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1972-04-24 第68回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十四日(月曜日)    午前十時四十分開会     —————————————    委員の異動  四月二十二日     辞任        補欠選任      小平 芳平君     矢追 秀彦君      矢追 秀彦君     鈴木 一弘君  四月二十四日     辞任        補欠選任      山崎 竜男君     白井  勇君      大橋 和孝君     辻  一彦君      辻  一彦君     小野  明君      小野  明君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         松永 忠二君     副主査         山内 一郎君     委 員                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 白井  勇君                 山崎 竜男君                 大橋 和孝君                 鈴木  強君                 辻  一彦君                 羽生 三七君                 鈴木 一弘君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省航空局長  内村 信行君        気象庁長官    高橋浩一郎君    説明員        警察庁交通局交        通規制課長    竹岡 勝美君        大蔵省主計局主        計官       金子 太郎君        運輸大臣官房観        光部長      住田 俊一君        運輸省鉄道監督        局施設課長    信沢 利世君        気象庁総務部長  石原  明君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道常        務理事      長浜 正雄君        日本国有鉄道常        務理事      原岡 幸吉君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君        新東京国際空港        公団総裁     今井 栄文君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十七年度総予算中、運輸省所管を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 大橋和孝

    大橋和孝君 本日は、運輸省及び国鉄に対しまして少しくお尋ねしたいと思うわけでありますが、昨年末から今年三月にかけて、首都圏大阪圏とか名古屋圏のそれぞれにわたって、交通網あるいは輸送力増強計画について、都市交通審議会答申を行なっているのであります。近年、人口都市集口に対しまして輸送力が追いつかないという問題が非常に大きな社会問題となっておるときでありますが、まずこれらの答申を受けて、運輸省なり国鉄はこれをどのように受けとめて計画を進めていこうとされておるのか、その考え方を伺っておきたいと思います。
  4. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、もちろん、運輸省といたしましては、都市交通審議会答申を十分尊重いたしまして、これが具体的の実現に努力をするつもりでございます。  詳細につきましては、鉄道監督局長から御答弁させます。
  5. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 大都市におきまする交通整備につきましては、都市交通審議会中心といたしまして、鋭意その内容について審議方向を定めまして、そしてこれに対する整備促進をいたしておるところでございます。  それで、都市交通審議会におきましては、先般、東京名古屋大阪等につきましての交通網整備につきまして基本的な方向を差し示すものといたしまして、主として地下鉄中心とする高速鉄道網というものの整備、増進に関しまするところの計画を策定いたしまして、そうしてこれを運輸大臣答申をいたした次第でございます。  内容を少し申し上げますと、まず東京圏でございますが、東京圏におきましては、東京及びその周辺における高速鉄道中心とする交通網整備増強に関しまして答申をいたしました。その内容といたしましては、東京都周辺部から都内業務地への通勤交通の確保と東京都市圏の育成、江東地区等路線網整備新幹線鉄道網全国交通網との結合の強化ということを目ざしまして答申をいたしたわけでございます。総延長五百七十キロでございますが、既答申部分二百八十キロ、追加答申部分二百九十キロでございます。もし詳しいことが必要でございましたら、さらに申し上げますが、一応総体的に申し上げますとそういうことでございます。  次に、大阪圏につきましては、大阪及び京都地区につきまして、高速鉄道整備につきまして答申がございました。これにつきましては、既設路線新設路線整備計画といたしまして、まず大阪中心といたしまする高速鉄道網整備につきましても、新線建設十六路線、それから既設線複線化複々線化路線答申をされております。それから京都中心といたしまするところの高速鉄道網整備につきましては、新線建設が三路線既設線複線化が三路線答申をされております。これらの路線のうちで答申におきまして緊急に整備すべき路線といたしましては、大阪中心とする計画におきまして、新線建設が十路線、それから既設線複線化複々線化が六路線京都中心とする計画につきましては、新線建設路線でございます。  なお、名古屋につきましても、同様に都市交通審議会で、これにつきまして名古屋中心とする整備計画を定めております。
  6. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま大臣からおっしゃいましたとおり、昨年の十二月八日に都市交通審議会から、大阪圏、すなわち大阪京都についての高速鉄道網整備答申が出まして、私どもといたしましても、大体東京付近につきましては、もう一応峠を越したと申しますか、これ以上のことはできないところまでいっております。いままでわりあいにほうっておいたと言っては失礼ですけれども、手の入っていなかった大阪京都付近におきましては、これからひとつ積極的にやってまいりたい。もちろん、いろいろたくさんございますので、緩急、運輸省といろいろ御相談いたしましてやってまいりたいというのが根本的な方針でございます。
  7. 大橋和孝

    大橋和孝君 いろいろ答申を受けとめてもらうのは——いままでの経過から言えば、非常に都市集中化が激しいのにかかわらず、これが追いついてないというところに、非常に私は問題があると思う。こういう大衆の足ということを考えるならば、むしろ先行的にやるべきであって、これがいままで比較的——いろいろな諸条件がありましたからそうなったということも、うなずけない点もないではないと思いますけれども、しかしこれは先行してやるということのほうがよほど大事でありまして、いまことに大阪圏方面を考えてみますと、そのおくれは非常にきついものがあると思うんですね。そういう点を考えて、この問題を受けとめて、ひとつこの答申をいかに具体化していくかという積極性、これを鉄道のほうにも、また運輸省のほうにも、特に私はこの際考えてもらいたいし、その計画のあり方が、どういうふうな計画でこれを順次具体化していくか。計画をつくってもらっていることは非常にありがたいんですけれども、それをつくり上げて実際に効果があらわれるのに五年も十年もかかっておったんでは、その間の人口のほうがすごい変化をするわけであります。あとから私はこの近畿圏にしぼっていろいろお話を承りたいわけでありますが、ことに万博も終わりまして、関連事業として進めてきたところの輸送力増強というのは、交通網整備も、あるいはまだ停滞しておるところの区間が非常にあるわけでありますけれども、さきのこの都市交通審議会答申というものは、いま申したように、大阪圏では一体どうなっているのか、大阪圏では非常にこれがおくれておるんではないか、特にそういうことが著明に考えられるわけであります。いまも、御存じのことと思いますけれども大阪市の域外のほうから大阪市域に流れ込むところの労働人口というものは、昭和四十年では八十万からあったわけでありますが、これがもう六十年ぐらいを想起するならば百万はふえるといっておるわけですね。そうすると百八十万、いままでの三倍になろうというふうな状態を示そうとしておるわけでありますから、そういうふうな人口過密化の現象が非常になだれを打ってきておるのに対して、いま申したように、非常に受けとめ方がおそい。私はここで、先ほどの道路の問題につきましても、輸送の問題につきましても、あるいはまたこの高速鉄道の問題につきましても、先ほど新線、あるいはまたいまのものを拡充する方針なんかも、少しごく簡単に説明を受けましたけれども、これはそういう説明で終わるのではなくて、これをどういうふうにして具体化していくのか、それの計画、あるいはまたそのいろいろな予算の面とか、あるいはまたそういうふうなこまかしいことを少し大阪圏については聞かしてもらいたいと思うんです。
  8. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 大阪圏につきまして、ただいま先生御指摘のように、従来の通勤人口と申しますか、都市流入人口でございますが、大阪市の域外から市域に流入する人口数が、昭和四十年八十万人でございましたが、六十年には百八十万人ということで百万人ぐらいの増加が予想されるわけでございます。したがいまして、これに対応するための輸送力といたしましては、当然これは高速鉄道でなければ無理でございまして、バス等輸送力ではとてもやっていけないということも私ども十分承知をいたしておりますし、この都市交通審議会答申に基づいた整備をすべきものというふうに考えております。で、具体的な問題になってまいりますと、ごく大ざっぱに申し上げまして、実は大阪中心部におきまするところの地下鉄につきましては、実は万博を目ざしまして相当資金を投入いたしまして、かなり整備が行なわれたと私ども考えております。しかしながら、大阪の市外のほうの部分輸送力増強並び国鉄に関しまするものということにつきましては、まだ決して十分とは言えないというふうに私ども考えております。特に大阪におきまする国電に関する問題につきましては、ただいま国鉄総裁から申し上げましたように、従来の通勤輸送対策というものの主眼がどうしても東京圏に置かれましたということは、これは争えない事実でございまして、その点では大阪圏が若干おくれておったということは、これはいなめないことでございます。したがいまして、今後はそういった面を踏まえまして、輸送力増強整備促進してまいらなければならぬというふうに考えております。  なお、具体的な方策、特に資金面等の問題につきましては、地下鉄につきましては先生方に非常に御協力いただきました地下鉄助成方式というのがございます。この地下鉄助成方式によりまして、国と地方公共団体助成をいたしまして、そしてこれの整備促進をしてまいる。それから、私鉄がやってまいりますものにつきましては、従来私鉄輸送力増強計画ということで促進をしてまいっておるわけでございますが、今後は、新線建設だとか、複々線線増だとか、非常にそういう基礎的な輸送施設増強が必要でございまして、これは従来の私鉄だけの力ではなかなか困難でございます。したがいまして、今回国会に提出をいたしまして御審議をいただいております鉄道公団法の一部を改正する法律、これによりまして、鉄道建設公団をしてこれを促進をさせる、これがかわって建設をし、そして私鉄にこれを譲渡するというやり方によりまして、そしてこれの整備を行なわせるということも考えました。なお、そのほか私鉄につきましては、開発銀行の融資ということも強化をいたしまして、そしてこれで整備促進をさせていくということでございます。  なお、ニュータウン等におきまするところの公営等の新線建設につきましては、現在の地下鉄方式に準ずる方式でもって整備促進をさせるということを考えておるところでございます。  それから、最後に国鉄でございますが、これは国鉄総裁からあとから詳しく申し上げると思いますが、国鉄の新再建計画の中におきまして、通勤輸送強化ということで促進してまいるということに考えております。
  9. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) 国鉄関西輸送改善につきましては、いま総裁からも申しましたように、実は東京のほうの輸送改善相当手なりなりを食われておったわけでございますが、関西のほうに重点を移すようにいま進めておるわけでございますが、東京付近重点がありましたけれども、なおかつ関西につきましても、いままでにある程度のことの手は打ちつつ進めてまいりました。申し上げますと、たとえば一番大きなものといたしましては、京都から草津にかけましての複々線線増をいたしまして、約百八十億くらいの工事費をかけまして複々線にいたしまして、一般電車とそれから中距離電車が両方並行して走るというふうな改良をいたしました。これが昭和四十五年には完成をいたしまして、現在使っておるわけでございます。それと並行いたしまして、電車増発をいたしまして、たとえば野洲に電車区をつくる、あるいは姫路の西にございます網干、この辺に電車区をつくる、あるいは片町線に放出という駅がございますが、ここに電車区を増設をする、あるいは阪和線の日根野というところがございますが、これに電車区を設置するということで、電車増発に対応するだけの諸設備を行なってまいりたい。また、電車につきましても、だんだん新しい形の電車を入れ、編成長の増大、ピッチを短くするというような処置をとってまいる。それらはいままでやってまいりましたけれども、そのほかに現在進行中のものといたしましては、尼崎から宝塚のほうに至ります福知山線複線化と電化の工事をこれも進めております。片町線につきましては、四条畷までの複線は完成いたしましたけれども、これから先の長尾のほうにかけましての複線につきましても、いろいろ地元の方の御協力をいただきまして、せんだって運輸大臣の認可をいただいて、新たに着工する段取りを進めております。阪和線につきましては、これも都市の発展に伴いまして高架化の問題も生じております。これを早くやろうとしておったんですが、いろいろ道路との関係都市計画との関係等でなかなかきまりませんでしたけれども、最近これが決定いたしまして、これも新たに着工することになる、こういうことで、あちこちだんだんと進めておるわけでございます。なお一そうこれを進めていかなければならぬということで、あるいは後ほど御質問があるかと思いますけれども、それ以外のたとえば山陰線、あるいは奈良線、あるいは本線筋の問題、それら全般についての改良工事につきまして、今度の新再建計画の案をいま御提案申し上げておりますが、その中でこれらを逐次実行を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  10. 大橋和孝

    大橋和孝君 いま草津から京都に対する改良をされたこともよく存じておるところでありますが、現在、当局のほうにおいてもおわかりのように、いまそうした計画より以上にあの辺は密集化しております。御存じのように、山科方面から大阪に流れ込む人口というのは、通勤列車はラッシュになっております。いま、御存じのように、それだけのことがやられて一時はよかったようでありますけれども、しかしもうあそこは混雑しましてどんどん積み残されておる。地理的に、御存じのように、あの山崎あたりは狭くなりまして、あそこを一通り通らなければ大阪の圏に入れないわけでありますから、そこに一つのネックがあると私は思います。ですから、そこをひとつ何とか乗り越えるような別な方向大量輸送をする網をつくらない限り、あそこには新京阪も通っています、旧京阪も通ります、省線も通りますというところで、ごく短い間を各線が通っているわけなんで、もうあれ以上おそらくそんなに線は広げられない。同時に、新幹線も通っておるわけでありますから、あそこの辺に参りますと、何と申しますか、音の公害というか、振動の公害というか、あの辺に住めばいつもかも地震にあうような形になって、たいへんな交通公害があると思うんですが、いまのところは、あれを増強することのみ考えられてきたために、私はやはり画期的な交通の整理ということができてないと思うんですね。もう少し南の線を考えて、南のほうに京都あたり人口はどんどんとふえているわけでありますから、南から大阪に入るような路線、こういうものを考えなければ私は根本的に解決できぬのじゃないか。ところが、見てみますと、奈良線におきましても、片町線におきましても、あるいはまた山陰線におきましても、むしろ無人化駅をつくるというような、何と申しますか、合理化方面うしろ向き方向に行っておる。貨物の取り扱いもこれは省いていこうというような形でありますからして、これはますます不便でありますから、一時間に一本通るような交通機関に対してたよりに持つようないまののんびりとした社会でございませんね。ですから、一時間に一回くらい運行しておって赤字になるのは、これは私は国鉄あたりまえじゃないかと思う。一体こういうことをやっておる国鉄自身の頭はどこにあるのか。一体大事な国民の足をになうところの国鉄として何を考えているんだと、私はそこら辺のところを思いたいわけです。もう奈良線はごらんのとおり無人化にしようとしていますね。そうしてあれをしようとしている。そうして見てみれば、一時間に一本くらいしか走っていない。それで需要が悪いから赤字になる。あたりまえじゃないでしょうか、こんなことは。もっといまの社会状態はせちがらくなっています。一時間待っておれないわけですよ。だからして、そういうことから考えると、ここらのところを根本的に考えない限り、いまごろになってからそんなことを議論すること自身が私は時代おくれだと思うんですよ。ですから、国鉄にしたって、運輸省にしたって、こういう問題をもっと早期に考えて、複線化すべきところは複線化する、新しく路線をつくるところは路線をつくれば、それはどんどんと利用されると思うんですよ。で、いま申しましたように、山科あたりはもうたくさん積み残されてほんとうに死にもの狂いの状態です。これは東京都においても見られるだろうと思いますけれども、もう大阪、近幾圏としてもそういう問題が起こってきております。実に、こまかしい問題をあげれば、けがをした人もおれば、あるいはまたいろいろな問題を拾い上げれば切りがありません。私はそういうことを言いたいとは思いませんが、しかし、こういう観点から申しますと、私はこの時期に、おそいけれども、いまここでひとつ、答申も出ているところでありますから、もう少し前向きにこれに取り組んで、あの大阪京都方面、その周辺もまだあるでしょうが、私はいまこの近畿京都方面を考えてみるときに、あの山崎の狭いところをみんながしのぎを削って通るのではなくて、もう少し南のほうからびっしりと行けるような、いまの東海道ラインと同じようなウエイトを持つようなスピーディな計画を立てたら、私はそれがさらに需要は大きいものになるのじゃないかと思うのです。これは前にも私は決算委員会でこの問題を取り上げて、新しい路線を一ぺん考えたらどうですと。ことに、湖西線が来て、山科まで貨物線といいながら路線が来るわけでありますから、山科からむしろ南に下がって、そして宇治の辺へ来て、そしてこれが八幡町とか、あるいはまたあの寺田団地というので、これはずいぶんたくさんな大きな団地計画されております。京都市としましては、この向島あたりには二百何万戸の建造もされるといわれておりますから、これまた二十万なり三十万なりの大きな人口が流れ込んでくると思います。それが、京阪だけ、あるいはまた近鉄だけにゆだねておって、なかなかさばけるかどうか。私は、そういうとこら辺も通過しながら、これが奈良線、あるいはまた片町線に結びつけられて、そして南の大阪のほうにどんどんと輸送されるならば、むしろある京阪電車、あるいはまたそういうものと相競合することなくして相当大きな輸送力ができるのではないか。こういうことは、私は決算委員会国鉄にも申し上げたと思います。非常におもしろいアイデアだから考慮しますという総裁の御意見を伺ったわけでありますが、そういう話を聞いてもなかなかこれが実際に移ってこないわけですね。その間に、いま申しておるように、もう何万戸という家がどんどん建っていく。おそらく、京都中心に考えてみますならば、ほかに伸びるところがないから南に伸びるわけであります。いま言ったように、すぐ京都市内地では向島がありますが、その次には郊外となって、小倉もあれば、大久保もあれば、寺田もあれば、その次には田辺もあれば、もっと奥には精華町まであると。これもみな団地計画ができておりますから、すばらしい団地になってまいります。これは必ずしも京都に通勤する人ばかりじゃないと私は思います。やはり大阪圏近畿圏につながる人口だと思いまして、いま私がちょっと調査したところによりますと、寺田団地あたりは非常に勤労者がたくさん行っています。ですから、今度は、あまり交通——大量輸送高速度鉄道とかそういうものがないために、みな小さい自動車によるわけです。ですから、この間も運輸省にお願いしていろいろ議論をさしてもらいましたけれども、あの辺の二十四号線あたりはもうとても動けないわけであります。こういうような状態で、道路に対しては非常なたいへんな問題が起こっている。それがまたいなかのほうの細い道を利用しようとしていますから、いままでそこらの子供には、自動車に縁のなかった子供に、細い道を縫ってその二十四号線を避けて通るために、そんなところで事故が非常に起こっておる。こういうような状態で、どんどん悪いほうに浸透していくわけであります。こういうことを考えると、私は、この運輸省なり国鉄が、この辺でほんとうに踏み切ったやり方相当早期にやってもらう必要があると、こういうふうに思います。  で、計画の中で、答申の中にあります長池と片町線奈良線を結ぶ線は計画されたわけであります。それだけでも私は非常に大きなメリットがあると思いますけれども、私は、そういうこそくなことで、いま答申を受けとめてやるだけで、私がいま言ってるような問題の解決につながるかどうかということであります。ですから、むしろこの辺のところあたりには、少々路線が一直線でなくても、そういう利用者を考えて、いわゆる鉄道路線というものはやっぱり利用する国民の側から考えなければならぬものだと思いますから、そういうところをうまく縫ってそれが南、大阪に持ち込めるような、その間にはやはり奈良線もあれば片町線もありますから、それは利用するところは利用していいと思います。ですが、もう少しはみ出すところをつくって、ほんとう住民本位鉄道大衆輸送というものを考えなければ——私はこれを、そこのところを一番経費もかからない、ちょっと結べば済むのだからそれがいいということにおそらく答申の中でもなってるのじゃないかと思いますけれども、私はそういうこそくなことではこの問題がまた同じことになるのじゃないかという観点から、きょうはむしろ質問の焦点をそこに置かしてもらいたい、こういうふうに思ってるわけです。そういうことに対するひとつ将来の計画を、まあいまお持ちになるかどうかわかりませんけれども、少なくとも抱負を述べて具体的にこういうふうにしたいということを明言をしていただかないと、あの辺の住民というものは非常な、いまここで議論しているところとは違いまして実態はそうじゃないわけなんですから。ほんとうに走ろうにも走る道がない。せめて無理をして自動車を買って通勤しようと思っても、それはできない。それだったら、利用しようと思ったら、一時間待っての奈良線を利用しなければならぬ。こういうような状態では、ついつい自動車を買うことになればそういうことになる。どっちへ行っても足の確保はできない、こういう状態になっているわけです。そういう観点を含めて、ひとつこの片町線のあり方、それからまた湖西鉄道山科まで来ているという観点から、何とかもう少し南に——いま行っている山崎のようなあそこの狭いところを通らないで、もっと南から大阪に入るというりっぱな幹線を考えてもらえないか。東海道ラインと言っているいまの筋ばかりでなしに、南にもう一つそのくらいの筋を通したらどうだ。これは私の意見でありますから、ひとつこれに対する両方から所信のほどを聞いておきたいと思います。
  11. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 非常に貴重な御意見を拝聴いたしました。  大阪圏におきまする人口の増加の状況は、先ほど申しましたように非常なものでございまして、これに対処するための輸送力整備はどうしても早急にやらなければならぬことでございます。ただ、これにつきましては、先ほど申しましたように、都市交通審議会がそういうような情勢を踏まえて路線網を定めまして、そしてこの路線網に従って整備をすることが適当であるという答申がございまして、私どもその答申の線に沿いまして、そして具体的な整備促進をしてまいりたい、そのように考えておるところでございます。  具体的な線に対する考え方につきましては、国鉄総裁から申し上げます。
  12. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私から概略申し上げます。  実は、先生からのお話、私よく存じておりまして、いろいろ勉強いたしまして、結局いまの京都大阪間の東海道線をさらに三複線にするのはこれは不可能だということを前提にいたしまして、それにはやはり片町線を生かすのが一番いいのじゃないかという、あのとき先生から御意見がございまして、片町線はいま一番の問題は、ターミナルが非常に不便なところにあるということでございまして、したがって、大阪市といろいろ話をいたしまして、片町線福知山線をつなぐということを前提といたしまして、そして片町線を生かす方法を考えてみたわけでございまして、いわゆる片福連絡と申しておりますが、これは先般の都市交通審議会にも認められまして、結局片町線が行きどまりでなしにずっと流れるようになりまして、それを前提にして片町線強化並びに湖西線がおかげさまで非常に順調に工事が進んでおりまして、あと二年くらいのうちに開業いたしますので、まあ東海道線を通らないで山科からと片町線とうまく結ぶ。そのときに奈良線を使うか使わないかは一応別といたしまして、そういう一応京都府の南側については、いままでほとんど私どもはほったらかしてあったようなことでございますが、それをひとつ根本的に考え直していく。そのかわり、できれば私は沿線開発など、私どもがそう無理にならない程度でやらしていただけないか。線路をつくったのはいいけれども、全部沿線を不動産業者に買い占められてしまうということもこれはまずいことで、できれば将来沿線開発も考えて、それと相呼応して、私鉄のようにやっていけば、いまかんこ鳥が鳴いているような片町線なんかも非常に私はよくなるのじゃないかと思います。  それから奈良線の問題でございますが、奈良線も歴史的には非常に古いのに、旅客、貨物両方通って単線でございます。非常に旅客輸送が不便である。思い切ってこういうところはもう貨物輸送をやめてしまって、旅客通勤オンリーにするというふうな考え方も必要じゃないかということでございます。  湖西線その他の連絡のしかたにつきまして、長浜からもう少し詳しく御説明させたいと思います。
  13. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) いま磯崎総裁から御答弁申し上げましたように、この付近の改良計画についていろいろいま勉強しております。勉強しておりますけれども、なかなか非常にむずかしい問題がございまして、たとえばいま湖西線から山科を通りまして、山科から小倉駅のほうを通ってそれで片町に行く、あるいは片町に結ばなくても別線で大阪に結ぶ、いろいろの案がその先はあろうかと思いますが、一番簡単に行けるのは、片町線に結んで、そしてあと将来大阪市内を通って福知山に抜ける、こういう線が一番いいのじゃないかと思っているのでございます。ただ、その際に、京都の駅を通らない、京都市内を通らないというのは、非常に一つ問題があるのじゃないか。大阪あるいはこの沿線の通勤なりあるいは買い物の方のためにはいいのでございますが、京都というものをはずすのはどうだろうか。京都に対しましては、逆に在来の東海道線をもっと活用するという方法もあろうと思う。まあそういうこともありまして、実はせんだって来、京都地下鉄ができますときに、その地下鉄を、南北線が第一期に考えられておるようですが、この南北の地下鉄をできればまっすぐ南へ延ばしてもらって国鉄片町線に乗り入れたらどうか、そうすることによってこの付近が非常によくなるんじゃないか。そして、その線と、将来完成されます湖西線、これも一緒にさせて結ぶ、要するにそこでブランチさせる、こういう案も考えられるということを、いろいろわれわれも検討し、お話し合いもしたんでございます。御承知のように、これは国鉄が入らないというような方向でいま進みつつあるわけでございます。そういうことも実は考えまして、何とかこの付近の輸送改善をしたい、こう考えております。そこで、まあ一番基本になるのは、先生がおっしゃいましたような、やはり湖西線から、山科から宇治を通って片町に結ぶという線がまあ基本じゃなかろうかと、ただ京都を通らないというのをどうあと解決するかということが一つ問題だろうと思います。これは別途の方法を講ずるよりしようがない。とりあえず、もう一つの方法としては、先生も御指摘の長池とそれから田辺でございます、この間を結ぶ。これは建設の予定線になっております。これを結ぶということも、これはわりにこの間距離が短こうございますので、わりに安い経費でできるかと思いますが、ただ、それをやりますにしましても、片町線のほうの複線化をやらなきゃいかぬ。それから奈良線自体を、いま旅客、貨物が一緒に走っておりますが、総裁も申しましたように、これはやはり旅客オンリーにして、貨物はやめて、ほんとうに近郊旅客的な電車にするということが将来の方向じゃなかろうか。そのためには、これを電化するということが将来起こる。将来輸送量がふえてくるならば、また複線化ということになってくるということも、これは一つの方法だろう。両方のことを考えて、やはり基本的には、湖西線から山科、宇治に行くというのが基本であろうかと。そうして、この付近の通勤としては奈良線を活用する。もちろんこの付近には近鉄が非常に列車回数も多うございまして相当な旅客を負担しておりますけれども、それにプラスそういうことを考えるべきじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 大橋和孝

    大橋和孝君 いろいろ苦労をしていただいていることはよくわかりますが、私はまあ、先ほど申したように、この辺の住宅の発展状況はすごいものです。御存じのように、あの大江のニュータウンというのも、これはまた二、三十万の——すぐできょうとしていま着々と工事が進められておりますが、先ほど私触れましたような、京都市でも向島、この方面にはやはり大きなタウンができるわけであります。それに続いてずっと小倉から奈良に通ずる間、全部私は大きな住宅街になるんだろうと思います。これはもう毎日の情報を聞いてもふえるのが一ぱいでありますから、そういう点を考えますと、いまのような形で非常な問題があります。いまお触れになりましたような地下鉄の問題、あるいはまた、大江のニュータウンを回ってもっと南に下がってどこかでジョイントしようというその計画は聞いております。今度の答申の中に出ていることも私調べさしていただいたのですが、そういうことは、それも一つの方法だろうと思う。また一面、南に入る幹線的なものですね、私が言いたいのは。それからして、いま東海道線が一つ幹線としての役割りで相当輸送力を持っていますから、今度はあの狭いところを通らないやつでもう一つこちらに相当の幹線をつくるということが私は一つの大きな今後の見通しじゃないかと思うんですよ。まあそれまでにつないだり何かするこまかしいことはできると思いますけれども、こんなことではもうすぐにだめになるということは、いまお話にありましたように、百万もふえるわけですからね、大阪へ流れ込む人口が。そうなりますと、いまでもかなりふえてはきていましょうと思いますけれども、四十年の八十万から比べますと、ばく大なことになるわけです。これはもうそのとおりだと私も思うんです、その発展ぶりは。ですから、そういう観点で、ここのところでもう一つ私は申し上げたいのは、答申を見ても、ほんとにその解決になるのかと、こういうことを私は感じておる。それからまあ、先ほど鉄監局長のほうからもおっしゃったように、答申によってやるんだと、それはまあたてまえは当然そうだろうと思いますけれども、その段階はそれであって、もうすぐ次の段階を考えてもらわなければあそこらは解決はできぬだろう、こういうふうに思うわけです。ぜひここのところの片町線の取りきめ、それからあの由緒ある奈良線をいつまでもあのようにしておかないで、これをひとつ、いまおっしゃっておるように、もうほんとうに庶民の足になるようなものとして開発すれば、即座に私は利用されると思うのですよ、その付近には一ぱい家ができておるんですから。ところが、もう一時間日にしか通らないから、やむを得ない、遠くまで自動車で飛ばして、たとえば近鉄の駅に車をたくさん置いておいて通勤しているのが現状ですね。ですから、近鉄と競合する意味でなくて、もう別にそういうようなことができるわけでありますから、もうこういう点は、旅客を主調にしてもらうのも一つの方法でしょう。しかしまあ、貨物は夜でも走らされますからね、せっかくいままであるそれをやめてしまわなくても、多少ウエートを変えていけば私はできる問題もあろうと思うし、必ずしもそれに対しては賛意は表しませんけれども、とにかく庶民の足を確保する上においてもっと私は考えてもらう必要があろうと思います。これはひとつ特に要望しておきたいと思います。これ以上申し上げる必要もないと思います。  その次に、私、山陰線の問題に触れたい。この山陰線は、山陰地方の横にもっと広がる唯一のこれは交通機関だと思うのですよ。現在山陰線で通っておられる人、国会議員の話を聞きましても、大阪なり、あるいはまた姫路、岡山なりあたりまでは、これでずいぶん短縮された。それから向こう側へ渡っていくまでの間が、これに要る時間よりよけいかかるという現状だ。だからして、山陰地方に対しては一つもよくならないのが現状です。ですから、私は、過密過疎とかいろんな問題を言っておるけれども、やはり交通網をうまく整備することが、過密過疎の解消にもなろうし、あるいはまたいろんな意味で発展性を持つものと考えますと、この山陰線の問題は、私はこれもまたたいへん重大な問題だと思うのです。国鉄のほうでは、私もいままで山陰線複線化と電化の問題に対して委員もさしてもらいながらいろいろお話し合いを進めてまいりました。やっと二条までそのままで複線にされると、あるいはもうあのときの議論で御存じのように、もう五条通りだって、七条通りだって、あの平面交差はいけないという指摘はずっぶん前から出ておったはずだと思うのですね。それをやるのに、それはまあ経済的な問題もありましょうし、財政的な問題もありましょうから、私どもその間にいろいろ話をさしてもらったけれども、しかし私は、その考え方があまりにもテンポがゆる過ぎるんじゃないか。あのようなところで、いま申し上げておるように、京都で考えますと、亀岡だとかあるいは園部に至るまでの間は、将来ベッドタウンになるわけでありますから、いまでも通勤者が非常に多いのです。それでまあ、御存じだと思いますけれども、国道九号線、あれはもう同じような形で車で一ぱいで、通勤バスはほとんど通れない。われわれその時間を避けて、もうあの辺には足を向けないという状態になっている。ところが、あそこは山を越えなければなりませんので、なかなかちょっと迂回の道で別な道を考えるというようなことが考えられませんので、どうしてもあそこでぎしぎしするわけであります。こういうようなことを考えますと、やはり鉄道の使命というものがことさら大事に考えられるわけであります。これは、複線化の問題は、私はそんなに——まあ経済的にどうあろうとも、日本のこのいまの経済力からいって、外国のほうからも外為の問題も指摘されておるわけです。あながちそちらばかりに入れないで、こういう公共性のものに対してはもっともっとぶち込むべきいまの段階にきておると思うのですよ。その点、いまの時期をこれ逃がしたら、こういう整備はおそらく私はできないと思うんですね。ですから、そういう観点で、この経済の方向も少々ここで修正してもらわなければならぬ時点にきているところから考えますと、私は、ここらのこういう重大な問題は、国鉄なり、あるいはまた運輸省なりは、もっともっと前向きな考え方でそういうものを処理せなければいかぬのじゃないかと思います。私は、山陰線複線化の問題のときにも、亀岡まで渡るのにあの亀山を越えなければなりません。あれを、保津川の流れを利用して、そしてその通路をいまつくっているわけでありますが、あれも非常に狭いところです。ですから、あれをもっと南に迂回をして、新しく——それも国鉄では考えておってもらたようでありますけれども、まあいろいろ経費の問題もあったようであります。これはもう別な問題といたしまして、いずれにしても抜本的にこの線路をひとつどうやっていくかということを考えてもらわなければならぬ。私は、前の新幹線の構想もやはり、このどちら側を通るかは別として、大阪から行くとか、京都から行くとか、いろいろ言われておりますが、山陰の方面にも計画されようといたしております。これもたいへんけっこうだと思います。いずれにいたしましても、いま当初の問題がたいへんな問題でありますからして、山陰線複線化の問題そして口丹波、中丹、あるいはまた奥丹波の過疎対策といたしましても、ここでひとつ画期的にやってもらわなきゃならない。これも、先ほど奈良線で言いましたように、これがまた無人化され、あるいはまた貨物の取り扱い停止ということで、どんどんといま話が進められておるようであります。これはもう、そういうふうにしたら、もう一つ過疎化されるわけでありますから、国鉄赤字の原因をなしてくるんじゃないかと思います。ですから、これをもう少し複線化し、電化して、利用度を高めれば、利用する人は相当ふえてまいると思います。ですから、むしろ、しばらくの間は投資になるかもしれないけれども、ある程度の先を見越して、ここらでひとつ複線化の問題は積極的に考えていただきたい。これは、第一期にはどれくらいやるか。まあこの間、第一期は二条までの高架だけがやられて、複線化されておりませんね。だから、これをもう少し、第二期にはどうする、あるいは三期にやる、その予算はどういうふうになっているという、こういうようなことをひとつ含めて、この山陰線の問題を、裏日本の開発といいますか、過疎対策としてこれをどういうふうに取り上げていくかというようなことを、ひとつ運輸省なり運輸大臣なり、あるいはまた国鉄のほうで、もっと積極的な計画を示してもらいたい。あるいはまた、少なくともこうするんだという決意はひとつ示してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  15. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) この山陰線京都口の複線電化につきましては、先生もう十分御承知のように、また御指摘のように、第三次長期計画でこれの複線電化という問題は一応やろうということで上がっておったわけでありますが、先生ただいまお話がありましたように、ルートの問題につきまして、現在のルートが非常に保津峡沿いに走っておりますので、人口関係あるいは工事関係でこれよりも南回り案がいいんじゃないかということでいろいろ御議論のあったことは、先生も先刻御指摘のあったとおりでございます。それやこれやしておりますうちに、なかなか話がまとまらなくなりまして、そういうことをやっておったんではもういつまでたってもこれはだめだということで、京都府、市と国鉄建設省みんなで相談をいたしまして、現在線のままで将来複線電化をやっていこうということに話をきめまして、それで昨年の暮れにやっと京都−二条間の高架化工事につきましての都市計画の決定を京都のほうでやっていただいた、こういうことでございます。この工事費が約五十億弱の工事になろうかと思います。これを着工するということができるような情勢になってまいりました。これで一歩を踏み出したということになろうかと思います。  この間に非常に長いことかかったのは、いま申しましたようなルートの問題だとか、あるいは費用分担だとか、いろいろ、あるいは地元の御事情、国鉄建設省の事情、いろいろございまして、非常におそくなりまして申しわけなかったと思いますけれども、幸いにしてそういうふうに決定いたしまして、これからなるべく早くこれを完成さしたい、こう思っております。  そこで、これから奥の、二条から先の複線電化でございますけれども、何ぶんにも一番列車を制約いたしますのは入り口のところでございます。この部分改良をやってしまわないことには、奥をやりましても全然もう役に立たないということでございまして、奥につきましては、特にまた工事的に非常に難工事でございまして、この辺の工事計画を十分これから練って、それで高架化事業とあわせていく、こういうふうに考えておる次第でございます。幸いにしてこれができるようになりましたので、大体の目安がついてきた、こういうふうに考えております。  ただ、現状の姿といたしまして、山陰線は、昭和三十年の終わりごろから、輸送量があまり伸びておりませんで、逆に減っておるような状態になっております。これはいろんな事情もございまして、自動車関係、あるいは道路関係、あるいは鉄道の列車回数の問題、いろいろあろうと思いますが、現実の姿、この間あまりお客さんがおられませんで、亀岡から先のほうに相当おられるということで、そういうことで、南回り案というようなことの出てきたこともよくわかるわけであります。その辺も十分やはりわれわれとしても勘案していかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけであります。いずれにいたしましても、そういうふうに第一歩が踏み出されたので、今後、奥のほうにつきましても、そういう観点を十分考察しながら進めていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 大橋和孝

    大橋和孝君 いまのところを少し私は国鉄のほうでもはっきり認識しておいてもらいたいと思うんですがね。山陰線は、御承知のとおり、一時間に一本ぐらいです、ラッシュのときは少しふやされていますけれども。しかし、こういうことでは、利用してくれと言ったって、これは利用はできぬのがいまの社会情勢なんですよ。そうゆったりと、一時間待って次の汽車にと……。それからまた、たとえば朝ラッシュのときに通う人があったとしたら、その時間を一つ踏みはずしたらもう一時間遅刻になっちゃうわけですね。そうしたら、やっぱりこれを、便利な、会社まで行けるような自動車にしようということになってくるわけですよ。いま、あすこの九号線行ってごらんください、もしそれがわからなかったら。もう全然その時間になったら通れないんですよ、あすこは。何でかといえば、国鉄が一時間にしか走っていないから、あんた、そういうところへ流れていくわけですよ。ですから、これは輸送力が伸びないのはあたりまえ。もうしかし、こっちが一ぱいになってきたら、今度は国鉄輸送にたよらなければならぬという現況になってきておるわけですね。そこまで追い込んでから、国鉄が、国民の足を考えるときに、考えなきゃいかぬ、まだ少し利用度は伸びていないというようなことがもしや先行しておるんだったら、私はこれはあまりにも現状を把握していないものだと思います。  それから、ぼくは今度山陰線の高架の時期に考えましけれども、地方に対する、何といいますか、負担というものは、非常にかかるわけですね。私は、これは、ずっと考えていったら、たいへんな問題じゃないかと思うんですね。ですから、やはり今度は、新しく考えられまして、今度の鉄道なんかを敷設するための案が出ているということも、それは非常にいいことであろうと思うんでありますけれども、これについては、あまり詳しいことは私はまだ研究いたしていません。がしかし、いずれにしましても、こういう国民の足を心要とするところに対しては、もっと何とか国のほうでもこれができるような処置をとらないと、これはなかなかもう難航するわけです。今度の山陰線複線電化の問題でも、ずいぶん長くかかりました。私はまあ、一体これで国の政治というものはどこに向いているんだというにと考えまして、非常に嘆かわしく思ったことがある。極端に言うならば、私はもう、これ議員をやっておって何の役に立つかと、国民のために代弁をしてこの国会でいろいろものを申そうと思って出てきたのに、こんなことを言って何べんしゃべっても、何らそれが実際に現実に実行に移されなかったら、私は何のために来ているんだという感じをして、やめるべきかと思うくらい感じたことがあるのです。もういろんな問題をこうずっと考えてきますと、そんなことばかりじゃありませんか。社会保障の問題から何から、ずっと考えてみますと、一体自分は何のために歳費をもらってこれやっているのかということの自責の念にかられるという状態なんですね。こういうようなことを考えてみると、私はまあこういうところで言うのにえらいくどい言い方をするようでありますけれども、そういう気持ちで私は言っているわけですよ。ですから、当局においても、こういうものを受けとめてもらうときには、国民の側に立って、どうやるべきかということをもっと先行して考えなければ、まあいろんなことでもう問題はたくさんあります、存じていますけれども、根本はそこにあると思うんですよ。そういうことでいかなければ、ここらみな後手回しですよ。いまさらそんな、無人駅にするだ、あるいはまた貨物の取り扱いを停止するんだと、一つも前向きのことをせずにそうやっていけば、ますます過疎になりますよ、ますます赤字なりますよ、それは。もうそういうようなことにたよっていないいまの社会情勢じゃありませんか。一時間に一本走ってもらうのに、待ってたって積み残されるというようなことでは、とてもだめだと思いますから、こういう問題に関しては、特に私は重要性を感じてもらって、ことに経済的な問題をひとつ十分に配慮をしていただかないとだめだと思います。これは最後の要望にしておきたいと思いますから、特に考えてもらいたいと思う。  それから、もう時間があまりありませんので、ちょっと今度は関西線の問題について。  先ほどちょっとお触れにもなっておりましたが、この関西線というのも、やはりこれは相当昔からの、非常に大きな歴史を持った線であります。そしてこれも、私ども京都府にも通っておるわけでありまして、いつも関西線のまた過疎になっている点も実際においてあれしておりますしね。沿線の人からの電化、複線化も非常に要望されております。この問題について、私は前に決算委員会でも触れさしていただきました。いろいろ国鉄総裁の御意向も聞きましたが、この問題も同じことが言えるわけでありまして、南から大阪に入る輸送の一つの大きな昔からのポイント、これをひとつまた十分に確保してもらって、電化、複線化を考えてもらわなければいけない。ここにもおそらく、大阪圏のすぐ近くのところは別として、あとは非常に輸送力もふえてないじゃないかという議論も出ると思うのです。けれども、そういうことはいまのような議論でありますから繰り返す必要はありませんが、そういう観点からやはりこの関西線というものを見直してもらわなければなりませんが、現状の見通しと、あるいは今後これをどういうふうにされるか、その計画をひとつ。
  17. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) 関西線につきましては、先生御指摘のように、相当古く、明治の中ごろに建設されておりながら、いまだにまだ単線のままで、電化もされていない、こういうことでございます。現在複線になっておりますのは、西のほうの湊町とそれから木津の間でございます。東のほうは名古屋からまだ単線でございまして、現在名古屋から四日市の間の複線電化工事に着工したところでございます。その間、まだ約百キロばかりの間が単線でございまして、これを早く複線にし、電化にしなきゃならぬということは、やはり主要幹線である限り、私たちもそういうように考えておるわけであります。いずれにしましても、しかし、両口がまだ、片方が単線であり、片方が複線ではありますが電化をしていないということでございます。両目からこれを征伐していく。そうして輸送量の少ないところはあとにするといいますか、全線いずれはやりたいと思うのでございますが、輸送量の多いところから早く征伐していこう、こういうことで一生懸命いま進めております。将来、まあできるだけ国鉄工事予算の状況ともにらみ合わせながら、全線の複線電化ということの計画を進めたいと思います。現時点では、なかなかまだそこまで手が回らない状況でございます。両端につきましてはなるべく早く処置を進めたい、こういうふうに考えております。
  18. 大橋和孝

    大橋和孝君 これも先ほどの点と同じようですから、計画がなかなか手が回らぬと言っているとたいへんなことになってまいります。どうぞこれはよろしく、ニードに先行していくくらいに話を進めてやらないとだめだと思います。  それから、私は最後にもう一点。この審議会の答申の中では、大阪圏についてでも、先ほどちょっとお話しになりました新設される路線が明示されておりますね。私も、それはよく見せてもらって、御説明を聞いておるところでありますが、これは運輸省、あるいはまた国鉄では、まあ現時点でこういう問題に対してどういうふうに計画的に進めていかれるかということも聞きたいけれども、特にその中で私は気になっていることは、こういう計画実現のための措置として、やはり受益者負担というか、そういうものが導入されておりますね。こういうものが先行しておりますと、いままでの話の中にもありましたように、なかなか進まないわけですね。だから、これをひとつ資金計画を何とかもう少し明確な裏づけをして、そうしてそういうことが先行せずに、どんどんと設備だけは先行してやっていく。そうしてまたそれからあといろいろ話し合いを進めていくということができる。ことに、そういう公のものに対する設備投資はもっと国でやる、何とか金をまかなうということを考えない限り——外為でたくさんだまってから凍結してあちらこちらへ援助しようという、これもいいでしょう。けれども、こういう問題を内側に残しておいて、外側にはよけい金がたまってからそれは凍結しておこうやとか、あるいはまたそればやったのが悪いからたまったものはどこかに投げ出そうやというふうな考え方もいま出ているわけでありますけれども、それも私はいま論議するわけじゃありません。ありませんが、こういうことに対してもう少し何とかの形で、その資金にこだわらないで、資金というものに制約されずにある程度こういうものに投資ができるような形というものを見通さなければいかぬと思うのですが、そういうことに対してどういうふうに運輸大臣は取り組んでおられるか、国鉄などはどうされているかということを——これはもう基本問題になると思うのです、この事業が、計画が早く実行できるかできないかということに。その点だけひとつ聞かしてください。
  19. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほど来、非常にこの交通問題につきまして御真摯な御意見を承りまして、まことにそのとおりだと思う次第でございます。先ほどから御指摘いただきました、どうも後手々々じゃないか。私も運輸大臣に就任いたしまして以来、最近この十年間の人口の著しい移動に対処いたしまして、それに対する交通網整備ということが非常におくれていることを痛感をいたしておる次第でございます。ただいま御指摘がございました、先ほど私申しましたように、都市交通審議会答申の具体化ということを、具体的にいかにして実現をするかということが一番問題でございますので、それゆえに、今回の国鉄の財政再建策におきましても、いままでのようなただ赤字対策ということでなく、むしろ良質のサービスを国民の皆さまにいかにして提供することができるかということを根本に置きまして、もし御審議をいただきますならば、今回は十カ年で七兆円の新設備投資をいたしまして、そうして、先ほどお話がございました大都市の通勤・通学、都市間の拠点輸送というものも重点的にこれを行なわせるということをいたしておる次第でございます。  また、いまお話がございました、地方に負担をさすべきかどうか。御承知のとおり、新幹線につきましては、法律でそういうふうになっております。その他の幹線、その他の線増、その他の補強につきましては、大体国の費用、国鉄の費用でもって行なう。鉄道建設公団で行なわせます場合におきましてもそれで行なうということになっておりまして、いまの御趣旨に沿いますように、十分ひとつ早急に具体案を提出をさせまして、そして、先ほど国鉄総裁からも御答弁いたしましたが、ことに従来、恐縮でございますが、関西地方の大都市輸送につきましては、私鉄相当発達をしたもんでございますから、国鉄のほうは首都圏というほうが相当中心になったように思っておる次第でございます。国鉄総裁の答弁のように、これからは、いま御指摘のとおり、関西地方につきましても十分力を入れまして、この具体化をはかりたい、こう思っておる次第でございますので、御了解いただきたい、こう思う次第でございます。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま先生からいろいろ各方面にわたっての御勧告をいただきまして、もちちろん資金的にいろいろ問題がございますが、ただ私一つお願いいたしておきたいのは、やはり開発利益の還元ということを、これは政府にもお願いしておりますけれども、何か考えていただかないと、せっかく線路を引いても、みんな利益は不動産業者にとられてしまうということではいけない。何かその利益がやっぱり利用者あるいは国鉄建設に戻ってくるような方法をぜひお考えいただいて——あるいはワンクッションを、税金入れてもそれはけっこうでございます、あると思いますけれども私鉄がわりあいに勇敢に線路を引っぱっているのは、全部沿線の開発利益がカムバックするからやっておるのだと私は思いますが、何か私どもといたしましても、少なくとも通勤輸送、あるいは新幹線につきましても、開発利益が国鉄、すなわち利用者に還元できるような形をぜひ政府にもお考え願いたいということをお願いいたしておりますので、これはよしあしいろいろ問題あると思いますけれども、考え方としてはそういう考え方を持っておるということを申し上げまして、ひとつ全力をあげて今度関西方面の改善につとめてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  21. 大橋和孝

    大橋和孝君 ちょっと気になりますので、一つつけ加えておきたいと思いますが、私ここで申しまして、何といいますか、受益者負担の導入ということで、比較的受益者、受益者ということが先行されているというのはいけない。国鉄の運賃もそうですね。それから、いろいろな観点はあると思いますけれども、そういうことによって再建をしていくのだという考え方は私はよくないと思う。ある程度それは利用されて、いろいろな価値から、いろいろなことでそのニードはありましても、それは最小に押えるべきであって、そういうふうな建設なり、あるいはまた運営なり、いろいろなことをする場合に、みな受益者負担という考え方で、そしてはね返しをしていこうという考え方が先行することは、絶対私は先行きしないと思うんですよ。だから、国鉄運賃に対しても、私は、そんなことを先行させないで、もう少しいま考えていることをほかのほうに考えればもっと大きな金が残り得るんじゃないか。私は、自衛隊が何だとか、そういうことは言わないんですよ。もっといろんなところを考えてみれば、そういうふうなところに焦点を合わせなくてもできるのじゃないかという意見ですから、ですから、私はそこのところを特に考えてもらいたい。大臣のほうにもそうでしょうし、国鉄のほうもそこらのところの根本的な考え方を考え直してもらわなかったならば、ほんとう国民の足ということにならないと思うんです。益を受けている人はある程度負担していくのもいいでしょう。それはあとから付随してくる問題であって、それが先行するものではないと私は思うのです。つい、こういうことを考えるときに、すぐ受益者負担ということで大衆に負担をかけていこうという傾向があることは、私は徹底的に当事者としては考えてもらわぬ限り、いま言っていることが何べんでも矛盾が矛盾を生んでいくということになるわけです。特に私は注意していただきたい。  で、時間がありませんから、もうちょっといただけると思いますから、三分ほど。もう一つだけ、国鉄とは関係なしに、舞鶴港、宮津港の問題についてお伺いをいたしたいと思います。これは、前にも私決算委員会で一ぺん取り上げました、過疎地帯をどうするかという点で。もう日本海側のそういう港、これは太平洋側だけに港を開くわけじゃなくて、北側に開いて——いま凍結して動かないようなところはないわけです、日本海の中には。ですから、私は、ここのところに少し思いをいたすならば、りっぱな港が開けるのじゃないか。私はこれは、対岸貿易として、ソビエトだとか、北朝鮮だとか、そればかりじゃないと思うんですね。ただそれは通り道が狭いところがあるかもしれませんけれども、もっと狭いところへ入ってくるわけですから、神戸港にしたって、横浜港にしたって。ですから、国の考え方いかんによっては、これは非常に日本海側の港をもっと貿易港にするということに私は踏み切るべきだと思うんですね、過疎地帯対策をする上においても。日本列島全部ながめてみて、要所、要所にずっと港があって開かれていいじゃありませんか。日本はこんな島国でありますから、貿易以外にたよることないわけなんですからね。何でそれを太平洋のベルト地帯だけにお考えになるか、私はこれは非常に不満でありまして、前から議論を申し上げたところであります。しかし、それが一つも前進をしていない。私はこれはいま近畿圏に限って申しておりますからして、舞鶴と宮津について申したいと思いますけれども、これは御存じのように三万何千トンの軍艦が出入りをしておった大きな港ですね。いまそれは多少悪くなっているかもしれませんけれども、港湾としては私はまだりっぱなものだと思うんです。おそらくそう評価していただいておると思うんでありますが、これをもう少し貿易港としてやったらどうだ。わずか海上自衛隊があそこで訓練所を置いているだけでありますね。だからして、もう少し海上自衛隊は、この間も私は申し上げましたが、半島のところでもっとそういう訓練に適するところに移動して、ほんとうにまた町やあるいは道路交通とを結びつけ合うところは、もっと東港に対しましても貿易港としてやるべきだ。西港に至りましては、いま材木置き場でいっぱいやられておって、開発されていない、わずかにフェリーボートの港が少しうまくなっているという程度であります。こういうことでほうっておけば、ますます港湾の設備は悪くなりますし、将来いままで持っておった自然の能力も抹殺されていくと思うんですよ。ですから、そういうことでございますから、この宮津あるいはまた舞鶴港に対するひとつ整備計画、これはもう五カ年計画なり何かつくっていただいているようでありますけれども、この標準をどういうふうに合わしてやっていっていただけるのか、もう少し抜本的にあれをおやりくださったらどうだろうかという点で、もう一ぺんちょっとその点を聞いておきたいと思います。
  22. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 先生御指摘のように、この舞鶴港につきましては、私どもも、いわゆる工業港と申しますか、工業の原料を入れてそこで精製するという港と、先生御指摘の貨物輸送する港、これは流通港湾と言っておりますけれども、そういうふうに分けまして、流通港湾は全国的に適当な位置に、道路鉄道その他の計画ともあわせまして検討を進めております。で、特に京阪神地帯を中心にいたしましては、私どもは、現在大阪湾は非常に使われておりますけれども、舞鶴港、日本海方面まで含めまして、一体の港としてその機能をどうするかという研究を現在進めているところでございます。そういう意味で、ただいま私どもやっております五カ年計画では、舞鶴の西港で第四埠頭は大体概成いたしまして、新しく第三突堤——これは十メートル岸壁二バースでございますけれども、これに手をつけたいというふうに考えております。  なお、御指摘の、現在西港に昔から商港が集中しておりますのですが、東港につきましてもどうするかという御指摘でございますが、現在、京都府の知事の諮問機関でございますが、京都府総合開発審議会というのが持たれておりまして、その中で港湾部会が置かれまして、舞鶴港の開発計画が進められておるというふうに聞いております。その結果も参考にしまして、京都府と一緒に検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、宮津港につきましては、これは先生もう御承知のように、非常に風光明媚な港でございますので、地方港湾としての機能を十分発揮させるということとあわせまして、環境保全という面も重要でございますので、むしろ港湾の中の海岸保全事業と申しますか、ああいう天の橋立のようなところは破壊しないというふうなところに重点を置いて開発を進めたいというふうに考えております。
  23. 大橋和孝

    大橋和孝君 その辺のところもよく存じて質問をさしていただいているわけでありますが、あの状態を西と東とに分けられたというのも、いままでの経緯をよく聞いております。けれども、西でやっておりましても、なかなかやはり東のほうが湾としてはいいわけです、舞鶴は。したがって、あれを含めた計画に発展をしてもらったら、私はこれは神戸なり横浜なりに匹敵するようなりっぱな港湾ということにもなり得ると思うのですよ。ですから、結局あそこを昔の軍港のように、海上自衛隊の基地としていつまでも保全していくのだ、それをもっと発展さしていくのだという考えがあれば、また別だと思いますけれども、そういうことをやるにしても、私はあの港湾のもっと端のほうでそれができると思うのですよ。だから、そういうことをもう少し、私先ほどから申しているように、住民本位にやって、そうしてあの過疎地帯を少しでも解消していく、中心的なウエートにする。いまあそこからは道路網も今度計画されて、京阪神で結ばれておりますね。ですから、鉄道福知山線あたりをされるあれもありますから、いろいろそういうところと組み合わせて港湾の発展ということを考えれば、私は非常におもしろいものになるのじゃないかと思うのですね、国として考えてですよ。だから、対岸貿易だから、ソビエトとの貿易がふえてきたから必要だとか必要でないとか、それもあると思います。いまシベリア開発も問題になっておりましょうし、パイプラインの問題も出ているでしょうから、あそこらにまた結ぶ、そして近畿圏に持っていく、あるいはまた新潟から東京周辺の地帯に結ぶ、いろいろなことも考えられると思いますから、そういうことはあながち過小評価するわけにはいかぬと思いますから、対岸貿易も必要だと思いますが、私はそうばかりじゃなくて、太平洋ベルト地帯にこれだけ公害を流して、四日市ばかりじゃなくて、ずっとあるとすれば、あちらのほうから持ってきてそういうふうなことにしても、分散にもなるでしょうし、そういうことを考えなくとも、貿易としての一つのポートとして過疎地帯に持ってくれば、過疎の解消には非常に大きなウエートを私は持つと思うのですね。だから、そういう点の観点から、そういうことをもっと積極的に進めないといけない、そういうことをやるのもいまが時期じゃないかと思うのですね。いままではいろいろ経済的な財政的な問題もあってできなかったかもしれないが、いま日本の状態では、これは財政的にはできぬということは言えぬわけです、これだけのいまの経済力になってまいりますと。そういうことを勘案して、そこらのところにもう少しばっとやることをしないと、また同じように、貿易の面でも外国からのいろいろなそしりを受けることになるだろうし、いろいろなことが起こるわけでありますから、もう少し徹底的にそういうところに金をぶち込んで、そうしてよくするということに対しては、もう大臣あたりは閣議でもそれを徹底的に追及してもらって、こんないい港を遊ばしておいてもったいないじゃないか、私はそういうふうに思います。ですから、いろいろな問題があって西港と東港と分けている点はわかりますけれども、それを踏み切ってやってもらいたい。  それから、この港湾の整備計画の中を見ましても、やはり問題はまた資金の問題で、地元負担とかなんかいろいろなものがいつもくっついてくるわけです。だから、これも私は非常にたいへんな問題で、そういうことはどういうふうにされているのか、それから整備計画というものは一体いま基本的な態度でどうしていくか、ここらの問題はもっとひとつワクを越えた大きなものを考えてもらいたい。  それから、いまちょっと宮津の問題は、あの景勝になっているところを考えないで、あそこはもうそんなふうでありますから、もう少し外へ出たところでこれは利用できると思うのですよ。そうしなかったら、ほんとうの貿易的なあれにならないから、あと道路なりなりで、またときによればはしけによってこれは利用できるわけでありますから、もっと外側にそういうものをつくっていく、これは相並んでできるのじゃないかというふうに思います。  それからまた、レジャーなんかも進んでまいりますから、そこへ行ってからまたフェリーとかいろんな問題も出てくるわけでありましょうし、それをうまくやれば日本海側の各景勝地に結びつけることもできる、小さい漁港はたくさんありますから、何かそういうことにも利用できる、いろんな面でこの港湾の将来の発展計画というものはあると思うんです。これに対してひとつ徹底的なあれをしてもらいたいと思うんですが、いまのところで考えられるそういうふうな経済面あるいは計画面でどういうふうなことが取り入れられるか、どのように考えておられるか、お考えをちょっと聞かしていただきたい。
  24. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 先ほど取りまとめて申し上げた中で、あるいはことばが足りなかったかもしれませんが、先生御指摘のような点も含めて申し上げたつもりでございます。特に京都府の総合開発計画の中にも出てまいると思いますので、それを見ながら、特に港湾は港湾管理者というのがございますので、公共団体が管理者でございますので、十分地元と相談しながら進めるということを考えてございますので、そういう意味で、先生御指摘の点は十分取り込んで進めたいというふうに考えております。
  25. 大橋和孝

    大橋和孝君 もう少し質問がありますけれども、これで打ち切っておきます。次の機会にまた伺います。     —————————————
  26. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、大橋和孝君が委員辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。     —————————————
  27. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、運輸省中心に進められております大規模観光レクリエーション基地、この問題について、またこれと関連する輸送問題について二、三の質問を行ないたいと思います。  まず第一に、大臣に伺いたいんですが、運輸省がすでに調査に入り、一部においては具体的に進められておられるところの大規模観光レクリエーション基地、この構想についてのまず基本的な考え方を伺ってから入りたいと思います。
  28. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 今日、日本の生活圏、生活環境が、生活様式の複雑化と、それから環境が非常にいろいろの点で高度化してまいりました。そういう観点からいたしましても、国民の皆さまに、そういったような観光レクリエーションセンターといったような構想をもちまして、国民の休養と保養の場所を提供するということが一番肝要だと思っている次第でございます。私ども、観光政策の観点からいたしましても、そういう点を勘案をいたしまして、ぜひそういった観光センターを設置いたしたいと、こういうように考えている次第でございまして、まず第一の懸案といたしましては、西におきましては若狭湾を中心といたしました観光レクリエーション、海洋性のレクリエーションセンター基地、それからまた東におきましては九十九里を中心といたしましたこういうようなものを考えてまいりたいと、こういうふうに思っておる次第でございますが、詳細につきましては観光部長から御答弁さしたいと思います。
  29. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) ただいま運輸大臣から若狭湾の観光開発に対しての基本的な方針について御説明がございました。私から補足的に以下御説明さしていただきます。  若狭湾地区につきましては、経済企画庁の全国総合計画に基づきまして、海洋性のレクリエーション計画をつくろうと、こういうことで、具体的には、昭和四十五年度におきまして、国土総合開発事業調整費と、それから港湾事業調査費というものを大蔵省からいただきまして、自来その海洋性のレクリエーションの基本的な構想につきまして調査を進めたわけでございます。予算的には千二百万円いただきまして、その当該地域におきまする観光資源の潜在力なりあるいは観光の基本計画、こういったものについての予備調査を検討した次第でございます。  次いで、港湾の自然環境条件といたしまして、当該地区におきまする深浅測量、すなわち港湾の深い浅いのその測量なり、あるいは波浪調査、こういったものをやってきた次第でございます。  次いで、昭和四十六年度におきまして、二つございまして、現在の京阪神あるいは中京地区から発生しまする観光レクリエーションの需要測定、これの調査、それから陸域におきまする植生調査、すなわち当該地区におきまする植生図の作成とか、あるいは若狭湾地域におきまする植生の特質の把握、こういったようなことで約千二百三十四万円の予算をいただきまして調査をしておる段階でございます。と同時に、前年度に引き続きまして、これは港湾局のほうでやっておりますが、海域におきまする自然条件調査としまして、先ほど申しました深浅測量をはじめといたしまして、波浪測量、あるいは水質調査、あるいは流量調査、こういったものを行なってきた次第でございます。
  30. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ詳しい問題は具体的にあとでさらに向う、こういうふうにしまして、もう少し基本的な点で考えを伺いたいのですが、それは昭和四十五年の十月二十一日に当時の橋本運輸大臣から運輸政策審議会に対する諮問が出ております。この中に「交通施設を基幹とする国土開発のあり方及びこれを遂行するための大規模開発プロジェクト推進の基本的方策について」、こう見出しがありますが、ここには、観光大規模開発という問題と、それから国土開発の点からの交通施設の整備といいますか、こういう二つの問題が私はあるように伺っておるのですが、こういう大規模観光レクリエーション基地を、東は九十九里浜、西は若狭湾に建設するとすれば、その中には当然、大量の輸送手段、こういう問題も含まれておると思うんですが、それらについてどう考えておられるか、その点ひとつ大臣から答えていただきたいと思います。
  31. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、基本的には当然、観光レクリエーションセンターの大規模なものをつくります場合におきましては、観光客が便利にその地点を観光し、施設を利用できるように輸送手段も考えなければならない次第でございまして、観光計画輸送計画と両々相まちまして初めてその目的を達成する次第でございますので、この観光計画の進展と並行いたしまして輸送計画も立てなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  32. 辻一彦

    ○辻一彦君 では、大規模な観光開発とそれに伴う大量の輸送手段を並行的に考えていく、そういう計画であり、方向だと、こういうことの発言でありますから、それを確認して、交通手段の問題については後ほど私質問いたしたいと思うんです。  まず第一に、大型の観光開発プロジェクトですね、この問題に入りたいと思います。いま、東のほうで九十九里浜、西のほうで若狭湾、こういうことがあったのですが、この二つに大きな重点がかかっているということは私もわかったのでありますが、この二つの国民的な規模におけるレクリエーション基地の特徴点というものは、東の九十九里浜と西の若狭湾にそれぞれ特徴があると思うんですが、それをどういうように把握をされておるか、これを伺いたいと思います。
  33. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) いまお話がございましたように、東におきます九十九里浜の海洋性のレクリエーション基地の開発、それから西におきます若狭湾の海洋性のレクリエーション基地の開発を行なっていることは、先ほど申し上げたとおりでございます。特に一番の基本的な考えといたしまして、第一点は大都市から近距離にあるということですね。少なくとも日帰りが可能であるということが第一点。それから第二点は、国民大衆輸送といいますか、いわゆる一般の方がだれでも利用できると、こういうようなことが第二点。それから第三点といたしまして、いわゆる自然との調和というものをはかりながら、その中に国民が健全なレクリエーションの活動ができると、こういう構想を持っておるもの。それから、第四点は、こういった爆発的な観光ブームに即応いたしまして、一日少なくとも最高限度十万人程度は収容できるキャパシティーのあるものである。こういうようなことからいろいろと検討を進めておる段階でございまして、特に若狭湾は、先ほどお話ししましたように、関西地区あるいは中京地区からも非常に近いのと、それから裏日本の自然条件に非常に恵まれておるということ、それから港湾地帯の、現在までの港湾局の御調査によりましても、ヨットハーバーの建設とか、こういったような地理的条件に非常に恵まれておると、こういうような報告がきております。私どもといたしましては、極力自然との調和をはかりながら、しかも国民大衆層を対象といたしまして、健全なレクリエーション活動のできるような場をつくりたい、こういう基本的な考えを持っている次第でございます。
  34. 辻一彦

    ○辻一彦君 およそはわかったんですが、さらに九十九里浜と比較して西の若狭湾というものがどういう特徴を持っておるのか、その点をもうちょっと伺いたい。
  35. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) 特に若狭湾につきましては、九十九里と違う点は、御承知のように、非常にこの付近に歴史的な資源が豊富でございます。また同時に、いわゆる山岳地帯といいますか、そういった山も非常に多いわけでございます。ところが、九十九里のほうは、御承知のように、非常に浜辺だけでございまして、そういった点で環境が相当違うんじゃないか。すなわち、九十九里のほうはそういった自然条件に恵まれているということで、それから若狭湾のほうは、いま申し上げました文化的施設が、古墳とかそういったものが非常に豊富でございます。そういったことで、私どもといたしましては、そういった海洋性のレクリエーション以外に、いわゆる学問観光といいますか、文化観光といいますか、そういった点もあわせて考慮していきたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、九十九里浜と違った特徴は、歴史的ないろいろな文化財が豊富である、それから背後に大和の内陸を持っているという、この二点にあるようですが、そうすれば、海洋性のレクリエーション基地に加えて、文化財を十分に生かす。これは若狭湾は、御存じのように、文化が中国から朝鮮、そして若狭湾を通って奈良、京都に入った、そういう道になりますから、非常に国宝や文化財が多いということは事実であります。そういうものを十分に生かし、また背面にある内部的な山の面ですね、こういうものもこれからの計画等に十分取り入れてやっていくと、こういうことのようでありますが、その点ちょっと確認を願いたいと思います。
  37. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃったとおりでございまして、こういったような文化財の保護、あるいは丘陵地帯の自然保護につきましては、関係各省とも十分に連絡いたしまして、その万全を期していきたいと、かように考えている次第でございます。
  38. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、ことしの二月の初め、五、六日ごろであったと思いますが、運輸省の運輸政策審議会開発部会の一行が若狭湾を十名ほどで視察をされている、そういう記事をちょっと新聞で見たわけでありますが、その結果どういう視察結果が、去年一年調査をし、さらにことしそういう視察をして、専門的な観点から見て深められたか、この点をひとつ伺いたいと思います。
  39. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、先般現地視察をしたことは事実でございまして、まだ最終的結果はこちらへまいっておりませんが、それがまとまり次第、今後の私ども予算計画あるいは関係各省との折衝の資料にしたいと、かように考えております。
  40. 辻一彦

    ○辻一彦君 報告がまとまってないということでありますが、新聞で見た、そのときの代表団の視察団長でありますが、この方の談話の中に、海岸性リアスの非常にいい場所であるから、これを十分に生かすということと、問題点は大量の輸送手段をどうひとつこれから建設していくかということに大きな問題がある、一日も早くそういう方向が実現されるようにすることが大事だと、こういうことが記事に出ておりましたから、詳しい報告はいずれまとまると思いますが、その調査結果を十分検討して、そういう方向で努力を願いたいと思うのです。
  41. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) 承知しました。
  42. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、この問題について、経済企画庁は新全総の中でこの問題を取り上げておられる。先ほどちょっと報告もありましたが、私は、企画庁の立場から新全総の中でどういう位置づけをしておるか、こういうことをひとつ伺いたいと思う。
  43. 岡部保

    政府委員(岡部保君) いままでの運輸省御当局からのお話といろいろ重複するかとも思いますけれども、基本的に私どもが考えております考え方、これを新全総の考え方を中心にしてお話を申し上げたいと思います。  現在、御承知のように、非常に余暇時間の増大という問題が大きく問題になっておりますが、今後この余暇時間が当然増大していくであろう、また所得水準の向上も相当にあるであろう、そういうような要素と申しますか、原因から考えまして、当然国民のレクリエーション需要というものが飛躍的に増大いたしまして、またその形態も大きな空間を必要とするというようなものに変わっていくことが予想されるわけでございます。そのような中で、レクリエーションの需要というものの急増というものに対しまして、新全国総合開発計画、いわゆる新全総の中では、このような需要を受け入れることは当然考えなければいかぬ。ただ、そのときに非常に大事なことは、この受け入れる側において、当然、自然の保護、保存というものを十分はからなければならない。そういうことを考えますと、いたずらに方々に、いわゆる何と申しますか、観光レクリエーション地域というものが乱開発的に発生するということはむしろ避けるべきであって、でき得れば大規模なレクリエーション基地とでも申すものを建設すべきではなかろうか。その際に、当然、この観光レクリエーションの内容といたしましては、一つの大きな問題として海洋性の観光レクリエーションというものの基地をつくるべきだと考えておるわけでございます。その一つの非常にいい地域として若狭湾が候補地の一つになっておるわけでございまして、いわゆる自然景観やあるいは歴史的な資源というものとの調和をはかりながら望ましいレクリエーション基地を建設することが望ましいということで、これがどういうふうな姿で、どういう考え方を持っていったらいいかという具体的な点につきましては、先ほども光部長のほうからお話がございましたように、国土総合開発事業調整費という予算から運輸省に移しかえをいたしまして、それの調査をお願いしているところでございます。
  44. 辻一彦

    ○辻一彦君 経済企画庁のほうも、若狭湾については、いま運輸省の調査で確認されたような特徴点というのは、大体同じような調査が——そこで委託していくということになればそうなろうと思いますけれども、大体同じような認識に立っておられるのか、この点もう一度伺いたい。
  45. 岡部保

    政府委員(岡部保君) ただいまの国土総合開発事業調整費、これは委託ではございませんで、移しがえして、運輸省の仕事として実施していただくということでございます。この考え方につきましては、全く私ども運輸省のいま御説明のありました考え方と変わっておりません。確かに非常にいいところでございますので、ただ、それの実施について、十分まだまだ調査をしていただく必要があるのじゃないかというような感じを持って、本年度にも処していかなければいかぬというような考え方でございます。
  46. 辻一彦

    ○辻一彦君 いずれにしても、企画庁のほうも、運輸省で仕事が行なわれるということで、大体同じような理解に立っておられる、こういうふうに私考えたわけです。そういう点で、その調査はぜひひとつ強力に続けてもらうように願いたいと思います。  そこで、若狭湾というのは、東の九十九里浜と同じように、いずれもそういう適地である、こういう御認識であるわけでありますが、私は、観光レクリエーションということばですね、このことばに別にこだわるわけではないのでありますが、どうも遊びに行くというような印象、遊びに行く場所という印象がいままでのイメージだとどうもあるわけなんですが、先ほどから運輸大臣並びに観光部長、そして企画庁のほうからの御答弁では、このレクリエーションというものが、単に遊びということじゃなしに、国民生活の重要な一部である、こういう御認識に立っておられるように思うんですが、そこに私は国民的保養基地というような考えというものがあるのかどうか。私は、これはここの論議ではないんですが、少し前に中国へしばらくたずねたことがありますが、一番きれいな場所が中国の西湖です。傾城の美人を生んだという、あの楊貴妃の生まれたという西湖ですが、その周辺を見ると、文教施設、学校、あるいは保養所、あるいはいろんな文化、保養の施設がずっと湖の周辺に並んでいる。しかもそれは、家族連れで休みに来て、あすの英気を養うというような、そういう場所になっておるように思ったんですが、私はこの二つの大きな大規模観光レクリエーション基地は、遊びの場所ではなしに、国民的保養、そういうスケールといいますか、そういう内容のものでなくてはならないと思うし、また受けることばからも、何かそういうことばが使われないかどうか、こう思うんですが、これはレクリエーション観光というものに対することばの問題でなしに非常に基本的な問題であると思いますので、この点をひとつ運輸省並に企画庁のほうからそれぞれ伺いたいと思います。
  47. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございました観光レクリエーションの定義の問題でございます。これについてはいろいろと議論がされるわけでございますが、基本的には私は先生の考え方と全く同じでございます。すなわち、いままで観光というものが単なる遊びである、こういうような考えにとられておったことは事実でございますが、最近のように、いわゆるこういった公害生活からの逃避、あるいは都市生活からの脱皮、あるいはそういったすべての都会生活からの逃避ということがむしろあすへの発展のいしずえになるというようなことが一つと、それから同時に、ただいま先生が御指摘のように、単なる遊びあるいは休養ということ以外に、文化的な面、あるいは教育的な面、こういったものもあわせた総合的なレクリエーション計画でなくては私はならないと思っております。そういう意味におきまして、特に若狭湾は、先ほど申し上げましたように、文化的施設、あるいはそういった教育的にも非常に恵まれております。九十九里よりもむしろ恵まれているんじゃないか。そういう意味におきまして、私は、そういったようなあすへの発展の一つの場を与えるような場所であると同時に、スポーツ的なもの、あるいは学問的なもの、あるいは教養的な場として、総合的な計画の一環としてこの問題を取り上げていきたい、かように考えている次第でございます。
  48. 岡部保

    政府委員(岡部保君) ただいまの観光部長のお話と、全く私どもの考え方も同様でございます。一つ例を申し上げてみますと、私ども新全総計画というものの実施面がいろいろ問題がございます。特に、いろいろな大規模開発プロジェクトというものをあげておりますが、その中に大規模観光レクリエーション基地のプロジェクトというものが一つの大きな柱として入っているわけでございますが、この大規模開発プロジェクトの実施面に対して今後どういう方針でいったらいいかというようなことで、一昨年から昨年にかけまして六つの研究会をつくりまして、たとえば交通体系でありますとか、あるいは畜産基地でございますとか等々の六つのプロジェクトの研究を専門家にしていただいたわけでございます。その中の一つに、大規模観光レクリエーションの研究会というものを設けました。その報告書と申しますか、その研究会としての一応の取りまとめがすでに昨年提出があったわけでございますが、この考え方に、冒頭のいわゆる題目といたしまして、自然の中の余暇と再生のための空間構想という考え方、いわゆる観光レクリエーションというか、何と申しますか、先ほど先生おっしゃいましたような、遊びという考え方よりは、ほんとうに人間を、レクリエーションそのままでございますけれども、再びつくり上げるんだという、人間を再生するんだということが非常に重要だというような御見解を中心にされました結論が出ておるわけでございます。そのようなことを一つとりましても、いわゆるただ景色をながめ何か遊びをしてくるというようなものだけではとうていこの本来の観光レクリエーションというものの本質とは違ったものになるというような考え方でございます。
  49. 辻一彦

    ○辻一彦君 ということは、レクリエーションは、確かにレ・クリエーションで、再生というような意味があるわけですから、従来の遊ぶという考えではなくて、観光レクリエーションということばが使われても、この中身は、国民的保養基地を建設する、こういう考え方であるというように解釈していいのか、その点御異論ないようですが、大臣にその点もう一ぺん確認いたしたいと思います。
  50. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま先生御指摘になったとおりでございまして、そういったような国民の健康保持、国民の活力増進ということが一番のやはり中心であろう、こういうふうに思っております。
  51. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、従来、ともしますと、観光レクリエーションというと、ことばの受け取りが遊びというふうに受け取られて、そのために、それならば民間資本が入ってもうけたり、施設をつくってやればいいではないか、こういうことで民間資本中心の主導型に開発というものがなりやすかった。しかし、ことばの表現は別として、中身ですね、国民保養基地という構想を確認するとすれば、これは私は、単に民間の開発にまかす、そういうものではなしに、国が国民の保養のために、あすの力をつけるためにつくっていくとすれば、かなりな、あるいは大規模な国の公共投資、あるいは国の力を、これの非常にウエートが私は大きくなる、主導型になるべきである、こう考えるんですが、その点大臣どうですか。
  52. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま御指摘になりましたとおりでございまして、私もそう思っておる次第でございます。はっきり申しますと、やはり国の主導型でやりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  53. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、その点は確認いただいたので、若干私具体的に入っていきたいんですが、この答申の中に、レクリエーション基地は公共財であるという、たいへん私はいいことばだと思うんですが、こういうことばが使われておりますが、観光部長に伺いたいんですが、内容はいま論議されたものが言われておると思うんですが、公共財と、こういう表現が答申にされておりますね。この意味するところをもう一ぺん聞かせてもらいたい。
  54. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) お答え申し上げます。  要するに、こういった国民の健全な保養的な場所といたしましては、いわゆる国の大局的な見地から見て、こういったものはぜひ確保していかなくてはならない、そういう意味におきまして、単に民間に依存する、単にまかせる、そういうことになりますと、どうしてもこういったものが乱開発になるおそれがあります。そういうことで、国が国家的な見地からこういったレクリエーションの重要性というものを考えましてスペースを確保してあげる、そういう意味において公共財ということばを使ったのではないか、こういうふうに解釈しております。
  55. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、国が主導型の開発になるべきだということ、さらにそういう施設等あるいは土地等は公共的な性格というものが非常に強くなる、こういうことであります。  そこで私は、この若狭湾の敦賀市から高浜町に至る二市五町村があるわけですが、ここを歩いて、いろんな、どういう問題点があるか、こういうことを聞いてみたわけなんです。そうしますと、一番いま問題は、これは御存じのように、運輸省は海洋性あるいは内陸性のレクリエーション基地の構想、企画庁はいま言われました新全総、それから厚生省には海中公園、それから農林省には国民休養村、それから環境庁、あるいはこれは文部省ですか、文化財の保護と、非常に各省それぞれ力を入れている。まあけっこうでありますが、かなりばらばらな点もあります。これは私あとで厚生の問題で若干質疑をしたいと思うのですが、こういう中で、この若狭湾地区の市町村は全般的に見れば過疎地帯になるわけですから、こういう開発の方向を歓迎をして、ぜひひとつ力を入れたい、こう言っておるのでありますが、しかし、その指定を受けていろいろ始めてみると、地方自治体の非常に貧弱な財政の負担分というものがやはりかなり大きくなる、こういうことが非常に悩みに私なっておるように、こういうように思うのですが、これはこれから私具体的なひとつ問題で質問に入りたいと思うのですが、こういう方向で開発される大規模レクリエーション観光基地であれば、なるべく貧弱な過疎のそういう地方自治体の財政を圧迫しないような方向で開発することが考えられなくてはならないように思うのですが、基本的に大臣どうでしょう。
  56. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いまお話しのとおりでございまして、大観光プロジェクトの問題につきまして、国と地方との財源の配分につきましては、これ十分考慮しなくちゃいかぬと思う次第でございます。どのくらい国が負担し、また県または市町村がどのくらい負担するかという具体的の問題につきましては、まだ検討段階に入っておりません。その場合におきましては十分考慮する。場合によりまして、ことにこの所在地でございます福井県は交付団体におきましては相当重要なところでございまして、そういう団体につきまして必要な財源配分を勘案いたしますとともに、地方分のもし財源配分におきまして、千葉県との比較におきまして非常にそれが過重であるというようなときには、自治大臣とも十分相談をいたしまして、交付税の増額であるとかいうようなことを考えて、地元負担の過重にならぬように十分配慮するつもりで、検討させるつもりでございます。
  57. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあそのことばを聞いて、私ぜひひとつ力強く思いましてお願いしたしと思います。  そこで、もう少し具体的に申しますと、たとえば農林省が指定をした、この福井県の若狭湾に三方町というのがありますが、ここに国民休養村があります。ここは指定になっておりますが、果樹でウメ、イチゴ、ブドウ等の産地でありますから、こういうものをつくってこれを貸したり、あるいは果樹園でいろんな観光レクリエーションをやる、あるいは住宅を貸すとか、乗馬の牧場をつくるとか、いろんな構想で、県が全体で三億五千万の大体公共事業、このうち国が半分で、県が一〇%で、地元が四〇%負担ということに一応なっております。一億四千万の負担ということになるわけなんです。さらに厚生省が指定しました海中公園、これも地元では、非常にこれから開発の方向が出てきたといって、両方とも歓迎はしておるのですが、全体の県の計画は、たとえば十五億の観光施設、海中公園について。その中で、五年間に二億五千万の公共施設の整備事業があります。この中で、地元が三分の一負担しなくちゃいけない、これで八千五百万ということになりますが、これを四年、五年でやるわけですが、これに用地の負担費もある。こうなりますと、三方町というのは、年間六億円の予算で、そうして町税の自主財源二千七百万円、こういうふうな中に、この国民休養村の地元四〇%の負担金一億四千万、また海中公園のこの公共事業費だけでも三分の一負担が八千五百万と、こういうものをずっと加えてみると、かなり小さな町村ではつらいというか、なかなかたいへんだ。こういう点で、その開発の方向としては、過疎地帯でありますから、非常に歓迎して、一生懸命取り組みたい。しかし、なかなか、これだけの負担をどういうふうにしていったらいいのかというので、頭をかかえているのが実態であろうと思うのです。その点、私は、こういう面については、まあ国の公共的な援助というか、投資というか、こういうものが現行においてこれ以上進められるのかどうか、そこらの状況を一ぺんお伺いしたいのですが、これはどこになりますか、担当は。
  58. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまいろいろ具体的に各省別で、そういったような大観光プロジェクトを早急にやろうというので、各省熱心にやっておるようでございますけれども、それらの問題はやはり総合的に一元化してやることが私はやっぱり望ましいのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。それのやはり総合官庁としては企画庁でございますから、私のほうからさっそく協議をいたしまして、各省とも協議をいたしまして、大総合プロジェクトに持ってくるような案にいたしたい。その間におきまして、やはり地方負担というものを緩和したい、こういうふうに思っております。
  59. 辻一彦

    ○辻一彦君 大臣いまお出かけにならなければならぬようでありますが、私ちょっともう一言だけ申し上げておきたいのですが、この大規模観光計画地帯では、一年の常住人口、常に住んでいる人の人口はわりと少ない。しかし、夏を中心に、これはたいへんなふくれ方になるわけです。たとえば高浜という町がありますが、常は一万二千人、土曜、日曜は二十万をこすというたいへんな雑踏のような人が来るわけですね。ここに常住人口と夏場人口におけるたいへんな矛盾がいろいろの点に出ておりますので、これをもう少し伺いたいのでありますが、お出かけでありますから、この問題点があるということだけひとつ御認識をいただきたいと思います。  さらに私、若干具体的な数字をあげて、いま申し上げましたことがどういう形で出ているかということを申し上げてみたいと思うのですが、若狭湾は、去年のこれは県の調査によりますと、七百十七万人観光客が来て、夏場に六九・五%、大体七〇%、七割は夏に来るということでございます。これは海水浴のお客さんが多いのですが、五百万近くがそういうことになります。その中で、海水浴だけは三百五十二万という去年の数字が出ております。七月一日から八月二十五日まで、大体レクリエーション需要調査で、企画庁と運輸省でやってもらった、これによると、一二%くらいの伸びが毎年あるわけですが、これから加速的に伸びていくだろうと思うわけです。そこで、いまもちょっと申し上げたのですが、季節人口と常住人口の差が非常に大きい。これについて、いろいろな矛盾点というか、問題が出ている。で、大きくこの若狭湾を四つに分けて、敦賀市、三方・美浜地区、小浜・大飯・上中・名田庄、それから高浜と、四地区があります。一番端的な例が高浜という町ですが、これは常住人口一万二千。平均しますと大体夏は三万七千ふえるというのですが、土曜日、日曜日は大体二十万くらいといわれるくらいの人がふえます。ほとんど関西名古屋から——八〇%以上はそういうふうになっておりますが、土曜、日曜は二十一万、夏場の普通の日でも大体五万というような人口にふくれていく。それから小浜市を見ましても、常住人口が五万一千で、夏、観光で、平均しまして大体三万五千の人が加わる。これで八万六千になりますが、土曜、日曜は大体十五万ぐらいになる。こういうように夏たいへん人がふえる。特に土曜、日曜には数倍から二十倍近くふくれ上がるという現象が起きておるわけであります。  そこで問題は、宿泊の設備も、収容施設もそうなんですが、一番問題になるのは廃棄物と水の問題なんですね。いわゆるし尿処理、ごみの処理、それから上水道の、とにかく使う水ですね、この三つの夏の一番人口のふくれるピーク時に備えた設備をしなくてはならないと、こういうことで、非常に問題になっておる。このし尿処理とごみと水はがまんするわけにいかぬのです。宿泊のほうはちょっと狭くてもがまんできますが、この三つはがまんしたんじゃとてもレクリエーションどころじゃない、これは苦労しに行くようなことになるわけですが、この三つだけはがまんできぬ。そういうことで、この三つをどうしても早急に解決をしなければいけないということで、この若狭地区の市町村はいろいろな負担をしながら取り組んでおります。  ついでですから、もう少し申し上げると、小浜市の場合に、これは常住人口五万一千人で、ごみは一日六十トンの大体処理施設があれば普通いいわけなんです。この場合の経費は二億一千万、国と県が四千五百三十九万に市町村が一億六千四百六十万、つまりいまの基準でいくと、これだけの起債を含めて地元負担ということになる。ところが、夏の人口が毎日二万五千加わりますと、一日八十トンのごみを処理しなくちゃいかない。そうしますと、本工事だけのごみ焼却施設の経費が二億八千万に大体なる。そうしますと、国や県は、常住人口で補助基準というものを考えますから、これは変わりはない。結局市町村の負担が二億三千四百六十万、このうち七五%ぐらいが起債になると思いますが、そういう形でこの町村の負担がふえる。で、常住人口に比べてさらに夏場人口をかかえるために、七千万円ごみ焼却費の本工事だけでも負担が一応ふえるということがあります。で、付帯工事や用地費等を含めると一億近くはこれで常住人口の場合より、かかるのではないか。  それから高浜の例で申し上げると、常住人口は一万二千人、ごみは一日十五トンです。これは仮計算でありますが、似たような計算をしますと、本工事の場合に五千二百五十万ぐらい、これは同じように国が九百万、県が二百二十五万、計千百二十五万が国や県の援助であり、四千百二十五万が大体地元で考えなければいかない、起債を含めてですね。ところが、三万七千五百人、まあ三万八千人ほどの夏場人口が平均加わると、一日五万人になりますので、四十トンのごみ焼却の施設が要る。本工事だけで一億四千万、国や県の補助は同じだとすると、地元の起債を含めた経費は一億二千八百七十五万、これも差し引きをしますと、地元の総負担が八千七百五十万ほど余分に夏場人口をかかえるために必要になってくる。こういうようにごみの処理一つを見ても、非常に夏のピーク時の人口をかかえるための設備がかなり経費がかかり、地元負担をしなくちゃならない。  また、し尿処理の点をあげてみますと、高浜の例では、常住人口ならば、一日に十五キロリットルでいい。大体本工事七千万、総計、全部を含めて、これは仮りの計算ですが、九千万から一億ぐらいと、こう考えます。そうしますと、国が千百五十万、県が二百九十三万で、千四百四十三万。地元が八千五百万の大体負担が要る。ほんとうの場合は、夏人口では一日に三十キロリットル、こうなりますと、これはいまやっておりますが、本工事で一億三千七百万、総計で一億七千四百万、国や県は、これは十五キロリットルと同じでありますから、国の千百五十万、県の二百九十三万、これは変わりはない。結局高浜町は一億五千九百五十万、その差し引きをしますと、やはり七、八千万というものが増加している、起債が七五%ぐらいは含まれておるのですが。  こういうふうに一時に夏に季節的にふくれる人口で、がまんができないごみやし尿処理や水というものを解決するために、いまあの財政貧弱な市町村が、何とかして夏に備えてそういう準備をしなくちゃならぬというので、懸命の努力をしてはおりますが、地方のそういう財政にかなり無理がかかっている、こういう点を考えると、この常住人口と、そして夏の人口の間にあるこの差というもの、こういうものが非常に矛盾になるのです。  これは、公共的な性格が非常に強い地区になるわけでありますから、特別な対策というようなものがこれに対して考えられないか、こういう矛盾点をどうお考えになるか、それをひとつこの関係のある担当部局から聞きたいと思うのです。
  60. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 先生御指摘の季節的に人口の集中する地域について、最も問題となっております水あるいは廃棄物の処理といった点についての国の財政措置あるいは国庫補助というものが不十分ではないかという点を、ごみあるいはし尿について具体的に御説明になったわけでございます。確かに先生の御指摘のような事実でございます。  ごみのほうで申し上げますと、現在——現在と申しましても、実は四十七年度の予算案を現在御審議中でございますから、それが成立した上のことでございますが、四十七年度から始めまして、法律に根拠を置いた補助制度がスタートするわけでございます。従来はいわば予算補助という形でもってごみに対しての補助は非常に微々たるものでございました。それが今年度からはスタートするわけでございますが、従来の例で見ますと、また今回の法令による補助を見ましても、このような季節的に人口の集中する地域においての特別の国庫補助ということは、制度上は実はまだございません。御承知のように、ただいま廃棄物の処理ということが全国的に非常に重要な問題になってきておりまして、何としてもまず制度のスタートの時点におきましては、地域住民に対する施策の必要性というものをやはりとりあえず取り上げようということにとどまったわけでございます。制度が発足いたしまして、いろいろとまた私どもの努力も重ねまして、現在のいま先生が御指摘の、このような季節的に人口の非常に集中する地域につきましての国庫補助あるいは財政的な援助というものにつきましては、前向きの方向で取り組んでまいりたいと思っております。現状は御指摘のとおりでございます。  それから起債の面におきましては、ケース・バイ・ケースで措置されておりますし、今後もできるだけ質のいい起債を振り向けるように、これは関係各省とも協議をしてまいりたいと思っております。  また、し尿につきましてもごみと同様な状態でございます。ただ、水道——簡易水道につきましては、このような地域につきましては、現在いろいろといわば上積みをいたしまして、補助の対象として考えております。一般上水道は、これは計画の段階でもってその必要とする給水量というものを算定して、私どもは実情に応じましてその計画を認可する。それに必要な起債等についてもいろいろと考えさせていただいていると、こういう段階でございます。
  61. 辻一彦

    ○辻一彦君 水の問題がいまお話がありましたので、厚生省ですね、お見えになっているのは。上水道、高浜で計画しているのは、これも常住人口一万二千人に対して五万人の給水設備が要ると。こうなりますと、一日三万トンと、総事業費が八億一千二百万で、財源は起債六億九千万、一般財源一億二千二百万で、国庫の補助対象はないというんで、私のほうにメモが来ておるんですが、これは間違いないですね。
  62. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 一般上水道につきましては、これは国庫補助の制度はございません。
  63. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、まあ矛盾点は私が具体的な形でいま指摘したとおりだし、そういう矛盾があるということを認めておられるわけですね。そこで、先ほど運輸大臣も、また経済企画庁のほうでも、こういうレクリエーション観光、大規模な基地というものが遊びの場でなしに、国民的保養の場としてとらえなくちゃいかない、そういう方向の開発を目ざすんだということの御発言があり、また、そのような性格づけが確認をされた。そんな中で、公共的な国の力というものをもっといろんな形で入れていかなくちゃならないという大臣答弁もあり、各省とも相談したいということでありますが、現実に私はこういう矛盾が出ているとすれば、これに対して適切な手を早く打つべきでないか。運輸省が出された諮問の答申にも、この「基盤施設の整備」というところの中に、「地元地方公共団体の財政負担に対する配慮」として、ここに「上記の公共・公益施設の整備——それは上下水道、道路、学校、保健所とか電気、ガス、いろいろあげておりますが、非常に「地方財政にとって過重な負担となる。このため、上記の公共・公益施設の整備について、補助率、負担割合等の引き上げについては抜本的検討を行なう必要がある。」と、こういう答申がされておるんですが、しかも現実は、いまのように、もう焦眉の急といいますか、目前に迫っている。まあ制度ではないのでどうにもならぬというようなことでなしに、こういう答申を受けて、現実にそういう問題があれば、これをもっと積極的に今日の時点でやはり解決をしていくと、こういうことが公共的な方向というものを具体的に裏づける中身になると私は思うんですが、その点、企画庁それから厚生省から、それぞれひとつお伺いをしたいと思います。
  64. 岡部保

    政府委員(岡部保君) ただいまの先生の御説、私全く同感でございます。当然このようなプロジェクトというものを国民的な視野から実施していくという上では、ただいまいろいろ御指摘ございましたような点について、まだまだ考え直さなきゃいかぬという点、これはもちろん財政当局等といろいろ御相談しなければならぬ問題でございますが、当然いろいろ考えていかなきゃならないということは全く同感でございます。特に、私どもたまたま所管をいたしておりますが、非常に特殊な地、たとえば離島でありますとか、あるいは豪雪地帯でありますとか等々の特殊な地域の開発という場合に、そういう特殊な、何と申しますか、財政資金の上乗せと申しますか、財政上の手厚い援助をしなければならないという例もございます。あるいは非常に具体的になりました大きなプロジェクトというものを実施いたします際に、そういう考え方を持つという例もございます。したがいまして、私ども、この大規模な開発プロジェクトの実施に対しまして、これは当然大規模開発プロジェクトと申しますのは、すべていわゆる国家的な視野から考えなきゃならぬという問題でございます。特に、いま御指摘のありましたような問題につきましても、具体的に進む段階においては、当然そういうものを考えるという方向で進んでまいりたいと考えております。
  65. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) ただいまのこのようなプロジェクトが組まれ進みます場合に、厚生省といたしましても主管のことにつきましては、このプロジェクトの実効があがるべく関係各省、ことに財政当局とも十分協議いたしまして、私どもとしても努力いたしまして、現在の国庫補助あるいは財政措置その他につきまして改善されるようにつとめてまいりたいと考えております。
  66. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは、ここだけの御答弁じゃなしに、おそらく市町村は、もう毎年の問題ですから、いろんなことで中央官庁に来ると思うんですよ。そういう具体的な計画の場合に、ここの答弁が生きるような配慮を、手配を私はぜひしてもらいたいと思うんです。  それからこれは運輸省、厚生省、企画庁等、関係省に努力してもらうことですが、と同時に、この問題について、きょうは大蔵省来ておられませんか、おられますか。——このいう実態を踏まえ、しかも運輸大臣また企画庁あるいは厚生省、それぞれいまのような御答弁があったんですが、大蔵省として、こういう問題に前向き、前進的に具体的な対策を立てることができるかどうかですね、その点ひとつお伺いしたい。
  67. 金子太郎

    説明員(金子太郎君) 私は、運輸省一般行政を担当いたしておりまして、観光と申します各省にまたがる問題に全面的に責任を持ってお答え申し上げるわけにはただいまのところまいりませんが、本件はかねがね、御指摘のとおり、各省それぞれで観光事業に関して補助をやっていく、その補助金が、各省にそれぞれ補助金の体系というようなものがございまして、従来の例で申しますと、たとえば厚生省では、生活的なものは非常に高く、観光的なものは補助率は低い、ないしは融資だけで済ますというような考え方で長年やってまいりました問題でございまして、そういうものが幾つか各省で合わさりますと、地元にしてみますと、財政力の上でとても対処し切れない。本件は、それでは国が全般的に補助率を上げる等の措置を講ずべきではないかということになるわけでありますが、国全体と地方財政全体で考えますと、たとえば公債依存度などで考えますと、どちらが裕福だと言われても必ずしも言えない。たとえば地方で申しますと、交付税というようなものがあるわけであります。その交付税の配分はどうなっているかといいますと、先ほどから御指摘のとおり、常住人口というものは非常に大きな柱になって配置されるとか、あるいは生活の基本に触れるような医療とか防貧というようなものの率は、やはり高くなっているというような慣行のようなものがございます。こういうようなことが折り重なって、御指摘のような矛盾ができて生まれてきているんだと思いますが、問題点は私どももよく承知いたしておりますので、関係各省と十分協議いたしまして解決につとめてまいりたいと考えております。
  68. 辻一彦

    ○辻一彦君 これは大蔵省に努力をお願いしたいと思います。  そこで厚生省にお伺いしますが、いま、大蔵省のお話のように、厚生省の従来の考えの中に、観光というものは遊びだから、そういうものは補助率は低くてもいいと、こういうような考えが過去に私はあったかもわからぬと思うんですね。しかし、ここで論議をされたように、今日の観光レクリエーションの持つ概念、中身というものは、非常に国民生活の変化の中で変わってきている。国土を考え、非常に公共的な性格が強くなってきた、こうなると、私は従来のように遊びという考えに対して行なわれたいろんな基準というものを、私はかなり変えて、高めていく必要があると思うのですが、その点厚生省どうでしょう。
  69. 浦田純一

    政府委員(浦田純一君) 私、レクリエーション関係の直接の担当ではございませんが、あるいは個人的な見解を述べることに相なろうかと思うのでございますが、少なくとも私厚生省内におりまして、レクリエーションについて、先生が御指摘の、遊びであるからといったような考えで動いているとは聞いておりませんし、私自身も決してそのようには考えておりません。ただ、従来のいろいろないきさつから、一定の財源のもとで、どこに振り向けていくかということについて、いろいろと省あるいは政府全体としての志向の方向はあったと思うのです。ことに先ほど私がお答えいたしました水あるいは廃棄物の処理につきましては、これは省としてもいわば二大施策のうちの一つというふうなことで、最重点を置いてやっているところでございます。観光地のことも大事でございます。これはもちろん全般的な立場においてどのような位置づけをするかということは、それぞれ所管の省庁でもって得意なることでございます。私どもはむしろそれをプラスといたしまして、がんばっていきたいと、このように考え七おります。
  70. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう時間が来たようですから、一、二で終わりたいと思います。  最後に一つ、各省はそれぞれ努力をされているということはいいことでありますが、しかし現地で見ますと、まだばらばらの感じも免れないと、こういうことで私は一大観光レクリエーションの基地を建設するとすれば、法制的にも何か相応するような必要が私はいろいろあるんじゃないだろうか、このように思うのですが、この点が一つと、これは企画庁と運輸省に伺いたい。  もう一つは、これは国鉄のほうにお伺いしたいのですが、運輸省のほうですね、先ほど運輸大臣はこの大規模観光レクリエーション基地の建設はそういう開発とあわせて大量の輸送手段を並行して考えなくちゃならないと、こういうような御発言があったわけなんです。そこで、若狭湾に千五百万から二千万という人を大体吸収していこうという計画になるわけでありますが、その場合に、大量輸送手段というのは、私は陸路、自動車やあるいは鉄道等があると思うのですが、そこらをどういうふうに考えておられるか、そして、その中で小浜線が非常に弱体化しておるんですが、この小浜線の拡充、さらに長年の懸案でありました小鶴線——小浜から京都に抜ける鉄路を調査費がついて取りかかっておりますが、こういうものの進行するめど等についてひとつお伺いをしたい、こう思います。
  71. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 先生の御質問の第一点につきまして、私ども経済企画庁がどうも観光行政の所管——直接の所管では全然ございませんので、一般的な意味での御回答を申し上げたいと思います。特に観光行政のいわゆる行政機構の問題いろいろ議論もあるところでございます。それとは別に、いわゆる何と申しますか、地域開発と申しますか、国土を開発していくという意味での点について、私どもの考え方を述べさせていただきたいと思います。  いろいろな、先ほども申しましたような、たとえば大規模開発プロジェクトという問題を取り上げますと、直ちにいま先生御指摘になったような、どれ一つをとりましても、非常に関係——国のお役所で申しますれば、関係省が非常に多いというのは事実でございます。そこで、現段階で私どもの立場でもございませんし、また、必ずしも一つの統一した組織をつくるということが最もいい点かどうかという点についても疑問がございます。したがって、私どものいまやっておりますやり方は、非常に具体的なプロジェクトの具体的な実施の段階になりますと、各省の間での協議会というものをつくって、必要に応じていろいろ御相談申し上げるという考え方を現在とっております。これは、私どもが開発の問題でやっておりますだけではございませんで、たとえば環境庁なども非常に各省に関係のある問題についてもやはり協議会システムを盛んにとられているわけであります。現段階ではこういう協議会システムで考え方の基本というものを絶えず統一して、そしてそれぞれの省がお持ちになる行政の実態、たとえば観光レクリエーションのこの若狭湾の例にいたしましても、私ども考えますと地域開発であり、その地域住民の十分意思を尊重しなければならぬ、また、そこに一つの町づくりというものまで考えなければいかぬというようなことになりますと、当然各省にまたがったいろいろな行政の実態がある、そういうものを意思統一しながら間違いない方向で一緒にやっていこうということで、先ほどの協議会システム、これは最近の傾向でございますが、そういうことでやっていく考え方で、しかも、各省非常に御協力をいただいておりまして、そういう面でむしろ積極的な御参加をいただいているというのが実態でございます。
  72. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) 先生の御質問にお答え申し上げます。  まず第一点でございますが、もともと観光行政と申しますのは、先生御承知のように、一般的に申しまして、いわゆる総合行政あるいはシステム行政と言えるかとも思います。すなわち、運輸省はじめ厚生省あるいは建設省あるいは環境庁、こういったことで非常に各省にまたがる問題が多いわけでございます。しからば、簡単に観光行政を一元化するといっても、これはなかなか岡部局長が申し上げたようにむずかしい問題がございまして、実際の点におきまして私どもはいわゆる機能の一元化、ファンクションの一元化、こういうことを常に念頭に置きまして、関係各省と緊密なる連絡をとってこの実現に当たっているわけでございまして、ただいま岡部局長申し上げましたように、各省におきます協議会というものをつくりまして、そうして、この共通の問題についていろいろと討議をし、また今後ともこういった委員会システムを通しましてこの問題を進めていきたい、かように考えている次第でございます。  なお、ちなみに福井県におきますこの若狭湾の問題につきましては、福井県が現在中心なりましてこの観光レクリエーション問題につきまして委員会を設置しております。先生御承知のように、このメンバーの中には福井県が主体になりまして、企画庁、それから運輸省建設省、環境庁その他近畿圏整備本部、こういった各省が集まりましてその運用の妙を発揮するようにいままで努力しているわけでございますし、また今後ともこういった機能の一元化という問題を常に念頭に入れながら先生の御期待に沿うように努力していきたい、かように考えている次第でございます。  なお、次に交通問題でございますが、これは先ほど大臣からお話しございましたように、こういった爆発的な観光需要に即応いたしまして、これまた十分に国鉄当局、あるいは道路の問題でございますと建設省でございますので、先ほど申しました委員会の中で中心議題といたしましてこの総合的な輸送計画を策定していきたい、かように考えている次第でございます。  なお、具体的に先生御指摘の鉄道の問題につきましては、国鉄さんのほうからお答えいたしたいと思います。
  73. 信沢利世

    説明員(信沢利世君) 小鶴線の建設でございますけれども、これは御案内のとおり、福井県の小浜から京都府の殿田までに至ります約五十七キロの新線建設でございまして、昭和三十七年に調査線に編入されまして、昭和三十九年九月に基本計画鉄道建設公団に示しましてその建設を指示したわけでございますが、これは現在までいわゆる調査、測量を行なう調査線ということで、実態的に調査しております線でまだ建設にかかっておりません。このような線が全国でも若干あるわけでございますが、特に、最近経済情勢の変化によりまして新線建設すべきかどうかというようないろいろ問題も出てまいりましたので、重点化をはかっておるところでございまして、他の輸送機関と経済比較をしてどうかとか、あるいは国土の開発計画との関連がどうだとか、あるいは鉄道網の形成の上との関連はどうかとか、こういうような点を勘案いたししまして、その重点化をはかって今後進めていくことになると思うのでございます。この小鶴線につきましても、その線に沿いまして、今後の輸送需要、そういうものを勘案しながら検討さしていただきたいと思っております。
  74. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、時間が来ましたから、この点もう少し聞きたいけれども、これで終わります。     —————————————
  75. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、辻一彦君が委員辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。  午後二時に再開することとし、それまで休憩いたします。    午後一時二分休憩      —————・—————    午後二時三分開会
  76. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科担当委員の異動について御報告をいたします。  本日、小野明君委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  77. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 休憩前に引き続き、運輸省所管の質疑を行ないます。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄総裁、時間がございませんのでそうたくさんの質問はできないんですけれども、御承知のような、国鉄がかつてない非常に混乱をしておりますね。迷惑するのはこれは国民でございまして、そういう意味で、この国鉄の混乱に対して総裁として責任感じておられますか。
  79. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) かつて予算委員会におきましても数回御答弁申し上げましたとおり、非常に責任を痛感しております。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣、いろいろとそのよって来たる原因は深いものがあると思うのですけれども、当面問題になっておるのは、やはり春闘とのからみ合いがどうしてもあると思いますね。そこで、きょう政府は公労協の紛争に対する基本的な態度を御協議なさったんですか、関係閣僚で。有額回答を出して事態の収拾をはかるという御方針のように聞いておるのですけれども、その模様を簡単でいいですから知らしてもらいたいです。
  81. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 本日、関係九閣僚が集まりまして、公共企業体の給与問題につきまして協議会を開いております。二公社五現業につきましては、国会で予算がまだ御審議中であるけれども、こういう事態であるから有額回答もやむを得ぬだろうという結論に達した次第でございまして、各当事者で早急にそれらの点につきまして回答をするのがいいという結論に達した次第でございます。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、国鉄に対しては有額回答は出せないということですね。それで、二公社五現業の場合、有額回答の内容については、それぞれの大臣なり責任者からやるというので、おおよそ政府としてどの程度の額を示すかということはおきめになったのですか。
  83. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 額の問題につきましては、われわれはむしろ各当事者にまかすべきだということでもってこちらからも問いただしませず、向こうのほうからも労働あるいは大蔵のほうからも、これらの問題につきまして説明も聞かなかった次第でございます。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄もいろいろ財政は困難であるし、われわれもよくわかっておりますが、さればといって、この賃金引き上げに対して政府が全然そっぽを向くというわけにはいかないと思うんですね。これはこれからの国鉄総裁とそれぞれの組合の交渉に待つと思いますけれども、この辺はどうなさるおつもりですか、監督をする運輸大臣としては。
  85. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 国鉄がほかの二公社五現業並みにそういった回答が出せぬという実情はまことに残念でございます。しかしながら、御承知のとおり、国鉄の現在の財政、そしてまたいま御審議願っております運賃法その他の財政再建法の審議状況、ぐあい等から見まして、国鉄はいま回答はできぬというような意向でございまして、まことに残念でございますがやむを得ぬじゃないか、こういうふうに思っている次第でございます。御承知のとおり、たしか四十二年からずっと回答もしていない、こういうふうな現状でございますが、やむを得ぬと思います。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 これは総裁お答え要りませんけれども、政府のほうでは、いま大臣からおっしゃったような態度をとっておられるのですけれども、当事者である国鉄総裁としては、真剣にこの問題に対応策を持たなければならないと思いますが、いろんな事情もあると思いますけれども、ひとつ誠意をもって解決のために努力をしていただきたいと思います。ちょっと考えだけ聞いておきましょう。
  87. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうは、ただいま大臣がおっしゃいますとおり、いわゆるゼロ回答というよりもむしろ無回答、回答ができないという状況でございます。いわゆる当事者能力の問題以前の支払い能力の問題でございまして、国会で御審議中の問題とも関連これあり、今後なお無回答の期限が続くと思いますけれども、やはり先ほど先生のおっしゃったようなことを十分考えなければならないというふうに思っておりますので、非常にむずかしい事態でございますが、全力をあげて事態に対処してまいりたいと思います。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄運賃法が当初四月一日から実施するという予定でおったわけですね。予算を組んだと思いますが、延びておるわけです。これはいつ通るか、にわかに見通しは立ちませんけれどもね。一応、予算上は一日どの程度の収入増を考えておったかですね。逆にいうと、一日延びればそれだけ収入減になるわけですね。これはどんなことでございますか。
  89. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ごく概略、一日約五億というふうにおぼしめしいただきたいと思います。ただ、四月下旬並びに五月上旬はいわゆるゴールデン・ウィークで非常にお客様の出るときでございますので、かりに四月一ぱい延びるというふうにいたしますと、旅客、貨物合わせまして約百五十億ぐらいの減収であります。かりに六月——四十四年のときのように六月十日といたしますと、約二百億の減収になるわけでございます。——失礼いたしました。五月十日まで延びるといたしますと、約二百億前後の減収になるというふうに考えます。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 この五億円というのは、旅客と貨物と分けたらどうなりますか。
  91. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 四月一ぱいでございますと、旅客が百十八億……。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 いや、一日でいいです、五億のうちで。
  93. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 一日ですと、四対一ぐらいでございます。四分の一が貨物ですから、約一億前後が貨物と、一億ちょっとふえますが。それから旅客が四億弱、三億五、六千万円というふうにおぼしめしいただきたいと思います。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、いつ通るかわからないんですが、かりに六月一日から実施されるとしても約六十日間ですね。そうすると、三百億の収入減になるわけですが、一体この収入減になる分はどうして補てんをすることになるわけですか。現在でも相当な補てんをしなければなりませんでしょう。その財源調達の見通しはどうなんですか。
  95. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは非常にむずかしい問題でございまして、現在時点ですでに約百数十億減収しておることは、これは事実でございます。しかし、これもいつ国会の御審議が済みますか、全く私どもわからないわけでございますが、その法律の通りましたときの状況によりまして十分政府とも御相談申し上げたいと思っておりますけれども、いまの状況で申しますと、増収努力にもまた節約にもそう大きな期待はできないというふうに考えておりますので、予算執行上非常にむずかしい事態になるんではないかと考えられるわけでございます。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 そんなのん気なことは言っていられないんですね。いまでも百数十億の減があるわけですからね。現実にそれをどう補てんするがということはね、もうその計画を立てなければならぬでしょう。かつてもそういうことがございましたね。だから、だいじょうぶですか、その収入欠陥を補てんするということについては。土地を売ったりなんかするのですか。
  97. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは最悪の事態もいろいろございますので、国会審議を私ども云々するわけにまいりませんが、やはりいろいろの前の事例等を参酌いたしまして予算通過並びに法律案通過の時点におきまして政府等と十分御相談いたしまして、経常経費におきましても、また工事内容にいたしましても、削減しないでやってまいりたいという私どもの気持ちでございます。実際にその時点になってみませんと、いろいろ政府のほうでもまだおきまりになっていないというふうに思います。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄の場合には、たたくと出てくるようなところが若干あるようですからね。私もこの前のときちょっと驚いたんですけれども、そういうものがあるならば、実施の時期を一カ月おくらすとか何か配慮してしかるべきだと思うのですが、おくれたらおくれたで、その収入欠陥に対する補てんが簡単にできるように思うのですが、その後どういうふうになっておりますか、わかりませんか。いずれにしても、しかし、これはそんな微温策ではとても解決をしないと私は思うんですね。ですから抜本的に国有鉄道のあり方というのは、昭和二十八年の国鉄法改正以前に戻さなければどうにもなりませんよ。あとから私はお伺いしますけれども、そういう赤字がすべて利用者国民のサービスダウンに平気でつながってくる。またそれを平気でやっておられる。いまでも、この運賃値上げ法案が国会で審議されているときに地方におきましては、国民が納得できないようなサービスダウンの極端な合理化を、合理化という名のもとにやっておられる。これじゃ国民の支持を得られませんよ。しかし、国鉄当局としては背に腹はかえられないから、そういうことをおやりになると思いますが、きょうは時間がありませんので、私もまあ運輸委員会などではかなり総裁にも基本的な抜本改正ということをやらなければだめだということを主張してきたものですから、そういう考え方の上に立ってみると、ほんとうにことしの予算編成についても、微温的なものであると私は思います。公共料金の値上げが他の物価の値上げを誘発してくることも事実でしょうし、よって来たる原因、この波及する原因というのが、非常に大きゅうございますからね。だからこそ国民は運賃値上げそのものには反対するということになるわけですよ。ですから、非常に国鉄当局もつらいと思うのですけれども、そういう意味において、もう少しきょうは大臣もいらっしゃるけれども、抜本的な改正を急いでいただくように。財政再建などもおやりになっておるけれども、あれでもとてもとてもこれはもう国鉄はどうにもならぬ。みずからの努力もこれは当然われわれは要請しなければなりませんけれども、そういうことをやってみても、どうも追いつかないように私は思います。ですからその点をひとつ十分配意して、大臣もいらっしゃるし、今後、いずれまた運賃法の際にやりますから、その程度にとどめますが、それで国民は実際に上がることに対して反対するのは当然ですね。今度は旅客の場合、二三・四ですか、平均しますと。そうしますと、たとえば甲府と新宿間あるいは新宿と大月間、大月と甲府間というようなそういう区間をとってみても、かなりの値上げが私は出てくると思うのです、具体的に数字の上で。それをちょっと参考のために、もしそういう表ができておったら、ここで発表してくれませんか。
  99. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 新宿と甲府の間、現在は五百五十円でございますが、これが六百七十円になります。そういたしますと、二一・八%。それから新宿と大月の間でございますが、これが現在が三百六十円でございまして、これが四百四十円になりまして、二二・二%。それから大月と甲府の間、これが二百十円でございます現在、これが二百五十円になります、一九%の値上げ。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 大月−新宿間は二百五十円が六百七十円で二一・八%というのはちょっとこれ違うでしょう、現行が違うんですよ。
  101. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 大月−新宿間は。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 いやいや甲府−新宿間、二百五十円といったでしょういま。
  103. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 甲府−新宿間は五百五十円が六百七十円。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 それは普通運賃だけですか。今度は急行とか特急、座席指定、これはどうなりますか。
  105. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 特別急行料金、これについて申し上げます。まず新宿−甲府間でございますが、現在六百円が七百円でございます。それから新宿−大月間が現在六百円が七百円でございます。大月−甲府間が現在六百円が七百円でございます。  それから普通急行料金、次、申し上げます。新宿と甲府、これが現在二百円でございますが、これが三百円になります。それから次が、新宿−大月、これが現在百円でございますが、これが二百円になります。それから次が大月−甲府間でございます。これが百円が二百円になります。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 グリーンは。
  107. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) それと普通急行と特別急行料金、これを足したものを申し上げますと、現在が新宿−甲府につきまして一千百五十円、それが一千三百七十円になります。したがいまして一九・一%。それから、次が新宿と大月の間でございますが、これが普通運賃と特別急行料金でございますが、合わせますと九百六十円でございますが、これが千百四十円になります。したがいまして一八・八%。それから、次が大月と甲府の間でございますが、これが普通運賃と特別急行料金足しまして八百十円でございますが、九百五十円になります、一七・三%。  それから、次に普通旅客運賃と普通急行料金、これを足したものを申し上げます。新宿と甲府の間でございますが、七百五十円が九百七十円になります。二九・三%。それから、次が新宿と大月の間でございますが、現在の四百六十円が六百四十円になります、三九・一%。それから、大月と甲府の間でございますが、これが三百十円が四百五十円、四五・二%。  以上でございます。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 まあ平均ですから、いまの大月と甲府間四五・二%というのは相当な大幅な引き上げがあるわけでして、個々のケースケースを見ますと相当の問題がございます。ですから、こういうふうな運賃引き上げになりますと国民がこぞって反対をする。しかも、サービスは悪い、こういうことで非常に国鉄も窮地に立っていると思います。  そこで私は、具体的に国鉄合理化の基本問題から論ずべきですけれども、その時間がありませんから、とりあえずローカルのことで恐縮ですけれども国鉄身延線の合理化問題について伺いますが、まず三年前に身延線の合理化についてはすでに一部発表されておりましたが、今後この身延線合理化は一体いつの時期におやりになるのですか。一説によると、七月の中ごろというお話も聞いておりましたが、これはどうなりますか。
  109. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 身延線のいわゆる営業新体制と申しますか合理化、これにつきましては、身延線の輸送改善を行なうということで一緒にことしの秋に実行したいということで、現地の静岡鉄道管理局においてまだ案を策定中でございまして、決定はいたしておりません。ただ、計画といたしましては、秋の輸送改善という時期に合わせてやるというような計画を地元ではやっておるというのが現状でございます。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 当初CTCを導入するというお話でしたね、これはどうなりますか。
  111. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現在の身延線の列車の状況、それから輸送需要、そういうものを考えまして、先ほど申し上げましたように秋の時点で輸送改善をする、こういうことでございますが、それとともにいわゆる合理化と申しますか、営業の近代化という体制をつくるわけでございますが、現時点においてそれらの計画を実行するということを考えた場合に、CTCを直ちに導入しなくてもこの秋の時点で可能であるというふうに考えておりまして、CTC導入の時期については今後の問題として検討する、このように考えております。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 秋の輸送改善の時期と合わせて合理化はやりたい、その際はCTCは導入しない、自後引き続いて検討する、こういうことですね。この問題は地元のほうでは、総裁も御承知のように、山梨県が三つの鉄道管理局に分かれておりましたが、一本にしてくれということですね。昨年中央線の合理化の際に、甲府から以西の小淵沢までは西鉄道管理局に入っているわけですね。これは一つ目的が達成したわけですが、残っておる金手からの南ですね、これをぜひ西鉄にと、こういう意見があるんですが、この問題とCTCとの関係というのはあるんですか。それから、管理局を別にするということについてはどうなんですか。一本化してくれということについてはどうなんですか。
  113. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) CTCを設備する場合には、別にその局境との関係はございません。したがって、たとえば熊本から鹿児島まで一本でやるという例もございます。その点は局境と関係なしに私どもはライン全体で見るという見方をいたしておりますので、いま原岡から申し上げましたように、現在の秋の輸送改善ではまだ必要がないと思いますけれども、やはり身延線の需要は南の富士宮口もまた甲府口も相当ふえておりますので、いずれそう遠くない機会にCTCを入れなければならないというふうに思っておるわけでございます。  それから、いまの先生質問の局境の問題でございますが、先般中央線は御承知のとおりあそこまで調整いたしました。なかなかこれは局境は全国的に影響するものでございますから、いま一番実は御迷惑をかけておるのは山梨県と山形県で、やはり一県でもって三局くらいに分裂いたしておりますので非常に御迷惑をかけておりますが、一カ所いじりますと全国的にやらなければなりませんので、もう少し落ちつきまして、多少そういう方面の余裕ができましたら全国的に、できれば行政区画とそれほどそごのないようにいたしたいと思っておりますけれども、いまの時点でちょっとまだ全国的な改正は時期的に少し無理がある。しかし、局部的に非常に問題がある点は地元からも、また知事さんからも非常に強い御要望もございますので考えなければならない点もございますけれども、あの身延線は、いましばらくいまのままでやってまいりたいというふうに考えております。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 これは、地元の要望としては西鉄一本ということですからね。さらに、今後ぜひ実現のために努力をしてもらいたいと思います。それで、身延線は日本で一番古い車両を使っているのではないかと私は思うんですが、まだ木製のきしきし音のする非常にあぶない老朽化した車両が走っております。こういう車両をもう少し近代的なものにしてもらえないかということが一つ。  それからもう一つは、甲府から大体身延ですね、身延から富士宮、この間の通勤列車というものは、非常にダイヤ上不合理な点がたくさんございまして、たとえば、甲府を四時四十八分という列車が通ったあと、五時三十五分鰍沢口行というのがあるんです。ところが、鰍沢口から南の身延までの人たちはその次の六時十分までダイヤがないんですね。一時間と十数分の間、これらの駅でぶらっとしていなければならない、非常に不便なダイヤなんです。先般の改正でわずか十二分間ですけれども変えてもらいました。それでも南甲府からの人たちは多少乗れるようになっておるのですけれども、こういう点を何とか改善をしてもらわないと、合理化もあなた方の言うように輸送改善というけれども、これは輸送改善ではない、輸送改悪をして合理化しようという国鉄やり方が非常に問題で評判が悪いんですよ、率直に言って。せめてそういう点はいろいろなくふうをして、そうして地域住民の要望を入れてやる、そうして同時に国鉄のやりたいことについても協力をしていただくということになりませんとあまりに一方的ではないか。合理化というのはサービスダウンすることかという批判があるんですよ。ですからその辺は十分配意をしてもらいたいと思うんですが、たとえば、鰍沢口までのやつを身延まで持っていくとか、そういう配慮はしないんですか。
  115. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 先生御指摘の鰍沢口を身延まで持っていく、これは730Mという電車ではないかと思いますが、実は検討いたしましたが、多少まだ延伸はできますけれども、身延まで持っていきますと、新しく車両を投入しないと回しがきかない、こういうのが現時点でございまして、車両をふやさないという前提に立ちますと、甲斐岩間というところまで持っていくことが現時点で可能であるという検討の結果になっております。  それからなお、最初に御指摘いただきました車両でございますけれども、これも非常に悪いので逐次かえていかなければならない、こういうつもりでございます。普通電車につきましては、いま急行で使っておる車、これを逐次置きかえていく、こういうことでまだ具体的にこの時点で何両というところまでいっておりませんけれども、そういう方向で逐次やっていく、こういうふうに考えております。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 まあ非常に配意をしていただいておることは感謝しますが、たとえば甲斐岩間までは可能であるなら甲斐岩間まではすぐできますね。できたら私はやってほしいのですね、可能であれば。
  117. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) それだけを見ますと、甲斐岩間まですぐやれるか、こういうことも考えられるわけですけれども、いま申し上げましたのは、現在の車をいろいろ差し繰りといいますか、運用をして、そのような検討の結果になっておりますので、全体の輸送改善というタイミングに合わせてやりませんと、そのような踏み出しは可能でないというのが現時点における検討の結果の内容でございます。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 検討の結果できると言っておきながら、全体の問題だとこう逃げられるのですね。そこにちょっと合点がいかない。これは岩間まででなくて、われわれ通勤者というのは大体身延と甲府間ですね、これが非常に多うございます。ですから少なくとも身延までは最小限度やってもらいたいということですから、こういう点は秋の輸送改善等の時期には少なくとも善処してもらえますか、これは。できれば岩間ができるというならいまやってほしいです。  それからいま四両連結で朝晩走っておりますけれども、もう超満員でどうにもならないです。国鉄は定員というのがないのですね、電車に。何人が定員か、昔は定員というのがたしか書いてあったけれども、いまは書いてない。だから詰め込み主義で幾らでも乗れるだけが定員ですか。いずれにしてももう限度にきていますから四両を一両ふやしてもらうとか、そういうことぐらいは早速できないものですか。
  119. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) これは秋の時点でなければ絶対できないと、このようにおとり願うと非常に恐縮でございますけれども……。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 できるんだね。
  121. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 検討いたしまして、できるものならできるだけ早くやろう、こういう気持ちで検討さしていただきたいと、こう思います。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 車両を少しふやすということも含めて、いいですね、老朽化した車両をよくするということも含めて、四両を五両にしてくれという輸送状況をもう少し調べてもらって、それもひとつお願いしておきます。
  123. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 検討いたしましてできるだけ改善するように努力いたします。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 それから、一番私がきょうお聞きしたかった合理化計画内容について、まだきまっておらぬというさりげないお答えですけれども、私はそうでもないと思うのです。やはり何か検討されていると思いますし、いまになって全然まだきまっておりませんということ自体が職務怠慢というか、合理化に対する姿勢を私は疑うのです。こういう大事な合理化計画というのが、これは使う人もそこに働らく人たちもまた使わしていただく人たちもみんなよくなるというのが合理化の基本で、どこかにしわ寄せするというのは合理化の本旨じゃないですよ。私はそう合理化というものをとらえている。ですからして、この合理化は要するにサービスダウンを国民に平気で押しつけてくるという従来から見れば合理化だと思うのです。だからしてあなた方はできるだけ内容をせっぱ詰まった時期まで持っていって、それで大急がしで市町村や関係のところに持っていって説明して、そしてまあある程度話し合いをしてそして実施してしまうと、最後には。そういうケースが中央線の場合でも多うございましたね。ですから私はもっと早く内容をきめて、CTCもやらないということであれば、当然その内容は答えが出てくるでしょう。そういうものを早くきめて、関係市町村やあるいは皆さんのほうの労働組合と話し合いもなさることと思いますから、そういう手続を経てできるだけ周知をして、皆さんの意見を聞いて、そして出したものに対してもっともな意見があればこれを取り入れて、そして地元の要望を入れてやるということでなければ、ほんとうの意味における国民と密着した合理化計画は実現できないと私は思うのですよ。なぜそんなもたもたしているのですか。もうきまっておるにもかかわらず国会で聞いてもそれは言えないと、私はもっと具体的に言ってもいいけれども、きょうは若干はばかりますけれども、遠慮をしておきますけれども、そういう姿勢がおかしいと言うのですよ、国鉄の姿勢が。これは総裁もう少し計画を早目にきめて、もうきまっているはずですよ。それを国会では言えないと言ってどうして逃げるのですか。だからきまっていないならこれは職務怠慢で、そういうやり方は直してもらいたい。それから、もっと早目に地域住民に内容説明してもらいたいと思います。その意見もっともじゃないですか。そうしなければ国鉄国民のものじゃないですよ。
  125. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま先生から御指摘されたとおりだと思います。したがいまして、なるべく早く成案を得まして、そうして地元関係の方々によくお話して、御理解していただき御協力いただきながら改善していく、このようにいたしたいと思います。この件につきましてもいま検討中でございますので、なるべく早く具体的に一つの案を結着させまして、それに基づいて御相談、御理解、御協力を得るようにいたしたいと、このように思います。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 これは監督にある大臣にも一言私はお願いしておきたいのですが、いま申し上げたようなわけで、ちょっと私時間がありませんから早口でしゃべってお聞き取りにくくて恐縮ですけれども、そういうふうにしませんと、やはり現在の国鉄のあり方に対する批判ばかり出てきて一つも同情は出てきませんよ。もっと親切にやり方についても検討しなければいかんと思います。ですからして大臣もひとつ国鉄のほうによく私の趣旨が御同感であれば伝えていただいて、すみやかにこれはやってもらいたいと思います。そうして国会にも進んで出したらいいですよ。そうしてわれわれの意見も聞いてもらうということが一番大事だと思いますから、大臣からひとつ強く国鉄のほうにもその点を注意してもらいたいのです。
  127. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘ごもっともでございます。私も全面的にそう思っている次第でございます。常日ごろ私は運輸行政はほんとう国民に対する交通サービスである、利用される方々に十分その趣旨が徹底するように、そうしてその改善を十分尽くすようにということを指示している次第でございまして、今度の国鉄再建におきましてもやはり国鉄が陸上の大動脈としての使命を達成すること、この使命を達成するということは国民の皆さまに喜んで利用していただくということが趣旨でございまして、もとよりそれを達成するのには財政の基礎を確実にするためにいろいろの御迷惑もお願いをいたす次第でございますが、要は今度の十カ年計画というものは、良質サービスを提供するということをむしろ主眼にしてやれということをいま私は強く指導しているつもりでございます。先生のお話もっともでございます。私ども十分その点気をつけまして指導してまいるつもりでございますからよろしくお願い申し上げます。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それから、身延線というのは、東海道と中央線を結ぶ一つの幹線と見ていいと思います。ですからこれはいま収支率がやっぱり悪いようですけれどもね、しかしいろいろくふうすれば生かせる道は十分あると思います。ですからしてそういう意味で、ひとつ身延線をとらえて位置づけていただいて、今後の合理化の際にわれわれが納得できるような線でまとめてもらいたいと思います。  それから、西鉄道管理局のほうに、甲府の民衆駅の建設計画に対して国鉄の甲府駅近代化調査委員会というのが結論を出しまして、局長のほうへ出していると思いますけれども、それ見ていらっしゃいますか、総裁
  129. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 御質問もあるかと思って、きょう手元に持ってまいりました。まだ出たばかりで四月に、日付はちょっと忘れましたが、四月付になっておりますが。まだ出たばかりではございますが、十分検討いたしまして、結局よく読んでみますと、大体やはりとりあえずいまの甲府駅を整とんして、民衆駅的なものにして、あの辺の地域開発の中心にしようとこういう御意見だと思います。甲府程度の人口がございますれば、大体民衆駅としてもあるいは国鉄が投資しても収支は償うものと思っておりますけれども、ときどき民衆駅であとからつぶれかかるものもございますので、十分その点地元と御相談申し上げまして前向きで検討いたしたいというふうに思っております。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 時間がありませんから調査結果の内容をいまここで詳しく論議することはできませんが、その四つの大きな問題点の中に、目標テーマというのがございますが、その中を見ますと、やはり調査委員会が長い間各地を見学して調査した結果、甲府の駅が大正十四年につくられて、そのままなんですね。だからして非常に老朽化しているので、この駅を建てかえるということについてはやるべきだとこういう結論です。それからいまの貨物取り扱いが非常に不十分ですから、いわゆる貨物駅的なものをもう少し西のほうに設置したらどうか、その敷地等については地元としても積極的に協力しよう、先行投資その他について。もう一つは駅前が非常に狭うございまして、その上にいろいろな県のセンターですから、放射線的にバスが乗り入れたり、乗用車が乗入れたりして非常に混雑しておりますから、将来地下街というのもつくっていただいて、そうして下へ車を入れるとか何かくふうすれば、整然たる環境が整備できるだろうというふうなことも考えられておりますし、そういう高度利用の点が三つ目にあります。  それからもう一つは、身延線というのが、御承知のように、少し離れてありますから、あれを中央線の本線と同じところにやってもらいたいとか、こういうふうなことでして、地元のほうも商工会議所を中心にして駅前商店街等にもいろいろ働きかけて相談しておりますけれども、商店街のほうも賛成ですね。これは商店街が反対しますと、なかなかむずかしいのですけれども、幸い賛成をしているというので、国鉄当局が、これは国鉄法上も投資が可能になっておりますから、そういう援助もやりながら地域住民と密着していくということであれば、地元としては受けて立つ気持ちがありますし、そういうことを強くこれから皆さんのほうにも陳情が出てくると思います。で、聞くところによると、この甲府駅近代化調査委員会というのを今度は建設促進委員会に切りかえて積極的に動こうというような空気でございますから、ぜひひとつ国鉄当局として積極的にこれに協力するような御配慮をいただきたいと思うのですが、この点はひとつ総裁大臣からも若干意見を聞かしてもらいたい。
  131. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いまのお話大体私承知いたしておりますが、一番むずかしいのは貨物駅の移転の問題だと思いますが、大体竜王付近と考えておりますが、この土地の確保その地いろいろ問題がございまして、十分地元と御相談いたしまして前向きに検討いたしたいと思います。
  132. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 民衆駅の問題でございますが、私は一般的に申しまして、民衆駅を、地元の御協力と、それで地元の利便を考えまして、地元の積極的な御意思がございますれば、私はつくることは大賛成でございます。しかも国鉄といたしましても、ことに地方の駅でございますと、事務所とか、デパートとか、ホテルとかというのが非常にむずかしくても、これは公団方式みたいなアパートというふうなものをつくりまして、いわゆる職住直結というような方式のものを将来はどんどんどんどんとやっていかれれば一番私はいいんじゃないかということで、ただいませっかく国鉄で検討さしている次第でございますが、そういうほうにおきまして、国鉄も漸次やはり自分のほうで可能な仕事はどんどんと伸ばしていくということをしていくのが私は一番適当じゃないか、こういうふうに思っております。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。大臣も非常に積極的なお考えを持っておられるようですから、どうぞ今後よろしくお願いします。  それからもう一つ、合理化が進みました地方線を通ってみますと、たとえば問題になりました最後までもめた勝沼の駅ですね、あそこの駅舎などは荒れっぱなしで草ぼうぼう、一体これはどうなるんだという声がございます。あそこは業務委託をしておりますけれども、やはりあの駅舎を全部なくするということもできないでしょうし、またあの土地の問題をどうするかですね、そういうふうな合理化されたあとあと始末というのは何か方針があるのですか。具体的に勝沼なんか見て、何かほうりっぱなしになっているような気がしてもったいないことだというような気もするのですけれども、何か御方針がありますか。
  134. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 合理化いたしましたあとの駅舎その他につきましては、できるだけ地元の御利用をお願いしたいというふうに思っております。ちょっとあそこは地元から離れているものですから、多少御利用がないと思いますけれども、あばらやのようにならないように、できるだけ地元とお話し合いしたいと思っております。
  135. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それでは次に、新東京国際空港の問題でお尋ねしますが、きょうは今井総裁にも御多用のところおいでいただきまして恐縮でした。かねてからいろいろ私も委員会で総裁ともやり合ったのでございますが、とうとい警察官の犠牲等も出まして、まことにわれわれとしてもえりを正さざるを得ない点がたくさんあると思いますが、それで、当初、おくれても六月という予定でございましたけれども、これがいまのところは、とても六月には開港できないというふうにわれわれは思っておるのでございますけれども、いま工事の進捗状況等考えてみた場合、隘路はどこにあるのか、それを克服して今井総裁としてはいつごろサービス開始ができるのか、その見通しをひとつ最初に聞かしていただきたい。
  136. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) 空港の開港が予定よりおくれておりまして、まことに申しわけないと思っております。  現在、御承知のように、敷地の中の各種の工事は非常に進捗いたしておりまして、すでに四千メートル滑走路、それから必要な誘導路等は完成をして引き渡しを受けておるわけであります。それからなお、空港の頭脳中枢ともいうべき管理塔並びに管制塔につきましては、すでに昨年の暮れに工事を竣工いたしまして、私どもの手に移っておる状況でございます。現在空港公団としては、旅客ターミナル、それからまた貨物ターミナルの各種上屋施設等について、現在外装は大体においてでき上がりまして、現在内装を極力工事しておるという状況でございます。  で、これに対応いたしまして日本航空の必要施設であるハンガーあるいはまたオペレーションセンターというものも、空港の各種の施設と同じようにすでにでき上がりに近づいておるということで、それからまた鉄道として最初に乗り入れる京成電鉄は、すでに地下鉄の外郭の建築を終わりまして、すでにやはり内装に入っておるということで、成田駅から空港までの線路も高架ですでにほとんど大部分ができ上がりつつあるという状況でございまして、したがいまして、空港の第一期工事区域における必要な施設、四千メートル滑走路を中心とする必要な受け入れ施設は、大体において現在の状況でいけば、六月一ぱいにはおおむねでき上がるというのが現状でございます。  ただ、御承知のように、工事に若干のズレがございますのは、いろいろな事情があったのでございますけれども、特に雨等についても特有の地層でございますので、非常に難渋いたしておるというのが現状でございます。しかしながらいま申し上げたように、空港に必要な基幹施設はおおむね六月中にでき上がるというのが現状でございます。  ただ、ここに問題になりますのは、私どもはもっと早く実は御了承を得て着工いたしたかったわけでございますけれども、千葉港頭から空港まで約四十二キロにわたりますパイプラインの建設工事でございます。これにつきましては、昨年の暮れからことしの正月にかけて、千葉市を除きます千葉市以東、四街道、佐倉、酒々井、富里、成田、こういう関係市町村につきましては、地先内でのパイプ管の埋設工事についての同意書を得たのでございますが、千葉市の道路占用許可が若干おくれまして、この三月にようやく許可をいただいたという関係で、現在工事の準備に着手しておるという状況でございます。したがいまして、現在パイプライン工事がいつできるかということが、単に工事のスケジュールから言いますと、開港を左右するというのが現状でございます。で、パイプラインは四街道以東につきましては、大体のでき上がりを六月末ということで現在契約はいたしております。それから千葉市内につきましては、非常に急いで、しかも完全な工事をやるということで、七月の十五日ということが契約上の工期になっておるわけでございますが、若干あるいはおくれるのではないかというふうな感じもいたしておるわけでございます。もちろんタンクローリー等によって航空用燃料を運ぶということでありますれば、空港内の施設ができれば開港は可能になるわけでございますが、一日に約四千キロリッターの航空用燃料というものをタンクローリーで陸上輸送するということは必ずしも私は適当でない、もう目の先にパイプラインができ上がるということであれば、供用開始の時期はパイプラインの完工まで待ったほうが適当ではないかというふうな感じがいたしておるわけでございます。したがいまして、現在の状況で判断いたしますれば、パイプラインの完工時期をも含めまして、やはり七月中旬から下旬になれば使えるような状態に何とかもっていきたいというふうに感じておるわけでございます。  ただ問題になりますのは、現在御承知のように、敷地の中に、直接工事とは必ずしも関係はございませんけれども、飛行機の離発着に障害になります物件が二カ所ございます。一カ所は滑走路南端付近にございます平和の塔、それからさらに北のほうの空港の境界線付近にございます農家が一軒、藤崎恒次さんという方の個人農家がございます。この二つは何としてもこれは話し合いでということで現在努力いたしておりますが、さらにまた私どもが全く手の及ばない滑走路から南へ約千メーターぐらいのところに六十メーターの鉄塔が、主としてこれは学生の方々が中心になってつくられたようでございますが、現在は管理は反対同盟が管理いたしておるように聞いておりますが、この鉄塔の除去という問題が新しく加わってまいったのでございます。したがいまして、こういった問題も早期にできるだけ早く解決しなきゃならぬということで現在進んでおるというのが一応の今後の見通しでございます。
  137. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、六月のサービス開始はまたずれまして、七月の中旬ないし下旬ということになる見通しだと思いますが、それで問題点が三つばかりあげられましたが、パイプラインの布設についてはこれは大体めどがついて、いまお話しのように、七月の下旬までにはおそくも完了するということですから、これはそうなるでしょう。ただ、問題なのは藤崎恒次さんと平和の塔の問題、これは話し合いで解決するということです。それから滑走路の延長上に立っている六十メートルの鉄塔は反対同盟が管理しているようだということですが、これについては除去しなきゃならぬというので、かなり強い姿勢で言われたと思うんですが、問題は、平和の塔にいたしましても話し合いでやるということですからけっこうです。藤崎さんのほうもけっこうです。また反対同盟が立てている鉄塔についても、これは話し合いでやらざるを得ないと思うんですけれどもね。それはさておいて、まず一点の平和の塔の問題ですが、先般地元と運輸大臣との間で三つの条件について十分努力するという約束がなされて、大臣のほうからも円満な解決を要望したということです。それで、その後いろいろと佐藤さんという方が中に入りまして努力されているようですが、最終的な責任者である藤井日達という方がいまインドのほうに行っておられるようで、そこに今井総裁から親書を託して持って行っていただくというような話があるんですけどね。この三つの条件というのは、将来、安保条約上日本が基地の提供の義務づけをされておりますけれども、少なくとも新空港については米軍には使わせないということが一つのようですね。もう一つは、農家の移転については十分な補償をするということ、三つ目には周辺の騒音対策を十分行なう、こういう三つだと思います。これについては、あれですか、大臣としては三条件をのむと、こういう態度で基本的に平和の塔の管理をしている方々と話し合いをしていると思うんですが、そうかどうか。それからまた、総裁には、大臣の趣旨をきっとくんでおられると思いますけど、インドにおる藤井さんのところに親書を託したと、その親書の内容はどういうものかひとつ披露してもらいたいと思うんです。
  138. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま御指摘になりました三条件と申しますか、それらの点につきましては私も了解をいたしております。その方向でやっていくということでございまして、先ほどお話がございました佐藤さんに私も直接お会いいたしました。そのことをお伝えし、また上の人の藤井日達さんに空港公団が親書を持たしていたということも私は了承している次第でございます。
  139. 今井栄文

    参考人(今井栄文君) ただいま大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、若干ふえんして申し上げますと、それからなお、先ほど御質問のございました私の藤井日達師にあてた手紙の内容等についても若干お答え申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、やはり三点について、実は平和の塔は、ちょっと長くなりますけれども、日本山妙法寺派という反戦平和系の日蓮宗の一派というふうに私は伺っております。この人たちが中心なりまして、昭和四十二年だったと思いますが、当時の敷地予定地の一部に平和の塔——パゴダでございますが、これをつくられたということから端を発しておられるわけでございます。この人たちと接触いたしましたのは去年の暮れでございまして、彼がからだをちょっと悪くして、成田病院に入院しておる際に、私が何回かたずねて行ったのが直接交渉の始まりでございます。佐藤氏は、この日本山妙法寺派の三里塚道場主任という形で現地に常住しておられるわけでございます。御指摘のように、彼自身決定権を持つものじゃなくて、日本山妙法寺派の管主である藤井師の了解をとるということが前提になっておるわけでございます。したがいまして、私自身が藤井さんに、たまたま彼が国際仏教会議でコロンボに行かれる、コロンボに行った帰途インドに行って、日達師に平和の塔の移転問題について最終的な了解をとってもらいたいというふうな一つチャンスがござましたので、直接私からもお願いの手紙を書こうということが、先ほど御指摘のいわゆる親書というものでございます。その中身を申し上げますと、先生がおっしゃいましたように、まず第一点は、成田空港は軍事的に利用しないということが第一点でございます。これは大臣にも御了解を得たのでございますけれども昭和四十三年三月の衆議院の運輸委員会における中曽根運輸大臣の答弁、あるいはまた昭和四十四年から四十五年にかけましての衆議院並びに参議院——当時における愛知外務大臣、原田運輸大臣あるいはまた橋本運輸大臣という歴代の大臣の国会における答弁というものの内容で、すでに要約されておることでございます。成田新空港は、建設の経緯から見ても、軍事的に使用しないということを言っておられる、まさにその内容を親書といいますか、私自身の書簡の中に書き入れたわけでございます。  それから第二点は、おっしゃるとおり、騒音対策。これはやはり今後私ども空港当事者としては、もう将来にわたって地元住民の方々と接触していくわけでございますので、私どもはもちろんでございますけれども、政府としても成田の周辺における騒音対策というものは、ぜひひとつ力を入れていただきたい、そういう方向で政府も現在動いておられます。  それから第三点は、ほとんど大部分の地主の方方は補償も済んでおられる。代替地に新しい家をつくって移られたわけでございますが、一部あの南側に残っておられる。こういった方々の代替地なりあるいはまた移転補償ということで、従来移った方々と差別のないように、現在の生活より悪くならないようにというのが佐藤行通氏の私に対する要望の一つでございます。  その三つを実は親書の内容としまして、平和の塔移転については公団もできるだけ協力するから、空港の運営に間に合うように、ぜひひとつ平和の塔を移転していただきたいという書簡を日達師に書きまして、それを持って、それの内容について大臣の御了解を得た上で、佐藤氏が現在コロンボに行っておられるというのが現状でございます。
  140. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。なお、若干伺いたいんですけれども、時間がありませんから、次に移ります。  次は、沖繩が返ってまいりますが、今後、沖繩と本土との間の航空関係ですね、これがどうなっていくのか若干伺いたいんですが、時間がありませんから、もうはしょっていたしますけれど、先般、日航が四月十五日から東京−那覇航路に週三便のジャンボジェット機を就航させたいということで認可申請をいたしましたね。ところがこれがたな上げされておりますが、その理由は一体どういうことなんでしょうか。また同時に、全日空も返還後ぜひ就航したいというので認可申請をしておるようですね。これもまだ許可になっておらない。これは五月十五日の希望ですからいいとして、どうして日航の沖繩乗り入れについてジャンボの就航を許可しないのでしょうか。特に私が指摘したいのは、三月十六日に米第五空軍のグラハム中将から、ジャンボを沖繩に乗り入れてよろしいという許可が米軍から日本政府にきているわけですね。にもかかわらず、米軍の好意があるにもかかわらず、どうして日航のジャンボを断わったか、ここに非常に国民は疑問を持っております。これはひとつ大臣から答えていただきたいと思います。
  141. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの、沖繩へのジャンボ機の乗り入れにつきまして許可しないと。許可しないのじゃなくて、ただいま検討をさしているところであります。実は、今度沖繩も返ってまいりますると、国内線になる次第でございます。国内におきましてジャンボ機を就航せしめることが、今日の状態で航空需要の観点から申しまして、それから保安施設から申しましても適当であるかどうかということは、非常にやはり慎重に検討を要する問題があると思う次第でございまして、ただいま国内におきまして、主要空港におきましてはジェット機の発航はこれはどんどん進める方針でおりますが、このジェット機につきましても、御承知のとおり、騒音その他につきまして、せっかく二千メートル以上の滑走路ができましても、周囲の反対、またその自治体の長の反対によりまして就航できないようなところがございます。私は、ただいまのところ、それらの点につきまして地元の自治体の長のやはり了解を得られないうちは、無理に強行するなということを言っている次第でございまして、ジェット機がこれから国内でもって定時に就航するがいいかどうかということが、やはり将来の問題といたしましては、これは当然のこととなると思う次第でございますが、今日の空港の整備状況、保安施設というような点から考えまして、はたして妥当であるかどうか、慎重に検討さしている次第でございます。  また、その一環といたしまして、いま沖繩の問題を指摘された次第でございますが、しかし沖繩は、御承知のとおり、今回復帰いたしますと、カボタージュの関係がございまして、いままでの沖繩と内地とを結んでいるいろいろの諸外国の航空会社の便数が非常に減るわけでございます。そういう点も勘案し、向こうの保安施設の状況も十分に勘案いたしましてこの問題は結論を出したいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  142. 鈴木強

    鈴木強君 いま大臣のおあげになった理由はまさに逆ですね。たとえば、われわれが調査してみますと、空港が非常に混雑をしておりまして、最近の四十七年の一月、二月、三月、四月と見ましても、相当な、一日にたとえば一月には三往復減便していますね。二月には二往復、それからその前の四十六年の十月ごろですと、五往復くらいの減便をしている。これは空港が混雑をして、どうにも着けないのですね。発着できないということで減便している。ですから、むしろジャンボを使うことによって回数を減らすことによって、輸送力増強することによって、こういう混雑が緩和されるということが一つ。それからもう一つ問題になるのは騒音ですけれども、われわれが調べてみますと、ジャンボ・ボーイング747というのは、東京大阪間を走っている場合等の747は八十八ホンですね。それに比べていまのボーイング727、これは九十四ホンですね。それからDC861、これは九十六ホン、これは東京の場合。大阪−沖繩をとりましても、ジャンボの場合は九十一ホン。それからDC861が九十九ホン、それからボーイングの727ですね、これが九十四ホンというのですね。騒音の点でみると、これはジャンボのほうが少ないのですね、科学的に調べてみると。だから、あなたがおっしゃるように、飛行場が狭いし騒音があるということは逆ですよ。その理由は受け取れないですね。大臣はどこからそういうことを聞いたのですか。
  143. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 伊丹空港その他のいろいろの反対陳情によりまして、できるだけ大型機、またそういったような高速機はできるだけ入れないようにというような陳情をしばしば受けている次第でございます。しかしながら、そういったような技術的方面の問題はやはり専門の立場でもって十分検討させるつもりでございます。実はジャンボの問題、これは大型タンカーと同じ問題じゃないかと考えている次第でございます。将来におきまして航空需要がうんとふえてくるという場合におきましては、やはり空港整備を完全にして、そうしてやはり国内におきましてもジャンボ機を飛行さしたほうがむしろ安全度においてもいいのじゃないかということも十分に考えられる次第でございます。それらも十分勘案をいたしまして、早急に結論を出させてまいりたいと思う次第でございますが、ただいまの一般——沖繩の事情は私まだ詳しく承知しておりませんが、内地のいまの空港周辺の住民の方々の状況は、これは騒音に対しまして非常に敏感でございます。大型機をあれすることによりまして、非常にまた来るのじゃないかというような不安がございますので、そういう点も十分納得させつつやらなければならない問題が多々あると思う次第でございます。また、空港整備の方面におきましても十分保安施設あるいはその他の施設におきまして整備をいたしまして、そうして初めて私はこの問題は可能である、こういうふうに思っている次第でございます。
  144. 鈴木強

    鈴木強君 私は、もう少し論理的な反発をしたいのですが、時間がないからやめておきますけれども、これはやはり沖繩の復帰ということを転機にして、全日空にしても国際線から国内線に変わるわけですから、おそらくそういう方面からも意見が出ていると思いますけれどもね。しかし現実に日航というのは半官半民で、われわれの税金も半分入っているわけですね。ですからその辺はまたおのずから違いますよ。したがってできるところから始めて、そしてむしろわれわれも大きいジャンボは騒音が大きいと思ったら、逆にそうじゃないという科学的なデータが出ておりますし、それから発着についてもかなり安全度が確実になってきましたから、当初はもたつきましたけれどもね。ですからそれをこばむ理由はないのですよ。おそらく将来の航空路の再編等もにらみながら、その伏線は私はあると思うのですね。ところが閣議にしてみたって、四十年にきめたことが四十五年の閣議ではひっくり返ってしまって、合併する問題もどうかおかしくなってしまう。合併してみたけどその経営がうまくいかない、こういうふうないろんな要素がからんでいると私は思うのですね。ですからその辺はひとつ大臣、もう少し国民の納得できるような形で沖繩への乗り入れの問題をやってもらいたいと思います。しかし時間がありませんから、何か特にいまの私のあれに意見があったら言ってください。なかったらこれはこれで終わります。
  145. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いまの問題でございますが、これは確かに航空三社がございますので、三社が提携しましてそうして円満に、しかも、もとは何といいましても利用者の便利ということが大事でございます。そういうことを一番の根本におきまして、発展をしていくようにはかることがやはり航空行政、監督行政の一つの要点だと思う次第でございますが、沖繩の問題に対しましては、よその社の反対とか、何とかで私はいま言っている次第ではございません。やはり国内のジャンボ機をいまの時点におきまして入れることが適当であるかどうかということで、私は一応検討してみろということを命じた次第でございます。いまのお話もございますので、それらを勘案いたしまして、十分早急に検討させたい、こういうふうに思います。
  146. 鈴木強

    鈴木強君 これで最後です。  せっかく米軍から許可を、どうぞお使いくださいと言っているのですね。あれを使わないというのも、これもまたおかしな話じゃないですか。だからそういう意味からいっても、われわれの納得できる理屈があれば私もきょうはやむを得ないと思いますが、やむを得ないと思えないのです、これは。だからぜひ一日も早く日航が就航できるようにしたらどうですか。そういうことを強く期待しておきます。  それで、鈴木さんたいへん申しわけないのですが、あと一分間だけです。あとは警察庁に来ていただいておりまして恐縮ですけれども、実は東武東上線の四十一号踏み切りというのが問題になっておりまして、今月の六日に酔っぱらった人がその踏み切りではねられて死んだというのでもって、志村署が十一日にこの踏み切りを廃止しますという立て看板を出したところが、十六日になったら、廃止について検討中という内容に変わって、東武鉄道と板橋区役所の名前も入って、三者の看板が出てきた、こういうので、地元のほうでは戸惑っているし、どうして酔っぱらって開閉機を自分であけて入った人が死んだからといって、すぐそこをストップするのかということに対して、これは公安委員会のほうでいろいろと意見を聞いて警察はやったと思いますけれども、あまりにも一方的ではないか。地元の皆さんの意見を無視して警察権力でやるのかという、非常に反発があるんですよ。これについては交通安全の面からもちろん当該の東武鉄道なり、あるいは鉄監局なり国鉄と、警察としかるべき話し合いをして、そういう措置をとるべきであって、あまりにもこれは一方的ではないかという批判が非常に出ておるのですよ。その横っちょに百五十メートルばかり行くと大きな踏み切りがあります。そこはダンプが通ったり、トラックが通ったり、自動車が通ったりして、ここはどうにも人間が通れないような危険な踏み切りなんだから、この踏み切りというのは歩行者だけが通る踏み切りで、非常に地元から見るといい踏み切りだと、つぶされちゃ困ると、一日二千五百人ぐらいそこを通るということですね。そういう問題が出ておりますが、警察は少し一方的にやり過ぎたんじゃないですか。あとで区役所では東武鉄道の名前まで入れたというのは、そういういきさつも納得できないのですね。これは国民に権力があって、やるならやるように手順を踏んで、そして納得の上でやらなきゃこれはいかぬと思います。これは国鉄のほうもそういうことを聞いておったかどうか、あわせて両方からこれだけ聞いて終わります。
  147. 竹岡勝美

    説明員(竹岡勝美君) 住民に非常に通行の便利になっております踏み切りと言われておりますが、仰せのとおり一日に二千五百人の歩行者が通っておる一種踏み切りです。副員が非常に狭うございまして、歩行者だけの踏み切りでございます。これが、その近くにたぬき小路というような飲み屋街等もございまして、それから急行はとまらないで、近くに普通電車がとまる。普通電車がとまって急行がとまらないという踏み切りの特殊性もございまして、往々にして遮断機がおりております間を子供なんかがときにはくぐり抜ける、あるいは一般がくぐり抜ける。従来から危険性はあると言われておりましたけれども、おっしゃるとおり、二千五百人の人も利用しておりますので、一部のそういった不心得と申しますか、人のために多くの人の利便を無視するということはいかがなものと思います。ただ非常に危険だから前から閉鎖することは問題になっておりましたので、志村署としましては、これは確かに警察の私は勇み足だと思います。近日中に閉鎖しますという一種のアドバルーンを上げたのでございますが、当然地元の十分な了解を得なければ警察だけでできるものじゃございません。志村署だけにあずけないで、警視庁の本部の交通部のほうに当然地元を入れまして十分検討した上できめるように、私個人から言いますならば、そうあわてて閉鎖する必要はまだないんじゃないか、このように考えております。
  148. 鈴木強

    鈴木強君 鉄監のほうはどうですか。
  149. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 鉄道の事故の中で、踏み切り事故が一番むずかしい問題を含んでおるわけでございますが、その踏み切り事故の防止につきましては、四十六年の、昨年の二月でございますが、踏み切り事故防止の総合対策、さらに緊急対策というものを行ないまして、そうして各都道府県に踏切道改善促進協議会というものを置きまして、これは道路管理者、それから警察、それから鉄道事業者、その他の、それから都道府県の知事部局の方々等が集まりましていろいろと踏み切りの整備の問題につきまして対策を練りまして、そうして、その上で具体的な各踏み切りについての踏み切りの保安設備の設置であるとか、交通規制の実施だとか、整理統合というようなことを推進しているわけでございます。  それで御指摘の、東武東上線の踏み切りにつきましては、現在幅員二メートルで自動車の通行禁止ということになっております。ただいま警察庁のお話がございましたように、隣接道路との距離も百五十メートル、迂回路がございまして、関係者の間ではやはり廃止をしていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。それで地元の住民の一部に廃止を反対される方もあるわけでございますが、やはりこの点はよく協議を進めてやっていくというようにいたしたいと思います。  なお、踏み切り事故の防止の点あるいは人命の尊重という点からも、そういう大局的見地からなるべく御協力をいただきますようお願いをしておるところでございます。具体的な問題の処理につきましては、地元の御意見というものを十分に聞きまして、そうして善処をしてまいりたいと思います。
  150. 鈴木強

    鈴木強君 そんな鉄道監理局長が答弁をするとは、私は予想しなかったですよ。警察当局ですら地元の実情からして個人的な意見ではあっても、そう簡単に廃止をすべきものではないと言う。それはあなた、一種、二種、三種の踏み切りの問題についても、安全性の問題からわれわれは従来からずいぶん論議しておりますよ。しかし、地域にとっては大事な踏み切りなんだ。したがって、そういうことをもう少し下の方と話し合ってみてやるというなら話はわかる。一般的なあなたは最初に話をして、そうして国鉄としては、運輸省としては、廃止をすべきものだなんていう、そんな話を、この問題で出されたら私は迷惑ですよ。これは大臣からひとつ——これは警察庁のほうがよっぽど住民と密着している。そういう考え方で国鉄がすべての運輸行政にタッチされていたらこれは困るのですよ。私も交通安全のほうの委員をやりましてずいぶん方々見て回りましたし、よくわかっているはずです。だけれども、そんな官僚的みたいな答弁では、私はちょっと受け取れないから、もう一つ大臣から伺いたい。
  151. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私は寡聞にしてそこの問題をまだ承知しておりません。しかしながら、具体的の問題といたしまして、その地元の皆さまの踏み切りについての利用度、その他非常に御不便であるかどうかということを早急に調査をして、そうして私のほうからも調査をさせまして、それでやはり踏み切りを存続することが至当であるということになりましたら、私のほうからも国鉄のほうに指示をいたしまして、住民の皆さまに御迷惑のならぬような措置を講じてまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  152. 鈴木強

    鈴木強君 気象庁長官、すみませんが、来ていただいているのですが、時間がありませんから、またあとに譲らしてもらいますが、気象庁関係は。どうもすみません。
  153. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最初に国鉄私鉄との通勤対策について国鉄総裁と鉄監局長に伺いたいのです。  通勤対策を具体的にはいろいろおとりになっていると思いますが、その方法を具体的にひとつ伺いたいと思います。
  154. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 通勤対策、特に大都市の通勤問題でございますが、これは先生御存じのとおりに、非常に大都市におきまするところの人口集中、特に都心部におきまするところの管理中枢機能の集中並びに業務交通の増加、それから周辺部におきまするところの夜間人口の増加ということによりまして通勤、通学輸送中心とする輸送が非常に増大をいたしているところでございます。したがいまして、通勤、通学輸送並びに都心部におけるところの業務交通の確保ということはどうしてもはからなければならぬわけでございまして、政府といたしましてもこれに対する抜本的な対策といたしまして、一つは都市交通審議会という国の機関でこれの輸送力整備というものを検討をいたしておるところでございます。その場合に、特にただいま申し上げましたような通勤、通学輸送、その他の業務輸送につきましては、非常に大きな輸送力を必要といたしますから、したがってバス等によらず、むしろやはり大都市高速鉄道というものによってこれを整備しなければならぬということでございまして、都市交通審議会におきましても東京都中心とする交通圏の高速鉄道整備、それから大阪中心とするところの整備あるいは名古屋等を中心とするところの整備、こういうものをはかっておるところでございまして、そういうような体制によりまして通勤輸送力の整備をはかっておる段階でございます。  なお、その具体的なやり方といたしましては、国鉄におきましては、財政再建計画というものの一環として設備投資の増強ということをつとめておるところでございます。さらに私鉄につきましては、輸送力増強計画というものを、さらに今回は鉄道建設公団法の一部改正を審議をお願いしておりますが、これによりますると、私鉄の設備に対しましては鉄道建設公団がかわってこれをつくりまして、譲渡する方式あるいは国、地方公共団体助成によりましてこれを積極的に進めるというような方向整備をしておるところでございまして、今後ともこの通勤輸送の解決につきまして国として非常に力を注がなければならないと考えております。
  155. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま先生の御質問にはっきりいたしました答弁になるかどうか、ちょっとこれ、具体的に申し上げてよろしゅうございますか。——実は私のほう、東京中心といたしまして数年前からいわゆる五正面作戦と申しまして、まず中央線、それから東北、常磐、総武、東海と、まあ東京に流入いたしますこの五つの大きな動脈を強化することを考えてやってまいりました。そのうち、中央線は御承知のとおり三鷹まで複々線にいたしまして、そして地下鉄と相互乗り入れを完了いたしました。また東北線は御承知のとおり大宮−赤羽間を、いままで二本の複線がございましたのを三複線にいたしました。これも一応の通勤輸送対策が完了いたしました。それから常磐線もやはり御承知のとおり我孫子から例の千代田線乗り入れを完了いたしました。これも一応完成したことになっております。それから総武線は、今度の七月十五日に東京駅の地下駅まで急行が乗り入れますので、これで総武線も一応完了いたしまして、残るのは東海道だけでございますが、これは御承知かと思いますが、横浜地区を貨物線が通る問題でまだ話がはっきりつきません。しかし、おかげさまでだいぶ前向きに話が進んでいる。こういうことで、根本的に線路をふやしますと同時に、車両につきましても、一個編成を長くする、あるいはヘッドを詰めるということで、できるだけのことをやって今日まで至っております。また、直接東京に入りませんが、東京に入るものに準ずるものといたしまして、たとえば横浜線あるいは南武線等につきましてもやっておりますが、まあ大体それらを中心として今日まで相当巨額な金をかけて、あと一、二年すれば東京付近の現在線を中心とした通勤輸送は一応一段落というふうに私ども思っております。これ以上やりますと非常にとほうもないお金がかかりますので、何か別途の方法でもって考えなきゃできないということを政府に申し上げている次第でございます。まあ大阪につきましては、けさほどの御質問でお答えいたしましたが、実は東京で非常に仕事が張っておりまして、大阪のほうは多少ないがしろになっておりまして、ことしあたりから大阪のほう、大阪京都中心としたやはり線路の増強につとめておるわけでございますが、これも東京のほうが一段落し次第、大阪京都のほうに全力を注いでまいりたい。  これがいま私のほうのおもな通勤輸送対策でございますが、しかし、一体これでもってほんとう東京大阪の将来の人口集中に対処できるかどうかという点につきましては若干問題がございます。ただ私どもといたしましては、いまの線路を中心とした輸送力増強はもうこれが限界でもって、土地の取得もほとんどできないし、非常に時間がかかるということで、あとは地下で乗り入れられるものは乗り入れますけれども、その他につきましては、たとえば思い切った通勤の新幹線というふうなものを考えていきませんと、地下鉄以外ではもうやれないというふうな気がいたします。したがって私は、なるべく早く政府におかれて、一体、東京のこの集中をいつまでこういうふうに無制限に続けるのかということについての一つの目安を、非常にむずかしいと思いますけれどもおきめくださらないと、非常に無限に通勤輸送の金がふえていくということは、これは土地の取得からいっても非常に問題がございますし、公害問題等もございますので、やはりそういう意味での国土開発の再検討をぜひしていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  156. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一つそこで関連して聞いておきたいんですが、中央線がかなりまあ線増しましたですね。線増してから赤字に転落したとか、線増前より収支が悪くなったという、その理由は何でしょう、それ聞いておきます。
  157. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これはまあそうむずかしい理屈でございませんで、たとえば中央線で申しますと約二百数十億金を入れました、その償却と利子でございます。それだけでございます。
  158. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 営業収支のほうではいいということですか。
  159. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 償却、利子を除きますればペイいたします。
  160. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それから、いままでの話、答弁は、輸送力増大ということで線増であるとか、新線の開通であるとか、車両の増結とか、そういうことでありたわけですけれども、運転間隔の問題とかですね。今度は時差出勤ということが一つあるでしょう。その時差出勤というやつがいままで冬季にいつも行なわれたのですけれども、呼びかけをされたり、いろいろ協力を求めたと思うのですが、この効果は実際あったのですか、またどのくらいの協力が得られたのか、これをひとつ伺いたい。
  161. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 時差出勤につきましては、 特に東京中心といたしまして数年前から呼びかけまして、正確な数字はわかりませんが、大体二十万人ぐらいは時差出勤に応じていただいたというふうに考えております。ただ銀行のお時間等が変わりませんのでなかなか限界がございまして、もういまくらいが一つの山じゃないかというふうに考えられます。
  162. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、私は大宮から通っているから言うわけじゃありませんけれども、あそこから電車に乗るとボタンはちぎれるし——列車で来る場合の話ですよ、電車はいいです、あそこはすわって来れるのですけれども、始発で。実際ものすごい込み方をするわけです。そういう点で、それがちょっと時間をずらして来ると今度は楽になってきます。だから、やはりこの点の協力をいろいろ求めている、一体どうなったかわからないけれども大体二十万人ぐらいではないかという言い方はぼくはないんじゃないかと。特に冬季の着ぶくれ対策としての時差出勤というものをいつでもやるわけですけれども、これから先、時差通勤というものの具体的な推進ですね、そういうのはどう行なっていくのか。いろいろな、国鉄ではお願いというパンフレットをつくったりされているようですけれども、今後の計画はどうなっているのか、具体的にはどうつかんでいくのか。
  163. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) たいへん申しわけございません。ちょっと時差通勤の数字を間違いましたので訂正さしていただきますが、ちょっと担当者のほうから申し上げます。ちょっと数字を違えて失礼いたしました。
  164. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 四十五年度の実績でございますけれども東京付近で申し上げますと、時差出勤を協力していただいている官公庁、事業所、学校等の合計個所が千七百七十四ございまして、人員にいたしまして七十四万三千七百七十人、こうなっておりまして、四十四年度——前年度対比いたしますと、御協力いただいている個所につきましては千七百四十六、わずかふえておる、一〇二%でございます。人員にいたしまして、前年四十四年度が七十万七千百四十五で一〇五%、多少ふえる、こういう状況でございます。  今後の問題といたしましては、この点につきましては非常に一番経済的に効果があるということでございまして、管理局中心関係の個所に大いに積極的に御協力願って進めていきたい、このように思っております。そして、全政府的には総理府の中に通勤輸送の対策協議会というものをつくりまして、そこが中心で積極的に大きく呼びかけていただいている。その中でもって鉄道管理局がまた積極的に呼びかけて大いに積極的に効果をあげていきたい、このように考えております。
  165. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 総理府の計画案ですか、計画を見ると、横須賀市から茅ケ崎、藤沢、鎌倉、あるいは相模原、北へ行って大宮、川越、所沢、千葉県のほうでは千葉市が一番遠いところですか、それから大阪の場合も大阪周辺の区域にはなさっていらっしゃるようですけれども、この区域を広げていくというような計画はないのですか。
  166. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現在も都心だけではなくて、周辺地域に大きく呼びかけておりまして、いま先生お話ございました周辺地域につきましても同じように協力個所をいただき、そして協力いただいております。その数字を申し上げたいと思います。周辺地域につきましては、四十五年度の実績といたしまして六百九十カ所、三十三万四千五百三十六人。そして四十四年度の実績が六百六十二カ所で、三十一万六千六百五十六人、比率で申し上げますと、個所については一〇四%、人員につきましては一〇六%、こういう趨勢でございます。
  167. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは総裁どう見ても時差通勤のほうが確かに一〇五%か一〇六%というふうにこう伸びたと見えますけれども、数字の上は。しかし、ここのところの都市集中への人口増、それからいわゆるドーナツ現象によりまして周辺区域の人口増はものすごいわけです。私が十年前に大宮に引っ越したときと現在とでは、もうこれは比較にならないほど込んでおる。そういうところで、もうこれは線増しても何をしても追いつかない。そうなれば、時差出勤を、かなり早いのは八時から始業するとか、一つは、大きな制約は銀行だと思いますけれども、銀行あたりの業務を早くさせるとかなんとかということを考えなければ、あとのほうずらしようがないわけです。そこに大きなネックになっている問題があると思うんですけれども、その点の交渉等は、これは本気になっておやりにならなければならないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  168. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いま鈴木先生御指摘いただきましたように、現在の時点におきまして、混雑を緩和するのにはやはりそういったような方法を強力に進めるよりほかないんじゃないか。これはただ国鉄だけでまいりません問題であると私も思っておる次第でございます。各官庁をはじめといたしまして、銀行その他の会社、勤務場所につきまして、それぞれやはり具体的にそれらのことをお願いをいたしまして、それで思い切った時差出勤をとらないとなかなか効果があがってまいらぬ、いま御指摘のとおりだと思う次第でございます。さっそく、私のほうでも総理府とも連絡をとりまして、それらの方法の具体案を検討してまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  169. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それから、もう一つの問題、これは運転間隔の問題です。現在は何分間隔くらい、一番短いところでどうなっておるんでしょう。具体的に、どこの線でどうかということをお知らせいただきたいと思います。
  170. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 大都市通勤輸送、各線区とも非常に混雑をしておりますために列車間隔を詰めましてやっておりますが、いま非常に間隔の短いのは、東京では、中央線の快速列車が二分十秒間隔、山手線が二分三十秒間隔、それから京浜東北線が二分二十秒間隔、総武線が二分三十秒間隔程度でございます。  それから私鉄につきましては、非常にやはり間隔が短うございまして、たとえば東武東上線だとか、それから西武池袋線、それから小田急線、京王線等が、非常に私鉄のラッシュ時間帯が、ヘットが詰まっております。——ただいまちょっとさがしますから。
  171. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  172. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 速記を起こして。
  173. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私鉄のほうはあとでいただいてけっこうですけれども、この運転間隔の問題を私がなぜ伺いたいかというと、安全性の問題が一つあるわけです。安全を確保しながらどこまで一体縮まるのかということが非常に大きな問題なんです。安全性の問題と運転間隔の問題、安全性を確保しながら一体どこまでこれは縮まっていくものなのか、その辺のところが非常に私どもしろうとにはわかりにくいので、お伺いしたいと思います。
  174. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 運転間隔は、結局は列車のスピードと、それから信号機、閉塞機というものの関係があるわけでございまして、結局、列車のスピードによりましてある閉塞区間をどれだけの時間で列車が通り得るかということに関連するわけでございます。  それで、具体的に申し上げますと、ある閉塞区間がございまして、その前の閉塞区間、さらにその前の閉塞区間、こういう三つの閉塞区間を考えてみますと、そうすると、ある閉塞区間に列車が入りますと、その信号機が当然赤になるわけでございます。そして、その前の信号機が黄色になり、その前の信号機が青になる。三位式の閉塞では、そういうかっこうになるわけでございます。その場合に、黄色、注意信号になりました時点におきましてスピードをゆるめ、そうして停止信号が現示されておりまするところに列車がいるわけでございますから、したがって、その間のスピードによりまして、列車が安全に停車できるということのダイヤを組まなければならぬわけであります。そういう列車のダイヤと閉塞区間の関係ということによりまして、列車の運行の図表をつくります。これはラン・カーブと称する一つの運行図表をつくりまして、その運行図表によりまして、大体この線はどういうダイヤを組めば運転上支障がないか、安全上支障がないかということで考えております。その意味におきましては、現在、二分十秒ぐらいの間隔で運転をするということで支障がないということにいたしております。結局、スピードとそれから信号並びに閉塞の関係ということによりましてラン・カーブをきめまして、そうして運転時隔をきめる、こういうかっこうでございますので、安全上私どもは支障がないというふうに考えております。
  175. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 将来この運転間隔がさらに詰まってくると、こういうようなものはございますか。あるとしたらどこの辺になりますか。
  176. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 非常に将来の技術の改良関係等もございますが、現在二分ぐらいが一応の最小でございます。しかしながら、これを、そういう技術的な面の改良によりまして、さらに若干は縮めてまいることができるかと思います。
  177. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあ大体先ほどからの答弁を聞いていると、これ以上運転間隔を詰めることは非常に困難だという感じを私は受けておりますが、それじゃ、もう一つ、通勤地獄を解消するのには車両増結しかないわけでしょう、今度は。そうすると、車両増結は、現在、山手は十両でしたか、これから先、各線でどういうような増結計画があるのか、それを伺いたいと思います。
  178. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は東京付近はもうほとんど能力の限度一ぱいになっております。一番、編成を長くするのについての問題点は、駅の長さでございます。このごろは、全部高架になりましたので踏切はなくなりましたけれども、大体、駅の両側に踏切がございます。したがって、ホームを長くしようと思うと、どうしても踏切をやめなきゃいけないということで、実際には不可能でございます。私どものほうは大体高架でございますけれども、高架でホームを長くするためには、また非常に膨大な金がかかります。したがって、いまは、一応現在やっております中央快速十両、緩行十両、山手十両といった十両が限度、あとは、列車からかわりました東海道が十五両、それから今度やります総武線の東京駅乗り入れ、これは横須賀線と直通させますので十二両で考えております。これは横須賀からずっと房州まで、房総のほうに参ります。これは十二両でございます。大体いまが限度である、こういうふうに考えております。
  179. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私鉄線増計画はどんなものがありますか、いま。
  180. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その前に、先ほど申し上げましたラッシュのダイヤの関係でございますが、先ほどちょっと申し上げましたが、小田急が非常に運転時隔が詰まっていると申し上げましたが、ラッシュ時間帯で二分ヘッドでございます。二分間隔でございます。その他、西武の池袋線が二分八秒間隔、それから東武の伊勢崎線二分九秒間隔、それから東横線が二分十五秒間隔というようなところが東京付近では非常に短いところでございます。なお、現在、私鉄では大阪京阪で一分五十秒という間隔のところがございます。それで、先ほど申しましたように、大体二分くらいがほぼ限度でございまして、世界的に見ましても、一分五十秒程度のものが若干よその国にもございますが、ほとんど二分以上でございます。  それから列車の編成両数でございますが、これは、私鉄は従来輸送力が非常に小さかったわけでございますが、編成両数の増大につとめておりまして、最近では十両くらいまでの編成両数がございます。西武の池袋線の最長はたしか十両だと思いましたが、十両ぐらいの編成がございます。それから、しかしながら、将来、これの編成両数をどれだけふやしていくかという問題は、ホームの長さ、それから駅の有効長の長さというものと関係がございまして、その点では、先ほど国鉄総裁からも申し上げましたように、両端の踏切の関係その他非常にむずかしい問題が多々ございまして、そうこれを増大することは困難であろうと私ども考えております。大体十両というのがほぼ限度であろうかと思います。
  181. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 線増計画ではいかがですか。
  182. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 私鉄線増計画でございますが、これにつきましては、各社ともそれぞれの線増計画を一応持っておりまして、これに従って線増計画をやってまいっております。たとえば京王線の複々線化だとか、あるいは小田急線の複々線化、それから西武線の複々線化並びに地下鉄都心への乗り入れ、それから東京付近では、一部、東上線につきましての、これは新線計画という形でのことになっておりますが、一応、東上線の一部の複々線化ということに相なるわけでございます。これらにつきましては、都市交通審議会答申の中におきまして、新線計画並びに線増計画ということで考えられておりまして、その線に沿ったものを複々線化してまいる、線増計画線増してまいるということにいたしておるわけでございます。
  183. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国鉄私鉄、おのおの線増計画があり、車両の増結もある程度のことは、限度はあるけれども、可能性があるということになってきたときに、それが全部終わった場合、現在の大都市通勤輸送というのはどういうふうになっていくのかということですね。それではまだ極限に達しないのか、そのときに。
  184. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先般、都市交通審議会東京部会がございました。それで、その東京部会に基づきまする都市交通審議会答申が出ております。そして、その答申によりまして、全線で五百七十キロというものを東京都中心とする都市交通圏におきまして整備をすべきであるということになっております。その内容といたしましては、既答申分が二百八十キロ、追加答申分が二百九十キロということの整備高速鉄道でやるべきであるということにいたしておりまして、私ども、そういう方向に向かって進めなければならないわけでございますが、これによりまする効果でございますが、これは昭和六十年時点というものを考えております。それで昭和四十年の時点におきまする首都交通圏、東京中心とする交通圏におきまするところの就業者人口というものが約一千万ございますが、六十年には約千四百万になるであろうという想定のもとにこれをいたしておりまして、したがいまして、都区内流入というものが昭和四十年は百十五万人の就業者、通学者二十二万人というものが、六十年時点には二百九十万から三百二十万人、就学者が四十五万人というものに達するということに一応の想定をいたしております。そうして、こういう想定のもとにおきまして、もしこのとおりの輸送力増備ができますれば、六十年時点には、最混雑の一時間当たりの平均混雑率を一五〇%というところまで引き下げることができるであろう。私ども最混雑の一時間当たりの平均混雑率をとっておりますという考え方は、これは結局都市交通における一番の大きな問題は、最混雑の区間、最混雑の時間というのがございまして、これに集中をするわけでございますから、この集中におきまする輸送を緩和するということを一応の私どもの目標としてやっておるけわでございます。そういうことで最混雑一時間当たりの平均混雑率というものを一五〇%まで下げていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  185. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは非常に大きな問題なんですけれども、私は、いまのところの都市交通審議会でやられた予想、それに基づいて、これだけの線増をする、そうして、はたして二三〇%のものが昭和六十年に一五〇%の混雑度に下がるかどうかということはちょっとわからないと思うのですね、はっきり申し上げて。というのは、東京、関東周辺だけで人口の四割といいますか、四千万人は入るだろうと、そういう都市集中がされてきております。これはもう大臣も御承知のように、だんだんだんだん通勤距離が長くなっているわけですよ。スピードアップされればされるほど、さらに通勤距離は長くなる。こういうことで、これは私が埼玉にいるから言うわけじゃありませんけれども、千葉にしても、神奈川にしても、とにかくスプロール化現象で、どんどんどんどん農地が宅地に変わる。いつのまにやら団地ができてくるし、私の団地もたくさんできてくる。線増しないうちにもう混雑の要素ができてくる。そうしますと、これは線増されても片づかないという感じがものすごくするわけです。一方でこれはやらなければならないけれども、他方で、これは全体の問題で、大臣にだけ御答弁求めるのは非常に不合理だと思うんですけれども、産業の都市集中を避けないと、どうにも最後にいったら幾らやりましてもだめになってしまう。一つには、御承知のように、何といっても通勤輸送というのは、これは赤字線みたいなものですから、しかも、そのときに大量に使う車両というのはこれは休ましておかなければならない。こういうことの不合理が出てくるわけです。その点考えると、これは国の政策としたら、一度大きい考え直しをして、この問題はこの問題としましても、人口集中を避けて、通勤というものが東京なら東京大阪なら大阪へと集中しないような方法を考えなければならない。そういう点について強力にこれは言わないと、幾ら国鉄のほうでつとめ、鉄建公団が線路をつくっても間に合わぬということになる、こういうおそれがあると思うのですよ。その点はいかがお考えですか。
  186. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま鈴木先生から御指摘をいただきました、私もそのとおりと思う次第でございます。やはり過密過疎の現象が非常に激化してまいりますると、いま申しましたようないろいろの、もう交通政策だけではございません、あらゆる問題で隘路が出てくる。まあ世界一の人口の多い都市というものを誇っていいかどうかという問題でございます。これ以上、東京都人口過密化するということは、これは私はやはり都市のあらゆる機能の問題からいたしまして、また、そこに住むところの住民の生活環境の問題からいたしまして、また、いろいろの事務機能の問題からいたしましても、相当これはえらい問題が出てくると思う次第でございます。それに先般国会で私どもも発案をいたしました、新都市計画法をつくりまして市街化地域、調整地域をつくりまして、スプロール現象を解消しようではないかということをやった次第でございますが、具体的には、実際は実行になっておらない。ずっと前になくなりました河野建設大臣が、思い切って東京は遷都したらどうか、遷都論というのをぶった次第です。私も、まあ研究学園都市が筑波にできてまいりましたし、せめて東京の文教地帯だけでもそっちへ持っていったらどうか。しかしながら、これは人口わずか三十数万、こういうことでございまして、思い切った新しいそういったような国土再開発、人口の再配分と申しますか、配分をいたしませんと、これは私はえらい問題になる。この問題はかなり交通だけじゃございません、税制面のからいたしましても、東京におきまする工場の疎開につきまして、御承知の首都圏におきまして、新しく工場の設置を禁止するとか、いろいろなことをやっておりますが、あるいはまた事業者税をかけるとか、事務所税をかけるとか、いろいろの問題を総合的にやりまして、私も、この問題は早急に具体策を立ててまいりませんと、東京周辺、それからまた東海道、いわゆるベルト地帯というものの周辺人口が約七割から集まってくる、あとのほうは過疎地帯だ、こういうおそるべき現象がある。それに、まあいまの私ども交通政策はむしろ、はなはだ恐縮でございますが、私どもやっておりまして、いまの人口緩和のために、幾ぶんやっておる。今度の東京都首都圏中心といたしました高速鉄道網の十三路線答申にいたしましても、あるいはまたそっちのほうで過密現象の応援をしているのじゃないかというふうな悩みもあるような次第でございます。根本は、そういったような国土再開発ということが一番肝心でございますので、政府といたしましても、それらの抜本的な問題を考えまして、先般、まあ工場の再開発の、地方分散の法案も御審議をいただきましたのもその一つでございますが、それらをもう少し大きく総合的に早急に私はやらなければならない大きな問題だろうと考えておる次第でございます。先生の御意見に私は全面的にそのとおりである、こういうふうに思っている次第でございます。
  187. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで、都市高速鉄道網のことですね、交通網。これ資金計画はどうなっていますか、年度計画、これをちょっとお伺いいたします。線増計画
  188. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 都市高速鉄道国鉄私鉄地下鉄、そのおのおの三者別個に建設をいたしておるわけでございまして、その中でまず国鉄につきましては、先ほど総裁から申し上げましたように、国鉄全体の輸送力増強計画の中で行なっているところでございまして、現在でも、先ほど総裁から申し上げましたように、五方面までの輸送力増強線増計画をやっております。今後の問題につきましても、この資金につきましては、国鉄の、現在御審議いただいておりまする法律によりまして、新再建計画をつくるわけでございます。この新再建計画に基づきましてこれを整備してまいる、通勤輸送に力入れをまして整備をしてまいるという形で資金をまかなうということに相なるわけでございます。これに対しましては国も出資をいたします。また財投を行ない、さらにこれに対する利子補給も行なうということにいたしております。  次に、地下鉄でございますが、地下鉄につきましては、東京とそれから大阪名古屋その他のやり方は同じでございますけれども、経営主体が、東京の場合には帝都高速度交通営団と東京都がこれを建設をいたしております。大阪大阪市、名古屋名古屋市が建設いたしておりますが、東京について申し上げますと、これにつきましては財投、あるいは自己調達資金、主として財投でございますが、そういったようなものによりまして建設をするということでございますが、非常に巨額の金を、資金を要しますものでございますから、国と地方公共団体がその建設費の約五割につきまして助成をいたしております。その助成によりまして、この建設促進をしておるということでございまして、今後とも、この方向で大いに整備をしてまいるということでございます。  それからその次に、私鉄でございますが、私鉄につきましては、従来は自己の力によってやってまいったわけでございまして、その資金の調達の方法といたしましては、あるいは増資により、あるいは出資により、あるいは銀行からの借り入れというものにより、あるいは社債等によってやるわけでございますが、そのほか国といたしまして、これに対しまして開発銀行の貸し付けということをいたしております。これは一番条件のいいものにつきましては、その工事資金の五〇%まで、それにつきまして七%の利子ということで開発銀行の融資をいたしておるわけでございます。で、その形で整備をしてまいったわけでございますが、新たに現在建設私鉄がしようというところの新線、たとえばニュータウンへ行きまするところの新線、あるいは先ほどちょっとお話が出ましたところの複々線化とか、地下鉄の直通乗り入れというものは非常に工事費がかかりますし、しかも採算性が非常に悪い、懐妊期間が長いということで、これに対しまして何らかの形で助成をしないと、建設促進できないということでございますので、鉄道建設公団がこれを建設をする、そうしてこの建設をしたものにつきましてこれを譲渡をするという形にする。その鉄道建設公団建設につきましては、財政投融資も入れますし、また国からの若干の利子補給等もいたしますという形にいたしまして、これを整備をする、こういう形で促進をしてまいるということに相なっているわけでございます。
  189. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは詳しい年度計画やなんかはまたあとで伺いたいと思いますので、資料でひとつください。  それから地下鉄の話が出ておりましたけれども、これが今度、通称七号線ですね、これが川口市の中央部を通って浦和市の東部へいく。それから六号が、これが大宮市へ浦和西部を通っていく。おのおの六十年ということだと思いますけれども、これを現状から見ると、相当早期着工してほしいということで地元の声が強いわけであります。この点の見通しはいかがなものでございましょうか。
  190. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 七号線につきましてまず申し上げますと、七号線につきましては、前回の都市交通審議会におきまして答申が出まして、そうしてそれは岩淵町までということにしておりまして、将来埼玉県にも延伸を検討するということになっておりました。それが本年の都市交通審議会におきまして、これは岩淵町から埼玉県の浦和市東部まで延長するということが都市交通審議会の決定になりました。そういう方策で今後整備をしてまいるということに相なるわけでございます。そこで、まず現在の岩淵町までの七号線の建設につきまして、帝都高速度交通営団と東京都からの免許申請が出ておりまして、まずこの免許申請の処理をいたしまして、そうしてこの建設をきめてまいるということがまず第一のスタートであろうかと思います。これにつきましては、私ども鋭意検討いたしておりまして、運輸審議会の議に付した上でこれをなるべく早く結論を出しまして、建設に着手したいと思います。岩淵町以北につきましては、今後もうちょっとそれを見ました上で処理をしてまいりたいと思います。  それから六号線でございますが、六号線につきましては、従来の考え方は、高島平から東上線に連結をするというかっこうでございました。これにつきましては、都市交通審議会でもいろいろ御議論がございまして、そうしてこれを高島平から東上線に連結をするよりも、まっすぐに埼玉県の大宮市の西部の方向へ抜いていったほうが地元の便益に非常になる、特に埼玉県の大宮市の西部の地区あたりにつきましては、非常に大きな団地計画その他もありますし、人口の集中が著しいわけでございますから、それへ抜いていったほうがいいということになりました。そうして従来考えておりました和光市方面につきましては、別線で考えて都心の方面へ持っていくということがいいじゃないかということでございました。なお、埼玉県の意向等もいろいろ聞きました上で都市交通審議会ではそういう決定をいたしたわけでございます。それで、六号線の将来の延伸の問題といたしましては、そういうことで都市交通審議会できまりましたので、その基本的な方針に乗りまして今後整備を進めてまいりたいと思います。現在まだ建設の申請等が出てまいっておりません。出てまいった上でこれは早急に処理をしなければならぬものと私ども考えております。
  191. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの六号線の東武乗り入れの問題、これは衆議院の分科会でも東武の問題でやっておりますので、私省略したいんですけれども、ただちょっと開銀からの融資の状況ですね。これを見ますと、まあ東武鉄道に対する開銀の融資の実績というのが昭和四十四年の六億四千万円から四十五年は二十三億、ところが四十六年度は二十四億、こういうことで四十五年、四十六年を見ても一億しかふえていない。それに対して小田急は四十四年三億五千万が四十六年は三十六億、四十五年が二十二億ですからかなりの増加を見ている。京成についても同じように実に急激な増加を見ているわけです。西武も同じです。そういうのを見ると、東武鉄道自身は、これは返済がめんどうくさいというのか、いやなのか、そういうことか知りませんけれども、例の問題等があると、私ども何かそういうような通勤輸送、そのほかの問題に対しての熱意というものが薄いんじゃないかという危惧を、こういう融資状況一つを見たり、例の先行取得をして免税になった部分を今度は返さなくちゃならぬという事態が起きてみたり、こういうことではどうも姿勢がはっきりしないという感じを受けるんでありますけれども、その点は運輸省としての指導はどんなふうになさっているんですか。
  192. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 私ども輸送力増強計画というのは、どうしてもやってもらわなきゃいけませんわけでございますから、もう輸送力増強計画に大いに力を入れていただくということで指導をいたしております。それで、ただいま先生御指摘のように、具体的な、開銀の融資が少なかったというような問題につきましては、これは開発銀行の融資につきましては使途を実はきめておりまして、そして、そのきめておりました使途、たとえば高架化をする、その費用だとか、あるいは車両を買う費用だとか、そういう使途をきめておりまして、そのきめておりました使途に従った決算に従いまして開発銀行がこれを融資をするという形の融資のやり方をいたしております。したがいまして東武がこの時点に少なかったというのは、その点の、その分の工事が比較的少なかったということの証左であろうかと思うわけでございます。たとえば京王なんか非常に多いと思いますが、それにつきましては、まあ複々線化だとか、その他の停車場の改良といったようなものが非常に多かったり、小田急も同様でございますが、そういうようなことで決算によるところの融資ということにいたしているために、まあそういうことになっておるわけでございますが、これにつきまして私どもとにかく輸送力増強計画として定めたものにつきましては大いにやらしたいということでございますので、そういう方向で指導してまいりたいと思います。
  193. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ことしはまだ融資の希望というものはまとまっておりませんか、開銀でなきゃわからないかもしれませんが。
  194. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 四十七年度の融資希望は、まだ現段階では具体的なものはきまっておりません。
  195. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いずれにしても通勤輸送問題がここでは一番の大きな問題になっておりますので、この点は要望ですから御答弁要りませんけれども、いろいろ洗って見てみても、ただ国鉄当局、運輸省だけでもってやっても片づかない。最後には、一生懸命やって効果あるようにするためには、やはりほかの政策もあわせて、都市政策というものをあわせなければならぬ。こういう立場でありますので、そういう立場と両方あわせて鋭意やっていただきたい、これは希望でございますので、とどめておきます。  それから新幹線の問題ですね、これについて伺いたいんですが、これは鉄建公団のほうお見えになっておりますね。——実は衆議院のほうでは鉄建公団がいないところでの質問でありましたので、私、同じ趣旨のものですが、例の上越新幹線、それに東北新幹線ができますと、そのために町が分断される、そこへ高速道路が通るということで、三つ、四つ、五つに町が分かれてしまって都市計画も何もできないというような伊奈町の現状がございまして、議会をあげて、また町当局をあげての猛烈な反対があるようであります。この点は運輸省のほうの答弁、鉄道関係の答弁は前回のときに出ておりますのでけっこうなんですけれども、鉄建公団としてはどういうふうにお考えでございますか。
  196. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 私のほうで担当しております新幹線につきましては上越新幹線、それから成田の新幹線がございます。上越新幹線につきましては、昨年の十月十四日、運輸大臣から工事実施計画の認可をいただいていま鋭意工事を進めている最中でございまして、大隧道などにもだいぶかかっております。しかし、お話のように一部地区では非常に反対もございます。特に成田の新幹線につきましては、本年の二月六日、運輸大臣工事実施計画の認可をいただいておりますが、成田のほうはそれ以上にいろいろ問題がございまして、地元の反対も相当ございます。これは何としても全体的な意味で地元の御協力をいただいて円満にこの工事を進めなければならぬというふうに考えているわけでございます。しかし、何と申しましてもこういう大きな工事都市計画その他におくれて出ますと、どうしてもいろいろな問題が出てまいりまして非常に苦慮しているわけでございますが、特に成田につきましては千葉県、東京都にいろいろ折衝をしていままでやってきておりますが、まだ十分な御理解をいただくという段取りにはなっておりませんので、これはひとつ公害とか、あるいは都市計画のいろいろな支障とか、いろいろな問題をよく検討いたしまして最小限のところで計画を立てたのでございますが、いろいろ地元にとっては納得していただく段階にまだなっておりません。上越のほうはだいぶ納得いただきまして、特に各地で測量の立ち入りも認めていただいて仕事を進めているような状態でございます。  なお、こういう新幹線のような線区につきましては、高速で走るものですから、どうしても一部のところだけを特に避けるということが非常に困難でございまして、極力支障のないような方向計画をきめたんでございますが、しかし、やはり一部にそういう問題が起きておりますことはまことに残念でございますが、十分地元の御了解を得ながら仕事を進めていきたいと思っている次第でございます。
  197. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま成田新幹線のことを聞こうと思ったらお答えが先に出たのであれですが、これは東京都知事の関係のほうはいまどういうふうなことになっておりますか。それから江戸川区の問題、たとえば区民とか、区議会とか、これはもう総力をあげて反対の様子であります。線路をつけるところを変えろという意見まで出ております。いまになって計画は変更できないという意見もあるようでありますけれども、この点いままでの話、いまの答弁だけではちょっと私も納得しがたいように思います。もう少し詳細に御答弁いただきたい。
  198. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 成田新幹線につきましては、早くからいろいろ心配しておったわけでございまして、特に昨年の七月には運輸大臣のところに千葉県の知事もお見えになりましていろいろお話も出たわけでございますが、その後計画がだんだん固まってまいりまして、昨年の十二月、千葉県知事にも御説明し、いろいろ話もしておったわけでございます。それから一月にも参っておりますし、東京都に対しましては、都知事にもわれわれが認可の前にお目にかかりたいということを申し入れておったのでございますが、都会の関係その他でお目にかかれないので、副知事には私どものほうの副総裁から御説明しまして、一応のお話はしております。その後、御認可いただきまして、首都高速道路公団とか、あるいは建設関係にもお話しし、また東京都の副知事にお会いしていろいろお話をして御理解いただくように努力を重ねておるわけでございますが、都知事も二十二日外国へ御出発になるので、その前にはぜひお目にかかりたいということを私も申し入れたのでございますが、いろいろ非常にお忙しいのでなかなか会うひまがないということでまだお目にかかっておりませんが、この問題は、江戸川区の問題をある程度納得さしてから来てもらいたいような御意向なんでございますが、しかし、原則的にいろいろな問題をお話し合いしながらこういう問題を詰めていかないととても解決できないということで、私どもは非常に苦心しているわけでございますが、そういう点でまだ御理解を十分にいただくような段階になっていないということを御報告申し上げておきます。
  199. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣、取りつく島がないような、そういう感じですね。いろいろ例の不忍の池の問題なんかがからんだりしたこともあるようでありますけれども、そのほかに負担金の問題もあり、騒音の問題もあり、そういう公害の問題ということが強い反対になっていると。しかも、せっかくの町の中を突っ切られるのは困ると。むしろ思い切って——これはそれだけじゃないと思うんです。ここだけの問題じゃない、いろんな問題があると思いますが、これは計画を変更したりなんかということは考えられないんですか。
  200. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 江戸川区からのいろいろな申し入れがございまして、計画を南へ変えろとか、あるいは駅をつくれとか、あるいは地下にもぐらせろとか、あるいはまあ何か画期的な変更ができないかというようなお話もいろいろございます。しかし、現在の段階で——そういう点を十分検討した上で現在のルートが一番ベストだということで決定いたしましたので、いまのところ、変更はそう簡単にはわれわれできないと。変更はできないというように私どもは考えておりますが、なお地元とよくお話し合いして、地元の意向とわれわれの意向とがまるで対立したのではどうにもなりませんので、やはり話し合いを続けていくより手がないというふうに考えているわけでございます。
  201. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これははっきり申し上げて、地元住民に対する説明会をやるとか、そういうことを繰り返していかなきゃまだだめだと思うんですよね。ただ、とにかく上のほうの了解を得られないうちはできませんとかなんとかということじゃなくて、説明会を開いて、あるいはいろいろ公聴会をやってみて、そういうことでもどうにもならないというならまた考えなきゃならないことだと思うんですけれども、いまそういうような民主的な時代になっているのにそういう手順も踏まないでやるということは、なかなか実行は不可能だと思うんです。そこら辺はよく——これは大臣も相談に乗られることと思いますけれども、お考えはいかがですか。
  202. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これからの公共企業は、これは鉄道だけじゃございません、飛行場建設もそうでございますけれども、何と申しましても地元の住民の方々の御了解を得ると、御理解の上で進むということでなければ絶対にできないことでございます。それゆえに、私どもも常にそのことは強く言っている次第でございます。いま先生御指摘のように、成田、上越、いろいろ騒音の問題その他につきまして地元の皆さまの御理解を得ないところが非常に多くございます。私のところにもたびたび反対陳情も来ております。そういうことでございますが、いま御指摘がございましたように、地元の公聴会を開くなり説明会を開くなり、あらゆる手段を講じまして御了解を得ると。どうしてもその点で行き詰まったらどういう打開の方法があるかということを考えるということもいたしまして、そうして具体的に所期の目的を達するということでやっていかなくちゃならないと思う次第でございます。知事との会談も総裁が現に望んでやっておるようでございますが、私ども、そういう点を側面的にいろいろな点で強く協力もしまして、具体的にこれらの問題も解決策をさがし出したい、こう思っておる次第でございます。
  203. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) ちょっとつけ加えさしていただきますが、ただいま先生のおっしゃるとおり、地元とよく話し合いをし、それから上のほうとも話し合いしていくと、それは全くそのとおりでございます。私どももそういうふうにしたいということで、地元にもぜひひとつ話し合いに乗っていただきたいということを常に言っているわけでございまして、両方相まって仕事を進めていくより手がないんじゃないかというように思っているわけでございます。
  204. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 もう一つ、新幹線のことですが、これは東北、上越の始発駅が東京駅ということですが、その東京駅へはとうてい入らないんではないか。いわゆる線増があそこのところは工事が不可能だと。東京駅から上野駅の間でございますか、そういうような声があるのでございます。それならむしろ——私は大宮だからそんなことを言うんだと言われちゃ困るんですけれども、始発駅を大宮のほうへ持っていってしまうとか、そういうことを考えなければ、浦和とか、あの辺の施工も一部地下にするとかしなければ猛烈な反対が出てくるだろうと予想されています。そういうような感覚はございませんか。
  205. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) 東北新幹線東京駅に持ってくることに関しまして、われわれとしても、いろいろ、ターミナルといいますか、それをどこにするかということで検討したわけでございます。都市計画サイドのほうからいいましても、東京駅だけでは都市の混雑を招く、都市集中を招くということでございます。そういう点も考慮いたしまして、東京駅のみならず、将来、新宿というようなところにも持っていくという計画の上でやっておるわけでございます。現在、東海道新幹線東京駅までまいっておりますが、それを全国新幹線網の一環といたしまして延長するということでございまして、たまたま、現在あります東京駅のプラットホームが、いまやっております山陽新幹線工事その他の竣工によりましてプラットホームが二面融通がつくようになります。そのあきましたプラットホームをそのまま若干上に上げたり、いろいろなゲージを直したりその他の工事は必要になりますけれども東京駅におきましては、浮いてきましたプラットホームそのままを東北新幹線並びにとりあえずは上越新幹線の両方の出発のプラットホームに転用できる手がございます。  それから東京駅を出まして大宮までの間、できるだけ国鉄の用地を活用し、地元の方々の御迷惑をなるべく少なくするようにというようなことで、いろいろルートその他検討をいたしました。ただいま先生御指摘のように、確かに、東京から大宮までは非常に人家も密集しておりますし地形も複雑でございまして、工事としては非常にむずかしいというふうに私たち考えております。しかし、いま申し上げますように、東京から東海道と結ぶということによる東北地方あるいは上越地方の方々のメリットを考えまして、むずかしい工事を、できるだけ用地その他の点で皆さまに御迷惑をかけないようにという点でいま考えておりますのは、御承知のように秋葉原の付近で国鉄貨物のプラットホームがございます。あれを若干つぶしまして、あれから地下にもぐって、上野付近は地下で通って日暮里の付近から出て、あとあの辺——田端のヤードだとか、あるいは王子の貨物駅だとかいったようなものがございます。それらの用地をできるだけ活用いたしまして大宮まで通そうじゃないかというふうに考えております。しかし、何ぶんにも、先生御指摘のように、この間の工事は非常に難工事であろうかと思います。工程的にも非常にせっぱ詰まっておりますので、われわれとしてはできるだけ工事を順調に進めるように今後なお一そう努力をしたいと、こういうように考えておる次第でございます。なお、大宮を起点にといいますか、大宮で東北の新幹線と上越の新幹線が分かれることになりますけれども、将来は大宮から、また上越新幹線につきましては、いま申しますような新宿のターミナルというようなことを考えまして、将来はそれをまた東海道とも接続できるようにしようと、こういうコース・プランの上にいまの計画を策定して進めておる次第でございます。
  206. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この点は、もう一つだけですが、いわゆる神田から秋葉原、あの辺のところ、問題としてあそこに線をどういうようにかけていくつもりか、それが一つわからない。
  207. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) ちょっと図面がございませんので、なかなか御説明がしにくいのでございますけれども東京駅を出まして、海側といいますか、東側にある程度並行に持ってまいりまして、それからあそこに高速道路がございます、あの上を越えるわけにいきませんので、あの下をくぐりまして、高架でくぐりまして、神田の付近につきましては、くぐりましてから、できるだけ早く国鉄の線路の上を縦に使うというような方向で秋葉原のほうまで持っていきたい。これは、新幹線はなかなか上がったり下がったりがむずかしゅうございます。在来の線を上がったり下がったりさせまして、新幹線はまっすぐ持っていきたい。そして秋葉原の国鉄用地に入りましてから、なるべく早く地下にもぐる、こういうかっこうで進めたいと、こういうように考えております。
  208. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ずいぶん無理な感じの工事のような感じを受けますね。投資の効果からいったらあまり効果がないんじゃないかという感じがするんです。  あと二、三日間で終わりますから——もう一つ。国鉄、これは運輸省なりますかね、伺いたいんですが、川越の問題なんです。これは御承知のように、東武東上線、それから西武池袋線、そかれらもう一つは国鉄の川越線と、この三つがあって、駅が御承知のように、三つにも四つにもなっております。そういうことで、非常に都市計画の上でも支障を来たしておるわけです。乗りかえも不便である、デパートもばらばらにつくられる、町の中心がどこにあるのかわからないというふうな状態で、非常な支障を来たしておるというのが現状でありますが、こういう三線をどこかで合わせるというような計画、こういうことについて、これは見解を承りたいんです。  それから、この川越線についてでありますが、二問目として、現在の川越線は単線でございます。しかし、いまの開発の状況から見ると、どうしても複線にしなければならないところまできておる。高麗川あたりまでの複線ということが強く地元からの要望があるわけでありまして、現在は単線のジーゼルになっておるわけでありますが、そういう点はどうなのか、この二つの点について伺っておきたいと思います。
  209. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 先生御指摘のように、川越地区は東武の東上線、それから西武線、それから国鉄線、三線がここにまいっておりまして、しかも、東武東上線と国鉄線の間におきましては、総合的な駅、共同使用駅といたしておりますが、西武線につきましては、別の線といたしまして、そうして本川越、別の駅をつくっております。それで、私ども基本的な考え方といたしまして、この国鉄線並びに私鉄線の各駅、なるべくはこれを共同使用駅にする、統合いたしまして、そうして共同使用駅にいたしますると、旅客の乗りかえの便益、その他からいきまして非常に効果が大きいわけでございまして、なるべくそういう方向にいたすように指導してまいりたいと思います。ただ問題は、この鉄道の駅の場合には、一たん駅ができますと、そこに商店街その他ができてしまいまして、そして、その駅をかりに他の駅に統合するというような場合に、非常に地元の御反対等がございまして、なかなか困難な場合がございます。現在の本川越を川越駅に統合するということも、そういう面でなかなか困難があるんじゃないかと思います。ただ、そういったような場合には、何とか考えなきゃいかぬのじゃないかという点は、たとえば連絡通路をつくるとか、ホームの位置というようなものもできるだけ連絡に便利なようにするとか、そういうような設計上の配慮をするとかいうようなことを考えなければいかぬと思うわけでございまして、その点は各線のたとえば輸送力増強計画をいたします。たとえば、西武線は、この地区はたしか六両だと思いますが、八両化の計画というようなこともあるようでございまして、そうすれば当然ホームの有効長延伸、あるいは線路延長の延伸というようなことをやらなければならぬわけでございますので、そういう段階になりますと、そういう設計変更ということになってまいりますから、その際に、そういう地元の便益というものも考えた設計にしてまいらなければならないということだと思います。基本的にはそういうことでございまして、既設の商店街等との話し合いもございますが、基本的にはなるべくこれを統合する、統合できないまでも利用者の便益になるような乗りかえ施設というようなものもだんだん考えていくという方向でやってまいりたいと思います。
  210. 長浜正雄

    説明員長浜正雄君) 先生質問の後段の、川越線の輸送力増強の件でございますが、確かに、おっしゃいますように、川越線付近につきましてはいままであまり発展をしておりませんで、輸送需要もそれほどございませんでしたが、最近の発展状況は相当なものがあるようでございます。国鉄といたしましても、東京中心とする五方面の輸送力増強計画がある程度一段落しかかっております現在でございますので、将来、こういういわゆる東京都の外側、外郭の線区の輸送開発ということに力を注がなければいかぬということで、まだ具体的な計画までセットしておりませんけれども、大宮に新幹線の駅ができるというようなことにもなりますと、ますます川越線の地位というものも上がってくるんじゃないかというふうに考えております。そういう時点を踏まえまして、将来のこの線の複線電化ということも考えていかなければならない、こういうふうに考えております。ただ、われわれといたしましては、こういう線区に対する輸送力増強には相当多額の工事費を要することは、先生これは先刻承知のところでございます。せっかくこういう多額の投資をいたしますということにつきましては、将来、国鉄といたしましては、単に運賃でいただくのみならず、こういう将来開発いたしていきます地区の、地域の、線区の沿線につきましては、民業を圧迫しない程度で、やはりその付近の地域開発、住宅開発といったようなものに国鉄も参画できるような方法はないものだろうか。午前中も総裁から別の先生にそういう御答弁を申し上げておりましたが、そういうことも考えられないかということをわれわれとしては念願しておる次第でございます。単に運賃だけでございますと、どうしてもまた運賃の値上げとかいろいろ出てまいりますので、そういう関連事業といいますか、そういうことができましたら非常にこういうものの開発も進んでいくんじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。その点御了承いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  211. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 むしろ陳情になっちゃったんで、それとセットで御答弁ですから、どうもぴんとこないんですけれども、それは私は鉄道営業法を改正しろという、そういう論者です。はっきり申し上げて、いわゆる宮崎までのフェリーが出るなんというときに、その営業が国鉄ができないなんということではこれはどうしようもないわけなんですから、そういう点はこれは当然のことだと思うんです。それはそれとしても、この地元の声だけは無視されちゃ困るわけです。まあ、いまの答弁で、新幹線と同時ぐらいに考えたいという話ですから、同時とは言われなかったですけれどもね、まあそういうふうに私はかってに理解しておきますから……。  それからもう一つ、川越で地下鉄乗り入れということが、何か計画の話があるそうでありますけれども、その辺のところは何か具体的な話はございませんですか。
  212. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 現在川越、あの辺一体につきましては、先ほど申しましたように、非常に人口の増加が多いところでございますので、先ほど申しました六号線の延伸、それから東武線の増強、それからさらに、先ほどちょっと触れました大和町から北へ参りまするところの新しい線増というもので対処するということで考えておりますが、地下鉄を川越へ乗り入れるという話は、ただいま私ども聞いておりませんです。
  213. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 で、この問題、もう少し国鉄当局へ。  川越線、どっちみち複線化にならなきゃならぬときが来るだろうと私は予想します。せめて土地の安いうちに先行投資をなさったらどうなんですか。その点はいかがですか。
  214. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は、それができればと思ったんですけれども、なかなか予算が一ぱいで、何かほかの手段でできないかということも考えておりますけれども、もうすでに、そういううわさが出ただけで地価が実は上がっておる状況で弱っているんでありますけれども、しかし、いずれにいたしましても、何か別な手段で、いまの、うちの予算でできなければ、何かほかの方法でできないかということも実は考えておる次第でございます。
  215. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これで最後の質問に入りますが、例の離島航路の問題であります。  九州の海運局で、例の奄美大島の古仁屋の港に対する抜港の申請があったのをとめておいていただいておりますが、そういうことで、地元は非常に喜んでいるという状況であります。それと伴ってではありますけれども、喜界島ですか、あちらのほうで、だいぶ、非常に、何といいますか、船の来る回数が少ない、そういうことと、高速船を運航してほしいという二つの声があがっておりまして、確かに、あのようなところになりますと、離島航路については航路の補助金も出ているわけでありますけれども、しかし、それが十分でないのかどうかわかりませんが、この大島運輸と照国郵船と、二つがあそこをやっているわけです。そのほかに、まだ新しい海運も入りたいという声もあるそうであります。一つは、喜界島とか、あちらのほうの島について三日に一ぺんとか、四日に一ぺんとか、五日に一ぺんとかなんというふうなことでは、これは困るということですね。その点は、離島航路としては、はっきり確保をしてほしい。もう一つは、高速船をという声があがっているだけに、そういうような船腹の増強、こういう点についても、離島航路となれば採算はとれないわけでありますので、積極的な補助をしなければならないんじゃないか、こういう二点についてお伺いいたします。
  216. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) ただいま御指摘の名瀬と喜界の離島航路のことですけれども、これにつきましては、実は、昨年の夏ごろまで、この便数につきましては、毎日一便ございまして、それに加えまして、さらに別の事業者が月に五、六回というのをやっておったんですが、実は、現在は、その毎日一便をやっております——これは小さな会社でございまして、個人事業者でして、一ぱい船主の会社がどうも事故を起こしまして、それから船が小さくて、性能が悪いもんでございますから、よくスケジュールが守れない、それから運営がうまくいかないということでございまして、結局、その会社はやめたんでございます。その後、あと始末といたしまして、その会社が一つの航路権を、先ほど御指摘の照国郵船という、月に六回やっております大きい会社のほうに実は譲りまして、廃止いたしました。したがいまして、現在は、御指摘のように、照国郵船という会社だけが奄美と喜界の間を月十航海、それから鹿児島−奄美−喜界というのを月八航海、大体二日に一ぺん——それ以上かもしれませんけれども、程度、現在やっているというわけでございます。  実は、これにつきましては、地元の住民の声がございまして、どうも船が小さくて困る、ぜひ照国郵船の大きい船を入れてくれということがございまして、そういったような一ぱい船主のほうの事業行き詰まり等もございまして、ちょうどいい機会なものですから、そういうふうに照国郵船に——今度は約七倍くらいします、最初の船が百八十トンぐらいでございますけれども、今回は七百三十トンの船、速力の速い船を投入する。そのときの話では、月十八、九航海でいいんだというようなことで、地元も納得したというふうに聞いたんでございますけれども、おそらく、その後そういうことではやはり不便だと、やはり一日一便ということにしてくれという陳情が九州の海運局長あてに出たというふうに私聞いております。まあ、これにつきましては、過去、そういうような実績でございますので、地元の住民と、あるいはまた地元の市町村と事業者と十分話をさせまして、できるだけ地元の声、要望におこたえできるように、地方の海運局を通じまして指導してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  217. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはお乗りになればわかるんですけれどもね、あそこの船は大きい、大きいといっても、そんなに大きくないもんですから、どれ乗りましても、通路から便所の前までごろごろ寝ておるような状態ですよ、はっきり申し上げて。しかも、かなりいわゆる季節風もありますから、絶えず猛烈なゆれでしょう。まあ言ってみれば、そういうようなところで十八航海と言われましても、はっきり申し上げますと、十八日のうち風や何かで動けない日が必ず出てくるはずです。十八といっても、それより少ないわけですね。そうすると、それが続きますというと、非常に間引きされた、つまり抜港された感じになるわけなんです、これは。いまの局長の答弁では、私は満足できないんですがね。何とか早いうちに、政府のほうで本気に考えてあげて、そうして会社を責めるだけでも、これはなかなかできないことだと思いますので、適当な補助なり、いろいろなことが今度の予算にもついてくるわけでありますから、考えていただいて、早々に、特に離島関係、奄美等はまだまだ振興法を持たなければやっていけないような場所でありますから、それだけに本気になって考えてもらわなければならぬと思いますね。この点、最後に大臣からお伺いして、終わりたいと思います。
  218. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 離島航路の問題は、これはやはり私ども陸上におきますと過疎バス対策、今回はまだ不十分でございますけれども、平年度におきまするところの、昨年の約五倍以上の過疎バスの予算を今度御審議を願うようになった次第でございます。離島対策も、これはもうほんとうに重要な問題でございます。ことに、沖繩が復帰してまいりますと、奄美関係は、ここは御承知のとおり、十年計画をずっとやっておりましたけれども、沖繩の今度の復帰状況を見ますると、ややともすると、その点で閑却されがちな点もございますので、そういう点も勘案いたしまして、いまの御趣旨に沿いまして、十分前向きに早急に検討いたしたいと思いますので、ひとつ御了承を願います。     —————————————
  219. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、山崎竜男君が委員辞任され、その補欠として白井勇君が選任されました。     —————————————
  220. 白井勇

    白井勇君 あらかじめお断わりしておきますけれども、私はすわったままでお尋ねをいたしますから、どうかおすわりのままでお答えをいただきたいと思います。  結論から申し上げまするけれども、私がお尋ねしたいのは、気象の発表の方法につきましてお尋ねをしたいと思うんです。時間もありませんからね、私が大体私の考え方を申し上げますから、それが間違っておりましたら御訂正をいただきたいと思います。  運輸省設置法に運輸省の権限がきまっており、その四条の第一項の四十五号から四十八の五号まで、一応、気象庁につきましての権限でありまするか、さらにまた、第三章第四節に気象庁の権限がさらに確言をされておる。これを非常に平たいことばで申しますと、日本の気象関係というものを観測をして、調査、研究をして、そうしてその資料を発表する、こういうことにあろうかと私は思うんです。それに関連をいたしまして、気象業務法の第十三条には、「気象庁は、政令の定めるところにより、気象、地象(地震及び火山現象を除く。この章において以下同じ。)、津波、高潮、波浪及び洪水についての一般の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。」というふうに、この十三条の一項にきまっておるわけですね。いわゆる何と申しますか、非常警報は除きまして、それで一般的ないわゆる予報及び警報というものは、この場合は一応予報というようなことばでまとめて話をさしていただきたいと思うんでありまするが、そうしますと、この十三条の規定によりまして、気象庁というものは気象につきましての予報をしなければならないという義務を負っていると私は思うんですね。「一般の利用に適合する」ということばは、どういうふうに私は解していいかわかりませんけれども、しろうとなりに考えまするというと、「適合」ということばはよく当てはまることとか、よくかなうことということであって、一般のつまり産業人も、商売をやっておる者も、それから農業をやっておる者も、国民生活をやっておる一般の人もそれぞれ気象に非常に関係があるんだから、それぞれの人たちの利用によくかなうようにこれは予報しなければならない、こういう義務を課されている、こう思うんですが、この点は間違いですか。
  221. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。
  222. 白井勇

    白井勇君 わかりました。  そこで、日本の気象に関しましては、観測も調査も研究もそれから発表も、気象庁がこれは特別に権限を与えられていることであって、気象庁のやっている以上の観測なり予報なりそれから調査、研究ができるところは私はないと思うんですが、それは間違いですか。
  223. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) 気象庁といたしましては、基本的な観測なり予報なりをやる義務がございます。ただ、特殊な用途に使う問題だとか、あるいは気象学そのものについての研究だとかいうものにつきましては、気象庁だけでなくて外部でやってもよろしいかと思っております。
  224. 白井勇

    白井勇君 そのいわゆる特殊なものは別としまして、一般的に申しますと、気象庁より以上の観測、調査、研究、発表というものができるところはないと思いますが、それは間違いですか、特殊なものは別としまして。
  225. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) 基本的な予報なり警報なり、これは気象庁でやるのがたてまえでございます。しかし、それに対しまして、それを予報や何かに基づきまして利用するために解説するとか、あるいはそれによりましていろいろなことをする、これにつきましては必ずしも気象庁でなくてもよろしいという解釈になっていると思います。
  226. 白井勇

    白井勇君 それは法律で何から出てくるんですか。
  227. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) 十三条によりまして……。やる内容につきましては気象業務法施行令の第四条にございまして、どういうものをやるかという内容が規定してございます。その問題につきましては気象庁で担当してやるべき問題でございまして、それ以外のものにつきましては必ずしも気象庁でやる必要はないと、こういうことになっておるかと思います。
  228. 白井勇

    白井勇君 施行令——そこでどういう条文があるんですか、第十三条には「政令の定めるところ」と、何にもないんですね。要するにずばりと、気象庁はこういうことをしなければならぬと義務を課しておる——ああ「政令の定めるところにより、」ですか、この政令というのは、そうしますと、これはどういう政令が出ているんですか。
  229. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  230. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 速記を起こして。
  231. 石原明

    説明員(石原明君) この十三条の第一項に「気象庁は、政令の定めるところにより、」とあります。それを受けまして気象業務法施行令の第四条に、ただいま長官の説明いたしましたような一般の利用に適合する予報、警報の具体的内容が定めてございます。
  232. 白井勇

    白井勇君 ですから、この施行令の第四条によりますと、そういうことは気象庁がやらなければならないことですね、第四条は。違いますか。
  233. 石原明

    説明員(石原明君) おっしゃるとおりでございます。
  234. 白井勇

    白井勇君 そうですね。そうしますと、私はしろうとなりに、おたくからいただきました「今日の気象業務」というものの一一ページを見ますと、やっておりますることは、まず予報では、日常の天気予報、週間の天気予報、一カ月の天気予報、三カ月の天気予報、それから暖・寒候期などの長期予報、そのほか天気の変化に応じて出す各種の予報をやるわけですね。そういうふうにやりまして、数は三十種類のものに及んでおる。それはどういうふうにやるかといいますと、一般に対しまする予報、警報というものは、一つは全国予報区、二番は地方予報区、府県予報区、地区予報区、特区予報区、こういうふうに分けられまして、そうしておたくでは、申し上げるまでもなしに、地方にはそれぞれ気象台というものを持ち、それから測候所を持っておる。そうしてそれが各県に何カ所かあって、百何十カ所もある。そういうところで当然私はやられておるものだと、こう解しておったわけですがね。ところが実際はおたくでやらないで、日本気象協会というものがあって、全部そこを通じなければおたくの大事な発表を受けられないということは、これはどういうことなのか、ちょっと私理解に苦しむわけです。
  235. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) そういうことはございません。一般の方が気象庁なりあるいは地方気象台あるいは測候所に電話でお問い合わせしてもよろしいわけでございます。そういたしますればお知らせすることになっております。また放送局やなんかを通しまして、協会を通じないで直接気象庁なり地方気象台から行きまして一般の天気予報として出ているものもございます。
  236. 白井勇

    白井勇君 それはほんとうにそういうことになっておりますか。
  237. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) そのとおりでございます。
  238. 白井勇

    白井勇君 ところが実際問題は、全部いまお話しのNHKをはじめといたしまして放送局ですね、それから電電の天気予報ですね、全部これは協会ですね、これはどういう関係なんですか。
  239. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) 先生のおっしゃるのは、おもにNHKの朝の七時前と、それから夕方の七時前のことだろうと思いますけれども、これにつきましては気象協会がやっております。実はその気象協会がやっておりますのは、気象庁からまいりました予報なりなりをもとにいたしまして、一般の天気に関する解説をやっておるわけでございます。それから電電の電話でございますけれども、これも気象庁からまいりました予報によりまして、気象協会が吹き込んで、そうして皆さんにお知らせをする、こういうことでございます。
  240. 白井勇

    白井勇君 ですから、いまお話しのとおり、NHKなりあるいは電電なり、その他民放に対しまする——一番それは国民に徹底するわけです。そこは、NHKは直接気象台に取材をいたしましても、それはできない。全部、日本気象協会と契約を結ばなきゃならない。民放がしかり、NHKもしかり、電電もしかり、これが私にはわからないのです。
  241. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) いまのは一日のうちに何回かございまして、そのうちの二回をNHKと気象協会との契約でやっているわけでございます。それ以外のものにつきましては、気象庁あるいは気象台から、直接放送局なりあるいは新聞社なりに行ってやっているのが実際の状態でございます。したがって、必ず気象協会を通じなきゃいけないという、そういうことは全くございません。
  242. 白井勇

    白井勇君 それは、この問題は三月二十八日の本院の逓信委員会におきまして、これはNHKだけの問題が問題になったわけですけれども、そのとき前田会長はいわく、これは気象庁の御都合によるものである、しかも、ああいうことをやるのは、あの程度のことをやるにしましても、何かやっぱり資格が必要であるということを言われている。こういう答弁をしていらっしゃるのですね。それじゃNHKで一体幾らあのために払っておるかと申しますと、月額にしまして二百三十二万六千円払っている。朝の七時前二分です。夕方の七時前二分です。合計四分ですね、一日正味。三十日にしまして百二十分、わずか二時間ですよ。二時間に二百三十二万六千円払っている。ことしあたり、またそれは増額されるのだろうと私は思うのですが、NHKというものは、これは申し上げるまでもなく、国民のものなんです。会社でもない、民間会社でも何でもない。国民の皆さまのものです。その四百六十五円の聴視料から、こういうものを取られているのです。民放においても、みなこれ、そうですね。ある東京の、たとえば大きい民放におきましては、三月の、その関係で協会と契約をしていかなきゃならない、それで払ったものが二百二十六万六百四十円なんですよ。月二百万以上払っているわけです。じゃ、これは電電でどうかと調べますと、これは四十六年におきましては八千九百七十万というものを払っているのです、あれだけにつきまして。これは四十七年はどう予算を組んでいるかといいますと、九千百三十万組んでいるのですよ、あんなことだけにつきまして。おたくから直接通報をもらえば、それで済む筋合いのものです、これは。朝の七時なり、たとえばNHKの、あの通報を聞いておりましても、何もしろうとでできないものでもない。むしろあなたのほうから直接発表されたものを、そのまま、これは気象庁発表ですというふうに放送すべき筋合いのものであって、それが一番正確なわけですよ。それ以上のものはできょうがないわけです。それは間違っていますよ。おたくもやはりしなければならないという義務を法律で課されておるわけです、十三条によって。当然これはおたくでやらなければならない。取材するほうも、おたくから聞くしかないわけですよ。それは気象庁の発表なんです。中にそういうものを介在させる何らの意味はないと思うのですがね。これは先ほど申しましたように、NHKの前田会長が、気象庁の意向によってこういうことをやらざるを得ないのだ、こういうことをおっしゃっている。これはまことに理に合わないことじゃないかと私は思うのですがね。大事な気象の発表として、おたくだけしかやっていないのだ。これはどうお考えになるか。大臣、いかがですか、これは。
  243. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私も初めて伺った次第でございましてまことに申しわけない次第ですが、これはいま長官の答弁を聞いておりますると、日本の基本的の気象業務、これは全部気象庁がもちろん観測する。これは機構から申しましても、全国的に測候所をもってやる、それ以外にできっこない次第でございまして、これは当然のことでございます。また、それを国民の皆さまに知らせる義務がある、それも当然でございます。それのやはり業務の一環として、その周知徹底の方法としてあるいは電話を使う、あるいは放送を使うという、いろいろの機関を使ってやるということであろうと思う次第でございます。そういう点で、やはりNHKあるいは民放みんなそれをやる。それの中間機関として、いま言った気象協会——私は、あるのもきょう初めて知った次第でございますが、使っておる。それにつきましては、やはり何か使うだけの、理由がなくてそういうものを置くことはないと思うのですが、あるのじゃないかと思いますが、いま先生せっかくそういったお話でございますので、至急それを私どもも研究いたしまして御返事を申し上げたい、こういうふうに思う次第でございます。
  244. 白井勇

    白井勇君 大臣のお考えで私も了承しますが、民放でいまテレビを持っているのは九十二社あるわけですね、全国で。それからラジオを持っているのが五十八社です、ラジオだけで。それも、全部それによって縛られておるわけですね。日本気象協会というものは、何十億という金を取っておる。そのために、そういうほんとうに気象関係の周知宣伝なり研究なり必要ありとしますれば、政府が足らない点を補わなければならぬというなら、政府が堂々とそれは予算で計上して援助すべき筋合いのものでありまして、こういうかっこうでものをやっていくなんてとんでもない話だと私は思うのです。  これはまた私、ほかの委員会において問題にしたいと思いますので、気象庁にお願いしておきたいと思いまするけれども、日本気象協会におきまして、民放なり電電から一体年間でどのぐらいの収入を得ておるものか、詳細にひとつお調べおき願いたいと思います。  あと、これは大臣の善処を要望しますが、よくひとつ御検討おき願いたいと思います。  以上で終わります。
  245. 山内一郎

    ○副主査山内一郎君) 以上をもちまして、運輸省所管の審査は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会      —————・—————