○前川旦君 私も調べて、たふんそうだろうと思う。そこで、
一つ一つこれが一体この会社に適用できるのかどうか私は
考えてみたんです。あなたも
考えてほしい。会計法二十九条の三の四項ですね、「契約の性質又は
目的が競争を許さない場合、」、これに該当するとは言えませんね、四つの会社にそれぞれ随意契約しているんです。「契約の性質又は
目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合」、該当するとは思えませんね。「競争に付することが不利と認められる場合」、これははっきり不利なんだという根拠がないでしょう、四つの会社にそれぞれ随意契約している。それから、いまの五、「予定価格が少額である場合」、これもちょっと該当しないと思いますね。ですから、会計法二十九条の三、これにはる随意契約では、この屋久島森林開発株式会社はどうも当たらないと私は思いますが、後ほど御見解を伺いたいと思うんです。
それから、先ほど土埋木は立木ではないと言われましたけれども、これは立木扱いなんでしょうか。やはり土埋木や根株は立木と見ないということが正しいんでしょうか。
あとになって御訂正なさるんじゃありませんか。土埋木はやはり立木扱いとして見るというふうになると、国有林野
事業特別会計法施行令の第二十七条の四というのがかかってきますね。ところが、これも問題があるのは、「国有林野の所在する地方において製材又は木工を主たる
業務とする
地元工場」というのがかぶさっていますね。この屋久島森林開発株式会社はチップの工場
一つ持っているだけであって、木工あるいは製材をするため設立された会社じゃありません。案内書の写しがここにあります。この中に歴然としております。それからもう
一つ、予決令の——予算決算及び会計令ですね、通称予決令の九十九条、これの第二十の中に、「産業又は開拓
事業の保護奨励のため、必要な
物件を売り払い若しくは貸し付け一又は生産者から直接にその生産に係る物品を買い入れるとき。」、「売り払い」が入っておりますから、これが該当するというのが——いま
長官のうしろから、メモで、どなたですか、若い人が一生懸命持ってきた、これを言ってたんだと思う。しかし、これだって問題があるんですよ。この予決令のこの項を一体どう解釈すべきなんだろうか。ここに私は「財政金融法規解説全集」、これは大蔵省の人
たちが書いたものから抜き書きしてきましたけれども、その中には「産業または開拓
事業の保護奨励のため、必要な
物件を売り払いもしくは貸し付け、または生産者から直接にその生産に係る物品を買い入れるとき。産業または開拓
事業の保護奨励に資するため、国の所有に属する
物件を関係者に対して売り払いもしくは貸し付け、または国の必要とする物品を生産者から直接買い入れるときは随意契約によることができることとしたものである。特に産業の保護奨励の範囲がすこぶる広く、」これは解説書ですが、「その運用についても次号の規定とともに最も問題のある規定である。明治会計法および大正会計規則当時においては、主として農林畜産関係の保護奨励を要した時代であり、国策もその方面に最も力が入れられたが、産業構造の変化および貿易事情の変貌等に伴い、現在わが国は産業の国際競争力の強化に各種の施策が強く要請される時代であるから、本号の解釈いかんは、一般競争の原則を危うくするおそれなしとしない。しばしばふれてきたように、
手続法たる会計法において、かかる政治的意図をもった規定があることは特例的なものであって、その運用は最少限度にとどめるべきものである。」、これが大蔵省監修で大蔵省の方
たちが書いて各官庁で買い入れている財政金融法規解説全集、現物いまここに持っていませんが、財政金融法規研究
委員会編、こういう解釈、これは正しいと思いますね、できるだけ狭く解釈しておる。そこで大蔵省に問い合わせをしました。この産業の奨励、この項で産業または開拓
事業の保護奨励にどういうものが該当するのかといって照会をいたしましたところ、国有財産特別措置法施行令の第十四条にずっと一から四十九までその
事業が例示されてあります。これは重要産業に属する
事業の指定ということで、例示されております。そして大蔵省は、通達でこの予決令のこの項の「産業又は開拓
事業の保護奨励のため」に該当する産業とは、国有財産特別措置法施行令、この十四条に例示された四十九の
事業がこれに当たるんである、こういう解釈をいただきました。ところが、その四十九ほど並んでいる中に、一番近いものはパルプ製造業というのが入っておりますけれども、パルプ製造業であってチップ製造業とは書いてない。この会社はパルプ製造会社ではありません。パルプ会社は資本を持っていますけれども、チップの製造会社、この会社一体随意契約を受ける資格がないんじゃなかろうか。ただ、重役に二人
営林署長の古手がおります。それからこの会社をつくるのに非常に
林野庁が要請をして協力をしたといういきさつもある、それはちゃんとここに書いてあります、この会社の案内書の中にも。しかし、それにしても私が自分で一生懸命
考えてみて、これ随意契約に資格のある会社のように思えません。ですから、どうかこれもひとつ随意契約になるという法律上の基礎、省令含めて法令上の根拠をお示しいただきたい、と同時に御意見も伺いたい、このように思います。いかがでしょうか。