○
杉原一雄君 四十七年度の
予算を
検討する
予算委員会で、私は一貫して新全総、つまり旧全総の反省から新全総が生まれ、しかも四十四年新全総を
計画し、作業
段階に入って今日時点では多くのひずみを出している。これは総理も担当の企画庁
長官も確認をしたわけです。しかも、そのひずみの最大なるものは
公害のたれ流し、あるいは住宅不足、社会資本の不十分ということを実は確認してきたところであります。
ここに来る前は、自治省の渡海
大臣と、地方公共団体の
公害に対する取り組みの問題——これは地方行政の中で一番私いままでおくれていたと思うので、その点についての政府
関係の所見を確かめ合って、またこちらへ参ったわけであります。あすは産業構造の面で新全総の下敷になり、犠牲になっている農業の問題を赤城農林
大臣とやるつもりでおります。
そこで、きょうは
公害の問題でありますが、質問に入る前に、富山県のイタイイタイ病の裁判は昨年の六月三十日に第一審における判決で勝利をいたしました。ところが、あえて被告は直ちに控訴いたしました。きのうはちょうどその十カ月目で、証人拒否ということで結審を勝ちとりまして、弁護団の総括討論の結果としてこれは必ず勝つということで、原告のいわゆるイタイイタイ病患者遺家族の皆さんも小踊りして喜んでおりました。
〔
主査退席、副
主査着席〕
そのことのやはり
一つの大きな要因は、
昭和四十三年の
厚生省の見解がやはり大きなともしびとなって、こうした裁判に
一つの前進面を切り開いていってくれたのだろうと信じます。その意味で、
厚生省並びに
厚生省の見解を支持して今日までその主張を曲げず指導し、かつ発言しておいでになりました
環境庁長官にもあらためて報告を申し上げ、心から敬意を表したいと思います。
そこで、実はきのう経済審議会の立地・交通研究
委員会が、中間であるかどうか知りませんが、答申案を出したわけであります。この答申案の内容は、きょう新聞で斜め読みした
程度でしかありませんので、十分な
検討はできませんけれ
ども、大まかに言って、これからの
日本の経済のあり方として、民間設備投資主導型、あるいは都市集中・
公害型、こういうふうに
委員会で規定をしておりました。だからこれからは財政主導型で地方へ分散する脱
公害型の産業構造になすべきだ。だから通産は主として工場の分散をやるのだという
一つの方向づけを
委員会が実は出しておるわけです。これは
予算委員会の
一般質問の中で、田中通産
大臣と実はやりとりをしたところでございます。しかし、この
委員会の報告を見ましても非常に気がかりになることがあります。たとえば、私は田中通産
大臣とは、一体どうして工場をばらまくんだという質問をやって、資本主義の世の中でそんなことができるかと言ったら、いや、それは固定資産でまけてやります、低金利で長期のお金を貸してやる、補助金をやるんだ、こういうことで、いわゆる財政主導型の三原則を明らかにされたわけですが、ことほど簡単にいくものとは思いません。なお、この
委員会の報告の中では、都市にへばりついているような工場があれば、それには水道もとめる、賦課金も取る、そしてまた
公害の規制をきびしくするんだ、この最後の、
公害の規制をきびしくするということばが私非常に耳にひっかかるわけです。
公害を規制することによって都会から追い出してやるんだ、こういうことですが、追い出されたそういう工場が、今度は地方へ分散されて
公害を背中に背負って入ってきてもらっちゃ困るわけです。そうなりますと、いま渡海自治
大臣と意思統一をしてまいりましたが、やはり地方自治団体、地方公共団体は
相当の度胸を据えてかからないと——今日までは工場誘致のために、工場誘致ということをあるいは立候補のスローガンにしているようなことであったわけですが、そういう地域開発という問題はもはや地方の首長なり行政担当者がとるべき時期ではないということを痛感しておるわけで、非常にその点で重大な転機を実は迎えております。だから私は、
公害対策特別
委員会を離れておりますが、議員をつとめる限りは
公害の問題に政治生命をかけていきたいという気持ちで一ぱいであります。きょうは、そうした気持ちを心に秘めながら、具体的なこまかい問題を二、三お伺いしようと思うわけです。
第一点は、土呂久の
公害の問題がことしの一月日教組の教研大会で斉藤君か明らかにしたことで、大きくマスコミの線に乗り、かつまた、国会の場にまで各党がそれを持って入り込むようになって、たいへん議論をされたわけで、非常にけっこうだと思いますが、その
あとの問題ですね。つまりその後、土呂久の地域に対してどういうような影響を与えているか、患者が出ているのかいないのか、新患者が発見されたのかどうか、同時に私はそうした
一般的行政の問題として、そういう廃鉱の実態について、政府当局は全国的な総点検をするということも、これは
委員会の席上で私は確かに受け取ってはおりませんけれ
ども、いろいろな報道
機関で受け取っておるわけですが、総点検には日時も要しましょうけれ
ども、それは一体どうなっているんだ。総点検の結果、ではどうするんだ、これが一番私は大事だと思いますね。ではどうするんだ、そのことをお伺いしたいと思いますが、関連しますから、私は同じ休廃鉱の問題として、松尾鉱山のいわゆる休鉱の状態から生まれてきた、北上川の水は濁っていると、こういう問題について現状は一体どうなっているんだということですが、これは私、去年岩手の松尾鉱山も、北上川
あたりも歩いてみたんですが、多くのことを述べるよりも、昨年の七月十日の岩手県議
会議長の
高橋清孝氏の、北上川の水質汚濁防止についての要望がありますから、これをもう一度、通産
関係なり
公害担当の
関係の皆さんに確認をしていただきたいと思いますが、「北上川の水質は、本川の第二支川である赤川の強酸性水により、近年急激に汚濁されつつある。
北上川によせる県民感情、流域住民の生活環境の健全ならびに本県の産業開発に占める水資源としての有用性にかんがみ、もはや看過し得ない
状況となっているので、政府においてはすみやかに北上川の強酸性水の浄化方法等について
調査研究を行ない、水質汚濁防止のため抜本的な対策を講じられるよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第九十九条第二項の規定により
意見書を提出する。」と、これで一切が尽きていると思うんです、ただ問題の根源は、強酸性の水の問題ですが、これは松尾鉱山から出ていることは、現場を私見てまいったわけですから、だからこの問題でも現場——強酸性の水を出しているところの松尾鉱山の現況はいまどうなっているか。やはり水をたれ流していて、石灰を入れて中和するという、きわめて原始的なことをいまなおやっているのかどうか。そういう
状況と、北上川の汚濁の実情はどうなっているのか。それに対する対策。
そうして、土呂久と共通する問題は、土呂久は廃鉱であり、松尾は休鉱でありますが、廃休鉱に対するところの先ほど申し上げた総点検と対策ということでお伺いしたいと思います。
対策のうちで、すでに私通産からお伺いしておりますいわゆる廃鉱に備えての基金制度の設置の問題は、たしか十月一日から発足して、住友金属の社長が理事長になっていると思いますが、この基金発足ということは次善の対策としてすぐれた
一つの名案だと思います。しかし、これはえてして、大きな、現在企業として生き生きとしている企業が
中心になっていることで、事後の対策であります、いま申し上げた廃休鉱のことになりますと、まさに病膏肓に達して倒れた状態でありますので、こうなりますと、そう簡単に対策は出てこない。そうしますと、結果的にはPPPなどといっておっても始まりません。全くPPPは列車の警笛の価値しかありません。結局それは公共の立場で
あとの始末をしなければならぬということにもなるかもしれません。そうしたいろいろな問題点を意識しながら、先ほど申し上げましたように、一は土呂久、二は松尾を含めた北上川、そうしてその事後の対策等について総括的な質問のしかたをいたしました——質問をこれで
一つやりましたから、
あとでまた問題の偶々にわたってしたいと思います。