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1972-05-12 第68回国会 参議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十二日(金曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員の異動  五月十二日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     世耕 政隆君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 田口長治郎君                 土屋 義彦君                 長屋  茂君                 細川 護煕君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 上田  哲君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  江崎 真澄君    政府委員        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        防衛政務次官   野呂 恭一君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        防衛施設庁施設        部長       薄田  浩君        防衛施設庁労務        部長       安斉 正邦君        外務省条約局長  高島 益郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        外務省アメリカ        局外務参事官   橘  正忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別  措置等に関する法律案(第八十七回国会内閣提出  第六十八回国会衆議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案を議題といたします。  御質疑のあるお方は順次御発言を願います。
  3. 鈴木力

    鈴木力君 私はこの法案を質問するにあたりまして、まず一番先に、防衛庁長官をはじめ各位の御答弁というのがどういう性格のものだろうかということから先に伺いたいと思うんです。というのは、何か、そのときをつじつまを合わせて答弁をしていけば、あと責任は持たないというような、そういう答弁があるなら、もう私はそれなら質問をやめたほうがいいぐらいの気持ちを持っておるんで、最初に、まあ変なことですけれども、そういうことを伺いたい。  まあ、私は御存じのように内閣は初めてでありますから、全くこういう方面は自分で自覚しているほど勉強不足でありますから、したがってそういう多少とんちんかんなこともお伺いするかもしれませんけれども、ただ、しかし、私は、この防衛に関するすべての問題は、私のようなしろうとでもわかるような、国民にわかるようなものになっていない、そのことが重要だと思いますから、そういう意味でひとつお答えいただきたいんです。  まず最初に、その答弁責任ということなんですが、大きなことは申しませんけれども、たとえば江崎長官答弁の中にも、まあ小さなことだけ例にとって申し上げますけれども立川基地の問題で問題になりましたときに、たぶん三月の十四日かと思いますが、衆議院で、立川基地でとったあの行動は、その中身はもう言いませんけれども、住民の民意に反するという趣旨質問に対して、たぶん江崎長官は、そうは言うけれども電話でよくやったという、そういう事実もあったという御答弁をなさっていらっしゃる。そしてあとで、それは不特定のそういうものを根拠にする答弁は不見識だという、用語は違いますけれども、そういう発言があって、長官はそれを認められていらっしゃる。ところが一日置いて、まあ舌の根も乾かぬうちにというのは少しことばが悪いのでありますけれども、十六日の参議院内閣委員会で同じ問題を扱いましたときに長官から同じ答弁が出ている。そして、同じような趣旨で、これをけしからぬということを認められていらっしゃる。まあきょうは、私はそのことをいま申し上げたのは速記録——したがって責任追及という意味で申し上げるのじゃなくて、こういう趣旨のことがそっちにもこっちにもたくさん出てくるとすれば、それはお答えになったという趣旨は、ほんとうはどこなんだろうという気持ちがしてならない。そういうことですべてが収拾されるとすれば、御質問申し上げる意味もどうもなくなってくるような気がするんで、答弁というものに対する責任の度合いというものを、まずそれからはっきりしていただきたいと、こう思うんです。
  4. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) どうも鈴木議員の御指摘のように、いろいろ私ども答弁上ふなれな点もあったりいたしまして……
  5. 鈴木力

    鈴木力君 あり過ぎている。
  6. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) つい要らざることにことばがすべったり、そういうことが原因で誤解を生ずるというようなことがあったのは恐縮なことだと思っております。やはり立川問題につきましては、まあ結果論でありまするが、白昼堂々といいまするか、もっとやり方はあったのではないか。やはり何となく、あのとき、まあ無益の衝突を避けようという結果が、ああいう夜、しかもかねて予定した時間を数時間繰り上げるというようなこれも不測の計画になったわけです。かれこれあとから考えてみまして、まことにそういう点は、市民感情をそこなうばかりでなく、一方また、私ども自衛隊といたしましても、今後、将来の士気にも影響することである。世論の反発を受けまして以来、いろいろと反省をいたしておるような次第でございます。したがいまして、今後につきましては、地元側とは当然十分の理解を得てまいりたいと思いまするし、これはしばしば沖繩にどう配備するんだというときにも、私お答えしたわけでありまするが、抜き打ちとか、ああいう形にならないように、やはり理解の上に堂々と進めていく。これは自衛隊性格から言いましても、それが望ましいと思いまするし、民主主義時代国民感情を考えましても、そうあるべきだというふうに考えておりまするので、どうかひとつそういう点につきましては御理解を賜わりたいと思います。
  7. 鈴木力

    鈴木力君 立川問題のいまの長官の御答弁わかりますが、私の御質問申し上げました趣旨は、例として一つ申し上げまして、国会でぐあいが悪くなれば適当な答弁をしてこうすうすうと長生きをしていく、それだけの話では私は何ら意味がないということを申し上げた。立川どうこうということをいま言ったわけじゃございません。と申しますのは、私は正直言いまして、まあ、よその委員会をずっと歩いて内閣に来てみて、まだ防衛庁関係皆さんに御質問申し上げた数は少ないんです。しかし、どうも私が聞いていると、よその省の答弁と比べまして、何となしに、どうも答弁技術は非常にすぐれていらっしゃるけれども、はぐらかし方もじょうずでいらっしゃれば、その答弁をされたことが実っていないという感じを、どうも私は強く持つんですよ。私がいまこういうことを申し上げたのは、これからだんだん具体的にお伺いしてまいりますけれども防衛問題というのは、非常にわれわれの予測以上に大きな問題として、常に問題から問題を積み重ねていく。そういう要素の中に、やっぱり防衛庁関係皆さんも、何か国民に対する姿勢に違いがありはしないかということを私は感ずるから、こういうことを最初に申し上げたわけなんです。いま、あまりこのことによって、そのときの責任はどうだというような、そんなことは私はあまり実りのあることとは思いませんので、そういうつもりでものを申し上げているわけではないんです。ただ、もう少しわかりやすいといいますか、国民に納得できるような、そういう措置ことごとにされてしかるべきであろうと、そういう立場でお願いをしておる。で、たとえば、今度の国会がずいぶん日程もおくれまして、いろいろささやきが出てきておる。その中に、私はやっぱり防衛庁関係の、本質的にはどうこうという議論があるにしても、防衛庁がしでかしたというか、しでかしたということばは少し悪いんでありますが、その関係の問題が、この国会のおくれに相当大きな影響を与えたことは事実だと思う。そして、具体的にはあまり申し上げませんが、そのとき、事件それぞれがそれなり処理をされてきたと思います。それなり処理をされてきたと思うけれども、いま振り返ってみて、それではその処理をなされたことが一体国民に納得できるような処理がなされておるだろうか。やっぱり多くの国民感情としても、技術的にはそこはうまいこと切り抜けていったけれども中身は変わっていないのじゃないかというような感じが私はあるような気がする。私もそういうような気持ちがするんです。ですから、たとえば——これもたとえばということで申し上げます。そのこと自身どうこう追及していくという意味ではありませんが、たとえば、この四次防の先取り問題、あるいは沖繩への物資の輸送問題、こういう問題が起こっておるわけであります。  四次防の先取り問題については、大筋を国防会議にまた戻して、そして計画をやり直すということをやられていらっしゃる。それから、沖繩物資の問題についても、一たん送った物資を取り戻してといいますか、引き返して、あらためてルールに従ってやった、こういう経過になっていると思います。  そうしますと、手続的にいうと、一応のそれでケリがついたということになっている。だがしかし、私はどうも本質的にこれでは解決されていないのじゃないかという気持ちなんです。たぶん長官もこの始末については、何かその処分もする、責任の所在を明らかにしてやっていく、こういうお話もたぶんあったはずだと思います。しかし、それがどうなっているのか、いつやるのか、そういうこともあまりはっきりもしていない。こういう問題に対して、私は、本質的に防衛庁自身がその問題を掘り下げていって、どういう姿勢にあるべきかということから、防衛庁が事実をもっていろんなものを出していかないと、あと始末ができたということにならないのじゃないか、こういう感じがするんです。ですから、たとえばということで申し上げましたけれども、その多くの中の一つ処分という問題がある。いま一体長官はどういう計画で、どういうおつもりでいらっしゃるのか、これをひとつ伺いたい。
  8. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) じゅんじゅんの御指摘でいかにも恐縮に思っております。  この、たとえばとおっしゃいますように、一つの顕著な例として、あの沖繩物資過剰輸送の問題がありまして、これは私ども責任を痛感しておるわけであります。あの当時、ああいうことになりましたが、実は防衛庁として、本年度の一番大きな問題と申しますると、第一には四次防を策定して、審議の場に供すること、これは防衛庁自体としては三次防が切れました関係から、非常に重要な問題だと考えております。  それからもう一つの問題は、沖繩用地確保の問題でございます。施設庁を中心に、いま旺盛に努力をいたしておりまするが、だんだん、幸い地元理解を得つつありますが、まだ最終的にはなかなかむずかしい問題が残っております。  それともう一件がいわゆる自衛隊沖繩に対する配備の問題であります。これが三つの重要課題といいますか、配備そのものにつきましては、慎重の上にも慎重、沖繩県民感情を十分体するということで、少数の準備要員が、広大な土地施設、こういったものの管理要員ということに切りかえて九十六名でそれに当たらせる。こういうことにしておるわけでありまするが、そんなことから、まあ直ちにあの当時人事を刷新して一罰百戒といいますか、綱紀を引き締める、こういうことを考えましたが、やはり沖繩配備ということは非常に重要な問題です。配備はああいう形で徐々にということで、最小限にまず出発はとどめたわけでありまするが、用地確保という問題は、これは容易ならぬ問題でありまして、実は、適当な時期に部内綱紀を引き締める、こういうことで、衆議院側においてもお約束をし、また参議院内閣委員会においても、当時同じようなことを申し上げて御了解をいただいたわけでありまするが、実は、この復帰時点までは水流で馬を乗りかえると申しますか、この重要な仕事をスムーズに進めるために、やはりなれた者が責任のポストに立って片づけるということが大事ですし、かえって綱紀を引き締めるとか、適材適所などといいまして新たにすることがはたしていいかどうか、ずいぶん思い悩んだわけでありまするが、十五日まではこの体制でいこう——もう十五日は目の前でございます。したがいまして、これが過ぎますると、直ちに人事を刷新いたしまして、それぞれ綱紀粛正をし、決着をつけていきたい、こういうことに考えておりまするので、もうしばらくひとつ時間をおかし願いたいと思います。
  9. 鈴木力

    鈴木力君 まあ私がいま申し上げましたのは、私は、この政治的な解決といいますか、このことをしていく場合に、私自身は、ほんとうのことをいうと、処分ということにいささか疑問を持っておるわけです。処分するなというわけではありません。やっぱり間違いをおかした者は綱紀を厳正にして処分をすべきであります。だが、私は、どうも今日までの防衛庁なら防衛庁あり方を見ておるというと、だれかの処分をして首をすげかえたからそれで事が終われりということを繰り返してきておるのではあるまいかという気がする。だから、したがって、私はどこのだれの首をどうしろということを毛頭言うつもりはありませんけれども、しかしやはり国民に示したものはきちっと示さなければいけないと思うが、人間の首のすげかえをしても中身が変わらなければ私は意味がない。それからせっかく処分という名のもとにやめさしても、その人が何年かたてば長官が世話して、むしろ一流の企業の関係のところに世話をしておる。こういうことを考えると、処分意味というものは、私はそれだけでは意味が出てこないと思う。それから防衛庁では、事あるごとに長官がかわられる。これも政治的責任をとったということにはなります。しかし防衛庁長官がかわることが国民にこたえる道のすべてではなくて、それではなくて、起こった事件に対する解決策政府が出すことである、そういう感じがしてなりません。ですから、これ別にどうこう、ここを追及して英雄になるというつもりは毛頭ありませんですけれども、私がいま申し上げた意図は、たとえばそういうことがありましても、長官綱紀粛正ということを言い出しても、それならそういう体制にいま全部関係職員がなっておるのかどうかと思うとき、どうも私はその点がなっていないような気がするのです。そこを私は本質的に問題にしたいと思うのです。シビリアンコントロールとか、いろんなことが言われます。その場合にも、ともすれば手続上の問題に落ちてしまっておる。制服組手続がおくれたのか、おくれないのか、判こがだれの判こがあったのかなかったのか、私はそういうことも大事だが、きっちりしなければいけませんけれども、そうではなくて、ほんとう趣旨体制が庁内に満ち満ちていなければ、手続的に間違いがありませんからと開き直るようなことでは、ますますシビリアンコントロールというのはくずれてくる。私に言わせれば、言い過ぎるかもしれませんけれども制服だ、あるいはせびろだと、こういっておるけれども、どうもいろいろの事情を見ていると、制服、せびろ、まるぐるみになって、いま軍優先軍先行のような形になっていはせぬかという心配さえする。これではどんなに判こがそろっておっても、手続がきちっとそろっておっても、ほんとうのあるべき姿の自衛隊にもならないし、防衛庁の行政にもならないだろう。あまりこまかな例はあげるつもりはありませんけれども、たとえば防衛施設庁関係で、沖繩土地収用関係あとで具体的に御質問申し上げますが、本土内においてもいろんなことがあります。私は個人を傷つけるつもりはありませんから、組織に対してものを言いますから、したがって個人名はあげませんけれども、たとえば立川にもう一度行きますと、ここにもちょっと調べてくださいといったことがありましたが、立川のあそこの基地自衛隊が移駐することに反対決議をあげた小金井市会ですか、そうしたらすぐ施設庁のある方が財政の担当者に夜中に電話をかけて、そういうことをされると周辺の整備ができませんぞという電話をかけておる、これはちょっと行き過ぎではないかと思うんですね。こういう例はまことに私はこの一件を例に出された方がどうもお気の毒なんですけれども、あげるとざらにある。各地を歩きますと、各地ともそういう話を聞くのであります。だから、かりに長官国会で何べんか答弁をして、あるいは人事の刷新をし、綱紀粛正をいたします——ほんとうを言いますと、人事の刷新なり、だれを首切る、切らないは別問題で、その時点で私は全庁職員が引き締まっていなければならないはずだと思う。そういう趣旨に動きを変えていることが見えなければいけないはずだと思うんです。ところが、どうもそれがあまり見えないとすると、国会技術ですり抜けたというような、そういう評価を受けるだけであって、本筋的な立ち直りにはなっていない。私は、この姿勢を直すということがいま問題になっている沖繩の今後の問題と直接結びつくと思いますから、そういう点について、まず長官としてのいままでのそういう問題、私の指示した点に、君はものを知らないんだと言うならそうおっしゃっていただいてもけっこうでありますが、長官としての所見を伺いたいわけです。
  10. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御指摘の点は、いろいろ私どもにも非常に参考になる点が多いと思います。ただ、問題は制服とせびろが一体になってなれ合いでいろいろやっているんじゃないか——私はそうは思いません。制服側も、国会でいろいろ今度問題になりましたことを契機に非常に事を慎重にかまえるようになりました。これは、私ども直接制服に接しておる者から申しますると、慎重過ぎるほど慎重になった。あつものにこりてなますを吹くということばがありまするが、かえってそういうことにならないようにと、しかし、反省すべきことは率直に反省をして、やはり部内を整えていく、これは大事なことだというふうによく話し合いをいたしておるつもりであります。それから、せびろ組のほうですね、いわゆる内部部局につきましては、四次防以来の、やはりあれだけの問題で原因を生じて国会空白になったということについては、何といってもこれは国会空白にした責任と申しまするか、不行き届き、こういったことについての反省は深刻でございます。そのことは、本来最高の責任者でありまする私自身が一番痛感しておるわけでありまして、防衛庁長官がかわり過ぎてもいけないという問題もありまするが、本来ならば、私は居続けではなくて、こういうときには、私は防衛庁長官というものが出処進退というものを明らかにすべきだ。ことに指揮命令の系統が集まっている自衛隊というものを持っている防衛庁だけに私自身はそんな気持ちで実際おります。しかし諸般の事情等もあります。私の進退総理大臣にお預けして今日に至っておるというのが実情でありまするが、やはり政治責任というものは責任者が負うべきものだというような感じがしてなりません。同時に、いま御指摘のように、綱紀を引き締めるとかなんとか言ったって、なかなか実はあがっていないじゃないか、そのきらいなしとしないと思います。それだけ防衛庁というものはいまや大世帯になってきております。したがって、これはここでどんなうまいことを言ってみたって、実が伴わなければ何ともならぬわけでありまして、やはり防衛庁自体ほんとうに緊張をし、責任の重大さを感じて今後に処していく、これが現実にあらわれてくることが、私一番大事なことだと思うのです。そういう意味で、今後も十分ひとつ部内を引き締めまして、皆さま方に不信を抱かせることがあったり、また私のほうで疑惑を生ずることのかりそめにもないように努力してまいりたいと思います。そういうことを申しておるやさき、先般も反戦自衛官といいますか、ああいったことが起こってまいりました。あれなども事前にそういう雰囲気を、起居をともにしているのですからわかりそうなはずですが、よくわからなかった。相手が大ぜいだからやむを得ぬといってしまえばそれまででございますが、これはたいへんなことだと実は思っておるような次第であります。ああいうことも今後続発しないように、やはり部内をしっかり引き締めていく、これは自衛隊に賛成の方であろうと反対の方であろうと、自衛隊の特殊な性格から申しまして、ああいうことが続出していいはずのものではございません。したがって、よくそのあたりにも目を行き届かせながら綱紀を引き締めていきたい、これがもう、全く、現在の率直な私どもの見解でございます。
  11. 鈴木力

    鈴木力君 反戦自衛官の問題も確かにありますけれども、これはぼくはいま長官のおっしゃったとおりだと思います。私がいまずっと申し上げておりますのは、シビリアンコントロールとは何ぞやというような議論から、これは佐藤総理お答えになっていられるように、基本国民福祉だということだ、国民福祉に奉仕するといいますか、国民福祉を前提とした一つの軍のあり方といいますか自衛隊あり方、そういうものを持っていかなければいけないという基本だと思うのですけれども、そういう意味で、この自衛隊組織そのもの、あるいは防衛庁が、施設庁も含めて関係組織そのものが、やはり国民に対する基本的な姿勢は持ち続けないといけないのではないか、こういう意味のところに主眼を置いて、いま申し上げておるつもりなんです。ですから、先ほどあげました例のように、これは自衛隊あるいは防衛庁にとっては気にくわない決議でありますけれども自衛隊移駐反対決議をあげると施設庁のほうからすぐ電話をかけて、そんなことをやるとためになりませんぞと、そういうあり方が、私はやや共通的にこの組織の中にありはしないかということをいま申し上げた。これはあるないと言ったってしょうがない話でありますけれども、せめて私は、こういう点は、たとえば基地周辺施設にいたしましても、それをつくって、やはり防衛施設庁の名前を入れた礎石を必ずつけるとか、最近は希望がなければつけません、こう言っているけれども、あるところで聞いてみたら、やはりつけたほうがいいという話があって希望させられた例もあるわけです。どことは申し上げません。何となしに防衛庁というものを売りものにしたそういう形の姿勢、あるいは言うことを聞かないとためになりませんぞというような姿勢があって、これが基地取得なり、そういうところに出てくると非常に問題が多い。こういう意味で、私は申し上げておるわけなんです。したがって、私は、そういう具体的にいま申し上げた事実に、調べて処分するということは一言も申し上げません。組織全体がそういう点で留意してほしいという強い要望を申し上げておきたい、こう思います。  それで具体的に申し上げますと、さっき立川基地につきまして長官から御答弁がありましたが、長官の御答弁をこういうふうに確認してよろしゅうございますか。まあ立川基地に限って申し上げますと、あの立川基地については——立川基地についてはというよりも、今後自衛隊の移駐なり転出なり、まあ移駐なり自衛隊の設置なり、こういうことについては、二度と抜き打ち進駐というようなことはやらない。それからもう一つは、立川ではいろいろな問題を起こしたのだけれども、この住民の意思といいますか、尊重しながら、十分やはり関係機関の納得を得てやる。  それから、いま非常に重要なことは、地元基地をなくせと、こういうことなんでありますが、いきなりなくせるかどうかということはたぶん問題があると思うけれども、少なくとも情勢の変化などによって、あの基地をさらに増強するというようなことは考えていないと、現状以外に増強はしないということは、はっきり確認してよろしゅうございますか。
  12. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 前段でお示しになりました部内を引き締めていく問題につきましては、これは今後とも十分配慮いたしたいと思います。  まあ施設庁電話をかけたり、一つの例としてお出しになりましたいろんな問題もあります。これは施設庁の仕事であると、まあそういうことは、これは何も、住民にはわかっておるのですから、それを書いて、何となく協力態勢の宣伝といいますか、これはやはり自粛していくべきことのように思います。もともと騒音や基地で迷惑がかかっておるのだから、それに見合っての施設をしたということで、何となくそれが恩着せがましく住民にまた受け取られるというようなことは、かえって将来に禍根を残す原因にもなりかねないと思いますので、そういうこともよく相談をしてまいりたいと思います。  なお、私十一年ですかぐらい前に防衛庁長官をやりましたときには調達庁と言っておりました。この当時は、何となく私、職員諸君と話をしておりましても、米軍の威力をかさに着てというような感じがありありと見える。いまでも私はよく施設庁長官と、あのころはひどかったね、という述懐話をやるわけですが、まあその当時からいいますと、現在の施設庁というのはよほどよくなってきたと思います。御指摘の点等々含めて、今後やはり近代的な施設ということで、名実ともに整っていくような方途を講じたいと思います。  それから立川の問題でありまするが、これは先ほども申し上げましたように、どうもあれはやはりうまくなかったと、あとから反省いたしております。第一、まあ衝突を回避してというので数時間早めることによって深夜の駐留というか、進駐といいますか、ああいう形はやはり市民感情も刺激しますし、自衛隊の側から言うなら、何となく屈辱感を覚えるでございましょうし、あれは現地部隊のそれぞれの司令官が計画をしまして、陸幕長を通じ、次官そして私は実行したらどうだとかどうしようということに最終的な判断をおろすわけでありまするが、やはり今後は、こういう問題には、よくひとつ配慮をいたしたいと思います。そればかりか、もともと基地というものは、そこの住民感情に、円滑にはいかなくても少なくとも理解のもとに受け入れられるということでありませんと、これは事業の協力という体制が整いません。したがって、今後は、もっとひとつ民主主義のルールにしたがってと申しますか、十分話し合いをいたしまして、念には念を入れるというか、十分ひとつ念を入れていくことにしたいと思います。自来、ほんとうはまだほかにもいろいろ問題をかかえておるわけでありまするが、そういうことにも念を入れておるというわけでございまして、今後ひとつこれは十分配慮をして、いまちょうど鈴木委員がおっしゃるような線にこたえられるように努力してまいるつもりでございます。
  13. 鈴木力

    鈴木力君 もう一点、立川の例ですが、私さっきお伺いをしたのですが、情勢の変化によりなどといって、いまどうもまた——これは本会議で緊急質問もありますから、私はそれには触れませんけれども、たいへんまたざわざわしてきている時期に、情勢変化によりなどという適当なことで、あの立川の現状をさらに増強するなんということは絶対にやらない、こういうことはおっしゃっていただけますか。
  14. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この立川基地はいま米軍も使っておるわけでありまするが、まあたとえば具体的にいって、ベトナムの情勢の変化により、そういうことも意味しておっしゃっておると思いますが、そういう増強方途というようなことは全然聞いておりませんし、またそういうことがあればわれわれはノーというふうに言いたいと思います。
  15. 鈴木力

    鈴木力君 自衛隊がどういう……
  16. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) おそらく横田に関東平野の基地は集約するというたてまえでおりまするから、御心配の点はないと思います。  それから自衛隊につきましては、御承知のとおり、現在いわゆる試験段階でありまして、部隊そのものの航空基地として、ヘリコプターの基地としての使用にたえるための試験をしておるわけでありまするので、計画どおりの本隊というものは移駐をしたいと思っておりますが、この本隊移駐については、先ほどから申し上げておりまするように、十分地元側にも話を進め、今回先遣隊がとりましたような抜き打ち的な措置はとりたくないというふうに思っております。
  17. 鈴木力

    鈴木力君 同じような問題がたくさんあると、こうおっしゃいましたけれども沖繩に入る前に——基本的に沖繩も心配していることは同じだと思いますから、もう一つだけ、直接沖繩とは関係がありませんので恐縮ですが、たとえば青森県の車力村の演習場の取得問題がありますね。あまり詳しくはいま御説明をいただかなくてもいいのでありますが、ああいう問題が起こっておりますときに、現状はいまどういう形になっておりますのか。それから将来、一体それでも押しつけて無理無理やるつもりなのか、一つだけ伺いたいと思います。
  18. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) かねがね車力村にはミサイルの試射場を設置するということで、車力村及び当局その他の周辺の方々とも土地の取得についての交渉を行なってまいりました。そして現実に、昨年の十二月八日に土地の取得を了したわけでございますが、その土地の取得をいたしますにつきましては、地元の御了解が得られるという心証のもとに、私どもは取得をいたしたわけでございますけれども、いろいろ地元から出されましたところの諸条件についても、われわれとして完全にそれに応じ切れないというふうな問題もからんでまいりまして、地元としては反対決議をする。それから、周辺の町村につきましてもそういう動きがございましたし、それから、漁業組合、漁場を使用するため——ミサイルの試射に使用するために漁場の制限をいたしますので、その漁民の方々の反対ということで、かなり大規模の反対に遭遇いたしましたので、今日はちょっと私どもとしては、いま地元への説得といいますか、了解を取りつけることを控えておるという状況でございます。しかしながら、土地を取得したことでもありますし、私どものミサイル試射場設置の日的そのものは、まだ防衛庁としても堅持いたしておるわけでございますので、今後何とか地元の車力村あるいは漁民の方々とさらに交渉を続けまして御了解得たい、そのための努力を今後引き続きやってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  19. 鈴木力

    鈴木力君 ここは主題じゃありませんからくどくは申しませんが、いずれまた日を改めて、全体のこういう問題についてはもう少し伺っていきたいと思いますが、少なくとも、いまのこの車力村の問題は、あそこの生命線ということになるわけでありますから、しかも、それからもう一つは経過に問題があるのですよ。どういう手続がどうという言い方は、法手続上は言い方があるにしても、住民の側から言えば、観光牧場をつくるという名のもとにある一定の土地会社に土地を売り渡した。知らぬ間にその土地防衛庁といいますか、国有財産になっておって、そうして、ミサイルの演習場が来ることになった。そういう経過を経ているだけに、だからあそこの住民の人たちは海にたよって生きるわけで、後背地はあまり農業には適しないところでありますから、そこで、観光牧場と海ということを考えたら、海も観光牧場も全部パーになる、こういう形になるわけでありますから、これは私は、ただ普通のように、しばらく機を見てまた説得しますというような形にはいかないケースのものだと、こういうふうに思います。これについては御答弁が要りませんです。あとで、なお伺いたいと思います。  そこで、さっそく本題に入りますが、この沖繩の問題ですけれども沖繩への自衛隊の派遣計画がどうなっておりますのか。まずそれを伺いたい。
  20. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 従来、この委員会で御説明申し上げておりましたのは、復帰日直後から七月の初めにかけまして約千数百名。それから、復帰日から約半年の間で約三千二百名——陸海空合わせてでありますが、そうして、その中で航空自衛隊のF104が十月の初めに二十五機配備される。そうして、防空任務の引き受けをいたします来年の七月一日には約六千名ぐらいになって、ナイキ、ホークの部隊、それから、レーダーサイトの部隊が完成をするというふうに申し上げておりました。この点については、総理からも再三の御指摘がありまして、復帰日後からの配備については慎重に配慮するようにということで、人員をなるべく削減する方向で再検討を行ないました。そこで、現在の計画でまいりますると、復帰日以前の準備要員が、先ほど長官申し上げられましたように九十六名でありますが、復帰日からしばらくの間は、その準備要員を庁舎の管理要員——隊舎施設が相当ございます、広範囲な施設を持っておりますので、約百名ではちょっと不足ではありまするが、当初の間はそれでいき、そうして、本隊が展開をするための準備も行なってまいるということで、そうして、七月の中ごろにかけまして約二百五十名程度に漸次ふやしてまいる。その後、これも当時、この配備につきましては、航空自衛隊のための滑走路の工事、それから、航空自衛隊あるいは海陸もそうでありますが、庁舎の施設、隊舎の施設の工事を行ないます。これを、初めの計画では一月ごろ、あるいはそれをおくらしても三月には着工したいというふうに思っておりましたが、これもやはり地元の動向を考えまして、復帰日以後に工事を着手するということがございましたので、その関係で部隊の配備も逐次おそくなりまして、結局、陸上自衛隊で申しますと、七月の初めに約千百名の部隊を配備する計画でありましたのを、本年末に約千名にする。それから、海上自衛隊につきましては、当初の計画では十一月ごろに約六百名ぐらいの予定でありましたのを、年末に約五百名にする。それから、航空自衛隊につきましては、先ほど申し上げましたように、十月の初めにF104の部隊を一応整備するという計画でありましたが、これまた二十五機というものを十八機に減らしまして、これは十一月の初めに展開をするということで、ナイキの準備要員などを含めまして、さらにまた基地——これは航空自衛隊の104の維持をするための部隊でありますが、そういった基地隊を含めて年末には約千四、五百名ぐらいということで、陸海空合計いたしますると、年末で二千九百三十名。当初の約六カ月の間に三千二百人というのを、年末に約二千九百三十名ということにいたしております。その後逐次部隊の整備、工事の完成と相まって漸増してまいりたい。おそらく、来年の七月一日ごろには六千名近くの部隊の配備になるであろうというふうに計画をいたしております。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 最終的には何名になりますか。
  22. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 来年の七月一日ごろには約六千名でありますが、四次防末、つまり五十一年度末で六千五百人くらいというのを、これは防衛庁限りで計画しております。この点については、まだ大蔵省などとの協議がととのったわけではございません。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 沖繩の六千五百といいますと、その数字だけを見るとそう大きな数字でないという言い方をなさっているようでありますが、しかし、これを人口比率にしたらどの程度になりますか。本土の平均の人口と、それから自衛隊の隊員との比、それから沖繩での六千五百としての沖繩の人口との対比、どういう関係になりますか。
  24. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 陸上自衛隊について申しますると、一億に対して十八万でありますから、沖繩が百万に対して、これは陸はホークを含めますとちょうど千八百人になります。したがいまして、陸の場合にはちょうど人口は本土と同じになります。しかしながら、それはあまり意味がないのでありまして、たとえば北海道あたりでありますると、自衛官一人について人口がどれくらいであるかというのを見ますると、北海道では約百名ばかりでありますが、沖繩の場合には五百五十名ということで、北海道の場合が非常に密度が高い。それから、九州の場合には同じ数字が四百七十人ということで、これまた沖繩よりも密度が高いということであります。ということは、本土の平均とそれから沖繩そのものだけを見ると少し比較が不適当なのでありまして、たとえば青森県なら青森県だけをとってみますると、航空自衛隊と、それから海上自衛隊もあることはありまするが、たとえば飛行機なら飛行機というものが他の県もカバーするものとしてそこに置かれているということで、したがって、たとえば青森が密度が高いために岩手のほうでは航空自衛隊もなければ海上自衛隊もないといったようなことで、本土の場合一つの県をとってみると非常にアンバランスがございます。これはまあエリアといいますか、地域をカバーするという観点でそうなるわけであります。ところが、沖繩の場合には周辺に他の県がございませんから、すべてのものがそこへ集約される。しかしながら、多くのものを持っていくということではなくて、それぞれの機能の一単位を持ってまいる。ですから、ホークでもナイキでもF104の部隊でありましても、あるいは海空陸の部隊にいたしましても、最少の一単位を置くと六千名ばかりになる。それが隣接の県がありますと、そこへ持っていってもよろしいわけでありますが、それがないために、つまり本土から非常に離れた離島であるということのために、そこに集約されるといったことのために、本土の人口比と違った結果が出てまいるというふうに御理解いただきたいと思います。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 不適当であるという答弁については、私は承服できない。私は適当な見解でものを聞いていこうと思っているわけです。質問者の意図をよく聞きもしないで不適当であるという答弁をするような——そこが、私は最初から長官に申し上げておった防衛庁答弁姿勢といいますか、国民に向かう姿勢というのがどうもよそとは違うと思うんです。国民がどう思っていようが、自分の考え方に適当か不適当かを先に判断をしておいて、そうしてものを言うという姿勢があるというところに問題がある、こういうことを言っている。私は、適当か不適当かということをまず聞く前に、人口比がどうなっているかということを聞いただけの話なんです。よけいなことを先回りして答えたら困る。もう一度答えなさい。人口比をきっちり総額で本土平均はどれくらい、沖繩はどうなっているかということを答えてください。
  26. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 陸上自衛隊で申しますると、沖繩は……
  27. 鈴木力

    鈴木力君 全体でいいからと言っているんですよ。六千五百というのは全体でしょう。
  28. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) そうです。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 それならそれを言ってくださいと言っている。
  30. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ちょっとその数字はいま計算をしてみます。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 それなら出してください。もうやめだ。——まあ、そんなら時間かかりますから、それはあとで出してもいいのですがね。私がいま局長に聞いてもらいたいのは、ないならないと答えてもいいですよ。防衛庁防衛庁なりの説明の計算をしていることは私も知っている。そしてこちら側が聞こうとするところが不適当である、この姿勢があって、沖繩に何をつくったって私は意味がないと思うんですよ、基本的に。だから、いまの答えも、もうなければないでよろしいです。次に進みますから、それはあとで出してください。  もう一つ私が伺いたいのは、この自衛隊配備計画と米軍の基地といいますか、米軍のそれ自体との関係をひとつ承りたいと思う。要するに沖繩防衛という立場に立って——これはまあ私の考え方とは違う考え方ですけれども、そんなことは議論するつもりはありません。現に米軍がいる、それに自衛隊がこれから入り込むわけです。その両者の関係がどういう形になっておるのか。  それで、いま局長がおっしゃった、各府県と比べればどうこうということを言われたけれども、同じ局地防衛ということを考えると、米軍を除外しての局地防衛ということはあり得ないはずだ。その辺の説明をいただきたい。
  32. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 沖繩にありまする米軍というのは、日本を含めての極東の安全と平和に寄与する任務を持っているわけでありますが、特に在沖繩の米軍というのは、沖繩そのものを防衛するというよりも、極東の安全と平和の維持に寄与するという性格が非常に強いと思います。ところで、自衛隊の場合には沖繩そのもの、つまり局地防衛ということでありますから、そのための最小限の自衛力は配備されているわけで、その意味においては、米軍の配備と、それから自衛隊配備との関係が直接にあるというふうには理解できません。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 それはことばと仕組みの上からの説明になるでしょう。問題は、沖繩県が自衛隊に対していろいろな抵抗を感じておる。それはあなたもいやとは、ノーとは言わないでしょう。もう自衛隊に対する抵抗感というのはものすごく大きいわけです。これは軍に対する抵抗感がずっと続いていると見るのがほんとうです。その中に、とにかく米軍があそこに広大な基地を持っておるわけであります。これは関係がないとほんとに言い切れますか。もう一度答えてください、関係がないならないということで。
  34. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) これは関係がないというと、あるいは語弊があるのかもしれませんけれども……
  35. 鈴木力

    鈴木力君 だからあとで語弊があるような答弁をするから、ぼくは先に長官に言ってある。
  36. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) なかなかむずかしいところで、要するに……
  37. 鈴木力

    鈴木力君 むずかしいか簡単かを聞いているんじゃない。
  38. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 極東の安全と平和への寄与と、それから局地防衛ということとは、一応任務が違っても関係があるという意味では、たとえば沖繩そのものに対する攻撃が、これはわが自衛力の発揮として、自衛隊はそれに対する防衛をしなければならない。その間接的な波及効果として米側の基地も守られるということは当然あり得ようと思いますが、そういう意味においては関係があるでありましょうし、それからまた沖繩防衛のために自衛隊が発揮すれば、日米安保に基づいて米側がこれを応援するという意味においては関係がありましょう。しかしながら、大きく申しますると任務が違っておるという意味であります。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 だから、そういう仕組みとか何かの説明はそうだ。しかしそれで国民がわかりますか。たとえば具体的に聞きますとね、私は最初からしろうとであると断わって申し上げるんですがね。もし、そういうことなら、こういうことはあり得ないはずだけれども、しかしあり得るという想定で防衛を考えていらっしゃるんだから……。どっかの飛行機がかりに沖繩に爆弾を落としにくるわけだ。これは自衛隊の範囲だからということで、米軍はそこではマージャンなりゴルフなりし  ておりますか、そのときに。
  40. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) そういうことはしない  でありましよう。
  41. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、沖繩の守備ということに関係ないというのはどこから出てくる。
  42. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いま私が申し上げましたように、沖繩に対する攻撃があれば、まず、自衛隊が第一義的にそれに対処をして防衛をすると、その場合に日米安保体制に基づいて米側が援助をするでしょう、そういうことを申し上げてお  るわけであります。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 密接な関係があるでしょう。問題は、私がいま言おうとしておるのは、基地の密度が高過ぎるということを、防衛庁関係皆さんは意識しなければいけませんということを申し上げているわけです。まあ日米安保条約から地位協定から、いまこれをおさらいするつもりは私はありませんから条文に従ってどうこうとは申し上げません。ただ、そういうことがあるということは私も知っているから、そういういまみたいな説明もあるわけですよ。しかし相対的に沖繩における軍事基地の密度というものがものすごく多過ぎる。これは認めなきゃいかぬわけですよ。だから一方では沖繩開発ということで考えておる沖繩開発の一番支障になるのは一体何かというと軍事基地だ。必ず出てまいります。ですから軍事基地をできるだけ縮小するという方向と沖繩開発というのはミックスをしなきゃいけないんだ、こういう考え方が一方にあるわけです。そのときは、やはり任務を持っている防衛庁といえども基地の密度が高過ぎる、その認識だけは持って、それからどうということを考えないとあやまちをおかすのではないか、こういう意味で聞いておる。ただし、久保局長の先ほど来の答弁は、どうもやっぱり本来の防衛庁の本質を持っていらっしゃるんで、これ以上はもう私はあまり申し上げません。  ただ、具体的に若干のことをもう少し伺いますと、自衛隊沖繩に六千五百名最終的に参りますね。その自衛隊の使おうとする基地計画はどうなっておるんですか。
  44. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 現在、陸上自衛隊が那覇にありまするホイールエリア、それから航空自衛隊が那覇の基地——飛行場、それから海上自衛隊がホワイトビーチというのが主たる基地でありますが、そのほかについては、たとえば訓練場、射撃場などについて、あるいはホワイトビーチの米側の埠頭など、それから石油の、ガス燃料の補給地などについての共同使用ということは将来の問題として出てまいると思います。しかしながら自衛隊が専用する区域としてはいま申し上げましたところが主になります。そこで、そういった自衛隊の専用する区域について、これを拡大するという計画はいまのところ持っておりません。で、さらにあえて言うならば、ホイールエリアのような那覇市内にある区域というもの、自衛隊施設というものは、将来適地があれば、やはり郊外のほうに持っていくのが適当であろうということを考えております。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 主たるものはいまの米軍が使っておる基地といいますと、ホイールエリアというのはわかった。そのほかに、ずっと返還協定の中で、覚え書きの中にあるB表にあるのは、共同使用の場合とか、自衛隊との関係でずっとあるわけでしょう。これ以外のものはいまのところ考えないと、こういうことですか。
  46. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いま申し落としました。ナイキ、ホークそれからレーダーサイトの地域については、B表として——提供ではありません、わがほうが使用の準備ができ次第こちら側で受け継ぐということになっております。それ以外については先ほど申し上げたとおりであります。
  47. 鈴木力

    鈴木力君 そうするとC表はありませんね。
  48. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) ございません。
  49. 鈴木力

    鈴木力君 そこで六千五百名が行って、そしていまの御答弁にあるような基地自衛隊が使う。そういたしますと、この自衛隊の使う基地——お聞きいただいておりますか。あと答弁がこわいからよく聞いておって御答弁してくださいよ。
  50. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 返還になるのはC表ですから、B表について私が先ほど申し落としましたのをつけ加えます。したがってC表については那覇ホイールエリア、ホワイトビーチが返還直後からわがほうが使うわけで、これについては先ほど申し上げたように、ホイールエリアなどは適地があれば他に転用するということは考えられると思いますけれども、当面その計画はございませんということであります。
  51. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、今度の自衛隊が使う軍事基地の総面積は、現在の米軍が使っておる米軍基地の総面積の何分の一になりますか。
  52. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 自衛隊が使用いたしますために、C表に載っております全部返還、あるいは部分返還の面積が約百四十八万九千平方メートル、それからB表で自衛隊が準備でき次第引き継ぐという、それが大体まあ一年以内ということになりますが、それが百八十七万七千平米、合計いたしますと三百三十六万六千平米でございます。そこでAリストに載っております——これはまあ八十八施設という——面積を全部拾い上げますと約二億九千四百万平方メートルということになりますので、約一%強ということでございます。
  53. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。このことについてはあとでまた伺うことになりますが、その次は、いまこれは施設庁がおやりになっていると思いますけれども、例の軍事基地の賃貸契約ですね、これは現地で盛んにやっていらっしゃると思います。この進行状況はどうなっておりますか。
  54. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 沖繩におきます土地の所有者との賃貸借契約につきましては、昨年来、まあ一昨年になりましょうか、地元の地主会連合会といろいろ話し合いを進めまして、具体的に交渉に入りましたのは、予算が成立いたしました後でございます。予算と申しますか、政府の原案が一応決定されました以後でございますので、本年に入ってからでございますが、今日まで地主会連合会、さらに市町村の地主会と何回か折衝いたしました。連合会とはきわめてしばしば行ないましたが、市町村の地主会とは説明会を正式にいたしましたのは二回でございますけれども、そこでさらに地主会からその下部でありますところの部落ごとの説明会も一部御要望によってやっておるわけでございますが、今日までの進捗状況は、これはまだ地主の数が何名であると——地主の数は三万七、八千名かと思いますけれども、そのうちに契約に応じてくださる地主の数が何名であるかということについては正確に把握ができておりません。が、市町村の数でまいりますと、全体、軍用地でございますところの市町村が三十六市町村ございますけれども、今日まで二十九市町村の地主の方々は一応契約の合意が成立すると、こういう見込みでございます。あとの七市町村につきましては、いま鋭意交渉中で、もう数日間の問題でございますけれども、その中に一部借料の条件等によりまして、さらに地元からいろいろな要求が出ておるというところもありまして、それにつきまして現在調整中でございます。私どもは、今後さらに要求に応じまして増額をするという予算的な余裕もございませんので、その辺については十分御説明をして御納得のいくようにしたい。それからごく一部でございますけれども、村長そのものが軍用地提供というものには反対である、まあこういうことで、おそらくそういうところにつきましては、村有地の場合は、これはちょっと契約がなかなか困難である。ただ、そういう村におきましても、個々の地主の方々とは折衝をいたしまして、今日までのところ、かなりの数の合意を得ておる、こういう状況でございます。いま、もうぎりぎりのところまで来ておりますので、連日、地主との交渉を努力をしておる、こういう状況でございます。
  55. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、いまの、特に私が伺いたいのは、村長そのものが反対だ、そういうところには地主と折衝を続けておる。そうすると、実は私ども内閣委員会沖繩に調査にまいりましたときに、沖繩県の市長会から、これは市長会でございますよ、特定の市長じゃありません、市長会から——市を全然抜きにしてといいますか、頭越しに地主と折衝をされている傾向がある。これは地方自治に対してはきわめて重大な干渉だと思うという趣旨の意見の陳述がありました。いま長官がおっしゃった村長そのものが反対なところは地主と交渉を続けておるという意味と合わせると、反対だと言っている市町村長にはおかまいなしに地主に直接に入っていくんだ、賛成なところは市町村長を通じていく、こういう意味の御答弁ですか。
  56. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは私も現地に参りまして市町村の会、市町村会の集まりにも出まして御説明をしたこともございます。また現地に私どもから派遣をしております人たちも、これもそれぞれ市町村と、御説明をし、その了解を得るための努力をしてきたわけでございまして、ただ一部の村長につきましては、自分としてはとにかく契約に応ずるわけにはいかないけれども、個々の地主との交渉はひとつどうぞやってくださいと、こういうふうな了解のもとにやっているわけでございますので、その市町村長の立場を無視して私どもがやっておるということはないということでございます。
  57. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、市長会として本院の内閣委員会に対して、市長を抜きにしての土地交渉は困るという申し入れをされたことは、どう評価いたしますか。
  58. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そのことはきわめて当然な御要望だというふうに考えます。そこで私どもは、出先の諸君が市町村長のところに参りまして、御了解を得るためのそれだけの手続はしておるはずでございます。
  59. 鈴木力

    鈴木力君 まだ了解していない市町村長がある場合には、そこはどうしておりますか。
  60. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そこは、市町村長、具体的には村でございますけれども、村長に、個々の地主と契約の折衝をやるということはこれは別に妨げないという御了解を得て、個々の地主と折衝をしておるということでございます。
  61. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、かりに反対な市町村長があっても、市町村長には、個々の地主に土地の賃貸契約の折衝をするという了解は全部とってある、こう伺ってよろしゅうございますね。
  62. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そのための了解を得るための措置はいたしておると存じております。
  63. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。もしあとでその市町村長から、そういう事実がなかったという苦情が出た場合には、現在の進行している作業は停止する用意はありますね。
  64. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは個々の地主の方々との折衝でございますので、私どもは地主連合会なりあるいは市町村の地主会を中心にして折衝を行なってまいったわけでございます。そこで、その地主会の場合におきましては、市町村長もその席に出られるということもあろうかと思います。したがって、市町村長も当然この問題については十分御承知のことだと思うわけでございまして、一応何らの連絡もしていないというケースは私はないというふうに信じております。
  65. 鈴木力

    鈴木力君 了解を得るということと、連絡とは違いますからね、日本語では。ともすると、皆さんのほうは連絡したことを了解を得たという、そういうことに置きかえるおそれがある。だから私は先ほどからしつこく聞いておりますのは、各市町村長には全部連絡をしてある。了解をとってある。了解というのは、土地を貸すか、貸さないかの了解まで私は言っておるわけじゃありませんよ。少なくとも反対な市町村長には、その市町村の地主に対して折衝をすることは了解を得ておる。そういう趣旨答弁だったと思うから、そう確認をしてもよろしいかと、こう聞いている。
  66. 島田豊

    政府委員(島田豊君) そのとおりでございます。
  67. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、それを裏から言うと、もし市町村長がそういう事実がないという異議の申し出があった場合には、あなたうそを言ったことになるわけですから、進行しておる作業を中止することができるかどうかということを聞いておる。それはそうでしょう。全部の市町村長に了解をとってある。それは土地を提供しますという了解という意味じゃありませんよ。いいですか。ある一つの、那覇市なら那覇市の市長は反対だ。しかしあなたは、反対だけれども那覇市内には土地の賃貸契約のために交渉しますよという了解はとってある。そういう趣旨の御答弁でしょう。その答弁がある限りは、了解をしていなかったという市長が出てきたら、そのときにはあなたの言った了解したというもとに折衝を開始したことは取り消すべきものですわね。了解をしてあるということに確信があるなら、異議があったら取り消すということを言えるはずなんです。それが言えないとすれば、さっきの了解を得てあるということにうそがある。これははっきりしてください。
  68. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これはどういうケースか私よくわかりませんけれども、たとえば市町村長に、米軍なりあるいは自衛隊の使用する土地の取得をする必要があるので、これについて各地主と折衝いたしたい、これについて御了解ください、こういう話をいたしました場合に、それは絶対にだめである、個々の地主とも折衝されてはだめである、こういうことを市町村長が言うこと自体おかしいわけでございまして、これはもう個々の地主との契約問題でございますので、市町村長の意向にかかわらずそれは地主が契約に応ずるということであれば、これはそれが必ずしもその契約の成立、効力発生の要件でも何でもございません。ただしかしながら、政治的に、今後市町村からいろいろ御協力をいただいておくという意味におきまして、やはり市町村長から、そういうまあ基地の提供なりあるいは地主との交渉につきまして御了解を得られれば、これが最も望ましいという形でございますので、市町村長が実はその地主と折衝することについて了承しておらないのだと、したがって、そういう了承をしてないのだから国がその個々の地主との折衝することはこれは困ると、こういうことになりますれば、これはたいへん私どもとしては折衝をやれないということになるわけでございまして、一応やはり市町村長には御連絡をいたしまして、市町村長がそれについて了解をしていただいたかどうかということは、これはまあこの問題とは一応別個の問題であろうというふうに考えます。
  69. 鈴木力

    鈴木力君 話をすり違えてもらっちゃ困るのです。私はね、どこかの市長が承諾を与えないところがあるからあなたに聞いているのじゃない。政府姿勢として論理的に正しいかどうかということを聞いているのです。  考え方の順序をもう一度言いますよ。いいですか。あなたは、最初にですね、反対の市町村長もいる、だからその市町村長の、要するに市町村有の土地については契約を結ぶことは困難だと、しかし、民間の地主に対しては契約をすることができる、そういう御答弁でしょう。私はそのとおりだと思う。法律的に、手続的にはですよ。ただ私は、その手続なり民意ということからいろいろ考えて、反対の市町村長といえども、提供するという了解という意味じゃなくて、あなたの村の地主に行って交渉するからその点はよろしくと、先ほどあなたは、おれは反対だけれども地主に行くのはかってだという市町村長もおったというのでしょう。そうして、そういう御答弁の中で、全部の市町村長に了解を得てあるという御答弁がさっきあったはずです。交渉に行くことをですよ。だから論理的にあなたが確信を持って、全部そういうことがあれば、裏からいって、そういう苦情が出ればそれは一応ストップして、その市町村長ともう一度了解をとりつけるかなにかの作業が必要だ。それがほんとうの住民福祉にこたえる防衛施設庁姿勢だと私は思うのです。特定のところがあるからという意味じゃなしに、基本的な姿勢を聞いているわけです。そうすると、特定のものがありそうだといって心配になってきたものだから、市町村長に相談をする筋合いのものじゃない、所有権者の地主になると、こういう答弁がまた出てくる。その辺はもう理論的にきっちりしたものをもって、それが方針であるというものさしで当たらないと、「民意を尊重しながらトラブルを起こさないようにやります」という大臣の答弁局長が片っ端から消していくことになる。その辺ははっきりしておいてください。
  70. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) お話の筋はよくわかりました。これはやっぱり施設庁長官もちょっと取り違えておったろうと思うのです。ですから、原則としては個人を相手に話し合いをするわけですが、市町村長が個人と話し合いをすることも困るぞという御意見があれば、これはやっぱりわがほうがその市町村長に何度も足を運んで、まあ、そうおっしゃらんで、ひとつ個人的に話し合いをすることはお認めいただきたいというふうに、よく了解を重ねて求めることが妥当だと思います。これはもうここでいま御質問の間に話し合いをしながら合意した話でございますから、統一見解ということで申し上げておきます。
  71. 鈴木力

    鈴木力君 よくわかりました。だから私は、一番、さっきから言っているように、防衛庁筋の御答弁に私は頼みたいのですよ。何かわけのわからないところへ持っていって、論理的にこんな単純なことも複雑に複雑に持っていってわからないようにしてしまうというようなことなんです。了解をとりましたと言ったらあとは何にも心配はないはずなんです。何か先回りをして考えて、そういう御答弁で時間をかせいでくださらないようにひとつ頼んでおきます。  それからもう一つ、ついでにこの問題で、しかしこれは将来の問題になります。そうすると、われわれはずいぶん反対をしましたけれども、とうとう押し切られた法律ですが、公用地暫定使用法という法律がありますね。いまのところあの暫定使用法を適用するような状態がありますか。ありませんか。またその状況によってはこの法律をどう使う考えでいらっしゃるのか伺いたい。  時間がありませんから、ついでにもう一つ伺いたいんですが、防衛施設庁側のほうできめた統一契約書というのがありますね。これはひな形ですか、文章がございます。これはどういう形になっておりますか。
  72. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 公用地等の暫定使用法の適用の問題でございますが、これは二回にわたりましてこの使用法の対象になる土地につきまして告示をいたしました。この告示は、その公布の日から効力を発生いたしておるわけでございますが、現実に国が使用権を取得いたしますのは、これはもちろん返還協定効力の発生の日といいますか、要するに復帰日でございます。いま官報告示をいたしておりますので、これによりまして、もしこの措置につきまして異議があるという方々につきましては、そういう機会があるわけでございます。  そこで、これは一部、やはり当初から予想せられましたように、契約に応じられないという人がやはり若干は出てくるということはこれは当然考えられるわけでございまして、まだここ数日ございますので、その人数がどれだけあるかということははっきりいたしません。これも復帰の段階におきまして明確にいたしまして、これは手続によりましてその使用の対象になります土地等につきましての通知を各人にいたすということになっておりますので、その通知をするためのまた手続が要るわけでございますけれども、いまのところそれが何%であるというふうなことは、まだ今日の段階でははっきりいたしておりません。しかしながら一部あるということは当然予想されるわけでございます。  それから統一契約書のことでございますが、これは本土におきまして用いておりますところの土地建物等賃貸借契約書というこの書式を、一部復元補償のところを地元事情に即応できるように、つまり原状が復帰前において米軍の行為によって変更されたという場合でも、さかのぼって原状回復なりあるいはそれに必要な補償をするという項目をつけ加えまして、その残余の部分は、本土の場合と同じ書式で、現在それについて説明をし、御了解をいただきつつあるということでございます。
  73. 鈴木力

    鈴木力君 まあ前段のほうは法律的にはあるわけでありますから……。ですけれども私はここで特にはっきりしてもらいたいのは、やっぱり防衛施設庁としては、極力この法律は適用しないんだという方針で臨むべきだということです。これはひとつ、その方針だということははっきりおっしゃっていただきたい。  それから時間がかかりますからもう一つ、統一契約書につきましては、実は私はこういうことを懸念するのです。地主なら地主というのは、土地の権利を持っているんですから、この統一契約書以外にびた一文様式を変えたら承知しないと押しつけるということは、権利を持っている地主に対するほんとうの契約のあり方じゃないと思う。したがって、地主側のほうから、この契約書の様式を変えてくれという要求があった場合には、どう改めるつもりですか。その点をひとつ伺っておいて、それからあとで、この問題はきょうは時間がありませんから深くは触れません、あとの機会にもう少し伺いたいと思いますので、その契約書のあれは資料としてひとつお出しをいただきたいと思います。
  74. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 最初の点につきましては、これは復帰後といえども地主の方々との契約の合意の成立に努力する、これが方針でございますし、この法律の第一条そのものにもこの精神がうたってありますので、そういうことで極力話し合いということで進めてまいりたい、かように考えております。  それから統一契約書の問題でございますけれども、これは御指摘のように、国と個人との間の双方の任意の契約でございますので、これは話し合いということが原則でございますし、地主のほうからいろいろこれについての注文なり御要望がありますれば、それについて十分話し合いをした上で、その書式を一部修正をするということはあり得ようかと思います。私どものほうでこの書式でこれを押しつけておるという気持ちではございません。やっぱり相互の任意の契約という趣旨で進めておるわけでございます。
  75. 鈴木力

    鈴木力君 それじゃあとでその統一契約書のほうは資料としてお出しください。  時間がありませんので進行しますけれども、その次に私が伺いたいのは、どうも覚え書きによっての返還の基地というのがA、B、Cとランクをされておる。しかし、私どもが見るところによりますと、A表の中にも必ずしも米軍が使わなければならないというふうに見られないものが相当あるような気がいたします。現に私ども沖繩に参りましてこのA表にある地域に行って見ましても、こんなところまで米軍が持っていなければならないのかというような地域が相当に見られるんです。  それからもう一つは、たとえばA表の三号、あるいは二号安波訓練場、それから東村の三号川田、そのほかずっとまだ七、八カ所ありますけれども、この辺はどうも基地としての確認ができるかどうか、根拠があいまいな、手続上もあいまいなものもある。きょう私はその一つ一つ議論する時間がありませんからその一つ一つ議論あと回しにいたしますけれども、少なくとも不急不要と見られるもの、あるいは手続的にあいまいだと思うようなものはいまからでも直ちにこれは返還をさせるというようなそういう交渉をするべきであると、こう思います。覚え書きにあるからしばらく手を打ちませんというようでは、さきに言いましたように基地密度が高いということからいたしましても、せめてそれくらいのことは政府責任を持ってやるべきではないか、まず第一回としてですね、その点についてはいかがですか。
  76. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それはもう御指摘のとおりだと思います。すでに先般サンクレメンテに参りまするときに、首相は基地縮小の一つの案を持って参りましていろいろ話し合いをしたところが、新聞でも報じられておりましたとおりに、縮小の問題は施政権が戻ってからそれから交渉しようじゃないか、こういうことで引き下がってきたわけです。したがいまして、あの当時でも不要不急といいまするか、解除しかるべしというようなものを相当数あげまして、それだけの計画を持って交渉に出たわけです。ですから、まさにこの話し合いどおりであるとするならば、これはもう十五日以降の時点基地縮小というか、返還の話し合いに入っていいと、こう思います。  実はこれはちょっと余談になって恐縮でございますが、沖繩基地も大事ですが、やはり私は日本のこの国内の基地についても整理縮小とかあるいは移転とか、そういう問題をもっと深刻に考えるべきじゃないか、これは先日来の衆参両院の予算の分科会でいろいろ御質問を受けておりますと、ずいぶん住民不満を背景にした基地返還ないし移転といったような問題が相次いで出るわけです。そうすると、戦前から陸軍が使っておったからそれを自衛隊が使っておるんだとか、あるいはそういう基地であったから米軍に提供して自衛隊が共用しておるんだと、ただ習慣上これをじんぜん戦後を数えても、もう二十数年になるというこの時点で、同じようなことを繰り返しておることが、一体いいことだろうか、これはやはり都市化に応じ、その状況または住民の要望等々も入れ、ただそのときに、これはやめたということで、——どんどんやめていけないものがありますね。そういうものは場合によれば県知事等にひとつ間をとっていただくことにして、これは返還をするが、そのかわりにこの基地は不可欠のものだから、別な用地を知事さんの責任においてあっせんしよう、そういう場合に、またその基地性格によっては簡単にまいりませんが、何かそういう話し合いをしながら解放できるものは解放をし、また必要なものは地元の御協力を得ながら確保していくと、これは無計画ではなりませんので、先ごろ来予算委員会でも私申し上げた記憶がありまするが、防衛庁内にプロジェクトチームをつくって、この基地の縮小、整理、統合、移転、こういった問題とやはり積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えておる次第でございます。  したがって、その一環として、やはり沖繩基地の縮小ということには十分取り組んでまいりたいと思っております。
  77. 鈴木力

    鈴木力君 大臣、具体的に伺いますけれど、現在のA表のうちで私がさっき言った不急不要と見られるもの、あるいは手続的にどうも疑義があるもの、こういうものが相当にあると思うんです。具体的にこれならば返還させられることができるというものがありませんか。
  78. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この問題につきましては、ただいま防衛庁長官からお答えがございましたように、外務省から米側のほうには比較的不急不要と思われる基地名をあげまして折衝が行なわれたわけでございますが、この問題は復帰前の段階でなくて、復帰後の問題として処理をするということについての了解ができておるわけでございますが、この中の具体的な施設・区域につきまして、これが返せる、これは返せないという、そこのところはちょっとなかなかむずかしいわけでございます。まあ一般的に、先ほど御指摘になりました一時使用訓練場、この中に七カ所ございますが、その中の四カ所は市町村長から米側は使用権を取得しておるということで、これは引き続き提供ということになりますが、あとの三カ所につきましては、地元が米軍に提供することを拒否しておるというのが二カ所、それから一カ所につきましては、土地の所有者と市町村長との間に十分な話し合いがなされないままにこのリストに載ったという経緯もございまして、この三カ所につきましては、これは具体的に言いますれば川田、瀬嵩、それから前島の三カ所でございますが……。
  79. 鈴木力

    鈴木力君 前島というのは何番ですか。
  80. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 番号でいきますと三番の川田、それから八番の瀬嵩訓練場、それから八十三番の前島訓練場、これがまだ未調整でございまして、いま外交レベルで米側と折衝いたしております。これはいずれ復帰までに解決をする見込みでございます。
  81. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つだけ具体的に伺いますが、どうも私どもが行ってみると、これぐらいは返したらいいじゃないかと思うものがずいぶんある。そのうちに、沖繩の厚生施設でありますが、たとえばハーバービュー・クラブというのがありますね。こういうものは返還させることができませんですか。
  82. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 確かにこの厚生施設がはたして真に米側の軍隊にとって必要かどうかということは、いろいろやはり議論の余地があるところだと思います。ハーバービューを御指摘でございますが、これ以外でも二カ所ばかりございますが、いままでの対米折衝におきましては、やはりぜひこれは確保しておきたいという強い要望があるようでございます。そこで御質問のハーバービュー・クラブ、これは米軍がいま福利厚生施設として利用しておりますが、土地の面積約一万六千二百平方メートルでございます。そこで、これにつきましては、外務省におきまして地元の意向等もございますので、鋭意折衝中でございまして、そこでこの早期返還の実現につきましては、政府としましてはおおむね三カ月以内を目途としてこれを返還させるという方向で、いま努力中でございます。
  83. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いま三カ月以内、こういうことを申しておりますが、これは期間を切って申し上げました以上は、そういう方向でひとつ全力をあげたいと……。
  84. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、いまの御答弁から、まだ向こうがうんと言ったわけじゃない過程でありますから、向こうがどう言ったというわけにはまいりませんけれども政府側のいまの御答弁から察しますと、三カ月以内に返還をさせるという見込みがあると、そういう御答弁と承ってよろしゅうございますね。
  85. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いま施設庁長官が申し上げたとおり、極力努力するということですが、これはことばのあやではなくて、何とかひとつ実現をしたい、交渉ごとでございまするので多少の伸び縮みはありましょうが、三カ月と申し上げる以上は、やはりその以内に事を片づけるように、外務省側にもよく話をいたしまして実現に努力したいと思っております。
  86. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つ伺いますが、先ほど来長官も、米軍基地については将来やはり整理をする必要がある、ここはお認めになっていらっしゃったわけです。沖繩についても非常に密度が高い。確かにこの本土内もいろんな問題があるし、それほど必要だと思わないような基地もありますし、私の気持ちでいえば即時全面撤去ということが私のほんとうの要求なんでありますけれども、あえて交渉をやっていく場合ですからそういうわけにはまいらないと思います。ただ私は、政府に、たとえば先ほどのこの土地収用法の、新土地収用法といいますか、公用地の暫定使用法ですね、あれをかりに不幸にして適用するような場合があっても、五年間ということでしょう、期限は。そうすると、かりにそういう不幸にして適用することがあっても、ないにしても、趣旨は五年間ということがいまの米軍基地に対する限度になっておる。これを五年たったらまた繰り返すんだという前提がいまあるとすれば、私はたいへんなことだと思う。そこで、そういう見地からも考えて、思い切って政府は、この米軍基地の返還計画を立案して、強力な交渉をすべきではないかということをひとつ提案をしたい。そして、先ほど言いましたように、土地暫定使用法というのを不幸にして適用することがあっても、五年というリミットがある、そうすると五年以上こえるということは国民に対しては言えないはずです。したがって、最長でも、一番長い期間でも五年間には返還をさせるんだと、こういうかまえで計画を立てて、そしてこれを国民に公表しながら強力な交渉を開始する、こういうことを提案したいのでありますけれども長官の所見はいかがですか。
  87. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御提案としては、一つの御趣旨一つの御意見として私十分趣旨はわかりますが、五年間たてば全部返りますということを申し上げると、これは実際うそになると思います。なかなかむずかしいのではないか。しかし、ベトナムはいま和戦両様のかまえで、ああいう形でまたエスカレートしつつありますが、アメリカといえどもまさかいつまでもあそこに膠着してああいう戦闘状況を継続しようということでないことは、しばしばニクソン声明を見ても明らかにわかるところであります。したがって、極東の情勢というものがだんだん安定し、平和の形をとってくれば、やはりあれは縮小というか、だんだん整理されてしかるべきものだというふうに考えております。  私は、これは個人的な願望になるかもしれませんが、やはりあの国際海洋博というものが一つの契機になるのではないか。少なくとも基地の島といわれるあの沖繩へ、国際と銘打って国際法に基づいた海洋博覧会が世界で初めて開かれるということになれば、いろいろな人がやってくるわけです。どんな国の、それは主義主張にかかわらず体制の違う国が入ってきたってとめようがありません。なるほど金網の外から見たら中の状況はわからない、そういう状況になっておりましょう。しかし、あそこにたいへんな大基地があるんだと、しかも日本政府に施政権を返還しながらなおアメリカはまさに極東の基地としてのかなめ石の役割りであそこに大基地を確保しておるというようなことは、少なくともいつも平和を主張しておりますアメリカとしてはロジックが合わぬように思いますね。ですから、あと三年ですから、その三年間を目途に相当日本政府としては旺盛に基地返還運動を展開する、これは私は政治家として率直に努力するということを申し上げられます。ただ、日米安保条約を持っておりまするたてまえから申し上げて、この基地が簡単に全部なくなってしまうということはちょっと考えられません。率直に私の現在の考え方を申し上げた次第でございます。
  88. 鈴木力

    鈴木力君 私はいまの考え方と、政治的な判断として先を見る長官の御答弁気持ちはわかります。ただ、私はさっき申し上げたように、公用地暫定使用法ですね、この法律の趣旨は、不幸にして適用する場合と私は言うので、先ほど来、極力適用しないという方針でという御答弁長官にはいただいておりますけれども、しかしここで絶対ないという御答弁はいただけないわけですから、私もそこまでいまここで言ってもしようがない状況もあるわけですが、ただ不幸にして適用する場合が出ても、使用期間を五カ年以上の契約はできないでしょう、あの法律を適用しても。そうでしょう。その場合に、いまから五年も十年も重ねて使うんだというこの方針がもう一本裏にあっては困るわけですよ。  それから長官のさっきおっしゃったような趣旨に立てば、やっぱりいま基地問題というのは、これほど国民の関心をここまでエスカレートしておるこの時期なんですから、アメリカと交渉した結果こうすることを約束するとまで私はいま言うつもりはありません、相手のあることですから。しかし、防衛庁長官としては、日本の政府としてそういう五カ年計画なら五カ年計画というものをこれから立案をして、そうしてその計画に基づいて強力な交渉にあたる。ここまでは——ぼくらはもうこの辺で日本の政府が決意しなければこの基地問題というものは永久に私は解決しないだろうと思う。そういう強い姿勢を五カ年計画をつくって交渉するということによって今後対策を進行していく意思がないのか、そういう意味で提案申し上げておるわけです。
  89. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御提案の趣旨はよくわかりまするので、そういう方針にのっとって今後努力してまいりたいと思います。
  90. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ちょっとこの法律関係につきまして補足して御説明いたしますと、暫定使用法は御承知のとおりに、土地に関しては五年ということに政令で定めたわけでございます。この五年間を、法律を改正いたしましてさらにこれを延長するということは、いまのところもちろん考えておらないわけでございます。ただ、この暫定使用法というものは、これは本来の土地収用あるいは使用に関する法律を適用いたしまして、成規の手続を踏んでそういう使用権なり収用権を取得するということがたてまえでございますけれども、何ぶんにもそれには手続に相当時間がかかりますし、米国の施政権下における沖繩の現状におきましては、事前にそういう手続をとることができない。しかしながら現実に米側が使用しておりますところの施設・区域というものは、やはり復帰後におきましても一日の空白もなく、そういう権利関係がありまして、その上で提供するという必要性がございますので、これは沖繩復帰というたいへん異例な事態に対するやむを得ない一つ措置としてこの暫定使用法というものが定められたわけでございますので、先ほど申しましたように、五年間の間に極力やはり地主の方々との話し合いによりまして、不幸にしてこの使用法が適用になった場合でございますが、成規の契約の取りつけということに鋭意努力するということと、それから五年後の段階におきましてさらに引き続きやはり合意の達成が得られない、こういう場合に、やはりその間に成規の手続と申しますのは、現在地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法というものがございます。これは土地収用法の規定をかなり手続的には適用いたしておりますけれども、この成規の手続でその使用権なりを取得するというそういう期間として五年というものがありますので、その点ちょっと法律関係でございますけれども、補足的に説明させていただいたわけでございます。
  91. 鈴木力

    鈴木力君 法律関係はよくわかりました。いま大事なことは、ポイントは、将来のことは、来年の話をしてさえ笑われるということがあるのですから、そこまで私はいまどうこうはっきり言えということを言っているわけではないのですが、わがほうの態度といいますか、決意といいますか、覚悟ですね、これがきっちりしていなければこの問題の解決はできないというつもりでいま申し上げておる。そうすると、暫定使用法なら暫定使用法にしても、それを適用するかしないかということでまた文句が出そうだと思っていろいろと弁解を先にする気持ちはよくわかりますけれども、それはそれとして、私は先ほど極力適用しないように努力するという御答弁でそれで終わっているわけですけれども、ただ立法の趣旨からいっても、五年というものをまだその法律が動き出さないうちにその後また延長することがあるかもしれないなんという答弁がいま飛び出すようでは容易なことではない、いまの時点で。それなら完全にあの法律は国民なり国会をだまし討ちにしたということなんでしょう。少なくともいまは五年間だということなんです。そうすると、その趣旨に立てば、軍事基地解消ということがこれから動き出す場合にやはり五年を限度にした計画を立ててやることが統一された一つ政府の行き方として正しいし、そういう決意をもってこれから当たるという、先ほど長官からそういう方針で努力をするという御答弁をいただきましたからくどくは繰り返しませんけれども、少なくとも五カ年計画を立案して交渉するということははっきりしていただきたい、こういうことだったんです。
  92. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御趣意を体しまして返還に努力をしてまいりたいと思います。おっしゃる意味はよくわかりました。
  93. 鈴木力

    鈴木力君 だいぶ時間がたちましたので進行しますが、あと簡単に伺いますけれども、今度沖繩にできる施設局ですね、この施設局の任務の中にいろいろたくさんありますけれども、この施設局に限ったわけじゃありませんが、基地周辺の整備計画、整備事業ですね、これについてちょっと私は伺いたいんです。時間がありませんから具体的な問題を、あれがどうした、こうしたという質問でなしに、考え方をひとつ伺っておきたいのですが、まず手続からいいますと、あれは補助事業でありますから主体は地方自治体になければならないと、こう思うんですけれども、たとえば学校なら学校を、防音校舎なら防音校舎を建築するという場合に、その設計なり、監督なり、工事なり、こういう点はどういう形に地方自治体と施設庁関係をしてやることなのか、伺いたいわけです。
  94. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは補助事業でございますので、当然補助金の交付によりまして、市町村が事業主体となってそういう工事を実施するということでございまして、設計、工事、監督はこれは市町村自体がやられるわけでございます。
  95. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、私はそうしてほしいわけです。ともすると、従来いろいろなことがあるわけですから、たとえば防衛施設庁の事業をやっておる業者が請負をとったとか、そういう話があったことが過去に本土内にもずいぶんあったわけですけれども、あるいは設計についても、たとえば学校でいいますと、教育担当者の設計にだいぶ施設庁から注文がついて、設計変更をしたというようなこともどうもあったように聞いております。あったと私は言い切らないほうがむしろいいと思いますからそういう表現にいたしますけれども、これは沖繩に限らず、私はやっぱりそういうことは厳に慎むべきだということを申し上げたい。非常に中には、たとえば私はいままで文教をやってまいりましたけれども、したがって、本土内の文教施設については相当部分のところは実際に私は見ております。それで、教育的には常識には考えられないような設計によくぶつかることがある。どうしてこういうことをやったんだと言うと、実は、という話が出た、そういう経験がある。だからいま御答弁を、これはもう今後この沖繩に限りません、ほんとうにきっちりとしたものにしていただいて、そうして完全なる補助ということをわきまえてほしいと思います。特に先ほど言いましたように、礎石とか——だから長官から、こちらがしでかしたことに対する対策なんだから、恩着せがましいことは言わないという長官の御答弁が先ほどありました。これは長官の御答弁だけじゃなしに、末端出先の全職員がこの気持ちは徹してほしいと思います。何となしに基地周辺施設をしてやるから、道路でも水道でもいろいろありますけれども、病院もありますけれども、それを一つの売りものにして基地が進出するというような、そういうことは絶対にないように、ひとつこれは強く御要望を申し上げておきます。そして施設庁何何という礎石とか、あんなみっともないことはやめたほうがよろしい。これは施設庁だけ責めるわけではありません。私は学校へ行きますと、この学校は簡易保険何々の融資により建ててもらったものでありまして、ということで、まず郵政大臣の額をかけて、みんなで感謝しましょうなんというようなそんなことは私は教育的にはプラスにはならぬ、よけいなおせっかいだと思いますから、そういう点の配慮は十分してほしい、そういうこれは御要望を申し上げておきます。  それからもう一つだけ伺いますが、いよいよ沖繩復帰にあたりまして、この法案の中身にもございますように、一つだけ念を押しておきたいのは、軍関係者の離職者、これに特別給付金の支給の特例を設けておられるわけですね。これは対象者が四千二百九十五人のうち特に三月十五日以降の人たちに二〇%かのまた特別給付金を支給される、こういう仕組みになっていると思いますが、それと比べますと、私はひとつそれはそれとしてよろしいと思いますけれども、同じように、沖繩には特に港湾関係の労働者、これは労働者の種類から言うと四種になると思いますけれども、この四種の人たちの労働内容から仕組みから、こう見ますと、われわれ全軍労といいます軍関係労働者と質的に何ら変わりがない。ただ雇用関係の形態が違うために非常に不利な扱いを受けておると思います。で、伺いますと、政府のほうではこの人たちに三億五千万円かの予算をとって、見舞い金ですか何かに支給をするということになっているということを聞いております。しかし私が行ってみましても、港湾の人たちのストライキのときにも私はちょうど沖繩に参りましたけれども、あの人たちの真剣な叫びを聞いてみるときに、あの程度のことで煮え切れるかどうかというと、私はどうも同情にたえない、ということばが不適でありますが、全軍労との比較からその他のことから考えても、もっと優遇しなければいけないのではないか、政府として。私は具体的に数字ということになりますとどうなるかわかりませんが、どんなに見ても最低五千万を下らざる金を用意してあの人たちの苦労にこたえる、このことが私はいま大事なような気がいたしますけれども、いかがですか。
  96. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 沖繩の軍関係の労務者のうちに四種問題というものが非常に大きな問題になっておることは事実でございます。ただ内容は、四種につきましてもおそらく業態としまして七十くらいの業態がございますので、この問題をどういうふうにして処理していくかということは実はたいへんむずかしい問題でございます。一部いわゆる四種から一種、二種並みの間接雇用に切り変わるというものも今後の米側との折衝の過程において出てくると思いますが、御指摘のこの軍港湾の労務者でございます。これにつきましては、御承知のとおりに、先ほど御指摘のように、長期ストライキをやったということもございまして、たいへんこの問題が大きく取り上げられたわけでございますが、確かに業態といたしまして、いわゆる一種、二種の形態に非常に近い形態でございますし、それから契約の状況からしまして、やはり一般の軍雇用者に比べまして待遇が非常に悪いという問題もございます。そこで、この特定の四種の業種につきましてそういう問題を解決すべく、予算としては三億五千万円を計上いたしたわけでございますが、特にいま御質問の軍港湾労働者につきましては、私どもも十分従来の経緯等につきましても承知いたしておりますので、具体的に金額をどうだということは、これは大蔵当局との関係もございまして、これからの折衝ということになりますけれども、実質的な解決がはかられるようにさらに調整を加えるために極力努力してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  97. 鈴木力

    鈴木力君 極力努力ということば答弁用語として聞けばいいのか、本気なという意味で聞けばいいのか、これは私は私のしろうと感じですけれども、労働者と一緒に運動もした経験からしますと、私は最低で五千万という表現をしましょうか、五千万を下らざる金を用意してあの人たちにこたえなければ、あまりにもひど過ぎる。したがってこれに対処するように、もう一ぺん、今度長官のほうからひとつお答えをいただきたいと思います。
  98. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 軍港湾の労働者は、当初米軍がもう半強制的に募集をして、そして集めさせた、そういう経緯もありまするし、これはもう他の労務者との均衡を失する点等々は施設庁長官が申し上げたとおりだと思います。そこで、金額を私どもがいまここでお約束することはできませんが、御趣旨の点を体して、大蔵省側とも十分折衝をして実現をしたいと思います。これは、きのう同様な質問衆議院内閣委員会でもございました。そのときも、私どもは誠意を持ってこれにこたえるという態度で努力するというお約束をしておるわけでございまして、いま御指摘のような単なる答弁技術上の、鋭意努力をするとか、前向きで解決しますとか、そういうおざなりのことでなしに、まあそう言うとまたちょっとことばが、語弊がありまして、そういうことばが何かおざなりみたいでいけませんが、御指摘のようなおざなりな意味一つもありません。真剣に努力いたします。お示しの点はよくわかりました。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕
  99. 鈴木力

    鈴木力君 まあ私、質問を終わりますが、いずれにしても、防衛問題は非常に問題が幅も広いし、奥も深いし、またきょうの御質問の過程でも若干の具体的な問題も出てまいりましたし、また久保局長との話のあれはいずれあとでまた時間をかけてひとつお伺いしなければいけない。今度は不適当でない質問をしたいと思って勉強さしてもらいまするが、ただ私は最後にやっぱり申し上げたいのは、いまきわめて重要な時期であります。特に沖繩をいま返還をする、しかし返還をするといってお祝いの準備をしている人もあるし、これに反対の立場からの行動を組織している県民もいる、この事実だけは、好ききらいは別として、冷厳な事実としてお互いが受けとめなければならないだろう、そういう姿勢で、施設局なら施設局が沖繩に今度できるわけです。さまざまな仕事をこれからやられるわけでありますけれども、その事実をはっきりとやっぱり認識をされた上で、長官が終始きょう御答弁いただきました住民福祉あるいは住民意思、そういうようなあるべき姿の行政というものをきっちり責任を持って進めていただくように、きょうの場合はお願いをして、あとの問題は次の機会になお質問さしていただくことにして、きょうは終わります。
  100. 水口宏三

    ○水口宏三君 私からは、いま同僚の鈴木委員のほうからの御質問となるべく重複しないように御質問したいと思いますけれども、主として防衛施設庁関係というよりは、今回防衛施設庁が新たに防衛施設局をつくって、そこへ自衛隊も派遣し、現在のアメリカの軍事基地を確保するということが目的であるわけでございますので、これらの点について主として伺いたいと思います。  第一に、自衛隊の派遣につきましては、こう了解していいかどうか伺いたいのでございますけれども、日米共同声明第六項で、佐藤さんが沖繩における局地的な防衛の責務は負うという意思表示をしている、したがって、今度自衛隊の派遣については、これはあくまでも日本固有の自衛権に基づき、当然自発的なものとして自衛隊を派遣するのだという御答弁が、これまでの衆議院の予算委員会等でもあったと思います。そう了解してよろしゅうございますか。
  101. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そのとおりでございます。
  102. 水口宏三

    ○水口宏三君 それなら、当然、わが国の固有の自衛権に基づき、日本政府が自発的に沖繩の局地防衛のために自衛隊を派遣するのに、何のために久保・カーチス協定というような形でアメリカとの了解が必要であったのか。もちろん久保・カーチス協定、これは条約ではないのだから法的な拘束性はないということは外務省等でもしばしば御答弁がありますけれども、いずれにしても了解事項である点は間違いないのであって、何の必要でアメリカとの了解事項がなければならなかったのか、この点伺いたいと思います。
  103. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、他国の軍隊が従来おりまするところへ、性格は違っておりましても、似たようないわゆる自衛隊というものが入っていく、そういうときに、やはり混乱が起きたり、また摩擦の生ずることはないまでも、いろいろトラブルがあってはならないというたてまえから、その任務をさい然と区別する、そういう技術的な話し合いということが主題であります。そのほか、特に空の守りをどうするか、その引き継ぎをどうしていくのかというようなこと等につきましては、自衛隊の技術的な熟達の問題等もありまするので、それを成文化したものと、こういうふうにおとりいただきたいと思います。
  104. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、当然、これまでは米軍のみが沖繩に駐留をし、沖繩の地域的な防衛責任並びに極東の平和という安保条約の第六項に基づく任務を果たしておったわけであります。今度本土に返還されることによって、いまお話しの自衛隊の派遣ということで、既存の米軍との調整、任務等のなるべく円滑な引き継ぎとか、あるいは配置を行ないたいためにやったのだという御答弁でございますけれども、当然相手方の米軍がどういう状態にあり、じゃあ返還に伴ってどうするのか、どういう編成を持つのか、どういう装備を持つのか、そういうことについての同時的な了解がなければ、私は、全く一方的にただアメリカさんの御意見を伺っただけであって何の意味もないと思うのですね。また、事前協議事項からいきましても、これは返還後、いわば返還という時点において、ある意味では事前協議が発動するわけでございますから、当然久保・カーチス協定と並行して、返還時におけるアメリカ軍の装備、編成その他についての了解をなぜおとりにならなかったのか。
  105. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) アメリカの軍隊は今後日米安全保障条約に基づいてその任務を遂行するということになるわけであります。したがって、向こうの装備がどうであるかということは、これはやはり防衛庁が聞くということよりも、やはり外務省側でその必要があればやはり調査していくということになろうかと思います。久保・カーチス協定は、日本のいわゆる自衛隊本来の性格に基づいて自衛権を行使していく、その力というものをこういうふうに配備しますということを提示したわけです。それから空の防空任務等については、いつの時点でどういうふうに引き継ぎをします、こういうことをきめたわけでありまして、直接的にアメリカの兵力がどうでこうでということを正式に調べたわけではありませんが、沖繩にどの程度の部隊がどう配備されておるか、これは一応キャッチしておるつもりでございます。
  106. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも長官の御答弁は非常にあいまいだと思うのです。ということは、少なくとも久保・カーチス協定という公表されたアメリカとの協定に基づいて、自衛隊の配置というものは一応つくられたわけですね。その過程においては当然アメリカ側からいろいろ注文も出たでしょう。アメリカ側の軍事基地の配置あるいは装備、兵員等も出たでしょう。そうしますと、日米安保条約のたてまえからいきましても、アメリカだけがかってに日本の軍事基地を使ってかってなことをするのではないのであって、まさに、むしろいまの時点では、主権国日本というものの意思というものと、安保条約に基づくアメリカの協力によって、日本の安全を保障するわけなんでしょう。むしろ主体は日本にあるわけなんですね。むしろ日本の、あなた方のおっしゃっているような、私は肯定しないんですけれども、固有の自衛権に基づいて、自衛隊を派遣するのだと、そのことだけをアメリカの了解を得て、むしろ当然アメリカ側が出すべきそれらの事項については何ら出ていない。また、先ほど申し上げた事前協議上からいっても当然出すべきだと思います。条約局長のほうからひとつそういう点についての御答弁をいただきたいと思います。
  107. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 先生の御質問意味は、沖繩が日本に返還する時点において米軍の沖繩における配置について事前協議の対象になっているのかという問題かと思いますけれども、私ども沖繩返還の時点において同時に日米安保条約及びこれの関連取りきめ、つまり事前協議に関します交換公文等が適用されることになりますので、その時点以後におきましては、もちろん交換公文によります三つの条項につきましては厳格に事前協議が適用されると思いますけれども、返還にあたって事前協議は適用になるというふうには考えておりません。
  108. 水口宏三

    ○水口宏三君 だから、これは純然たる法律論からいけば、それはおそらく返還の時点以後アメリカの編制・装備あるいは沖繩基地を利用しての対外出動について事前協議が必要になるわけです。ただしでございますよ、いままではこれは日本の施政権の及ばなかったところでございますね。今度返還によって日本の施政権下に入る。だから、日本側は久保・カーチス協定によってアメリカとの調整をはかるためにああいう協定をつくっている。当然、アメリカ側の軍の配備なり、あるいは装備なり、こういうものなしにどうしてそういうものができるのでございますか。そういうものは同時に協定化されることが私は主権国として当然だと思うのでございますね。それでなければ何ら主権国としての本来の立場もないし、また事前協議というものの趣旨もそこにあると思うのでございますね。だから、何も純法律的にいけば十六日から適用されるんだというようなことではなしに、事前協議制度を設けたのもそこに趣旨があるのだから、当然私は、沖繩の米軍の配備、装備、こういうものについて同時的に協定がつくられるのが至当だと思うのでございますけれども、なぜそれをおつくりにならなかったのか、それを伺いたいのです。
  109. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 私、実は沖繩における米軍の配備等につきまして何ら知識がございませんので、ただ形式的な法律論だけ御説明していたわけでございます。  ただいま先生の御質問は、この返還にあたりまして、久保・カーチス取りきめと同じような意味での米軍の配備、装備等に関する何らかの取りきめのようなものがなぜ結ばれなかったかという質問かと思いますけれども、私どもといたしましては、この事前協議の適用を実施していくにあたりまして、必要な限度において防衛庁あるいは外務省が在沖繩の米軍の配備、装備等について十分な知識があれば事前協議の適用を行なうにあたりまして何ら支障はないのではないか、特別にそのための配備、装備に関しまする具体的な取りきめということに当たりますかどうか存じませんけれども、そういったものが、文書が必要かという点については、私どもといたしましては、この事前協議を厳格に適用するにあたって必要な当方の知識があれば十分じゃなかろうかというふうに考えております。
  110. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃ防衛庁に伺いますけれども、今度返還されて自衛隊を派遣する、このことによってこれまでのアメリカの沖繩における軍の装備、配備は変更はないんですか。
  111. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 一般的に申しますと、米軍の、これはワシントンの米軍の幹部は、沖繩の返還に伴って沖繩にある米軍の再配置あるいは縮小は当面考えておらないということを申しております。ただし現実の問題として考えられますのは、たとえば特殊部隊の一、二が閉鎖されるようでありまするし、それからまたナイキ、ホーク、それからレーダーサイト、これは自衛隊が引き継いで自衛隊のほうで運用いたしますので、それらの要員が要らなくなる、その意味においてはその分だけはさしあたって縮減されるであろうという予測はつきます。
  112. 水口宏三

    ○水口宏三君 これは上院におきます答弁の中で、ロジャーズ国務長官もレアード長官も、当然これまでアメリカ軍が負ってきた沖繩における極東防衛責任を今度は日本が持つのだから、それだけ米軍は節約ができるのだ、同時にドルの節約に結びつくのだと証言しておるわけでございますね。あなたのおっしゃったような意味ではなしに、これは明らかに久保・カーチス協定と引きかえによってアメリカ軍の変更が行なわれるわけですよ。それを片方、日本の自衛隊の派遣のものだけが久保・カーチス協定によってつくられ、それに対応すべきアメリカ軍の編制・装備の変化が何ら国民に知らされないという、こういうばかな話はないと思うのでございますけれども、その点はどうでございますか。これはなんでしたら、この証言をここでもって読み上げてもけっこうでございますけれども
  113. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 防衛庁の立場ではなかなか申し上げにくいことですけれども、一応沖繩における米軍の部隊というものは把握をしておるわけでありますが、それについて具体的な縮小計画ということはこれは知らされておりません。また米軍の幹部の話では、いまのところそういうものはないというふうに言っております。ただし、さっき申し上げたように、事実上自衛隊が引き継ぐ分野については米軍は要らなくなるわけでありますから、その点は縮小されるであろうというふうに考えるわけであります。
  114. 水口宏三

    ○水口宏三君 あなたのお話だと、米軍がどこにどのくらいいるかわからぬということなんですね。大体自分たちの調査でもって知っている。それじゃ一体事前協議事項というのはどうなるのですか。アメリカが黙って持ってきて、それであなた方わからないのだから実際上持ってきたのだか持ってこないのだか、わからない。よくやっているのですよ。それじゃこれは前からいたのだと、そうなるじゃないですか。当然沖繩における現在の米軍のそういうものがはっきりしないでいて、今後沖繩に事前協議を適用するといってみたって、ふえたのかふえないのか、何にもわかりゃせぬじゃないですか。そういうものがはっきりされていて初めて——じゃ、新しい一航空団が来たとき、あるいは師団が来たときに、もしアメリカ側が事前協議に持ち込まぬのならば、日本側は抗議するわけでございましょう。それをあなたの話じゃ、まるで、何となくわれわれはつかんでおりますけれども、明確ではございません。おそらく予測としては、自衛隊がいけば、それに見合うものは減るでしょう。全くアメリカに対しては一言もものを言ってない。全く納得できないのですね、われわれは。そんなことで事前協議できるのですか、体。
  115. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) いまの問題は、言うまでもなく私ども関係の問題ではございません。そこで、いま申し上げましたのは、米軍の現在における配置というものはわかっておりますけれども、今後どういうふうに縮小するであろうか、その点についてはわかっておりませんということを申し上げたわけです。
  116. 水口宏三

    ○水口宏三君 じゃ、あなたの関係じゃないわけですね。現在の米軍の把握ということは、あなたの関係じゃないわけですね。
  117. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 一般的な情報として私どもは米軍が国外にどういうふうに配置されているかということは、これは仕事のうちだと思っております。ただ、御質問が事前協議との関係で御提出になったと思いましたから、その点は私ども関係ではないというふうに申し上げたわけであります。
  118. 水口宏三

    ○水口宏三君 だって現在どうなっているかが明確になっていないで、今後一体装備なり配備の変更に伴う事前協議というものの適用がどうしてできるのですか。一体だれがそれを認定するのですか。アメリカだけが認定するのですか。日本側は何を持ってこられようがわからぬのです。
  119. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) おおよそのことはわかっております。
  120. 水口宏三

    ○水口宏三君 おおよそじゃだめですよ。法律事項、大事な事項じゃないですか。
  121. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) そこで事前協議の対象となりますのは、ここで申し上げるまでもなく、たとえば陸上でいえば一個師団でありまするし、航空でいえば一航空師団でありまするし、海上で申せば一機動——タスクフォースということでありますから、そういったような大きなものが出入りするということは当然わかります。ただ詳細に、たとえば小さな部隊について、それがどうなっているかということまでは、私どもではわかっておらないということを申し上げておるわけであります。
  122. 水口宏三

    ○水口宏三君 それはあなたの常識論で、久保局長は幾らしゃっちょこ立ちしたって、あなたの考えでもってアメリカの上院を押えることはできませんよ。これは国際的に明確に現在のアメリカ軍の配備、装備がこうなっておる、返還時点に。それが明確にされて、その後のアメリカの軍隊の移動について、もしアメリカ側が事前協議にかけないなら、当然日本政府は抗議をしてかけさせるべきでしょう。そうしたらあなたが何となくつかんでいますなんて言ったって、国際的に通用しないじゃないですか。私は、大体自衛隊の派遣について、自発的に行なわれるならば久保・カーチス協定は必要でないと思っている。むしろ必要なのは返還時点におけるアメリカ軍の配備、装備を、これをお互い確認することこそ一番大事だと考えているからこそ申し上げるのですよ。それを、必要でもない久保・カーチス協定でもやっておいて、肝心なものはやってない。そこのことを私はむしろ伺っているわけなんです。
  123. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 外務省のほうでも情報は集められますが、私どもでも情報を集めております。そこで事前協議の対象になるような変化があるかないかということを判定するには十分にたえるだけのデータを持っております。
  124. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃ何でそれを久保・カーチス協定、つまり本来なら何もつくらなくてもいいけれども、便宜上つくったとおっしゃる。それなら現在の米軍の配備なり、装備なりというものは明確にやはり協定化されること、本来ならこれは条約拘束力を持つのがしかるべきだと思いますけれども、久保・カーチス協定程度でもいいですよ、何で協定をおつくりにならないのですか。
  125. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 久保・カーチス取りきめというのは、先ほどもお話が出ましたように、具体的に日本側で自衛隊配備するときに米側とどういう段取りでやるかということを技術的に取りきめたということでしかないわけでありまして、いまお話のようなものはおそらくアメリカと日本との政府間の問題であろうと、防衛庁が介入する問題ではないということを申し上げているわけであります。
  126. 水口宏三

    ○水口宏三君 くどいようですからこれでやめますけれども、あなたはまるで広い野っ原で何にもないところに自衛隊が行くようなことをおっしゃるけれども、そうではなしに、あくまで現在アメリカ軍が多くの基地を持っている、たくさんいる。そこへ自衛隊が行くにあたって、もう事実A、B、C表はつくっているんじゃないですか。B表で一体どのくらいもらえるのか、B表で。そこにはどういう種類の自衛隊が行ったらアメリカの現在の沖繩にいる軍隊との協力関係が持てるのか、そういう打ち合わせをおやりになっているわけでしょう。だから、何もないところへ自衛隊が行くと、そういうことじゃないわけですよ。だから当然私は、日本の自衛隊の派遣について久保・カーチス協定がつくられた以上、それに対応すべきアメリカの現在の配備、装備、並びに返還に伴って変更される問題点というものが久保・カーチス協定と同じような形のものがつくられるのが至当だと思います。これは平行線ですからこれ以上やめましょう、事実つくってないのですからね。少なくともあなたのおっしゃったような、何となくわれわれはつかんでおりますというようなあいまいなことで、それで事前協議なんということを軽々しく言われたら困りますよ。  それでは次に、先ほどのお話ですと沖繩へ六千五百人の自衛隊を将来派遣なさるそうでございますけれども、戦前の平和時ですね、これは昭和十年、あるいは十三年でもけっこうですけれども、十三年は平和時とは言えませんわね。平和時には一体沖繩におった旧日本の軍隊というものはどのくらいいたんですか。
  127. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 募集関係の連隊区司令部ですか、それに相当する官衙があっただけで、部隊そのものは二次大戦以前においては存在してないというふうに承知しております。
  128. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、いわば戦前典型的な軍国主義といわれ、アジア諸国に対する軍事侵略を行なったといわれる日本が、当時ですら沖繩にはそれほどの部隊を置いてなかった。いま平和憲法のもとで、これは真意はわかりませんけれども、佐藤さんも、あくまで憲法を守ります、また平和共存を尊重しますと言っている現在の時点で、何であくまで局地的な防衛——局地的な防衛ですよ、そのために六千五百人の自衛隊が必要なんですか。   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕
  129. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 沖繩の返還以前、現在の段階で申しますと、部隊の配備は端のほう、つまりたとえば北海道とか、あるいは九州のほう、そういうところにどうしても分厚く配備されます。この点はどこの国でも同じような方向であろうと思います。ところで、戦前とそれから最近における日本の国土のあり方、あるいは軍事的、戦略的なあり方というものは違っております。以前でありますと、台湾もありまするし、朝鮮半島もあります。そういうところに部隊が配備されておる。その中に琉球列島は抱かれておったということでありまするから、部隊配備がなくてもその先のほうの部隊でカバーされているという観点だろうと思います。しかしながら今回の場合には、一応日本の列島の一番端のほうになるということで、ある程度の部隊というものを配備したい。その際に、何さま本土から非常に離れておるわけでありまするから、各陸、海、空の機能のうちの最低限の機能は持っていたい。そういたしますると、積算してみると約六千名ぐらいになってしまうということであります。
  130. 水口宏三

    ○水口宏三君 いまの局長の御答弁に、私は二つの非常に危険な面があると思うのであります。端的にいえば、朝鮮なり台湾なりが日本の軍事支配下にあり、そこに軍隊があれば、沖繩には軍隊は要らないのだということが一つでございますね。それからもう一つは、どうしても現在の日本では、こういう南北に細長い日本の場合、両端に厚くなるとおっしゃる。ところが、先ほどのお話では、今度派遣される自衛隊は、あくまで沖繩という局地的な防衛のために必要だと称して派遣をなさっておるわけでございますね。そうでしょう。一体沖繩防衛というものだけを考えた場合に、何で端っこだから必要なんです。むしろわれわれ常識からいけば、一番人口稠密な首都圏こそ、これは、非常に、もし戦争でも起こった場合一番たいへんですよね。だからその点、二つの点についてお答えいただきたい。
  131. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 前段の点については、これは私どもがそうしたということではなくて、過去の経過がそうであったからそうであろうという推測をしたわけであります。
  132. 水口宏三

    ○水口宏三君 そうなれば沖繩は要らないということですね。
  133. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) そこで、現在の配置の場合について、なぜ中央部よりも端のほうを重視しておるかということでありまするけれども、二次大戦後の世界の軍事体制からいたしますと、急に首都が襲われるというような事態というものは非常に考えにくいということであります。やはり地域的な問題というものが争点になっております。また、日本本土の安全というものが、これが極東の安全につながってくる。逆にいえば、極東の安全があればこそ日本本土の安全もあるということでありまするので、沖繩の安全ということはまた日本全体の安全にもつながってくる、そういうような発想であります。
  134. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも久保さん非常にことばがうまくて、ごまかすのでございまするけれども、私が聞きたかったのは、戦前そうであったということは、今後そうなれば沖繩における自衛隊というものは要らなくなるのですねということなんです。それをひとつ答えていただければいいのです。あなたがそういう意図を持っているかどうかは別として、客観的事実として。  それからもう一つは、あなたはだんだん拡大さして、事実これまでの国会答弁あるいは久保・カーチス協定、アメリカの上院の答弁でも、沖繩への自衛隊の派遣は、沖繩における局地防衛沖繩の地域を守るということのために行くのだということは、何回も言っているのです。そうした場合、日本防衛全体の自衛隊の配置のために必要なんだということで拡大されていく。そうかと思うと、南西混成旅団ですか、あれも初めはつくっておいて、そのうちにだいぶもまれてきたらば、それをいつの間にか西部方面隊の中にそれぞれの部隊を傘下に入れて縮小してみたり、実にやり方が一貫していない。  だから私が伺いたいのは、あなたが将来そう考えているかどうかじゃなくて、今後そういう事態があれば沖繩自衛隊というものは必要なくなるのかどうかということと、それから、じゃ沖繩へ派遣する自衛隊というものは、文章の上では沖繩局地の防衛と言っているけれども、実際は本土全体のあなた方の考えている防衛計画をより有効にするために派遣するのだということに訂正なさるのですか。その点はっきりしておいていただきたい。
  135. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 沖繩の部隊配備が、かりにたとえば台湾などに部隊配備ができた場合に要らなくなるのかという御質問は、お答えしにくいのですが、理論的に申せば、先のほうに防衛能力があればその内部のものは比較的手薄でよろしいということは、これは理論上は申せると思います。  それから局地防衛の点につきましては、これは先ほども指摘のありましたように、佐藤・ニクソン共同声明の中にありました局地防衛でありますけれども、その局地防衛というものを日本全体の防衛の中で理解してみると、日本全体の防衛と無関係ではあり得ない。むしろそれに寄与しておるということは、従来からも同じ内容を持っておったろうと私は思います。
  136. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、要するに沖繩における局地防衛ということばをつくっているけれども、これは、日本全体の防衛計画の中で、沖繩の局地防衛だけに必要以上の自衛隊を送らざるを得ないんだということでございますね。
  137. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) これは、沖繩防衛のための最低限の機能を維持するという意味で兵力といいますか、部隊を配備しておるわけでありまして、日本本土の防衛にも寄与し得るに足るものをそこに配備しているというような観点で出しておるわけではございません。その点は北海道におきまする配備についてもやはり同じでありまして、むしろ北海道の配備自身が、部隊の能力が足りないことも予想されるわけでありますが、一応北海道の防衛という観点から配備しているのと同じように、それよりもより遠く離れているだけに、局地防衛という色彩が非常に強いというふうに思います。
  138. 水口宏三

    ○水口宏三君 そういうふうに両またをかけないで、だから一応文章では沖繩の局地防衛と言っているけれども、これは全体の日本の——あなた方のおっしゃる専守防衛に立って日本を守ろうとすると、沖繩という地理的な条件からいって、沖繩の局地防衛ではなしに、日本全体の防衛計画の中でこれだけのものが必要なんだということを明確に言っていただけば、それで一つ答弁になるんですよ。それをあっちこっち持って回るからわからない。そういうことですね、要するに。
  139. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 局地防衛性格であるということは間違いございません。そしてまた、局地防衛の範囲内における部隊であるということも間違いございません。しかしそれだけであるかというと、やはりそうではありませんで、日本全体の防衛にも寄与しているというふうに理解すべきであろうと思います。
  140. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうしてあなたはそういうふうに問題をひねくるのですか。同じことじゃないですか。だってそうでしょう。大体あなた方の発想にしたって、沖繩の局地防衛から発想したんじゃなくて、当然日本全体の防衛計画の中で沖繩を位置づけて、そして沖繩を入れて派遣しているんでしょう。そんなことを、何かことばのあやだけで、自分たちが最初沖繩の局地防衛と言ったからそれを先に言うとどうもまずいと。だから、当然沖繩へ派遣すればそれは本土の防衛にも関係しますなんという、そういう言い方が私は納得できないんですよ。長官ひとつ答えてください。
  141. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) おっしゃる意味はよくわかります。これはやはり局地防衛ということが、まあ何といってもそれが先決であるというふうに思っております。  それからしばしば、まあくどい話でございますが、ああいう離れたところでもあり、しかも民生協力というのは自衛隊の平時における重要な役割りでございますので、何か事がある場合、特に災害常襲地帯ということであらかじめ配備しておこう、こういう考え方も配備の構想の中にあったことは事実でございます。
  142. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃ久保防衛局長の、特にいままでのそういう食言ばかりなさっていることをはっきりさせていただきたいのですけれども、大体日米安保条約は、これは日本の安全を守ることが、これが基本的な任務であることは申し上げるまでもありませんね。それとの関連において極東の平和の維持ということが問題になる。そうすると、これまでアメリカの施政権下にあった場合、沖繩における米軍の任務というものは、これは沖繩の局地防衛と同時に、当然日本の安全の保障ということに主たる任務があり、必要な場合には極東の平和の維持にもこれは使われる。したがって、安保条約の基本的な趣旨というものは、これは私、絶対変えるべきでもないし、変わってもいないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  143. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そういうふうに御理解いただいてけっこうです。
  144. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、先ほど鈴木さんからもちょっとお話がございましたですけれども、現在の沖繩におきますアメリカの軍事基地、並びにこれに駐留しているアメリカ軍というものは、これは極東最大の軍事基地であり、またアメリカの軍事力であることは、これは大かたの軍事専門家が認めておりますね。そうすると、これだけの強力な軍事力がある沖繩、これが何で米軍の力によって沖繩の局地防衛ができないのか。逆にそこへたかが六千人ぐらいの、しかもまだまだ沖繩の現在の装備から見たら貧弱な自衛隊が行くということですね。これはあわせ考えますと、これもまあ先ほど申し上げた上院での証言の中に出ておりますけれども、いわば米軍の基地があそこにあるが、米軍の基地の主たる使命は極東の平和の維持にあるんだと。言いかえれば、現在ならばベトナムの問題ですね、これにいかに対応するかにあるんだ。その軍事基地そのものの今度は安全を守るためには、これは日本の自衛隊が保障してくれるんだ。だから沖繩における局地防衛という問題は、沖繩県民という本来の日本の安全保障の主体であるべきものではなしに、沖繩にあるアメリカの米軍基地と、むしろこの安全を守るためだというふうにわれわれも考えますし、アメリカ側でもそういう証言を上院で行なわれておるわけなんですね。こうなるとゆゆしい問題だと思うんです。したがって、もしアメリカ自身があれだけの巨大な軍事基地を持っているんだから、当面沖繩防衛も自分が引き受けるからもう少し置かしてくれというならばこれはまた別でしょう。それを逆に自衛隊が六千人行って、沖繩の局地防衛というけれども、現実に、地域的にいったって、人間からいったって、あれだけの、沖繩にある強力なアメリカの軍事基地がある。これの防衛だ。これじゃあどうも日米安保条約というものは、全く基本趣旨——いま防衛庁長官が御確認になった基本的な趣旨を逆にするわけですね。
  145. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私はそうとは思いません。それはどういうことかといいますと、施政権が日本に戻ってまいりまして、アメリカの軍隊だけがそこにいて日本の自衛隊がいないということのほうが矛盾があるんじゃないでしょうか。そして、やはりたとえばこの本土でも、米空軍というものの力関係からするならば、アメリカの空軍がおれば航空自衛隊は要らないという発想につながっていくんじゃないでしょうか。ですからアメリカの軍隊によって沖繩の安全、局地防衛、これが守られることは私十分力があると思います。それはもうその通りです。しかし主権が戻ってまいりまする以上は、何といってもやはり自分の国は自分で守るというこの局地防衛の任務は自衛隊が負うべきであるということで配備をするものでありまして、アメリカに能力があるから全部アメリカにまかせておいてよろしいという話にはならぬように思いますが、その点いかがでございましょう。
  146. 水口宏三

    ○水口宏三君 私はアメリカにまかせていいと言っているのではなしに、現在あなた方が沖繩の局地防衛と言っているその防衛の目的でございますね、それをさらにさかのぼるならば、日米安保条約そのものの基本的な目的もまさに日本国民の生活、生命、財産これの安全を守るということが基本的な目的であり、それとの関連において極東の平和の維持ということも認めたわけです、国会では。われわれは反対しましたけれども皆さん方はこれを認めたわけです。そうすると、沖繩の局地防衛と言う以上、あくまでもその主体となるべきものは沖繩の県民でなければならないはずなんです。ところがですよ、六千人行く自衛隊の主たる任務は、県民の安全の保障であるよりはむしろ沖繩の米軍基地の安全を守るためなんだということを、——これはアメリカ側が証言をしているからそのまま皆さんがそう思っているとは思いませんよ、しかしアメリカ側は、自衛隊が来るんだからもう沖繩におけるそういう防衛自衛隊にまかせるのだと。言いかえると、現在の沖繩というものを見れば、極東最大の米軍基地沖繩にあるわけですから、まさにここの局地防衛というのは主としてアメリカの軍事基地防衛ということになるし、これはもう事実関係でそうなっていくことであるんですね。だからその辺のところがどうも私には納得できない。だから何もアメリカ軍がいるからまかせればいいじゃないかということではなしに、逆に言えば、そんなアメリカ軍はもっと減らせばいいのだということですよ。
  147. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) アメリカの基地を減らし、アメリカ軍をだんだん縮小していくということは、これは私も全く同感です。これはやはり今後旺盛に政府としては努力をしていかなければならぬ問題だと思います。自衛隊がアメリカの基地を守るということはもちろん直接の任務としてはございません。まあどういう発想でそういう証言を米側がしましたのか、私寡聞にしてそれを知りません。そういう理屈にはならぬと思います。あくまで沖繩県民を守る、沖繩の、日本の領土を守る、こういう発想に立って自衛隊配備する、そういうことです。ただ事実上の結果からいって、沖繩に米軍基地があるから、そこにもし何か事があれば自衛隊も協力して守ることになるんじゃないかと、広義の意味からいうとそういうこともあろうか、そういう解釈も成り立とうかと思いますが、直接目的はもちろんそういうことにあるのでないことは、これはもうはっきりと申し上げておきたいと思います。
  148. 水口宏三

    ○水口宏三君 じゃこの点については、もう一点だけ意見をまじえて申し上げて終わりたいと思いますけれども、いずれにしても、現在沖繩にあれだけ強大な米軍基地あるいは米軍の存在がなければ、沖繩が外から侵略を受ける可能性というのは非常に少ないはずです。むしろああいうものがあるから沖繩が外から侵略を受けるんではないかという想定に立ち、またそれをむしろ自衛という何となくあいまいなことばで、実際上は、あなたのおっしゃっている、客観的にはあれだけの基地があるんだから結果的には基地を守ることになるが、自衛という名目で自衛隊を派遣するという、これは私は安保条約がさかさまになってしまった。むしろアメリカの、われわれに言わせれば極東の侵略政策を助けるために、日本が沖繩自衛隊を派遣して、そうしてアメリカの、現在でいえば具体的なベトナム侵略行為を、これをむしろ守ってやるために自衛隊を派遣する結果になるじゃないか。これでは全く安保条約そのものの初めの趣旨というものが逆になっちゃうんじゃないですか。その点だけをもう一点ひとつ伺って、それでこの点についての質問は終わりたいと思います。
  149. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私どもはそういうふうにはとっておらないわけであります。少なくとも沖繩のあの過大な基地というものは、日本に戻ってまいりました以上は、これはやはり縮小していかなければならぬ。まさにあれだけの強大な基地があって、しかもベトナム戦争があそこを中心にして遂行されていくということになれば、一体極東の安全とか平和ということのための日米安全保障条約が逆になってしまうではないか、——御心配の点はよくわかります。その点は肯定しなければならぬと思います。したがいまして、やはり基地を縮小する、この努力を重ねてまいりたいと思います。
  150. 水口宏三

    ○水口宏三君 それではまあ、これは相手のあることでございますから、なかなか防衛庁長官の一人の決意だけでできることではございませんでしょうけれども、今後そういう方向に沿って、まあわれわれは安保条約を否定はしておりませんけれども、実際上条約として効力を持っておるわけでございますから、これは本来の使命を達成するような方向に実体が変わっていくように、これは政府責任においてやるべきことだ。それでなければ私は国民を欺いたことになると思いますので、この点だけは念を押して、一応この質問は終わります。  次に私は、先ほどの久保防衛局長のお話では、六千人の沖繩へ派遣する自衛隊というものは、これは局地防衛だというお話でございますけれども、何もこの六千人だけに限らず、私は沖繩にこれだけの自衛隊が行くということ、自衛隊の海外派兵ということを、ぼくは非常に何か気になるのですね。そこで、また先ほども申し上げたアメリカの上院での証言を見ますと、これはこういうことを言っているのですね。日本が少なくともこれまでのように自分たちの安全の問題だけではなしに、周辺国の安全に関心を持ってきたことは喜ばしいことである。それに対して議員のほうから、自衛隊の派遣を意味するのかと質問をしたところが、ロジャーズは、いや、今度の日米共同声明というものは、あくまで安保条約に関することを話し合ったので、実際上自衛隊を海外派兵するかどうかを決定するのは日本政府責任でありますので、この場ではお答えできませんが、ということを言っているわけです。つまり少なくともアメリカ側は、これとからめて、まあ時間もございませんので、四次防の問題は申しません。むしろ日米共同声明以後、四次防を非常に強力にアメリカが推進することを何回か要請をしてきている。昨年のレアードの来日もそうでしょう。それから最近の新聞を見てもそうですわね。そこで、われわれは沖繩自衛隊の派遣ということと四次防というものとをからめ合わせてみますと、海外派兵ということが非常に心配になるんでございますけれども、これまで国会でのいろいろな論議等でも、私ここにずっと持ってきておりますが、これをずっと調べてみますと、海外派兵はいたしませんと、これは日本の憲法上海外派兵はできないんだというようなことを答弁している記録があるわけでございますけれども、現在防衛庁長官は、海外派兵について、これは憲法的にできないものだとお考えになっているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  151. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 海外派兵は憲法上多分に疑義があると思います。これはできないと思います。そればかりか、海外派兵せずという政策をもって今日までこの平和を持続してきた、この過去というものは、私は貴重な経験だというふうに思っています。したがいまして、これは国の強い主張として今後も続けていく、そうして日本の平和愛好の国の方針というものを、もっともっと、やはり近隣諸国はもとより、世界に徹底する必要があるというふうに考えております。
  152. 水口宏三

    ○水口宏三君 江崎防衛庁長官のお考えはお考えとして、私が聞きたいのは、法律論の問題として海外派兵というものは憲法上できないという立場をとっているのかどうかということです。
  153. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 憲法違反だと思います。
  154. 水口宏三

    ○水口宏三君 もちろん海外派兵という場合にもこれはいろいろな形態があると思います。まあこの前の国会論議を見ても、海外派兵というものは常識論であると、したがって、実際の問題の場合には、たとえば事実、海上自衛隊がシンガポールを儀礼訪問したというふうな、これはあり得ますね。これはまさか海外派兵とは言えないだろう。当然他国に行って軍事行動を起こすということをもってわれわれは海外派兵と考えておるのであって、その点に関しては常識論でありますが、そう考えた場合には、いま防衛庁長官がはっきり言明なさったように、憲法上できないというふうにわれわれは政府も考えておる、そういう立場に立っておられるということを前提にして実は伺いたいと思うのですけれども、それでは、これは私から申し上げるまでもなく、国連憲章五十一条には、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。」という規定があるわけですね。しかも、平和条約、サンフランシスコ講和条約の第五条の(C)項では「連合国としては、日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有すること及び日本国が集団的安全保障取極を自発的に締結することができることを承認する。」、こういうことをいっております。それからまた、日米安保条約の前文では「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」この条約を締結すると、こういつているわけですね。そうしますと、この国連憲章でいいます「個別的又は集団的自衛権」というものを承認していらっしゃるわけですね。集団的自衛権というのはどういうことでございますか。
  155. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) これは、先生いま御指摘のとおり、国連憲章で初めて明記された主権国としての権利でございまして、あらゆる主権国は、もちろん国連加盟国は当然でございますけれども、この憲章制定以来、いわゆる固有の個別的自衛権のほかに集団的自衛権を持つということになりました、日本の場合につきましても、そういう主権国家として平和条約及び安保条約等でそのことに言及されております。でございまするけれども、この集団的自衛権と申しますのは、私どもの解釈では、いろいろほかにも解釈ございますけれども、国際間で大体定説として行なわれておることは、その国と非常に密接な関係にある国が侵略をされた場合に、その国を武力をもって援助する権利というふうに大体考えられております。
  156. 水口宏三

    ○水口宏三君 条約局長の御答弁、非常に明確なんで私は一応そのまま納得いたしますけれども、そういたしますと、いままで問題になりました日米共同声明の中の例の韓国条項並びに台湾条項ですね。ことに韓国条項については、韓国の安全は日本の安全に密接な関係がある。台湾の安全も日本の安全に重要な関係があるということを、これは佐藤総理はニクソンと合意をしておりますね。そうしますと、韓国が軍事攻撃を受けた場合には当然日本は集団自衛権を発動して韓国に自衛隊を送るわけですか。
  157. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) ただいま申しましたとおり、集団的自衛権の行使というのは、第三国に対しましてその国が侵略を受けた場合に武力をもって援助する行為というふうに考えておりますので、わが国としましては、主権国としてはもちろん個別的自衛権のほかに集団的自衛権を持つということは国際的にも認められておりまするけれども、従来政府が一貫して申しておりまするので、集団的自衛権を日本として行使するつもりは毛頭ないということをはっきり言っております。
  158. 水口宏三

    ○水口宏三君 そこが私は論理の一つのごまかしだと思うんです。私たちは少なくとも憲法第九条というものは日本の自衛権そのものは否定をしていないと、ただし自衛権の行使として武力による自衛行為を禁止しているものだという立場に立っているわけですね。ところが、自民党さん全部がそうかどうか知りませんけれども、少なくとも現在の佐藤内閣は、現在の憲法第九条は、自衛権を否定していない、またその自衛権に基づいて武力を持ち、自衛権の発動としての武力行動を認めているという解釈に立ってるわけですね。そうでしょう。そういたしますとですよ、先ほど江崎防衛庁長官は、憲法上海外派兵はできないとおっしゃった。いま条約局長は何とおっしゃいましたか。そういう武力、軍隊を送らないという基本政策を持っているんだ——これは政策論ですよ。政策論と憲法論とは全く違いますよ、これは。だから、防衛庁長官は憲法論として海外派兵はできないとおっしゃり、条約局長のほうは政策論としてあくまで海外に派遣しないんだと言っておるんだ。そういうあいまいなことではわれわれ納得できません。
  159. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 先ほどの私の説明が十分でなかったと思いまするけれども、私が強調いたしましたのは、日本も含めて主権国はすべて個別的自衛権のほかに集団的自衛権を持つというのが国連憲章のたてまえであるということを申したつもりでございます。その観点から日本は、憲法上のたてまえもあり、集団的自衛権を行使するというのは非常に疑義があるという立場に立って、従来から一貫して政策的にもそういうことはあり得ないという立場をはっきり示しているつもりでございます。
  160. 水口宏三

    ○水口宏三君 疑義があり、あり得ないというようなことばは、それであいまいだから私は防衛庁長官に確認したんですよ。憲法上できないことだということを防衛庁長官ははっきり言ってるんです。そうでしょう。それをあなたは、疑義があり何だかんだといいかげんに言ってますけれども、憲法上できないんですよ、これは。ところが一方、五十一条の集団的自衛権というものはあなたのおっしゃるとおり国際通念として、日本と非常に密接な関係のある地域が外から武力攻撃を受けた場合に日本の安全が脅かされると、したがって、日本が武力を行使してその国の安全を守るということ、これを集団的自衛権と称してるわけですね。しかも私が申し上げたように、これはサンフランシスコ講和条約の第五条の(C)項でも、安保条約そのものの前文でも日米が確認してるじゃないですか。これは全く憲法九条の、防衛庁長官のおっしゃった憲法によって海外派兵はできないんだということと、できもしない国が何で一体それじゃあサンフランシスコ講和条約なり日米安保条約の中に集団的自衛権を持っているということを確認したんですか。
  161. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) これは日本が特に要求して確認したということではございませんで、特に平和条約等では、これは、その際に初めて日本が独立国になるわけでございますので、そういう意味で独立国としては当然そういう権利を持つということが国際的に確認されたというだけのことでございます。ただ先ほどから申していますとおり、日本には日本の憲法がありますので、権利はあってもその権利は行使できないというのが政府の立場であろうというふうに考えております。
  162. 水口宏三

    ○水口宏三君 それはごまかしですよ。サンフランシスコ講和条約は、あなた、押しつけられたのですか。ちゃんと日本の全権が行って調印しているのですよ。しかも、ここには日本国が主権国として云々と明確になっている。これを承認したのだ、全権は。しかも、日米安保条約は何ですか、これは。サンフランシスコ講和条約でなくて、日・本がむしろ改定をアメリカに要求をし、アメリカがこれに応じて日本とアメリカの合意のもとにつくったものでしょう。この前文の中で自発的に日本がこれを認めているじゃないですか、はっきり「両国は」となっているのですよ。それならなぜ「アメリカは」としないのですか。そんないいかげんなごまかしではだめですよ。「両国は」ということを日本自身が認めているじゃないですか、ちゃんと。しかも、これは日本が積極的にやったのですよ。アメリカが押しつけたのですか、これは。
  163. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは水口議員の専門家としてのお立場の意見ですから、われわれどうもあまり専門家ではありませんが、アメリカにはやはり集団的自衛権あり、そこで、いま御説のように、なぜアメリカと書かないかと、こういう意味でございますね。しかし、日本は国際通念で認められておる個別自衛権、集団自衛権、これは国際的に認められておるものですが、日本の場合は憲法上その集団自衛権を発揮するというか、用いる手段がない。それじゃあその手段はなぜないのか、憲法上ないと、こういうことじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  164. 水口宏三

    ○水口宏三君 時間がありませんから、これは午後に、本会議後に延ばしますけれども、いまの江崎長官答弁、ごまかしですよ。なぜかといえば、憲法第九条で、あなた方は自衛のためならば戦力は持てる、自衛のための戦争はできるという解釈を持っていらっしゃるわけでしょう。個別的とも集団的とも書いてない、憲法のどこに書いてあるのですか。憲法九条そのものを自衛権という観点でもってそう解釈なさる以上、当然国連憲章の五十一条の個別的または集団的自衛権、これは国の固有の自衛権として認めているわけですね。われわれもそれは認めます。ただし、武力行為によってこれを行使することをわれわれは反対をしている。憲法は禁止しているというふうに考えている。で、あなた方の解釈は全く矛盾していますよ。この点は午後ゆっくりやりましょう。
  165. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私、そういうことを申し上げたのじゃないので、国際的に日本はこれは非常に特殊な立場に置かれているわけです、この憲法上。そうですね。ですから、その個別自衛権、集団自衛権ということは国際通念として両方あるというたてまえであるが、日本の場合は集団自衛権というものを用いることはできない、これは手段がないわけです。なぜか、それは憲法上禁じられておるから。だから個別自衛権はあるが集団自衛権を用いることはできない、こういうふうに申し上げたわけです。
  166. 水口宏三

    ○水口宏三君 憲法のどこにそんなことが書いてあるのですか、集団自衛権は行使できないなんてどこに書いてあるか、第何条に書いてありますか。
  167. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) どうも私も専門家でありませんからその辺弱いのですが、私の言う意味は、憲法上海外派兵は禁じられておるというたてまえからいって、当然集団自衛権というものを行使することはできない、こういうことを申し上げておるわけです。
  168. 水口宏三

    ○水口宏三君 あなた、ちょっとおかしいと思いませんか。憲法が海外派兵を禁じているから集団的自衛権を持てないといまおっしゃった。集団的自衛権はどうかといえば、これは憲法に書いてあるからできないんだとおっしゃる。これじゃ何にも結論にならないじゃないか。私は憲法のどこで禁止されているかを明示してもらいたい、と言っているのです。午後にやりましょう。
  169. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) それでは、本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後三時まで休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      —————・—————    午後三時二十一分開会
  170. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次発言を願います。
  171. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは午前中の質疑に引き続きまして、午前中の質疑の結論が出ておりませんので、私から再度くどくど申し上げませんけれども、思い起こしていただきたいことは、防衛庁長官から、海外派兵は憲法にのっとってこれはできないことであるというお話があった。ところがサンフランシスコ平和条約第五条の(C)項、それから日米安保条約の前文には、日本が個別的または集団的自衛権、国連憲章の五十一条で規定するこれらのものを保持していることを確認をいたしておるわけでございます。しかも、集団的自衛権の行使の具体的形態については、これは条約局長も御説明になったように、また一般的にも、日本の近隣国が攻撃を受けた、それから日本の安全に非常に危殆な状態を引き起こした場合、日本がこの攻撃に対して武力をもって対抗する、これが集団的自衛権の行使であるという御説明があったわけでございます。そうなりますと、憲法によって海外派兵、具体的には集団的自衛権の行使は不可能であるという防衛庁長官の御発言外務省条約局長の御発言、言いかえれば、確かに日米安保条約なりあるいはサンフランシスコ平和条約で明らかにしているこの集団的自衛権との矛盾があると思うのです。この点について再度防衛庁長官あるいは外務省からの御意見を伺いたいと思います。
  172. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 憲法上の解釈の論議になりますので、ちょうど法制局から出席しておりまするので、法制局のほうから一応先に答弁をいたします。
  173. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) お答えを申し上げます。  私、午前中の御論議の状況を存じておりませんので、あるいは重複するかもしれませんし、あるいは多少御質問に対してずれたお答えになるかもしれませんが、これはまたあとで御指摘があれば補完して御説明をさせていただくことにいたしたいと思います。  自衛権の問題でございますけれども、ただいまおっしゃいましたように、安保条約それから平和条約、それから先ほどはお触れになりませんでしたけれども、日ソ共同宣言にも、集団的自衛権及び個別的自衛権があるという、日本に自衛権があるということがうたってございますが、これは国際法的な面の話でございまして、国際法上独立主権国として個別的及び集団的の自衛権があるぞということが宣言されておるわけでございます。その面と、それからわが国が国内法としてどういう形の自衛権を行使できるかということは、これはわが国に関する限りわが国の憲法が記述しているところでございます。そこで、憲法の解釈といたしましては、これはもう国会で何十回となくお答えしておりますように、集団的自衛権は日本国憲法の許すところではないというふうにはっきり申し上げておるそのとおりでございます。個別的自衛権の意義につきましては、先ほどおっしゃいましたように、外務省から午前中御説明があったようでございますので、そのとおりだろうと存じます。
  174. 水口宏三

    ○水口宏三君 いまの御答弁に対して午前中申し上げたのであって、日本国憲法の何条にどういうことばによって、個別的自衛権の行使は武力によって行なえるが、集団的自衛権の行使は行なえないと、どこにどういうことばで規定があるかをお示し願いたい。
  175. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 日本国憲法の条章には、どこを見ましても、個別的自衛権はあるが、集団的自衛権はないということを明文をもって書いてある個所はございません。これは御承知のとおりでございます。問題になるのはやはり憲法九条でございまして、九条によれば、日本国は戦争を放棄する。それから国際的な紛争の解決の手段としては武力を使わないということをいっております。これが憲法九条の文言でございます。しかしその文言にもかかわらず、日本国はやはり独立主権国といたしまして、自国の安全を放棄しているわけではない、国民の安全、国家の安全を放棄しているわけではなくて、やはり平和のうちに、国民はすべて平和のうちに生存する権利があるぞということは、これは憲法の前文にも書いてございます。そういう規定を踏まえまして憲法九条を読みますと、そうすると、わが国に対して直接に急迫不正の外国からの侵害があった場合に、日本の国家の安全を犠牲にしてまで手をこまねいて死を待つことを憲法が明定しているとはとうてい考えられませんので、そこで、独立国家として自衛の権利はあると、またそれに必要な最小限度の行動は憲法もこれを禁じている趣旨ではないというところがそもそも議論の出発点でございます。そういう議論の筋道といたしまして、そこで先ほど申しました個別的及び集団的自衛権の適用関係を見ますると、そうすると集団的自衛権というのは、これもおそらく条約局長から御説明があったと思いますけれども、わが国自身に対する攻撃がない、第三国といいますか、他国に対する攻撃があった場合に、その他国がわが国とかりに連帯的関係にあったからといって、わが国自身が侵害を受けたのでないにかかわらず、わが国が武力をもってこれに参加するということは、これはよもや憲法九条が許しているとは思えない。憲法九条が許しているのはせいぜい最小限度のものであって、わが国自身が侵害を受けた場合に、その侵害を阻止し、あるいは防ぐために他に手段がない、そういう場合において、しかもその侵害を防止するために必要最小限度の攻撃に限って行なってもよろしいと、いわゆる自衛権発動の三要件とか、三原則とか申されておりますけれども、そういうものに限って、そういう非常に限定された態様において、日本も武力の行使は許されるであろうというのが政府の考えでございます。
  176. 水口宏三

    ○水口宏三君 憲法第九条は、いまお話によると何か最小限度そういうものは許しているというふうな御発言がございましたけれども、憲法の文章の中には、個別的自衛権ならば武力を行使してもよろしいという文句は全然ございません。よろしゅうございますか、そういう文句は全然ないわけですよ。ただあなたの御解釈で、日本は独立国であるから自衛権を持っている、この点に対してはわれわれも否定をいたしておりません。ただわれわれが問題にしておるのは、憲法第九条は、自衛権の行使の形態として武力を用いることを禁止しているという解釈に立っておる。皆さん方はというよりは、すなわち佐藤内閣は、自衛権の行使の形態として武力を用いることを憲法は禁止していないという立場をとっておるわけです。そこであなたは、何か集団的自衛権であると、これは非常に何と申しますか、個別的自衛権から見ると危険なものである。個別的自衛権の発動ならばこれは最小限度だからいいんだというふうに言っておりますけれども、国連憲章五十一条を見ても、これはまさに独立国の固有の権利として個別的または集団的自衛権ということで、その間に何らの差別なしに固有のものとして自衛権を認めているわけです。そういたしますと、あなたのおっしゃっていることは、全くかってにあなたがそう解釈しているだけであって、憲法第九条の条文に照らしても、国連憲章第五十一条に照らしても、個別的自衛権の発動なら武力は用いるが、集団的自衛権の発動の場合には武力は用い得ないとか、あるいは日本は集団的自衛権の発動はできないんだなどという解釈はどこからも出てこないというふうに私は思います。どうしてその解釈がどこから出るのですか。
  177. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 実は先ほどはそういう解釈が出てくるゆえんのものを申し上げたつもりでございます。平和条約なり、安保条約なり、あるいは国連憲章に国家固有の権利として集団的、個別的自衛権があるということが書いてございます。これは先ほども申し上げましたように、国際法の面でございまして、これはかりに——かりにでございますよ、頭の中だけの話でございますけれども、かりにわが国が集団的自衛権の行使ということを行なっても、外国はわが国を目して国際法違反であると、国際法的に見て違法な行為をしたのだというべき立場にはないということだろうと思います。これは国際法の面でございます。そこで、それが国際法の面でございますが、国内的に、わが国がどういう形で武力を行使するかと、どういう場合に武力の行使が許されるか、あるいはまた禁止されるかということは、わが国の憲法がきめているところでございまして、そこで憲法の話を先ほど申しましたが、一口に自衛のためには武力を行使してもいいんだというふうには申しておらないわけでございまして、そのためには三要件のもとにおいてのみ許されるというのが憲法のぎりぎりの解釈であると、かように言っているわけでございます。
  178. 水口宏三

    ○水口宏三君 あなたのおっしゃっていることはどうも私のと食い違っているんですよ。つまり個別的または集団的自衛権を固有のものとして各国が持っておるということはわれわれは否定していないんです。その点は否定してないんですよ。ただ問題は、日本国憲法というものは自衛権の行使の形態として武力を使うことを禁止しているのだという解釈に立っている。あなた方はそうではないわけですね。自衛権の発動の形態として武力の行使も許されるという立場をとっていらっしゃるのだ。そうすると、憲法の解釈として、個別的自衛権の場合ならば武力の行使もできるが、集団的自衛権の行使の場合には武力ができないというような、そういう解釈がどこから出てくるのかということを具体的に示していただきたいのです。ただ何となく、そう考えますとか、まあわれわれはそういう方針ですと言われては憲法の問題ではないですよ。そこで私は最初に、防衛庁長官に、海外派兵というものは憲法上の問題として禁止されているのかということを伺ったら、憲法上の問題として禁止されているということを言明なさったから聞いているわけなんです。そんなあいまいな、あなたがそういうふうに解釈する、そう考えるということじゃないと思う。どうなんです、その点は。回答してくださいよ。
  179. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) これはもう先ほどの繰り返しになろうかと思いますけれども、自衛権の行使の手段として、無条件で武力を使ってもいいんだというふうには言っておらないわけでございまして、前々政府お答えしていますように、三原則、三要件のもとにおいてのみ、非常に限定された形で、万やむを得ないという場合に限って、その限度の武力の行使が許されるだろうということでございます。それでそういう解釈が出てくるゆえんのものは、先ほど申しましたように、一国の主権国家として自分の国の安全を犠牲にしてまで手をこまねいて待っておれということを憲法が命じているはずはなかろうというところから出発している、こういうふうに理解しております。
  180. 水口宏三

    ○水口宏三君 あなたのおっしゃる三要件というものを具体的に言っていただきたいということと、それから私がこの議論を出しました発端は、一九六九年十一月の佐藤・ニクソン会談の中で、韓国の安全は日本の安全にとって緊密な関係にある。台湾の安全も日本の安全にとって重要なものであるということを合意をし、世界に宣言をしたわけなんです。そうなりますと、韓国の安全が脅かされる、つまり韓国が武力攻撃を受けた、こういう事態、こういう場合には即日本の安全を脅かされたということになるんではないか。これこそまさに集団的自衛権の行使ということの、少なくともぼくは解釈としては、あなた方の立場に立って当然出てくる結論ではないかということで伺っているわけです。まずあなたのおっしゃる三原則なるものを言っていただくことと、いまの日米共同声明の中の韓国条項は特に一番重要だと思うのです。それとの関連を、御説明を、御答弁を願いたい。
  181. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 普通に自衛権行使の三原則といわれているものにつきましては、先ほども触れておきましたけれども、まず場合といたしましては、わが国に対して外国からの武力攻撃が行なわれたということでございます。第二番目においては、その武力攻撃を防ぐために他に方法がない、武力をもって反撃するよりほかに方法がないという非常に切迫している場合、それが第二の要件でございます。それから第三番目の要件といたしましては、かくして発動される武力行使は、外国からの武力攻撃を防止する必要最小限度に限るということでございます。  それから韓国についての、韓国条項についての御質問でございますが、これはわが国の自衛権行使の三要件とは関係がございませんで、いま申しましたように、わが国に対する武力攻撃があった場合に日本の個別的自衛権は限定された態様で発動できるというだけのことでございますから、韓国に対する脅威が、危害がありましても、これは直ちにわが国の自衛権が発動することになるとは毛頭考えておりません。
  182. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、これはどうも法制局と防衛庁と外務省と三者三様の解釈をなさっている。事、国の防衛に関して三様の異なった解釈があるということは非常に危険だと思う。防衛庁長官は、海外派兵は憲法によって禁止されているとおっしゃった。外務省の条約局長は、その集団的自衛権の問題については、わが国の安全に密接な関係のある国が武力攻撃を受けた場合、当然この武力攻撃をわが国への集団的な自衛権の発動の対象となり得るものであるが、われわれはそれをしないというだけだというような御答弁をなさった。いま法制局の長官から伺うと、憲法上のこの解釈からいけば、集団的自衛権の行使はできないのだ。つまり現在の自衛権というもの、憲法九条との関連における自衛権というものは、わが国への直接的な武力攻撃あるいは他にそれを防止する方法がない場合、その武力攻撃を最小限に防ぐための行動しかとれないのだということを言っていらっしゃる。しかも私が何回も申し上げるように、そういう立場を持っているのに、それでは日本政府が何で日米安保条約の前文の中で、あえて集団的自衛権を持っているということを確認をし、世界に公表をしたのですか。
  183. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 私の午前中の答弁につきまして少し誤解があるのではないかと思いますので、ちょっと訂正さしていただきますけれども、私は、自衛権というものを、日本についての説明としてではなく、一般的な説明がどういうものかというお話でございましたので、集団的自衛権というのは、ある国と密接な関係のある国に対して武力攻撃があった場合に、これをその武力をもって援助する、防衛するという権利である、こういう権利は国際法上すべての国が持っている、こういうふうに現在なっておるということを申し上げたつもりでございます。ただ日本につきましては、憲法上の制約があるためにこの権利を行使することができないというふうに申したつもりでございます。
  184. 水口宏三

    ○水口宏三君 いや、私は、それであなたに、憲法のどこに書いてあるかと言ったらば、憲法にはそういうことは書いてございません、ただわれわれはそういう立場をとっているんだとおっしゃっただけですね。そうでしょう。
  185. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 憲法につきましては、私、実はそういう御答弁をする資格がないものでございますので、ただ、そういう一般的なことを申し上げただけでございます。
  186. 水口宏三

    ○水口宏三君 あなたの答弁はそうだったということだけを確認していただけばいいんです。防衛庁長官、いかがですか。
  187. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、しばしば従来も国会で問題になってきておるようでありまするが、まあ先ほど法制局の第一部長が申しましたような見解に立ってここへきておるわけです。だから日米安全保障条約だけをとっていいますると、この個別的自衛権それから集団的自衛権をなぜ併記したのか。これはアメリカにあっても日本にはないというわけですが、さっきも第一部長が言いまするように、日本がたとえば集団的自衛権を行使したとしても、それは国際法上の通念として国際的に罰せられることはない、こういうことを言いましたね、私そのとおりだと思います。しかし集団的自衛権を行使することは憲法の条章、いわゆる第九条によってできない、その手段はない。これは私午前中もそんなようなことを申し上げたつもりでありまするが、そういうふうに思います。それじゃその個別的自衛権はどこに規定してあるんだ。これは明文的な記述はございませんが、あの九条というものは、国際紛争を解決する手段として武力を用いることは禁じておりまするが、座して死を待てとはいっていない。そこで主権の存するところ、にわかに不正の侵略があった場合は最小限の抵抗は当然これは認められるということで、今日まで政府の統一見解としてここにきておるわけであります。大体以上そういうふうに考えています。
  188. 水口宏三

    ○水口宏三君 防衛庁長官非常に苦しい御答弁をなさっておりますけれども、自衛権そのものは、これは個別的であれ集団的であれ、その国の安全を守るということを前提にしての権利ですね。決して自分と仲のいい国が攻められたからその仲のいい国を助けに行くんだという、そういう考え方じゃないんですよ。そうでしょう。これはあくまでわが国の安全のための権利ですね。そうすると、個別的自衛権と集団的自衛権の差はどこにあるのですか。個別的自衛権の場合には、わが国のみの武力によってこれに対抗する場合、集団的自衛権の場合にはわが国の安全が危殆に瀕した場合、そういう認定に立ったときに、わが国と他国が一緒になってこれに対して武力的抵抗を行なうということが、これがいわば武力による集団的自衛権の行使ですね。そうでしょう。そうなれば、憲法の条章をどう考えてみても、憲法というものはあなた方の解釈によれば自衛権を否定していない。私もそう思います。ただし私たちは、武力による自衛権の行使は否定していると考える。しかしあなた方は、それを否定していないと考える。そうすると、個別的であるか集団的であるかという差は何ら本質的な問題ではございません。たとえ集団的であろうと個別的であろうと、あなた方の解釈に立つならば、日本の安全が直接脅かされたような状況、こういう場合に当然固有の権利として持っている自衛権を発動し、その発動の形態として武力を用いるという解釈にならざるを得ないんじゃないですか。それにもかかわらずあなたは、憲法上集団的自衛権の行使は禁止されているんだと言っている。ところが法制局のほうはそうではなしに、一応自衛の三原則というものをつくった。これはかってに内閣がつくったんでしょうね。憲法の問題ではございません、憲法には自衛三原則なんて何もないんですから。ただ、たまたまいつの内閣のときですか、その内閣が憲法の解釈としてその三原則をつくったにすぎない。こういうふうなものは憲法上の問題ではございません。憲法の解釈でいつでも変わる問題。むしろ基本的な考え方自身は、これは個別的自衛権の発動の場合の三原則でしょう、このあなたがおっしゃった三原則というのは。しかし自衛権というものを、先ほど申し上げたように、それじゃあ日米安保条約の中で明らかに日本は集団的自衛権は放棄いたしますという文言でもあるならば別ですよ。何だったら当時の国会論争をここにたくさん持ってきていますから示しましょうか。——藤山外務大臣は追い詰められて、いやわが国は集団的自衛権を持っていないと言ったんですよ。それであわてて法制局長官が、いやそんなことはありません、集団的自衛権というものも固有の自衛権としてあるのだ。それはそうでしょう、安保条約の前文に書いてあるんだから。あるけれども、これは行使いたしませんといっただけのことなんです。だから私の言うのは、そういう憲法上の問題とあなた方の憲法の解釈論、いわば政策論とごっちゃにして、そのときどきに都合のいいことを言われたのでは困るのです。だから私はこの際、憲法との関連においてこの集団的自衛権の問題を明確にしておきたいと思うのです。
  189. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 個別的自衛権と集団的自衛権とが自衛権という形では同じものである、その行使の態様において、あるいは要件において違っているというふうな見方をするか、あるいは違う権利であるというか、これは観念のしかただろうと思います。要は、結局独立主権国として自衛権がありますと、これは先生もお認めになったとおりでございまして、これは国際的にも通用する。そのことは国連憲章五十一条にも明記してございます。それで、それをわが国の立場として、わが国が日本国憲法のもとでいかなる行動がとれるかということは、それは日本国憲法の解釈の問題でございまして、それにつきまして非常に限定された形の、つまり先ほど来申しました自衛権行使の三原則、三要件、このもとにおいてのみ行使が許されるだろうというふうに解釈しているわけでございまして、その解釈の結果、振り返ってみますと、それはもう個別的自衛権しか該当しない。これに該当する場合というのは個別的自衛権のことである。つまり第一原則、第一要件が先ほど申しましたように、わが国自身に対して外国から武力攻撃があった場合に云々というのが第一原則でございますから、その原則の適用の結果、わが国が行使し得る自衛権の態様というのは個別的自衛権に限られると、こういうことになろうかと思います。
  190. 水口宏三

    ○水口宏三君 それはどうもすりかえがありますね。あなたのおっしゃる三原則というのは憲法に書いてあるんじゃないんですよ。あなた方がそう憲法を解釈したわけでしょう。そうでしょう。だから私は申し上げるんですよ。憲法第九条の解釈にはいろいろあります。したがってあなた方が、自衛権の発動の形態としてこの三原則を取り上げたと。このときには個別的自衛権とか集団的自衛権ということは論議になっていません。ただ自衛権の発動のむしろ要件としてこれを言ったにすぎない。ところがその後、国会の中でも集団的自衛権と個別的自衛権の問題が問題になり、特に一九六九年の先ほど申し上げました日米共同声明の韓国条項との結びつきでこれが問題になったわけですね。しかも先ほどの条約局長の解釈、これは国際通念ですよ、集団的自衛権の発動の場合に。とすれば、あなた方がもしこの憲法第九条がそういうものを、自衛権の発動の形態として武力行使を認めているなら、集団的自衛権を持っているわが国が最小限度の行動として、まあそれはきょう本会議の佐藤さんの答弁を聞くと、今度のアメリカのベトナムにおけるあの行動もアメリカにとっての集団的自衛権の発動だと言っているけれども、これはまさに拡大解釈であり、法的に非常に疑義があり問題にならないと思うのですよ。しかし少なくとも一国の首相が、わが国の安全と緊密な関係に韓国の安全があるのだということを相手国の首相と合意し、これを宣言している。そうすると、その国が武力攻撃を受けるということは、これはまさに集団的自衛権行使の最小の限界内の私は問題だと思うのです。それを、あなた方の憲法解釈からいったってそこのところについては一つも明確になっていないじゃないですか。この三原則というのはむしろ個別的自衛権の行使についてのあなた方の三原則なんであって、日米共同声明以後の憲法解釈論じゃありませんよ、それは。どうなんですか、法制局のほうは。
  191. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 憲法はいろいろ解釈の余地が残っている点がたくさんあることは御承知のとおりでございまして、九条などというのはその最たるものであろうかと思います。で、先ほど来申しましているのは私たちの憲法の九条の解釈でございます。先生のおっしゃるのはまた先生のほうの御解釈だろうと思いまして、これはもう見解の相違と言うよりほかしょうがないのでございまして、ここで私が、それじゃあごもっともでございますということを言って、私の見解を変えるということができるようなしろものでないことはおわかりだろうと思います。  それはまあとにかくといたしまして、私たちが三原則と言っているのは個別的自衛権の原則だけじゃないかと、集団的自衛権はできることになるじゃないかというような御質問があったかと思いますけれども、私たちはそうじゃございませんで、およそわが国が武力行使をできるというのはいまの三原則のもとにおいてのみであると、そこで第一原則が働きまして、結果としてこれは個別的自衛権の態様においてしか武力行使ができないということになると、これは明々白々であろう、こういうふうに考えるわけであります。
  192. 水口宏三

    ○水口宏三君 それならば、私が何回も申し上げるように、日米安保条約の中でわが国が集団的自衛権を持っていることを確認するというばかなことはあり得ないじゃありませんか。いまあなたの言ってることでは、集団的自衛権を放棄している、憲法に禁止している、そう解釈をおとりになってるわけでしょう。ぼくの解釈じゃないです、あなたの解釈ですよ。あなたの解釈としては、日本国憲法第九条は個別的自衛権を最小限度の形で武力を行使することは認めていると、ただし集団的自衛権の武力行使は認めていないという解釈をお持ちになってるわけでしょう。じゃなぜ一体日米安保条約の前文で、わが国が集団的な自衛権を持ってるということを日米の合意、むしろ確認してるんですよ、何でこれでもって放棄してないんですか。
  193. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) お答えします。  これは国連憲章はもとより、日本の入っております諸条約——平和条約をはじめ日米安保条約、日ソ共同宣言、すべて主権国としての日本に個別的及び集団的自衛権があるということを書いてあります。これは先生のおっしゃるとおり、なるほど日本の憲法上の立場からしますると、理論的に自衛権を行使する方法は全くないわけでございまして、条約技術的に申しまして、日本については個別的自衛権だけしか持たないというふうなことを書くこともあるいは可能かと思いますが、これはしかし国際法上の一国家として、主権をみずから国際的に制限するというのは非常に問題があろうと思います。そういう立場から、平和条約及び国連憲章の規定のしかたに従ってすべてそういう方法で書いているわけでございます。
  194. 水口宏三

    ○水口宏三君 外務省は日本国憲法に基づいて条約を締結しないんですね。日本国憲法とは無関係に、国際通念などということでもって日本国憲法に反することでも条約化するんですか。
  195. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) それは全くわれわれの考えではございません。私たちはもちろん日本国憲法に従って条約を締結しているわけであります。ただしかし、規定のしかたといたしまして、そういう国際法上普遍化している原則を書くということについて、やはりこれは一つの形式でございますので、そういうことを書いていけないということではございません。
  196. 水口宏三

    ○水口宏三君 そんな、外務省があなた、事、国の防衛に関する基本的な問題について、これが形式的だなんて、冗談じゃないですよ。そんな、人をばかにしたような答弁なさるのは承認できないですよ。考えてごらんなさい、ちゃんと法制局も防衛庁長官も、憲法上集団的自衛権は行使できないと言ってるんですよ。それをあなた方は、条約結ぶときは一応国際通念であり、形式上まあそういうものを認めました……。しかし、形式上認めたっていっても、これがちゃんと確認したということを言ってるんですよ。こんなあなた、いいかげんなことないじゃないですか。もしほんとにあなたが憲法に忠実ならば当然——どこの国にだってそれぞれ憲法あるんですよ。世界が全部同じ憲法持ってるんなら知りません。憲法に基づいて条約は当然締結されるべきなんだ。日本には日本の憲法があるんだ。憲法に基づいてあなたが条約を締結なさるというなら、当然日本国憲法の禁止している集団的自衛権は持たないということを明記すべきじゃないですか。
  197. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 実体的にわが国が安保条約を運用するにあたりまして、わが国が憲法に基づいてのみしか行動できないということはきわめて明白でございます。このことにつきましてはこれまで、新安保条約の審議に関する国会での御議論の中でいろいろ法制局長官あるいは総理大臣等が御答弁いたしておりますので、私、ちょっとその点をここで言及さしていただきますけれども、たとえば四十四年の参議院予算委員会での高辻長官の御説明で、「確かに平和条約なりあるいは日ソ共同宣言なりに、個別的自衛権、集団的自衛権が日本にもある、両方で持っておる、そういうことが規定してございます。これは国際法の面ではあたりまえのことでありまして、別にこれを異とするに足りないのでございますが、しかし、仰せのように、日本には憲法九条という国内法としての最高法規がございます。その最高法規の九条の解釈としては、やはりこの自衛権ということはきわめて厳密なものと解すべきである」云々という答弁がございます。それからまた、同じく高辻長官答弁でございますけれども、同様の質問に対しまして、「日ソ共同宣言にも同じような規定がございます。要するに、国際社会、国際法としては、個別的自衛権なり集団的自衛権を一国が持つというのは、これはあたりまえのことと考えられておる、国際法としては。そこで、これも一つの条約でございますから、条約の範囲ではむろんそういうことが言われてもかまいませんけれども、しかし、たとえばいまの集団的自衛権を有すると、この条約に書いてあるから、わが国は集団的自衛権があるのだというふうに思われるはずはむろんないと思います。したがって、この個別的自衛権というほうでも本来は国際法上の観念でございますから、国際法との関係があるということは大いに言われますけれども、しかし、もっとやはりわれわれの憲法である日本国憲法がこうである、日本国憲法がこういう厳格なものであるということで、われわれとしては実はそれで足りるわけで、外国がどう言おうと、一国の根本規範である憲法を、われわれは自信をもって、それを主張すれば十分ではないか。かりにこういう条約にそういうものがあるからと言って、その点が変わることは毛頭ないということを申し上げたいと思います。」、こういうことでございます。
  198. 水口宏三

    ○水口宏三君 その点はあなたの御指摘になるとおり、高辻さんは年じゅうそういう適当な憲法解釈をやって問題になってるんですね。いいですか。それはどうしてかと言えば、国際通念として、条約を結ぶ場合に条約の中に集団的自衛権の保持を認めてあっても、日本には憲法がある、憲法に従ってこの自衛権の行使を行なうのだから、厳密にこれを解釈するならば誤りをおかさないと。ただしその場合でも、集団的自衛権は憲法は禁止していますということは高辻さんは言ってないんです。集団的自衛権の行使についても憲法に従って厳密にこれを行使するという解釈以外出てこない、高辻さんの答弁の中からは。しかも、いま申し上げる日米共同声明の中で韓国の安全と日本の安全が一体であるというような、そういうことが天下に公表された以上、もしあなた方が、日本の憲法が自衛権の武力による行使というものを容認している立場に立つ限りにおいて、国際的な通念としてあなたが言っておる集団的自衛権というものをサンフランシスコ条約の第五条(C)項並びに日米安保条約の前文で持っておることを、国際的通念であると言いながらこれをあえて条文の中に明文化しこれを持っていることを明確にしたわけですね。するとこれを行使する場合に、憲法に従って厳密に行なう、厳密に行なうために、言いかえれば佐藤さんはおそらくニクソンとの間で、韓国と日本の安全が緊密だと言ったでしょう、それがなければどうも国民の批判を浴びるおそれがある。高辻さんの答弁の中だって決して集団的自衛権を日本は持っていないといま一言も言っていないのですから。どうですか、それをはっきりしてくださいよ、長官。なぜ私がこれを申し上げるかというと、先ほど申し上げました自衛隊沖繩に派遣をするということにからんで、私は久保防衛局長に聞いたのです。戦前日本の沖繩にどれくらいの兵隊がいたか、ほとんどいませんでしたと答えている。なぜか、これは朝鮮と台湾に日本の軍隊があったから、ここに軍隊があればあえて沖繩に軍隊を置かなくても日本の安全は守れるからだと、そういう発想のもとにおそらく置かなかったんでしょう。現在は朝鮮にも台湾にも日本の軍隊はおりません。したがってむしろ日本の防衛ということから考えれば、両端の北海道、沖繩というところにウエートを置いて軍を配置しなければならないという理由によって、沖繩にまず六千五百名の自衛隊の派遣をされる。しかも防衛庁長官の先ほどからの御答弁を伺うと、米軍基地は逐次縮小させていく、ただし四次防の構想に立つならば、米軍の撤退とともに自衛隊がふえていく可能性は十分あるわけですね。しかも先ほど申し上げた日米共同声明の中でも日本と韓国との関係がある。しかも憲法解釈はあいまいである。いつ集団的自衛権の行使という形で韓国へ自衛隊が行く、そういう状況がつくられるかわからない。そういうことをおそれるからこそ厳密にこの際皆さん方の御意見を伺っておるのであって、一つも明確な答弁が出ていないじゃないですか。これほど重要な問題について政府が明快な答弁ができないというならば、佐藤首相に来ていただいて政府の統一見解を聞きましょう。できるならやって、できないならやめてください。
  199. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 法的な解釈についてはいままで第一部長と条約局長が申し上げたとおりだと思います。政治論で言いますると、私どもは韓国でどういう事態が起こりましょうとも、派兵するなんということはこれは憲法の条章からできるはずのものじゃございませんし、絶対いたしません。これはひとつ防衛庁長官として、韓国にどういう事態が起こっても派兵はしません、自衛隊が行くようなことはありませんということをここに言明いたしまするので、まあひとつその点は御了承を願っておきたいと思うのです。
  200. 水口宏三

    ○水口宏三君 それは江崎長官がそういう決意を持っていることは私は了解いたします。またこの半年なり一年の間にそういう事態が起こるであろうということは私も予測いたしません。しかし問題は事、国の基本的な防衛に関する問題である、憲法との関連の問題でございますね。したがってこれはまあ今回の防衛施設庁の設置と直接関係はございませんので、きょうはこれでもって一応私はこの質問を打ち切りますが、きょうの少なくとも政府関係者の方々の御意見を伺うと、三者三様、法的解釈と言ってみたり、政治的な決意を述べてみたり、法的解釈の高辻さんの解釈がいかに行ったり来たりしているかは有名なんですよ、大体の国会論議の中で。だからいまあらためて私は近く内閣総理大臣に来ていただいて、内閣としての統一解釈を明確にしていただきたいと思います。  その意味で、じゃこの集団的自衛権の問題点は一応質問を終わりますが、時間が過ぎましたので、一言だけもう少し伺っておきたいのでございますけれども、極東の範囲の問題につきまして、これはこれまでもしばしば問題になっていることでございますが、少なくとも日米共同声明以後あるいは現在の沖繩に存在する米軍基地の利用のされ方、これは先ほど申し上げた沖繩返還協定を審議した上院におけるロジャーズ国務長官答弁、これらをあわせますと、極東ということばはすでにもう有名無実になっている。日米安保条約の適用範囲は西太平洋全域であるというふうに解釈せざるを得ないのでございますけれども、その点についてこれは防衛庁長官なり、もし条約局長に御意見があるなら承わりたいと思います。
  201. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 極東の範囲につきましては、沖繩返還と全く関係なく従来どおりの見解をとっております。
  202. 水口宏三

    ○水口宏三君 従来どおりの見解というのはどういうことですか。変わっているんですよ。
  203. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) これは昭和三十五年の新安保条約が国会で審議されたときの政府の統一見解でございます。
  204. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは逆にこういうことを申し上げましょうか。パッカード国防次官の答弁に、「これらの地域は西太平洋地域の安全性についての米国の責任及びもっと広い役割りの見地から見るべきだと思う」とあります。あの地域の軍事的行動の重要性の見地から見るべきだということは、この前の質問の中で沖繩の軍事基地の評価について言っているわけです。沖繩における軍事基地、したがって長くなりますけれども沖繩を日本に返還するまではむしろあの復帰闘争、つまりデモや何かから沖繩の米軍基地を守るために機能を維持するためにも必要なんだということの説明の続きとして、引き続いて沖繩におけるアメリカの軍事基地の機能というものは維持されるのだ、しかもこの役割りというものはこういうものだということを、これはもうはっきりアメリカの上院でもって証言をしております。現に先ほど申し上げたように、ベトナム問題について日本の基地が利用されておることは現実なんです。そうなってくると、当初これが締結された当時の極東の範囲からみると、これは非常に拡大をされておる。そのことを条約局長はお認めにならないのですか。
  205. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 昭和三十五年に安保条約が国会で審議されたときに、極東の範囲の定義をいたしました。その際、米軍の行動する範囲は必ずしも極東の範囲に限られないという趣旨のことも同時に極東の範囲に関する定義の中で説明をいたしております。米軍の日本の施設区域を使用しての行動の範囲は、必ずしもここでいうところの極東の範囲に局限されるわけではないということを説明いたしております。先生いま申されましたベトナム等に関する米軍の行動というのは、これはもちろんベトナムは極東の範囲に入りませんけれども、そういう地区で米軍が行動することまでもこの極東の範囲の説明から除外されるという趣旨ではないということを当時統一見解の中で説明しておる次第でございます。
  206. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは実質的に日本の基地を使って、アメリカ軍が極東の範囲というのは、あなた方のおっしゃった当時の解釈からいけば台湾、フィリピン以北、韓国を含むと、それから千島列島も含むんでしたかね、その範囲だというその極東の範囲というものは拡大をされたと、実質的には。これは国会でも佐藤さん答弁しておるのですよ。つまり極東の範囲に大きな脅威が及ぶというおそれのある場合、それ以外の地域について米軍が日本にある軍事基地を使用することはわれわれは容認せざるを得ない状況だということを認めておるわけです。当初、日米安保条約が締結されたときに、第六条によって置かれる米軍基地の使用というものは、極東の範囲というふうに限定されていた。これはもうすでに国会の中で佐藤さんすら認めておるのです。いまや極東などということばは全く有名無実であって、アメリカは第六条に基づいて、日本に置いてある軍事基地の利用、これはまさに西太平洋全域の軍事行動に使うということはアメリカ自身もこれは上院でそういうことを証言し、またアメリカ上院そのものもこれを認めているわけですね。佐藤さんも認めている。そうすると、何かあなただけが認めていないようになるんですけれども、どういうことなんですか。
  207. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 私が申しましたのは、安保条約第六条で極東といっている場合は、その極東の平和及び安全の維持のために日本が施設・区域を米軍に提供すると、つまり米軍の施設・区域の使用目的が書いてございます。この第六条によって、米軍の行動の範囲まで厳密に極東の範囲ということに限定されるという趣旨ではないということを先ほど申し上げたつもりでございます。
  208. 水口宏三

    ○水口宏三君 じゃ、もう時間がだいぶ過ぎましたのでこれでやめますけれども、われわれは、少なくともこれまで、安保条約の第六条におけるこの極東の範囲ということが米軍行動の大きな一つの歯どめになるというふうに説明もされ、またそう理解もしてきたわけです。ところが、もしあなたのおっしゃるように、極東の範囲の平和を維持するために必要な行動ならば、アメリカがどこへ行って何をしようがそれは認めざるを得ないんだということになれば、これは、アメリカのことですから、ベトナムの問題ですら国連憲章五十一条の集団自衛権の発動だと言ってるんですから、これがエジプトあたりでもって軍事行動を起こしても、エジプトの軍事行動いかんによっては極東の平和に大きな関係があるとアメリカが解釈する。当然、あなた方もまたそれに追随をする。じゃ、世界で地球上どこでの軍事行動だって、極論すれば、極東の平和に影響ないはずはないんです。それじゃ、全く有名無実じゃないですか。そうでしょう。ヨーロッパにおける戦争は極東の平和に関係がないなんということ、言えますか。  だから、われわれはいままで、安保条約の六条というものが極東の範囲ということを明確にしていることによって、米軍の行動に大きな制約がされるというふうに説明もされ、そういうふうに理解してきた。もし、極東の平和に影響があるところになら、アメリカは自由に日本の軍事基地を利用できるということになってきたらば、これはまさに地球上全部ですよ。そんな拡大解釈、いままで初めて聞きましたよ。
  209. 高島益郎

    政府委員(高島益郎君) 私ども、まさか、ヨーロッパとか中近東等の付近まで米軍が行動するということは全く考えておりません。この極東の範囲に関しまする政府の統一見解を、その関係部分だけ読ましていただきますが、極東の区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいはこの区域の安全が、周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するためとることのある行動の範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんにかかるのであって、必ずしも前記の区域に局限されるわけではない、まあこう当時の統一見解で申しております。私がさっきから再三申しておりますのは、この必ずしも前記の区域に局限されるわけではないということでございまして、大体においては、もちろん先生のおっしゃるとおり、極東の範囲で行動するわけでございますけれども、必ずしも厳密にこの極東の範囲に限定されるわけではないということが当時の統一見解でございます。
  210. 水口宏三

    ○水口宏三君 いつまで議論しても尽きませんので、これはいずれ防衛全般の問題のときにさらにもう一回申し上げますけれども、少なくとも安保条約締結当時の岸内閣答弁からは、そういうものは出てこなかった。その後、佐藤内閣になってから、そういう拡大解釈、周辺とは何ぞやとね、周辺というものを逐次拡大していくわけですよ。ベトナムも極東の周辺である、そうすると、いま、ベトナムの侵略にとって、アメリカにとって非常に不利な条件が出てくれば、これはおそらく中東地方も周辺になるでしょうね。周辺などということばは、これはもうどうにでも解釈できる。したがって、逐次、日米安保条約第六条のこの極東という問題の範囲が、あるいは極東の範囲そのものは前どおりとしても、この六条によってアメリカが日本に置いている軍事基地の利用の範囲というものが、極論すれば全地球に及ぶであろうということだけ警告をして、私の質問を終わっておきます。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは私は、今回は特に沖繩関係の法案の審議でございますので、特にこの法案の中の第二番目にありますところの、講和前の人身障害の問題について質問をいたしたいと思います。  今回の法案によりますと、布令六十号によって漏れた人たちに対して見舞い金をこの法律によって支給することができると、こういうわけでありますが、その概要及び金額等について、概要を説明していただきたいと思います。
  212. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この特別措置法案の第三条におきまして、講和前におきましてアメリカ合衆国の軍隊またはその要員の行為により人身にかかる損害を受けた沖繩の住民またはその遺族につきまして、布令六十号でいわゆる講和前の補償を行なったわけでございますが、この講和前補償の請求をいたしますにつきまして、米側が過去の一定の期間にさかのぼってその請求の締め切りをしたということもございましたし、それから当時の琉球政府等の指導が必ずしも徹底をしておらなかったという事情から、その補償漏れの人たちが出てきたわけでございます。現在のところ約三百八十名という人員でございますが、そういう人たちに対しまして、この講和前の補償を受けた人たちとの間に非常に大きな不均衡がございますので、その不均衡を是正するという意味におきまして、今回、そういう方々に対しまして、その支払いを受けなかった事情を十分調査をして必要があると認めるときには、当時の布令六十号に基づいて行なわれた支払いの例に準じて見舞い金を支給することができると、こういうことを規定をいたしたわけでございます。この金額は約二億三千三百三十万ということでございます。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もうちょっと、前提としてもう一つお伺いしておきたいんですがね。布令六十号というのはいつごろ施行されて、そしていつからいつまで被害を受けた人が、何年後にそういう法律ができて、そしてまあ漏れた事情はいま説明ありましたけれども、そこら辺のところをちょっともう少し。
  214. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 布令六十号そのものは、一九六七年一月の十日でございます。したがいまして、昭和四十二年一月十日ということでございます。  そこで、申請の受理期間は、三十三年の八月八日から三十四年の六月三十日までが受理期間でございまして、もちろんこの被害の対象者は、この法律にもうたってございますけれども、一九四五年八月十五日から一九五二年、つまり講和発効の四月二十七日前の期間におきまして被害を受けた者に対しまして、ただいま申しました三十四年の六月三十日までに受理をいたしまして、それに対して補償をいたしたわけでございます。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、大臣がおりませんけれども、この問題については、端的に言いますと、今回私たち沖繩へ参りましてこういう方々の代表の方々に会いまして、そのときに代表の方々の陳情も受けました。また実は、これとは別に、国内にも、これと同じように、連合国の、占領軍の行為によるところの被災者というのは、やっぱり同じようにあるんです。その両方とも、補償の金額は非常に少ないというのがまず一つ。  それからもう一つは、いま私がなぜ、その法律ができて、申請期間があって、被害を受けた人がというようにいろいろ分けて聞いたかといいますと、要するに昭和二十年から二十七年まで、七年間の間に受けた被害というものの届け出を、それから何年もたった昭和三十三年から三十四年までの間にですか、に受け付ける。ずいぶんだってからですね。しかも、それから布令六十号出たのは昭和四十二年です。実は私の手元には、きょうはあとで具体的に申し上げようと思っておりますけれども、これは人身傷害とかいろいろ言っておりますけれども、これはたいへんなものですね、ようく考えてみるとこれを私一ページ、一ページめくって一人一人の状況というのを書いてございますが、これはもうわれわれが考えてみますと、これはたとえばジープにはねられて即死、銃で撃たれて即死とか、トラックにはねられて、言うたらひき逃げですね、それとか拳銃の爆発とか、四分の三トラックにひかれるとか、銃による貫通とか、これはもうほんとうにこれ見ておりますと、たいへんな様子がにじみ出ていますね。こういうふうなところから私は見ますと、そういうふうな人たちがこれだけの長い間、要するに被害を受けながら、何の補償もしなくて放っておったわけですね、結局。そうすると私はここら辺のところは本気でこの問題と取り組まないといけないということを私はしみじみと感じたわけです。だから、今度私は沖繩に参りまして、沖繩のこの講和前人身障害者の代表の方々の意見を私は委員長と一緒に聞きました。そういう方々の意見はここに陳情書がありますけれども、これだけでけっこうでございます。もうこの二億三千万でけっこうでございます。ちょっと少ないことないだろうか言うたら、もうこれだけいただければけっこうです。こういうことなんですよ。それで私はやっぱりそこまでそういう人たちを追い込んだといいますか、これは私はたいへんなことだと思うのです。そういうことに対してはあなた方はどういうふうに考えていらっしゃるのか、まずその点を先にお伺いしておきます。
  216. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この問題はいわゆる請求権の問題として非常に多くの問題を含んでおります中の一つでございます。ことに人身被害でございますので、非常に問題は深刻でございますので、それ以外にも沖繩県民の方々のまあ各種の補償に対する要求が非常に広範多岐にわたって出されております。その中には実態が必ずしも十分把握されておらないというものもございまして、この人身被害の見舞い金支給は、これが比較的いまの被害の内容がまあはっきりしておる。また人数も、これ被害者連盟のほうで非常に長いことかかってお調べになったと思いますけれども、わりにはっきりしているということで、多くのいわゆる請求権問題の中の一つとして、今回この法律案として措置してございます。そこで、これは人身被害のみならずその他のいろんな問題につきましてたいへんな経済的な、心理的な負担を長年の施政権下において受けてこられておる、そういう県民の方々に対しまして、政府としては何とかやはりこたえていかなければならないということで、これも昨年の沖繩国会におきましてもしばしばこの問題、論議せられまして、とにかくまず実態を十分把握する、その上に立ちまして、米側が措置をしなかったということによりまして、どうしてもこれは日本政府として何らかの措置を講じなければならないという問題につきましては、行政手続なりあるいは必要があれば立法措置を講じてこの問題の処理をはかりたいというのが従来からの日本政府姿勢であるわけでございます。そこで、この問題につきまして、確かに金額が、今日の時点において振り返ってみますると、非常に少ないということは御指摘のとおりでございますけれども、一応この見舞い金支給というものを、当時講和前補償を受けましたその人たちに対しまして、被害支給漏れのものを、その金額の上におきましてとりあえず補償しよう、こういうことで立法いたしたわけでございますので、金額はやはり当時の支払いの例に準じてやるということでございまして、これはあくまで当時のそういう補償を受けた人たちとの間のバランスをとる、こういう趣旨で実は立案をいたしたわけでございます。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣がまいりましたので、もう一回大臣、言いますけれども、これは基本的な問題ですから特別詳しいことは要らないのですが、要するに私たちが沖繩に参りましてこういう方々から陳情を受けました。そのときにその陳情を受ける皆さん方は今回のこの布令六十号によって補償される金額というのは、死亡した人でも大体五、六十万円から多い人でも百万円ぐらいですね。それで障害の人で安い人なんというのはほんとうに数万円からあるわけなんですね。非常にそういうふうな金額で、しかも、この障害の人たちというのは特に昭和二十七年、二十年から二十七年までの間に受けて、いまだに続いている人もまだいるわけですね。そういう人たちが当時の金額で計算されたお金をもらいたいというのですよ。私はこれはとてもじゃないけれども、そんな金額じゃ少ないだろう。ところが、そういうこの人たちは、これだけでけっこうですと言うのだな。要するに、だれがそういうふうにしたか知りませんよ。知りませんけれども、そういう人たちはこれだけでけっこうですというのは、よくよく考えてみると、その人たちをそこまで追い込んでいるわけですよ、結局は。何でかというと、せめてこれだけでも早いこともらわないと、もう死んじゃった。陳情の中にもこういう、私たちは皆一緒に聞きましたけれども、早くもらわないと死んじゃうというのですよ。だから一刻も早くもらいたいというのですな。要するに去年まで重体で寝ておって、待ち切れずに昨年の暮れになくなった人もいるというのですな。だから一刻も早くもらいたい。だから私はこういう少ない金額でいいのかという質問をする前に、こういう人たちには早くしてやらなければいけないという気持ちと、こんなに少ないのでほんとうに申しわけないのだと、二つ重なってくるわけです。しかも、こういうふうな人たちを責めるわけにいかないわけです、全然。しかも昭和二十年から二十七年までに起きた事故をそういう布令のままでいままでもらったにしても昭和四十二年ですね、これ。もうそれこそ二十年近く経ってから補償しているわけですね。しかも何年も前の金額です。ですから二重に三重に重なったあれがあるわけです。したがって私は、この布令六十号のこれを補償する、これはあたりまえだと思うのです。これは徹底的に早くやるべきだと思いますが、それ以外に私たちはもっとほかに考えるべきじゃないかということを思うのですが、大臣まずそこ、どうですか。
  218. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは峯山さんのおっしゃるとおりだと思います。そこで、今度は主権が戻ってくるわけでありまするから、アメリカ側にゆだねているものについてはやはり促進をする大事なことですね。わがほうの担当のものは、御承知のとおり総理府と施設庁とが協力をして措置することになっておりまするが、アメリカ側については、わがほうの要員が相当数常駐しているわけですし、もちろん沖繩県になるわけですから、これはひとつアメリカ側に積極的に推進というか促進運動を展開するように処理したいと思います。これはかつて沖繩関係法案を審議いたしまする過程においても同じような御指摘があって、私お答えした記憶がありますが、ただ口約束ということでなしに、推進力になって問題解決をはかっていきたいと思います。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 当時、私たちが参りましたときに、陳情の中のもう一つとして、証拠書類がそろわないということがありました。これは私はもっともだと思うのですよ。これはほんとうに、私たちはあとで内地の問題も申し上げたいと思うのですけれども沖繩の場合は強姦というのが非常に多いわけです。強姦で死んだ人もいるわけです、現実にね。そういうふうなものを証拠書類そろえろと言っても何でそろえるのですか。これはほんとうに、実際たいへんだと思うのですね。こういうことを言うということは、ほんとうに本人にとってもたいへんな問題だと思うのですよ。死亡したならば死亡ということで、あれはありますが、障害の中にそういう問題が幾つか入っているわけですね。そういうふうなことから考えますと、あと三日で沖繩が返ってくるわけでありますし、この際、この証拠書類の問題についても、多少は、本人の実情をよく聞いて、何らかの処置を私はすべきじゃないか。そういうぐあいにやっぱり何らかの処置をし、もう少し——国会で前向きなんというと何もやらないことだなんて、私、言われて、それはいかぬと思っているのですが——やっぱり、ほんとうにそういう人たちの意見を聞いて処置をする。そういうふうな考え方も、一応は、この被害者の連盟の中で未補償者連盟というのがありますね。この中に入っている人たちだけではなくて、そのほかにも、もっと、私は、詳細に調べればあるんじゃないかと考えられるわけです。そういうような意味も含めまして、この点については早急に調査をしていただきたい、こう思うのですが、どうですか。
  220. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) すみやかに調査をいたします。そればかりか、証拠をそろえてといいましても、二十年も前の、あるいはもっとそれ以前のものということになりますと、実際問題としてなかなかそろえにくい。これは実際に考えてみればあることだと思うのです。ですから、まあ軽々にお約束はできぬかもしれませんが、私は、やはりそういうものは、日本側の施設庁関係者が事情を十分調査、聴取して、信憑性がある、なるほどということを認めたら、ある程度の保証書のようなものをこちらが発行をして、そうして米側と折衝に入ってやる。これくらいのことは、占領治下に置かれた沖繩を遇する道だというふうに考えまするので、十分ひとつ調査をいたします。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣のいまのおことばがありましたので、期待しまして……。  もう一ぺん、私は、今度は金額の問題ですが、これは、まず一つは、事務的なことを長官に聞いておきますけれども、未補償者というのは、いま三百八十人とおっしゃいましたね、いま判明している分だけで。そうしますと、すでに支払われた方々、これはどのくらいいるんですか。
  222. 島田豊

    政府委員(島田豊君) すでに支払われた実績でございますが、七百二十八名でございます。死亡者が三百四十六名、障害者が三百八十二名。その金額は八十一万八千九百三十一ドル七十七セント。これをかりに三百六十倍いたしますと、二億九千四百八十一万五千円程度でございます。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これだけのたくさんの方々がいわゆる人身障害を受け、非常に長年苦しんでこられたわけですね。しかも、私の手元に来ております資料によりましても、昭和二十一、二年ごろ被害を受けて、いまだにもらっていない人が、半身不随のまま、ずっと寝たままでいる人がいるわけですね。その人の金額というものを私は調べてみましたら、今度もらう金額は幾らかと言いますと、ここに出ておりますので、五十九万五千二百九十六円になっているわけですね。それで、たった五十万、六十万もらって、そのまわりの家族の人がどれだけ苦労してきたかということが、これは、たとえ当時のお金で計算しても——実は、私、人間の命の値打ち、値段といいますか、ちょっと申しわけないんですが、ちょっと調べてきたんですが、それによりましても、一々私は申し上げませんが、大臣、これは考えていただいてもいいと思うのですが、たとえ当時の金額にしても、あまりにも少な過ぎると思うんですよ。そういう点で、私は、これは再度、国内の場合は、国内の人身障害は別に話しをしようと思っておりましたが、一緒に話しますけれども、国内の人身障害の人たちは沖繩の布令六十号よりまたうんと安いのです。これは大臣、御存じですね。国内の場合は、死亡者の平均でありましても、幾らでしたかね。これは、わかっていますね……。幾らですか。
  224. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 先ほど御指摘がありましたいわゆる被害者給付金法によりますると、死亡者の場合が三十六万円。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、沖繩の場合が大体五、六十万になるそうでありますから、それから比べてみますと、国内は全然低いわけですから、またね。したがって私は、これは両方とも含めて早急に何らかの手を打つべきである。私はもう初めから、ほんとう沖繩の法案をやるときに、もう少なくともいままでにもらった人も上積みして、またもらってない人はもちろん上積みした金額を当然バッチリしたものをやっぱりしてやるべきじゃないか、そういうぐあいに考えておるわけですけれども、もう、ときすでに、この法案がきょうもう議了するかどうか、みんな待っているというのですから、私にも時間を短くして早くやめろなんて言ってきておる人がおりますので、長くできませんけれども、実際問題これは考えていただかないとやっぱりいけないときにきているのじゃないか、こう思うのですが、大臣どうですか。
  226. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 過去にさかのぼるということは非常にむずかしいことだと思います、現実の処理として。しかし今後、特に沖繩の問題は、これから調査をしたり、促進をしたり、米側は、そういう立場にあるわけですから、これはやはり施設庁や総理府が、今度沖繩開発庁が窓口になっておりますから、そういうものがもっと一生懸命親切に事を処するように努力していく、これはもう大事なことだと思っております。
  227. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあ国内の問題も含めて、その点はもうちょっとあとでもう少しやりたいと思うのですがね。要するに慎重に考えるとおっしゃっても、非常にいろんな問題がふくそうしてあります。  そこで国内の問題は別にあとで言うとしまして、人身損害を受けたとりあえず見舞い金ということでありますが、私は、見舞い金か補償かという問題も、それも一つは問題なんですが、それとは別に、一つはこれから見舞い金をもらいに行く人ですね。沖繩のこれからもらいに行く人が、この問からいろんな法案をずっと調べてみましたら防衛施設庁にもらいに行くことになっておるわけですね。これは大臣は防衛施設庁にもらいに来るのはあたりまえだとおっしゃるかもしれませんけれども沖繩の人たちの感情としては、できたら、人身損害に対する見舞い金の支給の場所ですね。これは私は総理府の今度できる沖繩総合事務局ありますね、向こうに移すべきだと思うのですがね、これは。そうできないと、実際問題、沖繩の人たちの感情的な問題として考えても、これは非常に大きな問題だと私は思うのですが、ここら辺のところ、譲るあれはありませんかね。
  228. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) この問題は、沖繩関連法案を審議しておりまするときに、佐藤首相が締めくくりのときに特に発言をしまして、窓口は総理府の出先機関、沖繩の総合事務所ですか、そこを窓口にしよう、実際の算定の事務は、これはまあ本土との関連もありまするし、事実施設庁がなれておりまするから、施設庁で事務処理をしよう、こういうことで、まあいまこまかく事務分担を分けたわけではありませんが、協力体制でやろう、こういうことで進めておりまするから、御指摘の点は解決すると思います。
  229. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひそういうような方向でお願いしたいと思うのです。それで大臣、ここで実は私たち国内の問題にちょっと触れておきたいと思うのですが、占領軍の、向こうでは布令六十号というようなことをいいますが、内地の場合には、いままでから「連合国占領軍等の行為等による」というような名前を使っておりますけれども、この人たちの法律というのは現在すでにあるわけですね。この法律で支払われた金額というのは、先ほどお話ございましたように、沖繩の布令六十号とは少なくとも差がありますね。私は、実は、これを詳細に調べてみましたら、障害の程度によりましても相当差があります。したがって、これは同じように国内で、内地で——沖繩じゃなくて本土のほうで被害を受けた昭和二十年から二十七年、同じ条件の人たちのもらった金額というのは、やはり同じ、少ないわけです、布令六十号からしますと。少なくとも、まず第一点としては、布令六十号の線まではそろえるべきだと思うのですが、この点はどうですか。
  230. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 確かに本土におきます被害者給付金法とこの布令六十号による支払い見舞金との間には大きな相違があるわけでございますが、実は今回の法律は、これは従来被害者で支給を受けた人と、それから受けない人との間の不均衡を是正しようと。受けられなかった、本人の責めに帰せられない事情のために受けられなかったということに対して非常にお気の毒だということで、その不均衡是正ということで実は立法いたしたわけでございます。したがいまして、今回の措置に伴いまして、当然本土の給付金法を改正するということはいまちょっと考えておらないわけでございます。その一つの理由といたしまして、先ほど申しましたように、被害者給付金法による給付額が死亡者の場合に平均で三十六万円でございますが、実は講和発効直後の、行政協定十八条、これは講和前のいわゆる占領期間中の被害者に対する給付金が、先ほどの法律、それから講和発効後におきましては、これは安保条約、行政協定のもとで補償いたしたわけでございますけれども、その十八条によりますると、五カ年間の一人当たり平均額が三十一万八千円ぐらいでございます。したがいまして、当時の十八条による受給者の額がすでに三十一万円で、それ以前の占領期間中の給付金の支給率がそれよりもいいという結果になっておりますので、その間の不均衡をさらに増大するという形になりますので、実は、われわれとしても、この給付金法の改正は、これは一つは適当ではなかろうという判断にいま立っておるわけでございます。
  231. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちょっといまのわかりませんね。もう一回説明してくれませんか、わかりやすく。
  232. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 要するに講和前、つまり米側の占領期間中に被害を受けて支払いを受けた人たちに対する額と、それから講和発効後は、これはその法律に基づきませんで、地位協定、まあ現在の地位協定、当時の行政協定でございます。行政協定の十八条にその規定がございまして、それによって支払った額との間に差があると、つまり占領期間中のほうが実はよろしいわけでございます。そこで、その占領期間中の給付金法の額をさらに引き上げるということになりますれば、今度は講和発行後の、すでに支給を受けました人たちとの間のアンバランスがさらに大きくなってくるという、そういう矛盾したことが出てまいりますので、ちょっとこの給付金法の増額ということは非常にむずかしいという判断に私どもは立っておるわけでございます。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうすると、講和発効後の人たちと講和発効前の人たちの金額というのは、平均でけっこうですが、どのぐらいになるんですか。
  234. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 占領期間中の人たちに対する給付金が三十六万円、それから行政協定、講和発効直後の五カ年間の平均でございますが、これが三十一万円ということでございます。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあいずれにしてもたいしたことないや。ほんとうに少ないや、これじゃ両方とも。不均衡なんて言ったって、両方比較したってたった五万円の一とんでもないや、これは。人間の命ということを、私はさっき命ということをあまり言いませんでしたけれども、もう大臣、言いませんよ、これ。現在の交通事故やいろんな、いっぱいありますよね。また、それだけじゃなくて、古い事故をひっくり返してみても、航空機の事故とか木星号の事故とか、ああいうふうなものをひっくり返してみてもいっぱいありますね。これはとてもじゃないけれども、こういうふうな三十万円、四十万円という金額ではとても解決できない問題だと私は思うのですよ。多少いろんなものが、マイナスするものがあったにしても、私はあまりにも少な過ぎると思うのです。私も何回かこういう関係者に会って話を聞いていますが、ほんとうに身を切られるような思いをして私たち聞いています。そういう点からいいますと、少なくとも、まず私は、いま長官ね、控え目に質問したんです、控え目に。よろしいか。控え目に質問したというのは、私は、この布令六十号の線まで引き上げてくれなんて言うているのじゃない。ほんとうは、もっともっと布令六十号の三倍ぐらいにしてほしいのですよ、ほんとうは。けれども、まず第一段階として、沖繩の布令六十号の線まで内地の人も引き上げてもらいたいと、もうこれは常識だと私は思うのですよ、これはどうなんですかね。
  236. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) おっしゃる気持ちは私ども全く同感です、これは。同感ですが、そうかといって、これ、なくなった方もありまするし、どういう方法でさかのぼって支給するのかという問題になると、これは行政上いろいろ問題があろうかと思います。で、まあこういう問題、いかにも占領中というものは、何となく敗戦国の国民というようなことで、きわめて軽少な命の評価、で、しかもそれがまた独立してからが少なかった。これはおそらく非常に日本がいまと違って貧乏であったということにもよりましょう。しかし、いかにもそれは三十六万円の、三十一万円のという金額は、もういま常識を逸する金額だというふうに思います。しからば、これをどうさかのぼってどうやるのかということになりますと、ここでにわかに確約することもできませんが、こういった問題をひっくるめて、ひとつよく検討をさせてください。十分調査したいと思います。
  237. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣、この問題は、一応少なくとも布令六十号の線まではやろうというのは一致した意見なんですよ、これは。わが内閣委員会でも理事会等、自民党も含めてそれは当然だということに一致しているわけです、そこまでは、少なくとも。それから先のことは問題なわけです。それで大臣は、いま途中で死亡した人もいる。——いろいろおっしゃいましたが、確かにそのとおりなんです。私もそのとおりお伺いしております。ですから、死亡した人に対しては死亡した遺族の方がいらっしゃるわけですよ。そうでないと、これは沖繩の布令六十号の補償なんかできません。半分以上死亡して、おりません。死亡した人ができないというんなら、布令六十号のこれだってできないということになるわけです。そうじゃなくて、死亡した人はその人が死亡するまでのいろんな問題、実際もうたいへんな思いをしてやってきているわけです。ですから、少なくともまず第一段階として、私は、大臣、布令六十号の線までは何とか検討し、善処をしてもらいたいと思うのです。実は私、委員会での答弁というのは……、大臣、ちょっと聞いておいてもらいたいのですが、大臣、私はもう最近、委員会でのいろんな議論がむなしくなってきて非常に——ほんとうに申しわけないですが、この間、例を具体的にあげますが、三日ほど前の本会議で、いまの福田外務大臣がどういうことを言ったかというと、この間、私たちは税制調査会にサラリーマンの代表を入れろという——これはまあ全然違いますよ、話はね。話は違いますが、サラリーマンの代表を入れろということを委員会で言ったわけです。そうしたら福田外務大臣は、それは当然だと、当然それはサラリーマンの代表を入れるべきだ、私も入れるべしと、こう言った。入れるべしとは言ったが、入れるという約束はしなかったという本会議答弁をしておる。こういう政府側の答弁であるならば、私たちはもっと詰めて、ほんとうにきちっと約束するまで、かちっとしないと、前向きで検討するとか、ちょちょっと言ったのじゃほんとう、これはもういかぬわけですわ。ですから、そこら辺のところは、まず少なくとも最低限、これは皆さん、自民党の理事の皆さん、みんな聞いてみてください。みんな了解している問題ですよ。これも布令六十号の線まで、少なくともまず第一段階として、ここまでは了解して何とか——私たちも努力しますよ。私たちも一生懸命やりますが、大臣のほうでも、担当の部局なんですから、やっぱり努力をしてもらわないといけないのじゃないかと、こう思うのですが、どうですか。
  238. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) その意味を私さっき申し上げたつもりでございますが、おっしゃる御主張の点はよくわかりますから、そういうことで十分努力をします。ただ、私はここでそれをやりますと言いましても、大蔵省が簡単にそれをオーケーしないかもしれません。なかなかしないでしょうね。そういうことになるとこれはうそになる。実際問題としてうそになるんです。ですから十分調査をしますということをお答えしたわけですが、本来さかのぼるということは、なかなか国家の場合やりにくい点が多いと思うんです、これは御承知のとおり。ですから、大体布令六十号でも安いんですから、このごろの交通事故その他を考えてみても、むしろこれからをどうするかという点においては、私積極的にこの金額の幅を上げていくことには、これもここで確約申し上げたいと思います。努力いたします。過去にさかのぼる点については、これは調査と努力の時間をいただきたいと思います。
  239. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あの、大臣の話聞いて、ちょっとふいとおかしくなってきたのは、これから高くすると言いましても、こういう人たちというのは昭和二十年から二十七年に受けた人たちですね、これ。これからの人たちというのはないのです。こういう人たち、いま私たち議論にあげている人たちというのはないわけですよね。そういう点からいきますと、過去にさかのぼってというのは、非常にたいへんだと私思います。よくわかります、その点は。わかりますが、これは要するにやっぱりどうしても私たちがこの問題をきちっと、少なくとも、これは沖繩の講和前人身障害者連盟の皆さん方いらっしゃいます。また未補償者連盟の方もいらっしゃいます。また国内にもそういう連盟の方がいらっしゃいます。そういう人たちがある程度きちっとやっぱり得心のいくところまできちっとしておかないと、これは戦後はまだ終わらないですよ、なかなかこれ。この問題は非常に私、沖繩返還という問題を数日後に控えて、何とかこの問題をきちっとしたいと思うんですがね。大臣、どうですかね。
  240. 江崎真澄

    政府委員江崎真澄君) これはもうひとつ努力をさせてください。まあもうしばらく時間をおかし願いたい。私さっきこれからと申したのは、沖繩には米軍がやはり駐留しておりますし、日本にもわずかとは言いながらやはりおります。だからそのことを言うたわけです。これはいまホフマン方式で比較的、以前とは比べものにならないようになっておりますが、それでもこれをもっと増額する方向でいきたいと、こういうことでございまして、過去の分については、これはなかなか役所間の調整に手間どるように思います。思いますが、十分努力したいと思います。
  241. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一応、この問題については、いま大臣のあれもございましたので、これ以上申し上げてもあれがありませんので、これ以上申し上げませんが、いずれにしましても、この問題については慎重に取り組んでいただいて、早急に何らかの結論を出すようにしていただきたい、こういうぐあいに考えております。  それから、もう私は質疑をやめますが、もう一つだけお伺いして終わりたいと思いますが、これはすでに当委員会皆さんの中から質問あったかもしれませんけれども、やっぱり防衛施設庁の問題として那覇の市長さんや市長会の代表の皆さんが、私たちがまいりましたときに非常に激烈な調子で防衛施設庁を非難をいたしておりました。これはもう長官も御存じだと思いますが、やっぱりこの問題については、現地の市長さんや皆さんの御意見というのは、やっぱり相当慎重に聞いてもらいたいと思いますし、少なくとも那覇とか、コザとか、中心になるところの市長さんの人たちは、まるっきし、一緒にまいりました担当官の皆さんも、あんなきびしいことを言うとは思っていなかったというぐらいのことですから、結局それだけ意思の疎通もないということだし、いろいろなことになってくると思うんですね。それで、市長さんたちが言う基本的な問題としては、防衛施設周辺事業ありますね。防衛施設周辺事業のあの費用で、沖繩の場合、学校もつくる、幼稚園もつくる、みんなつくってくれる。それは協力する市長さんのところはみんなそういうようにできるけれども、協力しないところはできないということになってしまうと、そういうことじゃほんとうに困る。だからそういうことじゃなくて、やはり学校は学校として、また幼稚園は幼稚園としてしかるべくやるべきじゃないか、こういうふうな主張もその中にありました。そういう点も、私は、いずれにしても、こういうふうな問題は、それぞれ沖繩にとりましては、私重要な問題だと思うのです。この点については、特にきょうはあまり具体的に申しませんが、こういうことも具体的に出ておりましたし、こういう点にも配慮をしながら、あらゆるこの防衛施設庁の仕事を進めていただきたいということを、私は大臣と施設庁長官にお願いをして、私の質問は終わりたいと思います。それぞれ答弁をもらって終わりたいと思います。
  242. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) もともと基地周辺整備の問題は、基地そのものが迷惑をかけているわけですから、人情としては協力してくれるところへ笑顔が向いたり、なるべく早く事を処理するという態度になるのは、これはまあ人情の常ですが、しかし、役所の仕事ですから、公正を旨として仕事を遂行しますように、よく申し渡したいと思います。
  243. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この周辺整備の問題につきまして、現地の私どもの職員がいろいろ御説明をいたしてまいったその過程で、いろいろ説明が足りなかったり、あるいは誤解を招いたりという事例があったやに聞いておりますので、これはまことに遺憾に存じます。しかも、こういう施設をするにつきまして、成規の、市町村の当局を通らずして、何か地元の特定の人との取引をしておるというふうなうわさも聞いておるわけでございますけれども、もともとこれは市町村に対する補助事業でございますので、市町村が主体になっておやりになる。したがって、そういう施設の必要性についても、市町村から正式に書類をいただきまして、それをわれわれのほうで検討して実施する性質のものでございますので、そういう特定の人たちとの成規でない取引というふうなことは事実上もあり得ないと思います。しかしながら、今後先生の御指摘もございますので、周辺整備につきましては、私どもも十分慎重に配慮をしながら取り運んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  244. 中村利次

    ○中村利次君 三月十六日のこの内閣委員会で総理が出席をされましたときに、私から去年の四月、四次防原案なるものが防衛庁から出た問題について質問をいたしましたところが、どうも総理の答弁が非常に納得できないものでございまして、おしまいに委員長から長官に対して文書でそのいきさつを書いて出していただくように要望がありまして、四月十三日付の文書を私も拝見をしたのですけれども、どうもこれはピントがはずれているような気がするのですがね。やはりあのときの総理の答弁は、こういう防衛庁原案なるものを出した、それが政府自身がいかにもその責任があるというような、そういう誤解をされているという、まことに当を得ない答弁でありましたから、それは防衛庁が出しているものを、政府がいかにも無関係というようなのもおかしいではないかという質問であったわけですから、したがって、こういうどうも文章でははずれていますよね、ピントが。何か、こう納得できるようないきさつを出してくださるおつもりがあるかどうか、再度これは質問します。
  245. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) たしか、ここに速記録は持っておりませんが、いま御指摘の総理の答弁は、四次防の防衛庁原案は政府自身には関係がない、こうはっきり言い切ったわけですね。あれ、私は総理がどういう含みでああいう発言をしましたか、ちょっとわかりませんが、これはちょっと言い過ぎであったというふうにひとつ訂正をさしていただく。私が訂正したのでは、これまた越権ざたになりますが、そういうことじゃなかったかと思うのです。ただ、総理がそこで政府には関係がないと言いました意味は、策定に関係がなかったのではなくて、この経緯に見ましても、総理に中曾根防衛庁長官は報告をいたしておりますね。報告をいたしておりますが、ここで総理が政府自身には関係がないという言い方をしたのは、これは政府自身が公式に——正式にといいますか、認めたものではないと、こういうふうの、ことばの言い回しが、ことばが足りなかったのではないかというふうに考えます。それで、なぜそれじゃ政府自身関係がなかったのかと申しますると、従来、この大綱を用意して、それに主要項目、しかも所要経費を盛り込みまするいわゆる四次防原案なるものは、従来の習慣から言いまするというと、二次防の場合も、三次防の場合も、これは大蔵省側にも十分説明をし、了解を得る。それから外務省側とも、当然この置かれておる国際環境等の分析が重要でありまするから話し合いをする。そうして、特にこの三者合意の上で国防会議の議題に供していくと、これが従来のしきたりだったようであります。ところが、あの場面では、大蔵省であるとか、外務省であるとかいうその責任者、大臣とは話し合いが十分持たれないで防衛庁のものの考え方、防衛庁の数字という形で世の中に発表をした。そのために、大蔵省では、大蔵大臣をはじめ関係者の反発、批判を招いたと、また外務省は外務省で、これじゃ防衛庁は独走し過ぎるではないかというような批判も出てきた、こういうふうに私聞いております。したがって、総理が言いました意味は、繰り返しになりますが、要するに政府が正式に認めたものではありません。こういうことを言いたかったんだと思いますが、ことばが足りなくてああいう表現になったことは遺憾だと思います。私、直接の責任者として補足をさしていただいたわけです。
  246. 中村利次

    ○中村利次君 これは、私は非常に重大な問題として実は取り上げたいんですけれども、ここへきてがたがた言ってみたってしょうがないでしょうから……。しかし私は、これは午前中、一発目に鈴木さんかち指摘をされましたように、ことごとに、たとえばいまの総理の答弁——これは表現が適当であったかなかったかという議論は別にしましても、そういうまことに重大なことを何か責任のがれみたいな印象を与えて言う答弁は、ある場合には非常にもっともなことを答弁をされて、実はそいつがさっぱりどうも具体化をしないというところに問題がある、基本的な問題があると思いますし、これはもう皆さんから非常に指摘し尽くされましたけれども、たとえば沖繩物資の先取り輸送の問題にしましても、この間の決算の本会議質問に大臣がお答えになって、六百何十万かの輸送予算を、これを事務レベルで使うことは、これはやはりそのほうが妥当だという意味答弁があった。私は、それはそんなもの一々大臣の認可がなければできないということは、これはやはりそれなりの問題があると思うんです。それでいいと思う。しかし、これも大臣の答弁で、あすこに凍結をしたんだけれども国会で戻せと、こういうことであったから、また返りのものを含めて一千百幾らが確かにこれは結果として税金のむだづかいになった、こういう御答弁でした。しかしね、それはそういう現象じゃなくて、そういうむだづかいはしからばなぜ起きたかというその根源が私は問題にされるべきだと思うのですよ。はたしてこの輸送費を事務レベルで使うことが最も合理的であるとしましても、ああいう国民世論の中、国会審議の途中にとにかく物資を輸送してしまったというこのことが、私は反省されてしかるべきでありまして、これは立川のあれにしたって同じなんですよ。これも、三月の十六日に、私大臣に質問をしましたところが、私はあれは抜き打ちと言わないでだまし討ち的な移駐である。大臣、当時はかぶり振られたんですよ。当時はですね。まだ相当元気がおありになったんじゃないかと思うのですよ。そんなことはないと。しかし、あれはだれが考えましても、立川の市長が、そのときに、これは大臣がやはり答弁をされましたように、話し合いをやったと、しかし、あの方はこの自衛隊そのものを否定する思想にお立ちなんだから、話し合いがつかない。そのことは事実として私は認識できると思う。だから、それじゃどういう手段をとるか。まあ手段のとり方はいろいろありましょうけれども、しかし、そのときに大ぜいいらっしゃるところでですね。市会議員も、あるいは国会から行った人たちもいらっしゃるところで、事前に連絡をして移駐しますという約束をされた。それをそのようにされなかった。これは残念ながら、やはりそういうことごとくが自衛隊そのものが非常にやはり世論の対象になっているときに、おやりになることごとくがやはり刺激をするようなそういうことが積もり積もっておると思うのですね。これはどうも、これを質問にどう結びつけるのか非常にむずかしくなってまいりましたけれども、そういう点について、これは冒頭に鈴木委員指摘されましたように、やはり国会答弁技術では済まないやはり国民感情、それから国民の心配、そういうものに対してどうおこたえになるのかですね。これはまあ微妙な問題ですけれども、ひとつ基本的な問題としてお答えをいただきたい。
  247. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) どうも申しわけないことだったと思います。私は、率直に言いますと、あの立川移駐の取り扱いなどの場面は、やや自分もふなれだったなということで反省します、率直に。それからもう一つは、この衝突回避ということで外局自身も大事をとり過ぎたと、何もそうあわてて三時間繰り上げたりですね、途中でいろいろ変更したりする必要はなかったんじゃないか。あれはもうちょっと前にやり方はあったぞということを思います。いまならもうちょっとじょうずにやれたか、あるいは納得づくで、それこそできたと思うのですが、まあ何せあれ就任早々で、しかも、まあこの国会に明け暮れして、私自身が不勉強であったことが一つ原因であるというふうにこれはもう申し上げたほうが正直な表現だと思います。  それから、沖繩物資につきましては、ちょっとあれ本会議ですから、私もあとことばが足りな、かったなと、それは原因者は防衛庁なんですから、ああいう行為をしたから議論になって、持ち戻せという議論も出てくるのですからね。何も責任を他に転嫁して、そうして顧みて他を言おうなどというけちな根性で言うたわけではありません。ただ、まああの経過を率直に言うたわけですが、本会議のためにちょっとことばが足らないで、何かずるい、こう責任回避のような感じになったかなということは、あの、何といいますか、議場の反応でね。私実は、これはもう長い間こんなことやっておりますとお互いにわかりますわね。ですから、これも確かにことばが足りなかったことは率直に認めざるを得ないと思います。ただあの場面で申したかったことは、運搬費とかそういうものは、やはり幕僚長以下組織があるのですから、特に自衛隊というものは性格上行ったり来たり、物を運んだりということは非常にこの日常の重要な仕事のうちですから、それは制服にまかせてしかるべしである。で、ああいう間違いを起こしたことは、やはり制服においては常識的な判断に欠けたことが一番大きな原因だと思います。それから内局は、これだけまあやかましく沖繩の問題が言われ、また首相自身も非常に沖繩の問題というと細心の注意を払って、まあ各種法案を通すことにやっきになり、今日いよいよ復帰を鶴首して待っておられるという含みからいっても、内局側の政治的な配慮、政治的な指導というものがこれは足りなかったなということを思うわけであります。したがって、いま省みて、全くああいうことは、ささいなことであっても、やはり筋の通らないことは自衛隊自体の信頼を増すことにはならない。もうやっぱりスポイルすることになりまするから、今後はひとつ気をつけていきたいと思っておるような次第であります。
  248. 中村利次

    ○中村利次君 これは、ぜひひとつ国会答弁あるいは口頭禅でなく、せっかくの御努力を、これは江崎長官にお願いをしておきたいと思います。  どうもこれは、確かに大臣もこの前、おとといですか、答弁されましたように、そういうことで、自衛隊の中の人も、これは自衛官の人たちなんかも私はあわれだと思いますね。
  249. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そのとおりです。
  250. 中村利次

    ○中村利次君 たとえば沖繩自衛隊の問題にしましても、私どもがあすこに行きまして——それは確かに政府が言ってこられましたように、戦前は台湾が南の守りであった。台湾はなくなったわけですから、今度は沖繩が南の守りになったわけですから、したがって、そこにそれ相応の自衛隊を、たとえば六千八百.あるいは六千五百、六千が適当か、あるいは三千が適当とか、そういう議論は別にいたしまして、あすこにやはり国民的に納得のできる自衛隊の配置というものは考えられるのではないかという立場でものを言いますと、決してイデオロギーでどうこうという人でない、まじめな人が顔色を変えてやはり抵抗をするという、そういう県民感情というのは、私は無視はできないと思うんですよ。今度いろんないきさつもあって、スローダウンを当初はされたようでありますけれども、私は願わくは、そういうのがほんとう沖繩県民の皆さん理解をされて、県民合意の上で今後の措置が進められるよう特に要望をしたいと思います。  それから、今度のここに出されております法案ですけれども、これはやはりいろんな議論を通じて、政府がここまで特別措置を講ずるようになったんだとおっしゃっているわけですけれども、これももういろいろすでに指摘されましたけれども、単純なとり方を角度を変えていたしましても、たとえば人身災害の補償にしましても、布令六十号でやりましたのは四十二年、そのときのいわゆる対象になったのが一九五八年ですから、あそこの全産業の平均賃金だといいますから、いまから十四年前ですか、布令六十号でやったときよりも九年前、これは残念ながら、政府の施策よろしからざる結果、貨幣価値はどんどん下がっているわけですから、今度の場合は十四年でしょう。これに準じておやりになるということになりますと、この十四年の間には厚生年金しかり、あるいは軍人恩給ですらスライドアップをされているわけですけれども、こういう点は無視されるおつもりですか、それとも何か現在まで検討されたのか、あるいは今後もこういうものは検討されるおつもりか。
  251. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ただいま御質問の件は、先ほど、この趣旨について御説明申し上げましたとおりに、すでに補償を受けているものと補償漏れになっているものとの間の不均衡を是正しようということで、あくまでその基準は、本土にも被害者給付金法というものがございますけれども、それによらずして沖繩の布令六十号によって支払われた支払いの例に準じたわけでございます。といいますのは、先ほど来御説明しますように、本土の給付金法を適用するよりもこの布令六十号のほうがいろんな面において非常に有利になっておりますので、それをとったということ。それから、当時補償を受けた人と受けない人との間のバランスをとるという趣旨でこういう立法をいたしたわけでございますので、あくまで支払いの例といいますのは、当時の支払いの例ということでバランスをとる、こういうことにいたしたのでございます。
  252. 中村利次

    ○中村利次君 ですからおかしいんですよ、それだけの御答弁では。これは、たとえば五年間の貨幣価値は変わっていますよね。五年という短期をとるからがまんせいという議論もあるいは成り立つかもしれませんけれども、十年、十五年たって貨幣価値が半分になっているときに、布令六十号による補償に準ずるんだ、そうすると受け取る人は、それはたとえば昭和四十二年に受けておるんだったらこれは布令六十号によるものと同じ処遇でありましょうけれども、貨幣価値が三〇%、二〇%、五〇%下落をしているときには、これはそれだけの価値がないわけでしょう。準じたということになりますか。ただ形式的に準じたというだけであって、実質的には準じてないということになりはしませんか。だからこそ、先ほど例をとりましたけれども、厚生年金だって一万円年金、二万円年金というぐあいに、やはり貨幣価値に応じた、時代に応じた改正がされていますし、その他一般的にもそういう改正はずっとやられているんですよ。なぜこういう補償問題についてのみはそういうことは考慮の必要がないんだという結論になるんですか。
  253. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 被害者給付金法の場合におきましても、大体そういうふうな、たとえば占領期間中の行為、もうほとんどそういう事例は最近発生してまいりませんけれども、当時と同じ基準でやっておるという関係もございまして、実は、本土の法律を適用するか、あるいは布令六十号による適用をするかということで、いろいろ検討した結果、現地のバランスをとるという意味で、この布令六十号の支払いの例に準じたわけでございます。おそらく、こういう種類のものにつきましては、ほかにも当時の基準をそのまま適用しているという事例もあろうかと思います。一つの考え方としては、確かにその後の物価の変動の分を、今日の支払いでございますのでそれを加味をするということも一つの方法かと思いますけれども、これはいろいろ大蔵省との折衝の過程において、当時の支払いの例に準ずるということが妥当であろうという結論に達したということでございます。
  254. 中村利次

    ○中村利次君 施設庁長官、その感覚が実は失礼ですけれどもいわゆる役人的な感覚ですね。官僚政治と国民から悪口を言われる根源がそこにあると思いますよ。私は、大臣は少なくともちゃきちゃきの党人派で政治感覚を十分にお持ちですから、これはそれでいいのかどうか。そういうのがまことにしゃくし定木な官僚感覚以外の何ものでもないと思うんですよ。前例がないとか、ほかにもこのものさしでものをはかっているんだとか——政治というのは、やはり、国民が何を求めているのか、あるいは沖繩県民が何を求めているのか、あるいは実態にマッチしているのかどうか、ズレはないのかということを、常に国民サイドに立って考えるのが私は政治だと思いますし、特に今度の場合は、これはもういろいろな御答弁で、江崎防衛庁長官も、あるいはきのうもお見えになっていた山中総務長官も、皆さんが、やはりわれわれ沖繩県民にたいへんな御苦労をかけたので、皆さんにどうこたえるべきかというのがこれですと言う。たとえば、何ですか、きのうの設置法なんかでもそういうふうな答弁があった。ところが、その答弁と、また先ほどに戻りますけれども、いまされた答弁なんというものは、まさにこれは政治答弁と官僚答弁の代表みたいなもので、ちっともこれはかみ合わないんですよ。いかがでしょう。
  255. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 正直なことを施設庁長官が言ったということであって、別に官僚的とは思いませんが、全く国の予算を伴う件というものは、どうもいわゆる常識から言いますると少ない。これはどうも否定できぬ事実だと思います。したがって、さっき峯山さん等からも御指摘がありましたように、その処置について、これはやはり万全の対策をする。せめて気持ちよく調査をしたり、協力をしたりというようなことができるようにやってまいりたいものだと思います。  金額については、一応予算を計上してきめたことでありまするから、いまこれをどう改めますなんというていさいのいいことを言えば、これは完全なうそになりまするから、お答えするわけにはまいりませんが、十分ひとつ血の通う措置をとるように——これは施設庁の諸君が沖繩に参りまするときに激励会を防衛庁でいたしまして、あまりそういう会に防衛庁長官が出るということはなかったそうでございますが、私も直接出て、施設庁長官とこもごも、とにかく君たちの顔が本土政府の顔に見えるんだから、恩情をもって接するように、そしてこういう特に補償などの問題は、愛情のある措置ということが、金額はもちろんこれは大事な問題だが、その愛情のある血の通う取り扱いによってどれだけかは心慰められるものがある、それが人間というものだから、十分心得てやってもらいたいということを要請したわけでありますが、いまの金額等の点については、これはひとつ、いま予算をおきめいただいたばかりでございまして、いまどうこうということを具体的に申し上げられないのを残念に思いますが、なお今後の取り扱いについては細心の配慮をしてまいりたいと思っております。
  256. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ちょっと先ほどの説明を補足させていただきますが、確かに昭和三十三年における軍労務者の平均日額一ドル五十六セントというのが基礎になっておりますが、これは何ぶんにも事件が講和前の被害でございます。そして実際に支払いをいたしましたのが三年前ということでございますので、その間の物価の値上がりについてももちろんあると思いますけれども、今回はあくまでも前回の例に準じた、こういう状況でございます。
  257. 中村利次

    ○中村利次君 どうもこれは施設庁長官にほんとにお気の毒ですけれども、いままた答弁されたんで、また現実をおっしゃったけれども、これはそこに問題があると私は思うんですよ。その考え方といいますか、感覚といいますか——講和前すでに死んでしまった人なんだ。ところが、死んでしまった人に墓の下にこれを持っていって供えるんじゃないでしょう。どういう関係があるか。肉親、近親者等がその受給対象になるんでしょう。その人たちは生きているんです。いま現在、ただいまの生活をしているんですよ。昭和二十七年当時、事件発生当時の生活ではないんです。ですから、これはもういいですよ。いいですけれども、私はそういったやはり発想は転換をしていただきませんと——ほかにもっとうまいごまかしならごまかしを今後はおやり願いたいと思うんですよ。やはりどうもそういう発想ですとちょっと納得できない。これはまあ一事が万事でありまして、人身損害に対する見舞金のみでなく、たとえば軍離職者の問題にしたって、やはり現地に行きまして、これは一種、二種、三種、四種というたいへんな要望がありますね。これもやはり皆さんのそういう要望に対してはこたえられていない。これはやはり私はその発想からきておると思うのですよ。あるいはまた、この人身損害に対する補償は非常に不満ではございますけれども、とにかく一応盛り込まれた。しからば、同じ意味で、これもいろいろ議論がうんと出ておりますけれども土地——これだってやはり漏れがあるのですから、申請漏れが。これがなぜやはり人身損害だけで、土地の損害に対する申請漏れは、なぜそれはしなくてもいいんだという結論になるのか、まことにこれは摩詞不思議であります。これは答弁いただきましょうか。
  258. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 講和前補償としましては、この人身被害以外にもいろいろ物的な損害に対する補償——漁業補償その他いろいろやっておりますが、講和発効後はこれは米側の現地の法令に基づきまして、米側が直接その処理をするということになっておるわけでございます。今回の返還協定におきまして、現実的には請求権を放棄いたしましたけれども、やはり返還協定の第四条によりまして、米側が引き続きこの問題の処理をする責務を負っておるわけでございます。いわゆる外国補償請求法に基づく審査委員会あるいは土地裁判所に対する訴願事件、いろいろそういう問題がペンディングになっておるわけでございまして、すでに米側として処理済みのものがございますが、まだ未処理のものもございます。また事案によっては、訴願等につきましては却下されたものもございます。  そこで、そういうものにつきましても、引き続き沖繩に残存します担当のアメリカの責任者がおりますので、そういう人たちが引き続きこの問題の処理に当たるわけでございますけれども、どうしても米側として処理をいたさない、あるいは非常に不当に低いというふうな場合におきまして、何とかこれは日本政府がそれについての償いをしなければならないという問題で、これはいわゆる請求権問題として、前国会におきましても、非常に大きな論議を呼んだところでございます。これにつきましては、まず何よりもやはり実態把握が大事である。人身被害につきましては、先ほど申しましたように、約三百八十名という請求の人員あるいは内容につきまして、比較的明確でございますが、物的損害につきましては、これは琉球政府自体でも十分把握しておらないということで、これは復帰後、私ども及び開発庁が中心になり、また沖繩県あるいは市町村の協力を得ましてその実態把握を十分やる。そして、これに対して米側に要求すべきものは要求するし、どうしても処理できないというものについて、日本政府がそれをどういうふうに肩がわりしていくかということについて、これは個々に検討していきたい、かように考えておりまして、一部来年度の予算の中にもそういう意味での調査費を計上いたしておるわけでございます。
  259. 中村利次

    ○中村利次君 それから同じ土地で、これはやはり沖繩国会のときに——これは今度の施設局のあの担当になるのですか、建設省になるのだか、失権地主の問題なんかが、当時としてはとにかくこれは調査をしてそういうことがないようにということだったのですけれども、その後これはどういうぐあいに具体的に検討をされ、具体的にどういう対策が立てられたのですか。
  260. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 失権地主につきましては、これはまだわれわれのほうで十分実態を把握するに至っておりませんけれども、現実に土地の所有者は、御承知のとおりに、米側のほうで琉球政府と一緒になってつくりましたいわゆる公簿、公図をもとにしていろんな制度がきめられておりますし、賃借につきましても、その公簿、公図をもとにして支払いをしておるということでございまして、その中にいわゆる所有権、実際には土地の所有者でありながら、いわゆる失権をしていると申しますか、そういう人たちが数百名おられるわけでございますが、これはやはり個々のケースにつきまして、それぞれの土地に現在の一応公簿、公図上の所有者どの間に十分話し合いをして、まず解決をしていただく、そしてそれによりまして登記簿が改定をせられますならば、これはその登記簿に基づきまして、われわれのほうでは、それが米軍基地内にありますれば借料を払う、こういうことになるわけでございまして、これは実際問題としてああいう形で土地制度がきめられておりますので、この具体的な処理というものはたいへん困難を伴うだろうと思いますけれども、これは今後復帰後の時点におきまして、私どもの局におきまして十分その実情の調査につとめたいと、かように考えておるわけでございます。
  261. 中村利次

    ○中村利次君 そうしますと、その後半年ばかりたちますけれども、具体的な対策なり、具体的な方針なんというものはまだ定まっていないということですね。
  262. 島田豊

    政府委員(島田豊君) まず具体的にその持ち主の土地がどこであるかということを確定をし、特定をするということがたいへんむずかしい問題でございますので、そういう権利関係をまず明確にしなければならないということで、これは今日までまだ十分調査が行なわれておりませんので、今後できるだけ努力したい。
  263. 中村利次

    ○中村利次君 これはほかにも、問題点をここで全部指摘してみたってしようがないと思いますから……  一つ問題なのは、これは大臣の答弁にもございましたように、復帰以降ほんとう国民的合意、あるいは県民の納得のできるような、そういうやり方をどうやっていくかというところにすべてこの問題がしぼられると思いますので、私は、これ以上のあえて問題点の指摘をやめて、そのことを強く要望しまして、私の質問を終わります。
  264. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) どうも、よくわかりました。
  265. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ時間の関係もありますので、私は、沖繩の本土復帰をもう三日後にしているんですが、そこであらためてここではっきりさせておかねばならない幾つかの問題についてお聞きしたいと思うのです。  ことに最近のアメリカの海上機雷封鎖あるいは北爆、こういうものの激化によってベトナムの戦況は非常に緊迫の度を加えていることは御存じのとおりです。そのために沖繩や本土の米軍基地が直接これは出撃のために使われている。これは、きのうもきょうも衆参の本会議で重大な国民の関心の中で行なわれた質問であります。それでも明らかであります。これはわが国の平和、わが国の安全にとってきわめて憂慮すべき状態にある。したがって、これに対しまして、こうした中でずるずるこのまま沖繩が返還され、そしてずるずるいままでのそのような姿が、基地体制がそのままここで引き継がれるということになったら重大な問題だと思うんです。私は、はっきりここで、やはりどのようなけじめをつけるのか、返還によってどういう変化が起こるのか、さらに最近の沖繩のこの戦況の激化によって一体どういう変化が基地に起こっているのか、この事態をやはり明確につかみ、そしてこれに対するはっきりした対処をするかしないかということは、三日後に迫った返還の前で絶対にしなければならない重大な問題だと思います。この点についてまず防衛庁長官の見解並びにこれに対する考えをお聞きしたいと思います。
  266. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ベトナムの戦局は、およそ沖繩返還時には終息するであろう、こういう予想に立っておったわけでありまするが、それとは逆の現象がここにあらわれてきたことはいかにも残念に思っております。そうかといって、沖繩返還は、あくまで日米安全保障条約の適用は本土並みである、こういう前提に立っておりまする以上、沖繩基地が日本に戻ってまいりました以上、当然本土並みの扱いでなければならない、これはなかなか問題の存するところだと思います。そういうことで、先般来、衆議院内閣委員会において同じような角度から質問が出まして、福田外務大臣は、私一緒に出席しておりまするときに、今度事前協議の問題を真剣にひとつアメリカ側ともう一度洗い直してみるという答弁をしておられました。全く有名無実の事前協議であってはならないと思います。本土並みの形で沖繩基地が使用される、これは私たちの望んでいるところであります。
  267. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは安保が三日後に適用され、事前協議が適用される。そうすればこの沖繩の実態をどうつかんでおるかということは非常に重要です。ばく然とした安保の適用とか何とかいうことはこれはあり得ない。具体的な問題をつかまなければならない。そこで私はお聞きしたい。これは参事官の御答弁を願いたい。  第一に、昨年のちょうど参議院の最後の締めくくり総括質問で、私は特殊部隊の問題を、当時佐藤総理並びに愛知外務大臣に質問した、当時。いろいろありますけれども、特に聞きたいのは、グリーンベレー、これはどうなっておりますか。それから第七心理作戦部隊、SR71、それから民間でありますけれども、VOA、これが今度のベトナムの戦局激化によってどういうふうに変わってどう動いているかという実態をつかんでおるのか、つかんでいないのか、これは当然つかんでおられるであろう。つかんでいないとすれば怠慢もはなはだしいと言わなければならない。三日後に返還される沖繩について、はっきりその実態をつかんでおいて、これに対処しないで何のかんばせあって一体沖繩の返還を言うことができるか、こういうことでありますから、まずグリーンベレーからお聞きをします。
  268. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいま先生御指摘の、いわゆる論議の過程において、いわゆる特殊部隊と称されました幾つかの部隊がございまして、その中でも、このたびの返還に伴いまして安保条約の目的その他にかんがみて、続いて残ることが適当でないと思われるということから、返還までになくなるものもございます。それから安保条約の目的に照らしまして存続してしかるべきものというものもございます。たとえば御案内のとおり、いわゆるアメリカの太平洋の陸軍の情報学校というのがございまして、第三国の軍人の教育訓練というようなものが行なわれておりまして、これはどうも安保条約が沖繩適用されるその後の事態において残り続けることは適当であるまいということから、これなどは返還までには閉められる、なくなるということが確認されております。ただそのほかの、先生のおっしゃいましたようないわゆるグリーンベレーでございますとか、SR71というようなものは、安保条約のもとにおいてもこれは存続してしかるべきものということで、返還後においても残るという事態でございます。
  269. 岩間正男

    ○岩間正男君 当委員会は時間をある程度気にしておられるわけですね。だからあなたいま急に来てこれは御答弁むずかしい面もあると思いますから責めるわけじゃありませんが、私の聞いたことに答えてください。いまのようなこと私わかっているわけですよね、ずいぶん特殊部隊の問題でやったわけですから。私の聞いているのは、最近のベトナム戦争の激化によってグリーンベレーはどういう一体いま態勢をとっているか、何をやっているか、こういうことわかっていますか、どうですかと聞いているのですよ。いまのようなことをお聞きしているのではありません。それはだれでもわかっていることだ、外交、防衛やっていればね。だからそれにぴしゃっと答えてください。これは委員長にも私は協力するために言っているのですからね。委員長からこういう紙が来ているわけですから、なるたけ時間を何とかと、これは協力するんだから……。
  270. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 私ども非常にこまかい部隊の移動まではつかんでおらない面もございますが、私どもの承知している限り、ただいま先生のおっしゃいましたような部隊についてベトナムとの関係で格段の動きがあったということは聞いておりません。
  271. 岩間正男

    ○岩間正男君 だからとても安心してまかせられないというわけですね。これは動かないわけないでしょう。いままで労働者のストがあるとこれががっと出てくる、いつでも。そうしてこれはもうグリーンベレーというやつはベトナムで何をやっているかだれでも知っていますよ。これは一種のギャングと言われているやつです、グリーンベレーをかぶって。そして、これは第一特殊部隊として対象は非常に広いでしょう、これらの行動が。そういうのが動かないはずがあるか。こんなことは全然知らない。つんぼさじきだ。この実態を知らないで、三日後に一体これに対する対処ができるか、こういうことを私は問題にしているのであります。  それじゃ次にお聞きしますが、第七心理作戦部隊についてはこの動きはどうつかんでおられますか。
  272. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 第七心理作戦部隊につきましても、最近のベトナムのあれによって格段の何か変化が起こったというようなことは承知しておりません。
  273. 岩間正男

    ○岩間正男君 困ったもんですな、みんなこれですか。第七心理作戦部隊というのは何をやるのです。どんな任務を持っているか。
  274. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 第七心理作戦部隊は、いわゆる宣伝文書の、あるいは放送用の印刷物というものをつくったり、それから配布したり、そういうことによっていわゆる心理作戦を行なうということを承知しております。
  275. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう謀略宣伝部隊が、今度のような大がかりなこれらの戦略体制をとっているとき動かないということありますか。これは謀略宣伝で、ベトナム向けのベトナム語のビラを何十億くらいでしょうな、膨大なものをまき散らしている。これは実際のものについては何回か当委員会でも問題になった、国会で問題になったものですね。これが動いていないかどうか、それつかんでいないわけですか。さらに極東放送の番組を編成している、こういう部隊でしょう。この部隊が最近どのように動いているかということについては、返還を前にして何らつかんでいないとこういうことなんですね。そうなんですか、もう一回。
  276. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 沖繩の返還協定の交渉の過程におきまして、これは午前中の議論でもございましたけれども、特に安保条約の今後の適用について、必要な範囲内においての知識と情報というのは日本側が得ているわけでございますが、その後、特にいま目立った変化というものはただいまおっしゃいました第七心理作戦部隊について起こったということは聞いておりません。
  277. 岩間正男

    ○岩間正男君 こっちから聞きもしないんでしょう、あなた意識的にも聞かない。三日余り後に返還になる。そうしてしかも、まさにこれはベトナムと指呼の間にある日本でさえこんなに起こっているわけですよ。横田の問題、横須賀の問題、岩国の問題、そうして相模、厚木の問題、兵器廠の問題、これは国会で大問題になっている。ところが、もっとこれは沖繩は近いんだ、ベトナムと指呼の間にあるのだ。ここのところがまるで一つの火薬庫のようなそういう態勢に引きずり込まれていることは事実だ。それが返還されるのだ。そのとき、それに対して、その実態をつかまないでおいてどう対処を一体するのか。これは防衛庁はっかんでおるだろうと思いますが、防衛庁いかがですか。
  278. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 今朝の委員会へ出て参ります前に制服責任者等々の意見を聞いたわけです。そうしますと、実は米軍の、いわゆる在日米軍ですね、特に空が重点になるわけでありますが、非常に平静である、ちょっとふしぎの感すらいたしますと、で、キューバのときは、日本というのは非常に離れておりまするが、非常な緊迫感がみなぎっておった。それに比べると、待機の姿勢にあるという雰囲気も見られない、何となく平静でありますと。これは機雷敷設の話があって以来ずっと継続してそういう態勢にありますと、こういう報告を聞いて私こちらのほうに参った次第でありまするが、どうも連日の動きとしては、それは正しいものであるというふうに感じられます。これはただし国内の問題であります。
  279. 岩間正男

    ○岩間正男君 国内ですか。沖繩で何か……
  280. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) いや国内というのは在日米軍の話で、沖繩のことではありません。沖繩の問題はやはりこれは外務省の関連と言いますか、いままだ三日でもまだ主権は向こうにあるわけですから、私どもとしては窺知するわけにはいきません。
  281. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは防衛庁も、あなたたちは防衛を担当する責任者なんですから、もう少しやっぱりこういう情報をつかむという努力をすべきだと思うわけです。この前のように横須賀からコンステレーションが出て行った、これについてわかりましたかと言うと、新聞で見ました、久保さんそうでしょう、新聞で見ました。これが日米共同の軍事作戦をやっている、そうして軍事同盟を結んでいる国、そういう中でその国が重大なあのような侵略体制をとった、それを、新聞で見ました、これが日本の国会における答弁であります。こういうことを一体国民が了承するだろうかどうか、これははっきりしている問題であります。そうしてまた外務省に聞くと、外務省は一あのときの条約を結ぶときに、機能について聞いた。これはずいぶん吉野局長が追及されたわけだ。われわれはこれは外務委員会でもやった、内閣委員会でもやった、予算委員会でもやった。何回にもわたってこの特殊部隊を追及したわけであります。これは安保の条約から考えてこれが沖繩に残されるということはたいへんな安保の逸脱になるだろう、重大な課題だ、こういう点でわれわれは追及したわけであります。結局あなたたちはほおかぶりでそれを了承してしまったわけでありますが、その後何らの情報も動きもつかめない。そして国民が非常に心配している。いまのベトナムの激化の体制の中でこの問題は全然つかまれていない。  SR71はどうです……。同じなら同じでいいのです。
  282. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) いわゆるSR71につきましては、格段の変化は私ども承知しておりません。
  283. 岩間正男

    ○岩間正男君 SR71というものはどういう性能を持っているか。
  284. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) SR71は速度三マッハで、公称の航続距離は三千二百キロあるいはそれ以上かもしれません。通常の戦略偵察機として行動する場合は約八万フィートであります。側方カメラを持っておりますので、公海上から相当距離にわたって偵察がし得るというような飛行機であります。
  285. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく北爆はもう一日六百波とか七百波とか続けられておる。それを何回ここ一カ月半ばかりの間に繰り返されたかわからない。しかしこれをやるときにSR71というものは動かないということはないわけでしょう、そうでしょう。これは二万五千くらいの高度、そうしてもう日航機の三倍半くらいになりますか、速力は、三マッハだから。そのくらいでしょう。そうしてこれは全部撮影しておる。その動きはカメラにある動きというものはつかめないかどうか。たいへんなことでしょう、これは。こういうものをつかまれないでこれをどう対処しますか。これについてどういうふうに——はっきりしないと、三日後にはこれは沖繩は本土になるわけだ。われわれは沖繩を別に、本土と別に区別する理由はないから本土だ。その本土にはっきりこういう特殊部隊がいるわけだ。これに対して一体何ら対処もしないのですか。ことにこの激しいベトナムの激化の中でいよいよ本性をあらわしてくるんです。何もしていないと思うのですね。そうして今度は三日後に返還を迎える、復帰を迎える、お祝いをする。現にここに参事官が出なくちゃならないというのは、これは福田外相と吉野局長はアグニューを迎えに行っておる、三日後のお祝いをするために。こんな表面的な問題では話になりませんよ。深く重く沈んだこの問題を明らかにしないで、何の一体これは  われわれの責任は果たすことができない。あなたたち自身もそうであろうと思う、それを聞いておる。  もう一つ聞きます。この特殊部隊の中で中曾根元防衛庁長官は、はっきり特殊部隊の中に数えたものでありますから、第三海兵師団、目下アメリカの第三海兵師団の所属の五千人余りが第七艦隊の艦船に乗ってベトナム近海を遊よくしていることはこれは明らかだと思います。これがダナンあたり、こういうところに上陸、これを新聞情報は伝えているわけです。北部戦線、ダナンあたり、こういうところに上陸、これは新聞情報は伝えているわけです、北部戦線に。もう何ともならぬ。この辺に上陸をさして、場合によってはこのユエの攻防戦に備えなくちゃならない、こういうようなかっこうになっていると思うのです。こういうことになれば、この海兵隊そのものの性格というものは、やはり露骨になってくるわけです。これについてはやはり全然処置をしないでこのままにしておいて、私は沖繩の返還というものは迎えることはできないと思う。これについて情報がありますか。ありませんか。
  286. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生の御指摘の第三海兵師団については、御存じのとおり、その一部は常に艦艇に乗って、海上にあるわけでございます。したがいまして、その艦艇に乗っているものが、その艦艇に乗った先からどこかへ行くかということは、これは沖繩における第三海兵師団の存在とは形を、おもむきを異にするものでございます。したがいまして、沖繩における第三海兵師団につきましては、最近の情勢によってこれも特に大きな変化があったとは聞いておりません。
  287. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたたちは、事前協議の対象にならないのだ、艦艇に乗ってこう動いていった、そこから入ったのだ——私は事前協議のことなんか聞いているのじゃない。大体この部隊そのものの性格はどうだ。これはチャップマン司令がはっきり言っているでしょう。世界のどこでも重大な緊迫した情勢が起こればたちどころに対処することのできる軍隊だ——それをわれわれは当時この問題を取り上げた。こういうものの存在を許すということは、これは安保の目的にかないますか。この問題でわれわれは何回も追及したわけであります。当時愛知外務大臣はどういう答弁をしたか、それに対して。これはアメリカ局の参事官ですから御存じだと思うが、御存じなければこっちから言いましょう。それとも御存じですか、どういう答弁。どういう……。そして残したのです、これは沖繩に。
  288. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいまの愛知大臣の御答弁というのは、私確たる記憶がないので、先生からひとつおっしゃってください。
  289. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは専門が違うのかどうかわかりませんけれども、もう少しやはりそういうところを実体的にそういうものをつかんでおいていただきたい。参事官なんというのはエキスパートでないですか。これはどうなんだ。私は外務省の構成はわかんないのだけれども、少なくとも局長あたりは、もっと知っているから参事官というのはつとまると思うのですね。こう言っています。これは私にも答えていますがね。軍隊という性格から見て、潜在的能力をとらえて安保の目的外だというのは適切でない。これは愛知外務大臣の答弁であります。またこう言っている。その機能があるからといって直ちにそれが安保の目的に違反するということにはならない。もし逸脱する危険があれば、これに対して事前協議なんかでチェックすることはできる。これが愛知外務大臣の答弁であります。ここにも速記録があります。ところが、出てきたのが実際はどうです。今度の問題が起こるというと、いきなりこれはもう第七艦隊の艦艇に乗り込んだ。さらにその辺を遊よくしている。必要があればこれはやはり上陸をするのが海兵隊の当然の任務でしょう。私たちこれに対して当時反撃したのです。置くということはおかしいじゃないですか。安保に逸脱しないとか何とか、性能をためて、そして置くというけれども、置くということは使うということだ。使わなければ置く必要がないのです。あんなにドル不足で非常に困っているアメリカです。それがわざわざ相当な財政的支出をして、沖繩に何でこんな一体海兵隊を置く必要があるのか。したがってこういうことでは全く話にならぬ。これは何かあれば必ず正体が出るだろう、こう言っていた。ところが沖繩のこの度の問題が起これば、さっそくもう第七艦隊に乗り込んで、そうしてかれらの本性をあらわし始めているじゃないですか。この問題このままにして、そうして第三海兵師団は、彼らいま相当いると思いますが、これは御存じでしょう、どのくらいいますか。これもついでに聞いておきたい。
  290. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 沖繩にありまする第三海兵師団は歩兵連隊が二と、砲兵連隊一、人員で一万四千名だと思います。
  291. 岩間正男

    ○岩間正男君 われわれは一万九千人と聞いていますがね、それがずいぶん富士に入っていますなあ。富士演習場にいままでに何人入っているかわからない。最近、ことに二〇三ミリを半年ぶりに北富士でやりましたな、きのうの新聞に出ています。二〇三ミリ、つまり核弾頭をつけることのできる原子砲、一五五ミリと二〇三ミリ、こういうものを持って今沢海岸に常時上陸しているでしょう。そうして富士、あそこの東名道路を通って、そうして東富士あるいは北富士に入っている。そうして必ず一五五ミリ、二〇三ミリりゅう弾自走砲の演習をやって、最近これが半年ぶりに北富士ですか、北富士で演習が始まっている。これがベトナム戦局と関係はないということは言えないだろうと思う。こういう形のこれは軍隊なんです。この軍隊をこのままにしておけるかどうかという問題があるわけなんです。沖繩復帰を前にして、この問題は改めて再検討されるべき重大な問題を私は持っていると思いますが、防衛庁長官いかがでしょう。
  292. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 施政権が戻ってまいりました上で、基地の縮小などと同様に、こちらの自衛隊配備がなされれば、自然むこうの情報も手にとるようにもっとわかると思います。したがいまして、それに基づいて十分今後検討してまいりたいと思います。
  293. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ国民はそういう返答で安心できるでしょうか。帰ってきてずるずるべったりになる可能性はもう一〇〇%あると言っても言い過ぎじゃないくらい、いままでの政府のやり方を見ればね。そうでしょう。コンステレーションが出て行ったとき、新聞で見ましたという答弁がこの国会で行なわれているのだから、予算の総括質問で。そういう日本の情勢なんです。そういう体制の中で、いまのような答弁をされたとしても、まあずるずるになり、それでおめでとう、おめでとうなんてやりて、祝賀会やって、そうして何にもこれは手を加えないで、ただ安保は適用されております、事前協議は適用されております、これでチェックができるわけでございます、こういうかっこうで国会答弁をして、一体日本の安全を守れるとお考えになりますか。私は、いまのこの激化の中で、やはり報告を求めるべきですよ。アメリカに報告を求めてよろしいですよ。あなたたちは何で一体軍事同盟をつくっているのです。こういう体制の中で何もアメリカが言ってくるのだけを聞いて、そうしてお伺いも立てることができない。事前協議といえばこっちから提案できない。そうして、向こうから出されない限りはこれに応ずることもできない。応じてもこれに対して話がまとまらない、協議ができないときは、アメリカは何もこれに拘束されないというのが事前協議の性格なんです。そうでしょう。そういうものでチェックができますか。しかし、これはさせなくちゃならないから、いまわれわれもこの点について質問をし、努力をしているわけです。そういう体制の中で、いまのような御答弁では国民に相済まぬと思うのですが、いかがでしょうか。アメリカに忠義だてする必要はないんです。どうですか。これは長官の常日ごろのおっしゃっていられることからいえば、当然国民がまず優先すべきものでしょう。そうすれば、国民に対して相済みますか。三日後に返還、そのときに、こういう海兵隊という危険な、そうして先ほどあげたような特殊部隊、こういうものはもう依然として残っておる。そういう体制の中で三日後に帰ってくる。何の処置もしなかった、何の対策も立てなかった、アメリカに聞きもしなかった、国民がこれ了承すると思いますか。
  294. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 何もしないわけではありませんが、まあ何と言っても施政権が向こうにあるわけです。戦争で失ったものをまあこういう話し合いのうちに返還してくれる、これはやはり日本としては十分アメリカ側に言いたいことが言えないような一つの遠慮といったものは私はやはりあると思います。しかし、施政権が戻ってきた以上は、これはやはり安保条約は本土並みにといっておりまする以上、相当注意を喚起したり、また事前協議条項というものを十分応用していく、これは外務大臣もはっきりそう言っております。内容を洗い直す、こう言っておるんですから、まあひとつ、戻ってまいりますから、しばらく時をかしていただいて、これに外務大臣がどう対処するか、当然私どもも協力の立場に立つわけでありまするから、御心配が高じないように、これはひとつ慎重にそのあたりを検討してまいりたいと思っておりますから、どうぞひとつもうしばらく時間をおかし下さい。
  295. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあそれは、長官はそう努力をされるということは別に私は否定するとか、そんなことじゃありません。しかし、ものには時というものがある。けじめというものがある。いま返される前に、しかも、ものすごい、このような重大な、まあいわば戦火が火を吹いている、そういうさなかです。そういう中でどうなんだと、日本の安全と平和のために、そうして何よりもあそこにいる沖繩百万の県民のために、どうしたってこれは聞くぐらいのことできないんですか。そうしてそれに対して見解を述べるとか、意見を述べるとか。そういうことは何かアメリカの勘気にさわるとでも言うのですか。さわったっていいじゃないか。どうなんですか。
  296. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) もともと信頼と協力関係に立っておる国でありますから、何も相手の勘気に触れるようなことでけんか腰で事をする必要はないと思います。しかし、当然施政権が戻ってくれば、これはやはりさっきから申し上げまするように、十分ひとつわがほうの意見も受け入れられるように、遠慮をしないで、国民を中心に考えて折衝をしていく、これはもう当然なことだと思っております。
  297. 岩間正男

    ○岩間正男君 言うべきときに言わざれば言わぬにまさる恥あり、そうでしょうが、いまものを言わないんですか。返ってきてから……。もうほんとうにそういうことではこれは話になりませんよ。それで新聞紙でしか情勢つかめないというような、そういうことなんじゃ、これは続くんじゃないか。それは返ってきたらもっと強腰になるのかもしれませんが、いま強腰になったって何にも差しつかえないことですよ。これがされないで、これは三日後にとにかく沖繩はそのままずるずるべったりになろうとしている、そういうことじゃこれはいかぬのです。  なお、これは聞きます。第二兵たん基地、牧港のね。これはどういう動きをしておりますか。さらに嘉手納基地はどうか、最大の嘉手納基地。ホワイトビーチはどうか。これらの問題についてお聞きします。これはやはりアメリカ局でしょうね、橘さん。
  298. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生御指摘の第二兵たん部でございますが、これは現在沖繩においてあそこの米国の陸軍の司令部の指揮下にあって、極東、東南アジアに対する陸軍部隊の兵たん補給をやっておるわけでございますが、復帰後においては、これは在日米軍の指揮下に入る。したがいまして、そういう意味でも安保条約に基づく体制というものがびっしり現地にもかぶるという事態になると思います。
  299. 岩間正男

    ○岩間正男君 この第二兵たん基地の動きも、これは相当激しいものがあるだろうということは、これは予測することができる。ホワイトビーチについては、この前私は、八日の予算委員会の総括質問の中でこれは一たん触れました。ここでは全軍労のストが行なわれておったにかかわらず、物資の集積がものすごくこれは始まっている。それからもういろいろな兵器が積み込まれておる、ホワイトビーチ。そういうことを指摘したんだけれども、調べもしないんだ。そのままなんです。国会答弁が終わるとそれでああっと安心してしまう、聞きもしない。(笑声)こんなことで一体いいのかね。日本の政治はいいのか。全くだれが考えたっておかしいですよ。ここで指摘をされたらせめて電話をかけるなり大使館にどうなんだと。これくらいは知ってておいていいのじゃないか。そういうような姿勢をとっておる人は一人もないのですね。そうやるとこれはっとまらぬですか、公務員は。どうなんだ。(「それでつとまっておるんだ」と呼ぶ者あり)それでつとまっている、こういうことだ。何よりも嘉手納基地についてどの程度のことをつかんでおられるか、これは久保局長さんかな。島田施設庁長官もおられる。
  300. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは岩間さん、いろいろだんだんの御質問でしたが、あと三日のことですから、やはりわれわれとしてもこっちに施政権が戻ってくれば的確に把握します。   〔委員長退席、理事安田隆明君着席〕 いまは自衛隊管理要員が行っている程度ですから、的確にといいながら十分思うにまかせないかもしれませんが、これはやはり向こうに施政権があって、いまベトナムで和戦両様のかまえでああいう形になっておるというときに、一々戻してもらうほうが、あれはいかぬ、これはいかぬ、あれはどうなったのだということを言えば、それは批准書の交換もされておりますし、アグニュー副大統領もいまごろ、私存じませんが、羽田に着いておるとすれば、もうやめたなんということは言わないでしょうけれども、これはやはり国際政治の上からもわがほうに戻ってきてから、戻ってきてからならば十分ひとつ情勢等も的確に把握したり、今後のやはりアメリカ側の動きについても日本として注意を換起すべき点は十分注意を換起する、こういうことは行なえるわけでありまするが、何といってもいま戦争で失ったものを話し合いで戻してもらおうという場面ですから、   〔理事安田隆明君退席、委員長着席〕 これは御意見ではありまするが、もうしばらくのことですから、岩間さんもお待ちを願いたいものだと思います。
  301. 岩間正男

    ○岩間正男君 待っていいことと待って悪いことがあるわけですね。いま非常に重大なそういう中でどういう変化が起こっているか、そしてその変化が持続されるのか返還後変わるのか、このことをやっぱり国民は少なくとも国会の論議に期待していると思うのです。こういう点を明確にされないでそのままずるずるべったりじゃ困るのだということなんです。そこで私はいろいろさっきから聞きました、それを聞いてみたのだけれども、最近のこのベトナムのアメリカの侵攻作戦によって基地がどう変化したかということ、実態を何一つつかんでおられないということはこれは明らかになったのですね。何もつかんでいない。何の答弁もなかった。実りのない質問になりました。そうでしょう。そんならこれは返ったあとにどうなるとか、返った三日後にどうなると、どうしようとお考えですか。
  302. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 三日後直ちに本土並みの動きと、こういうのがまあ約束どおりの問題でありますが、これはやはり外務省としても相当深刻にこのあたりは考えておる、そういうことが、事前協議の内容を外務大臣みずからも再検討しますと、洗い直しますと、こういうことを国会で再三言っておるわけですから、そういうことを含めて、いましばらく時間をいただきたい、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 返還後はこれらの基地性格は変わる、それからこれは在日米軍になるわけでしょうが、在日米軍の性格は変わってくる、状態は変わってくる、こう考えていいんですか。
  304. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) そのとおりでございます。変わらなければおかしい。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 そう言ったって、これはアメリカのいろいろないままでの国会における、議会における証言を引き出すまでもないと思いますがね。たとえばロジャーズ、これはちょうど昨年三月、こう言っておる。米国は琉球の施政権を日本に譲渡するが、米国にとって不可決な同島の軍事基地は確保する。ランパート、これは五日ですからつい最近です。今度解任になるわけでしょう。それで沖繩のアメリカの商工会議所で演説をした。広範かつ高度に発達した基地網は極東の同盟国の安全を保障し、米国の約束を遂行する上で、今後ともきわめて重要な役割りを果たす、こう述べているわけです。この基地の機能をそこなうことなき返還ということはこれは佐藤・ニクソンの共同声明、一九六九年の共同声明ではっきりこれは確認されておるものです。そうでしょう。そうしてそれが今度は沖繩協定にはっきり受け継がれておるものじゃないですか。ですから基地機能を優先してこれを確保するんだということについては、これは不動の原則になっておるんでしょう。そういう立場に立っておるのですよ。ここだけでいろいろ問題を提起されて、それに答弁としてあなたたちはいまのソフトムードみたいなことで答弁をされている。しかし、国民は何回もだまされるわけにはいかぬですからね。だまされることはとてもがまんできないですからね。どうなんですか。これはどうするんです。基地機能をそこなうことなき返還、それからいろいろありますね。アジアの友好国に対して持っておるそういう責任を果たすために、これに対して触れてないようなそういう形の基地確保、これはもうあらゆる機会にいままで沖繩返還とともに米側が強調してきたことであり、そしてこういうような保障があってあの協定は調印されたものなんです。そうなんでしょう。そういうものを前にしてこの看板を打ち破るのですか、打ち破れますか。
  306. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 打ち破るとか破らぬとか、そういう極端な話ではなしに、まあ大体軍人というのは、機能が低下したり、多少そこの勢力が弱くなっても、いやこれはだいじょうぶだ、従前どおりである、そういうことを表現する通有性があると思う。もっともそれはロジャーズとかそういう外務担当の責任者ことばでありますが、そう言わないとやはり威令も行なわれますまいし、軍隊自体の信頼性というようなものにも響くわけですから、そういう表現はとりましょうが、しかし、日米安全保障条約を本土並みに適用する、日本の憲法はどういうふうか、こういうことは案外アメリカの軍人はよく知っておるわけです。ですから私ども防衛庁で非常に制服の諸君から話を聞いて、ああ、そんなにまで相手はわかっておるのかというて驚くことがあるくらいでありますが、アメリカの軍人というのはやはり日本の憲法だとか日本の置かれておる非常にむずかしい自衛隊の実態というものをよく知っておる。だからそんなにめちゃなことはやりませんよということをしばしば陸海空の制服責任者から聞くのですが、だんだんそういうふうに、これから沖繩の駐留米軍についてはわれわれも影響をさせるようにしていかなければならぬと思いますが、もうしばらくひとつ時間をおかし願いたいと思います。
  307. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことを言われても、私たちは目の前で見ておるわけですよ。目の前というのは何かというと、きのう、きょう国会で、本会議で論議されたあの問題ですよ。たとえば横須賀の問題、どうでございます横須賀、今度の機雷の封鎖ですね、これは第七艦隊によって機雷による封鎖が行なわれた。そうして横須賀からは、この前問題になりましたように、旗艦オクラホマシティーをはじめとしまして、この前コンステレーション、バンコックその他が参加しておるでしょう。ところがこの機雷封鎖は決して私はニクソンの一時の思いつきの案で始まったものではないと、非常にこれは計画的なものです。これの実行のためには相当長期の計画と準備が必要なものです。その計画の一班は、これは母港横須賀で行なわれたことは明らかじゃないですか。それは第七艦隊は事前協議の対象にならないとか、これは国会で最近盛んに何かほんとうにおかしいような答弁をしておりますが、しかし、少なくとも出て行くときにコンステレーションはちゃんとやはり機雷敷設のそういう作戦を持って出ていったに違いないんです。これを指揮するためにオクラホマシティは、これはちゃんとそういうかっこうで行ったに違いない。そうして機雷も日本から積まれたものでしょう。そういうふうにしますというと、今度のベトナムの民主共和国の港湾封鎖は、明らかにこれは横須賀でそのような計画、そういうものは練られ、準備され、そうしてこれは出港したものですよ。こういう問題は単に出ていったとか何とかよりも、もっと重大な私は問題を持っていると思う。久保局長にお伺いをしますが、機雷で封鎖をやるには、一体そんなに簡単にできるんですか。どのくらいかかるんです。あすこまで横須賀からこう行って、そして向こうでそういう任務に従事するという、そういう準備をやる、しかもあんな大がかりな封鎖をやるというにはどのくらいかかるんです。技術的に答えていただきたい。
  308. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 私もその面での技術的な知識はございません。ただ、一週間や十日でできるとは思いません。そこで、外国の新聞のニュースによりますと、フィリピンで約一カ月ぐらい前に機雷を艦艇に搭載をしたという事実は知っております。
  309. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから指摘をしているように、ちゃんとそれは相当長期の計画、これはまあたとえばマクナマラの秘密文書がこの前、一昨年ですか、これは暴露されましたね。あれと同じように、今度はニクソンの秘密報告が暴露されればはっきり出てくるだろうと思うんです。今度の横須賀で何をやっていたか、いま。そうして今度出ていくとき、どういう一体姿勢で出ていったか。そういうものがちゃんとそういう意図を持って、使うか使わないかは別として、最後の何は大統領の断を暫時待っているけれども、そういうかっこうで出ていった。その自分らの政策の策謀の根源地はこれは横須賀でなかったか、アジア最大の母港である横須賀が、これは使われないということはあり得ないんです。私はこのことをやはり議論しておる。それに対して事前協議の対象にもならないと答えているこの現政府を持っていって、本土並みでございますと言ったって、だれが了承できますか。本土並みの実態は明らかにこの横須賀の今度の何に出ているでしょう。横田もそうです。横田も戦車が復旧された。それを三台持っていってC5Aギャラクシーが、これはもうベトナム戦線へ行っておる。明らかだ。ダナンにこれはもうちゃんと着陸している。そうしてそのあとも行っている。船でも積み込んで行った。七十九台の修理した戦車は、その大半はこれはもうベトナム戦線へ行っている。そうしてこれはかいらい軍に渡っている。これがいまの姿じゃないですか。それに対して事前協議の対象になりません。岩国はどうですか、F4が飛んでいる。あれについても事前協議の対象になりません。アメリカではすでに戦闘作戦命令を下したと言っておるのに、戦闘作戦命令は横須賀のときにも、それから岩国のときにもなかったんだという、そういうことであなたたちはそれをはっきり確かめもしないで、さようでございますか、アメリカが言うから間違いないでございましょう、友好親善でございましょう、こういうかっこうで了承していったのが、この本土における最近の沖繩化された基地の姿じゃないですか。ここでいま政府が非常にそういうことを努力しているのは何かといったら、沖繩で起こったときに、ここでやった横須賀や岩国の姿をそっくり沖繩で実施しようとするためにいまがんばっている。そうでしょう。あんな本土並みと言ったって、本土並みの実態はまさにかくのごときものです。だから防衛庁長官、まあ三日待ってください、帰って来ます、帰って来たらやります。信用できると思いますか。何ぼ私は人がいいったって、あなたのそういう答弁を信用しませんよ、日本国民も。もう仏の顔も三度ということがあるでしょう、もうだめですよ。どうするんです。
  310. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) やっぱりこっちに主権が戻ってくれば、日本の駐留米軍、こういう形になりまするから、これはやっぱり主客がかわるわけです。ですからいまおっしゃった意味は、それはもちろん国の平和を考えての御発言でしょう。ですからその点は十分考えながらそれはちゃんとやりますよ。これはもうどうぞそう心配なさらぬでも必ずひとつ御期待にこたえるようにうまくやりますから。
  311. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの、非常に何ですかな、一度雄弁な御答弁をいただいておるわけですが、その問題についても先ほど同僚議員から話が出たのですけれども、なかなかそういったってこれはむなしくなっているのです、最近。その場、そこを通れば、のどもと過ぎれば何とやらというようなこういうかっこうでやられているのですよ。しかし国民の不安というのは、これは非常に大きいですからね。これはたとえばある新聞に出たこういう主婦の、四十三歳になる神奈川県の主婦のたとえば文書です。これを読んでみておく必要があると思う。「米国とどのような取決めがあるのかわかりませんが、少なくとも安保条約の中で、東南アジアに対する戦争機具を日本が修理する、はっきりした条項はないはず。それが現実に、破壊した戦車の修理・整備がわが国で行なわれていると知ったときのショックは表現するに余りあります。戦争の悲惨さを余す所なく味わった私たち日本人は、二度と恐ろしい戦争を味わいたくないと、平和を望み努力してきたのに……。その戦争に直接ではなくても、加担しているような今日の現状を一大危機と考えずにいられましょうか。」云々と、これはあと省きますけれども、こういう主婦の不安、危険感、こういうものにあなたのいまの御答弁で答え切れるとお思いですか。
  312. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 日本の基地を利用して補修をしたりするということは、時間もありませんから繰り返しませんが、安全保障条約上一応適切である。で、私は危険ということはこのベトナムの問題では思いませんが、きのうも衆議院で問題になっておりましたが、この補修したものがまた直ちに戦場に送られて殺戮をするのだと思うと整備をする機械工の胸が曇るという話がありましたが、まさにそういう点では、平和を愛好する日本人としては残念なことに思っております。したがって、違法ではありませんが、これはやはりどういう情勢でどういうふうに、補給されたり、どういうふうに補修されておるか実情を的確に知る範囲で把握しておくことは、これは必要なことだと思います。
  313. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあとにかく人殺しの兵器が身近な足元でつくられている。主婦の「ショック」ということばであらわされましたが、私は、これはほんとうにはっきりしている。ところが知らされていない。国民は知らされていないからこれは驚いている。われわれこの内閣委員会防衛問題論議してさえもなかなか知らされない。全くその一部分でしかない。九牛の一毛だ。あなたたちは知っていられるのか、知っていて隠していられるのか、あるいは新聞紙でしかこれは御承知ないのか。そういう姿というものはよくやはり胸に手を当ててここで考えなければなりませんよ。そうでしょう。  私は、次に——あとそれほどありませんから御心配なさらないで。こんなにベトナムのアメリカの侵略戦争激化しているのですけれども、こういうことで一体予定された基地の返還はそのまま行なわれますか。どうですか。
  314. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) まあ施政権が戻ってから基地の返還は相談しましょうと、こういうことにサンクレメンテで話し合いができたわけです。けさでしたかも申し上げましたように、基地の返還、特に使用度の緩慢なものについてはリストアップして外務大臣と総理大臣が持っていったわけです。ですから今後もやはり基地の縮小についてはぜひひとつ話を進めていきたいと思っております。ただベトナムは、こういう形が長続きするとは私どもは思っちゃおりません。ですから、これはひとつ早くテーブルにつくことを望むものでありまするので、まあ岩間議員もひとつそういう方面へ御尽力をいただくことのほうが何かと国のためだと思います。
  315. 岩間正男

    ○岩間正男君 一言多いですよ、あんた。要らぬですよ。あんた、時間とるだけですよ。これは、時間を非常に協力してるんですから、だから一言言われれば一言言うようになる。私は、よく聞いてくださいよ、時間がないんだから。予定された基地は返りますかと聞いたんだ。何を言ってる。
  316. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 予定というのはどういう意味でしょうか。
  317. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちゃんとABCでなにを出してですね。——具体的に聞きましょう。那覇空港どうなる。予定されたはずでしょう、あれは。
  318. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 那覇空港などにおきましては、政府側のいろいろ予算の疑義をめぐる不手ぎわ等もあったりいたしまして、暫定予算になったために執行がおくれました、仕事の。それからまた、なるべくならば施政権が戻ってきてから仕事にかかるのがよかろうということで、準備行動についても慎重を期したというようなことから仕事がおくれておりまするが、仕事のおくれを取り戻し次第、これは予定どおり返還されるものというふうに確信をいたしております。
  319. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこでP3は残るわけですね。それだけじゃないというふうに聞いておりますけれども、どういうものが残るんですか。
  320. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 那覇空港には、いわゆるP3部隊——対潜哨戒機の部隊でございますけれども、それ以外に標的機その他艦隊支援の部隊といたしまして第五艦隊混成飛行隊、VC5という名称でございますが、これが実は予定では嘉手納の飛行場に所定の工事をいたしまして移ると、その時点におきましては、その工事は復帰後でもよろしいということでございましたが、この部隊が引き続きP3の基地に残留をするということになっておるわけでございます。機数としまして約二十機ということであります。
  321. 岩間正男

    ○岩間正男君 機種の名前をはっきり言ってもらうことと、もう一つは、第七艦隊の艦載機もこれは飛来すると、こういうことが伝えられておりますが、どうか。
  322. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 私ども承知しておりますVC5に所属します機種はP2二機、それからA4四機、それからS2が四ないし五機、それからヘリコプターが四ないし五機というように聞いております。
  323. 岩間正男

    ○岩間正男君 艦載機は。
  324. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 艦載機につきましては、那覇空港に従来からおそらく必要に応じて離発着をしておると、まあ短期間に滞留することもあったかと思いますけれども、これは要するに飛来をするという種類のもので、ございます。
  325. 岩間正男

    ○岩間正男君 滑走路の使用は、これは当然今度の発効後はどうなるんですか、一たん日本に返されて、管理権は日本に帰する、そうして結局は地位協定の適用で二4(b)でいくのか、それで共用ということになるんですか、どうなんですか。
  326. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これは、返還後は運輸省の所管の飛行場になります。その滑走路の部分につきましては、共同使用ということでございます。
  327. 岩間正男

    ○岩間正男君 この完全復帰ということはいかぬわけですな。そうでしょう。これは目玉商品だということは、これは口をきわめて、ことに愛知さんなんかは何べん言ったかもわからぬ。目玉商品、那覇空港を完全に返します、これは沖繩の象徴でございますから、玄関口でございますから——これは何年間だ。これが返るまでにどのくらいかかるのか。
  328. 島田豊

    政府委員(島田豊君) ことしの当初の段階におきましては、普天間飛行場に所要の滑走路の補修並びにかさ上げ工事をやることによりまして、P3が普天間に移駐をして那覇空港が返還される、こういう予定でございましたが、御承知のとおりに、予算が一カ月暫定予算の期間がございまして、その工事がおくれたわけでございます。そこで、その後、これは外務当局と米側との間の折衝の過程の問題でございますけれども、いまのところ、所要部隊を嘉手納及び普天間に移すことによりまして那覇空港が返還、いわゆるクリアされる、こういうことになるわけでございまして、この工事につきましては復帰後の時点から着工いたしますので、普天間の滑走路の補修、かさ上げ工事はおよそ二カ月もあればできるかと思いますけれども、それ以外に、御承知のとおり、来年度予算で三十八億円の予算を計上いたしまして、普天間及び嘉手納に滑走路あるいは中継所あるいは格納庫、あるいは整備のための施設、こういうものを移設をするという予定にいたしておりますので、これが全部完了いたしますのは、やはり年度末まではかかるのではなかろうかというふうに予想いたしております。
  329. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあとにかく公約を半年もおくれるというわけですね。これが一つ。  そこでお聞きしたいのですが、那覇空港返還に関する細目協定があるはずですね。どういうことですか。協定を結ぶとき、同時に那覇については細目をどうするという、そういう協定がないはずはないわけです。その取りきめがあるなら、これを明らかにしてもらいたい。どういうことだったのでしょうか。それは外務省ですか。
  330. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 那覇の空港につきましては、ただいま施設庁のほうからも御説明がございましたように、残念ながら飛行機が残ります。したがいまして、これに基づくこの共同使用の部分を含めまして、地位協定に基づく提供行為が行なわれるわけでございまして、それは細目につきましては、五月十五日に有効となる合同委員会の合意をもってきめられるという手順になっております。
  331. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、いままで協定のとき結んだそういう細目協定があるかと聞いたのですよ。あなたはそう答えられたのだが、これは変わるでしょうね。そうすると、もとのありますか、もとの要綱はどういうこと、そこに持っていませんか。完全復帰、返すというのでしょう。これはどこできめているのですか、どこに。文書交換をしているわけでしょう。那覇についてはこれは完全に返すと、そうして三十八億まで組んだのでしょうが、そういうことでしょう。だからそれの最初の協定の項目ないしは内容を……。
  332. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 御存じのとおり、那覇の空港につきましては、返還協定が署名されましたときの合意議事録においてC表、それから空港ではございませんが、そのうしろの施設のはA表というふうに、あのときの話し合いのことはそこの記録にとどめてあるわけでございます。
  333. 岩間正男

    ○岩間正男君 その記録でもいいですな、費用分担はどうだと、それから普天間の何を鋪装するために金を出すとか、嘉手納に十二億の何をやるとか、そういうことをきめているわけでしょう。それで細目協定をやってこれを返そう、そういうことになっているのでしょう。それは文書も何も交換しないで口頭でやっているわけじゃないでしょう。そういうものはあるのでしょう。そういうことを聞いているのです。それについて、はっきりこれは具体的に示してもらえるのかどうかと、こう聞いているのです。それを今度変えなければならぬ、これは今度変更したから変えなければならぬ。そうすると、その変更についてどうするのかと、こういうことを聞いているんです、どうなんです。
  334. 島田豊

    政府委員(島田豊君) P3の移転問題に関連します予算関係につきましては、実は昨年の末に米側から具体的な内容が示されたわけでございまして、返還協定時にはそこまでの具体的な話はなかったと存じます。  そこで私どもは、急遽その米側の要求資料に基づきまして概算要求をいたしたわけでございまして、これは米側が那覇空港を返還をするにあたりましてこういう移設工事をするということを条件にいたしております。したがいまして、こちらがそういう条件に必要な工事を完成をするという段階において正式に那覇空港にありますところの飛行機がそれぞれの基地に移駐をする、こういうことになっておるわけでございます。
  335. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもその辺やはりもっと明確にしてもらわぬとね。大綱だけ先にきめて協定結んで、それから細目についても、これはいま費用分担の問題とかそういう条件ちゃんとできたでしょう。そういうものについて、これは要綱くらいは内閣委員会ですから話してもらわないと困るんですよ。そういう中で、たとえばさきの二十数機が残るなんていう協定はこれはなかったんでしょう。これはもう結局今度のベトナム戦争の関係でこういうものはやはり、いわば結局は日本の国会で予算が通らないで、もう普天間のほうに移ることができない。だから結局広範なものになってくる、こういうことになっているわけですね。こういうところは非常にぐうたらです。こんなことは了承できませんよ、非常にルーズなんだ、こういう点をもう少し明確にしなさいよ、国民の血税じゃないですか、どうですか。
  336. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生御存じのとおり、那覇の空港にP3などが残ることになりましたが、これは御存じのとおり、暫定予算のころに主として予算措置に伴って結果としてこういうことになってしまったという事態なのでございまして、ベトナムの情勢はその後にたまたま起こってきたということで、ベトナムと、ただいまの情勢と、那覇の空港にP3が残ることになったということとは全く別のことでございます。
  337. 岩間正男

    ○岩間正男君 艦載機なんかどんどんどんどん飛んでくるのは、それはベトナムと関係ないというんですか。何も誓い合ったってしょうがないじゃないですか。私たちは二4(b)というのはこりごりしているんだから。東富士演習場であきれはてているんだ。そうでしょう。農民に聞くというと、一週間か十日使うといっている。そうしてこれは協定を結んで二4(b)でやった。そうすると、一昨年のもう海兵隊が使ったのは二百三十九日ですよ、延べ。もういままで二万人あそこで訓練しているでしょう。こういうやり方が一体許されるかどうかということだ。こういうことが本土で行なわれている。本土並みとは、これを今度はまた沖繩に引き移すことにならないかということを私は心配しているんですからね。だから艦載機、今度このなにができたとすれば、第七艦隊がどんどん遊よくすれば、艦載機はこれはもうやってきますよ。だから便乗なんだ、これは。  次にお聞きします。  自衛隊のこの演習地ですね。こういうところが共用するものがあることはこれは鶴崎さんか、あなたこの前ちょっと答弁しておりますね。その他のところもあるというのだが、その他と、そういう、その点言ってください。どういうところを使うか、自衛隊が米軍の。
  338. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 自衛隊沖繩に展開します場合に、現在C表に載っている、あるいはB表に載っていて自衛隊が使うことになっているもの以外に、やはり演習場とかあるいは港湾施設における埠頭とかこういったものはどうしても使わなくちゃならないわけですが、ただ、自衛隊が独自の施設を取得をすることは、これだけ基地がふえるということでございますので、できるだけこれは米軍の施設を共用するという方向で考えておるわけですが、先般衆議院内閣委員会お答えしましたのは、演習場としては沖繩本島の中部にありますキャンプ・ハンセンの一部を一応検討の対象にしようということでございますが、そのほか小規模の小銃等射撃場とかライフル・レンジだとか、そういったものについても共同使用ということを検討しておりますが、これはまだ検討の段階でございまして、決定したとか、そういう性格のものではございません。
  339. 岩間正男

    ○岩間正男君 キャンプ・ハンセンというのは、これはどこの基地ですか。
  340. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 沖繩本島の中部にあります米軍に提供しておる基地でございます。
  341. 岩間正男

    ○岩間正男君 だれが使っている。
  342. 鶴崎敏

    政府委員(鶴崎敏君) 海兵隊が使っております。
  343. 岩間正男

    ○岩間正男君 海兵隊でしょう。海兵隊と一緒に今度演習場を同じゅうするということは、私たちは途中で見ておりますからね。あれは同時演習、共同演習とは言っていない。目標だけ同じにして、こっちから撃つ、向こうから撃つ。これは共同演習なんだよ、実際は。国民の手前そんなことを言っている。そうすると、アメリカの海兵隊、こういうものに沖繩自衛隊が行くわけでしょう。その自衛隊が今度は海兵隊と共同訓練をやる、同じ演習場で。そうなればこれは海兵隊化される、そういう性格を持たざるを得ないのじゃなですか。そうしてそのことは、アメリカの当然いまの構想の中から言ったってどうですか、ニクソン戦略から言って、ニクソン・ドクトリンから言って、米軍の人的損害を少なくする。そういうところに日本の自衛隊が行く。そうするとこれは海兵隊的なものに訓練される、アメリカはこれを指導する、こういうことになるのじゃないか。これがベトナムの戦局と関係がないというのか。こういうものを新たに加えられている。このキャンプ・ハンセンの問題というのは私は性格としては大きいだろうと思う。六千五百人が行くと言っている。ところが六千五百人で終わりますか、これ。この自衛隊終わりますか、こういうことです。私はそういう点では非常にこれは重大な意味を持っていると、こういうふうに考える。  それからもう一つは、ほかの使う演習場とか、小銃の射撃場とか、そういうもの、あとで知らしてもらっていいですから、時間の関係からね、お願いします。何かありますか。
  344. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 何か自衛隊沖繩にその後ふえるようないま疑いのあるお話でしたが、六千五百名、これは当分ふやす計画はありませんので、念のために申し上げておきます。
  345. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つお聞きします。  いまのはまあ当然二4(a)ですね、二4(b)でキャンプ・ハンセン使うのですな、そうでしたな。  もう一つお聞きします。混合サービスグループ、これはまあ玉城の親慶原にあります。私たちも二回か三回ほど視察をしました。いわゆるCSGというやつ、これは昨年十月の衆議院の予算委員会で、これはわが党の質問に対しまして、はっきりもう返すことになりましたと言っていますが、これは返っておりますか。
  346. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) いわゆるCSG——米国陸軍の混成部隊、これは復帰までにはいなくなるということでございます。で、ただあそこは、使っておりました基地は返すと向こうが言っている中に入っておりませんので、その場所はございますが、そのいわゆるCSGという部隊はなくなります。
  347. 岩間正男

    ○岩間正男君 CSGは、その部隊はいるのですか、基地だけなくなっている、どっちなんです。はっきりしてください。
  348. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) この部隊は、ちょっと訂正さしていただきますが、七月一日またはそれ以前に解体されてなくなるということでございます。これは部隊がなくなるということでございます。
  349. 岩間正男

    ○岩間正男君 基地は。基地は残るのですか。
  350. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) いままでCSGが使っておりましたそこの場所は、基地として提供する予定地に入っておりまして、そこには部隊が配置されると思います。しかし、それは従来いるCSGの撤去されたあとには別個の部隊ということになると思います。
  351. 岩間正男

    ○岩間正男君 面積、言ってください。
  352. 島田豊

    政府委員(島田豊君) これはA表の番号七十一番の知念補給地区でございまして、土地は約百八十万平米でございます。
  353. 岩間正男

    ○岩間正男君 あのときは、たとえばわが党の松本議員が質問しようとしたら、出ばなを打って、CSGは返します。こう言って実際は質問の先手を打ったわけですよね。そういうことなんですけれどもね。この部隊はいなくなる、しかし基地はこのまま残る、しかもこの基地というのは膨大なものです。私たちぐるっと回ってみましたが、こういうものは別なほうに使う、そういうことですからね、非常にこういう点についても、これは一体はたしてまたベトナムの戦局のいかんによってはどうなるのかという懸念を持つのです。はっきりこれは実現できますか。
  354. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) どうもちょっと質問の御趣旨が受け取りにくかったので、間違っておるかもしれませんが、今後ベトナムの戦局がそんなにエスカレートして、大事に至るとは従来のニクソン声明に見ても思いません。ですから、エスカレートすることによって沖繩基地をまたあそこもここも借用したいというような申し出があっても、これは広大な基地ですから、われわれは返還こそ求めますが、当然拡張というようなことには応じない、そういう態勢でまいります。
  355. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかくこれはCSG部隊が解消だということなんですが、ベトナムの戦局いかんによってどういうふうになるのか、任務についていると私は見ておりますから……。  最後にお聞きします。二、三問で終わります。  琉球政府のこの法案について質問するんですが、琉球政府の職員で防衛庁職員になる者とあるんですが、これはどんな職種で、その数は何人ですか。
  356. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) いま予定いたしておりますのは、防衛施設庁関係の現地にできます防衛施設局に約八十名、それから陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊関係の部隊の事務官として勤務する者が、いまの予定では約百六十名前後を考えております。いずれも事務職員でございます。
  357. 岩間正男

    ○岩間正男君 防衛庁長官にお伺いしますが、沖繩における自衛官の募集を考えておられますか。その方針を持っておられますか。
  358. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 持っております。持っておりまするばかりか、むしろ沖繩県民が積極的に沖繩は自分たちの手で守るんだ、国土は自分たちで守る、そういう考え方の延長として沖繩県民がより多く自衛隊というものを理解してくれて志望してくれるならば、本人の希望を考慮に入れながら沖繩に勤務をさせる、これが一つの理想的な姿ではないかと考えております。
  359. 岩間正男

    ○岩間正男君 そう言っておられますが、これは沖繩でうまくいくと思っておりますか。それから今度の職員の中で自衛官の募集に従事する人は相当出てくるんじゃないですか、どうですか、地元だから。
  360. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 五月十五日に地方連絡部が沖繩に設置されますが、大体その地方連絡部の職員はおおむね自衛官をもって充てますが、しかし、若干はシビリアンをもって充てますが、それらの者につきましてはできるだけまあ地元沖繩で採用いたしたいと考えております。大体数名程度でございます。
  361. 岩間正男

    ○岩間正男君 沖繩の自衛官に対する県民感情というのはすでに御承知だと思う。そういう中で、職員の中でも進んでこれに、こういうものに募集事務なんかに参加する人があると思っているのかどうかわかりませんが、こういうところで非常に矛盾が生ずるんじゃないですかね。はっきりこれつかんでおられますか、この点は御返答いただかなくてもよろしい。  その次に、防衛施設庁ですね、これは本土と比べてどうですか。この任務とかいろいろ仕事の、とにかくこの前も話が出ましたが、一億の中に、本土では米軍がいま二万四、五千ですか、沖繩では百万足らずの県民の中にこれは五万近くいるわけでしょう、密度から言うと二百倍になっている。そうして米軍基地の中に包囲されている。本島は一四%の基地が、そんなに、沖繩の中に基地があるというんじゃない。基地基地の間に沖繩がある。だから息苦しい、基地基地基地って。そういうことなんです。そういうふうな事態の中で、まあ施設庁が今度出ていくわけです。どうですか、この任務は。
  362. 島田豊

    政府委員(島田豊君) この法案が通過いたしますれば、那覇に防衛施設局を設置することになります。関係職員の定員は一応四百四十名でございます。そこで、この防衛施設局の任務は本土の防衛施設局の場合と大差はございません。施設関係の提供業務あるいは借料業務、あるいは周辺対策、あるいは漁業補償を含みます各種の補償等を行なうわけでございます。さらに部隊の建設業務もこの中に入ってまいりますが、沖繩の場合に本土にない仕事としましては、先ほど来御質問ございましたこの法案の三条に基づきますところの人身被害に対するところの補償漏れ者に対しますところの補償業務を防衛施設局でやることになりますし、それから今回新たに米軍の従業員が直接雇用から間接雇用に移行いたします。この仕事そのものは、復帰後できます沖繩県にその管理業務につきましては委任をいたすわけでございますけれども、それに対しますところの政府側からの要求等もございましょうし、そういう沖繩の県に対する指導助言と申しますか、連絡調整と申しますか、そういう役割りが沖繩施設局には付加されるという状況でございます。
  363. 岩間正男

    ○岩間正男君 アメリカのベトナム侵略の激化、こういう中で非常に沖繩の仕事は多くなってくるであろうと思う。それはどんどんどんどんきますし、たいへんだよ、これは。そういうことを一々本庁の指揮を仰ぐのですか、火急の場合、現地で処理していかなくちゃならぬことがたくさん出てくる、こういうことが予想されているかどうか。  それから時間の関係で最後にもう一つ聞きますが、当然LSTの要員については、施設庁でこれは労務を提供することになりますか。LSTの乗員が非常に多くなる、これはどういうことになります。この二つをお聞きします。
  364. 島田豊

    政府委員(島田豊君) 現地で行ないます事務処理につきましては、もちろん基本的な問題、方針的な問題あるいは重要な問題につきましては、当然すべて防衛施設庁の本庁から指示をいたすわけでございますが、細部の緊急を要するような処理問題につきましては、これは当然施設局長責任を持って当たるということになります。  それから間接雇用に移行します人たちの中には、基本労務契約あるいは諸機関労務協約のほかに船員契約をいたしまして、百七十名程度の船員が間接雇用に移行になるわけでございますが、先ほど御指摘のLSTの要員、これはその中には包含されておりません。
  365. 岩間正男

    ○岩間正男君 LSTは別のなんで募集するわけですね。それからその船員百七十名というけれども、結局はこれはベトナム戦域あたりに行かざるを得ないということになると思うのですが、これはいままでの、従来本土の場合問題になっておりまして、この人たちの生命をどう保証するかという問題一それからいろいろ労働条件の問題ありますが、そういうことを考慮しておりますか。ことにベトナムの状態がこんなになって、沖繩がとにかくたいへんなんだから、わかる。そういうものに対するはっきりした対策を持っておりますか、どうですか。
  366. 島田豊

    政府委員(島田豊君) LST要員につきましては、これは米軍が直接雇用するという従来の形態をとっております。そこでいまの行き先き地等につきましては、これは海員組合と米側とが、本土の場合におきましても協議いたしまして取りきめをしておる、こういうふうに承知をしております。
  367. 岩間正男

    ○岩間正男君 直接雇用ですね。直接雇用だとすれば、これはもっと身分保障、それからやはりベトナム戦域にこれは出ざるを得ないということになる。そうしたらこれに対する一体生命の保証、こういうものについては、特にこれは念を払わなくちゃいけないと思いますが、最後に防衛庁長官.これはどうしますか。この点については、何か特別にこういう緊迫した情勢の中ですから明確にしておく必要があると思いますが、いかがでしょう。
  368. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) LSTの要員の補償問題については、これはまあ本土でもやっておりますので、その例にならって善処したいと思います。
  369. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 他に御発言はありませんか。——山崎君。
  370. 山崎昇

    ○山崎昇君 しんがりになりましたし、大体疲れておるようですから、ごく簡単に一、二点だけ聞いてやめたいと思います。  私は、世の中にはたくさんむずかしいものもありますけれども、その中でもむずかしいと思うのは、人と人との関係であろう。特に組織運営の場合には、人事管理面が私はたいへん重要な問題点ではないだろうか、そう考えますというと、自衛隊のように、上層部の営外居住者は別といたしまして、隊内に居住するものが大半を占めるわけですね。自衛隊のような存在は、一般社会と多少離れた存在であって、その中における隊員管理というのは、私はたいへん重要なものだと思っておるわけです。  そこで、まず第一に長官に。一体長官自衛隊の管理について、どういう理念でやられているのか、これをまずお聞きして、あと二、三こまかな点を聞きたいと思います。
  371. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御指摘のように若い集団でありますし、隊内の生活というものは、一般世間とは隔絶された環境にあります。もちろん昔の軍隊とは違いまして、比較的外に出たり家族との交流等も密接ではありまするが、やはりこの管理には十分意を尽くさなければならぬと思っております。特に中隊ごとに密接なつながりを、横の連絡、縦の連絡を持つように指導されておるという報告を受けております。詳しくは人事教育局長から申し上げます。
  372. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は、あらためて私はお聞きをしたいと思っておるんですが、先般五人の自衛隊員の問題が起きましたね。そこで、自衛隊自衛隊法の四十六条を使って首を切ったわけです。自衛隊員にどうもふさわしくないという名前で首を切りました。したがって、この隊員については自衛隊関係がないということになっているのですが、私は、この隊員が、その後の行動面で、いろんなことを演説をされておる。もちろん、私、直接聞いたわけではありませんから、新聞報道なり、あるいは雑誌に書かれた程度しか知識はありません。だが、この中で見ても、かなり重要なことが私は提起をされていると思う。そこで、わずか五人の行動ではありましたけれども、この五人の自衛官が提示をしたこの内容について、自衛隊はどういうふうにこれを分析をして、どういうふうにこれを生かそうとするのか、あるいは全くこんなものはもう顧みる必要はないんだという切り捨てで終わるのか。これは、私は、将来も、幾人かについてでもこういう事態が発生するのではないかという報道があるから、心配をして、本来ならば、隊員の基本的な管理理念から始まらなければならぬのですけれども、もうほとんど時間がありませんから、具体的にこの点を聞いておきたい。どういうふうに、これは、防衛庁として考えておられますか。
  373. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 厳正な規律と強固な団結をもって立つ、しかも、国の防衛という厳粛な任務に当たっておる自衛官といたしましては、今回の行動は、私はきわめて遺憾だと思っております。もう時間がありませんから一々をあげませんが、これは四十六条で懲戒免職ということだけでなしに、やはり六十一条、四条等々の刑事罰に持っていくということも、今後の行動、いままでの言動等を厳重調査の上、これは、やはり厳格にしなければならぬというふうに考えております。  そこで、五人の発言についてでありまするが、これは時間を節約する意味で、人事教育局長が来ておりまするので、率直に答弁をいたさせます。
  374. 江藤淳雄

    政府委員(江藤淳雄君) 長官からお話がありましたように、自衛隊はあくまで厳正な規律と強固な団結をもってやらなければならないわけでありますが、今回の現職自衛官の発言は、自衛隊の内部崩壊を目ざすような一部の部外協力者、たとえばすでに退職になっております小西元三曹、こういう人と結託しまして、あるいはその呼びかけによりまして、国が決定した沖繩配備というようなものを、政策をあたかも侵略の先兵であるかのごとき言動を公衆の前で弄しておる。あるいはその他自衛隊そのものの本質にかかわるようなことに対するいろんな批判をしておるということは、たいへん遺憾きわまりない次第だと思いますので……。
  375. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 五人が記者会見でしゃべっておる具体的なことについてどういうふうに考え、どう処置したか、そういう意味でございましょう。
  376. 山崎昇

    ○山崎昇君 そうです。
  377. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 新聞でしゃべっておること、何かいろいろと不満を言っておること……。
  378. 山崎昇

    ○山崎昇君 もう少し私のほうから言えば、わずか五人の人ではあるけれども、この提起している内容はいずれ私は論議したいと思うが、きわめて重要なことを言ってますよ。一、二私から言えば、たとえばこれは六月号の「世界」ですけれども、ここで沖繩の高校生が座談会やっておりますね。この中で言っておることの一つ見ても、沖繩に派遣された三木一佐——どういう人か知りませんが、この人とこの高校生が話したときに、日本にはやがて戦争が起きるというようなことを説明したというのですよ。こういうことも書かれておる。また、この五人の中の一人は、きわめて隊内では反共教育がやられておるということも述べられておる、これは。あるいはまた、その他のことを読んでみましても、自衛隊に事実上投票させられるようにし向けられているとも言っておる。あるいは全く人権がないとも言っておる。婦人自衛官と交際しようと思えば一々上司の許可をとらなければならぬというようなことも言っておる。これは人権に関することから、自衛隊性格から、ずいぶん基本的なことをいろいろ述べておられます。だから、あなた方は隊の規律を乱したとか、そういうことで首切ればいいという、そういう考え方でやれば、私は自衛隊の管理は困難だろうと思うから、だからわずか五名でありますけれども、こういう問題は、やっぱり自衛隊は真剣に私は分析をして、ほんとうにそういうことがあるのかないのか、あるとすれば、貯金の管理だって自衛隊の服務規程見れば、全部管理せいなんて書いてありませんよ。私はやがてこれは服務規程から全部お聞きしますけれども、きょうは時間がないからやめます。いずれにしても私は、隊員の管理そのものについて幾つかの欠陥があるんじゃないか。そういうものを具体的に、この隊員のとった方法は、なるほどあなた方も気にくわなかったかもしれない、しかし、提起している内容はきわめて重要な内容を提起していますよ。ですから、私は自衛隊はこういうものをやっぱり分析をして、そうしてほんとうにこういう内容があるのかないのか、あったとすれば反省をして、直すべき点はどういう点なのか、そういうことがなければ、いかに中隊長を集めてどうしたとか、あるいは班ごとにどうしていますとか、そんなことだけで隊員の管理は私はできないと思うのです。そういう意味で私は、一体この五人の提起された内容についてどう自衛隊は分析をして、これをあなた方は将来の戒めとして使われるのか。いま人事教育局長の言うように、きわめて遺憾なやり方だからというだけで終わっちゃうのか、そういう意味でお聞きをしているわけですね。すかっと答弁してもらいたいと思います。
  379. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御提起になった点は全く重要な点だと思います。したがって、彼らの言動を取り締まる上からも、また二度と再びこういう不祥事が起きないためにも、彼らの言っておること、それをどう処置していくか、これはやはり大事なことです。特に若者の集団でありまするから、頭から押えつけるということよりも、十分に説得というか、了解できる話を持ちかけていく、そういう教育のしかたが大事だと思いまするので、一々のことについていま申し上げませんが、十分注意をするように、すでに制服の最高責任者であるそれぞれの幕僚長から全国の司令に向かって教育の内容等に一そうの注意を払うように、またその状況、疑問、そういうものがあれば直ちに報告をするように、協議をしてくるように、こういうまあ注意喚起をいたした次第でありますが、もう時間もありませんので詳しくは申し上げませんが、十分注意したいと思っております。
  380. 山崎昇

    ○山崎昇君 これでやめますがね。私は前の委員会であなた方が使っておったこの「精神教育」という本を示したら、これはもう使っておりませんと言う。だが、この隊員の指摘したことを見ますと、依然として私はこういう反共政策そのものがやられているんではないだろうか。そして、この事件が起きると同時に、あなた方は、あれは何か計画的にこの自衛隊に入ってきて内部撹乱をやっているのじゃないかとまであなた方は談話を出した。しかし、その後いろいろ調べてみるというと、本人たちは全くそんなことはない。入って自衛隊に対して矛盾を感じている。また一説によれば、三島事件が起きたときには、憲法九条を改正すべきだと次官は説明したと、そういうことが現実に日常的に起こされてきて、わずか五名であってもああいう形のものが出てきているというのですね。ですから私は、この五名の問題の提起をした内容については詳細に調べるなり検討するなりしてやっていかないというと、もっともっとたいへんな事態が私は起こりはせぬだろうか、こう思いますよ。そして自衛隊の場合は、法律という名前で総括されているわけです。連合赤軍はいきなり切っちゃって殺したけれども、あなた方は法律という名前で首さえ切れば終わりだと、そんな単純なものでは私はないと思っている。そういう意味でいずれかの時期に私は長官に、この隊員管理というものは、もう三十万にも及んでおるわけですから、よほどしっかりしませんというと、たいへんだと思うんですね。そういう意味でいまお聞きしたのですが、いずれあらためてやります。しかし、いずれにしても、いま教育局長答弁を聞いていると、さっぱり内部で私は真剣に取り上げられた形跡がない。もう少し自衛隊は真剣に取り上げて、改めるものは思い切って運営から改めてもらいたいと思うのですが、あなたの意見を聞いて終わります。
  381. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは全く重要な問題だと思っております。取り上げないということはとんでもないことでして、取り上げて実情を厳重調査しております。  それからいまお読み上げになりましたたとえば三島事件のときに憲法第九条を改正すべきだと、指導者が言うたのかどうなのか、指導教官が言ったのかどうか、これもやっぱり実態に触れて調査をさせております。それはどういう調査かということでなしに、事実を知ると、彼らが新聞記者会見したことが、ああいう異常性格の男たちですから、必ずしもそれが正しいとは言えない。実情はどうなのか、それからほんとうのことを、今度私は非常に残念に思いましたのは、素朴に自分たちの不満をぶつけるということなら、私は若い人たちにありがちだと思うのです。ところが弁護士がうしろについてきておる。あの自衛隊の門で要求書や声明書を読み上げるときにも、一々小西裁判の弁護人が指図をしておる。もう一人うしろに演出者らしき指導者がおる。しかも制服を返せという現地部隊長からの連絡、呼びかけについては、弁護士から制服はいましばらく返すのはおくれるが了解してもらいたいなんていうような話が返ってくる。ここらあたりはいかにも仕組まれたものという形が歴然でありまして、残念に思っております。もっと、本来なら若い者は若い者らしく、率直、素朴に自分たちの主張を訴えるということならば、これはまた、その点大いに傾聴に値するものもあろうかと思いますが、仕組まれ過ぎておるという点は、これはひとつお含みおきを願いたいと思います。
  382. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決を行ないます。  沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  383. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  384. 町村金五

    ○町村金五君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自民、社会、公明、民社の各党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、附帯決議案を朗読いたします。    沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について配慮すべきである。  一、軍基地の存在が、冲繩の振興開発および民生安定に多大な支障を及ぼしている実情にかんがみ、これが整理または縮小について早急に検討し適切な対策を計画的に講ずること。  一、基地周辺対策については、地元の意見を十分に尊重するとともに、民生安定施設に対する助成は、できるかぎり十割の補助率とすること。  一、講和前の人身損害に対する見舞金については、本土の被害者を含め更に大幅な改善に努めること。  一、軍関係被用者の雇用安定について適切な措置を講ずるとともに、第四種被用者に対する見舞金の支給については、既定予算に更に五千万円を下らざる額を上積みすること。  右決議する。  この附帯決議案の趣旨は、案文及び質疑の過程において明らかでありますので、御説明は省略させていただきます。
  385. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 別に御発言もなければ、町村君提出の附帯決議案の採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  386. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 多数と認めます。よって、町村君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、江崎防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。江崎防衛庁長官
  387. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ただいまの附帯決議の御趣旨を体しまして、その実現に努力いたす所存でございます。
  388. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 審査報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  389. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  390. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、連合審査会に関する件についておはかりいたします。  公害等調整委員会設置法案について、公害対策及び環境保全特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  391. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  392. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十分散会