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説明員(山本正男君) お答え申し上げます。
まあ
地震の問題でございますので、私
どもが
考えておりますようなことでは足らないところが一ぱいあろうかと思います。したがいまして、総合的見地からの先生の御指導を得たいと思いますが、現在まで私
どもが
考えておりますことを御
報告してお答え申し上げたいと思います。
まず、
地震につきましての鉄道の災害を三つに分けてお答え申し上げたいと思います。最初の
一つは
地震がまいりましたときに、その鉄道の構造物がその
地震に耐え得るかどうかという問題が
一つあろうかと思います。で、これにつきましては、先ほど建設省の
担当官がお答えになりましたのと私
ども同じような見解を持っております。で、もう少し詳しく申し上げますというと、大正十二年九月一日に訪れました関東大震災のときに、当時敷設されておりました国鉄線の構造物の中で、一体どういうようなところがこわれたかというのが
一つの参考ではなかろうかと私
ども思っておりますが、大ざっぱに申し上げますというと、大体三つぐらいあろうかと思います。先生御
承知だと思いますけれ
ども、まず隧道の坑口の、入り口のところがやはり崩壊をしているという問題が
一つ。それから場所によりまして違いますが、橋梁の橋脚あるいはけた式の橋梁でございますが、これがやはり少し問題があります。もう
一つは路盤と申しますか、われわれフォーメーションと申しておりますが、土を盛ったところとかあるいは山を切ったところ、こういうようなところを含めまして、まあ
地震の波の伝わり方、いろいろあろうかと思いますが、こういうようなところの路盤の沈下というような、この三つの顕著な構造物に対します災害
状況が見受けられておるわけでございます。非常に大ざっぱですが、このような
状況でございます。
まあ、これらのことを踏まえまして、それから五十年の間、各
関係学識経験者の
意見を聞きましたりいたしまして、私
ども国鉄、私鉄の監督をしていきます場合に、そういった事実を踏まえて工学上のいろいろな
検討も加えさせていただきまして、今日まで指導してまいったのが現状でございますが、そういう上から申しますというと、関東大震災のような
地震が訪れましたときは、場所によりましてはそういうところがありましょうが、まずだいじょうぶであろうということが言えるかと思います。ただ、かりに橋梁あるいは路盤がしっかりしておりましても、鉄道におきまして一番大事なのはレールでありまして、このレールの
状況がどうなるかということが一番大事な
問題点であろうかと思いますが、これは単に路盤がしっかりしておりましたり、あるいは隧道がしっかりしておりました場合でも、レールが曲がってしまったんでは列車は通れないということに相なろうかと思います。これにつきましては、まあいろいろ
議論はされておりますけれ
ども、少しく疑問点が残ろうかと思います。したがいまして、
地震がまいりましたときにレールまでだいじょうぶということは、この席ではちょっと言いかねるかと思います。そこで、大都市におきましての
問題点の
一つの、先生の御質問の中に含まれておりますが、地下鉄あたりは一体どうなるかということがあろうと思いますが、これは先ほど申し上げました中に包含されるということになろうかと思いますが、まずだいじょうぶである。ただ、隧道の坑口がいかれるだろう——失礼なことばを使いましたが、こわれるだろうということになりますというと、地下鉄の出入り口と地下鉄の下へ結ぶ通路が少しく損傷を受けるであろう。しかし、ただひずんだり亀裂が入るぐらいであって人の通行に非常に支障を来たすということは、私
ども絶対ないというふうに
考えておりますが、レールが故障を起こしますと、やはり列車の運行に多少支障を来たすということは避けられないだろうと思います。
第二の問題でございますが、安全性の問題であります。先ほど申し上げましたように、列車の運行の安全というものを確保する上においては、やはり震災が訪れるときがわからない以上、応急措置と申しましても、そのとっさの判断、これがたいへんに問題になってこようかと思います。これに対しましては、先ほど消防庁のほうのお話にもありましたように重ねて申し上げますが、やはり列車をすぐとめる、とにかく列車をすぐとめるというような手続を国鉄、私鉄のほうにわれわれ指導してまいりまして、まずとめて、とめ方にもいろいろございますが、とめてみて、そうして安全を確認した上で再運転をするというのが基本的な指導でございます。
第三番目の復旧でございます。災害というのは
地震、それから火災あるいは風水害、いろいろございまして、でき得る限りの体制を常時鉄道はやはり各現場で応急体制を整えておりますので、まず
部分的な復旧は事なかろうかと思いますが、何ぶんにも全般的な施設がやられました場合には鉄道だけではどうにもなりません。したがいまして、それに関します各社、各線、それぞれにわたりまして細部の規定を
関係省庁の指導を得ましてつくらせていただいておりまして、それによって応急連絡あるいは救急体制の組織づくり、これはすぐできるようにというような体制で、応急復旧と申しますか、そういう点を含めてわれわれ指導してまいってきておるところでございます。
以上です。