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国務大臣(
高見三郎君) 私は、第一点につきましては、時代の変遷というものをしみじみ感じます。と申しますのは、名神高速道路ができますときに、
文化財保護委員会が――当時
文化財保護委員会であったのでありまするが――古墳群があるということで猛烈な反対をいたしまして、ずいぶん
文化財はわからぬやつがそろっているというような評価をされておった時代から、今日
文化財を保護しなければならぬということのほうが優先的に
考えられるようになったというところに私は時代の移り変わりというものをしみじみ感じまするし、御指摘のように、これは
政府全体として開発と保護とをどう調和させるかという問題に本格的に取り組まなければならないと、かように
考えておるのであります。埋蔵されております
文化財につきましては、すでに分布図をつくってみましたけれども、その分布図をつくったあとにおきましてさらに十何万カ所というものを追加しなければならないという状態になっておるのであります。おそらくもう一ぺん
改定をいたしましても、さらに
調査をいたしまするともっとふえてくる状態も起こり得ると思うのであります。ただ、問題は、開発と
文化財の保護との調和をどの辺で話し合いをつけるかということは
政府全体の問題であろうと
考えまするし、私は
日本民族の残しました
文化財の保護につきましては全力をあげてこの保護に当たりたいと、かように
考えております。
第二点の高松塚の古墳の問題でありまするが、先ごろ私は北朝鮮との間の非公式の折衝はいたしておるということを矢追さんにお答えを申し上げました。私は、これは北朝鮮だけの問題じゃありません、イタリアからも保存学者を実は招請するつもりでおります。また、できることならば、国境、政治形態を越えまして、中国も参加してくれるならば、これにこしたことはないと思っております。非公式な話でありますけれども、けさの閣議後の記者会見におきまして、前尾法務大臣は、
学術調査のために北鮮から来るということならば、これに対して
自分は反体をする意思はないということを発言されておるようであります。これは、しかし、北朝鮮だけの問題じゃございません。韓国も同時に
考えなければならぬ問題であるということが言えるわけであります。世界のあらゆを考古学者あるいは保存学者等を網羅いたしまして、実は、
政府がやるのじゃなくて、民間の
学術調査団というものをつくらせまして、その民間の
学術調査団が招請をするということでないと、国交が回復していない国で
政府が招請するというわけにはまいりませんので、その辺はひとつ御理解をいただいておきたいと思いますが、一応いまの段階ではそういうことで進んでおるというように御理解をいただきたいと思います。世界じゅうのおもな学者に来てもらって、それで
学術調査団というようなものを組織いたしまして、
補助金は
政府が出しますけれども、民間の団体で招請する、それを
政府は入国等の関係につきましてはバックアップしてあげるという形で実現を見たいものだと、かように
考えておるわけであります。さよう御
承知をいただきたいと思います。