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水口宏三君 これは最後に
質問と申しますより私の危惧でございますが、現在すでに大企業が観光事業と称して土地の囲い込みをやっている、これはただでも軍事基地によって狭められた
沖繩の土地が、観光事業の名目のもとにどんどん囲い込まれていく、これは非常に危険だと思います。これは将来の基本的な
沖繩の経済
発展にとって軍事基地に次ぐ大きな阻害要因になるおそれがある、これらの点については厳に戒めていただきたいこと。
それからもう
一つは観光というものはいままさにお話のあったように、熱海に行くのが観光ではないんであって、むしろ
沖繩の風土あるいは
沖繩の
文化、そういうものが保存され、そこに行くことが私は本来の観光だとするなら、いたずらに大会社の観光事業というものを奨励するようなことは、それが行き過ぎになるようなことのないように厳に戒めていただきたいと思います。これは私の意見でございますので、御答弁は必要といたしません。
次に、それではいまの過渡的な観光
産業についてその点御留意いただければ、当面重要な課題だと思いますが、何といっても私は、さっき
岡部さんの御答弁にあった第一次
産業、第二次
産業を変身さしていくということが大事だと思いますが、この中でも特に農林水
産業の問題について少し伺いたいんでございますけれ
ども、これはまあ私もちょっと
沖繩へ行って私
一つ感じたことは、よく
沖繩の地主地主という
ことばを使うんですね、今度にしても軍事基地の使用のために地主との契約云々、地主という
ことばは、それはわれわれまあ年寄りだからあるいはそう思うのかもしれませんけれ
ども、土地を持っていて人に貸してむしろ生活をしている人という印象が非常に強いんです。ところが
沖繩における地主というのは、これはむしろ
本土でいえば小作農だったんですね。非常に小
地域の土地を持って、その上で自分が農業をやってそうして生活をしてきた
人たち、この
人たちは、それは確かに土地を持っているのだから地主といえば地主でございますけれ
ども、本来地主ではない。非常に零細な小作農が非常に多かったわけでございますが、それが事実上土地を取り上げられて農業を放棄せざるを得なかった、それだけではなしに、すでにもう基地ができてからでも
沖繩県における県民所得の面から見ると農業所得というのは非常に減っているわけであります。六一年が一七%、六五年が一五%、六八年が九・七%。言いかえれば
沖繩の農業は現状においてもどんどん後退をし衰退をしている、そうして
唯一残っているのがこれはパインでありあるいはサトウキビというモノカルチュア、しかもこれも価格の面からいくと
本土からのさまざまな援助でもってかろうじてこれを維持しているのが現状だと思うんです。
したがってこういう農業というものは基本的には零細性にもちろん問題がございます。そうして
これは農業の停滞を呼び起こし、現実に停滞ではなくて、後退を続けて当然労働力が流出していく、そうすると農家としては兼業をしなければ食べられない、兼業すればどうしても農業管理は不十分になってますます農業の生産力が低下をする、そうすればさらに何といいますか、新しく農業の規模を拡大するとかあるいは施設農業をつくるための資本が失われていくとか、とたんにまたもとの農業に返る、いまやもうちょうど石をころがすように
沖繩における農業というものはむしろ後退しつつある、衰微しつつあるのが現状だと思うんです。
たまたま
本土における農業問題もこれに似た形を持ちつつある、すでにまあいままでは兼業農家は第一種兼業、第二種兼業といっておりますが、第二種兼業についてはそうではなしに、むしろ土地持ちサラリーマン——農家ではないんですね。
沖繩の場合には
本土以上にこの基地経済によってこういうことが非常に急速に進められ、そういう悪循環におちいって、本来農業で生活をし、農業が
産業の基盤であった
沖繩というものが全く変貌しつつあるわけでございますけれ
ども、こういうものをどう一体転換さしていくのか。これは農林省の方おいでになりましたら先ほ
ども申し上げました四十七年度の予算とからめてこの悪循環からの脱却について将来展望を簡単にひとつお述べいただきたいと思います。