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政府委員(
辻辰三郎君) 今回の
法案におきますこの
罰金の
法定額の
引き上げでございますが、御承知のとおり、この
法案は、
刑法、それから
暴力行為等処罰ニ関スル法律、
経済関係罰則ノ
整備ニ関スル法律、この
三つの罪につきましては
法定刑の
上限を四倍にいたしておるわけでございます。で、これ以外の
法律でこの
罰金、
科料を定めておりますものにつきましては、その
法定刑が八千円
未満のものは八千円に、八千円まで上げていくという
内容でございます。八千円
未満のものは八千円にするという
内容でございます。
そこで、
刑法等の場合と
特別法の場合とは、多少この
効果があるいは違った面があろうかと思うのでございます。まず、
刑法等の罪につきましては、
法定刑の
上限を四倍にするということによりまして、
先ほど来
大臣の御
答弁がございましたが、
一般的な
経済の変遷ということとの
関連におきまして、
罰金刑がきわめて低く、相対的に低くなりまして、
刑罰としての
効果を失ってきておるという大前提がございますが、そのほかに、この
刑法犯等につきましては、
一般の
科刑の
実情が
法定刑の
上限に漸次移ってまいっておるわけでございます。そうなりますと、そこに
一つの適正な
科刑という点から遺憾な点が出てくると、個々にそれぞれの具体的な
案件に応じた適正な
罰金刑の
言い渡しをしていただくという点において大きな
意味があろうと思うのでございます。そういうことによりまして、
一般予防はもちろん、
特別予防についても現在よりもはるかに理想的な姿になってくるということが十分期待されると思うのでございます。
特別法犯の場合につきましては、これはいろいろ問題があろうと思うのでございます。しかしながら、この
法案におきまして、今回は
罰金は四千円以上という
一つの区分をいたしております
関係で、このもろもろの
特別法につきまして、少なくとも八千円
未満の
罰金のものは、これは八千円以下ということにいたしませんと、
一般の
刑罰体系というものの均衡が保たれないということでございます。そこで、この
特別法につきましては、現在
刑法を含めまして、
罰金、
科料の
罰則がついております
法律は六百六十三あるわけでございます。で、このうち
三つの
法律につきましては、
先ほど来申した
法定刑が四倍になるわけでございますが、残りの六百六十につきましては、
法定刑が八千円
未満のものは、これは八千円以下にしていただくということでございます。で、この
関係は
特別法、たくさんございますけれども、この
措置の
影響を受けます法令の数はさほど多くはございません。これは非常に
制定が古い
特別法がこの
影響を受けるわけでございまして、そうでない新しい
特別法につきましては、それぞれの
制定の時点におきまして適正な
罰金額が定められておりますので、それはそれとして、なお十分な
効果を持っていると。で、まことに古い
法律で、非常に低い
罰金刑しか定められていない
特別法につきましては、この際この
刑法等との
関連におきまして、
法定刑を八千円まで上げていただくということによりまして、十分なとは言えなくても、
刑法との
関係におきまして適正な
刑罰の
機能を果たさしていただきたいと、かように
考えておるわけでございます。