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1972-09-12 第69回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十二日(火曜日)     午後一時二十二分開議  出席委員    委員長 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 中山 利生君    理事 福田 繁芳君 理事 綿貫 民輔君    理事 西宮  弘君 理事 鳥居 一雄君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    有馬 元治君       石田 博英君    中村 拓道君       坂井 弘一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 佐々木秀世君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    島村 史郎君         内閣総理大臣官         房参事官    神戸 芳郎君         警察庁交通局長 片岡  誠君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 住田 正二君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         建設省道路局次         長       中村  清君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         会計検査院事務         総局第五局参事         官       石島 芳夫君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道監         察局長     松田 右近君         日本国有鉄道貨         物局長     泉  幸夫君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 八月二十五日  辞任         補欠選任   村上信二郎君     中村庸一郎君 九月十二日  辞任         補欠選任   菅野和太郎君     有馬 元治君   中川 俊思君     中村 拓道君 同日  辞任         補欠選任   有馬 元治君     菅野和太郎君   中村 拓道君     中川 俊思君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十五年度政府関係機関決算書  昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十五年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 笹山茂太郎

    笹山委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして御報告いたします。  すでに御存じのことと存じますが、本委員会委員村上信二郎君が去る八月二十六日不幸病のため逝去せられました。委員会といたしましては、ここにつつしんで同君の御冥福を祈り、哀悼の意を表したいと存じます。      ————◇—————
  3. 笹山茂太郎

    笹山委員長 この際おはかりいたします。  先般、歳入歳出実況等に関する調査のため、委員を派遣いたしましたが、派遣委員から報告書委員長まで提出されております。  この際、派遣委員からの報告聴取を省略し、会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 笹山茂太郎

    笹山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  5. 笹山茂太郎

    笹山委員長 昭和四十五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田委員
  6. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私は、この際、久方ぶりの当委員会再開において、前委員会の懸案の問題になっておりました国鉄のことに関して、幸いに磯崎総裁がお見えでございますので、既往委員会に関連して磯崎総裁に伺いたいと思うのでございます。もし磯崎総裁非常に何かと御多用の関係上、あるいは私が愚問を申し上げることに対して材料入手不可能の場合には、係官からあわせて御答弁願えばけっこうでございます。  御案内のように、既往の当委員会におきまして、例の国鉄運賃値上げに関連して、当時から国鉄再建に関してもろもろのことを伺ったわけでございまするが、各党の先生も正しくそれは掌握されておると私は存じますが、いずれまた国会においても国鉄運賃値上げ法案にも接することと思うのでございますが、その後の国鉄再建がどうなっておるか、まずこれ一点。見通し、実情、これをあらかじめ概略だけ伺いますれば非常に参考になると思いますので、お願い申します。
  7. 磯崎叡

    磯崎説明員 前国会におきまして、国鉄財政再建問題につきまして種々御審議願ったわけでございますが、不幸にして参議院で審議未了と相なりまして、去る六月十六日に閉会になったままで今日まで至っております。  ごく概略その影響を申し上げますと、端数を切り捨てまして、ラウンドナンバーで申し上げて失礼でございますが、両法案、すなわち運賃法並びに財政再建法、すなわち運賃値上げ法案と国からの助成法案と二つあったわけでございますが、両方とも審議未了になりまして、全体の影響が約三千三百億でございます。三千三百億のうち、私のほうの損益勘定と申しまして、収入支出勘定に当たるものが約千二十億くらいでございます。それから片方、工事勘定と申しまして、今後工事をやっていく方面勘定で約二千二百億程度でございまして、両方で三千三百億の影響がございました。その後今日に至るまで、もちろん国会が開かれておりませんが、法律的にはそのままになっておるわけでございます。  ただ、御案内のごとく、職員ベースアップの問題が非常に緊急の問題でございまして、これは去る六月二十三日、前内閣の終わりごろにおきまして、法案は流れたけれども職員のベースァップはやってやる、いわゆる仲裁裁定を受諾するという閣議決定がなされたわけでございます。その後労使の間におきましてその配分につきましていろいろ交渉いたしまして、去る八月末におきましておおむね交渉が成立いたしました。それと時を同じゅういたしまして、去る九月一日に新内閣におきまして完全実施する旨の閣議決定をしていただきましたけれども予算上いわゆる財政再建債として計上いたされましたものを、法律が成立いたしませんので財政再建債の発行ができませんために、これを緊急の一時融資ということにいたしまして、八百三億政府から拝借いたしました。さらに、それに対する利子として三十七億、これは解釈上、大蔵省としては現行法でできる、すなわち予算の定めるところによるということになっておりましたので、予算が成立しておりますのでそれは支出できるということで、結局八百四十億だけ政府から緊急に拝借することが九月一日にきまりまして、そしてそれを原資といたしまして、それに若干の節約その他を加えまして、本年度のベ−スアップを実施することとし、いま具体的に各人に対する給与の配分の作業を進めているわけでございまして、本月うちには各職員に手渡すことができる。ほかの公社はすでに済んでおりますが、私のほうはそれだけおくれておりますが、いずれにいたしましても、仲裁問題だけは一応暫定的にケリがついたわけでございます。  しかしながら、そのほかの、運賃を上げることによって約千八百億ほどの増収を期待しておりましたが、それが全部いまゼロになっております。それからさらに、政府から六百十六億の出資をしていただくことになっておりましたが、その出資は、再建法にその出資のことを記載しておりまして、その再建法が流れましたために、六百十六億の出資が現在まだ実は未定の状況でございます。きょう政府がおられませんので、私がこういうことを申し上げてはなんでございますけれども、私どもは、国鉄法の第五条で、政府国鉄に追加出資できるという法律がございますので、これでもってぜひ出資していただきたいと申しておりますけれども再建法できめた出資であるから、なかなか国鉄法をそのまま適用できるかどうかわからないという、政府部内の解釈がまだはっきりきまりませんために、六百億の出資はまだ受けておらないのでございます。そのほかに、先ほど申しました千七百億、合計いたしまして二千三百億の工事経費の穴があいたままになっておりまして、これは、ことしの工事経費が五千五百億でございます。これは山陽新幹線その他を含めまして国鉄の建設あるいは改良の工事をやるための金でございますが、この五千五百億という工事は、私どもは絶対これは減らしたくない、たとえ法律が成立しなくとも、何とかしてこの五千五百億の工事をやりたいというふうに考えておりますが、そのうち、ただいま申しましたとおり二千三百億の現在穴があいておるわけであります一すなわち約四割の穴があいております。ことしは予算成立がおくれましたけれども、私どもは、予算成立直後、極力景気回復という趣旨から工事を早めて実施いたしてまいりました。したがって、現時点におきましては、もうあと一カ月、九月一ぱいか十月中ごろになりますと、現在の予算ではほとんど工事がそれで一ぱいになってしまいまして、あと新しい工事の発注ができないわけでございます。もちろん債務負担行為がございますけれども、これは来年度予算を食う話でございまして、ぜひ本年度予算で私どもといたしましては六百億の出資と、それから運賃値上げによって考えていた千八百億がだめならば、それにかわるべき借金でもさしていただきたいということをお願いする次第でございますが、まとめて申し上げますと、あの廃案になりました後、いままで話のつきましたのはベースアップの問題だけでございまして、そのほかはまだ未定であるというふうに申し上げさせていただきます。
  8. 福田繁芳

    福田(繁)委員 概略、わかりましたが、要するところは、アップされた人件費に関しては一時的の借り入れ金で償う、こういうように解釈さしてもらうのが一点と、なお政府からの約千八百億、元利とも千九百億、これはいずれ後刻大臣も見えられるし、また、きょう運輸大臣の御出席ができなければ、先ほどの理事会の申し合わせによりますると、次回の委員会大臣出席してもらうことになっておりまするから、その時分に当委員会は当委員会として主務大臣に伺いたいと思っております。そうすると、その二点をはずして、ほかのほうの経費は、まだ運賃値上げを見なくても、現状では、いきおいどうにかこうにか収支バランスはとれておるのですか。
  9. 磯崎叡

    磯崎説明員 数字をこまかく申し上げませんので、ちょっと御了解に苦しむかと存じますけれども、先ほど申し上げましたとおり、ことしの予算の中でベースアップの分は、長期借り入れ金をいたしましてべースアップをするというたてまえで予算そのものを組んでございましたので、いま申しましたとおり、約八百三十億の金を政府からいただきますれば、それはそのままベースアップに充てたわけでございますが、ただ千八百億近い運賃収入がいまのところ全く見当がつかないということになります。当初予算からいたしまして、ことしの予算は、ことし運賃が上がりますので、ちょうど運賃値上げに見合う分だけの損益——通常収支バランスのほうからそれを工事のほうに繰り入れるというもともとの成立予算でございました。したがいまして、これはたまたま運賃値上げの額と繰り入れ額が大体千七百億ぐらいで一致しておりますけれども、すなわち、俗に申しますれば、償却前の黒が千七百億ぐらい出るということしの予算でございましたので、もしかりに運賃年度末までに全然上がらないということになりますれば、その償却前の黒の千七百億前後のものは繰り入れができなくなるわけでございます。したがいまして、それだけ工事財源に穴があく。したがって、もし工事予定どおりやるといたしますれば、その分は借金でやらなければならぬということになるわけでございますが、いずれにいたしましてもことしは、当初成立いたしました予算は、先ほど申しましたとおり、ことし運賃が上がる予定でございますので、償却費を計上する前は千七百億ぐらいの黒でございます。したがってその千七百億の黒は、たまたま運賃値上げができなくなると繰り入れができなくなるということで、一応収支バランスはとれているわけでございます。したがいまして、予算書をごらんくださいますとおわかりいただけますが、収入から支出を引きますと、予算書で約千七百億の黒になっております。それを完全にゼロにしてしまうということになりますれば、収支は一応償っておるということでございますが、これはまだ正確にはわかりませんが、実は最近まだ景気の沈滞が非常に激しゅうございまして、貨物輸送が思うとおりの収入が伸びておりません。これがどの程度予算に対して減収になるか、これはちょっと別問題でございますが、その問題を抜きますれば、一応繰り入れをゼロにいたしますれば収支は償っていくという形になるわけでございます。しかしながら、その繰り入れ額はそれだけ工事が穴があきますので、その分だけはお金を拝借しなければならぬということになるわけでございます。したがいまして、本来ならば自己資金で、利子のつかない千七百億でもって工事の一部に充てる予定だったものが、今度は千七百億をかりに借りますと、その分の利子がつくわけでございまして、それが四十八年度以降の財政支出の面にプラスになってくるというわけでございます。いずれにしましても自己資金のかわりに借金でやるということになりますれば、それだけ翌年度以降の利子負担が多くなってくるということでございます。
  10. 福田繁芳

    福田(繁)委員 そういう状態ならば、現状のままでいくとますます赤字雪だるま的になる。皆さんたちが非常に御苦心されて、現業の諸君も御奉公、御奉仕されていらっしゃるのだけれども経営の母体において非常に赤字雪だるまになる、こういう不安を感ずるのだが、総裁いかがでございますか。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 昭和四十六年度決算は先般公になりましたけれども、約二千四百億の償却費を計上したのは赤字でございます。したがいまして四十六年度末の財政累積赤字額は七千九百九十六億、約八千億の赤字でございます。昭和四十六年度国鉄始まって以来の非常に悪い財政状態でございましたのは、いままではとにもかくにも償却費を計上する前はいずれにしても若干の黒字があったわけでございますが、昭和四十六年度償却費計上前にすでに三百四十億という赤字でございます。これは予算でもたまたま約三百四十億くらい赤になっておる。これは四十六年度一ぱいに、四十七年度予算をつくるときに、いわゆる総合交通体系をきめて、四十七年度以降国鉄財政再建をするのだということを前提といたしまして、四十六年度は未曽有赤字予算を組んで国家の御承認をいただいたわけでございますが、その際は、四十七年度以降は総合交通体系の中の国鉄の地位をきわめて、そしてそれでもって国鉄財政再建するのだということを前提として四十六年度のいわゆる赤字予算が組まれたわけでございます。したがって四十六年度決算は、大体予算どおり償却費計上前の赤でございますが、これはいわば予算審議のときからはっきりしておった赤でございますが、それが四十七年度になっても、二法案が流れましたために、全く目下改善の見込みがないというところに非常に大きな問題があるわけでございます。
  12. 福田繁芳

    福田(繁)委員 大体わかりましたが、さすれば、問題の二法案が成立しますれば、先ほど来からおっしゃっておりまする赤字雪だるま形式の不安が除去される、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、二法案の御審議の際に御説明申し上げましたが、十年間かかるわけでございます。いまの八千億近い赤字を解消いたしますのには、そう三年や五年でなかなか解消できませんので、一応十年間の輸送の伸びと、それから御説明申し上げましたように三年に一回の運賃値上げと、それからベースアップは一応人並みということを全部計算いたしまして、昭和五十六年度末にやっと償却費計上後黒になる、こういう計算で前国会の衆議院の御承認を得たわけでございますが、八千億の膨大な赤字がございまして、とても一年や二年では黒になりませんが、しかし将来必ず十年後には好転するという一つ見通しのもとに、あの二法案を御審議願ったわけでございます。
  14. 福田繁芳

    福田(繁)委員 よくわかりました。  そこで率直に伺いますが、かりに十年たてば、それまでにいまの二法案が成立しますれば、毎年毎年の経常費バランスはとれていくのだが、いままでよって生じておるところの償却というのかあるいは累積しておる赤字というか、それは十年後には分割的に補てんできるのだが、それまではそれを除いての運営経常費はとんとんいける、こういうように解釈していいのですか。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 一応財政再建促進臨時措置法という法律がございますが、この法律の第二条で、再建期間中はいわゆる償却前の赤は出してはいけない、しかし、償却費計上後の赤はやむを得ないが、再建期間終了時点におきましては損益計算において黒字でなければならないというのが法律の第二条のたてまえでございます。したがいまして、先般御審議願いました長期収支におきましても、一年間だけ、一回だけはどうしても償却前の赤になるところがございますけれども、それを翌年度消すということにいたしまして、昭和四十七年から昭和五十五年まで九年間は一応償却費計上前は黒になっています。昭和五十六年度におきまして初めて償却費計上後黒になるという収支でございます。したがって、ただいまの御質問ですが、十年間、九年目までは償却費計上後はずっと赤である。したがって、償却後もいまの八千億はふえてまいります。しかしながら、五十六年度からはそれが徐々に減ってくる。こういうふうな計算で御審議を願ったわけでございまして、経営状態はこの十年間はよくなったというふうには言えないと私は思います。すなわち、十年たって五十六年度以降初めて累積赤字が徐々に減ってくるという形でございまして、それはいまの国鉄現状から申しまして、財政再建法をつくりましたときにも、相当長期収支を立てなければ国鉄財政黒字にならぬという前提で、十年後に初めて黒になってそれから徐々に赤字が減っていく、こういう収支で一応の御了承を得たということになったわけでございます。
  16. 福田繁芳

    福田(繁)委員 その長期によるところの赤字を克服しながら通常企業形態に乗せるということもわからぬでもありませんが、現実問題としてどうですか。たとえば何かまだ改善余地でもあるとかくふうの余地があるとかというので、収支現実赤字はのけておいて、現実バランス面においての合う方法は何かお考えになることはございませんか。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、財政再建の基礎として三つのことを考えております。第一は国鉄自体企業努力、これは当然のことでございます。第二が政府からの援助。第三が国民からの御協力ということで、これは運賃の問題でございます。  一応第二、第三の問題は除きまして、国鉄自体企業努力、これはもう当然のことでございますけれども、まず第一に職員頭数を減らすこと、すなわち、単価はよそさま並みのことはぜひしてやりたいけれども頭数近代化合理化することによって減らしていくということで、過般の案には、いま約四十四万人おりますが、これを十一万人減らすということが一つの考え方でございます。  それからその次は、その間に増収をはかることはもちろん当然でございますけれども頭数を減らすと同時に近代化合理化を極力やっていく、これはもう当然でございますが、この投資を相当見ておるわけでございます。  それからあとは、いわゆる不用資産売却とか、あるいは関連事業を大いにやって、少しでも関連事業からでも収入をあげるというふうなこととか、総合経営とは申し上げかねますけれども、多少そういう方面に出ていって少しでも収入をふやしていくという、プロパー収入以外の収入増加方法もある程度考えるというふうなやり方、あるいは管理部門の縮減をするという、大体民間の企業であるならばやるであろうような企業努力をぜひ国鉄もやらなければいけないというようなことでもって、一応の数字も計上化できるものは全部計上化いたしまして、そうして先ほど申し上げましたような結果になっておるわけでございます。
  18. 福田繁芳

    福田(繁)委員 非常に御苦心の多い御努力の点は多としますが、いま総裁の仰せられたところの三つの中で、まず第一点の、国鉄自身が有されておるととろの不用な不動産といいましょうか、これを処理して、政府は住宅問題に非常に心痛しておるのですが、そういう点に協力するという意味合いで、かつて国鉄が必要と認めて御所有されておるものを、いま不動産価格が上がってきておるから、換金して財源にせよという、そういうみみっちいけちなことを言うのじゃありませんけれども、私らの手元に集まってくる情報を見ますると、狭いといえどもこの国内において当初相当の御計画で御所有されておるところの不動産がその後の社会情勢なりもろもろの変異によって不必要になっておる、あるいはそれにかわるべきところの代替地がより以上優秀なところにできてきておるということで、国鉄線路を走らす以外のところでせっかくお持ちになられておるところがぺんぺん草をはやしておるというような不自然な現象が相当あるように聞いておるのですが、まず第一に、そういうものに該当するところの不動産はほぼ幾らくらいのものが帳簿金額でおありになるかということを聞かしてもらいますれば、当委員会としても非常に参考になるのですが、お願いします。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在国鉄が持っております土地は、線路敷全部を含めまして約六万七千ヘクタールくらいございます。そのうち実際現実に直接事業用に使っていないものが約三%ほどございます。すなわち平米にいたしまして二千百万平米くらいございます。この価格は非常にまちまちでございまして、北海道廃線敷とか、あるいは逆に東京のまん中とか、いろいろございますので、この値段は平均いたしますとそれほど高いものではございませんが、平米の広さによりまして単価幾らでもって幾らになるとこれはすぐ出るわけでございます。その二千百万平米の中で、いま直接汽車を走らす用には使っていないけれども、いろいろと事業計画をしておるもの、これがございます。ただいま先生のおっしゃった国鉄自体の仕事に将来使う、あるいは関連事業に使うというふうな事業計画を持っておりますものがそのうちの約三百万平米くらいございます。これは具体的に目的のきまっておるものでございます。それから全く要らないというもの、これが八百八十万平米ございます。これは内容は非常に詳しく出ておりますけれども、一番大きいのは、線路ルートを変えます場合、たとえば単線を複線にする場合、昔のカーブのひどいところを直すというふうに線路ルートを変えます場合に非常にたくさんの土地が出てまいります。これがそのうちの約半分くらいございます。これは北海道から九州まで至るところございますけれども、帯状の土地でもって、しかも場所はほとんど山間僻地であるというふうなことでもっていろいろ売却に困難を伴いますけれどもルート変更土地、あるいは昔鉄道林といって防雪の林を持っておりますが、こういうもののあと、あるいは土捨て場のあと、いろいろこまかいことございますけれども、これが約八百八十万平米くらいございます。現在すでに百六十万平米ほど処理いたしまして、七百二十万平米ほど現在まだ持っております。これは処分を決定いたしまして、できるだけ早く売るということでやっておりますが、これと、それから先先ほど申しました二千百万平米の中からいまの八百八十万平米、それから先ほどの事業計画のある必要なもの三百万平米を除きましたうちでよそに貸しておるものが四百万平米ございます。これは大体市町村との貸し借りになっております。いわばはっきりした整備ができていないというふうに申し上げるほうが適切かと存じますが、大体同じくらいの面積を市町村から借り、また市町村に貸しておりますので、これを一応別といたしますと、その残りが約四百万平米でございます。いまこの中でほんとうに将来事業計画に使うものと、それからもう不用地として売ってしまっていいものというふうに分けておりますが、これが約二千件くらいございますので、これを全部検討してからでは間に合いませんので、このうちからもうほんとうに要りそうにないというものと、先ほどの八百八十万平米の要らないと決定いたしましたもの、これを合わせまして年間約六十億の売却をいたしております。六十億と申しますと、私のほうは大体二十億くらいの年度間の売却がいままでの予算でございましたけれども、四十五年度以降いわゆる財政再建の時期に入りましてから年間六十億という目標を立てまして、関係の管理局を督励いたしまして、四十六年度には大体六十億に近いものを売却いたしました。四十七年度も、現在おおむね六十億を目標といたしまして、予算にきめられた額だけは最小限売るということでやっておるわけでございます。  この土地の中で私ども一番目につけておりますのは、駅から離れた飛び地でございます。これはもう要らないということで、たとえば東京で申しますれば、東京の一等地の原宿の駅の前約三千坪、これは売却いたしました。あるいは前総裁の住んでおりました官舎、これも売ってしまいましたし、東京の中のおもな目立ったものはほとんど売ってしまいました。去年はわりに売れ行きが悪かったのですが、ことしは非常によく売れまして、少しもったいないというくらい売れておりますが、これはほとんど公開競争入札で、ほとんど不特定多数の方にお売りいたしております。ただ問題は、よくお話が出るのは、東京駅のあのレンガ建てをどうするのか、あるいは汐留の貨物駅をどうするのだというふうな、現在私どもが使っておる駅あるいは貨物駅等の空中権を売るべきだというお話も当然出てまいります。ただこれは将来計画もいろいろございますので、まだそこまで至っておりませんが、とりあえず先ほど申しました要らないときめたもの八百八十万平米、それから処分がまだ未定なもの約四百万平米、これを取捨選択いたしまして、全部がきまってからというのでは間に合いませんので、各管理局ごとに目標を定めまして、おまえのところはことしじゅうにこれだけ売れということを指示いたしまして、金額によって一つの目安をつくって、予算に計上いたしました金額を下がらないような努力をいましておるところでございます。
  20. 福田繁芳

    福田(繁)委員 非常に御苦心の点、ことに私の手元にいま参っております当局の報告書を見ましても、いま総裁の東京都内のお話がたまたま出ましたが、昨年度は非常に御努力、御苦心されて、われわれの予期以上の成果をおさめておられるのを私は高く評価するのです。それと同時に、これは東京だけの話になりましたけれども、全国的に見ますと、まだまだそれに類似するものが多々あると思うのです。国鉄ですから、鉄道の沿線両側あるいは将来複線になる予定地、こういうものは、たとえどんな赤字がたまろうと、政府にあおられようと、国鉄は一坪といえどもこれをむだに処分すべきではありません。逆にむしろ入手してこそ国鉄本然の義務が全うできる、私はさように思うのです。いまたまたま総裁からも話がありましたが、文字どおり不要不急のあちらこちらに点々としておるものが相当あるように伺うのであります。こういう点は総裁、いま全国に総局とか支局とかいう近代的な名称でいろいろ監督官庁の機構が変わっておるようですが、あまねくこれを御調査されておる機関、これを一通り御査察されるところの機関はあなたのところにございますか。やっていらっしゃいますか。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうでは本社にその専門の課を一つ持っております。それから各管理局ごとにやはり課がございます。その下に現場の保線区と申しますか、そこでもって用地管理をいたしております。ただ、いま先生の御指摘のとおり、そういうものでぺんぺん草をはやして遊んでいるものがないということは決して申し上げられないのでございます。それを督励いたすために、おまえのところはどこを売れということはなかなか申せませんので、結局金額でもっておまえの管理局はこれだけ売れというふうな指示をいたしまして、そしてどれを売っていくか、あるいはこの土地が将来要るか要らないかということは、やはり責任者の現地の管理局長がきめるのが一番いいと思いますので、管理局長にまかせております。それを督励するにはやはり金でもって督励する。ただ、たとえば非常にはっきりいたしますのは、諸先生方からもたまたまお話がございました、、その現場の耳に入らず、地元の市町村あたりからじかに私どもの耳に入るようなことがございます。ごく最近でございますが、京都市から小学校の敷地にぜひ譲ってくれということがございました。これなどは実は現場のほうではいろいろ言っておりましたけれども、やはり私どもとしては売るべきだというふうに考えまして、そういうふうに頭越しに売ることをきめることもございます。これは相手が公共団体の場合には、国鉄土地でございますから、なるべく公共団体に使っていただきたい、国民多数のお役に立ちたいという意味で、私人に競争入札することよりも、できれば公共団体で引き取ってほしい。ただ、そう言ってはなんでございますが、公共団体とはなかなか値段がきまりませんで、両方とも貧乏でございますから、値段がきまるのに非常に時間がかかるというふうなこともございますけれども、できるだけ公共団体に売りたいというたてまえをとっております。しかしそうばかりも言っておられませんが、最近でも青森のいわゆる廃線敷、昔の東北本線の敷地が要らなくなりましたので、これを青森市にお売りいたしました。約十億ちょっとでございますが、やはり値段がきまりますのに五年くらいかかります。ですから早く売ろうと思えば民間に売るのが一番よろしいのでございますけれども、やはり地元は道路にほしいあるいは児童遊園地にほしいという場合には、民間のほうをあとにしまして公共団体とお話しいたしますが、とかくお役所仕事同士で時間がおくれるのが欠点でございます。私どもはなるべく高く買ってほしい、地元はなるべく安くしようということで、多少その間に時間がかかります。そういうことで私どもといたしましても、できるだけ落ちのないように、お役に立つように、また国鉄財政の大きな援助になるように利用のしかたを考えているところでございます。
  22. 福田繁芳

    福田(繁)委員 私の総裁に関する質問はこの程度でけっこうです。いずれ後ほど運輸大臣に伺う非常にとうとい資料をお授けくださったから、当決算委員会のたてまえで御質問して、また次回に伺いたいと思いますので、どうぞ他党の先生に御発言を許してもらいたいと思います。
  23. 笹山茂太郎

    笹山委員長 それでは西宮委員
  24. 西宮弘

    ○西宮委員 私は運輸行政に関連をいたしまして、特に国民の最も関心の深い交通安全の問題、つまり最近非常に激増しております交通事故、こういうものを防ぐにはどうしたらいいのかというふうな問題等を中心にしてお尋ねをしたいと思います。運輸省の局長あるいは関連して建設省の担当官にお尋ねをいたしたいと思います。将来の運輸行政の中心になります今後の輸送の展望でありますが、ただしかし、そう申し上げても非常に範囲が広いわけでございますから、私は限られた時間でありますので、きょうはもっぱら貨物輸送についてお尋ねをしたいと思います。したがって、これは当然に道路問題等に関連をいたしますので、それらをあわせてお尋ねしたいと思うわけです。  運輸省にお尋ねいたしますが、今後の運輸構造の展望と申しますか、そういう点はどういうふうになっていくのか。私が手持ちの資料で検討いたしてみますると、たとえば新全総では昭和六十年までに貨物輸送の総量が九十三億トンないしは百八億トンというふうに想定をいたしております。その中で、トラックで輸送されるものが八十億八千万トンあるいはまた九十四億九千万トンというふうに想定をされまして、その構成比は八六・九%から八七・九%の間であるというふうに想定をいたしております。これをトンキロで申しますると、総量が五千百億トンキロないしは五千九百億トンキロ、そのうちでトラックによって輸送されるものが千三百八十億トンキロあるいは千八百八十億トンキロ、その構成比は二七・一%から三一・九%になる、こういうふうに新全総では予想いたしております。しかし、実際は、私はこれよりははるかにスピードが速いのではないかと思う。と申しますのは、昭和四十五年、あとで申し上げますが、道路整備のほうで申しますると五カ年計画の初年度に当たるわけですが、昭和四十五年には、総量は五十二億二千三百万トン、トンキロで申しますると三千四百十八億トンキロになります。新全総のほうには年次の計画がありませんから、これが新全総の計画に対してどういう割合であるかわかりませんけれども、ただ明確に言えることは、この構成比で申しますると、トラックの担当する部面は総トン数で八九%、それからトンキロの場合には四〇%を負担する、こういうことになっているわけであります。これは昭和六十年に予想されておる担当をすでに昭和四十五年でかなりの程度にオーバーしている、こういう実態であるわけであります。新全総では、伸び率の予想が、トラックの輸送量にはトンキロにいたしまして六・七%ないしは七・六%、これが年の伸び率の予想になっているわけです。ところが、実際の実績は四十年以降すでに一年に三四%、二五%、二五%、一八%、一三%と、こういうふうに伸び続けておるわけであります。新全総の予想をはるかに上回っておるわけです。こういうことになりますると、昭和四十五年にスタートした道路整備五カ年計画ではとうてい間に合わないということが言えると思う。もちろん建設省としてはこの計画を改定して、さらに来年度からスタートするということが発表されておりますので、そういう点も十分前提に考えて計画は練っておると思うのでありますが、しかし私は、実際の自動車輸送に対する道路の整備ということがなかなか追いつかないのじゃないか、こういう点が非常に強く心配をされますので、まずその点について両省の担当官にお尋ねをいたします。
  25. 原田昇左右

    ○原田説明員 お答え申し上げます。ただいま先生の御指摘になりました数字でございますが、新全総の昭和六十年の予想は、GNPで百五十兆と予想されております。その際、私どもはその数字をもとにいろいろ輸送需要その他がどのくらいの規模になるかという試算をいたしたものはございます。ただ、これは政府として正式にこういうことで考えようということではございませんで、いわば内部的な資料というようにお考えになっていただきたいと考えております。それから昭和六十年の予想につきましては、その新全総で作業いたしました内部的な輸送需要のほかに、昨年運輸省の運輸政策審議会から答申をいただきました輸送需要の昭和六十年度予測がございます。この点について若干申し上げますと、国内貨物の輸送量の昭和六十年度の予測といたしましては、まずGNPが二百兆円程度になるということを前提にいたしまして、これはもちろん経済情勢によってあるいはならないかもしれないし、あるいはこれ以上になるかもしれない。しかし、かりに二百兆といたしますと、輸送トン数で約二百三億トンくらいになる。それをトンキロにいたしますと、輸送の単位としてのトンキロとしては約一兆七千億トンキロという数字が出ておるわけでございます。で、各輸送機関別のシェアの問題は、トン数のシェアというのはあまり実体的な意味がございません。と申しますのは、自動車輸送の場合は、鉄道で運びましても、船で運びましても、両端がトン数で自動車という欄に二倍になって計上されてまいりますので、トン数のシェアとしてはあまり実体的の意味がなくて、トンキロのシェアのほうが実体を反映するというように考えていただいたらいかがかと思います。そこで、トンキロのシェアでございますが、鉄道が二四%、自動車が二九%、海運四六%という一応の試算が出ております。もちろんこれにはいろいろな過程がございまして、そういう過程なり経済社会情勢が許せばという一つ前提がついておるわけでございます。  そこで、御指摘のように、いずれの数字をとりましても確かに自動車輸送は相当な勢いでふえるわけでございまして、四十四年の数字に対して、この運輸政策審議会の予想で申し上げましても、トンキロで四・二倍、それから鉄道がこの数字でございますと六・八倍、海運が四・七倍というような傾向になろうかと思います。
  26. 中村清

    中村説明員 お答え申し上げます。いま先生御指摘ございましたように、現在第六次五カ年計画の第三年度でございますけれども、御承知のように輸送の量が非常にふえてまいった、このままではなかなか増加する輸送需要に対応し切れないということで、現在第七次の道路整備五カ年計画をつくる、いわば六次の計画を改定するということで作業中でございますが、前提となります貨物輸送量につきましては、目標年次を昭和六十年度に設定いたしまして、その年度のGNPが二百二十兆というふうに想定をいたしました。輸送トンキロでいきますと、全体で一兆三千八百十五億トンキロ、自動車が分担すべきものはそのうち三三%の四千五百三十五億トンキロを前提といたしまして五カ年計画での策定を進めております。
  27. 西宮弘

    ○西宮委員 建設省にさらにお尋ねをいたしますが、自動車の激増に伴ってなかなか道路のほうがそれに追いつかない。こういう問題はすでに指摘をされているとおりでありますが、ちょっと統計は古いのでありますが、昭和三十三年から四十四年までの数字を見ますと、自動車の交通可能道、これは市町村道も含めて、これを見ますると二四・二%の増をしておるわけです。その間に自動車の保有台数は三二五%にふえている。こういうことでありますから、非常に自動車のための需要がふえているということはもう論ずるまでもないわけでありますが、私はここでお尋ねしたいのは、いま、さらに第七次の計画を練っている、こういうことでありますが、それは先ほど来運輸省からも話がありました。そういう将来の交通需要と輸送需要というようなものを十分勘案して、それを十分カバーできる、そういう自信を持って取り組んでおるのかどうかというのが第一点。  さらに第二点として、末端の道路、いわゆる地方道ですけれども、これがどういうぐあいになるのだろうかということが私どもは非常に心配なわけであります。たとえば貨物輸送というようなことを考えると、基幹道路は十分に輸送ができても、いよいよ最終末端で貨物の集配をするという場合には、そこで著しく停滞してしまう、こういう点が懸念をされますので、その点についての十分の対策を持っているかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  28. 中村清

    中村説明員 お答え申し上げます。まず第一点の、六十年度にいまいろいろ心配されておりますような問題点を全部カバーできるかというふうな問題につきましては、これは五カ年計画の中身を一々申し上げるとあるいはいいのかと思いますけれども、ごく大ざっぱに申し上げますと、現在の第六次の五カ年計画、これは投資規模が十兆三千五百億でございますが、いま御指摘がございましたが、輸送需要の増大ということに対応する意味合いからいたしまして、ほかの意味合いもいろいろございますけれども、大体倍の投資規模ということで現在考えておりまして、財政当局と折衝中でございます。  なお、五カ年計画あるいはその六十年といった段階で末端の市町村道の整備がどうなるかという御指摘でございますが、従来私どもの姿勢といたしましては、ともすれば市町村道、末端道路に目が届かなかったという点は御指摘のとおりであります。ただ、根幹道路が幾ら整備されましても、末端まで十分整備されておりませんと、なかなか注意が届かないといったこともございますので、第七次の五カ年計画におきましては、特に市町村道に重点を置きましてその整備をはかってまいりたい、かように考えております。
  29. 西宮弘

    ○西宮委員 第七次においては市町村道について十分拡充をはかるということでありますから、われわれとしては大いにそれに期待をしたいと思うのですが、現在進行中の第六次の計画では、高速道路は三三八%に伸びる、都市の高速道路は二〇四%だ、それに対して一般の国道は二二%、主要地方道が二三%、さらに地方道に至っては一五%、こういうことになっているわけですね。これでは基幹道路はたいへんな整備をされるけれども、その最終末端に至っては全く前途暗たんたるものがあるわけです。これでは貨物輸送等が、集荷あるいは配達といいますか、そういう点でもうほんとうに行き詰まってしまう。しかもここではいろいろ交通上の制限がありまして、あるいは駐車の制限その他がありますから、もちろんこれに従事する人も増さなければならぬ。そういうことをいたしましても容易にさばき切れない。こういうことで、せっかく根幹道路だけはできても、結局全体としては用をなさない、こういうことになる危険性が多分にあるのであります。ぜひそれは第七次の案では、いま次長の答弁がありましたので、われわれとしてはそれじゃ第七次に大いに期待をしていきたいと思います。それで第七次では地方道については何%ぐらいの伸びを考えておるか、もしいまの償却の段階で言えるならばお聞かせ願いたいと思います。  それから混雑度の調査について、ここに私も建設省から資料をもらっているわけですけども、これを見ても、今ここで御披露するまでもなく、混雑度なるものは非常にひどいわけですね。非常な渋滞を来たしているということは歴然としておるわけですから、どうしてもこの点の解消が問題だと考えるわけです。  それからもう一つお尋ねをしますが、それは道路の構造について、つまり強度というような点について、そういう点も十分配慮の中に入っているかどうかという点であります。なぜならば、最近の輸送手段は次第に大型化していくという傾向にあります。特に整備された幹線道路においては、いま十七・五トンのトレーラーが走っている、こういうことであります。これは経営者の側から言わせるとたいへんにコストダウンになるのだそうでありまして、日本通運の会社の発表を見ましても二八%コストが下がる、こういうことを言っておりますので、経営者としてはたいへんな魅力だと思うのです。したがって当然にこういう点が今後ますます傾向を強くしていくというふうに考えられる。ですからそういう点について、道路の構造がそういう大型車の通行に十分耐えられるような設備ができておるかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
  30. 中村清

    中村説明員 お答え申し上げます。第七次の道路整備五カ年計画で市町村道をどういうふうに考えておるか、どういうふうに整備をするのかという御指摘でございますが、現在考えております五カ年計画がもし認められれば、これは五十二年度末が計画の最終になります。したがいまして計画の最終段階で押えますと、これは改良と舗装率に分けて申し上げますが、四十八年の三月末現在で改良済みの延長は一六・九%でございます。計画の最終年度でございますと、五十二年度末におきましては二八・九%の数字が二〇・六%という数字に相なります。舗装について申し上げますと、同じく四十八年三月末現在の舗装済みの延長が一五・七%でございます。五十三年三月末におきましては一五・七が二七・九%になるということでございます。  なお、道路構造の基準につきましてどう考えるかという御指摘でございますけれども、実は構造の問題につきましては、現在道路構造令という政令がございまして、この中でいろいろ規定をしておりますけれども、大型化する車両の状態とか、あるいは最近問題になっております道路をめぐる環境の問題といったことを踏まえますと、現在のままでいいかどうか、これは検討すべき問題があると思いますので、今後の検討課題にしたいと考えております。
  31. 西宮弘

    ○西宮委員 大臣にお尋ねいたします。こういうふうに激増する輸送需要に対して、これからとっていく手段はいろいろあると思うのでありますが、いま主として道路の問題について建設省からお答えをいただいたわけですけれども、運輸省としてやらねばならない問題もたくさんあると思います。たとえば、集まってくる物資を大都市の周辺において整理をするためのターミナルの設置とか、そういう問題が当然に考えられるわけです。すでに大井、千住、板橋、この三カ所には実施中でありますけれども、それだけでは足りない、今後どうするのだ、こういうことで先般、私どもの同僚久保委員が、六月でありますが質問をいたしております。それに対しては、四十八年度予算で十分考慮するというような答弁をされておりますが、そういう点はどういうふうに進行しておりますか。
  32. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 お尋ねの点は貨物輸送の問題かと思いますが、御承知のとおり、国鉄貨物輸送状況は、いろいろな経済の状況の変化によって大きく変わっていると思います。しかしながら、今日、この輸送の内容あるいは将来の計画等におきましては、現在の輸送計画に加えまして、たとえば、私も就任してまだ日が浅いものでございますから、国鉄内の専門語一つ勉強するにも——さっきも答弁の内容を読ましていただいたのですけれども、ロットということばがあって、ロットというのは一体どういうものだと言ったら、一つのまとめた荷物のケースのようなものをロットというんだというようなことを聞いて、にわか勉強中でございますから、知ったかぶりをして、先生のようにいろいろな問題をよく御承知の方に読んで答弁しないほうがかえってよろしいのじゃないかというようなことを思って、持ってはおりますけれども、いろいろお聞かせいただいて、明年度予算先生の御意見等を十分取り入れまして努力いたしますと申し上げたほうが、かえって率直なお答えになるのじゃないかとさっきから考えていたところでございます。これを読むのは、もう少しあとにさしていただきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  33. 西宮弘

    ○西宮委員 大臣の正直な御答弁でございますから、ぜひ今後の御努力にまちたいと思うのですけれども、私が指摘をいたしましたのは、貨物輸送については、前回の久保委員に対する答弁でも、政府委員は、業者の団結を求めるとか、協力体制をつくるとか、そういうことをいろいろ言っておりますが、そういういわば精神的な問題だけではとうてい足りない。あるいはまた、そのほかに協力体制というようなものを何か組合組織その他でつくっても、それだけでは問題は解決しない。どうしても物的設備としての荷さばきのためのターミナルの建設というようなことが、これはひとり東京周辺だけではない。さっきは私、東京周辺の三つの地点を申しましたが、決して東京だけではない。地方でも同じような問題が起こっているわけです。そういうものに対する対策等について、これは予算を十分つけなければ解決できない問題ですから、ぜひ大臣にがんばっていただきたいということをお願いしたいと思うのです。大臣も目下いろいろ準備をされておる最中だというお話でありますから、私は要望にとどめておきますが、ぜひお願いしたいと思います。  私はこの前も同じように交通運輸の問題をこの場所でお尋ねしたわけですけれども、特に規制の問題について警察の側にいろいろ御意見を聞きました。しかし、規制するだけではもちろん問題は解決しないわけです。私がこの前も大いに強調いたしました点は、都会地における自家用乗用車の規制ということでありまして、これは何としてもさらに強化をしてもらわなければならぬのじゃないか。自家用車の増加率は、これは少し古い統計でありますが、毎年平均三四・七%という数字が発表されております。とにかく非常に伸びが大き過ぎるということでありまして、何としてもこれは規制しなくちゃならぬ。私は、貨物の輸送のようなものをむやみに規制するということはできませんけれども、乗用車の場合ならばある程度規制をしてもやれるんじゃないかという気がするのですよ。たとえば私自身もマイカー族の一人ですけれども、政治活動はマイカーがなくちゃやれない、こういうことは考えられますが、しかし、だれもが持たないのだということになれば、私はそれでも十分差しつかえないと思う。ですから、乗用車の規制については、私は実は大いにやってもらいたいということを強調しておりますけれども、物資輸送の問題は、それだけでは問題の解決になりませんので、ぜひさっき申し上げた点も取り上げてもらいたいと思います。  それでは、時間がなくなりますから次に進みたいと思いますが、いわゆるトラック輸送の特徴を考えてみますると、この輸送産業というものは、まず一つは保存のきかない産業である。つまり生産と消費が同時に行なわれて、それで終わってしまう、こういうことで保存がきかない産業である、あるいは労働集約型の産業である、あるいは規模を大きくしても、そのために効率化されない、そういうスケールメリットのない産業であるというふうに、いろいろ考えているうちに特徴として気がついたわけであります。もちろんしろうとの私ですから、かってな私の分析でありますけれども、そういうふうに考えるわけです。  そこで、まず保存のきかない産業だ。人あるいは物を載せて他の場所に移動をして、移動すればそれで終わりということになるわけであります。そうなりますると、需要と供給のアンバランスが当然に出るわけであります。需要が殺到する場合があるし、あるいはまたきわめて閑散な場合があるというふうに、その場合非常に繁閑の区別があって、アンバランスが生ずる。そうなりますると、経営者はできるだけそれから起こるマイナスを避けたい。そのために手段として用いる方法は、これをいわば労働者にしわ寄せをする、こういう形になってくると思うのであります。もっとわかりやすく言えば、固定給を少なくして、歩合給あるいは出来高払い給というようなものを大きくして、そういう需要と供給のアンバランスを労働者の負担において解決しようというふうに考えてくる、こういうふうに思うわけです。そこでそういう点について運輸省としてはどういうふうに考えておるか。これは大臣でなくてもけっこうでございますが、たとえば昭和四十二年の二月の九日に、改善基準の通達と称する通達を出されたわけですが、それによってどのようにこの賃金形態が改善されたか、実際の成果としてどういう改善がなされたかということをお尋ねしたいと思います。
  34. 小林正興

    ○小林説明員 ただいま御指摘のスケールメリットのないトラック事業につきましては、確かに荷主産業団体と比較いたしまして相対的に地位が低いかと思います。そういったことから、経営の実態は非常に貧弱でございまして、これに対しましては、トラック事業を健全なものとするというような観点からいろいろな政策を展開しておるわけでございます。たとえば’先生御指摘のとおり、非常に小規模の産業でございますので、共同化を推進いたしまして、荷主産業団体といわば対等の地位で契約作業がやれるというようなことも指導しております。また、世上いわれます運賃ダンピング等の問題につきましては、共同受注あるいは共同配車というような手段も講じておるわけでございます。基本的には、そのように業界自体の体質を強化する、企業基盤を強化するというような政策を考えておるわけでございまして、最後に御指摘になりました、そういった経済的に弱者であるという立場から労働者に極端なしわ寄せがいくというようなことにつきましては、そういったことから未然に防ぎたいと思っておるわけでございます。  なお、御指摘の昭和四十二年の通達は労働省の通達でございまして、トラック事業だけでなくて、自動車産業に従事しておる労働者の労働時間あるいは労働賃金等につきまして、基本は労働基準法でございますが、さらにそれの解釈あるいは運用におきましてより強化するということで労働省の通達があるわけでございます。運輸省といたしましては、当然その通達の趣旨に沿いまして、全体的な事業の監査あるいは指導というような面に生かしていきたいということで指導をいたしております。
  35. 西宮弘

    ○西宮委員 ただいま局長も言われたように、スケールメリットのない産業だ、どんなに規模を拡充してもそのために特に効率化されるという点がないというのがこの運輸産業の特徴だと思うのですね。運輸省からもらいました資料によりますと、たとえば路線の運輸業者では資本金一千万以下というのが半分を占めておる。これは大臣、認識をしておいてもらいたいのですが、全体の業者の中の半分だ。あるいは手持ちの車両からいうと、二十両以下というのが半数だ。あるいは区域の運輸業者、これは資本金三百万以下というのが半分を占めておるわけです。あるいは車両で申しますと、十両以下というのが半分を占めておる。ですから、実に中小というか零細経営なんですね。つまり大資本でも小資本でもたいした違いがない。こういうことから勢いこういう小資本の人がこの仕事に殺到する、こういうことになっているのが実態なわけですね。そういうことになると、いさ局長もちょっと言いましたけれども、ダンピングの問題とか、そういう過当競争が当然について回るわけです。私どもが非常に心配をいたしますのは、過当競争、ダンピングの問題これはむろん安くなるならけっこうでしょうけれども、それは言うまでもなく実際の事業運営に反映してくるわけです。たとえば過積みをする、制限をオーバーして荷物を積むという問題になったり、あるいけまた労働者の労働強化をする、こういうことにたるわけですね。そういう点で現在の交通事故がそのために発生するというような問題が少なくないわけです。私は、そういう点においてあまりにもこういう小経営企業体が多過ぎるということはかなり問題であると思う。しかし、さればといって、その人たちからいわば営業の権利を奪ってしまう、そういうことはむろん適当ではありませんから、そういうことは私どもは言うつもりはありませんけれども、何とかそういう零細な経営者も立っていけるような、そういう無理な経営をしたくてもやっていけるような体制をつくり上げなければ、さっき申し上げた交通事故の根源は断てないというふうに考えるわけです。もし大臣にお尋ねするのが無理ならば局長からお答えいただいて、さらにそれに対する大臣の基本的な考え方を聞かしていただきたいと思います。
  36. 小林正興

    ○小林説明員 トラック事業が、非常に零細な企業が多いということは先生御指摘のとおりでございます。そういったことからとかく交通安全にも影響があります。過積みの問題あるいは運賃ダンピングの問題等々あらわれておると思うわけでございます。  まず第一の過積みの問題につきましては、現在私どもで考えておりますのは、一つは業界自体が自主的に姿勢を正すことを基本といたしまして、いたずらな受注競争というようなことをしないようにということで、業界内部に特別の対策委員会を設けまして、過積防止対策をやっておるわけでございます。それから事業用でない事家用車に対します過積みの問題につきましては、直接は警察の取り締まりの問題かと思うわけでございますが、期待いたすわけでございますが、運輸省といたしましては、車両の構造の面、従来からたとえば差しワクの禁止というような措置もとってまいっておりますし、現在考えておりますのは自重計の開発ということも検討をいたしておるわけでございます。そのほか運輸省だけの問題でない非常に広範多岐にわたる原因も考えられるわけでございますので、また対策も総合的にいたす必要があるというようなことで、建設省あるいは警察庁、そういう関係方面とも密接に連絡をとりまして、過積みの実態把握、さらに具体的な対策の樹立というようなことを現在やっておるわけでございます。
  37. 西宮弘

    ○西宮委員 大臣あとで次の質問もあわせてお答えいただきたいと思います。  それでは、いま指摘をしましたダンピングあるいは過積みの問題、こういう問題について実際に運輸省で調べた結果をお答え願いたいと思うのですが、これは当然にダンピングなども、どういう料金を取っているかというようなことは明らかだと思うので、それは運輸省として調査ができているならば、それをお示しを願いたいと思います。これは実は去る六月九日の運輸委員会の席上で当時の自動車局長は、極力調査をいたしまして、先生——先生というのは久保委員でありますが、先生のもとにお渡しします、こういうふうに明確に答弁しているわけですから、もうとっくにそういう資料はできておると思うので、ぜひお願いしたいと思います、過積みの問題も同様であります。これをいまお答えいただけるかどうかということを返事をいただきたい。  それからもう一つは、さっき大臣に運輸省の予算として考えなくちゃならぬ問題がいろいろあるということを申し上げたのですが、それにはたとえば共同荷受け施設、共同配送センターあるいは共同計算センターというようなこと、これはぜひやらなくちゃならぬということを運輸当局としては国会等でも答弁しておるわけです。それが来年の予算においてはどの程度予算化されるか、そういう見通しども一緒にお聞きをいたしたいと思います。
  38. 小林正興

    ○小林説明員 ただいま御指摘のトラック運賃のダンピングの実情調査でございますが、その後取り急いだ調査をいたしたわけでございますが、その結果、現在認可運賃になっておりますが、これをあるいは若干超過している場合もございますが、下回っておる、いわゆるダンピングをやっておるというような状況がはっきりしたわけでございます。ただこれは事業者によりまして非常に相違いたしておりまして、ダンピングが非常に著しい場合と、また逆にダンピングといいますか、ほとんど定額運賃までいっていないということはあまりなくて、むしろ超過料金を取っておるというような例もございまして、一がいには言えないわけでございますが、件数だけの比率で申し上げますと、路線トラックにおきましては、合計で定額を超過している件数のほうが二〇%ということで、定額以下というものが六%に対しまして、多いようでございます、それから区域トラックにつきましては、非常に零細な企業でございまして、先ほど来いろいろ御議論がございました定額を下回る運賃を収受しておるというような例が多うございまして、私ども調査では、定額になっておりますのが七六%、超過が七%、定額以下が一七%、こういう数字になっております。  なお、過積みの問題につきましては、営業車あるいは自家用車両方あるわけでございますし、警察当局の取り締まりの実績等あるわけでございまして、運輸省といたしましては、営業車でそういった過積み等の違反をした場合、これについては監査をいたしまして処分をする、こういうようなことやっております。
  39. 西宮弘

    ○西宮委員 いまのダンピングについての調査結果でありますが、私は、いまの局長の答弁は単に件数だけの答弁でありますから、それだけではきわめて実態不明確だと思うのです。というのは、実態は、これはたとえばさっき申し上げた六月九日の委員会における政府委員の説明でありますが、それなどを見ても、トラック業者は大手荷受け業者に対して非常に経済的な弱者だ、したがって安い運賃を強要されるのだということを政府当局も何回も繰り返して答弁しているわけですよ。したがって、弱者であるトラック業者を守る、そういう対策を考えなくちゃならぬというので、さっきいろんなことを予算化したいというような答弁をしておる。そういう点を見ても、私はいま局長が言われたような、むしろ規定の料金を上回っておる数のほうが多いといったような、そういう調査の結果は、とうていそのままに了承するわけにいかない。それは調査方法なりいろいろそういう点に間違いがあるのじゃないか。間違いといいますか、基準のとり方等に問題があるのじゃないかというふうにどうしたって考えざるを得ないわけです。ことに、さっき申し上げたように弱小業者がひしめいておって、大手業者、荷主のほうはむしろ彼らに競争させて、安く安くといって請け負わせているわけです。それが実態なんだから、いまのような数字ではあり得ないと思うのですしいままでお尋ねをしたことについて大臣の所見をお聞きいたします。
  40. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 お話の重点は、貨物のうちの営業車の問題に重点があるのじゃないかと私は聞いておりましたが、御承知のとおり、過積みの問題が起きたり、それから経営困難であるというような点は、局長の答弁にありましたように、もちろん弱小であるということもございますが、その対策として、警察で取り締まるとか、あるいはまた業者だけで自主規制をやるとかということだけでは何か事済まぬような気がいたしますしそこで運賃の改正等もございましょうし、あるいはまた共同施設に対して国が思い切った助成をするとか、そういうような積極的な方法があろうかと思いますので、ただいまは明年度予算編成中でございますから、実態をよく調査いたしまして、またきょういろいろな問題を聞かしていただきましたので、それらを貴重な参考として、明年度予算にこれが対策を講ずるように努力したい、こう考えております。
  41. 西宮弘

    ○西宮委員 申すまでもなく、ダンピングの問題は、単に業者間で安いとか高いというならばそれで済むわけでありますが、これは直ちに交通安全という問題にかかってくる問題であります。したがって、そのダンピングの問題は、実態をさらに的確な調査をして、間違いのない対処をしてもらいたいと思います。なお局長に、ぜひ調査の結果をわれわれにあとで教えてもらいたいということをお願いしておきます。  それから過積みの問題も、これは現実にほとんどこれが一般化されておるといってよろしいと思いますが、警察当局からもお答えをいただきたいと思いますけれども、たとえば報償金の制度、つまり一トン増すごとに幾らというようなことで、運転者に対して、たくさん荷を運んだ者に対してよけい報酬を支払うというようなことを経営者はやる、こういうことがあったり、あるいはまた、ふだんは通らせない高速道路を過積みをした場合には通らせる、なぜならば高速道路においては警察の取り締まりがないからだ、こういうようなこともいわれているわけであります。こういうような点について非常に問題が多い。したがって、いままで国会の論議等で議論をされてまいりましたのは、これを防ぐ方法として、たとえば主要な道路、幹線道路でその実態を計量する、計測するという問題とか、あるいは高速道路においてはインターチェンジ等においてそれを実施するというような問題等があると思うので、これは建設省としてそういうことを道路公団等にやらせるかどうかというようなこともお聞きしたいと思います。  それから、これはやはり運輸省の問題だと思いますけれども、標示灯をつけさせる、つまり制限量をオーバーした場合にはひとりでにあかりがつく、こういう設備をするということですね。これはいろいろ技術的にはなかなか困難だというようなことも聞いてもいますし、また、ある程度われわれもそうも考えますけれども、何とかしてそれをやらしたいというのが国会等におけるたびたびの議論でもあるし、また、当局のほうでも何とかしてそれを技術的にも開発をしたいということを言っているので、そういうことをやらせる用意があるかどうかということをお聞きをしたいと思います。
  42. 片岡誠

    ○片岡説明員 過積載の実態と取り締まりについてお答えいたしたいと思います。  過積みは交通事故の危険に結び一つくだけではございませんで、騒音だとか振動だとか、あるいは危険物の落下、飛散といったような面で住民に不安と脅威を与える原因ともなっておりますので、  私どもとしては、できるだけこの取り締まりをきびしくやってまいっておるわけでございます。昭和四十四年には検挙件数が十万三千件ばかりでございましたが、四十五年には十三万六千件ばかり、四十六年には十四万件といったように、次第に取り締まりは強化してまいっております。この場合に、単にその運転者だけの取り締まりではその運転者に酷な場合もございますので、その雇用者とか安全運転管理者が運転者にその過積みを下命したり、あるいは運転者が過積みしているのを容認しておった場合には、その責任も追及していく、あるいは運転者と同時にその雇用者にも罰則規定、両罰規定を適用して責任を追及していくということもやっております。その下命、容認の違反検挙が昨年千三十一件、それから両罰規定の適用が四千九百九十三件ございます。そういうことで、私どもといたしましては、移動式の重量計も警察で装備いたしますと同時に、道路公団あるいは地建その他、道路管理者とも十分協議しまして、これは取り締まる場所が必要でございますので、引き込み線を設けたような重量計を道路管理者に設置していただいて、そこで警察が協力して取り締まりをやっていくというようなこともやっております。次第にそういう固定式の重量計がふえていって、非常に概数でございますけれども関係の役所のすべてを含めますと、全国で百カ所ばかり固定式の重量計をもってやっているように思っております。
  43. 中村清

    中村説明員 高速道路と重量計の問題についてお答えいたしたいと思います。私ども道路管理者といたしましては、いわゆる高速道路の主として入り口におきまして、大体一例として申し上げますと、今年度、関東地方建設局の管内において約十カ所程度重量計を設けて、そこで車両制限に違反しているかどうかをチェックして一違反があれば警察当局のほうの協力も得て処罰をする、かように考えております。
  44. 小林正興

    ○小林説明員 自動車自体に取りつけます重量計、これは自重計ということでございますが、これにつきましては、現在技術的な検討をいたしておるわけです。と申しますのは、道路条件あるいは積み荷の問題で、はかり自体の精度が非常に問題になるというようなことのようでございまして、走行中に十分正確な重量が表示されるように、そういった重量計を開発するということで、現在関係者で委員会を設けまして検討いたしております。
  45. 西宮弘

    ○西宮委員 この過積みの問題は、大きな事故、しかもこれが一たび発生すると、たいへんな悲惨な事故を起こすわけであります。現に私の仙台の近くで、つい先般、仙石線というところで大きな事故が起こったわけでありますが、これなどは、警報機が鳴っているところへトラックが飛び込んでいったわけです。そんなばかなことは、ふだんの場合には考えられないことなんですが、それがあえてそういう危険なところに飛び込んでいく。これは、その運転手はもちろん死んでしまいましたからわかりませんけれども、おそらくはとめられなかった、あるいはまた、どうせ踏切のところはちょっと勾配がついていますから、一ぺんとめたらば次にはスタートできない、そういう状況だったと思うのですよ。だから、非常に重い荷物を積んでそのまま突っ走ってしまうということで、それが列車を転覆させる原因になったわけであります。一ぺん事故が起こるとたいへんな惨事を起こすという、そういう性格のものなので、この過積みの問題は、どうしてもこれは徹底的に取り締まって、あるいはまた、さっき指摘をいたしましたような施設を講じて排除しなければならぬと考えるわけです。  時間がなくなりますから、次に私は、シロトラの問題と、それからいわゆるリース制といいますか、名義貸しの問題、この問題についてちょっとお尋ねをしたいと思いますが、どうもシロトラが横行するということも事実だし、ことにシロトラの場合は、いまの過積みの問題などはシロトラに特に多いわけです。そういう点を考えると、どうしてもこれを撲滅しなければならぬと考えるのですが、運輸省ではどういうふうにこれに対処しておるか、お尋ねをしたいと思います。  たとえば一つお尋ねをしたいと思いますが、この前の道路運送法の改正によって、トラック業者の場合に運賃及び料金の表示に関する法の規定が削除されたわけですね。私はああいうことによって、つまり、現金で払わなければならぬとかあるいは定額料金で払わなければならぬというような規定が削除された、こういうことによって、シロトラが簡単に営業用に切りかえられる、そういうことになりやすいと思う。しかも、そのシロトラなどは、つかまればつかまったで、それじゃ君、早く免許の手続をしろというようなことで、簡単にそれで済まされてしまう。あるいは、もっと極端なことを言う人は、その営業免許をする前にはシロトラである程度の経験を積んで、その人は免許されるのだなんというようなことを言われるほど、シロトラは横行しているわけです。あるいは、いまのリース制なども、これまたきわめて一般的になっている、こういう実情なんですが、これに対して運輸省としてはどういうふうに処置しておられるか、お聞きします。
  46. 小林正興

    ○小林説明員 最初にシロトラの問題でございますが、御承知のとおり、無免許でトラック事業を行なうという場合には、シロトラということで道路運送法違反になるわけでございます。このシロトラ行為につきましては、道路運送法第百二条によりまして、車両の使用停止というような処分をいたすことにいたしております。ただ、このシロトラ対策、未然の防止対策としましては、やはり何といいましても、輸送需要に即応するだけの輸送力もなければならぬというようなことで、ある程度資力信用といいますか、そういった経営可能なものに対してはこれは免許を与えていくというような方向で、シロトラの未然の防止対策もいたしておるわけでございますが、しかし、悪質なものにつきましては、先ほど申し上げましたような使用の停止処分というようなことをいたしておるわけでありまして、最近一年間に使用禁止処分をいたしましたのは千六百件、それから使用禁止まで至りませんで、きわめて軽微な有償運送の行為というようなものにつきましては、文書警告等の措置を行なっておるわけでございます。  それから二番目の名義貸しあるいはリース制とおっしゃいます問題につきましては、これは非常に法律的にも、確認、証拠をつかむといいますか、そういったことがむずかしいわけでございます。つまり、企業経営のあり方といたしまして極端に独立採算制を強化いたしまして、そうして普通の経費人件費、そういった所得以外に利益分配方式といいまして、そういったやり方を行なって、リース制というような運営形態をいわば合法化してやっておる場合もあるわけでございます。道路運送法で禁止いたしておりますのはいわゆる名義貸しでございまして、これはシロトラとも関係があるわけでありまして、他人の免許、名義というようなものを利用して、そして営業行為を行なう。これはなかなか、調査、把握することは困難なわけでございますが、通常の場合、免許を得た者がそのナンバーを第三者に貸し与える、そして何がしかの名義料を取るというような形でございまして、こういったものにつきましては、非常に免許制のたてまえ上、強い処分等の措置をいたしておるわけでございますが、この問題を調査、把握するということにかなり困難性がございます。いずれにいたしましても、リース制あるいは名義貸しといわれる本質はそのようなものでございますが、雇用労働者との利益分配方式の範囲を逸脱しない場合は、なかなかこれが名義貸しあるいはリースというようなことにはならないわけでございまして、個々の具体的な事案について違反かどうかというようなものを判断せざるを得ないわけでございます。  私どもといたしましては、そういった雇用形態の実態というようなものについては、労働省等の関係機関と連絡をした上で処理をいたしていきたいと思っております。
  47. 西宮弘

    ○西宮委員 次に、先般の許認可事項を簡素化するという法律が通りまして、その結果として、料金や運賃収入を伴わない自動車は従来の免許から届け出でよろしい、こういうことになったわけですね。それで、たとえば建設会社などが労務者を運ぶ場合、あるいは旅館等がお客さんを運ぶというような場合に、そういう車がずいぶんふえておるわけですね。これは乗る人から見ても必ずしも特定の人間だけが乗るわけではない。それを全部野放しにしてしまったというようなことは、非常に大きな制度的な欠陥ではないかというふうに私は考えるわけですが、その点いかがですか。
  48. 小林正興

    ○小林説明員 先般の許認可整理法で、道路運送法を改正いたしました件についてお答えが漏れまして、はなはだ失礼いたしました。  その第一点の運賃を無規制にしたということではございませんで、運賃収入のたてまえといたしまして、従来は現金払い制度ということであったわけでございます。これを義務づけておったわけでございます。しかしトラック事業につきましては、旅客運送と異なりまして、種々の契約形態があり得るわけでございます。荷主、産業界にとりましても旅客輸送のような単純な契約形態ではございませんので、すべてを現金払い制度にする、それをたてまえにするということはいかがかというようなことで、これは削除いたしたわけでございます。  それからただいま御指摘の運賃を取らない事業が許認可整理法でできたのではないか、これは御指摘のとおりでございますが、道路運送法におきまして、従来は有償であると無償であるとを問わず、事業をやる者は免許というたてまえをとっておったわけでございますが、無償事業につきましては、厳重な免許制にしておくことはどうかというようなことから届け出事業にした。しかしながらこれは完全に規制をすべてなくしたということではございませんで、無償事業が行なわれることによって一般の運送事業というようなものの経営に著しい影響があるようなものについては、これについて是正命令を出し得るというようなことも関連して担保いたしまして無償事業については届け出制にした、こういうことでございます。
  49. 西宮弘

    ○西宮委員 交通事故の起こる原因はたくさんあると思いますけれども、以上あげてきたところで見てもわかるように、交通事故なるものはそれぞれそういう原因なり背景なりがあって、それで事故が起こるという場合が多いのであって、ことさらに事故を起こそうというような人はもちろんいないだろうし、第一自分の命にもかかわることですから、むろん一人もいないと思うのですが、とかくいままでのこれに対する態度は、運転する人にだけ責任を負わせる、こういうことで、その背景なりあるいは基礎になっている原因なり、そういうものを見落してしまうという場合がきわめて多かったように私は思う。だからそういう点、私は幾つかの問題を指摘したので、ぜひそういう背景になったり基礎になっておるそういう問題を徹底的に解決するということに全力をあげてもらわなければならぬと考えるわけですが、これに対する大臣の見解をお尋ねいたします。
  50. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 お説のとおりだと考えますので、根本的に究明いたしまして善処したい、こう考えております。
  51. 西宮弘

    ○西宮委員 私は次に運輸事業に関連をいたします労働者の問題について二、三お尋ねをしたいと思うのですが、何ぶんにも運輸産業という産業は、生産要素として考えられるのは自動車と道路と労働力だ、こういうことになるわけですね。そうすると、車と道路はそれぞれ社会的に提供されるものであって、決して経営者自体が独自に開発をするというようなことが全くできない問題であります。したがってそうなると、勢い弾力性が持てるというものは全く労働力だけだ、こういうことになるわけですね。したがって労働力に対する比重が重くなるということは避けがたい、いわば宿命的な企業体の実態だと思うのです。そこで私は、たとえば労働時間にいたしましても、長距離のトラック輸送などの場合には、一つの運行について手当がきめられているというようなことで、一体一カ月に何時間働いたのかわからぬ。ただ家へ帰ってくるのは月に二、三日とか三、四日というような労働者も現におるわけですね。あるいは超過労働というのがむしろ常態化し常識化しているというようなのも現実だと思います。先ほどお尋ねしました、これは労働省の出した二月九日の通達でありますが、あれなどもむしろ逆用されるというような場合がなきにしもあらずなんですけれども、私は先ほど労働省から運輸労働者が従事している労働時間についての資料をもらったわけですが、これなどを見ても、かなりの長時間労働になっておるわけです。そういう点を考えて、これは労働の規制ということになると労働省の所管ではありましょうけれども、こういう労働時間の非常に長くなりがちな運輸労働者の勤務形態というものについては、運輸省なども当然に関心を持つべき問題だと考えます。  労働基準局長にお尋ねをいたしますが、昭和四十二年の二月九日に出された例の改善基準の通達ですね。これはたとえばILO六十七号条約等に対比をして考えてみても、きわめて不完全だ、いわゆる手待ちの時間というのがこの中に含まれておらない、含まれておらないというか、手待ちの時間は全く野放しになっている。こういう点がまず第一に問題だと思うんだが、その点はいかがですか。実はその通達の中にもこれは書いてあるわけなんですね。「車両の点検、給油、洗車等運転附帯の業務、荷物の積卸し及びこれが監視の業務等」の時間は実作業時間である。こういうふうに書いてあるので、これは問題ないと思うんだけれども、これ以外に、たとえばその代表的なものでは、荷主のところへ行って、ずいぶん時間を待たされるというような時間があるわけだけれども、そういうのは全然取り上げられておらぬというところに大きな問題がある。さらにまた、実際に継続してハンドルを握っている時間、これに対する制約が全くないわけですね。ILO六十七号条約では、これは五時間というふうに規定をされておるわけです。ところがそれは全然書いてないというようなところにたいへんな大きな抜け穴があると思うのですが、その点はどうですか。
  52. 渡邊健二

    ○渡邊説明員 お答え申し上げます。私どもトラック運送等の自動車運転事業につきまして、いま二・九通達によって労働条件についての指導をいたしておるわけでありますが、この二・九通達の内容につきまして、先生の御指摘のように、これは日本は批准いたしておりませんが、ILOの六十七号条約等々から見ますと、決してこれが理想的なものを示しているものではないということは私ども十分承知をいたしておるところでございまして、先生がいま御指摘になりましたような継続ハンドル時間の制限等々もないわけでございます。しかしながら一従来日本のトラック運送等の労働条件は、この二・九通達を出します前は、それよりもさらに長時間労働等がございましたわけでございます。したがいまして、そういう日本の従来の実態から見ますると、実行可能な範囲で逐次改善をはかっていくということが現実的な、しかもまた有効な改善方法ではないか、かように考えまして、関係各省とも十分相談をいたしながら、しかもこのILO六十七号の全部ではございませんが、その中で参考にし得る内容は通達の内容等にも取り入れまして、この通達をつくり、それを履行させるように指導いたしておるところでございます。この通達を出しました以後、逐次改善はされてきておりますが、まだまだすべてのトラック運送事業におきましてこの水準が守られるというに至っておりませんわけでございまして、まことに遺憾でございます。したがいまして、私どもといたしましては、当面は引き続きこの二・九通達の線を確実に順守させるよう、そういう方向で労働条件の改善の指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  53. 西宮弘

    ○西宮委員 逐次改善をしていくというならば、これは昭和四十二年の二月ですから、もうすでに五年余りたっているわけですね。当然にいまの時点でさらに改善をするということがあってしかるべきだと思うのだけれども、その点について今後の見通しはどういうことですか。
  54. 渡邊健二

    ○渡邊説明員 二・九通達を出しました当時、その通達の水準に達しないものがかなり多くございまして、非常に違反が多かったわけでございます。最近もまだまだ違反の数は多うございますが、私ども監督をいたしております限りでは、違反をするといいましても、違反の幅と申しますか、そういうものがだんだん小さくなってきておる、かように見ておるわけでございまして、やはりこの数年の指導によりましてそれなりの改善はされてきておる。たとえて申しますと、トラックではございませんが、タクシーなどにおきましても、昔ありました非常な刺激的な給与などもほとんどなくなってきておるというように、それなりの改善は、成果は見られつつある、かように考えておりますが、先ほども申しましたように、まだほぼ完全にこれが守られるという段階に至っておりませんので、引き続き一日も早くこの水準が十分に守られるように一そうの努力をしてまいりたい、そういう状態がきました上で、また諸般の情勢を考えまして、一そうの改善が可能かどうか、そういう点を勘案いたしまして、その時点でその後の指導の水準については検討してまいるようにしたい、現在のところはさように考えておるわけでございます。
  55. 西宮弘

    ○西宮委員 すでに五年もたってまだ完全に実施をされない。されないのが相当あるというようなことでは、われわれも非常に心細いと思うのです。もうすでに五年もたって、ずいぶんその間に日本のあらゆる面が、経済情勢、社会情勢、たいへんな変革をしているのですから、当然それに即応した新しい体制が方針として示されるべきだというふうに考えるのです。これさえもまだ守られないというのでは、われわれは全く絶望せざるを得ないので、ぜひ早くもう一歩進んだ改善策をとられることをわれわれは強く期待したいと思う。  実は、きのうもらったこの労働省の資料によりましても、月間の労働時間が二百四十三時間、二百四十三時間、二百四十三時間、二百四十五時間、二百四十時間と、こういうような数字になっております。大体二十五日稼働とすると、十時間くらい働いているわけですね。これではずいぶんたいへんな労働だと思うのです。一日平均十時間働いている。しかもこのほかに私がさっき申し上げた手待ち時間という待ち合わせの時間ですね、荷主のところで待たされる時間、これなどは、最近はたとえば市街地等では運行の時間が規制されますから、したがって朝早く荷主のところに行って、荷主が出勤をするまで待っている、そういう時間等が相当あるはずだと思う。そういうのは全部手待ち時間だけれども対象にされてないというような点にたいへんな問題がある。しかしまだこの通達さえも不徹底だというのならば、われわれは、とにもかくにもこれは完全に履行されて、さらに今後の改善に期待するということ以外にないと思います。ぜひがんばってもらいたいと思います。  続いて賃金の問題と労働災害の問題を簡単にお尋ねをしたいと思います。  賃金については、その刺激的な賃金制度がだいぶ改善されたという話でありますが、まだ依然として能率給中心だというのがこの運輸交通労働者の賃金形態だと思うのです。要するに超過労働をしなければ食っていけないというので、もう超過労働をするのが当然だというふうになっておるわけですが、こういう状態を一刻も早く改善しなければならぬ。あるいは賃金形態として、若年労働者は比較的いいですね。しかし、一家をささえていかなければならぬ年齢層、たとえば三十七、八歳というような年齢層になると、むしろ相対的に悪くなるということで、私はこれではいけないと思う。家族が大体四人程度、いわゆる標準家庭ですね、その程度の家庭になるころの賃金が当然最も安定した賃金ということでなければならぬと考えるわけですが、そういう点についてどういうふうにお考えですか、聞かしてください。
  56. 渡邊健二

    ○渡邊説明員 賃金につきましては、トラック運送業の賃金を平均いたしてみますと、大体、昨年の八月時点で月間の定期給与が九万四千円程度と相なっております。これは昨年の六月時点における全産業の男子労働者の月間の平均定期給与七万六千円から見ますと、額としては、平均的には決して低いほうではないわけでございます。しかしながら、これは先ほども申し上げましたような、長時間働くということによりまして高くなっておりますわけで、手放しで喜ぶことができる状態ではないと考えております。  御指摘の歩合給の問題につきましては、監督者のもとを離れて車を運転しておるという作業実態等々、そういう業種の特殊性から歩合給が非常に多いわけでございます。しかし、先生も御承知のように、二・九通達におきましては、六割を保障給にするように指導いたしておるわけでございまして、その以前から見ますと、これはかなりの改善の措置であると私ども考えておるわけでございます。  なお、歩合給と申しましても、長時間運転すると累進的に給与が上がるような、非常に刺激性の強いものはいたずらな長時間労働をもたらすという点もございますので、そういうあまりに刺激的なものにつきましては、これを是正させるようにつとめておるところでございまして、今後ともできるだけあまり刺激的でないような、なるべく保障給の割合が高くて安定した賃金になるように指導してまいりたい、かように考えます。
  57. 西宮弘

    ○西宮委員 運輸労働者は、免許証一枚あればどこへ行っても働けるということで、本来ならば横断的な、産業別の労働賃金というものは平準化していくという可能性があると思うのだけれども、実際はみんな、それぞれ経営者間で、たとえば引っこ抜き防止協定とかあるいは賃金協定とか、いろいろなものを結んで、それによって非常に低賃金にくぎづけしてしまう、こういう実態があるわけで、どうしてもこういう点を打破して改善をしていかなければならぬと思いますので、今後ぜひそういう点を改善してもらいたいと思います。  最後に、時間がありませんので、問題の指摘だけに終わるかもしれませんが、労働災害について、特にこういう運輸労働者特有の労災、いわゆる職業病というものが最近非常に問題になってきているわけです。これはさっき言ったような長時間労働、あるいは非常に緊張を必要とする労働、そういうことのために疲労が慢性的に蓄積をされておるということで、たとえば大型自動車の運転手が小さな乗用車にぶつかっただけでもむち打ち症になってしまう。ちょっと考えられないのだけれども、これは慢性的な疲労の蓄積の結果、肩から首にかけての筋肉の緊張度がゆるんでおるといいますか弾力性を失っている、こういうことのためにちょっと常識では考えられないような事故が簡単に起こるわけです。そういう点を見ただけでもわかると私は思うんだけれども、あるいは最近盛んに大型のトレーラーが入ってくるわけですが、これなどは、発車をしたり停車をしたりするたびごとにうしろの車ががくんといって刺激を与える、こういうことのために知らず知らずのうちにむち打ち症になっていくという問題があったり、あるいはすでに社会的にも問題になっておりますフォークリフト病とか、あるいは共通して腰痛とか、そういう問題が大いに問題になっているわけです。フォークリフトの場合なんか、倉庫内で働く場合には、排気ガスのためにCO中毒にかかっておるという人などもあるわけですが、そういったいろいろな労働災害が起こりつつあるわけで、これはぜひ十分関心を持ってもらいたいと思うのです。  時間がありませんから、一々答弁をもらうことができないので残念ですが、こういう問題もひっくるめて大臣に最後にお答えいただきたいと思うのです。  以上、私はいろいろな問題を指摘してまいりましたけれども、運輸交通関係ほど法規が完全に守られておらないというのは、何かほかにはないんじゃないかというような気がするのですよ。先ほど来政府委員の答弁を聞いておりましても、ダンピングの問題にしても、シロトラの問題にしても、リースの問題にしても、過積みの問題にしても、全部規則違反が行なわれておるわけですね。一生懸命取り締まっておると言うんだけれども、それが十分いっていない。そういう状況で、私は、これほど無法状態に放置されておるという点では、交通運輸関係ほどひどいものはないんじゃないかという気がするわけです。これは国民の生命を守るという立場からぜひとも考えてもらわなければならない大問題だと思うのですね。そういう問題についてお答えいただきたい。  実はきょうは、内閣の交通安全対策室からもわざわざお二人参事官に来てもらっておったのですけれども、時間がありませんので答弁をもらえませんが、こういうもろもろの交通災害の起こる原因について、私は不完全ながら私の気づいた点だけを指摘してまいりましたので、どうか内閣の交通安全対策室においても、いまお聞きになっておられたでしょうから、これらを十分参考にしながら対策を練ってもらいたいということをお願いしたいと思います。  大臣の御答弁をお願いします。
  58. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 先ほどから先生の各般にわたる御質問の内容を承り、またそれに対する運輸省関係者の答弁を聞いておりましたが、私自体も、運輸省を担当するにあたりましての心がまえは、やはり人さまのお命を預かる非常に使命の重大な役所であるということを自覚しながら今日まで参りましたが、お話しのように、貨物輸送一つの問題を取り上げましても、許可認可制でありながら監督が十分に行き渡っていない、あるいはまた、現在のような経済の非常に急激に変化する状態にありながら零細企業の中で営業をしていかなければならぬというような実態をつぶさに聞かしていただきまして、その原因がどこにあるのかなあと思っていろいろ考えておりましたが、やはり許可認可でありながら一定の場所で営業をしていない、営業の場所が広範囲に移動しているというところにも一つの原因があるようにも考えられます。だからといってこれを放置しておくわけにはまいりませんので、きょうもろもろのお話がありました点を十分貴重な参考として、今後運輸行政に当たっていきたい、もちろん働く者、労働者の立場なども十分考慮してまいりたい、こう考えております。
  59. 笹山茂太郎

    笹山委員長 坂井委員
  60. 坂井弘一

    ○坂井委員 具体的な問題といたしまして、国鉄の民間会社に対する出資の問題それから業務委託の問題、さらに車両整備工場の予備品の調達とその管理、そうした具体的な問題についてお尋ねしたいわけでございますが、その前にごく基本的な姿勢なりあるいはその方向という立場から簡単にお尋ねをして、以下いま申しました具体的な点につきまして質問を進めたいと思います。  そこで、第一に日本国有鉄道監委員会の活動のあり方についてでございますけれども、この監査委員会国鉄の内部機関ではございますけれども、この任命は運輸大臣が行なっております。そこで、監査委員会からも監査報告が出されるわけでございますけれども、これを見ますと、監査委員会国鉄の業務の監査を行なったときに、「監査の結果に基いて、日本国有鉄道の業務に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、運輸大臣に意見を提出し、」とございます。  そこで、お尋ねいたしたいことは、昭和四十五年度におきまして監査委員会から改善をしようとする事項の指摘は一体運輸大臣にあったのか、なかったのか、もしあったとするならば何件ぐらいございましたか、最初にお尋ねいたしたいと思います。
  61. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 昭和四十五年の監査委員会のことについては、部長のほうから報告させます。
  62. 住田正二

    ○住田説明員 四十五年度の監査報告につきまして、現在資料がございませんので、後ほどお手元のほうへお届けいたしたいと思います。
  63. 坂井弘一

    ○坂井委員 ずいぶんおかしな話ですね。四十五年度は、これをいただきました。私、先ほどからこれを繰ってみたのですけれども、さっぱりわからないのですね。あらかじめお願いしまして概況だけ聞かしてもらいました。四十五年度において改善を必要とする事項として監査委員会から報告のあった件は五件でございます。その内容は、項目だけあがっておりますけれども、中身についてはさっぱりわからない。ずいぶん繰ってみたのですけれども、一体どこに改善を必要とする五件が出てくるのか私がさがすことができないくらい監査報告そのものが——会計検査院の報告を見ますとはっきりするのですけれども、この監査報告ではどうもさだかでない。したがって、そういう点につきましても、どうもいささかこの監査委員会そのものがおろそかにされているのか、あるいはまた委員会そのものが大臣に対してあまりにもはっきりものが言えないのか、そんな勘ぐりさえしたくなる。これはいささか私のうがった見方かもしれません。しかし、いま申しましたように、なかなかはっきり出てこないのですね。いま申しましたように、少なくとも会計検査院の報告のように、はっきりと改善すべき事項が五件四十五年度はあるわけでございますから、この改善すべき事項についてはかくかくしかじかであるということが、はっきり広く国民の目にも触れ、公表し、理解されるような形にすべきじゃないかと思うのですけれども大臣どうでございますか。
  64. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 四十五年の監査の報告がただいま五件あるということでございましたが、残念ながら私も過去のことを知りませんで申しわけございませんが、御趣旨に対しては私も同じ考えを持っております。ただ、今後この監査委員会の報告のしかたについて、私からあまりきつい指示をすることはどうかと思いますけれども、こういう国会委員会などで先生の御意見のようなことが公にされまして、監査委員会にそのことが間接的に指導的な役割りを果たして改められれば、たいへんけっこうだと私は考えております。
  65. 坂井弘一

    ○坂井委員 また、運輸大臣がこの監査委員会に対して監督上監査命令を出すことができる、こう規定されておるわけでございますけれども、どうやら私ずっと調べてみますと、いまだかって監査命令を出されたことはなさそうなんですが、これはいかがですか。ありますか。少なくとも四十五年度においてはなしと……。
  66. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 これも過去の問題だと思いますから、部長からちょっと……。
  67. 住田正二

    ○住田説明員 これまで出しました監査命令は、鶴見事故の際に運輸大臣から特別監査命令を出したのが一件、その他もう一件あるようでございます。
  68. 坂井弘一

    ○坂井委員 なければ私はそれにこしたことはないと思うのです。しかし、いま国鉄においてはあまりにも問題が多過ぎますね。特に膨大な赤字をかかえてまさに憂慮すべき事態に瀕しておる。そういう中で、これから指摘しますことは、具体的にいろいろな問題がある。きわめて良好な形であるならばいいのですけれども、そうしたせっかく運輸大臣が任命した監査委員会がありながら、またそれに対して大臣が監督上これに対する監査の命令権がありながら、それが一回、二回ということにとどまっておるということはどうも不可解であるという感じを持ちます。したがって、どうかこの監査委員会が今後において適切な活動のできるような体制に持っていっていただきたい。これはお願いにとどめまして、次の問題に移りたいと思います。  鉄道建設公団法がございますが、公団法の第一条には「目的」を規定いたしまして、第十九条に「業務の範囲」として「鉄道新線に係る鉄道施設の建設」、それから「鉄道施設を日本国有鉄道に貸し付け、又は譲渡」ということがうたわれておるわけでございますけれども、いま在来線等で赤字線の中の一部については、これを自動車道にしたらどうだというようなことが国鉄内部でも論議を呼んでおる。また現実の問題としてすでに奈良の阪本線あたりは国鉄のバスが通っておる。こういう事態にかんがみまして、鉄道建設公団法を改正して、自動車を走らす自動車道の建設また営業ができる、こういうような方向に改正してはどうかという点でございますが、いかがなものでしょうか。
  69. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 この日本鉄道建設公団が建設しておりますAB線の中には、沿線の産業の衰微している状況とか、あるいは人口が非常に減少いたしまして過疎地帯が増加している状況とか、いろいろ非常な変化を来たしておる地方がございますが、これらの沿線の、ただいまお話のあるようなAB線を自動車道に変えたらどうか、これは御意見のような点がございますが、これにはやはり鉄道建設公団法の改正が必要だ、こう事務局から私のところにもいわれておりますので、その実態によってやはり自動車道に変えることも必要かと思います。しかし、また一面におきましては、AB線必ずしも過疎地帯になっておりますからということで全面的に自動車道に変えるということでなく、そのままの形で地方開発の役目を果たす線路も相当あるかとも思われますので、これら両方の部面を十分検討いたしまして対処しなければならない、こう考えております。
  70. 坂井弘一

    ○坂井委員 決算上、たとえば昭和四十五年度国鉄財政赤字を見ますと、千五百十七億、このうち地方交通線の赤字が千四百二十八億ということでございますね。たいへん膨大であります。したがって、これは今後走らしても赤字がますますふえる。国鉄財政再建はおろか、さらにそれに拍車をかける、こういうような悪循環を生むおそれを多分に持っておる。したがって、これを自動車輸送に切りかえるということは、ある意味からいいますならば、国民経済的に見ても非常に適切である、そう言われるような、思われるような線区については、これはやはり積極的に進めるべきではないか。すでに国鉄もそういう方向づけをされておるというようなことでございまして、いま大臣の御答弁もありまして、いま改正の方向ということでございますので、私、異論はございませんけれども、しかしなかなかこれが、やはり具体化される段階においては、従来、ともするとあるいは政治路線といわれ、すでに廃止予定線に並行して新線の建設というような問題がまことに不可解きわまるということで、世間でいろいろ喧伝、取りざたされておりますね。  そういうような中で、私あえて大臣に一言苦言を呈したいと思いますが、実は昨晩テレビで大臣と初めて対面しました。例の白糠線の問題であります。かつて当決算委員会におきまして、今日建設を予定し、あるいはそうした工事路線として進めている線区の中に、もう赤字は必至である、したがって、なかなかこの工事は続行することはできない、断念をしたというような線区が幾つかありまして、そういう一環として白糠線を取り上げたわけであります。しかるに今回、白糠線が、大臣のツルの一声といいますか、みごとに走るようになった。地元にとってはまことにけっこうだと思う。私は何もそのことについてとやかく言うつもりはありませんけれども、しかしこれを見てみますと、非常な赤字を覚悟ですね。地域開発のためには、そうした公共性ということを第一義に考えて、赤字は問題じゃないのだというような大臣の御発言、また同時に、そうした過疎化された地域に線路を引けば、そこには人が集まってくるのだというようなお考え、そういう中でこの白糠−北進間ですか、開通をした。これはお客が一日平均わずかに十七人くらいしかない。営業係数を見ますと、何と驚くなかれこれが四四六三、つまり日本一の赤字線になる。これは最初から目に見えたことなんですね。いますでに地方交通線で赤字に悩む線区のうち八十六線区までが廃止の方向で検討しておる。そういう段階、そういう現状にあって、もう白糠線はだめなんだ、二年間も雨ざらしにしてきた。それを今度大臣は走らすとおっしゃる。相矛盾したことですね。私は、その辺の国鉄の今後に対する明確な基準といいますか、一つの方向というものを持たなければ、またしてもとやかく世間から、あれは政治路線ではないか、あるいはまた大臣路線ではないかというような批判を受ける。そのことに対して国民が納得するような明確な説明ができなければ、何だ、国鉄はこんな膨大な赤字をかかえながら、この醜態は何たることだというような批判がまたけんけんごうごうと起こるというようなことを私は非常に懸念するわけです。したがって、いま言ったような方向といいますか、今後の方針といいますか、そういうことについて大臣の明確な御所見なりを承っておきたい。
  71. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 いい機会でありますから、はっきりした私の考え方を申し上げたいと存じます。ことに具体的に白糠線という線路を名ざしてのお話でありますから、それを含めてお答えしたほうがよろしいかと存じます。  閑散線あるいはAB線いろいろございますが、国鉄のいろいろな全国にわたります線路を検討いたしまして、最近やはり国鉄の大きな財政的欠陥が生じているものでございますから、赤字路線というものに対する国民の関心が深いかと思います。しかし、国有鉄道という本体から見ますと、黒字になるところばかり営業するということが国鉄の本体ではないと思います。やはり国が営業をつかさどるということは、多分に公共性というものを持つために自由主義経済のもとでも国がこれを運営、営業するという形をとっている、こういうことには御同意が願えると私は存じます。ことに白糠線などという——北海道という地方は御承知のとおり、昭和二十五年北海道開発法というものができておりますように、国の方針に基づいて北海道を開発しよう、そうして北海道開発のために開発大臣までも置きまして、開発予算というものが特別につくられまして、最近は毎年二千億円以上の開発予算を計上しているような状態でございます。ことに北海道のような、七万八千五百平方キロメートルというような広大な土地に、鉄道という動脈的な役割をなす線路がなかったならば、とうてい開発などというものはできないと私は考えております。  白糠線につきましていろいろな御意見があるようでございますが、私が北海道であるから、あるいはきのうのテレビでは大臣の選挙区だというようなことを言われたそうでありますが、全然選挙区でもございませんし、白糠などには私は一回も行ったこともございません。内地の人の考え方で北海道を論ずることは大きな誤りだと思います。何百キロと離れて、しかも選挙対策だというような意味をも含めたそうでありますが、選挙対策をやるなら票のあるところで選挙対策をやるのが当然でありまして、御説のように十七人や十八人しか乗らないようなへんぴなところで選挙対策をやるばかはありません。同時に白糠線の建設というものは、過去幾多の人たちによって、あるいは委員会等によって論議され律して、この線の持つ使命というものは白糠線地方のいわゆる炭鉱並びに森林開発のために建設すべきものであるという決定がなされたようでございます。これは私が運輸省に参りますもう十数年も前のことでございますから、そういう決定に基づいて線路が敷かれた。しかも、すでにもう一年以上、お話のように二年近くも前に線路ができ上がりまして、あるいは駅の庁舎もでき上がりまして、プラットホームもできて、営業を許可しさえすればすぐ営業ができるという形になっているのでございます。国民の血の出るような税金を十億もこれに投じましてでき上がったものをそのまま赤さびにし、スクラップにしてしまうことが、はたしていままで投資した意味と目的を達することができるのか、そのことが北海道のために、国家のためになるのか、私も十分考えました。  しかし、あの地方は、石炭はすでになくなったといわれておりますが、森林資源はまだ豊富にあるのであります。しかも、鉄道ができますれば、最近私のところにもたくさんの陳情が来ておりますが、従来木材を運ぶためにはトラック輸送に切りかえたところも多分にあるようでございます。しかし、最近の、要するに道路のいろいろな条件がトラックとマッチしておりませんので、このごろではまた再び貨車輸送にかえてもらいたい、月のいわゆる計画を私のもとによこしまして、これこれの貨物を、いわゆる貨車を回してもらいたいというような陳情が北海道の各地から参っておりますこともにらみ合わせまして、この鉄道を引くことによって、石炭が使命を終わった今日、森林資源でも開発することができるならば、当初考えました白糠線の目的を達成することができるのではなかろうか。もちろんお客さんを目的とした鉄道じゃございません。しかし、開発されて将来あの地方が活気づきまして、お客さんが乗るようになれば、これは幸いなことでございます。だからもともと、お客さんの数による採算的な係数によりますと、お話しのように赤字であることは、これは間違いないことでございます。しかしあの営業許可をしたときには、私は日本の鉄道を営業許可いたしました。北海道の白糠線、それから九州の高千穂線、これもでき上がった線路でありますから、ただ単にでき上がったものを北海道だけ許可して九州を許可しなかったというようなことでございませんで、そういうような公平な扱いをしたのでございます。幸いにいたしまして、九州の高千穂線は観光目的が非常に多うございましたので、最近では予想の二倍、三倍のお客が利用しているようでございます。同じ時期に営業許可を与えました白糠線がお説のようなことでお客さんが少ないということについては、私はまことに遺憾には思い、残念ではございますけれども、しかしある程度の時期を見ていただきますれば、以上申し上げたように、必ずこの地方で森林資源の開発ができるのじゃないか、こういうように期待をいたしております。先ほどいろいろな人から何か北海道大臣が自分の選挙対策とかいろんな事情で、そんな小さな考えでこれを営業許可したのでないという答えを申し上げる機会を与えていただきましたことを私は心から感謝いたします。こういうことは言いわけになるかもしれませんが、将来ともに閑散線とかあるいは赤字路線とかローカル線につきましても、公共的な使命を持ち、地方開発の使命を持っておる地方に対しましては、赤字でありましょうとも勇敢に今後とも持続させていきたい、こういう基本的な方針は変えておりません。
  72. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣一般論としては私わかります。また白糠線あるいは高千穂線にしても、特殊な事情があったということもこれまたうなずける。しかしながら当初の建設目的というものからして、今日の情勢は非常に大きな変わり方をしておる。白糠線についてはいまの炭鉱の問題森林資源がある、こうおっしゃいますけれども、そういう諸般の情勢から見て、これはとうてい営業は無理だというわけて——もちろんこの間には見通しの甘さ、あるいはずさんなそういう計画の決定等にもさかのぼれば遠因はあるでしょう。が、しかし、そのことはさておくとしましても、現実の問題といたしまして、いま国鉄は膨大な赤字をかかえ、さらにこの上まだ赤字を積み重ねていくであろうところのこういう白糠線に対しては、もう手がつけられぬような状態にあったわけです。それに対して大臣はまことに勇敢にこれに許可を与えた。しかしここで非常に相矛盾する問題がある。つまり公共性を第一に考えて、赤字であろうが何であろうが、私はそういう必要な線区については許可していくんだとおっしゃるその基本的なお考えはわからぬではないけれども、しからばこの膨大な赤字をさらに上積みしていくであろう赤字を一体どうするのだ、その根本的な問題、これは相矛盾する問題ですね。しかもいま言っているように、白糠線については日本一で四四六三という係数になる。森林資源等を貨物輸送する、それだけのあれだといまおっしゃいますけれども、営業係数四四六三というものをこれから少なくとも赤字幅を小さくしていく、どの辺までいくという、そういう見通しが一体あるのかどうか。言うならば、いま八十六線区を廃止まで計画をしておる。そうしますと、これは廃止しなくたっていいんだ。それぞれ地方には、その線区線区にはみな事情があります。何のあれもないのに線をつけよう、新線建設をしようなんて、そんなでたらめなあれはないわけですから、ずいぶんと論議が尽くされて、そうして決定した。いまの時点になって、それがあやまちであれ何であれ、そういう形をとってきたことには間違いがない。しかるに今日の情勢の急変といいますか、そういう社会的な変化も一因となりまして、どうしてもこれは営業は無理だ、そういう路線がいまたくさんある。しからばそれらも全部勇敢にこれは廃止しない、赤字であろうが何であろうが公共性第一なんだ、全部走らせます、これはこのまま続行いたします、こういうお考えなのか。それならば一体その裏づけとなる財政はどうするのだ、赤字対策はどうするのだ、国鉄再建は一体どういうような妙手があるのかを私はお尋ねしたくなるわけです。大臣いかがですか。
  73. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 決して議論を申し上げるわけではございませんが、八十数本の赤字路線をそれじゃおまえは全部残すのか、そういうものではございません。その鉄道の一本一本の持つ使命と地域住民の要望、あるいはまたその赤字の出ます係数、いろいろな点を考慮いたしまして、この線にはこの線の使命があるというものにつきましては、たとえ赤字であろうとも今後ともにこれを残す、こういう方針でまいりたいと思います。またもう使命が終わってしまっている路線については、地元の方々の御理解をいただきながら配慮する場所も出てくるかと思います。それからまた公共性という問題につきましては、必ずしもこれは過疎地帯ばかりでもございません。また過密地帯におきましても、当然赤字を覚悟の上で線路を敷かなくてはならぬ場所もございます。たとえば地下鉄などは、東京の地価の高いところでございますと、一キロ七十億とか八十億とかの工事費もかかりますけれども、この赤字が将来ともに回収の見込みがないという鉄道につきましても、地域住民の生活の問題あるいは福祉の問題等を考えれば、今日赤字だからといって手をこまねいているというわけにもまいりませんので、その地方の実情に即しまして交通対策をやりたい、こういうことでございます。
  74. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣おっしゃることは、大臣の御所見、御見解、今後の方針、基本的な方向ということについてのお話でありまして、きわめて抽象的なそういう方向づけの話でございます。それはそれとして承っておきますが、ただ、私いま申し上げておりますように、この赤字対策ですね。国鉄再建財政再建、これが緊急喫緊の非常に重大な事態に直面しておるという現状にかんがみて、その辺のところをどう首尾一貫させるかというところが非常に大きな現実の課題なんですね。そこのところを踏まえなければ、大臣の勇敢ということはいいのですけれども、これが暴勇というのですか、無謀なことになっては相ならぬ。つまり具体的にはこれが国民にしわ寄せされる、あるいは運賃値上げ、そういう形にはね返ってきたのでは、これはたまったものではない。公共性を第一に考えるという方向、これはわかります。しかし、それらはやはり陸海空にわたる総合交通体系政策の中で鉄道の果たすべき役割り、分野、そういうものを十分総合的に判断した中で明確な方針を持たなければならないということを私は申し上げているわけでありまして、そういう点についてはここでさらに議論を重ねようとは思いません。どうかひとつそういう点で大臣は十分慎重な御配慮と明確な方針を持っていただきたいということを要望しておきたいと思います。  では具体的な問題に移りますが、国鉄出資の問題であります。出資会社は一体何社くらいございますか。またその合計出資金に対します国鉄出資額、これはいかほどになっておりますか。同時にその出資比率、それらを数字だけでけっこうです。
  75. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄出資には二種類ございまして、法律で直接きまっているものと、それから国鉄法第六条による出資と二つございます。法律で直接きまっておりますのは、先ほどの日本鉄道建設公団、それからもう一つ東京の地下鉄でございます帝都高速度交通営団、この二つは法律で直接きまっております。それ以外は国鉄法第六条によります政令に定める範囲内で出資することに相なっております。現時点におきまして、先ほどの法律による二つを除きますと、全体で三十二社、それから出資総額が七十五億でございます。
  76. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の手元の資料が古いのでしょうか。四十六年三月現在では出資会社が二十五社、出資額の合計が六十億九千五百万円になっておりますけれども
  77. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは四十五年度末の資料でございますが、私申し上げましたのは最近の四十六年度末で申し上げたわけでございます。
  78. 坂井弘一

    ○坂井委員 それではお尋ねしますけれども、三十二、三社ですね、そのうち配当のあった会社、それから配当率、同時に配当額はいかほどでございましょうか。
  79. 磯崎叡

    磯崎説明員 配当いたしておりますのはそのうちの三社でございます。配当額が三千七百万円でございます。
  80. 坂井弘一

    ○坂井委員 三十二、三社ありまして、配当のあったのがわずかに三社、三千七百万、ほかは設立当初から一切配当はなかったということでしょうか。
  81. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうは出資いたしております会社もいろいろさまざまでございますが、いままでは主として貨物輸送の手足になるような会社に出資いたしておったわけでございまして、これも実は最近の資料でたいへん恐縮でございますが、私のほうは配当よりも会社の基礎をしっかりしろという意味で、実は二十五社の中で単年度黒字になりましたものは十三社ございます。それから赤字が七社、現在準備中のものが五社ということで、大体半分近いものは配当すれば無理してできないことはないのでございますけれども、できるだけ法定準備金をたくわえ、そして会社の基礎を固めるということに主力を置いておりまして、配当よりも会社の経営内容をきちっとしろということに重点を置いております。それができました暁に配当すればよろしい、配当率もそう高くなる必要はないということで、大体六分でいま押えております。あとは極力会社の基礎強化あるいは設備投資に回しなさいというふうな指導をいたしておりますが、考え方としては大体そういう考え方でやらしております。
  82. 坂井弘一

    ○坂井委員 私の手元の資料は四十六年三月末現在、出資会社が二十五社で、これの合計資本金が百六十一億二千七百万、これに対する国鉄出資額が六十億九千五百万、出資比率は三七・五%、こういう数字が出ているわけでございますが、これを見ますと、五〇%、国鉄が半分あるいは半分以上出資しておるようなところもあるわけですね。ちなみに東京液体化成品センター株式会社、この比率は六〇%国鉄出資、この設立が四十二年八月ですね。すでに五年も経過しておる。これは配当が今日までなかったということだと思いますけれども、いまお話しのように、むしろ内部充実のほうにという趣旨、方針でこられているということだと思いますけれども、少し長過ぎませんか。また将来の見通しはどうなんでしょうか。
  83. 磯崎叡

    磯崎説明員 具体的な問題で、もし間違いましたら担当のほうから訂正させますが、いま御指摘の会社は創立後五年でございます。四十四年度から当期の利益金を出しております。これはこまかい数字でございますが、四十五年度は一千九百万円の黒字を出しておりますけれども、先ほど申し上げましたような趣旨で、もうしばらく会社の基礎を固めるべきだということで、話を聞きました上で配当をさせてないという会社でございますが、あと一年くらいしまして一この液体化成品と申しますのは御承知の化学薬品でございます。非常に最近輸送がふえておりまして、各駅でばらばらにやりますと非常に危険である、地域住民にも非常に御迷惑をかけるということで、全部東京一カ所に集めたわけでございます。しかし輸送の伸びがわりに大きいものでございますから、会社の経理状態がよくて、二年以内でもってすでに単期の黒を出しておりますが、これをどういたしますか、今後の問題として配当させるか、あるいはもっと安全の問題あるいは環境の問題等に設備投資をさせるか、これはもう少し具体的な実情に沿って考えてまいりたいと思います。
  84. 坂井弘一

    ○坂井委員 いま特定の会社名をあげました。別に意図があってのことではございません。出資比率が非常に大きいというような会社の一例として申し上げたわけでございますが、同時に、そういう会社出資国鉄がうんと持っておりながら配当がないという事例としてあげたわけですけれども、同じようなケースとして名古屋臨海鉄道、これなんかも四六・九%の比率ですね。あるいはまた日本飼料ターミナル株式会社五〇%、あるいは全国通運五〇%。四〇%の率もかなりございまして、平均しまして三七・五%、相当の比率を占めておる。ですから、こうした出資会社に対する指導、監督、育成ということに対しては、これはやはりうんと慎重でなければならぬという意味合いにおいて申し上げているわけでございます。ところで、これを見ますと、昭和四十四年、四十五年、この両年度にわたりまして設立したものが非常に多いわけです。二年間で二十五社中十社ございます。これはどういう理由からでしょうか。
  85. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄法の第六条の改正が実はございまして、第六条と申しますのは、それまでバスターミナルだけにしか出資できなかったわけであります。それをやはり関連した事業をもっとやるべきだ、ことに貨物の面におきまして、たとえばどんどん臨海工業地帯ができるのに、荷物がどんどんトラックに行ってしまう、これではいけない、しかし国鉄自身として臨海鉄道をつくるのはとても金がなくてやれないということで、民間の資金を入れる意味におきましてつくったわけでございますが、その後旅客のほうにつきましても、乗車券の委託販売、あるいはごく最近におきましては民衆駅等も、御承知かと存じますが、実はあれは国鉄の資本がいままで全然入っておりませんでした。ただ国鉄といたしましては用地使用料を取れるだけでございまして、実は非常に間の合わないと申しますか商売をやっておったわけでございますが、これも昨年の一月に政令を改正していただきまして、いわゆる民衆駅にも出資できるようにしていただきました。そういたしますと、使用料のほかに売り上げによります一つの社業、会社の経営状態に対するメリットが、うちとしては何か出てくるわけでございます。そういう意味でなるべく複合的に国鉄に利益を入れたいという意味で法律改正し、また政令の拡張をいたしましたので急激にふえました。それまでいろいろお願いして実はなかなか法律改正できませんでしたが、やっとできたので急にふえたわけでございます。
  86. 坂井弘一

    ○坂井委員 これらの出資会社の設立時点で企図した目的が十分果たされていない、そういうものがあるのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  87. 磯崎叡

    磯崎説明員 個々の会社の名前をあげて申しわけありませんけれども、いま聞くところによりますと、鹿島臨海鉄道、それから新潟臨海鉄道、これは御承知のとおりいろいろな状況によりまして進出会社の進出が非常におくれておりまして、そのために経営状態が予期どおりにあがっていないというようなことでございます。ほかは大体予定どおりいっているという状況でございますが、もし具体的に御質問がございますれば、担当の局長のほうから御答弁させたいと思います。
  88. 坂井弘一

    ○坂井委員 では計画どおりの実績のあがっていない会社があると思いますけれども、どのような会社でしょうか。
  89. 泉幸夫

    ○泉説明員 計画どおり実績があがっていない会社は、ただいま総裁から申し上げましたとおりでございまして、主として臨海鉄道地元の県あるいは市町村または進出会社から強い要望がございまして、私ども関係者寄り寄り集まりまして相当かた目の計画を立てて実は会社を設立したわけでございますけれども、御案内のとおり鹿島臨海鉄道、新潟臨海鉄道それぞれ四十四年の設立でございますが、当時ちょうど不況の波に洗われまして、進出を予定されておった会社が二年ないし三年おくれておる、あるいは中には取りやめたといったようなことがございまして、そういった関係から、すでに進出されている会社は大体計画どおりの出荷をしていただいているわけでございますけれども、いまだに、建設がさたやみになっておる、あるいは延びておるという会社が相当数ございます。たとえて言いますと、鹿島臨海の例でありますが、大体十八の会社が進出予定になっておったわけでございますが、現在八社が進出して操業しておるというようなことでございまして、それらにこれから進出してくるであろうというところの計画社を入れますと、大体計画どおりの実績にはなるわけでございますが、残念ながら進出が経済の不況によりましておくれておる、こういうことでいま申し上げました臨海鉄道の二つが計画を大幅に下回っておるというのが現状でございます。
  90. 坂井弘一

    ○坂井委員 それは見通しはついておるのでしょうか、今後の方針、計画としましては。
  91. 泉幸夫

    ○泉説明員 臨海鉄道は、御案内のとおり、臨海工業地帯の開発、そこになくてはならない鉄道をどうしても先行的に敷くということでございますので、先ほど総裁から答弁申しました中で、特に鉄道と同じ性格のものでございますから、非常に先行投資が多いということで、なかなか単年度黒字になるのが、平均いたしますと、過去の実績で申しまして四年ないし五年かかっておるわけでございます。そういった中で、いま申し上げました二社がそういう状態でございますので、当初計画をいたしておりました業務に対処する精力を減らしたり、あるいはさらに出荷誘致をやりまして、当初計画よりも二、三年のズレはあろうかと思いますが、大体五十年ごろには二、三年のおくれで所期の目的が達成できるように鋭意経営者陣営が努力しておるような状態でございます。
  92. 坂井弘一

    ○坂井委員 こういう出資会社には、運輸省あるいはまた国鉄関係者が端的に申しますと天下った会社が非常に多いわけですね、全部じゃございませんが。いかがですか。
  93. 磯崎叡

    磯崎説明員 各出資会社のやる仕事によりまして、いま先生のおっしゃったとおり、うちの出資会社にたくさん行っているところもございますれば、あるいは最近つくりました、たとえば飯田町の紙のセンター、これは飯田橋の駅にだいぶ姿をあらわしておりますけれども、東京じゅうの紙を全部あそこへ集めるということで、これは紙の連中に主になってもらいまして、私のほうがその用地を提供し、また輸送をやるという意味で、両方のコンビネーションでやっております。それからまた、これも北海道の農産品を東京に安く持ってぐるということで、田端に農産物の倉庫を、これは道庁とホクレンと三者でつくりまして、私ども出資いたしまして、そして実際の操業、業務は私どもくろうとじゃございませんので、ホクレンの人に専務をやってもらっているというふうな形で、よその知恵を拝借しなければならないものは十分民間の方に来ていただく。それから鉄道会社のように鉄道の人間だけでできるというものにつきましては、現場の諸君もなるべくそこへ入れて第二の仕事場を与えるというふうな考え方で、各会社の内容によりましていまおっしゃったように、一律ではございませんけれども、相当そういう点については非難を受けないような考え方でやっておるようなつもりでおりますが、具体的に多少問題があるとおっしゃられればそうかと思いますけれども、できるだけ私は適材適所で、ほんとうに能力のある人を持っていきたいというふうな考え方でございます。
  94. 坂井弘一

    ○坂井委員 そこで、総裁に御提案申し上げますけれども、とかく天下りの弊害についてはいろいろいわれるわけですね。私も、具体的には実はさだかでございませんが、幾つかの問題をこの出資会社につきまして聞くわけであります。したがって、この際、そうした天下り等も含めまして、出資会社の総点検と申しますか、一度実態調査をこの辺でやられて、そして今後の国鉄の健全な経営あるいはまた財政再建という面に資するということも非常に大事なことではないかと思いますので、総裁、そういう方向で御検討される御意思はございませんか。
  95. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまお説のとおり、だんだん出資会社もふえてまいりますし、また出資金もふえてまいります。したがって、当然出資管理という面におきましても、その点については厳重にやらなければいけないと思いますが、さなきだに苦しい財政でございますので、そういう方面の専門家、会社管理の専門家と申しますか、そういう者も入れまして、実はいままで私のほうにはそういう専門部局がなかったのでございますが、一昨年になりまして、事業局というのをつくりまして、民間会社で申しますれば関連事業管理部と申しますか、そういう会社経営の専門的な知識でもって見るという、一つの横に並べた見方をしなければいけないというふうな角度からやっておりますが、ただいま先生からお話のあったことは、私、非常に適切なことだと思いますので、ぜひひとつ、多少その場、その場でできているきらいもございますので、もう一ぺん横に並べてみまして検討してみたいと思います。資料は大体ございますので、一度それを並べて再検討いたしますことを約束いたします。
  96. 坂井弘一

    ○坂井委員 関連したような問題になろうかと思いますが、業務委託についてでございます。国鉄の業務の部外委託、これは非常にふえてきておりますね。四十五年度の業務委託費というのは一体どれくらいございますか。
  97. 磯崎叡

    磯崎説明員 業務委託費は、四十五年度が四百六十二億でございます。それから四十六年度は五百二十六億でございます。
  98. 坂井弘一

    ○坂井委員 相当な伸びといいますか増加を来たしておるわけです。四十四年度で三百六十八億でありました。四十五年度が四百六十二億、四十六年度になりますと五百二十六億ですね。たいへんな伸びだと思います。そうなりますと、やはりこの種の業務委託というものは、ある意味では国鉄の分身的な役割りを果たす。これが適切に運営されますと、国鉄財政自体についてもある面では寄与する部分もあるでしょう。しかし、一たん運営あるいはまたこれらに対する監督、指導を誤りますと、これまた思わざる不測の事態を招くという性格のものかと思います。したがって、こうした部外委託というものが今日まで適切に行なわれてきたかどうか。もし、この業務委託に問題ありとするならば、どのような問題があるか。またそれらはどういう方向に改善されてきたか。あるいはまた今後の方向といいますか、そういう点について総裁のお考えがございましたらばお示しいただきたいと思います。
  99. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は私のほうの業務委託に大きく分けて二種類ございます。一つは、非常に昔からやっておりました、たとえば交通公社に切符を売らせるということ、あるいは通運業者に貨物あるいは荷物の積みおろしをさせる、あるいは配達をさせる、こういうほとんど国鉄が始まって以来やっておりました業務委託、それが一種類ございます。これは受託会社は、たとえば日本交通公社とか日本通運とか、そういう古くからある旅客、貨物のあっせん、代売等をやっておる会社でございます。それから最近起こりましたのは、いわゆる近代化合理化によりまして、主として単純な労務作業、これを私どものほうの非常に高い人件費職員でやることは非常にむだであるというたてまえから、これはどのビルでもやっておられるようですが、たとえば掃除業でございます。ことに私どもは客車の掃除が非常に大きゅうございます。客車の掃除あるいはもちろん便所なども含めまして掃除、あるいは新幹線の白いきれを取りかえるという労務作業、いわゆる単純作業等を、各管理局ごとに小さい会社でございますがっくりまして、もう鉄道をやめた連中でも十分できる仕事ならば、何も現役の高い給料を払う必要はないという意味におきまして、単純労務作業を部外に出すという業務委託。それからもう一つは、これも最近各地でいろいろ問題になっておりますが、私のほうの駅をやめる、そしてその付近の、場所によりましてはたばこ屋にお願いしたり、あるいは農協にお願いいたしておるところもございますが、駅の仕事を部外の方にお願いするという駅業務の委託というものを最近ずっと始めております。これはいわゆる駅の無人化、近代化等に伴いまして私ども職員を引き上げますが、地元に御迷惑をかけちゃいけないという意味で、その地元の方あるいは先ほど申しました農協なんかにお願いして業務委託をするという駅業務の委託、これも実は最近、ここ一二、四年間、まあせいぜい四、五年の間に起こった業務委託でございます。それから特に最近、ちょっと前に話が戻りますが、先ほどの乗車券の委託販売、あるいは貨物の積みおろし等に関連いたしまして最近コンテナが非常にふえております。そのコンテナは、私のほうは荷主からドア・ツー・ドアの運賃をいただきますが、コンテナの集配、積みおろしは全部私のほうでじかにいたしませんで、これは通運業者がやるわけでございます。これは日本通運その他の一般の通運業者みなやっておりますが、このコンテナ輸送の増加に伴うコンテナの積みおろし料、配達料等も業務委託に入ってまいります。さっき先生おっしゃいましたように、四十四年と四十五年の比較の急激なふえ方、私もちょっとふしぎに思って調べましたら、これは万博の輸送増によります旅客関係のいわゆる交通公社あるいは日本旅行等の代売業務といいますか、乗車券販売手数料の増加が一番おもな原因でございます。それから四十五年から四十六年にふえましたのは、これは主としてコンテナでございます。  そういう意味におきまして、実は先ほど申しました労務単純請負業のほうで非常にいま問題がありますのは、一時は非常に簡単に労務者が獲得できたのに、最近になりますと、やはりどういう作業でも労務者が獲得できないということで、単純な清掃とかあるいは整備とかという仕事をやる会社につきましても非常に労賃が実は上がってきております。これをどういうふうにするか。なるべく中高年齢層を使って、高くない給料ベースでやっていきませんと、私どもじかにやったのと同じことになりますので、そういうことのないように、できるだけ労賃を切り詰めて、しかし、一般の労賃の値上がりが現実にあるわけでございますから、それと見比べた上で、単純に請負にするからそれだけ利益が上がるのだということにはならないと思いますので、一番私どもの問題点はその点でございます。ですから、単純労務作業はいままでわりあい簡単に部外に出しておりましたけれども、今度は、その地域における労務者の獲得状況、ことに中高年齢層がほんとうにとれるかとれないかというふうなことを見た上でいたしませんと、何か目的と結果が違ってまいりますので、その点がいろいろ問題かと私は考えております。  それから旅客、貨物関係プロパーの業務委託につきましては、これはむしろさほど問題ございませんで、あとは手数料率をどうするかというふうな問題になってまいりますが、これは主としてほかの、航空会社がたとえば交通公社に幾ら手数料を払うか、あるいは宿屋が幾ら払うかというような問題もいろいろ問題ございます。それらと見比べた上で、料率の問題が非常に問題になりますが、さっき申しました二つの大きなカテゴリーによって多少問題は違ってまいりますが、現実はそういう状況でございます。
  100. 坂井弘一

    ○坂井委員 この業務委託をしておる相手方の会社を見ますと、日通あるいは交通交社、日本旅行、鉄道弘済会、弘済整備その他と、こうなっておるわけですが、言うならば国鉄一家でございますね。私はこれは契約方式に問題があるのではないかと思うのですが、契約方式は、これは全部随契でございますか。
  101. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは全部随契でございます。
  102. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、いま総裁から御答弁ございました、たとえば清掃整備、これを見ますと、百三十六億五千一百万、たいへんな額でございます。清掃整備まで随契というのは、私はいささかふに落ちないのですが、これはいかがでしょう。
  103. 磯崎叡

    磯崎説明員 特に私は法律を持ち出して云々という御答弁よりも、実際のことを申し上げてみたいと思います。  普通の清掃整備と申しますと、たとえばこういう建物なんかにいたしましても、大体昼間、朝来て夕方まで掃除して帰るというふうな、大体そのオフィスの勤務時間と同じような勤務体制をとっておりますが、私のほうの清掃整備になりますと、たとえば客車が夜帰ってくる、そうすると夜じゅうに掃除して朝出すというふうな勤務と申しますか内容が、非常に列車ダイヤにこう左右されたような勤務のやり方が非常に多いわけでございまして、普通のこういう一般のビル会社などの掃除とは非常に中身が違っております。その意味で、むしろそういう非常に不規則勤務をさせなければいかぬということで、したがって、人の獲得もむずかしいという点もあるかと思いますけれども、主として、その作業がきわめて一般的でない、不規則である、鉄道のダイヤと同じように昼でも夜でも掃除をしなければならない。ことに夜間になりますと、やはり客車の入れかえあるいは貨車の入れかえをしておりますまん中でやらなければいけないというわけで、実は相当危険でございます。ある意味で単純労務とは申しながら、その環境になれないとやはりあぶない。現に実はそういうことで犠牲者が出ることもございます。そういう意味で、時間的に非常に制約されている、そして不規則である、それからある意味の危険も伴うという意味で、随契をやっておりますが、実はこれをオープンにしようと思ってやったこともございますが、全然引き受け手がない。とてもそんな、いまの給料でもって、国鉄からもらうような金じゃやれないというふうなことも実はございまして、随契にいたしておりますが、もし各地域でこれをやってみたいというふうな方があって、そして永続性があるということになれば、私のほうは決して門戸を閉ざす気持ちはございません。ただ、実際に非常にむずかしい業務でございますので、私の御答弁が法律的なことでなくて、実際的なことを申しましたが、法律論よりも事実、実情を申し上げて御答弁にかえたい。
  104. 坂井弘一

    ○坂井委員 総裁せっかくの御答弁ですけれども、監査報告を見ますと、「受託会社の企業努力が十分発揮できるような委託方式への再検討、同一地区で各種の作業を個々の会社に委託しているものの集約等をはかることが」大事だというような点の指摘、さらに、それらをひっくるめまして、契約方式、積算内容等全般にわたって一貫した方針のもとに見直しをして、効果を高めるとともに、受託会社の指導を行なうべきである、こういう監査報告があるわけですね。これはまさにそういう事実、実態にかんがみての報告であろうと私は思うのです。具体的な事例、問題としましては、非常に高い金を国鉄が払っているというような具体例も幾つか聞きます。  そういうようなことからしまして、いま総裁のおっしゃるような、確かに特殊な事情等ありまして、随契にしなければというような面も多々あろうかと思います。しかしまた、いま申しましたようなこの清掃整備等につきましては、あながち随契にするというような特殊な技術というものをことに要する問題ではない。まあ、安全とかいろんな面についての十分な配慮はなさるべきでしょうけれども、したがってそういう点でさらに契約方式もやはり検討と見直しをしなければならぬのじゃないか、私もこの方向には実は同感なんです。  そこで会計検査院にお尋ねしますけれども、こういう随契のあり方に対して検査院はどうですか。御意見があれば検査院のひとつ見解を伺いたい。
  105. 石島芳夫

    ○石島会計検査院説明員 私ども検査にあたりましては、結局事業が適切に行なわれて、かつより経済的に、あるいはより合理的に、あるいはより能率的に行なわれるということが大切だと思いまして、そういう点に着目して検査しております。今後契約方式が実情に合っていないというような点がございますければ、その点についてはなお検討したいと考えております。
  106. 坂井弘一

    ○坂井委員 実情に合ってないとするならばということの前提においての検討ということでございますので、どうか会計検査院においては実情をひとつつぶさに調査してもらいたい。その上においてしかるべき結論を出していただきたい。御答弁はけっこうであります。  最後の問題で、国鉄車両工場における予備品の調達と管理の問題でございますけれども昭和四十五年度のこの車両工場の予備品、つまり車両の部品ですか、これの調達額を見ますと、総計で十九億三千二百三十二万五千円、こうなっております。ところがこのうち早期または過剰調達額、これが三億九千二百五十五万、それから簿外品調達額、これが千七百八十五万というようなことに相なっております。三億九千二百五十五万という早期または過剰調達額が出たその原因は一体何でしょうか。どこにあったのでしょうか。
  107. 松田右近

    ○松田説明員 お答え申し上げます。これは、車両部品を調達をいたします際に各工場でいたしますが、その各工場でいたします場合の調達の基準がまちまちでありまして、検査院の御指摘を受けましたとおり、調達価額を基準としてやるか、あるいは車両等でございますと、車両の故障等を考慮に入れて、その後車両がほんとうに定期修繕に入る、定期検査に入る、そういうときの実際の数量を考慮して予備品を調達する、こういう点の個々の配慮が欠けていたことによるものと思われます。  なお簿外品につきましては、これも検査院の御指摘のとおりでございまして、会計処理といたしまして五分の一を資産に充当すべきところを間違って処理しておりまして、これはまことに当を得ていない措置をいたしておりましたので、さっそく改善をいたしたわけでございます。
  108. 坂井弘一

    ○坂井委員 いまお答えが出ましたので、私この問題をさらに詰めようとは思いません。しかし、こうした車両工場等における部品の調達等についても、十分目を届かして、むだのないようにしなけければならぬという問題として申し上げているわけでございます。確かにいまおっしゃっているとおり、一つの基準が明確ではない。少なくとも各車両工場の予備品の保有数量の算定基準が明確にされておらない。そういうところを明確にすべきであろう。検査報告等にもありますように、年間修繕車両の増加数を基準にするのではなくして、修繕車両数の最も多い月に必要とする数量を基準にすべきである。これは反復使用するわけですから、むしろ常識過ぎるほど常識的なことですね。こういうことが守られていないという実態、あるいは新製車両増備の際の予備品の調達につきましては、新製車両の調達価額を基準にするのでなくて、修繕の施行時期や各工場の予備品保有状況等を勘案して決定すべきである、こういう指摘、これまたむしろ当然過ぎるほど当然でしょう。同時にまた、予備品が簿外品として資産外に保有されている、こういうことは私はまことにお粗末過ぎると思うのですね。金額にして二千万足らず、これは少ないかもしれません。しかし事は私は非常に大事だと思います。少なくとも工場用品等取扱基準規程がはっきりあるわけですね。この規程の中に明記されてある。五分の四につきましては工場経費勘定に計上する。残る五分の一につきましては資産勘定である予備品勘定に計上するということが規程上はっきりしておる。それが五分の五とも工場経費に入れられておる。こういうことは、一民間会社でも、経理上こういう経理をするというようなことは、これはまことにでたらめといいましょうか、およそちょっと判断できないことです。それがいとも事もなげにこういうような経理がされておるこの実態、実情というものを総裁はよく御存じだろうと思いますけれども、さらにひとつ認識をしていただいて、そういう中からこうしたむだをなくしていくという、事はこまかい問題かもしれませんけれども、こういうところに取り組む姿勢というものは非常に大事だ。その姿勢がないのみならず、こういうようなことが今日なおなおざりにされているというようなことであったならば——国鉄財政再建等といって額に汗をして総裁がたいへん日夜御心労を尽くしていらっしゃる。よくわかります。しかし反面、いま言ったようなこういう問題が残されておるということになりますと、これはせっかくのそうした御健闘、前向きな取り組む姿勢に対して、まことに矛盾もはなはだしいではないかということが残るわけでありますので、十分ひとつ御留意をしていただきたいと思います。  最後に、いまのことにつきまして会計検査院に伺っておきますけれども、これは改善事項ということにしておるようですけれども、これは規定に違反するのですよ。規定に違反するということは不当事項ということにはならないのですか。
  109. 石島芳夫

    ○石島会計検査院説明員 本件の事態と申しますのは、予備品の調達数量の算定にあたりまして、先ほどお話がありましたように、より一そうの配慮あるいはくふう、そういったものをしたならば、調達数量のうち相当数量がもっとあと年度に調達してもよろしいんじゃないかという問題、それから財務経理上の整理が適切でないというもの、そういう二つの点について早急に改善していただきたいということで申し上げたわけでございます。  いまお話しございましたように、なぜ不当事項とはしないのかということでございますが、不当事項と申しますのは、私どもは、不適切な個々の経理がございました場合に、その個々の経理単位ごとに損害の程度がどの程度であるかとか、あるいは担当者の手落ちの程度がどれくらいあるかとか、あるいは手落ちの内容がどのようなものであるかとか、そういったものを総合的に判断いたしまして、その結果不当事項として掲載するかどうかを判断しているわけでございます。いま申し上げましたように、過去の責任追及をするというものは大体不当事項に当るというふうに処理しております。それで、本件の事態は、先ほど申し上げましたように、従来も努力はしておるけれども、さらに努力を重ねてもらいたいということと、それからこの購入しました品物は、全部が使えないものじゃなくて、後年度においてはある程度使えるという点もございますし、それから個々の経理そのものば悪いのでございますが、その品物を放てきしてしまったとか、あるいは処分してしまったという点もございませんので、そういうものを種々勘案いたしますと、この際、一々の不当事項としてあげるよりは、今後の当局の早急な是正と申しますか、そういうものをお願いして、一挙に全体の是正改善をはかったほうがよかろうという判断に基づきまして、このような処理をいたしたものでございます。
  110. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がきたようでございますので、これで質問を終りたいと思いますが、具体的な事例として幾つかの問題提起を試みました。そういうことに対しまして国鉄総裁のせっかくの御答弁をいただくようでございますので、今後の姿勢なり御決意なりを伺って終わりたいと思います。  なお、いろいろ中身の問題につきまして二、三私のほうに問題が出されてきておりますので、それらを私は私なりに調査研究いたしまして、必要であるならば、また次の機会において質問をいたしたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
  111. 磯崎叡

    磯崎説明員 この件はこの前の国会でも私御答弁申し上げましたが、私ども実は二十七の工場がございまして、しかも機関車、客車、貨車、電車と、非常なたくさんの車種を扱っております。そこの根本を直さないとこれはなかなかむずかしいということで私どもは二十七の工場をブロック別に上下の段階に組織がえいたしまして、そして親工場、子工場と申しますか、それを単能化するという、工場自体の機能を少し近代化して、二十七のものを並列に並べないでシステマチックにしようじゃないかという根本的な着想と、やはり非常に数の多い部品でございますので、かってに各工場に調達させるよりも、コンピューターでもって一カ所であれするべきだということで、いまいろいろ工場作業のコンピューター化をやっております。何とか四十八年度から着手し、一部でもいいからコンピューターに入れまして、むだのないように、しかも非常に数の多いものでございますけれども、その間の重複をなくし、またお互いに流用のできるような在庫管理をやってまいりたいと思っておりますが、できるだけ御趣旨に沿うような方向でやってまいります。
  112. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  113. 笹山茂太郎

    笹山委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会      ————◇—————