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久保委員 後段のお話は、意見としてはぼくらと同じなんです。最近
政府でそんなことを言い出してきたのですよ。あなたが
大臣になるのがおそかった。そうかもしれませんね。私
どもは、
閑散線区だから、
赤字だから、黒字だからといっての、そういうものさしでこれを撤去するぞというのではなくて、これはやはり国民的に有用なものであれば、それは
実施しなければいかぬ。ところが、この
監査報告にも書いてありますが、
ローカル線の列車のダイヤの
問題にもめずらしく言及しているのです。最近、
監査委員会も刺激になったのじゃないかと思うのですね、いろいろ勉強して。
ローカル線も単に
経営の
問題だけからダイヤを組んではいかぬとか、少し四囲の
状況、国民的な生活
状態、やはりそういうものを
考えてと、そういう
意味でしょう。そういうことをいわんとしているのでしょうが、歯切れが悪いですけれ
ども、そういう話をしている。そのとおりなんです。
ただし、それには裏づけが必要だというのです。裏づけがなくて、おまえらしょっていけといっても、これは無理なんですね。いままでの
再建計画というのは、裏づけがなくてひっぺがす、極端なことを言えば、そういう論法です。新
線建設なんかもてまえ
どもの提案をごらんいただいたかどうかわかりませんけれ
ども、国家的に見てやらなければならぬものは、
赤字であろうが何であろうか、建設するのですよ。しかしアクセサリーじゃないのですから、
道路で間に合うところはもちろん
道路で、建設は途中でもぶった切ってやめるという勇断が必要だと思う。いずれにしても、そういうものに対しては裏づけを必要とするというのかわれわれの提案なんです。
そこで九千キロの
問題、いや八千五百キロに減らして、何かきのう言ったそうでありますが、これは六十年目標で貨物の
輸送は大体どの程度ふえていくのだろう、一兆三千二百億トンキロ。半分、内航に持たせるというのでしょう。どういう
計算から半分内航に持たせるのかわかりませんが、それであと
道路と鉄道だが、鉄道は大体六百億トンキロぐらいしか運べないだろう。だから九千キロやって、
道路のほうは一万キロですね、それにパイプライン七千五百キロ。こういうものであとの半分を
輸送していこうじゃないかというのですね。
まずこのものの
考え方
自体に二つある。このまま
経済を伸ばしていくのがいいのかどうかという
問題についてわれわれは疑問を持っている。なるほど、多いほうがいい場合があるし、でっかいほどいいことがある場合もある。しかし、そうばかりも言っていられない。だから、なるほど
GNPの
計算か何かでいまのままでずっといけば、三百兆じゃなくて、もっとになるかもしれません。そういうものの
考え方について疑問がある。しかしその疑問は別としても、そういうふうな一兆三千二百億トンキロぐらい六十年には貨物の
輸送需要があるという場合に、いま九千キロやって、既設の
線路も貨物の
輸送に充当するということは、なるほ
どものの
考え方はそのとおりなんです。しかし、そのとおり貨物を鉄道に持ってくるかどうかという
問題なんです。これはなかなか乗ってこない。いま貨車では足りないからというお話がありましたが、
北海道−本土間の貨物
輸送力というものは、
国鉄は少ないのかもしれません。これは伝統的に少ない。青函のネックがありますから、これは
新幹線、青函隧道を掘ればうまくいきましょう。しかし全体として貨物
輸送力は余っているんじゃないですか。やれば、もっと
輸送できる。ところが
自動車輸送はどうかというと、一ぱいになっている、公害と事故と過重労働とそれから過積みと。それが混在している。本来ならば、これは
道路から鉄道の貨物にこなくちゃいけない。こないですよ。
ところが、総合交通体系というのをやった。やったが、この
輸送分野というのは、
国鉄は中長距離の大量貨物だという、そういうものを
輸送しましょうといったが、ただ唱えるだけでは、きません。どういうふうにしてこさせるかというと、国民の選好にまかせる。好みにまかせて、マーケットにおける競争によって荷主の好むところによって分野をきめていこうなんて、どこかの夢の国の論文を書いた
ような総合交通体系、そういうものでは
国鉄の
再建も陸上全体の
輸送秩序もできないということを私は再三この席で申し上げているわけです。
だから、一点申し上げたいのは、なるほどそういう構想もいいかもしれない。しかしいま第一にやってほしいのは、
国鉄の貨物をもっと有効に使うことができないものか、そこに政策の焦点をしぼれということを言っているのです。これはただ単に鉄監局だけではなくて、
自動車局もそうです。新しい
自動車局長は
考えるだろうけれ
ども、前の
局長は
考えないでどこかへ行っちゃった。いずれにしても、そういうことを
考えないで九千キロやって、いまある
線路は貨物に使うのだなんということは、それは小学校の教科書に載っけるなら別でありますが、政策としてはお粗末だ、はっきり言って。
それからもう
一つは、国民
経済的に見て、
赤字であろうが黒字であろうが
経営していくのだという大きな観点からやるのなら、九千キロも、それから高速
道路の一万キロも、いいですよ。これはけっこうですよ。パイプラインの七千五百キロもけっこうですよ。しかしながら、いまの企業というものを土台にしての
経営を
考えていくのなら、これはやはりいまの
国鉄を見てもらわなければいかぬですな。
赤字でもいいからおまえやれと言ったら、つんのめっちゃうですよ。建設はおっしゃるとおりできますよ。どこから金を持ってきてやる。いま
国鉄は
経営に
問題があるのです。新しい
工事に
問題があるんじゃないのです。新しい設備投資に
問題があるんじゃないのです。設備投資のほうは、
政府で財投その他でもってめんどうを見てくれるから、これはやっていけますよ。
経営自体に
問題があるのですから、そこらのところをひとつ
考えていただかなければならぬと思うのですが、これはどうでしょうか。
経営自体にメスを入れてもらわぬと、
日本列島改造論を振り回してみましても、足はよたよたで胸から上ががんじょうだなんというふうになってしまって、どうにも足腰立たないというのがこのかっこうではないか。いかがでしょう。これはここでいやみを言っているわけじゃなくて、ほんとうにそういうかっこうなんですよ。だからそういう点、ひとつほんとうに
大臣ももう少し詰めてお
考えをいただきたいと思うのです。だれだって九千キロ、おまえのところも
新幹線引いてやると言えば、今度の選挙なんか当選確実ですよ。しかし、そんなことは五年
たち十年たって先になれば、ばけてくるんです。その前に
国鉄がどうなるかわからぬというのでは、政治家としては少し
考えてもらいたいということを私は一人の政治家として
考えている。どうでしょう。