○
国務大臣(
廣瀬正雄君) ただいま
郵政省で考えておりますいわゆる庶民金融、正確に申しますと、郵便貯金の預金者貸し付けの問題でございますが、この問題は、私ども庶民の福祉を増進するにはきわめて有効な制度である、こういうように考えて
熱意を燃やしておりますことは、御
承知のとおりてございまして、ただいま
鈴木委員が非常に深い御
理解を持って御激励を賜わりましたことを感謝申し上げる次第でございますが、御
指摘のように、私どもといたしましては、今度の
国会に
政府提案で出したいという念願を持っておりますわけでございますけれども、なかなか
関係省庁との
連絡、
理解がいただけない
状態で、まことに残念に思っておるのでございます。いろいろ大蔵省のほうからも御答弁があるかと思いますけれども、私どもに先に言わしていただきますれば、大蔵省は、第一に、郵便貯金の預金者に貸し付けをするということは、これは郵便貯金制度の非常に大きな変革である、たいへんな問題であるというようにおっしゃるわけでございますけれども、私は常に申しますけれども、それが
国民、庶民の福祉につながっておるということでございますならば、この郵便貯金が従来は預入をもっぱらやっておったわけでございますけれども、これは何も神さまがつくった制度ではございませんので、こういう機会に制度の変革をすることこそ最も望ましいんじゃないかというように考えております。
それから次に、財投に支障を来たすということをおっしゃっておられますけれども、私はこれは全然当たらない話だと思っておりますわけでございまして、今度の制度を創設しなければ、預金者が生活上の不時の入費につきまして預金を引き出すということになりますわけでございまして、それを補助したい、そのために立てかえをいたしたいと考えるのでございますから、と申しますのは、郵便貯金というのは、御
承知のように、長く預けておけばおくほど有利でございます。特に郵便貯金の大宗をなしております定額貯金はそういうような制度になっておりますので、預金者のためを思いますと、途中で引き出しをおやめなさい、そのかわり貸し出しをいたしますよという制度を設けたいという考えでございまして、不時の入費に預金を引き出すべきところを立てかえをするというわけでございますから、私は全然財投には
関係ないと思いますし、のみならず、そういう制度を始めますと、郵便貯金もおのずからふえてくるということになりますわけでございますから、むしろ財投という立場から申しますと、全額がふえて好ましいことじゃないかというように考えておりますわけでございます。これまた当たらない反論であるかと思っておりますわけでございます。
また第三に、銀行業者の立場を大蔵省はお考えでありまして、銀行業者の民業圧迫になるんじゃないかということをおっしゃっておりますけれども、これまた、従来、御
承知のように、銀行業者というのは、庶民の五万、十万、二十万という生活上の入費に対しましては、ほとんど貸し付けをいたしていなかったわけでございまして、不動産を担保に持ってこいとか、あるいは有力な保証人を立てよとかいうようなことをおっしゃって、銀行業者はなかなか庶民の生活を助けてやるということをいままでほとんどやらなかったのでございますから、そういうブランクを埋めるというところに私どもはねらいを持っておりますわけでございまして、でございますから、
郵政省のこういう主張に対しまして、銀行業者が最近庶民金融を始めようというようなことを出していらっしゃるようでございますけれども、これまたきわめてけっこうだと思うのでございまして、銀行業者もそういうことをお始めになる、われわれもそういうことをやりますれば、両々相まって庶民の福祉を増進するということになりますわけでございますから、これまた当たらない御主張であるかと思います。
それからまた、郵便貯金は税制の面において特に優遇しているじゃないかとおっしゃいますけれども、これは銀行預金と同じでございまして、郵便貯金は限度は百五十万円までしか預けられませんので、百五十万円ということにいたしますと、銀行預金も百五十万円までは無税でいきますわけでございますから、特別に郵便貯金が優遇されているということもございませんし、そういうようなことをいろいろ考えますと、私は大蔵省のおっしゃっていることは当たらないというふうに確信をいたしております。また、農協方面からも反対があるようでございますけれども、農協の信用業務をなさっておられます方はあるいは御心配かもしれませんけれども、農民自体から申しますと、農協から借り入れられ、郵便局からも金が借りられるというようなことでございますから、私は先日連休に郷里へ帰りまして、私の選挙区はもうほとんどすべてが農民でございますので、たくさんの数の農民に当たったのでございますけれども、一人だって郵便局がこういう制度を創設することについて反対者はなかったようでございます。ますます自信を強くいたしましたけれども。まあこういうことで、諸外国でも郵便貯金をやっております国は、この貸し出しをやっております国が多うございますし、また公共的に営利を離れて貯蓄銀行というような経営をしておるところもございますけれども、そういう外国の貯蓄銀行は、これまた大
部分の国が貸し付けもいたしておりますような事例もございますし、また
国会では、
昭和三十七年度からでございますか、四回にわたってこういう制度は創設するように検討をやるべきだという御決議も本会議でいただいておりますようなことでございますから、ぜひやりたいというように考えておりまして、いろいろ大蔵省に折衝を続けましたけれども、なかなかまあ大蔵
大臣も忙しいというようなことで、ちょうど
予算のための
国会であったわけでございますから、まあ非常に御多忙であったと思いますわけでございますけれども、やっと最近、せんだって大蔵
大臣と私との会談ができまして、まあ事務的にも話をひとつ更新して進めていこう
——実は事務的には私どもは大蔵省にいろいろ資料を提供いたしまして御検討を願っておいたはずでございますけれども、大蔵省ではあまり御検討をなさっていらっしゃらなかったということであったと見えまして、事務
段階からまた始め直そうじゃないかというようなことになりまして、幸いに今月の二十日から、事務
段階から発足いたしまして、検討を、協議を始めることになったわけでございます。ところが、御
承知のように、今度の
国会も残り少なくなっておりますし、大蔵省の、まあ
大臣が参議院の大蔵
委員会で御答弁なさった御
趣旨、また第一回の二十日の事務折衝の
段階の
お話の状況から申しましても、どうも大蔵省は少し気長にお考えになっていらっしゃるようでございまして、どうも今度の
国会中に
関係の省庁
お話が妥結いたしまして、法律案を
国会提出というようなことになるには、非常におぼつかない、不安な感じを持っておりまして、私はまあ非常に焦慮をいたしております。これは全く私の微力のしからしめるところだと思って、非常にはずかしく思っておりますわけでございますが、微力ながら
最善の
努力はずっと一貫いたしまして続けておりますつもりでございますけれども、どうもそういう域にまで到達しないことを申しわけないと思っております。これは
国民に対して申しわけないという気持ちで一ぱいでございますが、幸いに野党の議員さんの間におきまして、
政府がまごまごするならばわれわれも議員提案でも出そうかというようなことで御決議を賜わった政党もあるやに承っておりますわけでございまして、まあ私といたしましては、私どもの力が足らずして
政府提案がどうしてもできないと、まだまだ望みを捨てておるわけじゃ決してございませんけれども、間に合わないというようなことでもなりました場合には、議員提案でお出しになって、幸いにそういうような制度を開かれるということになりますれば、私はけっこうだと思っておりますわけでございまして、とにかく私どもといたしましては、
政府がやろうと、あるいは議員さん方がおやりくださろうと、こういうりっぱな庶民の福祉増進のための制度というものが、こういう道が開かれさえすればそれでよろしいという気持ちでございます。決してこれは責任を回避するわけじゃございませんけれども、最後まで
努力いたしますけれども、そういう議員さん方の動きにも非常に大きな希望を持っておるというのが現在の
段階でございます。