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1972-04-20 第68回国会 参議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 亀井 善彰君                 園田 清充君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委員                 梶木 又三君                 小林 国司君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 星野 重次君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 工藤 良平君                 辻  一彦君                 向井 長年君                 塚田 大願君                 中村 登美君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        農林政務次官   佐藤  隆君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君    説明員        農林省農林経済        局保険管理課長  板野 権二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○委員派遣承認要求に関する件 ○土地改良法の一部を改正する法律案(第六十五  回国会内閣提出、第六十八回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 宮崎正義

    宮崎正義君 政府のほうから何か言うことがないのかな、質問の前に言うことがあるはずだよ。
  4. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 昨日宮崎委員質問にお答えいたしました中に、試験実施における連合会収支についての数字、それぞれ赤黒ともに六、七千万円ということを概算で申し上げましたが、二カ年の実績果樹種類別だけでなしに、三割、五割の方式別にそれぞれの連合会段階計算をいたしました。二カ年間同じ組合赤字黒字がある場合がございますので、それをその勘定ごとに相殺するという操作をいたしまして、集計をし直しましたところ、二カ年間で黒字になりました勘定合計が四千三百万、二カ年間で赤字になりました勘定合計が四千六百万という数字になりましたので、あらためてこの数字を申し上げたいと思います。
  5. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま改められて報告がし直されました。これは無理ないことだと思います。あのときには、その場所計算をきれたんですから、やむを得なかった処置だと思いますが、少なくともこの委員会開会になるのに、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案というものを上程するときには、それぐらいの用意があっていいはずです。質問されて、そしてその場所であわくって計算して、そしてそれがまた、違っておりましたと言って訂正しなければならないような姿勢というのは、私はあまりかんばしくないと思います。  なお、私は、この資料委員長にもお願いして皆さんにもということを言っておりましたんですが、「果樹保険連合会別過不足額」の資料皆さんのお手元のほうにお配りになったでしょうか。もしなければ、またあとでもお配り願えればいいと思います。なぜかと言いますと、これが一番大事なことになってくるわけです。事業を今日まで試験的にやっておりまして、そしてその成果が四十四年、四十五年、四十六年——事実上は四十六年もわかっているはずだと思うんです、事実上決算の面からいけば。四十七年はこれは無理でありましょう。ですから、言うならば、四十六年までがほしいぐらいの私はつもりなんですが、これはいま無理だと思いますので申し上げませんけれども、資料をいただきまして、たいへんお骨折りだと思いますが、そこで四十四年と四十五年の累積の報告なんでございます。  御存じのように、四十四年というのは、これはもう申し上げるまでもなく赤字でざいます。四十五年がじゃどのような処置——掛金等処置かなにかざれたりして、その引き上げをきれたかどうかわかりませんけれども、いずれにしましても、四十四年と四十五年を分離して御報告を願いたいと思うんです。つけ加えるならば、三割方式と五割方式別々に報告を願いたいと思います。
  6. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 四十四年の三割方式黒字になりました勘定合計は、千十二万六千円でございます。それから四十四年の三割方式赤字になりましたほうの勘定合計が三千百三十三万円。これに対しまして、四十五年には三割方式黒字になりましたものの合計が三千二百十五万。それから四十五年に三割方式赤字になりましたものの合計が二千四百六十六万円でございます。  それから五割方式でございますが、四十四年産五割方式の場合に黒字になりました勘定合計が八百五十六万、赤字になりました勘定合計が八百四十三万。四十五年産につきましては、五割方式黒字になりましたものの合計が千七百三十一万、赤字合計が四百九十三万ということになります。
  7. 宮崎正義

    宮崎正義君 一昨日の御答弁の中で、私、聞き間違えたかどうかよくわからないのですが、この試験実施期制度——四十八年に本法が施行になりまして、この試験実施期を引き継ぐときに、私がお伺いしたそのときの答弁では、たしか三割はそのまま継承していく、それから五割の分は試験実施期終了の四十七年で打ちとめるというふうに私は聞いたのですが、それはどうなんでしょう。
  8. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 臨時措置法は明年の三月末で制度としてはなくなりますので、臨時措置法にかかわる勘定は、それぞれ四十七年度引き受けたものの経理が終わった段階で閉じる考えでございます。それをそれぞれ三割方式、五割方式ごと経理区分をして経理します。  一昨日の申し上げ方が確かに二つのことを一緒くたに申し上げたような形で、非常に間違った表現になったかと思いますが、もう一ぺん整理して申し上げますと、三割方式も五割方式も、旧法によるものは、それで四十七年引き受けのものを経理し終わるもので終わるという形になるわけであります。そのほかに四十八年度から新たに新法に基づく勘定を起こすということになります。  それから、そのほかに、ちょっとまぎらわしいことを申し上げましたのは、実は新たにできますものは三割方式であるということから、新たにできますものに引き継がれるのに三割方式のものは矛盾なくいくだろうということをちょっと含んで申し上げたので、そこは言い方としては不正確で、それぞれ三割方式も五割方式旧法のものは旧法のものとして四十七年引き受けるというところで、あと残務整理、そのほかに新年度から三割方式の新しい勘定が起こされるということになります。
  9. 宮崎正義

    宮崎正義君 その点よくわかりました。  そこで、いま示されました赤字でございますね、組合連合会赤字でございますが、これはどんなふうになっていくんでしょうか、四十七年までの終了段階でどんなふうになるんでしょうか。
  10. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) あとまだ実施が続くわけでございますので、それぞれの勘定ごと収支がどのように推移いたしますか、これは経過を見ないとわかりませんが、それぞれの勘定ごとにその残高は存続することになります。
  11. 宮崎正義

    宮崎正義君 残高は存続するということになりますと、その残高が四十八年から本法が施行される中に入っていく、そういう意味でよろしいんですか。
  12. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 試験実施終了いたしましたものの残務整理が済みました段階で自動的に消滅するということでなくて、それぞれ新しい勘定に引き継ぐという行為が必要なわけですが、その際に、黒字になりましたもの、赤字になりましたものにつきましてそれぞれ新勘定に引き継ぐ措置が必要なわけです。ただ、その場合に赤字を直ちにその場で処理しなければならないかどうか、それが本勘定のほうで何年かやっていって十分の蓄積ができた段階試験実施の中の赤字を消す、具体的な操作をして消すという場合もあり得る、それから、そこまでいく間は、たとえば赤字の場合に赤字のものが別経理されて勘定として存続することがある、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  13. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、農民の側から考えてみますと、掛け金を納めています。さらに終わりまで納めていきますね。それが赤字になったと仮定して、赤字になったまま今度は本法のほうでその間に打ち切られて清算されるか、あるいはまた、いまの答弁によりますと、存続をしていくような形になるものもあるやもわからないという答弁でしたが、そうなりますと、今度はまた四十八年度から農家の方は、一生懸命に掛け金をしていくわけです、この掛け金の今度は問題になってくるわけです。この試験実施掛け金は、単年度でやったものなのか、あるいは四十三、四十四、四十五、四十六、四十七年の五年間の長期掛け金をやったものなのか、この点どうなんですか。
  14. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 掛け金は毎年これを支払う形になります。ただ、掛け金算定の基礎になる料率考え方は、三十八年以降の平均を元にして料率算定した。しかし、毎年毎年共済にかけるわけでございますから毎年掛け金支払い、五ヵ年分を支払うという形ではございません。
  15. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、四十四年の掛け金と四十五年の掛け金、これは引き上げられたようなことはございませんか。
  16. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 四十五年に料率改定をいたしております。
  17. 宮崎正義

    宮崎正義君 ということは。
  18. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 一昨日も申し上げましたけれども、試験実施でございますので、試験実施過程において随時料率改定をいたしてまいったわけであります。それから新しい本格実施になりました場合も、最終的にはやや長期的に安定した料率算定になることを期待しておりますが、当初はやはり比較的ひんぱんにこれを改定していくという形で臨むつもりでおります。
  19. 宮崎正義

    宮崎正義君 引き上げられたわけですね。
  20. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 引き上げがございました。
  21. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、赤字を埋めるために農家の人はこの引き上げられた額でまた納めなければならないということになるんですね。その赤字が解決するまで引き上げられてくるというふうに考え——当然いまの御答弁だとそうなるのじゃないかと思うんですけれども。
  22. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) どこまでも被害発生態様料率という形で反映させるために実態をつかむことが本質でございまして、過去の赤字を消すための料率改定ということは考えておりません。
  23. 宮崎正義

    宮崎正義君 事実上そういうことになってしまうんですね。それは試験実施期間ですから、それはやむを得ないと思います。やむを得ないというと語弊がありますけれども、そうあきらめるべきものではございませんけれども、試験実施期間なんですから多少のことはあってもいいと思うんですが、先ほどの御答弁で、最初のうちは何というんですか、一年に二回とか二年に二回とか三年に三回とかまだいろいろありましょう。試験実施段階ではどんなふうにこれからも考えていこうとするのか、まだこれからするわけですね。四十七年というと事実上四十八年まで及んでいくわけですか、どういうことなんですか、四十七年はどうする。
  24. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 試験実施としての引き受けは、四十七年度で終わるわけであります。四十七年度料率を変える考えはございません。
  25. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは四十六年まででしょうね。四十六年、四十七年で二回またやるのかどうなのかということを聞いているわけです。二年に二回やるのかどうなのかということを聞いているんです。
  26. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 試験実施過程で六カ月の平均で申し上げますと、たとえば三割方式で四十三年が二二八、四十四年が二・〇九、四十五年が二・七二、四十六年が二・八一という形で改定をいたしております。
  27. 宮崎正義

    宮崎正義君 事実上四十七年に入るわけですね、四十七年はどんなふうになるんでしょうか、予測ですか。
  28. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 四十七年につきましては、実績を見て検討することにいたしております。
  29. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、いまのお話だと四十五年二・七二、四十六年二・八一というようにこの料率引き上げというものはそれによって操作をして、そうして事業形態をスムーズに持っていこう、こういうようなお考えなんですね。
  30. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 試験実施段階でできるだけ妥当な掛け金率を見出すように努力いたしてまいる考えでございます。
  31. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは大事な問題なんです。これはまた本法のほうでも非常に論議をされてくることになると思うのです。これが本法のほうでは、改正案が、百二十条の七の十一号ですか、四年ごと料率改定するというふうになっているのですか、どうなんですか。
  32. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 原則として四年ごと改定ということになっております。
  33. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、過去の試験実績に基づきますと、毎年毎年やってきているという形になっておりますね。これでいいんでしょうか。これが心配です。四年ごと料率を改正するということで、このままでは、頭打ちされればこれは問題ございませんけれども、当然日本の気象状態とか、あるいはいろんな問題等相当条件が変わってくると思うのです。その試験のときに毎年毎年料率のやり方を違えてまいって、今度本法では四年ごと料率改定するということになりますと、ちょっと無理じゃないでしょうか。
  34. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 試験実施は、先ほど申しましたように、掛け金率の正しい姿を求めるということも試験一つの目的でありますから、これを累次改定してまいったわけでございます。これを実績を踏まえまして本格実施に移行するわけでございますので、本法のたてまえとしては、原則として四年に一回の改定というのを想定いたしておりますが、附則で、当初移行の時期にはもう少し小刻みの改定ができるということで、一昨日申しましたように、二年に一ぺんの改定を予定いたしておるわけでございます。
  35. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうすると、この本法百二十条の七の十一号の四年ごと料率というものを改定するという、その根拠ですね、四年ごとという法の根拠
  36. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 収穫量そのものあるいは被害発生態様、これはやはり農業技術進歩等と関連するわけでございますので、そうした実勢をできるだけ反映させるということ。しかし、年々これが変わるということでは、制度としての安定を欠きますので、これを従来水稲等では三年ということでやってまいっております。果樹で四年と考えましたのは、一つの要素は、果樹には、実は樹種にもよりますけれども、俗にいう表年裏年という現象が事実上あるようでございます。なかなか学問的に確認はできないのでございますが、統計的に振り返ってみますと、明らかにそういう形があります。そういうことを考えますと、過去の直近の期間をとるという場合には、複数のほうがよろしいのではないかということで四年ということで考えたわけでございます。また途中で、附則で、それぞれその規定にかかわる昭和五十年と五十二年、当初は二年おきに改定するということをうたいましたときも、二年というふうに考えたわけでございます。
  37. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほどお答えがありました、二年ごとに二回の料率改定ということも必要であればやるということで、その点は了解をいたしますが、今度はこの掛け金契約ということになりますとどういうことになるのでしょうか。
  38. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) ちょっと御質問趣旨がわかりにくいのですが。
  39. 宮崎正義

    宮崎正義君 単年度料率契約とするのか長期契約とするのか。
  40. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 契約は常に単年度でございます。
  41. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、四年と単年度のいき方を、一応は料率を四年ごとにやっていくことにし、そして二年で二回やることにしておいて、今度は掛け金のほうは毎年々々掛け金を取るということになるわけですね。
  42. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) さようでございます。これは毎年年産ごと共済に付するか付さないかということの自由が制度的には生産者側にある。実際には、組合運営として会員と十分話し合いまして継続的にそうすることを指導いたしますが、理論上は単年度契約でございます。
  43. 宮崎正義

    宮崎正義君 それはわかるのです、私にも。いろいろな情勢というものがどんどんどんどん刻々変化しておりますから、固定された掛け金等では、そのまま推し進めていくということはなかなか困難だと思いますが、いずれにしましても、納めるほうの、掛け金をしていくほうの側、試験実施期間における掛け金の率というのは、先ほどのこの率でまいりましたですね。今度は心配なのは、本法が施行されるようになってから非常な違いがあるのですね。二・一八とか〇・〇九とか、まあ四十五年、四十六年になってくると大体落ち着いているみたいなんですが、果樹というのはそうたいして——ときおり大きな被害を受けるので、長年の安定ベースを今日までの歴史をたどってきてもわりあいとってきておりますので、一応うなずけるのですね。非常にでこぼこがあるということから考えまして、非常に心配するのは、毎年変動があるのだあるのだと言いながら、当初四年までの料率というものを頭に入れておいたものが変わってくるというような危惧を、あまりにも変化いたしますと持つわけです。そういうことになることを私は心配して申し上げておるわけなんです。その点はどうなんでしょうか。
  44. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 確かに四年先のことまで予測できないということもあろうかと思いますが、これはやはり共済制度は、生産者が相集まって互いに助け合うという趣旨での共済ということでございまして、組合がそのまま自己負担で動くという趣旨ではございません。そうではございませんで、共済組合経理がどのように推移するかということは、共済組合会員であり、これに参加している生産者の共通の利害であるわけであります。これには掛け金の二分の一の国庫負担、あるいは支払いにあたっての異常部分については九五%を国が持つという二重の助成があった上でのことでございますが、しかし、生産者としての負担部分があるわけでございます。その部分について実績を追いながら共済運営が円滑にいくような形に随時修正してまいるということは、いわばこの制度一つの初めからの考え方ではないかというふうに思います。ただ、大幅な国庫助成と最終的には国が異常部分については九五%を再保険という形で国がかぶるということで、根底は担保してございますが、自己負担部分については、そこに一つ保険の論理が貫徹されなければならないということで、掛け金率につきましても一定の形での改定ということが行なわれるわけであります。ただ先ほど申し上げましたように、それはどこまでも相談の上でそれがきめられているわけでございますが、一度きめたら運命的に四年間掛け金を継続して払わなければならないという制度ではございませんので、指導上の問題は別として、制度的には単年度ごと共済にかけるかかけないかということの判断を生産者がするというたてまえの制度になっておるわけでございます。
  45. 宮崎正義

    宮崎正義君 異常部分とか政府の九五%という問題は、またあとでやっていきますけれども、もう一つ考えられることは、いま単年契約ですと、当然この制度の上からいっても、それはあたりまえだというふうに思います。確かに樹園移動があるはずです。樹園移動があるはずです。これなんかどんなふうにお考えになっていますか。どんなふうな移動があるか。私がちょっとヒントを与えますと、一類のものが二類に変わっていくようなこともありますでしょう。それからまた、さらには大きく樹園そのもの移動していくというようなこともあると思いますがね。こんなようなことで、この四年というものと単年制掛け金というものとの考え方を……。
  46. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 掛け金率は、おのずから設計が固まってまいりますれば、一定年間安定いたすほうがよろしいと思いますが、共済に付しますほうは、いま御指摘のように、具体的にこれを見てまいりますと、たとえば樹体共済等につきまして樹齢別に当然掛け金が変わってまいるはずのものでございます。したがいまして、年々継続して共済に付して、組合としてはきわめて円満にずつとっき合ってまいりましても、ある年度になりますと樹齢の面で一こま高いところに樹園が移るということもございましょう。あるいは一昨日お話がございましたが、いまのところでは幼木対象にしておりませんが、幼木樹齢に入っていよいよことしから共済対象になるということで、その年から面積をふやして共済に付するということもございましょうし、それから御指摘のように、果樹でございますから場合によると、高つぎその他の手法で従来のある品種がある年から分類が変わるという特殊なものもございます。したがいまして、そういう際にこれをあらためて組み直して組合に申請するというようなこともございます。やはり花芽の形成期から収穫期までという期間責任期間として毎年契約を更新するというのが、果樹園芸実態から見ても適当な方法ではないかと考えるわけでございます。
  47. 宮崎正義

    宮崎正義君 話はちょっと違いますけれども、その掛け金をかける場合に、収穫期掛け金をかけるようにしてもらえば、農家は非常に助かるわけなんです。この点どうお考えでございますか。
  48. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 収穫共済にかけるわけでございますから、収穫を見届けてから掛け金を払うというわけにはまいりません。ただ、営農の実態から見て組合との間で、これは組合運営の問題になるわけでございますけれども、付保契約が確立して、一部の掛け金を支払う、あと組合との間の約定に基づいて分割払いということをやることはあり得ますけれども、収穫共済収穫を見届けてから掛け金を払うという形は制度として適当ではないというふうに考えます。
  49. 宮崎正義

    宮崎正義君 確かにそういうことはわかるのですが、出すほうになってみますと、農家のほうの側になりますと、四月ごろその掛け金をしなければならないわけですね。運営上の問題にもなってくると思いますけれども、やはりその立場もやはり考えてあげて、いまのような組合でいろいろな措置をとってあげるようにすることもやっておるというようなお話もありましたものですから、それが指導上うまくいけるようにやはり指導はしていかなきゃいけないと思いますね。私はそう思うのです。だから、その国の立場でいえば、収穫期になってでき上がってから金をとるわけにはいかないよと、こうそれっきり木で鼻をくくったみたいにぽんとこう言い捨てるよりも、先ほどの答弁の中の組合自体の中の技術的な操作、そういうものに力を入れてあげるような指導、育成というものをやりながら、この制度呼びかけをしていかなければいけないのじゃないか、こう思うのです。
  50. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 決しておことばを返すつもりはございませんが、いわば共済といっても保険制度でございますから、やはりあらかじめ将来の危険を担保するために契約をして保険にかけるということでございますので、掛け金が先に支払われるという原則は、これは絶対曲げられないと思うのです。ただ、農業実態から見て、現金収入があり支払い能力が出てくる時期が年間限られているということが、月給取りなんかの場合と違うわけでございますから、その意味で組合運営上、先ほど申しましたように、契約果樹の場合にはちょっと農作物と違いまして時期が少し重複するわけです。花芽の形成期から収穫期までということでいいますと、翌年の契約収穫期の前に花芽の形成が始まるわけですから、そこで契約の当初に全額払わなければいけないというふうに押し切りますと、前の年の共済にかけましたくだものが、たとえば円満に収穫期になって現金収入があるというその時期の少し前に翌年の共済についての掛け金を全額払わなければいかぬかどうかという問題が起こってくるわけでございます。そこで、先ほど申しましたように、契約が成立して一定のまず内払いをして、で、その意味からいえば前年産のもの、目下収穫期に入ったもの、それの収穫が完了した段階で最終的な払いをするというようなことを組合運営上やることができるということを申し上げたのでございまして、どこまでもやはり共済保険でございますから、いわば保険事故が起こった段階で、支払い金と掛け金を相殺するような形が起こることは最も慎むべきことでございまして、その点は御了解いただきたいと思います。
  51. 宮崎正義

    宮崎正義君 その点はわかりました。そうしてその果樹保険臨時措置法が今日までやられてきておるのであります。その掛け金率も年々と変わってきております。くだものをつくるという関係性あるいは需給の関係性等もありますが、農家試験台にされるようなことがあってはならないと思うのです。おわかりにならないでしょうか、私の申し上げる意味が。そのような運営のしかた、運び方では私はいけないのじゃないかと思うのです。したがって、先ほどお話がありましたように、国の場合の赤字は国がこれはやりますけれども、組合とか連合会の場合の赤字というようなことになりますと、これはどんなふうに、この臨時措置法の終わった段階のかりに赤字がそのままあらわれてきたということになったらば、組合とか連合会はどんなふうな指導処置のあり方というものを設けていくかということを伺ってみたいと思います。
  52. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) まあ農家試験台になってはいかぬという御趣旨は、私はわかります。ただ、この制度についての沿革を振り返ってみますと、実は三割足切り五割足切りというような形ではおそらくあまり共済金をもらうことがないのじゃないかというような御主張が、むしろ初期の段階には非常に激しかったわけでございます。一割か二割のところで払ってくれるというような制度であれば、あるいはそのかけました掛け金と実験期間中に生産者が受け取るであろうものとがバランス……。しかし、三割とか、五割ということではほとんどもらう機会はない。そこで、もし余ったらどうするんだ、試験ということでやっていて、余ったらどうするんだという議論は、この試験実施の発足のころには激しくあったわけです。実際にやりました経過は、一昨日来いろいろ御指摘に応じて申し上げておりますように、当初の二カ年分で、先ほども申し上げましたように、赤字赤字というと何か赤字のようですが、赤になりました勘定合計と、黒になりました勘定合計は、ほぼバランスしておるわけですね。ですから、あらゆる勘定が全部赤字、あるいはあらゆる勘定が全部黒字というようなことはございませんで、自然災害でございますので、試験実施いたしましたもののそれぞれ樹種別に、三割別、五割別にそれぞれ別経理したもので、たくさんの勘定があるわけです。その勘定ごとに洗ってみますと、二年間で赤字になっておるものの合計黒字になっておるものの合計が、ほぼ四千万円ずつでバランスしておるわけでございます。しかも、これらの試験実施をいたします背景には、一昨日も申しましたように、五、六億の国庫負担をいたしておるわけです。ことに四十四年等の異常災害に対しましては巨額の国費を再保険という形で支払っておるということでございまして、国が約六億円の再保険の支出負担をいたしまして、ある連合会は実は四千万円程度の黒字を持っておる。それから、ある連合会は四千万円程度の赤字を分担しておる、こういう形でございます。しかも、これからまたさらに、三年分の実績が積み重なって、それぞれの勘定ごとにいかように推移するかということを見きわめるわけでございますけれども、これはいずれも新たな制度を創設するため、その趣旨に賛同していただいて始まった仕事でございます。しかも今回も新たな制度をしようという形になってまいりまして御提案申し上げておりますが、関係の連合会もすべて試験実施に参加いたしましたものは、新たな制度に参加したいという意思を現に表明いたしております。したがいまして、この時点で申し上げられますことは、ほんとうは赤字黒字ともに新しい制度に移行していただいたらどうであろうかというのが私の率直な感じでございます。ただ、ものごとには経過がございまして、先ほど申しましたように、初期の段階で三割赤字、五割赤字ということではたぶん掛け捨てになるんじゃないかということが非常に強く言われましたこととの関連で、もし試験実施段階で黒が出ましたら、関係者が希望するなら、むしろ無事戻しという仕組みを活用して環元したらどうかという議論が当時ございました。そのことについての質疑応答も本委員会で行なわれておるというような記録も、私、承知いたしております。したがいまして、その辺は最終的に試験実施黒字で帳じりができました勘定についての処理は、関係者がそのように意図するなら、これを生産者に無事戻しということで環元するという指導をするべきではないか。これはそういうことだから、安心して参加しろということを過去に言ったとすれば、それはそれを尊重しなきゃいかぬ。ただ、たまたま残ります若干の赤字は、いま申しましたように、大部分のものを国の再保険でこなし終わったあとの、しかも経過的な赤字である。これは保険の理論上、長期間にわたっていま申しましたように、わずか三年の実験でも黒字になるものと赤字になるものが、ほぼ同数になっておるような形でございます。それぞれの組合ごとに将来に向かってその赤字が解消する機会が十分あるわけでございます。そういう形で本件を処理すべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  53. 宮崎正義

    宮崎正義君 局長のおっしゃること、よくわかるんです。そのとおりだと思います。しかし、いだたいたこのデータから見ていきましても、いまお話がありましたように、全くの赤字のままでこられてきている県があるわけです。ずっと勘定してきましても半分以上、みんな赤なんです。で、差し引き金額といいましても、わずか三百万ぐらいのことだからと、こうおっしゃいますけれども、これは相対的にそう見ればそうかもわかりません。県別に見ていきますと、相当な赤字をかかえた連合会、これは容易じゃないと思います。やはり最悪の事態のことを考えながらいい方法を考えて、もちろん、私どもも考えなきゃならぬと思うのです。だから、私が悪いほうへ悪いほうへ話を持っていっているわけですね。悪いほう、悪いほうというのは、いつ何どきそんなふうになるかわからない。このごろの天候を見ましても、この三日間ばかり夏みたいに暑くて、そうかと思うと、その前は冬服じゃなきゃならないみたいに、まるで気象状況をつかまえてみても、これはほんとうに不確定。したがって、こういう面から考えていって悪い面を考えていきますと、赤ばかりの県の名前を言ってもよろしゅうございますけれども、皆さんがデータをお持ちになれば、私は、何も内容のことを申し上げなくても済むわけですけれども、ですから、あとでやはりみんな先生方の関係しているところの地域の連合会組合等があるんですから、よく実態を見ていただいて、やはり論議すべきことは論議していかなければいけないと思います。保険制度そのものの考え方というものはわかります。ですから、やはり実態の面から取り上げていって、今度はよくするために私も申し上げているわけです。決してこの制度が悪いなんとかいうのじゃありませんし、これをよくするためには最善な考え方に基づいてよくしていくということが私の考えなんです。  そこで、私の気になるのは、農災法の九十二条なんです。共済金額の削減、第九十二条「共済金の支払に不足を生ずるときは、組合等は、命令の定めるところにより、共済金額を削減することができる。」、こうなっております。この趣旨の御説明をお願いいたしたいと思います。
  54. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 共済制度では、先ほども申しましたように、異常な被害が起こりまして巨額の支払いを必要といたしますような場合には、国が最終的に再保険という形で処理することになっておりますので、大筋においては国の肩入れによって制度が運行するように設定されております。しかし、組合がやはりモラルリスクと申しますか、保険にかかわる一つの自主性の確保と、これはモラルリスクの回避という意味で、一定の部分をいわば自まかないで持つということが制度のたてまえになっております。それは農業実態から見て、できるだけ自まかない分が少ないように配慮はいたしてございますけれども、とにかくあるわけです。したがいまして、その自まかない分を処理する責任があるわけでございますが、その際に、異常な災害の場合には、その自まかない分が当該組合の手持ちの準備金の額等との見合いで負担が過重になるというふうに認められます場合に、必要やむを得ざる場合に限って支払い金額の一部を削減することを認める、こういう制度でございます。なお、ちなみにこの削減は実行上はきわめてわずかしか行なわれておりません。現在、共済連合会はそれぞれ相当の法定の積み立て金並びに自主的な積み立て金を保有いたしまして制度運営の基礎がやや固まってまいっております。削減の手段に訴えることはできるだけないように指導いたしておるわけでございます。
  55. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、それは当然だと思うのです。心配しておりますのは、先ほどから論議をしておりまする組合なり、連合会なりの赤字をかかえたまま、このまま入っていきますと、この事項が心配されてくるわけなんですが、その点どうなんでしょうか。本法との結びつきで試験実施との関係から生じてくるものに対する考え方……。
  56. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 先ほども申し上げましたように、これは全勘定試験実施に関係した三割、五割、六樹種ということで分けますと、ずいぶんたくさんの勘定になりますけれども、この全勘定が赤であるとか全勘定が黒であるということになると、むしろ保険設計はおかしかったということになるはずでございます。おおむね同数といいますか、おおむね同額の赤と黒が短期的に見ると出ておるということは、これはむしろ保険に乗り得る仕組みであるということは、試験実施過程の中からにじみ出ているというふうに実は、私は見ております。したがいまして、この赤はいわゆる経営の不始末とか、あるいは設計の不備に伴う赤字の累積という赤ではございませんで、何年かで長期的にバランスさせるという趣旨での自然災害に対処する制度としては、経過的にやむを得ない経理上の赤、黒の話であって、まあ、いわば固定負債というふうに観念する必要はないというふうに見ております。その点をまず御了解いただきたいというのが第一点。それから共済組合は、実は、それぞれの勘定ごと経理を明確にするということで、それぞれの仕事が混清しないように経理上はもちろん、明確に指導しておりますけれども、これは組合員が御承知のように、大体農家というのは、その地域でのいろいろな作物を皆さんでやっておるわけです。そういう組合員がつくっておる組織でございまして、それぞれの勘定ごとに積み立て金を保有し、最悪の場合には、相互の積み立て金の取りくずしということは、当然組合の総意で認められる仕組みになっております。で、そういう観点から見ましても、現在共済団体が全体として保有しております、まあいわば自己資金と申しますか、そういう積み立て金の額は相当巨額なものでございまして、これは水稲共済等を円満に遂行する過程で法定の積み立て金等をしてまいったわけでございます。  それから果樹につきましても先ほど申しましたように、半数の勘定は経過的に黒字で、半数の勘定は経過的に赤であるということでございますので、この問題の処理につきましては、通常の不良資産の処理という形で考えるよりは、むしろ経過的な経理の処理だということで考えてまいるのが適当であろうと思います。したがいまして、この分を消すために掛け金率を不当に上げる、あるいはこの分を消すために削減をするというようなことを認める筋合いではないというように考えております。
  57. 宮崎正義

    宮崎正義君 保険の性格からいっておっしゃっていることはわかるんですが、どこまでもこういう削減の事態がきた場合の過去の、さっきお話がありました過去にあったとか何とか、その事例と、それからもう一つは、基金がありますね。基金をどうして用いていくような、お互い国も、まあ農業団体等も一緒になって基金でなぜ補っていくような考え方をしないのかということなんですね。その二つの点……。
  58. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 最近二カ年の削減の実績を申し上げますと、水稲の例で申し上げますと、昭和四十四年度産には支払うべき共済金額として算定されましたものが二百四億八千四百万円でございます。これに対しまして削減の規定を発動して削減いたしました金額が三千二百五十五万円で、率にいたしまして〇・一六%でございます。それから四十五年の水稲につきましては、支払うべき共済金額として算定されましたものが百二十五億六千九百万円。これに対しまして削減いたしましたものが千三百九十万円。〇・二%ということになっております。なお、比較的削減の多かったものは春の蚕繭で、四十四年に一・三八%ということでございますが、逆に家畜等では二カ年を通じて四十四年に〇・〇二、四十五年は全然ないというような形でございます。  それから第二点の基金との関係でございますが、御指摘のとおり、共済基金は、このような問題に対処するために、共済組合に対して資金を貸し付けるということが共済基金の一つの機能になっておりまして、共済基金を活用して削減を回避している例はたくさんあります。
  59. 宮崎正義

    宮崎正義君 まあ基金で借りれば、また借金するから、この考え方はまただいぶんいろんな論があるわけですけれども、いずれにしましても「命令の定めるところにより」というその「命令」というのは何を基準にしてのお話なんでしょうか。
  60. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 施行規則の第十九条に関係の規定がございますが、「共済金の支払に不足を生ずる場合には、次の各号に掲げる金額を合計して得た金額をその支払に充てなお不足を生ずる場合に限り、定款等の定めるところにより共済金額を削減することができる。」ということで、以下各号で先ほど申しておりますようないろいろな準備金、不足補てん金のことにつきましてそれそれ詳細に規定いたしてございまして、日ごろそういうことのために準備金を持つことをやっておりまして、それらのものを取りくずして、なおかつ不足があるという場合に、あらかじめ定めた定款の手続に基づいて共済組合等が行ない得る、こういうことでございます。
  61. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまお話にありました十九条ですね、十九条のこの二のところはどうなんですか。
  62. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 十九条の第一項二号ですか、二とおっしゃるのは。
  63. 宮崎正義

    宮崎正義君 ここには、十九条の二には変更はないんですか。
  64. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 十九条の二ですか。
  65. 宮崎正義

    宮崎正義君 はい。この説明がなかったのですが、これにも関係してくるんじゃないですか。
  66. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 今回の改正が成立いたしますれば、十九条の二の中に果樹に関する勘定というものを追加することになります。
  67. 宮崎正義

    宮崎正義君 省令で入ってくるわけなんですね、そういうことになりますね。
  68. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) はい。
  69. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、九十二条の先ほど来のお話なんですが、これはあくまでも指導が大事の面だと思います。この保険の性格からいって、ほかの保険制度もこの事項がみんなあるようでございます。ですから私はこれを削除しろとかなんとかというそういうことで申し上げているわけじゃなくって、この法の精神というものがこれはどう運営していってどう指導していってどう連合会等の不足金ができたときにどうして処置をしてやるかという、施行細則の中ぐらいに、こうした場合には基金等でこうしてやりなさいよというようなことを親切に入れてやっていいんじゃないでしょうかね。そう私は思うんですが、どんなもんでしょうか。
  70. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 削減の問題の前提として、要するに共済組合共済にかかわる危険負担を歩合で保有きせるという基本的な考え方でございますけれども、自然災害による農業災害を補償するわけでございます。農業政策上、農家の経営の実態あるいは日本農業の零細性というようなことかち考えまして、できるだけ国が手厚くあらゆる面を見るべきだというふうに思いますが、しかし、やはりこれは一つ保険制度でございますから、会員相互の公平と申しますか、制度運営の適正、いわゆる保険にかかわるモラルリスクの回避ということがやはり制度としてぜひ必要だ、こういうことがございまして、組合に歩合で責任を分担させるということを考えておるわけでございます。したがいまして、それはやはり組合としては赤字が出たときに対処するという問題だけでございませんで、やはりできるだけ会員を多数獲得して危険分散がはかられるよう、一部のきわめて危険な地帯の人だけが入って、作柄の安定しているところは入らないというような逆選択が起こったり、全体の評価とか運営面に親方日の丸式の意識が出たりということがないように、組合としても非常に努力しておるわけです。そういう形で、組合としては保険制度としてこれが円満に動くようにということを願って、運営に努力をいたしておるわけでございます。  私どもとしては、その組合の努力を高く評価いたしまして、国としてもできるだけその面に事務費の援助その他を通じて指導上これを援助したい、かように考えているわけでございます。そういう形でございまして、なおかつ異常な災害の場合、国がかなりの部分を請け負っても、いま申しましたように理論上組合に歩合で責任部分を持たしてございますから、その分の支払いの義務は組合にある、こういうことになりますので、やはり削減というのは可能な限り避けるべきだと、また削減をしないように日ごろ的確に資金の積み立て等をしておくべきだというように考えます。  なお基金の問題につきましては、基金にかかわる法律のほうに、要するに共済組合運営を円滑にするために、金を貸すということで基金の制度ができ上がっておりますので、基金に関する法律の立法の趣旨からいって当然こうした問題について基金と共済組合は協力すべきであるというふうに考えまして、そのように指導するつもりでございます。
  71. 宮崎正義

    宮崎正義君 基金からの過去の実績とかということは長くなりますからやめまして、端的に、いまのお話を私は伺って、この削減処置があるけれども、これはもうほんとうに指導上が重要である。たとえば百万円支払いをもらうべきものが七十万円しかもらえなかった、こう押えられて痛めつけられたままで、おまえはこれでがまんしろというようなことになりますと、百万円の損害を受けて七十万円でがまんしろと、こうぽんとけられた場合なんかを考えますと、そういう極端な例を申し上げてみたわけですけれども、そんなようなことになることが私は一番心配だということなんです。これは特に指導行政の面で、基金の転用ということもはっきりしてうたってあげるぐらいな指導、育成ということが大事だと思います。やはり、私の意見を申し上げたわけですが、そのように将来はやっていただくことを希望を申し上げたいと思います。  それからさらに、掛け金率を求める方法として百二十条の七の2というのに「危険階級」とございますが、この「危険階級」について御説明を願いたいと思います。
  72. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 共済掛け金率は、制度全体としてナショナルベースでバランスがとれたものを県別に割り振り、これをさらに市町村に割り振るという形でございますが、都道府県につきましてこれを都道府県一本ということでなしに、県内を危険の程度に応じましてさらに細分することを認めておるわけでございます。その場合に、農林統計の市町村別の果樹の年次別収穫統計といったようなものを基礎にいたしまして、地域ごと被害の程度を示す指標を作成いたしました。また、市町村別に作成しましたこの指標をもとにして、さらに被害の類似する市町村をグルーピングするというような操作をいたしまして、県内を幾つかの危険階級に分けるというようなことを考えておるわけでございます。ただ、これはあまり細分いたしますと、また危険分散という保険のもう一つの論理と抵触いたしますので、俗に県南、県北と、あるいは大きな山脈等ではっきりと西、東に分かれておるような場合、明らかに自然条件が違いますので、そういったようなものを分けるというようなことを想定いたしております。
  73. 宮崎正義

    宮崎正義君 これも相当論議の点があるんですが、これは割愛します。ただ、その統調で出したものに、いまお話がありましたね、年度どれぐらいに見ているのですか、平均年度
  74. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) これはやはり四カ年の移動平均というような形のものを基本といたしております。
  75. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは四カ年の期限でどうでしょうかね。私はこの間ではちょっときめられないのじゃないかと思いますがね。
  76. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) いま申し上げた四カ年の移動平均値をもととするということでございますから、できるだけ統計が入手できる限りの期間につきまして……、ただ、年次変動の非常に激しいものですから、四カ年の年度平均をしながらその値を求めるということでございます。
  77. 宮崎正義

    宮崎正義君 まあいいです。この危険階級という、危険度の設定というものをいまのどのようにきめていくかという、南とか北とか、あるいは山脈地帯とかというようなお話がありましたけれども、このきめ方も、果樹なんですからやはり相当差が出てくると思いますね。この点なんかも十分に私は土地柄の状態というものを掌握していかなければいけないのじゃないか、こう思うわけです。それで特にこれは伺ってみたわけです。もっと分析したいんですが、先ほど出てまいりました通常標準被害率といいますか、あれは百三十五条でしたか、通常標準被害設定の算出の根拠、また通常標準被害率をこえる部分についての、最初に標準被害率についての算出の根拠といいますか、それを御説明願いたいと思います。
  78. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 算式の問題でございますのでお許しが得られれば担当課長から御説明したいと思います。
  79. 宮崎正義

    宮崎正義君 けっこうです。
  80. 板野権二

    説明員(板野権二君) 通常標準被害率につきましては、過去の一定年間の被害率を基礎にいたしまして、原則といたしましては二十年間ぐらい考えておりますが、当面はデータの制約もございますので九年間を考えておりますが、九年間の過去の被害率を基礎にいたしまして、ポアッソン分布という方式をあてがいまして、ポアッソン分布と申しますのは、いわゆるどの程度の被害率が、発生する度合いが、度数がたとえば一〇%の被害率が過去二十年間に何回、五%ぐらいが何回という度数分布の分布でございますが、このポアッソン分布方式に基づきまして、その度数のうち九五%をカバーするような線でもって通常標準被害率とするというふうに考えております。この方式は過去の他の共済事業にしましても用いております方式でございまして、そういうふうにして定めました通常標準被害率を基礎にして被害率を算定する、こういうふうに考えております。
  81. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、算定根拠というのは聞いたんですが、算定方法ということになりますけれども、形式的な面でややこしく、定理、公理とかいうようなことになりますとややこしくなりますが、いただいた資料がございますね。この参考資料もらっておりますね。参考資料として私、持っているんですがね、こういうやつ。これらの参考資料をわかりやすく被害率の面から四十四年、四十五年被害率がありますね、一番最初の。わかりやすくこういうものなんだということを端的に説明していただければ一番皆さんにわかるんじゃないか。
  82. 板野権二

    説明員(板野権二君) ほんとうでございますと、図解で申し上げるとよくおわかりいただけると思うのでございますが、一つの例で申し上げますと、ある果樹につきまして過去九年間の年々の被害率をここで一応見るわけでございます。その年々の被害率にいま申し上げました考え方に基づきます通常標準被害率をあてはめまして、それでその通常標準被害率以下の部分は、以下の部分だけで平均を出す。また通常被害率以上の部分は以上の部分だけで平均出しまして、その合計をもって共済掛け金率とする、こういうことでございます。
  83. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは削減払いの規定の組合とか、あるいは連合会の、政府のとる責任分担の関係にずっと関係してくることです。それで続けてやってきているわけなんです。  それで、改正案は百二十三条及び百二十五条にそれぞれの責任分担関係が規定されておりますね。この法律、前川委員お話がありましたように、読めばまことに頭の痛くなるような、ややこしいことが長いこと書かれてあります。これだけ読んでいきましても、なかなかよくわからないですが、まあ一生懸命勉強いたしまして、どうにか薄ぼんやりながらわかってきたわけですが、この連合会の責任として、先ほどお話がありました削減の責任の分野におけるところの関係性の異常被害部分を設定したということですね。これは同じようなとり方をしてよろしいんでしょうか。先ほどの局長の御説明がありましたけれども、同じような考え方で受けとめていいんでしょうか。この点について説明を願いたい。
  84. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 結局、責任の分担のしかたとして通常被害部分の一部だけを組合に持たせるというようなことをやれば、おのずからその責任の起こる大きさというものは、一定のワクの中に入ってしまいますから、それであればあまり削減なんという事態は起こるはずはない。そういうものに必要な程度の準備は、当然掛け金の中に確保しておかなきゃならない。その掛け金負担が過重であれば国庫補助で減らすのが筋であって、それだけ用意しておかなきゃならぬということになりますが、先ほどもるる申し上げましたように、やはり共済制度という一つ保険制度でございますから、モラルリスクを減じ、みんなの制度だということで相寄ってこの制度を盛り立てていくためには、ごくわずかの率でございますが、異常被害部分についても、およそ起こるであろう事態のほんの一部について全責任を負う、こういうものの考え方をするわけでございます。そこで支払いを必要とする金額というのは被害の程度によって大きくも小さくも出てくるわけです。どんなに大きくなってもその一割ですから通常分の一割じゃなくて、通常分と異常分の別なく一割はこれが元受の責任だ、そうすると、あと九割は残るわけです。その九割のうちの通常分にかかわるもの、これは全国連合会が初めから責任を持ちます。それから異常分については五%を連合会が持ちますということにいたしました。そこで政府は全体の一割を元受の単位組合が責任を負った残りですから全体の九割、全体の九割の中の異常部分、その異常部分の九五%、これを政府が持ちます。こういう形になるわけです。  そこで連合会につきましても、組合につきましても、理論上、日ごろどんなにまじめに積み立てておいてもちょっと単年度では対応しがたいようなものがくる可能性がある、異常部分も含めて。それぞれ一割とか五%とかいうわずかの制度を維持するために必要と思われる最小限度の自己責任分ですから、大体においてこなせるはずですが、理論上はそこのところで非常に大きな金額になり得る仕組みになっております。そこで制度としては削減という仕組みが別途あるわけです。こういうことでございます。
  85. 宮崎正義

    宮崎正義君 異常部分の責任分担がなければその削減払いの規定も必要なくなってくるのじゃないでしょうかね、この点どうなんでしょうか。
  86. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) そのように御理解いただいてけっこうです。
  87. 宮崎正義

    宮崎正義君 いいわけですね。また一番最初の理論に戻ってくるわけですが、試験実施段階赤字があります。その赤字が継承されてくるということになりますと、本法が当初から発令されるときから赤字になっていくという形態に連合会とか、あるいは組合分でなるところがあるのじゃないかと思うのですが、この責任分担の額はそのまま継承されていくようになると思うのですが、それはそう解釈してよろしいのですか。先ほどはそういう面とまたそういうものじゃないものがあると、こう抽象的にお答えがあったのですけれども、この点をもう一度明確にしていただきたい。
  88. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 先ほど御説明しましたように、切りかえの時期におきまして区分経理しましたものが赤のままで新制度に乗り移るという組合があり得るわけです。しかし、別途先ほど申しましたように、その時点で切れば、黒字という組合もほぼ同数あるということでございます。
  89. 宮崎正義

    宮崎正義君 ですから、その赤字のまま継承されるということになりますと、削減払いというものが非常に心配になってくることになるわけですから、この点についてくどいようでありますが、この本法の通常標準被害率というものの算定の行き方等から論点が及んでくるようになるわけです。大体この率はどれぐらいなんでしょう。現在どれぐらいで押えてるんでしょう。通常標準被害率ですね、大体どれぐらい、いままでの経過から見ていきますと、試験実施経過から見てどれくらいの率で押えてますか。
  90. 板野権二

    説明員(板野権二君) これはまだ九年間——最終的なデータ全部そろっておりませんが、現在われわれのほうで試算いたしておりますところでは、たとえば温州ミカンについて申し上げますと二・八%ぐらいでございます。
  91. 宮崎正義

    宮崎正義君 ナシは。
  92. 板野権二

    説明員(板野権二君) 樹種別に申し上げますと、夏ミカンで若干高くなっております、三%。リンゴも大体三%。それからブドウは二・七%、桃で二・九%、ナシは二・四%ぐらいでございます。
  93. 宮崎正義

    宮崎正義君 これはおのおの果樹によってみな違いますけれども、桃なんかほんとうに何て言うんですか、むずかしい諸問題がございます。私は今回はナシだけをとらえて、ナシ一本でずっと質問を続けてきたわけですが、いまの率からいきますとナシが二・四ということですから、この通常標準被害率というものの算定によっては非常に大きく変わっていくような面もございますので、先ほどの御答弁だと、九年間のデータに基づいてると言われるわけですけれども、それ以上のものはだめなんでしょうか。この四年目ごとにやっていくということと、それから裏表の作のいき方から考えていってみて、もう少し幅を持ったほうがいいものになると思うんですけどね、この点はどうでしょう。
  94. 板野権二

    説明員(板野権二君) 九年間と申し上げましたのは、現在われわれのほうで持ち合わしております被害率のデータは、三十八年以降でございます。したがいまして、出発当初におきましては九年間でございますが、たてまえは二十年間のものをとりたいというふうに考えておりますので、事業実施に伴いまして、逐次その結果の出次第それを加えていくことになりますので、平常な姿になりますと二十年間のデータになる、こういうふうに考えております。
  95. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間がだいぶん過ぎましたので、次の問題に入ってまいりますが、この加入方法なんですが、果樹保険臨時措置に基づいて果樹共済制度があるんだということを知らない人が非常に多いんですね。で、一昨日の回答によりますと、九一%の高率で入ってると言いますけれども、試験制度があったということすら知らない人たちが、現場へ行きましたら、ずいぶんそういう声を聞くわけです。これは限られた特定の地域で試験制度というものをおやりになった関係じゃなかろうかと思うんですが、この点どうなんですか。
  96. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 九一%と申し上げたのは、最高の共済金額を試験実施では六割としたわけですが、その最高限度の六割に対してどういう金額を選択したかというのを試験実施で見ますと、九一%のところを選択したという趣旨でございまして、加入の広さではございませんけれども、ただこの果樹共済の問題につきましては、果樹園芸の特殊性から見まして全国画一の問題でありませんで、それぞれ主産県の主産地というところを中心に試験実施の相談をいたしたわけでございます。試験実施の設計に至りますまで、ずいぶんと関係者の会合もひんぱんにいたしておりまして、関係者の間には周知徹底いたしておるわけでございますが、ただ全樹園地面積のおおむね六%という形で試験実施を現在やっておりますので、その国内の全地域に詳細に内容がわかっていると言うことはできないと思います。ただ、この法律を、本国会でお願いしております趣旨も、一つには共済関係の法律は料率の問題、その他きわめて具体的なことが法律事項になっておりますので、一年前に法律が成立して、それを十分各地域に浸透させて準備いたしませんと、来年の四月一日から実施できないということで、これまでもいつも保険関係の法律は、実施いたします年の前の年の通常国会にお願いしておる。ほかの助成事業でございますと、その年の通常国会でお願いして御承認いただいて直ちに実施に入るというのが通常でございますが、常に一年早くしておるというのもそういう事情でございます。できるだけ御承認がいただけました暁には一年間かけて徹底的にこれを理解していただけるような措置をとりたいと、かように考えております。
  97. 宮崎正義

    宮崎正義君 大臣の出席の午後からの都合があるお話がいまありまして、私の質問もうまく休憩時間と大臣の出席の時間等をかみ合わして質問をしてもらいたいという希望でございますが、そのように私も取り計らってまいりますので、あとからまた午後から残っているのが若干ございますので、時間もまだ若干ありますね、大臣がおいでになりましてからまた質問をさしていただきます。  これで午前の質問終わりたいと思いますが、いまのお話の普及活動、また同時に指導方法、指導員のあり方、この人的配置、これは前川委員が一生懸命になって要請なり、また不備なる点をおっしゃっておられました。まさしくそのとおりだと思いますので、一年間の普及期限があると言いましても、実際は一年間ありませんし、さらに共済制度というのはちょっとやそっとじゃわからないですね。すぐ吸い取り紙がインクを吸い取るみたいにすっとずっと入って来ない制度でありますね。どうも一生懸命につくっているほうの人だけが計数的になかなか理解しにくい、——理解の早い人も大ぜいおいででございますけれども、保険制度というもののあり方をのみ込むのが容易じゃないと思います。したがいまして、この点に十分に力を入れていっていただきたい。  さらには、個人加入の場合の、組合の単位にしないでその任意加入で個人で加入した場合、そういうふうな個人でやりたい者も出てくるでありましょうし、組合で義務加入をして入ってくる者もあるでありましょうし、特に個人の任意加入で入ってくる人たち等が問題になってくるでありましょう。そういう点につきましてお考えを伺って、午前の質問を終わりたいと思います。
  98. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 私どもも実は、果樹共済の問題につきましては、水稲共済と違いまして、共済組合の職務がくだものの生産出荷の面には従来比較的縁が薄かった地帯があるはずでございます。したがいまして、この制度を非常に円満に動かしますためには、果樹の生産出荷面を直接担当してきております農業協同組合等の全面的な御協力が必要であると考えまして、資料の問題その他につきましても、わざわざ法律でそういうお願いができる——青筋に罰則も高もございません。できるだけ民主的にやる制度ですから、罰則等で縛る趣旨じゃございませんが、法律の中にそういう生産者団体に資料のお願いができるという規定まで入れまして、そういう各種団体の一致協力のもとにこの制度を盛り立てていただきたいと念願いたしております。水稲共済は長い歴史を経ていまの精密度までまいっておるのでございますが、果樹共済がその同じ熟度までいくのにはたいへんな努力が要るだろうと思います。その点につきましては役所としてもできるだけの努力をこれに傾注いたしたいというふうに考えております。  なお、加入の問題につきましては、個人で任意にこれを選択するというのが制度の本旨でございますが、できるだけ制度が、危険分散の実質を持って、よい制度として運用されますためには、主産地では皆さんがこぞってこれに参加するという形のほうが、保険理論としては望ましいと思います。そこで、組合が三分の二以上の多数で議決して、組合員が民主的にそういう意思決定をなされば、それは強制加入というふうにすることができる道を法律上つくったわけでございます。しかし、制度といたしましては、果樹農業が選択的拡大という形での、いわば適地適産という角度で発展してまいる農業の分野でございます。この関係の皆さんもきわめて前向きの積極的な農民の方であると考えております。任意加入の姿で、しかも十分に実質があがるような形に運営されるというふうに期待しております。
  99. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 暫時休憩いたします。午後は一時から再開いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  100. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  午前に引き続き農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  101. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中大臣がおいでにならない間に、試験実施果樹保険臨時措置法に基づく組合とか連合会等、今日生じておる赤字をどう処理するかというような問題、さらには掛け金率のとり方をどんなふうにしていくかという問題、あるいは農災法九十二条による共済金額の削減の問題等指導体制等のあり方、あるいは加入方法等を、午前中大臣がおいでにならないまま話を進めてまいりました。せっかく大臣がおいでくださいましたので、私の本法案に対する質問を閉じる意味におきまして、大臣の所信を二、三伺って終わりたいと思います。  一つは新種共済の検討についての沖繩対策について、今日まで研究されておりましたパインとかあるいはサトウキビ、これらをどんなふうな考え方をしておられるか。四十七年度には調査費等がついておるんで、四十八年度実施ということになり、大体実質的には四十九年ということになるのか。これらの点につきましてのお考えを伺っておきたい。
  102. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) サトウキビにつきましては、琉球政府におきまして一九六四年度から被害地を中心として調査を実施しております。さらに料率算定及び基準収穫量など、保険設計上の仕様の整備をはかるべくいま進めております。それで、そういう意味で制度化の検討を早急に詰めたいと、いろいろ何年度、何年度というお話もありましたが、それはまあ早急ということで御了承願いたいと思います。  パイナップルにつきましては、琉球政府におきまして、これは一九七一年度から調査に着手して、サトウキビよりおくれていますが、保険設計の仕様を整備するためにはなお数年の調査を必要とするような状況でございます。そういう意味で調査を継続して、その結果によりまして共済制度化について検討いたしたい。でございまするから、いまの検討の状況から見まするとサトウキビのほうが早い。こういうことで、時期は検討の結果を待ってきめていきたい。こう思っております。
  103. 宮崎正義

    宮崎正義君 沖繩のほうのことは、この程度にきょうはしておきたいと思います。  次には、果樹の植栽あるいはその果樹振興対策として考えていかなければならないことは、農薬禍による天敵の壊滅が今日きているような状態でございます。いまハチ十匹に人一人というぐらいにまで言われております。実際の現地に行ってみますると、ハチで交配するというようなことは、ごくまれになっておるというような実情でございます。交配の花粉採取と受粉作業には相当な労力と費用を今日積み重ねているわけです。私は四十年、四十一年、ずうっと予算委員会で農薬問題を取り上げてまいりまして、今日では農薬といえば、国民の皆様も農薬禍というものはいかにおそろしいものであるかということはわかってまいりましたけれども、当時はまだそれほど国民の関心の中になかったその時点に私は取り上げまして、この天敵の培養ということをどう考えるのか、これをどんなふうな計画を立ててやっていくのかということを質問をしておるわけです。その後私も伺っておりません。この際、大臣のお考えを聞かしていただきたい。  さらには、有機物含有農薬、この使用の規制とか制限等をどのように農林省はチェックしながら、この果樹振興対策というものに対する考え方をしていくか、大臣に伺いたいと思います。
  104. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 天敵の利用という新しい問題でございますが、そのことに対しまして、御関心を持って御質問なんかを受けておりますことは、非常に宮崎先生の卓見だと思います。農林省としても、まあ根本的にはそういう問題からいろいろ農災害のようなものをだんだんなくしていくということを考えるのが適当だろうと思います。そのような意味におきまして、局長のほうから、これは科学技術のことでもありますし、局長のほうからいまやっておる状況等を御説明申し上げます。
  105. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 御指摘のように、最近来、非常に農薬の過剰といいますか、農薬の使用によりまして天敵の系統が非常に減ってきておることは事実でございます。いわゆる当面の対策とからみまして、またなお、気象災害によりまして、受精あるいは受粉の問題がともすれば天候に左右されまして、かりにこん虫がおりましても、その能力が非常に欠減する機会が多いものでございますから、われわれといたしましては、果樹農業振興対策の一環といたしまして、広域産地形成事業を推進するにあたって、それぞれ一種の花粉バンクと申しますか、青森、いわゆる落葉果樹地帯のリンゴ地帯とか、ナシ地帯等については、それぞれ花粉をふだんから保留しておく施設を設けるよう指導している次第でございます。  なお、これは畜産局の所管でございますが、私のほうも一緒になりまして、ミツバチの育成もその一環として考えておりまして、これに対しましてミツバチ、ハチミツをとるのみならず、こういう受精能力の回復ということも相からませまして、ミツバチには一種の無税の砂糖を加工したものを配布するという対策を出しておる次第でございます。
  106. 宮崎正義

    宮崎正義君 アメリカでは、御存じのように、非常に進歩しております。私は、ですから、もうまる七年くらい前から天敵ということに対して当時笑われながら予算委員会質問したわけです。いずれにしても、農薬禍というものは、有機物を使用しているということ、このチェックが一番大事だと思う。このチェックのことについては、いま御回答がなかったのです。農薬の使用制限とかその規制、そういうものをどう農林省はチェックしていっているのか。
  107. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 詳しいことは、実は、技術会議の担当者から私もそういうことを聞いておったのでございますが、私もよく頭にないのです、いいことだと思っても。でございまするから、とてもいま答弁私にはできませんが、御質問趣旨はよくわかっておりまするし、技術会議のほうでそういう方面を研究さしておりますから、ひとつ研究を進めさせたい、こういうふうに思います。
  108. 宮崎正義

    宮崎正義君 私が時間とっているわけにはいきません。これで最後にいたします。  果樹の輸入自由化等の問題にからみまして、今後の果樹振興対策、それに伴っての共済制度というものをどのようなまとめ方をして制度の発展策を考えていくか、最後にお伺いして私の質問を閉じたいと思います。大臣の所見を。
  109. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 自由化との関連でございますが、再々申し上げておりまするように、日本の農業は、畜産とか果樹とか、そういう方向に相当力を入れなければならぬ。これは自給の関係から言いましても、自給度の足らぬものは自給度を増し、あるいは自給度を増すような方向にしていかなければならないし、また、そういう意味において、自給度の面からいっても、米は自給度をちょっとオーバーしておりますから、オーバーした面だけは少なくして、畜産あるいは果樹、野菜、そういう方面に転換をするという意味におきましても、果樹産業といいますか、これは非常に私ども農業立場から見ても重く見ておるわけでございます。でありまするので、こういうものがだんだん国際競争力が持てるような方向にいくまでは、いかなければならぬ段階ですから、その場合に、自由化というようなことでせっかく伸ばそうとする芽をつむようなことは絶対にやるべきでない。でありますので、こういう果樹などについての自由化は、私は要請がありましても拒否していきます。ただ、その中で、需要が相当ありますから、ある程度輸入のワクを少し調整するといいますか、ふやす場合もこれはあり得ると思います。これは実情をよく、需給の状況などを勘案して、慎重にこれはやっていく、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、そういう方向へ果樹農業というものを持っていこうということでございまするから、振興法によるスケジュール等によって、果樹振興もどんどん進めますと同時に、災害といいますか、支障を来たさないように、木でいえばじょうぶな木が育つように、さっきちょっと話が出ましたが、病虫害で木なんか弱めるというようなことでは木の成育が悪くなります。それと同じような考え方で、この農業災害補償法果樹を入れて、そうして果樹振興が支障のないように、あるいはすくすくと伸びるようにしたいと、こういう位置づけのもとに、今度皆さんに御審議をいただいて、ぜひこれを通して、進めるようにしていきたい、こう考えておるわけであります。
  110. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  111. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後一時十九分休憩      —————・—————    午後三時十二分開会
  112. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  まず、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  土地改良法の一部を改正する法律案審査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを本委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  115. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 休憩前に引き続き、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  116. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、果樹共済の問題で沖繩の農業と関係の深いパインの問題、それからどこにも共済の関連の場がないので、それに関連してキビの共済問題について触れてみたいと思います。十月五日と十二月の二十五日農林水産また沖特との連合審査で、この問題に若干触れたのでありますが、共済問題には時間をかけることができなかったわけであります。そういう点で、若干の時間をいただいて質疑を行ないたいと思います。  私、昨年の九月に沖繩の農村のほうに参ったんでありますが、そのときに非常に干ばつの中でキビとパインが非常に壊滅的な打撃を受けておった。これはもうほとんどの方が十分御承知のとおりであります。そういう中で災害対策という点もさることながら、パイン等の共済制度というものが全然ない。何とか本土並みに一日も早くパインまたはキビの共済制度を確立してほしい、こういう要求が沖繩の農家皆さんに非常に切実にあったわけでございます。そういう点で今度の果樹共済を見ますと、この政令の中に、私いま前回の委員会に残念ながらほかにおりましたので、様子がわからないのでありますが、政令で定める中にパインが入るのかどうか、こういうことを担当局長のほうからまずお伺いをいたしたいと思います。  それからなお政令に指定するそういうものの基準ですね、そういうものもあわせてお願いいたします。
  117. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 今回御提案申し上げた果樹共済の仕組みにつきましては、果樹農業振興特別措置法におきまして、わが国において振興すべき果樹ということで指定されております果樹の中から、保険として十分仕組めるような資料等の整備のできましたものを逐次取り上げてまいりたいというふうに考えております。したがいまして、御指摘のパイナップルにつきましては、まだ現在のところ果振法の対象になっておりません。沖繩が復帰いたしました時点でこれを果振法の対象にするかどうかということを検討をすることになっております。果振法の対象になりますれば、ただいま申しました考え方からいきまして、これについての基礎的な資料の収集を待って制度化について検討いたしたい、かように考えているわけでございます。
  118. 辻一彦

    ○辻一彦君 一つのそれぞれの果樹の主産地があるわけですが、県のほうで大体特産果樹というものはその政令の指定に該当するのですか、主要なところを見れば。
  119. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) あるいは園芸局のほうからお答えいただくのが適当かと思いますが、現在指定されております樹種、大体全国的なリンゴとかミカンといったようなものと、全く全国的とは言えませんけれども、かなりの主産県があるウメとか、そういうようなものと二つございまして、しかし、全く一県ないし二県という程度のものは現在指定されていない。
  120. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこでひとつ大臣にお伺いしたいのです。  それは沖繩国会で本土並みということがずいぶんあらゆる分野で論議をされました。この本土並みということは主として軍事面における問題、基地縮小等をめぐって本土並みの論争が進められたわけです。しかし、本土並みの中身は経済、生活全般、この分野について言うならば、農業や農民のこの経営や暮らしの分野におきましても本土並みということが実現をされなくてはならない、こういうふうに私は思うわけであります。  そこで大臣は、十月五日この委員会におきます御答弁で、沖繩農業のおくれということについては、一つはこれは基盤整備の充実、用水の充実、こういうことが基本的に大事であると同時に、あわせて沖繩の基幹作物であるパインやサトウキビの振興と安定、こういうものに十分な予算と法律的な配慮をしなくてはならない、こういう御答弁があったわけであります。  いまこのパインについて考えてみましても、あるいはキビについて考えてみましても、沖繩は御存じのように、例年台風銀座というほど台風が通ります。それから干ばつもこれは農林省が早急に……、用水池やこの用水の手配いたしておりますが、これは一年や二年ですぐに干ばつに襲わられると、どうにもならない。そうすればことしも台風や干ばつのそういう被害ということがどうしても出てくるんじゃないか、こういうことが考えられるわけです。そうなりますと、この災害ということが沖繩農業を不安定にしておる非常に重大な要素であると私は思いますが、そういう中で本土並みを農業の面において実現をするためには、いろいろな分野がありますが、私はこの共済制度というのは非常におくれている、これから何年間も調査を待って、そして考えていこうというようなそういうことは生ぬるい事態ではないかと思うのですが、農業を本土並みにする、農業災害補償共済制度を本土並みにする、そういうことにつきまして大臣の基本的なお考えをまずお伺いしたいと思います。
  121. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 沖繩を本土並みにしたいということは、防衛関係の基地の問題等が主で論ぜられましたが、しかし、沖繩復帰に関して本土並みにしていかなくちゃならぬということは、こういう基地問題等防衛問題ばかりでないことは、御指摘のとおりでございます。でございますので、農業関係などにおきましても、内地で農業に対して財政的な補助などをしている最大限の補助率を、沖繩のいろいろな農業の施設あるいは農業事業なんかする場合にも、最大限の補助率をきめたことは、御承知のとおりだと思います。沖繩の農業災害等につきましても、非常にまあ災害県ということになると思います、沖繩は。したがって、農業等におきましても、いまお話しのように干ばつ対策などはもうすでに予算にも、執行するように予算を組んでおります。しかし、この議題になっております農業災害等につきましても、これは本土と区別するというようなことなしに本土並み、しかも本土並みで、やはり本土も沖繩も含めて基幹作物等につきましては、果樹などにつきましては十分見ていかなくちゃならぬ、こういうことでございまするから、基本的方針としては本土並みに考えなくちゃならぬ。本土並みに考える場合、なお基幹的な関係の作物等につきましては、一そうよく農林省としてもそれを見ていかなくちゃならぬ、こういうふうな考え方を持っています。
  122. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、私若干具体的な数字をあげてお伺いしたいと思うのですが、その前に、キビの収穫反量計算をちょっとしておいたのですが、パインのほうは十分数字をつかんでおらないので、パインは十アール大体どのくらい収穫があって、大体幾らぐらい農家の所得になっているか、ちょっと数字を教えていただきたいと思いますが。
  123. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 詳しくは園芸局からお答えがあるかと思いますが、とりあえず概況を申し上げますと、パイナップルの一九七〇年度収穫数量が十万一千トン、十アール当たりの収穫量がその年では八トンという数字報告を受けております。なお、前の年の六九年は六・ミトンというようなことでございます。
  124. 辻一彦

    ○辻一彦君 価格がわかればいいのですが、まあその数字あとで聞けばけっこうですから……。  それで、私はキビの例をちょっと例にあげて、パインも共通するので申し上げたいと思います。キビの場合は反当、十アール当たり大体六トンで、去年の値段がキビ、トン六千七百五十円で計算しますと、こまかい数字は別として、大体四万円ということが一反当たりの収入になります、粗収益になります。私はパインも計算すればすぐ数字が出ると思うのですが、そこで全滅をした場合には、本土においてはたとえばまあこの果樹共済が将来適用されるとすると、大体七割給付金が出てくるということになりますと、四万の七割とすれば二万八千円というものが一応給付をされる。一ヘクタール、ニヘクタール、こういう栽培をしておれば、これは二十八万とかあるいは五十六万というように、かなりの金額になるわけです。で、沖繩のようにパインやキビに共済制度がない場合には、その問題は一応ゼロになると私は思うわけです。これは十二月二十五日に、当時の農林大臣臨時代理の山中長官に、沖特の連合審査でただしたわけでありますが、そのときに、いまの大臣も御答弁がありましたが、干ばつ、そういうことに対しては、災害には、沖繩には本土における最高の対策を講じていく、いまもお話がありましたし、山中大臣代理もそう言っておりましたですね。確かに本土におけるこの法律を全部適用して、最高の対策が私は沖繩の災害の場合には、昨年立てられたと思いますが、それでも山中大臣代理の答弁によれば、共済の給付金というものは、これはその制度がないので落ちているし、それだけは引っ込んでいることになっていると、それだけの分はマイナスを認めなくてはならないと、こういう答弁があったわけなんです。そうしますと、確かに沖繩に対して、私は暫定的には最高の対策が立てられたといたしましても、事、農業災害、この共済の面におきましては、そういう制度がなければ完全にそれだけの部分がマイナスになる。足りない。そういう点からいうと、私は本土並みにするには、やっぱりこれだけ災害の多い、この沖繩においては、早急に、長い間調査をしてそれからと、こういうゆうちょうさを許さない。もっと急いで対策を立てる必要があるのでないか、こういうように思うのですが、その点をひとつ、急いでほしいと思うんですが、どうでしょうか。
  125. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いろいろな施策に対しての補助とか何とかは、あまり調査もなしにどんどん予算で計上すれば財政的に可能でございますが、いまのお話農業災害につきましても、実は、やはり何といいますか、保険財政的ないろいろな調査もあります。ですからいますぐやろうといってもこれはちょっとできませんが、お話のように調査を長引かせるというようなことは、これは実際好ましくないことです。この果樹保険農業災害を提案するまでに長い時間かけたので、この間もおしかりを受けたようなことでございますが、この沖繩の農業災害法を施行して、そしてサトウキビとかパイナップルもこんな中へ入れていくということの調査につきましては、できるだけ早く調査して結論を得ていくように、まあ段階としては振興法の中にまず入れ、そして調査を同時に進めて、そうしてこれを対象果樹の中へ入れて農業災害補償法の適用ができるようにしたい。ですから継続的に調査も早めると、そしてできるだけこの適用がなされるようにしたいと、こういうことを申し上げます。
  126. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) お許しいただきまして、調査の点についてだけ事務のあれを申し述べさしていただきたいと思います。  午前中の御審議の中にもございましたように、たとえば、制度的には一応二十カ年ぐらいの平均を使ってある基準を設けたいというふうに思いますが、果樹について共済制度をつくろうというふうに腹をきめまして調査を始めましてから、まだ九年分しか正確な実績を積み上げていない。したがいまして、本格実施の際に、まず九年分の平均から始めまして、今後逐次年数をふやしていって、二十カ年平均制度の基礎に使えるようにしたいということを、ほかの御検討の際に申し上げたわけでございます。私ども、そのパイナップルの問題につきまして、決して調査をおくらせる意図は全くございません。ただ、残念ながら、この問題につきまして琉球政府と私どもが相談して、現在琉球政府のほうもどうやった調査をしていいかということについても、まだ担当者が十分の知識を持ち合わさない、率直に申し上げまして。むしろ私どもの課のほうへ職員に来ていただきまして、研修をかね、御一緒に調査の設計をつくりまして、私どもが、いわば現在は復帰前でございますから、私どものほうから、いわば権限をもって指示申し上げる筋合いではございません。むしろ、共済の問題について、一日も早く琉球政府の職員に習熟していただきたい。そういう意味も含めまして、職員に東京へ来てもらいまして、机を並べて仕事をしながら、調査の設計も一緒につくって持ち帰りまして、パインについての調査を始めているわけでございます。やはり、こういうものをできるだけ急ぎまして、そういう基礎データを収集しながら、共済制度の中にこれを組み込んでいく研究を急ぎたい、かように考えておりますので、その御趣旨を御理解いただきたいと思います。
  127. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ調査を急ぎたいと、こういうことは、私はたいへんいいと思いますが、十二月の二十五日に、山中代理大臣——これは、名前を出すのはたいへん悪いですけれども、その当時、大臣の代理でありましたから、お許しいただきたいと思います。——そのときに、山中大臣は、パインは果樹共済の中に取り組んでいける、大体いま検討の過程にある。こう答弁して、重ねての質問に対して、パインは確かに果樹共済対象に具体的に取り入れることは可能であるということで、いま検討していると、しかも、その中身は、臨時大臣代理ということだけではなしに、事務当局でも農林省で十分に検討しているということであったのでありますが、あれから、私、四カ月たっておるのですが、いま伺えば、琉球政府のほうからも見えて、その調査の準備をされているというのですが、もう少し具体的に、この前農林省から向こうへ行かれて、どういう基本的な点を把握してこられたのか。そうして、それに基づいて、どういうふうなめどをつけて、いま調査を進めようとしているのか。そこらのことを、いま、局長のほうからもう少しちょっと詳しく聞かしていただきたいと思います。
  128. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 職員を派遣いたしまして実態を調査しましたことについて御報告申し上げます前に、これは大事な問題でございますから、誤解がないように、もう一回申し上げておきたいと思いますが、調査を急ぎますということと、年に一回の作物でございます農産物について、何年かの時系列で共済制度の基礎となるべき数字を収集いたしますこととは、おのずから性格の違うことは御理解いただけると思います。制度化を急げということで、議論は、もう一日も早くいたしたい。そのためには、実態を把握したいということでございますが、どのような形でも政府が仕組めるかという議論は、実態をつかみながら事前に議論ができるわけでございますけれども、これを制度化するにあたりまして最小限度必要なことは、保険設計のための基礎的なとれ高あるいは被害発生態様というものについて、少なくとも制度を仕組むに足る若干の時系列的な数字はございませんと、急いで半年で議論を打ち上げれば制度ができるということにはならぬ点だけは御理解いただきたいと思います。そうでございませんと、午前中ほかの問題でいろいろ御議論がございましたように、掛け金の基礎とすべき被害の態様等について、きわめて区々なままの制度を発足させるということになるわけでございます。  なお、そういう問題でございますが、果樹共済制度も立案中でございますので、私どもといたしましては、パインについても、沖繩の実態をできるだけ早く握りたいということで、サトウキビについての調査ということが主でございましたけれども、共済制度に詳しい職員を現地に出しました際に、パインについてもできるだけ実情を見てまいったわけでございます。  具体的にという御指摘でございましたから、具体的にたとえば申し上げますと、くだものの場合、日本の内地でできますくだものは、花芽の形成期から収穫期までといいます場合に、通常一年数カ月でございます。したがいまして、単年度ごとの勝負と申しますか、花芽の形成期共済に付すかどうかということの決断を生産者がされれば、それで一年数ヵ月後の収穫期までかかって保険の仕事が動く。ところが、パインは、消費の実態からいえば果樹でございますけれども、このできます姿を見ますと、五年間に望ましい形の実が三つとれるというのが通常の形でございます。しかも、その本体自身が五年間くらいで一応役目を終えて、また次の新しいものをこれに植えなければならないという形でございますから、ものはくだものでございますけれども、やはり、その成育の形というものは、やはりかなり特殊のものであるわけであります。したがいまして、ただいま御審議いただいておりますように、収穫共済と樹体共済というものにさい然として分けて考えるべきものかどうか。そのもの自身が五年間で三つの実を結びましてあとはつみ取られているが、その間に、経営としては常時、逐次できますように畑の中にあんばいして、いろいろの生育のものが配置してある、こういう形の経営でありますから、そういうものとしてとらえて、これを果樹共済の仕組みの中にどのように組み込むかという問題がございます。しかし、これらの問題も、現地の人たちと私どもで事前に十分議論しながら、何らかの解決策は見出し得るのではないかと思いますけれども、これについてはまだ未経験の問題でございますから、そういうことについて十分調査研究を進めながら、時系列的な数字を正確に積み上げて、できるだけ早い機会にこれが制度化できるように調査をしてみたい、かように考えておるわけでございます。
  129. 辻一彦

    ○辻一彦君 私は、専門的にこまかい調査を十分やって、そういうものを積み上げられなければ、なかなか制度化に移れない、こういうことはわかります。しかし、沖繩の農業補償といいますか、こういうものは時間的に急ぐ必要がそこにあると思うのですよ。そしてこれはほかのことですけれども、政府の分野は農林行政だけでなくて広範な分野にわたっております。自衛隊の配備ともなれば、これはもう年度内に何でもかんでもやらなければならぬというぐあいに急ぐ面があるわけでありますから、あれだけ沖繩の農民が早く農業共済を何とかしてほしいといっているあの要求というものに、もっと政治的にこたえることが大事じゃないかと思う。だから十分な調査を積んで、そしてそれを制度化する、そのために時間が必要であるとするならば、その時間の間に暫定的にやはり私はかわるような措置を講じていくことができないのかどうか、これは非常に私、いま復帰を前にして沖繩の農民たちが何かやはり本土並みになっていくのじゃないかということで期待を持っていることにこたえると思うのですが、そういう点で、本格的な制度化は時間をかけるにしても、暫定的に何らかの手当てをしていくということ、こういうことについて農林省のほうで考えておられるか。基本的な点と、具体的にどうかということを第一に局長にお伺いしたい。
  130. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 作物につきましての自然災害の問題につきましては、先ほど来御議論ございましたように、沖繩の場合に、台風被害もさることながら、干ばつというのが非常に大きく被害を出しておりますので、基礎的な水の問題を処理することが基本であるというふうに現地を見ました者が皆申しております。しかし、その問題のほかに、御指摘のように、直ちに役立つものということで申しますと、一つは何と申しましても、本土に復帰した時点から、天災融資法の体系が直ちに沖繩に適用されることに相なります。したがいまして、自然災害による経営の受けましたショックを緩和するために、天災融資法の仕組みができるだけ有効に働くように措置するということが一つございます。  それから、いまの保険制度の問題につきましては、共済としての制度化には相当やはり慎重な姿勢が必要であろうかと考えております。
  131. 辻一彦

    ○辻一彦君 この間の沖繩のいわゆる干ばつを中心とする災害の場合に、天災激甚に対する融資というか、ほぼそれは実質的には手当てがされたと思うのですね。しかし、それでも共済面では一つの手当てがどうしてもできなかったということが残ったと、だから制度としては困難であっても、せっかく復帰する沖繩に対して暫定的に何かの方法によってこの措置を講ずるということが考えられないのかどうか。この法律の適用はむずかしくいえばなかなか容易でないと思いますが、そこらの方法がないのかどうか、そこらどうなんでしょう。
  132. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 災害対策一般といたしましては、時宜に適した措置がそのつど練られるべきだと思いますけれども、共済制度の仕組みの中で考えます際に、これは率直に申し上げて、共済制度は一方的に国が差し上げる制度ではございません、率直に申し上げて。作物の自然災害というものが自然の気ままのために一定の分散度で農民にかぶってくるという事実に着目いたしまして、保険理論でこれをお互いにかばい合うというのが仕組みの基本でございます。ただ、農民の経済力なり日本農業実態から見て、これに対してできるだけ大幅に国庫の助成をしたいということで、掛け金にも国庫の補助もある、あるいは事務費の補助もある、あるいはさらに異常災害については、国が九五%を再保険するという形で、ほぼ全額を国が見るというようなこともやるわけでございますけれども、制度の基本は、やはり生産者がお金を持ち寄って、そこで相互に危険を分散しながら助け合うという一つ保険理論で、やはりそれを大幅に国が助成すると、こういう仕組みでございますので、一方的な助成措置と一点基本的に違う点がございますので、私どもとしてはやはりできるだけ制度としてうまく動くようなものを現地の方と一緒に御相談しながらつくっていくというのが、農済制度の推進の姿勢ではなかろうかと考えております。
  133. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ共済制度ですから、掛け金をかけて農民も負担するというのは、これは当然であると思います。だから、助成するようなものではないということは言われるとおり、そうだと思うんですね。ただ、ことしも来年も、しょっちゅうあそこは台風銀座というほど風も吹き、干ばつも起こるところですから、まともに局長の言われるように調査をやっていると、かなりな長い時間がかかるわけですよ。そんな時間をかけずに、本格的な制度化をするためには時間が要るにしても、もしその間に暫定的な共済制度についての措置が何か講じられないのか。これは九年間ぐらい収穫とかいろんなことを調査したけれども、それでも足りないので二十年ぐらいというようなお話ですが、そんな長い期間私はかけられないと思うんです。で、現在の法体系の中において暫定的な措置で何かやる方法がないのか。あるいはそれがどうしてもないとすれば、極力調査を縮めて、なるべく短い期間に十分な調査をやっていくとすれば、どのくらい沖繩のパイン等が果樹共済に入ることができるようになるのか、そのめどはどうなんでしょうか。
  134. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 現在の果樹の問題を振り返ってみましても、先ほど申し上げましたように、九年の基礎的資料をもとにして来年かち発足したいということを考えておりますが、すでにこれまでに試験実施というような形でデータを収集しながら、さらに制度を練るというような経過も経ております。したがいまして、理想的な姿になりますのには相当年数かかりましょうけれども、いろいろと事柄を前進させるための考え方はあり得るというように思います。
  135. 辻一彦

    ○辻一彦君 大臣にパインの問題についてもう一つお伺いしたいんですが、いままあ局長も具体的に前進さすような方法はあり得るだろうということですが、私は沖繩の皆さんにお会いして、まあこれだけ災害でやられるんだから早く何とか本土並みにしてほしいという、そういう要求は、願いは非常に熾烈なものがあると、これはもう皆さんも行かれて実感されておると思うんです。だから、本格的な制度には時間がかかると思いますが、何か早くそういう要求にこたえるような対策を検討していただきたいと思うんですが、そのことをひとつパインの問題についてお伺いして、次に移りたいと思います。
  136. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 重ねて答弁に立ちましてたいへん恐縮でございますが、私ども全力をあげて実態の把握につとめるつもりでございますけれども、その基礎的な資料の収集をいたしながら、制度化の可能性について検討するということでございまして、一方的に助成だけでやる制度でございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  137. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 事務当局から御答弁申し上げたことで十分に御了解を願えると思いますが、いろいろ検討しますが、なかなか保険制度でございまするから、これ以外に、災害だから金出してやるということならば、いろいろな方法で私のほうでも考えますが、この保険制度を生かしていってやるというのには、調査をできるだけ早く進めて共済制度化させるということを申し上げて、私の御答弁にしたいと思います。
  138. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ強い沖繩県民の希望でありますから、これはいずれにしましても早く実現するようにぜひ努力を願いたいと、こう思んです。  そこで、もう一つ関連してキビの問題ですが、この果樹共済をやる中でキビの質疑というのはちょっとおかしい感じもするんですが、キビの問題はどうもほかで取り扱う場がないので、この機会に若干基幹作物であるサトウキビのやはり共済問題について二、三の質疑を行ないたいと思うんです。  で、去年のキビの干ばつというのは、これはたいへんな問題であったということは言うまでもないわけですが、さっきちょっと私、数字で申し上げましたが、本土におけるいろいろな法律を考えてできるだけの手当てを去年はやったと、しかし、それでも共済の問題は制度がないわけですから、まあその点だけはどうしても手当てができなかった。それを計算しますと、先ほどちょっと申し上げましたが、十アール当たり六トン、六千七百円、この程度で四万円程度の粗収益があるとすれば、もし本土であれば——沖繩の私はキビはちょうど本土の米のようなものだと思うんですね。だから、米が全滅したとすれば七割の給付がなされる。そうしますと、このキビについてもかなりな給付というものが行なわれることになると思うんですね。そういうものが全然いまのところキビについても欠けておるわけなんですが、このキビの場合は、先ほど大臣の御答弁では、パインよりも少し早く取り組める状況じゃないかと、こういうことが先ほど御答弁あったと思うんですが、その見通しといいますか、めどといいますか、そういうものをひとつお伺いをいたしたいと思うんです。これは私は北海道の米に共済制度がないと同じようなことが、やはりこの沖繩におけるキビの共済制度がないということが言えるのじゃないかと、非常にまあ、農民が問題にしている、期待している問題であると、こう思いますので、大臣からそこらもひとつちょっと聞きたいと思います。
  139. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) サトウキビにつきましては、琉球政府におきましても、一九六四年度から被害率の調査を中心に基礎調査を手がけております。したがいまして、パイナップルの場合よりも資料の収集についても、やや早目に始まっておるということは事実でございます。ただサトウキビにつきましても、作物の栽培の姿、被害発生態様等は、穀物とは全く別でございます。これまた本体をそのまま砂糖工場に持ち込みまして、糖度がどうなるかというところが勝負になるものでございまして、米麦類等とは全く考え方を異にするものでございます。したがいまして、これにつきましてどのような農業災害補償の仕組みが考えられるかということにつきましては、私どもといたしましても引き続き検討を急ぎたいと考えております。しかし、決してパインよりもサトウキビのほうが仕組みとしてやさしいというような形ではないと思っております。ただ、これが非常にパインよりも早く基礎調査の収集が始まっているという事実を申し上げておるわけでございます。
  140. 辻一彦

    ○辻一彦君 この前の連合審査のときに山中大臣代理が、「キビというものも地域共済として、たとえば一例を、一つの方向を考えるならば、その県」——沖繩県ですね——が行なう共済についてキビを作目に取り入れる、それに対して国が再保険を行なうというような形が考えられないだろうか、こういうことで検討していると、こういう答弁があったんですが、こういうことは事務当局とも相談をしながらやっているということでありましたが、事務当局としてこういう構想を検討をされておったのか。そういうことがあるのか。あるいはそれについて何かさらに前進できるものがあるのか、そこらをひとつお伺いしたいと思うんです。
  141. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) ただいまの御指摘の点は、ちょっと私も真意を捕捉いたしかねますが、まだ沖繩のサトウキビにつきましては、文字どおり基礎的な資料の収集と基礎的な議論の段階でございまして、まだどのような仕組みを考えられるかということを議論するような段階に至っておりません。私どものほうが調査いたしました中で特に顕著な点は、沖繩全体といたしましても非常にたくさんの地域に分かれております。本島とさらに離島との間で、これが同じ作物であろうかと思うほど大きな反収の差がございます。したがいまして、栽培条件等につきましても決して沖繩全体のサトウキビがあるひとつの水準にあるというふうにも見られません。したがいまして、県全体としての数字を把握いたします問題のほかに、それぞれの地区ごとにさらに精査する必要があるということを痛感いたしておる次第でございます。
  142. 辻一彦

    ○辻一彦君 いま局長のほうは、そういうことを知らない、関知してないという御発言ですね。しかし、この速記録を見ますと、こういう発言をしておるんですよ。国務大臣ですね、山中さんがパインの問題に触れて、次にキビの問題に触れておるんですが、「その点は」——これはまあ共済制度が落ち込んでいるという点ですが——「本土よりか措置がなされていない点も、引っ込んでおる点もある。しかし、私としては、今後——農林省事務当局とももちろん相談の上のことで、臨時代理だけの意見ではありませんので、これはキビというものも地域共済として、たとえば一例を、一つの方向を考えるならば、その県が行なう共済についてキビを作目に取り入れる、そしてそれに対して国が再保険というような形が考えられないだろうかというようなこと」、こういうことを検討しておるわけでありますと、こう述べているんですが、私たちが沖特と農林水産の連合審査において、沖繩の共済制度が非常におくれていると、こういうことを取り上げていろいろ質問を行なったときに、農林大臣代理がこういう答弁をされておりますが、それが事務局で全然検討もしていない。その場限りの発言であるとすれば、これは私は沖繩国会の中の、単にそういう問題について答弁だけ済ませばいいということにつながると思うんですが、そういうことが全然検討されていなかったのかどうか、そこらどうなんです。
  143. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 私が申し上げておりま辞すのは、いまのような国の再保険のあり方といったような問題まで踏み込む前の、前の最も基礎的な部分についての調査にかなり真剣に取り組む必要があるということを申し上げておるのでございまして、いまの話のように農済制度が必ず単位組合連合会、国という形の三段階でこれまで米麦についてつくってきましたあの責任分担のあり方、あれだけが唯一の方法であろうかどうかということには問題があるだろう。これは実は、御指摘の点と若干離れますが、この前の御指摘の点とからむと思いますが、一県だけにかかわる地域特産物、あるいは一、二の県にかかわる地域特産物というようなものについて農済制度をまだやっていないんです、本土でも。先ほど申しましたような全国的なあるいはかなりな主産地のあるものについて危険の地域分散、そういうことを理論の基礎にして農済制度が仕組まれておる。現在内地でも、実は、たばこをやってくれ、ホップをやってくれ、あるいはイグサをやってくれ、その他かなり地域の特産物、そういうものについて何とか制度化してくれないかという議論ございます。これはこれまでも全国にたくさんの単位組合があります。これを県の連合会で一部つなぎ、最終的な部分は国が再保険するという仕組みになじめますかどうか、これは新しい課題であるという問題が一般的にございます。  サトウキビにつきましても、これはおそらく検討することになれば、鹿児島と新しい沖繩県と二県だけにかかわる問題になろうかと思います。したがいまして、そういう責任分担のあり方につきましては、新しい議論がこれから地域特産に共済制度を仕組もうとする場合に起こってくるだろう。そういった点をめぐって意見の交換をしておる事実はございます。しかし、私が先ほど来申し上げておりますのは、そういう問題に踏み込みます前に、やはり保険として仕組みますための基礎的の数字の収集をできるだけ急ぎたいということを申し上げておるわけでございます。
  144. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ私のいま伺っている範囲では、沖繩国会では沖繩農民に対するもっと積極的な御発言が大臣代理からずいぶんあったんですが、それからどのくらい具体的に進められているかということになると、どうもおぼつかない感じがする。調査やそういうものがいろいろ現実に進められているということでありますが、それであればけっこうでありますが、どうもその沖繩国会の当時における御答弁、それからあとあまり進んでいないような感じがするんですが、これはいまここに山中さんおられるわけではないのでこれでとどめますが、ぜひひとつ、沖繩国会等で農業問題等もかなり取り上げられましたが、あの国会における政府答弁にふさわしい、急いで沖繩農民の期待にこたえるような対策を私はぜひ立てていただきたい。そういうことをひとつ大臣に特に努力を願いたいと思うわけです。  で、最後に、沖繩の私は農業ということを考えれば、災害対策、それから農業災害補償、こういうことも重要でありますが、それだけでもって沖繩の農業の振興や安定というものが期せられるというわけではないと思うので、で、五月十五日を前にして私は、沖繩の農家の方々は復帰をすれば本土並みになり、もっとよくなっていく、そういう一つ農業における何かの期待を持たれることがあろうと思うのですが、それにひとつぜひこたえていただく、こういうことで先ほどのこの農業共済の問題も含めてこれからの沖繩における農業振興をどういうようにひとつ積極的に前進をさすか、こういうことで農林大臣から沖繩の皆さんにこたえていただく、こういうことで最後にひとつ御見解、構想といいますか、考え方を承って終わりたいと思います。
  145. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 国内におきましても地域的な生産目標などをつくるようなことで、何といいますか、適地適産というようなこともあると同じように、特に沖繩は内地とよほど変わっておるところがあります。そういうことはもう十分調査済みでございますが、それに対応した施策を行なっていくということが必要でございまするし、またそうでない平面的な対策では、これは対策そのものがあまり意味をなさなくなる結果になるんじゃないかと思います。でございまするから、ことばの上でございますが、立体的に沖繩に適したようにやるべきことはどんどんやっていくということで、ことしの予算などにおきましても、まあまだ復帰前でございますが、相当先を見通して沖繩対策の農林関係予算も計上いたしてございますが、そういう計上してあるような予算につきましては、すぐ事業を進めるということにしますし、そのほかのことにつきましても沖繩県民の期待に十分沿えるというようなことは、なかなかむずかしかろうと思いますが、復帰をしたためにちっとも復帰そのものが効果がないというようなことのないように十分対策を講じていきたい、やっていきたい、こういうふうに考えます。
  146. 辻一彦

    ○辻一彦君 終わります。
  147. 塚田大願

    ○塚田大願君 私は、この間のこの委員会におきまして、農業団地の構想に関連して、大臣にいろいろ今後の日本の農業のあり方というふうな問題についてお聞きいたしましたが、きょうは、この農業共済法改正にあたりまして、やはり私はまず考えますのは、いまの日本の果樹農業実態、とりわけ果樹農家の実情というようなもの、あるいはこれからの果樹農業の見通しというふうなものについてはっきりさせる、これを前提にしてこの共済の問題を考えていく必要があると思うんですが、どうもいろいろきのうからお話を聞いておりますと、何か保険制度共済制度というふうなワクが先に先行しまして、それに技術主義的に日本の果樹農業を当てはめていこうというふうなものを実は感ずるわけです。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕  その点では、この間もいろいろそういう問題について大臣にお尋ねをいたしましたけれども、ここでも簡単にひとつ、現在の日本の果樹農業実態をどういうふうに農林省としては把握しているか、そして将来どういうふうな方向に持っていこうとしているのか、この基本的な考えについて、まず、大臣にお聞きしたいと思うのであります。
  148. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) これは世界的でもございましょうが、食糧の果樹に対する需要というものは非常にふえてきておる。ことに、日本で、高度経済成長というものが私は必ずしもよかったとは思いませんが、まあ、経済は成長する、国民の所得もふえる、食生活も変わってきている。で、食生活が変わってきまして、くだものに対する需要というのも非常にふえておる。学校給食などでも果実を入れるというような状況でございます。また、同じく国民の健康からいっても、果実というものを必要とするようなことになってきていると思います。また、一面におきましては、この間もお話し申し上げましたように、自給度——自給自足とは申しませんが、自給度というような点から考えましても、米などはこれは役に立たぬというものではございません。絶対必要なものでございます。しかし、供給が需要をオーバーしているということでございまするから、米の生産調整もするというような現状でございます。こういう現状から見まするならば、どうしても、果樹、畜産、それからまた消費人口がふえていますから野菜など、こういうものはどんどん生産して、国民全体のために農業も進めていかなくちゃならぬと。ことに、国民の保健上、衛生上、健康上などという問題から、果樹の需要は非常にふえると思います。で、その果樹の需要がふえるんですから、これにマッチするように果樹の生産もやっていかなくちゃならない。それについては、この間もお話がありましたような団地的な経営もしたり、あるいは施設園芸というようなことで団地的にもやるし、いろいろなことがありましょうが、そういう方法で果樹の振興、生産を上げていくということが、これは基本だと思います。ですから、この果樹災害をもって災害のほうばかりにとらわれていくということじゃなくて、私は、災害共済というものは、振興したあとの一部のアフターケアだと思うんです。だから、どうしても基本は果樹の振興、こういうことで進めるのが筋であり、そうしなくちゃならぬと、こう考えております。
  149. 塚田大願

    ○塚田大願君 確かに最近の国民の食生活も非常に変わってまいりました。そういう点では、需要も非常に伸びてきた。したがって、果樹農業一つの成長部門というような形で伸びてきたと思うのでございますが、確かに、客観的にそういう国民の食生活が変わった、嗜好が変わったということもございますが、同時に、今日、その非常に伸びてきているという一つの側面といたしましては、やはり政府の政策、いわゆる選択的拡大政策でありますか、そういうものに基づいて生産の拡大にてこ入れがされてきた。具体的には、御承知のとおり、三十六年に制定されました果振法、そしてそれに基づく基本方針というものがつくられ長期的な需要見通しというものが立てられまして、そして積極的な植栽計画というものが進められてきたわけでありますが、しかし、ここで私は、この政府の選択的拡大という政策で政府がそういうふうに強力に生産の拡大を進めてきた中で、むしろ、いろいろ問題が出てきたんじゃないだろうかということを実は感ずるのです。たとえば、酪農の場合なんか一つの例だと思うんですけれども、最近の例を見ますと、政府が発表されました農業白書にも出ておりますけれども、需要の伸びが停滞してきたと、しかも、生産も伸び悩んでおると、こういうことがちゃんと白書には書いてございます。そして、その原因として、やはり構造的な欠陥であるということをいっているんですね。そういう点で、私は、果樹の場合でもそういった危険性があるんじゃないかという点、その点は、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  150. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 確かに、御指摘のように、選択的拡大と、こういっても、単に選択的拡大ということだけで拡大するわけじゃありません。そういうことにするのには、基盤的に構造政策が伴わなければ拡大されないわけでございます。そこで、畜産、酪農につきましても、構造的に見まして、多頭化、多頭化と言いましても、多頭化と言うだけで基盤というものが非常に少なかったと、そういうことでございますので、こういう問題につきましても多頭化できるような団地的な経営という方向へもっていって、生産費もコストも相当節約できるようなことにすれば需要の面も伸びていくんじゃないかと、こういうようにも考えられます。でございますが、いまのお話のように、果樹などにもいろいろな欠陥も出てこないとは限りません。たとえば、ミカン地帯なんかで、集団的にずいぶん大きくして、機械なども入れましてやりましても、必ずしもよくいっておるというわけにいかない点もございます。改植しなくちゃならぬということもあったり、価格の面においても、あるいは自由化との関係などの影響も、いろいろありますから、一言でいえば総合的といいますか、あらゆる要素を十分考えて振興していかなくちゃならぬ。価格政策もございますし、そういうことも考えてやっていかなくちゃならぬ、そういうふうに考えています。
  151. 塚田大願

    ○塚田大願君 いま、大臣からミカンの問題が一つ出されましたので、私も、果樹の中で非常に成長の著しいミカンの問題、これはやはり一つの大事な問題だと思いますので、これについて具体的な質問をいたしたいと思います。  第一に、政府は今回、改定されました果樹農業振興基本方針というものをお出しになりました。これによりますと、ミカンの植栽目標といたしまして昭和四十七年から五十一年まで一万五千ヘクタール、昭和五十二年度から五十六年度まで一万ヘクタール、こういうふうにされておりますが、この植栽目標と、あとについております五十六年度の生産目標とはどういう関係になるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  152. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この一応今回改定いたしました生産目標というものは、結論的に申し上げますと、まず一番初めにありますように五十六年における需要の見通しということで、ミカンに対する需要がどうなっているかということでいろいろ測定をいたしまして、また有力な学識経験者あるいは業界の関係者等の御意見も聞きまして、四百万トンから四百二十万トン前後の総需要はあるのではないかということで、まず需要の見通しを立てまして、需要の見通しに基づきまして、その結果、大体ミカンが一人前の成園になりますには十二、三年と、こういわれておりますが、最近密植というものが非常に伸びてまいりまして、大体七年ぐらいで果実がとれるようになってきているということで、そういう意味で生産量の比率を求めまして、その結果、五十六年ぐらいにはそれに合わせるように植栽計画を求めた、それが大体ここにあります五十二年ないし五十六年の一万ヘクタールというものは五十六年の生産が出てくる段階には至りませんで、四十七年度から五十一年度に植えます一万五千ヘクタールの系統と、それから前の過去五年間におきまして新値いたしましたミカンの栽培新植面積が五十六年の生産量として出てくる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  153. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまのお話ですと、まず需要見通しを出した、そして生産目標が出てくるんだと、こういう御説明ですが、そういう意味ではまことにきれいに五十六年度における需要見通しと、その生産目標というのがびしゃっとほとんど同じように出てきているわけです。その辺がちょっとまことにふしぎだと思っているんですけれども、さすがに頭のいい農林省の諸君、なかなかやりおるわいと思うんですけれども、ところが昭和四十二年度から四十六年度までの五年間の植栽目標につきまして、つまりいままでの実績につきましては、荒勝局長はこの間衆議院の予算委員会の分科会で、おおむねミカン類につきましては植栽がむしろ目標よりも少し多く出過ぎたと、目標に対して一二〇%近い過去五カ年間の実績数字が出ておりますと、こう言っております。新聞などを見ますと、これは一二三%だと、こういうふうに言っておりますが、まあ三%ぐらいの差はともかくといたしまして、二〇%をよけい植栽したと、こう言っているんですが、では、この四十七年度から五十一年度の植栽目標が、四十二年度に、五年前に出されましたこの基本方針でもやっぱりこれは一万五千ヘクタール、これがそのまま、また今度のこれに出てきた。しかし、過去において二〇%よけい植栽しているんだということになりますと、一体この関係はどういうふうになるのか、私どもはどう考えてみてもふしぎに思うわけです。実際に、このことは全然この生産目標には関係ないというお考えなのか、それとも需要が当初計画より五十六年度段階では伸びるだろうというお考えなのか、その辺をひとつお聞きしたい。
  154. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この間申し上げました点をもう一ぺん一応多少数字に基づきまして御説明申し上げたいと思います。  前の四十二ないし四十六年度の基本方針の目標におきましては、三万ヘクタールということをこの四十二年から四十六年度までの目標植栽面積といたしたわけでございます。その結果、植栽の実績といたしましては、四十二年から四十六年度の間に三万七千二十ヘクタールというものが出まして、ただいまこれが御指摘にありましたように一二三・四%の目標達成率ということにミカンの場合なっておるわけでございます。それに対しまして、多少御質問とは違いますが、リンゴでは六二九%、あるいはビワ等は一番悪くて四三・七%というふうにわれわれの基本といたしました目標に対して出過ぎておるものと、それからまた相当至らなかったものというふうにアンバランスのかっこうになっておるわけでございます。したがいまして、前のときに三万ヘクタールという目標の結果が三万七千ヘクタールになっておるわけでありますが、さらに四十七年度から五十一年度の分といたしまして、前回の場合にはこの五年間に一万五千ヘクタールということを前提に作業をいたしておったわけでありますが、今回の改定におきましても、四十七年度から五十一年度までは一万五千ヘクタールというふうにわれわれとしましては置いたわけでございます。五十二ないし五十六年度の問を一万ヘクタールというふうに非常に植栽率といたしましては低めに押えて合わせて二万五千ヘクタール、前のときには四万五千ヘクタールの予定であったものを今回は二万五千ヘクタールというふうにミカンの植栽計画を非常に低く押えたというふうに御理解願いたいと思います。  われわれは今回の作業改定を行ないますのに一番問題になりましたのは、このミカン類の植栽を今後どうするのだということであったわけでございます。と申しますのは、非常に地元の方々の間では植栽の意欲が強く、特に九州地区等従来ミカンはあまり植えておらなかった地帯でも、どちらかといいますと、雑木林を開拓いたしましてミカン畑に切りかえていきたいという意欲が非常に強いわけでありますが、われわれの需要量からいたしまして、そうたいへんな数字が出てきたのでは今後のミカンの需給のバランスに大きな変化を来たすというので、今回の場合もミカンにつきましては、植栽目標をできるだけむしろ押えぎみに作業をいたした、その反面ブドウ等落葉果樹の植栽が非常におくれておる部分につきましては、植栽を今後伸ばす、こういう方向で検討したのが今回の作業の特殊な事情でございまして、多少打ち明け話になりますが、果樹農業振興審議会を開きました際におきましても、審議会の諸先生方からの御意見もあるいはミカンについての今後の需要の動向、それに伴う植栽の方向というものが問題として一番強かった、こういうふうに御理解願いたいと思います。  さらに、なぜそんなにミカンの場合生産の意欲が強いかということでございますが、この二、三年来のミカンの農家の収益性等から勘案いたしますと、このミカンの場合、具体的に申し上げますと、これは統計調査部でお調べ願った生産費調査でございますが、四十四年にはやはり農家の一日当たりの家族労働報酬が四千百九十七円、四十五年も四千百四十四円ということで、四十六年はまだ出ておりませんが、ミカンの市場価格等から逆算いたしまして、やはりおおむねこの程度の水準になっておるのではないかということで、このミカンが比較的安定した価格で最近推移しているということから、農村の方々が生産意欲が非常に強いというふうに御理解願いたいと思うわけであります。われわれといたしまして、ミカン需要の動向というものは、最近の生産期間につきましても相当前進出荷といいますか、わせミカンも早く出てくるようになりましたし、また流通出荷というような過程でも、平均出荷という形で相当貯蔵期間も長くなっておりますし、また加工ジュースの問題等もありまして、そういう加工部門に振り向けられるものも相当あるということで、単に生食だけの需要増のみならず、加工用の需要増も見込みまして、今回のこの需要測定をいたした次第でございます。
  155. 塚田大願

    ○塚田大願君 たいへんどうも説明を受けましても、ちょっとふに落ちない。たいへん数字を並べるだけの説明で、どうも中身がない説明のように感ずるのですが、まあ、このことは一応おきまして、次にお聞きしたいのは、こういう需要見通しを出されたわけでありますけれども、ミカンなどの場合というものは、大体食べる側の生活水準、さっきも大臣がおっしゃったけれども、やはり食生活が改善され、生活水準が高くなればふえるのですけれども、そうでない場合には必ずしもそうはいかない、つまり生活水準に非常に大きく作用されるわけであります。したがって、この需要目標が大体四百万トンぐらいだとこう言われるのだけれども、一体十年先の経済見通しというものが立つのだろうかという疑問を私どもは持ちます。また昭和五十二年から五十六年度の一万ヘクタールの植栽でありますけれども、この計画からすれば、いまもおっしゃったように七年たたなければこれは実がならないのですから、とすれば昭和五十九年から六十三年までの需要の見通しというものが必要になってくる、そういう点は一体どうなるのか。そんなにはっきりした見通しというものをお持ちになっているのかどうか。さらに、この需要の問題はやはり消費者価格が大きく影響すると思うんです。この点でもとても十年先の消費者価格であるとかあるいは生産費、もちろん生産費そのものも、これもどうなるか非常に不確定な要素が多いと思うのですけれども、そういう点で見通しというものがはたして出るかどうかと思います。しかし、農林省では見通しをはっきり出されたんですから、何かその根拠というものがおありならば示していただきたいと思うんですが。
  156. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回の作業で一応昭和五十六年度における果実の需要の見通しの作業を行なったのでありますが、その際、重要な参考資料として参酌いたしましたのは、この個人消費の支出の伸びというものは何で算出したかと申し上げますと、さきに政府として算定いたしました新経済社会発展計画、これは昭和四十五年の五月一日に閣議決定しているものを参考にいたしたわけでありますが、さらに、人口増につきましては、人口の伸びの見通しもつけまして、これは厚生省の人口問題研究所の推計で、昭和四十四年の八月にきめたものをわれわれとしては参考にいたしましたのが、まあ、経済需要動向の見通しの参考にいたしました中では、一番重要な二つの根拠でございます。これに基づきまして所得の弾性値というものをはじきまして、弾性値から一応計算上は出てきたわけでありますが、それに対しまして世界的に一体ミカンに対する需要の伸びは、国際水準としてどの程度かというようなこと等もまた計算いたしましたし、また過去における毎年のミカンの消費の伸びといった点も勘案いたしましたし、また、その点先ほど申し上げましたように学者先生のほかに、業界のこういうミカン関係を担当しております関係者の意見も何度もこれは聞きまして、多過ぎるか少な過ぎるかという多少長い経験による勘かとも思いますが、そういった意見も十分参酌いたしまして、計測的に今回の数字を出したものでありまして、このミカンの消費水準という点をヨーロッパあるいはアメリカ等と比べまして、大体ヨーロッパ水準にまで近づけたのではなかろうかと、まだアメリカ水準にはとても段階的には及びませんが、ヨーロッパ的な水準ということでミカンの消費水準は、この程度にはなるのではなかろうかということで押えたわけでございます。
  157. 塚田大願

    ○塚田大願君 御苦労のほどは、よくわかりました。いろいろ御若労されてこういう数字をはじき出されたと思うのでございますが、そうしてまあ、こういう見通しを出した、そうして植栽計画を立てた、そうして生産指導する、こういうことになるわけでありますから、ここには当然のことながら私は、やはりやるからには責任を持たなければいかぬだろうと思うのです。ところが、悪い例を引いて恐縮ですけれども、米の場合は、御承知のとおりつくれつくれと言っていて今度は減反政策になった。こういう過去の例から見まして、もしミカンが過剰になった場合、やれ伐採でござるの、やれその実を川に捨ててしまえだの、そういうことが過去においてはあったわけですね。四十三年の大暴落のときにはずいぶん一部の地域でミカンを川に捨てていた、大量に捨てていたというようなことがございまして、私は、この二月に愛媛県の八幡浜の果樹地帯を視察しましたときにも、農民の方々の不安は非常にそこにあるんですね、どうも最近はミカンが過剰になってきた、またぞろそういう結果になるのではないか、こういう点で非常に不安をはっきり言っておられましたが、このことは農林省も大体御存じだろうと思うのですが、とにかく十年二十年先の需要見通しを立てておやりになるというのは、これは科学的に算定しようとしてもそもそもが非常に無理だと思うのです。いまの経済情勢から申しまして、あるいは国際的なアメリカ等の関係から申しまして。したがって、とにかく無理だとは思いますが、とにかく一応そういう見通しを立てて植栽を指導する、それならば責任をはっきりさしていく必要があると思うのですが、その責任の裏づけとして私はどうしても価格支持制度というものを考えないと農民の不安は消えないのじゃないかこう思います。で、いまですらミカンの価格が停滞しておる、あるいは下落の状態にある、さっき局長は安定していると言われましたけれども、ここに農林統計月報を見ますと、最近はずっとミカンの値段が下がっておりますね、昨年の暮れからことしにかけましてどんどん下がっておるのです。一時的に上がることもありますけれども下がっておる、確実に下がっておるのです。こういう状態の中でやはり過剰傾向というものが言われているわけです。しかも現在未成園が三五%もある、そうして十年後にはさらに二万五千ヘクタールも植栽するという計画があると同時に、また今後アールあたりの収量も増大するでございましょうから、ここでやはり心配されるのは、価格の暴落の問題です。なるほど、四十七年度から加工原料用果実の価格の安定のための補てん制度が行なわれようとしておりますが、しかし、ミカンの場合にはなま食が八〇%でありますから、やはりこれだけでは農家の経営の安定にはならない。したがって、やはりミカンに対する価格支持制度というふうなものをどうしても考える必要があると思うのです。ところが、今回の果樹共済制度におきましては、果樹の価格変動が果樹農業に与える影響の問題が論議されて、この点でも共済対象にすべきだという意見がだいぶ検討されたと聞いております。しかし、結論としては、今後の検討課題ということで今度の法案には考慮されておらないわけでありますけれども、そこでお伺いしたいのは、それでは現在この果実の価格安定制度というものをどのようにしようとしていらっしゃるのか。この共済制度の中に組み入れるとしても、どのくらい、何年後くらいに実施しようという計画があるのか。もしあれば、それも教えていただきたいと思うわけです。
  158. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいま御指摘になりました点につきまして、まず園芸局のほうから御説明申し上げたいと思います。  かんきつ類の価格の動向でございますが、ただいま御指摘になりましたが、温州ミカンにつきまして昨年との対比を申し上げますと、一月の値段につきまして平均いたしますと四十六年が百四円、ことしが百五円というふうに、わずかでございますが、一円ほど高かったわけでございます。これは、失礼でございますが、まだ正確な統計ではございませんで、いわゆる東京におきます青果物の卸売り市場の速報でございます。あるいは、多少今後変更があるかもわかりませんが、一応速報でございます。それから二月につきましては、昨年は九十九円、ことしは百七円、これはキログラム当たりでございます。三月は、昨年の上旬でございますが九十六円であったものが、ことしは百二十二円というように、温州ミカンにつきましては、相当値上がりをしているわけでございます。  それから普通夏かんでございますが、これがグレープフルーツの自由化でことしの普通夏かんは、たいへんなことになるのではなかろうかといういろいろな御指摘があったわけでございますが、結論的に申し上げますと、まあ去年並み。あるいは平均して農家の手取りが去年並みになるかならないかというような感じでございまして、一月は昨年よりも低く、昨年が七十六円であったものがことしは六十五円。ところが二月になりますと逆になりまして、昨年七十四円でありましたものが——失礼いたしました。ことしも七十四円とずっと安かったのでありますが、三月、四月の最盛期に入りますと、逆に普通夏かんは、昨年六十三円で下がったものが、ことしは七十八円というふうに上がってきておりまして、四月に入りましても非常にいい価格で推移している。  甘夏かんにつきましても、これも同様でございまして、大体昨年並みの価格で、百十四、五円くらいのところで推移しているのではなかろうかというふうに理解しております。また、ハッサクにつきましては、逆にこの三月の価格におきましても、昨年が百一円程度であったものが百二十二円ということで、グレープフルーツの自由化による重大な悪影響が出ていれば、たいへんなことになるというふうに私たちも当初は心配したのでありますが、結果的にはどうもミカンのことしの価格状況は、いまの段階では順調にきまして、大体四月をもってこの出荷の大山は越えるのではなかろうか、こういうふうに理解している次第でございます。  また、価格安定につきましても、従来は、先ほど来私が申し上げておりますように、戦後、ミカン、特にくだもの類全部でございますが、特にミカンにつきましては、植えさえすれば売れるということでどんどん、政府でそれほどたいへんな助成はしなくても売れてきたわけでありますが、この果振法の改正を四十一年七月に採択した前後から逐次需給バランスが徐々に緩和してきておるわけでありますが、まだ全体としては、国民所得の非常な需要の伸びにささえられまして、この果実に対する需要も非常に旺盛なものがあるというふうに私は理解している次第でございます。しかし、しさいに各県別に価格の動向等を見比べますと、産地によりまして非常に価格差が出てきておるというのは、産地間競争が非常に激しくなって、やはり都市において、ミカンであれば何でも売れるという時代ではなくて、品質格差がそこに出てきた。いいミカンが高く評価され、選別され、育成のあまりよろしくない地帯のミカンは、それなりに安い評価をされるというようなこともありまして、われわれといたしましては、今後生産の指導のほかに、さらに厳正な出荷の検査というようなことで、規格の統一並びに選別の厳重な適正化というようなことで今後対応してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  価格の安定につきましては、生産のみならず、出荷の安定——できどきに一ぺんにラッシュになって出荷されますと、やはり暴落現象を起こしますので、極力出荷の安定ということで、早いものは早くから、おそいものはおそくまでなるべく延ばして、平均出荷を行なうというようなことで、予算的にも倉庫に対する助成を行ないまして、普通の温州ミカンの倉庫を特に振興産地を中心としまして適正に配置するほか、高級晩柑類につきましては、長期保存ということを前提といたしまして、低温貯蔵庫の整備の指導に現在努力をしている次第でございます。  また、ジュース工場等が多くできてまいりましたので、これらの関係でこの原料果実の価格安定ということがいろいろ問題になりまするので、今後今年の、四十七年度予算から年々原料ミカンの価格安定事業をさらに強化してまいりたいと思っておりますが、初年度でありますが、原料果実が不当に暴落して農家の方に迷惑かけることのないよう、また、ジュース工場のほうに迷惑のかからぬように、その価格の安定ということを期待しまして、予算的措置を講じておる次第でございます。
  159. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまたくさん御答弁あったのですが、私が聞いたのは、そういう価格の変動が非常に起きた場合に、これを共済制度対象として検討するのかどうかということをお聞きしたのですが、その点で一言でいいのですから、イエスかノーかだけをお答え願いたい。
  160. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 価格の変動は、自然現象による生産の変動のほかに、社会経済的な複雑な要因によって生ずるものでございまして、保険による危険分散の機能の働く余地が少なく、保険事故に考えにくい性質のものでございますが、   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 これを保険に仕組むには、きわめて問題が多いというふうに考えております。
  161. 塚田大願

    ○塚田大願君 やはりその辺が私は、問題だと思うのです。十年二十年先を見通して、そして植栽を指導する、しかし、一方においては農家の経営を安定させるためのその裏付けとしての価格保障についてはあまり具体的でない。むしろ、そういうことこそ私はこの基本方針の中に入れていただきたかったと思うのですよ、価格保障問題というのは。まあ、これからもむしろ、そういう点では私は、この問題は非常に果樹農民にとりましては深刻な問題になってくるだろうと思うのです。やはりできれば早急にこの問題は具体化していただきたいと思います。  次に質問を進めますが、今回のこの基本方針の改定にあたりまして、私は非常に重要な変更が加えられていると思うのですが、その点でお聞きしますが、この第2の2でありますか、ここにはいままでの基本方針にはなかったものがここにあります。これは「果樹の植栽に当たっては、果樹栽培の機械化、省力化等の観点から、原則として平坦地ないし緩傾斜地に植栽すること。」、こういうふうになってるわけです。つまり果樹の植栽に適する自然的条件に関する基準、こういうことでありますけれども、「果樹の植栽に当たっては、果樹栽培の機械化、省力化等の観点から、原則として平坦地ないし緩傾斜地に植栽すること。なお、傾斜地に植栽する場合にあっては、とくに農道、作業道等を整備すること。」、こういうふうに加わってるわけですね。  そこで、私はお聞きしたいのですが、はたしてこれが植栽に適する自然的条件の内容なのだろうか、この条件が。この点については非常に奇異の感を持つわけですが、この点ではどういうことになっておるのでしょうか。
  162. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この従来の、前のときにつくりました基本方針の場合には、やはりわれわれといたしましてその点が多少手抜かりであった、というのは語弊があるかもわかりませんが、このミカンについて適当なところに植えられるだろう、温度条件あるいは降水量というものさえ明記しておけば、あと農家の方がいい土地に植えられるというふうに理解しておったわけでございますが、ところが御奉知のように、御指摘もありましたように、特にミカン類でございますが、山の上へ山の上へと登ってまいりまして、いわゆる段々畑をつくりまして、非常に急傾斜のところにかんきつを植えるような傾向が非常に強く出てきておりまして、たとえば、統計的に申し上げますと、これは過去の分も含んでございますが、二十五度以上の植栽のものが、植えられているものが二十五度以上のものが一六%を占めている。十五度から二十五度までの分が三九・三%ということで、特にわれわれから見ますと急傾斜地帯に特にかんきつが植えられておるわけでございます。こういうことになりますと、昔のように労働力が非常に豊富なときには、あるいはそれでよかったかもわかりませんが、やはり今後の農村労働力の不足ということが強く叫ばれ、また、それに対応するためにわれわれといたしまして機械化というものを大いに入れていきたいと思いましても、アメリカのオレンジ農業とある程度競争ができるものにするように、機械化なり省力なりを推し進めようと思いましても、急傾斜地帯では機械も入らないということもありまして、今後なるべく平坦なところに、機械化のできるところにかんきつ類を植えていきたいというところから、緩傾斜地に限る。また緩傾斜地というのは、ミカンの植栽については、むしろ都合のいいほうでありまして、われわれといたしましては、今後それを奨励をしてまいりたいということでございます。  さらに、従来農林省におきましても土地基盤整備ということにつきまして、この果実についての土地基盤整備は、とかくおくれがちであったのでありますが、最近のこの二、三年来の農林省の姿勢といたしまして、果樹につきましても土地基盤を大いに整備するということで、特に農道、作業道については、農地局も含めまして私のほうでも、この予算を非常に多く重点的に取り上げまして今後整備してまいりたい。こういうことによりまして、この日本の果樹農業の将来の経営の安定に多少でも資し得るように努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  163. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこで自然的条件という問題ですが、実は、私は先ほども申しましたように、この二月に西宇和の夏ミカン地帯に行ってみまして見たのですが、あの辺は局長も御存じかもしれないが、三十度から四十度くらいのすごい傾斜地なんですね。びっくりしました。そこでどんどん植栽をしている。これは農民の苦労というものは、たいへんなものだと思いましたが、しかし、そこへ行ってみましていろいろ技術員などのお話を聞きますと、やはりミカンは傾斜が急なほうが潮風を受け、あるいは日光の日当たりがよろしい、こういう点で、非常にミカンとしては、味がよくて甘みも強い、こういうふうに技術員も言っておりました。最近三月十七日にNHKが日本農業賞を受賞した、愛媛の南宇和の農民の方々の話を放送しておりましたけれども、この日本農業賞というものを受けたマルエム甘夏生産組合でありますか、この南宇和、ここなんかもテレビで見ましたら、ものすごい傾斜地ですね。やはりそういうところがたいへんいいものができるということの証拠だったと思いますが、しかし、一方おっしゃるように、ああいう段々畑のすごいところで作業することは、農民の方々も命を縮めるようなものだということを言っておられました。しかし、やはり農民はそういう条件の中でも、一つにはとにかくいま政府が言っておるような国際競争力から考えてみても、味で負けてしまったらだめだ、やっぱりおいしいミカンをつくるには、少々手間がかかってもしかたがない、がんばらなきゃいかぬのだ、こういうふうに農民の方々は言っておるのですね。確かにアメリカのオレンジなんかの味を見れば、ちょっとやそっとのことではなかなか国際競争力というものはつかないと思う。やっぱり味に対しては味ということが、非常に重要な要素だと思います。そういう意味で、やはり農民の皆さんはそういう努力をしておられる。また日本のような狭い国土で政府が言っておるように、十五度以上の温度の地域なんというものは、非常に限定されておるわけですよ。ですから、そういう限定されておる中で経営規模の拡大を非常に努力をしてやっておられる。この農民の努力と意欲というものを、私はやはり正しく評価していかないと、ほんとうに心の通った果樹政策というものは出てこないのじゃないですか。とにかくもう傾斜地は補助の対象にしないのだ、緩傾斜地、あるいは平たん地だというふうな基本方針では私は、やっぱりうまくいかない。  その点で私は、この間の委員会で農林大臣といろいろ論議したのも、やはり生産の主体である農民を中心にしたものの考え方、政策、こういうものが必要だということを強調したつもりでありますけれども、そういう点では、これは大臣にお聞きしたいと思うのですが、こういう基本方針ですね、これはどうでしょうか。はたしてこれでうまくいくとお考えでしょうか。大臣ひとつ、この間の続きになるかもしれないけれども、お聞きしたいと思います。
  164. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) いまのお話の、いろいろのことがあると思います。土地の高度利用とか——味という点は私はよくわかりませんが、味などという点もあれば、やはり傾斜地でも植栽するということが果樹農家にとって非常に意欲的になる、こういうことも考えられると思います。また一方、局長の言うように、労働力の問題あるいは機械化の問題、そしてまあ生産性をあげるという点から見れば、平地のほうが有利だという面もあります。ですから、そういう面はコスト低下というような有利な面で、基本方針の中に書いておるんだと思います。しかし、特殊の、いいものをつくるというような果樹農民の希望、期待、努力、こういうものも、いまお話しのようにあると思います。そういうものも何もこれは禁止するということじゃございませんで、そういうことがあって私はいいことだと思います。でございますので、一つの、こういうことをしたほうがコスト低下できるんだという意味で基本方針の中に書いてあるのだろうと思います。何もそれを固執するという必要はないと思います。事情に応じて、また生産農民の意欲、希望というものも入れて奨励するというような態度で臨みたいと思います。
  165. 塚田大願

    ○塚田大願君 では話を進めまして、いま局長から農道については、積極的にやるというふうなお話でございましたが、これも現地へ行ってみましたら、基幹の農道は一応できておりますけれども、もう作業道路なんかになりましたら、全然これは手がついておらないんですね。それだけに農民が非常に苦労しておる。こういう状態ですが、しかし、ここでもう一つ私が感心しましたのは、ああいう急傾斜地でモノレールという新しい装備が開発されておるんですね。たいへんすばらしいんで私、びっくりしました。一本の線をずっと引いて、この急傾斜地を二百キロぐらいのものが運べるのですか、なかなか能率がいいんですよ。で、これはどこで開発したんだと言ったら、地元の人たちが考えついてやったと。ただ、これが百メートルつくるのに三十万円とかかかって、なかなか費用がたいへんだと。これはひとつ補助の対象にしてもらえないものだろうかというようなことを言っておりました。これは、ほんとうに働く農民の知恵から生まれ出た装置であり、機械なんですね。こういうものはやはり積極的に補助の対象などにしてやっていくべきじゃないか。そうすればその急傾斜地といえども、けっこう能率があがる。もうここにやっぱり農民の知恵というものがあるということを感じましたので、この点はひとつ今後農林省としても検討していただきたいと思うんです。  次に、もう時間も迫ってまいりましたから進めますが、改植の問題ですね。これは西宇和に行ってみて、大きな夏ミカンの幹がばっさりばっさり伐採されているわけです、そして改植されているわけですね。去年私は津軽へ行きまして、やはり二十年、三十年のリンゴの木が切られるのを見まして、たいへん胸を痛めましたけれども、今度も西宇和へ行ったら、夏ミカンの大きな木がどんどん切られていっている、で、改植されている。しかし、この伐採、改植は、これは共済には入らない、当然入らない。だから共済金はもちろん一銭ももらえない。こういう問題がやはりあるんですね。で、特にそういうところへ行って農民の皆さんに聞いてみると、とにかく改植したといっても、七年、十年たたなきゃ実がならない。それまでの間は一体生活がどうなるのか、生活の保障をどうしてくれるのか。あるいは改植のための補助金として幾らか出ているけれども、これはもう苗木の値上がりでパーだというのですね。何でも一年間に百円くらい上がるそうです。苗木の補助は、一本百円くらいですか。何かそういうことでまるで全然役に立たない。そういうことで改植の問題でも非常に農民の皆さんは苦労されておりましたけれども、こういう改植に対しましては何らかの——なるほどこれは自然災害ではありませんが、いわば政策による災害、政災みたいなものでありますから、やはりもっと政府国庫負担があってしかるべきではないかと思うのですが、その辺はどうなんでしょうか。
  166. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 昨年のグレープフルーツの自由化に伴いまして、従来からとかく普通夏カンにつきましては、国内的にも国民所得の向上に伴いまして、普通夏カンよりも甘夏のほうに国民の消費の需要が強くなってまいりまして、普通夏カンの取り扱いについては、農家のほうでもお困りになっておりましたし、われわれのほうとしても、多少危惧の念があったわけであります。その結果、グレープフルーツの自由化と相見合いまして、普通夏カン園を改植して、何らかの形で高級な甘夏あるいはその他の伊予カンなり、ハッサクなり、そういった雑かんなり、あるいは需要の強い温州ミカンに切りかえる必要があるということの緊要性を認めまして、昨年予備費をもちまして普通夏かんの改植に要する利子補給をする、融資に伴う利子補給をする、低利融資を行なうということで、農家の実効利子といたしましては大体年間三分ということで、ひとつ災害対策と同様の低金利でもって融資することにした次第でございます。またそのほかに、この融資事業のほかに、予算的にも夏かん園等の再開発事業ということで三億三千万円、品種更新事業でわずかではありますが二千九百万円、その他栽培省力機械ということで四億三千四百万円というようなことで、夏かん対策として一貫的にこういった事業をくふうされておるわけでありますが、ただいま御指摘になりました、昨年まではこのかんきつ類に対する苗木の価格は、低く政府におきましてもしておりまして、百円でありましたが、このかんきつ栽の農家の強い御要望もありまして、大体実際の市価にひとしい、大体予算単価といたしましては、かんきつの苗木の補助金の単価を三百円に今回一挙に引き上げまして、農家の要望に十分こたえたつもりであります。なお、こういったことによりまして、今後リンゴ等、ただいま御指摘ありましたが、リンゴの一部、国光とか紅玉という古い型のリンゴが需要の動向に十分乗れずに困っておりましたのを、改植あるいはつぎ木というようなことによりまして、富士なり陸奥なりに切りかえたことによりまして、北東北方面のリンゴ農家が非常な再開発に成功した例もございますので、そういった例をわれわれは十分参考にしながら、この夏かん対策につきましても今後十全の措置をとってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  167. 塚田大願

    ○塚田大願君 最後に幼木共済の問題についてお聞きしたいと思っておったのですが、時間もまいりましたし、きちっと時間は守ったほうがいいと思いますので、この点はだいぶ何人かの方々の説明がございましたので、この幼木に対して共済対象にしていただく、これはやっぱり早急にやっていただく必要があると思うのです。準備が進まない、調査が進まないというのではなくて、とにかくいま申しましたように、たいへん植栽をどんどん進められる、こういう状態ですから、この幼木の比重というものは非常に大きいと思うので、その点でひとつ最後に要請をいたしまして、質問としましては私は農林大臣にもう一度お尋ねしたいのですが、この間も最後に御質問いたしましたが、時間も切れてしまって残念に思ったので、きょうもう一度確認しておきたいのですが、いまのミカンの問題、果樹の問題で、やはり自由化の問題というのは何となくわれわれの頭の中に不安として残っておる。そこでやはり大臣がこの間衆議院の予算委員会でお答えになった——三月十七日でありますが、このときにこういうふうにおっしゃっておられましたが、「あとの二十四品目に対しては、基幹的な作物でございますから、これは自由化しないという方針はきめていて、そういう五十二年までに自由化」云々と、そんなものはございませんと、まあ、こういうふうに言っていらっしゃるんで、これはたいへん心強いわけです。二十四品目に対しては、基幹的な作物ですから、これは自由化しないと。で、この点を私はもう一度確認していただきたい。というのは、この発言の最後に、そうではなくて、「逆の研究」を私のほうはしておるんですと、こうおっしゃった。ですから、この点では私は間違いないことだと思うんですが、まあそういう意味で、もう一度大臣のこの自由化に対する見解を確認をして、私の質問を終わりたいと思うわけです。
  168. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) どこでも私が申し上げてることに別に変わりはないわけでございます。日本農業の体質改善をして強化していく、これは国の全体のためにも、また農民のためにも、あるいはさらに国民全体の消費者のためにもと、こういう点を考えまして、日本の農業の体質改善できるまでは——できるまでったってすぐにできるわけじゃありませんから、当分の期間できれば農作物に対しての自由化というものはしないという方針でおります。それで、国際情勢からいろいろ南北問題なんかもあったりなんかして、そういう要請も決してこれでなくなってるとは私は見ません、あるいは出てくるかと思います。しかし、そういうことに対処するにも、自由化というようなことでやっていこうということではなく、そのほか、まあ個別的にいろいろ品目の輸入を多くする——少しは多くする場合ありましょう。あるいはまた、開発途上国などからの要請に対しては、開発輸入というか、そこの開発を援助する、協力していく、そして物を輸入するというような場合もある。いろいろなそういうことはあると思うが、とにかく自由化というような形で臨むつもりは全然ございません。どうぞ御了承願います。
  169. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより採決を行ないます。  農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  170. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が先ほどの理事会においてまとまっておりますので、これを議題とし、便宜私から案文を朗読いたします。    農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、最近の厳しい農業情勢にかんがみ長期的展望に立って果樹生産の基盤整備、果実の需給と価格の安定対策、災害対策等を一層拡充し、果樹経営の健全な発展を図り、国際競争にたえうる果樹農業を確立するとともに、本制度の運用に万全を期するため、左記事項を検討して、その実現に努めるべきである。      記  一、本制度対象果樹については、すみやかにかきなどを追加するとともに、その他の果樹農業振興特別措置法適用果樹についても、実態に即し、調査を終了し、早期に事業対象に加えるよう配慮すること。  二、果樹農業の特性、地域性を十分に反映した基準収穫量、共済金額、掛金率の設定を指導し、適確な損害評価方法の確立、被害の把握に努め、補償の充実を図るよう努めること。  三、樹体共済については、共済事業対象として、今後幼木を含める方向で検討するとともに、損傷等による分損被害を適切な範囲で対象事故とするよう措置すること。  四、果樹共済事業の効果的運用を図るため、支払共済金等の削減が行なわれないよう指導すること。  五、果樹共済の特殊性に照し、農業共済団体の事務執行体制の整備に特別な配慮を払い、職員、共済連絡員等の待遇改善に資するため、国庫負担の拡充を期すること。  六、農業生産の進展に対応して、施設園芸、地域特産物、肉豚、鶏等の新種共済について、早急に基礎資料の整備を行ない、制度化を促進ずること。   右決議する。  以上であります。  それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  171. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、赤城農林大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
  172. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) どうもありがとうございました。ただいまの附帯決議につきましては、その決議の趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処いたしてまいりたいと存じます。
  173. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ————————————— 委員長高橋雄之助君) 次に、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。赤城農林大臣。
  175. 赤城宗徳

    ○国務大臣(赤城宗徳君) 土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容などを御説明申し上げます。  土地改良法は、昭和二十四年に制定されまして以来、数次の改正を経て今日に至っておりますが、この間、本法に基づく各種の土地改良事業が施行され、農業生産基盤の整備をはかることによって農業の生産性の向上、農業構造の改善等に大きく寄与してまいったのであります。  他方、わが国農業及びこれをめぐる諸情勢は、近年著しい変化を生じ、これに対応した総合農政の新たな展開をはかることが要請されているのでありますが、この一環として農業生産基盤の整備につきましても、これらの新たな事態に即応して、さらに一層強力かつ計画的に推進することが緊要となっていろのであります。また、最近における、土地改良事業実施面について見ましても、従来には見られなかったような広範な地域を対象とする大規模かつ基幹的な土地改良事業を推進する必要が生じてきているほか、都市化の進展に伴い農村における土地及び水の農業上の利用とその他の利用との競合が増大してきているなど、現行の土地改良制度農業あるいは農村の実情と必ずしもそぐわない面も生じてきているのであります。  このような情勢の変化に対応しつつ、今後の農業生産基盤の整備を計画的かつ効率的に進めるため、このたび土地改良制度の全般についてその改善合理化をはかることとし、この法律案を提出した次第であります。  次にこの法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一は、換地を伴う土地改良事業における農用地以外の土地の取り扱いに関する改正であります。すなわち、圃場整備事業等を実施するに際し、その実施地域内に介在する農用地以外の土地をこの事業に取り込み、事業の合理的な推進をはかることができるようにいたしますほか、共同利用施設用地、公共用地、工場用地等が新たに必要な場合にはいわゆる創設換地等の手法により、その区域内の土地をこれらの新たな用途に充てることができることといたしたのであります。  第二は、土地改良事業の総合的実施のための改正であります。現行土地改良法は、数種の土地改良工事を行なう場合には、その種類ごとに別個の計画を定めて別個の事業として実施することといたしておりますが、最近におきましては、一体的な計画のもとに各種の工事を組み合せた総合的な土地改良事業実施する必要が生じておりますので、これらの工事をあわせて一個の土地改良事業として施行することができることといたしました。また、土地改良事業計画の概要を公告して関係農業者等の同意を得る前に関係市町村長の意見を聞かなければならないこととし、農業振興地域整備計画に基づく施策等との調整に資するよう配慮いたしました。  第三は、農業振興地域整備計画の達成上必要があるときは、市町村が国営または都道府県営の土地改良事業の施行を申請する道を開いたことであります。この場合、農業者がこれらの事業実施を申請する場合と同様関係農業者等の三分の二以上の同意を得て申請することができることとしたほか、特に基幹的かつ先行的な施設の建設の事業につきましては、関係農業者等の同意を得ないでも、関係市町村の議会の議決を経る等の手続によりその実施を申請する制度を設けることといたしております。  第四は、農業用用排水施設等の利用関係の調整に関する規定を整備する改正であります。農村における都市化の進展等に即応し、農業用用排水施設等につきまして、農業的利用とその他の利用との間の円滑な調整をはかるため、新たに国営土地改良事業で造成された施設については水道事業その他の公共的事業を行なう者との共有とすることができることとしたほか、下水道等と兼用することが適当となった施設の管理等に関する関係地方公共団体等との協議、農業用用排水路に排出される廃水の差し止め等に関する規定を設けることといたしております。  第五は、農地保有合理化法人に土地改良事業実施資格等を付与するための規定の整備であります。すなわち、さきの農地法の改正により新たに制度化されました農地保有合理化法人につきましては、今後農業構造の改善をはかる上にその事業に期待するところ大でありますので、この農地保有合理化法人に、新たに土地改良事業実施資格を付与する等土地改良事業と農地保有合理化促進事業とを有機的に関連づけて運営することができるようにいたしております。  以上のほか、土地改良事業の受益地が一定期間内に農業外の用途等に供された場合にその土地改良事業に投下された公共投資を回収する制度を設けるほか、土地改良区の役員の選出及び経費の賦課、換地計画の定め方等現行土地改良制度の各般にわたり所要の改善整備を行なうことといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  176. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に補足説明を聴取いたします。三善農地局長
  177. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容の概略を御説明申し上げます。  まず第一は、換地を伴う土地改良事業における非農用地の取り扱いに関する改正であります。  すなわち、土地改良事業は、宅地等非農用地についても、その所有者その他の関係権利者の同意を得て、その施行地域内に含めて実施することができることとするとともに、この土地改良事業実施に伴う換地の仕組みについて創設換地、異種目換地等に関する新しい制度を設けることといたしました。これは、圃場整備事業等換地を伴う土地改良事業の一そう円滑な実施をはかり、農用地の集団化等農業構造の改善の推進に資するとともに、これら事業実施を機会に土地改良施設用地等の公共施設用地、ライスセンター、カントリーエレベーター等農業経営の合理化に必要な農業用施設用地のほか、農業者の住宅用地、農村地域への工業導入をはかるための工場用地等もあわせて確保し得るようにするものであります。  第二は、土地改良事業の総合的実施に関する改正であります。  現行土地改良法におきましては、区画整理事業のみについて土地の区画形質の変更の事業に付帯してその他の農用地の造成、改良、保全のための工事を行なうことができることとされておりますが、農用地造成事業についても既耕地の区画形質の変更その他の工事を付帯して行なうことができることとするほか、新たに、同一地域に重畳して行なわれる二以上の土地改良施設の新設、変更を一体とした土地改良事業、及び土地改良施設の新設、変更とその施行地域で行なわれる区画整理、農用地造成その他の事業とを一体とした土地改良事業を、一事業として行なうことができることといたしております。  また、土地改良事業計画の概要を公告して関係農業者等の同意を得る前に、関係市町村長の意見を聞かなければならないこととし、土地改良事業相互間及び土地改良事業と他の施策との斉合性の確保に資するようにいたしました。  第三は、市町村が国営土地改良事業または都道府県営土地改良事業の施行を申請する道を開く改正であります。  農業振興地域整備計画の達成上必要な場合には、市町村も、関係農業者等の三分の二以上の同意を得て、国営または都道府県営土地改良事業実施すべき旨を申請できることといたしましたが、この場合、最近におけるかんがい排水事業の広域化、大規模化等事業内容の実態的変化を手続面にも反映させるため、基幹的な土地改良施設の新設または変更について先行的に実施する必要があるときは、この関係農業者等の同意を得ないでも申請ができることといたしました。この同意を得ないでする申請につきましては、あらかじめ関係土地改良区等の意見を聞かなければならないこととするほか、国営事業の場合には申請の段階で、都道府県営事業の場合には事業の適否を決定する段階で、それぞれ、都道府県の議会の議決を経なければならないことといたしております。また、この申請に基づく事業の費用の負担方式につきましては、国が都道府県に費用の一部を負担させることができることは従来の場合と同様でありますが、都道府県は、国営土地改良事業にあってはその負担金の全部または一部、都道府県営土地改良事業にあってはその事業に要する費用の一部を、関連する末端土地改良事業が関係農業者等の三分の二以上の同意を得て施行される段階において、その事業主体である土地改良区、その他この国営または都道府県営事業により特に利益を受ける者から徴収することができることといたしました。したがって、基幹的な施設を利用するかいなかについての事業参加資格者の意思は、関連する末端の土地改良事業に対する同意を通じて表明されるよう担保されているわけであります。  第四は、農業用用排水施設等の利用関係の調整に関する改正であります。  その一は、最近において、国営土地改良事業により造成された基幹的な土地改良施設を、発電事業、水道事業その他の公共の利益となる事業との共用とすることが適切である場合が次第に増加しているわけでありますが、この共用化が円滑に行なわれるよう、共用化に際し、これらの事業者に共有持ち分を与えることができることとするとともに、その対価の一部を地元に還元することといたしたことであります。  その二は、土地改良区は、その行なう土地改良事業によって利益を受ける組合員以外の者からも、都道府県知事の認可を受け、その事業に要する経費の一部を徴収することができることといたしたことであります。  その三は、土地改良区等は、その管理する農業用排水路その他の土地改良施設が、市街化の進展等により、下水道その他の施設との共用とすることが適当と認められるに至った場合には、関係地方公共団体等に対し、その施設の管理、その他必要な事項につき協議を求めることができることといたしたことであります。  その四は、農業用用排水路の管理者は、その予定する廃水以外の廃水の排出により、その施設の管理に著しい支障を生じた場合等におきましては、その排出を停止すること、その他必要な措置をとるべきことを求めることができることを規定いたしたことであります。  第五は、農地保有合理化法人に土地改良事業実施資格を付与する等の改正であります。  その一は、農地保有合理化法人は、その行なう農地保有合理化促進事業の一環として、土地改良事業実施することが必要となる場合がありますので、土地改良事業実施する資格を与えることといたしたのであります。この場合の手続等は、農業協同組合が土地改良事業実施する場合と同様であります。  その二は、農地保有合理化法人が所有し、または借り受けている未墾地等につきまして、地方公共団体及び農業協同組合等の場合と同じく、国営または都道府県営農用地造成事業を施行すべきことを申請することができる道を開くことといたしたことであります。  その三は、国営の干拓事業により造成される干拓地につきましては、その干拓地及び周辺の地域における農地保有の合理化の促進等をはかる観点から見て適当と認められる農地保有合理化法人に対し、干拓地等を配分することができることといたしたことであります。これは、農地保有合理化法人が、その配分を受けた干拓地と周辺の地域における農用地とを一体として農地保有の合理化をはかることができるようにするものであります。  第六は、土地改良事業の受益地が農業外の用途等に供された場合に、その土地改良事業に投下された公共投資を回収できることとしたことであります。  このような公共投資の回収措置につきましては、現行法では、国営干拓地における目的外用途の転用の場合に特別徴収金を徴収する制度が設けられておりますが、干拓以外の国営土地改良事業につきましても、その施行地域内の土地が一定期間内に目的外用途に供され、または目的外用途に供するためこれにつき所有権の移転等がなされた場合には、国は、その負担した事業費の範囲内で、特別徴収金を徴収することができることとし、これに合わせて、都道府県営、団体営の土地改良事業につきましても、同様の趣旨の規定の整備をすることといたしました。  最後に、その他の改正について、その概略を御説明申し上げます。  その一は、土地改良区等の役員の選出方法につきまして、従来は、選挙に限られておりましたのを、他の農業団体と同様、定款で総会または総代会の議決による選任の方式をとることもできることといたしましたほか、土地改良区の経費の賦課につきまして、土地の受ける利益を勘案する際、地積、用水量その他の客観的指標により行なうことを明確にすることといたしました。  その二は、土地改良区等が換地計画を定める場合に、あらかじめ、換地に関し専門的な知識等を有する技術者の意見を聞かなければならないことといたしました。  その三は、土地改良事業計画の変更につきまして、土地改良事業の施行地域の変更は、事業計画の重要な部分として、従来施行地域全体の事業参加資格者の三分の二以上の同意を要することとされておりましたが、その変更が軽微なものにつきましては、その変更により施行地域に編入され、または除外される地域の事業参加資格者の三分の二以上の同意をもってこれにかえることができることといたしました。  その他、従来運用上問題とされておりました諸点につきまして、規定を整備いたしております。  以上をもちまして、土地改良法の一部を改正する法律案についての補足説明といたします。  なお、引き続き、土地改良法の一部を改正する法律案の参考資料について、簡単に説明さしていただきます。  この参考資料は、大きな項目として六項目からなっております。  一つは、土地改良関係予算及び融資の推移、第二点は、土地改良関係事業実績、第三点は、農地集団化事業の推移、第四点は、土地改良区等の推移、第五点は、土地改良区の財産の管理状況、第六に、水質汚濁による農業被害の状況、この六つの項目を織り込んでおります。  第一の「土地改良関係予算および融資の推移」につきましては、一ページで一つは「予算額」と「農林漁業金融公庫融資」、この実態を以下二ページから四ページにわたって記載をいたしておりますが、内容的に「農業基盤整備費」は二ページにございますが、「農業基盤整備費」を項目別にそれから年度別に予算額を記載いたしております。もっとも四十七年度は、要求の予算を記載いたしております。この最近の予算の全体の動向といたしましては、ニページの一番最初の四十七年のところ、一番上の欄でございます。見てみますと二千七百五十四億、ここ最近四十六年、四十七年と対前年度比、相当大幅に予算は増加いたしております。事業別に見ますと、大体土地改良の予算これが約八〇%程度を占めております。それから「干拓事業費」が三ページにございますが約三%、それから「農用地開発」、これも三ページの下のほうにございますが、これが一七・八%を占めておりますが、特に事業別に見まして土地改良の事業費が非常に伸びております。次は五ページにまいりまして「災害復旧関係費」、これは五、六ページに記載されてございます。それから七ページが「農林漁業金融公庫融資」の実績につきまして事業主体別それから業種別に分けて、それから三十六年から四十五年度まで年次別に貸し付け決定額を掲載しております。四十六年、四十七年は、一応予算額を書いてございます。七ページには一般の補助、それから八ページには一般の非補助の融資でございます。それから九ページはこれは災害復旧の融資の関係でございます。それから十ページは「業種別貸付決定額」ということで十ページ、十一ページに記載してございますが、特に耕地整備、この貸し付け額が非常に最近伸びております。  次に、「土地改良関係事業実績」、これは十二ページから十五ページにわたって書いてございます。十三ページには「基盤整備事業完了面積一覧表」ということで各事業別に事業の完了した面積を書いてございます。四十年から四十五年まで特にほ場整備関係等農道関係が非常に多くなっております。それから十四ページは「干拓地配分実績」、十五ページは「農地および農業用施設等の被害査定額等」が記載してございます。十六ページをごらんになりますと「農地集団化事業の推移」で、十七ページから十九ページにわたって実績事業別の明細を記載してございます。十七ページ「農地集団化事業実績」ということで、換地計画によるものと交換分合によるものを年度別に記載してございます。十八ページがそれをもう少し詳しくしまして換地計画の実績、十九ページが交換分合の実績の面積、その他集団化のリストを記載してございます。それから二十ページにまいりまして「土地改良区等の推移」ということで設立状況、異動状況等書いてございます。二十一ページ設立状況でございますが、地区数、面積、それから組合員数、面積別地区数。面積別の地区数で三百ヘクタール未満の非常に規模の小さい土地改良区が七八%を占めております。二十二ページには組合員数別地区数で、約三百人未満の土地改良区が非常に多いということが表によってわかります。二十三ページは「異動状況」。年度別の土地改良区の設立の状況でございます。それから二四ページは、昭和四十五年度の設立しました土地改良区と解散しました土地改良区の実数を、ここで増減を記載してございます。二五ページは設立・解散の状況の累計で、これは四十五年度末までの累計を記載してございます。次は二六ページにまいりまして、土地改良財産の管理状況でございます。二七ページに直轄地区の管理委託の実績の表がございます。事業が完了しました土地改良区施設の管理を委託した場合の状況を二七ページ。二八ページは代行地区、これは国営土地改良事業の工事を都道府県に委託施行させた地区をいうわけでありますが、それの一覧表が記載してございます。最後は、水質汚濁にかかる農業被害の状況ということを三〇ページから最後まで記載してございますが、これは三〇ページでございますが、四十四年四月一日、全農地面積につきまして、全国の農地につきまして、調査をした一つ被害状況の実績でございます。三三ページをちょっとごらんになっていただきますと、四十年の四月一日現在で調査した実績が、地区面積がございますが、これと三〇ページの四十四年に調査しました面積を比較してみますと、その被害が非常に地区数で七〇%ぐらい多くなってきております。まあ農地の被害面積について五〇%ぐらい多くなっております。特に内容的には、やはり都市汚水による被害というものが四十四年は四十年に比べて三倍ぐらいに増加しているというようなことがいえると思います。  非常に簡単でまとまりのない説明でございますが、一応参考資料について説明を終わります。
  178. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることにいたします。  本日は、これで散会いたします。次回は、二十五日午前十時から開会いたします。    午後五時三十八分散会