運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-03-23 第68回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十三日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員の異動  三月十六日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     山田 徹一君  三月十七日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     塩出 啓典君  三月二十三日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     山田 徹一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 園田 清充君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委 員                 梶木 又三君                 河口 陽一君                 小林 国司君                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 初村瀧一郎君                 星野 重次君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 塩出 啓典君                 塚田 大願君                 中村 登美君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林大臣官房技        術審議官     遠藤 寛二君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        農林水産技術会        議事務局長    加賀山国雄君        食糧庁長官    亀長 友義君        林野庁長官    福田 省一君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        自治省税務局市        町村税課長    石原 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和四十七年度農林省関係施策及び予算に  関する件)     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  昭和四十七年度農林省関係施策及び予算に関する件を議題といたします。  本件につきましては、前々回すでに説明を聴取しておりますので、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 前川旦

    前川旦君 最初機構改革の問題をお尋ねしたいと思います。  今度の機構改革で非常に巨大な局ができることになりました。行政の能率という点から考えますと、常識的に言って、人数は少ないほうがやりやすいというのが常識であろうと思います。こういう巨大な局ができる理由は、これは局の新設を認めない、一局新設すれば一局削減という政府方針があるためのやむを得ざる措置という面もあろうかと思いますが、それにしても、非常に巨大化するということ、特に人事管理なども含めてやらなければいけないということになると、非常にこれはやりにくいという面が出るのではないかと思います。その点で大臣の自信といいますか、その辺の所信をまずお伺いをしたいと思います。
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 巨大な局というのは、構造改善局をおさしだと思います。いまお話しのように、新しい局は設けないという政府方針でございますので、構造政策の各課にまたがっているのを一つにまとめるということと一緒に、農地のほうを一緒にしたものですから、非常に大きな局になるということになると思います。しかしながら、いままでの政策におきましても、構造改善ということは、体質改善上からも非常に基本的な問題でもありまするし、それに農地の問題を構造改善方向へ、農地基盤整備を強力にまたもっていくということからいいまして、どうしてもこれを一緒にしていかざるを得ない、こういうことで、構造改善局を設けることにしたのであります。  いまお話しのように、他の局に比べれば相当大きいものでございますが、所掌事務の円滑な遂行を期するために、特にここにまた次長も置きますし、それから技術者も多いものですから、そういう面にも万全を期して農政の運営をしていきたい、こういう考えで、構造改善局を設けていこうという考えで、構造改善局を設けていこうということでございます。
  5. 前川旦

    前川旦君 局の新設を認めないというこの政府方針について私は批判がありますが、それはやむを得ない措置として、今度新しくできます食品流通局ですが、これは意欲はよくわかるんですけれども、野菜だけを対象に限って、水産物畜産物果実が除外されている、これはちょっとふに落ちない面があります。野菜だけが流通問題で大事なんではなくて、特に水産物、これは高値がずっと続いておりますし、それから果実等もこれからの消費の拡大等望まれるわけです。畜産物はもちろんのこと。そういう点で、この三つを除外して野菜だけに限っているというのは、一体どういう考え方から出てきたのでありますか。
  6. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 今度の食品流通局は、御指摘のような組織にしております。と申しますのは、いまお話しありました水産物果実畜産物、これを生産から流通まで一貫をして全部一つでやるということになりますと、それこそ膨大な局になってしまうということでございます。野菜だけ取り離しましたのは、ここ数年非常に秋冬期野菜中心に問題になりましたので、これは生産から流通まで一貫してやっていこう、こういう考えをとったわけであります。ただ、今度の食品流通局農林省としての流通問題、それから物価問題の総括といいましょうか、窓口といいましょうか、それは全部ここでやることにいたしておりますので、たとえば水産物にしろ畜産物にしろ、それの流通問題の一般的な取り仕切りといいましょうか、それはこの局でやるということで、水産庁なりあるいは畜産局なり、今度できます農蚕園芸局との連携を十分とるということにいたしたわけであります。
  7. 前川旦

    前川旦君 これは昨年の十月十五日に、行政監理委員会意見として、流通庁を設けよう、それからいまの全部を含めた生鮮食料品全般流通行政を所管するものに発展させようということが意見として出されていますが、将来はやはりこういう方向へ行くというお考えですか。
  8. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 昨年の十月に行政監理委員会からそういう御意見をいただきまして、それに基づきまして中村行管長官農林大臣のところに見えまして、これをひとつ参考にして考えてくれ、こういうお話もあったわけであります。農林省としましてその案を検討したわけでございますが、あの案によりますと、食糧庁とそれからそれ以外の農産物につきます流通問題は、全部そこで一括してやれ、こういうことであったわけであります。一つのお考えではあろうかと思いますが、やはり一度にそこまで持っていくというのは、なかなか容易ではありません。一方食糧庁のほうは、これは食管法に基づきまして統制をやっておりますし、それ以外のものについてはそういうことはございませんので、それを食糧庁の職員でもって末端まで——あの案では、ある意味では野菜についても統制的な色彩がかなり強かったように思われます。そういうことではなかなか取り組みにくいということで、食糧庁はそのままにいたしまして、ただいま御提案申し上げておりますような、その他のものについての流通行政を総括するという考え方、特に野菜につきまして生産から流通まで一貫してやるということにいたしたわけであります。
  9. 前川旦

    前川旦君 それでは、今度の農林省政策、それから予算等野菜問題が非常に重点を置かれていますが、野菜の問題について若干お伺いしたいと思います。  まずこの野菜価格の問題、流通問題生産問題等については、ずいぶん多くの提言なり、発言なり、報告が出ています。一々列挙は省略いたしますが、そういう数多くの提言なり、意見なり、報告なり、対策なり、緊急対策なり、こういう中での問題点はもう出尽くしているように思いますが、それにすべてに共通する柱といいますか、どういうふうに理解しておられますか。
  10. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 昨年の春以来、野菜に対しまして各方面から御意見なり、御提言をいただいているわけでございますが、大きなもので申しますと、農林省で設置いたしました「生鮮食料品価格安定対策特別調査」というのが、関東地区あるいは関西地区で二つのレポートが提言をいただいているわけでございます。また行政監理委員会で「野菜価格安定のための生産流通行政整備に関する意見」というのが一つでございます。それから「野菜価格安定に関する緊急提言」が物価安定政策会議第一調査部会から出ておりますが、主としてその三つが大きな分け方でございますが、その中で共通している問題点としては、野菜生産性の向上をはかり、その供給力強化をはかること、まず生産を増加しろということが第一点でございます。第二点といたしましては、その野菜生産出荷の安定をはかって、その価格変動を極力抑制することというのが第二点、価格変動の防止というところに第二点がございます。それから第三点といたしまして、野菜生産から消費者に至るまでの流通過程についてもっと合理化あるいは近代化を行なえという、大きく分けますと三つの点になるんではなかろうかと思っております。
  11. 前川旦

    前川旦君 その一番大きな柱として、野菜供給拡大生産力の増強に価格安定の最大のウエートを置いておる、非常に大きなウエートを置いておる。これは生産力がうんと拡大するということ、これは生産者にとっては暴落の連続ということになるんではないか、一体それがほんとうに生産者消費者両方に調和のとれた安定対策になるのかどうか、その辺私は疑問に思いますが、いかがですか。
  12. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私たち野菜価格安定のためには、その生産出荷の安定をはかることが基本ではなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございます。で、野菜はやはり常に需給をでき得れば一致させたいということで、その観点から野菜指定産地制度を設けますとともに、それらの生産地消費地の間の需給の見込みというものを、五年後の長期見通しを立てまして、それに基づきまして指定産地育成をはかり、その消費量を見込みまして供給出荷体制を固めてきている、こういうことでございます。しかしどうも野菜につきましては季節ごとあるいは年ごとにも相当変動がございまして、なかなかその需給の一致を見ることができなかった。したがいまして、ともすれば増産によりまして暴落が起こり、あるいは過少の場合には暴騰という、暴騰暴落繰り返しということでありますので、これは生産者にとっても、消費者にとりましても、非常に好ましくない事態でございますので、今度の予算を出します過程で、やはり基本的には価格の安定をはかることによりまして、農家にも消費者にも安心して野菜需給ができるように考えまして、特に価格安定対策に力を入れまして、その中で問題の非常に多い過去二、三年来暴騰繰り返しを続けてまいりました秋冬期野菜大根白菜キャベツあるいはタマネギ、こういったものにつきまして問題視いたしまして、こういうものを重要野菜として指定いたしますことによりまして、予約出荷奨励金とかあるいは概算金の支払いとかあるいは価格安定のための不足払いにつきましても、従来以上に強化をはかってまいりますとともに、秋冬期野菜以外の春夏野菜につきましても、同様の趣旨で従来以上に価格安定については強化をはかってまいっている次第でございます。
  13. 前川旦

    前川旦君 そうしますと、この野菜価格安定の焦点というのは、結局露地もの、秋冬もの、具体的に言うと、たとえば大根とか、白菜キャベツ、こういったようなものが中心になる。施設のものは、一応これは安定しておりますから、いま言った秋冬露地ものが野菜対策中心になるんだというふうに理解してもよろしいんですか。
  14. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 私たちの過去の、この二、三年来の経験から申し上げますと、非常に秋冬期野菜、ただいま御指摘になりました大根白菜キャベツあるいはタマネギ、こういったものが非常な暴騰をしておりまして、これが大体露地野菜の系統に属するということでございます。
  15. 前川旦

    前川旦君 この露地野菜の問題ですけれども、一つの大きな問題は作柄の不安定の問題があろうと思うんです。いつもいつも天気のせいだけにするわけにいかぬわけなんで、露地野菜作柄の不安定に対処する具体的な方法はどういうものを考えていらっしゃいますか。
  16. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど来問題のこの露地野菜につきましては、従来から相当自然にまかされたと申しますか、昔からの農法によりまして、この露地野菜をつくってきているわけでございますが、そういったことがやはり露地野菜生産に対しまして、相当な欠点になっているんではなかろうか、こういうふうに考えております。で、やはり露地野菜が非常にうまくいかない点の一つには、かん水といいますか、干ばつのときの水利がうまくできてないということが一つ、それから土壌の改善もうまくいってないということが一つというふうに考えておりまして、こういったことを適時適切にできるような方法考えていきたいということで、四十六年、昨年度からこの露地野菜につきまして、野菜作柄安定緊急対策事業ということでスプリンクラー等の緊急的なかん水設備を設けてやってきておるわけでございますが、従来そういった程度でございましたが、今後さらに指定産地指定するにあたりましても、特に今回の四十七年度予算におきましては、そういったことに特に重点を置きまして実施してまいりたいとともに、この露地野菜については、露地野菜生産モデル団地というものを新しく設定いたしまして、各地にこういった野菜につきまして、機械化的な生産が行なわれるように、作柄がまた安定するような団地育成してまいりたいということが一つでございます。さらに四十七年度から各県の園芸試験場露地野菜研修施設を設けまして、農家並びに指導者の方々に露地野菜のつくり方から十分に研修してもらって、今後新しい近代的な野菜生産の安定に何らかの形で寄与したい、こういうふうに考えている次第でございます。
  17. 前川旦

    前川旦君 ただいま言われたのは、主として土地の基盤整備といいますか、そういう面からとらえておられるようでありますが、この露地野菜品種改良については非常におくれておるということを聞いておりますが、この点についての手当てはどうなりますか。たとえば野菜試験場、今度改組するという、機構改革がありますが、それとの関連で品種改良の問題はどう取り組もうとされますか。
  18. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これは技術会議事務局長がお見えになっておりますので、試験場の件につきましてはそちらからあるいはお答え願ってもいいんではないかと思いますが、ただいま御指摘のように野菜の、特に戦前から伝統的に日本にありました大根とか白菜とかいうものにつきましては、ともすればやはり農家の伝統的な技術の上に立ちまして、この耕作技術自身について、それほど農林省として強い姿勢の指導が行なわれていなかったんではなかろうか、こういうように考えておる次第でございまして、こういったことにつきまして、今回反省いたしまして、野菜試験場の独立ということになってきたんではなかろうか、こういうふうに考えております。  一方、外国からまいりました技術体系のトマトとかあるいはレタスといったものにつきましては、相当外国技術の導入もありますし、また農家のほうでも相当積極的にやっておられましたんで、相当技術的には安定していると思いますが、今後、これらのものにつきまして、全部あらためて試験研究機関でも腰を入れて御検討願うことになった次第でございます。
  19. 前川旦

    前川旦君 たとえば産地を、まあ人間の力の及ぶ限り、現在の力ですけれども徹底的に近代化をしたとしても、天候によってどうしでもやはりこれは宿命的に生産量変化があると思うんです。それでたとえば生産量が二割前後変動すると、つまり出回りが二割ぐらいふえたら半値になるのだというようなことを聞きますが、そういうことを考えると、どれほど力を注いでも露地野菜価格対策というのは価格安定ではなくて乱高下縮小をはかるということになるのではないか。価格安定だということになりますと、非常に期待も大きいわけですけれども、実質は乱高下縮小、できるだけ縮めるのだというような考え方になるのじゃないか。その辺の点はどうですか。
  20. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 野菜価格につきましてはやはり価格安定とは申しますが、びしゃっと一つのある価格で水準にきめてしまうというふうな考え方ではやはり問題が相当多いのではなかろうか、こういうふうに私たち自身考えております。現在野菜生産出荷安定法というのがございますが、この法律の中でも野菜価格の異常な暴騰暴落を防止するということを目的としておりまして、われわれといたしましても不当な暴騰暴落野菜がしないようにいたしたいというのがわれわれの考え方でございます。したがいまして、野菜生産がやはり今後とも多少何らかの形で生産自身変動いたしますれば、当然にある程度価格変動がまいりますが、いかにその変動の波を少なくするかということにわれわれとしましても重点を置いてまいりたい。したがいまして、この生産から出荷あるいは消費に至る間の変動を極力防止するということを考えまして、今回秋冬期野菜につきまして特に生産の安定ということをはかりますための出荷奨励金の交付あるいは予約概算金の確保というようなことによりまして、面積を確保することによりまして生産の安定を極力はかりたい。万が一にそういったことによりましてもなお暴騰暴落というような事態がありましても市場隔離等措置をとるとともに、また暴騰の際には運賃等をつけることによりまして緊急輸送というような非常事態の行動を起こすことによりまして、極力供給の安定をはかることによって価格の異常なる暴騰暴落を防止いたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  21. 前川旦

    前川旦君 それでは少しこまかくいきますが、いま指定されている指定産地、これが実際に最初の計画どおり動いているのかどうか、的確に動いているかどうか、その点での再調査をされていると思いますが、現在の調査段階での状況はどうですか。
  22. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 四十五年度までに指定産地制度によりまして指定いたしました三百産地について現在農林省で昨年来全国に調査員を出しましてただいま検討中でございます。野菜近代化事業といいますか、指定産地制度によりましておおむね三、四年は一人前の指定産地に仕上げるにはかかるということで、四十五年度までということで調査対象を調べておりますが、やはり調査いたしましてから日本経済の異常なる発展ということもありまして、当時は農村であった地区がいつの間にやら宅地に変わっている地帯もございますし、また需要構造変化で、たとえばホウレンソウということで指定産地指定しましたところ現在においてはその他のレタス産地に変わっているというふうな、変化自身が多少構造的と言えるような変化もございますので、その辺の判断等を加味いたしましてただいま検討いたしておりまして、近いうちに何らかの形で相当な整理をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 前川旦

    前川旦君 そういう調査の結果が今年度の新しい指定産地を選ぶ上において、政策上どういうふうに生かされていますか。
  24. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 六年ほど前でございますか、野菜生産出荷安定法が制定されまして指定産地制度というものを採択いたします際に、やはり当時も野菜の問題が非常に緊迫をしておった段階でございましたので、多少いまから申し上げますとどろ縄的と言いますと不当な表現かもわかりませんが、都市近在におきます野菜産地を緊急に指定産地として手配いたしまして指定いたしまして、産地づくりにいそしんだわけでございます。その結果、その後の日本経済の異常な大発展の中で、都市近郊農業ではやはり今後野菜づくりはむずかしいんじゃなかろうか、こういうふうにわれわれとしては判断いたしまして、事実、都市東京なら東京周辺をとりましても、東京周辺野菜地区はほとんどだんだん悪くなってまいりまして、中距離圏北関東地区、さらには長距離圏東北地区に今後野菜産地を求めまして、その産地道路網整備も今後相当よくなってくるということを前提にいたしまして、今後われわれの指定産地育成の基準は中距離圏からむしろ遠距離圏に求めてまいりたい。したがいまして、たとえばの例でございますが、南九州東京との間もカーフェリーができまして、今後発展が、野菜供給地として非常に可能性が出てきてまいっておりますので、今後とも、たとえば宮崎県等の野菜指定産地を今後大いに強化してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  25. 前川旦

    前川旦君 中距離ないし遠距離にもう割り切っていくというお答えであったと思いますが、その場合一番問題になりますのは運賃補助であると思う。先ほどのお答えの中に暴騰時の緊急輸送、これは予算の中に出てまいりますけれども、一般的に言って、遠い指定産地からのあるいは中距離指定産地からの運賃補助の問題をどう考えていらっしゃるのか。将来どういうふうに取り上げようとしていらっしゃいますか。
  26. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) われわれが遠距離圏指定いたします過程でやはり問題点として考えておりますのは、ただいま御指摘になりました運賃距離差相当激しい。野菜は御存じのように、消費地域市場価格として実現するとき、近距離圏遠距離圏、それぞれ少し露骨な表現でございますが、激しい産地間競争繰り返しながら距離差というものを克服して、野菜を輸送するようになっておりますが、あまりにも遠距離のところをいきなり指定いたしましても、運賃差相当コストがかかるということで、なかなか産地としての育成が困難ではございますが、最近の道路網整備あるいは海上輸送体系整備というようなことをいろいろ比較検討いたしました結果、やはり将来においては運賃差というものは相当縮まってくるというふうに考えまして、また長距離には長距離なりの距離差を何らかの形で合理化されて、大型トラックによる輸送体系整備というようなことも考えられますし、また南九州から運びます場合でも、宮崎から東京国鉄で運べば従来の運賃だけでも二十円とまではいきませんが、キロ当たり十四、五円以上の運賃がかかったわけでございますが、カーフェリーで運べば、キロ当たり大体七円くらいで運べる、これは中距離圏から運ぶ野菜運賃にほぼ匹敵するというようなことで、いま距離差が何らかの形で合理化されていくということを前提といたしましていろいろ指定をしている次第でございます。
  27. 前川旦

    前川旦君 合理化によって距離差が解決できるという見通しのようですけれども、実際には国鉄運賃も上がる、おそらくトラック輸送運賃も上がる一方だと思いますので、そういう点を考えると、運賃補助、これは非常に大きな問題になると思う。全然これを考慮してないというような、いまそういう御答弁だったと思いますけれども、一体それでいいのかどうか。将来やはり検討して、うんと近い将来に実現、実施ということを目標に検討していくべきではないか、こう思いますが、いかがですか。
  28. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) いまの段階におきまして、運賃補助ということよりも、むしろわれわれといたしましては、産地の大型化ということと、それから産地野菜自身の大型出荷ということで、出荷単位を大きくいたしまして、そうして、大きなトラックに載せて大型道路の上を一直線に出すことによりまして、相当コストは安くなるのではなかろうか、こういうふうに理解いたしておりまして、むしろ産地近代化と輸送網の発展相当期待をかけて今後行政指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 前川旦

    前川旦君 私はちょっと違う考え方を持っておりますけれども、こればかりやるわけにいきませんので、次の機会に突っ込んでいきたいと思います。  そこで、現在の指定品目は十三ですね。この十三品目はこれ以上ふやしていくという方向ですか、あるいはもうふやさないということですか。
  30. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 野菜生産出荷安定法が制定以来、最初指定いたしましたときは六品目であったわけでございますが、その後、産地側の非常な御要望あるいは消費地側の要望もありまして、現在十三品目にまで年々何らかの形で指定野菜を追加したわけでございますが、あまりにも野菜の種類を追いかけることに急でございまして、十分中身を深める余裕がなかったということが最近の野菜行政の不手ぎわというふうになったのではなかろうかと、こういうふうに考えておりまして、今後、われわれといたしましても、もう大体野菜の品目の追加ということは、限界というか、この辺でぽつぽつおさめまして、むしろ内容の強化に入ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 前川旦

    前川旦君 消費の構造がいろいろ変わっておりますが、たとえば地方都市消費が非常に増大をしておりますね、統計を見ますと。それと関連して、新しい指定消費地域の新規予定地というのはどういうふうに考えておられるのか、具体的にもうきまっておれば明らかにしていただきたいし、地方都市消費増大と指定の関連ですね、それを御説明いただきたいと思います。
  32. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 従来は百万都市以上を大体指定消費地域というふうに考えまして、京浜地区、京阪神地区、中京地区、北九州地区というふうに指定してまいりましたが、さらにその後の動向で、北海道の札幌地区指定消費地域指定した次第でございます。しかし、どうも野菜生産出荷需給関係から見ますと、やはり今後は少なくとも五十万都市以上を野菜指定消費地域というふうに指定すべきではなかろうかということで、四十六年の予算におきましては、仙台とそれから広島を指定したわけでございますが、しかし、昨年一年間の経緯にかんがみまして、やはりただいま御指摘のように、相当、中小都市の中に野菜問題として大きないろいろな問題点が出てきたということも考えまして、ことしから一応五十万都市をさらに四十万都市の水準まで基準を引き下げまして、新たにことしから岡山地区とそれから金沢地区というものを指定消費地域指定いたしますとともに、さらに従来指定してまいりました大都市周辺の衛星都市にも今後指定消費地域として取り扱うように持っていきたい、こういうふうに考えております。ただわれわれの都市人口だけで参りましても、この野菜につきまして、野菜指定消費地域指定に際しましては、当然に野菜不足払いと言いますか、価格補てんの対象になりますので、中央卸売市場というものが整備されておりまして確実に証拠書類の帳薄が提示されるということが前提になりますので、今後卸売市場の整備と相待って指定消費地域の拡大については検討して参りたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  33. 前川旦

    前川旦君 そうすると、全国に対する指定消費地域の割合ですね。これは何であらわしますか。たとえば全国の流通量に対して指定消費地域流通量であらわしますか。あるいは人口であらわしますか。いろいろあらわし方はあると思いますが、流通量で言いますと全国の流通量に対して指定消費地域流通量の割合をどこまで持っていくかという、あるいは人口として考えると一体どこまで持っていくのか、その辺の青写真はできていますか。
  34. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) この野菜につきましては一応農林省としましては農産物の「長期見通し」というものがありまして、昭和五十二年の需給を目標としまして全国ベースとしてはそういう計算が行なわれておる次第でございます。また稲作転換の事業といたしましても、出しました地域分担によりましての野菜の動向というものを十分に掌握しながら、それぞれの生産量を把握しながらこれの需給をやってまいりますが、野菜生産出荷安定法という法律に基づきまして、指定野菜につきましてそれぞれの大都市消費地域の五年後の需給見通しというものを立てまして、おおむねただいまの段階で申し上げますと、三割増しぐらいの需要の動向が出てまいるわけでございますが、その需要の動向に即しまして指定産地というものを指定いたしまして、産地消費地域の結びつけを固めながらやってまいりたい。現在の指定産地指定消費地域との間の野菜の入荷量の関係から申し上げますと、指定産地指定消費地域供給しておる関係からいたしますと、大体供給力が七〇%ぐらいになっておるわけでございますが、将来さらにその供給率を引き上げまして、まあ七五%ぐらいをさしあたりの目標として進めてまいる次第でございます。
  35. 前川旦

    前川旦君 七五%の目標はさしあたりとおっしゃいましたが、昭和何年ごろまでにこれは実現すると、こういう見通しですか。それに応じて毎年々々のやはり予算考えていかなければならないわけでしょう、長期計画に基づいて。それはどうですか。
  36. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) われわれといたしまして、先ほど申し上げましたように、極力今後長期にわたる野菜産地育成ということを考えておりまして、中距離圏から長距離地帯に野菜産地を求めてただいま産地探しをしているわけでございますが、先ほど私が答弁いたしました中に、あるいは多少私の表現が間違っておったかもわかりませんが、ただいまの供給率は六〇%前後と、こういうふうに御理解願いたいと思います。それを七五%ぐらいに持っていきたいということでございまして、これはやはり産地づくり、ただいまから指定いたしましても指定近代化事業が完成いたしまして供給体制が固まるには三年ないし五年ぐらいかかりますので、大体私のこれは感じでございますが、まあ五年ぐらい後には七五%ぐらいに持ってまいりたい、こういう考え方でございます。
  37. 前川旦

    前川旦君 指定産地での指定品目の価格補てんですが、これは今度十品目ですね、これは将来この十品目は十三すべてにやはり及ぼしていくべきだと思うのですけれども、その見通しはどうですか。
  38. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 先ほど申し上げましたように指定野菜指定は大体十三品目くらいで、よほど今後需要が急速に拡大する野菜でも出てこない限りはこの程度かなというふうに考えておりますが、十三品目の指定野菜を直ちに全部価格補てんの対象にするかどうかということにつきましては、多少理屈上の問題といたしまして問題点一つ残っておるわけでございます。と申しますのは、十三品目の中にレタスとかあるいはピーマンといったような施設野菜が含まれておるわけでございます。従来からわれわれの主張といたしましては、施設野菜価格が安定しているのだ、暴騰暴落というものがないのだという前提施設野菜につきましてはだから非常に価格が安定しておって、野菜の異常な暴騰暴落時にも非常に強い安定性があるということで政府も奨励をしてきたようないきさつがございます。したがいまして従来からの経験値から申し上げますと、それほどこういった施設野菜につきましては暴騰暴落がないという感覚でございましたが、最近の時点からしますと少し施設野菜がふえてまいりました過程でどうもともすればやはり価格変動が始まってきたというふうに見ておりまして、いつの時点から施設野菜につきまして価格安定の不足払い対象にするかどうかということにつきましてはもう少しいろいろな資料を集めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 前川旦

    前川旦君 それではそれは検討するという、資料を集めて検討するということであろうと思いますが、この価格の補てん、生産者にとっての価格安定、これはもう切実なものがあるわけです。そこで保証基準価格の引き上げ、これは若干改善はされましたけれども、まだまだ不十分だと思います。これから先、連続的にやはり引き上げをはかっていくという考えであるべきだと思いますが、その点いかがですか。
  40. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回の価格安定制度の野菜につきまして引き上げました点は相当農林省といたしましては十分にまあ行なった予定でございまして、今回の野菜価格安定の対策がどの程度効果があるものであったのかあるいはないものかは、今年一年あるいはその後の推移を見ませんといま直ちにここでさらにこれを強化していくかどうかということについては、私としてはまだ返事がいたしかねる段階でございますが、御存じのようにこの秋冬期野菜、いわゆる大根、ハクサイ、キャベツ等につきましては五%の予約出荷奨励金を出しますし、約三〇%の概算金を払うことによりましてその金利、事務費を政府が持つというほかに、特別価格補てんにつきましても、この保証基準価格は、従来一般野菜としましては七五%であったものを平均市場価格の趨勢値の大体九〇%というところまで保証基準価格を引き上げる、補てん率も従来は八割であったものを一〇〇%にし、その負担割合も二分の一の国庫負担から四分の三まで引き上げ、さらに月別計算を行なうというふうに、非常に秋冬期野菜につきましてはわれわれとしては相当踏み込んだつもりでおりますので、いまどこに今後欠点が出てくるかということは、実験的に、経験的に、これを計数的に整理しないと、いまここでどうもお答えがむずかしい。私としてはどこをどう直すかということにつきましてもまだ案が出ていないというふうな段階でございます。
  41. 前川旦

    前川旦君 今年度——来年度ですね、四十七年度で非常にいまあなたがおっしゃった踏み込んだ政策、いろいろあるのは認めますけれども、しかし昨年に比べてということであって、実際、実態上はたいへん不十分だと思う。ですからこれはもう何と言っても野菜問題の一番大きな基礎だと私たち思いますが、さらに前向きで検討してまいりたい、このように思います。  ついでですけれども、保証基準価格の引き上げに際して、最低保証基準価格を上げました。せっかくのこのメリットを足を引っぱるようなことになっていると思うんです。どうしてこれを上げなきゃいけないのか、むしろ下げていくという考え方はないのか、その辺いかがですか。
  42. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回、保証基準価格を引き上げましたことは、先ほど御説明いたしましたとおりでございまして、従来七五%でありましたものを、平均市場価格の趨勢値の九割まで保証基準価格を引き上げまして、農家には十分報いるつもりでございますが、この最低保証基準価格は二分の一ということで、従来からこの線で水準を定めるということでまいったので、その線で今回は整備した次第でございます。また、そういった保証基準価格の半分以下のような価格になります場合には、逆に言えば運賃も保証されないというようなことで、大体、都市にはあまり出てこない。むしろ運賃差だけ損するというようなかっこうになっておりますので、そういった場合に備えまして、市場隔離というようなことで、それにつきまして別途産地側におきましてそれぞれ手当てをするという考え方で問題整理をしている次第でございます。
  43. 前川旦

    前川旦君 それは出荷をせずに産地でもう処理せい、平たく言えばこういうことだろうと思うのです。その五〇%という具体的な数字の根拠、これはまあいろいろ考えはあると思いますが、一ぺん洗い直してみる必要があるんじゃないか、こう思います。  この問題は保留をして、この補てんの平均価格の計算期間を月別に改めたのは一歩前進であったと思いますが、これを将来はさらに踏み込んで旬別——上旬、中旬、下旬あるいは週別に前進させていく姿勢があるのかどうか、この点いかがですか。
  44. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 今回野菜の支払いが、従来作方期間といいますか、秋冬期一本あるいは夏秋期一本というふうに、三カ月ないし五カ月ぐらいの長期にわたる野菜供給期間一本で計算いたしておりましたので、途中で相当暴落がありましても結局最後的には不足補てんの対象にならないというふうな問題が非常にありましたので、今回われわれといたしましては、野菜の月別計算ということに踏み切った次第でございます。これにつきましても、逆にわれわれとして問題として考えておりますのは、たとえば四月には確かに野菜暴落した、ところが五月には暴騰があったというような事態に、月別計算だと暴落のときは暴落で渡し、暴騰のときにはそのままとなりますと、不足払いだけもらうということも多少考えられますが、その辺は踏み切って、野菜生産の安定に資するために、今回月別計算に踏み切ったというようなかっこうでございます。ただ、野菜といたしまして、ただいま御指摘のように、野菜価格変動というものはどうも私の感じでは一週間ないし十日単位ごとに上がったり、下がったりというふうに、必ずしも一カ月問安定した価格一つの水準に野菜価格が落ちついていないことは事実でございまして、今後そういったあるいは問題点が出てくるかとも思いますが、さしあたり月別計算による支払い方法はどのように迅速かつ合理的に行なえるかということを十分に検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  45. 前川旦

    前川旦君 さらにこの期間を短縮するように、月別の結果を見ながらやはり考えていくという前向きの姿勢があるのだ、というふうに理解してよろしいですか。
  46. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 野菜の性格から申しますと、価格が旬別あるいは週別ごとに変動いたしやすいものであるということを申し上げたわけでございますが、ただいまの時点では、事務的にはやはり月別計算の支払い方法がいかに迅速に支払われるかということにまず重点を置きまして考えてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  47. 前川旦

    前川旦君 それでは卸売市場の配置の改善、これは具体的な問題として四十七年度、あるいはさらにその次に将来にわたって具体的に一体どういうふうなことを考えていらっしゃいますか。
  48. 小暮光美

    政府委員(小暮光美君) 中央卸売市場の配置並びにその整備につきましては、昨年の十一月に新しい市場法に基づきまして卸売市場整備基本方針を定めましてこれを公表いたしましたが、目標年度を一応昭和五十五年度に置きました。基準年度で約九百万トンの市場取り扱いでございます野菜を、目標年度の五十五年度には約千三百万トン中央卸売市場で扱うものと見込みまして、こうした市場流通量の見通しをそれぞれの地域ごとにさらに細分いたしましたものを、関係の都道府県にお示しいたしております。  なお、引き続き本年に入りまして、中央卸売市場整備計画を作成いたしまして、目標年度でございます昭和五十五年度までに、さらに二十五都市につきまして中央卸売市場を開設したい。現在、二十九都市に中央卸売市場がございます。これをさらに二十五都市追加いたしまして、考え方といたしましてはおおむね人口二十万人以上の都市、特殊の事情がございまして、人口三十万であっても中央卸売市場の開設の当面の必要性がないというようなものも一部ございますが、原則として人口二十万人以上の都市に中央卸売市場を配置するという考え方のもとに計画を策定いたしておりまして、この二十五都市につきましては具体的な都市名も明示いたしまして、整備方針を各都道府県に示してございます。現在、各都道府県は、これらの中央卸売市場の開設計画を軸にいたしまして、県内の地方市場の配置の問題を含めて、各都道府県ごとの市場の整備方針を策定中でございます。
  49. 前川旦

    前川旦君 たとえば大都市、これはもう都心部にあって狭くなっていますね。したがって荷があふれる、こういう現象がずいぶん出ています。それから生産者の運び込むほうも、追跡調査をやった結果を調べてみると、たとえば交通渋滞で非常な神風運転をある部分においては取り戻すためにしなければいけない、あるいはまた都市部、市街地の中心部では大型トラックが禁止される、こういったようなネックもあります。さらに、小型のトラックでやってくる小売りの方々には駐車場がない。こんな問題が山積みしていると思いますけれども、大都市の問題についてはどういうふうに対処されますか。
  50. 小暮光美

    政府委員(小暮光美君) ただいま申し落としましたけれども、先般公表いたしました中央卸売市場の整備計画は、先ほど申しました二十五市場についての新たな整備方針のほかに、既存の中央卸売市場につきまして全面的に再検討いたしまして、それぞれの既存の中央卸売市場につきましても整備方向を示しております。  たとえば東京都の中央卸売市場につきましては、昭和五十五年までの間に新たに周辺部に市場を開設いたしますとともに、既設市場の一部につきましては、その過密状態を解消するために、都市機能の向上をはかるような方向での整備をはかるということを考えております。それから大阪等につきましても、これまで大阪市が市場の開設の責任をとってまいったわけでございますが、今回の整備計画では、大阪府と大阪市が協力いたしまして、大阪府内のさまざまな都市が連鎖状にございます。これらにつきましては、府営の中央卸売市場を開設するという等の方向も出てまいっておりまして、市場が過密した既存の市街地域だけに集中することのないよう分散配置することを計画の内容といたしております。
  51. 前川旦

    前川旦君 今度は流通の対策で、四十七年度予算で大規模低温貯蔵庫二カ所というような問題になったと思いますね。これ実際にやるんですか。
  52. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 従来から野菜というものは貯蔵性が非常にむずかしいもんだということで、われわれといたしましても民間の方のほうでも何となく野菜というものはそういう意味で貯蔵することはあまり好ましくないという考え方に立っておったわけでございますが、しかしその後の科学技術の発達あるいはいろいろな改善等が行なわれまして一部の野菜につきましては、貯蔵の可能性が出てきたというふうに理解いたしまして、今後政府といたしまして初めて助成金を出しまして野菜専門の大型の低温貯蔵庫をつくるということに踏み切ったという次第でございます。大体最初から考えておりますのは、ただいまのところさしあたりタマネギを初年度の対象といたしまして、今後貯蔵性のきくものから逐次野菜の低温貯蔵を実行してまいりたい、こういうふうに考えております。そのために初年度大型二カ所、小型二カ所ということで低温貯蔵庫の整備を、今後四十七年度予算が成立しました暁は早急に実現いたしたいと思いましてただいまいい適地を物色中でございます。
  53. 前川旦

    前川旦君 いま貯蔵性のきくものと言われましたが、計画ではどういう野菜を貯蔵なさる御計画ですか。
  54. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) ただいまの段階では、先ほど申し上げましたように、ことし四十七年度はタマネギというふうに考えておりますが、将来も逐次野菜を追加してまいりたい。しかしその中でも葉菜類というものはできれば避けまして、根菜類といいますか、貯蔵してもそう腐廃力のないものというものに限定いたしたいというふうに考えている次第でございます。しかしその後科学技術がはたしてどんな野菜でも長期保存ができるというようになりますればまた考え方も変わるわけでございますが、ただいまのところは大体タマネギを初年度の対象にし、今後は、あるいはバレイショあるいはさらにそのほかの根菜類等に重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えております。
  55. 前川旦

    前川旦君 そうしますと、倉庫があきますね、これ。あく期間が出てきましょう。これはどういうふうにしますか。からっぽの倉庫をそのまま置くんですか。
  56. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) これはわれわれといたしまして考え方としては公益法人にこの貯蔵庫をつくらせまして、そして運営をしていくわけでございますが、大体タマネギといたしましては、秋の半ば前後にタマネギを収納いたしまして三月末の端境期、この三月末から四月初めにかけてタマネギ暴騰暴落するかの境目でありますので、それに対処しますためにタマネギを貯蔵、保管するわけでございますが、そのほかの空閑期が当然出ますし、また野菜の貯蔵というものは非常に経費がかさみましても、場合によりましては価格変動があまりないと、かりに安定的な相場でタマネギなんか推移すれば保管料も出てこないというような場合もあるわけでございますので、また三月末であきましたこのあとの倉庫につきましては、そのほかの野菜類を十分に利用してもらいまして、何らかの形で経費の収支がまかなえるようにしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  57. 前川旦

    前川旦君 それは賃貸しということですか。どういうかっこうになるんですか。
  58. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 大体いまのところ賃貸しといいますか、倉庫料を取って貸すという考え方が主体でございますが、いろいろな広い御意見を聞いてみますと、一つのつくります際に政府は約三割相当ぐらいしか実際問題として定額補助でございますが補助金が出ておりませんので、そのほかのものは相当あるいは民間の方に出資してもらうというような形にもなるかとも思いますので、その辺につきましてはあるいは場合によってはリースということも考えておる次第でございます。
  59. 前川旦

    前川旦君 公益法人の扱うタマネギをまずここで貯蔵してみると、こういうお話、この公益法人の扱うタマネギ、これは輸入タマネギですが、これは毎年台湾タマネギが入ってきますね。あれ一万五千トンくらいですか、これは日本そ菜類輸入組合が輸入するわけですね、これはどうなんですか、これとの関連、これはそのまま置いておいて、それプラスの輸入タマネギというお考えですか。
  60. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 御存じのように、台湾タマネギにつきましてはここ二、三年来一万六千トンばかりの輸入ワクがきめられまして、それに基づきまして台湾側と日本の間で契約といいますか、数量協定が行なわれているわけでございまして、これにつきましてはこの輸入組合自身のあり方につきまして昨年来多少いろいろ各方面で意見がございますので、今回は、ことしは台湾産タマネギにつきまして一万六千トンを従来の輸入組合方式で、さらにそれに対して監督を強めましてただいま実行中でございます。  今後タマネギの輸入組合のあり方についてどうするかということがさらに来年度の問題として検討されておりまして、今後このまま継続されるのか、あるいは解組するか、あるいは解体するか、その辺について実際現在の段階では結論が出ていないわけでございます。ただことしのタマネギにつきましては、ことしは北海道のタマネギ相当多数在庫しておったいきさつもありますし、また春タマネギの静岡産のものが早く出回ってくるという予想もありまして、事実上相当タマネギの値段が最近値くずれと申しますか、一時は六十五円くらいまでいっておりましたタマネギがこの二、三日来四十五円まで下がっておりまして、ことし台湾から入れますタマネギにつきましては輸入された方があるいは相当な損害も出ないとも限らないというような状況でございます。  こういったことを踏まえまして今後台湾産タマネギをどうするかということが問題の一点として残っております。さらに昨年は、欧洲あるいはニュージーランドあるいはカリフォルニアからタマネギ相当入れられまして、一万数千トン、台湾タマネギのほかにさらに二万トン近いものが輸入されておりますが、こういったことも考えますと、この協会といいますか法人で今後台湾産タマネギを入れる場合にも現在の輸入組合との調整をどうするかというのが問題でありまして、輸入組合自身が一体どらなるのかというようなことも多少問題として残っておりますので、その辺につきましてはこの夏場の台湾産タマネギの契約期間までに相当問題整理をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  61. 前川旦

    前川旦君 この輸入組合の輸入はそのままにしておいて、これ以上に台湾以外のところからの輸入したタマネギを公益法人がやるのだという話を聞いているわけですけれども、これを必要とするほどの機会というのは一体どれだけあるのだろうかという疑問をやはりこれは感じざるを得ないわけです。出番がないのじゃないか。出番があるのだろうかというような考えもいたします。それからほんとうは国がやはり指導してやるのであればむしろリスクの伴う葉ものの貯蔵を思い切って国が率先して行なうべきではないかという意見もありますね。その辺のことについてはどうですか。
  62. 荒勝巖

    政府委員荒勝巖君) 従来から、まあこれは一つの例でございますが、タマネギにつきましては、大体一年おき交代で暴騰するか暴落するかというふうな、しかも三月末の端境期にそういう現象が出てくるわけでございまして、しかも供給量としては年間そんなに大きな差はないというふうにわれわれみておりまして、問題は三月末の端境期に、順調にいけば、春タマネギの四月に出回ってきます内地産のものに昨年産の北海道とうまくつながれば、それで順調に越すことができるわけでありますが、それが春おそしということになりますと、約十日分あるいは二十日分前後の穴があくということから暴騰というものがあり、それからまた春早く出てまいりますと、ダブりまして、暴落というふうなことがありまして、まさに春が早く来るかおそく来るかということが問題になるわけでございます。これが八月、九月ごろには、およそ春が早く来るかおそく来るかということがわからないということで、台湾との間に早期契約を結びまして、一万六千トンばかりこの二年ほどやってきておるわけでございますが、今後ともこの協会が行ないましても、まあ協会ですからもうけることが許されないので、普通の正常な年にも常に経費にプラスして金利、倉敷程度を加算して出荷することになるわけでございますが、かりに暴落したときに出荷するということになりますと、逆に経費だけ経費倒れというふうになるわけでございまして、非常にタマネギにつきましても、もうけるチャンスがなくて損するチャンスの多い協会でございまして、したがいまして民間の方では従来からタマネギの輸入を秋口に無差別に輸入することを非常にこわがるといいますか、経費倒れになるおそれがあるということで輸入をなかなか実行しなかった。一気にまた三月になって高くなったからといっても、世界に買いに行きましても、また逆に産地暴騰させてしまって経費倒れというようなことになってきますので、秋口に早手回しに協会がタマネギの手当てをして損することあるべし、もうけることなしという前提でこの公益法人が実行せざるを得ないということで、タマネギ自身につきましても相当に危険性のあるものと御理解願いたいと思います。したがいまして、タマネギでさえもそうでございますので、さらにそれよりも変動相場の激しい葉ものにつきまして、いま直ちに手をつけるということにつきましては、われわれといたしましても、経費倒れで差損ができました場合には、場合によりましては政府でさらに損害の補てんをしなければならないというふうなことを考えますと、いたずらに経費倒れになるようなことばかりを考えるわけにもいきませんので、やはり安定性というものを十分考えながら、できるものから、しかも腐ることの心配の少ない、少なくとも腐敗による損害というものだけは今回防止しながらやってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  63. 前川旦

    前川旦君 お話を伺っていますと、どこまで一体価格安定の実効があがるのか、これはまあ疑問に思いますけれども、時間が過ぎておりますので、——特にタマネギというのは思惑が非常にからみますね。へたな介入をするとかえって思惑を助長したりするような面もあるのじゃないかと思う。その点慎重にひとつ考えてもらいたいと思います。  そこでここで話を変えて、質問を変えまして大臣にお尋ねしたいことがあります。それは、私は前から痛切に感じていることなんですけれども、数年前にシベリアに、ソ連へ行きまして、くだものの不足を非常に痛感をいたしました。シベリアあたりへ日本のくだものを売ることができたら、これはバーターの問題もいろいろありましょうけれども、ずいぶんいいなあという印象を持って帰りました。ついせんだって敦賀へ参りまして、あそこはソ連の船がよく入ってきます、八百屋に行って私は聞いてみました。すると、ソ連の船員がおかへ上がって、まず何を買うかと聞きましたところが、まずくだもの屋か八百屋へ行ってメロンを買う。非常にメロンを好んでたくさん買い込んで船へ持って帰る、こういう話を聞きましたが、それから参議院の河野議長がせんだってソ連へ行かれましたときに、ミカンの苗木をグルジヤ共和国へ送る、それから技術者を送るということも考えておられるようです。そういうことと関連して、私はこの対ソ日本のくだものあるいはなま野菜も含んでいいと思いますけれども、そういうことを積極的に押し進めていただきたいと思いますが、大臣の御見解いかがですか。
  64. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話のとおりで、この間河野議長からも話がありまして、ミカンの苗木及び技術者を派遣しました。で、ミカン等につきましては、従来からも日ソ貿易交渉等におきまして拡大をはかるというように努力をいたしております。お話しのように、従来は沿岸貿易が主体となって取り引きしておりましたが、昨年九月、日ソ貿易支払協定の改定の際に、新たにかんきつ類及びリンゴを本協定の対象品目に含めることといたしております。また四十六年度には、生産者団体が行なった果実のソ連市場調査に対し調整したほか、四十七年度におきましても、生産者団体がソ連の関係者を招請するための経費につきまして助成する考えで、今後ともソ連に対する果実の輸出拡大について努力してまいりたいと思います。メロンは敦賀等でいまのお話のような、非常にソ連の人が好んで買うようでございますが、はたして向こうでメロンを買うかどうかというのは、私が行ってみてもこれは疑問がありますが、これ検討させます。まあくだものがソ連は町によって非常に少ない。またあたたかいところは別ですが、少ないところでありますから、このミカン等くだものの輸出ということを十分深く検討して拡大していきたい、こういうふうに考えております。
  65. 前川旦

    前川旦君 昨年からこの生産者団体の施設といいますか、それに予算がついたのは一つの前進でありますけれども、どうかひとつ、もう一つ積極的に消費の拡大という意味で努力をしていただきたい、こう思います。  もう一つ、たとえば牛乳の消費の伸びに、学校給食というのが非常に大きな力になっていたと思いますが、これは文部省がやることなんですけれども、学校給食にももっと積極的にくだもののなま食をとり入れる、こういうような政治的なプッシュをなさっていいのじゃないか。その点についてのお考えいかがですか。
  66. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 文部省のほうで学校給食にもくだもの等を出しているようでございますが、農林省といたしましても、今後とも文部省と連絡をとりまして、学校給食で果実の利用拡大がはかられるようにつとめてまいりたいと、こう考えております。
  67. 前川旦

    前川旦君 畜産についてお尋ねしたいと思いましたが、時間がほとんどなくなりましたので、肉牛だけに限ってちょっとお伺いしたいと思いますが、たとえばOECD、FAOの統計によりますと、昭和五十年の需給見通しでは、日本の需要量というものをOECDの資料では三十四万六千トン、FAOの資料では三十七万七千トン、こういう見通しがついています。現実には五十万トン近い必要量が出るのじゃないかというふうに思いますが、この見通しについてはどう考えていますか。
  68. 増田久

    政府委員(増田久君) ただいま先生がおっしゃいましたように、FAOなりOECDの牛肉の需要の見通しは若干低目ではないかと思っております。昭和四十六年にすでに三十一万トンという数字に達しておりますし、ここのところ、昭和四十三年には十七万トンでありましたものが、現在三十一万トンという、倍とは言いませんけれども、非常に大きな伸びでございますが、おそらくあと数年のうちに四十五万トンから、その前後はいく可能性は十分あると、こういうふうに考えております。
  69. 前川旦

    前川旦君 この需要量に対する自給率ですけれども、これは自由化の問題もありますから、非常に微妙な——一〇〇%ですとたてまえになるかもしれませんが、この自給率をぎりぎりどこまで持っていきたいというお考えですか。
  70. 増田久

    政府委員(増田久君) 率直に申し上げて、いつの年までということとの関連があると思うわけでございます。これは牛の生産ですから相当時間がかかる問題で、それを相当長期に見れば、われわれとしてもやれる自信がありますけれども、ここ十年というようなことで、タイムを切った場合に、われわれは八割は確保したい。現在、日本の自給率は八六%ですが、それは実は資源のストックを食いつぶした形で生産が上がっているわけでございまして、数年を出ずして国内生産が落ちるのは火を見るよりも明らかであるわけであります。そういう意味で、八〇%に回復するのは容易なことではございませんけれども、何としても、たとえば牡犢の利用率を上げるというようなことを考慮いたしまして、少なくとも八〇%以上を確保したい、かように努力したいと思っております。
  71. 前川旦

    前川旦君 資源を食いつぶしているということはたいへんゆゆしき問題だと思うのですね。これに対して、これは資源を食いつぶすということ、まあ雌牛を食べているということだろうと思うのですけれども、これに対する当面の緊急対策は何を考えておられますか。
  72. 増田久

    政府委員(増田久君) 現実に生まれる雌以上に、現実に殺されているという形で資源の食いつぶしが行なわれているわけでございます。この過去のデータから分析をしてまいりますと、農家の庭先における子牛価格の不安定さ、それが一番農家の資源の食いつぶしというものへの関連が高いように思うわけでございます。そういう意味で、来年度はまず子牛価格を安定する——現在最低価格を八万円で保証いたしておりますけれども、それを来年四月から十万円に上げまして、まずそこの最低価格の保証ということをてこにして、拡大に転じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  73. 前川旦

    前川旦君 たとえば、それも非常に大きなてこですね。たとえば雌牛に対して補助金を出すというところまでずばっと考えてもいいんじゃないかと思いますが、どうです。
  74. 増田久

    政府委員(増田久君) 確かにイギリスにおきましては、そういう雌牛一頭幾らという、しりべたに札束をぱっと張るような、単刀直入な方策をとっているわけでございまして、私は肉牛のような、率直に言っておくれたような部門には、先生の御提案の政策が一番効果があるんじゃないかという感じをいたしております。そういう実は要求を予算の際にいたしたわけでございますが、いろいろ折衝の段階で、ことしはまだ時期尚早であろうということでございます。それで、これは来年なり再来年の課題といたしまして、そういう方向で検討したいと、かように考えております。
  75. 前川旦

    前川旦君 それでは、最近問題になっております郵便貯金の問題について若干お伺いをしたいと思いますが、農協の部門別の損益の状況を調べてみると、購買事業は赤字、販売事業も赤字、加工事業も赤字、それから倉庫も赤字、そして共済はかろうじてとんとん、若干黒字、信用事業の黒字でやっと経営を維持している状態であろうと思います。そういう状態を認識しておられますか。
  76. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 昭和四十五年度の農業協同組合経営総合分析調査、これは三百三十三の組合について調べたものでございますが、それの損益状況は、ただいま先生から御指摘になったように、信用事業と共済事業は黒字、 その他の購買、販売、倉庫、加工事業、その他の事業は赤字ということになっております。しかしながら、信用事業について収益が上がっておりますが、四十五年度におきましては、なお一千万円程度の利益を出しているという決算になっております。しかし、これは三百三十三のやや規模の大きい組合の調査でございまして、悉皆調査でいきますと平均の収益はもう少し下がっているのではないかというふうに思っております。
  77. 前川旦

    前川旦君 信用事業だけ取り上げてみると、預金の増加率のテンポ、これは下がりつつある。それから貸し出しの残の増加率、これも下がりつつある、下降傾向にある。特に貸し出しの増加率を見てみますと、都市銀行あるいは地方銀行ではやはり増加率は伸びている。それから相互銀行が横ばい。で、農協の落ち込みが目立って大きい。ということは、農協経営に対して非常に危機感を感ぜざるを得ないのですけれども、農林省もそういう危機感を感じていらっしゃいますか。
  78. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 最近の地方金融機関は、いわゆる経済の動きの中におきまして農協に非常にしわが寄っているということも御指摘のとおりだと思います。そこで今後、農協の経営が信用事業に依存し、経済事業のほうは赤字になっているというような構造になっておりますので、この金融緩和の動きは農協経営に非常に大きな影響を与えるのではないかということで、われわれもいろいろな角度から問題を検討している段階にございます。
  79. 前川旦

    前川旦君 それじゃ、これは評価は別として、農協あるいは漁協ですね、預金の吸収面で現実の問題として郵便貯金と一番競合していると思いますが、その点いかがですか。
  80. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 店舗の数その他から見まして、やはり末端で店舗が競合しておりまして、郵便貯金との競争が激化しているということは事実だと思います。
  81. 前川旦

    前川旦君 最近いろいろ問題になっておりますが、たとえば農協の窓口で国民金融公庫の代理業務をやりたいという意向、さらに国民金融公庫についてはこれは生業資金しか貸しませんが、生活資金も貸せるように手直しをした上で、つまり庶民金融ですね、庶民金融という柱を通してこれを農協の窓口でやりたいという希望が出ておりますが、これに対してどのようにお考えですか。
  82. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どももそのような要望を三月十二日の農協の郵便貯金預金者貸し付け制度創設反対に関する要請という中で、国民金融公庫を使って庶民金融をやりたいという要望が出ていることは承知いたしております。で、ただいま先生からも御指摘がございましたように、現在、国民金融公庫は小口の生業資金を貸し付けることになっております。庶民金融ということになりますとやはり生活資金というようなことにもなってくるというような問題があって、国民金融公庫法の改正が必要になるんじゃないかという問題、あるいは国民金融公庫は貸すほう一方でございます。それに対して郵便貯金の預金担保の金融をやろうという場合は、これははっきりした担保があるわけでございますが、国民金融公庫がそういった仕事をする場合に、末端で担保をどうとるのかという点につきまして、いろいろ問題が多いと思います。しかし、これらの点につきましては、農林省といたしましては、まだ、農協の関係者からいろいろな説明を受けておりませんので、この際、構想自体のこまかいことがはっきりいたしません。したがって、ここで具体的にこの構想についてどうだということを申し上げるまでの準備がございません。
  83. 前川旦

    前川旦君 具体的な構想は固まったものではないと思いますが、すでにもう、いろんなところで言われているわけです。そこで、この問題の、これは締めくくりで、大臣にお尋ねをしたいと思いますが、どこかで庶民金融というものが必要であるということは、これはもうわかっているわけです。今度問題になっておりますこの郵政省の案は預金担保の貸し出しですから、無担保庶民金融というのには、羊頭狗肉といいますか、オーバーな表現だと思いますが、批判もずいぶんあります、私も批判を持っております。しかし、いわゆる預金担保でも貸し出しをするということは悪いことではないということも確かだと思います。しかし、一方で、非常に、このことで農協の信用事業に影響を受けるということも実態として事実だと思う。このことは、特に、農協が米の生産調整あるいは農畜産物価格の伸び悩み等でこれから経営不振におちいっていく心配が非常にある。そのときに、たまたま時期を合わせて、この構想が出てきている。したがって、この間に立って、われわれも非常に一苦慮するわけです。そこで、大臣も、この点についてどういう、じゃ、お考えを持っておられるのか、この郵政省の案についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、農協を守るためにどういうことを考えていらっしゃるのか、この際、お聞きをしておきたいと思います。
  84. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 確かに、いまのお話しのように、金を借りるほう、金を必要とするほうでは、郵便貯金を担保にして、少額資金を借りるということは便利だと思います。しかし、いまお話がありましたように、農漁協の金融関係が非常にだぶついておるといいますか、金がだぶついておって困っているような状況でございますので、農漁協の経営には、こういう制度ができると、非常に影響が大きいと考えておりますので、これはいろいろな方面から十分検討が必要だと考えております。また、農協のほうにうしろだてするような農林省の立場でございますから、いまのところは検討中でございますが、慎重に取り扱わなくちゃならぬというふうには考えております。いま、どっちにどうという結論はまだ出していません。
  85. 前川旦

    前川旦君 これは農協に味方をする立場だということをいまはっきりおっしゃいましたけれども、そうすると、慎重にとおっしゃりながら、おのずから結論が出てくるように思いますが、重ねて伺いたいんですけれども、いかがですか。
  86. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまのところはそう考えております。私、個人的には庶民金融で少し出してやったほうが庶民のためにはいいんではないかということを記者会見の中で言いましたが、農協の実態、信用事業の実態を考えますと、いまちょっと時期尚早じゃないか、こういうふうに考えております。
  87. 前川旦

    前川旦君 それじゃ、最後に、本日の新聞で、昨日の予算委員会で大臣は、生産者米価の引き上げについて、かなり具体的に述べられていることが報道されております。これはもう既定の事実として生産者米価の引き上げはあるんだというふうに理解をしてもよろしゅうございますか。
  88. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) きのうも申し上げたんでございますが、これは米価審議会にはかってからでなければきめられません。でございますが、私は、抑制だ、抑制だと言って、押えておって、事情が変わってきているのに、それで農業の生産者だけを何か差別待遇みたいな状態に置くということは好ましいことじゃない。全体的に見ますと、いま、公共料金とかその他だんだん物価が上がる方向に行っております。しかし、政府側といいますか、取るほうばかり上げておって、出すほうはちっとも上げないということはおかしいじゃないか。これは逆ざやのポイントとか、いろいろありましょうけれども、どうも私はそんな考え方は賛成しないんです。でありますので、物価の問題とか需給状況とか逆ざやとか、いろいろな要素があると思います。あると思いますから、そういうことを勘案して、米価審議会の議を経なければきめられませんから、いま私一人で、ずばりそう言うことはできませんが、そういう方向で、これは慎重に、前向きの慎重で検討していきたい、こういうように考えております。
  89. 前川旦

    前川旦君 食糧庁長官にお尋ねしますけれども、算定の作業はもう進んでおるんでしょう、どうなんです、その作業は。ですから、進んでいるとすれば、いま言えるんであれば、昨年の算定方式でいくのか、一昨年の算定方式でいくのか、新しい算定方式を考えるのか。その基本的な考え方は固まっているんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  90. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いろいろ勉強いたしたり、検討はいたしておりますが、本日の段階お答えするほど、まだ何もまとまったものはございません。
  91. 前川旦

    前川旦君 それでは私、与えられました時間がまいりましたので、終わります。
  92. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 私は、最近の農業事情——御承知のように、農業基本法がきまってから十年でございますが、そういう観点から最近の農業事情についてお尋ねいたしたいと思います。  農業基本法の第一条で、御承知のように、目標としておりますところは、生産性を向上するということ、それから、総生産等もしたがって増大させるということであります。第二点は、農業者と他産業の従事者との所得差をなくして、同じような生活水準ができるようにするというこの二つでありますけれども、第一点の生産性を上げるという点、この点について、この十年間、はたしてそういった実績があがっているのかどうか、まず第一点、その点から伺いたいと思います。
  93. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) ただいまお尋ねの、この十年間、はたして生産性が上がっているかどうかということでございますが、これは総合して申し上げますと、農業の労働生産性は、この三十五年から四十五年までの間に、年率にいたしまして、平均五・六%の上昇を示しております。
  94. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうすると、 ほかの産業のほうは、国民全体が生産性等を見ますと五%や何%でなくて一〇%以上になっていると思います。そうすると、農業とほかの産業との生産性はますます開いたということになりますか。
  95. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 農業の場合は労働人口の減少とそれから物的生産性のアップということで、いま申し上げましたように五・六%になっておりますが、鉱工業生産のほうがより経済の高度成長を遂げたために、農業よりかなり高い率で生産性は上がっておる、こういうことでございます。
  96. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 しかも農業生産性全体の中で需要の伸びておる農産物と、それから減退している農産物があるわけでございます。米なんか減退している。そういう面のいわゆる選択的拡大ということをうたって、そういうふうに指導されたわけでございますが、そういう内部的な選択的の拡大がはたしてどれまで実績をおさめたか、この点はどうですか。
  97. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 御指摘のように、米は一昨年から生産調整をやっておりますので減退をしております。それから麦類、イモ類等が減退をしておるのは御承知のとおりでございますが、この十年間選択的拡大を進めてまいりました蔬菜にいたしましても、それから畜産の中でも乳用牛、特に豚、鶏、こういうものは非常に伸びておりまして、選択的拡大の方向に沿って進んできておるというふうに考えておるわけであります。
  98. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 選択的拡大の方向に向いておるとはいっても、ほんとうに農業の動向か何かで毎年あれを出しますね、需要とか供給とかの予測ですか、そういうものに対してはどうですか。成長作目といわれるものが大体農林省で予定している程度に伸びていますか、どうですか。
  99. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 農林省では昭和四十三年に作業いたしまして、十年間の需給見通しをつくったわけでございます。これといろいろ比べてみますと、まだその後あまり日がたっておりませんので的確には申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたように、米は生産調整をやりましたためにその当時よりは落ちているわけでございます。麦類もやはりかなりその当時の見通しよりは落ちておりますが、蔬菜なり果樹なりあるいは畜産の方面というのは大体その見通し方向に沿っている。ただ、肉用牛につきましては先ほど畜産局長も御説明申し上げておりますああいうような事情で牛肉の生産はふえておりますが、頭数は伸びていないと、こういうような状況で、ものによりまして伸びているものあるいはそこまで若干届いていないものもあるわけでございます。
  100. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そういう生産の状況になっておるのでありますけれども、それを担当する農家ですね、これはやはり農業基本法で自立農家というものを育成していくのだという考え方であったわけですが、最近の状況を見ると、その自立農家というものがむしろ減少して兼業農家がむしろ多くなっているように思うのですが、その実態はどうですか、特に最近そんな傾向にあるようですが。
  101. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 御指摘のとおりでございまして、自立農家につきましては、これは一つの計算の方法でございますけれども、町村在住の勤労者と同等の農業所得があげられるという計算をいたしました上でのことでございますが、一番自立経営農家が多かったのが昭和四十二年、全体の戸数の一三%と推定された。昭和四十五年にはそれが七%になっております。ただ、この中身を見てみますと、稲作での自立経営農家が非常に減っておりますけれども、稲作以外の、畜産なり果樹なり、特に施設園芸、そういう、土地に依存しない農業での自立経営農家というのが非常にふえております。  それから、農家全体の構成でございますが、十年前は専業農家、農業のほうの収入が多い第一種兼業農家、他産業のほうの収入が多い第二種兼業農家、大体三分の一ずつだったわけでございます。この四十五年になりますと、専業農家が大体一五%程度、兼業農家が残りの八五%、このうちでも他産業に所得のウエートを置いておる第二種兼業農家がもう過半数を占め五〇%をこえておるという状況でございます。
  102. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そうしますと、大体もう自立農家とか専業農家というものは一三%とか一五%。八五%から八七%は兼業農家だということになりますと、なかなか最初農業基本法で目標としたような実態に行っていないわけでございますけれども、これは原因は何だとお考えになりますか。——結論的に言うと、そういう状況では私どもはまずい、むしろ自立農家なり専業農家というものをもっとふやしていくべきだという農業基本法の考え方に賛成なんですが、そういうふうに逆になっているという原因はどうなんですか、どういうふうにお考えなんですか。
  103. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) ただいまのお尋ねにつきましては、この十年間における農業の進み方とそれからそれを取り巻く日本の経済全体との関連もいろいろ考えてみなければいかぬわけでございますが、一番大きな原因は先ほど申し上げましたように、農業も伸びてまいりましたけれども、それ以上に日本経済全体の高度成長ということの影響が非常に大きいのではないかと思います。たとえば、生産性の格差にいたしましても、一時若干縮まったわけでございますが、最近ではやはり先ほど申し上げましたように、また十年ほど前と同じようなかっこうになっておるというようなこと。それから、特に問題は、高度成長経済との関連で地価の値上がりということも非常にあったのではないか、これか規模拡大をかなりはばんでおるということもございますし、それから、物価の問題、これも非常に大きな問題が出てまいります。公害の問題等も出てまいります、特に、労働力の減少ということからしますと、昭和三十五年に想定しましたよりもはるかに農業の就労人口は減っておるわけでございます。そういうこと等、いろいろありまして、特に最初に申し上げましたように外部経済の影響というものが非常に大きく、こういうふうな状況、特に兼業農家がふえている、こういう状況になったのではないかと思います。
  104. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 いま、原因を聞きますとほかの産業のほうが農業よりもどんどん生産性が上がるというようなお話、これは今後ともその趨勢というものは変わらないと思いますね。  それから、規模拡大等についても農地価格等が障害になって規模拡大が阻害されているというようなお話でございますけれども、こういう点も最近の国内の状況から見るとほかの産業がどんどん伸びたり、観光事業で土地あさりなんかだいぶしておりますから、これまた、私は地価の低落というようなことは考えられない、したがっていまのような地価で農地を獲得しても農業経営を採算上合わないから当然これは規模拡大というものは望み得ないというふうに考えます。したがって、今後とも農業の生産性というものはほかの産業と比べてますます広がるばっかりだというふうに考えるわけです。そうなりますと、第二段の、農業者と他産業者との所得の格差をなくすという目標に対してどういうことをやったらいいのか、いろいろ農林省としてはやっておりますけれども、結局そうなりますと大きなてこにならざるを得ないのは農産物の価格をどうするかというようなことにならざるを得ないと思いますが、いろいろ規模拡大とか基盤の整備とか、いろいろおやりになっておりますけれどもそれでも追いつかない、結局は農産物の価格をある程度上げてやるしかないということになると思います。  そういう点で、先ほど大臣生産者米価を、もう何年も据え置きだから、上げざるを得ないんじゃないかというようなお話でございますが、これはまことにやむを得ないことであろうと思います。特に農家赤城大臣を非常に信頼しておりますから、赤城大臣ならおそらく上げてくれるだろうというふうに期待をいたしているのだと思います。また、先ほど酪農関係の人の陳情等もありましたけれども、こういう問題も、やはりそういう観点からやむを得ない措置になってくるのではないかと思いますけれども、そうすると、一面、今度は逆にますます外国との格差が開いてきて、国内の消費者からいろいろ意見が出たり、貿易自由化等の圧力が加わってくるという矛盾が出てまいると思いますけれども、そういう点の矛盾を解消しながら、農業者と他産業者との所得なり、あるいは生活水準を維持するための施策をどういうふうにしておやりになるお考えですか、名案でもありますか。今後も名案はないから、農林省はお手上げだというのですか、どうですか。
  105. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 非常にむずかしい御質問でございますが、農林省は決してお手上げというつもりはございません。短期的にはあるいは価格の問題での操作ということが必要かと思いますけれども、長期的に見ますれば、構造改善を速急に進めまして生産性を上げる。一挙に国際価格並みということはなかなかむずかしいかと思いますけれども、やはり規模を拡大する、資本装備を充実する、あるいは技術の高度化をはかるということで、経営規模の拡大をはかるということが必要かと思います。ただ、この場合に、先ほどもちょっと触れましたし、また御指摘もありましたように、土地を、所有権を移動いたしまして規模を大きくするということは必要であります。またその政策も進めておりますけれども、それのみではなかなかいけないのではないかというふうに思います。そこで、所有権はそのままにしましても、利用権といいましょうか、そういうものをまとめて大きくする、いわば生産単位を大きくしていくということが必要ではないかと思います。そうしますと、おのずから資本の投下も効率的になりましょうし、生産性も上がってくるということになるわけでございます。そういうことがございますために、今回、従来の構造政策のほかに、急速に体質改善をはかるために、農業団地育成対策というものをこの四十七年度から大きく打ち出しておるわけでございます。
  106. 園田清充

    ○園田清充君 関連。官房長、いまあなたの御答弁を聞いていると、どうも鈴木さんが質問していること、それから大臣がさっき前川さんに御答弁になったことと、事務当局と大臣の意図に何か食い違いがあるような気がする。というのは、農業基本法の中で、いわゆる国民食糧の供給という農家の大きな使命とともに、その使命を果たす農民に対しては、やはり他の産業従事者並みの今度は生活の保障、所得の保障をしていくのだ、これが国民的義務であるということが、基本法の前文なり第一条なりにうたわれているわけです。そこで、いま鈴木さんが言っていることは、農業基本法に再検討を加えなければならない段階に来ているのじゃないかということを前置きして質問をやっている。大臣がおっしゃったさっきの米価問題でも、やはり第二の柱というか、農家に他の産業従事者と同じような生活をさせることに非常に力を置いて大臣行政をお進めになっていらっしゃると思う。ところが、事務当局としては、どっちかというと、消費者サイドの声に皆さん方が大きな比重をかけて、そしていまのような国際情勢の問題とか、あるいは物価の問題だとかという近々の声で目をおおわれて、農家に対する長期的な展望に立っての私は、指向、指導という方向を失っているんじゃないかという気がするのです。聞いていると、何か迷路に陥って見失っている、悪く言うなら。  そこで、いま鈴木さんから、一つ具体的な例をあげて指摘をいたしました。率直に私は申し上げて、たとえば仮称と申しますか、そういうものでもよろしい、農業助成法というようなもので、いま大臣が意図されているような、国際農業の中における競争力のある農業を育成していくということ、そのためにはいろいろな施策もありましょう。また一面では、これは日本の農業として絶対譲られないものだということを明確にした価格政策と保護政策、そういうものを確立されることが、いまの農業者に対して、あすの農業への私は安定感、安んじて取り組ませる考え方ではないかという気がいたしておるのです。おそらく大臣のお考えになっていることも、これを見てみますと、非常に御苦心のあとというのが所信の中に出ている。だから、それにはそういうことの意図が含まれて、次の段階への一つの足場としてお考えになっているんじゃないかということに私どもは期待を持っているわけです。  ところが、どうもいまあなたが答弁しておられることを聞いていると、生産性の向上ということによって所得の保障——もちろんそれは必要なことなんです。ただしさっさ増田畜産局長も、十年間なら十年間、あるいは年限的なものの制約もありましょう、いろいろな条件もありましょうということを言っておったように、やはりそうした条件を加味しながら、問題は、いまのように、それまでの過程的なもので、助成をしながら進んでいくという段階に基本法の姿勢がきているのではないか、それを踏まえて考え方を変えていかなければならない段階に果ているのではないかというのか私どもの考え方であり、おそらく大臣の私はさっき答弁を聞いておると、心底にはそういうことの基本法の二本柱を完全に均衡あるものにしてやっていくのだ、それには私の言った助成というものが必要になってきたんではないかという気がしているんですが、その点どうお考えになっているかということ。  それから、前川さん御質疑あったことですし、あと鈴木さんの質問の都合もありますから、二つ関連して質問をいたしておきますが、一つは、市場法の問題にお触れになっている。卸売市場法がいよいよ動き出すと、今日の荷受け機関がこれは当然集荷機関だという形になってまいります。そこで、そうなってくると、農協のこれは合併の問題に関連をいたしますが、過日農協合併の五十年三月末日までということを私ども議決をいたし可決をしましたが、集荷機関になってくると、当然たとえば民間のこれは業者の人たちが、同じ手間賃をかけるならば、大型農協なり荷がどっと入ってくるところだけに手をつけていくわけです。そうしますと今度は弱小農協というのは、丸栄とかいろいろなところだけに限定されてくると思う。ところが丸栄というのは、今日でも非常に運営に困難をしているのですが、まず生産者自体が損しないためには、やはり適正規模の農協に合併を強力に推進していく必要があるのだ。それには地域性なりあるいは経済圏の問題もありましょう。そういうことからして、あわせてこの問題とともに、これは農協の合併促進法を延長したのですから、強力に農林省が適正規模を明確にして御指導になる必要があるんじゃないか、その強力な指導体制をどうお考えになっているかということを、これはさっきの問題と関連いたしますので、御説明をいただきたいと思います。  それから大臣から非常に前向きの郵便法の改正についての御答弁がございましたので、おそらく閣議では意見がまとまらないというふうに私は期待を実はいたしております。それはなぜかと申しますと、おっしゃったとおり、趣旨自体は決して悪いことではないと思います。ただしいまのように、六分二厘七毛ですかで預かったものを六分で貸していかれるというのは、これは官業だからできることであって、民間の金融機関、まして弱小の農協あたりで今度はコストを割って貸していくというようなことは、これは経営上不可能だということは明らかなことです。だからもしそれをお認めになれば、何らか農協に対してこれにかわるべき助成なり援助の方途をお考えになっているかどうかということとともに、たとえば税制の上からいいましても、さっき御指摘があったとおり、農協に貯金を預ければ、当然税務署が調べに来ます。だから見せなければならぬ。郵便貯金しておりますと、百五十万まで無税だということで、家族が六人おると九百万まで税金がかからない、こういうことになってくると、農協金融というのは破産するなり倒壊するより道はない、そういう状況に置かれておる今日の状態。だから、やること自体については、決して庶民金融が悪いとは申し上げません。申し上げないけれども、制度上の問題についての検討なくして、いま郵政省が考えておるようなことでおやりになるならば、農村の唯一の金融機関でございます農協というのは、おそらく信用事業では倒産せざるを得ないだろうという危惧がございます。そこで、人ごとでなくして、ひとつ局長にも、これは農業団体、大きな事業の一つが破綻をするかどうか、危機に立たされているという感覚の中で御対処いただきたいし、大臣は、こうした矛盾点をそのままよもや見送ろうというお考えはないでしょうけれども、かようなことをひとつ踏まえてどうお考えになっておるか、重ねてひとつここでお聞かせ願えれば幸いだと思います。  以上三つ、立ちましたついでですから、お尋ねしておきたいと思います。
  107. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) ちょっとあるいは私の御答弁が不十分であったかと思いますが、私は短期的な問題にとらわれて申し上げたんではなくて、むしろ長期的に考えればやはり国際競争力をつけるための構造政策が基本ではなかろうかということを申し上げた。その際価格政策のことに少ししか触れませんで、そのどきどきの対策は必要だという程度しか申し上げませんでしたけれども、いま申し上げました長期路線の上の経過としましては、やはり価格対策が必要であることは、これは当然のことでございまして、米麦をはじめ、特にこの四十七年度予算につきましては、新しく野菜価格対策強化もいたしましたし、あるいは畜産、特に肉牛の価格対策それから果実の加工対策についての新しい対策というものを立ててきているわけです。ただ、現在の経営規模で、それを前提として全体の農家がそれでめしが食えるような価格対策、これは私は無理ではないかと思います。そのことが一点。  それからもう一つは、若干先ほどこれも触れないで恐縮でございましたが、国境措置といいましょうか、自由化との関連でございます。これにつきましても、常々大臣がおっしゃっておりますように日本農業の体質改善が進まない間はわが国の基幹をなす農作物については自由化はしないという基本方針を立てておるわけでございます。しかし、それじゃいつまでもそれを断わり通せるかということになりますと、やはり問題があります。いま園田先生がお話しのように、それに対してどういう措置をとっていくかということは、もう当然必要なわけであります。そういうようないろいろな問題がございますので、御承知のように四十七年度は三千万円の総合農政調査費というのを計上いたした。で、大きな目で見れば、基本法農政の目標にしておりますことは、これは間違っていないと思いますけれども、やはりこの十年間、農業を取り巻く情勢が非常に違ってきております。今後の基本的な農政をどう進めるかについて、もう一ぺん総合的な立場からこれを見直してみようということまで予算に計上しておるわけでございますので、一応答弁さしていただくわけでございます。
  108. 内村良英

    政府委員(内村良英君) お尋ねのありました農協の合併の問題でございます。この点につきましては、先般のこの委員会でも御答弁申し上げましたとおり、昭和三十六年三月末には農協が一万二千五十ございました。それが四十六年三月末までに六千四十七ということで、かなり合併は進んでいるわけでございます。ところが、最近の米の生産調整あるいはただいまお話でございました金融の緩和によって、信用事業が非常にむずかしくなってきているというようなことから、今後ますます農協経営の体質を改善していかなきゃならないという重大な問題にわれわれも直面しているわけでございます。そこで、農協のほうもそういった事態を認識しておりまして、現在昭和四十九年末までに組合数を二千六百九十三にしたいということで計画は持っております。と申しますのは、要するに経済が広域化していくということで、農林省考えている農業団地、あるいは農協でも類似の構想を持っておりますが、そういったものを結びつけまして、生産流通とをよく結びつけた規模に持っていきたいということで農協の合併を考えております。したがいまして、先般農協合併助成法が延長になったわけでございますが、この制度を活用いたしまして、農林省といたしましても適正規模での合併を進めたい。ただ、モデル的にどの程度の規模がいいのかということでございますが、これは地理的な条件あるいは経済的な条件によって違いますので、農協が考えている広域地域に合うような農協の規模というものをよく相談しながら、農協の考えておりますような線に持っていきたいというふうに考えております。  それから次の郵便貯金預金者貸し付け制度の問題でございますが、確かに現在郵政省から聞いておるところでは、資金コストが六・二七%、それから貸し付けの利率は六分程度にしたいということで、必ずしも六分というところまで私どもが聞いておるところでは郵政省は考えていないようでございます。そこで逆ざやの金融はおかしいじゃないかということで郵政省にその点は指摘して現在いろいろ話し合いしておりますけれども、郵政省のほうはコストは何とか下げてやるんだとか、いろいろなことを言っておりまして、私どもといたしましてはこの点は大問題であるということはもちろん指摘しております。
  109. 園田清充

    ○園田清充君 いろいろなことは申し上げません。おっしゃったことは私の言ったことも大臣も、大体同じような考えだと思います。官業だから民業を圧迫するような形で、農協の弱小信用部門が危機に瀕するようなことを、いまあなたがおっしゃったようなことでそのまま見送って、黙ってこれに御賛成になるような大臣じゃないと私は信じております。だから余分なことは申し上げませんが、ただしかし、非常にこのことで全国の農協関係者が心配をいたしておる。  そこでひとつ早い時期に農林省としても確固たる私は態度をおきめになって、そうして郵政当局にお伝えになることが必要だと、こう思います。何か郵政省など見ておると、非常に農林省だけが国民の食糧供給というようなことに神経過敏になって、どっちかというと郵便料金をこの間上げたばかりで、そうしていまあなたがおっしゃったようなコストを割ってまで貸し付けるというなら、そんな金が余っているというなら郵便料金を上げる必要はないんじゃないかと私は言いたい。同じ大臣が所管していてそんなことをやっていて、だから人気取り政策も物事によりけり。だからやるならもう少し筋道を通しておやりになるということが、私どもの要請ですから、だからやるなと言うんではなくて、やるなら他にいまのようなことでの影響がなくして、そうしてほんとうに国民が喜べるような措置ならおやりなさいということです。その辺は十分内容はおわかりでしょうから、御検討の上郵政当局にひとつ猛省を促してもらいたいと思います。それだけです。
  110. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 先ほど、団地ですか、団地とか何とかいうことを育成することによって生産性を上げる、あるいは農家と他産業との差をなくするんだというようなお話がございました。実は総合農政が起きてから米の生産調整ということを盛んに言われました。これについては総合農政は米の生産調整だけに終わったような感じでございますが、今度は団地何とかということで、ひとつ看板を塗りかえたような感じがいたしますが、はたしてこれで農業基本法が指向しているような農村の状態なりあるいは農業生産が上がるかどうかというと、私は非常に疑問だと思います。依然として農林省行政中心は米に置いているんじゃないかと思うんですね。食管の特別会計は別にしても、農林省予算の全体の中で、たとえば土地改良とか基盤整備とか、あるいは圃場整備といったようにだいぶいろいろやっておりますけれども、それなども大部分は稲作に対する予算じゃないかと思いますが、あるいはまた技術改良にいたしましても、試験研究等の費用を見ても、おそらくこれは大部分が依然として稲作中心でないかと思います。地方の試験場なんかに参りましてもやっぱりそういった傾向が強いんじゃないかと思いますけれども、どうですか、ひとつ農林省予算、大ざっぱに見て稲作とそうでないものとの、いわゆる成長作物との比率ですか、そういうものはどんな程度になっておりますか。
  111. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) ちょっといま正確に農林省予算全体を、米の部分とそれ以外のと分けておりませんけれども、今度の予算が一兆三千億円でございます。その中で食管の赤字の繰り入れと米の生産調整の経費が約五千億でございます。それ以外が、その一部にあるいは若干米の生産性の向上のものも入っておりますけれども、相当部分は農業、それから林業、水産ということになっておりまして、特に今回はいまの食管的な経費を除きました部分の予算は前年度の二五%増しということで、国全体の予算の伸び以上に伸ばしておるわけでございます。あるいは農地局長からお話があってもいいかと思いますが、基盤整備につきましては、かつては七割以上が米に対する基盤整備でございました。最近はずうっとそれを変えてまいりまして、たしか米に対する投資が六割を割って四割以上が畑作関係のほうになってきているというようなことでもございます。  なお、農林省予算で分けて見る作業は後ほどやってみまして、お示しいたしたいと思います。
  112. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 そういうふうに思い切った政策転換をしていかなければ成長作目の今後の伸展も期待できないと思います。したがって、農家の所得なりあるいは農業生産の増大というのは私は不可能だと思うんですね。先ほど来、農地に依存する部面の規模拡大というものはなかなか困難だ、農地にあまり依存しない豚であるとか施設園芸とか、こういうものはかなり伸びていまして今後も伸びるわけですね。資本装備を充実していく面は伸びるわけですから、しかもまたその方面はこれから相当需要が多いわけですから、思い切って農林省政策もそういう方面に重点的に、予算重点的に思い切ってつけるというふうにしていく必要があろうと思います。特に先ほど畜産局長から御説明ありました肉牛の点ですね。これは資源を食いつぶしているというお話でございましたが、まあ私もそのように聞いておりますが、豚と違って、豚ならこれは一頭で何頭も生みますし、年に二回も生みますから、急に生産が伸びるわけですが、肉牛は一年に一回しか生まないし、なかなか急速には需要に追いつけないと思うんです。しかし、これからむしろ豚のほうは需要というものが頭打ちになってくるんじゃないかと思います。だんだん所得などが多くなって生活が向上してくると牛肉を食いたいという、このほうの需要が大きくなってくると思います。それがいま資源を食いつぶしているんだということでは、もう間もなくこれは牛肉というものの生産が需要に追いつかなくなるわけですが、農家の実態を見ますと何頭か飼って、しかももう一年に一回しか生まないんですから、少しぐらいおしりに札をはってやったぐらいでは私は伸びないんではないかと思いますね。もう間もなく日本の牛の、肉牛の資源というのは枯渇する、そして何としましても、これはやはり素牛をどうしてつくるかということだと思うんです。農家にまかしてはおそらく私はこれはなかなかむずかしいことだと思いますから、だいぶ各地でいまの大規模草地なんかをつくって安いえさをつくりながら、あるいは放牧でいこうとしておりますけれども、これは私もまた同感です。そういうところでひとつ、むしろ公共的な立場から素牛というものをつくっていく必要があろうと思います。そのためには、たとえば国有林が御承知のようにたくさんあるわけですから、試験的に何カ所か国有林で肉牛のあれをやりましたね。その実績はどうなっておりますか。
  113. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 国有林で肉牛の実験を始めましたのは、昭和四十二年からであります。全国で十カ所牧場をつくりまして、百頭単位の多頭飼育というのを開始したわけです。これは造林をやりましたあと、草がはえてきます。その草を牛に食べさせる。あるいは天然林の更新をしますときにササがじゃまになるので、そのササを牛に食わせる。要するに造林事業と肉牛の飼育とかみ合わせてやろうという目的だったわけです。最近までの結果によりますと、七割ぐらいは牛が食べてくれますから、人手でやるのは大体三割ぐらい、あとの飼育は十分行き届く、こういう結果が出ております。大体四十七年度までには全部完了いたしましてその結果を見ましてできるだけ直接やるか、あるいは地元の皆さん方にこれを使っていただくかということを実験の結果を待ちまして積極的に考えてまいりたい、こう思っております。
  114. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 その成績の結果ですけれども、大体育成したのを何カ月かで払い下げているわけですね。それと育成費用ですね。それのバランスはどうですか。収支計算、うんと赤字が出ますか。それともとんとんくらいにいってますか。
  115. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 現在のところは牛は大体七万五千円ぐらいで払い下げております。計算は十万円ぐらいになりますというととんとんになるだろう、こういうことですが、当初始めましたときには大体損はしないだろうということでしたけれども、何しろ牛の値段が動くものですからなかなか計算どおりにはいかなかったのですが、そういう状況でございます。
  116. 増田久

    政府委員(増田久君) 確かに国有林でやっていただきました事業計画の中で、牛の売った値段が市価よりも相当安かったという事実があるわけでございます。どうしても現在の家畜の取引で山からおりてきた牛はたたかれるという現実の問題がございまして、実はこれは肥育段階に持っていけば舎飼いしたよりもはるかにいい成績が出てくるにかかわらず実際の取引ではたたかれているという事実があるわけであります。これはやはり理屈で言っただけではわからない問題でございますから、これは漸次そういう事実がわかってくれば、私は当然この収支計算は上がってくるものと思っております。現実に子牛の現在の相場は大体十一万円になっておりますから、十一万円でなくても林野の収支計算は最終的にはバランスしてくるというふうに私は確信いたしております。
  117. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 畜産局長は大体バランスがとれるだろうというような説ですが、林野庁はどっちかというと畜産にしろうとでしょうから、しろうとがやっても若干の赤字だということですから、これからいろいろ研究していけば大体とんとんぐらいにいけるのだと思います。そうなればこれは最もいい素牛の育成の場所であり、またそこでやることが今後の畜産の振興上最も必要だと思いますが、幸か不幸か知りませんけれども、林野庁のほうの特別会計は何だか赤字だそうでございまして再検討を要するという時期だそうでございますから、ぜひひとつ木を、植え木を育てるだけの林野庁の考え方でなくて、総合農政の観点からそういうものをひとつ取り入れてやってみようということを、大臣、どうですか、やってみるお考えありませんか。この点はひとつ大臣に伺いたいと思います。
  118. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 林野庁が牛飼って牛で何とかやろうというのじゃなくて、これは畜産のほうで林野を、国有林を利用してやる、こういう方針でこれはますます進めたいと思います。
  119. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 いや林野庁とか畜産局とか言わないで、もうそんなワクをはずしてしまって、ひとつ林野全体再検討する時期ですから、そういうものを含めた今度国有林のあり方というものをひとつ今後御検討をお願いしたいと思います。  それから、畜産にいったついでですからもうひとつそのほうの関係の考え方をお尋ねしたいと思うことは、ある人によりますと、日本の水田、特に西南暖地のほうは牧草を水田に植えることによって現在の稲作以上の収益をあげることができるのだ、こういうようなことを言っております。ヨーロッパあたりの草地等よりはるかに何倍かの生産をあげることができる。しかもそれを乾燥するなりあるいは粉砕して、粒のようなえさですね、そういうものに加工することによってえさというものを流通できるのだと、そういう技術なりそういう制度を農林省が確立するならば、これはむしろ水田に牧草をつくったほうが農家の収入も多いんだという説をなす人がいます。そういうことを考えますと、いまの米の作付制限というものは、補助があるうちはやっているかもしらぬが、これがなくなってくるともとに戻ってしまうかもしらぬ。一方から考えると、いまの日本の畜産というものは大部分輸入のえさに頼っているわけですが、それが幸いそういうもので代替することができるということになれば、これは米の生産調整だけでなくて、畜産の振興のためにも非常に私は大きな力になると思いますけれども、こういう点について、農林省で検討された、研究されたことがございますか。
  120. 増田久

    政府委員(増田久君) 先生御存じのとおり、日本の草と申しますか、酪農というのは——というよりも、畑作一般について共通していると思いますけれども、一番いいところが水田にとられてしまう。また、いいところはどんどん水田になっていって、悪いところだけが畑に残り、そこに酪農が行なわれ、そこに草が植えられている。したがって、草の実験は畑作だけであって、水田に植えるという実験というものはいままで十分行なわれているとも思いませんし、そういうための品種改良というものが行なわれているとも思わないわけでございます。そういう意味で、いろいろ実験的と申しますか、スポット的には集約的にやれば水田で十トンとれるとか、十二トンとれるというようなデータがございますけれども、それが一般の農家技術段階におろして、それだけはたしてとれるかどうかということについては、なお私は検討を要すべき点があろうと思っております。ただ、先生のおっしゃいますように、たとえばヘイキューブとしてやるんだといり、しかも水田でやるんだということのためには、少なくとも私は二つの条件が要ると思っております。それは、一つは水田でございますから、反収が十トン以上の高い反収をあげてもらうということがどうしても必要であるということが一つ。それからもう一つは、キューブに集めてくるコストがやはり問題になるわけでございますから、どれまで集団的につくれるか。現在の機械の規模からいいますと、せいぜい百町歩の面積が集まらないとなかなか採算ベースには乗らないというふうなことが一応出ておりますので、そこの二つの条件がどう得られるかという問題であろうと思います、最少限度。そういうことで、私どもはいま全国で五カ所、実験事業を来年度やろうと思っております。その中で、そういうような水田転換の中でこれを大いにやってみたい。ただし実験でございます。そういうことで、もしできれば最終段階では事業化に持っていこう、かように考えております。
  121. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 大いにやってください。そういう面での私は日本技術研究というものがおくれていると思います。先ほども触れましたが、稲作中心であって、やっぱり依然として試験場等も米中心。草とかそういうものに対する実験というのは非常にいままで立ちおくれている。昨年でしたか、草地試験場ですか、栃木県にできたようですけれども、そういう面の試験が、技術向上の考え方がおくれていたと思います。新しい農業情勢に対処して、思い切ってそういう方面に力を入れていかなきゃならぬじゃないかと思います。時間がありませんから、どうぞひとつ大いにやっていただきたいと思いますけれども、幸い技術会議局長立ったようですから、どうですか、そういうことの見解等も伺っておきたいと思います。
  122. 加賀山国雄

    政府委員加賀山国雄君) ただいま畜産局長からいろいろお話がございましたけれども、われわれも畜産振興のための基盤となります飼料作物なり牧草の研究というものは、非常に重要だと思っておりまして、ただいま御指摘のこざいましたように、昭和四十五年度に草地試験場の独立をいたしまして、そのときに、同時に北海道及び北九州、東北の地域農業試験場の飼料作物、草地関係の研究部を拡大いたしました。  それから、先ほどお話のございました水田に牧草というお話がございましたけれども、確かに畜産局長申しましたように、水田というものは非常に土壌生産力が高うございます。しかし、牧草の種類によりましては水をきらうようなものがございますし、そういうことで、われわれは日本に適しました牧草の育種に相当力を入れておりまして、各県に指定試験場というものがございますが、現在、十カ所くらいの指定試験を拡大いたしまして、そういったところでも活用できるような新しい品種育成をはかりたいと考えております。  それからもう一つは、稲作転換が始まりましたあとの飼料の流通化と申しますか、青草だけでなくて、サイレージ、乾草、場合によってはヘイキューブみたいなもの、そういった面に関する技術研究というものが若干おくれておりましたが、そういう面に対しましては、特に別ワクに研究費をとりまして、現在進行中でございますので、できるだけ早い時期にそういった技術的対応をいたしたいと考えております。
  123. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 時間がなくてあれですが、若干結論的なことを質問したいと思いますけれども、いままで質問してまいりますと、農業基本法で十年前に考えました指向した方向がそう実績があがっていない。いないということは、やはりいろいろ客観的な条件がそれに整わないということもあろうと思います。しかしまた、日本の今日の農業を担当していく農業者は、先ほど言ったように、自立農家なりあるいは自作農というものはわずかに十数%にしかすぎない。大部分が兼業農家、しかも第二種兼業というものがそのうちで最も多いということになりますと、もう農業基本法というものはちょっと時代の流れに合わないのじゃないかと思います。そこで、ひとつこの際新しい農業情勢に対応した再検討をすべき時期ではないかと思いますけれども、先ほど園田さんの関連質問でもそういうことがちらっとあったようでございますけれども、再検討を加えて、何か新しい農業政策の基本を例示するような新しい法律というものを考えるお考えはないか。その点をひとつ大臣からお伺いしたいと思います。
  124. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 時代が変わってくれば、いろいろそれに相応する法律も変えるということもあり得ることでございますが、私は法律や罰則や何かできめていくというものではないと思います。そういう意味においては、農業基本法の重点の入れ方というか、取り上げ方はいろいろあって、取り上げ方に、従来取り上げたような方向に進んでいないという点もございますが、考え方方針においては、私は農業基本法はいま変えなくちやならないほどじゃないと思います。基本法の中で相当いろいろなことを書いてありますし、また、重点の入れ方等につきましてもいろいろあったと思います。たとえば自立経営農家、これは当然だと思います。これをやめるという必要はないので、これはやっていく。先ほど官房長も言いましたように、自立農家の経営の規模拡大ということが、所有権だけでもって規模拡大ということができないということになれば、これは利用権を広げていって、そうして経営体として規模拡大をする、こういうことが必要である。  それからなお、自立経営農家が一五%くらいになって兼業農家が八五%くらいになりました。この兼業農家に対しましても、兼業農家を捨てていくということは別に規定しておるわけじゃありません。でありますから、経営規模拡大等につきましても、いまさっき団地構想と言っておられましたが、これは決して総合農政団地と言って名前を変えたわけじゃありません。やはり経営の規模を拡大するということにおきまして、利用権とあわせて経営規模を拡大する、こういう方向に持っていかなくちゃやっていけないのではないか。生産性も上がらないのじゃないか。そうするといまの兼業農家も含めて、自立農家ばかりの団地ではなくて、兼業農家もそれに含めて、兼業農家としての役割りと言いますか、こういうものも団地の中で生かしていく、そういうようなことも必要である。で、これは米作偏重だと言いますけれども、米については、これは現在ばかりじゃありません、明治維新から、あるいはその前から米というものに力を入れたというのは、これは日本の農業の中心であったわけであります。でありますが、これはまあ幸いに米が過剰生産ということでございまするから、こういうことになりますと、やはり米でも農産物全部が自立自給できるようなかっこうにしていく。それには生産消費とのバランスをとる、需給のバランスをとるということで、米はまあ供給が需要以上になったのですから生産調整もやむを得ないでやっているわけでありますが、その他いまお話の畜産とかその他果樹、こういう方面もやはり自給度を維持すると言いますか、そして供給が需要にバランスがとれる方向で推進していかなければならぬということになりますというと、どうしても団地的な経営というものに持っていかなければ、米ばかりではございません、畜産も果樹も野菜も、そういう方向に持っていって、生産性も上げていかなくちゃいかん、需給のバランスもとれるようにしていかなくちゃならぬということを考えますと、やはり団地的な経営というものがこれからの方向じゃないかと、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味におきまして、こういう行き方も農業基本法に別に書いてないわけじゃないし、方向づけがないわけではありませんから、農業基本法において目的を十分発揮できなかった点もありますが、基本法そのものに私は別に悪いことがあるわけじゃございません。ですから従来の行き方と言いますか、方向づけを十分再検討をして現在の、これからの農業のあり方、農業の立場というものを考えて基本法の中の生かし方と言いますか、とらえ方と言いますか、それは少しとらえ方は変える必要があるかと考えております。でありますが、改正しなくちゃならぬということではないと思います。時代に応じて農業を推進していくということにしていきたい、こういうふうに考えております。
  125. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 大臣の御意見に対していろいろ私賛成いたしかねる点もあります。農業基本法はまあ宣言法であると同時に、かなり具体的なことも書いてあるわけでございます。その具体的な面でかなり時代に合わなくなっている面がありますから、意見もありますけれども、もう時間もありませんから、ここで議論をするつもりはございません。最後信一点だけ、ひとつ別な問題でお尋ねをして終わりたいと思います。  それは中央卸売市場のことでございますが、先ほど前川委員からも野菜市場における取扱いの問題についていろいろありましたけれども、野菜暴騰暴落するということが生産が定着しない大きな原因になっていると思います。しかもまたその暴騰暴落をどうして防ぐかというと、いろいろやっておりましょうけれども、私平素常に疑問に思っておりますのは荷受けですね。荷受けがはたして計画的に集荷して責任を果たしておるかどうか。しかもまた、その集めた荷物に対してせりをやって自由に価格を形成されておるわけですが、ちょっと多くなると、一割多くなると三割も上がったり下がったりする。二割も多くなると五割も上がったり下がったりする。そのために、ことしはだいぶ安いようですが、おそらくは来年は作付が減ってしまってまた暴騰するということになりましょう。その価格形成の機能を荷受け会社という会社にまかしておくことが私は一番大きな欠陥じゃないかと思うのです。この価格形成をいまのような原始的な自由取引みたいなものに放任しておくということが一番大きな私は問題でないかと常々考えております。この前の市場法の改正のときもその点前の大臣にちょっと質問したのですが、これまた時間がなくて突っ込みが足りなくて議論があまりできなかったわけでありますけれども、きょうもまたできませんけれども、この価格形成の機能というものを荷受け機関というものをもっと政府が介入するなり、あるいは公社にするなりして計画的な集荷をし、そして値段も適正な値段になるように何らかのそういった介入が必要でないかと、こういうことを考えるのでありますけれども、どういうふうに考えますか。
  126. 小暮光美

    政府委員(小暮光美君) 確かに市場における価格の形成は基本的には需給できまることは間違いないと思います。供給が安定いたしますれば価格形成も安定するわけでございますから、その意味では安定した供給をはかれるようにすることが基本であるというように思いますけれども、ただなまものを扱うということから長年の間に確立いたしました現在の無条件受託によるせり制度というものが、今日のような経済社会の情勢のもとで唯一無二の方法であるかどうかという点には確かに問題があろうかと思います。ただこれを、流通します野菜の姿が変わらないのに取引方法のほうだけを変えようといたしましてもなかなか問題が多過ぎると思います。で現に魚のようにかなりの部分が冷凍されて一日二日を争うような販売ではないというふうな形になりましたものにつきましては、実は市場における取り扱いの半分以上が荷受け業者による買い付けでございまして、それを流通でさばくというようなものが育ってきております。これはものが生鮮食料品でございますけれども、冷凍貯蔵という形で流通の姿が基本的に変わりました場合に、無条件受託によるせりという方法でなくてもものは流れるということになることのきわめて明快な事例であると思います。しかし逆にそういう形で買い付けがふえますと、扱いを間違えますと価格の操作というようなことがそこで行なわれる危険性がある。そこで今回新しく発足しました卸売市場法では品目と場合をある程度限りましたけれども、それぞれ一定の基準に基づきまして買い取りによる集荷、それから流通による販売というものを大幅に市場の中に取り入れようということを実は考えております。それで、せりが価格形成の公正さと申しますかガラス張りということではすぐれた点があっても、ちょっとした需給変動で激しく動くという弊害がございます点を、あらかじめ予約いたしました需要者に対して予約した価格でものを流すという機能を市場業者にも果たさせるようにする道を開いたらどうかというようなことを考えておるわけであります。ただこれは価格形成の安定性という点で長所があろうかと思いますが、逆に取り扱いを間違えると価格形成の公正さという点に欠けるおそれがありますので、そういった場合の業務のあり方については業務規程等を通じまして厳重にこれを監督する必要があろうかというふうに考えております。
  127. 鈴木省吾

    ○鈴木省吾君 時間がなくなったからこれでやめますけれども、どうも聞いておりますとやはりいまの制度なり何なりを肯定した、維持する考えの上に立っての答弁のように聞こえてならない。やはりそういうことでは抜本的な私は改革ができないと思うのです。いまの市場というものは、ただ建物や何かには補助して、それで今度実際の取引は単なる商人にまかしているわけですから、はたして公設市場なんかちょっと疑問に思うのでありますが、しかし、まあ時間がありませんからこれ以上やりません。どうぞ十分検討してもらって、あまり暴騰暴落のないようにひとつしていただきたい。これで終わります。
  128. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時五十分休憩      —————・—————    午後一時五十三分開会
  129. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。午前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  130. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、きょうは農林大臣の所信表明に対する質問でございますので、非常に農業全般の問題について質問をすべきでございますが、実を申しますと、今回の予算あるいはまた大臣の所信表明等もいろいろ読ましていただいたんでございますが、私も農林水産へ来て日が浅いもんで、なかなかよくわからない。そういう点で非常に幼稚な質問があるかもしれませんけれども、その点は御了解をいただきたいと思います。  そこで、今度の大臣の所信表明の一つの大きな重点項目は、やはり農業団地育成という、そういう点じゃないかと思うのでございます。まあ過去においては農業構造改善の促進対策実施要綱とか、あるいは農業構造改善の助成対象事業実施基準についてとか、あるいは第二次構造改善事業、あるいはまた農業のシステム化とかいうような、今日まで農業のそういう近代化のためにいろいろな方策がとられてきたと思うのでございますが、そういうものと今回打ち出された農業団地というものがどういう方向のもとに、どういう必然性をもってそういうのを打ち出されたか、そういう点について、まず最初にお聞きしたいと思うのでございます。この農業団地の問題については、午前中の質問をいろいろお聞きしておりまして、まあ土地の所有はそのままでやっても農作業のようなものはやはり共同で協業化し、そうして生産性を高めると、そういうような目的であるようにも拝聴をしたわけなんですが、なぜこの農業団地という構想を打ち出さなければならないかという、そういう点について簡単に御説明願いたいと思うのですが……。
  131. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 所信表明にも出しましたが、一つは国際関係からいって、日本の農業も農業自体としては国際競争力にたえ得るようにしなくちゃならないということが一つ。国内的に見まするならば、やはり農業生産物の供給と、消費者のほうの需要でございますね、供給と需要——需給がバランスとれなきゃ、これは非常に農産物の価格なんかも違ってくる。不安定だ。それじゃ農業者にとってもまずい。ですから、一つは、国際的にいっても国内の農業生産が競争力に耐え得るように持っていきたい。一つは、国内における、需給のバランスをとっていくことが必要だ。そういうことになれば、いままで言っておることでございますが、価格政策の面ばかりではなかなか農業はやっていけない。やはり生産性をあげていかなくちゃならぬ。こういうことが考えられるわけでございますが、そのためには経営規模がやはりより大きいほうがそれに適合するわけでございます。しかし、これが自立経営というようなことだけで、所有権の合同というようなことだけでは、なかなかこれが地価の問題その他でできかねますから、これは利用の面で協業の方向に持っていくということにすれば生産性も上がるし、あるいはまた、野菜の問題にいたしましても、畜産の問題にいたしましても、果樹の問題にいたしましても需給のバランスをとるためには、団地的にまとまった経営があっちこっちに多くなってくれば非常にやりいい。価格政策のためにもいい。こういう全体的に考えまして、この団地的な構想で農業を進めれば国内の農業にも非常にいいのではないか、そういう考え方でございます。
  132. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま大臣が言われましたように、構造改善をして、そうして集団化で生産性を高める、そういう点については私もそのとおりだと思うのです。ところが、いままで野菜につきましてもそういう生産団地というものもございましたし、また稲作についてもそういう構造改善基盤整備等もやってきているわけです。そういう生産性を高め、コストを引き下げるということも非常に大事ですけれども。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 午前中も話がありましたように、ちょっとたくさんできれば暴落をすると、そういう点が非常に農民の皆さんの意欲をなくしているわけで、そういう、やはり生産者価格の保証あるいは需給のバランスのとれた、そういうものでなければならないと思うんですよね。今度のそういう農業団地育成をやっていけば、つくったものがっくり過ぎて暴落をするとか、そういうような心配は、これはなくなるわけですか。
  133. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 需給のバランスをとりよくなるわけです。個々的に生産しているよりも団地的にやったほうが、その団地で、たとえば野菜も、いまの指定生産地といいますか、これを団地生産していきますと、あまり生産が過ぎるようならば、少し生産をこの程度にしたらいいじゃないかと、足りないなら、もっと多くしてたくさんやっていく。それにはもちろん価格政策というものも伴ってでございますが、価格政策に伴ってバランスをとるときの調整力、われわれとしても調整力がそこに高まるわけでございます。でありますから、そういう暴落暴騰ということにつきましても相当コントロールができる。コントロールというのは、農家のためを思ってのコントロールということができるというふうに考えます。
  134. 塩出啓典

    塩出啓典君 いままで、キャベツ野菜団地が、嬬恋村ですか、去年なんかもああいう野菜団地暴落しているわけですね。市場に出すよりはつぶしたほうがいいというような、あそこもやはりそういう団地、広島県でもそういう団地がありながら、そういうところもあるわけですが、それが、いま、大臣、いままで過去においては、そういう団地でまとまって考えれば、そういう生産調整が、需要と生産のバランスが過去においてとれなかったものがこれからの農業団地の構想ではとれるというのは、それはどういうところにあるんですかね、ちょっと、それ、ぼくわからないんですけれどもね、それはどなたでもいいんです、大臣以外の局長さんでもいいんですけれども。
  135. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) ただいまの価格政策団地の関係でございますが、今回、こういう構想を出しました際に、末端の農業生産をやります団地を幾つか結び合わせまして、流通、加工段階施設整備するということもあわせてやることにしておるわけでございます。それと同時に、先ほども御指摘がありましたが、嬬恋等での暴落の問題もございます。今後、絶対ないかというと、あるいはそういうことは言えないかと思いますけれども、午前中、園芸局長がずいぶん説明をいたしましたように、今回は、野菜対策につきましても、去年の倍以上の予算をつけまして、その価格安定対策に特に重点を置きましてやろうということでございますので、この団地対策の推進と価格政策の充実とを一緒にさせまして、ただいま御指摘がありましたような価格乱高下がないような方向に持っていこう、こういうことでございます。
  136. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはこれから先の問題ですから、ここでわれわれが論議をしても、机上の空論になると思いますので、それは専門家の皆さんを信頼する以外にないと思いますけれども、いままでの私の率直な感じとしては、今回の農林省予算を見ましても、新しく始まるのが非常に多いわけですね。そういう、たとえば農業団地の中の高能率生産団地育成、その中のいろいろな項目を見ましても、新しく始まるのが非常に多いわけです。あるいは前年より続いているものもあるわけですけれども、農業というのは、これは急速に方向転換できるものではないと思うんですね。やはり長い将来の見通しの上に立ってやっていかなきゃならぬと思うんですが、政府は、この農業団地というのを今年度から発足したんですけれども、これは大体いつまでやるつもりなのか。たとえば高能率生産団地というものの育成にしても、政府として、五年なり十年先のビジョンといいますか、そうして、何年後には、野菜生産の何%は高能率生産団地育成をして、そこで生産をし、そうして生産性というものは、この計画を実施することによって、現在よりもどの程度上昇することができるか、そういうような点がわからないわけですけれども、そういうようなビジョン、青写真というのはあるわけですか。
  137. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) この団地構想の前提といたしまして、すでに、一昨年の暮れに農業の地域分担をきめまして、各県にもお示しをしておるわけでございます。現在それに基づきまして、各県が県内の地域分担の作業をいまやっております。もう半分以上の県ができました。そういう地域分担ができますと、どの地域にはどういう作物を中心にやろうかということになってくるわけでございます。それを昭和五十二年を目標にいまやっておるわけでございます。その五十二年を目標にして、地域分担を——これはガイドポストでございますけれどもきめまして、そういうそれぞれの地域の主作物について、これを個別経営でやるよりも団地としてまとめてやったほうがいいんではないか。もっとも、日本のような地理的条件でいろいろな違いがありますから、日本全国全部団地でおおうことは不可能でございます。あるいはまた、予算の制約もございます。そこで、まだこれはわれわれの試案といいましょうか、試算、頭の中にあるわけでございますが、畑作関係、広い意味の畑作関係でございますが、畜産、養蚕、果樹、野菜等を含めまして、大体、一万団地ぐらいつくってみたい。それから、水田の合理化といいましょうか、米の合理化のために、これは第二次構造改善事業等を使いまして、約五千団地というものをつくってみたいということを頭の中に描きましく初年度四十七年度におきましては、先ほど申し上げました畑作団地につきましては、約八百団地というものを予算化しておるわけでございます。
  138. 塩出啓典

    塩出啓典君 一万団地といいますと、これどうなりますか、団地の大きさもあると思うんでございますけれどもね、一万団地昭和五十二年度を目標にして、それを当面の目標とおっしゃるわけですが、そうした場合に、日本全体におけるいわゆる畑作関係の生産量の大体何%ぐらいがカバーできるんですか、これは。
  139. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) これはまだこれから団地がスタートするもんですから、ある意味では仮定の計算になるわけでございますが、畜産、果樹、野菜、養蚕等の作付面積は、現在飼養牧草地も含めまして三百八十万ヘクタールございます。このうちわれわれが大ざっぱに推定をいたしまして、諸条件等から見まして、団地化し得る面積というのは約百十万ヘクタールではないかというふうに考えております。そうしますと、大体さっき申し上げました三〇%ぐらいになると思いますが、そのうちの約半分をこの五年間でやってみたい、こういう考え方にしておるわけでございます。  それから、なお、水田につきまして、五千団地と申し上げましたのは、これは面積にいたしますと、約二十万ヘクタールになります。
  140. 塩出啓典

    塩出啓典君 これが実現することによって、大体生産性というのはどれくらいつくのか。いわゆる高能率生産団地でできるものはやはり国際競争力にたえることができるのかどうかですね。そういう点はどうなんですかね。われわれ、いろいろそういう政策をする場合に、政府のもちろん補助もあるわけですけれども、農民の人も負担をして機械を買わなければならない、それもやはり必要ですけれどもね。そういう点を考えに入れて、そういう生産性の向上というのはどういうようになりますか。
  141. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 先ほども御指摘ありましたように、この高能率の生産団地は肉牛から酪農や野菜、果樹などいろいろあるわけでございます。それぞれにつきまして専門の各局でこの団地についてこういう事業をやればどういった生産性の向上になるかということはいろいろ作業しております。しかし、これは工業生産と違いまして、一律に幾ら資本投下したらもう幾らになったというふうにはなかなかぴしゃっと出にくい問題でございます。その理由の一つとしまして、この団地をどういう経営をしていくかといった場合に、一つの経営といいましょうか、そういう経営でこれは割り切れば非常に簡単でございますけれども、必ずしも団地によってはそうはまいりません。ある場合には単なる栽培協定でこの団地をやっていこうという場合もありましょうし、あるいは共同経営の場合もありましょう。非常にむずかしいわけでございますが、いろいろ試算をしております中で、大体労働生産性を上げるという意味ですから、労働時間という点から考えてみますと、ものによりますと大体半分になるものあり、あるいは七割程度のものもあり、あるいはもっと極端に、麦のような場合にはもっと労働生産性が上がっていって、現在の十分の一くらいに労働時間が短縮できるというような計算をいろいろやっておるわけでございます。
  142. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは私もよくわかりませんのでまたいろいろ勉強してこの次の機会に質問したいと思うのですが、過去のいろいろそういう構造改善とかいろいうな施策はそれなりにそれぞれの効果をあらわし、またいろいろ反省すべき点もあったのじゃないかと思うのですね。やはりそういう一つ一つ施策というものを積み重ねて前進をしていかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、そういう点でいままでやってきたそういう政府施策というものが、こういう点では非常によかったけれどもこういう点が非常にまずかった、そういうようなものがいろいろあるのじゃないかと思うのですけれども、やはりそういう施策の効果というもののプラスとマイナスがどういうようにあらわれてきているのか、そういうようなものについて、やはり農林省としてはいろいろ検討し、そういうような資料があるのかどうか、それはどうなんですか、いままでの。
  143. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 農林省の過去の行政といいましょうか、それの総反省のようなことでございますから、いま資料があるかということを言われたわけでございますが、そういうことで編さんをした資料はいま手持ちはございません。しかし、いろいろな問題が起こってまいります場合に、過去のことを反省して新しい政策を生み出すということでございますので、ちょっと団地との関連でいままでとの対比で考えてみますと、従来は午前中もご質問がありましたように、米中心であったということは一つ言えるかと思います。それから二番目には、どうもものごとにばらばらに施策をやってきたのではないかど思われます。たとえば農地局のほうでは基盤整備事業をやる、農政局のほうでは構造改善事業をやる、それが結び合わさってない場合もあり得るというようなこともあったかと思います。そういうようなこともいろいろ反省した上に立ちまして、それからもう一つは、生産対策に非常に重点が置かれまして、どちらかというと流通加工対策がおくれておったということも言えるかと思います。そこで、今回の団地対策におきましては、生産から流通加工まで一貫した組織的な育成のしかたをとるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  144. 塩出啓典

    塩出啓典君 この問題について最後に、やはり私は農業をほんとうに改革していくのには、農民の皆さんの自主的な力というものがほんとうになければいけないと思うのですね。そういう点でとかく私たちが地方にまいりまして感ずることは、たとえば採択基準の問題にしても非常にワクがあって、やはり一つの型が上から示されてそしてその型に合うものだけが救われていく、それ以外のものは結局どうにもならない、そういうような点が多々あると思うのですね。今回のこの高能率生産団地にしても、これは五十二年まで、それだけ計画どおりにいくかいかないかわかりませんが、いったとしても、これは全体の六分の一とかそういうような状態ですから、ほんとうに農民の皆さんが自主性をもってそしてそれをやはり政府が応援をしていく、そういうような形に持っていくべきじゃないかと、これは抽象的な話で申しわけないのですけれども、そういう精神でいくべきではないかとそのように思うわけですが、農林大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  145. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そのとおりと思います。よく昔からも言われたあれですが、自立といいますか、自立更生なんという更生運動もあったのですが、自立更生というような、そういうのが基本だと思います。しかし、型にはめてこの規模でなくちゃだめだということでなくて、こういうことは農家の皆さんにもいいことじゃないかというようなものをPRといいますか、そういうことをして立ち上がるというような気持ちを持ってもらうことが必要でございますので、団地なんかの問題その他も農業の全般についての考え方のPRといいますか、大いに盛り上げてもらいたいというわけで二億ばかりの推進費を計上してそういう機運を盛り上げてもらって、そしてその盛り上がった機運に従って自立的にやってもらう方向にこっちが大いに、何といいますか、進めていくと、こういう気持ちを持っています。
  146. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、次に米価の物統令適用廃止の問題につきまして二、三お聞きしたいと思います。昨年実施の予定が米の作付、作況指数が非常に悪かった、このまま適用廃止になれば米価が上がるのじゃないか、そういうことで一年延ばされたと思うのですけれども、それで私が思うのは、じゃ、そういうことで延ばしたけれども、今度は米が、今年のようにできの悪いということが今後もないとは言えないし、そういう生産性が低かった場合にはまた同じように上がる心配があるのじゃないか、そういう点はどう考えておりますか。
  147. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 延ばした理由が、作況が悪いから物統令を除外すれば上がるのじゃないかという意味じゃなかったのです経済状況が非常に変動しました、国際的にも、そういうことと、作況も、まあどのくらいだといって、途中でまだ確定しておりませんでした、そういう理由で延ばしたわけでございますが、いまでも、御質問で、それならばこれは上がるのじゃないかということでございますが、私は、物価の問題といいますか、そういう問題の根本は需給のバランスだと思います。需給のバランスがくずれればそれで供給が非常に減るというようなことであれば、これは上がるということだと思います。  それで、米の問題につきましても、物統令は価格に対する罰則の問題でございます、御承知のように。罰則がはずれるから米の値段が上がるんじゃないかというのは、これは米を扱う人の考え方によるので、客観的な問題じゃないと思います。客観的にやはり需給のバランスがとれていれば、消費者米価が上がるというふうには見られない。そのバランスの点からいいますれば、御承知のように、米の供給は余っているくらいにあるわけでありまするし、不作があっても、そのバランスがくずれるというような状況ではありません。そういう意味において、私は、物統令をはずしたからストレートに消費者米価が上がると、こういうふうには見ておりません。その上に、上がらないような対策を物統令からはずすと同時にしなきゃいかぬというようなことで、この四月から、新規参入とか、流通合理化とか、あるいは標準米制度とか、こういうようなものを設けて上がらないようにするとか、あるいは政府の払い下げ米も、流通経費分だけは差し引いて安く払い下げるというような方法で払い下げるというようなことで、もうそういう対策を講じますから、私は物統令を廃したから消費者米価が直ちに上がるというふうには見ておりません。そういう意味におきまして物統令の適用廃止をすると、こういうことに踏み切ったわけでございます。
  148. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、今回物統令の適用を廃止しても、いわゆる生産者米価というものは、これはいい米も悪い米も全部同じに買っちやうわけですね。先ほど生産者米価を検討すると、そのように大臣も言われまして、確かに消費者でお金のある人が高い米をどんどん食べると、これは非常に喜ばしいわけですけれども、いまの制度ではそういう高い米が買われても、結局それは生産者には何ら還元をされないわけですね、いまの制度ではですね。そうしてまた一方では、そういう高い米をほしい人は、これはいいと思うんですけれども、生活の非常に苦しい人、そういう人のために標準価格米というのを今回設置された、その意図は私いいと思うんですけれどもね。これは内地米の一等から四等程度の米を千五百二十円で売ると、これを準備するというのですが、これはたとえばわれわれ大衆が米屋に買いに行ったときに、必ず標準価格米というものはちゃんと確保されておるのかどうか。標準価格米が売り切れになってだめなんだと、そういうことを言わないように。ということは、政府から売り渡す価格は、将来は銘柄格差をつけるようなこともちょっと資料に書いてありましたけれども、とにかく現段階においては同じ値段でやられるわけですから、そうすると、米屋さんとしては全部千五百二十円で売ってもこれはいいわけでございまして、だから、そういう標準価格米というのを必ずそこに置くことを義務づけるべきじゃないかと、そのように思うんですけれども、これは食糧庁長官どうですか、その点はそうなっていますか。
  149. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 標準価格米を必ず常置させるようにいたしております。もちろんこれは数量は、いままで消費者の購入希望というものも小売り業者には大体わかっておるというふうに私ども考えておりますので、しかしいずれにしても消費者から要求があれば必ず供給をする、こういうたてまえで、もしそういうものを守らないというようなところに対しましては、私どもとしても、そういうものは公表する、あるいは政府の売り出しの対象にしないようにする、あるいは知事がそういうものの登録は受け付けないとか、いろいろな措置考えておりますが、業界でもこれには必ず協力をしますという姿勢をとっておりますので、御心配はないというように私ども考えております。
  150. 塩出啓典

    塩出啓典君 食糧庁長官がそう言われるわけですから、われわれも信じたいわけですけれどもね。しかし昨年のこの委員会でも私お話ししましたように、なかなか食糧庁行政指導というのは徹底しないわけですね。というのは、たとえば配給米が、山口県の例では、自主流通米として格上げして売られているのが行管の調査では七一%だとか——七一%の店がそうなっている、あるいは売り上げ伝票や帳簿をはっきりと食糧庁の通達どおりに備えつけてないものが何と八九%だとかね、そういうようなことを見ますと、非常にわれわれも——。いま長官は、ここではそう言われますけれどもね。これはあくまでも行政指導の問題で、もう少し罰則を伴うくらいにきびしくやっぱり——これは米というのは一番国民にとってなくてはならない、水とともに最大の必需品ですからね、ぼくはそのくらいしてもいいんじゃないかなと、そう思うのですけれども、その点、農林大臣、どうでしょうかね。行政指導だけじゃなしに、もっと義務づけるとか、ぼくは法律のことわかりませんけれどもね、たとえば法律できめるとか、もし標準米がなければ、ほかのいい米でも標準米の値段で売らなければいけないとか、そういうのはどうですか、そういうのは無理ですか。
  151. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 法律的に義務づけなくても、行政指導を強くやれば、私は目的は達すると思います。そういう意味において行政指導を強くやるつもりでおります。
  152. 宮崎正義

    宮崎正義君 関連。いま普通米は千五百二十円ということですが、産地とそれからまた都市消費地ですね、これ、もうすでに今日差があるのを御存じでしょうか、食糧庁長官
  153. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 現在の消費者価格は三段階になっておりまして、消費地が十円ずつ高く、千五百二十円、千五百十円、千五百円、その三段階になっております。
  154. 塩出啓典

    塩出啓典君 産地の米屋さんにしても、それから消費地の大都市の米屋さんにしましても、米屋さんの直接の声を長官は聞かれているかどうか。ということは、価格を押えるために、また不正をなくするために商店をふやしていくという、米屋さんをふやしていくというような話を聞いているわけです。そういうことに対して、長官は、現在の米屋さんがどんな考え方を持っているか、そういうことを直接お歩きになって何軒ぐらい声を聞いているか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  155. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私、一々歩いたわけではございませんけれども、お米屋さんにもそれぞれ米屋の団体があり、また東京の全国団体、それから大阪、九州へも私、出かけまして、卸、小売りの人の意見を大ぜい聞いております。
  156. 宮崎正義

    宮崎正義君 その聞いている声。
  157. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) これはいろいろなことをおっしゃっておりますから、問題は幾らでもございますけれども、先ほどの新規参入の点でございますれば、自分たちは長年米を統制のもとでやってきたんだから、新しい者は入れてもらいたくないということを言っております。
  158. 宮崎正義

    宮崎正義君 そのことをよく踏んまえての上の自主流通米の問題点考えなきゃなりませんし、また標準米の価格というものも考えていかなければならないということを私は申し上げるために言っているわけですから。米屋さんを私はずいぶん歩きましたが、直接やはり実際の家計簿を見せてもらいました。その中で真実の声はどこにあるかという、そういうのは一番最初に長官が、ただ、集まった中で米屋さんに聞くのじゃなくて、みずからが中に入っていくぐらいな姿勢の中で、ほんとうの担当している人たちの声を聞くということ、これがすなわち消費者の声を聞くということになると思うんです。こういう点については、今後のこともありますので、考えを聞いておきたいと思っております。
  159. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 全国でお米屋さんが五万軒ございますし、国民の大半の方は消費者でございます。もちろん食糧庁の仕事も組織で仕事をいたしておりますので、私どもも、私だけでなくて大ぜいの職員、業界のほうにもこれまた個々の方々なり団体というものがございますので、相互に意見交換をして、食糧庁とお米の販売業者、さらに食糧庁と一般消費者というものともいろいろ意見交換の場をこれからもつくりまして、意思疎通の上でいろいろと食糧問題を考えてまいりたいと思っております。
  160. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、じゃ先ほどの標準価格米については、必ず行政指導によってもし標準価格米がほしい人には買える状態に必ずする、これは可能である、そのように考えていいわけですか。というのは、これはこの前いろいろ、標準配給米をそのとおり売ってない、けれどもこの前の食糧庁長官のお話では、それはやむを得ないという、そういうようなニュアンスの発言だったわけですね。ということは、やはり米屋としても、そうでもしなければ生活上生きていけない、そういうような点もあるんじゃないかと思いますが、しかしこの標準価格米については、必ずそれを確保することは可能である、そのように判断していいわけですね。
  161. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 御指摘のとおりでございます。
  162. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、だんだんこれからお米もいわゆる小袋詰め配給というのがふえてくると思うんですけれども、そういう場合のいわゆる表示の問題ですが、これは今回の物統令適用廃止に対する農林省の関連措置の中に、そういう表示方法も国民にわかりやすく定める、そのような内容のことがあったと思うんですけれども、先般の委員会でも私が申しましたように、たとえば米の生産地とかあるいは銘柄とかあるいは重さとかまた価格とか、そういうようなものをちゃんと表示するようになっているのかどうか、その点どうなんでしょうか。
  163. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 今般の物統令適用廃止に伴いまして、消費者保護という観点から、米につきましてもできるだけ表示を行なわせるということで、私ども指導方針を立てております。ただ、いま御質問の産地銘柄を示すということはきわめて望ましいのでございますけれども、非常にむずかしい問題があるわけでございます。まあ消費者から見ますと、銘柄表示があるということが非常に重要だと思いますけれども、精米になりました段階で、原料の玄米の銘柄を鑑別をするということは、現在非常にむずかしい、ほとんど不可能だと専門家も申しております。  それから精米の段階になりますと、御承知のように日本の国は非常に生産者単位も小さいのでございまして、品種、銘柄の種類が小さいものが非常に多いわけでございます。特に生産県でございますと、私どものほうでよその県から持ってまいりませんから、その県の米でわりあい簡単でございますけれども、大消費地になりますと、要するに全国のいろいろな米が入ってきて配給をしておると、こういうことでございまして、したがいまして末端の小売り屋ではいろいろな品質、銘柄のものをまぜて、品質の均一化をはかって配給をしておるというのがいままでの一般的な形態でございますので、銘柄というものを義務づけるとしましても、なかなか内容と一致をしないようなことが行なわれがちになるというので、私どもこの点はしばらく見送りたいというふうに考えておりますが、そのほかの産年であるとか、あるいは重量、掲精年月日等につきましては、最小限これは記載をして袋詰めにする、その他のものについては、ほんとうに間違いのない場合に限って表示をする、それは任意に表示をする、そういう程度に考えておるわけでございますが、こういうことも従来米の販売の世界においてはあまり行なわれておりませんでした。他の商品につきましては非常にこういうことが行なわれておりますが、そういうような状態でございますので、逐次こういうことも消費者団体とも相談をして、他の商品と同様に、いわゆる商品化というようなことにも今後努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  164. 塩出啓典

    塩出啓典君 その点が非常に私納得がいかないんですけれども、今回の物統令の適用を廃止したというその理由は、消費者の要求が量から質に移行した、そういう消費者の要望にこたえるためのやはり措置ではないかと思うんですね。ところがいまおっしゃる話では、精米をするとどれがどれだかわからない、わからないから表示しない。私はむしろわからないからこそ表示をすべきであって、で、私が米屋さんである一つの米を買ったと、この米はとてもうまいと、これはこの農林省措置の中では、試食をして——米の味をためすようなそういう試験をするということをここにちょっと書いてきましたけれども、米の食味試験をやるとか——けれども、なかなかやっぱり人によっては必ずしもそうではないわけで、精神的にいえば高い米はうまいかもしれませんけれども、やっぱり自分にとってはこの米のほうがうまいと、この前買った米が非常にうまい。ではその米をほしいといったときに、銘柄も何も書いてないんではそれは困ると思うんですね。今回の物統令適用廃止という、そういう意図からいうならば、当然米をまぜたにしても、どの米とどの米をまぜたとか、そういうことはぼくはちゃんと表示すべきだと思うんですね。先般私お米の倉庫の保管の状況を見せてもらいに行ってまいりましたが、産地から来ている米は銘柄とか生産地、つくった人の名前までちゃんと入っているわけですね。そういう米が卸業者なりにおろされるわけですから、その程度のことはぼくは消費者に対するサービスとして当然やっていくべきじゃないかと思うんですね。それが非常に高級な着物とか、一般大衆に関係のないものであるならばいざ知らず、米というのはいやしくも日本人であるならば、非常に収入の低い人から全部やっぱり必要なわけですからね。そういう点で値段は安いけれどもうまい米があればそういうのをみな買うようになるわけですからね。いまのような表示も何もしないんじゃ、これは一体うまい米をくれといった場合にどう判断しますか。高い米が必ずしもうまいとは——人によって違うわけですから、そういう点で銘柄表示ぐらいは私はやるべきじゃないかと思うんですけれどもね。その点農林大臣、どうでしょうかね。
  165. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 銘柄表示は私ども先ほど申し上げましたように、強制的ではないが可能な場合にはするように指導をいたしております。しかし、すべての米に銘柄表示をしなければならぬということになりますと——すべてのものにそれを書くことになりますと、非常に困難な点があるということを先ほど申し上げておるわけでございます。
  166. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃあどういう困難ですか、大体お米屋さんは何種類ぐらいまでまぜるんですか。
  167. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 種類ということの定義になるんでございますけれども、産年、産地、それから銘柄、等級、こういうように区分をいたしてまいりますと、非常に数が多くなってまいります。
  168. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから銘柄はどうなんですか。銘柄はそんなに、一回の米を売るのに新しい米や古米や古々米もまぜて売るんですか。
  169. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 古米、古々米とかいう産年の問題ではなくして、同年産のものを売るにしましても、同年産のものの中に宮城県のコシヒカリの一等もあるし、三等もあるし、新潟の米も入るという、こういうかっこうになるわけでございます。ですから、かりに東京の場合、月の販売量を五万トンといたしますと、大体最低五、六県の米が入る、こういうことになります。
  170. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、そういう五、六県の米が入ったにしてもやはりあるでしょう、いわゆるそれを全部チャンポンにして同じものをつくるのではなしに、消費者の好みを考えてやっぱりこれからの米の値段にも等級がつくと思うんですよね。値段による差が出てくると思うんですよ。その内容がどういうものであるかということは、それは米屋さんの立場から見れば、そういうのは書かないにこしたことはないと思うんですがね。けれども、それぐらいのことは、ほかのかん詰めだって、やはり何が何%、何%ということまで表示をするんですし、そんなに手間はぼくはかからないと思うんですね。それぐらいのことはちゃんとやるべきじゃないですか。
  171. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) この問題は非常に技術的な問題でもございますし、長年の商慣行という問題もございます。また先生のおっしゃるように、消費者の方からいえばそういうお話だろうと思いますが、約三カ月ばかり消費者団体、それから米穀の専門家等が集まりまして、いろいろ検討を行ないましたけれども、すべての米について銘柄表示を行なうということは、いますぐにはむずかしい、当面可能なもの、たとえば二種類くらい混合したもの、あるいは三種類混合しても一種類のものが半分以上占めているという場合には銘柄表示をする、それ以外の場合には当分は任意表示をするというのが漸進的な措置として妥当であろうということに一致した意見になりました。私どもとしましては当面何分にもいままで何もやっていなかったという状態でございますから、最初の出だしとしてはその辺から出発をして逐次改正をしていくのが妥当であろうと、かように考えておるわけでございます。
  172. 塩出啓典

    塩出啓典君 消費者の意向は聞かれましたか。
  173. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) その研究会には消費者の方も大ぜい入っていただきました。
  174. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで消費者の団体もやはりそういうことを要望してないのですか。
  175. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いま先生御質問と同様の要望をされておりましたが、相互の事情を話し合っていくうちに逐次それはやっていかざるを得ないということを御認識になった上で私の申し上げたような結論をいただいたわけでございます。
  176. 塩出啓典

    塩出啓典君 われわれが消費者の皆さんに会って聞く範囲では当然やはりこれは銘柄も表示すべきだ、そういうような意見です。これは一般の国民が考えて、米屋さんの長年の慣習等を知らない人にとっては当然の要求じゃないかと思うのですね。まあしかしこれは食糧庁あるいは農林大臣がきめることですから、これをいまさらここで論議をしても始まりませんが、順次その方向に持っていく、銘柄も書けるようにしていく、そういう食糧庁長官の答弁でございますので、農林大臣もひとつ責任をもってすみやかにそういう銘柄表示をするように、そういう方向に持っていってもらいたい、そのように要望したいのですけれども、その点どうですか。
  177. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま食糧庁長官が御答弁申し上げましたように、できるだけできるものから手をつけて銘柄を表示するという方向に進めるということでございますから、そういうふうに御了承願っておきたいと思います。
  178. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから今回いわゆる新規算入の問題でだいぶ緩和をする、そういうことでデパート等からも米の小売りをしたいという、そういう申し出もかなり出ているようでございますが、そういうデパートやスーパーマーケットなどの申請は認可するのかどうかですね。これは大体いつまでに、四月一日から実施となればもう日にちもないわけですけれども、まあ申請が出ているものを全部許可するわけにはいかないと思うのですけれども、大体現在の申し出に対して何件ぐらい認可し、いつごろぐらいまでに認可する方針なんですか、それは。
  179. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 小売り販売業者の新規登録につきましては関係政省令は三月一日に施行いたしておりまして、この登録受付を政令では基準だけを農林省ではきめておりますので、登録は都道府県知事の権限に相なっております。これは食管法で規定されておりますので、都道府県知事が農林省の示した基準によって受け付けておるというのが現在の段階でございます。大体四月二十日ごろまで受付は継続する、しかし登録に合格したものは、三月中に出たものは早く認可をして四月一日に間に合わせるというふうな方向で事務処理が現在行なわれているというふうに報告を受けております。当面新規算入が直ちに行なわれますのは七大都市でございますので、その数につきましてはまだはっきりいたしておりません。審査の結果おそらく落ちるものもあるだろうと思っておりますが、数はどのくらいか、私も断定をいたしかねるのでございますけれども、現在の小売り屋の数よりも一割ぐらいは最低ふえるであろうというふうに予測をいたしております。
  180. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは最後に今回小売り販売業者のいわゆる事業区域をこれは現在の市町村の区域から隣接市町村の区域まで拡大する、そのように聞いておるわけですが、デパートなんかそういう場合はかなり遠方から買いに来るわけですね。そうすると、やはりこういう事業区域内の住民であるかどうかということを判断することは実質的には不可能になってくると思うのですけれども、そういうところはどうなりますかね。
  181. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 小売りの販売区域は従来、区なら区、市なら市ということでございましたが、隣接の区までは買ってよろしい、消費者はどこに行って買ってもそれならばよろしいということに相なっております。私ども登録受付に際しましてデパートならいいとか、生協ならいいとか、農協ならいいとかいう基準をきめているわけじゃございません。一定の資格要件がございまして、たとえば経験要件であるとか、店舗の要件であるとか、そういう要件に該当すれば知事が認可をするというたてまえに相なっておりますから、その際にデパートの売り方というのが、もちろん普通の小売り店でも通りがかりの人が買うということもないとは言えませんけれども、デパートについてはそういうことがあるではないかというお話で、東京都の例で申し上げますと、デパートのような、本来不特定多数に売るような店に対しては、自分の隣接区域までの人に販売をするという誓約書を都に出して、都がそれを監査する、そういうものに限って認めるという方針をとっておるようであります。
  182. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、デパートなんかでお客さんが遠方から来て買うでしょう。それは隣接よりも遠方から来ても差しつかえないわけですね。
  183. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 現在の食管法を固く解釈いたしますと、事業区域内に住んでおる人に通帳で売るということに相なっております。
  184. 塩出啓典

    塩出啓典君 だから、そういう点私らの感じでは、法律というのは、きめたものはちゃんとやらなきゃいけないし、現実に合わないようなものはやっぱり改めていって、そのようにすっきりしなきゃいけないと思うんですよ、法治国家ですからね。先般の配給米を格上げするという、そういう問題にしても、やっぱりそうせざるを得ないならば、手数料を上げるなりして、正直者がいわゆる損をして、適当にやってる人が適当にやってると、そういう秩序をつくることはよくないと思うんですね。そういう点を考えると、じゃあ実際に米穀通帳を持って来る、そうしなきゃならないと、それはほんとにやらせるならそのとおりやらせなきゃならないし、そういう点は、いまさらそういうものが実際に合わなければ、それに適応するように変えるべきなり、そういう点もっと現状に合った方向で、事業区域の問題にしても、やはりはっきりすべきじゃないかと思うんですがね。そういう点どうですかね。
  185. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 食管法がなかなか現状に合わなくなっておるという点は御指摘のとおりでございます。特に切符制等につきましては、御指摘の点は私も認めざるを得ないと思いますけれども、何ぶんこれは法律改正という問題にもなりますので、今後いろいろ慎重に検討をいたしたいと思います。
  186. 塩出啓典

    塩出啓典君 最後にちょっと林野庁長官に、これは広島県瀬戸内海沿岸に非常にマツクイムシが発生いたしまして、宮島等はほとんどの松が枯れておるわけですね、赤松が。そういう点で、いま林野庁としてはいまのところはそういう木を伐採すると、そういう対策をとってるようですけれどもね。現地ではそういうマツクイムシが発生するのは、たとえば宮島の場合では、岩国、大竹の工業地帯の煙突から出てきた煙によって亜硫酸ガスの濃度が高いために木が弱って、そうしてマツクイムシにやられているのじゃないか、そういうようなことで調査もやってるんですけれども、林野庁としてはこういう問題について、国有林ですから、あそこは。もちろん民有林もやられておるわけですが、森林を保護するという立場において、そういうやはり因果関係というものも明らかにし、それに対する研究体制あるいは防除体制、そういうものをすみやかにとるべきじゃないかと思うのですが、そういう点で、林野庁としては今後どういう処置をとっていくつもりなのか、その点お伺いしたいと思います。
  187. 福田省一

    政府委員(福田省一君) ただいま御指摘がありましたように、広島県で最近非常に松の木に対するマツクイムシの被害が多くなってきておる。したがいまして、四十五年度、六年度に対処しましたものはだいぶんふえております。被害が出ました場合には、直ちにそれを伐倒しまして、それを破砕し、焼却する、場合によってはこれを薬剤で殺虫するということをやっております。それだけのまた予算措置もとってあるわけでございますが、御指摘がありましたように、工場からの亜硫酸ガスの影響の問題でございますが、県の試験場とそれから国立の試験場、両方に研究さしておるわけであります。ここ数年、亜硫酸ガスの濃度がデータを見ますとやはり高くなっております。それと、煙が来ます方向の宮島の側がやはり被害が多い、反対側よりも。こういうこともやはり認めざるを得ないような状況であります。ただ、それがどれだけの影響があるのか。亜硫酸ガスだけの影響なのか、若干問題があるのであります。と申しますのは、昭和四十五年とそれから昭和四十六年と二カ年、台風がございまして、その際に松にたいへんまた大きなマツクイムシの発生を見ておるわけでございますが、試験場のデータを見ますというと、最近わかったのでありますけれども、「亜硫酸ガスのアカマツに対する影響については」およそ「四・五PPMでは高濃度亜硫酸ガスの急性症状を示しており、二・〇PPM以下では慢性症状を示しているものと推定される」というデータも出てまいっております。それで、こういう点をよく考えまして、至急研究を、この点について因果関係を明らかにする結果を出したい、かように考えております。
  188. 塩出啓典

    塩出啓典君 その問題についてもひとつ、やはり環境庁とか通産省ともよく連絡をとって、すみやかにやってもらいたいと思うのですよ。その点を要望いたしまして終わります。
  189. 園田清充

    ○理事(園田清充君) 午前の鈴木委員質疑に対して、中野官房長より答弁の補足をしたいと申し出がありますので、これを許します。中野官房長。
  190. 中野和仁

    政府委員中野和仁君) 午前中、鈴木先生からお話がありました農林省予算のうちで、米とその他との割り振りがどうなっておるかということでございますが、四十七年度の予算で申し上げますと、林・水は除きまして、農業関係の予算が一兆一千三百四十三億円でございます。この中で、米に関連します予算、米と申しますと、農業基盤整備生産対策、米の生産調整、食糧管理への繰り入れ、試験研究、農業保険等でございますが、これが六千九百七億円、ちょうど六一%であります。御参考までにその他を申し上げますと、麦が三百四億円で三%、畜産が千四十二億円で九%、園芸が九百六十犬億円で八%、それから蚕糸が百二十三億円で一%、その他、これは災害復旧あるいは農林金融、普及事業等でございますが、二千億円で一八%ということになっております。  以上でございます。
  191. 辻一彦

    ○辻一彦君 きょうは米の単作地帯における農業問題について、米並びに大型機械の問題について二、三質問を行ないたいと思います。  まず第一に、北陸筋から東北一帯、私の福井県もそうでありますが、米の単作地帯でありまして、今年度における生産調整のしわ寄せ、それから気候不順等による減収、こういうものが非常にきびしい形で出ております。たとえば福井県における三国町で、ある集まりがありましたが、そこで二町歩をつくっている農民の皆さんから、減反分と天候不順とで五十俵のいままでに比べて減収になっているのだ、こういうことがありまして、これは気候による減収はかなりあるわけでありますが、いずれにしても米作農民は非常に大きな打撃を受けておると思います。で、その中で米作県、たとえば福井県で、従来であると二百五十万俵米を売り渡しておりますが、一去年は二百二十二万俵、二十八万俵の減、四十五年と四十六年を合算しますと、生産調整奨励金の分は別といたしまして、六十億円に上る農家の減と、こういうことになって、その影響が非常に大きいわけであります。これは一福井県の問題でなしに北陸から東北における米単作地帯の共通した問題であると思います。  そこで問題は、その中で果樹に移ったりあるいは野菜と、こういう転作というわけですが、実際は北陸筋は気候の点から言いますとミカンをつくるというわけには実際はいかない。また湿田地帯が多いのでこれを土地改良基盤整備をやりましても完全な乾田化がなかなかできない。そういう点で野菜が十分に合うという条件もなかなかむずかしい。実は私のほうは、前でありますと、米が悪いと機屋さん——繊維のほうに働きに行って、機屋の景気が悪いと百姓を一生懸命にやる、お互いに片方が悪いときは片方で何とかしのぐという、こういうやり方を従来とっておりましたが、御承知のとおり日米繊維協定という中で繊維がたいへんな打撃を受けて、福井は一番大きな打撃を受けているところです。米と繊維の両方で袋小路に行き当たっているというのが福井から石川における農民の現状ではないかと、こういうふうに考えるわけであります。そこで一番問題は、若い人や特に中堅農家の皆さんが、農民の人が意欲を失なってきたということなのです。その百姓をやる意欲を、米づくりをやる意欲を、そういう意欲を失ないつつあると、これは私は農政にとっては何よりも大きな問題ではないかと思いますが、こういう米作地帯における農家がいま大きな一番大事な生産への意欲を失ないつつある、こういう現状を所管大臣として農林大臣、どう思われますか、まずひとつそれをお伺いしたいと、こう思います。
  192. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 北陸方面ばかりでなく全国に私はそういう傾向があったと思います。この日本の何といいますか、政治が経済成長に非常に重きを置いて、しかも工業券面、工業化の方面に  これが悪いとは思いませんが、工業化の方面が非常に進んで、したがって農業の方面が無視されているのではないかというふうな感じを一般にも持っていると思います。農業というものは私は大事なことであり、そういう意味におきまして、やはり日本の農業生産も自給度を維持しまして、自給度を持っていくというふうなこと、そういう方面から農業というものにもっと国の政治として力を入れるのだという姿勢が大事だと思います。そういう姿勢から始まってこの農業というものに見切りをつけたといいますか、無視されたという気分を改革していかなくちゃならぬと思うわけでございます。そういう意味におきまして、まあ政策面におきましても、その他の面におきましても、そういうことを基本の姿勢としていろいろ考え予算なんかも組んだわけでございます。
  193. 辻一彦

    ○辻一彦君 農民に意欲を持たせるためにまずひとつそういう姿勢が大事だと、私はけっこうであると思います。そこで問題は、そういう大臣の所信表明等にもあります基本的な姿勢をもとにして、残念ながらなかなか果樹もつくれないし、野菜もつくれないし、といって働きに行くところもなかなかないので、かせぎに行くしかないという形で意欲を失いつつある農民、そういう農民にどういうようにして米の単作地帯の農民に意欲を持たせるかという、若干具体的な方向というものをお伺いしたい。
  194. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまいろいろ方向につきまして、団地的な経営というものなども私は一つ方向考えて打ち出しておるわけでございますが、それにつきましていまお話がありました基盤整備、土地改良でございます、私は団地の問題で基盤整備との関連で考えますと、午前中にも話がありましたが、基盤整備でも、基盤が転換のできるような基盤にしたらいいじゃないか。北陸の方面では、御承知のように湿田ではなかなか転換作物というようなことの作物が十分に転換できないような基盤だと、でありますから、土地改良なんかも私は水田地帯が畑地として使えるような、これは排水をよくしたり、やりようによっては私はできると思います。でございますので、基盤整備の土地改良なんかも、いままでは稲作、小麦と  いうことだけで土地改良を、基盤整備をやってきましたが、これからは畑地として使えるように、転換して使えるように、午前中に話も出ましたが、たとえば基盤整備をやりようによっては草地造成といいますか、草として栽培できるような基盤もこれは整備できると思います。これ技術の問題でございますから、排水をよくしたり何かすればそういうことはできるのでございますから、そういうことも考えなくてはならぬと、一つの例でございますが、そういうことも考え指導しているわけでございます。
  195. 辻一彦

    ○辻一彦君 米作地帯における基本がまず土地改良、水田を乾田化して、そして草地にもできると、そういう方向が大事だということも私も同感です。そこで農民に意欲をわき立たせる具体的な道として、しかも米以外にはなかなかつくれないと、そういう地帯にはやはり米を私は安心してつくれるようにするということが一番意欲を持たす道であると、こういうふうに思うわけなんです。そこで、これは非常にむずかしいわけですが、主産地形成というものがあります。残念ながら米しかできないところには米にウエートを置いたような産地形成というか、あるいは食糧基地というか、いろいろな表現があると思うのですが、そういう、米に重点の置けるような産地を形成する、いわゆる地域の分担というか、先ほども話が出ておりましたが、米における地域分担、こういうものが北陸筋や南北筋に確立をされるとこれは私は非常に米作農民に意欲を持たせると思うのですが、そこらについての考え方はどうですか、ひとつお願いしたい。
  196. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農業生産の地域分担、ガイドポストもできておりますが、私は日本全体から考えますと、東北とか北陸あるいは九州、こういうところは米作などの主産地といいますか、そういうような適地適作の点からいっても必要なところだと思います。でありますので、そういうところが特に作物によって、たとえば米なら米という点に力を入れていくような、それに沿うた政策をもって主産地形成というような形を国全体の形としてもやっていくべきだと思います。またそういうところは、先ほどから言っておりますように、希望を持たせるためには経営規模も大きくしなくちゃならないし、これは京浜地帯、東京、大阪、こっちのほうはそう広いものを必要としなくても、土地が狭くっても農業をやっていけるように、養鶏みたいなものとかその他をやっていく。しかし、米なら米の主産地形成的なところはやはり経営規模を大きく——大きいほどいいわけです。そういうところは団地などのことにつきましても、米の団地ということで、米についての力を入れて団地形成をする。こういうような地域的な力の入れ方というか、適地適作的に沿うような政策を行なっていく、こういうふうに考えているわけでございます。
  197. 辻一彦

    ○辻一彦君 この米生産総合改善パイロット事業というものがありますが、これは各県あるいはその地域における米の中心的な一つ産地指定するような内容だと思うんですが、これは各県ごとに、あるいは各地域ごとにあるのです。これはもっと拡大すれば日本の中に、府県の中に米の主産地というものを、そういうものを置くように、日本の中にそういう米の主要基地といいますか産地を形成していく。それを大臣は、東北や北陸、九州等は、そういう方向重点が置かれるべきだと、こういうふうに言われたと思うのですが、そういうふうに確認してよろしゅうございましょうか。
  198. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) そのとおりでございます。
  199. 辻一彦

    ○辻一彦君 大臣にこれはもう一つ。米作農民に意欲を持たせる道は、これはきのう衆議院の予算委員会で大臣が御答弁になったわけですが、やはりこの米価据え置きが非常に意欲を失わせる。これは昔の比較ですが、この問いなかに行きましたら、村々を回りますと、年配の農家の人ですが、こういう比較を出してくれたのです。昔は大工の手間十日で米一俵、今は三日で米一俵になっている。それから床屋さんが米一升だったのがいまは米三升と、米の値打ちといいますか、価格というものは相対的に見ればずいぶん押えられているということを昔の例を出して言っておったのですが、昨今、公共料金の全面的な値上がり、資材からいろいろなものの値上がり、こういうようなことを考えますと、米価の据え置きというのは、これは米作農民から、ことしあたりはもうがまんできぬというところにきておるのじゃないかと私は思うんです。きのうの衆議院の予算委員会でも大臣の答弁がありましたし、またさっき同僚の前川さんからも御質問があって、そこに非常に前向きの大臣の答弁を聞いて、これは米作農民はおそらくけさあたりの新聞を見て勇気づけられていると、こういうふうに思うのですが、そこでこれはなかなかむずかしい問題でありますが、どのくらい米価をほかのものに比べて引き上げなくちゃならぬというように考えておられるのか、ちょっとひとつお聞きしたいのですが……。
  200. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は、きのうもきょうも申し上げていますように、生産調整やその他いろいろあるわけです。それからいまのお話のように封建時代から、明治のずっとから米が物価の中枢です。ですから、米の値段を上げなければいいんだ、押えるのだ、こういう風潮といいますか、こういうことはいかぬということで、まず押えるのだというような形を改めさせようということで、弾力的にやらなくちゃいかぬ、米価は弾力的にきめなくちゃいかぬということを、まず打ち出したわけでございます。だんだんそういうことで、いま大蔵当局やその他も、世間も、そうではないかというような感じを私は持ってきたと思います。率直に言って、財界などでも、一時は何も高い米を生産させなくてもいいのじゃないか、外国から米を輸入してもいいのじゃないかというような風潮が、数年前からずったあったと思う。しかし、そういう考え方を直さにゃいかぬ。こういうことから弾力的に考えて、抑制だ抑制だと頭から押えるようなことはいかぬ、ということを私は申し上げたわけであります。  それじゃ、弾力的に幾ら上げるのだ、こういう御質問には、非常に私もいま答弁するのはむずかしいのでございます。食管にも米価算定の基礎、基準というものもございまするから、物価だとか生産費とかその他いろいろな要素等がありますが、そういうものを念頭に置いて、そうして米価審議会に諮問してきめるということでありまするから、いろいろ検討していかなくちゃならぬ。これはこれからの問題でございます。いま直ちにどの程度にしたらいいと申し上げる段階ではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  201. 辻一彦

    ○辻一彦君 もちろん、ここでそんな幾ら上げろというふうなことはなかなか聞くわけにはいかないと思います。ただ、いま言われたようなそういう方向で、ぜひひとつ多くの公共料金、生産資材、料金等の値上がりに応じた、それにふさわしい米価が実現するように非常に期待を農民はかけておりますので、担当大臣として努力をぜひともお願いしたいと、こういうことを要望いたしたいと思います。  そこで私は次に、これは大臣にはあとでまたまとまった段階で御答弁をいただくと、こういうことにして、具体的な問題につきまして、これは農政局長農地局長等からひとつお伺いしたいと思います。  米パイと簡単に言われておりますが、米生産総合改善パイロット事業ですね、それから構造改善等においての私は大型機械の稼働といいますか能率化が、どうもいろいろなところを歩いてみるといろいろな人から意見がありますので、いろいろ問題があるように思うので、この問題を少し明らかにしたいと思うわけです。皆さんの手元に、コピーですけれども、ちょっとこれを配っておきましたのでごらんいただきたいと思うのですが、もう一枚新しいのがあるのですけれどもそれもちょっと——、じゃ、資料を委員長の許可を得ましたので使わしていただいて質問いたしたいと思います。  そこで、ごく簡単でけっこうでありますが、米パイと言われるこの総合改善事業のねらいというものを、簡単でけっこうなんですけれどもちょっと局長からお願いしたいと思います。
  202. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 米生産総合改善パイロット事業のねらいでございますが、御承知のとおり、米につきましても、今後生産性を上げていくと申しますか、機械化による稲作効果、極力コストを下げていくということをやらなければならないことは申すまでもないわけでございます。そこで、現在どういうような技術体系が多いかと申しますと、まず耕うんの段階につきましては耕うん機、それから田植えにつきましてはいわゆる人力による田植え、あるいは田植え機による田植え、それから収穫はバインダーないし自脱コンバインというようなもので稲作をやっている形態が一般的ではないかと私どもは考えているわけでございます。そういたしますと、稲作に要する反当の所要時間は約百十五時間から百三十時間ぐらい、すなわち、いまの平均生産費の調査でいきますと百十七時間かかっているわけでございますが、それくらい時間がかかるわけでございます。それが耕うん機段階技術体系とわれわれが考えているわけでございますが、これを耕うんをトラクター、それから田植えは田植え機か直播、そこで収穫はコンバインかまたは自脱コンバインでやりますと、大体時間が半分の四十時間から五十五時間ぐらいに時間が、減るわけでございます。そうなりますと生産性が上がってまいりまして、いまの米価でも十分ペイするというような稲作ができる、こういうことになるわけでございます。しかしながら一気にここまで持っていこうとしましてもこれはなかなか投資もかかりますし、たいへんなわけでございます。したがいましてパイロット事業でそういうものを実験してみたい。これにつきましては、単に生産段階ではなしに、流通段階も大いに合理化せなきゃならぬ面があるということで、カントリーエレベーターをつくりまして、そのカントリーエレベーターの周辺に大型の機械を中心とする大型トラクター段階技術を試験的にやってみて、一つのモデル事業としてやりたいということを考えたわけでございます。  そこで具体的には、まず三千ヘクタールぐらいの水田のあるところを指定いたしまして、それを五つか六つの地域に分けまして、四百ヘクタールぐらいを一つの集団にする。その中で二百ヘクタールぐらいは、ただいま申し上げましたような大型トラクター段階でまずやってみる。それをカントリーエレベーターに直結いたしまして流通コストの合理化をはかるというようなことで、将来の稲作の一つのビジョンと申しますか、そういうものを示すためにこのようなパイロット事業を開始したわけでございます。
  203. 辻一彦

    ○辻一彦君 概要はそれでわかりますが、そこで、米パイ事業の実施要綱の中に、地域指定というのがあって、その中に「広域営農団地整備計画」、農林省からこれもらったんですが、これありますね、米パイの事業概要というものが。それの二二八ページにこう出ておるんですが、第三の「広域営農団地整備計画」、そこの(4)に、(1)から(3)の「前提となる土地基盤の整備開発が行なわれるものであること。」とは、一体これは内容的にどの程度のことを指しておるか、これ農政局長農地局長から伺いたいと思います。
  204. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 指定に際しまして、土地基盤の整備が完全にできているというところが一番望ましいわけでございますが、この事業は五年計画でやるわけでございますから、計画があるというようなところもこれでいけるということになっておるわけでございます。
  205. 辻一彦

    ○辻一彦君 それはわかりますが、どの程度の基盤整備を意味しておるんですか。たとえば基盤整備、圃場整備というもの、区画を大きくする、それから水をしぼるというのがあると思うんですよ、それが大体全部いま区画が、圃場整備というのは大きくなっている。これは三十アール四十アール、大きいのは一町何反とか二町になっていますね、一ヘクタール、二ヘクタール。だけれども水のしぼり方はこれなかなか簡単じゃないんだけれども、ここでいう基盤整備が行なわれるものであることあるいは行なわれた場合を想定すれば、どの程度の圃場の広さとそれから水の排水というか、しぼり方をこれ大体規定しているのか、考えているのか、それをひとつお伺いしたい、これは大型機械をどう使うかということに非常に関連があると思うんで。
  206. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 区画それから土地のしぼり方と申しますか排水と申しますか、それは大型機械が大体稼働し得るというような条件になっていることを指定するというふうに考えております。
  207. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと農地局長からその点。
  208. 三善信二

    政府委員(三善信二君) この場合の基盤整備につきまして、区画は大体三反区画以上をやっております。それから排水の問題がやはり水田の圃場整備の場合には一番問題になりますし、特に北陸、新潟、こういうところではまず地下水の水位、それを水田の表面から大体五十センチ下げるということを基準にしてやっております〇五十センチ下げれば大体先ほど農政局長が申し上げましたような大型機械がはいれるというような実験もいたしておりますし、それをねらいとしております。まあ、ただ地域によりまして、一般的な明渠排水路だけでは排水がなかなかうまくいかないという場合もございます。で、そういう場合には暗渠排水を行なうというようなことも事業の内容として施行しているわけでございますが、土壌の性質あるいはそこの気候の条件、自然条件等に即してそういう点をやっていっているわけでございます。
  209. 辻一彦

    ○辻一彦君 地下水の水位を五十センチ下げるということですね。これはあれですかね、地耐力とかいわゆる土を押さえることの圧力ですね、そういうものは数字であらわして米パイを入れる場合にはこれくらいの地耐力がなければいかぬというような基準があるのですか。大体この程度の土地基盤整備をやればいいということになっておるのか、そこらはどうですか。
  210. 三善信二

    政府委員(三善信二君) ただいま申し上げました一つの基準と申しますのは、実は従来からこういった基準をつくるために農林省でも試験をやっているわけでございまして、三十五年から五カ年間農林省で大型機械化の営農技術を適用する場合のモデル圃場ということで特に北陸地方は富山県を一カ所指定しまして、そこで大型機械、その営農技術体系基盤整備のあり方等を実験調査してその結果をまとめていまのような基準をつくり上げておるわけであります。  この実験結果によりますと、やはりできるだけ早くその地下水を下げるということが一つの問題でございまして、そのためにやはりどうしてもいま申し上げました五十センチ以下に下げれば大型機械を入れましても地耐力と申しますか、そういうのは十分やっていけるというようなことも当然実験をいたしております。  それから先ほど申し上げました排水路の整備の点につきましてもやはり実験をいたしまして、それに基づいて地域の実態に応じて事業を実施しているということでございます。
  211. 辻一彦

    ○辻一彦君 五十センチ以下というのはさっきからわかったんですが、数字でたとえば地耐力幾らというような基準があるのですか、そういうものは別にないのですか。
  212. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先ほどの実験をいたしました場合の一つの基準としましては、トラクターでいけば四十馬力のトラクター、それからコンバインは刈り幅三メーター以上、こういった大型機械の導入に耐え得るというその地耐力の実験調査をいたしております。
  213. 辻一彦

    ○辻一彦君 具体的に私あとのほうでずっと入りたいのですがね、たとえば北陸でも富山、石川は土が浅くて底が砂質で水がはけやすい。それから新潟——政務次官がおると一番いいのだけれども、地元の亀田郷へ私行ったら、あそこは海の中を埋め立ててできたところですね。だから七千町歩の土地改良区でも昔の湿田ですから本格的な排水をぱしっとやらないとなかなか水がしぼれない。福井も底が泥炭地で、坂井の米どころは、そこらは富山で実験すれば新潟も福井も全部一緒だというわけにはなかなかならない。その実験というものがかなりの湿田地帯でそこを排水をやって底へ水がはけて大型が十分動けると、こういうような実験がどこかでやられているかどうか、それをひとつ念のために聞きたい。
  214. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 現在でも農業土木試験場で暗渠排水をやっておりますけれども、その暗渠排水のやり方、たとえば間隔で、現在の基準では大体六メーターから一五メーターくらいの範囲で暗渠排水をやっております。暗渠排水だけでもまだ排水が不十分だというような場合に、もちろん機械を据えたポンプ排水ということもございますけれども、ポンプ排水までいかなくて暗渠排水にもっと簡易な何と申しますか、弾丸排水路といいますか、まあ簡易なやり方でやれないかというようなことを研究いたしております。と申しますのは、圃場整備をやります場合に、経済的な問題もございますので、あまり高くなりますとやはり農民の方の負担も多くなりますし、そういった意味で最も経済的効果を発揮するためには、そういう特に湿田地帯の場合にどういうやり方が一番適しているかというようなことは現在試験場でも実験をしておりますし、それから関係県でもやらしているところが相当ございます。
  215. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあさらに具体的に少し入りたいのですが、実は私は昨年の九月、参議院の農林水産委員会委員会視察に北陸筋に行ったのですね。そのときも各地でずいぶん聞いたことがあります。それからこの間、新潟の中央会の副会長と全中で会っての話でございましたけれども、実は大型がなかなかめり込んであまり動かぬで困るという話をかなり具体的に私も聞いたのです。そういうことで、一ぺん、じゃあ新潟に見に行きましょうということで、この間亀田郷を中心に見てきたのですが、私の歩いた県内においても、やっぱり構造改善や米パイはけっこうだけれども、ワンセットで必ずくっついてくる大型のコンバインはどうも使えなくて、倉庫に入れておる場合がかなり多いわけです。その数字は全部ここに私の歩いた範囲で出しておりますけれども、それでそういう点から考えて、どうもトラクターも問題がありますが、それよりもあのかなり幅の大きな四千五百キロ、五千キロ、あの大型コンバインですね、こういうものがあまり稼働率がよくないというような大体感じを私は持っているのですが、大まかに言って、そこらどうですか。
  216. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 米パイロット改善事業におきまして、トラクターよりも大型コンバインがなかなかうまく動かないという御指摘でございますが、私ども見ておりますところでは、たとえば八郎潟のような干拓地では非常にうまくいっております。ただ湿田の多いところではうまくいかないということで、非常に動かしにくいということにぶつかっておりまして、やや計画が理想的過ぎるのじゃないかという批判を末端から受けております。したがいまして、私どもといたしましては、四台ないし五台を入れていただきたいということにしておりますが、実際の採択するときにはこの条件を多少緩和いたしまして、一台はぜひ使ってほしいということで、若干最近は採択の場合の基準を緩和しております。
  217. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで具体的な問題になったのですが、全国の構造改善地区に、米パイのほうはこれでわかりますけれども、何台ぐらい大型コンバインが入って、その稼働状況はどのぐらいになっておるか。ひとつ数字は大まかにわかりますかね。いまわからぬなら、あとで資料で出してもらってもいいと思いますけれども……。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕
  218. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 約千台入っております。で、稼働率につきましては、後刻調べまして、資料を提出いたします。
  219. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあそれはひとつ資料でお願いしたいと思います。  そこで米パイの全国の基地といいますか、指定地が十八ほどありますね。いろいろなところを私、聞き合わして、全部資料はそろわなかったけれども、十四、五集まって、それを一応簡単に表にしてみたわけです。それが富山——これは農林省にもらったのですが、これは一覧表ですが、二枚目に表の2の(1)、表の2の(2)になりますが、これは大体農林省指定の十八地区における機械の大型コンバインの四十五年、六年度における稼働の実績とそれから機械使用上の問題点、こういう内容です。これは私は一月の中旬に農林省が全国の代表を集めて検討をやっておられますから、もっと詳しい資料をお持ちであろうと思いますが、まあコンマ以下は別として、大体大まかな数字はこれは違ってないと思うのですね。そこで(1)の一覧表にも出ておりますけれども、本省——農林省のほうでやられた一月の全国における米パイの検討会ですね、その中で大型の機械の利用とか稼働状況、そういうものがどういう点が問題になったかということをちょっと一ぺん報告いただきたい。
  220. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 一般論といたしましては、やはり基盤整備の関係もあるわけでございますが、大型の特にコンバインが湿田でめり込んで動かない。たとえば一例をあげますと、それを引き上げるために二日ないし三日、四日かかったということで、どうも基盤整備とこのコンバインを入れていった関係が、基盤整備が必ずしも十分でないところに入っているというようなことで、うまく動いていないという点が大きな問題だと思います。
  221. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、それでね、米パイを指定する場合に、基盤整備をどの程度やれば認可できるかということをさっきからお伺いしておったのですね。で、それは数字では大体まあ五十センチですね、排水をすれば大体動くだろうというので、五十センチ程度の排水は大体のところいろいろやっていると思うのですが、実際としてみると、この十八地区におけるこの一覧表を見ると、なかなか期待どおり動いていないように思うのですね。たとえば大型の大体五百万円から六百万円する三メーター前後の普通コンバインといいますか、一般的にいうと、大型コンバイン、これの稼働基準というものを、いま農林省はどのくらいに見当つけておるのですか。
  222. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 普通コンバインの稼働基準でございますが、まあ大型の場合は約三十ヘクタールの規模が必要だと思っております。それから中型になりますと、それが二十ヘクタールでもいいということになります。
  223. 辻一彦

    ○辻一彦君 その三十ヘクタールというのは、前何か四十ヘクタールだったが、これが三十になったということを私聞いたんですが、そういうことですか。初めから三十ですか。
  224. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 現在農林省に、いろいろな試験場の方それから大学の先生等で組織しております協議会がございまして、その協議会で高性能農業機械導入基本方針というものをつくっております。この三十ヘクタールというのは、昨年の四月二十日に農林省で公表いたしました高性能農業機械導入基本方針で示されておるわけであります。
  225. 辻一彦

    ○辻一彦君 その前は基準はあったのですか、四十町歩だったのですか、どうだったのですか。
  226. 内村良英

    政府委員(内村良英君) その前には特別の基準はございませんでした。
  227. 辻一彦

    ○辻一彦君 で、私この一覧表を見ますと、大まかな数字はこれで変わらないと思うのですが、十五町歩以上動いているところは大体3の山形、5の長野、それから10の岩手の三つですね。あとは八郎潟、これはまあ大規模なところですから一応別として、あとは平均して十五町歩以上くらい動いているというところは、十何カ所ある中であまり見当たらないのですが、この点を見ると非常に基準に比べてもなかなか稼働していないというように思うのですが、もう少し何か検討会ですね、こういう稼働があまりよくないということについての詳しい検討はなかったのですか、その項目的な。その程度だったのですか。
  228. 内村良英

    政府委員(内村良英君) まあ検討といたしましてはただいまも申し上げた程度の検討があったようでございます。
  229. 辻一彦

    ○辻一彦君 その人たちほおとなしいのであまり問題がなかったのかもしれないのだが、私どもは福井だけじゃない、いろいろなところを回るとずいぶん意見を聞くのですがね。たとえばこの資料の「機械使用上の問題点、今後の計画」と、こういうようなところを見ましても、大型の機械ではまあオペレーターの問題がありますね。たとえばその一を見ると、青森で四十四年、四十五年、四十六年、三台の大型コンバインを入れて、ゼロになっておるんですね。これ、なぜかと思ってみると、オペレーター予定者が出かせぎに行ってだれもいなくなって、機械が動かないということで、三年間これは動いていないという、これは一つの極端な例ですがね。そういうオペレーターの問題があると思うのですよ。あるいはこれは天候という点になると、北陸は雨が多いのですが、非常に限られた時期に収穫を急ぐために、雨にやられれば非常にその稼働は落ちてしまうというんですね。さらには、さっきから言っている排水の問題、それから区画もこれを見ると十アールぐらいのところにやはりやっておられるところがあって、十アールでは大型コンバインがどうもならんということが問題点に出ておるんですが、そういう区画上の問題もあるし、あるいは品種の問題がありますね、あるいは水のコントロールとか、そんな問題論議されなかったんですか。むしろ私は専門家が集まって体験を持ち寄れば、詳しい内容を討議しているはずじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  230. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 品種の問題も御指摘がございましたけれども、これはカントリーエレベーターの運営の問題——もちろんコンバインの問題と全然関係がないわけではございませんが、品種の問題は主としてカントリーエレベーターの運営の問題と関係があるわけでございます。ただいま先生が御指摘になりましたような点につきましては、ふだんから私どもいろいろ聞いております。それで、この前の会議で一番問題になりました点は、どうもコンバインはちょっと機械によって非常に問題がある——ただいま御指摘のような問題がございまして、問題があるので、この際、自脱コンバインにひとつ切りかえたらどうか、それを補助対象にしたらどうかというような意見が非常に多かったわけであります。そこで、われわれといたしましては、現在の米生産総合改善パイロット事業というのは、単にトラクターとかコンバインを入れるだけでなしに、カントリーエレベーターと結びつきまして一体的にやっているわけでございます。したがいまして、カントリーエレベーターの能率的な運用という点からいきますと、コンバインと結びつけたほうがいいわけでございます。と申しますのは、コンバインのほうが能率が高いし、コンバインからトラックに移しまして、すぐカントリーエレベーターに持っていける。ところが自脱を使いますと、一ぺん袋に入れなきゃならぬ。そこで手数がかかるというようなところから、カントリーエレベーターの運営からいきますと、どうしてもコンバインがほしい。ところがコンバインが現在やや理想的過ぎて動かないところも御指摘のとおりあるということで、その妥協と申すとおかしゅうございますが、現実に調整する意味で、理想的には四台ないし五台のコンバインが入るほうが望ましいんでございますが、それをコンバインは一台にするということで、あとは補助対象にはいたしませんけれども、自脱を使って、あるいはバインダーを使って収穫したものも、カントリーエレベーターに入れるというようなことで、この事業をやっているわけでございます。
  231. 辻一彦

    ○辻一彦君 それで表3に、これは新潟の農林部でもらった資料ですが、大型コンバイン三十台の稼働状況が一覧表で——農協の名前を出すと差しさわりがあるといかぬと思って、名前は故意にふたをしてありますが、これは中身は変わりありません。これを見ても、新潟で一番から三十番までで三十台のコンバインが動いて三百二十七町歩、平均して七・六ヘクタールですね、この程度しかずっと稼働していないというふうなことなんですね。実は私、福井のほうへ帰って、県のほうで聞いて、それから県のほうもそうでありますが、これはまた地元のほうである程度水増しして報告せぬと悪いだろうというんで、ちょっとまた水増しして報告する場合があるんで、実際はどうかということで調べて歩いてみたことがあるんです。そうすると、ちょっとからいですね、現地のほうが。そうすると、新潟のほうもこういうところを一々歩いてみると、もうちょっとからい数字が出るんじゃないかと思います。しかし一応それにしても、一台平均七・六ヘクタールが三十台の平均で出ている。それから私の福井のほうは、それは一番最後にありますが、1から7まで、これは歩いて、直接聞いてきたんです。そうすると、この表に載っているとおりで、これはもっとからい数字が出ております。たとえば申し上げると、ナンバー1というのに、これも個々の農協の名前をあげると私はどうかと思ってあげておりませんが、別に作為的にあげなかったんじゃなしに、大体福井近郊を七カ所か八カ所歩いてそこにあったのを聞いたわけですが、ナンバー1のところを見ると、これは構造改善に入っているので、クレーソンの三メートル幅ですね、五百八十1万円で二台入って、一台平均大体五ヘクタールですね。で、これは問題点としてあげておったのは、さっきから言っておりましたが、湿田のために非常に困るんだ、はまっちゃう。それで大型トラクターが三台入っているのですが、残念ながら倉庫に眠っておった、で、会計検査院が来て、国が補助したのにけしからぬと言っておこるんだけれども、動かせばめり込んでどうにもならぬ、こういう状況もあるわけなんです、実際として。  それから先ほど品種の問題をあげられましたけれども、なるほど、カントリーエレべーターと品種は関係があります。しかし問題は、福井や北陸地帯はわせですね。しかもあまり水がなくて、それから脱粒しにくい。コンバインを使うのにはきわめてむずかしい品種なんですね。短稈、脱粒がしやすい、こういうものがコンバインの動く条件であって、品種からいうとコンバインに合った品種をつくらざるを得ない。それからコンバインに合わす品種は、短くて脱粒しやすい、それが合うんですよ。そういうのがあるんですよ。しかし、それは米の味がうんと悪いんですね。そうすると、うまい米をうんとつくれという方針の中では、その稲をつくったのではなかなかうまくいかないということで、コンバインと品種というのはカントリーエレベーターの問題だけではなしに、実に重要な関係があって、実際は品種改良というのは長い時間を要するから、ほんとうにコンバインを使おうとすれば、品種をかえてかかるくらいのことを考えないと十分使えないという点があると思うのですね。そういう点を品種のことでここの農民の人たちが、あるいは農協の人々が話しておったわけです。  それから第2のほうを見ますと、これはクボタだけとりますが、六百四十四万円、二台、これもやはり二台で十ヘクタールだというので、実際は五ヘクタール、一台にして。これは自脱を使うとやはり一人や二人要るから、人の点からいうと、コンバインのほうが一人で済むからいいんだ。だけれども、いろいろな条件があって、中型百三十センチくらいの百四、五十万円で買える中型が現実に合うんじゃないかということを実感として話をしておったわけです。  それから第3のほうを見ると、これはインターの一〇五ですが、五百六十万円。四十三年、四十四年で残念ながら三反歩か四反歩やって、これも倉にしまってしまった。会計検査院が来て文句を言ったのはここですよ。で、何とかしょうということだけれども、一日たんぼにめり込んでクレーンで上げるのに三万円かかったので、これを何回もやると赤字が出てどうにもならぬという話が出たということだったのですが、そういう状況がやはりそこにあるということですね。そういう点からいうと、ここらでもほんとうに大型をやるなら徹底した土地改良をやって、水を完全にしぼらなければいけないし、それができないんだったらやはり中型のような現実に合う機械を入れることを考えてほしい、こう言っているんですね。そこでも、私はさっきちょっとくどかったけれども、大型の機械が入るような条件は、どのくらいの土地基盤を基準にしてそういうものを実験で確かめて入るようにしているのかどうかということを尋ねたのですが、そこらは地下水の水位が五十で大体実験をされたということなんですが、湿田で具体的なそういうところで十分動くというような実験がされたかどうかということについては、私は確かめることはさっきの質疑ではできなかったと思うんですね。  それから第4のほうを見ると、クボタ、インター、これが入っているのですが、二・八メートルと三・二メートルで、四百六十万円と六百七十万円二台入って、これも去年は四・七ヘクタールで、一台平均二・三五ヘクタールになっている。で、一日大体七十アールが限度だと、こう言っているんですね。それから乾田であってもその高低があったりするとどうしても大型がうまく使えないという、いわゆる段のあるたんぼなんかは乾田であってもなかなか使えないということ、雨天が多いと故障がある。この下にもありますが、故障が起きて、飛行機で運ぶ。コンバインを飛行機で運ぶんじゃなくて、インターなんかの部品を頼むと飛行機で部品を送ってくる。そうすると、えらい高い部品になる。飛行機で運ぶと高くつくということで、非常に困ったという問題がありましたですね。こういう状況の中で、どうもこのままでいくと、来年このコンバインは使われなくなるんじゃないかという心配をしておったわけですよ。  第5を見ると、これはインターですが、五百五十万円で、十町歩か十二町歩やっておりますが、これも残念ながら、ある程度使って、あとは倉庫に入れているという状況なんですね。何でそんなものを無理してもらうのかというと、やっぱりこれはセットで導入しないと、米パイの補助とか、そういうことがむずしいのでもらっているというので、第5の実態を見ると、そういう問題があると思うんですよ。  それから、ついでですから、第6のイタリヤ型のこれを見ると、十一ヘクタール程度、ただし倒伏してどうにもならぬところを、これはできまずから、やったけれども、実際、思うようにやられたのは三分の一ぐらいだと、こういうことです。  一番最後の第7を見ても、六百五十万円。これは米パイ地区ですけれども、やはり十分に暗渠等によって水がしぼれないので、そこで自脱をしないと十分な乾燥ができないと。そこで、コンバインを五十台多くして二百二十ヘクタールのもみを集めてカントリーに詰めているというのが実態なんですね。残念ながら、二・九町歩しか去年やっていないですね。そこで、これは私が歩いて聞いた問題で、だから、数字で報告されたものとは若干の違いがあるでしょうし、文書で報告すれば一番正しいんですが、これは聞いたんですから、若干の誤差はあると思うんですよ。しかし、かなり、私は実態をあらわしているんじゃないかと思います。  それから、新潟の三十台のコンバインを一台一台歩いて聞いてみたら、こういう問題がずっとあるんじゃないかと思うんですね。そこで、前にさかのぼって十八台のコンバインを見ると、十五町歩というのは二、三カ所で、あとは十町歩以下というのが多いわけですね。そういう中で、はっきり、いろんな土地の条件から、大型コンバインが使えないということがわかったところでも、やはり一台はどうでもしてセットにしてないと、これはやれないのかどうか。こういう現実と、それから一月における農林省の十分な検討ですね、全国の報告なり、そういうものを踏まえて、どう考えておられるか、まずお聞きをしたい。
  232. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいまるる御指摘がございましたが、私どもも類似の話を関係者から聞いております。そこで、私どもといたしましても、先ほどから申し上げておりますが、とにかく理想的なものを一ぺん持ち込もうとしても、どうもうまくいかないんじゃないかということは痛感しております。事業開始三年目でございますが、そこで先ほど中野官房長からもお話がございましたけれども、いわゆる基盤整備と上物とをもうちょっとうまく結びつけてやらなければいかぬということでありまして、したがいまして、今後におきましては、基盤整備の問題を農地局とよく相談しながら、こういった来パイロット改善事業というような、いわば構造改善的な事業と基盤整備事業とをもうちょっと有機的によく相談しながら結びつけてやりたい。したがって、現在やっているところで、土地改良の計画のあるところは優先的に農地局で取り上げてもらうように、私どものほうから要請しております。  それから、さしあたりどうするのか、どうしても一台を買わなきゃいかぬのかということでございますが、この点につきましては、当初の計画が四台ないし五台というところで始まりまして、結局最小限一台で、それで事業に入っていただきたいということになっておりますので、この一台を、現在、全部やめてしまいまして、自脱コンバインにして、さらに自脱コンバインに補助するということは、現在のところは考えておりません。
  233. 辻一彦

    ○辻一彦君 大型コンバインの一日の稼働能力をどのくらいに見ているのか。それから自脱コンバインじゃなしに、いま佐藤式のような中型が出ましたね。百五十万ぐらいで、四両以上で——百三、四十万円くらいの一般的の中型といわれていますが、それらの能率をどのくらいに見ているのか。大型が非常に能率が高いというようには、平均値からいうと、言えないけれども、どの程度、一日動くと見ておられるのか、ひとつお伺いしたい。
  234. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 大型コンバインは、大体一日二町歩ぐらいに考えて一おります。それから、中型のものは、百五十万円程度のものは、一日一町歩くらい、半分ぐらいじゃないかと考えております。
  235. 辻一彦

    ○辻一彦君 私が歩いて、たとえば、この間、新潟の亀田郷、これはさっき言いましたが、佐藤政務次官の地元で、七千町歩の土地改良をやっていますね。中心地は、ここは大きなコンバインを使えますよ。その周辺になりますと、土地改良区の方の話を聞いても、どうもコンバインが使えないというような話がありますね。そこで、数字で言うと、大型が七反歩ぐらいが大体の状況だということを使ったところでは言っておるんですが、この二町歩というのは、表日本の雨のないところ、そういうところで動くのと、裏日本の雨があって十分な暗渠等ができないところと、これは違うと思うんですが、北陸筋のほうでは七反歩ぐらいというのがわりと多いんですが、裏日本では、中型は、大体六反歩はやれるというんですよ。だから、大型と中型との差は、実際動かしてみると、非常に接近してきておるんですよ。そこで、裏日本なんかは、どうですか、山口から裏日本ずっとあるんですが、どのくらい動いていますか。
  236. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 残念ながら、今日まで正確に調査したものはございませんが、私どもの専門家は、やはり裏日本では稼働率は落ちるのではないか、こういうふうに見ております。
  237. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで、ずっとこう見てみると、先ほど言われるように、極端に言うと、あまり動かなくても大型はかえられないというふうに、私とれます。だけれども、中型というものを使えば、一日六十アール動くし 大型は七十アール程度であれば、しかも、一つのカントリーエレベーターで二百町歩で二千トンぐらいのもみを詰めるのに、大体、六百万の大型で中型四台買えるわけですよ、百五十万なら買えるわけですよ。そういう計算をすると、実際には、能率をあげることができるわけですね。だから、カントリーエレベーターを中心にして、周辺に——大型コンバインを中心にした構造はよくわかりますけれども、大型コンバインが十分能力を出せるところはもちろんそうやらなければならぬが、なかなか一ぺんに水をしぼるわけにはいかないそういう地域において、私は、能率からいっても、中型を基準対象補助対象にすれば、カントリーエレベーターを中心にした構造は十分生かし得ると考えるんですが、そこらの考え方については、どうですか。
  238. 内村良英

    政府委員(内村良英君) カントリーエレベーターの経営状況を見ますと、やはり大型のうまく動いているところのほうが経営状態がいいということで、中型を使ってカントリーエレベーターの経営状態がどうなるのかということについては、完全なる調査はまだございません。しかしながら私どもといたしましては、こういった事業の性格上、とにかく米の構造改善のパイロット事業でございますから、できるだけ大型コンバインを使ってほしいと思っておりますが、まあ御指摘のような問題にぶつかっておりまして、私どもといたしましても、ことしの一月に仏検討会をやりましたし、今後この問題については、多少いろいろな面から考え直さなければならぬ問題があろうということは痛感しております。しかしいまのところ、それでは全部自脱なり何なりでいいという考えは、いまのところございません。
  239. 辻一彦

    ○辻一彦君 いや、私はね、全部自脱にしろなんて言っているんじゃないんですよ。大型が能力をあげるようにしなければならぬけれども、能力があがったら大型を生かしたらいい。しかし、やはり残念ながら、二町歩以下の稼動では、大型を無理して持っているよりも、四台の中型を使って、そうして六反なら一日二町四反でしよう。七反の一台よりもはるかに能率がいいんだから、カントリーエレベーターを中心にした構造のほうがいいんではないか。地域によっては、全部自脱にしろとか、そんなことを言っているわけではないけれども、ここ五年や六年、周辺の状況で、そう簡単に大型が自由に動くようにはならない、自然条件というものは。パイロット地域だってこれはずっといろいろなものを見ると全国にずいぶんありますよ。とても問題点は。そういうことをみんなあげていると思うのですね。だからケース・バイ・ケースあるいは地域別にいろいろな条件ということを考えて、現実にある程度適応した柔軟な一つの適用を考える用意はないのかどうか、その点はどうですか。
  240. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいまも申し上げましたように、私どもといたしましてもいろいろ内部で検討しております。したがいまして、なるべくこういう事業も現実に合わなければそれはやはり問題でございますので、なるべく現実的に運用したいというふうには考えております。
  241. 辻一彦

    ○辻一彦君 大臣に一ぺんお伺いしたいのですけれども、その前に、私農地局長基盤整備の問題といまの機械の関係でもうちょっと尋ねたいのですが、新潟の亀田郷七千町歩、あの周辺に七千町歩、六千町歩の二万町歩の海が埋まってできた土地がありますね。そこで土地改良区をいまつくろうとしておりますね、いま一部やっている。あそこなんか見ると、かなり徹底した基幹の排水路を入れて水をしぼろうとしているのですね。そういうことが将来できたら、私はああいうところには大型が自由に動くようになると思うのですよ。それはかなりな時間がこれからかかると思いますがね。  それからもう一つ、私の福井県の例をとると、これは土質が石川、富山は下が砂質でわりとたんぼの水が下に浸透しやすい。ところが新潟県とよく似ている福井は泥炭地帯ですね、昔でいえば湿田だった。かなり圃場整備や土地改良事業はやりましたが、だから、坂井郡という穀倉地がありますが、五百町歩くらい九頭竜川に基幹排水で水を流すことができますから、これを暗渠やっていけば水がしぼれるのですよ、かなり。ところがこれはあそこの福井県でいえば坂井町、芦原町、三国町、金津ですね、こういう地帯は五千町歩くらいになると思うのですがね、用水の関係でよほど大規模な基幹排水路をつくって、そしてその水を最後にしぼり上げてポンプで九頭竜川へ出すというようにしないと、なかなか暗渠排水やったって一番最後の水流すところがなければどうにもならないわけですね。そういうところが現実にあるわけですね。ところが、そこは米しかつくれないのです、来しか。しかも、先ほど大臣最初の答弁のように、そういう米しかつくれないところは米を中心として機械を入れなければならない地域なんですね。だから、その地方の農民は何とかして米の主産地指定を将来あるいは現在において早く受けて、米を主体にやりたいということで、多少無理があっても米パイの指定を何が何でも受けて、米の位置を確保したいという米作農民の強い気持ちがあるわけですね。ところが、そういう状況の中では水がなかなかそう簡単には完全に排水できないという状況があるのであります。そこで、あそこあたりの水を十分にしぼるにはかなり私は大規模な構想の土地改良をやらなければいけないと思うのですけれども、そういうものを数年に大体やれるような見通しが立つのですか、どうですか、そこちょっと局長、どうですか。
  242. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先ほどのお話を聞いておりますと、一部やはり地耐力がない、それで排水がうまくいっていない、そのために機械が動いていないということが一つございます。これは、先ほどの私の説明がちょっと足りなかった点もございますので、ちょっと補足させていただきますと、圃場整備をやります場合に、一般的に圃場の整地、区画整理、それをやりましてから、それが終わりましてその次に大体明渠の排水等をやります。それで一作つくったあと一年くらい置いて、その土壌が大体固まって安定した段階で暗渠の工事なんかをやっておるわけでございます。したがいまして、たとえて申しますと、坂井地区でございますけれども、ここの場合なんか全体で七百八十五ヘクタールいま圃場整備をやっているわけでございますが、そのうち六百七十三ヘクタールは暗渠排水を実施することにしております。ただ、四十五年度まで一応整地が終わりまして四十六年度明渠の排水路網をつくり、それから来年度、四十七年度一年置いて暗渠の工事をやるというふうに準備を進めているわけでございます。したがいまして御視察になられましたところでまだそういった圃場の造成が終わった段階であるとか、あるいは造成が終わったところで明渠の排水路網をやった段階であって、まだ暗渠までやっていないような圃場があったのかもわかりませんと思います。その点実態的に私ども早急に調べてみたいと思っております。  そこで、いまお尋ねの一つは、この圃場整備、土地改良をやります場合に工期がわりあいに長くかかります。特に大規模な工事の場合には県営で相当大規模な場合に七年くらいかかるのがざらにありますし、私どもはそれを早くするように、大体五年くらいでできるような努力はいたしております。その場合に地帯地帯によってこの土地改良の事業の内容というのもやはり変わっていくのが当然でございまして、御指摘の北陸、そういう地方の湿田地帯においてやはり排水の問題というのを基本的に考えていかなければならないわけであります。その場合に、完全な排水を目ざすためには御指摘のような基幹的な排水路をつくる、それに明渠の排水をしてその上に暗渠の排水をする。また暗渠の排水のやり方でも、先ほどちょっと御説明申し上げましたようにいろいろなやり方がございますし、現在試験している点もございますけれども、こういう密度を非常に多くした暗渠の排水のやり方、いろいろなそういう点をかみ合わせてこの土地改良事業で、特に水田の排水という点を今後とも注意し、また早急にそういう工事ができるようなかっこうで研究していきたいと思っております。この暗渠排水をやりました場合、やはりほんとうに効果が出てまいりますのは普通、専門家に聞きますと五年くらいかかるというのが実態でございます。その五年を待たずしてすぐその効果が、乾田になって非常に効果が早期に発揮できる、そのためには一体どういうやり方をもっとやったほうがいいか、そういう点も含めて先ほど申し上げました試験場等でいま研究しているわけでございます。そういういろいろな経済性の問題もからみますし、いろいろな面を含めて研究すべきところは研究いたしますし、また現在やっている工法では、一応私どもはその一定期間置いたあとでは現在の工法でも乾田化し、大型の機械は導入できるというやり方でやっているつもりでございますけれども、御指摘のように、具体的にはなかなかそうまいらぬところもあろうかと思いますし、そういう点は実態を早急に調査していきたい、こういうふうに思っております。
  243. 辻一彦

    ○辻一彦君 その努力は大いにやっていただきたい。ただ、私の言っているのは、暗渠排水をやりましても確かに坂井郡に行って、みんな暗渠の計画はありますけれども、それを進めているところ、一部はまだのところ、かなり水の——機械は一通り済んでいますが、新しいのはこれからのところもあります。ところが、一番あとで、暗渠で落した水を一番あとでしぼって流すところがないと暗渠をやってもほんとうの効果があがらない問題があるわけですね、そうなるとよほど大規模な、排水をポンプでもって海へ落す、こういうふうにやらないとなかなか暗渠をやっても最後の水が落ちなというその点が、地形的にあの一帯はあるわけなんですね。だから、それが私は国の力でできればもう問題はないのだけれども、それまでまだかなり時間がかかると思うのですけれども、これから努力していただいてもその間に何年問かの必ず時間があるんだけれども、その間にかなり現実に合ったような形でこの機械を導入していくということ。だから、将来そういう土地改良がなされて、大型の機械がどんどん駆使されるようにならなければいかぬのだけれども、四年、五年という時間がまだ要るわけなので、その間は、せっかく国の経費でもらったコンバインをそこに置いておくよりも、中型あたりをそういうケースあるいは地域によっては考えて、ここ五、六年使って、それが償却を終わる段階で土地改良もそういう段階に進むでしょう、そのときに大型を入れるとか、そういう方法を私は考えてもいいんじゃないかと思う。だから、基準を、自脱コンバイン全部買えと、そんなことは考えもしないし、そんなことで後退してはだめだと思うけれども、そういう地域あるいは条件に合わした考慮を、現実の適用にあたってはされてもいいんじゃないか。そのほうが国のせっかくのお金を十分に生かして使うという道になるし、それから、ともすると画一的に何か押しつけるというようなこの農民の考え方に対して、親切な私はやり方になるのではないか、そういうことを思っているのですよ。だから、大型化の方向を否定したり、それをセーブをしてしまおうというのじゃなしに、時間をある程度多くかけて、その間をどう考えるかということですね。そういう点で私は、具体的に幾つかのケース、地域については、若干その適用を考えようということもできるのじゃないかと、そういうことも思うのですが、声なき声をやはり聞いてもらうということが農林省にとってたいへん大事だと思いますけれども、大臣どうですか、そういうことで、そういう希望というものがあるときに、ある程度現実に即した配慮ということが私はされていいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  244. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 現実に即したことにしなくちゃいかぬと思います。実は私のところの村は、前は泥炭地なんです。マコモ草が出て、土地改良しておるときは、それを燃やし燃やしやっていた。私子供のときなんか、胃の辺まで田の中に入って、出られなくて、はしご持っていって救い出されたようなところですが、やはり排水をよくしましたら、すっかり乾田になりまして、そのかわり地盤沈下しまして、もとつくったコンクリートの橋なんかが五十センチぐらい浮いちゃったような、そういうこともあるんです。ですから私は、排水をよくすれば乾田になると思います。  それに、こういう大型機械を入れるのに、私、見ているのに、農協長やなんかが、功をあせって、自分のほうに大きい機械を入れてみようというので、土地改良が十分できてないところに、機械なんかを入れれば補助をもらえるのだと、そういうことをやっているのです。わざわざ地元の農協長なんか、功をあせってそういうことをして、機械が入っても十分稼働しないというところもあります。それから県の出先機関なんかも、農林省からやれと言われているから、どこか見つけてやろうというわけで、そうして農協長なんかと話して、こうやればいいんだということで、補助をもらえるんだと、相当押しつけるようなこともあるんです。実際私、そういうことも見ています。ですから、ほんとうに実情に即して、そうして工事なんかも、先にやるべき工事を先行しないでやっているというようなことなどもあると思いますから、よく実情に合ったようなところに、この機械を入れたら十二分に効果が発生するような方法でやっていかなくちゃならぬと、そういうふうに私も考えます。
  245. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どものほうといたしましても、とにかく無理なことを強制してもしかたがないだろう、そうすべきではないというところから、一台だけをお願いしたいと、あとは中型なり自脱型を買ってやっていただいてもけっこうだと、現実に多少合わせてやっていることはやっているわけでございます。
  246. 辻一彦

    ○辻一彦君 ただ、いまさっき私も申し上げたような状況の中で、一台だけは置いとけというよりも、私は六百万のたとえば一台の大型より中型四台買って、それが一日六反なら二町四反動くんですから、一日七反しか動かない大型よりも効果があるんだから、そういう地域には暫定的にはそういうのを認めたほうが——うしろ向きに認めるのじゃなくて、前向きに、将来は大型を十分使えるような条件を整備するという方向を目ざしながら認めるということができるんじゃないかということですね。それで、大臣のお話ですがね、あとのほうはいいんですけれども、前半のほう、ああいう農協の受けとめ方を大臣がされると、私、この質問をしても非常に困るのです。というのは、これは農協や農村の人がみんな困っているのだけれども、国会でこういうことを言うと、またやかましくなって、逆に何にもでぎなくなる心配があるから、そういうことは大声でもって話したくないと言うのです。私は何べんも足で歩いて、いろいろな農家で聞いたことですが、それは、農協の組合長が、たとえば米作地帯で、何か功をあせって大型のひとつこういう最新のやつを持っていってやろうとか、そういうことじゃなしに、米しかつくり得ない米作農民が、何とか米作地帯としての位置づけを確保したいという熾烈な願いがあるのですよ。だからこれは、こういう使えないことはわかっていても、無理であっても、とにかくそういう基準でもいただいて、そして米パイに指定を受けて——米パイに指定を受けるということは、そこは重要な米の基地の中心になるのだということの裏づけになるから、そういう米作への執念というか、気持ちというものが、多少無理しても急いでもやりたい、こういう気持ちになっておるので、それをさっきの大臣のように、あれは功をあせって、やらぬでもいいのがやっておる、だからやめてもいいだろう、こういう論議になると、私は、ああいった米作農民の気持ちに私の言ったこと自体も非常に反することになるので、この点は大臣、そういうことでないようにお受け取りをしていただくように私はお願いしたいのですが、その点の御答弁をもう一つお願いしたい。
  247. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は実情の一つを申し上げたので、それはほんとうに農民がそういう機械を入れて、そして米作農民として十分やってくれれば、希望というものには沿っていかなくちゃならぬと思いますですから、辻さんも私の言ったことについて逆にとられちゃ私も困るので、そういう実情を私も知っているという例を一つ言っただけでございまして、何もみんな功をあせって無理なことをやっているのだというふうに言っているわけじゃございません。どうぞ誤解のないようにひとつお願いいたします。
  248. 辻一彦

    ○辻一彦君 時間が来て、いつまでもこの問題をやっておられないのですが、そういう実情を考慮されて、ケースによって、地域によってかなり柔軟な対処をされるということを——大臣、実情に合わしてということなので、うしろ向きの実情じゃなしに、前向きに大型化を目ざす、しかし現実に置かれている条件等を考慮した上で、中型等を特別の地域については考慮するということを、局長、言えたら聞かしてもらいたい。
  249. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 相当なる補助金を出しております補助事業でございますから、農林省といたしましても関係方面があるわけでございます。たとえば大蔵省とか会計検査院そういうところと話し合いながら、農林省といたしましては、その地域の実情に合うように、できるだけの努力は実はしてきたつもりなのでございます。それが最小限一台ということでお願いするということにいたしまして、できるだけ地域の実情には合わせるようにはやってきたつもりなのでございますけれども、いろいろ、大きな補助事業でございますので今後もよく現実を見ながら具体的に措置したいというふうには考えておりますけれども、全部中型にするというところまでは現在考えておりません
  250. 辻一彦

    ○辻一彦君 わかりました。決して私も全部小さくしろというようなことを言っておるのじゃないので、そういう含みを持ったひとつ御理解をいただいて、努力を願いたいと思います。こういう大型の機械については、問題があるので、この点は福井だけに限らない、各地にもいろいろなものがあろうと思いますから、いろいろ御配慮いただいて、御努力をこれから願いたいと思います。  それから、コンバインの続きでありますが、——自治省の方見えていますね。自脱コンバインに対する課税問題が、最近農村でずいぶん言われるようになってまいりました。これについて二、三見解をお尋ねしたいと思うのです。  第一は、自脱コンバイン、これは小さいやつですね、これに対して課税をする法的な根拠あるいは何かの根拠がありますね、それをちょっと御説明願いたいんです。
  251. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 自脱型のコンバインにつきましては、昭和四十五年の五月十四日付の運輸省の自動車局長から農林省農政局長あての回答で、自脱型コンバインはカタピラを有する自動車に該当するという回答が出されております。そこで、現在軽自動車税の課税にあたりましては、「小型特殊自動車」という区分があるわけでございますが、この中に「農耕作業用自動車」と「その他」とい区分がございます。その「その他」の中に道路運送車両法の施行規則別表第一に掲げております「カタピラを有する自動車」などが含まれるわけです。さようなことから私どもの指導といたしましては、軽自動車税のうち「小型特殊自動車」、その中のさらに「その他のもの」と、これは税率にいたしますと、年税額で三千円でございますが、これを課税するのが妥当であるというように考えております。
  252. 辻一彦

    ○辻一彦君 「その他」の中に自脱コンバインのほかにどういうものが入りますか。
  253. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) そのほかではこれは小型でございますが、ロード・スタビライザとかロード・ローラとかあるいはダンパとかいろんなもめがあります。種類からいたしますと、建設、土木関係の小型特殊自動車が多い実情でございます。
  254. 辻一彦

    ○辻一彦君 ここに地方祝(例規)、条例準則、市町村税条例(準則)というのの三五八五ページの農耕作業用自動車というのは、これは乗用の耕うん機ですか。
  255. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) さようでございます。
  256. 辻一彦

    ○辻一彦君 そこで耕うん機には千円、それから自脱コンバインについては三千円、これは間違いでございませんか。
  257. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) さようでございます。
  258. 辻一彦

    ○辻一彦君 この耕うん機と自脱コンバインが道をどんなふうに走っているか、十分御承知でしょうか。
  259. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) まあ農耕作業用の自動車にいたしましても、カタピラを有する自脱コンバインにいたしましても、道路を走るということは非常に少ないというように承知いたしております。
  260. 辻一彦

    ○辻一彦君 耕うん機、乗用の耕うん機は、私らの見るところでは、たんぼへ行って土地を起こしますが、同時に米を運んだり、月に何回か野菜を運んだり、運搬用に道を走ることがあるんですね。ところが自税のコンバインというのは、これはそんなしょっちゅう道を行ったり来たりするんではなしに、秋が始まりますと、たんぼへ自脱コンバインを持っていって秋が終わるまで大体たんぼに置いて、一日の収穫が終わったらおおいをかけて置いといて、全部終わったら家へ持って帰る。それもごろごろ乗って歩くんではなくて、最近は四輪の小型、三輪のオート、これに積んでいく場合が多いんです。そういう実態から推すと、多少道を走っている耕うん機が千円であるとすれば、ほとんど道を走っていない自脱に三倍の税金というのは、ちょっと税金の公平という点からいってもふに落ちないんだが、それはどうなんです。
  261. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) ただいまの御指摘の点でございますが、確かに道路を走行するということとの関連で見ます場合には、御指摘のような実態があろうかと思います。ただ現在、自動車税にいたしましても軽自動車税にいたしましても、これはその税の性格としましては、一種の道路損傷負担を認めるという意味の性格と、もう一つは資産税としての性格と、両方の性格を持っておると理解されておるわけです。したがいまして、たとえば自動車税の例を申しますと、あまり道をいためないような自家用乗用車が、年間税額九万円で、非常に道路をいためるトラックが年税額は一万五千円というようなのは、むしろ資産価値といいますか、道路損傷だけの感覚ではなくて、別の配慮から現在は税率が定められているんではないかというふうに理解しているわけです。軽自動車税の場合におきましてもやはり同様でございまして、一番税率が高いのは軽自動車の中で乗用車、これが一番高くて四千五百円になっているわけです。この問題は、この小型特殊自動車の中で農耕作業用と、それからその他との税負担の差でございますけれども、資産税としての性格、そちらに着目いたしますと、おおむね農耕作業用の価格というものは、最近かなりいいものもできてきているようでありますけれども、まあ大体二十万円見当のものが多いと聞いております。それから自脱型コンバインの場合には、おおむね六十万円前後のものが多いというように聞いております。そこで資産価値との比率からしますと、一対三ぐらいの実態にあるわけです。もう一つ私ども税の負担の公平という意味で考えなければなりませんのは、この種のコンバインなどが自動車としての機能を持っておる場合には軽自動車税として課税され、同時にこれは地方税法の規定で固定資産税の課税対象からはずれてくるわけであります。走行機能を持っていないものになりますと、本来の固定資産税の中の事業用資産、償却資産としての課税を受けるわけでございます。そこで同種のもので走る装置があるものとないもので、現実に課税される税負担がどうなっているかというような意味での負担のバランスということもあわせて考える必要があるんではないかというように考えております。
  262. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと私わからないんだけれども、資産という概念でいくと、大きなトラックのほうが小さい乗用車より資産としての値打ちはあると思うんですよ、資産から言えば。これはちょっと私、この資産でいくんなら固定資産税があるんだから、資産のそれをもってこの自動車税の性格を論ずるのは、ちょっと角度が違うと思うんですが、それはどうですか。
  263. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 現在の自動車税の車種別の税率というものも、長い間いろいろな議論があり、いろいろな経過を経て形成されてきておりますから、一律にその資産価値だけで割り切れない面があります。たとえば営業用を安くして自家用を高くするというような政策的な配慮によって税率に差が設けられておる、あるいはまた、ある場合には道路の損傷度との関係によりウエートを置いた税率の定め方をされたケースもあります。しかし税の考え方として、従来から資産税としての性格と、それから道路損傷負担金的な性格と、二つの性格を持つというように考えられておるわけであります。
  264. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあちょっと説明がわかりにくいんだけれども、時間の点もありますから。  現実の問題として、自脱コンバインというのは小さいやつで耕うん機より高いんですよ。だけれども道を歩く程度からいくと——歩きますよ、これは走行機能を持っておりますから走りますけれども、しかししょっちゅう道を走っておるわけじゃないし、こういうものを耕うん機並みにするということは、現実として考えられるんじゃないかと思うんですがどうですか、耕うん機並みの課税……。
  265. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 先ほど申し上げましたように、従来の私どもの扱いとしましては自脱型コンバインが運輸省のほうの見解によりまして、小型特殊自動車に該当するということで、「その他」という、たまたま別表に「カタピラを有する自動車」というずばりそれに該当するものがあるわけですから、その区分でもって課税するように指導しているわけですが、今後の問題としましては、しからば現在のように農耕作業用の自動車と「その他」との、いま一対三という税率差がはたして妥当なものかどうか、あるいは自動車としての機能のない償却資産として課税されている同種の税負担がどうなっているのかと、いういったものもさらに検討いたしまして、その間の考え方を研究していきたいと考えております。
  266. 辻一彦

    ○辻一彦君 この条例準則の八十二条の二の口の中にありますね。「その他のもの」の中から自脱コンバインを取り出すとか、あるいは農耕用自動車の中に自脱コンバインを入れて読むとか、そういうことは自治省やろうと思えばできるんでしょう。
  267. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) これは指導基準でございますから、特に法律改正その他を要せずしてできます。ただしまあ私どもとしましては、現在のような扱いは、各自治体における課税当局の意見なども総合しまして、大体全国的にどういう扱いをするのが最も妥当であり、公平であるかという見地に立ってこういう基準を定めております。そこで、ただいま御指摘のありました自脱型コンバインの扱い等につきましても、先ほど申し上げましたように、他の償却資産の税負担などとのバランス、あるいは作業用車の最近の実態、こういったものを見ながら、その必要性があれば法的には可能でございますので、その点はさらに検討をさしていただきたいと思います。
  268. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃあきょうは担当局長もお見えにならないようですから、その問題、ひとついろいろ御研究いただいて、次の機会にまた見解をひとつ伺いたいと思います。  希望としましては、要望として私は耕うん機並みに自脱の場合は扱えないかと、だから八十二条のこの「その他のもの」から自脱コンバインを取り出すか、あるいは耕うん機の農耕用自動車の中に入れて——自脱は入れて読むんだと、こういう解釈を確立してもらえば解決はできると思うので、それはひとつ要望をしておきますから、ぜひ検討お願いしておきたいと思います。  それから最後に、これは朝から問題になりましたので、簡単に一つだけ伺っておきたいんですが、庶民金融の問題です。これは私どもの同僚の前川委員からもありましたし、ほかの方からもありましたので、詳しいことは省略をしますが、私も一、二の考えとそれからそれに対してちょっと考えを伺いたい、その点を申し上げたいと思うんです。  で、庶民金融の実態は資金を安い金利で、できれば無担保でも貸していくと、こういうことであれば非常に大事なことであるし、特に私たち都市の中にそういう庶民金融の需要も多いと思いますから、それを否定するものではないんです。しかし問題は、その庶民金融をどこでやるかということがやはり問題になると思います。けさからずうっと論議をされておるんですが、一元的に郵政省が今度資金を集め、それからその資金を貸すということをやろうと、こういう考えのようでありますが、零細な金を集めることができるというのは国の一般予算でやはり人件費を扱っている郵政省で初めてこの零細な国民のお金を集めることができるのじゃないか。そこでそれはたいへんけっこうなんですが、それではさらに安い金利で金融をやるということになると、これは私はかなり問題がやはりあるのではないか。六%ということが言われておりますが、これは一般会計の中でやる郵政省であるから六%でやるのであって、独立採算であったらこういう金融というのはなかなか事実としてはむずかしいのでないか。そんな点から資金を集めるほうもお金を貸すほうも国営にひとしい国の機関が大々的にやるとなればやはり弱い零細な特に漁村とか山村とか小さな農村等における漁協農協等の金融事情といいますか、そういう弱体化している金融機関にいろいろ与える圧迫というものが大きくなるのではないかというように思います。そんな点で朝からもこの問題は出ておったのでありますが、私は大臣に、郵政省に国の経費で零細な資金をうんと集めてもらうのはけっこうだし、それを筋を通した金融のやり方で国民に安く貸し出すようにしてもらう。たとえば国民金融公庫というルートもあろうと思うのですが、そういうことで大いに庶民金融をやってもらう。そういう申し入れを私は大臣からひとつやってもらいたいと思うのですが、そこらの御見解ですね。そういうことをひとつ最後に伺って終わりたいと思います。局長大臣合わせて……。
  269. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この郵便貯金預金者貸し付け制度につきましては郵政省から一応の説明農林省として受けております。そのことはけさほど申し上げましたように資金コストを聞いてみますと、六・二七%だ、六分二厘七毛、それを六分程度で貸し付けたい、こう言っておりますので、それでは逆ざやになるのじゃないかというので、逆ざやの金融をやるのはおかしいということは指摘しております。それに対しては間接費がその中で一・八%程度あるので、そういう点を節減してやるのだというようなことで、必ずしもはっきり逆ざや金融をやるというようなところまでは向こうは言っておりませんで、何かその辺がぼけているわけでございますが、説明によればはっきり逆ざやになるということになりますので、そういった金融はおかしいじゃないかということは指摘してございます。  それから国民金融公庫を通じてやるという問題でございます。これにつきましてはけさ御答弁申し上げましたように、農協からそのような要望が出ております。私どものほうはどういう構想かということを若干聞いたのでございますが、必ずしもたとえば担保をどうするというような点についてははっきりしたことを農協側からも聞いておりません。この問題につきましては私どもといたしましても研究はいたしたいと思っておりますが、現在国民金融公庫を通じてやれということは、私どもの考えでは農民なり漁民の場合には現在組合がすでにそういった生活資金まである程度融資しておりますので、農民や漁民の場合には国民金融公庫を通じてやれというところまで農林省が主張しなくても現実にすでにそういう組合金融があるので必要はないのではないか、むしろ市街地の都市の人たちが問題ではないかというふうに考えております。
  270. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は金を借りる方面からいきますれば農協の組合員でない人もあるのでございますし、冠婚葬祭とか何とかで庶民金融といっても考え方として必ずしも悪いとは思いません。しかし金融機関同士の関係からいきますというと逆ざや的な金融をするというようなことになって農業の金融方面に非常に支障を来たす。まあ銀行なんというのは反対しておりますが、これはまた別だと思います。これは別でそういうことに耳を傾けませんが、農村金融、農業金融などという点から考えまして、金融機関のほうから見ましたらばこれは感服しません。その点につきましては自治省とよく検討してからこれを着手したほうがいいのだ、こういうふうに考えております。
  271. 辻一彦

    ○辻一彦君 終わります。では担当の大臣として、農業金融、農林金融も容易ではない時期だと思います。そういう点もひとつ考慮されて、努力をお願いしたいと思います。
  272. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後四時四十分散会