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1972-04-21 第68回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十一日(金曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員の異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     西村 関一君      杉原 一雄君     安永 英雄君      片岡 勝治君     辻  一彦君      内田 善利君     塩出 啓典君      矢追 秀彦君     小平 芳平君      中村 利次君     萩原幽香子君      向井 長年君     松下 正寿君      小笠原貞子君     渡辺  武君      河田 賢治君     加藤  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 白井  勇君                 玉置 和郎君                 西田 信一君                 初村滝一郎君                 若林 正武君                 松永 忠二君                 矢山 有作君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 川上 為治君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 長屋  茂君                 平島 敏夫君                 細川 護熙君                 矢野  登君                 山崎 竜男君                 山本敬三郎君                 山内 一郎君                 上田  哲君                 工藤 良平君                 佐々木静子君                 須原 昭二君                 杉原 一雄君                 竹田 四郎君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 松井  誠君                 三木 忠雄君                 矢追 秀彦君                 中村 利次君                 河田 賢治君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   田中 角榮君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        労 働 大 臣  塚原 俊郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        総理府人事局長  宮崎 清文君        警察庁長官官房        会計課長     下稲葉耕吉君        警察庁刑事局保        安部長      本庄  務君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        法務大臣官房長  安原 美穂君        法務省民事局長  川島 一郎君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        法務省人権擁護        局長       影山  勇君        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  高島 益郎君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省管理局長  安嶋  彌君        厚生大臣官房審        議官       江間 時彦君        厚生大臣官房会        計課長      福田  勉君        厚生省公衆衛生        局長       滝沢  正君        厚生省医務局次        長        横田 陽吉君        厚生省児童家庭        局長       松下 廉蔵君        厚生省保険局長  戸澤 政方君        社会保険庁年金        保険部長     八木 哲夫君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農政局長  内村 良英君        通商産業省通商        局長       山下 英明君        運輸大臣官房審        議官       見坊 力男君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        労働省職業訓練        局長       遠藤 政夫君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省住宅局長        事務代理     沢田 光英君        自治省行政局選        挙部長      山本  悟君        自治省財政局長  鎌田 要人君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       吉田  豊君        最高裁判所事務        総局総務局長   長井  澄君        最高裁判所事務        総局人事局長   矢口 洪一君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○分科会に関する件     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 徳永正利

    委員長徳永正利君) この際、分科会に関する件につきましておはかりいたします。  分科会の審査は、来たる二十二日、二十四日、二十五日及び二十六日の四日間とすること、分科会の数、所管事項分科担当委員数、各会派への割り当ては、お手元にお配りいたしましたとおりとすること、分科担当委員選任前例どおり委員長の指名、並びに分科担当委員の変更につきましてはその取り扱い委員長に一任すること、分科会におきまして参考人出席を決定いたしましたときはその取り扱い委員長に一任すること、以上のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、きのうに引き続き、佐々木静子君の質疑を行ないます。佐々木君。
  6. 佐々木静子

    佐々木静子君 昨日の件について最高裁の御回答をお願いします。
  7. 吉田豊

    最高裁判所長官代理者吉田豊君) 本年三月二日の毎日新聞に、昨日お尋ね記事が掲載されました。この記事は、毎日新聞の一面トップに五段抜きで掲載され、大見出しとして「一四期裁判官再任」、「最高裁、二人拒否か」、「すでに″釈明″要求」とあり、二人の裁判官の姓名と所属庁が掲げられ、記事中に、「すでに、両裁判官司法行政上の監督権を持つ名古屋高裁などが両裁判官に対し″問題点″についての釈明を求めており、二人以外の同期裁判官に対して、同様な″釈明要求″が行なわれた形跡はない。」云々と書かれております。その一版前の十三版には、「最高裁はすでに司法行政ルートを通じ、両裁判官に対し″問題点″についての釈明を求めており」云々と書かれておりました。このような釈明要求をしたという記事は全く事実に反しておりましたので、広報課長は、同日の午後、課長室司法記者クラブ毎日新聞キャップ記者の来室を求め、課長補佐立ち会いの上で、口頭でその旨を指摘し、今後慎重に取り扱うよう注意を促したのであります。その記者は、御指摘の部分は確かに誤解を与える表現になっており、申しわけないという旨を述べました。広報課長は、さらに、名古屋の問題でもあるので、デスク等上司にもよく連絡してほしい旨を告げましたのに対し、その記者は、さっそく上司にも連絡する旨約束いたしました。広報課長は、翌三日午前、右のいきさつを各高裁事務局長に連絡したわけでございます。  以上でございます。
  8. 佐々木静子

    佐々木静子君 これ、時間の関係もありますので、この件について三点だけ問題点をしぼって質問いたします。  全国裁判官に、各高裁長官名をもって、このような重大な通告を出すにあたって、記者が誤ったかどうかというような事実認定までを含めて、単なる一課長の報告にまかせて事を運んでいる点、事務総長として慎重を欠いているのではないか、まずその点について。  第二点は、昨日、事実と異なると指摘された金野裁判官あるいは安部裁判官が、この再任問題に関して名古屋高裁長官に御説明あるいは釈明お答えしたということについては、この事実は、御両名とも個別的に長官に、再任に際して再三お会いして御説明申し上げたということは、全く事実に相違ないということでございます。これは、いまお答えになったこととも、また事実が違っておりますので、その点。  第三点は、本日の毎日新聞によりますと、昨日の御答弁では、毎日新聞社に対して、書面で、最高裁から抗議の書面を出したという趣旨の御答弁がありましたが、毎日新聞社はそのようなものは受け取っておらないという記事がございました。  その三点について質問をいたします。簡単にお答えください。
  9. 吉田豊

    最高裁判所長官代理者吉田豊君) 第一点は、広報課長の言だけを信用していいか悪いかというお尋ねでございますが、広報課長は私としては信用しておりますので、やはり広報課長の言はそのまま私としては信用して言ってるわけでございます。  なお、名古屋高裁長官金野判事に会われたことは事実でございます。これは、約半年ほども前から名古屋高裁官内におります十四期の裁判官全員に対してお会いになって、裁判その他いろいろのことについて話しておられることは私ども承知しております。  それから、毎日新聞書面注意を促す旨を出したのじゃないかというお尋ねでございますが、これは口頭注意を促したのでございます。これは、東京高裁長官から各裁判官あて通知にも口頭でと書いてございます。
  10. 佐々木静子

    佐々木静子君 きのうの御答弁では、毎日新聞社に対して書面通知を出したということをはっきりお答えになったわけで、議事録ができてくると、これははっきりすると思います。が、事実がそうであれば、やはり違う御答弁をなさったということになると思います。  いずれにしましても、国民の知る権利、そして表現の自由、報道の自由ということが、これほど尊重していかなければならない世の中において、現在において、憲法の番人であるところの最高裁判所において、こういう問題について十分な御配慮を今後いただきたい、このようなことを二度と繰り返すことがないということを約束していただきたい、その点はいかがですか。
  11. 吉田豊

    最高裁判所長官代理者吉田豊君) きのう私は、広報課長記者に対して書面注意を促したということは申し上げておりませんです。それに関する書面があるかというお尋ねでございましたので、広報課長書面に書きまして、間違いのないように念を押すために書面に書いて、それを記者に見せたわけでございます。その書面のことを申し上げたんでございまして、決して毎日新聞社に正式に書面注意を促したわけではございませんです。  なお、新聞の報道のことでございますが、これは昨日も申しましたように、やはり事実だけは正確にひとつお伝え願いたい、その事実に基づいて、いかなる意見や推測をお書きになる、この点について私のほうが非難を申し上げているわけじゃございません。やはり事実だけはひとつ正確に確かめていただきたいと、こういうことでございます。
  12. 佐々木静子

    佐々木静子君 この、事実を明らかに報道するということは非常に大切なことでございますが、また、予測をする、いろんなことについての状況判断による記事ということも、これは報道の自由の中に含まれているということは間違いないと思います。そういう点におきまして、いささか最高裁の今度の御態度、特に事務総長広報課長を非常に信頼してられるようでございますが、国民全部は広報課長事務総長ほど信頼しておらない。そういう事情から考えましても、今後当局として十分な言論の自由の保障表現の自由の保障ということについて御配慮いただき、いやしくも権力による言論統制というような問題が起こらないような御配慮をいただきたいと思います。  時間がありませんので、次の問題に移ります。  いよいよあと二十数日で沖繩が返ってまいります。この沖繩復帰に関しまして法務省に特にお伺いしたいのでございますが、第二次大戦に続いてこの四半世紀に及ぶ異民族支配から脱して、ようやく沖繩日本国憲法施行のもとに置かれるわけでございます。この日本国憲法沖繩県民に周知徹底するために法務省としてはどのような方法を講じておられるか、具体的にお述べいただきたい。
  13. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 憲法について、いま直ちにいろいろとわれわれ宣伝活動をやっておるわけではありません。しかし、これは率直に申しまして、復帰後は当然やらなければならない問題でありますし、ことに人権擁護に関しましては、われわれ大いに力を入れて努力をしたいと、かように考えております。
  14. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま憲法の問題及び人権擁護の問題を伺いましたが、個々の法律につきましても、これは県民に周知徹底さす必要があるのでは、ないかと思いますが、それは法務省としてはどうお考えでございますか。
  15. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 憲法については当然のことであります。どういうふうな宣伝方法が最も有効であるかどうかということについては、十分考えて、あるいはただいま申しましたような、法務省考えますと人権擁護局とかなんとか、そういう機関しかないわけでありますが、教育委員会その他に頼んで学校関係を通じてやるとか、いろいろな方法があると思います。それらについてもわれわれも十分考えていきたいと思っています。
  16. 佐々木静子

    佐々木静子君 特に問題になるのは、同日を期して施行されるところの売春防止法ではないかと思います。御承知のとおり、沖繩は長く続いた米軍支配の結果、那覇、コザなどの本島を中心に、宮古あるいは八重山諸島を含めて約二十カ所に売春地帯というものがあり、公式には七千五百人、実数は一万五千人といわれる、春をひさぐ婦人がいるということでございます。昭和三十一年、本土売春防止法施行された当時には、売春婦の数は約十五万人と言われておったわけでございまして、これは、沖繩の人口の比率から考えますと、分布率は当時の本土の十倍に当たると考えられるわけでございます。現在でも沖繩では売春は禁ぜられているとはいえ、長い米軍支配のもと、売春良俗維持必要悪というようなかっこうで、半ば公然と——半ばというよりも、事実上公然と陰の花を咲かせているというようなありさまでございます。  この沖繩において売春防止法施行するに際しいろいろな問題があると思うのでございますが、まず国家公安委員長に、この売春防止法施行に際しまして、どういう態度でこれにお臨みになるか、お話しいただきたいと思います。
  17. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) お答えいたします。  沖繩における実情は、佐々木委員のお述べになったとおりでありますが、現在でも、売春行為というものは沖繩警察では法によって取り締まっておるとは思いますが、この売春行為につきものと申しますか、暴力団等の、あるいは管理者等婦女子を搾取するという形で売春が行なわれ、しかも、婦女子に対して暴行、脅迫、いろいろな犯罪がつきまとうておるというのが実情であると思うのであります。沖繩本土に返ってまいりますと、その時点売春防止法施行されますので、それを機といたしまして、警察当局といたしましては、婦女子をこういう暴力あるいは不合理な搾取の対象になることのないように、沖繩本土に復帰した時点を一つの機会ととらえまして、いままで以上にきびしい態度暴力団等を徹底的に取り締まる。そうして婦女子がこういう暴力団等のえさになることのないように、警察興のあらゆる力を動員いたしまして、きびしい態度でそういう犯罪を取り締まる、また婦女子を保護してまいりたい。この売春行為の現象に対する基本というのは、私は、やはり婦女子が完全にしあわせな生活が行なわれるような体制をつくり上げてあげることが基本であると思うのであります。これは生活の道があれば、こういうことを好んでやる婦女子はないと思いますので、関係省庁と連絡をとりまして、婦女子生活擁護の施策を推進するのと並行しまして、警察権を動員いたしまして、画期的な、ひとつ積極的な態度できびしい取り締まり等を徹底しまして、御指摘の、婦女子売春の犠牲からぜひ救うような体制を確立したい、こういう強い決意を持っておるものでございます。
  18. 佐々木静子

    佐々木静子君 先日、これは一昨日でございますが、全国婦人団体の代表の方々が大臣をおたずねしまして、そしてこの沖繩売春婦人の方方の、非常に気の毒な現状をお訴えしたわけでございます。それに対して大臣も、いまの御答弁にありましたように、できるだけの配慮をもってこの人たちを救うということをお約束していただいたわけですが、その根源になっているのは、何といってもそれを資金源としている暴力団だと思うのです。この暴力団取り締まりということに対して、いま御答弁がありましたように、きびしい態度をもって臨んでいただきたいと思うわけです。  それと同時に管理売春、これは暴力団の場合もありますし、違う場合もありますが、この取り締まり。それから売春地下にもぐる可能性がある。そういうふうなことに対しまして、この売春地下にもぐって法の目をのがれる可能性がある、このことに対してはどのようにお考えでございますか。また、どのような態度で臨んでいかれるおつもりでございますか。
  19. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) あらゆる場面を警察といたしましては想定いたしまして、事前にこれを防止するとともに、犯罪行為があればこれを手きびしく検挙いたしまして、そうして警察権の持っております総力をあげて、婦女子を保護するという態度で臨みたいと思っております。
  20. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは後ほど法務大臣にもお伺いしたいと思うのですが、まず外務大臣にお伺いしたいと思うのです。  いまの国家公安委員長の御答弁にもありましたように、管理売春を撲滅しなければならない。そのうちで、特に沖繩という米軍基地と結びついて発達しているこの売春制度、これを取り締まるには、今後、米軍がよく用いているAサインですね——ABCAサインという米軍がよく用いているバー、キャバレー、表向きはそうなっていて、事実は売春をやっている、そういうものについての取り締まりが、これは不可欠であろうと思うのですが、この売春取締法施行に際し、米軍にその協力を求める御意思があるかないか。そのあたりを伺いたいと思います。
  21. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩返還後におきましては、わが国の法令が全面的に適用される。行政措置も、わが国と同様なことができるわけです。そういうようなことでありますが、問題は、日本同様な法制下に置かれながらも、運用がどうなるかと、こういうことだろうと思うのです。戦後、とにかく今日までの沖繩の状態というものは、これは施政権アメリカにある。その中に流れる空気は、これは何といっても、勝者と敗者というような雰囲気が今日なお続いてきたというような感じがするんです。私は、そういう雰囲気というものを、どうしても返還を機としてもう全部払拭しなければならない。それには、わが国のほうでも沖繩県民を初め、また行政官庁等において毅然たるそういう踏まえ方をしなければならないと同時に、アメリカ側にもそのことを十分認識してもらう必要がある、そういうふうに考えます。  サンクレメンテの会談でも、そのことをアメリカの首脳に対してよく申し上げたのです。これは事態は法的には変わる。これはもう当然なんだから、その上に、さらにお互いの気持ちが変わらなけばいけないんだと、こういうふうなことを力説しておいたわけなんでありますが、いまの売春についてのA——何ですか。
  22. 佐々木静子

    佐々木静子君 Aサインです。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) Aサインということを私はよく存じませんけれども、当然、Aサインというような問題につきましても、米側注意を喚起し協力を求むべきである、そういうふうな考えで、そういうふうにいたします。
  24. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは最高裁判所に伺いますが、この売春前提とするところの前借金の問題について、最高裁の大法廷の判決がございますが、その判決内容を御説明いただきたいと思います。
  25. 吉田豊

    最高裁判所長官代理者吉田豊君) ただいまお尋ね最高裁判所判決でございますが、具体的なお示しがないのでその内容はわかりませんが、最高裁判所判決といたしましては、売春前提とする前借公序良俗に反し無効である、こういう判決をしていると私は理解しております。
  26. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま御答弁にございましたように、これはもう売春前提とした前借金というものは、民法九十条の関係から、公序良俗に触れ無効であるということは、これは確立された最高裁判決でございます。  ところが沖繩におきましては、この判決趣旨が徹底しておらない。まだ、雇い主のほうに前借をして売春を始める。そうすると、だんだんとその前借金雪だるま式にかさんで、そのお金が返せない。もう自分は何とかしてこの世界からのがれたいと思っても、この前借金があるためにどうしてものがれることができない。これは一般的に、この売春をしていらっしゃる御婦人の方々からじかにお話を伺いますと、売春をすることよりも前借金を踏み倒すことのほうがはるかに悪いことなんだという考え方のもとに、やむなく売春をしていられるという方がずいぶん多いわけでございまして、また雇い主あるいはバー、キャバレーなどの経営者のほうも、債権があるから当然売春させて支払わせるのだ、これは当然のことだという意識が強いように思います。  この重要な最高裁の判例というものを、何らかの方法沖繩県民に徹底さす必要があるのではないか。そういう点について、法務当局としてこの点について特別に御配慮くださるようなお考えはありませんか。特に、人権擁護局などにおいてはこの問題にどのように取り組んで、考えていかれるか。大臣からまずお答えいただきたいと思います。
  27. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 復帰後におきましては、当然、人権擁護委員を通じてその普及徹底をはかりたいと思っております。その以前に、琉球政府も売春法はすでに実施しておるわけでありますから、そうして人権擁護委員はたしかあると思います。それで、琉球政府の東京事務所がありますから、さっそくその点は東京事務所によくわれわれからも、これは早いにこしたことはないと思いますから、話し合いをしたいと思います。
  28. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは沖繩売春の特徴としましては、売春婦の年齢が高年齢であること、そして何人も子供をかかえた婦人が多いということが、非常にこの状態をよけい陰惨なものにしていると思うわけです。特に管理売春におきましては、店を休んだときは五ドルから十ドル、あるいはそれが土曜、日曜の場合は十ドルから十五ドル、あるいは米軍の給料日のときは二十ドル以上の罰金を売春婦に課せらせる。そういうふうなことで、働けば働くほど前借金がふえていく、そういう非常にきびしい状態にある。しかも暴力団と結びついていて、逃げようと思ってもどうしてもつかまえられて、先日などの様子でも、海の中にほうり込まれ何度も失心するまでのきびしいリンチを受けている。そのために、おそろしくて逃げるに逃げられないという状態でございまして、これは人権擁護委員に頼んだだけではとうてい解決する問題ではないと思います。  そういう事柄について、特に沖繩売春について、法務当局としてももっと強力な体制を組んでいただきたい。特に今度、いま審議しております火炎びん法案などにつきましても、周知徹底せしめるまでにはどうしても二十日間の日にちが必要なのだということを、大臣みずから委員会でおっしゃったとおりなんでございます。でございますので、こういう売春防止法がもうあと二十数日たつと施行されるわけでございますから、もう早急にこの善処方をお願いしたいと思うわけです。そのことについて重ねて大臣に所信を伺いたいと思います。
  29. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 最善の努力をいたしたいと思います。また、人権擁護委員ばかりではなしに、検察庁にも婦人保護相談所でありますか、そういうふうなものも設ける予定でありますから、その準備もかねて早急に復帰をはかりたいと思います。
  30. 佐々木静子

    佐々木静子君 それから法務大臣、重ねて伺いたいのでございますが、この沖繩犯罪の特徴として、青少年犯罪がきわめて高いということと、それから米軍人あるいは米軍属による犯罪がたいへん多い。しかも米軍人あるいは米軍属の県民に対する凶悪犯の検挙率が非常に低い。二〇%余りしか検挙できておらないというようなありさまでございますが、これは復帰後、捜査権を握る法務当局としては、どのような体制で臨んでいって、県民の人権を保障していただくか、その点についてお答えいただきたい。
  31. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 当然、検察庁としても取り締まりを厳重にいたすべきでありますが、これは警察当局とも協力をしなければならない問題であります。両者十分連絡をとりながら、万全を期していきたいと思います。
  32. 佐々木静子

    佐々木静子君 外務大臣にこの点についてお伺いしたいと思うのでございますが、これは沖繩復帰後も、この日米安保条約第六条に基づく施設及び区域並びに合衆国軍隊の地位に関する協定、いわゆる地位協定の第十七条三項(a)の(II)項によりまして、これは米軍人の犯罪のうち、「公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪」については、米軍当局が第一次裁判権を引き続いて有するということになっていると思うのでございます。しかも、この地位協定に関する日米合意議事録によると、その罪が公務執行中の行為によって生じたものであるかどうかということは、これは米軍の指揮官の発行した証明書があれば、特別の反証がない限り刑事手続は米軍に帰属するということを、日米合意議事録によってきめられているわけでございます。事実上、これの反証というものはきわめて困難であると思うのでございますが、これでは、主権が日本に復帰しても、米軍による沖繩米軍支配というものが一向に変わらないということで、県民は、また暗たんとした生活を送らなければならない。  この件に関しまして、公務執行中の犯罪に対しても日本国の裁判所が第一次裁判権を有するよう、地位協定第十七条第三項(a)の(ii)項を削除する、あるいは改めるというふうな方針で、外務省は米国と交渉されるおつもりがないかどうかをお伺いいたしたいと思います。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 地位協定をそのまま沖繩に適用したいと、これは当然そういうふうになるわけであります。それがすなわち本土並みだということの一部を構成する、そういうふうに考えておりますが、御指摘の点は、まだ私も考えたこともないですがね。私、まだ検討したこともない、考えたこともない問題でありますので、なお検討してみることにいたしたいと存じます。
  34. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、外務大臣考えたこともないとおっしゃいますが、その事柄によって沖繩県民が、これは復帰前も非常に泣き寝入りをしいられてきている。復帰した後もこのような状態が続くわけでございまして、本土並みといいましても、基地の数が本土沖繩とでは違うのでございますから、この協定がある限り、少なくとも日米合意書の内容がこのまま残る限り、これは全然本土並みにならないわけでございます。その点について前向きで検討される御意思があるかないか、その姿勢を伺いたいわけでございます。
  35. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだその辺、十分な知識がありませんので、十分検討してみる、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  36. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは山中総務長官にお伺いしたいと思うのでございますが、沖繩国会の十二月二十日のいわゆる連合審査に際しまして、昭和二十七年の四月二十九日以降昭和三十年の四月十日までの、米民政府のなした刑事裁判によって服役した県民に対する救済の方法お尋ねいたしましたところ、これは総務長官のほうにおいて責任をもって善処する、その裁判を受け、罪を受けた人の名前あるいは事件名、刑罰なども責任をもって調べて、そして十分な補償が行き届くようにするということを御言明いただいたわけでございますが、その後、そのお仕事が進められているかどうか。具体的にどのような方法でこの問題に対処していかれるのか、お述べいただきたい。
  37. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) その答弁に従いまして、やはり直接には法務省の仕事であるものでありますから、施政権下のもとで、個々のケースについて詳しい調査をまだ終わっていないようでありますが、概略の調査を一応法務省で終わってくれまして、おおむね二千六百九十件ほどのケースがある。しかしながら、死刑または無期とか、そういうような基礎的な人権を失われてしまって、取り返しがつかないというようなものはないようである。  その後、やはりもう少し詳細な復帰後の検討が必要であろうということでありますから、それを踏まえて、私どものほうでは単にその問題ばかりでなくて、やはり同じく問題になりました、沖繩においては戦闘が終結し、本土政府はなお戦っていた八月十五日までの間、この間における、講和前人身被害と同じようなケースが、向こうにないとはこれは言えない、むしろ、あると見るのが正当でありますから、それらの問題等の調査等も含めて、沖繩に置かれるであろう開発庁の仕事の中で、そのようなものをやはり開発庁が、単なる窓口という意味でなくて、総理府令等において、その他沖繩県民が戦争終結まで、あるいはまた施政権下においてこうむったいろいろの問題についての事務をつかさどるような規定を置いて、それに従って私どもの事務所が受け付けたものを、それをそれぞれ、国家賠償のケースならば法務省のほうに移していくとか、あるいはこれは防衛施設庁で処理すべき法律上の根拠規定があるものは防衛施設庁のほうに移していく、あるいは特別立法を必要とするならば、それらの関係各省庁に私どものほうへ集まってもらいまして、どのような特別立法が必要であるか等について検討し、最終的にその立法を所管する役所にその仕事をゆだねるというような仕事を、中間的なお世話をみる、あるいは苦情を受け付ける仕事を私どものほうがやりたい、そのように処理をするつもりでございます。
  38. 佐々木静子

    佐々木静子君 重ねて総務長官に伺いますが、やはり同じ沖繩国会において、相続人のいない、戦闘によって死に絶えた者の所有者のない不動産、土地を、復帰までに何とか身寄りの者あるいはその所属している住民たちのものにするように、これは善処するという御回答をいただいておったわけです。それはその後どうなっておりますか。復帰する時点において、日本国民法が施行されると相続人のない土地は当然に国庫に帰属してしまうこととなりますが、これが復帰までの間に順調に、御答弁どおり作業が続けられたかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  39. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) まず結論から申しますと、復帰までに全部処理できるようになりました。それまでの過程は、琉球政府の中においてさらにもう一度、いわゆる親族その他、血縁でなくともいわゆる縁故者というような形でも、だれかいないかということを調査したようであります。この点で、だいぶやはり浮かび上がってまいりまして、それをまず優先処理するとともに、一番のこれは客観的な縁故者といえば、部落民あるいは一緒に生活しておりました町内の人たちでありますから、そういう人たちとの間で円満に処理ができるようになりましたと、したがって復帰の時点において、一昨年私がお願いしたわけでありますが、一昨年五月でしたから、それからもう二年になりますので、琉球政府のほうから、最終的にそのような処理ができそうですという報告を受けておる次第であります。
  40. 佐々木静子

    佐々木静子君 法務大臣に伺いますが、これも沖繩復帰と同時に、米軍の布令、布告などによって刑罰を受け、日本国憲法あるいは刑法によっては処罰されないのに米軍の布告布令のために刑罰を受けている者に対しては、早急に再審の手続をする、これはこの当事者からの申し立てについて国が極力協力すると同時に、それどころか、積極的にどんどん検察庁のほうから再審の申し立てをするということをお約束いただいたわけです。  実は私二月末に沖繩に参りまして、那覇の検察官の方々と懇談会を持ったのですが、そのときにその話をしますと、実は地元の検察官の方は全然そのことを御存じなかった、初めて聞いた話だということだったのですが、これは管轄が当然那覇の検察庁になる場合が多いと思うのです。本土からもいろいろ新しく検察官が行かれるのだと思いすけれども、その御答弁どおりそのような準備をま進めていてくださっているのかどうか、その点について具体的に御答弁いただきたい。
  41. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 当時申したことは、私も全然考えが変わっておりません。最近かなりいろいろ法案の説明とかそういうことに参っておりますが、そのことが十分徹底するところまで話しておるかどうかにつきましては、私存じませんが、当然その点は十分みんなが、私の申しました趣旨を体してやるようにということは徹底したいと思っております。
  42. 佐々木静子

    佐々木静子君 重ねて大臣に伺いますが、同じく沖繩復帰とともに、沖繩では手形が用いられることになるわけでございまして、商慣習上、これは戦後、手形がいままで用いられてないと思いますので、手形をめぐる犯罪、手形の詐欺、手形のパクリなどが横行するのではないか。その点について特別の対策を講じておられるか。
  43. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) ただいま、そういう手形をめぐる犯罪その他についての予防策とか、そういうようなことは講じておりませんが、それはさっそく取り調べまして、それに応じて対策を講じたいと思います。
  44. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは最高裁判所に伺いたいのでございますが、実は私、沖繩の裁判所の例を、これは司法統計年報、六九年度の分でございますが、沖繩高等裁判所の資料を調べてみますと、交通事故による損害賠償事件がこの琉球高裁においては一件もない。那覇地方裁判所において、一年間の間に控訴審が、これは四つ支部がありますが、本庁、支部とも一件もない。一審は、那覇の地方裁判所管内においてわずか十五件にすぎないという、これは六九年の資料でございますが、非常に驚くべきわずかな数しか出てないわけで、これは本土と非常に事情が違うと思うのです。  聞いてみますと、長い間の異民族支配によって、沖繩県民は泣き寝入りをするのが習慣づけられている。そういう意味で、沖繩の弁護士会の方にも伺いますと、ほとんど、交通事故による損害賠償請求を県民の方はなさらない。また逆に、いわゆる非弁、事故屋がこれに介入して、わずかな金で泣き寝入りをさしているという状態である。そういうことについて最高裁のほうで、これは裁判所のPRをかねまして、人権の擁護のために、交通事故裁判というものを裁判所へもっと持ってくるようにというような宣伝をなさるおつもりがあるかどうか。その問題に対してどのように対処なさいますか。
  45. 吉田豊

    最高裁判所長官代理者吉田豊君) 沖繩におきまして、交通事故に関する民事訴訟事件がきわめて少ないということは承知しておりますが、そのために、訴訟を裁判所へ持ってこいということを裁判所から宣伝するわけにはまいらないのでございます。ただ裁判所といたしましては、そういう訴訟が提起されますれば、十分にこれを迅速に処理する、こういう態勢は整えております。
  46. 佐々木静子

    佐々木静子君 最度に、今度裁判所の定員の増加にも、広報課の職員を増員したわけでございます。裁判所の広報課の職員は、結局人権の擁護、たとえば交通事故による人権の救済、あるいは人権の侵害に対して家庭裁判所に訴える、あるいは検察審査会を利用する、そういうふうな機関のPRということをなさるのが本来ではないかと思う。最高裁判所の思想統制あるいは言論統制のために広報課員を増員したのではない。そういう点において、最高裁が今後広報課を、人民のために、国民のために広報課員をお使いいただきたいということを特にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  47. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で佐々木君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  48. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、中村利次君の質疑を行ないます。中村君。
  49. 中村利次

    中村利次君 医療保険制度の抜本改正に関して、社会保障制度審議会は去る六日、社会保険審議会は十九日、おととい、総理並びに厚生大臣の諮問に答えて答申をしておりますけれども、これは、ともに政府の抜本改正に対する姿勢を批判をして、特に、この制度改正の目玉ともいわれております財政調整については、相当難色があることが明らかにされておるのですが、答申内容を含めて、この二つの答申が政府の姿勢を批判しておるという事実に照らして、厚生大臣はどういうお考えをお持ちなのか、まずお伺いをいたします。
  50. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 両審議会からいただきました答申は、御承知のように相当きびしい批判がされております。  その一番の点は、医療の供給の体制を整えないで、保険だけを整えてもしょうがないじゃないかというのが基本的な考え方であります。これにつきましては、医療の供給体制を整えることが緊要であることは申すまでもございません。しかし、これは医療保険の法律の中で解決のできる問題ではございません。したがいまして、これにつきましては医療基本法を制定をして、そしてその基本法の精神に基づいて今日の国民の医療に遺憾のない体制を整えたい、かように思って、この医療基本法を本日、制度審議会に諮問をいたしております。  それからいまおっしゃいました、抜本改正の目玉は財政調整にあるが、これについても批判的であるという御意見でございます。財政調整につきましては、制度審議会はもう十年ぐらい前から、財政調整はやがて必要であろう、しかし、これにはだんだんと段階を経てやる必要があるという答申、建議を数次いただいておりますが、今度の場合も、その大体の御意見は、これは二つの審議会が必ずしも同じ意見ではございませんが、方向はしかるべきであろう、しかしながら政管健保のもう少し効率的な運営をはかるということが先決ではないか、こういう御答申のようでございます。その他、一、二諮問案についての御意見がございますが、これらの御意見を十分踏まえまして、できるだけ近い機会に、できたら来週中にも政府提案として本国会に提案いたし、十分御審議をいただきたいと、かように思っているわけでございます。
  51. 中村利次

    中村利次君 確かに答申の中にもあります。いま大臣もおっしゃったように、医療の供給体制の整備、健康管理体制の確立がなくて抜本改正はあり得ないわけですね。ところが、やはり問題なのは、こういう基本的な整備確立は、いまは諮問中であるとおっしゃった。そういうものを置き去りにして医療保険を、何といいますか、突っ走るといいますか、そこに問題があろうと思うのですよ。ですから、国民のやはり不信感といいますか、どうも納得できないという気持ちも、この両審議会の指摘も、根本原因はそこにあろうと思うのですが、なぜ供給体制の整備あるいは健康管理体制の確立等々、いわゆる医療基本法で消化をしなければならないものよりも医療保険制度の問題を先走りされるのか。どうでしょう。
  52. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 国民によりよき医療を提供する、あるいは国民の方々の健康の保持、予防、それから疾病の治療あるいはリハビリ、これら今日の要請に合った医療の供給体制を整えることの必要であることは申し上げるまでもございませんが、しかしそれだからといって、いまの医療保険をそのままにしておいてよいというわけにはまいらないと、かように考えます。医療保険は、いかによき医療を国民に提供するかということを主眼にしたものというよりは、医療費というものを国民相互の扶助によって困らないようにするというのが主眼であるわけでございますから、そういう意味で法体系も違いまするし、また考え方も違うわけで、私は今日の医療供給体制が完ぺきになるまで保険に手をつけてはいけないということには、ちょっといかがなものであろうかという感じがいたしておるわけでございます。  そうかといって、供給体制を整えることにおろそかであっては相なりません。医療基本法がなくても、今日の、たとえば新しく起こってまいりました成人病、あるいはガンその他、小児関係の医療の供給体制、これを整えるために、あるいはガンセンター、あるいは救急医療センター、そういったものを整え、また医師の不足を解消すべくいろいろ努力をいたしておりますが、これにやはり基本的な政策の根拠を与え、そうしてもっと系統的にやって今日の医療の需要にこたえるということが必要でありますから、基本法もぜひこの国会で御審議をいただきたいと、かように考えておりますが、これは両方、まあ車の両輪のようでありますが、両輪を——一本の法律とまた一本ができるまで、一本の輪を完全にしてはいけないということにはならないのじゃないだろうかと、かように今日考えておりますが、しかし、両審議会の答申をさらによく玩味をいたしまして、そうして政府提案として基本法の提案をいたしたい、また抜本改正の提案もいたしたい、かように考えておりますので御了承いただきたいと存じます。
  53. 中村利次

    中村利次君 これは車の両輪というたとえをなさいましたけれども、車の両輪も間違っておると思いませんが、私はやはり供給体制基本であって、その上に堅実に立てられた保険制度でないと、両輪でなくて、これは砂上の楼閣になる危険があるから、この答申も、あるいは国民の不安も、特にこの先走りをされるということは、何か健保のかかえている膨大な赤字を、どう切り抜けるかということに狂奔しておられるのではないかという印象が非常に強いのです。非常に短かい時間ですから、それを含めて、財政調整はなぜ必要だとお考えですか。
  54. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) いまの保険は、御承知のようにいろいろと古い沿革から次から次へと保険制度が行なわれてまいって、今日、国民はどれかの保険に入っている、医療保険に入っているということでありますが、これが国民皆保険という精神ででき上がった制度ではないことは御承知のとおりであります。最初は、いわゆる労使の関係から、いわゆる被用者だけの保険というものがありますが、これを各事業場に設ける。そうして自立のできない中小企業に働く人たちのものは、これは政府で管掌するということに始まって、それが家族に及び、また国民保険も、初めは任意であったものが強制保険になって全体的になってきた。今日保険は大きくいって八種類、それがたくさんのに保険分かれてあります。  これを考えて見ますると、今日の状況から見ますると、いわゆる大企業の、保険料収入も高い、健康度もよろしいというもの、あるいは中小企業の、保険料が非常に少ない、いわゆる給料が低うございますから。そうして高年齢層の者もかかえている、疾病率の多い者もかかえているというものを、それぞれ別々にしているということはこれは皆保険というものに値しないのではないか。おやじは十割だ、家族は五割給付だということも、国民という立場から見ればおかしい。そこらを是正をしてまいって、そうしてほんとうに国民皆保険だという、国民総連帯、相互扶助という考え方の保険に移行することが必要ではなかろうか、かように考えて、抜本改正の精神はそこに持っているわけでございます。
  55. 中村利次

    中村利次君 私の質問に的確にお答えをしていただけないわけです。社会保険制度が、これがやはり連帯性を持たなければならないということ、これはだれでも知っているわけですよ。しかし組合管掌保険が今日あるのは、それなりの経営努力、あるいは要するに企業の保険者、被保険者が一体になって、企業とは別個の組織をつくって、たいへんな努力をして今日があるわけでありますから、これは私は、いいものを悪いものに地ならしする、それから金を取り上げる、これは経営意欲といいますか、努力といいますか、そういうものをないがしろにする思想に通ずると思うんですよ。そしてこの医療保険制度を、ろくな金も政府は出さないで、保険者の負担によって何とか赤字解消をしようとする。その中に、この財政調整で組合管掌保険から金を召し上げようとする、そういう姿勢がたいへんに問題だと思うのですが、どうですか。
  56. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 組合経営の効率的であることは私も認めるわけであります。したがいまして、ただいまの考え方では、政府管掌の中にいる保険者の人たちも、できるだけ組合経営にできるようにしたい。今日、法律上は三百名以上は組合をつくることができるということになっておりますけれども、いまの仕組みでは、これは組合経営になれば赤字になる、いわゆる診療報酬費のほうが多くて収入が少ないというのは赤字になるから、それで政府管掌でかかえているわけでありますが、まあ政府管掌よりも組合管掌のほうが効率的であるという点は認めざるを得ないと思いまするし、そのほうが民主的な運営になりますから、したがって政府管掌の中から自立のできるものは、自立というのは経済的の自立でなしに、事業経営としてやっていけるというものは、これはどんどんと組合管掌にいたしたい。しかし、組合管掌になっても、赤字をどうするかという問題があります。しかし赤字解消というよりも、金持ちは金持ちでグループをつくる、貧乏人は貧乏人でグループをつくるというあり方は、これは国民相互扶助と総連帯という考え方にそぐわないではないだろうか。  そこで、組合の中においても、あるいは政府管掌の中においても、いわゆる賃金の格差が中小企業と大企業は非常に違う。中小企業の中においてはまた疾病率も高い。高年齢層の人たちもたくさんかかえている。大きな健康保険組合から、定年になれば今度は中小企業へ入って働かれる。そうすると、大企業においては安い保険料率で、しかも、それでも家族給付という法定外の給付も全額給付をするというだけの余裕を持っている。ところが中小企業に入ると、保険料率は高い、それにもかかわらず法定外給付はできないというような関係では、これはほんとうに国民総連帯の気持ちにそぐわないではないかと、かように考えまして、私は、おっしゃいますように組合経営の効率化を認めますがゆえに、できるだけ組合に移行をさせる、そして政府管掌に残るものについても、いままでより以上に、組織的にも経営効率の上がるようにいたしまして、そうして財政調整をやることが皆保険の精神にかなうものではないだろうかと、かように考えているわけでございます。
  57. 中村利次

    中村利次君 これは、どうも時間がありませんので、ここでは詰められません。そのうちに、私は機会を得てこれを詰めてみたいと思うのですけれども、医療保険制度は、これは保険者、被保険者と、それから医師との三者関係にあることは当然でありますけれども、失礼ですけれども医師会寄りとうわさされております厚生大臣が、この三者の合意なしに抜本改正に手をつけて、問題をますますこじらしておるという印象があります。三者の合意なしに、円満に事態を解決することが可能とお考えになるかどうか、お伺いします。
  58. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 願わくば三者合意をしていただきたいと、かように念願をいたしております。いまもなおかつ、その努力をいたしておるわけでございます。
  59. 中村利次

    中村利次君 最後に、いま衆議院では健保法の改正案が審議されておりますけれども、こういうものを含めて、両審議会の答申を尊重し、審議中の改正案等も修正をされる、これはもう両審議会の答申を尊重するということになりますと、そのこともあわせて考慮されるのが当然だと思いますが、この点についてはいかがですか。
  60. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 抜本改正の問題につきましては、いま両審議会から答申をいただいたばかりでございますから、できるだけ尊重いたしまして、政府案として提案をいたしたいと考えております。  現に審議をしていただいておりまする健保法の一部改正、いわゆる財政対策といわれますものは、これはすでに予算の政府案を決定した後のものでございましたので、遺憾ながら答申の御趣旨によって修正することができずに提案をいたして、ただいま御審議を願っておるわけであります。政府といたしましては、政府原案が最も適当であると、かように考えておりますが、それらを踏まえて十分御審議をいただきたいと存じております。
  61. 中村利次

    中村利次君 次に、国鉄問題についてお伺いをしたいと思います。  これは国鉄運賃法等の一部を改正する法律案は、すでに衆議院で審議を開始したわけでありますけれども、十九日の衆議院の物価対策特別委員会で経企庁長官が、国鉄自身の合理化努力はどうも十分でないようで、今後の赤字路線建設は反対だという発言をされたと報じられておりますけれども、この赤字路線の建設について、国鉄総裁及び運輸省はどういうぐあいにお考になるか、お伺いします。
  62. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 赤字路線の問題につきましては、私、再三御答弁を申し上げておりますが、赤字路線は、鉄道といたしまして特性を失って、そうして国民経済上から見ましてもまた、代替輸送機関がございまして鉄道としての特性を失ったものにつきましてこれを廃止をしたいということで、今回財政再建計画におきましても御審議を願っておる次第でございます。  また、今日の鉄道の、陸上交通の大動脈といたしましての国民に対する使命を考えてまいりまするときに、ただに幹線だけでもってその使命が達成するかどうかということは非常に問題でございまして、各方面におきまして、それだけでいい、それだけでは足りぬという御論議が非常にあるところでございまして、これはいろいろ御論議を呼んでいる次第でございますが、先般衆議院に設けられました国鉄再建小委員会におきましても、各党におきましてもいろいろの違った角度からの御論議があった次第でございますが、私どもといたしましては、今日、国土再開発、新全総にのっとりましたる国土の均衡ある発展をはかるために、どうしても国鉄の大量輸送によることが、経済的に見ましてもまたその格差是正に対しましても、必要であるというような地点につきましては、現時点におきましては赤字でございましても、将来におきまして、要するに鉄道の需要増が十分に見込まれるというような点につきましては、地方線につきましてもこれは建設を重点的に進めていくということでございます。もとより国民の御負担でございますから、その点は国民経済から見まして不経済にならぬように重点的に勘案をいたしまして進めてまいるつもりでございます。
  63. 中村利次

    中村利次君 運輸大臣のその御答弁国民にすんなりすなおに理解、消化をされないところに問題があるんですよ。政治駅ができたり、政治の停車駅ができたり、政治から押しつけられた赤字路線が膨大な赤字をかかえる国鉄に次々と押しつけられていくという印象が非常に強く国民にあるわけです。ですから、そういうことをどうお考えになるのか。私は、これは国鉄にとっては、政治的な赤字路線を押しつけられるのは迷惑千万じゃないかと思うんですけれども、重ねて運輸大臣の御答弁と総裁のお答を願います。
  64. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま中村先生から御指摘がございましたとおり、国民の御理解を得にくい、非常にその点で納得しがたいというような路線につきまして、そういうものをあえて強行するということは、これは最も慎むべきことでございまして、何と申しましても国民の御信頼をいただきながら建設をするということがもう一番の元でございまして、その点につきまして、過去におきましてややもするとそういったような誤解を受ける点もあった。そうしてまた、国民の御理解を得るために十分でなかったという点につきましては反省をいたしている次第でございます。したがいまして、ただいまそういったような計画のうちにおきましても、あるいはその後の経済事情の変更によりまして、たとえばいままで鉱山があったところが鉱山が廃鉱になりまして、需要関係におきましても非常に減少してきている。将来におきましても、また、国土再開発計画におきましても、これらの点におきまして拠点にはならぬというようなところにつきましては、ただいませっかく再検討を命じさしている次第でございまして、従来の例におきましてもそれらの点は、私は公正な目で修正をしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。しかしながら、御承知のとおり、国鉄におきまして、地方線におきましても、一万キロの地方線がある次第でございまして、それらにつきましては、採算上は必ずしもこれは黒字収入とはならぬということでございますが、国鉄の公共性からかんがみまして、これらの点でもし国鉄が廃止されましたならば、国民に与える影響はいかがであろうかというような問題もございまして、また新線の点につきましても、要するに短絡をすることによりまして鉄道網を形成する。一環鉄道になることによりまして輸送の需要が非常に増強するということが見込まれるというような点は、重点的にこれは進めてまいらなくちゃならぬ、こういうふうに考えている次第でございまして、重ねて申し上げますが、いま御指摘がございましたように、あくまでも国民の御了解のもとに立ちましての建設を進めてまいりたいということで私はせっかく指導してまいりたいと、こう思っている次第でございます。
  65. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうといたしまして、できました赤字線の運営をお引き受けする立場にあるわけでございますが、御承知のとおり、現在四十四線の建設を鉄道建設公団でやっております。四十四線がもちろん全部赤字でございますけれども、赤字になるがゆえに全部やめてしまえという暴論は、私は申し上げません。四十四線の中には、いま大臣がおっしゃったように、ほんとうに将来とも日本の交通ルートを形成するものもございます。したがって、そういうものは重点的にぜひやってほしい。しかし、そうでないものはこの際やめていただきたいというほんとうの重点化をぜひやっていただいて、そうして重点的に大事な線を早くつくってしまう。いまの調子ではどの線も全部で三十年、五十年かかるということになりますので、そうでなしに、重点的に大事な線に予算を集めて、そこを重点的に早くやる。あともう鉄道として必要ないところはやめるという思い切った重点化、それによる工事のやり方を私どもとしてはぜひお願いしたいというのが立場でございます。
  66. 中村利次

    中村利次君 わかりました。運輸大臣もまた国鉄総裁も、政治的な国民の疑惑があるような赤字路線については、今後建設をやめるということについてはやはり同調をされたと私は解釈をいたします。  次に、いま申し上げるように、そういう赤字路線を国鉄としては押しつけられ、非常にこれは迷惑千万だと思いますが、内部には職場規律の乱れがこれはもういまやその極に達しておるという感じがするわけでありますけれども、一体この職場規律の問題について管理体制がどうなっておるのか、お伺いいたします。
  67. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私どものほうの中の職場規律、ことに最近発生いたしました暴力事件等につきまして、たびたびにわたりまして当委員会で御指摘を受けまして、たいへん私も遺憾に思っております。ただ私のほうといたしましても、暴力問題と労働問題とは全然別問題である。労働組合法第一条をまつまでもなく、いかなる暴力の行使も労働組合の正当な運動でないということははっきりいたしておりますので、その限度におきまして、私は私のほうの労働組合がどの組合であっても暴力行為をやれということを指示していることはこれは絶対にないと思います。しかしながら、組合活動と関連して暴力行為が起こっておることも事実でございますので、こういった暴力行為については徹底的に管理者一体となって取り締まってまいって、そうして業務の正常な運営を確保するというのが私の仕事だというふうに考えております。
  68. 中村利次

    中村利次君 これは、総裁はそうおっしゃいますけれどもね、ちっともその暴力問題がおさまっておらないから私はこういう質問をしているわけなんです。現在でも続発をしておりますよ。ますますこれは悪質になりつつあるのです。たとえば坂町機関区等においては、当時その一部の少数の機関区においての暴力発生であったのが、全県下にわたっての、全機関区が集団暴力化をしておる。これは総裁がどうもりっぱな答弁をなすっても、現実にむしろおさまるどころか蔓延する傾向にある。現実にまた行なわれておる。それに対してどういう管理体制をおとりになっておるのか。あるいはこれからどういう管理体制をとろうとなさっているのか、もう一回お伺いします。
  69. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、けさも私のほうのこの付近の現場長が大ぜい参りまして、絶対に自分たちとしても職場暴力についてはこれを全力をあげて鎮圧するようにするというふうに誓いのことばも言ってまいりましたけれども、たとえば先生の御指摘の新潟県の坂町機関区等におきまして、やはり処分発表後、暴力あるいはいやがらせ、脅迫等が行なわれておった事実がございます。で、これに対しましては局長みずから現地におもむきまして、その関係の組合、いわゆる動労あるいは鉄労等の責任者と話をいたしまして、そうして一件一件鎮圧につとめておりますけれども、なかなか組合の内部の問題等もございまして、末端まで浸透するのに時間がかかる。あるいは一時おさまってもすぐそれがまた起こるというふうな遺憾な事態が発生しておることも御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後におきましてはやはり私ども管理者一体となって、暴力と労働問題とは別だという信念のもとに、あらゆる暴力を防ぐということに全力を注いでまいりたいと思っております。
  70. 中村利次

    中村利次君 こういう集団暴力発生の原因は何だとお考えになっておるのか。あるいはこの暴力、集団暴力の事実、いろいろな事実がありますね。悪質の中、幾つかでけっこうですから、どういうものを総裁として御承知になっておるのか、総裁がはたしてそういうことをすべて御承知なのかどうか。御承知だったらひとつここでお教えを願いたい。
  71. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 大体のことは私承知いたしております。ただ、こういう席で申し上げるのははばかるようなこともございますので、また、私として非常に申し上げにくい、いずれにしてもこれは部内の職員でございますので申し上げにくいこともございますので、一つの限界を持って申し上げますれば、いわゆる労働組合法上申します暴力の中に含まれている暴行、脅迫、いやがらせ、村八分、あるいはこれは職務上のことではございませんが、たとえば一番軽微なこととして、自宅付近に行って、そしてばか呼ばわりをする、大きな声を出すとかいう、これは暴力に入るかどうかは別といたしましても、そういういやがらせ、あるいは通勤途上におけるいやがらせ等、まことに本席で申し上げるにふさわしくないことがございまして、大体私は事実を知っておるつもりでございます。
  72. 中村利次

    中村利次君 まことにもって、これはもうほんとうにゆゆしいことだと思うのですよ。私は、安全、少なくとも国鉄は国民の生命を預かって輸送なさるわけですね。貨物だってこれは重大な使命がある。一つの例にすぎませんけれども、安全問題だけを取り上げても、甲府機関区では、フロントガラスにのりを塗って、機関士が前方注視ができない、非常に困難であるというので次の駅に緊急停車をして、そしてのりをとったという、こういう事態もある。そういうものは一切やらせないように心がけているんだとおっしゃるけれども、こういう事態がまだまだ続いているという事実をどうお考えになるのか。あるいは田端機関区では、私はここに陳述書の写しも全部持っています。これはむしろ総裁に読んでもらいたいと思うのだけれども、休養中ですよ、これは勤務をして、仮眠をして、また機関車に乗らなければいけない、そういう休養、仮眠中の人に集団リンチを加えて二週間のけがをさして——そして寝ないで負傷した身で機関車を運転していっている。こんなことを許すんですか。これでもしこれが大事故につながったら国鉄総裁の首のすげかえや運輸大臣の責任だけでは私は済まないと思う。こういうやはり基本的な人権の問題と国鉄の安全輸送という使命から考えて、どんなにこうやっている、ああやっているとおっしゃっても、こういう事実に対して大体どうお考えになるのか、お伺いします。
  73. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、いま御指摘の田端の事件は、先般新鶴見の事件でトップ会談を行なっている最中の事件でございまして、非常に私どもといたしましても、トップ同士で話をしているのに現場でもってそういう暴力事件が起こるのは実にけしからぬじゃないかというふうなことも申しました。まあこの事件は、本人、被害者が告発いたしまして、いま警察で取り調べておりますので、詳細なことは申し上げかねるわけでございますけれども、いま先生がおっしゃったように、私のほうの仕事はやはり人命に直接関係するわけでございまして、それに携わる人間の休養とか静養とかというものを妨げるということは即事故につながることでございます。したがって、休養、静養について、あるいは自宅の静養も同じでございますが、そういうことについては全力をあげて私どものほうの管理者で守ってやる。しかし、もし守れなければそれを公安職員で守る。さらに、どうしても国鉄の手に負えなければ警察官の出動もお願いせざるを得ない場合もあるというふうな、いま私どもに許されましたあらゆる民主的な合法的な手法によりまして守ってやるという以外にないと思いますけれども、非常に場所も広く、また深夜手薄なときにそういう問題が実は起こりがちでございまして、いまいろいろそういう意味で巡回その他をやっておりますけれども、全部が全部その場に管理者が居合わせるということもむずかしいというような事態で、いま何と申しますか、職場の安全の確保、治安の確保、治安ということばはちょっと不穏当でございますが、職場の少なくとも職務執行上の安全の確保については、ここで暴力に屈することなく、あくまでもあきらめることなく全管理者一体となってやってまいりたいというふうに考えております。
  74. 向井長年

    向井長年君 関連。  総裁、先ほど中村委員の質問に対して、組合と暴力追放について話し合って、実施しようという形がとられたと、こう言っておりますが、そのとられた後、四月十七日、八日以降、しかも甲府あるいは八王子等において、再び暴力事件がいま発生しているじゃありませんか。話し合いしてそういうものを追放しようではないかと言いながらも、すぐこういう問題が職場で起きている。こういう点に対してあなたはどういう態度で話し合ったのか。また、話し合いがどういう形で進んだのか。それが組合内部に十分に徹底ができたものか、そういう問題に対して、ただ上のほうで話し合っただけで、下部においては直ちにそういう問題が起きておるという、この現状をどう見ますか。  それともう一つは、先般私も質問いたしましたが、総裁は、私は経営哲学を変えたと言いましたね。過去において考えておったことに対して経営哲学を変えられた、どういう哲学を持っておられたのかお伺いしたい。あわせて生産性向上と申しますか、国鉄再建運動に対して、あなたは年末に、二カ月ほどしたら再開いたしますよ、こう言っておきながら、現状においてできない理由は何であるか。できない理由とは経営哲学を変えたからできないのか、それとも事実上やろうとしてもできないのか、この点を明確にひとつしていただきたいと思う。
  75. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先般来、主として新鶴見の暴力問題を中心といたしまして、私どもの副総裁と動労の委員長と数回にわたるトップ会談を行なっております最中に、そういった事態が——最中並びにその後に各所においてそういう事態が起こったこともおおむね事実でございまして、私も聞いております。問題は組合として、組合の正式な労働運動として暴力行為をやるということはこれは考えられないことでございます。また、当然そういうことはしていないということははっきり申しております。したがって、もしそういう暴力行為があるとすれば、これは個人個人の、単なる個人的なやり方にすぎない。決してこれは組合運動ではないと、これははっきり言えると思います。したがって、それに対しましてはやはり厳重な処分、厳重な手続をとって、いまの法治国家において許されるあらゆるあと始末をする以外に方法がないというふうに私は思っております。しかし、先ほど申しますとおり、なかなかいま各所に起こっておりますそういった問題について、一々鎮圧できないのを非常に遺憾に思っておりますけれども、しかし、全般としてまず管理者が自分でやる。そしてその次にいろいろな手だてを使うという方法でもってやる以外に手段なり方法はないということでもって、先ほど申しますとおり、絶対暴力に屈することなく、暴力に対してあきらめを持つことなしに全部でやろうじゃないかというふうな決意でおります。  それから、ただいま先生の御指摘の問題でございます。これは私は、私自身昨年の秋のいろんな問題につきまして申しましたとおり、私自身の経営哲学は変えておりません。私自身の経営哲学といたしましては、哲学というような口はばったいことばを使うのは恐縮でございますけれども、簡単に申しますれば、全職員が国鉄に対する愛情を持つことと、国鉄を利用してくださる方に忠誠心を持つこと、この二つが私の経営哲学でございまして、これをどう全体に浸透さすかという問題でございます。  先般のいわゆる生産性運動につきましても、いろいろ問題がございました。現時点においてまだ発足してないと申しますのは、先般もここで申し上げましたが、私は、いま国鉄が百年を迎えましてちょうど新しい再建、第二世紀に入らんとしているときでございますので、そのいろいろな財政的な、あるいは物的な設備の改善といいますか、財政的な改善等々体質の改善と相まって精神的な面の改善をやっていきたいというふうに考えておるわけでございまして、いまいろいろ具体的にそれをどういうふうな形で運動として発展さすかということにつきまして案をつくっております。いずれこれは国鉄再建をほんとうに具体化し、国民の御協力を得られて発足するときになりましたら公にいたしまして、全職員の運動として発展さしてまいりたいというふうに思っております。
  76. 中村利次

    中村利次君 これは総裁がおっしゃったように、動力車労組ではない、個人です、あくまでもこれは労働運動ではないと、私もそう思っています。ところが、四月の三日に暴力事件に端を発する処分を発表された。処分撤回で順法闘争というものが始まった。これはトップ会談で妥協をされたようなんです。ところが、そういうことがその暴力事件のますますエスカレート、蔓延につながっているとすれば、総裁はどういう責任をおとりになりますか。
  77. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先般の問題のあとの措置といたしましては、問題を二つに分析いたしました。一つは、いわゆる順法闘争の発端といわれているいわゆる安全の問題でございます。これは純粋に技術的な問題でございまして、これは目下、いわゆるATSという問題とからんで十ほどいろいろこまかい問題が出てきております。したがいまして、これは現在、三河島事故以来労使の間で設置いたしました事故防止委員会の中において、こまかく具体的に専門家同士で話し合いをいたしておるわけでございまして、これは事務的にそうむずかしい問題ではないというふうに思っております。  一つは、いわゆる暴力問題の原因ともいわれるべき職場内における不信感の払拭という問題でございまして、やはり暴力の原因というのは職場内の秩序の乱れということにあります。その原因は、やはり職場内における労使の不信感がもとだというふうに思いますので、私どもといたしましては、私どもの最高責任者並びに組合の最高責任者において、その不信感の除去に一そうつとめる、自分たちの責任でお互いの不信感の払拭をしようということの協定をいたしたわけでございまして、その点は妙な妥協をしたわけではございません。私は、あくまで筋を通してこの問題は解決するというふうに申し上げましたが、その点は妥協などの産物ではございませんで、あくまでも筋を通した解決に進んでいるというふうに私は思っております。
  78. 中村利次

    中村利次君 暴力を断じて許さないという、そういう声明を発せられる用意がございますか。
  79. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 先ほども申し上げましたとおり、けさ私のほうにこの付近の管理者が十数名参りまして、そして管理者としても暴力を絶対に許さぬという強い決意を披瀝し、またその決議を持ってまいりました。私もしばらく一緒に話をいたしまして、これはもう現場長も、現場のその下の管理者も、また、私ども東京に、本社にいる者も、全員一致となって暴力を排撃しようじゃないかという強い決意を披瀝いたしました。そのことは、きょうはたくさん新聞等も来ておりましたので、あるいは報道されるかとも思いますけれども、それは部内に徹底的にその事実を明らかにするというつもりでございます。
  80. 中村利次

    中村利次君 国民の疑問にお答え願いたいと思いますけれども、順法という名の闘争が始まりますと、ダイヤが乱れて国民の、利用者の皆さんが迷惑をなさる。そうなりますと、国鉄のダイヤは違法でつくられているのかどうか、お伺いをします。
  81. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 私のほうのダイヤは——まあこまかいことになりますが、ツー・セクション・クリアと申しまして、必ず閉塞区間を二つ間をおくというダイヤをつくっております。いま乱れておりますのは、実はその問題よりむしろ——これもこまかいことになりますけれども、操車場の構内におきましていわゆる入れかえ作業をいたします。その入れかえ作業は二十五キロ以下でやらなければいけないという規則がございます。これは二十五キロ以上になりますと危険であるという、いわゆる最高速度を制限したものでございまして、ちょうど、道路でもってこの区間は五十キロとか六十キロとかいう制限があるのと同じでございますが、その規則を逆にいたしまして、二十五キロ以下だから一キロでも二キロでもいいんだというふうな解釈のしかたをいたすわけでございまして、これは、私のほうは法律ではございません、一つの作業基準でございますので、作業基準として二十五キロ以下で走れということは、二十五キロをこしてはいけないという意味でございまして、それが三キロでも一キロでもいいんだという意味ではございません。これは、少なくとも良識のある、しかも相当のキャリアのある乗務員ならば、自分がその構内で十キロで走るのがいいのかあるいは二十キロで走るのがいいのか、これは常識の問題だと思うのでございます。それを一一、二十五キロ以下であってもここは五キロだ、ここは十キロという規則はこれはできないわけでございまして、したがって、そういうことをもし順法と称するならば、これは順法ではないと私は思います。規則の精神を生かさなければいけない。いわゆる最高制限速度をきめたものを、それじゃ、一番低い速度でいいかということになりますと、これは常識の問題であると思います。そういう意味で、近ごろ順法闘争ということばに「いわゆる」ということばをやっとつけていただきましたが、「いわゆる順法闘争」であると、これはマスコミのほうでございますが、私のほうはもちろん違法であるというふうに言っております。法でなしに、私のほうは一つの作業の基準でございます。ですから、一番おわかりいただけると思いますのは、二十五キロ以下という速度制限に対して一キロで走ることが一体順法か違法かということになります。こういう常識の第一歩の争いというものは、やはり手段として使うということ以外の何ものでもないというふうに私は思います。したがって、一昨日も重大な警告書も出しまして、それは知っていることでございますが、闘争といいますか、目的貫徹の手段として間接に国民に迷惑をかけて、当局に圧力をかけるという手段だと思います。これは手段としては第三者に対する迷惑の非常に多い、感心しない悪い手段だというふうに思って、この点は常々私どもは、そういういわゆる順法闘争をした者は絶対に許さぬということを言っておるわけでございまして、決して順法——規則に従うことでダイヤが乱れるという事実は絶対にございません。
  82. 中村利次

    中村利次君 どうも残念ながら時間がなくて、詰めることができません。  そこで最後に、運輸大臣関係大臣としての所見を伺いたい。これも暴力問題その他を含めてですよ。
  83. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま国鉄総裁から答弁を申し上げましたとおりでございまして、最近、ATS闘争と申しますか、それ以来国民に非常に御迷惑をかけておりまして、まことに監督の責任者といたしまして申しわけなく思っておる次第でございます。御承知のとおり、何と申しましても、今日、通勤通学の国民の足を確保するということは絶対至上命令でございまして、ただいまお話のございました、ことに暴力行為、こういったものがお互いの職場で起こっておることはまことに悲しむべきことでございますし、またこれは断固として排撃しなければならぬ、こういう問題でございます。これはもちろん、先ほどから御答弁申し上げておりますが、労使関係以前のものでございまして、民主主義国家におきましては断じて許すことができない問題でございます。しかしながら、国鉄が今日財政再建のための計画につきまして——法案につきまして御審議を願っておるこの過程におきまして、ほんとに国鉄が国民の中心の足といたしましてその使命を達するためには、何と申しましても労使がほんとに協調一体となりまして、そしてこの事態を認識をいたしまして、国民の足としての自覚を持ちましてやるという根本の労使の相互関係の信頼、これが第一でございます。これをどうしてもまず基調といたしましてはじめて再建策ができると思う次第でございまして、それらの点につきましては、せっかく国鉄総裁も苦心をしておる次第でございますが、私も十分その点の指導監督の責任を感じておる次第でございまして、本日も早朝に国鉄総裁を招致をいたしまして、今日、国民に御迷惑をかけている問題、ことに、昨日、それがために池袋で旅客の方に負傷者まで出したと、こういうような問題、これにつきまして十分配慮をいたしまして、いやしくも、そういうようなことがございまして旅客の皆さまに御迷惑をかける、国民の皆さまに御不安をかけることのないよう、十分な配慮をするように、きょうも厳重に注意を喚起さした次第でございます。今後とも十分見守って、そして国民の皆さまの御不安を一日も早く解消したいという念願で、今日、せっかく苦慮しておる次第でございます。
  84. 中村利次

    中村利次君 時間もありませんので、集団暴力はなお継続され、国民、利用者の皆さまが実際、安全管理上問題があるというようなことが続きますなら、私は、これはあらゆる機会をとらえて管理責任の追及をしたいと思います。  次に、スト規制法が昭和二十八年に時限立法として制定をされまして、三十一年にはこれが恒久立法化されたわけでありますけれども、このことはもう何回も国会でも取り上げられておりますけれども、あらためてここで二十八年の時限立法化された、制定された当時の、あるいは三十一年当時のいきさつについてお伺いします。
  85. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 昭和二十七年の秋から年末にかけまして、電気事業、石炭鉱業において争議が起こりまして、たいへんな国民に不安、動揺を与えました。で、いま中村委員指摘のように、二十八年に三年間の時限立法としてこれはつくられたわけでありまするが、その後三十一年でありまするか、国会の存続決議によって恒久立法となって、今日まできておるわけであります。やっぱりあくまでも社会不安、国民生活に大きな不安を与えるということをチェックするためのものであります。
  86. 中村利次

    中村利次君 どうも詳しい御説明がないんですけれどもね。これは、労働基本権なんというものは侵してならないものだということは、あるいはまた法の前に平等であるということは、憲法十四条、二十八条に照らすまでもなくはっきりしているわけですけれども、それとやはり公共の福祉との調整をどうはかるか、こういう点が私は問題じゃないかと思うんですけれども、これは、たとえば労調法の、非常に露骨なのは、労調法三十五条の二は——アメリカなんかも大体これに類するものでやっておりますね——緊急調整できる。できるのに、なぜこういう特別立法の必要があるとお考えになるのか、あるいは存続の理由。
  87. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) もちろん恒久立法となりましたあと、産業事情の変化、さらにはまた労使関係の問題等も好転いたしておりまして、特に特記すべき点が起きないことは私はまことにけっこうだとは思っております。しかし、言うまでもなく電気の国民生活に占める割合、比率というか、それから、たとえば停電というようなことにおいて国民に与える不安が非常に大きいということになりますると、国民は一体何が起きるかわからぬというこの不安、これはなかなか表現できないくらい大きいものがあると私は考えております。いま御指摘のように、労働基本権の問題、憲法二十八条違反ではないかということがありまするが、やはり公共の福祉という面から考えますれば、私は決して違憲ではない、憲法違反ではない。やはりあくまでも電気の社会生活国民生活に占める大きな役割りというか、それが与える不安、動揺というものを考えました場合には、公共の福祉ということ一つとらえてみましても、私はいま御指摘の点に対しては同意しかねるものであります。
  88. 向井長年

    向井長年君 関連。  労働大臣、いまあなたは公共の福祉を中心にして違憲ではないと、こう言われました。なるほど違憲であるかどうかの問題は今後の問題であろうと思いますが、しからば時限立法の意味は何ですか。時限立法というものはどういう形でつくられたか。少なくとも憲法の二十八条において団結権、団体行動権、罷業権、こういう問題は基本的な労働基本権なんです。そうでしょう。そういうのが憲法保障されて、労働法ができ労調法ができ、それに該当するものが時限立法ということで二十八年に出された。時限立法というものは、少なくともその当時、なるほど社会不安、公共福祉に反するなど、こういう状態があらわれたから緊急にこの時限立法が出された。しかも三年である。三年の間はこれでひとつ十分自重してもらおうではないか、こういう臨時的な法律なんです。そういう状態と、その三年後——今日に至り、そういう状態の不安があるのかないのか、そういう問題がやはり時限立法の私は意味だと思う。わかりますか。そうでしょう。それが一つ。  もう一つは、いま中村委員指摘しましたように、憲法二十八条に従って、公共事業の労働組合に対しては労調法という調整法があるわけです。この労調法の三十五条あるいは三十八条、これは何を意味しているか。少なくともそういう公共事業に対して、社会不安を招きあるいは公共の福祉に反するような状態があるとするならば、緊急調整という一つの手段があるんです。中労委において緊急調整をする、これは労働大臣から請求すればできるわけです。緊急調整をした場合においては、争議行為はこの三十八条において五十日間は争議行為の禁止をされておるんですよ、法律で。この五十日間禁止しておるということは、この五十日間に平和的に解決を労使でさせようではないか。ここにこの緊急調整の趣旨と法律の意味があるわけです。これを、こういう手段が選べるにもかかわらず、時限立法が恒久立法にただいまなって、毎年毎年国会で取り上げても、これに対してですよ、いや公共の福祉だ公共の福祉だと、そんなことを言うんだったら、いま公共の福祉は大きく害されているじゃありませんか、公害一つ見ても、政府自体で。あるいは国鉄の先ほどの指摘もそうなんです。しかし、いま、この時限立法をやった当時と、現状はどうですか。まだ続けなきゃならぬというような状態になっているかどうか。この点、労働大臣から明確に私は答えていただきたい。あるいはあとの緊急調整のこの意味というものもあわせて答弁願いたい。
  89. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 昭和二十八年にスト規制法ができまするときに、私はこれにタッチしておりませんでしたけれども、もちろんよく存じております。私の知るところでは、この三年間の時限立法にしたというのは、国会の修正によって時限立法になったと私は承知いたしております。その後三十一年には、国会の存続決議によってこれが恒久立法となったわけでありまするが、ただいま労調法その他との関係のお話がございました。法律上の解釈は事務当局、労政局長からさせまするけれども、私は今日においても、この電気の国民生活に占める、国民生活に与える非常な重要性、端的に言って、何が起きるかわからないという不安、これを守るためには、私はこの法律というものはやはり必要であろうと考えております。しかし、各方面からいろいろと私は御意見も承っております。その御意見も十分私は存じております。ですから、結論を急ぐようでありまするが、今日の段階においてこの法律をやめる、廃止する考えはございませんが、慎重に検討いたす気持ちは十分に持っております。法律上の解釈につきましては労政局長をして答弁させます。
  90. 石黒拓爾

    政府委員(石黒拓爾君) スト規制法と緊急調整の関係について申し上げますが、御承知のごとく、緊急調整というのは特定の争議が非常に大規模かつ長期間にわたり、国民経済全体を麻痺させるというような場合に発動することを予定しているものでございます。電気事業におけるスト規制法の規定というものは、必ずしも長期、大規模ということではなくて、電気の特殊性から、瞬時にして国民生活が甚大な影響を受けるということで、必ずしも緊急調整の発動要件を満たすような長期、大規模の場合でなくても、電気の停電ストというようなものは国民生活に甚大な影響を与えるので、これは公共の福祉の見地からそういう争議手段は制限するというふうな立法措置と承知いたしております。
  91. 向井長年

    向井長年君 答弁不十分。労働大臣、いま私は経過だけの問題を聞いておるんじゃないんです。いわゆる時限立法の意義は何だということを聞いておるんです。これはこのスト規制法だけではなくて、他にも時限立法というのがこの国会でもたびたびあります。この時限立法の意義というものは、これは当座必要である、そういうことを認めて、国会で承認してこれがつくられておるわけですから、時期が来ればこれはなくなっていくのが時限立法の意味だと。そういう問題から二十八年当時は御承知のごとく、それから三十一年当時、そのときにはまだ必要であるというので三年間つけたと思いますよ。国会で修正しようとしまいと、三年間つけたと思う。その後の動向を見てどういう状態にあるか、この問題をあなたはどう判断されておるか、これが一つ。  もう一つは、労使というものは、先ほども国鉄問題であったように、あくまでも労使が対等の立場で諸問題の解決をはかる、しかも、信頼感を持たなきゃならぬ、こういう立場がいま労使の大きな問題ではありませんか。しかも、対等の立場というならば、一つには経営権というものがあるんです。こっちには労働権とあわせて罷業権というものがあるんです。その二つの、いわゆる対等の立場から法律はこれを保護しておるんです。それを一方だけを規制して、労働基本権、言うならば憲法二十八条に反したような形の規制をして、これで正常な労使関係が保てるかといえば、決してそうではないと思う。その点に対して、現状からして、あるいは緊急調整のいまお話がありましたけれども、緊急調整というものは、そういう社会不安なり、あるいは社会に対して大きな国民に対する福祉に反するような状態が出てはいけないというので、こういう問題については緊急調整事項がつくられておる。しかも、先ほど言ったように、五十日間の余裕を与えて、その間にあらゆる手段を講じて、少なくとも平和的に円満に解決さす、この冷却期間を五十日間与えておるんですよ。この活用ができるにもかかわらず、これでぱちっと恒久立法にしたゆえんのものは、これは理論が通らない。少なくとも塚原労働大臣は、この問題に対して、いま直ちに廃止しますというような答弁はできないだろうと思いますけれども、あなたはこういう趣旨を、過去の経緯と立法の趣旨と、そして現在の労使関係、こういう問題を十分把握してこれに私は検討を加えるべきである。いかがですか。
  92. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 時限立法は、もちろん文字どおり、その期間だけの法律であることは、これは言うまでもありませんし、これが国会の御意思によって決定されたものであります。それから、その後さらにこれが恒久立法に国会の存続決議によってきまりましたことも、これは先ほど申したとおりであります。ですから、問題がすべて解決できる問題ならいいんですが、繰り返し申し上げまするように、電気の持つ意義というもの、これから私はいま直ちにこれを廃止するということはできないということを申し上げておるわけでございます。なお、労使関係におきましては産業事情の変化、産業構造の変化、それと先ほど触れました労使関係のよき慣行というか、これはあくまでも話し合いで、自主交渉というものによってすべてのものが円満に解決されなければならないことは、これは論を待ちません。また、今日まで各方面においてそういったよき慣行が行なわれておりますることも、私はまことにけっこうであろうと思います。しかし、一部においてまだまだ批判されておる問題もあるのでありまするけれども、電気産業において、電気事業において、また、石炭の保安の問題につきましても、私はこの法律ができましてからそれほどの問題がないということを申した。これはまことにけっこうです。だからといって、時限立法だから、もうこの時期にやめたらどうかという御意見もいろいろの方面から私は承っております。ことに向井先生その他の関係の方々からも私はずいぶん御意見もいただいておりまするが、今日のところ廃止する考えはございません。しかし、そういう御意見もありまするので、繰り返すようでありますが、私は慎重に十分にこれは検討しなければならない問題であると考えております。
  93. 中村利次

    中村利次君 これは、健康な労使関係はまた別にやりたいと思いますが、これは労働大臣答弁にしろ、先ほどの法解釈にしろ、おかしいんですよ。電気、石炭が争議行為をやる場合には、十日間の予告期間が要るんですよ。それから、先ほどから言っているように、緊急調整があるんです。瞬時にしてこれは近代社会を破壊するような争議行為が起こる余地はないんですよ、これは。労調法によってですね。それから外国の例でも見てごらんなさい。これはほんの最近、英国ではやはり規制法ができましたけれども、先ほども触れましたが、アメリカではやはり石炭、これは何回か戦後も大闘争をやっておりますけれども、日本よりももっとゆるやかな、日本の労調法よりも、大統領の差しとめ命令でこの公共の福祉とそれから労働基本権とを調和さしている。日本の場合には、労調法の適用によって公共の福祉をそこなわないようなやり方があるにもかかわらず、なぜこういうものを特別立法化して、そしていまこれを廃止する意思はないと大みえを切っていらっしゃるけれでも、はたしてこういうものがなければどうお困りなのか、もう一回伺いたい。
  94. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 貴重な御意見はありがたく拝聴いたしました。繰り返すようでありまするが、電気の国民生活において占める役割りがあまりにも大きい。何が起きるかわからぬという不安というものを確かに国民は持っていると私は思います。決して大みえを切って私は廃止しないなんという、そんな気持ちで申し上げたわけではありませんが、現段階では廃止する考えはないということを、決して大みえを切ったわけでも何でもございませんので、その辺はひとつ誤解のないようにお願いをいたしたい。しかし、各方面からの御意見もありまするから、私はこれは十分に検討する課題である、このように考えておるわけであります。
  95. 中村利次

    中村利次君 重ねて、現在の労使の関係と、それからもう一つは先ほどからるる申し上げておりますような、労調法では公共の福祉はなお不安だとお考えになっておりますか、不十分だとお考えになっておりますか。
  96. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 公共の福祉という面から考えまするというと、私はやはり大きな不安を持っております。
  97. 中村利次

    中村利次君 全くおかしいのです。これは、大臣憲法二十八条、違憲ではないとおっしゃったのは、公共の福祉があるから、したがって、憲法にも公共の福祉というのがあるのだから、これは違憲ではないのだという愚論の立て方でしょう。ところが、私が申し上げているのは、労調法で十日間の予告期間があり、この緊急調整というものがあればどこに不安があるのですかということを言っているのですよ。
  98. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) やはり電気というものの持つ特性であります。
  99. 中村利次

    中村利次君 答弁になりませんよ、それでは。もっと、私はどこに不安があるかということを言っているのですから、電気の特性とは何ですか。争議行為を十日前に予告をして、それから三十五条の二には緊急調整というものがある。公共の福祉に支障があると考えれば、緊急の発動ができるわけですよ。そうしますと、どこに不安がありますか。電気の特性は、どこにそういうことはだめだという理屈になりますか。
  100. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 繰り返すようでありまするけれども、何が起きるかわからぬという国民の不安というもの、私はやはりこれにウエートを置くべきだと思うのです。もちろん二十八条、それから労働基本権は私もよく存じておりまするけれども、あるいは御満足のいただける答弁にはならぬと思いますが、やはり電気の占める特性というものは、国民生活と一番深い関係がある、ほかの産業ももちろんそうでありまするが、特に電気は、そういうものがあるという認識の上に立って私はこういうことを申し上げているわけであります。
  101. 向井長年

    向井長年君 関連。
  102. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  103. 向井長年

    向井長年君 労働大臣、通産大臣にもお聞きいたしますが、何が起きるかわからぬというような、そんな不安で労使問題を担当して管理されておるのですか。いまの現実、実態がどうなっているか知っているのですか。いまいろいろと公共の福祉、国民生活、こういう立場から、いま電気労働者にしても石炭労働者にしても、みずからの生産を向上して、しかも、一般社会に奉仕しようという判断から産業問題に取り組んでおるじゃありませんか。この実態知っているのですか。あなた、そういう問題を見てからものを言いなさい。もし労使問題で争議行為を起こすとするならば、先ほど言ったように緊急調整なりあるいは五十日間の予告があれば、法の歯どめがあるわけなんですよ。そういう実態を知らずして何が起きるかわからぬというようなことは——労働省としてはいま電気問題、石炭問題をつかんでいるのですか。通産大臣にちょっとお聞きしますが、いま通産省所管でございますか、電気は。いま電気が不足して原子力なりあるいは火力なり、あらゆる問題の開発にいま大いに労使あげてやっておりますよ。この事態については、通産大臣は御存じだと思いますので、実態の上から、いまの状態でそういうことが必要であるか、あるいはまた、先ほど言った緊急調整なり、五十日間の平和的なこの冷却期間で十分事を処置することができるではないか、こう私たちは思うんですが、その点、通産大臣、労働大臣答弁いただきたい。
  104. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 電気事業において、労使間が非常に円滑にいっておるという事実は、そのとおり認識をいたしております。また、国民のためにもいいことだと考えております。  ただ、電気事業に関して、臨時立法であったものをなぜ恒久立法に転化しなければならなかったかという、このスト禁止のものでございますが、それは憲法にいう労働基本権を侵すものではないということはもちろんであるし、また侵してはならないものである。憲法における労働基本権を尊重しながらも、しかし、他の憲法の規定もあります。もちろん国民生活、公共の福祉を守らなければならないということで、憲法の労働基本権も、おのずから、その事業の重要性というもので制限をされてきておるわけであります。まあ、それは官公労がストをすることはできないという法律体系になっております。また、公務員法を準用しておるところの三公社五現業もすなわちしかりでございます。そうすると、その次に、法律による特殊会社というものが出てくるわけでございます。その次に出てくるものが電気とかガスとかいうものでありまして、一般の労働組合というよりも、社会的に及ぼす影響の大きさからストの規制——憲法基本的な条章は守られることはもちろんでありますし、それは大前提でございますが、実体の上において、おのずから制限を受ける、調整が必要とされるということでありますから、電気事業やガス事業において、現に、あの立法が行なわれた当時のような緊急な状態でないにしても、電気、ガス事業が産業という中で、労働権という中で位置する重要性、国民生活との関連において位置づけられるものであるということであって、電気にかわるものができてくれば、もちろんこんなものは、このような法律は廃止されるということでありますが、電気がいまとまったら困るというような状態、困るよりも、人命に直ちに影響するというような状態から考えて、三公社五現業、それから国家公務員、地方自治体というものに準用されておるほど重要な企業である。まあ、これは専業的に独占的な企業であるということに位置しておるわけでありますから、そういうことはあなたも十分承知の上で御質問だと思いますので、以上御理解いただきたい。
  105. 中村利次

    中村利次君 これもどうも詰め切れません。しかし、何が起こるかわからないというのは、これは労働大臣にお粗末だとは私申し上げませんよ。しかし、皆さんが何ともこれは労働大臣としてお粗末千万だという評価をなさるかもしれませんから、ぜひそういうことがないように、今後ひとつ、せっかく御勉強をお願いしておきます。時間がなくなりましたので、次に進みます。——これはまたやりますよ、私は。もう納得できませんから、後々まで。  沖繩復帰を日本の慶事として恩赦を行なうことがうわさされておりますけれども、沖繩恩赦がある場合、公務員等の懲戒免除等に関する法律というのは、これは昭和二十七年の四月に制定されておりますけれども、これに基づいて公務員の懲戒を免除するお考えがあるかどうか、総務長官に伺いたい。
  106. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) いまお話しのとおり、沖繩復帰に対して大赦があるとすればという前提に立っての御質問であります。私の場合も、まだ大赦、復権等についてきまったものがありませんから、そういうものを前提にしての答弁はきわめて微妙な問題だと思っておりますが、過去においては、戦争終結の大赦、日本の独立の大赦等の場合には、公務員に対して公務員の復権等に関する法律が実際上に行なわれた結果を得たわけでありますけれども、その後の国連加盟、皇太子御成婚、あるいは明治百年、こういうものについては、それぞれ閣議の了承のもとに、その範囲等について検討した結果、公務員等の懲戒免除等については行なわないことにしたという過去の経緯がございます。したがって、今回、もし行なわれたと仮定をするならば、その範囲、あるいは内容等について十分検討の上、公務員に対する復権、免除等の措置を講ずるべき恩赦の内容であるかどうか、それについて検討した上で、やるやらないをきめるというお答えしかできない。現時点においては、それしかできない段階だと思います。
  107. 中村利次

    中村利次君 どうも歯切れのいい総務長官にしては、歯切れが悪くて、これは私はおかしいと思いますがね。
  108. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 仮定の話だから。
  109. 中村利次

    中村利次君 いや、しかしね、総理がですよ、これは沖繩の復帰は、沖繩の復帰なくして日本の戦後は終わらないというくらい佐藤内閣がたいへんに力を入れたことだと思うんですね。それで、やはり佐藤内閣は沖繩復帰というものは非常な国家的な慶事だと認識をされていらっしゃることは間違いない。講和条約の発効にも匹敵すべきことなんですよ。講和条約の発効のときにこういう法律ができて、公務員等の懲戒免除等が行なわれておるということになりますと、これは比較をいたしますと、非常に歯切れのいい総務長官は、必ず、ここで、そういう方向でやりましょうというお答えがいただけると思ったんですが、どうですか。
  110. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 幸いなことに、北方領土の問題もどうやら曙光が見えてきた。そうすると、今度は、北方領土のときにもまたやるかということも、仮定の議論としてはありますんで、私の気持ちは、公務員の諸君も故意または過失の場合も多いでしょうし、そういうものが救えるならばという気持ちは持っておりますが、今日のいまの時点で、どのような沖繩恩赦というものが行なわれるか、内容をまだつかみ得ないままに、先ばしって、それを前提にして公務員に対してとるべき懲戒免除の措置について明確にするということは、やはり歯切れが悪くならざるを得ない。御容赦願います。
  111. 中村利次

    中村利次君 もう最後です。  最後に、これはたいへんどうも質問をしたいことがあったんですけれども、時間がなくて、残ってしまったんですが、やはり国際通貨、外貨等々の問題はたいへんに国民生活に直結をしますし、非常に関心の強いことだと思うんですけれども、聞くところによりますと、本年末の外貨の準備高が、通産省では二百億をこえるんではないか、大蔵省ではそんなことはないという対立があるやに聞きますけれども、そういうことであれば、通産省で相当危機感を持って二百億をこえるということをお考えになっているその根拠、それから大蔵省でそんなことはないとお考えになっておるその根拠。これはへたをまごつきますと、ここでは各省庁の間で必ずしも閣内不一致があってもけっこうでありましょうけれども、ことによっては、円の再切り上げ等々のたいへんな不安が国民層にあるわけでありますから、不統一であったという言いわけでは、答えが出てからでは絶対に相済まないわけであります。そういう意味を含めてお伺いをしたいと思います。  なお、第二外為構想等、通産大臣がお漏らしになっておるようでありますけれども、これも必ずしも大蔵省との間に一致点が現在のところ見出しておられないというようなことも承りますが、そういう非常に重大なものがございますので、そういうものを含めて、ひとつ御答弁を願いたい。  それで終わります。
  112. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 外貨問題でございますが、これは御承知のように、昨年の通貨調整の効果が国際収支にあらわれるということには相当ひまがかかりますので、したがって、しばらく日本の黒字基調というものは続くものだろうというふうに考えられます。しかし、いまの傾向を見ますというと、たとえば外貨のふえ方を見ますと、十二月から一月にかけては七億二千万ドル、今度は二月には五億二千万ドル、三月は一億八千五百万ドルというふうに、外貨のふえ方は鈍化しておるということも事実でございますし、また、一方、輸出入の先行指標の一つとされております十四社の輸出入成約高を用いまして、三カ月の移動平均値の前年同月比を見ますというと、四十六年の、昨年の八月が輸出が二〇・八%の伸び、九月が二二・三%、十月が一九・一、十一月が二二・一、十二月が一四・九、ことしの一月が一一・六というふうに、輸出の伸び率はずっと逐月前年同月比は減っておるという状態で、これに対して輸入のほうは、昨年八月が一四・七%の減、マイナスのほうでございまして、九月がマイナスの一三・二、十月が一七・七、十一月が依然としてマイナスの〇・三ということでございましたが、十二月にきてプラスの一六・六、一月がプラス三三・一というふうに、前年同月比で見ますというと、ここで輸入の伸び率というものが急に出てきた。こういう傾向から見ますというと、今後の外貨の蓄積状態は、基調は依然として黒字基調が続いたとしても、そう多いふえ方はしないであろうということはまず考えられます。  と同時に、じゃ今後この外貨に対して政府はただ手をこまねいて何にもしないでおるかということでございますが、そうではなくて、この四月以降は、たとえば外貨の預託とか、あるいは中長期債への運用というようなことで、外貨活用策がいま着々実行に移されているときでございますので、そういうことを考えますというと、これは外貨の準備高が落ちることになりますので、そうしますというと、この活用策が今後もっと進んでいくということを考えますというと、外貨は微増するか、あるいはむしろ減少していくという傾向をこれからたどるというようなことは考えられますので、したがって、私はこの二百億ドルにことしの暮れに達するだろうという想像は、簡単には出てこないと思います。と同時に、また、これは国際情勢の変化、通貨情勢の変化にもよることでございますが、かりに、国際金融情勢の変化によって、低金利政策がとられるというようなときになりましたら、あるいは外貨は二十億、三十億ドルすぐ流出するというようなことも考えられますし、今後の外貨蓄積がどういうふうになるかというようなことは、そう簡単に想像ができない。外貨の活用策が進むに従って、むしろ月々は減少していく傾向も出てくるんじゃないかというふうに思われます。  それと、いまこの活用策の一つとして、第二外為というようなお話がございましたが、これはたとえば海外の資源開発というようなことで、海外投資とか、あるいは備蓄というようなものに活用されるという道がございましたら、これはむろんいいことだと思いますが、ただ問題は、その場合に、かりに別の会計をつくるというときでも、この政府の持っている外貨は、御承知のように外為券を発行して、それによって買った外貨でございますので、相当のコストのかかっている外貨であるということでございますし、日銀の持っているものは、日銀がこの円の対価を払ってこれは買っておるものでございまして、そういう円と切り離せないドルを、もし別の会計をつくって移すというようなことを考える場合には、この円資金をどうするかということが当然問題になりますが、もし税金でこの円資金を調達するということでございましたら、この運用先というものは、公的資産の運用のしかたとして、なかなか特定の人を利するというようなところへは使えません、国民の合意されるところへこれを活用するのでなければいけないということがございますし、もし国債によってこの円資金を調達するというようなことでしたら、これは相当、いまの短期の外為券の発行によって調達しているドルのコストよりも、中長期債を発行してこの債務の裏打ちをするというようなことになりましたら、このほうがコストがかかるので、そうしますというと、コストの低い外貨を利用するということを目的としたその考え方は、相当ここで一つの目的を失うということにもなりますので、こういう問題がまだ検討の問題として残されておりますし、また、そこまでの問題になりますというと、これは予算やあるいはそのほか財政投融資等の問題もあって、国会を経て堂々と運営さるべきものでなければなりませんので、法律事項を要するということがございますし、それから海外開発にいたしましても、これが支出された場合に、日本の品物が伴って出ていくという輸出の振興にこれがなって、輸出振興と同時に、その外貨がすぐに政府へ返ってきて、売られて、国内の流動性をいたずらに大きくしていくということになったんでは、この活用は方法を誤るということになりますので、そういう問題はないかという問題、いろんな点を考えますというと——また単なる備蓄ということでございましたら、これはもう別に危険負担の問題がないので、問題は在庫金融の問題でございますから、円資金を豊富に供給すれば済むという問題になりますので、そういう会計にどういう形で直接外貨を使うことが、意義があって、これが矛盾しないかというような問題で、いま関係省でこれは検討しておって、まだ結論が出ない問題となっておるところでございます。
  113. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 外貨の問題に対しては、基本的には大蔵大臣と全く同様でございます。それから、これからの検討過程においては、両省の立場が違いますから、いろいろな議論が出ますが、結論が出たときには同一になる、こういうことでひとつ御理解いただきたい。
  114. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で中村君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  115. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、河田賢治君の質疑を行ないます。河田君。
  116. 河田賢治

    河田賢治君 昨年予算編成期を前にして、地方財政の危機が叫ばれ、都道府県、市町村をあげて全国大会や地域集会を開くとともに、地方財政危機の解消の第一歩として、全国知事会は、政府に対し、「地方超過負担の解消のための補助金改善に関する要望」を十一月三十日に提出しました。この要望書には、昭和四十五年度超過負担額を都道府県六百三十五億円、市町村千四百三十四億円と推計しています。昭和四十年以来解消措置がはかられたにもかかわらず、なおかつ多額の超過負担を生じ、地方自治体の財政を悪化させ、また、地方住民に多大の損害を与えているのであります。地方財政法には、国と地方公共団体との関係で、国が負うべき義務を第二条二項に、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」、また、第十八条には「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行なうために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」、こう規定しているのであります。   〔委員長退席、理事白井勇君着席〕 この条項が一体尊重されているならば、超過負担というようなことは発生しないと私たちは考えます。  ここで、自治大臣並びに大蔵大臣に、このような超過負担の発生の原因と、財政法との関係についてどのように考えていられるか、所見を聞きたいと思うのであります。
  117. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 昨年の全国知事会が、実際の調査に基づくところの超過負担の概要をもとにいたしまして要望書が出てまいりました。私も十分承知いたしております。昭和四十二年、四十三年に超過負担を解消するために調査を行ないまして、その後、これの解消をはかるために計画的に四十三年から四十六年に至る四年間、毎年行なってきたところでございますが、一方、その間におけるところのコストの上昇、あるいは事業量の増加等が、また知事会から要望のあったような大きな超過負担という姿を生んだものであると考えております。このようなことは、いま御指摘になりましたような法の精神に基づきましても、解消をせなければならないことは当然でございまして、今回の予算編成におきまして、特に大蔵大臣と私との折衝におきまして、確実なる調査を関係各省とも連絡をとりまして行ない、その調査の結果に基づきまして、超過負担を解消するような措置を検討することを話し合いまして、そのための調査費の、わずかでございますが、予算も計上するという措置をとっておる次第でございまして、関係各省と十分調査の上、ぜひとも解消のための努力をいたしたい、このように考えております。
  118. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま自治大臣からもお話がありましたように、昭和四十二年、これは私が前任のときでございましたが、このときに実地調査をすることにいたしまして、その結果に基づいてちょうど四十六年、今年度の予算までにおいて一応この超過負担を片づけるということを計画的にやってまいりましたが、期限が切れましたので、この四十七年の予算編成においては、とりあえず、実情を考慮して、相当の基準単価を上げたりいろいろなことをしまして、事業ベースで三百八十億円ぐらいの超過負担の解消に今年度はつとめましたが、しかし、さっき申しましたように、コスト、それから事業量の増ということで、やはりことしも新しい事実に沿った調査をする必要があるということで、今年度も第二次の実情調査をいたすことになりましたので、これによって今後のまた超過負担解消につとめるということになりました。なぜこの超過負担が、解消をそれだけ政府がつとめていながら、依然としてそういうものが生じてくるかということには、いろいろな原因があると思います。補助金にしましても、むろん各公共団体がかかったものだけ政府が補給してやるということをやるわけにはまいりませんので、やはり、全国一応の基準をきめて補助率をきめる、そして補助単価をきめるということになりますというと、地域別にどうしてもこれと合わないところが出てくることもやむを得ませんし、また、保育所みたように、利用人員の規模等によってやはり型を幾つか分けて、この程度の規模に対してはこういう補助というような基準をきめますが、何としても、やはり実情にはそう完全には合わないという問題を起こしますし、また、前回実情調査をしましたときには、超過負担、超過負担と言われている中には、政府の、たとえば、補助対象が三つあったというときに、地方はかりに五つの対象を選んで、そうしてあとの二つには政府の補助金でならすというようなことをやる。そうしますというと、当然これは足らないものが出てきますので、これが超過負担であるというような問題も出ましたので、こういうことも実情調査の上で合理的に今後は超過負担の解消につとめたいというようなことで、非常に改善された部門もございますし、合理的にいま解消をはかっているところでございますので、私は、この問題はそう心配せずに解決される問題だというふうに思っております。
  119. 河田賢治

    河田賢治君 自治大臣に伺いますが、今国会に自治省が提出された「地方財政の状況」は、閣議にはかられたと思うが、閣僚から反対の意見は出なかったどうか、これをお聞きします。
  120. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いわゆる財政白書は閣議決定事項と違いまして、報告事項であります。いまお持ちのように膨大なものでございます。私からその概要と要点を申し述べさしていただきましたが、その際におきましては、格別の意見を承らなんだと承知をいたしております。
  121. 河田賢治

    河田賢治君 では、閣議では了承したということでいいわけですね。
  122. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 報告事項でございますから、別に意見がなかったら意見を述べられない。了承とか、閣議決定事項というものではございませんので。
  123. 河田賢治

    河田賢治君 ところで、四十七年度予算で自治省が百万円の予算を組んで超過負担の実態調査を行なうということになっていますが、これはいつごろ終了して、この調査の結果に基づいて四十八年度概算要求が各省から提出できるように、これは作成なさるおつもりですかどうか。
  124. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 調査をできるだけ急いで行ないまして、その結果をぜひとも四十八年度に反映できるようにいたしたいと、このように努力をしたいと、かように考えております。まだ具体的なことは決定いたしておりませんが、ただいま御指摘ございましたような方向で今後努力してまいりたいと、かように考えております。   〔理事白井勇君退席、委員長着席〕
  125. 河田賢治

    河田賢治君 では、超過負担の問題について若干各省の大臣に聞いておきたいと思うのです。  まず農林大臣に伺いますが、全国知事会は、農業改良普及職員五十五億円、林業普及指導職員十七億円、農業改良普及事業費十四億円、農業委員会職員八十一億円、農業委員会費二十七億円を超過負担として推計して自治会は出しております。しかも、四十年の実態調査に準じた調査をしたもんであります、単価それから数量、対象等々はですね。これに対して農林大臣のひとつ御見解を伺いたいと思うんです。
  126. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 農業委員会、林業職員、それから農業改良普及員とございますが、この点につきましても、先ほど自治省及び大蔵大臣が御説明申し上げましたように、四十二年、四十三年にこの三省の共同実態調査を実施しまして、その結果に基づきましてこの職員の格づけ、給与の格づけと定員の問題がございます。で、給与水準を定めて実施してまいりましたので、現在の国庫負担額は農林省としては妥当なものと私どもは認めておりますが、その後の職員の格づけ等につきまして、学歴、経験年数、それ等を勘案しまして定めておりますが、実態とだんだんと違ってきておる、変化しておるということであるかとも考えますので、先ほど申し上げましたような調査をことし行なうことになっておりますので、調査したいと思います。実態としまして、この農業委員会の給与といいますか、給与が、日当というか、出た日に給与を払っておるというのと、年額と月額と、こういうようないろいろございます。そういう関係で、何といいますか、出た日によって払うのは相当上げたんでございますけれども、まだ一般と違っておるというようなことで、自治体において、私どもの査定といいますか、考えておりますよりもよけいに払っておるというようなこともあろうかと思います。で、原因につきましては、もう御承知と思いますが、給与の水準が自治体のほうが、こういう者——私のほうの考えておる国家公務員のあれよりも多いという例もございます。それから定員が、われわれが、国で考えているよりも、自治体のほうでよけいに仕事があるというようなことで、こちらで考えているよりも定員をよけいにとりますから、でございますので、国からの給与補助——補助をその多い人数で分けますもんですから、そういう関係から自治体のほうの負担が多くなっておると、こういう例もあると私は思っています。でございますので、そういうことで、一度は四十三年から改めるようにしてありますけれども、その後の情勢によってあるいは変わってきておるというような形もあるかと思いますので、ことし実態をよく調査してそれに対処していきたい、こう思っているわけでございます。
  127. 河田賢治

    河田賢治君 いろいろ私もたくさんあちらこちらのこの職員の給与なんかについても調べました。ところが、国のほうでは一定の金額をきめて、最近では五万百円ですか、このようにきまっているわけですね、ずっと。ところが、地方自治体ではいろいろ大都市やあるいは府県、市町村、これらによって格差はあります。ありますけれども、一定の時期が来ればこれはどんどんそこにずっとつとめておれば、これは上がっていくわけでしょう。ところが、政府のほうは規定したらもうそのままなんです、いつまででもね。そんな給与の体系というものはないですよ。それから、国家公務員はいろいろなあれもついております、共済組合とかいろんなその他のいわゆる負担ですね。地方自治体がいまそれを負担しているんです。これは国のほうで払ってないでしょう。それからまた、御承知のとおり、この農業委員会にしましても、かなりこれは精通していなくちゃならぬ。だから、新しい人と、すぐに入ってきた人——受付で仕事をするような人とこう転換できぬわけです。現に、各都道府県の市町村の農業委員会には主事というものを置かなくちゃならぬということになっている。この主事は、自分の配置転換や何かに対してはその大臣にまで抗弁することができるとなっている。そういう地位を保障しているような主事を置かなければならぬことにいまなっている。ですから、結局、またこの普及改良員のほうは技術が要ります。そんな二年や三年やったからって百姓さんはそれはたいした技術員だとは思いません。やはり相当年数たちますよ。そうすれば、年齢はみな相当の年になるわけです、四十歳とかあるいは五十とか。こういう人は、すぐさま配置転換とか、これは役に立たぬといってやめさせるわけにいかぬでしょう。ですから、こういう実態に備えて給与なんかの体系を私はつくるべきだと思うのです。だから、この点は一度調べたからといって、毎年毎年こういうような要求が地方自治体から出ることに対して、地方と中央との財政秩序を保つ上からも、また仕事の上からも、もっともっと下の事情に合ったそういう私は政治をやるべきだと思うのです。選挙のときには、御承知のとおり、中央直結だということをよく言われますよ、中央直結だと。しかし、中央直結でもやっぱり赤字の出るところは赤字が出ているんです。金は幾らでも中央直結の知事や市長のところへ金が来るわけじゃない。ですから、こういう点で私は職員の体系、技術者のおること、いろいろ市町村の今日の状況を考えて、そして給与体系をもっと引き上げるべきである。  それから同時に、これらの一定の年限が来れば格づけを上げていくとか、あるいは国が、以上の方針で是正をしながら、これに応じた時間外の出勤手当とかあるいは管理職手当、退職手当、共済組合の負担金とか、いろいろなそういういわゆる超過負担と自治体が考えておるもの、しかも、地方自治体の職員がすべて負っておるものをやはり国が負担すべきだと私たちは考えるわけなんです。こういう点についてひとつ農林大臣——ほかの省にも同じような問題がありますが——農林大臣から伺いたいと思うんです。
  128. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 地方自治体の情勢によりまして国の考えていることと違った給与水準、あるいはまた人数の点で違ったような点で、そういう負担が超過しているということはもう長年ありました。ですから、四十三年に大蔵省、自治省とも相談してそれを是正するといいますか、してまいったのでございますが、そのいまお話しのような事情も私はあることも、大体その後の変化もあると思いますから、そういうことで、調査の上それに対処していきたいと、こういうことを申し上げておるのでございます。
  129. 河田賢治

    河田賢治君 次に、国家公安委員長に質問しますが、全国知事会は警察行政費百十六億、警察施設五十八億の超過負担を地方自治体は主張しております。建設にあたっては、よく学校なんかでは父兄やあるいはPTAなんかから、もう少しいい建築をしてもらいたいと言って、それがデラックス論の一つの根拠になっておりますが、警察なんというものは、おそらく第三者から、そういうりっぱなものを建ってくれということはないと思うんです。そうすれば予算の範囲でおやりになることとは思いますが、このような超過負担が建設あるいはまた一般行政費において出るという、こういう関係ではどういうふうなお考えを持っておられるか。この問題について所見を聞きたい。
  130. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 警察の施設等を整備いたしますときにできるだけ地方の負担を超過の形にならないようにという考え方は基本的に持っておるのでございます。四十三年にいろいろ調査いたしました結果を見ますと、大体超過負担率は二〇%ぐらいになっておったように承知いたしておりますが、そのたびからずっと今日まで単価の引き上げ等に努力をいたしまして、今日の時点では相当超過負担は減少されておるものと理解しております。
  131. 河田賢治

    河田賢治君 まあ、減少はしておると思われますけれども、現にこのような地方自治体は主張をしているわけなんです。これの解消の措置についてどういうふうな手段をとられるおつもりか、ひとつそこをはっきり聞いておきたいと思うのです。
  132. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 単価を実情に合うように引き上げていくということがやはり一番大きな問題であると存じておりまして、予算編成等のときには関係省庁と緊密な打ち合わせをしながら、地方の超過負担を引き起こすことのないように単価引き上げ等に努力をいたしておるということでございます。
  133. 相澤英之

    政府委員(相澤英之君) 警察の庁舎につきましては、ただいま国家公安委員長から答弁がございましたとおり、四十三年の調査において約二割ほどの超過負担がございましたので、これは四十四年度以降毎年度単価を引き上げまして、おおむね解消をはかられたというふうに存じております。ただ、現状におきましてもかなり超過負担があるという御意見でございますので、四十七年度、他の施設費と同じように、この警察の庁舎につきましても実態調査をする予定でございます。その調査の結果によって超過負担の実態が判明いたしますれば、四十八年度以降その是正につとめてまいりたいと、かように存じております。
  134. 河田賢治

    河田賢治君 とにかく、地方自治体が負担をしましてもこれはやっぱり地方住民の税金やその他なんですからね、各省ともそのところはよく念頭に置いていただきたいと思うんです。  労働大臣にも伺いますが、全国知事会は、職業訓練指導職員二十四億円、職業訓練費八億円、職業訓練施設費十一億円を超過負担として計算しております。これに対して労働大臣の所見を伺いたい。
  135. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 地方公共団体の行なう職業訓練につきまして、その経費の補助でありまするが、いま御指摘のような超過負担は私はないと考えております。しいて言うならば、人件費であるいはそういうものが出てくるのではないかと思いまするが、しかし、今後ともその増額につきましては十分配慮しなければならないと、このように考えております。
  136. 河田賢治

    河田賢治君 それはちょっとおかしいですね。人件費も二十四億、それから一般行政費で職業訓練費が八億と、こういうあれが出ているんですよ。あなたのほうには行かなかったんですか、全国知事会から。これはもう政府全部に渡っていると思うんですが。
  137. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 寡聞にしてその話は私は聞いておりません。
  138. 河田賢治

    河田賢治君 私はここに持っておりますから、はっきりと見ておいてください。とにかく地方自治体はこういう要求をしているんですよ。そんな下情に通じないことではだめですよ。たとえ金額はほかの省よりは少なくても、やはりこういうことは知っていかなくてはならぬ。地方自治体が全国大会まで開いているじゃありませんか。何ですか。超過負担に対してひとつどのように解消されるか、労働大臣のほうの意見を聞いておきたいと思うんです。
  139. 塚原俊郎

    国務大臣(塚原俊郎君) 下情に通じないというおしかりをいただきましたけれども、まあ人件費ということを先ほど申しましたけれども、施設費においてもそういうような数字は出ておるようであります。ですから、今後とも増額については十分配慮していかなければならない、このように考えております。
  140. 河田賢治

    河田賢治君 次は、厚生大臣。  これはまあ非常に大きな問題をかかえておりまして、全国知事会は、保健所の職員百二十四億、保育所の措置費百六十億円、保育所が九十一億、国民健康事務費七十二億、国民年金の事務費四十億等々があります。相当厚生省は大きな超過負担をかかえておりますが、特に二つばかり問題にしたいのは、御承知のとおり、保育所の問題ですね。これについてひとつ伺いますが、四十七年度の大体補助基本額ですね、それから実額等々についてちょっとお答えを願いたいと思うのです。
  141. 松下廉蔵

    政府委員松下廉蔵君) ただいまお尋ねの四十七年度の保育所の施設整備費の補助金につきましては、予算上、社会福祉施設整備費百二十億の中に、それぞれの大体の計算はございますが、一括して計上してございまして、その実施計画の中で具体的な額をきめるということで現在作業を進めている段階でございます。したがいまして、なお確定額を申し上げる段階ではございませんが、これをきめます際には、前年度よりも、少なくとも相当引き上げをはかってまいりたいという考え方で作業いたしております。
  142. 河田賢治

    河田賢治君 地方自治体で、大都市なんかでは、大体最近ずっとあちらこちらを調べましたが、一カ所あたり建築費がどうしたって二千万円、あるいは用地費が四千万円、まあ六千万円くらいは大体どこでもかかっている。あるいはこれ以上もかかっております。用地費が京都市なんかでは四千万円かかっていますね。しかも、これはもう百二十名の規模じゃないのです。こういうふうに非常に現実には保育所の建設というものはかなり困難な状況に追われているのです。ところが、児童福祉法の第五十二条は、建設費の二分の一負担を義務づけているのです。少なくとも、そうなりますと、二千万円の二分の一——一千万円の負担は当然しなくちゃならぬ、こういうふうに思うのですが、この点はどうですか。
  143. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 保育所の補助は、建設費に対して補助をするということになっておりまして、これには用地に要する費用は含んでおりません。したがいまして、実際にやる場合には、用地費はこれは市町村が負担をするということになっておりますので、実質的には超過負担になるかもわかりませんが、これは法律上は超過負担ということではないと考えております。ただ、建設費自身の補助にいたしましても著しく低うございますので、これは先ほど局長が申し上げましたように、できるだけ増額をはかってまいりまして、建設費に対する超過負担のないようにいたしてまいりたいと、かように考えております。
  144. 河田賢治

    河田賢治君 保育所の施設について、いまできるだけ解消したいというお話でしたが、最低基準をきめられているわけですね。ところが、国庫補助基準はこの最低基準さえ十分いま満たしてない、こういう状態にあるわけですね。六百万円で適正な保育所を建てられると思うなら、厚生省自身がどんどんお建てになったら私はいいと思う、国民のために。しかも、このような保育所が、市町村が保育所の施設の最低基準に達しない保育所をつくった場合は、厚生省はどのような行政措置をとることになるかといえば、御承知のとおり、改善の勧告をするとか、改善命令を出す、事業停止命令を出す、こういうことが行なわれるわけです。だから、国自身がこういう事業の停止命令や改善勧告を受けなければならぬような実は保育所の建設をやらしているわけです。これでは全く話にならぬと私は思うんです。厚生大臣衆議院の予算分科会で「保育所に対する補助はもうほんの呼び水程度だと」「そんな呼び水でも一体ほしいのかと言いたいぐらいなものだ」ということをお答えになっているんですね。一体大臣は自分たちのやらなきゃならぬ補助費をうんと削って、そして薄くばらまいて、そして、これで呼び水に飛びついたといった地方自治体にこういうあなたは暴言を吐かれているんですよ。そんなことで、子供たちは、幼い子供たちは、また働く親たちもいま保育所の増設をどんどん願っているんです。そしてそれを自治体がいろいろと困難をなくしながら少しでもこれを拡張をやっているわけでしょう。それに対して大臣はこういう考えを持っておられる。地財法あるいは児童福祉法、こういうことに全くこれは違反しているんですよ。このことをあなたのほうでは認めなくちゃならぬと思うんですが、この点はいかがですか。
  145. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 私は衆議院の予算の分科会で申し上げましたのは、現状を見るとほんとうに呼び水としか言えないようなものであると、これでは実際困るので、少なくとも法律に定めている二分の一の負担というものをできるようにしたい。現状は呼び水程度とまことに情けない程度だと言って、これでいいと言っているのではございませんで、むしろこんな程度では困りますと、したがって毎年大蔵省にも予算の増額の要求をいたしておりますが、また定額補助になっておりますが、これも毎年増してきておりますが、さらに増してまいって、そんな呼び水程度というようなものでないようにいたしたいと、こういう趣旨で申し上げておりますので、その点は御了承いただきたいと存じます。
  146. 河田賢治

    河田賢治君 厚生省にはもう一つ問題があります。  国民健保、国民年金の事務費、これらは国が負担しなくちゃならぬことになっている、全額。そうでしょう。ところが、これは国の委託事業に対して超過負担を、ここでも御承知のとおり七十二億、国民年金四十億と、一つの町にしましても、これは京都の例ですけれども、四十五年度二億百万円、こういう負担を負っているわけです。地財法の第十条の四は、地方に負担さしてならない国の委託事務費としてそういうものを掲げておるわけです。ところが、これに対してこういう超過負担の出るようなやり方をやられているんですね。一体この問題についてはどうお考えになるか。そうしてまた、これがよくなければこれに対してどのような解消措置を具体的にとるか、このことをひとつお聞かせ願いたい。
  147. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 国民健康保険及び国民年金の事務費につきましては相当超過負担が多いという声が高うございまして、昭和四十三年、四年、あるいは五年に超過負担を解消するようにというので相当増額をいたしたわけでございまして、これで市町村によりましては超過負担がないというところもございますが、しかし、現状はやはりまだ超過負担を要する。この点は先ほど農林大臣お答え河田委員の御意見、私は両方とも、政府側から言えば農林大臣の言われたとおりでございまするし、また、実際の声としては河田委員のおっしゃるとおりであります。それらを実際どこまでを超過負担、どれを超過負担と見るか、現実に要する費用をそのまま超過負担と見るか、適正なあるいは妥当な事務費をどう見るか、何人、どの程度の給料、給与というものをそれに積算を加えていくかという問題がありますので、これは各省を通じた問題だと存じます。先ほど自治省がこの超過負担の実態を調べるというその中におきまして、いわゆる妥当な、そういった事務費、人件費、その処理に要する人数というようなものをどう見るかということであろうと思いますが、しかし、おっしゃるように、毎年ベースアップもはかられてまいるわけであります。少なくともベースアップよりも高い増額を毎年いたしておりますが、まだ声も高うございますので、実態調査とあわせ今後さらに毎年改善をはかってまいりたい、かように考えます。
  148. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 河田君の質疑の途中でございますが、午前はこの程度といたしまして、午後二時再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五十七分休憩      —————・—————    午後二時七分開会
  149. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を再会いたします。  この際、御報告いたします。  委員長に御一任いただきました分科担当委員選任は、お手元に配付いたしましたとおり決定いたしましたので、御了承をいただきたいと存じます。     —————————————
  150. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 休憩前に引き続き、河田賢治君の質疑を行ないます。河田君。
  151. 河田賢治

    河田賢治君 次は、文部大臣に質問したいと思います。  国庫補助の超過負担については、県や市町村で計五百六十六億に達しておるわけです。私は、この大きな超過負担の出る原因を少くし事務当局などからも聞いて意見を述べたいと思うのですが、文部省は、学校施設指導要領で校舎、運動場の適正面積はどのようにして指導されておりますか、また、これに伴う国の補助基準額、これなんかも、それに応じてどうなっておるか、この点の御説明をまず承りたいと思います。
  152. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 小中学校の施設の面積の基準につきましては、現在きまっておりますものといたしましては、義務教育施設費国庫負担法に基づく基準があるわけでございまして、基本的にはこれに基づいて指導しているわけでございますが、ほかに、三十八年に作成をいたしました適正基準案というものもございますが、しかし、これはあくまでも理想案でございまして、参考として指導上用いておるということでございます。  補助の基準は、法令に基づく補助基準でございます。
  153. 河田賢治

    河田賢治君 そうすると、適正案というのは、古くはあるけれども、これによって実際は現在市町村の小中学校を建設する場合には一応指導しておられるわけでしょう。
  154. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 参考として示しておるということでございまして、これに従ってやるように指導はいたしておりません。
  155. 河田賢治

    河田賢治君 そこで、この適正面積なんですが、これはいろいろとこまかい問題がありますから、私は一々ここで時間がないので申しません。  それでは、この超過負担が出ておるという事実について文部省に聞きますが、あなたのほうからいただきました国立の宮城教育大学附属小学校の面積や工事費を国の補助基準の算定基礎等ではかったものがあったら、ここで若干説明してもらいたいと思うのです。
  156. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 国立の場合と公立の補助基準の場合とでは、若干差がございます。国立の場合は、御承知のとおり、教育学部の附属ということでございまして、教育学部における教育研究のための施設という性格があるわけでございますので、施設基準等につきましては、公立学校の補助基準に比べましてかなり上回った基準を採用いたしておりますが、公立学校の場合は、そうした特殊な目的が与えられていないものでございますから、それよりも若干下回った補助基準になっておるということでございます。
  157. 河田賢治

    河田賢治君 私のほうで計算してみますと、実績は、小学校——四十四年ですけれども、二十四クラスで、工事費が二億一千万円、面積が五千六百平米と、こういうことになっているんですね。ですから、これによって面積も不足するものがありますし、工事費も約一億八百二十八万円というふうに不足しているわけです。こうしますと、やっぱり国立においてもいわば超過負担が出ると、こういうことになっているんです。この点について、文部省のほうでは、そういうことは絶対にないというふうにお考えなんですか。また、現在地方自治団体が出しております教育に関するいろんな超過負担に対してのお考え大臣からも承りたいと思うのです、事実かどうか。
  158. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 国立学校につきましては、ただいま申し上げましたような観点から、必要な坪数は予算上計上いたしまして施設を整備しておるわけでございますので、地方に対する超過負担という問題はこれはあり得ないかと思いますが、しかし、PTA等におきまして特に自発的な御意思に基づいて寄附されるというものはこれは若干あるかと思います。
  159. 河田賢治

    河田賢治君 そんなにあっさりおっしゃっていますけれども、文部省は一番大きいんですよ。さっき申しましたように、全部で小中学だけで五百二十七億と計算しているんですよ。これは絶対ないとおっしゃるんですか、若干の寄付によるものは別として。
  160. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私は、いまお尋ねが国立学校についてのお尋ねでございましたので、さようにお答えしたわけでございますが、公立学校につきましては、ただいま御指摘がございましたように、知事会等におきましても相当な超過負担があるということを指摘いたしております。この点につきましては、大臣からお答えをいただいたほうがいいかと思いますが——そのようにいたしたいと思います。
  161. 高見三郎

    国務大臣(高見三郎君) 超過負担が文部省が各省で一番多いと私は思っております。大体五百六十億という知事会は報告を出しておるのでありますが、これが的確な数字であるかどうかということにつきましては、必ずしも全部が全部肯定するわけにもまいりませんけれども、多いことは間違いない事実であります。そこで、今年度は、小学校の新増築につきましては、三分の一の補助率を二分の一に引き上げる。それから予算の面におきましても大幅の増額をいたしましたし、ことに人口急増地帯というものが非常な大きな地方財政の負担の原因になっております。この問題につきましては、用地の取得費を前年度の四十何%増にいたしております。昭和四十三年に比較いたしまするというと、全国で校舎全体で申しますると二倍以上になっている。こういうように、超過負担の分をできるだけ軽減する努力を続けておるところであります。
  162. 河田賢治

    河田賢治君 文部省はまだほかにもありますが、時間がありませんので、超過負担の問題と関連して人口急増の問題にも入っていきたいと思うのですが、これは主として建設省にお聞きするわけですが、建設省自身も、超過負担の問題は公営住宅であります。これは一々言いませんが、とにかく単価が低いということについては、かつて行政管理庁がいろいろと意見を出したわけですね、改良住宅そのほか公営住宅などについて。若干の努力はされておりますが、この問題についてどの程度までそれが満たされておるのか、わかったら教えていただきたいと思います。
  163. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 公営住宅の超過負担の問題が四十二年ごろにたいへん問題になりまして、そうして、それではひとつこれは精密な調査をしようということで、四十三年から三カ年で建築の単価だけにつきまして解消したいということでやった次第でございまして、御参考までに申しますと、四十二年は、支出総額が、これは公営住宅でございます、八百六十四億のところが、実際の補助の基本額は七百十九億ということでございましたので、百四十五億の超過負担が一年間にあったということでございます。その後、この建築単価につきましては大体百四十五億の超過ですが、いかにしてその超過負担が起こったかということでこれをさらに分析しました結果、超過負担の内容は、単価が不足であったということと、それから現在規模以上に拡張したということ、それから構造の変更をやった、それから特殊な工事をやった。その他、住宅のことですから余分に質の向上をしたとかいうようなことに分けますると、百四十五億の超過負担のうちで、建設単価につきましては不足は五十億、すなわち七%であったわけでございます。その後、四十三年、四十四年、四十五年は、大蔵省といろいろ協議をしまして、三カ年年で解消しようということにいたしましたが、四十五年ではもうほとんど解消されました。建築単価に限ってほとんど解消されました。一・二%ぐらいの単価負担になっておるのでございまして、おおむね解消されたわけでございます。しかしながら、公営住宅は、規模を地方公共団体で基準以上に拡張するとか、あるいはいろいろな質の向上をするということで、全体としてはまだ超過負担はありまするけれども、建築単価に関する限り、これはもう解消したというようなことになっておるような次第でございます。
  164. 河田賢治

    河田賢治君 学校にしましても、御承知のとおり、プレハブ住宅がある。経済大国だといいながら、こういうあわれな学校設備をまだたくさん残しておりますし、最近の人口の急増地域は、いわば砂漠の中に町をつくるようなものなんです。ですから、地方の公共施設というものはこれをつくるために追いまくられておる。学校だけでも歳出のうちの四八%を占めるというようなところもあります。したがって、人口急増地帯に対する特別な措置をする必要があると思うのですが、政府の各省の局長課長その他専門家が集まった日本都市センターの住宅団地関連公共施設整備に関する研究報告書というものがあるわけですね。これによりますと、大中小の団地をつくりましても、中規模団地で四千百五十戸、ここの関連公共施設というものに約四十一億要る、単年度赤字は十三年目まで続く、累積赤字は十五年以上続くと、こういうふうに書いてあるわけですね。だから、今日、思い切った学校の建設もすぐ急ぎ、あるいは道路そのほかどぶから、あるいはまた下水から、そういう施設をずっとやりますと、とても現在の状態では急増市町村はやっていけない状態です。だから、私たちは、やはり人口急増地帯に対しては特別な立法措置をやる必要があると思うんです。昨年、自治省では、御承知のとおり、人口急増市町村の公共施設の整備のための特別措置要綱案というものができまして、かなり法律化されようとしましたけれども、なかなかこれがまとまらなかった。特に大蔵省あたりは反対した。ここに書かれているものは、たいしたものじゃないんですけれども、しかし、ほんとうに人口の急増地帯の財政を考えますと、とても普通のやり方だけではやっていけないだろうと思うんです。したがいまして、こういう特別な地域における法を制定して、そして財政的にもこれを一時援助する。やはり財政がある程度固まれば、また地方交付税でかげんはできるわけですから、こういうところは大急ぎで学校その他、特に学校などは、あなた方もみなお孫さんを持っているわけですね。そういうものがプレハブの教室に入ったら、おそらく不満だろうと思うんですよ。そういう点を考えられて、新しくそういう法制定を行なう意思があるか、また、このように努力するのかどうか。これは大蔵省、建設省並びに自治省にお伺いしたいと思うんです。
  165. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 人口急増の地帯が、短期間に、急速に公共施設の拡充に迫られ、そのため財政的に困難を来たしているということは、いま御指摘のとおりでございます。このため、四十七年度の予算編成にあたりましては、いま河田委員指摘の公共施設の整備のための特別措置要綱というものをつくりまして、教育施設あるいは福祉施設、また清掃施設等の必要欠くべからざる施設についての補助率の特別な引き上げ等をそれぞれの各所管の省から要求をしていただいた次第でございます。その中では、小学校が三分の一の補助が二分の一に上がり、都市公園の補助が改善されるとともに、対象である児童公園が都市公園の中へ入れられる、あるいは補助規模の適正化で、急増地帯に対しましては、一年半先の生徒児童のふえ方を基準としての補助対象になっておりましたのを、三年に延ばすといったような改善も加えられたのでございますが、私たちが要望しましたもの全部が実現というところまで至らない分もございました。そのような関係で、これを法制化することは見合わした次第でございますが、今後とも、この要綱の線に沿いまして、極力財政措置ができるように努力いたしますとともに、四十八年度におきまして、私たちの目標にいたしておりますそれらの補助制度が予算的にも確立いたしましたときは、ぜひとも法制化をいたしたい。これは各省にまたがるものでございますが、総合的な点から自治省で所管いたしまして、私たちのほうで法制化いたしたいと、このように考えておる次第でございまして、今後ともに努力してまいりたい、かように考えております。
  166. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 後ほど大蔵大臣からまとめてお話があるでしょうが、私のほうでは、日本住宅公団が宅地造成をやると、そこで人口がふえますので、いろいろ公共施設をやらなければならぬのでございます。確かに地方財政の負担になると思っておりますが、従来この問題につきましては、建設省のみならず、五省間でもって協定がございまして、私のほうの住宅公団につきましては、地方公共団体の負担にするにしても、一時立てかえてやろうという立てかえ制度がございます。四十六年度におきましては、その立てかえの金の償還期間を従来十カ年であったものを二十カ年にするとか、あるいは立てかえの金額をふやすとか、なるべく地方公共団体の負担にならないようにいろいろくめんをしてやっておるような次第でございます。
  167. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま御指摘になりました財政特別措置ということについての考え方は、確かにございましたが、関係省で相談の結果、人口急増市町村の財政負担が多くなったおもなるものは、とにかく用地取得費を含む義務政育施設整備費である、これが一番財政負担の重くなったものでございますので、したがって、清掃事業とかいろんなものを含んだこういう措置よりも、とにかく今年度は直接的にこの問題に対する措置をしたほうがいいという相談の結果、文部省計上の土地取得を伴う義務教育施設の整備に関する特別補助をきめるということ、それから自治省の計上するちょうど中小学校用の土地取得債に対する利子負担を助成するというような問題、それから、さっき出ました小学校の建築に対しては、三分の一の補助を二分の一にするというような、直接的な措置を今年度はするということになったわけでございますが、必要によってはさらに、この超過負担の全体としていろいろ負担の解消をはかる方途というものは、今後また検討したいと思っております。
  168. 河田賢治

    河田賢治君 次に、最近地方自治体がいろいろと市街化するにつれてスプロール的な建築が行なわれる。また、そこでいろんな高層建築もむやみやたらにふえてみたりする。こういうところから、地方自治体がみずから自発的に開発規制の権限、開発者に負担を課す権限、こういうものをある程度駆使しまして、そうして業者なり、あるいは開発行為をする人々からも、若干の寄付金なりいろんな形で取っているわけですね。そういうところが非常に最近はふえてきたわけです。御承知のように、自治省でも開発税というものをつくりましたけれども、この法律は国会も通ったわけですけれども、どの市町村もこの法律に従って開発税を取ったことがないんですよ。珍しいですな。法律ができてもどこもそれを実施したところがない。というのは、金を少し取りましても、これは非常にわずかだ。平米五百円ですか。それから、いろんな目的が制限されてほとんど公共団体の役に立たぬということで、これは実施されなかったんですね。そういう結果、みずから今日地方自治体が自衛手段として、建築なりあるいは造成なりのときに若干の金を取って、そうして道路をつくったり保育所の用地をつくったり、いろんなこういうことをしているわけです。それが最近目立って強くなってまいりました。特に千葉県やその他におきましても、たとえば、住宅公団が少々来てもとても公共事業をおっかぶせるわけにいかぬというんで、入居を拒否する事件もありましたし、いろいろ今日の状況のもとでは、町づくりというものに非常に一般の住民がだんだん関心を持ち始めたと私は見ておるわけなんです。この点について、こういう傾向はわれわれは助長すべきだと思うんですが、自治省なりあるいは建設省あたりはこれについてどういうお考えでしょうか。
  169. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) このごろ、人口急増の各市町村におきまして、大口な団地等の宅地開発が特定のそういった地帯には行なわれておりますが、これらが一時的に急速に財政需要を公共事業整備のために必要としますので、これに伴いますところの財力がとても伴わないというところから、宅地開発要綱を自発的につくりまして、宅地開発許可の前に、宅地開発の事前に、各宅地業者とその要綱に基づきまして協議をしておるというのが実情でございます。現在の財政事情から、宅地開発されましたら公共施設に要するところの土地を一部提供してもらう、あるいは格安に分けていただく、そういった負担を一部負っていただいておるような状態でございますが、現在の状態では、自治省といたしましてもやむを得ないものと、かように考えております。ただし、これが常識を逸するような点になったり、あるいはものによりまして不均衡を生ずるという点は、十分注意していただかなければならないと、かように考えております。ただ、しかし、これはあくまでも緊急、応急的な措置でございまして、私たちといたしましては、できるだけ早くそれらの実態が、円滑にこれらの建設ができるような財政ルートを打ち立てることによりまして解決をしていただかなければならない。今後ともに関係省庁とも連絡の上努力してまいりたいと、かように考えております。
  170. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 大体自治大臣からお話しがありましたとおりですが、開発費用というものは、やはり開発を許可を受けるときに、その公共施設の管理者に相談をしなきゃならぬことになっています。したがいまして、地方公共団体の長といたしましても、やっぱり一定の要綱をつくって話し合いをしなければ、みだりにやられても困りますから、指導要綱を各公共団体でつくりつつあるのでございます。したがいまして、それに基づいてやるのでございますが、その場合に、開発者に若干の負担をお願いするというようなことも、これはやむを得ないかと思っておりまするけれども、あくまで協議をととのえて、そうしてりっぱな町づくりをするというようなことに進めていきたいと、かように私どもも行政指導をいたしておるような次第でございます。
  171. 河田賢治

    河田賢治君 ところが、こういう宅地開発指導要綱に従っていろいろと町づくりをやるわけですが、最近、新聞でもごらんになったと思いますけれども、武蔵野市であるとか八王子市では、いろいろと宅地業者あるいはマンションなんかの建築業者なんかが、つまり開発指導要綱というようなものは法律ではないのだ、だから、おれたちはそんなものには従わぬのだ、あべこべに自分たちは告訴する、というような事件が、新聞では二、三、見えておるようであります。これは、やはり地方自治体ができるだけ住みよい町づくりをしようとしておるのに対して、建築業者なりあるいは造成業者が法律的なものでないという、これを理由にして告訴するというようなことが起こっておるわけですが、こういう問題に対して建設省のほうではどういう御指導なりするおつもりですか。
  172. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 日本住宅公団等がいま千葉県でいろいろ問題になっておりますのは、日本住宅公団がその住宅を建設する場合は、とっさにそれをやったわけではございません。いまの第二次五カ年計画をきめる場合に、やはり一応建設計画として十分了解を得てやっておるのでございます。しかし、その地方にとりましては、やはりいろいろ変化もございましょうから、いま昭和四十七年度で、千葉県では、公団としては一万一千戸の住宅を建てたい、しかし、それはちょっと困るから待ってくださいというお話がございまするが、これは、あくまでやっぱりこの地方公共団体と話をして、どういう公共施設が困るのか、どういう公益施設が困るのかということを協議をしていくのでございまして、もういきなり私のほうはそういう計画をやるものではございません。しかしながら、それはそれといたしましても、とにかく、非常に公共団体としては公益施設で困ることでございまするから、あくまで地方公共団体と打ち合わせまして、今後は、住宅建設その他開発等は、そういう十分事前の了解を得て進めなきゃならぬということは十分考えておるような次第でございます。
  173. 河田賢治

    河田賢治君 これにはやはり地方自治体が相当の余裕を持っていろんなこういう開発をしたり、あるいは町並みをそろえたりする、こういう事業を相当地方自治体としてはやらなければならぬと思うんです。しかし、法的にそれが保障されていませんといろんな問題が起こると思うんですが、かなり地方自治体の自治的なそういう活動のでき、また行動のできるような、これらの開発の問題についてのいろんな規制や、あるいは若干の寄付金あるいは税金を取るというようなことを考えて、かなり自由な形で活動できるような、やはり法的な根拠を与えるべきだと思うのですが、この点について自治大臣、建設大臣、ひとつ伺っておきたいと思うんです。
  174. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) これらの要綱が、地方財政法等に規定しております強制寄付の禁止、それらに該当するのでないかというふうな意見もあることは聞いておりますが、先ほどお答えいたしましたように、現在の状態ではやむを得ないものであると、私たちは考える。しかしながら、これはあくまでも、いま申されましたように、法律に基づくものでございませんから、協議が円滑にととのうよう、また地方自治体側におきましても、対象別によって差別をつけるとか、あるいは普通常識以上のような過酷なそれらの要件を課するとかいうことのないよう行政指導してまいりたいと思っております。法的根拠を与えるべきではないかという御意見はごもっともであろうかと思いますが、私たちはあくまでも、これは緊急的なものでございまして、できるだけ早く、むしろ、それらの市町村がこれらの公共事業が円滑に実施されますような財政措置を講ずることが急務であるというので、いま前進をいたしておるような次第でございまするので、それらとあわせながら検討を加えてまいりたいと思っております。
  175. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 公的住宅の場合は、これはもう事前に了解のもとにやるわけでございますから、さいぜんも申しましたように、千葉県等につきまして知事の意見もございまするから、初めの協定と多少違ったことはありますけれども、これはあくまで話し合いでやるわけでございます。民間の住宅の場合は、許可を得ようとするときに一定の基準を公共団体の長が示して、公共団体の長の、こういう公益施設をやってくれ、こういう公共施設をやってくれという条件のもとに許すわけでございます。その条件がととのわなければ、民間の場合も、地方公共団体はこれを許可いたしません。したがいまして、私は別に法律が要るとは思いませんけれども、いろいろ今後も研究しなければならぬ点はあろうかと、かように考えておる次第でございます。
  176. 河田賢治

    河田賢治君 次に、外務大臣に質問したいと思うんです。  福田外相は、十九日、わが党の小笠原委員の質問に対し、現在のベトナムの事態について日本は局外者であり、一方に対してどうせよと言えないという答弁をしておられます。そこでお聞きするが、わが国が局外者だということはどういう意味か。ベトナム戦争に対して政治的、軍事的に中立だという意味なのか、この点をお聞きしたいと思うんです。
  177. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が小笠原さんにお答えいたしましたのは、これは戦争の当事者じゃない、こういうことでありまして、いま南北が戦闘行為によって相争っておる、その是非を論ずべき立場にはないと、こういうことを申し上げたわけなんです。
  178. 河田賢治

    河田賢治君 確かに日本はこの戦争の当事者ではないが、アメリカはベトナム人民の民族自決権を踏みにじって戦争をしている直接の当事者である。日本は、このアメリカに対しては局外者だというのか。現にわが国アメリカと軍事同盟——日米安保条約を結び、軍事基地を提供し、米軍は日本の基地、施設からベトナムに出動して北爆や艦砲射撃を連日行なっているのは世界周知の事実です。これが、どうして局外者だといって涼しい顔をしておられるのか。局外者どころか、日本はアメリカのベトナム侵略戦争に対する協力加担者ではないか。この点はどうですか。
  179. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国は、南北の争いにつきましては一日も早く平和が到来するようにというふうに念願しておる国であります。今回の南北の問題が悪化した、これはアメリカ側の見解では、北側が中立を侵犯して、そして中立地帯を越えて南進をしてきたと。そこでこれに対する応対のかまえを見せておる、これが北爆の理由であると、こういうんです。ただ、北側にも北側の言い分がありましょう。ありましょうが、わが国としてはそのいずれがこの問題について是であるか否であるか、そういうことを論ずべき立場にはない。こういうことを申し上げておるわけであります。
  180. 渡辺武

    渡辺武君 関連。  外務大臣に伺いますが、大臣はきのう岩国のF4ファントムのベトナム移駐に関する事前協議の問題につきまして、岩国発進の段階では戦闘作戦命令を受けていなかったとしても、爆弾を積んで行ったということになれば問題だという趣旨のことを述べておられますけれども、この御答弁は、このような場合には事前協議の対象にしようということでしょうか。
  181. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前協議制度というのは日米安全保障条約、これの運用上、わが国が戦争に巻き込まれてはならぬと、こういうための歯どめなんです。そういう意味でありまするから、まあ、わが国の基地が戦闘作戦行動に直接使われると、こういうことがあると、その際には慎重な配慮をしましょうと、こういう制度でございます。したがいまして、いままでその慎重な配慮を要すべき判断、つまり事前協議の対象にするものは何であるかということにつきましては、これは一番はっきりしておりますのは、その発進する部隊が戦闘作戦行動命令を受けておるかどうかと、こういうことだったんでありますが、しかし、そういう形式的なこともこれは大事です。大事ですが、実体的な問題も考えてみる必要があるんじゃないか。そういうことを申し上げたわけであります。まあ、それらの点につきましては日米安保協議会において先方と相談をしてみると、こういうことにいたしたい。
  182. 渡辺武

    渡辺武君 爆弾を積んで行っているかどうかという問題は、どういう形で確認いたしますか。
  183. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 爆弾を積んだという事実だけの問題じゃないんです。つまり、わが国の基地を発進するその米軍の部隊が、これが戦争に直接参加する、そういう意図であるかどうか、その判断の問題といたしましては、戦闘作戦行動命令を受けておるかどうかということ、これはもう非常にはっきりしております。しかし、そればかりでなくて、そういう実体を備えておるかどうか、これは爆弾ばかりの問題じゃありません。あるいはどこへ行けという方向の指定の問題というようなことも、これも問題だろうと思う。そういう実体面を総合的に判断しなけりゃならぬ問題である。その辺をどういうふうに約束をしておくかと、こういう点が検討の問題じゃあるまいか、そういうふうに考えておるのであります。
  184. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 渡辺君、簡単に願います。
  185. 渡辺武

    渡辺武君 実体の問題について伺っているんです。きのうの御答弁では、爆弾を積んで行ったということならば問題だと言っておられる。そこで伺っているんです。その実体をどう確認するのか。たとえば、爆弾の場合はどう確認なさるのか。これを伺っている。その点をお答えいただきたい。
  186. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 爆弾の場合もありましょう。また行き先の問題もありましょう。また出発するについての意図の問題もありましょう。そういうところを総合的に判断する、そういうことを申し上げている。ひとり、爆弾ばかり積んでおりましたからそうであると、こういうようなわけじゃない。
  187. 渡辺武

    渡辺武君 伺ったことに答弁していただきたい。そうじゃないと長くなってしようがないですよ。あなたはきのう……
  188. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 渡辺君、なるだけ簡単にやってください。
  189. 渡辺武

    渡辺武君 大臣は、きのう、爆弾を積んで行ったというなら問題だと言っておられる。これは実体の問題でしょう。その実体である爆弾を積んだかどうかということをどうして確認なさるのか、それを伺っている。簡単明確にお答えいただきたい。長くなってしょうがない。
  190. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 米軍によく確かめます。それで承知する、そういう考えであります。
  191. 渡辺武

    渡辺武君 委員長
  192. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 渡辺君、まだ質問の時間は委員会の間にございますから。簡単にそれじゃ一問だけ。渡辺君。
  193. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、結局、いままでと同じことじゃないですか。アメリカが爆弾を積んでいないと言えば、結局、それはもう見のがしてしまう。アメリカが現に日本の基地からベトナムに出撃している。それなのに日本の基地を出るときには戦闘命令を受けていないんだとアメリカが言ったということで事前協議にもかけることができなくなっているじゃないですか。結局同じことじゃないですか。  これに関連してもう一つ伺います。空母や軍艦の場合はどうですか。外務大臣は横須賀からの空母コンステレーションや第七艦隊旗艦オクラホマシティーの発進について、やれ、南方海上に移動したとアメリカから通告があったとか、あるいは横須賀発進の段階で戦闘作戦命令を受けていなかったということを口実にして、そうして、これは事前協議の対象にならないんだというふうにいままで答弁されてこられました。しかし、コンステレーションは常時八十機から九十機の戦闘爆撃機を積んで爆弾も積んでいる。いいですか。オクラホマシティーもそうです。これはミサイルも装備し、長距離砲もちゃんと装備し、したがって、それに使う弾頭も砲弾も積んでいる。そういう実体なんです。しかもそのオクラホマシティーがベトナム侵略のために出撃したということは、これはけさの新聞で、そのオクラホマシティーがベトナム解放軍の攻撃を受けたという米側の発表そのものでもって実証されているじゃないですか。これはF4ファントムが爆弾を積んで出たということと全く同じケースです。こういう場合はどうなさいますか。当然、問題にしなきゃならぬと思いますが、どうです。これが第一点。  もう一つ、ついでに伺います。  岩国のF4ファントムと同じように、いま申しましたオクラホマシティーの場合もベトナム侵略のために日本の基地から発進したということは、米側の発表そのものがはっきりと物語っている。それなのに日本政府は、日本の基地から出かけるときには戦闘作戦命令を受けていなかったんだというようなことで、全くめくら同然な扱いをアメリカ政府から受けているじゃないですか。全く日本政府は全世界にその醜態をさらしていると言って差しつかえない。このアメリカ政府の不信行為に対し、日本政府として……
  194. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  195. 渡辺武

    渡辺武君 当然厳重に抗議を申し入れるべきだと思いますが、どうですか。この二点を伺います。
  196. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私どもは、安保条約をそのまま運用しておるわけでありまして、決してアメリカにばかにされているとか、そんなようなことは全然ありませんです。今後ともこの安保条約につきましては適正に運用すると、そういう考えであります。
  197. 河田賢治

    河田賢治君 とにかく、まあ、いま日本はだんだんとこのアメリカのベトナム戦争にいろんな点で協力させられておりますが、沖繩の返還ももう間近に迫っております。  それで、外務大臣に伺いますが、ベトナムは安保条約上の極東の範囲に入るのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  198. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 安保条約上は極東の周辺地域に入ると、そういう理解でございます。
  199. 河田賢治

    河田賢治君 沖繩は、日本へ返った場合は日本の領土ですね。そうすると、沖繩の周辺というのはどういうことなんです。ベトナムは周辺で、韓国あたりも周辺なんですか、同じように。どこらまでを線を引きますか、極東の……。
  200. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、ベトナムはどういう地位になるかと、こういうお話ですから、これは極東の周辺の地域になると、そういう理解であると、こういうことを申し上げておるわけです。沖繩のほうは日本の領土でございます。
  201. 河田賢治

    河田賢治君 極東の範囲に入らないんですか。——時間ですからこれでもう終わるんです——締めくくりをやります。  とにかく、沖繩が日本の領土になることは言うまでもない。周辺と極東の範囲とは違うわけですね、その点を私は聞いたわけです。  大臣答弁は要りませんが、とにかく政府は、ベトナム戦争に対し局外者だというなら、民族自決の立場に立って、ベトナムからすべての外国軍隊を撤退させ、ベトナム問題はベトナム人民にまかせること、アメリカがベトナム戦争のため日本の基地、施設を使用することを拒否して、即時北爆を停止するようアメリカに要求すべきであるということを申しまして、私の質問を終わります。
  202. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で河田賢治君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  203. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、喜屋武眞榮君の質疑を行ないます。喜屋武君。
  204. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 総務長官に、最初にお伺いいたします。  沖繩におけるドル・ショックは各方面に大きな不安を巻き起こしているわけです。ところで、去年十月八日に確認されましたあのことは、一応の救いであったと、こう思うんですが、ところが、あれから派生的にいろいろと各分野の不安があるわけなんです。ところで、その後各団体がいろいろな形で要請、陳情いたしておりますが、その中で、共済会積み立て金も救済すると、こういう措置を講ずるということが報ぜられておりまするが、それに対する御見解を承りたいと思います。
  205. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) そのような報道がなされていることは私も知っておりますが、しかしながら、十月九日のドルチェックにあたりましては、十分琉球政府とその限界について打ち合わせをいたしました。そして政府立法をもってその対象の範囲その他を定めたものでございます。したがって、その範囲からはずれた、いわゆる取り残しというようなものに、その後の要請があることは、私も十分承知いたしておりますし、当事者とも話をいたしました。しかしながら、これはきわめてむずかしい限界の問題で、では法人の手持ち現金その他はどうなのか、単に人格なき社団のみだけでこれを律することができるのか、きわめてむずかしい問題がございます。それらの問題を一応念頭に置きながら、なお話し合いはいたしておりますけれども、現在まだそれを的確に補償漏れの対象として追加補償するということの決定はいたしておりません。
  206. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それに関して、総務長官として大蔵省に折衝しておられるということも聞いておりますが、大蔵はいかがでありましょうか。
  207. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 一応琉球政府と私との間で話をして、そして大蔵省のほうとはまだ事務当局の段階でありますけれども、このような沖繩側で言われるチェック漏れ、しかしながら私どもが、大蔵も含めて本土政府と琉球政府と了承した政府立法というものには、当初対象になっていなかったものの措置、このようなものはまだ大蔵大臣にあげて判断を願うというところまでまいっていない段階でございます。
  208. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひこの点は、沖繩側の要望をいれてくださるよう、ひとつ御配慮をお願いいたしたいと思います。  次に、特に米軍の基地内で働いているいわゆる特免業者ですね、特免業者は、三千人の者が転廃業を予定しておるわけなんです。ところが、その決意はしておりますけれども、何しろこの転廃業するにもまず資金が要るわけであります。その特免業者に対するところの転廃業資金の融資について特に御配慮願いたいという陳情がいろんな形でなされておりまするが、昨日でしたか、一昨日でしたか、衆議院の大蔵委員会で通過いたしました沖繩振興開発金融公庫法、その中における内容としまして、融資の対象が企業団体に及ぶということになっておりますが、この特免業者もその中に含まれるかどうか、その点明らかにしていただきたい。
  209. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) これは、特免業の方々も当然雇用しておられる事業活動者としてその対象に入りますし、最悪の場合において転業しないで廃業するという場合においては、従業員の方々は新たに設定する労働失業手帳の給付の対象にもするつもりであります。
  210. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その点で、いまはっきりいたしましたが、今度はこの額の面で、予想されるものではとうてい再起は困難である、こういうことも強く要望いたしておりますので、ぜひひとつそれに十分にこたえていただく御配慮を賜わりたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  211. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 業界の御要望は、それぞれ最も理想的な要望をしておられますから、特免業者の方々も、転廃業の補償をしろとか、いろいろな言い分は表向きは持っていらっしゃいますけれども、ただいまの御質問のように、やはり実態に応じてそのような対象を融資の中に認めていくということであれば、やっていくという決意を持っておる人たちは、転業されてもりっぱに地域でまた新しい企業として立っていかれるでありましょうし、もし不幸にして廃業されるということであれば、これはやはり従業者の不幸ということになりますから、それらの問題は、先ほど申し上げたとおり、網の目にこぼれないように措置をいたすつもりであります。
  212. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、私、四月五日の関連質問で、例の久米島における忌まわしい虐殺事件をついてただしたわけです。その答えに総理大臣は、「当然のことですが、遺家族の方々に対しまして、私ども心からおわびを申し上げるとともに、私ども遺家族の方々を幾らかでもなぐさめる方法があるならば、さらに検討したい」と、こう述べておられます。その問題について、総務長官としてどのように調査を進めておられるか、承りたいと思います。
  213. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 沖繩北方対策庁の出先である沖繩事務局において、法務担当の事務官を現地久米島に派遣をいたしました。久米島の警察の応援を頼みまして、それぞれあとう限りの調査を一応終わりまして、その事実関係については、目撃者のあった事件、目撃者はなかったけれども、あとで、明らかに日本軍の手によって殺された、そして焼き払われた、それ以外の何ものでもない事実の証明される人たち、あらゆる人たちの傍証も得まして、またこの問題は不幸なことでありますが、本人があえてその事実を全部肯定いたしておりますし、事実関係は明らかになっておると思います。また、その後そのようなことならば、同じ事件はあちこちにあったということが逐次明らかになっておりまして、本部半島から南、戦場と化した南部の方面にかけても、あちこちでそのような事実が明らかにされておりますが、加害者が特定できないものも多いようであります。しかし、これらの問題は、一連の国土そのものが戦争に巻き込まれた地域の人たちのみが受けた不幸な日本人同士の間の流血として、しかも、それが本来は軍の指揮は、命ぜられたはずでありますが、治安とかその他の問題について指揮権がゆだねられたと認められていない局地の指揮官によって惹起された混乱状態の中の犠牲であるということを考えまして、今後これらの事実を詳しく調査をし、総理も非常な衝撃を受けておられますので、総理の御意向も体し、指示も受けて、さらに私どもの手において事実関係を、全貌を明らかにして、決してこれに面をそむけることがあってはならぬ。そしてこれに対する国の責任というものを、必要ならば、国家賠償の措置もとりましょうし、あるいはそれ以外のケースであると思われるものについては、何らかのさらに遺族に対する処置その他のもので、国のでき得る限りの誠意を示して償いをしたい、かように考えておるわけであります。
  214. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題につきましては、古傷にはさわりたくない、何をいまさらといった、こういったとらえ方も国民世論の中にあるやに察せられます。ところが、これはいまさらということではなしに、実はこの資料は、例の渡嘉敷島における強要集団自決の戦闘概要書で、一九五三年、終戦直後から機会あるごとにこのように要請、訴えがあるわけなんです。ところがその時点における社会情勢、あるいはアメリカ支配の中で、あるいは日本政府においてもアメリカに対するいろんな立場から、あえてこれが取り上げられなく、うやむやのうちに葬られてきたと、こういういきさつがあって、その遺族関係者からしますと、終戦以来一貫して、この問題を追及しておる、訴えてきておるという、これが一つの証拠でありますが、さらに、私も実は生き残りの一人でありながら、驚いておるわけでありますが、これ総務長官ごらんになったかしれませんが、七百八十人以上に達しておるのであります。数にして七百八十人、この虐殺事件が。場所で十八カ所。沖繩本島における場所もちゃんとチェックされております。どこで何名やられたというこの資料をごらんになったかもしれませんが……。
  215. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 知っています。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 おわかりですね。このように、ずっと北から中部、南、それから離島に至る各所で、このような事件があるということは、実は私自身もこれは驚いておるわけであります。それで沖繩においては、遺族会を結成し、あるいは関係団体が組織をつくる、こういうふうにして、いま徹底的に調査をしております。沖繩教職員組合におきましても、今月一ぱいで調査を完了すると、それがまとまり次第資料を送ってくることになっておりますが、どうぞひとつそういったものを、参りましたらおあげいたしますので、唯一のひとつ資料とされまして御検討を願いたい。そして遺族に十分にひとつ与えていただきたい、こういうことを重ねて御要望申し上げたいんですが、いかがですか。
  217. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 渡嘉敷の集団自決、座間味の集団自決、これらは、私はいずれも現地まで参りまして、当時の方々からもその模様を伺ってきております。したがって、久米島事件が起こりましたときに、私としてはこのようなことはまだほかにもある、本島各地でもあるということを耳にいたしておりましたので、そのようなことの調査を、全部この際やりたいと思っておったのでありますが、その調査はいま進めておるところでありますけれども、何にもしていなかったということでは実はないんでありまして、遺族に対する年金あるいは扶助料あるいは閣議決定による一時金の支給その他の措置はいたしております。しかしながら、それが沖繩という戦場になってしまった本土の一部において、そのような住民の巻き込まれたことによる犠牲に対する補償という形をとっておりますから、これが真実が暴露されたように、同じ日本人の手によって日本人たる現地の方々が殺されたんだ、これがはっきりいたしてまいりますと、いままでとってまいりました通常の措置においては律しがたい問題であるということから、総理の御指示もあらためてもう一ぺんこれに対する措置を考えるようにということでありますので、既往のとられた措置にこだわらず、あらためてこの問題を面をそむけることなく取り組んでまいりたい、かように考えます。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、この問題の結びといたしまして、これは道義的にも、いかに戦争という忌まわしいあの悲劇の中においてもやるべからざることを、人間性を失った行為、行動としか思われない、そのようなことが行なわれる。これも戦争というこの罪悪の中から生まれた行動である。遺族に対する補償は十分やってもらうと同時に、私たちはこのことを、平和日本の建設のためにも、何としてもこれは国民的な大きな反省として、きびしい反省として私はこれを訴えたい、こういうことを強く要望いたしまして、総務長官への質問をこれで終わります。  次に、委員長お尋ねしますが、私はこの前の質問の終わりに、遺族及び関係者を呼んで直接真相を確かめてもらいたいということを要望いたしました。それに対して委員長は、「喜屋武君の発言に対しては、いずれ理事会において協議いたします。」と、こう答えておられますが、その後どうなりましたでしょうか。
  219. 徳永正利

    委員長徳永正利君) お答えいたしますが、このことにつきましては理事会において検討しております。期限のある予算委員会のことでございますから、どういうふうにこれを取り扱うかということで近く結論を出して御連絡いたします。
  220. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このことはあるいは衆議院でも問題になっておりますので、向こうとの関連もあるかと思いますが、どうかひとつこの要望をいれてもらうように、実現を期してくださるよう要望いたします。
  221. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 理事諸君とよく御相談をいたします。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、外務大臣お尋ねいたします。  アメリカの北爆開始に関連して、一番直接的に脅威を感じ不安におののいておるのは沖繩であります。それは過去の経験からも、沖繩がベトナム爆撃のその拠点になっておるからであります。そこで、だんだん北爆がエスカレートするにつれて、沖繩にもあの黒い殺し屋といわれたB52がまたやってくる可能性が十分にあると私は思うのであります。すでにこのKC135の空中給油機が五十機も駐留しておる状態であります。そういうことからしましても、十分にその心配が予想されるわけなんです。   〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕  ところで、五月十五日には沖繩が復帰するわけなんですが、そうなりますと、日米安保条約とその関連取りきめの規制を受けるわけですので、当然事前協議の対象となる。そしてその結果は当然ノーでなければいけないと私は思いますが、いかがでしょうか。
  223. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 今回の沖繩協定はいよいよ五月十五日に発効いたします。その結果、日米安保条約がそのまま沖繩に適用される。私どもは、そのことを本土並みと、こう言っているんですが、まさにそのとおりになるんです。  そこで、事前協議のほうもまた本土並みになる、こういうことになります。ただ、いままあベトナム戦争が激化しておると、そういうような関係沖繩県民はまあ御心配がある。これはまあ私も理解ができます。しかし、ベトナム戦の沖繩が基地化するということは、これはもう絶対私は避けたいと思っているんです。でありまするから、沖繩を基地といたしましてベトナムに出撃をする、戦闘行動を行なう、つまり沖繩が作戦基地になる、戦闘行動の基盤になる、こういうようなこと、これが行なわれるというようなことが万一ありますれば、万一ですね。そういう企図がありますれば、これはアメリカ側からわがほうに対しまして事前協議があるはずです。その際には私どもははっきりノーと言うと、そういう考えであります。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの決意よくわかりました。  ところでもう一つお尋ねしたいのは、そのベトナム再協議事項でいうところの、いわゆる返還時にベトナム平和がもし実現していなかった場合には、日米両政府はあらためて協議するという、まあこういうことが共同声明時点でうたわれておるわけなんですね。ところが見通しとしまして、五月十五日時点でベトナム戦争が終結するとはどう考えても断定はできません。その場合に、日米沖繩協定がすでにその批准書交換も完了した今日でありますから、まあ常識的にもその効力を失っょおると、こう思うわけなんですが、いかがでしてうか。
  225. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一九六九年の共同声明は共同声明でございまするから、権利義務というような問題じゃなくって、したがって、効力云々という法律的に論ずべき問題じゃございませんけれども、これは政治的にまた常識的にとらえてみまして、もう今日三週間の後には沖繩が日本に返ってくる、施政権が返ってくる。そういうことがもうはっきり確定しちゃったんだ。もう既定の事実です。もう、この協議条項を発動いたしまして例外を設けると、あるいはまた協定をやり直して五月十五日を先へ延ばす、そういうようなことはあり得ない。また日本に沖繩施政権が返ってくる。その態容につきましても——態容というのは中身のほうの態容です。それにつきましてもこまかにきめてありますから、これを変更するというようなことも、これまたあり得ないと、こういうふうに考えております。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあ、あり得ないという常識が、戦争という気違いざたではあり得ないということがあり得ることもまた事実でありますので、重ねて念を押しますが、いかなる場合であっても、このベトナム戦争の終結しない時点においてもやり直しはないと、こう判断してよろしゅうございますね。
  227. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、間違いなく沖繩はその施政権が五月十五日にはこの協定にきめられているとおりに返ってくると、こういう御確信を持って一向差しつかえございませんです。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に問題をかえますが、外務大臣沖繩における毒ガスは一応撤去されたということになっておりますが、まだ残っておるという風説も、いままで風評もあったわけですが、外務大臣はどう御判断なさいますか。
  229. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩の毒ガスが撤去されたというふうに私は信じておりましたが、この間の情報によりますと、何か毒ガスの爆発が起こったというので実はびっくりしまして、沖繩警察にも調べてもらった。そうすると、これは毒ガスの爆発ではなく、米軍の毒ガスの爆発ではなくて、何か化学工場の間違いだと見られるというような情報がありましたですが、それ以後のことは私はまだ承知しておりませんけれども、私は毒ガスが沖繩に今日あるというような気がいたしませんです。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の調査によりますと、さっき大臣がおっしゃったあの事件は、四月十一日午後十時二十分から午後十一時までに与那城村の屋慶名という字の百五十世帯——もっと字は大きいんですが、そこを中心とする地点で起こったガス漏れ事件、目が最初痛くてあけられない、そして赤くはれた、そして鼻、のどが痛んだ、それで三人下痢をした、病院にもかつぎ込まれた。こういうことが、まあある時間を経ましたらいつの間にかその状態が消えた。ところが、それはある調べによりますと、催涙ガスではなく、びらん性のマスタードでないかと、こう言われておる。しかも、その同じような事件がこの四月十一日までに三回、三カ所で起こっておることは御存じでしょうか。
  231. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) この点につきまして、われわれもさっそく沖繩警察及び米軍当局に照会したわけでございます。そうしますと、先方は、先生のおっしゃられた時刻に二十五名が、突然目、鼻、のど等に痛みを訴えたが、その症状は二十分くらいで回復した。また、二百メートルくらい離れたところでも歩行者が同様の痛みを訴えた。そこで調査したところが、周囲には米軍の部隊は駐留しておらず、また、当時米軍のいかなる部隊もあるいは兵員もこの地区にはいなかった。そこで、本件は全然米軍関係ないと、またこの場所も、その影響のあった範囲も半径五十メー地ルくらいであって、ホワイト・ビーチに通ずる八号線から一・五キロも離れているので、これは米軍関係ではないということでございます。  なお、与那城の村長がこのあとホワイト・ビーチの米軍基地をたずねまして、二週間前にも同様のことがあり、だれかがゴムタイヤか何かを燃やしたようだと、別にたいしたことはなかったと、こういうように報告しております。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま述べられた程度は私もキャッチしております。ところが、次の私の報告をぜひひとつ受けとめていただいて再調査をしてほしい。と申しますのは、こういうことなんです。勝連村のちょっと離れ島に浮原島——浮くという字と野原の原、浮原島——これは周囲一キロの島であります、勝連村の離島であります。そこでアメリカが、このガス地雷を用いての演習をしておる。で、その島にはウサギが飼われておることが確認されております。そして、その島に運ぶために、屋慶名の海岸からボートで、そのガス地雷を運んでおるという、こういうことが調べられておるのであります。そうしますと、いまさきの報告は、これは表面上の単なる調査でありまして、その背景をこうたぐってみますというと、こういう事実に関連しておるということが、十分想像されるわけですが、だから、これは単なる、このアメリカ関係したものではないとは、私はこの事実からは言えません。その島は、いわゆる村長が、軍と契約した——一年契約に基づく、地主の了解なしに村長が契約をした、こういったいわくつきの島でありますがね。その島での演習との関連がある、こういうことを私事実を手に入れましたんで、それに基づいて再調査をしていただきたい。
  233. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 再調査をいたします。何か資料——それの助けになる資料でもお持ちのようでございますので、それをいただければなおけっこうでございますから、よろしくお願い申し上げます。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、外務大臣に同じくお尋ねします。  この沖繩における米軍の保有する核兵器は、すでに撤去されたという報道がもうなされておったんですが、その存否については、外務大臣いかが受けとめておられますか。
  235. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、私は私なりにいろいろな想像もしております。その想像をいたす理由もまた持っておるわけなんです。しかし、これは沖繩に限らず、アメリカの核兵器、これにつきましては、アメリカが非常に大事にこれを扱うておりまして、まだ正式には沖繩に核があるということを言ってもおらぬと、こういうような状況であります。したがいまして、喜屋武さんのせっかくのお尋ねでございまするけれども、私といたしますると、核があるとか、ないとかも言えない私といたしまして、これが撤去されましたと、こういうお答えを申し上げるわけにはいかない。ただ、五月十五日、沖繩施政権の返還のその時点におきましては核はないと、これだけは、はっきり申し上げることができます。
  236. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 復帰の時点では間違いなく核がなくなるということは、ずっと国会論議の中でも一貫して答弁されたことでありますが、それじゃ、その時点で、なくなるという点検はどのようになさるおつもりですか。
  237. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはサンクレメンテで、日米両首脳が約束をいたしまたその当日、アメリカ側が、核はありませんという証言というか、意図、意思表明をいたすと、こういうことになっております。で、いまその意思表明をどういうふうな形でするかということについて、日米間で話し合いをいたしておるんです。その話し合いは大体煮詰まりまして、ロジャーズ国務長官から福田外務大臣への書簡の形式で、もう沖繩には、核は、この時点ではありませんと、こういうことを、はっきり厳粛に言明をすると、こういうことになる。その文言の最終的な詰めをいたしておる、こういう段階でございます。  まあ一九六九年の共同声明でもはっきり言っておる。それからまた、沖繩協定でも、まあその共同声明を引用しておる。そういうので、私どもとすると、もう核が返還時においてなくなる、ないということについては疑義を持たないんです。しかし、沖繩県民がたいへん心配されておるという心情もよくわかりますので、まあくどいようでありまするけれども、サンクレメンテにおける、そういう約束を取りつけるということにしたのでありまして、まあ核があるかないか、これなかなかむずかしい問題でございまするけれども、アメリカの政府が、そういう厳粛なる形式をもって、そこまで言う、私は、それを全面的に信じていこうと、こういうふうに考えております。
  238. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まあいまの核論争をすれば、非常にデリケートな問題だとは思いますが、ただアメリカが言うから、それをそのまま信頼するということにもまた問題があると、こう思うわけなんです。そこで、ぜひひとつ、そこは間違いなく、ないんだと、そういった国民が安心し、理解できる、こういうひとつ腹で——その核に対する撤去のことにつきましては、十分腹を据えて臨んでもらいたいということを強く要望いたします。いかがですか。
  239. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) よく承りましたですから、そのように努力をいたしていく所存でございます。
  240. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 外務大臣に対する質問は、これでよろしゅうございます。  次に、文部大臣にお願いします。  沖繩関係の問題、わけても、教育問題は一ぱい復帰に向けてあるわけですが、時間もございませんので、一つだけ質問いたしますが、沖繩の国立、あるいは公立の小中高校の教職員の給与、この格づけ、これは小さいといえば小さいかもしれませんが、しかし、これは沖繩の教育界で非常に関心を持っておる、非常に重大な問題であります。その措置がどのようにとられるのであろうか、また、長い四半世紀の断層があるわけですから、その継ぎ合わせがどうなるのであろうか、そういうことを非常に関心を持って、また、不安を持っておるわけであります。それに対するひとつ文部大臣の御見解を賜わりたい。
  241. 高見三郎

    国務大臣(高見三郎君) 教職員の俸給の格付けの問題につきましては、これは沖繩の自主性に待っていいと思います。それから処遇の問題につきましては、御承知のように、国立学校教員の給与に関する基準というものがありますから、その基準をもとにいたしまして、各府県条例で決定をするということになりますわけでありまして、まあ本土と格差のない状態を新生沖繩県がつくってくれることを期待いたしております。おそらく先生がおっしゃるのは、校長、教頭というものが教員組合におることがけしからぬというようなことを言いはせぬかという御懸念があるんじゃないかと、先回りして考えるわけでありますが、別に私ども、そういう指図をしようとは思っておりません。
  242. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、特に文部大臣に御要望申し上げたいんですが、沖繩の特殊事情から生まれたいろいろの制度、内容があるわけなんですが、それに対して、ぜひひとつ、その一つは、既得権を尊重していただきたいということ、二つには、かみ合わない面が出た場合に、ひとつ弾力的な御配慮を賜わりたい。このことを強く御要望申し上げたいんですが、いかがですか。
  243. 高見三郎

    国務大臣(高見三郎君) お答えいたします。  不利な面が生ずるようなことは万々いたさないつもりでおります。  それから断層があるとおっしゃる気持ちは、私にはよくわかります。これは、相当の時間をかけなければ解決をしない問題だと思います。けれども、その断層があることが直ちにけしからぬことであるからというので圧力を加えるなどというようなことは万々いたしませんから、その辺は御安心を願いたいと思います。
  244. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、防衛庁長官に。  軍用地の整理統合、いわゆるA、B、Cの分類がありますね。そのA、B、Cに分類されるための配慮は、どういう配慮がなされたか、そのことを承りたい。
  245. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 現地に即しまして十分従来の経緯を調査すると同時に、今後とも細心の配慮でやれということをもとにしましてやってまいりましたが、具体的には政府委員から御説明をさせます。
  246. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 沖繩の復帰にあたりまして、従来の米軍が使っておった施設、これはできるだけ縮小したいということで、外務省がいろいろ米側と折衝したわけでございます。私、いまはっきり数字を覚えておりませんけれども、これまでの米軍基地の約七分の一程度は解放になって地元にいくという形になっておるかと思います。
  247. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃお伺いしますが、大きな基地といわれておるものが二つ抜けておる。さらに、法的基地でもない、いわゆる布令二十号によって接収された軍用地でもない村有地、あるいは私有地が七つもA表に組み込まれておる、これはどういうわけなんですか。
  248. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) A、B、Cリストに入っていない基地というのは具体的にどういう基地かお伺いしないとわかりませんが、   〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕 私の記憶にありますのはバクナー記念碑のことかと思いますが、これは、いわゆる本土におけると同様の施設区域として取り扱うものでないということではずしております。それから、Aリストにある七つの施設というのは、一次使用訓練場のことでございましょうか、これは米軍が、従来の使用実績はきわめて少のうございますが、復帰後も引き続き使用していきたいということで話し合いましてA表に入れたと、こういう経緯でございます。
  249. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうも私思いまするに、基地のいまのA、B、Cの分類についても非常に疑惑を持たなければいけないような、抜けたものがあるかと思うと、今度は法によって契約されてないものがA表に組み込まれたり、それから、解放する基地はできるだけ分割をして数多くしたり、それから、残るA表は幾つかをまとめて数を少なくしたり、こういった手かげんがそこに加えられているような疑惑を持たざるを得ません。これについて防衛庁長官はいかがお感じでしょうか。
  250. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 確かに、御指摘になりますようにいろいろ問題も多かろうと思います。そこで、施政権が戻りましてからこういった問題についても、なおなおひとつしさいに検討をしまして、なるべく日本としても基地を縮小することは望ましいことでありまするので、今後とも重ねて努力をしてまいりたいと思います。施政権が戻ってからこういう問題についても真正面から取り組もうとアメリカ側も言っておってくれまするので、その線に沿って努力のつもりでございます。
  251. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 絶えず私申し上げるのでありますが、沖繩の平和経済開発というものは基地の縮小、撤廃これは裏おもてをなす、これを前提としない沖繩の開発、これは絵に書いたもちにしかすぎない。そういうことであるならば、それを了とされるならば、このA表、そういったいろいろなテクニックを使って多く残していくという、これ自体、私は問題があるということを強く指摘いたしたいわけです。そういうことがいかにも絵にかいたもちで、すぐ棚からころげ落ちるような、こういった書き方をされますというと、非常に沖繩の真の新生沖繩県づくりというものがおくれてくる、こういうことを強く私は感じておるがゆえに、このことについては強く申し入れると同時に、この基地の縮小、撤廃に対する御計画を持っておるならば、ひとつ聞かしてもらいたい。
  252. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 防衛庁においても、外務省においても詳細な打ち合わせをしながら基地縮小の方向で計画をいたしております。いま数字的にちょっと申し上げられる段階ではありませんが、先般サンクレメンテにおきましても、実は基地縮小の計画を総理及び外務大臣は携行したわけです。しかし、御承知のような経緯によりまして、基地の縮小問題等については施政権が戻ってからにしてもらいたい、先方のそういう要請もありまして、サンクレメンテではわれわれの、いわゆる日本側の希望というものは果たされなかったわけでありまするが、実は、そのときもすでに具体的なものを持っていっておるくらいでありまするので、施政権が戻り次第、わがほうとしても十分実情を日本の手によってこの上とも調査いたしまして、縮小の方向に努力をしてまいりたいと考えております。
  253. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、いまの長官の御答弁とうらはらの事実を私は指摘いたしたいのですが、C表は当然復帰までに解放される内容でありますね。ところが、C表に入っておるところの那覇空港、いわゆる目玉商品といわれておった那覇空港、これの解放は一体どうなのか。それから石川ビーチ、アメリカが終戦以来すばらしい水泳場だとして使っておりました石川ビーチはC表になっておった、解放に。ところが、最近の情報によりますと、復帰後も継続使用する、こういうことになっておりますが、このC表がそのようなあいまいもこの中で、さらにまたよりをもとに戻すということになっておりますが、いまの那覇空港の問題と石川ビーチはどうなりますか。
  254. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 石川ビーチのほうから申し上げますと、石川ビーチは米軍から解放通告がまいりまして、本年五月十四日に返還になるようになっております。先生御指摘の問題は、あの基地の中を基地間の通信ケーブルが走っておる問題だと思いますが、通信ケーブルにつきましては、A表の注におきまして提供するということになっておるわけですが、問題は、返還後に、そのケーブルがあるために返還後の土地の利用がどう影響を受けるかということだろうと思いますので、その点は現在現地でどういう影響があるのか当たっております。したがいまして、影響があれば道路わきに翻せるとか、解放地の利用に影響のないような措置をとろう、こういうふうになると思います。  それから那覇空港の問題といいますと……。
  255. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 P3。
  256. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) それじゃ、ちょっとかわります。
  257. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 那覇空港のP3の問題につきましては、先生御承知のように、このP3の移転に要する経費が暫定予算にのらなかったというようなことで、工事が予定よりもおくれております。したがいまして、復帰の時点におきましてはこのP3の移転先の工事ができておりませんので、若干の期間は引き続き那覇空港にP3が残留をするという予定になっておりまして、このP3が使っております区域につきましてどういう形で取り扱うか、これは現在外務省が米側と折衝をしておる段階でございますが、それ以外の那覇空港の区域につきましては、これは復帰時点において当然返還になると、こういうことでございます。
  258. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 条約によって、あるいは協定によって結ばれた結果というのは、いかなる理由があるにせよこれは守らなければいけない、また守らさなければいけない、こう思うんです。ところが、その後の情勢によってこのようになしくずしで変わってくるんですね。このこと自体に問題がある。一体この責任はどうとらえるべきであるか、こういうことを私は強く感ずるのであります。
  259. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 暫定予算を組まなければならぬという羽目におちいりまして、暫定予算の性格から、普天間へ移転させる経費などを計上するということはこれまたどうもぐあいが悪いという見解で、やむを得ず着工がおくれたわけであります。まさに責任といえばこれはもう私、政府の責任だと思っております。しかし、どうぞこれはひとつ御了解願いたいわけですが、まあいろいろな事情がありまして見解が分かれて、議長の裁定があったりいろいろして予算がおくれたわけでございます。全体のそのしわ寄せがここへきたわけでありまして、作為的なものによってP3の普天間移転をおくらせた、こういうていのものではございません。したがいまして、責任はとおっしゃるなら、まさに私ども責任を痛感するわけでありまするが、どうぞひとつこういう予算の状況であったということによってやむを得ずスローダウンしたと、これはひとつお許しを願いたいと思います。
  260. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 重ねて聞きますが、じゃあ遠からず近い将来間違いなく撤去されるということなんですね。
  261. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) そのとおりでございます。施政権が戻ってき次第工事にかかろう。これはもう早々にかかる、復帰前にかかるという説もありましたが、これも厳密にいいまするといまは施政権のないところで、了解事項とはいいながらどんどん仕事を進めることはどうであろうか、まあ慎重には慎重を期することがよかろうというようなことで工事着工がおくれておるわけですが、当然これは御期待に沿うように執行をいたします。
  262. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの防衛庁長官の御答弁を私もすなおに受けとめて信ずるものであります。  その場合に一つまた条件があります。それは、そのP3を撤去させる条件として、私を含めて百万県民が沖繩から撤去してもらいたい、こういうことが強く要望されていることは御承知だと思います。そのことに対するひとつ御決意をお願いします。
  263. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) P3は普天間の飛行場に移転ということでわれわれ理解しておるわけですが、県民感情としては一日も早く基地そのものもなくしてもらいたい、まさにそうだろうと思いますが、一つの過渡期のあり方としては、これはひとつP3も普天間に持っていくことはお認めをいただきたいものだと思います。将来の視点に立っての予測はどうかとおっしゃるならば、今後とも縮小の方途で努力をいたしたいと思います。
  264. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 重ねて、ぜひひとつ沖繩から撤去してもらいたい、こういうことを、県民要求であることをひとつ含んでいただきたい。  次に、軍用地賃貸契約についてお尋ねします。地料はいろいろ取りざたされておりますが、一体、土地料は従来の何倍になったのであるか、そうしてそれは額にして幾らになったのであるか、まず、このことを……。
  265. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 借料の額は、単純に平均することはどうであろうかと思いますが、従来の米軍が支払っておりました額を約二十八億円といたしますと、今回私どもが予算で計上しておりますのが百六十五億ということでございまするので、約六倍程度になろうかと思います。この百六十五億は、純粋借料といたしまして百三億円、それから不動産購入費ということで約二十七億円、これは純粋借料のほうに回せるということで計上いたしております。そのほかに見舞い金といたしまして三十五億円を計上いたしております。
  266. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま見舞い金とおっしゃいましたが、その見舞い金の正体は何ですか。
  267. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 見舞い金三十五億円は、二十七年間の長い異民族の施政権下でいろいろ多大の心理的、経済的な御負担をしてこられたということに対するお見舞い、それと、進んで契約に応じてくださった方々に対するお礼と、この二つの性格があるわけでございますが、私どもの考えといたしましては、前段の心理的、経済的な御負担に対する見舞いのほうに重点を置いて考えておりましまして、これは契約に応じてくださった方にも、拒否された方にもひとしくお支払いするという考えでおります。
  268. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 念を押しますが、いま、その見舞い金の正体は二十七年間にわたる犠牲に対する償いとして見舞い金を出すと、こうおっしゃいましたね。そうすると、これは契約する、しないにかかわらずひとしくこの見舞い金というものは支給されるわけですね。
  269. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 三十五億のうちの大部分はそういうことで、過去の心理的、経済的負担に対するお見舞いとして差し上げるということでございます。ただ、一部、契約に協力された方々に対しまして若干のお礼を差し上げたい、こういうことでございます。
  270. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはいろいろ疑惑を持たれておりますので、どうかすっきりした受けとめ方で地主がこれを受けられるような、こういう配慮をしてもらいたいということを強く要望いたしますが、長官いかがですか。
  271. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御趣旨の線に沿えるようにしてまいりたいと思います。
  272. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それから、最近の四月十九日の新聞によりますと、軍用地を提供したら解約はできない、解約を許さぬ、こういうことは認めないということが報ぜられておりますが、これは事実ですか、どうか。
  273. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 私ども現地からも、そういうようなことを申し上げたということを聞いておりませんですが——そういう事実があったということを聞いておりません。
  274. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは誤りならば、誤報であるならばこれはいいといたしまして、そのようなことが、軍用地を提供したら解約要求はできないという、こういうことがあるものですから、私は、契約というのは、申し上げるまでもなく相互の自由意思に基づく合意がなければ成立しないものと思う。もしそのようなことが事実であるとするならば、借りるほうが解約を認めないという全くこれはあべこべの権利の乱用である、こう実は思ったからそれをお尋ねするわけでありますが、もう一ぺん聞きますが、そういう事実はないわけですね、長官
  275. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 実は私もそれ聞いておりません。至急調査いたしまして、もちろん、そういう記事になりまするのには何か誤解があったかと思いまするので、そういう誤解は解くようにしたいと思います。そういうことは考えておりません。
  276. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、厚生大臣お尋ねします。  去年の十二月の十六日に沖繩において九州ブロックの精神衛生大会が持たれております。その大会の決議事項として、厚生大臣あてに五つの項目が要請されておると思いますが、その決議事項に対する内容をどのように処理されましたか、あるいはどういう段階にあるか、それをお知らせ願いたい。
  277. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) ブロックの大会を初めて沖繩でやりまして、その結果につきまして近く正式に文書をもちまして申し入れをいただくことになっております。
  278. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ文書をもって回答されるというわけなんですが、いま私こちらでお尋ねしますので、お答え願いたいのですが、まず、五つの項目のうち第一項は直接沖繩関係した要求であります。それは沖繩本土復帰に際して、精神医療と福祉整備の強化をはかってすみやかに本土との格差をなくしてほしいと、こういうことに対する具体的な施策を要求しておるわけなんです。二十七年の断層はもろもろの分野でひずみがあるわけなんですが、特に福祉面、特に医療面、この面に本土との大きなズレがあるということは御承知だと思います。そういった点から切実な要求が、一番取り残されておるのが福祉面である、そうして医療面である、特に精神衛生面である、こういった切実な要求から、九州ブロックとしましてもこれを全員の総意の上に第一項にあげてこれを要請しておりますので、そういう立場からひとつ具体的な計画を知らせてほしい。
  279. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 沖繩の精神衛生の実態につきましては、御指摘のように、患者数の四十一年の実態調査は、三十八年のわが国の実態調査に比較しまして患者数について約二倍、それから精神病床につきましては最近二千ベッドようやく確保できましたが、わが国の人口当たりのベッド数に比べましても少ないという実態でございます。その上、医療関係者が非常に少ないという実態がございまして、先生御指摘のように、医療の面と福祉、特にリハビリテーション——社会復帰の対策についておくれておることを承知いたしております。四十七年度は、沖繩の政府立の精神病院とそれから政府立の結核の療養所を合わせまして、国立の精神、結核の療養施設をつくることといたしております。この規模は約千ベッドでございまして、金武にございます政府立精神病院を吸収いたすことになっております。したがって、増床ができますし、国立になりますことによって関係者の養成それからリハビリテーション、こういう問題に対する国立としての強化をはかり、それを拠点にいたしまして沖繩の精神衛生対策の充実をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。
  280. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ時間ももう残り少なくなりましたので、次は、九州ブロック全体として沖繩も含めて要請された事項、これに対するひとつ御回答をお願いします。  一つは、回復期の精神障害者の雇用促進のため法的措置を講ずる必要があるということで強く要請されております。これが第二。  それから、九州地区に国立アルコール中毒専門医療施設の設置についてぜひ実現してほしい。  次に、老年期精神障害者のための総合的対策の強化が急務とされておる、これに対して早急に対策を講じてほしい。  最後に、精神障害者の医療費を原則として全額公費負担として、すみやかにその適用範囲を広げてほしい。  これが沖繩を含めた九州ブロックの要請事項であります。それに対するお答えを願いまして、私の質問を終わります。
  281. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) いずれも、要望事項はまことにごもっともな次第だと考えております。政府も、いまおっしゃいましたような各項目、これは九州ブロックだけでなしに、やはり全国的な要望でございますので、一日も早くこの実現をするようにつとめてまいりたいと考えます。ことに、九州ブロックの医療関係の方々が沖繩で会合をやられてその決議をされましたということは、私は非常に意義が深いと存じます。と申しますのは、何といっても、先ほどおっしゃいますように沖繩は医療関係の施設のみならず人的要件も不足でありますから、したがって九州ブロックの方々も、できるだけ人的にも助け合うという機縁をつくっていただく第一歩であって非常にけっこうなことだと存じまするので、特に、ただいまおっしゃいました要望書は近く整備されてこちらに送り届けられるそうでありますが、届けられると、られないとにかかわらず、いまおっしゃったような点につきましては十分配慮をいたしてまいりたいと、かように考えます。
  282. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で喜屋武君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、一般質疑は全部終了いたしました。  明二十二日から二十六日まで四日間、分科会の審査を行ないます。  次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会