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国務大臣(
水田三喜男君) 外貨問題でございますが、これは御承知のように、昨年の通貨調整の効果が国際収支にあらわれるということには相当ひまがかかりますので、したがって、しばらく日本の黒字基調というものは続くものだろうというふうに
考えられます。しかし、いまの傾向を見ますというと、たとえば外貨のふえ方を見ますと、十二月から一月にかけては七億二千万ドル、今度は二月には五億二千万ドル、三月は一億八千五百万ドルというふうに、外貨のふえ方は鈍化しておるということも事実でございますし、また、一方、輸出入の先行指標の一つとされております十四社の輸出入成約高を用いまして、三カ月の移動平均値の前年同月比を見ますというと、四十六年の、昨年の八月が輸出が二〇・八%の伸び、九月が二二・三%、十月が一九・一、十一月が二二・一、十二月が一四・九、ことしの一月が一一・六というふうに、輸出の伸び率はずっと逐月前年同月比は減っておるという状態で、これに対して輸入のほうは、昨年八月が一四・七%の減、マイナスのほうでございまして、九月がマイナスの一三・二、十月が一七・七、十一月が依然としてマイナスの〇・三ということでございましたが、十二月にきてプラスの一六・六、一月がプラス三三・一というふうに、前年同月比で見ますというと、ここで輸入の伸び率というものが急に出てきた。こういう傾向から見ますというと、今後の外貨の蓄積状態は、基調は依然として黒字基調が続いたとしても、そう多いふえ方はしないであろうということはまず
考えられます。
と同時に、じゃ今後この外貨に対して政府はただ手をこまねいて何にもしないでおるかということでございますが、そうではなくて、この四月以降は、たとえば外貨の預託とか、あるいは中長期債への運用というようなことで、外貨活用策がいま着々実行に移されているときでございますので、そういうことを
考えますというと、これは外貨の準備高が落ちることになりますので、そうしますというと、この活用策が今後もっと進んでいくということを
考えますというと、外貨は微増するか、あるいはむしろ減少していくという傾向をこれからたどるというようなことは
考えられますので、したがって、私はこの二百億ドルにことしの暮れに達するだろうという想像は、簡単には出てこないと思います。と同時に、また、これは国際情勢の変化、通貨情勢の変化にもよることでございますが、かりに、国際金融情勢の変化によって、低金利政策がとられるというようなときになりましたら、あるいは外貨は二十億、三十億ドルすぐ流出するというようなことも
考えられますし、今後の外貨蓄積がどういうふうになるかというようなことは、そう簡単に想像ができない。外貨の活用策が進むに従って、むしろ月々は減少していく傾向も出てくるんじゃないかというふうに思われます。
それと、いまこの活用策の一つとして、第二外為というようなお話がございましたが、これはたとえば海外の資源開発というようなことで、海外投資とか、あるいは備蓄というようなものに活用されるという道がございましたら、これはむろんいいことだと思いますが、ただ問題は、その場合に、かりに別の会計をつくるというときでも、この政府の持っている外貨は、御承知のように外為券を発行して、それによって買った外貨でございますので、相当のコストのかかっている外貨であるということでございますし、日銀の持っているものは、日銀がこの円の対価を払ってこれは買っておるものでございまして、そういう円と切り離せないドルを、もし別の会計をつくって移すというようなことを
考える場合には、この円資金をどうするかということが当然問題になりますが、もし税金でこの円資金を調達するということでございましたら、この運用先というものは、公的資産の運用のしかたとして、なかなか特定の人を利するというようなところへは使えません、
国民の合意されるところへこれを活用するのでなければいけないということがございますし、もし国債によってこの円資金を調達するというようなことでしたら、これは相当、いまの短期の外為券の発行によって調達しているドルのコストよりも、中長期債を発行してこの債務の裏打ちをするというようなことになりましたら、このほうがコストがかかるので、そうしますというと、コストの低い外貨を利用するということを目的としたその
考え方は、相当ここで一つの目的を失うということにもなりますので、こういう問題がまだ検討の問題として残されておりますし、また、そこまでの問題になりますというと、これは予算やあるいはそのほか財政投融資等の問題もあって、国会を経て堂々と運営さるべきものでなければなりませんので、法律事項を要するということがございますし、それから海外開発にいたしましても、これが支出された場合に、日本の品物が伴って出ていくという輸出の振興にこれがなって、輸出振興と同時に、その外貨がすぐに政府へ返ってきて、売られて、国内の流動性をいたずらに大きくしていくということになったんでは、この活用は
方法を誤るということになりますので、そういう問題はないかという問題、いろんな点を
考えますというと
——また単なる備蓄ということでございましたら、これはもう別に危険負担の問題がないので、問題は在庫金融の問題でございますから、円資金を豊富に供給すれば済むという問題になりますので、そういう会計にどういう形で直接外貨を使うことが、意義があって、これが矛盾しないかというような問題で、いま
関係省でこれは検討しておって、まだ結論が出ない問題となっておるところでございます。