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野々山一三君 先般の
質問を通して私の求めておる
資料要求というものがもっと明らかにされなければいけないという
趣旨で、この間相当長時間にわたって
質問をさせていただいたわけですけれ
ども、その結果約二十日間、それで速
記録が届きましたのはおとといでございますね。その速
記録と私が
質問を通して求めた
資料がどういうぐあいになっているかということを、先にちょっとこれは
委員長並びに理事さんに知ってもらわないと、この問題の処理ができないのでちょっと申し上げますので、そのことを前段に申し上げ、ひとつ見解を求めたい。要求をいたしましたものはたくさんございますけれ
ども、この中で議事録がないからこれでいいんでしょうねといって事務当局から、つまり専門員室及び参事官室から伺いが立てられた、私のところへ。私は、速
記録を土台にしてそれは調べてもらわなければ困る。
一つ何々で
質問を
資料要求をしたわけではないのだから、それで全部出ていくべきものであるにもかかわらず出てこないから
質問を通して明らかにして、それに答えてもらいたいということであるから、これだけじゃ困ると言ったんですが、だけれ
ども、出てきたのはこれでいいですかときたから、私はこれは
一つの参考にはするけれ
ども、これじゃ困るということを明らかにしたんですが、そういう経過がある。それで実際にそれじゃその事務当局からこれでいいですかと言ってきたものの中で出たものはどうか。これには五件、細密に言うと八件なんですけれ
ども、出てきたのは五件なんです、二十日間で。それから
質問を通してこれは出していただけますねと、出しますと言ったものの合計を言いますと十八件あるわけです、十八件。裏を返して言うと十三件はいまだに出ていない。これはたいへん申しわけないんですけれ
ども、全部速
記録がないから速
記録のもとを
記録部から持ってきたから、それによって全部手はつけてありますから間違いない。これは二十日間かかっても出てこない。一体これはどういうことなんだろうか。会期は三百六十五日のうち何日あるんですか、
あと何日
国会の会期があるんでしょう、いまのところ五月二十六日までですね。そうすると
あともう十何日ですけれ
ども、これは二十日間も待ってなおかつ十八件のことが約束されているのにかかわらず五件しか出てこない、十三件は出てこない。その中で明々白々約束されているものも出ていないというのが実情なんです。これは
委員長、
質問の前に
委員長がおまとめになった、これは
委員会として
資料の提出を求めるということであったので、私は
質問を留保して次の機会にということにしたわけです。結局私は、
委員長はじめ
委員会は、関係当局に無視された。もっと突っ込んだ言い方をすると、
国会の
審議権をまるきり問題にしてないということではないかと思うんです。これは
委員長並びに
国務大臣としての法務
大臣がいらっしゃるので、こういう事情についてひとつまず見解を承りたい、これが第一。
それから第二に、
資料というものが非常に不完全である。まったく、出せばいいじゃないかという態度である。これはひとつ私は、
官房長官あとで見えるから、——誠心誠意善最を尽くして出しますと、それこそが
審議権を守ることであり、私は、
国会議員として、また
官房長官として当然の権利である、そこに誇りを持っているから
国会議員としてやっているんだとおっしゃったわけですけれ
ども、実際はどんなものが出ているかということをちょっと申し上げなければならない。皆さんのところに行っているかどうか知りません。私は全員にこれを配れと言ったんです、
委員部を通して。
これは件名別に拾ってみますと、全部拾ってみました。これだけございますけれ
ども、これだけではありません。これは一件に対する、つまり、秘密が解除されたものの中の代表的なものとして出されたものである。いいですか、これを見てみましょう。法務省は「司法書士認可に関する選考試験問題」、それが解除されている。それが一体「次官
会議申合せ」に
賛成するかしないかは別として、「国益に」云々ないしは「損害を与えてはいけない」、「重大な」云々というものにどうして合致するのか。外務務で言うならば、たとえばこれはやや中身的なもので「ネパールに対する農業物資の援助に関する日本国
政府とネパール
政府との間の書簡の交換に関する閣議
決定(案)」、こういうようなもの。外務省は試験ではございません。演説の原稿です。あるいは条約に基づくものというようなものですから、まあまあ。今度は大蔵省へまいりますと何にもありません。それから文部省へまいりますと、「
昭和四十六年度大学入学資格検定試験問題の
決定について(伺)」というそういうものしか出ていない。試験の問題についての伺いというのです。これが国益とどういう関係があるでしょうか。こういうものを出せばいいではないか。
これは私は根本的にこの際
意見を述べておきたいけれ
ども、根本的にこれを次官
会議でいうところの機密及び秘密というものだという文言及び概念でもってとらえるべきものであるかどうかということさえも全く疑わしい
性質のものであるし、この
資料そのものを出す態度というものは全く問題にならない。これでは私が二時間半もこの間言った
趣旨というもの、あるいは
官房長官や法務
大臣が回を重ねて、これでは不適当だと思う、誠心誠意やりますと言ったものに値するものでしょうか。厚生省は「薬剤師国家試験問題」、そういうものです。それから農林省「八郎潟
中央干拓予定地入植者選定第二次
審査筆記試験問題」、そういうものです。第二は「外国産食糧(麦)の買入価格予定について」、これは価格の問題ですから多少は、秘密がいいかどうか、国益云々に関することかどうかは別として、あれですけれ
ども、通産省、「対華円借款の使用期限の延長等に関する交換公文案について」。運輸省、「ノルウェー・ウィロック通商海運
大臣の意向についての(
意見具申)」ということですから、原稿の原稿の原稿というたぐいのものでしょう。しかし、これも試験問題でないことだけは間違いないでしょうな。多少価値がある——価値があるというか、秘密と主張される価値があるのかもしれません——かもしれませんという程度です。郵政省、「無線従事者国家試験の試験問題の
決定について」、つまり試験。労働省、やっぱりこれは同じもんですね、「労働金庫の検査及び
調査の
決定について」。建設省、「
昭和四十六年一級建築士試験の合格者の
決定について」、これが「秘」ですな。
——というふうに並べてまいりますと、みな——ここのごときは、これはごらんいただけばわかる。法務
大臣、ちょっと見てくれ。この紙が、あなた見えますか。——見せましょうか。これは、赤い字が書いてあるのは全部これ試験なんですよ。全部試験なんですよ、全部試験なんです。全部試験です。試験問題。これが、一体国益・国損に、どういう関係があるのでしょうか。「次官
会議の申合せ」であるあの二項の——よしあしにかかわらず、一体試験問題というものを、これは試験問題ですから前に漏れてもよろしいということにはならない。それを秘密、国益・国損という文言でもって規定づけるような
性質のものであるかどうかについては、議論はありますよ。ありますから、
官房長官は、再
検討しましょう、それには法制
局長官のもとで試案をつくって、皆さんの
意見を聞きます、その案を出しますと、こう言った。それで、社会通念上適法なもの、こうおっしゃった。それと一体——
委員長にもごらんいただいていい。これは試験問題ばかりです。これが一体、
資料と言えるでしょうか。まずそういう、私が根本に言うこの秘密問題という問題以前の問題として、
国会が要求した秘密問題の中で解除されたというものの中の事例を現物をもって、件数をもって明らかにしなさいと言った。それで出てきた、ものは。確かに、出さないとは私は言いません。出したけれ
ども、この中身が、この「次官
会議の申合せ」に言うような
性質のものと、どういう関係があるんでしょうか。それを適法だとお
考えになるんでしょうか。
もう一回読み上げましょうよ。「秘密文書の基準及び種類」、「秘密文書は、
昭和四十年四月十五日事務次官
会議申合せに基づき、次に定める基準により、極秘及び秘の2種類に区分され、それぞれ当該文書に極秘及び秘の標記が付される。」、「極秘」とは「秘密保全の必要が高く、その漏洩が国の安全、」——「国の安全、」「国の安全、」ですよ。——「利益に損害を与えるおそれのあるもの。」——国の……損害を与えるおそれがある。試験問題が出たら、国の損害が起こりますでしょうか。秩序が乱れる、管理が乱れるという日本語なら、私はまあまああると思いますね。これが一体どうして国の損害に影響を与えるのでしょうか、2番目に「秘」。これは、「極秘に次ぐ程度の秘密であって、関係者以外に知らせてはならないもの。」、これ、この第二の、その国益・国損にかかるもので、「国の安全」にかかわるものに次ぐものだという
性質のものでしょうか、この試験問題は。だれの常識から
考えたって、私はこういう
資料をもっともらしい顔をしてここに持ってきて、これが
資料でござんすとおっしゃるのがよくわからぬのです。まず根本的に第二はそこの点について、ここまで詳しく言ったのだから見解をまず述べてもらいたいと思います。
そうして第三番に言うことは、速
記録で、厳密に私は速
記録を十回くらい読みましたよ。全部しるしがつけてありますよ。これは人の名誉に関することに及んではいけないから、全部私なりに調べてみました。そうしたらこうなりますわ。書いてあることに対して全く、手はついておるが不十分というものが歴然たるものは、
政府関係
機関というものには
一つも、私はあれほどやかましく言っているのに
一つも
資料が出ていない。
政府関係
機関の中でも、たとえば防衛施設庁というようなものはあれは
政府関係
機関ですか、何ですか、あれ部内でしょう。
行政機関でしょう。ただの一言も出てない。何にも書いてない、この
資料の中に。この一覧表の中にだって何にも書いてない。皆さんのところにだって行っているはずです。防衛施設庁というものは何にも書いない。機密も、秘密もくそもない。何にも書いてない。外務省もそうだ。なぜ出さないのか。なぜ触れないのか。もっと悪口を言えば、出す気がない。野々山のやろうがうるさいことを言うからしょうがない、まあ適当なものを出しておけ、そういう態度でしょう。私は
大臣にはそういう失礼なことは言いませんけれ
ども、三番目に言うことは、ここに呼んでおる
政府委員諸君に、生まれた日から今日までの経歴、学歴、職歴、そして日本語というものがどういうもので、人のこういう公開の席上におけるやりとりというものがどういうもので、どういうふうに意識するか、全部一人一人答弁してもらいたい。そうしなければ、これほどばかげたことが起こるんですよ。これほど私はおこらなければならぬ理屈はないと思うけれ
ども、あまりにもひどいから言うんです。あまりにも
資料というものを求めた者に対して
政府を代表する
官房長官が、あれほど誠心誠意最善を尽してやります、それがわれわれの行政権に対する
国会、つまり
国会の
調査権というものに対応する、また自分も
国会議員としての
地位を、誇りを持ってやっている
立場なんだから、そこまでことばを使って言われた意味というものを解したならば、事務当局の諸君は、一体何という態度でこの
国会の
委員会の
質問、
資料要求、そういうものに臨んでいるのかということなんです。まずこの三つだけを冒頭に答えていただきたい。
これは根本的に、
委員長にも繰り返して申し上げますけれ
ども、
委員会として、
国会として、与党とか野党じゃないと思いますよ。
国会としてかくかくしかじか
資料を求めますといった、
国会の
調査権に基づいて
資料は要求されたのだ。にもかかわらず、申し上げたような現状になっている事実というものを土台にしてほかの
審議ができますか。私はこの前も
指摘したのだ。
国会議員なんというものは課長が、この証拠によると、秘密というふうに押せば秘密ですからしゃべれませんと言われればそれで一切口がいれられない。偉そうなことを言って、バッジつけてこうやっているだけだ。そんなら憲法五十一条やめちゃったらいい。憲法五十一条に挑戦しているのが
政府委員であり、事務当局である。そういうことになるのじゃありませんか。この根本について、まず
委員長も見解を明らかにしていただきたい。
委員長だけで困るならば、ひとつ理事の諸君も
委員長を中心にして見解を明らかにしてもらって、同時にまた私の
質問に
大臣以下関係者が答えていただきたい。それがなければ次の
質問に入れません。そのことを申し上げておきます。