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1972-06-01 第68回国会 参議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月一日(木曜日)    午前十時二十九分開会     —————————————    委員の異動  五月三十日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     若林 正武君  五月三十一日     辞任         補欠選任      若林 正武君     初村滝一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 亀井 善彰君                 園田 清充君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委 員                 梶木 又三君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 星野 重次君                 堀本 宜実君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 工藤 良平君                 辻  一彦君                 村田 秀三君                 塩出 啓典君                 向井 長年君                 塚田 大願君    衆議院議員        農林水産委員長        代理理事    三ッ林弥太郎君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     山田 嘉治君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農政局長  内村 良英君        水産庁長官    太田 康二君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        環境庁水質保全        局水質規制課長  山中 正実君        水産庁漁港部長  矢野 照重君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○漁港法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案  (内閣提出衆議院送付) ○中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  漁港法の一部を改正する法律案漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案及び中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 宮崎正義

    宮崎正義君 漁港法の一部を改正する法律案、この法律案のねらいといいますか、一歩前進をした形で非常にけっこうだと思うんであります。と申し上げますのは、特定三種漁港は、大体現在十一港であるということはわかっております。いずれもわが国の代表的な大規模な漁港であると、これも承知しております。また、地元船以外の外国船等利用等もこれもありますし、非常に公共性が高いということもわかっております。当然、国の負担も、地元負担も、当然そこには大きなものがかかってくるということも、これもそうあるのは当然だと思います。したがいまして、この第三種漁港外郭あるいはその水域施設にかかわる漁港修築事業の国の負担割合を、これまでの百分の六十から百分の七十にしていこう。むしろ、もう少しの引き上げというふうなことまで私は当然考えていかなければならない。と申し上げますのは、前回も、先日、この委員会でも、私ちょっと触れましたのですが、非常に漁港関係というものが進んでいるような形で、実質は非常におくれているというのが実態でございます。こういう観点の上から見ていきますと、いま申し上げたように百分の七十——もう少し、百分の百ぐらいまでもっていくぐらいの考え方をしなければ、われわれの食生活を守っていくということも非常に困難じゃないかと思うのです。しかも、公害問題等がずっと大きな影響を与えているということから考えてみますと、大きくそういうところから考えていっても、手を打たなければならない問題が一ぱいあると思うのです。したがいまして、この特三だけの問題じゃなくて、そのほかの一種、二種、三種、四種の各漁港整備事業に対しても、この従来のような考え方では私は、いけないと思う。これに対しても、今回は特定三種だけに限られておりますが、他の種の漁港も当然引き上げ率というものを考えていかなければならないのじゃないかということを私は思うわけですが、この点どんなふうにお考えになっておりますか。
  4. 太田康二

    政府委員太田康二君) 今回御審議をいただいております漁港法の一部改正法案におきましては、いま御指摘のございましたように、特定三種漁港の国の負担率外郭施設水域施設に限りまして、百分の六十から百分の七十ということにいたしたのでございます。御指摘のとおり、他の一種、二種、三種さらには四種漁港につきましての国の負担割合、あるいは補助割合等がきめられておるわけでございますけれども、これらにつきましても、いろいろ問題があることは御指摘のとおりかと思います。私どもといたしましては、今回ぜひ長年の要望でございましたところの特定三種漁港につきまして、何と申しますか、一応重点をしぼりまして、特に公共性が高く、しかも事業費負担の、事業費が大きくかさむという外郭施設水域施設に限りまして、国の負担割合引き上げたということになったわけでございますけれども、前々から申し上げておりますように、私どもといたしまして、昭和四十八年度には、ぜひ、第五次の漁港整備計画を策定をいたしたいと考えております。その機会に、いま御指摘になりましたような点につきましても、全面的な検討をいたしまして、他の公共事業、特に漁港の場合には財政当局との話し合いでは、すぐ港湾との関係が問題になるわけでございまして、これらの負担割合等も参酌しながら対処してまいりたい、かように存じております。
  5. 宮崎正義

    宮崎正義君 特に、私は三種漁港というものは、同じような扱い方をしていかなきゃいけないのじゃないかと思います。と申しますのは、ほとんど漁船も大型化してきておりますし、外航関係のことにおきましても、内外の使用度というものが大きくなってきております。ですから、当然もう三種漁港も当然含めていかなければいけないということは、私は当然の理だと思うのです。  そこで漁港法の第一条でも、読み上げるまでのこともなく、第一条に「この法律は、水産業の発達を図り、これにより国民生活の安定と国民経済の発展とに寄与するために、漁港整備し、及びその維持管理を適正にすることを目的とする。」という、そういう目的観の上から考えまして、考えてみれば、漁港修築事業整備計画を、今日まで第一次から第四次計画に移されて、移行されてきておりまして、二十年の経過をしているものもずいぶんあるわけであります。  で私は、先日川村委員は、未着手のものを取り上げて、盛んに指摘をされておりましたが、それにもう当然であります。私は、その未着手のものより、着手しているけれどもまだ完工していないというものを、私は、きょうは取り上げてみたいと思うのですが……。  いただいております資料によってもわかるんでありますが、完工されていない、工事中のものが九十九港——この資料によって計算してみますと、私はあるのじゃないかと思うわけです。第一次計画で国は四百五十港の計画をしまして、第四次までに完工されたものが三百五十一港である。未完工を引きますと、九十九港になる。完成完工されないそれぞれの漁港は、基本施設だとか、あるいは機能施設の、それぞれ違いがございます。また、地形の問題もありましょうし、特殊性を持った気象等々の関係も、条件はそれぞれ違っておるわけで、未完工であるということは、一つ一つその理由があって完工されないということだと思うんです。それらの状態というものを、一つ一つ掌握していかなければならない。これがなされなければ、次への計画を幾ら立ててもだめだということになるのです。  いま申し上げましたように、「漁港整備計画(第一次〜第四次)とその実績」というものを、いただいておるものの中から、私は申し上げているわけですけれども、もう一回繰り返して申し上げますと、第一次計画の、第十回国会、昭和二十六年の、四百五十港というものを承認をされて、そして進めていかれた。それから第二次では六百四港、第三次では三百八十港、第四次では三百七十港、こういうふうに漁港数というものを指定されております。そして、第一次の四百五十港のうちに未着工が七十五、それから完成したものが四十三ということになっておりますが、この完工されたものが、四百五十港のうちの四十三である。それから第二次に完工されたものが二百四十三、第三次に完工されたものが四十九、第四次が十六という、これを合計しますと、三百五十一港になるわけでございます。ですから、最初に四百五十港の計画を立てたもの、四次まででき上がったもの、完工されたものの港数を合計しましたものが、三百五十一となりますが、そうすると、四百五十から三百五十一港というものを引けば、最初に申し上げました九十九港ということになるわけでありますが、この九十九港についての漁港の名前、それらがわかればお知らせを願いたいと思うんです。第一次の四百五十港だけを取り上げてみて、そうして着工するという計画の四百五十港を基盤にしての考え方にとらえてみても、全体の完工したものから差し引いてみても、九十九港は未完なんだということになる。おわかりでしょうか。
  6. 矢野照重

    説明員矢野照重君) ただいま御質問の件なんですが、内容的にちょっと私らの調べましたものと相違点がございます。それは第一次での四百五十港のうちに完成しましたものは四十三港ございますが、この中で第三次あるいは第四次に、その後の情勢が変わりまして再度着工したものもございます。ということで、先ほどお話しございました数字をそのまま足して九十九港が現在まだ完成してないのじゃないかということには必ずしも結びつかないのでございますが、私のほうで調べました結果の概数を申し上げますと、一応第一次漁港整備計画に四百五十港採択されましたが、このうち一次から二次に引き継ぎ、三次にさらに引き継ぎ、四次にまで引き継いで事業を実施しているものが百三十港ございます。それから一次から三次まで修築事業として実施しまして、おおよそ完成いたしまして、あと仕上げを第四次で改修時まで実施しているものが三十四港ございます。それから一次、二次を修築事業でやりまして、三次は改修に落ちましたが、その後さらにまた必要性が生じまして再度修築事業として実施したものが二十港ございます。それから一次、二次、修築事業でやりまして、三次、四次、改修事業でやったものが五十六港ございまして、これらを合わせまして二百四十港ございますが、この二百四十港は、結局一次から第四次までずっと引き続いて事業を実施している港数になります。  それから次に、完成港でございますが、一次のみで完成したもの、先ほど四十三港という数字が出ましたが、このうちそのまま、完成のままであとで再度事業を実施してないもの、すなわち一次で完全に事業が終わりましてその後事業を実施してないものは、その四十三港のうちの二十九港でございます。それから一次計画と二次計画と両計画を実施しまして完成したものが七十九港ございます。それから一次、二次を修築事業で実施しまして、三次になりまして改修最後仕上げをやりまして完成したものが二十五港ございます。それから一次、二次、三次と修築事業をずっと実施しまして完成したものが十三港ございます。  以上、四ケースを合計しますと百四十六港になりまして、結局第一次の四百五十港のうち、第一次のみで完成したものあるいは第二次、第三次等に引き継ぎはしましたが一応とにかく完成しまして、現在事業をやっていません個所が百四十六港ございます。それから、一次で一応完成し、二次計画では休んでおりますが、その後また再度事業の必要が生じまして、三次計画あるいは四次計画におきまして修築あるいは改修事業として再度着工したものが、これはいろいろのケースはございますが、含めまして六十四港ございます。  以上、合わせまして四百五十港になりますが、結局、第一次採用漁港の四百五十港のうち現在も引き続いてずっと継続して事業を実施したものが二百四十港、それから多少二次、三次には持ち越しましたが、少なくとも現在においては、完成して事業を実施していないものが百四十六港、それから一次では一応完成しましたが、完成して二次では事業をやっておりませんが、三次、四次等で再度事業必要性を生じまして現在、再度着手したものが六十四港という結果になっております。
  7. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうすると二百十港ということになりますね、二百十港ですね。
  8. 矢野照重

    説明員矢野照重君) 二百十港といいますのは……。
  9. 宮崎正義

    宮崎正義君 二百十港というのは、工事がまだそのままずっと引き継がれてきているというやつですね。
  10. 矢野照重

    説明員矢野照重君) 二百四十港です。
  11. 宮崎正義

    宮崎正義君 二百四十港ですね。完成したものが二百十港ですね、全く完成したものが。
  12. 矢野照重

    説明員矢野照重君) 現在完成しているのが百四十六港です。
  13. 宮崎正義

    宮崎正義君 六十四というのが、再度できるというのでしょう。
  14. 矢野照重

    説明員矢野照重君) さようでございます。
  15. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうでしょう、わかりました。それはいま御説明がありましたので大体わかります。といいますのは、あとでまた質問をいたしますと、その内容がよくわかるわけです。どういうわけで、そういうふうに一次から二次、三次へと繰り越して移行されていかなければならないのかということを一つの例をもって今度じっくりとこれから申し上げます。  そこで、さっそくその例に入りますが、これは青森県の三厩漁港のことから一つの例をとってお話しをしてお伺いをしてみたいと思いますが、御存じのように青森県の三厩港は、これは第二種漁港でございますが、昭和二十六年から第一次整備計画が着工されまして、第二次、第三次、第四次と今日までに至っております。第一次から第四次までの実績はどうなっているのか、あるいはまた事業費実績はどうなっているのか、また、その第四次に来ておりますが、その進捗率はどうなっているのか、第二次整備計画、第三次整備計画年次別事業費はどんなふうに国から負担をしているのか、そういう具体的なことをお伺いをしたいわけであります。これも前もって三厩のことを質問するからというように申し上げておきましたので、お調べになっていると思いますのでお答えを願いたいと思います。
  16. 矢野照重

    説明員矢野照重君) 三厩漁港整備状況でございますが、これは一次計画からずっと引き続いてやっておりまして、第一次計画におきましては、実績が二千六百六十万でございます。第二次計画におきましては三千四百万で、その時点におきます計画は、一応完成しております。引き続いてさらに拡張の計画がございまして、第三次にも採択されまして、第三次計画におきます実績は四千六百九十万、四次計画におきまして引き続き採択されておりまして、四十四年から四十七年までの実施見込み額が七千九百六十万ということに相なっております。
  17. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは私のほうの調べたのでは、事業費が第一次が七千九百八十万円で、その実績が二千六百六十万円で三三・三%しかできていない。第二次計画は、いま言われたそのとおりの一〇〇%いっております。第三次計画は一億二千六百万のうちに四千六百九十万で三七・二%、四次計画は二億七千九百万でそのうちの七千九百六十万で二八・五%という予算の率になっておりますがね、それでこのようになっているのですがね、現地の私は状態を聞いてみたのですが、これはどうなんですか。
  18. 矢野照重

    説明員矢野照重君) 私、先ほど実施額を申し上げましたので、全体計画につきましては、ただいま先生がおっしゃった数字に間違いございません。
  19. 宮崎正義

    宮崎正義君 ですから予算が、事業費実質というものがだいぶ違いがあるわけでしょう。それだけ消化してないということです。工事をしてないということになるわけですよね。ですから、私は事業費の面と実際できたものとの進捗率というものを伺ったわけなんです。  さらに、こまかく申し上げますと、これを申し上げませんと、日本全体の漁港状態というものがわからないと思うんです。たとえば、第一次整備計画で昔からあります、昭和初頭につくった五十メーターくらいの防波堤を第一次で十二メーター防波堤に増築したわけです。そして、その前の分にかさ上げをしたわけです。そのかさ上げ費は入っておるわけです。これが昭和二十六年。昭和二十七年になりますと、防波堤を今度は十八メーター延ばした。十八メーター延ばして、今度はかさ上げを九十二メーターやっているわけです。それから、昭和二十八年には防波堤を十八メーター延ばして、そして今度は物揚げあるいはしゅんせつ埋め立て等やっているわけです。それから、二十九年には八メーター防波堤をやって、物揚げだとか排水口だとか埋め立てとかしゅんせつだとかやっております。   〔委員長退席理事亀井善彰君着席〕 それから、三十年には八・八メーター防波堤をつくっている。それから、二次のほうに入りましてから、防波堤を十メーターやって、今度はかさ上げを五十メーターやったんです、前に戻ってきているわけです。それから三十二年にはしゅんせつとか、あるいは物揚げだとか護岸だとか埋め立てだとかやっております。それから三十三年には護岸が七八・三だとか側溝だとか埋め立てだとか、しゅんせつだとか排水口だとかやっております。三十四年には防波堤は二十二・五メーターやっております。それから、三十五年には防波堤を今度は三・七メーターやって、船揚げ場が四十五メーターやっているということになっています。第三次のほうにいきまして、今度は防波堤を二十三メーターやって、しゅんせつをやって、防波堤を四十年にはやって、こういう経路をたどっていきますと、かさ上げをやった時点防波堤をやっていけばいいのを、一応やってしまってから、今度翌年になってそこをかさ上げをしているという形態で、また低い防波堤をつくっちゃう。また、その翌年にはかさ上げかさ上げの分だけ続けてやっているというみたいな形式になっているように思うわけです。これでは、当初の計画というものをこれくらいの高さにしなければ防波堤にならないのだという計画のもとに、初めからかさ上げしないようにして計画を立てていけばいいのを、そうじゃなくてかさ上げをしなきゃならないから、かさ上げを次から次へとやったものに対してまた次にかさ上げをして、また、やったものに対してまたかさ上げをしていくというような、そういうことを繰り返しているのが予算面の上から、また現場の人たちの言うことから考え合わせてみても、はっきりしているのですがね。こういう点に対する何というのですか、計画性といいますか、そういうようなことを御存じなんでしょうかね。そういう工事がそのままのこういうような形態で続けられてきたということ。
  20. 矢野照重

    説明員矢野照重君) いま先生がおっしゃられましたような施行段取りでやったことは、十分承知しております。それで、防波堤をつくる場合に、完成断面でなぜやらないかという御質問の趣旨だと思いますが、これはそういう場合は、大体大きく分けて二ケースあると思います。一つは、これは主として純技術的な問題になりますが、特に地盤が悪い場合に、一応基礎捨て石あるいは堤体工まで施行しまして、そして一年あるいは場合によっては上に仮荷重を載せまして、二年程度落ち着かせましてそして十分基礎が固まり堤体が安定した段階で再度後年度にかさ上げ最後仕上げをやるという場合、それからもう一つは、これは効果をあげるというような面からでございますが、一応防波堤としましては堤体ができますと、堤体の高さに応じた内輪の効果といいますか、そういうものが発揮できるわけですが、その場合に、与えられた予算内でやる場合に、完全な断面を百メータやったほうがいいのか、あるいは多少天端を低くしても延長をさらに延ばして、たとえば二百メーターなりやって一応完全ではないがある程度被覆された泊地を置くほうがいいかというようなことで、多少天端を後年に回して堤体延長をどんどん延ばしていくという場合もございます。そういうことで、必ずしも完成断面で同時にやっていったほうがいいかどうかという点については、問題がある場合もございますし、その点につきましては、そこの状況に応じて最も適切だという方法をもってやっております。
  21. 宮崎正義

    宮崎正義君 技術面のことにつきましては、一応了解できますが、ここまでやってもらわなければ困るんだというのでその事業費予算を組むわけです。すると予算が来ないのだからやりたくともやれない。ですから、この時点まで延ばしてもらいたいのだという要求を地元ではするわけです。それもある程度の削減をされてから今度は事業費を組まれて、さらに実施面になり、もっと予算がさらに来ないということになってきます。進んでいっていないというのが現況なんです。だから、地元では予算さえ、こちらの言っている事業費を、組まれた予算さえきちっとしてもらいさえすれば、この事業はうまくいくはずなんだということを言っているわけなんですが、何といいますか、多額的に予算削除というものがされるために、進むべきを進ませることができないと、これはいまさら私が変な例を言って申しわけありませんけれども、あの「新・平家物語——吉川英治さんが書いている本——の中にもあれは何ですか、清盛が何とかいっておりましたね、経島、俗にいう経島に貿易港をつくるのに、自分の私財を投じて何回もやり直した。どうしてそれができないのだろうか、ある一定のところまできちっと防波堤をやっていけばできるんだ、それには財力が必要なんだ、ということが結論となって、それではこの秋までには、ここまでは思い切って財力を傾注して、それではこの点まではどうしてもつくらなければいけないのだといってあれが完成したというようなことが出ておりましたのですがね。そういうような卑近な例といいますか、そういう歴史的なことは、ぼくはわかりませんけれども、そういうふうなことから勘案してみても、われわれしろうと考えで、この線まで持っていったならば、この漁港では計画どおりに進むんだということがなされると思うのですがね。そういう予算措置の上においての問題が私は、はっきりあるんだということを言っているわけなんですがね。長官、どうなんですか。
  22. 太田康二

    政府委員太田康二君) 予算の執行のしかたの問題もあろうと思いますし、いま言った技術上の問題もあろうと思いますが、先生に御提出申し上げました漁港整備計画の過去の姿を見ていただきますとわかりますが、実は、現在やっております第四次漁港整備計画みたいに、何年から何年までの間に総額幾らでやりますというようなことが、実は、その法律発足当初ははっきりしていなかったわけです。それで、第一次の計画というのは、さっき御指摘のございましたように、四百五十港を修築事業の対象に取り上げます、その事業費は五百四十四億でございます、それを昭和二十六年度以降実施いたします、そこまでがきまっておりまして、実際には昭和二十六年から二十九年度までにやった事業は、百二十一億しかやっていないわけです。それで進捗率が二二・三%。ここで第一次の整備計画というものは打ち切ったわけでございますね。それでまた第二次に移りまして、第二次が六百四港で五百五十億の事業費でやります、このときも昭和三十年度以降だということで、いつまでということがはっきりしていなかったわけでございます。しかも、それを実施してまいりまして、結局、三十年から三十七年度まで実施いたしまして、三百九十三億二千三百万の事業を実施したわけで、これも、だから計画というか、計画に対しましては七一・四%しかいっていなかった。そんなようなこともございまして、いま御指摘のような、たとえば先ほど指摘の港につきましては、第一次の場合には、計画は確かに七千九百八十万の計画でございましたが、実際に二十六年から二十九年までに実施しましたのは二千六百六十万円、進度率でいいますと三三・三%。全体の第一次の計画進捗率が二二・三%しかいっておりませんから、それに比べますれば、平均よりは一〇%ぐらい高くはこの港については実施いたしておりますが、第一次計画、第二次計画の時代には、いつからいつまでにということが明確でございませんで、そのために非常に進捗率というのが途中で打ち切られたというようなこともありますので、非常におかしなかっこうになっておる。しかし、御指摘のとおり、予算の何か実行のしかたが多少総花的になって、もっと重点的にやれば計画がもっと高く進度を確保できたものが、確保されていないというような問題はあろうかと思いますので、実施の際に、十分そういった点につきましては、今後、配慮してまいりたい、かように存じております。
  23. 宮崎正義

    宮崎正義君 それもまた、おかしげな話なんですよね。第一次計画というのは何年から何年までにやっていかなければならないんだという一応の目途は立っているわけです。予算も立っているわけですからね。ですから、そういう面からいけば完全に第一次は二十六年からですか、二十六年から三十年、それから第二次が三十年から三十五年、第三次が三十九年から四十三年、このように一応三厩のほうにはできているわけですけれどもね。それに基づいてやっていきさえすればいいわけです。いま御答弁がありましたから、これ以上申し上げませんけれども、実際問題として、その漁民の人たち——いま、しゅんせつ事業にしましても、これはたいへんなことなんです。この予算の内容を見ていきましても、しゅんせつしゅんせつしゅんせつ、こればかりやっているわけです。これは、ここばかりではありません。日本列島のずっと沿岸には、しゅんせつをやらなければならない地帯というものは一ぱいあるわけなんです。北海道なんかは、散布だとか、あるいは霧多布だとか、あるいは琵琶瀬なんというのは、やはりすごいしゅんせつをやらなければならない。琵琶瀬なんというところは、防波堤をつくったって船が着かない。そんなものを平気でつくって、防波堤つくったんだといって、地元には言っているわけです。地元の人は、防波堤ができたって、船を全然着けられないようなことでは——しゅんせつをやった、やったといったって、しゅんせつをどこにどういうふうにやっているのだということなんです。これと同じことが、三厩でも言えるわけです。写真もとってきていますから、ごらんに入れますよ。私の言っていることがどうであるかということは、はっきりしているのです。写真、みんなとってきてますから。  ですから、そういうしゅんせつ作業の事業にしましても、より高度な計画を立てていかなきゃならない。いま機械力も、技術力も相当上達をしているときなんですから、ですから、第一次、第二次当時とは全然違ってきているのだというようなこともあるわけですから、ですから、そういう特質のある地帯というものは、特質のあるやはり予算処置ということを考えて、上げていくようにしなければ、いつまでたったって、一次から二次、三次、四次で、全部継続しても、二十年間もまだそのままであるというのは、内容をよく検討してみれば、しゅんせつだ、しゅんせつだということだけなんです。そういうところもある。ですから、そういう面を御勘案願いたいと思うのですが、その点どうなんです。   〔理事亀井善彰君退席、委員長着席〕
  24. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私どもといたしましては、漁港整備計画を立てますときには、当然各県から、県の計画を全部ヒヤリングいたしまして、それを積み上げまして、漁港整備計画をつくりまして、予算要求をいたすわけでございますけれども、私どもの要求がそのまま通るわけではないわけでございまして、やっぱり圧縮を受けざるを得ないという実態がございます。したがいまして、そういうことになりますと、実際に計画されたものと、予算が成立した暁におきまして、実施をする際に計画するものとの間に、若干の相違を来たすことは御理解をいただけることだろうと思います。そんなこともございまして、実行の段階におきまして、漁民の方々が自分たちが描いていた計画と、実施されたものとの間にそごを来たすというようなことがあろうかと思います。要は、やはり私どもが要求いたします予算の額をできる限り大きくするということが、基本になろうかと思いますので、私どもといたしましては、過去におきますそういった経験も十分踏まえまして、今回の第五次漁港整備計画という際には、十分予算措置を講ずるように、財政当局とも折衝してまいりたい。  なお、具体的な問題につきましては、漁港部長からお答えをいたします。
  25. 矢野照重

    説明員矢野照重君) ただいま琵琶瀬の例がございましたので、この経緯を簡単に御説明申し上げますが、琵琶瀬漁港は、琵琶瀬川の河口にございまして、周辺にはかなり勾配のゆるい砂浜地がございます。こういうところが、早くいえば漁港をつくる場合には、最もむずかしいところでございまして、ちょうど水深が二、三メーターというようなところは砕波帯になっておりまして、漂砂の動きが一番激しいところで、われわれとしましてもこの漂砂対策ということが、漁港をつくる上に最もむずかしいところでございます。そういうことで、琵琶瀬漁港につきましても、そういう地形でございますので、どういうふうな方法あるいは期間とか、そういうものをやったらいいかということで、これは実は、ずっと検討中でございましたが、たまたま昭和三十八年以降、四十一年にかけまして町の単独事業あるいは道の単独事業等によりまして、一部河口の右岸側に四十メーター防波堤あるいは四十メーター船揚げ場等、簡単な施設をつくっております。これにつきまして砂がどういうふうな影響を及ぼすかということを見ました結果、ここを根拠としております漁船は、大体平均喫水が二・五メーター程度でございまして、それでございますと、水深としましても大体一メーターぐらいあればいいじゃないかということで、いろいろ検討しました結果、マイナス一メーター程度の水深を維持することは、必ずしも現在の状況で不可能ではないんじゃないかということで、四十四年に改修事業で着工することに踏み切ったわけでございます。そういうことで、まず漂砂をとめるということで、現在導流堤の延長を行なっておりますが、四十七年度には大体九十五メーター程度の導流堤といいますか、防波堤を延ばしますと、その先端部がおおよそマイナス一メーターの水深のところへまいります。したがって、これができますと、そのあと引き続いてしゅんせつすることによって、マイナス一メーター程度の水深は維持できるのじゃないかということで、現在事業実施中でございます。
  26. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間があまりないので、いまの御答弁に対しても琵琶瀬のあれは道のほうでやっておることでありますし、問題点もありますけれども、いまお話しの中の二・五メーターの水深じゃなきゃならない船揚げ場のところだって、実際は全然船はつけないんですから、砂で一ぱいで。荷物も何も揚げられるわけじゃないんです、そういう実情なんです。  それはそれとして、三厩のことから申し上げましても、三厩の漁民の人たち、実際生活というものはどんなふうにしているかといいますと、いま、だんだんだんだんとあそこも漁船が大型化してきております。しかも、あそこは鉄船がないわけです。みんなシバ材を使っている。地元のシバ材を使っているから、まだ幾らか安いんですけれども、いま大体四トンか七トンぐらい、ほとんど七トンくらいのをつくっておるんです。大体五百万から六百万かかるんです。そのうちの半分は近代化資金等で、六百万のうちの三百万ぐらいは借りることができるけれどもあと三百万というものは自分たちのかせいだものの中から、船大工の賃金だとかというものを払いながら借金を払っていく。御存じのように、あそこは三カ月も潮の中に入れっぱなしですから、潮虫にやられちゃいます。すっかり使いものにならない船になってしまうわけです。ですから、しょっちゅう陸に揚げなきゃならない。六条間なんという地域は、ずっと過去何十年か何百年かそのままの形態のままになっておる。ですから、一々砂地へ揚げなきゃならない、そうしませんと、海へつけておきますと、虫にやられてしまいますから。この船が大体六年間ぐらいしかもたないというのです。船をつくるために、漁業をやっているんだというようなことも一面言えるわけなんです。こういう生活を続けながら、私たちのたん白質、食生活をしっかり守ってきてくれているわけです。こういう実情のもとの中にあるんだという、その中で働いている漁民の人たちというもののその住みかは、どこかといえば漁港なんです。  ですから、漁港整備を完全にするということは、漁業の基盤だというふうにおっしゃられるとおりのそういう理由はあって、そうだと私は思うんです。そういうことから考え合わせて、先ほど私は長官が言われました、予算を出してもそのまま通らない。予算が少ない面もあるんだという、予算さえくればというように言わんばっかりのお話しなんですけれども考えてみれば、水産庁の予算の過半数の五五・九%というものは、漁港整備整備費であるということ、これは半分以上が漁港整備にもってきているわけですね。そういうふうな漁港というものを一番重く見ておられることは、わかるわけであります。  ところが大臣、農林省全体の予算から見ると、水産庁の関係予算は五%なんですね。これはこの前も私、申し上げました。ですから、こういうふうなことから考えていきまして、いま水産庁長官予算が、予算がと言っております。第五次計画、これは当然いま全国から集まって一生懸命おやりになっておりますけれども、幾ら一次、二次、三次、四次、五次と計画をお立てになっても、端から端に残っていくというような形をつくっておけば、漁民の生活を考えていったらどうなるのかという立場の上から、予算処置のことについてどういうふうに取っ組んでいかれようとなさっておるのか、大臣のお考えを私伺っておきたいと思います。
  27. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 御意見私も同感でございますが、計画を立ててもだんだんおくれておって、漁港としての基盤としての位置づけ、あるいは最近水産部門の流通部門も地位が重要化している、その目的に沿いかねるということは、まことに残念でございます。御指摘のように、また水産庁長官の答弁のように、予算といいますか、金がないと工事などにつきましても、いろいろの予算の効率的使用ということを考えても、十分設計どおりにもいかなくて、延びたり変更したりする。要するにいまの御指摘のように、根本的には十分の予算が得られれば何次計画、何次計画で延ばしていかなくても、その計画を一期なら一期で済むのが、それが済まずにだんだん残っていくというのが現状でしょうから、これから十分漁港の重要性といいますか、水産関係、あるいは流通関係の重要性を再認識しまして、予算の確保に十分強く努力したい、こういうふうに考えます。
  28. 宮崎正義

    宮崎正義君 もう一つ大臣にお願いがあるんですけれども、北海道のことを申し上げるんですけれども、水産北海道ともいわれているように、いまの水産の水揚げ量というものは、北海道に大きく舞台が移っております。北海道のほうにどんどん本州のほうから船が行っております。漁船が入っております。そういう実情の中にありまして、非常に北海道がおくれておるわけです。したがいまして、北海道は百分の百というふうにされて計画立てておったわけです。それが百分の九十にされてしまって、さらに今回港湾関係で百分の九十五を五減らされていくみたいな形になってきておるわけですね。まことにこれは私は情けない。おくれたがゆえに百分の百やっていたわけです。それを百分の九十に減らされている。それで北海道のほうに、集中的に本州方面の漁船がどんどん入ってくるのに、漁港整備はそれを受け入れるだけの体制ができていない。私は百分の百までもう一回引き上げていくべきだというふうに考えるわけですが、開発庁の関係長官おいでになりませんけれども、開発庁の関係の方もおいででございますので、おそらく私の言っていることに拍手かっさいをなさっているんじゃないかと思うんですね、大臣はどうなんでしょうか。
  29. 山田嘉治

    政府委員(山田嘉治君) 大臣がお答えになる前に私から先にちょっと申し上げるのは恐縮でございますけれども、開発庁といたしまして考え方を申し上げますと、ただいま先生指摘のように、北海道の漁港の重要性と、それから北海道の漁港のおくれという点については、私ども先生指摘のとおりに考えております。何せ気象条件も非常に荒いということもございまして、北海道の漁港は、漁港の全体の中で外郭水域施設というようなものの占めます、金額的に占めます比率が、全国の平均に比べまして約一〇%ぐらい北海道のほうが高いということがございまして、これは北海道の漁港整備がそれだけ困難であるということと同時に、それだけおくれているということを示す一つのあれであるというふうに考えますし、それから北海道に本州方面から非常に多くの漁船が入ってきて、非常に日本の水産資源を揚げる上で、水産資源を確保する上で重要な役目を果たしておるということも、全く先生指摘のとおりであるというふうに考えるわけでありますが、先生御承知のように、北海道は漁港だけでございませんで、道路、河川、港湾、その他一般に特別に高い補助率をもちまして、北海道の開発ということをやってきたのでございますが、北海道の開発が第三期計画と申しまして、四十六年度から新しい段階に入ったということを転機といたしまして、これは北海道庁とも十分に打ち合わせの上のことなんですけれども、北海道庁から、第三次計画な立てますときに、内閣総理大臣に対しまして提出されました意見書によりましても、北海道の開発の進展の度合いに照らしまして、本州方面との負担の均衡ということも考える必要があり、負担を持つべきものは地元で持つという姿勢を示すことも必要であるということが意見書として道庁からも出ております。  もちろん私どもといたしましては、これはもう漁港なんかむろんそうでございますが、先ほど水産庁長官もおっしゃいましたように、むしろ積極的にこれから予算を伸ばして、大いに漁業の事業を進めていくというためには、積極的に地元の御負担を合理的な、また、非常に無理のない範囲内でお願いするほうが、これは事業を伸ばすゆえんであるというふうに考えまして、他の補助事業と、先生御承知のように一連のことでございますが、昨年、四十六年度から漁港につきまして一割、道で負担していただくということにした次第でございまして、先生いま御指摘いただきましたのは率直に申しまして、私どもの気持ちの上では、まことにありがたく存じておりますが、開発庁といたしましては、当分この一割負担ということでやっていくというように考えておる次第でございます。
  30. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 補助率は多いほどいいと思いますけれども、やっぱり北海道全般として、漁港その他公共事業を進めていく、そういう関係から勘案の上、こういう数字にきまったように私も聞いております。でございますので、この負担負担として、国の予算を効率的に使って、そうして、北海道の公共事業を、いま御指摘漁港ども進めていくようにいたしたいと、こう考えています。
  31. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間が来てしまったんですが、北海道のこの漁港一つ、二つの例をこまかくとりまして、特殊な地域であるんだということを御理解願いたいというふうに思いまして、三厩ではこまかくやりましたのですが、北海道でみっちりこまかくやりながら、流氷のあるオホーツク海関係のほうの漁港、あるいは港湾、そういう問題をじっくり取り上げて申し上げたいと、きょうはその予定をして資料もどっさり持ってきておるわけなんですが、これから申し上げればますます時間がほしいわけなんですが、きょうはこれでやめます、残念でしようがありませんけれども。いずれにしましても、第三種漁港を北海道取り上げましても、たった一つしかできていないんです、完工されているもの。あと何にもできていないんです。  そういうふうなことから考えて、先ほど非常に開発庁の弱腰の私は答弁聞いて、いかぬと思うんですがね。地元負担しなければならないから、一割減はやむを得ないというみたいな、そういう私は答弁は全くまかりならぬと思う。逆だと思うんですよ。一生懸命に、大臣に遠慮しないで、この際しっかりやりましょうやというくらいの私は御答弁があるものだと思って楽しみにしておったのですが、非常に弱腰で困る。こんなことで北海道の漁港なんというのは、計画どおりに進められるはずはないと思うのです。非常にいかぬと思います。どうですか。
  32. 山田嘉治

    政府委員(山田嘉治君) 私のお答えが非常に弱腰であるということでおしかりをいただいたわけでございますが、私どもといたしましては、この北海道における漁港の重要性ということの認識においては、人後に落ちないつもりでございまして、先ほど水産庁長官からもお話しございましたように、第五次漁港整備計画におきましては、飛躍的に北海道の漁港関係予算もふやしていくということを強力に、水産庁やあるいは大蔵省方面にお願いしてまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほどの答弁のやや補足になりますけれども、私ども負担を一割するということになりましたけれども、いわゆる北海道に対しまして、他の内地都府県に比べまして、特別手厚いかさ上げ額というものが決してこれでなくなったわけではございませんで、漁港についてだけ申し上げますと、予算が毎年ふえてきておるということもございまして、北海道に対する特別なかさ上げ補助と申しますか、そういう額は、毎年増加してきております。たとえば四十四年から申し上げますと、漁港関係で北海道に対する補助のかさ上げ額は、四十四年が十六億七千五百万、四十五年が十九億九千四百万、四十六年が十九億二千五百万、四十七年度が二十四億五千万円というように次第に、まあ何と申しますか、そういう特別手厚い補助の額もふえてきておりますので、私どもは今後ますますこういう方向でもって積極的に、北海道に対する助成と申しますか、そういう力を入れてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  33. 宮崎正義

    宮崎正義君 最後に、今日、五次計画が進められておりますが、本委員会の各委員の方々がおっしゃられていることとあわせながら、私の今日までの質問を申し上げましたこと等を十分勘案されて、予算処置の点につきましても、あるいは工事の進捗ということを考慮に入れて、漁民の、漁業の基盤であります漁港というものの点に力をさらに入れられんことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  34. 向井長年

    ○向井長年君 大体きょうまで各議員がほとんど質問をされておりますので、私は二、三点だけお聞きして終わりたいと思いますが、特にこの中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案の中で、いまごく零細な沿岸漁業に従事するこの漁業者は、全くいま老齢化しておるのじゃないか、そう思います。したがって、この実態を見たときに、やはり漁具の問題とか、あるいは漁網、あるいは漁業に対する技術指導、開発、こういう問題がいま急務ではないかと思います。これに対して基本的に水産庁のほうでは、どう対処する予定があるのか、この点まずお聞きしたいと思います。
  35. 太田康二

    政府委員太田康二君) 本年度の白書でも御報告を申し上げておりますが、沿岸漁業者の所得、漁家所得でございますが、これは大体四十五年で百四十七万七千円ということでございまして、都市勤労者の世帯、あるいは農家の世帯に比べますと、絶対額としては上回っておる。しかし、漁家の家族が多うございますから、一人当たりの所得でみますと、都市の勤労者世帯に対しまして約八一%というようなことに相なっております。したがいまして、なお都市の勤労者に比べますと、所得格差があるということがいえるわけでございます。沿岸漁業の振興につきましては、御承知のとおり、私どもといたしまして昭和三十六年から沿岸漁業構造改善事業を実施してまいったのでございますが、さらに四十六年度から第二次の沿岸漁業構造改善事業というものを取り上げまして、沿岸におきますところの増養殖の振興、あるいは漁場の造成、改良、これらの事業に取り組んでおるのでございます。  なお、それ以外にもちろん漁港整備にも力を入れておりますし、さらには、瀬戸内海が従来中心であったわけでございますが、栽培漁業——従来の取る漁業からつくる漁業へということで、栽培漁業を全国化するための調査にも四十七年度から着手するというような形で、栽培漁業への振興も取り進めておるのでございます。それ以外に、先生の御指摘になりましたように、漁業者に対する金融制度といたしましては、確かに沿岸漁業者の経営基盤が弱体でございますので、漁業近代化資金等によりますところの制度金融による融資、あるいは農林漁業金融公庫による融資制度もあるわけでございまして、近代化資金のごときは、本年度は三百五十億を四百五十億にふやしまして、資金需要におこたえを申し上げたいというふうにいたしております。  なお、基本的に技術の問題でいろいろ問題があろうという御指摘でございますが、全くそのとおりでございまして、この点につきましては、まあ農業改良普及事業ほどの体制は整っておりませんが、私どももやはり専門技術員、改良普及員の制度によりまして技術指導に当たっておるのでございまして、今後これらの施策を実施することによりまして沿岸漁業の振興をはかってまいりたい、かように存じております。
  36. 向井長年

    ○向井長年君 この技術指導の問題、普及員の問題ですね、これは実態は現在では少なくとも漁協の三つ、あるいは四つを兼務してやっておる。こういうことで十分な技術指導ができていないのじゃないか、こういう感じがするわけなんです。したがって、少なくともこの技術指導の問題については、拡充しなきゃならぬのじゃないか。いま言う、あっちこっち三つ、四つを兼務しておるということ、これは十分な技術指導にならぬと思いますが、今後これに対する普及員の拡充という計画はございますか。
  37. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私どもといたしましては、農業等に比べまして確かに普及の体制が弱体であるという認識を持っております。これらの点につきましては、技術の指導ということはやはり生産向上するための基本でございますので、改良普及事業自身の拡充の問題もございますが、それ以外に私どもといたしましては、漁村の成壮年の育成対策というようなことで、いろいろな集団活動及び研修につきましての助成等もいたしておりますし、先進地留学研修についての助成もいたしているのでございまして、もちろん基本的には改良事業の拡充実施ということにあるわけでございますけれども、さまざまな技術指導の予算もございますので、これらの内容を充実いたしまして、技術の高度化のための対策というものは強化しなければならないというふうに存じております。
  38. 向井長年

    ○向井長年君 これはひとつ十分拡充するような最善の努力をいただきたいと思います。  それから、いま長官からもお話しありましたが、零細漁業者が集まっているこの漁協を、これは特に農協なんかと比較しますと問題にならぬと思うのですよ。これに対してやはりこの非常に弱体である問題に対する経営指導、あるいはそれに対する政府としての取り組みという問題については、いままことに弱いのじゃないか、こういう感じを受けますが、今後この問題について、まあ農協のような形まではいけないにいたしましても、どういう計画でこれを拡充しようとされているのかお聞きいたしたいと思います。
  39. 太田康二

    政府委員太田康二君) 実は、今回の法律で漁業協同組合整備基金を廃止することになりまして、従来これを通じまして利息を免除いたした場合に、助成、あるいは合併に対する奨励金の交付等を実施いたしておったわけでございますけれども、まあ、その一応の役目を果したということで廃止することにいたしたわけでございますけれども、御指摘のとおり農協等に比べますと、漁協の基盤というものは、弱体であるというのは御指摘のとおりでございまして、先年漁協の合併、助成につきまして、さらに延長をお認めいただいたような経過もございますので、私どもは基本といたしまして漁協は、漁業権の管理ということを中心に発生史的にはできていったものでございますので、それと漁協間の格差もございますので、なかなか合併というはむずかしい事態にあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり合併を奨励することによりまして基盤を強化するということが基本であろうと思います。そのために、先生のお話しの中にもございましたように、県等に助成をいたしまして、巡回指導あるいは駐在指導等の経費、さらには合併を推進するための県の事務費の助成、これらは前年に比べますと、かなり思い切って予算もふやしまして実施に当たるということにいたしております。  なお、合併の推進の問題につきましては、系統自身も系統自身の問題としてこれを取り上げまして、私どもと県、それと漁協、これが一体となりまして、水産業協同組合の育成指導、合併を中心とした育成指導になるわけでございますけれども、これを取り進めてまいりたい、かように存じております。
  40. 向井長年

    ○向井長年君 中小企業も合併なり協業化というものをきめて指導しておりますが、これはうまくいっていないですよ、中小企業全般は。漁業関係は一その点はかえってやりやすいのじゃないかというような感じがします。中小企業よりも。というのは、ある程度地域に存在しているわけですから、中小企業のように、もういろいろ雑多な形で各所にあるのと違って。そういう意味から考えるならば、やはりそういう問題も零細企業の弱体化を強化するためにも、まずやはりこの問題も大きく必要であると同時に、なお、それに対する地方公共団体なりあるいはまた政府自身の助成という問題、これに取り組まなければ、事実やったら何が有利になるか、こういう利害の問題が伴うので、この問題はやはり慎重にそういう問題を検討しつつ進めなければならぬのじゃないか、こう思いますが、この点は、いま長官が話されたから、そういう意味でひとつ取り組んでいただきたい、こう要望しておきます。  それから、漁港法の一部を改正する法律案の中で、政府は特にこの提案説明の中で、漁獲量がいま増大しているということを非常にえらい力説しているのですが、こんな問題漁獲量の問題じゃなくて、本来やはり漁港というものは、そういう問題でなくて、やはり効率的にいい漁獲をやる、安全で。こういう問題に主力を置かなければならぬと思うのですが、その点はどうなんですか。
  41. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私どもが毎度漁港整備計画を立てますときの基本的な視点といたしまして、まあ将来における漁業生産の確保、それから計画を立てます場合に、将来を見通しましての漁船勢力の増大、あるいは流通機関の改善、地域社会の基盤強化というような観点から、漁港整備に取り組んでおるのでございますが、御指摘のとおり、漁港の持つ機能といたしまして、漁船の係留をして、たとえば暴風雨等の際にも、一切被害を受けないような漁港整備ということは、やはり漁港整備が生産基盤の整備であるという意味にも通ずるわけでございますので、当然いま御指摘になりましたような点に視点を置きまして、漁港整備計画に取り組んでまいりたい、かように存じております。
  42. 向井長年

    ○向井長年君 先ほど宮崎議員から言われましたように、この五カ年計画の問題これが進捗状況、あまり十分じゃないことがわかりましたが、この計画が、特定の第三種漁港は、これはまあ、いいとしまして、沿岸漁業の整備は、非常にこれは不備だと思います。特に、山陰から北陸、先ほど北海道の問題も出ましたけれども、山陰、北陸方面はまあ荒波なところですが、こういう中で今日不十分な状態をどう整備していくのか、この点について政府はどう考えておられますか。
  43. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私ども漁港整備計画におきましては、御承知のとおり、国会の御承認を得て決定をいただくわけでございますけれども、おおむね大体五カ年ぐらいを基本にいたしまして、修築の対象になる漁港数、そしてその漁港において整備する施設、これの御決定、御承認をいただいておるのでございます。まあ、そういうことで、いろいろ漁業情勢等も勘案いたしまして、緊急度に応じまして修築事業の対象に取り上げ整備する漁港を決定いたしておるのでございますが、しかし、整備計画の対象にならない漁港というものも出てまいります。これにつきましては、そこの漁港におきますところの漁業情勢の推移に応じまして別途予算措置といたしまして、改修事業あるいは局部改良事業というための予算がございます。これによりまして、修築事業の対象にならない漁港につきましても、弾力的にこれらの事業を実施することによって対処するということにいたしております。御指摘のとおり、まあ、どちらかと言いますと、多少言い過ぎではございますが、太平洋のベルト地帯というような面におきましては、だんだん公害等の進行もございまして、漁場が悪化しておる。これらの漁場につきましては、もちろん公害諸法の厳正な運用によりまして、いま以上公害を進行させないということも大事でございますけれども、なお、老朽化した漁場につきましては、その生産力の回復をはかるための事業というようなことを実施することも大事でございますが、どちらかと言いますと、御指摘になりましたような日本海方面というのは、従来とかく漁業の面からは、わりあいに資源面の問題もあったわけですけれども、うとんぜられたというようなこともあるわけでございます。しかしながら、最近におきます漁業をめぐる諸情勢を考えますと、将来やはり新しい面でそちらのほうにもかなり重点を置いていかなければならないだろうというふうに考えます。  なお、これらの点につきましては、現在第五次漁港整備計画の作定の準備作業を取り進めておる段階でございまして、県から具体的な各一港一港につきましてのヒヤリングをいたしておる段階でございます。この段階で各緊要度に応じまして、いま申し上げたように、漁港整備計画の対象として取り上げるもの、あるいは改修事業、局部改良事業で対処するもの、それぞれあるわけでございますけれども、十分最近におきます漁業情勢の変化等も織り込み、さらに将来の見通しも立てまして対処してまいりたいと、かように存じております。
  44. 向井長年

    ○向井長年君 この五カ年整備計画の問題について私は、再検討が必要だと思うのですが、これは要望も含めてでございますが、とにかくこれは、何年計画とかそういう年次計画を立てた場合に、これは農林省だけではありません、建設省もしかりでありますが、非常に総花的で、先ほども意見出ましたが、総花的で、非常にこれによって弊害が起きる、あるいはまた、かえってそれがその地域の支障になるという問題があるのですよ。少なくとも計画というものは、重点的に年次計画を立てて——特に、この漁港の場合は、そういう形にならなければ危険じゃありませんか。道路であれば、年次計画によって、今期はこの予算でこれはこれだけしか進まないと、来年度はこの予算でこれだけ進めるんだということで、若干道路の場合は、そういう形になりますけれども漁港というものは、中途はんぱで置かれたら、これこそ危険なんですよ。そういう点をやはり年次計画の中で、少なくとも総花じゃなくて、重点的に時期、時期という計画を持ってやるべきだと思いますが、今後その点にどう対処されますか。
  45. 太田康二

    政府委員太田康二君) 今回の漁港法の一部改正法律案の審議の過程におきまして、その点は諸先生方からたいへん指摘をいただいた点でございます。私どもといたしましては、事業実施にあたりましてまあ、大臣もお答えをされたわけでございますけれども公共事業につきましては、毎度その重点的、効率的な実施、施行ということが強く言われておりますので、そういったことは、私ども今後の実施にあたりまして十分念頭に置いてやってまいりたい。まあ基本はやはりわれわれの要望する額を確保することが必要でございますので、両々相まちまして、いま申し上げたような姿勢で取り進んでまいりたいと存じております。
  46. 向井長年

    ○向井長年君 これで終わります。とにかくわれわれは賛成法案ですから、これからの取り組みに真剣に、あるいはまた、財源措置も今後あわせてひとつ総力をあげて御検討をいただくことを強く要望いたしまして、私、質問終わります。
  47. 塚田大願

    ○塚田大願君 こめ水産三法につきましては、私が最後質問者になりましたが、ひとつ積極的な御答弁をお願いしたいと思います。  私がお聞きしたいと思っておりますのは、この白書にもございますし、それから各委員質疑の中でも出たのでありますが、今日、日本の漁業の発展という問題から見まして、沿岸漁業の問題というのは、やはり非常に私は重要な課題だろうと思うのです。ところが、白書を拝見し、また長官の御答弁をいろいろ聞いておりましても、やはりこの沿岸漁業の停滞の原因というものが、一つには公害による漁場条件の悪化、もう一つは地域開発等による漁場の喪失、こういうふうに白書でも指摘しているわけであります。  そこで、私はこの問題についてお聞きしたいと思うのですが、まず第一に、国内では公害による漁場喪失、悪化という問題でありますが、やはりこれは非常に楽観できない問題だろうと思うのです。そこで、私は具体的に質問をいたしますが、一つは秋田湾の汚染の問題であります。秋田湾地区は昭和四十一年に新産都市に指定されまして、それ以降次々に工場ができてまいりました。そのために公害が広がった、こういう状態でございます。しかも、昭和四十五年には新全総に基づく秋田湾地区の大規模工業開発構想というものが出されまして、四十五年には基礎調査が着手されました。この構想によりますと、湾内の埋め立てが五千ヘクタール、内陸において七千ヘクタールの工業用地と関連用地を確保する。ここに鉄鋼や石油、あるいはアルミ、合成繊維、造船、機械、各種の基幹産業を持ってくると、こういう構想で、いわば鹿島の臨海工業地帯の約三倍に当たる、こういうふうに言われているわけです。そこで問題が非常に出てきたわけでありますけれども、昨年十二月に試運転を開始いたしました東北製紙秋田工場、ここから出ますパルプ廃液によりまして非常に汚染がひどくなってきた。さらに、東北製紙の南の雄物川河口からは十條製紙の廃液が出てくる。これが男鹿半島一体までずっと汚染してきておるという問題が出ておりまして、地元の漁民の方々は、たいへん憂慮されていろいろ陳情されておりますけれども、水産庁としてはこの実情を知っていらっしゃると思うのですが、この公害による被害の実態をどういうふうにつかんでいらっしゃるか、あわせてこれに対する対策もお持ちでございましたら聞かしていただきたい。
  48. 太田康二

    政府委員太田康二君) 御指摘の秋田湾の臨海地域でございますが、これは新産都市に指定をされておりまして、従来からここには企業が進出いたしまして、現に帝国石油やあるいは十條製紙等が操業いたしておるのでございますが、それに加えまして、火力発電所あるいは亜鉛の製練所等が進出を見ておるようでございます。それと御指摘の東北製紙、これが昨年末から試験操業を開始しておるというふうに承知をいたしております。そこで、これらの東北製紙を含みますところの工場の排水によりまして秋田湾におきます漁場が最近急速に、漁場汚染が進むという傾向が見られるのでございまして、この地域におきましては大謀網あるいはシイラづけ、刺網等の沿岸漁業が行なわれておりまして、これに対する被害が憂慮されておるのでございます。  そこで、県といたしましては、御指摘の東北製紙との関係におきましては、県と市と会社との間でまあ近ごろどこでも企業が進出いたしますと、公害対策に関する協定書というものを交換して処置をいたしておるようでございますが、東北製紙との間にも、公害対策に関する協定書を交換しておるのでございまして、その中身といたしましては、水質汚濁防止法によりまして県条例できめておる基準よりも、きびしい規制を加えておるようでございます。たとえばBODにつきましては一〇〇PPM、CODにつきましては二〇〇PPMというような基準がきめられておるのでございまして、実際三月二十四日の排水調査の結果によりますと、CODはやはり基準よりも低くなっておりまして五〇PPM、SSは六〇PPM、実際に協定書では一三〇PPM以下ということになっておるようでございますが、それよりも低い実態を把握をいたしております。ただ、水質はあまり悪くなっていないようでございますが、悪臭が強くて一般市民から苦情がたいへん多く出ておるということを聞いております。  それから、工場自体の操業でございますが、昨年の十二月末から試験操業を開始したようでございますが、処理工程が不完全のため再三操業を中止し、現在まだフル稼動には至っていないというふうに承知をいたしております。排水は湾に直接排出されておるのでございますが、沖出し五百メートルぐらいまでは、やはり黄色に汚染されておるというような実態を承知をいたしております。  そこで、まあ県といたしましては、当然こういった実態にございますので本年五月に秋田県秋田船川水域漁場保全協同調査委員会というものを一応発足をさせまして、六月から同海域の調査を実施することにいたしております。これは具体的に申し上げますと、県、市、漁協がメンバーとなりまして、五月の下旬に秋田船川水域漁場保全協同調査委員会というものを発足いたしまして秋田湾の水域の水産生物環境保全調査、これを六月から実施をする。水産試験場の船、あるいは漁船の協力を得て月一回ないし三回、定点二十五点をとりまして水温、塩素量COD、PH、こういったものの調査をするような計画に相なっております。県自体もそういったことで十分対応の姿勢をおとりになっておりますので、われわれも十分県と連絡もとりますし、私どもの試験研究機関等もこれの指導に当たりまして、この水質汚濁の、何と申しますか、状況の把握につとめると共に、こういったことが水質汚濁が沿岸漁業への漁場の汚染につながらないように規制を進めてまいりたい、かように存じております。
  49. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまのお話ですと、県としてもいろいろ手を打っている、こういうお話でございましたが、地元の漁民の皆さんのお話を聞きますと、あの男鹿半島一帯の漁民の皆さんは、とにかく茶褐色をした、しかも非常にくさい汚水が沿岸に寄ってきて魚が寄りつかなくなってしまっている、こういうことを言っていらっしゃるわけです。で、現実に問題が起きているわけなんですが、そういう場合、この補償などというものは、どういうふうになっておるというふうにお考えでしょうか。
  50. 太田康二

    政府委員太田康二君) この秋田湾のケースで申し上げますと、かつて昭和三十六年に会社と漁協との間で協定が成立しまして、この当時はまだ公害問題というようなことがあまりうるさくはなかったと思うのでございますが、一応東北パルプあるいは帝国石油、東北肥料、日本石油、三菱金属、秋田の石油化学等々と関係漁協との間で協定が成立いたしまして、当時の金として漁業振興のための協力金ということで、千七百万円の支払いが両者の間で行なわれたということを承知いたしております。しかし、最近におきましてまた新しい企業の進出もございまして、これらに対応する対策といたしまして、先ほど申し上げたような措置も講ぜられておるわけでございますけれども、おそらくこういったところでは、複合汚染の形態になろうと思いますので、実際に先生が御指摘になりましたような被害が出てまいりますれば、それに伴いまして当然加害者が明らかな場合には、加害者と漁業協同組合との間で、それについての損害賠償の話し合いが行なわれる。もちろん話し合いによって解決することが一番望ましいわけでございまして、この際私どもといたしましては、県等を指導いたしまして、両者の話し合いが行なわれるように指導をしなければならぬというふうに考えております。そういったことで大体まあ解決をみている例が多いわけでございますけれども、事と次第によっては、あるいは民事上の争いになるということもあり得るわけでございますけれども、具体的にまだ私どもといたしまして、今回の東北製紙の進出によりまして被害がどの程度出たかという点につきましての実態につきましてまだ把握をいたしておりませんが、具体的にそういった問題が起こりますれば、過去の例等もあるわけでございますから、十分指導につとめまして、漁業者の被害を十分救済するための措置を講じてまいりたい、かように存じております。
  51. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまお話しがございました昭和三十六年の契約書でございますが、確かにおっしゃいますように県と市が仲裁、中に入りまして東北パルプ以下六社、それから一方は秋田市漁業協同組合以下六漁協の間に契約書ができまして、そうして総額一千七百万円の補償金といいますか、を出した。しかし、この契約書によりますと、補償金にはなっていないのですね。この千七百万円は漁業振興のための協力金として出す、まことに人を食った話なんですね。被害を与えて、そうして今度はそれに対する金を出すにあたって振興のための協力金と、こういうしかも、この金額にいたしましても千七百万円なんですね。いかに十年前といえども、あまりにもひど過ぎるんですね。しかも相手は六つの漁協です。で、要求も当時二億七百万円の要求が出たんですね。それに対してまあ二十分の一ですか、一千七百万円程度、まあ涙金みたいなもの、しかも、それを協力金と称して出しておる。さらに問題なのは、この千七百万円によって今後将来一切の漁業権を放棄すると書いてあるんですね。「漁業権を将来に亘って放棄するものとする。」、それから「許可漁業及び自由漁業に関する一切の請求権を永久に放棄する」、こういうふうに非常にはっきり言っているんですね。請求権も漁業権も将来永久にわたって放棄するんだと、それが千七百万円の漁業協力金でこれでいいんだと、こういう人を食った契約書なんですね。これがいかに公害問題がそれほど大きな問題にならなかった十年前といえども、この契約書そのものが非常に不当なものだということを私どもは感ずるんですね。で、つまり言いかえれば漁業権も放棄し、請求権も放棄したんだから、以後はその会社側の立場からいえば、一切どんな汚水を流しても何も文句なんか言わせないんだ、まあ流せば流しただけでいいんだという立場を会社側はこれによってとったと思うんです。こういう契約書に基づいて十年間やってきて、そしていまでは男鹿半島のほうまで汚水が広がって一あの男鹿半島というのは非常に優秀な漁場ですが、これが汚染されてきていると、これでは沿岸漁業が私は発展するはずがないと思うんですね。いかに水産庁ががんばっても、こういうことが野放しにされたんでは、これはどうにもならないだろうと私は考える。で、こういう例が——私、この契約書を見て実際びっくりしてしまったんですが、こういう例というのはほかにもあるんでしょうか。あったらひとつちょっと教えていただきたいと思います。
  52. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私ちょっと不勉強で、この具体的な契約の中身につきまして、漁業権を放棄したというところまでは承知をいたしていなかったのでございますが、御指摘のとおり許可漁業、自由漁業については、まあ協力金を出したんだから、今後異議を申し立てませんというようなことが、協定書の中身に書いてある。それもまあ従来まだ御指摘のとおり公害の問題がこれほどうるさくなかった時代に、こういうことで結局漁民のほうが黙らされてしまったというようなこともあろうかと思います。ただ、御承知のとおり水質汚濁防止法によりまして国が基準をきめ、さらに県といたしましては、条例でさらに国の上乗せ基準をきめております。したがいまして、具体的に共同調査委員会が発足いたしまして、今後調査をした結果、これらに違反をして、そのためにまた漁業被害が出ておるというようなことが明らかになりますれば、また別途の立場で補償要求もできるというふうに私は考えております。いま先生の御指摘になりましたように、会社との協定で漁業権を放棄したというようなことは、あまり私ども存じていないのでございまして、具体的にたとえば臨海工業地帯の埋め立て等に伴いまして漁業権が消滅して、その補償を得ておるというような事例がこれはまあ海岸埋め立て等に伴いましてかなりの数にのぼっておるということは承知をいたしております。
  53. 塚田大願

    ○塚田大願君 まず契約の問題について少しお聞きしたいんですが、とにかくこういう契約はおそらくあまり、いまも水産庁長官おっしゃったけれども、例はないんじゃないかと私も考えます。こんなめちゃくちゃな例がそうあってはならないわけでありますが、しかし、とにかくこういう契約が結ばれてしまったと、で、その結果、男鹿半島まで汚染されている状態なんですが、この男鹿半島というのは、たしか昨年きまりましたあの海洋水産資源開発促進法、これに基づきまして去る五月十九日に閣議で指定海域としてきまったあの沖ですね、秋田の沖、それに接近している地域、非常に水産庁としても重要な漁場だとお考えになっていると思うんですが、にもかかわらず、こういう契約でいまや男鹿半島一帯までが被害を受け始めている。こういう状態を見ましたときに、こういう契約そのものを私は、再検討する段階にきているんではないかと思うんです。で、まあ率直に言えば、端的に申し上げますればこういう契約書は、もう無効にして新しい協定を結ばせる、これがいま水産庁長官がおっしゃいました、新しい被害に対しては新しい補償を請求できるんだとおっしゃいましたが、そういうものとして理解してよろしゅうございますか。
  54. 太田康二

    政府委員太田康二君) 私どもいま少しく県と連絡をとりまして、実態の調査もしなければならないと思いますが、実際に県が水質汚濁防止法によって各工場の排水規制をいたしておるわけでございまして、排水口につきましても当然BODとかCODとか調査をいたしておるわけでございます。これらにつきましては、私どもの国がきめております基準よりもきびしい上乗せ基準を県の条例できめておりますので、これが確保されているかどうかなお十分調査をし、さらに確保されておっても、実際に被害をあるんだというようなことが明確になりますれば、その段階におきまして当然また新しい観点からの問題提起ということはあろうかと思います。いずれにいたしましても、いま少しく私ども時間を拝借いたしまして、県とも連絡をとりまして実態の解明に当たりたい、かように存じております。
  55. 塚田大願

    ○塚田大願君 環境庁にちょっとお伺いしたいんですが、いまも長官から水質汚濁防止法の基準の話が出まして、県としては相当きびしくやっているというお話でしたが、しかし、この個々の排出規制ではたしてこういうものが解決できるのかどうか、工場ことに——一つやったって、ほかの工場がわあっと出してくれば、これはもう全体として汚濁がひどくなってくるわけなんですが、そういう点で排水の総量規制というようなことはできないものかどうか、その辺は環境庁としては、どんなふうにお考えでしょうか。
  56. 山中正実

    説明員(山中正実君) 先生指摘の総量規制の問題でございますけれども、まず一応個々の工場ごとに排水基準というのはきまっておりますものですから、そういう意味からいいますと、総量規制と若干意味が違ってきて、一工場、たとえば東北製紙だけを規制しているわけではございませんでして、当然十条製紙以下各工場についてやはり排水規制の基準値というのがございますから、そういう意味で複合汚染的なものも、一応規制の対象になるということになるわけでございます。現実問題といたしまして、この秋田港につきましては、県が環境基準、いわゆる水質汚濁にかかわる環境基準で海域にかかわるB類型というのを一応当てはめております。そうしますと、B類型はCODといたしますと三PPM以下ということになっておりますから、当然その三PPM以下に保つために各社の排水規制というのを、先ほど水産庁の長官からも御説明がありましたように一応上乗せし、排水基準というよりきびしい基準でやっていくわけでございます。ただ、国の一律基準といいますものは一応総量、いま量的規制というものに非常になじみにくいわけでございまして、会社の規模あるいは会社の営業形態によりまして若干ずつ水質が変わってくるものでございますから、各社別にそういうふうな総量を割り当てるということは、非常にむずかしゅうございますので、現在、われわれといたしましては、排水量とそれから水質という二本立てで規制すべく現在検討中でございます。  それから、先生指摘の、一応そういうふうな環境に対する汚濁の負荷総量でございますが、これは一応われわれ環境容量と考えておりますけれども、そういうことで、そういうふうなあるAという海域なら海域につきましてどの程度の汚濁が許容されるか。つまり逆に言いますと、そこに立地しております各企業あるいは下水道等から負荷される総負荷量について、どういうふうな規制をかけていけばいいかというのを現在、環境容量としてとらえまして検討中でございます。  以上でございます。
  57. 塚田大願

    ○塚田大願君 この公害規制の問題がなかなかやっぱりむずかしいと、まあ問題はそこにも一つあると思うんですが、この東北製紙の場合ですね。これは水産庁長官にお聞きするんですが、この工場をつくるときにこの関係者、漁業関係者には事前に何の相談もしてなかったというんですね、公害防止の問題については。相当漁民の皆さん、漁協は要望を出したようですけれども、とにかく説明一つも開かれなかったと、この東北製紙の設置の場合ですね。そしてまあ工場が開かれたと、で、まあ県としては相当規制をきびしくやっているといっても、結果としては、いま言ったような状態なんで、そこでやっぱりいろいろ考えてきますと、根本的な解決策が一体ないのかという問題です。その点で私どもは、やはりこれは一たびその工場がくれば、当然それはもういろいろ汚水も流すし、公害も出す。しかし、それをほんとうにいま十分に規制するだけのものがないということになれば、そもそも論としてそういう大規模の工業開発を、そういう優秀な漁場の近くに持ってくるということをやめる以外には私は、ないというふうに考えるんですが、一体水産庁としては、そういう臨海工業開発というものについてどんなふうにお考えですか。
  58. 太田康二

    政府委員太田康二君) まあ政府全体といたしまして、たとえば新全総計画等を立てまして臨海工業基地の建設というようなことの仕事を進めておるのでございますが、たとえば具体的な秋田湾の問題に関しまして、まあ私どもといたしまして新産都市の指定を受け、ここに工業が進出するというようなことにもなったわけでございます。その際まあ、どういった企業が進出するか。それによって漁業がどういう影響を受けるかという点につきまして、県当局が十分関係漁民にこれらの事業の内容につきまして周知徹底せしめなかったというような点は、はなはだ遺憾に存ずるわけでございまして、私ども水産を担当するものといたしましては、まあ水産部局等がそういった面につきましては、積極的に漁民等にその旨を周知させるべきであるというふうに考えるものでございます。ただ、全般として、最近全総計画も含めまして全体として国の経済の高度成長による公害を伴う企業誘致というような点につきましては、自治体自身もかなり反省もしておられるようでございますし、私どもといたしましても企業が、何と申しますか誘致される場合にも、公害のない企業、しかも御指摘のとおり、われわれが非常に漁場として価値の高いような沿岸海域にそういった仏業が進出する。そしてそれが漁場汚染につながり、漁業の生産力の低下につながるということは、ゆゆしい問題でもあるわけでございますので、まあ私ども先般、各県の水産の公害担当官を集めまして、公害問題に対する取り組み方の会議を二日間持ったわけでございますけれども、私どもの立場だけで全部が全部ものを申すわけにもまいらぬわけでございますけれども、基本的にはいま言ったような考え方でこういった問題に取り組んでまいりたい、かように存じております。
  59. 塚田大願

    ○塚田大願君 長官のお気持ちはよくわかりますが、では水産庁が公害対策にどれだけの、具体的にどれだけ取っ組んでおられるかという問題になりますと、聞くところによれば、水産庁の公害担当の公害班というのは六人だというふうに私は聞いております。もちろん人間の数だけ多いからいいというものではないだろうと思いますけれども、六人の公害班ではたしてそういった、いま言ったような秋田湾の問題はもちろんのこと、その他全国至るところに公害問題が起きているわけですけれども、そういう問題が処理できるとはちょっと考えられないわけですね。  そこで、やっぱり私はこれはまあ先ほど予算の問題が出ましたけれども、水産庁としてもやはりこういう部門の強化をひとつはかっていただいて、積極的にひとつこの沿岸漁業の振興と発展というようなものについて努力される必要があるのじゃないかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  60. 太田康二

    政府委員太田康二君) 水産にとりまして公害問題がたいへん大きな問題であるということの認識は、十分持っておるのでございますが、たまたま公害に取り組んでおる姿勢が、まだ弱過ぎるという御指摘につきましては、確かにそのとおりであろうというふうに考えます。まあ、私どもといたしまして公害のために漁場が汚染され、それが漁業の生産性の低下につながるということは、沿岸漁業の振興を一方で口に叫びながら、実際には沿岸漁業の生産が停滞をしておるというような実態は、まさに公害によるものというふうに考えておりますので、まあ、たまたま一昨年の国会で十四のたしか公害立法もできましたし、私どもといたしましては、いま以上公害が進行することを防ぐ、このための法律の厳正な運用、あるいは水質汚濁状況の監視、測定に万全を期する。これはもちろん県にお願いしなければならぬわけでございますけれども、県の水産関係の公害の担当者の方々に、こういった面での御協力を仰ぐと同時に、私どもといたしましては、現在の予算が非常にわずかで恐縮なんでございますが、公害の汚染によりまして漁場の低下したものにつきましては、すみやかにその漁場の生産力の回復をはかる事業を実施する、これに対する助成をするというようなことを考えております。  なお、機構的にも私ども水産庁全体の機構の問題のあり方ということが検討しなければならぬ段階にきておりますので、その際、公害につきましてどういうふうに取り組むかというふうな点につきましては、最重点を置いて考えてまいりたい、かように存じております。
  61. 塚田大願

    ○塚田大願君 では、次に、もう一つお聞きしたいわけです。  それは最初指摘いたしました第二の問題でありますが、地域開発等による漁場の喪失の問題、つまり具体的にいえば、埋め立ての問題であります。この埋め立ての問題も、今日非常に総合開発などが進んでいる中で問題が起きていると思うのでありますが、一体その実情がどうなっておるかをお聞かせ願いたいのです。つまり、最近のこの埋め立てなどによる漁場の喪失の面積が一体どのくらいあるのか。また、そのために影響を受けた漁民がどのぐらいいるのか。さらには、それによる生産減がどのぐらいになっておるのか、あるいは漁民への補償がどうなっておるか。こういう幾つかの問題についてお聞かせ願いたいと思うのです。
  62. 太田康二

    政府委員太田康二君) 埋め立てによる漁場喪失の問題でございますが、最近、臨海工業基地の建設等によりまして埋め立てが行なわれており、それによりまして漁業権が放棄され、埋め立てが実行されるということがあるわけでございますけれども、ちょっと資料が古くて恐縮でございますが、私ども第四次の漁業センサスというのを昭和四十三年に実施いたしておりまして、これによりまして、昭和三十八年から昭和四十二年までの間におきますところの漁業権放棄、あるいは埋め立て」実行の数字を把握をいたしております。  これによりますと、漁業権の放棄の面積が二百五十八平方キロメートル。ここに関係いたします共同漁業権に対する割合といたしましては、面積比率で申し上げますと、〇・二一%ということに相なっております。それに伴います埋め立ての実行の面積でございますが、これも三十八年から四十二年の五カ年間におきまして、埋め立てされました面積が二百十六平方キロメートル。共同漁業権に対する割合といたしましては、〇・一七%、こういうことに相なっております。  なお、最近におきましても、私ども埋め立て等が進行いたしまして、かなりの進度で漁業権の放棄、あるいは埋め立ての実行がされておるというふうに考えておりますが、全体的にどれくらいの面積になっておるかというようなことにつきましては、センサスの際に正確な数字がわかるわけでございまして、最近の数字等につきましては、まだ整理をいたしておりませんが、三十八年から四十二年の実態について申し上げますと、いま言ったような状況に相なっておるものでございます。
  63. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまお話しございました第四次漁業センサス、これは私も拝見をいたしましたんですが、少し古いですよ、四十三年までのことですから。ですから、最近、ごく最近の実態、むしろ最近こそ非常に総合開発や、臨海工業地帯のあれが進んでおるのでして、その点で、もう少し実態の把握をしていただかなければならないと思うんですが、話を少し具体的に進めたいと思うんです。  一つの問題は、函館の埋め立ての問題であります。いま函館は、昭和四十六年の六月、函館市、上磯町、大野町、七飯町、亀田町の一市四町によって、函館圏総合開発計画というものができたわけです。これによって、いま、問題が起きているわけですが、この計画の中心は、七重浜−矢不来間、約六百ヘクタールを埋め立て、造成をする。そうしてここにいろんな機械その他の、あるいは石油化学、火力発電などを誘致して、大臨海工業地帯を造成するという計画なんですが、ところが、これはいま、函館港のこの地域〔図を示す〕です。いまの函館はここですが、新しく線引きをいたしまして、ここまでがいまの函館ですが、線引きをして、ここまで更改線を引きまして、これを、ここに六百ヘクタールの埋め立てをする、こういう計画なんですが、この埋め立て計画に対しましては、地元の漁協がもう猛反対をしているわけです。大体上磯町の三つの漁協組合は、函館湾拡張埋め立て反対期成会というものをつくりまして、しょっちゅう陳情や、デモンストレーションをやると、こういうことなんですが、しかし、事実は、着々としていま計画が進んでおる。地元の漁民の皆さんが反対しているにかかわらず、計画はどんどん進められておる、こういうことなんです。  そこで、お聞きしたいんですが、公有水面埋立法によりますと、漁業権者——埋め立てなどの場合には、漁業権者の同意が必要となっているはずであります。ところが、現実は、そういうふうな状態で、どんどん計画は進められておるというこの実態でございますが、私どもは、当然漁民が、漁業権者が反対をすれば、この法律によって埋め立てはできないものだというふうに考えるのですけれども、その点はどうでしょうか。
  64. 太田康二

    政府委員太田康二君) それは私どももそのとおりだというふうに理解をいたしております。
  65. 塚田大願

    ○塚田大願君 ところが——水産庁の長官のお話し、まことにそのものずばりで、私どもも非常に意を強くするのですけれども、全くそのとおりだと思うのです。ところが、現実は、三菱系グループが中心になりまして、そうして函館市が、いわゆる新全総に基づく北海道総合開発計画、さらに函館圏総合開発基本計画というものをきめまして、そうしていろいろ、買収の話まで、補償の話まで持ち込んで、何とか漁民の、地元の皆さんを説得しようとしてはかっておるのですが、しかし、私どもが調べたところによりますと、この漁場は、非常に優秀な漁場でございまして、たとえばアカガイにつきましては、北海道内でわずか二カ所の生産地の一つだそうでありますし、また、ホタテガイの生産も、渡島支庁管内十八市町村のうち、海岸線を持っている十五市町村のホタテガイの生産高合計が三億四千万円ぐらいのうち、この上磯漁業だけでもその半分以上、一億八千万円ぐらいを占めているというところです。したがって、この町の漁獲総生産高も、四十五年度には一億九千万円であったものが、四十六年度には約二倍にふえまして、三億二千万円にまで伸びておるということで、出かせぎに行った若い衆が、もうみんな帰って来て、そうしてもう出かせぎよりも漁業のほうが有利だというので、たいへん地元では漁業の発展のために力を尽くしている。そうしてまた、研究なども非常に熱心で、現在地マキだけでやっているけれども、今度は、将来は海を立体的に利用して、下は地マキ、上は養殖をするというふうな、そういう計画まで持ってたいへん意欲的にやっておられる、こういうところであるだけに、とにかくこういう埋め立てに対しましては、地元の方々も猛反対をやっておる、こういう実態でございます。  そこで、私どもにも請願がきたわけですが、こういうふうに漁民があくまでも漁業を守ってやっていきたいという場合に、市やそれから、まあ道も含めてでありますけれども、あるいは大資本、大会社が何とかしてここに埋め立てをしようという不当なことを言ってきているわけであります。私どもは、これはどうしてもあくまでも漁業権者である地元の方々が反対している以上、国としても沿岸漁業の発展ということがうたわれておるこの段階におきまして、やはり積極的に私は介入して、こういう不当な臨海工業地帯の造成というものはやめさせるべきではないかと思っておりますが、その点については水産庁長官、どんなふうにお考えでしょうか。
  66. 太田康二

    政府委員太田康二君) ただいまお尋ねの函館圏の総合開発の計画でございますが、これは昭和四十五年七月十日に閣議決定を見ました第三期の北海道総合開発計画の一環として計画されたものであるというふうに承知をいたしております。そして、これが函館市が中心となりまして函館圏の総合開発のために、御指摘のとおり函館港内の一部、第一期工事としまして、矢不来工業用地ということで約五百十ヘクタールを埋め立てて臨海工業地帯を造成する、こういう事業のようでございます。この点につきましては、先生からも何回もお話しのございましたように、現在、事業施行者でございますところの函館市、あるいは運輸省も一部あるようでございますが、それと会社等もあるようでございますが、これらの事業施行者と埋め立て地区に当たりますところの上磯町管内の三つの漁協、この漁協との間で漁業補償についての話し合いが行なわれておりますが、いま御指摘のとおり、漁業者が反対をしてなかなかその話し合いもついていない、こういう状況にあるわけでございます。公有水面埋立法によりますれば、権利者の同意がなければ免許がおろせないということが明らかにされておりますので、その間の問題があるのでございますが、私どもといたしましては、計画それ自体がすでに閣議決定という大きな線によってきまったことでもございますので、実際の具体的計画の進行過程におきまして、やはり何といたしましても埋め立てが実行されるということ、それに伴いましてやはり、もしそれを実施する場合には、当然漁業者の十分納得の上で事業が進められなければならない、そのためには十分な補償もしなければならないということを基本の姿勢といたしておるのでございまして、漁業権がここではいま御指摘のとおり、共同漁業権、あるいは区画漁業権、一部定置漁業もあるようでございまして、なかなかその補償問題というのは、問題の解決は容易ではなかろうと思うのでございます。地元の漁民の方々の気持ちもよくわかるわけでございますけど、一方におきましてすでに計画も決定されておって、その具体化の段階で話し合いが行き詰まっておるということでございます。  私どもといたしまして、地元北海道あるいは函館市、こういった事業の指導に当たるもの、あるいは事業を直接担当するもの、これらにつきましていま申し上げたようなことを十分理解をせしめた上で、事業着手する場合には、十分地元との話し合い、特に漁業者との話し合いで、納得を得た上でなければ実行できないことはもちろんでございますけれども、その点につきましての指導を強くしてまいりたいと、かように存じております。
  67. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま、閣議決定もされているのだから、あとはまあ十分地元の方々の納得を得るように補償その他の問題について話し合いをしたい、こういうお話しでございましたけれども地元の方に聞きますとね、とにかくこれは先祖から譲られた漁場なんで、とにかくこれはもう渡すわけにはいかない。それはその町中あげての反対なんですね。しかも確かに国の政策から考えてみましても、こういう優秀な漁場をむやみやたらにつぶすということは、決して国益に沿うわけではございませんし、かりに閣議決定をされておりましても、やはり実情に沿わないような場合には、私は計画を変えさしても、決してふしぎではないと思っておるわけです。閣議決定されたときには、そんなことが予想されたわけではないでしょうから。ところが現実には、そういうふうにとにかく地元の方々が納得しない、現にいま三十億くらいの補償金の話が出ているそうですけれども、問題にしないそうです、地元の方が。三十億といえば、かなりの金額だと思いますけれども、もう全然問題にしない。そのくらい非常に強い執念を持って反対をされておるわけでありますから、私は国の政策の立場から考えてみましても、この問題は再検討する必要があろうかと思うのです。  が、とにかく事態がここまできましたのには、一つ原因があると思うのです。それは計画そのものが、計画の立案そのものの段階において地元の方々にほとんど何の打診もしていない、ここに一つのやはり根本的な欠陥が計画の中にあったと思うのですね。ですから、この函館の場合も、一応計画には三十八名の審議委員の方がおられるそうですけれども、この三十八名のうち漁民の代表というのはたった一名だというのですね。ですから漁民の声なんか何も反映されない、で、そして総合開発計画というものが立てられる、こういう状態なんです。そして、いまのような事態になってしまった。  ですから、やはり問題は、一つには計画の決定以前に漁民の皆さんの意向を十分に聞くということが、やはりこれは民主主義の一つの原則だろうと思います。また、事実こういう余分なトラブルを起こす必要はないわけでございますから、そうあるべきだと思うのですが、そこで水産庁にお尋ねしたいと思うのですが、とにかく今後地域開発計画をお立てになって埋め立てをする、そして漁場が喪失されるというふうなことが考えられました場合、計画決定前に関係する漁民の同意を要するというふうな問題を、いま申し上げました問題をひとつ制度化していく必要があるんじゃないか、最低限通達くらいはお出しになって、その辺を明確にしておく、これがないからこういう事態が、片一方じゃどんどん計画が進む、片一方じゃ猛烈に反対をする、こういうむだが出ると思うので、そういう点については、どんなふうにお考えか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  68. 太田康二

    政府委員太田康二君) 現行法の公有水面埋立法によりますれば、いま申し上げましたように、都道府県知事は権利者の同意がなければ埋め立て免許ができないわけでございますので、法制的にはその限りにおいて実行は確保されておるだろうと思います。なお漁港区域についての埋め立てというような場合には、これは農林大臣にも同意を得ることになっておりまして、一件一件私のほうに同意を求めてきております。その際、私どもはそれに伴いまして漁業権の喪失等が伴いますケースにつきまして、正式に漁業権の放棄が適法に行なわれているかどうか、あるいは補償が適当になされておるかどうかというような点についての精査をいたしまして、同意すべきものは同意をいたしていくというような実態でございます。しかし、法律的にはそういうふうな制度ができておりましても、実行面におきまして、先生指摘のような問題もあろうかと思いますので、そういった点につきましては、何と申しましても関係者の同意を得なければ仕事がスムーズに進まないわけでございますから、たとえば審議会等の場が設けられる場合に、漁民代表を数多く加えるとかいうような形で、十分漁業者の意向が反映されて、漁業との調整が行なわれた上で事業が進むと申しますか、行なわれるように持ってまいりたいと、かように存じております。
  69. 塚田大願

    ○塚田大願君 たいへん積極的な、前向きなお話しで、私もそういうふうな姿勢をひとつぜひ貫いてやっぱり水産庁、農林省は農民、漁民サイドで問題を提起していただく必要があろうかと思うんです。確かに通産省その他の圧力というものが相当あろうかと推測できるんですけれども、しかし、全体の国の経済の発展、農林水産の振興ということを考えてみました場合には、やはりその辺ははっきりものを言っていただく必要があろうかと思うんです。赤城農林大臣は、きのうの本会議で米価の問題につきまして、たいへん積極的なお話しをされまして、野党から拍手が起きましたけれども、まあ水産関係でも私は、やはりあのくらいの姿勢でずばりものを言っていただく必要がある。こうやってどんどん埋め立てをされたり、公害をどんどん流されたりして、決してこれは目先の高度成長ということから見ればどうか知りませんけれども、全体の日本の経済の発展から見れば、決していいことではないのでして、国の将来を考えるならば、当然積極的にやっていただきたいと思うのですが、その一点、ひとつ大臣の最後の御所見をお聞きして、きょうは時間が切れましたので私の質問終わりたいと思います。
  70. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 水産等につきましても、ほんとうに公害等が出てきまして、先ほどから話を聞いていましたが、十年前などとはだいぶ違ってきております。でございますので、その公害に対する賠償という消極的な方面ばかりじゃなく、その点などにつきましても私は契約上からいっても、情勢の変化というものがありまして、情勢の変化に対してはそのとき結んだ契約など変えていかなくちゃならぬ、こういう態度で情勢の変化に応じた補償、賠償などもせなくちゃならぬし、それから、消極的な方面でございますが、そういうものをなくするということに相当力を入れなくちゃならぬし、そうしてまたそういう消極面を除去して、また漁業の振興ということに積極的に力を入れなくちゃならぬ、こういうように思います。でありますので、いろいろ御意見等は拝聴いたしまして、非常に私も賛成でございます。また、その方向についても塚田さんの御意見のように積極的にやっていきたい、こう思います。
  71. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 他に発言もなければ三案に対する質疑は、終局したものと認めます。  なお、討論、採決は後日に譲ることにいたします。
  72. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取します。赤城農林大臣。
  73. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員の福利厚生の向上と農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善を見てまいりました。  しかしながら、年金財政の状況を見ますと、給与水準の変動、制度改正等により所要財源率について相当程度の増高を見るに至っておりますが、現行の掛け金率は、他の共済組合制度に比べ高い実態にありますので、農林漁業団体及び組合員の負担能力等を考慮いたしまして、掛け金率の引き上げは回避することとし、このため、国庫補助率の引き上げその他所要の措置を講ずることとした次第であります。  一方既裁定年金につきましては、最近の物価上昇等の現状にかんがみ、その額を改定して、給付の内容につきさらに改善をはかることとしたのであります。  次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。  第一は、農林漁業団体職員共済組合法の一部改正であります。農林漁業団体職員共済組合の掛け金負担の増高を避けるため、給付に要する費用に対する国の補助率を一六%から一八%に引き上げるとともに、通算年金制度の定着により任意継続組合員制度の役割りが軽減されてきている実情等を勘案して、昭和四十七年十月一日以後に組合員となる者は任意継続組合員となることができないこととしております。  第二は、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部改正であります。昭和四十五年三月までに給付事由の生じた既裁定の年金について、昭和四十七年十月以後、その年金の計算の基礎となっている平均標準給与を一〇・一%引き上げることにより年金額を改定することとしております。さらに、退職年金等の最低保障額の引き上げを行なうとともに、その特例となる高齢者の範囲を拡大することとしております。  以上がこの法律案の理由と主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願いいたします。
  74. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔午後零時四十八分速記中止〕   〔午後一時六分速記開始〕
  75. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 速記を起こしてください。  次に、本案は衆議院において修正されておりますので、修正部分の説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長代理三ッ林弥太郎君。
  76. 三ツ林弥太郎

    衆議院議員(三ッ林弥太郎君) 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正の趣旨を御説明申し上げます。  修正の第一点は、本法の施行期日のうち、給付に要する費用に対する国の補助率にかかるものについては、昭和四十七年四月一日となっておりますが、この期日はすでに経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めますとともに、昭和四十七年度予算にかかる国の補助金については、これを四月一日に遡及して適用することにしております。  修正の第二点は、社団法人全国農業共済協会、社団法人中央畜産会及び社団法人中央酪農会議の職員の年金について、本共済組合加入前の厚生年金被保険者期間のうち、当該法人の職員であった期間に限定し、その期間をも組合員期間とみなし、これを通算する特例措置を設けることとしております。  すなわち、各法人の本共済組合適用日の前日において厚生年金保険の被保険者であった者で、適用日に組合員となった者が昭和四十七年十月一日まで引き続き組合員であり、各法人がこれに該当する者の二分の一以上の同意を得て昭和四十七年十月三十一日までに本共済組合に申し出をし、かつ組合員期間とみなされる期間のうち、昭和三十四年一月から各法人の適用日の属する月の前月までの期間について、その者が組合員であったものとみなした場合に納付すべきであった掛け金の額から、その者についての厚生年金保険料の額を控除した額に、これに対する利子相当額を加算した額を納付金として本共済組合に納付した場合に限って特例措置として通算を認めることとしております。  なお、この場合の納付金については、法人及び組合員の折半負担とし、納付金については所得税法等の特例措置として社会保険料とみなし、これを控除することとしております。  また、本修正と関連し、厚生保険特別会計の積み立て金のうち、組合員期間に合算されることとなった職員の厚生年金保険の被保険者であった期間にかかるものについては、昭和四十七年十月一日から二年以内に同特別会計から本共済組合に交付するものとしたほか、組合員となった日以後に厚生年金保険の第四種被保険者であった期間を持つ者については、厚生年金保険の被保険者でなかったものとみなし、第四種被保険者として納付した保険料の額にこれに対する利子相当額を加算して得た額の合計額に相当する金額を厚生保険特別会計からその者に還付するものとしております。  その他所要の規定の整備を行なうこととしております。  以上が、衆議院農林水産委員会において修正を加えた点であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。
  77. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に、補足説明を聴取します。内村農政局長。
  78. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べたところでありますが、所要財源率の処理に関し若干ふえんして申し上げます。  農林漁業団体職員共済組合の掛け金率は、原則として五年ごとに実施する所要財源率再計算の結果に基づいて定めることといたしておりまして、現行の掛け金率は千分の九十六となっておりますが、昭和四十五年に所要財源率を再計算いたしましたところ約千分の十六増加することとなりました。  しかしながら、現行の掛け金率が他の共済組合に比べて高い実態にあることから、農林漁業団体及び組合員の負担能力等を考慮いたしまして、給付に要する費用に対する国の補助率の引き上げ、任意継続組合員制度の適用の制限、財源調整費補助の確保及び利差益の一部の充当を行なうことによりこの増加分を処理し、掛け金の引き上げを回避することとした次第であります。  次に法律案の内容について御説明申し上げます。  第一条は、農林漁業団体職員共済組合法の一部改正であります。  このうち、第十七条の改正規定は、任意継続組合員となることができる者の範囲を制限しようとするものでありまして、昭和四十七年十月一日以後に組合員の資格を取得する者は、任意継続組合員となることができないこととしております。  次に、第二十条の改正規定は、最近の農林漁業団体職員の給与の実態にかんがみ、掛け金及び給付の算定の基礎となる標準給与の下限を引き上げようとするものでありまして、現行の一万二千円を一万八千円に引き上げることとしております。  また、第六十二条の改正規定は、農林漁業団体職員共済組合の給付に要する費用に対する国の補助率を二八%から一八%に引き上げることとしたものであります。  第二条は、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律の一部改正であります。  まず、第一条の四、第二条の五及び第二条の六の規定は、既裁定年金の額の改定でありまして、昭和四十五年三月末日までに給付事由の生じた年金につきまして、現に給付を受けている年金の算定の基礎となっている平均標準給与の年額等を一〇・一%引き上げることにより年金額を増額することとしております。この場合、その算定額よりも、その給付事由が生じた当時の年金算定の基礎となった平均標準給与の年額等に別表第五にあります二・〇三七から一・一〇一までの率を乗じた額を用いて算定した年金額の方が多い場合には、その多い方の額に改定することとしております。なお、この場合の平均標準給与の年額等の最高限度額につきましても改善をはかることとし、従来の最高限度額を一〇・一%引き上げ、いわゆる頭打ち制限を緩和いたしております。  次に第三条の三の規定は、既裁定年金の最低保障額の引き上げであります。退職年金及び障害年金につきましては現行の九万六千円を十一万四百円に、遺族年金につきましては現行の四万八千円を五万五千二百円にそれぞれ引き上げることとしております。  また、高齢者等についての最低保障額の特例につきましても、退職年金及び障害年金については現行の十二万円を十三万四千四百円に、遺族年金については現行の六万円を六万七千二百円に、それぞれ引き上げるとともに、その対象範囲を従来の七十歳以上の者から六十五歳以上の者に拡大することとしております。  さらに、従来の最低保障額につきましては、組合員期間が二十年に満たない者の遺族年金については適用がないものとされておりましたが、これを組合員期間が十年以上の者で組合員である間に死亡した者の遺族についても適用することといたしましたので、いわゆる旧法遺族年金の一万九千円という低額年金は、大幅に改善されることになります。  なお、これらの最低保障額の引き上げは既裁定年金のみならず、今年の新規裁定年金についても適用することといたしておりまして附則の改正はこのためのものであります。  最後に、第三条及び第四条は、第二条の措置に関連して規定の整備を行なうとともに、いわゆる旧法の通算退職年金についても、昭和四十六年度における年金の額の引き上げの措置と同様の改善をはかろうとするものであります。  以上がこの法律案のおもな内容でありまして、この法律の施行期日は、補助率の引き上げに関する部分を除き、昭和四十七年十月一日といたしております。  なお、この法律案に対しまして、先ほど説明がありましたように、衆議院において修正が行なわれまして、補助率の引き上げに関する部分の施行期日につきましては、これを公布の日から施行し、同年四月一日から適用することとされるとともに、社団法人全国農業共済協会等の職員の厚生年金保険の被保険者期間を通算する特別措置に関する規定が追加されたことを申し添えます。  以上をもちましてこの法律案の提案理由の補足説明といたします。
  79. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時十五分散会