○国務大臣(山中
貞則君) ただいま議題となりました
恩給法等の一部を
改正する
法律案について、その提案理由及び
内容の概要を御
説明申し上げます。
この
法律案による
措置の第一点は、恩給年額の
増額であります。
昭和四十五年度における
公務員給与、消費者物価の上昇を勘案して、恩給年額を、
昭和四十七年十月分から一〇・一%
増額しようとするものであります。
その第二点は、遺族、傷病者及び老齢者の恩給の
改善であります。
その一は、短期在職の戦没旧軍人の遺族に対する処遇の
改善であります。これについては、
公務扶助料等の年額を一般の恩給と同じように一〇・一%ベースアップするほか、その計算の基礎となる仮定俸給を、准士官以下は三号、尉官は二号、佐官以上は一号、それぞれ引き上げようとするものであります。
また、
昭和四十八年一月から、年額二十四万円に満たない
公務扶助料については二十四万円に、年額十八万円に満たない増加非公死扶助料及び特例扶助料については十八万円に、それぞれ引き上げることとしております。
その二は、傷病者に対する処遇の
改善であります。まず、傷病恩給については、基準となる第一項症の増加恩給の年額を百四万円に引き上げるとともに、第二項症以下の増加恩給、傷病
年金及び特例傷病恩給の年額についても、これに準じて引き上げることとしております。
次に、傷病恩給に併給される普通恩給については、その計算の基礎となる仮定俸給を、
公務扶助料の場合と同様に三号俸ないし一号俸引き上げ、さらに傷病恩給受給者の妻に対してつけられている加給の年額一万二千円を二万四百円に引き上げることとしております。
その三は、短期在職の老齢旧軍人等に対する処遇の
改善であります。
短期在職の老齢旧軍人の恩給の計算の基礎となる仮定俸給を、
公務扶助料の場合と同様に三号俸ないし一号俸引き上げることとするほか、六十五歳以上七十歳未満の者に給する加算恩給については、七十歳以上の者の場合と同様に、加算減算を行なわないこととしております。
その第三点は、琉球政府
職員の恩給の
改善であります。
その一は、琉球政府
職員の恩給の計算の基礎となる俸給年額を本土の
公務員と同様に、琉球政府
職員を退職した当時の俸給年額を基礎としたものに改めようとするものであります。ただし、その俸給年額が、
公務員退職当時の俸給年額を基礎とした仮定俸給の三号上位の仮定俸給より少ないときは、その仮定俸給年額をもって、恩給の基礎となる俸給年額とすることとしております。
なお、琉球政府
職員在職中に在職年の通算を辞退して現に恩給を給されている者については、本人の希望により、実際に退職したときまでの在職年を通算した恩給を給することができることとしております。
その二は、南西諸島において戦務に服した文官について、旧軍人と同様その服務期間一月について三月以内の加算を認め、普通恩給の受給資格を与えようとするものであります。
その三は、教育
職員または警察監獄
職員として勤務していた
公務員が、引き続きこれらに相当する琉球政府
職員となった場合には、本土における教育
職員または警察監獄
職員と同様の
勤続加給を認めようとするものであります。
その四は、離島等の辺陬地または不健康地に勤務した琉球政府
職員に対し、本土の
公務員と同様、辺陬地または不健康地加算を認めようとするものであります。
その五は、行政権分離後に琉球政府に就職し、現在恩給法が適用されていない者について、その琉球政府
職員期間を
公務員としての在職期間と同視して、
年金恩給を給する道を開こうとするものであります。
その第四点は、在外公社等の
職員期間の通算であります。
戦前外地に設立されたいわゆる在外国策会社のうち特に公社組織をとり、行政機関に準ずる業務を行なっていた旧満洲拓植公社ほか六公社の
職員及びコロンス共同租界工部局の
職員を、現在通算
措置がとられている外国特殊機関の
職員と見て、その在職期間を
公務員期間に通算しようとするものであります。
その第五点は、長期在職者の恩給の最低保障額の引き上げであります。
実際の勤務年数が普通恩給の資格年限以上であるいわゆる長期在職者の普通恩給の最低保障額は、受給者が七十歳未満の場合は九万六千円、七十歳以上の場合は十二万円となっておりますが、これらを他の
年金制度における最低保障額を勘案して、今回は十一万四百円、十三万四千四百円にそれぞれ引き上げるとともに、十三万四千四百円の保障額を受けられる者の
年齢を五歳引き下げて、六十五歳以上にしようとするものであります。
なお、扶助料については、それぞれの額の半額を保障することとしております。
以上のほか、外国政府
職員等の在職期間の通算条件を緩和し、旧日本医療団の
職員期間及び日本赤十字社の救護員期間の通算制限を撤廃し、警察監獄
職員または教育
職員として長期間勤務した者に対する
勤続加給条件を緩和するとともに、第一の恩給年額
増額の
措置に伴い、恩給外の所得による普通恩給の停止基準額を引き上げる等所要の
改善を行なうこととしております。
なお、以上述べました
措置は、
昭和四十七年十月一日から実施することとしておりますが、琉球政府
職員の恩給の
改善に関する事項は、沖繩復帰の日にさかのぼって実施することといたしております。
以上がこの
法律案の提案理由及びその
内容の概要であります。
何とぞ、慎重御
審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。