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国務大臣(
福田赳夫君) いま、
中国との間に
わが国は国交を持ちませんから、直接の対話ができないんです。
わが国の対中
政策というものは、もうすでに、間接的になるのでありまするが、これを宣明しておる。つまり、
わが国は中華人民共和国を
中国を代表する政府というふうに考える、その代表する政府、中華人民共和国との間に国交の正常化を目ざして話し合いをいたしたい、つまり政府間接触をいたしたい、こういうふうに申しておるわけであります。中華人民共和国を、これを
中国を代表する政府と認め、そしてその中華人民共和国との間に国交の正常化
——「国交」というところが大事なんです。国交ということは国家の承認を含み、また
外交関係の樹立を含むわけでございますが、その国交の正常化を目ざしまして、政府間の接触を始める用意があると、こういうことを言っておるわけです。この
姿勢を
アメリカに比べますと、私は、いま
内藤さんから、あるいは貿易の問題だとか、あるいは人事の問題だとか
日本のほうが進んでおる、こういうお話がありましたが、
基本的な
姿勢としても、
アメリカと非常に違う。
アメリカは国交の正常化ということを決して言わないのです。
両国の
関係の正常化ということを言う。国交ということに触れません。その辺が
アメリカと
日本の対中アプローチ、これがたいへん違うところなんです。
アメリカは、いわば積み上げ方式で、だんだんと、なしくずしに
中国関係を打開していこう、こういうふうに言う。
わが国はそうではない。もう国交の正常化のところまで割り切って、ふんぎりをつけておるわけなんであります。
そういうことでございまするが、
中国側からこれに対する反応というものがまだ的確に出てきておらないというのが現状でありまして、
中国側は、いろいろな人がいろいろな接触をしますが、中華人民共和国を唯一正統の政府であるということを認めよ、
台湾は中華人民共和国の不可分の領土であると認めよ、日華
平和条約はこれを廃棄せよと、こういうようなことを言っておるわけですが、私は、日中
関係につきましては、もう
日本がそういう国交の正常化ということを宣言しておる、国交というところまで言うという点、「国交」に相当意味を置いた
考え方、とらえ方、これが
中国側においてなされることを期待しておるのです。また、そういう私
どもの真意というものが
中国政府に伝わるようにということの努力、これをいたしておるわけでございまするが、まあ、ある程度これが
理解されるという段階におきまして政府間接触ということになってくるだろうと思う。まあそういう段階になりますれば、何も手紙を書くとかなんとか、そんななまぬるいことをやる必要はないと思う。
両国の首脳が直接ぶつかって、そして
日中間に横たわるそれらの諸問題を討議する、おのずから結論が出てくるのだ、私はこういうふうに確信しておりまして、いまその
理解を
中国側に求めるという努力をいたしておるということでございます。