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1972-05-09 第68回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月九日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員の異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     山崎  昇君      神沢  浄君     上田  哲君  四月二十七日     辞任         補欠選任      足鹿  覺君     工藤 良平君  五月八日     辞任         補欠選任      工藤 良平君     足鹿  覺君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 田口長治郎君                 土屋 義彦君                 長屋  茂君                 細川 護熙君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        沖繩北方対策        庁長官      岡部 秀一君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        通商産業省企業        局参事官     田中 芳秋君        通商産業省公害        保安局長     久良知章悟君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        外務省アジア局        外務参事官    中江 要介君        通商産業省公害        保安局公害防止        指導課長     松村 克之君        通商産業省鉱山        石炭局石油開発        課長       花岡 宗助君        通商産業省公益        事業局業務課長  田中誠一郎君        建設省計画局技        術調査官     三浦 孝雄君        建設省計画局宅        地部宅地政策課        長        関口  洋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩開発庁設置法案(第六十七回国会内閣提  出、第六十八回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  沖繩開発庁設置法案を議題といたします。  御質疑のあるお方は順次御発言を願います。
  3. 鈴木力

    鈴木力君 まず最初に、総務長官にお伺いいたしますが、いよいよ五月十五日が、沖繩復帰をする日にきまりました。それぞれ準備を進めているところでございます。ただ、私がここで総務長官に伺っておきたいのは、五月十五日が沖繩復帰をする日にきまったけれども現地では必ずしもこれを歓迎するといいますか、喜んで迎えていない層がある。まあ喜んでいる人もあるし、喜んでいない人もある。私はおそらく復帰そのものについてはみんな喜んでいるだろうと思うけれども、喜んでいないという意味は、復帰するそのこと自体によって、将来にさまざまな不安を持っておる。そういう表現が正しいだろうと思います。それで、そういうまあ不安感といいますかね、沖繩県現地不安感というものを担当大臣としてどのように分析をされ、把握をなさっていらっしゃるのか、それから伺いたいと思うんです。
  4. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは政府全体の問題として、私の所管外のことでもありますが、返還協定そのものに対する不満というものもあります。  それから、防衛庁において久保カーチス協定に基づいて沖繩自衛隊が駐留することについて、自衛隊配置することについての、沖繩の第二次大戦の末期から遮断された、いわゆる自衛隊に対する、全然本土における警察予備隊から今日まで至った過程における、賛否は別にいたしまして、理解というものが全くないまま短絡する現象というものに対する不安、心配、動揺というものもあると思います。  さらに、経済問題で一番大きな不安は、やはり昨年の八月のドルショック円変動相場への移行、年末の円の切り上げ、これに伴って、沖繩県民の直接には賃金あるいは手持ちの金、これはまあ十月九日、昨年十月九日やりましたドル・チェックによって、おおよその大半のカバーはできておると思いますけれども復帰前に三百六十円でもう一ぺん交換してくれという要望に沿い得なかったこと等について、生活の中に物価とかいろんな賃金等の問題、あるいは企業経営等の問題の不安感が非常に大きいと思います。内政上の大きな問題としては、やはりこの円の切り上げに伴うものが一番大きな各界各層を問わず共通した心配になっている点であろうと思います。
  5. 鈴木力

    鈴木力君 まあ具体的にいま総務長官から三点の説明をお伺いいたしましたけれども、私はやっぱりこの法案審議するにあたりましてですね、いわば沖繩復帰したあとの内政的な総仕上げと言ってもいい法案でありますから、したがって、このいま指摘をなさったような現地県民の不安をこの法案審議を通じましてできるだけ解消して、もうその不安、あるいは政府側に言わせれば現地は誤解しているというものもあるかもしれませんし、そういう面を総ざらいしながら、安心をさしていくという方向で審議をする任務がある、こう思っておるわけです。そういうところから、これからいろいろお伺いをしてまいりたいと、こう思います。  それで、まずその第一は、私は、いま総務長官がおっしゃったような点は、具体的な確かに不安を与えている問題だろうと思います。なお、そういう問題よりもう一歩さかのぼってみますとですね、今日までの日本政治姿勢といいますか、そういう基本的なものが何かありはしないだろうか。たとえば現地なら現地法律では、いろいろいい文章も使っているし、文面では何ら文句のないことであっても、実際にやっていることが文面どおりでないという把握現地で相当ありはしないか。そういう点も感ずるんです。  それで、具体的に一つ伺いたいのは、五月十五日に復帰記念式典が行なわれる。ところがこの記念式典の次第からが、現地政府側との間には相当大きな評価のずれがある、こういうふうにどうも私は感じられてならない。そこで、この記念式典あり方、実際はどういう計画で、どういう準備ができているのですか、ひとつ伺いたいと思います。
  6. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは琉球政府と完全に相談をして進めておりまして、その協力を得ながら、現地式典準備を進めております。これに対しては、やはり祝典ということを通常は使うでありましょうが、先ほど冒頭に言われましたような事柄も踏まえ、あるいは、やはり沖繩県の出発にあたっての厳粛な行事にしなければならないというような気持ちから、式典ということにいたしまして、きわめて簡素な形でとり行なうことにしておる。  東京会場が主会場となり、那覇における会場が第二会場みたいになるわけでありますが、これは日本政府主催によるものでありまして、東京会場にはアグニュー副大統領が参りますことは、すでに御承知のとおりであります。  現地においては、政府主催でありますけれども米側からもやはり初代総領事出席をするということになっておりますので、現地における政府式典主催者は私ということになるわけであります。したがって、きわめて厳粛簡素に行ないますので、すべての戦没者、あるいは復帰を待ち望みつつ、復帰の日まで生きることができなかった、なくなられた方々も含めて、黙祷をまずいたします。そして式典はおおむね四十分前後で終わる。きわめて簡素にして厳粛なものにしたいということで双方の意見は一致して、何のトラブルもございません。
  7. 鈴木力

    鈴木力君 事の適不適は別としましてですね、たとえば本会場東京会場からなま放送をする。そういうものもあわせて式典の中に組み入れるということについて、何か私の聞いているところでは、現地側のほうではいろいろな配慮もあるために、一部はなま放送からカットしてほしいという申し出があった。しかし総務長官がせっかくいろいろ放送施設や何かも準備したので、いまさらこれをカットできないといって強行したというような、こういう話も伝わっておる。これは根拠がある話かない話か私にもよくわかりませんが、そういう形の経緯があって、県は県主催で午後から別にやる。こういうふうに、だから、県主催記念式典は別にやるんだから、まあ政府主催はまかしておいて、さからわずに冷ややかな目で見ている。こういう言い方沖繩現地あたりにはあるようであります。これらの点については、全くそういうことがないと総務長官は信じていらっしゃるわけですか。
  8. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一部そういう報道がなされたことは私も承知しております。しかし、私と琉球政府との間の話し合いでそのようなことは一ぺんも話は出ておりませんし、また、これは——保守革新のことを言ってはいけないのでありますけれども琉球政府革新主席であり、その立場を守っておりますから、琉球政府が合意しないような問題は、私が押しつける——政府式典であっても押しつけるというようなことがかりにあるなら、すぐその日のうちにばれると私は思います。したがって、そのようなことについての議論は、問題として提起されなかったということが事実であります。  それから、午後琉球政府がやります式典というのは、これは沖繩県の発足の式典でありますから、琉球政府復帰の日の沖繩県というものが主催をいたします別な行事であります。これは、私は来賓として招かれておる、総理大臣の代理でありますけれども。そういうことでございます。
  9. 鈴木力

    鈴木力君 この点については、別にどうこうとあまり議論すべき性格のものではないと思いましたけれども、私があえていまこのことに触れたのは、どうもスタートからこういう違和感があるというように伝えられたままスタートをするということがきわめて遺憾なことであると思いましたので、それで、いまの記念式典あり方についてもちょっと伺ってみたのです。まあ総務長官のいまの御答弁で、一切そういうことがない、ただし一部報道されたことも事実だと。そういたしますと、やはりこれからの諸問題につきましても、せっかくの善意と誠意というものと、受け取られて報道されたそのものとの間にやっぱりズレを生ずるということがあっては、今後にさまざまな問題を、また進むべきものもブレーキになったり障害になったりすることがあるだろうと思うから、お互いそういう点は相当慎重に扱っていくべきものである、こう考えて伺ったまでであります。  そこでもう一つ、基本的に、沖繩が、かりにいま総務長官お答えになられたように、何ら他意もなければ、そしてしかもきちんと琉球政府本土政府との間に話が通じておっても、何となしにどこからか雑音みたいに違和感がかなでられるという議論は、私は、多少抽象的な言い方ですけれども沖繩県人たちが今日まで復帰を望んでおった気持といいますか、心情と、それから本土政府復帰をしようとしてきた一つあり方、いき方との間に、これにやっぱり何かズレがあったのじゃないですか。これは現在もあるんではないか。  一つ申し上げますと、まあ私の感じでは、これは感じと申し上げたほうが一番正確だと思いますが、私も沖繩県に参りまして、沖繩県民人たちと多少の交流は持ったり、いろんな意見等も聞いた経験を持っております。そういう中で私が感じておりますのは、沖繩県人たち復帰運動を今日まで長いことずっと続けてきた。それはやはり、何といっても、アメリカの軍政府支配下にあって、その中で、日本憲法生活に取り入れよう、沖繩県憲法をどうして取り入れ、憲法の社会をどうして築いていこうかということが、いわば復帰運動の本質ではなかったかというふうに感ずる。ところが、本土側のほうはどうかと言いますと、憲法の問題は、沖繩県県民考えているような状態で憲法そのものが扱われていないのではないか。そこからいろんな問題がスタートしているのではないかというふうにどうも思われてならない。  たとえば、まあこれはこの間長官がもうすでに取り消されたことでありますから、なかったことでありますけれども沖繩担当大臣である山中総務長官が、国会で、現在の憲法押しつけ憲法であるという旨の発言をされた。これはまあ取り消しになっていますから、私はその発言したことをいまどうこうと言うつもりはありません。しかし、私もその一人であり、沖繩県人たちも同じ気持ちだと思いますけれども総務長官は、ことば取り消したけれども頭の取り消しはできないのではなかろうかと思っておるわけですね。そう思ってしゃべった。しゃべったことは取り消した。しかし頭だけは取り消しにはなっていないのだ。これは取り消すことがなかなか容易なことではないだろうと思う。そこに一つ不安感があるだろうと思う。  ついでだから、もう一つ私は申し上げますが、これも取り消されたことばですから、どうも取り消されたことばを使うのはまことに時宜を得ないことでありますけれども、頭と思想は取り消しになっていないだろうという前提でひとつ伺うのですけれども、はしなくも長官がこの内閣委員会で、「私ら」ですか、「私ども」ですか、の複数のところの説明のときに、自民党の党員として、自民党方針を意識してそういうことばを使ったという——正確かどうかわかりませんが、そういう趣旨の御答弁をなされておったわけです。ところがそれが、憲法記念日になりますと、政府主催憲法祝賀行事——いまさら祝賀でもないと思いますが、憲法記念行事は、依然として、野党や国民大衆が希望しておる政府主催行事一つも行なわれなかった。  それからもう一つは、何ですか、自主憲法制定国民会議という会議が行なわれているんですね。憲法改正会議が行なわれている。そこで自民党憲法に対する政策発表され、いろんな決議が上げられた。そうしますと、取り消された山中長官憲法に対することばが、取り消されているはずのものが、こうした一連の中でもう一度生き返ってきた、こう私は見ざるを得ないし、現地人たちもそういう見方で本土の政治的な動きを見ているのではなかろうか、私はこう思いますが、少し自分考えをしゃべり過ぎましたけれども総務長官のひとつ所見を承りたいと思います。
  10. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めに、先般の内閣委員会水口委員の質問に対して、ちょっと私のほうが連絡が悪くて無用の答弁をいたしましたことをおわびいたします。  そのあと取り消しいたしましたのが正確でありますし、ことに沖繩人たち憲法に対する基本的ないわゆる原点という立場から見て、担当大臣の私の発言というものがもし沖繩側に影響を与えたということがあればたいへんなことであります。したがって私としては、憲法九十九条を国務大臣として何ら異論なく順守するということをあらためて申し上げさしていただきます。
  11. 鈴木力

    鈴木力君 自主憲法制定国民会議行事についての所見はどうですか。
  12. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ありません。
  13. 鈴木力

    鈴木力君 私はそこに、沖繩人たちが、復帰に対しての不安があるだろうと思います。確かに、ありませんとお答えするほうが一番無難だと思う。しかし、少なくとも自民党政府を代表して、沖繩復帰の問題の担当大臣が、自民党——これは言っていいのか悪いのかわかりませんけれども、現総裁の御令兄が会長をやっていらっしゃるこの会議、そこにあなたの所属している自民党憲法に対する基本的な考え方が発表になっているわけです。こういうことを、いま憲法原点として考えている、その原点を理解されている長官が所属している政党が、そういう人たちによってこういう行事が行なわれており、これが全国的に伝わっておる、これに対して所見がありませんと答えられるその態度ですね。これに対して沖繩人たちが、基本的に復帰をすることに——することは望んでいると思いますけれども不安感を持っておる、こういうふうに思いますけれども、もう一度ひとつこの点についての所見を承りたい。
  14. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) じゃ、こういうふうに言います。国務大臣として、そのことについて言及することは差し控えたいと思います。
  15. 鈴木力

    鈴木力君 まあどう答えても中身は同じことですね。言及することを差し控えたいというとなおさら誤解を大きく広げることなんです。考えはあるけれども、いま変なことを言うと、大事な時期だから、言及することは差し控えたいと、こう答えると、ますます山中総務長官憲法感覚というのはどこにあるのかわからぬ。要するに、たとえば私は一言で申し上げたいのは、先ほど長官が、沖繩復帰をすることに不安感を持っている一つの要素の中に、たとえば久保カーチス協定による自衛隊派遣云々ということがありましたですね。それは私は確かに長官指摘のとおりだと私も思うんです。そういうことを把握しておりながら、私がいま言いましたこの武道館での大会でこういう宣言をしておる。これは私は新聞の記事だけでそこの現地に行っておりませんし、正確な宣言文章は持っておりませんからあるいは不正確かもしれませんけれども大会は、天皇は日本国を代表し、国民は国に忠誠の義務を負う、自主防衛力を強化し、自主憲法を制定する、この決議を行なったと、こう書いてある。こうなってまいりますと、沖繩県がいま復帰に伴う、長官がみずから認められた不安を抱いておる。非常に動揺していると言っていいかもしれませんが、そのところに焦点を当てて、これが刺激をしておる。そう思いませんか。
  16. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は一切そういう催しに、過去にもタッチしたこともありませんし、今回もそういうことに関係ありませんので、先ほどの答弁を繰り返さざるを得ないわけであります。
  17. 鈴木力

    鈴木力君 まあそのおっしゃる気持ちはよくわかりますから、これ以上追及してどうこう言うつもりで私は申し上げておるのではもちろんありません。しかし、少なくとも状況証拠でということになりますと、いまの長官お答えでは、私が持ち出した疑問は国民的には解消しない、これだけははっきりと長官、認識なさるべきです。  つまり、もう一度繰り返して、くどいようでありますけれども、申し上げますが、長官みずからが取り消しことばを使って申しわけありませんが、押しつけ憲法だとこうおっしゃる、これは取り消された。しかしそれが、もう一つあの場で取り消されたことばの中に「ら」ということば自民党を意識したんだということがあった。それから何日かたたないうちに、自民党長官ことばを裏づけるようなことを堂々とやっていらっしゃる。このつながりは、答弁はむずかしいでしょうからなさらなくてもいいと思いますけれども、しかし答弁をなさらなければなさらないだけに、国民はこの点についての疑惑が晴れたとは思わない。沖繩県民人たちがさきに指摘をした不安というものは、いまの長官の御答弁によっては、消えるということではなしにむしろ増加していくだろう、私はこう思うんです。いかがですか。  それでは、御答弁くださらなければ、私は、やはり長官は、主催自民党主催ということではなしに自主憲法制定国民会議という会議主催です。そしてこの会長岸信介とおっしゃる方です。ただ、自民党憲法改正に対する基本方針をここに説明をしているわけですね。だから手続的に、自民党主催でないから知らないという長官の御答弁は成り立つわけです。しかし国民的な目から見ると、状況証拠は明らかです。あなたの所属している自民党稻葉会長がその会場へ行ってそういう方針発表をし、おそらく満場の拍手があったと思うんです。しかも、ついでだからもう一つ申し上げますと、ある新聞囲みですけれども、その会場の片すみでは、動員されたある御老人の方がお車代をそっと計算をしている図も見えた、こういう、一方に囲みが出ているわけです。しかし、いま憲法に対して国民感覚は非常に鋭いんです。そして、憲法改正という問題については国民は非常に危機感さえ持っている。沖繩県人たちが一番持っているわけです。一番強いわけです。そういうときにこういうことが出てくるということは、長官がさっき私に御答弁くださいましたように、関係のない団体がやったことであるなら、いま長官沖繩問題で苦労しておる、現地政府とのズレを埋めようと努力をされていらっしゃるなら、その立場からは、そういう行動、そういうことを行なわれることは遺憾であるという答弁がどうしても出なければいけないと思うんです。それが遺憾であるという答弁はどうしても出ない。関知しない、あるいは言及を避ける、こういう答弁に終わっておる。ですから、私はこれ以上長官を責めたり、あるいは長官からどうこう御答弁をしろとは責めません。言いません。ただし、このやりとりによってでも沖繩県民の不安は消えないであろう。沖繩県民復帰を目前にして不安感を持っている、基本的な点はここにあるということだけはよく聞いてもらいたい、こう思います。私の申し上げること、理解できるでしょうか。
  18. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 理解いたします。
  19. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、こういう抽象的なやりとりをしておっても進みませんから、具体的にこれから若干のことを伺いたいと思います。  総務長官が今日まで沖繩復帰責任者として復帰のために準備段階としていろいろと御苦労をなさっていらっしゃる、このことについては私どももよく承知しております。現地からもいろいろな要求もあります。その要求を満たすべく、いまの基本的な問題は別としても、具体的な問題についてはずいぶん努力をされていらっしゃる、そのことも承知をしております。それで、最も大きな、さっきもおっしゃいましたドル問題、あるいは公務員配置、あるいは労働者賃金、あるいはドルの切りかえその他の施策等についての現地からの要求がたくさんあるわけですが、そのうち——具体的にちょっとお伺いいたしますが、まず一つは、復帰に伴っての職員配置公務員配置ですね、これは進行状況はどうなっておりますか。
  20. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは法律が通っておりませんので、ことに開発庁設置法が通りませんと、大口の引き受け先法律上はまだないということでありますために、非常に苦労をいたしております。率直な話であります。しかし、反面また、現在琉球政府職員であって、職責あるいは自分の過去の経歴等で、おそらく国家公務員自分は移ることになるだろうと大体予想がつく人たち、あるいは県職員に残るであろうと思われる人たち、そういう人たちに早く見通しをお示しいたしませんと、これは個人個人の重大な問題でありますので——当初国家公務員移行の空気がきわめて低調でありました原因を調べましたところ、この大事な問題を前にして、国家公務員に一ぺんなってしまうと、極端に言うと辞令一本で北海道に飛ばされるというようなことも起ってくるんだというようなこと等が心配のもとだったという話を聞きまして、したがって、私のほうで、本人の意思に反してそのいう沖繩県の行政区域外に国家公務員であっても配置がえするようなことはないんだということを言いまして、必要なら一札も出そうということも言いましたけれども、そこまでは及ばないということで、その後順調に推移をいたしております。したがって、先般私どものほうの砂田副長官を当委員会の理事会に使いに出しまして、いろいろ御懇談をさしていただきました。まあ委員長一任というようなことでございましたために、私のほうで現地のほうに一応の名簿をお示しすることが可能になりましたことを感謝します。それによって、琉球政府側も非常に順調にいまその作業が進んで、最終的な段階の落ちつきになりつつあるというふうに聞いております。  なお、何人をどこにというようなこまかな御質問でありますれば、別途また御答弁いたします。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 断わっておきますけれども、私は法律が通る前に作業するのはけしからぬというような、そんなことを申し上げるつもりは全然ありません、事柄の性質上から言いますと、一つの想定に従っての準備活動ということが当然必要でありますから。それからまた、ここでどこへ何人というこまかい数字を伺うというつもりもありません。ただ、たとえば琉球政府職員なり市町村の職員なり、そうした職員の身分移管というような問題もあるだろうと思う。まずそうしたような問題やら、あるいは出先に対してあらかじめいろいろ作業なさっていらっしゃるので、何も障害がなくて予定どおりいく見通しがはっきり立っておるのか、あるいは何かいまでもなお障害になっておることがないのか、そのことを伺いたかったわけなんです。
  22. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはやはり給与の問題で、現在の琉球政府職員の給与体系が、年齢の若いほうが高くなっておりますこと、したがって一一・六%ぐらいの人たちが、本土の学校卒業からの年次を当てはめていった場合に相当する等級・号俸等に比べて向こうが現在高いという場合に、差額手当を支給する場合の計算方法、こういうようなもの等で最近までごたごたした事実はございます。これはまあ大蔵省の言い分があったわけでありますが、その問題はすでに片づいておりましたけれども、問題は、差額手当を五年間でなしくずしにしていくそのくずし方について、率直に申し上げましてきのうまで実はかかりまして、たいへん現地では、きょうからスト突入という態勢まで官公労の皆さんが態勢を整えざるを得ない状態が、これは人事院と大蔵省と話し合いの過程でございましたけれども、これもきのう昼過ぎに、大蔵省と私のほうとで話がつきまして、解決をして、予測し得ない事態、あるいは復帰直前における行政の混乱ということも避けられましたので、その点がきのうまでかかったことをおわびいたしますが、大体解決をしたものと思います。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 給与の切りかえについての御答弁を伺ったわけですけれども、その給与の切りかえも伺いたいと思っておりましたが、給与の切りかえではなしに、異動の発令をなさらなければいけないわけでしょう。その異動の発令——まだ発令はしていないと思います。これは準備の段階だと思いますが、その異動の発令をする場合の障害点とか何かなしに、ほとんど全部それは作業が済んだのかどうかをまず伺いたい。と申しますのは、率直に申し上げまして、何か琉球政府側のほうから一つの案を持ってくる。受け入れる本土側のほうは、年が合うとか合わないとか宙に浮いている人が何人かあるという話を実は私が耳にはさんだものですから、そういう問題が解決したのかどうかということをまず伺いたかったわけです。どうですか、その点。
  24. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは確かにその過程においてございました。たとえば、かりにこの法律を通していただきますと、沖繩現地の総合事務局に現地琉球政府の技術者等を受け取っていいんでありますけれども、しかし琉球政府の中の技術者の層が薄いために、そういう人たちは逆に県庁職員として残したいというようなこと等で、やむを得ず本土派遣職員に切りかえるというようなこともございます。また、女子職員等をよけいとってくれというようなことがありまして、また出先としても、女子職員は一定の量というようなこと以上に特別な技能を持っていない以上はなかなかとりにくいというようなこと等もございました。また、総数の中で復帰前に勧奨退職をしたいという希望者、これは琉球政府がさせるのじゃなくて、御本人たちも百分の三百の現在の琉球立法による退職金がもらえればやめたいんだという希望者、これらの人たちについてはその措置を財源上いたしましたために、大体引き継ぎは数の上でも取りこぼしはないようになりました。一部琉球政府のほうから名簿が出ておりませんでした施設庁の出先の職員、これは私の直接の担当ではありませんが、これも現実には希望者がございまして、したがってそれも、琉球政府の出した名簿にはありませんが、現実には、現在の琉球政府職員で希望者が充当されたというようなことを聞いておるわけであります。大体順調にいっていると思います。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。  そこで、いま長官から、その場合の公務員賃金の切りかえについて解決をしたという報告を伺いました。これは人事院と大蔵省が協議をなさったということでありますから、この給与の切りかえ方法についてほぼまとまった案といいますか、それを人事院のほうから伺いたいと思います。
  26. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 琉球政府職員につきまして、約六千人が国家公務員になるわけでございますが、それと並行しまして地方公務員になる方々につきましても、両方合わせましてこちらの新しい俸給表に移りかわった場合に何等級何号俸になるかという点の格付けをやっていたわけでありますけれども、その格付けの作業が約四カ月ほどかかったのでございますけれども、結局方針といたしましては、最初から、琉球政府に入りました時期をこちらのほうの公務員になった時期というふうにいたしまして、それから昇給昇格をしていく、こういう経過をたどったら何等級何号俸になるかということで、結局本土公務員の俸給表を最初から適用したならば何等級何号俸になるかという形で計算をいたしまして、その結果、大体の概略でございますが、三百六十円で計算をいたしますと、最近のベースアップ八・六%以前の状態におきましては上がる者が約半分、下がる者が約半分という状況であったのでございますが、それに昇給時期の調整を加えまして、上がる者を八割、下がる者が二割という状態にいたしたわけでございます。そして、その下がる二割の職員についての差額手当の関係が問題になったという点がございます。  それから第二の関係は、最近、先週行なわれたのでございますけれども、八・六%のベースアップが行なわれましたので、これによって向こうがまた額が上がったわけでございます。これを三百六十円で計算をいたしますと、それによって下るという状態になる方が約七割に増加をいたすわけでございます。そういうことで、八・六%の最近のベースアップ以前の状態において約二割の方、八・六%の上がった状態におきまして約七割の方、こういう方々が下がるという状態になりましたので、急激な変動を防止するという意味合いで、その差額の手当を支給するということにいたしたわけでございますが、その差額手当はだんだんに取りくずしていくということになりまして、できるだけ早く本土公務員と同じ状態にするということにいたすわけでございますけれども、最初の二割の方の差額手当をかりに第一差額手当というふうにいたしますと、この差額手当につきましては大体五年間でくずすということにいたしまして、一万円以上の差額を持っている方については二千円以上ということになるわけでございますが、五分の一ずつということ、それから一万円以下の方々につきましては二千円ずつ毎年くずしていくということによりまして、この差額を解消していくということにいたしたわけでございます。それから最近行なわれましたベースアップの八・六%の分につきましては、約七割の方が下がることになるわけでございますけれども、その関係は三年間でくずしていくということにいたしまして、昇給額の三倍以上のものにつきましては三分の一でくずしていく、昇給額の三倍以下のものにつきましては昇給額でくずしていくということにいたしまして、これは三年間でくずすというふうにいたしまして、そして前者の関係、五年間にくずす分につきましては諸手当の基礎にいたしますし、三年間でくずす分につきましては諸手当の基礎にいたさないということにいたしまして、その両者とも、昇給、ベースアップに関係なく毎年四月にくずすようにするということで、向こうの琉球政府公務員組合の方々の御要望をいろいろ承って、そういうことで向こうのほうとしては非常にけっこうだというような状況でございまして、きのうそういうことで人事院としてはきめたいということを主計局のほうと相談をしまして、そういう方針のもとに規則をいま検討しておるという状況でございます。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 大体わかりました。そうすると、いまの給与の切りかえにつきましては、もうあとは規則をつくるという作業が残っているだけと、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。——じゃ、わかりました。  それから、これは人事院ですか、総務長官のほうかもしれませんが、退職手当てのほうはどうなっておりますか。
  28. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 退職手当は、期間の継続等その他一切の措置をとりまして、これはすでに合意をしておりまして、本日の閣議で、その準備として一応政令案件として処理をいたしておりますが、これは準備のためでございます。
  29. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 人事院総裁と尾崎給与局長はよろしうございます。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つ長官に伺いたいんですが、退職手当と直接関係がないみたいですけれども沖繩労働者にありました、また公務員にもあったと思いますが、例の有給休暇の買い上げの問題ですね、これは前から問題になっておったわけでありますが、これの処理はどうなっておりますか。
  31. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもうたびたび答弁を繰り返しておりますように、国家公務員になる、あるいは地方公務員になるにしても、そういうものが復帰後も続く、権利として本人についていくということはなかなか退職の際とかその他いろいろ問題が起こる可能性がございますが、そのことはできかねることであるので、琉球政府とも、合意はいたしておりませんがやむを得ないということになって、そのかわりに、これも人事院規則でありますけれども、その有給休暇の行使を、五年間といっておりましたものを官公労、それから琉球政府の要請で十年にしてほしい、それによって落着しようという話でございまして、最終的に十年で消化していくという人事院規則の特例ということで、その意味では合意に達したということであります。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 これはいま私は非常にむずかしい問題があるだろうと思いますけれども、確かに本土には買い上げ制度というものがないんです。それを将来に持ち込むことはむずかしい、それはよくわかるんです。ただ、十年間でいま持ち越しておったものを消化させるという人事院規則をつくってやる、それは合意に達したといえばそれでいいというふうにもなりますが、これはどうもこの点について、何といいますか、から手形みたいにならないか、と申しますのは、いまの公務員で、持っておる有給休暇を完全に消化をしておる人というのは数えるほどしかいない。おそらく国家公務員で、これは私、最近の統計は調べておりませんけれども、四、五年前のときには五〇%に達していなかったはずです、休暇の消化率が。それで、さらに沖繩で残しておったものを持ち込んできて十年で消化しますというのは、どうもこれは形の上でじょうずに切り抜けたという感じがしますけれども、むしろ逆に何日か、かりに二十日あるやつを琉球政府との交渉で十日なり三分の一なりにして値下げをしてでもそれを清算払いをしてしまうという方法はないのかどうか、こういう点を検討なさったのかどうか伺いたい。  なお、長官たびたび答弁したといいますけれども、どこで答弁されたのかわかりませんが、この内閣委員会ではきょうが初めてでありますから、念のために伺います。
  33. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはたしか沖繩北方対策特別委員会と予算委員会でありまして、質問者は主として喜屋武議員でございました。  そのことは別として、元琉球政府職員であった国家公務員、県庁の職員は別として、十年間の間ほかの職員より怠けてもいいという、そういうことは常道ではないと思います。したがって、復帰前もしくは復帰の時点において退職される方、それは現在の琉球立法の趣旨に沿って、権利として持ったまま退職されるわけでありますから、その買い上げというものは、財源的にもその処理することに必要なことはしてあるわけであります。しかし復帰した後、同じ職場で同じ待遇を受けながら、その権利だけは別途元琉球政府職員だけが持っているということはどうにもむずかしいものでありますから、その点をたびたび、これはもう二年ほど前から繰り返し答弁をいたしておりまして、ついそういうことを申し上げましたが、当委員会で初めてであるにしても、そのことについての意思は表明しておりましたので、でありますから、琉球政府側から言えば、これは本土政府が幾ら押しても妥協はしないだろう、また実際上研究してみてもきわめて困難な問題を含んでいるということで、先ほど申しました五年というものを十年に延ばしてくれということで、やむを得ず、という表現がいいだろうと思うのです、やむを得ず合意されたということだろうと思うので、私もこれが一番いい方法であったというふうには思っておりません。ほかに手段がなかったということです。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 まあ合意をされて終わってしまったということであれば、いまどうこう言ってもしようがないと思いますけれども、私はやっぱり復帰したあとにその権利があるないという議論をしてもそうたいした実りのあることにはならない。とすれば、あるものは清算払いをしてしまってすっきりしたほうがよかったのではないか。まあそういう気持ちを前から持っておったのでありますけれども、いまの御答弁でまあやむを得ない、よくわかりました。  ただ、これはことばじりをつかまえるわけではありませんけれども総務長官のいまの御答弁の中に、休暇をとるという行為を、なまけてもいいということじゃ困るというふうにおっしゃったですけれども、これはやっぱり、いまの有給休暇というものはなまけるという観念の中には入らないだろうと思いますから、もしそういう意味でおっしゃったとすれば、それこそ言い直しておかれたほうがいいのではないかと思いますが、いかがですか。
  35. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういう意味じゃないのです。これは権利として人事院規則で休暇の日数が定まっておるわけでありますから、それをこえて、琉球政府職員は十年間の間に、有給休暇であったものを、権利として持っておられたものを消化するために休暇をとっているということを、琉球政府職員であった者も同じ職場で一緒にやっているわけでありますから、権利であってもよけい休むということをそういう表現をしたわけで、そういうふうに受け取られては困ると私も思いますということを言ったわけです。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。  それで、あといろいろな問題がありますが、あまりこまかいことを一々時間かけてもあれですから言いませんけれども、このドルの切りかえもだいぶ作業が進んでいると思いますけれども、ただ、最終的に一般の労働者賃金もあるいは公共企業体の労働者賃金も、——一般といいますか、さきに申し上げたのは民間という意味でありますが、特に中小企業の労働者なんかの賃金が三百六十円レートの賃金としてほぼその見通しが出たのかどうか。あるいはその作業なり折衝なりを続けられているとすれば、そうした進行状況をひとつ伺いたいと思います。
  37. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず初めに、琉球政府側との話し合いでは四点について措置をいたしました。  第一点は、産発特会から十億、いわゆる読みかえのために企業が必要とする融資をする。  大衆金融公庫から七億六千万、融資を一種も対象として貸し出しをすること。  第三点は、金融機関だけの問題でありますけれども本土のほうはすでに千分の十二を限度とする貸し倒れ引き当て金の繰り入れ率になっておりますが、沖繩はこれを千分の十五とする特例を一年置くことによって、大体金融機関で当初日銀から百億預託してくれ等の意向がありましたけれども、これはメリットが三億円あまりでありますが、その措置をとることによって約四億あまりのメリットが出るということで、これまた金融機関としてはその問題は片づいたわけであります。  さらに第四点は、いわゆる企業のコストプッシュ要因としての賃金でありますから、収入の面でカバーし得る手段のあるところはカバーする。すなわち現在の琉球政府のもとにおける許認可料金等の読みかえを行なうことによって賃金を確保する。これはすでに本土との間の海運各社等においては、円切り上げと同時に一六・八八%の料金を引き上げたかわりに、賃金は三百六十円相当の確保がされておりましたので、そのパターンを踏襲するということの四点をきめておりましたが、それでもなお調査してみると、沖繩のすべてのいわゆる企業に従事し、働いておる勤労者二十二万のうち大体五割くらいというものが解消しておるようだが、どうしても残りが、やはりその問題として残っておるような感触が出てまいりましたので、衆議院の大蔵委員会において沖繩振興開発金融公庫法案の可決の際に付帯決議をつけられまして、その付帯決議を受けて、政府のとるべき措置としてその場において私が答弁をして、大蔵大臣がその旨確認をいたしましたが、八十億円以内において一年間の融資の受け付けでありますが、もちろん全部消化するつもりでやるわけでありますけれども、七年償還の二年据え置き、金利三分ということを決定をいたしました。大体この措置によって、これはできれば五月十五日、その日から受け付けを開始したいと思います。それによっておおむね賃金の切りかえのために必要な資金を融資するということでは、理論的にはつながらないわけですけれども、すべての企業というものが高金利の民間の借り入れ金を持っておりますので、それの借りかえその他の手段等が講ぜられることによって、おおむね読みかえの問題は解決するであろうという見通しが一応ついたと思っております。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 その場合の賃金関係はそれでほぼ見通しがついた。しかしこれは相当残りも出るであろうし、完全に落ち着くまでには時間がかかるかもしれませんけれども、いずれにしても、これはなお努力を願いたいということに尽きるわけであります。  もう一つドル問題で三百六十円から、いま三百八円でありますが、実際は三百二円くらい、もっと下がっているかもしれません。そのことの返還に伴う実勢レートの切りかえということ、交換ですか、これが行なわれることによってのさまざまな困難があると思いますが、そのうちで私が伺いたいのは、法人に対する差損補償という道を、いまどういう検討をされておるのか、あるいは具体的にどういう処置ができておるのか伺いたい、こう思います。
  39. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いま法人は最初から対象外とすることに、秘密の作業でありましたけれども琉球政府も異存はありませんでしたし、したがって十月八日琉球政府の緊急立法がなされました際にも、法人は対象外としてあります。それは自己資本比率が二〇%ぐらいでありますために、一、二のたとえば同族法人等で、きわめて質のいい会社等は、確かに負債、債権債務を処理してみても余裕が残ったかもしれませんが、沖繩経済全体として見ますと、相当の期間にわたって一定の条件で借り入れている金額を全部瞬間的に圧縮した総額と料金とを債権債務の相殺という形でやりますと、全部返済金のほうが、三百六十円というものがよけい残って、おそらくおおよその企業がひどい打撃を受けるだろう、これは両者の意見が一致したわけであります。別段企業保護ばかりでなく、これは労働者の保護の問題にもなるわけでありますから、その点は当初から意見は一致しておりまして、いわゆる法人の為替差損といいますか、切りかえに伴う給付金を支給する対象には入れない、これは初めからきまっておりまして、このことは沖繩でも問題は別段提起されておらないと思っております。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 企業をやっておる法人についてはそのことはわかるのです。私は企業と関係のない法人をどうするかということをこれから伺いたい。私も詳しいことを実は調べておりませんけれども、文部省の方は来てもらっておると思いますが、たとえば沖繩の教職員で組織をしておる沖繩県の教職員共済会というのがありますね。これは企業をやっていないわけです。そうして相当の預金を持っている。これが三百六十円時代のドルで預金をしておって、三百二円に下がるということになりますと、相当大きな損害が出てくるだろうと思うのですね。あるいは、これは教職員だけじゃなしに、自治体職員の共済会も沖繩にはあるわけです。いま言ったのはこれだけという意味ではなくて、これが一つの例なんです。こういうところの被害は私はばく大になるのじゃないか。文部省の方、いまたとえば教職員共済でいいますと、どれだけの預金があってどれだけの損失になっているかわかりますか。——それでは福利課の担当の方がお見えになっていないそうでありますから——私が知っているところでは、どうも多くを調べる時間がなかったものですから、たとえばいまの教職員共済会だけで言いましても、二百万ドルの損害になると、こう言っているわけです。そうするとあそこに教職員が約一万と少しいるわけです。一人当たりの損失からいってもばく大なものになる。それから官公労の共済会もほぼ同額ではないかといわれています。その他の共済会のような法人がある。まあ公立学校とかあるいは自治体という全国的な組織につながるものはそちらのほうで救済の方法があるかもしれませんけれども、こうした県だけにあるこういう企業と関係のない法人について、これを対象外だと言ってのけるには少し冷酷過ぎるのではないか、こういうふうに思いますけれどもいかがでしょうか。
  41. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、その議論は、単に人格なき社団等のみにとどまらず、やはり生命保険などもそういう議論が当てはまると思いますけれども、これは皆さんの合意をもって組合員もしくは会員として掛け金をしておられる。それに対して本人自体が直接自分の掛けた金を借りるわけじゃありませんが、その金を元にしてそれぞれまた貸し出しが行なわれておる。この関係をいわゆる三百六十円の掛け金とみなし、三百六十円の給付にするのかあるいは三百八円の掛け金とみなし三百八円の給付にするのか、このことは、その団体あるいは共済会等において相談の上きめられ、民間の場合と生命保険の場合とやはり同じだと思うのです。問題は、その法人が、いわゆる非収益団体としての法人がチェックの当時に持っておられた現金、これを理論的にいうならば何とかしてくれという話はございます。これは教職員共済会の場合は五十万ドルでございます。大体そういうことです。
  42. 鈴木力

    鈴木力君 この五十万ドルは処置したというんですか。
  43. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは処置できないということであります。
  44. 鈴木力

    鈴木力君 これは非常に重要なことだと思うし、非常に影響が大きいと思いますから、ひとつ調べてみていただきたいと思います。それはこの種の企業と関係のない法人で、十月の九日ですか、一般の預金の確認をしたのは。あれから対象外になって、その時点でもどれだけの損害があったのか、これは私はいま一つ職員共済だけを例にとったわけでありますけれども、相当のものがあるはずです。どういうものが一体どれだけあって、総額がどれくらいになるのか、これはあとで調べていただきたいと思います。それを伺いましてから、この問題の質疑はさらにまた機会をみて御質問を申し上げたいと、こう思うわけです。よろしいですか。
  45. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 法人あるいは人格なき社団、つまり琉球政府の昨年の十月八日の緊急措置法の対象になっておりません個人以外のものの現金は、まずこれは調べようがございません。また再びあの十月九日のような抜き打ちの提示をしないと不可能でございます。それから預金につきましては、法人の手持ち預金、法人の金融機関に対する預金というものが不完全ながら沖繩の各銀行の統計がございます。ただし網羅的ではございませんので、いま御指摘がございましたように、全体の額を調べよとおっしゃいましても十分にはまいらないと思いますが、これは統計上やむを得ないことでございます。
  46. 鈴木力

    鈴木力君 可能な限り。
  47. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 統計上法人預金として調べがつくものは調べをいたします。
  48. 鈴木力

    鈴木力君 そこで進みますけれども、この法案の具体的なところをこれから若干伺いたいわけでありますけれども、まず、この開発庁そのものの任務というのは、前の国会で通過をいたしました振興開発法ですか、あの法律と密接な関係があるわけでありますが、この開発庁を設置するという設置理由の中にもいろいろずっと述べられておりますが、その中で、たとえば「沖繩が戦争でばく大な被害をこうむり」とか、あるいはそういう沖繩の現状がずっと理由の中に述べられておる。そこで、そういう現状の中で、これらの県の基礎条件の整備をするということが開発庁の設置の理由の中に入っていると思います。それでは、この沖繩を開発をしていく基礎条件というのはどういうことをさしておるのか、まず伺いたい。
  49. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 沖繩が施政権下にありましたことの結果、渡航その他がきわめて円滑でありませんでしたための結果であろうと思いますが、もし沖繩が戦後ずっと本土の一県であったと仮定をいたしたら、おそらく過疎・人口流出県になっていたであろう。これは本土の一番近い九州各県を見てもそういうことが考えられるわけでありますが、太平洋ベルトラインのメガロポリスの吸収力というのは、過去十年ほど相当強いものがあったと思います。しかし沖繩の人口は着実に——若干の若年層の流出等が最近ありますけれども——ふえております。したがって、そのふえておりますことが復帰したことによって突然人口流出状態に変わっていくということが一番私ども心配をしておる点であります。沖繩の振興開発を描いてみても、その推進者、にない手がいないという沖繩にしてしまったら取り返しがつかないということでありますので、まず沖繩で基礎条件といえば、そのようなことにならなくても済むような国家的な政策の展開がなければならぬ。具体的には、やはり沖繩の今後の産業の基盤の整備の優先しなければならぬ点はやはり水と電力であります。これらの点は最優先で、まあ電力については国が九九・九%の出資をして沖繩電力株式会社を発足させますし、さらに水等についても福地ダムの完成はもちろんのこと、阿波、普久川、新川等の多目的ダムの早期完成のために全額国庫でやろう、石川浄水場も全額国庫でやろうということで急ぐわけでありますが、しかしその間にも、やはり現地における雇用事情を喚起するものがありませんと、それを間違って、企業が出ていって、そうして企業が雇用をするというようなことでは、流出してしまった人口を取り戻すことはなかなかたいへんでありますので、沖繩のためにいますでに準備をいたしております国体、あるいは大きなものとしては、御承知のように、昭和五十年の海洋博がございます。これに向かって相当な投資を国もあるいはまた民間もいたしまもので、これらの投資がおそらくそういう雇用に大きく貢献し、所得の向上に資することであろう。その間のつなぎの間に、海洋博が終わった沖繩はかんこ鳥が鳴くということになっては絶対にいけないことでありますから、その間を長期的な展望の準備期間として、着実に地場産業で人口が吸収できるよう、そういう努力をしていきたい、そういうことを考えておりますので、まあ一がいに言えませんが、ただいま申し述べましたような構想を前提としたものをただいま御質問になったようなことにあらわしておるつもりであります。
  50. 鈴木力

    鈴木力君 まあことばで言えばそういうことになる。それからねらいもそういうことだと思う。で、問題は、いま長官がおっしゃるような方向に沖繩の今後の開発を持っていくためにどういう障害があるかということが問題だと思います。確かに人口流出を防がなきゃいけない、そうして産業開発によって沖繩県民をそこに定着させなければいけない、そのとおり。水も電力も必要だ、それもそのとおりだと思います。ところが、そこで私が伺いたいのは、そのうちの二つだけ私は伺いたいと思います。これは総務長官に伺ったほうがいいのか、あるいはきょうたぶん通産省と経済企画庁にもおいでいただいていると思いますから、どちらかに伺いたいのです。  いま、長官がおっしゃったような沖繩開発の方向に向かっている中で、まず一つ私が伺いたいのは、企業の配置といいますか、まあ沖繩県側から言えば企業誘致ですね、この企業誘致計画といいますか、あるいは沖繩県にどういう企業をどう配置をしようと考えていらっしゃるのか、まあそういうプランがどこまでできているのか、まだこれからであるかわかりませんけれども、構想等があればひとつ伺いたいと思います。
  51. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあこれは沖繩を一ブロックと位置づけた新全総の作業、並びに沖繩振興開発計画の十カ年計画の確定作業、こういうことが逐次その輪郭を明らかにしていかなきゃならぬと思いますが、まあ今日までの過程を踏まえますと、沖繩に出ておりますもので一番目につくのは石油関係であります。CTS、精製あるいは石油化学等の声も聞かれますが、やはりもうここらが限度である。与勝政府立公園等は指定解除したというようなこと等も聞いておりますが、やはり金武湾の水産動植物等に与える影響等も無視できませんし、そうするとあとは、やはり同じ臨海工業であっても造船のような、あまり公害を出さないし、そうして非常に関連産業と雇用事情に貢献をするというようなものはやはり根強く、一ぺん川崎重工が断念したといっても、これはまあドルショックによる断念でありますから、単に特定の会社のみならずこれは進めていくべき業種であろう。すでに沖繩アルミは決定いたしておりますけれども、これはそう大きく雇用に貢献するものでもありませんし、松下電器等が内陸部の糸満にも準備をしておりまして、これもドルショックでなかなか出れない。これ等もどうしても出ていただくようにお願いをしたいと思いますが、復帰後いまのままでは、沖繩県内の活動が行なわれておりました一〇〇%外資のフェアチャイルド社が、本土の企業とフィフティー・フィフティーの資金による資本の合弁会社に切りかえるという作業を終わったようでありまして、まあこれで本土の企業に与える影響というものは、IC業界には大きいと思いますけれども、しかしそれが本土の電機産業の某会社と一緒になって日本の外資制限のもとでいくということでありますれば、現地において活発な活動をしてもらうことによって好ましい会社に変わるだろうというようなことを考えております。まあ短期的展望はそういうところだと思います。
  52. 鈴木力

    鈴木力君 通産省には調査ありませんか。最近の沖繩の企業の進んできた状況を調査したものはありませんか。
  53. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) ただいま総務長官からお答えがありましたような動向でございまして、現在のところ、やはり産業基盤等の整備をやはり急いでほしい、こういうのが企業の要望になっておるわけでございます。
  54. 鈴木力

    鈴木力君 まあ私が伺いたいのは、実は沖繩振興開発法のあの法案審議のときに、私が連合審査のときに、大体公害とそれから沖繩全体の産業開発、それらの関係からいろいろ質問をした記憶があるのです。その中で、やはりいま山中長官がおっしゃたような趣旨の御答弁をちょうだいしておったと記憶している。ところが、どうも私が沖繩で聞いた感じでは、そういう政府側の意図にかかわらず、企業のほうが企業なりにひとりで歩き過ぎているような気がする。それを通産省が調査なさっていないとすれば、どうもあのときに通産大臣が答えたきわめてりっぱな御答弁と、通産省それ自体がやっていらっしゃることとの間にどうも違うような気がするので、私はもう少し調査があるだろうと思って伺ったのですけれども、たとえば石油なら石油に限って申しますと、どういう状況になっているのですか。
  55. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 石油につきましては、現在御承知のとおり、中城は、エッソが月産八万バーレルの規模、それから東洋石油が二万八千バーレル、平安座島のほうに参りまして、ガルフが十万バーレルの石油精製を行なっておるわけでありますけれども、これらの復帰後の計画といたしまして、平安座島から宮城島のほうにかけまして石油のCTSを立地したいという計画が三社ほどあるわけでございます。すなわちその第一は共石とガルフ、いわゆる共石・ガルフの計画、それから第二は三菱開発の計画、第三はアラ石の計画、こういう形になっておるわけでございます。
  56. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、どうもエッソ東洋、ガルフと、まあこれは沖繩振興開発法の法案審議のころからあったんです。ところが、どうも最近、新聞なんかを見てもそうなんですけれども、いろいろな形で新しい石油企業が沖繩に進出をするという計画がもうどんどん、どんどん進んでおるということが伝えられておる。一説には、何でもシンガポールを上回る石油工場の基地に沖繩がなるんじゃないか、そういう見方さえ出てきているわけですね。そうしますと、いま御答弁いただいた、いまあげられた工場だけでも、大体それだけの工場でとどめるとして、沖繩県民労働者の労働力がこの石油工場にどれだけ配置されると見込まれますか。
  57. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) ただいま申し上げました三つのCTSの計画を見ますと、これはあくまで計画の構想段階でございますけれども、CTSといたしまして二百万バーレルという形の大きな計画を持ってきているのでございます。しかしこのような大規模な計画がよいかどうかにつきまして、琉球政府のほうでも今後検討をいたしたいという形でございますし、私どものほうといたしましても、先ほど山中長官からも申し上げましたように、公害関係の心配もございますので、本年度で金武湾を中心といたします公害総合事前調査の結果等を待ちまして妥当な規模にしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。したがいまして、規模等がまだ未確定、このように御了解をお願いしたいと存じます。
  58. 鈴木力

    鈴木力君 これはたとえば、たぶんいまの御答弁の中にも入っていると思うんですけれども、五月の十日に発足をする南西石油株式会社というものができる、これは御存じでしょう。この南西石油株式会社というのは、どういう資本で、どれだけの規模の会社なんですか。
  59. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) ちょっと手元に詳しい出資先と申しますか、株主構成の資料がございませんので、ちょっと失礼いたします……。  株主構成はエッソが五〇%、ゼネラル石油が二五%、それから住友化学二五%でございます。
  60. 鈴木力

    鈴木力君 スタンダードという資本は入っておりませんか。
  61. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) エッソ・スタンダードという形でございます。
  62. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。  それで、私が伺いたいのは、まあ国内資本が五〇%、外国資本五〇%をこえちゃならないというそれを守っているだろうと思いますけれども、こういう形で新しい石油がどんどん沖繩に進出をしてくる——何か丸善あたりもなお進出を計画しているというふうにも、これも聞いております。  そこで、私がさっきから伺っているのは、石油化学というものをあそこへ持っていってどれだけのメリットが一体沖繩県民にあるのか。そういう点は通産省あたりでもよく調査をなさっていらっしゃると思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  63. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 今後の沖繩への企業進出につきましては、御承知のとおり沖繩県知事の手によって原案がつくられます沖繩振興開発計画、この線に沿いつつ、私どもといたしまして公害のない、かつ雇用効果の大きい適格な業種を選んでまいりたいと、このように考えておるわけでございます。石油化学等の進出については、まだ結論を得ていない段階でございます。
  64. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、振興開発計画ができてそれからあとでないと手を出さない、こういうことなんですか。
  65. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 現在具体的に進出を考えております企業群につきましては、調査をいたして、これが現地のいろいろな要請とにらみ合わせつつ、フリクションのない形で進出できるようにいたしたいと考えておりますが、石油化学につきましてはまだそうした計画が出ていないのでございますので、やはり振興開発計画等を十分踏まえつつこれが計画を策定してまいりたい、このように考えます。
  66. 鈴木力

    鈴木力君 どうも私はいまの御答弁じゃ納得できないんです。というのは、前の振興開発法の審議のときにも同じことが言われ——同じことというよりも、むしろ通産大臣のほうはもう少しはっきりおっしゃった。現在の規模以上には、石油とかガスとか製紙工場も含めて、これは一々こまかいことを個別には申し上げませんが、こういう公害につながるような、しかもまた石油工場なんかは、さっき何べん伺っても御答弁をいただけなかったと思うんですけれども、大体、いまや石油工場なんというものは労働力の雇用なんといったら大きなメリットというものはほとんどないと言っていいでしょう。そうすると、さっき山中総務長官がおっしゃった、あそこにいる沖繩県民がいなくなってはどうにもならぬ、まずあそこの人口を確保する、そういう基盤において、基本的な考え方において産業開発をやっていくんだ、こうおっしゃったが、そのとおりだ。一方でそういう方針をおっしゃって、これは田中通産大臣もそういうことを前におっしゃっておる。だが実際には、石油についてはまだ何にもチェックがありません。しかし、そうはおっしゃっても、通産省は、私は、外資半分というのは、すべてそっちにもこっちにも——外資半分ということについても将来の沖繩の開発には問題があると思っているんですけれども、それより先に、日本の大きな企業が進出をしていくと思うんです。いまあげたようなたとえば三菱にしても、あるいはアラビアにしても丸善にしても、こういうところの大きな企業がどういう仕事を、どこで何をやっているのかということを通産省は知らないはずはない。そして言うことは、公害のない何々を、そういうことを言っているけれども、そう言っている間に、もう石油工場なんかはおそらく、政府が、あるいは沖繩がこれから復帰をして知事選挙をやって、それから議会で、そうして審議会の手続を経ているうちには、もうちゃんと事前に、事実としてそれらの石油工場が実現している。そのあととめられてもだいじょうぶですという企業の意欲がちゃんとある。そういう行政を一方にやっておいて、さきの復帰方針国民の福祉とか人口確保とかいろいろ言っていることのこの食い違いに沖繩県民人たちが不安を感じているのではないか、こういうことを私は申し上げているわけです。  もう少ししっかりした通産省の企業の配置計画というもの、あるいは、どこに何という工場をどれだけの規模をということまでいま出せというと、これはまた審議会なりあるいは県知事の権限なりに抵触しますから、そこまで言いません。しかし、いままでの構想と今後というものはもう少し通産省としてきちっとしたものをつくっておいてしかるべきではないかと思う。どうですか。
  67. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 先ほど申し上げました石油の三つのCTSの計画につきましては、琉球政府の外資審議会でこれが投資の許可を得たわけでございますが、しかしその規模につきましては、これは琉球政府のほうで、三つ合わせて約二千万キロリッターになりますけれども、これを認めたという形にはなっていないわけでございます。私たちといたしましては、復帰後、石油業法によります許認可という形で今後石油審議会に付議し、これが結論を得たい、そういうように考え、むやみな進出と申しますか、そういった形を避けるようにいたしたいと思っております。  なお、御指摘がございます雇用効果等の観点から見て明確な立地ビジョンということでございますが、これにつきましては、私どもといたしましてもやはり内陸型の工業を沖繩に進出させる必要があるのではないか、このように考えておるわけでございます。具体的に申し上げますれば、機械工業等が中心になろうかと思います。こういった面で、公害を避けつつ、緑の中で立地をさせるというような意味から、琉球政府のほうと連絡を取りつつ、工業団地の造成等の立地調査並びに立地点の選定について現在協議をいたしておるところでございます。
  68. 鈴木力

    鈴木力君 それでは、これはもう少し問題があると思いますけれども、一応ここまでにしておいて、あとこの外資の入り方といいますか、企業に外資が進入する、これに対する対策はいま通産省はどういう考え方を持っておるんですか。
  69. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) ちょっと御質問の趣旨が的確につかめないでおるわけですが。
  70. 鈴木力

    鈴木力君 つまり、はっきり申し上げますと、沖繩復帰に伴う特別措置法の七十七条で、外国法人にも租税特別措置法を適用することになっております。そして、これの基礎になるのは、愛知外相がマイヤー駐日大使あての書簡を出している。その書簡の中に、外国人及び外国企業の取り扱いについて日本国政府がこの問題について同情的に取り扱う、こういう趣旨の書簡を出して、これに基づいて沖繩復帰に伴う特別措置法第七十七条ができておる、私はそう見ておるわけです。ところが、そういう趣旨で特別措置法を適用してまで外資を導入しなければならないという——沖繩復帰をする場合に、日本全体の経済なり、沖繩経済に対して外資を導入することのメリットはどういうものがあるかということを聞いておる。
  71. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 企業につきましては、本土に現在施行されております外資法によりまして一律に、沖繩たると、本土たるとを問わず同一の方針で処理をしてまいりたいと考えております。こうした見地から、すでに復帰前に進出をいたしました外資系の、先ほど御指摘がございました石油糸の企業等につきましても、本土と同様に五〇、五〇の比率にしてほしいということを強く呼びかけまして、そして先ほど申し上げましたような南西石油というような形、一つの例でございますが、こういう形にしておるわけでございます。今後沖繩への外資の進出等ございますれば、これにつきましては本土と同じような方針、ただし、同じような方針のもとにできる限り雇用効果を上げていく、こういう形で処理してまいりたいと考えております。
  72. 鈴木力

    鈴木力君 その法律の根拠で同じようなということはわかるわけです。沖繩には、さっきから長官が何べんも言われておるように、特殊な条件があるわけですから、これから特別にいろいろな法律を設け、特別措置で開発をしていく、その開発の観点に立って外資を導入をすることが沖繩開発にどういうメリットがあるかということを聞いているんです。法律の手続的なことを聞いているんじゃない。
  73. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 外資の種類のいかんによろうかと存じます。その点につきまして、先ほど来申し上げておりますように、できる限り雇用効果の高い内陸型の業種であれば、これを活用をしてまいる必要があろうと、このように考えております。
  74. 鈴木力

    鈴木力君 もう少しはっきり答えてもらわないとね、進まないんですよ。たとえばいま私があげた南西石油株式会社というのが、さっきあなた方のほうでも認めた。これは沖繩への外資かけ込み一号と、こう称されておるわけです。これからどうこうするということではなしに、そうしてあなたもいま答えたように、本土と同じように外資法に基づいて五〇%の外資を入れようと思っておる、こう答弁をされておるわけです。その石油に限っていえば、五〇%の外資を導入することが沖繩開発にどういうメリットがあるのかと聞いておるわけです。そこを答えてもらえばいいんです。
  75. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 現在の状況で推移いたしますれば、エッソ一〇〇%の形で復帰後残るわけでございますけれども、これを本土の現在石油業に対しましてとっております外資導入の方針に基づきまして、日本側と外国側を五〇、五〇にしたい、こういう形で出資折半という形にいたしたわけでございます。したがいまして、従来のいわば経過的な形を、本土の外資導入方針に合わせて、そうして一〇〇%によって沖繩で外資が石油業をやらない形で、日本民族的な考え方も含めて、沖繩現地開発にできるだけ経営が役立たせるように、このようにしたいという形で措置をとったものでございます。
  76. 鈴木力

    鈴木力君 どうも私が頭が悪いと思うんですけれどもね、その方針はわかる。そういう方針でやりましたという答弁はさっきから聞いた。どういうメリットがあってそういう方針を立てたのかという答弁がどうも私にはわかりにくい。もう少しわかりやすく説明してください。つまり五〇%の外資を入れた、入れるんだと、こうおっしゃるんでしょう。それが、三〇%にして内資が七〇%ならどんな損害があるのか、逆に聞いたら、沖繩開発でですよ。
  77. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 具体的にお答えを、数字的な形でお答えをすることがなかなか困難だろうと思いますが、要は、こうした沖繩復帰前に入ってまいりました外資が全く日本の経営の及ばない一〇〇%の形で行動をされるということが現地の開発その他になじまないというかっこうになります。やはりこうした基礎的なエネルギーの問題につきましては、日本として、資本は半々という形で経営のいわばわが国側の主体性も生かすような形でいく必要がある、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  78. 鈴木力

    鈴木力君 わからぬな。あのね、いまの説明はわかる。やりたいという気持ち説明はわかった。だがね。どうして外資を入れなければ——石油に限って言うと、南西石油という一つの固有名詞を具体的に私はあげておる。それを五〇%入れておる、それが五〇%でなしに、かりに三〇%に押えたら沖繩開発にどういう支障があるか。私の聞きたいのはそうじゃなしに、マイヤー駐日大使に愛知書簡まで入れて——同情的に扱うという書簡まで入れて、そうして租税特別措置法、これまで適用するといって優遇しておるんだが、しかしそこにどうして外資を入れなければならないのか、沖繩開発にどういう利益が外資を入れることによって出てくるのかということを聞いておる。
  79. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 御指摘のエッソにつきましては、私ちょっと琉球へ進出いたしました年月をはっきりいたしておりませんが、たしか二年か三年前に一〇〇%エッソの資本ですでに進出をしてしまった企業でございます。したがいまして、これをそのまま認めてまいりますれば、復帰後も一〇〇%の石油系企業が存続していく、こういう形になりますので、そういう形で経営権が全く外国資本でされることは現地にいろいろなフリクションを起こすのではないか、こう考えて、今回五〇、五〇に持ち株を変更させる、こういう措置をとったものでございます。
  80. 鈴木力

    鈴木力君 経過はわかったんです。そうするとこういうことですね。一言でいえば、ほんとうは外資が入らないほうがいいのだと、ほんとうは入らないほうがいいのだが、たとえばいまの南西石油に限っていうと、エッソにしても、スタンダードにしても、ゼネラルにしても、これは全部いままで入っておったとは聞いていないんですが、エッソは入ってきているわけでしょう。エッソが一〇〇%だったと、これを少なくとも半分は内資に切りかえたいという気持ちがあってこうしたのだと、そういう説明ですね。
  81. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) そのとおりでございます。
  82. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、南西石油のその五〇%はわかりました。そうすると、ないほうがいいのだという前提に立ちますと、今後も五〇%の外資を入れてやっていきたいというさっきの答弁とはどうも合わなくなる。復帰したあとは、もうこれから新しいものは外資は入れないのだと、そういう方針だと聞いていいですか。
  83. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 外資を全然拒絶するという形にはまいらないというふうに思っております。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、本土の外資法によりまして審査をしてまいります。
  84. 鈴木力

    鈴木力君 それはわかるんだ。私の聞きたいのは、外資を入れなければ、将来も入れなければならない理由は何かということを聞いているんです。沖繩開発に外資を将来入れることによってどういうメリットがあるのか。さっきの説明では、ないほうがいいのだけれども、いままで一〇〇%入っているから五〇%までにしてもらったんだと、こういうんでしょう。それなら、入っておるものはしようがない、今後はこういうときには入れないと、それが考え方として理屈が合うでしょう。どうなんですか、そこは。
  85. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 業種にもいろいろよってまいると思いますが、要は沖繩の経済開発に役立つ、たとえば雇用効果の大きい、そういった企業が進出することが好ましいのでございまして、その企業が国内民族糸、民族資本一〇〇%であれ、あるいはある程度技術等のやはりこれを導入していく必要があるというような形から、外国資本をも活用していく、こういう形で、しかしながらその企業がやはり民族系と申しますか、国の方針に沿う形の経営が行なわれるというかっこうであれば、外資系の企業が入ることを拒否するものではない。要はその企業の、何と申しますか、企業のそういった外資系か民族系かということよりは、いかにその企業の活動が現地の経済開発に役立つかという点を十分判断すべきである、このように考えております。
  86. 鈴木力

    鈴木力君 もうこれ以上は審議官に伺いません。いまの答弁は聞かなくてもわかっていることですが、要はその企業がどうとかこうとか、そうじゃなしに、私は石油に限って言っているのですから、石油が将来外資を入れなければならない理由は何だと聞いているが、どうしてもそこの御答弁がいただけないので、いまの質問はこれだけにしておきます。やっぱりこうなってまいりますと、午後に大臣においでいただいて、もう少しこの点を伺いたいと思います。
  87. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私としては、現在は琉球政府の許可認可によって、ただいまやりとりがありましたような実情で石油企業というものが沖繩にすでに布陣は終わっております、許可上は。しかし今後は、復帰して沖繩県になったらこれ以上の石油産業というものの、外資あるいは本土資本を含めて、沖繩への配置というものはやめる方向で進めるべきだ、基本的な姿勢としてはこういうふうに考えております。これはもう沖繩の経済懇談会で本土沖繩の財界人が一堂に会せられたときでも、今後の沖繩開発の中で、石油産業については、現在許可された以上のものというものは原則として認めない方針でいくことが沖繩のためによろしいということを明言しているわけでございます。
  88. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 午前中の審議はこれで終わりまして、午後一時三十分まで休憩をいたします。    午後零時二十六分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  89. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  佐藤人事院総裁から発言を求められております。これを許します。佐藤人事院総裁
  90. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 先刻ごあいさつの機会を失したのでございますが、私、去る三月十五日、重ねて人事院総裁を拝命いたしました。一向変わりばえがいたしませんけれども、従来どおり相変わらざる御指導と御声援をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  91. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 次に、沖繩開発庁設置法案を議題といたします。  御質疑のあるお方は順次御発言を願います。
  92. 鈴木力

    鈴木力君 午前に石油企業についての外資の導入並びに石油企業の沖繩進出について御質問申し上げておったんでございますが、山中総務長官から、現在ある石油企業以外に新たには沖繩には企業を認めない方針で臨む、こういう御答弁がありました。まあ私もせめてそういうところにして、あと予想される公害とかそういう問題については、またそれなりの対策を講じてもらいたいと、こう思いますが、通産省のほうに外資の関係でしつこく伺っておったんですけれども、いままである石油企業の外資につきましては、先ほど以来の御答弁で、一〇〇%外資の企業がある。それが復帰をするためには一〇〇%の外資では困る、せめて五〇%というところで現在の企業をそういう形の方向に進めていく、こういう御答弁をちょうだいしたわけです。まあ私がしつこく伺いました。外資が沖繩開発にどういうメリットがあるかということをしつこく質問しておったんでありますけれども山中長官の先ほどの御答弁が確認できますと、あれ以上私の質問もしつこく申し上げなくてもいいと思います。いずれにしても、通産当局として最終的に現在ある石油企業、これをはっきりともう一度お答えいただいて、山中長官が先ほど答えられましたように、今後は外資、内資の関係なしに、石油企業はそれ以上は沖繩には許可しない。許可しないといいますか、企業を持ち込まない。そういう方針で通産省も確認していただければ、この問題はこれで終わりたいと思いますが、通産省いかがですか。
  93. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 本土復帰後につきましては、石油業法によって規制をしてまいるわけでございますが、現在通産省として石油業法を運用するにあたりましての基本方針と申しますか、現段階で外資系企業の新規参入はこれを認めないと、こういう基本方針をとっておるところでございまして、沖繩につきましても当然この方向で進むようにいたしたいと考えているわけでございます。  さらに国内系企業につきましても、現在の計画でもかなり大きな形になっております。これを石油審議会等にはかりまして、調整、規制をしてまいる、こういう形で山中長官方針に沿って進めてまいりたい、このように考えております。
  94. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、あと、この新全総は経済企画庁ですね——経済企画庁にお伺いいたしますが、いずれ沖繩復帰をいたしますと、新全総に沖繩を組み込むことになると思いますが、その計画、スケジュール、手順はどういうふうになっておりますか。
  95. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまお話のございました新全総の問題でございますが、新全総は昭和四十四年の五月に閣議決定いたしました。これの前文にも明記してございますように、沖繩復帰後直ちに沖繩をこれに組み入れるということで、沖繩を組み入れる点についての改定をできるだけ早い機会に実施するということを考えております。また、政府復帰対策要綱ではっきり明示されておりますように、この沖繩一つのブロックとして取り入れるという考え方でございます。  そこで、ただいまの御質問のスケジュール等につきまして、現段階で一応沖繩の今後の開発の基本的な方向をどういうふうにするかということを中心に検討中でございます。そこで、これは五月十五日に復帰になりましてなるべく早い機会にこの原案を取りまとめたいという考え方に立っているわけでございますが、御承知のように、新しい県知事の選挙もございますし、そのようないろいろな現地の意向を取り入れるというような意味から申しましても、現段階でもって——当初予定は復帰後約一カ月ぐらいの間に改定しようという考え方であったわけでございますが、若干それよりもおくれるかと存じます。いずれにいたしましても現段階では、現地のいろいろな意向も取り入れまして基本的な方向を示すという姿で、なるべく早い機会にこれを改定するという考え方に立っております。
  96. 鈴木力

    鈴木力君 そうなりますと、いまの地域開発に地域開発審議会がありまして、審議委員がそれぞれ任命をされているわけでありますが、この開発庁の法案にあります沖繩振興開発審議会、これと新全総にいう審議会とは同じものですか、別に審議会をつくりますか。
  97. 岡部保

    政府委員岡部保君) 全国総合開発計画は、一応法律的な根拠も国土総合開発法でございますけれども、国土総合開発審議会という審議会がすでにございます。その審議会の議を経て改定をするという考え方に立っております。
  98. 鈴木力

    鈴木力君 いままでですと、たとえば、私は東北ですけれども、東北開発審議会というのがあって、私自身も審議委員に任命をされているわけですね。ああいう審議会を沖繩に別につくるのか、開発庁設置法案の中にある沖繩振興開発審議会がその役割りを果たすのか、どっちですか。これは総務長官に伺ったほうがいいかもしれませんが。
  99. 岡部保

    政府委員岡部保君) 総務長官お答えいただくべきかもしれませんが、いまおっしゃいましたような東北開発審議会あるいは中国開発審議会というような各ブロックでの審議会がございますが、これとちょうど同じような考え方で並ぶものがこの沖繩の開発審議会であるというふうに理解いたしております。したがいまして、それとは別に、全国的と申しますか、国土総合開発法に基づきました審議会、これが国土総合開発審議会でございますが、新全総の改定につきましてはこの国土総合開発審議会の議を経てこれを固めていくという考え方でございまして、したがってそういう意味では、実際に対象といたします計画は別でございますが、同じような感じのものが二つ並立するという段階になると思います。
  100. 鈴木力

    鈴木力君 それで大体考え方がわかったのですが、そういたしますと、この振興開発審議会のほうは別にあとで伺いますが、新しく沖繩一つのブロックとした開発審議会ができる。そういたしますと、その開発審議会の審議委員の任命の基準とか運営とかはどういう考え方になっておりますか。
  101. 岡部保

    政府委員岡部保君) ちょっと私の説明ことば足らずであったために誤解をいただいたんじゃないかと存じますけれども、すでにございます国土総合開発審議会で新全総の沖繩ブロックの取り入れというものは審議をするという意味でございます。したがいまして、すでに国土総合開発審議会の審議委員の方々は、現在満席で、御在職中でございます。それで、その審議会の委員さんの中に、いまおっしゃいました意味で申しますと、沖繩関係の特に専門家と申しますか、そういう方が含まれてはおりません。一般的に申しまして、各省の関係者、あるいは衆参両院の先生方、あるいは学識経験者の方、それから一部地方公共団体の議員、そういう方々で構成されておる審議会でございますが、その中に沖繩に特に結びついた審議会の委員さんはおられません。したがいまして私どもとしては、そのあたりは、これから固めます段階におきまして沖繩の専門の方々の御意見を十分事前に伺うということを、審議会とは別になりますが、考えておりまして、そういう御意見審議会に報告して御審議していただくという考え方に立っております。したがいまして、この国土総合開発審議会のメンバーあるいはこの運営等は、従来の国土総合開発審議会の運営方法に従うという考え方でございます。
  102. 鈴木力

    鈴木力君 どうも私の聞き方が悪いのかもしれませんが、沖繩は今度一つのブロックとして新全総に組み込んでいくと、こういうことなんでしょう。そうすると、いままである総合開発計画で、たとえばさっき言ったように、東北ブロックとか北陸ブロックとか、それぞれに審議会をつくって置いてあるでしょう。そのブロックに相当する審議会を沖繩につくるのかつくらないのかということですよ、私がお伺いしたいのは。そしてそれが、沖繩振興開発審議会というのが法律できまっておるわけですね。開発法できまっておる。で、それを受けて、この開発庁の仕事の中に入るわけでしょう。それと同じものか別につくるかという、こういうブロックのほうをひとつ答えてください。
  103. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまお話のございました、沖繩一つのブロックにして新全国総合開発計画の一部を改定すると申しましたその意味でちょっと間違いがあったと存じます。と申しますのは、新全総、いわゆる全国総合開発計画でございまして、これは、現在ございます新全総は一部、二部、三部という構成でなっておりまして、その二部が、各ブロックごとに地域の相当こまかい表現があるわけでございます。それで、これ全体は、要するに全国の一本の計画であるという考え方でございます。そこで、国土総合開発法で法定されております計画というのは、全国の計画、それからいまおっしゃいましたように地域のブロック計画、それから府県の計画、それから、かつてございました、たとえば北上地域の開発のように特定地域の開発、この四種類があるわけでございます。そこで、いま私が申しましたのは、全国計画のうちに沖繩一つのブロックとして取り入れるという意味でございます。したがって、これは、従来ございました国土総合開発審議会というもので審議をしていただくという考え方でございます。そこで、いま先生のおっしゃいましたブロックブロックで、たとえば東北ブロックであるとかそういうブロックブロックの問題はどうかという問題につきましては、沖繩一つのブロックとしての開発を取り扱うというのは振興開発審議会が一本でなさるということでございまして、そういう意味で、別に、沖繩ブロックのための別の審議会をつくるということではございません。
  104. 鈴木力

    鈴木力君 よくわかりました。そうだと最初から思って一本かと聞いたんですが……。  そこで、この審議会について、これはすでに前の振興開発特別措置法ですか、できまっておることなんですけれども、どうも運営が心配なんです。たとえばこれはこうなっておるでしょう。全体が二十五人——関係行政機関の職員が十三人、それからあと県知事、県議会議長、沖繩県の市町村長を代表する者二人、沖繩県の市町村の議会の議長を代表する者二人、学識経験者六人、こういう構成になっておる。これは間違いありませんですね。
  105. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この法律案の衆議院通過にあたりまして議院修正が行なわれました。すなわち、定員を五名増加し三十名とする。その増加した五名は学識経験者をもって充てる、という修正であります。これはその議論を始めて私も配慮が足らなかったことを自分で自覚したわけでありますけれども、関係行政機関が非常に多いために、二十五名という総ワクはおおむね妥当であると考えながら、そのうちの十三名、すなわち過半数を関係行政機関を代表する者が占めるということについて、沖繩の原案作成者たる知事、そしてこれを受けて正当に沖繩県の意思が反映さるべき審議会の構成という問題に疑義が生じたという質疑応答の中で、私も率直にそれを認めました。したがって、三十名に増員されました修正の結果の法律として現在は確定したわけでありますから、人選にあたっては沖繩の関係者を過半数任命するということをその際も答弁をしてまいっておりますけれども、その方針で臨み、あくまでも沖繩県の意向が反映するような審議会にしたいと考えます。
  106. 鈴木力

    鈴木力君 私のほうがうっかりしておって、修正したことを忘れておった。  それで、数の比率についてはわかるんですけれども、これはむしろ経済企画庁のほうにお伺いしたいんですが、こういう機構ができる。そして沖繩県関係者も過半数おる。そこまでは機構的にはわかるわけです。ただ、私の経験では、これは沖繩とは違うんですけれども、私も東北開発の審議委員に任ぜられまして、審議会に出ました。そうすると、審議会は何をするかと言いますと、各省が予算要求したものをずらっと渡して、委員には四の五の言わずにこれを認めろという会議にしかならない。もはや開発審議会という——もちろん、その常任の方や何かおって、会長とかが常時何かやっているらしい。こういうことをもって審議会をつくりましたといって進めていくということになれば、どんな審議会をつくっても私は運営上無意味だと思うんですね。したがって、審議会というものがほんとうに民意を生かすような審議会になる運営というものは、これはきわめて重要だと思うんです。これは開発庁が扱うことであって、今度から沖繩の場合には経済企画庁が直接扱うかどうかわかりませんけれども、しかし新全総の一つにこの審議会が生きるわけであります。そこで、私はほんとうは経済企画庁の長官に来ていただきたかったくらいでありますけれども、単なる沖繩の問題だけでなくて、この新全総の進め方の役所の姿勢が第一だと思うんです。審議会というのは、ただ並べておいて形式的に一時間か二時間やって、それでもう予算要求したものをこれを認めなさいと、それで審議委員から意見が出てくると、それは他とのバランス上聞くことができませんという形で終わっておる。私は、東北開発審議会のときには、この予算要求を出す前に審議会を招集してはどうかという提案をしておきました。それに対しては答えもありません。結局、各省がそれぞれの予算をつくって構成をして、あと審議会というものは一応通過した民主的な一つの看板に使う、これが今日の経済企画庁がやっておる新全総の民主的な機関と称する審議会のあり方の実態なんです。うそだと言われても、私は審議委員で経験しているから間違いない。そういう形のものに沖繩を持っていかれたら、これまた沖繩人たちは非常に大きな心配をするだろうと思う。そして、沖繩県人たちはそういう実態を知っているわけです。新全総そのものに対してもいろいろな批判があるし、問題点がある。そういう意味で、私は先ほど石油企業を例に取り上げて質問を申し上げたんですけれども、そういう形のものになってくるという運営が非常に心配なんです。したがって、私はこれは最終的には、まあくどいことを、将来のことでありますからどうこうと言ってもしようがないことでありますけれども総務長官に、現在までにそういう例がある。そういう心配が多分にあるわけでありますが、この開発庁が設置をされて、そして審議会の運営をなさる場合に、十分その点については配慮をしていただきたい。そして委員の任命なんかについても現地とのそごを来たさないように、そういう形で運営をしていくべきである、こう思いますけれども、一応審議会のあり方についての最終的な担当長官になるだろうと思いますが、総務長官の御答弁を伺っておきたい、こう思います。
  107. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) たいへんごもっともな話だと思います。でありますので、沖繩開発審議会の場合は、これは開発計画の原案を沖繩県知事が作成をいたすわけであります。そして、その原案を作成した知事は当然審議会の委員となって重要な発言、働きをされるわけでありますから、そういうことは、結果だけ審議会に知らせるというようなことは、事実行為から言っても法律上から言っても不可能と、この審議会に限ってはそう思います。北海道などは、開発の目的そのものが国家全体のために北海道を開発するような表現がなされておりますし、関係の地方自治体は意見の申し出ができるというようなことになっておるわけです。沖繩の場合はそういうことにならないような配慮はしてあります。  なお、新全総の沖繩一ブロックとしての作業について、当初、先ほど局長の答弁もありましたように、木村大臣も復帰後一カ月ぐらいのうちに固めてしまいたい、こういう御意向であったことは間違いありませんが、私と相談をいたしまして、やはりこれは新全総の一ブロックとしての内容を決定することは、一方において、復帰後五十日以内に行なわれた結果新しく選出される県知事により原案を作成したことによって確定する振興開発計画と重大な裏おもての関係がある。したがって、この問題は新しく選ばれた知事、そうして沖繩県の体制というものが整って、もちろんこの審議会等のことも念頭にあるわけでありますけれども、そういうものと有機的関連を持ちながらきめてほしいということで、木村大臣もそのとおりである、ちょっと気がつかなかったのでということで、いまのところ両者意見が一致しておりますので、そのようなことのないように十分の配慮をしていきたいと考えております。
  108. 鈴木力

    鈴木力君 いまの関係では、ほんとうをいいますと今度開発庁がこの法律によって設置されますと、その機構そのものにもだいぶ問題があるような気がいたしますし、いま申し上げたような心配といいますか、懸念というものはやっぱり総合事務局のあり方でありますとか、あるいはその他地方自治をやや国家的に侵害するのではないかというようなおそれもある、こういわれておる。この点につきましては私はあまりきょうは触れませんで、あと私のほうの同僚からこれらの点について詳しく御質問申し上げるのでありますけれども、いずれにしてもそういう心配のある中で、過去において本土で私がさっき申し上げたような例がある。こういう点について十分に配慮をしていただきたいわけであります。  なお、そこで先ほど石油で申し上げたんですが、いまいろいろな計画を立てていろいろな手順で民主的に進めていく、その考え方はおっしゃるとおりだと思いますけれども、これが企業に引きずられてしまって、企業のほうが先行して既成事実をつくって、あとから政府なりが追いかけてこれが開発でございますという形になるおそれはないかという心配をほんとうは持っておるわけです。だから、先ほど石油企業についてもそういう観点でお伺いしたわけであります。  ついででありますからもう一つだけ、そういう意味で、今後の開発審議会が審議をしていくというよりも、沖繩を開発していくために、その条件をどうも阻害しそうな問題に土地の買い占めの問題があるような気がする。これはおそらくたとえばいま過疎地域とか開発の対象になっている地域にはもう例外なしに起こっている現象であります。私の県——岩手県でありますが——にしてもそうでありますし、あるいは東北の各地域においてもそういう現象が起こっておる。もう中央の不動産業者が進出をして要所、要所を買ってしまっておる。そういう形に企業が開発を先取りしてしまって、全体の機関を通じてのほんとうの地元に合った開発計画というものは後手に回っておるというおそれがどうもあるような気がしてなりません。そこで、経済企画庁あるいは通産省でもし調査をされておるとすれば、沖繩における企業あるいは不動産業者といってもいいと思いますが、あるいはその他の企業が、復帰が間近になってからの土地の買い占めをやっておる状況がわかりますか、同時に、それに対する何か具体的な手だてはいま講じておりますかどうか、それらも一緒にお答えいただきたいと思います。
  109. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) 土地の買いあさりの問題が新聞などにも出ておりますが、沖繩での土地の売買につきましては、これは行政主席の許可がなければ取得することができないということになっておりますが、ただその取得する場合も、行政主席は琉球経済の最良の利益に適合しなければ許可することができないということになっておりますし、また非琉球人民が琉球人民の名をかりて土地を取得するということも禁止されておるという状況なんでございます。そういう状況になっておるんですが、過般来から、本土のほうから企業が出ていって土地を投機的にだいぶ買いあさるという状況があるのではないか、こういうことがございましたので、総理府の私のところとそれから農林省、建設省関係官を派遣をいたしまして、沖繩本島、石垣、宮古、全部調査をいたしました。その結果、本土企業と関係があると思われる土地の取得の動きにつきましては、宮古島の下地町で観光開発の目的で東急開発グループが土地を買わんとするという状況ではございますが、これはその当時まだ売買契約は締結はされておりません。それから石垣島の石垣市でも、観光開発の目的で沖繩の日誠総業株式会社というのが土地を買わんとしておるという点の問題もございます。また名護市の安部というところで有限会社の東信商業が約十万坪の土地を買収しておる。それが現在進んでおるというような点やら、その他ゴルフ場の建設とかあるいはビーチの建設等のために知念村、佐敷村、竹富等で土地の買収が進められておるという関係もあるような状況でございます。それから、工場建設を目的として行政主席の許可を得て本土の業者が土地取得を行なった事例には、パイプニット株式会社というのが石川市に七千坪、松下電器が二万五千坪、糸満町、それから果樹園を建設するために、ある個人の名前になっておりますが、一万五千坪が恩納、大洋水産株式会社がウナギの養殖池をつくるという目的で一万七千坪をこれは平良市大体以上が調査をいたしました結果でございます。  なお、その後新聞紙上等で土地の買いあさり等が出ておりますが、この点はこちらのほうから琉球政府のほうに、土地の買いあさり等については厳重に適切な指導をするようにという指導をいたしております次第でございます。
  110. 鈴木力

    鈴木力君 現状のように正式に行政主席のほうの許可をとって工場地なりあるいは産業開発のために土地を買っておる。それはまあいいとして、どうも覆面の土地所有者がどんどん出てきておる。これが、はっきりしたことはよくわかりませんけれども、ある人の言い方では、沖繩の全人口の住宅地全部分ぐらいはもうすでに企業が買い込んでしまっておるといったような、そんな説さえ流れておるのでありまして、私はやっぱり適切に指導をしていらっしゃるというその指導はしなければいけないと思いますけれども、今度はもう五月十五日に復帰をする、手をこまねいて見ていると、どんなりっぱな計画を立てても、そういう形で企業が先行した開発になってしまっては実もふたもない。要するに、沖繩という地域はそれぞれに開発はされるけれども、それが沖繩県民のために何もプラスにならないような、逆に言ったら東北でもそういう傾向が多少出ているんですが、東北を開発するけれども東北の地域の住民はじゃまになるから去れといったような開発がいま行なわれようとしておる。こんな形にきたら、先ほど来総務長官もいろいろ苦労されて、手を打たれている、これらは何にもならなくなってしまう。私はやっぱりこれらの点につきましては、もちろん沖繩だけじゃありませんけれども、ほんとうに将来の日本の開発という問題についてはこれを抜きにしては通れない。したがいまして、いまは琉球政府当局を指導なさっていらっしゃる、復帰をされると直ちに政府の責任あるいはその県の責任という形になります。これらについても適切な処置というものをこれはもう具体的にやってほしい、これは御要望申し上げておきます。  最後に、あと私のほうで若干お伺いしたいのは、開発庁が設置をされました場合に、いろいろとこの開発庁の任務があるわけでございます。そのうちに、政令できめられる——いろいろな問題について特に予算を一括計上して、そうして資金を各省に分配をする、こういう手続的なものが政令で相当きめられておる。こういうやり方について、たとえば、各省がやるべき仕事が開発庁の一括予算になって、そして省のほうに配分になる、いきなり省が予算にするのとどういう違いがあるのか。こうしなければ——この仕組みが特に生きる一つの意義というのは一体何なのか、ひとつ説明していただきたいと思います。
  111. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 幸か不幸か昨年の沖繩国会でこの法案が残りましたために、法案の通過以前に予算編成をやらなければなりませんでした。それも一応国会等の御意向も承りながら、現在の一括計上方式というものを採用した形の予算編成をやってみました。これによって、たとえば公共事業等各省がプロパーでやらなければならないもの以外のもの、義務経費以外のものを、振興開発計画の柱になるようなもの、一例をあげるならば、五年間で本土のレベルに到達せしめるための義務教育施設の整備費、それを初年度幾ら組んで、その後伸びを幾ら見て、五年目で総額幾らになるかというようなこと等は、各省でやってできないことはありませんが、やはり斉合性というものを持たなければいけないと思います。したがってそのことが大きな目標で、この一括計上方式になっているわけでございますが、漁港についても、やはり五年後に本土並みのレベルに一せいに沖繩全土の漁港の整備を開始する、これらについては、各省庁にまかせますと、やはりそれぞれ予算編成のときには重点項目が、金額にしてもあるいは政策そのものにしてもいろいろ各省ありますので、沖繩のことは各省が全部同じ熱意を傾けてくれればこれは心配ないわけでありますが、その点やはり沖繩開発庁が一括計上して、それを各省庁の実行に移し、移しかえということの手段をとっておいたほうがよかったなということを今度の予算編成でも感じましたし、各省庁自由にやらせました分等があとで非常に斉合性を欠いて苦労いたしましたもの等は、やはり一括計上というものの中に入れておくべきであったという点の反省等もいたしましたけれども、一括計上というものがないと、やはり計画性、斉合性というものも各省ばらばらでは欠くおそれがある、こういうふうに考えます。
  112. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、あまり時間がなさそうでありますが、具体的に少し伺いたいと思います。これは文部省の局長に伺ったほうがいいと思いますが、この政令で、いま総務長官から答弁がありました、たとえば体育施設、あるいは公立文教施設、あるいは教職員特別研修というような、その他のものがずっとあります。文部省所管だと思います。  そこで私が伺いたいのは、まず教員の特別研修とありますね。特別研修というのは一体どういう研修なんでございますか、どういう計画になっているのか、まず伺いたいと思います。
  113. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) この中身は三つございまして、これは戦後比較的早い時期から行なわれておるものでございますけれども一つは、沖繩の先生方を本土にお呼びいたしまして、具体的に学校あるいは大学等に六カ月等の長期にわたりまして研修を行なわせる制度というようなものでございます。  それからもう一つは、本土から大学の教授、あるいは各県の指導主事のすぐれた方に沖繩に行っていただきまして、実際に現地で指導していただく、これが第二の内容でございます。  それから第三には、これは免許状の取得と関係あるものですけれども、いわゆる認定講習の講師を派遣するという内容のものでございます。  内容はただいま申し上げたとおりでございますけれども、特別と申しますのは、これは本土にない研修と申しますか、沖繩だけに、特に現地の要望に基づきまして行なっております研修、そういう意味でございまして、その理由といたしましては、一つは、教員構成で申しますと、若い先生と年輩の先生が非常に多く、中堅の教員に欠けておる。あるいは女子の教員が非常に多い。あるいは学歴等を見ましても、本土に比べましていわゆる旧制の中等学校程度の方が非常に多い。それから最後には、本土と地理的にかなり隔離されておりまして、沖繩では占領下にありながら日本人としての教育を行なうということで、学習指導要領、教科書、そういうものが同じような内容で教育が行なわれておったと思いますけれども、どうも地理的に隔離されておりますと、やはり本土の場合とある程度の差ができてくる。そういうものをカバーしようというのがこの特別研修のねらいでございます。
  114. 鈴木力

    鈴木力君 地理的に隔たっておる。それから沖繩のいままでの経過等が本土との隔たりがある。その隔たりはよくわかるんでありますが、特にこの本土との隔たりの特徴は何ですか。
  115. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 一口で申し上げますと、教育のいろんな条件についての格差でございますから、教育の程度等についても、これは具体的にどうということは申し上げられませんが、教育の程度についてある程度の格差があるんじゃないかというようなことが一番大きな理由でございます。
  116. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、この特別研修のほかに、いわゆる本土で行なわれている研修も同様の形で沖繩にまた研修を行なう、そういうふうに理解してよろしいですか。
  117. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) そのとおり御理解いただいてけっこうだと思います。
  118. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、私はこれは非常に大きな問題、というよりも沖繩の教職員側のほうからある一つの抵抗感を持っているというふうにどうしても見える。それはやっぱり本土がやっておる一つの研修のあり方なんです。それらのあり方が直接沖繩でまたやられるというところに大きな抵抗感があるだろうと、こう思います。  そこで、まず私は文部省に、初中局長に確認しておきたいことがあるんです。それは、研修や今後の行政をやっていく場合に、その前に沖繩の教職員が今日まで沖繩の教育をささえてきたその一つの大きな功績は、これはもうはっきり認めた上でやらなければいけないということなんです。少なくとも文部省としてどういう功績があるという把握で今後の研修なり指導なりに当たられるのか、ちょっとお答えをいただきたいわけです。
  119. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) これは先般の沖繩国会でも文部大臣からお答えを申し上げておりますように、異民族の支配下にあって日本人としての教育を守ってこられた。そこに一番大きな教員としての大きな意義があったということでございます。私どもはそういうような立場に立ちまして、やはり今後の沖繩の教育につきましても同じような考え方で進めてまいりたいというふうに考えております。
  120. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、そうしますとというよりも、私は、いま一言で言えばそういうことになるだろう。ところがそれだけではなしに、たとえば教育の程度ということばが出ましたけれども、教育程度については差があることは間違いないにしても、しかしあそこまで持ち上げてきた教職員努力というものが非常に大きい。これを認めなけりゃいけないと思いますが、まず第一に、いま日本人としての教育をやってきた、確かに、たとえばドルを使っている国柄でありながら、将来は円を使う国になるんだというかけ声のもとに円を使っての教育をやってきたさまざまな問題があります。同時に、たとえば公立文教施設も今度の一括予算計上、それから予算配分という中に、政令に入っておりますけれども、公立文教施設なんかにいたしましても、だれがいままでの公立文教施設をあそこまで持ち上げてきたかといいますと、これはいまの主席である屋良さんが教職員会の会長時代、アメリカの占領時代に、アメリカに要求してもどうにもならないで、本土に来て、そうして日本全体の教師が幾ばくかの金を集めて沖繩の公立文教施設をつくろうと立ち上がり、それがきっかけでいまのような文教施設を曲がりなりにもあすこまで持っていこうという空気が起こってきた。そのほか、こういうことを申し上げると際限がないのでありますが、少なくとも私はこういう大きな功績を積み上げてきた根源は、沖繩の教職員人たち沖繩県の教育というものに責任と自覚を持ちながら主体的に行動をされてきたし、その主体的な行動を、これはアメリカも含めて途中にはいろいろなトラブルがあったこともありますけれども、行政がその主体的な行動を保障してきたところに大きなこの功績があがってきたと思います。だからそういう角度でその功績を評価をする場合に、今度は、これはいまさら私が言うことでもありません。教育委員会制度も変わり、労働法の適用もなくなり、こういう形で変わってきたとたんに、今日までの文部省がとっている本土の教師に対する研修というやり方、あるいは教師に対するいろいろな行政的な管理を中心とするような教育行政が伸びていったら、一ぺんに沖繩の教育は吹っ飛んでしまう。特別研修をやったところで、建物を建てたところで、沖繩の教育の精神はここで死んでしまう、こういうふうにどうも考えられてならない。そこでひとつ研修について局長に、いまのような前提で伺います場合に、主体的な研修と行政的な研修とを沖繩に対してはどういう考え方で臨むのか、伺いたい。
  121. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) それは沖繩の場合も本土の場合も同じであろうというふうに考えておりますが、元来研修というものは、御本人がその気になってやらなければこれは意味がないことでございます。職務上の研修というのはもちろんございまして、新しい内容等を周知させるためにはそういう職員研修というものが必要である、これも言うをまたないところでございますけれども、何と申しましても先生方がその気になってやらなければこれは効果が上がらないということは、言うまでもないことでございます。私ども今後研修をやってまいります場合には、まず沖繩県の教育委員会自体の自発的な計画に基づきまして研修の計画を立てる。先ほども申し上げましたように、本土といろいろな意味で違った点があるわけでございますから、そういう点をカバーしていっていただきたいということを希望しているわけでございます。  それから先ほどの特別研修、これは先生も御案内のとおり、沖繩県民の強い要望がございまして、こういうふうな制度が設けられたわけでございます。途中で軍政府のほうからやめろというふうな意見も出たことがございました。それを押し切って、両方の希望と意見によりましてこういう制度が設けられているわけでございます。したがいまして、私ども現地の要望がございます限り、やはりこういう研修は続けてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  122. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、本土沖繩も同じだと、こうおっしゃる。何かよくわからないのですけれども新聞でよく騒いでおるように、たとえば文部省が本土の教育の研修の調査をする。ところが日教組はそれに反対だと、こう言っておる。どこが研修の調査に反対だろうと思って新聞をよく注意して見ると、どうも行政の研修だけが研修だと位置づけしておって、民間団体やそこらで教師が自発的に研修に参加するものは研修とはしていない、ワク外にしておる、そういう差別をしているところに、教師たちが反対をしている、反発をしているというふうに見られる。そういう差別をするということになれば、沖繩のほんとうの教師が今日まで盛り上げてきたものというのは、一ぺんに本土並みということにしていったら、水をかけてしまう、つぶしてしまう、こう思うんです。だから、本土沖繩も同じだと、それはそのとおり同じにするべきものだと思うけれども、しかし、行政がやるものと民主的に民主団体が研修の機会を与えるものに参加するものとを差別をするような基本的なそういう扱いを持っていくとたいへんなことになる、こう思うんですけれども、その辺はどうです。やっぱり差別をしますか。
  123. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) たいへんむずかしい問題でございますが、まあいろんな制約がございまして、たとえば出張の日数の制限あるいはその旅費の制限というふうなものがございまして、どういう研修でも教員が自由に出られるというふうなことにはならない。これはやはり授業が中心でございますからそういうことになると思います。がしかし、いま問題になっておりますのは、まあ非常に極端な形で申し上げますと職員団体が行なう研修、これとほかの教育委員会あたりがやります研修とを同じに扱うかどうかという問題が一つございます。御案内のとおり、職員団体に対して利益を与えるというふうなことになりますと、これは不当労働行為というふうなことも考えられるわけでございます。したがって、そういうふうな場合の区別をどうやるかという問題、これはまあなかなかむずかしい問題ではございますけれども、そういうふうな問題があるということをただいま申し上げているわけで、別にその研修の基本的な考え方について意見が違うというふうには私たち考えていないわけでございます。
  124. 鈴木力

    鈴木力君 くどいようですけれどもね、なかなかじょうずな言い方みたいに聞こえるけれども、これは私は特に沖繩ということを考えると、まあ沖繩ばかりじゃない、本土もそうなんですけれども職員団体のやるものはこれは研修ではなくて、行政側がやるのが研修だという考え方に基本的な問題があるということなんです。沖繩の場合には、今日までの教育を持ち上げてきたのは教職員会でしょう。ほんとう言いますと行政よりも教職員会のほうが——これは職員団体です。職員団体がいろんな教育用図書をみずからつくったり出版をしたり、そういう形で研修もやってくれば教育のレベルも上げてきているわけです。それが行政とは違うんですぞというわけで、そういう形で研修にのみ込むということになれば、教育の沖繩処分という、そういう評価を受けてもこれはやむを得ないのじゃないか。もちろんその旅費をやるかどうかという手続きはこれは別ですよ。それは別だけれども、研修の価値というのはむしろどちらかというと教職員みずからが企画するところにほんとの値打ちがあるんで、そういう評価を文部省がするような姿勢をとらないと、教育の沖繩処分というふうにどうしても見られる。この点が私は今後の沖繩教育の問題に非常に大きな影響があると思いまして、特に特別の予算に一括計上から資金配賦という開発庁の一つの大きな事業の中に組み入れられているときに、方向が間違うとやらないに劣る、方向が正しければ非常にいいことになる、こういうことになると思う。そのかぎはやっぱり私は文部省が責任を持たなきゃいけないだろうと思う。そういう意味で申し上げている。どうですか。
  125. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 研修そのものを、教育的な意味を含めました研修そのものにつきましては、これは先生と私と意見が違っているというような点は私はないだろうと思います。やはりその先生が自分でやる気があって研修をする、それが一番望ましゅうございます。またそれが本来の研修であろうというふうに考えるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、職員団体ということになりますと、これはもう法律上のいろいろな問題がございまして、そういうふうな研修に対して援助をするかどうか、これは別の問題として、私はもう少し考えていく必要があるのじゃないかということを申し上げたわけでございます。基本的におきましては、沖繩の教育委員会のお考えに基づきまして、私は、国としてはできるだけ沖繩の特殊な事情にかんがみたその研修というものについて国が援助をしていく、そういう方向でまいりたい、あくまでも沖繩の教育委員会の自主的な判断というものを尊重してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  126. 鈴木力

    鈴木力君 これで終わりますけれども、このものの考え方が——援助するかどうかという、さっき言いましたような、金の面の援助なんかは別だ。別だけれども、教師の研修としての位置づけが、それを評価するかどうかというところに基本的な問題があると思うのです。だから、あくまでも今後も特別研修は特別研修として、これのやり方も、ほんとうを言いますと本土に連れてきて何カ月か学校に入れる、それも話がわかるのですけれども、それだけではあまり大きな効果にならないと思うので、基本的には研修という考え方に、それもあるが、また同時に、たとえば、一人で本土に来てどこかに行って研修をしてきた、こういう者も研修だとはっきり評価をしないと、何か今度の調査ではそれは研修でないのだと言って調査からはずせとかいう通達が出ている話も聞いて、そういう考え方を沖繩に適用したのでは容易のことではないということを申し上げている。  で、最後にもう一つだけ聞いて、あとは体育関係とか文教施設関係も聞きたいのですけれども、これは時間がありませんからやめますけれども、研修だけでもう一つ聞きますのは、これは予算を一括持っていらっしゃる総務長官と文部省と両方に聞いておきたい。特別研修やこういう研修計画で教師が職場から離れていろいろ研修に出歩くわけなんです。その職場から離れていく場合に、沖繩の教員定数も不十分です。長期の六カ月とかなんかもあるし、その他のいろいろな研修がこれからひんぱんに行なわれるだろうと思う。その教室をあけて研修に行く場合の定数の処置が予算的になされているのかどうかですね。ただ教室をあけて教員の何人かを特別研修したということでは、沖繩の教育の振興には役に立たない。したがって、研修する期間、その期間の穴埋めはまず予算的に処置をされていないと、ほんとうの研修にはならないわけでありまして、この点は総務長官もそちらのほうの専門家でありますから言うまでもなく御存じのことなんです。予算的にその面が配慮されているのか、伺いたいと思います。
  127. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この特別研修は、沖繩が今日施政権下に置かれている中で行なわれてまいりました制度として、復帰後もぜひこれを存続してほしいということでありましたので、沖繩の特殊事情に関する予算として文部省にまかしておいて、もし予算がとれなかったというようなことがあったんでは基本的に問題を残すことになりますから、総理府で一応予算は獲得いたしますが、それの一切の運営計画その他はもちろん文部省がこれを使ってやるわけであります。したがって、実行計画その他総理府にはないわけですけれども、定数の上では、現在沖繩の義務教育——小・中学校ともに一応の本土基準からいえば過剰人員がある。したがってそれらの操作は可能であるように私は見ておりますけれども、一応文部省から答弁してもらいます。
  128. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) ただいま長官からお答え申し上げましたとおり、本土の定数法があるわけでございます。これは先生も御案内のとおり逐次改善をいたしまして、余裕の教員をつくりまして研修等ができるようにいたしておるわけでございますが、沖繩の場合には、さらにそれをこえまして、現在百五十名ぐらいですか、数字ははっきりあれでございますが、百名以上の過剰の人員がございます。これを三年間くらいで逐次本土の定数を増していくのにあわせて解消していくという、そういうふうな計画でございまして、いまのところ人数から申しますと、本土に呼びます教員は百六名でございますから、その範囲内で十分まかなえる、計算上はそういうふうになっております。
  129. 鈴木力

    鈴木力君 とてもじゃないが、そんな計算でやられたらたいへんなことになると思いますよ。特別研修の、本土に呼ぶだけが研修なら、あるいはやりくりしたら百六対百だから六足りないという計算になる。ところが、本土並みの研修があるわけでしょう。それから、総体的に百六対百で、これでつじつまが合いますということなどで研修に当たられたら、留守部隊の教育が大混乱をする。  もう一つは、前提として、本土の定数が十分だという前提ならいまの計算が成り立つ。ところが、ことしの本土の教員定数から見ても、研修の穴というのはほとんどふさがれていない。それを、百ぐらい多いからといって——ますます大きな穴をあけていくだけの話だ。私は、いま沖繩の大事なことは、むしろ研修も大事であるけれども、百人ずつ研修をしても全体に及ぶには相当の日数がかかるわけです。その留守部隊の職場をどうして守るかという配慮がないと、ほんとうの研修にはならない。そういう意味で、まあ予算はきまってしまっておるわけでありますけれども長官が言われたように、操作は文部省がやる。今後のその研修をやる場合の配慮としては、そういう裏づけのある研修というところへ持っていかなければ、特に沖繩の場合に、いろいろな条件があるというその条件の克服にはならない、こう思います。これはもう文部省に真剣にそういう手だてをひとつ研究をしてほしいと思います。  これで質問をやめますけれども、基本的に言いますと、どうも私はずっとこうけさから質問を申し上げまして、まだまだやはり沖繩が、最初私が申し上げました、復帰はするけれども不安が絶えないという、それらの問題について、政府側からのいままでの御答弁で、その解明ができたというふうにはどうしても私は思いません。もっとも、このうちの一番大きな問題の軍事基地関係がありますが、これはこの法案とは直接関係がありませんからあとにいたしますけれども、そういう面においては、時間がありませんけれども、いまからでも、なおさらに、政府が総機関を全部あげて、開発の点からも、経済の面からも、文教の面からも、そうした現地の要望といいますか、熱望というものにこたえて、あるいは不安に対しては積極的に解明をしていく、解消をしていくという努力がどうしてもまだまだ必要だと思います。なお、さらに、この復帰後においての施策につきましても、もう少し現地側に立ったといいますか、親身になった手だてというものが検討されなければならないんではないか、こんなふうな感じを持つわけでありますが、まあ山中総務長官、今日までずいぶん御努力をされたということは評価をしておりますけれども、さらになお政府の総力をあげた御努力をお願い申し上げまして、一たん私の質問を終わります。
  130. 山崎昇

    山崎昇君 もうすでに政治的な面から、あるいは政策的な面からいろいろ検討されたことでありますから、私はなるべくダブらぬように、私の専門でもあります行政機構論の立場から少し聞きたいと思っておりますが、その前に、いま鈴木委員のほうから沖繩の開発をめぐって質問がございました。  そこで、私からも経企庁に二、三お聞きをしておきたいと思いますが、実は五月七日の朝日新聞に「新全総「沖繩ブロック案」の構想」というのが報道されました。これを見ますというと、六月の十五日ぐらいまでに案がつくられて、そして国土総合開発審議会の承認を得て、六月二十五日ごろに選出されるであろう沖繩県知事の了承をもって、おそくとも六月の末ごろには確定をするという趣旨のことがまず報道されました。  私は、これは新聞報道でありますから推定もかなり入ってるんじゃないかと思いますが、この記事はこのとおりなんですか。あるいはこの点は多少違うというふうになるのか、まずその点からお聞きします。
  131. 岡部保

    政府委員岡部保君) 先ほど鈴木先生の御質問にもございましたように、当初考えておりましたよりも若干延びると思います。したがいまして、ただいまので——若干食い違いがございますが、手続的には、法律的に申しますと、国土総合開発審議会の議を経て政府が決定するというかっこうになるわけでございます。その国土総合開発審議会の議を経る前に、当然地元の意向、沖繩県当局なりそこの住民の意向を何らかの意味でプラスしていくという手続が必要かと存じております。したがって、先ほども山中長官から申し上げましたように、現実に知事さんがきまられるというような時点の問題でございますので、ただいまの報道の段取りよりはもう少しおくれるかと存じます。
  132. 山崎昇

    山崎昇君 これより多少おくれるかもしれぬがほぼ間違いがない。この書かれておる直接の内容についても、私はこれ、推定記事にしましてはかなり詳細なものだと思うのですね。そういう意味で言うと、もうすでに経済企画庁ではある程度の構想ができ上がっておるのではないだろうか、こう思うんですが、その点はどうですか。
  133. 岡部保

    政府委員岡部保君) 私どものところで全く事務当局の原案といたしまして、いわゆる開発の方向をどういうふうに考えたらいいかというようなものを現在まとめつつあることは事実でございます。ただ、それを、現実の問題といたしまして、新全国総合開発の二部の沖繩ブロックと、また第一部の総論的なところで、沖繩の問題をどういうふうに織り込んでいくかというような具体的な問題までまだ詰まっておりません。そういう段階でございます。
  134. 山崎昇

    山崎昇君 重ねて聞いておきますが、新しい沖繩県における知事が選出をされて出されてくる案は、四十七年度を初年度とする十カ年計画ですね。これは、新全総との関係でいえば、地域開発計画の中に入ってくるものだと私は思うのですね。言うならば、経済企画庁がつくられる沖繩ブロックとしての新全総の計画とは、私は違うのではないかと思います。ただ、沖繩だからまるっきり違うという意味ではありませんけれども、性格的には私は違うのではないだろうか。もしそうならば、あなたのほうである程度先に新全総としての沖繩に対する見解が示されなければ、それを具体化する意味での十カ年計画の地域開発構想というのは、なかなか出てこないのではないだろうか。そこらの関係はどういうことになりますか、お聞きをしておきたいと思います。
  135. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの先生の御説全くそのとおりでございます。したがって、私ども、振興開発計画、これは県知事が原案をおつくりになる振興開発計画よりも前に、この新全総計画沖繩組み入れの改定、これは実施をするつもりでおります。したがって、内容的に具体的に申しますれば、この新全総計画は比較的開発の方向のような表現になるかと存じます。そこで、振興開発計画のほうは、具体的な、非常に何と申しますか、プロジェクトごとの問題が相当に加わってくるというふうに、差が出るのではなかろうかという考え方でございます。
  136. 山崎昇

    山崎昇君 きょうは開発論争をあまりやる時間がありませんので、二、三だけお聞きをしておるのですが、沖繩一つのブロックとしてあなた方が構想されるということになれば、当然いまの新全総で述べられている——七ブロックについていろいろ述べられておりますね、それとかなり異なったブロックとしての構想が私はあるのではないだろうか。そこで、一番ここで述べられておることは、「沖繩は東南アジア、中国などに向って開く日本の〃南の玄関口〃であり、わが国の国際化の進展に即応し、国際交流の一大拠点として積極的に開発すべき地域」だ。大体私は、この報道というのは、経済企画庁で考えられているこれが方向ではないかというふうに思うんです。ただ私は、こういう方向ではありますけれども、現実的に沖繩がはたして南の玄関口としてなるのかならないのか、あるいはここに述べられているように、国際交流の窓口になり得るかどうか、私は疑問を持っているんです、正直に申し上げまして。きょうはその趣旨を述べる時間がございませんから多くを申しませんが、あなた方が構想されていることは、こういう形のブロックとしての構想になっているのかどうか。  それからもう一つついでにお聞きをしたいのは、第一回目の全国総合開発計画もそうでありましたが、この拠点開発方式がだめになって、新全総は国土の利用という形に変えてきた。そうして七ブロックに割ったわけなんですが、いずれもこの産業基盤整備等が中心になっているわけですね。もっとことばを変えて言えば、生産が中心になっての開発計画になっておる。これがすでにもう破綻を来たして新全総そのものが変えられなければならぬのではないかというんで、伝え聞くところによれば、経済企画庁でもかなり検討されているとも聞いているんです。そこで、私は沖繩がせっかく返ってくるんで、新しい新全総の一ブロックにするならば、当然この県民生活といいますかね、生活中心の開発計画に改めない限り、いままでの轍を踏むことになるのではないか、こう危惧されるんですが、一体経済企画庁としてはどういうふうにお考えになるのか、聞いておきたいと思います。
  137. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいまの第一点のいわゆる沖繩を、新聞に報道されておりますように、国際交流の一つの拠点と申しますか、その窓口という立場に持っていくということをわれわれ事務当局として考えておるかという点につきましては、事実考えております。で、これは確かに先生のおっしゃるように、いまのままでそういうことができるかできないかという点についてはいろいろ問題があると思います。しかし私ども考え方としては、いままでの沖繩の置かれておりました特殊な境遇等から考えても、そういうことを一つの柱にはできるんではなかろうかという考え方を持っておることは事実でございます。  それから、あとの第二点のほうと申しますか、後段のお話でございますが、私どもしばしば申し上げておりますが、新全総計画というもので、現実に新全総計画自体が、考え方が非常に誤りがあるかという考え方には立っておりません。確かに産業問題というものが大きく響いてはおりますけれども、現実に環境問題であるとか、あるいは生活環境の問題であるとか、この計画をつくりました時点においても相当に先取りした考え方でおったと自負をしておる次第でございます。ただ現実の姿として、この新全総ができましてから、現実の開発の実態というものは必ずしも、われわれが考えておったような問題といささかかけ離れている点があるということも事実でございます。特に環境問題などは非常に問題がある。したがって、現段階で環境問題を中心にいたしましていろいろな問題でこの開発計画の実施に対してひとつ点検をしようじゃないかということで、いま総点検と称しておりますけれども、始めておるところでございます。そこで、この沖繩計画を取り入れるという場合におきましても、確かにそういう面をこれから取り入れる、書き上げる計画でございますが、そういう点に十分反省をしなければいかぬ。したがって、たとえば先ほどもおっしゃいましたように、いままでの七ブロックというものに新しい一つのブロックが加わるというけれども、たとえば新全総で国土の主軸というと九州からずっと北海道までの一つの主軸がある。それに対して一体沖繩というのはどういうことになるのか。九州からさらに軸が延びていくのか、あるいは沖繩というものがちょうどそれぞれのブロックの中核都市とそれぞれ並行的に結びついていくのかというような点についての考え方を現在検討しておる最中でございます。まあ主軸が九州からさらに沖繩まで延びていくという考えではなくて、むしろ沖繩から各中核都市に結びついていくというような並列的な結びつきの軸になるのではないかというような考え方も持っております。したがって、いままでの考え方とそういう点ではちょっと毛色の変わった線が織り込まれてくるかと思います。ただその計画自体で、どうしても住民の生活と申しますか、この非常に物理的な計画でございますが、生活基盤の整備と申しますか生活環境施設の整備と申しますか、そういうものについて十分に意を尽くしていこうという考え方で、いま検討中でございます。
  138. 山崎昇

    山崎昇君 いま荒筋の沖繩についての見解は聞きました。ただ私が心配しますのは、先ほども鈴木委員からお話がありましたように、最近の開発というのはどこでも大体土地ブームみたいになっておりまして、これもつい四、五日前に出されました北海道の新聞でありますけれども、北海道でももはや土地の買い占めがもう行なわれて、そうして地域開発というのは金もうけの一つの手段化されつつある、こういうふうに報道されておるわけなんだが、こういうことを考えてみますというと、先ほどの鈴木委員の質問の中にも、すでに沖繩ではかなり土地の買い占めが行なわれておる。これはうわさでありますから私はどこまでほんとうかわかりませんが、現職の閣僚でも買っているという人がおるという話も聞く。あるいはかなり自民党の議員さんの中にも、いろいろな観光施設をつくるためにすでに土地を相当買っているという人があるとも聞く。いずれにしても、沖繩のこの開発という問題をめぐってすでにそういう利権の巣になりつつあるのではないかというのがかなり指摘をされておる。そういう意味でいきますというと、この経済企画庁としていろいろな理念を出しながら、そうしてあなた方が計画をつくったときにはすでにそれらのものが全く違ったかっこうで出てくる、こういうことに私はなるおそれがあるのではないかというふうに心配をするのです。そういう意味で先ほど来二、三お聞きをしておるわけなんですが、いずれにしても、そうしますというと、経済企画庁としては、この新全総に基づく沖繩のブロック化については、沖繩計画が出される前にあなた方の見解が示されておる。それを沖繩では新しい知事のもとで検討されて、あなた方に提出をされて、開発庁のほうで検討する、こういう段取りになりますね。重ねてこの点はひとつ聞いておきたい。
  139. 岡部保

    政府委員岡部保君) ただいま先生のおっしゃいました大体その趣旨だと思います。ただ一つだけ念のために申し上げておきたいことは、振興開発計画の成立以前に私どもで新全総計画沖繩組み入れというのは実施するわけでございますが、この組み入れます内容につきましても、決して、先ほど山中長官が申し上げましたように、あとで出てくる振興開発計画とのそごがあってはいかぬと思いますので、その点はこの新全総計画の改定の事前にも十分現地の意向を取り入れていくということを考えております。
  140. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃひとつ総務長官にお尋ねいたしますが、今度の沖繩の開発庁の性格がどうも原形は北海道の開発庁にあると思うわけです。そこで、いま出されておりますこの法案と、一体北海道開発庁とのどこが違ってどこが似ておるのかですね、それをひとつあなたから聞きたいと思います。
  141. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはむしろ、北海道開発庁を念頭に置いてはいませんし、北海道開発庁は、目的が戦後における経済復興と人口問題解決のため、北海道における資源の総合的な開発を目的とし、先ほどもちょっと言いましたように、北海道というものの持っている資源を日本の人口問題あるいは国土全体、国家に対して役立たせようとする目的を持っております。しかし、これはもう沖繩の場合は全く沖繩だけに対して開発振興というものを行なうことのみが目的でありまして、沖繩を利用して本土が何かその振興なり生活の向上というようなものにプラスになるというような発想は全く持っておりません。したがって考え方が全然違うわけですが、先ほどもお答えしましたように、計画の作成権がしたがって県知事にある。さらにまた審議会の構成も、過半数を、国会の修正を踏まえてその目的どおり沖繩の利害、利益を代表する人をもって充てる。さらに、北海道の場合は、これはただ地方自治体の長は、それに対してたしか意見を述べることができるということになっているだけだった、意見を申し出ることができるという程度でございますので、全然違いますから、私の念頭には、つくりますときに北海道開発庁というものを念頭においてやったわけではなくて、もっぱら沖繩人たちのために、沖繩地域を対象として、国がどこまで御援助できるかということがあくまでも目的であり、その範囲でなければならぬと思っておるわけです。
  142. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、北海道のやり方とは全く違うので、念頭にあまりないんだ、こうなりますね。  具体的にあなたにお聞きしますが、なるほど知事は開発計画をつくって提出いたしますね。そうすると、これを受けて沖繩開発庁は審議会の議を経てきめるわけです。しかし、きめる場合には必ずしも沖繩の知事から出されたものがそっくりそのままきまるわけでもない場合がある。あるいはそのままきまる場合もあるでしょう。しかし、じゃきまった開発計画案はどこが、だれがこれを実施するのですか。これは、そうすると、知事がなるほど計画案を出した、それだけの話ですね。そうすると、北海道の、意見を述べることができる——特に北海道の場合にも北海道総合開発委員会というものを道自体で持たれて、それにはまたいろいろな学者とか第三者も入れられて議論される。そして、北海道の議会でも議論されて、それが一応道の知事の意思として北海道開発庁に提出をされているわけです。あとは全く北海道開発審議会で議論されて策定をされていくということになっているわけです。そうすると、一体どれだけの違いがあるのか。きまったものは一体だれが執行するのですか。そうするとこれは、その面では、一体北海道とこの沖繩とはどういうふうな違いか、明確にひとつ。
  143. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはあくまでも法律上からいっても、意見を申し出ることができるというのと、原案作成、提出というものを法律上の権利として持っているというのは、私は非常に違うと思います。したがって、これは沖繩県知事たる責任者、いわゆる地方自治体の長としてのその意見書、あるいは具体的な計画の提出にあたっては当然沖繩県内外も含めた、県議会も含めてあらゆる立場からの検討あるいは研究、そういうものがなされて案がつくられるものだと思います。したがって、それが前提に出てきておるわけでありますから、その意見と全く違ったような、結果的には一顧だにしなかったような計画の作成ということは、結果的に起こり得ないことに私はなると思いますが、しかし法律上の形では、最終的にこの計画の決定は総理大臣ということでありますから、総理大臣とは何だといえば、そのような経過をもってつくられた計画について、その推進の計画の達成の責任は国で持ちますということを言っているものであると思います。
  144. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、計画が策定をされて、実施は開発庁から総合開発事務局を通じてやるということになりますね。じゃ、実施の段階においては、知事というものは何の存在でもありませんね。この点に関する限りは北海道と全く同じですね。どこが違うのか。何にも違いがない。私は、北海道とその点は同じだと思うのです。  もう一つの違いというのは、沖繩にはあらかじめ膨大な軍事基地があって、この軍事基地については知事に発言権がないんです。だから、たとえば知事側で、この膨大な軍事基地をなくしたと仮定をして開発計画を立てられて提出された場合に、一体、じゃ国はどうするのか。だから私は、出し方にもよるだろうけれども、極端なことを言えば、全く政府は、知事から出されたものと違った計画案になるおそれがあるのではないか。これは軍事基地が膨大であるだけに私は心配をする。この点は全く北海道と事情が違うと思うのですが、どうですか。
  145. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの第一点は、これは沖繩県が本来の地方自治体として、この計画の中身の個々の事業ですね、について自分たちでやりたい、あるいはまた管理者、市町村といったような立場のものがそれぞれやりたいというものは、たとえ補助率が十分の十であっても、国がそれを取り上げてやるようなことばありませんし、やってほしいという場合において、国がそれを直轄して行なうこともできるということになっておるわけでありますから、本来の自治体の持っておるものを飛び越して、計画は国が責任を持つからといって、本来の自治体がやるべきことについて、頭越しに権利としてやってしまうということは法律の構成上もなし得ないようになっておりますから、それは違うと思います。  さらに、軍事基地を計画に組み込んできたらどうなるかという問題は、これはやはりたとえば来年の計画に、すぐに嘉手納、一番大きなところでいえば嘉手納基地でしょうが、嘉手納基地を完全に緑の公園あるいは市街地、住宅地というような計画をまさか持ってくるというのは、これはまた現実的ではないという点では、賛否は別にして、やはりおのずから良識のある方が知事に選ばれるでありましょうし、あるいはまた各部で検討もするんでしょうし、沖繩県でも、議会でも相談をして持ってくることでもありますから、そういう意味では本土のほうともよく連絡もとれた作業になると思いますし、極端に意見の食い違ったものを開きなおってという形のものに私はしちゃならない、ぎくしゃくするようなことにこちらから押しつけることはしちゃいけませんが、そういうことは、やはり良識の問題の範囲内であろう。個々の問題では、なるほどこれがもし来年返還が可能であるならば、こういうことを組み込んでもいいなという場所が私はあると思いますが、これは事の大小、あるいは場所の軽重、事柄の軽重にもよると思います。
  146. 山崎昇

    山崎昇君 まあ私が心配しておるのは、北海道の開発が、二十年間ずっと見ておりまして、なるほどあなたのいうように、最初はずいぶん自治体が何でもやるような話であった。しかし現実的に、二十年たった今日では、北海道は開発局があります。したがって公共事業だけは開発局でやるけれども、非公共は知事側がやるということになっておる。ところが、計画は知事が立てる——たとえば十カ年計画ですから、この十カ年計画を立てるまではなるほど知事のほうは、審議会という形がありまして意見を言える。それが策定をされてしまいますと、実施については知事は何の発言権もない、言うならばないんです。そしてまた、北海道の議会は、北海道の道民を代表して開発局長を呼んで聞くわけにもいかない。ですから私がいうのは、今度の沖繩の開発庁の場合も同じ轍を踏んでいくんではないだろうか。あなたは、そうあってはならぬし、うまく運営をやりますと、こう胸のうちでは言うのだろうけれども、一たび法律ができ上がりますと、これはそう簡単ではない。そういう意味で、私はこの点危惧をしておるということを、時間がありませんから申し上げておきたい。  そこで、行政管理庁の長官に私はお聞きをしたいのですが、この沖繩の開発庁をつくるにあたって、国家行政組織法との関係で、あなたに一、二聞いておきたい。それは、ずいぶん国には外局もたくさんありますけれども、一体、組織法でつくる場合と、事業執行法でつくる場合とおおむね二つに分かれている。たとえばいま関係ないとは言いましたけれども、北海道の場合には北海道開発法でつくっておって、開発庁設置法というのはない。組織法ではないんです。そういうふうにいきますというと、一体国がこういう機関をつくるときに、どういう基準で、片や組織法で片や実体法でやるのか、長官の見解を聞いておきたい。
  147. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 行政機関を設置します場合に、組織法では法律によって設置することを定めておりますけれども、単独設置法によって設置する形式のほかに、実体法の中で設置する形式も考えております。今度の沖繩の開発庁の場合には、単独の設置法によることにしたものでございます。詳しいことは局長から補足説明させたいと思います。
  148. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) ただいま大臣から御説明申し上げましたように、行政機関の設置にあたりまして、先生御指摘のように、組織法できめております場合と、実体法にその規程を置いております場合があることは事実でございます。ただ、行政委員会以外につきましては、各省庁の設置は単独の設置法によるというのが原則でございまして、先生御指摘の開発庁の事例、並びに海難審判庁の事例は、こういった同じような官庁についての例外的な事例でございます。
  149. 山崎昇

    山崎昇君 私の持っている資料が古ければ別ですけれども、いまあなたがあげられたようなものばかりではありませんね。実体法でつくられているものも約十近くありますね。それから、単独の設置法でやられているものも、また七つ八つありますね。言うならば、組織法でつくるものと、実体法でつくるものと、大体ほぼ同じぐらいの数字になっている。一体、この基準は何に置いているのか。何を基準にして、片や組織法で、片や実体でやるのか——私は幾ら見てもわかりませんので、その基準についてひとつお聞きをしておきたい。
  150. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、確かに実体法でつくられているものもあるわけでございまして、それは、多くは行政委員会に関するものであろうかと思います。で、行政委員会の設置につきましては、大体におきまして、昭和二十年代、国家行政組織法の制定と前後いたしましてつくられたものが多うございまして、当時におきましては、これらのものについて実体法であわせて規定するという例が多かったようでございますが、その後におきまして、国家行政組織法の運営にあたりましては、基本的には単独の設置法によることになっておるというのが最近の例でございます。
  151. 山崎昇

    山崎昇君 そんなことになりませんよ、これを見たら。あなたの答弁では納得しませんよ。私は、どういう基準でやったんだということを聞いておる。たとえば実体法でやっている中には警察庁もある、北海道開発庁もある、公正取引委員会、首都圏整備委員会、中央労働委員会、公共企業体等労働委員会、船員労働委員会、海難審判庁とありますよ。単独の設置法でやっているのは、中小企業庁もありますよ。海上保安庁、公安調査庁、消防庁、宮内庁、土地調整委員——一体これはどういう基準でやるのか。私は、この国家行政組織法の運営について確たるものがないんではないか、行政管理庁には。そのつど、そのつど、適当にあなた方は、実体法でやってみたり組織法でやってみたり——あとでまたいろいろ聞きますけれども、その基準を何に置いているんだということを聞いているんですよ。
  152. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、確かに、先生御指摘のように、行政委員会のグループにつきましては実体法できめられているものがほとんどであるという状況でございます。ただ、そういうものにつきましても、先ほど申し上げましたように、国家行政組織法の制定と前後いたしましてつくられたものが大部分でございまして、最近におきます考え方といたしましては、基本的には単独法でつくるという考え方に従っているわけでございます。
  153. 山崎昇

    山崎昇君 もう一つついでに聞いておきますが、じゃあ、沖繩開発庁というのは何で総理府の外局になるのか、その理由も聞いておきます。
  154. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 沖繩開発庁の仕事と申しますものは、沖繩の特殊事情を考慮いたしまして、沖繩県民の便益をはかり、効率的な行政によって沖繩の振興開発に資するために、住民生活に密接な関係のあるものを処理する、総合的に処理するという観点でつくられているわけでございまして、そういう意味で、全体的な総合的調整という観点がございまして、性質上総理府の外局として設置することが望ましいと考えた次第でございます。
  155. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、いまあなたから説明がありましたように、沖繩の開発庁というのは総合調整機能ですね。そこで私は、長官に今度はお聞きしますが、沖繩に置かれる総合開発事務局というのは、この開発庁の地方出先機関ですね。これは国家行政組織法第九条に基づく地方機関だと、そうですね、間違いありませんね。これは行政管理庁長官に聞いている。
  156. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 御指摘のように、国家行政組織法に基づきます地方支分部局でございます。
  157. 山崎昇

    山崎昇君 そこでお聞きをしたいんですけれども、一体この国家行政組織法の九条の地方支分部局だとすれば、この総合事務局にいろんなものがごちゃまぜに入っているんだが、一体、国家行政組織法の九条と関連してどういうことになるのか説明してほしい。開発庁は、中央にある開発庁は総合企画調整しかできない。それの地方出先機関になっている。ところが実際にでき上がるこの沖繩の総合開発事務局というのは、農政も入ってくれば、公取も入ってくれば、ほとんどのものが入ってくる。そうして実施する地方機関になっている。だから第九条とどういう関係になるのか、明快にしてもらいたい。大臣、少し答えてくださいよ。あなた、これ検討するときにやったんでしょう。
  158. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) ちょっと大臣が御答弁申し上げます前に、私の説明の足りない部分がございましたので補足させていただきたいと思いますが、確かに開発庁の主たる任務は総合調整にあることは事実でございますが、それだけにとどまっているわけではございませんので、開発庁設置法をごらんになりましても、四条一号におきまして、振興開発計画の作成だけでなくて、「作成のため必要な調査を行なうこと」もございます。それから第二号には「振興開発計画の実施に関する事務を推進する」ということもございます。それからその他第八号で「前各号に掲げるもののほか、法律に基づき沖繩開発庁の所掌に属させられた事務を行なう」ということもございます。こういった事柄を受けまして、一応総合事務局の所掌事務といたしましてこの各号の事務を受けるということを考えております。そういう意味におきまして、国家行政組織法第九条の所掌事務の分掌ということが基本にはあるのであろうと思います。なおその上で、それではこれらの事務を所掌する地方支分部局たる総合事務局に、その他の行政官庁の仕事をあわせて持たせることが適当かどうかという問題でございますが、この点につきましては、他にも北海道開発局あるいは税関等の事例もございまして、必ずしもこういうものを持たせることが不当であるというものではございませんし、むしろできるだけ簡素、合理的な行政機構をつくるためには、各省庁それぞれが出先機関を設けるよりは、できるだけ一本化した形で運営することが望ましいという観点もございますので、このような形の総合事務局をつくったということでございます。
  159. 山崎昇

    山崎昇君 大臣にお尋ねしますよ。いま局長から、なるべく単独の独立機関をつくるよりは総合したほうがいいと、こう言う。それじゃあ沖繩でこういうことをやられると、本土でもやられますか、将来。私は国家行政組織法で聞いている。沖繩だけ特別だからやるというのか、そうでなくて、国家行政組織法上からいって、将来国の行政機関というのは総合するほうがいいんだ、一元化するのがいいと、こういうお考えなのか。これは政策ですから、大臣からひとつお聞きしたい。  もう一つ、いま述べられましたが、しかし地方支分部局というのは、国家行政組織法第三条に言う行政機関の事務を執行するために地方に置かれることになる。もしそうだとすれば、縦の系列で私ども理解をするならば、これは沖繩開発庁の出先機関でありますから、沖繩開発庁の権限をやるために置かれることになると思う。それに、いまのお話にありましたように、あれもこれも全部突っ込んで、中央の開発庁には何も権限もないものを、法律上のテクニックとして総合開発事務局だけはいろんなものがやれるような仕組みをとっておる。それはいま説明のありましたように、法体系として出していきますと、これは国家行政組織法からいけば私はおかしいと思う。あまりにも便宜的過ぎると思う。もしそうだとすれば、将来そういう方向を行政管理庁がとられるかどうか、これは政策の問題でありますから、大臣からお答え願いたい。
  160. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 沖繩の持っております特殊事情等を考えますときに、いま管理局長が答えたような方向でやったらよろしいということでこういう方法をとったわけでございます。で、やはりその地方地方の実情というものをよくつかんでやっていくという必要があるということから、沖繩の場合はそういう地方支分部局の中にそういうものを取り入れて設置したわけでございます。その他の県の場合をおっしゃったんだろうと思いますが、地方の実情等によって自主的に、地方の自治制度というものを生かしていかなきゃなりませんから、各県とも必ずしもそういうのをやるがいいかどうかということは疑問があるかと思いますが、沖繩の場合は、さっき管理局長が答えましたような理由から、そういう方法をとったわけでございます。
  161. 山崎昇

    山崎昇君 私はよくわからないんだ、あなたの答弁。もう少しはっきりものを言ってください。私のほうははっきり聞いている。中央には沖繩開発庁というのはあるが、これは総理府の外局としてあなたはおつくりになった。そしてそれには企画調整という能力を与え、その開発庁の任務を執行するために沖繩現地機関として置かれる。これは行政組織法の九条によって出先機関として置かれることになった。それは私は理解をする。ところが、沖繩開発庁に権限も何も付与しないで、便利がいいと言うんだろうと思うのです、あるいは庁舎の一元化ということなのかどうか知りませんが、この沖繩総合事務局に対して、農政から公取から、あらゆる行政面をそこに入れて実施をさせる。そしてその限りにおいては各大臣の指揮監督を受ける。言うならば、昔流の官庁理論をそこに持ち込んできているんではないか。私は、一人の人間にあまりにも権力が集中し過ぎて、逆にあとで問題が起きゃせんだろうか。言うならば、組織論ではなくて、官庁理論というものを持ち込んできたんではないかとさえ私は思う。その点についてどうですか。大臣の見解を聞きたい。
  162. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) それぞれの仕事はそれぞれの主務官庁の大臣が所管してやりますので、私はそれでいいんじゃないかと思います。
  163. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃ、国家行政組織法第九条の地方機関ではないんじゃないですか。法律的に明確にしてください。第九条は第三条を受けているんですよ、第三条を。
  164. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 先ほども申し上げましたように、基本的には総合開発庁の仕事の中で実施の推進事務というものもございますので、それを受けて、開発庁の支分部局としてつくったわけでございますが、その仕事以外に、他省庁が所掌する仕事で総合事務局で行なうこととされた仕事につきましては、これはそれぞれの大臣が指揮監督するという形になっておりまして、その限りにおきましては、それぞれの所管大臣から見れば、やはり地方支分部局としての機能を果たしているというふうに理解しているのでございます。
  165. 山崎昇

    山崎昇君 そうなっているのではないのだよ。あなた方が法律的にそうしただけの話で、あなた方のそうしたやり方が国家行政組織法の九条の性格からいくと私は違うのではないかということを言っているのですよ。もう少し国家行政組織法というのは、組織法なら組織法らしい運用面があっていいのではないか。だから沖繩というああいう特殊の状態だから建物も一緒にしたのだとか、そういう意味なら私はまだ理解をしてもいいと思う。しかし麗々しく国家行政組織法九条を使うからにはそうなってこない。どんなにあなた方が強弁しようとも、この国家行政組織法に、違反したということを言ったらあなた方はきらうでしょうが、しかしふさわしいものでない、そう申し上げておきますが、どうですか。
  166. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 確かに見方によりましては非常に各種各様の事務が各省庁にわたってこの事務局で行なわれているということは、確かにそういう点から見て必ずしも適当でないという御見解もあろうかと思いますが、法律論から申しますと、たとえば税関が通産省の事務の一部を代行することになって、執行することになっておりますが、その場合におきましては、その事務に関する限り通商産業大臣の指揮監督を受けるという形になっており、それから北海道開発局の場合におきまして、農林省、運輸省、建設省の公共事業部門の執行に当たるわけでございますが、それぞれの部門につきまして、関係大臣の指揮監督も受けるという点がございますので、そういう意味におきましては、確かにその関連する事務の範囲が非常に広いという点においてはそういう感じがあることは事実でございますが、法律的には、基本的にそういう地方支分部局の性格を持っているものにどの程度の他の所管官庁の事務を委任するか、執行させるかという問題であろうかと考えているわけでございます。
  167. 山崎昇

    山崎昇君 私はこればかりやっているとあとの時間がありませんからこの程度でやめますが、北海道の開発局とは遠いますよ。北海道の開発局は公共事業の実施だけですよ。沖繩の総合開発事務局は一般の行政事務も入ってくるのですよ。まるきり性格の違うものをあなた方はそういう強弁で押し通すことはやめてもらいたい。いずれにしても、国家行政組織法からいけば私はこれは適当なものではない、しかしあなた方は法律だ、法律だということで押し通すわけですから、私のほうにこれをとどめるだけの力がありませんからやむを得ませんが、いずれにしても、先ほど中村長官からわけのわからぬ答弁がありましたが、今後国家行政組織法に基づいてあなた方が組織整備をどうやられるのかわかりませんけれども、少なくとも昔の官庁流に戻ることのないようにきちっとしておいてもらいたい。このことだけ申し上げて、次に私は移りたい……。
  168. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 法律論に常識論を答弁してはおこられるかもしれませんが、まず私が一番先に考えましたことは、これは行管にそういうことで理解を求めたわけでありますけれども、まず沖繩は現在、たいへん不幸なことでありましたけれども、権能は別として行政上は、独立国家みたいな形でいわゆる国政事務をずっとやってもらっております。したがって沖繩県民人たち沖繩本島で全部が大体片づいているわけであります。これが復帰しますと、沖繩県になりますと、国の事務は国の事務として当然分離せざるを得ない。国の事務を県にやらせている分野はおのずから限られておりますから、それを分けました場合に、許認可行政その他のことももちろんでありますが、九州ブロックの長の権限ということになりますと、どうしても沖繩を離れて遠い九州まで行かなければならない。そういうようなこと等がありまして、国政事務がなお沖繩現地で引き続き行なわれるような形にしたいということがまず第一点であります。  第二点は、開発庁において所掌いたします調整一括計上予算、その他の執行、そういうものが個個の役所で移しかえてなされますけれども、やはり現地においては、その単独の機関としてはブロックの権限を与え得ないものが——ここに法律に書いてあります。イからずっとありますが、どう考えてみてもやはり一県でありますので、一県の範囲内についてブロックの長の権限をおろすことは困難でありまして、したがってここに総合事務局の形において全体を地方支分部局の集合体とみなすことによって、その権能が与えられるということで割り切ったわけでありますから、したがっていまの御疑問の点は、私はやはりこれは国家行政組織法の例外的な存在である、本来はそういうものがやたらにつくらるべきものではないだろう、これは私の所管ではありませんが、例外的なものとして認めてもらったものであろう、こういうふうに考えております。
  169. 山崎昇

    山崎昇君 だから私のほうで聞いているのは、やはり一つの国家行政組織法という国の行政機関をつくる根本法があるわけです。それに基づいて、いま行政管理庁の見解を聞いたわけですがね。それがあっちにいったりこっちにいったりするもんだから、私はやっぱり納得できない。常識論は常識論で私は理解できます。しかし、いずれにしてもこの総合開発事務局というのは、これはかなりな権限を持ちますね、正直申し上げまして。そして一人の人間がほとんどと言っていいくらいの国の行政事務を扱うことになるわけです。これは私はたいへんなことだと思うんですよ。その中身もあとでお聞きをしようと思いましたが、関連ですからひとつ聞いておきますが、たとえば行政監察のごときは、これは行政監察事務所のようなものを別個に設けるという考え方になっている。ところが、沖繩に設けられる郵政の中には監察もみな入れちゃうのです。そういう意味からいうならば、こっちのほうはある程度一般行政事務ですっきりさせる。監督とか監察のようなものは別個にする。しかし、郵政のような場合には一緒に入れてしまう。これはまだまだ混乱はたくさんありますが、いずれにいたしましても、もう少し、私は国家行政組織法というのは厳然としてあるわけですから、行政管理庁はそれにのっとって、きちっとやはり私は法制的にやってもらいたい。そうでありませんと、何か便宜主義で適当にやられるということになる。このことだけはひとつ強く指摘をして、次の問題に移っていきたいと思います。  そこで、山中長官に重ねてお聞きをしますが、沖繩復帰対策要綱の最終案でありますが、第三次案を見ますと、最初は中に機関として置くつもりであったようですね。しかし、それが実際は総合開発事務局という形に直ったわけですけれども、その間のいきさつはどうあったのか、聞いておきたい。
  170. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私が取り違えていたらあとで訂正いたしますが、私の言う復帰対策要綱の機関というのも、いわゆる行政機関という意味であったので、別段その間の事情は何も変わっておりませんです。
  171. 山崎昇

    山崎昇君 いや、そういう意味の機関じゃないんじゃないですか、機関というのは。たとえば青少年対策本部のような、そういう意味の機関というのは、最初はあれじゃないですか、開発庁の言うなれば企画調整能力だけ持たせるような機関といいますか、そういう意味で言うならば、いま総理府に幾つかございますような機関という形に私は考えたのじゃないかと思った。ところが、途中からいま申し上げたようにいろんな行政事務が入ってきて、これではいかぬというので、国家行政組織法の第九条に関連をして、地方支分部局にした。こうなったのではないかと思いますが、もしそうでなければそうでないでけっこうでありますが、聞いておきたいと思います。
  172. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それはそうじゃありませんで、やはり独立でブロックの権限を持ちながら出れるもの、たとえば管区海上保安本部、こういうようなものとか、振興開発金融公庫とか、電力株式会社とか、そういうものはやはり単独で別に、ほかにもありますが、出ておるわけでありますから、やっぱり単独では地方支分部局のブロックの長の権限が与えられにくいという意味のものをまとめたということです。
  173. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、次にお聞きをしておきたいのは、総合事務局の一体内部組織がどの程度か。それらに対する人員はもうきまったのか、きまらぬのか。もしきまったとすればどういうふうになっているのか。それから、おそらくあなたのほうで把握していると思うんですが、琉球政府から五月の十五日以降に引き継ぐと思われる公務員の数等、もしわかればひとつ御答弁願いたい。
  174. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) 沖繩の総合事務局の内部部局は政令できめることになっておりますが、まだ政令で閣議決定を見ておりませんけれども、一応考えておりますところを申し上げますと、総務部、財務部、農林水産部、通商産業部、運輸部、開発建設部ということになっております。そして総合事務局長の下に次長を二名置くことになっております。総務部の人員は百十八名、財務部七十三名、農林水産部二百四名、通商産業部七十二名、運輸部六十四名、開発建設部二百七十一名という状況になっております。  それから、引き継ぐ職員につきましては、現在のところ人員の異動はありますが、大体復帰の日前に在職する職員、約一万八千四百人の琉球政府職員の数になるのではなかろうかと思っておりますが、若干異動はあると思いますが、その一万八千四百人は、国へ約六千四百人、県へ一万一千九百人、市町村等へ約百人、大体こういう予定で現在仕事を進めておりますような状況でございます。
  175. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、これはおそらくいま琉球政府の俗に言う定員内職員のことだと思うのですね。定員外の人はどうなりますか。そこまで話を詰めておりますか。約七百名ぐらい私はいると聞いておるのですが。
  176. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) 定員外の職員につきましては、欠員がありますから、できるだけ資格のあるものは定員内に入れるようにという指導を現在までいたしてきております。
  177. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、いまの六つの部ですね、これは大体どんな課の構成になりますか。
  178. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) 総部部は、庶務課、人事課、会計課、調査企画課、公正取引室。財務部が、財務課、理財課、管財第一課、管財第二課、宮古出張所、八重山出張所。農林水産部が、農政課、土地改良課、畜産課、園芸課、統計調査課、林務水産課、それに統計調査出張所が、名護、那覇、平良、石垣に置かれることになりまして、それから石垣島に石垣島農業開発調査事務所というのを置くことになっております。通商産業部が、企画調整課、商工課、鉱業課、公益事業課、海洋博覧会管理官。運輸部が、海運第一課、第二課、それから陸運第一課、第二課、それから先任船舶検査官、先任船員労務官、先任海技試験官、それから宮古海運事務所 八重山海運事務所を置くことになっております。それから、開発建設部が、管理課、用地課、建設行政課、河川課、道路建設課、道路管理課、営繕課、営繕監督室、港湾計画課、港湾建設課、技術管理官、工事検査官、ダム建設所、北部国道事務所、南部国道事務所、那覇港工事事務所、石垣港工事事務所、平良港工事事務所というものを設置することになっております。
  179. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、重ねて聞きますが、総合事務局に入らない、単独で置かれる行政機関はどういうものがありますか。それは大体どのくらいの人数を受け入れるのか、説明願いたいと思う。
  180. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) 国家公安委員会、定員五十八名を予定いたしております。これは九州管区警察局、それから地方警務官。それから行政管理庁、二十五名、これは沖繩行政監察事務所というものを置くことになっております。それから防衛庁が全部で六百十二名ですが、那覇防衛施設局、沖繩地方連絡部、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊。それから環境庁が、沖繩国立公園管理事務所二名。それから法務省が、これはだいぶありまして、千百二十八名という予算定員ですが、沖繩刑務所、沖繩少年院、沖繩少年鑑別所、那覇地方法務局、那覇保護観察所、入国管理事務所、検察庁、沖繩地方公安調査事務所、九州地方更生保護委員会事務局。大蔵省が、全部の機関で七百六十三名で、沖繩地区税関、国税不服審判所沖繩事務所、沖繩国税事務所、税務署。それから文部省関係、千三十六名で、琉球大学とそれから沖繩国立青年の家でございます。厚生省が、七百五十二名で、琉球検疫所、国立療養所、九州地区麻薬取締事務所沖繩支所、九州地方医務局、県社会保険事務所。それから農林省が、百二十五名で、熱帯農業研究センター沖繩支所、那覇植物防疫事務所、動物検疫所沖繩支所、沖繩食糧事務所、輸出品検査所、沖繩営林署。それから通産省が、十三名で、那覇鉱山保安監督事務所、工業品検査所那覇出張所、神戸繊維製品検査所那覇出張所。運輸省が、九百四十九名で、沖繩海員学校、沖繩船員地方労働委員会、第十一管区海上保安本部・海上保安部・海上保安署、それから地方海難審判庁支部、地方海難理事所支部、それから地方気象台・測候所、那覇空港事務所、それから出張所、陸運事務所。郵政省が、千四百九十二名で、沖繩郵政管理事務所、沖繩逓信診療所、郵便局、それから那覇電波観測所。労働省が、二百七十名で、公労委沖繩支局、沖繩労働基準局と労働基準監督署、それから公共職業安定所、それから婦人少年室、県になお人間がいます。それから建設省に、国土地理院の沖繩支所、以上でございます。
  181. 山崎昇

    山崎昇君 それが総計して約六千四百というわけですか。
  182. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) それに総合事務局関係の八百十名が加わりまして、全部で八千四十三名という定員でございます。
  183. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、総合計八千四十三名ですね。これが定員としてはもう確定をしておるわけですね。このうち、私がお聞きをしたいのは、現実的に人の来るのは何名ですか。定数はわかりました。全部これはいま琉球政府にいる者が来るのか、あるいは来なくてこっちから持っていくのか、それは個々にどうだということは要りませんが、大ざっぱにどのくらいになりますか。
  184. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) この全部の定員で、琉球政府のほうから引き取る者が大体六千四百名、あとは国のほうから取るということになっております。いま具体的にその人間をいろいろ検討いたしておりまして、問題点は、なかなか技術者が、沖繩の県のほうでも必要だしするので、技術者の点が相当困難をしておるという状況でございます。
  185. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、今度の政令案を見ますというと、この定員は当分の間総定員法のワク外にしているようですね。そこで管理庁に聞きますが、当分の間というのは大体どれくらいのことをお考えになっているか。
  186. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 沖繩におきまする行政需要につきましては、復帰後の推移を見ませんと必ずしも現在のところ的確に把握できていない面もございますし、今後の開発計画の推移等によりまして流動する面もあろうかと考えております。したがいまして、現在のところでは、本土の定員法を直ちに適用して最高限度規制を行なうということは適当でないという考え方で規定を設けているわけでございますので、そういった事態が一応の見通しがつきますというのが、私どもの期待しているところでございますが、まあ少なくとも三年程度は大体こういう形で推移せざるを得ないのではなかろうか、それ以上どれぐらいになるかという点につきましては、まだ見当がつかないというのが実情でございます。
  187. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、定員法のワク外としておくのは一応三年程度ということをいまお考えになっておる、こういうことですね。
  188. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 少なくとも三年程度は必要であろうかと、それ以上どれだけになるかという問題はまだ見当がつかないということでございます。
  189. 山崎昇

    山崎昇君 そこでね、私がなぜこれを聞くかというと、本土のほうでは、第二次削減等もこれからやるわけです、四十七年度からやるわけですね、またこれ三年間で五%ですか、そうすると、これがもし定員内に入れられてくるというと、この本土の行政整理のやっぱり数字の中に入ってくるのではなかろうか。そういう心配もありまして、この当分の間というのが一体幾らかわかりませんでしたが、いま、少なくとも三年程度と。  そこで、あらためてこれは行管長官に聞いておきたいのだが、もちろん総定員法に入っておりませんからそこまで心配せぬでもいいということでしたらあれですが、沖繩に関する限り、本土でやられようとする定員削減というような点からは除外をしているのだ、そう確認をしておいていいですね。
  190. 中村寅太

    ○国務大鹿(中村寅太君) いまの時点では、そのとおりでございます。
  191. 山崎昇

    山崎昇君 それは確認をしておきます。  それから、今度こちらのほうに琉球政府から来るのですが、人事院にお聞きをしたいのですが、かねて、ずっと人事院では、どういう等級の者が何名くらいだとか、あるいは給与の再計算等も含めていろいろ検討されておったと思うのですが、そこで具体的にお聞きをしたいのは、大体再計算の結果、あなた方進めておると思うのですが、このいまこちらへ来られるであろう人間が六千四百と、こういうんですね、現実的に。この大体の何といいますか、職階別といいますか、あるいは等級別といいますか、もしわかっておれば聞いておきたいと思います。
  192. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 沖繩におきます現在の琉政職員国家公務員に今度入ってこられるという方々につきましては、基本的な考え方としまして、琉政に入りましたときをこちらの国家公務員になったというように仮定をいたしまして、昇級昇格をして何等級何号俸になるかということで再計算をして格づけをする、つまりそういう点で、全く本土並みの給与を支給するということで再計算をいたしまして、その結果の上がり下がりというのが当然出てくるわけでございますけれども、向こうの給与は現在ドル建てでございますから、これを三百六十円で計算をいたしまして比較をするということにいたしますと、最近、先週ベースアップが八・六%ございましたのでございますけれども、それを除外してみますと、従来考えておったわけですが、それによりますと、大体上がる人が半分、下がる人が半分ということでございます。で、下がる人が半分のうちで、七月、十月、一月に昇給が最近ございますので、そういう方々につきましてあらかじめ直近上位に上げておくということにいたしますと、それによって三割、下がる人が少なくなるということで、そういうことをしました。直近上位処置をいたしました結果、二割の方が下がる、三百六十円計算で下がるということになったわけでございます。なお、先週行なわれました八・六%を入れまして計算をいたしますと、約七割の方が下がるということになるわけでございます。で、その両方につきまして、差額手当というものが問題になるということでございます。
  193. 山崎昇

    山崎昇君 大筋はそうだと思うのですが、そこで、私のいま聞いたのは、あなたのほうはやっぱり再計算ですから、この者については大体こっちへ引き継いだ場合に何等級ぐらいに概当するというふうに計算をされていると思うのですね。ですから、大ざっぱでけっこうですが、等級別といいますか、これを少し聞いておきたいと思います。
  194. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) ちょっといま調べている間に私が申し上げますが、私どもがいま完結いたいました仮計算というのは、これはだれが国側に来られるか、だれが府県に来られるか、これは全然わからぬのですが、一万八千人の人を一人一人しらみつぶしに調べた結果が出ておる。そうしていま大体のことは給与局長が申し上げましたことで処置するわけでございますが、さて、今度はその中のだれとだれとだれが国に来ていただけるやら、これはおそらく局長いま一生懸命やっておりますけれども、おそらくまだ確定しておりませんので、何等級になる人が何人ということは数字がはっきり出ないのではないかというふうに考えておりすけれども、なお局長からお答えいたまさせます。
  195. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 等級の割合でございますけれども、大体格づけの結果は、なお現在各省庁がどこのポストに入れるかという点も進行中でございますのでございますが、そういう関係を、まあ見通しといたしまして大ざっぱに考えますと、大体本土における等級構成とほぼ同じようになるであろうという感じでございます。
  196. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、人事院総裁に聞きたいのですが、いま給与局長説明では、何か二、三日来いろんな組合との話し合いがあって、まとまった点もあるやに聞いておりますが、それらも含めて実施をすると仮定をして、定期昇給も入れて下がる者が大体二〇%ぐらいだろうといういまの話であります。それからそれに対する対処のしかたとして、特別手当というのをお考えになっているようなんですが、その内容と、一体どういう性格のものを考えるか、またそれはどれだけの期間、といっても、これはなかなか個人によってむずかしいものがあると思うが、大筋、一体どれぐらいの期間この特別手当というものを考えているのか、聞いておきたいと思います。
  197. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) おかげさまでまあ昨日をもって全部大体きまりました。しかも琉政及びあちらの職員団体の方々とも完全に合意に達しまして、目下鋭意規則の整備をやっておるわけでございます。要するに、先ほど局長が申しましたように、三百六十円で現在の俸給を換算して、そうしてわがほうの従来の俸給表に乗りかえてもらう。そこで、大ざっぱに申しますというと、月給の上がる人もたくさんおられますが、なお従来よりも下がる方もある。そこで法律にございます特別の手当と、いお御指摘のおそらくその手当であろうと思います。われわれは便宜差額手当と申しておりますが、急激な変動を避けますためにはどうしても差額手当を差し上げなくちゃならぬ。しかしその差額手当も、これも先方、現地側と十分相談をいたした結果でありますけれども、まず本俸対本俸でこれを比べますと——そしてその差額の手当、それに当たる差額手当は、本俸と同じように諸般の方面にもはね返るような扱いにしようということにきまっております。そこで今度はそれの取りくずし方です。いずれにせよ本土の従来の人々と一緒に仕事をされるわけでありますから、本土の俸給表にいずれははっきり乗り移っていただかなきゃならぬ。したがって、それを取りくずしていかなきゃならぬ。その取りくずしの方法はいろいろございますが、私はかねてから、きわめてなだらかな形で、ショッキングな形にならないようにということで検討を進めてまいったわけであります。それについてはいろいろ異なる見解、異見もございましたけれども、それも昨日完全にまとまりました。まあ非常に安心をしておる。向こうの職員団体の方々もたいへん御満足であろうというふうで、喜んでおる次第でございます。
  198. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、総務長官に少し基本的なことを聞きたいのだけれども、今度の復帰にあたって、沖繩の労働組合の集合体である官公労と屋良主席との間にいろいろ話し合いが持たれて、意見一致してお互いに文書を確認したものがありますね。そういうものを、私は基本的にはやはり執行して、そうして一切もう何にもない形の上に復帰してくるのが私は正しいのだと思うのだが、そういうことについてひとつ、総務長官は私どもと同じ急見だろうと思いますが、あらためて聞いておきたいと思うのですが、どうですか。
  199. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはまあ琉球政府、そして現在の沖繩官公労、両当事者を含めて、昨日最終的に合意に達した。しかしながら、琉球政府の主席と官公労との間で結ばれた内容そのものではない。これはやはり本土政府との折衝その他もありますから、そのうちの人事院の段階でもいろいろと実情を知って妥協をした点もありましょうし、いろいろと変化はあったわけです。たとえば一番極端な変化といえば、有給休暇買い上げという制度は残してほしい。これは当事者間では合意に達したといっても、やはりこれはたびたび私はあらゆるところで答弁をいたしておりますが、残念ながらこのような制度というものを持ち込むわけにはいかない。しかしながら、復帰前あるいは復帰の日に退職する人については、既得権だから、その財源については見ましょう。しかし、それについて、復帰後見ないものについては何らかの措置が必要だという御要請が次に出てきて、しからば五カ年で有給休暇の行使を、人事院規則で一般公務員よりもよけい行使していいということでどうだろうかという意見に変わりまして、それではその五年を十年にしてほしいということで、最終的にそれも合意を見ましたので、形は少し違ったものになっておりますが、最大限の尊重と、協議合意の上、まあきょうからストをやるといっておりましたものもおさまりまして、みな順調に、職務の引き継ぎも、事務所の移転等、やっていただいておるということでありますので、人事院総裁のお話のとおり、たいへん心配もかけましたけれども、何とか処理ができたと思っております。
  200. 山崎昇

    山崎昇君 いま少し内容を聞きたいと思ったのだが、長官からいま休暇の話が出ましたから、時間節約で、まあそれについて。  人事院規則で、十年ぐらい、いまたまっているやつを行使していいということになる。しかし、私は、国家公務員になる場合には、移管をされる者については、これはなるほど労働基準法の適用を排除をされておりますから、人事院規則でいかようにでも決定されると思う。しかし、地方公務員に残る者は、一応これは労働基準法の適用を受けるから、百十五条の請求権との関係が出てきますね。そうすると、国家公務員として移管された者は人事院規則で十年でよろしゅうございますが、残された地方公務員は、労働基準法の適用を受けるから、百十五条の請求権で二年間しかこれはだめなんですよと法律的にやられた場合には、私はやっぱり問題点が出てくるのじゃないか。その辺のことは一体、じゃ、人事院として、あるいは総務長官としてどういうふうに考えられたのか、聞いておきたい。私はできるならば、そういう話し合いが持たれているそうでありますけれども、できるならば、沖繩復帰ということでありますから、この復帰の時点でそういうものは買い上げるなら買い上げるできちっとしてもらいたい。ただ、一ぺんに、いま何日あるかわかりませんが、私ども聞いた話では平均五十八日とも聞くし、六十日ぐらいとも聞きます。そしてこれはかなりな金額になると思うのですが、支払いはあるいは二年、三年かかるかもしれない、分割で払うかもしれない、しかし制度そのものとしては持ち込まぬ、沖繩が返るときに残ったものについては、そこできちっとして返ってくる、それが私はほんとうでないかと思うんですがね。そういう意味で言うならば、せっかく総務長官努力されて、組合とそういう話し合いなされているようでありますけれども、あらためて私は、この委員会としては、清算をして引き継ぐように、そういうことにならないかどうか、重ねてお聞きをしたい。どうですか。
  201. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 清算をして引き継ぐお話になりますというと、これはまだ少なくとも人事院の所管段階に入ってくる前の話でございますから、これは沖繩担当の山中総務長官からお答えいただきたいと思いますけれども、われわれとしては、清算なしに引き継がれた方々の、要するに退職のときに買い取るかどうかという問題だけに煮詰まってまいりますけれども、これはもう御承知のように、わがほうの従来の国家公務員法のたてまえは、もう買い取り制は基本的に認めておらない。むしろ有給休暇は休んでもらって、そうして新しい意気込みを持って次の仕事に取り組んでもらおうというたてまえでございますから、基本的に全然なじまないたてまえになっております。したがってこれは、むずかしいことは当然でありますけれども、さてしかし、たくさんまだ休暇をお持ちの方をそのままゼロにするわけにはいきませんから、五年にするか、十年にするか、その間にこなしていただこう。山中総務長官はもう十年ぐらいはやっぱり延ばしていいじゃないかというお話もありましたけれども、それはけっこうだろうということで、いまの十年ということにしたわけでございますから、これは地方公務員の場合はちょっと別の問題になりますから、私としてはちょっと申し上げかねる立場におるわけであります。
  202. 山崎昇

    山崎昇君 総理府はどうしますか。
  203. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもうずいぶん議論をし続けてきたことでありますし、琉球政府あるいはまた官公労としてもなかなかこれはおりられない既得権だということで、私としてはよくわかる主張でありましたけれども、いかんとしても制度上そういうものを持ち込むことはきわめて困難だと、あるいはその人がやめるまで一身に帰属した権利として、退職の際に一括して払ったらどうだというところまで議論もしてみたんですけれども、なかなかむずかしい。結局は、やめる、いわゆる復帰の時点でやめたという形をとるならばそれはできるわけですけれども、反面また、それはやめたんじゃなくて、身分を継続するということがまたいまの人事院の作業でも一番重点になっておりますし、退職金制度もそういうことを前提にしておりますから、有給休暇の買い上げの支払いだけをみなし退職とするというのは、あまりにもまたこれは人為的な操作過ぎて法律的にやはりむずかしいということで、復帰前にやめる人、並びに復帰の日にやめる人までは、これは既得権として、そのまま他に波及しないでやめていくわけでありますから、その財源措置については当然国のほうで琉球政府の相談に応じてきておりますけれども、そのあとの人たちも全部復帰の時点でそれを払うということについては、ちょっとどうも合意に達することはできなかったというのが真相です。
  204. 山崎昇

    山崎昇君 その経過は私も知っているんです。だから重ねていまあなたに聞いているのは、私は復帰後に——もうこういうことはあり得ないんですから、日本に関する限りですね。たとえばいま盛んにいわれている北方領土の問題、かりになったとしても、ここにはもう公務員なんかおりゃせぬのですから、したがっていまのようなことは沖繩の返還で、もう全くないんですね。もしそうだとするならば、当然やっぱり彼らの持っておった制度というものは、そこで一応のピリオドを打つというのが正しいんではないか。ただ一ぺんに、金の問題はいろんな問題が出るでしょうから、私は、分割払いとかいろいろな方法はあるにしても、休暇の買い上げということは、そこで私はピリオドを打つべきではないかという考え方をとるわけです。そこでもう一ぺん、せっかく長官努力されているようですけれども、そういう考え方がとれないかどうかということと、それから、いま申し上げましたように、人事院は地方公務員については私どもの管轄外だと言う。なるほどそれはそうです。法律的にはそうだ。だけれども国家公務員に引き継がれる者は、いま言うように、人事院規則で十年ということをやるようでありますけれども、地方公務員に残された者は労働基準法の適用を受けましてね、百十五条の請求権というものが現実に存在するわけです。それじゃ、同じようにいままで沖繩におって、片っ方国家公務員になった者は十年、六十日なら六十日ある者は使用してもけっこうですが、地方公務員になった者は二年間しか請求権がない。そういう法体系になっているのですよ。そこで、じゃあ総理府としてはそういうものに対してどういう処置をとられるのか。労働基準法は百十五条でそうなっておるけれども、それはそうでありませんと、何か特別法でもつくるのか、暫定的な措置法でもつくるのか、そこらのことを聞いているわけなんですが、ひとつ教えてください。
  205. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 先ほど総裁が申されましたように、私どもの所管ではございませんが、その点につきまして自治省ともいろいろ相談してまいったわけです。で、自治省から聞いたところによりますと、自治省も国と大体合わした措置をとるということを言っております。
  206. 山崎昇

    山崎昇君 あのね、私は十年間日にちたつ間に、やっぱりそういう点は、単なるそういう行政指導では薄れていくおそれがある。だから、国家公務員に引き継ぐ者は人事院規則という明確な根拠をもってやることになる。地方公務員については根拠はなくなってくる。労働基準法が適用されてくるのですから。それはもう少し私は人事院ね、なるほど所管外かもしれぬけれども、この公務員の問題で今度引き継ぎになるわけですから、もう少しその点は法制的に検討してもらいたい。総理府も私は検討してもらいたい。そうして地方公務員についても法的な裏づけできちっとしてもらいたい、十年なら十年で。まあいまの段階やむを得ないとするならばですよ。だから私は、そういうこともあるから、できれば復帰と同時にこの問題も解決して、新しい本土の法制に入るなら入るような仕組みにすべきではないか、そう考えて先ほど来聞いているわけなんです。どうですか。何か総理府にお考えがありますか。
  207. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは作業の過程は一貫して国家公務員に対してとる措置は地方公務員にも適用すると、準ずるということでやっておりますから、自治省のほうでいまのお話のようにやるという意思もはっきりしておりますし、間違いないと思います。しかし、これを法律とか政令とかということになりますと、これは自治省でやることなのかどうか、あるいは自治省でやるとすればどういう手段があるのかどうか、そこらのところは研究さしてもらいたいと思います。
  208. 山崎昇

    山崎昇君 じゃあいずれにしても、自治省と十分私は打ち合わせをして、根拠というものをきちっとしておいてもらいたい、このことだけ要請をしておきます。  それから次に、こまかいことが一ぱい並びますが、お聞きをしたいのは、人事院に聞いておきますが、従来沖繩北方対策庁設置法の十一条によるというと、沖繩在勤手当が支給されていますね。これは今度の復帰と同時にどういうふうになるのか。あるいはこれにかわる何かの手当が考えられるのかどうか、聞いておきたい。
  209. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) そういう方々が相当おられますので、機械的にやりますというとたいへん減収になる。これは目に見えたところであります。したがいまして、先ほどのまあ差額手当に似たような形になりますけれども、その点をやはりなだらかに解消していきたいという意味で、一種のやはり手当的なものでそれを償っていこうという考え方でおります。
  210. 山崎昇

    山崎昇君 これはあれですか。人事院規則でやられるわけですか。あるいはどういう名目になるのか。いま、仮称でもいいですけれども——これはかなりな金額ですね。たとえば一等級の者であればですね、相当な金額が出ています。それからこの在勤手当のようなものは、将来一体いろいろな諸手当の基礎計算に入れるのか入れないのか。そういうことも含めて、どういう形で残すのか、あらためて聞きたいと思います。
  211. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 現在沖繩のほうにございます対策庁の出先等に在勤手当が支給されておりますけれども、これはまあ特殊な事情のもとに支給されているものでございまして、復帰の時点において一応なくなるということに観念すべきものと思います。そこで、しかしそうして一般的な給与法の適用があるわけでございまして、従来支給されておりませんでした超過勤務手当、通勤手当、住居手当等の支給がいままでとめられておったわけですけれども、そういうものが支給されることになるわけであります。しかしながら、そういうものが支給されましても、落ちる額が、実際問題として給与が半分ぐらいになるわけでございますので、たいへん落ち方が大きいということもごさいますので、その落ち方を——落ちることは落ちるようにいたしたいと思いますけれども、若干の間はこういうものをしなければなるまいということで、現在検討しておるところでございまして、もちろんそれは従来も、本俸的なものではございません、手当でございますし、今後もそれは経過的な手当ということでございます。
  212. 山崎昇

    山崎昇君 検討中と言うけれども、五月十五日です、返ってくるのは。あと何日もないわけでしょう。もうすでにあなた方の中には骨格ができ上がっているんじゃないかと私は思うんです。そうでなければおかしいと思うんです。ですから、たとえば人事院規則でやりますとか、名称はどういうものになるか知らないけれども。いままでと生活実態は何も変わらないわけですからね。そうすると、新しく支給される手当と相殺勘定しても、いまあなたは半分ぐらいだと言われる。半分というと、たとえば私の手元にあります資料では、これは一等級の人ですけれども、家族を同伴する者は十五万九千六百円、月額もらっている。半分にしたって約八万円です。八万円落ちたら、沖繩復帰になったはいいけれども、待遇はまるっきりひどい問題になってくる。そういうことを考えますと、在勤手当の問題は私は軽々しい問題ではない。  なお重ねていえば、いままでおった者に対して、これは支給されているが、今度本土から行く者がおりますね、そういう者は一体どうなっていくのか。そこら辺もたいへん心配でありまして、もうすでにあなた方、かなり考えがあると思うんだけれども委員会で明確にしてください。こうしますならします、あるいはあとで一部直すなら直すでけっこうですけれども、方向だけ、総裁からでも明示してください。
  213. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 現在支給を検討中というところでございますけれども、いまお話しになりました在勤手当関係は、いわば外国的な感じの上で支給されているものでございまして、今度の本土復帰によりまして当然になくなるということであると思います。したがいまして、一応これはなくなってもやむを得ないというふうに考えるわけでございますけれども、実際問題としまして、給与が半分になるという点もございますから、最初は相当下がるということはやむを得ないというふうに思いますけれども、その間は若干の緩和をしたいということで、現在その額の三分の一程度から始めたらいかがであろうかといったようなことを検討しているということでございます。  なお、それはもちろん現在もらっている人の経過的な話でございますけれども、今度こちらから新しく赴任するという方が相当おるわけでございますけれども、こういう職員につきましては、やはり向こうにおられた方と、こちらから行った方とは、一緒になって役所で仕事をするという、机をあわせて仕事をするということになりますので、そういう点につきまして、こちらから行く方方には何か支給をしてもらいたいという各省人事当局の要望はございますけれども、やはりその間の現地におけるバランスということを考えますと、両者の関係について特別な差異というものを設けるということは非常にむずかしかろうというふうに考えております。
  214. 山崎昇

    山崎昇君 何かむずかしいことをあなた言っているんだが、ずばり言えば、かなり大幅にこれはダウンするから、そうしないように人事院規則で処置をいたします。それから、こちらからあらためて赴任した者も、いままでおった者と差をつけるわけにはいかないから、それは一緒に処置をいたします、こういうことでしょう、それでいいんでしょう。何だかさっぱりわからぬ。
  215. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) この手当、向こうに現在行っております方は在勤手当が出なくなりまして、そのために約半分ぐらいになるということになります。で、それはたてまえとしては、本土復帰でございますので、外国的な感じで支給されているものについてはなくなるということはやむを得ないというふうに考えるわけでございますが、しかしそれはあまりに急激であるという意味合いにおきまして、三分の一程度のところを支給をいたしまして、だんだん減らしていく。そういったようなことを、特別措置法から包括的に委任されました人事院規則によりまして、そういう関係を定めたいということでございます。  それから、それは向こうに現在おりまして相当な額をもらっている方々の話でございますけれども、それとは別に、そうじゃなくて、今度はこちらから新しく行く方につきましては、今度は新しい問題になるわけでございますけれども、それは向こうの職員復帰する職員と向こうで机を並べて仕事をするという意味合いで、特別な手当を支給するということはむずかしかろうというふうに考えているということでございます。
  216. 山崎昇

    山崎昇君 もう一ぺん私のほうで整理すれば、まず第一に、三分の一程度新たに支給するということについていえば、さっき例にあげたように、一番高い一等級の人で十五万九千六百円という人がおりますね。そうすれば、復帰に伴って、向こうにない制度がこちらにあって、それがあなたの説明では半分ぐらいだというならば、大ざっぱにいって八万円ぐらいは減るということになる。いまのあなたの説明では、その三分の一を新しい手当で何とかしたいというから、言うならば、二万円から二万五千円程度は何とかしますというのですね。それは何年ぐらい、どういうふうにするのかわかりませんが、それを明確にしてもらいたい。  ところが、新しくこっちから行った者は、もともとおった者でないのだから、給与が下がるものでもないのだから、支出しなくてもいいんだというふうにも聞えるし、一緒に机を並べて仕事をするのだから考えなければならぬのだというふうにも聞えるし、一体どっちなのか。向こうへ行って、あれでしょう、生活の基盤が全く同じようになってくるわけだから、従来の形の在勤手当というものではないにしても、ある程度の期間というものおった人にある程度のものをやるならば、それと同様のものぐらいこっちから行った者に、机を並べて仕事をするのですから、やらなければならぬのじゃないかと私は思うのだが、どうですか。何かその辺、どっちなのか、どっちにもとれる答弁なんです。
  217. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 及第するかどうかわかりませんが、後段のことは、一口に言えば、もう向こうは外地ではないのだ、完全に本土と同じだ、北海道に行く人、四国に行く人とちっとも変わらないじゃないか。それと差別をして特別の措置をとるのは県民感情から見てどうだろうか。やっぱり本国から来たというような感じでこれを見るのじゃないかということが、一つ気持ちとして私は大きな問題だろうと思います。  さらに、今度は、向こうの人と一緒に机を並べておって特別にまたこっちの給与をもらっているというようなこともぐあいが悪いということで、送り出すほうの側からいえば、何とか方法はないかという気持ちになるのはこれは当然でございますけれども、たてまえとしては、そういうところを総合して考えますと、別段の措置を表立ってするわけにいかないということに落ちつかざるを得ないということであります。
  218. 山崎昇

    山崎昇君 重ねて聞きますが、先ほど述べられたように給与が下がるもの、上がるもの、いろいろありますね。その差額については特別手当でやりますね。それとこの在勤手当は別々ですね。その中に含めて考えるということではありませんね。これは確認しておきますが、別々ですね。
  219. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 先ほど申しました差額手当の問題につきましては、これは現在琉球政府職員の話でございます。琉球政府職員が、いまドルをもらっている方々が、今度は本土の俸給表を受けまして円をもらうということで、上がり下がりということがあって、下がった方には差額手当をやろうという話でございます。  いまのお話は、こちらの俸給表を受けている方方が沖繩に現在行っておる、そういう方々が在勤手当を外国的なものとしてもらっておりますので、そういう方についてどれだけ下がった形にしようかということでございます。
  220. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、もう一つ聞いておきたいのは、さっき定期昇給、八・六%全部ひっくるめてやれば二〇%くらいの支出しか下がらないというお話です。そこで、かつて自治体警察が国家警察と合併したときに、こういうやり方が一つあったのですね。そのときにいろいろ議論されたのは、その人が在勤中はやっぱりめんどう見ていいんではないか、在勤中は。たとえば、いまの場合で言うと、二〇%程度の人になると思うのだが、これは当分の間、あなた方は、特別手当でやるにしても、どれくらいの年数かわかりませんが、下げるということなしに、その人が勤務して、やめていくまでの間はそれくらいのものは保障してもいいのではないか。こういう意見もかつて自治体警察が国家警察と合併するときに議論になった。だから、私はあのときの経過から見て、だんだん先々三年も四年も自分の月給が上がらない、こういうことに対する別の不満が出るわけです。そういう点からいけば、こういうものについての保障というものは私は十分考えてもらいたいと思うのですが、その点総裁どうですか。
  221. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) この警察方式というのは非常にドラスチックなやり方で、ああいうひどいことは今度はしちゃならぬぞということで、結局、先ほど来の御説明のようなことで、非常になだらかな形でいったわけで、これは非常に、あれに比べればよほどいい行き方だと考えております。
  222. 山崎昇

    山崎昇君 次にお聞きをしておきたいのは、この沖繩には、本土にない、たとえば暴風雨時勤務手当、ハブ危険手当だとか、あそこの地域特有の手当もまた支給されていますね、いま琉球政府では。今度は本土になると、これもまたなくなってくるのじゃないかと、私はおそれるのだが、こういう地域性に基づくものについては、人事院はどう考えますか。これはまた何か人事院規則で残されますか。
  223. 尾崎朝夷

    政府委員(尾崎朝夷君) 沖繩の、現在支給されておりますいろんな特殊勤務手当と、本土における特殊勤務手当とは、若干種類が違っておりますけれども、今度新しい奉給表の適用職員になるという場合には、こちらの手当を支給するという形にいたしたいわけでございます。なお、いま御指摘のように、特殊な手当といたしまして、ハブ関係の手当、それから暴風雨関係の手当という二つの手当がございます。これにつきましては、ハブ関係の手当につきましては、これは現在の段階では国家公務員でなくて、地方公務員になるだろう、その関係者が、ということでございまして、私どもとしては、直接それは考慮外というふうに考えております。で、暴風雨関係につきましては、これは本土の場合も暴風雨関係がたまにございまして、そうしてそういう場合には、たとえば関係者を残すとか、超過勤務手当でこれに対処するとか、そういう関係がございますので、そういう関係でまいりますと、やはり従来本土で対処をしておりました方法で一応いいのではなかろうか。なお、そういう関係が非常に特殊であるという場合には、実情を見まして、今後さらに検討をするという方向で考えております。
  224. 山崎昇

    山崎昇君 本土でも、地方自治法の二百四条によりますと、国家公務員と地方公務員に支給されている手当に若干の違いがあるのですね。地方自治体では、一般職の給与法に規定されている手当で、二種類多いものが載っています。だから、私は今度できる沖繩県で、地方公務員に残る者については、このハブ手当については二百四条を適用して、もし条例なり規則でやろうと思えば私はやれると思う。しかし、国家公務員になる者については、いま、あなたの言うように、今度すぱっとなくなるおそれがある。そこで、これは実情がどうかというならば、暫定的にこれは人事院規則なり何なりに残してもらって、そうしてあなた方が実情を調査して、この辺で打ち切った場合があってもいいとか、あるいはどうだとか、こうしてもらいませんと、ずっと調べるというと、本土復帰になって落ちていくほうばっかり一ぱいありまして、あんまりいいものが一つもない。これは私はやっぱり考えてみなきゃならぬことではないだろうか、こう思うのですよ。一番ひどい、さっき言った在勤手当にいたしましても三分の一程度、いままで十五万もらっておったものが八万ぐらいになって、その三分の一ぐらいまでしか見られない。それもいつまで見るのかよくわかりませんが。そうなってきますというと、これはかなり給与面では低下をしてくるおそれがある。したがって、総裁に私からこの機会に頼んでおきたいのは、とりあえずは、これはしばらく残してもらって、検討された後に、どうかするならするとか、そういう措置にしてもらいたいと思うんですが、どうですか。
  225. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは具体的の、現実的な問題でございますから、結果は同じになるのじゃないかと思います。といいますのは、検討した結果、なるほどこれは必要だということになれば、さかのぼって実施すればいいことでありまして、われわれとしては、やっぱり、じっくり研究を積んだ上でやっぱりやりたいという気持ちで、必要だということになればさかのぼってやればいいじゃないかという、そういう気持ちです。
  226. 山崎昇

    山崎昇君 これはあんた、さかのぼると言ったって、一年も二年も検討してからさかのぼるなんて、できませんよ、現実的には。私は官庁の仕事ってそんなに早いものだと思いませんから。特に、給与面が、そんな簡単にあんた結論出ますか。いま、この制度は暫定的に残して、その間に検討されて、廃止するならするとか、そういう措置をしなければ、かなり、いろんな面で低下をしてくるのじゃないかと心配をするから、いま、あなたに提案をしているわけです。どうですか。重ねて聞きますが、残してくれませんか。
  227. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 御承知のように、特殊勤務手当については、やっぱり一定の水準を、われわれは従来の本土の規則では考えてやっておるわけですから、それとやっぱり一応現実的に照らし合わせて見ませんと、暫定的に残したほうがいいか、これはいずれやめるということになってもこれは何でございますから、やはり、そういう点も十分見きわめた上で、着実な方法をとったがよかろう。二年も三年もたってから上げるというお話しでございますけれども、そんな例はわれわれとしてはないんじゃないかと思います。
  228. 山崎昇

    山崎昇君 そんなに人事院が積極的に早くやるわけがない。だから、やっぱり私はこれは強く要望しておきます。あとはあなた方の決断でございますから、決断を待ちます。  その次に、総務長官人事院総裁に聞きたいのは、今度の沖繩の総合事務局にいたしましても、それから沖繩に置かれるその他の事務所にしても、あなた方の説明によれば、管区機関のある程度の資格——資格といいますか、そういうものも与えてあるという説明もされた。もしそうだとすれば、ここに勤務する者の今後の給与上の格づけというのは、かなり上位でなければならぬと私は思うんですね。したがって、この格づけについては、総理府あるいは人事院はどのように考えられるのか。法律説明のときだけは、あなたのほうは、管区の行政機関と同じですよ、しかし、その他の給与上だとか、身分上の格づけになると、ずっと下ですよと、これでは話が合わない。その点については、どういうふうに考えられますか。
  229. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 沖繩対策庁として、まず、お答えいたしますのは、総合事務局のみならず、各省庁の出先も、なるべく管区的な権能をもっておるということで努力をしてまいったわけでございまして、たとえば、国税事務所であるとか、あるいは海上保安庁であるとか、管区海上保安本部であるとか、そういうものは、やはりそれぞれの格に従って、その長となるべき者、あるいはその部につく者については、おのずから、そのブロック的な役所としての格づけが行なわれるであろうというぐあいに期待しております。
  230. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) いま田辺部長からお話しのとおりで、これは最終的にはおそらくわれわれのほうでお引き受けしなければならぬと思いますが、あるいは多少甘過ぎることになりはせぬかということも考えますけれども、りっぱなふうにやります。
  231. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、確認しますが、管区の行政機関の権限をなるべく与えるようにやっていくというのだから、管区の機関と同様な格づけをされるという考え方ですね。間違いありませんね。
  232. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) これはぎりぎり詰めてまいりますと、その役所の規模、人数、そういうものがやはり影響を受けるということはあると思います。しかしながら、一般の県に置かれますところの出先のまた出先といいますか、第二次機関ではない、管区的な権能をもっている第一次機関であるということは確かでございますから、たとえば関東地方におかれますところの海上保安管区の長と同じ給与でなければならぬ、そういうぐあいにはまたおのずからならないのではないかと思います。
  233. 山崎昇

    山崎昇君 何か聞いているとだんだん先が細くて、最初の出だしはいいんだけれども……。私は端的に聞いているんだが、管区の権能まで与えるような、あなた方は強い機関だと、こう言うから、そんなら待遇関係もあるいはその他のことについても、当然それにふさわしい格づけにしなければいかぬでしょう。それが一般基準によってまた人数だとか何かまでやったら、これは一々下がってきますよ。ですから私は最終的に確認をしておきたいのは、再三あなたが答弁されたように管区機関と同様の格づけをいたします、人事院も総理府のそういう意向を受けてそのとおりやります、あなたは、甘いと、こう言うんだけれども、よろしゅうございますね。これは総務長官総裁からもう一ぺんひとつ答弁してください。
  234. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 田辺部長が当初申しましたような基本線でやりますから、あとの答弁はやはり実態というものをあまり説明し過ぎましたからしりすぼみに聞こえるかもしれませんが、そうじゃないんで、基本的にはそのブロックの長たるの権限を与えられたものは通常のブロックの長たるにふさわしい位づけが行なわれる、こういうことであります。
  235. 山崎昇

    山崎昇君 私は長ばかり言っているんじゃない。そこに勤務する職員——長が上がれば職員だって上がらないとおかしいですよ。だから先ほど来言っているのは、その機関は当然管区機関と同様の格づけをいたします、したがいまして、その中に勤務する者はそれにふさわしい格づけをいたします、こういうふうに理解をしておきます。いいですね。  その次に人事院に聞いておきたいのは、職員の任用について人事院規則でいろいろやられるようであります。ただ、この中で試験を受けた候補者名簿の諸君の取り扱い、それは何か一年くらい限っているようでありますけれども、それから臨時任用中の者あるいは条件つき任用中の者等、本土では規則はありますがあまりやられていない、こういうものについてはかなり琉球政府ではやっているようでありますからそごのないようにやってもらいたいと思いますが、どうですか。
  236. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) たとえば試験の、こちらの上級乙に該当する名簿があるわけでございます。これはたしか一年ということで、これはもう大体採用済みのあとの残りだけでございまして、そんな大きな意味は持っておらないわけであります。しかし、それは有効として限時的に扱う、それから、その他の点につきましても激変のないように十分考えております。
  237. 山崎昇

    山崎昇君 次に、これは総務長官にお尋ねしますが、復帰に伴ういろいろ職員の苦情がある、あるいはその他たくさんの問題が出てくると思うんだが、この苦情等の処理はどこがやるんですか。これは人事院の沖繩に置かれる事務所が扱うのか、総合事務局がやるのか、この点については聞いておきたいと思います。
  238. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは本土にも、御承知のように地方事務局というのがございます。沖繩はたまたま事務所という遠慮した名前になっておりますけれども、大体同じ権限を持たすつもりであります。したがいまして、本土におけると同様にそういう不利益処分の申請請求その他の苦情関係は、やはり地方の地方事務局が窓口になって、それで本院でこれを扱うという形になります。
  239. 山崎昇

    山崎昇君 なるほど、提訴したり、そういうものの苦情処理は、権限に基づいて人事院がやる、その中で私は、復帰に伴って、たとえば労働組合とかいろんなことがある、その際人事院に行ってみたり、総理府に行ってみたり、どこが本筋かわからぬでしょう。これはどうなんですか。総務長官のところへ行けば一切話がつきますか。窓口はあなたのところになっているんだけれども、重ねて聞いておきたい。
  240. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) こまかに言えば人事院規則の問題を私がきめるわけにもいきませんが、しかしそれらの問題で行き詰まるというような場合には、やはり担当大臣としての私のほうで、人事院に介入するのではなくて、政府として人事院の考え方が正しいと思うならば、それを受け入れるための努力を私がするということでありますから、いまのところは私の手元で一手に相談には乗るということであります。
  241. 山崎昇

    山崎昇君 次に人事院に聞いておきます。人事院規則案要綱の百五十六条の関係のやつを見ますと、職員の登録団体について述べられておって、そこの在籍専従の問題について述べられておりますが、これ見ますというと、大体百八条の六第三項によって一年間だけ本土並みのように見ているようですけれども本土の場合もこれは二年間やったのですね、専従になるまでの間経過としては。だから当然私は二年間見ていいのではないかと思うのですが、どうですか。
  242. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 確かに二年間というILO当時の措置と比べますと一年間短いわけでございますが、またそういう要望が現にあったことは事実でございまして、ただ私どもとしましては、諸般の事情をいろいろ勘案いたしまして一年が適当である、こういうふうに判断したわけであります。
  243. 山崎昇

    山崎昇君 諸般の事情とは何ですか。本土では移行するときに二年間見ておって、何で沖繩だけ一年間でなければいけないのか。どういう諸般の事情があるのか。諸般の事情があるから三年四年にするのだということならわかりますよ。短くするという意味はないじゃないですか。二年にしなさいよ。
  244. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) ILOの場合の例を述べていま局長が言いましたように、そういう御要望もありましたけれども、われわれとしては一日も早くきっちりとしていただきたいということで、これは御了解を得まして、そういうことでいま進んでおるわけであります。
  245. 山崎昇

    山崎昇君 これは人事院規則案要綱の百五十六条関係の最後の(8)にありますがね。しかし私はやはり復帰後一年といったって、それはいろいろな問題がありまして、それこそもたもたしていると思うのです。だから少なくとも二年くらい見てやるべきではないかと、事務的に、考えている。そういう意味で、この要綱で一年になっておりますけれども、これ二年にお考えいただけるように検討していただけますかどうですか。
  246. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) その要綱はたしか法案審議の際もお配りしてわれわれとしてはそういう方向でまいりたいということを国会の関係でも明らかにしてきたところでもありますし、現地の方々との話もついておることありますし、そこら辺のところで一日も早くきちっとした団体になってもらいたい、そういう念願に燃えておるわけであります。
  247. 山崎昇

    山崎昇君 その法案審議のときにぼくらおらなかったから、あなたに意見を言う機会がなかったのだけれども、一年というと来年の五月十五日になってしまいますけれども、しかし私はなかなか無理じゃないかという気はするのです。だからできるだけこれは検討してみてください。最終決定はあなたにあるのだから、強くこれは要望しておきます。  それからその次に聞いておきたいのは、沖繩に現在いろいろな休暇があります。たとえばスクーリング休暇、結婚休暇等々あります。そういうものについても、今度本土並みになるというとなくなっちゃう。だから私はできるだけ沖繩の特殊性というのは、これから永久に残せとは言いませんけれども、やはりある程度本土復帰して、気持ちの上でもあるいは制度の上でもなじみがついて落ちついたときに廃止するなら廃止するとしても、やはり暫定的にはある程度いままでの制度というのは残してやるべきではないか、こう考えるのです。そういう意味で、この休暇の制度についてもひとつお考えをいただきたい。もう時間がなくなってきましたから、これは私の意見として申し上げておきたいと思います。  それからその次に聞いておきたいのは退職手当の問題でありますが、改廃法を見ても、明確にこの退職手当を承継するという明文も見当たらないのですね。そこでお聞き取りいただきたいのは、こちらと違った制度がずいぶんあります。たとえば五十五歳以上ですか、六十歳以上で五年のものについては勧奨退職で三倍出すとかずいぶんいろいろなものがあります。そこで、この退職手当についても、私は、いま琉球政府におられてこっちに復帰する方々についてはある程度考えなければいかぬのじゃないかと思うが、どうですか。これもまたすっぱりやりますか。
  248. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、百分の三百勧奨退職の際に支給するという制度は、本土においては百分の百五十ということになっておるわけでありますから、現在の復帰前の琉球法のもとでやっぱり希望者がずいぶんおられまして、財源さえあれば自分たちは長くつとめたくないというようなことを直接私も聞きましたが、そういうことで、大体順調に復帰前に進ましてもらっております。何の不満もないようであります。不平というものも聞いておりません。ただ、復帰後も百分の三百という現行法で退職手当をほしい、勧奨退職としての扱いをしてほしいという御希望はあると思いますが、しかし、これは返ってまいりますと、本土国家公務員なり地方公務員と同じそういう制度の中に入りますので、このことは琉球政府自体としても要請という形ではあがってきていない。話し合いは途中でいたしましたけれども、やむを得ないものであるということになっております。
  249. 山崎昇

    山崎昇君 そこで、これは、私の資料が古ければ引っ込めてけっこうですけれども、ことしの三月の末現在で復帰と同時にやめられる方々で、何か二百四十八名の方々の予算がない、全部で私の調べでは六百二十九人やめるらしいんだが、そのうち三百八十一人については約五百万ドルぐらいついておる、あと二百四十八人については二百六十五万ドルぐらいだそうですが、この予算がついてなくて、たいへん現地でも不安の状態にあるという話を聞くんです。これは解消されておれば別ですが、私の調べた限りではそうなっておるんですが、これらについて一体総務長官、どうなっていますか。
  250. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほどの私の答弁、少し訂正いたしますが、一般行政職の諸君は大体復帰前にそういうふうに円満にいったんですが、教職員のほうはおっしゃるとおり財源が不足をいたしました。そういうこともありまして、総理府人事局の政令で、復帰後五年以内に退職する人についてはなお百分の三百の勧奨退職金を支給するということで、政令で定めましたことをちょっと失念いたしておりました。
  251. 山崎昇

    山崎昇君 次に、こまかいことでたいへん恐縮ですが、これは急いで聞いていきます。  次に、これは大蔵省の所管ではあるんですが、きょう呼んでいませんから総務長官に、旅費について……。沖繩は外国旅費なんですね。今度は復帰されますから、従来、外国旅行定額の百分の八に相当する額が支給されておったのがなくなっちゃう。しかし、いままでの例で見ますというと、大蔵省令その他で旧南洋群島だとか、あるいは北方領土の問題でありますとかいうものに関連をして、一部本土ではありますけれども、外国旅費の問題については暫定的に処置している面があるようなんです。言うならば、沖繩は返ってくるんですが、この旅費についてどうされますか。全く国内旅行並みにしてしまうのか、あるいは旧南洋群島当時やっておる、大蔵省令等でやっておる一部定める地域については外国旅費の百分の八を支給しているわけです。そういう点についてどうされますか、聞いておきたいと思います。
  252. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの大蔵省令の南洋群島——旧南洋委任統治領についての規定は、ちょっと私、いま手元に持っておりませんが、沖繩復帰いたしますとそのまま本土の一県になるわけでありますから、これは距離が遠いとか時間がかかるとかということの以外の要素は何もありませんし、旅費の支給規程は同じにしたいと思います。
  253. 山崎昇

    山崎昇君 次にお聞きしたいのは、災害補償について聞いておきます。特別措置法の五十六条によるというと、四十四年の九月三十日までに事故のあった者は労働基準法に基づいてやる、それ以降は国家公務員災害補償法でやるということになっているが、なぜこういうふうに分けたのか、その理由、それから、その補償の差が一体どういうふうにあらわれてくるかわかりませんので、御説明願いたいと思います。
  254. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) 国家公務員の災害補償の問題は、琉球政府の制度自体が、この法律に書きましたように、ある一定時点以前は労働基準法に従ってやる、そういうことがございますので、それをそのまま引き継いでいるわけでございます。
  255. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、これは両方の差はどんなふうになりますか、現実的には。
  256. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) たいへん申しわけございませんが、その具体的な補償の基準の相違はちょっとわきまえておりません。沖繩の制度がそうなっておるということを申し上げたわけです。
  257. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、あなたのほうが実態知らぬのか、中身を。ただ、沖繩でそうなっておったから措置法の五十六条でそれを持ってきたというだけですか。
  258. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 確かに現在の琉球政府の災害補償法とわがほうの本土政府国家公務員災害補償法との水準の差がございます。そこで、いま御指摘のような差のある差異について、私どもでは人事院規則でその差を埋めるような措置をしたいと、このように考えております。したがって、琉球政府時代に受けた災害については、現在国家公務員が受けた災害と同じような補償をしようと、こういうわけでございます。
  259. 山崎昇

    山崎昇君 時間がないからはしょりますがね、それじゃあと一つだけ聞いてやめにします。ほんとうはまだまだ共済組合から、恩給から、電電公社の問題から、かなり私は聞いてみたいと思うこと一ぱいありますが、かなり時間がたっていますから、最後に共済組合と恩給の問題だけ聞いておきます。  共済組合は本土の共済組合に系列化されてしまうのですね、言うならば。そうすると、有利な点もあるかもしれませんが、かなりまた不利益な点も出てくるのではないかと思う。私は、具体的に事務をやっておりませんから、その内容よくわかりませんが、共済組合で、たとえば断続期間の通算の問題でありますとか、あるいは臨時職員の期間の通算の措置の問題でありますとか、こまかに言えばたくさん問題を含んでいるのじゃないか、あるいは琉球政府になってから雇用された者に対してどうだとか、それ以前はどうだとか、いろいろこまかな点があると思うのだが、とにもかくにも本土復帰になって、共済組合にしろ恩給にしろ、本人が不利益になるというようなことに万々あなた方はしないと思うけれども、一体こういう点についてはどういうお考えになっているのか聞いておきたいと思う。特に本土では、最近毎年、軍人恩給中心でありますけれども、既定の恩給が幾らかずつ増額されています。したがって沖繩職員復帰されて、恩給の受給者等についても当然そういう措置になってくると思うのだが、ことしの十月以降に改定される分については新たにこれは法律の施行の中に入ってくるわけですからいいとしても、それ以前の問題等について何かの措置をしてやらなければ私はかなり低いものじゃないか、こう思うのですが、私は実態を調べたわけでありませんから、あるいは勘違いしておるかもしれませんが、いずれにしても、共済や恩給について総理府なり人事院なりでどういう扱いになっておるのか、あるいはこういう点が不利益になるが、そういう点は不利益にさせないというような点があれば、この機会に聞いておきたい。
  260. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず恩給でありますが、恩給は幸か不幸か、幸いなことにでありますが、円表示で支給をいたしておりますから、復帰に伴う円の切り上げとかいう問題、ドルとは全く関係がない、そういうことで、この問題は、本土における逐年の改定はそのまま沖繩に適用されております。さらに旧南西諸島職員等の復帰に伴って措置しなければならない点もすでに今回の恩給法改正の中に入れてありますので問題はないと思います。  共済あるいは年金等の問題も、これも本人が当然受けるべき、国家公務員であったり地方公務員であったりした場合に受けるべきものとしての当然のものが受けられるように、また既裁定の年金等についても、これを三百六十円、というと大蔵はきらうかと思いますけれども、結果的には相当額ということで読みかえができるようにおおむね話がついております。
  261. 山崎昇

    山崎昇君 私は時間のようですから、ほんとうはもっともっと私は、本人が不利益にならぬようにこまかな点で私の知る限り聞いてみたいと思っておりましたが、時間がありませんので、もうこれでやめますが、ずっと調べてみて、私は、本土に返ってくるに際して、待遇面なりその他から見れば沖繩職員が有利な面というのはほとんどありません。そういう気がします。特に触れませんでしたが、地方公務員や教職員のスト権の問題等は、これは労働運動の根幹にかかわる問題ですから、とても一分や二分で議論されませんけれども、いずれにしても、かなり苦心惨たんして彼らの持っておる既得権が、日本本土並みということで奪われている、あるいは下げられている。これは私はやっぱり耐えられないものではないだろうかという気がします。したがって、総務長官はずいぶん苦心されたことは私も評価していいと思うけれども、十五日に返ってくるわけですけれども、できるならば彼らの既得権というのは最大限にひとつ守ってもらいたい。そしてできるならば琉球政府と官公労等で話し合いのついた問題についてはそれを実施させて、きれいさっぱりしてきて、本土に迎え入れていただきたい。このことを最後に、抽象的ですけれども、強く要望して、私の質問を終わっておきたいと思います。
  262. 沢田実

    ○沢田実君 私は所用で中座をいたしましたので、他の委員の方の質問と重複する点がありましたら御了承いただきたいと思います。  最初に、長官に承りたいのは、きょうのテレビを見ますと、開発庁の長官は総理府長官が兼務をするようなお話、あるいは次官がだれとか、あるいは総合事務局長はだれというようなお話をなさったようなニュースを耳にいたしました。ところがその時点ではまだ開発庁の設置法が、参議院ではきょう議論されるのかどうかもまだきまってないような時点でございました。よもや長官が参議院を軽視しているなどとは思っておりませんけれども、衆議院のほうさえ通過すれば参議院のほうはどうでもいいんだというふうなお考えがあるようなふうに、ニュースを聞いておりますと感じを受けました。それは私もニュースを聞いての感じでございますので、その辺のところを長官にお尋ねをしたいわけですが、実はこの設置法、きょう議論するにつきましても、内閣委員会としての慣例からいけば公害等調整委員会設置法というのが当然きょうは議論されなくちゃならない順序になっております。これについては連合審査等の要望もありまして、これをやっておりますとおそらく十五日までには間に合わないだろうというようないろんな配慮があって、これをあと回しにしてまで開発庁の設置法をきょうは議論しようというようなことになったのが私はこの委員会のきょうの会合ではないかと、こういうふうに思っているわけですが、どんなお気持ちで御発表になったのか。まさか参議院軽視というようなことはお考えになっていらっしゃらないと思いますけれども長官のお考えをまず承りたいと思います。
  263. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私はちょっとニュースを聞いていませんのでよくわかりませんが、事実関係から申しますと、そのような事実がまだありません。私自身も総理から初代の開発庁長官はおまえであるという話はまだ聞いておりませんし、事務次官、あるいは政務次官、その他の人事については、けさの新聞記者会見では、もうあと六日だから皆さん方に発表しなければならない時期でありますけれども法案がこれから参議院では本格審査が始まりますからお話ができない。しかし作業をしてないかと言われればそれはうそになりますから、作業はしています、ということで終わっておりますので、全然私の口から何も出てないということだけは事実でございます。
  264. 沢田実

    ○沢田実君 テレビだけじゃなしに、新聞等にも、たとえば事務局長は吉岡さんになるらしいというようなことが出ていることは、これは新聞の観測であって、こちらで発表したことはないと、こういうことですか。
  265. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりです。たとえば吉岡の名前が出ましたが、吉岡をここに呼んでもらって、私から何か話があったかどうか聞いてもらったら——何も話をしておりません。
  266. 沢田実

    ○沢田実君 わかりました。  それで、次に、国の地方出先機関というようなものをつくる場合には、地方自治というものを侵害してはいけないというようなことを当然お考えだと思うわけでございますが、そういうようなことで、地方自治法やその他の法律によりましても、そういうものを設置する場合には国会審議を経なくちゃならないというようなことになっているわけでございまして、私は地方自治というものをやはり民主主義の基本として考えますときに、縮小したり何かしてはいけないというようなふうに考えております。その基本的な考えについては長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  267. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 一般的に国家権力は地方自治というものに対して介入しもしくは干渉し、圧迫するということがもともとあっちゃならないことです。ことに沖繩の問題をいま審議いたしておりますから申し上げますと、沖繩に対してはさらに、かりそめにもそのようなことがあっては絶対にならぬことですし、そういう考えが心のどこかにあって何か行なわれるようなことは許されないことでありますから、沖繩についてはさらに、その原則の上に立ってより慎重な配慮を地方自治、いわゆる沖繩県、市町村等の地方自治について十分の配慮をして法案作成をいたしたつもりであります。
  268. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、開発庁が設置され、沖繩総合事務局というよううな強力な事務局が設置されますと、ややもすると、地方自治の侵害とかあるいは二重構造とか、いろいろなことが心配されますが、その点については長官としてはどういうふうにお考えになりますか。
  269. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう法律で事務局がかってに、地方自治の本来の権能の中にあるべき事務等について、事業等についてかってにやることはできないようにきちんとしてございますから、御承知のとおりであります。また沖繩県というものに対して、この総合事務局というものがかりそめにも民政府がなくなったと思ったら本土政府の探題が置かれたというようなことにいささかでも言われることがあったら、私たちは沖繩県民の方々の戦中、戦後の長い労苦に対してえりを正していかなければならないときに、全くあってはならないことでありますから、そのようなことは十分に検討の上にも検討を重ねているつもりでございます。
  270. 沢田実

    ○沢田実君 北海道の開発庁が設置されますときは、一年間も何か内閣に審議会というものがつくられて、相当の時間を要して調査、研究をした、こんなふうに承っております。ところが今回沖繩の開発庁の設置については、佐藤総理大臣が参議院の選挙中にそういう発言をしたことがもとになってできたのではないかというような、そんな話も出ておりますが、これについては北海道のときと同じような調査研究等が行なわれたのかどうか。各省間のいろいろな研究が行なわれて、沖繩の人が当然こういうものは必要だという結論に立ってできたのかどうか、その辺を承っておきたいと思います。
  271. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ぼくは佐藤総理の選挙中の遊説のことを全然知りませんので、そのことは記憶にありませんが、私は一昨年の一月に就任したわけでございますから、佐藤・ニクソン会談で沖繩のことが確定をした後のほとんど復帰までの大部分を担当したことになります。したがって、この二年余りの間は、琉球政府を中心に沖繩人たちとほんとうに日夜といってもいいほど意見を交え、そしてお互いの見解を述べ合って、沖繩のために何が最善かという道を模索してまいったわけでありますので、審議会という形のものはつくってありませんが、最終的には一応の合意を双方ともに見た形でもって、少なくとも私の所管事項についてはやってあるということであります。
  272. 沢田実

    ○沢田実君 沖繩との関係についてはわかりましたが、何せこれだけの各省にわたることを一つの役所がやるわけですから、その各省間のいろんな内部の調査あるいは研究あるいは審議というものが必要だと、こう思うわけですが、これはどうですか。
  273. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう行管も含めての話でありますが、やはり各省としては、この総合事務局に入りたくない役所、あるいは入ってもいいと思う役所と、いろいろ感触の違いがありまして、ずいぶんこの点は苦労いたしました。しかし、やはり沖繩県のために何がなされなければならぬか、そして何をなし得るのかという立場から考えました場合に、そういう各役所のセクト主義というようなものはやはり捨ててもらいたい。しかしながら、たとえば行政監察事務所などというものは、やはりこの中に入れておいて行政監察をやるというのはおかしいので、外に置いたほうがいいのだろうということで、配慮をまた別途にしたものがあります。まあ各省とも十分詰めた結果、現在でもなお不服である省というものはないと思っています。
  274. 沢田実

    ○沢田実君 いまの長官のおっしゃるのは、沖繩北方対策庁としていろいろな準備をしていくのに打ち合わせは十分にしたと、こういうふうに受け取れますが、私が申し上げているのは、北海道の開発庁をつくるときでさえも、一年間も審議会をつくって一生懸命いろいろな点を調査研究した、こういうふうなことであるように聞いておりますので、それに該当するような、いわゆる政府内部の各省庁の中の、そういうことはおやりになったのかどうか。個々の折衝はわかりました。ですから、個々の折衝ではなしに、政府としては、そういうことを十分審議して、沖繩のためにこれはどしても必要だという結論の上にできたものかどうかということを承りたいわけです。
  275. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 事務レベルは事務レベルとして常時連絡会議をもって意見の交換をいたし、閣僚レベルでは沖繩関係閣僚会議あるいは正式の閣議、そういうもの等で逐次対策を立ててまいりましたので、そういう相談は審議会こそつくっておりませんが、実際上は政府の部内で十分に行なわれたと御理解いただいていいと思います。
  276. 沢田実

    ○沢田実君 この前の長官の提案理由の説明によりますと、沖繩の振興開発に関する国の諸施策を積極的に推進するんだ、そのためにその開発庁をつくるんだという説明でございました。沖繩の振興開発の計画はどんなものが具体的にはできているのでしょうか。
  277. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ちょっと正確なお答えになるかどうかわかりませんが、少なくとも十カ年計画の初年度になるべきものとしては、四十七年度予算というものがそれだと思います。しかしながら、長期的な計画の作成ということになりますと、四十七年度を初年度とする十カ年計画は、これはやはり沖繩の新しい県知事が選ばれた後に、県知事の原案作成の段階から作業が始まっていくという手順になろうかと思います。
  278. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、いまおっしゃるその十カ年の初年度というのは、沖繩北方対策庁としての一応の十カ年の計画というのはあるのですか。
  279. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは法律の命ずる通り、沖繩北方対策庁が先にそういう計画をつくって琉球政府に出したというものではないんでありまして、ことしの四十七年度予算については、これを十カ年計画の初年度としてたえ得るようなものにしたいということで、琉球政府と予算は一体となって編成いたしたわけでありますが、今後の手順は、総理府がつくるのではなくて、いわゆる開発庁がつくるのではなくて、沖繩県知事たる者が作成された原案をもとにして、審議会の議を経て、内閣総理大臣が定める計画というものを、国が責任をもって行なうという手順にならざるを得ないと思います。
  280. 沢田実

    ○沢田実君 先ほど長官答弁で、新全総というものがあって、沖繩の位置づけというものは全体的にはっきりしていると、その上に立って一つ計画があるんだというお話をちょっと耳にしたわけですが、それはいまおっしゃるように、何ら沖繩に対する振興開発計画がなしに、要するに沖繩の知事ができてからこの前の法律に基づいてそういうものが作成されるものか、それは法律のたてまえから当然だと思いますが、いままでの沖繩北方対策庁としてもこういうものを持っているんだと、あるいはいままで一生懸命返還のために努力してきた長官としては、こういう構想を持っているんだというようなものはないのですか。
  281. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういうだんだんのお話はわかりましたが、たとえば学校は、義務教育施設については、五年後に本土の五年後と同じレベルにかけ足で追いつく、そのための五カ年計画というものを持っての初年度予算はある。あるいは漁港等については先ほど申しましたけれども、そういうものはありますけれども、しかし、これが沖繩の振興開発の長期計画であるというものは、全体として総理府が作成するという立場にいまのところはありませんし、二年度以降の予算も、今年の初年度を踏まえて、幾らになるかは、やはり通常各省が八月の末までに予算要求をいたしますけれども復帰の時点、県知事選挙等のズレ考えますと、やはり今年もとにかく関係予算はおくれて大蔵省に要求するようになるだろうと思います。また、新全総との関係は、当初経済企画庁としては、復帰後一カ月ぐらいのうちにこれを決定したいというような意向を持っておりましたので、それでは、知事が原案を作成する十カ年計画というものと一体となるべきその先導的な指標を示すべきものとしての沖繩ブロックの位置づけであるとするならば、やはり新しい知事が出られた後、沖繩の各界の意見というものが反映した新全総の沖繩の位置づけにしてほしいということで、私からは木村長官にお願いをして、作業をやめてまいってもらっておるということでありますから、ちょっと御質問の点で、私としてはちょっとそういうつもりはなかったというような表現に受け取られておるようでありますから、事実関係はそういうことであります。
  282. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、四十七年度については各省でとりあえず措置しなければならないものは予算化したと。そうしますと、四十八年も大体これに準じて予算を編成せざるを得ないのじゃないかと、いまおっしゃったように、若干おくれるだろうというお話がございました。というのは、沖繩振興開発特別措置法による知事の原案ができて、審議会の議を経て、そして計画ができて、その上で予算の要求というようなことは、四十八年度には間に合わないだろうと、そういうことで、いま長官が四十八年も同じようになるんじゃないかというお話をなさったのじゃないかと承ったわけですが、そうしますと、やはり開発庁ができまして、あるいは特別措置法が動いて、いろいろな計画ができ、審議会ができ、そして沖繩の将来のいろいろな振興開発計画というものができて、予算化されるのは四十九年からだと、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  283. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そうではありませんで、沖繩の意向を反映した長期計画の第二年目に四十八年度予算をしたいということから、通常各省庁が八月の三十一日で大蔵省に対する概算要求を締め切りますけれども、これを沖繩の予算の場合にはずらさざるを得ないだろうということを申し上げたわけです。
  284. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、五月十五日復帰、それから六月に県知事選挙ですか、それが終わりましてから、いま申し上げましたような手続を経て、そして要求をするにはそう簡単にはいかないだろうと思うのですが、長官はそれも四十八年度の予算に間に合うのだと、こういうことなんですか。
  285. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 完全に長期計画の第二年度分として間に合うか間に合わないか、これは今後の作業いかんだと思いますが、少なくとも新しく選ばれた知事、県議会、そういう各界各般の意見というものが反映された形で四十八年度予算は設定さるべきである。そしてそれが長期計画の第二年度の策を与えられるものとしての内容を持つべきであるということを願っておるわけであります。
  286. 沢田実

    ○沢田実君 持つべきであるということを願っているのはわかりますが、間に合うかどうかということです。したがって、私は開発庁が設置されますと、開発庁独自としての振興開発、いろんなものをおつくりになるんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  287. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それはやはり法律で書いてありますように、沖繩県知事の作成した原案というものを審議会で踏まえて、総理大臣が最終決定をする。案が出ませんと、開発庁自体の新規計画というものを優先させることは、すなわち地方自治あるいは法律沖繩県知事に与えられた権限の侵害ということにとられることにもなりますから、いろいろと作業はしておかなければなりませんが、それはあくまでもやはり沖繩県の意思というものを土台として組み立てられなければならないものだと思います。
  288. 沢田実

    ○沢田実君 長官のおっしゃることはそのとおりでよくわかるんですが、沖繩県知事が六月にできて、そこで振興開発計画の案を作成して内閣総理大臣に提出をする。それを内閣総理大臣がその案について審議会の議を経て決定する、計画案を。こういうようなことは二カ月や三カ月でできる問題ではないと私は思います。その点はいかがですか。
  289. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは長期的な十カ年計画全体の作業と、それから、短期的な来年度昭和四十八年度予算のあり方というような問題等は、税制調査会等でも長期的な税制の展望、税制改正の展望とさしあたりの来年度の減税計画その他について答申等もしておる例がありますから、そういう取り扱いによって、少なくとも沖繩側の意思を反映した予算編成にしたいというふうに考えます。
  290. 沢田実

    ○沢田実君 その点はよくわかりました。それから、その振興開発の計画が要するに県知事によってなされて、内閣総理大臣によって決定をされるわけですが、その予算については、開発庁ですか、開発庁で一括して予算を取る、そして各省に分ける、そして出先機関がそれを実施する、こういうふうになるわけですか。
  291. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは沖繩の特殊事情に基づく予算、そして公共事業等を中心とする一括計上にふさわしい予算は一括計上して各省に配分いたしますが、義務教育費国庫負担金とかあるいは社会保障の負担金とかそういうようなもの等は、これは義務的経費でありますから、特別に沖繩にやらなければならないという要素から——法律で定められたことによってきちっとその予算が出ていくというようなものは各省庁で引き続き計上していくことになると思います。
  292. 沢田実

    ○沢田実君 要するに振興の開発のための、あるいは道路にしても、住宅にしても、その他下水道等の設備にしても、これはあるいは建設省であったり、運輸省であったり、農林省であったりするわけです。しかし予算は一括して開発庁で組む。それで各省に予算は振りかえるか何かする。実施にあたっては出先機関がやる。総合事務局ですか、こういうふうになると思うんですが、その場合の計画と予算までは開発庁になるわけですか。
  293. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 計画というのはよくわかりませんが、予算要求の内容というものはそれぞれの所管省というものが計算はきちんといたしますから、それと開発庁とがいわゆる計画に即応しているかどうか等を検討しながら毎年の予算をきめていく。そして形は総理府に開発庁が一括して計上されますが、実施は各省庁に移しかえていただく。これは出先の沖繩総合事務局が行なうというのは、そこにおいて国が直轄で行なってもよいというようなもの、本来国の事業であるもの、あるいはまた知事、市町村長、管理者等が直轄施行してもらいたいという申し出のあったもの、そういうもの等について、現地で工事が行なわれるということになります。
  294. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、その指揮監督権というのは各省の大臣にあるのか、開発庁の長官にあるのか。
  295. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 開発庁はこれは独立しておりますが、沖繩現地に置かれる総合事務局の長は、これはもちろん開発庁長官の指揮も受けますけれども、それぞれの建設とか運輸とか農林とかいうそれぞれの行政官庁の長の指揮もその所掌事務については受けるということになります。
  296. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、道路なら道路を要求する場合には、沖繩県として国道をつくってほしいという場合には、普通でしたら地方の建設省関係の地建なら地建ということになると思いますが、その場合には総合事務局がやる。ところが総合事務局は、その問題については建設大臣の指示を受ける、指揮監督を受ける、こういうことになるわけですか。そうしますと、農林省に所属している問題、運輸省に所属している問題、いろいろ工事によっては総合事務局長は各省大臣の指揮を受けなければならない、こういうふうになります。そういうふうな形態ですか。
  297. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 正確には全部そうだと言えるかどうかわかりませんが、総合事務局長はそれぞれ建設、運輸、農林、通産そういうところの指揮も受けるということになります。
  298. 沢田実

    ○沢田実君 沖繩だけが特にそういうような新しい組織を必要とした理由をお尋ねしたいと思います。
  299. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほども答弁いたしましたとおり、沖繩は現在二十数年の長きにわたって、権力的には上に支配者がおったわけですが、行政上は国家事務というものまでやってもらって今日に至っております。したがって、沖繩県民の人々にとっては、すべての行政事務が沖繩県内において全部片づいていたわけである。しかし復帰いたしますと、どうしても知事にやらせるということは法律上も不可能であるという国家固有の事務というものも一ぱいありますし、そういうものは国のほうでやはり責任を持ってやらなければならないわけでありますから、そういうものまで全部地方のブロックのところに交代をいたしますと、戦前は大体そうなっていたわけですけれども、熊本とかあるいは福岡とかいうようなところに全部ブロックの権限が移ってしまいまして、沖繩の人々にとってはおそらくいままでよりきわめて不便になったということを痛切に感ぜられることになるだろうと思いますが、したがってそういう意味から、沖繩現地においてなるべく通常のブロックの長に与えられた権限を持って現地で仕事の大部分が片づけられる、裁判で最高裁までいくような問題は別ですけれども、そういうことを念頭に置いてまず第一にこの作業をいたしましたし、さらにまた、沖繩において各方面の社会資本の充実ということから考えますと、御希望があれば国のほうで、たとえば直轄の国道なんというのは別でありますけれども、申し出によって直轄施行してもいいといういわゆる執行の互換性ということをしてもいいという態勢をとっているわけであります。
  300. 沢田実

    ○沢田実君 長官は、こういう長所があるというメリットの点だけをおっしゃったわけですが、先ほど来心配しておりますように、デメリットの面もたくさんあるんじゃないかと、こう思います。  そこで、そういうプラス、マイナスを十分検討なさった上でこういうようなものを、いままで日本の行政組織上いまだかつてないものをおつくりになるわけですから、そういうものに踏み切るには、福岡まで行くのはたいへんだからということだけでなしに、私はもっと深いものがなくちゃこういうものはおつくりにならないんじゃないかというように理解しているのですが、その辺はいかがですか。
  301. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 別な表現で言いますと、沖繩県民のためにこれが役立ち得る手段だと考えてやったということであります。
  302. 沢田実

    ○沢田実君 ほんとに沖繩県民のためになるということをお考えになり、沖繩県民がそのことをほんとうに受けていれば、五月十五日というものをもっともっと心から喜んで迎えるんじゃないかというふうに私どもは思うわけですが、現地に行って見たわけではありませんので詳細はわかりませんけれども、いろいろの報道を見ますと、いままで一生懸命復帰のための運動をしておった方々が五月十五日をさっぱり喜んでいないというようなところに、私はこういう問題がもたらしているものがあるんじゃないかということを心配するので、お尋ねしているわけです。そういう点は、ほんとに沖繩の人のためになる、こういうことを長官立場からはおっしゃるのでしょうけれども、私どもとしてはこういう点が心配されます。たとえば、いまおっしゃったように、各省大臣に指揮監督権があるんだと、こういうふうになりますと、たとえば沖繩としては、沖繩の出先の、開発庁の出先の総合事務局よりも、結局各省に予算要求等の陳情をせざるを得なくなるんじゃないか。ですから長官は、沖繩でみんな解決できるようにおっしゃっていますけれども沖繩県としては、おそらく私は同じように東京まで陳情にくることになるんだろうと思います。ところがその必要はないんだと、現地でみんな間に合うんだと、それほど開発庁の総合事務局に権限というものがあるようになりますと、これまた非常に問題があるんじゃないか。そうしますと、いろいろな、たとえば道路をつくるにしても、指揮監督権は建設大臣ではなしに開発庁長官になってしまうのではないかということが心配されるわけですが、その点はどういうふうにお考えですか。
  303. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはどうも答弁がぴったりしているのかどうか知りませんが、たとえば国道に編入する路線、そのキロ数等を定める場合でも、これは建設大臣がやはり閣議に政令案件ではかってきめるわけでありますけれども、これはほかのところであったら全然ほかの大臣は相談にあずかりませんが、現在でも開発庁ができますと、なお建設大臣としては開発庁長官と協議して、おそらく閣議に共同請議みたいに沖繩の場合はなるかもしれませんが、そういうことになるかと思いますけれども、各省がばらばらにやってもらってもけっこうなんですが、省の中で沖繩の持っているウエートがあまり大きくないところ、あるいは各省が、予算のときに大きな問題をかかえておって、とてもその問題もわかっているけれども手が回りかねるというようなことで、すみに押しやられてしまうというようなことの各省の感触の違いによって、沖繩の総合的な調整のとれた開発というものがぎくしゃくしていく、でこぼこが出てくる、これはもう避けなければならぬということで、この総合調整ということを考えておりますから、そう特別に問題はないと私は思います。ことに、沖繩総合事務局の八百十名中五百九十名は現在の琉球政府職員である方々が来てもらうことになっておりますから、ほとんど大部分が顔なじみの琉球政府職員人たちが総合事務局の中に皆さん五分の四ぐらい働いてもらうわけでありますので、そこらのところも県民との接触、県庁との接触もきわめてうまくいくのではないかと思っております。
  304. 沢田実

    ○沢田実君 長官、私の申し上げるのがよく通じないかもしれませんが、要するに沖繩の振興開発計画というものは、沖繩県知事が案をつくって、そして開発庁のほうで審議会を経て決定するわけですから、その決定に基づいていろいろなことが、その年度の事業が大体決定され、それに基づいて予算要求すると、その予算は開発庁で一括してやる、こういうわけでしょう。予算は開発庁で一括して要求しますけれども、各省に分けるのだと、そういうようなかっこうにはなっております。ですから、そのように開発庁の実権というものは非常に強いと、開発庁一本でみんな仕事はできます。ところが実際問題はそうはいかないでしょう。建設大臣も運輸大臣もやっぱり知事としては大臣のほうへも陳情しなければいかぬでしょうし、またいろいろなことについてはそういう関係になるのではないか。そうでないと、指揮監督権というものは、実施にあたっての指揮監督というのは各省大臣になくなってしまうのではないか。予算は一応各省がやるけれども、いわゆる知事の案をつくったものがやはり開発庁で決定されるのですね。内閣総理大臣が決定するということになっておりますけれども、開発庁長官が決定する。決定に基づいて各年度の予算要求をする。各省に分配するけれども、実際上は直轄事業については開発庁がやるということになると、そうすると開発庁一本になってしまうわけです。おそらくそういう強力なものではないとおっしゃるとすれば、各省の調整をとってやるんだということになれば、やっぱり沖繩県知事としては各省に対する陳情もすることになる。沖繩の出先についてはあまり、何と言いますか、それがあるから福岡まで行かなくたっていいんだ、そこがあるから東京まで行かなくたっていいんだというほどのものではないんじゃないか。やはり総合事務局がそこへできても、当然東京へも来なくちゃならぬでしょうし、各省へも陳情するということに具体的にはなるのじゃないかということを私は申し上げているわけです。各省関係ないのだ、開発庁一本でやるのだということになれば、総合事務局へ来るだけで、何も福岡へ行かなくても東京へ来なくても事は足りると思いますが、実際はそうはいかないのじゃないですかと申し上げているのです。その辺についてのお考えはどうですか。
  305. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは二つに分けてお考えいただいたらわかりやすいと思うのですが、通常のブロックの長が持っている許認可あるいは通常のサービス行政等の許可権限ですね、そういうものを現地でやる。これはもう現地限りで片づくわけです。しかし予算の編成、あるいは通常の日常の知事さんの各省庁との接触というものを、各省大臣のところを回るのだとかあるいは全く回ることは要らないのじゃないかと言うことはそれはおかしいので、やはり県知事は県知事でありますから、それぞれの所管大臣に現地も見てもらったりあるいは陳情をしたりということは私はあっていいと思うのです。そのことを踏まえて、総合調整をする場合に、ある省が現地に即してこの問題できわめて熱心であるというならば、そのことが現地側の意向であるとして総合調整の対象として登場してくるわけでありましょうから、押しつけたり押しつけられたりするような関係には相互にないということは言えると思うのです。
  306. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、振興開発計画を決定して、その決定の前の段階で各省と、建設省は建設省、運輸省は運輸省、おのおのその計画の上に立って、そうして開発庁が総合調整して案をつくるのではないのですよ、この案でいきますと。県知事が案をつくって開発庁で大体決定するわけでしょう。その決定の段階までは各省のあるいは意見は入るかもしれませんけれども、全く開発庁でつくることになるのじゃないですか。振興開発について計画を立てて、それに基づいて当然国の予算を投入して事業をやるわけでしょう、道路にしても住宅にしても何にしても。そういうふうに具体的に国がおくれている沖繩に対して金を投じてやる場合に、その関係が一体どうなっているのか。どうしてそういう強力な総合事務局というものを現地につくらなくちゃならぬのかということが私は非常に疑問なんです。こういうことは各県にありますような出先機関が一カ所に、総合事務所みたいなものであってもそれで十分いいのじゃないか。いまおっしゃることは、福岡まで行かなければならぬからということなんですけれども、そのおのおの地方の管区局のもとにおのおのまた各県には事務所がございますが、そういうものが沖繩にあれば、私は一カ所なら一カ所に総合事務所があれば、それで各省の連絡もあるいは陳情に行ったりいろいろな手続をする人たちの便利もはかることができるのじゃないか。そういうふうにしないで、全国の各県とは全く違う強力な総合事務局をつくると、こういうわけですから、いままでの日本の行政組織の上に全くないものをおつくりになるのですから、その辺のところは心配ないかということを申し上げているわけです。
  307. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これも答弁したことですが、それぞれの出先が各県のまた出先みたいなものを置いて、それを一カ所に集めればいいのじゃないかといっても、その場合に法的に通常のブロック機関の長が所有する権限というものをそれぞれに与えることができません。したがって、一つ一つでは無理であるけれども、たばねてこういう形にしますと、総合事務局としてそういう地方支分部局の集合体というような形において、通常のブロックの長の有する権限を持つ機構として働ける、機能できるということで、そうしたわけであります。
  308. 沢田実

    ○沢田実君 ですから、そういうようなことはおそらく国内の各県ではやらないでしょうし、北海道でもやらないわけです。沖繩は遠いからという理由だけでこれをやったのではないと私は思うのです。いまおっしゃることは、福岡まで出て行かなければならぬということは、遠いだけの理由みたいに聞こえますけれども、決してそうではないのではないかと思うわけです。遠いから、いわゆる管区局ですか、そういうものが遠いところにあったのではまずいからということだけではない何かお考えがあるのじゃないかと、私はそう思うわけです。というのは、長官は最初から言い切って答弁をしていらっしゃるような気がするのですけれども、決して開発庁で、こちらでいろいろするのではないのだ、あくまでも知事が計画をきめてこうするのだ、民意は十分反映するのだ、決して地方自治というものは侵害するのではないのだと、まことにもうりっぱな答弁をしてくださるわけですから、そのとおりなら問題はないわけですけれども、これだけ強力な国の組織というものができますと、どうしても中央で新全総の沖繩の位置づけが考えられ、また沖繩をどうしようかというような、日本全体としての中の沖繩ということが考えられて、沖繩の住民の立場に立った開発よりも、あるいは国の立場に立った開発というものがなされる危険がないかということを私は考えるわけです。そういうことを長官は意識していらっしゃるから、先ほど来からそういうことは絶対にないのだとおっしゃってるんだと思って私は聞いているわけですが、そういう危険性がないのかということをこちらは心配しているわけです。だから、なぜそういう危険をおかしてまで、いまだかつて日本になかったようなこういう組織をわざわざつくらなくちゃならないのかということが私は疑問です。そういう便利なもので、また非常に県民がいいものなら、日本の各県につくればいいんです。ところが、そんなことはできるものでもありませんし、しやしません。北海道でさえそんなことはしておりません。沖繩は遠いからこういうふうにするんだ、みんなの便利のためにこうするんだ、それだけで、こういうふうな、日本にいまだかつてないような行政組織をつくっていいのかどうか、その辺についていかがでしょうか。
  309. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほども答弁いたしましたように、二つに分けてお考えをいただきたいと思うのでありますけれども、サービス行政、許認可行政というものは、遠いからということ、あるいは福岡まで行かせるのは気の毒だということ、それは確かに私はあると思うんです。一方また、国政事務というものを沖繩県の範囲内で全部済ましておりましたので、それが沖繩県を離れなければ解決できないような状態になることは、沖繩人たちにとってきわめて行政上も不便であろうし、そういう意味で、現地にやはりブロックの長の権限を持った者が置かれるべきである。  それからもう一つ、自治を侵すということでありますが、これは法律に反する行為をやらない限り、すなわち法律に定められたとおりのことをやれば、沖繩県、市町村あるいはそれぞれの道路、港湾等の管理者というものの申請にかかるもの以外に、国が自分たちでかってに言うことは何もできないわけでありますから、法律を守れば自治の侵害はないし、その法律には、本来、ほかの県、ほかの市町村が持っているような自治の機能というものを法律そのもので侵している部分もありませんので、その法律に違反しない限りそのようなことは起こらないと思うのです。
  310. 沢田実

    ○沢田実君 その辺が長官と私の考え方が違うわけですが、日本も、いまのいろいろな産業の発展を見ましても、法律に反して日本の産業を発展さしたわけじゃございませんけれども、自然が破壊され公害が起きて、そして住民側に立った産業の発展ではないというところに、いまいろいろな問題が起きているのじゃないでしょうか。そういうことが沖繩に再び行なわれてはならないということを私どもとしては考えるわけですよ。ですから、長官は、法律の上にちゃんときまっているのだからそのとおりやれば地方自治の侵害なんかありはしないと、心配はないと、こうおっしゃるのだけれども、私は、決してそうじゃないような心配を持っているわけです。  それからもう一つは、先ほど来、二つに分けて考えろ、こうおっしゃっておりますが、いろいろな許認可等の手続については、たとえば各県においても、その出先に行くだけで、出先から管区局にはみんな通信をしているのであって、みんな住民が管区局へ行っているわけじゃないのですから、管区局が遠くたって近くたって住民にとってはそんな不便じゃないわけですよ、これは。これは、大蔵関係でしたら財務局があり、県には財務部があるわけですから、財務部に行っていろいろな手続をする、その財務部へ行っていろいろな手続をした人が、また地方の財務局まで行く必要はないわけです。これはいろいろな通信で行なわれるわけですから。ですから私は、遠いからたいへんだとおっしゃるけれども、住民としては、出先の部のあるいは局の権限を持った者があろうがそれは同じことじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  311. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは違うのじゃないでしょうか。やっぱりブロックの長の権限は、そのさらに県の出先の長の権限と同じじゃありませんし、たとえば運輸関係でタクシーの免許を申請するとかなんとかいうときでも、公聴会等には、やっぱりその申請者もあるいは異論のある人も、九州であれば福岡まで行かなければならぬというようなことにやっぱりなるわけですから、それを現地で済ませたいという部分も大きなウエートを持っております。  それから、法律に書いてあるからそのとおりだということは、法律をつくるのに、いやしくも自治を侵すことが可能なような法律ではないように一生懸命考えてつくった法律ですということを申し上げればよかったのですが、そういう意味でつくった法律でございますから、法の上から、違法行為を犯さない限り自治を侵すことはできないというふうに私は考えております。
  312. 沢田実

    ○沢田実君 そういう点の個々の問題について、若干いまおっしゃったような例については、あるいは地方の管区の局まで行くのは、いわゆる一般大衆が行くのはたいへんだというのは若干はあるでしょう。しかし、それ以上に、こういう強力な組織をつくることが非常な危険をおかすおそれがないかという、そういう問題については長官としてはいささかも心配を持ってないということですか。
  313. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 法律で自治を侵すことはできないようにきちんとしてありますから、その法律を犯さない限り侵すことはできないわけですから、政府がつくった法律政府が犯すことはできないわけですから、本来の他の県知事、他の県の市町村長が持っている自治機能というものを侵す、あるいはまた取り上げるということは法的に不可能なわけであります。申請があって合意されたもの、これが国のほうでかわって執行することが工事等についてはありますけれども、それ以外については申し出がない限り、こっちでやるから県ではやれないよというようなことはできないようになっております。
  314. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、長官としては、地方自治の侵害は全く心配ないんだと、まあ繰り返し繰り返しそうおっしゃっておられるようでありますので、開発庁の初代の長官になられるんでしょうから、そういうようにやっていただきたいと思いますが、そういうことが、私どもが反対しております心配される大きな理由の一つになっているわけです。そういう点をひとつ十分含んでやっていっていただきたいと思います。  それから再三申し上げておりますように、振興開発の計画はやはり沖繩人たちの民意を反映した計画でなくちゃならない。ですから長官が先ほど来答弁していらっしゃるそのとおり行なわれるなら、これは全く心配ないわけですが、私はそうでないことが非常に多くなるんじゃないか、県知事が原案を出しても、実際問題としては、決定については国側、開発庁の側のほうの意向が大きく反映することというのはこれは現在の日本のいろんないままでの実績を見ますと十分心配されることですので、そういう点がいろいろ心配されます。ですから長官としては、沖繩の方々の気持ちを一番よく知っているのが長官だと自負していらっしゃるんだろうと私も思いますし、そういう点で、ひとつ沖繩の方々がほんとうに喜ぶようなものでなくちゃならない、私はそう思っております。ですから長官がほんとうにいまここで答弁されていらっしゃるような精神で、そのとおり行なわれるんなら沖繩で反対されるはずがないんじゃないか、私はこう思うわけですが、その沖繩で相当の反対があるということについては、長官はどんなふうに受けとめていらっしゃいますか。
  315. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず、私が大臣をしておりますことと、今後だれがなるかという問題と、関係は全くなくて、沖繩に対してなぜ沖繩の自治を本土が侵害するなんという、そういうことをやる資格が本土にあるのか、それを私たちは問わなければなりません。本土沖繩に対して最大限の償いをこそしなければなりませんが、沖繩を圧迫したり搾取したりするようなことを、これはもう天人ともに許さざる行為であると私は思うのです。したがって、そういうことがあり得ないように法律をつくったつもりであります。また現地で反対があるということを言われますが、なるほど屋良主席の建議書の中にそういうことが触れてございました。しかし、主席と私とお会いをした話の内容を全部御披露はいたしかねますが、ああいう印刷をしたけれども、しかし、これはもう合意して自分たちとも話は済んでいることだし、内容についても異論はないしというなごやかな話であったことだけはつけ加えておきます。したがって私には、現在琉球政府なり議会あたりから、総合開発事務局について、出先について反対だと、開発庁設置について反対だというふうな意見はございません。異論はいまございません。
  316. 沢田実

    ○沢田実君 そのことについて、いま長官おっしゃったから繰り返しお尋ねするわけですが、こちらの要望に対して、第三次ですか、何かで、いまのようなこういう開発庁の組織のあり方については、沖繩としては反対という意味の要請書ですか、何かが来ておるように私は思っておりますが、長官がおっしゃったことはその要請書が来たあとですか。その後に屋良主席がよろしいというふうに了承したのか、あるいはその前なのか、その辺はいかがですか。
  317. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういうものは私のところに来ておりませんし、屋良主席、琉球政府とは常時打ち合わせ、連絡をしながら作業をしたものであります。私が申し上げたのは、沖繩国会が始まって建議書というものを主席が持ってこられたその中に触れてあります。しかし、主席と私とその建議書を受け取りますときに話し合いをいたしましたときには、全部をお話しするわけには道義上できませんが、異論はないというお話であったということを申し上げたわけです。
  318. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、沖繩復帰対策要綱というのを出されて、その要綱に対する琉球政府の要請書というのが来ておりますね。それは長官見ていらっしゃらないということですか、いまの答弁ですと。
  319. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほどの御質問は、第三次要綱をつくるときに沖繩政府が持ってきたもの、いわゆる反対意見ですか、賛成できないようなものがあったかというお話ですから、それはございませんということを申し上げたわけです。十分打ち合わせをしております。ただ教育委員の任命制というものについては、これは現在でも賛成という立場をとってはおられないわけでありますから、その問題についての異論があったこと、そのことは否定できない事実だと思います。
  320. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、その要請書の中で府県単位にそれぞれ各省庁の出先機関があるようなものは沖繩にも置いてくれ、いわゆるよその府県と違うようなことをしないでくれ、簡単に言えば、というような意味の要請書は見ていらっしゃるわけですか。
  321. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) こまかい問題になりますので、私から答弁さしていただきますが、琉球政府からの要請書には、府県単位でできるものはなるべくそのまま置いてくれ、どうしてもそれで不便な場合、不可能な場合にはもう一つ段階がありますが、そしてその府県単位のものに管区機能を持たしてくれ、それが非常に無理な場合には総合事務局的なものを置いて管区機能を営むようなことをやってください、こういうのが要請書の内容であったと記憶しております。
  322. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、先ほど長官がおっしゃったのは、現在の設置法にきめられているこういうような組織で、屋良主席としては不本意だけれども、これでやむを得ないということをおっしゃったわけですか。
  323. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めから相談しながらやったわけでありますから、不本意ということもございません。ただ、建議書はこれは別な立場で編さんされたものでありますから、それを持って私のところに来られたときに、二人だけで話した全部はお話しできませんが、主席として私の手元で作業いたしております分については何も言うことはないんだということをおっしゃってくださった、ということを申し上げているわけです。
  324. 沢田実

    ○沢田実君 先ほどもちょっと出ましたが、総合事務局長の身分の問題になりますが、どういう立場の方を事務局長にする予定にしていらっしゃるか。何か予算等を見れば指定職の乙というようなことを考えていらっしゃるように思われたわけですが、そのとおり考えていらっしゃるわけですか。
  325. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そのとおりです。
  326. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、地方法務局、陸運局、通産局等々の指定職の乙あるいは行政職の一等級等があるわけですが、いまのいわゆる指定職の乙にしようというお考えは、指定職の乙局長というのは非常に全国的にも少ないわけですが、そういうような強力な権限を持った者というか、それに相当した人にしよう、こういうお考えですか。
  327. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 強力な権限というふうにも思っておりませんし、私としては、やはり寄り合い世帯的なものをうまく取りまとめて二人の次長——行政部門の次長、現業部門の次長、それを取りまとめながらやっていき、そして沖繩人たちとも、人柄からいってもまた性格からいってもいわゆる本土の出先の権力者というような感じを全く抱かせないような人柄というものが必要だと考えて、内々の人選はいたしておりますが、ここでまだきめてはおりませんし、だれだということを申し上げることは遠慮さしていただきたいと思います。
  328. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、もう一度繰り返しみたいになりますが、整理してお尋ねをしますと、先ほど来、許可、認可等の問題、それはよくわかりましたからそれはまず差しおいて、先ほど来申し上げておりますように、沖繩の振興のための予算をとって、そして開発庁として予算を獲得した、それを実際に実施するのは総合事務局になると、こういうふうに思うわけですが、先ほど来指揮監督権は各大臣にあるのだというお話ですからそれでけっこうだと思いますが、そうしますと、総合事務局の中にたとえば運輸部なら運輸部、開発建設部なら開発建設部というのがありますが、それは総合事務局長の指揮のもとに、その辺で実際の事業の実施をすることになるだろうと思いますけれども、そうすると、この建設省関係はどういうふうになるわけですか。総合事務局長を通じ、また開発建設部を通じて建設省が実際に指揮をとることになるのか。そうするといわゆる事務局各部というのは各省につながるみたいなかっこうになるわけですが、実際問題として、運営については各省につながってやっていくのか、その辺はどうなんですか。組織は一つなんだけれども、開発庁の総合事務局という中に各部があって、その各部の実際の仕事は各省につながっておる、そんなふうなかつてないような行政組織でうまくいくのかどうかということが心配なわけですが、その辺については長官はどう考えますか。
  329. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは指揮するのは総合事務局の長というものが指揮していくわけですが、実際上おっしゃったように、ごく技術的な、現業の実務的な部分についてはそれぞれの部局ごとに責任者がおるわけでありますから、それらの人たちが技術的なあるいはまた各種の指導援助というものはやはり各省の親元と申しますか、そういうところからの指導を得てやるわけでございます。
  330. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、実際の人事にあたっては、ただ、財務部については大蔵省から行くとか、農林水産部については農林省から部長が行くということにかっこうとしてはなるわけですか。
  331. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 人の名前は言えませんけれども、そういうふうに結果的にはしなければならないだろうと思っております。
  332. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、総合事務局という一つの事務局になっておるけれども、局長に全く人事権もないというようなことが心配されます。というのは、各地方自治体といいますか、地方の県で建設部長とか農林部長とか、各省から受けておる県があります。県知事には全く人事権がない。本省から回してよこすというようなことになるわけです。ですからそれと同じように、たとえば開発建設部については建設省からの人の派遣ということになりますと、人事権については本省のほうにあって、おそらく開発庁にはないだろう、全くの寄り合い世帯、組織の上では一つになっているみたいだけれども、実際は各省の出先だということになって、こんなことでほんとうに総合事務局が運営できるかどうか、非常に心配なわけですが、その辺はどうですか。
  333. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは総合事務局長も当然人事権を持っているわけです。しかし、おそらくその新しい人がだれになるかとかなんとかいうそういう人選の場合、これは当然総合事務局長の意見も聞かなければならないでしょうけれども、これはやはり農林は農林、建設は建設、運輸は運輸というところからやはり最もふさわしい者を開発庁長官と協議し、そして現地の事務局長の人事権のもとに入っていくということになるだろうと思います。
  334. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、ここで議論している範囲では非常にスムーズにいくみたいですけれども、実際、地方自治体の県なんかを見てみますと、そういうふうに部長とか課長とかいうのが本省から来るというふうに確保されておるところは、実際各県では人事権はないのですよ。長官はその辺の地方自治体の実態も御存じだと思いますけれども、またそれを地方自治体で確保しようと思うと、これは予算にまで影響して非常にたいへんなことになっておりまして、私は地方自治体の人のそういう実態を見ておりますもので、こういうふうな開発庁、それから総合事務局というような一貫した組織ができたようなかっこうはしておっても、中は結局各省の出先じゃないか、こんなことでほんとうに沖繩の開発ということができるのかどうかということが心配であります。ほんとうにこれは統制がとれて、きちっとできるような、また強力な——先ほど強力と言ったら、法律的にそんな強力ではないとおっしゃいましたけれども、これが統制のとれるような人がおり、機関であったらこれも非常な心配も起きてきます。その辺についてはいかがですか。
  335. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) おっしゃる点、よくわかります。というのは、二つの命題を持っているわけです。というのは、一つは、ここでは各省関係のいろいろ専門的なことを一緒にやるという点がございますから、その点では何といいましても各省のそれぞれの技術を持った人というものがぜひ必要だという意味で、そういう意味で各省からそれぞれ必要な人をもらうということに当然なると思うのです。ただそれも、この機構は、先ほどいろいろと御意見を拝聴いたしておりまして、それともう一つは、ここでそういう各省の専門の仕事をやりますほかに、現地においてこの仕事をするのに総合的にやるというのがこれは一つの大きな特徴だと思うのでございます。そういう面で総合事務局長というものが一人おりまして、そうして各省のそれぞれの仕事をそこで総合するというところに一つの大きな意味がございます。これは各省ばらばらに出てまいりますと、総合的な、特に長期的な計画を立てるということになりますと、それぞればらばらになる点が非常にある、そういう点で総合的なやり方をやっていかなくちゃならないという点がございます。特にその点は、復帰当初におきましては、本土のほうも向こうの事情をよく知らないところがございますし、また沖繩県のほうもこちらの事情がわからないという点で、相当にうっちゃっておきますと問題が出てくる。そういう点を懸念をいたしまして、一つは専門的に沖繩県と一緒に仕事をしていけるという点と、それからそれを総合的に、個々ばらばら的でなくて、総合的にやるという点で総合事務局をつくって、そうしてそれを各省ばらばらにそれぞれの部長がやったのではばらばらになりますから、そこで一人の長が、総合事務局長が総合をすると、こういう問題をこの機関はねらっている、こういう点にあるわけです。そこで各省からそれぞれの人事をもらいます場合に、こちらに参りますけれども、人事権はこれは総合事務局長にあるわけです。あるのでございまするから、もし総合事務局長は総合的な点でいろいろと支障があるということになりますと、その点人事の受け入れはしないし、またそういう人は別に転任をしてもらうということでございます。これは各県でも同じでございます。なるほど各省から参りますけれども、知事といたしましては人事権を持っておりますから、本省から来ました者がこれが適当でないということになりますと、その県から返すということをやっておるわけでございます。その点で、なるほどおっしゃる点でのいろいろと心配事もありますし、長所と短所とはあります、一つの機構をつくりますのに。そういう点で二つの相矛盾するところの目的を持ちながらこれをやっているということですから、その点は実際の総合事務局長、特に総合事務局長を配置する場合にその点の考慮をし、それの運営をしていくということに力を注いでいくということになると思います。
  336. 沢田実

    ○沢田実君 いま総合総合ということをおっしゃったので御意見を承りたいのですが、要するに、沖繩という特殊事情だからこういうことが必要なんだというお考えか、こういう体制、いわゆる行政組織のほうがより理想なんだからそれは日本の各県もこうしたほうがいいというお考えなのか、その辺いかがですか。
  337. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) これもやはり一般行政の上においての一つの命題だと思うのですね。個々別々にやるということ、専門専門にやるとそういうことが非常によくいくというのだが、一方ではまた総合性に欠ける、そういう問題はあると思います。しかし、これは、全国そういうふうにするというその点では、これは私の権限の範囲内ではございませんけれども沖繩は特にその点を専門的にやるという面、特に技術面でおくれておりますから。そういう面と、それから総合的に歩調を合わせて総体的な、総合的な振興計画を進めていくと、そういう点で沖繩県は特にその必要があるということだと思います。
  338. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、また最初に戻りますが、沖繩の総合開発についてもこれからだと。それから沖繩の社会開発の具体的な内容等についても当然これからいろいろ検討されるんだというようなことでしょうか、長官
  339. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 長期計画としての案でありますれば、これからであります。しかし、ことしの予算は、これは初年度として据えられると、位置づけられるということになっております。その限りにおいて、たびたび申し上げますように、義務教育の施設整備費というものは、五年間で大体現地のレベルを本土の五年後のレベルに到達せしめ得るというようなことで予算がとってありまするから、これは結果的に長期計画の初年度になるという意味で、全然計画がないという意味ではないわけでございます。
  340. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、その具体的な長期のことについてはこれからだと、しかし、いま新聞やテレビでいろいろ問題になっておりますところの病院ができたけれども医者がいなくて困るとか、そういう問題については、四十七年度予算で十分対処できますか。
  341. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 病院ができて医者がいなくて困るという問題は、たぶん八重山の病院のことだと思いますが、確かに、外来病棟その他を整備いたしまして、いよいよ本土復帰するということになったときに開業してしまったという点はあります。しかし、これは、中部病院のほうから医師が三カ月交代で行くというようなことで、大体現地人たちも、それならばということで安心しておられるようでありますが、全体的に沖繩の場合は医師が不足でありますし、したがって、国民健康保険そのものも、いまだに沖繩県の案が最終的にきまらないで、このままで復帰をそのまま迎えざるを得ない。そうすると、沖繩は、本土法をそのままかぶせますと、市町村管掌一本になってしまう。医者のいない市町村あるいは医者のいない島、そういうところの人たちをどのように給付の面で救済してあげられるかという問題は、いま厚生省と一生懸命詰めておるところでありますけれども、そういう問題は、大体予算措置は、一応ことしの予算で、医師の派遣とかそういうものについては措置してあるわけであります。
  342. 沢田実

    ○沢田実君 たいへん具体的な問題で恐縮ですが、航空運賃がいま国際線の料金になっておりますが、復帰しまして、国内線といいますか、たとえば北海道なら北海道の距離の率からいきますと、いままでよりも相当安くなっていいのじゃないかという感じをわれわれは持っておるわけなんですが、そういう問題については長官はどういうふうにお考えですか。
  343. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) この前から運輸省と相談をいたしまして具体的な計画の表ができておるのですが、現在持ち合わせておりませんので的確な御答弁ができませんが、基本的なことを申しますと、運賃そのものは現行の運賃よりは下がります。しかし、一方で、いまかかっておりません通行税がかかってくる。国内航路で一〇%でございますが、通行税をかけても現在の額よりは上回らない、こういう結果になるように思います。
  344. 沢田実

    ○沢田実君 上回らないなんておっしゃらないで、要するに北海道の距離の一・五倍ぐらいだと、概略ですね。で、往復の料金を計算しますと五万四、五千円だと。だから三万三、四千円になっていいのじゃないか、簡単に言うと。そんな感じをわれわれは持っておるわけですが、そんなわけにはいかぬのか。あるいは、いまのお話ですと、五万四、五千円ちょっとも下がらないみたいなお話ですが、そんなことではなしに、復帰によって航空運賃は安くなるのだというようなことを、もう少し具体的におっしゃっていただけませんか。これは所管が違うと思いますので、ぴしゃりはおっしゃっていただかなくてもけっこうですから、こういう線でまあ復帰について努力しているのだというようなことを、沖繩の方々も大いにまた日本へいらっしゃるので、非常に航空運賃については関心を持っていますから、一つだけつけ加えてお尋ねをした次第です。
  345. 田辺博通

    政府委員(田辺博通君) これは運輸省といたしまして、国内航路につきましては運賃の一定の基準がございます。私、具体的に北海道との距離等計算をしてやったことはございませんので、その点につきましてはお答えができかねますが、その基準に従いまして計算をしてまいりまして、運賃そのものは下がるけれども、一〇%の通行税をかけるとそんなに下がらない、こういう状態でございます。つまり上回らないと言ったほうが安全な答弁になるわけでございますが、具体的にいま数字を持ち合わせてないので、たいへん恐縮でございます。
  346. 沢田実

    ○沢田実君 最後に長官、いろいろ申し上げましたが、私のほうの同僚議員がもう一人質問することになっておりますので私はこれでやめますが、要するに、いまだかつてないようなこういう行政組織をつくるにあたって、われわれはわれわれなりにいろんな心配を持っているわけです。ですから、先ほど来長官答弁なさったように、もう非常に意識して答弁なさっていらっしゃるので、その答弁の範囲内ではもう全く心配がないように承ったわけですが、そのとおりに開発庁がいくように私は特に希望いたしまして、また現在の沖繩北方対策庁長官としての決意を述べていただいて、質問を終わりたいと思います。
  347. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもうお話を待つまでもなく、私たちは沖繩に対して何をしなければならないかということをいま問われているわけであります。償い切れぬほどのわれわれは沖繩に対する償いをそれでもしなければならない立場にあるわけですから、その償いをする過程の中において、本土の各県の自治それすらも落としてしまうようなことを、かりそめにも沖繩に対してこれは考えてもならないし、やり得ることでもありませんし、許されることではありません。したがって、法律をつくります際も十分にそのことは念頭に置いて、なお具体的には沖繩側ともよく調整をしてつくったものでありますから、今後の運用も法律に従って行ないさえすれば、沖繩県の自主性をそこなうようなことは絶対にないということを、私は確信をしております。これは本土の責務だと思います。
  348. 中村利次

    中村利次君 沖繩開発庁設置法案の提案理由説明の前段を見ましても、いま沢田委員の質問に対して最後に山中大臣からお答えになった、まことに同趣旨でありまして、非常に明快でりっぱだと思うんですよ。ところがね、やはり内容に入ってまいりますと、それほどりっぱで明快な提案理由の前段であり答弁であるにもかかわらず、相当やはりあやぶまれる面があり、あるいは納得できないものがあるところにこれは問題があると思うんですね。たとえば、この沖繩開発の原案は、知事がもちろんこれはつくるんだと、そして開発庁は、国の施策としての案文をつくりあげる中間的役割りを果たすのが開発庁だと、任務をそういうぐあいにしてあるんですけれども、まことにこれ、日本語としても難解でありましてね、ここら辺にくると、実に、何といいますかね、非常に明快な山中大臣の御答弁が、実はどうも抽象的、観念的ではないかと思われるほど、原案の作成を知事がやる、そして国の施策としての案文をつくりあげる中間的役割りを果たすのが開発庁、これは日本語としても非常にわかりにくいですが、中間的役割りとは、はたしてどういうことでしょう。
  349. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは、理想は、知事がつくられた案というものが、そのまま何らの変更なしに国の案になり得れば、それが一番いいことだと思うのです。しかし、やはり国が責任を持って沖繩県のためにやらなければならない開発計画でありますから、その案の確定にあたっては、国が責任をどこまで持ち得るか、現実性はどこまであるか等について、やはり十分の調査や御相談等もしていかなければなりません。その過程の仕事をするのが開発庁であるということを申し上げておるわけであります。もし私の姿勢で一点だけ私があとで疑われる点があったと反省をしましたのは、先ほども答弁しました審議会の構成メンバーが二十五名でよかろう、関係各省庁非常に多いので、十三にわたるが、それでよかろうとうっかりやりましたところが、過半数が本省の各省庁の代表者によって占められるという指摘を衆議院で受けまして、これは確かに私自身の考え間違いだ、思い及ばざる点がそこにあったと思いまして、その審議会で最終的に内容を決定するわけでありますから、きわめて重要でありますので、単に沖繩の知事、県議会議長あるいは市町村長代表二名、市町村議会議長代表二名というような形式にとらわれちゃいかぬということで、衆議院のほうで学識経験者五名の増加をしていただいて三十名にしてもらいました。この点は、もちろん私もその点をすなおに反省をして、過半数を沖繩の代表者によって任命をしたいと考えております。したがって、その点だけは、最初法案として持って出ました際の私のことばと、姿勢と、実際の法案の中身で瑕疵があったとすればそこであったろうといって、先ほど来反省を申し上げておる点であります。
  350. 中村利次

    中村利次君 やはり沖繩に対して何をなすべきか、これはもう全くおっしゃるとおりだと思うのですよ。それを受けて開発庁をつくるんだ、その開発庁の任務は何だということになりますと、くどいようですけれども、ここがもう一番これは大事なところだと思いますから、これは沖繩に限らず、やはり知事のつくった開発原案というものは、ストレートで国の施策にそのまま一〇〇%受け入れられるかどうかという、こういうことは、全部そうでなければならぬという議論なんというものはあり得ないわけでありますから、特に戦争で痛めつけられ、異民族の支配下にあってたいへんな状態にあったその沖繩に、大体本土政府が、日本国政府が何をすべきかということを受けて開発庁をつくるんだ、ここまでは何といいますかロジックは合うかっこうになるわけでありますけれども、しからば任務は何かというと、また繰り返しますけれども、国の施策としての案文をつくり上げる中間的役割り、中間的役割りというのは具体的にはどういうことでしょう。
  351. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは最終的な役割りでないことは、審議会の議を経て総理大臣が決定をいたしますから、したがって、その前段の作業をいたす中間的な仕事をするということに、まあ理屈を言えばそういうことになるということであります。
  352. 中村利次

    中村利次君 これは開発についての原案を知事が作成をして、なおかつ中間的な役割りの必要がございますか。あるとすればなぜそういう必要があるんでしょう。
  353. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは知事としては自分のつくった原案を全部そのまますっぽりのんでもらいたい。審議会も要らない、あるいは役所も、スクリーンすることも要らないということが知事の側からすれば理想かもしれません。しかし、知事のつくられた案を全部国が責任を持ってやれるのかどうかという、そういう具体的な作業、あるいはまた相談ということをしないで、それはもう要らないから、沖繩の場合は特別だからといって全然その機関がありませんと、これはまた審議そのものに膨大な作業のできる事務局でもつくりませんとまた問題があるのではないか。そういうふうに思いますから、沖繩に対して悪意をつゆいささかも持っていないということをどうしても先ほどから信用してもらえないので情けなくなっているのですけれども、私としては、沖繩に他意あって、あるいは何か下心を持って何かをしなければならない、そんなことは必要はないし、そういうことをすべき国は立場にないということですから、その御質問の趣旨はわかりますので、できるだけお答えいたしますが、私の誠意というものは受け取ってほしいと思います。
  354. 中村利次

    中村利次君 これは沖繩に対して悪意があるとかないとか、そういう議論ではないんですよ。やはり大臣と議論がかみ合ってないと思うんですけれどもね。たとえば知事が作成した開発の原案をストレートで通せという議論も、ここではやっているわけではないんですね。いわゆる国の施策もございましょう。しかし、沖繩に限って開発庁をつくるということですから、これはもう前例のないことで、開発庁の任務は何だということになりますと、国の施策をつくり上げる中間的役割りだと、任務は何だということに対しては、そういうことになっているんですね。ですから、これは沖繩に対して心底から善意をもって、やはり明るくきれいな沖繩の建設、開発をやっていくんだ、そのためのものだということを是認するにしても、是認する立場に立っても、国の施策としての案文をつくり上げる中間的役割りというのは、まことにどうもこれはだれが読んでも——私は、こういう役割りを果たすのは、はたして開発庁でなければ果たせないのかどうか。これは知事の原案がきて、それを総理が最高責任者ですから、各省庁でやって、その提案理由の前段にありますように、とにかく沖繩に何をすべきかというそういうたてまえで政府がやれば、一向差しつかえないんじゃないかということになるわけですよ。だから、大臣がおっしゃるようなことは、はたして開発庁をつくらなければ絶対にやれないのかどうか。この開発庁設置法の開発片の任務というものとかみ合わして考えますと、何か下心を持っているんじゃないかという、そういう意味ではなくて、はたしてこういうものが必要かどうかという点については、やはり任務を見ても、大いに議論のあるところになってくると思うんですよ。ですから、私は、大臣が沖繩に対して、県民の皆さんにほんとうに真剣になってこれに償いをし、あるいは、自治権侵害だなんてとんでもないのだと言うことをすべて是認しても、是認する立場にかりに立ったとしても、なおこの開発庁をつくり、その任務はこういう任務だということになりますと、何だかわけがわからない。なぜこういうのが必要だろうか、こういうことになってくるのですよ。
  355. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまの議論は、知事の作成する原案というものの最終決定に至る過程について議論をしたわけですが、開発庁は実際上、沖繩のそのような計画の推進に必要な予算というものも、義務経費以外は一括計上ということで、各省庁のバランスのとれた計画性のある予算要求というものを、沖繩県と一体となって予算編成をして、それを各省庁に移しかえるという仕事、またその見積もり、あるいは執行、調整、そういうもの等の総合的な最終的な段階に至るまで調整をしていくわけでありますから、もし沖繩開発庁というものがない場合に、沖繩県がほかの各県と同じように、たとえ補助率を十分の十とか十分の九とか、本土にない高い補助率をかりに法律で保障されたとしても、各省庁でばらばらでそれをやったとした場合に、はたしてその計画が順調にいくだろうか。この点は、もうすでは一回予算編成をやってみましたが、各省庁のほとんど義務的な経費と思われるものに若干の政策的な問題を加味した場合でも、私に相談なしにある役所ではさっさと大蔵省との間でおりてしまっていて、予算閣議が終わったあとで全部点検しましたところ、それが落ちておった。具体的に申しますと、宮古から来間、勝連半島から津堅島、西表から新城、黒島の海底送水管の十分の十の補助事業というものが、完全に予算では消えておりました。それをすでに閣議の終わったあとでありますから、沖繩の人々に去年の干ばつ、これを二度と招いてはならない。水地獄というものをなくするために、絶対に四十七年度予算で確保しなければならない予算でございましたので、私はこれを解決するのに三日かかりました。法制局まで引っぱり出して、閣議決定後の予算の中身に実際上の新しいものが加わる、新規なものが加わるということでありますから、ずいぶん苦労いたしましたけれども、こういうことを考えますと、やはり一括計上という範囲で、沖繩県が文句をつける相手、あるいは自分たちの主張を受けとめてもらう相手という相手がどこかにいませんと、関係各省庁ひとしく文句をつけるのだといってもこれはなかなか及ばないことではなかろうかと。やはり沖繩県というものを代表するものが、知事あるいは議決機関の県議会というものが、それぞれまずまっ先に相手にするのは開発庁長官である。よくも悪くも責任を一身に負うのだというものがやはりないと私はいかないような気が、予算編成をやってみてそういう気がいたしました。これは私のくだらない裏話としての実感でございますけれども、そういうことがありまして、もし開発庁がなかったらと考えると、私は沖繩の開発の方向というものは非常にばらばらになってしまうような気がいたします。
  356. 中村利次

    中村利次君 これは大臣が、沖繩復帰についていろいろなからむ問題を相当大車輪で対処されたということは承知をしておるつもりです。しかし、そのこととこの開発庁の設置はおのずから別でございまして、いまの御答弁もよくわかります。しかし、これはそうなりますと、佐藤内閣に各省庁の調整機能が全くどうも非常に欠けておるような感じがするわけでありましてね、これはどうも佐藤総理のたいへんな私は責任問題ではないかという感じがしますけれども、とにかく、それほどやはりこの開発庁の設置というのは、非常に一面では期待を持たれる半面、また一面ではたいへんにどうもありようによっては、自治権の侵害は絶対にないといいましても、その問題だけではなく、そのほかにもいろんなやはり憂うべきこともまた兼ね持っておるわけであるから、そういう点では、どうもやはり釈然としないところがあるわけです。  しかし、とにかく次に移りたいと思いますけれども、それほどのことでございましたら、この何ですか、要綱ですね、要綱附則の第三条にも、「当分の間、沖繩復帰に伴い政府において特別の措置を要する事項で」云々と、まことに当然、そういうものがあってしかるべきだと思いますが、しかし、これもうるさいほど答弁したのに、まだそんなことを言うかというお気持ちかもしれませんが、請求権補償の問題等は、まさにこれはこの附則の第三条に該当し切って、もう、最も重要な問題だと思いますから、当然、これは開発庁で担当する問題だと、こういうぐあいに受け取ってよろしいですか。
  357. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 当初、これは本来、駐留米軍に関する一切の法律は防衛施設庁の所管でありますから、そのつもりでおりましたけれども、やはり総理も、沖繩県民の、施設庁とはいえ、防衛庁、自衛隊というものに対する感触を心配されて、やはり総理府が、総理はそのとき窓口と言われたのですけれども、あっせんをするようにというお話がございました。その後もろもろのやはりむずかしい問題がだいぶあることが、最近の新聞等でも出ておりますような事件等もありましたり、そういうことも踏まえまして、やはり総理府で政令できちんとしておこうということで、ただいまの御指摘のとおり、こういう政令をつくりました。まあ、その必要なところだけ読みますが、「法附則第三条第一項の政令で定めるものは、次のとおりとする。」というところの幾つもありますけれども、その一のところに「通貨等切替対策特別交付金の支給、戦時における公簿及び公図の焼失、」——これは土地調査の問題になります。それから「地形の変容等にかかる土地の位置及び筆界に関する資料の収集その他の調査、小学校の用地で設置者が他からの借用により充当しているもののうち、当該借用が当該小学校に対応する国民学校の用地がアメリカ合衆国の軍隊に接収されたことに基づいて行なわれたものである場合の当該借用に係る用地の購入の促進」、ここまで具体的なものを書きまして、ただいまの請求権の本土政府の責任において処理する問題その他最近起こった問題等も踏まえながら、「その他沖繩復帰前にその事由が発生し、沖繩復帰の際に未解決となっている事項であって沖繩復帰に伴い解決を要するもの」ということで、非常に幅広く、総理府が、文字どおり、開発庁が窓口になってお世話できるようにという配慮をいたしまして、総理もこの線でよかろうということでございましたので、御希望どおりにやるつもりであります。
  358. 中村利次

    中村利次君 わかりました。  まあ、沖繩の開発については、これはある意味で言いますと、もろ刃の剣的なものがあると思うんですけれどもね。本土復帰して沖繩が過疎地帯になるのか、あるいは、提案理由の前段にございますように、非常に好ましいかっこうで日本の未来図を実現さしていくのか、これはもうやりようによってどのようにもなると思うんですけれども、その前提として、やはりこれはさきの国会でもたいへんな大議論になりました軍用地の問題。これは附帯決議が衆議院でつきまして、政府も、総理以下、これは精力的にやるんだと、こういうことになっておるんですけれども、しかし、サンクレメンテでも、これはどうも、日本で一応主張はしたけれども、しかし明確な答えというのが出ていない。それから私も委員会から派遣されまして二回ほど沖繩に行ってまいりましたけれども、あすこの軍用地等を見ますと、これはだれが何と言ったって、政府・与党の方たちが、ほんとうにその立場をむなしゅうして沖繩現地をごらんになれば、これほどの軍用地の不要なものすら今度の返還交渉でも返還されないというものがたくさんあるわけで、非常に目立ちますよね。たとえば、何というんですか、黙認耕作地域ですか、ああいうところでも実に膨大なあれはあるわけでありますけれども、しかし、こういうのがどういう理由で返還されないままあるのか。そうなりますと、軍事基地の整理縮小をやるという姿勢だけを政府がおとりになっても、実際に行ってみて、どうも、取り組みが甘いなんというものじゃないじゃないかという実感を受ければ、今後のこの縮小問題に対して政府は本気になってやっているのかどうかという疑問が起きるわけですけれども、これは、好ましい沖繩開発、沖繩県民にどうこたえるかという意味での沖繩開発の大前提になるものですけれども、今日以降これはどういうぐあいにお考えになりますか。
  359. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) この外交折衝には私は実は全くタッチさせられておりませんし、ただ、私として無視できない問題として、那覇空港の問題、あるいは牧港住宅街の都市計画の最大の支障であり、復帰後の沖繩県庁所在地である立地条件から無視できないという問題点等は外務大臣に絶えず私のほうから要請をしておきました。その結果、牧港住宅街等はB表の、たしかただし書きに書き込まれることになったと思いますが、那覇空港は工事の予算執行の遅延によって若干おくれるというような不測の事態になりましたけれども、この交渉にあたって、私のほうで全部の基地リストについて意見を求められるような機会もございませんでしたし、私も自分気持ちを絶えず外務省にお願いをしてきたという過程であります。これは私の、答弁を聞いておりました範囲ですから、福田外務大臣じゃないと正確な答弁にならないと思いますが、返還協定の中で新しくいまのA、B、C表の中の別のものを復帰までにまたA表からC表に入れるというようなことはなかなかできない。しかし、返還になったならば、サンクレメンテの会談を踏まえて、このような理由でアメリカ側には話してもいいはずだ、わがほうとしてはこういうことで必要だということで交渉等は始めるのだ、交渉はしておるんだと言っておりましたので、返還がされましたならば、その交渉は表に出た交渉になるであろうと私は期待しておりますし、また、そのような場合にはもっともっとよく連絡を外務省にもとっていただくように、その後連絡がだいぶよくなっておるわけでございます。
  360. 中村利次

    中村利次君 これはやはり沖繩開発の大前提になる問題ですから……。  それから、いま大臣の答弁の中にありました那覇空港の問題ですけれども、おっしゃいましたように、どうもやはりP3だとか、そういうものに加えて、きょうなんかの新聞を見ますと標的機なんかもこれに便乗してあそこに、表現は悪いかもしれませんけれども居すわる、こういうことになりますと、那覇空港の完全返還というものは、まことにこれはどうも見通しが暗くなるように思うんですけれども、開発のやはり一つの大きな柱として、とにかく沖繩が返ってくると、あるいは日本の南の窓口になるわけでありまして、まず中国あるいは東南アジアの玄関口として那覇空港に非常に重要な役割りを持たすんだという構想もあるやに伺いますけれども、そういう構想があるのかないのか。  それからそれに関連して那覇空港の完全返還の、全面返還の見通しは大体どういうぐあいになっておるのか。そういうことが報道されておりますけれども、事実そのとおりかどうか、お伺いいたします。
  361. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもともと沖繩における四軍——陸、海、空、海兵隊、この間でお互いに自分たちのところにいわゆるよその軍の飛行機を着陸させたくないとか、入れたくないとかいう感情があることはずっと前からわかっておりました。しかし、これは日米の間の高度の政治的判断による合意の結果、復帰時点でP3並びにその他の標的機等も含めたものはそれぞれ普天間と嘉手納基地に移転をする、そのために工事は日本側がやるというようなことで合意を見ておるわけでありますが、新聞報道等に関して私もちょっとアメリカ側でそういうことがありそうなことだ、すなわちそういうことに籍口してずるずる延ばすおそれが、もともと好んで、喜んで応じたわけではないと見ておりますから、ありそうな心配がありましたので、本朝の閣議でも私のほうからその事実を述べて外務大臣がすみやかにこのようなことが現実にならないように、いわゆる暫定予算でおくれた分の期間だけ、正確に言うと四月一日の予定が五月十五日にずれた分だけのおくれはしようがないけれども、直ちに工事に着工して予定どおり運輸省所管のきれいな民間空港——自衛隊が若干おるにしましても、そういうものにしてもらいたいという希望をけさの閣議でも申しておきました。
  362. 中村利次

    中村利次君 それで、その見通しはどうでしょう。
  363. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは外務大臣がやはり正式にアメリカ側のそういう変化があるとすれば、それに対して抗議的な話し合いを始めるでしょうし、何も変化がないんだということになれば、あのとき二カ月か三カ月の工事期間があれば可能だという話でありましたから、予定どおりいけるものだと思っております。
  364. 中村利次

    中村利次君 そうしますと、いまの答弁のとおりでありますと、新聞報道等は誤報だということになりますか。
  365. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは私はそれを心配をして、誤報であればいいのですが、そういうことをアメリカ側が言い出しそうな——もともとそういう空気の中で撤去に同意したような、やっと同意したような経過を私は知っておりますだけに、念のために、閣議で、外務大臣に、御油断めされるなというくぎを一本打っておいたということでありまして、これは、外務大臣が、閣議等においていずれ報告するだろうと思います。
  366. 中村利次

    中村利次君 そうしますと、はっきりしたことはわからないということになるのですね。とにかく要望をし、あるいは交渉は行なわれるだろうけれども、はっきりした結果はここでは予測できないということですか。
  367. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そうじゃなくて、既定方針どおりやってもらいたいということを私は要望したわけであって、そのとおりであれば、外務大臣が、次の閣議等でそう報告するでありましょうし、何か事情の変化が起こっているならば、それの打開に努力をする旨をまた言うでありましょうし、これは外務大臣の所管で、聞いてみなければわかりません。
  368. 中村利次

    中村利次君 これはどうも、確かに質問がやはり外務省に関連することであったようですけれども、それじゃ次に進みますけれども、とにかく先ほどもちょっと申し上げましたように、沖繩の開発が今後どうあるべきかということは、えらい、これはある意味ではもろ刃の剣で、非常に重要な問題だと思うのですけれども、現在すでに——これは私は名ざしで質問をいたしませんので、ひとつ担当の省庁でお答えをいただきたいと思いますけれども、すでにもう石油資本なんか、これは内外ともに、あそこに中継精製基地ですか、持っておるようでありますし、それから土地の買い占め等も、これは最近の新聞紙なんかでも、もう日本本土にも土地はないという、きわめてショッキングな、これは表現はオーバーにしても、方向性としては、まことに、そういう方向が進んでおると思われますけれども沖繩復帰になるということになったら、とたんに、どうも何ですか、土地の買い占め等が行なわれているやに聞くんですけれども、こういう点、まず、御意見どうでしょうか、おわかりになっている範囲で。
  369. 関口洋

    説明員(関口洋君) 現在沖繩におきましては、非琉球人の土地取得につきまして、これを規制する立法があることは先生御承知のとおりであろうと思います。現在は、琉球政府でもって、こういう措置でいわゆる買い占めを防いでおるわけでございますが、復帰後の問題といたしましては、私どもとしましては、やはり土地の利用区分に従って、土地利用が適正に行なわれるような措置をなるべく早くとりたいと、かように考えております。具体的に申しますと、いわゆる都市部につきましては、現在、わが国でも都市計画法がございまして、それの中で、俗に線引きといわれるもので、市街化区域と、市街化調整区域の区分をし、市街化調整区域につきましては、開発を原則として抑制しておると、こういうことでございます。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕 それからまた、農地として保全すべきものについては農地法で規制をしていることも御案内のとおりでございますし、自然景観を保持すべき点につきましても、それぞれ法的規制が行なわれていることは御承知のとおりでございます。まず、そういう体制を確立していただくことが大きな前提でございますが、一方、投機的な土地取引に対する対策としましては、これはわが国の国内と同じように、まず、住宅宅地につきましては、宅地需給のアンバランスの回避ということが一番大きなポイントになります。そういう意味で復帰後宅地需給の見通しを立てて、それに従って法的な宅地開発を推進してまいりたい、かように考えています。  以上簡単でございますが……。
  370. 中村利次

    中村利次君 いま答弁がございましたように、本土と同じようにという答弁がありましたけれども、その本土が土地の買い占めでもってえらいこれは問題になりそうである。地価の暴騰はとどまるところを知らぬという、そういうことになっておるだけに、やはりそういう答弁では沖繩もやはり本土と同じようになりはしないかという——それではそうなりますと、健康で豊かな緑の島なんというものはやはりこれはどっかに吹っ飛んでしまって、絵に書いたもちであって、やはり何ですか、沖繩県民が島津侵略以来本土に対してたいへんなどうも不信感を持っておる、それをますます助長させ、それからへたをすると公害の島になりかねない、県になりかねないというおそれがあると思うんですよ。  ついでにこれは建設省にお伺いをしておきたいと思うんですけれども、これは私は、沖繩国会でも山中国務大臣にも質問したんですけれども、ガルフで、あすこのあれは何というんですか、満潮になるととても通れない、干潮になるとひたひたに潮が、水が引きましてトラックが通れるようになるというあすこを埋め立てて道路にしているんですよね。これは潮流を変える、漁業権の問題にまで、えらい問題があるような工事をやっている。潮流を変えないためにということで小っちゃな橋をつくっているんですよ。これは現地に行ってごらんになればわかりますけれども、あんなちゃちなもので潮流が変わらないということは断じてあり得ないわけです。ああいうものを幾つかつくれば——私はこれは復帰後の工事だったらあんなばかばかしいことはおそらくやらせなかったと思うんですけれども、これはやはり民政府との契約で、復帰前にああいうどうも好ましくない工事がやられているんですけれども、あれは復帰になりますと、復帰後はどういうことになりますか、所有権あるいは管理権、それからはたしてもっと改良工事をするようなそういう権能が日本国政府にあるのかどうか、あわせてお伺いします。
  371. 三浦孝雄

    説明員(三浦孝雄君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の工業地と結ぶ道路の設置でございますが、本土復帰いたしますと、当然この海域の管理者がはっきりきまりますので、現在沖繩では御承知のように、統一的な海岸法がございますが、その海岸法に基づいて道路等の工作物の規制をやっておるわけでございますけれども、率直に申しまして必ずしも十分とは存じません。この地域以外のいろいろ開発地域の問題がございますけれども復帰いたしますというと、御承知のように、港湾区域については運輸大臣が主務大臣として管理いたしますし、また、農用地あるいは漁港区域周辺については農林大臣が管理いたします。その他の区域については建設大臣が管理いたしております。それでこの地先の海岸が将来どのような形で区分されるか、復帰後の話でございますけれども、工業用地の地域ということになりますと、当然将来関連した港湾施設も整備されることになりますので、港湾区域の海岸ということになるかもしれないのでございますが、その点はまだはっきりいたしません。いずれにしましても、とにかく区分が明らかになりました段階でそれぞれの管理者が管理をすることになるわけでございます。  ただいま御指摘の道路の構造でございますが、この道路の構造物は、在来の沖繩の管理者の立場から海岸地域の保全を考えまして、漁船の運航とかあるいは潮流の変化に影響ないような範囲内で勘案をいたしまして処理をしたということを聞いております。復帰後におきましてなおその他の開発計画もあるようでございますから、なおこの地区の一帯としてとらえまして適切な処置をとらなければならぬものだと、こういうふうに考えております。
  372. 中村利次

    中村利次君 これは復帰になったならばという仮定の問題ではないと思うんですよ。一週間たたないで復帰になるわけですよ。それから、私先ほど申し上げましたように、民政府という絶対権力者が支配をし、その支配下においてああいうことがやられた、復帰になった場合にはどうなるんだということを、これは復帰になったあと考えますということなんですか、それでは。
  373. 三浦孝雄

    説明員(三浦孝雄君) 現在あの地域はいろいろ工事が進んでいる過渡期でございまして、復帰いたしました段階で、たとえば道路につきましては、これは道路法上の道路として所属を明確にして認定することになろうと思います、道路でありましたならば。したがいまして、それぞれ内地並みのいろいろな管理区分が行なわれるわけでございます。したがって、海域管理の立場と道路管理の立場とそれぞれ調整しながら協議をいたしまして対処のしかたがきまるということでございます。したがって、復帰後においてこの措置が講ぜられるということになろうと思うのでございます。
  374. 中村利次

    中村利次君 どうも不満ですね、これは道路でありましたならばといっても道路なんですよ、これはだれが見ても。相当大がかりな工事をやったりっぱな道路なんです。そうしますと、これはまだ対策はお考えになっておらないというぐあいに解釈をしてよろしいんですね。これはやはり開発庁設置法案を提案されるにあたって沖繩のために何をやるべきかということが前提になっているんですよ。ですから私は、そういういろいろのことに対しては少なくともこの前提が全くそのとおりであるとするならば、あらゆる問題についてやはり復帰以前にもうあとう限りの調査をしてそれに対する対策なんというのはできているんだ、こういうぐあいに解釈していた。ところが、そうではないということがわかりましたからこれはやむを得ません。  次に進みますけれども沖繩の開発について産業誘致その他いろいろな問題があると思いますけれども、これをやっていきますとまた非常に長くなりますが、その開発の絶対のやはり前提条件は、これは不可分の道路もそうでしょうし、あるいは水資源の開発も港湾整備もすべてがそうでしょうけれども、中でも電気、電力、これはもう沖繩の開発には絶対不可欠の問題だと思うんですが、いま沖繩の電力関係はどうなっておりますか。これは通産省ですか……。
  375. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 電力の担当者が参っておりませんので的確なお答えにならないかとも思いますが、沖繩復帰しました後の電力需要の伸びにつきましては、これは基地の需要と、それから先生先ほどおっしゃいました進出企業の動向に左右されるわけでございますが、これまでの傾向から推定いたしますと、当分の間電灯につきましては一三%、それから民需用の電力につきましては約一五%、それから基地用の電力については横ばいということに推定いたしますと、総合で大体七%弱の伸びになるわけでございますが、このような需要の増大に見合いまして供給力の強化をはかっていくわけでございます。四十八年度と四十九年度に新鋭の火力発電所、これは四十八年が八万五千キロワット、それから四十九年が十二万五千キロワットになるわけでございますけれども、こういう二つの発電所の運転を開始する計画になっているわけでございます。で、この電源の開発につきまして、そのほか送配電設備の充実ということが必要になってくるわけでございます。これに要します資金というのも非常に多額にのぼるわけでございまして、政府といたしましては、この電気料金を安定化するという見地から、原価の高騰抑制のために、長期低利の資金の確保に努力することにしておるわけでございます。
  376. 中村利次

    中村利次君 私、そういうことをまず一番先に質問しようと思ってなかったんですが——それでもけっこうですけれどもね。しかし、いまのこの需要の伸びの想定は、何を根拠にしてその想定をされましたか。これは、開発庁をつくって、沖繩のその開発を進めていこうという場合に、はたしてそういうものを十分電力需要の伸びの想定の中に入れてそういう伸びの想定をされたのかどうか。どうも私はそうとは思えない。そうなりますと、これは、遺憾ながら、失礼だけれども、全くばらばらであって、沖繩のために何をなすべきかという前段の説明なんというものは、まさにこれは空文、観念的空文化することになるんですが、どうなんですか。そういうことを全部想定した伸びの見通しですか。
  377. 久良知章悟

    政府委員久良知章悟君) 電力関係の課長が参っておりませんが、資料がございますので、公害防止指導課長から御回答申し上げます。
  378. 中村利次

    中村利次君 そういうのを盛り込んだ伸びの想定かどうかだけを答えてください。
  379. 松村克之

    説明員(松村克之君) 私、直接の担当でございませんので、手元の資料で御説明いたします。
  380. 中村利次

    中村利次君 ちょっと待ってください。それじゃいいです。これはしかるべき時期に——。どうも的確な答えができないという前提で私は答弁をしてもらっちゃ困ると思うんですよ、これは重大な問題ですからね。いま日本の電気事業は、民有、民営で発・送・配電、一元化しているわけですよね、昭和二十六年五月の電力の再編成で。これは沖繩本土復帰をして、沖繩の電気事業というものはこれと全く異質なものでやっていこうとなさっているのかどうか、これも大前提ですよ、開発に重大な関係があるわけですから。現実には、いわゆるこれは電力公社と言われたあの軍の持っておった電力公社が、この五月の十三日に沖繩電力株式会社としてほとんどが政府、それから沖繩県の出資によって設立総会も開くということになっておるはずです。   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕 ところが配電五社は——これはそれじゃあ、お見えになるまで電力問題は保留しましょうか。
  381. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) そうですね。別の質問をお願いします。
  382. 中村利次

    中村利次君 それから次に、これもやはり通産省関係だと思いますけれども、尖閣列島の開発の点についてお尋ねをいたします。  これは、尖閣列島の領有権については、政府はもうたびたび日本古来の領土であるということをはっきり答弁をしておるわけでありますけれども、そうなりますと、沖繩が五月の十五日に返ってくる、地下資源の非常に乏しい日本にとっては、尖閣列島の前々からいわれておりますように、大陸だな地下資源の開発というものは、これはもうゆるがせにできない重大な問題になると思いますけれども、この計画について具体的な計画をお持ちかどうか。
  383. 花岡宗助

    説明員(花岡宗助君) エカフェ等の調査によりますと、尖閣列島周辺の大陸だなには石油及び可燃性天然ガスの資源が賦存する可能性が高いということがいわれております。したがいまして、尖閣列島周辺の大陸だなにつきましても、現在沖繩在住の個人等が琉球政府に対して鉱業権設定の出願をしている、また一方、中華民国にも、台湾のほうにも米国糸の石油開発企業が申請をしておりまして、探鉱開発権の付与もしておるということで、近隣諸国との間に大陸だなの境界をめぐりまして現在意見の相違がございます。したがいまして、政府といたしましては、近隣諸国との話し合いを行ないまして円満な開発をはかるべく努力をしておりまして、したがいまして、この地域の大陸だなの開発は境界問題の解決を待ってから積極的に推進してまいるという方針になっております。
  384. 中村利次

    中村利次君 そうしますと、開発をするんだと、しかし、境界については近隣諸国との話し合いをして、その上で開発をするんだということですか。
  385. 花岡宗助

    説明員(花岡宗助君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  386. 中村利次

    中村利次君 そうしますと、近隣諸国と話し合いがつかない場合にはどうなりますか。国際法上のあれは……。
  387. 中江要介

    説明員(中江要介君) ただいま御質問の大陸だなの境界確定の問題でございますが、これは先刻御承知と思いますけれども、領有権が日本に属しているということと、その領海の外にある大陸だなに対する管轄権を行使するという問題とが、国際法上は別の扱いになっておるわけでございます。どういう場合に別になりますかと申しますと、二つの国の領海が一つの大陸だな、同一の大陸だなに隣接している場合には、これはかってに掘ってはならぬというのが国際社会での現在のルールになっておるわけでございます。でいまの尖閣諸島のございます地域の大陸だなは東シナ海の大きな大陸だなでございまして、これはまさしくただいま申し上げました二つ以上の国の領海が一つの同じ大陸だなに隣接しているわけであります。したがいまして、これはいずれの国であれ一方的に管轄権を行使してはならない、そういう立場からこそ日本政府も、すでに中華民国政府が大陸だな宣言をしましたときに抗議をしておるわけであります。中華民国政府は一方的に大陸だな区域を確定してこれを宣言したわけであります。いま花岡課長からもお話ありましたように、日本政府としては、大陸だな資源の開発はあくまでも国際法に従って国際社会のルールに従った正しい開発をしようという立場でございますので、いまの尖閣諸島のございます東シナ海の大陸だなの開発につきましても、これに隣接している国との間の話し合いをしよう、こういう申し入れをしているわけです。国民政府のほうはまだそれに応じてきていない、これは日本がまだ尖閣諸島について完全な管轄権を持たない返還前の段階でございますが、今度返還を受けますと、これは完全に日本の主権下にあるわけでございますから物事が具体化するかと思います。で、いまのそういう話し合いがつかなかったらどうするという問題ですが、これも大陸だなに関する条約という条約の中に規定がございまして、話し合いで解決がつかないときには、これは中間線の原則によるべきだと、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、両方の国の基線から測定していずれの点も等距離にある点を結んだ線、これが中間線になるわけでございます。その中間線をもって確定していく、こういうふうになっている、これが現状だと思います。
  388. 中村利次

    中村利次君 そうすると、こういうぐあいに理解をしてよろしいですか。沖繩が返還をされますと尖閣列島はわが国の領有するところとなるわけだから、したがって開発計画は進めていくんだと、その前提としては隣接諸国と話し合いをする、話し合いがつかない場合にはその中心線ですか、そこまでの開発を進めていく、要するに尖閣列島の開発は復帰以降進めていくんだと、こういうぐあいに解釈をしてよろしいわけですね。
  389. 中江要介

    説明員(中江要介君) 基本的にはそういう方針でいくべきだと外務省では考えておるわけです。開発を進めるかどうかという実利的な面は、これは当然主務官庁である通産省のほうで御判断になると思いますけれども、基本的な考え方としてはいま先生のおっしゃったような線にいくべきだと、こういうふうに思っております。
  390. 中村利次

    中村利次君 通産省は、この尖閣列島の地下資源の開発にいま相当計画をお持ちだと伺うんですけれども、いまのお答えによりますと、通産省が具体的、積極的に開発を進めていくというふうに受け取ってよろしいですね。
  391. 花岡宗助

    説明員(花岡宗助君) 基本的にはいま先生がおっしゃいましたとおりに、通産省といたしましては積極的にこの地域の開発を進めてまいると、ただしその前提といたしましては、境界線についての合意が成立をするということを前提として考えているということでございます。
  392. 中村利次

    中村利次君 これはどうも最後は合意が成立すると、合意が成立しない場合のところまで外務省でお答えいただいたんですから、そこまでのことを私は含めて質問をしているのですから、これは再質問をする必要なく、そういうことで開発を進めていく方針だと受け取っていいと思いますね。  電力関係の方いらっしゃいましたかしら……。私は時間がそんなにたくさんございませんので、ほかのことをやっていますとどうもこれは相当の時間を食いそうですから……。
  393. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 岩間君先へやってもらいますか。
  394. 中村利次

    中村利次君 一応留保しておきますか。
  395. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 時間残して……。岩間さんできますか。
  396. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ、私は開発庁設置法案、これに入る前に最初にお聞きしたいことは、この沖繩の振興開発というのは一体これはだれのために行なわれるのか、何のために行なわれるのか、つまり開発の中身が真に沖繩県民の利益を第一義に優先して行なわれるのか、それとも依然として米軍とその基地の権益を維持し、また大企業の利益に奉仕する、こういう立場から行なわれるのか、この点をまず明確にすることが必要かと思います。これはこういう点でどのような御見解をお持ちですか。
  397. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 外交折衝の分野並びに防衛庁の分野について私は答弁できる立場にありませんから答弁を避けますが、その分野を除いて、あくまでも開発というものは沖繩県民のために行なわれ、その目的は平和で豊かな沖繩県の建設に資する、そして県民の享有する利益というものを求め続けていくということ以外に考えてはならないと思います。
  398. 岩間正男

    岩間正男君 まああなたの立場としては一応そういうことを言われるだろうと思います。そういうこともいままで何回か言われている。しかし、はたして現実の進められておる政府の開発計画というものはそういうことになっているか。それからこの法案はそういうような、あなたのいま言われたようなものをほんとうに裏づけをするような法案になっているかどうか、ここが非常に重要な問題です。  そこで、具体的にお聞きしたい点は、昨年十一月に琉球政府の屋良主席から政府に提出された建議書が、これは先ほどから問題になっています。これはちょうど衆議院で強行採決やったあとに屋良さんが東京駅についた、そういう歴史的な建議書です。その中に、沖繩の工業開発について基本的な幾つかの提案がなされているはずです。この基本的な提案ですね、これはどういうものだか、この点についてお伺いしたいと思います。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕
  399. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いま手元にありませんので、間違うといけませんから届いてからにいたします。  まず開発の方向としては、住民福祉を中心とした社会開発に重点をおけということを踏まえて、公共投資主導型の設備投資が必要であり、道路、港湾、空港、上下水道等の整備と、住宅、教育施設、医療施設、福祉施設等の生活環境の整備を徹底的にはかる必要があります。さらに同じ工業化であっても臨海型装置産業の場合は、雇用吸収効果並びに自治体財政への寄与というものがいたしてない半面に産業基盤整備のための財政支出が大きく、しかも公害発生の危険がある。したがって、慎重な配慮をしてくれ。鉱工業については地場産業、既存企業の育成を前提として、非公害型の電子工業、機械工業、縫製加工業等、労働集約型の企業の発展をはからなければならぬ。臨海型の工業であっても、土地利用計画に基づいて、特定地域を指定して波及効果の高い業種を設定することが必要である。用水多用型、公害型等については十分なチェックをしなければならぬ。さらに沖繩の中小企業、零細企業に対して配慮を十分にしろと、このようなことが要望の柱かと思いますが、このことについては私どもは何ら異存はありませんし、こういう考え方でいくべきであると考えております。  公共投資主導型の設備投資ということももちろん一括計上の重点の柱でございますし、あと、臨海工業、内陸工業、それぞれ指摘してありますこと、既存企業、中小企業の施設等も十分にこの意を体して今後進めていきたいと考えます。
  400. 岩間正男

    岩間正男君 大体いまこの工業開発に関する点について幾つか言われました。大体四点ぐらいに分けることができるんじゃないか。その中で、いま触れられなかったんですが、基地経済脱却のために一定の工業化は、これは必要だ、こういう点をこれは特に強調しているんです。基地経済脱却のためというのは、これは、基地をやはりなくして、そうしてほんとうに自主的な経済建設をやるため、そういうことを特にこれはうたっておりますね。さらに、業種としては非公害型のもの、たとえば電子工業とか機械工業、縫製工業など労働集約型のものを求めておる。これは非常に重要です、この点が。大産業だが、さて合理化されて非常に労働力は要らぬ、先ほどもこれは鈴木委員から質問された、触れられた問題であります。そういうことではこれは話にならぬ。だから、どうしても労働集約型、この点は沖繩の現実から考えまして、過疎化を食いとめるためにも必要な問題なんです。第三には、臨海工業型装置の産業、たとえば石油、アルミなどの場合は、非常にこれは雇用吸収力が少なくて、したがって自治体財政に寄与することも非常に少ない、その半面に、かえって産業基盤の整備のためにたくさんのこれは財政支出がなされる、しかも公害は避けられない、したがって、誘致企業の選定は慎重な配慮が必要である、最後に用水を多く必要とするもの、そうして公害を非常に伴うこういう産業については、これは厳重にチェックする、大体こういう点をこの基本的な工業開発のいわば要望として提案されていると思う。これは、いま長官もこれに対して同意を表せられたのでありますが、これは沖繩の現実、ことに長い苦しみの歴史を経てきた、そうしてまた本土の現在のこの公害列島——世界に冠たる公害列島というこの高度成長政策のひずみがいま全面的にこの一億国民にのしかかってきておる、こういう反省からもきているものだと思うのです。この要求は、非常にこれは重要な課題であります。これを貫けるかどうか、ここが沖繩開発の、私は、最大のこれは分岐点になる。はたしてそういうふうになっているのか。それは希望の上ではそういうことは賛成でございます、いかにもけっこうでございます、みなおそらく、これは関係閣僚は答弁するかもしらぬ。しかし、はたして日本の進んでおる産業の実態はそうなのか、そこのところが非常に問題であります。私は、法案に入る前に、このような現実の具体的な問題をとらえて質問を展開しているわけです。この点どうでしょうか。どうお考えになりますか。日本のいまの進められている産業の実態とこれを対応して考えるときどうですか。この屋良主席の建議書は、これを実現するというような方向に日本の政治はいっていますか。どうですか。
  401. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 本土のほうは、やはり太平洋ベルトライン、あるいは拠点開発の地域等において、ことに石油産業を中心にいろんな公害問題が起こっているということは、これは本土の経済成長のきびしい反省を要求されている点だろうと思うのです。ただ復帰前に琉球政府が許可いたしましたのは石油関係が多いのでありますが、これは復帰後はもうこれ以上許可しないようにということは考えていかなければならぬと思いますが、復帰前に琉球政府の許可したものを、これを取り消すとか、そういうことはやはりできないだろうと思います。そうすると、本土政府の意思が加わってこれから始まるものがあるとすれば、造船あたりは、逆にドルショックで造船とか、電子工業は足踏みをしてしまって、何とか順調にいきそうなのがアルミ産業だ、アルミ産業はしかしよほど公害防止の施設を十分にして稼働しませんと公害を引き起こす可能性の強い産業であるということから考えれば、今後起こる問題については、本土に、一義的な政府の責任になりますから、このアルミがやはり一番その点では心配な産業だろうと思いますが、その他はやはり予定どおり造船とか、ここに書いてありますような、沖繩に適したような縫製加工、そういうものまで含めたこまかな配慮というものをしていかなきゃならぬ。ただし既存の沖繩の産業というものが圧迫されるようなことは、これは行政指導の上からも、政府の姿勢からも競合産業というものは持っていかないという姿勢でおりますので、そこら十分な選択は必要であろうと思います。
  402. 岩間正男

    岩間正男君 どうでしょうか。これは屋良主席のときに出された建議書なんでありますが、これは選挙の結果どうなるかわかりませんけれども、再び屋良さんが出てくる公算が多いと思うのですね。そういうときにこの建議書というやつは当然今度は原案になるんじゃないですか。開発の原案にこれは出されてくる、そういう可能性は十分に多いというふうに思われるのです。そのときこの原案をほんとうに政府は尊重して、あなたはことに開発庁長官に擬せられているのですから、そういうふうな場合に、これは政府を説得してもこの原案を実現すると、そういう方向にこれは努力をされる、そういう決意があるのですか、どうですか。
  403. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) もちろん法律に従って沖繩県知事の作成する開発計画というものは最大限に尊重すべきであるということであることに変わりはありません。
  404. 岩間正男

    岩間正男君 通産大臣も出てもらえばよかったのですが、しかしどうですか、現在通産省が進めておるこの工業開発の現状から考えると、非常にこれは矛盾してくるのじゃないですか。さっきも触れられたけれども、どうですか、現在基幹的な開発として進める臨海工業基地の開発ですね。金武湾、中城湾、大浦湾沿岸、さらに糸満地区、これを臨海工業基地に予定している、こういうことを通産省は進めていると思うのですが、この点はいかがですか。
  405. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) ただいま通産省として考えておりますのは、復帰までの間に琉球政府が求めてまいりました石油を中心といたしますいわゆる金武湾周辺の臨海工業につきまして、これを適当な規模に調整しつつ、ここに立地をさせていくという形を考えておるわけでございます。いま糸満あるいは大浦湾等につきまして御指摘がございましたが、まだその点につきまして、私どもここを臨海工業地帯というような形で積極的に開発をするという考え方にはなっていないわけでございます。私どもといたしましては、やはり雇用の機会ができるだけ大きい、それから御指摘がございましたように、水もあまりないところでございますので、ただ水を多消費するような産業は避けるというような意味から、電子工業あるいは機械工業、こういったいわゆる内陸型の付加価値の高い産業をぜひこちらに誘致をしたい、このように考えておる次第でございます。
  406. 岩間正男

    岩間正男君 これは何回もあなたのいままで答弁をいただいたのでありますが、これはもう資料としてやはり出してもらわないと、非常に動きがありますからね。私はお願いしたいのですが、大体これは一昨年あたりまでガルフが金武湾におったでしょう。それから中城湾には東洋石油ですか、これも公害が非常に問題になっております。これは私たち一昨年参りましてこの現地を見ております。それから沖繩協定が結ばれる前後、それから認可されたもの、さらに申請されていまだそれが未決定のもの、こういうものをあなたのほうでつかんでおられるでしょう。つまり中城湾と金武湾のこの沿岸における石油ですね、これについてあなたのほうで計画を全貌的にここで資料として出してほしいのです。ここへ持ってきておられればここに持ってきた資料の中で一応説明をしていただく、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  407. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 沖繩の石油企業といたしましては、中城湾でエッソ、日産八万バーレル、それから東洋石油、日産二万八千バーレル、それから平安座島でガルフが十万バーレル、こういう石油精製事業が開始されておるわけであります。これらはいずれも復帰前に琉球政府が認可をいたしたものでございます。
  408. 岩間正男

    岩間正男君 いつ何年前になりますか、わかりませんか。
  409. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) はい。あとで資料で御提出を申し上げたいと思います。  現在のところ、今後の石油精製のこれ以上の追加につきましては、まだ具体的な計画は私どものほうでつまびらかにいたしていない状況でございます。
  410. 岩間正男

    岩間正男君 南西石油の話がさっき鈴木委員から出されましたが、これはどうです。
  411. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 南西石油と申しますのは、ただいま冒頭に申し上げました中城湾で、エッソ日産八万バーレルの規模と申しましたが、これはエッソ一〇〇%の進出であったわけでございますが、復帰に伴いまして本土の外資法を適用いたしたい。そして石油につきましては、本土におきまして御承知のとおり、五〇・五〇を原則としておりますために、エッソの一〇〇%の持ち株比率を日本側五〇、エッソ側五〇と変更させるという形で、しかも会社の名称を南西石油と変えると、こういうことでございまして、新たな計画を認めるということではないのでございます。
  412. 岩間正男

    岩間正男君 このように現状だけ見ましても、石油の基地として非常な機能を発揮しつつある。しかもこれは、今後の政府の対策、これによっては、これは何倍にふえるかいまから予測がつかない、こういう問題を持っているのじゃないか。ことに南の玄関だ、こういうことで、海外との交流、連絡の面から考えても非常に重要だ。ことにその背景にはやはりどうしても米軍のアジアのかなめ石ということがある。そういうこともこれは背景にあります。そういう点からもこれは大事だと思うのです。ことに金武湾周辺、これはCTS、石油精製、石油化学、それからアルミも入ろうとしておる。その工場誘致をいま盛んに企てられておる。そして生産能力まで明らかにしてこの作業が進められているのじゃないか。そのほかに、アラビア石油、三菱グループ、こういうところがCTSや石油精製の計画を立てて政府に申請をした、こういうことですね。そうしますと、当然このような政策と、建議書の申請や要請した内容、これは明らかに食い違ってくるじゃないですか。長官どうですか、こういう問題から考えるというと、非常にこれは私は現実的に、具体的に政策を追及していってみるというと、先ほど最初にあくまで県民の側に立ってこれは進めていく。それから沖繩県民生活、福祉増進のためだと、こういうふうに言われた。そういうものがくずれてくるのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、いかがですか。
  413. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 復帰前に石油産業を許可したということは、本土政府がいやがる琉球政府を無理やり許可をさせたというものではありませんので、したがって、先ほども私は、そういうことを前提にして計画はつくられるであろうが、琉球政府の時代に許可されたものを取り消すとかなんとかいうことはまた別途問題が起こるだろうということで、そのことはまた別の問題だということを申し上げたわけでありまして、したがって、今後この基本的な立場に触れるとすれば、アルミ等の精錬事業については、これはやはり公害を起こさないように、そして沖繩の少しでも現地のほうにプラスになる企業であるような形に努力をしていくということを注意してやらなければならないということは申し上げたわけであります。
  414. 岩間正男

    岩間正男君 しかし、通産省とこれがうまく話し合いができますか。通産省の考えているこういう方針というものを食いとめることはできますか。現にこれは概算要求でCTS調査費やその他の開発調査費を本年は通産省は計算していますね、沖繩に。これは幾らになりますか。そしてどんどん計画を何回も調査やっておるでしょう。そうしてそういう計画発表しているでしょう。もしも長官の言うそういう方向でこれは今後食いとめるということだったら、ここのところの調整がうまくできなければ話にならぬ。あなたの希望的観測だけじゃ話にならぬ。通産省どんどん進めている、そういうことになればどうなる、ここの矛盾はどうする。
  415. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) CTSの件について申し上げますと、共石とガルフが組みました計画、それから三菱開発、丸善石油が組みました計画、それからアラビア石油の計画と、この三つが実はございまして、これにつきましては琉球政府の外資審議会ですでに認可をいたしておる形でございます。ただしこの規模につきましては、この三つを合わせますと実に二千万キロリッターにのぼる膨大な計画になるわけであります。琉球政府のほうとしましては、この規模それ自体は今後の検討に待ちたい、こういう形でございます。これらの進出をすでに認めてはおりますものの、規模については今後の検討に待ちたい、こういうことでございますので、私どもといたしましても、CTS調査あるいは公害に関します総合的な事前調査を行なって、これが現地の御指摘のような公害を起こすような形にならぬように極力抑制をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  416. 岩間正男

    岩間正男君 これを沖繩の総合開発は新全総の一ブロックとして推進されるということですね。新全総計画は、ある限り、沖繩だけここで食いとめるということはできますか、これは。ここのところをさっきから聞いていると矛盾がある。非常に私は矛盾して聞いておったのです。新全総の計画沖繩にずっと押しつけてくる。どうしてもそれをやはりやらなければならぬでしょう。そういう面が非常に強力な意思として動いてくる。それとはっきり対決しなければならない問題になってくる。そうすると口先だけできれいごとを言ったとしても、はたしてこれは食いとめることができるかどうか、ここが非常に大きな問題だと思います。いまの何倍かの計画が今後起きてこないとは言えない。たとえ会社の、企業の数は少なくたって、企業の規模をふやせば非常にこれは大きく、この規模が大きくなるんですよ。そういう点についてどういう歯どめがあるのですか。
  417. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 新全総におきましては、沖繩を含めまして近く位置づけをするという形になると経済企画庁より聞いておるわけでございますが、本土のほうの計画沖繩のほうに新全総によって押し付けていくという、そういう考えを私ども毛頭持っていないわけでございます。これらのCTSの計画につきましては、私どもといたしまして今後の企業の指導面、そういった面を通じましてできるだけこれを圧縮して、抑制していく、こういう形で処理をしてまいりたいと、こう考えております。
  418. 岩間正男

    岩間正男君 どうもこれは通産大臣にちょっと出てもらわないといかぬですね。少し問題ですね。さっきもそうなんですけれども、そういう技術的なところで、しかも非常にちびちびと言われるわけなんだ。しかしそんなもんじゃないわけです、田中さんの構想というのは。これはまかり通っておる。新全総のあの勢いで押していくんだから、これは山中長官の力で食いとめることができるかどうかというのは、今後の課題になるわけですね、そうでしょう。だからはっきり出て、ここで政治的に明確にしておく。今後の沖繩の開発のために、これはほんとうに県民立場に立つか、あるいは大企業の立場に立つかという対決だから、非常に私は重大だと思う。だからこれはどうしてもきょうはだめだとすれば、この次の委員会には田中通産大臣の出席を求めざるを得ないと思うんですね。  一体石油産業というものを、これはまあ私も一昨年のあの秋の選挙のとき、金武湾、中城湾のところを遊説しましたよ、十何回やった、あそこで。私は五、六年前に四日市に行っておりますから、四日市のいたいけなぜんそくを見て、病院にも行って、あの中でもう自殺をされた方もありますけれども、見ているというと、とにかく平安座島のところにガルフの——非常に秋の晴れたきれいな湾です。とにかく何と言ったって基地公害は大きな冠たるもんだけれども、しかし産業公害はまだそれほどない。しかし、いま一番これが集約的にやっているのは中城湾とそれから金武湾でしょう。だから私はあそこで母親たちに訴えたんだ。ほんとうに四日市というものはこうなっておるんだ。ひどいのだ。子供は小学生、中学生が何人か病院に入っているのだ。注射を打って学校に通っているんですよ。こういう事態を、一体あなたたちのこの土地にこれを起こしていいのかと。だからどうしたって基地公害に産業公害を重ねちゃならぬのだ。これは沖繩返還の中で、ほんとうに母親たちが沖繩県民が団結してこの問題に対決しなければならない問題だと私は訴えた。それを感銘した顔をして聞いていてくれた母親たちがおりますよ。そう思うのだ。  そうしてこの石油というやつは一体それほど県民生活に利益を与えるんですか。たとえば労働力の吸収力、これはガルフの例、アラビア石油なんかあると思いますが、日本労働者がどれぐらい行っておりますか。これは調べておりますか。
  419. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 具体的な数字は手元にございませんが、数字はないわけでございますけれども、現在東洋石油それからガルフ、それからエッソ、これでおおむね二千人程度の人数ではなかろうかというふうに考えます。
  420. 岩間正男

    岩間正男君 こんなものでしょう。これだけ膨大な企業がありながら、沖繩の労働力が二千人、まあガルフが六百五十人と見ています、アラビア石油が七百人ということを聞いておるんですが、二千人そこそこですね。これだけの労働吸収力しかない。それで実際にはき出す公害はたいへんなものだ。そういうふうに考えていきますというとね、一体沖繩は非常に大きな犠牲にさらされてくるというのは明白なんだ。この点がこの建議書に出てきているのだ。そして当然これはこの建議書の精神を貫いて、そうして沖繩の今後の開発を進めていくという県民立場からの開発になれば、当然それが原案として出てくることになると思うんですね。そうすると、どうですか。私はこの現実のいまの姿と進められている政策とそれから建議書というのは明らかに矛盾してくる。建議書で述べている非公害型、労働集約型、こういう工業開発というものを保証し、そうして用水多用型、公害型企業の立地を厳重にチェックする、このような建議書の精神ですね、こういうものを貫くことは非常に困難だと思うのですが、この点について、具体的に山中長官はどう一体考え、対処されるつもりですか、伺いたいと思います。
  421. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 今後沖繩開発を進めていくにあたっては、この建議書の趣旨どおりに進めなきゃならぬと思います。通産省の当面の角度も、少し違うのですが、すでに許可されて立地しておる石油、これもやはり本土の外資法あるいは石油業法等の規制下に入らなければ活動を認めない。いわゆるフリーポイントみたいな、地域としての製品販売を伴わない、操業だけをやるような企業になってしまうというきびしい主張を通産省は貫いてきたものと私は思います。ただそのことに伴って、今後金武湾なり中城湾等の公害等、あるいは大気汚染等が起こらないように、これは直接の通産省、開発庁ともに気をつけて、十分の配慮をしていかなきゃならぬことであると思います。
  422. 岩間正男

    岩間正男君 長官のそのような決意、そういうものだけで実際はまかり通れぬじゃないか。結局この背景には百万県民の、真に県民立場からの、そのような開発への意思というものが統一されてこなくちゃならない。そういう場合に私は法制上から見ていくわけですがね、原案作成権の問題がしばしばけさほど来論議されております。そしてこれは北海道開発法案に比べてこの点はすぐれている、あるいは意見を出すことができる、こういうことであったのだ。これは原案作成権というものは与えている、この点がすぐれている、そういうことなんですけれども、一体はたしてこの原案を貫く、そういう仕組みにこの法案はなっておると考えられますか。
  423. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) たびたび質疑応答で申しておりますように、私はその主張を貫いた法律もしくは設置法というものであると信じております。
  424. 岩間正男

    岩間正男君 それじゃ伺いますが、工業開発地区を設定するその最後の決定権というのは、これはどこにありますか。
  425. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 最終決定は開発庁長官であります。
  426. 岩間正男

    岩間正男君 どういう経緯をたどってこれは決定されますか。
  427. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) 沖繩県知事の申請に基づきまして、三十人の沖繩振興開発審議会の議を経まして、さらに関係の行政機関の長に協議をいたします。そして最後に沖繩開発庁長官が工業開発地区として指定するということになっています。
  428. 岩間正男

    岩間正男君 その関係行政機関と協議というと、これはことに通産省だと思います。工場適地調査、この結果を参酌しなければならぬというそういう条文があるんじゃないですか。長官が決定するのはどうなんですか。
  429. 岡部秀一

    政府委員岡部秀一君) その場合、工場立地の調査等に関する法律で、これは通産大臣が工場立地の適正化をはかるため、工場適地の調査や工場立地の調査を行なうものですが、その「第二条の規定による工場適地の調査等工業の開発に関する国の調査がされているときは、その調査の成果を参酌」するということに十一条の二項でなっております。
  430. 岩間正男

    岩間正男君 これは通産省は進めているわけでしょう、調査書までとっているわけですから。これはできているでしょう。そういう体制の中ではどうですか。原案は知事から出された、さてこれは審議会にかけなくちゃならぬ。この審議会の構成が問題なんだが、衆議院の修正でこれは沖繩関係の人が少しふえた、こういう形になったわけです。しかし、この中身は、衆議院そのものの、その中身がどうこうということで、やはりその性格が問題になってくる。それから、関係行政機関と協議するということで、ことに通産省とのそういう協議の間で、ここのところでやはり私は非常に大きな課題がどうしても出てくる、こういうふうに考えるわけです。そうでしょう。ほんとうにこれは新全総の上に立って、そうして日本のとにかく高度成長政策をもっと推進していく、何倍か推進していく、こういう方向を、一体沖繩だけ免除するというそういう方向はとられていない。ことに新全総の一ブロックとしてやるという、こういう決定、この性格づけというのは、今後非常に重大だと私たちは考えている。そうすると、原案というものは、これはくずれざるを得ないのだ。たとえば先ほどの建議書によりますと、これは当然やはりガルフのほうがいまやっている金武湾や中城湾のああいう石油、これによって汚染される、こういう公害産業、その最たるもの、この石油産業そのものを私は否定するわけにはいかない。そうでしょう。ところが、原案にはこれは出される。しかし、一方では国家の決定権がまかり通って出てくる。長官といえども、やはりそういう政治的な情勢の中でそれを代表せざるを得ないということに追い込まれる。長官個人の問題ではありません。長官個人の意思はどうであるかということはここでは問題なんではない。一つの機構の中における長官としてのこれは役割りを果たさざるを得なくなってくる。そういうことになるのでありますから、この原案というものを、一体ほんとうに、原案を出す権利はあるかもしれぬが、この原案が最後まで生きて、そしてほんとうに県民の意思を貫く、県民立場に立った、そのような開発が行なわれるという保証は、私はこういうような法的な経過を経て、そして最後の決定までいくときにはほとんど変わってしまうのじゃないか、つまり骨抜きになってしまうのじゃないか、こういうふうに考えられる。この点はいかがですか。
  431. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) いまのちょっと、二つ問題があると思うのですが、工業開発地区の指定の問題と、長期計画の原案作成と決定という二つの問題だと思うのですが、   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕 これはやはり工業開発地区を指定するのであっても、私は先ほど最終的に開発庁長官が指定しますと言いましたけれども、それは沖繩県知事の申請というものがまず提起されなければ、その仮定も結論も出ないわけでありますから、やはり県知事の申請が第一歩であるということであります。一方の長期計画の原案作成については、これは沖繩県知事が原案を作成して、たびたび申し上げておりますように、審議会の議を経て、内閣総理大臣が国の計画として責任を持って実行するためにこれを決定するという過程を経るわけでありますので、原案作成者の意見というもの、あるいは原案作成者は当然審議会の委員ともなられるわけでありますから、そのスクリーンを経る段階で、だれが見ても不当な原案のすりかえを行なうというようなことは、天下公然と衆目の前でできることではないと思います。
  432. 岩間正男

    岩間正男君 それはここでのそういう御答弁で、しかし法案そのものは、必ずそういう原案はこれをほんとうにあくまで尊重するんだ、そしてしかも、その最も基幹のところはこれはそこなうことができないとかなんとかという、そういう保証はないわけですね。最後には結局これは長官が決定する。しかも、執行の問題についても、これは先ほど山崎委員から出されました、決定はかりにされてもじゃ今度は執行はだれがするかという、この問題、二重の問題をこれは持ってくるわけです。  もう一つ問題にしたいのは、どのような企業が進出するかを左右する各種の企業優先措置、これはまあ振興開発特別措置法案によって大企業に——特別に大企業を優先する、そういうやり方が一方とられている。これにはしかし公害企業、非平和産業、こういうのはチェックされるんだ、この措置、方法は何らとられていない。そしてまあ資本金一億円、就業人員が三百名以上、こういうような形で特に措置がとられておる。労働集約型中小企業への必要な、しかも優遇措置というものはこれは何ら考えられていない。こういうふうに考えてきますというと、こういう面から考えてみても結局は大企業本位のそのようなものがまかり通っていくと、そういう形にこれはなっていくんじゃないかというふうに思うわけです。こういう点はどうですか。
  433. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあ中小企業については租税特別措置なり、あるいはまた地方税の非課税、不均一課税、交付税措置、そういうものは全部とってるわけでありますが、他面においては、本土においてはすでに指定された業種で終わったもの、そういう近代化業種等についても沖繩では全部適用するものは洗いざらいもう一ぺん適用し直す、新しく全部指定をする、さかのぼって全業種の指定をする、沖繩にしかないもの、たとえば泡盛等についても、そういうものは指定の対象とするというようなことで配慮もいたしておりますし、構造改善等についてもそういう配慮をしてまいるわけでありまして、ただ、資本金一億円以下、三百人以下とかいうのは、これはただ中小企業の規定というものをそのまま引用したにすぎないわけであります。  したがって、それらが政策的に誘致が助長され、そうして、それに対して政策金融等が行なわれていくに当たって、いまの岩間委員のおっしゃるような、沖繩本土において過去にたどってきた道というものを、発展のための人間の幸福を犠牲にした半面が出てきたというようなことの轍を踏んじゃならぬということは、その選別の問題であり、あるいはまたそれらの企業のきびしいチェックという問題が表現されておりますが、そういう問題になろうかと思います。いずれにしても沖繩側に役に立たない企業を押しつけていくということはやはり避けなければならない最も大きな点であろうと考えます。
  434. 岩間正男

    岩間正男君 まあ何ですね、そういうことを言っておりますけれども、実際は地価が高騰し、そうして立地条件が非常に悪くなって、結局は沖繩のほうにそういう立地条件を求めていく企業のそういう傾向がひとつはっきりあらわれているのですね。そういうものもやはりこれは見のがすことのできない一つの条件ですね。で、そういうことを考えますというと、これは非常に楽観は絶対できない問題です。  さらにまた建議書によりますと、振興開発計画の前提として基地返還と、そのあと地利用ということを非常に重要視しているわけですね。ところが、全然これは無視されているのが現状です。だからこの開発問題を論ずるときに基地の問題がいつでも抜ける。そういうことでは非常にこれは限られたワク内での開発を論じていることになるわけです。だからこの点なんか最も基本的なやはり今度の開発問題のいわば一つの盲点なんですね。こういう点から考えるときに、私は非常にやはりたくさんの課題を持っている。  そういう以上あげた二、三の点から考えてみましても、この県民の利益優先の沖繩開発でないことは、これは明らかじゃないか。これでは結局、知事の総合開発の原案作成の重要な柱である工業開発については、誘致企業の選定、開発地域の指定、これを国の手に握られることになる。県民の真に要求する自主的な工業開発計画などは初めから不可能にならざるを得ない、そういう要素をこれは十二分に持っている。いまの政策がそうです。この法案そのものの欠点としてもそういうものをこれは指摘することができる。これでは県民の意思を尊重するという結果にはならないと思うんです。結局これは大企業優先、そうしてその陰には米軍の基地依存、基地権益をあくまで維持する、そしてアジア戦略の最大の拠点としてこれをやはり確保していくという、そういう体制がこれははっきりあるんだと、こういうふうに考えるわけですが、この点はいかがでしょう。
  435. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 岩間先生のおっしゃることに全部賛成だと言えばずいぶん早く質問が終わるのかもしれませんが、そういうわけにもまいりませんで、ただ私も沖繩の、ことに沖繩本島における軍事基地の一番利用度の高いところにおけるその稠密さというものはこれはやはり無視できない。これは沖繩振興開発計画のやはり一番大きなボトルネックであることも私も認めます。したがって、先ほども答弁をいたしましたが、外務大臣も、復帰の後、すみやかにそういう折衝をサンクレメンテ会談を踏まえて開始する、こう言っております。下交渉はしてあるんだということは言っておりますし、私としてはやはり沖繩においては各市町村がそれぞれもし基地が返ってきたならばという前提のもとに、いろんな利用計画を持っておられますし、私の手元にも琉球政府がそれを集大成した、基地が全部返ったとしたならばこういう自分たちは設計をしてみたい、という相当りっぱなものをいただいております。この計画はやはり非常に貴重なものでありますから、これを現実の基地のある姿とダブらせながら外務省の対外折衝というものに対して反映さしていく。そして一日も早くすみやかにそういう新しい青写真というものが現実に図上に引けるように私としても推進をしてまいりたいと思います。その軍事基地が障害になっている点は私も率直に認めます。
  436. 岩間正男

    岩間正男君 私はここで時間の関係もありますから、われわれのこれに対する方針というようなものを簡単に述べておきましょう。  まず、各種の優遇措置の対象となる企業の認定条件を沖繩県——これは知事、県議会こういうものを含めてですが——自身の権限に移す。それから第一に、関連産業への波及効果というものを重視する、そういう産業を選ぶ。第二に、労働力吸収の高い企業を設置する。第三には、非公害産業でなければならない、公害のない産業。第四には、平和産業でなければならない。第五には、地場産業の強化育成、こういうことを考える。  こういう点を認定条件としてきめる。それによって今後の沖繩の真に県民本位の開発、平和的な開発を推進する。そういうことをわれわれ共産党は要求したいと思います。  だからこの設置法案に対して、われわれは現実のいま動いている政府の新全総を中心とするそういう政策、さらにはそういうものを実際ははっきり国家のそういう支配のもとに握ろうとするような、そういうもとに置かれているこの法案、こういう法案の問題点について触れたわけです。  次に、水資源の問題をお聞きしたい。これは開発計画の中でも一つの最も重要な問題であります。政府は、沖繩の水資源開発についてどのような計画、構想を持っているのか、まず伺いたいと思います。
  437. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 沖繩本島の水資源の問題に一応限って申します。離島の干ばつ対策その他は一応省略をいたしますが、沖繩本島においてはつい最近本部半島に伏流水があるということがまた伝えられましたが、まだ最終的な近代的な探査その他をやっておりませんので、はっきりいたしませんとしても、水は大体北部山脈沿いにあることは間違いのないことであります。その意味だけから申しますと、水の降雨量と海に流れ込む量、そして利用する量については沖繩において必ずしも水が乏しいと言えない。もしこれを人間の能力によって最大限の利用が可能であるならば、むだに海に流れ込む水というものを使うことができるならば、沖繩の本島北部の水というものは相当な可能性があるということを私たちは考えておりますので、福地ダムの完成と石川浄水場までの早期の送水管の落成をはかりますと同時にその北部東海岸の安波川、普久川、新川川等の多目的ダムの完成にいずれも全額国庫をもって突貫工事をしたい、急いでやりたい、そしてなおかつ将来の計画としては、比較的短い川でありますけれども西海岸の河川の流水の利用あるいはまた場合によっては塩屋湾、屋我地海等の利用等も地元との話し合いがつけば相当大規模な工事になるかもしれませんが、そういうこと等も将来は考えていく必要があるのではないかと考えておるわけであります。
  438. 岩間正男

    岩間正男君 これは第一期ですね、七七年までですか。この計画は水量としたらどれくらいですか。
  439. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあ一応現在の供給能力というものは三十万トン程度と見ておりますけれども、やはり新規開発の必要は約五十万トンくらいのものが必要になるだろう。ただいま私の申しました一応の福地ダムから以北の東海岸のダムが全部完成しますとおおむね五十五万トンということをいま見込みつつ、具体的な作業に入ろうとしておるわけであります。
  440. 岩間正男

    岩間正男君 これは第二期計画もあるわけですか。西海岸を中心にやっておられる、これはいかがですか。
  441. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう東海岸のそれぞれの多目的ダムの建設に着工すると同時に、西海岸のほうもやはり表流水のそれぞれの河川の利用がどこまでいけるか、あるいはそれがどのくらいの量になるかということは、調査を開始することになっております。長い展望としては塩屋湾、屋我地海、そういう地域の住民の人たちとの話し合いがつけば、まだそういうところにも貯水可能量があるというふうに見ておるわけであります。
  442. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうなんですか、調査費がもう計上されていると思いますが、与勝、中城湾、糸満、石川等の工業開発に伴って利用されている工業用水ですね、これはどういうことですか。
  443. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 沖繩の工業用水道の開発につきましては、先ほど山中長官からお話がございましたような水源の状況にかんがみ、かつ、何と申しましても上水道を優先的に供給をする必要があるであろうという基本的な考え方に立ち、かつ現在立地が予定されております金武湾あるいは中城湾、この付近の諸計画等を勘案して約十万トンの工業用水道をここに敷設したいというふうに考えまして、現在、四十七年度から工事を進めることにいたしたいと思っておるわけでございます。その際にただいま御指摘のありました地域につきまして今後の企業立地等も考慮しつつ内陸面でどの程度の水が必要であるかというような点を正確に把握してまいりたいと、このように考えて調査を進めているところでございます。
  444. 岩間正男

    岩間正男君 これは念のためにお聞きしますが、現在使用量ですね、これはまあ生活用水、工業用水、農業用水に分けてどういうふうになっているか。それから米軍の使用量、これが抜けているのですが、どうなんですか、米軍の使用量。これはやっぱりいつでも資料のときに米軍を落としてはいけませんよ。米軍がいつでも落ちているのです。ですから全貌をつかめないということになる。米軍は幾らですか。現在のやつ出ているでしょう、調査が。これは通産省のほうでは出ているはずだ。
  445. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 琉球政府の数字によるわけでございますが、現在生活用水で、一九七〇年、日量にいたしまして十九七千立方米、工業用水が七万一千立米、合計二十六万八千立米となっているわけでございます。ただし、この中で工業用水という仕分けがしてございますが、本土におきますような形で工業用水道事業という形でこれが使用されているわけではないのでございまして、いわば上水も工水も一緒に供給をされているという形でございます。なおこの中にはいわゆる琉球水道公社以外の簡易水道、あるいは地下水のくみ上げ量も計算されておるようでございます。軍によります使用量は、琉球政府の資料でも的確につかめていないと、こういう状況でございます。
  446. 岩間正男

    岩間正男君 これは長官に伺いますが、米軍の用水は、水道公社が日本に移管されたわけですが、買収したわけですが、これは何か契約があるんですか。電力もそうだが、電力公社、それから水道公社ですね、これはどうなんですか。水道公社、それから電力公社、これは日本に移ったわけだが、米軍の使用についてはどういう協定がなされているのか。どういうふうにして提供されているのか。ここはどうなっているか、さっぱりわからない。
  447. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう本土における水、電力の米軍に対する供給条件と同じ条件ということになります。
  448. 岩間正男

    岩間正男君 地位協定ですか。
  449. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあそうですね。しかし、水道等はこれは沖繩県の水道公社になりますから、沖繩県がきめることになりますけれども、しかしこれは、本土においてとられていますように、地域の一般給水値段で、沖繩においては市町村がたしか供給の役目を負うというふうに作業は進んでいるようでおりますが、値段は周辺の沖繩県民と変わらないということでございます。
  450. 岩間正男

    岩間正男君 ここはもっと明確な資料がほしいですね。この点は水道公社、電力公社は日本側に譲渡すると、有償譲渡したわけです。しかしその結果、米軍は使わないのかというと以前と同じようにこれは使っているわけでしょう。水道もそうだ。水道も使っているし、電力も使っている。しかし、いま言ったように、地方自治体との契約ということになっているのか、具体的にはどういうような契約か、契約内容については明確にしておく必要があると思う。  そうしてその問題と、先ほど中村さんのほうから電力の問題が出されておりますが、水道の用水の問題ですけれども、この用水の増産計画ですね、こういう計画がいま発表された。そうしてそれが七〇年、それがたとえば今後八〇年ですか、八〇年までにはどういう計画を持っているか。八〇年までの計画は一応これは概算出しているでしょう。通産省、どうなんですか。
  451. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 通産省といたしましては、御承知のとおり工業用水道のみを所管をいたしておりまして……。
  452. 岩間正男

    岩間正男君 いいです、工業用水だけについて言ってください。
  453. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) で、工業用水の需要でございますけれども、八〇年の姿は、今後の長期沖繩の振興開発計画に即しつつさらに算定をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。しかし、現在の段階といたしましては、おおむね、昭和五十五年程度で、大体既存の工業用水需要も合わせまして十七、八万トン程度ではなかろうかと、このように考えております。
  454. 岩間正男

    岩間正男君 ここに、われわれの手にした資料ですが、現在、これは何年か年度がちょっとわからないのですが、生活用水が十四万二千トン、工業用水が八万七千トン、農業用水が十二万五千トン。それが長期経済計画では生活用水が四十万七千トン、工業用水が四十万四千トン、農業用水が二十万トン。そうして、通産省のこれは五十五年の計画では、生活用水のほうが二十六万六千トン、工業用水は四十四万四千トン、農業用水は十二万五千トン。農業用水は現在と変わりはない。生活用水のほうは、これはまあ、そうですね、八割程度これはふえる。工業用水に至っては、これは五倍以上にふえる。こういう形が出ているわけです。これは、現在のやはり政府政策を明らかにしているんじゃないか。ことに水をたくさん使う石油、アルミ、それから製紙、こういうような方向へのこれはやはりちゃんと対策を考えての増水計画じゃないんですか、これはどうなんですか。
  455. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) ただいま御指摘にあげられました数字につきまして、あるいは、全部と申しますか、手元に資料が一部しかございませんのでやや不正確なお答えになろうかと思いますが、一九八〇年に生活用水が四十万七千トン、それから工業用水約四十万トンとおっしゃった数字がございますが、これは琉球政府の長期経済開発計画の数字であろうかと存ぜられるわけでございます。  そこで、その次に通産省の数字を御指摘になりましたが、これは、一昨年でございますか、沖繩の立地調査をいたしました実地調査団の、中間報告として一応推定をした数字ではなかろうかというふうに考えます。この当時は、この琉球政府の長期計画が工業用水四十万トンという形で発表されておりましたこともございまして、調査団といたしましては、ややその数字に引きずられたという感があるわけでございます。しかし、その後十分検討を加えまして、東系列の水源状況、それから西系列の水源状況、これが今後の調査にまつという状況の中で、工業用水を先取りをしていくということは、沖繩の現状にかんがみて的確ではない、こういうことから、極力実際の計画に合わせるようにしぼりまして、とりあえず十万五千トン程度の新規の工業用水を四十七年度より着工をするという形にいたしたわけでございます。したがいまして、当初考えておりましたような、水を非常に使うような産業を現地へ持っていくという考え方を改めまして、内陸型の機械工業、電子工業、そういったものの進出をはかっていきたいと、こういうベースに立っての需要を考えておるわけでございます。
  456. 岩間正男

    岩間正男君 そういういま説明がありましたけれども、あなたのほうで資料もこれは出してくれないとね、いまのような点をはっきり明確な方針を出してもらわないとだめなわけですよ。大体十万トンそこそこで工業用水まかなわれますか。石油だけだってまかなわれないじゃないですか。大体石油産業なんかは一企業で本土の場合だと十万トン使っている。それが実態じゃないですか。ところが現在だってどうなんです。ガルフがあり、エッソがあり、そうして東洋、こういうことになりますというと、どうなんです。現にこれは最初四万五千五百トンか、こういうやつが今度は十万トン、これはふやしているじゃないですか。どうなんですか。
  457. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 田中参事官にちょっと委員長から申し上げますが、沖繩開発計画がきまらぬうちに、あなたが単独に通産省案であるとか琉球政府案であるとかということを不用意に答弁なさったのではあとで混乱を起こすばかりで、振興計画がきまって水の計画がきまったときに、資料として的確なものをここにお出し願うということで岩間君の御了解を得たいと思うのですが、あなたの私見を承っても何にもならないことです。そうでございませんか。
  458. 岩間正男

    岩間正男君 ただ法案は通ってしまう、それからあとでもうそれを論議しても、何といいますか十日の菊になる、そういう可能性もある。だから、いま考えられている案というものをとにかくある程度示してもらう、そういうことは必要じゃないかと思うんですね。そういう立場からお聞きしているのですけれども、どうもしっかりまとまったものを持ってないですね。まだこれは時間あるわけですから、この法案通るまで相当時間ある。それ、はっきりまとまったものを資料としてでも送っていただくなり、中間報告でいいですよ、決してこれは決定案とかなんとかわれわれ論議しているわけじゃない。中間報告として……。
  459. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 資料で出していただきましょうか。
  460. 岩間正男

    岩間正男君 資料でこれは出してくださいよ、この次の委員会に。
  461. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 上水道、工業用水、農業用水の見通しにつきまして、資料をもちまして関係各省とも十分連絡をとりましてお出しいたします。
  462. 岩間正男

    岩間正男君 長官にお願いしておきますけれども、先ほど米軍の電力、それから水道ですね、この使用状況というのをもう少しやっぱり明確にしてもらいたい、これはやっぱり必要ですから。総合開発言いながらこういう点が抜けているんじゃはっきりした全貌をつかむことになりませんから、どことどういう契約をしているのか、公社が。先にいってどうなるのか、返還はどうなるのか、この点を明確にしておかぬと、公社は高い税金で買わされた、電力、それから水道はいままでと同じように、これはやはり低廉で使っていく、こういう形では、全くこれはうまくない。この点がはっきりしているかどうか、この点について、はっきりした政府の態度というのは明確にしておかぬと、そういうこととの関連においてこの開発問題を論じない限りは、やはり痛いところにさわらないかっこうじゃしょうがないわけですよ、結局病気もなおらぬのですから。そういう点からこれは要求したいと思いますが、いかがですか。
  463. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほど申しましたように、水道公社は県の広域水道供給事業を行なう公社になりますから、沖繩県本土の各県がやっておりますように、地域住民と同じ値段で水を買わせるということでやればいいわけでありましていその点はわれわれとしてもそういうことでけっこうだと思っておりますから、それを踏まえて琉球政府のほうは、県が受け取った場合に末端の市町村からその地区の米軍に供給するという仕組みにしようとしているようであります。それに対して米側が抵抗しているとかいうような情報も入っておりませんので、順調にいくものと思います。なお、現在までの使用量は大体四万八千トンであります。米軍の軍需は四万八千トンであります。なお、電力については通産省から説明いたします。
  464. 岩間正男

    岩間正男君 とにかくですね、これは、水資源の問題は非常に重大なものを含んでおります。ですからさきの石油の問題一つをとりましても、非常に水を大量に要する、そういうことに備えての計画、こういうふうな点、工業用水の優先供給は、これは必至になっている。その結果は勢い現在でも不足している生活用水や農業用水への深刻なしわ寄せが行なわれる、こういうことになると思うのでありますが、この点はどうなんですか。農業用水のごときは全然これは計画の中でもう一滴もふえていないのですね。こういうことはどうなんです。これは農業、沖繩の一体かん水をもっとやるということになったらずいぶん違ってくるんじゃないですか。単にこれはサトウキビやパインアップルだけの問題じゃない。そういう点についての計画は、農林省見えておりませんが、長官はどうお考えですか。
  465. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう昨年の異例な干ばつ以来予備費を使用し、あるいはまた逐次計画が立ち次第予算を使用しまして、すでにもう着手をいたしております。宮古島、石垣島、それぞれ宮古の伏流水あるいは石垣の表流水のダム、そういうものの宮良川ダム等の建設はすでにかかっておりますし、四十七年度予算においてもそれの早期完成を目ざして努力しておりますし、先ほどちょっと申しましたが、ほかの質問のときに申しました、幾ら掘っても出ない島については海底を送水パイプを通すしかありません。勝連半島から津堅島へ、あるいは宮古から来間島、あるいは西表島から新城島を通って黒島へ、そういうような予算も十分の十国庫補助でもって実施するようにいたしておるわけであります。なお、宮古の池間島については十分の十補助でもって四十七年度に完成ということになるわけであります。
  466. 岩間正男

    岩間正男君 今後、まあ非常に水不足の沖繩でもあるし、非常に水資源の増産をはかると、こういうことでやっても、これは工業用水と生活用水、農業用水の三者の間に、ことにこれに米軍が入ってきますから四つになりますけれども、四つの組み合わせになりますけれども、そういう配分ですね、利水の配分をやる、この調整をやる、調整をやるためには配分権をだれが握るかということは非常に大きな問題になる。利水の配分権限というものを一体だれが握るか。どういうことになりますか。
  467. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) それは沖繩県であります。
  468. 岩間正男

    岩間正男君 一応そういうことになっているんですがね。これは振興開発法案、これの七条ですか、本来県の管理権である二級河川、これについても振興開発計画に基づく事業で大臣が特に認めた工事は建設大臣が直接行なうことができる、その場合二級河川の管理権も知事にかわって建設大臣が代行する、こういうふうになっているわけでありますけれども、この二級河川の場合はどうなりますか。
  469. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはやはり知事の申請がなければできないということでありますから、こちらが一方的に国家権力でやるというものではありませんので、申請があった場合にそういう道が開いてあるということはたびたび御答弁申し上げているとおりであります。
  470. 岩間正男

    岩間正男君 しかし、とてもいまの沖繩の自治体の財政ではやれないでしょう、ダムは。結局は国が出ていく、そういうことになるでしょう。そうすればこれは建設大臣の直轄ということになる。そうすると利水の配分権というのは建設大臣と、こういうふうなかっこうになるんじゃないですか。こうなってくると、本土の場合は一級河川に限られているわけですね。ところが沖繩の場合は二級河川までこれは国の支配ということになる。ここが非常にやはり大きいのじゃないですか。これは本土と比べて沖繩が利水まで大きく国に握られていく、そういう方向をとってきていることを示すんじゃないかと思う。この点はどうなんです。
  471. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは県が自分でやろうとおっしゃれば、いまの二級河川であればこれは補助率は同じでありますから県がおやりになってもいいし、国でやってくれとおっしゃれば国が工事をやっていい。その河川にかかる権限というものを建設大臣が一応代行するということになりますけれども、でき上がったらまた県に返すわけでありますから、別段そこのところで国が強権をもって取り上げるものではない、あくまで知事の申請を受けるだけであります。
  472. 岩間正男

    岩間正男君 そう言っていますが、財政の面からいって、また技術の面からいって、結局これは国に頼むということになる。そうすると、国の支配権というやつは非常に強化さてれくるんですよ。こういう傾向があることは争えないと思うんです。こういう点を何とかはっきりこれを保証して、知事の権限にするというそういう何か措置が、法的かなにかとられているんですか。
  473. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは知事の権限なんであって、沖繩県知事の申請に基づいて行なうことができるわけですから、沖繩県知事が申請しなければ、固有の権限として、二級河川について沖繩県知事が持つ当然の固有の権限というものは何ら侵されることはないわけです。
  474. 岩間正男

    岩間正男君 これはどうです。特定多目的ダム法によると、ダムの水利をきめる使用権の設定権は建設大臣が持つことになっているんじゃないですか。したがって、この特例によって開発される沖繩の水利権というのは建設大臣が握ることになる。これはどうなんですか。
  475. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはもう法律に書くまでもなく、事前にぜひ国が直轄でこういう水源の開発をやってくれという要請を受けて、国がやることにしたわけでありますから、そのまま書いてあるわけで、完成したならば沖繩県に引き渡すということも約束ごとであります。
  476. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、ここはいいんですか、それで。建設大臣がそれを握って支配する、左右する、そういうことは起こらないということですね。
  477. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 何でそんなことをしなければならないんですか。
  478. 岩間正男

    岩間正男君 いま言った巨大な産業が背後にある。それが建設大臣を中心に支配する。そういうことも考えてはっきりしておかなければならぬと思う。だから……。
  479. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) ここで明確に申し上げておきます。  これは沖繩県の要請によって国が、直轄で水資源の開発、多目的ダムをつくってくれということを受けてやるわけであります。したがって、これが完成をいたしましたならば、約束どおり沖繩県に完成次第これをお返しをいたします。当然沖繩県の管理するところとなります。はっきり申し上げておきます。
  480. 岩間正男

    岩間正男君 まあ、ここではっきりあなたが言われたんだから、それを確認しておきますがね。  しかし、この水の問題、この水がだれのために、そうして何のためにというこの課題は、最初に私が質問するにあたって、開発につきまとう問題として出したのですが、やっぱりそれと同じように、水資源の問題についてもこれはつきまとってくる課題ですから、これはわれわれとしては今後その行くえを非常に見守らなければならない問題だと思います。単に河川だけではなくて、道路、港湾についても同様の問題が起こってくるのじゃないか。こういう形で、国、そうしてその背後にある大企業、こういう形で沖繩の産業が握られていく、独占化の方向にずっと大きく道をあけられる、そういう可能性が非常にある。これはそういう形の産業開発である。そういう危険が、沖繩に行ってみて、非常にあるとわれわれは感ずるわけです。百万の県民のためというのは、これは一つのキャッチフレーズにすぎないのであって、実質はそういう形になっているのじゃないか。長官のここでの答弁にもかかわらず、そういう危険が非常にあるのだということを——あなたは笑っていられるけれども、そういうことを感知して笑っていられるのだと思う。
  481. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そんなことはない。
  482. 岩間正男

    岩間正男君 ありますよ、あなたはそう言っているけれども。だからこれは、今度は通産大臣をやっぱりなにしてきて、ここではっきり対決しておいてもらいたい。それで、通産大臣もここで言明しておけばいい。そうすれば、次期政権を取るか取らぬかは知らぬけれども、(笑声)はっきりさせておくことは必要だ。これをさせないとやっぱり沖繩の百万県民のためにならぬ。そういう立場から私は以上の質問をしたわけであります。  終わります。
  483. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 中村君、補充質問。
  484. 中村利次

    中村利次君 沖繩の電気事業、電力について、復帰時点及び復帰後の基本的な問題だけを質問します。  沖繩は、いろいろな問題があるにしましても、とにかく本土並みの復帰をするということになっているわけですが、沖繩の電気事業は本土並みになるのかどうか、復帰時点では、あるいは復帰後ですね、まず最初にお聞きします。
  485. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 本土並みというのが、いろいろな問題があると思うのですが、その企業形態ということから始まりますと、これは本土並み以上、国がほとんど九九・九%の出資をした電力開発株式会社をつくる。沖繩県が当初になると思いますが、株主として〇・一%の株を持って発言権を持ち、その会社の運営がなされていくと。幸いにして、沖繩における電力料金は卸の段階で大体本土の水準よりか低く維持されておりますし、小売りの段階が少しばらばらになっておりますが、これもいずれ指導によって配電五社が、料金だけは少なくとも合併以前に足をそろえないと、地域住民の公共サービスの面では問題があると思いますから、それらの問題から考えますと、大体において本土並みということに私は確保されているというふうに思います。
  486. 中村利次

    中村利次君 これは企業形態にしましてもね、本土は発送配電一元化されているわけですね、沖繩の場合にはそうではないというお答えだったのですが。
  487. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 五配電だけ……。
  488. 中村利次

    中村利次君 どういう理由で将来もそのままでいいとお考えなのかですね、本土と違った形態をとる理由について。
  489. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはやはり本土のように民間が公益事業としてやっていただくのが一番いいと考えておりました。しかし、当初去年の七月一日を目標に、五配電の合併と統合ということを言われておりましたけれども、いつ合併するか見通しのつかない状態がいまだに続いておりますし、その次には県営でどうかということでおすすめもし、琉球政府も検討されました。しかし、やはりきわめて県営発電というのはむずかしいというようなことから、現在の形態が発送電がアメリカの電力供給公社、そして配電は民間といういびつな形になっておりますものを一ぺんに解消できませんために、いままで主として琉球電力公社というものが所管しておりました部分、それと今後の新しい新規の電源の開発、その他の相当金を要する部面は国の責任においてこれをやっていこう、そして配電五社もなるべく早く統合してもらって、できればこの株をだんだん公開しつつ、本土並みに形態も近づけていきたいものだという気持ちはなお持っておるわけでございます。まあ、こまかな問題になりますと、通産省のほうにお願いします。
  490. 中村利次

    中村利次君 これは電力公社を政府が九九・九%持つ。これは、私は復帰という、それから電力公社が米軍のものであったという非常に特殊事情のもとで、本土復帰する、どうすればいいか、これはやむを得ない措置であって、決して好ましい措置ではないと思うのですね。ですからそういう意味からしますと、本来ならば本土並みにそういう特殊事情は特殊事情としまして、やはり発送配電一元化をした沖繩電力株式会社というのができてしかるべきだと思って、こういう質問をしたのですが、そういう方向にいく努力をされたのかどうか、あるいはそうである必要はないとお考えになっておるのかどうかですね。これも基本的な問題ですから。
  491. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まさにその努力をしたわけであります。しかしながら、本土政府はアメリカとの間で有償引き継ぎをいたしましたが、沖繩県に対してはこれを無償で渡す義務がある、有償であってはならぬという立場を貫きましたので、民間に渡します場合に、はたして無償であっていいかどうかの議論はありました。したがって、民間のほうも、もし五配電が統合して引き取る場合には評価八千万ドルとして四千万ドルは一応払うと言っておったぐらいであります。そこらの点も問題でありましたが、何よりも企業の母体ができ上がらなかったということが一番の目的を達せなかった理由です。せめて、その次に、県営電力ぐらいでやっていただいたらと思ったのですが、これも、無償で全部の施設を譲ってもらっても県営の電力というものは好ましくないという最終的の御意見が表明されましたので、やはりおっしゃるとおり、やむを得ず現在の沖繩電力株式会社という、名前は会社でありますが、実際は国がほとんどの出資をいたします国策会社ということで出発をいたしたわけでありますが、好ましい形態の方向に今後いくように政策努力というものは続けていくべきである。また、通産省もそのような気持ちでおると思います。
  492. 中村利次

    中村利次君 これはどうも、県営にしたらどうかという議論もあったという御答弁であったわけですけれども、県営にするということになりますと、沖繩本土並み復帰をするんだというたてまえが——本土の電気事業とはまるきり違うんですよね。本土はもう電力再編成によって、県営であったものも、あるいはいろいろあったものも、あるいは発送配電が一元化されていなかったものも——あれは十七年ですか、電力統合をやったのは——十七年、二十六年と通じて発送配電が一元化し、民有民営が本土のたてまえになっているんですね。そうしますと、県営がどうかということは、本土と違う形態を沖繩でとろうとなすったということになるわけですね。これは、先ほど申し上げましたように、米軍の資産であったものを、とにかく、これは買い取るという表現がいいか悪いか知りませんけれども、譲り受けて何千万ドルかを支払った。それが民有民営になった場合にその措置をどうするかということ。これは特殊な事情がありますよ。特殊な事情がありますから、——沖繩復帰する、そして電力公社が米軍のものであったというきわめて特殊な事情から政府が肩がわりをしたということ、これはやむを得ない措置であったと。ということと県営でどうかということとは全くこれは次元の違う問題でして、ということは、本土政府は、沖繩の電気事業は本土の電気事業と違う性質、形態であっていいとお考えになったのかどうか。もし、そうお考えになったとすればその理由はどういうところにあるかお伺いしたい。
  493. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私が申し上げたのは順序が逆な順序でして、沖繩本土と同じように民営で公益事業として行なわれることが望ましいということでやったんですが、七月一日の約束であった合併というものも今日までなお見通しのつかない状態できているので、企業母体ができないということであったのでその構想がだめになった。そこでその次には、県民みずからのものとして県がおやりになってもけっこうですよ、というようなことで言ったんですが、これはやはり県としてはむずかしいという一つの過程がありました。そこで好ましい形態とは思わないけれども沖繩は特殊な事情のために、今日までの経過を考えて、国のほうで国策的な、ほとんど国がめんどうを見る会社ということで、沖繩人たちのための電力の新しい開発から供給までを責任を持ってやっていこうということで、順序は逆で、まず望ましい方向から進めてきたんですけれども、受け入れ体制ができないものですから、その中間で、せめて県ででもどうですかという話を出したということであります。
  494. 中村利次

    中村利次君 これは相当重大な問題ですよ。
  495. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そうですかね。
  496. 中村利次

    中村利次君 重大な問題ですわ。これは監督官庁としての通産省にお伺いしたいんですが、いわゆるそういう形態であっていいとお考えですか。これは沖繩にはどうも、沖繩本土に帰ってきたんだけれども、電気事業だけは治外法権的なものであると、県営でもいいんだということに、——私が申し上げているのはとにかくこの沖繩本土復帰しても、沖繩の電力公社が米軍の資産であったものが日本のものになった、これは民間ではその負担に耐え切れない、したがって政府がやむを得ない措置として、沖繩復帰という、とにかく何というんですか、やむを得ない、それに伴うやむを得ない措置として政府が金を出して肩がわりをした、そこまでは了解できますよ。そこまでは了解できますがね、それ以降どうでしょうか。通産省の、これは所管省として、県営であってもいいとか、あるいは国営であってもいいというような議論が成り立ちますか。
  497. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは通産がおしかりを受けるのは困る。これは私が琉球政府とずっと話をしている過程で、どうも五配電の統合はますます立たなくなってきたということから、県営でもいかがですかということを私が言ったんであって、電力行政の専門家でも何でもありませんから、ただ沖繩のために無償で譲渡されて、それが今後活躍していかれるならば、私としては一つの手段だと思って言ったわけであります。したがって、責めは全部私にありますから、そのことを押しつけようとしたんでもないので、そういう研究もしてごらんなさいということも言ったんですが、そのままになったということです。
  498. 中村利次

    中村利次君 大臣、これは困るんですよ。これは押しつけたとか何だとかいうことであり、あるいは沖繩県が困る困らないということ以前の電力行政として、はたして日本国の中に何か異質のものがあっていいかという、そういう基本的な問題が残るんですよ。しかしきょうはまあこれ以上あれしたっておかしな話ですから、この問題はこの程度にしておきますけれども、やはりいまもって——電力公社は確かにこれは五月十三日に設立総会を開いて沖繩電力株式会社ですかになる、これは一つのステップですがね。しかし配電五社は、あんなちっぽけなところで配電五社がいまもって統合できない。これはいま大臣がおっしゃったように、去年の七月には統合されるという予定であった、そういう行政指導をやられたことはこれは間違いないと思うのです。なぜ、なぜそういう非常に好ましくない、これはもうたとえば開発を進めるとか、あるいは電気料金の問題、その他一切がからむ重大な問題ですよ、これはなぜ統合できなかったんですか。
  499. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これはそう正面切って、なぜできなかったかと言われると、じゃ強引にやればよかったのかなという気がしますが、それはやはり話し合いで一緒になることが好ましいという琉球政府の見解でしたので、私のほうもそうだということでやったんですが、複雑な人脈とかいろいろありまして、これはだれが悪かったとか何とかいう社長の名前をやり玉にあげてここでやるのはおとな気ないんじゃないでしょうか。結果としては希望どおりならなかった、残念だということだと思うんです。
  500. 中村利次

    中村利次君 大臣は納得のできる御答弁のようですから、答えは納得できませんけれども、経過については確かに私も仄聞するところによりますと、まことにどうも納得のできないようないろいろなそういう主導権争いといいますか、人脈といいますか、そういうことで統合はできないというきわめて遺憾な状態のようです。しかしこれはいずれにしてもそのままほっておいていいということではないわけでありますから、これはほんとうは答弁をいただきたいところですけれども、私はすっきりした沖繩電力株式会社という一元化された形になることが一日も早いように努力をしていただかなければならないと思うのです。そうでなくても、沖繩の開発が、いろいろ、これは青写真を引いたり、いろんなマスタープランをつくったり、おやりになっているだろうと思うのですけれども、電力は、そういう電気事業がばらばらなことではこれはどうにもならぬと思うのですね、特に沖繩の場合には。この沖繩本島の中にも、北部なんかではまだ電力、電気の供給が行き届いていないところがありますね。それから、八重山群島を中心とする離島に対する供給対策はどうするのか。これは幾ら——どうもやはりこの法案の設置理由の説明の中に、ああいう沖繩県に対してどうこたえるか。大臣も、そういう御答弁があったにもかかわらず、やはり沖繩の電気事業、ごちゃごちゃして、さっぱり、沖繩県民にどうこたえるべきかという、そういうことが具現化しないということになりますと、私は、これは電力行政、通産行政の重大な責任に発展せざるを得ないと思いますよ。日本本土ですら、離島なんというものは、離島はもうほとんど赤字です。電力は赤字のはずです。そうですね。
  501. 田中誠一郎

    説明員田中誠一郎君) はい。
  502. 中村利次

    中村利次君 ですから、特に悪条件がこれは沖繩の電気事業なんというものには、もう山積をしておると思うのですよ。まず燃料なんかは、米軍のものであった電力公社は安く買えたはずですね。そうですね、税金もただであったと。こういうのが、開発がどんどん、どんどん進んでいく。燃料は本土並みの料金で入手しなければならない。税金も払わなきゃならない。こういうときに、日本本土ですら離島は赤字。これは佐渡みたいなところだって赤字です。あれは相当な赤字です。それ以下のところが一ぱいある離島だらけの沖繩で、そうでなくてさえ、電力事業の経営というものが、これがどうなるかわからぬというときに、発送配電の一元化すらできないという状態ではどうにもならぬと思うのですけれども、その沖繩開発に見合う電力開発、相当のこれはコスト高になると思うのですけれども、いわゆる燃料、税金等々を含めた、そういうものに対する対策というものは、どういうぐあいにお考えですか。
  503. 田中誠一郎

    説明員田中誠一郎君) 御指摘のとおり、私どもといたしましても、沖繩におきますところの電力の供給につきましては、民有によりますところの発送変配電一本化ということが望ましい、かように考えております。したがいまして、しかも御指摘のように、燃料費の高騰、あるいは従来米民政府のもとにありましたところの各種の優遇措置がはずされるという問題がございますので、私どもといたしましては燃料費につきましても、なるべく低廉で確保できるようにという交渉をいたしたいと考えております。一方、公租公課につきましては、沖繩電力につきまして当分の間、わりあい低廉な減免措置をとるという優遇措置を講じておりますし、一方、出資につきましては、十億円の政府の出資を行なう。さらに、開発金融公庫より低廉な融資を行なう。  以上申し上げたような各種の優遇措置をとりまして、できるだけ沖繩におきますところの電気の供給の安定と、料金の低廉化というのを確保したい、かように考えております。
  504. 中村利次

    中村利次君 きょうは、もっといろいろこの電気事業のことについても質問したいことがありますけれども、きょうはこの程度にして、また、いずれ機会を改めて……。これはもう沖繩の開発を、やはりここで言われたような開発をおやりになるということになれば、電気事業の形態、内容、そういうものがこれは前提条件になるはずでありますから、最後に大臣に御要望をしてお答えを願いたいと思うんですけれども、いまも申し上げましたように、電気事業一つをとってもたいへんなやはり多くの問題点をかかえているわけです。それから大臣が先ほど中座をされているときに建設省にお伺いをいたしましたときには、やはりどうもまず復帰してからという、まだ具体的な計画は練っていないというものも中にはございました。ですからこれはやはり沖繩県民立場になって、とにかく明るい平和な沖繩県づくりをやっていくということは、大臣がおっしゃるようなことにしてはこれはあまりに問題が多過ぎる。これをどう可能にしていくかということは、よほどのこれはやはり決意とそれから実践力がなきゃならないと思うんですが、きょう私が質問をしたものを通じてそういうものを判断をしてもはなはだ容易ならざるものがあるという感じがして、開発庁の設置そのものもはたして大臣がお考えになっているような方向でいけるのかどうかという非常に大きな疑問を持ったんですけれども、その点について最後にお答えをいただいて私の質問を終わります。
  505. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは私どもとしては精一ぱいの良心を持ってつくった法律でありますが、とる立場によって見解の分かれるところ、これはいたしかたのないところであろうと思います。しかし共通して心配しておられる点、危惧しておられる点等については、これは私たちはそうでないと思っていても、そのことはよほど慎重にやりませんと、これはどう感ずるかは、今度は沖繩県であります。そして沖繩県民がどう感ずるかということの主役になるわけでありますから、やっぱりわれわれの考えていたとおりにとられなかったことであればこれは幾ら百万言の抗弁をしても通らないときがまいります。したがって、そういうことがないように御忠告もよく承って慎重に進めてまいるつもりであります。
  506. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十三分散会      —————・—————