○佐々木国務
大臣 いい機会でありますから、はっきりした私の考え方を申し上げたいと存じます。ことに具体的に白糠線という
線路を名ざしてのお話でありますから、それを含めてお答えしたほうがよろしいかと存じます。
閑散線あるいはAB線いろいろございますが、
国鉄のいろいろな全国にわたります
線路を検討いたしまして、最近やはり
国鉄の大きな
財政的欠陥が生じているものでございますから、
赤字路線というものに対する国民の関心が深いかと思います。しかし、国有鉄道という本体から見ますと、
黒字になるところばかり営業するということが
国鉄の本体ではないと思います。やはり国が営業をつかさどるということは、多分に公共性というものを持つために自由主義経済のもとでも国がこれを運営、営業するという形をとっている、こういうことには御同意が願えると私は存じます。ことに白糠線などという——
北海道という地方は御承知のとおり、
昭和二十五年
北海道開発法というものができておりますように、国の方針に基づいて
北海道を開発しよう、そうして
北海道開発のために開発
大臣までも置きまして、開発
予算というものが特別につくられまして、最近は毎年二千億円以上の開発
予算を計上しているような
状態でございます。ことに
北海道のような、七万八千五百平方キロメートルというような広大な
土地に、鉄道という動脈的な役割をなす
線路がなかったならば、とうてい開発などというものはできないと私は考えております。
白糠線につきましていろいろな御意見があるようでございますが、私が
北海道であるから、あるいはきのうのテレビでは
大臣の選挙区だというようなことを言われたそうでありますが、全然選挙区でもございませんし、白糠などには私は一回も行ったこともございません。内地の人の考え方で
北海道を論ずることは大きな誤りだと思います。何百キロと離れて、しかも選挙対策だというような意味をも含めたそうでありますが、選挙対策をやるなら票のあるところで選挙対策をやるのが当然でありまして、御説のように十七人や十八人しか乗らないようなへんぴなところで選挙対策をやるばかはありません。同時に白糠線の建設というものは、過去幾多の人たちによって、あるいは
委員会等によって論議され律して、この線の持つ使命というものは白糠線地方のいわゆる炭鉱並びに森林開発のために建設すべきものであるという決定がなされたようでございます。これは私が運輸省に参りますもう十数年も前のことでございますから、そういう決定に基づいて
線路が敷かれた。しかも、すでにもう一年以上、お話のように二年近くも前に
線路ができ上がりまして、あるいは駅の庁舎もでき上がりまして、プラットホームもできて、営業を許可しさえすればすぐ営業ができるという形になっているのでございます。国民の血の出るような税金を十億もこれに投じましてでき上がったものをそのまま赤さびにし、スクラップにしてしまうことが、はたしていままで投資した意味と目的を達することができるのか、そのことが
北海道のために、国家のためになるのか、私も十分考えました。
しかし、あの地方は、石炭はすでになくなったといわれておりますが、森林資源はまだ豊富にあるのであります。しかも、鉄道ができますれば、最近私のところにもたくさんの陳情が来ておりますが、従来木材を運ぶためにはトラック
輸送に切りかえたところも多分にあるようでございます。しかし、最近の、要するに道路のいろいろな条件がトラックとマッチしておりませんので、このごろではまた再び貨車
輸送にかえてもらいたい、月のいわゆる
計画を私のもとによこしまして、これこれの貨物を、いわゆる貨車を回してもらいたいというような陳情が
北海道の各地から参っておりますこともにらみ合わせまして、この鉄道を引くことによって、石炭が使命を終わった今日、森林資源でも開発することができるならば、当初考えました白糠線の目的を達成することができるのではなかろうか。もちろんお客さんを目的とした鉄道じゃございません。しかし、開発されて将来あの地方が活気づきまして、お客さんが乗るようになれば、これは幸いなことでございます。だからもともと、お客さんの数による採算的な係数によりますと、お話しのように
赤字であることは、これは間違いないことでございます。しかしあの営業許可をしたときには、私は日本の鉄道を営業許可いたしました。
北海道の白糠線、それから九州の高千穂線、これもでき上がった
線路でありますから、ただ単にでき上がったものを
北海道だけ許可して九州を許可しなかったというようなことでございませんで、そういうような公平な扱いをしたのでございます。幸いにいたしまして、九州の高千穂線は観光目的が非常に多うございましたので、最近では予想の二倍、三倍のお客が利用しているようでございます。同じ時期に営業許可を与えました白糠線がお説のようなことでお客さんが少ないということについては、私はまことに遺憾には思い、残念ではございますけれ
ども、しかしある
程度の時期を見ていただきますれば、以上申し上げたように、必ずこの地方で森林資源の開発ができるのじゃないか、こういうように期待をいたしております。先ほどいろいろな人から何か
北海道の
大臣が自分の選挙対策とかいろんな事情で、そんな小さな考えでこれを営業許可したのでないという答えを申し上げる機会を与えていただきましたことを私は心から感謝いたします。こういうことは言いわけになるかもしれませんが、将来ともに閑散線とかあるいは
赤字路線とかローカル線につきましても、公共的な使命を持ち、地方開発の使命を持っておる地方に対しましては、
赤字でありましょうとも勇敢に今後とも持続させていきたい、こういう基本的な方針は変えておりません。