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政府委員(
太田康二君) PCBの問題につきましては、
先ほど厚生省のほうから御答弁があったわけでございますけれ
ども、最近、PCBの分析方法につきまして、厚生省の統一的な分析方法が確立いたしましたので、国の試験研究機関それぞれ分担いたしまして、現在資料を収集いたしまして、その分析に当たっておるわけでございまして、私のほうも魚介藻類につきまして、一般
汚染水域あるいは
生産工場の周辺、主要工場の周辺水域あるいは
対象水域等をそれぞれ定めまして、個々の検体につきましての分析をいたしておるところでございます。
なお、アメリカで定められておる五PPMなるものがどういろ性格のものかということにつきましては、私さだかでないわけでございますけれ
ども、PCBの学者先生の話によりますと、
日本人はアメリカ人に比べますと、魚の摂取量が三倍近くあるから、やはり五PPMではいけないんで、もっと
基準はきびしくすべきであるというような御意見もあるようでございます。私、前に畜産局長をやっておりましたときに、牛乳中の
汚染の問題で
基準がきめられまして、BHCのガンマBHC、べーターBHCについての
基準が定められたわけでございますけれ
ども、あの場合には、たとえば体重何キログラムの人が一日どのくらいの量をとって、一生飲み続けた場合に有害なんだというような
基準があったようでございますが、今回の五PPMというのは、必ずしもそういうのではないようでございます。しかし、いずれにいたしましても、
基準値というものが、いまお話しのように近く定められることになっておりまして、その場合に私
どもといたしましては、一つは、食生活の安全の確保ということが第一でございますから、これは当然その点を
考えなければならない。しかし同時に、たいへんむずかしい問題でございますけれ
ども、いたずらに不安を惹起させないという二つの面に十分配慮しながら対策を
検討しなければならないだろうというふうに思っております。
そこで、そのような分野としてどういうものが
考えられるかという問題でございますが、やはり消費者の食生活の安全をいかにして確保するかと、
先ほどの米の例ではございませんが、場合によりましては地域を
指定をして、そこで魚の個々に実はPCBを検査するわけにもまいりませんし、一つごとに検査するのはかなりの金もかかりますし、時間もかかるようでございますので、そういうこともできないわけでございますので、その辺がたいへんむずかしいわけですが、やはりある程度
漁業の
規制というようなものもやらなければならぬ場面も出てくるかと思います。そうなりますと、食生活の安全は確保されるということになりますが、それによる
漁業者の被害があるわけでございますので、これをいかに緩和するかということでございます。この点につきましては、
先ほど来申し上げておりますように、原因者が明らかな場合には原因者から損害賠償を請求するというようなことも可能であろうかと思いますが、PCB
汚染がどういう経路を通って魚に蓄積されたかというような問題の解明はむずかしいと思いますので、なかなか困難かと思いますが、やはり
漁業者の受ける影響は企業が負担するとか、あるいは国が場合によっては負担しなければならぬ場面もあろうかと思いますが、そういったことを
検討しなければならない。
それからもう一つは、やはりそこで
漁業の
生産活動を続けたいというような方もあろうかと思いますので、そういった場合には、
汚染された
漁場をどういうふうに復旧するか、実はこの点につきましても、PCBはなかなかむずかしい処理を要するようでございまして、はたして、しゅんせつをすればいいのか客土をすればいいのかというようなこともございます。これらの点につきましては、私
どももPCBの
専門の学者に接しまして、どういった処理の方法をしたらよろしいかというようなこともお尋ねをすることにいたしております。まあ、いずれにいたしましても、そういったことを私
どもは
検討をしなければならないということで、部内にPCBの対策の研究会をつくりまして、いま言ったような点につきましての有効適切な
措置を
考えておるのでございます。いずれにいたしましても、近く食品衛生調査会のほうで、主として医学の見地からの立場から、暫定
基準値というものが定まることになると思います。それが定まりますれば、その定まり方いかんにもよるわけでございますけれ
ども、そういった見地から、私
どもといたしましては、一方において調査を進めると同時に、その対策のあり方につきまして、せっかく
検討をいたしておるという段階でございます。