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国務大臣(
水田三喜男君) まず、円対策八項目の実施
状況を控えてございますので、一応まとめて御
報告申し上げたいと思います。
まず、輸入自由化の推進が一つの項目でございましたが、これは本年二月一日から電算機の周辺機器の部分自由化を行なって、さらに四月一日からハム、べーコン、重油等六品目を自由化する、現在の残存輸入制限品目は三十三品目となるということで、外国に比してもう水準の同じ程度まで輸入自由化の推進はなされております。
それから特恵関税の早期実施の問題でございますが、これは昨年の八月一日からもう実施済みでございます。
それからさらに関税引き下げの推進も一つの項目でございましたが、四十七年度の関税改正におきまして、紅茶、タマネギ、大豆等、国民生活に関連の深い物資七十三品目を含めて合計二百三十八品目の関税引き下げを実施いたしました。なお、乗用車の物品税の引き下げ、そのほか乗用自動車の特例に関する法律を今国会に提出するというようなことで、一応いままで予定されておった一関税の引き下げも全部実行いたしました。
また、資本自由化の推進も一つの課題でございましたが、対内直接投資については、第四次資本自由化を昨年八月より実施しました。対外投資につきましては、昨年の七月一日より対外直接投資、不動産投資、証券投資というようなものを
原則としてもう自由化しました。
また、非関税障壁の廃止の問題も、本年二月一日以後、自動輸入割り当て品目をゼロ品目、全部割り当て品目をゼロにしてしまいました。
そうして、経済協力の推進につきましては、これは、御承知のとおり、政府開発援助の量的目標を今回GNPの〇・七%という非常に高いものをUNCTADの総会においてわが国は努力目標としてこれを受け入れるということをいたしましたので、この点も相当大きい推進でございます。
その次は、秩序ある輸出ということでございましたが、これは昨年八月十日から日銀による輸出の融通金融の是正を行ない、また、先般国会で御審議を願いましたが、輸出振興税制について改正を行なって輸出割り増し償却制度等の廃止を行なったというようなことでございますが、それにもう一つは、いま通産
大臣が言われました外貨の活用という問題、これはもうすでに流動性を保持する量は一定量でいいとして、その他はもう収益性を相当優先的に
考えて活用するという方向で、この点はすでにもう実施しております。
残っておるのは、たとえばさっき御質問がございましたような問題、海外資源の開発等について直接外貨を活用する方法があるかというようなことでございますが、これはたとえば第二外為会計というようなものをつくって外貨を移すという場合に、円資金と結びついておったこの外貨をそのままどういう形で移すかというような問題についてはまだまだ検討すべき問題がたくさんございますので、これは
関係省の間で検討してそのうちに結論を出すつもりでございますが、そういう問題が若干は残されておりましても、一応外貨の活用策は現在もう実施に移されておる、こういう
状態でございます。
それからその次の問題は、円の再切り上げをどう避けるかということでございますが、たまった外貨の活用ということよりも、何といっても景気回復によってこの異常な黒字基調というものを変えることが本質的な対策でございますので、
〔
委員長退席、理事玉置和郎君着席〕
いまの今回の予算、これが成立して動き出すことによって国際収支の姿を変えていくということに努力しなければならないと思います。外国におきましては、日本のドルが百八十億になるとか二百億になるということについては、あまりこれを問題にしておりません。通貨調整があっても当分この黒字基調は日本において続くだろうと。したがって、日本政府が四十七年度の経済見通しの中で言っているように、それくらいの貿易収支の黒字は日本にまだあるだろう、続くだろうというようなことを予想しておりますので、外貨がたまるということに額についての関心というものはそうない。そうじゃなくて、そういうふうに外貨が蓄積していく傾向について何らかの措置を日本はとってくれいということが
関係各国の非常な関心事となっておるところでございますので、私どももいろいろのくふうはしますが、しかし、日本
自体が不況から脱することがこの問題の一番の解決策である。それにいま全力を上げているんだと。そのほかに、さっき申しましたような八項目の対策も日本は実施しているし、必ずこの効果はそのうちにあらわれてくるだろうといういま
説明をしているところでございますので、私は、いまの財政方針、金融方針がほんとうに今年動き出せば、事情が変わってきて円の再切り上げというものは避けられるというふうに思っています。
ただ、そこで、きのうも申しましたように、日本自身から円の再切り上げがあるんだなんというようなことを言って、二百七十円というようなことで下請をどんどんたたくというようなことをやってまだ安売りを外国へするというような
態度をとっておったら、今度はもう一ぺん通貨の調整というようなことを外国に要望させるような
事態にならぬともこれは限らないと思いますので、こういう点についての行儀を直すことがやはり一番必要であって、そういう点を十分気をつけるんでしたら、私は円の再切り上げということを迫られることというものはおそらくない。きのう、おととい、アメリカのボルカー次官が来ましても、何か記者会見で申しましたそうですが、去年の暮れにきまったスミソニアン体制はみんなお互いに守るんだ、だから各国のレートについてどう変更しようとか変更を求めるというようなことは各国ともお互いにしないということを言ったそうでございますが、各国ともいまそういうことで協調しておるときでございますから、私はこちらがやるだけのことをやって実効をあげさえすれば、円の再切り上げというものはもうないというふうに思って差しつかえないと思います。