○安里
委員 沖繩の
復帰後におきまする
振興開発、この問題はもちろん
沖繩だけの
責任においてできるものではなくして、むしろ二十何年間の穴を埋めまするためには、本土
政府の積極的な施策が必要でございまするし、そのために
開発庁も設置されたものだ、こういうふうに理解をいたします。したがいまして、これは
現地沖繩とさらに
政府の緊密なる
ところのタイアップ、それは
沖繩県だけの
意欲だけでもいかないし、
政府の
意欲だけでもいかない。これは二つががっちり組んでやらなければならぬ
ところの大きな課題だと思います。したがいまして、その間にいろいろ感情的に、あるいはまた理解のいかない
ところのみぞができてしまうということになりますと、
開発庁の
仕事あるいは
沖繩振興開発、
復帰後の
沖繩の処理につきましては非常に災いをなすものではないか。ですから、
責任ある
ところの
長官のことばでございますから、そういう中からいささかでも誤解を生ずるということは、これからの
仕事をやる上において非常にまずいのではないか、その点ははっきりさせておく必要があるから実は私は申し上げたのです。
なお言いますならば、私はあの御
発言を承りましたときに、
アメリカの統治にある場合において、
アメリカ自身が
沖繩に対してどう臨んだかということを痛切に思い起こしたのです。三つの点を思い起こしたのです。これは、もちろん歴史の過程の中からももう抹殺されている問題ではございますけれ
ども、また表にあらわれなかった問題ではございますけれ
ども、一九五二年に
アメリカにおいて、当時
沖繩のいわゆる
アメリカの民
政府につとめておった優秀な方でございましたが、
アメリカの琉球統治に対しまするやり方に対する批判的なもの、非常にまじめなすぐれた方でございましたが、結局
現地アメリカ当局の意に沿わないで職を追いやられたと申しますか、
アメリカに帰された方でございますが、その方が私にこういうことを言ったのです。
現地沖繩における
ところの
アメリカ民
政府の職員たちは、
沖繩の人々が自治能力が十分あるということを絶対本国に報告しませんよ、それは能力があるということを報告するならば彼ら自身の職を失う、だから
沖繩においては、自分たちがおらなければどうにもできないんだ、こういう
ところの状態というものをいつでも報告する、それが
アメリカ本国の
沖繩に対する十分なる理解をしない原因であり、そういうゆがめられた
ところの報告しかしないんだ、こういうことが
一つでございます。
もう
一つには、よく知られておりまするキャラウェー高等弁務官時代に、
アメリカのもちろん任命主席のもとにおきまする
沖繩の統治をしておったときでございますけれ
ども、琉球
政府は無能力だ、自治は神話である、
責任ある
ところの高等弁務官がそのようなことを公表された。そして、無能力であり自治は神話であるという、そのことが具体的に、立法院でつくったいろいろな
法律に対する拒否権を使い、そしてまた金融機関その他のいろいろな点に直接権力を介入して、いろいろな整理をした。彼は彼なりに言い分があったでございましょう。そういったことが
一つ。
もう
一つは、同じ弁務官時代に
政府から
総務長官が、これは名前は申し上げません、おいでになって、そして彼の正式の歓迎パーティーにおきまして、高等弁務官自身が
日本の
政府の
総務長官を前にして、その歓迎の席上で、私の在任期間の間において
日本の
総務長官の来ることはあなたで三度目である、そしてこの次にはあなたも
長官でありませんでしょう、こういうまことにやゆしたことばであります。
国民を代表する
国会議員であり、しかも
政府の
責任ある
大臣が来て、
アメリカの一軍人——これは
アメリカでいいますればたいへんな問題です。文官に対する
ところの大きな侮辱であると思いまするし、また
日本の国に対する大きな侮辱だと私は感じました。一言半句も
長官は弁明をしませんでした。
この三つのできごとを私は
長官の
発言の中から思い起こしたのです。
一つにおきましては、
地元における
ところのつかわされた
ところの
アメリカの行政官たちが、
現地沖繩の人々は能力がないんだ、自分たちの
援助なしには何もできないんだ、こういう趣旨において
沖繩をやっている。もう
一つには、琉球
政府が無能力だから自分が直接権力を行使してやるんだと言った弁務官。そうしてまた、
日本自体の対米姿勢の結果でもございましょうけれ
ども、
日本自体をなめた
ところの、
国会議員であり、あるいはまた
総務長官である人に対する実に失礼なことばさえもあえて言っておる。こういうような一連の動きが、いつでも権力者がその権力を固守して——権力ということばが少し強ければ、少なくともある権限を持っておる人間がその権限を固守いたしまして住民に臨む、あるいはまた
現地に派遣される
ところの当局というものが、自分たちのその能力と申しますか立場というものを固守いたしまして、そしてこれに対する
ところの服従をしいる、こういう姿が
沖繩におきまして
アメリカの統治の中にあったということも思い起こしたのであります。
長官のそのことばは、
現地沖繩におきまする
開発庁の職員に響いておるということを私は聞いております。事実また、その事務当局の中におきましても、琉球
政府時代の、認可を与えた、許可を与えた、こういったことに対して、今度は
中央の権限になってくる。そういった問題に対しても非常に批判的なものができてしまっておる。きょうは詳しいことは申しませんですけれ
ども、一個の
沖繩県が自治能力がない、あるいは
意欲が足りないんだ、こういう
長官の
発言というものは、
長官のもとにおきます
ところの
開発庁の事務職員の中においてもやはり響いてくる。あなたのそういったことばというものは部下職員に響いて、やはりそういった思い上がった
ところの行政というものがなされてくる。
開発庁を設置された場合において、やはりこれが
中央隷属の、
中央のいうことを聞かなければならぬというふうにしむけていく、そういうふうになりはせぬかということがずいぶんと論じられておりました。法的にはそうではないけれ
ども、運営の面において実際はそれがなされてくるのだ、こういう疑惑というのもある。ですから、
長官の気
持ちはわかります。激励することばであったというふうに理解をいたしまするけれ
ども、そういうことが、ひいてはこれからの
開発庁の
仕事をする上においても、
中央の命令に従えという、先ほど
アメリカの例を申し上げたのですけれ
ども、とかくそういう方向にいきやすい。そこによって自主性というものが、地方自治というものが、
中央のそういう姿勢によってゆがめられてくるという可能性があると思います。ですから、その点は
長官はっきりさせられまして、
意欲を燃やしていただきたい、このように思います。
そこで
一つだけ私は申し上げたいと思います。
沖繩県の
意欲もさることながら、
沖繩のこれからの
経済開発に対しまして一番大事なことは、前の議会からしょっちゅうことばは聞いておりますけれ
ども、
沖繩の
開発や将来に対するいろいろなことを樹立いたしまするときに、いっでも妨げになってきますのは軍事基地でございます。膨大なる軍事基地がある。この縮小あるいは開放ということを
前提にし、あるいはこれに目安を置いての
経済振興開発でなければ、
現状を是認した立場における
ところの
開発ということは、これは十分なるものでないと思います。
沖繩県がいつも悩みまするのは、
経済開発を樹立する上におきましてもこういったことが大きなガンとなっております。としますならば、
ほんとうに
意欲的に
沖繩がしようと思いますならば、この問題の解決というのが大事でございます。しかし、これは
沖繩県でどうにもできる問題ではございません。
政府の力によってなさなければなりません。
そこで、
開発庁長官とされまして、
沖繩の真の
開発ということを目ざしますならば、この大きな妨げになっております
ところの基地の縮小あるいは開放、こういったものと相またなければならぬと思う。そこで、
現地に対します
ところの御批判、率直に承っておりますけれ
ども、
沖繩側から申しますれば、では
政府はこの基本的な問題に対してどのような
意欲を持って対米折衝なりあるいは事を処理しておるか、これが私は大事な問題だと思います。そこで、
長官とされまして、
沖繩開発に対する
担当の
大臣とされまして、この基本的問題に対して
意欲的に取り組んでいただくような気
持ちがあるかどうか、まずそれに対する
ところの所信を承りたいと思います。