちであり、いわばその点については不十分な考えしか持っていなかったというふうに非難されてもしようがないことだと私は思うのです。ところが、いまお伺いしますと、すでに天災融資法の適用をして考えるということはお約束のとおりでありますが、法律のワクがそうきめているからそのワクをはみ出て考えるということはちょっとできない、まことに残念ながら県のほうがそれにどれだけ上乗せするかということにたよる以外にないという御答弁でありました。あえて申しますけれども、地方財政の中身がどういうものであるかというのは御承知だと思うのです。こういうことについて十分な補償措置をやろうとしたときに——補償じゃない、これは金融ですから、融資でありますから、お金を貸し付けるということになると思いますけれども、まずはさしずめ、どれだけこれに対してワクがあるかということは非常に大きな問題だと思うのです。兵庫県にたより切って、これで十分にそれに対する措置ができたというふうにお考えになったら、これはまた非常に、大所高所から考えても、国の態度というのはけしからぬ、一体何を考えているかというふうな非難を受けてもしかたがないことだと私は思います。いまの法律は、おっしゃるとおりのワクであることは私も百も承知でありますけれども、ひとつこれについて何とかできないかというお考えをお持ちになって御努力をどのようになすったか。それは兵庫県に対してかけ合いをなすったことはあるでしょう。兵庫県に対しては望みを託したいからその点がんばってくださいという激励をなすったことでありましょうが、しかしそれ以前にどういうふうな対策なりお考えをお持ちになったかということを、もう一度お伺いします。
  45. 太田康二

    ○太田説明員 先ほども申し上げましたように、私どもの大ざっぱな計算によりますと、一尾当たり大体四百円かかるということがいわれております。そこで一体融資限度額としてどう考えるかというようなことがあるわけでございますけれども、現行法が百万円ということで頭打ちになっておりますので、現行法の範囲でやる限りにおきましては、大体各県から要望が出ました金額にあわせまして、天災融資法の総融資額といたしまして八億円という、政令で決定を見たのでございますが、私ども内々検討いたしておりますことは、農業でよく自立経営農家というようなことをいうわけでございまして、その際、要するに他産業並みの所得をあげるのにどのくらいの経営規模であったらよろしいかということになるわけでございます。そこで、私どもいまハマチについて考えてみますと、大体これが実現できればまことによろしいわけでございますけれども、二万尾経営ぐらいでございますと、所得が大体百八、九十万になる。そうしますと、一人当たり家計支出が他の産業の所得と大体均衡するということになるわけでございます。そうなりますと、大体限度額を八百万ぐらいに引き上げなければいかぬ、こういうことになるわけでございます。  そういうことも内々検討はいたしておりますが、いまの段階で直ちにこれをどうするというわけにもまいりませんので、特別立法というような話も出ておりますから、そういった際にこれらをどう処置するかということになろうかと思います。そういったことで、内々、金融上でめんどうを見る場合にはどうしたらよろしいかということについての検討をいまいたしておる段階でございます。
  46. 土井たか子

    ○土井委員 金融上の問題も、それじゃ特別立法というふうなことのお考えをお持ちのようでありますけれども、漁業関係者というのは、やはり生活をかけての漁業でありますから、次、いつの日に特別立法が用意されるかというふうなことを待つ時間は私はおそらくないだろうと思うのです。また、そういう法律がつくられましても、遡及して今回の被害にも及ぼすというふうなことも、またこれはなかなか困難な問題がありましょう。そういう点からしますと、今回の被害については、時間のかげんがありますから再度これは確かめますけれども、いまきめられている天災融資法のワク内にとどまる融資しか考えざるを得ないという態度でお臨みになるわけでありますね。
  47. 太田康二

    ○太田説明員 私どもといたしましては、やはり現行法のワクの問題がございますので、先ほど申し上げましたように、総融資ワク八億ということで、大体各県の希望の限度額一ぱいを総融資ワクとして決定したということでございまして、まあ当面やむを得ないだろう。先ほど申し上げましたように、さればとて、それでは不十分であるということで、実は各県にもお願いをいたしまして、不足部分についてはひとつ県の協力を仰ぎたいということの依頼をいたしておりまして、現にそういったことを検討し、実行に移していただけるんではないかということの期待を持てるような県もあるようでございまして、当面はそういったことで対処する以外になかろうというふうに考えております。
  48. 土井たか子

    ○土井委員 これは大きなしこりを私はあとに残すだろうと思うのです。来たるべき日に、それは法律で何とかその段階で審議する際に考えてはどうかというふうな意味もあるかとは思いますけれども、しかしこれはやはり早急にこういう場合に対処できる姿勢というのを常に持っていていただかないと、こういうものは、これから汚染がずっと進行するにつれてもっともっと大きな被害もあるいは来たるべき日に起こるかもしれぬということでありますから、これは続々こういう問題はこれから追い打ちをかけるように起こってくるに違いないということだけは覚悟しておいてよい問題だ。そうなりますと、その場しのぎのいまある現行法でどう考えるかという問題から、その場しのぎで、だからここから発想して来たるべき日に法律というものを考えてみようじゃないかということでいつもいままできたわけでありますから、この一つ家島に起こりました被害を契機にしまして、徹底的にひとつ汚染対策に取り組んでみる、瀬戸内海汚染対策に取り組んでみるというふうな、これを機会にしていただく、ぜひそれを心から私はお願いするわけです。それはしかしいまおっしゃるとおりでありまして、天災融資法のワクをどうこうしろと言ったって、水産庁からはそれ以上の答えは出てこないでしょう。ですからその次は、いまちょっと答弁の中で出されましたけれども、いま漁民の方々が借り入れ金を持っていらっしゃる。それについて政府が肩がわりをしてたな上げにする御用意があるかどうか。それから借り入れ金の返済期限の延期ということを政府の責任において何とか行政指導の上で考えてみようというふうなお考えがあるかどうか。また利子の中身については政府が責任をもって補給するというふうなことのお考えがあるかどうか。この点について少しお考えのほど、また現に実行なさっていること、これからの対策、それを聞かせていただきたい。
  49. 太田康二

    ○太田説明員 政府の責任において旧来の利子をたな上げするというのは、前例もございませんので、これはちょっと不可能ではないかというふうに考えております。ただ、私ども先ほど申し上げましたように、漁民の方々が主として借りておる農林中金とか農林漁業金融公庫あるいは漁信連等からの借り入れ金等につきましては、償還期限の来ているものにつきましては、今回のような被害を受けた場合には償還期限をできる限り延長するというようなことにつきまして、具体的ケースに即して措置してもらいたいということは明確に私ども関係金融機関に依頼をいたしておりまして、これによりまして従来とも個々のケース・バイ・ケースに応じましてそういう措置がなされておるということがございますので、そのことを期待をいたしておるのでございます。  それから借金等につきましての問題につきましては、やはり当面のつなぎ融資を信連等にお願いをして、それによって対処するということ、これまた依頼をいたしまして措置をいたした次第でございます。
  50. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁では、それはそれが事実上スムーズに進行する、それからさらに内容がおっしゃるとおり実効性のあるものになるということをひとつ心からお願いするわけですが、ほかに、いま申し上げているのは金融、借り入れ金の問題でありまして、やはり私は本来、今回の家島のハマチ養殖で被害を受けられた方々被害者なんですから、被害者という立場からすると、どうしても忘れてはならないのは、私は補償問題だと考えています。いまの金融とか借り入れ金に対する特別の措置以外に、いまの補償ということについてどういうお考えがおありになるか。これは先ほどちょっとお述べになった限りでは、赤潮などによる漁業被害についての救済に関する特別の立法というものの必要があろうかと思うというふうな御趣旨の御発言もあったやに聞きますけれども、それは将来にわたる問題でありまして、現実いま家島かいわいで起こっている、また淡路で起こっている、あるいは愛媛県で起こっている、香川県で起こっているこの問題について、どういうふうに補償の問題をお考えになっていらっしゃるか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  51. 太田康二

    ○太田説明員 この点についても先ほどお答え申し上げたつもりでございますけれども、漁業共済の制度がございまして、ハマチはそのうちの養殖共済でございます。これにつきましては掛け金の国庫負担もし、国も再保険をいたしておりまして、今回の場合も、被害を受けられた方々で、共済に加入しておられる方々につきましては、共済金の支払いということをできる限り被害査定をいたしまして九月中に支払うように指導をいたしておるのでございまして、これによって対処をいたしてまいりたい、かように存じております。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 それは共済の問題でございましょう。共済について、掛け金を掛けているのを手早く支払うことというのが補償ということになるわけでありますか。
  53. 太田康二

    ○太田説明員 私はそういう意味で、補償というのは共済だろうと思ってお答えを申し上げたわけでございますけれども、何か国の責任においてこれを全部損害を補償するというようなことはちょっと考えにくいかと思います。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 それではいろいろ赤潮あるいは海洋汚染によるところの漁業被害について何らかの救済措置ということがどうしても今回必要だというふうな声が津々浦々にあるわけですね。それは関係者のみならず、被害者のみならずそういう声があがっているわけですが、また私たちもそれで次期国会には必ずこれについての特別措置法の制定こそ必要だという認識を持っていますから、それの立法を急ぐための努力をそれなりに払わなければいけませんけれども、いまおっしゃったようなそういう共済制度のワクにとどまる問題じゃないわけです。やはりそういう漁業被害を受けられた方は、あくまで被害者としての取り扱いというものが片やなければ困る。これはやはりこういうふうな被害というふうなものが、海洋が汚染されている限り、瀬戸内海の水質がいまのままで、あるいはもっとひどくなっていけば、よりこの問題は深刻化するわけですが、いまのままである限りこういう現象というものが起こってくるわけで、しかもそこで漁業で生活をしないと生活の道がないという方々については、やはりこのことに対しての被害補償というものを別途考えなければならないのじゃないか。このことを考えるわけですが、水産庁のほうとされましては、そういうことについては考える必要はないと長官はお考えでいらっしゃいますか。
  55. 太田康二

    ○太田説明員 私どもは、漁民の救済の手段として共済制度という制度を設けておるわけでございますから、これにできる限り加入をいただきまして、被害を受けられた場合に共済金の支払いということでみずからの経営を守る、こういう制度をつくっておるわけでございますから、これによって措置していただきたい、かように存ずる次第でございます。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 水産庁のほうのこの共済問題について、また救済措置あるいは補償措置の中身についてどういうふうにお考えであるかということがいまわかりました。したがいまして、そういうふうな水産庁のお考えについてわれわれはどう思うかということをやはりこれから明らかにしていきたいと思うのです。ただ、きょうは時間のかげんで、ほかにまだ問題点が種々ありますから、これを追い打ちをかけるようなかっこうになるかもしれませんけれども、皮切りにしてまたやりますから、ひとつその節また水産庁なりのお立場を鮮明にしていただきたいと思うのです。  一つは、いまのは、それは養殖業、特にハマチ養殖に対しての被害対策ということでありますけれども、それは内海全体に対する汚染対策というものを抜きにしていまの問題考えられないわけですから、内海全体の汚染に対してどういうふうな対策をとるべきかというのはこれはもういろいろあるわけで、この前にも抜本的な対策として少なくともこういうことが考えられるという中に、工場廃液、排水の総量規制の問題や、下水や屎尿処理の第三次処理の問題や、あるいは瀬戸内海におけるところの屎尿の海上投棄の禁止など、それぞれ取り上げて長官にもひとつ御答弁をいただくということであったわけですけれども、これはやはりこれを取り扱う特別措置法と、もう一つは行政の一本化ということで、この問題を直接取り扱うところの政府機関、できればこれは庁というものがあってしかるべきではないかというふうな考えを持っているわけです。しかし、これは大きな一つの単独法をつくる場合の中身にずっと入れていけばいいということの問題にもかかってまいりますから、いま早急にこれをやったらできるであろうと思われるような対策について一、二ここでお伺いをしておきます。  それは、現にこの海の上を走っております船の中にはいろいろあるわけでありますが、その中で特にあの播磨臨海工業地帯、あの地帯一帯を行き来する船にタンカーがたくさんあることは御承知だと思います。このタンカーの規制をいまのままに放置しておいていいかどうか、いまのままの規制のしかたでいいかどうかという問題が一つはあろうかと思います。  で、いま海水油濁防止法の中身からしますと、五百トン以上のタンカーについて、やはりオイルフェンスそれから油の吸収装置の常備というものを義務づける必要があるんじゃなかろうか。  それから、御承知のとおりに海難事故が一たん起きますと、海域全体が汚染されるおそれというものがあるということはもう言うまでもありません。そこで大型タンカーについては瀬戸内海への乗り入れ、航行禁止ということをやはり一応ははからなければならないのじゃなかろうか。これはいわば海水汚濁というふうなこともございますけれども、それと同時にやはり付近の安全性の確保というようなことも込めてこの問題というものを早急に取り扱っていいのじゃないだろうか。ですから、これは十万トン以上のタンカーについて瀬戸内海の航行を禁止するというふうなことがやはり即刻考えられていいのじゃないかと思うのです。  こういうことがタンカーについてあると同時に、タンカー以外の船については現に海洋汚染防止法の第九条の規定を見ましたときに、総トン数三百トン未満の船舶については、長官も御承知のとおりでビルジ排出防止装置設置の適用除外になっておりますね。これは適用除外でないようにつくりかえる必要があるのじゃないか。つまり瀬戸内海においてはすべての船舶について適用対象とするように考え直す必要があるのじゃなかろうか。こういうふうな問題がいま現にあるわけですが、こういうことについてどのようにお考えでいらっしゃるかということを長官にお伺いしたいのです。
  57. 小山長規

    小山国務大臣 いろいろ技術的なといいますか、いろいろな関連があるようでありますから、局長からひとつ答弁させます。
  58. 岡安誠

    岡安説明員 瀬戸内海のタンカーの問題でございますが、おっしゃるとおりあそこで事故が起きればその海一帯に汚染が広がるわけでございまして、その問題があることは私どもも承知いたしております。そこで先般、海上交通安全法の改正等も行なわれまして交通安全というような措置もとられているわけでございますが、さらにそれ以上の、それで予想されないような事故の場合のことを考えると、内海の大型のタンカーの乗り入れにつきましては何らかの規制が必要ではあるまいかということを実は考えているわけであります。ただそのためには、基地の問題その他解決しなければならない問題がございますので、関係省庁ともよく相談してまいりたいというように考えております。  それから海洋汚染防止法の適用除外について、九条で三百トン未満のものについて適用除外があるということでありますが、この問題につきましては、この法律そのものが一九六九年でしたかの改正条約に基づきましてできている法律でございます。この改正条約につきましては、まだ必要な国々におきましての批准ができておりませんので成立しておらないという背景の上で、私どもある程度先行いたしましてこの法律を実施いたしている段階でございます。しかし私どもといたしましては、これで満足するつもりはございません。できるだけ早く、さらにこの内容につきましての改善は当然考えるべきだというように考えております。これらにつきましては、関係省庁とよく相談いたしまして対処いたしたいと思います。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 それば早急にやっていただく必要があろうかと思います。この問題はこの程度におきまして、やはり劇毒物の運搬をする化学工業が発達するということになってまいりますと、そういうものを運搬する船もいよいよふえるわけでありますから、そういう運搬途中の船の事故による汚染防止ということについてどう考えるかという問題も別にあろうと思いますから、そういうことも込めながら、ひとついまの海洋汚染防止法第九条はいうまでもなく、全般について再検討をお願いしたい。これは早急にやっていただく必要があるのじゃなかろうかと考えておるわけです。  そのことを一つ申し上げて、さらにこれは視察してまいりました伊丹にある大阪国際空港周辺の例の航空機騒音の問題であります。ここでは時間のかげんがありますので、順を追って十分に時間をかけて一つのことを追究するという余裕がないと思いますが、ひとつ抜本的な対策からお伺いをしていきましょう。  すでに四十六年の九月二十七日に、前大石環境庁長官中央公害対策審議会に、特殊騒音にかかる環境基準設定についての諮問をなすっています。その中に、この伊丹空港周辺の航空機騒音に対する環境基準設定ということを中心にした問題が掲げられているわけでありますが、その後四十七年三月二十九日になりまして、運輸大臣から環境庁長官あて、勧告に基づく報告というのが出ております。その中身を見ますと、これは具体的に環境庁長官からの諮問に対する報告でありますから、項目別に書いてあるわけでありますけれども、いまここでまず抜本的な問題としてお伺いしたいのは、現在の大阪国際空港の航空機騒音規制というものを全面的に強化してほしいというのが、これは地元の切実な気持ちであり要求なんです。長官もやがてはいらっしゃるという御予定のはずでありますが、一時間や二時間じゃなく、二十四時間四六時中ここで生活している現場の人たちにとっては、これは避けがたい騒音、と言うよりもごう音より以上に激音でありまして、人体に対する健康被害も出ておるわけでありますから、手をこまねいているわけにはいかない問題です。そこで、こういう航空機騒音規制についての強化として、一体どこからどういうふうに持っていくかということです。いろいろなやり方があると思うのです。環境庁長官とされましては、どの辺に一番ポイントを置いて、いま早急にやれることで何を一番根本対策としてやりたいとお考えか、その辺をひとつお答えいただきます。
  60. 小山長規

    小山国務大臣 私どもが各省庁に対して強い態度で臨めるためには、やはり環境基準というものをつくっていく必要があると思います。そういう意味で、いま環境基準設定について審議会にお願いして、鋭意進めておるところであります。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 その鋭意進めていらっしゃるという環境基準は、いつごろ具体的に公表される予定でありますか。
  62. 山形操六

    山形説明員 お答えいたします。  現在、航空機騒音の問題と新幹線騒音の問題と、その審議会に両方をやっていただいております。航空機騒音の問題に関しましては、とりあえず伊丹、羽田の両空港に対する暫定的な指針は出しました。しかし全般的な航空機騒音にかかわる環境基準ということになりますと、これはやはり世界的にまだ例を見ておりませんので、むずかしい問題がいま山積しておりますが、鋭意努力しておりますので、年度内には必ずこれをやっていただくよう、お願いしておる最中でございます。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 年度内というと、来年の三月までという意味でありますが、年内というと、ことしの十二月でありますが、その辺をはっきりしておいてください。
  64. 山形操六

    山形説明員 新幹線の騒音に関する指針を年内に、それから航空機に関する環境基準を年度内にぜひともやっていただきたい、こういう考え方先生方にお願いしておる最中でございます。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、新幹線についての環境基準が先なんですね。この航空機騒音については、環境基準をつくってほしいという要求は、新幹線のできる前からあったんですよ。いかがですか。それはちょっとおかしいじゃありませんか。
  66. 山形操六

    山形説明員 おっしゃるとおりに、航空機の騒音に関する環境基準をつくるべく作業をしていただいたのでありますけれども、羽田と伊丹の問題に関するのは見るに見かねるということで、あのような暫定的な指針をつくりまして、運輸省に勧告をしたわけでございます。それと同様に、新幹線についても、環境基準という作業をいましておりますが、やはりこの問題も、航空機騒音と音の問題で非常に似通っておりますので、新幹線に関して非常に問題の多い点がございますので、これも前回の航空機騒音と同じように、とりあえず暫定的な指針をつくるという作業を先にしております。これを済ました上で、本来の航空機騒音環境基準に入る、こういう作業の手順になっておるのでございます。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 そうしますと、それは環境基準についての作業というのは、そういうふうにおくれておるというようないま理由説明があったわけでありますけれども、これは世界に類がないからそれだけにいろいろ技術の点で検討を要する問題もおありになろうかと思います。しかし、待ち切れないんですよ、住民のほうは。いま、いろいろな調査研究のほうも大事でありましょうけれども、一番忘れられて困るのは、住民の被害であり、いまそこで生活を四六時中やっておる人たちの実情でありますから、これをいつも念頭に置いていただいて、もう一つ早くやってもらわなければ困ると思うんですよ。年度内でなしに年内、年内も可及的すみやかに、これは現場に行ったら切実な要求だし、私もそれは真実そう思います。ひとつそういうふうなことで作業を急いでいただきたい。と同時に、いまここでこれは運輸省の方にもお伺いしたいんですが、かつて環境庁のほうから中央公害対策審議会のほうに出されました諮問の中身には、ピークレベルのパワー平均というのが明示されました。九十ホンから八十七ホンと書いてあったはずです。WCPNLで八十五、これを変えて見ますと。ところが、運輸大臣に出されたところの当時の勧告の中身では、こういう数値が明示されておりません。最高限度の設定の数値は、運輸大臣あての勧告には示されていないのです。そこで、運輸省としてはどうお考えになるか、この問題は。運輸省としては、環境基準設定についてどれだけの努力を払い、どういうふうになさろうとしておるかというあたりをひとつここではっきりさせていただく必要があろうかと思います。それを一回お聞かせください。
  68. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。飛行場部長でございます。  環境基準設定につきましては、環境庁と十分連絡いたしまして、いろいろお願いをいたしております。われわれといたしまして、この点については学識経験者にもいろいろ御意見をお伺いいたしまして、運輸省の方針と申しますか、いろいろの点について検討を加えておるという点でございます。もちろん、環境基準環境庁からお示しいただければ、われわれといたしましてはこれを厳重に守っていく所存でございます。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 追い打ちかけるように聞きますが、環境基準をおつくりになる際に、何と言ったって騒音発生源というのは飛んでいる飛行機そのものでありますから、この飛行機についてはどういうふうに考えるかという対策なしに、環境基準というのは意味がないと私は考えます。  そこでお伺いしますが、飛行回数についてはどの程度に押えるべきだとお考えか。それから、先ほどのピークレベルのパワーについてはどの程度に押えることが必要と考えるか。いま暫定的な考えでもけっこうですから、ひとつその点をはっきりさせておいていただきたいと思います。
  70. 隅健三

    ○隅説明員 便数制限につきましては、大阪の国際空港というのは旅客の需要が非常に多うございます。しかし、われわれといたしては、環境保全というものもこれは非常に大切なことでございますので、多少とも利用者の御不便は十分覚悟いたしまして便数の制限を現在いたしております。ことしの七月、八月では、昨年同期よりも若干下回っておると思いますけれども、われわれといたしまして、便数につきましては、現在以上の便数を認めないということを強く守っております。  なお、騒音基準につきましては、われわれといたしましても、現在検討中でございますけれども環境庁からお示しいただきまして、八十五というのを一つ基準といたしまして今後の騒音対策、あるいは騒音防止法の改正によります四十八年度以降の事業に対しまして、一応、民家の防音工事等を含めまして、八十五というものを基準考えております。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 いま一日の飛行回数については昨年に比べたらずいぶん回数が少なくなったはずだという御発言にとどまったのですが、一体何機ぐらい飛んでいるか、何便ぐらい飛んでいるかということを明示していただくと同時に、もう一つ申し上げたいのは、夜間飛行についての禁止というのがございますね。午後十時から午前七時まで、これは音減対策として出ているはずであります。四月二十七日から実施されているはずであります。そこで、夜間飛行が削られるということになると、昼間の便数にはね返ってくることもある。したがって、それは飛行の機数というものが少なくなるということ、一日の延べで見た場合にはそうなるかもしれませんが、それだけ時間が削られた分が昼間に食い込んできて、のべつまくなし昼間飛ぶという現象も現場ではあるのですよ。こういう問題も一つ頭に置いていただいて、いまの便数、機数というのをはっきり言ってください。
  72. 隅健三

    ○隅説明員 一日平均で四十六年七月が四百三十便でございます。四十七年七月が四百十一便でございます。その点十九便減っております。  それからなお、夜間飛行につきまして、これは後ほどまたお話をいたしますが、現在のところ、大阪空港におきましては、二十二時でもって厳重にこの規制をいたしております。ただ、郵便機のみが例外でございまして、御存じのように、大阪−東京間は六便、大阪−福岡間が二便、計八便の夜間飛行がございます。先生もおっしゃいましたように、十時以降の夜間飛行を制限すれば昼間にそれがくるかというお話でございましたなれば、一応現在のところ、やはりピークというものは夕方から九時、十時ごろが一番のピークになっておるということは事実でございます。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 それで、ピーク時には一体何分間に一機の割合に飛んでいるというふうに調査の結果お考えでいらっしゃいますか。そうしてそれとあわせて、先ほどのWECPNLで八十五に押えたいという数値が出ていますが、その点もはっきり突き合わせておっしゃっていただきたいと思います。
  74. 隅健三

    ○隅説明員 現在一番の便数の多いのが、一時間三十六便でございます。これは大阪のほうから六甲のほうへ向けて出ます離陸が十八便、着陸が十八便、計三十六便でございます。それで、これを踏んまえまして、八十五WECPNLというものを考えました場合に、非常にいろいろ問題もございますので、やはりわれわれといたしましては、音減対策、これはジェットエンジンに対する改良をいま進めておりますけれども、やはりこの問題を含めまして、なお、便数に対するいままでの制限というものを考えまして、そうしてこの八十五WECPNLというものを何とか守っていきたいということが、われわれとしてただいま考えておるところでございます。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 一時間三十六便とおっしゃった。これがピーク時の回数値でしょう。そうしますと、WECPNLによられるかNNIによられるかそれは別として、とにかくこういう数値については人体に対する影響を考えながら、人体の健康をそこなわないということが基準になるわけですね。生活の中身をこわさないということが基準になるわけですね。そこから考えていった場合には——私はだからいま一日のうちのピーク時の便数を言っていただきたかったのです。やはりピーク時を基準に置いて考えていただかなければ困る。その時点においてだいじょうぶだということが出てこなければ困るのです。そうなってまいりますと、これはいまおっしゃったようなピークレベルのパワーを問題にしながら八十五という数値でだいじょうぶなんでしょうか、その点が一つば問題点として残ると私は思うのですよ。同時に夜間飛行については——先ほどおっしゃったとおり郵便輸送機というものがいまは飛んでいる、それだけが例外として認められているとおっしゃいましたが、運輸大臣から四十七年の三月二十九日に出た報告の中身では、代替手段を考慮いたします、したがって、この郵便輸送機についても段階的に夜間に飛ばせないようにいたしますということが述べられた後、四月二十七日からこれを実施しますとなっているのです。現に代替措置というのはどういうふうに考えられているのか、そのことなくして、これは何もやめるわけにはいかぬはずでありますから、これもやはり責任をもって考えておいていただかなければ困るし、また実行していただかなければ困るわけですね。そのことは一体中身はどうなっておりますか。
  76. 隅健三

    ○隅説明員 郵便機の問題につきましては、郵政省のほうからもお答えがあるかと思いますが、われわれといたしましては、郵政省のほうからの御要請で、近畿、四国、中国に対する郵便物の輸送をやはり飛行機によって行ないたいというお話がございます以上、これを最小限度に押え、これでやっていくということでございまして、この代替手段があるいは新幹線の夜間の運行だとか、あるいは自動車輸送だとか、そういうような代替のものが郵政省においてお考えになるなら、われわれとしては当然この夜間の郵便機を減らしていくということは十分考慮しております。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ郵政省さんはその点はどうなんでしょう。これは建築部長さんだからちょっと違うかもしれませんけれども……。
  78. 武田礼仁

    ○武田説明員 どうもとんだことを聞かれまして……。全然所管は違っておるのでございますけれども、やはり慎重に検討して代替手段を考えていきたいというのが郵政省の全体の考え方であるということは、私も、所管外でございますが承知いたしております。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 それはもう運輸省が何といったって問題ですから、運輸省さんのほうが郵政省さんのほうに積極的に言われて、そうしてこれはもうやはり実現させていただかなければ、これは報告に偽りありになっちゃいますよ。四月二十七日から実施する、代替手段を考慮して段階的に実施すると、ちゃんと言い切っていらっしゃるわけですからね。しかも、夜間飛行の禁止というのはほんとうに禁止にならなければ禁止じゃない。いま現にふいふいと飛んでいるというのじゃこれはやはり禁止じゃないわけですから、その点やはり考えてもらわなければ困ると私は思います。一たん言われたことです、夜間飛行の禁止を実現させますということは。それはお願いいたしますよ。いかがですか。
  80. 隅健三

    ○隅説明員 ただいまの夜間飛行の禁止についての問題でございますが、われわれといたしましても、郵政省の郵務局に対しましてこれをできるだけ早く改善するように強く要請をいたしております。その点今後も引き続き代替輸送についての手段をいろいろ考慮していただくように申し入れるつもりでございます。
  81. 田中武夫

    田中委員長 土井さん、もう質問を全部並べて一ぺんにやってください。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  郵政省の武田建築部長さんに一問と、自治省の四柳市町村税課長さんに一問と、最後に長官に一問と、以上三問をあといたします。  それで、郵政省の武田建築部長さんにお尋ねしたいのは、この伊丹空港周辺の郵便局、特に発着陸のコースの真下にある郵便局、卑近な例をあげますと豊中南郵便局というものがさしずめ着陸寸前のコースの真下にある郵便局で、ここのごう音というのはものすごいものです。こういう郵便局については、公共施設の中にもいろいろありますけれども、やはり一般市民一般住民についてやっていらっしゃるお仕事の中では直結しているお仕事ですから、この郵便局に対しての防音装置をどういうふうに考えるか、それからそういうことに対してどういう対策を講ずるかということは非常に大事な問題だと思うのですね。郵便局の局員さんに聞きますと、もうほんとうにやりきれぬという話ですわ。ノイローゼぎみになるということが事実あるようですね。これを建築部長さんとされましては、いままでこれに対してどういうふうな対策を現に講じられたか、またその中身が現実にどうなっていて、これからどうなさろうとされるのかというあたりをまずひとつお尋ねをいたします。  それからあと、自治省の四柳市町村税課長さんには、特に騒音被害の大きいところの固定資産税や住民税なんかの軽減措置がいままで再三再四声として出ていたはずです。これについてどのような措置をいま現に講じられておるか、またこれから先——これで十分とはまさかお考えになっていらっしゃるとは私思いませんので、どういうふうになさる御予定があるか、それをひとつ答えていただきたい。  最後環境庁長官、先ほどおっしゃいましたとおり、環境基準というものを早急につくることが抜本対策として大事だと、こういうふうなお答えでしたが、私もそれはそう思います。けれども、この抜本対策として、そういう環境基準さえつくればこれでよいということでは、まさかそうはお考えになっていらっしゃらないわけであって、いま早急にできるところからできるように行政措置を講じようじゃないか、これは前の委員会でもそういうふうなお考えの披瀝をしてくださいました。その点非常に大事なんですが、ひとつ航空機の安全対策や救急対策についても忘れられ工は困ると思うのですね。いま騒音の問題を追っかけて、これについて何とか騒音に対する規制環境基準をつくって、住民が騒音に悩まされる度合いが軽減されるように、あるいは住居の移転の問題を抜本対策として考えようじゃないかとか、いろいろおありになると思いますが、飛行機が飛ぶ限りは安全対策とか救急対策というものも忘れられては困ると思うのです。それもいまお考えの中の環境基準の中にひとつしっかりと突っ込んでいただく御用意がおありになるかどうか、この問題をひとつ伺っておきたいと思います。  以上です。
  83. 田中武夫

    田中委員長 順次御答弁を願います。
  84. 武田礼仁

    ○武田説明員 郵便局の職員ほ職場環境と申しますか、それにつきましては良好な職場環境を与えたいというふうにいつも考えておるものでございますが、騒音ということをどうやって防ぐかということでございますが、ただいまの建物は鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨造というような堅牢な建物になっておりますし、それから窓ワクその他も性能がかなり向上いたしましたので、端的に申し上げますと、窓を締めれば外の騒音はある程度防げるわけでございます。しかし窓を締めればいいなどと簡単には申しますけれども、実際は夏の場合には窓をあけなければ、冷房をしておらなければ全く何もならないわけでございまして、冷房ということを伴わなければ、いかに建物が堅牢であり、サッシの性能がよくなっても、実際は騒音を防ぐということにはならないわけでございます。それで四十六年度からでございますが、既設局舎の冷房化ということを進めようということで努力いたしてきておりまして、現在全館冷房をいたしましたのが残念ながら二十一局でございます。しかし将来にわたりましてある程度、いまのところは八年ぐらいをめどにしておるわけでございますが、全局を冷房いたしたというふうに考えております。で、御指摘の豊中南局でございますが、来年度の予算に要求いたしております。  以上でございます。
  85. 四柳修

    ○四柳説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問、毎回御案内のところでございますが、たてまえ上、残念ながらいまの地方税法によりますと、「(公益等に因る課税免除及び不均一課税)」あるいは第七条の「(受益に因る不均一課税及び一部課税」、これには該当いたさないわけでございます。  そこで、具体的にどうしているかということでございますが、住民税につきましては、御案内のように納税義務者の負担能力という問題ですから、これは正直なところ、なかなか手がつかないと思います。固定資産税につきましては、御承知のように三年ごとの評価がえがございまして、来年一月一日が評価基準日でございますが、いまの固定資産税のたてまえは、課税標準は価額でございますから、その価額が売買実勢等により判断いたしまして、他の地域と比べて上がらないといいますか、あるいは低くなってしまったというような事態がございますと、そのような評価がなされるのではないかと思います。  それから税には直接関係ございませんが、御承知のようにことし航空機燃料譲与税が設けられまして、市町村のほうにもことし九億円、来年二十一億円でございますが、それがまいります。そうしますと、直接住民の方の個人の財産等には手がつきませんけれども、広義の公園等あるいは道路等につきましては環境整備の財源に使うことがきますものですから、非常に区域が限られておりますけれども、その点では市町村からサービスがお返しできると思います。
  86. 小山長規

    小山国務大臣 私ども考え方は、先ほど来お答えしておりますように、空港周辺地域の住民の生活環境を保全するための基準、こういうものをつくることを鋭意やっておるわけでございますが、つくった場合には、その基準を守らせるために各省庁に対してもいろいろ勧告をしますし、また守るために各省庁もいろいろなことをやるわけであります。それによって目的を達成したい。  それからいまの安全対策というものは、これは環境基準の範疇からはちょっとはずれまして、これは別の観点から、安全対策をどうするかという問題は運輸省なり防衛庁が別途考えておらなければ、ならぬ問題だと思うのです。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 一言だけ……。
  88. 田中武夫

    田中委員長 一問に限り許します。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 それでは質問しません。申し上げてとどめます。それであとは次回に続行します。  郵政省の建設部長さん、豊中の南郵便局にいらしたことがございますか。これは実情をごらんになったら、またあそこで現に仕事をなさらないでごらんになるだけでも、いまの御答弁じゃとっても納得できないということがよくおわかりになるだろうと思います。やはり騒音下の郵便局については実情をよくがっちりと御存じになってからの対策でないと、私は困ると思うのですよ。現に仕事に支障を来たしているのですから、これは郵政省として黙っていらっしゃるわけにはいかないだろうと思うのです。仕事に支障を来たすというのは——これは人体に対する影響は言うまでもありませんよ。健康被害も言うまでもありませんが、現に仕事に支障を来たしているというのは、これは黙っていらっしゃるわけにはいかない問題でありますので申し上げておきたいと思います。だから、いま二十一局だ、やれ八局だのと数字を聞かされて、私はずいぶん情けない思いがしている。すでに数字は出ておりましたけれども、あらためてこれは驚いているのですけれども、少し考えな改めていただかなければ困ると思います。  それから、自治省の税課長さんの御答弁では、これに対する税制上の特別措置というのがどうもむずかしいようなふうでありますが、やはりこれは空港周辺の現在の住宅に対する被害とかあるいは住民生活に及ぼしている影響というものを考えましたら、税制上の特別措置というものがあっていいんじゃないかと私は思うのです。あっていいんじゃないかじゃないのです。やらなければいけない、そう思います。だから、これは自治省の課長さんの腕にかけてひとつやっていただくという気持ちになっていただきたいのです。それは今回の燃料税の問題もございますが、燃料税についてはあくまでも部分的な問題でありまして、飛行機が飛ぶ限り、それから空港がそこにある限り、その周辺にあるところの被害については税制上の措置として特別の措置を講じようじゃないかという態度はあたりまえのことだと私は思うのですよ。実はいままでにないということがふしぎである、私はそういうふうに考えておりますから、このことについてひとつやる気を持っていただいて、やるということを言っていただきたいと思うのです。まずはこのお二人の方にいまのことについて一言ずついただいて、私はやめます。
  90. 武田礼仁

    ○武田説明員 激励を受けまして、私建築技術屋として非常に喜んでおるものでございますが、何ぶん建築工事というものは予算というものが必要でございますので、私の思うようにはならないのでございますが、たいへんな激励を受けましてありがとうございました。
  91. 四柳修

    ○四柳説明員 私はたてまえだけを申し上げましでたいへん恐縮でございましたが、固定資産税のほうは先ほど申し上げましたように、これは県の評価審議会とかあるいは市町村の審査委員とか、それぞれの立場の評価がございますから、それぞれの立場で御質問のような御要旨のことがやはり公益といいますか、必要という評価が出ればそのような評価ができるだろうと思います。(「それは出せないんじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、それはそのような方向で、それぞれの審査委員なり審議機関で御決定いただくような方向で私どものほうでも話をしたいと思います。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  93. 田中武夫

    田中委員長 土井君の質疑は終了いたしました。  この際、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時二十分開議
  94. 田中武夫

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  95. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 小山長官、初めてあなたに質問する機会を持ったわけです。したがいまして、長官の公害並びに環境保全等に取り組む基本的なお考えを承りたいのですけれども、蛇足になりますが、戦後の日本が工業優先で政治を進めてきた、その結果、国民総生産は世界二位とか三位とかいっておりますけれども、しかし、そのために大気が汚染をされ、海水が汚濁をされ、山が破壊されて自然がこわされ、いまやそれが人体の被害にまで及ぶという状態になりました。政治の中にも公害対策環境保全の特別の措置を講じなければならない時期になっておりまして、非常に不人気な佐藤内閣の中では、前の環境庁長官の大石さんは、国民の期待を集められまして、非常にいろいろの施策を打ち出されました。全国でも大石長官に直接来て現地を見ていただきたいという声は、おそらくたくさん環境庁の中に残っておると思うのですが、そのあとを受け継がれて長官に就任をされたわけですので、その国民の期待は大石さんにまさるとも劣らないものがあると思います。そういう国民の期待に対して、公害対策なり環境保全の問題について長官の決意と申しましょうか、そういうものを承りたいと思います。それさえはっきりすれば、あとの一つ一つの問題はおのずから解決のできる問題だと思いますので、時間をかけてもかまいませんから、ひとつ長官の決意のほどを承りたいと思います。
  96. 小山長規

    小山国務大臣 生産が非常に増大したことによっていろいろな公害が起こりました。このすでに起こっておる公害をどうするかという問題と、もう一つは、たとえば今後いろいろな産業活動が盛んになることによって工場の新規立地が計画される場合に、どうやって未然に公害を防止するか、こういう二つの問題があると思いますが、私どもは前長官以来、地域住民の立場に立って、その地域住民の生活環境を守っていくという考え方でおるわけであります。むろん、環境庁としましては、環境基準設定するということがその第一歩になるわけですが、環境基準をきびしく設定することによって健康被害を出さない、この決心でおるわけであります。また、健康被害が生じた場合には、その生じたところの健康被害者に対して、現在医療救済方法をとっておりますけれども、さらに一歩進めまして、健康被害者の救済制度をつくらなければならぬということで、いまその準備を始めようといたしております。これは、来国会をめどにいたしまして法案を提出したいというので、準備をいま始めたところでありますが、そのように一たん起こりました健康被害者の救済についても全力をあげてやろうとしております。  また、自然の保護につきましては、自然の開発か道路かと、いろいろ問題点が多いわけでありますが、これについては、自然はあくまで守るという前提を立てまして、自然をこわさない範囲内において道路をつくるが、つくる場合にはいろいろなきびしい条件をつける、こういうような考え方で行政を進めていく、こういう考え方でおるわけであります。  まだ言い足りない点があるかもしれませんが、また御質問に応じてお答え申し上げます。
  97. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 長官の基本的なお考えはわかりましたが、少し具体的に一、二点お伺いしたいのです。  いまのおことばの中で、たとえば自然保護の場合にも、道路をつくることによって自然はこわしたくないというお考えのようですけれども公害にしても同じことが言えると思います。公害のない産業の開発ということが言えると思うのですけれども、しかし、工業を開発していけば、おのずから公害というものはその規模に応じて起こってくる。その場合に、長官はなるべくシビアな基準を設けたいというお考えのようですけれども、現行法の中でも排出基準というものはきめられておるが、総排出量がふえてくれば、複合公害等がおのずから起こってくる。あるいは、公害のない企業といってみても、総体的に太ってくれば、いままでの十が一に下がっても、十のものが新たにできてくれば、総体的な公害は変わらない。環境の保全にしても同じだと思うのですが、そういう点について、もう少し具体的にお考えのほどを聞きたいのです。
  98. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃいました点はわれわれが一番重点を置きたいと考えておるところでありまして、水にいたしましても、空気にいたしましても、排出源の濃度で幾ら押えてみましても、総量が大きくなれば、当然それに伴って被害が生じます。したがって、総量規制という方式を導入したいということで、来年の予算にもそれの準備のための予算を計上してあります。また、既汚染地域についても、同じような考え方で、環境基準をきびしくすると同時に、総量規制考え方を導入していく。また、新規の立地の場合には、事前にいろいろな植生の面、あるいは水の面、空気の面について正確なデータを集めまして、そこに許し得る限度はどの程度かということをはかりまして、その範囲内でしか立地を許さないという考え方で進むつもりであります。
  99. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの総量規制関係ですけれども、いまの長官のお話では、来年度予算で総量規制に対する調査の予算を要求してあるということですが、次の国会あたりで総量規制に対して法律をつくるというお考えはないのですか。
  100. 小山長規

    小山国務大臣 そこの法律をどういうふうにしてつくるかというところまでまだ進まないと思いますが、しかし、法律をまつまでもなくやれる面もあると思います。
  101. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、少し具体的に、まず経済企画庁にお伺いしたいのですが、新全総によりましても、また、最近は田中総理の日本列島改造論等によりましても、北は苫小牧、むつ小川原から、南は志布志湾に至る全国総合開発の計画が出ておるようでありますが、その中で、特に周防灘というのは瀬戸内海に位置する地域でございますが、この瀬戸内海の周防灘総合開発について、いま経済企画庁は具体的などのような計画を持っておられるのか、これも少し時間がかかってもけっこうですから、詳細に報告をしてもらいたい。
  102. 北川博正

    ○北川説明員 周防灘の地域の問題につきましては、まだ現在調査中でございます。これは新全総計画ができました昭和四十四年度から実は調査を行なっております。その調査は主として水資源だとかそういった意味の物理的調査でありまして、これは四十六年度までやっております。今年度からは、もっとソフトな面、特に環境問題、もし開発するとすればどんな影響があるかといった観点からの環境問題を本年度から調査実施中でございます。したがいまして、どういう計画かはまだ確定しておりません。
  103. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 企画庁としてはまだそういう調査の段階だということですけれども関係する各県や市においては、かなり具体的に調査を進めて、たとえば私の住んでおります大分県の場合でも、すでに大分県議会の委員会に、大分県に関する総合開発の青写真というようなものが提示をされておる。そうすると、それぞれの関係の市なり県はそういう計画をつくっておる。膨大な予算を使って開発計画を進めておるのに、頭であるあなたのほうではまだ調査の段階でやるかやらぬかわからない。やるとすればどうこうだということになってきますと、地方自治体と経済企画庁との間の開発に関する考え方は少し食い違うように思われますが、どうですか。
  104. 北川博正

    ○北川説明員 ただいまお話しの県でつくっておるということ、これは私のほうもつくっておるということを聞いております。ただ、これは計画のための調査をやったというふうに伺っております。その調査は日本工業立地センターですか、そこに委託した段階で四十六年度に行なったということで、それについてどういう計画をつくったかということについて私ども聞いておりませんし、まだ計画の作成には至ってないんではないか、そういうふうに思います。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 かなり具体的な内容で計画がつくられて、たとえばこの地域には石油コンビナートとか、この地域には粗鋼何万トンとか、そういう具体的な計画になっておるやに聞き及んでおるのですが、大体この関係での昭和四十七年度なり四十八年度の調査費というものをおたくのほうでは出しておるのでしょう。そういうものに基づいてやっておるのかどうか。おたくのほうから調査費を出しながら、そういう計画が各府県であるのに、まだ把握しておらぬというのは、これはちょっとずさんじゃないですか。
  106. 北川博正

    ○北川説明員 私のほうはそういう意味調査費は県に出しておりません。県独自のものと思います。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうなればなお問題があるのです。総合開発と呼ばれて、しかもこの場合には、われわれが聞き及ぶところでは、この新全総では山口県から福岡県、大分県という三つの県にまたがる大規模な開発になるわけです。それが各県ばらばらに、しかもかなりの予算を使ってそれぞれがかってに青写真をつくっておる。しかも承れば企画庁のほうではまだやるかやらぬかわからない、こういうことであっては私は国の政治としては全く一貫性を欠くと思うのですが、どうですか。   〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕
  108. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のように新全総には若干触れておりますが、そこではあくまでも構想という形で出しております。それを計画という形ではまだ出しておりません。なお、各県がそれぞれおやりになるそれは、県がそれぞれ統合しておやりになるかもしれませんが、御承知のとおり、こういった計画は県が自主的につくられて、それを受けて国としてどうするかという問題になるかと思います。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 形の上でどうなるか私もあまり詳しくはわかりませんが、それならば、何も新全総とか田中総理の日本列島改造論なんか要らないので、県がそれぞれ計画をつくって持ち寄ったものをおたくのほうでやるということになるのですか。しかしいまの全体的な総合開発というものは、たとえばさっき申し上げたように、北海道から鹿児島に至るまでそれぞれ国全体としての構想を持って、その中で各地方自治体が計画を樹立させる、私はそういう性格のものだと思うのですが、いまのあなたのお話によると、そんなものは県がかってにやるのであって、かってに県がやったものを持ち寄って国が計画するということになりますと、話は全く逆になりますが、これはどうですか。
  110. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のように、そういった意味調査は各県がそれぞれおやりになる。これが計画という形でまいりますと、それぞれ国のいろいろな許認可等に関連が出てまいります。そういう意味で、計画が立案された段階では国と十分相談してやるということになると思います。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは伺いますが、周防灘総合開発というものが、山口県なり福岡県なり大分県が集ってそういう計画をつくったものを国のほうで周防灘総合開発と呼んでおるのですか。国がこの地域に周防灘総合開発というものをつくるべきだという構想を持って、それに応じて各県なり各市がおやりになっているのか。どっちですか。
  112. 北川博正

    ○北川説明員 先ほど申し上げましたとおり、国として一つの構想を打ち出した、提案をした。それに対応して県がそれを自主的に取り上げていったという形になるかと思います。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 国として一つの提案を行なった。そうしますと、いま私が申し上げました周防灘の場合には三つの県が関連をする。それから、先に国が三つの県の間で調整をするというようなことではなくて、各県がかってに立案をする。それを国のほうに出してきたものを国のほうで扱う。そうすると各県がばらばらな計画をしてきてもそれは各県それぞれの関係ですから、国はそれぞれの県の計画に応じてそれを認可するとかしないとかいうことだけしかやらない、そういうことになるわけですか。
  114. 北川博正

    ○北川説明員 御承知かと思いますが、先ほどの調査としてはうちのほうの調整費ということで現在各地にお願いしてやっております。なお、こういった国費調査を一本の糸といたしまして、周防灘総合開発というものが調査という形で進んでおりますが、もちろん地元の意見を反映するものといたしまして、周防灘総合開発協議会という三県一市で構成されているものがございますが、これはただ県がかってにやっているということじゃなくて、中央行政機関、われわれと一種の研究会という形で意見交換を行ないつつやっておる次第でございます。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから、すんなりと国が周防灘総合開発という計画を提示をして、それについては国が全体の調査をしているのか各県でやっているのか知りませんが、要するに協議をしながら国が主導権をもって総合開発を計画し進めておる、こういうことになるのでしょう。それとも、各県が主導権を持ってやっておるものを国が取り扱う、こういうことですか、どっちですか。
  116. 北川博正

    ○北川説明員 先ほど申し上げましたように、国としては一つの構想を打ち出したわけでございます。それをつかまえて三県一市が一体となりまして研究をし、その研究成果を国としてもお互いに討議し合いながら一つにまとめていこうという形で動いておるわけでございます。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だから、私は初めから国が打ち出した総合的な一つの計画というものはどういうものか、それをお伺いしておるのですよ。あなたは各県でかってにやっているが、国ではやるかやらぬかはまだほとんど考えていない、そういうおことばですから、聞きたかったのは、国が打ち出した三県にまたがる総合的な開発の構想とは一体どういうものか、それを聞きたいというのです。
  118. 北川博正

    ○北川説明員 構想の内容の具体性はありません。御承知のとおり、新全総においては一つの大型工業基地として適当な場所ではなかろうかという程度の提案がなされておるわけです。中身の何をどうするかということについては触れておりま  せん。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 われわれが仄聞するところでは、まずその範囲については山口県から大分県にまたがるものである。これは第一点目ですよ。  二点目は、おおむね水深十メートルのところまでは埋め立てを行ない、その次に何が来るかわかりませんよ、石油コンビナートが来るのか鉄鋼が来るのか火力発電が来るのかわかりませんが、少なくとも大体の構想としてこの地域からこの地域、このくらいの面積ということもやらずに、この辺を何とかしようじゃないかという話では具体性が全然ないし、それでは関係の県にしても話に乗ってきてもどうしようもない状態だ。少なくとも国の基本的な構想が、たとえば山口県から大分県までの海岸地帯について水深十メートルは埋め立ててこのくらいの面積の土地の造成ができそうだ、このくらいの計画はあるでしょうが、どうですか。
  120. 北川博正

    ○北川説明員 新全総で描かれております構想はいわば西南地域、この地域に二、三のそういう基地を建設して妥当でなかろうか、あるいは地域ブロック計画といたしまして九州地区、周防灘にそういったものをやってはどうかということで、何県、何県、何県というふうに、いわば具体的に地域を指定してやっておるわけではございません。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなたきわめてふまじめですよ。先ほど山口、福岡、大分、三県の連絡協議会というものができておると言ったでしょう。あなた、そこと連絡をとっておると言ったでしょう。そうすると、それは広島が入るか兵庫県が入るか四国が入るかわからぬというのですか。大体の構想としてはすでに三県連絡協議会をつくって、おたくは指導というとおかしいが、一緒になっていろいろ調査を進めておるとおっしゃったでしょう。しかしいまのおことばでは、何県と何県と言った覚えはないとかあるとか、何かここで言いのがれしたら済むと思っているかもしれないが、いずれは具体的な問題として起こってくるのですよ。しかもすでに三県で協議会までつくり、そこに経済企画庁がタッチしておるでしょう。ちょっとふまじめじゃないですか、答弁が。
  122. 北川博正

    ○北川説明員 国土総合開発、新全総計画は、そういう具体性を持っておりませんが、おっしゃるように周防灘の計画としてはその三つの県と一市、北九州市でございますか、そこに協議会が開かれまして、そういう意味で企画庁あるいはその他関係省庁と逐次研究を進めておるということでございます。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 だからその進めておる計画の内容は、さっき環境庁の長官もおっしゃいましたが、何よりも地域住民の側に立った行政をやりたいという長官のお話があったわけです。地域住民が、いま一体そういう話は出ておるか、どういう形で進んでいくものだろうか、せめて大まかな構想だけでも知りたいものだ、これは当然のことでしょう。それを何かひた隠しに隠して、あなた方のぺースだけで計画をつくってあと押しつければいい、そういうふうに考えられがちなんです。地域住民の側からすると、計画ができ上がってこれでどうだと押しつけられる、これではかなわないから、初めから大体こういう構想で進めたいなら進めたいということを、それぞれの地域の住民に十分理解を求めて進むのが行政の姿勢でなければならぬと思うのに、どうもあなた方、何か言えば反対されるのじゃないかという考えがあるかどうか知りませんけれども、いやに憶病に隠してものを言っておるようですが、その三県連絡協議会でおたくが入っていっていま調査しておる内容、どういうものなんですか。
  124. 北川博正

    ○北川説明員 御承知のように、うちのほうで調査しているのは、このような地域が可能かどうかという意味で、先ほど申し上げましたように物理的な水資源の問題はどうだろうか、あるいはおっしゃるような海底の埋め立て得べき地域はどのくらいだろう、たとえば水深十メートル全部やってしまえということには必ずしもならぬと思いますが、要するにそういった物理的な調査を行なっております。それからなお、大気汚染の問題とかあるいは環境制御システムだとかそういった意味調査を今年やっておる、そういう調査の結果を相持ち寄りまして、計画として成り立ち得るかどうか今後検討してみたいということでございます。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大気汚染一つとってみても、水質汚濁をとってみても、大体そこの工業立地する面積がわからなくして初めからそういうものは出てくる道理はないのです。そうでしょう。どこら辺にどのくらいの立地をして、どういうものができた場合にどうなるかというところに、初めて大気がどのくらい汚染するか、海水がどのくらい汚濁するかわかってくるのであって、それがないうちに大気汚染がどうだろうかという調査ができっこないじゃありませんか。人をだますような話をしなさんな。正直に答えなさい。
  126. 北川博正

    ○北川説明員 具体的に何をどこまでやるかということについては、企画庁としてもまだ十分案はありませんし、県からこういうものをつくるから、こういう内容の計画だからひとつ国も参画してくれというお話はまだ伺っておらぬ状況であります。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 あなたは参事官だな。わからないのじゃないですか話が。わからねば局長かだれかにやってもらわなければ話にならぬですよ。こういう話は全然進みません。何にもやっておらぬ。三県連絡協議会を持っておたくのほうも出席しておる。大気汚染状況を調べる、水資源の関係を調べるとか言いますが、大体立地の構想がどのくらいの面積で、どのくらいのものがあるときに水がどのくらいあるかないかという問題が出てくる、大気がどのくらい汚染するかという問題が出てくるのであって、先ほど三県連絡協議会をつくって話ができておる。調査費もついておるでしょう。何か知らぬ存ぜぬで企画庁が逃げられたのでは、地域の住民を代表するわれわれとしては質問にならぬですよ。答弁にならぬですよ。おたくのほうはどうですか。局長はいませんか、答弁する人が……。ぼくは大体局長を要求しておって、だから答弁のできる人にやってくれと初めから条件をつけてありますから。   〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕
  128. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私、いま要求しておるのですが、周防灘総合開発計画の問題につきましては、経済企画庁のほうから局長かだれか答弁のできる人の出席を求めたわけです。ところがいまお見えになって質問をしましたけれども答弁になりません。それで答弁のできる人に来てもらわなければ質問にならぬということを話しておるのです。
  129. 田中武夫

    田中委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  130. 田中武夫

    田中委員長 速記を始めて。
  131. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それじゃ厚生省の環境整備課長にお伺いしますが、屎尿処理場の関係ですけれども、それぞれ行政の地域が異なる、たとえば三つ、四つという市町村にまたがるような場合、いま自治省のほうでは広域市町村圏としていろいろやっておるようでございますけれども、たまたま下流にある市が上水道の取り入れをやっておる、その上流に屎尿処理場をつくりたい、こういう場合の厚生省のお考えはどうですか。
  132. 折田貞雄

    ○折田説明員 具体的な例でないとちょっとお答えしにくいのですけれども、原則として川に放流する場合に、その近辺で取水しないようなところに放流するということをやっておりまして、普通取水場から大体ニキロとかあるいは三キロくらい、その間に自然に浄化され得ると想定されるところにおいてはそういう例がございますけれども、原則といたしまして、上水の取り入れ口のそばにそういうものをつくるという屎尿処理のお話だと思いますが、そういうものをつくるということ、あるいは下水の終末処理の放流をするということは指導していないつもりでございます。
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もちろん指導されては困るのですが、一般的な常識論からいっても、上水道の取り入れ口のすぐ上流に屎尿処理場のいわゆる廃液が放流をされるということは決して好ましいことではないと思うのですが、いまニキロとか、どのくらいの基準があるか私も知りませんけれども、大体原則として好ましいことではないのではないかという気がするのですがどうですか。
  134. 折田貞雄

    ○折田説明員 いま申し上げましたように、ニキロとか三キロということとは必ずしも限っておりませんけれども、いま申し上げましたように、水の量とかあるいはその川の条件、いろいろございますけれども、そういうものを勘案して、無理ではないという場合にはそういうものを認めておるということでございます。また、この問題につきましては、厚生省みずからじゃなくて、各県にこういう担当者がございますので、そういう人が各地の指導に当たっておると思います。
  135. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 何といっても厚生省はそういう関係の頭脳に当たるところだと思っておりますので、うまく指導してもらわないと困るのですが、さて少し具体的に問題提起をしますが、大分県下に杵築市という市がございます。この市に、その付近の二つの町、日出、山香という町が一緒になって屎尿処理場をつくりたい、いまあるものを拡大したい、こういう計画があったのですけれども、地元の皆さんからのたいへんな反対がありまして、もうすでに現行の屎尿処理場から排出される廃液で川、海がかなり汚染されておる。この上この規模を大きくしてもらっては困るという住民の反対がございまして、ひとまず思いとどまったわけです。ところが日出、山香というのは上流の別の自治体でございますから、一緒にやってもらえないならば、気の毒だけれどもおたくの上水道の取り入れ口の上のほうにこの屎尿処理場をつくりますよ、こういう話になってきたわけです。そこで、杵築市としては非常に困るので、何とかそれはやめてもらえないかということを関係の町村並びに県にいま陳情しておる、こういう段階で、双方ともかなり苦しい立場にある。屎尿を処理するところのない上流の町村にしても困るだろうし、また、地元の反対の非常に強い杵築のほうで処理するということを受け合うこともなかなか困難な問題だと思うので、具体的な事例として、こういう場合に一体どういう指導をされるのか、お伺いしたいのです。
  136. 折田貞雄

    ○折田説明員 いま先生がおっしゃられました杵築、山香、日出、その一市二町の件でございますが、四十六年度に私どものほうに計画書が出てまいりまして、その際先生がおっしゃられますように八坂川ですか、その下流に取水場がありますので建設を反対されましたので、一応これは思いとどまったわけでございますが、いまおっしゃられましたように、山香町と日出町につきましてはまた再び環境衛生組合をつくりまして、屎尿処理場をつくりたい、いわゆる共同処理場をつくりたいという計画を提出されました。いまおっしゃられましたような杵築市の反対がございますので、私どもといたしましてはこの計画につきましては地元の反対が解決しない限りにおいては補助しないというような方針で臨んでおります。それから、ここに限らず、私どもは全国各地でただいまこのような問題が起こっておりますが、その際にも補助あるいはこういうものを認める際には必ず地元とよく話し合い、また先ほど申し上げました衛生問題を十分勘案した上で、満足した状態においてこれがいいものだというものだけに補助を出す、あるいは認めるという形をとっておりますので、その点は御心配ないかと私は思っております。
  137. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その場合、私は二つの問題があると思います。一つは、いまお伺いしましたように、補助については地元の反対があれば出さないのだということですが、もう一つ、やはり行政指導というものが行なわれてしかるべきではないかという気がするわけです。この二つになりますが、行政指導についてどうお考えか、これが一点です。  もう一点、補助関係についてですが、地元の反対があるという場合、地元の反対ということの定義でございますけれども、たとえば該当する市町村なりの議会が決議をするとかした場合はこれは賛成とみなすのかどうか、あるいは直接そこに影響のある地域だけ一千名なら一千名の住民の方々、影響を受けるところの地域の住民の方々の反対があってもこれは地元の反対だというふうに受け取るのか。この辺の地元の反対というその地元の定義、地域住民の定義ですが、その点をちょっと明らかにしてもらいたい。
  138. 折田貞雄

    ○折田説明員 行政指導につきましては、いま申し上げましたように、各県に衛生関係者がおりますので、そこで十分検討していただいて、なお不十分あるいは自信のないような場合、あるいは問題が非常にむずかしいような場合につきましては、うちの厚生省から専門家あるいは学者の先生に依頼して一緒に行っていただいて、地元で指導をするという形をとっておるわけでございます。  それから地元のことでございますが、原則として地元そのものでございまして、地元、特につくられる地域でございますが、その地域のまわりの住民の反対というものが非常に問題になりますので、その施設を設置されます地元の住民の承諾書をいただくようにして、それを私どもは地元の了解を得たということの一つチェック手段というふうにしておるのが現状でございます。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一つ聞かしてもらいたいのですが、地元についてはわかりました。ところで今度は具体的な事例になりますと、上流につくる場合には地元そのものの反対はないわけですね。納得の上でつくれる。いわゆる上流ではなくて、今度は下流の住民の反対が起こるわけです。この場合も地元は反対とみなすかどうか。これはどうでしょう。
  140. 折田貞雄

    ○折田説明員 下流につきましても、いま地元の承諾書と言いましたけれども、それをつくる場合にどこら辺まで影響する云々ということにつきましては、さっき申し上げましたような専門家がいろいろ検討した上で、地元のその下流の住民にも十分説明会等を開きまして納得させて、そして反対がないかどうかを調べた上で、また特に反対が起こりそうな場合には、私どもといたしましては、先ほどの屎尿処理施設をつくるときと同じように承諾書をいただいて、それを確認した上で設置を認めるという形をとっておるのが現状でございます。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう一、二点お伺いしたいのですが、大体屎尿処理の廃液といいますか、流出させる部分、流す部分については、河川のそういうところに流すことと、なるべく海に近い、たとえば直接海といいますか、海水に流す場合とどちらが好ましいということになりますか。これは立地条件で必ずしもそういきませんが、たとえば同じ町の中に、上流に流して長いこと川を流さなければならない地域もあれば、もし別のところにつくればすぐ海にこれを流すことができる地域もあるとした場合に、河川をずっと流していくことが好ましいか、海のほうが好ましいか、この点はどうでしょう。
  142. 折田貞雄

    ○折田説明員 いまの問題は先ほどの放流地点の問題と同じように、ケース・バイ・ケースでいろいろ問題があると思います。必ずしも海に流しても非常にそのまわりにいろいろな問題があったり、海の地形等によりましていろいろ問題があったりするかと思います。また一方、川におきましても川の利用状況等を勘案しまして、あるいはさっき申し上げました川の水の量とかあるいは地形、それからその川の下流の状態、そういったような問題によって違ってくるかと思います。そのあたりを十分考えた上で、どこに放流すべきかということを決定するようにしておると思います。しかも、先ほどから何回も申し上げてあれでございますが、衛生工学の専門家も置いてございますので、彼らの専門的な知識でそういうものを決定しておると私は信じております。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまの問題は具体的にひとつおたくのほうでもさらに調査をしていただきたいのですが、そうではなくて、海に近いところに用地を買ってあったのですけれども、これがまた地元の反対にあいまして、よんどころなく川の上流に持ってくる、こういうそれぞれの自治体のお家の事情もあるようでございますから、実はこの問題で環境庁等にもお聞きしたかったのですが、時間がなくなりましたから、ひとつ厚生省のほうにとくとお願いしておきますから、十分行政指導なりをやってもらいたいと思います。もしよんどころない場合には放流する地域、排水口をぐっと引き伸ばして、取り入れ口の下へ持っていって流す場合の補助についてもひとつ考えてもらいたいと思う。いまのところはぼくは無理だと思いますが、何とかなるならば考えてもらいたいのですが、どうですか。
  144. 折田貞雄

    ○折田説明員 いま先生の御質問の件につきましては、地元に問い合わせましてよく検討してきめたいと思います。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 経済企画庁の局長は来ましたか。——経済企画庁のほうにお伺いしますけれども、先ほどちょっとお見えになった参事官の方でどうしても話がわからなかったのですが、いわゆる新全総並びに田中総理の日本列島改造論というようなものによりまして、最近特に瀬戸内海の周防灘総合開発の問題がかなり具体的な日程にのぼって、聞くところでは相当調査費等もつけて開発調査が進められておるやに聞いておりますが、大体企画庁で構想されておるものの概要はどういうものであるか、その点についてお伺いしたいのです。
  146. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 周防灘開発につきましては、御承知のように新全総策定前後にだいぶいろいろな構想が打ち上げられまして、かなり大型の埋め立ての構想が事実発表になったこともございますが、新全国総合開発計画といたしましては、それらの諸種の計画をどのように調整したらいいのか、あるいは将来のために周防灘をどういうふうに開発したらよいのかということについては、実は明確にはしておりませんで、瀬戸内海全体の見直しなり、再開発の問題もございますし、それから東九州一帯におきます工業開発をいかに進めたらよいかという問題もございますから、そういったことを検討しながら、地域方々とも御相談して、具体的な周防灘開発計画を定めてまいりたいということで、新全国総合開発計画の第二部におきまして、将来の構想として周防灘開発をうたい込んでございます。そのためには私どもといたしまして、かなり基礎的な調査を繰り返したいということで、まだ調査が十二分には終わっておりませんので、もう少し調査をした上で検討してまいりたいという考え方でございまして、具体的な周防灘構想をどのようにしたらよいかについては、まだ企画庁としての見解をまとめたわけではございません。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 第一点は、すでに各県段階でそれぞれ一つの構想を打ち出しております。たとえば大分県の場合にも、そういう青写真をつくって県議会の委員会に提議をしております。それから大まかな計画もまだわからないとおっしゃいますが、すでに山口、福岡、大分の三県連絡会議等もつくられて、そこにはおたくからも出席されているはずですよ。そうでしょう。そうすると、われわれが聞くところでは、まず地域として山口、福岡、大分を含む三県の海岸の埋め立てが行なわれるであろうということが考えられます。  第二点目は、その埋め立ての面積はどのくらいになるであろうか。われわれが仄聞するところでは、水深十メートルの地点をずっと埋めたいんだということでありますが、そういうこともないのですか。
  148. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 三県一市の集まりで企画庁も入って一緒に会議をして、周防灘開発をいかに進めたらよいかの相談をしていることは事実でございます。しかし、いままでのように周防灘海岸というものを埋め立てによる工業開発一点ばりで考えるということには、いろいろな疑問があります。最近におきましては、周防灘一帯におきます漁業というものについてどのような開発方法がよいのかというテーマもございますし、それからまた、特に浅瀬の砂層の海岸線につきましてどういう保全をしたらよいかということもございます。次々と新しい課題が出まして、三県一市と企画庁との会議におきましては、かなり総合的なディスカッションをしているというのが現状でありまして、まだ十メートルで全部埋め立てたらいいかどうかという議論には進んでおらないと考えております。
  149. 田中武夫

    田中委員長 阿部君、結論を急いでください。
  150. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう時間がないようですから残念ですが、地元の人とも十分と言いますか、すでに県が一つの青写真をつくって出す段階で、地元は全然つんぼさじきに置かれているわけですから、少なくとも地元の意見を聞いて、局長がおっしゃるような構想は、たとえば漁業の問題とか浅瀬の埋め立てをどうするかということについては、むしろ先に地元の意見を聞いた上で計画が練られるべきであって、どうもいまのところを見ておりますと、地元を抜きにして計画をつくって押しつけていく、そういうきらいがあるようです。  時間がありませんから結論だけ聞きますが、その計画はいつごろつくられますか。
  151. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 各地域の地域開発計画の立て方のルールでございますが、私どもといたしましては、技術的な観点で国と地方公共団体の職員との間で技術的な検討をいたしました上で、できるだけ早く、なるべく公開いたしまして、そして住民の方々の御議論もいただきながら固めてまいりたいと考えておりまして、私どものほうから一方的に計画を押しつけてみたりあるいはいつまでにきめるということはできるだけ避けたいという方針で、現在各地域の地域開発計画を各県を通じて指導しておるつもりでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
  152. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは最後に、環境庁の長官にお伺いなりお願いをしておきたいのですけれども、先ほど来議論のございましたように、もはや今日の瀬戸内海は死の海に化しつつある。そういう状況の中で、工業立地が進めば進むほど瀬戸内海が利用されることは火を見るよりも明らかでございます。しかし、率直に言って、地域の住民の一部には工業開発についての魅力もありますが、これらを環境保全なり公害という立場から、たとえ一部にそういう気持ちがあったとしても、国の行政の立場から人間優先というような考え方で進めるべきではないか。一体環境庁としては、この周防灘総合開発についてどういう指導をされていくかはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  153. 小山長規

    小山国務大臣 ただ単に周防灘だけを考えることは私どもはいけないと思いまして、瀬戸内海全域に及ぼす影響はどうかということを当然考えの中に入れて、そうしてその具体的な計画が進む段階においては、たとえば工業の場合ならば、大気はどういうふうにしてどの程度におさめるかとか、あるいは水はどうするかというようなことを含めていきますが、もう過密状態なんですから、全体としては瀬戸内海に及ぼす影響を考えていかないと、ただ単に周防灘だけを考えていったのではよろしくないという考え方で進めたいと思っております。
  154. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 じゃこれで終わりますが、長官おっしゃったように、瀬戸内海全体を考えていただかなければなりません。特に私は、環境庁の長官としては、これ以上瀬戸内海をあたってもらっては困るというくらいな強い態度で、この周防灘総合開発の問題については、おっしゃられたように瀬戸内海を守るという立場からき然たる態度で臨んでいただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
  155. 田中武夫

    田中委員長 阿部君の質疑は終了いたしました。  次に岡本富夫君。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に、環境庁長官に一言だけお聞きしますが、瀬戸内海環境保全の特別立法といいますか、そういう法律はいま検討いたしておりますか。また次国会にそれを出しますか。いかがですか。
  157. 小山長規

    小山国務大臣 これはたびたび申しましたように、来年の一月に調査が終わります。それをもとにしてマスタープランをつくるわけですが、そのマスタープランをつくる際に、与野党にもそういう御希望がありますが、特別立法をまあつくる。私もつくりたいと思っているのですけれどもつくる場合にどういう内容にするかということについていろいろな問題がありますので、次の通常国会に間に合うかどうかについてはまだ確信がございません。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、あなたえらい腰が弱いですね。これは環境庁長官が全部の指導権を握ってやらなきやならないのですが、それを国会にやらない一いうことになってきたら、当委員会でも議員立法ででもやらなきゃいかぬというくらいなきびしい気持ちでわれわれも現場を視察してきたわけですが、いまのようなやる自信がないというのは困ります。やる自信で臨みますか、いかがですか。
  159. 小山長規

    小山国務大臣 いや、いま申し上げましたように、やりたいというつもりで進みますことは間違いないわけであります。できるだけ間に合わせます。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 その次には、瀬戸内海調査いたしまして、ハマチの養殖の問題、一言だけ詰めておきたいのですが、水産庁は先ほど、天災融資法を発動していくようにするということで、天災融資法では、個人が百万、法人が五百万、それに対して県の上乗せ、これは実は私も兵庫県知事にお会いしまして、一応県では、個人が一千万、それから法人が五千万、こういうような回答をいただいたわけでありますが、それ以外に、養殖に必要な今後の振興対策として一千万ずつ、これを別々に出そうというような回答を受けたわけですけれども天災融資法によりますと、利子補給は自治省から出るわけですが、県でこうした融資をした場合の利子補給、これについてひとつ承っておきたいと思うのですが、これは水産庁長官の意向と、それから自治省がやっておりますね。
  161. 太田康二

    ○太田説明員 先ほど土井先生質問の際にもお答え申し上げたわけでありますけれども、私ども天災融資法では、先生指摘のとおり、いまの融資限度額が百万、五百万ということになっております。そこで、いま兵庫県に確認をいたしたわけでございますけれども先生指摘のとおりの漁業振興資金から前向き資金を融資をいたす。これにつきましては、県が三分五厘の利子補給補助をいたすようでございます。それからいま一つ、買い掛け金等の救済の処理の問題につきまして、やはり五億円のワクで融資をするようでございまして、これにつきましては、県が三分五厘、市町村が一分の利子補給補助をするというふうに聞いております。天災融資法の場合は、御承知のとおり、国が半額以上利子補給の補助をいたしまして、残りが地方公共団体の負担ということになるわけでございます。通常の場合、こういった県が独自の措置を講じました場合は、これは後ほど自治省のほうから答弁があるかと思いますが、例の年度末の交付金等の算定の基準に入れていただくというような交渉も私たちやることもございますし、おそらく自治省もそういう考えで交付金の算定基準に入れていただけるんじゃないかというふうに考えております。
  162. 潮田康夫

    ○潮田説明員 天災融資法の適用を受けまして県なり地方団体の行ないました利子補給に対する財源措置といたしましては、特別交付税によって一定のルールによって年度末に措置をさせていただくことになっております。それ以外に、地方公共団体独自の利子補給をやった場合にどのような措置をやるかという問題だろうと思いますけれども、これにつきましては、当該地方公共団体の財政事情、それから利子補給をいたしました金額、そういうようなものを勘案いたしまして検討させていただきたい。必要であれば所要の措置を講じていく、こういうような気持ちでおります。ですから、天災融資法の適用を受けた分については措置をされておりますけれども、単独分につきましては、その地方団体の財政事情等を勘案して、そのときそのときの必要な措置を講じていく、こういう気持ちでやらしていただきたい、こういうように考えております。
  163. 岡本富夫

    ○岡本委員 実は一つの例をとりましても、兵庫県の被害で、家島で十三億、淡路島で四億、計十七億、大体被害を受けております。その利子補給ということをやるのには、町の負担にかかってくるわけですね。それで、その町議会あるいは町としては非常にその財源に困るというようなことで、町長あるいはまた町の皆さんは、融資をしていただくのはいいけれども、その利子補給に非常に困るんじゃないかということで心配しておるわけですが、自治省としては、それは交付金を出すときにこの問題は全部勘案する、こういうふうに考えてよろしいですね。
  164. 潮田康夫

    ○潮田説明員 地方公共団体が一応単独の措置でやる、天災融資法のような制度に乗っかって国の補助も受けてやるというのではなくて、当該地方公共団体の実情に応じて当該地方公共団体がやっていくということであれば、当該地方公共団体の財政事情というものによっていろいろなケースが出てまいるわけであります。それから、その額によっても、その当該地方団体に対する財政の影響力というものもいろいろあろうと思います。したがいまして、年度末におきましては、私どものほうは、県の地方課を通じまして、その当該支出した金額あるいはその金額が当該団体の財政に対する影響力、あるいはこの場合は非常に必要だったと思いますけれども、そういうものの必要性というようなものを、県の当局者あるいはもちろん地元の市町村のお話も十分聞かせていただきまして、そうして個々に必要があればその措置を講じてまいる、こういうようなことでやらせていただきたい、かように考えております。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから、瀬戸内海の中で広島県の大久野島、これは毒ガスの島だったわけでありますが、ここがいま観光地になっておりますけれども、まだ砒素の製造がまがそのまま残っておる。これを早く除去してもらいたい。どんどん観光客が行くわけですが、どれくらい量があって、いつごろ除去するのか、これは通産省青木公害保安局長に聞きましょう。
  166. 青木慎三

    青木説明員 お答えいたします。  ただいま手元に資料を持っておりませんので、後刻調べましてその状況を御報告いたします。ただいま手元に資料を持っておりませんので……。
  167. 岡本富夫

    ○岡本委員 手元どころか知らないのと違いますか。公害保安局でおわかりにならないのと違いますか。これは調査に行っているのです。ぼくらも行ったのだから……。いま手元にもどこにもないはずだ。われわれが行ってこれを見つけたのです。あちこちで砒素を製造して残っておるのが、私のところで点検して初めて気がついた。だからわれわれは、砒素を製造したそういうかまを全部点検して、これを全部除去しなければいかぬ、こういうようにたびたび当委員会でも言い、また商工委員会でもやかましく言っている。あなたは知らぬのだからしかたがない。だから、ひとつさっそく聞き合わせなさい。そして調査しなさい。そしてすぐ除去しなさい。
  168. 青木慎三

    青木説明員 さっそく御指摘の点につきまして調査をいたしまして、処理の対策を講ずるようにいたします。
  169. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、航空局のほうにお聞きしますけれども、今度航空審議会の公聴会がありました、関西新空港をつくる、つくらないということで。このときに、西宮市長等の反対陳情というのがあったわけでありますけれども、それをどれだけ取り入れるおつもりなのか。ただ公聴会をやって、ただそれで終わってしまうのか、この態度をひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  170. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  八月の二十九日、三十日、運輸省におきまして、航空審議会関西部会の地元の皆さまの御意見をお聞きする会をいたしました。その際、賛成の方、反対の方、あるいは地方公共団体の首長の方々からいろいろの御意見を伺いました。われわれ運輸省といたしまして、事務局として、審議会の御意向を通じて知りましたところでは、やはり第一には豊中、伊丹、川西の市長の大阪空港における騒音というものの被害に対しては、非常な感銘を受けたように聞いております。また反対の西宮あるいは泉南の市長さん、あるいはそれぞれの科学者会議の反対の方々の御意見につきましては、克明にその点をメモをされておるようでございまして、委員懇談会におきましても、その反対の皆さま方の意見をどのように消化するかということを委員方々お話をしております。そういうことで、答申をつくる上においては、当然反対の皆さま方の御意見を十分に取り入れまして、これに対しての考え方を明確に打ち出されるのではないかというように事務当局としては感じておるわけでございます。これは審議会のほうで十分討議をきれることと考えます。
  171. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、いまあなたから話がありました大阪伊丹空港の問題ですが、川西市の加茂小学校の一年生のよしだまさのぶ君がこういうつづり方を書いております。「ひこうきでべんきょうもテレビもできへん。ひこうきなんかつぶしてしまえ。こわさへんかったらおとをさげるかおともだすな。そうじゃないとクラスみんなでやっつけにいくぞ。それがいかんかったら千六百人でいくぞ。ぼろぼろにしてやろう。おぼえてろ。いまにみておれ。」こういう一年生のつづり方ですよ。当委員会の皆さん方にも来ていただきまして、大阪空港のたいへんな事情を調査していただいたわけでありますが、これを何とか救うためには、私は回数をいまより減らすよりしかたがないと思うのです。一時間に三十何回を限度としてやっておるのだというのが大阪航空局長さんの説明でしたが、一日何回飛ばしているわけですか。
  172. 隅健三

    ○隅説明員 最初の大阪空港でございますが、川西市の小学校の一年生の児童の作文は、聴聞会におきまして川西市長からつぶさに紹介されまして、委員皆さま方非常に感銘を受けたように感じております。  現在のところ、回数につきまして、われわれといたしましては、多少の乗客、利用者に御不便をおかけいたしましても、現在の便数をふやしていかない、それで現在のところ四百五十便というのが一つのめどになっておるところでございますけれども、われわれといたしましては、四百五十には達しないということで、便数制限と申しますか、便数についての規制を行なっております。
  173. 岡本富夫

    ○岡本委員 四百五十回ということは、一時間三十何回ということで、絶えず飛んでいるわけですね。これは発進するほうと入るほうと両方ですけれども、少しの間断もないというような状態なんですね。昼間は少し飛ばないわけでありますけれども、夕方それからピーク時には絶えず、しんぼうができないということなので、この回数をもう少し押えるような検討はできないのかということが一つ。  それからもう一つ夜間飛行をわれわれやかましく言って、前の環境庁長官も勇断をもって朝六時から二十二時までにするように勧告してもらったわけですが、大体あの辺の方は早く起きてつとめに行こうという方が、大阪に通っている方が非常に多いわけです。ですから早く寝るのです。それで二十二時では非常に困るという声が盛んにこの間も聞かれたわけでありますが、少なくとも七時から二十一時ぐらいに短縮はできないかどうか、これが一つ。  それから正月の一日の朝から、要するに三百六十五日間飛行機が飛んでいる。一カ月に一ぺんくらいの休みがないかどうか。これは切実なあの人たちの願いであろうと私は思うのです。アメリカあたりでもアースデーというのをつくっているわけです。ですから一年に何回かそういった日をきめて、そしてその日は休ませてあげるというような配慮も私は必要ではないかと思うのですが、それについて航空局の意見を聞かしていただきたい。
  174. 隅健三

    ○隅説明員 最初に、飛行時間を七時から二十一時までというふうにできないかというお話でございますけれども、大阪におきましてはこれは二十二時で厳重に打ち切っております。東京を立ちまして大阪に二十三時を一分でも過ぎるということが考えられました場合には、東京でその飛行機の離陸をとめております。このように二十二時以降につきましては一切の大阪への航空機を認めておりませんけれども、ただ例外といたしまして、先生の御指摘のございましたように、郵便機が大阪−東京間を六回、福岡を二回やっております。こういうことで、現在のところぎりぎりまで大阪の運航回数を制限をいたしております。二十一時にさらに夜の部を一時間縮めるということは、現在においては非常に困難が伴うものではないかというふうに考えております。
  175. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは航空会社が、盛んに飛行機に乗って旅行しようという宣伝をしているわけですね。もう住民の皆さんはそれが頭にきているわけですよ。緊急な用事はしかたがないでしょうけれども、そうでないものは、新幹線もあるのだからなるべく飛行機の使用を制限して——ただ営業政策ばかりにいままで使われておった。営業と安全——安全も営業のうちに入るわけですけれども公害の問題というものはこの航空機についてもほとんどやっていない。ただ地域騒音対策をやってみたり、そういうようなことばかりで非常に遅々として進まない。だからひとつ、これは将来の課題であろうと思うのですが、さらにこの飛行時間を縮めるということをあなたのほうで検討していただきたい。  それから、成田空港ができれば国際線をほとんど向こうへ回していく、そういう配慮はできないのかどうか。  それから先ほど言いました一カ月に一ぺん、一年に何べんかアースデーぐらいつくってやるとい  う考えがないかどうか。これはいかがですか。
  176. 隅健三

    ○隅説明員 ただいまの時間制限につきましてのお尋ねでございますけれども、われわれといたしましては、音減対策というものを今後さらに進めてきいたい。それでジェット機のエンジンにつきまして改修のいろいろの研究が進められておりますので、全体的な騒音を低くするようにつとめていきたい。もちろん便数につきましても、十分に一つ一つの便数につきましてチェックをいたしております。  また、航空会社の営業政策といたしまして、飛行機に乗るというような宣伝は、国際線につきましては外国会社のほうでいろいろの宣伝も行なわれておるでございましょうが、国内線につきましては厳重にこの宣伝を制限をする、宣伝をして飛行機に乗ってもらうということは慎むように常に日本航空あるいは全日空に対しまして注意をしておるところでございます。  そういうことで、われわれといたしましても騒音に対しまして全力をあげてあらゆる方面から大阪国際空港の騒音を少なくするということに取り組んでおります。  また、先生の御指摘のアースデーと申しますか、一年に一回くら村は飛行機を飛ばさぬで静かにしたらどうかというお話でございますが、これはこの前の聴問会のときに、地元の市長のどなたかが、台風のときが地元住民にとって一番静かな日である、台風で飛行機が飛ばないというときが一年じゅうで一番われわれの休息の日であるというお話もございました。これはわれわれ委員十分承知いたしておるところでございます。ただ公共的な交通機関のために年に一回休みをとるということにつきましては、いろいろ問題も多いかと思いますが、できるだけ全体の騒音を低くするというところで、運輸省といたしましてこれとさらに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  177. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境庁長官、実は夜間飛行時間の短縮は、前の長官が六時から二十二時までに勧告を出して、それに合わせてもらったのです。ですから、四十三年から私が騒音防止法の審議のときに、当時の佐藤総理に来てもらって、人体影響調査をしてもらったわけですが、なかなか遅々として進まないのです。これは厚生省でやっていると思うのですけれども、もっと強力に早く進めて、夜間飛行についてももう少し短縮していくという方向にひとつ方向づけをあなたのほうでしてもらって、それからまたいま言いましたように、一年に何べんかくらい休みをきめるというくらいな、その地域の住民の健康保全の立場から回数をもう少し制限するとか、そういう勧告をあなたのほうで出してもらわなければ——運輸省はどうしても航空行政のほうばかりでしょう。たとえば通産省がどんどん工場立地していく、それに対して環境庁としては規制していく、あるいはまた林野庁が山を切るのを環境庁が自然林を規制していく、こういうようにあなたのほうでもっと積極的な姿勢をしてもらわなければならぬと思う。少しやり過ぎるくらいやってもちょうどいいところにいく。長官、この点について検討する用意があるか、どうですか。
  178. 小山長規

    小山国務大臣 これも何べんも申しますように、われわれは騒音に対する環境基準をつくりますが、その環境基準をつくれば、当然いまおっしゃるような問題は回数を減らさなければならないことになるはずだと思いますので、環境基準をつくることに全力をあげていきたいと思います。
  179. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、もう少しまじめな答弁をしてほしいですね。環境基準というのは、ホンで七十ホンとか八十ホンとか、それ以内だったら何べん飛んでもいいのですよ。それとも、一時間に何べん八十ホン以上出したらいかぬとかそういう基準をきめるのか。一時間に何べんということになれば、これは回数に制限があると思いますけれども、しかしただ普通に何ホンと、こういうことで出てきましたら、その以内なら何べん飛ばしてもいいということじゃないでしょうかね。だから、私はいますぐと言うのではなくて、そういう検討を——環境基準だけではこれは無理なんです。それに対して飛行機の回数をもっと減らすという勧告——いま目一ぱいやっておるわけです。四百五十回というと目一ぱいですよ、一時間に三十六回ですから。それから先ほど申しましたような夜間飛行の制限、それから一年に何べんかの休止、こういうふうな住民の健康の立場からあなたのほうでいろいろ検討して、そういう勧告を運輸省に出さなければならないと私は思うのですが、そういう検討をなさる考えがあるかどうかと言っているのです。
  180. 小山長規

    小山国務大臣 十分検討して、そうして出すべき勧告はどういうふうな内容のものにするかということを検討いたします。
  181. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、運輸省に私がたびたび当委員会でもやかましく言っておりますのは、コースを一定にしてその下を完全補償する、それしかいまのところ方法がないのだということをたびたび申し上げておるのですが、コースが非常に乱れるわけです。この乱れる原因は外国機が非常に多い。この点をどうするのか、これが一つ。  それからコースの下の移転補償につきましては、二年前には二億九千万、本年は七億五千万ですか、そのくらいついておりますけれども、この移転する価格ですが、騒音のために土地が安くなる。それをそのままの値段では移転することができない。だからその地価に見合った移転料を出してやらなければならない。もう一つは、土地を買うために前払いをやらなければならないわけです。契約したら前払いをしてやる。ここへ行ってよくわかりましたのは、たとえば二戸家と言いまして二軒長屋がありまして、二戸だけが移転しようとすると、こっちをこわさなければいないわけですね。そうすると隣との境の補修もしていかなければどうもなりません。そういうようなこまごましたところの配慮に全然欠けているわけです。  もう一つは、移転するときに、買い上げてもらうときに、六百万円までは控除になりますけれども、それ以上は控除にならないというようなことで、そういったいろいろの配慮があるわけですが、これはおそらく御承知だと思うのです。それの改正をあなたのほうでよく大蔵省とも詰められるかどうか。同時に環境庁も、こういうことに対してやはり若干タッチして、これは騒音公害の問題でこうなんだから、ひとつ運輸省にも応援してやって、大蔵省にもやかましく言ってやらせなければ、私はいつまでたってもできないと思うのですよ。その点について改正する考えがあるかどうか……。
  182. 隅健三

    ○隅説明員 最初に飛行経路のふくらみの問題でございます。先生指摘のとおり、外国人パイロットはやはりわれわれが指示いたしました経路を若干はずれて通ることは承知いたしております。これにつきましては、大阪空港長から厳重にそれぞれのラインに対しまして注意を喚起いたしております。  それから進入の土地、これを補償いたします場合に、非常に安いのではないかというお話でございます。この点につきましてはわれわれといたしましても、部内で鋭意検討中でございますし、また大蔵省と、これも騒音のために評価の値段が安いというのはおかしいのではないかということで鋭意協議中でございます。  また税金につきましても、これを六百万円を千二百万円まで引き上げることを要求して、ただいま大蔵省と折衝中でございます。  そういうことで、来年度におきましては騒音防止法の相当の改正をしなければいけない。たとえば民家の防音工事につきましてもそのようでございますし、われわれは新しい騒音対策を持ちまして、これを防止法の改正の中に織り込んで、次の通常国会においてこの改正を行なうということで、ただいま準備中でございます。
  183. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから、ああいう騒音のきびしいところだけれども、地価が安いというわけでどんどん家が建っていくわけです。そういうことで、この周辺の整備をする整備法のようなものを、あるいは整備公社というのか、そういうものをつくらなければならぬ。そこに織り込んでいろいろな前払い制度というようなものをやらなければならぬと思うのですが、そういう用意もあるのかどうか、それをひとつお聞きします。
  184. 隅健三

    ○隅説明員 一定の範囲のところを指定いたしまして、この中で建築制限だとか、あるいは緑地と申しますか、そのようにして家が建たない。これが非常に大きな問題でございます。われわれといたしましても、騒音防止法の改正につきましては、この点にいろいろの困難な問題はあると存じますけれども、その進入直下の、空港の設置者がこれを買い上げた場合に、あるいは買い上げなくても、その指定した土地においてその建築の制限をいかにしてするかというのも、ただいま申しました騒音防止法の改正の中の一つの大きな眼目でございます。  また、土地利用計画につきましても、次の騒音防止法の改正の中でいろいろ検討を加えまして、もちろんこれには財政的な問題もございますし、地方公共団体の御協力をいただかなければならない点が多々ございますけれども、そういう点を、現在関係地方公共団体とも話し合いを始めておりますので、次の通常国会においてできるだけの対策を講じたいというふうに考えております。
  185. 岡本富夫

    ○岡本委員 それからテレビの受信料の減免措置ですが、私どもやかましく言うたのですが、結局カラーテレビができていないのですね。カラーテレビが六割なんですよね。そうすると、ほとんどの人、六割の人が、これは減免措置をされたけれども、何にもならなかったとこういうことになっているのですが、基地並みにやはりカラーテレビを減免の中に入れていくのかどうか。  それからもう一つは、尼崎の武庫地区のほうに今度拡大してもらったわけですが、何か西国街道をはさんだ、西国街道の北だけということになって、南がもう少し拡大しなければならぬというようなことでありますが、この点についての調査を行なうのかどうか。この二つをひとつ……。
  186. 隅健三

    ○隅説明員 テレビの減免でございますが、確かに運輸省におきましては、いままで白黒テレビだけを対象といたしました。しかし、防衛庁におきましては、基地周辺におきましてすでにカラーテレビの助成を行なっております。われわれといたしましても、これはもう生活必需品であるという観点から、来年度においてカラーテレビに対する補助をするべく要求に盛り込んでおります。これの実現に努力をしたいと思います。  それから、尼崎地区の西国街道をはさんで西側のお話でございます。この点につきましては、そういう地元からの御意見も十分われわれ聞いております。この点についてさらに調査を進めていきたいというふうに考えております。
  187. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、時間があまりありませんから、次に航空機の大気汚染ですね。この排気ガスが非常にきびしく出ているというわけで、過日大阪の、これは公害対策室ですか、ここで試験をしたところが、発ガン性の物質のタール分、こういうものが非常に含まれておって、幼児の鼻血がたくさん出るというようなことで、柳沢三郎慶応大学教授はたいしたことないというて書いておるけれども、実際には、大阪市大の先生が調べたら、これが出ているのだということですが、この飛行場周辺におけるところの航空機による大気汚染について、環境庁あるいはまた運輸省でいままで検討したことがあるのかどうか。私はエアバスの試験のときも、この大気汚染についてはやっていないということを指摘したのですが、今後これについてどういうふうにやっていくのか。ひとつ両省からお聞きをいたしたい。
  188. 山形操六

    山形説明員 御指摘の航空機の排気ガスの問題でございますが、これは、新聞紙上に出ました点につきまして、さっそく大阪当局から国際空港周辺の大気汚染状況資料を把握いたしました。また、分析結果についても把握いたしました。ただ私ども、その資料によって見てみますと、このタール分と称するもののデータでございますが、このデータは、粉じんの中、粉じんを集めまして、そのろ紙にくっついたものをベンゼンで溶かして、そのベンゼン可溶性物質についての測定をしております。したがって、いろいろなものが一緒に入っておりますが、その数字を、大阪市の四十五年度にやりました成績との比較、あるいは私どものほうの環境庁の全国大気汚染測定網の国設のデータの全国平均等と比較いたしてみますと、それほど多い数字になっておりません。ただし、そのタールというものと疾病との関係についてはまだわからないことがたくさんございますし、ことに幼児等に鼻出血等の症状があるという点につきましては、どういう因果関係があるか、今後の問題になりますか、先生指摘の、国としてこの方面の今後の進め方をどうするのかという点に関しましては、私ども、本年度この大阪国際空港性周辺につきまして、粉じんの中の重金属成分その他、もちろんタール分を含めまして微細な基礎調査をやるべく、いま計画中なのでございます。したがって、それらをあわせてこの問題について十分対処していこうと計画を進めている最中でございます。
  189. 隅健三

    ○隅説明員 大気汚染につきましてただいま環境庁のほうからお話がございましたが、われわれといたしましても、大阪の調査によりまして、先生御存じの豊中市の勝部地区でございますが、あそこでジェット機が三千メートルの滑走路にしりを向けまして、そのときに排射する排気ガスがこの勝部地区に直接に当たるということで、防音壁あるいは防護壁をいままでつくっておりますが、この地区におきまして小さいお子さんが鼻血を出すという事実を、われわれは十分承知をいたしております。そこでわれわれといたしましても、大阪大学の医学部あるいは大阪市立の小児センターの先生にお願いいたしまして、これの健康診断その他対策についてお願いをしておるところでございまして、今後もこの勝部地区を含めまして、大気汚染については運輸省といたしましても十分注意を払っていきたいと思います。  なお、先生から御指摘のございましたエアバスのエンジンの排気ガスにつきましては、ゼネラル・エレクトリックのエンジンあるいはロールスロイスのエンジン、まだ資料をただいま取り寄せてこれを調査中でございますので、この点につきましては後ほどまた御報告をさしていただきたいと思います。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、かつてアメリカのケネディ空港周辺におきまして、日本航空やいろいろな十一社が告発をされておるわけです、この大気汚染のために。自動車の公害を上回るということで、アメリカの上級裁判所が新判例を出しておる。こういうことを見ますと、やはり私は、この間も行って調査を行なったわけですが、あのすごい排気ガスがそのままかかりますと相当被害があるのではないか、こういうことで、これは来年度力を入れてやるということでありますが、早急にこの調査をやってもらいたいと私は思うのです。それが一点。  それから各大学に、特に神戸大学の環境計画学科というような、そういうものを新設するようにあなたのほうから要請をし、あるいは勧告をして、そして、いま環境保全のいろんな調査をする人が非常に少ないんですよ。特に地方自治体には非常に技術者が少ない。企業のほうが非常に進んでいる。だからそのために、数字の上でこう出されますと、ああそうですかと、こう言わざるを得ない。取り締まるほうが技術的に非常に弱いわけです。したがって、こういった各大学に環境計画学科というようなものの新設の勧告をあなたのほうからしてもらいたい。この二点についてひとつ長官から……。
  191. 小山長規

    小山国務大臣 ただいまの排気ガスから生ずるところの健康問題については十分な調査をいたします。  また、技術者を養成するための大学については、文部省が所管するところでありますが、私どももそういう技術者の少ないことを痛感しておりますので、あらゆる方法で文部大臣にもお願いをして、そういうふうな学科をつくってもらうように要請したいと思います。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に一点だけ、これは環境庁にひとつ。先ほども出ておりましたが、尼崎の公害指定地域ですね。いま尼崎の南だけしかできていないのです。南の人がどんどん過疎になって北へ上がってくる。公害病のまま北へ来ているわけですね。だからひとつこの調査をして全市に広げてもらいたい、こういうことを要請しておきたい。そういう検討はいかがですか。これだけをお聞きしておきたいと思います。
  193. 船後正道

    ○船後説明員 ただいま岡本先生指摘の尼崎市における指定地域の問題につきましては、現行特別措置法の範囲内における措置といたしましては、確かに御指摘のとおり、現行指定地域をどの範囲まで拡大するかという問題が残っておりますので、その点につきましては、地元とも連絡をとりつつ検討を進めてまいりたいと思っておりますが、この問題はやはり基本的には、先般長官から発表いたしましたような新しい損害賠償措置制度といったものの中でどのように扱っていくかという点もあわせて検討してまいりたい、かように考えております。
  194. 岡本富夫

    ○岡本委員 では終わります。
  195. 田中武夫

    田中委員長 近江巳記夫君より関連質問の申し出があります。これを許します。近江君。
  196. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは時間も限られておりますので、何点かについて御質問したいと思います。  環境庁長官にお伺いしたいと思います。航空機騒音環境基準の問題でございまして、非常に要望も強いわけでございますが、一体この問題をどうされるのか、またいつごろできるのか、お考えをお聞きしたいと思います。小山国務大臣 航空機騒音に対する基準、ただいま公害審議会に諮問中でありますが、今年度中、つまり来年三月末までにはぜひつくり上げたいということで作業を急がせておるところでございます。
  197. 近江巳記夫

    ○近江委員 現行の航空機騒音防止法では、学校であるとか病院であるとか、そうした防音工事あるいは移転補償しかないわけなんです。これはもう御承知のとおりでありますが、その中でも、移転補償につきましては非常に補償費が安過ぎる、こういうことで、立ちのき区域にございましてもなかなか進捗しておらないというのが現状であります。そういうことで、この補償費が安過ぎるという問題につきましてどのように考えておられるかということであります。
  198. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のとおり、この価格につきましては問題がございまして、移転補償が実際には進んでおらないのは事実でございます。そこで、この価格の算定につきましてできる限りの配慮をいたしたいというふうに考えておりますけれども、何ぶん算定の根拠になりますものは、昭和三十七年の公共用地取得にかかる閣議決定でございます。こういうために、必ずしも地元の皆さまも御納得のいく線がなかなかできないというのが実情でございます。そこで私どもといたしまして、この価格をも含めまして抜本的な対策を進めていきたい、そういうことで部内で鋭意検討を進めておりますし、また、大蔵省もこの価格の点につきましても協議を進めておるということで、できるだけこの点について住民の皆さまの御納得をいただいて、できるだけ早く移転をしていただきたいというふうに考えます。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この移転補償区域として線引きが行なわれておるわけですが、道路一本隔てても騒音は全く変わらない。もう百ホン以上の地域が随所にあるわけです。こういう点、この移転補償区域の拡大についてどのように考えておられるか。さらに代替地の希望が非常に強いわけですが、それについて提供する用意があるのかどうか。こういう問題についてどのように対処なさるのか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  200. 隅健三

    ○隅説明員 ただいまの線引きと申しますか、これにつきましては常に複雑な問題を残します。そこで、われわれといたしましては、空港に近いところから行なってまいりまして次々にその対策を進めていくという方針をとっております。道一つ隔ててあとは全然知らないというようなことをいたしませんで、この対策を一歩一歩常に進めていきたいと思っております。また代替地でございますけれども、現在御存じのように空港周辺の土地が非常に高うございまして、代替地がなかなか手に入らないというのは先生指摘のとおりでござやます。しかし、あの川西あるいは豊中の御協力を得まして、川西におきましては芋生団地あるいは豊中市の万代池埋め立てというような点について、少しずつの対策は進めてまいっておりますけれども、この点につきましては、さらに地元地方公共団体にお願いをいたしまして、できるだけ代替地を進めていく、またこの点につきましては、来年度に考えます空港騒音対策防止法の改正に伴いまして、できるだけ資金的な援助も国として見られるものは見ていきたいというふうに考えております。さらに一歩ずつ前進をしていきたいというふうに考えておりますが、非常にむずかしい点は先生の御指摘のとおりでございます。
  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 この移転補償区域につきましても、特に豊中あるいは池田等、滑走路の拡張に伴いまして非常に被害が拡大いたしておりますので、こういう点、もっと政府におかれましても実情調査というものを真剣にやっていただかないと、ほんとうにただやっておる、やっておると言っても、具体的にこれが進まなければ私は非常に問題であると思うのです。この点今後の移転補償区域の拡張という点につきまして、どういう具体的な作業を進めておられるか、もう一ぺんお聞きしたいと思います。
  202. 隅健三

    ○隅説明員 騒音の防止法の改正の要点と申しますと、第一番目には、空港周辺で滑走路延長の一定の範囲、滑走路の直下、これは空港の設置者が直接に買い入れまして、ここに公園だとか緑地だとかあるいは苗木の栽培をやる。そのようなバッファーと申しますか、緩衝地帯にしたいというのが第一点。それから空港周辺での一定範囲を指定いたしまして、この範囲の中で土地利用計画を立てまして、ここの土地において空港と両立するような企業を再開発していきたい。たとえば倉庫であるとか流通センターであるとか、騒音に対しては比較的影響の少ないものをこの中に持っていきたい。しかしこれにつきましては地方公共団体にいろいろの御協力をお願いしなければなりませんし、また国といたしましても、たとえば利子の補給をするとか、あるいは融資をするとかというような方向で、この土地利用計画をどのように盛り込んでいくかということを、ただいま学識経験者の方も交えまして地元の地方公共団体とも協議中でございまして、四十八年度はこのような方向で実現をしていきたいというふうに考えております。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 当然そういう中でお考えになると思いますが、移転補償区域の中でもどんどんと新築の家も建ってきておる、こういう現状があるわけです。こういう点についてはどのように考えておられるのですか。
  204. 隅健三

    ○隅説明員 一番のいい対策といたしましては、これは空港設置者、すなわち大阪でございました場合には国が騒音の最もひどいところを買って、国有地とするということが第一かと存じます。しかしその範囲も限界がございますので、今度の騒音防止法の改正におきましては、この一番うるさいところにおける建築の制限あるいはこれを緑地にするとか、非常にむずかしい問題ではございますけれども、そのような人家が今後一番うるさいところに建っていくということだけは何としても食いとめなければいけないという方策をいろいろ協議中でございます。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまおっしゃったようなそういう対策が十分行なわれたとしても、それだけではたして周辺の住民が納得できるような対策になっておるかどうかということなんです。そういう点からいきますと、ほんとうに運輸省としてはここで腹をくくって抜本的な新しいそういう対策というものを打ち出していくぎりぎりの時期に来ておるのじゃないか、私はこのように思うわけです。そういう点についてどのように考えておられますか。
  206. 隅健三

    ○隅説明員 騒音対策につきましては、先生の御指摘のとおりでございまして、関西新空港の問題も、大阪の現在の国際空港の騒音対策には一定の飛行機を現在の大阪空港から新空港のほうへ回して、音を徹底的に下げるということが一つの抜本問題ではございます。当面の問題といたしまして、われわれが騒音防止法の改正に伴う施策をいろいろ申し上げましたけれども、もう一つ申し上げたいのは、ジェット機の音を低くするということに対しまして、音減対策を十分にやっていきたい。アメリカでは、現在のエンジンの騒音相当に下げるという研究ができて、実現の見通しがあるようでございます。これにつきまして、わが国といたしましては積極的にこの技術を取り入れまして、法的にもあるいは資金的にもこの静かなエンジンを飛行機につけるという方向で対策を進めていきたい。このようないろいろな対策を講じまして、騒音の防止につとめたいというふうに考えております。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間が来ておるようでございますのでこれで終わりたいと思いますが、いずれにしても、あれだけの密集地におきまして実にあれだけの航空機が発着しておるわけです。ひどいときには、もう一分三十秒の間隔で飛行機が離着陸をしておるというような現状であります。したがって、実際にこの周辺住民の感情といたしましてももう限界まできております。したがって、これが単なる小手先の対策であっては、私は断じて許すことはできないと思うのです。きょうは環境庁長官も来られておるわけでありますけれども、当然連携はとっておられると思うのでありますが、運輸省が主体になってやっておることでありますが、これは環境問題としてもう放置できない問題であります。こういう点、長官として今後どういう決意で臨まれていかれるか、ほんとうに住民にこたえるという決意でお答えいただきたいと思うわけです。お聞かせ願いたいと思います。
  208. 小山長規

    小山国務大臣 私も伊丹空港の騒音というものは限界に来ておる、限界を越えておるというふうに考えます。したがって、新空港に移転するという問題が取り上げられておるのは当然のことだと思います。同時にまた新空港にかりに移転するにいたしましても、相当な年月があるものと考えますので、その間のいまの買い取り補償が円滑に進むような施策について、私どもも側面から全面的に協力したいと思っております。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点は特に要望しておきます。  これで終わります。
  210. 田中武夫

    田中委員長 近江君の関連質問は終わりました。  次に島本虎三君。
  211. 島本虎三

    ○島本委員 第二班の瀬戸内海を中心としての調査が一応終わりましたいま、総合する立場から、本来ならば一番具体的にまっ先に問いたかったのがあとになりました。いろいろ事情も込んでございますから、私自身長官に初めと終わりに集中いたしますから、そのつもりでひとつ御答弁願いたいと思います。  まず二、三点。長官のほうではすでに御存じのとおりでありますが、前の大石長官はチッソの本社の前にすわり込んでおりました水俣病患者の七の問題に取り組んでまいりまして、そのあと大石長官が去りまして、四月の二十日、七回目の話し合いが行なわれて以来、チッソと患者との間に話し合いが中断されたままになっている。新長官はいま脚光を浴びまして、八月の二十四日患者たちと会って、そのときに長官は近いうちにチッソの社長と会ってからその打開策をはかるんだ、こういうような記事を私ども読んでおりました。これはやはり一つの明るさを見出しておるのですけれども、その後の問題解決の進展状態はどういうふうになってございますか。まずこの点についてひとつ腹蔵なく御見解を承りたいと思います。重大な問題でありますので……。
  212. 小山長規

    小山国務大臣 チッソと水俣病患者との問題は、前長官から引き継ぎまして、そして環境庁の場を提供して、両者が腹蔵のない交渉ができるようにと、こういうことで私も努力をしたわけです。ところが、いままでのいきさつを熊本県知事から聞きましたり事務当局から聞きますと、両方が交渉に入る一番大事な原則問題について全然かみ合っていない、こういうことがわかりましたので、私としては、さあ開いたはいいが、また同じようなけんかになってしまうということでは、これはせっかく環境庁の場を提供して円満な話し合いをさせようという趣旨に反しますので、そこで私のものの考え方は、今度環境庁の会場で両者が話をする場合には何か進展するものがなければいかぬじゃないか、いままでの繰り返しでは意味をなさない、こういう考え方で患者側の要望も聞いたり、チッソ側の考えも聞いたり今日までしております。で、ちょっとこれは速記をとめてもらいたいのですが……。
  213. 田中武夫

    田中委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  214. 田中武夫

    田中委員長 速記を起こして。
  215. 島本虎三

    ○島本委員 大体その答弁わかりました。やはり中に入ってこれは導かなければならない。混迷した公害対策、これは患者の状態であればあるだけに、一つのルートに乗せて、そしてこれを導かなければならないというような重大な使命を持っていることを再び認識して、何か中に入って進展するようなものをつかんで、そしてあっせんを継続してやる。ここに実を結ばしてやってもらいたい、このことを私は重ねてお願いしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  216. 小山長規

    小山国務大臣 その方向で努力したいと思って、います。
  217. 島本虎三

    ○島本委員 長官は、まだ総理からは国会を通して国民の前に公害対策の具体策または——もういわば、ことばや何かでは書いているのですが、日本列島の改造計画なるもの、こういうようなものをいろいろ聞かれているのですが、もうすでに具体的な点では着手する準備が整っておるともいわれておる。委員を何十名か集めてその具体策を検討中であるとも聞かれる。また長官のほうからあらゆる点でそういうような指示、あるいは打ち合わせでしょうか、これも行なわれたというようなことも聞いている。はっきり国会の場で総理の口を通してやらない前に行政が先に先行する。いいことはいいのでありますけれども、本来ならば一言あって、そのあとでちゃんと行政を進めるというのがほんとうだと思うのですが、そうじゃない形態のもとに、この公害健康被害者の救済等についてもいろいろいわれているようであります。これはPPPの原則がございましたが、今後はやはり公害企業に拠出を出させる問題であるとか、住民の被害者に対する年金や一時金で生活保障を自動的に行なわせる問題であるとか、こういうような問題も発想として出されておるわけです。ただわれわれはわからないのは、PPPの原則であるといって、こういうようなことを生活保障のために年金や一時金さえやる。これはどういうことなのか。それが免罪符なのか。それとも裁判にかかったあと、また行政措置でやったあとにこれは借り入れ金として処理するのか。この点は私ども偶然にして不明であります。こういうような点等、ちまたに流れる前に大臣の口からはっきりと解明しておいてもらいたい、こういうふうに思うわけであります。あわせて今度硫黄酸化物、これも汚染地帯においてこれはどうするのか、この問題等についても、環境基準をつくった、現にあるところでさえも、そういうようなところに排出基準幾らやっても、それを守っていながらも公害が発生している。同じようなことをまたやって、バラ色の幻想を与えても、それがまた何にもならなくなるような日本列島改造計画の公害対策であるのかどうか。これはまことにわれわれとしてはまだ不明であります。したがってこの点等について地域環境容量をはっきりきめて、そして無過失賠償なんかできているのだから、あれでりっぱだというけれども、あれはまだ不完全です。あんな不完全なものはありません。よくぞあんなものを出した。しかしながら野党こぞって修正してようやく体をなしたという問題でしょう。その点も深く考えて、——野党というとおこるのです。与野党でありますが、そういうようなことでやったやつですから、いままでの考えをもう一歩進めるようにしなければ、これは徹底的な解決にはなりません。したがって、もうこういうような計画はどうなっておるのですか、ひとつこの際はっきりさしておいてもらいたい。これは国民のためにはっきりさしておいてもらいたい。
  218. 小山長規

    小山国務大臣 いまたくさんのことをおっしゃいましたけれども、他の損害賠償の基金制度のことをもう少し詳しく話をしろというお話であると思いますので、そこからまず、もし足りませんでしたらあとからまた申し上げます。  この制度は与野党一致の議会修正によりまして法律が修正されておりますから、私どもはこの国会の要請にこたえて、ぜひ来国会にこの法律案を提出したい、そういう決心でおるわけであります。それにはただこれはもう島本委員も御存じのような、補償額は一体どういうふうにするのか、どの程度の補償にするのか。そうすると、どの程度にするのかという問題がありますと同時に、大気も水もあるいは財産被害も一切がっさいやるのかという問題もありますし、そのような場合に、今度はこれはPPPの原則によるわけですから、一体だれから取るのか。取る場合に、支出のほうの、使用のほうの総量を一体幾らと見るのか。そうすると、その場合に、何ぴとからどういう方法幾ら取ればいいのかという、いろいろなむずかしい問題があるわけであります。そこで来国会にこの法律を出そうとしますと、少なくとも私ども環境庁としての構想というものは、具体的な構想です、具体的な構想というものは、荒っぽいものであっても、十一月末ないしは十二月の初めには出さなければならぬ、こう思っておるわけです。そこでいま各省庁と連絡をとっておりますが、そのための準備を、準備のためには人員が必要であります。その人員をお願いしたり急がなければなりませんので、それらの準備のために、もうちょっと今週はむずかしいかと思いますが、来週あたりにそういう準備の問題を具体的にしたい、こう思っておるところでございます。
  219. 島本虎三

    ○島本委員 いま大体わかりましたが、いわゆる基金制度の問題それからそういうような内容、それと同時に硫黄酸化物、窒素酸化物、こういうような一つ環境基準、こういうようなものと合わしてどういうふうに考えているのか、この点等についてひとつ事務当局のほうからどういうふうに進めておるのか話してもらいたいと思います。
  220. 船後正道

    ○船後説明員 先ほど先生も御指摘がございましたように、たとえば現在大気に関する硫黄酸化物の環境基準でございますが、この環境基準か達成されたといたしましても、人の健康にどうかという問題は確かにあるわけでございます。したがいまして私どもは、この際硫黄酸化物に関する環境基準も含めまして、環境基準については、人の健康が保護されるレベルということを目途に、これの見直し改定あるいは新たに窒素酸化物環境基準設定、これを急ぎたい、これをまず考えております。  次に、この環境基準を基軸といたしまして、既汚染地域につきましては、これをすみやかに達成するための排出規制の強化、これは当然問題となっております地域、総排出量というものを考えました総量規制方式の徹底という、新しい制度の導入を早急に考えてまいりたい。同時に、関連施策といたしましては、LS計画の練り直し、あるいは立地規制の問題、あるいは公害防止技術の促進、こういった問題につきましては関係省庁にも働きかけましてこれの促進をいたしたい、このような施策を考えております。なお環境汚染によります被害という問題につきましては、先ほど長官が申し上げましたような手順でもって、この十二月ごろまでには環境庁としての一応の具体的なたたき台を発表する段階にまでこぎつけたい、こういうことでせっかく準備を始めておるところでございますが、何せこの制度は世界に類例のない制度でございます。あくまでPPPと申しますか、排出原因者の拠出金というものを主たる財源といたしまして、環境汚染による健康被害者に対しまして、医療費はもとより逸失利益の補償といったものまで考える、こういう制度にもっていきたいということで、残された時間はわずかでございますが、全力をあげて準備を進めたいと考えております。
  221. 島本虎三

    ○島本委員 問題はほかにあるので、これはあまり深入りする時間がないのは残念なのですが、やはりこれだけは確かめておきます。  年金や一時金や生活保障を自動的に支払う仕組みにしたいという考えがあるようだけれども、これをやることによってすべて終わりなのか。これも暫定的にやっておいて、はっきり額がきまったならば、それを内払いとして決済するつもりなのか。すなわち、これをやることによってすべて免罪符になる考えなのかどうか。どういう考えで進めるのか、それを聞きたい。これは三回目でありますけれども大臣からもあなたからもまだはっきりしないのでありますが、これをひとつ知らせてもらいたい。  それから同時に、地域環境容量というようなことをいわれて、日本列島改造計画の中で、開発のどういうような段階でも環境基準は越えてはならない、そうだった場合には処置するんだ、予備実験もやるんだ、こういうようなことをいっているわけですが、口は言いやすいのです。これができるならば、なぜいまやらないのですか。茨城県の鹿島はまだ四割だけしかできておらないのに公害が発生しておる。それをきれいにしてみせて、これが見本でありますよと、四割ですからこれからだってできる。いままでのやつは、やりかけたところはできないけれども、これからだけのやつは理想的に、神さまのつくったもののようにきれいにできるということは、これはやはり幻想として国民を惑わすことになる。この辺はやはりはっきりしておいてもらいたい。いまわかったでしょう、二点。
  222. 船後正道

    ○船後説明員 最初の御質問でございますが、先生指摘の点がこの制度をつくるにつきましても非常にむずかしい問題の一つでございます。私ども、現在のばく然とした構想でございますが、民事上の損害賠償とこの制度による給付との関係につきましては、やはり労働基準法と民法、あるいは労働基準法と労災法、このような関係にほぼ近いような制度とするのはどうかというのが一つの案でございます。これでございますと、民事上の責任というものは、これはどこまでも免れないわけでございます。その制度でもって、その内ワクでもって給付するということになるわけでございます。いずれにいたしましても、原因者が判明するという場合には、これは民事上、民法なりあるいは今回成立いたしましたいわゆる無過失損害賠償立法によりまして、原因者は民事上の責任をとらねばなりません。これは当然でございますが、その中におきまして、なおかつ原因者が非常に判明しにくい、あるいは不特定多数であって実際上は民事上の救済措置に乗らないであろうと思われるような事態に対してどうするかというのが、この制度の主たる給付の目的となっていくのではないか、このように考えております。いずれにいたしましても、これは制度による給付でございますから、やはり画一的、定型的な給付にならざるを得ませんが、考え方といたしましては決して企業の免罪符というようなものではございません。損害賠償の履行である、このような考え方で進めていきたいと考えております。  それから地域環境容量についての御指摘でございまして、確かに現状先生指摘のとおりでございます。私どもも、この開発環境保全という問題を将来どう考えていくか、さらにまた、あまり将来のことを申しますと、またバラ色の夢を描いて惑わせる、このようにおしかりを受けますが、現に汚染がすでに進行してしまったところ、あるいは現に汚染が進行しつつあって、このあたりでとめねばならないところ、いろいろな段階の地域があるわけでございます。  こういった地域に共通する指針といたしましては、少なくとも私どもが今後考えております、人の健康が保護されるようなレベルの環境基準、それ以下のところにつきましては、今後いかなる開発行為もそれ以下に押えるということが一つの原則である。かつ、すでにそのきびしい環境基準を越えてしまったような汚染地域につきましては、あらゆる総合手段を講じまして、その新しい環境基準に近づけるということに全力を注ぐという二つの考え方で進めてまいりたい、かように思っております。
  223. 島本虎三

    ○島本委員 この問題はいずれまた日を改めてやりますが、考え方としてはいままで一つだけ疑問を受けます。  確かにバラ色の幻想と言いましたけれども、現在開発中のコンビナートなりそういう地帯に、なぜいまの構想をはめてやれないのだ。これからやるやつだけがりっぱであって、いま三割、四割方を実施中の、たとえば茨城県の鹿島臨海工業地帯あたりに、なぜそれができないんだ。全部できてしまったというのではない、四割方やっている。これだってできるはずだ。できるはずのやつをやらないで、これから立法するやつだけやれるんだということはそもそもおかしいんじゃないかと思うのですが、これはいずれまた日を改めてやります。  そのほかに、地域環境容量の予備実験なんかをやると言っていますけれども、どうしてやるのか。これも言い倒れにならないように、そして、そのときに言ったあの人はと思ったら、あなたはもういなかった、こんなことのないように十分気をつけてやってもらわなければだめだ。  それと、もう一つ次に移りますけれども、先般第一班の公害視察団が、岩手県の岩手郡松尾村の旧松尾鉱業所の排水口から基準の八十倍もの砒素が出ている、こういうようなことで現地調査もしてまいっておるわけであります。その後本委員会においてもはっきりと休廃止鉱山の対策を打ち出し、本会議等でもこの問題に対する政府の具体的な見解を発表されたわけでありますが、その後、休廃止鉱山はどういうようにしてこの防止対策並びに被害者に対する補償をやっておるか、これの全貌を明らかにしておいてもらいたい。
  224. 青木慎三

    青木説明員 金属鉱山の休廃止鉱山の公害防止対策でございますが、これは以前にも申し上げましたように、現在当省におきましては、四十八年度の新しい政策といたしまして、金属等公害防止事業団を設立いたしまして、その事業団のもとに、公害防止の直轄工事を実施し、それから鉱業権者に対する融資公害防止工事費の積み立てというような、あらゆる公害防止助成事業を総合的に実施いたしますように、所要の予算、財投の要求をただいま準備中でございます。こういうことによりまして、従来の累積公害と同時に、今後発生すべき公害を計画的、総合的に防止するように施策として推進してまいる所存でございます。
  225. 島本虎三

    ○島本委員 これは国会がそういうふうにして決議をし、委員会でもそれぞれ各省庁の皆さん方の意見もはっきり表明されたあとなんですよ。硫黄鉱山のいわゆる硫黄分を含有した土砂が流出して、そのために今度一億に及ぶような被害を漁民に与えたというようなことが最近また起きている。これは国会で決議しても決議のしっぱなし、いかに答弁してもこれは国会に対しては一時のがれの答弁、これであってはいけないと思うのです。したがって、この対策を伺います。  これは北海道の南の一番端、函館の付近でありますけれども、尻岸内というところに恵山という旧硫黄鉱山があるのです。そのボタ山が雨で決壊して、沿岸に流出した硫黄で甚大な漁業被害を与えた。これは本年の八月の三日です。そして、これは休廃止鉱山、旧硫黄鉱山、鉱滓をせきとめて、そして三段ダム式なボタ山が決壊して硫黄分の合有土砂が流出した被害である。そして、これは恵山地区で四千三百六十万円、それから今度椴法華地区では四千六百八十万円、それぞれこのように一億近くのコンブ被害並びに漁業被害をいま現に与えているのです。こういうような被害が出ているわけであります。そして、これに対しては、鉱山保安監督局のほうでは鉱滓を防ぐために、努力は数回にわたってこれをやっているはずであります。はたしてどのような処理をしたのか。そしてこの鉱区の保有者ですか、これは何といいますか、鉱区権者というのですか、こういうような人がいるのかいないのか。こういうような問題に対してははっきりさしておいたほうがいいわけでありますけれども、この恵山鉱山についてはどういうふうになっているのですか。
  226. 青木慎三

    青木説明員 恵山鉱山につきましては、恵山鉱山の堆積土の一部が豪雨によりまして決壊流出しました。本年八月三日の集中豪雨によるものでございます。このために約千六百平米の堆積物が登山道路沿いに流れまして、恵山側から海に流出したという事実がございます。これに対しまして、札幌の鉱山保安監督局では直ちに監督官を二名派遣しまして状況調査の上、さしあたりその応急対策を指示いたしたわけでございます。その応急対策は、一つは山腹水路の整備でございます。それから二つ目には、流出部分の埋め戻し、それから三つ目には、のり先に土どめ施設の設置をするという三つの緊急対策を指示をいたしまして、これにつきましては、前の二つは八月二十九日に完了いたしまして、三つ目につきましてもほぼ完了しているというふうに報告を受けております。  本件によります被害は、道路の損壊並びにただいま先生のおっしゃいました漁業被害が出ておるので、現在その補償について問題となっておるわけでございます。  ただいま申し上げましたのはさしあたりの応急対策でございますが、恒久対策につきましては鉱害防止義務者に対しまして指示を八月十一日にしております。  鉱業権者は、これは鉱業権を持っておる者と、それから租鉱権に基づきまして鉱業を実施している会社と、両方ございまして、鉱業のほうを実施している者は現在操業をすでにやめておりまして、実質上無資力になっております。ただ鉱業権者がおりますので、鉱業権者に対しまして今後の恒久対策について措置をするよう指示しております。その計画の提出を今月半ばまでに出すように指示しておるというのが、現状までの処置の概要でございます。
  227. 島本虎三

    ○島本委員 いままで過去二、三回にわたって同様な指示を受け、もうそういうような災害がないようにという措置をさせております。にもかかわらずこういうような事故が発生しております。そして四十二年の五月に経営の行き詰まりで閉山しております。そしてやはりその後被害がこういうように起きておりますから、こういうような場合には被害に対して完全に補償することはできますか、できませんか。できない場合にはどうするつもりですか。この二点。
  228. 青木慎三

    青木説明員 こういう被害に対しましては鉱業法の百九条によりまして、鉱害を起こしました者が賠償責任を有しております。ただ本件の場合すでに閉山をしておりまして無資力の状態でございますので、必ずしも全部補償がなし得るかどうかにつきましては、私ども今後調査してまいりたいと思いますが、完全に無資力の場合には別途の救済方法を構ずるほかには、当事者間で賠償責任の実施ということは困難かと思われます。
  229. 島本虎三

    ○島本委員 同じ事故が起きており、この監督局と鉱山側とで事故の防止のための契約書までちゃんとあるのですね。契約書まであって、こういうような損害を与えるような事故が発生しておるわけです。そして今度はもう経営行き詰まりのためにもし損害が補償できない場合はどうなるのかということ、これについてははっきりしておりますね。間違いございませんね。この点だけ確認しておきます。国で負うのですか、業者に負わせるのですか。それとも長い間やった責任を国が負って、国がその債務の履行に応ずるのですか。
  230. 青木慎三

    青木説明員 鉱害の賠償責務は事業を行なっている業者でございますので、国は直接この鉱害に対しまして損害賠償の責めに応ずることはない制度になっております。
  231. 島本虎三

    ○島本委員 何らかの方法でこれは賠償に応じさせることはできる、何らかの方法とは何ですか。
  232. 青木慎三

    青木説明員 これは国が直接賠償の責めに応ずることはないわけでございますので、現在無資力になっている業者に対しまして極力その能力の範囲内において賠償させるというほか方法はないように思います。その他漁業の補償につきまして、別途の漁業関係の保険なりその他の融資の制度につきまして、私ども直接所管でございませんで、詳しく知りませんけれども、そっちの方面の国の施策というものは別途あるものと私どもは思っております。
  233. 島本虎三

    ○島本委員 これであまり時間をとりたくないのですよ。いままで皆さんの指導、契約さえも、はっきりしている契約の不履行、そしてもう長い間これは放置されてある。これによって他人に被害を与えておるのです。無資力だった場合にはということですけれども、これはもう無資力なことは初めからわかっておるじゃありませんか。こういうような場合に対してどうするのだ、他に方法はあるというから、方法を聞けば、通産省ではないじゃありませんか。保険をやっているだろうから保険でやれるだろう。水産庁、これは保険はあるのですか。
  234. 太田康二

    ○太田説明員 人災の場合には当然免責になっておりまして、保険の支払いということはできないことは明らかであります。
  235. 島本虎三

    ○島本委員 では、何らかの方法はどういう方法ですか。
  236. 青木慎三

    青木説明員 この場合集中豪雨という原因もございますので、この辺の実情をよく調べないとわかりませんけれども、そういう面で必ずしも業者だけの責任であるか、あるいは集中豪雨による災害であるかという認定問題はあると思いますけれども、いずれにしましても内容を詳しく調べた上でお答えいたしたいと思います。
  237. 島本虎三

    ○島本委員 八月三日の大雨であるということは、事実あなたの調べたとおりなんです。損害はまさに四千三百六十万、恵山地区、そして椴法華地区は四千六百八十万、これは正規に出されております。それはこういう人災によるものでなければ当然保険によるでしょう。漁民はそれぞれやっております。ところがいまのようなやつは方法がないでしょう。これは損害の補償については、つまりこれを指導した国ということになってしまうのじゃありませんか。これは国のほうでそれをやらないとしたら何らかの方法というのは何ですかということになってしまう。これは漁民は泣き寝入りですね。こういう場合には水産庁はどうするのですか、水産庁の指導方針……。
  238. 太田康二

    ○太田説明員 実は私たいへん不勉強で、初めて聞いたようなことでございまして、よく事情を通産省あたりとも相談をいたしますが、さっき申し上げましたように、保険の制度がございますけれども、明らかにこれが人災である場合には当然免責になっておりまして、保険金の支払いということはできないわけでございます。それからそれ以外に、天災でございますれば天災融資法の発動等も考えられますが、被害額等をお聞きいたしますと、天災融資法の発動の条件の場合には非常に厳重な条件がかぶっておりまして、国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で指定する天災ということになっております。たとえば一件だけの被害という場合には発動した例がないわけでございますので、これも救えないということになるわけでございます。しかし現実に漁民が被害を受けているということが明らかでございますれば、私どもといたしまして通産省と至急相談をいたしまして対策考えてまいりたい、かように存じております。
  239. 島本虎三

    ○島本委員 通産省のほうでも、いまのような事情ですから、いたずらに漁民を泣き寝入りさせることがないように両方で相談して、こういうふうに措置したということを委員長を通じて私のほうに資料として提出してもらいたい。これはよろしゅうございますか。
  240. 青木慎三

    青木説明員 御指摘のとおり処理いたします。
  241. 島本虎三

    ○島本委員 次に、防衛庁、防衛施設庁来ておりますか。——これはちょっと私お伺いいたしますが、北海道の札幌から千歳まで国道三十六号線ですか、いわゆる弾丸道路というのが走ってございます。もう過密の状態になっておる現在、それに沿うていわゆる高速道路、バイパスが並行してつけられ、広島、恵庭の方面からずっと自衛隊の演習地帯のほうへ入っております。演習地帯のほうへ入って千歳のほうに抜けております。当然その演習地帯は一部使われなくなっているのは事実であります。こういうような事態に対して十分これは認識されておると思っておりますけれども、この国道とバイパスの間にはさまれた演習地帯はどういうことになりますか。もし必要なければこれはすぐ払い下げてやるべきであって、その小さいところで演習するといったってこれは人畜に被害を及ぼしますから、不必要なはずじゃないかと思いますが、その点について御答弁を賜わっておきます。
  242. 長坂強

    ○長坂説明員 お答え申し上げます。  いま先生指摘のバイパスは、北海道大演習場の島松地区それから恵庭地区、それに北千歳地区の南東部分をそれぞれかすめておるわけでございますが、先生のおっしゃっておられる部分の一つは、島松演習場のところをバイパスが横切って余剰を生じているような部分が一つ、これは約六万平米の山岳地帯というふうに考えておりますが、これは先生指摘のとおり演習場としては従来の用に供せなくなりましたので、私どもとしては別途宿泊地とか駐車場等の利用はできないかというような面も検討してまいったわけでございますか、地元の恵庭市がそこを緑地公園として利用したいという意向もあるので、これは最終的には関係省庁の国有財産の管理部局であります大蔵省というようなところへ事案はいくわけでございますが、現在地元恵庭市とわれわれのほうで、現地機関同士で相談をしております最中でございます。  それから恵庭地区のほうにつきましては、そのバイパスによりまして分断されております部分は南恵庭駐とん部隊がおります部分でございまして、これは現に居住しておりますので、別にそれ以外の用途は考えておりません。  以上でございます。
  243. 島本虎三

    ○島本委員 そういうような状態のもとに、やはり使うものは使い、公園にするものは公園にし、開放していい、しかるべき土地があったならばこれは開放していいと思うのでありますが、そういうようなことと同時に、今度はカラマツ造林地、これは六年から十年くらいまでやっているトドマツやエゾマツ、こういうような松が植わっている。この一林班から十八林班までの、これは恵庭の営林区ですが、こういうような造林地を演習地に拡大していく、こういうような計画を進めているということを伺っておりますけれども、これは事実ですか。事実だとすると、何の根拠でこういうようなことを進めておられるのですか。
  244. 長坂強

    ○長坂説明員 お答えいたしますが、先生いま御指摘のようなお話は私ども実は初めてでございまして、私どもの現在承知しておりますところでは、そのような企ては持っていないというふうに承知をいたしておりますけれども、なおもしそういうことが行なわれているかどうか、帰りましてまたよく調査の上御答弁申し上げます。
  245. 島本虎三

    ○島本委員 なおこの件についてもよく調査の上、これも文書で報告を願いたいと思いますが、それもよろしゅうございますか。
  246. 長坂強

    ○長坂説明員 文書で御回答申し上げたいと思います。
  247. 島本虎三

    ○島本委員 林野庁に伺いますけれども、この場所は国立公園地帯に隣接した場所であって、そしてこれはトドマツ、エゾマツの六年から十年までの造林地帯になり、いまや松の青年期に達しているような状態なのでありますけれども、一林班から十八林班までというと相当の量であり、なぜ一林班から十八林班までというような具体的なものが、防衛庁がそういうような企てがないというのにこういうのがわれわれの耳に達してくるか、火のないところに煙は立たないと思っているわけですけれども、こういうようなことは私どもはいまほんとうにふしぎに思っております。ないにこしたことはないのでありますが、そういうような場合があっても、これは木を大事にするのが自然環境保全の道ではないかと思いますけれども、林野庁はこれに対してどういうお考えでございましょうか。
  248. 辻良四郎

    ○辻説明員 お答えいたします。  実はただいまの恵庭営林署管内の土地につきまして、防衛庁のほうで演習地に使うという計画があるというようなお話でございますが、林野庁といたしましても実は初めてお伺いするお話でございまして、さっそく調査いたしまして、そういうような動きがあるのか、またそういうときにはどうするか、調査の結果お答え申し上げたいと思います。
  249. 島本虎三

    ○島本委員 念のためにその調査の結果も文書によって委員長を通じて私の手元にほしいと思います。
  250. 辻良四郎

    ○辻説明員 そのようにいたしたいと思います。
  251. 島本虎三

    ○島本委員 環境庁長官、あなたがいないうちにだいぶ事件が進展いたしまして、そしていま言っているように演習林が使えなくなった。その払い下げの数倍の土地を今度国有林のほうへ求めようとしている動きがあったようでありますが、いまはまだないようであります。そういう計画もないようであります。おそらくそういうようなことはさせないにこしたことはないし、自然環境保護法さえ成立している現在ですから、これは十分気をつけてもらわなければならない点であります。それにこしたことはございません。いま文書ではっきりしたものをもらうことにしておりますから、重々関心を持っておいてほしい、こういうように思うわけであります。  その関心の問題から入らせてもらいますけれども、前にいろいろ問題がございました中で、やはり自然環境保護法が成立いたしましてすぐ問題になってまいりましたのが、北海道の大雪山の縦貫道路の建設の問題であります。この問題については私が言う必要がないほど皆さんのほうがもうよく知っている問題でありますけれども、念のために、昭和四十六年の一月に大雪山の国立公園の高山帯を中心とする三万六千ヘクタールを特別保護地域ということに指定されておるわけであります。四十六年の四月に北海道開発庁のほうから当時の厚生省のほうへ縦貫道路の建設協議書というものを提出されておるのであります。当時の長官はこれに対していけないということで、再検討ということになっておる問題であります。おそらくこれは富士山のあのスバルラインですか、これも工事と自動車の排気ガスのために沿線のアオモリトドマツが大量に枯れ始めておる。いまもその被害が続行中であるということも聞いておるのでありますが、こういうようにして片や一たんやってしまうと被害はどうにもならなくなる。いま残されたこういうふうな地帯に対して、いままで再検討ということでやっておりますけれども、これがはたしてどういうような動きになっているのか。長官はわざわざヘリコプターで調査もされ、多大の感銘を北海道民に与えてきておるようでありますので、この辺の構想と今後の考え方をひとつここで打ち明けてもらいたい。
  252. 小山長規

    小山国務大臣 この間北海道の現地に参りましてヘリコプターからも見ましたし、またあの高山地帯に着陸もしましていろいろ調査したわけであります。そこで、この道路計画についてはかねがね懸案であったわけでありますが、いつまでも宙ぶらりんであるわけにいきませんのでここで決断を下さなければいけない、こういうことで現地を見たわけであります。その結果、現在の計画路線は地形が急峻であって、そして植生の破壊が大きい、土砂崩落を誘発するおそれがあり、また緑化の復元も困難である。  二つには、特別保護地区の主稜線に近くなり旧ぎて、そこから自由に車で行った観光客が特別保護地区に入り込むおそれがある、こういうことでありますので、これでは非常な自然破壊を来たすおそれがあるということから、北海道開発庁に対しましては現在の計画では承認しがたいということを伝えておるわけであります。  なお、それでは北海道開発庁から新しい路線計画が出されたかという問題になりますと、実はまだ出ていないのであります。これが北海道開発庁からかりに新しい路線変更が出ました場合には、いま申し上げました基準に照らして、差しつかえなければこれを許可するという考え方でおるわけであります。
  253. 島本虎三

    ○島本委員 差しつかえなければ許可するというようなのは、これはまくらことばであり慣用語である場合には、その裏には厳重なる科学的な調査をした上で差しつかえなければという意味であって、これは往々にして許可を前提のことばじゃないのだということにもなるわけでありますけれども、政治家としてはその辺がなかなか含みのあるところですが、環境庁の長官は自然環境保護法ができた現在、やはり環境の保全というのが至上命令である。環境破壊につながる行為でもそれを許してやるんだというふうにとられる発言があるとするならば、これはやはり国民は疑問を持つだろうと思います。私はそういうような計画がどういうふうにしてできるのか、これが疑問なわけであります。それで植物群落、それと同時に高山帯や亜高山帯、こういうような方面には長官も行って見ておられますが、あの辺は全国でも有数な植物なり動物なりが生息しておるのでありまして、これをもしやるとそれによっていろいろな点から侵食を受け、同時に亜硫酸ガスによって木が変化を受け、そうしてまた外来植物が広がってそうして従来の植物を絶やす結果にもなり、生態的にも弱い植物が影響を受けることは火を見るより明らかであって、ここに変化を来たすことだけは具体的事実としてもう言わなくてもわかっていることです。まして高山帯と亜高山帯があるのでございまして、亜高山帯の場合には森林限界付近にアカエゾマツなんかがあって、これは樹木の育つ限界の状態でありますから、環境の変化が大きい影響を与えるということははっきりとしたことであります。一度木が失われたら再び育つのは非常にむずかしいというところであります。まして高山帯、これはハエマツは七センチの太さになるのは百年かかるほどですから、こういうようなことから見れば、この安定のバランスをくずさないようにするのが主であろう、こういうように思っております。  そのほかに、この道路をつくる効率というものが何を考えてやっているのかということであります。冬の間は六カ月間は使えないのだ。それは高山植物を保護するために道路をつけるのか。道路はこのためになるのか。利用できるのはほんの若干、それならばつけるよりほかに目的があるのじゃないか、こう考えられるわけであります。いま原則として大臣がはっきりおっしゃいましたが、その裏づけを私は一部分として申し上げます。  まだそのほかに動物への影響と自然開発の問題なんかもいわれておるようであります。それと過疎対策なんかもいわれておるようでありますが、これは逆に何ら影響をもたらすいい結果はないだろうと思われる。なお過疎の促進になる。ですから、こういうような場合にはよほど慎重に考えていかなければならないはずだと思います。したがって、いま長官が言ったことは、私が言ったようにして違うところならばまあ通してもいい。そうして通してもいい場所ならば、これはあえてそこにつくる必要がないのだ、こういうようなことなら、開発庁が行政的に指導なさったらいいのではないかと思います。これは開発庁、そうまでして強行しなければならない理由があるならばはっきりしておいてもらいたい。そこで環境庁のほうはいまの原則は最後まではっきり守るべきである、こう思いますが、開発庁からひとつ御高邁なる御答弁を賜わりたいと思います。
  254. 山田嘉治

    ○山田説明員 お答え申し上げます。  ただいま問題になりました大雪山を通ります忠別——清水線てありますか、国立公園の中を通りますので自然環境の保護について特に厳重な監視と注意が必要であるということについては私どもまことに同じ考え方でございます。ただこの路線を計画いたしましたのは、北海道の御承知の第三期計画におきまして、北海道内の幹線道路網の整備の一環としてこれを考えておるということでございます。それと同時に、この地域の産業の振興、それと、先ほど先生のおことばではございますけれども、やはりここの関係する三町の非常に過疎な地域の住民の生活の安定、向上に役立つ、こういう考え方で私どもはこれを計画しておるわけでございます。したがいまして、幹線自動車道の一環として計画しておりますので、道路の規格も、冬除雪いたしまして冬期間も年間を通じて車が通れるという前提で私ども計画いたしております。  まず地域産業振興上の理由といたしましては、第一に林業の関係でございますが、御承知のようにこの大雪山一体は北海道で非常に重要な林業地帯でございまして、全国の計画の一環といたしまして大規模林業圏というような計画を現在進めておりまして、その調査もいたしておりますが、この地帯でとれますところの木材、これをたとえば大雪山の南の新得の方面から旭川方面の製材その他の加工地帯に運ぶ場合に……(島本委員「何でも切ってしまえばいいのか」と呼ぶ)ただいま現在切っておるわけでございます。これを運びます場合に、非常に大きな迂回をしておりますので、これが道路をつけることによりまして非常に流通がよろしくなるということがございます。さらにこの地帯の林業の生産の基盤の整備をいたしまして、昭和六十年近い時点では現在の生産の六割ぐらいこの地帯の生産をふやしていこうということを考えておりまして、その一環として、この道路が十分に役立つというように考えておるのでございます。  それから第二点といたしまして、農業につきましては、この関係の美瑛、新得、東川の三町、この管内に一万九千四百ヘクタールの耕地が現在ありまして、約三千三百戸の農家が農畜産物といたしまして約一万八千トンの農畜産物を生産いたしておりますが、この道路ができますことによりましてこれの流通の円滑化がはかれる。したがって、この地帯の農畜産の経済性が高められるというように考えておる次第でございます。  それから第三番目に、この関係一帯の地下資源の開発ということでございます。この地帯一帯は有望な地下資源の賦存地域であるというように考えられておりまして、現在関係の民間会社で電探でございますとかあるいは試錐等によって調査をいたしておりますが、一つの説ではございますが、千七百万トン程度の鉱量の金、銀、銅、亜鉛等の鉱物があるというような結果も把握されております。現在、四十八年度、来年度でございますが、通産省におかれましては、地下資源の有望賦存地域ということで広域地下包蔵調査の対象地域ということでこの地帯を取り上げてお考えになっておられるというように承っております。  それから最後に、この地域、非常に過疎な地帯の地域の住民の生活向上、安定のためということでございますが、これはものの考え方でございまして、先生は道路ができることによってかえって過疎が進行するんじゃないかというお話でございましたが、私どものほうといたしましては、この千九百八十四平方キロメートルという非常に広大な地域に九千五百世帯で二万七千三百人という人が散在しておるわけでございまして、この関係の三町がいずれも、この道路をつくることによって、ぜひこの過疎地帯の住民の生活の安定、向上をしてほしいという強い要望が出ておりますので、私どもは、これが過疎対策として非常に有効であるというように考えておる次第でございます。  以上お答えいたします。
  255. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、もう開発開発といって自然環境を破壊してまでも開発をやらないという方針がいまの田中角榮総理大臣一つの発想であるということを考え答弁なすったらどうですか。幾ら北海道だからといって、そんな時代離れしたことをやってもらっては私が困ります。いまの答弁なんかなっておりません。勉強してもう一ぺん答弁し直しなさい。  それに、ついでですから、いまのような答弁をそのまま文章にして私の手元によこしてください。はたしてそれが事実であるかどうか、この次にもう一回、あなたが出てきてここでやります。  ただ、この中ではあなたがいろいろ言いましたけれども、百八十キロの国道で両市間を結んであるという縦貫道路をつくりましても、距離はわずか三キロしか短縮されない。そうして、この縦貫道路が山岳路線で急勾配やカーブが多いために車のスピードが低くなるということを考えると、所要時間が逆に長くなる。こういうようなことをやったならば、多雪地帯を通る道路——十二月から六月まで半年間使用できないほどの条件なのだから、夏でさえも霧に閉ざされた地帯ですから、結局こういう道路に対して再考せざるを得ないということになってくる。それと同時に、自然開発をやっておりますけれども、地下資源については、この地域は企業化できるほどの見るべきものがないというのが地質学者の通説ですから、あなたの言っていることと逆だ。それと、あなた過疎対策だとおっしゃるけれども、北海道で道路がよくなっても過疎が消滅したところがどこかございますか。それも文章にして出してください。そういうふうなこと。  それから、林業資源の開発がこの道路によって可能だというが、切って運んで自然を破壊することが可能なんです。いままで一メートル一万円または一万五千円くらいで林道をつけ——ほんとうは十万もかけてつくらなければならないのをつくらないで、粗略な林道をつくったためにどれだけ山を破壊してきているのですか。北海道にいてそういう実態をわからぬのですか、あなたは。木曽でもそうだ。静岡でもそうだ。水戸でもそうでしょう。北海道だけはせめてそんなことをやってはならないのです。いままで言った答弁、もう一回はっきり文章にして出してもらいたい。これを強く要請しておきます。
  256. 山田嘉治

    ○山田説明員 先ほどこの道路をつける意義はどこにあるか答えよという質問でございましたので、私ども考えておりますことを御答弁申し上げたわけでありますが、私ども、これは特別の国立公園の中でございますから、自然保護が非常に大事であるということはもう十分念頭に置いてございます。  先ほど環境庁長官から御答弁ございましたように、最近も環境庁のほうで現地調査をされまして、現在の私どものほうで企画いたしました路線は、かつて厚生省時代に先生御承知のように、これでいこうということで一たん合意はされたのでございますけれども、世の中のものの考え方が変わりまして環境庁もできるという世の中でございますから、それが練り直しということで、先ほど環境庁から特に二点にわたっての御指摘がございましたので、私どもといたしましては、この二点を十分念頭に置きまして、現在の路線の計画変更を現在考えておる次第でございまして、あらためてこの変更した案につきまして、環境庁と十分御相談を申し上げたいというように考えておる次第であります。
  257. 島本虎三

    ○島本委員 委員長、これでやめますけれども……。
  258. 田中武夫

    田中委員長 一問だけ許します。
  259. 島本虎三

    ○島本委員 地質学者と動物学者がいままでの調査に入っておりませんから、これらの意見も十分聞いた上で、そして、自然環境保護法ができた現在ですから、その主管庁として、各官庁では環境庁ができたというような時代ですからといってじゃま者扱いにしたような印象を受ける発言もないわけではありませんから、この点しっかりやって、まさに公害防止のためにも環境保全のためにも、あなたは一歩も二歩も出て先取りをするのでなければ、いまの行政の体系の中で同レベルでは先を越されるのですから、ここを十分考えて今後実施をしてもらいたい、このことを強く要請いたします。一言だけ最後に決意を言ってください。
  260. 小山長規

    小山国務大臣 私どもは、先ほど言いましたように、自然保護の立場から先ほど申しましたような条件を設定したわけでありまして、あとこれだけのきびしい条件であっても道路をつくるかつくらないかの判断は、これは北海道庁がしてもらわなければならない。私どもはそのものさしを曲げるつもりは絶対にありませんから、御安心を願いたいと思います。
  261. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  262. 田中武夫

    田中委員長 島本君の質疑は終了いたしました。  次に、古寺宏君。
  263. 古寺宏

    古寺委員 最初に、鉄建公団にお尋ねを申し上げます。  現在、海底トンネルの公害によりますところの漁業補償の問題が起きているわけでございますが、この補償の問題につきましては、現在、現地の漁民との話し合いが進行しているようでございますけれども、現地の漁民は非常に科学的なデータも持ち合わせがございませんし、補償問題が難航をいたしているようでございます。  そこでお尋ねしたいのですが、現在SSの問題につきまして、二PPMと七PPMという問題が一つの話し合いの焦点になっているようでございますが、公団側では七PPMを一つ基準といたしまして被害額を算定しているようでございます。この漁業補償の問題につきまして、公団側は非常に多大の御迷惑をおかけしたわけでございますけれども、今後どういうようなお考えでこの補償問題と取り組んでいかれるのか、また七PPMをあくまでも固執するお考えなのか、この点についてお答えを願いたいと思います。
  264. 篠原武司

    篠原参考人 青函トンネルの掘さくによりまして、濁った水または悪い水が流れ出る。それを防止するために、ろ過装置をつくりましていまやっておりますが、それまでの間に漁民にいろいろ御迷惑を与えたということで、その補償の問題につきまして、賠償の要求が地点から出されております。それにつきまして、地元と折衝しております。青函建設局から地元に対しまして、本州側は五年間、北海道側は六年間で幾らということで一応提示いたしましたが、地元の御要求が非常に大きいということで、そこに食い違いができておりまして、これが妥結してないという状態でございます。その経過から、それからこれからのいろいろな折衝でこれを解決してまいりますので、しばらく時間をかしていただきたいと思いますが、折衝の関係上いろいろデリケートな問題もございますので、細部につきましては申し上げにくい点もございますので、それはおまかせいただくとしまして、ただいま御提示になりましたPPMの問題につきましては、北原理事から説明さしていただきたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  265. 北原正一

    北原参考人 私どもが補償の基準として出しましたのは 先生がおっしゃいましたように、七PPMに拡散された場所につきまして、漁業権を停止するといいますか、そこの間では漁業ができたいというような計算をしてお示しをしたわけでございます。これは調査工事発足以来、北大水産学部あるいは末期には青森県の水産試験場にもお賄いいたしまして、かなり科学的にその懸濁度と漁業被害ということを調べてまいったわけでございまして、その調査結果の中から七PPMという、とで、その七PPMに拡散された場所のものを考えれば、想定される被害はほとんどそれでカバーできるのではないかということで、そのお話し合いを始めたわけでございます。  二PPMといいますのは、水産環境水質基準という日本水産資源保護協会で出されました中に、人為的に加えられた懸濁物質は二PPM以下であることという一つ基準がございます。私どもしろうとでございますが、いろいろ承ってみますとこういうことが水産環境として一番望ましいということのお話のようでございまして、私どもとしてはいろいろ調べた結果、七PPMで十分カバーできるんではないかというふうに考えお話し合いをしているわけでございますが、私ども考え違いの点があるかもしれないし、また私どもの御説明かある程度——ある程度といいますか、私どもの御説明で漁民の方の御理解をいただけるだろうと思ってお話はしておりますけれども、私どもに勘違いがないわけでもないかもわかりません。ということで、これから両者が意見が一致しますまで、よくお話し合いをし、検討してまいる。もしわれわれに落ちがありましたらそれを訂正するのにはやぶさかではないということで、これか積極的に打ち明けて、心をぶつけ合ってお話をしてまいりたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  266. 古寺宏

    古寺委員 私は専門家にお尋ねをしてみました。そうしましたところが、ワカメ、コンブの繁殖にはある一定の深さが必要なわけです。しかも透明度が非常に影響するそうでございます。ところが、二PPMをこえますと、ワカメ、コンブの繁殖には非常に影響があるそうです。七PPMというのは非常にぐあいの悪い考え方だということです。ワカメ、コンブの繁殖が悪くなりますと、当然アワビであるとかいろいろなそういうものも繁殖は悪くなる。こういうふうに七PPMというのは非常に現実から遊離した考え方であるという御意見を専門家のほうからいただいたわけでございます。   〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕  そうして漁業協同組合側は一億三千八百万円ですか、要求をしております。その中で回遊魚を除いたいわゆる根つぎワカメ、コンブあるいはアワビ等の要求額は、実質的には四千二百六十五万円になるわけです。それに対して、七PPMで計算しますと、五百二十四万何がしかになる。いわゆる専門家がお話しになっておりますところの二PPMで計算しますと、漁業協同組合が要求している額に近くなる。また北海道側も同じでございまして、六千万円の要求に対して五百万円そこそこで、ある。こういうふうに補償する側の姿勢というものが私は間違っているんじゃないかと思うんです。いま確かに防除施設をつくりました。ところが、そのシックナーが現在ときどき故障を起こしているそうでございます、停電その他で。あるいは操作上のミスもあったそうでございます。それはときたまそういうことがあったかもわかりませんが、現在そのシックナーに出ているいわゆる排水口のSSは、七〇OPPMぐらいのことが間々ある。ましてや、このシックナーもない、沈でん池も不十分な時代には相当高い濃度のものが排出されたというふうに考えなければいけないと思うのです。こういうふうに多大の迷惑をかけておきながら、あくまでも七PPMで、かけ引きか何かわかりませんが、こういう姿勢で漁民に不安を与える。しかも最近におきましては、専用道路をつくりまして、この専用道路の側溝が不十分なために、ちょっと大雨が降りますとどろ水がどんどん、もう傾斜が強いもんですから、海に流れて汚濁をしております。こういうふうにいろいろと現地の方々に御迷惑をおかけしていながら、そういうふうな七PPMを固執するということは非常に遺憾なことだと思うのですが、今後この点については、もっと科学的に、実態に合った補償というものを進めるような、そういう話し合いが必要ではないかと思うわけなんです。そこで、今後本工事が始まりますと、また大量の出水が予想されます。そういうような場合に、現在の施設ではたして公害防除が十分なのかどうか。また、専用道路は今後どういうふうに処置なさるつもりなのか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  267. 篠原武司

    篠原参考人 ただいまお話のありました地元のあれと、公団の立場でいろいろ折衝しておりますが、われわれのほうの立場といたしましては、地元民を泣かそうとか、辛い措置でもって地元民に無理押ししようというような考えは毛頭ございません。どなたにも納得いただけるような妥当な線を打ち出しまして、それで地元民とよく話し合いを済ませて交渉をまとめたいというふうに考えておりますので、いましばらく御猶予をいただきたいというふうに思います。
  268. 北原正一

    北原参考人 工事用道路のことにつきましては、建設の途中でございましたので、一部側溝に不備なところもございました。その点はすぐ直すようにいたしますし、これからも、素掘りの側溝ではなくてコンクリートの側溝にするとか、あるいは、工事中はどうしても若干のことはやむを得ないのでございますが、のり面防護にも力を入れまして、危害の起きないように極力いたすつもりでございます。
  269. 古寺宏

    古寺委員 それから、膨大なズリが出てくるわけでございます。これを山の沢に捨てますと災害の原因になる、あるいは公害原因になります。こういう膨大な土砂につきましては、これを埋め立てに活用するとか、何とかしたいという現地の要望もあるわけなんでずが、こういう点については具体的に公団側としては計画をお持ちでございましょうか。これが一つ。  それからただいま御答弁がなかったのですが、現在このシックナーば三十トンまでは処理可能でございますが、これ以上の場合は不可能でございます。これをどういうふうに処理するお考えか。この二点を再度お尋ねしたいと思います。
  270. 篠原武司

    篠原参考人 最初お話でございますが、ズリにつきましては一部空地を、適当なところを見つけましてそこに捨てるか、あるいは海を埋め立てまして、埋め立て地としてそこにズリを利用するかという二つの問題につきまして、きょうも青森県知事さんといろいろお話ししたのでございますが、この点につきましてはわれわれとしましてもどちらかいいほうをいま検討中でございまして、実は地元の御要望でせっかく海を埋め立てればそれも利用できるし、いいじゃないかというお話、これは非常にいい案だと思います。しかし一面において岸壁をつくらなければならぬということでございまして、この岸壁の費用が、海につくりますために非常にお金がかかるということで、この岸壁をどうするか、これを全部公団で持つということはとてもたいへんじゃないかというような点で、知事さんとこれからも折衝して、どういう形でこういう問題を処理するかということで決定いたしたいというふうに思います。山にズリを捨てた場合に、先ほど来お話のありましたように、雨が降った場合に水がよごれるというような問題もございますし、それをどうやって防ぐかという問題ももちろんございますので、そういう問題も含めまして、迷惑のかからないような形で、どっちにするかという点で今後検討してまいりたいと思います。  それから先ほどお話のございましたシックナーの設備を現在の能力よりも、これから仕事がふえてまいりますとだんだん水が出てまいりますので、もっとよけいにするかどうかというお話でございますが、これももちろん、工事が進むにしたがいましてそういう心配もございますので、それに応じた能力を持たせるように増設の問題もからんで考えております。それがあまり手おくれにならないように、先々に仕事を進めていきたいというふうに考えております。
  271. 古寺宏

    古寺委員 それでは補償問題等、十分にひとつ今後公害問題には取り組んでいただきたいということを御要望いたしまして、鉄建公団に対する質問は終わります。  次に十和田湖の問題でございますが、これは先日も環境庁長官に特に申し上げたのでございますが、十和田湖は非常に透明度が落ちておりまして、どろが逆流するために非常に自然破壊が進んでいるようにいわれております。ところがこの湖底のどろの調査あるいは逆流するどろの調査というものが、今日までほとんど調査されていないようでございますが、これに対する調査をどういうふうにお進めになるのか。また、東北電力の取水口の逆流するどろの防除対策はどういうふうにお進めになるのか。この二点をまずお尋ねしたいと思います。
  272. 首尾木一

    首尾木説明員 先般御指摘のございました、まず逆送水による十和田湖の汚染問題でございますが、その後東北電力株式会社と連絡をとりまして、会社側におきましては汚濁水対策を講ずべきであるということについて指導をいたしたのでございますが、当面特に汚濁の激しい降雨時あるいはその直後における逆送水というものが非常に問題でございますので、その逆送水は制限する等、現地においてさらにきめのこまかい運用をはかることを中心にしまして具体策を検討中でございます。十和田の水の問題でございますが、これは全般的に申しまして、その逆送水の問題のほかに、雑排水等によります未処理の排水が流れるという問題がございまして、全般的に汚濁の問題が問題になっておるところでございますが、これにつきましては今後いろいろ技術的な問題あるいは調査の不十分な問題がございますので、これにつきましては十分調査を進め、全般としての十和田の水の汚染の防止という問題につきまして検討してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  273. 古寺宏

    古寺委員 いま私が申し上げましたのはどろの問題なんです。湖底にだんだん蓄積されているどろの問題の調査というものは全然行なわれていないにひとしいのです。旅館等の排水につきましてはいろいろ水質の調査等やっておりますが、どろの問題についての調査というのは現在までございません。ですからこれは早急にやっていただきませんと、ヒメマスの問題やいろいろな問題があるわけなんです。そういう点でいま申し上げているわけなんですが、もう一度御答弁願いたいと思います。
  274. 首尾木一

    首尾木説明員 本年十和田につきましては水の調査を行なっておるところでございますが、その中で底質につきましての調査もいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  どろの問題ということにつきましては、今後その調査を待ちまして検討をいたしたいということでございます。
  275. 古寺宏

    古寺委員 それから、一年のうちで四月から十月までは大体昼間だけ、観光客が十和田を訪れるときだけ奥入瀬の渓流に水を放水しておりますが、夜は全然ストップしております。さらに十月から四月までの間は完全にストップしているわけですね。これは水位を維持するためだ、こういう理由になっているわけですが、それでもってはたして奥入瀬の渓流は守れるというふうにお考えでございましょうか、お尋ねいたします。
  276. 首尾木一

    首尾木説明員 ただいまのお尋ねでございますが、先ほど申しました東北電力に対しまして逆送水の問題についても検討をすべきである旨を申し入れたわけでございますが、同時に奥入瀬に対する観光放流の時間の問題についても、夜間においてもこれを流すということについて検討するように申し入れているわけでございます。ただこの問題につきましては、河川管理者との問題も協議をしなければならぬという問題もございますので、今後そういう考え方検討をしてまいりたいというふうに思っておるわけであります。
  277. 古寺宏

    古寺委員 それではもう一度大事なことをお尋ねしておきますが、六月に環境庁が東北電力に対して一応許可を与えました。その際に、十和田湖の水位を一応一・六六メートル以内に規制しているわけですが、その一・六六メートルといういわゆる基準でございますか、これの根拠というのは非常に不十分なんでございますが、そういうことについて検討なさったことがございましたでしょうか。
  278. 首尾木一

    首尾木説明員 水位の上下の問題でございますが、この点につきましては、実は観光放流の問題は、ことし許可をいたしました以前からこういう状態で、水位の上下の問題について従来からもやっていたものをもとにいたしましてやったものでございまして、その点についてただいまのところ一・六六メートルでなければならぬということの根拠というものは、私十分に承知をしておらないところでございます。しかし従来からこれについては五尺五寸というような範囲でこれを認めてきたということでございますので、その点につきまして再度私十分調べてみたい、かように考えておるわけでございます。
  279. 古寺宏

    古寺委員 林野庁おいでになっていらっしゃいますか。——林野庁は長年の間、奥入瀬の渓流にあるイタヤとかカエデからいわゆるカエデ糖というのをとってまいりました。そのために木に穴をあけて、木をみんな殺しているわけです。そういうことを、自然保護の叫びが強くなったので、ことし一年でおやめになるというお話も聞いておりますけれども、年間約七百本から千本のカエデやイタヤというものを、そういうカエデ糖をとるためにいままで損傷してまいりました。これを今後復元するお考えをお持ちになっておるのかどうかということが一つ。また、このカエデ糖によってある程度生計を立ててきた方もいらっしゃるわけでございますが、そういう方々に対しては何か新しい仕事をお考えになっているのかどうか、この二点についてまずお尋ねしたいと思うのです。
  280. 辻良四郎

    ○辻説明員 お答えいたします。  青森営林局管内の三本木営林署及び秋田営林局管内の十秋田営林署におきまして、地元部落とイタヤ、カエデの樹液の採取につきまして毎年契約を行ないその採取をさせてきたわけでございますが、この採取の区域が先生指摘のありました十和田の国立公園の特別地域の中でもあり、自然保護の観点から見まして今年からはこれを中止することにしたわけでございます。  御指摘の、そうしたイタヤ、カエデが従来の樹液の採取によりまして一部は枯れかかっておる、また枯れなくてもかなり弱っておる、こういう状態になっておるものもあるわけでございまして、これを復元するかというお話でございますが、これにつきましては現地の実態をさらに調査いたしまして必要な復元の措置を極力とってまいりたい、このように考えております。  なお、そうした樹液を採取しておりました部落の方々の仕事がなくなるという点につきましては、今後国有林野事業を推進するにあたりましては、地元の方々の労働力にたよらざるを得ない場合にはそういうことでお願いしたいわけでございますが、国有林野事業は自然保護を十分尊重して今後実施してまいる、そういう立場に立ちますと、今後伐採量等が減少する傾向にあります。したがいまして事業量も減ってまいりますので一新しく仕事ができてその仕事を部落の方々にお願いするということはなかなかたいへんではないか、このように考えております。
  281. 古寺宏

    古寺委員 林野庁にもう一つお尋ねしたいのですが、この一・六六メートル、五尺五寸という十和田湖の水位の変化によりまして湖畔の樹木が相当に影響を受けているのですが、そういうことについて林野庁が実態調査をなさったことがあるかどうか承りたい。
  282. 辻良四郎

    ○辻説明員 ただいまの点につきましては調査をしたかどうか、まだそういう点につきまして承知いたしておらぬわけでございますが、そういうような実態があるとすれば何らかの影響があるいはあるのではないか、その点につきましては至急に調査いたしたい、このように考えております。
  283. 古寺宏

    古寺委員 もう十和田の周辺の山へ行ってごらんになればわかります。目に見えるところは木が残っておるのです。あとはほとんど坊主にしてしまったのです。そのほかに、中にあるそういうイタヤやカエデまでも過去何年間でございますか、数え切れないでしょう。毎年七百本から千本ですよ。こういうカエデやイタヤをみんな殺してしまって、しかも湖畔にある樹木が枯れているのを全然調査をしていない、山を切ることだけしかやっていない、こういうような林野行政ではいかぬと思いますので、少なくともこの実態調査は早急にやって、カエデ、イタヤは必ず復元するような措置をとっていただきたいと思います。  次に、水産庁でございますが、ヒメマスが非常に最近は減産になっております。その大きな理由としては水位の問題、それからどろの問題、いろんなこういう問題があるのですが、こういう問題について水産庁は対策を現在どういうふうにお考えになっているか承りたいと思います。
  284. 太田康二

    ○太田説明員 十和田湖の重要魚種でございますところのヒメマスにつきましては三十六年から四十三年まではおおむね三十トン内外の生産をあげておったわけでございますけれども、四十四年度以降その生産水準がかなり低下をいたしておるのでございます。この点につきましては青森県の水試の技術屋の方々の中には周期の変動によるものであって、ちょうどいま漁獲の底にあるのだという御意見をおっしゃる方もあるようでございますけれども、やはり私ども考えておりますのは稚魚の放流量が減退してきたことに基づくものという点もございますが、放流量減退の事由ともなっております親魚の減少、これが非常に大きな影響を与えておるわけでございまして、その点につきましては、たとえば発電に伴う水位変動及び流入水に混入される砂れき、どろなどによる産卵床の破壊あるいは観光産業の発展に伴う汚水の流入、こういうことに伴います、要するに他産業の伸展等に伴います漁場環境の悪化あるいは入漁者等の増加によりますところの漁獲の増大、こういったことによるものと考えておるのでございます。  そこで私どもといたしましてはヒメマス卵を昭和四十三年に五十万粒、これは私どもの淡水区水産研究所の日光支所から供給いたしたのでございますが、さらに昭和四十四年には北海道のさけ、ますふ化場から十万粒を供給あっせんいたしたのでございますが、さらにふ化放流の安定化をはかるためにヒメマス親魚養成に関する試験研究について秋田県に対しまして四十五年以降継続をいたして助成をいたしておるのでございます。こういった政策によりまして青森、秋田両県におきましてはヒメマス増殖努力を続けて資源の維持培養につとめておるのでございますが、いま申し上げたような理由で残念ながら漁獲量が減っておるというような実情にあるわけでございますが、今後なお施策の強化につとめてまいりたい、かように存じております。
  285. 古寺宏

    古寺委員 ぜひこのまぼろしの魚といわれるヒメマスは守っていただきたいのですが、絶滅を防ぐために、現在いわゆる漁獲をふやすためにどのくらい助成していらっしゃるのですか。それが一つ。  それから水産庁、どろの調査をおやりになったことがございますか。湖底のどろの調査ですね。  その二点をお尋ねします。
  286. 太田康二

    ○太田説明員 先ほど申し上げました指定試験の経費としては二十五万円の助成をいたしておるようでございます。それから湖底のどろの調査は私どもまだいたしておりません。県の試験場等で水質等については調査をいたしておるようでございますが、私どもといたしましてはどろの調査はまだいたしておりません。
  287. 古寺宏

    古寺委員 二十五万くらいの助成ではこれはますます減少しますよ。それからどろのほうもひとつ積極的に資源を守るために調査を進めるように御要望申し上げておきます。  次に環境庁長官お尋ねしますが、十和田湖にはこういういろいろな問題がいま累積されているわけでございます。先日大臣からもお話がございまして政務次官が現地の視察に参られました。どういうような報告大臣になさったでしょうか、どういうことを御相談になったでしょうか、お尋ねします。
  288. 首尾木一

    首尾木説明員 私、その政務次官の調査の結果につきましては、一般的な概況につきまして政務次官から伺っておりますが、個々の問題につきましては、これは私どもとしましては従来から伺っておりましたような問題でございまして、十和田の水の汚染が進んでおるという状態について大体先生のおっしゃいましたような問題、そういうことについて御報告を伺ったわけでございます。   〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕  なお、その時点において政務次官に私のほうの官房の総務課長が同行をしてまいりまして、総務課長のほうからも詳しくこの事情を聞かなければならないわけでございますが、その点につきましてまだ私どもその全体としての結果をまとめられたものを伺っておらないわけでございます。政務次官から一般的なお話を伺い、その点については先ほど申しましたように大体先生のおっしゃいましたような問題点があるということ、そしてこれに対してやはり青森県においても、また十和田の管理事務所においてもその対策の緊急性が訴えられているということ、それに対して早急にやはり対策を講ずべきであるということについて政務次官からお話があったわけでございます。
  289. 古寺宏

    古寺委員 先ほど申し上げました水位の幅五尺五寸、一メートル六十六というのは、かつて太平洋戦争のまつ最中のときにこういう非科学的な一応の目安をきめたわけです。それがもう戦後二十七年たった今日も、この五尺五寸という全然根拠のない水位をそのまま踏襲しているのです。これでもって十和田湖を守るとか、自然保護をどうするとか、環境保全がどうだとかいっても、十和田湖を守れる可能性はないわけです。したがいまして私は、今回の視察によって少なくとも相当の今後の対策というものが環境庁において煮詰められている、こういうふうにきょうは期待して御質問申し上げたわけです。大臣は全然知らない。何のためにわざわざ十和田湖まで行って視察をしていただいたかわかりません。こういうことでは自然保護はできないと思います。また先ほど申し上げましたカエデ糖にいたしましても、これは環境庁は初めから知っているわけです。ところが、そういう実態というものは林野庁が知らないのです。許可をしている林野庁がそういう実態を知らない。これは自然破壊を一生懸命やっているようにしか考えられないのです。今後こういうような、山は富士、湖水は十和田、広い世界にただ一つといわれるくらい貴重な十和田湖、こういうような自然を守っていくのは、やはり環境庁が一生懸命にやってくださらないとこれはできないわけでございますので、環境庁長官からきょうはひとつ本音を、御決意を承っておきたいと思いますので御答弁をお願いします。
  290. 小山長規

    小山国務大臣 先生からのお話で、私自身もだんだん認識を深めた点もあります。おっしゃるように十和田湖というのは、私なども若いときから、また最近も参りまして、その自然の美しさというものをよく知っているわけですが、おっしゃるようにだんだん濁り始めているということで非常に嘆かわしいことだと思っているわけです。カエデの話も実はいま初めて伺いました。これは容易ならぬことでありまして、幸いにして林野庁がこれをやめたということでありますから、これの復元方について私ども強く申し入れたいと思っております。  水位の問題については、私もいまそういう大東亜戦争中の遺物であるという歴史を伺いまして、これは自然を守る面から、発電所との問題がありましょうが、一体どういうふうにすべきかという点をひとつ私なりに研究してみたいと思います。  またあそこは旅館ども立ち並びまして、家庭排水あるいは観光客の排せつ物による影響というものが相当あると思います。こういう下水道の整備について地元町村とも相談しておるわけですが、観光地というものは人数はたくさん参りまけれども、その町村の人口からいえば何分の一というようなことになって、町村自体からいいますと、もう少しほかのところからやりたいというような要望がありまして、観光地の下水の整備というのは町村行政からいってなかなかむずかしい問題でございます。  そこで、しかしながら自然を守るあるいは水をきれいに保存していくという立場からしますと、この下水は何とかしなければならぬ。それには、一体いままでのような下水道行政でいいのかどうかという問題にぶつかります。一番いいのは、観光客が支払うところの何らかの形の料金によって財源を得て、そしてやることができれば一番いいわけでありますが、それらの問題も含めていろいろな検討を続けてまいりたいと思っております。
  291. 古寺宏

    古寺委員 よろしくお願いしておきたいと思います。  次に、これも特定の地域の問題で申しわけないのですが、先日申し上げました八戸市の大気汚染の問題でございます。いまお話し申し上げました東北電力が第四号炉というものの運転を始めました。ところが、七月からの八戸市の市役所の上の自動測定器のデータを見ますと、いままでにないような、基準をオーバーする記録が毎日のように続いているわけなんです。ところが八戸市には大気汚染の自動記録計、あるいは、大気汚染とは関係ございませんが、騒音、振動の測定車あるいは悪臭の測定器、こういうものが非常に不足なわけです。こういう監視体制というものを強化いたしませんと、公害の問題は解決がつかぬと思うわけでございますが、今後地方自治体に対するこういう監視体制の強化という点については、来年度の予算にどういうふうに反映さしていくお考えであるか、これは大臣からひとつ御答弁願いたいと思います。
  292. 小山長規

    小山国務大臣 監視体制の整備ということは、特に住民側の立場からいいましても大事なことなのであります。監視体制の場合には、機械の整備の問題と人間の問題とがありますが、両方とも来年度予算においては充実した整備ができるように予算の要求をいたしております。  数字については、もし必要があれば局長から申し上げます。
  293. 山形操六

    山形説明員 監視体制の整備の問題は、私どもの大気保全局で一番力を入れておるところでございます。四十六年度は二億八千七百万円でございましたのが、今年度は五億六千四百万円で、いま都道府県、政令市等の整備補助をやっております。主として大気汚染に関する自動測定の問題を整備しようというところに力が入っております。  青森県におきましても、四十六年度は百万円の補助でございましたが、本年度は約その倍に、二百万円近い補助を予定しておりますし、また県のほうでも来年度はテレメーターによる自動化の準備をしておりますので、それらに関して十分強化していく所存でございます。
  294. 古寺宏

    古寺委員 各市町村では、いろいろ公害が起きますと、大気汚染にしても、騒音にいたしましてもあるいは悪臭にしましても、測定したいという気持ちは十二分にあるわけです。しかしながら、たとえば騒音、振動測定車なんというのは一千万円くらいするそうであります。あるいは悪臭の測定器が一式で大体四、五百万する。こういうふうな機械を買うということは、一地方自治体では、市町村では容易でない。何とかこれを国のほうから助成して、もう少し監視体制を強化できないのか、こういう要望が強いわけなんですが、大気汚染の自動記録計はもちろんのこと、こういう面についての配慮というものが必要だと思うのですが、この点については大臣はどういうふうにお考えですか。
  295. 小山長規

    小山国務大臣 補助率の割合をどうするかという問題はいろいろな観点から考えなければならぬ面がたくさんあります。問題は、補助率の残の起債をどうするか、こういうところにむしろ問題があるのではないかと思うのであります。起債が許可されますと、それの元利償還は御承知のように平衡交付金で逐次見ていくことになりますので、その限りにおいては地元の負担はないわけです。ですから問題は起債の充当率をどうするかということであると思いますが、充当率については私どもは全力をあげて満額ということまでひとつがんばってみたい、こう思っておるわけです。
  296. 古寺宏

    古寺委員 通産省いらっしゃいますか。——通産省お尋ねしますが、八月の十七日に東北電力の第四号炉二十五万キロワットの検査を終わっていよいよ運転を開始したわけですが、このいわゆる第四号炉についての排煙脱硫装置、これはございませんですね。現在、先ほど申し上げましたように八戸市役所の自動記録計によれば非常に環境基準をオーバーしております。こういう点について通産省はどういうような対策、お考えを持っているのか承りたいのでございます。
  297. 和田文夫

    ○和田説明員 八戸火力は公害防止の要請にこたえまして、いろいろな燃料面あるいは設備面でそれぞれ努力しておるわけでございますが、具体的に申し上げますと、まず燃料面でございますが、従来から燃料の低硫黄化につとめてまいりまして、現在はS分は一・八%の原重油を使っておりますが、来年度の四十八年一月からそれを一・五%に低下させるように指導いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。  それから先生さっきお尋ねの設備の面でございますが、四号基の二十五万キロがことし運開したわけでございます。それに十二万五千キロ相当の排煙脱硫装置を会社は当初五十年運開の予定でございましたが、これをわれわれの指導によりまして四十九年運開に切り上げてもらいまして、来年から工事にかかる、こういうふうなことで、総体としてS分の低下あるいは排煙脱硫装置設置によりまして、約三〇%くらい低下させ得る見込みでございます。それから御承知の二号基の煙突も立てかえております。それから従来なかった三号基の電気集じん機につきましても現在工事中でございます。これは来年の一月から運開してまいる。こういう燃料面、設備面両面にわたるいろいろな改善対策によりまして、SO2排出量が先ほど申し上げたような約三〇%低下と申しますか、粉じん等も低下いたしますので、大気汚染相当改善されるのではないか、こういうふうに期待している次第でございます。
  298. 古寺宏

    古寺委員 通産省お尋ねしますが、通産省環境基準を現在の〇・〇五から〇・〇一二五ですかに何か基準をきびしくするというようなことを新聞で見たのでございますが、これはいつごろからそういうような実施をする予定でございますか。
  299. 青木慎三

    青木説明員 環境基準の強化につきまして〇・〇一五という数字が新聞報道に出たわけでございますが、私どものほうとしましては、今後環境基準がだんだん強化されていくに伴いまして、それに対応する燃料が確保できるかという検討をいたしておるわけでございますが、その作業の過程におきまして、かりに現在の環境基準の半分くらいのことを目標にした場合に、油の供給状態あるいはいろいろ脱硫の技術的な進歩の方法、脱硫の設備の普及その他につきましていろいろ検討してみた過程でそういう作業が行なわれているわけでございますが、〇・〇一五という数字の作業は現実には行なっておらないわけでございます。いずれにしましても、本問題は今後環境基準がきびしくなった場合のいろいろな対策のための作業の過程でございまして、環境基準そのものは環境庁のほうで御検討いただく問題だと思っております。
  300. 古寺宏

    古寺委員 去る七日に、通産省は全国的に行なったコンビナートの総点検の結果を発表したようでございますが、これを見ますというと、もうほとんどの地域環境基準を越えておる、また公害病患者が非常に潜在している、こういうことがわかったようでございますが、今後のコンビナート対策、いままであるコンビナートはどういうふうに公害をなくしていくか、それから環境庁のほうは、公害病患者というのは現在地域が指定されておりまして、限られた人しか救済制度に乗っからないわけでございます。したがって、指定地域以外の地域にも非常に数多くのぜんそく患者が現在発生しております。こういう方々に対してどういうふうにして指定地域外の公害病患者を救済していくお考えか、この二点を通産省環境庁お尋ねしたいと思います。
  301. 青木慎三

    青木説明員 コンビナートの点検につきましては、四日市判決を契機といたしまして、全国八カ所のコンビナートの調査をいたしたわけでございます。ただいま先生が七日に発表されたということをおっしゃいましたけれども、事実は違っておりまして、私どもは今月の中旬に中間的な結果を取りまとめて発表する予定にして、現在作業中でございます。七日に出ましたのは、その作業の過程におきまして、担当者がいろいろまとめたものの一部が外へ出たわけでございます。したがいまして、今月の中旬にはその総点検の結果と、それに対する対策考え方を中間的にまとめまして公表する予定でございますので、ただいま検討中の段階でございます。
  302. 船後正道

    ○船後説明員 公害による健康被害者の救済あるいは損害賠償を制度としてやるという場合に、一番技術的に問題がございますのは、特に大気系のいわゆる非特異的疾患といわれる呼吸器系統の病気につきまして、疫学的には大気の汚染によりまして、ある地域に閉塞性呼吸器疾患が多発するということは認められましても、個々の患者につきましてそれがどうであるかということの認定は、これは古寺先生のほうが専門家でいらっしゃいますので、私からあえて申し上げるまでもないと思います。したがいまして、現行の特別措置法におきましても、そのような疫学的なデータも踏まえて、一応大気の汚染の濃度あるいは有症率の変化といった点をとらえまして、指定地域制度をとっているわけでございます。現在私どもは新しい損害賠償措置制度というものを考えておりますが、この場合には、この大気汚染系の疾病の認定をどうするか、これは現在とっておりますようなかなりきびしいやり方というものはとるべきでない、かように考えておりますけれども、さればといって新しい認定の条件をどこに求めるか、非常にむずかしい問題でございますが、いずれにいたしましても、常識的にも納得し得る線というところで御検討願うよう、専門家の方々に急ぎ御検討をお願いしておるというところでございます。
  303. 古寺宏

    古寺委員 通産省が八カ所のコンビナートだけをやってコンビナートの総点検ということをおっしゃっておりますが、ほんの一部分のコンビナートだけを調査して総点検ということはおかしいと思うのです。ですから、やはり残されたコンビナートについても早急に総点検をしまして、今後のコンビナートに対する——新しくつくる場合はもちろんでございますが、いままでのコンビナートに対する対策というものも当然考えていかなければならぬと思うわけでございますが、その点については総点検とおっしゃっている以上は、八カ所だけであとは終わるわけでございますか。
  304. 青木慎三

    青木説明員 八カ所選びました理由は、典型的なコンビナートで、かつ全国的にわたって点検いたしたわけでございまして、これの一応の結果を見まして他の地域は一応の推定ができますので、これに対しまして全体的などういう考え方をしたらいいかという点を取りまとめまして、今後の対策の指針にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  305. 古寺宏

    古寺委員 時間ですから、これで終わります。
  306. 田中武夫

    田中委員長 古寺君の質疑は終わりました。  次に、米原和君。
  307. 米原昶

    ○米原委員 私は、関西国際空港の問題について若干質問をいたします。  この問題については、すでに同僚委員からかなり質問が出ておるので、できるだけダブリを避けて、まず最初環境庁長官に基本的な考え方についてただしたいのです。  というのは、先日、私も本委員会調査団の一員として伊丹空港とその周辺の住民の意見を聞いたのですが、非常に深刻な状況になっておるわけです。ちょっと簡単には解決できないような状態になっておるわけです。どう考えましても相当長期的な見通しを立てて、考え方の根本を変えていかなければいけないんじゃないかということを感ずるのです。つまり、運輸省のほうで出された関西国際空港計画に関する調査概要というのを見ましても、たとえばいまの勢いでいきますと、昭和五十年度には一日に離着陸の予定が国際線が六十問、国内線が四百二十回です。それから昭和六十年になると、一日に国際線が百九十四川、国内線が五百六十回、たいへんなことになってくるわけですね。それで、ますますいまのままのやり方でいけばこれじゃ終わらないと思うのです。どんどんふえる。こういうように自然に放任しておけばそのままになるということですね。それで、これをこのまま放任しておいて一体いいんだろうかということを感ずるのです。これは私一人じゃなくて、調査に行かれた皆さんが感じられたことだろうと思うのです。  そうしますと、何かいま継ぎはぎだらけのような手を打ちましても、あるいは今度いわゆる新空港ですが、これも先日私は新聞で読んだわけで、詳しい内容を知りませんが、聴問会の模様にしましても、とにかくいまの伊丹空港の状況やこれに対する公害防止の措置もほとんど基本的なものをとらえていない状態では賛成できない、空港周辺のそういう住民側意見がかなり強く出たことが報道されておりますが、私はそれは当然だろうととうのです。基本的にこのままの趨勢を放任しておいて一体いいのだろうかということなんです。私自身も、何も国際空港が今後必要でないなんて言っているわけじゃなくて、おそらく当然必要だし、ある場合にはいまの規模でなくて、適切な方法で拡大もしなくちゃならぬだろうということは考えておるのです。そういう立場には立ちますけれども、ただ、いまのやり方で放任していけば、もう解決できないような予盾にぶつかるし、この調査を読みましても、ただ経済効率性といいますか、そういう点だけでこの問題が提起されているように思うのです。公害についても若干は書いてありますけれども、とにかく国民の生命、健康を守るということが中心じゃなくて、経済効率性の点だけからこの国際空港を新しくつくる問題が提起されている。これじゃ実際は住民も納得できないし、これは非常な問題が起こってくるのじゃないかという感じがします。  おそらくこれで場所をきめられるかもしれない。しかし、おそらく成田の空港以上の反対運動が起こるでしょう。そうすると、実際にはそれを国際空港として使えるまでにはかなり時間がかかってしまう。いまの伊丹空港はあと一年もてばパンク状態になるといわれているわけですね。そうしますと、将来も考えて、これを一定のやり方で制限する時期に来ているのじゃないかということです。日本は不幸にして非常に狭い国ですからね確かに、飛行場をつくろうとしましても適切な場所がなかなかありません。その意味じゃ非常にむずかしい問題ですが、同時に新幹線というようなものもどんどん延びているわけですし、そうすると、必ず飛行機に乗らなくちゃならぬということじゃないと思うのですよ。もちろん、これを規制していくのはいろいろむずかしい問題がありますが、基本的な考え方として、国際線のほうは当然必要だとは思います。しかし、国際線でも実はこまかい問題になると、いろいろ日米航空協定なんかの不平等な条件があって、アメリカの飛行機に非常に不平等な形で日本にどんどん進出させている。アメリカの航空資本の息が国際空港をつくるのでもかかっているようですがね。こういう問題もありますが、同時に中国との国交回復で、おそらく中国の飛行機が今後入ってくるのでしょうし、その他の国も入る。ですから、国際線は当然もっとふえてくるし、これは必要だと思うのです。しかしそうかといっていまのように無制限にすると解決がほとんど不可能になってくるんじゃないか。だから、大きな日本全体の国土計画と合わせて、どういうところにどの程度の国際空港をどことどこにつくるか、国内線はどの程度のものにするか。新幹線なんかがずっと発達していくとすれば、国内を何でもかんでも飛行機で飛ばなくちゃならぬということもないんじゃないか。大きな考え方で基本的に考え直してみる必要があるんじゃないか。そういう問題について環境庁長官考えておられるかどうかということをまずお聞きしたいのです。
  308. 小山長規

    小山国務大臣 私も政治家の一人として同じようなことを考えるわけであります。おそらく、いまおっしゃいましたように、昭和六十年に国際航空が何便になり国内航空は何便になるということは、自然の趨勢としてそうなるでしょうし、いまの伊丹空港でそれを受け入れられるわけはないの七ありまして、これはおそらく現在が限度一ぱいなんだろうと思うのです。そこで新国際空港という構想が出てきておるものであろう、こういう前提でものを考えます場合には、あとはその場合の発着回数も含めた飛行機の騒音規制、そういうものをどうするかということが一つあるでありましょう。それからもう一つは、その航空機の発着の真下もしくはその周辺にある住家、それを無人地帯にするのが一番いい方法なんですが、それをどういう順序でどういうふうにして実現していくか、こういう問題も出てくると思います。  それからもう一つは、これは交通の総合体系の問題ですけれども、新幹線があり——自動車ではちょっとなんでしょうが、新幹線とかりに考えてみても、新幹線の料金とそれから航空料金と大体同じでいいのか、その比率がそのままでいいのかというような問題、いろいろあると思うのであります。ですから、根本的にとおっしゃいますけれども、いろいろなものの考え方があるわけでありまして、われわれが環境庁の立場からいいますと、航空機騒音というものに対する規制基準をつくって、環境基準をつくって、それに当てはまるような空港でなければならぬ、こういう態度で進むほかにないかと思うのであります。
  309. 米原昶

    ○米原委員 環境庁長官もそういうことを考えておられるというなら私もその点敬意を表するのですが、しかしそれを実行してもらわぬと困るのです。  私ヨーロッパに数年間住んでいて、そのときにも感じたのですが、大体都会のすぐそばに、人口密集地帯に飛行場を置くなどということはあまりやりませんわね。都市から五十キロ、ある場合には百キロも離れているところがかなり多いと思うのです。経済効率の点からいえば、なるほど都市の近くのほうが便利には違いないけれども、それだけでいったのじゃパンクしてしまうんじゃないか。そんなことをやっていると、逆にやがては不経済になってくるんじゃないか。思い切って都市から離れたところにつくる。それから、国内線については、あまり近距離のところにやたらに空港を置いて飛ばせる必要はないんじゃないかという点です。こういうあたりを根本的に考えてもらいたいのです。もう一つは空の交通安全の問題です。  去年ああいう衝突事件が起こりましたけれども、先日、飛行機関係の労働組合の主催で空の安全を守る会が開かれて、私出て、整備関係の人、操縦士の人、それから管制官の人、こういう人の座談会で意見を聞きました。そうすると、いまの羽田と伊丹はその面からいったって非常に危険で、いまのあれに合わせてやるなんということは不可能だ。最近飛行機に乗りますと、どこでも三十分、四十分整備のためにおくれるなんということが起こりますが、そういう状態で非常に危険になっている。たとえば成田に新空港ができたとしましても、羽田はやはりあるわけです。そうすると、操縦士の人に聞きますと、飛行場におりてくるのが千葉の上空、大体同じところをおりるんだそうですね。というのは、百里の基地があって、これも一つ問題ですが、自衛隊の基地、それからアメリカ軍の空域があります。これにぶつかるからどうしても千葉の上空でやるよりしようがない。そうすると、千葉の上空には、成田の空港ができた場合、羽田と、両方の飛行機がたいへんな量になるそうです。それが全部千葉の上空で管制官の指示を受けてどっちかにおりてくるわけです。そうするとニアミスの危険が非常に増大して、おつかなくてそのころまでおれは操縦士をする気持ちになれないとまで言った操縦士がいました。そういう点を考えましても基本的な制限をやりませんと、これはただ公害問題だけじゃない。きょうは公害問題だけやりますが、空の交通規制の問題からいいましても、いまのままでほうっていたらたいへんな惨事を、これもまた日本で最初に引き起こすような事態が起こってくるのじゃないか。ひとつ根本的にこの点を考えて、新しい構想を出してもらいたいのです。そうしないと、この問題は解決の糸口が開けてこないような気がする。いまのままの自然成長のままで騒音防止とか公害防止の措置をとったって、これには限りがありますよ。もちろん私たちは、技術革新がどんどん進んでいく、公害防止のいろいろな技術も画期的に進んでいくだろうとは思っているのです。それを全然否定するものじゃありません。しかし、そういうことだけを言いましても現実の問題として進みませんから、いまの現実に即して大きな見通しを持った構想を立てていただきたい、このことを切に長官にお願いするのです。  あと、ちょっと具体的な問題で聞きます。先ほども話がありました、岡本委員からも質問がありましたが、民家の移転の問題です。これは現地でも住民からも意見が出ておりましたが、いままでかなり膨大な予算は組まれているけれども、実際に移転した人は十人そこそこだ、つまり、代替地といいましても問題が解決ついていない。逆に、騒音地帯で地価が下がってしまって、それをもとにして補償ということになると、その金で引っ越すことができない。さっき言われたようないろいろな矛盾があるわけです。それからもう一つ、岡本さんが言われなかった問題では、借地借家人の人ですね、これは地主が言ってくれなければ、実は補償金が出るといったって借地借家人には一文も出ない、こういうような問題がある。そのために、さしあたって移転するという問題が一向進まない。この問題に対してはぜひ法改正をやって、それを可能なようにしてもらいたいのです。この問題について、法改正をやるという話もありまして、大体どういうことを法改正で考えておられるか、これは運輸省の方に聞きたい。
  310. 隅健三

    ○隅説明員 お答えいたします。  現在の大阪空港の騒音が非常に激しいということは、運輸省といたしましてもこれを十分承知いたしております。鋭意、騒音対策というものを進めてまいっております。何ぶん、いままで住民の皆さまに御納得のいくようなことが完全にできたかどうかは、われわれといたしましてもきわめて遺憾な点があったと存じます。四十八年度以降、この騒音対策をさらに前進させますために、移転補償につきましても関係当局ともいろいろ協議いたしまして、住民の皆さまの納得のいく価格にできるだけ近く持っていく。あるいは代替地の造成につきましても、資金の融資あるいは関係地方公共団体に対しての、御協力に対する何らかの、たとえば利子補給のようなものも考え、そのような対策を講じまして、四十八年度から、この伊丹を中心といたします空港の騒音対策をさらに前進させたいというふうに考えておるところでございます。
  311. 米原昶

    ○米原委員 あるときに住民の方といろいろ話をしたのですが、そういう移転対策、移転の補償の予算は組まれているけれども、実際いろいろな困難がある。おそらく金ができましても移転したくないという人もだいぶいるんじゃないかと思うのです。というのは、あまり離れたところに引っ越したんじゃ、現在のつとめ先を放棄しなければならぬということになりますから、そういう問題があるようです。そのために移転対策も重要だけれども、いまのままでできたら防音対策をやってもらいたい、これのほうがむしろ強い印象を受けました。そういう点で、民家の防音施設をつくる問題ですね。これは一体どの程度まで考え方が進んでいて、いつごろからそういうことが実現できるようになるだろうかという点について、ひとつ御意見を聞きたいと思います。
  312. 隅健三

    ○隅説明員 先ほどから申し上げておりますとおり、滑走跡の真下と申しますか、着陸あるいは離陸の地点につきましては、やはり人が住むには絶対に適さない場所ということで、これは空港設置者においてできるだけこれを買い取って人を住ませないようにしておるところでございます。それ以外のところで、やはり地元の皆さまで長い間住みついた自分のうちを離れたくないという方がおられるのも事実でございまして、そういう方のために、われわれといたしましては本年度千六百万円の調査費で民家の防音の調査をいたしております。これで大体めどがつきますので、四十八年度におきましては一応七億五千万円予算要求をいたしておりまして、騒音の最も高いところから民家の防音工事を進めていきたい。われわれといたしましては、四十八年度からぜひこれを実行に移しまして、引き続きさらに強力に進めていくということでございます。
  313. 米原昶

    ○米原委員 もう時間がありませんから、またあとにいたします。実は問題はたくさん準備をしているのですけれども、さらにこまかくやりますから、きょうはこれで終わります。
  314. 田中武夫

    田中委員長 米原君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  315. 田中武夫

    田中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に火力発電と環境保全の問題について、参考人出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  316. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  317. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十三分散会      ————◇—————