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1972-08-11 第69回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月十一日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 細田 吉藏君    理事 徳安 實藏君 理事 山村治郎君    理事 内藤 良平君 理事 田中 昭二君    理事 河村  勝君       石井  一君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    小峯 柳多君       國場 幸昌君    關谷 勝利君       塚原 俊郎君    福井  勇君       井岡 大治君    金丸 徳重君       久保 三郎君    斉藤 正男君       宮井 泰良君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 佐々木秀世君  委員外出席者         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         運輸政務次官  加藤 六月君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君         運輸省船員局長 丸居 幹一君         運輸省港湾局長 岡部  保君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         海上保安庁次長 紅村  武君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 委員異動 七月十七日  辞任         補欠選任   宇田 國榮君     天野 公義君   江藤 隆美君     三原 朝雄君   加藤 六月君     佐藤 孝行君   佐藤 守良君     河野 洋平君   菅波  茂君     塚原 俊郎君   羽田  孜君     國場 幸昌君   古屋  亨君     西村 英一君 同月二十日  辞任         補欠選任   三原 朝雄君     江藤 隆美君 同月二十四日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     三原 朝雄君 八月三日  辞任         補欠選任   西村 英一君     佐藤 守良君   三原 朝雄君     江藤 隆美君 同月十日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     楯 兼次郎君 同日  辞任         補欠選任   楯 兼次郎君     斉藤 正男君 同月十一日  理事宇田國榮君、加藤六月君及び古屋亨君七月  十七日委員辞任につき、その補欠として佐藤孝  行君、江藤隆美君及び佐藤守良君が理事に当選  した。 同日  理事箕輪登君同日理事辞任につき、その補欠と  して山村治郎君が理事に当選した。     ————————————— 七月十二日  一、臨時船舶建造調整法の一部を改正する法律   案(内閣提出、第六十八回国会閣法第九八号)  二、航空法の一部を改正する法律案内閣提   出、第六十八回国会閣法第九九号)  三、都市モノレール整備の促進に関する法律   案(中村梅吉君外十六名提出、第六十八回国   会衆法第四四号)  四、陸運に関する件  五、海運に関する件  六、航空に関する件  七、日本国有鉄道経営に関する件  八、港湾に関する件  九、海上保安に関する件  一〇、観光に関する件  一一、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  海運に関する件(小型船舶に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(地方交通線の  合理化に関する問題等)      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についておはかりいたします。  理事箕輪登君から理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 細田吉藏

    細田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員異動に伴う理事欠員が三名、並びにただいまおはかりいたしました箕輪登君の理事辞任により、現在四名の理事欠員となっております。つきましては、その補欠選任をいたさなければなりませんが、これは先例によりまして委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 細田吉藏

    細田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に       江藤 隆美君    佐藤 孝行君       佐藤 守良君    山村治郎君 を指名いたします。      ————◇—————
  5. 細田吉藏

    細田委員長 この際、運輸政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。  加藤運輸政務次官
  6. 加藤六月

    加藤説明員 七月十二日に運輸政務次官を抑せつかりました。佐々木運輸大臣のもとで一生懸命勉強してまいりたいと思います。先輩皆さま方の格別の御指導をいただきますようにお願い申し上げまして、あいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  7. 細田吉藏

    細田委員長 陸運海運、及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
  8. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 佐々木大臣就任早々から交通政策全般について非常に熱意ある検討と、また同時に健闘を続けておられます。この点深く敬意をささげたいと存じます。  私は、運輸委員をすでに何年かやらしていただいておるのでありますが、その間、受け取りました交通政策傾向を見てみますると、交通政策最高責任者であります運輸大臣が、その理想とするところの政策を遂行しよう、あるいはプランを立て直そうとしても、現実日本における経済、産業の状況が進んでしまっておりまして、それに対応するための応急策に非常に時間がかかってしまうとか、あるいは金がかかってしまうというようなことからいたしまして、運輸当局理想とするような総合的交通政策というものが理想どおり進んでいなかったことを痛感いたす次第であります。そういう中におきまして、今回は初めて、田中総理日本列島改造論というようなことも基本になっておるのでありましょうが、また同時に世相全体が、そうした現実に引きずられてのこう薬ばり的なものではなくて、根本的に総合交通政策というものを立て直して、これから始めていかなければならないような時期に際会いたしておると存ずるのであります。  そういう意味におきまして運輸大臣が非常な熱意をもってこの根本策をお進めになっておられることと信ずるのでありますが、そういう中におきますと、いままで、前通常国会まで本委員会などを通じてお示しになられました総合交通体系の進め方とはまた別の重点があるのではないか。端的に申しますと、過疎地帯に対する交通政策重点を置くというようなことに変わってこなければならないのではないか、それから始めることが大切である、こう思うのでありますがいかがでありましょうか。この私の考えが間違っておりますときょうの質問がとんでもない方向に進むものでありますから、まずその点について大臣のお考えを承っておきたい。
  9. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 金丸委員お説のように、運輸行政というのは非常に重大な、ことに地方開発使命を持っていると存じます。そういう関係でございますので、ただいまの国鉄の問題などにつきましてもたいへんな赤字を出しているからといって、ただ単に赤字黒字だということだけで、地方鉄道ないしはまたA・B線ども含めましてこれの処置を簡単に左右するというわけにはまいらぬと思います。地方地方の実情をよく勘案いたしまして、また地方住民の意見を尊重いたしまして対処しなくてはならぬ、こう考えておりますので、金丸委員と同じ考えを持っております。
  10. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 たいへん私はその点につきまして安心いたしましたし、そういう意味におきましてまた大臣のお考えの推進をぜひお願いしたい。私どももできる限りの御協力を申し上げたいと思っております。  そこで、総合交通体系をお進めになられます上におきまして、ここ数年来特に顕著にあらわれておりますモータリゼーションというか、自動車普及利用ということが非常に進んでまいりましたために、幾ら道路をつくってもまだ足りない足りないということになり、逆にいいますと、自動車のほうに利用者が殺到してしまって、国鉄がとかく敬遠されがちといいますか、利用者が減ってくるという、それゆえさらにまた運賃を値上げしなければならぬような、国鉄内部におけるいろいろな事情もありまして悪循環を重ねておるというような傾向にあります。としますると、これにつきましても運輸大臣として根本的な考え方、端的に言いますと、輸送体系について安いからとかあるいは便利だからとかいうこと以前の問題として、国民経済全体からしてこのものが国鉄——国鉄といってもいけませんけれども長距離輸送に適する鉄道にまかせるべきものだ……     〔私語する者あり〕
  11. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  12. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 あるいはここから短距離については自動車によって輸送するというようなことから、考え方、発想の転換をしておいていただきませんと、このまま野方図にいきまするとますます悪循環からして鉄道、特に国鉄経営が困難になるのではないか、こう思うのであります。この点はいかがでありますか。
  13. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 国全体の輸送計画からお話し申し上げますことは、われわれはやはり田中内閣のもとに運輸行政をやっておる関係上、田中総理のいわゆる日本列島改造論によりますと、昭和六十年になりますと、現在の状況から判断いたしまして、人員輸送が二・四ないし二・六倍、あるいは貨物輸送は五倍。こういう状態になりますと、お話のような、自動車輸送だけではとてもこれをさばき切れない。何せ貨物だけでも自動車の数にいたしますと二千八百万台の数量を必要とする。こんなことでは、自動車だけ走れるわけもございませんし、それに伴って道路整備もいたさなくちゃならぬ。そういう状態から考えますと、何としても鉄道重点とした国内輸送体系を確立しなければならないという日本列島改造論でございます。また、企画庁の立てておりまする新全総にいたしましても、大体そういう見方をしておりますので、私たちといたしましては、鉄道輸送を軽視するわけにはまいりません。今後ともにやはり鉄道輸送を中心とした、あるいはトラック輸送というようなものを併用した総合的な考え方を持っていきたい、これが私たち輸送体系考え方であります。
  14. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 よくわかりました、  そこで、前通常国会におきまして、政府のほうから提案されてまいりました国鉄財政再建に関する方策によりますと、どうもその点が大臣のお考え田中内閣のお考えとは違っておって、どうも鉄道財政を救済するために赤字線はやめちまおうとか、閑散線トラックなりバスにかえてしまおうというような傾向になってきまして、御承知のように何千キロの閑散線廃止計画が打ち出されておるというようなことであります。しかし、現代における閑散線こそあるいは将来における日本国土改造の基幹になる鉄道になりはしないか。そうでなければほんとうにバランスのとれた日本国土改造はできないと思いまするので、そういう意味におきましては、現段階においては赤字であるにいたしましても、その国土改造計画が進むに従いまして、それは黒字にも変わるであろうという意味において、鉄道重点主義というものはいまこそ強固に進められていかなければならないと思うのです。したがって、国鉄財政再建計画によるような方針というのは、佐々木大臣のもとにおきましてはあらためてお考え直すということになるのでありましょうか。その点いかがですか。
  15. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 さきに出されました国鉄財政再建法の問題につきましては、いまいろいろと再検討いたしておりますが、お話しのような全面的に考えを直すということではございません。閑散線の問題につきましても、その使命を持っておりまする閑散線については十分その使命を達成するように残さなければならない。しかし、使命の終わった閑散線もあると思いますので、その点は取捨選択いたしまして、十分地元住民の意思を尊重してこれに当たりたい、こう考えております。
  16. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私も、使命の終わった閑散線まで歴史的にとっておかなければならぬ、こういうことを申し上げるつもりはありません。これからなお使命がある、むしろ使命が強化されるであろうというような線につきましては、現代においてはあるいは黒字になりかねる、赤字が増すであろうというものにつきましても、これは条件を整えて、むしろ将来を楽しむ、将来を待つという方針をとっておいていただかなければならないように思うものであります。そこで、そういう意味におきまして、私は大臣のお考え方と違っておらないと思うのであります。ただ、私気になりますことは、これも前国会におきましての私ども政府との間の質疑の中で、だんだんはっきりしてまいったのでありますが、国鉄当局経営上あまりに苦しくなった。あまりに赤字を出してきて、それが世間の問題になり、政府にもたいへん迷惑をかけておるというようなこともあったのかどうかしれません。そういうようにもうかがえるような態度をもちまして、国鉄公共性を重視しなければならないけれども、あまりに赤字までしょい込むことは困るからということで、むしろそういうところはバストラック自動車ということにかわってもらうほうがいいのではないか、こういうような方向でありました。それはもちろん、そのほうが国民経済的にいいということであればやむを得ないことだと思います。しいて大きな赤字を出しながら鉄道にたよるということもなるまいと思う。ただ、いまのような公害その他をもっと改めて、モータリゼーションというものについての考え方を変えなければならぬというときになってきますると、一番公害の少ない、一番国民経済的に信頼される国鉄というものは、あらためてその公共性のゆえをもちまして、国の財政の補助を受けてもこれを保持し、発展さしていかなければならないと思うのであります。したがって、国鉄公共性というものをずいぶん表に出して、国が見てやる時代になってきたようにも思うのであります。この点はいかがでありましょうか。
  17. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 さように考えます。
  18. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それでは国鉄のほうにお伺いするのでありますが、いま大臣からそういうようなお話がございまして、国鉄経営については政府のほうにおきましても十分にいろいろと配慮なさるということであります。したがって、前国会まで、やむにやまれずしてお出しになったろうと思うのですが、国鉄合理化案というものにつきましては、いまの大臣のような方針に基づいてあらためて見直される必要もあり、可能性も出てきておるように思うのでありますが、この点はどういうふうに考えられて進められておりますか。
  19. 原岡幸吉

    原岡説明員 国鉄合理化合理化と申しますけれども、いわゆる合理化のための合理化といいますか、事業を運営していくというためには当然能率的にやらなければいかぬ。その意味では合理的にやらなければいかぬ。そういう観点からの合理化といいますか、これは当然いつの時代でもやっていかなければいかぬ、こう思っております。いかなる形であってもやっていかなければいかぬ。この点については従来どおりやっていかなければいかぬ。ただ、やり方において、具体的の場合に、非常に合理化のための合理化というか、もっと前提になる考え方、これが必ずしも十分でない。いわゆる合理化のための合理化、こういう面が全然ないというわけにはいかないと思います。こういう意味では常に具体的な問題として、もちろん合理化能率化ということはやらなければならないと思いますけれども、それがほんとうに正しいものであるかどうか、適正なものであるかどうかという点については常に考え直しながら、なお能率的な運営ということに精進いたしたい、こういうふうに考えております。
  20. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 合理化のためだけの合理化であってはならないという方針で、十分見直さなければならない点があれば大いに見直すということでありますから、私はその御答弁に信頼いたしまして、私のくにのほうに起きていることについてお願いを兼ねてのお尋ねをいたすのであります。これは私は地元のことでありますから、あるいは身びいきで、全くこれは陳情すべきことであるかもしれません。ただ、いまのような合理化だけのための、名前だけの合理化であってはならぬというお考えでありますから……。  身延線というのが私のほうにあるのであります。東海道線富士駅から中央線甲府駅までの線でありますが、これが国鉄当局合理化対象になりまして、ある駅におきましては廃止、あるいは貨物取り扱いを中止する、あるいは手小荷物を云々というような案が出されまして、沿道の町村当局をはじめ住民みんなが非常な心配をいたしておるところであります。これにつきましては、私のところへもすでにたくさんの陳情書が参っておりますから、国鉄当局のほうにも十分その意は通じてあると思います。だから詳しく私は申し上げませんけれども、あの線は合理化対象になるにはあまりに将来性のある線だと私どもには信じられてならないのであります。したがって、相当の犠牲を払っても将来のためにこの線は確保し発展させる、むしろ整備してもらわなければならないと思っておるのであります。にもかかわらず、鉄道がお示しになる合理化案簡素化案によりましても、あまりにもみみっちい節約きりされてないのです。あの沿線何十万の利用者あるいは県当局などに対する大きな衝撃、ショックというものと比較いたしますと、あまりに犠牲が大きくて得るところの利益がないように思われるのでありますが、この点は国鉄のほうではどうお考えになっておられますか。
  21. 原岡幸吉

    原岡説明員 身延線は御指摘のように静岡県と山梨県ですか、中央線東海道線を結ぶ基本的には重要な線でございます。現在一部分が単線でございまして、しかも線路状況もあまりよくないということで、重要でありながら、いろいろな施設条件としては十分でない。しかし、これをにわかにお金をかけて改善するといってもそれほどの力もないというのが現状でございます。しかして、輸送需要状況を見ますと逐年減少の傾向にあるわけでございます。傾向として減っておるからそれですぐ合理化するんだ、こういう意味では決してございません。そういう中で鉄道輸送としての使命を積極的に前向きに果たしていく、こういう気持ちを基本的に持っているわけでございます。そういう意味で、情勢が変わってきた、昔のままのやり方でいいというわけではなくて、新しい前進のためにもきのうまでのやり方を変えながら前進していく、こういうことが必要であろうと思います。  そういうことで、いわゆる駅の体制といいますか、これもその一つでございますけれども、駅の体制も新しくいい情勢に合わせてやっていこう、こういう気持ちやり方、これが地元においては身延線のいわゆる合理化という形でとられておるわけでございますけれども気持ちとしては営業体制近代化しながら、そして前向きの使命を現時点において果たしていこう、こういう気持ちでやっておるわけでございます。ただ何と申しましても、毎日やっておることの情勢が変わるわけでございますので、そういう意味地元にいろいろな危惧の念やら不安やらいろいろもたらそうと思うわけでございます。その点につきましては、国鉄の意のあるところを十分に理解していただくための努力、そして協力をいただく、こういう努力は十分しなければいけない、そしてその御理解、御協力を得てそれを進めていく、そして前向きな積極的な現代的な使命を果たしていこう、これが身延線近代化といいますか、おっしゃられるような合理化といいますか、それのねらいでございます。
  22. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 身延線近代化とおっしゃるのですが、うしろ向き近代化であっては困るものですから、その点もはっきりあらためてひとつ見直しておいていただきたい。  私から申し上げるまでもなく、これは大臣ぜひお聞き取りをいただきたい。いまの問題になった線は、東海道線中央線を短絡する非常に重要な線なんです。いまの状況におきましては、政府委員のほうからおっしゃいましたように、利用者本若干減っている傾向はあります。ただ、それはいまの状況がそうであるのであって、将来は東海道線中央線を短絡してさらにこれを日本海に結びつける重要な使命をになっておる。日本列島改造論からしますれば、駿河湾と富山湾とをつなぐ一番の捷径、近道なんです。私はいまの中央線にも匹敵すべき非常に重要な線になるだろうと思う。といいますのは、すでに太平洋時代からやがて日本海時代に入ります。そして日本海をはさんであるいは中国大陸、朝鮮あるいはシベリアとの交通がひんぱんになってくる。もう航空などにつきましてはすでに実行に移るやに考えられることであります。この傾向というのは一両年のうちにどんどん進んできます。そうすれば、この身延線はいまでこそ閉散な地方路線ではありますけれども、これはほとんど必然的に重要な幹線路に変わらなければならないと思う。現に、道路におきましては、清水——直江津短絡線が進んでやや完成しつつある。それでもなお足りないということで、富山から松本へ出て甲府を経て東京につなぐ、こういう線路計画がどんどん進んでおる。こういう時代において逆に鉄道が、いまが赤字だからといって、合理化という名における閑散化、やがては廃止方向に進むのじゃないかなどと地方が心配するような方向をとることは、これまさに時代逆行のように思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  23. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 身延線につきましては、何か私の聞いている範囲では六月十九日にですか、いまお話しのように合理化近代化の線に沿うようにというので九月二十日までにという指示がされているようでありますが、こういうことが地元住民の利便に非常に問題があるというので地元から陳情ども受けておりまして、地元民と十分協議をするように私のほうから言っておりますので、ただいま当局からもお答えがありましたようにひとつこれからうしろ向きでないような、前向きのお話し合いをいたさせるようにしたいと思っております。
  24. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣せっかく御好意ある御配慮を願っておりましてありがたいと思います。ただ、私心配いたしますのは、大臣のそういうお考えにもかかわりませず現地のほうの受け取り方は、まあ国鉄当局持ち出し方が、いかにもほかの閑散線区、ほかの末梢的な赤字線と同じ扱いのような形で持ち出されてきたものですから、これはたいへんだ、それとこれと同じにされたのではたいへんだし、使命を達成したという線路扱いでも困りますし、全くはしにも棒にもかからないような将来性のない線と同じような合理化的扱いをされたのでは困るということで、いまでもその点を心配いたしておるのであります。ですから、現地とよく御相談いただくということにつきましては、これはぜひそういう前向きの方向をお示しになって、うしろ向きでないんだ、よそにおいてはそうかもしらぬがここに関する限りはそうじゃないんだということをまずもって十分現地のほうにわからさせておいていただいて、具体的にここはどうしよう、こういう御相談をしていただくことがこの問題解決のために大切なことだと思うのであります。  もう一点、これも大臣ぜひお聞き取りをいただきたいのでございますが、この線にはおもしろい現象が出ておりまして、御承知のように富士川という川は日本三大急流一つだなどとよくいわれておる、それほど急流であると同時に上のほうの山が荒れておったがためにあそこにはたくさんの川砂利、川砂が堆積いたしております。これは静岡も若干そういう傾向がある。山梨県におきましても地下資源は川砂利、川砂であろうといわれるほどたくさんある。しかも、この砂利、砂は建築骨材などに最も適しているというので好評を博している。そこで無限ともいわれるような川砂利、川砂をたくさん取って、これはほとんど全部おそろしいダンプカー、砂利トラによって運び出されている。あれは東京あるいは京浜地帯に送り込まれる。そのために現地のほうにおきましては道路がふくそういたし、文字通り交通地獄を現出しておる。子供などは全く命がけで学校に通っている。いまやますますその砂利トラ、ダンプというものが列をなして、夜中でも何でもやってきておる。これは大きな社会問題になっている。ここ両三年困っておる。もしできることならば、これこそ身延線の現在の輸送量を増加してもらって、こういうものこそぜひ鉄道で運ぶということにすれば、道路もよくなる。いまは砂利トラとかダンプのために道路が非常に荒らされておる。路面をこわす、路肩はくずす、橋はいためる、たいへんな修理費を要する。もしできますならば、その修理を鉄道のほうに回していただいて、そういうものはみんな鉄道で安く輸送してやるから持ってこいというふうにでもやっていただければありがたい。ただ、残念ながら身延線の輸送力というものが単線である。その他いろいろの線路上の条件もあるのでありましょうが、それを吸収するまでに至っておらぬ。したがって、ますます砂利トラやダンプが多くなってくる。いまたいへんな社会問題になっている。それらも考えていただいて、これこそうしろ向きではなくて急いで複線化なりなんなりを、あるいは線路関係を改良していただく必要があるように思われてならないのだが、この機会に逆にむしろ身延線整備化案を出していただくというお考えはいかがでしょうか。
  25. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 身延線の沿線にそんな貴重な砂利資源が出ていることを私初めていま聞きまして、さっそく調査させたいと思います。同時にまた前向きの対策を講じなさい、と。身延線が単線というお話でしたが、一部複線化しているはずでございますから、ちょっとの間複線にしてある。これを前向きにやりますればそういう貴重な資源も開発できると思いますので、さっそく調査させて対処したい、こう考えております。
  26. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それじゃ、もう時間があれでありますから、もう一つこの点もやはり身延線を見直していただくために申し上げるのでありますが、あの線は富士川べりによって山合いの線を通っている。したがって、これは鉄道当局にとりましては金もかかることと思います。ただ、あそこは非常に空気がきれいであります。水もいい。あたりの環境もよろしい。したがって、いまや東京方面のレジャーを楽しむ人たちあるいは週末における貸し別荘ということでもありますまいが、民宿などを楽しむ人たちがあの線に沿って、特にいま国鉄のほうでねらっておるところの閑散駅、ふだんはあまり乗りおりがないときに、夏場などに盛んに利用しておるのであります。いま夏だから利用するというばかりでなくて、やがてはいまのような東京砂漠の人々が週末その他休暇を利用するところとしては絶好のところなんです。したがって、これはいまのように砂利運びその他の産業鉄道的利用価値も持っているのでありますが、同時に東京方面においては、ちょうど時間的にいきましても休養の場所として、いま非常に閑散で拾てられたような駅こそが将来利用されるところになる。これはみんながそう思っておる。現にそういう数字が出てくると思う。そういうことを加味されてこの線は別の立場からお考えをいただきませんと非常に問題を起こしてくるのではないか。日本改造論というものに私は非常に敬意といいますか期待を持つだけに、その期待を無にされては困るという意味においてお願いをするのでありますが、いかがでありますか。
  27. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 だんだんのお話、たいへん将来観光事業ということもあわせて交通運輸関係での重大な問題の一つでありますから、それらも加味いたしまして十分調査検討いたしまして、前向きに考えたいと思っております。
  28. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それでは、もう私のちょうだいした時間がきてしまいました。結論的にお願いをいたすのでありますが、いま申し上げましたような幾つかの理由によりまして現地の人々は、現に利用している人たちばかりでなくて、将来のことを考える人たちはこの線の運命に大きな関心を持っておるのであります。そうしてその人たちが盛んに東京などに出てまいりまして、ひとつこれを何とか食いとめてくれということであって、私は住民諸君の気持ちを体して大臣にお願いをいたしておるのでありますが、ぜひそういう意味におきまして、この線のために前向きの改善がされるような、整備されるような方向合理化を進めておいていただきたい。よりよくなるという意味においての御配慮をお願いをいたしまして、また期待をいたしまして、私のお尋ねを終わります。何ぶんよろしくお願いいたします。
  29. 細田吉藏

  30. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣、初めてお尋ねをいたしますけれども、的確なお答えをちょうだいいたしたいと思います。  私は、新幹線公害についてたびたび運輸省並びに国鉄当局考え方、そしてまた対策等について伺ってまいりましたけれども、きわめて不十分のお答えしかいただけなくてまことに残念であります。そこで大臣、いま東海道並びに山陽新幹線が走っておりますけれども、いわゆる新幹線公害といわれるものがどういう内容のものであるか、就任早々どの程度お勉強なさっているか存じませんが、御存じでありますか。沿線住民がいわゆる新幹線公害ということで苦しんでいるわけです。どういう種類のものがあるか御承知ですか。お答えください。
  31. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 お話しのように私就任早々でありますから、ことにまた新幹線沿線に住んでいるというものでもございませんので、人さまのお話をお聞きしたり陳情を承ったりする程度の新幹線公害しか知らないのであります。しかし、先般来新幹線公害についてはたくさんの方々から御意見を承りました。ことに斉藤さん御同僚の岡本さんは再三私のところにいらっしゃいまして、これはぜひ何とかしなさい、ことに関西方面の新幹線の公害はひどいものだ、こういうことで、私は一回その地方に行って現地でひとつ見たり聞いたりさせてもらいましょう、こういう約束までいたしております。私の新幹線公害の知識はその程度でありますから、十分知っているというようなお答えができませんが、その程度のことしか知りませんということでごかんべんを願いたいと思います。
  32. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 公明党の岡本君からたびたび大臣は話を聞いているということなら大体それで尽きているのですよ。岡本先生はたいへん熱心にこの問題と取り組んでいますから。私は大臣のところへ行きませんけれども、そのかわり関係住民とはきわめて接触を持っていてかなり承知しているつもりなんです。いま東海道に国鉄当局が知っているだけでも百八十五件、山陽で約二十件、その他これから新幹線が敷設されるであろう東北あるいは上越あるいは成田、さらに九州等々でも、そういう新幹線では引くわけにはいかぬ、土地を提供するわけにはいかぬ、協力するわけにはいかぬということで、田中総理大臣は新幹線を九千キロにするというようなことを発表されておりますけれども、どんなに国鉄考えようと、どんなに田中内閣考えようと、そういう関係住民の苦悩を政府なり国鉄が十分承知をし、万全の対策を立てるということでない限り、私は、関係住民のコンセンサスなどというものは得られるものではないし、またそれなくして新幹線の建設は不可能だというように考えている一人であります。したがいまして、ぜひ勉強をしていただきたい。運輸省にはいろいろ問題がありますけれども、私は、もし五本の指というならば五本の指に入る一つの当面した重要な課題だ、もし三本の指だというならば、これまた三本の指に入る当面解決しなければならない運輸行政の課題であろうというように考えておるわけであります。したがいまして、もう少し国鉄当局ともあるいは運輸省内でも検討をいただいて、御勉強をぜひともお願いをいたしたい。  いみじくも現地調査をしたい、みずから現地へ乗り込んで関係住民とも接触してみたいというおことばでありました。いまだかつて運輸大臣が新幹線公害現地へ乗り込んで実態を経験をし、現地住民と話し合ったということはないのです。国鉄総裁も行かないのです。副総裁も行かないのです。そして出先の国鉄当局はたいへん苦労をされておる。住民の苦悩はよくわかる。さればといって国鉄本社なり運輸省は住民の要求するようなことになかなかこたえない。したがってこれから建設をする新幹線の沿線住民が非常な勢いでいわゆる住民組織を結集をし、今月末か来月初めには新幹線公害反対全国協議会といったようなものが結成をされる。たいへんな力になろうとしているわけです。  私は、そういう立場から、運輸省としてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいというように思いますが、具体的なことはまた関係者に伺いますので、新幹線公害取り組む姿勢について大臣の見解を承りたいと思います。
  33. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 お話しのように新幹線による公害地元住民の非常な怒りとなってあらわれてきておりますことは、先ほどからいろいろの方々からよく聞いておりますので、これは容易なことではない。しかもこのために新幹線計画が挫折するようなことがあっては、やはり運輸交通の上に非常な支障を来たしますので、この新幹線によるところの公害というものの欠点が一体どこにあるのか、しかもこれからの対策によってどの程度騒音なり振動なりを押えることができるか、こういう点につきましては、お話しのように私はまだしろうとでありますから、専門家の意見をよく承りまして、この対策についてはことに真剣に取り組んでいきたい、こういう決意を持っております。
  34. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うわけであります。  ところが、いろいろ調べてみますと、最近マスコミは新幹線公害についてきわめて頻度高く取り上げてもおりますし、事実マスコミが取り上げざるを得ない住民運動がほうはいとして起こっているわけであります。にもかかわらず、私が過日お尋ねいたしましたところが、磯崎国鉄総裁は——私は騒音、振動あるいは電波障害等々、新幹線の生命だといわれているスピードが原因なんだ。したがって騒音、振動公害等が特に激しいところはスピードをダウンせよ。速く運ぶだけが能ではない。速く運べさえすれば沿線住民はどうなってもいいのかということでかなり強く迫ったのでありますけれども、磯崎総裁の答弁は、東京−新大阪は在来線と同じように七時間もかかってしまう。緩衝緑地帯も住民の要求どおり設けるとすれば、費用からいって新幹線をつくらないほうがましだということになりかねない、こういう答弁をされました。  私は、国鉄がいろいろ勉強をされ、取り組んでいただいていることは知っています。しかし、私がたびたびお尋ねをしたうちで、どうしてもその答弁が承知できないのが二点あるわけなんです。国鉄関係者もいらっしゃいますからお尋ねしたいのですが、騒音、振動の激甚地でのスピードダウンはできないというのか、絶対できないか、絶対できないというならこれは私ども考えなければならぬ。絶対できないのかどうなのか。新幹線はスピードが生命だ、まごまごしちゃおれません、こういう心配はあると思うのですよ。たとえば百ホン以上のところでスピードダウンをした。今度は九十ホン台のところも、あすこでやったらおれのところもやれ。今度は七十ホンのところもスピードダウンせよということになってくると、総裁のおっしゃるように東京−新大阪間が七時間もかかってしまって新幹線の値打ちはなくなってしまう、こういうことはあろうと思う。  環境庁がいらっしゃいますけれども、暫定基準を検討いただいております。ところが前回の質問で明らかなように、暫定基準なんというのは出すだけであって、国鉄がこれをどうしても守らなければならないというものではない。環境庁では暫定基準をおつくりになりました、国鉄国鉄で従来どおりです、ということだってこれはあり得るわけです。絶対激甚地でスピードダウンできぬとまだ言うかどうか。きょうは実は磯崎総裁あるいは公害ででたらめなことを発表している山田副総裁に来てもらって、本人から聞きたいと思ったのですが、非常に残念です。同時に、国鉄首脳陣の更迭によって長浜担当常務理事がやめられました。新理事が就任されているわけですけれども、長浜路線を継ぐのか、あるいは後退をするのか、それよりも前進をするというのか、そこら辺もひとつ覚悟のほども聞いてみたいと思うのです。まず絶対だれが何と言おうと、いつになろうとスピードダウンをしないとがんばるかどうか、当局からお答えください。
  35. 内田隆滋

    ○内田説明員 まず第一番目の絶対にスピードダウンはできないかというお話しでございますが、これは先生もお話がありましたとおり、現在の東海道新幹線は三十九年に開業したものでございまして、その工事といいますか計画昭和三十二年ごろから始まっておるわけでございます。その当時このような公害をわれわれ技術者が見通し得なかったということは、まことに不明の至りでございますが、安全とスピードに重点を置いて建設したというのが偽らざるところでございます。新幹線は御承知のように日本経済に対しましては非常な貢献をいたしておるところでございまして、いまこれをスピードダウンするということは、いわゆる日本経済に非常な影響があるのではないかというふうに考える次第でございます。先生もいみじくも申されましたように、スピードダウンを一カ所やりますと、東海道新幹線というのは相当の人家の密集地帯を通っておるわけでございまして、その前後の波及効果その他を考えますと、新幹線の目的が相当に阻害されるのではないかというふうに考えます。したがって、われわれとしてはこれに対しまして、前向きに現在の国鉄の技術陣をもっていわゆる騒音振動の問題に取り組んでまいりたい。そして、現在お困りになっておる沿線の住民の方々に対しまして、できるだけ被害を食いとめるという姿勢でまいりたいと思う次第でございます。  それから長浜常務理事がやめまして、私が去る先月の二十九日から常務理事を拝命いたしたわけでございますが、この新幹線騒音の問題につきましては、たびたび前常務理事あるいは国鉄の総裁が申しておりますように、われわれの技術の総力をあげまして、いわゆる一時の言いのがれやごまかしでなく、真正面からこれに取り組んでいくということでまいりたいというふうに考えております。そういう意味では長浜常務理事の路線を継ぐと同時に、さらにもっとこれを充実していくというつもりでございます。現に、国鉄には公害対策委員会というものを部内で設けて技師長が委員長でやっておられますが、さらに斯界の権威者を集めまして、日本の科学技術の粋を集めてこの問題に取り組むということで先月から発足いたしておりまして、われわれとしてはこのような意気込みで今後ともこの問題を解決してまいりたい。ただ問題は、先生も御承知のように非常にむずかしい問題でございます。これを解決してまいりますのには、新しい技術なりそういうものの開発も必要かと思いますので、いまやれるものはすぐやる。それに新しい技術を加えましてよりよいものにしてまいりたいというように考える次第でございます。
  36. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もう一つ、私がどう言おうと国鉄がイエスと言わない問題がある。それは実損補償はいたしましょう、騒音電話はひとつ国鉄取りつけましょう、電波障害については共同アンテナを建設しましょう、たいへんな前進です。しかし、いままでの苦しみ賃、悩み賃、これをめんどう見よう——どんな公害裁判をやったって、どんな公害の争いをやったって、苦しみ賃、痛い賃というのは、過去にさかのぼっても出るんですよ。あなたのところは、いままでの苦しみ賃や痛い賃、悩み賃は一切めんどうを見ないと言うのだ。国鉄というのは大体横柄ですよ。横暴ですよ。松原調査役の談話でまことに申しわけないのですけれども、こういうことを言っておるのですよ。「鉄(レール)と鉄(車輪)という原則を変えない限り、騒音の発生をいまより少なくするのは不可能に近い。要は発生した音をどう吸収するかだ」。なるほど鉄と鉄がきしみ合って出る音ですからそのとおりだと思うのです。広範ないまの技術陣をあげて取り組んでおりますけれどもどうにもならぬ。したがって、出た音をどう吸収するかだ、こういうことで、いろいろと御検討なさって、音を出さないように努力されていることもわかりますけれども、東海道新幹線を敷設する現地での説明会では、騒音、振動についてはマスコミも取り上げておりますけれども、音は上に逃げてしまう、横へは広がらない、絶対心配はない、スパークあるいは車窓から電灯の光は見えるけれども、音などというものは残るものではないのだ、音は立たぬ、もし立てても、その音は上に逃げてしまう、したがって全然皆さんのところには関係がありません、こういう説明を随所でされたのです。したがって、住民の素朴な感情は国鉄にだまされた、こういう感情であります。公害四大裁判も結論が出ました。これらの不特定多数がまき散らしている公害じゃないのです。国鉄であり新幹線です。「こだま」と「ひかり」以外に犯人はないのです。逃げようにも逃げるわけにいかぬ。いままで、先ほど言われた東海道新幹線、かれこれ十年苦しみ悩んできた、苦悩してきた。そのためにいろいろな健康上の問題あるいは生活上の問題あるいは学習の問題、これはたいへんな苦労をしているのです。その既往の被害に対して、これまた絶対にまだめんどうを見ないというのかどうか。私はいつの日かやはりあやまらなければならぬ時期が来ると思う。申しわけなかったというときが必ず来ると思う。善は急げだ。やはりこの辺で激甚被害地について補償を物質的にやる。大体精神的にも、総裁や常務理事が行って現地であやまったということを聞いたことがない。出先がたいへん御苦労なさって、ばか呼ばわりされて、住民から罵倒されて、皆さん方の部下は現地で折衝をやり、工作をやっているのですよ。大体あなたたちは汽車にばかり乗っていて、われわれもそうだけれども現地に住んだことがない。乗っている人はいい気分です。グリーン車で左うちわで行けばいい。ところが、乗っている汽車が沿線住民をたいへん苦しめているという実感は、新幹線に乗っていたのではわからない。早いものだ。りっぱなものだという感じだけです。しかし沿線住民は長い間苦しんできた。今日なおその苦しみに対する誠意ある補償というようなものは全然考えませんか。いかがですか。
  37. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまの先生のお話、まことにごもっともでございますし、われわれとしてもこの問題につきましては沿線の皆さんに対しましてまことに申しわけないというふうに考えておる次第でございます。しかし、いわゆる補償の問題につきましては、一つのルールがございまして、いまのところ国鉄としてはいわゆる実損に対してだけしか補償できないということでございまして、何とも申しわけないと思う次第でございます。  ただ、われわれのいわゆる官庁間で閣議決定をしております工事に伴う補償要綱という規定がございます。これは約十年前につくりましたもので、そのルールに従っていままで工事の補償なりあるいは用地買収等をやらしていただいておったわけでございますが、これがもうはなはだ実情に合わない。このような騒音公害の問題がはなはだしくなってきた現在においては、もう一ぺん見直そうじゃないかということで、これは建設省が主管庁でございますけれども、われわれも参加さしていただきまして、ことしじゅうくらいには、どういう形で出るかわかりませんけれども、いまよりも改善された形で、騒音の問題あるいは日照の問題などについても基準が出るのではないかというふうに考えております。  ただ、これは工事に伴う問題でございまして、営業の問題についても何らかの規定の改正が要るだろうというふうには考えておりますが、これはものにもよりますけれども国鉄自体で解決し得る問題と、もし新幹線というものが国の施策として必要であるということであれば、やはり国の援助を得まして、たとえば都市計画で沿線の道路を広げるとか、そういうようなことをしていただかないとなかなか解決できない問題だと私は思っております。ただ、その前に、われわれとしても先ほど申しましたように、誠意をもってできるだけのことはしていくという態度で現在はまいりたいというふうに考えております。
  38. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 山田副総裁が、新幹線公害対策五カ年計画、総額二百億というような発表をされておりますけれども、その内容が大部分は東海道新幹線のレールを五十キロレールから六十キロレールに変えるためのものである。さらにまた防音壁その他を国鉄内部の問題としてやるにすぎない。実際被害を受けている沿線住民に対してこれこれをやるというようなことが二百億円の中にほとんど入っていない。若干はあります。スズメの涙。そんなことでは、新幹線公害対策五カ年計画、総額二百億円なんというマスコミのタイトルは私はそっくりそのまま返上したい。突き詰めてみれば何ぼでもないのです。直接被害住民対策というのは全くごまかしであることも明らかであります。  一つ二つ具体的に伺いますけれども、電波障害を解消するために共同アンテナを建設する。建設費は国鉄が持つ。けっこうです。維持費は一体どうするのですか。場所によって国鉄の説明がだいぶ違っている。尼崎ではこういうように言われている。浜松ではこういうように言われている。名古屋ではこういうふうにやった、こう言う。一貫した指導でもなければ一貫した対策になってないと思う。新幹線が通ったからテレビが見えなくなったのですよ。いままではすかっと見えておったのです。だから、これだって今後永久に維持費等を国鉄が見るのはあたりまえのことだ。鉄塔を建ててやったからそれであとは知らぬ、こんな冷淡な言い方はないと思うのですよ。具体的にどうなんですか。
  39. 内田隆滋

    ○内田説明員 維持費の問題につきましては先生のおっしゃるとおりでございまして、やはり利用者負担ということで目下のところはお願いしている次第でございます。
  40. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 それじゃだめだと言っているんだ。だめだ。冗談じゃないよ、そんなの。どろぼうに追い銭ということばがありますけれども、いやしくも国の機関である国鉄だ。どろぼうであってはならぬですよ。共同アンテナを建ててやる、維持費はあなたが見なさい。それだけで、沿線で住んでいるだけで負担がかかるでしょう。月三円でも五円でも、そんなことは問題じゃない。金額の問題じゃない。精神的な問題ですよ。  山形環境庁大気保全局長お見えでございますが、最近山陽新幹線につきましても騒音、振動等についてかなり時間をかけて現地調査をされるということを承りました。東海道新幹線につきましては鋭意検討していただいて年内に暫定基準を出すということをたびたび御答弁いただいております。山陽新幹線につきましては一カ月程度はやってみたいというようなこともちょっと新聞記事で拝見をしたのですが、これも加味して、すでに調査をされた東海道のデータ等々も含めて検討されるということ。私は年内に暫定基準策定というのはおくれるのじゃないかという心配をしている一人でありますけれども、間違いなく暫定基準は年内にできますか。それとも、年内というならば、この前も聞きましたけれども、いわゆる四十七年度内というと来年の三月まで、田中さんのお得意の暦年でいえば四十七年十二月までだけれども、きょうは何月までにはつくりたいというお答えをいただきたいのですが、山陽新幹線の全面的な御調査の意図、同時に暫定基準決定の時期、いかがでございましょうか。
  41. 山形操六

    ○山形説明員 お答えいたします。  現在私ども、中央公害対策審議会の騒音振動部会の先生方による審議が続けられておりますが、先生御指摘のようなデータを積み重ねておりますと同時に、騒音の強度測定とアンケート調査による住民の反応に関する調査をいま実施の予定になっております。したがいまして、それらのデータの解析を経て、私ども行政当局は先生方に年内にぜひ御結論を出していただきたいということで御審議を願っていただいておりますので、これは年度内でなしに年内に御審議を願って早く結論を出していただいた上指針の設定を行なおう、こういう手はずで準備をしておる最中でございます。
  42. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣、私いまちょっと語気荒くやりとりいたしましたけれども大臣が指示されれば国鉄うんもすんもないのですよ。私がいま言ったようなスピードダウンの問題、これも二十カ所も三十カ所もやれというのじゃないのですよ。百ホン以上のところがあるのですよ。それから八十ホンというようなところもあるのですよ。国鉄自体が自分の機械で御調査されてデータを持っているのですから。それから、長いこと苦しんだ、悩んだ皆さんに対する補償、これらは省内で一ぺん鉄監局とよく時間をかけて検討いただいて国鉄に指示いただきたいと思うのですよ。あなたが指示すれば聞きますよ。私らが言ったんじゃなかなか聞かないんだ。ぜひ検討をして御指示をいただきたいと思うのですけれども、御見解を承りたい。
  43. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 新幹線公害につきましては、先ほどお話し申し上げましたとおり、早急に現地に参りましてよく私、身をもって体験したいと思いまするし、ことにまた環境庁との関係もありまして、昨日の公害対策委員会において小山長官からもお話がございましたので、よく連携をとって対処したいと思います。  また補償等の問題は、前例や慣例もございましょうから、それなどとも照らし合わせまして、住民の迷惑になっている点については、一日も早く公害のお苦しみを取り除くことが大事でございますから、そういう方向に進みたい、こう考えております。
  44. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 終わります。
  45. 細田吉藏

    細田委員長 斉藤君の質疑に関連いたしまして、福井勇君から質疑の申し出がありますので、これを許します。福井勇君。
  46. 福井勇

    ○福井委員 委員発言の予定を初めお願いしておこうと思いましたが、若干手違いをいたしまして、関連質問という形で簡単な希望と私の意見も申し上げておきたいと思います。  相当盛りだくさんな、運輸政策の全般にわたって質問したいという考えも持っておりましたが、これはあらためてのことにいたしまして、きょうは一点だけにしぼることにいたします。急なことでございますし、また財投あるいは資金計画国鉄に及ぼす影響が相当多うございまするから、この場で明確な答弁をいただくことは期待しておりません。  きょうは、一点にしぼると申しましたのは、市街化されておるところの大都市の中を通っておる国鉄の高架化だけのことです。たとえば、運輸大臣の御郷里である北海道のうちでも札幌のごときは、日本全国のうちでも高架化しなければならない地域が一番多うございます。まあ運輸大臣自体がわが田に水を引くということになるといけませんから、これはお預けにしておきますが、たとえばということで札幌などはもう一番重大なところです。こういう点、一々申し上げますと鹿児島までずいぶんたくさんあります。  私たち、今度国政調査の一地域として鳥取駅の高架化工事の状況を、委員長とともに視察することにもなっておりますが、そういう事柄について、いままでのような単年度で国鉄がもう十年あるいは二十年かけてというようなことをせずに、新たに田中内閣のもとにおいていろいろの新しい計画をされておるその中で、運輸交通の最もベテランであり、この点について最も高い見解を持っておられる佐々木新大臣のもとにおいて、市街地の高架化について何か画期的な方策を進めていただきたい、樹立していただきたい。簡単に一口でいえば、早くやってもらいたいということなんです。それについては、関連した資金計画がいろいろありましょう。たとえば田中総理が書かれた「私の十大基本政策」の中で、第十番目には「財政の単年度主義にとらわれることなく、長期財政計画を策定して、」云々ということがあり、「累計四百五十兆円の公共投資を行ない、」云々ということもありますので、これは高架化のことについて書いてあるわけではありませんが、総括してこういうふうな考え方でぜひ急速に計画を立てていただいて、都市内の交通緩和等に資していただきたいと思います。  先般、私は斉藤委員と相談しまして、静岡駅だとか、浜松駅だとか、豊橋駅だとか、こういういま東海道新幹線の通っておるところ並びに豊川とかいうところの、今後人口が稠密化しようとしておるところをつぶさに実地に拝見いたしました。ところが、計画はございましても、なかなかピッチが上がりません。こんなことじゃいけませんので、新大臣、新内閣のもとにおいて、これは二、三年のうちに、たとえば一兆円を投じてあるいは何兆円も投じて急速に都市内の交通緩和に役立たせる。昨年、私が委員長のときに、全国新幹線網十一兆五千億という、これは膨大な計画だと思いましたけれども、与野党とも一致してこの法律が通過しております。やろうと思えば、いいことであれば、与野党一致してすぐこれはでき上がると思いますから、この問題一つ取り上げても、急ピッチで計画していただくように熱望して、私の関連質問を終わらしていただきます。
  47. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 先般、私が就任いたしますと同時に、担当者のほうから七兆円に達します十カ年計画というものを出してきたのですけれども、いまお話しのような点について、ことに都市交通に対する早期達成をやろうということになるとばく大な資金を必要とするものですから、この七兆円十カ年計画の再検討の必要があるんじゃないか、こういうことを申し渡しております。そこで、当局におきましても、担当者たちがいまこの七兆円の内訳について英知を集めているようでございますから、近く私のもとにそういう点について提出されるんじゃないかと期待しております。従来のような、工事そのものも遅々として進まぬというようなことでは当然御希望に沿いかねますので、工事のやり方などにつきましてもできるだけ、かかったならば債務負担行為でもどんどんやるというような方向にやはり進まなければならないと存じます。たまたま北海道のことまで御心配いただいて、私はたいへん恐縮に存じておりますが、都市における高架化なんということは都市交通の大きな問題だと存じておりますので、御趣旨に沿うように懸命の努力を続けたい、こう考えております。
  48. 福井勇

    ○福井委員 さすがに運輸交通のベテランであるところの佐々木新大臣は御計画はもうすでに立てていらっしゃるということをいまここで聞きまして、非常に意を強くするところであります。このことにつきましては、従来の観念、すなわち地方自治体がどれだけ、たとえば県がどれだけ、市の負担がどれだけ、国鉄の負担がどれだけというような従来の観念でいったらこれはとうていできやしません。そこはやはり佐々木大臣田中総理というようなところでなければできぬと思いますから、ぜひピッチをあげていただくように熱望いたします。
  49. 細田吉藏

    細田委員長 宮井泰良君。
  50. 宮井泰良

    ○宮井委員 佐々木運輸大臣に初めて質問をいたしますが、田中内閣は決断と実行ということで現在までの内閣とは違う、こういうことでございます。運輸行政におきましても百八十度転換をいたしましてすばらしい運輸行政が始まるということを期待もいたしておりますし、国民もそう期待を持っておると思います。それをバラ色の構想に終わらさないように私ども協力できるところは十分協力したい、問題点はどしどし指摘もしてまいりたい、かように考えておりますので、ひとつよろしくお願いをいたします。  きょうは一般質問でございますから、問題を最近の社会問題にしぼりましてお尋ねを申し上げたいと思います。  それは大臣も御承知のとおり、最近の新聞紙上を見ますと、前々から問題になっておったのですが、レジャー用ボート、この事故が今夏海水浴場開きとともに非常にまた最近増大をしてきておる。連日各紙にも出ております。社説にも出ました。「海水浴場から暴走族を締め出せ」あるいは「ボート族も公害族」あるいは「殺人モーターボート」あるいは「無謀レジャー 無免許モーターボート海水浴客を殺す」という非常に悲惨な事故が相次いでおるわけであります。無防備なそして家族ぐるみでせっかくの楽しい休日に海水浴場で遊んでおるときに、突如としてこの無謀運転の無免許のモーターボートが暴走いたしまして腹を裂き割り、そして腕を引きちぎって、あたりはもう一面血の海になる。一転して地獄の様相を呈するというこの事件を連日私ども見まして、私は実はきょうのこの委員会を心持ちにして質問に立ったわけでございますが、やむにやまれぬ気持ちできょうはこの質問を申し上げたいと思います。  そこで、こまかいことはひとつ事務当局から順次お尋ねしていきますが、私の申し上げました全般的なことについて大臣の簡単な所信を述べていただきたい、かように思います。
  51. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 モーターボートに関しましては、私は長い間いろいろな関係がございまして、ことに日本のモーターボート産業というものは、あの小さなエンジンというものはやがて日本の家内工業としての中心になるべき性格を持っているのだ、こういう考えを持っております。しかし、残念ながら日本のモーターボートエンジンというのはほとんど遅々として進みませんで、オートバイとか自動車のほうが急速に伸びてまいりました。最近になってどうやら日本のモーターボートエンジンというものがレジャーの方面で伸びてきたことは御承知のとおりだろうと存じます。しかし今日の数量にいたしましても、外国と比較いたしますとまだまだその数量においては比較になりません。だからといってこれをほうっておけと言うのではございませんで、最近お話のような忌まわしい衝突事故とかあるいは海の上の交通事故が頻発していることにつきましては、運輸当局といたしまして真剣にこれに対処しなくちゃならぬと私は思います。ただ対処するがために角をためて牛を殺すようなことになってはいけませんので、その点は十分配慮しなくちゃならぬと思います。せっかくこれからの国民は、もちろんレクリエーションあるいはまた休日、こういうものもふえてまいりますし、週休二日制度なども叫ばれておりまして、いかにして国民のレジャーを十分レジャーらしい楽しみを考えてやるかということも政治の一つの大きな分野だと考えております。そこでたとえばただいま考えておりますことは、扱うものがやはり機械でございますから、ただ野方図にだれでもが機械を無条件で操縦するというようなところにお話のような事故が頻発すると思いますので、ある程度機械を操縦できるような範囲の軽免許制度のようなことは必要じゃなかろうかということで、運輸省といたしましてはただいま寄り寄り準備中でございます。もし成案が、まだできませんが、それらができましたら、皆さま方に提出いたしまして御審議をわずらわしたい、こう考えております。しかし、この規制も、どこまでもやはりレジャーである、しかもまた日本の当然盛んにしなければならない家内工業的なあるいは輸出産業になり得るこの産業を萎縮せしめるようなやり方は注意しなくちゃならぬ、こういうことを考えておりますので、それぞれの総合的な立場からこの点については万全を期して臨みたい、こう考えております。
  52. 宮井泰良

    ○宮井委員 いま大臣も指摘されましたが、週休二日制の問題で、これからまた公害の町をのがれて伸び伸びと海でレジャーを楽しむ、これは私ども考えは同様でございます。しかし、レジャーにも自省心というものが必要である。ただ野方図なものであってはならない、野放しであってはならない、かように考えております。  そこで具体的にお尋ねしますが、このレジャーボートの事故が相次いでおりますが、ここ数年に何件くらいありましてどのような形態になっておるか、最近のおもな事故はどういうものであったか、これを簡単に御説明を願いたいと思います。
  53. 紅村武

    ○紅村説明員 お答え申し上げます。  まず最近の事故でございますけれども、本年の六月一日から八月十日まで約二カ月と十日ほどでございますが、この間に人身事故が七件発生いたしております。このうち人のみのものが五件でございます。それから衝突事故が二件、こういうことになっておりまして、中にはただいま先生御指摘ございましたように、七月二十三日には一名が死亡し一名が重傷を負い一名が軽傷を負うというような大きな事故が起こっております。  それから過去の数字でございますが、レジャーボートの海難発生状況でございますが、モーターボートによりますものが、四十五年が六十五件でございます。これが四十六年は百一件ということになっております。  それから、その以前の数字はただいま手元に数字を持ち合わせておりませんので、もし何でしたら後ほど御報告させていただきたいというふうに思います。
  54. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、ここ数年急激に伸びてきておるということなんですが、前々からこれは問題になっておったわけでありまして、当委員会でもたびたび出たことであります。小型船舶安全対策に関する国会の附帯決議、これは昭和三十八年から毎年当委員会でも出されておる。あるいは四十三年からは、行政管理庁からこれも毎年勧告を受けておる、こういうことなんですが、その簡単な内容と、そして今日までそういったことに対してどうして対処できなかったのか。どうも運輸行政が後手後手に回っている感じで、その間にとうとい人命が失われていくということであってはならない、かように考えるわけですが、その点をお尋ねいたします。
  55. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 先生のおっしゃいますように、昭和三十八年以降数回にわたりまして運輸委員会におきまして勧告をいただいております。私どもは、船舶の安全の面で現在持っております資料で御説明いたしますと、御勧告の内容は主として小型漁船あるいは遊漁船あるいは小型客船、そういうものに対して有効な安全体制を立てるようにということが一番おもな骨子であったように考えております。
  56. 丸居幹一

    丸居説明員 船員局としましての対策でございますけれども、先ほど先生がおっしゃいましたいろいろな事故の内容がございますね。これについていろいろ調べてみますと、無免許であるために、免許を持っていないために操縦について無知である、あるいは危険防止について無知であるというために起こった大きな事故があるように一応考えられるわけであります。ただし無免許といいましても、持つべき免許を持っていないのかといいますと、そうではないので、船舶職員法の関係からいいますと、五トン未満の船舶を操縦するにつきましては、旅客を乗せない場合は無免許で差しつかえないわけでございます。ところが、そういうボート等がこの七月に三件くらい事故を起こしておりますけれども、やはりその操縦についての知識が非常に足りないために起こった事故というようなものが相当あるわけでございます。そういう点を考慮いたしまして、本年四月に、そういった五トン未満のモーターボートにつきましてもいろいろな講習を受けさす方法その他について船員局長名で通達をいたしまして、これらの五トン未満のものについて免許を持たすということについては新たに法律その他の改正あるいは制定をしなければならぬわけでありますけれども、それと知識の普及というふうな意味について通達を出しまして周知徹底をはかり、あるいはそれらの講習を受けさすような方法を講じていくようにということで通達を出したという、その程度の対策を一応はいたして一おります。
  57. 宮井泰良

    ○宮井委員 現在の実態はわかりますが、私が言いましたのは、それらの対策がおくれておる、なぜ、どこにそれができなかった原因があるのかと、こう尋ねておるのですね。現在、免許制度はあります。船舶職員法の小型船舶操縦士、これはございますけれども、これはまた後ほどお聞きしますが、漁船のことから、レジャー用ボートに乗るのに経験が何年も要る、あるいは魚をとる漁業のことから全部勉強して、相当な期間をかけてとらなくてはならない。ボートの好きな人は、専門的な免許証をとった人もおるわけなんです。ところがそれをとるためには、よけいなことを一ぱい勉強しなければいかぬ。それによってまた教習所がありますけれども、それは完全なものではない。また現在は、免許を取得しますと船長ということですから、自分が乗っていさえすればだれに運転させてもよろしい、こういうことでしょう。自分一人で乗っている場合は免許は要らない、そういうふうな法律的な問題もございます。これはもちろん後ほどお尋ねしますが、そういったことが前々から叫ばれておりながらなぜ手がつけられなかったのかという、ここをお尋ねしておるのです。
  58. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 船舶の施設の面での問題点といたしましては、まず船舶の安全につきましては、船舶安全法並びに省令によりまして船舶の安全を担保していくという体系になっているわけでありまして、総数七十数万隻と考えられます船舶のうち、船舶安全法で直接安全基準を設けて検査するということになっております船は四万隻でございます。残りの七十二万隻は、一応そういう面からははずれておりますが、これにつきましては都道府県知事が運輸大臣の認可を得まして安全基準を設け、さらに検査ができるようになっておるわけでございますが、実行の面におきまして都道府県にそういう機構がなかなかない、あるいは安全基準をつくっていくというようなことが非常にむずかしいというようなこと、あるいはその検査を行なうについて受ける側の理解が十分に得られないというようないろいろなことから、実態的には七十二万隻ほどの船舶のうち、二万五千隻くらいに対しまして十四の都道府県が安全基準を設け、これを実施しているというのが現状でございます。  私どもといたしましては、都道府県にそういう措置をさらにやるようにというようなことを勧奨してまいったわけでございますが、先ほど申し上げましたような実態で、なかなか思うように進まないというのが現状でございます。
  59. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいまもありましたように、県条例とか水上警察の条例ですかありますけれども、県でそれはやっていないというところのほうが多いわけですから、これは何ら実効をあげていない、こういうことです。  そこで、あと先になりましたが、もっと具体的な数字について、レジャー用ボートの製造業者の実態、またここ数年の生産実績、そしてその指導はどのようにしているか。これは大臣お話しされましたが、諸外国から比べますと非常に伸びが少ないということで、もちろん今後伸びていきますけれども、だからといってこれを野放しにしていいものかどうか。これは自動車の例を見ればよくわかるわけでありまして、昭和五十年で大体三千五百万台とか四千万台とか、こういうように自動車の生産というのはとめられないでどんどんこれからいくわけですね。そうなりますと、排気ガスの問題、光化学スモッグの問題、交通事故の問題、もうこれは現在最大の社会問題になっておるわけなんです。ボートのほうもおっつけ急激に伸びてまいりますと、後ほどまたお尋ねしますが、係留施設の問題、取り締まりの問題等が後手になりまして生産のほうが先にいっちゃって、そして事故が毎年どんどん伸びていくということになりますから、その点は運輸省として業者に対してどういう指導をしているのか、その点をお伺いします。
  60. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 まずレジャーボートの生産の最近の傾向でございますが、三十五、六年まではまあ専門家というか、ごく限られた範囲のレジャーということでございまして、生産も非常に小規模に行なわれてきたような実態でございます。その後レジャーの拡大あるいはボートの生産技術の進歩、そういうものと相まちまして非常に生産量がふえてまいりまして、昭和四十二年ごろになりますと大体生産八千隻、それが逐次ふえまして、昭和四十六年、昨年でございますが、昨年には二万六千隻、そういうふうな生産状況になっております。その大宗はやはり最近進歩いたしました強化プラスチックというようなものを船体に使ったもの、それから先ほど大臣からお話もございましたけれども、アウトボートエンジンというものの生産もこれにあわせて最近急速な進歩を見たというようなことではないかと考えております。  さて、そこで今後の生産の面におきます規制でございます。安全規制と申しますか、生産体制の規制ということでございますが、ただいまは先生の抑せのとおりこれらの船に対しまして全く規制の法律はございません。そこで、七十二万隻というようなものが一応安全法の直接的な対象外ということになっておりますが、これらにつきましては運輸委員会等の附帯決議もありますし、それから一昨年運輸技術審議会に諮問いたしました小型船舶の堪航性の確保ということにつきまして御答申もいただいております。それらの線に沿いまして対処していきたい。特にレジャーボートにつきましても安全規制の面に入れていくということでございますが、一方、また先ほど大臣からお話もございましたようにレジャーということも考えていかなければならない。そこでそれらの検査なり規制をやっていきますにはそれなりのことを十分に考えてやりたい。特にこのような大量生産というものにつきましては、現在私どもが持っております認定事業場制度あるいは型式承認というようなもので基本的なこれらの建造、生産に関します体制を業界に奨励いたしまして、それらのものについては検査の面ではある程度の緩和をして、基本的に生産体制の確立というようなものを考えていきたいというふうなことが私ども現在の考え方でございます。
  61. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは大臣は時間がないそうでございますから、ちょっとあと先になりますが、要点だけお尋ねいたします。  これは結論からいきますと、先ほど言いましたような法改正、小型船舶操縦士の免許についての法改正が必要であります。これは免許制度についても考えていかなくてはならない。それと登録の制度。これは、ボートの盗難事故を起こして逃亡した場合にスピードが早いからつかまらない。こういった面でユーザーの登録の問題、それからその後の検査制度の問題、船舶の安全性をチェックする検査制度、これも必要である。それからもう一つはマリーナの整備。これは自動車でも車庫のない野放しの自動車がありますけれども、係留施設、マリーナがないためにどこにでも入っていくし、どこにでもとめておく。こういうものの整備を急ぐ必要がある。これは政府が積極的に補助をして建設を急ぐ必要がある。  まあこれらの問題について個々に一つ一つこまかく聞く予定でしたが、大臣の時間がありませんから、これらをひっくるめて後ほどまた事務当局の方にもお尋ねしますが、近い通常国会等にこの法改正を出すお考えがあるかどうか、その点をひとつできるだけこまかく御答弁をいただきたいと思います。
  62. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 私は、レジャーなどに対する規制の問題はなるべくなら法律をつくって規制するというようなことは避けたいとほんとうは思うのです。だけれどもお話のような事故が頻発するような状況になりますと、これをほうっておくわけにもまいりませんのでやはり何らかの規制が必要だ。こういうことで、やむを得ず法律を制定しなくちゃならないのじゃなかろうかというようなことで寄り寄り省内においては協議しております。  まあ外国の例などをよく調べたり聞いたりいたしますと、アメリカなどにおいては、また周囲海に取り巻かれている国などではほとんど法律的規制はありません。たいがいクラブとかあるいは同志的な協会のようなものをつくって自主規制をしておりますが、しかしそれではたして日本の民族性に合うかどうかということになりますと、やはり日本においてはある程度の法的措置が必要だというようなことに最近、私、傾いてまいりました。  まあお話のようないろいろな点を加味いたしまして、そしてそのことによって、先ほどから申し上げるように、角をためて牛を殺すようなことのないように、生産あるいはまたレジャーというような両面を十分考慮をいたしまして近いうちにこの法的措置を講じたい、こう考えております。来たるべき通常国会に出すか出さぬかということはもうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  63. 細田吉藏

    細田委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。斉藤正男君。
  64. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣、あなたはどういうふうに引き継いでいるか知りませんけれども、この問題は当委員会でももうたびたび問題になって御検討いただいていることは事実なんです。いまもいみじくもおっしゃいましたけれども、運輸省の役人は正直言ってレジャーボートのことについて知らないのですよ。それで私は前運輸大臣のときに、先進国を調査してこい、そして関連法案を一斉にこの際きめなければ後手後手だよということで、前の大臣はやります、外国を見させます、こう言っている。私は運輸省にちょくちょく行ってああしなさい、こうしなさいなんということはあまり言いませんけれども、次官はかわっちゃう、大臣はかわっちゃう、局長もあらかたかわっちゃうというようなことでこの委員会で約束されたことが実施されないのですよ。一体何を委員会で約束したのかわけがわからぬ。いまお尋ねに対して大臣も言われましたけれども、先進国はぜひ調査をさせてほしい。どうなっているのかお答え願いたいのです。
  65. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 前の大臣がお約束いたしましたということになれば、当然これを実行することは私の責任だと思います。  レジャーボートにつきましては、口幅ったいようでありますが、私はここ二十年以上もこれを専門に体験しておりまするし、もともと、皆さんよりは知識はないかと思いますが、十分承知しております。ときどきかわる役人以上に私のほうが詳しいと思いますから、十分私自身が判断をいたしまして決意をしたいと思いますので、御期待に沿うように方針を定めたい、こういうことで御了承いただきたいと思います。
  66. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、ちょっとあと先になりましたが、レジャー用ボートの年度別の保有台数ですね。正確な数字を、そして今後の昭和六十年までの伸びの予想、これをひとつお尋ねいたします。
  67. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 保有台数でございますが、正確にということでございますけれども、私ども現在持ち合わせております資料はグラフになっておりますので、正確ということはちょっと期し得ないのでございますが、大体四十六年度におきまして十万隻、四十五年度におきましては七万隻くらいであったかと存じております。
  68. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、運輸技術審議会が小型船舶の対策について昭和四十六年に答申をしておりますが、その要点をひとつ知らしてもらいたいと思います。
  69. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 運輸技術審議会におきまして、「小型船舶の堪航性の確保」ということで答申をいただいております。  その要点につきましては、現在安全法で直接的に安全基準を定め、その検査をすることになっております船以外の船、先ほど申し上げました七十二万隻、この全部につきまして安全基準を定める必要があるということが一点でございます。それからその七十二万隻の安全基準を定めました中で特に安全性の重要なもの、たとえば小型漁船あるいはレジャーボートあるいは遊漁船、そういうものにつきましては検査の合理化をあわせ考えて、外郭団体においてこれについては検査を行なう必要があるということが第二点でございます。それから第三点といたしまして、これらの検査を行なうについてはさらに合理化考えて、先ほど申し上げましたが、認定事業場制度あるいは型式承認を拡大いたしまして、これらの生産あるいは修理、そういう面にまでそういう制度を適用できるようにするべきであるというようなことが答申の趣旨でございます。
  70. 宮井泰良

    ○宮井委員 そこで、海上保安庁にお尋ねしますが、ボートの航行海域ですね、どの辺までと考えておるか。最近海水浴場に乗り込んで死亡事故を起こしておるケースが多いわけですが、これは禁止区域の指定というものはどういうふうになるか、その点はいかがですか。
  71. 紅村武

    ○紅村説明員 お答え申し上げます。  まず第一の点でございますが、これはそれぞれの海水浴場の実情あるいはまたボートの性能その他の問題もありまして、現在のところ一律にどこまでという基準というものはまだ私ども承知いたしておりません。その辺はまださらに今後検討する問題であろうかと存じます。  それから第二の点でございますけれども、先生おっしゃいましたことはレジャーボートの運航面での規制ということになろうかと思うわけでございますけれども、この点につきまして現在法律的な規制はございませんが、各県で、これは全部の県ではございませんけれども、相当数の県で海水浴場取り締まり条例でございますとか、あるいは迷惑防止条例といったものを制定いたしております。この条例の内容として、レジャーボートの海水浴場の遊泳区域内立ち入り禁止、これはただいま先生の御指摘になった点に該当すると思うわけでございますけれども、そういったことでございます。あるいはレジャーボートによります一般の海水浴客に対します迷惑行為といったものを規制しておるわけでございます。私ども海上保安庁といたしましては、こういった条例に基づきまして警察側とも協力をいたしながら取り締まりを実施しておる、こういう状況でございます。
  72. 宮井泰良

    ○宮井委員 水上警察と迷惑条例、水上取り締まり条例、こういうものがございますが、現在の時点では県で条例もないところもありますし、罰則もないというようなことで、現状はそういうことでありますから、よくひとつ検討をしてもらいたい。  それから最近漁業者とのトラブルが非常に多くなってきておる。網を切ったりあるいは油で魚が死亡したり、いけすが破壊されたりということになっておりますが、それらの解決方法はどのようにしておるか、その点をお伺いします。
  73. 紅村武

    ○紅村説明員 ただいま先生の御指摘になりました点でございますが、そういうようなトラブルが間々あるということは情報としては承っておりますけれども、実は被害届けというものはあまり海上保安庁のほうには現在出てまいっておりません。したがいまして、あるいは当事者同士で解決をされておるのではないかというふうに私ども現在は承知いたしておるわけでございますけれども、現状はそういうような状況でございます。
  74. 宮井泰良

    ○宮井委員 その点もひとつよく実態を把握して取り組んでもらいたいと思います。  また、同じく海上保安庁にお尋ねしますが、ハーバーチーフというのがいるのですね。いま、マリーナにはその中心者、いわゆる飛行場でいえば運航管理者というふうなものがいますが、何の権限も持っていない。たとえ波が高くても、あらしが来るようになっておっても、それを出ては危険ですということを言う出港停止の命令ができない、ただマリーナの管理をするだけで。これらについては多少の権限を持たすべきではないかと思いますが、これはいかがですか。
  75. 紅村武

    ○紅村説明員 ただいま先生のおっしゃいましたハーバーチーフというのがちょっと、私ども海上保安庁の機関といたしましては港長というのがございますが、港長のことではなくてむしろマリーナあるいは港湾の管理者のことをおっしゃっておるのではないかという気がいたしますが、実はその点につきまして、港長の問題ですと私どもの問題になるわけでございますけれども、管理面という問題になってまいりますと、これは港湾局からお答えをいただいたほうがよろしいかと思います。
  76. 岡部保

    ○岡部説明員 ただいま先生がおっしゃいましたハーバーチーフの問題、これは非常にはっきりしたマリーナというのが日本の全国を見渡しましてもあまり数がないわけでございます。それでいわゆるマリーナとしてこういうレジャーボートの専用と申しますか、主としてそういう目的に使われておる港というのが全国で大体百七十港ぐらいございます。しかもそのうち、港に二百隻以内の収容能力しかないという港がその百七十港のうちの九〇%以上を占めておるというような状況でございます。したがいまして、現段階でいま先生のおっしゃいましたような、一つの形ができておるというような姿では一般的に申し上げてまだないことでございます。それからその比較的大型のところでは、確かにいわゆるクラブ組織に近いものができております。そういうところでのチーフは、場所によりましては、そういう荒天の注意を与えるというようなところまでやっておる例がございます。ただこれもまだ一般的でない。したがって、そういう面は今後とも進めていかなければならないことだと存じております。
  77. 宮井泰良

    ○宮井委員 法制度自体がないわけですから、完全なものじゃないと思いますが、その点はひとつ対処できることからやっていただきたい。もちろんそれがレジャーを楽しむ人たちにとって非常な障害などになってはいけませんが、伸び伸びとレジャーを楽しんでもらいたいと私ども考えます。無防備であらしの日に気象条件どもわからないで飛び出し、あとで災難が起きてから悲しむということになってはならない、こう考えておるわけであります。  先ほど大臣にもお伺いしましたが、的確なお答えがなかったのでお尋ねしますけれども、この免許制度ですね。現在ボート隻数に対して、また人員に対して免許を取っている人は何人くらいいるか。それで新しい免許制度をどのように考えておるか。日本自動車もアメリカ並みになっておりますが、アメリカは一九七〇年で八百八十一万四千隻ということですから、だんだんそれに近づいてくる。こういうことから新しい免許制度も必要になってくる。それも簡単に一日くらい朝から夕方まで講習を受けて、わずかな時間を費やせば免許を取れるようにして、そこにおいて海洋知識というものも植えつけていく。アメリカはこれだけの隻数はあるけれども、海洋に対する青年の指導というものが徹底されておるからボートの事故は起きない。日本は四方を海に囲まれておりながら、そういった青年に対する政府の指導というものが行き届いていない。そういった点も必要であると思いますが、お答えを願います。
  78. 丸居幹一

    丸居説明員 さっき発表がございましたが、私のほうで推定をいたしておりますレジャーボートは、昭和四十七年十月末で約十二万隻というふうに推定いたしております。この中で海技免状を持っておる者、六月一日現在で調べましたのですが、これが三万三千五百人ということになっておりますので、残りの大部分の人は海技免状を持っていないということでございます。海技免状を持っていない者は、先ほども説明いたしましたように、五トン未満の船は現在のところでは法律的に海技免状を持つ必要がないということもございますので、持っていないわけでございます。  そこで、それに対する対策でございますが、先ほども申し上げましたように、知識、経験がないために起こる事故が非常に多うございますので、やはりそういう知識、経験を持たすためにそういった人に訓練をする必要がある。さっき先生もおっしゃいましたように、そういうレジャーボートだけやるのにそんなに多くの知識は要らない。現在の船舶職員法の体系からいいますと、ずいぶんといろいろな知識を詰め込まれまして、そうしないと試験に合格しないというふうな実情でございまして、こういった試験をそういったボートにまで適用していきますと、非常に取りにくくなってまいります。その必要もないじゃないか。漁船の知識から何からみんな持たないといまのは小型操縦士免許をもらえませんが、漁船の知識あたりは必要ない。それで、ボートをあやつる上において最小限必要な知識を教え、そしてその実技も教えるという程度のものをつくりまして、なるべくみんなが免状を取りやすいようにしていこうということで、新しい法律をこの際制定したらどうだろうかというふうに考えておるのでございます。新しい法律ということをいま申しましたのは、いまの船舶職員法というのは専門の船員を対象にした法律になっておりますけれども、ただいま申し上げましたように専門の船員ではございませんので、おのずから法の構成、法思想の上にも大きな違いがございますので、モーターボート専門のそういった免状についての法律を新しく制定するのが適当ではないかというふうにいまの段階では考えておる次第でございます。そういたしますと、ただいま先生おっしゃいましたように、一日ではちょっと詰まり過ぎるかもしれませんが、十時間程度の実技と座学をやれば免状がもらえる、そういう程度のモーターボートの免状にしたらどうかというふうな考え方をいま持っておる次第でございます。
  79. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは時間がないようですから、最後に結論的にまとめて質問をして、それにお答えをいただいて終わりたいと思います。  先ほどもお尋ねしましたが、この登録の問題です。ボートを講入しましてユーザーが登録する場合に、県や市でやるか、あるいは海運局でそれをやるか、その他の方法でやるか、何らかの方法が必要であると思いますが、どう対処されていくおつもりか。昭和六十年以降になりますと膨大な数になりますから、その数をこなせるかどうかということが心配でありますが、その点のお尋ねが一点。  それからもう一点は検査制度で、購入して、その後の船舶の安全性をチェックする検査制度はどう考えておるか。  そして最後の一点は、マリーナの整備ですが、これは港湾局で差し迫って必要になってくる。アメリカにおいても膨大な施設があるし、フランスにおいても海岸一帯にすばらしいマリーナの建設がいま進められておるというふうなことでありますが、それにどう対処するか。またレジャー観光センターとこれを結びつけてやるという考えもあるようですが、観光施設と同じにした場合に、入会費が非常に高くなったり、数が少なく入会する人が少なくなりまして、船を持っておってもそこへ行かないで野放しになっていく。これはやはり大衆化して、より廉価なものにしていかねばならない、このように思いますが、この点をどうされるか。そして結論的には、安心してボートにも乗れる、安い、そしてこの施設も一般の人たちが十分利用できるようなときがいつ来るのか、海水浴客が安心して泳げることがいつごろ実行されるのか。そのような健全なレジャーの育成ということから見ましても、ことしじゅうにやるのか来年の夏には間に合うのか、その辺のところをどなたか局長さんにお答えしていただいて質問を終わります。
  80. 田坂鋭一

    ○田坂説明員 登録制度と検査体制という二点につきまして私から御答弁申し上げます。  まず登録制度でございますが、先生も仰せのとおりに非常に膨大な数になります。この登録制度が完全実施されれば、確かに目的からいえば満点でございますけれども、まずレジャーボートにおきます登録制度の最大の目的は、船舶の識別ということではないかと存じます。そこでその目的を果たすために私どもは検査を行なうということを先ほど申し上げましたが、その検査を行なう段階におきまして検査番号、そういうものを船舶に付与していく、それをまた識別番号として考えていく、検査の段階で検査番号を付するということで十分目的を果たせるのではないだろうかというふうに現在は考えております。  次に、検査体制でございますが、これは先ほども御説明いたしましたように、昨年答申を得まして現在鋭意準備を進めまして原案が私どものところでできたという段階で、まだ省内的に全体的な結論を得ておらない段階ではございますが、私ども考えております現在の状況は、検査を行ないますについては外郭団体をつくる、その外郭団体は認可法人でありたい、そういたしましてこの船舶は津々浦々に行き渡っておりますので、そういうものも全部カバーできるような体制、検査にあたりまして船の所有者に、あるいは船の利用者に検査のために迷惑をかけないような体制をとりたいというふうに考えております。
  81. 岡部保

    ○岡部説明員 マリーナの整備の点でございますけれども、先ほど申しましたように、日本におきます現状としてははなはだまだ整備が行き届いていないというのは事実でございます。特に先ほどは申しませんでしたが、約百七十港あるうちの九割は民間のつくりました港でございます。一割だけが地方公共団体のつくった公共的なマリーナであるという段階でございます。こういうふうな点、これのよってきましたゆえんについて若干触れさしていただきますと、将来いわゆるレジャーというものに対する公共投資というのはあまり認められなかったというのが事実でございます。そこで、港湾関係といたしまして、相当に整備をしようということで、財政当局ともいろいろ打ち合わせをしたことがございますが、いままでですと、オリンピックのため、あるいは国体のため、こういうようなものに限定されまして、それ以外は公共投資の対象にはあまりされなかった。そこで最近の情勢から考えまして、公共投資の対象にもっとするべきであるということで、たまたま本年度から地方で四港ほどこういうマリーナ的なものの整備ということにようやく踏み切れたという実情でございます。先ほど先生おっしゃいましたように、このマリーナの整備というのは将来のことを考えて非常に大規模のものを考えるということが一つございますのと、もう一つこういう事故の問題にからみましてさしあたり考えなければいかぬという問題が別にあるんではないかということで最近私ども議論しておる最中でございます。と申しますのは、海水浴場のちょうど中でヨットが出たりモーターボートが出たりしております。ああいうものを海水浴場の端っこのほうにいわゆる小規模なもので船だまりをつくりまして、そういうところに収容し、出ていかせるというふうな、これは投資規模から申しましたら非常にわずかなものでございますが、そういうようなことを考えるのがまずさしあたり必要ではないか。それから先ほど申しましたようなほんとうのマリーナの整備というものを並行してやるべきだ。こういうさしあたりの問題と、それから長い目での計画的な問題、この二つの種類について考えなければならないという感じを持っております。いわゆる計画的に整備いたしますほうは現在実施いたしております港湾整備五カ年計画にも織り込んでございますし、またさらにこれを拡充していくということは考えておりますが、さしあたりのほうの問題は、従来の点ではいささか意を用いていなかったというのが実情でございます。そこの辺、これはどうしても反省しなければいかぬと考えております。今後現実にそういうものを織り込んでまいりたいという考え方でございます。したがってこういうようなことで、先ほどおっしゃいましたようないわゆる観光レクリエーションの一つの大規模な基地というものにマリーナを織り込んでいくということは、これは確かに必要でございますし、計画もいろいろ持っておるわけでございますが、先ほどおっしゃいましたようなレジャーの大衆化という点では、やはり民間の造成したマリーナというものが、たとえばクラブ制度で入会金を相当高く取る、あるいは施設の使用料も相当高くなるというふうな点がございますので、この辺はなるべくいわゆる港湾の基本施設に対して公共投資を入れまして、財政資金を投入することによってそういう大衆化という方向に進めていきたいという考え方を持っております。
  82. 丸居幹一

    丸居説明員 免許のほうでございますけれども、これはさっきも申しましたように非常にたくさんございますので、国が全部実技まで試験をすることは不可能でございますので、指定自家用船教習所という自動車教習所のようなものをつくりまして、そこで実技と学科と両方合計して十時間程度のものを教えまして、それを修了した者については国が免許を与えるという方法をとっていきたい。それから、いや、わしは実力があるから試験を受けたいという方につきましては、別途国が学科試験を行ない、適性検査を行なう。それから実技については、認可法人を一つ設立いたしまして、そこで実技の試験をして、それに合格した者は国が免許を与える、そういう方法をとっていきたいと思います。  これはわれわれの構想でございますが、何せ、これをやりますには法律が要りますので、法律通常国会にできれば提出いたしたいという考え方でいま準備をいたしております。法律が通りましたら、その次の、したがいまして先生御質問の問題でございますが、来年の夏は大部分免許をとってくれるような段階に進んでいくのじゃないか、次の年にはみんな常識のある運航をしてくれるものと思います。
  83. 細田吉藏

    細田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十七分散会