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加藤進君 そうしますと、審議会には
文部省の調査官も出席し、調査員も出席して、詳細に事前審査の結果を報告して、これが基礎になって審議はするけれ
ども、審議会は審議会としてのとにかく主体性もあり、独自の見解も持ってこの審議に臨むものだと、したがって、その合否のくつがえることもあり得るんだと、こういう
説明でございますね。
そこで、お聞きしますが、教科書検定審議会の「総計」というところをごらんになれば明らかでございますけれ
ども、修正意見書で示された三十三カ所の欠陥のほかに、調査官と調査員の調査意見書で採択した欠陥が認められたと。すなわち、審議会で新たに三十三カ所の欠陥を認めたそのほかに、調査員、調査官の前もっての意見のもとでの欠陥もこれを認めたと、まあこういうふうになると思いますね。それで、評定の結果は、調査官の評定結果よりも、
先ほど言われましたような正確性及び
内容の選択の項目においてそれぞれ一段階下のものに評定されたと、まあこうして七百七十四点・不合格、こういう判定が出た、これが事実の問題でございますね。そこで、このように正確性と
内容の選択の項目について審議会は独自に新たに欠陥をいわば
指摘したと思います。
そこで、私はここでお聞きしたいのは、一体どんな正確性の欠陥というものがこの審議会において問題になったのか、こういう点でございます。私、この修正意見書の数をいろいろ調べてみますと、特に審議会で新たにつけ加えたものが二十五項目あります。その二十五項目のうちの十五項目は、正確性の欠陥としてあげられております。そうですね、正確性の欠陥です。そして、
あとの十項目は、
内容の選択についての欠陥である、まあこういうふうに示されております。
そこで、特に
指摘申し上げたいのは、正確性の欠陥があるといわれる具体的な事実は何かと、こういう問題であります。これは全部の事例をここで申し上げる必要はないと思います。実例の第一は、「今まで中国文化と、中国を経てきたインド文化だけを受け入れてきた日本は、新しく南蛮人のもたらす西洋文化を取り入れることになった」と、これは近代の始まりの時期だと思います。こういう記述に対して、審議会建正確性の欠陥をどういうふうにして
指摘しているのかと申しますと、ここにちゃんと記述があります。「日本は外国から、中国、印度の外に、ギリシア、ペルシアの文化も入れている。」と。ギリシア、ペルシアの文化も入れていることが抜けているから、これは欠陥だというわけです。ギリシア、ペルシアの文化だって大陸から来ていることは明らかです。これを欠陥だと
指摘して点を落としたのです。こういうことによって正確性の欠陥を
一つ一ついわば点数を落として、最後のところ不合格にしたわけです。
もう
一つ言います。この家永本の原稿によると、日米安全保障条約の問題ですが、「日米安全保障条約によって、アメリカ軍は日本に駐留を続け、全国各地に多くの基地を保有した。」とあるが、それは、基地というのは正確さを欠くのであって、「
施設及び区域」とするのが正確だと、基地はいかぬというのであります。高見文部
大臣、アメリカの基地などということばは使っちゃいけませんか。必ず
施設及び区域ということばを使わなくちゃならぬとなれば、国会の論議はもう一度やり直さなくちゃならぬと思いますが、その点はいかがでしょう。こういうことまでがいわば欠陥として
指摘されている。そのための減点ですよ、これは。私は、常識的な
教育者の
立場から言うなら、こういうこともをって正確性の欠陥などという
指摘をする審議会の頭を私たちは疑わざるを得ない。こういう問題が正確性の欠陥の中からは続々出てくるわけであります。その点文部
大臣はほんとうにどう思われますか。こういうことを欠陥だと、こうして減点するわけでございますから、しかも
文部省が任命した調査官やあるいは調査員の諸君の決定した判定をくつがえすわけでございますから、事柄は重大であって、しかも最後には教科書の検定は文部
大臣がするというわけでございますから、文部
大臣みずからがこれをやられたと言っても差しつかえないわけでございます。この点についての高見さんの責任ある所信をお聞きしたいと思います。