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1972-04-25 第68回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十五日(火曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      矢追 秀彦君     鈴木 一弘君      栗林 卓司君     木島 則夫君  四月二十五日     辞任         補欠選任      山崎 竜男君     白井  勇君      鶴園 哲夫君     上田  哲君      上田  哲君     杉原 一雄君      羽生 三七君     工藤 良平君      小野  明君     辻  一彦君      辻  一彦君     戸叶  武君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         平島 敏夫君     副主査         木島 則夫君     委 員                 白井  勇君                 高橋 邦雄君                 長屋  茂君                 細川 護煕君                 若林 正武君                 上田  哲君                 杉原 一雄君                 辻  一彦君                 鈴木 一弘君    国務大臣        国 務 大 臣  大石 武一君    政府委員        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君        環境庁長官官房        長        城戸 謙次君        環境庁企画調整        局長       船後 正道君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        環境庁大気保全        局長       山形 操六君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        水産庁長官    太田 康二君        通商産業省公害        保安局長     久良知章悟君        建設省道路局長  高橋国一郎君    説明員        外務省大臣官房        審議官      太田 正己君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○副主査補欠選任の件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、予算委員異動に伴い、栗林卓司君の補欠として木島則夫君が選任されました。また同日、矢追秀彦君が分科担当委員辞任をされ、その補欠として鈴木一弘君が、また本日、山崎竜男君が分科担当委員辞任され、その補欠として白井勇君が、それぞれ選任されました。     —————————————
  3. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) この際、おはかりいたします。  予算委員異動に伴い、副主査が欠けておりますので、その選任を行ないます。  選任は、投票によらず、主査の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、副主査木島則夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 昭和四十七年度総予算中、環境庁所管を議題といたします。  政府側説明は、これを省略し、本日の会議録の末尾に掲載をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 白井勇

    白井勇君 私、環境庁ができまして、大石長官が御就任されまして、公害の防止の問題、それから美しい日本の自然を破壊から守ることにつきまして、   〔主査退席、副主査着席長官がたいへんな御努力をやっていらっしゃいますることにつきまして、国民とともに私は深く敬意を表するものであります。現内閣におきまして一つの明るい存在といたしまして、国民が非常に喜んでおり、また御期待を申し上げておりますことでありまするから、今後とも、一そうの御活躍をお願いをまず申し上げたいと思います。  私、去年もこの分科会で、厚生省関係建設省関係お願いをした問題でありまするが、皇居中心といたしまする外苑関係、これをいま少し整備をし、常時あれをもう少しきれいにしておく必要があるのじゃなかろうかということなんであります。私は、大石長官であれば、それに対しましても何とか手を打っていただけるのじゃなかろうか、こう思いまして、去年と同じことを繰り返すわけでございます。  私去年、四年ぶりで欧米をずっと回って参りましたが、外国玄関といいまするいわば飛行場、どこの国におきましても非常にりっぱになっております。その間におきまして、ただ一カ所、ローマというのは、御承知のとおり飛行場は大きい、施設もりっぱなわけでありまするけれども、とてもたいへんな混雑であり、きたないのであります。紙くずが散らばっておる、すみにはほこりがたまっておるということで、非常に醜態でありました。それに比較いたしまして、羽田があれだけ混雑をしておるにかかわりませず、ごらんのとおりあそこまで清潔にされておる。  あれもたいへんな苦労を要するそうでございまするが、この皇居中心といたしました外苑地帯というものは、これはそういう外国関係玄関口には当たらないわけでありまするけれども外国から参りまする客はみなあそこに参る。日本全国から東京見物に参りましても、まずあそこに行くわけでございます。それから、あの周辺に勤めておりまする人たちも、やっぱりあそこをいこいの場として利用しておる。  私は、あれは一つ日本の、何といいまするか、簡素な文化の一つ中心であり、代表されるものである。それからまた、平和日本というものを象徴する姿であろう。いつも、そう私は思っておるのでありますが、ところが、ごらんのとおり周囲は全部自動車道路。中までも通っておる。私は将来は、あの堀ばたのぐるりというものの車道というものを、やっぱり地下にすべきものだというふうに思っております。これは一挙にいけないと思いますが、せめて、祝田橋から竹橋あたりに参りますあの線だけでも、これは地下にもぐらしてやるというような計画はないものか、こういうことで、去年も建設省お願いをしておったわけであります。  去年、建設省の方のお話によりますと、一応一つ計画がありまして、そして成案建設省として出ますれば、都なりあるいは環境庁なり、いろいろ関係方面に相談いたしまして、そして進めてみたいというような考え方は持っておる、こういう話を去年聞いたのですが、まず私、長官にお尋ねします前に、建設省に、その後去年からことしにかけまして、去年一年間におきましてどういうふうにこのことが進捗しているか、その事情をひとつお話をいただきたいと思います。
  8. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 御指摘の皇居外苑の、内堀道路とわれわれ通称しておりますが、整備計画につきましては、昨年も御説明いたしましたように、昭和四十年の三月に一応調査が完了いたしておりまして、この計画案につきまして種々の技術上の問題がたくさん残っておりますことと、また、環境問題が同時に大きな問題として残っております関係から、いろいろと、この計画につきまして検討を加えておったわけでございますが、昨年昭和四十六年の十二月に、建設大臣の私的な諮問機関といたしまして、皇居周辺環境整備懇談会というものを設置いたしまして、学識経験者が、たいへん膨大になりまして二十四名、それからそのほかに関係行政機関の方々が参加いたしまして、ただいままでに三回、会合を持っておりまして、いろいろ種々検討しております。  この問題で、建設省の当初の原案につきまして三回議論が続けられたわけでございますが、一番大きな問題になっておりますのは、簡単に申し上げますと、桔梗門、つまりパレスホテルのある前あたりから地下に入るわけです。それで祝田橋のところで、まっすぐ直進する車はよろしいわけでございますけれども、右折いたしまして警視庁方面に行く車がちょうど交差しまして、非常に流れが悪くなるものですから、地下に入れまして、地下から上るようにしたわけですけれども、そのために、日比谷公園を一部ループでもって上ってくるかっこうになりまして、問題がございます。これが非常に大きな問題でございまして、公園を少しでも削ることに対しまして異見が出ております。これのいま修正案を、現在委員会でもって検討いたしております。  それともう一つは、長い間地下に入りますので、大きな換気口と申しますか、をつくる必要がございまして、これが景観を害するのではないかということで、この問題に対する検討、この二点が大きな問題でもって検討中でございまして、ただいまの段階では三回、建設大臣の私的な諮問機関が開かれましたが、現在、そういう問題の再検討段階に入っている状況でございます。
  9. 白井勇

    白井勇君 それには環境庁はもちろん、関係者が入っていることだと思いまするが、その点と、それからいままでは、たしかそういう調査費に三百万か四百万ぐらい、ごくわずかなものしか調査費がなかったと思うのですけれども、これは四十七年度はどれくらいの予算であるのか。いまの、懇談会の大体成案を得る時期というのは、いつごろになる見込みですか。
  10. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 四十七年度におきます皇居周辺道路網計画のための調査費は、五百万円を予定しておりますが、もしこれ以上かかるようでしたら、他の調査費を流用してでも、この問題に重点的に行なうということにいたしております。  時期につきましては、現在の段階でいつ成案を得ていつ着工できるかということは、ちょっと申し上げる段階ではございませんけれども、われわれといたしましては、できるだけ早く結論を得まして、結論を得たあと、この委員会の中に東京都知事も入っておりますが、東京都からも相当意見が出ておりますが、それをそんたくいたしまして、いろいろ成案を得るつもりでございますが、最終的には、成案が出ましたら都市計画決定をいたしまして、それで、その後に着工するという段取りになると思いますが、やはり数年の日子が必要になろうということになると思います。
  11. 白井勇

    白井勇君 いまの懇談会協議を受けておるのは、いまお話内堀通りという名前ですか、その道路建設だけですか。そうでなしに、皇居中心とした全体の都市計画みたいなものを含めたものまで入るのですか。そこはどうなんですか。
  12. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) ただいま申し上げました皇居周辺環境整備懇談会建設大臣諮問機関は、先ほど二十四名と申しましたが、そのうち十二名、約半数皇居周辺を全体的にどうするかという検討をしているわけでありまして、残りの半数道路問題を中心検討するというかっこうになっております。  先ほど申し上げますように、地下に入れた場合に皇居前をどうするかというただいまの委員さんの意見は、東京都内に森林公園をつくれという意見が強くなってきております。そのために相当の金がかかるかと思いますが、そういうような方向に進んでいるわけでありまして、それ以外に、道路だけではなくて、地下に公共的ないろいろの施設をつくるべきだという意見が非常に強くなっております。まだこういう、成案を得ておりませんので、どういうふうになりますか、まだ成案を得ておらない状況でございます。
  13. 白井勇

    白井勇君 先にお聞きしたように、環境庁はもちろん入っておるのですか。
  14. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 関係行政機関からは、環境庁からも参加していただいております。
  15. 白井勇

    白井勇君 そうしますと、いまのお話のように、ただ内堀通り道路だけではなしに、要するに、皇居中心にしたあの地帯環境整備全体が問題になったわけですね、協議事項としては。いまお話の、目安がおわかりにならないというけれども、大体、事務当局なりにすれば、調査に入りますれば、調査期間何年とかどうとかという、先の目安というものがありましてね、いつごろまでに大体成案を得ようというような、おおよその計画事務当局として立てておるのじゃないですか。
  16. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 道路だけで考えてみますと、私はわりに早い機会に結論が得られると思いますが、ただいま申し上げました非常に広範囲の検討がなされております。そうなりますと、実は建設省所管ではなくて、総理府所管の仕事だということになるわけですが、なかなか、建設大臣の私的な諮問機関として意見を聞いておる段階でございますので、実際もしそれを実現することになりますと、相当日子が必要になると思います。まあ私どもはそう考えております。
  17. 白井勇

    白井勇君 それでは建設省、これでけっこうです。  環境庁にお尋ねしますけれども、これはおたく管轄というものは、歩道は都であって、あの草の生えております土手から堀を通って向うの石垣まで、あとはまあ皇居の前庭ですか、ということであるようでありますが、これにつきましては、いまの管理体制ですね、これは私、予算をちょっといただきまして見ますと、去年とそうたいした変わりがないように私は思うのですがね。去年は厚生省所管であり、途中から環境庁になって、まあ手が回っていないのか知りませんけれども、私、去年厚生省お願いした点から見ますと、何ら前進はしてないというふうに思うのですが、どうなんでしょうね。
  18. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 昨年度四十六年度予算の総体が、皇居外苑関係につきましては四千七百六十六万円であるのに対しまして、昭和四十七年度では五千五百五十五万円ということでございまして、約八百万円ばかりの増ということになります。お話しのように、この伸びというものは一般的な予算伸びという程度にとどまっております。内容といたしましても、従前の管理費施設整備費ということでございまして、特段に、特に新しい面での大きな増というものはございませんが、新規のものといたしましては、舗装につきまして千五百六十二万円新たに計上いたしております。それから、さらに石垣補修関係といたしまして二百五十一万円の増というものを新規に計上いたしておるわけでございます。  環境庁全体といたしまして、実はたいへんわれわれとしては、まだ国民公園関係予算の増というところにつきまして十分な増をはかっておらないような状況でございまして、今後この点につきましては、一そう今後の問題といたしまして増強をはかっていきたい、かように考えているわけでございます。
  19. 白井勇

    白井勇君 石垣を手直しをしましたり、舗道を多少固めたりするというわずかの新しい設備費ですね。  そのほかに、私いつも思うのですけれども、あまりにもいまのおたく管轄内の地帯というものは、これはもちろん舗道も含めて私は思うのですけれども、かりに、そのうちの土手から下のことだけ考えてみましても、あそこの土手にはいろいろな灌木がずっと植えられているわけですね。あの土手の草の姿というものも、私はしろうとなりに、ノシバにでも張りかえたらどうかと思うのですが、それはしかし専門家に言わせますと、雑草のほうがやはり土手としてはいいんだという話もありますから、私わかりませんけれども年がら年じゅう、見ますとまるで放置された姿なんですね。草はぼうぼうとしており、それから植えられた灌木というものは、手入れなんか、されたことがない。おととしまでは年に一回、手入れ草刈りをやっておったのですね。去年初めて予算をふやしまして、二回の草刈りをやった。ことしもおそらくその程度だと思うのですけれども。  だから、あそこに参ります人は、だれが見たって手入れをしておるものだなんということは、これはたまたま草刈りなり手入れをしたその直後なら別としまして、計算してみても、とにかく三百六十五日ほとんど放置されたもの、こういう感じだと私は思っておりますがね。あれを、もうちょっとやはり常時手外れをしておるような、人の家に行きますれば、大きい家になりますれば庭師が一人入っていってしょっちゅうやっているとか、そういうような姿に私はやる必要があると思うのですがね。そこらあたりは、環境庁さんごらんになって、どういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
  20. 大石武一

    国務大臣大石武一君) よく御趣旨はわかりますし、非常に御趣旨は私はありがたく思います。  実は、はなはだ申しわけありませんが、きょうここへ来て非常にうれしく思ったことは、自動車道の問題が出たことがうれしかったんです。私、あそこはやはり国民の一人としてよく通りますけれども、あそこで痛感していることが二つあります。  一つは、あのまん中を通る自動車の往来が激し過ぎまして、そのガスのせいでしょうか、みんな松が生気のない非常にみじめな姿であることですね。ですから、自動車を何とかして地下に移せないものかどうかということを前から考えておったわけなんです。それからもう一つは、あそこに来る人のマナーの問題です。まあ一般の旗を持った人、おのぼりさんと言うと失礼ですけれども、そういう人はきちんと守っていますけれども、あの近所のサラリーマンだと思うのですが、上着を脱いだり、芝生の上に寝ころんだり、キャッチボールをしたりなんかして——。それから昼間、午前なんか通りますと、日曜日の朝なんか紙くずが一ぱい落ちているんですな。この二つが私一番問題だと思うのです。  自動車が何とかならないものかと考え高橋局長からいま非常に検討しておると。実際私、そのような建設大臣諮問機関があることを知らなかったのですが、非常にけっこうなことだ、これは諮問機関でもけっこうですから、われわれもぜひたくさん中に入れてもらって、そして西村大臣に話をして、うんといろいろな具体的な話をするようにしたいと考えておるわけですが、いまの話を聞きますと、自動車道だけならばそうむずかしくないということなんですから、これはぜひ最初に、大きな計画より何よりもまず、東京都全体の交通の計画がもちろん建設省としてあるでしょうが、それとあわせまして、まずあそこのところ、自動車地下でも通るようなことをぜひ早く考えてもらいたいと思うのです。その上のことは上で、狭いきまった範囲ですからどのようにも考えられると私は思うのです。まず道路を一番先につくってもらう、そういう意見を出してもらうということでないと、あの広場の植物は生きないのです。そう思います。  それからもう一つ、これは今後われわれの所管ですが、やはりもう少しマナーを直させるように、もう少し人をふやしたり監督をきびしくしたいと思います。サラリーマンたくさん、集まってくる人数が多くて、こちらの監視員が三人五人行ってああせいこうせい言ったって、なかなか実際には言うことを聞かないと思います。だけれども、これはきびしく、何回も繰り返し繰り返しマナーを直すように努力していけば効果があると思うのです。  それから紙くずの問題。あれは夜散らかされるらしいのですが、これは夜、監視員を回らせるというのも少し不粋な話になるかもしれません。どうしたらいいかわかりませんが、こういう問題、もう少し照明を明かるくするとか、いろいろな問題があると思います。そういうことで、いろいろなことを考えていかなければならぬと考えております。  草の問題ですね。私はこっちの堀ばたは、いろいろこれは考え方なんですけれども、私個人としては、草というのはなるべく刈らないほうがほんとうは好きなんです。ただ、中の広場の場合の整理をどうするか。これは掃除がきちんと行き届かなければならぬと思います。それから芝を植えてありますから、あの芝生を守るためにはいろいろな雑草を抜かなければならぬ、そういう手入れが要ると思いますが、雑草のはえているところはそのままにしておいたほうが、刈らないほうが私はいいような気がするわけです。  それはみんなの意見を聞いてやりたいと思いますが、そういうことで、もう少し基本的なものから考えまして取り入れていく。いままで、実際おっしゃるとおり何もしておりません。はなはだ申しわけない次第でありますが、これからひとつ心を入れかえまして、きちんとした基本的なものから考えを取り入れまして、いま申しました二つの基本的なものを中心にあれを整備してまいりたいと考えております。
  21. 白井勇

    白井勇君 たいへん大臣から御理解のあるおことばで、ありがとうございました。  環境庁にもう一言伺っておきたいのですが、皇居外苑保存協会でございますね、あれとおたくとの関係は、たとえば保存協会のほうにはどういうことをやらせていらっしゃるか。一つ関係がやっぱりあるのですか。
  22. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ございます。いろいろなことがございますが、詳しいことは局長からお答えさせていただきます。
  23. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 皇居外苑保存協会といたしましては、これまで苑内の管理清掃につきまして、皇居外苑管理事務所に対して協力をしていただくということで、特に清掃等につきまして御協力を仰いでおります。  皇居外苑保存協会収支状況でございますが、皇居外苑では、収入といたしましては大体会費収入と、それからそのほかにあそこの売店売り上げ経費がございますが、それが、売店売り上げ経費のほうが主たるものでございますけれども、その中から支出をいたしてもらっておりまして、特に全体の収入が一億九千万、これは会費売店売り上げを合わせまして約一億九千万円でございますが、その中で外苑維持管理のために九百四十万という、約一千万円近い協力事業費というものを組んでおるわけでございます。その中で、苑内清掃でありますとかあるいは樹木管理でありますとか、苑内の整備、それから白鳥等の飼育、公衆便所の水道の使用料の問題でありますとか、あるいは噴水管理水質調査建物補修その他というようなことで約一千万円の予算を計上いたしまして、私ども国民公園たる皇居外苑保存のための協力をしていただく、こういうふうな計画になっております。
  24. 白井勇

    白井勇君 いま長官からお話しありましたが、土手の、あなたのほうの管轄の植え込みのあたり、草むらの中に紙くずやらいろんなものが日常散らかってますね、あれを掃除をする態勢というものは、何人ぐらいの人がかかりきっておるのか。私は、たまに掃除するぐらいのもので、全然日常それを掃除をしておるという姿のものじゃないというふうに思っておるのですが、そこらあたり、常置の者はどのくらいの能力で、どういうふうな点でこれをやっておるわけですか。
  25. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 常勤職員が、皇居外苑管理事務所としまして三十五人でございます。それから常時そのほか雇いあげをいたしまして、そのほかに清掃人夫を雇い入れまして、清掃いたしておるわけでございます。予算上、年間約三千九百人の予算を計上いたしております。
  26. 白井勇

    白井勇君 それは、まあ人の家なら朝晩きたなくなればとにかく掃除しておるというような、そういう態勢にできないものですか。
  27. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ちょっと御質問の御趣旨が……。
  28. 白井勇

    白井勇君 人の家であれば、朝晩とにかくきたなくなれば庭掃除をするとか何とかしていますね。そういうようなかっこうにできないものであろうかということなんですよ。
  29. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 常時臨時職員が一日平均五名、こういったような清掃のことにあたっておるところでございます。
  30. 白井勇

    白井勇君 長官、私は道路を直したりなんかすることは、これからまだなかなか容易じゃない問題で、手間ひまがかかるわけですけれども、これはとにかくとりあえず清潔にしておけということだけは、まあ長官先ほど紙くずお話が出ておりましたけれども、できるんだと私は思うんですね。ただ、要するにそういう態勢になっていないのだろうと私は思うんです。草は刈らなくてもいいというお考え、それはけっこうだと思うんですよ。ただ植木までも徒長枝をどんどん伸ばしておいていいものか悪いものか、これも私あると思うのですけれども、とにかく、毎日毎日見ておってなるほどこれはきれいにしてあるというような姿にならないものであろうか。  あれは、歩道は都庁であります、こういうことになっておって、おたくは何か草むらから土手だ、こういうようななわ張りがあるわけですけれども、もしやっぱり歩道のほうも必要ありとしますれば、東京都と相談をされて協力してやるとか、こういう態勢は、これは長官、すぐやれるのじゃないかと私思うものですから、そういう態勢だけはぜひとりあえずとっていただきたいというふうに私は思うのですが、どういうものでしょう。
  31. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私はそのとおりしたいと思います、おっしゃるとおり。それは、いま五名の臨時の者が掃除をしていても足りませんです。やはり当分は、少なくともマナーを直すためにも、ある程度権限を持って、そこに入ってはいけませんとか、入ったら引っぱりますよといった権限を持った者、そういった監視員のような、何と申しますか整備員を置きまして、マナーを守りながら、やはり人夫を——人夫といっては失礼ですが、清掃員を指揮しながら、ずうっといつでもきれいにしておくような態勢はぜひつくりたいと思います。これはもう少し検討してみます。  実は私先日、奈良へ講演に参りましたとき、唐招提寺へ行ったのですが、あそこは相当の人が来ているんですけれども、ほんとうにきれいで、ずうっと見ましたけれども紙くず一つ落ちていないんです。で、あすこの何か坊さんに、これ、どうしてできているのですか、しょっちゅう掃除が行き届いていますなあとほめましたら、ちゃんと掃除さえしておけば人はだれも散らかしません、だれも落としませんと、こう言ってくれたものですから、そういうことが大事なことだと思います。おっしゃるとおり、もう少しよく局長たちと相談しまして、積極的な態勢をとってまいりたいと思います。
  32. 白井勇

    白井勇君 長官からお話がありましたから、ぼくはそのとおりだと思うのですが、ぜひひとつお願いしたいと思います。それから先ほどお話がありましたけれども懇談会の問題ですね。これは建設省だけではたしてそれがいいものか悪いものか。先ほどちらっと局長からお話ありましたが、これはやっぱり場合によっては、環境庁中心になってそういうようなものを主宰していかなければならぬ筋合いのものじゃないかというふうにも思いますしね。せっかく懇談会ができているのですから、それを、なわ張りなんか考えないで、どこにあれば一番妥当であるかということをお考えいただいて、強力にそういう懇談会でこの基本的な問題を具体化するように、ぜひひとつ御協力を願いたいと思います。
  33. 大石武一

    国務大臣大石武一君) それは、建設省という役所はわりあいになわ張りをあまり主張しない、いい役所です、実際。ですから西村大臣高橋局長とよく相談しまして、そういう会合にわれわれ、私でもいい、局長でもいい、次官でもいい、そういう者も出て、あるいは自然愛好の非常に関心のある者を入れまして、いろいろ話し合いができるようにしたいと思いますから、そう努力いたします。
  34. 白井勇

    白井勇君 私続けて、はなはだ恐縮なんですけれども環境庁長官の感触をちょっと伺っておきたいことがあるのですが、いま東京都で非常に困っているごみ処理の問題ですね。これにつきまして二月の十五日に、こらんになったと思うのですけれども東京の大新聞全部にこういう広告を出しましてね、そして見出しが、「地域のゴミは地域で始末」をせいと、こういう表題なんですね。これはどこで出しているかと思いましたら、東京都の清掃局なんです。地域で出したごみはその地域で始末をするという、負担の公平を原則にこの課題と取り組むことにいたしました、そして五十年までには全部そのごみは都内で焼却します、したがって、いままで焼却場のない千代田区でありますとか中央区であるとか神田ですとか、各区に全部焼却場をつくっていくのだと、こう言うのですね。  ちょっと妙な感覚のものだなというふうに私思っておりましたが、それと同時に、今度同じ東京におきましては、首都整備局のほうから図面まで出しまして、この地帯は第一住宅地であるとか第二住宅地であるとか、あるいは商業地帯であるとか、あるいは準工業地帯である、工業地帯であるとか工業専用地帯であるとか、全部区分をいたしました、こういう都市づくりをやるんですという発表がありましてね。これはほんとうなんだろうと、こう思っておりますけれども、どうも、各区で出たごみは全部各区で焼却揚をつくってやれなんということは、これは公害上どういうものかなというふうに私思いましてね。  これはたまたま四月の十二日に公聴会がございまして、東京都の公害研究所長の戒能さんという所長さんが見えたのですよ。前々から私厚生省に、いまのごみの焼却施設によって公害なしにやれるかということを幾ら聞きましても、これは全然公害がないということはできませんよ、いまの施設では。これは、はっきりそういう話を私常時聞いておったのですが、この戒能さんのお話によりましても、やっぱりとてもそれはいまの施設じゃ公害なしということはできない、と。それからこの話をしましたら、これはまあとんでもない、清掃局だけの差し迫った何かのねらいがあるのですよと、やっぱり都市づくりというものはこういう姿のものでありますということで、むしろ首都整備局から出ておりまするこういう都市づくりをやっていくのだ、こういうお話があったのですが、こういう各区にごみ焼却場をつくるなんという、まあこれは東京都の問題でありますけれども長官とされまして、何か感触はどういうものですかね。
  35. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは東京都の所管で、私は東京都の知事でもありませんのでとやかく言う筋はありませんけれども、私もよくわかりませんけれども、私の一番このごみ処理で考えておりますことは、いまの、各区のことは各区でやれというのは、一つの私は基本的な考えだと思うのです。それは、たとえば千代田区に焼却場をつくって全部やるとかいうことではなくて、各地に、自分自身において処理する、つまり、私は各単位家庭ごとにごみ処理の、ものを考えてほしいという基本的な考え方だと思うのです。私はこれが一番大事だと思うのです。  ですから、できるだけごみを出さないように、出さなくていいごみは私は何ぼでもあると思うんです。そういう、できるだけごみを出さないようにお互いがみんなで考える、努力するという基本的な姿勢が一番。それがなかったら、何ぼこみを出してもそれは都でやれ、どこでやれ、国でやれと言ったって、とうてい私は処理できないと思うんです。ですから、やはり基本的なことは、各家庭家庭でできるだけむだなごみは出さないようにするという方針を立てて、徹底させることが一番大事じゃないかと思うのです。  その次には、その出したごみをどのようにして分類するかということが大事だと私は思うんですね。みそもくそも一緒にして処理しろと言ったって、処理できません。公害が出ます。ですから分類ですね。私は、たとえばいまで言えば、三種類なら三種類のポリバケツを用意さして、そして燃えるものはここに入れなさいとか、びんくずとかカンくずはここに入れなさいとか、ビニール類はここに入れなさいとか、何か分類するしかたを家庭に義務づけたら私はいいと思うんですね。そういうことを基本的にやっていかなければ、とうてい、幾ら国とか県、都でやったってどうにもならないと思いますから、そのような分類のしかた、あるいはごみを出さないというその体制のつくり方、そういうことが一番大事じゃないかと考えまして、いまの広告は、そのような基本的な考え方を私言っているのじゃないかと解釈するわけですが、それ以上のことはなかなか、あまり申し土けることは……。
  36. 白井勇

    白井勇君 どうもありがとうございました。以上をもって終わります。
  37. 木島則夫

    ○副主査木島則夫君) 以上をもちまして白井君の質疑を終わります。   〔副主査退席主査着席
  38. 木島則夫

    木島則夫君 このゴールデンウイークを控えまして、みんな自然を求めて野や山に、おそらくたいへんな数の人が私は繰り出すだろうと思いますね。しかし、いまの国立公園一つとってみましても、その受け入れ体制、管理運営というものが十分であるかどうかというと、決してそうじゃない。だから、せっかく国立公園に自然を求めてきて、かえって不愉快になるというようなことも非常に多いと思います。そういう意味でひとつ、事は小さいかもしれませんけれども、私は非常にこまかい問題についてお伺いをいたしますので、一問一答の形でお願いをしたいと思います。  多少数字的なことを最初に申し上げておくと、国立公園の数がいま二十三カ所でございますね。それから、その管理員というのが、四十六年度には五十三人であったものが、四十七年度予算で六十二人、わずか九人の増員です。それから、事務所が六カ所であったものが、四十七年度には八カ所になるということですけれども、どうでしょうか、国立公園の面積というのは、いまどのくらいあるのでございますか。
  39. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 約二百万ヘクタールでございます。
  40. 木島則夫

    木島則夫君 そうしますと、一つ管理事務所、あるいは一人の管理員の受け持つ平均面積、これは私が計算すればいいのですけれど、一応伺います。
  41. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 一カ所当たり約十万六千八十七ヘクタール。これは管理事務所一カ所当たりでございます。それから管理員一人当たりといたしまして、三万二千七百四十二ヘクタールという計算になっております。
  42. 木島則夫

    木島則夫君 最近、やたらにPPMということばがありますけれど、いまの数字を伺うと、PPM的存在だと思いますけれど、どういうふうにとらえられておりますか。
  43. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 平均的な数字といたしましては確かに非常に小さな数字でございますが、これは、国立公園という非常に広大な地域でございますので、もちろん私どもこれで十分と考えておりません。相当増員を必要とすると考えておりますが、いまのやり方としましては、特に重点的なところというものをきめまして、したがいまして、いま申し上げた数字全部にまんべんなくやるということになりますと、とてもそれは監視できませんので、重点的なところを特にきめまして、そういうところの監視に力を入れている、こういう実情になっておる次第でございます。
  44. 木島則夫

    木島則夫君 具体的にひとつ例を示していただきたいのですけれども一つ管理事務所が最大、幾つぐらいの地域をかけ持っておりますか。これ具体的におっしゃっていただきたい。
  45. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 現在、公園といたしましては、一公園管理事務所という体制をとっておるわけでございまして、したがいまして、かけ持ちという形にはなっておりません。
  46. 木島則夫

    木島則夫君 そうすると、一つ公園一つ管理事務所ということですね。
  47. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) はい。
  48. 木島則夫

    木島則夫君 その中で、管理員の適正人数というのはどのくらい環境庁としてあればいいのだろうか。つまり、予算の査定の段階でおそらく削られてしまって、環境庁の希望する人数というものがたいへん私は減ってるのじゃないかと思います。そういう意味で、これだけの人数はほしいんだという、環境庁の立場で遠慮のないところをひとつ聞かしていただきたい。
  49. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 私ども、いろいろな数字をかつて試算をいたしておりますが、これにつきまして、実は人の確保の問題とか、そういうようなこともいろいろ考えてまいりますと、現実的に直ちに、大な数字を要求をいたしましても、その充足ということは困難であるといったような面もございまして、一応いまのところ、まあ百四、五十名程度というようなところまでは、少なくとも増員ができれば非常にありがたいというような考え方を持っておるわけでございます。
  50. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは、いま局長からお答えしましたように、何人が一番適正であるかどうかということは、なかなかいままで計算ができなかったと思います。ただ、いまの状態では、やっぱり多ければ多いほどいいという、まことに普通の言い方で、それ以外にないと思います。  ただ問題は、私思うのは、レンジャーと申しますか、管理員ですな、あるいはそういう同等の資格を持った者、私はレンジャーについても、いろいろこういう資格を持たせたいということはあとお話申し上げたいと思いますが、そういうものだけじゃなくて、たとえば西部劇に出てくる保安官ですな、保安官一人に助手が三人いればいいとか、そういう形でもけっこうですから、やっぱりできるだけ多いほうがいいのじゃないか。そしてまた、できるならば、いま二十三ありますから、こういうところにはみんな事務所があって、そうしてそこの中に何人かのレンジャーのような形をとりたいと思います。
  51. 木島則夫

    木島則夫君 いま自然保護局長が、たいへん遠慮をされた数でも百四、五十人は必要だとおっしゃった。そうすると、いま六十二人ですね、これ、二倍以上。この管理員というのは実際どういう仕事をするのでございますか。仕事の内容を聞かしてください。
  52. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 自然公園法上のいろいろの事務がございますが、その中には、特に国立公園の中における特別地域でございますとか、あるいは特別保護地区でありますとか、そういったようなところに各種の許認可事務というのがございます。そういったようなものにつきまして、現在の国立公園管理事務所自身はそれについての権限の委任等は受けておりませんが、これは国立公園につきましては、ほとんど環境庁本庁でもって最終的な決定をいたしておりますが、それについての各種の進達の事務でありますとか、あるいは第一次的にそこの現地における判断の各種の調査をやっております。そういったようなことが大きな仕事の一つでございます。  それからさらに国有財産の管理、いろいろ集団施設地区等におきまして国有財産がございますが、それの管理でありますとか、あるいはさらに利用者の指導というようなこと、あるいは監視というようなことが国立公園管理員の仕事になっているわけでございます。
  53. 木島則夫

    木島則夫君 非常にいろんな任務があるわけですね、いまお話を伺いますと。私、この人数では受け身で、やっとこせっとこ受け答えているというのが精一ぱいじゃないか。そうすると、いま監視であるとか指導も大事だというふうにおっしゃった。つまり指導というのは、積極的に働きかけるということですね。そういうことをやられておりますか、実際。
  54. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 管理員も努力をいたしましてそういうような点をやっておりますが、とうてい一人あるいは数人だけでは足りないというような地区の実情になりますので、したがいまして、たとえば国立公園指導員でありますとか、あるいはさらに各都道府県におけるそういう自然保護関係の職員の協力とか、そういうことによりまして、国立公園内のそういう監視なりあるいは指導の事務というものを行なっているわけでございます。
  55. 木島則夫

    木島則夫君 あまりこまかいことを言っても時間がありませんので、そういう管理員というものは、広大な地域をやはり管理をしなければいけない。これは機動性が必要ですね。それに伴う設備、そういった面ではどういうふうになっていますか。たとえば自動車とかあるいは通信機材とか、それから服装そのほか、私常識的に考えればそういうものが浮かんでまいりますけれども、その機動性の面ではどうでしょうか。
  56. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 約半数の個所、これは管理事務所だけではございませんが、単独の駐在の管理員がございますが、約半数のものにつきましてはこれは自動車を置いております。それから約半数につきましては二輪車を置いているというような状況でございます。それから通信関係でございますが、無線等の設備を、機器を持っております。それから服装等でございますけれども、これも一応国立公園管理員としての制服を貸与をいたしているわけでございます。
  57. 木島則夫

    木島則夫君 先ほど環境庁長官から、保安官というようなおことばがございました。よく私も外国映画を見ますと、カナダとかアメリカでは森林警備隊とか、つまり司法警察権と申しますか、相当大きな権限を持って事に当たっているわけですね。外国の例などと引き比べて、日本もやはりそういう権限を持つべきじゃないのだろうか、こういう点についてはいかがですか。
  58. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 私ども今後の問題としまして、やはり十分な権限を持った上での監視、指導ということが望ましいというふうに考えておるわけでございまして、関係当局と、そういったような面につきましていろいろ御相談申し上げておるわけでございますが、一方におきまして、権限を持つということになりますと、いろいろその職員の訓練でございますとか、そういう問題も生じてまいりますし、また日常一般の人と接する際に、特に公園につきましては指導のことが重点であるというようなことでございまして、あまり警察的な色彩というものがあるということにつきましては、一部からそれは考えものではないかといったような御意見もあるわけでございますが、総体といたしまして、私どもは将来、今後の問題といたしましてこういう権限の強化ということも考え、そうして、その関係で警察関係あるいは法務省関係ともお話し合いをいたしておるところでございます。
  59. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いま、われわれが提案したいと考えております自然環境保全法案ですね、この中には、いまお話のような司法権と申しますか、そういった権限を持たした管理官にしたい、管理官ですか、レンジャーにいたしたいということで盛り込んでおりますけれども、多少やはりほかの省から、そういうものを盛らせるな、こっちでやるというような意見もありまして、まだ必ずしも確定しておらないようでございますが、私としては、やはり現場をつかまえたらそれを告発したり、罰金を取ったり、あるいは警察署に出したりするような権限を持たないと、私は完全な管理はできないと思うんです。これはぜひつくりたいと考えております。
  60. 木島則夫

    木島則夫君 いま、ほかの省から、そういうことは私のところでやるんだと。これこそ私はなわ張り行政だと思う。で、環境庁長官というのは、これは日本人の一億の命を守り、ひいては世界の人たちの命に関係するのですから、言ってみれば、潜在的な権限というのは私は総理大臣より上でいいと思う。違いますか。
  61. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 精神においてはまさにそのとおりです。
  62. 木島則夫

    木島則夫君 それだとしたならば、ほかの省からつべこべ言っても、やはりもうちょっと姿勢を強くしていただいて、これでなければできないんだというふうにおっしゃっていただけないかしら、その辺は。国民はいま、そういうことに対して大きな期待を持っているんですよ。環境庁、なかなかいいことやるじゃないかというんだけれども、あっちからもこっちからも足を引っぱったり、いじめたり、お立場はたいへんだと思いますよ。だけれども、こういう分科会ですから私も遠慮なく聞かせていただきたいのですけれども、あなた方何を言うかといって、大所高所からひとつそういうものを推進をしていただくような気持ちをここで披瀝していただきたい。
  63. 大石武一

    国務大臣大石武一君) それは、いま木島さんのおっしゃるとおりにしたいと思っております。そういうことでなければ、ほんとうの環境行政はできないと思うのです。  ただ、いまの機構は、御承知と思いますが、政党関係と、それから政府関係でいろいろなむずかしい関係があります。政党の中でも政務調査会というものがございまして、政務調査会のいろいろな部会なり段階を経ていって承認をもらっていかなければ、国会に法律案を提案できないということになっております。それから役所関係でも、ある一つの、ほかの省庁と関係あるような法律案を出します場合には、ほかの省庁、農林省とか警察庁とか、どこかと話し合いをして折り合いがつかなければ、これは法制局でそれを見ない、そこまではまた検討しない。そこで検討しなければ提案できないというのが、いまの行政上の実態なんです。  私、残念だと思いますけれども、そういうことで、現実に私どもは非常にいろいろなものについて難航しています、これは。ですが、こういうものは何とかして排除して、できるだけ目的を達したいと思って、いま一生懸命努力しておりますが、いろいろそういうむずかしい問題がありますので、なかなか、皆さんに御激励をいただいてありがたいのですが、御期待に沿いかねる点も多少ある。しかし、近い将来には、だんだんこういうようなものがなくなっていく国の行政でなければならぬと思います。
  64. 木島則夫

    木島則夫君 政治の内部の環境もやはり変えていくという、これは与野党超党派で一生懸命やっていかなければいけないと思います。そっちのお話の中に入ってもいいですけれども主題がぼけますので、具体的なことについてお伺いをいたしますけれど、どうなんでしょうか、管理員の平均年齢、平均待遇というようなものをちょっと聞かせてください。
  65. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 正確な平均年齢ちょっと手元に持っておりませんが、大体年齢といたしましては二十四歳から四十歳まででございまして、特に若いほうにウエートが置かれておりますので、おそらく三十歳前後というような形になろうかと思います。  それから平均待遇でありますが、これは五等級の下から六等級のところが主力になっております。
  66. 木島則夫

    木島則夫君 もうちょっと具体的に、大体それを金額に直すとどのくらいになりますか。あんまり詳しくなくてけっこうです。大体三十歳くらいの人が中心になるということですね。——いまおわかりにならなければけっこうです。  とにかく私は、これからもいろいろこまかい点についてお伺いをしたいのですけれども、とてもじゃないけれども、これでは国立公園管理運営というものにはこと欠いてしまうということですね。そして、一方では公害がどんどん発生してくる。なかなかその防止をしようと思ってもとどまらない。そうすると、その公害からのがれて自然を求める人たちは、私は年々歳々これは急角度でふえていくと思いますね。そういう世の中の、つまり変化に応じたこれから先の見通しというようなものも、これは長官に私伺っておきたいのですけれども、自然に接しなければいけない、空気がよくなければいけない、行くは行くけれども、そこの管理運営が、つまり受け入れ態勢が十分でないということは、結局行政の中に矛盾もあり片手落ちの面もあるという意味で、これから先の見通しというものをちょっと伺いたい。
  67. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまお話しのとおり、これからは、少なくともいわゆる大きな都会にいる人に対しては、自然の中にしょっちゅう行きまして、十分にからだや心を休養させる必要が絶対あると思うのです。  たとえば東京とか千葉とか神奈川、こういうところの人々、おそらく将来二千万人以上にもなるでしょう。それで勤労者の家族を入れましたら一千万人以上いると思うのです。こういう人々は、まず大体都会の中に生活しているわけです。ですからわれわれは、そういう大都会の環境の中に一生生活をしておっても、健康をそこねないで働けるというところまではどうしても確保しなければなりません。しかし、ほんとうにすばらしいという環境までは回復し得ないと思うのです、残念ですけれども。  そうすると、そういう人々に対して、やはりしょっちゅう自然の中に入って休ませる必要があります。ただ、そういう人は時間がありません。金もそうありません。ですから、週二日休みになるでしょうが、週末の二日ぐらい、家族連れでどこか静かな自然の中に入って、民宿したり、あるいは自然の中で十分楽しむという、そのような環境をつくらなければならぬと思うのです。こういう地域も私は非常に必要だと思うのです。こういう地域は大体国立公園なんかに入りません。入りませんが、しかしそういう地域を、交通が便利でわりあいに近くて、自然が豊かで、そしていろいろ健全な施設があるということが望ましいわけですから、そういう地域も非常に必要で、これは全国的に確保しなければならぬと思うのですね。そのような地域をどのようにして破壊から、要するに経済の破壊から守るかという問題がございます。  さらにその上の段階になれば、自然をほんとうに愛する人が、努力して自然の中に入っていって自然を楽しむ、登山とか何とか、そういうことですね、そういうところの地域も確保しなければなりませんし、いろいろ三段階考えたわけですがね。そういう地域を守るとなりますと、いまの国立公園法とか、いまの自然環境保全法だけではとても足りません。しかし、いずれはそのような考え方日本の国土を守っていかなければならぬと思っているわけなんです。  ただその場合に、いまおっしゃるように管理官が足りないじゃないか、管理体制が悪いじゃないかというのは、自然のままにほっておけば決して何も迷惑をかけることがないのです、ただ道路をつくることが足りないとか、いろいろな健全な施設、宿泊施設が足りないとか、そういうことはありますけれども。問題は、やはり行く人のマナーに問題があると思うのです、結局、すべては。これを変えるように努力しなければなりません。それはいろいろな方法がありましょうけれども、そういうことで、いま言ったような状態、残念ながらいまの国民の多数の人々のマナーの状態では、やはりおっしゃるような、これは全部、規制したり注意したり、とめたりする、あるいは告発したりするような、そのような態勢がなければならないのですから、そういう意味では、相当多数のいわゆる管理員とか、あるいはそういった権限を持ったそのような人が、全国にいっぱい要ると思うのです。それから清掃しなければなりません。みんな紙くずや、ごみくず、びんくずを散らかしますから、こういうものを清掃させるためにも、私はそういう清掃人がおそらく全国で五千人や一万人は要ると思うのです、実際の話。権限のいろいろ差はありますけれどもね。そういうものを考えているわけなんですが、なかなかそこまで、どうしたらいいか、ちょっといますぐ手が出しかねますけれども、そのような態勢に持っていかなければならないと思うのです。
  68. 木島則夫

    木島則夫君 つまり、一方ではマナーを向上することと同時に、次善の策ですけれども、それに対応して、やっぱり指導とか権限とか管理というものも並行してやっていかなければ決してよくならない。これは交通事故一つとったってそうですね。そうだろうと思います。  そこで、お話をさらに進めましてお伺いをしたいのですけれども、国立公園だけでもけっこうですが、あるいは国定公園も入れた利用者数というのは、いまどのくらいありますか。
  69. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 国立公園の利用者が、年間で、統計によりますと延べの人数にいたしまして二億八千万、約三億人近いというようなこと、それから、国定公園利用者でございますが、これが約二億二千万人、これは延べの人数でございますが、調査の結果そういうことになっております。
  70. 木島則夫

    木島則夫君 たいへんな数ですね。で、一人当たりの、そういう人たちが捨てるごみの量というのを計算されましたか。
  71. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) まだ実際にその計算をいたしたことはございませんけれども、やってみようと思えばいろいろな方法が考えられると思い
  72. 木島則夫

    木島則夫君 やっぱり実態をある程度つかまえるために、ひとつおやりになってみませんか。やる意思はございますか。
  73. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これはいろいろな方法で推計ということになると思いますけれども、そういう数字につきましては今後検討してみたいと思います。
  74. 木島則夫

    木島則夫君 不法投棄の量というのと、これはまた多少数字の上で違ってくるでしょうね。つまり、ごみの量全体の中で、捨ててはならないところに捨てるごみの量というのは、それよりも私は減少すると思いますけれども、そういう点ではいかがですか。
  75. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは各公園には、特に人の集まりますところには、いろいろなごみ箱を備えつけてありますし、そういったような施設をいたしておりますが、先ほどもお話が出ましたけれども公園利用者のモラルというような点におきまして、いろいろなところで紙をそのまま散らかしておくとか、そういったようなものが現実の問題としてかなりあるわけでございます。
  76. 木島則夫

    木島則夫君 環境庁長官も、山野を祓渉することはたいへんお好きだというふうに伺っております。モラルの問題だけでは私はないと思いますね。入れものがないから、しかたがないから捨てるのですよ。そういうふうな光景、ごらんになりませんか。
  77. 大石武一

    国務大臣大石武一君) そのとおりでございます。
  78. 木島則夫

    木島則夫君 そうしますと、単なるモラルの問題ではなくて、ある程度の設備を整えれば環境は浄化できるという立場に立たなければ、私は問題は解決をしていかないというふうに思うのです。そこで、その不法投棄されたごみの処理とか清掃というものは、いま現在どういうふうにされているか、その実情をひとつお聞かせをいただきたいのです。
  79. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) これは集団施設地区等、それから特に人の集まりますところには、先ほども申し上げましたが、いろいろのくずかごを設けるとか、そういうことをやっております。それから、それにつきまして収集をし、かつ簡易な焼却炉を設けまして焼却をするといったようなことにつきまして、これは全部の地区でございませんけれども、そういうことを各公園の重要な個所については行なっておるところでございます。
  80. 木島則夫

    木島則夫君 せっかく自然をたずねまして、たとえば山の上で記念撮影をしようというときに、ごみのない場所をさがすのにこのごろ苦労をします、はっきり申し上げて。そういう実態は、自然保護局長はときどき山へ行ってごらんになりますか。国立公園の現場へ行って、私たいへん逆説的な言い方をすると、いろいろ環境浄化とか国立公園をきれいにしようというようなポスターは、やたらにきれいごとが多いのですね。ですから、この際ごみの中にうずまった環境庁長官とか、そういうポスターをところどころに張り出したらいいですよ。たいへん逆説的なことを言って申しわけないが。局長、そういう現場に行って、いやだなあ——ただいやだなあということじゃなくて、つまりこれが私どもの行政責任の範囲なんだなあという実感はお持ちになりますか、どうですか。その辺、ちょっと聞きたいのですよ。
  81. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 自然公園管理について、私どもそういう仕事の責任を持っておるわけでございますから、そういう自然公園の地域の清掃問題というところにつきましては、やはり十分今後やっていきたいというふうに考えております。  なお、今日のごみ清掃でございますが、これは一応現在の公園が地域性公園ということになっておりまして、したがいまして、その収集の責任というのはそれぞれの、清掃法の上におきましては市町村ということになっておるわけでございます。私どもは、ただ市町村の一般的なそういう清掃だけでは足りませんので、特に予算的な手当てをいたしまして、重要なところにつきまして、先ほど申しましたようなことをやっておるわけでございますが、これは地域の市町村、それから地域のまた住民、そうして公園管理というものが一体となりまして協力をして、これについての清掃を十分にいたしていくということが必要かと考えておるわけでございます。
  82. 木島則夫

    木島則夫君 あれですね、国立公園内の廃棄物処理の行政責任をどこが持つべきかということは、現行法では市町村が担当をしておりますね。そうですね。そして、その国立公園清掃設備整備補助金として千九百五十万円ですか、至って少ないです。補助率三分の一で、都道府県に対してこれは渡されているということなんですけれども、どうでしょうか、国立公園内の廃棄物処理の行政責任をどこが持つべきか、管理主体である国が持つべきじゃないというふうにはお考えになりませんでしょうか。これは環境庁長官に伺います。
  83. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私はどちらでもいいと思うのです。どちらでもいい。ただ、やり方次第で、どちらでも私はやれると思うのです。  そのモラルの問題は別として、モラルの問題はありますけれども、そのモラルをさらに高めるようなやはりこちらの行政の処置が必要なんです、おっしゃるとおり。モラルだけの問題でありません。モラルはいずれ高まる。それは時間かかりますが、高めていくのに、やはりいろいろな、ごみを捨てさせないような、ごみを整理するような処置が私どもとしては必要ですから、それは私は環境庁でやってもいいですね。あるいは自治体でやってもいいと思いますが、いまの段階では、自治体が努力して自分の町の村の金を、一般会計の金を持ち出して清掃協力してくれていることは事実なんです。ですからこれを生かしながら、しかし、それだけにたよることはいけませんから、やはり両方のお互いの話し合いで、どちらでもいいのですが、とにかく清掃できるやり方、これは私はあると思うのです。それをやらなければならぬと考えております。
  84. 木島則夫

    木島則夫君 その補助率三分の一というのも、いかにも少ないと思いますね。二分の一ぐらいに、どうでしょうか、引き上げられませんかね。
  85. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 二分の一にしても全額にしても足りないと思うのです、実際は。おっしゃるように足りません。
  86. 木島則夫

    木島則夫君 これはとてもだめですね。
  87. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまのままでは足りません。問題になりません。それは、けたが違います。必要な費用のけたが違うと思うのです、私は。
  88. 木島則夫

    木島則夫君 どちらがやってもこれはいいというような先ほどのお話でしたけれども、何か私なんか考えますと、いろいろな、市町村のいわゆる自治体としての特殊性あるいは自主性とか、いろいろな問題がそこにからんでくると思いますけれども、さっきも言ったように、管理主体である国が持ったほうが思い切ってできるのじゃないだろうか。この点にしぼってもう一回伺いたいのです。いかがですか。
  89. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 実は、私は別な、いろいろなことをいま対策を考えておるのです。予算も、国が責任を持つ以上はいまの一千万とか二千万の金じゃなくて、何億という金を持たなければなりません、清掃に。それだけの予算が取れなければ、これは責任が持てないと思うのです。そういう意味では、残念ながらいまの渋い大蔵省のさいふでは、私らが努力しても、それは急に何億という清掃費だけの金を取り得るかどうか、自信がありません。そう考えますと、いろいろなことで、いま申しましたような自治体の協力と、あるいはこっちの政府の努力と、こういうのを合わせてその清掃の目的が達成されるような手段を考えなければならないと、いま、そう自分の頭の中でいろいろな構想を持っておるわけでございます。
  90. 木島則夫

    木島則夫君 これ以上環境庁長官をいじめたくはないのですけれども、ほんとうに国がやろうと思ったら何億、何十億なくてはできない、ところが、そういう金は出っこないのだと。だから現状を糊塗するためには、まあ市町村段階におまかせをしておいて、市町村は苦しいのですよという、それが一つの言いわけになって、と言っては語弊があるかもしれませんけれども、私何か現状を濁しているような気がしてならない。そこで、そういう状態だったら幾ら議論したって、いいものは出てこないと思いますね。その辺もう一回、しつこいようですけれども、これたいへん大事なつまり環境問題に取り組む根本的な姿勢につながると思うので、その辺、ただしておきたい。
  91. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私も、そうたくさんでありませんが、各国立公園を回ってみまして、いかに関係の町村が努力しておるか、金を出しておるかは、その実態を見てまいりました。また、いかによごれているかもよく実態を見てきたのです。これを直すには徹底的な清掃をしなければならない。そのためには予算が要ります。いまの一けたも違う予算が要ると思うのです。その予算はどこから出すかということが一番先の問題なんです。私はもちろん、できるならば国立公園ですから国で出させたいと思います。そのような努力もいたします。いたしますけれども、たとえば環境庁の行政にしてもいろいろな予算がありますから、これだけに取るといってもなかなか、百万円が千万円になるのは簡単です。ですけれども、千万円が何億円になるのはなかなかむずかしくなってまいります。こういうことで、実際の話をすれば、ある程度予算はふやせましょうけれども、一けただの二けた違うような、急には上げ得ないと思うのです。しかし、いつかはそうしなければならないと思います。  そうすると、その前に、やはり清掃しなければならぬ、その予算は獲得しなければならないのです。で、それにはどうしたらいいかというのでいろいろ考えておりまして、実はこのようなことをやったらどうかという、おそらくあなたもお気づきの、お考えのことじゃないかと思うのですけれども、たとえば、その国立公園を利用する者に一部協力してもらうとか、いろいろな方法があると思っていま考えておるのです、実は。そういうことで当分の間そのような、これはたして正しい方法かどうかわかりませんけれども、そういう方向でいまのところこの国立公園の清浄化をはかっていかなければならないと、私はいま考えておる段階でございます。
  92. 木島則夫

    木島則夫君 実は、私がこれからお伺いをしたかったことも、利用者が——これは決して私はいいことじゃないと思うのですよ、いいことじゃないと思います。都会の公害の中からそういう環境をのがれて、しかも物価高のいま、また自然環境の中に行って金を取られる、これはもうあまりいいことじゃないと思いますけれども、やはり次善の策としまして、利用者から入園料を取ることによって、公園をただで利用してやたらに乱すべきものではないのだという一つの確認のような意味を、気持ちを植えつける、あわせてもう一つ、その足りない予算をカバーをするということは、あれですか、長官として具体的にお考えになっていますか。
  93. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 考えております。
  94. 木島則夫

    木島則夫君 もう少し詳しく、それではどういうふうに具体的にお考えになっておりますか。
  95. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 少し、二、三分よろしゅうございますか。
  96. 木島則夫

    木島則夫君 けっこうでございます。
  97. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 実は、いま言ったように予算が足りない。私は、各市町村に何千万円かの清掃費をあげれば、いまの清掃をしている労働力を十倍にも二十倍にもふやせると思うのです。そうすると、その清掃する仕事というのは、ある程度環境庁のいわゆる管理は省けますから、別な仕事もできます。  そこで、私はできるならば、予算があったならば、関係各町村に何千万円でもあげまして、そうして清掃員を、いま十人いるならこれを五十人にふやしてもらうとか、あるいはきれいな便所をつくってもらうとか、あるいはごみ箱をできるだけ設置するとかして、そうして、そういう人が全部回って歩きまして、ある程度の権限を与えまして、紙をすててはいけません。拾ってください、だれかに会いますからね、拾ってくださいと、こう言うことができて、そのような指導と、それからきれいにしておけば、さっきの唐招提寺のように、きれいにしておけばだんだん捨てがねると思うのです、人間も。そのような態勢をつくりたいと思うのです。  その費用をどこから持ってくるかと申しますと、いま申し上げましたように一千万、二千万の人が歩いているわけです。そういう人に、国立公園を利用してもらう場合には、一部協力してほしい、みんなもきれいなほうが気持がいいでしょうと、たとえば東京あるいは日本の国立博物館の中に入るにも入場料を三十円、五十円、百円と払います。当然国民の財産であって、金を払うのはおかしな気がしますが、取っています。それと同じように、国立公園国民の財産ですから、これをりっぱに保つという意味で協力してもらいたい、百円とか百五十円いただきたい、そのかわりきれいなバッジを差し上げます、すばらしいバッジを差し上げます、うんといい、私もつけたいと思うようなバッジを差し上げます、そのバッジをつければ、ことし一年はどこの国立公園にいらしても御自由にお入りくださいと、これは税金でなくて寄付金ですな、という形にしたいと思うのです。そうすれば、おそらくは十億あるいは十五億の金は入ると思うのです。そういう金を各町村にあれしまして、いろんないまの清掃員なり監督する人、そういう人を何十倍にもふやせば、私は、だんだんにきれいになりますし、また、それが要するに入園者、入場者のマナーを高めるよすがにもなるのではなかろうかと考えまして、そのようなことを実はことしからやりたかった。それを考えておったのです。  ただ、ことしは、そういうことをいろいろと検討を命じておりましたが、環境庁ができまして仕事が山のようにありまして、いま自然環境保全法とかいろんなことが一ぱいあるものですから、そういうことでまだ事務的にそこまで手がつけかねる、残念ですけれども。しかし、ことしの後半でもいい、来年でもいい、それはぜひやりたいと、実は私は考えておることなんです、これは。
  98. 木島則夫

    木島則夫君 たとえば、もう少し具体的にお考えになっていらっしゃると思う、大体幾らぐらいが妥当ですか。
  99. 大石武一

    国務大臣大石武一君) それはわかりませんが、一応百円と考えておりますけれども、百円なら出しやすい金ですしね。ただ百円で、一応一千万人ですと、たった十億にしかならないと思うのですね。二千万人で二十億ですね。ですから、これもなかなか急ですから、たいへんだなと思うのですが、幾らがいいか、まだ具体的に……。
  100. 木島則夫

    木島則夫君 こまかくなりますが、長官、アイディアマンですね、たいへんなアイディアマンでいらっしゃる。バッジというのはいいじゃないですか。そのバッジをつけていれば大手を振って、つまり国立公園なり山野を祓渉できるのだという。何かはんとうは私は、国民が国立公園を利用するときにお金を払うというのは、私はあまり好きじゃない。しかし、やむを得ない現実の中では、やはりそういうものを一つ一つ考えていかなければだめですね、これは。どんなバッジをお考えになりましたか。
  101. 大石武一

    国務大臣大石武一君) どんなバッジといって、とにかく自然を象徴するバッジですが、私もつけたいわとか、私もぜひほしいわと言って、山へ行かない人もそれをつけたがるようなきれいなものにしたいと思うのです。そういうバッジをつくりたいと思うのです。
  102. 木島則夫

    木島則夫君 いろいろ、もう構想をお考えでしょう。ちょっと聞かしてください。
  103. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいま大臣お話になりました構想につきましては、事務当局大臣のほうから命令がございまして、私ども、ただいま検討をいたしておるところでございます。  これは、大臣お話にもございましたように、強制的ないわゆる入園料といったような形で徴収するというものではなくして、協力といったような形でやるということが適当なのではないかというふうに考えております。したがいまして、それをやります者も、公共団体ということではなくして、たとえばそういったような自然保護の関係の協会でありますとか、そういったようなところに委託といいますか、そこが実施の主体でやっていただくのがいいのではなかろうかというようなことでございます。  ただし、この問題につきましては、非常に国立公園が広大な地域にわたっておりまして、実際に技術的に、この入園料といいますか、そういったような協力をいただく場所でありますとか、どういうところでそれをすればいいかとか、それからバッジにいたしましてもかなり経費がかかりますので、そのバッジと、それから残った収益につきまして、清掃関係にどれだけ回せるかといったようなこと、そういったような予想等も立てなければなりませんし、また、現実にそういったようなことを実施をしてもらう人でありますとか、あるいはそういう金銭を扱いますいろいろな組織でありますとか、そういったようなことも整備をいたさなければならないと考えておりますので、それらの点につきましては、今後十分関係団体等と話し合いをいたそうということで、これはたいへんあれなんでございますけれども、実は最近、そういったような話し合いを関係の国立公園協会等といたすというような予定になっております。
  104. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 補足しますが、実は具体的に申しますと、バッジは二十円ぐらいでつくりたいと思うのです。つくれるかどうか、わかりませんけれども。そうすると、百円にすれば八十円残りますから、二千万にして十六億円。それはどこでやるか、みんなに寄付してもらいますけれども、どこでもいいと思うのです。私は、交通公社へ頼んでも何でも、前もって全部バッジを出しておきまして、交通公社の協力によって、行く人にみんな寄付してもらうとか、あるいは国立公園の中で清掃員が全部これを持って歩いて、つけていない人には、ひとつ恐縮ですが御協力お願いしますといって頼んだら、いやだという人は少ないと思うのですけれども、どこからでも方法はあると思うのです、やり方は。ただ、その主催者団体、中心団体を、やはりこれは環境庁では無理でしょうから、何か、いま自然保護協会とかいっていますが、私は、新しくそういうことをやる民間の法人でもつくったらとも考えておりますけれども、まだ役所のほうから具体的な構想もありませんので、私も手が回りかねておるわけですが、そんなことを考えておるわけです。
  105. 木島則夫

    木島則夫君 いろいろ具体的にお聞かせいただいて、次善の策であろうが、その次の策であろうが、やはり、いいものにしていくためには段階を追っていくということ、そうして大事なことは、それを実行していくということだと私は思います。  そして、これも私、この間山へ行きまして、みんなとそういう話をしたらば、いろいろな提案が出ているのですね。たとえば、春と秋に国立公園をきれいにする運動とか、一大清掃運動をして、リュックサックをかついで行くような人は、帰りに、ある一定のごみをしょってくる。しょってきたごみに対して報奨金を出す。これはまたたいへんお金がかかりますけれど、いろいろ方法は私もあると思いますね。ですから。要は、次善の策ではあるけれど、やはりそういうことを具体的にお示しいただく。いままでの官庁のやり方、一方的に、こういうことがきまったからこれをやるのだぞというのじゃなくて、いろいろなアイデアを一般から募集するというように、参加の形をとりながら一緒になって、ひとつみんなと国土をきれいにしようじゃないかという姿勢で、大いに推進をしていただきたいと思いますね。いかがでしょうか。
  106. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまの、一般国民から広くそのような参加を求めるような、アイディアを求める、協力してもらうことは非常にけっこうなことです。私もそこまでまだ思い至っておりませんでした。それはおっしゃるとおり、ぜひそのような方向で進みたいと思います。非常にけっこうなことでございます。
  107. 木島則夫

    木島則夫君 そういうことで、私もマスコミの人間です。ですから、いまの情報化の時代には、役所が役所の中で考えていて、役所の中でつくって、それを一般に、官庁ルートとか狭い範囲のルートを通してそういうものを公表しようとしても、これはなかなかむずかしいと思うのですね。そういう意味で、環境行政についての国民の広い理解を得るために、広報紙とかテレビ、それから映画などによる広報活動を充実強化するとともに、苦情相談にも応じる態勢を整える経費として、六千三百万円計上されておりますね。そうですね。私は啓蒙宣伝に大いに着目をなすったという点は、これは非常にいいことだと思います。しかし考えてみますと、六千三百万円、環境庁長官ね、いま、一回のコマーシャル料というのは、どのくらいだとお思いですか。  ——それはお答えにならないでけっこうです。そういう時代ですから、広報の内容とか配布先がどうなっていくのか、国民の目にほんとに触れなければ何にもなりませんね。幾らいいものをつくったって。どうでしょうか、その六千三百万というもので、うまく国民の目に触れるような企画ができますかしら。いかがでしょうか。
  108. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 結論的に申しまして、とうてい満足する効果をあげ得ないと思います、六千三百万円では。しかし、これは将来のいろいろな広報活動をするための、予算を獲得するための基盤にもなります。ですから私は、まんべんなくやるというよりは、何かの一つのことについて重点的にやったらいいような気がするのですが、残念ながら、いまの予算の取り方ですと、そうなるとなかなか発展しにくいというようなこともあるようです、実際の話。それがいいか悪いかは別として、現実はそうなっているんですから、これをどうしたらいいか。いま、役所の内部でそういうことのあり方を考えてもらっているわけですが、あまり御期待に沿うほどの、はなばなしいことはできそうにないような気がしまして。まだ、具体的なことは報告を聞いておりません。
  109. 木島則夫

    木島則夫君 そうですが。六千三百万円の広報活動費用ですね。いろいろあると思いますよ。広報誌を出すのもその一つだと思います。それからテレビによってPRをする、通達をする。それから映画。いろんな方法がありますけれど、長官としては、たとえばいろんなメディアがあると思いますけれど、この六千三百万円という限られた予算で重点的に何かをとるとするならば、どういうところに重点主義をとったらいいというふうにお思いでございますか。
  110. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 六千三百万円という金額ですから、とてもテレビには使えません、残念ながら。テレビが一番私は手っとり早い、効果があると思うんです、実際の話。まあ、ほかの新聞雑誌の方にしかられるかもしれませんが、私はテレビが一番手っとり早いと思うんです。ただ、手っとり早いのですけれども、六千三百万円でテレビで一年間にどれだけ広告できるかというと、たかが知れていると思うんですね。  ですから、私は、この際は、その費用をあまりテレビは考えないで、これはむしろ日本の行政とかものの考え方が、自然保護のほうに向かっていますね。こういうことで各テレビ会社でも、あるいはNHKでも、そのような思想を鼓吹してくれていますから、はなはだ申しわけないけれどもできるだけそれに便乗して、そのような理解、協力を得たいと願っているわけです。そうすると、やはり考えれば映画とか何かですけれども、映画といっても金がかかります。一本に二、三千万かかります。ですから結局は、わりあいきれいな、人が見たいと思うような雑誌、こういうものが、当面としては一番適当ではなかろうかと考えております。
  111. 木島則夫

    木島則夫君 ——ちょっと、何かありますか。
  112. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いま、テレビは一部やらなきゃならぬと言っていますが、事務的には。
  113. 木島則夫

    木島則夫君 じゃ、ちょっと、その一部やらなければならないという構想をお聞かせください。テレビは一部やらなければいけない。何か具体的な計画がございますか。
  114. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 広報の予算でございますが、六千三百万円、非常に小さい金額でございます。お説のように、できるだけ集中的にやったら効率的であるということもわかるわけでございますが、何せ、私ども初めてこれからPRを庁としてやるわけでございますから、ある程度経験もふやしながらやっていきたいということもございまして、実はテレビにつきましては、テレビの委託費として一部、私ども実施することを予算のできました段階でセントいたしておりますから、ことしはやっぱりテレビと、そのほかの広報誌等のものを組み合わせながら、経験を豊富にして来年度はさらに有効な方法を講じていく、これがいいのじゃないかと思います。
  115. 木島則夫

    木島則夫君 国会の中にも、ここにおいでになる上田さんもそうですし、私もマスコミの人間ですからね、そういう意味で少し御相談にいらっしゃいませんか。いや、ほんとうに。これはもう超党派で、何党がどうのこうのというのじゃなくて、アイデアをお互いに出し合うというような、そういう環境をおつくりになる気持ちは、長官ございませんか。
  116. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまのお話は、非常にありがたいお話です。実は、先ほどの国立公園のいろいろな清掃の問題から、そういうこともぜひお願いしたらどうかと、ひそかに実は考えておったところなんですから、ぜひそのような御協力がいただければ、与党とか野党とかいう立場を離れまして、そういう御協力をいただければ非常にありがたいと思います。私はそういうことをこれから実行に移したいと思いますから、ぜひ御協力お願いいたしたいと思います。(「バッジ販売員にでもなるか。」と呼ぶ者あり)
  117. 木島則夫

    木島則夫君 まあ、バッジ販売員になるかどうかは別としましてね、やはり、そういう雰囲気をつくることからやっていかなければいけないという意味で、たいへん私は市民的な発想かもしれません、しろうと的な発想かもしれませんけれど、やっぱり政治は常識なんだという立場に立っていただきたいと私は思いますね。  実は、私はマスコミの人間ですからね、この少ない予算で放送局その他といろいろ折衝されまして、大臣のテレビの定期出演というものを私は提案したかったんですよ。定期出演。大臣だったら、そう高い出演料はかからないと思います。だから、そういうものを通して環境庁長官というものと……。
  118. 上田哲

    上田哲君 ただでもいい。
  119. 木島則夫

    木島則夫君 いま上田さん、ただでもいいとおっしゃっているけれども、それは当然——当然かどうかは、これは横道にそれましたけれども、そういうふうにしまして、環境の問題というのはこんなに大事なんだよという、いわゆる接点ですね、そういうものを積極的に私はきょうおすすめを実はしたがったんですけれども、いかんせん、予算が六千三百万ではなかなかできないということなんですけれど、どうですか、そういう点は。
  120. 大石武一

    国務大臣大石武一君) その使い方をもう少し検討しまして、いまのお話趣旨を十分に考えて、取り入れてみたいと思います。  私は、いまのようなお話をいただけたのは非常にうれしく思うのです。実際、いままではとかく政党単位に、与党、野党単位にものが考えられまして、すべて行政面にもいい面も悪い面も出てまいりました、そういうことが。やはり私は、いいことはぜひ取り入れたいと思うんです。それにはお互いがそのような大事な、やらなければならぬことは、別に政党が違ってもそれは変わりはないと思うんですから、そのような御協力がいただければ非常にありがたいことだと思います。私自身はいまのお話のことに大賛成ですから、ぜひそのようにしてまいりたいと思いますし、御協力もいただきたいと、お願いいたします。
  121. 木島則夫

    木島則夫君 私の持ち時間がまいりましたので、この辺にいたします。  質問することは山ほどあるのですけれど、ついついお話に熱が入りましてね、多少具体的にこまかい点に触れ過ぎたかと思いますけれど、私がそうあってほしいという熱意のあらわれとお受け取りをいただきたいと思います。  そうして最後に、こういう問題は一党一派あるいは一政党の問題ではないんだという、つまり国会の中のそういう政治の環境も変えていかなければいけないのだというお話に、私は締めくくりができたことをたいへんうれしいと思います。ありがとうございました。
  122. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 坐ったままで失礼します。  最初に、具体的な問題に入ってまいりますですが、埼玉の行田市にあります利根産業、これは利根川のそばにあるのですけれど、二の利根産業の公害問題について、まずお尋ねしたいと思います。  この公害問題は、以前からはっきりしている問題ですけれども、べんがらを生産しておりまして、そのべんがらが付近に散逸をしておる。そういうことで私も二度ばかり見にいっておりますけれども道路といい、それからその近辺といい、作柄にも影響してくる。それだけではなく、洗たくもの等も干すことができない。こういうような公害が出ているわけです。で、住民の人たちが再三、県であるとか市に申し入れをしているのですけれども、なかなか思うようにいってないようです。最近でしたか、一時工場をちょっと操業をとめて修理をしていた。そのときは全く公害もないという理想的な環境になったのですが、この点で、それが再びまた持ち直してきているわけでありますから、環境庁のほうでどういうふうに把握をなすっていらっしゃるか、それからまず伺いたいと思います。
  123. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 具体的なことは、ひとつ所管局長からお答えをさしたいと思います。
  124. 山形操六

    政府委員(山形操六君) 実は、埼玉県行田市の、べんがら製造工場に関する大気汚染に関しましての調査でございますが、四十四年八月に防除施設をつくりまして、その被害の防止につとめてまいったのでありますが、先生御指摘のとおり、一時防除施設の故障によりまして、付近の農作物の減収や建物のよごれなどの被害を及ぼしたことがありました。で、補修を行ないまして、その修理の完了後はおおむね正常に運転されており、県の調査によりますと、農作物や建物等に新たな被害は生じていないと聞いております。  なお引き続き県の指導によりまして、防除施設の運転状況及び環境濃度の調査を行なって被害の防除につとめておりますが、現在私どもの得ました測定結果によりますと、硫黄酸化物の最大着地濃度が〇・〇三二PPM、最小着地濃度が〇・〇〇五PPM、基準値は〇・〇二七PPM、一応環境基準内にございますが、前のデータと比べますと、集じん機と硫黄酸化物を除却する装置をつけたあとは、非常にいい成績が数字上は出ております。私どもの把握しておるのは、以上でございます。
  125. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 このべんがらをつくって、それがいわゆる磁気テープに使われている、こういうことらしいですね。そのほかにも何か使えるのかどうか、私はよくわかりませんけれども、これはどういう過程でこのような、いままで公害が出ていたということですか。
  126. 山形操六

    政府委員(山形操六君) これはやはりべんがらの製造工程の中で、硫酸第一鉄から製品をつくるまでの間、焼成をやり、粉砕をやり、それをさらに分級して、水洗をしたり、また焼成をする、いろいろな過程を通る間に、硫黄酸化物でいいますと、SO2の亜硫酸ガスと、それからSO3の無水硫酸になります、そういうものが出ましたこと、それがさらに、いわゆる粉じんと一緒に共存いたしまして飛散する、これが一番大きな原因として、障害としては呼吸器系の障害をもたらす可能性がある、こういうことだと思います。ただし、四十四年以降の防除装置をつけましたあと、先ほど私が言いましたように、成績は非常によくなっておるというのが現状でございますが、先生御指摘のとおり、連動稼働のときにときどき故障しております。その辺の運転の故障時の問題、これらが、やはり十分に運転されなかった時期において、なお被害が出得たのではないかと想像しておるところでございます。
  127. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 現実にこの付近の住民の人たちが、もうこれはどうにもならないので、中央あるいは県等へ再び陳情に行かなければならない、環境庁にまで行かなければならないと、現在そういう空気なんです。私が見たのは四十四年八月以降なんです。昨年も見ましたし、ことしも見たのですけれども、まだまだ十分じゃないと思います。とにかく、あのべんがらが出るときに赤い粉になりますから、その粉が散るだけでもって片一方は公害を受けたという印象になるわけですし、そういう点で、先ほどの基準の数量よりちょっと高いような感じもしますし、その点で、ひとつここでかなり分析結果が出たのじゃないかと思いますけれども、先ほどのは環境庁がおつかみになったものですが、地元等では発表になってないわけですが、どういうふうな指導をなさっていらっしゃいますか。
  128. 山形操六

    政府委員(山形操六君) 私どもは、経過を県からとりまして指示をし、今後の方針等について相談をしておるわけでございますが、一応四十五年の二月から地区の公害対策協議会が設置されまして、それ以後何回も協議会を開催されておられます。そして地区住民との話し合いの結果、私どもの聞いておりますのは、一応現在了解中であるというふうに伺いました。ただ、それには今後対策の指示として、処理施設が完全に整備しているかどうか、それからこれは粉じん、硫黄酸化物だけでなしに、排水処理施設等についても設置の問題等、これを指示をいたしまして、現在その方向で県が指導しておるということでございます。
  129. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの答弁にもありましたように、三千万円かけて集じん装置をつくったから粉じんも少なくなった。これは会社側もそう言っておるわけです。ですから被害がないのじゃないかという意見だったんですけれども、現実はまだまだ被害者がかなりいる。ぜんそくの症状になっている人たちが集じん装置をつけてから激減しているのならわかるのでありますけれども、現在も七十人ぐらい、私どもが調べているんです、現在。そういう症状を訴えております。そういうことで、集じん装置をつけても安全だというわけじゃなくて、ほんとうなら、つければ一人の被害者もないというふうにならなければいけないわけですから、その点の健康調査のほうはどんなふうですか。それはそちらのほうではおわかりになっていませんか。
  130. 船後正道

    政府委員(船後正道君) べんがらの粉じんによる健康被害でございますが、県の報告によりますと、現在発生いたしておりません。ただ先生も御指摘のように、可能性はあるわけでございますから、私どもといたしましてはなお実態を究明いたしまして、被害があれば適切な措置をとりたい、かように考えております。
  131. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 しかるべきということでありますから私も納得しますけれども、現実には、県の報告は被害者なしと言うんですけれども、私どもが聞くというと七十人ぐらいいるんですよ。やはりああいう場所、いなかで農村ですから、会社側からしかるべきあいさつなどがあると、口をつぐんでしまうということもある。そういうことや、つとめている人たちもおりますので、そういう場合は家族等は黙ってしまう、そういうものがあるわけです。ですから、うのみになさるのではなくて、ほんとうにこれは考えなきゃいけない。県や市ではどうにもならないというので、これでは長官にじかに実情を訴えたいと、こういうふうにも言われてきておるわけですから、これが何年も何年も放置されてきただけに、ちょっといいかげんにはできないのじゃないか。個人で医者にかかる、そういうことだけですから、けっこう費用もかかるわけでありますし、この辺で被害者の実態を、こちらから乗り出していくなり、あるいはかちっとした指導をして住民検診をするなり、そういうことをぜひやるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  132. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまのお話は、もっともなお話だと思います。ただ、いままではとかく、いろいろな問題が各地で提起されておりますが、われわれは直接それをすぐ調べるだけの手だても何もございませんので、やはり結局県庁を通じて報告を求めるということになっておるわけでございます。そうすると、たいてい実害ありませんとか実際に被害者がありませんという報告がほとんど全部です。これは実際はそうあってほしい、現実にそうあってほしいと思いますが、それが観察が不十分だったり何かするのでは困るわけです。  われわれはできるだけ詳しく調査するようにとか、あるいは公害病患者に近いようなものにつきましては、いろいろこちらの基準なり考え方を示しまして、そういうことでその調査、診察をしに来てもらうようにしておりますが、まあこういうことを申していいか悪いかわかりませんが、やはりいままでの政治の考え方というのが、どうしても産業優先的だったと思うんですね、経済優先。そのことは中央においては、いち早くそれじゃだめだということに変わってまいりましたけれども、やはり地方にしてみると、工場がくるということ、それがつまり地域住民の経済発展につながるという思想が、まだまだあるのじゃないかと思うんです。ですからそういうことが、またそれが、そのことだけで動いていると思いませんが、そのようなものの考え方から、判断がやはり多少われわれと違ってくる点がありはしないかということをおそれるわけなんです。ですから、今後そういう点を十分に考えまして、できるだけ正確な判断をしてもらわなきゃならぬと、こう考えます。  ただ、われわれはいつでも行って、それじゃ足りないなら、こっちですぐ調べようといってもそれはできません。そういう手段もありませんし、実態がわかりませんので、できるだけやはり県のほうに詳しく緊密な連絡をとって、正しい判断を求めるという以外にないと、こういま考えているわけでございます。ただ陳情があります場合には、いつでも喜んでお聞きします。そしてそんでもって、あることが参考になるかもしれませんし、また、そういうことによって地域住民の気持ちを少しでもおさめることができれば、それでもけっこうだと思いますが、いつでもそれはお目にかかりたいと思います。
  133. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどのいわゆる呼吸器系統といいますか、気管支等がやられる。確かにぜんそくが多いのですよ。ほかのところに比べますとね。ですからそういう点で、私どもとしてはいまの長官の、手足がないからやむを得ないというそれはよくわかりますが、やはりそれだけじゃなくて、県のほうで被害ゼロというけれども、実際こういう訴えがある、それで、私どものほうで調査したって、まあ不十分な調査かもしれませんが、七十人ぐらいのぜんそくの症状で苦しんでいる人が見つかっております。これがとんでもない遠くのところまで調査したのなら問題にならないのですけれども、その周辺だけを見てそういうふうな実害が実際問題としてわかってきておりますから、これは県のほうへ十分督励をして、もう一度やらせるぐらいにしていかないといけないのじゃないかという感じがいたしておりますのですが、その点お願いしたいと思います。
  134. 大石武一

    国務大臣大石武一君) おっしゃるとおり、もう一ぺんよく連絡して再調査をいたさせます。
  135. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 では、この問題はそれくらいにして、実は一般質疑あるいは総括質疑の中で出てきましたPCBの問題で、いろいろ論議がされたわけでありますが、これもう少し私どもでも聞いてみたいと思うのですけれども、これが非常に前向きの姿勢で長官も取り組んでこられた。その点については私ども非常によかったと思っております。ところが、この被害というのが日を追って、いるいろ報道されておりますようにだんだん激化しているという感じが強くなってきている。そこでいま行なっている対策、それから、これからやる予定、まあ閉鎖系のものはいいけれども開放系のものについてはやらせないとかいうことになってまいりましたけれども、問題は、一応どういうふうにこれからやっていくかという対策と今後の予定、対策の予定ですね。これをちょっと具体的にお聞かせいただきたいのですが。
  136. 大石武一

    国務大臣大石武一君) このPCBが人体に非常な猛毒性を持っておるということは、確かにそういうことなんですね。ですから、これはまず最初に一番先にやらなければいけないことは、われわれの生活環境からPCBを取り除くこと、われわれの環境にPCBを接触させないことが一番大事だと思うのです。そういう意味では、通産省が努力いたしまして、開放系のものは一切使わない、それから閉鎖系のものにしましても、これにかわる代替品がまだいまなかなかない、あってもまだよくないようです、その毒性がこれより悪いものではなお困りますので、そういうことで絶対に安全な管理を行なって、そして決して環境を汚染しないような方法においてこれを使用、あるいは一部の使用を認めるということでございますから、それなりにいいと思います。それからこの実態がわかって対策ができるまでやはり接触を断つことですから、たとえば母乳からそのようなものが出れば、その母乳はなるべく私は、安全だといってもなおより安全性をとったほうがいいと思います、そういうことは。それから魚でも問題がありますけれども、これは非常にむずかしい問題だと思うのです。たとえば、何々湾の魚が何PPMのPCBが出たとか言いますけれども、それがはたしてどれだけの魚を調べたのか、それからどれだけの貝類を調べたのか、それが実態がなかなかわからない。そうすると、一部出ただけですぐその湾全体の魚の食用に供することを禁止するかどうかということについても、やはりこれは非常に決断が要ると思うのです。それに、やっぱりその資料が要ると思うのですね。そこに私はむずかしい問題があると思って、これは私の所管ではありませんけれども、非常にむずかしい問題があると考えております。ただもう一つは、このPCBの測定というものは、御承知のように必ずしもまだ完成しておらないのです、分祈方法がですね。それに、新しいやり方ですから、全国的に統一されたPCBの測定法を採用するということ、それをできるだけして訓練して誤差の範囲を少なくするということが非常に大事だと思います。いまの状態では、残念ながら必ずしも、各地でいまPCBの問題が出てまいりますが、その分析法が全部同じような方法でやれたと言いかねると思いますし、またいろいろな、新しい分析方法ですから、ことにPPMというのは百万分の一ですから、やっぱりどうしてもちょっとしたことで誤差が大きくなると思うのです。こういうことについてわれわれ十分に心して、その誤差を少なくするような実験の修練を早くさせなければならぬと、こう考えておるわけでございます。ただ私ども、しかしPCBを何にもそういう問題だけで、基本的な問題だけで放っておくわけにいきませんので、近く、これ以上のものはこのものを使ってはいけませんよ、これ以上食べてはいけませんよというような基準をつくりたいと思うのです、実は。ところが、その基準と申しましても、その基準をつくるだけの基礎がありません。しかし、何かよりどころをつくらなければなりませんので、基準の前提となるような指針と申しますか、暫定的なものをつくりまして、それが必ずしも科学的に一〇〇%正しいというのじゃなくても、大体の方向はわかりますから、それによって、来月か再来月あたりまでには厚生省に努力してもらいまして、一つの、こういうものはとってはいけないとか、こういうものまではよろしかろうとかという、一応アメリカでやっているような暫定的な指針を早くつくりまして、それによってPCBを規制してまいりたい、こう考えております。そして、それによって、いま申しましたように一番重点的に生産されるとか使用されている地域を中心に、いろいろな水なり土壌なりあるいは人体のそういうものの調査をして、早く実態に近いものをつかんでまいりたい、こう考えております。
  137. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 このPCBの問題で、いまのところ、いまの答弁からわかるのは、近く基準をつくりたい、それから全国的に紙一した分折方法を、何か方法はないか、それから魚の問題についても、分析方法によってはわからないので、それからどういうふうにとって、どう出たかということがわからない、しかしまあ場合によっては海域指定もしたい、こういうふうにとっていいのですね。  そうしますと、全国的に統一した分析方法というのはいつごろまでに、きちっとしたいということになるでしょう。
  138. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 現在まで厚生省中心に分析方法を検討いたしたわけでございますが、水道用水、それから食料品中のPCBの分析の方法は一応できたという状態でございます。  私どもはそれ以外の環境汚染の調査ということをしなければなりませんですが、一般の公共用水の分析または工場排水の分析につきましては、非常に妨害物質が多いものでございますので、PCBの濃度を正確に分析するためには、先ほど申し上げました水道用水なり食料の中のPCBの分析方法では十分ではないと思うのです。ただ私どもそれを現在いろいろ研究をいたしておりますけれども、なかなか、いつはっきりした方法を確立するというめどが実はございません。そこで、多少制度には問題がございますけれども、先ほど申しました水道用水なり食料品中のPCBを分析する方法によりまして、できるだけ早い機会に全国の環境汚染の状況調査いたしたいというふうに考えております。
  139. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで基準の問題ですけれども、アメリカの基準、いま暫定的なと言われましたが、これが五PPMだ、その基準を一つの比較にして、そこに基準を合わせようということでございましょうか。
  140. 大石武一

    国務大臣大石武一君) このアメリカの、いろいろな暫定的な基準がございます、PCBに対するものですね。ところが、これは大体日本のカネミオイル中毒事件を参考にして、そのデータを中心としてつくったものでございますので、これがはたして日本の国に適用されるかどうかということになりますと、考えなければならぬ。たとえば食生活の違いもずいぶんありますので、そのまま適用できるかどうかわかりませんが、しかしこのようなやり方は、これはやはり一つの行政としては私は正しいやり方だと思うんですね。ある程度のはっきりした国民の健康を守るための、必ずしも十分でなくても、こういう基準をきめるということに対しては私は非常にけっこうなことだと思います。われわれもこのような行政をまねしてまいりたいと思いますが、その数字は参考にいたしますが、いま申しましたような事情でこれはできているものですから、これがそっくりそのまま使えるかどうかわかりませんけれども、参考には十分なると思います。これもしかしいろんなもので違いますので、たとえば魚とか飼料というのは五PPMになっていますが、幼児食になりますと〇・一PPMとか、卵は〇・一PPMとかいろんな段階があるようでございます。
  141. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、この基準が近い将来ということで、将来というのはこれは言いようがありまして、近い将来というのは。何カ月ぐらいと、具体的に言っていただけませんか。
  142. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 指針ですか、とりあえずの。これは、基準は厚生省がつくりますものですからね。
  143. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 大体どのくらいまでに、ということで環境庁のほうではお考えですか。
  144. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 食品中に含まれておりますPCBの安全基準は、厚生省所管でございまして、現在食品衛生調査会に特別部会を設けまして、去る十五日に第一回の部会を開催したというところでございます。厚生省の話によりますと、これは何と申しますか、かりの指導指針のようなものになろうかと思いますが、さしあたっては。それの設定はできるだけ早く急ぎたいということを申しておりますので、おそらく、これは私の推定も入っておりますけれども、まあ二、三カ月を待たずにできるのではないかと、かように思っております、
  145. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先日も一般質問の答弁で、感圧紙の代替品の問題についてお尋ねがあったわけですね。それに対して長官からいろいろ答弁がありました。これがあのとき問題になったのは、わずか三十日間の毒性の研究だけであれを使ったといったことの軽率さといいましょうか、そういう点、おかしいんではないかということであったのですけれども、そのときに長官の御答弁の中で、PCBの毒性を考えたときにこの代替品の販売はやむを得なかったということを長官言われました。しかし、わずか三十日間で毒性の研究をして、はたして蓄積されていくものなのかどうなのかということがわからない。ほかの学者の中にも、毒性もあるのではないかという意見もあった。そういう危険性のあるものを八カ月置いといてやむを得なかったということは、ちょっとこれは長官として、御姿勢はよくないのじゃないかと私どもは思った。やはりPCBの場合も、便利さということからだけであのような公害出てきた。今度のも、PCBがひどいから代替品なら何とかなるだろうという調子でやった。先ほどの答弁の中に、このほうも毒性について心配な点があるからということでありましたので、その御発言は、いわば前の代替品の販売はやむを得なかったんだというようなそういう御姿勢を訂正したもの、そういう発言を訂正したものと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  146. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私も、やむを得なかったというのはどういう段階で話したか、ちょっといま記憶がありませんけれども、おそらく私は、あれは通産省に対する弁解のつもりで言ったのかもしれません。おっしゃるとおり、私はいまそのような、それが自分の考えとして、やむを得ない、検討しなくとも急いでいるんだからやむを得ないんだと言ったとすれば、これは多少考えが足りなかったと思います。ですから、私は慎重にやはり考えてやらなきゃならぬという基本的な考えでおりますから、そういうことでひとつ御了解願いたいと思います。
  147. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、この代替品の問題です。予備テストだけでもって、安全性はまだ確認されていないということで学者自身が反対をしている、呉羽化学に対して厳重な抗議をした、こういう事実は長官御存じのとおりだと思いますが、御存じございませんか——。はっきりと、ことしの三月末に、この代替品を研究した学者自身が、私のデータはあくまでも予備テストにすぎず、安全性を云々することはできない、それなのに企業は安全性を宣伝しており、私は企業にだまされ利用されたということで、呉羽化学に抗議をしているわけであります。  いま長官は御存じなかったようでありますけれども、それじゃ困るわけなんで、ぜひ、毒性の点がまだ解明されないうちは、非常に安定性の強いものだけに、蓄積されてからでは間に合いません、放出されてからでは間に合いません。こういう点から、何かきちっとした調査ができるまでは販売中止にするとか、そういうことをお考えになったほうがいいのではないかと思いますが、そういう点のお考えはございませんか。
  148. 大石武一

    国務大臣大石武一君) これは鈴木委員と同じように、やはり安全性を確かめないうちは、私はそれを販売なり製造していけないと思うのです。これは私は持論です。そればかりでない、廃棄物につきましても、廃棄物が無害であるという証明がなされない限りは、私は製造や販売を許していけないと思うのです。  ですから、この場合は確かにこれはノーカーボンの新しい代替品が、そのように毒性があるかないかを十分に確かめなかったというところに間違いがあると思います。ただ問題は、この安全性がどうかということは、大体構造式を見ればある程度考えがつくのだそうですね、いわゆるカメの甲の形から。しかしそれだけでもいくわけにはまいりませんから、やはりいろいろ時間をかけた生物的な実験とか何か必要だと思います。そういうことで、この代替品についても十分な注意をしなければならぬと思いますが、私は同じ意見でありますが、ただ、いまのPCBの感圧紙がだめだとなると、どのようなものにこれをかえたらいいかということになると非常に問題が出てくると思うのですね。PCBを使う感圧紙を、一体安全なように使う手があるかどうか、使い方が私わかりませんがね、そういうこともいろいろしなければならんし、とにかくむずかしいことがありますが、原則といたしましては、やはり安全性ということを中心考えなければならぬと私は思います。
  149. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは感圧紙をやめれば、昔のようにカーボンを後ろにつけたのにかえればいいわけですからね、あまり問題はないと思います。  そこで先ほどの話の中に、環境基準であるとか許容量、こういうものをだんだん考えていくというふうになると思いますけれども、しかしこのPCBの汚染の場合は、長時間かかって体内にも蓄積をされていくということで、いかにいろいろ基準をきめても、あまり効果がないのではないかという感じもあるわけです。その点について、政府のお考えといいますかね、これはどういうものですか。
  150. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いまのお話は、参考人の御意見の中にもそういう意見があったと私聞いたわけでございますけれども、事実、蓄積性のいわゆる有害物質につきましては、そういう蓄積性という性質に着目しなければ、いろいろな基準というものは意味がないというふうに私ども考えております。  従来も、カドミウムとか水銀とか、そういう蓄積性のものにつきましては、そういうことを考慮の上で環境基準なり排水基準なりというものを私どもはつくったつもりでおりますし、今後もそれらにつきましては、さらに見直しをする用意はあるわけでございますけれども、今回のPCBにつきましても、そういう基準をもしっくる場合におきましては、当然蓄積性ということを考えまして基準を設定いたしたいと考えております。
  151. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの魚がとれた場合の話でありますが、その魚がとれたときに、魚の中からPCBが検出された、それが非常に大きい量であった、それだけでは、その海域というものの魚をとっていけないという指定はできない、こういう話があったわけです。また分析の方法にもよる、こういうようなお答えもついております。  衆議院の連合審査会で、これは厚生大臣だったのですが、一定地域の魚を食べることを禁止することもあり得るという話があったわけです。それで環境庁長官として、私環境庁お願いしたいし、またそういう方針でいってもらいたいと思いますのは、たとえば高濃度のPCBが検出された魚がとれた、その場合には、だからといってほかの魚が汚染されているかどうかわかりませんけれども、一応海域の指定をするなりしてしまって、その上で、そこのところの魚を大至急いろんな方法でもって分析をしてみる、それで安全性がだいじょうぶとか、だいじょうぶでないとか、解除するとか、解除しないとかというふうにしていく、あるいは魚の種類別の指定もできる、こういうような手の打ち方のほうが国民にとっては非常にぴんとくるわけですね。魚が出ましたと、出たけれども相変わらずとって、その市場では売れないから、遠くのほうへトラックで運んでいって売ってしまうということも、例の水俣病のときの魚のようなことも起こり得るわけですね。そういうところにすごい私は不安があるのじゃないか。  やはり環境庁お願いしているというか、国民が期待をしているのは、PCBの高濃度の魚が分析の結果出てきた、そうしたら、そこの水域というものを指定をして、底魚もあれば、いろんな魚がいると思います、全部を調べてみて、これについてはだいじょうぶです、これは食べてもけっこうです、これについてはこの水域だけが汚れております、だからこの水域の関係だけは食べないほうがいいとか、こういうことをすみやかにやられるということが非常に大事だと思うのです。そういうことを国民としては願っているわけです。ところが、とっていいのか悪いのか、どこの魚だといって国民のほうが、入ってきた魚に気を使わなければならないというのは、ちょっとうまくないのじゃないか。私は、だから先ほどの基準設定も大事ですけれども、基準設定の前に、そういうような具体的な手の届くような、サービス業務というとおかしゅうございますけれども、そういったような姿勢が非常に大事だと思うのですけれども、その点いかがです。
  152. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 先ほどの、厚生大臣が禁止地域を指定し得るということもあり得ると言ったのは、私は、行政官庁がそのような断固とした姿勢をとることが一番望ましいと思うのです、それは。  ただその場合には、われわれはそういうことがあれば一番これは行政上安心ができます、望ましいのでありますが、そうなりますと、日本じゅう、どこでもそういうことになるという可能性が出てまいります。そのことがはたして日本全体から言いまして、もちろんそれはほんとうにあぶないなら、あぶないと言っては何ですが、即刻にわれわれの生命に危険が及ぶものならもちろんそうですけれども、そこのところをもう少し考えなきゃならぬことは、たとえば宮城県の米からPCBが出た、じゃ、宮城県の米はとめなきゃならぬというのが一番簡単です。しかし、そのPCBが出たことで一体どれだけの影響があるかどうか、まだ実体はわかりませんから、やはりそういうことをある程度判断をしてきめなければ、やはり行政というのは混乱すると思うのですね、いろんなすべての点から言いますと。  ですから、やはり基準というものを早くきめまして、この基準の範囲内ならだいじょうぶであるとか、これならばある程度よかろうというような、やはり一つの判断の土台がないと、どうにも私は行政をやっていけないんじゃないかと思うのですね。ですから、たとえば駿河湾から五〇PPMの魚が何匹あがったとかいうのならこれは危険でしょう、確かに。ある海域は禁止してもいいと思いますが、やはりその前に、何としても基準というものを一応——基準がまたつくり得なくて今度つくるのも暫定的な指針にすぎませんけれども、何らかのよりどころがないというと、ただ単にだめだ、だめだということだけでは、やはり行政というのはやれないような気がするんですね。  ですからやはり私は、そこでその両方の考え方があると思うのです。十分に国民の保健なり健康というものを中心考えなきゃなりませんが、それと同時に、それをどの範囲なら守り得るか、どれまでは許されるのかという基準、判断の土台というものがなければ、ただ単にみなだめだ、だめだということになりますと、日本じゅうの魚が全部食えなくなると思うのです。日本じゅうの米が全部食えなくなるおそれがあると思うのです。ですからそこのととろを、早く判断の土台をつくるということが一番大事じゃなかろうか。  その間に、やはりいま言ったように情勢判断によってやっていかなきゃなりませんけれども、たとえばいまの水俣ですね、水俣では魚が確かにほかの魚よりは、ことにあそこは貝類ですな、海にはほかの地域よりも多少水銀が多いんです。これをどうするか、その点。魚が買いたたかれたり、売る人が非常に心配をしたり、いろんな問題が起こっているんです。それは、なるほど少しPPMが高いんだから食わないほうがいいんだと言えば、それは間違いありません。そのことで地域の住民がどうなるか。いろんな問題が出てまいります。ですから、いま熊本県と相談しまして、近いうちに全部あそこの海域を総点検して、水銀がどう、魚がどう、海藻がどう、すっかり調べた上で正しい判断をしようと、それをするわけなんですが、そのように、やはりある程度の基礎的なことをやらないであまり簡単に行政は動き得ないのではないかと、私は考えるわけでございます。
  153. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私が言っているのは、その総点検をやれということなんです、早く。だから、非常に高濃度のものがあった、そうしたら、それをすぐぱっととめてしまう。とめてしまうのは、早く解除しなければならない場合もあるからです。で、長官お話だと、そういうことになればもう日本全国、全部と、そういうオーバーなものの言い方では困るわけでして、そうではなくて、住民にとっての不安であり、国民にとっての不安ですから、それを取り除くことにまっ先につとめていかなければ、環境がほんとうに汚染されているのか、汚染されていないのかということは国民だれもの関心なわけです。  ですから、いまの水俣の場合も、はっきり申し上げれば、いまになって総点検というのは非常におそかったと思う。ああいうおそれが貝類から出てきた、そのときにすぐ採取禁止なら禁止をして、そうして大至急総点検をしてしまう。それでこれはけっこうでございます、ここはこういうふうにしたほうがよろしいでしょう、こういうふうになるのが筋ではないか。だから、いろいろな産業政策や何かとからんできてたいへんでしょうけれども、現場から見れば、国民の声というのは、そういうふうにさかさに映ってくるわけだと思うのです。長官の言おうとしていることと接点がありますから、私も意味がわからないではないですけれども、まず地域の指定をして、そうして総点検を早急にして、そうしてその結果、ここは解除していく、こうです、こういうふうになさったほうがより安全であるし、それは国民のほうも安心すると思うのです。そういう方向でぜひやっていただきたい、こういう意味なんですから。
  154. 大石武一

    国務大臣大石武一君) よく御趣旨はわかります。御趣旨は私は間違いないと思うのです。そのとおりだと思いますから、それを、もう少し行政面で的確にやれるように、みんなで相談いたしたいと思います。
  155. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に国連人間環境会議、これは長官が代表とし御出席になるということに大体、新聞辞令等は出ているようでありますので、そのことで伺っておきたいのですけれども、この間はナショナル・レポートの問題だけ伺ったわけですが、海洋投棄規制条約、これが今回は出てくるのではないか、これはアメリカと共同して日本が出すのではないかということが言われているわけです。すでにヨーロッパ等で十二カ国で、船舶、航空機からの投棄物による海洋公害防止のための条約というものを調印している。非常に日本も歓迎しているので、今度は全世界的規模の海洋投棄規制条約というものをやりたいと、こういうふうなお話があるわけでございますけれども、これはどういうふうな態度で臨まれるのでしょうか。
  156. 大石武一

    国務大臣大石武一君) この会議は初めての会議なものですから、どのような形でどのような結果になるか、ちょっと見当がつきませんですけれども、私は、人間の環境を保全するという立場から、やはり実りあるものにしなければならぬと考えて、いろいろ自分で考えております。  いまおっしゃるとおり、海洋汚染の問題は非常に重大な問題だと思うのです。私は、当然私の考えで持ち出す考えとしては、この海洋汚染の防止の問題についてまっ先に持ち出したいと思っているのです。で、残念ながら、国際的ないろいろな条約というものは、外務省から来ておられますけれども、お互いの国の利害がみな対立するものですから、やはり国際間というのは自国の利益を中心考えますから、どうしても結ばれる条約というものは時代おくれのものですね。おくれるものだと思うのですけれどもね。ですから、こういうことを言うとしかられるかもしれませんが、日本で去年きめました海洋汚染防止法にしても、六月から完全に発動するわけですけれども、私は、そのものが、発動する前にもうすでに不十分なものがたくさんあるといま考えているんです。しかし、それは国際海洋汚染防止の条約を中心にしてつくった案ですから、やむを得なかったと思うのですが、それで、私は国際的な協定はおくれると思います。ですから私も、何か強力な手を打たなければならぬと思うんです。  あまり具体的なことは、いまちょっと申し上げませんけれども、海洋汚染防止につきましても、ただ問題は、たとえばタンカーの問題とか、あるいは船のビルジとか、そういうものの処理の問題が一番大きいと思うんです。幸い海洋投棄についてのいろいろな意見の一致があるようですけれども、問題はビルジとか、それからバラスト水ですか、これの処理の問題ですね、こういう問題が、大きな海洋汚染の問題として油濁の問題がありますから、これについて私は具体的な話をいたしたいといま考えております。
  157. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはアメリカと共同してという話が出ているわけですけれども、この点は外務省、いかがですか。
  158. 太田正己

    説明員太田正己君) お答え申し上げます。私、環境担当の審議官でございますが、この条約につきましては、ただいま、ちょっと前にアイスランドのレイキャビクで、アイスランド政府の招待で海洋投棄の条約というものを審議いたしました。これはアメリカの案に基づいて審議いたしたわけでございます。これにつきまして、私、詳細な御答弁ができない事情にありますことをおわびいたします。その理由は、これに参りました代表団がまだ帰ってきておりません。明後日帰ってまいります。第二に、アイスランドは、国全体の人口がたしか十八万だったと思います。そういうところでございますので、私どもの出先がないという非常に特別な地域でございまして、大使館がございませんので電信を打つということができなくて、ほとんど全然このレポートがきていない状態でございます。おそらく、これは国の数も非常に少ない国しか出ておらなかったように聞いておりますし、どの国が何カ国来たのかもはっきりつかんでおらない状態でございますが、せいぜい二十数カ国じゃないかと思います。はっきりしておらないのですけれども、二十九でございますか……。それで、これがどのような取り扱いになったかということを十分確認いたしまして、それで私どもが願っておりますのは、ここで何か投棄に関しての条約が固まりまして、それがストックホルム会議において採択されるということを期待いたしておるわけでございます。
  159. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは長官、非常に大事な問題だと思うのですね。公海上の投機を禁止するところまでいかないと、これは汚染はひどくなってくるということですから。  それからもう一つは、アメリカが提案している事前協議制度の問題、つまり他国の領海とか大陸だなとか、あるいは南極とか公海、全部含んでですけれども、環境に何らかの損害を与える、つまり汚染を与えるそういう可能性のある行動をとろうとする国が、事前に関係国に対して協議をする、そういう義務を課そうという、そういうような制度をアメリカが提案するといわれておりますし、しているともいわれているのですけれども、この点については何も相談ございませんか。
  160. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 事前協議関係は、主として人間環境宣言の中で従来扱われてまいりまして、第一回の政府間作業部会、昨年の五月にありました作業部会で一応の案がまとまっております。ただし、これについてはそれぞれ反対がございまして、案の中でさらにかぎカッコに入っているというような状況であったわけでございます。  それをさらにことしの一月の、第二回の環境宣言の作業部会で審議を進めまして、まとまりましたものが一応あるわけでございまして、おそらくこの案が、そのまま今度の人間環境会議にはかられるという形になるのじゃないかと思います。それによりますと、「国は、自国の支配権内又は規制権内における行動又は開発に関し、自国の支配権の外にある地域の環境に対する危険又は重大な悪影響を回避するため、適当な情報が必要であると信ずるとき又は信ずる理由があるときは、当該情報を通報しなければならない。」こういうような形になっておりまして、第一回の会議でございました事前協議の義務といいますか、こういう形のものははずされております。  これは、いろいろございますが、環境宣言の考えとしまして、これ自身が簡潔でかつインスピレーショナルなものである、特に、具体的な行動計画と結びついた特定のガイドライン、こういうものは明記しないというようなことが、第二回の準備委員会あるいは第三回の準備委員会でも確認されておりますので、そういう線に沿って大体国際的な合意が得られる方向で進んでいる、こういうことでございます。
  161. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは産業面から言うと、日本の場合なんか非常に困る場合も出てくるだろう、たとえば漁業の場合の底引きとか、いろいろなものがありますけれども、しかし、それよりもやはり日本が汚染源になってもいけないし、また、日本が出ていったときに汚染さしてもいけないし、世界のほうから汚染されても困るわけです。そういう点では、十分その趣旨を入れていただきたいと思うのです。
  162. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) ただいまの点でございますが、実は先進国間でいろいろ議論がございますほかに、たとえば前の第二回の、ことしの一月の政府間作業部会では、ブラジルあたりでも非常に強い反対をしておりまして、いわゆる環境問題が開発に対する制約になるということで、こういう条項を入れますと、たとえば国際河川の上流で開発工事をやる、そうすると下流の国から協議を求められたら開発できないじゃないか、こういう強い議論をしております。そういう、国際的な議論の過程で最大公約数として、さっき読みましたような条項がまとまった、こういう段階でございます。
  163. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで問題は、ブラジルや何かの反対、言いかえれば、先進国はもうすでに開発が終わってしまっているから公害をたれ流しにしておいて、これから後発国が開発するのを規制するのではないか、こういう空気があるわけであります。しかし地球全体から見れば、開発より保全のほうだろう、全体から見ればですね。私どもはそういうふうに考えざるを得ないのです。中には農薬を使っている、化学的な農薬ですね。そういうことによって、農産物が汚染をされてそれが出荷できないとか、あるいは環境汚染されるから出荷できないというふうでは困るというような声さえあるようなんでありますけれども、そういう点でこれは一つ私問題点になってくるのじゃないか、化学農薬の問題はですね。これは全世界的に使用を規制すべきではないか、私はむしろ、これは日本は多少憎まれても全世界的な使用規制ということはほんとうに考えなければいけないのじゃないか、こういうように考えられるわけですが、その点は長官としてはどんなふうにお考えでしょうか。
  164. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 御趣旨はわかります。私もその趣旨、賛成なんです。ですから、いろいろなことをわれわれも主張したいと思いますけれども、ただ、この会議というのは非常に利害と申しますか、考え方が非常に違うのがいろいろあるのですね。それですから、できるだけみんなの意見をまとめて引っぱっていくには、ある程度のやっぱり最大公約数でないと、まとまりにくいということがございます。ことにお話のように、大体先進国は開発というよりはむしろ環境保全に努力しておりますが、まだ未開発国の中では、そんなことよりも先に開発だ、国を富ませることだということに中心意見のあるところもずいぶんございます。ことに今度、最近ではエコロジカル・レパレーション、というものを先進国は出さなければならぬ、先進国はいままで何十年にわたってずっといろいろな開発をして、さんざん地球の生態系を汚染をした、われわれはその影響を受けているからその補償を出さなければならぬというような意見も出てくるというふうに、いろいろなむずかしい問題がありまして、なかなか全部の百数十カ国のいろいろ議論をまとめるとなりますと、たいへんなことだと思うのです。ことに初めての会議ですから。しかし、おっしゃるとおりの趣旨はわれわれもできるだけ主張して、少しでもそういう考え方が前進するようにつとめてまいりたいと思います。
  165. 太田正己

    説明員太田正己君) 補足して申し上げますと、全くいま大臣がお答えになられたとおりで。ございまして、私ども全く先生のおっしゃることに同感でございます。私どもは、環境保全が先でなければならない。会議にも私ども官房長など出まして、後進国の御議論を聞いておりますとまた非常に痛切なことをおっしゃるわけで、たとえばDDTをとりましても、害虫を駆除するのにあんな有効で安いのはないと。それよりももっと痛切な御議論は、マラリアでございます。マラリアで死ぬ人は、私、数をはっきり記憶しておりません、間違っておるかもしれませんが、毎年千万人は死ぬということを聞きましたのですが、このマラリアを退治するのに、DDTを先進国がみんなやめてしまったら、おれたちは一体どうしてくれるという非常に痛切な御議論がございました。そういうこともかね合わせまして考えていかなければならない、なかなかむずかしい問題でございます。
  166. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それで、いまの保全の問題と開発の問題ですが、基本的に後進国は——後進国といいますか、開発途上国は、こういうところは、発展をするためには、いわゆる環境が自然にできる浄化力、その範囲内のものならいいのだというようなふうにも、最終的にはなってくるのではないかという感じもするのですけれども、その辺の基本的な考え方は、やはり閣内でおきめになられてから御出発になるわけですね。
  167. 大石武一

    国務大臣大石武一君) そのように努力してまいります。
  168. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃ、私の質問はこの辺でけっこうです。     —————————————
  169. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  羽生三七君が分科担当委員辞任され、その補欠として工藤良平君が選任されました。  また、予算委員異動に伴い、鶴園哲夫君及び小野明君の補欠として、上田哲君及び辻一彦君が選任されました。  午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  170. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) ただいまから予算委員会第一分科会を再開いたします。  昭和四十七年度総予算中、環境庁所管を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  171. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、きょうは、最近非常に問題になっています大型原子炉、原子力発電所、これと環境の問題について二、三質問を行ないたいと、こういうふうに思うわけでございます。  最近、日本の原子力発電所の建設というものが非常にピッチが上がって、しかも大型原子炉を集中化するという方向をずっと歩んでおると思うわけであります。これは、各地でもそうでありますが、アメリカにおいてもそうでありますし、日本においてもそうでありますが、この大型炉の集中化という方向が環境との間に非常に多くの問題をいま起こしつつある。そこで、環境擁護という立場にある環境庁大石長官から、こういう日本の大型炉集中化の原子力開発の方向というものをどういうように考えておられるか、その点をまずお伺いいたしたいと思うのです。
  172. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 日本のいろいろな経済の発展に伴いまして電力の需要が非常に伸びておりますから、やはり発電所の新しい建設は私は当然のことと考えております。ただ、その場合に、日本の発電の傾向として、次第に——以前は水から火力に移りましたが、さらに今後は原子力のほうに方向が移りつつあるように思います。私としては、もちろん、この発電所の建設については、まあ別に何も異議を差しはさむほどのこともございませんけれども、ただ、その発電所ができます場合には、われわれの国民の生活環境を破壊しないでほしいというだけがわれわれの願いでございますし、そのような方面で役所としての仕事をしてまいりたいと考えております。ただ、原子力発電の問題について云々の問題は別といたしまして、ただこれがある地域に集中的につくられますことは、私はどうもあまり好ましくないような感じがいたします。私も、どの程度の密度がいいのかどうか、それは十分な科学的な根拠がありませんけれども、温排水とかいろいろな問題が付随して出てまいります。そういうことを考えますと、やはり私は、あまり過度な集中は望ましくない、適正な配置のほうが一番望ましいと自分では考えておる次第でございます。
  173. 辻一彦

    ○辻一彦君 では、大臣考えとして、どの程度の集中ということは問題があるが、集中化は望ましくないというお話でありますが、私はそのことをお伺いした上で、具体的な問題に入っていきたいと思うのです。  原子力委員会が発表した内容、あるいは通産省等の発表を見ましても、昭和五十五年までに全国で三十六カ所、原子力発電は三千三百万キロワット程度の規模にのぼる計画が発表されて、おそらく二十数カ所に三十数基の原子炉の敷地がこれから求められていくと思いますが、いまお話しのように、この典型的な例として、大型集中化が起こっているその例として、私は、福井県の若狭湾、新潟県の柏崎、それから福島、この三つが、いまかなり具体的に当面しておる問題じゃないかと思うわけです。そこで、私は、この三つの基地について電力企業側がどういう計画考えておられるか、そういうことをまず原子力局長のほうから伺って、質疑に入りたいと思います。
  174. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 御承知のように、エネルギー計画としましては、原子力発電が昭和五十五年・三千三百万キロワット、昭和六十年度におきましては六千万キロワットの計画を、計画としては、見通しとしては、持っております。ただ、これをどういうふうに立地していくかという問題は、これは事業者の問題でもあるし、いまのところ非常に立地の具体的な裏づけはないんでありますが、ただ、いま御指摘のように、福井県の若狭湾、それから東京電力の福島双葉・大熊地区、この二カ所が現在かなり集中的な計画の場所として考えられております。  若狭湾につきましては、現在稼働しておりますのが二基ありまして、七十万キロワットでございます。それから原子力委員会の許可がおりまして建設中のものが、先月許可になりました美浜三号炉を入れまして四基で大体三百万キロワットでございます。それから、現在申請があって、いろいろな事情でペンディングになって、いま委員会のもとで検討されておりますのが、大飯の一号、二号でありまして、これは合わせまして二百三十万キロワット、大体トータルしますと六百万キロワットで八基の原子炉が福井県若狭湾においては稼働中あるいは計画中であります。この後どれだけ出るかというのは、これは事業者の関西電力では、多少会社としての計画はあるようでありますが、われわれは、いつどのぐらい、どの地点というのは、経済企画庁の電源開発審議会の計画にも載っておりませんし、科学技術庁としても具体的に聞いておりませんので、よくはっきりはわからないのであります。  それから、福島につきましては、福島一号炉は稼働しております。これは四十六万。現在建設中が福島の二号、三号、四号、五号等がありまして、これは合わせますと三百万キロワット以上になると思います。福島につきましては、現在申請中の炉も、東電の六号というのがありまして、これも合わせますと五百万キロワットぐらいの計画になっております。  それから、その他新潟県の柏崎とか、会社としての計画がかなり大きいものがあるようで、また土地の手配等もやっていると聞いておりますが、まだ電調審に出ておりませんので、政府としては具体的にどのぐらいになるかということは、まだ明白につかんでない状況でございます。
  175. 辻一彦

    ○辻一彦君 公に科学技術庁のほうに報告がある、あるいは承認がされているということは、いまのような数字であろうと思います。しかし、すでに原子力委員会やあるいは電力会社、通産省等から発表されている内容を見れば、たとえば若狭湾におきましては、現在新型炉が一つありますからね、これを入れれば九基、六百二十万キロワットになります。さらに、関西電力あるいは通産省等の発表によると、若狭湾は昭和五十五年には千二百万キロワット、それから昭和六十年には千五百万キロワットという計画がある。現に地元のほうで、高浜、大飯原電等についても、続いて何号炉かの予定を企業のほうでは考えておると、こういう点があります。それから柏崎は、この間私も行って見てみましたが、約三・五キロに一・五キロの範囲にこれは集中しますが、大体百二十万キロワットぐらいを八基にすると一千万キロワットぐらい、企業のほうではこういう考えを持っている。それから福島のほうにおきましても、大体五百万キロワットというわけでありますが、大体八百万から一千万キロワットということはいろいろ企業の側からは資料があると、こういうように、全国にまだこういう大型集中化の基地の方向が目ざされておると思いますが、現に、若狭湾、柏崎、福島等を見ても、一千万キロワット前後という非常に大型炉が集中する方向が出ているんじゃないか、もちろん、これが具体化するかどうかは、柏崎等についてはこれからの問題でありますが、そういう敷地が用意をされ、そういう計画が発表をされているということであります。  そこで、きのう私は運輸省の分科会に出まして、そうして、東の九十九里浜、西の若狭湾というように、新全総等で考えておる観光レクリエーション大規模基地の構想についてただしたわけなんです。私がこの若狭湾のことを申しましたのは、いま言ったように、福島や柏崎、こういうような大型集中化のモデル的なものがいま現に若狭湾に進行しつつある。だから、ここの問題を論議をすることは全国的なこれからの原子力発電の開発の問題を論議することとなる、こう考えて、具体的には若狭湾の問題を取り上げてまいりたいと思うわけであります。  で、運輸省では、若狭湾一帯を海洋性の大規模観光レクリエーション基地と こういうようにして、東では、東京中心に九十九里浜、西では若狭湾に海洋性レクリエーションの基地を建設しようと、これにバックグラウンドの内陸の山や文化財を含めた特徴点を生かして、新全総でも、経済企画庁のほうでもそう考えておりますが、毎年一二%ずつ増大をしてきますと、大体去年で七百万人若狭湾に観光客が来ております。夏は、七割で五百万、そのうち海水浴に行った人は三百五十二万と、こう言われておるんですが、運輸省のレクリエーション需要調査というのがあって、関西、名古屋を中心にずっと調査した結果、大体千五百万、その程度の需要があると。そこで、場所としては、近畿圏に一番近い、ふさわしいところは、西では若狭湾である、ここにそういう大きな基地をつくりたいということで、一昨年以来調査が進み、すでに具体的に高浜という町にはヨットハーバー等の建設がことしからされようとしている、こういう状態にあります。さらに運輸省だけではなくして、農林省は、この若狭湾の中に、三方の村には国民休養村、あるいは環境庁は海中公園、こういう指定をされておるし、あるいは各省からの一大基地としてのいろんな指定等、建設が進められようとしておる。そこで、年内に千五百万からのいわゆる観光人口、しかもそれは、きのう確認したのは、単に遊びに行くという場所ではなしに、レクリエーションは、今日、そのことばのとおり、再生という意味から、都市や工場で空気や水でよごれた、そういう場所で働いた人が、きれいな空気や水のところに行って休養をとって、家族連れでも休養をとって、あしたまた働く英気をつくっていく、力をつくっていくと、こういう国民保養基地としての考え方が持たれなくてはいけないということを私強調して、ことばは観光レクリエーション基地であるが、中身はまさに保養基地である、こういうことを運輸大臣も経済企画庁の担当局長も確認をされておるわけです。  そこで、私は大石長官に伺いたいんでありますが、こういうように年々一二%ずつ観光人口がふえる、しかも、日本で有数の大型の観光レクリエーション基地を建設しようとする、されつつある、そういう中に、いま先ほどから数字が出たようないわゆる大型原子炉が集中するということ、これについて、これは環境を考える立場にある長官から、具体的に一般論として、大型集中化ということは好ましくないという問題でありますが、そういう場合に、具体的にいまのような条件を考えた中で、若狭湾の中における原子炉の大型集中化をどういうようにお考えになるか、このことをひとつお伺いしたい。
  176. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまいろいろな御意見がございましたが、あの地区を海水浴を中心とした一つの大きな国民の保養地にするということについては、私は非常にけっこうなことだと考えております。それにつきまして、われわれもできるだけそのような自然環境を保全しながら、国民の一番利用されやすい保養地にすることについては全面的に協力してまいりたいと考えております。ただ、大型の原子力発電所の集中とどういう関係になるかということになりますと、実は私も的確なお答えをする自分の勉強と申しますか、信念がございません。われわれは、いまの原子力発電というものは公害の少ないものだという信念のもとにいま努力しております。ただ、公害と申しましても、温排水とか、いろいろもちろんそういうものも心配しなければなりません。そういうものに対しては今後十分に検討すべきだと思いますし、また、日本では十分に原子力発電に対しては安全性をとってあるようでございますが、万一の場合もやはり考える必要がございますから、そういう点では、集中化というものは必ずしも望ましくないということを申し上げたわけでありますが、ただ、海中に温排水が出される場合には、非常に微量でありますけれども放射能が出ているということでございます。それは非常にネグリジブルと申しますか、必ずしもそれは人間の健康その他には影響を与えない程度のものだ、非常に許容範囲の低いものだという考え方で、そういう知識ておるわけでございますから、それなりに心配しません。したがって、そのような、かりに海水浴場の近くに——若狭湾というと、ずいぶん広いんでしょうけれども、どのくらい離れているかわかりませんが、近くにそのような原子力発電所ができるということに対しては、私はいまの科学技術庁を中心にしたものの考え方に従っておりますので、心配いたしておりませんが、やはり、何と申しましても、過度の集中ということは、さっき申しました理由から、あまり好ましくないと思うんです。ですから、その範囲をどのような標準でこれを判断したらいいかわかりませんが、やはり何らかの判断の基準を科学技術庁が中心としてつくっていただければ、それを中心にわれわれもいろいろなことを考えてまいりたいと思う次第でございます。
  177. 辻一彦

    ○辻一彦君 それで、日本の原子力——私はここで安全性の問題を具体的に論ずるのは場所をちょっと考えなくちゃいかぬと思いますので、これはまた別の場でやりたいと思いますので、そのことには深く触れませんが、私たちがごく常識的にあの地方に住む住民として考えましても、アメリカでも、原子炉をつくる場合に、敷地はやはり原則として大衆から十分隔離をしている。いろんな段階といいますか、いろんな変化がありますが、一番基本は、やはり万が一ということを考えて大衆から隔離をしている、十分隔離をすると、こういうことをまず第一にあげておりますし、日本の立地指針にも大衆から隔離をすると、こういうようにあげられておるわけです。  そこで、詳しい安全論議ではないんでありますが、やはり万が一ということを考えれば、そういう大型の原子炉がたくさんできるということは、大衆から隔離をするという点からいうと、どうも若狭湾は、計算では、それはこの量しか出ないのだから心配がないと計算をされておりますが、まず普通に考えて、そういうたくさん人が集まる、そういうところに大型炉が集中するということは、これはどうも環境という点から考えまして、避けるというのが、ごく普通に考えられることじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
  178. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 国民の核アレルギーと申しますか、核に対するいろいろなものの考え方ですね、それから、いま言った安全性の問題、そういうことから考えますと、なるほど国民の海水浴を中心とした保養地と、その原子力発電所の間には相当な広い距離があったほうが望ましいと思います。ただ、ものの考え方が、どういう考え方をするか、たとえば日本の経済、いま、もちろん日本の政治は経済優先ではなくて、人間尊重でありますが、そのどこかで折り合いをつけなくてはなりませんが、その折り合いにおいて原子炉をそこにつくるということ——もちろん、私は、集中的な過度な設置は初めから賛成でありませんけれども、ある程度の原子炉をつくるということと、それからいま言ったような国民の保養を中心とした海水浴の場所を考えるということについて、やはりそのような判断をして折り合いをつけなければならぬと思うのです。で、原子炉をつくるのに、それ以外に適地がないということになれば、いろいろなことを考えれば、ある程度原子炉の設置ということを優先に考えてもいいと思います。やはり適正に配置を考えると同時に、ほんとうを言えば、日本じゅうどこへ行っても海水浴ができるのが当然だろうと思うのですが、それが日本のどこかの数カ所にそういう地域を求めなければできないというのはまことに情けないことなんですけれども、しかし、現実は、現状はそうなんですから、そのようなわけで、若狭湾にそのような一千万人も千五百万人もの海水浴を中心とした保養の人を持っていくということも、これも重大問題ですから、それを中心考えるか、どちらに重点を置くかということになると思います。私自身は環境庁ですから、国民の保健と申しますか、国民に対する環境をよくするということに重点を置きたいと私は思います。そういうことを中心考えておりますから、いま言ったような国民の保養地になることが望ましいと思います。健全な保養地になることが望ましいと思いますが、そのことを、いまのような原子力、経済の問題と、どこかで折り合いをつけなければならぬということになりますので、その判断のしかたをやはりきめなければならぬと、こう思います。
  179. 辻一彦

    ○辻一彦君 で、まあ安全の問題は深く入りませんが、たとえば、参考までに申し上げておきますと、若狭湾に大飯原電という、いま問題になっている、安全審査はパスしましたが原子力委員会がいろいろな地元の動き等によって設置の認可をまだされていないところがあります。一基百十七万五千キロワット、二基ですね。言うならば、これをこえる大きさは、アメリカに百十九万キロワットというのが五年後に建設をされるので、百万キロワット台はありますが、百十七万五千というと非常に大きな原子力発電所になります。これが二基ですね。  ところが、ちょうどアメリカにテネシー峡谷の会社がやっているセコイヤーという原子力発電所、これはやはり百十七万五千キロ、全く同じ大きさなんです。しかし、この場合に、いろいろ資料を見てみますと、アメリカも技術の面はずいぶん進歩をして変化をしておりますが、それでも原子炉の周辺にかなりの地区の低人口地帯、人間の希薄な地帯周辺に置いて万が一という安全に備えている。しかし、わが国の場合を見ますと、まあ計算ではこういうふうになるという安全専門審査会の結論でありますが、そういう低人口地帯というものは、計算上は敷地の八百メートルの中に全部入るから心配がないという、こういう説明をされておるわけです。この許容量といいますか、がまんできる量という、そういうものは、データの置き方によっていろんな変化が起こるものでありますので、私は、この問題を論議すれば非常に時間がかかるので、ここでは論議をしませんが、かりにそういう計算で安全であるとしても、アメリカの場合にはかなりな周辺考えている。それに対してわが国の場合は、これはいろんな事情があると思いますが、そういう点の配慮がどうも非常に乏しいという感じがする。そういう点で、私は、こういう人が集まるところに、容易に、安易に原子力発電所というものが設置をされていくんじゃないかというように思うわけです。  そこで、科学技術庁にお伺いしたいのですが、世界の中で、いま、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ソビエト、カナダ、かなり原子力発電所がありますが、こういう海水浴のお客さんが、今日でも五百万近く——三百五十数万、ほかの例では五百万近く夏集まるという、そういうようなところにこういう大型の原子炉が集中しているというような例が、ほかの国にあるかどうか、参考に一応伺いたいと思うんです。
  180. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 原子力発電所が若狭湾のように集中しているところは、これは日本の立地的な特殊性もありまして、世界には例がないと思いますし、また、海水浴の客が年間何か数百万という、全体をとってみますと、そういう点も例がないと思いますが、ただ、外国の例等を見ますと、原子力の発電所の隣等に海水浴場があるという例もだいぶ見られておりますが、ただ、数の問題としては、日本のような人口稠密の、海水浴場の非常にまとまって多いところも例はないと思います。
  181. 辻一彦

    ○辻一彦君 科学技術庁の論議は、またゆっくりやることにしますが、イギリスの場合も、なるほど海岸があって、そこでは太陽で背中を干すようなところとか、こういうのがありますが、そういう大規模の観光地帯といいますか、人の集まると  ころは少ないじゃないかと思うんです。そこで、そういうことが一つ非常に特徴的な形で、まずあるということをここで一点確認をしておきたいと思うんです。  第二は、私は温排水の問題を少し論議をしたいんでありますが、三月の二十四日の科学の委員会でいろいろ明らかになった中で、科学技術庁の、温排水の拡散範囲は、大飯原電百十七万五千キロワット、二基ですね、大体、沖合い二キロまで拡散すると、こういうふうな計算をされて、私どもあと数式も出されたわけなんです。水産庁は、一基でもって、それは二キロ。だから、大体計算からいけば、水産庁の平野方式によれば二基四キロということになって、これは倍と半分の非常に食い違いが、事実、計算で出ている。しかし、百万キロワットの原電を動かして、その出た温排水をはかったわけじゃないんでありますから、そのデータはなかなかむずかしい点があります。しかし、一昨日の新聞で私承知したのですが、北海道の水産部、道の水産部が二カ年にわたって、温排水の拡散と、それから漁場の環境調査を行なった。これはかなり膨大な資料であって、ここには私要約程度しか持っておりませんが、いろいろ聞き合わせて調べてみると、かなり膨大な資料でありますね。それを見ると、かなり拡散の範囲というものは大きくなっておるわけなんですね。一そういう点で、水産庁のほうで、北海道の道庁のほうで調べた実態がわかっておれば、ひとつ御報告をいただきたいと思うんです。
  182. 太田康二

    政府委員太田康二君) ただいま先生から御指摘になりました北海道の「岩宇地区漁場環境調査報告」という報告を実はごく最近手に入れまして、私どもこれに直接タッチをいたしておりませんので、現在、この中身につきまして、道庁について詳細聞き取りをいたしておる段階でございまして、まだ詳細について御説明を申し上げる段階に至っていないのでございます。
  183. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、これだけではどうもならぬと思って、きのうからけさにかけて、電話等でいろいろ聞き合わせてみましたので、その点を若干補足しながら申し上げてみたいと思うんです。  ただ、私、水産庁に一つ申し上げておきたいんですが、昨年の十二月の暮れに内閣委員会でこの問題を取り上げ、三月にも温排水の問題を取り上げている。そういうときに、ほかの県で温排水の問題について、こういう実態について研究、試験されている例はないかと、こういうことを置きますと、まあ、ないというようなことであったのですが、北海道庁の水産部長が「はしがき」に書いておりますが、かなり精度の高い結果を得たものであるというように、前書きに書いておりますが、二年間、かなりな人員と経費と、そうして範囲にわたって、温排水の拡散、それから水産資源に及ぼす影響等を調査しておった。そういうことを水産庁が、直接一緒に研究しておったでないにしても、キャッチされていないということは、私は、これだけ問題になっている熱公害、温排水に対する水産庁の取り組みの熱意を若干疑わざるを得ないんですが、その点、ちょっとお尋ねをしておきたいんです。どうですか。
  184. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私、先生との間に私どもの職員とどういうやりとりがあったか、よく存じ上げておりませんが、おそらく、私どものそのときの答弁の趣旨は、最終的にそういったまとまったものはいただいてないという意味で申し上げたんではないかと思います。もちろん、北海道の水産部におきまして、岩内を中心として北海道電力が原子力発電所をつくりたいというようなことで、岩宇地区についての調査をやっておるというようなことは承知いたしておったというふうに考えております。
  185. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、それをあまり追及するのが目的でないですから、十分ひとつ、各県でいろいろな調査をやっていますから、気をつけてキャッチしていただくようにお願いしたいと思うんです。  そこで、この数字によりますと、北海道の水産部と、それから中央水産試験場、北海道大学、国際航業と、この三者が共同で二年間にわたって調査をしています。それによると、一秒間に三十トンの温排水が出た場合——これはシミュレーションというんですか、電算機を使って、非常に複雑ないろいろなデータのもとに計算をしておるようでありますが、これによると、温度一度差が起こるのは沖合い一・八キロだと。しかし、これは潮のかげん等によって最大が一・八キロの長さでありましょうが、もちろん、その潮のかげん等によってはもっと小さい数字も出ております。しかし、一・八キロという数字が出ている。そこで、大飯百十七万五千キロワットは——百万キロについて大体一秒に七十トン温排水が出るというふうに科学技術庁でも計算をされている。そうなりますと、百十七万五千キロワットは八十三トン・秒、二基ならば百六十六トンの一秒間に温排水が出るという計算になります。そうすると、北海道の一秒当たり三十トンというのと比べて、約五・五倍ということになるんですが、これは、私は、単純に掛け算によってそういう数字が出るという、そんなものではないと思うんですが、しかし、いずれにしても、秒三十トンで一・八キロならば、百六十六トン、五・五倍の場合には、これよりもかなりな範囲にこの温排水の拡散ということが一度差で考えられるんじゃないか、こういうように思うわけですね。  そうしますとね、科学技術庁のほうは、大飯原電二基で二キロ、水産庁は、二基になれば大体四キロということになると思うんですが、さらに北海道のほうを計算すれば、これはもう少し大きな数字に私はなると思う。こういう点で、かなりな範囲にこの温排水が拡散をするという可能性があるわけですが、しかも、これについて北海道の水産部長は、こういう「はし書き」を書いております。「温廃水の拡散については、できる限り現実の諸条件を加味して拡散範囲を予想したものでありますが、これによっても複雑な自然現象のすべてが含まれているわけではないので、温排水の拡散範囲がこの形に限定されるとは云えませんが、かなり精度の高い結果を得たものと考えております。」、こう言っております。それから同時に、そのときに、新聞の記事によりますと、北海道電力がこれに対して感想を求められて、こういう発言をしておるんです。「二年間がかりで科学的に調査したものであり、正当なものと評価せざるを得ない。この結果をもとに技術的な改良を加えるなどして漁民とのトラブルを避けたい」と、こういうふうに言っていますが、北海道電力も、二年間にわたる道庁と北海道大学と、この合同調査の内容について精度の高いものだということをかなり評価していると私は思うんです。  そうなりますと、温排水の拡散の問題というのは、いま、さまざまな形で出ておりますが、私はこれは非常に問題のあるところでないかと思う。こういう点が、実は、原子力の安全審査にあたっても、すっぽり別の問題として抜けておるし、それから環境庁に言いますと、環境庁は、規制の規準をつくらなければ、何年か先でないと、どうにもならぬとこういうことであります。原子力委員会は、少し幅広く問題を考えている、それはひとつほかでやってほしい、こういうことでありますが、私は、こんな問題は、これはひとつ環境庁で十分考えてもらわないといけないと思うんですが、そこらは、長官、どうお考えでしょうか。
  186. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いままでの辻委員お話、非常に私は傾聴に値する御意見だと、いま聞いておりました。私の考え結論だけ申しまして、このような温排水に対する研究は、日本でいままでなされてないわけではないと思うんです。各地におきまして、たとえば東電でも、その他いろんなところで、いろいろな各種の実験はしていると思うんです。そういうものが局部的になされまして、それが総合的にそういう結果を持ち寄って、そういうものを検討すれば、さらにもっと総合的ないい判断ができるでしょうし、それを土台として、よりさらに大きな研究を進められまして、温排水の問題がもっともっと究明されておったと思うんですが、いままでそれがなかったと思います。北海道でもそのようなりっぱな研究がなされたことは、非常に私はうれしいことだと思います。こういうことにつきましては、環境庁でも、御承知のように、三月に千葉県で、あの火力発電所の温排水を使いまして、予備実験もいたしました。それを終わりまして、 それを土台として、今度夏に若狭湾において実際の原子力発電所を中心としまして温排水の影響についての研究をいたすことになっております。  で、私は、環境庁でなくても、どこでもいいんですが、このような温排水の研究をしている、そういうところ、みんな糾合して、そのようないろんな研究成果を持ち寄って、そういうものを総合判断することが大事じゃなかろうか。それを土台として、そうして新しい温排水に対するものの考え方、そういうものを、はっきりと研究して見きわめていくことが非常に大事じゃなかろうかと思うんです。これから原子力発電所はいろいろ各地でつくらなければならぬでしょうけれども、そういうものをつくる場合には、このような基礎がなかったら、私はどうしても多くの地域住民を納得させることはできないと思うんです。また、漁民に対する補償もできないと思うんです、私は。当然これは早急にやらなければならぬことだと思います。そうして、これは二年も三年もかかりましょう、いろいろな結果は。かかってもいいんです。発電所ができるまでには五年なり六年なりかかりましまうからね。いますぐの結果でなくても、とにかくこういう努力は必ずしなければならないと思うんです。ですから、私は、科学技術庁が中心になれば一番いいと思いますけれども環境庁でもけっこうです。一ぺん、こういういままでの研究をしているところをみんな集めまして、それですっかりこれをお互いに検討し合い、それで今後のあり方を相談するということをぜひやらなければならぬと、こう考えておる次第でございます。
  187. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、さらに、この調査によると、水産資源に与える生物影響予察ということが出ております。親魚に与える影響、それから卵、稚仔といいますか、小さい卵からかえったばかりのものに対する影響、あるいは海藻に与える影響と、三つ出ております。大きな魚は、水深の関係から推して、百五十メートルから二百メートルという水深を主産卵場とする親魚はあまり表面に拡散する温排水の影響は薄いだろう、こう見ておりますが、問題は、卵や、かえったばかりの——稚仔と言っておりますが、卵からかえったばかりの幼魚でありますが、これに対する影響はかなりあるとびうことをここで出しているわけですね。特にそれはいろいろの条件によるけれども、取水口から大量の吸引をする、冷却水を吸引する、そのときに、上層に浮遊する、浮いているところの卵や小さい稚魚が、かえったばかりの稚仔が急速に大量に引き寄せられて、それが復水機というか、冷却機の中を通って、その熱交換過程において斃死をする。あるいは、外に出た温排水が拡散をする、その中に卵や稚仔が入って、それによって斃死をする、そういう問題がかなり大きな問題で、この点は非常に研究をしていかなければならない、こういうことがやはり、要点だけですが、出ておるわけなんです。私は、こういう点を考えると、いわゆる水産資源に与える温排水の影響は、従来そうたいしたことはないだろうと言われておったのに比べて、かなりの影響というものがあるのではないかと思うのですが、 その点の見解を、まず水産庁から伺いたいと思うのです。
  188. 太田康二

    政府委員太田康二君) それでは、私から一般的に、いままで私ども考えておりますところの水産資源に対する影響の話を申し上げまして、今回の北海道の調査につきましては、私ども調査研究部長からお話を申し上げたいと思います。  私どもも、一般的に申し上げますと、いろいろの見解が出ているわけです。私どもの実験結果等によりますと、これはすでに先生も御承知のとおりだろうと思いますが、排出口において、取水時に比べて五ないし九度ぐらい上昇している、沖合に拡散するに従いまして温度差は急速に小さくなりまして、毎秒六十トンの排水が排出された場合に、平均的に見ますと、排出口から九百メートルで温度差が二度、二千百メートルで温度差が一度程度になるというふうに言われております。  そこで、魚介類に対する影響でございますが、一般に魚介類と申しますのは、生存可能な水温の範囲がかなり広いということが言われておるわけでございまして、温排水によりまして水温が恒常的に上昇しているという場合には、その海域の生物層が局部的に変化することが当然考えられるわけでございます。そこで、特に私どもが最も影響を受けやすいと考えるのはノリでございまして、ノリは高水温の影響を非常に受けやすくて、漁場の冬期の水温が十度以上になりますと、きわめて病害が発生しやすい状態になるということでございますので、かなり影響があろうと見ております。しかし、温排水を冬期に逆に魚類等の養殖に積極的に利用するというようなことも可能でございまして、このための基礎的調査の研究に私どもとしては着手をしているというのが現在までの実情でございます。
  189. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、この資料に基づく説明では、大体私も見てわかっておりますから、これはこれでいいのです。しかし、問題は、卵や稚仔へのそういう影警ですが、これは水産庁でも生物的に検討いただきたいと思うのです。  そこで、この温排水の拡散する問題、その温度の問題もありますが、一体量的にどれくらいの温排水がこういう大型原子炉が集中した場合に出るかと、こういうことを考えますと、これは百万キロワット単位で大体七十トンというのが、科学技術庁、水産庁を通しての実際から出てきた数字であります。そこで、若狭湾で六百二十万キロワット、いま三百万キロワットですが、もし全部が許可になったとすると六百二十万キロワット。その場合に、一日に三千七百万トンの温水が出る。千二百万キロワットの五十五年度の計画がもし実現したとすれば、七千二百万トン、六十年の千五百万キロワットというのが出るとすれば九千万トンから一億トンの温排水が若狭湾の五十一キロの間に注がれるということになる。それから柏崎を計算すると、八基、一千万キロワット——百二十万程度があの敷地の両側に、まん中をはさんで両側に四基ずつという計画がありますが、できるとすれば、一千万キロワットで六千万トン、福島が八百万キロワットとすれば四千八百万トン、これは一体どのくらいの量になるかといいますと、新潟県で信濃川というのが日本で一番大きな川でありますが、これが平均してどれくらいの流量を持っているか調べてみると、大体、聞いたんでは、一秒に四百トンというのが信濃川の平均した流れ。それから換算しますと、若狭湾にいまの全部の計画が原子力委員会が認可したとすれば、六百二十万キロワットというのは一秒四百三十トンですから、信濃川一本よりちょっと大きいのが温排水でずっと流れ込んでくる。千二百万になれば二本、千五百万なら二本半ですね。柏崎にも一千万ができるとすれば、信濃川一本半の温排水というものが流れ込むということになる。この量というものは、なるほど海に比べれば、重さからいったって、それは大きな海の量には及ばないわけでありますが、しかし、漁場をかなり持つ、あるいはいろいろな自然的な環境を持っている、そういうところにこの程度の温排水が流れ込んだ場合に、温度によるところの影響もさることながら、全体の量における影響ということも無視することはできない、私はこういうように思うのですが、こういう問題について、長官として、温排水はこういう大量のものが具体的になれば流れ込む、こんなことをどうお考えになるか、お伺いしたいと思うのです。
  190. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまお聞きすると、ずいぶん大きな量であります。ただ、私は、量だけではなくて、その水流の問題が、海流と申しますか、流れですね、その排出される温排水のスピード、早さ、水速といいますか、流速というのは、私は大きさでずいぶん加速度的に変わってきていると思うのです。ですから、お話のように、驚くほどの大量の温排水が排出されますが、それだけではなくて、いろいろなその海域の大きな質的な変化も来たすおそれが十分に私はあると思います。そういう意味で、やはりこういうことを考慮に入れますと、実際にどのような大きな漁業に対する影響を与えるかということは、やはり想像以上のものがあるのじゃないかと思うのです。で、こういうことにつきましては、やはりほんとうに総合的な研究によりまして、これに対する研究をして対策を立てるということが、この問題の解決の一番基本的なものではなかろうかと私は考えます。
  191. 辻一彦

    ○辻一彦君 それで、これは日本ばかりの問題ではなしに、いまアメリカでは、この問題が一番大きな問題になっておる。もちろん、科学技術庁も言われるように、アメリカは湖や内陸にかなりの発電所を持っておりますから、海とはまた違った条件がある。そういうむずかしさが、よりありますが、しかし、いまアメリカの最大の原子力発電に関するネックは、熱公害、熱汚染をどうするかということが一番大きな問題になっている、こういうふうに私たちは資料等で理解をしておるわけです。たとえば、アメリカのフロリダ・パワー社のハッチンソン原電、八十五万キロワット、その冷却排水が環境に重大な結果をもたらす、こういう可能性があるので非常に問題になっておる。で、会社は、初めインデアン川からの取水を大西洋側に切りかえるために、一千万ドル、約三十五、六億のお金をかけて、まず水の切りかえをしたと、こういうことが言われておりますが、それでも、あの土地に生息する海ガメですね、これの生殖サイクルに非常な影響を与える危険がある、こういうことで非常に問題になっておったところなんですが、こういうように、日本だけでもなく、外国、特にアメリカにおいてこの熱公害のことが非常に問題になっている。  それからまた、試験の面でも、たとえばこれは全漁連の役員の方がイギリス、アメリカのほうを視察したときに、イギリスの東海岸のローストフトというところに放射能魚類生物研究所というのがあって、農林省で百二十名のスタッフをもって五、六年前からずっと研究をやっている。これは、放射能物質の水産資源への蓄積の追跡、あるいは水槽の中で、ほとんどの定地性、回遊性、海藻類、こういうものを全部扱っておる。あるいはモニターを引き受けている、また、年一回海産物を集めてたんねんに分析、資料として出している。こういうことをやっているというのだが、沿岸漁業がほとんどないイギリスでもこのぐらいの段階を踏んで、この温排水あるいはこの問題に取り組んでおるわけですが、日本のようにこれだ甘広大な海岸線を持ち、しかも国民の重要なたん白資源をこの沿岸漁業にたよっているという状況の中で、私は、あまりにもこういう温排水、こういうものが、あるいは水産資源に与える影響、また放射能等が微量であってもそれが蓄積をしていく、こういうものの追跡、こういうものが非常におくれている、こういうふうに私は思うのです。  これは科学技術庁にも伺いたいのですが、東海村に参りますと、こういう温排水から出る微量の放射能の試験等は、もうこれはほかへ移して、ここではやめてしまったんだと、こういうことも聞きましたが、私は、東海村の研究所にしても、あるいは環境庁にしても、水産庁にしても、本格的にやはりこれだけの原子力開発を考えるならば、段階として、まず前に、こういうことをやるということが非常に大事じゃないか。そういうものを飛び越えてしまって、ただ電力が要るんだからという計算で、どんどん原子炉をこういう形で進めていくということには非常に問題があると、こういうように私は思うのですが、その点を、それぞれからひとつお伺いしたいと思うのです。
  192. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いまの御意見は全くそのとおりです。御承知のように、日本公害がなぜこんなにひどく発生したのかと申しますと、結局は、経済開発ということで、その大きな開発に向かって一生懸命まっしぐらに突き進みましたけれども、生産は上がりましたけれども、それに伴って出てくるいろいろな廃棄物とかなにかを処理するようないろいろの社会資本の投下ということをおろそかにしたことが大きな原因だったと思うのです。それと同じことを今回また繰り返しつつあるのです。ですから、環境庁ができた以上は、これは考えてみると、同じようなわだちを踏むような行政はやらしていけないと思うのです。なるほど原子力発電、私は必要だと思います。これはぜひつくらなければならぬと思いますけれども、同時に、やはり、おっしゃるように、これに対するいろんな発生し得る公害を予防することを前提としてこの原子力発電の開発をする、そういうことが一番大事だと思います。いまあなたのお話を聞いて、なおそういうことを痛感いたしました。ですから、私の考えとして、先ほど申しましたように、この原子力関係で温排水の研究をしているすべてのものを糾合いたしまして、ここでその結果を集めて、そしてそれを土台として、どのような対策を立てたらいいか、どのような研究をしたらどうかということを、全部の力を合わして、このいわゆる熱公害と申しますか、これを起こさないように、これを押えることに努力してまいりたいと考えます。
  193. 太田康二

    政府委員太田康二君) 御承知のとおり、放射能によりますところの海洋汚染につきましては、もちろん、こういった施設の設置にあたりまして、現場の科学的な調査に基づいて、原子炉等の規制法によりまして定められた基準に従いまして排出されておるわけでございます。そして、原子力発電所周辺のモニタリングにおきましても、原子炉設置者がこれを行なうことが義務づけられております。そして、その実施条件につきましては、国がきびしく監視することとされておりまして、また、地域によりましては、地方自治体を含めた環境放射能の監視体制をとりまして、そのつど監視の結果を公表しているということでございます。もちろん、監視方法等につきまして一そうの万全を期するために、福井、福島等の既設発電所の排水口周辺におきましては、私どもの水産研究所をはじめといたしまして、放射能医学総合研究所あるいは公衆衛生院等、国立研究機関が府県の協力を得まして、資料の分析あるいは測定を行ないまして、水産生物等への放射能の蓄積状況等の調査研究に当たっておるのでございます。一般的に申し上げまして、放射能の魚介類そのものへの影響につきましては、幾つかの魚卵あるいは淡水魚等についての実験研究結果があるわけでございまして、これによりますれば、現段階におきまする原子力発電所の排水に含まれる程度の低レベルの放射能では影響がないというのが一般の見解になっておるのであります。もちろん、このことが水産にとって重要な問題でございますので、低レベルの放射能が魚卵のふ化率、あるいは生殖細胞の形成等についてどのような影響を及ぼすかということにつきましては、さらに組織的な研究を行なう必要があるというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、四十六年度に東海区水産研究所に放射能部という部を新設をいたしまして、現在、この放射能部を中心といたしまして、他の専門分野の研究者の協力を得ながら、基礎的な研究を行なっておるのでございますが、地域的な具体的問題を提起されるわけでございますので、これら地域的な具体的問題につきましては、この東海区水産研究所の放射能部と、私ども関係の各水産海域の水産研究所がございますから、そこの海洋部あるいは資源部等の研究者が協力をいたしまして、地元の都道府県の水産試験場等を指導しつつ、必要な調査研究の一部を分担するというような方法で現在対処をいたしておる。しかし、先生の御指摘のとおり、水産業に与える影響というのはかなり真剣に、さらに検討を深めなければならないということで、私どもとしましては、将来さらにこの面に対する体制を強化していかなければならないというふうに考えております。
  194. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、時間の点もありますから、私は、原子力の環境という点から、三つ目に、廃棄物の環境に与える影響という問題について考えてみたいと思います。  原子力局長に伺いますが、敦賀三十五万キロワット、美浜三十四万キロワット、これは三十五万にアップしておりますが、これが一体一年間にどのような種類と量の廃棄物を残すか、それをちょっと御報告を願いたいと思います。
  195. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 廃棄物というか、排水とか気体として放出する放射能でなくて、発電所へ残る廃棄物の意味だと思いますが、まあ具体的にいま敦賀幾らという計算はちょっとできかねるのでありますが、炉形としてBWRとPWRがありますが、まあ十万キロワットの原子力発電所から発生する廃棄物をドラムかんに直しまして見ますと、BWRの場合は、一年間で二百リットルドラムかんで約七百本くらいが廃棄物として出るという計算になっております。それからPWRの場合は一年間で三十本ぐらいということであります。まあ若狭湾におきましては、原電はBWRでありまして、これは相当本数としては多い廃棄物が出る。それから関西電力の高浜とか美浜、大飯等はPでありますので、まあ十万キロワット当たり三十本ぐらいの廃棄物が出るという計算になります。
  196. 辻一彦

    ○辻一彦君 その廃棄物と同時に、燃料棒を燃やす場合、それに伴って、放射能を含む高レベルの灰と、それからそれを含むところのかなりな廃棄物が出るわけですが、その量はどうなります。
  197. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) 原子力発電所から出る廃棄物は、非常にレベルの低いものが大半でございますが、いまちょっとその高いレベルのものがどのくらいか、いますく——ちょっとお待ち願いたいと思います。——これはマクロ的な計算でございますが、昭和五十年をとりまして、まあ発電規模が八百五十万キロワットの場合、大体BWRが五百二十万ぐらい、それからPWRが、三百三十万キロワットの計算で見まして、これから出ますところの廃棄物は、低レベルにつきましてはドラムかんで四万二千本というような計算になっております。それから、中レベルにつきましては、まあレベルの高いものでありますが、これは一年間で容積で二十トンということになっております。
  198. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと伺いますが、これはちょっと話が飛びますが、広島に落ちた原爆一発分は一キロの放射能の灰を含んでおった、これと同じ灰を、大体三十三万キロワットが一日動くと一キロの灰を含む燃料が消費をされる、そして、その灰を含む廃棄物の重さは大体三十キロ、こういうように一応私どものほうはいろんな資料で見ておるんですが、間違いないですか。その点、どうですか。
  199. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) いま私が申し上げましたのは、残る廃棄物のことでありまして、再処理等から出ますところのそういう発生物の問題はそのとおりだと思います。
  200. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、一年間に三十三万の敦賀、美浜原電クラスが動くと、三百六十五日で大体三百六十五キロ、だから百万キロワット単位にしますと一年に一トンの放射能を含む灰ができる。そしてそれを含む燃料の、もう少しそれを取り巻くものは三十トンぐらいになるわけですね。これを私は六百二十万という若狭湾に当てはめてみると、一年間に二十トンの放射能を含む灰が出、六百トンのそれを取り巻く廃棄物が出ると、こういうことになるわけですが、これをもし昭和五十五年の二十八基、三千三百万キロワットというように、計画どおり拡大をしたとすると、三十三万の三千三百、約百倍ですね、百倍になります。そうすると、百トンの放射能を含んだ灰と、それを取り巻いている三千トンの廃棄物が、これは非常に高濃度のものが出る。これをいま原子力発電所は、あの下のほうに、水の中に入れて当面はうまく保管をしておるんですが、いずれこの大量の廃棄物あるいはその再処理に要するこういうものを処理しなくてはならないという問題がこれから出てきます。そうなりますと、これを一体これから、昭和五十五年というと七年間あるいは六十年、まあ計画でというと、昭和五十五年に三千三百万、昭和六十年に六千六百万、こういうようになった場合に、大量のこういう非常に高い廃棄物があるわけですが、これをどういうように処理をするのか。これは、私は、日本のような小さな国において、環境との関係において重大な問題を持っていると思うのですが、その点をひとつ科学技術庁のほうで考え方を聞かしていただきたいと思います。
  201. 成田壽治

    政府委員(成田壽治君) いま御指摘の燃料棒から出ますところのそういうフィッションにつきましては、これは使用済み燃料棒の中に入れて、そして発電所からは排出されないかっこうになっているわけであります。したがいまして、いま発電所の構内でストックしておりますところの使用済み燃料をいかにして処理するかという問題だと思いますか、これは、再処理工場というものを世界各国ともつくって、使用済み燃料、発電所で使用しましたところの使用済み燃料を再処理して、そこから廃棄物と、また燃料として使えるプルトニウムなりウランを取るという工程をやっておるわけでありますが、これは、日本では御承知のように、東海地区において、これは試験的なパイロットプラントで月産二百十トンの処理能力しかない、非常に小規模なパイロットプラントをいま建設しておりますが、非常に膨大になっておりますところの原子力発電所から出ますところの使用済み燃料を本格的にどう処理するかという問題は、第二の再処理工場をどこへつくるかという問題に関連して、まだきまっておらないところでございます。再処理工場をつくるということになりますと、発電所以上にこういう高いレベルの廃棄物が出ますので、環境問題上もいろいろ地元の反対等もありまして、サイト問題が非常に深刻な問題になるということで、いまのところ、われわれは、民間がこれをやること、事業としてやることを長期計画において期待しておりますが、どこでどういう形でやるかということは、まだきまっておらない。ただ、アメリカとかヨーロッパ等におきましては、再処理工場の増設計画がありまして、日本の発電所から出るところの使用済み燃料を持ってきて自分のところでやらないかという非公式な話も出ておりますが、これは、われわれは、廃棄物の問題あるいは環境問題等、マイナスの問題もありますが、原子力の燃料政策の問題としては、日本で再処理工場をつくって燃料サイクルを国内でなるたけ確立するのが望ましいというエネルギー政策上の一つの要請もありまして、これを環境問題とどう調整していくかということはこれからの問題で、原子力委員会としても真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  202. 辻一彦

    ○辻一彦君 再処理をする、しないにかかわらず、一番最後にはどこかに捨てなければならぬ部分が出てくるわけですね。それは、深海、海の深いところに捨てるか、あるいは地中に埋めるか、岩塩層の中に入れるか、アメリカではロケットで宇宙に打ち込むというような話も出ておるけれども、とにかく一番あとの処理は、環境の問題もからんで非常に重大な問題だと思うのです。原子力開発という問題が、これだけの規模で進められるけれども、一番最後の処理についてはまだ未定のままに残されているし極端に言うと、よく言われるけれども、りっぱな高層建築をどんどんやっている、住宅を建てているけれども、便所がないというようなもので、あと始末ができないという問題です。これをどうするかということは、私はこれから日本の環境との関係において非常に重大な問題に実はなると思うのです。  そこで、私は長官にひとつ伺いたいのでありますが、先ほどから言うように、原子炉が大型集中化することによって、全般的な社会環境というか、周辺の人口、あるいは観光とか、そういう環境の問題、それから熱公害というか、熱汚染というか、温排水の問題、それから廃棄物の問題、私は、こういうものがまだ問題としては解決されていないし、これから環境をめぐって重大な段階になってくると思うのです。そこで、私はお伺いしたいのは、これは三月の二十二日、私も原産会議に行って、アメリカ原子力委員のダブさんとか、いろいろな人の演説や報告を聞いておったのでありますが、そのときに大石長官が、原子力は公害がない、推進すべきだと、こういう趣旨の発言をされた。私はその場にいなかったので、新聞でこの記事で読んだのでありますが、そういう発言をされた、こういうことを私は見たわけでありますが、そこで、これだけ環境、熱公害、廃棄物、問題はこれだけあるという中で、規制すべき立場にある環境庁長官が、原子力は公害がないし、どんどんやればいい、こういう発言をされるということは、慎重さを欠いた発言じゃないかと、こういうように私は思うのでありますが、先ほどからの三つの環境に及ぼす問題点の論議を踏まえて、ひとつ、長官考え方を聞かしていただきたいと、こう思うのであります。
  203. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 私が原子力産業会議で呼ばれまして、十分ばかりあいさつをいたしました。そのとき、確かに原子力発電の問題に触れまして、私はただこう言ったのです。いまの発電、日本の電力の需要というものは増大しているし、これにこたえなければならぬ事情にあることはたしかであろう、その場合には、いまの火力発電がだいぶつくられておりますが、これと比べると、私は原子力発電のほうが、われわれがいま考えている公害は少ないと思う、したがって、今後つくるならば、温排水の問題その他に問題があるけれども、こういうものを研究しながら原子力発電所をつくるほうがいい、私は火力発電所をつくるよりもいまの段階では望ましいということを確かに申したと思います。いまもそう思っております。私の知識は、いわゆる放射能についての知識というものは、科学技術庁の考え方を全部私は信じておりますので、そういう考え方で、いわゆるそこから出る放射能のいろいろな被害につきましては、十分にそれは安全性がある、それからそれを許容し得る範囲のものであるという判断で言っておるわけでありますが、そのように、いわゆる直接硫黄酸化物とか、そういうようなことは、火力発電所と違いまして、原子力のほうか、より、いわゆるいまわれわれが世間で言っております公害は少ないと、私はいま考えております。そういうことを申したわけでありますが、きょうのいまの辻委員のいろいろな御議論を聞きまして、非常に私も感心したわけでありますが、おっしゃるとおり、その位置の問題、立地の問題、それから温排水、これは、さっきお話ししたように、温排水の問題並びに廃棄物の処理と申しますか、最終的な処理、そういうものにつきましてやはり十分に検討しなければ、軽々に何でもかんでも原子力発電がいいとは私は言えないと思います。しかし、いずれはこの日本の電力の需要にはこたえなければなりませんから、需要増大にはこたえなければなりませんから、一日も早くこういう問題に対する的確な方針というものをつくり上げまして、そうして将来の原子力の発電の開発に備えてまいらなければならない、それがわれわれの行政の責任であると考えております。
  204. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ、かなり考えなければならないという御発言でありますが、アメリカの原電、原子力発電所が、百万キロクラスの大型がいま多く審査がストップしているその原因は、NEPA、アメリカの国家環境政策法によって、環境問題、熱公害、こういうものに対して非常に問題になって、これに対して環境庁がいろいろなプラス・マイナスの詳細なレポートをつけなければアメリカのAEC、原子力委員会の審査をパスすることができない、こういうふうになって、このために非常に審査がストップしている例があります。また、アメリカの裁判所、コロンビアの地方裁判所は、カルバートクリフスの裁判の判決で、環境問題を原子力委員会が十分考えずに、これを、一つの会社に対してですが、公聴会も開かずに許可したことに対して、やり直しを命じているという裁判所の判決もあります。こういうように環境問題に十分この審査のときに取り組めということを、裁判所も指示を判決で出しておると私は思うわけですね。こういう環境問題の規制の先頭に立っておるのがアメリカの環境庁である、まあもちろん環境庁長官であると私は思うのです。ところが私はその中で、アメリカの原子力発電の開発についてはブレーキとそしてアクセルというものが適宜に踏まれておると思うのですよ。自動車でもアクセルだけ踏んでしまえば、これはガソリンを吹かして暴走してしまう、ブレーキだけ踏んだんじゃ動かないということがありますが、適宜に踏むことによって自動車の安全運転が期せられる。同様に私は、原子力というものはアクセルを踏むのも大事であるけれども、ブレーキを踏むところがなくちゃいけない。私が見ていると、日本の政府はもっぱらアクセルを踏むほうに急であって、ブレーキを踏む役割りを果たすところが非常に少ない。私は、環境庁こそ国民にかわってこういうブレーキを踏み、規制をする役割号を果たす役所であり、長官はその代表であると思う。それが私は原産会議における御発言を見ると、一番われわれががんばってもらいたいところが、まあひとつ公害もないのだからだいじょうぶだろう、こういう御発言をされることは私は非常に残念に思うのですが、そこらについて私はもう一度環境庁長官がこれからのこういう状態を踏まえてどうひとつ対処されるかと、こういうことをもう一度重ねてお伺いをいたしたい。
  205. 大石武一

    国務大臣大石武一君) いままでの日本の行政は、原子力につきましては、特殊な知識、技術が必要であるという観点から、全部すべての行政が科学技術庁にまかされて、一任されてまいりました。われわれはこれに対して何らの口をはさむべき権限もありませんでした。しかし、ただいまの辻委員お話をずっと聞いておりまして、私は非常な反省を覚えました、これは。おっしゃるとおり、環境庁というのはブレーキをかけると申しますか、要するに被害者を守る立場にあるのが環境庁なんです。ですから、おっしゃるとおり、われわれこれに対してこの環境庁の本来の使命というものを十分に認識してかからなければならないと思います。そういう意味では、いままで全部科学技術庁にそのことを一任してありますが、少なくとも環境保全という立場からはわれわれも口を出すべき義務があるといま考えました。ことに私が一番痛感しましたのは、こまかい——こまかいというか、詳細な、どういう具体的なことをなすべきかということはまだわかりませんし、申し上げられませんが、さっき申しましたように、日本公害の発生を起こした一つの大きな原因はいわゆるアクセルを踏むことだけを考えまして、ブレーキのことを考えなかったからだと思うのです。これはおっしゃるとおり。経済開発に伴ういろいろな廃棄物なり被害をどのように処理するかということを一切考えない。したがって、たとえば下水道をつくらないとかなんとかという社会資本のことを忘れた結果がこうなったと思うのです。そういうわれわれは経験を踏んでおりますから、原子力利用の発電の問題につきまして、やはり同じようなわだちをいま踏みつつあるような気がいたします、いまの段階では確かに。そのような同じ道を歩んでいるのです、これは。二度とこんな愚を繰り返してはいけないと思います、そういうことをいま私は感じたのです、お話によって。ですから、やはりそういう意味で、このわだちを二度と踏むまいと。そのためには、われわれもいま言ったように、原子力行政といえども、当然ブレーキを踏む役割りを果たさなければならないといま痛感しております。それが私のただいまの気持ちでございます。
  206. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ私、質問を通していま長官の最後の決意を聞いて、大いにひとつこれは国民にかわって、重大な公害から守るための規制力という大事な役割りを、ぜひ決意のとおり果たしていただきたい。特に原子力についてはこれは開発という点も重要でありますが、それはほかの役所がやることであって、環境庁はそのほうの先棒をかつぐのじゃなしに、十分ひとつ国民の、住民の側から規制の面で大事な役割りを果たしていただくように、きょうの発言をこれから具体的な環境庁の政策の中で生かしていただくようにお願いして、質問を終わりたいと思います。     —————————————
  207. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  ただいま上田哲君が分科担当委員辞任され、その補欠として杉原一雄君が選任されました。     —————————————
  208. 杉原一雄

    杉原一雄君 四十七年度の予算検討する予算委員会で、私は一貫して新全総、つまり旧全総の反省から新全総が生まれ、しかも四十四年新全総を計画し、作業段階に入って今日時点では多くのひずみを出している。これは総理も担当の企画庁長官も確認をしたわけです。しかも、そのひずみの最大なるものは公害のたれ流し、あるいは住宅不足、社会資本の不十分ということを実は確認してきたところであります。  ここに来る前は、自治省の渡海大臣と、地方公共団体の公害に対する取り組みの問題——これは地方行政の中で一番私いままでおくれていたと思うので、その点についての政府関係の所見を確かめ合って、またこちらへ参ったわけであります。あすは産業構造の面で新全総の下敷になり、犠牲になっている農業の問題を赤城農林大臣とやるつもりでおります。  そこで、きょうは公害の問題でありますが、質問に入る前に、富山県のイタイイタイ病の裁判は昨年の六月三十日に第一審における判決で勝利をいたしました。ところが、あえて被告は直ちに控訴いたしました。きのうはちょうどその十カ月目で、証人拒否ということで結審を勝ちとりまして、弁護団の総括討論の結果としてこれは必ず勝つということで、原告のいわゆるイタイイタイ病患者遺家族の皆さんも小踊りして喜んでおりました。  〔主査退席、副主査着席〕 そのことのやはり一つの大きな要因は、昭和四十三年の厚生省の見解がやはり大きなともしびとなって、こうした裁判に一つの前進面を切り開いていってくれたのだろうと信じます。その意味で、厚生省並びに厚生省の見解を支持して今日までその主張を曲げず指導し、かつ発言しておいでになりました環境庁長官にもあらためて報告を申し上げ、心から敬意を表したいと思います。  そこで、実はきのう経済審議会の立地・交通研究委員会が、中間であるかどうか知りませんが、答申案を出したわけであります。この答申案の内容は、きょう新聞で斜め読みした程度でしかありませんので、十分な検討はできませんけれども、大まかに言って、これからの日本の経済のあり方として、民間設備投資主導型、あるいは都市集中・公害型、こういうふうに委員会で規定をしておりました。だからこれからは財政主導型で地方へ分散する脱公害型の産業構造になすべきだ。だから通産は主として工場の分散をやるのだという一つの方向づけを委員会が実は出しておるわけです。これは予算委員会一般質問の中で、田中通産大臣と実はやりとりをしたところでございます。しかし、この委員会の報告を見ましても非常に気がかりになることがあります。たとえば、私は田中通産大臣とは、一体どうして工場をばらまくんだという質問をやって、資本主義の世の中でそんなことができるかと言ったら、いや、それは固定資産でまけてやります、低金利で長期のお金を貸してやる、補助金をやるんだ、こういうことで、いわゆる財政主導型の三原則を明らかにされたわけですが、ことほど簡単にいくものとは思いません。なお、この委員会の報告の中では、都市にへばりついているような工場があれば、それには水道もとめる、賦課金も取る、そしてまた公害の規制をきびしくするんだ、この最後の、公害の規制をきびしくするということばが私非常に耳にひっかかるわけです。公害を規制することによって都会から追い出してやるんだ、こういうことですが、追い出されたそういう工場が、今度は地方へ分散されて公害を背中に背負って入ってきてもらっちゃ困るわけです。そうなりますと、いま渡海自治大臣と意思統一をしてまいりましたが、やはり地方自治団体、地方公共団体は相当の度胸を据えてかからないと——今日までは工場誘致のために、工場誘致ということをあるいは立候補のスローガンにしているようなことであったわけですが、そういう地域開発という問題はもはや地方の首長なり行政担当者がとるべき時期ではないということを痛感しておるわけで、非常にその点で重大な転機を実は迎えております。だから私は、公害対策特別委員会を離れておりますが、議員をつとめる限りは公害の問題に政治生命をかけていきたいという気持ちで一ぱいであります。きょうは、そうした気持ちを心に秘めながら、具体的なこまかい問題を二、三お伺いしようと思うわけです。  第一点は、土呂久の公害の問題がことしの一月日教組の教研大会で斉藤君か明らかにしたことで、大きくマスコミの線に乗り、かつまた、国会の場にまで各党がそれを持って入り込むようになって、たいへん議論をされたわけで、非常にけっこうだと思いますが、そのあとの問題ですね。つまりその後、土呂久の地域に対してどういうような影響を与えているか、患者が出ているのかいないのか、新患者が発見されたのかどうか、同時に私はそうした一般的行政の問題として、そういう廃鉱の実態について、政府当局は全国的な総点検をするということも、これは委員会の席上で私は確かに受け取ってはおりませんけれども、いろいろな報道機関で受け取っておるわけですが、総点検には日時も要しましょうけれども、それは一体どうなっているんだ。総点検の結果、ではどうするんだ、これが一番私は大事だと思いますね。ではどうするんだ、そのことをお伺いしたいと思いますが、関連しますから、私は同じ休廃鉱の問題として、松尾鉱山のいわゆる休鉱の状態から生まれてきた、北上川の水は濁っていると、こういう問題について現状は一体どうなっているんだということですが、これは私、去年岩手の松尾鉱山も、北上川あたりも歩いてみたんですが、多くのことを述べるよりも、昨年の七月十日の岩手県議会議長の高橋清孝氏の、北上川の水質汚濁防止についての要望がありますから、これをもう一度、通産関係なり公害担当の関係の皆さんに確認をしていただきたいと思いますが、「北上川の水質は、本川の第二支川である赤川の強酸性水により、近年急激に汚濁されつつある。  北上川によせる県民感情、流域住民の生活環境の健全ならびに本県の産業開発に占める水資源としての有用性にかんがみ、もはや看過し得ない状況となっているので、政府においてはすみやかに北上川の強酸性水の浄化方法等について調査研究を行ない、水質汚濁防止のため抜本的な対策を講じられるよう強く要望する。  上記のとおり地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。」と、これで一切が尽きていると思うんです、ただ問題の根源は、強酸性の水の問題ですが、これは松尾鉱山から出ていることは、現場を私見てまいったわけですから、だからこの問題でも現場——強酸性の水を出しているところの松尾鉱山の現況はいまどうなっているか。やはり水をたれ流していて、石灰を入れて中和するという、きわめて原始的なことをいまなおやっているのかどうか。そういう状況と、北上川の汚濁の実情はどうなっているのか。それに対する対策。  そうして、土呂久と共通する問題は、土呂久は廃鉱であり、松尾は休鉱でありますが、廃休鉱に対するところの先ほど申し上げた総点検と対策ということでお伺いしたいと思います。  対策のうちで、すでに私通産からお伺いしておりますいわゆる廃鉱に備えての基金制度の設置の問題は、たしか十月一日から発足して、住友金属の社長が理事長になっていると思いますが、この基金発足ということは次善の対策としてすぐれた一つの名案だと思います。しかし、これはえてして、大きな、現在企業として生き生きとしている企業が中心になっていることで、事後の対策であります、いま申し上げた廃休鉱のことになりますと、まさに病膏肓に達して倒れた状態でありますので、こうなりますと、そう簡単に対策は出てこない。そうしますと、結果的にはPPPなどといっておっても始まりません。全くPPPは列車の警笛の価値しかありません。結局それは公共の立場であとの始末をしなければならぬということにもなるかもしれません。そうしたいろいろな問題点を意識しながら、先ほど申し上げましたように、一は土呂久、二は松尾を含めた北上川、そうしてその事後の対策等について総括的な質問のしかたをいたしました——質問をこれで一つやりましたから、あとでまた問題の偶々にわたってしたいと思います。
  209. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 質問は非常に多岐にわたっておりましたわけでございますが、最初に松尾の件からお答えを申し上げたいと思います。  松尾鉱山は、先生御承知のように、かつてはわが国で最大の硫黄の硫化鉱の鉱山でございまして、その稼行いたしておりましたときにはやはり非常に強酸性と申しますか、PHで申しますと一・六という坑内水を多量——毎分三十立方メートルというふうなものを排出いたしておったわけでございまして、このまま放出いたしますと北上川の流域の農業、漁業に相当大きな被害を生ずるおそれがあったわけでございます。で、前回、この松尾鉱山の経営が石油の脱硫によります硫黄の出現ということから行き詰まりまして、倒産に瀕したわけでございますが、そのときに今後の対策をどうするかということが大きな問題となったわけでございます。通産省では学識経験者調査結果のいろいろな御意見もいただきまして、一つは、坑口を閉塞いたしまして、なるべく旧鉱山の水準の高いところから坑内水を出したほうがいいのではないか。といいますのは、やはり鉱床の中を地下水が長く通りますと、酸性度が上るのではないかということが一つと、それから、低いところから水を出しますと水量はどうしても多くなるという問題があるわけでございます。主要な坑口といたしましては三メートルのところと、それから三十六メートル——これは鉱山での水準の言い方でございますが、二つの坑口があったわけでございます。その低いほうを閉塞をいたしまして、上の坑口からおもに水を出そうということで閉塞工事をしたわけでございます。その結果、上部坑道から出ます水が排水量で申しますと、大体いままでの三分の二——稼行時の三分の二程度に減少いたしました。PHにつきましては、稼行時にはPH一・六であったわけでございますが、現在、上の、高いところの坑口から坑廃水が出ておりますが、当初出ました水は、従来稼行時には空洞になっておりました旧坑にまず坑内水がたまりまして、いっぱいになってから上の坑口から出てくるということで、当初出てまいります坑廃水というのは、初めよりもさらに酸性度が高くなる。実際には〇・八五というふうな非常に強酸度の水が出てまいっておりますが、これが毎月徐々に改善をされると申しますか、酸性度が低くなってまいりまして、大体三カ月で〇・二くらい改善をされてきておるわけでございますが、現状におきましては、一・四七というふうな数字にまで上がってきておるわけでございます。これはまだ前回閉塞いたしましたときの数値よりはやや低い——酸性が強いという形になっております。それから、御承知のように、松尾につきましては、更生会社が現在稼行いたしておるわけでございますが、その会社に石灰石による処理をさせておりまして、その目標といたしましては、松尾の下流に四十四田ダムというダムがございますが、そのダムの地点でPHが四になるということを目標にいたしまして処理をさしておるわけでございます。現状では目標の四をわずかながら下回っております。改善計画と申しますか、下部の坑口を閉塞いたしましたときには、一応計画といたしましては、排水量については先ほど申し上げました一分間に三十立方メートルというものが十五立方メートルに減少し、PHは一・六から一・七ないし一・九までに上昇するのではないかということを期待しておったわけでございますが、現状におきましては、水量は三分の二の二十立方メートル、それからPHは一・四七というところまで上昇した。PHにつきましてはなお若干ながら上昇を続けているというのが現状でございます。  それから次に土呂久の問題でございますが、土呂久につきましては、健康被害その他環境庁のほうからお答えいただく分もあるわけでございますが、前回問題になりました以後の改善工事の進捗状況について最初にお答え申し上げたいと思います。土呂久鉱山につきましては、昨年の五月から五回にわたりまして福岡の監督局で検査を行なっておるわけでございます。鉱業権者であります住友金属鉱山に対しまして、検査のつど必要な公害防止工事について指示を行なっております。これは前回御報告申し上げたわけでございますが、全部合計いたしますと、二十七項目にわたっているわけでございます。この内容を要約いたしますと大体五つに分かれるわけでございます。その第一は、製錬がまを取りこわしまして、覆土して植生を植える、これが第一でございます。第二は、製錬場のあと、それから選鉱場のあとに対しまして、やはり覆土をいたしまして植生を植える。それから第三番目が、カラミ、ズリの堆積場に対しまして流出防止の工事をする、これが三番目でございます。それから四番目は同じ堆積場に対しまして、場外水と申しますか、雨水が流入するのを防止する排水路工事というものをやらなければならぬということでございます。それから五番目が放置坑口を閉塞いたします。これらの工事につきましてはほぼ終了をしておる段階でございますが、この中で覆土、植生の工事と、それから堆積場の成形、排水路の工事というものが一部未了になって残っているわけでございますが、いずれ四月中には完了する見通しでございます。
  210. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 北上川の状況につきましては、先ほど通産省のほうからお答えがあったとおりでございますが、土呂久につきましての、その後の環境調査の実施状況につきましてお答え申し上げます。土呂久につき申しては、四十六年度の末に、従来から宮崎県がやっておりました調査を補足するという意味合いから、五ケ瀬川水系を中心といたしまして、水系関係で三十七カ所の調査を新たに実施する。さらに飲料水系統では十二カ所、そして、農耕地の土壌につきましては十七カ所、農産物につきましては八カ所というような地点につきまして、追加調査をいたしております。この結果は現在宮崎県のほうで分析中でございまして、まだ報告を受けておらないという段階でございます。
  211. 船後正道

    政府委員(船後正道君) 土呂久地区のその後の健康調査の概要を申し上げます。昨年十一月以降の社会医学的調査の結果、八名の要精密検診者が出ましたことは前回までに御報告いたしたことでありますが、この八名と、その後、被疑者の検診等によりまして、三名の要精密検診者が追加されてなります。なお、この三名中一名は元従業員でございますので、前回の八名中三名と合わせて、四名が元従業員ということになります。この十一名の方につきまして、熊本大学病院、それから宮崎県立の延岡病院におきまして精密検査を実施いたしました。目下、その結果を熊本大学で砒素との関連性を検討いたしております。なお、この精密検診と並行いたしまして、住民の過去の死因調査につきましては、前回までは昭和二十年以降のデータしか得られなかったわけでございますが、その後昭和十三年から昭和二十年までのデータが発見されましたので、これを現在整理中でございます。それからさらに、住民のつめ、毛髪、尿中の砒素あるいは鉛、カドミウム等の重金属の人体影響につきまして補足的な疫学的調査を実施いたしまして、このデータも現在整理中でございます。これらの結果は、先般宮崎県が九州大学の倉恒教授を委員長とする調査専門委員会を委嘱いたしておりますので、この委員会で評価し、結論は五月末ごろにはまとまる予定でございます。この委員会結論を待ちまして、所要の措置を講じたいと考えております。  以上でございます。
  212. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) それでは体廃止鉱山の調査結果と対策についてお答えを申し上げたいと思います。  この重金属によります公害防止という見地から、昭和四十五年から四カ年計画で千五十鉱山の休廃止鉱山の調査を始めたわけでございます。調査の進捗状況につきましては、四十五年度に七十五鉱山、それから四十六年度に三百十四鉱山、大体全体の二分の一を終えたところでございます。もちろんこれは鉱山を選定いたしますときに、重点的に問題のありそうな山から選定をしていったわけでございますが、こういう山を検査いたしました結果、捨て石、鉱滓の堆積場でありますとか、それから坑廃水の処理関係、それから坑口というふうなものに対しましてかなりな措置を要するものが発見されておるわけでございます。で、こういう山に対しましては、休止中のものと、それから廃止された鉱山でございましても、鉱業権が放棄をされまして五年以内のものにつきましては、鉱業権者ないしは鉱業権者であった者に対しまして改善の指示をして工事をさしておるわけでございますが、こういう指示によりまして実際に実施させました公害防止工事というものの工事費で見ますと、四十五年度が約四億四千万、それから四十六年度、これは四月から十二月までの間でございますが、これが約十億四千万、かなり四十六年度につきましては多額になっておるわけでございます。それから廃止後五年をこえますものと、それから五年以内でありましても鉱業権者が、法人の解散とかそれから鉱業権者の死亡というふうなことで存在していないために改善工事が実際にはできないというものにつきましては、休廃止鉱山公害防止工事費補助金の制度によりまして、緊急なものから改善工事を地方公共団体と国と協力をして実施をしておるわけでございます。この分につきましては、これは四十六年度から始めたわけでございますが、堆積場の補強でありますとか、坑廃水の処理関係と申しますか、大規模工事が十鉱山、それから坑口の閉塞というふうな小規模工事が十八坑口ということになっておるわけでございますが、ただいま御審議をいただいております四十七年度の予算が成立いたしますと、一応私ども計画といたしましては、大規模工事について十六坑口、それから小規模工事については三十五坑口というものの手当てをしたいというふうに考えておるわけでございます。
  213. 杉原一雄

    杉原一雄君 先ほどの経過報告等の中で、松尾の場合は改善を始めた、つまり三メートルから三十六メートルのところまで上げたわけですが、その工事はいつおやりになったのか。
  214. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 四十五年の十二月に完成をいたしております。
  215. 杉原一雄

    杉原一雄君 ぼくは去年行ったんだが、そのときはもう上がっておるのかな、どうですか。
  216. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 四十六年の二月からの測定結果がここに出ておりますが、何月に先生はお見えになったんでしょうか。
  217. 杉原一雄

    杉原一雄君 去年の通常国会が終わってから……。
  218. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) そのときには、でき上がっておったわけでございます。
  219. 杉原一雄

    杉原一雄君 あのときの状況は、三十六メートルのところの排水状況であったというわけですね。
  220. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) そのとおりでございます。
  221. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうすると、それ以上上げるわけにはいかないということですね。山の姿から見ればまだ低いんですけれども
  222. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 坑口の状況その他から見ますと、やはり三十六メートル——ちょっと失礼しました、三十六メートル坑じゃございません、百メートル坑でございました。百メートル坑が技術的にできる最高のレベルでございます。
  223. 杉原一雄

    杉原一雄君 先ほどの土呂久のですが、昭和二十年以後しかわからなかったと。どうにか努力したら二十年前、昭和十三年から二十年までのデータがわかった、目下整理中だということですが、私のお願いしたいのは、その整理の結果がわれわれの手にいつごろ入るか、それがまた機密電報みたいなことになるのか、それをちょっと。
  224. 船後正道

    政府委員(船後正道君) ただいまのお尋ねは、昭和十三年から二十年までの死因調査のデータでございますが、これは現在県が整理中でございますので、整理の済み次第御報告申し上げます。
  225. 杉原一雄

    杉原一雄君 それから先ほどの質問で、ぼくが口早だったから、そこまでおわかりにくかったかもしれませんが、社団法人金属鉱業鉱害基金という制度が昨年の十月一日から発足しておるわけですが、この基金の経営状態ということと、あわせて、業務が何らかの形ですでに発動したとか、どこかこれを利用してかくかくのことをやったといったような事例が——まだ半年しかたちませんけれども、そういうことがあれば具体的にお示しください。
  226. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 基金は、発足を十月にいたしまして、今年度の末、三月三十一日でございますが、初年度の分の積み立てが初めてできるわけでございまして、その積み立てられた金を使っての閉山のための工事というものは、まだいたした実績はないようでございます。
  227. 杉原一雄

    杉原一雄君 それでは次の問題。  田子の浦のヘドロの問題の始末の問題ですね。これもずいぶん前からぼくが継続的にお伺いしてきたところなんですけれども、この間、富士市の市民から——だいぶ前でございますが、富士川の河口のほとりにサクラエビが戻ってまいりましたといったような喜びの連絡を受けたわけです。どういう意図で私のところへ来たのか、さっぱりわかりません。ただ公害のために、工場排水のために、はるかなる太平洋の沖に逃げたか、あるいは死滅したかしれないサクラエビが富士川の河口に戻ってきたということは、これは公害対策がある程度成功している。工場の排水を規制したことによって起こる現象と、ほかのことによる現象もありましょう——あるいはプランクトンの関係もありましょうから、私にはわかりません。だが、こうしたうれしいような情報も、公害対策がこういう姿勢をとったことであらわれつつあることは、ともどもに喜びたいと思いますが、しかし問題はまだ田子の浦のあたりにはヘドロが一ぱいある——非常に常識的な言い方をしますが、何万トンあるとか言えばいいのですが、私はそんなことはわかりません。そこで今日まで繰り返しいろいろな手が打たれてきたわけですけれども一つはいわゆる公害源である排水の出口を処理する、共同であろうと、いずれであろうと、そういうところはどのようなことで段階的な処理がされているのか。今日もなお排水が流れ出ているのではないかと思いますが、そういう状況等をまず確認しておきたいことと、同時に、たまりたまった、また、たまりつつあるヘドロを、聞くところによると、パィプで富士川に送るということでございますが、これは伝わることを聞く限りにおいては、そう簡単に、ことしじゅうに問題が解決するような話でもなさそうですけれども、県なり、県の処置並びにこれに対する指導行政をなさっている立場の政府は、一体どういう見通しで指導なさっているのか、その辺の実態をお伺いしたいと思います。
  228. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 田子の浦の問題でございますが、まず汚濁源はあの港の周辺にございます製紙等を中心とします企業の汚水が汚濁源でございます。これに対しましてはすでに旧水質保全法に基づきまして段階的に規制を強化いたしておりまして、その経緯を申し上げますと、昭和四十五年の十月にまず健康項目——人の健康に関係する項目につきまして、まず排水規制をいたしたわけでございます。それから四十六年の七月にはSS、これを規制をいたしました。それから、ことしの四月にはさらにCODにつきまして規制をするというように、段階を踏みまして規制を強化いたしておりますが、さらに、ことしの六月以降につきましては一般的に排水規制がかかるかと思います。そこで大企業につきましてはそれぞれ各企業ごとに汚水を処理するということで、すでに計画的に設備を整備いたしておりまして、ほぼそれも完成いたしております。それから中小企業につきましては、当初これは共同で公共下水道のほうに入れまして終末処理場によって処理をするという計画でございましたけれども、終末処理場をつくります地域の住民の反対等がございまして、急遽計画を変更いたしまして、中小企業につきましても個別処理という方針を昨年の末に打ち出しました。それぞれやはり設備をいたしておるのでございます。現在までの経過を見ますと、大体今年六月以降の規制強化には間に合うというふうに聞いております。  それから湾内のヘドロでございますが、現在約百二十万トン程度のヘドロが堆積いたしております。それのしゅんせつにつきましては昨年約十万トンのヘドロを処理いたしましたけれども、いろいろ手違い等もございまして、当初の計画以上にはまいらなかったという経緯がございます。そこで昨年の末——四十六年度の末でございますけれども、新しく計画を変更いたしまして、湾内からポンプ船によりましてヘドロをパイプでもって富士川の河川敷に送りまして、そこで天日乾燥をし、脱水ののちにこれを処理するという方式によりまして、四十六年度の末から今年度にかけまして約三十万トンのヘドロを処理するという計画で、現在その処理をいたしております。周囲の環境汚染が非常に心配されたわけでございますけれども、昨年の当初の実施の経験を生かしまして現在やっておりまして、悪臭の被害、硫化水素の被害その他はほとんど認められないようでございます。  なお、ヘドロに含まれておりますPCB等の処理につきましても、あらかじめ実験をいたしましたところ、ろ過等によりましてはほとんどPPB単位でしかPCBは流出しないという結果も出ておりますし、現在作業中の試験井——試験の井戸がございます、そこで常時監視をいたしておりますが、これも予定どおり周囲の汚染の心配はないようでございます。そういたしますと大体近く、予定の三十万トンのヘドロ処理が完了するというふうに考えております。その後につきましては、さらにこの経費の負担等の問題もございますので、あらためて計画をいたしまして、なるべく早く全量のヘドロ除去をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  229. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうすると、いまのベースでやりますと、これは三十万トンですか、ことしのいつごろまでに——梅雨期までに終わるのですか。それとも引き続きやるわけですか、通年でやりますか。
  230. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 先ほど申し上げましたように、現在やっておりますのは四十六年度末から四、五月くらいまでの間に三十万トンを処理する計画でございます。つゆどきとか夏はやはり処理には向かないようでございまして、やるとすれば秋以降やるかどうかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように経費の負担その地のこともございますので、あらためて計画を立案いたしまして作業に取りかかるという段取りだと、私ども考えております。
  231. 杉原一雄

    杉原一雄君 そうしますと、百二十万トンまだあるわけですから、三十万トンしたって、まだあと九十万トン残るわけで、三十万トンが一つの年次計画のポイントとすれば、まだあと三年ないし四年かかるわけですから、それを急速にやっていく、テンポを早めていくとすれば、どこに問題があるのですか。パイプをもっとふやすか、太くするか、圧をもう少し加えるか、これも秋田の経験を生かしていると思いますがね、私も委員会で秋田の経験をなにしたかと思いますけれども、その辺のところをどうしますか。もう三年、四年がまんせいということになると、これは行政上まずいのじゃないかと思うのだけれども
  232. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 私どもやはり問題と聞いておりますのは、パイプとか、そういう問題ではなくて、天日乾燥しました残りのスラッジの処理というのが問題だというふうに聞いております。これをどこで処理するかというあてができれば、現在の能力は相当余裕があるようでございますので、これをフルに活動すれば三年四年かからないうちに処理ができるというように考えております。もちろんその経費の負担の問題もございますけれども、技術的にはスラッジの処理というのが現在あてが必ずしもついていないというのが現状でございます。
  233. 杉原一雄

    杉原一雄君 先ほどのサクラエビの話ですけれども、結局、県のほうから報告が上がっておると思いますが、富士川の河口でサクラエビがとれた。二年ぶりですか、そういう状況が生まれたのは、県はどういうふうにこれを判断しているか。漁民は、これはこの状態でいくと、四、五年たつともとのとおりにサクラエビがどんどんとれるだろうという期待を持っているわけですからね。五年が四年、四年が三年になればなるだけ漁民としてはしあわせなんでしてね。私らも食膳をにぎわすことができるわけですから、県のこの問題のとらえ方、そうして今後の、いまおっしゃったようなヘドロをなくする努力の積み上げですね。これとの関連について、県はどういう考え方を持っているんでしょうね。
  234. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 実は、サクラエビがとれたことに対します県の考えは聞いておらないのでございますけれども、これは想像にしかすぎませんが、まず富士川の水質につきましては、これは富士川の流域にはほとんど汚濁源がございませんので、過去から現在にかけまして非常にきれいな水質を維持しているわけでございます。あとかりに、サクラエビがとれたことの原因の一つが、その水域の汚濁がよくなった結果であるというように考えた場合、原因に何があるかと申しますと、先ほど申しましたように、田子の浦湾に排出されます汚水は漸次やはり規制が強化されておりますし、それが守られているというふうに私ども聞いておりますので、その面からも田子の浦湾ないし、さらに湾から外に流出する汚水は非常に減っているというように私ども考えております。もちろん、それだけがサクラエビがとれた原因というふうにきめるのは即断と思いますけれども、少なくとも環境汚染の面におきましては改善をされておるというふうに考えております。
  235. 杉原一雄

    杉原一雄君 その次はいよいよ長官の出番になりますが、四月の二十三日、総理府の調査結果が新聞に載っておることは御承知だと思うし、新聞に載らなくても皆さんのほうで検討された内容だと思いますが、特に最後のところに、新聞は要約ですが、公害対策に取り組む行政機関については知名度が低いと、あまり知られていないと。環境庁の仕事の内容を知っている人は四五%、専門的機関として中央公害対策審議会、その他たくさんあるわけだけれども、それがトップで一六%だと、こういう調査の結果が実は出ておるわけですね。だから、環境庁というのは新しいだけに、大石さんの名でだいぶ宣伝されたと思っておりましたが、まだこのようなおぼつかない状態でございますから、また宣伝よりもやっぱり業績だと思いますから、これはもう大いにがんばっていただきたいと思います。ただ、公害の被害の実態ですね。見出し等では被害は三人に一人なんだと、特にその中で多いのは音なんだと、こういうことでいろいろデータが実は出ておるわけです。これは長官お願いしては無理かもしれませんけれども、この調査を対外発表する場合に、それぞれ公害担当の機関が寄り合って、その結果の分析をして、この分析から今後の対策についていろいろ御検討されたと思うんだけれども、日が浅いですからまだ十分じゃないと思いますが、その辺のところはどういう形になっているんですかね。ぼくらはこれを聞いて、ああそうですかということでは済まされないわけですね。長官のほうから、いろいろ入手されている情報、それに伴う判断、それに伴う決意といったようなものを総括してお願いしたいと思います。
  236. 大石武一

    国務大臣大石武一君) あれは二十三日だったですね、発表になったのは。で、二十三日から、実は私は恐縮ですが、二十三、二十四日と他出しておりまして、きのうもはなはだ申しわけない次第でありますが、やはり前からの約束で茨城県に講演に行ったりいたしまして、実はまだ役所にこの三日間行っておりません。きょう初めて出て参りました。そういうことで具体的な役所の打ち合わせはいたしておりませんが、やはり明敏な役人がたくさんおりますので、必ずすでに検討を始めておることと思いますけれども、なお私はきょうこの委員会が終わりましたあとで、やはりよく相談をして、その発表を決してむだにしないように、それでわれわれは今後のあり方を検討しなきゃならぬと、こう考えております。
  237. 杉原一雄

    杉原一雄君 発表の中で、公害として一番住民から告発されている問題というのは、亜硫酸ガスその他かと思っておりましたが、やはり音だということですね。だから、調査経過の結果からいえば、いわゆる被害者というのは四五%が音だと、音の発生源を追及していけば自動車だ、あるいはその他電車、飛行機もあります。こういうことを考えると、自動車にしろ電車にしろ飛行機にしろ、これはじっとしている物体じゃないわけですね。だから、東京におるかと思えば茨城県に飛飛び、また茨城県におるかと思えば新潟に飛んでいるわけですね。車にしてもそうなんですよ。そうすると、公害行政、いわゆる騒音対策というものは防止法ができて、それぞれの地域でがんばれがんばれと、そんなわけにもいきそうでもないのでね、こうした行政領域を乗り越えて行くような物体に対する公害対策というものは、やはりかなりいままでのような煙突の煙を規制したり、排水を規制したりするようなテクニックではむずかしいのじゃないかということなんですが、幸い瀬戸内海等では、関係地域知事が集まっていろいろ機関をつくると、そういう形ですが、今度の場合は、関係地域で機関をつくるという代物じゃない。それはあくまで日本列島全体にまたがる共通した課題でございますから、こうした問題に対する公害防止行政上の取り組みというものはどういう配慮を必要とするか、また現時点ではどのような政策をおとりになっているのかですね、その辺のところを……。
  238. 大石武一

    国務大臣大石武一君) 音がそのような非常な国民の一番の関心事であるということにはわれわれも意外な感じがいたします。しかし、考えてみれば、なるほど意外ではなくて、音というのは一番われわれが身近にいろいろと感じておることだということが、やはり考えてみればそういうことなんだと思います。音にも、いろんな段階と申しますか、分類しなければならないものが一ぱい——地域的なものと広域的なものと、あるいは何と申しますか、一時的なものとか、いろんな音があると思うんです。一番、われわれの全般的に問題になりますのは、要するに、飛行場中心とした航空機騒音、あるいは新幹線を中心とした特殊騒音が一番大きな問題だろうと思うんです。現に私のところにも、大宮が中心でありますが、各地からいろいろと騒音防止のため新幹線反対という意見が、ずいぶん手紙で参っております。こういうことで、特殊騒音に対してやはりわれわれは何らかの規制を講じなければならぬと思うんですが、音をまず少なくするということ、そのものがなかなか困難だと思います。ですから、そうなりますと、行政上対策を立てる以外にないと思います。そういうことで、御承知のように、昨年の暮れにはその手初めとして、羽田と伊丹の空港に対しまして、行政上の処置として、夜間の飛行禁止、並びにその近くの騒音の範囲内に住んでおる住民に対するいろんな補償、たとえば移転の問題であるとか、あるいは騒音防止の部屋をつくる問題とか、そういうものに対する補償とか、そういうものにつきまして一応の勧告をいたしました。それにつきましては運輸省も了解をいたしまして、それぞれこちらの大部分の希望を入れたような対策を立てております。それからいろんな民間の、たとえば音のしない電話室をつくるとか、あるいは安眠ができるような防音装置の部屋をつくるようなものに対しても国が補助を出し得るような、そのような政策調査をことしから始めるということにはなりましたし、まあ幾らかでも前進の方向に進んでおると思うのでございます。しかし、こんなことはまだまだほんとうの末端でございまして、やはりどうしたらいいかといいますと、根本的なものはなかなかございません。いまの段階では、中央公害審議会に対しまして騒音の環境基準というものをつくるべくいま諮問いたしておりまして、本年度一ぱいくらいかかる——本年度一ぱいでも無理だと言っておるのですが、本年度一ぱいで結論を出しなさいということでいま諮問いたしておるわけでございます。飛行機の問題につきましては、こういう環境基準をつくって、それに行政を合わしていく以外に道はないと考えますが、ただもう一つ、新幹線につきましても、いまの、せっかくできた東海道新幹線が非常な騒音で、ことに浜松とか東京とかいろんな地域が騒音で悩まされているというので、いま中央公害対策審議会におきましても、その部会におきまして現地出帳もいたしていま現実を調査しているわけでございます。ところが岡山まで延びた新幹線は非常にこれはりっぱなものだという話を開いておりましたが、非常なやはりまだ騒音に悩む一部の方があるということで、これにわれわれも困っているわけでございます。どうしたらいいか、これはいろいろなことがありますけれども、いまわれわれが考えておるのは消極的な面しかないんです。音を防ぐとかそういった何かしかないのでありますけれども、まあそれでもそれなりに努力しなければならぬと思います。しかし、どうしたら音が少なくなるかということについてはやはり今後新しい技術開発が必要です。やはりそういうことを考えなきゃならぬと思います。  それから、これから成田、東北あるいは信越ですかね、あの新幹線にはそういうものがいま考えられておりますが、これに対してはいろいろと一部の住民から猛烈な反対運動が起こっております。その反対する理由は、私はむげには退けられないと思うんです。しかしやはりこれは、つくることも必要であろうかと思います。そういうことで今後はできるだけ騒音がわれわれの環境を乱さないように、結局は走る地域とか立坪の問題だと思いますけれども、そういうものも十分検討してやらなければならないと思うわけでございます。  ただ自動車の騒音につきましては、私もいまどうお答えしていいかわかりません、こういうものその他いろんな……。ただ局部的な、たとえば建築をする場合の騒音であるとかいろんな騒音もございます。こういうのも私は小さいようでありながら、日本全体から見ると地域住民の人に与える影響は大きいと思うんです。これをどうするか、これはある程度の基準があります。ありましてやっていますが、なかなかそれは実際には効果が薄いと私は一思うんです、いまの状態では。ですが、これにつきましては、やはりもう少しまともに取り組んで考えなきゃならないと思います。  はなはだたよりない返事ですけれども、いまの段階はそのような段階でございます。
  239. 杉原一雄

    杉原一雄君 自動車の問題のむずかしさ——私のほうは、きのうまでいなかで選挙をやっておったのですが、選挙の車で国道を走っておったんですが、選挙の車ですから二十キロ以上で走ったって効果がありませんですね。二十キロで走っておったところが、横から追い越しをしたダンプが前にかつんととまって、運転手がおりてきて、選挙の車の運転手にどなりつけておるわけです。何だ、こんなに車がふくそうしているのに、のんきな顔して何しているんだと言ってね。だから車の問題というのは音の問題もあるし、交通対策の問題もありますし、いろいろあるわけで、これは久良知さんに文句を言っても始まらぬけれども、通産のほうで何か基本的なもの、抜本的な対策を考える時期がきているように思いますね。道路だけでは解決できない、そういうようなところで……。これは公害の問題ではございませんけれども長官がおっしゃったからつけ加えて申し上げるわけです。  これで実は、私は大体質問を終わりたいと思いますが、結局は、いまのサクラエビにも見られるように、また久良知さんの報告を見ましても逐次さまざまな問題が一歩ずつ前向きに前進解決の方向に進みつつあるという事情は、私らもともどもに確認し、喜びたいと思うのです。ただ、この際一つ日本の国土開発計画が大きな転機に立っていることは、先ほど申したように総理の考え方なり木村さんの考え方等から見ても、私受けとめられるわけですが、この転換の転機は、あくまでも地域住民に公害を与えないということがやはり主眼でなければならない。しかしながら、それがえてして二十カ月も不景気が締いているから景気浮揚だ、景気回復だ、経済優先だ、開発優先だというようなことにまた大義名分がすりかえられると、これはまたあとの祭りになりまして、たいへんなことになりますし、ここらあたり環境庁はじめ公害担当の所管各政府機関並びに地方自治団体が本腰を据えて、いわゆる企業の巨大な力に立ち向かうだけの勇気と、同時に対策を持って臨んでいくときではないかと、私はまあそういうふうに思いますので、そうしたことから考えますと、これは通産省にも公害対策あり、農林省にも公害対策があるわけですけれども、最大の、押して押して押しまくっていく中心機関環境庁でございますから、長官の今後この行政に当たる、なかんずく当面四十七年度の公害対策を推進するにあたっての決意を簡単に御表明いただいて、私の質問を終わります。
  240. 大石武一

    国務大臣大石武一君) ただいまのお説、私はごもっともだと思います。お説のとおり懸命に努力してまいりたいと思います。
  241. 木島則夫

    ○副主査木島則夫君) ほかに御発言もなければ、環境庁所管質疑は終了したものと認めます。
  242. 木島則夫

    ○副主査木島則夫君) なお、分科担当委員異動について御報告申し上げます。  辻一彦君が分科担当委員辞任され、その補欠として戸叶武君が選任されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十七分散会      —————・—————