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1972-10-12 第69回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月十二日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 正示啓次郎君    理事 田中 龍夫君 理事 湊  徹郎君    理事 美濃 政市君 理事 中川 嘉美君    理事 小平  忠君       石井  一君    江藤 隆美君      小此木彦三郎君    大野  明君       大野 市郎君    鯨岡 兵輔君       佐藤 孝行君    佐藤 守良君       白浜 仁吉君    關谷 勝利君       田中 榮一君    箕輪  登君       水野  清君    山村治郎君       渡辺美智雄君    安井 吉典君       桑名 義治君    門司  亮君       東中 光雄君    安里積千代君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府税務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      本名  武君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  委員外出席者         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省欧亜局長         代理      山田 淳治君         建設省道路局国         道第一課長   大島 哲男君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 八月十八日  辞任         補欠選任   田中 榮一君     佐藤 孝行君 九月八日  辞任         補欠選任   佐藤 孝行君     田中 榮一君 十月十二日  辞任         補欠選任   大石 八治君     江藤 隆美君   坂本三十次君    小此木彦三郎君   床次 徳二君     佐藤 孝行君   森  喜朗君     白浜 仁吉君   豊  永光君     水野  清君   渡辺  肇君     山村治郎君 同日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     大石 八治君  小此木彦三郎君     坂本三十次君   佐藤 孝行君     床次 徳二君   白浜 仁吉君     森  喜朗君   水野  清君     豊  永光君   山村治郎君     渡辺  肇君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 正示啓次郎

    ○正示委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  先般、北方問題に関する実情調査のため、委員北海道に、また、復帰後の沖繩県実情調査のため、委員沖繩県にそれぞれ派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めたいと存じますが、第一班については、私が便宜この席から御報告申し上げます。  われわれ第一班は、去る八月三十一日から五日間、北方領土問題等実情調査のため北海道に派遣されました。  派遣委員は、國場幸昌君、佐藤孝行君、佐野憲治君、安井吉典君、斎藤実君、安里積千代君と私、委員長正示啓次郎の七名でありましたが、現地参加委員として美濃政市君並びに議員岡田利春君の参加を得ました。  今回は、八月三十一日に、北方領土復帰促進道民結集大会札幌市で開かれ、九月二日には根室市でその道東地区大会があり、この両大会に出席いたし、北方領土復帰を切望する参加者の熱意に触れることができましたことはまことに有意義でありました。  われわれは、札幌、釧路、根室において道知事道当局関係市町村をはじめ、北方問題対策促進北海道協議会北方領土問題対策協会北方領土復帰期成同盟千島歯舞諸島居住者連盟、その他北方領土復帰運動推進に当たる各界各層代表者より意見を聴取し、懇談を行ないました。これとともに、北方水域を視察してまいった次第でございます。  時間の都合もあり、調査の結果の詳細につきましては報告書を提出してありますので、会議録に参照掲載されるようお願いいたし、この際省略させていただきます。  以上、御報告いたします。  次に、第二班について報告を求めます。鯨岡兵輔君。
  3. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 われわれ第二班は、去る九月四日から三日間、復帰後の沖繩県実情調査のため、現地に派遣されました。  派遣委員は、湊徹郎君、豊永光君、西宮弘君、伊藤惣助丸君、門司亮君、東中光雄君と私、鯨岡兵輔の七名でありましたが、現地では、当委員会委員でもある現地選出議員参加も得まして、那覇市において沖繩総合事務局那覇防衛施設局沖繩振興開発金融公庫及び沖繩電力株式会社から業務報告を受け、また沖繩県、同市長会、同町村会及び同離島振興協議会等自治体関係者並びに商工会議所、全軍労代表と懇談するとともに、嘉手納村立屋良小学校、それから国際海洋博覧会会場予定地等を視察いたしたのであります。  時間の都合もありますので、その調査の結果の詳細については、委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、この際省略させていただきます。  以上、御報告いたします。     —————————————
  4. 正示啓次郎

    ○正示委員長 おはかりいたします。  派遣委員報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 正示啓次郎

    ○正示委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  6. 正示啓次郎

    ○正示委員長 沖繩及び北方問題に関する件について質疑の申し出があります。順次これを許します。安井吉典君。
  7. 安井吉典

    安井委員 きょう増原防衛庁長官おいでをいただいておりますので、四次防の問題、これはきのう内閣委員会でだいぶ詳しい質疑応答がなされたそうでありますから、私はこの委員会沖繩の問題の担当もございますので、そういう立場からちょっと伺っておきたいと思います。  四次防は、国防会議並びに閣議の決定によりますと四兆六千三百億円、ベースアップ分を含めると五兆一千億円台にのぼるというふうにいわれるわけであります。しかしこの額は、一次防、二次防、三次防合計いたしましても四兆円ちょっとでありますから、今後の五カ年計画ではそれを大幅に上回る額をどうしても計画化しなければならないという、その理由が私どうしてものみ込めないわけであります。特に政府のいろいろな、今度の主要項目やあるいは「情勢判断防衛構想」を読んでみましても、このような膨大な増強をどうしてもしなければならないという理由は明確でありません。その点いかがですか。
  8. 増原恵吉

    増原国務大臣 四次防の経費ワクは一応四兆六千三百億円程度と見込んでおるわけであります。たいへん膨大な額であるということでございまするが、御承知のように、四次防は三次防の延長という考え方で、基本的な防衛構想につきましては三次防と同じような考え方基礎の上に立っておるわけでございます。そうして主要項目等についてもごらんをいただいたかと思いまするが、数量等において大きく増強をしたものはございません。原案におけるものよりも——原案は去年の四月に作成をされたものでございまするが、その後の事情等も勘案をいたしまして主要項目等につきましても相当の削減をいたしておるわけでございます。  経費が三次防に比べまして約二倍、一次、二次、三次防を加えましたものよりも大きい額になっておること、そのとおりでございまするが、四次防防衛力内容といたしましては、この延長であり、だんだん古くなり使用をやめなければならぬものの交代に際しては、現在における防衛に適した性能、すなわち高性能のものを選ぶ。したがって、これはたいへん価格は高くなるというふうなことで額は大きくなっておるわけでございます。御承知のように、五年前の諸価格水準人件費等と五年後の今日を比べますると相当の増額になっておるという一般的な背景、基準によりまして四兆六千三百億円というふうな額に達するということでございます。  そのうち、主要項目の中で金額増高をした点で相当目につきますものは、航空機が、ちょうど現在使っておりまする戦闘機104及びその前に使っておりまする86が四次防期間中に大きく新品交代をしなければならぬ時期に際会をいたしまして、ファントム等航空機を購入する額は、三次防における航空機の全体の経費に比べて大きく伸びておるというようなことも一つ理由になっておりまするが、全体として防衛力を三次防の倍というふうな形に伸ばすというふうなものではございませんで、その間における一般的な人件費物件費増高及び新しく買い入れまする陸海空の諸装備を新しい、進んだ性能のものと取りかえるという意味において単価が増高をしておるというふうなことが原因になっておるわけでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 人件費その他を加えると、ベースアップ分だとかそういうふうなものを加えると五兆一千億円を大幅に上回るのではないかといわれておりますが、それはそのとおりですか。
  10. 増原恵吉

    増原国務大臣 この点は大蔵省のほうでも推算をされておりまするが、まだ経済企画庁における長期経済見通しができておりませんので、計算が立てにくいという大蔵省の発言でもございますが、防衛庁でも同じようなことでございまして、比較的正確な計算が立ちにくいということでございまして、四兆六千三百億に対して五兆一千億をこえるであろうという一応の大ざっぱな見通しは、大蔵省でも大体そういうことになるのではないかという程度の大ざっぱな見通しは立てておられます。
  11. 安井吉典

    安井委員 いま大臣がおっしゃったことばがちょっとおかしいと思うのですが、いわゆる経済長期見通し社会経済長期計画はまだできていないのでわからぬ、こうおっしゃるが、そういうものの見合いにおいて防衛計画はつくられるという法律に定められた原則があるんじゃなかろうかと私は思うのですが、その点は手続的に問題があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  12. 増原恵吉

    増原国務大臣 経済見通しとからんで防衛計画を策定することは、法律上のそういうあれはないと思いまするが、実際は仰せのとおりそういうことで考えてまいるわけであります。そうして一応現在政府で考えておりまするのは、防衛費GNPの比率において一%以内というふうに考えておるわけでございます。その点では経済企画庁長期経済見通しは、この四次防期間において実質伸び率七%ないし一〇%、こういう計算になっております。最小限の伸び率七%をとりましても、このたびの四次防は一%以内にとどまる、そういう計算のめどはつけておるわけでありまするが、七%ないし一〇%ということでありまするので、これを七%ととってベースアップを見積もるか、一〇%で見積もるかでたいへんな違いがあるわけであります。そういうはっきりしたベースアップ金額がはじき出せないという意味で、大ざっぱな七ないし一〇ということは基礎に踏んでGNPの一%以内ということで試算をしておる、こういうことでございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 そういうきっかりした見通しなしに大体こんなところだろう、こうおっしゃっておつくりになったと言われるが、日本列島改造論によれば、昭和六十年度GNP三百四兆円、そうなると、一%といいますと三兆ですか、ですからいろいろな試算はたくさんあるわけです。政府部内にもあるし、それ以外にもあるわけです。そういうものが明確でない段階においての計画化ということに私は問題があると思いますし、さらにまたこの「情勢判断」の中に「地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する可能性を否定することはできない。」とこうあるわけであります。だから、この自衛力をそのまま持たなければならないという存在の可能性はここで読み取れますけれども、だから増強しなければならないとはこれはどうしても読めないわけです。いまよりももっと危険性がふえてくるから増強するのだ、こういうなら話はわかりますよ。そうじゃないでしょう。増強じゃないとおっしゃるけれども、しかし機種の選定だとか、すべてどの点を取り上げてみたって、いまよりも弱くなったり、単なる延長線上にあるものだというようなことは、専門家が見たらだれだって受け取ることはできないと思います。私はそういうところに問題があると思うわけであります。  そこで沖繩の問題をどういうふうに位置づけられているのかという点について伺いたいのでありますが、春発表されました第四次防衛力整備計画大綱の中には「沖繩施政権返還に伴い、同地域防衛を担当するとともに、災害派遣その他の民生協力を行なうため、所要部隊整備する。」こうあるわけでありますが、今度のこの具体的な計画の中にそれをどういうふうに位置づけられているのか。何はどうかにはどうと、そういうふうな具体的なものはお持ちなのか、その点ひとつお伺いいたします。
  14. 増原恵吉

    増原国務大臣 沖繩に対する配備につきましては、今度の四次防の中にもちろん配備のあれが入っておりまするが、四次防をつくりまする前に、御承知のように国防会議沖繩に対する配置の問題を決定をいたしておるわけでございます。その内容等防衛局長から御説明をさせます。
  15. 久保卓也

    久保説明員 お話しの四次防大綱の中に沖繩関係が書いてあります。しかしながら、主要項目の中には、これは主として装備を中心にして書かれておりますので、沖繩関係は触れられておりません。しかし、全般的な計画の中身といたしまして出ておりますものは、この委員会でも再々御説明いたしました、四十七年末までに陸海空部隊を含めまして二千九百名、その後来年に至りまして若干の航空部隊増強、それからナイキホーク及びレーダーサイト整備といったようなことが含められております。  それからこの関係以外に、沖繩といいますか、南西諸島周辺哨戒用に二千五百トン級の、DDKと申しますが、護衛艦二隻をつくる計画にしております。これは主要項目の中に入っております。ただし、沖繩配備するということではありませんで、佐世保に常駐させて、必要に応じて南西諸島哨戒を行なうという分が含められております。  このほかに現在予定しております沖繩配備航空機F104の二十五機でありますが、この分につきまして、これは五十三年度に減耗してまいります。したがいまして、それの補充用の手当てといたしましてF4二十四機——部隊としましては二十二機であります。つまりF104の二十五機に相当する分としては二十二機でありますが、それに予備を加えて二十四機、この分はやはり主要項目の中に含められております。大体おもなものとしては以上であります。
  16. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、沖繩自衛隊は現在段階よりもなお年末までにもう少し人がふえるわけですね。  それから、さらにまた航空機ナイキホークレーダーサイト等増強措置が来年行なわれる。最終段階には沖繩についてどれくらいを予想しておられますか。
  17. 久保卓也

    久保説明員 来年の七月一日以降は防空任務は全面的に日本側が担当することになります。その時点におきまして大体五千七、八百名であろうと思います。この点はナイキホークあるいはレーダーサイトといった所要人員がほとんど必然的に使われるわけでありますが、その後、たとえばP2Jの部隊を十二機までふやすかどうか、あるいは司令部要員をどういうふうに考えていくかというような問題もありますし、当然そういった具体的な人員の細目については、今度の四次防でも大蔵省協議をしているわけではありませんので、防衛庁だけの計画によれば、四次防末で六千四、五百人ということになりますけれども、それはいま申し上げたように大蔵省と話をしておりませんので、どういうふうに落ちつきますか、いずれ六千人前後というような数字がおさまりの数字であろうと思います。
  18. 安井吉典

    安井委員 六千人前後までの最終段階数字を考えておられるということは、沖繩自衛隊に対する県民感情等からいいまして、私はこれはたいへんな問題ではないかと思います。  そこで、ここの「情勢判断」とのからみでありますが、地域的な武力紛争生起可能性という点から、一体沖繩をどういうふうに位置づけておられるのか、日本戦略体系の中で沖繩基地をどういうふうに位置づけられておるのか、私はそれが非常に重大な問題になってくるのではないかと思います。非常に強大な米軍がいるのは御承知のとおりです。日米安保条約の最重点はすべて沖繩に集中されている。米軍の軍事的な要素はほとんどあそこに集中されている。しかも、自衛隊は今日までゼロだった。それが六千人の規模まで拡大をされていく。機材も充実されていく。防空任務はもうほとんど日本がやっている。強大な米軍プラス強大な自衛隊、こういう形を沖繩の中につくり上げようとする、その根拠は一体どこにあるのかという点です。日米安保条約も必要だし自衛隊増強も必要だ、こう書いてあるわけでありますけれども、では一体沖繩をどういうふうに考えておられるのか、地域的武力行為可能性だとかそういうふうな側面からどうなのか、あるいはまたアメリカ極東戦略の中の位置づけがどうなのか、その点大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  19. 増原恵吉

    増原国務大臣 沖繩における自衛隊配備は、日本、その中の沖繩防衛は一応自衛隊でこれを受け持っていくというたてまえを基本としておるわけでございます。これは全体としての防衛構想に申しておるとおりでございまして、全体としての日本防衛については、間接侵略及び小規模の直接侵略については自衛隊でこれに対処する。その力の及ばないような大きい進攻があった場合には安保条約によって米軍協力を得るということをたてまえといたしております。  現在沖繩における米軍配備は、御承知のように、施政権を持つ米軍極東の安全という意味合いを持っての配備であったと考えられるわけでありまして、これは施政権日本に返り、その他の情勢の推移に伴って、だんだん引き揚げてもらうべきものというふうに考えておりまして、基本としての防衛の行動は自衛隊で行なうというたてまえのもとに、いま申し上げたような配備を整えておるということでございます。
  20. 安井吉典

    安井委員 私は、だれがどう考えたって、この日本列島の一番南の端の沖繩に対する日米両軍の配備状況というものはあまりにも過大だと思います。だれがどう考えたって、沖繩ばかりにどっしりと軍事的な重みを寄せ過ぎているということは私は当然だと思います。これはそうじゃないでしょうか。どう考えたってそうです。今度の日中国交回復あるいは米中接近、さらに朝鮮半島でも雪解けムード、そういったような新しい事態がどんどんふえているというこういう現状の中で、私どもが主張いたしておりますように、一昨年の日米共同声明台湾条項もこれは要らなくなるのではなかろうか。日米安保条約そのものも根本的に質の転換を迫られ、廃棄の方向に進んでいるのではないか、こういう私どもの主張を裏づけるような事実がどんどんあらわれているわけですよ。それにもかかわらず、米軍はほとんど減らない、自衛隊はまたおそろしい勢いで行く。かつて沖繩には日本の兵隊さんは一人もいなかったのですからね。この間の戦争で初めて日本軍が来て、それが米軍をおびき寄せた形であの沖繩の悲惨な事態が展開した。だから、私は、沖繩の今日の過大な軍備状況というものにはっきりした方向づけをしない限り、沖繩返還などというものは全く本質的には夢で終わるのではないかというふうに思うわけであります。いまのお話の中では米軍基地をどんどん減らすということについて、防衛庁長官の言明がございましたが、その点については政府としてどのような見通しを持っておられるか、政府のお持ちになっている米軍を減らしていくという展望についてひとつお聞かせいただきたい。
  21. 増原恵吉

    増原国務大臣 われわれがどんどん減らしていくという言い方をしたわけではございません。米軍としても、あそこは施政権内にあって、米軍アジアにおける一つ兵力配備重点になっておったということは、御承知のとおりであろうと思うのです。これが返還をされまして、日本施政権に返ってきたという形と、いま申されましたようなアジアにおける情勢、特に中国米軍との関係等考えましても、その間の情勢の緩和、進展ということとも考え合わせますならば、沖繩における米軍配備というものは、私ども整理方向に向かうものという見通しを持っており、そういう見通しのもとに、基地必要限度における整理縮小というものを要望をしてまいる、そういう意味で申し上げておるわけでございます。そういうことは私どもとしても可能であろうということでございます。
  22. 安井吉典

    安井委員 防衛庁長官というお立場からも米軍基地縮小を要請していくということですね。
  23. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういうことでございます。
  24. 安井吉典

    安井委員 いずれにいたしましてもそのことばは承っておきますけれども沖繩の軍事的な位置づけというのはあまりにも私は異常過ぎると思う。それは日本列島全体の問題としてもたいへんですけれども沖繩ほんとうにたいへんだと思いますよ。その点は今後とも最大の問題点として残っていくということだけ一つ指摘をしておきたいと思います。  そういう中だからこそ、いわゆる米軍ベンジャミン上等兵による殺人事件も起きてくるわけですよ。あの事件などはまさに占領時代延長です。横浜や相模のあの事件にしても占領感覚延長です。しかし、それが最も如実に残っているのは沖繩であり、それがあの殺人事件にあらわれてきているものだと思います。戦後は終わったとか終わらぬとかいろいろいいますけれども、まだ終わっちゃいないということをあれはもうはっきり位置づけた問題ではないかと私は思います。まるで占領下の人民は虫けらみたいな扱いにするという考え方、そういうようなものがああいう中で明確になっているのではないかと思います。あの事件について、身柄引き取り、起訴という方向をとられたわけでありますけれども、私はあの身柄引き取りをもっと早くすべきではなかったか、こう思うのですが、これは法務省からおいでだと思いますが、お答えいただきたいと思います。
  25. 根岸重治

    根岸説明員 ベンジャミン事件におきまして身柄引き取りを早くすべきではなかったかというお尋ねでございますが、いわゆる地位協定の第十七条五項(C)によりますと、「日本国裁判権を行使すべき合衆国軍隊構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」という旨の規定がございまして、その規定にのっとりまして、公訴が提起されるまでは米軍側身柄を拘束しておったわけでございます。日本側といたしましては、ただいまの協定にあります公訴が提起されますまでの間ということから、公訴を提起された後はこの規定の拘束を受けませんので、直ちに身柄を引き取った、こういう経過でございます。
  26. 安井吉典

    安井委員 国民感情から私は申し上げているわけでありますが、新聞を見ていて、あの事件が起きた、警察は身柄を向こうに持っていかれて、たまたま出てきては黙秘権の行使、ああいう中でほんとう国民は気持ちの中でやきもきしていたと思うのですよ。それは米軍基地がそこにあり、日米安保条約があり、地位協定のあるというところに基本的な問題点はあるのでありますけれども、そういうふうな国民的な感情というものを、私はこれからの沖繩基地問題、あるいは日米との折衝の中で忘れてはならない、こう思います。  そこで、復帰以後、米軍人軍属による刑事事件はどれくらい起きて、それを日本側が責任を負って処理したというふうなものはどれくらいになっておりますか。
  27. 根岸重治

    根岸説明員 沖繩復帰いたしました本年五月十五日から四十七年八月末までの集計ができておりますが、その間、那覇の地方検察庁で受理いたしました米軍構成員等の犯罪の件数は五百八十四件でございます。そのうち、他の検察庁や家庭裁判所に送致いたしました、いわば最終的な処分でないものを除きますと、起訴しましたのが百十七件、不起訴、まあ中止その他もございますが、二百六十三件が不起訴になっております。起訴率は、ほぼ三分の一が起訴されておる、こういう実情でございます。
  28. 安井吉典

    安井委員 どうですか、法務省で見て、その扱いというのは公正に行なわれているというふうにお考えでしょうか。それからまた、これからいよいよ裁判段階に入るわけでありますが、そういう中で、こういうふうな事件になれば、かつてジラード事件もありましたね。国民的な感情というようなものを私は無視するわけにはいかぬと思います。そういうような意味合いで、厳正な裁判措置を当然講ずべきであるということを私は申し上げておきたいことと、それから、この殺された人に対する補償の問題が次の段階で提起されるのではないかと思いますが、これは防衛施設庁のほうも、その間に立って十分適切な措置が行なわれるようにならなければいけないし、それからまた、裁判やその他の段階でも当然適切な配慮が払われなければならないと思うのですが、この点についてはどうですか。
  29. 根岸重治

    根岸説明員 事件の起きました場合の捜査並びに公判のことに限定してお答え申し上げますれば、ただいま御指摘のとおり、捜査及び公判活動におきましても厳正にやるべきものだと考えておりますし、法務省サイドといたしましては、その方針で対処してまいるつもりでおります。
  30. 高松敬治

    ○高松説明員 補償の問題につきましては、目下那覇防衛施設局で、御遺族の方と連絡をとりながら、これについていろいろ相談を進めてまいっております。申すまでもなく、本件の補償につきましては、私どもとしてもできるだけの努力をしていきたい、かように考えておるところであります。
  31. 安井吉典

    安井委員 防衛施設庁長官に続いてお尋ねをいたしたいのは、基地のいわゆる暫定使用法の適用の問題です。いままでの段階で安保の地位協定による政府の土地提供という問題もありますし、それからまた、自衛隊の用地あるいは水道、道路等の公共的事業に対するものというふうに三つに分かれると思いますが、これについての三つに分けての政府の土地取得の状況はどうなっているか。  さらに、強制使用法と私どもは言いたいわけでありますが、いわゆる暫定使用法による土地収用の状況、昨日も発動をしたというふうに伝えられておりますが、それらの状況についてひとつお述べいただきたいと思います。
  32. 高松敬治

    ○高松説明員 暫定使用法の問題につきましては、関係所有者約三万二千名、そのうち約九三%につきましては大体御同意をいただきまして、借料の支払い、その他ほとんど終了いたしております。それから契約について同意の得られなかった方、あるいは海外に居住している方、あるいは居所不明というふうな方が約二千名ございまして、その居所不明者を除きます約一千二百名に対して暫定使用法の適用が問題になるわけでございます。私どもといたしましては、去る八月十二日以降、二百八十二件について暫定使用法の第二条第三項に基づく使用通知を行なっております。残りの方につきましても、できるだけ契約に応じていただくというふうなことで、いろいろ御相談もし、いろいろやっておりますが、大体現在までのところ同意をしていただけそうな方と、同意がとうてい得られないという方がほぼはっきりしてまいったように思いますので、今後この意向が明らかになった人については、なるべくすみやかに補償その他の措置をとっていくというふうなことを考えております。自衛隊の土地につきましても、同じような問題がございますが、水道につきましては、これは建設省の所管になっておりますので、私のほうでは答弁を差し控えさせていただきます。
  33. 安井吉典

    安井委員 きょうは建設省その他はおられませんね。いますか。
  34. 正示啓次郎

    ○正示委員長 建設省は国道第一課長が来ております。
  35. 安井吉典

    安井委員 じゃ、建設省どうですか。
  36. 大島哲男

    ○大島説明員 国道第一課長はおりますが、ちょっと所管外でありますので……。
  37. 安井吉典

    安井委員 それではほかの省のものはまた別な機会に譲りたいと思います。  それからもう一つ聞いておきたいのは、期間はどういうふうにされましたか。
  38. 高松敬治

    ○高松説明員 期間と申しますと、通知の期間でございますか、使用の期間でございますか。
  39. 安井吉典

    安井委員 使用期間です。
  40. 高松敬治

    ○高松説明員 一年ないし五年ということで、それぞれ分かれておると思いますが、ちょっと具体的に、期間別の数字はいま集計したものを手元に持ち合わせておりません。
  41. 安井吉典

    安井委員 その期間の設定を一年ないし五年の置き方ですね、どういうふうなニュアンスでそれをおきめになっておられるのですか。
  42. 薄田浩

    ○薄田説明員 お答えいたします。  これは暫定使用法及びそれの政令に基づきましていろいろあれされておるわけでございますが、大ざっぱにいいまして、建物、工作物等については一年ということで、他の土地につきましては五年というふうに、五月の復帰とともに分けております。
  43. 安井吉典

    安井委員 ほかの問題もありますから、この問題については委員長にお願いしたいのですが、きょうはいわゆる公共事業関係の担当の方が見えておりませんので、この法律による暫定使用の今日までの状況と今後の見通しについて、各区分別のリストをおつくりいただきまして御提出をいただけるように、委員長のほうでお取り運びをお願いいたします。  北方領土問題について、私どもこの間正示委員長を中心にして根室現地にも参りまして、いろいろ見て来て、その中の印象では、やはり一日も早く返還措置を講ずべきであるという印象を強くして帰ってきたわけであります。  きょうは外務大臣もおられないのでどこまでお答えいただけるかわかりませんが、春のグロムイコ外相が訪日した際の平和条約交渉再開に関する言明、その後、秋までにもつと両国政府間で積極的なコンタクトがあってよかったのではないか、あるいはあったのかもしれませんが、私どもよくわからないのでありますが、もっとあってよかったのではないかというふうな気がするわけであります。どうも、日中交渉の陰に全く隠れてしまったような感じを受けるわけでありますが、事務的なお答えでけっこうでありますが、どういうふうな折衝がいままであったか。それから、その一つが今度の大平外務大臣の訪ソということに位置づけられるのかどうか、それにはどういうようなものが期待できるのか。ついでに、今後の日ソ間の外交交渉の日程の見通しといいますか、外交日程の展開等についてどういうふうにお考えになっておられるのか。外務省当局としてのお考えをちょっと伺いたいと思います。
  44. 山田淳治

    ○山田説明員 お答えいたします。  御高承のとおり、本年一月グロムイコソ連外務大臣が来日いたしまして、共同コミュニケにおいて本年内に平和条約締結交渉を開始するということに合意を見た次第でございますが、その後東京におきまして、外務大臣と在京ソ連大使の間に話し合いが行なわれまして、この平和条約締結交渉の予備的な話し合いを九月後行なうということになり、それに従いまして、九月中旬、在ソ連新関大使とソ連外務省の間に予備的な話し合いを行なった次第でございますが、その後今般外務大臣が豪州、ニュージーランド訪問の帰途モスコーに参りまして、ソ連首脳と話をするということになりました。したがいまして、外務大臣の訪ソの際には当然平和条約締結交渉に関する話し合いが出ると存じます。もちろん日本側といたしましては北方領土の全面的返還につき、わが国の立場をあらためてソ連側に強く主張する方針でございます。  なお、その後の日程につきましてはいまだ何らきまっておりません。  以上でございます。
  45. 安井吉典

    安井委員 まあ外務大臣が向こうへ行っている留守に事務当局に伺っても、そういうお答えしか出ないだろうと思いますけれども、いずれにしてもこの間の現地調査の直後の委員会ですから、私は外務省の当局にしっかりやれ、そういうことだけきょうの段階では申し上げておきたいと思います。  時間の関係で、この間の調査でずいぶんたくさん現地から要望があったのを一つ一つ取り上げるゆとりはございませんけれども、ただ一つ領土返還運動等に要する経費の財政援助について、根室市等において強い要求があったわけであります。根室市では毎年三千万円くらいよけいな金がかかっているが、これに対する道費の補助は四百万円ばかり、各関係町はいずれもそういうふうな負担が相当あるようであります。これについて何とかならぬかという要求があったのでありますが、補助という仕組みも一つありますね。それからまた特別交付税というふうな仕組みもあるわけでありますが、これは北方長官あるいは自治省等からのお答えをいただきたいと思うのでありますが、こういうふうな大きな負担が、ただでさえ過疎状況になっている各市や町の財政を非常にいためているという事実を私ども見てきたわけであります。これの対策についてひとつ伺っておきたいと思います。
  46. 本名武

    ○本名国務大臣 北方領土対策につきまして、現地、特に根室市、関係町村並びに北海道におきまして非常な御努力をいただいて、しかもかなりの財政負担をしていただいていることは承知いたしております。したがいまして、これが御負担をつとめて軽くしながらも、その活動に支障のないようにするためにいろいろ検討いたしてまいったわけでありますが、たとえば昭和四十三年度におきまして、これは自治省からお答えいただくのが適当と思いますけれども、普通交付税の基準に北方領土面積を加えて交付するというような処置をとってまいったわけであります。さらにまた一般の北方対策費といたしまして、やはりこれまた相当の御負担をおかけしているわけでございますが、年々増額して、国のそれぞれの機関に対する、あるいはまた直接の仕事について処置をいたしてまいりましたが、特に今日、先ほど外務省から報告がありましたとおり、また安井先生から御指摘のありましたとおり、日ソ平和条約もやがては締結されることを期待しつつ、いろいろ外交折衝をするわけでございますが、それらに対して、やはり第一には国民の啓発、国民の熱意というものを示す必要がある。そのためにも現地もあるいは国もつとめて努力をしていかなければならないというために、費用の増額を今後はかってまいりたいと考えているわけでございます。
  47. 潮田康夫

    ○潮田説明員 いま長官からお答えのあったとおりでございますが、私どものほうといたしましては、根室市の普通交付税の算定にあたりまして、旧歯舞村が、これは合併になりましたからそれの一部が歯舞群島でございますから、その面積を根室市の面積の中に加えまして、そして普通交付税の算定をさしていただいております。  それから色丹、国後、択捉につきましては、これは独立した町村でございません。それでございますけれども、国土地理院の国土調査の結果では、北海道の面積だということでその中に加えて公表されておりますから、これもいま長官から御説明がございましたように、四十四年の普通交付税の算定から北海道庁の道分の普通交付税の面積の中に取り入れて普通交付税の算定をさしていただく、こういうようにさしていただきまして、その経費を普通交付税の面でも補強してまいりたい、こう考えております。  しかしながら現実にはこれがさらに、お話がございましたように、根室市はじめ関係の市町村におきましては、啓蒙運動であるとかその他いろいろな事務的な経費をかなり要しておるようでございますので、これは御承知のとおりに年度末にその所要額を私のほうで道を通じまして調査をいたしまして、それに対しましては別途特別交付税で措置をさしていただく、こういうことでやっております。十分ではないかとも思いますけれども、そういうことで努力をさしていただいております。今後とも普通交付税の面におきましても特別交付税の面におきましても関係市町村の実情をよく聞き、また私どものほうも道と一緒になって調査をさしていただきまして、的確な措置をやっていけるように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  48. 安井吉典

    安井委員 もう時間になってしまったんですが、四十六年度での根室市に対する特別交付税措置はこの問題にからんでどれぐらいですか。
  49. 潮田康夫

    ○潮田説明員 根室市に対するこの問題に対する特別措置は七百二十万でございます。それでなお普通交付税では約七百三十万少し入っております。両方合わせまして千四百五十万少しこえておるのではないか、かように考えております。そのほかに、ただいまもお話がございましたように、道分の補助金がございます。全体として完全に十分であるというようには決して申せませんけれども、できるだけ実情に合った措置をして努力をさしていただいたつもりでございます。
  50. 安井吉典

    安井委員 四十七年度の最後の段階、私どももっと関心をもって自治省のほうにも折衝したいと思いますが、配慮をしていただきたい、そのことだけ最後に申し上げて終わります。
  51. 正示啓次郎

    ○正示委員長 中川嘉美君。
  52. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 まず沖繩の国道の問題で伺いたいと思いますが、国道の三百三十一号線の、これは例の空軍基地の中を国道が通っておるわけですが、この三百三十一号線について、これは全面返還になっておるかどうか、まずこの点を伺いたいと思います。
  53. 大島哲男

    ○大島説明員 お答えいたします。  国道三百三十一号線は米軍の空軍、海軍補助施設の中を通っておりまして、約一・六キロが現在のところ両端でバリケードでとめられております。
  54. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、これは現在、いまの御答弁からしますと、米軍の管理下に置かれているというふうに解釈されるわけですが、その辺の事実関係について御説明をいただきたいと思います。
  55. 大島哲男

    ○大島説明員 現在米軍の管理下に置かれております。
  56. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 管理下に置かれておるとするならば、その法律的な根拠ですね、これは一体どこにあるか、その点を伺いたいと思います。
  57. 大島哲男

    ○大島説明員 この道路は旧軍三号線と申しておりまして、占領下におきまして米軍の管理下にありました。この五月の十三日に閣議を経まして十五日の日米合同委員会におきまして、所要の安全施設等が完備された段階において開放されるというふうになっております。現在、種々事務的に折衝をやっておりまして、その打ち合わせを続行中の状況でございます。
  58. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでははっきり申し上げて、この地位協定立場からいきますと、地位協定の第何条に該当しますか。この点、まず地位協定立場から、今回のこの三百三十一号線の扱いですね、これを御答弁いただきたいと思います。
  59. 大島哲男

    ○大島説明員 お答えいたします。  地位協定の面でございますけれども、実はちょっと法制関係の者が来ておりませんので、詳しくここで御答弁できませんので、あらためて御答弁したいと思います。
  60. 大河原良雄

    ○大河原説明員 国道三百三十一号はただいま建設省のほうで説明ございましたように、現在は米軍が使用し、管理いたしておる道路でございますが、これは地位協定二条一項に基づいて提供されている施設、区域ということになっております。
  61. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは本土でこのような実例があるかどうか、いわゆる基地の中をずっと道路が通るというようなこういう形態というのはあまり聞きませんけれども、実際にこういうものに類似した例があるかどうか。ついでに伺いますけれども、こういった地位協定が適用されるならば、刑特法も及ぶのかどうか、この辺について伺いたいと思います。
  62. 大河原良雄

    ○大河原説明員 御指摘のような例はほかにはいまのところございません。それから刑事特別法の適用につきましては、これは地位協定に基づきまして提供されている施設でございますから、刑事特別法は適用ございます。
  63. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 刑事特別法が及ぶということであれば、これは例の沖繩国会でいろいろと御答弁のあった国道の全面返還という問題がどうしてもうそと了解せざるを得ないような、こういうようなことを三百三十一号線について感じるわけですが、沖繩国会における答弁と、今回実際にこういう三百三十一号線においては事態が起きているわけですし、またせんだっての新聞報道によりますと、七日の午後、道路を返せと言って、基地のゲートに押しかけた五百名ばかりの沿線の住民があるわけです。この住民たちが言うには、返還というのは名ばかりである。米軍の占領体制が続いているんだということを強調して、こういった封鎖が続く限り、交通ラッシュのしわ寄せを受けて周辺道路で非常な麻痺状態が続いておる。そればかりではなくて、交通事故の犠牲者も出ておるんだということを叫んでいるわけですけれども、こういった点において沖繩国会における道路の全面返還ということをいま思い出すわけですけれども、この点に関してどうでしょうか。
  64. 大河原良雄

    ○大河原説明員 五月十三日の閣議で決定を見、これに基づきまして五月の十五日の日米合同委員会で合意されましたのは、日本政府による所要の安全設備等の建設とともに、一般の用に供する、こういうことでございまして、先般米側から安全設備等の建設に関しまする具体案が提示されておりますので、これをもとに関係省庁間において目下具体的な検討が行なわれている、こういう状況でございますので、この作業を極力急ぎたい、こういうふうに考えております。
  65. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 安全設備といいますが、具体的にどういうあれですか、今後この道路についてどのように持っていこうとされるか、いまの安全設備という表現がありましたけれども、開放されるとするならば、これをどういうふうな形に持っていくか、この点何か聞いておられますか。
  66. 高松敬治

    ○高松説明員 八月三十日に米側からの条件が提出されてまいりました。それによりますと、立体交差あるいは横断歩道橋をつける、あるいは信号灯をつける、あるいはフェンスをつくるというふうないろいろな条件が出ております。私どもといたしましては、ここに示されている条件自身が非常に妥当なものであるかということも一つの問題でございますし、それからまた現実にこういうたとえば立体交差道をつくるというふうなことになりますと、かなり期間もかかりますので、それとは別に暫定的に何か早くこれを一般の人に開放することのできるような措置がないか、こういうふうなことも含めまして、米側といろいろいま協議に入るという段階でございます。  そういうことで、私どもといたしましてはなるべく早く、暫定的な方法をとりましても、この三百三十一号線の開放を早くやりたい、かように考えているところでございます。
  67. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまフェンス、いわゆる金網とか、高速道路とか、立体交差ですか、例があげられたようですが、もしこの金網なら金網というものを取りつけるとした場合に、その費用は一体だれが負担するか、この問題になってくると思いますが、この点はどうですか。
  68. 高松敬治

    ○高松説明員 費用の問題につきましては、建設省でやるものと防衛施設庁でやるものとがあろうと思います。その点についてはまだ両省の間ではっきりした分担はきめておりません。
  69. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いずれにしても日本が費用を負担しなければならないということになる、そのような答弁であるわけですけれども、これもまた先回の沖繩国会の答弁とどうもだいぶ事情が違うような気がしてならないのでありますが、いずれにしても国民の税金を簡単にこういったふうに考えること自体、私はここで大いに反省しなければならないのじゃないか、こう思うわけで、この点をひとつよく考えた上で、これから折衝は続くというようなことですけれども、ひとつ対処していただきたい。このことをこの点について強力に要望しておかなければならないと思います。  この道路の問題についてはこの辺で終わりたいと思いますが、もしもこの国道三百三十一号線が完全開放されないという、いつまでたっても現状がこう続くようなことを想定した場合に、何か新たな道路をつくるとか、そういうような考えが出てくるかどうか、もし新しい道路を建設するならば、今度は費用をまただれが負担するかという問題に発展していくわけですけれども、この新しい道路ということについてどういうふうに考えておられるか。
  70. 大島哲男

    ○大島説明員 現在のところは返還をされるほうで検討しておりまして、新しい道路をつくるということは考えておりません。
  71. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは次の質問に入りますが、ちょっと伺っておきたいのですが、この間沖繩の栄野川さんの射殺事件があったわけですが、これに関連して、先ほども安井委員のほうに御答弁も一部あったようですが、高松防衛施設庁長官が九月二十日に沖繩で記者会見を行なった。そのときに、国内法よりも在日米軍規則というものが優先するんだ、復帰したら本土並みに在日米軍規則に従うべきである、そのような記者会見における発言があったようですが、このことについて事実であるかどうか、確かめておきたいと思います。
  72. 高松敬治

    ○高松説明員 私、たまたま事件の起きました当日、沖繩に参りまして、そのときの記者会見でその問題を申したことは間違いございませんが、ただこれはいわゆる全軍労のはち巻き闘争の問題につきまして、やはり在日米軍規則に従わなければいけない、こういうことを申したわけでございます。
  73. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、この発言というのは栄野川さんの射殺事件には全然関係ない発言と解釈してよろしいですか。
  74. 高松敬治

    ○高松説明員 全然関係のない発言でございます。
  75. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いわゆる資料等を見てみますと、この長官の発言がどうも栄野川さんに関連してなされたようにしか解釈できないわけですが、そういうつもりで発言をされたということであるならば、これはやはり労働基本権そのものを制限するということにもなりかねないということで、またいろいろここで議論が出てくるものと思いますが、いまの長官の全く関係がない、そういう御答弁を前提として、それでは次に進んでまいりたいと思います。  この栄野川さんの事件について、沖繩の軍の従業員が働いている最中に射殺されたというわけですが、この概要あるいはまた真相等をどのような方法で、どの程度つかんでおられるか、この点について説明をしていただきたいと思います。
  76. 高松敬治

    ○高松説明員 事件内容につきましては、警察、検察庁が取り調べをそれぞれやっておられるところでございまして、私どもそれから現在までの内容というのは詳しく聞いておりません。
  77. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 被害者が何か十ドル盗んだから殺したというようなことも耳にしておりますし、それは事実米兵がそのように言ったということも伝えられておるわけです。先ほどの御答弁で詳しいことばわからないかもしれませんが、この程度のいきさつというか、聞いておられるのじゃないかと思います。そういうことが事実なのかどうか、このことが前提になっておるのかどうか、このことを聞いておきたいと思います。
  78. 根岸重治

    根岸説明員 ただいまのはベンジャミン事件の、殺人事件の動機についてのお尋ねかと思いますが、すでに事件は起訴されておりまして、那覇地方裁判所の審理を待つ段階になっておりますので、証拠関係にもわたりますので、その点の答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  79. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、この殺人事件そのものは九月二十日の午後二時に発生しているわけですが、こういう事実関係が明らかになったのは、事件発生後二十四時間以上たってから米軍の正式見解というものが発表されておる。こういうことが二十四時間もたって実際に正式なものが発表されたということ自体、やはり米軍占領下のときと同じように、沖繩の軍雇用者というものを軽視しているあらわれじゃないかと、非常に私は遺憾に思うわけですが、なぜ二十四時間たってから発表したのか、この点の真相についてどの程度聞いておられますか。
  80. 根岸重治

    根岸説明員 検察庁がタッチいたしましたのは少しおそくなったわけでございますが、私の聞いておりますところでは、事件発生間もなく警察も捜査に着手したというふうに承知しております。
  81. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまおっしゃった理由だけで二十四時間おくれたとは私は全然思っていません。そういうように一つ一つどうも日本政府ほんとう意味沖繩の方々の味方になっているのかどうかというような疑問を痛感せざるを得ないわけです。栄野川さんのようないわゆるハウスボーイであるとかハウスメード、こういうふうにいわれる人たちが基地の中でたいへん多く働いているわけですが、これらの人々の雇用関係あるいは組織、そうしてまた給与体系といったものがどのようになっているか、概略説明していただければと思います。
  82. 高松敬治

    ○高松説明員 米軍に雇用されている人員のうちで、御承知のように大部分は間接雇用という形式で、本土と同じような形態をとって雇用関係を結んでいくという形が五月十五日以降続きました。それまでは米軍の直接雇用であったわけでございます。それに対しましてハウスボーイあるいはハウスメードといわれる人たちにつきましては、間接雇用の中にはもちろん入っていないわけでございます。その数につきましては、私どもとしても正確に把握しておりませんし、それからまた沖繩で全軍労の諸君にお目にかかっていろいろお話ししたときにも、これはなかなかつかみがたい問題であるということで、数はどれくらいあるかということはどうもはっきりいたしません。給与条件その他についても、私どもも全然承知いたしておりません。
  83. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いろいろ事情があっていまのような御答弁も出てくるかと思いますが、もう少しこういった実態については関心を示し、また資料として近きものを握っていかなければならないのじゃないか。非常に調査困難なものもあるでしょう。しかしながらいまの御答弁で済まされてしまう問題ではないのじゃないかと思います。聞くところによると米兵五人に一人ぐらいは大体雇われておる。しかも二万円くらいの非常に安い給料で食べていけないというふうにも聞いております。その中の一人の米兵にでもきらわれると一ぺんに首になってしまう。したがってそれがこわいからというので、何か間違いをすればあやまらざるを得ない、それしかないんだという非常に弱い立場を何とか守っていかなければならない。そういった意味でも、いまのような、適当な数字があるだろうけれどもこっちはつかんでいないというような態度がこういう問題を引き起こす原因にもつながるのじゃないか、こういうように私は思うわけです。日本政府としてはもっと基地従業員本位に考えて、現実的な対策というものをさらに講ずべきではないかと、私はこの問題から痛感をするわけです。  特に殺された栄野川さんはこの仕事を二十年もやっているベテランである。この人がかりにたった十ドルを盗んだというような事情で殺されたのだろうか、私はただ単にその程度理由ではないのじゃないかと思う。先ほど申したような、非常に弱い立場に置かれた一人の労務者が非常に強く抗議をしなければならない理由が何かあったのじゃなかろうか。この点についてどの程度認識をされておるかということをここで聞きたいわけですけれども、先ほどの御答弁でいまのところ何も言えませんということでは全くもって困るわけです。その辺、従来の占領下に置かれた沖繩返還された今日の沖繩との間に何ら本質的な違いが見届けられないような気がしたわけですが、この点について何かそのような感情問題、いままでおとなしくしていた一人の労務者が反抗せざるを得ないような重大な理由があったのじゃないか、こういうふうにも考えるわけです。この点について何か少しでも聞いておられたならばひとつ御答弁願いたいと思います。
  84. 根岸重治

    根岸説明員 先ほど述べましたように、具体的事件の立証にこれから入ります段階でございますので、答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
  85. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 要するにそのような御答弁にならざるを得ないのは、こういった事件をかりに知っておっても、日本当局として逮捕できないからわからないのじゃないかということになってくると思うのです。先ほども安井委員のほうに御答弁があったようですが、それは一体地位協定の何条に該当するか。何条においてこういうことを述べておるか。もう一度だけ確認をしておきたいと思いますが、地位協定の何条なんですか。
  86. 大河原良雄

    ○大河原説明員 御指摘の点は、身柄の引き渡しの問題かと存じますけれども、この点は地位協定第十七条五項(C)に「日本国裁判権を行使すべき合衆国軍隊構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」という規定がございまして、この規定に基づいて米側は、日本側による公訴が提起されるまで身柄をそのまま拘置しておった、そして公訴と同時に身柄日本側に引き渡した、こういう事実関係になっております。
  87. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 国民感情からしてみると、このことのよしあしは別として、殺人が起きたことに対して当然逮捕をして真相を究明しなければならないのじゃないかと思うわけですが、こういったことができないのは、いまおっしゃったこの十七条五項(C)ですか、との協定があらばこそそういうことができない。こういう条項は、先ほど申した国民感情にそぐわないものと考えざるを得ないわけですが、こういった、この問題に限らず、いわゆる国民感情にそぐわないものとして、ほったらかしていいものかどうか。政府としてこういったことに対する見解を、ひとつこの例だけに限らず、どういうふうな見解を持っておられるか、この際に伺っておきたいと思います。
  88. 大河原良雄

    ○大河原説明員 現在の日米安保条約が十二年前にできました際に、旧安保条約に基づく旧行政協定が現在の地位協定に改正されたわけでございまして、当時日本側といたしましては、旧行政協定に見られる日本の実情に必ずしもそぐわない点の改正にあらゆる努力を払ったわけでございまして、当時といたしましては、地位協定は旧行政協定に比べますと、いろいろな意味で大きな改正が行なわれておったということは言えるかと存じます。しかしながら、ただいま御指摘のような国民感情という点になりますと、現在の規定がすぐそのまま国民感情にぴったりというわけにはいかない面もあるかと存じますけれども地位協定日米間の権利義務というバランスででき上がっているものでございますから、それをいかに現状に即して、また国民感情を尊重しつつ運用していくかという問題であろうかと思いますので、私どもはその観点からこの問題に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  89. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この地位協定の十七条五項(C)、この中に「手中」ということばがあります。これはどういう意味なんですか。どういう状態をもって手中ということになるのか、この点をお答えいただきたいと思います。
  90. 大河原良雄

    ○大河原説明員 その前のくだりに、「被疑者の拘禁は、その者の身柄合衆国の手中にあるとき」という表現を地位協定は使っておりますので、現実に被疑者米軍の手で拘禁されている、こういう状態をさしているものと考えます。
  91. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この場合そうしますと、逮捕されて基地内にあるというふうに解釈していいわけですか。
  92. 根岸重治

    根岸説明員 「その者の身柄合衆国の手中にあるとき」といいますのは、私どもは、合衆国軍隊の権限ある機関によりまして、逮捕、拘禁、禁足など当該犯人の自由を拘束する措置がとられておりまして、その結果として、その者の自由が拘束されている状態にあるということをさすものだと解釈しております。
  93. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま伺った点は場所的な問題ですが、これはそれじゃ逮捕されて基地内にある状態と解釈していいわけですね。
  94. 根岸重治

    根岸説明員 そのように考えてけっこうでございます。ただ基地内と申しましても、ベンジャミン事件の場合は、本来の住んでおりました基地とは別のいわば刑務所的なものに現実には拘置されておりました。そういうものも含んでの意味基地内にある場合というふうに解釈してけっこうでございます。
  95. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは伺いますけれども、これは基地の中で起こってそういうふうな状態になったわけですが、犯罪が米軍基地の外で起こったと仮定した場合に、その現場にMPと日本の警察官が同時に向かって同時に着いた、そういうときに、原則として両者のどちらが逮捕するかという問題ですが、この点はどうでしょうか。
  96. 根岸重治

    根岸説明員 米軍側が具体的な逮捕の手続をとるというふうになっていると存じております。
  97. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 現実にはMPになると思いますが、そういう場合に、逮捕するという原則というんですね、そういうのがきまったのは、どこでいっそういうふうなことがきまったのですか。
  98. 大河原良雄

    ○大河原説明員 おそくなりまして失礼いたしましたが、地位協定第十七条に裁判権規定が一項以下ずっとございまして、一般的に申しますと第一次裁判権を米側が行使する場合、第一次裁判権日本側が行使する場合、競合する場合云々という規定がございますが、日米合同委員会で合意されました「犯罪の処理に関する相互協力に関する事項」というのがございまして、この合意によりますと、「合衆国の施設又は区域外で起った犯罪につき、その端緒により、犯人が合衆国軍隊構成員、軍属又はそれらの家族であると認められる場合には、合衆国軍隊法律執行員は直ちに捜査に着手する責任があることを認める。日米両国の裁判権が競合している犯罪については日米の共同捜査が望ましい。」こういうふうに合意されてございます。したがいまして、基地外で犯罪が米国軍隊の構成員または軍属によりまして起きました場合には、いまの合意に従って措置がとられる、こういうことになります。
  99. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 要するにいま私は逮捕のことを聞いたわけで、そうすると、合同委員会においてこういう原則がきまったというふうに解釈していいかと思いますが、犯人を逮捕したことによってその身柄自体が米国の手中にあるのか、それとも日本の警察官が連行して拘禁することができるのか、その辺どうでしょうか。
  100. 根岸重治

    根岸説明員 共同パトロールでしているような場合、基地外で被疑者、犯人の身柄が逮捕されたような場合は、一応日本側でそれを取り調べましてから米国側に身柄をゆだねるということになっております。
  101. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、先ほど手中にある云々ということで、基地内に逮捕した人を拘禁するというような御答弁もありましたけれども、いまのあれでいきますと、基地内であろうが基地外であろうが、米側に拘禁される点については何ら変わらない、こういうことになってきますね。基地外で起きた場合も結局最終的には合衆国当局に連行される。そういうふうになってくると、さっき私が言ったように、非常に弱い立場にある人が殺された。結局は先方に逮捕されてしまったと同じようなことになるわけですね。そうなってくると、先ほどの基地内云々に限るわけではない。外の場合もそのような結果を生んでしまう。拘禁されてしまう。こういう点が国民感情としてもどうも納得がいかないということを私はさっきちょっと言わんとしたわけです。  時間もきてしまいましたので最後に……。  日中国交回復によって日中両国間の戦争状態というのは終結をするとともに、極東の緊張緩和をもたらしたわけですが、同時に世界平和の道が大きく開けた今日、わが国が戦後の保守外交あるいは対米追随外交から新たな自主平和外交、そういう方向に歩まなければならない、こういう状況の中において、今日こうやっていま論議してきた問題のように、あたかも米軍占領下に置かれていると同じような国民感情を無視した、少なくともそのように感ぜざるを得ない地位協定、これはもう当然に改定していかなければならない、このように私は思うわけです。時間もきましたので最後に政府としてそういった地位協定、以前に改定云云という話もありました。現実に栄野川さんの場合にはこういった問題が論じられているわけである。そういう立場からもまだまだ十分なものとは言い切れないわけであります。この地位協定を改定する考えが今後もあるのかどうか。この点の政府の考えを最後に伺っておきたい、このように思います。
  102. 大河原良雄

    ○大河原説明員 日米安保条約の問題に関しましては、一月前にホノルル会談が日米両首脳の間で行なわれましたあとで、田中総理は日米安保条約を堅持していくということを声明しておられます。しかも田中総理は、日中国交正常化は日米安保条約に何ら影響を来たすことなく行なった、こういうことも言っておられます。したがいまして、政府としては日米安保条約を今後とも維持していく、こういう方針でおるわけでございますけれども日米安保条約と一体になっております地位協定につきましても、したがっていまのところ改正するという考えはございません。
  103. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最後に一言だけですが、そういうわけで返還された沖繩とはいうものの、まだまだこういうものをかぶってくるということでもって、政府としてほんとう意味でそれじゃどこまで沖繩県民の味方になっているかどうかということに疑問を残さざるを得ない、こういうことになってくると思います。こういうことはまたあらためていろいろな議論をしていかなければならないと思いますが、きょうは時間がきましたので以上で終えたいと思います。
  104. 正示啓次郎

  105. 東中光雄

    東中委員 国道三百三十一号線について先にお聞きしたいのですが、建設省が五月十五日に一般国道を指定をされたときは、その三百三十一号線の一部が基地に提供されるということを前提にして一般国道の指定をされたのか、それともそういうことは考えないで一般国道としての指定をされたのか、その点建設省にお聞きしたい。
  106. 大島哲男

    ○大島説明員 五月十五日の指定の段階では、五月十三日に閣議決定がありまして、その結果を受けまして五月十五日に日米合同委員会で合意に達しておる事項がございます。それは、所要の安全施設等が完了されれば開放されるという趣旨のものでございまして、それを踏まえて国道に認定したものでございます。
  107. 東中光雄

    東中委員 そうすると、国道の一部を国道のままで基地として提供するという考えを建設省はとっておったわけですね。
  108. 大島哲男

    ○大島説明員 ただいま申しましたように返還と申しますか、一般の公共に開放されるという点を踏まえてやったものでございまして、国道の区域にいたしましたけれども、ただいまの条件が満たされるまでは通行の用には供せられないということでございます。
  109. 東中光雄

    東中委員 去年の十二月二十五日の、これは参議院の沖特でありますが、ここで山中総務長官は、「現在は米軍が、交通取り締まりまで向こうでやっておるわけですけれども、すべてを含めて日本の道路については、一切、米軍のみの意思によるそういう制限とかあるいは禁止とかということは、われわれとしては受け入れないことでありますから、なくなります。」こういう答弁をしています。また、衆議院の沖特で十二月九日に西村国務大臣は、「復帰とともに道路は返るわけでございますが、軍道として二百三十キロが復帰とともに返ってまいります。」こう言っている。愛知外務大臣も、予算委員会で、これは四十六年の二月十三日でありますが、「同時に、現在米軍が使っておりますところでも、沖繩県民の福祉の向上あるいは経済の発展のために欠くべからざる必要性というようなものについては、提供すべき施設、区域からこれをはずしたい、」はっきり言っておるわけであります。これは国会に対する答弁です。道路については提供しない、こういうふうに言っているわけですが、これが国会での答弁で、しかもたまたま口をすべらしたのじゃなくて、三人のそれぞれの関係大臣が言っておること、それが開放されないという考え方というのは一体どういうことなのか。外務省は一体どういう考え方でこの交渉をしているのか。提供するんでしょう。提供しないといっておったのに、今度は開放してくれないというのは全く考え方がさかさまです。その点、どういう考えで交渉しているのかということをお聞きしたい。
  110. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほども御答弁いたしましたように、交通の安全を確保するための具体的な措置がとられた状況において一般に開放される、こういうことになっておりますので、その点を目下関係省が詰めつつ米側と具体的な折衝を行なっておる、こういうわけでございます。
  111. 東中光雄

    東中委員 交通の安全のための措置はどこがとるんですか。道路は提供しないといっておったのに、日本の国道を、日本政府が交通の安全の確保のためにいろいろな処置をとる、これはあたりまえのことです。アメリカからとやかくいわれる性質のものではないわけでしょう。アメリカに対して、交通の安全を確保するような処置をとるということを認めてもらわなければ、認めてもらうまでは施設の提供をしないと言っておって、提供するわけですか。論理が全くさかさまでしょう。
  112. 高松敬治

    ○高松説明員 先ほども申し上げましたが、五月十五日の際の取りきめは、日本政府が必要な措置を完了次第公共用道路として開放するというのが日米政府間の合意でございます。いまアメリカ局長の申しました交通の問題というのは、その道路上の交通の問題と、もう一つは、あの道路はアメリカに提供された施設が両方にございます。その基地間の道路をよぎっての通行についての安全なる措置、こういうことでございます。現在、先ほども申し上げましたように、それでは一体どれくらいの交通量があり、どれくらいの措置が必要であるかという調査を現在現地でやっているところでございます。
  113. 東中光雄

    東中委員 五月十五日の両国政府間の了解ですか、話し合い、合意ですか、それがそもそも全く国会で言っておったことと違うことになっておるということを言っているのですよ。安全な措置をとったら開放してもらう、アメリカが使うことが前提になっているのですよ。そして日本は開放してもらう、こういう考え方の合意書になっている。ところが国会ではそうは言っていない。道路は提供しない。提供するかどうかは日本がきめることなんだから提供しないと言っている。そういうふうに、態度が国会で言っていることと、実際にやっていることと変わっているということを私は指摘しているわけです。だから国会で言ったこと、国民に対して言ったことはちゃんと守るということをわれわれは——あなたに言ってもしようがない。きょうは大臣がいませんから、これは委員長のほうから考えておいてもらわなければいかぬ性質のものだということをはっきりと申し上げて、原則が逆になっていることをあたりまえのようにあなた方担当の人たちが思っておったら、それは実は主権を売り渡すことに結びついていく問題なんだ。沖繩県民のおこっているのもそれなんです。その点をはっきりと指摘しておきたいと思います。  次の問題に入りますが、六月十五日の防衛施設庁の告示第十二号、きのう内閣委員会でも私、取り上げた問題ですが、これに関連して海底ケーブルの問題をお聞きしたいのです。  海底ケーブルを布設している地域について投錨行為の禁止区域を設定しておりますが、この区域は具体的にはどこからどこまでですか。北緯や東経で書いてありますが、具体的にいうとどういうところになるのか、施設庁の告示でありますから明らかにしていただきたい。
  114. 薄田浩

    ○薄田説明員 お答えいたします。  これはキャンプ瑞慶覧の地先水面でございまして、ちょうど桑江でございますか、桑江の南側から西のほうに延びる線でございます。これは告示では第三区域ということで緯度、経度で示しております。
  115. 東中光雄

    東中委員 緯度、経度で示しておる第三区域のアイウエオのオのところですね。北緯二十六度一八分五五秒、東経一二七度四〇分〇六・六秒という位置はどの辺になるのかを聞いているのです。
  116. 薄田浩

    ○薄田説明員 これは緯度、経度の図面に落としたのを現在持っておりますが、大体距岸約五千メートルくらいのとこに最先端が出ておる、こういうふうに考えております。
  117. 東中光雄

    東中委員 この海底ケーブルは何によって、安保条約上あるいは地位協定上どういう根拠によって、布設あるいは国民の一定行為の制限禁止をすることができるのか、その根拠をひとつお聞きしたい。
  118. 大河原良雄

    ○大河原説明員 地位協定の第三条に関する合意議事録第五項に、海底電線の構築ということについて米側の取り得る措置をきめてございます。すなわち米軍は、第二条によりまして、日本側から提供を受けました施設、四域につきまして第三条の管理権を行使いたしますけれども、その第三条に関しまする合意議事録の中に、海底電線の構築をすることができる、こういうふうになっておりますので、これを根拠といたしております。
  119. 東中光雄

    東中委員 先ほど申し上げた防衛施設庁の告示第十二号、それによると、第三条などということは書いてない。安保条約第六条及び地位協定第二条に基づき使用を許されている施設、区域は次の通り決定された、告示はこう書いてあるのですが、防衛施設庁、いま外務省の言っていることと違いますね。
  120. 大河原良雄

    ○大河原説明員 私が先ほど御説明申し上げましたことはまさに違わないのでございまして、日米安保条約第六条に基づく地位協定第二条によりまして提供されました施設、区域を米側が使うわけでございます。
  121. 東中光雄

    東中委員 地位協定第二条ですか、第三条じゃないですか。
  122. 大河原良雄

    ○大河原説明員 日本政府米軍に施設、区域を提供いたしますのは地位協定第二条に基づく行為でございます。第二条に基づきまして提供された施設を米側は第三条に基づいて管理することができるわけでございます。
  123. 東中光雄

    東中委員 じゃ、海底ケーブルの布設は、これは施設、区域、路線権じゃなくて施設、区域ですか。
  124. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど施設庁から御説明ございました区域内におきますものは施設、区域でございます。路線権としてではなくて、第二条に基づきまして提供された施設、区域でございます。
  125. 東中光雄

    東中委員 いまの海底ケーブルを布設しているのは第二条による施設、区域だ、そういう考えですか。一切の管理権を持っているのですか。いままでの国会答弁と違うじゃないですか。
  126. 大河原良雄

    ○大河原説明員 御指摘の海底ケ−ブルの沖繩におきます端末はキャンプ瑞慶覧でございます。キャンプ瑞慶覧は第二条に基づく施設、区域として提供してございまして、そこの端末から出ます海底ケーブルの中で、先ほど施設庁から説明のございました水域につきましては制限水域を設けております。この制限水域につきましては提供施設でございます。
  127. 東中光雄

    東中委員 瑞慶覧が第二条による基地である。キャンプ瑞慶覧がそうであるということはわかり切ったことなんです。その基地への出入り、通行、通信、そういうことで合意議事録の三条五項で路線権として提供されているのではないのですか。そんな答弁をするんだったら、いままでの答弁をはっきりさせなければいかぬです。
  128. 大河原良雄

    ○大河原説明員 水域内に制限水域を設けてございますけれども、この制限水域は施設、区域でございますが、米側はその中に、制限水域内に第三条に基づく海底電線の構築という工事を行なっているわけでございます。
  129. 東中光雄

    東中委員 あなた何を言うのですか。私はケーブルのことを聞いているのですよ。キャンプ瑞慶覧のことを聞いているのじゃないのですよ、キャンプ瑞慶覧のことは二条だというのはわかり切っているんだから。そんなことを何も聞いていやせぬじゃないですか。
  130. 大河原良雄

    ○大河原説明員 私が申し上げておりますのは、キャンプ瑞慶覧の沖合に制限水域を設けてございます、この制限水域は施設、区域である。ただしその中に米側は第三条に基づいて海底電線の構築を行なっておる、こういうことを申しておるわけでございます。
  131. 東中光雄

    東中委員 制限水域は施設、区域、二条による施設、区域なら、アメリカが管理権を持っておる。そこへは入れない。入ったら刑特法の適用がある。こういう論理になりますよ。そうですか。
  132. 大河原良雄

    ○大河原説明員 施設、区域内におきましてはもちろん刑特法の適用はございます。
  133. 東中光雄

    東中委員 あなたは先ほどの答弁で、海底ケーブルを布設する根拠は、安保条約日米合意議事録の第三条の五項に基づいてやった、こう答弁されましたが、それはいまも維持されるわけですね。どうですか。
  134. 大河原良雄

    ○大河原説明員 地位協定第三条に関します合意議事録の第五項に、米側は施設、区域管理の一態様といたしまして海底電線の構築をすることができる、こういうことがございますので、米側としましてはこれに基づいて海底電線の構築を行なっている、こういう形をとっております。
  135. 東中光雄

    東中委員 だから、あなたの言っているのは合意議事録の第三条の五項なんですよ。合意議事録の第三条というのは、地位協定第三条一項に基づいてやることなんです。地位協定の二条じゃないですよ、海底電線というのは。それで制限水域にしているのでしょう。二条はキャンプ瑞慶覧のことですよ。この告示は明らかに間違っているじゃないですか。あなた、いま言っていること自体からいっても、設置しているそれを破損しないように制限水域を設けている。地位協定の三条一項じゃないですか。
  136. 薄田浩

    ○薄田説明員 これは先ほど外務省のアメリカ局長がお答えのように、私のほうといたしましては二条に基づく施設、区域、それでここの場合は制限海域、その禁止行為等を、その後の規定で投錨等損壊するような行為をやらないように、こういうふうな制限水面として提供している、こういうふうに解釈しております。
  137. 東中光雄

    東中委員 時間がありませんから、これは詰められませんけれども、あなた方は、言い出した見解、間違っておったら間違っておったと、直しなさいよ。二条による施設、区域なら、当然アメリカが管理権を持っているんだから刑事特別法の適用がある。しかし制限水域というのは二条からは出てこない。だからわざわざ三条をつくっているのじゃないですか。三条に基づいて合意書がつくられている。合意書の三条の五項で、これが、あなた先ほど読んだように電話線ができる、こういう答弁なんでしょう。だから、あくまでも三条がなかったらこんなことはできないですよ。基地の外に向かってできない。制限水域というものはできやせぬ。基地の中だから刑特法が適用になる。制限水域では刑特法は適用しないでしょう。するのだったら、その上を通る船はみな基地への不法侵入になるでしょう。制限水域ということはそういうことじゃなくて、投錨等に対する禁止、そういう意味での制限でしょう。明らかに二条じゃないじゃないですか。そして、さらにこれが台湾までいっているところに二重の問題があるわけで、こういう入り口でとんでもない答弁をされているようでは、次に進むことができなくなって、時間がなくなってしまいましたけれども、海底電話線が台湾の基隆までいっている。中華人民共和国の不可分の領土、そこまでいっておるということの違法性、そのもっと前の段階で、あなた方はこの告示自体を見ても、まさに安保条約六条及び地位協定二条に基づいている、こういうことを書いている。二条でこういう告示はできない。施設庁、これは再検討しなさいよ。きのうの制限海域だってそうでしょう。公海上あるいは公空上の広範な地域安保条約あるいは地位協定に基づいて合意しているといって告示している。同じことをここでもやっているのですよ。検討される意思はありませんか。
  138. 薄田浩

    ○薄田説明員 先生の御指摘でございますが、われわれ施設庁といたしましては、この告示はいわゆる領海内に入っておるものというふうに考えておりまして、先生の昨日の御質問の趣旨とはいささか違うのじゃないかと思っております。この末端がどこへいっておるかということは私のほうの所管ではございませんが、この告示の範囲内においては一応妥当なものではないか、こういうふうに考えております。
  139. 東中光雄

    東中委員 何を言っているんだよ。その根拠が三条か二条かということについて、施設庁あるいは外務省がそんなでたらめなことを言うとは思っていなかったから、きょうは法制局を呼んでいなかったけれども、明らかにおかしいじゃないですか。二条からどうして制限水域というものをつくることができるのですか。二条のどこにそういうことが書いてあるのですか。二条に関連する合意議事録なんてないでしょう。二条からどうしてそれが出てくるか、それでは説明しなさいよ。
  140. 大河原良雄

    ○大河原説明員 地位協定第二条は施設、区域の提供に関する規定でございますし、第三条は提供を受けました施設の管理に関する米側の管理のしかたを規定している規定でございますが、その第三条に関しまする合意議事録の第五項に海底電線を含めた有線、無線の通信施設ということをうたってあるわけでございますが、先生御指摘の点につきましては、私先ほど来御説明したつもりでございますけれども、あるいはことばが足らない点があるかと思いまして、もう一回法律論を十分検討してみたいと思います。
  141. 東中光雄

    東中委員 海底ケーブルを路線権ということであなた方がやった、しかもそれは公海上まで布設することにつながっておるという点で、そして他国までつながっておるという点で問題があるわけで、地位協定そのものは在日米軍についてのみしか規定をしていないのだから、その基地間の関係のことを規定してあるのであって、他国の軍事基地との関係なんというのが地位協定規定がないということは、これは明白なことなんですよ。だから問題は、第三条の解釈をめぐってそういうことで問題になっておったので、それを第二条に基づくものだというふうな白々しいことをいま言われるから、ぼくは、それはおかしい、少なくともその点については検討しなさい。そのあとの論議は、きょうはもう時間がないから、これはまた詰めます。
  142. 大河原良雄

    ○大河原説明員 沖繩からの海底ケーブルが台湾につながっていることは、御指摘のとおりでございます。  そこで、先生が御指摘になっておりますのは、公海上のケ−ブルの問題がある、こういうことかと思いますけれども、この点につきましては、一九五八年の公海に関する条約が適用される、こういうふうに私ども理解いたしております。
  143. 東中光雄

    東中委員 時間がないからやめます。三条の路線権が問題になるのは、あなたは合意議事録三条五項だということを言われているのだから、地位協定三条でいっている施設、区域間の、あるいは施設、区域に対する出入りという場合は、それは全部安保条約の当然のこととして、日本の領土、領空、領海についていっているのであって、台湾から日本へ、日本から台湾へという、そういう関係の通信施設、通行、出入り、そういうことをいっているのではないのだということをぼくははっきりさせておきたい。その点については、約束の時間が過ぎているのできょうはやめますけれども、そういう点についての検討をやっておいてもらいたい。今度ははっきりその点について決着をつけますから……。質問を終わります。
  144. 正示啓次郎

  145. 安里積千代

    ○安里委員 私は、復帰後、特に最近沖繩で行なわれておりまする実戦さながらの演習を主体としまする沖繩基地の実態、これに関連をいたしまして、外務当局、防衛当局に第一点質問したいと思います。  二番目には、先ほどから問題のありました基地内におけるところの射殺事件、関連いたしまして基地内における轢殺事件の無罪事件、これに対して外務当局、法務当局にお聞きしたい。  三番目には、やはり問題になりました三百三十一号線の問題について、これは主として施設庁及び外務当局にお聞きしたいと思います。この三点にしぼりましてお聞きしたいと思います。  八月の末から九月にずっとかけまして、沖繩の中、北部におきましては、米軍の実戦さながらの演習が、これまでにない激しさをもって行なわれております。そのことにつきましては防衛当局はよく御了知だと思いますが、内容につきましても御了知でありましょうか。
  146. 高松敬治

    ○高松説明員 復帰前の米軍の演習の状況につきましては、私どもにもわかっておりません。したがいまして、復帰後とどういうふうに比較できるかというのは問題でございますが、復帰後におきましては、米軍から通報を受けております。陸上訓練場の実弾射撃及び水域の使用状況というものは大体承知いたしております。
  147. 安里積千代

    ○安里委員 アメリカがこういうような演習をするというような場合には、施設庁を通じて関係市町村のほうに通知と申しますか、通告をする、こういうふうになっておるかと思いますが、そのとおりですか。
  148. 高松敬治

    ○高松説明員 陸上については通報はございません。海上につきましては、漁業の操業制限その他の問題がございますので、これは通報がございます。
  149. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますと、関係の市町村にどこからも知らせもせずに、アメリカは自由に、提供された演習場あるいは基地においてこういう実弾の射撃その他の演習もしている、こうおっしゃられるわけですか。施設庁は何もそれに対して関与しないとおっしゃるわけですか。誤りじゃないですか。
  150. 高松敬治

    ○高松説明員 ただいま申し上げましたように、海上につきましては通報はございます。陸上については通報はございません。
  151. 安里積千代

    ○安里委員 それではお聞きいたしますが、今度の演習の場合においては、関係市町村は施設庁からの通知によってこの演習があるということを知っておる、これが事実ですが、ほんとうに施設庁は何もタッチしてないわけですか。
  152. 高松敬治

    ○高松説明員 陸上におきましても、米軍から通報のあるものもございます。それにつきましては、関係の市町村にそれぞれ通知をするという形でございます。ただ、それが米軍のほうで必ず通報するかというと、海上のほうは必ず通報してまいりますけれども、陸上のほうはいわば便宜的と申しますか、好意的と申しますか、そういう形の通報になっております。
  153. 安里積千代

    ○安里委員 私、お聞きしておるのは、八月末から九月にかけて金武村、宜野座の線において現実にやられましたところのその演習につきましては、施設庁としては、それではアメリカから通報がありましたか。
  154. 薄田浩

    ○薄田説明員 演習の実態を御説明する前に、ちょっと長官の御説明に補足させていただきますと、先ほど長官申されたとおり、陸上については当然には参りません。ただ、二4(b)ということで提供しておる場合には来ることがございますが、現実には使われておらないというふうに承知しております。  それで、御質問の各演習場の状態でございますけれども、われわれ復帰後の局のほうで米軍といろいろ折衝いたしまして把握いたしておりますところを申し上げますと、キャンプ・シュワブで五、六、七、八、九の四カ月半で百二十三べんでございます。キャンプ・ハンセンで同じく百十一回、キャンプ・ハーディで四十回、ボロー・ポイントで九十回、キャンプ端慶覧で六十五回、それから伊江島の飛行場、これは空対地射爆です。これは大体毎日。鳥島も月曜から土曜の間ほとんど毎日。赤尾嶼射爆場につきましては九月にニへん、こういうことでございます。  水域につきましては、先ほど長官の御説明のとおり、大体通報が参っておりまして、ホテル・ホテル区域では連日でございます。マイク・マイクも同じでございます。大体そういう資料は得ておりますが、陸上につきましては、関係の市町村に御迷惑をかけないという意味で、局のほうから御連絡はしておるというふうには報告を受けております。
  155. 安里積千代

    ○安里委員 私がお聞きしておりますのは、そういう一般的なことをお聞きする前に、八月の末から九月の初めに金武村、宜野座、これは普通にないところの陸上の上陸作戦、あるいは曲射砲を使い、あるいはまたゲリラ戦に備えるような、しかもアメリカの実弾によって長時間にわたって山が焼けるという、たいへんな大きな演習が行なわれたのです。そのことについてはアメリカから通報があり、そしてまた施設庁がその面を関係の市町村にはお知らせしましたかということをお聞きしておるのであります。
  156. 薄田浩

    ○薄田説明員 いわゆる上陸訓練、積み込み積みおろし訓練等の使用場をキャンプ・シュワブからハーディ、ブルー・ビーチ等で行なわれておるという通報というか、連絡は受けておりまして、関係市町村にこれを具体的に連絡したかどうか、私つまびらかではございませんが、普通、五月から以降のは局のほうで連絡しておるというふうに報告を受けておりますので、連絡したもの、こういうふうに考えております。  それから演習の内容については、一々われわれのほうは把握しておりませんで、どういう種類の演習が行なわれて、先生御指摘のような、ゲリラのどうとか、それから山岳訓練、こういうふうなものは把握いたしておりません。
  157. 安里積千代

    ○安里委員 それでは、今度の演習に関連をいたしまして、アメリカ海兵隊の最新鋭の高速LSTなども、この上陸作戦あるいはまた兵員の輸送などについて金武村の浜田ビーチに来ておった、そしてまた兵員を積んで出て行ったというようなことも、何も公式にも非公式にも存じ上げておられませんか。
  158. 薄田浩

    ○薄田説明員 いわゆる新型の上陸用舟艇というふうなことは存じておりません。ただし、上陸訓練が行なわれ、積み込み積みおろし訓練が八月にわりあい多く行なわれておるということは、通報を受けております。
  159. 安里積千代

    ○安里委員 このことは、沖繩現地の新聞におきましては非常に大きく写真入りで数日にわたって報道されましたし、そしてまた、実際上訓練がどういうものをやっておるかということも明らかであります。おそらくゲリラ戦などに対しまする掃討訓練であったかとも思いまするけれども、仮想敵兵になった兵隊が民間のバスに乗り込んで逃げるといったようなところまでいっておりまするし、あるいはまた、例の相模原において道路を通行することを阻止されましたところの戦車と同型のH03戦車、六十トンもあるというようなのが数台も参加をして、本土ではないでありましょうが、堂々と国道をわがもの顔に演習に参加しておる、そういう事態。山が焼け、これはたいへんなことになっておる。こういうようなことも大きく報道されておる事件であり、これによって付近の住民たちが非常な不安を覚えておる。復帰前よりもひどいじゃないか、こういう強い反抗と申しますか、気持ちもあり、ひいては、それは皆さん方が沖繩に強硬に配備しようとするところの自衛隊のあり方に対しまする問題にも関連してくるのですが、そういう演習が、実弾演習も行なわれておる。そういう実態というものはアメリカから何の通告もなく、アメリカ自体がやっておることで、防衛当局といたしましては、そのやり方の内容につきましても調査もしなければ、あるいはまたそういう報道をされておりましても自分たちは何の関係もない、また自分たちにかかわらないことだ、こういうふうに考えて見ておるわけですか、どうでしょうか。それとも、通告はないけれども、やっておる実態については専門的な立場から、どのような演習をやっておるのだ、この演習のあとどうしたのだというようなことに対しまする認識と申しますか、知識と申しますか、そういうものを持っておられましょうか。
  160. 薄田浩

    ○薄田説明員 これは個々の演習場のいろんな使用条件等を今後いろいろ検討していくことになろうかと思いますが、先生の御指摘のような点も考えながら、現地的な協定を結んでいくという手順に相なろうかと思いますが、先ほど先生御指摘のようなことは当然新聞にも載っておりまして、われわれのほうにも送ってまいっております。局のほうといたしましては、特に山火事等の問題につきましては当然中間補償の問題がございますので、調査はいたしております。  それから民間のバスを使ったとか、国道のほうは、これは想像でちょっと申しわけございませんが、そこまで配慮したかどうか、私ちょっと疑問でございますので、そういう指導はいたしたいと思っております。
  161. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど申しました米海兵隊の最新鋭の高速LST、これはカユが号といっておるようでありますが、このLSTは五月には勝連のピーチから、その船だけじゃなくして兵員を積んで復帰前ベトナムに兵員を送り、そうした作戦行動に従事したところのLSTだというふうに報じられておりまするし、また沖繩においてはそのように理解されております。今回の場合にも、あの演習後このLSTによりましてマリーン部隊が積み込まれて出ていったということも新聞に報じられております。そういったことにつきましては御存じでありましょうか。
  162. 薄田浩

    ○薄田説明員 過般、私も長官のお伴をして沖繩に参りましたときに、そういう話及び新聞記事は拝見いたしました。しかし、それがはたして書かれたとおりに直ちにベトナムに送られたかどうかということは私のほうで調べる立場にもございませんので、調べておりません。
  163. 安里積千代

    ○安里委員 もしあの演習のあとあの地区からこのLSTによってベトナムに向かったということでありますならば、理屈上、当然事前協議事項の対象になるでありましょうな。
  164. 大河原良雄

    ○大河原説明員 在日米軍が作戦行動の発進のために在日基地を使用いたします場合には事前協議の対象になります。
  165. 安里積千代

    ○安里委員 新聞が明らかにしたところによりますと、沖繩の普天間の海兵隊航空基地の所属のヘリ部隊が北爆作戦に参加をした。これはB52など米戦略空軍による北爆作戦である。このことは極秘事項として米将官が漏らしたということが新聞記事にございます。これは報道を見ますと、「「北ベトナムのダムかんがい施設を破壊したB52など米戦略空軍による北爆作戦に普天間海兵隊航空基地の所属ヘリ部隊参加、戦闘活動を行なっていた。この作戦で破損したヘリは、すでに同基地に空輸され、修理、整備されている」ことを明らかにした」。これは在沖の米軍将官クラスの人が会合において漏らしたのだということが報道されております。この事実につきまして真相をただされたことはあるか。これは外務当局に関係あろうかと思いますが、防衛当局でもけっこうです。
  166. 大河原良雄

    ○大河原説明員 普天間にあります海兵隊のヘリ部隊が直接北爆に参加したという話は聞いたことはございません。
  167. 安里積千代

    ○安里委員 聞いたことはないとおっしゃるのですけれども、新聞にそのようなことが報道されておる事実も御存じございませんか。
  168. 大河原良雄

    ○大河原説明員 私、聞いておりません。
  169. 安里積千代

    ○安里委員 政府当局はどなたもそういうような——少なくとも真実かどうかは別問題として、そのようなことが堂々と新聞に報道されておる重大な問題だと思います。沖繩基地から在日のヘリ部隊というものが北爆に参加したということを、アメリカの将校が、私的であれ公的であれ漏らした。そのことが堂々と報道されたということは非常に重大な問題だと思う。そういうことについて政府当局は見たこともないし聞いたこともない、こういうわけですか。それはあまりに沖繩基地の実態について、私は不勉強というか、無関心というか、ちょっともの足りないと思いますが、どなたもその記事を読んだこともなければ、関心を持ったこともございませんか。
  170. 薄田浩

    ○薄田説明員 先ほども申し上げましたように、これは政府といいますか、施設庁としてお答えさせていただきたいと思いますが、施設庁といたしましてそういう部隊の運用面まで実は残念ながら——過般の国会でもいろいろ御説明いたしましたが、施設庁の立場ではいかんとも把握でき得ないということでございまして、私は申しわけございませんが、その新聞記事を拝見いたしておりません。
  171. 安里積千代

    ○安里委員 時間もありませんし、一々聞いても知らぬことは知らぬでしょうがありませんけれども、それではもう一つお聞きいたしたいと思います。  これもやはり堂々と今月の最近の新聞に報道されたものであります。これは先月の末と申しますと九月の二十八日から三十日の夜までの三日間、F111、どういうものかよくわかりませんが、これが嘉手納にもいたのだ、そしてこれは北爆に参加した可能性がある。しかもそのことはアメリカの「ホビット・プレスサービス」が報道した。その報道が沖繩に報道され、新聞にも大きく載っております。  このF111についてはこういう説明があります。これは「世界最初の可変後退翼機で、米空軍の最新鋭戦闘爆撃、戦略爆撃機。最近まで再三墜落するなど欠かんが多く、生産中止になるなど問題の多い機種、だが、マッハ2の高速で二〇ミリ・バルカン砲を持ち、爆弾二・八キロを積載でき、ファントムにまさる性能を持つ」。こういうふうに説明されております。こういう飛行機が嘉手納におったのだ。これはアメリカのそういった報道からあらわれてきましたところの、沖繩で報道されました新聞の報道でございます。このことについても防衛当局もそれから外務当局も御存じないでしょうか。
  172. 薄田浩

    ○薄田説明員 たびたび同じ答弁で申しわけございませんが、施設庁といたしましてはそういう実態を把握でき得ない立場にありまして、防衛本庁のほうではいろいろ防衛局等がございますので、あるいは把握しておるかもしれませんが、施設庁のほうでは把握しておりません。ただし、その記事は、沖繩から毎週いろいろな情報といいますか記事は送ってまいりますので、見た記憶はちょっとございますけれども、実態把握はいたしておりません。
  173. 安里積千代

    ○安里委員 見た記憶もあるじゃ、ほんとうはぼくは情けないと思いますよ。これは沖繩だけでなくして、日本にとって非常に重大な問題だと思うのです。こういう、現実にベトナムにあるいはインドシナ戦争に参加しておるところの機種、あるいはまた当然そういった任務を持って使われておるものが、嘉手納基地にあるいはまた普天間から、あるいはまたやはりベトナム戦に従っておるところの新鋭のLSTが、宜野座その他におけるところの演習と関連して、精鋭部隊をあそこから出していく。常識的に考えてみまして当然作戦行動に関係あるものだ、このために沖繩が使われておるんだということは、これはもう常識的にも考えられますし、このようなことがあったということ自体をお聞きになりますならば、それ自体私は問題にならなければならぬと思います。外務当局は、このことについて何も御存じないでしょうか。またそのことについて、真否についてこれをただしたことはございませんか。
  174. 大河原良雄

    ○大河原説明員 F111という米空軍が持っております新鋭機については承知いたしておりますけれどもF111が沖繩基地を使って云々ということについては承知いたしておりません。
  175. 安里積千代

    ○安里委員 承知しないということをお答えする以外にはないと思います。少なくとも知っておるならばほってはおけない問題だと思います。  私は、時間もありませんからこれ以上申し上げませんけれども、申し上げたいことは沖繩基地というものが、ことに復帰後におきまして、本土では想像もできないような、現実にアメリカが戦争に使っておる、わからぬかもしらぬけれども、作戦行動がなされている。いまおっしゃいましたようにLST、はたして戦地以外の作戦行動でそこから出発したかどうかこれはわかりません。わからぬ間において出ていく。わかれば事前協議事項でありますけれども、だれもわからない。こういうことが沖繩基地として利用されますならば、安保条約、その関連取りきめを、沖繩に何ら変更なく適用されるんだ、それが本土並みだ、だから従前と違った制約を受けるんだといったことが、まるきりこれはから手形にしかなりません。現実にはそのように事前協議事項というのは空洞化されて、皆さんも知らぬ、外務当局も知らない、そしてアメリカの一方的合意によってどういう作戦行動を起こされてもわからない、わからなければ事前協議の対象云々ということで取り上げることもできない、これではまるで沖繩返還というものが前以上に私は問題だと思います。前以上に問題だと思いますることは、これまででしたら日本政府関係なく、アメリカがかってにやっておったことですから対外的に責任はなかったでございましょう。しかし、復帰いたしまして、日本の責任においてアメリカ基地を提供したんです。その提供した地域から、今度は日本政府が知らない間に作戦行動が行なわれるということになりますならば、あるいはまた事前協議の対象になるべきものであろうとなかろうと、対外的に見た場合には日本自体がアメリカの戦闘行為に完全に協力しておる。復帰しない場合は日本に責任はなかったかもしれません。復帰した段階において日本基地を提供し、日本がこういう演習も、あるいは給油もあるいは出動も全部協力している形になりますので、日本自体の大きな責任になってきておると思います。この点、私は現実の沖繩の実態、またこういう事実を報じられている問題については、もっと真剣になって防衛当局も外務当局も、うそならうそとしてはっきりさせていただくようにやるべきだと思う。いま、何も知らない、こういうことでは無責任なことになるのじゃないかと思います。この点を私は強く申し上げまして、少なくとも新聞に報ぜられた以上は、それがうそだったらうそ、間違ったなら間違っておる、こういった点をわれわれは国民、特に沖繩県民の前には明らかにしてもらいたいと思います。これは要望しておきます。  次に、簡単に触れておきます。  先ほど射殺事件につきます問題がございました。この事件につきましては先ほどからも触れておりましたので、私は詳しくは触れませんけれども、少なくとも現地の警察当局並びに検察当局は、可能な範囲内において最善を尽くしたと私は見ております。そこには手落ちはなかったと思います。しかし問題は協定という、あの十七条の五項の(c)ですか、この制約を受けることによって、捜査当局が非常な制約を受けたということは、これは争えない事実であります。また、この協定をたてにアメリカが引き渡しを拒んだということも、国民感情の上からもまた常識の上からも納得いかない問題であります。そこで一つだけ私はお聞きしたいと思うのです。  先ほどもちょっとお話があったのでありますが、これは行政協定から生まれてきたそのまま引き継がれたものだと私も承知をいたしております。問題は、なぜこういう協定がなされたかということであります。これはどちらの立場を主体にして、日本立場を主体にして考えてこの協定ができたのか、アメリカ側の立場を考えてこの協定がこのようになされたのであるかどうか、この点外務当局からお聞きしたいと思います。
  176. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほども御答弁申し上げましたように、旧行政協定と現在の地位協定とは大きな改正の点において異なっておりますが、十七条の裁判権の問題につきましては、行政協定時代に比べると非常に大きな改正が見られたということははっきり申し上げられると思います。その場合に、いま御指摘の点は、米軍本位になされているのではないか、こういう点かと思いますけれども、十七条の規定は、軍人の保護という点と、また受け入れ国における裁判権の行使、逮捕権の行使、こういう問題とのバランスの上ででき上がっているものでございまして、NATOの規定もまさに十七条の規定と全く同じ規定になっておるということを申し上げたいと思います。  それからもう一つ、先ほど御指摘の点につきまして、事実関係をよく調べ、沖繩の県民感情にこたえろ、こういう御指摘でございますけれども、私どももやはり基地の使用につきましては、これの円滑、効果的な運用ということが最も大事であると思いますので、基地周辺の人々に迷惑をかけるということは最も望ましくはない点でございますけれども、ただ、戦闘作戦行動のために基地を使用しますということは事前協議の対象になっているということはあまりにも明白な点でございまして、これが無視されて米側が日本基地を戦闘作戦行動のために直接使用しているということはないというふうに考えております。
  177. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど協定の問題につきまして、いま協定を変える意向はないという御答弁でございました。しかし、いきさつからいたしまして再検討しなければならぬ問題だと思いますが、あの協定が改正にならなくても、あの趣旨というものの解釈のしようによりましては、運用によってトラブルをなくすることが、こういう引き渡す引き渡さぬといったような、起訴があって初めて引き渡すのだというようなことも、あの協定を生かすことによっても可能であるのだ、私はこういうように思うのですけれども、運用の面においてあれを生かすと申しますか、裁判権を持つ日本の側においてあれを生かす道があるのじゃないか、このように思いますが、どうでしょうか。
  178. 大河原良雄

    ○大河原説明員 十七条五項(C)の規定につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、その規定の範囲内でアメリカ日本側に極力協力したいということで、米側といたしましては身柄を拘禁しつつも捜査、取り調べには最大限の協力ということで対処してきたというふうに私ども理解いたしております。したがいまして御指摘の、この弾力的な運営と申しますか、現実的な運用という面につきましては、今回の場合できる限りの配慮が払われたというふうに言ってよろしいかと思います。
  179. 安里積千代

    ○安里委員 私が運用の面と申し上げたのは、善意に解して、あのアメリカが拘禁する、手中にある問は、起訴まではアメリカがとめ置く、起訴によって引き渡す、こういうところのことは、考えようによりましては、善意といってはおかしゅうございますが、裁判権を持っておる日本のためにも考えられて、運用できると思うのです。と申しますのは、捜査に協力するという点は原則的にはっきりされておるのです。ですから、アメリカ基地内に被疑者が逃げ込む、あるいはアメリカがもしこれを意識的にも逃がす、こういうことになりますと、捜査しようにも捜査のしようがない、起訴しようにも起訴しようがない。そういう意味において、日本裁判権協力する意味においてとめ置くんだ、逃げないように、ということも一応考えられるんです。そういう趣旨に考えますならば、日本自体といたしまして日本に引き渡せということを要求すれば、起訴前であっても、捜査に協力するという原則から引き渡せるんじゃないか。考えようによりましては、ああいう規定によってアメリカが引き渡しを拒むのは、日本の刑事訴訟法、日本の裁判、日本の警察当局に対して信頼感を持っていないといったふうな、逆にもとれます。そういうことじゃなくして、ほんとうに信頼をして、お互い独立国の司法権を信頼するならば、日本の捜査権、日本の人権、日本の刑事訴訟法を尊重するならば、捜査に必要なところの身柄引き渡しは、あの協定があろうとなかろうと引き渡してしかるべきものである。それを拒むところに不愉快な問題というものがそこに行なわれてくるんだということを申し上げ、そういう点についてはアメリカとの間によく理解をつけるような道をつけて、今後の運用に誤りなきを期されたいと私は願いたいわけであります。  三百三十一号の問題につきましては先ほど質問ございましたが、一点だけお聞きしたいと思います。  何のためにあれは一般のあれを通さないということでございますか。三百三十一号です。一般の国民は通さない。アメリカは通行しているはずですが、アメリカの交通の安全のためですか。一点だけをお聞きしておきたいと思います。
  180. 高松敬治

    ○高松説明員 私の承知しておりますところでは、もともと施設の一部を構成している道路である。そういうことで、五月十五日のときにああいう条件のもとにその返還が合意された、こういう形になっておると思います。何のためにということは、おそらくは、あの道路をはさんでの両方の施設の間の通行を安全にする、確保する、こういうことが目的であろうかと思います。
  181. 安里積千代

    ○安里委員 基地の中を通っておる道路です。道路は人の通るところです。私がお聞きしたいのは、その両方に基地があるから、基地の安全のためにそこは一般人を通行させない、こういう目的で通行させないのか、それともあそこはアメリカの人々が通るから、沖繩の人が通った場合においては交通の妨げあるいは事故も起こる、こういう交通の安全を守るためだけですか。それとも基地の安全を守るため、どっちかだと思いますが、どうですか。これは何か目的がなければ、国道三百三十一号として国の道路、われわれが通る道路を、アメリカのためにわれわれを通さない。逆に六十トン級の戦車でも何でも国道は自由に通す。割り切れないものがあるわけです。基地保全のためですか。
  182. 高松敬治

    ○高松説明員 ちょっと推測の域を出ませんのでまことに恐縮ですが、私は前者のほうの意味が強いように思います。したがってそういう点ではあすこを通さないというのは少しおかしいと思いますし、それにかわるべき適当な施設をして、早くあれを通すべきだというのが私ども考え方でございます。
  183. 安里積千代

    ○安里委員 前者と申しますと、基地の安全のためというのが主体だ、こうお思いなさるというのですね。そうしますと、アメリカが条件を出して歩道をつくる、横断歩道をつくる、そうすれば開放するということと矛盾するのですよ。基地の安全のためには歩道をつくろうが何をつくろうが同じことなんです。問題は交通の云々ということが腹のうちの主体なんです。そのしわ寄せというものは全部沖繩県民にきておるということも知ってもらわなければならぬし、アメリカが国道を堂々と通る。そしてアメリカの車でこそ多くの事故を起こしておる。そしてアメリカの車によって事故を起こせば無罪にする。こういう扱いを受けながら、今度はアメリカ基地の中におけるところは、アメリカの交通のために、通行のために、安全のためには日本国民は通さない。こういうむちゃなことが日本の国道の中に、日本国民の中で行なわれるということは非常な侮辱感を感ずるのです。そしてまた、横断歩道をつくるといったってこれはたいへんな金ですよ。こんな金を使ってまでわれわれは開放してもらいたいとは思っておりません。こんなばく大な不必要ないろいろな施設をして、そうしたら開放する。人をなめた話であると思います。  どうか外務当局も施設当局ももっとわれわれの立場国民立場になって、アメリカのこういうむちゃなものに対しては、復帰した沖繩に対するおみやげ——おみやげといってはおかしゅうございますけれども、あれはこういった大きな力が国として出てくることによってわれわれは尊敬もできるのです。復帰前と同じように、アメリカの言いなりに権力に左右されておったならば、私は日本の国の権威はどこにあるかと思うような気持ちがいたします。  よけいなことまでつけ加えたようでございまするけれども基本的には沖繩復帰後における基地の問題であれ、作戦行動の問題であれ、いまの通行の問題であれ、裁判の問題であれ、基本的に流れるものは日本の対米外交なり姿勢というものが非常に弱い。もっとひとつしっかりした気持ちでもってやってもらいたい。これを要望いたしまして終わります。
  184. 正示啓次郎

    ○正示委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会      ————◇—————