○水口宏三君 それでは第三項につきましては、先日の
外務大臣の御
答弁がかなり明確になったと思いますので、以上で打ち切りますけれ
ども、この第一項等を拝見いたしまして、政府はベトナム紛争が極東全体の平和と安全に影響を与えると認めている。したがって
安保条約第六条に該当するという立場をとり、今回の米国の諸行動もこれまでの紛争の一局面にすぎないから、あらためて四条の
協議を行なう必要はないのだという見解に立っております。
私は先日から申し上げましたように、ベトナム紛争というのは、本質的には民族自決の原則に基づく民族の統一と独立へのいわば民族内部の問題であって、これまでも、むしろ
米軍が介入することによって、言いかえるならば、極東の平和に対する大きな影響を持つようになったのです。特に今回の突如として行なわれた機雷による海上封鎖等はこの点が強調されてしかるべきだと思います。したがって当然われわれとしては、これらについて第四条による
協議を行なうべきだということは、先日の
委員会でも再々申し上げたのですが、この点につきましては何回かやり取りがございました。結局平行線であるという
意味で、これ以上ここでむし返そうとは思いませんが、せっかく
外務大臣が
施設・区域の使用の態様について第四条
協議を行なうとおっしゃっておるのですから、もちろんこの
施設・区域の使用の態様を
協議するということは、当然その背景をなしている
米軍行動と不可分の関係にあるんじゃないか。こう考えてみますと、その
協議の際に、ぜひ次の点を
アメリカ側と話し合って——話し合うべきであるということなんですが、この点についてひとつ伺いたいのです。
と申しますのは、
外務大臣も本国会の予算
委員会等で、昨年の中国国連加盟、ことしになってからの米中会談等によって、アジアの情勢がいわば平和へ雪解けの方向に流動化しつつある、ただし、これは定着していないから、いわば例の台湾条項、韓国条項にしても直ちに大きく考え方を変えるわけにいかぬのだという御
答弁があったのです。ところがその後、御承知のように、たまたま
アメリカのベトナムに対する
北爆あるいは艦砲射撃、特に機雷封鎖が行なわれている最中に、ニクソンがソ連に行った。そうして米ソ共同宣言が発表された。そういう新しい事態が生まれておりますし、新聞によりますと近く
外務大臣も御出席になるそうですが、ASPACにしても、いわば非常に反共、軍国主義的な朴政権すら、このASPACの中から反共的なあるいは軍事的な要素を抜くんだというようなことを表明いたしております。特に私は重要だと思いますことは、これまでいわばSEATOという形で東南アジアの条約というものがつくられていたものが、最近のASEAN、これが特定の国、たとえばタイなどは
アメリカの軍事基地を置いているというような状況を除けば、どちらかといえば中立的な方向を歩みつつある。ASEANの中には、むしろ中国に接近すら進められている。いわばこういう新しい状況がアジアの中に生まれておるわけでございますので、この回答を拝見いたしますと、結局、言いかえればベトナム紛争の理解について棒を飲んだような感じがするわけですね。これは前から続いていることであって、これはアジアのいわば極東の全体の平和と安全に大きく影響を及ぼすのだ、だからわれわれは
アメリカの行動を全面的に支持するのだというふうな棒を飲んだような立場ではなしに、いま私が申し上げたような新しいアジアの情勢、言いかえれば、外相のことばをかりるならば、平和への雪解けの流動状態にあるものを、少しでもこれを固定させていく、そういう方向に向かって前向きに、現在
アメリカがベトナム紛争をめぐって
日本の軍事基地を使っている、その態様を話し合
うその背景問題として、それらの問題について十分ひとつ話し合う意思がおありかどうか。これをひとつ伺っておきたい。