○中尾辰義君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました
昭和四十五
年度一般会計歳入歳出決算外三件に対しまして、
佐藤総理及び
関係大臣に
質疑をいたします。
私は、
決算の立場から、むしろ具体的な懸案について、以下六点についてお伺いをいたしますが、最初は、たびたび問題になっておりまする天下り公益法人について、二番目は
米軍基地の、特にゴルフ場の返還について、三番目が税制調査会のあり方、四番目が、最近とやかく問題になっております私学振興財団のあり方について、五番目が、二千億の
予算をもって組まれておりますところのNロケット計画、その計画の疑惑についてお伺いします。最後に、財投、財政投融資計画の
国会報告につきましてお伺いをします。
まず最初に、公益法人のあり方についてでありますが、この件につきましては、本院の
決算委員会、
予算委員会におきまして、わが党の委員が公益法人の不当な現状を追及して、選挙に利用された公益法人、あるいは天下り役人のため池となった公益法人等、いろんな観点から問題を提起し、
佐藤総理も、閣議で敏速な指示をされたのであります。
このことは、
総理の「政党政治に発する英知が
行政に十分に生かされるよう」という、このような日ごろの御
指導が実践されたものとして、私は一応は評価をするのにやぶさかでないのであります。しかし、この
総理の指示から半年を経まして、今月、
政府が決定した公益法人の許可基準については、現存する公益法人の
問題点の打開策になるのか、はなはだ疑問に思われるのであります。
総理は、この基準についてどういう取り組み方で、これが最良の
改善策であるとお考えになっておられるのか。
総理の基準設定の趣旨が、今後の運用の基本
姿勢を決定する面もあるので、明確に意のあるところを表明されたいと思うのであります。なお、この基準改定の経過、基準の項目別の
概要、運用の仕組みなどについての御
見解もあわせてお伺いをしたいのであります。
次に、
米軍に提供している基地は、国有の土地であるとの観点から、
決算の問題として申し上げるわけであります。
現在、国内で
米軍に提供している基地のうち八カ所の
米軍ゴルフ場約百二十八万坪があることは御承知のとおりであります。この種ゴルフ場を、安保条約並びに地位協定の上から、わが国が
米軍への提供義務を負うべきかどうか、これについてもなお疑惑があるところである。また、これらゴルフ場の
使用実態が当初のものとは大いに様相を変えていったことは、従来しばしば本院
決算委員会の
質疑によって明らかになっているところであります。
そこで、東京都西多摩郡所在の
米軍ゴルフ場を含む旧多摩弾薬庫あと地の返還はどうなっているか。現在、この地域には東京都の森林公園の利用計画が打ち出され、その中には、日本住宅公団の住宅計画、厚生省の身障者コロニーの計画も含まれることになっていると聞いておるわけでありますが、
総理並びに
防衛庁長官の明確なる御
答弁を求めるものであります。
第三番目には、税制調査会の委員等の構成にサラリーマンの代表を参加させよということについてであります。このことにつきましては、四十五年の二月、衆議院において、当時の福田
大蔵大臣が、サラリーマン代表を税制調査会へ参加させることを、わが党の委員の
発言に対して約束をされたのでありますが、四十六年十月に委員の改正が行なわれたときには、大蔵省はそのことを
実行してないと聞いておりますが、いかがなっておりますか。サラリーマン減税については、まずこのような
措置から手をつけるべきではないかと思うわけであります。福田元蔵相及び水田現蔵相の御
答弁を求めるわけであります。
第四番目に、
昭和四十五
年度の
決算検査報告の記述
事項に関する日本私学振興財団の問題であります。この財団の行なう私立大学等に対する
補助金や融資等の
経理について適正でないものがあることについては、本院
決算委員会で私自身も問題の提起を行なったところでありますが、四十五年の
検査報告でも、八つの学校法人等をあげてその不当な事例を掲記している
事態となっていることは、はなはだ遺憾に思うものであります。教育のあり方については、ここで言うまでもないことでありますが、文部省はこの
原因についてどうお考えになっているのか、またどう改めるかについて、所信を披瀝されたいと思うのであります。
ここで一つ申し上げたいことは、その私学振興団財法が四十五年に立法化されるにあたって、当時、この財団の
経理の適正化のため公認
会計士を入れようという構想があったと聞いておるのであります。私学教育という特殊な分野における一つのあり方として、公認
会計士の導入という考え方をとることはできないのかどうか、文部
大臣にかわって
佐藤総理の所見を聞いておきたいと思うのであります。
第五に、宇宙開発技術の実用化と現況についてであります。現在宇宙開発
事業団で進めておりますいわゆる
昭和四十五年十月に計画を立て、五十二年、実験用静止通信衛星打ち上げを目ざす総額二千億円に及ぶNロケット計画が、今後どう進められ、現況はどうなっているかについてお伺いをしたい。
去る三月十日、本院
決算委員会において、私も日米間の技術協定等についてお伺いをいたしましたが、検討すべき点は多々あるようであります。すなわち、問題となっております技術導入か自主開発国産にするかについても確たるお答えはなく、あいまいであります。現在、宇宙開発委員会においては、現計画変更の方向を検討、修正するやに伺っておりますが、その
内容はいかなるものであるか、お伺いをしたい。また、実用化という観点から、気象衛星あるいは通信衛星等、具体的には電電公社の回線需要大幅
増加等、今後ますます広がりを見せてくることが予想されるのでありますが、今回、見直し修正をし、計画変更が行なわれた場合、結果として、
昭和四十九年に打ち上げが予定されている気象衛星、すなわち、日米仏三カ国によるガルプ計画については可能性があるのかどうか、明確なる御
答弁をいただきたいのであります。
さらに、現在、アメリカに、確実にわが国の計画実施の軸ともいえるシステムがありながら、何ゆえに導入をしようとしないのか。すでに四十七
年度予算も発足した今日、いつまでも検討検討では許されないのではないかと思うのであります。ばく大な
国民の血税を投資して行なうこの計画が、安直とは言わないまでも、確実な
見通しなしに
実行されるということは、五十二年打ち上げ計画について、はなはだ信頼を持ちかねるものであります。
総理の御
見解を伺いたいのであります。
最後に、財政投融資の問題について
政府の所信をお伺いをしておきたいと思います。その一つは、
政府は財投白書を発表せよということであります。その二つは、財投の
実績に関する
報告を少なくとも衆参両院に提出すべしということであります。
およそ財投が果たす
国民経済上の機能がきわめて大きいものであることは論をまちませんし、現今その比重が大いに増大しておるのであります。そこで、衆参両院において財投計画を
国会の議決対象の案件とせよとの要請の声があることについては、
政府もつとに御承知のはずであります。これに対して
政府は、今日でも、
予算や
決算の資料としての説明書の中の何十分の一かの微々たる枚数で、
内容について形式的に触れるのみであって、その他はガリ版刷り三枚程度の財投計画と
実績の表を任意提出して済ましているのが
実情であります。およそ、
政府が発表する白書の類は、法的義務が
政府に課せられて作成、発表されるというものではなく、
政府が当然の責務として、各種の白書を
国民の中に公表して今日に至っているのであります。しかるに、財投に関する
政府の
姿勢にはそのような
内容公開の姿がなく、
国民の疑惑も生じかねないありさまであることは、
政府としても配慮すべき肝要事ではないかと思うのであります。財投白書は、
内容構成についてはいろいろ問題はありましょうが、ひとまず、余命いくばくもない
佐藤総理のもとで、引退の置きみやげとしてこれに手をつけられるよう、強く要望するものでありますが、
総理並びに
大蔵大臣のお考えはどうか。
その二番目は、財投を計画の段階で
国会の議決案件とすることについては、
政府が財投を機動的に運用することに支障があるという反論があり、にわかに結論を出しにくい点もありましょうが、
実績の出た段階で
国会への
報告案件ということにしたらどうか、かような観点に立って
お尋ねをしておるわけであります。
政府側として、財投
実績の
国会への
報告という取り扱い手続をとることに対する基本的な考え方について、
総理並びに
大蔵大臣の率直な御
見解を承り、私の
質疑を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣佐藤榮作君
登壇、
拍手〕