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1972-06-06 第68回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月六日(火曜日)    午前十時五十六分開会     —————————————    委員の異動  六月三日     辞任         補欠選任      沢田  実君     浅井  亨君  六月六日     辞任         補欠選任      浅井  亨君     沢田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 細川 護煕君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        外 務 大 臣  福田 赳夫君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  竹下  登君    政府委員        防衛政務次官   野呂 恭一君        防衛庁参事官   高瀬 忠雄君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛庁施設庁総        務部長      長坂  強君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  高島 益郎君        建設省道路局長  高橋国一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        防衛施設庁施設        部連絡調整官   平井 啓一君        環境庁自然保護        局計画課長    宇野  佐君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第六十七回国会内閣提出、第六十八回国  会衆議院送付)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次発言を願います。
  3. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは、防衛問題の中で質問したいことがたくさんありますので、整理をしながら質問していきたいと思います。  初めに秋月弾薬庫の問題を先に片づけておきたいと思います。この問題につきましては、先般の沖繩連合審査のときに、私は大臣並びに総理大臣に種々質問いたしましたけれども、今回の北爆問題等もからめまして非常に秋月弾薬庫が重要な問題になってきております。最近は、新聞報道等によりますと秋月弾薬庫弾薬チェック等もやっているというようなことであります。先般私が質問いたしましたときにも、その秋月弾薬庫の事態の危険性の問題について種々質問いたしました。当時私はこのシンボールマークのついた弾薬庫写真をとってまいりまして、大臣にも見せながら質問をした。そのときには大体三点にわたっておりました。  まず第一点としましては、シンボルマークのついた弾薬庫から大体百メートルぐらいも離れていないところに民家がたくさん密集しておる、非常に危険ではないか。これがまず第一点。  第二点といたしまして、シンボルマークのところから斜面距離にして大体四十メートル、それから垂直距離にして二十メートルのところに同じく弾薬庫がある。端的に申しましてはすかい斜め下弾薬庫の穴がある、非常に危険ではないか。  それから第三点としては、現在その弾薬庫、いわゆる弾薬の置いてある弾薬庫との保安距離の問題を質問いたしました。少なくとも保安距離は、いろいろな事例がありますけれども、調べてみますと大体三百メートルは最低必要ではないかというような質問を先般したわけでありますが、その後この問題についてはどういうぐあいになっておるか、初めにお伺いしておきたいと思います。
  4. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題は峯山さんから写真等をお見せいただいて率直な御質問がありましたので、われわれのほうとしましても、この弾薬庫民家に近接した弾薬庫である。で、その貯蔵庫につきましては、米側安全確保について申し入れをいたしましたところ、この貯蔵庫は、地下三十メートル、コンクリートで二重巻きにしてある構造であって、非常に堅固なものだ。で、安全基準に照らして、米軍としては、確実に安全なもので危険はない、こういう回答が一応あったわけです。しかし事、深刻な問題でありまするので、なお私どものほうから当該貯蔵庫使用制限について米側申し入れを引き続いて行なってまいりました。米軍は、三六五号貯蔵庫につきましては、信管を貯蔵しておったんですが、これを他に移してシンボルマークを4から1にする。貯蔵庫については、三六三号のこれも御指摘の4のシンボルマークがついておりました貯蔵庫は、中口径砲弾を貯蔵しておりましたが、これも同様他に移して、小銃弾を貯蔵することにした。同様に4から1にこのマークを変えた。今後とも周辺住民安全確保というような点に私どもとしても十分意を用いまして、万全を期していくように米軍側とは緊密に連絡をとってまいりたい、こう考えております。もし必要があれば詳細は政府委員のほうからなお詳しく申し上げさせます。
  5. 峯山昭範

    峯山昭範君 じゃあ詳しくやってください。
  6. 平井啓一

    説明員平井啓一君) ただいま内容につきましては大臣から御説明がありましたことでほぼ尽くされていると思いますが、御参考までになおやや詳細に申し上げますと、三六三と三六五が御指摘の比較的部落等に近い距離にある貯蔵庫でありまして、いずれもシンボルマーク4であったわけであります。これをそれぞれ中口径砲弾ないしは信管等秋月弾薬庫の中の他の十分保安距離等もある弾庫のほうに移しまして、それぞれに小火器弾薬というものを貯蔵して、火災の際の処置をあらわすところのシンボルマークも4から1に変えたわけでございます。  さらにもう一ヵ所、やはり同様近接距離にあります三六九につきましても、小火器弾薬及び発煙筒を貯蔵することに切りかえまして、これは発煙筒が入ってございますので、シンボルマークは3のままになっておりますが、爆発性危険性のない弾薬ということで、入れかえ措置を了しております。
  7. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあ確認のために聞いておきたいのでありますが、先般の沖繩連合審査の時点では、いま大臣がおっしゃいましたように、この三六三及び三六五の弾薬庫には、それぞれ当時でいえばシンボルマーク4の弾薬が入っておったと。その後、防衛庁並び外務省を通して米側にいろいろ申し入れをした。その結果、このシンボルマーク4から1の小さな弾薬庫弾薬を保管することにかえたと、米側がそういうことをやったと、そういうことなんですか。
  8. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そのとおりでございます。
  9. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣ね、そのとおりですっておっしゃっていますがね。そのとおりだと非常にぼくは沖繩国会のときのあなたの発言や、当時、島田施設庁長官発言したことはうそになるんですね。当時、島田長官は、もうすでにそういうものは入っていないと、近所の人たちをその弾薬庫へ誘導して見せた。そしたらみんなこういうふうなシンボルマーク4の弾薬は入っていなかった、みな小銃弾ばっかりだったと、こういう答弁がきていますね。
  10. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そうでしたか、それは恐縮。政府委員から……。
  11. 平井啓一

    説明員平井啓一君) ただいま御指摘のありました、前回に問題になりましたのは、三六九のナンバーのつきました弾庫の問題について、そういうようにお答えしたかと聞いておりますが、三六三と三六五につきましては、当時の御質問の対象になった弾庫ではございませんで、ただいま申し上げましたように、当時から中口徐砲弾及び信管が入っていたわけでございます。その当時東京におきましては内容について十分承知しておりませんでしたので、改めて調査いたしますということで御答弁をしたかと存じております。
  12. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ、もうちょっと確認しておきますが、私の考え違いがあってもいけませんので……。地元住民に、この弾薬庫には危険なものは入っていないと、こう言って案内して見せた弾薬庫というのは三六九ですか。
  13. 平井啓一

    説明員平井啓一君) はい。そのとおり三六九でございます。
  14. 峯山昭範

    峯山昭範君 当時私は、このシンボルマークもちゃんと言って質問したはずですけれども、三六九というのはシンボルマーク3じゃなかったですがね。私は4ということでちゃんと言って、その貯蔵庫ナンバーがわかったのは実は最近のことなんです。当時は貯蔵庫ナンバーというのはわからなかったわけです。したがって、民家との距離とそれからもう一つシンボルマークと両方で質問したはずなんです。実は私の手元にも、おたくのほうで調査した資料が入っているから、その貯蔵庫ナンバーが、三六九というのがナンバー3だなということはよくわかる。ところが当時私が質問したときには、この問題もありますが、もう一つの点からいきますと、シンボルマーク4ということも指摘をしながら質問したはずなんです。そこら辺のところはどうなんですか。これははっきりもうちょっとわかりやすく、きちっとしてください。
  15. 平井啓一

    説明員平井啓一君) 確かに御指摘のとおり、三六九というのは、当時からファイア・シンボルマークは3になってございます。それからシンボルマーク4のものであって、比較的三六九の弾庫に近いものとして存在しておりますのが三六三と三六五でございます。しかし、当時中身につきまして地元方たちにも御披露し、また中身につきましてはっきりと申し上げたのは三六九についてでございまして、三六三と三六五については、当時、中にどういう弾薬が貯蔵されているかについては、つまびらかでございませんでしたので、あらためて調査をするということでお答え申し上げたのがいきさつでございます。
  16. 峯山昭範

    峯山昭範君 一応いずれにしましても三六三のシンボルマーク4の貯蔵庫には、少なくとも防衛庁から申し入れするまでは、シンボルマーク4の中口径砲弾が入っておったということはこれは間違いないわけですね。これはどうですか。
  17. 平井啓一

    説明員平井啓一君) そのとおりでございます。
  18. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、少なくともこの問題につきましては、当時地元住民から非常に危険であるということをさんざん申し入れをしましたね。ところが実際にはこの問題についても、前々から、シンボルマーク3であるというのより、私たちが特に重要視して取り上げた問題というのは、少なくともこのシンボルマーク4の弾薬庫が非常に危険であるということを取り上げたはずなんです。私が質問をしたときに、初めに民家から百メーターしか離れてないとして指摘してやったのは、これはシンボルマーク4の弾薬庫のはずなんですね。そういう点からいきますと、少なくとも当時の地元住民に対する説明等もこれは不十分であったと私は必うんですよ。そういう点は、まず少なくとも防衛庁は、これからこういうような問題を取り扱うときに、やはりこういうぐあいに処理したあとならある程度のこともちゃんとわかりますけれども、そうでない場合は、これはやっぱりいいかげんな答弁になってしまい、またいいかげんな説明になってしまうと思うんですね。ですからそういう点は十分注意してやっていただきたいと思うんですが、どうですか。
  19. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お説のとおりだと思います。これは、いま私ここに速記録を持っておりますが、島田施設庁長官から当時お答えをし、私も総理も、非常に危険だからすみやかに処置をします、こういうことでお答えしております。その結果がいま申し上げたように4を1にするような入れかえを米軍側もこたえてくれたわけでありまするが、これもまあ3のほうは、これは小火器弾薬発煙筒というようなもので、爆発危険性が全然ないということを繰り返し私どものほうにも申してきておるという報告を私受けております。そういうことで、これはそのままになっておるわけですが、4のものは1に全部入れかえさせた。それからまたこういう問題は、やはりおっしゃるように地元などにもよくこういう経過でこうなったのだということを報告したり知らせることを努力していくことも、やはり住民の民心安定という上からも必要だと思います。御趣旨の線に沿ってひとつ至急そういう方途もとりたいと思います。
  20. 峯山昭範

    峯山昭範君 それから、そういうふうな非常に危険なものが、少なくとも最近まで弾薬庫の中に入っておったことも明らかでありますし、またもう一つは、危険ではないとはいいましても、そういう近いところに弾薬庫があるということ自体が問題なんですね。これはやはり保安距離とかいろいろな問題もあるとは思いますがね、そういう点から考えてみても、地元住民にしてみれば、これはやっぱり国内法と照らしてみても、これはどうしても近距離にそういうような弾薬庫があるわけですね。そういう点から考えてみても、これはやっぱりその弾薬庫自体を、中を入れかえるというのじゃなくて、民家に密接した近いところにある弾薬庫というのはできるだけ取り除いてもらって、そしてぴしっとした保安距離を、国内が三百メーターならもっと五百メーターぐらい保安距離があってもいいと思うんですよ、実際問題。この弾薬庫面積自体から考えてもそれくらいのことは十分言えるのじゃないかという気がするのですよ。そういう点も考えて対処すべきじゃないかと思うんですが、これはどうですか。
  21. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) まあ弾薬庫というものの性格上、おっしゃる意味は十分よくわかります。で、今度、かねてこういう委員会でも申し上げてまいりましたが、こういう人口細密の地点にあるような弾薬庫とかそういうものはどこかへ移転できないものだろうか、ところがいざ移転をしようということになると、さあ移転先がきまらないわけですね。そういうことがまあ今日こういう結果になっておるわけですが、しかしまあ移転とかそういう問題すべてを含めて、プロジェクトチームをつくって十分検討していこうという姿勢でこちらもおるわけでありまするが、本来移転の場合には、やはり地方自治体の責任者である県知事等が、ここは困るがこっちにしてくれというようなことで、同じ県内でしかるべきところをあっせん願えないのか、そういう場合にも、愛知県等にも高蔵の弾薬庫、高蔵寺と言っておりますが、それを移転しようということになりますと、ずいぶん山間僻地へ持ってまいりましてもやはり反対が出てしまってどうにもならぬ、この実情を今後どうしていくのか、これはもう全く深刻な問題でございます。そこで、とりあえず私どものほうとしましては米側の注意を喚起する、それから弾薬庫周辺対策というものに従来以上に力を入れて、緊急避難用としての道路の幅を広めるような改修をするとか、消防活動に資するために消防ポンプ自動車を助成してこれをつくってもらうようにするとか、まあ江田島町の不安解消のための措置ということで、現在、秋月部落というところから鷲部部落ですか、そこに隧道をひとつつくれというような要望も出ておりまするので、そういった問題もひっくるめて、誠意を持って解決していきたい、こういう姿勢で現在は臨んでおるわけでございます。
  22. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣のおっしゃる意味はよくわかるんですよ。わかりますが、弾薬庫自体、全体を移転しようなんということになると、非常に大臣がおっしゃったようなことが出てくると思うんです、実際問題。ところがこの秋月弾薬庫の場合は、弾薬庫自体面積が相当広いわけですね。五十五万平米なんて非常に広い面積があるわけです。それを——弾薬庫の端っこのほうにあるわけですね、それをもうちょっと中のほうへ、実際保安距離をかちっととってやるということは、そう一般で考えるような、大臣のおっしゃるような困難性とはちょっと違うんじゃないか、こう思うんです。その点はやっぱりもうちょっと考慮してもらいたい。  それからもう一つは、三六九の弾薬庫自体が非常に堅牢な、コンクリートで二重にしたとはいいながら、少なくともその弾薬庫の上に家があるわけですね。はすっかい、ななめでしょうけれども。そういう点から考えますと、これはやっぱり非常に危険性があるわけですね。そういう点もやっぱりもうちょっとチェックをしてもらいたいと思うんです。  それからもう一点。この秋月弾薬庫の問題について、大臣のいま答弁の中にありましたけれども隧道の問題ですね。これも具体的にはどうなっているか。これも含めてお願いしたいと思います。
  23. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 政府委員からお答えいたします。
  24. 平井啓一

    説明員平井啓一君) ただいまの安全対策として、江田島町から御要望のあります隧道につきましては、当面、調査費を一応捻出するめどをつけまして、まず現地の調査にかかりたいとただいま準備中でございます。
  25. 峯山昭範

    峯山昭範君 いずれにしましても、そのほか秋月の問題につきましては、今回の北爆——先ほど申し上げましたように弾薬庫チェック問題等もありますし、地元人たちにとりましては、地元に住んだ人にしかわからないような非常に心配なことが多いわけですね。そういう点から考えましても、やっぱりシンボルマークを変えたというだけじゃ、これはとてもじゃないけれども納得ができないと思うんですよ。というのは、いままで4というのが1に変わった、ああやっぱりいままでわれわれ危険なところに住んでおったのか、ということになるわけですね。やっぱり施設庁にしたって何にしたって、うそをついていたということに多少は、そうじゃなかったにしても、かねがねからの説明と比較してやっぱりどうしても納得できない点があるわけです。そういう点については、防衛庁としては十分地元住民の意向を体して、今後もこの問題については処置をしてもらいたいと思うんです。  それで、次の質問に移りますけれども、先般から問題になっておりました事前協議、あるは随時協議の問題につきましては、午後に外務大臣が出席されたときの委員会で具体的にはやりたいんですが、それに関連をしましてちょっと質問をしておきたいのでありますが、まず、安保条約に基づいて日米安全保障協議委員会というのがございますね。この問題については午後の質問に譲りますが、この安全保障協議委員会のもとに専門委員会というような委員会をつくるというような話が前に出たことがあります。これは昭和四十二年ごろ出たことがありますが、四十二年のこの参議院の内閣委員会でもこの問題が議題になって、相当議論をやっております。当時の増田防衛庁長官は、ちょっと増田防衛庁長官答弁を読んでみますと、安保条約に基づいて日米安全保障協議委員会というものが現在ある。ときどき協議をしておる。そのもとに専門委員会としての軍事委員会をつくってもよろしいということにはなっているけれども、いまだにつくる運びにはなっていない。それで、つくってはいいということになっているけれどもつくる運びにはなっていない。現在はないし、まだ相当将来にわたってもつくる運びにはならないと思うと、要するに専門委員会はつくらないというのがいままでの通説になっておったと思うんですがね、これは大臣どうですか。
  26. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 現在もそういう専門委員会施設はございません。詳細については政府委員から経過を申し上げます。
  27. 峯山昭範

    峯山昭範君 まあいいや。
  28. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そうですか。
  29. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣がないと言うんならないでけっこうなんですがね。ところが、この間の衆議院の内閣委員会では、議事録によりますと、江崎長官のいらっしゃるところで——局長が一生懸命説明していますがね——久保局長答弁によりますとあるというんですね。ちゃんと言ってますよ。ちょっと読んでみますよね。これ全部読みますよね。そこだけ読んだらちょっとおかしいんじゃないかと言われたらいけませんので、全部読みますとね、「格別に規制をしておるものはございません。ただ、比較的正規のものといたしましては、四十三年十二月の安保協議委員会で決定されました日米幕僚研究会同というのがございます。」と、こういうぐあいに、これは当時から問題になっております軍事委員会あるいは専門委員会に当たるものだと私は思うんです。ここら辺のところは局長どうなんですかね。
  30. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 御質問になりましたようなことは過去からずいぶん問題がありまして、安保条約がある以上は、安保条約実施あるいは日米による日本防衛のための委員会軍事専門委員による委員会があるべきではないかという意見はずいぶん前からございます。しかしながら、今日までそれの実現は見ておりません。そこで、それにかわるものではありませんけれども、やや異質のものとして、いまお読みになりましたようなものがあるわけでありますが、それ以外に日米事務レベル会議というものがございます。これは四十二年の五月から現在まで七回行なわれておりますが、アメリカの国務省、それから国防省、それから日本側では、外務省防衛庁事務次官レベルであります。これの会議が一種類ございます。それから合同委員会は別にいたしまして、いまお述べになりましたのは日米軍事研究会同というものがありまして、これは日本側では統幕の事務局長、それから在日米軍参謀長、これが担当者でありますが、そのスタッフが入ります。これの本来の意味合いと申しますのは、日米合同委員会、で日本にありまする米軍の基地問題についていろいろ行政的な面からの会議が行なわれておりますけれども、これについての軍事的な面からの評価といったようなものが必要ではないかということで、いまお述べになりましたように、四十三年の十二月の安保協議委員会でそれの設置が認められ、今日まで三十一回行なわれておるというのが現状であります。
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、これの設置は第九回の日米安全保障協議委員会できまったというわけですか。そうすると、これはそれじゃ当時増田長官がおっしゃっているこれとは、もう全然将来つくらないという考え方とはこれは違うわけですね。要するに増田長官は当時——増田長官だけじゃなくて、その後もたびたびこういうふうな専門委員会はつくらないと、私たち内閣委員会でも何回か言明してきたと思うんですがね。こういうふうな委員会をつくって、いままで三十一回も開いているということを聞くのは私きょう初めてなんですよ。そこら辺のところはどうなんですかね。
  32. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) この点につきましては、いままでも、この委員会はちょっと記憶がございませんけれども、いろんな委員会のときには申し上げております。そこで、歴代の長官の申されましたのは、安保協議委員会下部機構として、軍事専門委員によるところの、安保条約実施あるいは日米共同防衛によるところの検討といったような意味での専門委員会をつくらないと、こう申されておるわけで、いまつくられておりますのは、日本にありまする米軍の基地に関して、その共同使用の問題、あるいはその基地が日本防衛についてどういうような意味合いを果たしているか、あるいはその基地の維持運営についてどういう問題があるかといったような点を、先ほど申し上げたように合同委員会の場合は行政的な面でありますけれども、それを軍事的な観点から評価し協議をするというような意味合いでつくられたものでありまして、歴代長官が申されているものと異質のものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
  33. 峯山昭範

    峯山昭範君 あのね局長、私は専門家じゃありませんのでわからぬのです。これは要するに、大臣がここでつくらないと言っているものといま現実にあるものとは、少なくとも私たちが見ればこれは同じに見えるわけですね、これは。要するにその内容と、三十一回の内容は私知りません。わかりませんが、少なくともこれは同じに見えますよ。どこがどういうぐあいに具体的に違うのか、説明してもらいたいと思いますね。
  34. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 長官が言っておられまするような軍事専門委員会ということでありますると、安保条約に基づいて米側防衛分担がどうであり、どういうような時期にどういうような部隊が日本の来援に来得るかといったような、具体的な共同防衛の戦略あるいは指揮系統、指揮は別々になるにしましてもそれの連絡関係といったようなことが本来協議さるべき事柄であります。ところがいまありまするものは、たとえば三沢なら三沢というものが将来どういうふうに運営されていくか、現在運営するについて、これは共同使用になっておりまするけれども米側日本側でどういうような分担でやっていくのか、それの航空関係、あるいはその他の通信関係の機能の運用をどういうふうにやっていくかという、基地を中心にしての日米の両方の会議である。したがいまして、それよりもっと範囲を越えました日米の共同防衛というような広範囲なものについては、残念ながら実はそういったような会議は持たれておらない。これがなぜ持たれておらないかといいますと、実は制服が軍事技術的な問題を討議するわけでありますが、内局も、当然防衛の基本という問題もあります。そこでどういったようなメンバーであるべきかというようなことはなかなか両方で合議できませんし、またそういった差し迫った日本についての脅威があるというわけでもありませんし、国民にいたずらなる誤解を与えてもいけないというようなことで、安保条約という基本的な協定があればさしあたってそういうような具体的な問題についての協議委員会というものを軍事専門家にゆだねるものがある必要はいまのところはないんではないかということをずっと歴代の長官が申されているというふうに思います。
  35. 峯山昭範

    峯山昭範君 まだわからぬ。あのね局長、あなたがおっしゃっている、大臣がかねがねからつくらないとおっしゃっているのは、少なくともこの日米安全保障協議委員会というのがこの安保条約の四条及び六条に基づいてつくられておる。これはそうですね、そうでしょう。四条及び六条に基づいてこの協議委員会はできておる。その協議委員会の中で、実際にこの四条にも出てきますように、この安保条約実施に関して、要するに、具体的に、専門的にやっていく機関としてできているわけです。少なくとも米軍基地の問題につきましては、地位協定というのがありまして、その地位協定の運用に関連して、基地の運用についてこういうのをつくっているというんでしょう。同じじゃないですか。同じですね。それでぼくはね、あなたが、いままで大臣がつくらないと言っていたやつ、それにかわるやつはこれなんだと言えばすっとわかるのです。そうじゃないと言うから、ほんとわからぬのですけれどもね、これは。
  36. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 安保条約に関連して申し上げますと、四条と五条の関係、これについて実は協議すべきであろうと私は思うんですけれども、しかしそういった事態にない。したがいまして、条約に即して言うならば、むしろ六条の関係でこの委員会が設けられているというふうに申し上げたほうがよろしかろうかと思います。
  37. 峯山昭範

    峯山昭範君 そういう説明じゃ全然合いませんわね。少なくとも日米安全保障協議委員会で、要するに、この日米軍事研究会同というのが設置されたわけでしょう。この協議委員会設置されておるわけです。このあなたがいまおっしゃっているいまあるやつは日米協議委員会設置されておるわけです。日米協議委員会自体が、あなた六条だけといいますけれども、そうじゃないですよ、六条と四条と両方あるわけです。その四条でいうというのは、安保条約の運用全体に関連をしてこの随時協議していくというのがあるわけですからね。やっぱり事務レベルで実際その運用ということは結局基地の問題も全部含むと思うんだよ、少なくとも私はね。その運用と、それからもう一つは極東の安全の運用の問題と二つあると思うのですよ、四条でも。その前半の問題については、少なくとも国内の基地の運用とかいろんな問題について、少なくとも専門家のこういう委員会をつくるという話は前々から出ておったわけですし、そのことは私たちも知っておるわけですよ。現実にそういうふうな組織がつくられてちゃんとやっているということは、やはりいままで大臣がつくらないとおっしゃっていた、これが現実にできているんじゃないか。それが違うという一生懸命、何ぼ詭弁したって、これはどうしようもないですよ。そんなことを言っていると、前の日米安全保障協議委員会の問題と同じですよ。外務省のいま随時協議の問題でずいぶんもめていますけれども、その問題と全くまた同じになってきますね。少なくとも私は、現在ある日米軍事研究会同というのは、少なくともかねがねからの問題の、そのとおりだと私は思うのですよね。どうなんですか。
  38. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 四条の、あるいは五条の協議という分野になりますると、これは軍事専門家だけの協議ではいけないのでありまして、やはりむしろ外務省が中心になっての協議であるべきだろうと思うのです。したがいまして、防衛庁としましては、制服の委員会であれば正式の四条なり五条あるいは六条といったような問題と別個に本来は討議すべきだろうというふうに考えます。正式の協議機関であれば、いま申し上げたように、外務省が入って四条、五条、六条というふうな委員会を設けるべきだろうと思います。いま制服段階でそういったような委員会を設けるのが適当でないとすれば、現実に防衛施設庁を中心にして基地を提供している、その基地の評価について、これは現在の運用につきましても将来の問題につきましても、制服としては関心があるという意味で、六条を中心にした協議委員会であるというふうに私どもは理解しておるわけでありまして、さらにそれを四条、五条の問題も含めてやるべきであるという意見は実は制服部内にはございますけれども、それができておらない。むしろそういったことに若干制服のほうでは不満があると申してもよろしいと思いますけれども、その程度でありまして、そういうぐあいでありまして、したがって四条、五条を中心にした委員会が設けられておらないというのが現状であります。
  39. 峯山昭範

    峯山昭範君 少なくとも私は、いままで大臣がおっしゃっておられたそれは四条、五条だけじゃなくて、私は六条を含めてだと思うのですよ、少なくとも。要するにこの協議委員会のもとに専門的な委員会はつくらないという趣旨だと思うのです、この趣旨から言いますと、少なくとも。これは要するに、前段では専門委員会として軍事委員会等をつくってもよろしいということになっておるけれども、というような表現ですよね。それで、そのあとのほうは、現在はないし、また将来にわたってつくる運びにならないというような考え方ですからね。ですから私は、現在あるそれも私たちはもうちょっと具体的に内容も知りたいし、また三十一回にわたってこの会合を開いているということですがね。少なくとも私は基地問題だけじゃないであろうと思うのですがね、どうなんですか、この内容は。三十一回の内容というのは。
  40. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 基地問題が中心であることは間違いございませんが、その間に相互の情報の交換、これは行なわれております。その範囲のものでありまして、現実に日米の共同防衛ということが本来ならば論議さるべきであるし、そういったための委員会があるべきであろうと思いますけれども米側としましても、日本側に具体的にどういうような支援をなし得るかということは、実はやはり米軍といえども、国際関係、世界に対するいろいろな支援関係がありますので、なかなか具体的な案を向こうとしては出せないということで、事実上そういった日米安全保障条約の実施についての具体的な討議ができない。したがいまして、従来は基地問題を中心にし、若干の情報交換をそれに付加しているというのが実態であります。
  41. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ、現在そうあるわけですからね、それはもうちょっと具体的にお伺いしますがね。そうすると、日米安全保障協議委員会のもとに、現在この委員会一つ、これしかないのですか。これともう一つは、事務レベルの会合ですか、その構成とメンバーをちょっと一ぺん言ってみてください。
  42. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 日米事務レベル会議と申しますのは、日本側では外務事務次官、それから防衛事務次官、アメリカはそのときによって違うようでありますが、原則としましては、国務省及び国防省の事務次官であります。これは四十二年の五月以降、先ほどの日米軍事研究会同というのは、歴代長官が設けないと言われたその前からあるわけでありまして、四十三年の十二月に設置がきめられたということであります。それ以外は、御承知の日米合同委員会ということであります。
  43. 峯山昭範

    峯山昭範君 研究会同の……。
  44. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これは統幕の事務局長、それとその下のスタッフ、それから米側は、在日米軍参謀長及びその下のスタッフということであります。
  45. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、この日米軍事研究会同というところにはシビリアンは全然入っていないのですか。
  46. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 入っておりません。つまりシビリアンの立場からの、何といいますか、協議というものは、日米合同委員会でなされておる。そこで、あまりにもそれがシビリアンといいますか、行政的面に走り過ぎると、もう少し軍事面からの評価、運用、協議というものが必要ではないかということで設けられたものでありますので、シビリアンが入っておりません。
  47. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、これは大臣ですね、非常にこれはだんだん心配になってきた、聞けば聞くほど。シビリアンが全然入っていない。しかも協議委員会というのはいままで全部で何回ですか、十三回ぐらいしか開かれていないわけですね。それにも増して、少なくともその研究会同というのは——協議委員会のほうは昭和三十五年から始まって十三回でしょう。ところがこのいまの日米軍事研究会同というのは、昭和四十三年十二月から始まって、現在まで三十一回開かれておる。あなたは日米軍事研究会同で具体的にどういう問題が話し合われて、どういうぐあいになっているのか、ほんとうにこれは重要な問題だと思うのですよ。大臣としてこれはがっちり掌握してないとたいへんなことになると私は思うのですがね。どうなんですか。大臣は知っておったのですか、このことを。
  48. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは峯山さんの御指摘でありますが、私ども防衛局長から聞いておりまするのには、きわめて技術的な、基地を中心とした運営の問題とか、まあ運営というよりも運用ですね。基地運用の問題というようなことが中心であって、別に日本に何か問題があったときに日米共同してどういう防衛をするかという想定に立った一つの分担協議とか、そういうふうな大きな問題ではなくて、ごく部分部分の、いわゆる日本が貸与しておる基地についての問題、そういうふうに聞いておるわけでありまして、大きな問題であれば、御指摘のようにこれはやはり内局の者が参加するなり、シビルコントロールの上から言っても当然これを十分掌握していくということだと思いますが、そういう大きな問題はここでは議することはないというふうに報告を受けておるような次第であります。
  49. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、やっぱりまだ心配ですね。確かに大臣がおっしゃるように、基地の運用だけという話し合いの内容なら、それは私はそれだけならそう問題はないかもしれませんよ。それだけにもむろん問題はありますがね。それ以外の問題からすれば、そう大した問題はないかもしれません。しかしながら、それでは具体的にもうちょっとお伺いしますと、この研究会同で具体的にどういう話し合いが行なわれたのかということについては、長官のもとにそれぞれそのつど具体的に報告はするようになっているのですか、自動的に。
  50. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) この問題については、常に内容を私は承知しておるわけではありませんが、おおよそはそのつど、これは統幕の室長から私に報告がございます。したがって私は承知しておりますけれども、情報の交換とか先ほど申し上げた基地の運用の問題でありまして、これは必ずしも具体的にすぐに行政に反映するといったような問題ではございませんので、格別長官にはまだ御報告はしておりません。
  51. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは大臣防衛局長でも詳細にはつかんでないようですね。いまの話でみると、口頭でちょこちょことこういう話があったぞというような感じですね。少なくともこういうふうな、これは重要な問題だと私は思うんですよ。米軍の実際に軍事に携わっている現場の人たち、少なくともまた国内における現場の人たちが一緒に話し合われるわけです。これは何らかの歯どめというものは何にもないんですね。歯どめ、その点はどうなんですかね。やっぱり何らかの歯どめを設けるなり、何らかの、どういうことが具体的に話し合われたかということはやっぱりきちっと掌握する必要があると思うんですが、どうなんですか、それは。
  52. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはさっきから防衛局長がしきりに答弁をしておるような内容でありまするので、従来は私どもまで報告の必要はないと、こういう見解に立って防衛局長どまりということでありましたが、峯山さんが御心配になるその御指摘意味はよくわかりまするので、将来その内容等々については防衛長官にもあわせ報告しろ、どうせ防衛局長に報告がくるのですから、文書を持ってきて、それを防衛長官にも回す、これはもうさして繁雑なことじゃありませんので、そういうことで今後指図してまいりたいと思います。
  53. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、それで私いいですがね、いいと言いましても全部いいと言うわけじゃないので、少なくともいま局長の話では、文書で報告をするという感じじゃなかったですよ。口頭ですよ、口頭。いままで防衛局長でさえ口頭だったのだから、だから私は心配だと言っているわけです。その点もあわせて、局長はだいじょうぶですか。
  54. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これは私どもとしましては、統幕会議は十分に把握しておるつもりでありまして、日米会議の場合に原則として文書で討議しているようではないようでありますから、文書で御報告するというわけにはまいらないと思いますけれども、私に対する報告の中で重要なものがあれば、私ももちろんではありますけれども、統幕議長から直接長官に御報告するという制度を設けたほうがよろしかろうと思います。
  55. 峯山昭範

    峯山昭範君 いずれにしましても、そこの点はがっちりやってもらいたいと思いますし、またこの問題についてはあらためて何らかの機会にやりたいと思います。  それでは次の問題に移りたいと思います。大臣、かねがねから私たちはこの内閣委員会で何回か議論をしてまいりましたけれども、国防の基本方針というのがありますね。これについては大臣はいまどういうぐあいにお考えなのか、一ぺん大臣の基本的な考え方を初めにお伺いしておきたいと思います。
  56. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 国防の基本方針につきましては、私どもこれは自民党としましても、一体どうするべきかということを安保調査会という機関がございまして、検討したことがございます。それから中曽根防衛庁長官当時に、やはりこれをどう改めるべきかということについていろいろ研究をこれまたいたしたようであります。私たまたまそのとき安保調査会の副会長をやって、赤城さんが会長で私がその補佐役というようなかっこうでしたが、あれは昭和三十二年にできた相当古いものでありますが、基本方針としてはこれでいいのではないか。基本方針というものはそんなに絶えずぐらぐら変わるべきものでもないし、現在の状況から見ても基本方針というものはこれで行こうということを党側においては確認をいたしたわけであります。中曽根君はいろいろ発想力の旺盛な人ですから、当時国防五原則とかいろいろなことを言っておられますが、これまた、しかし従来の私どもの考え方とそんなに違った方向を成文化したものでもありません。したがって、今日国防の基本方針は防衛庁としてはこのままで行こう、そのことが四次防大綱に、国防の基本方針にのっとって防衛力を整備すると、こういう文言になってあらわれておるわけであります。したがって、日米安全保障条約というものもやはりこれを基調として四次防構想というものを練っていく、この主要項目等をきめていくと、そういう構想で現在進んでおるわけであります。よくこれは委員会で問題になるのでありまするが、安保条約を基調とするのか、安保条約は中曽根君当時に補完と言っておったがどうするのか、いろいろことばはございます。これはやはり私運用の面においては、いろいろ相対的な問題でありまして、アメリカの考え方もありましょうし、いろいろ変わるかと思いまするが、いまの日米安全保障体制、これを基調として進むという方向においては変わりはない、こういうふうに考えておるわけでありまして、国防の基本方針も当分はこの方向で行こうというわけでございます。
  57. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣の基本的な考え方はわかりました。大臣は、要するにいろいろあったけれども、国防の基本方針は変える方針ではない、変えないということですね。  そこで大臣、何でもきめるときには基準というのがありますね、少なくとも国内情勢とかあるいは国際情勢とか何だとかいろいろあります。そこで昭和三十二年の五月二十日にきめられたこの国防の基本方針というのは、この国防の基本方針を定めたいわゆるいろいろな情勢というのが私はあると思うのですよね。国防の基本方針は何を基準にして定めたものですか。
  58. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ここに国防の基本方針、いま持ってまいりましたが、当時の情勢、そして日本の置かれておる国際情勢等十分踏まえながら、将来の展望をこの方針の中に盛り込んだ、こうお考えをいただいていいと思います。まあいろいろこの極東の情勢等も変化はしておりまするが、御承知のとおり緊張というものは緩和したりまた緊張したり、波のようにこう繰り返しがありまして、一つの方向が出てくる。私ども米中会談あるいは今後の米ソの会談等をながめますると、極東の緊張が緩和のきざしを見せてきたと、確かにそういう感じがいたします。しかし、いまにわかに、そうかといってこの基本方針を変えるものではなかろうと、また、これが極東の平和という形で定着をしました場合には、もとより基本方針等についても改定をすることにやぶさかではありません。しかし、もともとがこの国防の基本方針なるものは簡単なものでありまするだけに、まあ基本方針がそんなに国際情勢の局部的な変化によって一喜一憂しながら文章を修正していかなければならぬものというふうには考えていないわけであります。しかし、たとえば四次防の主要項目等をきめていく上にどうするのかということになれば、基本方針にはのっとりますが、しかし現実的には、十分これから四年先の問題を考えるわけでありまするから、本年度を初年度とするわけですから四年先になるわけでありまするが、そういうことに情勢判断をしながら主要項目に反映させていく、こういうことはあろうと思います。しかし、基本方針はこれで通していくと、これは分けて考えておるわけでございます。
  59. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣の言われていることは全然わからないですね。大臣ね、ひとつもうちょっとわかりやすく言ってもらいたいんだがね。というのは、あなた、いろいろなことをおっしゃいましたけれども、国防の基本方針を定めるにあたってどういうことが、要するにまあ大臣は改めることもあると最後におっしゃいましたけれども、何らかのときに、どういうときに改めるのか。もっとわかりやすく言うと、あとのことはいいです、国防の基本方針を定める基準というのは、たとえば大臣、いまおっしゃったことはいろいろ書き取ってみますと、当時の情勢、また日本の置かれている位置、また極東情勢、いろいろおっしゃいました。一体何と何かですね、幾つ、どういうものが国防の基本方針を定める基準になるんですか。国際情勢のことは私は何にもまだ言ってないわけです。要するに国際情勢が変化しているとか、どうのこうのなんという議論は何にもしていないんですよ、私はね。要するに国防の基本方針を定める基本的な考え方、基本的なあり方、何と何が基準になって国防の基本方針というのは決定されたのか。しからばそれがどういうふうな事態になったときに国防の基本方針というものは改めるべきなのか。これはあとの段階ですがね。これはどうなんです。
  60. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 日本の置かれておる国際的な立場、これをきめました当時の情勢、それから将来にわたって、まあこれは将来展望といいますか、そういうことを踏まえながら、基本方針ですから、日本の今後の国防上の態度というものをきめたわけですね。ですから、この基本方針というものは現時点では変える必要はありません。しからばどういうときに変えるのか。それは、たとえば日米安保条約というものがわがほうはこれを堅持していこうということですが、その運用面において変化が生じてきたとか、あるいはもっといえば、極東の状況というものがきわめて平和になってきたというようなとき、あるいはもっと緊張したという場合、これはいろいろ両面ありましょう。そういうときにはまた変わるということもありましょうが、これを制定した時点と現在の時点において、そんなに日本の置かれておる国際的な立場というものが大変化があったというふうには考えておりません。こういうことを申し上げたわけであります。率直に申します。
  61. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうももう一つ、私、まだ明快じゃないように思うのですがね。大臣は、国防の基本方針を定めるにあたっての当時の国際情勢、国際的な立場、あるいは日本の将来の展望と、いろいろおっしゃいましたね。しかし、それじゃたとえば国内情勢は全然関係ないんですか。国内情勢については一言もおっしゃいませんでしたね、いま。
  62. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは私のことばが足りなかったと思いますが、もとより国民感情、それから日本の憲法、こういったものが基本になることは、これはもう申し上げるまでもございません。当然考慮の中に入れておるわけであります。まあそういうことで、防衛力を整備、充実していくときに、「国が国情に応じ」ということばを使っておるわけでありまして、これは私申し上げませんでしたが、当然なことというふうに考えておりましたので申し上げなかったわけでございます。
  63. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると、大臣のいままでおっしゃったことを整理いたしますと、要するに少なくとも当時の国際的な立場、日本の将来の展望、まあいろいろなことをおっしゃいましたね、これ。非常にこういうようなことばじゃ整理できないようなことばでおっしゃっていますけれども大臣はね。しかし、よく考えてみますと、大臣昭和三十二年当時と何ら変わってないという認識で話をしていらっしゃいますが、昭和三十二年当時と同じものなんて何かありますか、ほんとうに。たとえば国内情勢にしたって、国際的な情勢にしたって、また、極東の情勢にしたって、日本の将来の展望にしたって、もうみんな変わったじゃないですか。大臣は何も変わっていないと認識されているんですか。
  64. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 一々こまかい情勢というものは、これはもう一日、一日変化しております。これはもう御指摘のとおりです。しかし、当時の国連にわれわれは依存をし、国連憲章にのっとって国の防衛の基本方針というものを立てておるわけですが、その後、国連が著しく強化され、国連に十分たより切るというような環境が生まれたわけではございません。三十二年以来さして変わらない。日米安全保障条約というものも、これは議論は存するところでありまするが、私ども政府の見解としては、この日米安全保障条約というものをやはり基調にして日本防衛というものを考えていこう、これも変わりはない。いわゆる基本方針でありまするから、大筋において変わりはない。で、御指摘のように、国際的な環境、これは一日一日それこそ年とともに、月とともに、変化があることは申し上げるまでもないわけでありまするが、それに対処していく根本的な大変化というものはない。これはもちろん、アメリカが中国封じ込め政策をとっておったものが変わったとか、あるいは平和共存路線が東西間においても敷かれ、ますます親密の度合いを加えてきたとか、そういうことはありまするが、国連の評価、日米安全保障条約の評価、そういう面からまいりますると、変わらないということを申し上げておるわけでございます。
  65. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、私が先ほどから言っていることは、大臣が国防の基本方針を改めるときというのは、それじゃ現在の国連の状態が変わったとき、それから日米安保条約が何らかの形で変わったとき、こういうことですか。要するにそういうことなんですか。私が聞かんとしているのはそれを聞いているわけです、いま、初めから。ですから、もっと具体的に言ってください、もっと具体的に。
  66. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) わかりました。基本方針ですから、いまおあげになりました二点、これはやはり大事な点だと思います。それから極東の平和の情勢、これが定着した場合、まあこれは極端にけわしくなるということはいまの場面では想像できませんから、あえてそれを言う必要はないと思います。やはり平和を望む日本でありまするから、極東の安全、平和というものが定着してきた場合には、当然やはり今後手を加えなければならぬと、こう考えております。
  67. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃもうちょっと重ねてお伺いしておきますが、極東の平和が定着したときというのはどういうときですか。具体的に。
  68. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) なかなかむずかしい問題だと思います。今後まあどういうふうに安定がなされるか、ちょっといまここでこう言えと言われても困るわけでありまするが、たとえば中国と平和条約を締結し、非常に友好関係が深まり、また日本の置かれておる周辺の思想的な対立、国対国の争い、そういったものが緊張から緩和の方向に具体的に向かう、そういうような場面、アジア地域、特に極東の地域においてもう紛争などはにわかに起こらないぞという確信が持てる場面、まあそんなことがいろいろ想像されるわけでありまするが、具体的にどうと言われますると、ちょっとこれは想像の域を出ないと思います。
  69. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはやっぱり重要な問題でありますので、想像の域を出ないだけじゃやっぱり済まない問題でありまして、中国と平和条約を結んだときといまおっしゃいましたね。
  70. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いや、結んで、もっと平和関係が親密になり、友好関係が深まる……。
  71. 峯山昭範

    峯山昭範君 そんなこと、大臣、中国と平和条約を結んだときというならある程度わかりますけれども、中国と平和条約を結んで、いま大臣あとからおっしゃるように、それから親密になっていろんな貿易とかいろんなものが出てきてというような、それから先の話になってくると非常にわかりにくいですよね。また、周辺の思想的対立が緊張から緩和に向かったとき、こういう話がありました。やっぱりこういうふうな一つ一つの問題というのは、そういうようなときに結局は国防の基本方針を改正をする、私はこれは日本の内閣、政府自体が本気になってこの問題を解決しようとすれば、一発解決できる問題が多いわけですね。その点で私たち大臣の考えとやっぱりちょっと違います。少なくとも私たちは、この国防の基本方針というのは、大臣が初めに中曽根長官当時のことをおっしゃいましたけれども、少なくとも中曽根長官は現在でも自民党の有力な方ですね、少なくとも。その方が考えていらっしゃることというのは、少なくとも国防の基本方針というのはこれは改正すべきだと思うのですよね、私は。いま大臣がおっしゃるようなことを考えていると、国連がなかなかそうそう変わるわけはない、実際のところ。日米安保条約は私たちすぐやめてほしいですよ。基地の問題も一ぱいあります。沖繩の問題も一ぱいありますね。したがってこれやめてほしいですが、なかなかそういう考えはないのでしょう。また極東の平和が定着したときという大臣の考えのとおりだと、これは相当長い間変わらないと私は思うのですよ。そうしますと、大臣の考え方を逆にとりますと、現在の国防の基本方針というのは相当長い間変わらないと私は思うのですよ。そうじゃなくて、実際問題としてあなたの党の中にも、国防の基本方針というのは改めたほうがいいんじゃないかという話もあるわけですし、少なくとも国防の基本方針については私はもうちょっと真剣に考えるべきだと思う。少なくとも私たちがかねがねから主張しておりますように、国防の基本方針という中にはもうちょっとやっぱりわかりやすいことばを入れるべきだと私は思うのです。たとえばシビリアン・コントロールの問題もあります。それから先般の国会で議決されました、衆議院で議決されました非核三原則の問題もあります。大臣が、中曽根長官がかねがねから言っておりましたけれども、こういう問題は私は当然この国防の基本方針の中に入れるべきだと私は思うのです。大臣、それはいま国防の基本方針を変える意思はなくとも、少なくともこういうことをこの国防の基本方針の中に織り込んだほうが私はベターだと思うのですが、大臣どうですか。
  72. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私そうがんこなことを言っておるわけじゃなくて、基本方針というものは大体これでいいのではないか。これは簡単なものだからここで読んでみてもいいんですが、私も党で検討しまして、なかなかよくできておると思うのですよ。基本方針としてはやはりこれを堅持していくが、いまおっしゃるような政策は基本的な政策としてこれを用いていくということで私ちっとも矛盾しないと思うのです。ですから、中曽根君が当時基本方針を変えようとして果たさなかったということは、同君もやはりだんだん研究の結果これでいいんじゃないかという結論に到達したからそれをやり得なかったというふうに考えます。これは党側は同調しないということを当時防衛長官に言うた記憶がございます。いま私もいろいろたとえ話を申し上げましたが、このたとえ話が全体じゃないので、これは峯山さんも御指摘になるように、今後防衛庁はもとより私ども政府当事者にとっては、やはり十分検討をし研究をしていく。これが金科玉条であるなどとは夢にも思っておりません。  しかし、前文は省略しましても、第一番の「国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。」これはやっぱりそう変わってないと思いますね。  二番目の「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」これもそれじゃどこを変えるかというと問題があろうかと思います。これで相当尽くしておるように思います。  それから三番目の、先ほども申し上げました「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」これは運営面においていろいろ手かげんをするということもあり得る。四次防段階においても私どもはそういうことは考えますということをさっきも申し上げておりますし、久保防衛局長はいろいろ論説などをなして検討も加えておるようであります。  それから四番目の「外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」これも日米安全保障条約をはずしていいということになりますと、それこそこれは峯山さんなどが御指摘なさるのとは反対の方向に、日本はもっと自主防衛に徹して、武装についても強化しなければならぬ、平和外交の推進はもとよりであるが、防衛力はこれでいいかというまた逆な議論も出てくるというわけですから、この段階では日米安保条約を基調としていく、いやこれを補完とすべきだ、どうだというわけで、これはいろいろ議論の出るところでありまするが、補完とするのか基調とするのか、われわれは基調として考えていくが、補完的な運用というようなことに米側も求めてくるかもしれません。これは相対的な問題ですから、今後の方向は変わることもあり得る。しかし私基本方針としては、いま読み上げたりしてたいへん失礼でありましたが、さして変える必要があるというふうには考えません。
  73. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣大臣がいま読み上げたところは確かに一項目から四項目ありますね。確かにこのままでいいところもありますよ、確かに。いいところもありますが、やっぱり三項目目は問題だと私は思うのですよ。「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」結局、これはもうとりようによっては際限がない自衛隊の強化につながるわけです、結局は。それはいろんなことをおっしゃってはおりますけれども、私はこういうような問題もやっぱり問題であると思うんですよ。「国力国情に応じ」と言ったって、いろいろなことが考えられますよ。前々からこの問題については相当議論がありましたので私はもうこれ以上は言いませんけれども、いずれにしてもこれだけでは私は不十分だと思うのです。少なくともこういうふうな基本方針がありながら、現実にいろんな問題が起きているわけですね。しかるにこういうふうなこれだけの基本方針、またその前文のほうにも問題があります、やっぱり。議論を尽くさなければいけないそれぞれ問題がありますし、その間接侵略、直接侵略に対しましても、どれだけ日本の自衛隊がそれを防ぐことができるか、要するに自衛隊の能力といいますか、そういうような問題もはっきりしない現状ですよ。少なくともこの基本方針という問題についてはもっとやっぱり現在の実情に即した考え方をしなきゃいけないんじゃないか、そういう考え方にどうしても立つわけです。そうしますと、やはり先ほどの日米安全保障協議委員会のあの先ほどの軍事研究会同というのがありましたね、ああいうような問題ともからみ合わせて考えてみますと、やっぱり前々から問題になっておりますシビリアン・コントロールという問題についてはもっと本気で考えないといけないんじゃないか。そういうような問題は、やはり国防の基本方針の中にきちっと入っておれば、少なくとも何をやる場合でもそれが念頭に出てくると思うんですね。何も国防の基本方針をどうこうしたからどうということはないと私は思うんですけれども、少なくとも基本的なところにはやっぱりきちっと入れておくべきだ。昭和三十二年当時は、少なくともそういう問題は大きく取り上げて問題になってなかったと私は思うんです。少なくとも現在の時点で考えますと、そういうような問題はこれは大きな重要な問題だと思うんですよ。そういうふうな意味からも、少なくともこの問題についてはやっぱり真剣に考えてもらいたいと思うんですがね、大臣
  74. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御指摘意味はよくわかります。しかし、この第三項でも「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、」と、ここが重要なところでして、われわれもほんとうにこれは党で真剣に検討したんですから。中曽根長官は変えるというし、党側は変えないという結論だもんですから、そこでやっぱりこれは、当時いろいろ——一言一句検討してみるとなかなかよくできておるぞと、要するに際限なく自衛力というものに名をかりて膨張させていくということではなくて、「必要な限度において」——ここはシビルコントロールをするという意味ですね。シビルがやっぱりそれをチェックしていくんだということを意味しておるわけでありまして、十分そういう点については配慮をしてまいるつもりでおります。また峯山さんが御指摘になる面は、防衛政策として非核三原則をはじめ強力に推進する基本的なものの考え方、基本的な政策としてこれを推進すると、こういう考え方で、この基本方針と基本的な政策の問題とは区別していいのではなかろうかというふうに考えまするが、しかしおっしゃる意味はよくわかりまするので、今後防衛庁としてのものの考え方等は国民にわかりやすく説明をしてまいりたいと思います。それがいわゆる防衛白書でありまして、防衛白書というものに、できれば毎年日本防衛のものの考え方等について具体的に述べていくということで、いま御心配される点は解決するのではなかろうかというふうに思います。何も私、基本方針を絶対変えないというわけではありませんが、基本方針はそんなに間違ったことを言っていないし、いま繰り返し見てみましても、そう基本方針としては変わらない。現状分析または国防の方向、政策、こういうものは防衛白書等においてよく国民にわかるように説明をしてまいることにいたしたいと思います。
  75. 峯山昭範

    峯山昭範君 議論やってもしかたがありませんので、少なくとも「必要な限度」とはいいましても、大臣ね、だれが必要な、どこまでが必要であってどこまでが必要でないのか、そこの、これはやっぱり相当問題があると思うんですね。ですから私はもうそれ以上言いませんけれども、いずれにしても私たちは問題にしているわけです。  それで、大臣はいま——私これで一応午前中の質問を終わろうと思ったんですけれども大臣が口がすべりましたので私言いますけれども防衛白書の問題です。これは大臣は、防衛庁の考えは防衛白書に発表すると、当然そうあるべきだと私は思うのです。かねがねから私たちはそう主張しているわけです。ところが防衛白書というのはなかなか出ないんですよ。これは昭和四十五年に出てからまだ出てないですよ。その四十五年に出たのも、これは中曽根長官のときに出したのです。その前の有田長官の時代から言っていましたよ。ところが有田長官から中曽根長官にかわったとたんに防衛白書を全部つくり直したでしょう。一たんできたやつを全部つくり直してまた出したんですよ。そういうふうな、大臣がかわると防衛白書も変わると、そういうようなのがいままでの実態じゃないですか。また、大臣いま、少なくとも昭和四十六年度は出ていないと言いました。昭和四十七年ですよ。——それまでもたった一回しか出たことないんです。ですからこういうふうな考え方というのは、いま大臣がおっしゃったように、少なくとも防衛白書というのは毎年きまったときに少なくともその一年間の防衛の問題についてきちっと出すようにしてもらいたいと思うのですが、大臣どうですか。
  76. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私、これは毎年出していくことが望ましいと考えております。ただし、まあ毎年ということになりますと実際問題としてなかなか作業も相当骨が折れるようです。それはいいかげんなおざなりのものを出すというのであればともかく、やはりどこから見ても、防衛庁としては責任を持ち、しかも国民に納得できる説明をするということになりますと、やはり相当な作業も要りましょう。しかし私はそういうことを克服してでも、やはり年に一回出していくのがほんとうだと思います。しかし、せめて、年に一回出なければ二年に一ぺんぐらいはどうしても出さなければならぬということで防衛局長とも合意しまして、現在防衛局において準備をさせております。私の長官のうちに出ますか、あるいはやめてからになるか、こいつはちょっと約束できませんが、とにもかくにもそういう方向で進もうということを言っておるわけであります。  それから、長官がかわるたびにいろいろ変わるではないか、御指摘のとおりだと思いますが、基本は変わらないと思うんです。基本方針というものはそう変えるものではない。中曽根君もあの当時いろいろ考えられたようですが、われわれ党側の意見が通ったというわけでありまして、やはりそういう点については慎重にひとつ今後も処してまいりたいと思います。
  77. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時三十八分開会
  78. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のあるお方は順次発言を願います。
  79. 峯山昭範

    峯山昭範君 それでは午前中に引き続きまして質問いたしたいと思います。  初めに、国防会議の問題についてお伺いしたいのでありますが、先般来より新聞報道等に国防会議の問題が二、三報じられておりますが、それによりますと、国防会議の構成の問題あるいは諮問機関の問題等が出ておりますが、そこら辺の詳細について初めにお伺いしたいと思います。
  80. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは私からお答えするのは必ずしも適当でないように思いますが、国防会議はまあ首相の諮問機関という形でありまするので、したがって官房長官から構想等については具体的に申し上げるということのほうが妥当だと思いまするが、まあその後いろいろ協議はされておるようであります。しかし、さて結論的にどうするかということについては、私どももまだ聞いておりません。たとえば従来オブザーバーであった通産大臣を正規のメンバーに入れるとか、科学技術庁長官をやはり正規メンバーにする、あるいは国家公安委員長といったようなのを入れるかどうか、まあそういうような点をいろいろ名称をあげて考慮をしておるということは聞いておりまするが、具体的にどうするかという結論にはまだ至っておりません。それに、もとよりそういう話がある程度具体化すれば当然私にも相談があろうかと思っておるわけでありまするが、何もそういう話を聞かないところをみると、まだきまっちゃいないのではないか。それから、国防会議事務局長というものの格を、これは役所の組織としてもう少し格上げをするかといったような話も議せられておるようであります。それらについては、最近の情勢等には官房長官からお答えしてもらうことにしたいと思います。
  81. 峯山昭範

    峯山昭範君 官房長官来てないでしょう。
  82. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 三時半から来る予定です。
  83. 峯山昭範

    峯山昭範君 実は大臣、きょうは官房長官は来ないであろうということを予想しまして、それで大臣が答えにくい点もあるだろうから、事務当局でちゃん答えられるように調査しておいてくれと、そういうようにきのうは言うてますよ。
  84. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それは失礼しました。恐縮です。
  85. 峯山昭範

    峯山昭範君 ですからおたくのほうの事務局のほうで答えられるように——ですから、何もわかっていないということじゃ困るな。
  86. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いま私がお答え申し上げました以上のことはわれわれ防衛庁側としてはお答えできないわけでございまして、それ以上のことは後刻官房長官が出てまいりましてからお答えさしていただくということで御了承をお願いしたいと思います。
  87. 峯山昭範

    峯山昭範君 それならそれでけっこうですけどね。  もう一ぺんひとつお伺いしておきたいことがあるんですが、国防会議の問題について、これも前の、昭和四十三年当時の防衛庁長官でありました増田長官が、これは参議院の私たちのこの内閣委員会でこういうことを言っているんですね、アメリカの国家安全保障会議のことも、従来とも私たちは研究している。私は国防会議設置法というような法律を単独立法としてつくる必要性があると考えている。なお、その国防会議は、防衛庁、自衛隊のみならず、もっと高い見地に立って日本の国防関係を審議、策定すべき機関であると、こういうようなことを参議院の委員会でやっぱり同じように答えておるわけですがね。この問題は私たちもかねがねから国防会議設置の問題については種々主張いたしておるわけでありますが、防衛庁長官は国防会議の構成メンバーの一人として、長官としてはどういうぐあいにお考えなのか、そういう点をお伺いします。
  88. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私はやはりたてまえとしては、単独立法で権威づけるということは望ましいと思います。また当時、防衛庁設置され、自衛隊設置法等々もでき上がりまして、それから急速に、国防会議は一体のものであるからということで、ああいうことで法案準備がなされたもののようでありまするが、あのとき、私ちょうど野党でございまして、鳩山内閣にいろいろ質疑をした立場でございます。その当時の記憶をたどってみまするとあの国防会議の法案が参議院で流れまして、流れたことによって、当時の杉原防衛庁長官はやめておられます。それはやはりこの国防会議法案というものが、現在のような仕組みにはなっておりますが、内容自体は非常に重要なものであるということを意味しておる、これはその経緯を考えても明らかでありまして、たてまえとしてはやはり独立させることが望ましいというふうに思います。
  89. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、現在のこの自衛隊法の中に入っておりますところの国防会議の項目は、要するに単独立法のほうがいいというのが大臣の考えなんですね、これはどうですか。
  90. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 現在これで事は処理できるわけでありまするが、より望ましい、より権威づけるというならば、そういう方向に持っていくこともあっていいのではないか、考慮の余地は大いにある、こういうふうに思います。
  91. 峯山昭範

    峯山昭範君 国防会議の問題については、いずれにしましてもこれは重要な問題でありますし、当然私たちもかねがねからこの国防会議の問題については、防衛庁設置法から省いて単独立法にすべきであるという主張はいたしてまいりましたけれども、当然官房長官今度お見えになったときにあらためてその問題についてはその実情等をお伺いしたいと思います。いずれにしましても、この防衛問題論争のときに、この国防会議の問題が防衛庁長官だけではできないというのはどうも不合理な感じもするわけですね。しかし、だからといって、国防会議そのものの問題もありますので、これは当然分離してやったほうがいいと私たちも考えておりますし、その点は大臣の主張のとおりでありまするので、あらためて質問したいと思います。  それじゃ、次に四次防の問題についてお伺いしたいと思うのでありますが、先般四次防の問題について二、三新聞報道等もなされておりましたけれども、四次防についてはどういうぐあいになっておるのか、その現状をちょっとお聞かせいただけませんか。
  92. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 四次防につきましては、大綱を御承知のとおり決定をいたしまして、主要項目の策定については、事務当局としてはそれぞれ準備はいたしておりまするものの、経済の見通しと相まって、主要項目の数字の当てはめ等々はきめよう、こういうことで今日に至っておるわけであります。したがいましてまだ具体的に成案を得るというところまでは防衛庁としてもいっておりません。したがいまして、今後国会でも終わります段階に、防衛局長等とも少し手があきますれば旺盛にこの事務を進めるということになろうかと思います。ただ目標としては大体夏過ぎ、八月末ごろ、こういうことを言っております。したがって、はたして内閣がどういうことになりますかはまだ明らかにされておりませんが、今内閣の手によって決着をつけるか、あるいはどういうことになるかということ等についてもまだ検討をいたしておりません。ただ私率直に言えますことは、もし、もしですね、佐藤首相の任期は、まだ、私ども自民党のたてまえからいいまするならば、総裁としての任期はあるわけであります。したがっていつおやめになるかということは明らかにされておりませんが、巷間伝えるような形になっていく場合どうするかということは、いずれにしろそういうことが明らかになった段階で、国防会議議員メンバーがどうするのかということを協議してきめていくということになろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
  93. 峯山昭範

    峯山昭範君 この四次防の問題ぐらいもめたことはないと私は思うんですね。すでに前の中曽根長官が四次防の大綱、また内容についても相当詳細に発表いたしましたですね。あれはどうなったんですか、あの関係は。
  94. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) あの関係は、早く発表いたしましたので物議をかもし、私どもも苦労をいたしておるわけでありまして、あまり早く発表すべきではなかったというふうに思っております。まあそればかりか、今日の段階になりまするというと、当委員会でも申し上げておりまするように、一応白紙還元をした、こういうことでございます。
  95. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは白紙ということでけっこうですけれどもね。  そこで、いま大臣から話がございましたように、この二月の、本年の二月七日に四次防の大綱が、これはあの国防会議できめられて、その後閣議決定されたということを私たちは聞いておるわけですがね。これについては、この基本的な考え方についてはどうなっているんですかね。
  96. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) もとよりこの第四次防衛力整備五ヵ年計画の大綱、これは国防会議の議を経てきめたものでありまするから、この線に沿って今後主要項目をきめ、経費を当てはめるという態度で、これに変更を加えるというような意思は現在ではございません。
  97. 峯山昭範

    峯山昭範君 先ほどから私は午前中に国防の基本方針というのをずいぶんやりましたけれども大臣も二月七日の国防会議には出ておられたと私は思うんですけれども、この国防会議ではどういうことが話題になりましたですか。
  98. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いろんな角度からこの大綱について話し合いがございました。特に国防の基本ですね、午前中いろいろ議論のあったところでありまするが、わが国の国防は「国防の基本方針」、すなわち「(昭和三十二年五月二十日閣議決定)にのっとり、近隣諸国との友好協力関係を確立し、国際緊張の緩和を図る等の外交施策と、経済的、社会的発展を図るに必要な内政諸施策とを講じるとともに、日米安全保障体制を基調として、」、この「基調として」という、これも国防の基本方針にのっとるわけでありまするが、こういうものの考え方等につきまして、いろんな角度から、かつて防衛庁長官等が日米安保条約日本の国防を補完するとか、いろんな表現を使っております。そこで運用上の問題はともかくとして、もちろん自分の国は自分で守るということが理想的ですが、世界の情勢からいって、自分の国だけでその国を守る能力のある国というものはそんなにあるものではございません。したがって、共同防衛ということはちっともおかしくないじゃないかとか、このとおりでいいではないかとか、それからまた三次防とこの四次防の大綱というものはやや似ておるが、似ておるということ自体に意義があるんだ、それは三次防の延長路線の五ヵ年間ということで、足りないものを補備充実したり、武装を改更していくものは改めていくというような議論をしたわけでございます。
  99. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣ね、私は、大臣がいまはしなくもおっしゃいましたけれども、四次防の大綱は三次防に似ておると、大臣読まれましたね、いま。国防の基本ということを読まれましたですね。これは三次防の文言と一字一句も違わないんですね。要するに、点やかっこのつけ方も同じでしたわね。こんな考え方というのは私はないと思うんですよ。なぜかといいますと、いま大臣説明しました中に、大きく分けて三つあると思うんですね。一つは「近隣諸国との友好協力関係」、それからもう一つは「国際緊張の緩和を図る等の外交施策」、それからもう一つは「経済的、社会的発展を図るに必要な内政諸施策」、これは午前中にもやりましたけど、少なくともこの三つがこの中に書かれているわけですよ。そういう問題が、それ以外にもまだありますよ、ありますけれども、少なくともこの三つはこの中に入っておるわけです。この三つが昭和四十一年の三次防当時とまるっきり変わってないということは私ないと思うんです。まるっきり同じでというんじゃなくて、少なくとももう少し私は国防会議というのは議論をしていいんじゃないか、もう少し議論をして——そこだけ一字一句も違わないんじゃない、それ以外のところも、要するに三次防でいいますと 一般方針の中で四項目がなくなって沖繩が加わっただけですよ。そうすると、国防会議で決定された三次防の整備大綱というのと四次防の整備大綱というのは同じですね、これ。こんなのじゃ私は実際問題として、国際情勢のとらえ方にしたって何にしたって、やっぱりちょっとおかしいんじゃないかと、そう思うんですが、そこら辺のところはどうなんですかね。
  100. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 先ほども申し上げましたように、やはり三次防の大綱と四次防の大綱が似ておるというところが非常にに重要だという見地でいろいろ話し合いが進められたわけです。それはどういうことかと申しますると、いまの自衛隊というものはまだ段階的に充実をしていくときでありまして、その国際情勢の著しい変化、これに私ども目をおおうものではもちろんございません。しかし、国際情勢が、特に極東の情勢が平和の形で定着したとはいいながら、やはり大綱としては自衛隊の充実をまだ前進させるべきである、こういう考え方に立ってこの大綱をきめたわけであります。で、もとよりこまかい数字を当てはめてまいりますときに、大綱がこうであるから国際情勢も何もかも無視して思うようにやるのか、そういう意味を申し上げておるのではありません。ただ方向としては、やはりこの充実段階であるから、自衛隊というものの装備を、改めるものは改め、また足りないものはこれを補充するというような形でいこう、三次防の考え方と四次防の考え方はあまり変わらないということをこれにあらわしたわけでありまして、三次防と同じであるから困るというていのことはないと思います。事こまかい内容に触れれば、いまお説のように沖繩の問題とかいろいろありまするが、技術の研究開発といったような面だとか、それから航空自衛隊の点等についても多少具体的に触れる面もあるというわけです。しかしもとよりいま申し上げておるような考え方に立ってこの四次防を策定しようというわけでありまするから、同じにならざるを得なかったというふうに御了解を願いたいのでございます。
  101. 峯山昭範

    峯山昭範君 私は、大臣ね、やはり国防会議、あるいはその国防会議に四次防をはかってないということで相当もめた関係等もあって、要するに内容の検討があまりなされてないじゃないか、要するにあわててこれをきめたんじゃないか。要するに三次防と同じように、大臣はいま技術研究開発の問題が具体的に入ったなんておっしゃっていましたけれども、前のと同じですよ。前の、前文の中に入っている。技術研究開発の面、一項目からずっとなっていますよ。ところが大臣がいまおっしゃったやつは前文の中にちゃんと入っている、同じことばが。ですから私一字一字チェックしてどこが違っておるかちゃんと書いている。何も字数がどうのこうのという問題じゃありませんけれども内容的にやはりもうちょっと突っ込んで国防会議というところは議論をすべきじゃないか。国防の基本という問題についても、国防の基本方針はそれは大臣午前中おっしゃったように変わらないでしょう。これはやはりよほどのことがないと変えることはできないでしょう。しかしながら、この防衛力整備計画は少なくとも四年なり五年なりの長期間を見通して策定するものですね。そういう点から考えますと、やはりこの四十一年当時、三次防を決定したときには国際情勢としても、大臣も御存じのとおり、少なくとも中国自身が国連に加盟してもいなかった。台湾の状態だってだいぶ変わってくる、これから先変わってくるであろうことももうはっきりとしていますね。またソ連の状態だって、北方領土の問題だって多少変わってきています。流動的です。そういうふうないろいろな情勢を見越して、やはりもう少し議論を尽くしたような、要するにこの国防の基本というもの、もう少し含蓄のある個々の国防の基本というものが必要じゃないか。実際問題私もいろいろな文章何回か読んだことがございますけれども、一字一句も違わないこんな国防の基本なんておかしいと思うのですよ。やっぱりね、どう考えたってつけ焼き刃的にあわててやったのではないかということを勘ぐられてもしかたがないような感じがするわけです。そういう点では、もう少し国防の基本方針というその具体的な問題が前にありますけれども、その問題はもう私も午前中いろいろ議論をやって、これはどうしようもないという話もありましたので、それはやむを得ませんけれどもね。少なくとも国防のこういうふうな四次防——三次防、四次防が続いてあるわけですが、そういう問題のときにはもう少し議論を尽くしてもいいのではないか。いまさらこれを変えることはできないでしょうけれども、議論を尽くしてもいいのではないかという感じがするのですが、大臣どうですか。
  102. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御指摘意味はよくわかりますが、これは相当やはり議論はあったわけです。ということは、いま疑問を差しはさまれるように、確かにいかにも似ておるではないかというこのあたりから、技術の開発なんかは項目はありましても内容は多少違います、これは。ですからそういう面についても各論にわたって検討はいたしましたが、やはり基本方針が変わらない。それから、先ほど申し上げたように、自衛隊がまだ整備の段階である。したがって、これは国際情勢等々を踏まえながら、だからどうする、こうするということにはならないのではないか。それならこれでいこう。これはかっての防衛庁の、当時の中曽根試案、これに比べますると大きな変化でありまして、あの当時はこの防衛計画のことを新防衛力整備計画というような名称で、第何次防ということばすらきらっておった。そして十年を視点にして、いろいろ情勢分析を前文に出して、そしてあの内容をきめておった、こういうことからあれが白紙に戻ったという意味を強調する点も多少あったと思います。それが似通った一つの事情であることもこれは率直に認めたほうがいいと思いまするが、あの防衛庁試案なるものを出したことによって、いろいろ世間にも軍国主義方向をたどるのではないかとか、いろいろな疑義を生んだことも事実でありますので、そこで、そういう意思のないことをはっきりするためにはかえって三次防と同じような表現がよかろう、そういう議論もあったことも事実であります。事実でありまするが、これは同じ形になるべくしてなったのであって、その点はひとつ御了解を願っておきたいと思います。
  103. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣のおっしゃる意味もわからぬではないんですが、少なくとも私たちの目に触れるところは、何ら議論をしなくて、三次防からそのまま同じことをぽんと持ってきてつけたという感じしかしないわけです。それじゃやっぱり国防の基本方針みたいな、何というか、三次防、四次防というようなことを続いてやる、相当重要な計画ですから、こういうものの国防の基本というものはやっぱり議論を尽くしたら尽くしたというそ内容というものが多少なりともこういうふうな文言の中ににじみ出る、そういうふうなものだと思っておったわけです、実際問題。だから大臣がおっしゃるように、これは変わらないものだから前と同じでいいんだと言うんじゃ、これはどうしようもないんで、やっぱり私たちとしては、こういうような問題については、国外の情勢も変わっているわけですし、国内の情勢も変わってきているわけです。変わらないという見方もあるかもしれませんけれども、少なくとも表面にあらわれた点は変わってきているわけですから、そういう点はやっぱり、大臣が国防会議を招集してやっていらっしゃるわけじゃありませんけれども、やっぱり主管の大臣としては、そういう点にも気を配ってがっちりやってもらいたい、そういうぐあいに思うわけです。それで、さらに、中曽根構想が全部白紙ということは、中曽根さんが言ったことは全部白紙なのかどうかちょっとわかりませんが、四次防の戦略構想について、当時中曽根長官は相当いろんなことをおっしゃっておりました。特に六十五国会の議論によりますと、三次防までのいわゆる戦略構想というのは、いわゆる通常兵器による局地戦構想というのをさらに狭めた限定局地戦構想というのを私たち何回かお伺いしたわけでありますが、そこら辺のところについては、これも白紙なのか、または基本的にはそういう考え方が生きているのか。防衛力整備計画の基本的な問題でありますので、この点についてはどうお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  104. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは防衛力の整備方針という二項に方向づけをしておるわけでありまするが、前の段階と今度とどう変わったか、これは防衛局長が当時から関連して作業をしておりまするので、本人からも答えたいと言っておりますし、ちょっと詳しくお聞きを願いたいと思います。
  105. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 二次防のときに通常兵器による局地戦事態ということばを初めて使いました。そのときには、日本防衛対象を局地化といいますか、限定したということで、当時は評判よかったと思いますが、その後国際情勢の推移、それから情勢の分析、それに対応する防衛庁内部の検討などを見てみますると、通常兵器による局地戦といっても、その全体をやはり対象にしているのでは必ずしもない。やはり戦後の趨勢にかんがみてある程度限定された態様を考えているということでありますので、防衛庁原案の中では、通常の兵器による局地戦をさらに限定したということにいたしたわけであります。ただ、これを特に持ち出した意味合いは、当時、昨年の以前からでもありますが、昨年の委員会、各種の委員会防衛力の限界という質問がずいぶん出ました。防衛力の限界というものはこれは相対的なものでありますので具体的な数字は出せませんけれども、長期目標というものを設定をして、それに向かって防衛力を整備をしていくということぐらいは考えるべきではなかろうかというふうに考えたわけでありますが、そうしますと、長期目標を出すためには、どういう事態に対処するのかということをやはり考えなければいけません。そこで、限定的な局地戦、局地戦の中でも限定されたものを持ち出さないと長期目標の数字が出てこないという意味合いで、防衛庁原案の場合には限定ということばを使ったわけであります。そこで、今回の四次防でどうするかという問題はいまのところペンディングになっておるわけでありますが、ただ四次防の内部では、長官もいま申されましたように、まだ段階的な整備の途中でありますので、つまり長期目標を達成したということにはなりませんので、限定したということが、限定局地戦ということは必ずしも深い意味合いを持ってまいりません、これは兵力量との関係で申しますると。しかし、四次防の対象とするところは何であるかということを聞かれた場合には、やはり限定的な局地戦ということを答えるのがいいのではなかろうかというふうに私は思っておりますが、四次防策定の過程で、庁内、長官以下のところで十分審議していただきたいと思っているわけでございます。
  106. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、もう一点この問題で確認しておきたいんですが、四次防の問題は、大臣の先ほどからの答弁を聞いておりますと、この整備五ヵ年計画等の大綱等から言いましても、これは三次防の延長であるというように聞いているわけですけれども、しかし実際問題としては、私も先ほどから何回か申し上げておりますように、これは内外の情勢は相当変わってきておると、私たちはそう見ておるわけです。大臣は、そういうふうな内外の情勢は変わってきているけれども、要するにその四次防の内容を変えられるには至っていない。要するにあまり変わらないと同じだと。だから三次防の延長と考えていいのだ、そういうぐあいに、そこら辺のところの関係性はどういうぐあいにお考えなんでしょうか、それをちょっと一ぺんお伺いしておきたい。
  107. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは大事な点だと思います。要するに中曽根構想というものがなされたときは、いわゆるアメリカの中国封じ込め時代、同じ場面でもだいぶん雰囲気が違っておったと思うのです。ベトナムは今日一時的にああいう形で戦闘が激化しておりまするが、これもニクソン・ドクトリン等によってアジア地域の自力に待つところも多いが、アメリカのオーバー・コミットメントと思われる情勢を緩和していく、またアジア地域からの兵員量も地上兵力においては削減する、こういったことがまだそんなに具体化しておらぬときの一つの中曽根試案であったというふうに思います。それが今日の段階では、いま峯山さんが言われるように変わってきた。変わってきたことにおいて、中曽根試案というものは、これは少し防衛力整備計画とはいいながら、過剰ぎみで、これはもっと減らしていいのではないか、こういう考慮が政府側としては当然なされたわけです。その結果が、三次防の延長線上に四次防を置いていいのではないかということで、このいまお示しの大綱になった。ですからいま疑問を差しはさまれるような点は、そういうことも踏まえながら、また日本の経済的な伸びのスローダウンということを考えながら、諸般の情勢によってこういう変化を遂げてきたのであるというふうに申し上げれば、御理解いただくのにやすいかというふうに思います。
  108. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の質問は、通告しておきました問題はたくさんありますけれども、同僚議員の時間がございますので、とりあえずきょうの質問はこれで終わります。
  109. 中村利次

    ○中村利次君 最近だいぶ新しい防衛上の提言がされている、問題提起がされているわけですけれども、たとえば久保防衛局長論文による有事駐留論ですか、あるいは四次防だけでは不十分であって、五次防も必要性があるんだという御意見だとか、あるいは北方領土が返ってきた場合にここには自衛隊の駐留はしないんだとか、いろいろ新しい問題提起がされておるようでありますけれども、有事駐留論は、元来これは民社党が家元だと思っていたんですけれども久保防衛局長が問題提起をされたと、これは大体内容は、しんになるところは簡単にどういうことなんです。
  110. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 私が求めに応じて書きましたものは、そのまず立論といたしまして、政府は日米安保条約を堅持すると申しておるわけでありますが、その理論的な解明が必ずしも十分ではないんではなかったろうかという問題が一つ。それから、最近アメリカの内部で、米側から日米安保条約を廃棄すべきではないかという意見が相当に出つつあるというような事柄。それから防衛問題につきましては、二次大戦後アメリカの大きな政策が変わりますると、それが唯一絶対の政策であるがごとくに日本で受け取られて、われわれはすぐにそれへの方向に従ってものを考えるというくせがついている。いうならばアメリカの政策のあと追いをしているという感じがあります。むしろアメリカの政策というものも常に変わりやすいものであるので、将来のいろんな態様を予想して、あらかじめ具体的な問題として検討をしておくべきではないか。問題の先取りをむしろすべきではなかろうかというふうな発想に立ったわけであります。そこで、日米安保条約ができましたのが、もちろん一九五〇年でありますか、五二年でありますか——のころの国際情勢を反映したものであるけれども、その後六〇年代、七〇年代とやはり国際情勢が変わっておる。その今日における日米安保条約の意義は何であるか。その場合の日本にとって、アメリカにとってのプラス・マイナスは何であるか。総合トータルをしてみると両方にとってプラスになるんではないかというのが結論であります。その中で日米安保条約を維持するんでありますけれども、いまのままで維持していいのかどうか。将来の問題としては、いろんな性格の変更その他も考えるべきではないかというふうな観点から申し述べたものであります。
  111. 中村利次

    ○中村利次君 まあ、賛否は別にしまして、一つの私は提言だと思うのですよ。どうも国会における政府答弁は、これは何もにくまれ口をたたくわけではありませんけれども、とにかく本会議なり委員会を乗り切りさえすればいいんだという、そしてそこでいかにももっともらしいことを言って、次にはどんどんとやはり答弁そのものも変わっていくという性格を持っていまして、ほんとうにこれはつまらぬものだと思いますけれども、やはり私は反対があり、問題があっても、正直にすぱっとこう——特に国防、防衛問題なんというのは、これは非常に国民にとっても大事なことなんですから、ずばりとしたことを提言をし、あるいは答弁としても言ってほしいと思うのですが、そうしますと、やはり国際情勢の変化なり、あるいは日米安保条約を現情勢下において、あるいは将来展望として見直しの必要があるというような意味も含めて有事駐留制をお考えになったということですか。
  112. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 国会で答弁をいたします場合には、私は政府委員でありますので、政府のことを申すほかしかたがないのでありますが、その論文だけのことを申されるならば、いま直ちにどうこうということはこれは適当ではない。いろいろな関係がありますので……。しかし、先ほども申し上げたように、いろいろな情勢が変わっておるときに、日本側があわてふためくのではよろしくない。したがいましていつが適当であるか、それはいろいろな条件が成熟しないといけませんですが、そういった条件の成熟と相まって見直しをする、検討をするということは含めているつもりであります。
  113. 中村利次

    ○中村利次君 そうしますと、これは基本的な問題が一つあると思いますね、いまおっしゃったように。それにやはりニクソン・ドクトリンの関連もあり、あるいは四次防だけでは十分ではなくて、五次防の必要があるんだということも全部これはやはりからめた考え方だというぐあいに受け取っていいですか。
  114. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 日米安保条約のみならずでありますが、国際の情勢というものは相当変革しつつある。そこで、それに対応した防衛力整備計画を考えるべきであろうというふうに私は思います。そこで、日米安保体制もやはりその一環でありますので、四次防あるいは五次防、もしくは非常に大きな変革がなければその将来にわたっての見通しを含めて、日米安保体制、防衛力整備あるいはそれらが国際情勢にマッチしたものであるべきだというやはり総合的なものの考え方の一部であります。
  115. 中村利次

    ○中村利次君 だいぶ政府委員としての答弁は言いづらそうにお見受けをしますけれどもね、これはやはり日米安保条約が現時点あるいは今後将来展望としていかにあるべきかということは、私どもは非常にこれは大事だと思うのですよ。おっしゃるとおり、これは先取りをしていかなければいけないんであって、私は、やはり国民合意の上に日米安保条約をどういうぐあいに見直しをしていくべきなのか、その中での日本防衛はどうあるべきかということは、これはやはり先取り的に、いままでの、何というのですか、発想の転換を主体にやられていかなければならないと思うのですけれども、そうしますと、有事駐留ということを前提として考えますと、やはり有事駐留、日米安保体制のもとでは、日本防衛力はまだ不十分であるとお考えですか。
  116. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 四次防につきましては、三次防の延長といたしまして現有の兵力を中心にしながら装備の更新、改善をはかっていくというのが中心的な思想になります。そういたしますると、基本的な防衛力、最小限の自衛力という観点に立ちましても、四次防段階ではまだ不足の機能が少なからず残ります。そういったものについては、将来さらに情勢が許せば、これを整備していくというのが現在の立場であります。
  117. 中村利次

    ○中村利次君 ということは、兵員上の問題ですか、それとも装備ですか。
  118. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 人員につきましては、これは陸上自衛隊については将来もおそらく変わることはなかろうと思いますけれども、海上と航空につきましては、若干の部隊、装備の増強ということを予想されますので、これは人員増を伴います。  しかしながら、われわれ人員の整備について検討いたしておりまするけれども、今後さらに募集状況が非常に困難になっていく。青年層の人員が減ってまいり、五十年代初期になってようやく横ばいということのようでありますが、そういうことを前提にいたしますると、人はなるべくふやさないような方向で防衛力の整備を考えてまいりたい、これが基本であります。
  119. 中村利次

    ○中村利次君 そうすると、やはり装備の変更が重点になるということですね。
  120. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 装備の改善もありますが、装備をふやすことと、装備がふえて部隊がふえるということも入っております。
  121. 中村利次

    ○中村利次君 これはやはり防衛力の限界はどこにあるかということはいつも議論されるところですけれども、私はいつかの本委員会でもそう言ったんですけれども、自衛力の限界というものは非常に、何といいますかね、どこに線を引くかということはむずかしいと思うんですよね。たとえばこれは、防衛庁は、自衛隊の任務は専守防衛であると、もっぱらとにかく守るほうであって、攻撃的なものはないという立場をとっていらっしゃる。ですから、兵器にしても性能上やはり攻撃的な兵器は持たないのかという質問をしましたところが、佐藤総理は、いやいや、攻撃的性格を持った兵器必ずしも攻撃用と一致するものではないんだというような答弁をしているんです。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕 ですからそこら辺は、これはもう何というんですか、制服組というのは、そのときに私言ったんですが、これはより優秀な、もう世界で最も最新式の性能のすぐれたものをほしがるというのは、これは私は当然だと思うんですよ。ちょうど職人がいい道具をほしがるようなものでしてね。ですからそういうものをやはり日本の専守防衛という立場から、どこら辺が限界なのかということが非常にこれは文民統制の第一の任務になってくると思うんですけれども、そういう意味で、たとえば有事駐留制をかりにとる場合の前提としての日本の自衛隊のあり方、これはもう人数、装備も含めてですよ。ここら辺は今後たいへんにこれは重大な課題になると思うんですが、もう一回ひとつはっきりそういう点の構想を有事駐留論にからめてお答えを願いたい。
  122. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) いま御質問のありました問題はきわめて重要な、というよりもむずかしい問題でありまして、それをこそわれわれはいま検討しておるところであります。しかしながら、その検討の中で、問題点として幾つか申し上げてみたいと思うんですが、一つは有事駐留ということでありますが、これのことばの定義の問題がありましょう。そこで、これは福田外務大臣答弁しておられるんですが、基本的には私も同じであるし、また曽祢先生も別の委員会で同趣旨のことを言っておられるわけですけれども一つは、日米安保体制がありながらの有事駐留とは何であるかと申しますると、少なくとも日米安保体制を基調にするわけでありますから、安保体制が有事の場合に有効に活用されねばならないということが一つと、それから平時においては、日米安保体制は抑止力でありますから、その抑止力が平時においてこれまた有効に働かなければならない。その範囲内における米軍の最低限の機能というものは残っていなければいけないんではなかろうか。一番簡単な例で申せば、たとえば第七艦隊が横須賀を使うというようなこと、これは曽祢先生も御指摘になったことでありますが、そういった最低の機能というものはやはり維持しておかねばならないんではなかろうか。  それから防衛力をどの程度まで持っていくかということ、これは相対的なものでありますから、いわゆる自衛力の限界としてはお答えができないんでありますけれども、いまの国際情勢をどう判断するかということによって、防衛力のいわば平時に持つべき姿とあるべき姿というものは想定できるように私は思っております。その点についてはまだ庁内で検討しておりませんので、いずれ庁内での結論が出れば、防衛庁の見解として申し上げてみたいと思っております。
  123. 中村利次

    ○中村利次君 有事駐留になったと仮定した場合のその軍事基地はどういうように想定されますか。
  124. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これは個々の具体的な基地について検討しておるわけではございませんけれども、たとえばいま申し上げたように、第七艦隊がアジアに姿を見せておるということは、やはり極東の安全に寄与すると、抑止力として有用であるという意味で、第七艦隊の基地というものはやはり確保されねばならないのではなかろうか。しかしながら、たとえば横須賀であれ佐世保であれ、その造修施設が、民間であれ、自衛隊であれ、いずれにせよ日本側で運営されていくというような姿に変わってまいろうかと思います。  それから航空基地でありますが、これについては米側が留保しているものの全部が必要であるのかどうか、これはよくわかりません。しかし、いずれそれが日本側に返還されれば、自衛隊あるいは民間がこれを運用していく、その場合にどの程度の米軍の機能が残されるべきであるか。この点については、将来そういったような方向を目ざしながら、これは日本側だけではいけませんので、日米が両方で検討すべき対象ではなかろうかというふうに思います。そのほか指揮、通信の機能、これは基本的には残らないといけないだろうと思います。その他どの程度のものが最低のものであるか。現状でも本土についてはほとんど有事駐留の形に近いと思いますけれども、さらにこれを整理統合していく余地がどの程度あるか、これはやはり双方の検討課題であろうと思います。
  125. 中村利次

    ○中村利次君 やはりね、基地の問題は、これはまあたいへんに深刻な問題でしてね、心情的なものももちろんございましょうけれども、やはり実際のその基地があることによって基地公害が生まれ、あるいはいろいろなトラブルも生まれてくるわけですよね。ですから有事駐留制のもとでは基地をどれほど縮小できるとお考えなのかどうか。ある程度のことを、思い切った縮小をすべきなのか。あるいは有事駐留体制下でも思い切った画期的な縮小はできないという見通しなのか。その点はどうですか。
  126. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これはやはり短期と長期の見通しを分けて見るべきであろうと思いますが、短期的に見るといろいろむずかしい問題があろうと思います。しかしながら長期的に見た場合に、現状と同じ程度のものは残るというのはやはり不自然であろうと思いまするし、アメリカ自身ができ得べくんば外国から外国に駐留をしている軍隊そのものを引き揚げたいという基本線がありまするし、そういった方向は将来といえどもおそらく強まりこそすれ弱まることはなかろうというふうに思います。そうすれば、長期的な見通しとしては相当大幅な縮小、画期的といえるかどうかはわかりませんけれども、相当大幅な縮小ということは期待できるのではないだろうかというふうに思います。
  127. 中村利次

    ○中村利次君 これはまあ現状を有事駐留に近い体制になっておるという認識を持っておられるようですけれども、ここら辺はだいぶ私は違うと思うのですけれども、そこで大臣いかがでしょう。いわゆるこれはまあ久保論文の形で扱われましたけれども、たいへんにこれは新しい問題の提起ですけれども、政府としてこれをどうお考えになるのか。あるいはこういう構想に対して取り組んでいくおつもりがあるかどうか伺いたい。
  128. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これはいま説明にもありましたように、久保君が雑誌社の求めに応じて個人の資格において寄稿をしたものというわけであります。しかし、内容は私も拝見しましたが、非常に示唆に富むものだと思っております。したがいまして、まあいきなり防衛局の局長がこういう構想を、まあ個人と公職との、役職との使い分けをしながら書くというところにいろいろまあ問題が起こりがちでありまするので、本来なら私は、こういうことは防衛庁の中に防衛研修所というものがあるのです。この防衛研修所でしさいに検討していくべきものだ。これはいろいろな場面を想定してもっと私、突っ込んだ研究がなされておってしかるべきものだというふうに思います。たとえば、安保が完全に空洞化した場合に日本はどうするかとか、あるいは武装中立というような場面では一体日本防衛というものをどう踏まえていくかとか、いろいろなケースケースに応じてこの議論を戦わせ、そのときの一つの結論を得るというようなことを旺盛に研究していくべきだ。で、まあ今回は、同君が非常な勉強家で、一つの、平素思っておることをまとめたわけでありまするが、こういうことは、ただ個人の努力というだけでなしに、防衛庁のやはり組織体の中で絶えず検討されなければならぬ。で、それは、防衛局もとよりでありまするが、幸い、防衛庁の組織を見渡してみまするというと、防衛研修所なるものがあるわけです。ここでやはり十分検討されることが必要だ。そして取り入れるものはむしろ防衛局長がそれを率直に取り上げていく、防衛庁長官もこれに耳をかすということにしたら、仕組みとしてなお万全であろうと、こう考えるわけでございます。
  129. 中村利次

    ○中村利次君 仕組みとして、大臣のお答えになったことはそのとおりだろうと思うんですよ。しかし、とにかく、いずれにしても問題提起がされたことは事実ですから、この問題提起に対して、防衛庁長官として、あるいは政府として、これをどう扱うおつもりか。やはり防衛庁防衛局長ではあるけれども、一個人としての論文として扱われるのか、あるいは政府として、やはりこれは一つの方法であり一つの主張であるので、ひとつそれを基礎として有事駐留制を考えてみようという姿勢にあるのかどうかですね、その点いかがでしょう。
  130. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私は、今後もっとやはり十分検討をされなければならぬと思います。特に、久保論文においても、すぐ全部有事駐留にすべきだということをいっておるわけではないので、基地というものは十分用意をして、また日本防衛というものを総合的に考えながら、どう米側と対応するか。特に、有事に米軍の来援を求めるとするならば、その基地の整備等々はどうすべきかという点においては、具体的には触れておりません。したがって、そういうことを検討する余地があるということをいっておるわけですから、やはり私は、一つの貴重な提起ではあるが、今後なお検討を加えて結論を得るという必要はあろうかと思います。日米安全保障条約というもののメリット、デメリットを分析して、今後この運用を国民にわかりやすく説明していく。また、安保条約というものをどう活用するかという点等々についても、論文では言及されておりまするか、そういったことについても、これはやはりもう少し防衛庁全体で検討をし、そして政府の方向ということにきめたらいいというふうに思います。ただ、防衛局長がそういうものの考え方の上に立っておりまするからには、そういう面において、相当幅のある、弾力的な検討が今後なされていくであろうということは、私、想像にかたくないと思いますし、私もあの論文には必ずしも異論を持っておりません。いま安保条約を見直してすぐ破棄しろとか、安保の運用をどうしろとか、そういうことを具体的にいっておるわけではないわけですから、表題よりは内容のほうが、どっちかといえばまあ慎重にわたっておるということは言えるわけです。一つはたたき台として、素材として検討をし、取り上げるものは取り上げるということになろうかと思います。当然、私ども政党内閣でありまするから、党側は、そこにおられる源田国防部会長がまた中心になって一つの成案を得られましょう。そういうものをひっくるめて、総合してやはり政策決定に持っていきたい、こう思っております。
  131. 中村利次

    ○中村利次君 これは、日米安全保障条約を否定しない人たちですから、いまの日米安保条約に対する政府の姿勢といいますか、取り組み方といいますか、あるいはその運用あるいは軍事基地の実態、その運用というものに対しては、これは相当抵抗があると思うんですよ。ですから、日米親善、日米親善を言い、あるいは安保条約というものがやはり日本の安全と平和のために必要であるとするならば、もっと、安保条約の見直しだとか、あるいは駐留米軍の態様とか基地のあり方だとか、この縮小、整理というものについて国民の納得のできる——少なくとも、安保条約を否定しない人たちですら批判があるようなことでは、これはどうもまことにぐあいの悪いことだと思いますので、あんまり差しさわりのないようなそういう国会議論ではなくって、賛否が大いに激突するような形でもって、正直に問題は問題として私は提起され論議されるべきだと思いますよ。  それから北方領土の問題ですけれども、北方領土が返還になっても、これはまだ、日ソ平和条約等々の関係があってどうなるかわからないでしょうけれども、しかしだいぶ先取りをして、自衛隊の駐留はしないということを——これはどなたがおっしゃったんですかね、新聞に出ておりましたけれども、これはほんとうかうそか。あるいはどういう理由に基づくものか、お伺いしたい。
  132. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは外務大臣がどこかの委員会で言われたということを私も新聞で実は承知したわけですが、いずれ、きょう、三時半ごろ来られるというならば、そのときにお確かめいただければはっきりすると思いますが、まあ、私どもが考えましても、北方の領土が返ってまいりました場合に、あそこへ自衛隊を一々配備しなければならぬかどうか、これはやはりまだ、今後の検討に待つわけでありまするが、外務大臣の言っておることが必ずしも間違いだとは思っておりません。それは沖繩には自衛隊も配備いたしましたが、一々、先島といいますか離島にまで自衛隊を配備しておりませんですね。したがって、北海道の陸海空の配備によって離島というものは当然自衛隊でカバーできるというふうに思えるわけであります。したがいまして、そのこと自体が直ちに間違っておるとは思いません。もし私に答えろとおっしゃるなら、私も同じようなことを答えたのではないかというように思います。また特に北方領土を戻してもらいたいという非常な熱望に燃えておる、その責任の衝にある外務大臣としては、従来のソ連側の発言等々も考えながらああいう慎重な発言になったものというふうに私ども思っております。これは防衛庁としてもさしたる異論はないところでございます。
  133. 中村利次

    ○中村利次君 どうも時間が少ないですからまとまった質問ができないんですけれども、これはひとつ久保防衛局長に、純粋な軍事的な面からお伺いをしたいんですが、政治的なあれは一切別にして、戦闘作戦行動というものは出動から帰還までというのが、これがほかに思いようがないほど歴然たるものだと思うんですが、どうですか。
  134. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 制服の人たち——軍人方が戦闘する場合には、あまり具体的な定義的なことは頭になくて、単純にオペレーションということで全体を含んでおるわけでありますから、そういったオペレーションということばで言えば、出発から帰ってくるときまでというように思います、ただし、そういった軍事上の用語の場合と、それから条約運用の場合、条約解釈の場合、これはおのずから別でありますので、軍事のオペレーションということばから言えばそういうふうに言えようかと思います。
  135. 中村利次

    ○中村利次君 これも外務省の所管のことでしょうけれども、何ですか、今後のベトナム問題にからんで、日本の基地から配置の移動等も相当行なわれていますね。事前協議の対象になるのは、たとえば陸上部隊の場合には一個師団程度とされておりますし、あるいは空の場合、海軍の場合おのおの合意点に達したものがあるようですけれども、しかし一つ一つ個々にとりますとその対象にならないようなものであっても、総体的に見ると対象になる場合があると思うのですけれども、そういう点もこれは純軍事的に見てどうなんですか。
  136. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) この問題は当然たとえば一個連隊ずつ入ってきたものが三つ四つそろって、そしてまた師団の構成をとったという場合には一つの師団、したがって事前協議の対象となるべき規模の部隊ということになりましょう。これは軍事的に見てもそうでありまするし、外務省答弁中身もそうなっております。
  137. 中村利次

    ○中村利次君 もう時間があとなくなりましたから、また次にでも質問さしていただきます。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 外務大臣が見えてから基本的な問題はそのとき大臣にお伺いしたいと思います。  きょうは具体的な自衛隊に関する問題で一つただしておきたい問題があります。第一にお聞きしたいのは、自衛隊が地方公共団体から委託されて土木工事を行なうことがございますね。これはどういう法的根拠によるものですか。
  139. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) いわゆる部外工事でございますが、これは防衛庁設置法の五条の十九号に、「自衛隊の訓練の目的に適合する場合において、国、地方公共団体等の土木工事等の施行の委託を受け、及びこれを実施すること。」というのがございます。それから自衛隊法の百条、それから自衛隊法施行令の百二十二条から百二十六条までにこまかい手続的な規定がございます。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこでお聞きしたいんですが、「自衛隊の訓練の目的に適合する場合」、こういうふうにあるわけですが、この場合は、だれがそれが目的に適合するかということを判断するのですか。これは責任者の判断でまかされているのか、それともこれについて細目の定めがあるのか、あるならどういう細目か、具体的にこれを明らかにしてください。
  141. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) これにつきましては、工事の規模の大小によりまして受託を決定するものが分かれておりますが、一万五千人日以下のいわゆる小規模の工事につきましては、現地の部隊長がこれを受託することができる、そこで、受託するにあたりまして、その工事の内容が自衛隊の訓練に適合するかどうかということは部隊長が判断をする、こういうことになりますが、大きな工事につきましては、これは本庁まで上がってくると、こういうことになっております。
  142. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは法的な根拠は。
  143. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 防衛庁の訓令できまっております。
  144. 岩間正男

    ○岩間正男君 地方公共団体から土木工事の申し出があって、訓練の目的に適していると認めたものであれば、これはどういう目的で地方公共団体が使用するのか、そのいかんにかかわらずこれは引き受けるのかどうか。つまり使用目的について十分に調査をするのか。あるいは基準というものははっきりあるのか、この点いかがですか。
  145. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 地方公共団体からの申請に基づいて実施しますので、当然その工事の内容は公共的なもの、あるいは公共的なものに準ずるといいますか、そういう性格のものでなくてはならないということは言えようかと思います。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 調査はどうですか。
  147. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 申請がありまし 場合には、その工事が完了した後どういうふうに使うかという使用目的も当然申請書に書いてございますので、それによって確認をする、こういうことでございます。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連法規を明確にしなさい、調査の場合の。
  149. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 所定の様式によりまして申請がありますとそれの、審査をもちろんしますけれども、その審査のこまかいことについてまで一々の規定はございません。
  150. 岩間正男

    ○岩間正男君 大部分は現地の判断ということが非常に重要になってくるわけですね。  次にお聞きしますが、この工事を受託してやる、そういう場合の費用はどこが出すのですか。
  151. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) ガソリン代とかその他実費的なものは申し出た地方公共団体が負担をするということになっております。
  152. 岩間正男

    ○岩間正男君 実費だけの負担ですか。
  153. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 実費でございます。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ具体的にお聞きしたいのですが、これは栃木県の日光市で、自衛隊に対して高地陸上競技場整地のために、昨年の九月ですが、中禅寺大平地区の国立公園特別地区内に二荒山神社所有の土地を借用して自衛隊に整地を申し入れた案件がありますね。こういう経過について、これは御存じだと思いますけれども、この経過を一応伺いたい。
  155. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 昨年の九月に日光市長から、新町に駐とんしております施設部隊に対しまして、日光国立公園の一部について高地陸上競技場を設置したいので、そのための整地をお願いしたいという要請がございました。この要請に基づきまして、新町の施設部隊におきましては、九月の九日から十月の八日までの間に、面積にしまして千二百五十平方メートル、土量にしまして七千百立方メートルの工事を実施したわけであります。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは最初の申し込み書ですね、どういう一体趣旨から申し入れがあったのですか、これはっきりしていますか、はっきりしてください。
  157. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) ただいま申しましたように、高地陸上競技場を設置したいということで申し入れがあったわけであります。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 面積は千二百……、一万二千五百と言いましたね、そうじゃないんですか。
  159. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 一万二千五百平方メートルでございます。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたたち調べたのですか。最初そうじゃないでしょう。あとで変更した。最初は六千八百平方メートルの申請でしょう、そうじゃないですか……。これは報告受けているんですか、受けていないんですか、どうですか。
  161. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) これは部隊限りの工事でございますので、正式の書類による報告はきておりませんので、まあ先生から質問があるということで急遽電話で照会をした結果、面積は一万二千五百平方メートルであるという返事をいただいたわけでございます。
  162. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは日光市会でも大きな問題になって、いまだに論議されているわけですね。最初出したのは、これは高地陸上競技場、そうして六千八百平方メートル、こういうことですね。ところが、それがあとでこれは事実に合わせた変更をやっているわけだ。そうして一万二千五百平方メートル、こういうようなものにこれは変わっているはずです。これは十分に、ここのところは非常に重要ですから調べてほしいと思うのですね。  そこで、この受託した責任者ですね、これはどうなんですか、だれです。またどこの部隊です。それからそのときの師団長はだれ。それからそのときの施設責任者
  163. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) この受託の決定につきましての責任者は第十二師団長でございます。
  164. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちゃんと名前は。
  165. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 調べてお答えします。
  166. 岩間正男

    ○岩間正男君 第十二師団というのはこれはどこですか、どの辺ですか。
  167. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 相馬ヶ原にございます。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 相馬ヶ原、群馬県ですね。
  169. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) はい。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると第十二師団のうちに第十二施設大隊というのがありますか。
  171. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 新町の第十二施設大隊がございます。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 新町というのはどこですか。
  173. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 群馬県の、新しい町でございます。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 高崎市の近くだね。これは宇都宮の管轄にならないんですか。なぜ群馬県のほうからこれは頼んだのですか。どういうことなんですか。これは管轄の区域はきまっているのですか、きまっていないのですか、どうなんですか。
  175. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 栃木県は十二師団の管内でございますので、十二師団長の権限の範囲内で実施したとこういうことでございます。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは宇都宮にはないんですか。この施設部隊がないんですか、どうですか。当然日光といえば、これは宇都宮をわれわれは想定するわけですがな。相馬ヶ原という、これは十二師団の相馬ヶ原だが、群馬県の新町でしょう。そこからなぜこれはこっちへきているのですか。
  177. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 各部隊の工事の受託の状況によりまして、必ずしも実際に施工する場所に近いところでなくて、同じ師団の範囲内であれば、少し離れたほうの部隊が行って工事を実施するということもございます。
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこの点ひとつわれわれ解せないところがあるわけです。これはあとで詳細にやります。  そこで、どうですか、この施設部隊は日光市の申し出に基づいて現地を調査しておりますか。詳しくこれは実態を調べたか。
  179. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 申請に基づきまして現地で工事をやります場合には、当然事前にいろいろ現地の調査をして工事の計画も立てるわけでございますが、本件の場合、もちろんこれを委託しました日光市の関係者、それから工事の途中の段階におきましては、これは国立公園であるというようなことから、国立公園の管理事務所の担当の者も工事に立ち合って実施をした、こういう経過になっております。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 工事が始まってから立ち合ってもしようがないので、事前に調査をして、それは引き受けるべきものであったかどうだかという点の鑑定が必要なんです。調査をしたかどうか。特に調査のことを最初から私は問題にしているんです。事前に十分に調査をしないで、そうして簡単にこれは引き受けてしまって出ていく。そうして自衛隊が実際たいへんなところにこれはもうはまり込んでしまったら一体どうなるんです。大体民生安定だとかなんとかということを盛んにこれは——ことにこれはあなたが防衛庁長官になってから盛んに宣伝するわけだ。立川の問題になるというと、それがまるで自衛隊の本務みたいなことを言っている。これもそうだ。市からの要請があったら簡単に引き受けて、そうしてやったじゃないですか。これはまあ少し時間、あなたたち調べる時間が少なくて気の毒だから——無論これはこの追及はやめませんからね。この点は調べて徹底的にあとでやりますけれども、十分調べてください。そういう点をもっと明細にしないと、自衛隊の性格、姿勢が私は問題になると思う。自衛隊の姿勢が一体どういうものなのか。はたしてこの防衛庁長官の言うような形になっているのか。そうでないという実態を私はこれから——少なくともこの問題の中には歴然と出てきている。そういう点からこれは質問している、この点まだ調べがつかないとすれば、はっきりこれは調べてほしい。   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕  次に、これは資料として至急調べて出してほしいのでありますけれども、このときの十二師団の作業日誌というのがあるだろう。これを当委員会に資料として報告してください。わかっておりますか、いまわかるなら言ってください。
  181. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 当然こういう工事をやります場合には作業日誌というものがございますので、現在ここにはございませんけれども、あとで御提出をしたいと思います。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままでの調べでわかるでしょう、何日に始まってこの工事がどうなった、大体のあれはわかるでしょう、この資料は出してもらうとして、詳しいやつを。
  183. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) ただいまわかっておりますのは、先ほども申し上げましたように、昨年の九月九日に着工しまして、十月の八日に完了をいたしております。それから工事にかかったマン・デーは約二千人日でございます。
  184. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは資料出てから詳しくやりますけれども。  ところで、これはどうなんですか、これは高地陸上競技場と言っているが、高地陸上競技場だったのですか。
  185. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 日光市からの申請書には高地陸上競技場ということでございましたけれども、完成してからあと実際の使用状況は、あとでわかったわけでございますが、駐車場、それからテニスコート、こういったものに使用しておるようでございます。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、江崎防衛庁長官ね、だから事前の調査、いやしくも自衛隊はもっと厳格にやらなくちゃならないでしょう。しかも、非常に費用が安いのだ、実費だ。しかし、実際はこれはたいへんな金がかかっているわけだ。そうでしょう。自衛隊員というのは一人大体どのくらいかかっております、いまの予算というのは。そのことを答えていただくと同時に、そういう金を、国民の血税を費やして訓練されている自衛隊が、いま言ったように、市側の要請は高地陸上競技場だ、そうして実際やった。ところが高地陸上競技場じゃなかった。そうしていま話がありました駐車場、それからテニスコート、こういうふうなことになったら、これはどうなんだ。一体責任というものをどういうふうにするんです。こんなこと使用目的を変更してかまわないんですか、防衛庁長官
  187. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 手続的に確かに遺憾の点があったと思います。自衛隊としてはそういう申請に基づいて工事を実施したわけでございますが、環境庁のほうに対しては駐車場ということで申請しておったということで、自衛隊に申し出たときの使用目的と環境庁に申請したときの使用目的とそごを来たしておるというような形になっております。しかしながら、まあこの駐車場、あるいはテニスコートというものは、やはりつくってもプラスになるというようなものでございまして、決してむだなものではないというようなことから、まあこれをやったこと自体が無益である、そういうことではないと思います。
  188. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 自衛官一人あたりの経費は、食事費、被服費、装備費いろいろ含めまして、一人一年あたり百四十万円、こういう計算にしております。  ただいまの問題につきましては、目的が違った、これはやはり市長の道義責任にまつべきものが多いと思います。大体自衛隊をだますということはよくない。しかし、自衛隊としてはこれは訓練上支障なく、しかもその工事そのものが自衛官の訓練にも役に立つというもので、自衛隊としてのメリットはあったというふうに思っております。大体、特に陸上自衛隊施設部隊等の場合は、平時におきましては、もちろん本務の戦闘訓練やいろいろやるわけですが、こういう民生協力ということは、私がしばしば申し上げておりまするようにきわめて大事でありまするから、そういう点で、自衛隊の訓練そのものにも効果はあったというふうに思っております。これはただし、しかし市長が真相に触れなかったということは、市長の態度としてはよくありませんですね。このことは今後十分注意をしてまいりたいと思います。
  189. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは市長の責任、むろん重大です。しかし同時に自衛隊、それ知らぬふり、ほおかぶりするということはできないでしょう。だから調査をしたのか、具体的に実態を把握したのか、その上に立っていやしくも自衛隊を動かすものでありますから、そういう一方的な観点からやってはならない。簡単に、実際に事前の調査、いま出てこない。そういうかっこうでやったんでしょう。しかもいま環境庁の問題出ましたが、これは環境庁のなには来ておりますか。これは環境庁はどういう申請を市から受けた、それの説明。もう一つついでに時間の関係で聞いておきますが、これを許可したのですか。工事にかかったということは許可したのですか、しないのですか。これは非常に重大な問題だからはっきりしてください。いまの自然環境の問題と関連して、どうなんですか。
  190. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 環境庁といたしましては、四十六年の八月十七日に日光市から駐車場の設置ということで申請を受けまして、翌九月十七日に承認をいたしております。  以上でございます。
  191. 岩間正男

    ○岩間正男君 いつ始まったのですか。
  192. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 先ほども申し上げましたように、工事が始まったのは九月九日でございます。そこで、いま環境庁のほうからお話がありましたように、九月の十七日に環境庁としては許可したということでございますが、日光の市長から自衛隊に対してはこの九月九日前に連絡がございまして、すでに環境庁の許可を得た、したがって着工してほしいという連絡があったので自衛隊としては着工した、こういういきさつでございます。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 明らかに日光の市長は虚偽の事実を伝えたわけですね、そうでしょう。始まったのはもう九月の六日に始まった。しかし、許可したのは十七日だ、許可を受けないでやったんですね。こういうことは正しいんですか。環境庁はどういう立場をとるのか、このような、許可を受けないで工事をやったことに対してあなたたち当然警告を発するなり、あるいはもうこのような工事を中止させるなり、このような方針をとらなければならぬと思うのだが、そういうことをやりましたか、やりませんか。
  194. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 私どもといたしましては、八月十七日付の書類をいただきまして、当然日光にございます管理事務所で現場を調査いたしまして、これで差しつかえがないという復信をもってこちらに送付してまいったわけでございます。その途中で、管理事務所のほうであるいはそういう復信を書くというふうなことが事前に日光の市のほうにも伝わっておったかと思いますけれども、私どもとしましては九月の十七日付で正式に承認をいたしております。実際に着工がいま九月九日に行なわれたというのは私初耳でございまして、現地の事務所においてもそういうことは存じていなかったのじゃないかと思っております。それについていまのところ別段の処置をいたしておりません。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 環境庁もルーズなんです。自分で許可もしないのにどんどんやられて、問題になってから今度はあわてたというところがあるわけです。これに対する何らの厳重な措置をとっていない。私はなぜこういう問題を問題にするかというと、現場を見たのです。われわれは視察をしてきたのです。見てみなさいよ荒廃のあの姿。   〔資料を示す〕 中禅寺湖畔のところです。非常にこれはきれいな風景のいいところが、私の行ったときには八汐つつじのまっ盛りの、いいところです。そういう山林のあるところ、そこのところをこういうふうに切り開いたのだ。これは環境庁こんなことでいいのか、見てください。こうやって土砂はこういうふうになり、こんなものは当然陸上競技場なんかに使えるものですか。石がごろごろだ。そうして現場には、最初は立てておったそうでありますけれども、この師団長の名前のちゃんと大きく刻んだこういうやつがごろごろ倒されておりました。これは問題になってから倒したらしい。日光市市長星野仁十郎、陸上自衛隊第十二師団長山田積昭というのですか、これはこの師団長の名前で、そうしてこれが建てられたわけですね。しかもやられた工事というのは、いま言ったような自然の破壊じゃないですか。これはいまだにるいるいとあるのですよ。根はもう荒される。ところが、ここのところは実際環境庁は、常にはもう市の人たちだったら一木一草、庭の一木一草切るのでも大きな問題になって許可しないそうです。ところが実際は、市のそういう申請に対してはそれを許可する。そうしてしかもそれを一役買わせているのだ自衛隊に。自衛隊が一役買っているのだ。責任のないような、口をぬぐうような言い方をしちゃいけませんよ。そうでしょう。当然うかうかとだまされたと言っているが、だまされた自衛隊というのは一体何者なんだ。こういうかっこうで、そうして実際はこれは目的変更もなされておる。陸上競技場、とても陸上競技場、私は陸上競技をやったことあるけれども、あんなところで走れるものですか。これは駐車場にするのだというのだが、これは先に駐車場になる。最初からそういう目的を持って、環境庁のほうの申請は違っておったけれども、最初の自衛隊に対するところの申請というものは明らかに陸上競技場、しかもそれは六千八百平方メートルの中禅寺湖の近くのところです。ところがそれだけじゃない。先ほどの報告で一万二千五百平方メートルというふうになっていますが、これは別の場所の、いままであすこにスケート場があったわけです。そのスケート易のあとをこれは整地をしてしまったのでしょう。それからそのそばのじんあい焼却場があった、そこのところまで含めて広範な地域をやってしまった。最初からそんなことないはずですよ。六千八百平方メートルで始動したはずだ。それが変更されてやられた。なぜそういうことになったかというと、六千八百平方メートルでやったけれども、まあ仕事がなくなった。それじゃついでにこれやってくれというので、これはすぐやったらしい、何も正規なそういう手続は踏んでいないというふうにわれわれは調査をしてはっきりさしている問題です。いいんですか、こんなことやって。これが自衛隊のいわゆる民生協力というものの姿です。こういう事態を一体防衛庁長官、いいんですか、こんなことで。さっきちょっと軽率ですよ——だまされた、市長が悪かった。市長も悪いんだ、この市長が。これはあとでなお明らかにしなくちゃならない問題はあると思う。しかし、だからといって自衛隊が口をぬぐってのがれることはできないじゃないですか。第一、環境庁が許可もしないうちにやったという行為についてはどうですか。これは市長に全部責任着せますか、どうですか。
  196. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) どうもいままでのやりとりを聞いておりますと、高地陸上競技場、まことにまことしやかな名称ですね。私でもだまされますな。そして、おそらくこれは私、途中で経費がなくなったから、市長はいまは駐車場に使っており、将来経費が出てくれば、まあ陸上競技場にそいつを整備することは簡単ですから、やるかもしれぬ。  それから、自衛隊の施設大隊というものはもともと仕事そのものが一つの訓練になるわけですから、したがって、先ほども申し上げるように、私自衛隊としての効果はあがっておるというふうに思います。しかし、その許可がないのに仕事をしたとか、それから環境庁には違った名称で申請がしておったなんというようなことは、これはやはりけしからぬと思います、率直に。そういうことで自衛隊という純真な、国を思うひたむきな施設をだますということは、これは困る。しかし、だまされるほうも悪いということを御指摘になっておるのかもしれませんが、まさか市長がそこまでだますものだということで疑わないということも私、これまあ一つの常識だと思いますが、ただそういう許可のないのに仕事にかかったりということは好ましくありませんので、今後同じようなケースがあれば、十分そういうことを確かめた上で仕事にかかる。幾ら訓練に役に立つとはいいながら、望ましいことではないと思います。特に政府機関である以上、そういうことは慎重にすべきだと思います。しかし世の中は、人をだまそうと思えばどのようにもだまされるわけですから、だます人がやっぱりよくよく反省していただかにゃならぬというふうに私思います。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 効果があがっているというけれども、こんなあんたかっこうで効果があがったんですか、これ。自衛隊の全く一つの安易なやり方というのが暴露されてるんだ。何が効果があがっている。ただそこの場へ行って土を掘り起こしたり、工事をやればそれで効果があがったということですか。大体がけしからぬじゃないですか。これに対する自衛隊の責任というのは、もっとこれは痛切に感じなきゃいけませんよ。  それから、調査が非常にルーズじゃないですか。少なくともこの工事に着工するまでにそれだけの調べをする必要があるでしょう。はたしてこれは陸上競技場にふさわしいのか。それから、これをほんとうに使えるのか。さらに、これに対して環境庁は一体これを許可したのかどうか。さらに、はたして一体これは自然は破壊されないのかどうか。自衛隊が国民の自衛隊とか何とかあんたたち言って、自分の訓練の役割りだけ果たせばそれでいいんですか。そういうわけにいかぬでしょう。自然がこういうふうに破壊されているんです。町の人が何といっていると思っていますか。私たちの庭先の一技切るさえ非常にうるさい、あそこは。自然の保護が非常に厳重に行なわれている。ところが、ともかく自衛隊が入ってきてやるというと、こういうことは平気なんだと、こう言っているんですよ。こういうことは正しいことなんですか。国民感情に、これは市民感情からいって、こんなことは了解できると思いますか。しかもこれは目的は変更されてきた。しかもこれで受けた実費は幾らです。実費は、金……。これも調べがついていない。
  198. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) ただいまちょっと判明しておりませんので、後刻調査いたします。ただいまわかっておりませんので、あとで御報告いたします。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも調べてください。われわれも聞いた。地元で聞いた。これぐらいの一体工事をやるならどれくらいこれは要るか。ところがこれは実に、実際実費負担というのは微々たるもんです。まあこれあなたに、調べて、この次もう一ぺんお聞きしますが、実際はこれは地元でやれば二千万円ぐらいかかる金だな。それをもう何十分の一ですよ、実費負担というやつは。調べてみなさい、驚くから。こういう形で一人百四十万もかかった自衛隊が、実際はあんたこれで何日——これも日数が出るとわかることですが、これは数日費やしておるわけでしょう。九月六日、九月七日、九月九日、九月十、十一、十二、九月十三、これだけこれはやっていますよ。雨のために中止したこともありますけれども、これだけの時日、自衛隊が出ておるんです。そうして受けた実費というものは非常に微々たるもんです。実際はこれは地元のそういうような労働力を使えば、これは相当なばく大な金になる。これで市費は安くしたと、こういうふうにあなたたち言うんでしょうが、実際はこれは駐車場目当てのものなんです。ちょっと、建設省見えていますね。運輸省見えていますか。  これは道路が、今度宇都宮から日光までバイパスが間もなくこれは通りますね。車の台数はどのくらいですか、通行台数は。
  200. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 宇都宮から日光までは、東北縦貫道の宇都宮インターチェンジから日光まで、日光も清滝というところまででございますが、三十キロの有料道路を建設中でございます。ただ、これは着工はつい最近でございますので、四十六年、四十七年といま二ヵ年にしかたっておりませんので、用地買収の一部にかかっているわけでございます。完成いたしますのは五十年になろうかと思います。  で、交通量でございますが、でき上がりました時点におきます交通量、昭和五十年におきます交通量は、日光の東照宮付近までで、四車線つくっておりますが、ここまでが一日に一万三千台と予定されております。それから日光から先、清滝の終点までは大体七千台ではないかというふうに推定されております。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、これは二、三年のうちに約二万台、これは平時ですね。ところがウイークエンドになってくるというとたいへんな、この五倍、十倍にこれはふくれ上がる。実際われわれが視察に行ったときもこれはたいへんな人込みです。そうなれば駐車場がのどから手が出るようにほしいということでこれはやったと思うんです。  しかし、ここで私はお聞きしたいのは、この観光会社の問題です。これはどこのなにですか、運輸省ですか。運輸省の観光、来ていないか。——観光会社がつくられているはずですね。観光会社、これは御存じですか。自衛隊に聞いてもこれはちょっとわからないが、どうですか。
  202. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そうそう自衛隊おこってもいかぬね、これは。だますやつが悪いな。
  203. 岩間正男

    ○岩間正男君 だまされるほうはどうなんです。
  204. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) だまされるほうはまだ純真ですよ。しかし、けしからぬな、これは。それはだますほうが……。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 この国じゃあぶなくて使えないな、この自衛隊は。これはそんなだまされて悪い軍隊だったら何もこわくない。あぶないじゃないか。そんな軍隊ですか、あんたの軍隊は。冗談言っちゃいけませんよ。もっと慎重にやりなさい。私も慎重にやってるんですからな。  この日光開発事業株式会社、こういうものがこれは設立されておるんです。それで四十六年の——去年ですね、十月十二日日光株式会社設立、この名前をあげますというと、取締役林屋亀次郎、金谷鮮治、これは金谷ホテル重役、鬼怒川温泉ホテル社長、それから越後正一、これは伊藤忠の社長でございます。それから鹿内信隆、これは御存じのフジテレビの社長であります。星功、これは栃木県議の自民党です。星野仁十郎、これは日光市長でございます。それから水島広雄、そごうデパートの社長であります。そうして監査役がわれわれの元同僚であった稲垣平太郎君であります。こういうふうに見てくると、この観光会社の背景というのは膨大なものじゃないですか。そうしてその中に市長が一枚はまっている。もっとも、市長はあとで事の重大に気がついてそのあとこれはやめております。やめて実際はこの名簿から名前を一応消しております。ここにちゃんと写しを持っています。   〔資料を示す〕 この設立会社のわれわれなにを取ったんですからな。いいですか。そうして日光市長を使って、市長から申請をさしたんだ。この日光市長は偽りの申請をしたわけだ。自衛隊をみごとだましたんだ。そうして自衛隊員をここに何ぼ、二千人目ですか、それをとにかくこの工事に参加さした。最初の目的よりももっと何倍か、二倍ぐらいの、目的の別のところにこういう整地をやっている。そうしてしかも、これはこの観光会社というものはたいへんなことになります。これは膨大な、ほんとうにこれは独占的な企業になるんですよ。これは地元の旅館業者とか観光業者は非常な脅威を感じておる。それに一役はっきりはまらされている。それにだまされて自衛隊は使われた。どういうことになります、これは。吹けば飛ぶような自衛隊じゃないでしょう。どうなんです、一体。私はこのことを聞いているのだ。日本のいまの観光業というものは何ものか、一体。そうしてこの中には伊藤忠が入っている。この伊藤忠と自衛隊の因縁というものはどうなんです。F105のときから天下周知じゃないか。そうしてこれと師団長の関係はどうなんです。   〔資料を示す〕 ちょっと見なさいよ。何で新町から引っ張ってこなければならなかったのか。宇都宮の施設部隊でいいじゃないか。遠くのほう、これを一体許しているのか、自衛隊は。そうして、これは明らかに観光のそういう仕事というようなものに自衛隊が一役はまらされている。だまされたとかなんとか言ったって、みごとこれははまらされているじゃないですか。実際現地の労働力を使えば、これは二千万なら二千万かかる。それを十分の一足らずの金。そういう問題にこれははまらされている。自衛隊もって面目いかんとなすか。長官どうですか、答弁しなさい、はっきり。
  206. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 初めからそういう話をしていただくと、もっと答えようがあったと思うのであります。  ただ、市長が申請をして、そして自衛隊は訓練目的にも仕事がかなうからということで私どもやったわけで、訓練には相当なメリットもあがっておる。しかしだんだん聞けば、環境庁の許可もなかったとかいろいろある。それは私、役所が役所をだます、これはもうほんとうに不徳義なことだと思います。それに非常な不満を覚えておったわけでありまするが、そう自衛隊が岩間さんからしかられる理由はないと思っておりましたが、そこにいまのそういう御指摘のような観光会社があって、しかもそれに市長たる者が一枚かんで、それでそこへバスをとめるというようなことであるとすれば、これはまさに自衛隊も一ぱい食ったといいますか、そういうことだったと思います。しかし訓練効果はあがっておる、これは私現実だと思います。しかし結果論からいうと、これははなはだけしからぬ話で、私どもとしても今後そういうことのないように十分注意したいと思います。  それからまた、何かいまの伊藤忠と師団長か自衛隊と関係があるようなお口ぶりですが、そんなことありませんよ。そんなことでこじつけるのはいわゆる牽強付会の説というもので、これは岩間さんともあろう大家がそういうことを言っていただくのは、自衛隊のために私ほんとうに残念だと思います。だから、それはありませんが、だまされたとすれば、今後そういうことのないように、これは私師団長以下厳重に注意しまして、これはもう政府委員も全部聞いておりますから、善処したいと思います。これは二度とこういうことがあっちゃならぬと思います。特にいまの観光会社の話を聞いて、私もはなはだ不愉快に思っております。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然質問がそういうところにいくことはわかっているじゃないか。そこにいってからあわてているようなことじゃ困る。だから最初から……。  訓練に役立った、役立ったと言うが、取り消しなさいよ。そんなこと認めますか、国民が。認めると思っていますか。あの土木工事をやって——こういう訓練だよ。ちょっと見せるよ。これを持っていって見せてくれ。   〔資料を渡す〕 こういうことをやって——きょうは、大石長官がストックホルムにいるので、ここに出てもらえないのです、出てもらえば、こういうことを認めるかどうか。言ってみなさい。これが訓練に役立ったのか。こういうことが訓練なんですか。これは訓練に役立ったことになりますか。それのどこが訓練か。
  208. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私は、仕事そのものは、これは施設部隊ですから、訓練だと思います。訓練だと思いますが、せっかくの訓練がそういう背景のもとに仕組まれた中で策にはまったというのであれば、どんなにそれが訓練であっても、効果があっても、これはまさに不面目、不名誉を自衛隊も分担しなければならぬわけですから、その点については今後気をつけます。これはもう私さっきから申し上げておるとおりです。しかし、かりそめにも地方公共団体の長がそういう観光会社と結託して自衛隊をだますなんてなことは、これはわれわれは役所は役所の面としてもっと別な面から糾弾してみたいと思います。ほんとうだとすればですよ。ほんとうだとすれば調査します。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたそういうふうに言われるが、これが大きくなればたいへんなことだと私は言っているのです。もっと慎重であるべきですよ。日本の旧軍のことを考えればいいのだ。はめられたんじゃないと言われるが、そうしてはめられてああいうような結末を遂げたのです。これはあとで詳しく申しますがね。  そこで、観光会社ですね、日光開発株式会社の事業目的というのを見ると、  1、有料自動車道路、遊歩道の敷設、管理及び運営  2、不動産の取得、所有、処分、賃借及び管理  3、駐車場及びガソリンスタンドの経営  4、森林公園、スキー場、ゴルフ場、牧場の建設及び運営  5、ホテル、旅館、レストハウス及び食堂の経営  6、土産物の製造及び販売  7、前各号に関連する事業  こういうことをこれはやっているのでありますから、これは今度運輸省の観光課から出てもらってこの開発会社の——われわれも調べましたけれども、この実態というものは明白にしてもらわなければなりませんから、これは委員長にお願いしておきます。  それからもう一つの問題ですが、伊藤忠の問題であなたは関係がないとかなんとか言われたが、調べもしないでそういうことを言えるのですか。調べないでそういうことを言っちゃいけませんよ。伊藤忠は防衛庁と関係が深く、過去に——私はさっきF105と言いましたが、ロッキード、グラマンですね、あのときの航空自衛隊の受注の際にもうわさがあったんです。これはずいぶん問題になったのですね。で、しかも、これは関係者が、伊藤忠に天下った人物というものをわれわれは調べてみたんです。ずいぶんありますよ、常務をやっているのをはじめ。これも出してもらえますか。ここで名前をあげてもいいが、伊藤忠に天下った人はいまどれだけ。これで一体コネクションがないなどとあなた言われるかどうか。こういう事実関係をもっと調査した上で慎重に私はやはりお答えを願いたいと思います。
  210. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私がさっき申し上げたのは、この工事の引き受けにあたって自衛隊と伊藤忠などというものを結びつけてお責めになるのは、それは理由のないことじゃありませんか、牽強付会ですというようなことばを使っていま申し上げたわけですが、私いまでもそう思っております。  で、もしかりに、伊藤忠に就職をした者がその間に介在して、そして自衛隊が一本そういう詐欺的な、あえて言うなら詐欺的なそういうものに自衛隊をはめたというのであれば、これはやはり問題として防衛庁自体が十分調査するに値する重大事件だと思います。しかし、現にここへ、あれですか岩間さん、バス会社がバスを駐車しておるんですか、そのあたりはどういうふうですか。これは私ども仕事をして、しかもそれが、自衛隊が被告のようなことを言われたんでは、これは今後のことにも影響いたしまするし、従来、人事教育局長にいま御質問中に私内々聞いてみましても、観光道路であるとか駐車場といったようなものを表向きに要請された場合は、同じ訓練に役に立つにしても、士気に影響するから断わるようにしておりますと、こういうわけです。ですから、よくよくこれは市長が巧みに自衛隊に持ちかけたに違いありません。で、実情は調査いたしまするが、何も伊藤忠に就職しておる者とこの整地とが関係があるという、そこまでのおっしゃり方はちとひどうございますと、こう申し上げておる。伊藤忠に就職した者がないとは申しません。けれども、そういうこととこれとは区別してお考えください。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は関係があるとはっきり言っているわけじゃありません。しかし、疑われている。過去にも疑われている。しかも、天下り人事を見ますと、これは常務から、ずいぶんおりますよ、もう相当な人たちが天下りしている。そして、どうも宇都宮から頼めばいいと思うのを群馬県のほうからこういう軍隊を頼んでいる、そういう問題。しかも、その一役を買っている市長が全くこれは自衛隊に対して虚偽のそういう要請をしておる。それを受けてあなたたちはつまりはっきりはまり込まされたわけですね。そういうものについて、やはり民生安定のために自衛隊はやるとか、そういうことを言っているわけですよ。あくまでもこれは民生安定の出動だというので、これは立川でそう言いました。しかし、これを見たってわかるように、自衛隊法の中の雑則かなんか、そういうところにある問題でしょう。自衛隊の根幹はそんなところにない。ところがそういうものに使われて、実際上はそういう役割りをさせられているところに一体この自衛隊の一つ姿勢がないかということを問題にしているわけです。伊藤忠との関係だってこれは調べるべきですよ。こういう疑いがあるから私はここのところを問題にしているのです。しかも、これは自衛隊のケースとしては初めてじゃないでしょうか。このような、背景には歴々が名前を連ねた大観光会社があり、その中に取締役に入っておる市長がこういう役割りをしておる。その落ちつくところはどこに行くかというのは明白じゃないですか。自衛隊はこのような大資本の一役をになうものではないだろうと思うんだが、今度のケースはまさにその役割りをになわされたというところで、私は非常にいままでないケースとして重要視している。これは当然そうでしょう。これをやらなければ私はつとまらない。けさ暗がりに起きてここまでやってきた意味がないんです。そうでなければ内閣委員としての責任を果たすことはできないよ。十分に疑うなにがありますよ。それを頭ごなしに疑うのはけしからぬと言ったってそれはおかしいですよ。なぜ疑われるようなことをやるんですか。そっちのほうが悪い。あべこべです。あなたの論法はいつでもおかしいですよ。
  212. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 結果として全くそういういろいろな疑惑が持たれたということは非常に残念だと思う。絶粋な自衛隊がせっかく、訓練のためには役立ったが、高地の陸上競技場が駐車場にばけた、しかもそれは許可されていなかった、しかもその背後には観光会社が——どうなんですか、ちょっとお答え中に恐縮ですが、これは観光会社のバスがとまっているんですか。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまは使っていない、石がごろごろしている。
  214. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そうするとそのあたりにもまだ詰めるところがあるように思いますが、はたしてその観光会社を背景にこの駐車場が要り用であったのかどうか、これは私のほうもよく調べます。そうしてかりそめにも市長たる人がその自衛隊に申請をする、陳情をする、そうしてこれは地連が窓口になるわけですが、地連が結果的にはだまされたということになるようでは、これはせっかく骨を折ったものが今後むだになるばかりか、こうして国会でも問題になり、これはまさに土気に影響します。その上伊藤忠という問題が出てきたりしてはこれはますますいけませんから、これはよく調査をいたします。調査いたしますが、これはまたことばを返すようですが、このことに伊藤忠というものは関係はない。もしあったら厳重に処罰します。どうぞ御安心ください。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がまいったようですし、それからあとに重要な質問も控えているわけですから、私は以上あらましを申し上げたわけです。時間がないわけですから、したがって資料を先ほどから要求しましたが、この資料をまとめて次の委員会までに間に合わせてもらいたい。そうしてその結果、これは非常に単純なようだが単純ではない、新しいケースでもある。自衛隊の新たな姿勢についてこれは問われているのであるから、非常にやはり重要な問題を持っていると私は思う。こういう観点から内閣委員会で取り上げたのですから、当然これは法案との関連におきましても、この問題を明快にしない限りはわれわれはこれは法案の具体的審議にはなかなか入れない、だからそういう点でもこれは出してもらいたい。いままでの資料、あなた方わかっていますか。何ならまとめて言ってください、どのくらい記憶しているか。
  216. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御指摘の点はこれは自衛隊のいろいろな疑いを晴らす上からも、資料については詳細なものを提出いたすことをお約束いたします。
  217. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 先ほど御要求のありました資料は、作業日誌、それから実費負担ということであるが一体幾ら地方公共団体のほうで負担したか、経費の内訳、その二点だろうと思います。
  218. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 出せるだけのものは出しますから。
  219. 岩間正男

    ○岩間正男君 環境庁のほうはいいですね、資料は。どういう申請が出て、そうしてその経過を資料としてこれは出してもらいたい。きょうは見えていないが、運輸省のほうにも要求したいんですが、担当会社のそういういろいろな役員とかそれから仕事、そういうものについて。それから建設省のほうには、自動車のバイ・パスができる、有料道路ができてそうしてどうなるか、これを資料で出してもらいたい。  以上の資料を全部いただきまして、これを検討して次の委員会で詳細に質問させていただきたいと思います。
  220. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 暫時休憩いたします。    午後三時三十八分休憩      —————・—————    午後三時五十三分開会
  221. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  222. 水口宏三

    ○水口宏三君 先日の委員会におきまして、私の質問に対して外務省から本日文書で回答をいただいたわけでございますが、この回答を読ませていただきまして、まず最初に、私の質問に対する回答としてはまことに不満足であります。なおかつ不十分な点がございますことをまず申し上げたいと思います。  そうしまして、初め逆になりますけれども、第三項の途中ことばがあいまいになっておりますが、「使用状況に対する国民の関心が高まっていることに鑑み、この際これらの点について、改めて米側から説明を徴することは、」とかあるいは一番あとのところに「施設・区域の使用にかかる諸問題に関し、日本側の関心を充分米側に伝えることといたしたい。」というようなあいまいなことばになっております。これはせんじ詰めれば、要するに在日米軍基地の使用の態様について安保条約第四条に基づく協議を行なうというふうに了解してよろしゅうございましょうか。
  223. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 安保条約第四条に基づく協議を行なう、こういう趣旨でございます。
  224. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、この第三項の中に「諸問題」とございますが、これは確かにいまいろいろ問題がございますので「諸問題」という表現をお使いになったと思いますけれども、少なくともこの中に、先日の委員会で問題になりました佐世保、横須賀の軍港とか、あるいは相模原の補給廠、あるいは岩国の海兵隊基地、あるいは山田弾薬庫、あるいは嘉手納基地の問題、これらの問題が当然含まれていると考えてよろしゅうございましょうか。
  225. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それらの問題を含むものと御了知願ってけっこうでございます。
  226. 水口宏三

    ○水口宏三君 それから、これはことばの問題でございますけれども、第二項の二行目に「すべて補給、輸送等の」となっておるが、私の場合は、質問の中に兵器の修理ということを入れているのでございますけれども、これは修理をわざとお省きになったのか、あるいは補給の中に修理を含めて補給するということをお述べになったのか、この修理の問題について。
  227. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは修理はもちろん含む趣旨でございます。
  228. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは第三項につきましては、先日の外務大臣の御答弁がかなり明確になったと思いますので、以上で打ち切りますけれども、この第一項等を拝見いたしまして、政府はベトナム紛争が極東全体の平和と安全に影響を与えると認めている。したがって安保条約第六条に該当するという立場をとり、今回の米国の諸行動もこれまでの紛争の一局面にすぎないから、あらためて四条の協議を行なう必要はないのだという見解に立っております。  私は先日から申し上げましたように、ベトナム紛争というのは、本質的には民族自決の原則に基づく民族の統一と独立へのいわば民族内部の問題であって、これまでも、むしろ米軍が介入することによって、言いかえるならば、極東の平和に対する大きな影響を持つようになったのです。特に今回の突如として行なわれた機雷による海上封鎖等はこの点が強調されてしかるべきだと思います。したがって当然われわれとしては、これらについて第四条による協議を行なうべきだということは、先日の委員会でも再々申し上げたのですが、この点につきましては何回かやり取りがございました。結局平行線であるという意味で、これ以上ここでむし返そうとは思いませんが、せっかく外務大臣施設・区域の使用の態様について第四条協議を行なうとおっしゃっておるのですから、もちろんこの施設・区域の使用の態様を協議するということは、当然その背景をなしている米軍行動と不可分の関係にあるんじゃないか。こう考えてみますと、その協議の際に、ぜひ次の点をアメリカ側と話し合って——話し合うべきであるということなんですが、この点についてひとつ伺いたいのです。  と申しますのは、外務大臣も本国会の予算委員会等で、昨年の中国国連加盟、ことしになってからの米中会談等によって、アジアの情勢がいわば平和へ雪解けの方向に流動化しつつある、ただし、これは定着していないから、いわば例の台湾条項、韓国条項にしても直ちに大きく考え方を変えるわけにいかぬのだという御答弁があったのです。ところがその後、御承知のように、たまたまアメリカのベトナムに対する北爆あるいは艦砲射撃、特に機雷封鎖が行なわれている最中に、ニクソンがソ連に行った。そうして米ソ共同宣言が発表された。そういう新しい事態が生まれておりますし、新聞によりますと近く外務大臣も御出席になるそうですが、ASPACにしても、いわば非常に反共、軍国主義的な朴政権すら、このASPACの中から反共的なあるいは軍事的な要素を抜くんだというようなことを表明いたしております。特に私は重要だと思いますことは、これまでいわばSEATOという形で東南アジアの条約というものがつくられていたものが、最近のASEAN、これが特定の国、たとえばタイなどはアメリカの軍事基地を置いているというような状況を除けば、どちらかといえば中立的な方向を歩みつつある。ASEANの中には、むしろ中国に接近すら進められている。いわばこういう新しい状況がアジアの中に生まれておるわけでございますので、この回答を拝見いたしますと、結局、言いかえればベトナム紛争の理解について棒を飲んだような感じがするわけですね。これは前から続いていることであって、これはアジアのいわば極東の全体の平和と安全に大きく影響を及ぼすのだ、だからわれわれはアメリカの行動を全面的に支持するのだというふうな棒を飲んだような立場ではなしに、いま私が申し上げたような新しいアジアの情勢、言いかえれば、外相のことばをかりるならば、平和への雪解けの流動状態にあるものを、少しでもこれを固定させていく、そういう方向に向かって前向きに、現在アメリカがベトナム紛争をめぐって日本の軍事基地を使っている、その態様を話し合うその背景問題として、それらの問題について十分ひとつ話し合う意思がおありかどうか。これをひとつ伺っておきたい。
  229. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 先般来るる申し上げておるとおり、御質問の第一項につきましてはどうも遺憾ながらこれは平行線というようなお答えにならざるを得ないのです。つまり、安全保障条約第四条に基づく協議、つまり第四条後段の協議、あれをする意図はありません。しかし、まあ施設・区域等のこの使用・運営について話し合いをいたすもんですから、これは自然ベトナムの情勢、そういうものには触れてくる。それはもうそのとおりに私は考えており、ベトナム情勢は一体どうなんだろうかというようなことにつきましては常々話し合いもしておりまするが、今後正式に条約第四条前段の随時協議を行なう、そういう際におきましても、その背景としてのベトナム情勢いかんということにつきましては十分話し合ってみる、さようにいたしたいと存じます。
  230. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、その前段の安保条約実施に伴う協議が行なわれる場合に、いま外相のおことばですと、その背景をなしているべトナム情勢についても話し合う、その話し合うひとつの姿勢と申しますと非常にくどいようでございますけれども、いま申し上げましたように、やはり、これは日ごろ政府自身も言っているように、日本はあくまで平和憲法のもとに平和政策をとるんだという立場をとっている以上、流動化しつつあるこのアジアの情勢の中で、少なくともこれが平和共存の方向へ一歩でも前進し固定化するようなそういう立場で、ベトナム情勢に対するアメリカ側の要望も聞き、またこちら側の意見を出すというふうに理解してよろしゅうございますか。
  231. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いまベトナムのあの激しい戦闘状態について、その戦闘行動をどうすべきだああすべきだと、私ども自信を持って申し上げるだけの材料は持ちません。しかし、私どもが立つ立場は、やはりベトナムが南北に分かれて相争っておる。これはアジアの一国とし、また隣組といたしまして、これは見るに忍びないことである、一日も早く南北ベトナムの間に和平が到来するように、そういうことを念願しながら、それを背景としながら話をするということでありまして、私の話は多分に政治的であります。まあ、軍事的な側面からアメリカに対していろいろ意見を言うというようなことはなかなかむずかしい問題である。まあ、とにかく南北で戦争が、この間も灼熱といいましたが、そういう状態下において私どもが介入をする、非常に困難なことではないか、かように考えております。
  232. 水口宏三

    ○水口宏三君 まあ先日、この点についてはさんざんと申しますか、十分討議をして、結局平行線に終わったわけですね、それを繰り返すわけではないのであって、いま申し上げたようなむしろ日本の基地を使用する場合のその態様について話し合う背景として、少なくとも前向きにアジアの平和、日本の安全、さらにベトナムの民族の統一と独立と、そういうことを念頭に置いてぜひひとつ話し合っていただくことを要望して、この一の問題は終わりたいと思います。  次に、これはちょっと防衛局長に実は伺いたいんですが、防衛局長に伺いたいのは、この第六条に関する交換公文の中に、御承知のように、「日本国から行なわれる戦闘作戦行動」ということばがございますね。これを先ほど同僚議員からもちょっと説明があったのでございますけれども、一体、この戦闘作戦行動ということばと、それから戦闘行動、作戦行動ですね。これは、われわれ日常よく使いますし、おそらく軍事的にもこういう使い方があるだろうと思う。したがって、まずわれわれ国民としての常識的な理解を申し上げる前に、まず防衛局長から、この戦闘作戦行動とは防衛庁としてはどういう行動をさすのか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  233. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 条約の解釈といたしましては、私どものところで担当いたしておりませんので、その分については外務省から御答弁なさるのがしかるべきだと思いますけれども、私どもが条約を離れて戦闘作戦行動という場合には、作戦ということばが一番広い意味であります。そこで、作戦というのは一つの戦闘をどのように遂行するかということでありまして、その場合には作戦に伴う諸種の行動をしいて言えば作戦行動ということになろうかと思いますが、それから一番狭い意味の場合には、戦闘行動ということばだろうと思います。つまり戦闘そのもの、これはまあ白熱をした双方が一つの場所で火砲その他を撃ち合っているような状態、それはまさに戦闘だろうと思います。そこで、戦闘作戦行動というのは、私ども必ずしもこういうことばを自衛隊の中では使っておりませんので、明確ではございませんが、ややそういったホットな戦いそのものと、それから全体のオペレーション、作戦そのものの中間的な考え方ではなかろうか。したがいまして、いま、この委員会その他で問題になるような事柄が含まれてまいるのではないか、そういうふうに感じます。
  234. 水口宏三

    ○水口宏三君 そうしますと、まあ作戦行動というのはかなり広い意味ですね。作戦本部などというのは非常に火急の作戦を立てる場合もございましょう。そういう場合には兵たんから補給から輸送から、全体の要するに展開・配備、こういうものを図上でやるのを作戦と申しますね。だからまあ作戦行動あるいは作戦行為という場合には非常に広範になってくる。あえてこの交換公文の中で戦闘作戦行動という場合ですね、戦闘行動というのは、これはその示すように、飛行機ならば直接銃撃をするとか爆弾を落とすとか、あるいは軍艦ならば艦砲射撃をする、潜水艦なら魚雷を発射する、そういう直接的な戦争行動をわれわれは戦闘行動というふうに理解をしておる。したがって、戦闘作戦行動というふうにあえて二つ結びつけられたということは、そういう戦闘と結びついた作戦行動というふうに理解してよろしいんでございましょうか。
  235. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) あくまでも条約を離れてお答えいたしますが、この戦闘行動は日本語の翻訳でありますから、そのもとはコンバット・オペレーションであります。で、コンバットの場合は、いま先生言われましたような直接のまあ戦闘行為といいますか、火砲の発射その他、それに関連をするオペレーションというような意味だろうと思います。そこで、それではどの範囲がコンバットに伴うオペレーションであるか。戦闘に伴う諸種の行動であるかということは、一がいには言いにくいというふうに思います。
  236. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃ一つ私、事例を出しますので、これを御判断願いたい。たとえばベトナム沖で現在第七艦隊が、航空母艦はこれは爆撃、戦闘の行為で爆撃をやっている。あるいは駆逐艦が艦砲射撃をやっている。さまざまな第七艦隊の戦闘行動が展開されておるわけですね。その場合、たまたまある駆逐艦が、たとえば砲身がすでにもう焼けて使えなくなった、あるいはその他支障を来たした、戦闘力を失った、したがってその駆逐艦が佐世保なり横須賀に帰ってきて、先ほど外務大臣の御答弁にもあったように、これを修理する、それからさらに、足りないさまざまな弾薬なりあるいは物資を補給をする、もちろん兵員もそこで休養するでしょう。そこで、横須賀なり佐世保なりで十分戦闘力を回復したこの駆逐艦が——第七艦隊所属の駆逐艦ですよ、これが再びベトナムへ向かって出港していく、結果的には当然またベトナム沖で戦闘に参加するわけでございますけれども、そういう場合、駆逐艦が横須賀で修理され、補給され、また兵員が休養をし、十分な戦闘力を持って再びベトナムへ向かって出港していく行動、こういう行動は戦闘作戦行動の一つと言えますでしょうか。
  237. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) いまの御設例の場合には、任務を帯びて横須賀から出ていく場合にはその行為そのものは戦闘作戦行動であろうと思います。ただし日本の基地の中でいろいろの準備をした、休養をしたということは、まさに戦闘作戦行動のための準備であろう、この場合は明確に言えると思います。
  238. 水口宏三

    ○水口宏三君 そこで久保局長、ちょっと飛躍しているわけでございますけれども、だから日本でもって修理をし、補給をしたことは作戦行動ですね。そこで、それでは基地から出ていく場合に何らの指令も受けずに軍艦が出ていくでしょうか。おまえとにかく港を出ろと言って出ていくようなことがあり得ますか、軍事常識として。
  239. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) もちろんそれはございません。それはただその命令のいかんによりまして、たとえばベトナム沖に行ってこれこれの戦闘任務をやれということであるのか、あるいは単純に、その場合はフィリピンならフィリピンに行ってこれこれの任務を果たせということであるのか、それはそのときのものによって当然違いましょう。
  240. 水口宏三

    ○水口宏三君 私が伺いたいのは、もちろん横須賀から出るときに、たとえばベトナムの何々みさきの何海里沖で、ここへ向かっておまえは艦砲射撃をしろという命令は受けないかもわからない。しかし、少なくとも自分の同僚艦隊である第七艦隊が主戦場としているベトナム沖へ行ってその戦闘に参加をするような指令、この指令を受けて、おそらくまあベトナム沖へ行ってから、じゃおまえこの駆逐艦はどこへ行って何をしろという具体的な戦闘命令を受けるんでしょうね。そうしますと、そこで受けるのは戦闘命令です。横須賀を出るときはまさに戦闘作戦命令と申しますか、指示と申しますか、そういうものを受けて出ていくんだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  241. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これは米側の命令そのものでありますので、具体的にどういうことであるかはわかりません。ただおそらくは、たとえばベトナムにおけるタスクフォースの司令官の指揮下に入れと、単純にそれだけであるかもしれませんし、かりに戦闘行為をやっておるタスクフォースの指揮下に入って戦闘行為を行なえということであれば、当然戦闘作戦行動であろうと思います。
  242. 水口宏三

    ○水口宏三君 まあこれ以上このことは深入りしないでいいと思います。と申しますことは、久保防衛局長自身いま私の申し上げましたような事例についてこれが戦闘作戦行動に属するのかどうかという判断は非常に困難であると、少なくともそうお考えになっていらっしゃるわけですね。
  243. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 戦闘作戦行動の限定的なものはわかりまするけれども、その限定的なものからだんだん離れるに従ってその範囲が不明確になるということは言えようと思います。
  244. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうもいつもに似合わずきょうは非常に歯切れが悪い御答弁をなさるんでございまするけれども、その戦闘作戦行動そのものというのはどういうものであって、だんだん離れるというのはどういうことでございましょう。——まあそれは追及よしましょう。それはつまらない質問ですから。と申しますことは、一言で言えば、横須賀を出るときからこういう戦闘行為を行なえという指示を受けて出ればこれは明らかに戦闘作戦行動である。ただしそれもなくて行って、現在戦闘している第七艦隊の指揮下に入れ、そしておまえはその指揮のもとで戦闘を行なえといった場合に、それははたして戦闘作戦行動であるかどうかとなってくると多少遠のく、さらに、おまえはいずれにしても横須賀を出ていけと、そうしてまあいま第七艦隊所属なんだから第七艦隊司令官のところへ行ってその後の指示を受けろと、そうするとこれははたしてこの駆逐艦がベトナム沖で行動をとるのか、あるいはフィリピン周辺のあるいは警戒をやるのかわからないから、ますます戦闘作戦行動から遠ざかっていって作戦行動一般になる、こういうふうな御説明になるわけですね。そこで、それを確かめるということはまあ非常に困難です。しかし少なくともその駆逐艦がベトナムへ行って再び艦砲射撃に参加をするという事態、これは明らかになると思うんですね。とすれば、少なくともあなたのおっしゃった戦闘作戦行動から非常に近い行動であるということは言えると思うんです。その点いかがですか。
  245. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 戦闘そのものを前提とするような命令であれば、それは戦闘作戦行動であろうと思います。おそらく御設例の場合は戦闘作戦行動と、これはまあ私どものほうの範囲の限りで申せばそういうことが言えようかと思います。
  246. 水口宏三

    ○水口宏三君 外務大臣、実は私いま久保局長に伺ったのは、久保局長もこれはいわゆる制服の方じゃございませんから、本来の軍人さんではないでしょう。少なくとも長い間防衛局長をおやりになってそういう軍事的なものの判断というものは私非常に敬服している一人なんでございますけれども、国民の常識から考えても、戦闘作戦行動と言った場合、いま私の申し上げたような事例について、これは戦闘作戦行動ではないのかという疑いを持ち、なおかつそれはどうであるかということを確かめるのは、外務省アメリカへ一体どこでもってどういう指令を出したのかということを聞く以外方法がない、このことが非常に国民に大きな疑惑を与えているわけなんですね。ところがいま答弁資料を拝見いたしますと、その点は非常にあっさりと、アメリカは今後一切直接戦闘作戦行動をとることがない旨を確言している。だからわれわれはそれを信じているんだと言っておいでになりますけれども、現実にはいま私があげたような事例がしばしばあり得るわけなんですね。したがって、これはまあ事前協議制の問題とも関連すると思いますけれども、それらの点について特に明らかにしていただきたい、今度の四条協議の中で。ただアメリカがこう言ったからこうなんだということではなくて、いま言ったような形態というのはしばしば行なわれているわけです。しかもこの形態というのは、久保防衛局長すらどうも明確には答弁できないような状況がしばしば起こり得る。だからそれらの点を国民が納得できるように、特に四条協議が行なわれる場合この点も明らかにしていただくということはいかがでしょう。
  247. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは事前協議の洗い直しと、こういうことを私は申しております。その系統の問題のようですが、十分その点なんかを話し合ってみるということにいたします。
  248. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは今度早急にという御答弁でございますけれども、できるならほんとうは本国会中にやっていただければいいのでございますけれども、国会の会期もございませんので、少なくとも今月中くらいには一応日米安保協議委員会を開いていただいて、先ほどお話のありました問題点あるいは背景説明、さらにいま一番国民が疑惑を持っている事前協議制そのものをそういう観点からもっと明確に洗い直すということをこの協議会でもって行なうというふうに理解してよろしゅうございますか。
  249. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 第四条前段の協議は、日米安保協議委員会の開催ということを意味しているわけじゃないんです。これは協議の方法はいろんなことが考えられます。アメリカ局長がスナイダー公使と話し合うという場面も考えられます。また私がインガソル大使と話し合うというような場面も考えられますし、あるいは場合によれば防衛庁と一緒に、つまり日米安保協議委員会の幹事会みたいな形の協議、こういうことも考えられます。形はまあそのときの状態で何が適当であるか、そこは選択いたしますが、いずれにいたしましてもこの第四条による随時協議、つまり条約実施上の諸問題についての協議でありますが、これは早急にいたす、こういう考えであります。
  250. 水口宏三

    ○水口宏三君 これでやめますが、くどいようですがもう一回念を押しますけれども、この安保条約の運用に関する条項としての第四条の第一項についての協議を早急に行なっていただく、その中でまず第一に、日本在日米軍基地の使用の態様について十分協議を行なう、その背景をなしているベトナム問題についても話し合いをする、特に私が最後に申し上げた、事前協議に該当するかどうかすれすれの問題というものが、非常に国民に大きな疑惑を与えておりますが、これらの点についてもできるだけ明瞭にしていただいて、そういう目的で随時協議が行なわれるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  251. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そういう条約実施上のいろんな問題を話し合います。話し合いますが、その際、事前協議の対象となるのかならないのかという限界点につきまして、広くこれを論議をするといいましても、これはこの問題はそう簡単には済まないのです。これは、この条約ができましてから十二年になります。その十二年の間に、国会におきましてもずいぶん御論議があるわけなんです。そういう点なんかを全部私どもはさらってみる。アメリカにおきましてもそういう準備が必要である、こういうふうに考えますので、そういう事前の協議の対象をどうするかという広範な問題になりますると、これは数ヵ月の準備が要るだろう、こういうふうに考えておるのでございますが、そういう一般的な事前協議対象論議というふうなことを、いま水口さんがお考えで御質問だとすると、それは簡単にはいかない、そういうふうにお答え申し上げておきます。
  252. 水口宏三

    ○水口宏三君 事前協議全般について全部洗い直して再確認するということは非常に困難だとおっしゃるなら、いま私が申し上げたように、だれが考えても非常に疑惑を持たれるような問題、これは先日の委員会に出ましたB52の問題など、きょう私が事例にあげました駆逐艦問題とか、これはだれが考えても非常に疑惑の持たれるような問題なんです。こういう点については少なくとも今度行なわれる協議委員会で話し合っていただきたいということを申し上げ、なおかつ、私がこの間から三時間もかけて申し上げた質問に対する本日の文書回答そのものについては非常に不満な点が多いわけでございますが、それらについてはまた後刻機会があれば、必ずしも単なる平行線の論議のやりとりとしてではなしに、問題点を深めていきたい、そういう意味において、私は非常に不満でございますが、きょうの私の質問をこれで終わります、一応外務省からの文書回答については。
  253. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ初めに大臣、その統一見解というのをわかりやすく説明してくれませんか。
  254. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 統一見解というか、書面で水口さんに回答申し上げたわけでありますが、第一項は、これは水口さんから今回のベトナムにおける機雷封鎖等の軍事行動、これは条約第四条後段にいわれるような事態の発生ではないか、そういう御趣旨のお話でありました。それに対しまして私どもは、これはベトナム戦争はもう八ヵ年間も行なわれておる。その八ヵ年の間に戦闘は一張一弛である。つまり激しくなったり、あるいはゆるやかになったり、今日一張の段階にあるわけであります。これがベトナム戦争全体として新しい事態を引き起こしたとは考えない、こういう趣旨のことを申し上げておるわけであります。  第二の問題でありますが、そのような事態があったとすれば、在日米軍基地を使ってどのような軍事行動をとったのか、また現にとっているのか、今後とろうとしておるのかという御質問でありまして、これにつきましては「ヴィエトナム紛争との関連における米軍施設・区域の使用は、すべて補給、輸送等の戦闘作戦行動に該当しない行動に限られている」、しかしながら、「米側は、今後ともわが国から直接戦闘作戦行動をとることはない」、そういうことを確言をいたしておる、こういう回答をいたしておるわけであります。  それから第三に、「しかしながら、最近における米軍施設・区域の使用状況に対する国民の関心が高まっていることに鑑み、この際これらの点について、改めて米側から説明を徴することは、有意義であると認められるので、できるだけ早い機会にこれを行なうとともに、施設・区域の使用にかかる諸問題に関し、日本側の関心を充分米側に伝える」考えである、こういう御回答でございます。
  255. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、書いたのはいただいたんです。ですから、これを読んだだけじゃどうもわかりにくいわけですよ。ほんとうはもう少しプラスして、もう少し具体的に、どうも抽象的な説明ばっかりですので、もう少し具体的に、大臣はいつも端的におっしゃいますね、何でもわかりやすく。私たち専門じゃありませんので、もう少しほんとうは端的にお伺いしたかったんです。
  256. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 質問が三つありまして、第二項、第三項は読めばそのとおりなんです。非常に簡単明瞭な問題なんです。ですから第二項、第三項は読むにとどめたのでありますが、第一項のほうはちょっと読んだだけでは御了解がいくまいかとも思いまして、補足的に申し上げたわけであります。  要点は、ベトナム戦争はもう八年間も続いております。そうしてその間にもう一張一弛があります。今日一張の状態でありまするけれども、これはもう八年前から始まっている一つのベトナム戦争の態様である。したがいまして、条約第四条後段の日米間に協議を要するような事態ではない、こういうことでございます。
  257. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、端的にお伺いしますが、三番目の問題については、第四条の随時協議を行なう、前段の項目によって随時協議を行なうということなんですね。
  258. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおりのことを申し上げておるわけであります。
  259. 峯山昭範

    峯山昭範君 先ほど、私大臣の随時協議を行なうというところの答弁を聞いておりましたら、第四条に基づく随時協議というのは、大臣どういうことなんですか。先ほどもちょっとおっしゃいましたけれども、具体的に大臣は、先ほどは、私と向こうの大使と話し合うこともあるだろうし、アメリカ局長とだれかがお話し合いすることもあるだろうとおっしゃいましたけれども、そういうことなんですか。
  260. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおりのことを申し上げたわけであります。
  261. 峯山昭範

    峯山昭範君 しかし大臣ね、随時協議の問題、この第四条及び第六条に基づく随時協議というのは、日米安全保障協議委員会設置に関する往復文書というのがありますね。これによりますと、少なくともきちっとしたものでないといかぬのじゃないかと私は思うんですがね、これはどうなんですか。
  262. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 随時協議は、これは何も形はきめられておらないんです。随時協議自体が安保協議の一態様である、その随時協議は、これはどういう人がどういうところで、どういうことを話し合わなければならぬ、そういうきめ方はしておらないのであります。軽い問題は局長同士というようなこともありましょう。重い問題になりますと、私と大使というような形もあるし、もっと重い問題になりますれば、私と防衛庁長官が相手方の相当の方と話し合う、こういう場面もありましょう。
  263. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうしますと、外務大臣、私たちはいままで何回かこの外交論争——随時協議事前協議の問題を聞いてまいりました。そのたびに、随時協議はいままで一回も行なわれたことはない、事前協議についてもいままで一回も、第六条の交換公文に基づいた事前協議、ともに行なわれたことはないということを聞いているわけです。大臣これはどうなんですか。
  264. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 事前協議は実質的にも形式的にも行なわれたことはございません。  それから随時協議のほうは、まあ第四条というようなことを掲げてはおりませんけれども随時、協議はいたしております。しかしまあいろいい御論議もありますので、今回は第四条に基づく協議だというようなことにいたしまして協議をいたしたい、かように考えております。
  265. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、四条に基づいた随時協議というのは、正式のちゃんとしたやつはいままで一回もやってない。したがって今回初めてやるというわけですね。どうですか。
  266. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 条約第四条に基づく随時協議でありますといってメンションして協議をしたということはございません。しかし、実際問題としてもう随時、協議はあるわけでありますから、そういう実際上の随時協議はなかったかというと、それはもうずいぶんそういうケースはあった、こういうことを申し上げておきます。
  267. 峯山昭範

    峯山昭範君 そうすると大臣、これはほんとうにおかしなことになってくる。そうしますと、まずこの日米安全保障協議委員会というのがいままで十三回開かれたですね。これは一体何ですか。これは事前協議はいままで一回も行なわれたことはない。しかもその第四条に基づいた随時協議は、その第四条に基づいたといって断わったきちっとした委員会というのはいままで一回もやったことはない。しかるに、そうするといままでこの日米安全保障協議委員会というのは一体何を根拠にして開かれているのですか。
  268. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 日米安保協議につきましては、日米両国の間に書簡の往復がございまして、その往復文書をそのまま読んでみますと、いずれにせよ日米間に、「第四条の規定に基づいて、条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の政府の要請により協議することになっています。」さらに「条約第六条の規定に基づく交換公文は、」「事前協議の主題として一定の事項を掲げています。」「このような協議は、両政府が適当な諸経路を通じて行なうことになります。しかしながら、同時に、本大臣は、両政府間のこれらの協議のために時宜により使用することができる特別の委員会設置することが非常に有益であろう」そこでこの安保協議委員会設置しますと、こういうようになっておるわけであります。したがって、安保協議委員会自身は、随時協議事前協議もあらゆる協議の機関でもあり得るし、またそれらの協議は必ずしもこの安保協議による必要はない、ただし安保協議というものを一つの特別の、「これらの協議のために時宜により使用することができる特別の」協議といたします、協議のための施設といたします、こういうように書いてあるわけでございます。したがっていかなる目的のためにもこの協議委員会は使えるし、同時に、逆にこの協議委員会を使わなくても随時協議ないしは事前協議ができる、こういうことでございます。
  269. 峯山昭範

    峯山昭範君 そんないいかげんなこと言っちゃいけませんよ。日米安全保障協議委員会ができたいきさつというのは、少なくとも安保条約の四条と六条に基づいてつくったんじゃないですか。そうでしょう、四条と六条に基づいてできたんでしょう。どうなんですかこれは。四条と六条を運用するために具体的にこの日米安全保障協議委員会ができたんじゃないですか。現在までいろいろやっているやつは、随時協議といってもいいし、またそう言うべきじゃないかと私は思うのです。大臣が言うように、大臣と向こうの大使と会って話をすればいい。われわれがふだんに使う随時なんというものは、そういう随時とこれは違いますよ、大臣。よく読んでみてください、この随時というのを。大臣、随時協議と言うから、われわれしろうとがいつも随時に協議をする、いつでも会えるんだとだれとだれでもいいんだなんというものじゃないですよ、この随時協議というのは。ちゃんと条約にもうたわれておりますように、これは解説にもなんにもそう書いてありますよ。そうじゃないですか。それが局長が言うような、そういうふうないいかげんなことじゃないですよ。あなた、「両政府は、同条約」安全保障条約ですよ、これは。それの「第四条の規定に基づいて同条約の」安全保障条約の「実施に関して随時協議し、また、日本国の安全」、このあと同じですよ。それだから、第六条についても、第六条の規定に基づく交換公文は、日本国政府との事前協議の主題として一定の事項を掲げている。この二つの協議はどこでやるかというと日米安全保障協議委員会でやるんですと、それでそのメンバーは、最後にちゃんと日本国側はだれだれ、アメリカ側はだれだれとなっているじゃないですか。随時協議をやるメンバー、機関としてこれができているんじゃないですか。そうじゃないの。
  270. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) この交換公文にも書いてありますように、「このような協議は、両政府が適当な諸経路を通じて行なうことになります。」と、こういうことになっておりますから、いかなる経路を使おうと「適当な諸経路」であれば随時協議事前協議もできるわけでございます。「しかしながら、同時に、」「時宜により使用することができる特別の委員会設置することが非常に有益」である。したがって、この安保協議委員会設置する。こういうことになっておりまして、したがって、いかなる手段も別に形式はきまっていない。ただし安保協議委員会というものもその一つの目的のためにつくってある。これがこの交換公文の趣旨でございます。
  271. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはちょっとぼくはおかしいと思うんですよ。あなたそう解釈をしていますが、しかし、これはこういうふうな「このような協議は、両政府が適当な諸経路を通じて行なうこと」になる。「しかしながら、同時に、本大臣は、」両国政府の協議のためにそういうようなこともできるけれども、しかしながら、日米安全保障協議委員会をつくるんだ。それはそういうばらばらでやってもいかぬことはないですよね。しかしながら、この日米安全保障協議委員会ができたいきさつというのは、少なくともこういうこの二つの条文の協議をするためにできたんでしょう。この安全保障協議委員会というものは、少なくとも安保の運用に関して両国の政府が相談するためにできたのが日米安全保障協議委員会じゃないですか。そうでしょう。
  272. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 主としてこの日米安保協議委員会の目的は、もちろん第四条に基づく随時協議ないしは第六条の規定に基づく事前協議のためにも使われますが、この交換公文に書いてありますように「両政府間の理解を促進することに役だち、及び安全保障の分野における両国間の協力関係の強化に貢献するような問題で安全保障問題の基盤をなし、かつ、これに関連するものを検討することもできるでありましょう。」と、こういうように書いてございまして、何も随時協議とか事前協議でなくても、もっと一般の安全保障問題も討議できる、そういうことのために主としてつくってあるものでございまして、事前協議ないしは随時協議は必ずしもこの安保協議の場を通ずる必要がない、こういうようにわれわれは解釈しております。
  273. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃこの日米安全保障協議委員会というのは一体何条の何をやるのですか。何をやるところなんですか。要するに安保の運用について相談するところなんでしょう。それしかないでしょう。外務大臣が言うように、必要に応じては大使と大使、あるいは局長局長なんということをやっていたら、いままでやっていたと同じじゃないですか。きょうの答弁の三項目、随時協議いたしますというそのことがいままでと同じになっちゃうじゃないですか。そんないいかげんなことじゃだめですよ。やっぱりきちんとしたものでないと、われわれはとてもじゃないけれども納得できませんよ、こんなもの。
  274. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いまの局長答弁でいいんで、私はそれはそういう見解ですがね。これはかりに、さっき水口さんから御指摘のあったような諸問題、これを日米安保協議委員会、これの場において協議をするというようなことになりますれば、当方よりは私と防衛庁長官がまあ出席をする、先方よりは駐日大使とアメリカ太平洋軍司令官が出席する、これはかなりまあ重い形になるわけなんです。それをしょっちゅう起こるところに、具体的ケース、ケースの場において開催するといったって、これはまあ実際問題とするとかなり無理のある問題ではないかと、こういうふうに思います。私はまあ、でありまするから、随時協議というのは、その名のごとく随時協議する。しかし、随時協議にしても非常に重いというような問題もあるかもしれない。そういう際におきましては、先ほども申し上げた私と江崎防衛庁長官、先方にはこれに相当する者との会談と申し上げた。それはまさに日米安保協議委員会と、こういうことになるわけでありますが、そういうこともあり得るかもしれません。しかし、随時協議は随時協議ですから、多くの場合ですね、私は、局長と公使、あるいは外務大臣とまあ大使というような形になることが多かろうと、こういうことを申し上げたのです。
  275. 峯山昭範

    峯山昭範君 私はね、大臣、これは大臣のおっしゃるのもわからぬでもないです。何も私はこの日米安全保障協議委員会、これでやれという——それもあるのじゃないかということを私は言っているだけでね。何もこれでどうしてもやれということを言っているわけじゃないけれども、従来から随時協議にしたって事前協議にしたって、いままでやったことがないと。しかしながら、実際上よく考えてみると、日米安全保障協議委員会というのは、少なくとも四条と六条の実施機関として、あるいはその安保の運用についてですよ、種々両国政府が協議するためにできたのがこれじゃないかと私は思うのですよ。おもにそうじゃないの、これ。要するにこの四条、六条のことをちゃんとやるためにできたのが私はこれだと思うのですよ。違うの、これ。違わないと私は思うのですがね。局長、どうですか、これ。
  276. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) もちろんこの日米安保協議委員会は随時協議一つの場でございますから、理論的にはあらゆる問題を取り上げることができる。それから、もしそのような事態がかりにあるとすれば、事前協議の主題となることも協議することができることになっております。しかしながら、特にこの日米安保協議委員会というものをつくったゆえんは、ここにも書いてありますように、むしろ両政府間の理解を促進することに役立ち、安全保障問題の分野における両国間の協力関係の強化に貢献するような長期的な問題につきまして論議すると、これがまあ少なくともこういうものを特別につくった目的ではないかとわれわれは考えておる次第でございます。  で、御存じのとおりこの安保協議委員会は、昭和三十五年以来定例的に年に一回ぐらいずつ開かれておるわけでございまして、現在まで十三回に及んでおります。で、これらは開くたんびに、もっと長期的な問題について話し合うというのが従来の慣行でございました。
  277. 峯山昭範

    峯山昭範君 それは局長ね、あなたの答弁はちょっとおかしいですよ、あなたね、さっきから文章読んでいますがね、この交換公文の——これは交換公文じゃないですね、往復書簡のしょっぱなから初めのほうにずっと四条と六条のことがちゃんと書いてある。最後のほうのこれは補足説明みたいなものじゃないですか。あなたは補足説明のほうが主で前のほうはそうじゃないんだというような言い方はおかしいですよ。少なくとも四条と六条の問題について、これは重要なんですよ。そのためにちゃんとこれは往復書簡としてあるのじゃないですか。これが一つの場なんていったら、四条と六条の協議をする場というのはほかにどこがありますか、ちゃんときめられた場というのはどこに何があるのですか。
  278. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 四条と六条の協議のきめられた場というものは、条約上は少なくとも規定されてございません。このような協議は、当然両政府が適当と認める経路を通じて行なわれるものだと思いますが、念のためにそのことが、この安保協議委員会の往復書簡にも「このような協議は、両政府が適当な諸経路を通じて行なうことになります。」と、こういうように書いてあるわけでございます。
  279. 峯山昭範

    峯山昭範君 だからいまあなたがおっしゃった両国政府が適当な場を通じて云々というのは、それは補足的にあるのであって、具体的に条約に基づいて四条及び六条の問題について話し合う機関というのは、少なくともこれしかないじゃないですか、いま。何かほかにあるのですか。もちろんそれは補足的に、この協議の問題については、両国政府は適当な場を設けてやるというのは、当然それはそういうような補足的なことを書いておかないと、やっぱり規約上、運営上不都合な場合だってありますよ。だからそれは補足的に書いてあるのであって、やっぱり基本的にはこれしかないのじゃないですか、基本的には。ですからもっと詰めていいますと、外務大臣が言う随時協議というのも、それは非常にたいへんではありますよ、いやたいへんですね、確かにみんな。こちらの外務大臣防衛庁長官が出て、向こうも両方出るというのはたいへんでありますけれども、やはり基本的にはここでやったほうが、一番ちゃんとした随時協議ができるのじゃないですか、どうなんですか。
  280. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 第四条の協議は、「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、」とこう書いてあるだけでございまして、随時協議しというのは、もちろん両政府の責任者が討議する、協議すると。したがって、責任者である限りいかなるチャンネルであってもこれは差しつかえないと思います。  それから第六条の事前協議につきましても、以上のこれらの三項目は両国政府との事前協議の主題とすると、これだけしか書いてございませんでして、当然政府の代表が協議をすれば、形式的にはこれでよろしいと、こういうことであろうと思います。しかしながら、まあこの交換公文によりまして、安保協議委員会というものを、これらの協議も含めて、あるいは長期的な問題も含めて設置した。したがって、この安保協議委員会においてもこれらの協議ができると、こういうことになっておるわけでございます。でございますから、要するに、協議は両国政府間の協議であるということが大切じゃないかと考えております。
  281. 峯山昭範

    峯山昭範君 もうあまり押し問答になっても困りますから、これでやめますけれども、これはいずれにしても、いま局長おっしゃったように、安保条約の第四条そのものでは、ただ「協議し」としかなっていませんね。また第六条の交換公文の場合も、いま局長おっしゃったとおりですよ。しかしながら、おっしゃったとおりですが、それを受けて日米安全保障協議委員会設置に関する往復書簡というのがあるのじゃないですか。その往復書簡でそれを補足しているのじゃないですか。そして一つの場として、これはちゃんとできているのじゃないですか。だから、一つのその場ができておるのだから、その場でちゃんとやるのが至当だと思うんですよ大臣大臣がおっしゃるように、非常に、たとえば外務大臣防衛庁長官、向こう側は太平洋司令官と日本の駐日大使と、それは非常にたいへんかもしれませんよ。しかしですよ、そういうふうな問題は、私はこれはそういうことはしょっちゅうあってもいいんじゃないかと、そう思うんですよ。現実にこういうぐあいにきちっと往復書簡等でも設けられて、そういうようなものが現実に設けられているんですから、現実にいまやっているんですから。たった十三回しかやっていないというんですけれどもね、しかし、それをぼくはきちっと適用したって何ら差しつかえないと思うんです。
  282. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お話のように、随時協議事前協議の場として日米安全保障協議会、これを使って悪いということはございません、これは。別にそういう目的のために安保協議会が使用される、それを排除するという趣旨ではないと、かように考えます。しかし、随時協議は随時協議で、あくまでも、協議をするとすればしょっちゅうのことですから、そのたびごとに構成員まではっきりきめられておるところの日米安保協議会、これに付議しなければならないと、そういうふうには考えておらない。で、もう全体のたてまえから、随時協議は形はきめておらぬと、そういうふうに理解をいたしております。
  283. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう私はこれでやめますけれどもね、大臣ね、大臣のその随時協議というのは、聞いておりますとね、この随時協議というのはこれはしょっちゅう、要するにこの条約にもありますように、実施に関しては随時協議なんですから、大臣がおっしゃる、大臣のニュアンスですね、要するにしょっちゅう打ち合わせをするんだと、そういうぐあいに、いま大臣のおっしゃるとおりになりますと、当然私はいままでだってもっと随時、しょっちゅう打ち合わせをしていてしかるべきだったと思うんですよ、この四条に基づいて。いままで一回もやってないなんていうのがおかしいわけです。しかも、その四条の前段についておっしゃってますがね、私は後段の問題だって、やはり具体的にそういう直接問題が起きてなくても、起きてなくてもやはり感じとしてはやっぱりあるわけです。具体的にやっぱりいっぱいあるわけです。そういうような問題がいままで行なわれていないのがおかしいんであって、やはり今回のこのベトナムの問題に関連もしましてですよ、ぜひとも、少なくとも、この何といいますか、私たちが今回のこの質問を始めて、外務省から連絡をいただいて、この外務省の報告がきておりますような、こういうふうないいかげんな、これが随時協議ということになりますと困るわけですよ。やはり私たちは今回主張している随時協議というのは、もう少しきちっとした随時協議にしてもらいたい、少なくとも。ワクははめてないとは言いましても、ワクのはまった委員会だってあるわけです、現実に。そういう点から考えましても、きちっとしたものにしてもらいたいと思うんですが、外務大臣どうですか。
  284. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 峯山さんのお話のお気持ちはよくわかります。わかりますが、お気持ちをせんじ詰めて、随時協議という場合におきましては、安保協議委員会という形式によらなければならないというようなことをおっしゃられますと、これは私どもはそうは考えない。形はいろんな形がある、その時、その時の状況に応じてきめる、そういう理解ですから、とにかくこういう制度があるんですから活用しましょうと、こう言っているんですから、どうかひとつ御理解のほどをお願い申し上げます。
  285. 中村利次

    ○中村利次君 私もやはりいまの問題点はどうも納得しがたいですね。条約上四条、六条に事前協議、随時協議というのがうたわれている。それはね、アメリカ日本の間柄でいろんな課題について、たとえば安全保障の問題等についても、この随時協議という表現を使わないでね、連絡があったり接触があったり、これは当然だと思うんですよ。しかし少なくとも条約上その事前協議制度、あるいは随時協議制度というものがうたわれておるんですね。特に事前協議というものは、これは戦闘作戦行動、あるいは装備・配置の重要な変更というような、たいへんに重大なことが事前協議の対象にされています。それをですね、何かこう随時協議ということばで非常に軽く解釈してお考えになっておるようですけれども、しからば事前協議という、そういうまことに重大なことに関する、そういう協議の対象ですね、構成、そういうものは、どういうぐあいにお考えになっておりますか。
  286. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 事前協議の場合も随時協議の場合と同様であります。その協議するこの場、これは私とあるいは大使というようなことになるかもしらぬし、あるいはまた私と防衛庁長官、また向こうが大使とアメリカ軍司令官というような形になるかもしらぬし、あるいはわりあいに軽い事前協議というような場合におきましては、また非常な緊急の場合というようなことになります場合には、事務当局間の接触というようなこともあり得るかと思います。いずれにいたしましても形はきめておらぬ、こういうことであります。
  287. 中村利次

    ○中村利次君 事前協議もそうですか。
  288. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そうです。
  289. 中村利次

    ○中村利次君 まことに私は、やはり失望しますよ。ですからこの第三項みたいなことが出てくるんでしょう。「この際これらの点について、改めて米側から説明を徴することは、有意義であると認められる」あるいは「日本側の関心を充分米側に伝えることといたしたい」とかですね、何か英語の直訳みたいで、非常に軽い。われわれが考えておる第四条の随時協議制——これは事前協議なんというものはたいへんに私どもにとっては大事だと考えておりますし、条約にうたわれた随時協議もやはり同じように大事だと考えておるんですけれども、どうもこの外務大臣の感覚では、日米の信頼関係があるから非常に軽く、国民がどんなに心配することであっても非常に軽い意味でお考えになっておるという非常に困った方向でのつじつまが合うわけなんですけれども、これはしかし、ここでいろいろ議論をしてみたって始まらないことで、政府の姿勢としてはそうであるということがわかりました。  それから、この何ですか、第五空軍だとかですね、あるいは第一海兵航空師団ですか、それから第七艦隊等が在日米軍の指揮下にはないということが一部に報道されておりますけれども、これは事実かどうかですね、そういう点お調べになったかどうか。
  290. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 外務省から再々答弁されておりまするように、安保条約、あるいは地位協定上は在日米軍という制度はございませんが、しかし一応在日米軍司令部というのはございます。その在日米軍司令部のもとにありまするものは、これは資料で差し上げたわけでありますけれども、陸海空の在日米軍司令部、さらにそのもとに、たとえば書いてありますとおり、横須賀艦隊基地隊、あるいは横須賀艦船修理廠のようなもの、それから陸軍の関係でありますと相模の補給整備廠、それから在日米陸軍衛生部といったようなもの、そういうものがありまして、いまの第五空軍、これは現在は太平洋空軍司令官の指揮下にある。指揮は太平洋空軍司令官にある。それから第三海兵両用戦部隊、これは沖繩にありますが、そのもとにある第三海兵師団、それから岩国にありますのが第一海兵航空団、これはこの前も申し上げましたように第七艦隊の指揮下にある。そして、それらの部隊について在日米軍司令官というものは調整権を持っておるということであります。つまり指揮系統としましては、それぞれ七艦隊、第五空軍あるいは太平洋陸軍司令官といったようなものが指揮の長でありますが、それぞれの日本にありまする各種の部隊は在日米司令官から調整を受けるというかっこうになっております。
  291. 中村利次

    ○中村利次君 調整を受ける必要なく、在日米軍の指揮下になくなったということは、調整を受ける必要もなくなったということではないんですか。
  292. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 日本におりまする米軍の部隊は、安保条約あるいは地位協定その他の日本の行政に関連をしていろいろ問題を生じてまいります。したがいまして、部隊の運用については在日米軍司令官はその指揮権を持っておりません、部隊の運用そのものにつきましては。しかしながら、そういった行政面についての陸海空の調整を行なうということであります。
  293. 中村利次

    ○中村利次君 これは外務大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり非常に重要なことだと思うんですね。こういうことは事前協議米側から——政府は事前協議日本側からの提起権はないという解釈をおとりになっているわけでありますが、米側から事前協議の対象にしない場合、随時協議の対象として日本側から問題を提起する必要はないとお考えですか。
  294. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 事前協議はあくまでもその性質上米側にその発議権があるというわけなんです。しかし、何か問題で疑義があるという際においてもアメリカが発議しない、こういう際におきましては、まさに随時協議制をもってわが国が発議をし得るわけなんです。そういう一般的な仕組みになっておりますが、しかし現実にアメリカの在日軍隊がどこの指揮下に属するかというような指揮系統について、わが国がそれに介入をするということはいかがであろうかというふうに思います。要はわが国の行政と在日米軍が緊密な連絡調整ができればそれでいいと、こういうふうに考えますので、アメリカの指揮系統までわが国が介入するという立場には私はならぬと、こういうふうに考え、いま中村さんのお話しの場合におきまして、随時協議を発動するという考え方はいかがであろうかと、かように考えます。
  295. 中村利次

    ○中村利次君 これは一般通常の場合の指揮系統に介入する必要、これは全くないと思うんですよ。しかしそのことがやはりベトナム戦争に直結をして、したがって国民としては非常に関心が強い、心配の種になっておるということである場合には、これは話は別だと思うんですよ。そして、やはり政府は、そういう国民が非常に心配をしておるような問題についてはこれを随時協議の対象として、そしてやはり政府ははっきりしたことを承知しておくという必要があると思うんですよ。ですから私は、信頼関係というのはお互いが真実を十分に承知をしておる上に立てられなければ、何か信頼関係があるんだから何でもかんでもとにかく悪いことはしないんだからもう先様まかせでいればいいんだということには断じてならないんで、私は、やはりそういう政府の姿勢が国民の非難の対象になり、あるいは国民を不安にするもとになっておると思うんですけれども、あまりにも先ほどからの御答弁を聞いていても、事前協議、随時協議というものを非常に軽く考えていらっしゃる。ですからその第三項にも、米軍施設・区域の使用状況に対する国民の関心が高まっていることにかんがみ、こういうことを承知していながらなおかつ取り扱いについては非常にどうも軽く、まあいいかげんということが言い過ぎかどうか知りませんけれども、そういうぐあいにお考えになっているところに大きな不安があると思うんですが、どうでしょう。
  296. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 在日米軍がわが国における基地を使用するその態様、これはベトナム戦争のあるこの際でありますからふだんとは変わってきておる、その変わってきておる状態に深い関心を国民が持っておると、これはよく承知しております。さらばこそ、この答弁の第三項にも書いてありまするとおり、この際これらの点についてあらためて米側から説明を徴することは有意義である、こういうことなんです。つまり施設・区域の使用の態様が問題なんであって、私ども在日米軍がどこの指揮系統にどういうふうになっているかと、これを協議するというような考え方は持っておりません。ただ、われわれの知識として情報の提供を受ける、これはもう協議というような性格のものじゃないと思いますが、そういうことはちゃんとしておくことがいいことだと、こういうふうに思いまするけれども、あなたの軍隊はどうも在日米軍の指揮下にないがこれは一体どういうわけだと、われわれは意見があるんだと、こういうようないわゆる協議というような対象として考えることは妥当でない、こういうふうに考えております。
  297. 中村利次

    ○中村利次君 それは一般論ですよ、平時の場合にはおっしゃるとおりでいいですが、少なくともそれがやはり戦闘作戦行動につながっておる場合は、おのずからこれは別でありまして、非常に関心が強い、心配の種になっておるということはやはり明らかにしておく必要があると思いますよ。これはどうもやはりすれ違いになっちゃうんですけれども事前協議、随時協議という協議、第三項によりますと、あらためて米側から説明を徴することは有意義であるとか、諸問題に関し日本側の関心を十分米側に伝えることとするとか、どうも、協議とは何だという定義に触れてくると思いますが、いわゆる日本側の関心を相手に知らしたり、あるいはあらためて米側からの説明を聞いたりすることがはたして協議なのかどうか。どうでしょうか、その点。
  298. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ安全保障条約施行上生ずるもろもろの問題について情報を交換し意見を交換する、こういうことが協議だろうと思います。その情報の交換、また意見の交換、そういう上に立って何か結論が出る場合もあるかもしれませんし、結論が出ない場合もあるかもしれません。そういうことをさして随時協議とこう言っておるんですが、私は随時協議で一番重要なケースは何であるかというと、事前協議の対象というものはきまっておるわけですね。しかしこれは抽象的にきまっておるものですから、その具体的判定、なかなかこれはむずかしい、そこで、アメリカ事前協議対象とは認めないという見解のもとにわが国の基地を戦闘作戦行動に使うということがかりにあったとする。アメリカはこれは戦闘作戦行動ではないとこう主張する。わがほうから見るとどうも外観上戦闘作戦行動のようだと、こういうふうな判断がある。そういう際は、事前協議制度はこれはそのたてまえ上アメリカから発議権がありますが、わが国は随時協議の形において問題の提起が可能になるわけであります。そこが非常に私は随時協議としては重要な役割りをなすんじゃないかというふうに考えますが、その他の場合におきましても、皆さんからもお話がありますので、なるべくこういう制度があるからこれを活用して円滑な日米安保条約の施行を期してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけです。
  299. 中村利次

    ○中村利次君 いま外務大臣がおっしゃったように、やはり随時協議に重要な役割りを持たしていかなければ困ると思うんですよね、重要な役割りがあるはずですから。それから、やはりこれもまあ繰り返しですけれども、政府の非常に先様まかせみたいな感じのするそういう姿勢が、これが国民の不安の種になっていると思いますので、たとえば米軍の活動、運用等の情報を正確につかむ省庁がないわけですよね、現在。これはもうそういう答弁が先般の委員会であったわけです、いまのところそういうところがないと。しからば、非常に問題があり、国民不安の種にもなっているわけですから、したがってあらためて、そうであるならば、米軍の活動、あるいは運用、その他的確に情報をつかむ、そういう対策といいますか、そういうものはどういうところで、たとえば外務省、あるいは防衛庁、いろいろでございましょうけれども、もっとなるほどと思われるような、そういう対策をお持ちになるお気持ちがあるかどうかですね、どうでしょう。
  300. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 日米安全保障条約は、これは日米の相互信頼の上に立っておる、こういう制度であります。そこで、この軍事行動の問題ですが、これは事が軍事行動でありまするから、なかなか捕捉しがたい問題です。説明を求めても説明を受けられないというようなケースもずいぶんあるわけです。問題は、アメリカ日米安全保障条約というのはいかなるために存在するのか、またその条章はどういう作用をいたしておるのかということについて深い理解を持ち、みずからがその運用の適正を期するということ、これが私は安保条約施行上非常に大きな問題である、重要な点であると、そういうふうに考えておる。そういうアメリカの理解を進めるために、わが国政府といたしましては最大の努力をしておる。私もみずからずいぶんアメリカに、ベトナム戦争、これがわが国にいろいろな関連を持つ、わが国は日米安全保障条約を堅持する、そういうたてまえから、安全保障条約における義務はこれは履行しなけりゃなりませんけれども、しかしアメリカ側はアメリカ側として、それがわが国国民に与える影響、そういうものも十分踏まえまして行動してもらいたいと、こういうことをもうこれは機会のある限りにおいて要請をし、アメリカ側もこれをよく理解している、こういうことなんです。その辺に一番私はこの日米安全保障条約運営上のかなめがあるんじゃないか、そういう理解であります。これを一々、行動の一つ一つをあげつらう、とてもその煩にもたえませんし、また軍事上の問題でありまするから、一々これをアメリカ側も日本に開示し得る立場にもなかろう、こういうふうに思います。客観的に大きくアメリカの軍事行動というものは見ておる、見ておりますが、その見たところに従いまして、アメリカの注意を喚起して、わが国の国民感情というものを尊重せしむる、これが私は最も大事なことである、かように考えます。
  301. 中村利次

    ○中村利次君 これは一々やはりあげつらう必要はもちろんございませんよ。それはありません。しかし、いままでの国会論議等を通じても、非常にやはり政府の答弁姿勢というものがどうもはっきりしませんよ。しなかったんです。これは会議録を見てもそうですけれども。ですからこれは、作戦行動というものは軍事機密もありましょうから、それは言わないこともありましょうけれども、少なくとも日本の安全に関係のある限りは、政府がやはり承知をして、事前協議の対象にならなければ随時協議の対象にして、十分に承知をしておる。それからやはり活動、運用等について全然先様まかせという感じでは、これはやはり、少なくとも、アメリカに対してのみでなく、政府は日本の国民に対して重大な責任があるはずでありますし、それから日米間の信頼というものも、やはり国民が理解をした上に立っての信頼関係でなければ、政府がかってな想像や独走の上に立った信頼関係なんというものは、そんなものは砂上の楼閣ですからね。そういう点については、私はやはりその行動、運用等についてはこれを的確につかむ場が当然なければならないと思うんですけれども、くどいようですけれども、いかがですか。
  302. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 米軍の軍としての行動を一々的確につかんでいくということは、これは非常にむずかしいと思います。私はしかし、客観的な動きとしてどういう動きがあるか、あるいはまたわが国の基地を取り巻く市民との間に問題となるようなケースにつきましては、これはもちろんよく精細に調べなければなりません。しかし、全体としての軍事行動をわれわれが的確に把握しておく、これはもう非常にむずかしいことであります。まあ不可能なことに近い問題じゃあるまいかと、そういうふうに思います。ただ、大きな客観的な動き、これは常につかんでおる、こういうふうに考えておるわけであります。
  303. 中村利次

    ○中村利次君 それじゃこれで最後にしますけれども事前協議の対象として配置・装備等、これは総理外務大臣答弁が若干ニュアンスの違いがあったときもあったようですけれども、現在やはり昭和三十五年から十二年もたっているわけでありますので、装備あるいは配置等を含めて洗い直しをするおつもりが現在外務大臣におありかどうか。それからもう一つは、この洗い直し作業をやる場合のあれは、日米安保協議委員会なのかどうか、お伺いします。
  304. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これはもう安保条約下における事前協議制度ですね、この全体についてまあ洗い直すというふうに考えておりますが、特に私が重点を置いておりますのは、戦闘作戦行動への出撃の点についてであると、こういうことなんです。そういうふうに私も申し上げておる。総理も申し上げておる。それで、協議の場は一体何か、こういうお話でありまするが、これはまさに先ほどからお話がありましたように、日米安保協議委員会、これが適当の場である、さように考えております。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 私もこの回答を見たわけですがね、これはまあわれわれの要望からははなはだ遠いと思うんですね。これは不満です。これに関連して先に二、三聞きますけれども、これは、国民感情の上に立って随時協議を行なう、こういうことなんですか。
  306. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国民感情も考慮しながら随時協議を行なうとこういう趣旨です。
  307. 岩間正男

    ○岩間正男君 国民感情といえば、二点に私は要約できると思う。一つは、戦争に日本国民が巻き込まれるかもしれないという不安だね、これを持っているわけです。これをはっきり解決することが、そのような不安を除去することが一つ。もう一つは、日本の基地を使って日に何百、何千の人を殺している。そういう戦争の基地として日本が使われているということ、これは平和の状況から考えれば国民感情としては許せない。この二点が、私は要約してみれば非常に重要な問題だと思う。この二点を解決するためにこの随時協議を開くというんですか。どうなんですか。
  308. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 随時協議を開きますのは、安保条約が適正に条約どおり実行されておるかということを協議するというために開く、こういう趣旨であります。岩間さんは、いま戦争に巻き込まれる云々という話でありますが、これはもとよりそういう配意をいたしております。また、日本の基地が殺人基地になってはならぬということでありますが、日本の基地が直接戦闘作戦行動には使われないということにするわけでありまするから、そういう意味合いにおきましては、わが国の基地と戦闘による損傷の問題とは直接の関連はない、こういうふうに御理解願います。
  309. 岩間正男

    ○岩間正男君 問題を正確にしてください。私は、国民感情の少なくとも大きなものは二つあると、こう言った。戦争に巻き込まれる不安、それからもう一つはこの基地を使って人が殺されているというこの現実、これは平和の感情から、許されない。あなたたち説明によれば、安保条約のそのためにあるんだと言っているじゃないですか。だから、たとえば安保条約が適当に運用されているかどうかで調べるんだということは、結局は同じだというふうにこれは解釈できるんだが、実際はそうなっていないんじゃないですか。だから、ことばでそういう問題をはぐらかさないようにしてください。国民のこの問いに答えてください。私は、少なくとも国民感情の上に立って、いまこれは質問しておる。あなたは、それでやるんだと先に言いながら、安保条約の適当な運営——ところが安保条約の運用というものは、全くこれはいままで国民感情からはずれていますね。それで、実際はいろいろにかってにこれは解釈される。いろいろこれは運用の面で、こういう国民の要求は実現されていないのが事実です。それが安保の本質なんじゃないですか。
  310. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、国民感情も考慮しながら随時協議を行なうと、こういうことを申し上げたのです。つまり、日米安全保障条約はこれは堅持する、そういう基本姿勢をとっておるわけです。どうもその点は岩間さんと私どもは立場が違うんですが、その日米安全保障条約が今日においても適正に行なわれるということも、またこれは考えていかなければならぬ。わが国は安全保障条約においてアメリカに対して義務を負っておる。その義務の遂行ということもあるんです。と同時に、そのあなたの主張されたところの国民感情というものもある。そういう両面を踏んまえて安保条約の執行に誤りなからしめなければならぬ、こういう考え方で随時協議を行なおう、こういうことです。
  311. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまの御答弁を要約してみるというと、やっぱり二面性なんですね。安保のほうに向いている姿勢。それから国民の感情を尊重するなどと言っているが、安保のほうにこれは向いている。だから、結局安保の運用、そして安保堅持、そういう立場でこれはものを言っているんです。少なくとも私は、だから、とにかくあなたのいまの立場として、外務大臣としてただ一つのこれはアメリカと折衝するそういう責任を持っておるところの窓口なんです。そう言いながら、しかも非常に重大な責任、政治の責任の立場にいる。それに国民の感情というものを、一体どれだけ国民のそういう要望に従って解決をするかというそ姿勢を私は問題にしておるんですよ。これは問われているんですよ。だからいまのような答弁では私は満足しない。ことばがいろいろ出てくるけれども、もっとやっぱり行動力のある、はっきりしたそういうものでなければだめなんです。非常に紛飾が多過ぎて、紛飾の中で答えがごまかされる。  じゃあ、これに関連してお聞きしますが、対等平等の立場でやりますか。この協議は対等、平等の立場でやりますか。
  312. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もとよりそのとおり考えております。
  313. 岩間正男

    ○岩間正男君 なぜこんなことを書くんですか。中村委員からも指摘されていますが、これが対等、平等の立場ですか、この姿勢は。この「三」を見てください。どうです。「米軍施設・区域の使用状況に対する国民の関心が高まっていることに鑑み、この際これらの点について、改めて米側から説明を徴することは、」、日本側から意向を出すんですか、出さないんですか。「説明を徴することは、」、こんなことでこの問題ごま化されますか。国民はいま意見を持っているんです。不安を持っているんです。そうしてそれをはっきりしてもらいたいといって要望しているんじゃないですか。これに対して対等、平等の立場に立つのは、当然こっちから提案を、はっきり意見を述べるべきだ。述べるのですか、述べないのですか、その点が一つ。その点が非常に重大だ。そんなことが「米側から説明を徴することは、有意義であると認められるので、」こういうことを言っているわけです。これじゃ全くこの姿勢が問題なんです。対等、平等で、そうしてそのような国民の当然の希望、意見というものをはっきりアメリカに伝えるというのがあなたのすべての立場じゃないですか。今度はそれを貫くそういう立場に立つんですか。ただ意見を徴することは、向こうの御意見をお伺いすることは有意義だ——何が有意義ですか。そんなことじゃないのです。もっとはっきりやっぱりさせろと、こう言っているのです。これが国民感情に立つ外交折衝であります。それも、いま随時協議ということが問題になっているのだが、とにかく外交折衝ですよ、日米の外交折衝をどういう姿勢でとるかというステーツマンとしての姿勢を問われておるときなんです。安保の問題を解釈でもってちゃらちゃらちょろちょろやって入るということじゃありません。どうなんでしょうか。
  314. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは第三項は最後まで読んでいただきたいのでありますが、「施設・区域の使用」にかかる諸問題に関し、日本側の関心を十分米側に伝えることといたしたいというので、これは説明を聞くだけじゃないのです。こっちの意見も言うのです。これで御了解願えるんじゃないかと、かように思います。
  315. 岩間正男

    ○岩間正男君 米側に伝えるだけですか。伝えるだけですか。協議ですよ。
  316. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 随時協議ですから、これは協議ですよ。向こうからも聞く、こっちからも伝える、その間に何か結論が出れば出てくる、こういうことなんです。私どもはどこまでも、国民感情ということもあります。それも考えまするけれども日米安全保障条約にいうところの義務、これは実行しなければなりませんから、そういう立場、どういうふうに調整するか、まあ岩間さんがおっしゃるような非常に簡単な問題でもないのです。日夜苦心をいたしている問題なんです。
  317. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの決意を聞いておるのです。あなたの決意を聞いておる。それから安保条約安保条約と言うけれども安保条約は問われているのです、これは、いま。国民に全面的に問われているのだ。こういう制度はいいのか悪いか、そこまでいっているのです、この問題は。ここで対決するんですよ。だから安保を前提としてこうだということじゃないのだ。あなたの態度、政府の態度いかんによっては安保が全面的に第十条のあれで、一年後には通告をすればやめてもいいのだというそういう状態にあるのです、これは御承知のように。そうでしょう。一昨年の六月二十三日以降そうなっているんだ。そういう体制の中で国民は聞いておるのだ。同時にそういうことも含めて聞いているんですよ。その辺をそんなワク内に閉ざして聞いたんじゃ話になりません。ここは議論になるかもしれませんけれども、それじゃあその次。できるだけ早くったって、いつなんですか。どうなんです、佐藤さんやめてからですか、やめないうちですか、はっきり言ってください。
  318. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私ども関係者はもう日夜国会で忙殺をいたしておるわけなんです。なかなかそういう機会もございません。しかしできるだけ早く協議はやってみたい、そういうふうに考えております。
  319. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ答弁にならないわけですね。とらえどころがないのだ。できるだけ早くというのは、これはどうでもなるのですからね。そうじゃなかったわけだ。この前の委員会においても、いま問題持っているんです。火をふいているんです。この問題で具体的にすぐにもやるべきだ。なるほど国会は忙しいでしょう。それよりももっと忙しいことがおありでしょう。そういうことはよく私はわかっている。けれども、それにとらわれておっていいのか。コップの中の嵐なんというのは問題にならぬのだよ、国民の立場に立てば。同じコップの中の争いをやっておるかもしれぬけれども、こんなもの問題にならぬのだ。日本の運命がどうなるかという問題なんだ。だから、それからいったら最大の観点でしょうが、これが。この問題と対決できないのですか。それをいま福田さんは問われているのですよ。いろいろな意味から、国民が問うているのだ。どれだけ一体スケールを持った人か、一体どれだけの姿勢を持った人なのか。これを一体次の何々にするにはどうだと、こう考えておるのだ。それがわからないのですか。わからなくなっているところに問題があるんです。どうなんです。
  320. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) どうも、岩間さんに問われておりますが、国民の多くは日米安保条約はこれを必要とする、こういうふうな考え方をいたしておる、こういうふうに考えます。したがいまして、国民感情もこれを顧慮しなければならぬことはもちろんでございますけれども安保条約の義務も、その上に立ってこれを適正に履行しなきゃならぬ立場に日本国はある、このことは日本国民の多くが理解してくれる、かように考えます。
  321. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたたちのやり方ではっきりしますよね。そういうことであんたが問われているのだということを忘れなさんな。安保が問われているのですよ、この姿勢が。今日は、根本から再検討が必要になっている。安保あるを知って国民あるを知らないということではだめなんだ。国民あって安保があるのだ、かりにあなたたちのことばに従っても。そうでしょう。安保は至上命令なんですか。至上命令にしているところに、いまの姿勢があるのだ。明確にしておきます。  そこで、具体的にお聞きしますが、あなたは当時、背景としてのベトナム情勢についてアメリカと話し合う、こういうことが必要だ、こう言っているから、ベトナムの認識が問題なんです、具体的にいえば、ベトナムの認識をどうお持ちかということが、やはりこの安保の問題の背景です。さらに、事前協議の問題、安保運用の問題、基地の問題、こういうものは全面的にこれを解決する一切の背景というのは、まさにベトナムの情勢をどう把握しているかということにある。そこでお聞きします。これは衆議院でも問題になったようですが、ニクソンが、御承知のようにこれはモスクワで演説をした。あの演説くらい皮肉——これはモスクワの市民も、全く皮肉まじりにやっていましたな。言うこととやっていることがまるで違うじゃないかと、それをえらい皮肉なことばで言っていました。とにかく、レニングラードの攻防戦で飢え死にしたあのターニャという十二歳の少女の例をあげ、そうして世界の平和に捧げなければならないと言った。その同じ時刻に、ベトナムでは北爆、南爆で一体何人が殺されているのです。これを一体どう思うのです。ああいうことばというものは、どんなに欺瞞性に満ちたものだかということははっきりしているだろうと思う。だから、この問題についてまずお聞きしたい。いかがですか。
  322. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今回のエスカレーション、私は八年間に一張一弛がある、今回は一張の状態だということを申し上げておるわけでありますが、それはアメリカ側の解説によりますと、北側がベトナムの中立地帯を侵犯をして南進をしてきた。それに対する応戦である、こういうふうに言っておるわけなんです。まあ、北側にも北側の事情がありましょうけれども、こういう戦闘の状態につきまして、そのいずれか一方だけをこれを責め立てる、こういう見方は少し偏しているのじゃないか、こういうふうに思います。私ども姿勢といたしましては、両当局がすみやかに武器を捨ててテーブルにつく、その一事である、かように考えます。
  323. 岩間正男

    ○岩間正男君 あんた、一張一弛ということばを最近使われている。さっきも使った。一張一弛、あまり、耳に新しいことばですけれども、そういうことばでやったってこれは話にならぬですね。これは私は十年ほど前にジュネーブ問題で予算委員会で徹底的にやったことがあります、椎名外相と。事態はきわめて明白だな。いま北側からの南進があって、これに対して集団安全保障の立場でというようなことを掲げてやるわけですけれども、そんなことを言っていますけれども、大体今度の封鎖だって、この前も防衛庁長官に聞きました。一ぺんでできないでしょう。海上封鎖、あれは少くとも相当な時間が要るでしょう。すでにこれは相当たくらまれていたのじゃないか。  そこで福田さんにお聞きします。あなたはマクナマラ報告をお読みになりましたか。昨年暴露された、国防省の。
  324. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 読んでおりません。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 これではっきりした。トンキン湾事件、あれというものはどういうふうにたくらまれていたかというのは、あのマクナマラ報告が実に明細に書いていますよ。同じような事態が起こっているのじゃないですか。今度の海上封鎖だって、私はこれを質問したのは四月八日の予算委員会で、そうして横須賀から出ていくコンステレーションの問題をあげた。それからどうですか。二週間くらいして海上封鎖が始まった。その事前に、もうたくらまれているのだし、そういう一切の準備というものは横須賀でも行なわれておった。それから、それらの機雷なんというものも佐世保あたりからちゃんと積まれた。そういう形勢は濃厚でしょう。また第二のマクナマラ報告です。お読みにならない、これは私は非常に驚いたのです。これお読みにならないで、そうしてアメリカの言い分だけ聞いていたとしたらこれはたいへんなことになる。これは重大な問題です。これはしかしお読みになっていただきたい。これは時間をおとりになっても差しつかえないと思う。お忙しいでしょう。よくわかります。よくわかるけれども、こういうことの基本的な問題を抜きにしてやったらこれはたいへんだと思う。  それじゃお聞きします。大体一体どのくらい爆弾を使っていると思いますか、アメリカはベトナムで。
  326. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 小銃全部含めまして、約六百万トンです。
  327. 岩間正男

    ○岩間正男君 一日三万発といわれているが、爆弾、これはどうです。
  328. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) その数字は存じませんが、少し多過ぎると思います。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 これ調べてください。この次またお聞きします。いままで使ったのはどのくらいか——約五千七百万発の爆弾を投下していると聞いている。ベトナム人一人に対して三発。
  330. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 爆弾総量は約六百万トンと承知いたしております。また年別のものも、手元には資料ございませんが、調べたものはたしかあったと思いますが、たまの数、爆弾の数については見た記憶はございません。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは調べてくだざい。その中にはナパーム弾、一瞬にして百メートル平方を死の海化するようなナパーム爆弾もあるでしょう。それから鉄の破片をまき散らす対人殺傷爆弾、もうこれはみな破片になって入るわけです、人体に。こういう残虐な行動ですよ。これはもうはっきりベトナム戦争のあれを見ましても、どうですか、一体こういう作戦というやつは、どんな作戦が盛られておりますか。どういう作戦です。ジェノサイド作戦というのはどういうのです。バイオサイド作戦というのはどういうのです。エコサイド作戦というのはどういうものか、これは御存じだろうからお聞きします。
  332. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 具体的には承知いたしておりません。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはあなたのような博識が御存じないのですか。だからもうだめですよ。こっちの耳だけ開いたんじゃ。片目だけ開いたんじゃだめだという。どっち向いている。世界を見なければだめだと言われているのだ。御存じないですか。これは外相どうでしょう。ジェノサイド作戦、バイオサイド作戦、エコサイド作戦というのはどういうのですか。
  334. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私、そういうこと存じませんです。
  335. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはジェノサイド作戦は、御存じのように民族皆殺し作戦というやつでしょう。そうじゃないですか。バイオサイド作戦というものは生物皆殺し作戦というやつです。エコサイド作戦というものは環境の全面破壊、これをねらった作戦、御存じないですか。——これやられているのですよ。日本が事実使われているのですよ。ナパーム弾の原料が日本にある。そしてそれが送られている。これはどうなんです。認識が違うのです。最初のような答弁できないんだ。認識がはっきりした。何も御存じないから言っている。何も御存じないということがはっきりした。マクナマラ報告さえ読んでいない。全世界を震憾させたマクナマラ報告さえ読んでいない。トンキン湾のあのもう七、八年前の封鎖がどんなに一体アメリカの擬装により、彼らの謀略によってなされたかということが一目瞭然と出ているのがあれですよ。マクナマラ報告でしょう。だから、そういうことでは、私は、やっぱり事実は認識を決定するのですから、事実の認識の程度がどの程度かでこれは違ってくるのですね。これははっきりしていますよ。そういう点やはり明確にしてもらいたい。この中で私はお聞きしたいのは、このエコサイド作戦の中で、最近行なわれている堤防破壊ですね。これはどうお考えになります。
  336. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 堤防破壊につきましては、これは戦闘の一態様である、こういうふうに考えますので、私どもとしてはその是非について批判はいたしかねます。
  337. 岩間正男

    ○岩間正男君 どれだけの堤防破壊されたか、御存じですか。
  338. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 存じません。
  339. 岩間正男

    ○岩間正男君 何も知らない。何も知らない外相を相手にして、国民はこれは気の毒だし、私も気の毒だ。こんなことじゃとても次期総裁なんておぼつかないですよ。何ですか、一体。この委員会の権威をもっと高めてほしい。  四月十日から五月二十四日の間にハティン、ゲアン、タンホア、ニンビン、ナムハ、タイビン、ハイフンの各省及び首都ハイノの各地で、紅河、タイビン川、ダイ川、マ川、ナム川、ラ川などの堤防、水利施設に対して、多数の米軍機編隊をもって四十二回にわたって各種の破壊爆弾五百八十発を投下している。  この空からの堤防破壊と並行して、米第七艦隊は連日連夜防潮堤体系に海から激しい砲撃を加え、多くの水利施設を破壊した。しかも、堤防破壊の攻撃にあたってのニクソンの手口を見ると、大型破壊爆弾と一緒に対人殺傷もねらうという二重、三重なそういう残虐な姿であります。  こういう事実も、これは御存じないんですか。外務省の情報局は眠っているんですか。あなたも御存じない。——ついでに聞いておこう。吉野さん、どうです。知っているか知らないかでいいですよ。知っているなら詳しく言ってください。
  340. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 存じません。
  341. 岩間正男

    ○岩間正男君 これも知らない。どうです、これでよく外交おやりですね。全く寒々としてくる。  これは外務大臣にお聞きします。堤防・水利施設に対する破壊、これについて、第二次大戦後ナチスの戦争犯罪をさばいたニュールンベルクの国際法廷、ここでどういう一体判決が下っているのか、御存じですか。
  342. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 存じません。
  343. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは国際法廷でも最大の戦争犯罪の一つとして、これは断罪されたものです。これをいまやっている。だからもうこれ、環境の完全破壊、こういうものが具体的にこの堤防破壊でやられておる。つまり生産を全滅しようという、食糧を断つというやつです。とにかくまあ秀吉時代の水攻めの反対だ。水攻めだね。まあそういうものを大規模でやっているのだ。国際的な規模でやっているのが、いまのアメリカのやり方なんだ。さらに、どうですか。ニクソンはいまハノイ、ハイフォンをはじめとする北ベトナムの都市人口密集地帯や経済施設に対する爆撃の強化、これを海上封鎖と並んで、もうこのような戦争犯罪行為までやっておる。だから私はこのニクソンのこのような犯罪に対して、これが一張一弛などということばで、そうして片づけられるべき問題じゃない。モスコーでどんなきれいな演説をしても、この陰でこういうことをやられることに対して、少なくともこれはやはり国民の立場に立つならば、日本の平和の立場に立つならば、これに対してはっきり私は抗議をし、そうしてしかもこれは安保協議、あるいはもっと大きな立場からいったら、日米の外交折衝によってこの問題を明確にするのはあたりまえだと思うのです。どうなんでしょう。
  344. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 戦争の態様である個々の行動について、われわれは是非を論ずべき立場にはない。
  345. 岩間正男

    ○岩間正男君 それで外務大臣、それじゃお忙しいようだから、またにして、一つだけ最後に聞きますけれども、これでつまり日本は国際法的には実際これは戦争に加担させられてしまうのだな。報復爆撃を受けてもこれはしかたがない、という立場に国際法的になっておることを、これに私は昨年の沖繩国会以来、本会議質問でもこの問題を追及してきました。今日沖繩の状態、それから日本の本土の姿を見ると、ますますそういうような危険のもとにさらされてきているのですね。この報復爆撃に対して、どうお考えなんですか。
  346. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国は政府といたしましても、また国民といたしましても、北ベトナムに対して戦闘をいたしておる、そういうような状態、つまり敵性を認めておるというような主観的な立場にもなければ、またわが国の基地が軍事作戦上の直接の基地として使われておるという事実もありません。同時に北ベトナム側におきましても、わが国が敵国であるというような感じは持っておらぬ。あの爆撃下においてもわが国に対して経済視察団が来訪するというような状態であり、北ベトナムの方々は、まあわが国に対して、平和な日本といたしまして、南北のこの問題に対して何らかの役割りはできないものかということを期待しておるくらいな状態でありまして、私は北ベトナムがわが国に対しまして敵性を認めておるというふうには考えておらない。
  347. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に一つ。あなたそういうけれどもね……。
  348. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) これ一つにしてください。
  349. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは南ベトナムの革命政府のビン外相がどういうことを言っているか、あなた知っていますか——これも知らないか。先月の二十八日にビン女史はパリ郊外での同代表団本部での共同通信記者との会見で、沖繩返還以後の日本政府の米戦争犯罪への共犯行為、これをきびしくこれは指弾しているわけです。ビン外相はこう言っているのです。「沖繩返還は日米政府間だけの返還であり、日本政府がベトナム侵略の最大の米軍基地である沖繩を米国に提供しているという事実は変わらない。米国の戦争エスカレーションは重大段階に至っているが、現在佐藤政府の戦争犯罪における共犯行為の責任は重大であり、日本政府はベトナム戦争以後の経済再建を口にしているが、共犯行為を停止することが先決であり、ベトナム人民はこのような日本の共犯の事実を忘れないであろう。」戦争犯罪における共犯とまでこれははっきり言っている。そうしてさらに、経済協力というようなことで言ってるけれども、報復をしないだろう、そういうことを言っている。しかし、それは甘い見方じゃないか。しかも報復をしないから何をしてもいいというようないまのやり方じゃないか。こんなことでいいですか。報復はしないのだから——局地戦だから、そして日本ともいままでとにかくある種の友好はあったから、だから報復はしないんだと、こういうこと、だから何をしてもいいというのがいまのこれは日本政府のとっている態度じゃないですか。どうですか。このようなビン外相の一体抗議に対して、どうお考えになるか。
  350. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 簡単に御答弁願います。
  351. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私どもは、国民の感情も考えなければならぬ、またアジアの平和も考えなければなりませんけれども日米安全保障条約はこれを堅持し、また同時に安全保障条約上の義務は履行する、こういう立場にもあることを一言御了承を願いたい、かように思います。
  352. 岩間正男

    ○岩間正男君 長くなるから保留します。
  353. 水口宏三

    ○水口宏三君 きょう外務省からいただきましたこの答弁ですが、第三項について、これは外務大臣の先ほど第四条に基づく随時協議として行なわれるという御答弁であったわけですけれども、これまでの各党の委員質問を聞いてもおわかりのように、非常に関心の集まるところだと思いますので、自民党、社会党、公明党、共産党、民社党各党の一致した申し入れとして、次の点を政府に申し入れますから、なるべく早い機会に日米安保協議委員会を開き、在日米軍基地使用の態様について協議し、その結果を当委員会に報告するよう申し入れます。  こういう申し入れを行ないますので、ぜひ、ひとつ善処していただきたいと思います。
  354. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会      —————・—————