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政府委員(内村良英君)
農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由を補足して御
説明申し
上げます。
本
法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由
説明において申し述べたところでありますが、所要財源率の処理に関し若干ふえんして申し
上げます。
農林漁業団体職員共済組合の掛け金率は、原則として五年ごとに実施する所要財源率再計算の結果に基づいて定めることといたしておりまして、現行の掛け金率は千分の九十六となっておりますが、
昭和四十五年に所要財源率を再計算いたしましたところ約千分の十六増加することとなりました。
しかしながら、現行の掛け金率が他の共済組合に比べて高い実態にあることから、農林漁業団体及び組合員の
負担能力等を考慮いたしまして、給付に要する費用に対する国の補助率の
引き上げ、任意継続組合員制度の適用の制限、財源調整費補助の確保及び利差益の一部の充当を行なうことによりこの増加分を処理し、掛け金の
引き上げを回避することとした次第であります。
次に
法律案の内容について御
説明申し
上げます。
第一条は、農林漁業団体職員共済組合法の一部改正であります。
このうち、第十七条の改正規定は、任意継続組合員となることができる者の範囲を制限しようとするものでありまして、
昭和四十七年十月一日以後に組合員の資格を取得する者は、任意継続組合員となることができないこととしております。
次に、第二十条の改正規定は、最近の農林漁業団体職員の給与の実態にかんがみ、掛け金及び給付の算定の
基礎となる標準給与の下限を
引き上げようとするものでありまして、現行の一万二千円を一万八千円に
引き上げることとしております。
また、第六十二条の改正規定は、農林漁業団体職員共済組合の給付に要する費用に対する国の補助率を二八%から一八%に
引き上げることとしたものであります。
第二条は、
昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する
法律の一部改正であります。
まず、第一条の四、第二条の五及び第二条の六の規定は、既裁定年金の額の改定でありまして、
昭和四十五年三月末日までに給付事由の生じた年金につきまして、現に給付を受けている年金の算定の
基礎となっている平均標準給与の年額等を一〇・一%
引き上げることにより年金額を増額することとしております。この場合、その算定額よりも、その給付事由が生じた当時の年金算定の
基礎となった平均標準給与の年額等に別表第五にあります二・〇三七から一・一〇一までの率を乗じた額を用いて算定した年金額の方が多い場合には、その多い方の額に改定することとしております。なお、この場合の平均標準給与の年額等の最高限度額につきましても改善をはかることとし、従来の最高限度額を一〇・一%
引き上げ、いわゆる頭打ち制限を緩和いたしております。
次に第三条の三の規定は、既裁定年金の最低保障額の
引き上げであります。退職年金及び障害年金につきましては現行の九万六千円を十一万四百円に、遺族年金につきましては現行の四万八千円を五万五千二百円にそれぞれ
引き上げることとしております。
また、高齢者等についての最低保障額の特例につきましても、退職年金及び障害年金については現行の十二万円を十三万四千四百円に、遺族年金については現行の六万円を六万七千二百円に、それぞれ
引き上げるとともに、その対象範囲を従来の七十歳以上の者から六十五歳以上の者に拡大することとしております。
さらに、従来の最低保障額につきましては、組合員期間が二十年に満たない者の遺族年金については適用がないものとされておりましたが、これを組合員期間が十年以上の者で組合員である間に死亡した者の遺族についても適用することといたしましたので、いわゆる旧法遺族年金の一万九千円という低額年金は、大幅に改善されることになります。
なお、これらの最低保障額の
引き上げは既裁定年金のみならず、今年の新規裁定年金についても適用することといたしておりまして附則の改正はこのためのものであります。
最後に、第三条及び第四条は、第二条の措置に関連して規定の
整備を行なうとともに、いわゆる旧法の通算退職年金についても、
昭和四十六年度における年金の額の
引き上げの措置と同様の改善をはかろうとするものであります。
以上がこの
法律案のおもな内容でありまして、この
法律の施行期日は、補助率の
引き上げに関する部分を除き、
昭和四十七年十月一日といたしております。
なお、この
法律案に対しまして、
先ほど御
説明がありましたように、衆議院において修正が行なわれまして、補助率の
引き上げに関する部分の施行期日につきましては、これを公布の日から施行し、同年四月一日から適用することとされるとともに、社団法人全国農業共済協会等の職員の厚生年金保険の被保険者期間を通算する特別措置に関する規定が追加されたことを申し添えます。
以上をもちましてこの
法律案の提案理由の補足
説明といたします。