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1972-08-10 第69回国会 衆議院 決算委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
七月十二日
福田繁芳
君
委員長辞任
につき、その
補欠
として
笹山茂太郎
君が議院において、
委員長
に
選任
さ れた。 ————————
—————————————
昭和
四十七年八月十日(木曜日) 午前十時三十八分
開議
出席委員
委員長
笹山茂太郎
君
理事
笠岡
喬君
理事
西宮 弘君
理事
鳥居 一雄君
理事
吉田 賢一君
阿部
文男
君
菅野和太郎
君
浜田
幸一
君
藤本
孝雄
君
松永
光君 森
喜朗
君
山崎平八郎
君 坂井 弘一君
出席国務大臣
運 輸 大 臣
佐々木秀世
君
委員外
の
出席者
警察庁交通局長
片岡 誠君 国税庁直
税部所
得税課長
系
光家
君
運輸省鉄道監督
局長
秋富
公正君
運輸省自動車局
長 小林 正興君
建設省都市局
都
市計画課長
宮繁
護君
自治大臣官房審
議官
森岡 敞君
会計検査院事務
総局
第三
局長
桜木
拳一君
会計検査院事務
総局
第五局参事 官
石島
芳夫君
日本国有鉄道総
裁
磯崎
叡君
決算委員会調査
室長 池田 孝道君
—————————————
委員
の異動 七月十二日
辞任
補欠選任
菅波
茂君
笹山茂太郎
君 同月十七日
辞任
補欠選任
大西 正男君
笠岡
喬君 竹下 登君
中川
俊思君
丹羽喬四郎
君
江藤
隆美
君 村山 達雄君
中山
利生
君
森下
元晴
君
阿部
文男
君 同月二十四日
辞任
補欠選任
芳賀
貢君
美濃
政市
君 同日
辞任
補欠選任
美濃
政市
君
芳賀
貢君 同月二十七日
辞任
補欠選任
芳賀
貢君
長谷部七郎
君 同日
辞任
補欠選任
長谷部七郎
君
芳賀
貢君 八月十日
辞任
補欠選任
石田
博英
君
藤本
孝雄
君
江藤
隆美
君 森
喜朗
君
中川
俊思君
松永
光君
水田三喜男
君
山崎平八郎
君
村上信二郎
君
浜田
幸一
君 同日
辞任
補欠選任
浜田
幸一
君
村上信二郎
君
藤本
孝雄
君
石田
博英
君
松永
光君
中川
俊思君
森
喜朗
君
江藤
隆美
君
山崎平八郎
君
水田三喜男
君 同日
理事濱野清吾
君七月七日
委員辞任
につき、その
補欠
として
笠岡喬
君が
理事
に当選した。 同日
理事菅波茂
君七月十二日
委員辞任
につき、その
補欠
として
福田繁芳
君が
理事
に当選した。 同日
理事森下
元晴
君七月十七日
委員辞任
につき、そ の
補欠
として
中山利生
君が
理事
に当選した。
—————————————
七月十二日 一、
昭和
四十五
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
四十五
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
四十五
年度
国税収納金整理資金受払計
算書
昭和
四十五
年度
政府関係機関決算書
二、
昭和
四十五
年度
国有財産増減
及び現在
額総
計算書
三、
昭和
四十五
年度
国有財産無償貸付状況総計
算書
四、
歳入歳出
の実況に関する件 五、
国有財産
の
増減
及び現況に関する件 六、
政府関係機関
の
経理
に関する件 七、国が
資本金
を出資している法人の
会計
に関 する件 八、国または公社が直接または間接に
補助金
、
奨励金
、
助成金等
を交付しまたは
貸付金
、
損失補償等
の
財政援助
を与えているものの
会計
に関する件 の閉会中
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
理事
の
補欠選任
昭和
四十五
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
四十五
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
四十五
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
四十五
年度
政府関係機関決算書
昭和
四十五
年度
国有財産増減
及び現在
額総
計算
書
昭和
四十五
年度
国有財産無償貸付状況総計
算書
(
運輸省所管
、
日本国有鉄道
) ————◇—————
笹山茂太郎
1
○
笹山委員長
これより
会議
を開きます。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 今回、はからずも当
決算委員会
の
委員長
に
選任
せられ、その職責の重大さを痛感しておる次第でございます。 申し上げるまでもなく、当
決算委員会
は、国の
予算
の
執行等
が効率的かつ適正に行なわれておるかどうかについて調査いたしますとともに、その是非を
審査
する重大なる使命を持つ
委員会
であります。 私ははなはだ微力ではありますが、幸いにして練達なる
委員各位
の御協力によりまして重責を全うし、円滑なる
委員会運営
を行なってまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
笹山茂太郎
2
○
笹山委員長
この際、おはかりいたします。
理事濱野清吾
君、
菅波茂
君及び
森下
元晴
君が
委員
を
辞任
されましたので、
理事
が三名欠員になっております。 これよりその
補欠選任
を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、
委員長
において指名するに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
笹山茂太郎
3
○
笹山委員長
御
異議
なしと認めます。よって、
笠岡喬
君、
中山利生
君及び
福田繁芳
君を
理事
に指名いたします。 ————◇—————
笹山茂太郎
4
○
笹山委員長
昭和
四十五
年度
決算外
二件を一括して議題といたします。 本日は、
運輸省所管
及び
日本国有鉄道
について
審査
を行ないます。 まず、
運輸大臣
から
概要説明
を求めます。
佐々木運輸大臣
。
佐々木秀世
5
○
佐々木国務大臣
昭和
四十五
年度
の
運輸省所管一般会計
及び
特別会計
の
決算
につきまして、その
大要
を御
説明
申し上げます。 まず、
一般会計
について申し上げます。
歳出予算
現額一千九百十三億二千百二十四万円余に対し、
支出済み歳出額
は一千八百八十四億九千七百七十一万円余でありまして、
差し引き
二十八億二千三百五十二万円余のうち、翌
年度
へ繰り越した額が十八億七千四十三万円余、
不用
となった額が九億五千三百九万円余となっております。 次に、
特別会計
について申し上げます。 まず、第一に、木船再
保険特別会計
でありますが、
収納済み歳入額
は四億四千五百二十一万円余であり、
支出済み歳出額
は一億八千八百四十七万円余でありまして、
差し引き
二億五千六百七十三万円余の
剰余
を生じ、この
剰余金
は翌
年度
の
歳入
に繰り入れました。 第二に、
自動車損害賠償責任
再
保険特別会計
でありますが、
保険
、保障及び
業務
の三
勘定
を合わせて申し上げますと、
収納済み歳入額
は二千八百八十二億二千六十一万円余であり、
支出済み歳出額
は一千三百四十一億五千四百六十一万円余でありまして、
差し引き
一千五百四十億六千六百万円余の
剰余
を生じ、この
剰余金
は翌
年度
の
歳入
に繰り入れました。 第三に、
港湾整備特別会計
でありますが、
港湾整備
及び
特定港湾施設工事
の二
勘定
を合わせて申し上げますと、
収納済み歳入額
は一千百二十八億一千四十七万円余であり、
支出済み歳出額
は一千七十三億二百二十八万円余でありまして、
差し引き
五十五億八百十九万円余の
剰余
を生じ、この
剰余金
は翌
年度
の
歳入
に繰り入れました。 第四に、
自動車検査登録特別会計
でありますが、
収納済み歳入額
は五十五億四千七十一万円余であり、
支出済み歳出額
は五十二億三千二百七十一万円余でありまして、
差し引き
三億八百万円余の
剰余
を生じ、この
剰余金
は翌
年度
の
歳入
に繰り入れました。 第五に、
空港整備特別会計
でありますが、
収納済み歳入額
は二百二億五十二万円余であり、
支出済み歳出額
は百七十八億一千十八万円余でありまして、
差し引き
二十三億九千三十三万円余の
剰余
を生じ、この
剰余金
は翌
年度
の
歳入
に繰り入れました。 以上が、
昭和
四十五
年度
の
運輸省所管一般会計
及び
特別会計
の
決算
の
大要
でありまして、このうち
重点施策
につきましては、お手元に配付いたしました資料をごらんいただきたいと存じます。
最後
に、本
決算
につきまして、
会計検査院
から
不当事項
として
指摘
を受けた点がありましたことは、まことに遺憾であります。
指摘
を受けた
事項
につきましては、直ちに
是正措置
を講じましたが、今後、この種の
事例
の発生を未然に防止するため、より一そう
指導監督
の徹底をはかる所存であります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願い申し上げます。 次に、
昭和
四十五
年度
日本国有鉄道決算書
を国会に提出いたしましたので、その
大要
を御
説明
申し上げます。
昭和
四十五
年度
における
日本国有鉄道
の
運輸成績
は、対前
年度
比、
旅客輸送人員
は横ばい、
旅客輸送人キロ
は四%増、
貨物輸送トン数
は一%増、
貨物輸送トンキロ
は四%増となりましたため、
収入
においては、
旅客収入
において、対前
年度
一一%、
貨物収入
において対前
年度
四%とそれぞれ
増加
いたしました。以下、
収入支出
の
内容
を
勘定別
に御
説明
申し上げます。 まず、
損益勘定
におきましては、
収入済み額
は一兆一千五百五十二億二千五百六十一万円余、
支出済み額
は一兆一千五百三十九億八千二百二十六万円余でありまして、
収入
が
支出
を超過すること十二億四千三百三十四万円余でありますが、これは
予算
上の区分による
収支決算
の結果でありまして、いわゆる
損益計算
上では
昭和
四十五
年度
純
損失
は一千五百十七億五百五十四万円余となっております。 この
決算額
を
予算
と比較いたしますと、
収入
は
予算額
一兆一千六百四十二億一千七百十三万円余に対しまして、八十九億九千一百五十二万円余の減収となっておりますが、その
内容
は、
運輸収入
におきまして百二十三億三百三十二万円余及び
財政再建助成金
一千六百五十八万円余が
減少
したのに対し、
雑収入
は三十三億二千八百三十八万円余の
増収
となっております。
他方
、
支出
は、
予算
現額一兆一千九百四十七億九千八百六十九万円余に対しまして
支出済み額
は四百八億一千六百四十三万円余下回っておりますが、そのうち翌
年度
への
繰り越し額
は三百十億八百六十七万円余で、
残額
九十八億七百七十六万円余は
不用額
となっております。 次に、
資本勘定
におきましては、
収入済み額
は六千三百九十一億二千六百二十五万円余、
支出済み額
は六千三百八十六億五百四十一万円余であります。 この
決算額
を
予算
と比較いたしますと、
収入
は
予算額
六千一百三十六億七千六百四十六万円余に対しまして、二百五十四億四千九百七十九万円余の
増収
となっております。これは
損益勘定
からの
受け入れ
二十八億八千九百二十六万円余及び
資産充当
による二百七十四億五千四百六十八万円余の増があったのに対し、
鉄道債券
及び
借り入れ金
四十八億九千四百十五万円余の
減少
があったことによるものであります。
他方
、
支出
は、
予算
現額六千五百四十三億七千九百十一万円余に対しまして一百五十七億七千三百六十九万円余下回っておりますが、そのうち翌
年度
への
繰り越し額
は一百五十四億二千三十六万円余で、
残額
三億五千三百三十三万円余は
不用額
となっております。
工事勘定
におきましては、
収入済み額
は四千一百七十一億五千一万円余、
支出済み額
は四千十四億五千二百四十六万円余であります。 この
決算額
を
予算
と比較いたしますと、
収入
は、
資本勘定
からの
受け入れ
が多かったため、
予算額
三千九百二十二億五千三百三十二万円余に対しまして二百四十八億九千六百六十八万円余の
増収
となっております。
他方
、
支出
は、
予算
現額四千六百十一億二千一百一万円余に対しまして五百九十六億六千八百五十四万円余下回っておりますが、そのうち五百八十億三千八十五万円余は翌
年度
への
繰り越し額
であり、
残額
十六億三千七百六十九万円余は
不用額
となっております。 この
工事勘定
の
内容
に関連して
主要施策
の実績について申し上げますと、
日本国有鉄道
は、
業務運営
の
能率化
を促進し、あわせて安全の確保をはかるとともに
財政
の
再建
をはかるため、十カ年間に総額約三兆七千億円にのぼる
投資
を予定して去りますが、その第二
年度
に当たる
昭和
四十五
年度
における
計画事項別決算額
は、
通勤輸送
六百九十七億一千八百三万円余、
新幹線
一千二百五十億一千二百七十七万円余、
幹線輸送力増強
九百六億三千九百十万円余、
合理化
・
近代化等
八百三十億五百五十八万円余、
合計
三千六百八十三億七千五百五十万円余となっております。
最後
に、
昭和
四十五
年度
の
予算
の
執行
につきまして、
会計検査院
から
不当事項
として
指摘
を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに
予算
の
効率的運用
に一段の努力をいたすよう
指導監督
してまいりたいと考えております。 以上、
昭和
四十五
年度
の
日本国有鉄道決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げましたが、詳細につきましては、さらに御質問のつど御
説明
申し上げたいと存じます。 何とぞ御
審議
のほどお願いいたします。
笹山茂太郎
6
○
笹山委員長
次に、
会計検査院当局
から
検査
の
概要説明
を求めます。 まず
桜木会計検査院
第三
局長
。
桜木拳一
7
○
桜木会計検査院説明員
昭和
四十五
年度
運輸省
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を
説明
申し上げます。
検査報告
に掲記いたしましたものは、
不当事項
が三件、
是正改善
の
処置
を要求したものが一件、本院の
注意
により
当局
において
処置
を講じたものが一件でございます。 まず、
不当事項
について
説明
いたします。 八三号から八五号までの三件は、
公共事業関係補助事業
の
実施
にあたり、
工事費
の
積算
が過大になっていたり、
施工
が設計と相違していたりしていて、
国庫補助金
の
経理
が当を得ないと認められるものでございます。 次に、
是正改善
の
処置
を要求したものについて
説明
いたします。
空港
の
滑走路舗装工事
の
予定価格
の
積算
につきまして、
運輸省
が定めた
積算基準
が大
規模舗装工事
の
施工
の
実情
に適合していないなどのため、
アスファルト
の
舗装機械
の
運転経費
や
アスファルト舗装工
及び
路盤工
の
労務費
の
積算
が適切を欠いていると認められるものが見受けられましたので、今後
舗装工事
の
施工
の実態を十分調査検討し、
積算基準
の
内容
を整備して、
予定価格積算
の適正を期する要があると認められたものでございます。 次に、本院の
注意
により
当局
において
処置
を講じたものについて
説明
いたします。
電気需給契約
に基づく
電気料金
につきまして
規定料金
よりも割安な
料金
の
適用
を受けることができるのに、その
適用
を受けるための
処置
を講ずることなく
規定料金
によって
電気料金
を支払っているのは適切でないと認められましたので、
当局
に
注意
いたしましたところ、割安な
料金
の
適用
を受けられるよう
処置
を講じたものでございます。 なお、以上のほか、
昭和
四十四
年度
決算検査報告
に掲記いたしましたように、四十四
年度
検査
の
進行
に伴い、
航空交通管制自動化システム
の
保守請負契約
について
是正改善
の
処置
を要求いたしましたが、これに対する
運輸省
の
処置状況
についても掲記いたしました。 以上、簡単でございますが、
説明
を終わります。
笹山茂太郎
8
○
笹山委員長
次に
石島会計検査院
第五局参事官。
石島芳夫
9
○
石島会計検査院説明員
昭和
四十五
年度
日本国有鉄道
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を
説明
申し上げます。
検査報告
に掲記いたしましたものは、
不当事項
が二件、
是正改善
の
処置
を要求したものが二件でございます。 まず
不当事項
について御
説明
申し上げます。 一四二号は、
東京
第一
工事局
で、
総武線
の
複々線化
に伴い、
増備車両
を収容するために
幕張電車基地
の敷地を造成しておりますが、この
工事費
の
積算
におきまして、
土砂切り取り
に伴う
補助ブルドーザー
、仮通路など付随的な
作業
の
費用見込み
が合理的でなかったため
予定価格
が過大になり、結局、
本件工事
の
契約額
が
割り高
になったと認められるものでございます。 一四三号は、
東京
第三
工事局
で、
高崎車両基地
の
増強
に伴い、
高崎
第一
機関
区の事務所を
鉄筋コンクリートづくり
の四階建てで新築いたしましたが、この
工事
におきまして
建物
の基礎や柱、壁などの
鉄筋コンクリート
の
施工
が悪かったため、
建物
の強度や
耐久性
が低くなっていると認められるものでございます。 次に
是正改善
の
処置
を要求したものについて
説明
いたします。 その一は、
山陽新幹線
の
建設
に伴う
用地調査測量等
の
施行
についてであります。
下関工事局
では、
山陽新幹線予定路線
の
用地調査測量
を発注する場合に、
一般
の
郊外地区
間と
山間部
の
トンネル区間
を区別しないで、一律に
調査測量
を行なうこととしております。しかし、
トンネル区間
は、
郊外地区
間と違い、土地を買収したりする必要がないところが大部分で、
調査測量
の対象も複雑ではありませんので、
調査測量
の幅、
作業項目
、
作業
に要する人手は
郊外地
に比べてかなり少なく済むはずでございます。 ついては、
調査測量
の範囲及び歩掛かりを
実情
に合ったものに改め、
調査測量
の
施行
の適正を期する必要があると認めるものであります。 なお、
本件
については、
処置
を要求いたしましたところ、
当局
においてさっそく
積算要領
を改め、
実情
に適合したものにする
処置
を講じております。 その二は、
車両工場
における
工場予備品
の
調達
及び
管理
についてであります。
日本国有鉄道
の
車両工場
では、
車両修繕用
の
車両部品
を
工場予備品
として常備し、
工場
で修理の上反復使用することとしておりますが、その
増備
または
補充用
として
調達
する
部品
は毎
年度多額
にのぼっております。そこで、この
予備品
について
調達
及び
管理
の適否を
検査
しましたところ、以下申し上げますような事態が見受けられました。 まず、
予備品
の
調達
について申し上げます。各
車両工場
では、
予備品
の
準備要求
に際し、その
数量
を
年間修繕車両
の
増加
数等を
基準
にして適宜
算定
しておりますが、しかし、
予備品
の性格から見まして、
修繕車両数
が最も多い月に必要となる
数量
を各
工場
で常時保有することにすれば足り、しかも、この
最大月間修繕車両数
は、前
年度
にあらかじめ把握できますので、この
数量
を
基準
にして、
予備品
の適正な
保有数量
を決定し、これをもとにして
調達数量
を決定すべきであると存じます。また、本社では、
新製車両増備
の際に、その
調達価額
を
基準
にして
予備品
をあわせて購入しておりますが、しかし、
新製車両
の
定期修繕施行
の時期はあらかじめ判明しておりますので、
調達
にあたっては、
修繕
の
施行
時期や各
工場
の
予備品保有状況等
を勘案して決定すべきであると存じます。
予備品調達数量決定
にあたり、このような点を考慮したとしますと、
調達数量
を相当に
減少
できたことになります。 次に、
予備品
の
管理
について申し上げますと、
調達
後の
経理処理
が適切でなかったため、
簿外品
として
資産外
に保有されている
事例
が見受けられましたが、このことはひいて
過大調達
の一因となり適正でないと存じます。 つきましては、この際、
工場予備品
の
保有数量算定
のための
基準
を策定して合理的、経済的な
調達
を確保しますとともに、
経理
が適正に行なわれますよう適切な
処置
を講ずる要があるというものでございます。 なお、以上のほか、
昭和
四十四
年度
決算検査報告
に掲記いたしましたように、四十四
年度
検査
の
進行
に伴い、一、コンテナ貨物等積みおろし料の
算定
について、二、
蒸気機関車
の廃車及び
全般検査
の
実施
について、三、
変電所
における
受電設備
の
力率
について、それぞれ
是正改善
の
処置
を要求しましたが、これに対する
日本国有鉄道
の
処置状況
についても掲記いたしました。 以上簡単でございますが、
説明
を終わります。
笹山茂太郎
10
○
笹山委員長
次に、
日本国有鉄道当局
から
資金計画
、
事業計画等
について
説明
を求めます。
磯崎日本国有鉄道総裁
。
磯崎叡
11
○
磯崎説明員
昭和
四十五
年度
の
日本国有鉄道
の
決算
及び
業務
について、その
概要
を御
説明
申し上げます。
昭和
四十五
年度
におきましては、万国博覧会の開催、
景気動向
の
変化等
の影響を受けまして、
旅客
及び
貨物輸送量
は前年よりわずかではございますが
増加
の傾向を示しました。 これを
収入面
で見ますと、
営業収入
は、
旅客収入
におきまして八千四百六十二億九千八百十四万円、
貨物収入
二千五百四十四億四千八百九十五万円、
雑収入
四百四十九億四千九百三十四万円、
合計
いたしまして一兆千四百五十六億九千六百四十三万円となっております。 なお、
雑収入
の中には、
財政再建補助金
八十三億四千九百三十四万円、
財政再建債利子補給金
三十八億七千四百万円が含まれております。 この
営業収入
を
予算
の
予定収入
と比較いたしますと、
旅客収入
におきまして二十六億三千三百八万円の
増加
、
貨物収入
におきまして百四十九億三千六百四十万円の
減少
、
雑収入
におきまして二十二億千七百三十八万円の
減少
と相なりまして、
合計
百四十五億二千七十万円下回る結果と相なりました。詳細は
別表
一につけてございます。 これを前
年度
と比較いたしますと、
旅客収入
におきまして八百六十一億三千九十九万円、率にいたしまして一一%の
増加
、
貨物収入
は九十五億六千七十四万円、率にいたしまして四%の
増加
、
雑収入
におきまして五十九億六千三百二十三万円、率にいたしまして一五%の
増加
、
合計
いたしまして千十六億五千四百九十六万円、率にいたしまして一〇%の
増加
と相なっております。詳細は
別表
二にございます。 次に
輸送量
でございますが、
輸送量
につきましては、
旅客輸送量
千九百三十五億六千百七十七万人
キロ
、
貨物輸送量
六百三十四億六千百七十五万トン
キロ
と、それぞれ前
年度
に比べますと、わずかではございますが
増加
いたしております。詳細は
別表
三につけてございます。
営業経費
は、極力
経費
の節約につとめてまいりましたが、
仲裁裁定等
による
人件費
の
増加
と
減価償却費
、
利子等
の
資本関係経費
の
増加
がありました結果、
営業経費
の
合計
は一兆三千五億九千二百六十七万円を計上するに至りました。 この
内訳
は、
人件費
五千七百二十八億四千三百二十九万円、
動力費
五百十八億千八百二十二万円、
修繕費
二千九十二億千四百六十三万円、
業務費
九百九十八億八千七百三十三万円、租税及び公課百二十六億千五百九万円、以上
営業費
の計九千四百六十三億七千八百五十六万円、次に
資本経費
として、
利子
及び
債務取り扱い諸費
千五百二十二億千五百十八万円、
減価償却費
千七百五十三億四千九百三万円、
固定資産除却費百
十三億三百二十七万円、
繰り延べ資産償却費
百五十三億四千六百六十三万円、以上
資本経費
の計が三千五百四十二億千四百十一万円でございます。
合計
いたしまして一兆三千五億九千二百六十七万円であります。 以上の結果、
営業成績
は遺憾ながら
営業損失
千五百四十八億九千六百二十四万円を計上することとなり、
営業外
の
損益
を含めまして純
損失
は千五百十七億五百五十四万円と相なりました。 このため、前
年度
から繰り越されました
欠損金
四千百三十六億九千百三十万円と合わせまして
繰り越し欠損金
は五千六百五十三億九千六百八十四万円を計上することと相なりました。 他面、
設備投資
につきましては、
山陽新幹線
の
建設
、
大都市付近
の
通勤対策
、
主要幹線
の電化及び
複線化
、
貨物輸送
の
近代化
、
安全対策等
の諸
工事
を
実施
いたしました結果、
工事経費
の
決算額
は四千十四億五千二百四十七万円を計上いたしました。 なお、
昭和
四十五
年度
の
工事経費決算額
の
事項別内訳
は、
通勤輸送
におきまして七百八十四億八千五百六十七万円、
新幹線
千三百五十三億二千三百五十二万円、
幹線輸送力増強
九百五十六億千四百九万円、
合理化
・
近代化等
九百二十億二千九百十九万円、
合計
四千十四億五千二百四十七万円でございます。 この
設備資金
の
調達
は、主として
外部資金
によりました。
外部資金調達額
は、
資金運用部等
からの
借り入れ金
が三千百億円、
鉄道債券発行額
二千五百七十五億九千百三十万円、
合計
いたしまして五千六百七十五億九千百三十万円でございます。また、債務の償還額は二千百三十億千九百四十万円でございまして、この結果、長期負債は前
年度
に比較いたしまして三千五百四十五億七千百九十万円
増加
いたしまして、
昭和
四十五
年度
末におきまして二兆六千三十七億五百六十六万円と相なりました。 このため、資本総額のうちに占めます負債の比率は、前
年度
の七六%から八一%と相なった次第でございます。
最後
に、
昭和
四十五
年度
の
予算
執行
につきましては、ただいま
会計検査院
から
不当事項
二件と
是正改善
の
処置
を要求されました
事項
二件の御
指摘
を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、今後、さらに綱紀の粛正と
予算
の
効率的運用
に一段の努力をいたす所存でございます。 以上、たいへん簡単でございますが、御報告を終わります。
笹山茂太郎
12
○
笹山委員長
これにて
説明
聴取を終わります。
—————————————
笹山茂太郎
13
○
笹山委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西宮弘君。
西宮弘
14
○西宮
委員
質問に先立ちまして、ひとつ
委員長
にお願いをしておきたいと思うのでありますが、先ほど
理事
会で、きょうは大臣が参議院のほうに行かれる、こういうことで質問の時間の設定をいたしたわけでありますが、そのとき想定いたしました
当局
のそれぞれの
説明
が、予定された時間等から見ますと、これを何倍もオーバーしているわけであります。したがって、最初予定したようなそういう時間帯ではとうてい質問ができませんので、大臣にはせめて一時ごろまでぜひおっていただきたい。しかし、もちろん質問の
進行
いかんによりまして、各
委員
の質問が終わればすぐお引き取り願ってけっこうでございますから、これは
進行
状況と見合って
委員長
にしかるべく適宜判断をしていただきたいのでありますが、とにかく先ほど
理事
会で設定いたしました時間帯の中ではとうてい消化できないということだけはきわめて明瞭になったわけでありますから、その点だけは十分
委員長
においてお含みを願いたいと思います。 さて、私は交通輸送の関係についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、交通輸送の関係と申しますと、陸、海、空あるわけでありますが、そのうち私は陸の問題だけ、さらにその陸についても交通手段としてはバスの問題だけ、それに限ってお尋ねをしたいと思うのであります。そのバスにもさらにいろいろございまして、国鉄のパスあるいは公共企業体がやっておりますバス、民営のバス、いろいろあるわけであります。国鉄はもちろん一つでありますけれども、公共企業体が五十一、民営のバスが二百九十三、
合計
三百四十五の企業体がある、こういうことでありますけれども、私は、時間の関係もありますので、きょうは主としてその二百九十三といわれます民営バスを中心にしてお尋ねをいたしたいと思います。もちろんそれに限定するわけではありませんから、他のバスについてもお尋ねをいたしますが、重点をそこに置いてお尋ねをしたいと考えます。 まず第一にお尋ねいたしたいのは、現在このようなバスが、これは民営のバスはもとより、さらに公共団体が経常をいたしております、公共企業体としてやっておりますバスともに同じような経営難に直面をしておるわけでありますが、一つは、過密地帯、これが要するに輸送の効率がきわめて低下をしている、こういうことのために起こる障害であります。それから過疎地帯、これは需要が著しく減退をしたということによって起こっている障害であります。同一の産業で、このように両面から、しかもそれぞれ別個の理由によって攻撃を受ける、そういう企業体はあまりほかに例がないのではないかと思うのでありますが、こういう現実に対しましてまず
運輸大臣
としてはどういう態度でこの問題の解決に臨んでおられるのか、お尋ねをいたします。
佐々木秀世
15
○
佐々木国務大臣
お答えいたします。お話しのように道路バスが最近、地域住民のためには必要欠くべからざる交通
機関
でありますにもかかわらず、過密地帯あるいは過疎地帯ともに非常に経営困難におちいっております。もちろん過密地帯におきましては交通の渋滞、あるいは過疎地帯におきましては乗客の
減少
というようなものが著しくなってきたということと、あるいは最近自家用自動車が非常に多くなりましたとか、こういうふうないろいろな原因が数えられるわけであります。 そこで
運輸省
といたしましては、こういう中にありましても、バス路線というものはやはり地域住民のために何とかこれは維持していかなくちゃならぬ、こういうことで、
昭和
四十七
年度
の
予算
におきましても、これらに対するところの助成措置を従来の約三倍程度の
予算
を確保いたしました。しかし、どこまでもこれは民営でございますので、事業者の努力を待つことは当然でありますけれども、バスの購入費の補助の問題とかあるいはその他いろいろな助成問題をできるだけ積極的にやろうと考えておりまして、明
年度
予算
におきましてはなお一そうの努力を続ける決意で、ただいま検討中でございます。
西宮弘
16
○西宮
委員
ただいま申しましたように、あるいは大臣も抽象的に御答弁があったわけでありますが、
運輸省
の調査によりましても、調査された百四十七社のうちで、
昭和
四十一年には八八%の企業体が利益を計上しておった。ところが、四十四年、わずか三年の間に逆に五九%が赤字を計上している。こういう状況になっておるというのでありますから、おそらく今日はさらにこれは
進行
していると思います。 私は、まず第一に過疎問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、これもやはり
運輸省
の発表によりますると、四十四年には四百九路線二千百
キロ
が廃止され、さらに四十五年には五百八十九路線、約四千
キロ
が廃止になっている。こういうことでありますが、こういうふうに路線が廃止、休止になりますると、まず住民からは
最後
の公共的な交通手段を奪ってしまう、そうして第二には労働者からは職場を奪ってしまう、こういうことになるわけでありまして、しかも、そのようになった結果は、その過疎地帯はだんだんに循環的に縮小再生産とでも申しますか、とにかく悪循環が繰り返されて、ますます地域社会は循環的に縮小していく、こういうことになっておるわけであります。まず過疎の問題については、そういうふうに過疎におちいっていくという原因をなくしていく、つまり、主として農山村でありますから、農業なり林業なり、これを振興するというようなことが当然必要なわけでありまして、われわれはそういう点についても徹底した施策が政府全体としてとられなければならぬということを考えるわけでありますが、こういう過疎化現象に対しまして、いま大臣は、今回は前年の三倍の
予算
を計上した、こういうお話であります。それはもちろんけっこうではありますけれども、しかし、その程度ではとうていこの窮迫した状況は救えないというのが現在の実態であります。 いま大臣、自家用車がふえたというお話をされましたが、それも過疎化バス等について経営を困難にする理由の一つになっておると思いますけれども、ただ、ちょっと申し上げておきたいと思うのでありますが、それは自家用車がふえましても、それによって地域住民が自家用車のために救われておるという状況にはなっておらないと思うのです。なぜならば、自家用車ができましても、この自家用車を利用しておる者は、たいていの場合、一家の中心となっております人、その人がたとえばどこかに通勤をするとか、そういうのに使われてしまって、あとに残った老人であるとか婦女子あるいは病人、そういうものは依然としてその地域社会の中にそのまま残されておるわけです。ですから、自家用車ができたからといって、それで救われるわけでは決してないのであります。どうですか。来
年度
は思い切った措置を考えるというお話でしたが、どの程度のことを考えておられるのか、ちょっとお漏らしを願いたいと思います。
佐々木秀世
17
○
佐々木国務大臣
ただいま数字は出ておりませんけれども、先ほどお答えしたように、昨
年度
の三倍ですから、それ以上の
予算
的措置は講ずるつもりでございます。しかし、ただいま数字を申し上げる時期は、もうしばらくひとつお待ちを願いたいと存じます。
西宮弘
18
○西宮
委員
もちろん去年よりは、大いにがんばるというのだから、三倍以上になることは当然でありましょうけれども、そんな程度ではとうていいまの状態を改善するということはできないという実態でございます。もしこのバスが、民営のバスにしても、これは要するに民間の企業体でありますけれども、しかし、これはやはり絶対に存続をさせなければならぬ必要性があるわけでありますね。しかも、いま現にやっておりますのは、経営者のほうから申しましても、さっき言ったように、半分以上のものがすでに赤字を出している、こういう状況では経営者が当然期待するであろう適正な利潤というようなものも得られないわけだし、あるいは労働者の賃金などを見ましても、民間の私鉄バスに勤務をしております労働者の条件は非常に悪いわけであります。 これは、中労委が毎年資料を発表しておりますけれども、
運輸省
でお出しになりましたこの統計表などを見ましても、たとえばこれはずっとバスが非常によかった時代から条件は悪いわけでありまして、
一般
の男子従業員に比べると、四十年時代で六千九百六十四円から六千九百九十九円と、七千円程度の格差があった。それがさらに四十六年になりますと、九千六百二十三円から一万四百十円と、こういう格差が発表されております。さらにそれを年齢別に、三十五歳から三十九歳まで、あるいは四十五歳から四十九歳まで、その辺を拾ってみますと、そういう高年齢になるに従って格差がますます開いていく、こういうことであります。この私鉄のバスの労働者の場合は、
一般
従業員に比べて学歴差が問題だ、かりにその点を組み入れて比較をいたしましても、たとえば特にバスの場合に、大手九社だけの平均賃金と比べても、なおかつ三千二百円の格差がある。こういう状態でありまして、片や経営者は適正なる利潤を得ることができない、片や労働者はそういう低賃金に甘んじながら労働強化をされておる、こういう実態であります。大臣は一体、こういうバス、民営のバス、これはどうしても存続させなければならないものだというふうにその必要性を強く考えておられるのかどうか。これはたいへん失礼な質問かもしれませんけれども、大臣はこういう民営企業の存在の必要性ということをどの程度にお考えか、お答え願いたいと思います。
佐々木秀世
19
○
佐々木国務大臣
過疎地帯に対する交通行政だけでなくて、過疎地帯に居住される方々というものは日本国全体のために、地域開発というものに貢献度が非常に高いと私は思います。あらゆる不便をこらえて地域開発のために協力してくださいました人たちのためには、お話しのような、ある程度のバスの赤字などがありましても、これは政府は親心をもって積極的な援助対策を講ずるということは当然だろうと思います。ことに私に対して、おまえはどうかという御質問でございますが、私などは、ことに北海道という地方の過疎地帯の多いところでありますから、過疎地帯に住まわれる方々の気持ちはよくわかりますから、明
年度
こういうバスに対する助成の問題は思い切った措置をとりたい、こういうことを考えますから、この点で御理解を願いたいと思います。 ただ、先ほどから数字をあげられればあげろということでございますが、事務
当局
との連絡をいまいたしてみましたが、事務
当局
のほうも大蔵省と積極的な交渉をしておるようであります。大蔵省のほうもこのことについてはだいぶ理解を示しておるようだということであります。数字の点だけは申し上げられませんが、御期待に沿うような
予算
的措置ができるのではないか、こう私は考えております。
西宮弘
20
○西宮
委員
必ずしも銭を出すということだけではないと思うのですね。たとえば運輸系統の再編成であるとか、あるいは車両を小型化していく問題であるとか、いろいろあると思います。そのほか
補助金
を出すということ以外に、私は、税金の問題あるいはまた資金の融資の問題ですね、しかも長期、低利の融資をするというようなことも当然考えらるべきだと思う。たとえば海運業などには三・五%から五%の融資がされている。こういうものをバスに対して考えることはできないのかということを一つ質問いたします。 それから税金の問題については、これまた自動車税、自動車取得税あるいは自動車重量税というような問題、その他揮発油税であるとか、とにかく自動車に関係する税金の種類が多過ぎるのですね。非常に繁雑なんですな。こういう点も重大な問題だと思うのです。 それでは、長期、低利の融資という問題と税制の再検討という点についてお答えいただきたいと思います。
佐々木秀世
21
○
佐々木国務大臣
長期融資並びに税金等、西宮先生の御意見を貴重な御意見として含めまして明
年度
の対策を講じたい、こう考えております。
西宮弘
22
○西宮
委員
それでは具体的にお尋ねをいたしますが、たとえば自動車重量税を総理は今度は三倍にしようというようなことを言っておられますが、大臣はそれに対してはどうお考えですか。
佐々木秀世
23
○
佐々木国務大臣
これに対してはまだ具体的に総理からの指示を受けておりませんので、それに対する私の意見は申し控えさせていただきたいと思います。
西宮弘
24
○西宮
委員
それでは、総理からそういう相談を受けたときにはどうするかという大臣としての決意をお聞きしたいと思うのです。第一、自動車重量税というものは、バスの場合には要するに人を乗せて走って、それで営業するというのがバスの使命なんでありますから、相当大型の車両を使わなくちゃならぬというのも当然なんで、それを重量で税金を取られるというのは私は合理的じゃないという気がするわけです。いわんやそれを今度大幅に上げるのだ、こういうことになったら、ますます経営が悪化するということは目に見えているわけです。それでは総理からそういう相談がありましたときには、大臣は
運輸大臣
としてどう対処されますか。
佐々木秀世
25
○
佐々木国務大臣
税金の問題につきましては、国会を通過した問題に対して、政府・与党の閣僚としてはそれに従わざるを得ません。ただ、現在あります重量税をどう見るかということは、国会のその部門の英知をしぼって結論が出ると思いますから、その結論に従いたいと思います。
西宮弘
26
○西宮
委員
大臣がしばしば答弁をされました
補助金
の問題ですね。この問題もいろいろ問題をかかえていると思いますけれども、そのうちの一つは、乗車密度が五人以下のものは対象にしないわけですね。ということになると、乗車密度五人以下というのは、もう当然にそこは完全になくなってよろしいんだ、こういうことになる。そのバスはなくなってよろしい、もうあとかってにしろ、そういうことになるわけで、私はこれは重大な問題だと思うのです。その点はどういうふうにお考えか。 それから、先ほど来数字はいま
説明
する段階ではないということを言っておられますから、それは私も了解いたします。しかし去年の例を見ますると、去年は
運輸省
は十四億五千万の
予算
の要求をしたわけですよ。そしてそのときの
運輸省
側の
説明
によりますると、それでいま助成の対象になっております三千六百の生活路線のまず大半はカバーできる、こういうふうに
説明
がされておったわけです。ところが実際に計上された
予算
は四億何がしということになったわけですね。十四億五千万の要求をして、その小さいほうが削られたのではなしに、大きいほうの十億のほうが削られちゃって、残ったのが四億何がし、こういうことで関係住民は非常に失望をしたわけであります。現在の生活路線を全部カバーしていくためにはどの程度の
予算
が必要なのか、これは大臣でなくてもけっこうですけれども、お答えを願います。
佐々木秀世
27
○
佐々木国務大臣
先ほどの五人未満の廃止の問題については、簡単に廃止しようなどとは考えておりません。市町村とよく話し合いをしてからでなければそういう結論は出さない、こういう考えでいきたいと思います。 それから、いまの前
年度
の十四億何がしのことは、私よく承知しておりませんので、
局長
から答えさせます。
西宮弘
28
○西宮
委員
局長
からは、去年の経過はどうでもよろしいから、いまの生活路線を全部カバーするためには幾らあったら間に合うのだというお答えをしていただきたい。
小林正興
29
○小林
説明
員 昨
年度
から現在まで過疎地域のバスの維持対策というものを全く新たに考え出したわけでございますが、その方式は、今後各都道府県におきまして、一定の地域を定めて、その整備地域の中において今後の路線のあり方というものをきめていく、その過程におきまして、五人から十五人というような非常に乗車密度の低い路線をどういうふうにきめていくかということがまずきまりませんと、全体でそれの対象になります
キロ
数というものは正確には出てまいらないわけでございます。したがって、はっきりとした数字といたしましては、現在考えておりますそういう方式によって、これから各都道府県ごとに整備地域について
作業
を始めるわけでございますが、大まかに言いまして、現在の五人から十五人の路線を維持するためには、おおむね十数億あれば足りるかというふうに思っております。
西宮弘
30
○西宮
委員
私は、十数億という金ならば、社会党流の言い方になるかもしれませんけれども、ファントム一機節約すれば、それでもうおつりがくるわけですよ。それで日本の過疎地帯の足を奪われる住民が救われるというならば、一機ファントムを節約してもらって、それでもう十分償って余りがあるという状況ですから、私はぜひともその程度の金は過疎地帯の住民のために投ずるというのが政府全体の姿勢の中にあってしかるべきだと思うのです。去年も約十五億の金を要求して、いまのような
予算
に削られてしまったというようなことでは、まことに私は残念だと思うんですよ。少し余分なことを申し上げるかもしれませんけれども、私は、ああいう飛行機などを幾ら日本で備えても、それで日本の国は守れないんじゃないかと思うんですよ。なぜならば、爆撃機を山のようにつくってみても、それを動かす油がないんですから、そういうものをどんなに拡充しても、日本は平和でなくなったらもう何も動かなくなっちゃうわけです。戦争はしない、そういう立場で日本の国を守るという以外に日本の国を守る方法はない、手段はない。爆撃機をたくさんつくって、それで日本の国土防衛が完全にできるのだというなら、話はまた別なんですけれども、日本の場合はそれは不可能なんですから、そんなものに金をかけるよりは、むしろ困っておる地域の住民を助けるということのほうがはるかに重大な意義を持っておるというふうに私は考えるわけなんです。大臣、去年でさえ十五億の
予算
を要求したのですから、十数億というような金では、いまの状況、さらにまたますます刻々としてその状況は悪化しておるわけですから、それを救うのにはとうてい間に合わない、対処し切れないというふうに私は考えるわけなんですが、もう一点だけ、くどいようですけれども、これに臨む大臣の決意を明らかにしていただきたいと思います。
佐々木秀世
31
○
佐々木国務大臣
先ほどから申し上げておりますように、先生の御意見を十分尊重いたしまして、いろんな点から、単なる金だけじゃだめだというお話もありましたが、やはり助成金の問題から税金の問題から、あるいはその他労働者に対する待遇改善の問題から含めまして最善の努力を尽くしたい、こう思っております。
西宮弘
32
○西宮
委員
先ほど大臣は、たとえば五人未満のところでもかってに廃止しない、十分市町村と連絡をしてやるのだ、こういうことを言っておられましたけれども、私はそれはたいへんけっこうなことだと思う。したがって、そういう路線の休止、廃止というような場合には、利用者の代表、団体等があればそれでもいいかもしれませんけれども、まず一番利害を感ずるのは地方自治体だと思います。したがって、必ず自治体の意見を徴して最終的に決定をするという方法をぜひ確立していただきたいというふうに考えるわけですが、先ほど御答弁もありましたが、重ねてその点をお尋ねしておきたいと思います。
佐々木秀世
33
○
佐々木国務大臣
御趣旨は賛成でありますが、従来の慣例もございますので、それらをよく調べまして善処したい、こう考えております。
西宮弘
34
○西宮
委員
つまり私が申し上げたのは、非常に公共的な性格の強い企業でありますから、それが単に企業のコマーシャルベースというようなことだけでかってに措置をするということではなしに、利用者を代表する市町村あるいはまたこれに従事をしております労働者を代表する労働者側の意見、そういうものを十分聞いてその上で
処置
を決定するということを、これはぜひともそういう方法を確立してもらいたいということを申し上げたいと思うのであります。 それに関連いたしまして、このバス企業というのは全く民営の企業ではありますけれども、だんだんに公共的な性格が強くなってきたということは明らかだと思うのです。国が助成をしたり、あるいはまた自治体等が相当の助成をしておるところもたくさんあるようであります。そういうことからだんだんに公共的な性格が強くなってきた。したがって、これをさらに進めますると、たとえば公社化していく、こういうことも一つの志向すべき方向ではないかというふうに考えるわけですが、大臣はその点についてどうお考えでしょうか。
佐々木秀世
35
○
佐々木国務大臣
過疎地帯とかその方面のバス経営に公社制度をとるかとらないかというところまではいま考えておりません。
西宮弘
36
○西宮
委員
それでは、たとえば地方の公共団体等も現に補助しておるというようなところがあるわけでありますが、さらにその公共団体が
投資
をする、特に都道府県などが
投資
をする、こういう傾向もだんだんあらわれてきておるようでありますが、これは
運輸省
としてもそういう点を助長して指導されて、利害関係を非常に強く持っております公共団体もそれに思い切って
投資
をする、こういうようなことも指導してやらせていただきたいというふうに思うのですが、いかがですか。
佐々木秀世
37
○
佐々木国務大臣
一つの御意見として検討はしてみますが、いまのところ
運輸省
が
投資
するというようなことは考えてもおりませんが、ひとつ貴重な御意見として考えさせてもらいます。
西宮弘
38
○西宮
委員
これから考えるというならそれでもけっこうでありますが、とにかくそういう傾向がすでに出ておりますから、ぜひその点は
運輸省
でもこれを助長するようにしてもらいたいと思います。 申し合わせに従いまして、私、大臣に対する質問時間が制限されておりますので、もう一つ、これはむしろ過密地帯の問題でありますけれども、車を制限をする、こういうことがたとえば関係閣僚の間で決定された総合交通体系ですか、あの中に明瞭にうたわれているわけです。そのいわゆる車の規制というような問題について大臣にお尋ねをいたしたいのは、私は、何といっても、ああいう大きな都市におきましては、車の規制、特に自家用車の規制ということが非常に重大な問題だと思うわけです。それなしには過密地帯のいまの混乱を緩和するということはできないと思うのです。そこで、この規制にあたって、
運輸大臣
としてはどういうお考えでこれに臨まれるか。それからさらにもっとこれを徹底させれば、私は、現在の自動車のメーカーに対して生産を制限する、あるいはまた国内における販売
数量
を制限する、こういうような問題も当然に考えなければならぬ事態にきているのじゃないかと考えますが、その点いかがですか。
佐々木秀世
39
○
佐々木国務大臣
自動車の交通規制等の問題は、私のほうの所管というよりも、むしろ取り締まり、警察関係が重点だろうと思いますが、しかしながら過密都市の交通問題は放置してはおけませんので、
運輸省
といたしましては、この対策は重大な問題として取り上げております。そのためには、取り締まり
当局
との協議、あるいはまた自動車だけではなくて地下鉄の新たな計画を立てるとか、あるいはモノレールによるところの交通緩和をはかるとか、こういうような
運輸省
としてやらねばならないような施策は積極的にやっていこう、こういうことにいま力を入れております。
西宮弘
40
○西宮
委員
いま御答弁になりましたたとえば地下鉄とかあるいはモノレールとか、そういう高速大量輸送
機関
というものを当然つくらなければならぬ。だから大都市にはそういうものをつくって、その都市内の交通はそれで充当する、したがっていわゆるマイカーなどはもうその都市には入れない、こういうような体制が当然それと平行しなければならぬわけだと思うのです。一方においてそういうものを用意するということ、つまり地下鉄とかモノレール、そういうものを用意することと同時に、マイカー等は規制するというようなことは必要だと思うのです。これは所管官庁も違いましょうから、その点はまたあとでゆっくりお尋ねをいたしますが、大臣、さっき
最後
に一つお尋ねをした車の生産制限あるいは販売制限、こういう点についていかがですか。
佐々木秀世
41
○
佐々木国務大臣
車の生産規制の問題は、これは通産省との関係もございますが、
運輸省
といたしましては、公害のない車を明
年度
からつくってもらおうということで、その方面に重点を置いておりまして、生産規制ということについては、ただいま具体的にどうこうするというところまでは参っておりません。しかし、いずれそういう問題が担当省から出てくる問題じゃなかろうかということは考えられます。
西宮弘
42
○西宮
委員
政府
委員
に対する質問を保留いたしまして、一応私これで……。
笹山茂太郎
43
○
笹山委員長
鳥居一雄君。
鳥居一雄
44
○鳥居
委員
ただいまの論議に引き続きまして、特に陸運の行政でありますが、タクシーにしぼってお伺いしたいと思います。 まず、乗り合いバスとタクシーは、単なる大きさの違いだけでなくて、機能の上で大きな違いがあるのだろうと思うのですが、法律ではどういうふうにきめられておりますか。
小林正興
45
○小林
説明
員 乗り合いバスとタクシーは、法律上、事業種別が別になっておりまして、簡単に申し上げますと、一個の運送契約で車両を一車借り切って、そして運送するというのがハイヤーまたはタクシーということになるわけです。乗り合いは、いわば鉄道のように
旅客
が乗り合わせるというようなことでございます。したがって運送行為といたしましては、個々の
旅客
と運送人という関係で運送契約が結ばれるということで、全く別の業種でございますし、そういった点、機能上も別の機能を果たしておるわけでございます。
鳥居一雄
46
○鳥居
委員
最近、大都市の周辺、特にベッドタウンにあたる、まあ千葉県でいいますと
総武線
の沿線、それから常磐線の沿線、これらでもう著しい傾向が見られるわけですが、タクシーがバスと同じように乗り合いで動く、こういう現象があります。しかも夜の九時過ぎの時間、終電車前後の時間、これはもうたいへんな問題になっております。この問題につきまして順次伺っていきたいと思うのですが、いまの自動車
局長
のお話で、タクシーというのは道路運送法でも
一般
乗用
旅客
自動車運送事業、法律第三条第二項第三号で示されておりますけれども、乗り合い運送を行なうことは法律的に禁止されているはずであります。タクシーがもし相乗りをした場合、これは認めていいものかどうか、まずこの点運輸
当局
に伺います。
小林正興
47
○小林
説明
員 タクシーに現実に相乗りの形態があらわれていることは先生御
指摘
のとおりでございます。その際に、乗客の方々が一定の方向に一緒に団体を組んで、そして一個の契約としてお乗りになるというような場合には、数人でタクシーを利用になるということが、いかなる場合でも違法であるかどうかということについては非常に問題があろうかと思います。ただ、先生御
指摘
の相乗りタクシーという場合に、運転手が個々の乗客を集めまして、そして一人幾らというような運賃を取って、そして一人当たりはかりに安くても、全体としての運賃が一車貸し切り運賃よりも高くなる、こういうことになるような形態の相乗りタクシーというようなものは、運賃の面からいっても違法な問題だろうと思います。
鳥居一雄
48
○鳥居
委員
要するに、言わんとされることは、違法か違法じゃないかということは、契約が一つであるか、四人乗った場合四つであるかということが違反かどうかのきめ手ですね。どうですか。
小林正興
49
○小林
説明
員 おおむねそういうことでございます。
鳥居一雄
50
○鳥居
委員
それでは具体的な
事例
をあげます。 まず例の一、これは国電の
総武線
津田沼駅でありますけれども、津田沼駅から公団袖ケ浦団地までタクシーメーターにしまして百七十円です。例の一、袖ケ浦団地に住むサラリーマン、勤務先日本橋、五月の連休で行楽地が込み合うのではずして、土曜日に家族を連れて四人で郊外に出た、帰りが十時過ぎまして津田沼駅に下車して行列に並んだ、タクシーは乗り合いでメーターが百七十円のところで下車したけれども、運転手に、御家族かもしれないがこの時間は皆さんから百五十円ずついただくことになっています、と言われ、私は六百円支払った、こんなことが公然とまかり通ってよいものか、法治国家だのにまるで無政府状態だ、終バス後は一人二百円取るというからたいへんなことだ、こう
指摘
しております。 例の二、同じく住宅公団の袖ケ浦団地であります。主婦四十三歳、親類をたずねて帰りが国電津田沼駅に十一時過ぎにおりた、みんなかけ足でタクシー乗り場に急ぐ様子を見て終戦時の混乱を思い出した、なぜ大あわてにあわてなければ列に並べないのか、それは帰宅で一刻を争う男性心理なのか、実はおりた電車で一番先に並ぶと
最後
に並ぶとでは二十分違うからだという、前の電車の客がその前の電車の客に続いて、この時間になると三十分から四十分待つのが常識で、おまけにタクシーの相乗りである、
運輸省
は一体夜のタクシーを求める乗客がこんな修羅場にいるのを知らないのだろうか、要約こういうふうに言っております。 例の三、習志野市大久保から
東京
丸の内に通勤するサラリーマン、二十八歳、夜の十一時ごろの帰宅になると、いつも、袖ケ浦団地のお客さん、と呼び声がかかって、とても大久保まで行ってくれるタクシーはいない、いつもたくさん台数があるのに拾うのが一苦労で、県道へ出て千葉方面へ向かうタクシーを拾うようにしている、タクシーに関して需給のバランスを考えると、タクシーの極端な不足と見られる、津田沼駅に出入りする車両を大幅になぜふやせないかといつも考える、いまの陸運行政の業者過保護からくるもので、この姿勢が変わらなければ乗客はいつまでも泣かされっぱなしということだ、要約こう言っております。 例の四、袖ケ浦団地から亀戸に通うサラリーマン、五十三歳、タクシー相乗りはわれわれはいいが、若いお嬢さんは全くかわいそうだ、おそい帰宅が悪いといってしまえばそれまでのことだが、タクシーとは客の希望するところまで行ってくれるはずのものだ、それが荒くれ男にはさまれて、おまけに運転手はやくざのような口をきく、いつまで待っても昼間あるような一人で乗れるタクシーはやってこない、運転手も夜になると雲助に変身ときては、心配で娘などとても乗せられない、腹立たしい限りだ、こう言っております。 例の六、これは運転手さんであります。津田沼の駅からおよそ三百メートルほど離れたところに新京成の踏切がありますけれども、そこまで乗り場は移っております。そこから高根公団までメーターでは六百円のところ、一人三百円ずつ取って五人押し込める、これが通常です。花見川団地まで、十時以降になりますとメーターが六百円になりますけれども、これは一人五百円ずつ取って五人押し込める。運転手さんの話によりますと、津田沼の駅に入っているのは六社でありますけれども、この例にあげましたA社の場合、一人一日一万円の水揚げがノルマになっております。あとは何をやってもかまわないというのが運転手さんに言われていることであります。これは、いま例にあげましたけれども、全くひどい話でありまして、これにこういう具体的な
事例
がある。しかも夜の終電車前後の時間に大混乱を起こしておる。
運輸省
の実働時間というのは、昼間の時間運輸行政を丁寧におやりになっておるかもしれませんけれども、実際の問題、タクシーの混乱を起こしているのは、夜中の、しかも九時過ぎの時間、一体どうなっておるかということが最も大事なことじゃないかといま考えるわけです。
総武線
の沿線、常磐線に関して、これまでどういう調査をやっておりますか。それから特に悪質なものの摘発をやったと言いますけれども、今日まで具体的に半年を取り上げて考えてみますと、ことし半年、違反の摘発、これをどういうふうにやったか、何件あるか、示していただきたいのです。
小林正興
51
○小林
説明
員 違反の摘発につきましては、
一般
の場合に、乗客その他の方から苦情等の申告があるわけでございます。現在、
東京
陸運局管内は大都市を控えておりまして、そういったタクシーの苦情申告件数が非常に多いようでございます。陸運局全体で四十六
年度
一年間で九百十四件ございました。こういった申告がございますと、直ちに調査、聴聞をいたすわけでございます。一番多いのが乗車拒否、それから先ほど来お話がありました不当運賃の請求、こういうような場合が多いわけでございます。そういった際には、事業者を呼び出しまして聴聞をいたすわけでございますが、その結果、車両の使用停止という行政処分をいたすことにいたしております。なお、非常に証拠が不十分であるとか、あるいはささいな場合には警告というような措置をとっているものもございます。
鳥居一雄
52
○鳥居
委員
具体的にしぼるために、
総武線
の五つの駅について東陸のほうで調べておりますね。
局長
さんの手元にありませんか。——私のところへは資料を提出していただいておりますけれども、それによりますと、西船橋、船橋、津田沼、西千葉、柏・松戸地区、ことしの一月から七月までの間に二十四件の申告があります。実際には使用停止という処分が十三件ありますけれども、そのほか文書警告五件、口頭警告二件、処分をしたといわれるもの二十件、こういう数字が出ておるわけですけれども、
運輸省
はこうしたものの行政にあずかる立場で、申告がなければこうしたものの取り締まりができないものかどうか。非常に受け身だと思うのですけれども、どうですかその点。
小林正興
53
○小林
説明
員
総武線
だけでなくて、
東京
の近郊の
郊外地
全般についての輸送全体の実態がいまどうなっておるかということにつきましては、陸運行政の非常に大事なことでございますので、バス、タクシーを含めまして、輸送の実態調査をいたしておるわけでございます。ただ、ただいま問題になっております具体的な違反につきましては、これはやはり警察からの連絡、あるいは直接乗客からの申告というものがございませんと、これは現在の陸運局の要員等ではいわゆる違反の摘発に直接当たるということは不可能かと思います。
鳥居一雄
54
○鳥居
委員
不当な
料金
の徴収ということになるわけですから、これは所得税、税制の上からも脱税という疑いがかかってくるのじゃないかと思うが、国税庁のほうではどういうふうに考え、どういうふうにしていくお考えですか。たとえばいまあげました
事例
でありますけれども、花見川まで五百円、十時過ぎ二割増しで六百円、メーターが示す六百円の
料金
のところを、五人押し込みまして、一人から五百円ずつ取るわけです。やはり放置しておけない問題だと思うのですが、どうですか。
系光家
55
○系
説明
員 いま御
指摘
の点を税法の見地から考えてみますと、三つぐらいのケースが考えられるのじゃないかと思うのでございますが、まず一つのケースは、お客さんから
料金
をもらうのが運転手かと思うのですけれども、その運転手がその金をその会社のほうに納める、これは現実的ではないかもしれませんけれども、そういう場合にはやはり会社の所得になるはずでございます。運転手の方がそれを自分のものにしてしまったという場合には、大体その運転手の雑所得になるのじゃないか、こう思われます。その方は、通常会社に雇われておりますので、そこで給与をもらうほかにそういう雑所得が入ってくる、こういうことになるかと思います。また個人の業者である場合には、これはその個人の事業所得として課税されるべきものだ、こういうことになりまして、いずれの場合にも、これは違法、不当でありましても、そこに担税力が生じますので、当然課税されるべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。 ところで、それに対して課税の
実情
がどうかといったようなことも御質問の御趣旨に入っているかと思うのでありますけれども、現在のところは、そういう面で完全にそれを把握しておるかというと、何ぶんにもお客さんとの間の現金取引でありまして、非常に捕捉がむずかしいといった点もございますし、なかなか捕捉されていないのじゃないかというのが
実情
かと思いますけれども、せっかくの御
指摘
でもありますので、何かうまくくふうしていかなくちゃならないのじゃないかとも考えております。ただ、現在の税全体の
執行
の体制からいいまして、なかなか手の回りがたい分野ではなかろうかということもまたあわせて申し上げたいと思います。
鳥居一雄
56
○鳥居
委員
要するに、雑所得に関してはもうお手上げで、全く現状無政府状態であるという、そういう情勢です。申告があって
運輸省
としては動く、申告がない場合にはやはり野放し以外にない、こういうお寒い現状ですよ。ほんとうにこれでは乗客が泣かされっぱなしだという、もうそのとおりでありまして、一つは、バスと同じようなかっこうにして、普通のタクシー、従来の法律で定められたタクシーとは別個に乗り合いにしようという論議がいま出ております。これは私は一つは隠れみのじゃないかと思っておるわけです。過渡期における相乗りというものは、非合法でありますけれども、これはやむを得ないという線でいま検討しておる。乗り合いタクシーを検討しておるということが隠れみので、それで非合法のタクシーの相乗りを認めるような、そういう形に見えてならないわけですけれども、現状、乗り合いタクシーについては一体どうなっておるわけですか。
小林正興
57
○小林
説明
員 先ほど来先生が、例の一、二、三、四、五といろいろな乗り合いタクシーの例を申されましたが、それらにつきましてまず申し上げますと、例の一のように明らかに家族らしい場合に、個々の人数によって運賃を取る、これは非常に明瞭な運賃違反ということになろうかと思います。そのほか例の二あるいは三で言われたような、増車がなかなかできないからこういう相乗りタクシーがあるのではないか、業者の過保護じゃないかという御意見もあったようでございますが、この点については、全くの誤解でございまして、現在タクシーの増車につきましては、いわばフリーということになっております。ただ、事業を営んでおります事業者が、車庫その他別の面での、
管理
能力等において欠陥がやはり出てきておる場合がございますので、そういった場合には増車を押えますが、いわゆる需要供給の関係から見ました増車というようなものは何ら抑制をいたしておらないわけでございます。ただ現実の問題として、運転者不足その他の問題がございまして、思うような増車が行なわれてないということでございまして、こういったいわゆる需給の関係から各地に相乗りというような不明朗な事態が出ておるかと思うわけでございます。 そこで、まず第一に交通政策の基本といたしましては、やはり一時に大量の需要が発生をいたしておるわけでございますから、まず、私どもといたしましては、バスで大量輸送をさばくというのが最も能率的であり合理的であるということで、今日まで指導してまいっておりますのは、一つは終バスの延長でございます。こういったことで最近までかなりの効果があがってきておるわけでございます。従来おおむね九時ないし十時で終車が終わっておるところにつきまして、おおむね一時間ほど終車が延長されてきておるような状況でございます。さらに地区によりまして、神奈川県あるいは埼玉県の一部におきまして、深夜バスというようなものもいたしておるわけでございますが、これにつきましては、一つは、やはり深夜に労働力を確保するというようなことが非常にむずかしゅうございます。またそれに伴って若干の割り増し
料金
というようなことでバス
料金
がはね上がるというようなこともございまして、地元方面における反対というような問題もあらわれておる。あるいは深夜バスというようなものがそれほど各地に、どこのバス業者もやるというようなわけにはまだなってないようでございますが、方向といたしましては、そういったバスを整備することによって深夜における相乗りタクシーを根本的になくしていきたいというふうに考えておるわけでございます。それと並んで、先ほどのどなたかのお話にありました、増車が押えられているというようなことはないわけでございまして、増車というものも、可能な限りタクシーをふやして、そうして需給状況から改善をいたしまして相乗りというようなものをなくしていきたい、これがまず一番オーソドックスな方法、考え方だと思っております。 ただ、いま相乗りタクシーについて検討をいたしておるわけでございますが、現実に相乗りタクシーが行なわれておるのは、たとえば競輪、競馬というようなものが一定の地点で行なわれる、そういった際に、それと駅との間、あるいは団地と駅というような場合、非常に一定の方向がはっきりしておるような場合に、相乗りというようなもので輸送すれば乗客の皆さま方にも非常に便利であるのではないか、あるいは一人当たりの運賃というものもむしろ割り安になるのではないか、事業者にとっても全体としての
収入
が上がるのではないかというようなことから、この相乗り制を考えるべきであるというような御意見も各方面から従来からあるわけでございます。したがって
運輸省
といたしましては、そういった相乗り制というようなものを、一定の条件のもとにおいて可能であるかどうか、現在検討をいたしておるわけでございます。 その際一番問題なのは、一つは、先ほど例の四でどなたかが申されておりました相乗りに伴う不安というようなものもあるわけでございます。御承知のとおり車内が非常に狭いわけでございまして、乗用車における相乗り制には、防犯上その他の観点からの批判というものも出ておるわけでございまして、こういった点についてさらに検討を進めなければならぬ。 もう一つは、団地等、一定の方向については明らかでありましても、それ以外の若干はずれた方向に行く乗客の方々の輸送力というようなものを同時に確保する必要があるわけでございます。団地の乗客だけでなくて、それ以外の方向の、散在いたしております乗客の方々にタクシーの輸送力をいかに適切に配分するかというような問題もあるわけでございまして、そういった点を現在検討をいたしておる、こういうのが
実情
でございます。
鳥居一雄
58
○鳥居
委員
いま
局長
の話で、たとえば競輪、競馬の場合には、相乗りが需給の上からいいのじゃないかという意見が各方面からある、一体
運輸省
は認める立場なんですか。大臣どうですか。
佐々木秀世
59
○
佐々木国務大臣
相乗りをですか、それとも競輪、競馬のことですか。(鳥居
委員
「相乗りです」と呼ぶ)そういう声があるということで、認める認めないということはいま考えておりません。
鳥居一雄
60
○鳥居
委員
それは当然非合法なんですから、きびしく取り締まっていかなければならないわけですけれども、現状を知らないのですか、それとも現状を見て見ないふりですか。一体どうですか、大臣。
佐々木秀世
61
○
佐々木国務大臣
私はそういう現状はよく承知しております。
鳥居一雄
62
○鳥居
委員
この対策はどういうふうにしますか。
佐々木秀世
63
○
佐々木国務大臣
運輸行政には、道路交通法なりその他いろいろ関係法がありますから、やはりその法規に照らして運輸行政をやるということがわれわれのたてまえでありますから、法規に触れるようなことを認めるわけにはまいらないと思います。 ただ、先ほどから
局長
の答弁を聞いておりますと、万全に取り締まりができていないということがわかりますので、非常にそういう点は遺憾であると考えております。今後先生の御
指摘
のようなことには、十分この問題の解消のために全力をあげなくちゃならぬ、そういう決意を先ほどから固めております。
鳥居一雄
64
○鳥居
委員
今回調べてわかったのですが、
総武線
の沿線で言いますと、稲毛の駅を
昭和
四十五年に一回調べただけなんです。あと調べてないのです。現状どうなっているかということを運輸
当局
はつかんでないのです。現状把握から私は動くべきだと思うのです。それを要望しておきます。きびしく取り締まらなければならない。現状においてはそういうものだと思うのです。そうした事態が私は起こるべくして起こっているように思うのです。 ここに一つの例があります。労働省の労働
基準
局が調査したものであります。
昭和
四十六年秋、四十七年春、これは値上げ前と値上げあと調査したものでありますけれども、毎年労働
基準
法に照らして、
一般
乗用
旅客
の事業場そのものが、労働
基準
法という最低ぎりぎりの線で押えて考えてみた場合に、その法律に合っているかどうかという調査なんです。たとえば、
昭和
四十六年秋調査をしました監督
実施
事業場数が二千七ございます。そのうち違反をしている事業場数が八二・三%に当たる千六百五十一、この中身は、もちろん労働時間、休日があるはずのものがない、あるいは割り増し賃金が支払われるべきものが支払われてない。数字で申しますと、五四・四%にのぼるものが労働時間で違反、休日違反が二八・六%、割り増し賃金が三一・二%、その他が五七・四%という数字が具体的に出てきております。あまりにもひどい。八二・三%にのぼる労働
基準
法違反がタクシー会社の現場で起こっているわけです。非常に過酷な労働条件の中で低賃金をしいられているのがいまのタクシーの運転手さん、そういうことになってくるわけですけれども、これを前年
昭和
四十五
年度
と比べてみますと、
昭和
四十五
年度
は、
適用
事業場数に対しまして実際に監督
実施
事業場数が四千六百四十六ありますけれども、違反率が八〇・一%、そうしてことしの春監督
実施
事業場数が千九百二、違反が八三・一%、八〇%を上回る違反が
指摘
されておるわけです。一体運輸
当局
はどういうふうにこれを改善しようとなさっていますか。過酷な労働条件の中に追い込んでいて、そうして相乗りはいかぬというわけにいかない条件にあるんじゃないですか。どうですか、これ。
小林正興
65
○小林
説明
員 各事業場の労働
基準
監督につきましては、当然労働省あるいは労働
基準
局の監査というものがあるわけでございますが、それと
運輸省
陸運局でやっております行政の関係を申し上げますと、事業の
一般
的な監督は
運輸省
でやっておりますが、そういう労働
基準
行政上に非常に問題のあるようなタクシー事業者、これはトラックでも同様でございますが、そういった事業者が労働
基準
官署において監査され、問題があるような場合には、労働省
基準
局と陸運局と連絡を密にとりまして、悪質な事業者については当方陸運局に通知が回ってまいるわけでございます。陸運局といたしましては、そういった場合に、当該事業者について立ち入り
検査
その他の監査を厳重にいたしておるわけでございます。
鳥居一雄
66
○鳥居
委員
それでは、具体的にことしの春行なわれました労働
基準
局の調査の結果、悪質なもの五百二十八件、
運輸省
にきているはずです。これはどういう検討をし、どういう処分をしていますか、具体的に。
小林正興
67
○小林
説明
員 それぞれ各県の所管の労働
基準
局と陸運局との連絡でございまして、現在その点について件数その他承知いたしておりません。
基準
局から陸運局にそういった問題の通知があれば、当然陸運局が監査の計画を立ててやっておるわけでございます。
鳥居一雄
68
○鳥居
委員
大臣、現状はいまお話ししたとおりです。八〇%をこえる労働
基準
法違反が現にあります。これは労働省が
指摘
しているとおりです。タクシー業界の指導また育成、まあ数々の問題点があるだろうと思うのですけれども、要するに場当たり的な運転手指導、訓練、教育、これはもう通用しない。八〇%をこえる
基準
法違反を見てもわかるとおりです。この現状をどう考えられますか。最高責任者としての見解、今後の対策を伺いたいです。
佐々木秀世
69
○
佐々木国務大臣
そういう実態がいまなお横行しているようでは非常に遺憾だと思います。ただ、タクシー営業というものはほとんど民営でございますから、やはり
運輸省
としては業者に対する強力な指導が必要じゃないか、こういうように考えます。 ただ、私たちのほうに最近入っている
実情
は幾らか違う情報も入っているのですが、非常に運転手などの数が少なくなりまして、ことにまた、最近個人タクシーという営業を多数許可をしているものでございますから、それらとも照らし合わせて、私のほうでもまた独自の調査をいたしまして、そんなことのないように十分気をつけたいと思っております。
鳥居一雄
70
○鳥居
委員
大臣、そうおっしゃいますけれども、最近の日刊某紙、ことし一月二十五日付でありますが、コンピューターによる千人調査、七四・八%が値上げを好ましくないとして反対しております。それからその後、値上げ後でありますけれども、四八・九%の人が、運転手の態度が悪い、相変わらず悪い、こう
指摘
しているわけです。最近よくなっていると言いますけれども、そこにやっぱり現状改善ができない節があるのじゃないかと私は思うのです。実際問題、今回の私の調べでもわかりましたけれども、運転手さんは非常に条件の悪い中で働いております。初任給が三万八千円、そうしてあとは歩合で、もうともかく相乗りでも何でも、
収入
を考えなければならない。八年目の運転手さんで、歩合なしにしますと四万六千円です。そうしてその上のせが相乗り等の
収入
、
雑収入
ということになるわけで、もうたいへんな状況に置かれている。こうしたものの改善がまず第一だと思いますので、ひとつ今後鋭意努力していただきたいと思うのです。 要望しておきます。
笹山茂太郎
71
○
笹山委員長
吉田賢一君。
吉田賢一
72
○吉田(賢)
委員
大臣に、国鉄問題の基本的な課題につきまして大体三点にしぼってお伺いをしたいと思います。ひとつ所信を端的に御表明願いたいと思うのであります。 第一点は、この
財政
再建
の基本対策につきまして大臣はどうお考えになっておるであろうか。これをお尋ねするゆえんのものは、しばしば当
委員会
におきましても国鉄
財政
の
再建
は重大な課題として質疑応答がありました。また、累積赤字も依然として解消はしておりませんし、ことに多額の長期負債を持っておりますること、四十六
年度
におきましては三兆円をこえるようであります。金利、利払いだけでも、四十五
年度
には千五百二十二億円をこえております。こういう状態でございまするので、国鉄はまさに病める大きな象であるというようなことばさえ出されるのでございます。 そこで、いまは日本列島改造論などで、この内閣も新しい意気込みをもってあらゆる面に相当積極的な施策を打ち出しつつある際でありまするので、具体的にはきょうはよろしいとしましても、基本的に大まかな線は、どこを柱にして
再建
の案を立てていかれるのか、この辺についてひとつ大臣に率直なところを聞いておきたい、こう思うのであります。
佐々木秀世
73
○
佐々木国務大臣
吉田先生御
指摘
のとおり、国鉄の
財政
の現状というのはもうひどいものでありまして、先ほど
決算
報告で申し上げましたが、お話しのように、もう収拾つかぬというような現状でございます。そこで、前国会におきましても、御承知のとおり国鉄
財政
再建
法を国会に提出いたしまして、御
審議
をわずらわし、幸いに衆議院におきましては通過いたしましたが、いろんな国会の時間的都合などもございまして、参議院で流れてしまったことはたいへん遺憾でございます。そのために、国鉄が現在なお一そうの窮地におちいっております。私の手元にその窮状が事務局から出されておりますが、吉田先生よく御存じでございますから、その
内容
などはいまここであらためて申し上げようとは考えておりませんが、あの
財政
再建
法にうたっております三本の柱のうち、国の助成問題というものに対しては、なお一そう政府として一段の努力をする必要があるのじゃないか、こう考えております。でき得るならば、できるだけ早い機会に先般出しました
財政
再建
法を慎重に再考慮いたしまして、それで再び御
審議
をわずらわしたい、こういうように考えております。しかし、私の率直な考えを申し上げますと、単に
財政
再建
法だけで国鉄が立ち上がるという簡単な考えは持っておりません。経営者自体、
管理
者自体もいままでのような考え方ではとうてい健全な運営ができるとは考えておりませんので、ことにこの労使関係というものがより一そう信頼の度を高めて、そうしてその全労使一体となった国鉄
財政
再建
なり国鉄運営のための努力が必要でないか、こう考えております。具体的な問題は、これから関係者一同真剣に検討いたしまして、いずれ近いうちに国会に提出し、御
審議
をわずらわしたい、こう考えております。
吉田賢一
74
○吉田(賢)
委員
国鉄の使命は、申し上げるまでもなく、国鉄法等によってみましても、鉄道輸送としての使命を全うすることと、反面におきましては社会公共の福祉の増進ということが重大な使命になっておりますが、こういう点にかんがみまして全額政府出資の企業体でございますし、国の援助、国の補助ということに大きくたより過ぎるということに傾きましたならば、親方日の丸になります。依然として赤字累増の原因になりはしないかとおそれます。したがいまして、いまおっしゃいましたできるだけ労使一体となって
合理化
するという面でありますね。単に精神的に一木になるというだけじゃなしに、具体的にいかに
合理化
するのか。
合理化
反対というようなことばがございますけれども、そんな論理矛盾したことばはございません。
合理化
は
合理化
であります。真に
合理化
をいたしますことは国民への奉仕でありますので、この点につきましても大臣は、また別の機会にも聞きましょうけれども、き然たる態度をもって終始一貫せられんことを希望したいのであります。 それから二番目に聞いておきたいことは、したがいまして、国鉄内部におきまして厳正な規律を維持するということはきわめて重要な課題であります。厳正な規律、秩序を維持することなくして真に労使一体、もしくは
合理化
、国民福祉の増進に寄与する輸送の使命を全うするということは不可能であります。 しからばいかに規律を正していくかという課題でありますが、最近、たとえば昨
年度
におきましても、五、六月ころから十一月にかけましてひんぱんに起こりました北陸あるいは関東、関西などにおける暴力ざたが話題になりました。すでに刑事事件として発展したものもあるようでございます。もし四十六万のこの職員のうちに、たとえ一人、二人たりともこのようなことがありましたならば、総裁以下えりを正してこの問題に対処することで初めて国鉄の規律ある労使一体の関係が持続されます。ほおかぶりすることは許されないのであります。また大臣は国鉄法によりまして監督権があるのでありますから、遠慮なしに、仮借なくこれらの問題について対処せねばなりません。私は、これらのような不祥事件が起こりましたことについては、一体どんな覚悟で四十数万の職員を指導していくのであるか、やはり大臣みずからも、これらの問題につきましては、
運輸省
内に起こった事件というほどに身近に感じて対処せられんことを希望したいのであります。どのように対処せられるか、心がまえいかん、この点をはっきりしておいていただきたい。
佐々木秀世
75
○
佐々木国務大臣
この問題が国鉄
再建
のやはり根本問題で、吉田先生お説のように、ただ単に口先だけの問題で解決する問題とは考えておりません。そこで、労使間がいまのような状態で不信を続けているような状態では、単に
財政
的な
再建
をお願いしたところで根本的な解決にはなりません。私自体その監督の責任にありますから、これからやはりみずから進んで労使間の接着剤になるつもりで、できるだけ双方の言い分あるいは考え、こうしたものを数多く承ったり、あるいは私から直接また足を運んだりいたしまして、できるだけその障害になっている部分を除去していくということが監督の任にある私のつとめだとも思っております。同時にまた、先ほどお話しのように、その中にありながらもやはり
能率化
、
近代化
ということも考えなくちゃなりませんので、それらの問題については、最近は
合理化
というものを申し上げただけでもまっ向から反対というような空気が起きますから、
合理化
したら、しからば一体どういう点のプラスが起きるのか、そのプラスが労働組合にどう返ってくるのか、あるいはそのプラスの面をお客さんのほうにどう奉仕するのか、こういうようなことをお互いに腹を割って話し合わなければならないのではなかろうか。私、まだ
運輸省
に来ましてから一カ月そこそこしかたっておりませんが、どうもそれらのことがお互いにすっきりした話し合いが欠けているのじゃないかというような気がいたしますので、まだ、ここでどういう問題をどう取り扱って話をするというお答えはできませんけれども、決意としてはそういう決意で臨みたい、こう考えております。
吉田賢一
76
○吉田(賢)
委員
ことばの魔術ということがございます。
合理化
合理化
といって実は
合理化
でない、押しつけということもあり得ます。昔、御幣で頭をたたくということばがありました。神さまの名によって人をぶつ、こういうことがございました。私は、やはりことばの魔術にとらわれることなしに、
合理化
と言おうとしからずとも、真に合理的に秩序を保って、そうして科学性をもって人間性豊かな職場にするということが大事でございます。だから秩序を無視しているということにつきましては峻厳たる態度を持っていく。おっしゃるように話し合いの場を広げていくということは好ましいことであります。官僚づらすることなくしてやはり積極的に民衆の立場に立って握手していく、これは必要です。先般文部大臣が和服で座談しておったのが写真に出ておりましたが、おもしろいです。あのかっこうはともかくといたしまして、その心がまえをもって臨むべきだ、こう思います。原因のいかんにかかわらず、厳たる秩序維持はあなたの責任であり、総裁の責任でなければなりません。秩序を無視して組合運動もあらゆる要求もありませんから、法治国の名をけがしてしまいますから、その点ははっきりしておいてもらいたいのであります。 それから第三番目には、ほんとうに豊かな魅力のある職場づくりをするということは、これはすべての公務員の制度全体を通ずる大きな課題であります。この内閣も、ちょうどここの
理事
をしておりました濱野君が行管長官になりましたようでありますが、ともかくこの内閣も、あなた方の副総裁であった川島さんも案を出しておりましたが、行政改革は大胆に積極的にやるべきであります。そうして公務員としての国鉄の職員につきましても、待遇はいかん、どんな処遇を受けておるのかということを、ほんとうにあの暑いさ中に汗をふきふき仕事をしている場に臨んで、それを見てあげなければいけません。水害地をほおかぶりで視察に行く、これもけっこうです。長ぐつはいて視察に行くのもけっこうですけれども、ともかく暑苦しい中を冷房装置もなくして駅長さん一生懸命骨を折っているという事実もあるし、あぶないところで転轍機をいろいろやっておる、あの
作業
をしているところもある等々、幾多の場もありますので、処遇の実態というものをほんとうに知らなければいけません。おそらくあなたらが行かれましたならば、所長以下行列いたしましてお迎えあそばされる。そうして貴賓室みたいなところでだんだん
説明
するということで終わったらたいへんです。やはりそこはわらじばきのようなつもりになりまして現場に行きなさい。処遇の実態を知らなければいけない。 もう一つは、ほんとうに魅力のある職場にするためにはどう改善するか、処遇の改善の問題です。これは給与の問題もありましょう、適材適所に配置するということもありましょう。そこは大胆に勇敢に能率的にやらなければなりません。そうして何年かつとめましたならば、この四十六万の職員も第二人生の計画をなし得るというような、未来の豊かな、前途を望み得るような姿にすることがほんとうの処遇の問題であります。私は、そこで初めて労使一体になり得ると思うのです。この意味におきまして、待遇の改善が必須の重大課題になっておるということも頭に置いておいてもらいたい。さりとて待遇改善をしなければ、お客さんに国民に迷惑をかけて知らぬ顔をしていくような、そんな反国民的な態度は許されません。それはそれ、また厳として国民の立場を防衛しなければいけません。公器を私するということは許されないのであります。国鉄はあくまでも公器であります、全額国民の負担によってできておる企業体でありますので。したがいまして、大臣なり総裁なりのお立場は、あくまでもほんとうに魅力のある職場にするということに最善の努力をしなければいかぬ、こう考えます。物心豊かな職員につくっていくということが大事であろうと思います。この点について勇敢に施策を打ち出してもらいたいと思うのですが、所信はいかがでしょう。
佐々木秀世
77
○
佐々木国務大臣
吉田さんからの非常に教訓に満ちたお説でございまして、身にしみます。私ももともと労働者上がりの国
会議
員でありますから、現場で働いたということは、こんな席で申し上げるのはどうかと思いますが、地下三千尺の坑道で石炭を掘った経験もございます。現場を見ることが大事だ、そのとおりであります。
運輸大臣
に就任いたしましてからも現場を見ました。しかし従来のような、現地視察というようなふれ込みはいたしておりません。私一人で、しかも護衛までまいて新宿の現場、こみ合っている現場、それもネクタイもせずにシャツ一枚で、たった一人で日曜に見ております。そういうことがほんとうの現場の視察だと私は思います。従来のように、
運輸大臣
が行くからというような視察は一回もしておりません。こういうことで、最近のいわゆる国鉄の現場というものを、なお一そう認識を新たにして真剣に取り組みたい、こう考えております。ただ、これに対する考え方をこの機会に申し上げますが、あるいは物質的な待遇を申し上げるのではございません。要するに、よく働く人と誠心誠意ものごとに当たる人、そういう人たちのことをやはりよく見てやるということも大事だと思います。いわば単に高能率高賃金ということばだけではなくて、国鉄の現状からいけば、単に数だけの問題ではない。いかにしたならば国民に奉仕でき、いかにしたならば今日の窮状を打開し得るかというような根本的な問題に取り組むことは、ひとり
管理
者だけでなくて、働いている方々の中からもきゅう然として起きてくるような指導が必要ではなかろうか、こういうように考えておりますので、私はそれらの点に日夜頭を悩ましているつもりでございます。 ただ、お説のように、今日の国鉄の組織体は、昔の組織体と違いまして、昔の国鉄ですと、赤字が出ましたら
一般会計
からこれを補てんし、黒字が出たら
一般会計
に入れればよかったのですけれども、いまの国鉄は、いまさら申し上げるまでもございませんが、コーポレーションで独立採算制でございますから、そのいわゆる組織体を十分心得ていただいてお仕事をしていただきたい、こう考えております。 これからの国鉄をしからばどうするかという問題については、やはり
近代化
、いわば
新幹線
などという鉄道は非常に国民から愛されておりますので、まあ田中総理が言っておりますような九千
キロ
の
新幹線
敷設というようなことがはたしてどうかこうかは、いまから皆さんの御意見を承らなくちゃなりませんが、やはり六十年という将来を考えると、人の輸送においていまより二・四倍、六倍ないしはものによっては十倍の輸送をしなければならないということを考えますと、鉄道の使命というものは非常に大きなものがあると思いますから、これを
近代化
し、そうしてその使命の重大さを十分痛感してもらいながら国民の協力を得なければならない、こういう考え方を持っております。具体的にこうこうするということは時間がありませんので、ただ国鉄の将来に対する私の心がまえだけを申し上げまして御了承いただきたいと思います。
吉田賢一
78
○吉田(賢)
委員
きょうは時間の関係がありますから、この程度にしておきまして、いずれまたあらためて伺いたいと思います。
笹山茂太郎
79
○
笹山委員長
西宮君。
西宮弘
80
○西宮
委員
だいぶ時間がおそくなりましたので、ごく簡単にお尋ねしたいと思います。 最初に自治省にお尋ねいたしますが、過疎バスの問題で自治省がやっております対策として、いわゆる営業バスの路線が休止または廃止されたというような場合に対する代替バスを運営しておりまするけれども、これは一つには非常に住民に直結をした、したがって住民の意思が完全に反映をする、そういう点ではたいへんにいい方法だと思うのであります。しかし何ぶんにも従来商売人がやってうまくいかない、それをいわば武士の商法でやるわけでありますから、たいへんにむずかしいことだと思うのですが、これの見通しはどうですか。
森岡敞
81
○森岡
説明
員 過疎地域の足を確保いたしますための手段としては、先刻来御論議のありました民営バスによる運行を確保していただく、これが私はやはり基本であろうと思います。しかしながらどうしても民営がやめてしまうという場合に、地方公共団体が御
指摘
のような代替バスという形で運行を確保しなければならないというケースがだんだん出てまいっておるようでございます。私どもで調べましたところでは、本年の三月末で市町村が代替バスを運行いたしておりますのは、七十八市町村、路線で百十七路線程度でございます。この中で直営が市町村数で申しまして六十一、委託をいたしておりますのが十七ということになっております。 それから運行の形態は、路線バスの運行という形、こうなりますと公営企業ということになりまして、経営面では非常にむずかしい面も出てまいりますので、自家用車の有償運送というふうな、道路運送法によります、ある意味では簡便な方式を使っている例が多いわけでございます。そういうふうな実態をいま少しく調査をいたしまして、適切な措置を将来考えてまいりたい、かように思うわけでございます。 なお、現在までとっております措置を簡単に申し上げますと、
運輸省
でお出しになります
補助金
、これは都道府県負担を伴います。また一部市町村負担を伴うものでございます。それぞれにつきましては特別交付税で所要の財源措置を講じてまいっております。それからバスなりあるいはスクールバスのような車両の購入の場合には、過疎債を充当いたしまして、市町村が車両購入に大きな財源負担をしいられるということのないような措置を講じてまいっておるわけでございます。
西宮弘
82
○西宮
委員
最後
にお話のありましたバスの購入費に対して過疎債を充当するということでありますが、去年は運行赤字の七五%は国が助成する、こういうことで、自治大臣は旅先の談話でそのことを明確にしたわけです。それでは、これは結局お流れになってしまって、その助成金にかえて起債を認める、こういうことになったわけですか。
森岡敞
83
○森岡
説明
員 バス購入費に過疎債を充当いたしますことは、いま御
指摘
の運行費に対して何らかの
財政
措置を考えていくということとは別の問題でございます。運行費に対する助成につきましては、実は四十七
年度
予算
の際に、御
指摘
のように自治省として何らかの措置を購ずる必要があるのではないかということを考えておったわけでございます。
運輸省
のほうで民間バスに対する路線維持費
補助金
を強化されるというふうなこともありましたので、むしろそちらのほうで基本的にやっていただく、私どものほうは、先ほども申しましたように、代替バス運行の形態がかなり区々でございますから、そういうものをさらに詳しく調査をした上で適切な措置を将来考えてまいりたい、かように思っております。
西宮弘
84
○西宮
委員
その経緯はわかりました。 いま
審議
官は、基本は民営バスにあるのだ、こういうことを言われたわけです。したがって、いまの助成の問題もいわば
運輸省
の政策のほうに譲った、こういうお話でありましたが、私は、自治省、
運輸省
両方相談の上で十分連絡を密にして、その辺の対策を明確にうたってもらいたいと思うのです。何しろ私は、全部運行が廃止されたというようなところをそのままに放置をするということはどうしても許されないと思うのですね。しかし、さりとて、いまやっておるような、あの道路運送法の百一条とかあるいは四条とか、そういうものを使ってやっているというようなやり方も十分じゃないと思うのですね。さっき申し上げたように、非常に不完全な事業運営のあり方で、しかもそれを専門家がやってもできなかったというのをしょい込んで自治体がそれをやっていくのだということになると、自治体が直営する場合でも、あるいはだれか業者に委託する場合でも、いずれにしてもなかなか容易じゃないと思うのですよ。これはなかなか容易ならざる問題だと思うのですね。ますます自治体にそういう負担を加重するという結果にもなるわけで、その辺は明確にこの両者の間の呼吸が合うようにしてもらいたいと思います。 たとえば事故が起こったような場合、この補償の責任はだれが持つわけですか。直営ならばその自治体が持つということだろうが、委託の場合ならばだれが持つのか。その辺は委託をした人が持つのか受託をした人が持つのか、いずれにしても明確なる契約がなされてなければならぬと思う。その辺はどうなっておるのか。
森岡敞
85
○森岡
説明
員 前段のほうのお話でございますが、過疎地域の交通需要の態様も区々で、かなり幅があると私は思っております。特に一番問題になるのは、通学と、それから先ほど御
指摘
の主婦なり老人の交通の問題。そうなってまいりますと、通学についてはどちらかと申せば通学のバス、これは文部省の
補助金
も出ておるわけでございますが、そういうものを拡充していくというところに重点を置いてまいる。その地方負担については現在も地方交付税で措置しておりますが、そういうことを主眼として考えていったらいいのじゃないか。 それ以外の
一般
交通につきましては、いま申しますように、定型的な交通需要というものはなかなかに成り立たない。それがまた民営バスが撤退して終止してしまうという一つの理由にもなっておろうかと思います。でありますので、あながち自家用車の有償運送が十分でないという御
指摘
でございますが、むしろ機動的にそのような方式で交通の需要を満たしていくということもやはり考えていっていいのではないだろうか、かように思っております。 なお事故のあった場合でございますが、これは委託の場合は委託契約の
内容
によるのではないかと私は考えます。なお委託契約の
内容
については、現在まだ十分全般にわたって調査をいたしておりません。そのような点も含めて今後慎重に検討してまいりたい、かように思います。
西宮弘
86
○西宮
委員
いまの事故対策等について、委託の場合等は十分調査しておらぬというお話ですが、ぜひこれは調査をして明確にしておく必要があると思います。何しろ代替バスは非常に安い賃金で、さらにまた非常に労働強化ですね。そういうやり方で運営されているに違いないと思うのですよ。ですから、そのことは当然事故につながってくるというおそれがあるわけです。労働強化でありあるいはまた低賃金であるというようなことが事故につながってくるという危険性も多分にあるのですね。そういう点を明確にしてもらいたいと思います。 それから、これは新聞に関係あるのでありますが、こういう考え方が、これは新聞には
運輸省
と自治省の見解というふうに書いてあるわけですけれども、自治省なり
運輸省
、特にいまは自治省にお尋ねをしておりますから、それでもけっこうですが、「「白バス運行は一時的な措置であり、いつまでも白バスにたよるのは好ましくない。特に車両の誘導を乗客がするのでは、安全運行の責任が不明になる」と言い、白バスはあくまでも過渡的な手段としている。」こういうふうに新聞が報道しておるわけです。それからもう一つの記事は、運行の維持費、車両の購入費の補助に対して「この対策が軌道に乗ってくれば、法律的にもやむを得ない」——道路運送法の百一条のことですね。「やむを得ない場合という条件の解釈で問題のある白バスはやめるよう指導していきたい」。これは
運輸省
の自動車
局長
の談話でありますが、こういうふうに載っているのです。 要するに、これで見ますと、白バスの運行というのは全くの過渡的な措置だ、過渡的な手段だ、こういうふうに
当局
者は言っていると新聞は報道しているわけですが、そういうふうに理解をすべきものでありましょうか、どうでしょうか。
小林正興
87
○小林
説明
員 ただいま御
指摘
の自動車
局長
の談話というのは、どういった場合でどういう際の談話か、あるいは
内容
も後ほどよく拝見いたしませんと、ちょっと了解しかねるわけでございます。
森岡敞
88
○森岡
説明
員 私どもも、いまお読み上げになりました自動車
局長
さんの発言の
内容
については、十分承知をいたしておりませんが、ただ先ほども申しましたように、定型的、定時性を持った交通需要というものが成り立っていないという実態、これはやはり考えませんと、そういうことから路線バスが成り立たない、撤収していく、そこをどうしても最終の、何とか最低限度の足を確保する、それがいまの一番緊急な課題になっておると思います。そういたしますと、先ほど御
指摘
のありました別途安全の問題などを考える必要が十分あるわけでございますけれども、そういうことについて慎重な配慮をいたしながら、機動的なバス運行ということをくふうをしてまいることはぜひ必要だと考えておるわけであります。
西宮弘
89
○西宮
委員
自治省に対するお尋ねはこれで終わりますが、私は、いずれにしても、いま現にやられておるような状態では永続はしないと思うのですよ、非常に無理な運行をしているわけですから。むろんいまはだれか特定の人が犠牲的な精神を発揮して大いに奉仕をするというようなことでかろうじて運行されているのだろうと思うのですが、もちろん犠牲的にやっていることは美談として称賛すべきことだと思いますけれども、それはとうてい万人に要求できることではないし、同時にまた長く続く問題ではないと思う。ですから、こういう状態が過疎地帯に起こってくるということであれば、これは根本的に考える必要がある。いま
審議
官の御答弁も大体そういう方向のようにお聞きをいたしました。これはほんとうに根本的に徹底的に考えていただいて、ほんとうにそういう一時のがれの便法だというようなやり方ではいけないと思うので、私は、基本はあくまでもさっき
審議
官も言われたとおり、民営バスを運行させるということが、専門のバスを運行するということがまず第一で、そういう条件をつくっていくということが政府全体としては当然考えられなければならぬと思います。しかし、どうしても結局
最後
に穴があいてしまうというならば、それを補てんするという政策もこれは当然なければならぬわけです。ただしそのためには、いまのような全くの一時しのぎというようなやり方ではきわめて危険だと思います。危険だというのは、へたをすると大きな事故が起こるかもしれぬ、そういう危険があるし、もう一つは自治体の
財政
を混乱におとしいれるという点で、これまた大きな危険を伴うわけであります。したがって、あくまでも恒久的な抜本的な対策を講じてもらいたいということをお願いをし、同時に、これはさっき冒頭に申しましたように、
運輸省
と非常に関連が深い問題でありますから、
運輸省
はまた自治省とよく相談をしながら、両省協議の上でほんとうに対策を練ってもらいたいということをお願いしておきたいと思います。 次は警察庁にお尋ねをしたいと思います。 過密の場合でありますが、過密の場合に起こってくる障害としては、交通事故、交通渋滞あるいは交通公害、こういう問題があることは警察庁でもすでに
指摘
をされておるとおりであります。そういう問題の解決というか、あるいはこれを軽減するという立場で取り組んでおるのが警察の仕事だと思いますけれども、さっきもちょっとお尋ねしました交通規制の問題ですね。この問題についてどういうふうに考えておられるか。首都圏とか近畿欄とかいったような大都市のみならず、私が住んでおりますのは東北の仙台でありまするけれども、あの仙台、人口六十万ばかりの仙台でありますが、こういうところでも今日は交通渋滞の問題はまさに極限に達しておるわけです。したがって、これに伴う交通事故なども続発をしておるという状況は巨大都市と変わりないところまで来ておるわけであります。そうなりますと、ああいう地帯においても交通の規制ということは非常に重大問題になってきた。こういうことで、むろん従来からも交通規制が行なわれておるわけですが、さらに一歩進んで相当思い切った規制が必要だと考えるわけですが、ああいう地方の都市あるいは中核都市とでも申しますか、もっとも地方の都市の状況は、仙台などよりももっと小さな都市でも、そこはそこなりに交通渋滞の問題、交通事故の問題、また公害問題は、
東京
で見るような光化学スモッグといったような問題はいまはまだ騒がれてはおりませんけれども、おそらくこれも時間の問題だろうと思うのですね。そういう状況だと、ほんとうに思い切った規制の問題が必要になってくると思うのだが、その点についてどういうふうにお考えですか。
片岡誠
90
○片岡
説明
員 お答え申します。私どもの考えております交通規制の基本的な考え方をまず申し上げたいと思います。 第一に考えておりますのは、道路そのものの機能によって道路をまず区分けして考える。一つは生活道路と申しますか、住民の生活につながる道路、それから幹線道路、この中には自動車専用道である高速道路もございましょうし、主として国道、主要府県道といった幹線道路もございましょう。それからそういった幹線道路と生活道路を結ぶ準幹線と申しますか、そういう集散道路というように区分けをして考えていく、そして生活道路については通過交通は締め出していく、そしてその道路に起終点のある交通のみを認めて、それ以外の車は通さない、そして住民の安全と交通公害の防止をはかっていく、それから幹線道路なり準幹線道路の場合には歩車分離をしていく、そして歩行者なり自転車が安全に通れるし、それから車も円滑かつ安全に通れるような施設を道路
管理
者と一緒になってやっていく、こういうのが基本的な考えでございます。 それから第二点としては、わが国の場合には車の量からして道路面積が狭うございますから、その道路を最も有効に使うという考え方から、道路は走行空間として考える、したがって車庫空間なり駐車空間としては考えないという基本的な考え方、自分で車庫をちゃんと持って、出先では必ず路外の駐車場に入るという方向に規制を考えてまいりたい。 それから同じく道路を有効利用するという考え方で第三点として考えておりますのは、バスの優先通行をはかっていきたい。これは優先通行帯なり専用通行帯をふやしていく、そういうことによって間接的に自家用車の抑制にもなりましょうし、自家用車で動いている人たちの交通需要をバスのほうに転換していくという方向で考えていきたい。 以上、三点を基本的な考え方としてやっております。
西宮弘
91
○西宮
委員
いまあげられました道路はあくまでも通行するためのものだ、したがって駐車等は許すべきではない、私もこれには大いに賛成であります。もし余裕があって駐車ができるという場合には、それは全部有料にする、そういうことになりますと、
料金
まで払って駐車をするのではたいへんだということから、おのずから車の数が減ってくるということも期待されると思うので、この駐車規制を徹底させるあるいは車庫の規制を厳格にやらせる、これはいま警視庁あたりでもだいぶ成績をあげているようですが、それはもう徹底的にやってもらう、そしてもし余裕があるならば、それは全部公営の有料駐車場にする、こういうことをぜひやってもらいたいと思います。 それからもう一つは実際の規制でありまするけれども、たとえば一定のある時間帯、一番ラッシュになる時間帯、その際だけは自家用車の通行を認めない、こういうことが一つの提案としてなされているわけですけれども、もっとも実際問題としていろんな障害、問題があることは私もよく承知をいたしております。なかなかやろうと思っても容易ではない、問題の多いことは十二分に承知をしておりますけれども、私は、もうそういうことでもする以外に手がないのではないかということを痛感するわけです。たとえばさっき申し上げた私の住んでおる町などにいたしましても、もう町の入口で自家用車のようなものは全部とめてしまう、そこに大きなプールをつくって駐車をしてもらう、そして町の中は大衆輸送
機関
にまかせる、こういうことでもやらないとなかなかコントロールし切れないと思うのですけれども、そういう点について将来の見通しはどうですか。
片岡誠
92
○片岡
説明
員 私も昨年ですか仙台に参りましたけれども、仰せのように朝のラッシュ時間帯に道路はたいへんのようでございます。道路の片側に二車線、往復四車線あればバスの専用レーンなり優先レーンというのは非常につくりやすうございますけれども、片側一車線、往復二車線という道路が地方都市の場合には幹線道路でございます。そういう道路について一番頭を痛めているわけでございますが、やるとすれば、自家用車の規制というよりも、たとえば朝のラッシュ時間、三十分とか一時間を限ってバス以外通さない、あるいはバス、タクシー以外通さない、トラックも通さないという短時間のバス、公共輸送
機関
だけ通すという、そのほうがむしろ規制としてもやりやすいし、それから取り締まりの担保もやりやすいのではないか。そういう試みとして、
東京
の場合、立川でいま実験をやらしておりますけれども、朝、バス以外通さないという道路をつくりました。そうすると、バスもいままでの約半分以下の時間で運行できるし、バス利用者もふえてきているというような状態でございます。したがいまして、そういう地方都市の場合にもそういうことを考えていく、そして、そのかわりにバスが快適な輸送
機関
になるように、これは陸運行政のほうで十分手配をしていくというやり方をとらざるを得ない事態になってくる、基本的にはバイパスの問題であったり、道路の拡幅の問題であろうと思いますけれども、それの基本的な政策と並行しながらも、交通規制でできるだけのことをやってまいりたい、そのように考えております。
西宮弘
93
○西宮
委員
そのお話のバス優先レーンあるいは専用レーン、これは警察だけの所管なのか、あるいは
運輸省
も参加しておられるのか知りませんけれども、なぜもっとこれが拡大されないのであろうか。むろんいまお話しのように、その道路の条件が不可能にしているというところもあります。これは確かにあるのですが、たとえば
東京
なんかだと、ずいぶん広い幅員を持っているわけですから、もっとそういうことができるのじゃないかというふうに考えられる。この優先または専用レーンをやった結果がある雑誌に載っておりましたけれども、それを見ると、その
実施
をする前より
実施
後の時間がだいぶ短縮をされている。これは当然でありますが、さらに
一般
車もかえって時間が短縮されているという数字が出ているわけですね。私は非常にふしぎに思って、なぜそういう結果が出るのだろうかと思って、若干聞いてみましたら、バスが優先するということで、その他の車が遠慮をして通らなくなるのだ、こういう
説明
を聞いたのですけれども、はたして専門の
当局
が見てそういうことをそう考えておられるのかどうか知りませんが、あるいはいまの
説明
はしろうとの
説明
かもしれませんけれども、とにかくその結果としては、バスの運行時間が短縮をされたというのとあわせて
一般
車も時間が短くなっている。時間がふえているところもありますけれども、大体大勢としては短くなっている。こういう数字が出ておるので、それならばなおさらのこと、この優先あるいは専用のレーンというものをもっと拡充すべきだというふうに考えるのですが、
実施
をされているのはごくわずかなんです。政府の書いたいろいろなものを読んでみると、どれにもこれにもこのバスの優先とか専用、そういうことを盛んに書いているのだけれども、その声が大きいわりには実際にはごくわずかしか行なわれておらぬということなんだけれども、これはもっと拡充する方法はないのですか、あるいはそういう見通しはないのですか。
片岡誠
94
○片岡
説明
員 いまお話しいたしましたように、片側二車線以上あれば非常にやりやすいので、そういうところはもっと拡大するように強力に指導いたしております。問題は、片側一車線、往復二車線しかない、そういう道路が、地方ではもう幹線道路がほとんどそういう状態でございます。そこに一番むずかしさがある。したがいまして、そういう道路の交通をバス以外あるいはバス、タクシー以外を通さないというのは、やはりよほど実態の調査をしてやらないと、またそれと同時にその道路の周辺の部分も車をとめてしまわないと、かえってバス、タクシー以外の車を裏通りへ追い込んでいく、そして裏通りの安全を脅かすというような問題もございます。したがって、やる場合にはその周辺道路の規制も一緒にやっていかなくてはならない、そういう技術的な問題のむずかしさもあろうと思います。しかしながら基本的な方向としては、先ほど申しましたような方向でさらにバスの優先通行の方向ではかってまいりたい、そのように考えております。
西宮弘
95
○西宮
委員
交通を規制するという問題はなかなかむずかしい問題で、規制の条件としてはまず公平であること、二番目にはできるだけ最小限度にとどめるということ、三番目には代替の
処置
を講ずる、四番目には完全に守らせる、こういう四つが基本的な条件だというふうにいわれておりますけれども、私ももっともだと思うのです。だからそういう点を十分に考えなければならぬし、またそれの条件が完全に満たされるという状態でないと、なかなか、やっても途中でまたかえっていろんな逆作用が出てくるというおそれがありますから、非常にむずかしい問題ではありますけれども、いまやそういう徹底した規制を抜きにして根本的な問題は解決ができない事態になってきましたので、ぜひこれを考えてもらいたいと思います。 取り締まり
当局
であります警察庁の交通
局長
に意見として伺いたいのだが、さっき大臣にお尋ねしましたけれども、思い切って生産の制限をする、あるいはまた国内で販売する
数量
の制限をする、こういうことも必要な時代になったのではないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。
片岡誠
96
○片岡
説明
員 車の制限論として
一般
にいわれておりますのは、生産の制限、輸入の制限、販売の制限、それから保有の制限、使用の制限、そういう段階があろうと思います。これは私どもの所管じゃございませんけれども、警察の立場から申しますと、生産なり輸入の制限というものは、これは通産行政としてもなかなかむずかしかろうと思います。それからまたそれ自体がはたして合理性があるのかどうかという問題もあろうと思います。したがって、私どもが妥当性があると考えておりますのは、保有の制限と使用の制限だと思います。保有の制限というのも、だれが持っていい、だれが持っていけないというのではなくて、やはり車を保有する人はそれだけの社会的な義務なり負担を負わなくてはならないという意味で、たとえば車庫を持たなくてはならないとか、税制上の一定の負担を持たざるを得ないとか、あるいは強制
保険
その他の問題で社会的責任を負う能力のある人が初めて持てるのだ、いわばこういう制限、これは必要だと思います。それから問題は、日本国じゅうで考えますと、やはり非常に混んでいるところとそうでないところがございます。混んでいるところではやはり使用の制限を考えていく、その辺が社会的に妥当な考え方ではないか、そのように考えております。
西宮弘
97
○西宮
委員
今日のように交通事故が続発をすると、交通事故が全く日常茶飯事のできごとになってしまって、
一般
の市民もたいして驚かない、あるいは事故を起こした人間もほとんどそれに罪の意識を持たない、こういうことにおちいりがちなんですね。あるいは今日交通規則に違反するということは罪ではない、規則のほうが悪いんだといったような、むしろそういう気持ちのほうが
一般
的に多くなっているのじゃないか。ことにいまの事故に対する罪の意識が希薄になってきたということは非常におそろしいことで、これはこういうことさえわれわれの耳に入ってくるわけです。というのは、たとえば人をけがさした場合には思い切って殺してしまえ、おそらく警察庁などではそういうこともちゃんと情報として入っていると思うのだけれども、こういうことを平気で会話をしているわけですよ。殺してしまったほうがあとの始末が簡単だ、ところがへたに生かしておくと長い間そのためにいろいろたいへんな苦労をしなくてはならぬというようなことで、そういうときには思い切って殺してしまったほうがいいんだというようなことを、かりに本心でないにしても、そういうことをわれわれ人のいる前で公然と会話をしているというような、まことにショッキングなことがあるわけですね。 さらに、これは自分の経験でありますが、運行中にあとから。パトカーにとめられたことがあるわけですよ。いや、私は絶対に違反はしていない、こういうことでいろいろ問答をしておったわけです。問答をしている中で、それでは、もし私が違反をしたというならば、私をどんどん追い抜いていった車がたくさんあるんだけれども、あれは一体どうしたんだと言って聞いたら、あれはとっても速過ぎてつかまらないんだ、こういうことを警察官が言ったわけですね。私は実にあ然として、それではさっそく本部のほうに通告すると言ってパトカーのナンバーを控えたわけですよね。そうしたら、いやいや待ってくれ、御
注意
したまでだというようなことで、その場はおさまったわけです。私はほんとうの一場の笑い話だと思ったわけだ。ところが、あとでだんだんいろいろ考えてみると、あるいはいろいろなことを見聞をしてみると、そういう速くてつかまらないというような車をパトカーが追っかけていくような場合には、追っかける人が非常な危険にさらされるわけですね。現に、われわれの地域でもそういう問題があったわけです。急停車をして、そのために追っかけていったパトカーがその犠牲になってしまった。そういう例などを見て、なるほどあんまり速過ぎて追っかけられないというようなことも実際にあり得るのだということを私は感じたわけです。しかもこれは、そういうことをやる業者はもう限られています。特定の人です。つまり、非常に時間を争って大量の荷物を輸送しなければならぬという大型な輸送
機関
、これはもう時間を争ってかせぐだけかせぐということを要求されている、そういう運転者に限っているわけですね。ですから、こういう事実を見てまいりますると、私はもう交通道義心の麻痺なんという問題どころの騒ぎじゃないと思うのですよ。そういうことになりますると、これは手がつけられなくなってしまうというので、そういう交通取り締まりと同時に、過酷な条件で運転をさせるというようなことをさせないような、そういう営業者に対する指導も当然に必要だと思うんだが、その点についてどういうふうな
処置
をとっているのか、お答えをいただきたいと思います。
片岡誠
98
○片岡
説明
員 私どもは、運転者のうちで大部分の運転者は悪くないと思います。ただ、一割あるいは五%といった危険な運転手がいる、そういう危険な運転手に対しては、二つの手を考えている。一つは、どうしても公道をパトロールするパトカーなり白バイ、これらのパトロール頻度を高めて警戒させていく、これが一つでございます。それからもう一つは、免許行政の面で、違反なり事故を起こした人にいま点数制度をとっています。四点になれば停止、十五点になれば取り消し、三カ年間の累積点数で評価しておりますので、これは相当効果が出始めていると思います。 それから
最後
に、雇用者の問題でございますけれども、事故があったり違反があったりした場合には、必ず雇用者に通知するということをやって、雇用者にその原因がありそうだと思われる場合には、雇用者の責任も追及していくというやり方で対処いたしております。
西宮弘
99
○西宮
委員
質問の
最後
に、いわゆる交通規制に関連をいたしまして、一面において規制するならば代替施設を講じなければならぬということを、さっき
指摘
をしたわけです。その意味において、
建設
省あるいは
運輸省
にお尋ねしたいのでありますが、いわゆる代替施設としての都市における高速大量輸送
機関
の問題、この問題は、たとえば首都圏、近畿圏、中部圏、こういうところではすでにそういう体制がとられておりますので、私は、むしろそれ以下の地方の都市、地方の中核都市と申しますか、人口からいうならば五、六十万、六、七十万あるいは七、八十万といったような程度の都市において高速大量輸送
機関
はどうあるべきであるかということについてお尋ねをしたいと思うのであります。たとえば
建設
省では、都市交通プロジェクトチームというのをつくって研究をしておられる。私はその報告も一応見ましたけれども、そういう研究を特にしておられるので、いわゆる高速大量輸送
機関
ということになりますと、地下鉄かモノレールか、そのほか何か新しい交通
機関
があるそうであります。そういう問題はありましょうが、一応常識的に問題になるのは地下鉄かモノレールかというようなことだと思いますが、そういう点を地方の中核都市に当てはめた場合どういうことが考えられるのか、まず伺いたいと思います。
宮繁護
100
○
宮繁
説明
員
建設
省では、プロジェクトチームをつくりまして、先生お話しのように、地方都市の交通処理をどうするかというようなことをいろいろ研究いたしております。先ほどからいろいろ交通混雑の話が出ておりましたけれども、地方におきます交通につきましても、自動車交通が非常に渋滞しておる、これに対応いたしましていろいろ街路の整備等を進めてまいっております。同時に公共輸送関係、バスの問題でありますとか、そういった問題についても検討いたしておりますけれども、最近の都市交通の量的な拡大、また交通の需要につきましても質的にいろいろ多様化してまいっておりますので、そういう意味ではこれに対応する機動的なネットワークをどうするかというようなことにつきまして検討いたしております。その場合に、最近におきましてはモノレールが地方都市におきます新しい高速大量輸送
機関
としてかなり検討されてまいりまして、モノレールにつきましては、一つは、
建設
費が地下鉄に比べましてかなり安いという点、あるいはまた地上を走行する交通
機関
といたしましては交通公害等が非常に少ないといったような特性が認められまして、地方都市におきましていま導入を計画しておるところがだいぶございます。地下鉄につきましては、人口が百万程度の都市圏域には成立が見込まれるといわれておりますけれども、たとえば人口が五十万以下の地方都市につきましては地下鉄の
建設
がなかなか困難でございますので、モノレールといったような大量輸送
機関
を導入する必要があるのではなかろうか、こんなふうに考えております。
西宮弘
101
○西宮
委員
この問題について、
運輸省
ではいかがでしょうか。
秋富公正
102
○
秋富
説明
員 ただいま先生の御
指摘
のように、地方におきます中核都市、ここにおきましても、将来、
昭和
六十年といった時点を考えますと、相当の人口の集中あるいは産業の発達、また周辺地域におきます住宅と都心との連絡、そういったような問題からきまして、従来の路面交通
機関
だけでは処理できなくなる時点が当然想定されるわけでございます。また、いまいろいろとお話がございましたように、自動車におきます公害の問題あるいは交通事故の問題、こういったことを考えましても、やはり将来は大量交通
機関
としまして地下鉄あるいはモノレール、あるいはいろいろと開発しております新しい交通システム、こういったようなものを、それぞれの都市に応じまして、その都市におきます需要といったものとのにらみ合いをもちまして、いわゆる
建設
費あるいはその後におきます輸送能力、収支といったような問題を考えまして検討していくべきだと思っております。なお現在地下鉄につきましては、
昭和
四十五
年度
からは五〇%方式ということをもちまして、国と地方におきまして助成を進めております。
西宮弘
103
○西宮
委員
いわゆる五〇%方式の補助をしておるというお話ですが、実際問題では大体三八・何がしという程度の補助に終わっているわけです。これだと
建設
利息を払うので一ぱい一ぱいというようなところに終わっているのが実態のようです。それではとても地方の中核都市でこれを運営していくというようなことは容易じゃない。したがって、これにはたとえば六大都市からも、
建設
費の三分の二を補助してくれ、こういう陳情が出ておるはずですけれども、三分の二とかないしは六割とか、その程度のものは出すのが当然じゃないか。しかもこれはいわば道路ですから、道路を助成すると同じような考え方で、道路と同じような程度の助成をするということがあってしかるべきじゃないかというふうにいわれているわけですけれども、その点について将来——将来というか、もう目の前に問題が迫っているわけで、われわれのほうでもやるとすれば来年なり再来年なりどっちかやらなくちゃならぬという状況にあるわけですから、そういうところはまさにきょうあすの問題なんです。そういう見通しはどうでしょうか。
秋富公正
104
○
秋富
説明
員 地下鉄の
建設
というのは、先生御承知のようにたいへんな額でございまして、ただいまのところ
東京
その他の大都市でやっておりますが、大体
キロ
当たり五十億から、高いところは九十億という工費を要することになっております。地下鉄に対します助成といたしましては、
昭和
三十七年からはいわゆる実勢の金利と六・五%の差額を補助するという方式をとったわけでございますが、さらに
昭和
四十一年からは一〇・二%の助成、四十五年からはただいまお話もございましたいわゆる五〇%方式という形で助成は強化してきたわけでございますが、
工事費
というものはどんどん高騰してまいりますし、また
人件費
といったものを考えましても、公営企業あるいは帝都高速度交通営団におきましても、単にこれを運賃にだけかぶせるというわけにもまいりませんで、この助成の強化は必要と思っております。いま六六%あるいは三分の二というお話がございましたが、私たちとしましても、現在の五〇%方式が、間接費を一五%除く、あるいは自己資本といたしまして一〇%除くということで、実際は三八%くらいの助成でございますので、来
年度
予算
におきましても、それを強化するということで要求すべく、また努力するようにただいま前向きで検討いたしております。
西宮弘
105
○西宮
委員
もう一間お尋ねをいたします。 現にモノレールについては助成のあれはないわけですね。もっともそれは具体的な対象がないからということでしょうが、さっきの
建設
省のお話によりましても、地方の都市でだいぶそういう計画が具体的に進みつつあるということになりますと、これは当然また助成措置が問題になると思うのだけれども、モノレールに対する助成の見通しはどうですか。
秋富公正
106
○
秋富
説明
員 モノレールは地下鉄に比べまして
建設
費も安く、大体いまのところ
キロ
当たり十五億くらいかと思われるわけでございます。地方におきましてもいろいろと御計画があるようでございまして、まだ実態が正確にわかりませんでしたので、先般来
運輸省
におきましては、岐阜、福岡、北九州、熊本、仙台、広島、清水、こういったようなところにつきまして、それぞれ地元の計画といたしまして地下鉄の御計画があるところもございますし、モノレールというような御計画のところもございますが、現在までのところ、まだモノレールにつきましてははっきりした計画というものがつかめておりませんですが、これがつかめてまいりましたら、またその輸送の実態というものを考えまして、この助成の問題も当然考えなくてはいけない、こういうように考えております。
西宮弘
107
○西宮
委員
いずれにいたしましても、地方の都市も首都圏その他のような巨大都市と同じような交通渋滞におちいっている。これはもう現におちいっているわけですから、そういう高速大量輸送
機関
を設けるというようなことは、まさに焦眉の急を告げているわけです。したがって、ぜひそういう国として助成の道を講ずるあるいは助成をさらに拡充するということは、絶対的な必要に迫られておると思うのです。これは何ぶんにも非常に
建設
費が高くかかる仕事でありますから、もしそうでなければとうていあとの経営ができない、ことごとく住民の負担におちいってしまうというようなことでたいへんな問題を起こすわけですから、ぜひともそれは一日も早くそういう大方針を確立するということを強くお願いしたいと思います。 いろいろこまかい点についてお尋ねしたかったわけでありますが、だいぶ時間もおそくなりましたので、また後日そういう点についてお尋ねすることにいたします。
笹山茂太郎
108
○
笹山委員長
吉田賢一君。
吉田賢一
109
○吉田(賢)
委員
国鉄の
磯崎
総裁にお伺いいたします。 かねて国鉄としまして非常に重大な長年の課題として取り組んでおいでになっておる
財政
再建
の問題に入るわけですが、そもそも国鉄
財政
はどういう
実情
にあるのだろうか。赤字はどう累積されておるのだろうか。若干資料をいただきましたのですが、一応結論を伺っておきたいと思います。長期の多額な負債を背負い込んだままになっております。要するに、
財政
の実態としまして最も特徴的な
実情
はどうこれを把握すればいいか、この点についてまず明らかにしておきたいと思います。
磯崎叡
110
○
磯崎説明員
午前中も御報告申し上げましたけれども、先生御承知のとおり、単
年度
の赤字に転じましたのは
昭和
三十九
年度
からでございますけれども、
昭和
四十五
年度
までの繰り越し欠損の
合計
が約五千六百六十四億という膨大な金額にあがっております。
昭和
四十五
年度
は、万博その他の関係で若干
収入
もよかったおかげで、純
損失
は千五百億くらいで済みましたけれども、
昭和
四十六
年度
、これはもともと初めから償却前赤の
予算
を組んだのは御承知のとおりでございますが、
昭和
四十六
年度
の見込みは、まだ最終の
決算
ができておりませんけれども、国会で成立いたしました
予算
によりますと、約二千四百億前後の純
損失
になっておりますが、いまのところこれよりは百億前後いいのではないか。と申しましても、ぜいぜい二千三百億くらいでございますが。したがいまして、先ほどの五千六百億と二千三百億を足しますと、
昭和
四十六
年度
末、ことしの三月末現在におきましては、累積赤字が実に八千億ということに相なるわけでございます。 一方、ただいまお尋ねの長期債務でございますが、これは後ほど銘柄その他を詳しく申し上げますけれども、概略四十六
年度
末三兆でございます。 大体全般のごくアウトラインの
財政
状態はそういう状態でございます。
吉田賢一
111
○吉田(賢)
委員
いまの八千億円は、四十六年じゃなくて四十七年じゃないのですか。
磯崎叡
112
○
磯崎説明員
失礼いたしました。四十六
年度
末、すなわち四十七年でございます。
吉田賢一
113
○吉田(賢)
委員
この第一は赤字源ですが、赤字源は何が最大の原因をなしておるのであろうか。企業なんかについて見ましても、大きな赤字をかかえておりますときは、企業の経営がまずかったとか、あるいは見通しを誤ったとか、あるいは経営するそれぞれの会社員などが十分に能力を発揮して生産を上げて利益をはかるということに努力が足りなかったとか、その他世相、経済の変動等もございますけれども、いずれにいたしましても、
財政
問題と取り組むときには赤字源を厳格に追及するということはきわめて重要な前提課題であろうと考えます。端的に赤字源は何と規定すればいいのであろうか。
磯崎叡
114
○
磯崎説明員
ただいまおっしゃいましたように、赤字源はたくさんございますけれども、いろいろなものの中からごくおもなものだけを申し上げますと、まず何と申しましても輸送の伸び、すなわち
収入
の伸びが、客貨合わせましても四、五%しかないということでございます。そうすると、
収入
が約一兆でございますから、企業努力をいたしましても年間四、五百億くらいの
増収
しかないという問題が一つございます。これはいろいろ理由もございますが、結局、鉄道というものが欧米と同じようにほかの交通
機関
との競争に耐えかねて輸送が伸び悩んでいるということがまず第一の点であろうと思います。 その次に、そういう状況であるにもかかわらず、相当ばく大な
投資
を毎年いたしております。しかも、その
投資
が実際に
収入
になり利益を生むには十年、二十年かかるという、非常な期間の長い
投資
をいたしております。したがって、その
利子
の負担が相当大きい。過般成立いたしました
予算
につきましても、約二千億の
利子
負担を背負っているということでございます。 それからもう一つは、そういうような状況でございましたので、いろいろ政府にお願いいたしまして
財政
助成の措置も講じていただきましたけれども、やはり第一次の、いままでやってまいりました
再建
計画での政府助成が、私から申し上げるのはなんでございますけれども、必ずしも多くなかったということで、今度の
予算
で相当画期的な政府助成をお願いいたしましたところが、それが
審議
未了になってしまったというふうな状況でございます。 いずれにいたしましても、輸送の伸び悩みと
利子
負担、そして
人件費
が、今度の仲裁裁定で申しますれば大体年間約八百五十億所要額がございます。したがって、
収入
が四、五百億しかふえないのに
人件費
は八百億から九百億、はね返りを入れますと約千億の
人件費
の
増加
がある。それから
利子
負担。取りまとめてもう一ぺん申し上げますと、
収入
の伸び悩みの問題が一つと、それから
利子
負担の問題と
人件費
の問題、ごくかいつまんで申しますと、こういうことになるのではないかというふうに思います。
吉田賢一
115
○吉田(賢)
委員
国鉄というものは、明治初年に新橋から発足いたしましたあの大きな夢、国鉄のイメージというものはいま消え去ってしまったものであろうかどうか。この点につきましてももう一度われわれは原点に返るというような謙虚な気持ちで国鉄を見直してみたい。しろうとの私の観察によりますと、
新幹線
のあのすばらしい能力、今後なお五百
キロ
を出すようなものが出現するようなことが伝わっておりますが、そのような技術水準を持っておる日本であるとするならば、国鉄の赤字というものは宿命的なり、トラックの発達その他の交通
機関
の発達に伴って、国鉄はとうてい順応し得ない、ついていけないのが国鉄の宿命だ、だから赤字はやむを得ない、日本においてたとえば綿花を栽培すると同じように、しょせん経済性のないものであるということにこれは見ねばならぬのかどうか。その点について専門家の考え方を、国民によく理解できるように端的に所信は述べておいてもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
磯崎叡
116
○
磯崎説明員
これは日本全体の過密過疎の問題と非常に関連していると私は思います。したがいまして、克明に私どものほうの線路約二万
キロ
を精査いたしますと、そのうちの一万
キロ
くらいは十分収支が償っている、残りの一万
キロ
は全然輸送力が少なくて輸送の伸びもない。これは鉄道としての生命が終わったというよりも、むしろその地域自体が非常に過疎化し、したがって人の動きも少ないし、それから物の動きも減ってきているということだと思います。したがいまして、鉄道のいま申しました残りの一万
キロ
のほうの中でも、鉄道としての使命が終わったと考えられるものもございますけれども、そうでなくて、鉄道としての使命はあるけれども、その使命でもって輸送すべきものが非常に少なく、減ってきてしまっているということが非常に大きな問題だと思います。端的に申しますと、その一万
キロ
と申しますのは、全体の営業
キロ
から申しますと約半分あるわけでございますけれども、半分の設備でもって送っている物と人は約五%から八%でございます。すなわち、半分の設備でもって約九十数%の人と物を送り、残りの半分の設備でわずか五%ないし七%くらい、
旅客
、貨物で少し違いますが、平均いたしますと七%程度の輸送しかしてないというところに、いま先生がおっしゃった鉄道全体としての使命がどうなったという問題よりも、いま私どもの運営しております二万
キロ
の鉄道の中で、非常に収支が償っている、経営としてもやっていける面と、そうでなしに、純粋ないわば公共事業として収支を度外視してやっておる分と、この二つの面が非常にはっきりしてきている。したがいまして、収支を度外視してやっております面については、それがそのまま形としては
損失
という形でもって出てきているというふうに思うわけでございます。 したがって私は、いまこの日本の地形、ことに雪国の多い地形あるいは非常に山岳の多い地形におきまして、しかも狭い、この中でもって将来の日本の発展等から考えましたときに、これを全部道路輸送するとかあるいは全部海上輸送するということは、これは絶対不可能で、あくまでも鉄道輸送としての、
旅客
の面でも貨物の面でも大きなシェアを持っているというふうに思いますけれども、日本のいまの産業配置自身が何らかの力でもう少し変わってまいりませんと、太平洋の表側だけでは非常にこんでしまって、そうでない地域ではがらがらになってしまう、こういう状況が、非常によその国と違った、ことに欧米、フランス、ドイツ、イギリスなどと違った状況ではないかというふうに思うわけでございます。
吉田賢一
117
○吉田(賢)
委員
磯崎
さん、あなたは在任中にひとつ、せっかく田中内閣で日本列島改造論という、ともかく日本じゅうあらゆる面において新動脈をつくろうというような、ああいうような大胆な構想の発表をした際なんです。これは一私人の著作とは考えられません。やはり総理の立場において相当なその考え方に対しては責めを負うべきものであります。というふうに考えてまいりますと、国鉄問題にしましても、たとえば日本の道路整備計画で十数兆円を投じて日本じゅうの道路を整備しよう、国道から地方道に至りますまで整備をしようという。道路というのは、申すまでもなく人間が生活の必要上、生活のためにこれは用いるものでありますから、広い角度から見ましたならば、国鉄でも新しいイメージがそこに転換して出てくるのではないだろうか。これは、私はしろうとですけれども、ともかく大改造論をぶっておるようなときでありますので、国鉄は根本的にもう一ぺん使命感を考え直してみたらどうだろうか。そうしてほんとうに道路なんという考え方がもし通用するのなら、道路は私道もありましょうけれども、一切の公道はこれ赤字経営ですわ。何の利益も得ておりませんわ。けれども、補修はしますわ、舗装もしておりますわ、入れるだけ入れておりますね。これは何兆円という金を入れておりますね。そういうことを考えてみますと、例のイギリスのビーチングプランですか、十年前の。ああいうようなもので、イギリスの国鉄が一切の負債をたな上げしてしまったということもやったらしいですな。ということを思えば、このところ大胆に国鉄運営が、あるものは赤字を公然と背負っていく、それでよいじゃないか。あるものは黒字であるという、それもいいじゃないか。いずれにしても国鉄という輸送
機関
、交通
機関
というものを別の角度でとらえてみるというようなことも、この段階においては私は一つの発想ではないかと思うのです。したがって、あなたが在任中にそういうふうな国論をわかしたらいいと思うのです。一つの提案をなさったらいいと思うのだ。諮問
委員会
、また前には、昨年でありましたか、大蔵大臣、
運輸大臣
などの連名で、自民党の諸君の名前も出ておったようでありますが、国庫援助であるとかあるいは
合理化
であるとか、その他赤字線の問題等々、三項目ですか出ておりましたね。そういうこともありますけれども、そういうものも一ぺんるつぼに入れちゃって、あなた御自身も、長年の体験と、それから現在の流動化しつつあります社会情勢の変化に対応いたしまして、新しい国鉄はどうあるべきか、その観点に立って
財政
処理問題を考えてはどうだろうか。いまのままで、一体金利に毎年千五百億も支払って、三兆円の借金、長期負債の支払いができますか。赤字を背負っていくような国鉄で、支払いはできないわ、金利は払わなければいかぬわでは、
財政
再建
もくそもありはしませんわ、この状態では、この条件下では。条件の変更、これが第一ではないだろうか、こう考えるのであります。そういう点におきまして、抜本的に
財政
の角度から、運営の角度から、国鉄のイメージの転換、その使命感、社会情勢の変化に対応するところの国鉄どうあるべきかということについて、ひとつすばらしい新しい提案をしたらどうです。これをひとつおすすめしたいのですが、これはしろうとの私からあなたに対する一つの提案ですけれども、どう考えなさる。
磯崎叡
118
○
磯崎説明員
いまの点につきましては、かねがね吉田先生からそういう御忠告をいただいたことを私記憶しておりますが、先般の田中総理の日本列島改造論、私繰り返し読み、またその前の都市政策調査会にも関与をいたしまして、いまおっしゃったように、発想の転換と申しますか、一体国鉄というものは何なのだ、どうなければいけないのかということから考え直しませんと、常に経営がまず先にきて、それからあとそれに対するいろいろ付帯的な
投資
がくるということ、いままでのそういう発想と逆に、そうではなしに、いまたまたまいみじくも先生おっしゃったように、道路と同じに考える、極端に申しますれば。そうして、それからあとで経営という概念に入る部分は経営しなければいけないけれども、そうでない部分はもう公共事業なんだ、純粋な公共事業なんだ、若干の運賃をいただくことはいいけれども公共事業なんだ、という思い切った、いままでと逆な転換ができないかどうかということを、実はいまちょうど夏でございますので、いろいろ考えておる最中でございます。たとえば
新幹線
にいたしましても、あるいは在来線の複線電化にいたしましても、いろいろ日本国土の再開発あるいは過密過疎対策の一環としてやらなければならない前向きなことがたくさんあると私は思います。同時に、その裏づけになる経営は一体どうするのか。経営として責任の持てる範囲と、経営として責任の持てないと申しますか、純粋に公共事業的に考えなければならない面と、この二つがなければ、公共事業は赤字が出たら全部国だということも、これは無責任になると思います。したがって経営として成り立つ範囲は極力合理的な経営をしていく、しかし全く経営として成り立たない、しかも社会的に必要なものについては、これはもう全然経営という概念から離れてということができないかどうかというふうな、いまたまたまいみじくも先生のおっしゃった方向で実はいろいろ考えておる最中でございますが、いずれそういうことを世の中にお問いする時期が来るというふうに思っております。
吉田賢一
119
○吉田(賢)
委員
それから、次元がちょっと低くなりますけれども、
財政
の協力といいますか補強の角度から考えまして、私鉄の場合は、このごろ土地造成屋になっております。土地造成屋かボーリング屋かです。というように、元来私鉄は赤字かもしれませんが、土地造成、宅地造成に数十億円をさっと出します。五十億、六十億さっと出すから何百町歩、あの山をひとつ分けてくれぬかということで大私鉄がさっと手を出していくという実例を私も二、三耳にしております。というような、それはすばらしい経済アニマル的な活動が行なわれております。ですから、そういうようにいくようなことになるのなら、これは全然世界は別ですわ。もう一つ、そのようにして利益を得るものが私鉄にあらずして他の開発業者であるとするならば、鉄道があるがゆえに、そこらもここらも宅地造成をやって、わずかな金で買ったものが大きな価格で転売されていくということになるのなら、その利益を吸収するということはどうだろうか、こういう提案が二、三新聞で散見されたように思います。幾つか項目が並んでおったように思いますが、そういうようなこともあれこれと考えることも、次元がちょっと低くなりますけれども、一つの方法でないだろうか。つまり利益の配分を均等にする、そうして所得を公平にするという意味におきましてこういうことも考える。これはちょっと頭に置いておいたらけっこうです。それに対してお答えはどうということは私は思っておりません。 それから、後段におっしゃいました運用の機能を発揮するという点につきましては、輸送物資もしくは輸送人とか、輸送するもの自体を輸送する方法につきまして、かねてあなたのほうもずいぶん力を入れておられますが、神戸にポートアイランドというものをつくっておりますね。あれは原口という前の市長の発想と聞いております。ここはほとんどコンテナの場所になります、置き場のようになります。これは海の関係ですけれども、海のみにとどまりませんわ。したがいまして、コンテナをもっと融通、相互うまく使う手はないか、前から私はそのように思うのです。名古屋あたり私通ってみましたら、ずいぶん並んでおるのが見えます。見えますけれども、まだまだです。だから赤字線の廃止に至りますまで、コンテナをうまく使えないものだろうか。そうしてそれは、ただし
一般
の民間運輸業者の圧迫にあらずして、お互いが共通していく、私鉄とも組んでいくということ、この辺について新しい具体化の手はないものだろうか。そういたしましたら、また一つの新しい機能が発揮されていくのではないか、こう私は考えるのです。この点は前に言ったこともあるのですけれども、私はあちらこちら歩いて特に痛感するのです。ちょっと御所見だけ伺っておきたいと思います。
磯崎叡
120
○
磯崎説明員
先般もいろいろ吉田先生から、
貨物輸送
がいまのままではだめじゃないかという端的な御批判を受けました。私どもも、百年前と大体似たような姿のいまの
貨物輸送
ではとてもだめだというふうに思っておりまして、いま御
指摘
のコンテナ、やはりこれからは特別な物資を除きましてはコンテナ輸送が国内でも中心になってくる、ちょうど海洋船舶がコンテナ船になってしまったと同じに、当然国内でもコンテナ輸送が中心になるべきだということで、逐年コンテナ輸送につきましては、まずコンテナをふやす、現在大体三万個を少しこしましたけれども、十万個くらいまでにしなければならないと思っております。昨年やっとコンテナ輸送トン数が一千万トンをこしまして、一千万トンと申しましても、石炭その他のバルキーな貨物を除きまして、コンテナで運び得る物資のうちのまだ二割くらいでございます。これをせめて五割以上にしたいというふうな目標をもちまして、いま全国にコンテナの急行列車と申しますか、私のほうではフレートライナーと言っておりますけれども、そのコンテナ急行列車あるいはコンテナ特急列車というもののネットをつくりまして、そして速達それから正確さ、これを二つの売りものにして、現在着々とコンテナ列車をふやしてまいっております。問題は、いま先生がたまたまごらんくだすったようなコンテナの置き場あるいは荷役場というところで、貨物のターミナルがいままでのような規模の小さいものではとてもだめでございます。したがいまして、貨物駅を極力まとめて、そのかわりきちっとした、荷役費の安い、
料金
のかからない貨物ヤードをつくるという方向で、そして急送のスピードがあり、しかも正確な輸送をするコンテナ列車というものをこれから中心にしていかなければいけないと思っております。 それから、いまの神戸のポートアイランドにつきましても、あそこに線路を入れるか入れないかずいぶん議論をいたしたのでありますけれども、線路は入れない、しかしあそこまでトラックを持っていって、あそこからトラックに積んで、しかるべき駅から列車に積むということを現在やっておりますけれども、最近は海上コンテナもだいぶうちのほうに移ってまいりまして、横浜あるいは神戸へ着いた海上コンテナを鉄道に乗せて陸へ持っていく、また、いまちょうど
東京
の大井町の埠頭でつくっております大きなコンテナヤードとうちのヤードを一緒にいたしまして、船からおりたコンテナをすぐそのまま貨車に積むという
設備投資
を現在やっておる最中でございますが、大体貨物につきましては、このコンテナ列車を中心に伸ばしていきたいと思っております。
吉田賢一
121
○吉田(賢)
委員
四面環海のわが国は、本来資源の乏しい国であることは申すまでもございません。ほとんどの重要資源は国外に仰いで、そして全国の港から入ってくる。港から入ってまいりますが、この間も神戸の問題でございましたけれども、冷凍牛肉を入れるという問題であります。こんなにコンテナが発達している時代なのに、海岸区域何とかと称しまして、そういうもので一つのなわを張っているのですね。なわを張っておりますばっかりに、牛肉をあちらへこちらへと持っていくのに便利なようになかなかつながらぬのです。そういうために牛肉が少ない、消費者は困る、値段が高くなる、こういう現象がありましたので、何だろうと思って原因を追及してみたら、そういうふうに線が引いてある。線が引いてあるということは、最近コンテナが発達いたしましたことを、地方自治体とか自治省とか、そういう方面において十分に目を開いていない。言うなれば、それは農林省あるいは通産省の貿易の関係、また運送の関係等の総合的な行政施策が伸びておらぬということにも一面から批判できるのです。そういうことも考えます。でありまするので、これを思いまするときに、やはりローカル線の問題ですね。ローカル線の問題は、私はかねて何回もあなたとやりとりしておりますけれども、だんだんいただいた資料によりますと、それぞれと処理されていっております。いっておりまするけれども、やはりこれらにつきましてももっと何か早くくふうしてもらいたい、こう思うのです。兵庫県におきましても、私の住んでいる近くでも三本あります。鍛冶屋と三木と北条と三本あります。最近中国縦貫道路ができまして、その真正面にインターチェンジができます。インターチェンジができまして、そこへはあらゆる企業体とかその他が相当
建設
されていっております。兵庫県におきましてもあるいはその地方の地方団体におきましても、人間尊重の環境づくりのあるプランを発表いたしましたが、人間尊重の環境づくりには交通、道路は絶対に必要ない。それには同時に国鉄の使命がなければならぬ。寄与するものがなければならぬ。あるいは都合によっては私鉄と結ぶとか、そういった国道と結ぶとか、何かその辺につきましても時を逸せず、事態の変化に即応いたしまして活用する手がないだろうか。私もあの辺の市長や何かにはよく言うんです。あなた方は廃止されたら困るということを言う前に、こうしたら国鉄の値打ちが上がる、みんなが感謝する、喜ぶ、産業の開発にもなる、生活のためにも大きく貢献する、こうしたらよろしいということを提言しないのはいかぬじゃないか、積極的に研究する意欲がないのはいかぬじゃないか、こう言うのです。これは一つの例ですが、全国見渡しましたら、私は、こういうふうにしていきまするならば、生かしていくのがまだ相当あると思うのです。そうしたら私は国鉄はきっと貴重な存在ということになると思うのです。 第一、私は国鉄の職員の問題にもあとで触れていきますけれども、国鉄の職員は優秀な人材が多いんですよ。この職員をいいかげんに老朽さすことは、人材の点から見ましても惜しいことです。だからできるだけみずから技術も開発するわ、あるいはプランも設計するわというふうにいたしまして働かす、そうして活躍する場を与えるというふうにすることが、こういうローカル線を生かす一つの道でもないだろうか。だから
管理
局でもよろしい、どこでもよろしいから、それぞれあれをうんとよい線にするにはどうしたらいいかということを考えてみろ、都合によっては自治体と組んで、そうして商業団体、企業団体とも提携して研究の場をつくろうじゃないか、意見の交換をしようじゃないか、こういうふうに私はしたらい外と思うのです。その辺あたりの商工
会議
所の会舘連中に会って聞きましても、もどかしく思っている気持ちですよ。何か方法はある。こうしたい、ああしたいとずいぶん意見を聞きますけれども、それだけではものにならぬ。だから国鉄をうんと言わせなければいかぬ。説得力がなければいかぬ。そうして経済性があるということを実証しなければいかぬ。その辺についてはあなたら積極的に提言しなさい。人間を減らすとか、そんなこそくな手段を国鉄がとるようなことをやったら、それを待ったというくらいにやったらどうですか、こう言うのです。ですからそういうことにつきましても、ひとつこの際さらに積極的に大胆にローカル線は活用するものは活用する、地域開発、人間環境づくりに貢献する新しいイメージをそこに生かす、こういうふうにありたいと思うのですが、ひとつ総裁どうでしょうね、踏み切ってほしいと思うのです。
磯崎叡
122
○
磯崎説明員
ローカル線につきましても、いま先生がおっしゃったとおり、例の八十三線区というものを発表しました時代といまとは、わずか五年でございますが、もうすでに相当状況は変わってきております。したがいまして、もちろんあそこの中にも要らないということに近いものもありますけれども、中にはいまおっしゃったような新しい工業整備特別地域になったり、あるいは新しい今後の工業再配置の目標の場所になったりというところが数カ所もうすでに出てきております。そういうところにつきまして、それをどういうふうにするか。実はちょうどいま先生のおっしゃった地元の人と一緒になった協議会と申しますか研究会をつくって、どうしたらこれが生きるか、どうしたら地域開発とマッチして今後発展させられるかという方向で、ローカル線の有望なものについては十分前向きで考えていきたいという考え方で、いますでに数カ所指定いたしまして、たとえばいまおっしゃった播磨の工業地帯だとか、あるいは志布志湾の開発とか、むつ小川原というような、すでに名前があがっておるところがたくさんございます。そういうところについて、すでにローカル線でなくなっているわけでございます。そういう意味で新しい意味の鉄道の活用のしかたというものをぜひ考えていかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
吉田賢一
123
○吉田(賢)
委員
時間の関係もございますので、私は次の一点で終わることにいたします。 これは四十六万の職員の問題でございます。元来の私の立場並びに考え方は、ほんとうに国鉄総裁は四十六万の職員を自分の子を愛するがごとき気持ちをもってこれに対処してほしい、こう思うのであります。それだけに私は、いけないことはいけないと言い、よいことはよいとし、かつそのためにできるだけよかれかしと祈るような気持ちで、その職員がしあわせになるような道は、これはまた全力投球で講ずる必要があるのじゃないか、こういうふうなのが根本の立場であります。 そこで一つは、最近の、去年から続発いたしました
合理化
闘争とか、順法闘争とか、マル生運動とか、いろいろと名が実にそぐわないようなことが起こりまして、すでに刑事事件となって発生した事実もあり、幾つか私も現場を見せてもらって、そのことのあとをいろいろと検討したものの一人でございますが、私は、こういう公共の福祉を増進する、かつまた重要な生命を預かるような国鉄の職員の立場、この立場におきまして、いやしくも暴力ざたをもって内部が混乱するというような、社会がひんしゅくするような、刑事事件として起訴されるような、そういうことがございますということはきわめて遺憾です。この点については
運輸大臣
にも言ったのでありますが、それだけやはりこの種の問題につきましては、ほんとうにえりを正しまして、私は峻烈な態度をもって臨まなければいかぬ、こう思うのです。いささかもあるものを顧慮したり、気がねしたり、遠慮したりする必要はないと思うのです。愛すればこそぶったたきます。そうしなかったならばこれはいかぬのじゃないか。よいことはよいこととし、秩序は秩序とし、規律は規律として、きちんとけじめをつけてもらうということが根本の鉄則でないかと私は思うのであります。この点いかがでございましょう。
磯崎叡
124
○
磯崎説明員
いまの御
指摘
の点につきましては、私どもも全く同感でございます。この点につきましては、先般の通常国会におきましても私たびたび申し上げておりますが、いわゆる私どもの職員の中に過激派学生と同じような行動をとる者が若干いるということは非常に遺憾なことでございます。そのために善良な職員が安んじて仕事ができない、あるいは通勤ができないというふうなことがあってはたいへんなことだというふうに思いまして、いま徹底的にその暴力に対する、これはもう当然のことでございますけれども、峻烈な態度をはっきりさしたいというふうに実は思っておるわけでございます。実は昨日も福岡県で十数名逮捕されたような事態がございますが、残念ながら、そういういわゆる過激派学生と同じような行動をし、同じような考え方を持っておる連中は、これはどうしても企業の中にいてもらっては困るというふうなことも考えなければいけないというふうに思います。したがって、私は、大部分の善良な職員が安んじて、そうして先生のおっしゃったように、喜々として国鉄の将来のために働けるという職場をつくることが何よりも一番大事なことだというふうに思っておる次第でございまして、その辺もたびたびの御
指摘
を受けまして、私も腹をきめてその問題については立ち上がっていくつもりでございます。
吉田賢一
125
○吉田(賢)
委員
私は、そのかまえは
管理
職のすべての人にある、かつまた国鉄の職員四十六万は大部分信頼して可なり、相当優秀な人材が集まっておる国鉄であろうと思いますので、決してその点は顧慮することなく、正しいことは正しいとして、すべての
管理
職に徹底させて、身をもって範を示すようにさせてもらいたいと私は思うのであります。それが国鉄に対する信頼感を取り戻す第一の道であろうと考えております。もしほったらかしておきましたならば、極端な例を申しましたならば、裁判所あたりにおきましても、もし日本の裁判制度の中へ同僚が腕力で、暴力で、そして刑事事件を引き起こすようなことがございましたなら、日本の司法権は崩壊してしまいます。司法権が崩壊いたしましたら、日本は大混乱におちいる危険もございます。というようなことを考えましたならば、それだけ公務員のモラルの高かるべきことを要請することは、やはり国鉄に対して私は強く訴えるような気持ちで申し上げたいのであります。 それからいま一つは、一生懸命にやっている職員は気の毒です。汗をふきふき仕事をしているあの姿、まじめに取り組んでおるあの姿、そして混乱も防ぎ、もしくは生命の危険もないように、あらゆる面において努力しておる姿を見ますると、この忠実な国鉄の職員に対しましてはしかるべき相当なる処遇はあってよいのではないであろうか。一口で申しますならば、ほんとうに魅力のある職場づくりでございます。一生をそこに職を奉じて何の悔いるところもないというような気持ちを起こさせることであります。そのためには、単に経済だけではいけませんが、しかし今日の社会におきましては経済はわれわれを縛っておりますので、しかるべき物質的な処遇も必要であります。同時にまた適材を適所に置きまして、また第二人生計画も立ち得ますように、子につきましてもりっぱに教育もなし得るように、それだけの資力も与えるように、三十年つとめておったけれども家一軒持ちかねますというようなことではどうにもいけませんです。家一軒持ちかねます、やむを得ぬから何か退職金をもらった、それで商売を始める、なれぬ商売でたちまち飛ばしてしまった、三十年間の労苦何したことやらという嘆きの現実の例も私は知らぬでもないのです。そのことを思いましたならば、老後とは言いません。第二人生の計画をほんとうにはばたいて社会に出ていけるような、国鉄の職員が次の職場を求めるようなときには、これはみんなで手をたたいて歓迎する、このくらいな未来をやはり豊かに持たせてほしいと思うのです。それには一つは専門化することです。職務に対して忠実ならしめることです。厳格に自己の職責に対して反省もするし、また研修もするし、やっていくことであります。したがいまして、老朽というとえらい悪いけれども、駅長さんが交通公社へちょっと雇われていくとか、そこらの商社へ入るというようなことをようやくする、そんな情けないことではなしに、私はあってよいのではないであろうか。できますならば四十六万の職員がみんなそんな誇りを持ち得るような職員にするように、物心両面とも処遇をほんとうに改善していくことが、国鉄を
再建
し経営を
合理化
する根本の条件になるだろう、こういうふうに考えております。かつまた日本の土地にふさわしい、合う条件になっていくのじゃないかと思われます。この点についてあなたの所信を伺っておきまして、私の質疑を終わります。
磯崎叡
126
○
磯崎説明員
たいへん御激励を賜わりまして、私といたしましても非常に感銘いたしております。確かに四十数万という日本で例を見ない大企業を動かすためには、やはりその中の一人一人が本気に気持ちよく働く、そういう職場をつくっていく、またそういう環境をつくることが一番大事なことだというふうに考えます。したがいまして、いまおっしゃったようないろいろな子供の問題、あるいは第二の人生の問題等、いろいろございますが、ただ国鉄は、昔は非常にその点がすぐれていたのだが、近ごろはほかのほうがよくなってしまったということでございまして、全力をあげまして、その四十六万の大世帯の人間が安心して仕事ができるように最大の努力を払うということを申し上げておきます。 ありがとうございました。
吉田賢一
127
○吉田(賢)
委員
終わります。
笹山茂太郎
128
○
笹山委員長
次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十分散会