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政府委員(羽山忠弘君) 実はこの沖繩に婦人
補導院を置くか置かないかという問題を検討いたしましたときに、非常に困りましたのは、沖繩に婦人
補導院を、売春防止法に規定しておりまする
補導処分というものが沖繩で運用された実績がないということがまず第一点であったわけでございます。すなわち、売春防止法の
補導処分に関する
部分は沖繩に施行されてなかったということがまずあるわけでございます。したがいまして、沖繩でどのくらい
——もし沖繩が返りましたときに、売春防止法の規定によりまして、まず第五条違反というものがどのくらい出てくるであろうかということがまず問題になるのでありますが、五条違反と申しますのは、わかりやすく申しますと、客の袖を街頭で引っぱったというような客引きというようなのが違反になるわけでございますが、その引っぱった者がすべて
補導処分になるわけではございませんで、引っぱりました者のうちで
年齢が二十、それから執行猶予になります者でさらに裁判所が
補導処分相当ということで認めた者がなるわけでございます。最近の内地の統計を申し上げますと、
昭和四十五年に百三十六人売春防止法で処罰を受けておるのでございますが、このうちで新たに婦人
補導院に入りましたのはきわめてわずかでございまして、当時の一日平均収容人員が約三十人ということになっておるのでございます。これが最近はこの婦人
補導院長さん
たちの共通の嘆きでございますが、この売春婦の
人たちがそのやり方がうまくなったのかどうかわかりませんが、なかなかつかまらなくなってまいりまして、非常に検挙の数が減ってきたということでございます。したがいまして、
補導処分が減りまして、今日現在におきまして福岡の
補導院に入っておりますのは三人でございます。こういうようなことで、内地の状況にかんがみまして、一体沖繩が返りましたときに、はたして沖繩の
人たちもかつての日本の本土の売春婦のように多数つかまるであろうかどうかということが
見通しが立ちませんで、今日、福岡にいたしましても東京にいたしましても、東京は本日十数名入っておるようでございますが、いずれにいたしましても、職員のほうが圧倒的多数でございまして、収容者の数が非常に少ない。職員が髀肉の嘆にたえないというような
実情にございまして、役所の士気も非常に阻喪するというような現況になってまいっておるのでございます。したがいまして、沖繩に婦人
補導院をつくりますにつきましては、この点が非常に問題になりますので、その
見通しがつかなかったために一応このたびは見合わせたのでございますが、もしこれが
相当数入るということになりますれば、ただいま御指摘のように護送の弊害というようなことがもし起きるというような問題が起きますならば、さしあたり代用少年鑑別所というような
制度を沖繩に置きまして、少年鑑別所の支所のようなものをつくっておりますが、そういうような措置もできないわけではない、そういうような点はまた今後検討させていただきたいと思うわけでございます。