○川村清一君 それは部長さんの御答弁ですが、ちょっと納得できないんですよ。私の知っておる漁港で、
昭和二十三年に
農林省指定の漁港があり
ます。これ現在まだ工事をやっており
ます。これはあなた二十三年に着工してまだやっており
ます。それはどういうことかというと、いろいろな問題があるわけです。それで、一次でできなくて二次にかかる、二次をやっているうちにまた
条件が変わって第三次に移る。第三次をやっているうちにまた
条件が変わって第四次に移行する、こういうことがあり
ますから、私はわかり
ますけれ
ども、しかし、それが理由にはならないんです。むしろ長くかかっていることもその理由をつくるわけです。私はそう思い
ます。いいですか、いまこの漁港の必要度があって漁港をつくってくださいということをお願いする。よし、ではつくってやろうというわけで指定をして、そうして着工したとし
ます。そうすると、この必要度というものは、現在の漁港の実態の中から必要が出てくるわけですよ。そうすると、やはり現実の
条件に合った漁港なんですよ。ところが、これが何年かたっているうちにこの
条件が変わってくる。
条件が変わってくるから、この漁港では間に合わないということで、計画変更して次の整備計画に乗っていく、こうなっていくわけですけれ
ども、これはわかるんですよ。わかるけれ
ども、ここから十年、十五年たったときに、十年前と十五年前では
条件がすっかり変わっており
ますよ。漁港を取り巻く漁村の
状態というものが、
漁業の実態というものが、いわゆる資源にしても変わってくるし、
漁業構造が変わってくるんです。無動力船が動力船に変わっていった、あるいは漁船の大型化といったようなことで、この規模では合わないという
条件が出てくるんですね。それからもう
一つは、内地のことはよく存じませんが、北海道あたりたくさんあるんですが、漂砂によって砂が入って、早くつくってしまえば砂取りできるわけですよ。それをケーソン
一つか二つ入れて、そうして、そのくらいの仕事しかしないんですから、一年間にケーソン
一つか二つ入れてやめてしまうんですから、全部できるまでに十年も十五年もかかるのは、初めからそのしかけになっておる。五年ででき上がるなんて、そんな計画なんか私、知らないですよ。できたのを見たことがないんですよ。そうし
ますと、砂はどんどん入って、砂入り間になってしまう そういうようなことで長引けば長引くほどその漁村の
状態、
漁業の構造が変わり
ますから、どうしても計画変更していく。計画変更してすぐまた効率的に金をかければいいんですが、かけないものだから、これは
ますます長引いていく。二十年たってもまだできない。こういうようなことになっているんですね。どうですか、こういうのはありませんか。ぼくは全国的にあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。ですから、ぼくの言いたいことは、もう少し整備計画を立てるときに、
漁業動向の推移というものを見て、それに対処して漁港の規模、事業計画等を立てるにあたっては、部長のおっしゃっておるように年次内に必ず完成するというような、そういう
考え方でずっと計画を立てて
実施すべきだと、そうして漁港予算はもっと効率的に使うべきだ、長引いたためにむだな金をずいぶん使って
ますよ。先ほど申し上げましたように、砂が入ってどうにもならぬ、また砂を出す、こういうようなことを繰り返す。ちょうどさいの川原の石積みみたいなことをやっているところがたくさんあり
ますよ。なぜ、こういうようなことになっているかということですよ。それはあまりに漁港の配備というものが総花式なんです。この地図をごらんなさい。これは北海道あたりでもそうですからね。北海道の渡島、檜山のこの地帯あたりは
一つの町に漁港が五つも六つもあるわけだ、五分も車で行くと漁港があるわけだ。また行くと漁港があるわけだ。これ全国的に見ても、こっちのほうは私は現地に行ったことはないからわかりませんけれ
ども、この地図の配置とわが北海道の配置と比べてみると、北海道でもそうなんだからここなんかもつともっとひどいのではないか、車で三分も行けば漁港があるのじゃないか。これは長い歴史がたってい
ますから、こっちのほうはできていると思うが、こんなことでできるはずがないでしょう。そこで私が一港をつくるのに一体どのくらいお金がかかり
ますかと聞くと、何か警戒をしてもたもたして言われない。たとえば二億とし
ますから、二億のお金をかけなければできない港を
一つの計画の中で四百も五百も持って、これを四年間でやり
ます、五年間でやり
ますといっても、やれるようなしかけじゃないでしょう。だから、もっと合理的な計画を立てて、この計画の中ではこの港この港は必ず完成するのだと、よけいな、ほかのほうはちょっとがまんしてくれというくらいでやっちゃう、そうして次の計画では、またこのやつを完全に仕上げるというような漁港行政というものができないものかどうかということを私はここで
指摘したいのですよ。お金ばかりかけたって、ちょびりちょびりつけたって何年たってもできないでしょう。第一次の整備計画に載ったのが第四次の整備計画に残っておってまだできないという港がたくさんあるのでしょう。そうして先ほどの
お話しによると二千七百のうち全然手をつけてないのは三百もある、こんなばかばかしいことがあり
ますかどうですか。
農林省が指定した漁港が二千七百ある。その二千七百のうちまだ何にも手をつけていない、ケーソン一本できてないのが約三百あるというのです。そうすると、
漁民の方々は指定されているのですから、
農林省漁港として地図の上に載っているわけですから、一体うちの漁港はいつできるのだろうと、何年たってもできないということになると、
政府に対する不信感が非常に強く出てくるのじゃないですか。こんなにたくさん
一つの原因として、ぼくははっきりいいたいことは漁港行政というものが政治力に振り回されているからだ。道南のほうに行ったら何々代議士の漁港というものがたくさんあるのですよ。私は、何々代議士の漁港もいいのだ、できておれば。できない、十年たったって十五年たったってできていない、ケーソンが三つか四つ並んでおって、これが何々代議士の漁港だと、選挙になるとおれがつくってやると胸を張って歩くものだからみんなが当てにする、そしてあの
先生に頼んでやろうというわけです。なるほど
農林省が指定してくれた指定してくれたって、先ほど申し上げましたように子供のおもちゃを買ってくるようなわけにいかぬのですよ。
一つの漁港つくるのに億の単位の金がかかるのですから、
一つの町村に五つも六つもあってこれが全部できるといってできっこないでしょう。ですから、
漁業構造改善、漁村の構造改善、こういう観点から漁港行政というものを根本的に改むべきじゃないかと、ぼくはそう思い
ますけれ
ども、これは
水産庁の長官並びに赤城農林大臣の御意見を私はお聞きしたいのです。